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1998-03-20 第142回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十年三月二十日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 小澤  潔君       今村 雅弘君    村田 吉隆君       村山 達雄君    小林  守君       松崎 公昭君    中野  清君       西川 知雄君    西村 眞悟君    兼務 若松 謙維君 兼務 西野  陽君    兼務 藤木 洋子君 兼務 吉井 英勝君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瓦   力君  出席政府委員         建設大臣官房長 小野 邦久君         建設省建設経済         局長      五十嵐健之君         建設省都市局長 木下 博夫君         建設省河川局長 尾田 栄章君         建設省道路局長 佐藤 信彦君         建設省住宅局長 小川 忠男君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局企画課長   櫻井 正人君         大蔵省主計局主         計官      勝 栄二郎君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   入江登志男君         農林水産省構造         改善局建設部水         利課長     中澤  明君         資源エネルギー         庁公益事業部電         力技術課長   薦田 康久君         建設大臣官房会         計課長     河崎 広二君         予算委員会専門         員       大西  勉君 分科員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   村山 達雄君     今村 雅弘君   小林  守君     松崎 公昭君   西川 知雄君     中野  清君   西村 眞悟君     河村たかし君 同日  辞任         補欠選任   今村 雅弘君     村山 達雄君   松崎 公昭君     小林  守君   中野  清君     木村 太郎君   河村たかし君     西村 眞悟君 同日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     西川 知雄君 同日  第二分科員西野陽君、第六分科員藤木洋子君、  吉井英勝君及び第七分科員若松謙維君が本分科  兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成十年度一般会計予算  平成十年度特別会計予算  平成十年度政府関係機関予算  (建設省所管)      ――――◇―――――
  2. 小澤潔

    小澤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  平成十年度一般会計予算平成十年度特別会計予算及び平成十年度政府関係機関予算建設省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野清君。
  3. 中野清

    中野(清)分科員 平和・改革の中野清でございます。  今、大店法廃止とその後の対応が大きな社会問題になっておるのは御承知のとおりであります。今国会に建設省は、自治体が大型店出店都市計画で独自に規制できるようにする都市計画法改正案を提出しております。地域用途を定める特別用途地区種類や目的の制限を撤廃し、市町村が自由に用途規制できるように改めようとしております。このことは、建設省地方分権大型店立地適正化に向けて一歩進めたものと私は評価しております。  すなわち、都市計画体系によりまして、特に、用途地域活用特別用途地区弾力的活用により出店可能地域出店禁止地域にふるい分けられております。出店可能地域においては、大型店の新増設が行われる場合に、大規模小売店舗立地法によって、その店舗が周辺の住環境に対して悪影響があるかどうかを、住民などの意見を聞いて、勧告し、是正するシステムになっております。  そこで、お伺いいたします。  まず第一に、十二の用途地域特別用途地区弾力化だけで大型店立地適正化が図られると建設省考えているのか、お伺いします。  第二は、特別用途地区を定められるのは全国土の三・七%を占める市街化区域だけで、このような狭い地域の中で特別用途地区指定して対処するといっても、大型店立地配置適正化はほとんど実効性がないと言わざるを得ませんが、その点どうお考えか、この二点についてお伺いいたします。
  4. 瓦力

    瓦国務大臣 中野先生にお答えいたします。  都市計画法改正案は、特別用途地区多様化を図るということでございまして、今ほど中野先生からも一定の御評価をいただきましたが、地方公共団体判断によりましてよりきめ細やかな規制ができる、かようなことといたしておるわけであります。  大型店立地に関しましても、より一層地域課題に的確に対応できるものと考えておるわけであります。  都市局長からまた、フォローして今答弁をさせたいと思います。
  5. 木下博夫

    木下政府委員 お答えいたします。  基本的なところは今大臣からお答えしましたとおりでございますが、若干補足させていただきますと、今回の都市計画法は、お話ございました、いわば大型店舗の問題もそれなり考えておりますが、全体的に今度の都市計画法は、担当の委員会でまた御議論あろうかと思いますが、大きくは、地方分権の流れの中で公共団体がどういう役割をするか、それから、現在のいわゆる経済あるいは社会状況の中で都市計画法が適切に対応できないのかということの問題意識の中で提案させていただいているところでございます。  お話ございましたように、全国の四分の一の面積が都市計画区域でございますが、調整区域あるいは未線引き白地地域があることも事実でございますし、それらについても先生お話のあったような指摘もある、私ども十分承知しております。  ちなみに申し上げますと、御案内のように、特別用途地区をこれから多様化していくという仕掛けではございます。調整区域について御懸念がございますが、これは言うまでもないことですが、本来、いわば開発行為については抑制していくところでございますから、私どもとしては、そういうところについては別途開発許可のレベルで、しっかりとした、いわばチェックといいますか、精査をしなきゃいけないと思っておりますし、それから、未線引き白地地域については、これは 各公共……(中野(清)分科員「それはまだこれからだよ。ちゃんと今の質問を聞いて答えてくれ」と呼ぶ)そういうことについてこれから議論させていただきたいと思って、今準備をしております。
  6. 中野清

    中野(清)分科員 それじゃ、ついでに今のお話一緒の問題ですからちょっと申し上げますと、今の御答弁ですと、今の内外のいわゆるチェーン、アメリカ日本もそうですけれども、そういう流通資本がいわゆるショッピングセンターとか大型店施設を目指しているのは、今おっしゃったように市街化調整区域白地地域ですよ。ところが、今も言うとおり、開発許可を認めないのが原則だし、白地地域についてもいわゆる土地利用用途規制というものがかかっていないわけですね。そういうことを含んだ中で二番目の質問はしたわけですよ。  それから、本当に特別用途地区弾力化だけでできるのかということについては、もうちょっとはっきりしてください。できるというかどうか、私どもはちょっといろいろの意味で疑問を感じておりますから。
  7. 木下博夫

    木下政府委員 失礼いたしました。  今おっしゃられた弾力化だけでできるかという御質問であれば、私どもは、都市計画法といわゆる大店法あり方については、直ちに同じ視点での取り組みをしているわけではございませんから、弾力化だけではないと思っております。むしろ、大きな、いわば町づくりという視点といいますか、そういうものをベースに置きながら、都市計画法もその一翼を担っていこうと思います。  ただ、従来に比べまして、大臣からお答えしましたように、大変きめ細かい取り扱いを公共団体がいたすということでございますから、従来に比べまして、それぞれ即地的に見ましても各公共団体のお考えが如実にあらわれるという形で、私は今回の都計法を、大いに公共団体でお使いいただける、そういう道具立てを準備させていただくことになろうかと思っております。
  8. 中野清

    中野(清)分科員 私が冒頭に、用途地域の問題と、それからその後の立地法との関係を言ったというのは、今言ったようなことをわかっているから言っているわけですよ。  そうしますと、あなた方の方は、我々は全体の問題だからという解釈、それはいいと思います。当然、都市計画体系というものが、ただ単に大型店だけの問題じゃない、商業だけの問題じゃない、それはわかっています。しかし、現実にこういう問題が起きていて、その中でどうするのだということになったときの弾力化についての問題を、本当に大丈夫かというので、そういう視点で聞いているのですからね。もう一回そこを答えてくださいよ。
  9. 木下博夫

    木下政府委員 冒頭先生の御発言の中にございましたように、いわば出店可能な地域出店規制区域という明らかな峻別というのは、今回の弾力化の中ではなかなかできないわけでございます。  といいますのは、これについては、規模の問題とか、それから、先ほど申し上げましたように、よりそれをクリアにしていくという意味では、私は、今申し上げましたようにそれなりの効果があろうかと思いますが、絶対的禁止という形ではまだできないと思っております。それは、ある程度、やはり土地利用というのは一定の幅の中で精査するのであろうかと考えております。
  10. 中野清

    中野(清)分科員 それでは、そのことについては後ほどまた議論したいと思います。  都市計画審議会基本政策部会で、「今後の都市政策あり方について中間取りまとめ」を発表いたしました。特に、都市政策ビジョン市街地土地利用制度あり方について、具体的な課題として検討方向を取り上げておるのは御承知のとおりです。  その中で、用途地域等による用途規制について次のように述べています。用途地域種類用途規制について、「近年における市街地状況の変化を踏まえ、平成四年に種類詳細化等見直しが行われ、都市計画もこの改正による新しい用途地域への切替え指定が完了したばかりであり、現時点においては、制度のさらなる見直し緊急性はない。」と言っております。  この中間取りまとめをもとに、多分、今回の都市計画法改正において特別用途地区についてはいろいろと改正された提案がされる、しかし、ベースともいうべき用途地域等による用途規制については何らの対応も立てられていない、これが実情です。本当に私は残念だと思うのです。  第一に、平成四年、前回の都市計画改正で、用途地域については、住居系については三地区ふえましたですね、それで十二種類になった。それはわかっております。現時点において商業系とか工業系については、前の改正のとき何らの改正もしていないのですよ。それじゃ、制度のさらなる見直し緊急性がないという理由をお伺いしたい。  それから、その意味で、大店法廃止という新しい事態が発生したのですからね。これに対応して都市計画法改正するというか、見直すということは、今言った特別用途地区だけでいいのだろうかという問題意識がなくてはおかしいのです。緊急を要することでないのではないか――私はあると思っています。それじゃ建設省は、大店法廃止という事態をどういう緊急性を持つと見ているのか。建設省、これは通産省の問題だと言うのなら、それでも結構ですから、ちゃんと答えてください。
  11. 木下博夫

