運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-06-11 第145回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年六月十一日(金曜日)     午前十時開議   出席委員    委員長 平田 米男君    理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑  孝君    理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君       飯島 忠義君    岩永 峯一君       小杉  隆君    小林 多門君       阪上 善秀君    玉沢徳一郎君       西川 公也君    蓮実  進君       松本 和那君    御法川英文君       宮腰 光寛君    宮島 大典君       目片  信君    山本 有二君       渡辺 博道君    石井 紘基君       田中 慶秋君    平野 博文君       松崎 公昭君    山本 譲司君       長内 順一君    西野  陽君       辻  第一君    中島 武敏君       中西 績介君  出席国務大臣         建設大臣    関谷 勝嗣君  出席政府委員         建設省建設経済         局長      木下 博夫君         建設省河川局長 青山 俊樹君         建設省住宅局長 那珂  正君  委員外出席者         建設委員会専門         員       白兼 保彦君 委員の異動 六月十一日         辞任         補欠選任   岩永 峯一君     渡辺 博道君   玉沢徳一郎君     御法川英文君   宮腰 光寛君     宮島 大典君   畑 英次郎君     石井 紘基君   平野 博文君     松崎 公昭君 同日         辞任         補欠選任   御法川英文君     玉沢徳一郎君   宮島 大典君     宮腰 光寛君   渡辺 博道君     岩永 峯一君   石井 紘基君     畑 英次郎君   松崎 公昭君     平野 博文君 六月十日  過疎地域活性化のための新立法措置に関する請願羽田孜紹介)(第五三〇三号)  新道路整備五箇年計画の推進と道路特定財源の堅持に関する請願羽田孜紹介)(第五三〇四号)  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願奥田建紹介)(第五三〇五号)  同(小林守紹介)(第五三〇六号)  同(穀田恵二紹介)(第五三〇七号)  同(土井たか子紹介)(第五三〇八号)  同(西川知雄紹介)(第五三〇九号)  同(羽田孜紹介)(第五三一〇号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第五三一一号)  同(松浪健四郎紹介)(第五三一二号)  同(坂口力紹介)(第五五二六号)  同(田中慶秋紹介)(第五五二七号)  同(辻一彦紹介)(第五五二八号)  同(西川知雄紹介)(第五五二九号)  同(日野市朗紹介)(第五六四二号)  同(日野市朗紹介)(第五八九四号)  同(肥田美代子紹介)(第五八九五号)  同(松本惟子君紹介)(第五八九六号)  同(村山富市紹介)(第五八九七号)  同(佐々木陸海紹介)(第五九六七号)  公営住宅に関する請願佐々木陸海紹介)(第五三一三号)  同(中島武敏紹介)(第五三一四号)  日本道路公団等関係機関による精神障害者への割引制度適用に関する請願尾身幸次紹介)(第五三一五号)  同(自見庄三郎君紹介)(第五三一六号)  同(下地幹郎紹介)(第五三一七号)  同(菅義偉君紹介)(第五三一八号)  同(能勢和子紹介)(第五三一九号)  同(原田昇左右紹介)(第五三二〇号)  同(宮澤喜一紹介)(第五三二一号)  同(山口泰明紹介)(第五三二二号)  同(吉川貴盛紹介)(第五三二三号)  同(坂井隆憲紹介)(第五五三〇号)  同(御法川英文紹介)(第五五三一号)  同(河野太郎紹介)(第五六四三号)  同(衛藤征士郎紹介)(第五八九八号)  同(亀井善之紹介)(第五八九九号)  同(桜田義孝紹介)(第五九〇〇号)  同(田中眞紀子紹介)(第五九〇一号)  同(虎島和夫紹介)(第五九〇二号)  同(山崎拓紹介)(第五九〇三号) 同月十一日  不況打開国民本位公共事業建設行政民主的転換に関する請願石井紘基紹介)(第六〇九八号)  同(海江田万里紹介)(第六〇九九号)  同(肥田美代子紹介)(第六一〇〇号)  同(村山富市紹介)(第六一〇一号)  同(山花貞夫紹介)(第六一〇二号)  同(伊藤茂紹介)(第六二五八号)  同(辻一彦紹介)(第六二五九号)  同(肥田美代子紹介)(第六二六〇号)  同(保坂展人君紹介)(第六二六一号)  同(山花貞夫紹介)(第六二六二号)  同(粟屋敏信紹介)(第六三四六号)  同(池田元久紹介)(第六三四七号)  同(大森猛紹介)(第六三四八号)  同(長内順一紹介)(第六三四九号)  同(安住淳紹介)(第六四四一号)  同(遠藤和良紹介)(第六四四二号)  同(中桐伸五君紹介)(第六四四三号)  同(石井郁子紹介)(第六五六三号)  同(石垣一夫紹介)(第六五六四号)  同(岩田順介紹介)(第六五六五号)  同(大森猛紹介)(第六五六六号)  同(長内順一紹介)(第六五六七号)  同(海部俊樹紹介)(第六五六八号)  同(金子満広紹介)(第六五六九号)  同(木島日出夫紹介)(第六五七〇号)  同(児玉健次紹介)(第六五七一号)  同(五島正規紹介)(第六五七二号)  同(穀田恵二紹介)(第六五七三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第六五七四号)  同(佐々木陸海紹介)(第六五七五号)  同(志位和夫紹介)(第六五七六号)  同(瀬古由起子紹介)(第六五七七号)  同(辻第一君紹介)(第六五七八号)  同(寺前巖紹介)(第六五七九号)  同(中路雅弘紹介)(第六五八〇号)  同(中島武敏紹介)(第六五八一号)  同(中林よし子紹介)(第六五八二号)  同(春名直章紹介)(第六五八三号)  同(東中光雄紹介)(第六五八四号)  同(平賀高成紹介)(第六五八五号)  同(平野博文紹介)(第六五八六号)  同(不破哲三紹介)(第六五八七号)  同(藤木洋子紹介)(第六五八八号)  同(藤田スミ紹介)(第六五八九号)  同(古堅実吉紹介)(第六五九〇号)  同(松本善明紹介)(第六五九一号)  同(矢島恒夫紹介)(第六五九二号)  同(山原健二郎紹介)(第六五九三号)  同(吉井英勝紹介)(第六五九四号)  日本道路公団等関係機関による精神障害者への割引制度適用に関する請願平沢勝栄紹介)(第六一〇三号)  同(大石秀政紹介)(第六二六三号)  同(高市早苗紹介)(第六三五〇号)  大規模公共事業の中止に関する請願中島武敏紹介)(第六四三三号)  同(中林よし子紹介)(第六四三四号)  同(葉山峻紹介)(第六四三五号)  同(春名直章紹介)(第六四三六号)  同(東中光雄紹介)(第六四三七号)  同(平賀高成紹介)(第六四三八号)  同(不破哲三紹介)(第六四三九号)  同(藤木洋子紹介)(第六四四〇号)  同(知久馬二三子紹介)(第六五六二号)  公営住宅に関する請願中島武敏紹介)(第六五九五号) は本委員会に付託された。 六月十一日  工場跡地など遊休不動産有効活用及び流動化促進に関する陳情書(第二四五号) は本委員会に参考送付された。 本日の会議に付した案件  住宅品質確保促進等に関する法律案内閣提出第六三号)(参議院送付)     午前十時開議      ――――◇―――――
  2. 平田米男

    平田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付住宅品質確保促進等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長内順一君。
  3. 長内順一

    長内委員 おはようございます。公明党・改革クラブ長内順一でございます。  今お話がございましたように、この法案につきましては既に参議院で先議になっておりますし、先日のこの委員会でも皆さんの方から突っ込んだやりとりがあったところでございます。私も、短い時間ではございますが、国民生活にとって非常に重要なこの法案であるということから、重複を避けながら率直に質問させていただきたい、こんなふうに考えているところでございます。  こんなことを言ったらなんですが、これまで建設省住宅局というのは、公営住宅をいかに国民皆さんに供給していくかということが主務だったような、そんな印象でございます。しかしながら、事ここに至って、この住宅問題が量から質の時代に入ってきたというふうに言えると思います。  その中で、いち早く住宅局で、こういう個別の住宅について質のところまで立ち至って、そして、ひとつ良質な住宅国民に提供しようという意欲があらわれたということは、私は、この点については高く評価をいたしたいと思います。消費者保護、そしてもう一方では業界活性化、この視点をどうか忘れずに、この法案について取り組んでいただきたい。  私は、量を追いかけている間はこれは建物であった、しかしながら、ここに至って、今、質の問題を議論することになって初めて、住宅というのが建物から住まいというところに、いわゆる文化に踏み込んだのではないかな、こんなふうに実は評価をしているところでございます。  そこで、先日もこの数字を挙げられておりましたけれども、私も、総務庁の統計局住宅統計調査なんかを見ますと、今申し上げました量から質、まさしく住宅数世帯数関係なんでありますが、既に一九六八年で世帯数住宅数が上回っておる。一九六八年で既に住宅の方が世帯よりも多くなっているんだ。そして直近では、一九九三年には住宅数が四千六百万戸、そして世帯数が四千百万、ですから、約五百万戸、住宅の方が上回っている、いわゆるストック状況に至っている、こんなことが言えるのではないかなと思います。  また、建設省の七期住宅建設五カ年計画の中では、誘導居住水準というのが決められておりまして、この達成比率目標は五〇%、それから戸建て当たり面積は百平米だというのが、誘導居住水準として、目指すものとして決められているわけでありますが、これにつきましても、既にもうかなり近いところまでいっている。例えば床面積達成率にしましても、一九九三年では既に、五〇%いっておりませんけれども、近いところまでやってきているというようなことを考えますと、今申し上げました、これから質をどういうふうに高めていくのかということが大きな課題なのではないかな。いろいろなデータはありますけれども、はしょらせていただいて、そんなことが言えるのではないかな、こんなふうに思います。  ところが、一方で、住宅の数がどんどんふえてまいりまして、ストック状況なのはいいのですが、片っ方では、それに伴って欠陥住宅と言われるような、自分が住宅を購入する、建てる、これは消費者にとっては生涯の大きな買い物でございまして、ところが、その住宅が何か瑕疵だとか欠陥があるというようなことも随分報告されているようでございます。  いただいた資料によりますと、国民生活センター資料で、戸建て工事平成六年は一万六千件の相談件数、いわゆるクレーム、トラブル、こういうものがあったのが、平成九年では二万二千件になっている。それから、戸建て住宅の、注文ではなくてこれはきっと売買だと思いますが、これにしても五千件だったのが七千件。それから、マンションの売買につきましても四千件なのが六千件という形で、わずか三年ぐらいの間に住宅に対するトラブルが随分発生をしているわけであります。  御質問したいわけでありますが、いわゆる欠陥住宅、これについて建設省としてはどう認識しているのか、それから、今回の法案の中でどんなふうにこれに対応しようとしているのか、大枠でお伺いしておきたいと思います。
  4. 那珂正

    那珂政府委員 先生ただいま御指摘なさいましたように、確かに、いっとき住宅の量という問題が一番重要だった時期から、この十数年、住宅の質の向上ということに国民一般の目が向けられ、政府としても、そういう住宅対策考え方の中心に質の向上ということを挙げてきているわけでございます。  質の向上というときに、これも住宅の一戸当たり床面積あるいは一人当たり居住面積などを、面積を象徴的に取り上げてきていたわけでございますが、近年、いろいろな消費者意識の高まりとか住宅のいろいろな性能等に対する認識が深まったこと等によりまして、まさに住宅品質性能というようなことに対するニーズが非常に強くなってきているというふうに思います。  いわゆる欠陥住宅問題というのも、そういうことに比例して、この数年、データを見ますと、いろいろな形でふえてきている、トラブルも多くなってきているように見受けられます。国民生活センターに寄せられる相談件数の推移、今先生指摘になりましたけれども、大変急激な上昇をしているわけでございます。  欠陥住宅問題というのは、本来、国民生活に大変重大な影響を及ぼすものでございまして、各面において、そういうトラブルあるいは欠陥住宅を防止するということは住宅政策としてもぜひ取り組まなければいけない重要な課題と思っております。  そういう一環で、昨年、建築基準法を大改正させていただきました。特に、中間検査制度導入等をその内容としているわけでございます。あわせて、執行体制強化も盛り込ませていただきました。  ただ、いわゆる事前の担保措置強化、こういうことのみでは住宅欠陥というのは決してゼロにはならない、特に検査費用等のことを考えますと、現実的にはなかなか難しい面もございます。むしろ、本法案でねらっておりますような、消費者住宅生産者との契約関係において、例えば瑕疵担保責任期間を十年に延長する、あるいは共通のルールに基づいて住宅性能に関する信頼性の高い情報を消費者に提供する住宅性能表示制度の創設とか、こういった制度を通じて、住宅生産者供給者みずから瑕疵のないいい住宅をつくるということに取り組んでもらうよう促していくことが極めて重要だ、こう思いまして本法案の御提案を申し上げている次第でございます。
  5. 長内順一

    長内委員 先ほど申し上げましたように、消費者にとってみれば、ある意味では生涯で最大買い物というふうにも言えると思うのですが、これが瑕疵だとか欠陥があると大変なことなのですね。しかも、この原因究明だとか紛争処理だとか、これがまた大変だ。そんな意味でも、今回の法律がその一助になれば、これはすばらしいことだと私も思っております。  ところで、欠陥住宅がふえたバックグラウンドといいますか、これをどういうふうに認識されていますか。
  6. 那珂正

    那珂政府委員 欠陥住宅が発生する原因というのは、いろいろなことが考えられると思います。設計内容が十分固まらないまま契約してしまうとか、工期を無理に短縮してしまうこと等によった、いわゆる不完全な施工が行われるとか、結果として建築基準法も十分遵守されないこともあるとか、いろいろなことが考えられるわけでございますけれども、そういうことに起因して、近年、先ほど申し上げましたように、具体的にトラブルも増加しているということでございます。  根本的な背景を申し上げますと、私は、まさに発注する消費者とそれを受注する工務店との間に昔はあったであろう地縁的な信頼関係が希薄になってきたのではないか。やはり都市化現象等に伴って、必然的なことかもしれませんけれども、そういう地縁的な信頼関係が希薄になってきたというようなこと。それから、先ほど申し上げましたけれども、そもそも消費者国民一般住宅の質に対する意識向上が非常に強くなってきたというようなことがいろいろ複合的に起因して、そういう問題が出てきているのではないかと思います。
  7. 長内順一

    長内委員 欠陥住宅がふえてきた背景というのは、さまざまな背景があろうと思います。今局長がおっしゃったようなこと、それからもう一つ、私は、コスト低減ということ、これとのかかわり合いもまたあるのではないかなというふうに考えております。  高度成長の中でどんどん住宅の量がふえてきて、その中で、非常にラフな契約それからラフな工事、こんなことがあったということも一つあるでしょうし、もう一方では、こんなことを言ったらあれですが、安かろう悪かろう、消費者の方はコストをできるだけ下げて住宅を入手しようとするものですから、勢い、安くしてください、安くしてくださいと。それで、業者の方も何とかしなければならないということで、結局それが欠陥住宅につながっているなんということも言えるのではないかな、こんなふうに思いますけれども、どうでしょうか。
  8. 那珂正

    那珂政府委員 消費者ニーズというか要求にこたえて、住宅生産者の方はなるべくコストを縮減していくという努力はしていただいているわけですが、それがみんな欠陥住宅につながるということはないとは思います。しかし、一般的に、先生、今、安かろう悪かろうという表現をなさいましたけれども、決してそういうことがあってはならないわけでございまして、私どもも、コストダウンというのは一定品質がきちっと確保されるという前提で行われるべきものだ、こう思っております。
  9. 長内順一

    長内委員 平成八年の三月二十六日に、建設省、法務省それから厚生省、通産省連名で、「住宅建設コスト低減のための緊急重点計画について」、こういう通達を出してございます。  この中で、「我が国経済の高コスト構造は様々な分野指摘されているが、」とありまして、「住宅分野に関しても、国民が適正な負担で真に豊かな住生活を送ることを実現するため、住宅建設コスト低減を図る必要がある。このため、平成十二年度までに、標準的な住宅建設コストを、これまでの水準の三分の二程度低減することを目指す等の目標」、これを行動計画という形で策定したんだと。  平成十二年度までに三分の二程度まで軽減をさせる、このことイコール欠陥住宅につながるものではありませんけれども、この考え方と今回の欠陥住宅の増加ということの関連性といいますか、どんなふうに考えますか。
  10. 那珂正

    那珂政府委員 御指摘平成八年三月、四省共同住宅建設コスト削減のための行動計画をまとめて、私ども、その主務として一生懸命努力しているわけでございますが、基本的に、このことが欠陥住宅問題を増加させているとは認識しておりません。  しかし、コスト縮減対策というのは、それはそれで非常に重要なことでありまして、やはり諸外国と比較しても、住宅建設コストというのは決して安いわけではなくて、いろいろな面で高いと言われる部分が相当残っている。そういうことに対して、不断の努力を続けていかなければいけないと思っております。  しかし、繰り返して申し上げますけれども、だからといって、品質をおろそかにしていいということには全く当たらないわけでございまして、両方をバランスよく追求していきたいと思っております。
  11. 長内順一

    長内委員 今、局長がおっしゃったとおりだと思うのですね。  ですから、ただ単にコスト低減にこの四省が名前を連ねて、この計画をということ、これはこれで評価できることかもしれませんけれども、もう少しバランスを考えていきませんと、ともすれば安かろう悪かろう、これじゃいけないわけでありまして、そういう意味では、今回の法律が制定されて、一定の物差しが置かれて、それによって価格と品質バランスがとられていくということは大変有意義なことであって、局長、もっとそういうことをPRしなかったらだめだと私は思うのです。  ただ単に、それもそうですが、これもこうだということじゃなくて、今回の法律でまさしく基準ができたのですから、これをもとにして、こういうことも考えていくということが大事なことではないかな、こう私は思うのですよ。  そんな意味では、今回、法律の中でいろいろなポイントがありますが、例えば、住宅性能表示基準をつくるだとか、それから紛争にかかわる処理体制をつくるだとか、それから十年間にわたる保証体制ができましたよだとか、こういうことが一つポイントになると思うのですが、この表示基準ということについて考え方を伺っておきたいと私は思います。  建築の用語だとか、それから建築基準法だとか、こういうことは、率直に言って非常に難しい。だから、今回のこの法律が一体だれのためにあるのかと。これは、もちろん建設業者さん、住宅業界活性化ということもあるかもしれません。しかし、やはり消費者保護という立場から考えていくと、専門家皆さんだけがわかって、どんどん話のやりとりができると同時に、素人の方、言うなれば消費者の方がこのことをよく理解して活用できるようにしなければ、局長いいですか、消費者の方が活用できなければ、この法律というのは本当の意味で生かされた法律にならない、こんなふうに思うのですよ。  建設省として、本当にこの法律消費者保護のために生かしていくんだ、そのための方途についてどんなふうに考えているか、お願いしたいと思います。
  12. 那珂正

