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吉井委員 私もテクノの優等生と言われた熊本について少し調べてみたんですが、今の熊本の電子応用機械
技術研究所の実態を調べてみますと、八五年四月から九四年度までのデータしか私の
手元にありませんが、受託研究四十四件中、熊本県の二十一件とか国と県の共同で三件、
中小企業事業団五件、科学
技術庁三件、建設業福祉
事業団二件、NTTやオムロン等県外
企業六件などで、ほとんど地場の
企業の受託研究というのはない。受託
調査の面でも、熊本県、九州電力、県内産学官による共同によって行われたものが中心で、ほとんど見当たらないわけですね。それから、
開発技術の移転が四件この間ありましたが、県内の地場大手
企業一件、テクノ進出
企業一件で、県外の大
企業系列が二件。
ですから、地場の
中小企業の
皆さんが本当にここで力をつけてベンチャー
企業として発展していくとか、それで雇用が進むとか、なかなかそういうふうになっていないのが実態だなというのがモデル
地域でも見られる実例だと思います。
そういう点では、実は熊本県の出しているものでも、
中小企業者の共同利用の研究所としての役割を果たしていないという
指摘もしているぐらいです。熊本大学の
地域共同研究センターというのもあそこにありますが、これも八八年五月から九四年度までのデータでいいますと、民間
企業との共同研究は七十七件あるのですが、県外大
企業や団体とのものが五十件、県内進出大
企業とやったのが十五件で、六十五件。県内地場
企業との共同研究は十二件しかない。
ですからやはり、どうすればもっと活用できるようになるのかとか、なぜそこがうまくいかないのかとか、その辺のところの解明がさらに必要なんじゃないかというふうに思うわけです。
それで、この研究所については、目指してきたのは国際的な
技術水準を目指す研究所にしていくということで、IC、メカトロに特化した研究所という性格と、県内地場
企業の
技術の
高度化ということを上げていたわけですが、NECとか三菱電機などの大
企業の方は、出捐金を出さないだけじゃなくて、もともと高水準の研究機能を自前で持っているわけですから、独立採算性の地方の共同利用の中小研究所に委託する必要は全然ない。
それから、地場の
中小企業になると電応研というのは高ねの花になってしまって、他
業種の製造業や中小零細
企業には、メカトロ利用の合理化というのはあり得るわけです、しかし、メカトロそのものの
開発研究の依頼というのは非常に考えがたいという問題を持っていて、結局よく活用しているのはどこかというと、多分さっきおっしゃったのはそこだろうと思うのですが、立石電機ですね。オムロンがたしか三億ぐらい
出資していたと思うのですが、オムロンの取締役をここの研究所の所長に送り込んで、社員も派遣研究員で出ている。ここは、MSI回路の設計からフォトマスクづくりを行って、今のメカトロ機器生産から中規模
集積回路の製造に進出していこうと。
ですから、この進出したかなり大手の
企業には確かにここは役立っているわけですが、なかなか地場の
企業がそこを使って本当に伸びていくというには、
大臣、かなり時間をかけてくどいように申し上げてきましたのも、やはりもともとの期待というのは、
技術集積なり、あるいは大学その他の知的な
集積などを活用して、地場の
中小企業が力をつけて内発的な発展を進めていく。大手
企業は、
企業は国を選びませんから、工業用地を造成し、安ければ行くけれ
ども、人件費も安ければ行くけれ
ども、条件が変わればさっさと出ていく。しかし、地場の
企業というのはやはりそこで頑張ってくれるわけですから、そういう
企業を育ててこそ日本
経済の安定的な発展はあるというところに、本来こういう
産業立地を考えるときには大事な視点があったと私は思うのですが、現実にはなかなかそうはいっていない。
ここのところを踏まえた上で、もう少し、次に地方財政の面も見ておきたいのですが、実は、地方自治体財政がどうなったかといいますと、このテクノポリスをつくるということで道路その他土木費を随分使いましたから、八五年から九五年にかけての間に土木費は一八・二二%から二二・四六%へ急増しているのです。一方それは、教育費が二八%から二二・八九に落ち込んだり、民生費が七・七三から五・九〇に落ち込んだりとか、だから、そちらが圧迫されている。
県の財政を見るとそういうことなんですが、県の借金の方、県債の方、これは八七年の四千二百七十三億円から、八千九百八十一億円、九五年ですが、借金の方は二倍に膨らんじゃった。だから、地場
中小企業、雇用、自治体財政、すべてがうまくいくことを本来期待して始まっていたと思うわけですが、現実はなかなかそうはいっていない。
私は、やはり新しい
法律を考えるというときには、本当はもっと早い時期から出してもらってよく議論できる必要があったと思うのですが、かなりどたばた劇で、一週間前にこの
法律もらって私も大慌てで勉強中なんですが、やはり、今こういう現実を踏まえて、何が必要なのか、何を解決しなければいけないのかという根本を問うというところが大事になってきていると思うのです。
この点だけは、ひとつ
大臣の方にも、今こういう
状況の中で、
政府としてもどこをどう切り込んでいかなきゃいけないというふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺だけ、簡単で結構ですから伺っておきたいと思うのです。