    木下政府委員 先般の都市計画法で、先生お話ございましたように、用途地域が十二にふえたということで、一応それは御評価いただいているわけです。言うまでもないことでございますが、それは主としてそれぞれの土地利用の純化を図っていきたい、とりわけ住宅系について私ども精査しております。  お話のありました商業系工業系については、同じような路線は別といたしまして、さらに何らかの詳細化は必要じゃないか、それは大変貴重な御指摘でございますから、我々もそのあたりについては常に点検を怠りなくやってまいりたいと思います。  今日的に大型店舗法廃止をしていく、これは国際的ないろいろな御議論もあったということは、先般の予算委員会一般質疑でも先生質問をされておりますが、私どもも、そういう中で都市計画というものをどうするかと考えております。私は、今回の改正の中では、今お話ししておりますように、用途地域は、原則的にはそれぞれ公共団体作業状況を見まして、一応は安定している状態になってまいっておりますから、その上にかなり各地方の個性あるいは特殊性というのを出す意味で、特別用途制度それなりに私ども活用できるのではなかろうかと思っております。  これで万全かどうかというのはこれからの各公共団体色塗りの仕方にも関係してくると私は思いますが、先ほどから何度も申し上げておりますように、恐らく従来に比べて相当きめ細かい方策がこれでとられると思っておりますので、ぜひこのあたりのこれからの動きを見守っていただければと思っております。
  12. 中野清

    中野(清)分科員 今、局長お話でございますけれども、これは私が皆さんに申し上げるのは釈迦に説法だと思いますけれども工業系住居系商業地域用途地域指定というのは、市町村に任されていますね。それで、用途地域ごと建築制限といいますか、その話がこれから出るわけですよ。  建築基準法によって全国一律に定められていますね、十二の中で商業系はどうだとか全部出ている。しかも、特に大型建築物である商業施設に関しては、これは商業地域近隣商業地域以外の工業系とか住居系の、例えば第二種住居ですか、これは無制限でしょう。それから、その前に第一種住居ですか、あれは三千ですか。それからまた工業も、工業まではほとんど無制限だと、つまり、建築可能になっているのですよ。全部できているという現状の中で、ですから、このことが都市に おける商業開発あり方中心市街地開発と密接な関係があって、ベースとなる用途地域がこのままで――今あなたの方は、安定している、そういう一定の御評価だと、だから必要ないというふうに考えておりますけれども、これについて、私は問題があるのだろう。  問題といいますか、もっと――大臣、何回も申し上げますけれども、一生懸命やってきた、それでいい方向へ向かってきたのですよ。ここでもって大店法という法律がなくなっちゃって、大変な時期なんです。だから、せっかくやるんだったらちゃんとやってもらいたいという願いでもってお願いしているわけですから、ちょっと誤解しないでもらいたいと思うのです。  そういう意味で、それでは、本格的な建築基準法用途制限改正の必要があるかどうか。それからもう一つ、つけ加えて言えば、方法二つしかないわけでしょう。今言った、建築基準法用途制限で、その十二の中のもの、別表の中の見直しというのが一つですね。それからもう一つは、いわゆる用途地域詳細化というのですか、十二のものを外国みたいに三十、四十にもするというような方法二つしかないわけでしょう。それは幾ら言ったって、都市計画手法ですからそんなにいっぱいあるわけないですよ。それをどっちをやるんだという話がます一つ。  それから、今の解釈で、地方自治体の姿を見てからじゃ遅いのですよ、はっきり言って。そのときはまたおかしくなってしまう。そういう意味で、どういうふうにお考えかをお伺いしたいと思うのです。
  13. 木下博夫

    木下政府委員 都市計画制度につきましてそれなりに御評価いただいた上の御質問だと思っておりますので、私もそういう意味では御答弁十分意を尽くしたいと思っております。  お話ございましたように、建築基準法別表をさらに弾力化といいますか、工夫をするという手も私は一つの御提案だということは十分よくわかります。私自身の方でもそういう検討をしていないわけではございません。  ただ、先ほど私が安定的と申し上げましたのは、平成四年中から作業をやりまして、昨年度あたりまでにようやく各地域色塗りをしておりますので、それをもう一度、例えば十二を、先生提案になったもう一つ手法としてさらに数をふやすか、あるいは基準を変えるかということを今やりますと、地方それなりに混乱するのではなかろうかと思っております。状況が厳しいという問題と現場で公共団体がどう対応するかというのとは、分けて私は考えております。  しかしながら、くどいわけでありますけれども先生おっしゃったように手法としては二つに大別はされるということは私も認めたいと思っておりますが、どちらの手法ということの前に、今回は特別用途というものをできるだけ使わせていただきたいと思っております。  なお、各用途についてのいわば詳細化とか細分化とか、あるいはそれについての弾力化ということも手法として検討してまいりたいと思っておりますし、くどいようでありますが、これからの中で、先般の改正はかなり、第二種の住居専用地域とかあるいは住居地域については相当従来に比べまして規制を厳しくするといいますか、立地についてより厳格にしてきたというところの改正内容も御評価いただければ幸いだと思っております。
  14. 中野清

    中野(清)分科員 これはもう議論してもしようがありませんから、要望といいましょうか、もうちょっと、せっかくやるのだからということでお願いをしたいと思います。  大臣にお伺いしたいのですけれども、今、通産省というのがはっきり言って商業に対して――前の亀井大臣にも申し上げたのですけれども亀井大臣瓦大臣になって商業に対しての御理解がこういうふうにだんだん出てきたと評価しておりますが、しかし、今まで大店法をぐっとやってきた、これは大臣承知のとおり、何回も国際的な問題だったのですから。そういう中でやっていきますと、欧米グローバルスタンダードとしての都市計画ゾーニング規制というあり方を、今言った話も含めて真剣に考えてもらわなければならない時期なのですよ。現実問題として、WTOを適用するんだとか、アメリカの要求があるんだとか、そういうものについての御認識が、はっきり言って、私はきょうの御答弁を伺っていても、残念ながらこれについてはもう一歩だろうということを言わざるを得ないと思うのですよ。  やはりそういう意味で、都市計画あり方、そういうものについて、グローバルスタンダードという中で、日本日本だというだけでは通らなかった、通らない。そういう中で規制緩和が行われているわけでございますが、建設省としてその点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  15. 瓦力

    瓦国務大臣 先生大変商業活動につきまして御理解の深い方でございまして、いろいろ今歴史的経過につきましてもお述べをいただいたわけであります。  このたびの法改正の、建設省の立場と言ってはいささか問題がありますが、欧米諸国の例を見ましても、地域実情に的確に対応したいわゆる良好な町づくりをしていくというところに視点を当てまして考えますと、きめ細かな用途規制を行うことが必要でございまして、その点を主体考えていくことが大切ではないか。そういった方向に沿ってこの改正が行われたわけでありますから、地方公共団体がみずからのいわゆる主体的判断で柔軟にこの制度運用を行うことができるという点は、町づくりとまた商店街あり方という両面をとりながら考えていく場合に、いわゆる町づくりという観点から申し上げますと、大変柔軟にこの制度運用考えていただけるという道が開かれた、この点は先生評価をいただいたわけでありますので、その趣旨を広めていただければありがたい、こう思っているわけであります。
  16. 中野清

    中野(清)分科員 大臣、私は今大臣がおっしゃった町づくり、そういう意味日本都市に与えられた課題というのは、これから新しい都市をどのようにつくるか、そういう問題じゃなくて、現実に今ある、混沌としましょうか、混乱といいましょうか、そういう都市を新しい町づくりビジョンに従っていかにつくるか、そういう視点が重要だと思っているのですよ。だから、そういう意味で、大臣お話というのはわかりますけれども、そうしますと、先ほど特別用途地区の話も、局長お話を聞いて私が何回か弾力的運用について反発を申し上げましたけれども、やはりマスタープランとの関係というのが切っても切れない関係にあるような気がするのです。  なぜかといいますと、たとえマスタープランがなくても特別用途地区は決められるのですよ。しかし、グランドデザインというか、町の意思というか、そういうものがなくて特別用途地区を決めるということは、羅針盤がない、全体像を見ないで決めるということは、現実としてこれはなかなか難しい。それはいろいろ振興計画があるんだとおっしゃいますけれども、具体的な町づくりとしては問題がある。そうすると、先ほどから何回も言っている商業の問題については、利害が相ふくそうしている中でこの立地適正化ということをやれば、これは初めに戻るわけですけれども、今の、簡単にできるかという問題が実はあるわけです。  そうすると、マスタープランとの関係をどうするかということ、それから、実際にマスタープランというものの位置づけがやはりどうも今度、今までもそうですけれども、どちらかというとこれは法的拘束力がないとかということで、位置づけが明確でない。それからもう一つは、全国二百三十一しか策定されていない。この現実をどうお考えか、お伺いをしたい。  それから、今の、マスタープランといわゆる特別用途地区、この関係なくしてこの特別用途地区というのは本当に弾力的に運用できるか。この点についても改めてお伺いしたいと思います。
  17. 木下博夫

    木下政府委員 お答えいたします。  お話ございましたように、平成四年に都市計画 法を改正いたしましてマスタープランを入れたわけでございます。確かにまだ時間的に数年でございまして、最近はかなり年間を通じましても策定市町村がふえておりますが、二百三十一と先生おっしゃられた数字でございます。  私は基本的に、先生おっしゃられたように、いわゆる方向づけといいますか、町のあり方、これをます決めた上で、それを踏まえて特別用途に話が行くべきだろうというその筋論は、まさにそのとおりだと思います。  ただ、一方では、逆に大変急いでいるという先ほど来御指摘もあったとおりでございまして、私は、そういう意味では各公共団体に対してこのマスタープランを積極的に策定するようにこれからも進めていきたいと思っておりますし、あわせて、先生おっしゃったように、確かに法的な問題については当時いろいろ議論があった上だと思いますけれども、全体の都市計画の中でまだマスタープラン位置づけがいささか弱いという御感想は、私も同じようなものを持っております。  今後、そういう意味では、町のあり方についてきちっとした方向づけの中で、用途地域も含めてでございますが、特別用途も決めていくという方向については全くそのとおりでございますが、時間等の関係で、とりあえず必要なところはマスタープランのない市町村にも私は特別用途を決めていくという方向はとらせていきたいと考えております。
  18. 中野清