    那珂政府委員 先生指摘のとおりだと思います。この新しい制度をいかに消費者方々にまずわかりやすく理解していただいて、それを活用していただけるかというのがこの制度最大ポイントだろうと思うわけでございます。  したがって、先生のまさに今御指摘になりました例えば住宅性能表示基準、どういう性能表示していくのかということについても、消費者方々に非常にわかりやすくPRしていかなければいけないわけでございまして、当面、私どもは、消費者団体との意見交換会建設省のホームページをつくりましてここにいろいろな意見を求めたり、あるいはその他の審議会での議決を経るというような手続を経て、基準づくりに関しても消費者意見を十分取り入れていきたいと思いますし、その後、でき上がったものについても、いろいろなマニュアルを作成するとか、あるいは公的機関とか消費者団体の協力も得つつ、パンフレット、新聞広告講習会の開催、各種媒体を総動員いたしまして、消費者表示された内容を十分に理解でき、この制度を十分に使う気になってもらうように、そのPR、普及に努めていきたいと思います。
  13. 長内順一

    長内委員 大変重要なことだと思うのですね。  聞いていること自体は大したことないと思うかもしれませんけれども、本当に、せっかくこういう法律に踏み込んだのであれば、一般消費者の方に理解させていくという努力をもっともっとしなければ、結局業界だけで広まって、消費者保護という視点の方がどうしても欠けてしまう。  ですから、共通マニュアルをつくるのであれば、何か字がいっぱい入っているマニュアルも大事かもしれないけれども、よく皆さん方が多くの方々に、例えば今まで公営住宅の募集をするときに漫画チックなものを使ったりいろいろな形で御努力されている、そういう心配りがなかったらこれはなかなか広まっていかないと思うのですよ。  そして、くどいようですけれども素人の方、一般消費者の方の理解を得られなければ、この法律自体はただ単に建設省で立派なものをつくりましたよつくりましたよ、これで終わってしまう。このことを御指摘させていただきたいと思います。  それから、私はもう一つ性能表示基準について申し上げたいのは、日本列島は大変長うございまして、住宅というのはそれぞれの地域性というのが非常にあるわけであります。私は北海道選出の議員ですが、北海道住宅と九州の住宅ではまるっきり違う。そんなことを考えますと、この基準をつくるときに、全国一律ではなくて、そこに地域性ということも加味して制定すべきだと思いますが、この点についてはどうでしょうか。
  14. 那珂正

    那珂政府委員 この点につきましても御指摘のとおりだと思います。  私どももそのつもりでおりまして、具体的には、この基準をつくる際に、例えば省エネルギー性能のごとくは、先生北海道とおっしゃいましたけれども北海道と九州では本当に状況が違いますので、そういう省エネルギー性とかあるいは耐久性というような性能についても地域性が相当出てくると思います。例えば構造安全性についても、積雪荷重のとり方も違ってきますし、そういう点で、すべての点につきまして地域性というものが必要なところについては取り組めるようにしていきたいと思います。
  15. 長内順一

    長内委員 先ほどのにもつながるのですが、そういうきめ細やかな、お役所の通達ということではなくて、消費者の側から見たさまざまな考えを織り込んでもらいたいというふうに思います。  あと残り五分ぐらいでございますので、ずっと飛ばしまして、瑕疵担保責任についてお伺いをさせていただきたいと思います。  これもまた画期的なことなんですが、保証期間が一律十年というのはいかがなものかなと思うのです。例えば構造物によってこれまでさまざまな償却期間、コンクリートと木造のつくりでは違うでしょうし、民法やなんかでも随分違ってきているのではないかな。これが一律十年。これなんかもどうかなと思うのです。  それよりも私は、今お伺いしたいのは、十年間の保証期間がございますね、何で当初の二年間は保証の適用外になっているのでしょうか。十年間のうち三年目から十年目は何か瑕疵があった場合には保険がおりたり補修の対象になります。ところが、スタートの二年間、これも局長一般消費者から見ると、建物ができましたよ、一番欠陥だとか瑕疵が目につくのが、多分自分がお住まいになって一年目、二年目だと思うのですよ。その二年間に見つけたものについて補修もきかなければ保険もおりないというのは、何で二年間を不適用期間にしたのですか。
  16. 那珂正

    那珂政府委員 お尋ねの御趣旨は、瑕疵担保責任期間の延長の問題とそれを裏打ちする制度であります保険制度の違いだと思うのですけれども、まず、瑕疵担保保証期間は……(長内委員「二年間だけ何で不適用になっているのですか。時間ありませんから、二年間だけ」と呼ぶ)  それは、保険期間として本来責任を負うべき供給者の短期の期間を保険で付保するということはいわゆるモラルハザードを招きかねないということから、保険では三年目以降十年までの期間を付保対象としているわけでございまして、消費者に対しては供給業者は丸々十年間の瑕疵保証責任を負うものでございます。
  17. 長内順一

    長内委員 それはおかしいです。  今のモラルハザードの話でありますが、では、その二年間にその建物を建てた業者が、例えば倒産してしまったといった場合は消費者の方では手の施しようがないわけです。ですから、せっかくここまでの法律をつくるのであれば、制度改正して、やはりスタートから十年間はきちっと担保されているのですよということが大事なことであって、今局長がおっしゃったような理由で一番大事な二年間を不適用期間にするというのは私は納得できません。  わずかと言ったらあれですが、スタートからきちっと十年間保険適用にすべき、法改正すべき、こう考えますが、いかがですか。
  18. 那珂正

    那珂政府委員 保険の適用でございますけれども、基本的には供給業者瑕疵担保責任を裏打ちするという制度でありまして、当該供給業者が倒産するというようなことは基本的には想定していなかったわけですが、確かに倒産してしまうということはあり得るわけでございまして、そうすると現行の保険の制度では、三年目から十年までの間に仮に当該業者が倒産した場合には当該業者に保険金が支払われるのではなくて、いませんので、消費者に直接保険金が支払われるという制度に今なっております。  問題は、先生今御指摘になったように、もしこの二年間に倒産したらどうなるかというと、確かに現行保険制度ではその二年間は宙に浮いてしまう、保険金が支払われないということになっておりますので、今度この法案によりまして一般的に業者瑕疵担保責任が充実されるということに伴って、今先生指摘になっております裏打ちする保険制度も非常に充実する必要がある、こういうふうに思います。  したがいまして、その現行制度を、これは保険制度でございまして法律ではないのですけれども、現行制度につきまして、その二年間も倒産等の場合に対象となるように、制度改正について取り組んでいきたいと思います。
  19. 長内順一

    長内委員 大臣、今局長の方からもありましたけれども、この法律で柱のうちの大事な一本なんですね。住宅を購入した、瑕疵欠陥があった、そのときにそれを保証する、担保する、そういう制度が十年間なんですよ、高らかに建設省が言っておきながら二年間が不適用だ、これはおかしいということを今申し上げました。そうしたら、局長の方からこれは制度改正をするということなんですが、大臣いいですか、そのことで。
  20. 那珂正

    那珂政府委員 先ほども申し上げましたように、法律改正は必要ないので、制度の改正でございますが、早急に検討していきたいと思います。
  21. 長内順一

    長内委員 法律でも制度でもいいのですが、二年間不適用期間がありますよ、これが解消されるようにこれから制度改正をしていくんですかということを聞いておりますが、それだけ答えてください。
  22. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりの方向で検討させていただきます。
  23. 長内順一

    長内委員 時間になりました。いろいろ通告をしてあったんですけれども、大変残念でありますけれども、ぜひこの法律、先ほども申し上げましたように、消費者の立場から実効のあるものになるように心砕きをいただいて、そして遂行していただきたい、このことをお願い申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  24. 平田米男

    平田委員長 井上義久君。
  25. 井上義久

    ○井上(義)委員 今回の住宅品質確保促進法案につきましては、我が党かねてから、特にPL法施行以来主張してきたことでありまして、これが法案の形になったということについては高く評価しております。  一つは、この制度、任意の制度になっているんですね。去年、建築基準法の改正で中間検査、いわゆる欠陥住宅をどうなくするかということで中間検査が導入されたのですけれども戸建て住宅については現実はなかなか適用されていないというのが一方であって、これがもし強制であれば、少なくとも設計段階で評価を受ける、それからできた段階で検査を受けるということで、欠陥住宅をなくすという意味では、これは強制にすれば本当に大前進になると思うのですよ。  そういう観点でいうと、任意にしたというのはそれなりの理由があるんでしょうけれども、なぜ強制にしなかったかということと、もしこれが任意であるということであれば、相当消費者に徹底しないと消費者保護は図れないという観点で、その辺についてどのように周知徹底していくのかということをまず簡単に言ってください。
  26. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  この制度による性能表示制度というのは、一定性能評価のための厳しい現場の検査が必要でありまして、必ず一定コストを要するということでございます。このコストというのは最終的には消費者が負担することになりますので、一律に消費者に負担増を強いるというよりは、消費者等の選択制にする方が適当ではないかということで、任意の制度としたところでございます。  おっしゃるとおり、任意の制度ゆえに、また、この表示制度も含めて、他の瑕疵担保責任の特例制度も含めまして、一般消費者方々にPR、周知徹底する必要は、先ほども申し上げましたけれども、本当にそう痛感しております。したがいまして、公的機関、それからマスメディアなどにも協力してもらって、こういういろいろな媒体を通じて周知徹底してまいりたいと思います。
  27. 井上義久

    ○井上(義)委員 そこで、大臣、経済の安定成長とか資源の有限性ということを考えますと、やはり、これから耐久性の高い良質な住宅ストック、これをどう形成していくかということが非常に大事だと思うのですね。正直言って、今の住宅、二十年から三十年のローンが終わると建てかえなければいけないというようなことじゃなくて、やはりこれから五十年住宅、百年住宅というような、そういう方向にこれから住宅政策を持っていかなきゃいけないんじゃないか。そういう意味では、この法律はチャンスじゃないかと思うのですね。  やはり、この住宅五十年もちます、百年もちますよということが、例えば住宅性能表示という形で、これはいろいろ表示のイメージをお伺いしたのですけれども、本当にこれで一般消費者がわかるのかなという感じは正直言ってしているのです。やはり五十年、百年もちますよというようなことが消費者にわかりやすくなってくれば、私は、良質な住宅ストックを形成していく一つのチャンスになるんじゃないか。そういう意味で、政策誘導にもこれは使える話なので、そういう方向に住宅政策を持っていくべきだ、こう思うのですけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  28. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 先生指摘のとおりだと思うわけでございまして、これからは長期の耐久性のある住宅の技術開発というものはもちろんやってまいりましょうし、住宅金融公庫の融資あるいはまた補助制度を活用いたしまして、耐久性の高い良質な住宅の建設をするためのまた各案の支援も現にいろいろな角度で行われておりますし、今後とも、そういう意味で耐久性の高いものにしていきたいと思っております。  先ほどの質問の中にもございましたように、戸数でいえば、家族数よりもその戸数の方が多いというわけですから、これからはやはり耐久性の高いもの、いわゆる質のいいものというものを住宅の重要な部分としてやっていきたいと思っております。
  29. 井上義久

    ○井上(義)委員 それで、これはちょっと質問通告していないのですけれども住宅性能ということで、この表示イメージを聞かせてもらったのですけれども、躯体がほとんどなんですね。それで、実はこの住宅というのは最近設備というのが極めて重要な役割を果たしていて、フランスの表示制度なんかを見ると、例えば、配管あるいは電気設備がどうなっているかということによって住宅のもち方というのはもう何十年と違うわけですよ。そういう設備の関係がどうも住宅性能表示から抜け落ちているんじゃないかという、ちょっと心配しているのですけれども、その辺についてはどうなんですか。
  30. 那珂正

    那珂政府委員 基本的には、その住宅に構造的に一体となっている設備は、基本的、概念的にはこの住宅の中に含めて考えておりますけれども、電気設備等取り外しできる、あるいは後から消費者が自由につけかえられるというような設備は、この対象から外しております。  それで、今具体的にどういうふうに入っているかといいますと、各性能項目にはいろいろなことがありますが、特にその維持管理性、維持管理の容易性という項目を考えておりますけれども、これは設備、とりわけ給排水設備とかこういうようなものは絶対そういう性能がきちっと確保されていることが必要でありますので、そういうことを表示することを検討しております。
  31. 井上義久

    ○井上(義)委員 これは、実際に私もマンションに住んでいますけれども、結局水回り、特に給排水とか、そこが最初にだめになったマンションはだめですよ、こういう話になるので、特にその設備の関係、いろいろな概念に通じてくると思いますけれども、これは具体的な告示をされるときにぜひまた我々の意見もよく聞いてもらいたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、これは今まで何回も質問に出てきていると思うのですけれども、中古住宅へのこの性能表示瑕疵担保責任、これは、やはりこれからの日本の住宅政策を考えますと、いわゆる中古住宅市場を活性化するということが極めて重要な政策になるんだろうと思うのですよ。そうすると、やはり中古住宅一般の人が判断する基準というのは、今正直言って何もないということで、いろいろ難しいと思うんですけれども、この住宅性能表示とかあるいは瑕疵担保責任とか、それからもう一つは、それに関連して修繕履歴ということだと思うんですけれども、そういうことがやはり中古住宅市場を育てていく上で非常に重要になるということで、ぜひ住宅性能表示を中古住宅にも適用すべきだ、こう思うんですけれども、その辺のことをぜひお願いします。
  32. 那珂正

    那珂政府委員 本法案のうち、性能表示制度につきましては、当面新築住宅のみを対象とする予定でございますが、それはいろいろ中古住宅検査したりすることについて技術的な問題が大き過ぎて、まだ十分自信を持って制度化できない、対象にできない、こういうことでありますが、しかし、法制度上は中古住宅も排除しないで、必ずや近い将来、そういう中古住宅表示のできるような技術的な解明を踏まえた上で対応していきたい、こう思っております。  もう一方の瑕疵担保責任についてでございますが、これはやはりなかなか、民法の原則等の法律上の観点から、いきなり中古のところからスタートするというのは、あるいはその転売条項、よく言われる転売条項を認めるということは、いろいろ検討いたしましたけれども、今回は断念せざるを得なかったということで、新築住宅に限らせていただいております。
  33. 井上義久

    ○井上(義)委員 中古住宅性能表示、これだけでもぜひできるだけ早くスタートしてもらいたい、こう思います。  それから、瑕疵担保責任でいうと、やはり少なくとも五十年もちますよという住宅を提供しようとしているわけですから、それは民法上の制約もいろいろあると思いますけれども、それについてもぜひ研究して実現するような方向でお願いしたいと思います。  それから最後になりますけれども、我々のところに、特に中小の工務店皆さんからこの法案に関していろいろな御意見が寄せられています。  二つに分かれているわけで、一つは、これは非常にいい、今まではメーカーのネームバリューで我々は負けていたけれども、今度は性能表示ができるようになれば十分勝負ができる、こういうふうにおっしゃっている方と、これはなかなかしんどい、コストもかかるし、いろいろな申請の手続とかあって、我々中小企業ではとてもやり切れないと、両方の意見があるわけで、私は前者の皆さんにぜひ味方をしたい、こう思っているわけでございますけれども、そういう中小企業、この辺が一番いわゆる住宅建築に関しては大半を担っているわけでございまして、その辺の対策についてちょっと最後にお伺いしておきたいと思います。
  34. 那珂正

    那珂政府委員 今先生指摘になりましたのは、まさに同一の業者の方だって、本音として両面持っていると思うんです。このぐらいのことだったら何も、十分大手と伍してやれるんだから、実際はやってきたんだし、ネームバリューがないゆえに虐げられてきたというかやりにくかったのが、今度はちゃんと堂々とやれるという面と、そうはいっても手続とか一定検査とか、そういうことは面倒くさいとか手間がかかるとか、そういうような側面もあると思います。  そこで、私どもとしては、制度は本質的に中小業者の方に不利になるとは決して思っておりませんけれども、しかし、この制度に円滑に乗っていただくための支援はいろいろなことからしていかなければいけない、こういうふうに考えておりまして、講習会等の実施から瑕疵担保の瑕疵保証円滑化基金の造成に至るまで、さまざまな制度を補完的に用意して、また具体の支援策を進めていきたいと思っております。
  35. 井上義久

    ○井上(義)委員 これで終わります。
  36. 平田米男

    平田委員長 吉田公一君。
  37. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 本法案に基づく指定機関というのは、当初から新たな天下り先の確保を目的としているのではないか、そういう懸念があるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  38. 那珂正

    那珂政府委員 かねて先生からもそういう御指摘、御懸念を指摘いただいているところでございますが、私どももこれまでも種々御説明申し上げてきておりますように、本法案で、確かに指定という行為で、幾つか新しい指定機関を形の上ではつくるということになっております。  具体的に申し上げますと、個別の住宅性能評価を行う住宅性能評価機関あるいは標準設計書の性能の事前評価等を行う住宅型式性能認定機関、特殊な材料の評価を行う試験機関、あるいは問題が起きた場合の紛争処理を行う住宅紛争処理機関、それをまた支援する住宅紛争処理支援センター等について、指定ということをこの法律によって行うこととしております。  しかしながら、まず最初に挙げました幾つかの評価機関等につきましては、いずれも民間の株式会社等であっても、一定の要件さえ満たせば指定を受けることができるということから、私どもも、むしろそういう民間の機関をぜひ指定していきたい、こう思っております。  また、紛争処理機関は、基本的には全国にあります単位弁護士会にお願いするつもりでございますし、紛争処理支援センター、確かに公益法人という想定をしておりますけれども、これも新たな公益法人の設立は行わずに、既存の公益法人を指定するつもりでございますし、これらの指定に伴いまして新しい法人をつくることはもちろん考えておりませんし、その上、役人のいわゆる天下り先を新たに確保するとかいうようなことは全く考えておりませんので、御理解賜りたいと思います。
  39. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 住宅紛争処理支援センターというのを各都道府県でつくるということでありますが、まだ、できているところとできていないところとある。それは、具体的にはどうやって各都道府県に要請なり、法律に基づくわけですから、法律施行後は通達を出さなければいけませんが、具体的にはどういうふうな方法でやっていくのかということなんですが。
  40. 那珂正

    那珂政府委員 各県にお願いしようと思っておりますのは紛争処理機関でございます。これは各地域にございます単位弁護士会にお願いするつもりでございます。ただ、実際上、単位弁護士会にもいろいろな規模の大小がありまして、事務上の都合からなかなかこういうことを受け入れられないというふうに言われるところも予想されますので、法制度上は、その場合には、各県にあります、例えば住宅あるいは建築の専門の公益法人、民法三十四条法人を想定して書いておりますが、基本的には弁護士会にお願いするつもりでございます。  また、先生の御指摘どおりだとすると、紛争処理支援センター、こう御指摘になられましたけれども、これは各県に置くわけではなくて、全国に一つ、既存の公益法人を活用して指定をさせていただきたいと思っております。
  41. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 各都道府県に置く紛争処理機関でありますが、弁護士を置くということになっていますが、一番肝心なのは建築士だろう、私はこう思っているわけでございまして、もともと建築建築士がきちっとしてやっていれば欠陥住宅なんというのは出ないわけですね。したがって、やはり建築士も入れて、そして構造欠陥なのか、それともどこに欠陥があるのかということはやはり弁護士じゃなくて建築士の方だろう、こう思うんですが、局長、その辺はいかがですか。
  42. 那珂正

