○吉岡
吉典君 時間が来ましたので、これはもう答弁いただく時間がないかもしれませんけれども、私は戦後の
恩給法の運営というか実施の過程でもう
一つ、これも取り消すことのできないものですから、どう考えるかということで念頭に置いていただきたい問題があります。
恩給法では、「死刑又ハ無期若ハ三年ヲ超ユル懲役若ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキ」には資格を喪失するということになっております。ところが、国際軍事裁判で判決を受けた人は国内法による有罪でないから犯罪者とみなさないという理由で
恩給が復活させられているという問題についてであります。
私は戦犯の
遺族といえども
憲法で言う生活の保障は必要なことだと思っております。かつてもそういうことで提起したことがあります。しかし、
恩給法の条文にこういうことがあるのに、国内法による犯罪者と国際裁判による犯罪者は区別して
恩給を
支給するという
措置をとったことは、国際的には理解されがたいことだと私は思います。当時の東京裁判初め国際裁判の判決は
日本を侵略戦争をやったと断定し、そして平和に対する罪、人道に対する罪で罰し、
日本はサンフランシスコ平和条約第十一条でこれを受け入れた。これはもう反論することも何もできない国際的取り決めたという答弁が
国会でも繰り返されている問題であります。
ところが、その受け入れた犯罪は犯罪とみなさないという態度を
日本がとれば、国際的には
日本はあの戦争についての責任を何にも感じない国かという
ようにしか受け取られないと私は思います。
この問題は、後にA級戦犯であった人々を靖国神社に合祀したことが
日本の戦争に対する反省のなさとしていまだに国際的な批判を受けているとともに、我々がそういう
措置をしたことはどう考えるかということを、二十世紀を締めくくり二十一世紀を迎え
ようとする今、考える必要のあることだと私は思っております。考えていただけるかどうかということだけ長官にお伺いして、
質問を終わります。