    中野(清)分科員 今のことを期待してぜひ頑張っていただきたいと思うのです。後ほど、道路のことがございますがこれは最後にいたしまして、それと一緒に、この問題については、町づくり条例というのがあります。これはマスタープランとの関係があるわけですけれども、その中に、この建設省の答申では、町づくり条例による規制、誘導について、都市計画法において特別用途地区地区計画により地域実情に応じた個性的、主体的な町づくりが実現できるよう枠組みを用意しているというふうに一応言っておるのです。多分建設省、同じお考えと思うのですよ。  ところが、さっきから何回も言っていますけれども、この非常に難しい大型店立地適正化という問題のテーマを考えるときに、マスタープランの問題を私申し上げました、それからいろいろなほかの問題も申し上げました。そうすると、むしろ今用意しているということで今の制度でいいんだというお考えについて、先ほど来私は疑問を持っているのですけれども、その一つの補完的な問題としては、用意しているというのじゃなくて市町村の意思でいいと思うのです。例えば、町づくり条例ですか、それによって、いわゆる規制とか誘導とかというものを法的なものでカバーすることも、これはだめだというのではなくて、全部やれと言っていないですよ、だけれどもそれは住民の意思に任せた方がいいんじゃないか、その点についてはどうかをお伺いいたしたいと思います。
  19. 木下博夫

    木下政府委員 条例のいわば役割なり機能というのは、私は慎重にお答えしなければいけないかと思いますが、都市計画は、御案内のとおり、もともと権利制限も大変厳しいものを持ち合わせている法律でございますので、そういう意味では、地元の声をできるだけくみ上げるという意味で、町づくり条例一つの具体的な動きであろうかと思います。  それはそれなり評価してまいりたいと思っておりますが、先ほどお話のあったマスタープランも含めて、そのあたりのいろんな道具立てを私ども相当これからも整理をして取り組みの中に入れていくという方向の中で、さらに検討を進めさせていただきたいと思っております。
  20. 中野清

    中野(清)分科員 この問題については、これは大臣、これから都市計画法改正、そしてまた立地法の問題、それからまた中心市街地の問題がございますので、そこでまた今以上の討論をさせていただきたいと思います。  しかし、一つだけ最後に申し上げますと、例えば中心市街地建設省一生懸命やっております。しかし、この大型店の郊外立地を安直に認めた場合に、幾ら一生懸命やっても中心市街地の活性化はできない、そういうこともあります。どうかその点を御配慮願った上で、この問題についてのことを取り組みをしていただきたい。せっかくよい方へ向かったのですから、もうちょっと次の段階に進めていただきたい。お願いをしながら、この質問は終わります。  そして、あと残り時間で、交通問題についてお伺いをしたいと思うのです。  この間、建設省の発表と思いますけれども、我が国の交通渋滞というのは大きな問題であって、その時間損失は年間で一人当たり約四十二時間だ、金額に換算すると全体で十二兆円に及ぶと言われております。  そのため、東京圏の対策として、東京圏では、中央環状、外郭環状道路、圏央道の三環状のネットワークの整備が強く求められておりますが、この三環状の整備の現状というものは一七%と、いわゆる放射道路というのですか、回るのにクロスするもの、これの九〇%に比べますと大きく立ちおくれているわけですね。国際的にも、例えばパリは八八だとかベルリンは九七とか、ロンドンは大体一〇〇%できているとかに比べますと、この三環状の整備の現状というのが非常に低い水準にあるということを、我々は今再認識しなければいけない時期じゃないかと思っています。  例えば中央環状、外郭環状道路のネットワークが整備された場合に、都心環状線等の交通量の減少によって走行速度が向上するとともに、路線選択が可能となって走行時間が短くなると言われております。例えば大宮と羽田間の現状を見ますと、今、百二十五分、約二時間ちょっとかかっている。それが、中央環状それから外環が完成して連結をした後では、三十九分になると言われております。  ですから、そういう意味で私は、三大環状線のネットワークの連結整備の重要性を強く感じるものですが、残念ながら全体としての、これは今いろいろな議論がありますけれども、ネットワークとして連結させる建設省の建設整備方針といいましょうか、そういうものがよくわからないというところがいっぱいあるのですよ。そういう点については残念だと思いますし、ある意味では問題が先送りになってしまっているのじゃないかと思っています。  そういう意味で、今回、関越道の練馬から都心への十号線の連結というのがございます。それから、外環状道路で練馬から中央道、東名への連結については、関係する地域の住民にとっても、これは早くわかってもらいたい、明確な方針を示してもらいたいという要求がございますので、これを御説明願いたい。  それから、東京圏というのがこの三環状だけで十分に機能するのかどうか、私は疑問に思っておるのですよ。そういう意味で、埼玉の場合には核都市連絡道路と言っておりますが、この必要性、緊急性というのをよく皆さんが言われております。特に、埼玉新都心、官庁も来ますけれども、これとのアクセスを含めまして大事な道路だと思うのですけれども、何ら進捗しておりません。この今後の見通しについてお伺いしたい。  あわせて、圏央道についても、鶴ケ島-茨城県境間、青梅-中央道間の進捗状況と今後の見通しについてもお伺いをしたいと思います。  時間がございませんから、最後に大臣に、これはやはりやる気、意志がないところには道はない。ですから、具体的構想がないところに進展はない。財政逼迫のときですが、せめて整備方針、計画を明確にして、都市計画決定を早目にして用地を確保して、首都圏の環状道路の整備について、しっかりやるという決意をお示し願いたいと思います。
  21. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 時間もありませんので、各路線、ポイントだけ説明させていただきます。  十号線につきましては、首都圏整備計画とか、それから東京都の二次長期計画で位置づけはされているところでございますが、まだ実施段階に 移っておりません。現行では、平成六年に地域高規格道路の候補路線として指定され、その後土地利用、周辺道路網の整備状況を勘案しながら進めておるところでございまして、これも、今後の調整を図りながら調査を進めていきたいと思っております。  それから、外環のお話が出ましたが、これにつきましても、実は、東京都を中心といたしまして、外郭環状線の町づくりの連絡会といったものを、関係市、区、国も入りまして図っております。そういったことで、これも進めていきたいというふうに思っております。  それから、核都市広域幹線道路、これは昨年も御質問いただいておりますが、これにつきましても、現在、交通量の推計とか整備の必要性の調査、整備手法等の検討を実施しておりますので、促進していきたいというふうに考えております。  それから、圏央道でございますが、これも、現在供用している区間、既にあるわけでございますが、それから東京都の方に向かう区間、この間については現在工事も展開しております。さらに、茨城県境に向けても調査とか路線測量を進めているところでございます。  そういったことで、三環状にわたる路線につきましても、順次整備が進むよう努力しているところでございますのでよろしくお願いいたします。
  22. 中野清

    中野(清)分科員 終わります。
  23. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて中野清君の質疑は終了いたしました。  次に、若松謙維君
  24. 若松謙維

    若松分科員 平和・改革の若松謙維です。  建設大臣、お疲れのところひとつよろしくお願いいたします。早速質問に入らせていただきたいと思いますけれども、三十分の中で十問用意しておりまして、答弁の方、ひとつ手際よくよろしくお願いします。  ます、道路整備のあり方についてお伺いしたいのですけれども、御存じの財政構造改革法では公共事業が七%カットされました。そういうことで、今後の道路整備事業は大変財政的にも厳しい状況になるわけです。ですからこそ、これからの道路整備事業は、まさにマスコミから批判を受けてきたような安易な道路づくりというのは当然難しくなると思います。  そういうことで、ます大臣にお伺いしたいのですけれども、今後の道路整備につきまして、優先されるべき道路というのはどういう道路かお考えをいただきたいと思います。
  25. 瓦力

    瓦国務大臣 若松先生にお答えをいたしますが、大変厳しい財政状況の中でございますが、新たな道路五計が策定されまして、いよいよ道路政策を継続的かつ重点的に推進してまいらなければならぬ、こう存じておるところでございます。  今、先生の御質問でございますが、それでは何を柱としていくのか、こういうことでございますが、四本の柱をます立てなければならぬと思っております。一つは、都市圏の渋滞対策、これは今先生お触れになったところでございます。さらに、沿道環境の整備をして生活環境の確保も図っていかなければならぬ。加えて、阪神・淡路に見るごとく防災、震災対策ということを十分に考えて取り組んでまいらなければならぬ。さらに、高規格幹線道路の整備などは、新たな経済構造実現に向けた大切なことでございますので取り組んでいかなければなるまい。こう考えておるわけでありまして、今後とも効率的、効果的に事業を実施するという観点から重点的な整備を進めてまいりたい。  殊に東京を中心として環状線が九放射も整備されつつありますけれども、どうしてもこれは地域の方々の協力を得なければならぬ、政治的にも御協力をいただかなければならぬ。これは執行の建設省ばかり責めておりましてもなかなか、従来は土地問題とかネックが多すぎたわけでありますが、強力に進めて首都圏の対応をつくり上げていかなければならぬ大事な時代だ、こう思っておるところであります。
  26. 若松謙維