    那珂政府委員 住宅紛争の実態をいろいろ聞いてみますと、確かに技術的、特に建築技術的な問題が非常に焦点になっていて、なかなか通常の裁判でもてこずっておられる、こういうふうに聞いておるわけです。しかるがゆえに、こういう住宅専門の裁判外紛争処理機関の必要性を私どもも認識したところでございます。  したがいまして、具体の紛争処理に当たっては、そういう技術的な知見を有する建築士、建築技術者が入って、複雑な問題についてはぜひ入ってもらうようにしていきたいと思っております。  しかしながら、そのベースとなるのは、どうしても法的な争いがベースとなると思いますので、まずは弁護士の方が入ってもらわなければいけない。次に、当然建築技術のわかっている建築士等の技術者が入ってもらって、紛争処理処理委員として任命していく、こういうことだろうと思っております。
  43. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 いろいろ私も、建築士じゃないのだけれども建築に携わってきた期間が長いものだから、欠陥住宅というのは材質に問題があるのじゃなくて、建て方に問題がある、そういうふうに思っているのですよ。  だって、最初から曲がったサッシを入れる人はいないのだし、ひし形のふすまをはめる人なんていっこないのだから、どこかでゆがんできちゃうわけですよ。だから、ふすまがあかなくなっちゃうし、サッシもあかなくなっちゃうし、ドアがあかなくなっちゃうし、しまいにはドアなんか自動ドアになっちゃって、あけたら自動的に閉まるなんというふうに、斜めになっちゃっている家もあるわけです。  私の家は、昭和三十七年の建て売り住宅なんです。今、十回ぐらい直したかな。だけれども、基本的なことはちっとも問題ないんだね。材質に全然影響ないんだよ。問題は建て方にあって、やはり一番問題になっているのは基礎工事ですよ。その基礎工事がいいかげんだと家が傾いてきたり、壁を塗ってわざわざひび割れの壁をつくるなんという人はいないのだから、どこかでゆがむからひびができちゃって、そういう意味では、では壁の材料に原因があったのかというと、そうではなくて、むしろ土台に問題があるわけだ。  だから、よく河川工事なんかやると、土台がゆがんで家が傾いた、補償してくれという、東京なんかは非常に中小河川の改修で多いのだけれども、大概河川改修をやっているときに、河川に隣接しておる住宅はかしがったりひび割れが入ったりするわけで、だから、そういう意味ではこの基礎工事が私は一番問題だと思う。材質じゃないと思う。  問題は、基礎工事を、中間検査で、要するに確認申請を出すと必ず建築家が見に行くわけです。それは何を見に行くかというと、基礎工事をしてあるところを見て、建ぺい率だけ見て帰っちゃうのだよ。基礎だから、容積率はまだわからないわけだから。  したがって、例えば北側斜線だとかなんとかというのは建ってみなければわからないのだけれども、まず建築家が見に行くのは基礎工事なのだよ。その基礎工事がちゃんとやっているかどうかというのは、建築家は見ないのだよ、材質がどうだとか。ここは軟弱地盤だから、液状化地盤だから、基礎工事はちゃんとやりなさいよというのじゃないのだよ。要するに、基礎工事で建ぺい率がわかるわけだから、建ぺい率がオーバーしていますよ、確認申請の図面と全然違いますよといって指摘を受けるわけです。  だから、そういう意味では、極端なことを言えば、建築確認申請書を出した建築主事が基礎工事をちゃんと、建ぺい率だけ見るのじゃなくて、基礎工事だけきちっとすれば、要するにそんな曲がった家やひびが入った家だとか、かしがってきたなんということは絶対あり得ないのだよね。  だから、そこら辺に、私は、材質に等級をつけたって意味がない、むしろ基礎工事や具体的な建て方に問題があるというふうに実は思っているわけです。  住宅性能表示に関連して質問いたしますが、評価機関の行う現場検査はどの段階で行うのかということになるわけですね。  例えば、最後は裁判になるとすれば、途中はこういうものだったということをちゃんと検証しておかなければいけない。途中が全然検証しなくて、裁判をやって、十年目にここは欠陥があるじゃないかというのはなかなか、家を外して土台を検査するというわけにはなかなかいかないのですよ。だから、そういう点はどうやって現場検査というのはやるのかということなんですね。
  44. 那珂正

    那珂政府委員 評価機関が行う現場検査につきましては、現段階で念頭に置いておりますのは、四回ぐらい検査に行くことになるのではないか。第一番目が基礎の配筋工事のとき、そして二番目が屋根工事が完了したとき、さらに内装工事が完了前の中間検査三回と、最後に完成時の検査ということを念頭に置いております。  ただ、こういう問題に大変お詳しい先生の先ほど来の御指摘でございますけれども、まさに私どもも、基本構造部分、とりわけ土台、基礎、地盤、その辺については、これまでのいろいろな建築行政においても、あるいは民間の契約関係においても、どうしてもそこのすき間として弱かった部分だというふうな認識をしております。  したがいまして、本法案におきましても、瑕疵担保責任期間を充実するについて、特に住宅の基本構造部分について十年とするというような規定を強行規定として置いて、何とかその重要性にかんがみまして対応していきたい、こう思った次第でございます。
  45. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 住宅性能表示制度評価機関の行う性能水準というのは具体的に、材料一つ一つ全部違うので、そういう点では、どうやってこの水準を決めていくのかということなんですが、それについてはいかがですか。
  46. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるとおり、大変難しい問題だと思います。  どういうふうに水準というのは、どういう項目を表示対象とするかというところから考えていくわけでございますが、一つは構造耐力、今一番問題になります構造耐力性能、それから防火・耐火性能、あるいは遮音性能、省エネルギー性能、耐久性能などが当面頭に浮かぶわけでございますが、さらに、その水準といいますか、表示の方法ですけれども、これも消費者の方にわかりやすくかつ客観的でなければいけませんので、そこは非常に難しいところで、苦慮しているわけです。  例えば、定量的な表現が可能かなと思いますのは、例えば耐火性能でございまして、耐火時間、つまり、燃えていても燃え尽きない時間が何分であるとか。  あるいは、ランクによる表示が適しているかな、こう思いますのは省エネルギー性能で、これはこういう断熱性とか設備の性能とかいうことから、例えば四ランク程度に分けて、そのうちのこれだ、長寿社会対応で、耐久性といいますか、そういう点についてはまたランクを四ないし五ランク程度に分けて、この辺だとか、そういうランクで表示するものというのも考えられると思います。  それから、単純に、単純といいますか、ある特定の措置を講じているか講じていないか、これは非常にわかりやすいわけでございますが、例えば煙感知器があるかないかとかいうようなことも、これは措置の内容として、有無だけで表示できると思います。  いずれ、これにつきましては、先生御案内のとおり、技術的に、例えば、確かに材料が違っているのにどうやってやるんだとかいう問題もまだ多々残っております。これをお認めいただけるならば、施行までの間懸命に努力して、そういう技術的な内容について詰めていきたいと思っております。
  47. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 例えば、準防火地域ではモルタルをしなきゃいかぬ。そうすると、モルタルの材質に問題があるんじゃなくて、モルタルの厚さも問題になってくるわけだ。その厚さも性能表示の中に入るのかどうか。  だけれども、それは建て主の要望もあるわけで、モルタルの厚さについては別に準防火地域では厚さ何センチ以上にしなきゃならないなんということは書いてない。そうすると、その厚さについては、例えば普通なら準防火地域でモルタルづくりなら燃えない、しかし、厚さが薄いために中の木にすぐ火が移ってしまうということはあるわけで、そうするとその厚さまで今度は検査しなくちゃいけないということになりますよね。
  48. 那珂正

    那珂政府委員 耐火・防火性能については、先生がおっしゃるような問題はいろいろなケースとして出てきます。たまたまモルタルのことでおっしゃいましたけれども、そもそもその地域において建築基準法上どういう最低基準を満たしているか。その最低基準に加えて、消費者はもっと耐火性能のいい家が欲しいんだ、だからランクを、建築基準法で、例えば延焼は最低一時間の耐火時間が必要だとするなら、おれは二時間欲しいんだ、こういった場合には、その二時間に対応するような、そういう性能に対応するような設計段階におけるいろいろな仕様が固まると思いますので、その仕様が、例えばモルタルの厚さでいけば、十センチも厚いようなモルタルが必要ならば、できるかどうかは別といたしまして、そういうふうになると思います。それが、実際現場で施工がきちっとされているかどうかというようなことをチェックすることになると思います。設計段階と現場と両面でチェックするということになると思います。
  49. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 それから、保証対象部分で、盛り土それから整地したばかりの土地、わずか二年ぐらいということなんですが、むしろこういうのを十年ぐらいにきちっと保証期間をしておいたらいかがなんですか。たしか二年だと思ったな。
  50. 那珂正

    那珂政府委員 今先生指摘の点は、現行任意の制度としてございます住宅性能保証制度だと思います。  今回、この法律ができることによりまして、瑕疵担保責任期間の充実に伴い、それを裏打ちする制度として現行ある住宅性能保証制度を活用していったらどうかというふうに考えているわけでございますが、その中で、土工事について二年というようなことが対象になっていると思いますけれども、基本的に、先ほども二年以前の倒産について保険の対象とするかしないかという御議論がございましたけれども、いずれの場合にも保険料が、まあ保証料が上がっていくわけでございまして、それとの兼ね合いでこういう現行二年というふうになっていると思うわけでございますが、全体の必要性等も含めて検討してまいりたいと思います。
  51. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 何か打ち合わせにないのばかり聞いて申しわけない。これから、打ち合わせのあるものだけ聞くようにしますから。  住宅性能の格付でありますが、当然その表示内容について、仮にAならA、その次の材質はB、C、Dとランクづけがあるということになりますと、Aは幾ら、Bは幾ら、Cは幾らとこうなるわけですね。そうすると、いろいろなところから生産された材質が、Aは幾らだ、Bは幾らなんだ、つまり格付イコール価格になってしまって、お米の格付と同じように、自由競争の格付じゃなくてむしろ格付によって値段が決められてしまう、そういうおそれがないか、Aはもうこの値段で売っているからこうだというような。そうすると、材質にもう既に格付イコール価格が設定されてくるというようなことに、特に、市場シェアが例えば四〇%か三〇%を占めるような材質があるとすれば、そこの会社の格付と価格で、ほかの製造した材質が全部それと同じようになってしまう、そうなりはしないか、そういう心配をしているんですよ。それはどうですか。
  52. 那珂正

    那珂政府委員 この性能表示制度というのは、個々の材質を表示するというよりは住宅全体の性能表示するということに主眼がありますので、今先生指摘になったような、特定の部材の格付に結果として使われるというようなことは余り想定されないんじゃないか、こう思っております。  ただ、そうはいっても、資材、部材ならばそうですけれども、だんだん部品、最近のプレハブ的な部品もありますから、あるいは内装材もユニットになったりしておりますので、そういう大きくなってきたものについてこの制度によって一定評価が与えられて、その評価背景に逆に価格を固定してしまうというようなことがあっては、そもそも制度の趣旨からして全く困るわけでございまして、やはり、先ほども申し上げましたけれども品質と価格がバランスよく競争の市場において評価されていくというのがねらいでありますので、先生指摘のようなことがないように注意深く運用していきたいと思います。
  53. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 局長、これも事前に打ち合わせはないんだけれども、例えば、建築確認がとれない建物というのはいっぱいあるんだよね。東京なんか物すごく多い。だから、建築確認がとれなかったものについては、つまりこの保証が適用されるのかどうかということなんですが、それはどうなんですか。
  54. 那珂正

    那珂政府委員 この法案の二本目の柱でございます瑕疵保証の充実でございますが、これについては、建築基準法の確認が仮におりていないというような物件についても当然対象となります。が、前段の表示の部分は、確認がおりていないというのを対象にするということにはそれはならないと思いますけれども、後段の民法の特例としての強行規定の部分は、どういう住宅についても適用されることになると思います。
  55. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 つまり、建築確認をとっていない建物でも、建築工務店が保証をすれば保証の対象になる建築物だ、こういうことですね。
  56. 那珂正

    那珂政府委員 この場合の保証というのは瑕疵保証、つまり業者消費者に対する責任としての瑕疵保証責任でございますが、これが当然適用になるということでございまして、それを裏打ちする住宅性能保証制度として、保険によって裏打ちしている制度でございますが、その制度としてそういうものも対象にするかどうかというのは別途の問題でありまして、それについては私は若干疑義があるところでございます。
  57. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 製造物責任法、PL法があれば、PL法を拡大解釈すれば、私もPL法が適合する建築物だと思うんですが、建築物というのは一種の製造物ですから、PL法では対象にならないのかどうか、その辺はどうですか。
  58. 那珂正

    那珂政府委員 PL法は、御案内のとおり平成六年にできた法律でございますが、ともに消費者保護を推進するという点は本法とも共通しているわけですが、PL法はそもそも住宅などの不動産を対象としておりません。  その上で、身体損害などのいわゆる拡大損害が生じた場合にのみ適用されるということとか、あるいは、そもそも消費者とは直接契約関係にない例えばテレビとか機械のメーカーに対して、消費者が不法行為責任を追及できるというような仕組みになっているわけでございまして、PL法によってこういうような住宅瑕疵保証が充実していくということは少し考えにくいかと存じます。
  59. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 電気製品でも何でも部品を集めれば製品になるわけで、そういう意味では建築物もそれぞれの部品を集めて家になるわけで、そういう意味ではPL法というのはこれから適用されてもいいんじゃないか、そういうふうに私は思っておりまして、どうぞ研究の対象にしていただきたい、こう思っております。  それから、建築士による設計及び工事監理がしっかりしていれば、本来こういうことはないんですよ。ところが、何で欠陥住宅ができるかというと、ちゃんとした建築士が入っていないで、設計監理をしていない住宅欠陥住宅が多い、そう思わざるを得ないわけですね。  したがって、今、建築士、一級建築士が昭和二十五年の登録から約二十万人いる、それから二級建築士が五十万人ぐらいいる、こう伺っていますが、もちろん二十五年だから登録したときから相当もう少なくなっているとは思いますが、その建築士の活用ということをもっともっと考える必要があるのではないか、そういうふうに思っているんですが、その点はいかがですか。
  60. 那珂正

    那珂政府委員 住宅あるいは建築全体を含めまして、いろいろな技術上の問題がその後発生しているというようなことについて、建築基準法あるいは建築士法の基本として、建築士がきちっと設計をし、工事監理をするという基本をもう一度しっかり見据えなければいけないということは、全く先生おっしゃるとおりでございます。  昨年の建築基準法の御審議のときにも種々御議論いただきました。私どもも、建築基準法の改正は性能規定化というのが一方の柱でございましたけれども、もう一方、その執行体制の充実ということを申し上げているわけでございます。その執行体制の充実の中には、やはり建築主事とか、検査側の、審査側の体制を強化することになっておりますけれども、その前提として、建築士が工事監理にちゃんと携わってもらうということがあるわけでございます。  しかし、実際問題として、建築士を工事監理に携わらせるのは建築主の判断でございます。建築主がきちっと建築士に工事監理を責任を持ってやらせるということが基本の一つであるわけでございますが、そういうことも含めて、一方で、建築士が仮に建築主から工事監理を頼まれたら、それはきちっとやってもらわなければいけませんし、仮にも名義貸しというようなことがあっては絶対いけないわけでございます。  そういうことをも万々含めまして、この三月に、建築基準法建築士法に基づく適正な執行について、建築物の安全安心行動計画、推進行動計画として、全国の公共団体と共同で、あるいは関係団体とも共同して、この一年かけて、いろいろな先生指摘になりました大変基本的な問題に取り組んでいきたい、こう思っております。
  61. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 もともと建築士法には、設計どおり建築業者が建てない場合は建て主に報告することができると。つまり、当初設計事務所が指定した材料以外のものを使ったり、あるいは品質を仮に落としたり、あるいは手抜きが行われたときには施主に報告するという義務が建築士にあるわけですから、むしろ建築士の有効活用によって、何も本来ならこんな住宅性能保証制度なんてうたわなくたって、もっとできるはずなんだ、本当は。どうしちゃったんだろう。
  62. 那珂正

    那珂政府委員 先生、今前段で御指摘になりましたように、工事監理者として建築士が携わる場合には、そういう工事途中の問題について建築主にきちっと報告する義務がございます。そういうことも含めて、確かに建築士が工事監理をきちっとやってもらえれば、これは再三申し上げますけれども建築士がサボっているとか何か変なことをやっているとかいうこともあるかもしれませんけれども、もともと建築主にきちっと委託されなければ、雇われなければ、本来の社会的使命を全うできないわけでございまして、そういう意味では、制度全体といいますか社会全体の問題として、やはり個人の住宅を求める方にも、そういう建築士による工事監理の重要性をきちっと認識していただくということは必要だろうと思います。  それから、建築士法あるいは建築基準法がきちっと施行されていればこんな法律要らないじゃないか、こういうようなお尋ねでございますけれども、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、結局そうすると、そういう工事監理をずっとしていなければいけない、常駐して見ていなければいけない、一週間に一回どころか、毎日工事をチェックするというようなことにもなりかねないので、いずれにしても、工事の監理あるいは検査の費用というものは物すごく膨大なものになるというのが一方でうらみとしてございます。  それと並行して、もう一つの基本として、やはり民民の契約関係において工事施工業者がきちっと責任を果たしてもらうという、民民の契約関係の規律をしっかりすることも一方で必要だろうと思います。両方相まってこういう欠陥問題なんかに対応していくべきだと思いまして、今回、こういう法案を提出させていただいた次第でございます。
  63. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 例えば、建築士に設計監理を委任した場合にはこの限りではないということにすれば、建築士の責任になるわけだ。設計監理をした建築士の責任になるわけだ。したがって、住宅性能保証制度を活用しなくても、建て主と建築士の責任問題になるわけだから、例えば法文の中に、建築士に設計監理を委託した場合には住宅性能保証制度適用外だ、こうしておけば、建築士の責任というのは増大、きちっとしてくるわけなんだけれども建築士に頼もうが頼むまいが、要するに欠陥住宅について、結果について何とかしようと思うからいけないんであって、その経過についてもう少し、せっかく建築士というのがあるのだから、国家試験を受けて、難しい試験なのだし、そういう意味では、やはり建築士という国家試験資格を持った人たちをもっともっと活用すべきだ、そう思っているのですね。ぜひそういうようにお願いしたい、そう思います。  それから、指定住宅紛争処理機関として民法三十四条の法人が含まれているが、具体的にはどのような機関を想定しているのかということでございます。
  64. 那珂正

    那珂政府委員 先ほども申し上げましたけれども、地域の単位弁護士会で、事務能力等の理由から、弁護士会が指定紛争処理機関になることを申請しないケースも、例外的だとは思いますけれども、想定されるというようなことから、そういう場合には、当該地域の、例えば都道府県にあります住宅建築を専門としている公益法人を、都道府県の知事の認可だろうと思いますが、そういう公益法人を指定する。住宅センターとか建築センターとか何かそういう名前だと思いますけれども、知事の認可のそういう公益法人を指定するということを一応考えておりますが、あくまでも基本は弁護士会を前提にしております。
  65. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 いろいろな建築会社に設計室とかそういうものが別途置かれているところがありますが、建築もします、設計監理も行います、そういう会社がたくさんあります。したがって、指定住宅紛争処理機関の紛争処理委員になるということは、これは公正という面からいかがかと思うのでありますが、その点について局長の御見解を伺いたい、こう思います。
  66. 那珂正

