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1999-08-10 第145回国会 衆議院 科学技術委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年八月十日(火曜日)     午前九時十七分開議   出席委員    委員長 北側 一雄君    理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君    理事 中谷  元君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 吉田  治君    理事 斉藤 鉄夫君 理事 菅原喜重郎君       飯島 忠義君    江渡 聡徳君       奥山 茂彦君    木村 隆秀君       田中 和徳君    棚橋 泰文君      三ツ林弥太郎君    望月 義夫君       大畠 章宏君    鍵田 節哉君       近藤 昭一君    近江巳記夫君       松浪健四郎君    吉井 英勝君       中村喜四郎君  出席国務大臣         国務大臣         (科学技術庁長         官)      有馬 朗人君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     大熊 健司君         科学技術庁原子         力局長     興  直孝君         科学技術庁原子         力安全局長   間宮  馨君         資源エネルギー         庁長官     稲川 泰弘君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    佐藤 一男君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       佐々木宜彦君         科学技術委員会         専門員     宮武 太郎君 委員の異動 八月十日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     棚橋 泰文君   鳩山由紀夫君     大畠 章宏君   中西 啓介君     松浪健四郎君 同日  辞任         補欠選任   棚橋 泰文君     江渡 聡徳君   大畠 章宏君     鳩山由紀夫君   松浪健四郎君     中西 啓介君 本日の会議に付した案件  原子力開発利用とその安全確保に関する件     午前九時十七分開議      ————◇—————
  2. 北側一雄

    北側委員長 これより会議を開きます。  原子力開発利用とその安全確保に関する件について調査を進めます。  日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号機における一次冷却水漏えいについて、政府から説明を聴取いたします。稲川資源エネルギー庁長官
  3. 稲川泰弘

    稲川政府委員 日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号機における一次冷却水漏えいについて、お手元の資料に沿って御説明申し上げたいと存じます。  日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号機、加圧水型、電気出力百十六万キロワットにつきましては、去る七月十二日に原子炉格納容器内において一次冷却水漏えいがあったため、直ちに原子炉を手動停止しました。その後、別紙一に示しますとおり、原子炉を冷却した後、漏えい場所を特定し、漏えいを停止いたしました。  漏えい量は約五十一トンで、すべて格納容器内に閉じ込められ、外部への放射能による影響はありませんでした。なお、本事象によるIAEAの国際評価尺度暫定評価レベル1としております。  点検の結果、再生熱交換器配管の曲げ部分にひびが確認され、この部分から漏えいがあったものであります。別紙二に格納容器内の図を、別紙三に当該再生熱交換器を示しております。現在、当該エルボー部分等は切断され、民間調査機関によって原因究明のための詳細調査が行われております。  当省では、本件トラブルの直後に職員を現地に派遣するなど、別紙四に示しましたとおり、事実関係の把握を行い、また、原因究明を行うなど、厳正な対応をしているところであります。  なお、他のプラントについても、安全に万全を期す観点から、各種パラメーター監視強化、類似の配管の超音波探傷検査による確認等指示し、すべての事業者から異常のない旨報告を受けております。  本日までの調査状況についてですが、損傷したエルボー割れ部分別紙五に、破面の観察結果の例を別紙六に示しております。ごらんのように、割れ部分は、貫通した一カ所を含め九カ所、その他に超音波探傷検査による指示が二カ所あり、破面観察によれば、ビーチマークと呼ばれる疲労割れに特有の模様が見られることなどから、疲労割れ可能性が高いと考えられます。  なお、当該再生熱交換器の他のエルボーについては、切断して調査したものを含めまして、これまでに割れなどの異常は認められておりません。  一方、三段構成の再生熱交換器の最下段の支持架台においては、熱伸びに伴う摺動により見られるはずのこすれ跡が確認できませんでした。  今後の調査予定としては、別紙七に示しますとおり、日本原子力発電株式会社において、引き続き破面調査製造履歴調査等を実施するとともに、損傷メカニズムの解明のため、コンピューターを用いた解析評価を行うとともに、モックアップ試験の実施を検討しているところであります。  当省としては、引き続き、専門家の意見をお伺いしながら、事業者における調査を指導し、徹底した原因究明を行い、再発防止に努める所存であり、調査状況は逐次原子力安全委員会報告し、積極的に情報を公開していくこととしております。  以上であります。     —————————————
  4. 北側一雄

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
  5. 河村建夫

    河村(建)委員 おはようございます。自由民主党の河村建夫でございます。  ただいまエネルギー庁長官から説明がございました、日本原子力発電敦賀発電所二号機における一次冷却水漏えいの件でありますが、今御説明のように、この事故そのものは、周辺環境放射能漏れがなかった、大事に至らずに済んだということでありますから、不幸中の幸いであった、こう思うわけでありますが、しかし、今回の水漏れ事故、この事故は、幾つかの大きな教訓、課題を残しておるというふうに思いますので、この点について問題点指摘させていただきながら今後の対応策等についてお伺いをしたい、このように思います。  まず、この敦賀原発では、三年前、一九九六年にも同じ配管系統水漏れ事故を起こしておると聞いております。これは間違いありませんね。
  6. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のとおりでございます。原因は別でございますが、御指摘のとおりでございます。
  7. 河村建夫

    河村(建)委員 私は、まず、この三年前に起こした事故というものの教訓が果たして生かされてきたのであろうかという疑念がわいたのであります。  当然のことながら、こうした事故についてはもう十分過ぎるほどのふだんからの点検等が行われていなければいかぬ、また行われておるはずだ、こう思うわけでありますが、それでも、ほかの原発もそうでありますけれども、最近は、制御棒のひび割れ、あるいはこうした冷却水水漏れ等々、トラブル事故報告が相次いでおるわけでございまして、こうした事故トラブルとかいうことが、前の事故教訓として防ぎ得なかったものなのか。特に今回の事故については、過去の事故に照らしてみて防ぎ得なかったことなのかどうなのか、まずこの点からお伺いしたい、こういうふうに思います。
  8. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘をいただきましたように、原子力発電所発生しましたトラブルにつきましては、個々に原因究明を行い、再発防止対策を講じております。なかんずく、トラブル発生により得られました教訓、知見を、当該発電所はもとより、必要に応じて他の発電所へも反映させるということによりまして、同種のトラブル未然防止に努めてまいってございます。  御指摘のございました、これまでに発生した材料にかかわりますトラブル冷却材漏えいがありました事故としては、平成八年の敦賀二号機のトラブル、それから昭和五十四年の高浜二号機のトラブルがございました。  前回敦賀二号機のトラブルにつきましては、メーカー製造段階におきまして配管の内表面亜鉛混入をいたしたために割れが発生したものと原因が判断されました。また、当該メーカー以外のメーカーにおいてはこのような亜鉛混入可能性はないことを確認いたしました。こういう原因究明の結果を踏まえまして、今後の製造管理の徹底を図るということとともに、当該メーカーが製作しましたエルボー五十四カ所につきまして、超音波探傷試験などにより異常のないことを確認したものでございます。  また、関西電力の高浜二号機のトラブルにつきましては、材料間違いという施工不良が原因でございまして、この当該損傷部の取りかえ、品質管理等強化といった形で再発防止策をとってございます。  いずれにいたしましても、トラブルについて原因究明再発防止という形で、今後さらなる安全性信頼性確保に万全を期してまいりたいと考えております。
  9. 河村建夫

    河村(建)委員 今回の水漏れ箇所につきましては、報道も含めてでありますが、保温材が巻かれておる場所であって、すぐ、直接見つけられない、発見できないところだと。しかもまた、監視カメラについても死角になっているという指摘がされておるわけでございまして、死角があってはならない原子力安全性ではないかという指摘もあるぐらいでありますが、特にまた定期検査では、その保温材を外してまでやるような検査をやっていないというようなことも指摘をされておるわけでございます。  原子力発電プラントのような場合は、これは徹底した点検というものがあるはずだと私は考えるのでありますが、どのような点検システムでやっておられるのか。また、このたびの事故を契機にして、いわゆる検査それから点検、そうした方法にもっともっと工夫とか改良、改善される余地があるのではないかという気がするのであります。特に、これからの点検充実といいますか、そういうものについて、その必要性を感じておられるのかどうか、それについてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 稲川泰弘

    稲川政府委員 原子力発電所点検につきましては、法令に基づき国が検査を行うものと事業者自主保安点検を実施しているものと二つございますが、国にかかわるものといたしましては、電気事業法規定に基づきまして、設置段階での使用検査溶接検査、また、運転の開始の後は十三カ月ごとに定期検査を実施いたしまして、機器健全性確認を行ってございます。また、事業者にかかわるものといたしましては、原子炉規制法に定めます保安規定に基づきまして、巡視点検等、きめ細かな点検を行っているところでございます。  今回のトラブルのありました再生熱交換器につきましては、このいずれの検査も受けてございますが、具体的には、使用検査につきましては、耐圧漏えい検査等々、昭和六十二年に異常のないことを確認いたしてございます。また、溶接検査につきましては、非破壊検査等々で昭和五十九年に確認をいたしました。また、定期検査につきましては、第三種の機器として十年に一度行う系統漏えい検査平成三年度に実施いたしてございます。  なお、保温材を巻いてございますが、この漏えい検査に関しまして、保温材の巻いてないものと比較をいたしますと、四時間の高圧をかけるというようなやり方でこの保温材対応をした検査を行っているところでございます。  また、今回、監視カメラ死角がございましたが、この該当部分が映ります監視カメラを新設いたしますし、また、近く入れる発電所もございますが、全体としてその対応をとることとしてございます。  今後の点検充実につきましては、現在の原因究明調査結果を十分に検討いたしまして、要因となった問題を明らかにした上で、今後の検査のあり方につきましても、見直しを含めて必要な措置を検討してまいりたい、かように考えてございます。
  11. 河村建夫

    河村(建)委員 工場、プラントが稼働を始めて十年、二十年たてば当然のように、老朽化といいますか、そういうことが起きるわけであります。もちろん、そういうことは当然考えておられると思うわけでありますけれども、特に、今回の報告が、まだ最終的な検査結果というものはもっと先になるということでありますが、金属疲労可能性が高いんだという指摘、いわゆる疲労割れ可能性が高いということであります。ということになりますと、これはもうこの原発だけの問題ではなくて、日本じゅうあるいは世界じゅうの原子力発電現場に通用する問題でございます。そういう観点からも、私は、この事故を重視して、これからの点検にしっかり生かしていただかなければいかぬ、このことを強く訴えておきたいというふうに思います。  一般に、原発事故が起きた場合には、外部への放射能漏れ、要するに放射性物質外部へどのぐらい放出されたかということ、あのチェルノブイリの例がございますが、そういうこととか、あるいは運転がどの程度影響があったか、この二点が重要な判断材料になる、こう言われております。  先ほどの報告では、今回の事故レベル1ということでありますから、程度としては幸い低かったということになると思いますが、地域の住民の皆さんにとってはやはり非常な不安感といいますか、周辺環境への影響について高い関心があった。あるいは従業員被曝はなかっただろうか、こういう懸念があるわけであります。福井県の知事さんが現場にすっ飛んで行かれた様子をテレビが映し出しておりました。周辺皆さんの不安というものは非常に高かったわけであります。  先ほど、放射能漏れなしということではありますが、これはどのような形で確認をされたのか。あるいは、プラント内はきちっと安全といいますか、そういう汚染状態というのはなくなっているのか。一次冷却水でありますから、当然、放射能が含まれているというふうに考えなきゃいかぬと思いますし、それから、従業員被曝という問題は全く懸念がなかったのかどうか。そういう観点からも、地元への情報公開といいますか、連絡等々を迅速にやられたのか。さらに、不安解消に向けてどのような努力をされたのか。その点について、まとめて簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  12. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明申し上げます。  周辺環境への影響についてでございますけれども、原子力発電所は、放射性物質を閉じ込め、放射能による外部への影響がないように設計されておるわけでございますけれども、今回のトラブルにおきましても、漏えいした五十一トンの一次冷却水はすべて格納容器内に閉じ込め、原子炉が安全に冷却され、漏えい箇所が特定されましてから、格納容器外のタンクへ移送を行ったわけでございます。外部への放射能放出監視するモニターは、トラブル発生後も通常値の前後で推移しております。こうしたことから、周辺環境に対する影響はなかったものと認識をいたしております。  具体的には、排気ガスモニターは、排気塔から周辺環境への放射性物質放出監視するものでございますけれども、その指示値通常の七百五十cpm、これはカウント・パー・ミニットといいまして、一分間当たり検出器が計測する放射線の数を申しますが、これは、事象発生以降もこの値の前後で推移しております。また、屋外の放射線モニターにつきましても、発電所周辺放射線濃度を計測するため三カ所設置されておりますけれども、この指示値につきましても通常値の、九十ナノグレイ・パー・アワーという単位でございますが、事象発生以来この前後で推移をいたしております。  また、プラント除染は確実になされたか、作業者への影響について御説明をいたします。  今回の一次冷却材漏えいに伴いまして、格納容器内の、地上三階地下二階となっているうち、地下二階、地下一階についてはほぼ全域が汚染をされました。また、地上一階につきましてはその一部が汚染をされました。  汚染の除去につきましては、まず第一段階としまして、現場調査等を行ったわけですが、この作業効率化を図るため、あるいは作業者内部被曝を防止するために、まず人のアクセス可能な場所を優先して汚染状況調査いたしまして、これに基づきまして除染計画を策定して、除染作業を実施いたしました。その後第二段階として、人が通常触れるおそれのない高所の壁あるいは機器表面につきましては、八月六日から三、四週間程度をかけ除染を実施することといたしております。  第一段階除染の結果、現場調査を行う必要のあるものはすべて、人のアクセス可能な場所もその大部分が、四ベクレル平方センチメートル以下に確実に除染をされております。この四ベクレル平方センチメートルと申しますのは、管理区域の中でも、これを下回る場合には防護具着用などを必要としないということとしている管理基準でございます。  また、作業者への影響につきましても、作業員防護具着用のほか、警報つき線量計による被曝量チェックなどの厳重な管理のもとで作業が実施されたところでございます。この結果、作業員被曝の実績は、一人当たり最大で〇・八ミリシーベルトであったとの報告を受けておりまして、安全上問題ないと考えております。今後の第二段階除染作業も同様に実施することとしておりまして、作業者被曝管理についても適切に行われるものと認識をしております。
  13. 河村建夫