    若松分科員 つきましては、ちょうど先ほど中野委員もお話がございました。私は彼の選挙区の隣に位置しておりまして、当然関係性が出てくると思います。特に、先ほどの高規格道路ということで、上尾道路がちょうど私の選挙区を通るわけですけれども、これが出てきた背景といたしまして、国道十七号線が非常に慢性的な交通渋滞を起こしているということで、これを何とか緩和していただきたい、これが地元住民の声でございます。  そういう埼玉県中央地域の県南幹線道路として、さらに今の群馬県内の上武道路につながる広域幹線道路としての機能もさらに期待しておりまして、延長約二十キロ余りの道路でございますけれども、ちょっとこれについて集中的に質問させていただきます。  この上尾道路の早期完成が沿線住民から望まれている理由といたしまして、三点ございまして、ます一点目が国道十七号線の漫性的渋滞の緩和、二番目が移動時間の大幅短縮、三番目が物流の活発化や地域の活性化、これらが挙げられるわけです。  特に渋滞が大変ひどい。ほかの地域もありますけれども、車に乗っていてよくラジオから流れてくるのが愛宕とか坂田交差点、そういうところがかなり込んでおります。私も、調子いいと車で一時間ぐらいで国会に来れるのですけれども、ひどいときには三時間を超える、こういう状況もあります。  この上尾道路は、高規格幹線道路として最優先の整備を図るもう一方の圏央道と桶川市川田谷付近で接続するわけです。先ほど中野委員も触れましたが圏央道が完成しても、上尾道路が完成しませんと断ち切れ状況になりまして圏央道の価値も半減してしまうということですので、早急な上尾道路の完成というものが首都圏の戦略的な意味で大変重要な課題考えております。  この上尾道路の優先度というものをどのようにお考えなのか、また上尾道路建設の効果というものをどういうふうに見積もっていらっしゃるのか、それを建設省にお伺いします。
  27. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 上尾道路でございますが、先生お話ございましたように、これは首都圏の放射状道路の中の大幹線でございます。  私も大宮国道に勤務いたしまして、十七号の管理をやったことがございます。そういったことで、よく存じ上げているつもりでございます。この十七号線でございますが、先生おっしゃられるとおり、渋滞の問題それから物流の問題それから交通の円滑化の問題それから地域のいろいろな生活環境を保っていくといった観点から非常に大事な道路でございます。  そういったことで、都心へのアクセス強化になることも踏まえまして、二十キロの道路でございますが、そういうような生活的な意味それから沿道開発的な意味考えまして、一般道路部と専用部、これは渋滞を起こさないで移動時間を早くさせるといったことで複断面の構造計画になっております。そういった意味でも、非常に重要な路線というふうに考えているところでございます。そういったことで計画等を進めているところでございます。  それで、この効果といたしましては、今の目的が即また効果になるわけでございますが、一般国道の十七号の大宮市から鴻巣間の慢性的な渋滞の緩和、さらに物流といった面でも、生活環境の面からも、いろいろな面で地域の期待におこたえできるのではないかといったふうに考えているところでございます。
  28. 若松謙維

    若松分科員 昨年の分科会でも私は国道課長から御説明いただいたわけですけれども、上尾道路の南半分の部分、ここについて用地買収に入りたい、そういう御答弁がありましたけれども、その後の進捗状況お聞かせいただきたいのと、あわせて予算的な推移もお伺いしたいと思います。平成七年、八年、九年度、この実績についてお教えいただきたいと思います。
  29. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 上尾道路のうち圏央道と接続します十一キロの区間、大宮市の宮前町から 桶川市の川田谷区間について事業を促進しております。起点から桶川市の県道川越栗橋線までの区間、八・九キロございますが、ここについては路線測量、地質調査、設計を実施してきたところでございます。八年度末に用地測量に立ち入りの説明会を行いまして、平成九年度、ことしてございますが、ただいまお話ありましたように用地測量に入り、さらに一部区間用地買収に着手しております。また、川越栗橋線から圏央道の桶川ジャンクションまでの区間、二・一キロでございますが、これにつきましても関係機関といろいろ協議をしておりまして、今年度から路線測量に入る予定でございます。そういったことで、事業を一層推進、促進させていきたいというふうに思っております。  それから、予算の方でございますが、平成七年度には事業費五億円でございましたが、八年度から用地測量も始まりまして十億五千万円程度でございます。それから、平成九年度は予算の方は五億円でございますが、それに用地先行取得資金、これを二十億計上しております。したがいまして、二十五億の予算といったことで、前年度の二・五倍といった形になるかと思います。この二十億の用地先行取得資金を用いまして、先ほどの区間について用地買収に着手を始めたといった状況でございます。
  30. 若松謙維

    若松分科員 現在、事業化されていますのが、先ほど御説明いただきました起点の大宮市宮前町から桶川市川田谷の圏央道との接点の約十一キロ、南半分です。それで、先ほど二・一キロというお話がございました。これがいわゆるこれから路線測量が始まるということですね。  そうしますと、今度は桶川以北の残りの北半分なのですけれども、これをぜひ早期事業化したい、特に高齢者の方が存命中に何とか具体化したいという地元の要請がかなりありまして、南よりもやはり北の方が土地があいているということで、何でやりやすいところをやってくれないのだという声がかなり強いわけです。そういうことで、北部の地権者がこういう用地買収に積極的な姿勢を見せておりますので、ぜひ建設省としても柔軟な対応をしていただければなと思うのです。そうしますと、御存じの、既に完成済みの熊谷バイパスヘのアクセスも期待できますし、ましてや利用度も高くなると考えるのですけれども、その北半分の早期事業化、これについての建設省の見解をお尋ねします。‘
  31. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 現在事業をしておる区間から熊谷バイパスの起点に至る区間の九キロ、この区間のことでございますが、もともと熊谷バイパスそれから新大宮バイパスと、二次改築事業が進んできているわけでございます。上尾バイパスが一番最後になったということもあります。そういったことで、上尾バイパス、南の方から今始めているところでございますが、その中でのやはり最後の区間になってくるところかと思います。この区間につきましても、現道についてはやはり交通混雑、なかなか厳しい面もございます。そういったことで、現在事業中の区間の整備状況、そこら辺を見ながら早期に事業化について検討していきたいというふうに考えております。
  32. 若松謙維

    若松分科員 ぜひこの地元の、特に高齢者の方々の意見も配慮して、平成十年度等の予算の箇所づけ等に御尽力をいただきたいと思います。  いずれにいたしましても、この上尾道路ですけれども都市計画決定以来もう既に十年たっておりまして、この上尾道路の重要性はますます増加しているわけです。これは横路元北海道知事ですか、もはや北海道に横道は要らない、かなり昔のしゃれですけれども、くれぐれも予算の重点的かつ効果的配分、先ほど首都圏の渋滞緩和ということで東京環状線の話もございましたし、生活、防災、高規格というところでもこの上尾道路はかなり重要性は高いのではないかと認識しているわけです。  最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、この上尾道路の早期完成につきまして前向きな御答弁をいただきたいと思います。
  33. 瓦力

    瓦国務大臣 上尾道路は、埼玉県の広域的な幹線道路網の骨格をなすものである、また、都市圏の渋滞対策や沿道環境の整備に資する重要な道路である、かように認識をいたしておりまして、先生の強い御要請も承っておるわけであります。  いずれにいたしましても、地元の本当の協力というものがなければ道路の険路が抜けないわけでありますので、予算もさることながら、地域と一体になってこの道路整備を進めさせていただきたい、効率あるものにして仕事をさせていただきたいと思っておりまして、早期供用が図れるよう努力をしたいと思います。また問題点がありましたら、どうぞ御遠慮なしにお越しいただいて、お話を聞かせていただきたいと思っております。
  34. 若松謙維

    若松分科員 ありがとうございます。ぜひ前向きに、私どももちょくちょくお邪魔させていただいて、地元の声等を大臣にお伝えさせていただきたいと思っております。  最近、この国道十七号線の近辺なのですけれども、この十七号線は市街地の中を通っていますので、大気汚染というのが非常に懸念されております。そこで、環境庁にお尋ねしたいのですけれども、国道十七号線の大宮から吹上町までの大気汚染の状況、これをデータとしてあればお示しいただきたいと思います。
  35. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 大気汚染の測定につきましては、一般環境の測定局と自動車排出ガスの測定局があるわけでございます。  ただいま国道十七号線沿いの大気環境いかんということでございますけれども、まず、十七号線沿いの一般環境の測定局につきましては、鴻巣あるいは大宮市の宮原で観測をしておるところでございますが、私ども、大気環境を測定する場合に日平均値の九八%値というものを用いておるわけでございますけれども平成八年度の二酸化窒素の数値を申し上げますと、鴻巣の場合〇・〇四四ppmでございますが、大宮市の宮原におきましては〇・〇六三ppmということでございます。二酸化窒素の環境基準は、日平均値九八%値で〇・〇六ppm以下と定められておりますので、鴻巣市は環境基準を達成しておりますけれども、大宮市の宮原におきましては環境基準を超過しているという現状にございます。  一方、自動車排出ガスの測定局でございますが、これも鴻巣の天神それから大宮市の三橋ということで測定局がございますけれども平成八年度の状況を見ますと、鴻巣の天神で〇・〇六〇ppm、大宮市の三橋で〇・〇六八ppmということでございますので、鴻巣天神の方は環境基準を達成しておりますが、大宮市三橋におきましては残念ながら環境基準を超過しているという状況でございます。
  36. 若松謙維