    那珂政府委員 本法案の六十四条二項におきまして、当該事件に関し当事者と利害関係を有することその他住宅紛争処理の公正を妨げるべき事情がある者については、紛争処理委員として指名してはならないと明記しております。したがいまして、個別の事案ごとに紛争処理委員紛争処理機関の長が指名するわけですが、六十四条二項の規定によりまして、そういうことはない、こういうふうに思っております。
  67. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 今度、住宅性能保証制度ができますと、当然、十年保証のためにいわば保険を掛けるわけであります。しかし、地域のいわゆる一般建築業の工務店さんなんかは、何だ、十年でかしがるような家をつくるなんということはあり得るのか、こう言って、ちゃんと業務を遂行している人にとってみれば、たった十年で欠陥住宅になるなんということは考えられないと。そのために一種の保険金を掛けさせられる。  そうすると、協定を結ぶ場合、つまり、建て主と業者との間に建築契約が行われる場合に、必ず住宅性能保証制度、保険に入っていますよということがまず第一条件になる可能性があるのですね。要するに、欠陥住宅を直すために、保険制度があるからとかないとかというのは第二次的な問題であって、万が一のときにそういう保証をしましょうということなので、これは本体の建築物とは全然関係ない話だ。  ところが、保険を掛けなければならないということは任意なのだけれども、だんだん、要するに保険契約があるのかないかということがまず契約の第一歩になるわけなので、そうすると、任意なのだけれども、しまいには強制的になってしまって、つまり、この制度に入っていますか、入っていませんかということが契約の条件ということは、しまいには強制的になってしまうということについてはいかがなものか、そう思っているのです。制度そのものはいいですよ、最終的には強制的になるのではないかというのが実は心配なのです。
  68. 那珂正

    那珂政府委員 難しい御質問だと思います。この新しい法律による制度が、つまり、瑕疵担保期間の延長等の瑕疵担保責任の充実ということが本当に国民の間に定着して、それを、つまり住宅を供給する業者との間においても、本当に責任を持って、いざというときには修補をきちっとしてもらう。その修補は時には莫大な費用になるかもしれませんけれども、そういう事態でも経営的に堂々安定してやっていけるのだ、こういう時代になれば、先生おっしゃるように、保険などはほとんど必要ないということになると思いますが、それが本来の姿かと思います。  しかし、実際問題としては、やはり万が一修補責任が出てきたときに、その費用をちゃんとやるために、業者の方にとってはそれこそ保険を掛けておかないと安心できないという人も、そういう経営者もいらっしゃるでしょうし、おれは絶対そういう保険なんかに厄介にならなくても企業としてちゃんと、そもそも欠陥を、問題を起こさないし、仮に万が一起きたとしても経営的にも大丈夫だという自信のある方はそういうところに入らないわけでございます。  そういうことを考えますと、私ども一つのセーフティーネット、裏打ち策としてこの性能保証制度、保険による保証制度を考えているわけでございますので、先生指摘になるような、本法による瑕疵担保保証責任制度が充実して普及したからといって、直ちに保険の制度が一緒になって普及していくということにはならないのではないか。  したがって、先生おっしゃるように、しまいには強制になるのではないかということも、そういう御懸念もそれほど強く持たなくてもよろしいのではないか、こう思います。そういうことが仮にも制度の普及途中段階にありましても、そのような保険制度があたかも強制だというふうに見られないように、きちっと業者の方の責任と選択がそこで確保されるように運用に注意してまいりたいと思います。
  69. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 要するに、保険金が支払われた場合に、その保険金の行く先はどこですか。
  70. 那珂正

    那珂政府委員 業者の修補責任を保険で付保するということにしておりますので、修補に要する費用、つまり、修補をした業者に一義的には保険が支払われることになると思います。
  71. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 問題は、保険対象事故が発生した場合に、保険金の額はだれがどのように決めていくのかということが問題でして、例えば保険金の支払いに不満があるという場合には、その不満をどこで処理をしていくのか。それは一回で納得してくれればいいですよ。だけれども、こんな保険金額では納得できない、往々にしてあるのですけれども、その場合には、第二の手としてどこで処理をするのかということなんですね。
  72. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、保険の対象は、まず修補に要した費用でございまして、その修補は何のためにするかというと、住宅取得者とそれを建てた業者とがよく調整して、こういう修補が瑕疵担保責任だということで納得した上で修補が決まるわけだと思います。もちろん、そこでもめることもあるかもしれませんけれども、その上で業者一定の修補をするわけです。  その結果が保険会社と運営している住宅保証機構に報告されて、それが瑕疵内容、補修工事内容が適切ならば支払われるということでございますが、基本的に、まだ調整を見ないということがある場合もございます。業者と取得者の間で調整を見ないということもありますので、それは、財団法人の住宅保証機構に設置された保証事故審査会において、学識経験者による判断を仰ぐことになると思います。
  73. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 そういう機関がちゃんとできていないと、有識者に判断を仰ぐといっても、どこの有識者だか、どういう人だかわからなくなるわけで、保険金の支払いをめぐってのトラブルについては、それはそれとして、また機関を設けておかなければいけないというようなことになるだろう、そう思います。  何で私はそんなことを聞いたかというと、前にも質問したのですが、公共工事の前払い保証会社というのがあります。これは強制加入でも何でもないのだけれども公共事業を入札した場合には、必ず何%かをこの支払い会社に払っているわけで、東と西に二つある。だけれども、公共工事を入札した業者というのは、公共工事が失敗したら二度と入札に入れないわけだから、よほどのことでないと、要するに、工事を途中で中断するとか欠陥工事をするとか、そういうことはないのだけれども、必ず入らされている。  中小業者も入らされているから、これはまた負担になっているわけで、その支払い金額がどのぐらいになっているのかも皆目わからない。二つ会社があって、その二つの会社が何をやっているのか。その辺がちっともわからないものだから、建設省がまた同じことをやるのじゃないかと思って聞いてみたわけです。局長、どうぞ。
  74. 木下博夫

    ○木下政府委員 先生、最初に訂正をさせていただきます。二社ではなくて、全国で三社ございまして、北海道北海道という保証会社がございます。東と西で、合わせて三つございます。  そんなことで、昭和二十七年に各社がスタートしておりますが、まず、三点ばかり御説明をさせていただきたいと思います。  一点は、お話のございました前払い金制度。これは恐らく先生はこの制度そのものがあることについては否定なさらないと思いますが、工事の場合は、着手金として、例えば賃金の支払いとか資材の調達のために当然それなりにお金がかかりますから、公共団体によって違いますが、今のところは大体おおむね四割、場合によっては三割というところもございます。  その中で、それぞれが経営基盤の弱い中小に対して前払い金をしますが、これは何せ原資が税金でございますから、途中でとんざするようなことがあってはならないということで、発足当初から、それぞれの前払い金の保証を保証会社にさせることによって前払い金を出しているという担保措置をとっております。  細かくなりますので、まとめて三社の数字で申し上げますと、これは、その年によって違いますが、三社が年間に保証しておりますのが九兆円ございます。というのは、逆算しますと、先ほど申し上げたように三割から四割でございますから、日本の公共事業の約二十六兆円ぐらいがこの前払い保証になっていると御理解いただいていいと思いますが、その中で、保証料が年間で大体三百七十億円ぐらいになっております。  ただ、誤解のないように申し上げますが、昭和二十七年にスタートしまして、今までおおむね九回保証料を下げておりまして、今は当初の大体四分の一ぐらい、数字的に申しますと約千分の三ぐらいの保証料まで下げております。  そういう中で、年間四十億円ぐらい弁済が出ておりますから、その年に集めたお金の約一割が弁済として使われている。これは、確かに直観的には、弁済額に比べて保証料として収入が少し大き過ぎるのじゃないかという感じも私も率直に持ちますが、ただ、現在この三社がそれぞれ保証していますのが、例えば一番大きく保証している会社などの数字を見ますと、いわば保証対象額が、東の場合は二百三十億円ぐらい保証をしておりますので、例えば今日的な経済状況なり建設業の経営を見ますと、万が一のこと、これはあってはならないことだと思いますが、そうなりますと、大変大きな弁済もすることになっています。  ただ、おっしゃられたように、その意味で、会社が何をやっているかよくわからないということに対しては、私は会社に対して、一般国民に対する説明、ディスクロージャーとして、よく経営内容も含めて公表していかなければいけないと思いますし、それから、ためたお金が果たして適当であるかどうかというのは、例えば、昨今の銀行のBIS規制とか損保業界等の積み立ての状況、さらには東京の信用保証協会なんかの積立金に比べてこの会社の積立金が適当であるかということは、常時我々も監視してまいりたい、こう思っております。
  75. 吉田公一

    ○吉田(公)委員 この後だれも質問しないようでございまして、休憩だということでございます。大臣も御答弁をいただく質問項目がありませんでしたので、少し早目でございますが、みんなのために、これで質問を終わらせていただきます。
  76. 平田米男

    平田委員長 この際、休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十三分開議
  77. 平田米男

    平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石井紘基君。
  78. 石井紘基

    石井(紘)委員 欠陥住宅の問題は大変重要な問題でございまして、私どもも従前から大変強い関心を抱いておったところですが、今回それに対して前向きな取り組みがなされているということについては、そういう意味では結構なことだろう、こう思います。  そこで、具体的な問題から幾つか質問をさせていただきますが、政府の案では、性能表示についてどの程度ぐらいまでマークがつけられるのか。いいものだけということになりますと、これはいろいろと工務店やらあるいは業者の大小とかその他によって差別が出てくるような気もするわけですが、これはどの範囲ぐらいまで性能表示評価というものはつけられるんでしょうか。
  79. 那珂正

    那珂政府委員 お答えいたします。  性能表示の具体の対象となるレベルと申しますか、その辺についてのお尋ねでございますが、一般的には、御案内のとおり、およそ我が国で建築される住宅については、基本的に建築基準法によって必要最小限のレベルが決まっておりますので、それを最低限といたしまして、それに付加される事項あるいは建築基準法で定められていることについても、上乗せといいますか、幾つかのランクがあると考えられると思います。  そういう意味では、表示対象となる項目によって、その幅というのは一概に申し上げられませんけれども先生お尋ねのように、いわゆる高品質な、高いレベルのものだけ表示するということは全く考えておりません。繰り返しますが、高いレベルのものも当然表示されますけれども、同時に、通常の仕様の住宅であってもそれに見合った表示がきちっとできるような基準としていきたいと思います。
  80. 石井紘基

    石井(紘)委員 私が危惧しますのは、地域の一般の善良で優良な工務店、こうしたものが地域でこつこつと家をつくる、そういう際に、そういうわけですから少しでも安くつくりたいわけですね。その場合に、こうした制度のもとで性能表示というようなことになってきますと、一定コストが乗っかってくるわけですが、これはユーザーといいますか施主の方にもそうだし、工務店の方にもかかってくるだろうと思うんですね。  そういう場合に、まずこの性能表示というものが示されて、そしてその段階で何かマークが行くんでしょうか。それからまた、マークというのは何種類ぐらいのものがあるのか、一種類なのか。そして、その性能表示でもって契約をした場合、契約内容に盛り込まれた場合、そうすると完成時にまたマークが出てくるのか。まあこの工務店はいつもしっかりした仕事をしているからもうお任せでいいや、だから性能表示について契約の中に特段それを盛り込まなくてもいいですよということでもってお任せでやった、そういう場合は性能表示というものは完成時には出てこないということになるわけです。そういたしますと、将来その家を売り買いするとかいうような場合にやはりハンディがついてくるという心配はないのかどうか、ちょっとその辺を聞かせてください。
  81. 那珂正

    那珂政府委員 幾つかお尋ねいただきましたけれども、基本的には、この性能表示制度一定のマークというものを考えております。それは、住宅を取得する人が、この住宅について契約書においてその住宅がどういう検査評価をしてもらったものかがわかるようにしたい、こういうことでありまして、例えば設計段階、つまり契約書を交わす前提としての審査と評価、それから中間検査を経て完成した段階における審査、評価と両方あると思うんですけれども、そういうものは、これは先生がちょっとお触れになりましたけれども、中小の地元の地域の工務店などがこの対象から外れるのではないかというような懸念についてお尋ねですが、技術的それからレベルの点においては、先ほども申し上げましたけれども、全くそういうことはないと思います。  もちろん、御本人がそういう評価を受けたくない、こうおっしゃれば別ですけれども、現状からいって、まじめにやっていらっしゃる地域の工務店がこの制度の対象としているレベルから大きく外れてしまうというようなことは全くなくて、むしろそういったまじめにやっていらっしゃる方々の技術の表彰といいますか、それをきちっと制度的にオーソライズするというようなことが本制度のねらいの一つであるわけでございます。  それから、この評価を受けていることが、あるいは受けていないことが、将来転売するときに不利に働くかどうかという問題ですけれども、それは実際問題としては、一たん新築段階で性能評価を受けて、自分が一たん住まわれて、何年かたって中古市場に出す場合、その評価を受けていないものと評価を受けているものとの差はあると思います。したがって、評価を受けているものの方が中古住宅市場において一定の安心感を与えるという意味では、評価を受けている方が有利といえば有利な状況、むしろそれが、私どもがこういう制度を日本の住宅ストックの質の向上という観点からぜひ導入したいと思った考え方一つでもございます。
  82. 石井紘基

    石井(紘)委員 それはいいんですけれども、さっきもう一つ伺ったのは、評価書を提示するわけですね、しかし契約の中身には盛り込まないという場合に、それは、最後の完成時の検査でもって何らかのそういう評価書というようなものをもらえるのか。もらえないんだろうと思うんですが、そういう場合に、それは地域の中小の工務店というものはやはり差が出てくるんじゃないですか。
  83. 那珂正

    那珂政府委員 契約書において、この評価書を契約内容としないということを明記する場合には、その評価書のどの部分を契約内容としないか、全部なのかという問題はございます。しかし、仮に部分であったとしても、その部分については契約履行責任、片っ方の当事者にはないわけでございますので、その分、物は安くなるといえば安くなるし、責任がないといえば責任がないわけですから、後々において一定の差が出てくることはやむを得ないことかと思います。
  84. 石井紘基

    石井(紘)委員 その分の評価書というのは何項目ぐらいあるんですか。それで、そのうちの例えば一項目か二項目だけでも契約内容に入れたという場合は、その評価書というのが出てくるわけですか。
  85. 那珂正

    那珂政府委員 表示項目の内容については今種々検討しているところでございますけれども、どのぐらいの数になるかということでありますけれども、中には、例えば遮音性のように、本当に技術的にも経済的にも、コスト的にもと申し上げた方がいいと思いますが、なかなか難しい問題があります。それは、消費者住宅取得者もそれから生産者も、あえてそういう高いものまでやらないで、その点は評価しなくてもいいという合意をする場合があります。その部分ははっきりと、契約書において、その部分は契約対象外とするということを明記しているわけです。  ただ、残った部分はこの評価制度に乗っているものですから、残っている部分についてのみ、この住宅はきちっと評価されたものだというマークは当然機能すると思います。
  86. 石井紘基

    石井(紘)委員 今まだ検討中とおっしゃいましたけれども評価書の性能項目というのは、今一つだけ何か例を挙げられたと思うんですが、あとどんなことが考えられるんですか。
  87. 那珂正

    那珂政府委員 今考えておりますのは、例えば構造耐力、防耐火性能、遮音性能あるいは省エネルギー性能、そして耐久性能などの項目、その他も幾つか考えておりますが、基本的にはこういう項目を考えております。
  88. 石井紘基

    石井(紘)委員 その評価基準というものは、よほど十分にしておかないと、そうした方がいいというんじゃないですよ、しておかないと、後で欠陥問題が出てきてトラブルになった場合に、いや、そういう基準はないというようなトラブル原因というのもあり得ると思うんですね。それは、予想できない、今の段階で予想されていない、そういう部分の欠陥というものも生じかねないわけです。ですから、この性能項目というようなもの、あるいは後で出てくる、例えば瑕疵の推定規定ですか、こうしたものについても、どのくらい傾いたら瑕疵だとか、あるいは亀裂がどのくらい入ったらどうだとか、ひび割れとかというようなことについても、これとこれとこれとこれ、こういうふうに挙げておいただけでは、それ以外の部分の欠陥というものが出てきたときに、それについては紛争調停で保護されないということになると思うのですが、その辺はどういうふうに考えていますか。
  89. 那珂正

    那珂政府委員 まず、最初の方にお触れになりました評価方法の基準についてでございますが、おっしゃるとおり、現在の技術レベルでは予想できない新しい技術が開発されるとか、そういうこともあり得ると思います。  したがいまして、それについては、基準をそもそもつくるときに、学識経験者やそういういろいろな各界の方の意見は十分聞くつもりですけれども、それでもなお予想しない新しい技術が出てくるかもしれません。それについてはその時点において、この制度においては特別評価方法認定という例外的な措置を用意しておきまして、その時点でまた高度な技術的判断をしてもらうということになると思います。  もう一方の、瑕疵推定基準先生おっしゃいましたけれども、これは、この法案の二本目の大きな柱の、要するに瑕疵保証の期間の充実に関することでございますが、実は、瑕疵保証に当たりまして、今先生ちょっとお触れになりましたけれども、この制度で十年間と延長いたしました新築住宅の基本構造部分の瑕疵をどういうふうにだれが最初に見つけるか、もっと平たく言えば、入居者が五年、六年たってどうやってわかるかというと、それは表面的に出てきた壁の亀裂とか床の傾きとか、そういう表面上のふぐあいによって、これは本当は土台が傾いているからだ、それは実は基礎が傾いているからだ、そういうふうに構造上の瑕疵欠陥として推定していくわけだと思います。  その際、消費者側に、民法上、瑕疵の立証責任があるわけですけれども、こういう住宅のような非常に専門性の強い、技術的な難しいものについて、消費者瑕疵の立証責任を負わせるのは酷ではないかという意見がございます。私どもも、この法案を当初いろいろ考える際に、瑕疵の推定基準を設けて、それで消費者の立証責任をここで転嫁していく方法はないかと考えました。  結果としては、いろいろと技術的な問題、それから各界の意見の合意を見なかったこと、あるいは、今先生おっしゃるように、なまじの基準を決めると、それ以下の程度のものについては、瑕疵ではない、本当は瑕疵だとしても瑕疵ではないと言う業者、そういうことを言い張る業者もあらわれるとか、いろいろな問題がありまして、今回は瑕疵の推定規定を置くこと自体は見送りました。  しかし、ここが実はお答えで恐縮でございますが、先生今お触れになったのは、瑕疵の推定規定とおっしゃいましたけれども、実際は完全な推定規定ではありませんけれども、実際トラブルが起きたとき紛争処理に当たる際に、一定紛争処理基準一つとして、建設大臣が参考として技術的基準を示す、それが責任の所在を明らかにする一つのきっかけになるものになりはしないか。加えて、そういうものの幾つかの事例を積み重ねることによりまして、将来、推定規定が技術的に、客観的に設けられるかもしれない、そういう期待も込めて、紛争処理の参考とすべき技術的基準として定めることとしたわけです。  これについても、実際は、推定規定で申し上げましたような同じような問題がございます。余りレベルを高くすると、それ以下のものについては結局瑕疵じゃないというふうに紛争処理のときに一方の当事者が言い張れるということにもなりますので、そこは注意して、やはり表面にあらわれるふぐあいと本当の瑕疵との因果関係を段階的に示すような、そういう工夫をしてこの基準を定めていきたい、こういうふうに思っております。
  90. 石井紘基

    石井(紘)委員 この瑕疵の推定基準というのも、これはやはり大変難しいので、むしろ、消費者の方から見れば、余りこれとこれとこれですよというのがない方がいいのかもしれませんね。ですから、少なくともスタート時点ではそういうものは設けないでいくというのでいいのかもしれないと思います。  それから、ちょっと前に戻りますが、評価書というものを提示して、しかし契約の中身からは外してもいいんだという第六条の四の項がありますが、これがあると、せっかく性能評価書を出して性能表示をするということになっているのに、評価書の意味というものがこれが一項あるために失われるという面があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  91. 那珂正