    河村(建)委員 日本にとりまして、原子力というのはこれからも進めていかなきゃならぬ、いわゆる資源が乏しい日本にとっての大きなエネルギー資源である、こういうふうに思っているわけでございます。そのためにはどうしても原子力安全性確保というのが大前提でありまして、それがあって初めて国民理解、協力が得られるというふうに思うのであります。  日本ではチェルノブイリのような事故は起きないのだ、一二〇%ないのだということが言われ続け、日本技術力からしてそういうことはないのだという国民理解というのは少しずつ高まっておると私は思うのでありますが、まさに大事は小事から起きると言われております。今回のような、こうした事故が大きなものでなかったということ、こういうときこそ、この原因といいますか、そういうものを徹底的に究明する、そして国民にわかりやすく説明をする、その責任政府にあると私は思うんですね。こういうときこそ、そういうことをきちっとやることによって信頼が生まれてくる。原子力については、国もそういうふうに最大関心を持ち、最大責任を持ってやっているのだということが徹底されることが必要だと思うのです。  今回の教訓を生かして、そして信頼回復を図っていこうというその決意、それから、原子力安全性のためにさらにどのような形で取り組んでいこうとされておるのか、ぜひ有馬長官にその御決意をお伺いをしたい、こういうふうに思います。
  14. 有馬朗人

    有馬国務大臣 大きな施設に関しましては、なんといっても一般論として安全の確保大前提でございますが、その中でも、原子力関係する開発利用を進めていく場合には安全を確保しなければならないと思っております。  国は、原子力施設の設計、建設、運転等の各段階において、原子炉等規制法に基づき厳格な安全規制を実施いたしております。特に原子力施設設置当たりましては、まず行政庁安全審査を行い、その結果について、原子力安全委員会がさらに二重にダブルチェックを実施することにいたしており、安全の確保に万全を期しているところでございます。  今回の原電敦賀号炉冷却材漏えいにつきましては、まず通商産業省において徹底的な原因究明と適切な再発防止策の検討がなされ、さらに原子力安全委員会におきまして、その妥当性について厳正なる評価がなされることを期待いたしております。  今後とも、原子力安全確保最大限の努力を払っていくことはもちろん、わかりやすい情報を公開いたしまして、幅広い層の国民皆様との対話の促進などを通しまして、原子力の安全に対する国民皆様方信頼と安心を得るよう、積極的に努力をさせていただきたいと思っております。
  15. 河村建夫

    河村(建)委員 大臣、ありがとうございました。  これからの原子力発電原子力安全性がきちっと確保されることによって日本エネルギー確保されるというふうに確信をいたしております。今回のこうした事故は、表面放射能漏れはなかったのだからということで済まされない一つの大きな要因を含んでおるというふうに私は感じておりますし、こういうことがまた続くことが起きれば、まさに原子力というのは心配なのだという声が高まってまいります。私は、まさにその瀬戸際にある、非常に大きな教訓を含んだ事故であると思いますので、この問題については真っ正面から取り組んでいただくように特にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  16. 北側一雄

  17. 菅原喜重郎

    菅原委員 冒頭に説明がありましたように、去る七月十二日午前六時ごろ、日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号機で、約五十トンという一次冷却水格納容器内に漏えいするという事故が起きたわけですが、原子力開発利用の健全な発展を期待し、応援している私としては、非常に残念なことであると言わざるを得ません。  前回の七月一日のこの委員会において、私は、原子力に関する情報を徹底的に公開し、原子力行政に関する国民信頼を確立し、「もんじゅ」の運転再開に向けての努力を着実に推進していくようにお願いしたところでありました。今回の事故が「もんじゅ」と同じく福井敦賀市にある発電所ということでもあって、「もんじゅ」の運転再開に向けての大臣を初めとする関係者の方々の努力に水を差すようなことにならないよう、万全の対応が必要と考えております。  敦賀二号機の一次冷却材漏えいについては、何よりも徹底した原因究明等を通じ、安全確保に万全の対策を講ずることが重要であることは言うまでもありません。それと同時に、その都度、事故トラブル程度を的確に判断し、国民にいち早く知らせることが非常に大切であります。  事故トラブル程度については、国際原子力機関等において、INESと呼ばれる国際評価尺度が、公衆への影響環境への影響観点から評価検討され、策定されております。我が国においてもこのINESを導入しています。  そこで、まず最初に質問いたします。このトラブルに対する通産省INESによる評価がどのように出されたかについてお伺いします。
  18. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  通産省では、トラブル発生した場合に、客観的でわかりやすい評価を迅速にお伝えするために、INES暫定評価を行いまして公表しております。  今回のトラブルにつきましては、暫定評価を1と判断いたしましたところでございます。
  19. 菅原喜重郎

    菅原委員 その判断根拠について、それではお伺いいたします。
  20. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 この国際原子力事象評価尺度におきましては、まず所外への影響所内への影響、さらに深層防護劣化という観点がございます。これは、原子力発電所安全性を多重に確保することが原則となっておりますが、何らかの原因によりましてその安全性裕度が減少することを深層防護劣化と申しておりますが、この三つの観点から事象レベル評価しておるところでございます。  今回のトラブルは、所外への放射性物質放出がなく、所内におきましても従業員被曝等に問題はありませんでした。深層防護劣化観点からは、冷却材漏えい率規定に定める値を超えたため、いわば運転制限範囲からの逸脱があったとみなしまして、これを総合的に評価し、暫定評価レベル1としたものでございます。  なお、学識経験者により構成されますINES評価委員会我が国におきましては財団法人原子力発電技術機構設置いたしておりますけれども、ここにおきまして、国際的な基準に基づき、今後正式に評価が行われることになっております。
  21. 菅原喜重郎

    菅原委員 今後とも、原子力施設において事故トラブル発生した場合には、INESも活用して、国民にわかりやすい形で迅速に情報を提供することを要望しておきます。  さて、原子力についてはデータ改ざん情報隠し指摘され、これが原子力の体質ではないかとまでの意見もこれまでにありましたが、今回の敦賀二号機の事故におきまして、事故後の対応が適切に講じられたのかどうか心配しております。前者が、事故の状況と、それがどのように地元自治体や関係機関に通報され、どのように発表されたか質問されましたので、私は、その過程で情報操作が一切なかったかについてお伺いいたします。
  22. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回のトラブルが起きました後、当省及び電力会社に共通に指示をしました内容は、包み隠さずというモットーでございました。  自治体への通報、連絡につきましては、電気事業者と地方自治体との合意した体制により実施をいたしてございまして、原子力発電から福井県、敦賀市に対しまして、トラブル発生後間もない六時四十分、六時四十五分、それぞれ第一報を送っております。通産省に対しましても法令に基づき報告をすることとなっておりまして、六時五十四分に通産省本省に対しまして、また現地の運転管理専門官に対しましては六時四十七分に第一報の報告をしております。第一報のプレス発表につきましては、福井県が午前九時十五分、原子力発電株式会社は午前九時三十分、通産省は午前十時に、それぞれトラブル発生状況について記者発表を行いました。  こういう過程で、地元代表者による格納容器内の現場視察あるいは調査状況のきめ細かな公表が会社によって行われるなど、適時適切な情報提供がなし得たものと考えてございます。一切の情報操作はございません。
  23. 菅原喜重郎

    菅原委員 いずれにいたしましても、今日までこういう情報の公開の体質に対する不信感が非常にございますので、今後もそのようなことのないようにまずお願いしておきます。  我が国全体では、今回トラブルを起こした原電敦賀二号機を含め、五十一基の実用発電用原子炉が営業運転中であり、我が国全発電量の三五%、東電においては四〇%にも達せんとしている現状ですから、これらの運転に関する情報が適切に管理されることが今後とも重要であると思います。  そこで、敦賀二号機が運転を開始してから現在までの事故、故障の経歴と、全国の加圧水型原子力発電所の一次冷却水漏えい事故の概要について、これはもう簡単に、ひとつお願いいたしたいと思います。
  24. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明させていただきます。  敦賀発電所二号機では、昭和六十二年二月の運転開始以来、過去七件のトラブル発生をいたしております。最近の例を申しますと、平成八年の化学体積制御系の配管からの漏えいとか、あるいは非常用発電機の停止であるとか蒸気発生器の伝熱管の損傷等がございました。  また、全国の加圧水型原子力発電所におきます一次冷却水漏えい事故につきましては、格納容器内のサンプ水位が上昇いたしましたものとして、過去十四件のトラブルがございました。代表的なものといたしましては、平成八年に今回と同一プラント敦賀二号機で発生したトラブル、そして、昭和五十四年の高浜二号機におきます一次冷却材漏えいトラブルがございます。
  25. 菅原喜重郎

    菅原委員 今説明されたような事故、故障の履歴については、データベースをしっかりと管理し、いつでも必要なときに対外的に説明できるようにしておくよう要請しておきます。さらに、定期検査のみならず施工時の検査を含めて有効な検査のあり方について、今回の事故教訓として検討することが必要と思いますから、このことについても要請をしておきます。  さて、事故原因については現在調査中という段階でありますが、他にも同じ型式の原子炉運転されております。これらについて、事故を起こした箇所の日常点検を念入りに行うとか、定期検査中の原子炉においては入念な点検が行われるとかの措置がとられていると報道されていますが、原子力についての国民理解を形成していく上では、同じ間違いを繰り返してはならないことは大切であります。事故原因究明までには時間がかかるということですが、今回の事故を踏まえ、他の原子力発電所についてどのような対処を講ずるのか、通産省の見解を求めたいと思います。
  26. 稲川泰弘

    稲川政府委員 他のプラントにつきましても、今回のトラブルを踏まえ、安全性を再確認するため、当面の措置といたしまして、すべての電気事業者に対し監視強化等必要な措置をとるよう指示を行ったところでございます。  具体的には、運転中のプラントについては、各種のパラメーターの監視を行いますとともに、パトロールによる点検等に細心の注意を払うこと、なかんずく格納容器点検時において当該部の漏えいがないことの確認を徹底することという指示をいたしました。  また、同型のプラントを持っております事業者においては、中央制御室で監視可能な再生熱交換器監視用のカメラを設置いたし、もしくは近日中に設置することといたしてございます。  定期検査中の同型のプラント四基につきましては、熱交換器の配管について超音波検査等を実施し健全性を確認するよう指示いたしましたが、すべてのプラントについて異常がなかった旨の報告を受けております。  検査機関による損傷メカニズム調査日本原電による製造履歴及び運転履歴などの調査原因究明のための調査を行っているところでございますが、今回のトラブル再発防止につきましては、この原因究明を踏まえまして、他の原子力発電所にも展開すべき措置も含めて今後の必要な措置を検討してまいりたいと考えております。
  27. 菅原喜重郎

    菅原委員 原子力発電所事故を起こすことなく安全に運転されることが原則であります。その上で最も大切なことは、事故を起こしたときに安全に停止させるとともに、国民にどのような事故なのかわかりやすく説明し、徹底的な原因究明情報公開をもって国民信頼を得ていくことが重要だと考えます。原子力に対する国民の憂いを払拭し、これまでの大臣が陣頭指揮されて積極的に展開されてきた原子力への信頼回復への取り組みを今後とも強力に推進されることを期待します。  そこで、最後に、資源エネルギー庁長官に、今回の事故原因究明再発防止への取り組み方針、及び、原子力政策の責任者である有馬大臣に、原子力への信頼確保に向けての取り組み、決意とあわせて、「もんじゅ」の早期運転再開に向けての取り組み、決意をお伺いし、質問を終わりたいと思います。
  28. 稲川泰弘

    稲川政府委員 原因究明につきましては、御報告申し上げましたように、現在検査機関におきまして幅広い観点からの調査を徹底的に行っているところでございますが、この調査につきましては、通産省としても、その方法の妥当性につきまして顧問会の有識者の意見を聞きますとともに、検査機関に通産省職員を派遣して調査の適切性を確認しながら実施をしているところでございます。また、調査状況につきましても原子力安全委員会への報告を行ってございまして、公開の場でその内容を紹介し議論をいただいてございます。  これらの調査の結果がまとまり次第、客観的、中立的な立場からその結果について評価を実施いたしまして、今後の再発防止策の実施に万全を期してまいりたいと考えてございます。
  29. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず、原子力の研究開発、利用に当たりましては、国民の御理解信頼を得ることが不可欠であると考えております。このためには、まず現場における安全運転等の実績を積み上げることに最善の努力を払うということが重要であろうかと思います。  しかしながら、国といたしましても、政策決定過程の透明性を高めるため、国民各界各層から幅広く御意見を伺う原子力政策円卓会議を開催いたしております。また、シンポジウム、フォーラム、説明会の開催等々努力をしているところでございまして、こういうことを通じまして原子力政策に対する国民信頼回復に積極的に取り組んでいるところでございます。  今後とも、安全確保に万全を期することはもちろんのことでございますが、原子力の意義とか必要性等について、電力を生産する立地地域だけの問題としてではなく、電力を消費し電気の恩恵を享受する国民一人一人にみずからの問題として考えていただくために、まず情報を公開する、その情報はわかりやすいものにする、国民各界各層との一層の対話の促進などに政府一体となって積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  また、御指摘の「もんじゅ」のことでございますが、「もんじゅ」が平成七年の事故以来三年余りにわたって運転されていないのは、我が国の将来にとって極めて大きな損失だと思っております。高速増殖炉の研究開発は、資源の少ない我が国にとりまして、また世界の環境エネルギー問題にとりまして重要なものでございまして、「もんじゅ」による研究開発を進めていかなければならないと私は強く考えている次第でございます。  私といたしましては、安全の確保が何といっても大前提であり、地元の方々の御理解と御協力を得まして、「もんじゅ」のできるだけ早期の運転再開を目指しつつ、みずから先頭に立って当庁職員を監督、励ましつつ、またサイクル機構にも全力を尽くすよう指導しながら、努力を続けていく覚悟でございます。
  30. 菅原喜重郎