    若松分科員 今環境庁から御説明がありましたように、この上尾付近ですけれども、非常に平均値を上回るデータが検出されておりまして、やはりこの上尾道路は早急に完成が必要だと建設省も御理解いただけたと思います。  そこで、環境問題でもう一点伺いたいのですけれども、最近、埼玉県で県内の大気中のダイオキシン濃度の測定を行ったところ、上尾市が平均で〇・八八ピコグラム、これは環境庁の大気環境指針値を上回る数値が検出されております。ダイオキシンは、車の排出ガスとの関係がまだ不明ということでありますけれども、やはり欧米等の先進国を見ますと、このくらいの数字を出すともう住民の暴動が起きるというぐらいの数字ではないかと思っております。  特に埼玉県の場合には、ダイオキシン問題の全国的な震源地になったところでもありまして、その中で上尾市が一番高いということは、私としても本当に真剣に取り組まなくてはいけない、そういう思いでかつ地域住民の方も非常に心配な日々を過ごされていると思います。  ですから、国としてもこの事実を見過ごすことなく、県とか市に積極的な支援を要請する次第でございます。その点につきまして、環境庁の考えをいただきたいと思います。
  37. 櫻井正人

    ○櫻井説明員 ただいま先生指摘のデータは、 先般埼玉県が発表いたしました平成九年度の埼玉県のダイオキシン類の大気環境調査結果におきまして、県内六地点の測定結果の中で、上尾市におきましてはダイオキシン類の大気環境濃度の年平均値が〇・八八ピコグラムTEQパー立米、ピコグラムと申しますのは、一兆分の一という大変小さな数字でございますけれども、そういうデータでございます。  このデータの評価でございますが、環境庁におきましては、ダイオキシン類の健康リスク評価指針値に照らしまして、大気汚染防止法上の施策の実施の指針となりますダイオキシン類の大気環境濃度といたしまして、年平均値〇・八ピコグラムTEQパー立米という指針値を設定しております。この指針値につきましては、将来にわたって人の健康に係る被害が未然に防止されますように、一生涯という長期にわたる暴露を想定して設定されたものでございまして、この指針を超えている場合がありましても、直ちにそれが人の健康に影響を及ぼすとは必ずしも言えないということを留意しなければいけないと思います。  ただいま先生指摘のように、上尾市における調査結果からこの指針値を上回る結果が得られたということでございますので、地元の地方公共団体とも十分連携を図りながら、引き続き大気環境のモニタリングの実施によります汚染状況の把握に十分努めてまいりたいと思っております。  また、発生源対策といたしましては、ダイオキシン類の主な発生源、約九割の発生源が廃棄物の焼却炉というふうに考えられておりますので、健康被害の未然防止の観点から、昨年十二月に、廃棄物焼却炉等につきまして、大気汚染防止法の指定物質に指定をいたしまして、規制的措置をスタートさせておるところでございますので、この措置に基づきます排出抑制対策が的確に実施されますよう努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  38. 若松謙維

    若松分科員 地元の方が大変今心配しておりますので、ぜひ真剣な対応をよろしくお願いいたします。  もう一度このダイオキシン対策についてお伺いしますけれども欧米に比べまして日本の大気中のダイオキシン濃度は約十倍ぐらい高いというデータがございます。その原因を探ったときに、先ほど環境庁から御説明がありましたけれども、やはり焼却施設、特に規模、この違いが明確なわけです。数字を申し上げますと、日本の焼却施設の数は千八百五十四、それに対してドイツが五十三、オランダが十一、これだけ欧米は数が少ない。当然大規模な焼却施設になっている。たしかダイオキシンの発生は、国内で八百五十度以上という話ですけれども、もうドイツですと千百度以上とか、かなりの高性能の焼却炉を使っておりまして、この焼却施設の大規模化、高度化、これをやはり早急に取り組まなければいけないと考えますと、現在の三千三百ある自治体を中心とする施策では当然間に合わない。やはりこれから複数の自治体、いわゆる広域行政、これを焼却炉では最優先でやっていかなければならないと思いますけれども、この点についての政府の取り組みを厚生省にお伺いしたいと思います。
  39. 入江登志男

    ○入江説明員 お答えいたします。  先生指摘のダイオキシン削減対策でございますが、ごみ焼却施設から排出されますダイオキシン類を減らすためには、第一に、廃棄物を高温で完全に燃焼させること、次に、集じん装置に流入します排ガスを速やかに冷却すること、さらにはバグフィルターなど高度な排ガス処理装置を用いて排ガス処理を徹底することなど、高度な焼却処理が必要とされますので、先ほど環境庁からお話がありました大気汚染防止法とあわせまして、昨年八月に廃棄物処理法に基づきます政省令を改正いたしまして、これらの措置の義務づけを内容としますダイオキシンの規制措置を講じまして、昨年十二月一日から施行したところでございます。  また、ダイオキシン対策の推進とともに、工事費用の縮減とか、焼却により発生します熱エネルギーの有効利用の観点も踏まえまして、都道府県に対し、市町村の設置する小規模なごみ焼却施設を集約化し、広域的にごみを処理するためのごみ処理の広域化計画を策定するよう依頼したところでございます。  このような政策を通じまして、先生指摘のようなごみ焼却施設の高度化、大型化を図ってまいる所存でございます。
  40. 若松謙維

    若松分科員 ぜひ焼却施設の大規模化をお願いします。特に、これも二、三年前の分科会で言ったと思うのですけれども、大宮市と上尾市、それぞれ焼却施設がございまして、距離が百メートルしか離れていない。つくった年度も一、二年しか変わらないということで、非常に自治体が地元の利権というのでしょうか、結果的に予算のむだ遣い、ダイオキシンの増大、こういう結果になるわけですので、ぜひ広域化を真剣に厚生省としても取り組んでいただきたいと思います。  最後になりますけれども地域の再開発、活性化、今建設省を中心に中心市街地活性化等いろいろと施策を練っておられますけれども、ちょうど私の選挙区内に北本市という人口約七万人の市がございます。これが、JR駅舎の建てかえと連動して、駅前の再開発の計画が今浮上しておりまして、私も相談を受けて建設省にもアドバイスをいただきました。この再開発、活性化策というのが正直言って非常に難しい。専門的知識も必要ですし、かつ補助金制度、また支援策等いろいろなメニューがあるのですけれども、それを総合的に整理する、活用するというのが現実には非常に難しくなっております。それはなぜかというと、やはりそれぞれの部局がありまして、所管というか管轄、それが縦割り行政になっていますので、その地域の再開発というときにどうしても情報の集約ができない、そんなことで今国会で中心市街地活性化法案なるものが出ていると私は理解しているわけです。  そこで建設省にお伺いしたいのですけれども、そういう地方町づくりプランに対応できるような、自治省が地方自治体合併のための窓口をつくられましたけれども、今後法律が変わって非常に難しくなってきますので、建設省もそういう地域町づくりの相談を受けるような、またさまざまなアドバイスを提供できるような、そういう相談窓口をつくるべきだと御提案しますけれども建設省としてどのようなお考えをお持ちでしょうか。
  41. 木下博夫

    木下政府委員 地元の町づくりに対していろいろ種々御支援をいただいているようでございますが、ありがとうございます。  お話ございましたように、まず、これからの国づくりといいますか、地域づくりの中で、国と地方がどういう役割をしていくかというのは、我々は大変大きな課題といいますか、問題であろうかと思っています。十分そこに留意していきたいと思っています。  その中で、お話がございましたように、地方の自主性をこれから限りなくさらに一層高めていかなければいけないと思っていますが、公共団体の体制、能力の問題ありましょうし、それから住民の方々のいろいろコンセンサスをどう取りまとめるかということも大変重要であろうと思います。  お話ございましたような、いわば制度理解とかあるいは全国でどんな町づくりをやっているかという参考になるような情報は私大変貴重だと思っておりまして、ちなみに、建設省都市局の中には各幹部の個室がございますので、そこには看板を下げまして、まちづくりトップ相談室という形でやらせていただいております。  別にこれは制度化しているというわけでございませんが、そんなことで気楽に各公共団体の方がおいでいただけるような、もちろん原課、それぞれの担当課に来ていただいていいわけでございますが、加えて建設省の所管しております各団体等にも、例えば区画整理、再開発の協会がございます、こういうところにそれぞれのノウハウを持っているところがございますので、どういうところがあるかということについてもっともっとPRすることはまた心がけたいと思っておりますが、と りあえず現在はそういうような体制の中で取り組んでおります。  先ほどお話にございました、今国会で出ております中心市街地の法案は十一省庁にかかわります。これもまた縦割りはあってはならないと思っておりますので、大臣からもそのあたり町づくりの専門家である建設省もぜひリーダーシップを発揮しろということで、関係省庁の縦割りを排除して窓口も整理していきたいと思っております。いろいろ御指摘いただいておりますので、ぜひその辺は参考にさせていただきたいと思っております。
  42. 若松謙維

    若松分科員 もう時間が既に尽きましたので終わらせていただきますけれども大臣、ぜひ建設省前向きに、かつ十一省の中心地として頑張っていただきたいことと、並びに先ほどの上尾道路、いよいよ埼玉県内でも中心的な事業になりますので、大臣、近くへ寄りましたら御連絡いただければ、こちらも大変貴重な視察の時間を提供させていただきますので、前向きの御支援をよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  43. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて若松謙維君質疑は終了いたしました。  次に、西野陽君。
  44. 西野陽