    那珂政府委員 第六条の規定に基づきまして評価書を請負人や売り主が住宅の取得者に交付した場合には、これは契約内容とみなすという原則を規定しております。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、遮音性のように実際問題非常にコストがかかる、完成段階における確実な実現を考えますと本当に十分な費用をかける必要があるというような場合は、取得者側だって、あくまでもこれは参考でいいんだと考える、参考の情報として教えてくれればいいという場合もあり得るというようなことから、こうした場合にまで記載された内容すべてを契約内容とみなすというのはやはりちょっと行き過ぎではないかということで、例外的な問題として、契約書面に反対の意思の表示をした場合に限って、これはもちろん買う人も当然合意しているという意味ですが、みなし規定を除外する条項を置いたわけでございます。
  92. 石井紘基

    石井(紘)委員 それから、細かいことですが、新築住宅というものの定義というのは一年ということなんですが、これは、性能表示という観点からいえば、一年間で新築の性能というものが失われるということはないと思うんですね。ですから、これはどういうわけで一年ということ、これは一律に決める必要は余りないんじゃないかという気もするんですが、どうですか。
  93. 那珂正

    那珂政府委員 新築住宅を一年とした理由でございますが、本法における二つの大きな、制度が二つに分かれると思いますが、住宅性能表示につきましては、法文上、つまり制度上は新築住宅に限らない制度にしております。幾つかの、中古住宅について、いろいろ検査の仕方等に関する技術的問題がまだまだありますので、当面は新築住宅に限って取り組もうと思っておりますけれども制度上は新築住宅に限らない書き方をさせていただいております。  今、先生お尋ねの新築住宅一年というのは、具体的に言えば、この法案としては二本目の柱であります瑕疵担保期間の充実のことが、これは対象は新築住宅、その新築住宅とは一年というふうな定義をしているわけでございます。その意味は、建築後一年間空き家のままほったらかしますと、普通、通常よりも部材等の劣化が進む、こう言われております。それはどこで、半年でひどくなるのか、一年なのか二年なのか三年なのかという問題はあると思いますけれども、どこかで線を引かないと、新築住宅とはやはり言えないと思います。  一方で、不動産の表示に関する公正競争規約におきましては、「新築という文言は、建築後一年未満であって、」という表現もありまして、こういう要するに現在中古として扱われているもの、その分実は価格も安くなっているわけですが、それと新しい住宅とはやはり区分して、区別して瑕疵保証の充実の対象とすべきだというふうに判断したわけでございます。
  94. 石井紘基

    石井(紘)委員 御答弁がちょっと詳し過ぎるので、時間がかかりますので、御協力をいただければありがたいんですが。  今の紛争処理について、性能表示をしたものだけについて紛争処理にかかるということですよね。そうなりますと、しかし性能表示については、もう入り口のところで任意といいますか例外規定がありますので、そうなってくると、これは、欠陥住宅の撲滅といいますか解消というものにどれぐらい役立つのかなと思われますが、いかがですか。
  95. 那珂正

    那珂政府委員 理屈の点でいえば、先生おっしゃるように、この制度、つまり性能表示制度に乗っからないとこの制度が予定しているいろいろな性能向上施策あるいはトラブル防止施策は適用されませんので、そういう意味では、その部分は任意になっておりますから、なるべく多くの住宅がこの制度に乗ってもらって、そうすることによって欠陥住宅の減少に努めていきたい、こう思っております。  なお、くどいようですが、これと並行してもう一つの柱である瑕疵保証期間の充実につきましては、これはすべての新築住宅について適用されるものでございますので、この両制度相まって、両方で相当程度欠陥住宅あるいはそういう欠陥に伴うトラブルの防止に役立つものと期待しております。
  96. 石井紘基

    石井(紘)委員 この制度ですと、指定住宅性能評価機関というものをつくるわけですね。しかし、これはどのぐらいつくるのか、どのような機関を指定していくのか、相当これは全国にたくさんないと処理をし切れないんじゃないかという気がしますが、いかがですか。
  97. 那珂正

    那珂政府委員 この住宅性能評価機関の指定についてでございますが、一定の技術的能力、公正中立性を有するなどの要件に適合すれば、株式会社、公益法人を問わず、民間機関を広く指定していきたい、こういうふうに思っております。  したがって、御指摘のように、これは各地域にこういうものがたくさんないと、やはり一般消費者あるいは中小住宅生産者ニーズにこたえられないという問題がありますので、都道府県当たり少なくとも一つ以上は指定していく。大都市はもちろんもっと、何機関も指定できればいいと思っておりますけれども、そういうふうに幅広く指定する、呼びかけるということで対応してまいりたいと思います。     〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
  98. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは建設大臣が指定するのでしょう。それから、紛争処理支援センターというのも、両方とも建設大臣の指定ですか。そうですね。
  99. 那珂正

    那珂政府委員 そのとおりです。
  100. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういういろいろな機関をたくさんつくるわけですけれども建設省というのは行政機関ですから、余りこれはやり過ぎて、民間の建設、住宅事業、こういうものの中に細かく細かく入っていくわけですよ。それで、性能表示とかなんとかそういうことも含めて、紛争処理まであれして、指定機関にして補助金を出すのでしょう。どうですか、その点は。
  101. 那珂正

    那珂政府委員 紛争処理支援センターについてはいろいろ業務が七十九条に規定されておりますけれども表示制度に乗らない一般住宅についても、その相談、助言あるいは苦情処理について、その業務として対象としているところでございますので、こういうものについては、私どもとしては、今措置してあるというわけではありませんけれども、国が補助してそういう消費者対策を進めるべきじゃないかと思っております。
  102. 石井紘基

    石井(紘)委員 こういう機関をいろいろ建設大臣の指定、建設大臣の指定といったって、関谷建設大臣が一々具体的に審査して、そして指定するというものじゃないんだから、建設省の指定、事実上はそういうことなんだ。そういうことによって、政府のいろいろな権限というものをきめ細かく末端まで行き届かせるわけですよ。そして、そこへ補助金が行くわけですよ。そういうことによって、政官の癒着というものが起こってくるわけです。だから、そこで政治家が活躍するわけですよ。それを指定させろと言われて、ここにいるような先生方は別として、人によっては、そういうことであなた方が、はい、わかりましたと言って指定するというようなことが起こるわけです、往々にして。補助金もそうです。  だから、むしろあなた方がやるべきことは、例えば欠陥住宅に対する罰則をきちっとするだとか、あるいは紛争についてはどういう構想をつくるか、そういうこと。あとはもう民間の自主的な、性能表示にしても、あるいは検査にしても、そういうものは民間同士やらせる。そして、ああ、あの業者はいい業者だ、優秀な人材がおる、ではあそこへ頼んで性能表示をやってもらおう、あるいは検査をやってもらおう、こういうことで民間自由競争経済というものを盛り上げていかなくちゃならない。あなたたちは、それを一々その芽をつぶして歩いているのですよ。  この法律なんかだって、これは典型的で、大体やり過ぎですよ。だから、今回どうしてもこれを通したいというのであれば、行く行くは、なるべく近い将来、こうした機関についての建設省の権限というものを外す。建設省の許認可をこれでもってワンセットまたつくり出すじゃないですか。こういうものを外して、自由な民間経済というものに任せていく。こういうふうに持っていくべきだというのが私の強い意見でございますが、いかがですか。
  103. 那珂正

    那珂政府委員 性能評価機関を指定して評価機関をつくるという制度になっておりますけれども、これはこの制度の骨格でございます性能の確保ということに関して、やはり住宅購入者にとっては、実際にせっかく共通の物差しができたとしても、それが完成して手に入れた段階で本当にその性能があるのかということは非常に重要なことでありまして、やはり一定信頼性の高い第三者機関の評価ということも実際問題必要ではないかということは消費者保護の観点から言えると思います。  また、制度全体について、これは御理解賜りたいと思いますが、いろいろ欠陥住宅問題等に対応するため、私どもは昨年建築基準法の改正をお願いいたしました。そこで、つまり検査あるいは確認等の執行体制強化するという考え方でございますが、強化も、御案内のとおり、従来行政だけでやっていた仕事を民間機関にも担当してもらって、少しでも品質の確保、公的規制の執行についてもそういうふうにしてきているわけで、今回は、どちらかといえば瑕疵担保責任の充実という民事契約上の救済策にも重点を置いて全体を組み立ててきたつもりでございます。  先生指摘の、一定期間たったらそういう指定というものについて考え直したらどうかということについては、私どもも、そういう考え方で、確かに民間で本当に客観的な信頼性の高い評価がどんどん行われるようになってきたら、こういう指定なんということではなくて、消費者の便利のためだったら登録だけでもいいのかもしれません。いずれそういう時期が来ることを期待しております。     〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 石井紘基

    石井(紘)委員 日本は発展途上国ではないのですから、やはりもう一定の相当のレベルまで経済的にも来ている社会ですから、民間にも御協力願ってなんというのではないのですよ。あなた方は頭をひっくり返さなければだめなのです。民間がやっていることを私たちが補佐するなり、あるいはやりやすいように必要があれば何らかのお手伝いをする、そういう考え方にならないとだめなのですよ。何でもかんでも、あなた方の道路局なんかだって、高速道路にごみが一つ落ちているのだってそこまで全部手を伸ばすわけでしょう。そういう必要はないのですよ。そういうふうに頭を切りかえていただきたいということを申し上げておきます。  それから、ちょっと別の話になりますが、実はきょうは河川局に来ていただいているのですが、済みません、その話に入る前に、建設大臣にせっかくおかけいただいておりますので、ちょっと御見解だけ。  この法律の中に、これは何年間かで見直すような規定がありましたね。「施行後十年を経過した場合において、第三章第二節、第四章第二節及び第五章第二節の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こういうふうなことが附則の第三条に書かれておりますが、これは今私が申し上げたような趣旨もこの中に含まれる。基本的には、やはりこういう経済活動というのは民間が行うべきものであって、行政というものは極力深くかかわっていかない方がいいのだ、いつまでもここでやっていない方がいいのだ、そういうような意味が含まれているのかどうなのかということを、では大臣に、ちょっと済みませんが、お答えいただきたいと思います。
  105. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 これはちょっと先生、専門的な分野でございましょう。ですから、これは間違うと困りますので、答弁書をちょっと読むような格好になりますが、お許しをいただきたいと思います。  住宅性能表示制度が十分に普及して、住宅性能評価機関を指定し厳格な監督を行わなくても制度が適正に機能すると見込まれる場合は、住宅性能評価を行う者を指定するのではなく、名簿への登録程度に改めるなど、行政の関与を少なくし、罰則等による事後的なチェック方式とすることなどが考えられるというふうに言われておりますが、私もそういう程度ではないかなと思います。
  106. 石井紘基

    石井(紘)委員 前向きで結構だと思うのですが、やはりそう一々指定とか認可とか許可とかいうのでなしに、やはりもう自主的にどんどんできるように、そういう方向に向けていった方がいいだろうと思いますね。  それから、岡山県の奥津町に計画中の苫田ダムというのが、本体工事の起工式をこの十六日に行うというわけですが、このダム計画は、ダム事業審議会も設置されておりまして、現地にまだ千二百名もの地権者がおる。あるいは、水没予定地にまだお住まいになっている方もおるわけでございます。それにもかかわらず、ここでもう早々と本体工事の起工式を今月の十六日に行うのだというのは、余りにもこれは強引な話だろうと私は思うのですね。  以前にも、この問題を私は委員会で取り上げたことがございますけれども、苫田ダムの建設計画というのはもう四十年余にわたって問題になってきておりまして、地元の県知事が従来大変積極的に推進してきた、あるいは周辺の市町村長なんというのもそうなのです。しかし、大部分の住民の皆さんは、これは多くの住民の皆さんは反対をされておるものでして、しかも今日もう四十年前とは経済情勢も全然違うわけでありまして、利水という面においてはもう水は要らないというところがどんどんあるわけですね。そういう中で、何とかダムをつくろう。  我が国のいろいろな財政の構造というのは、公共事業を持ってくることによって、地域に若干金が回っていく、仕事が回っていく。そうでないと地域に仕事がないというようなやり方で、そういう構造にこれまでしてきてしまいましたので、そこにも大きな問題があるわけですが、こうして強引にダム建設をしようというのは、主として建設省と地元のこれまでの知事ですよ。  どういうことをやってきたかというと、やれ、奥津町近辺に行うべき小さな公共工事みたいなものを、予算を何だかんだ言いながら引き延ばして嫌がらせをやってみたり、あるいはお住まいになっている住民の皆さんに立ち退きをさせるわけですが、これも猛烈に執拗な嫌がらせとか、あるいは圧力とかいうものをかけながらやってきたわけですよ。その紛争記録というものはもう膨大なものがあるわけですが、例えばそういう中に、生活安定資金というのですか、何かお金を、協力感謝金というのもあるのですが、あるいは生活安定のためのとか、いろいろな名目でもってお金を無利子で貸しましょう、催促なしのあるとき払わなくてもいい、そういう貸し方でやってきているわけですね。もうさんざんこれはこの手でもってやってきた。これをいまだに強行しようとしておるわけですね。  この起工式というのは、依然としてこれは十六日にどうしても強行してやるつもりなのか。そして、その起工式にはどういう人たちが集まってきて、どんな持たれ方をするのか。ちょっと言ってみてください。
  107. 青山俊樹

    ○青山政府委員 申し上げます。  今のお話ございました苫田ダムといいますのは、岡山県の吉井川の上流につくられます多目的ダムでございまして、洪水調節、それから水資源の供給といった目的を持っているわけでございますが、特に吉井川筋の治水、それから岡山県の瀬戸内海沿いは非常に水の少ないところでございますが、それの安定的な水資源の確保のために必要な施設だというふうに認識いたしております。  特に、岡山県、岡山市等の下流の自治体やダム水没の奥津町、鏡野町からも、早期着工、早期完成が求められているところでございまして、建設省としましては、ダムの早期完成に努めているところでございます。  また、苫田ダム事業に伴いまして、水没地の五百四世帯方々の移転が必要となったわけでございますが、現在までに五百四戸中五百一戸が移転契約済みでございまして、また残り三戸のうち二戸は同意済みでございまして、未同意の方は一戸だけという状態になっているわけでございます。  また、水没地につきましても、これは水没面積が四百四十七・二ヘクタールあるわけでございますが、そのうちで、今先生お話ございました一坪地主、一坪共有地と呼んでおりますが、そこの面積は四百四十七・二ヘクタール中〇・一六ヘクタールでございまして、その〇・一六ヘクタールに地権者の方が延べ千百九十一名いらっしゃるという状況でございます。  私どもといたしましては、これらの未同意の方々や一世帯の方につきましては、誠心誠意御理解をいただくべく努力してまいりたいと思っておりますが、この共有地もしくは住居は今回行おうとしております工事箇所からは十分離れておりまして、また標高も高いということから工事の影響がすぐには及ばないという判断で、本体着工さらに起工式ということを考えておるところでございます。  なお、起工式の主催者は中国地方建設局長でございまして、出席者といたしましては、岡山県知事、また中国地方建設局、また建設省の本省からもしかるべき者を派遣するということを考えておるところでございます。
  108. 石井紘基

    石井(紘)委員 これはもう本当に、いろいろな村長選挙、町長選挙というようなものに一々四十年にわたっていろいろ干渉をしてきて、地域の住民を本当に痛めつけてきたんですよ。岡山の前知事の長野さんを初めとして、そういうことを建設省はやってきたのですね。  そういう中で、今、これはまだ全然、そんなに地権者がおって、住んでいる人もいるというのに、本体工事の起工式を強行する。それも、住んでいる人は遠くの方にいるからいいんだと。これは水没地にいるのですよ。遠くの方だからいいんだって、そういうことでいいのですか。これは明らかに、もうしゃにむに、法律もモラルも何もあったものじゃない、とにかくつくるんだというような、いかにも法治国家にあるまじき、そういう行為じゃありませんか。  少なくとも、今、起工式なんというものをなぜわざわざやる必要があるのですか。恐らく、こういうことをやって、そして反対住民や何かにプレッシャーをかけよう、しかも、もうどんどん工事が進んでいるんだ、勢いつけて、それでもう一気呵成にやってしまおうという策謀ではないか、私はこういうふうに思います。  そこで、あなた方は、そうすると起工式をやるんですから本体工事を進めるんでしょう、どうなんですか。それで、進めていった場合に、今の未解決の地権者あるいは住んでいる人たちは、これは強制収用でもって力ずくでどかすんですか。
  109. 青山俊樹

    ○青山政府委員 現在残っておられる地権者の方々とは、引き続き誠心誠意話し合いを行ってまいりたいというふうに考えております。  けれども、苫田ダムの早期完成が多くの方々から強く要望されております。特に、昨年の秋には大出水がございました。私も現地に参りましたが、町営住宅の屋根を破って避難したというふうな方々もいらっしゃるような大水害でございました。津山市内もたくさんの家屋が水につきましたし、吉井川全体では約六千戸の家屋が浸水したわけでございまして、そういったことからいっても、この苫田ダムの完成を望んでおられる方は非常に多く、また強い声がございます。  そういったことから、また、今まで五百四戸に及びます水没世帯方々、非常に御苦労の上移転を決断していただきまして、五百三戸の方が移転を承諾済みもしくは移転済みという状態になっているわけでございまして、そういった方々の正直なお気持ちは、こうなれば一刻も早くダムを完成させて、自分が移転した、ふるさとを捨てた意味を早く持たせろ、早く下流の人々のために役立つダムをつくれという声だと思っております。  そういった意味で、どうしてもこういった残った地権者の方々が御理解いただけない場合には、最終的に法的な措置をとらざるを得ない、かように考えております。
  110. 石井紘基

    石井(紘)委員 随分高圧的な態度ですね。四十年かかってじわりじわりといじめ抜いて、そして立ち退いていただいたなんて、とんでもない話で、あなた方は力をもって立ち退かせてきたのですよ、事実上は。嫌がらせをして、圧力をかけて。そして、誇らしげに、今五百四戸だ、そんな言い方はないでしょう。  しかも、今の話を聞いてみると、強制収用も辞さず、言うことを聞かなきゃ力ずくでどかすんだ、こういうことですか。とんでもない話ですね、それは。  去年の台風による水害があった。これは、では苫田ダムがあれば去年は水害がなかったのですか。そんなことはないのですよ。あの津山の市内の排水の整備はしていない、あるいは河川の改修は全然おくれている。そういう中で、そういった台風や何かを理由にして、ここぞとばかりあなた方は勝ち誇ったように、そんなものを理由にしてはいけませんよ。こんなダムができれば余計水害が起こるということはもう明らかで、この委員会でも、これまでもうずっと二年ぐらい議論してきたじゃないですか。水は要らないと言っているし、それで水害だって、こういうことをやっていけばますますこれはそういう点では安全だということにはならないのですよ。  強制収用をやるというのは、私は、これは大臣、ちょっとただならぬ発言が今河川局長からあったと思うのですが、大臣にはこういう大きい問題をぜひお答えいただきたいと思うのですが、大臣、同僚の自民党の議員さんが大臣には答弁させるなと言っているのですが、それはどういうわけなんでしょうかね。
  111. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 私もこういう公共事業というのはいろいろ見てきておりますが、このケースにいたしましても、建設省の仕事というのは本当に国民の生命財産を守る、安全を確保するということでやっておりますことは、これはもう寸分の疑いもなく事実でございます。  ですから、局長が答弁いたしましたように、御当地の方々の要望を受けて今日まで進んできておる、そして、今後もそういう方々には誠心誠意お話をさせていただくということでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  112. 石井紘基