    菅原委員 どうもありがとうございました。
  31. 北側一雄

  32. 大畠章宏

    大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  きょうは、この科学技術委員会原子力開発利用とその安全確保に関する件ということで、私自身も質問させていただきますが、既に六項目ほど事前に通告はしてございますが、そういうものを中心としながら質問をさせていただきたいと思います。  最初に、七月十二日の、大変残念でありますが、日本原子力発電株式会社敦賀発電所二号機の事故についてお伺いをさせていただきたいと思います。  この事故に対して私ども民主党は、辻一彦筆頭理事を団長として、鳩山由紀夫さんと私と三人で十九日の日に現地に参りまして、つぶさにその状況についてお話を伺いました。率直に言いまして、国民皆さん方からは、五十一トンという、ふろおけでいいますと五十一杯ぐらいの炉水が炉内に漏れていたということで大変衝撃を持っておったんですが、その五十一トンの炉水が一滴も格納容器外には出なかったということ、これは一つ評価しなければならないことかなと思うんです。  さらには、関係者皆さんが非常に冷静にこの事故対策当たりまして、特に、動燃事故等ではいわゆるビデオの改ざんというのが非常に不信を買ったわけですが、今回の敦賀発電所事故においては、非常に衝撃的でありますけれども、炉水が漏れ出ているさまが放映されました。関係者皆さんも大変気を使いながら、この問題に一生懸命取り組んだことについては敬意を表したいと思います。  とはいいながら、やはり事故というのは原子力政策に大きな影響を与えることにもなりますので、大変残念な事故と言わざるを得ないことも事実であります。  そこで、幾つか、後ほど私どもの辻一彦筆頭理事やあるいは鍵田議員からも質問があると思うんですが、私の方からは、まず、事故の状況について現在の段階でお話ができることについてお伺いしたいと思うんです。  一つは、今回の事故エルボー部分の割れというのがありますが、私自身も、原子力にずっと携わってきた者の一人でありますが、非常に特異な割れであったというような感じを持っております。どうしたらあんな割れができるのだろうか。いろいろ新聞でも報道されていますが、一つは、熱応力による割れという報道がございます。しかしながら、熱応力というものはほぼ設計段階で織り込み済みでありまして、あのような熱応力による割れというのが実際の製品にあらわれるというのは非常に私自身不可解に思うわけであります。  現段階で、いろいろ詳細に調査されていると思いますが、どういう原因が考えられるのか、その件について最初にお伺いしたいと思います。
  33. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  現在、検査機関におきまして、損傷メカニズム調査や、あるいは日本原電におきます当該部分の製造履歴、運転履歴などの調査原因究明に当たっておるところでございます。  これまでのところ、破面には内面を基点としたビーチマーク観察されておりますので、疲労による割れの可能性は高いものと考えられます。ただいま先生御指摘のとおり、今回の場合は亀裂が周方向、軸方向と複数箇所に及んでおりますので、そしてこれが貫通に至っていることが見られますから、熱による応力も一つの要素と考えられますけれども、その他の応力も複合して、複雑なメカニズムによる原因と推定されるわけでございます。  こうした状況も踏まえまして、原因については、私ども、予見を持たず、慎重に幅広い観点から調査をし、明らかにしていくことが必要と考えております。
  34. 大畠章宏

    大畠委員 詳しく調査していただいて、私も手元に資料はいただいておるのですが、熱応力等々で少しずつ亀裂が進展したような様相を呈している資料をいただいておるのですが、とにかく、事故を起こす前までは徹底して事故を起こさないように注意を払うこと、そして事故を起こしてしまった場合には徹底してその事故原因を追求して、先ほども菅原委員からもお話がございましたが、そういう同類のものについては二度と事故を起こさないということで対応するのが一番重要なわけであります。  そこで、今お話がございましたけれども、いわゆる熱応力というのはもう設計段階で織り込んでいるわけですから、熱応力だけで割れるわけはないわけでありまして、そういう意味では、熱応力とほかの何か因子が加わって、そして破壊に至ったということだと思うんです。前回敦賀では材料が不十分だったというような話がございましたけれども、材料の問題あるいは熱応力、そしてほかの因子が幾つか加わったということもあるいは想定されるかもしれませんが、あらゆる要素をこの際徹底して解明しておくことが必要ではないかと私は思います。  そこで、現在、エルボーの割れというものが露見したわけでありますが、類似箇所といいますか、同じような系統のそういうところがどういう状態にあるのか、そこら辺を徹底して、現場といいますか、実態を捕捉するのが重要だと思うんですが、ここら辺の実態を捕捉するために、どういう調査といいますか作業を行っているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  35. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明申し上げます。  今回の事象が当該部に何か特殊な要因があるかについても十分調査を行う必要があると考えております。  今までわかっておりますことにつきましては、当該漏えい箇所エルボーの下側の同じ連絡管のエルボーにつきましても健全性を調査いたしまして、健全性が確認をされております。それからさらに、上段と下段を結びます連絡管につきましても浸透探傷試験を実施いたしまして、この結果も異常が認められませんでした。また、熱交換器内の伝熱管につきましても損傷があるかどうかについて調査をいたしましたが、これについても異常はなかったところでございます。  そのほかに、一番下の段の熱交換器本体の支持架台において、通常見られるこすれ跡が確認されていないという状況が見つかったわけでございます。もし、これが確定的にそうであるといたしますと、熱膨張をして右にスライドするはずのものがスティックして固定化されたことによりまして、当該部分にねじり等の特殊な荷重がかかった可能性もあるわけでございます。  こうした今までわかったこと、そして、どんな応力がこの部分にかかったのか、どういう応力の繰り返しがあったのか等につきまして、今後応力解析などもやりたいと考えておりますが、いずれにしても、調査結果を慎重かつ十分に検討した上で、原因を明らかにしたいと考えております。
  36. 大畠章宏

    大畠委員 今、一番下の熱交換器の、いわゆる摺動面といいますか、熱でもって膨張するのを逃がすためにスライドするところがひょっとしたら固定化していたかもしれないというお話がございました。そういうものも一つの大きな因子なのかもしれません。  そこで、設計上はそういういろいろなケースを想定しながら設計しているのですが、設計上想定していたこととは違うような状態になった場合には非常に困ることになるわけでありまして、そのために、いわゆるホットエントリーといいますか、温度を上げながら、機器が正常に、設計どおり、計画どおりに据えつけられているかどうかというのを点検することが必要でありますが、この部分についてはどうだったのか。あるいは、他のプラントについても、点検は非常に大変なんですが、そういう基本的なところはやはりチェックしていくことが必要なのじゃないかという感じがします。  しかしながら、高温ですから、保温材なんかで覆っていますからなかなか見えづらいのだと思うんですが、設計上の、あるいは計画どおりにそういうふうな機器が動いているかどうか、そういうことを、地味なのですがきちっと点検していくことが重要だと思うのです。  ここら辺、現在敦賀二号機はとまっているわけですが、他のプラントで定検中ですとか、他で点検できるところはそういうところをやはり点検していくこと、チェックしていくことが必要だと思うのですが、そういう問題についてはどういう指示を今出されているのか、お伺いしたいと思います。
  37. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  他のプラントにつきましては、運転中のプラントは、各種のパラメーター、これは格納容器のガスモニターあるいはじんあいモニター格納容器内のサンプ水位等でございますけれども、これらの監視を十分に行うとともに、パトロールによります点検等に細心の注意を払うことを指示いたしまして、電気事業者におきましては、運転中に定期的に実施しております格納容器点検時等におきまして当該部の漏えいがないことの確認を徹底することといたしております。  さらに、同型のPWRプラント当該再生熱交換器室におきまして、PWR炉所有事業者におきましては中央制御室で監視可能な監視用カメラを設置もしくは既に調達等いたしておりまして、近日中に設置をすることといたしておりまして、当面の監視強化を図ることとしたわけでございます。  また、定期検査中の同型プラントが当時四基ございましたけれども、熱交換器の配管につきましては超音波検査などを実施いたしまして健全性を確認するよう指示したところでございまして、すべてのプラントにおいて異常がなかった旨の報告を受けております。
  38. 大畠章宏

    大畠委員 そういうことだと思うのですが、どこまで費用をかけるかです。例えば宇宙船なんかでは、地上でもって宇宙船のシミュレーションというのはできるという話もありますが、大変コストがかかります。  ですから、どこまで安全性を追求するかですが、少なくとも今回、辻議員もこの事故以来いろいろ御指摘をさせていただいているようでありますが、十四時間もなぜ炉水がずっと出たままになったのか。そしてなかなか特定ができなかったというのは、さまざまな理由はわかるわけですが、やはり事故箇所を早く特定するというのは大変重要だと思いますので、今テレビカメラ等を設置することにして検討しているという話でありますが、最低でも、どこでトラブルが起こったかというのはすぐわかるような体制をとっていただくことはぜひ必要だと思うのです。  それからもう一つ、私が申し上げたのは、いわゆる計画上ここはこういうふうにしようという前提条件で設計しているわけでありまして、それが先ほど、摺動面、熱交換器の一番下のところがひょっとしたら拘束されていたかもしれないというのですが、そういうところをどうやったら点検することができるのか、そういうことが私は重要だと思うのですよ。  そこら辺、もちろんもう指示を出されたと思うのですが、少なくとも、他の類似の熱交換器あるいはそういう熱で膨張するだろうということを想定して据えつけているところについては、大変でも、その部分は探傷をして特に異常なかったということでありますが、そういう計画していたところがそのとおりに据えつけられているのか、あるいは計画どおりにその機器が動いているのかというのを点検していくことがやはり大変重要ではないかと私は思うのですが、その点についてはどういう対処をされているでしょうか。
  39. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明申し上げます。  今先生御指摘の点につきましては、私どもも大変重要な点だと思います。それは、一つは設計の思想を、現場で現実に設計者の意図を十分に把握して管理をするということの重要さでございます。  そういう意味では、こうした熱膨張をするものについて、その膨張を緩和するシステムについて、当然これは点検をするべきであるというふうにも考えます。今回の原因究明の結果によりまして、十分ここらの対策を講じてまいりたいと考えております。
  40. 大畠章宏

    大畠委員 非常に基本的なことですが、そういう地味な点検というのが私は大変重要だと思いますので、プラント管理の方も一生懸命やっておると思うのですが、どうしてもそういうことが抜けているところもあるかもしれません。したがって、この事故を契機に、そういうことがないように徹底して再発防止のために御努力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、今回の事故に絡んで、いわゆる地方自治体との情報交換というのはどういう実態にあったのか。敦賀市とのいわゆる情報の伝達というものについて地方自治体が満足する形で行われたのかどうか、それもわかりやすい形で情報交換が行われたのかどうか、そのことについてお伺いしたいと思います。
  41. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回のトラブルにつきましては、事象発生直後から、自治体と電話連絡などを通じまして状況の収集把握、今後の対応方針に関する打ち合わせを行うなど、かなりきめ細かな情報交換を行いました。  また、七月十七日には当庁の佐々木審議官が現地に参りまして、福井県知事、敦賀市長とも会見をし、お互いに協力して対処することを確認してきているところでございます。  また現在、原因究明のために原子力安全委員会に各種の報告を行ってございますが、その報告の内容等々につきましても、現地に向けてその内容を報告している、かような状況でございます。
  42. 大畠章宏

    大畠委員 私は、事故のとき、ともすると事故対応関係者の方がだあっと集まってしまって、そこだけで行われてしまう傾向がありまして、どうしても、そのものをどうやって地元の人に説明するかというのがちょっと力が抜けてしまう傾向がこれまであったと思うのですね。確かに、真剣勝負ですから事故対策関係者が全部集まって一生懸命やるのは当然なのですが、それと同時に、それと同等に地元の人の理解がなければ原子力政策というのは成り立たないというのも、この二、三十年間あるいは四、五十年間の日本の過去の歴史からも学べると私は思うのですが、やはり何といっても地元の人の理解というものを得ながら原子力政策を進めていかなければならないと私は思います。  そういう意味では、今長官からもお話がございましたが、地元の地方自治体の中に、そういう事故情報を受けとめて、それを正しく解釈して地方自治体としての適切な対応をするという体制をつくることも大変重要だと思うのです。そのためにも、事故対策をすると同時に、そういうふうな情報をタイムリーにあるいは適切に自治体に伝えていくという努力もあわせて一生懸命やっていただきたい。それがこれからの原子力政策には大変重要だと私は思うわけでありまして、その件についてもよろしくお願いしたいと思います。  それから最後に、今回の事故を経験して学んだことといいますか、まだこれはちょっと早いのですけれども、言ってみれば、漏えい箇所の特定方法ですとか定期点検のやり方とか、そういうことをぜひ、今回の御検討あるいはこれから出てくるだろう真実というものを踏まえて、より適切なものに改革をしていただきたい。そういうことをすることによって、現在の日本原子力発電所安全性信頼性がより向上するベースになると私は思うのです。  そういうことから、今回の事故でどういうことをエネ庁として考えておられるのか、今後の対策に生かそうとしているのか、そこら辺を長官にお伺いしたいと思います。
  43. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回のトラブルでは、特に御指摘をいただきましたが、漏えい箇所の早期発見及び配管検査のあり方について特段の御指摘を受けているところでございます。  今回の事象発生しました後の一連の操作は、運転手順書どおり、確実に原子炉をとめ、冷却操作を行い、原子炉安全性確保されたところで外部への放射能による影響がなかったという確認もしたということで、手順としては妥当なものであったというふうに認識をいたしてございますけれども、御指摘をいただきましたとおり、漏えい箇所の特定方法、しかも早期に特定をするということについて今後の示唆があったと考えてございます。  当面の措置といたしましては、御報告申し上げましたように、同型プラントを持っております電力会社において再生熱交換器監視カメラを既に設置をし、または近日中に設置することとしてございますけれども、さらなる工夫の余地がないか、これを検討していくこととしております。  それから、いま一つ、配管検査のあり方でございますが、現在、原因究明のための調査を行っているところでございますけれども、調査結果を十分に検討した上で、原因となった問題を明らかにし、その結果を踏まえまして、検査のあり方についても見直しを含めて必要な措置をとりたい、かように考えてございます。
  44. 大畠章宏