    西野分科員 自由党の西野陽でございます。  瓦大臣初め建設省関係の皆さんには常任委員会でいろいろと席を同じくさせていただいておりまして、また分科会建設省の方にお尋ねをするという御縁でございます。お許しをいただきたいというふうに思います。  ます、建設大臣、瓦さんに所感をお尋ねしたいと思いますのは景況感の問題でございます。  確かに、今日の長引く不況というのは、あのバブル経済の崩壊後、バブル経済で、いわゆる泡でございますから、踊りに踊って、その泡が消えてしまったわけですから、不良債権を初めとする事後処理が適正でない業態、業種というものには大変厳しい状況があります。これが大きな要因だろうとは思いますが、それに輪をかけて、東南アジアのタイのバーツを初めとする一連の金融不安、それにも増して我が国では、私どもは、大変失礼でありますけれども政策不況、こう呼んでおるわけでありますが、こういう時期に財政出動を抑え、あるいは公共事業を抑え、増税をしというようなことで、何か経済の歯車が逆に回っているように思うのでございます。  こういうあたりから、国務大臣のお一人として瓦大臣、尾身経済企画庁長官が桜の花の咲くころには景気は回復するという意味の御発言をされたわけであります。そろそろ花便りの前線も聞こえてこようかと思うのでございますが、本当にこの桜の花が咲く時分には、瓦大臣として、国務大臣として、景気は上昇する、こう確信を持っておられるかどうか、ちょっとそこらあたりの景況感に対する考え方をお聞きしたいと思います。
  45. 瓦力

    瓦国務大臣 景況に関してのお尋ねでもございますが、委員御承知のように平成九年の建設業の倒産件数は前年比で約三割増の四千七百八十五件に上っております。全産業の三割を占めておるわけでございまして、また、ことしに入ってからも、一月、二月とも前年同月比で約三割増となっております。建設業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いておる、かように承知をいたしておりまして、それぞれに手だてを講じながら、建設業界の体質改善とともに、基盤が強くなるように今支援をさせていただいておるところであります。  なお、国務大臣として景況感、さらにどう考えておるかということでございますが、これは、月例報告でも、既に承知のとおり、「家計や企業の景況感の厳しさが個人消費や設備投資に影響を及ぼしており、景気は引き続き停滞している。」ということでございまして、大変厳しい環境にあるということを率直に申し上げねばならぬと思っております。  それでは、桜の咲くころには景気がよくなるかね、こういう話でございますが、従来ですと、我が国の国会における予算審議が精力的に進められて、大概は執行できる段階にちょうど桜のころに至っておる、そういう感がするわけでございまして、日一日と暖かくなってまいりましたが、国会ではなお厳しい今予算審議が続いておるわけでありまして、私も、一日も早くまず予算が成立をして、執行段階でどういうぐあいな取り組みができるかということについて真剣に考えていかなきゃならぬ、そう考えたりいたしております。  いずれにいたしましても、手だてを講じ、さらに予算成立を待って執行に至る段階を非常に重要な段階と思っておりますし、これほど堀の深い景気でございますから、私は、ある意味では日本がさらに開かれた経済国家としての基盤を固める一つのチャンスでもあろう、ピンチはチャンスだ、こういうときに体質を変えながら力強い経済基盤をもって成長が続けられる国にならなければならぬ、こういうぐあいなことを一政治家として考えておる次第であります。
  46. 西野陽

    西野分科員 瓦大臣、ウドンゲの花というのを御存じですか、恐らく聞かれたこともあると思うのですけれども。実はこのウドンゲの花というのは、広辞苑を今ちょっと引っ張ってまいりますと、ヒマラヤ山ろく、ビルマ、スリランカなどに産する、仏教では、三千年に一度花を開き、その花の開くときは如来が世に出現することを言う、これは吉兆にも例えられますし、凶兆、悪い意味にもとられる、こういうのが広辞苑に書いてあるのです。尾身さんのおっしゃったこの桜の花というのは、何か、桜前線も聞こえつつあるにもかかわらず、なおピンチをチャンスにと大臣はおっしゃって、そうあってほしいと思いますけれども、桜でなくて、どうもウドンゲの花で、なかなか咲かないのではないかな、私はそのように残念ながら思っておりますから、ぜひひとつ、一日も早く景気の回復を期待したいと思うのです。  ただ、ちょっと僭越なんですが、ちょっと失礼でございますが、平成八年十月に第四十一回総選挙が行われました。私、瓦さんの選挙公報をちょっと引用しまして、えらい古いやつで申しわけございません。「景気対策を強化します。」こう書いてありまして、「景気は回復傾向にありますが、これを確かなものにします。」ということなんですが、あれから一年と五カ月ほど経過をして、さらにさらに景気が低迷をしておるのでございまして、当時、瓦大臣が景気回復に向けての決意、考え方というものをこの選挙公報にもあらわされて今日に至るも、お示しがあったとおり、残念ながら低迷を続けておるわけでございます。これについて何か感想はございませんですか。
  47. 瓦力

    瓦国務大臣 常に景気は安定をし、成長することを私ども考えていかなければなりませんし、また、国民の生活が安定をし、繁栄をすることを願って政治に取り組んでおるわけでありますから、私はさような意味でこれからも常に景気対策、そういったものを、また政策的にも、大きな変化の時代でありますから、それをきちっとしていくことが我々に課せられた大事な仕事かな、こう思っておるわけであります。  日本経済は政治がなし得るよりももっと大きい力でもって動いておることかとも思いますが、やはり政治のなし得る分野は依然としてあるわけでありまして、国民経済がより一層力強くなるような手だて、そういったことにつきましては臨機応変の手だても必要だ、こう考えております。  また、今の公報、チラシにありましたが、そのころには私も大阪へ西野先生を支援、応援に伺ったことがあったかと思うわけであります。今は政党の立場は違いますが。先生は大阪の経済界を見渡しながら御心配、御苦労をする、そしてまたこうやって御質問いただくということは大変ありがたいことでありまして、やはり私どもは何とか景況の温まりを感ずるような政治にしていかなければならぬ、こう願っておるところであります。
  48. 西野陽

    西野分科員 ところで、私ちょっと調べてきたのですけれども、例えば失業率、利益率、建設業の倒産、これをちょっと申し上げます。  これは総務庁がお出しになったわけでありまして、総務庁の労働力調査というのに、失業率、平成四年二・二%、平成七年が三・二%、平成八年は三・四%というふうに、残念ながら失業率が増加の傾向にあるわけですね。  さらに、利益率、これは業界の利益率でございますが、大蔵省の法人企業統計というものに出ておりますが、製造業では平成五年を境にいたしまして、その後、製造業は実は利益が上がっておるのですね。ところが、建設業は平成三年をピークにいたしまして逆に下降ぎみであるわけなんですね。そういう製造業と建設業では逆になっておるという実態。  さらに、保証事業会計協会並びに帝国データバンクのあれによりますと、建設業の倒産は、御案内のとおり、固有名詞を挙げましても、村本建設、東海興業、それに多田建設等々を初めとして平成五年には二千八百六十八件、それが二年後の平成七年には三千七百六十六件、さらに昨年、平成九年には三千八百四十件というふうに、大臣、残念ながらこの倒産件数も、建設業ですよ、どんどんこれはふえてきているんですね。  このように、失業率それから業界の利益率、さらには倒産件数、現実に客観的に出ております数値からしましても、建設業界は非常に今厳しい状況にあると思うのですね。これらにつきましてもいろいろな施策といいますか、考えをお持ちだろうと思いますが、この建設業を取り巻く環境の厳しさの認識について、大臣としての認識をちょっとお示しいただけたらありがたいと思います。     〔主査退席、村田(吉)主査代理着席〕
  49. 瓦力

    瓦国務大臣 今委員が御指摘のように、建設業は厳しい経営環境に直面をして、倒産が急増している、また、建設業就業者数も最近減少傾向にある、この御指摘、さようでございまして、数字で見ましても、建設業者数が平成二年度五十万九千社が、平成九年度におきましては五十六万五千社と、これはふえておるわけでございます。一一%ふえておるわけであります。一方、建設投資額を見ますと、平成二年度は八十一兆四千億で、ピーク時の平成四年度には八十四兆円の建設投資が行われましたが、平成九年度におきましては七十五兆九千億でございますので、これはピーク時に比べまして大きく投資額も落ちておるわけであります。  また、倒産件数そのものも、平成三年は件数で見まして二千百二十五件、負債総額で五千八百十七億。これが平成九年で見ますと、倒産件数四千七百八十五件、また負債総額で約二・八倍になっておりまして、委員御指摘のとおり厳しい状況にあります。  こういうように大きく影を落とす中で、特に公共事業への依存度の高い中小・中堅建設業者にとりまして、この影響は少なくないわけであります。このため、昨年来、受注機会の確保、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策などにおきまして、中小・中堅業者に対しまして円滑な資金供給の確保を図らなければならぬ、こういうことで取り組んでまいりました。  さらに、建設省といたしまして、省を挙げて建設業の経営改善対策に取り組み、一月三十日には、既に御案内かと思いますが、八分野二十七項目のいわゆる建設業の経営改善に関する対策を取りまとめまして、建設省挙げてそれぞれ関係団体並びに地方自治体にもこの取り組みにつきましてまず周知をしてもらおうということで積極的に取り組んできたわけであります。  一刻も早く建設業の経営改善が図られること、また景況が上向くように我々としてあとうだけの努力はしてまいらなければならぬということで年末年初から取り組んできた経緯でございます。
  50. 西野陽