    石井(紘)委員 そうすると、本体工事はこのまま進めていく、そして、水没地の住民が立ち退かない場合には、あるいは地権者との法律的な問題が解決しなくても、それは力ずくで強制収用でやるのだ、こういうことですか、大臣。
  113. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 日本国家は法治国家でございますから、法律にのってやっていけば、おのずからそこに結果は出てくると思っております。
  114. 石井紘基

    石井(紘)委員 これは大変貴重な、重要な御発言をいただきましたので、大きな問題になるのじゃないかと思います。  そこで、私は、しかと今のお言葉を胸にとどめまして、とりあえず、きょうは質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  115. 平田米男

  116. 中島武敏

    中島委員 今度の改正案は、最近、国民生活センターに寄せられる住宅欠陥瑕疵に関するトラブルが非常に増加していることや、あるいはまた阪神・淡路大震災で死者の八九%が家屋の倒壊による痛ましい圧死であるということなど、国民住宅の安全に対する関心が非常に高まっているということを背景として出されてきているものと思います。また同時に、住宅産業をめぐる大手住宅メーカーと中小建設業者の市場での競争が激化している今日、それにもかかわる問題だ、そのように私は思っております。  以下、順次質問をいたします。  まず最初に、欠陥住宅問題について伺いたいのですけれども欠陥住宅被害が多発していることは、国民生活センターへの住宅関係相談件数が、九三年度が一万五千件でありましたが、九六年度にはそれが二万一千件に達していることにもあらわれていると思います。  そこで、住宅欠陥の定義についてまず伺いたいと思うのですが、建築基準法の法令違反である場合は欠陥住宅当たり業者消費者の求めに応じてそれを修理しなければならないのではないでしょうか。
  117. 那珂正

    那珂政府委員 いわゆる欠陥住宅という定義の問題についてお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、法律上明確な定義はございません。建築基準法を引用されてのお尋ねでございましたので、その建築基準法になぞらえて申し上げますれば、少なくとも建築基準法上の構造安全性を欠いているような場合には、欠陥住宅と言わざるを得ないのではないかというふうに思います。  それから、建築基準法上の構造安全性を欠いている違反なものにつきまして、業者は直さなければならないというお尋ねでございますけれども、これは、住宅取得者と供給者あるいは生産者との契約、請負契約の場合等いろいろあると思いますけれども、場合によると思いますが、基本的には民民の契約によって、そこに契約上の瑕疵として供給者が負うべき責任をその時点で、いつの時点かにもよると思いますし、一概に断定することはできないわけですけれども一般的に現民法にのっとった責任を負うことになると思います。
  118. 中島武敏

    中島委員 今、民民の関係にも言及されましたが、住宅金融公庫仕様とかあるいは日本建築学会の標準仕様書に反しているという場合には、これはどうですか。
  119. 那珂正

    那珂政府委員 建築基準法と違いまして、今お示しになりました学会の基準とか公庫の基準というのは、法律によって最低これだけは守れと規定されているわけではありませんので、これこそ、民民の契約によって、建築学会仕様でやるという契約がきちっとされていて、なおかつ達成されていないとすれば、契約上のいろいろな問題、場合によっては瑕疵ということもあると思います。
  120. 中島武敏

    中島委員 秋田県の第三セクターである秋田県木造住宅株式会社が千葉県の山武町で売り出した住宅で、欠陥被害が出ております。  私も、実はここをつぶさに視察させてもらったのですけれども、一々は挙げませんけれども、あるおうちの場合には、その庭で二メートルばかりの竹を手で差し込みますと、それが全部埋まってしまうまで潜ってしまうのですね。そのために家が傾いてしまっていて、ゴルフの玉がころころっとこういう勢いをつけて転がっていくわけですね。それで、傾いたためにベランダが外れかかっているのですよ。そこの奥さんは非常に神経質になって、それは当然なのですけれども、命綱をつけて洗濯物を干しているというのを見て、私も、実に欠陥住宅、秋住のつくっているものというのはすごいな、ひどいものだということを思いました。  今度の法律によって、こういう被害というのは救済されるものでしょうか。
  121. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたけれども、そういう欠陥住宅問題というのは、個々の国民、居住者にとって生活上、実態的にも精神的にも大変なことだと思います。したがって、私どもも、そういう問題が起きないようにいろいろとその施策を講じていかなければいけない、こう思っております。  その一つが、昨年改正させていただきました建築基準法の改正で、中間検査導入等執行体制をきっちりやるということでございます。もう一つが、今回の法案によりまして、特に新築住宅について瑕疵担保責任期間を十年に延長するという考え方でございます。  お尋ねの千葉県山武町の秋住のケースでございますけれども、実は、瑕疵担保責任を負うべき供給者である秋田県木造住宅株式会社及び株式会社秋住というのは倒産しております。したがいまして、この法案で新たに十年間に延長いたしました瑕疵担保責任を追及できる相手はいないわけでございまして、一義的に申し上げますと、この法案によりましても、今回のようなケース、つまり倒産してしまうというようなケースに対しては直接的には救済されないということになります。  しかしながら、先ほど来ちょっと議論させていただいておりますが、この瑕疵担保期間の延長に伴いまして、従来あります任意の制度でありますが、住宅性能保証制度、保険を活用して、保証責任を保険で裏打ちするという制度でございますが、こういう制度がございますので、性能保証制度によって裏打ちをしていたとすれば、倒産の場合でも相当程度の救済が行われたと考えられます。
  122. 中島武敏

    中島委員 今局長が言及された建築基準法というのは、建築基準法十九条の二項、施行令の三十八条などによって、基礎の工事をちゃんとしっかり、地盤改良から何からやっておかなければならないという問題を指摘されたのでしょうか。
  123. 那珂正

    那珂政府委員 今、私が申し上げましたのは、一般的に、建築基準法の施行に当たって、いわゆる検査体制をしっかりするという改正を去年させていただいたわけでございます。個別の、今先生指摘の十九条に基づく政令三十八条の運用のことについては、まだ先ほどお答えしたわけではなくて、それについて申し上げさせていただければ、その辺についても若干あいまいなところがあることは正直そのとおりだと思いますので、その基準の適正化等について今後検討していかなければいけないと思っております。
  124. 中島武敏

    中島委員 東京都内の六階建てのマンションで、基礎くいが大手ゼネコンの手抜き工事で短くされて支持層に届いていない、そういう構造欠陥事例があります。被害者である原告は、それを理由にして損害賠償請求訴訟を起こしましたが、一審二審とも敗訴となりました。裁判所は、建物の基礎くいが支持層に到達していなくてもくい周辺に働く摩擦力があるから安全であるという鑑定をうのみにして、欠陥害者である原告敗訴、こういう判決を下しているわけですね。  それで、私が聞きたいのは、判例との関係建設省はこういう問題をどういうふうに考えるのかということを伺いたいと思います。
  125. 那珂正

    那珂政府委員 先ほども申し上げましたように、建築基準法で定められております構造安全性に関する基準を欠いているものについては一般的に欠陥住宅だと言わざるを得ないわけでございますが、個別の問題について、しかも具体的な訴訟に上っているものについて、その場合瑕疵の問題になる、あるいは契約不履行というような問題になると思いますが、そういうことの事実認定については当然裁判所にその判断をゆだねられるべきでありますので、私どもの方で特段の見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  126. 中島武敏

    中島委員 しかし、建築基準法では、六階建てのマンションの場合ですけれども、支持層まで基礎くいをおろさなければならないということになっているのではありませんか。判例はそうかもしれないけれども、やはり建築基準法どおりに施工されるというのが正しいのではないでしょうか。何でも裁判所の判断に任せるのだというようなことは、それでいいのですか。  建設省のとる態度をきちんと私は伺いたいと思っているのです。
  127. 那珂正

    那珂政府委員 個別の訴訟中の瑕疵あるいは契約責任の判断については、繰り返しになりますけれども、個別の判断は差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、今先生指摘の、一般的に、東京都内で支持層に届いていないくいということでありますが、これは御案内だと思いますけれども建築基準法二十条及び十九条に基づく政令の三十八条等に基づいて、マンションでありますので一定の構造計算をしなければいけない、構造計算によってその基礎及びくいのことは決められております。  その際、今、支持層に届いていないといっても、その深さはどういうことか、地盤の状況はどういうことか、一概にそれが建築基準法に違反しているかどうかということはちょっとこの場ではわかりかねますので、それは控えさせていただきたいと思います。
  128. 中島武敏

    中島委員 どうも煮えない話をされる気がするのですね。やはり法律に決められているとおりにやるというのが正しいのではないですか。  では、一般論です。個別の事案について、だから言うのは差し控える、こうなってくるのですけれども、そうではなくて、実際に法律どおりにやられているということが正しいのではないでしょうか。だから、そういう点と判例との関係という点はどうするかということは、これは法律との関係を聞いているのですよ。個別事案ではなくていいですよ。
  129. 那珂正

    那珂政府委員 一般的に申し上げますと、くいにもいろいろ種類がありまして、途中、完全に支持層まで行かなくても摩擦によって地耐力を受けていくという方式もありますので、計算の根拠として地耐力をどういうふうに前提として計算したかというようなことがわからないと、私どもとしても法律に違反しているかどうかというのはわかりかねますので、御理解いただきたいと思います。
  130. 中島武敏

    中島委員 全くらちが明かぬね。しかし、確認できることは、法律どおりちゃんとやるべきだということについては確認できるのではないでしょうか。
  131. 那珂正

    那珂政府委員 それは当然であります。
  132. 中島武敏

    中島委員 次なんですけれども、ひび割れや傾きなど、一定基準を超える欠陥が見つかった場合、そうした現象で瑕疵を確定し、住宅メーカーや販売業者が正当性を証明できない限り無料で修繕をするなどの責任を負わせる、いわゆる瑕疵推定規定がこのたび入らなかったのはなぜですか。
  133. 那珂正

    那珂政府委員 いろいろのことがあるわけですが、一つは、先ほども申し上げましたけれども、推定基準の際に一定の因果関係を前提にするわけでございますけれども、外部にあらわれたふぐあいの現象を基準化するに際し、余りレベルを高くするといいますか、ひどい状態にすると、つまりそれ以下のふぐあいだったら瑕疵ではないというふうに業者側が言い張るというような場合もありますし、逆もあるわけですが、あるいは、実際これを外形的現象から瑕疵の存在を仮にこの法律によって推定したとしてもやはり確定までは至らないというのが、裁判所等の判断等も含めまして、法律先生方の御意見も含めまして。そうすると、具体的に瑕疵が特定できなければ、やはり争いは相変わらず残ってしまうというような法律上の問題もあります。  そういうようなことで、法律家も含めた関係者間においてこの問題について推定規定を設けることにつきまして完全な合意に至らなかったというのが実態でございます。
  134. 中島武敏

    中島委員 これは随分いろいろ議論されて、議論されてと申しますか、いろいろ言われている問題なのですけれども、率直に言いますけれども建設省としては、業界の方の意見がどういう意見であるか、それからまた消費者の方の意見がどういうものであるかということは、あらかじめよくわかっておられたのではないのかなという気がいたします。そういうことがわからない建設省ではなかろう、あるいは局長ではなかろうと私は思うのです。  それにもかかわらず、こういうふうになったというのには、これも率直に言いますけれども業界、特にマンション業界からの反対があったからではありませんか。
  135. 那珂正

    那珂政府委員 御案内かと存じますけれども、推定規定をこの法案に盛り込むことについては、私どもも、先ほど先生が御指摘になったような意味で、本当にその技術的知識を持ち合わせていない消費者瑕疵の立証責任を軽減するというような意味で、何とか盛り込めないものだろうかという検討を二年ほど前から随分詰めてきたことはそのとおりでございます。しかし、先ほども申し上げましたけれども、やはり、この民法の世界においてもこういうことは全くやられておりませんので、言ってみれば、初めてきちっと検討されたというぐらいのものでありまして、そういう意味では、まだ私どもの検討の仕方も十分ではなかったのかもしれませんが、そういうことで、合意に至らず見送ることとさせていただいたわけであります。  途中、お立場によっていろいろなことを、御意見を持っておられる方がいることは、実態そうであると思いますが、あえて言わせていただきますと、消費者の方だからといって推定規定がぜひ必要だ、こういうことでもないわけでありますし、業者側の立場の方でも推定規定なんかやめろというわけでもない。いろいろな本当に真摯な議論が積み重なって今回見送った、その真摯な議論の結果としてこの推定規定自体は見送りましたけれども、御案内だと思いますけれども紛争処理の参考とすべき技術的な基準としてそれに代替するような基準を何とか盛り込めないだろうかということで、今、法案上は措置させていただいておりますが、内容について鋭意検討中でございます。
  136. 中島武敏

    中島委員 大臣にぜひ伺いたいと思っているのですけれども、この問題、瑕疵推定規定、これはやはり消費者の側からすれば非常に求めていることなんですね。今度は法律が出発するんですけれども、いろいろな事例を積み重ねて、そして、こういうやり方ならいいというふうにやはりしていくべきじゃないかなと私なんか思うのですね。そういう意味では、これで瑕疵推定規定はもうあきらめというんじゃなくて、やはりしっかりこれがつくられるように今後も努力をしていくということじゃないかと思うのですが、その点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  137. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 この点につきましては、今局長が答弁いたしましたように、局長も話しておりましたが、そういうようなことを入れたいという努力をしたわけですけれども、具体的な基準についての合意形成ができなかった、そういうことができていないというもとで入れると、かえって混乱を起こすケースが出るのではないかというようなことで、今回は入れていなかったというふうに聞いておるわけでございます。今後、技術的な蓄積がなされて、技術的に基準についての合意が形成された段階で、また、そのときの社会的情勢等々を踏まえまして、瑕疵の推定規定についての再度検討をしていきたいと考えておるわけでございます。  ですから、これですべて、これ以上のものはないという状態といいましょうか、考えではございませんので、そういう時期を見て前向きな検討をしていきたいと思っております。
  138. 中島武敏

    中島委員 それでは、住宅性能表示制度等の問題について伺いたいと思うのですが、ちょっと時計を見ましたら、私、きょうは相当たくさんなことをお尋ねしたいと思っております。私も簡潔にできるだけ申したいと思いますから、お答えの方もぜひひとつ簡潔にやっていただきたい、お願いをしておきます。  それで、お聞きしたいのですけれども、なぜ新築だけを今度対象にして、中古の住宅を対象にしなかったか。むしろ、中古住宅の方がいろいろ欠陥があるんじゃないんですか。
  139. 那珂正

    那珂政府委員 性能表示制度ということのお尋ねですので、それは先ほど申し上げましたけれども、法制度上は新築に限定されておりません。ただ、実際問題、例えば建設段階での図面が保存されていないケースが物すごく多いわけですし、あるいは、施工段階の検査の状況もわからないというような実態がございます。そういうような段階で、中古の住宅についてどうやってその性能評価したらいいのかという技術的知見が確立されていませんので、当面は新築のみにさせていただきたい、こう思っている次第です。
  140. 中島武敏

    中島委員 それでは、将来は中古も対象にするというお考えでしょうか。
  141. 那珂正

    那珂政府委員 技術的知見を重ねることによりまして、何とか中古を取り込みたいと思います。
  142. 中島武敏

    中島委員 プレハブなどの大量生産住宅、これは工場では性能が保証されていても、現場ではなかなかそうならない、そういう保証はない。この問題についてどういうふうにお答えになりますか。
  143. 那珂正

    那珂政府委員 住宅性能の保証といいますか、性能を確保するということは、あくまでも現場で性能が確保されることが前提だと思います。
  144. 中島武敏

    中島委員 ただ、これはきょうの午前中も議論されておったかと思うのですけれども建築士が実際には現場をチェックするというお答えの意味なのかなと思って聞きましたけれども建築士法十八条三項で、建築士が施工監理をやるように義務づけられておりますね。だけれども、実際はどうかというと、これは建築士は施工者と従属関係にあるわけですね。だから、そういう意味では、本当にチェックができるかどうかということについては大変疑問になるんですけれども、どうでしょうか。
  145. 那珂正

    那珂政府委員 建築基準法及び建築士法上は、施工者に従属するのではなくて、建築主の委託に応じて工事の監理をする、こういうことであります。
  146. 中島武敏

    中島委員 そうは言いますけれども、実際にその建築士というのは、全然施工者じゃないところに建築士をお願いするということになればお金もかかりますし、大変なんですね。それで、もう局長はよく御存じだと実は思っているのですけれども、やはり実際は、施工者のところの建築士がいろいろと点検をする、検査をするというようなことになってくるんですね。だから、その辺についてどうすればよいかということについて、お考えがあれば聞きたい。
  147. 那珂正

    那珂政府委員 我が国の建築工事建築士の関係の実態については、先生今御指摘なさったとおりだと思います。  特に、住宅に関しては、施工業者に従属しているというよりは、みずから施工者であり、みずから建築士でありという方が我が国の住宅のかなりの部分を建設しているという実態だと思います。  問題は、そういう中小施工の業者といいますか工務店といいますか、そういう方々が、基準法、建築士法あるいは新しいこういう法律等に基づいてきっちり仕事をしていただいて、また、それが消費者に的確に評価してもらうということが一番重要なことだろうと思います。  そういう意味で、昨年改正させていただきました建築基準法の運用についても、とりわけ中間検査の導入と言っておりますけれども、やはりベースとなる建築士による工事監理のあり方について、なお、例えば工事監理業務をもっと明確にすることなども含めて、今、国においても、各公共団体においても総点検をいたしまして、その適切な運用に努めていきたいと思っております。
  148. 中島武敏

    中島委員 総点検して、それは結構なんですけれども、この日本の実態というのはなかなか難しい問題なので、これまたよく研究していただきたいと思います。  それから、日本住宅性能表示基準それから評価方法基準について構造上の安全性にランクをつけるといいますけれども、この意味はどういうことでしょうか。そしてまた、ランクの中身を明らかにしていただきたいと思います。
  149. 那珂正

    那珂政府委員 先生の御指摘は、構造安全性というのは建築基準法で決められているじゃないか、それにランクをつける趣旨はと、こういうお尋ねだと思います。  これは端的に申し上げまして、建築基準法は、最低ぎりぎりの守ってもらう基準だという認識でございますので、地震が来ても揺れるのも絶対に嫌だというような建築主、居住者もいらっしゃいます。例えば、そういう方に対しては、近年の建築技術の開発によって、免震構造とか制振構造とかいろいろな新しい技術開発もあります。したがって、構造安全性に関する性能についてランクづけするに際して、何ランクになるのかわかりませんけれども、一番下といいますか、ぎりぎりのところは建築基準法レベル、それからもう一つ、二つ、三つ、こういうふうにランクを上げるのではないでしょうか。そういうふうに考えております。
  150. 中島武敏

    中島委員 局長、今のお話は遮音性だとかシックハウスだとか、ああいう問題の扱いの問題なんですよ。
  151. 那珂正

    那珂政府委員 中島先生のお尋ねが構造安全性というふうにおっしゃったので、構造安全性についてお答えしたわけでございますが、遮音性についても、一定のランクを設ける等の措置が考えられると思います。
  152. 中島武敏