    大畠委員 以上で終わりますが、ぜひ地元の皆さんやあるいは関係者皆さん理解を得られるように、徹底して事故原因究明して対策をとっていただきたいということを申し上げて、同僚の鍵田議員に質問を譲ります。  ありがとうございました。
  45. 北側一雄

  46. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。  もう既に何人かの皆さんが質問をされましたので、若干重複する部分もあろうかと思いますけれども、私なりの観点から幾つかお聞きをしたいというふうに思います。     〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕  私自身、長年、原子力発電所現場で働いている皆さんともつき合いをしてまいりまして、それらの皆さん現場において日常から安全運転ということに大変努力をされておる、そういうところを見てきておるわけでございます。もちろん通産を初め科学技術庁も大変これらについて努力をしていただいておるところだというふうに思いますけれども、有馬長官が、たしか所信表明のときでしたか、科学技術の発展のためにはトライ・アンド・エラーというのはつきものなんだというふうにおっしゃられました。確かにそうだというふうに思いますが、ただ、科学技術全体の中ではそういうことが言えても、原子力に関しましては、やはりいろいろな影響が大きいものですから、トライは大いにあっていいと思うんですが、エラーは最小限にとどめるべきだというふうに思っておるわけでございまして、そういう面から、今後とも、こういうトラブルにつきましては本当に少なくしていく、そういう努力最大限やっていただきたいというふうに思っておるわけでございます。  そこで、INES評価基準といいますか、このことについて若干触れてみたいというふうに思います。  0も含めますと八段階ですか、トラブルからアクシデントというところまでいきますと七段階ということでの評価基準になっておるわけでございますけれども、四段階以上がアクシデント、いわゆる事故であるというふうに言われておるようでございますが、各新聞社のマスコミの報道を見てみますと、どの報道もすべて事故ということで報道されておるわけでございます。こういうふうなことによりまして、非常に感情的に、原子力に対する恐怖感とかそういうものがあおられておるような気もしないでもないわけでございます。  今回の問題につきましては、常に関係当局の方ではトラブルということで言われておるわけでありますし、さらには、七段階レベルでいきましても一番最初の1であるということで暫定的に評価をされておるわけでございますが、五十一トンの冷却水が漏れた、そしてその漏れた冷却水汚染濃度というのは通常の一万倍を超えておるというようなことからマスコミがそういうふうな評価をしておるのじゃなかろうかというふうに思うわけでございます。今まだ調査の中間段階でございますから何とも言えない部分もあろうかと思いますけれども、今日の段階におきましてもこの評価というのは1であるというふうな認識をされておるのかどうか、それらについてお聞きをしたいというふうに思います。
  47. 稲川泰弘

    稲川政府委員 トラブル発生をしました場合、そのトラブルレベルを客観的でわかりやすくお伝えをする、迅速にお伝えするという趣旨で、INES暫定評価を用いて公表いたしているところでございます。この評価には三つの基準がございまして、一つは、所外影響があったかどうか、二つは、所内放射能漏れ等の影響があったかどうか、それから三つ目が、深層防護劣化があったかどうかということでございます。この三つ目の深層防護劣化と申しますのは、原子力発電所安全性は多重に確保することが原則となってございますけれども、何らかの原因によってその安全性裕度が減少したかどうかという基準でございます。  今回のトラブルにつきましては、一つ目の所外への放射性物質放出はありませんでした。それから二つ目に、所内においても従業員被曝等に問題はございませんでした。ただ、三つ目の深層防護劣化という観点から見ますと、冷却材漏えい率漏えい量規定に定める値を超えて多かったというところから、運転制限範囲からの逸脱があった、安全な運転ができる裕度を超えて逸脱があったという判定をいたしまして、こうしたことから暫定評価レベル1としたものでございます。  なお、今後、学識経験者により構成されます評価委員会がございまして、我が国では原子力発電技術機構設置をされてございますが、ここで今回のトラブル原因究明がなされました後、国際的な基準に基づき正式な評価がなされることとなっております。
  48. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 もちろん調査が進むにつれて最終的な評価が出てくるわけでございますが、私は、今日時点でそういうふうに評価ができるのかどうかということをお聞きしたわけでございますが、問題は、特に暫定評価を変えなくてはならぬというふうな材料は現在のところはないということでいいんですか。
  49. 稲川泰弘

    稲川政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在の評価を変えるべきものはございません。
  50. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 それで、先ほど、国内における水漏れ事故といいますか、そういうトラブルが何回かあったというふうな報告は聞いたわけでございますけれども、同じような加圧水型の原子炉を使っておりますフランスでありますとかアメリカ、さらにはそれらの技術援助を受けた他の国でもこの加圧水型を使っておられるというふうに思いますけれども、それらの国々においてこういうふうな事例があったのかどうか、また、どのようにその対策がなされておるのかということで、もし情報があればお答えをいただきたいと思います。
  51. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  私どもも、原子力発電所の海外の事故トラブル情報につきましては、積極的に情報入手を行いまして、我が国に反映すべき事項は反映しているところでございます。  海外の加圧水型プラントにおきまして多量の冷却材漏えいいたしました事例といたしましては、一九九八年、フランスのシボー原子力発電所一号機、百四十五万キロワットでございますけれども、ここの残留熱除去系の配管溶接部の亀裂による漏えいがございました。これは、残留熱除去系の高温流と低温流が混合する配管エルボー部の縦溶接部の熱疲労による破損によるものとされております。総漏えい量が約三百トンということでございました。  また、一九九一年、米国のオコーニー原子力発電所第三号機、八十万キロワットでございますけれども、ここで計装用の小口径配管継ぎ手部での施工不良が原因による漏えい漏えい量総量が三百三十トンとされておりますけれども、こうした事例が報告をされております。  フランスの漏えい事象に関しましては、最近、フランスの電力公社でありますEDFがトラブルの内容と対応策を公表いたしまして、当該配管を取りかえ、運転再開に向けまして準備をしているところでございます。現在、規制当局では、運転再開後の監視等の措置が計画されております。  私ども通産省といたしましても、これらの内容を検討し、我が国にも必要があればこれを反映していきたいと考えております。  ただ、我が国原子力発電所では、海外の事故トラブル情報につきましては、例えば構造上の違いあるいはプラント固有の原因はございますけれども、積極的にこうした情報入手に努めてまいりたいと考えております。  また、再生熱交換器でございますけれども、フランス、米国は、基本的にアメリカ機械学会による検査方法を採用いたしておりまして、我が国もこれと同様の検査方法を採用いたしておりまして、十年に一回の漏えい検査を実施することといたしておるところでございます。
  52. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 フランスの方も今再開に向けて努力中というふうなことでございますが、この漏えい部分が、日本のような、敦賀のようなエルボー部分の熱疲労といいますか、そういうものであったのかどうかということでございますが、その辺はいかがでしょうか。
  53. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 フランスのシボーの場合には、いわゆるエルボー部とはされておりません。
  54. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ぜひとももう少し詳しくそれらにつきましても調べていただいて、お互いに情報交換をしながら原子力の安全運転に向かって努力をしていただきたい、さらにもっと情報の収集をしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。  今回の場合にも、大変高い圧力の、そして高熱の冷却水が流れておる、また、定期検査などでそれを停止いたしましたときには逆に冷却をするということの繰り返しによる疲労というふうなことも考えられると思うわけでありますけれども、こういう高熱とか高圧の冷却水が流れるということからいたしますと、火力発電所では原子力の倍ぐらいの圧力さらには温度の冷却水が流れておるわけでございますが、それらではかなりトラブルが起こっておるようにも聞いておるわけであります。  もちろん、火力の場合には、いわゆる放射能などがないわけでありますから、それほど問題にはなっておらないんじゃないかというふうに思いますけれども、高圧、高熱の冷却水が流れておる、そういうことでトラブルが続くということになりますと、やはり効率も悪くなってくるわけでございまして、それらとの、もちろん炉の構造も全然違うわけでありますから同じようにはできませんけれども、そういうことについても何か共通した研究のようなことをなさっているのかどうか、もしそれらの実態がわかっておればお教えをいただきたいと思います。
  55. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  御指摘のとおり、火力発電所配管におきましても幾つかの損傷事例がございます。平成六年度から平成九年度までに、電気事業法に基づき報告のありました火力発電所に係りますトラブルのうち、配管に係るものは百五十二件ございまして、このうち漏えいの伴うものが四十九件となっております。  発生の部位で見ますと、ボイラーの炉の炉壁管が最も多うございまして、全体の約半分を占めております。これを含めまして、火力の場合はほとんどが小口径の配管となっております。これを原因で見ますと、配管の外側からいわゆる磨食、エロージョンと言っておりますが、これが最も多くて全体の二三%、疲労によるものは一三%ぐらいになっております。  火力の場合も、こうしたトラブルにつきまして適切に原因究明がなされております。類似箇所の点検等再発防止対策が講じられているところでございます。  また、火力の場合で、いわゆるエルボー部、今回のような特定の箇所、曲がり部での漏えいについてでございますが、これは一件ございました。平成六年の十一月に、石油化学工場に設置されております自家用発電所のボイラーで発生したものでございまして、過熱器からの水抜き管でございますが、腐食によりまして配管の外側から減肉して、蒸気の漏えいに至った例がございます。ただ、この場合は、この配管は燃焼ガスに伴う腐食の雰囲気にさらされておりまして、配管表面に結露しました水分がいわゆる酸性になりまして配管を腐食させたというような例でございました。  多少、原子力の今回の事例とは違いますけれども、なお、火力発電所で生じました熱疲労についてでございますけれども、これは、部位はほとんどがボイラー火炉の炉壁管で発生いたしております。これは熱伝達を高めることを目的に設計されましたボイラー構造物の一つでございます小口径の非常に肉薄の配管で、材質が炭素鋼であるということでございますけれども、当該配管につきましては、火力発電所の特性から、発電所運転時には外側から火炎にさらされます。停止時には常温に戻るという、こうした熱の繰り返しになります。そしてまた、肉厚も極めて薄いというようなことで、通常配管とはその用途、性状を異にするわけでございます。  こうした火力の事例がございますけれども、初期の段階で、こうした火力のいろいろな配管損傷については、当然、原子力発電所についてもいろいろな教訓があったわけでございますが、今回の事象と比較いたしますと、原因究明はこれからでございますけれども、少し違うのかなという感じがいたしております。     〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 これにつきましても、特に放射能を伴う冷却水を使う、そういうふうな面から見まして、火力発電所以上の注意力を持ってこれらに対する対策を立てていただきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、これは、今回のようなトラブルのもとになりましたエルボー部分に使っております材質の問題、さらには構造上、設計上の問題もあるのかどうか、それらについてまだ調査段階でございますけれども、現状においてそういうことが考えられるのかどうかということについてお聞きをしたいというふうに思うわけでございます。  今、316というステンレスをこのエルボー部分では使っておるというふうに言われておるわけでございますが、316Lという、腐食、剛性、靱性、こういうものでさらにすぐれておるというような材質もございますし、そのほか、特殊合金でハステロイとかカーペンター、さらにはチタン合金というふうな材質もあります。確かに、この316などに比べますと、十倍ぐらい、価格の方が非常に高い材質のものでございますけれども、それらを使用することも今後考えられるのではないかというふうにも思います。  それから、先ほども、熱膨張によってスライドするという部分があるのに、この下段の、今回のような漏えいした場所ではスライドをした形跡がなかったというふうなことでありますが、これは構造上の問題なのか、その辺は今どのように思っておられるのかお聞きをして、時間が参ったようでございますので、これで最後の質問にしたいと思います。
  57. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  原子力発電所の設計は、国の定める技術基準に基づいて行われております。技術基準におきましては、安全性確保のために使用可能な材料の規格の範囲が定められております。実際に使われる材料は、規格の範囲の中で、設計の段階におきまして、プラントの特性あるいは使用場所環境などを考慮して適切な材料を選定しているものでございます。  今回の部分につきましては、今先生の御指摘のように、SUS316材、耐食性、剛性等に非常にすぐれているという観点から使用されているものでございまして、溶接部分につきましても、技術基準に基づいて溶接が行われておりまして、必要な強度を確保することが求められております。  現在、材料面、施工方法につきましても総合的、多面的に原因究明等調査を行っているところでございますけれども、この中で、今後、適切な対応がなされていたかどうかについても確認されることになります。  また、御指摘の、熱膨張の緩和装置であるスライドの機構につきましても、今現在、これが本当にどういう状態であったかを詳細にまだこれから試験もしてみなければいけない状態でございまして、こうしたことを確定いたしました上で、いろいろ今後これを反映してまいりたいと考えております。
  58. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 どうもありがとうございました。
  59. 北側一雄