    西野分科員 非常に残念なことでありますが、業界のみずからの経営改善も含めて、ぜひ活気が見出せるようにしていただきたいと思うのです。  ただ、お示しがあったとおり、中堅の業界というものは、とりわけ土木関係なんかに至りますと、やはり公共事業に頼るところが圧倒的に多いわけでございますね。そういう中から、建設省公共工事着工統計というのがございますけれども、それで見ましても、発注件数だけで見ましても、平成五年が五十二万件、平成七年が四十万件、平成八年になりますと三十万件というふうに、これは件数だけでございますけれども、残念ながら公共事業の発注が大幅に減っておる、こういう数値が出ております。  そこへ、御案内のとおり、昨年の暮れに財革法を出していただきまして、さらに、次年度以降は公共事業についてはマイナス七・八%、委員会で申し上げましたとおり、補正も含めますと一四%弱も対前年より減ってしまっている。建設業界の劣悪な環境に加えて、やはり発注者であります公共団体建設省を初めとする公共団体がさらにその発注を控える。業界の経営改善、内部努力はお示しをされておるところでありますけれども、これは業界だけの問題ではなくて、景気にも一定の役目を果たすだろうというふうに思います。  国が、公共団体がどうも逆なでしているような気がしてならないのでございますが、まさか大臣、景況感の悪さに水をかけるような、あるいは業界は多少辛抱してもらわなければ困るというような思いを今持っておられるわけではないでしょうね。こういう数値が出てしまっているのですけれども、どうでございますか。そういう気持ちは瓦さんにはないと思うのでございますが。  要するに建設省を初めとする公共事業、非常に減少しているということですね。景気が悪い、業態が悪い、それにも増して発注が少ないというのは、何か助けているのではなくて足を引っ張っているような気がするのでございますが、そんなことはないですね。
  51. 瓦力

    瓦国務大臣 建設省経済の足を引っ張っておるということは過去を振り返ってみてもないわけでありまして、国土の基盤を整備すると同時に、やはり経済にも大きなかかわりを持ちながら、あるいは経済の下支えをし、時においては景気浮揚のために前面に出た時代もあったわけでありまして、依然としてそういうような役割を担っておると私は思うわけであります。  建設業への影響につきましては、建設投資全体で見るべきでございましょうが、大変な建設投資の低迷であるとか、建設市場の大きな構造の変化の中で受注の減少、利益率の低下、さまざまな問題が生じておることも間違いございません。  私どもとすればこれほど我が国の社会資本も整備はしてまいりましたが、依然として、西野委員本地の大阪を見ましても、いわゆる民間があの八百八橋をつくり上げたというような、民間の活力が旺盛な地域でございますし、官に頼るという時代から、また改めて社会資本整備等々につきましても民間と一緒に取り組んで整備をしていく時代という一つの転機かな、こういうようなことも考えて、いろいろ今研究をし、思考をいたしておるわけでございます。  これほど大きな経済を動かし、また世界にも影響を与える国でありますから、私ども経済はすべて官に頼るというよりも民と一体になって、我が国の安定した経済政策というものが講ぜられるようなそういう土壌をつくり上げていく、私は、戦後五十年を経て、新たな目標を持って進むべき時代にある、こういうぐあいに考えたりいたしておりまして、知恵や協力を賜りたいと思います。
  52. 西野陽

    西野分科員 確かに景気の回復は官だけではありませんで、民間の占めるウエートも大きいことはよくわかっておりますし、特に関西方面は民活というものに対するお示しのとおりのフロンティア精神を持っていることも事実だろうと思います。ただ、やはり官が与える影響、インパクトというものは大きいわけでございますから、時の為政者、もちろん政府等においてはこれを誘導する強力な手だてというのは当然のことだろうというように思います。  ただ、時間が余りありませんから一言簡単に瓦大臣にお尋ねしたいのですけれども、この日本経済の深刻な状況に対して今政治は何をやるべきか。減税がいいのか、それとも建設公債でも発行して公共事業をふやすことがいいのか、あるいは この際大幅補正をしてでも積極財政に転換をすべきなのか、あるいはあくまでも財革法の精神に従って緊縮財源でいくべきなのか。官として、国務大臣としてどういう選択肢をおとりになりますか。
  53. 瓦力

    瓦国務大臣 委員御承知のように、我が国の累積する赤字国債を見ましても、子々孫々にこれを残していくわけにいかない、少子・高齢化社会が間近に迫っておるわけでありますから。財政の構造改革は中期の目標として、これは橋本政権におきましても、しかとしたいという一本の柱でございます。私もこれを納得するものでございます。  また一方、経済は生き物でございまして、臨機応変に手だてをしながら経済政策を行っていくということにかかわるわけでありまして、それは大型補正がいいか何がいいかということでありますが、現下の最も大事なことは、せっかく精根尽くしてつくり上げてきた予算をまずつくる。まず足場を固めて、しかる後に、その状況を勘案しながら考えていくべきもの、こう思っておるわけであります。  いよいよ衆議院での御審議も大詰めに迫っておるわけでありますが、衆参通じまして平成十年度予算が通過をする、立派に健康優良児をひとつつくっていただきまして、その上で状況考えながら政府としての対応考えていくべきだと思うわけでありますが、その間、政党やいろいろな中でこの方法がいいという議論が今起こっておりますから、これにも耳を傾けまして、耳を澄ませて、最も効果的な方法を講じていくのが賢明であろう、こう思っておるわけであります。
  54. 西野陽

    西野分科員 恐らくあす当初予算案も通過をするだろうと思いますから、その時点で、ひとつ大臣、また思い切った決断をお願いしたいというふうに思っております。  ところで、このような厳しい財政状況の中ではあるのですが、その中でこの限られた財源を有効に使って公共事業を推進していくためには、費用対効果分析だとか種々の評価を進めておられるわけであります。その中には、個別事業に対する評価もございましょうし、施策評価としては、例えば交通の安全問題、さらには渋滞の評価手法等々があるようでございます。  渋滞問題にちょっと絞りますが、渋滞がもたらす経済活動への影響、マイナス面が相当あると思うのですが、現在国の方ではどの程度の御認識をお持ちでございましょうか。渋滞のもたらす経済効果。
  55. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 交通渋滞によりまして経済面でいろいろな影響をもたらすわけでございますが、私ども、交通そのものだけを取り上げたケースといたしましては、全国道路交通情勢調査の結果をもとにして、どのくらいの経済損失があるかといったことを試算させていただいております。  これによりますと、全国で年間約五十三億人時の損失があるといったことで、金額にしますと約十二兆円にも及びまして、これはやはり我が国の経済活動、それから国民生活の大きな足かせになっているのではないかというふうに考えております。
  56. 西野陽

    西野分科員 十二兆円といったらすごいのです。というのは、間もなく国会で審議されると思いますが、三連休を一年間に私どもは四回やればいいじゃないかと。それの試算によりますと約一兆円の効果がある、こう言われているわけですね。三連休を四回やっても約一兆円ぐらいの経済効果である。ところが、この渋滞の問題は、お示しがありましたとおり十二兆円、まあ概算、見込みの経済効果がある。まさしく今日の経済活動では渋滞問題というのは看過することのできない課題だろうというふうに思います。特に都市部における渋滞問題というのは大きな取り組みが必要でございましょう。  そこでちょっと、時間がありませんので地元問題でお尋ねをしたいのでございますが、大阪の一般国道百七十号線、これはいわゆる外環状軸を形成をしております。それと国道三〇八号線というのが交差する地点は、町名でいいますと東大阪市西石切町の交差点でございます。ここは大阪でも渋滞の大変厳しいところなんでございますが、これについての現在までの取り組みについてお示しください。
  57. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 一般国道の百七十号線、これは御存じのように大阪府の外環状でございまして、大幹線でございます。これと、国道三〇八号、奈良から来る国道でありますけれども、これが交差する地点、これが今おっしゃられております東大阪市西石切町の交差点でございます。これは阪神高速、それから、くっついて来ております第二阪奈有料道路のランプがさらに近接しておりまして、国道の交差の上に二層になっているといったことで、非常に交通量も多くて渋滞のポイントとなっております。この交差点につきましては、第二阪奈が昨年の四月に供用しておりますので、これに合わせて、右折、左折の交差点改良を完成させたところでございます。  ですが、先ほど申し上げましたように、百七十号線自体が大幹線でございますので、そういった臨時的な措置はともかくといたしまして、この百七十号線の本線を国道三〇八号線の下にアンダーパスさせるといった計画、ボックス構造でございますが、これが平成三年七月に都市計画決定がされております。大阪府におきまして、用地先行取得が既に進められているところでございます。これにつきまして、今回、新年度の予算要望等が上がってきているところでございます。  したがいまして、そういった渋滞の状況も踏まえまして、さらに現地での用地、それから地元の状況などを十分把握しながら、こういった事業も早期に着手できるように検討を進めていきたいというふうに思っております。
  58. 西野陽

    西野分科員 それでは、時間がありませんので、最後のお尋ねだけもう一度させていただいて終わりたいというふうに思います。  今お示しがありましたとおり、平成八年からのいわゆる大阪の南北にわたりますアンダーパス化のために、都市計画の変更を既に六年前にやっているわけですね。しかも、暫定措置として、右折レーンをこれまた整備をいたして供用開始をしているわけでございます。用地につきましては、すべてで八千六百二十平米のうち、七千六百七十平米、約九〇%でございますが、既に先行買収済みでございます。  このように、いつでも着手できるような態勢で、地域の方々が、きょうかあすかと、この事業採択に向けての大きな熱い期待をいたしておるところでございます。最後に一言、どうぞ、これは早期に取り組むということでございますので、文字どおりひとつ早期に取り組みをしていただきますように再度お尋ねをいたしまして、終わらせていただきたいと思います。
  59. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 用地取得九〇%ぐらいで、もう大分、地元の皆さん熱意に燃えて取り組んでおられるというふうに伺っております。私どももそれにおこたえすべく努力していきたいというふうに思っております。     〔村田(吉)主査代理退席、主査着席〕
  60. 西野陽

    西野分科員 終わります。
  61. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて西野陽君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  62. 吉井英勝