    中島委員 住宅性能評価機関の公平性が担保されるか。つまり、何かというと、住宅メーカー等の資本が入っているのじゃないかと思うんですね。例えば、A、B、C、Dの業者が集まって評価機関をつくる、そうなりますと、自分でつくった住宅を自分が評価するということになるのではありませんか。
  153. 那珂正

    那珂政府委員 指定住宅性能評価機関につきましては、その機関の指定の要件として、一定の技術的能力、経理的基礎等のほか、法人の場合については、役員、職員の公正な評価の実施に支障のないこと、評価以外の業務を行っている場合、つまり兼業の場合、公正な評価の実施に支障のないことなどの基準をきちっと決めて指定することでございますので、そういう不適切な行為、公正な評価に支障があるようなことにならないようにしたいと思います。
  154. 中島武敏

    中島委員 私は、今述べたことをちゃんと知っているんです。だけれども、もっとそれを具体的に、抽象的なことじゃなくて具体的にするためには、通達とか何かそんな措置をとっても公平性が担保できるような、そういうことをおやりになる気はありませんか。
  155. 那珂正

    那珂政府委員 くどいようでございますが、指定の基準、第九条一項五号によりまして「評価の業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって評価の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。」という明確な基準があります。
  156. 中島武敏

    中島委員 それを具体化するためにどういうことをやるかということを、私はもう一歩先を聞いているんです。言っているんです。そのことをわかってもらえば、それを法律に書いてあるのは私は知っているんです。その先を言ってほしかったんですけれども、なかなかそういうふうにいかないみたいです。しかし、公平性が担保できるような、そういう指導をぜひきちっとやってもらいたいと思いますね。  それから、急ぎますけれども紛争処理センターについて、評価機関から負担金を徴収するんですね。そうなりますと、処理センターの公平性は担保されるでしょうか。
  157. 那珂正

    那珂政府委員 住宅紛争処理支援センターというのは、この制度に参加する、評価を行った戸数に応じて、指定性能評価機関から一定の負担金を徴収する、その費用をもって具体の、いざというときの紛争処理の費用に充てるという仕組みになっております。  紛争処理センターはいろいろな機関、その指定評価機関から一定の負担金を徴収するわけでありますので、当然その徴収先である指定評価機関からそういう負担金を受け取ったことによって、その業務の推進に影響を受けるようなことはあってはいけないわけでございまして、そういうことについてはきちっと運営していきたいと思います。
  158. 中島武敏

    中島委員 リフォームセンターを何か予定しているようですけれども、このリフォームセンターの場合に、ハウスメーカーなんかの役員が入っているのじゃないですか。そうなってくると、公平性の担保という点はどうなのかなということを思うんですけれども、いかがでしょう。
  159. 那珂正

    那珂政府委員 それは、リフォームセンターには一部民間のいわゆるハウスメーカーの代表の方も入っていらっしゃると思います。  しかし、それだからといって、支援センターが個別の紛争処理に影響を与えるような不公平な、あるいは不公正なことをやるということにはならないわけでありまして、紛争処理機関への建設大臣の関与ですら、個々の紛争処理内容には及ばないという理解をしておりますので、当然その支援センターにつきましても、そういうことのないように、それはきっちりと監督いたしたいと思います。
  160. 中島武敏

    中島委員 局長のお答えですけれども、やはり問題は残るなという感じを私は持ちますね。  それで、次に、紛争処理機関の問題について伺いたいと思うのですけれども紛争内容というのは情報公開されるでしょうか。それがないと、将来、さっきお答えもありましたけれども瑕疵推定規定をつくる参考になりませんし、それから全国にある紛争審査会の参考にもならないのじゃないかと思うので、この点はしっかり伺っておきたいと思います。
  161. 那珂正

    那珂政府委員 紛争処理機関におきましては、個別具体的な法的紛争を扱われて、調停案などの内容に個人のプライバシーに関する情報が含まれている場合が多いと思います。  一方、他の欠陥住宅の問題の紛争解決に資するように、やはり一定の情報をプールして、それを新しい紛争処理のときに的確に使うためには、なるべく実態がわかるような情報が提示されていかなければいけないわけで、そういう意味では、相反する両者のバランスが非常に難しいと思います。  しかし、結論的に申し上げれば、個人のプライバシーにはもちろん最大限の注意を払いながら、効率的な情報提供が行われるような仕組みで運営していくべきだと思います。
  162. 中島武敏

    中島委員 今お答えのあったように、やはりプライバシーは守らなきゃいかぬというのはわかるのです。  しかし、プライバシーは守れるが、同時に、どんなことが問題になってどういうふうに解決をすればよいのかという経験はやはり公表しなければならぬわけでして、お答えのように、公表するに当たってはいろいろな工夫があると思うのですね。ぜひ、いろいろな工夫を凝らしても、よくわかる、プライバシーがわかるじゃないですよ、プライバシーはわからないけれども、守られているけれども、しかし、やはり問題は何なのかということがよくわかるというようにぜひひとつしていただきたいと思います。  それからもう一つ、これにかかわって、紛争解決のための参考技術基準ですね、ガイドライン、これをつくるというのですけれども、それはどのようなものなのでしょうか。床の傾きが幾らとか、そういう決め方をされるのでしょうか。  それと、またもう一つ続けて、どのようにして、どんなやり方でつくるのか。やり方というのは、弁護士会だとか消費者団体の代表だとか、そういう人たちの意見はどんなふうに反映されるような保障があるのか。そういうことを含めて御答弁いただきたいと思います。
  163. 那珂正

    那珂政府委員 この七十条の技術的基準でございますが、先ほど御質問のありました瑕疵の推定規定のかわりと言っては変なんですが、やはりかわりと言うべきなのでしょうか、紛争処理の際の技術的基準として同じような考え方を取り入れていこうというものでございます。  具体的に申し上げますと、例えばふぐあいが生じた、そうすると、そこに発生したふぐあいに応じて基本構造部分に瑕疵があるという蓋然性が極めて高い、ふぐあいの程度、この程度以上だったら蓋然性が高い、あるいはふぐあいがこの程度以下だったら蓋然性は極めて低いなどの、両者の因果関係を規定する基準となるわけでございます。  これも先ほど先生からも御指摘になったように、この基準をつくったことによって、紛争処理に当たって、一方の当事者、とりわけ消費者にかえって不利になるようなことにならないように、よく注意して決めていかなければいけないと思いますし、その決め方に当たっては、当然のことですが、技術的な専門家方々あるいは法律家の方々、加えて消費者方々にも十分意見を聞いて決めていこうと思っております。
  164. 中島武敏

    中島委員 それでは、次の問題なんですけれども、中小業者皆さんに今度の法律が不利にならないかどうか、そういう問題について、中小業者皆さんからも非常に声が上がっております。私は、これは当然だと思うのですけれども、その辺の問題について伺いたいと思っております。  日本住宅性能基準に含まれない工法や資材を用いた住宅は、特別評価方法によって評価されるわけですね。その場合、特別評価方法は厳しい、中小が十分利用できるものにならないのじゃないか、こういう心配があります。この点についてはどうでしょうか。
  165. 那珂正

    那珂政府委員 そもそも評価方法基準というのは一般的な基準としてお示しするわけでございますから、地域の中小の住宅生産者方々が通常行っている生産活動、供給活動の場合には、何ら問題なく本来の基準で対応できる、こういうふうに思うわけでございますが、そうであっても、中小生産者の方々が共同で、例えば技術開発をしようというような場合など、やはり特別の評価方法認定を取得する必要があるような場合があり得るわけでございます。そういう場合には、この制度を活用していただく。  活用するに当たっては、これはこの制度に付随するものではございませんが、先ほど来申し上げておりますように、中小の住宅生産者方々の経営の近代化といいますか、そういうことのために、こういう調査研究、技術開発等について一定の助成も支援していこう、こう思っております。
  166. 中島武敏

    中島委員 住宅の場合は一括下請が多いことは、局長もよく御存じだと思うのですね。  それで、欠陥消費者から指摘されたときに、元請が下請にすべてを肩がわりさせてしまう、こういうことにならないか、そうならないようにするためにはどうしたらよいかという問題について伺いたいと思うのです。
  167. 木下博夫

    ○木下政府委員 改めてお答えをするまでもないと思うのですが、元請業者が下請業者に求償できる範囲というのは、当然下請業者が行いました施工上の瑕疵に伴うものに限定されるわけでございます。  したがいまして、まずは元下関係におきまして、その業務内容をしっかり定めるとか、施工計画上の範囲と申しましょうか、施工計画上に明確に表示するというような手だてをすることによって、今後、今おっしゃったような懸念は払拭するように努力しなければいけないかと思います。  当然でございますが、補修の責任を不当に下請業者に負わせるということは、建設業法上も問題でございまして、適切ではないと考えております。  今回の法案の趣旨からいきまして、いわば瑕疵担保責任期間を十年と義務づけましたことに伴いまして、元請業者がその取引上の地位を利用して不当に下請業者にその責任の範囲を超えて補修をさせるということがないように、我々も建設業界に今回の法案の趣旨をしっかりと徹底するように指導してまいりたい、こう思っております。
  168. 中島武敏

    中島委員 ぜひそういう指導もきちっと徹底していただきたいと思うのです。  実態は局長もよく御存じだし、私もよく知っているつもりでおります。なかなか難しい問題ですから、やはりきちっとした適切な契約が結ばれるように、ぜひひとつ指導を強化していただきたいと思います。  それから、住宅の型式認定は力の強いメーカーしかとれないことになるんじゃないか、そうならないという保証はあるんだろうかという問題についてお答えください。
  169. 那珂正

    那珂政府委員 住宅の型式認定というのは、一言で簡単に申し上げますと、繰り返し使用する標準設計仕様書、それを認定するということになるわけでございますが、こういう意味では、プレハブとか何とか工法とか、そういう工法にとらわれずに広く対象としようと思っておりますので、中小の工務店さん、とりわけ木造を扱っている方々にとっても当然この制度は利用可能でありますというか、そういうことも想定した制度としております。
  170. 中島武敏

    中島委員 紛争処理性能評価を受けた住宅に限定されるということのために、性能評価は任意であっても、現実の市場では事実上強制と申しますか、そういうことになってくるんじゃないか。  私のところはちゃんと性能評価を受けているんだ、そうでないところはやはり大変ですよというようなことです、ざっくばらんに言ってしまうと。そういうふうな宣伝がいろいろやられるということになると、強制という言葉を使いましたけれども、やはり全部そっちへ流れてしまうということになる。そうなると、中小の建設業者はやはり不利になるんじゃないかというおそれ、これは非常にある問題なんです。私らのところにもいろいろそういう話が来ます。  こういうのに対して、局長、どういうふうにされるお考えか。やはり中小を守っていかなきゃいかぬという立場でお答えをいただきたいんですけれども
  171. 那珂正

    那珂政府委員 先生が御指摘になって、御懸念される考え方も確かにあると思います。しかし、私どもとしては、基本的にはこういう制度の普及、すなわちなるべく多くの方々にこの制度にお入りになっていただいて、やはり消費者に対して、一定性能等がきっちりと評価されて、きっちりと情報提供として事前に示していただく、そういう市場での適正な、健全な競争というものを促したいというのが本旨であります。  したがいまして、当然一定コストはかかるわけですから、それも消費者が負担されることになると思いますけれども、例えば中小の工務店等が一緒になって、評価機関を自分たちでやってみよう、こういうようなケースも想定されます。そういう場合には、その評価機関に対して、評価に必要な機材等の購入費の一部補助というようなことも視野に置いて、あるいは情報提供あるいは講習会とか、そういうようなことも視野に入れて、そういう中小生産者の方々がこの制度に乗りやすい環境をつくっていくということが私どもとしては第一の考えだと思います。
  172. 中島武敏

    中島委員 瑕疵担保期間である十年、この十年以内に業者が倒産した場合、これは一体どうなりましょうか。
  173. 那珂正

    那珂政府委員 先ほども申し上げたかと思いますが、瑕疵担保責任は十年に延長いたしますけれども、あくまでも住宅を取得した人がその供給者に対して瑕疵担保責任を追及するわけです。相手が倒産されたという場合については、この法律による瑕疵担保責任の延長といいますか充実というものは形式的には及びません。  しかし、先ほど来るる御説明しておりますように、供給者のそういう瑕疵担保責任を保険という仕組みで裏打ちするために、既に任意の制度としてございますが、住宅性能保証制度というのがございますが、これに参加していただいて、やはり万が一のときの経営リスクを保険で補っておいていただくというのが一番いい方法だろうと思います。  そのため、今回も予算措置をいたしまして、瑕疵保証円滑化基金という基金を造成いたしまして、その基金によって一定程度、事実上の保険料を安くするというような措置をとって中小の供給者も入っていただきやすいようにするつもりでございます。
  174. 中島武敏

    中島委員 保険に入る場合、保険料は一体どれぐらいになるものですか。
  175. 那珂正

    那珂政府委員 保険料とか検査料とか、込みで住宅登録料と言っておりますが、現在は〇・五三%、例えば二千万円くらいの価格については十万円ちょっと、十万六千円というものでございます。先ほど申し上げました瑕疵保証円滑化基金等を利用することによりまして、二割ぐらいこれが減額されることになると思います。
  176. 中島武敏

    中島委員 時間も来ましたのでおしまいにしたいと思うんですが、今度の問題というのはやはり消費者が第一だと思うんですね。しかし、同時に中小の建設業者がやはり本当によく守られるということが非常に必要なことじゃないかと思うんです。そういう点で、私は、最後に建設大臣にその辺の決意を伺って、質問を終わりたいと思うんです。
  177. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 御指摘の点は重々頭に入れて対処していきたいと思っておるわけでございますが、この法律案は、住宅供給者の規模の大小にかかわらず、新築住宅瑕疵担保責任の強化あるいはまた住宅性能表示制度の整備等を行おうとするものでございまして、普通ちょっと考えてみると、中小企業者に不利な点があるのではないかなというような感じも持たれるかもしれませんが、そういうようなことが起こらないように、あらゆる中小企業者に対する支援をしていきたいと思っておるわけでございます。  中小業者住宅性能の保証制度を利用する際のコスト低減するというために瑕疵保証円滑化基金というものを創設いたしました。それから、今後も補助事業の活用による講習会の開催等、中小業者に対する支援に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  178. 中島武敏

    中島委員 終わります。
  179. 平田米男

    平田委員長 中西績介君。
  180. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後になりましたので重複する部分もあると思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。  第一条の「目的」にありますように、「国民生活の安定向上国民経済の健全な発展に寄与することを目的」に作成される本法案については、まさに弱者救済、保護のため、遅きに失した感があるような気が私はします。住宅性能保証制度の普及率がフランスでは一〇〇%、イギリスでは九五%となっておるのに、法的制約あるいは保険制度等の歴史的経過がこれらの国々にはあることはわかりますけれども、なぜ我が国ではおくれたのか、その理由についてお答えください。
  181. 那珂正

    那珂政府委員 現在我が国に存在いたします保険制度住宅性能保証制度、任意の制度でございますが、これが対象とする住宅は、十年度で約七万戸、普及率にして六%、こういうことでございます。  これに対して、フランスでは先生指摘のように一〇〇%でございますけれども、フランスでは、民法上、基本構造部分の十年保証と、その瑕疵に係る保険の付保が義務づけられております。イギリスにおいても、住宅金融機関、これは民間の金融機関だと思いますが、債権保全の観点から、基本構造部分の十年保証と、その瑕疵に係る保険の付保を一般に融資の要件としているというようなことから、この二カ国は非常に高いのではないかと思います。  だから日本で六%がいいんだとは決して申し上げないわけですが、基本的に、これまで住宅供給者が取得者に負うべき瑕疵担保責任の期間が比較的短い、二年という期間に短縮できる、そういう状況であったことから、やはり負った瑕疵担保責任について改めて保険で裏打ちをしなくてもよかったというのが実態ではないかということが考えられます。
  182. 中西績介

    ○中西(績)委員 今までの我が国のそうした関係者の良心的なものの中でこうしたことがおくれたというような言い方になっておりますけれども、私はやはりこうした点を考えると、バブル時期から現状を見ますと、良心的なものがなくなっておるとしか考えられないような事象が余りにも多過ぎるわけです。そうしたことを考え合わせていきますと、今度の場合も依然として住宅性能評価制度は任意の制度になっていますね、住宅供給者あるいは住宅取得者の選択に任されているわけでありますから、紛争処理対象も同じように、住宅性能評価を受けた住宅に限られておる、したがって、欠陥住宅問題の根本的な解決は、事後救済でなくて施工段階の検査の徹底が有効である、これはもうわかり切った話なんです。  すべての住宅に対して、今までは、安かろう悪かろうというようなことがはやっておったんですけれども、こうしたことがいかにむだであったかということ、そして問題が多過ぎたということが今改めてわかっておるわけでありますから、こうした評価適用、強制制度導入が私は必要ではないかと思っています。  先ほどからの答弁等では、コストアップするとか、あるいは住宅取得者の希望があるなしによって相当な見解の違いがあるなどという回答がありましたけれども、むしろ強制的にして、これが一定の成果と方向性、そして皆が当たり前になったときにそうしたものを外していく、こうしたことの方がいいんではないかと私は思うんです。そうしなければ、現状の中ではどうすることもできないんですね。だから、任意にしたこと、その理由がどうしても私は納得できないんです、今までの理由を聞いておっても。  しかも、先ほどから言われておりますように、十万円というんでしょう。これを考えますと、何千万という住宅を建てる際に、十万円でそれを保証し、しかも中古の場合には、それがあるなしによってそれくらいのことは直ちに回復できるわけですから、こうした点がなぜなったのかという点がどうしても納得できません。お答えください。
  183. 那珂正

    那珂政府委員 住宅性能表示制度につきましては、先ほど来るる御説明申し上げておりますけれども一定の厳格な性能評価のための現場検査等の検査が必要でございますので、必ず一定コストアップになるわけでございます。これは最終的には必ず消費者の負担となりますので、やはりそういうことから考えますと、消費者等による選択制とすることの方が適切であると考え、任意の制度として構成したところでございます。
  184. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、コストアップになると言うけれども、では、コストアップはどれくらいになるのか。例えば現状の二千万程度、それで試算したことがございますか。
  185. 那珂正

    那珂政府委員 先ほどの保険制度とたまたま似ておりますけれども、私どもが幾つかの検査する回数等を想定いたしますと、大体十万円ぐらいの検査費用がかかると思われます。
  186. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、さっき指摘をしましたように、十万円程度であるならば、将来的にいろいろ問題が出てくる可能性だってあるわけですから、そのことを保証させるためにもやらせるべきなんですよ。これは常識じゃないですか。だから、むしろ私は、先ほどから言っておるように、弱者救済、保護のためという、ここがちゃんと押さえられていないというところに今まで問題があったわけですから、こうしたことをこれからの建設行政の中で、中心的な基本理念としてやはり生かしていくということになれば、少々無理をしてでもこれは貫くべきであろうと私は思うのですが、この点、どうでしょうか。大臣、お答えください。
  187. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 大変いい質問であるという答弁にさせていただきたいと思います。
  188. 那珂正