    北側委員長 辻一彦君。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 民主党はきょうは大畠さんと鍵田さん、お二人にお願いをしまして、具体的な御質問がいろいろあったと思いますので、私の方は簡単に二、三点に触れたいと思います。  先ほどお話のありましたように、七月の十九日に、私どもの商工部会の大畠副部会長と鳩山幹事長代理と私と三人で、それから県内の県議団等々を入れて、十四、五人で一日調査をやりました。それぞれ今お話があったとおりであります。そこで、調査を今いろいろやって、特に三菱の民間研究所でいろいろやっておるようでありますから、それらの解明を待たなければ本格論議はなかなか難しいと思いますが、これは原因解明に徹底してひとつ取り組んでいただきたい。  この間、私は、ロシアの方や、それからチェルノブイリも二回目でありますが、四号炉事故炉の下も、余り入れないところですが、見てきましたら、ロシアも相当な長い経験を積んでおるのです。  例えば、さきの「もんじゅ」の界面腐食というような状況についても、やはりロシアにはかなり前にやや似たようないろいろな現象があった。しかし、それは残念ながら深い解明がやはりなされていなかったのですが、フランスが同様の事故を起こしている。そことかなりな情報交換をやっておるんですね。日本とロシアは、今までなかなかそういう面の情報交換が少なかったのですが、最近はかなり原子力関係においては関係を深めておりますから、今回の日本原電の事故、この亀裂は、これも我が国においては恐らく初めての内容であろうと思うのです。国際的にもそういう例があるかもわからない。そこらの情報交換を密にして、他国の例に学ぶということも大変大事ですが、それについてどうしているか、お尋ねしたいと思います。
  61. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  先日、IAEAの原子力の安全部長が訪日いたしましたときに、ちょうどこの敦賀事故発生して間もなくでございまして、IAEAの安全部長も、今回の敦賀の件については非常に興味を持っているということでございました。私ども、各国、バイの、いろいろな原子力事故トラブルに関する情報交換もいたしております。また、IAEAという機関を通じての、世界各国、いろいろなデータバンクが整備をされてきております。  そうしたことで、今回もIAEAの方にも、こうした似たような事例があるかどうかについて、原子力部長にも少しいろいろ探してほしいというようなことで、IAEAもまた、今回の敦賀の対処、対策原因究明が終わりましたら、このレポートを詳細に報告をしてほしいという依頼も受けておるところでございます。
  62. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間私も、七月の八、九とIAEAの本部に行って、今言った、ドマラッキーIAEA次長・安全局長と安全部長にもお目にかかって、いろいろな論議をしたことがあります。そこで、それはひとつぜひ努力してほしい。  第二は、日本原電の第一次冷却水漏れが、警報が鳴って、ブザーが鳴って、あとはボタンを押せば電気の点滅であると思いますが、警報が出てから漏れがとまるまでに十四時間かかっておるんです。私は、ずっと経過を見ると、これは大事な、必要な措置をほぼやっているというようには思いますが、しかし、周辺の住民、例えば敦賀市等では有線放送が各戸に、万が一に備えて全部テレビが見られるようになっておるんですね。そうすると、事故の状況が逐一報告される。それは結構なんですが、見ている市民からすると、警報が出てから十四時間も、第一次冷却水放射能を含む水が、格納容器内とはいえ、外には漏れていないとはいえ、中で出ている。しかも、一時間に約十トンの水が流れるような速度のときには、音をざあざあ立てて流れて、そういうことがテレビで知らされておると、なぜ十四時間もかからなければならないのかという疑問があるんです。それがまた一つの不安を生みかねない。  そういう点で、この時間をもっと短くすることが、熱い中に入ってやけどをしたりするといけないから、当然の段階が必要でありますが、なおこれを短縮する可能性は私はいろいろあり得ると思うのですが、時間の点から詳しいことは要らないですが、ポイントをちょっと聞きたい。
  63. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明申し上げます。  今回、この漏えいがとまるまでの十四時間について、ちょっと技術的な問題もいろいろ含んでおりますので、御説明させていただきたいと思います。  まず、この再生熱交換器系統からの漏えいであるという特定でございますけれども、中央制御室では、各種の計器によってこの状態確認をいたしましても、当該系統漏えいを示す有意な変化は当初認められなかったわけでございます。監視カメラでは、このCループ室の頂上部近傍で蒸気のもやが発生していることなど通常とは異なる状況を確認したところでございますけれども、この当該の再生熱交換器が区画された専用の機器室に設置されていることから、カメラの視野範囲に入っていなかったということでございまして、当該漏えい箇所を特定するに至らなかったということがございます。  今回の操作自身は、運転手順書に従い、原子炉をまず速やかに停止し、そして圧力を低下させ温度を下げて、そして一次冷却材漏えいを抑制する、こうした手順を非常に手順書どおりにやったということでございます。また、この漏えいしている水は格納容器の外に流れ出る等の危険な状態ではないと運転員も判断をし、まず炉の状態を、きちんと安全に停止をし冷態停止まで持っていくという操作をしたわけでございます。  基本的に、異常事態におきまして、その状況をできるだけ早く収束をさせるということがまず必要であることはもとよりでございますけれども、ただ、予期せぬ事態への進展を防ぐことも重要でございます。仮に手順書にない操作を実施する場合には、原子炉の冷却が時間がかかったり進まなくなったりするということもあり得るわけでございまして、仮にそうならない場合といたしましても、操作に伴う事態の拡大、進展のおそれのリスクということもあらかじめ十分に検討した上で操作をやらなければいけないということでございます。  今回のトラブルに立ち返りますと、漏えい箇所をより早くとめることだけを求めますと、一方で、原子炉が安全に冷却する前に人が格納容器に立ち入る、あるいは、複数の系統につきまして順番に隔離操作をしていくというようなことも考えられます。しかしながら、やはりこの辺の運転員に対して過大な負担をかけるということも一方でまた問題でございます。また、原子炉が安全に冷却する前に不用意に人が格納容器内に立ち入ることについても、被曝や人身災害の観点からも問題があると考えております。  こうしたことで、今回の例を教訓といたしまして、こうした漏えいの検知についてもう少し工夫がないのか。例えば、圧力の変化あるいは温度の変化、あるいは監視カメラのシステムのあり方、こうしたものを今回のいろいろな運転の操作に関しまして幅広い観点から十分検討させていただきたいと考えております。
  64. 辻一彦

    ○辻(一)委員 詳しいことはきょうは無理と思いますから、そこにとどめておきます。  そこで、これはエネルギー庁長官も科技庁長官にも聞いていただきたいんですが、ここ数年における、また、この委員会において取り上げた事故の中で、第一次系の重要な、安全審査を重視し、それから定期検査でも厳密にその検査をしているところよりも、第二次系に事故が随分と出てきている。例えば「もんじゅ」においても、ナトリウム漏れは一次系でなしに二次系の方。これは、安全審査でもその対応策でも、大は小を兼ねるで、大きいのをちゃんと押さえればあとは心配ないと。しかし、随分違った形で事故があらわれていますね。それから、東海村の再処理工場の爆発事故を見ても、さほど重要視されていなかったアスファルトの固化施設周辺施設から発火して爆発をして今なお数年とまっている。これも、必ずしもそれほど重要視されていなかったところから出ておる。  今回の商業炉、これを見ても、第一次系の太いパイプの方の亀裂や漏れという問題ではなしに、小口径の九センチぐらいのパイプからの漏れというものがこれだけの問題になっている。となると、今まで安全審査あるいは定期検査で重点を置いておったところ以外から、これからもかなりなこういう問題が、未知の問題もあるでしょうし、予定された問題もあるかわかりませんが、事故という形で出てくる可能性がある。  そういう意味で、定期検査のかなり大きな見直しが必要ではないかというふうに思いますが、その点について、まずどう思われるかお伺いしたいと思います。
  65. 稲川泰弘

    稲川政府委員 最近のトラブル報告を見ますと、御指摘のような、重要な部分ではない部分についてのいささかの不注意、気の緩みとも思われる部分と、それから、機械的な欠陥という部分と二つの点がございます。  いずれにいたしましても、この少なくとも気の緩みにかかわるようなものについては断固これを排除する必要があるということで、六月以降再三にわたりまして、電力会社の社長会それから常務会等々に注意喚起をしているところでございます。  この機械的な各種のある意味の欠陥、トラブルの場合もございます。それで、この機械的な部分につきましては、定期検査にかかわる技術規定、これは、機器の安全上の重要性の観点、それから運転経験、諸外国における検査状況を踏まえて、専門家を含めた技術検討の結果定められたものでございまして、今回のトラブルの対象になりました再生熱交換器配管についても十年に一度の検査をやっております。アメリカ等国際的に行われている基準に沿ったものでございます。  ただ、御指摘のように、現在の原因究明調査の結果によりまして、この検査のあり方について見直しをすることを含めまして今後必要な措置をとりたい、かように考えてございます。
  66. 辻一彦

    ○辻(一)委員 「もんじゅ」や東海の再処理工場の問題は随分ここ一、二年論議しましたから、きょうは時間もないからやめますが、今回の場合も傷が相当大きいですね。内部から十一ミリというか、鋼管、ステンレス鋼を貫徹しておるんですね。これを見ると、一遍にこの傷が入って、それでこの亀裂ができたとは思えない。かなり長い時間にわたって、先ほど大畠議員の質問もありましたが、いろいろ経緯があった。そういう結果として最後に亀裂が入ったのではないかと思われる。  このような亀裂は、検査をきちっとやれば事前に当然発見できるものですね。今の長官の答弁のように、十年に一回という。この前に検査をしたのは七年前だから、それはまだ十年たっていないんですね。しかし、もし短い期間に、もう少し時間を短縮してやれば、これは発見できた可能性はあるんですね。  それからもう一つは、検査のときに何をやるかということですね。今の検査基準を見ると、内部に圧力をかけて、そして運転時と同じ百五十七気圧をかけて、その水がパイプの外に漏れるかどうかということを調べるだけなんですね。それでは亀裂が入ってしまう前の状況を調べることはできない。しかし、それを調べるには、あのパイプのぐるりにずっと巻いてある保温材をはがして超音波の探傷装置等によるところの測定をかければ、これは傷がある程度あればすぐわかるわけですね。そうなりますと、十年に一回でいいのかという問題と、もう一つは、中身として、十年に一回やるなら、これは国際基準があるから簡単ではないが、今までのような検査ではとても、だんだん発電所が古くなっていく中でこれは実態に合わないと思うんですが、そこを含めて検査体制の見直し等はどうお考えか、伺いたいと思います。
  67. 稲川泰弘

    稲川政府委員 今回の原因究明を踏まえまして、期間あるいは検査の内容について、先ほど申し上げましたようによく検討したいと考えてございます。  今回のトラブルプラント全体の高経年変化あるいは老朽化という問題としてとらえるのは必ずしも適当ではないと思われますけれども、今までの調査の結果、熱疲労が一つの原因であり、それが非常に複雑な応力があったということでございますので、先ほどの熱膨張にかかわります熱交換器のずれがあったかなかったかというような点を含めた調査、いわゆるその他の応力の調査などを含めまして、単なる水漏れ検査だけでいいのか、その他の具体的に起こり得る配管にかかわる力のありようを見まして、その内容を検討していきたい。いずれにしても、この原因究明の結果を待ちまして、期間、内容について適切な検討を加えたい、かように考えてございます。
  68. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は、もう少し実態の解明を待ってまた改めて論議をして、その上に立った検査体制のなお点検が必要であろう。それに譲りたいと思います。  最後に一つだけ質問したいのですが、事業者政府、専門の皆さんは大体、第一次冷却水が漏れても放射能が、これは漏れちゃいかぬが、漏れたとしても格納容器の中に閉じ込めて外には出さないんだからもう安全だ、こういう考え方、これはまた当然のことですがありますね。しかし、皆さんにプリントを一枚差し上げたのですが、周辺のいわゆる観光施設や海水浴場や、そういうのが非常な影響を受けておるのですね。  例えばこの一覧表を見ると、これは敦賀から自動車でぐるっと半島を動きますから四、五十分かかるところで、かなり離れておるのですが、そこのレストランやお土産のお店でも、これは観光客、そこに寄ってくれたお客さんの数ですが、十一日までは七百五十九名、一時は九百八十六というふうに千人近い、そこらをずっと前後しておったのですね。しかし、十二日になると二百四名、それから十五日は七十九名というふうに、また若干回復しておりますが、もう半減か三分の一ぐらいになっておるのですな。これは、多くの民宿であるとかそれから海水浴だとか、原子力発電所は安全だから、海水浴場の写真と発電所を並べてPRを事業者はしているのですが、そういうところから見ると、非常な影響を実際は観光施設等は受ける。一年に一回、夏の一番大事なときに、民宿に随分努力をしている、投資をしている、そういう人たちも軒並み大きな影響を受けますね。  そういう意味で、私は、さっき申し上げましたけれども、一時間でも早くそういう漏出状況をとめるということが一つ。それから、こういう風評被害、評判というか、そういうものによっても非常な打撃を実際は受ける。これに対する対策対応が必要だと思いますが、これについて伺って、終わりたいと思います。
  69. 稲川泰弘

    稲川政府委員 漏えい時間の短縮の点につきましては、先ほど審議官からもお答え申し上げましたとおり、今後さらなる、監視テレビを設置する以外の方法を検討してまいりたいと考えてございます。  また、風評被害につきましては、原子力設備について残念ながら起こりがちなことでございますけれども、我々、客観的な情報を、かつわかりやすく極力頻度を上げて関係地域を含め全国に流してまいりたい、かような努力をしながら地元の皆さんへの御迷惑を軽減していきたい、かように考えてございます。
  70. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間が来ましたので、一言だけ科技庁長官から決意伺いたいのです。この事故の解明に全力をひとつ挙げていただきたいと思いますが、一言決意を伺って、終わります。
  71. 有馬朗人

    有馬国務大臣 今回の事故につきましては、通産省の方で大変慎重に、かつ徹底的に調査しておられます。しかし、この問題は科学技術庁に関しましても重要な問題でございますので、まず安全の方についてちゃんとやっていかなければいけませんし、また、「もんじゅ」等々における参考としてこの問題を十分考慮に入れ、将来こういう事故が起こらないように努力をさせていただきたいと思っております。
  72. 辻一彦

    ○辻(一)委員 では、終わります。
  73. 北側一雄

    北側委員長 斉藤鉄夫君。
  74. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。  日本の軽水炉技術は、独自のシステムをつくり上げて非常に高い信頼性を誇ってきました。これは世界からも高く評価をされております。原子力発電は成熟期に入ったと感じているわけですが、その成熟期に入ったはずの高い信頼性を誇っている軽水炉、それも一次冷却水が多量に漏えいしたということで、国民は素朴に、原子力発電は本当に大丈夫なのかな、こういうふうに感じているというのが現実だと思います。ちょっと大げさに言いますと、日本社会全体が今自信を失っているというところでございますが、特に日本が誇ってきた、信頼性が高いと評価をされていた技術においてもこういうほころびが出てきたということで、日本が自信を失っていく一つの原因になりはしないか、ボディーブローとしてきいてくるのではないかというふうなことも、ちょっと大げさかもしれませんが私は感じております。そういう観点で、成熟期にあって、高い信頼性を誇ってきた技術、それにほころびが生じてきているのではないか、技術の衰退期に入る予兆としてはいけない、こういう観点から質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、ちょっと技術的なことでございますが、割れの破面に、割れがだんだんに進展していった跡のビーチマークと呼ばれるしま状模様、これは目で見られる、肉眼で見られる大きなものだそうでございますが、それからその部分をもっと細かく顕微鏡で観察をしてみると、ストライエーションと呼ばれているしま状、本当にこれは肉眼では見られないような小さいしま状模様が見られるとのことでございます。一般に、こういうしま状模様が見られるということは、繰り返し何らかの力、ビーチマークの方については非常に大きなサイクルの力、ストライエーションについては非常に小さい繰り返しの力がかかって割れがだんだん進展した、いわゆる疲労破壊ということが想像されるわけです。  まだ原因究明の途上で、最終的な結論は得られていないわけですけれども、このような模様が生じたということは繰り返しの力がかかったということで、何の力が繰り返しかかったのか、何が疲労破壊の原因であったのか、現状で結構でございますので、お教え願いたいと思います。
  75. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  現在、損傷メカニズム調査、あるいは製造履歴、運転履歴などの全体的に調査を行っているところでございます。  ただいま先生御指摘のとおり、これまでのところ、おのおのの破面には、内面を起点としたビーチマークあるいは一部ストライエーション状模様が観察されておりまして、金属学的に申しますと、こうした状況から、疲労による割れの可能性が高いというふうに言えると思います。ただ、どういう応力が繰り返しかかったのか、この辺については、熱の流動によるものであるか、あるいは流体の振動によるものであるか等は、これからさらにいろいろ詳細に調査する必要があると考えております。  一方、今回の場合は、亀裂が周方向と軸方向、複数同時多発しておるわけでございます。そして、一番大きな貫通に至っているものが見られるわけですけれども、やはりさまざまな応力が働いた複雑なメカニズムであるというふうに推測することが自然ではないかと考えております。  今後、どういう力がこの部位にかかったかについて、さらに詳細な調査を行ってまいりたいと考えております。
  76. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 疲労破壊の原因は繰り返し荷重、その繰り返し荷重としては熱であるとか振動というふうなものが考えられるけれども、今後調査をしていくということでございましたが、ほかにも熱交換器、このプラントの中にも、またいろいろなほかのプラントにもあるわけでございまして、同様な熱応力もしくは流体振動による繰り返し荷重ということは当然考えられるわけでございまして、当然設計上も考慮されていると思います。  ほかの部位も調査しているということですけれども、今回、この部位に限ってトラブルがあった、このエルボーだけに特殊な要因というのは何かあるんでしょうか。それについてお伺いします。
  77. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  他の部位につきましてもいろいろ調査を実施いたしました。きょう配付させていただきました資料の四ページに再生熱交換器の全体図を載せておりますが、まず一つは、漏えいのあった中段と下段の連絡管の下流側のエルボー、それから下流側の管台につきまして調査をいたしました。それから、当該エルボーと下流エルボーをつなぎます連絡配管全部につきましても調査をいたしました。それから、中段と下段を結びます連絡管と同様の条件下にございます、上段と中段の熱交換器を結びます連絡配管、これはエルボーも含むわけでございますけれども、さらに上下の管台について調査をいたしました。  これらの結果から、いずれも異常が見られませんでした。健全性が確認されたわけでございます。また、他のプラントにつきましても、こうした事例が今まで発生をしていないということでございます。  今後、調査は慎重かつ十分に行う必要がございますけれども、当該部だけに見られる特殊な要因がどういうふうに、学理的にも論理的にもきちんと説明できるかを含めて、慎重に原因解明をしてまいりたいと考えております。
  78. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、ほかのエルボーも調べたけれども、ほかのエルボーには一切何もふぐあいはなかったと。  しかし、多分ほかのエルボーにも同じような熱応力、また流体の振動による繰り返し荷重がこのようにかかっていたと思うわけでございまして、今回亀裂が生じたエルボーに特に特徴的なこと、ほかのエルボー、ほかの部位になかった要因、こういうものは全く考えられないのでしょうか。
  79. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明をいたします。  先ほどの四ページの再生熱交換器の図で御説明いたしますと、最下段の熱交換器を支えます足の部分でございますけれども、これは左側の注入の方が固定をされておりまして、運転状態に入りますとこれが熱膨張で右側の方に摺動をする。そして、その摺動をする部分の足の方は、これを摺動できる構造にしておるわけでございますが、今回、現場での調査によりますと、摺動した跡、痕跡が見られないという調査が出ております。  ただ、これが本当に動かなかったか、スティックしたものであるかについてはさらに詳細な調査をする必要がございますけれども、もしこれが摺動をしなかったということになりますと、この中段と下段の連絡配管には相当の拘束力が働きますので、ねじり等の荷重が起動、停止ごとにかかるというような、状態としては、これは設計上も考慮していない状態でございます。  これが確定をいたしますと、この部分について特殊な要因として考えられる応力は、ねじり、曲げ等の荷重が繰り返し起動、停止ごとにかかったということが言えるかと思います。
  80. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 そのお話を伺いますと、素人ですけれども、多分そこが犯人なんじゃないかなというような気はいたしますけれども、今後しっかり解明をしていただきたいと思います。  金属の破面というのは、私も技術屋でございましたのでいろいろな金属破面の観察もしたことがございますが、人間のDNAと一緒で、すべての起こったことをそこに記憶しているのが破面だ、こういうふうにも言われているわけで、この亀裂進展のメカニズムを解明する重要な証拠だと思いますので、徹底解明をしていただきたいと思います。  再発防止の糧とすべく、今後の原因究明の予定をお伺いします。
  81. 稲川泰弘

    稲川政府委員 既に審議官から御報告申し上げましたように、現在までの破面観察の結果、疲労による割れの可能性が高いという他方で、亀裂の複雑さから見てさまざまな要因が複合しているということが考えられますために、原因については、予見を持たず、御指摘のとおり慎重に幅広い観点から調査をし、明らかにしていくことが必要だというふうに考えてございます。  現在も調査機関において引き続き詳細な破面観察を続けていることもありまして、調査結果を慎重かつ十分に検討した上で原因を明らかにしていきたいと考えております。ただ、その経過につきましては、調査の方法、結果、推論について安全委員会にも報告し、公開の場での御議論をいただき、透明に事を進めてまいりたいというふうに考えてございます。  今後の原因特定の時期について確定的なことを申し上げる段階にはまだございませんが、今後、コンピューターによる分析、模擬機によるモックアップ試験などを考えますと、少なくとも数週間の調査検討が必要ではないかというふうに考えてございます。
  82. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 徹底究明を待っております。  ちょっと一般論に入りますけれども、一般的に科学技術というのは、その初期の段階では非常にトラブルが多発する、しかし安定期に入ってトラブルが少なくなる、老年期に入ってといいましょうか、衰退期に入ってまたトラブルがふえると言われております。  例えば、自動車なら自動車という一個の機械を考えますと、これは容易に想像がつきます。当初いろいろトラブルがあるけれども、いろいろなトラブルを直して安定的に動くようになる、それが長期間続く、そして故障がふえてきて、その機械の寿命が来るということでございます。人間についてもこれは同様で、若いときはいろいろトラブルが多いわけですけれども、壮年期になって社会で活躍し、また老年期になって体にいろいろなトラブルが出てくる。  ちょっと話が外れるかもしれませんが、きのう、NHKテレビでDNAの話をやっておりまして、大変興味深く見たのですが、人間が老化して寿命があるというのがきちんとDNAに組み込まれているそうでございます。ですから、人間は必ず死を迎えるというのは非常に哲学的な課題であるわけですけれども、DNAの中にきちんとそのことが組み込まれているという話を、きのう大変興味深く見たのです。私は、機械とか人間とかそういう一つの個体ではなくて、技術そのものにもそういう宿命があるのかなというふうに感じております。  技術にはDNAもありませんけれども、例えば、ある新しい技術が生まれる。その新しい技術は当然経験もないわけですから、その技術を使ったいろいろなものにトラブルが多発する。しかし、そういうトラブルを吸収し教訓にして、安定した信頼性の高い技術をつくり上げる。ところが、それがずっと安定していくわけですが、社会そのものも変化しております。価値観も変わる。例えば、環境というふうな新しい価値観が出てくる。また、安定することによって、人間のその技術を見る目も何となく弛緩をしてくる、緊張感がなくなってくる。こういうふうなことがあって、その技術が衰退して、また新しい技術に取ってかわられていく、こういうことが言えるかと思います。だから、機械、人間、技術、同じような宿命があるのかな、こう思うわけでございます。  原子力についても、初期トラブルがございました。しかし、それを教訓にして、本当に日本独自の信頼性の高い軽水炉システムというのをつくってきた、それが非常に長く続いてきた、こう思うわけです。私は、まだそれが今後も長く続かなくてはいけない、このように思うわけですが、今回の事故は、その衰退期、老年期に技術そのものが入ってきた一つの予兆となり得る可能性もある、一つの曲がり角にこれから差しかかりますよという一つのシグナルと考えられなくもない、このように考えるわけですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  83. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  今回の敦賀発電所二号機のトラブルを、プラント全体の高経年変化あるいは老朽化という問題としてとらえるのは必ずしも適当でないと思われますが、いずれにしましても、原因調査の結果を踏まえまして、今後の運転、保守等に確実に反映させ、再発防止を徹底していくことが重要であると考えております。  ただいま先生の御指摘のとおり、我が国原子力発電所につきましては、これまでの運転経緯から見ますと、初期にトラブルが幾つか見られ、その後安定的に推移するとの傾向はありますが、その後の段階につきまして、現時点では、運転年数の増加に伴うトラブル発生頻度の増加傾向は必ずしも認められておりません。こうしたことから、我が国プラントは現段階で世界有数の良好な運転実績を有しているものと認識しております。  いずれにせよ、個々のトラブル教訓プラント管理に適切に反映していくことは極めて重要でございます。故障、トラブルの増加の防止に努め、安全性の向上を図っていく努力が大変重要だと考えております。  なお、今後のいわゆる高経年変化に対してどういう安全管理をしていくかということにつきまして、ことし二月、高経年化の評価を私ども公表いたしました。運転年数の増加に伴う応力腐食割れ、疲労などの経年変化事象が顕在化することによります機器の安全機能の喪失が未然に防止できるかどうかを評価しておるものでございます。基本は、設計、製造、保守が適切に行われることが前提でございます。  今後、この高経年変化への対応といたしまして、各原子力発電所の定期安全レビュー、過去のいろいろなトラブルや、これをどういうふうに反映をしていったか、そして十年ごとの保全計画を綿密に定めて、その間の供用期間検査としてどういう項目を追加したりしなければいけないかといったことを個々に具体的に詰めていくことにしておるわけでございます。
  84. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今後、設計、製造、保守、このすべての段階において品質管理をより一層強めていく、こういう御答弁でございました。  同じ問題意識なんですけれども、ちょっと別な観点から質問させていただきます。  先ほど、他の熱交換器にない一つの要因として、熱膨張、三段ある熱交換器の一番下が固定されていたのではないか、こういうことが挙げられました。二段目は当然、熱膨張してそれがずれる。三段目はずれない。ずれようと思ってもずれないわけですから、それをつないでいるエルボーに物すごい特殊な力がかかる、これは容易に想像できることです。  設計者は、当然、熱膨張するものと、それで、熱膨張したら、それを吸収といいましょうか、ずれを許す接合になっていなければならないということで設計をするわけですけれども、その設計思想が製造そして運転、保守、そういう各段階で一貫していれば、当然運転、保守の人も、このずれがきちんと吸収されているかということを見たはずだと思うわけでございます。ですから、今回の一つの教訓、まだ原因はわかっておりませんけれども、この熱膨張が一つの要因であるとすれば、設計段階の思想が現場まで行っていない、そのことが私は最も根本的な原因になるのではないかなと思います。  これも先ほどの技術の幼年期、壮年期、老年期という話をしますと、大体技術の幼年期、壮年期というのは、ある意味では、それに携わる人が緊張感を持っていてやっておりますから、いろいろな段階の技術者がそれぞれ、その設計思想を一貫してみんなが持っている、情報を共有している、だから事故が少ない。また技術も発展していくというものですが、安定が長く続いていきますと、どうも気が緩みがちになる。そういう中で、設計思想そのものが現場まで徹底をされない、こういうことが技術一般に生じてまいります。  原子力についても同じようなことがこれから多発してくれば、私はゆゆしき問題だと思いますけれども、この観点、つまり設計思想が各段階に一貫してないじゃないかという指摘に対してはどのようにお答えになりますでしょうか。
  85. 稲川泰弘