    那珂政府委員 住宅性能表示制度につきましては、先ほどの繰り返しになりますが、もう一方で、やはり住宅品質確保のためには、民間の契約関係における供給者側の責任というものをもう少しきちっと強化した方がいいんじゃないかということで、この法案の二つ目の柱でございますが、瑕疵担保責任期間を十年に延長する、新築の住宅の場合で基本構造部分でございますが、これを十年に延長するというふうにさせていただいたわけです。  これ自体は、先生今事後的な救済、こうおっしゃられましたけれども、しかし、こういう責任が明確に、民法上の責任をきちっと明確に充実するということによって、住宅生産者も、これは瑕疵がないような工事をするようにしっかりとやらなければいけないということを当然考えますので、従来に比べ、この両制度、両々相まって、いわゆる欠陥というような問題も相当程度減っていくのではないかと思っております。
  189. 中西績介

    ○中西(績)委員 事後もあるいは事前も、そのこととは別の一番基本にかかわる問題だと私は思っているわけです。したがって、今規制緩和という方向性ですから、このような規制をかけるということについていろいろ論議をするというならまた別の意味があるんです。  ところが、今このような状況、特に、先ほどから申し上げるように弱者保護だとかこういう視点から、しかも、企業のあるいは社会全般の良心的なものを取り返すためにも、このような規制をかけてでも一時期は強制的にやることによって、皆さんでお互いに確認し合う、こうしたことがやはり必要ではないかということを私は痛感するものです。そこら辺が、やはりこれから後の行政のあり方、特に、今問題になっている例えば情報公開だとかいろいろな問題等についても、こうすることによって情報公開が多くの皆さんに徹底されるということにもつながるし、すべての行政のあり方が大きく変わってくるんじゃないかと私は思うんですよ、これ一つをとっても。ですから、私はこのことを強調しているわけなんです。  ですから、もう一度、今までなかったことをやるということについては私は賛成ですから、これに反対しているわけじゃないんですから。だから、それをさらに前進させる、そして、本当に皆さんが期待をするような行政措置、これを、先ほどから論議されているように、受給者の方があるいは費用負担が増加をするというような言い方もあったようでありますけれども、この程度の問題であるなら、むしろ内容的にこれを高めることによってプラスする面の方が大ではないかと私は考えるんです。これが間違っておるというならまた別ですけれども。  そうした点を考え合わせていきますと、もう少し積極的に、この後々で結構ですから、本当にそうした面に向けて皆さんが腹を決めてやってくださいよ、大事なことですから。この点を一つ強く要求して、きょうは終わりますけれども。  ところが、この制度導入によりまして成果を拡大するためには、先ほど私が申し上げましたように、消費者意識改革がまた課題になるわけです。それは、さっき言うように、これを強制することによって、何で十万円を自分が負担しなきゃならぬかということでもって、これに対する関心の度合いというのもうんと高まると思うんですね。それが必要なんだということを私は言っているんです。ですから、イギリスなどにおきましては、住宅設備だとか機器に関する解説書などを発行いたしまして、綿密な消費者教育を行っておるということをお聞きしています。  したがって、こうした問題について、普及策を拡大して普及率を高める、こういうことが必要であろうと思いますけれども、そのためには、さっきから申し上げるような、情報を徹底して公開して皆さんにお知らせする、このことが前提でなくちゃならぬと思うんですね。こうした点については、どのようにお考えですか。
  190. 那珂正

    那珂政府委員 先生、今御指摘いただきましたように、この制度を本当に普及、定着させるためにはまず第一に制度内容について徹底したPRが必要だ、こういうのは全くそのとおりだと存じます。  したがって、私どもとしては、こういう新しい制度の運用を始めるに際しては、そのPRについても、今までの通り一遍の周知徹底方だけではなくて、例えばホームページをつくるとか、例えばマスコミ、マスメディアにも協力を大いに要請してこういう制度の理解を深めてもらうとか、そういうようなことも、ありとあらゆる手段を使い、努力を傾注して、その普及、PRに努めていきたいと存じます。
  191. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、そういうふうにいろいろなものに依拠をしながらやるということをおっしゃっておりますけれども、さっきから申し上げるように、くどいようでありますけれども、主体的に、何かショッキングみたいな方式になるかと思いますけれども、こうしたことをやはり強化してやるということが大変重要ではないかと私は思っています。  そこで、もう一つ問題は、指定住宅性能評価機関が、設計書の評価だとかあるいは施工・完成段階検査などなど住宅性能評価書を交付しますけれども建築基準法改正で建築確認、中間あるいは完了検査が厳しくなってきました。あるいは、住宅金融公庫の現場審査あるいは性能保証住宅登録機構の現場審査などなどたくさんあります。重複をしています。特にまた、建築士法による設計監理、工事監理と基準法による建築確認、中間・完了検査が適切に行われると、欠陥住宅問題は相当の解決が進むと思うわけでありますけれども、今さらこの住宅性能評価制度を導入して住宅品質確保促進を図ろうとした大きな理由は、何においてこうしたことをやろうとしておるのか、お答えください。
  192. 那珂正

    那珂政府委員 建築基準法による確認検査に加えて、住宅性能表示のための検査を導入する理由でございますけれども建築基準法の規制対象となる性能というのは、御案内のとおり、構造安全性能と火災安全性についてぎりぎり、最小限のレベルを限定して強制的に規制しているものでございます。  他方、この住宅性能表示制度における基準は、省エネルギー性能とか耐久性とか、建築基準法に定める性能の上乗せあるいは新しい項目の追加等、新しい時代の国民住宅に対するニーズにこたえようとしているものでございまして、やはり一定検査あるいは審査が当然に必要となると思いますので、そういう基準法の検査とは別の体系の審査体系をここに導入したわけでございます。
  193. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、行政上の問題として、これらをある程度整理する必要があるんじゃないかと思うんですけれども、そうしないと今度は、我々は全くの素人でございますから、こうした問題が重なって、この問題は建築士法あるいはこの問題は基準法、この問題は何だということでたくさんあるといたしますと、これはもう我々は全く知らないと同じような格好になってしまうのですね、私の場合は。飽和状態になって。  ですから、そこいらを、一般の人が簡単にこれを受けとめ活用できる、そしてそのことがやはり行政としてあるんだということの認識をする、そのときに、先ほどから申し上げるような、何か総合的にこのようにするということで、すべてがある程度可能だということになっていけば一番いいわけですから、そうした点あたりについてはお考えになったことがありますか。
  194. 那珂正

    那珂政府委員 確かに、先生指摘のように、建築基準法による検査とか、あるいは本法による評価、審査、あるいは住宅金融公庫の制度住宅に関するいろいろな審査、検査が現場でふくそうするようなおそれも十分予想されますので、そういうことについては、具体の検査、審査が重複したり混乱を生じないように全体的にきちっとしていかなければいけないというのはそのとおりだと思います。  先生、先ほど御指摘になりましたように、この制度を実際に普及、定着させていくためにも、関係制度との関連もわかりやすく国民に理解してもらう必要はあると思いますので、そこは何とか工夫して、こういう幾つかの体系が、それぞれの目的は違いますけれども、目的に応じた実効性が上がることを確認しながら、かつ国民にわかりやすく理解してもらえるような工夫を凝らしていきたい、こう思っております。
  195. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、さっきにまた返りますけれども、これを強行加入ということでやることによって、供給者の方もそれから受給者の方も、そうしたことをみんなが理解し合ってやる条件が出てきさえすれば、いろいろなものを設定し、だから恐らく皆さんがやる場合には、建築士法によってはこういうことがされています、あるいは建築基準法によってはこのようにされる。だから、安全だとかいろいろな問題等がこのように検査され、確認されて、皆さんを安全な住宅にという何かそういうようなものが出てくると、幾つもそれが出てくるわけですから、そうでなしに、概括的に一本でちゃんとまとめてやりさえすれば割合にわかりやすい。こういうような条件を整備して、いち早く私は示すべきだと思います。この点をひとつお考えください。  それから、先ほどもちょっと出ましたけれども基準をつくる際の問題点、基準作成はどのようにしてつくられるのか、これまたいろいろ問題が出てくると思います。ですから、この点についてはやはり十分検討していただいて、いろいろな意見をどのように入れ、活用するか、そして多くの皆さんにそれを示して、そのことがもう一回中間発表的なものをやってでもそれをまとめていくというぐらいにしていただけるかどうか、この点お答えください。
  196. 那珂正

    那珂政府委員 この制度の普及、定着を図る観点からも、今先生指摘になりました基準の作成過程について広く国民一般にPRしていきたい、こう思っているわけでございまして、当然のことながら、基準内容の中身についても学識経験者は言うに及ばず、住宅生産者の団体ですとかあるいは消費者団体とか、そういう国民各界各層からの意見聴取を丁寧に進めて、この基準作成に反映させていきたいと思っております。
  197. 中西績介

    ○中西(績)委員 住宅性能については、先ほども質問があっておりましたので省きますけれども、いずれにしましても、この問題についても、従来のような一律的なものでなくて、いろいろな温度差あるいは風、雪、水等々の災害の激しいところだとか、そういう風土によってまたいろいろ異なるわけでありますから、これについては十分な検討をしてほしいと思います。  次に、化学物質による住宅室内の空気汚染が原因と言われるシックハウス症候群、これが近ごろ問題視されてきました。日本住宅性能表示基準資料によりますと、住宅性能表示のイメージの中にはこれが入っておらないようですね。現在のところ、入っておらないようです。したがって、この化学物質の室内濃度指針値、あるいは優先取り組み物質に関する規格整備がされていない建材、施工材等にある室内汚染の発生源となる物質の規制について、基準検査項目にどうして入れておらないのか、そして将来これはどのように考えるのか。この点について。
  198. 那珂正

    那珂政府委員 御案内のとおり、室内空気中の化学物質の濃度と健康の関係について、一定の因果関係があるというふうに言われておりますけれども、ではそれは科学的、客観的にどのような因果関係があるのかということが確定されていない状況でございます。  それは、とりわけ住宅に関して申し上げますと、建材といいましても、いろいろな種類の建材が住宅をつくるときに構成されますし、あるいは室内には多種の家具が持ち込まれまして、家具に入っている、例えばホルムアルデヒドのような化学物質も相当あります。それから、住宅は当然外気との換気等をしているわけでございますので、そういう換気の状況というものも、随分状況は違います。そういうようなもろもろのことで、いわゆる住宅性能としてこの室内汚染の化学物質濃度を対象とするということについては、技術的になお、現在のところは少し難しいという判断をしているわけでございます。  ただ、そういう問題の大変重要性、あるいは表示に対するニーズにかんがみまして、私どもも、この制度が発足するまでの間、どういう方法がこの表示としてできるものかどうか、なお検討をぎりぎりまで続けていきたいと思いますし、あわせて技術的な解明を深めるための検討も続けていきたいと思います。
  199. 中西績介

    ○中西(績)委員 これはいち早い検討をしていただいて、ぜひこうした項目の中に入れていただければと思います。  それから、住宅性能評価制度について、いろいろ多くの同僚議員の質問の中にも出ておりましたけれども、先ほどちょっと指摘をいたしましたけれども、簡素化という意味で、建築基準法に規定されておる評価等を考えますと、こうした点をあわせ考えていくと簡素化できる内容があるわけでありますから、そうしたことにも関連づけて、これから再度検討をしていただくようにお願いをしたいと思います。  それから、もう一つお聞きしたいと思いますのは、指定住宅評価機関の指定と建築基準法による指定確認検査機関の指定を同一機関が受けることが可能かどうか。この点についてお答えください。
  200. 那珂正

    那珂政府委員 当然可能と思っておりますし、むしろその同一機関を指定して、この制度の普及に努めていきたいと思います。
  201. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、同じ機関がやはりこれを受けるわけでありますから、両機関の行ういろいろな検査あるいは確認、こうした問題等についての調整が当然可能だと思うのですけれども、そこいらについてはどうでしょう。
  202. 那珂正

    那珂政府委員 全くそのとおりでございまして、そういうことも、検査の重複を避け合理的な審査体制とするということもねらいとして、ぜひ同一機関を指定していくようにしていきたいと思います。
  203. 中西績介

    ○中西(績)委員 住宅性能評価の具体的業務の内容がどのようになっておるのか。特に先ほどの質疑の中では、戸建て住宅の場合における費用等が言われておりましたけれども、それを設定するに当たって、業務の内容によってこうした金額が出てくると思うのですけれども、どうした点をこれから業務内容として指摘をすることができるのか。お答えください。
  204. 那珂正

    那珂政府委員 まず設計段階で、設計図書によって性能のいろいろな各項目がございます。この設計を読み取って、どのランクにあるいはどの数値に位置づけられるかを一つ一つ審査して、あるいは場合によっては計算をチェックして確認していくという一つ大きな作業がございます。設計段階の評価でございます。  もう一方は、施工段階の評価でありまして、先ほども申し上げましたけれども、基礎、配筋のときから中間検査を都合三回、完成検査一回、現場で合計四回の検査を行うつもりでございます。
  205. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほど出ましたように、〇・五六%で、二千万で十万円程度。しかも、これについては、マイナス二万円ということになると八万円程度だと前回からのお答えでは確認するわけでありますけれども、こうしたこととあわせ考えると、今度は現行の評価制度によらずに、住宅建設会社と無関係建築士事務所に設計と工事監理を委嘱した場合、平均的戸建て注文住宅でどれくらいに費用はなるか。そうしたことについて試算したことがございますか。
  206. 那珂正

    那珂政府委員 正直、完全な統計的なデータはございませんけれども、幾つかのヒアリング、聞き取り調査等で概略申し上げますと、木造の戸建て住宅工事費が二千万円程度一般的なものを想定し、その設計、工事監理報酬を合わせての費用ですが、どうも工事費として四、五%から一〇%程度まで大変幅があります。したがって、金額にしますと、八十万円ぐらいから二百万円ぐらいまでの幅があるということでございます。
  207. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、この金額からいたしましても、十万というのはそう大きなあれにはなっていないわけでありますから、これすらも皆さんやっておらないところがあるわけですね。ですから、そうした点は、やはり総合的にこれからどうするか、そうした視点を目指していく必要があるだろうと思いますので、重ねて要請をいたしておきます。  それからもう一つは、先ほどもちょっと出ましたけれども、機関の指定は申請によってなされるわけでありますけれども、機関の数はどれくらい想定をしておるのか。また、先ほど大都市と地方とのあれを言っておりましたけれども、偏在する可能性があるわけでありますから、そうした問題について、どのような措置で要求する側の負託にこたえることができるのか。お答えいただきたいと思います。
  208. 那珂正

    那珂政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的には民間機関を想定しておりますので、その申請をしてくれる機関がどのぐらいかというのを今の段階で想定することは困難でございますが、少なくともこの制度発足当初は、各県に一つ以上はあってほしいな、こう思います。  したがいまして、大都市あるいはその周辺の県においては心配していないわけですけれども、比較的地方部において、民間でそういうことを申請してこられないというような場合には、やはり当該都道府県等と協力して、場合によっては一定の補助等の支援も含めて、何とか公益法人なども含めて、一つは当初発足できるように支援していきたいと思います。
  209. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後に、評価員が住宅性能評価を実施することになっておりますけれども評価員が建築技術あるいは品質管理に関する専門性を問われることになるわけであります。したがって、相当厳格になると思いますけれども評価員の選定条件はどういう基準を置いておるのか。この点についてお答えください。
  210. 那珂正

    那珂政府委員 おっしゃるとおり、一定の厳格な評価をしてもらう評価員でありますので、一定の技術的水準を担保する必要があると思います。このため、建築士試験の合格者で一定の研修等を履修した者を評価員の要件とする方向で検討しております。
  211. 中西績介

    ○中西(績)委員 もう一、二問残っておりますけれども、以上で終わります。
  212. 平田米男

    平田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  213. 平田米男

    平田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  住宅品質確保促進等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  214. 平田米男

    平田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  215. 平田米男

    平田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、佐田玄一郎君外五名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。鉢呂吉雄君。
  216. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ただいま議題となりました住宅品質確保促進等に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。     住宅品質確保促進等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。  一 欠陥住宅問題を未然に防止するためには、住宅取得者の住宅品質に対する意識向上住宅工事請負契約及び売買契約の適正化が重要であることに鑑み、住宅関係業界はもとより一般消費者に対しても住宅性能表示制度及び瑕疵担保責任特例制度の周知徹底に努めること。  二 日本住宅性能表示基準及び評価方法基準の策定に当たっては、欠陥住宅被害の防止の観点から、欠陥住宅事例の調査結果等を参考として地盤評価など消費者ニーズに合った性能項目を積極的に取り上げるとともに、可能な限り客観的な評価方法を採用するよう努めること。また、いわゆるシックハウス問題に関し、関係省庁間の連携を図り、調査研究や被害の防止等に積極的に取り組むこと。  三 指定住宅紛争処理機関の行う住宅紛争処理の参考とする技術的基準の策定に当たっては、住宅紛争欠陥判断基準に係る判例や関係者の意見を参考として、住宅取得者の利益の保護に十分配慮して定めること。  四 住宅性能表示制度の普及を図るため、住宅性能評価の効率的かつ合理的な運用の指導に努めるとともに、中小住宅生産者住宅型式性能認定を取得できるよう支援すること。また、瑕疵担保責任特例制度の実効性の確保を図るため、住宅性能保証制度への公的支援等により、中小住宅生産者の対応が容易になるよう配慮すること。  五 良質な中古住宅の供給を通じて中古住宅市場の活性化を図るため、中古住宅に関する性能表示制度や中古住宅売買契約にも適用される瑕疵担保責任特例制度の導入について検討すること。  六 住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、建設住宅性能評価書の交付を受けていない住宅についても、工事請負契約又は売買契約に関する相談、助言及び苦情の処理が円滑に行われるよう住宅紛争処理支援センターを指導すること。  七 住宅建築工事の請負人又は新築住宅の売主が、住宅性能評価書若しくはその写しを契約の際に提示した場合、請負人等が契約書において反対の意志表示をした場合に評価書等の当該規定が適用されないことが、いやしくも住宅紛争を増加させる新たな要因とならないよう万全を期すこと。  八 日本住宅性能表示基準及び評価方法基準並びに住宅紛争処理の参考とする技術的基準の策定過程の情報や住宅型式性能認定及び特別評価方法認定に関する技術的情報等を可能な限り公開することにより、手続きの透明性の確保と新しい技術の普及を図ること。  九 住宅紛争処理支援センターの指定に当たっては、既存の公益法人を指定するとともに、住宅紛争処理の支援業務等が適切かつ公正に実施されるよう十分な指導監督を行うこと。また、センターが新たな省庁の天下り機関になることがないよう万全を期すこと。  十 住宅品質確保を円滑に図るため、住宅性能表示制度に係る住宅性能評価について、建築基準法に基づく確認・検査住宅金融公庫の融資制度に係る現場審査及び住宅性能保証制度に係る現場審査と相互に連携した総合的な運用のあり方について検討すること。  十一 住宅性能表示制度に係る住宅性能評価のうち、少なくとも基礎的な性能項目については、すべての住宅について表示が徹底されるよう、住宅性能表示制度の普及を進めること。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  217. 平田米男

    平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  218. 平田米男

    平田委員長 起立総員。よって、佐田玄一郎君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣関谷勝嗣君
  219. 関谷勝嗣

    ○関谷国務大臣 どうも大変ありがとうございました。  住宅品質確保促進等に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  今御審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました住宅性能表示制度及び瑕疵担保責任特例制度の周知徹底、シックハウス問題への積極的な取り組み、住宅取得者の利益の保護に十分配慮した住宅紛争処理の参考とする技術的基準の策定等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。     ―――――――――――――
  220. 平田米男

    平田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 平田米男

    平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  222. 平田米男

    平田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会