    稲川政府委員 設計思想の一貫性についての御注意がございました。今後この原因究明を明確にいたしまして、設計、保守、管理に関しまして、見直すべき点があれば確実に措置をとってまいりたいと思っております。  委員から、技術の曲がり角、原子力の曲がり角という御指摘がございました。一部に気の緩みがあることも確かかと思いますが、明確な原因究明をし、かつ、この対策をとれるという段階であれば、なお次の時代はあるものと我々は確信をいたしてございまして、今後徹底した原因究明とその明確な対策をとってまいりたい、かように考えております。
  86. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 原子力発電所の設計は多重防護という考え方から行われている、こういうふうに聞いてまいりました。一つや二つのふぐあいが生じても、そのふぐあいを吸収するリダンダンシー、冗長性がその周りに用意されている、だから大丈夫なんだ、こういう説明を受けてきたわけですけれども、今回はその多重防護という機能が働いたのか働かなかったのか。あれだけ多量の一次冷却水が漏れたわけですから、そのこと自体を見れば、リダンダンシーが働かなくてああいう事故になったとも言えますし、逆に、放射性物質格納容器外に出ていないからその多重防護が働いたんだとも言えますし、この点はどのように理解すればよろしいのでしょうか。
  87. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  御指摘の多重防護でございますけれども、放射性物質の異常な放出によります周辺公衆への影響を防止するという原子力施設安全確保の基本的な考え方の一つでございます。一つは異常の発生の防止、そして異常の拡大の防止、そして、事故に発展した場合を仮想しました結果を緩和するという策という三つの段階対策から構成されているわけでございます。  今回のトラブルでは、設計どおりに各種の検出装置によりまして早期に漏えい検知がなされまして、そして、原子炉停止操作が通常の操作で行われたわけです。すなわち、常用の原子炉冷却材補給系によりまして原子炉冷却材の保有量が十分確保されたわけでございます。また、漏えいした原子炉冷却材格納容器の中にとどまっておりまして、放射性物質の異常放出もありませんでした。  これらはいずれも、多重防護の考え方によりまして、異常の拡大防止のために設計され、設置されているものでございまして、今回これが適正に作動し、そして運転手順が組まれたという意味で、適切な拡大防止が図られたものと考えております。
  88. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 多重防護の考え方が今回十分働いた、こういうことかと思います。その点もぜひ社会に対してきちんとPRをしていただきたいなと思います。  稲川長官に最後にお伺いしますが、今回、先ほど私が申し上げてきたような問題点、長い安定期が続いて、これからもその安定期を続かせていかなければならない、衰退期の端緒にしてはならない、こういう観点から、今回のトラブルそれから過去のトラブル教訓として、より安全なシステム、新しい安全文化というものもつくっていかなくてはならないかと思いますけれども、長官の御見解をお伺いします。
  89. 稲川泰弘

    稲川政府委員 繰り返し御指摘をいただいておりますように、原子力発電の推進は徹底した安全の確保が大原則と認識をいたしてございます。  国として従来から厳重な安全規制を実施してまいっておりますけれども、トラブルから得られます教訓を適切に反映をしながら次のステップを確実なものにしてまいりたい、かように考えてございまして、今回も、水漏れの時間をいかに短縮するか、あるいは配管について単なる水漏れ調査だけでいいのか、幾つかの教訓がございました。そういう教訓を含めまして、今後原因究明を待って、他の発電所での対応も含めまして、今後トラブルを繰り返すことのないような対策を講じてまいりたい、かように考えてございます。
  90. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 その点しっかりお願いいたします。  この委員会科学技術委員会でございまして、きょう、朝からおりますと、何か商工委員会のような雰囲気がございますけれども、科学技術委員会として大臣に質問をさせていただきます。  先ほど私申し上げた観点、つまり、技術の持っている一つの、人間と同じように少年期があり壮年期があり老年期がある、こういう観点について大臣どのようにお感じになったかということ。  それから、何度も繰り返しになりますけれども、原子力も商業発電が始まって既に三十年以上たっております。私は、日本社会の中に十分その安全性、技術としての優秀性というのは認められてきた、このように感じておりますけれども、その安定期が終わって、今ひょっとしたら衰退期に入ってしまうかもしれない。そのような、ある意味では初歩的なミスということも今回のトラブルは言えるわけでございます。そういう観点で、プルサーマルという新しい技術も始まりますけれども、原子力の安全というもの、その安全文化をもう一度ここで見直して、新しい文化をつくっていくんだというぐらいの気構えがないと、本当に衰退期に入ってくるんじゃないかな、私はこのように危惧を持っております。  その二点につきまして、大臣のお考えをお伺いします。
  91. 有馬朗人

    有馬国務大臣 原子力は衰退期と私はまだ判断いたしておりませんけれども、そういうことに関係して、私が一つ心配していることがあるのです。  既に安定期に入ったことによって、原子力の中に新しいおもしろい問題が少なくなっていく。初期の段階ですと、みんな一生懸命新しいリアクターをつくるとかいろいろなやり方で研究を進めていく、こういうところが、やや安定してまいりますと少なくなってくる。したがいまして、教育の上で、これがおもしろいんだ、これが世界一流のものなんだというふうにして学生諸君を引きつけていくものが少なくなっていく、このことを私は非常に心配をしておりまして、原子力におけるすぐれた技術者がだんだん養成できなくなってくるとなりますと大変だと思っております。  そういう点で、先生今御指摘の、例えば増殖炉であるとかあるいは核融合であるとか、あるいはより一層進んだ使用済み核燃料の処理法であるとか、それからまた、高レベルの廃棄物をどう処理していったらいいか、この辺はまだ人間の技術にとりまして非常に挑戦的に考えるべき新しい問題をたくさん含んでいますね。こういうところをさらに重要視しながら、若い人たちが、原子力、広い意味での原子力に対して関心を持ってくださるようにしていくこと、これが極めて重要であると思っております。  しかしながら、例えば蒸気機関車というのは非常にいい例でございますけれども、今蒸気機関車というのは美的なセンスで若者たちを、我々を引きつけるところがありますが、しかしもう実用的にはそれほど、特に日本では実用的な意味は持たなくなってきています。ですから、より一層新しいエネルギーというものの研究が進んでいって、例えば核融合というふうなものが非常に急速に進むことによって、現在のウラニウム235を使うような原子炉というのはだんだん要らなくなっていくかもしれませんね。  今はとてもとてもそんな状況ではございませんで、よりウラニウム235を使うような原子炉をさらに安全に利用していくという技術を進めていく状況だと思います。したがいまして、現在私の判断では、原子力は安定して使われるべき安定時代だと思います。しかしながら、やはりまず安全性確保いたしまして、そして私たちも含めて国民の人たちが、原子力は安全なんだ、こういうふうな気持ちを持つようにしていかなければならないと思っております。そのために、やはりいろいろな面から、私どもも含めまして原子力関係している人たちが国民の方たちとお話し合いをしていくということが必要であろうと思っています。  そういう意味で、科学技術庁といたしましてはというか、原子力委員会といたしましては、現在、次期長期計画を考えているところでございまして、安全をめぐる諸課題について幅広い議論を行いまして、今申し上げましたような安全確保の考え方をさらに発展していかなければならないと思っています。  いずれにしても、巨大技術でございます原子力は、特に安全確保をしていかなければならないと思っています。原子力の安心とともに信頼確保するという方策に積極的に今後取り組んでいかなければならないと考えている次第でございます。
  92. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 技術が年をとっていくということについて、できるだけその技術の寿命を長くする一つの要因として、若い人がたくさんその分野に入ってくるかどうかだというのは、私もちょっと気づかなかった観点でございまして、大変参考になります。  その観点でいいますと、安全というのは、何となく若い人にとって魅力がないといいましょうか、チャレンジするテーマではないというふうな観点がございます。マイナーなといいましょうか、後ろ向きな、優秀な人が最先端をやっていって、その後の残った仕事を担当しているような、そういうイメージがあるわけですけれども、私は、そうではない、この原子力やまた新しいエネルギーということを考えたときに、まさにその点こそが一番大事な点であり、若い優秀な技術者の人たちが挑戦してほしい、こういう分野だと思うのですけれども、それに対して、急な質問で申しわけないのですが、大臣、どのようにお考えでございましょう。
  93. 有馬朗人

    有馬国務大臣 安全の研究ということは極めて挑戦的なことですよね。決して後ろ向きではなくて、ある技術がとてもすばらしいのだけれども、安全性がちょっと低いものだから使われないなんというときに、その安全性確保することによって極めてその技術が有効に使われるようになると思います。こういうふうなことで、おっしゃるとおり、安全性を追求するということは極めて現代的なおもしろい問題だと思います。  現に私が経験したことでありますと、一時原子力の方に学生が進まなくなったときに、新しい使用済み核燃料の処理の仕方というようなことが問題になったときに、若い人が再びそこに大勢興味を持ってきたというふうなことがございまして、それほど大勢ではありませんけれども、そういう問題に興味を持って進んできた人たちがおりました。  ですから、今私は、原子力において何をなすべきか、特にどういう点で新しい研究開発をなすべきかということをきちっと整理をいたしまして、若い人たちを引きつける方向に持っていかなければならないと思っています。その点で、先生の御指摘安全性確保するというのは、極めておもしろい問題だと思っている次第でございます。  例えば環境問題と結びつける。この環境問題も、ある意味では安全性確保するということが重要なことでございますね。そういう意味で、例えばダイオキシンにしても、そういうものはある意味では安全性のためにやらなきゃいけない後ろ向きのような面もあるわけですが、しかし、ダイオキシンを今どういうふうに減らしていくかというふうなことは、極めて現代的な新しい問題であると思います。それと同じように、原子力においてもさまざま若者を引きつける問題があると思いますので、こういうものを探し出して、そして若い者にはそれをお話しして引きつける、そしてよい技術者を確保する。それから、国民の方たちには、こういう若者も大勢頑張っている新しい面があるんだから、安全性に関して十分納得していただきたいというふうな、ある意味での啓蒙運動をしていかなければならないと思っております。
  94. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今回のこの事故、大変不幸なことでございましたけれども、これを教訓にして、より一層原子力の安全文化、新しい文化をつくっていかれることを念願いたしまして、質問を終わります。
  95. 北側一雄

    北側委員長 吉井英勝君。
  96. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  この敦賀二号機につきましては、ちょうど今回と同じ化学体積制御系配管での冷却水漏えい事故というのは九六年の十二月二十四日にも起こりまして、年末年始の休みに入った時期ですが、私はあのときも十二月二十九日に調査に入りました。それは、一次冷却水が失われるということは極めて深刻な問題に発展しかねない、そういう認識から行ったのですが、原電の会社側の人たちも、これは非常に深刻なものだという認識を持っているというお話でした。このときに、私はこの部分点検が十年に一回だという回答をいただいてびっくりしたのですが、そのときに、一次系はすべてやはり点検をやるべきだ、点検期間や項目の問題、点検手法についても改善を会社側に求めました。  その調査を踏まえて、今回、七月十二日に事故があって、七月十四日に調査に入ったときにわかったのですが、実は、九六年十二月の事故の後、事故を起こしたものと同一メーカー製のエルボー五十九個だけ点検して、残る五十二個のエルボー点検しなかった。その点検しなかったエルボーで今回亀裂が入って、一次冷却水の大量漏えい事故が起こったということが明らかになりました。ですから、九六年に私が指摘したように一次冷却水系統のすべてを調査しておれば、こういう事故は未然に防ぐこともできたんじゃないかと、非常に残念な思いがいたしました。  そこで、私は、資源エネルギー庁なりあるいは原子力委員会なりが、この二年半前の事故のときに、五十九個のエルボーだけじゃなくて、残る五十二個のエルボーについてもやはりすべて徹底点検せよと指示をなさったのかどうか。これはいずれからでも結構ですから、伺っておきたいと思います。
  97. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  今先生御指摘の九六年十二月の同敦賀発電所での配管曲げ部からの微量の硼酸水漏えいの件でございますけれども、この原因は、当該配管の曲げ部の製造の段階におきまして、配管の内表面亜鉛混入したために割れが発生し、その後プラント運転によりまして亀裂が徐々に進展し、貫通に至ったものという結果になっております。  今先生御指摘当該メーカー以外のメーカーにおきましては、この時点で、調査の結果このような亜鉛混入可能性はないことを確認いたしました。  こうした原因究明の結果を踏まえまして、再発防止対策といたしましては、メーカーにおきます今後の製造管理の徹底を図るとともに、この当該メーカーが製作をいたしましたエルボー五十四カ所につきまして、目視点検及び超音波探傷試験により異常のないことを確認したところでございまして、この当該部に限って指示をしたわけでございます。
  98. 吉井英勝

    ○吉井委員 亜鉛混入による粒界腐食割れというのは有力な原因の一つではあるわけですが、同時に、それだけじゃなしに、膨張、収縮の繰り返しによる高サイクルあるいは低サイクルの金属疲労などとの複合要因によるものである、こういう判断は必要であったし、実際に、これは九七年一月の原電の報告書の中でも、この粒界腐食割れというのは、粒界破面に亜鉛が溶け込んだ状態に繰り返し応力などが働いて疲労亀裂が徐々に進行していったんだ、こういうふうに指摘をしているわけですね。だから、亜鉛混入の問題も含めてなんですが、複合要因というものを非常に大事に見ておったならば、残る五十二本のエルボーについても、私は、そのときに、金属疲労がどう進行していくかとかきちっとやはり解明することになったんじゃないか、これは一つの要因に余りにも決めつけ過ぎて、他の要因についてのきちっとしたすべてを点検するということが怠られておった、やはりそこは問題じゃないかということを考えておくことがひとつ大事じゃないかというふうに思うわけです。  今、ちゃんと超音波でやったとおっしゃるんだが、そうすると、九六年十二月の事故で問題になった五十九のエルボーの中で、あの事故と同じ、粒界破面に亜鉛が溶け込んでいっていて、そしてその後、どの程度溶け込んでいるかということとかあるいは金属疲労がどのように進行しているのかとか、これは私は超音波をやったって簡単にわかるような話じゃないと思うんですが、すべて見つけてあとは問題ないという判断をしているのかどうか、それを伺っておきたいと思います。
  99. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  低融点の金属割れが原因であったわけでございますけれども、亜鉛が溶融いたしまして結晶粒に拡散しまして、そして結晶粒界の結合エネルギーの低下を招いて発生する脆化現象と言われております。この現象は、非常にわずかな亜鉛量でも割れは深くまで進展する傾向があると言われております。  したがいまして、あの時点におきましていわゆる超音波探傷の検査をやりましたが、この超音波探傷の検出限界は深さ方向で一・五ミリと言われておりますけれども、こうした低融点金属割れの特徴を考えますと、今までの、運転以降に要しました時間それからいろいろな角度からの超音波探傷を実施したことによって十分その傷があるかないかは判定ができたものと確信をいたしておりまして、超音波探傷を十分に実施したことによって安全は確認されたものと考えております。
  100. 吉井英勝

    ○吉井委員 今もおっしゃったように、超音波探傷検査では、一・五ミリ、これより傷が大きくならないともともと見つからないんです。そして粒界破面というのは、これは顕微鏡でないと見えないものなんです。そこへ亜鉛のごくわずかな混入があっても、これによる一・五ミリを超えたものはおっしゃったように見つけ得る可能性があるということであって、これもすべてが見つかると簡単に言えるものじゃありませんが、その可能性はおっしゃったようにあるわけですが、逆に一・五ミリに達しないものは見つからないという問題を持っているんです。  同時に、この前もさまざまな要因もあって疲労亀裂が徐々に進行したということなんですが、高サイクルにしろ低サイクルにしろ、それじゃこの疲労そのものについて、どのようにして進行していないと、傷の部分だけじゃないです、エルボー全体に疲労が進行していない、そういう証明ができるのかといったら、実はできていないわけです。  私はできていないことを責めているんじゃなくて、その上に立って、やはり九六年十二月と同じ事故が起こり得る可能性は一面であるわけですから、粒界破面を見つけるとか、あるいは熱疲労とか高サイクル疲労とか応力腐食割れの可能性などをやはり今後の検査の中で徹底的に明らかにしていくことが、この前の残る五十八個のエルボーについてもやはりそこが非常に大事な課題ではないんですか。私はそのことを言っているんです。
  101. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明申し上げます。  当時のエルボーの損傷要因につきましても、いずれの場合も原因究明につきましてはいろいろな角度から多面的に検討した上で絞り込んでいく、その上で、きっかけが、低融点の亜鉛が粒界の中に入ったということと応力の繰り返しということで検討をなされたもので、その過程の中に、製造の履歴がどうであったか、亜鉛混入がなぜ起こったのか、他のメーカーではどういう製造方法をとっているか等々のいろいろな総合的な調査を行いました上で、このエルボーに限って亜鉛混入したと言わざるを得ない、そういう結果になったわけでございます。
  102. 吉井英勝

    ○吉井委員 一つ一つ原因をつぶしていったというのはよくわかるんですよ、この表で。ただ、それはこの問題についてはそうなんだけれども、残る五十八のエルボーについて粒界破面に亜鉛混入がなかったということの証明にはなっていないんです。  それから、この間にどのようにさまざまな要因による金属疲労が進行していっているかということ、これらは、実のところ超音波探傷検査によっては見つからないんでしょう。見つからないから、だからこれは改めてこういう問題についても、それはそういうのを見つけるための技術開発も含めて、きちんとした検討が必要じゃないのか、そのことをやはり今考えていかなきゃいけないんじゃないですか。
  103. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 御説明いたします。  確かに、現在の超音波探傷の検査は、検出限界というのはございます。しかしながら、一方で傷というものは、それが進展をしていく過程でいろいろな要素がまた絡まってきて、そして長い年数の中で破壊が進行していくという過程をとっているわけでございます。  そういう意味で、今の超音波探傷の検出限界一・五ミリ以下のサイズは、多くの場合、これが進展するかどうかについて、その時点では基本的にそれは無害なものであるという程度の傷だというのが一方でも一つの見解として示されておるわけでございます。  しかし、先生が今御指摘のように、長年の間にこれがどういうふうに進展するかについては、ある期間でやはり超音波探傷の検査をしなければいけないということはもとよりでございます。
  104. 吉井英勝

    ○吉井委員 一・五ミリというお話も余り簡単に考えてはいけないと思うんです。肉厚が十一ミリなんですから、一〇%を超える傷なんですよ。それが時間をかけて進行していくわけですから、その傷のあるところだけに金属疲労等が進むというものじゃないんです。エルボー全体について、例えば高サイクル疲労であれば切断した場合にそれは顕微鏡写真等で観察できるわけですから。だから、わからない部分についてはどのように、それを見つけ出す検査機器の開発等を含めて、やっていくかということも非常に大事なことであって、今認められたわけですが、一・五ミリもそうですけれども、現在の超音波探傷検査の手法だけでは見つからない。この点が私は非常に注目しておくべきことだと思うんです。  なお、点検の手法について、十年に一回という基準がおかしいということは九六年に調査に行ったときも現地でも申し上げたんですが、私が驚いたのは、圧力検査を十年に一回かけているのをどうやっているかといいますと、通常のPWRの運転中の圧力百五十七気圧をかけてやっていますというんですね。これじゃ別に原子炉をとめなくても、日常的に運転中百五十七気圧でやっているわけですから、それで漏れたら当然見つかるわけで、これは事改めて圧力検査というほどのものにも当たらない。  そこで、私は改めて今思うんですが、すべての一次系配管について、超音波なり、渦電流を当ててももちろん非常に誤差があるわけですが、エックス線などさまざまな手法で、粒界破面があるのかどうかとか、あるいは高周波、低周波の金属疲労がどれぐらい進行していっているのかとか、腐食はどれぐらい進んでいるのかとか、この状況を定期点検のたびにきちんと調べていくことがやはり大事じゃないかな。  そこで、きょう原子力安全委員長に来ていただいてお聞きしておきたいと思いますのは、これまでの書類審査中心の審査でいいのだろうかという問題、それから、定期点検では原子力安全委員会の立場からして何を指示して何をやらせるのか。私は、やはり専門的な立場から、今もお話聞いていただいておりましたように、一・五ミリ以上の傷が発生していても、特に粒界破面にそういうのがあったとしても、超音波探傷じゃ見つからないわけですよね。あるいは、もう少し進んでおっても見つからない可能性も十分あるわけです。同時に、金属疲労が高サイクルで進んでいるんだけれども、どこまで進行しているかというのは簡単にわかる話じゃない。そういうときに、どういう点検をやらせていくのか。その点は、原子力安全委員会の立場からしても非常に大事な課題になってきているんじゃないかと思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思うんです。
  105. 佐藤一男

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  原子力安全委員会安全審査が書類中心の審査に陥っているのではないかという御指摘でございますが、私ども安全委員会といたしましては、基本的には、これは御案内のとおりでございますけれども、規制行政庁とは一線を画すといいますか、独自の立場から国民の立場に立って安全審査のための各種指針等の整備も行い、また厳正なダブルチェックをやっているところでございまして、決して満足しているわけではございませんけれども、原子力安全確保につきまして、そのかなめといたしましてこれまでも一定の役割を果たしてきたものと自負しているところでございます。  書類中心という御指摘ではございますが、実際にはかなり、例えば新増設の設置許可等におきましても、実はかなりの回数、現地調査というものを行っているところでございます。決して書いてあることだけで審査をするということではございません。ちなみに、最近の新増設の例でございますと、現地に出向いている回数は、原子炉安全専門審査会におきまして七回ないし八回に上っております。  今回の特定の事故と申しますかトラブルと申しますかにつきましても、担当の安全委員を現地敦賀発電所に派遣する、あるいは、私どもに御協力をいただいております専門家の方々を東海の検査現場等にも派遣いたしまして、状況の把握に努めているところでございます。  今度は、定期検査というものについてどうかという御指摘でございます。私が理解している限りで、この定期検査をどういうやり方でやるかということについては、必ずしも固定しているというふうには考えてございません。これまでのさまざまな経験等も踏まえまして、より効果的な検査というものを絶えず心がけていくというのが基本的な態度であるというふうに御理解いただきたいと思います。  これもまた今回の事例について申し上げますと、これはまだ原因等々につきまして確定的なところまでまいっておりませんが、今回のああいう破損と申しますか損傷のメカニズム等がはっきりいたしまして、その上で、これまでの検査方法に必要があればその点をつけ加えるなりあるいは改善を図るなりということは当然なすべきことと考えております。
  106. 吉井英勝

    ○吉井委員 十年に一回、そしてそれも通常運転圧をかけて、こういうことで定期点検は事足れりということでこれまで来ていたわけですよね。そういうところについて、やはり原子力安全委員会としてももっと積極的な働きかけ、それが非常に求められている。今委員長国民の立場に立ってとおっしゃったんですが、国民の立場というのはまさにそういうことだと思うんです。  それで、今回の事故で、割れ方向とビーチマークから熱疲労によるもの、さらに高サイクル疲労を生じる要因が働いたものと考えられるわけですが、それを生み出す要因はいろいろあり得るので、今後の徹底解明は当然だと思います。  同時に、先ほども拘束力というお話もありましたが、この拘束力が働かなかったとしても、例えば冷却水の温度差の変化が繰り返しあった場合でありますと、エルボーを支点として膨張、収縮のたびに腕の長さが変化するわけですから、したがって回転モメントが強弱の繰り返しを行うということにもなってくる、そういう高サイクル疲労の現象の可能性もあり得るわけでもあります。いずれにしても、十の五乗を超える繰り返しによるものが高サイクル疲労とされておりますが、実のところ、データは十分じゃないんですね。  ですから、こうした金属疲労というのは、長期間運転した原発についてはやはりかなり問題になってくるんじゃないか。そういう点では、他のエルボーについてもすべて徹底調査点検を行うことと、高サイクル疲労がどこまで進行しているのか、あるいは、前回の五十八個についても、粒界に亜鉛混入はもうないのかとか、その後どこまで粒界割れが進んでいるのかとか、こういうことはやはりこの際徹底して調べるべきじゃないかというふうに私は思うんですが、これは、安全委員長なりエネ庁の方の取り組みとしては、どうですか。
  107. 稲川泰弘

    稲川政府委員 通産省としては、他のプラントにつきましても、今回のトラブルを踏まえまして、安全性確認のために当面の措置をとりました。すべての電気事業者に対して、監視強化等の必要な措置をとるということで、具体的には、運転中のプラントについて各種パラメーター監視を行い、また、パトロールによる点検等について細心の注意を払うことを指示してございますし、また、格納容器点検時において該当部の漏えいがないことの確認を徹底することとしておりますが、現在まで、運転中のものについて異常値はありません。  またさらに、同型のプラントを有する事業者につきましては、中央制御室で監視可能な再生熱交換器監視用のカメラを設置いたし、もしくは近日中に設置を完了することとなってございます。また、定期検査中の同型のプラント四基につきましても、熱交換器の配管について超音波検査等を実施して健全性を確認するよう指示したところでございまして、すべてのプラントについて異常がなかった旨の報告を受けております。  こうした状況のもとでございますので、今後徹底した原因究明を行った上で、今後さらなる措置が必要であらば検討をするという考えでございます。
  108. 吉井英勝

    ○吉井委員 今回の事故について、七月十二日の午前六時〇五分に火災報知器発報となっているわけですが、実はそのときに、ビーチマークなどからする可能性としては、一挙に破裂が進んでどっと出た、水漏れが起こったという可能性ももちろんわかるわけですが、ただ、ピンホール状から二時間、三時間かけてそれが急速に進行して破裂に至ったのか。この辺がどうなんだろうかということで、実は、数時間前からの格納容器ガスモニターのデータをいただきまして見てみて、感じとしては、どうも午前三時ごろから、三時間前ぐらいから少し値が大きくなっていっているんですね。これはレンジを切りかえればもっと鮮明に出るんですが、レンジを切りかえないままのデータですから、簡単にそれが決めつけられるものじゃありませんが、そういう点では、なぜ早期に漏えい可能性を見つけることができなかったのか。  それは、この格納容器ガスモニターについても、必要な場合にはレンジを切りかえて感度をよくすることとか、あるいはその他の手法を含めることと、それから、モニターテレビなどによる幾つかの監視の仕組みを組み合わせることによってもっと早期に見つけて、そして運転停止の操作までに十九分要しておりますが、完全停止までは四十三分ですが、やはり急速に非常に大きな漏えい事故になった場合はもっと早く対応しなきゃいけないわけですから、私は、そういう点では、これはもっと体制の面でもそして停止判断のマニュアルの面でも改善が必要ではないか、このことをエネ庁の方に伺っておきたい。  もう一つ、大臣、緊急時のこの二つの重要な安全系のトラブルが実は同じ原電でありました。これは東海の二号機で定期点検中に見つかったのですが、制御棒が挿入できなくなる制御棒ガイドローラーの破損と、いざというときにECCSが働かないと意味ないわけですが、そのECCSの水が出るためにはゲートバルブがあかなきゃいけないのですが、そのゲートバルブの弁棒が折損しておったということがことしの定期点検で見つかりました。  つまり、安全系にかかわる重要な二つのものが同時に定期点検で故障が見つかった。今回の一次冷却系の、これは五十一トンといってもまだ規模が小さくてよかったわけですが、もっと主配管で大規模な破断が起こったりしたときに、冷却水喪失はあるわ、しかしECCSは働かない、制御棒もおりないから運転もとめられない、炉心溶融にも至る非常に深刻な問題を抱えた問題が今、たまたまばらばらにあったんだけれども、出てきた。  私は、こういう点では、単なる今回の原電敦賀の問題だけじゃなしに、今そういう深刻な問題が現実に進行しているということについてもっと本当に深刻に受けとめて、これに対して、大臣としても、安全検査の徹底というもの、これはメーカー側もそうだし、それから製造技術者も、だんだんメーカーもリストラで熟練工がいなくなっちゃったりとか、物づくりの分野からも、いろいろな分野で力が今失われていっているときですから、それだけに徹底した安全点検を進められることを、特に大臣のお考えというものを伺って、それで時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
  109. 佐々木宜彦

    佐々木説明員 今回、兆候があったかなかったかという点につきましては、各種のパラメーターはいわゆる前兆ということは確認されませんでした。  ただ、運転の手順についても、これをもう少し考える必要があるのではないかという御指摘については、これは、原子炉を安全にとにかく停止をし冷却をするという基本に沿って、今回のいろいろな状況の中で、十分これは慎重にやらないと運転に過大な負担をかけることにもなると思います。慎重に考えたいと思っております。
  110. 有馬朗人

    有馬国務大臣 まず一義的には、担当の庁で、あるいは省できちっと検討していかなきゃならないと思っておりますが、やはり今お話を伺っていて、さまざまな問題があるとすれば、これは徹底的に調べていかなければならないし、安全性確保しなきゃいかぬと思いました。  そしてまた、先ほど斉藤先生にお返事するときに一つ落としたことは、今回の割れ方というのは、大変おもしろい、科学的に検討する、技術的に検討するいい素材だと思うのですね。それで、今御議論になっていて、一・五ミリメートル以上になれば見えるけれども、一・五ミリ以下だったら見えない、こんなことは科学技術をもう一歩進めればできるはずなので、これはやらせていただきたいと思います。
  111. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  112. 北側一雄

    北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会