    吉井分科員 本当は大臣に聞いておいてもらった方がいいのですけれども、人道的配慮ということでちょっと抜けてもらって、私は、きょうは公共事業見直し問題について見ていきたいというふうに思います。  最初に具体の例として、川辺川ダム建設問題についてます農水省の方に少し確認をしておきたいのですが、三十三年前のダム計画当初、八三年の土地改良事業計画の時点、そして九六年で、流域で現に耕作している農地面積というのはそれぞれ幾らですか、これをます最初に確認的に聞きたいと思います。
  63. 中澤明

    ○中澤説明員 関係市町村の農地面積の推移についてでございますが、九州農政局統計情報部が編 集している熊本農林水産統計年報によりますと、国営川辺川土地改良事業の関係市町村における農地面積の推移は、一九六五年では、水田五千四百二ヘクタール、畑三千七十三ヘクタールであります。また、一九八三年におきましては、水田六千六ヘクタール、畑二千四百六十ヘクタールとなっております。また、直近の一九九六年では、水田五千二百八十三ヘクタール、畑二千六百三十二ヘクタールとなっております。
  64. 吉井英勝

    吉井分科員 今お聞かせいただきました数字からすると、ダム計画当初の六五年に比べて、現在では農地全体で見ても七%既に減少しているのですが、しかし、水田は、減反率がこの地域は四〇%を超えるようになってきているのです。ですから、実際に耕作しているのは、水田の分、それをさっきの数字を掛けて計算すると、三二%減少している。受益対象者とされる農家、これは、建設省資料によりますと、三千百三十六戸です。  農水省の方でつかんでいらっしゃる数字も、大体、重複を省くと三千戸余りというお話ですが、重複を除いて、原告が八百六十三名、補助参加者千百四十名で、合計二千三名の方が、つまり受益対象農家の六四%の方が、現在持っている水利権で十分なのだ、もう水は要らないのだといって今訴訟を起こしていらっしゃるように伺っておりますが、訴訟の中身はいいですから、そういう訴訟が起こっているという事実があるかどうかだけ伺っておきたいと思います。
  65. 中澤明

    ○中澤説明員 事実でございます。
  66. 吉井英勝

    吉井分科員 大臣、今、川辺川ダムの農業の分野で伺っておるのですが、この川辺川ダム建設に関する基本計画では多目的ダムとされているのですが、農業利水の意味がなくなってきているというのが明白なわけです。  そこで次に、資源エネルギー庁の方に来ていただいておりますので伺っておきたいのですが、この川辺川ダムを建設することによって、実は水没して発電所がなくなるのですね。そこで、現在の発電所を廃止して新しい発電所をつくるという計画があるわけですが、現在の発電量が何万キロワットアワーで、計画ではこれは何万キロワットアワーへと変わっていくのか、これも数字だけ先に確認させていただきたいと思います。
  67. 薦田康久

    薦田説明員 お答えいたします。  この計画によりまして、現在稼働中の三つの発電所が水没、廃止されるということになってございます。それらの発電電力量は、平成八年度でございますけれども、約八千万キロワットアワーでございます。  また、新たに建設される予定の相良発電所でございますが、予定の発電電力量は八千五百万キロワットアワーというふうになっております。
  68. 吉井英勝

    吉井分科員 私も、今の数字は実はきっちり、あらかじめ勉強しておいた方がいいからエネ庁に来ていただいて勉強させてもらいました。もう少し正確に言うと、今の三つの発電所の三つの数字をそれぞれ合わせると、実は九千五百四十万キロワットアワーですね、三つ足しますと。これが新しく八千五百万キロワットに、今おっしゃったようになるわけです。つまり、発電量がふえるわけじゃないのです。逆に、実績からすると一千万キロワットアワー減少する。だから、発電という意味でも利水の意味というのが実はないわけなんです。  そこで、今度はいよいよ建設省にお伺いしたいと思うのですが、三十三年前の人吉盆地での大洪水のころは、球磨川水系上流部の山林というのは相当――大臣もよく御承知のように、戦後の乱伐で日本全国各地の山が丸坊主になったりとか、丸はげの山になっていたのですが、そこをやはり国の方でもしっかり頑張られて、植林事業も進めて、地域の方も頑張って育てて治山治水事業に努めてきた結果、今では立派な森がよみがえってきました。  各種データも勉強させていただいたんですが、建設省の方では、このはげ山の場合と密に生い茂った森林のあった場合の流出係数が大体どれぐらいの差が生まれるというふうに見ていらっしゃるか、少しその辺のところを伺いたいと思います。
  69. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 先ほど資源エネルギー庁さんの方からのお答えでは、廃止が八千万キロワットアワーで新規が八千五百万キロワットというふうに御答弁をされたと私はお聞きをしております。その限りにおいては、ふえている。これはもちろんそのときの水量によるわけでございますので一概には申せませんが、減るということには必ずしもならない、こう考えております、それが一点。  二点目の、流出係数がどうか、こういうお尋ねでございます。流出係数というのは、いわゆる合理式が主なる式で、計算をする際に、降った雨のうちどれだけの部分が出てくるか、こういうことをいろんな事例から経験的に出した数字でございます。同じ土地のところで明確に、はげ山と山地でどう違うかということを比較したデータというのは、残念ながら今まで明確にはございません。そういう中ではございますが、一般的にははげ山よりも山林が茂っている方が流出係数は小さくなるであろうというふうに、学問的には言われております。  それから、川辺川流域の森林がどうなっているかということで申しますと、これは昭和四十五年当時でございますが、約五万四千ヘクタールが森林面積という川辺川流域でございます。これが平成二年では約五万五千ヘクタールということでございまして、一・六%のわずかな、微増ということでございます。基本的に、日本の山地というのは森林で覆われているというのが世界のいろんな森林と比べての特色だというふうに考えております。
  70. 小澤潔

    小澤主査 お答えは簡潔にお願いをいたします。
  71. 吉井英勝

    吉井分科員 確かに、おっしゃったように年度によって変わるというのは、それを言い出すと、この八千五百もまた変わるわけなんです。  実は、私の方にエネ庁が持ってこられた数字が、うその数字を持ってこられたんだったら違うんだけれども、私のところへ持ってこられたのは、二千五百五十万キロワットと、千四百八十万キロワットと、五千五百十万キロワットの実績値を持ってこられて、これを足しますと、先ほど言いました数字なんです。ですから、おっしゃったように、私も年度によって水量が変わるのはわかっているから、それを言い出すと、大臣も大体お聞きいただいておわかりのように、八千五百ということ自体がまた変わるわけなんです。  だから、あくまでも実績値と今度の計画値で比べますと、持ってこられた実績値では一千万キロワットアワー減少しているということを申し上げているわけですから、これは持ってきた資料が間違っているんだったらあれは間違いでしたとおっしゃったらいいんですよ。だから、この数字が間違いだったら間違いということだけ、私の方へ、うその数字を持ってきたということをちゃんと言ってもらったらいいのですよ。
  72. 薦田康久

    薦田説明員 確かに、今先生お話もございましたように、年度によって違っておりまして、八千……(吉井分科員「そうしますと、持ってきた数字は間違いじゃないですね」と呼ぶ)違っておりません。  ただ、もう一つの別の指標といたしまして、出力というのがございまして、今回水没するあるいは廃止される発電所の出力を見ておりますと、川辺川第一、二千五百キロワット、川辺川第二、八千二百キロワット、それから頭地発電所五千二百キロワット、合計一万五千九百キロワットでございますが、今度予定されております相良発電所につきましては一万六千五百キロワットということで、若干でございますが増加ということでございます。
  73. 吉井英勝

    吉井分科員 それで、私が言っていますのは、基本的には変わらないということなんですよ。だけれども、年度によっては逆に減っている場合もあるということで、ですから、発電量は新しいものをつくってもふえるということにはならないということを言っているわけですから、それは、今 あなたもお認めになってよくおわかりのとおりです。  それで、今私が言っておりましたように、要するにこの地域について、これは四五年のお話ですけれどもね、当初考えられた時代というのは、戦後のそういうひどい時期だったんですよ。だから、そういう時期からすると、今もお認めになったように、流出係数というのは、そのはげ山の状態からすれば、森が茂ってくると小さくなって、そしてダム効果というのが生まれてくる、これはこのとおりなんです。だからこそ緑のダムということも言われて、治山治水ということで森そのものを非常に大事にするようにやっているというのは、これは大臣もよく御存じのところであります。  私は、こういう点で、実際にこの流出係数の差が幾らになるかによって、これは流域面積とそして八十年確率の雨量で計算すると、貯水ダム効果というのはどれぐらい森林によって生まれてくるかということは出てくるわけで、これは技術屋さんであればみんな、少なくとも単純計算でやる限り、あなたも私も変わるわけじゃないので、その効果は出てくるのです。  同時に、建設省の努力によって、球磨川における河川改修というのは、これは基本計画策定当時と比べると相当に進んできております。同時に、今の計算、今の議論のように、山林の保水力も三十三年前に比べると大きくなってきていることも、これは事実なんです。また、建設省のデータによりますと、人吉地点の実際の流量の最大値というのは、これは八二年七月の毎秒五千四百トンであったことなどを見ると、基本高水流量毎秒七千トンを大幅に実績としては下回っているわけです。ですから、こういう一連のことを考えてきたときに、基本高水流量の設定についてもやはり見直しというものを、これは時代の変化とともに考えなきゃいけないと思うのですね。この点はどうなんですか。
  74. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 おっしゃいますとおり、基本高水流量と申しますのは河川の最も基礎となる数値でございまして、この数値につきましては、従前から大出水が出たり、そういう事態を受けて見直しをしてきた経過はございます。そういう中で、この水系におきましては、それ以降特段大きな水が出たということでもございませんし、今すぐ、そういう今まで申したような条件の中では、必ずしも見直すということにつながらないかと存じますが、昨年河川法改正をされまして、それを受けて、河川の基本方針と河川の整備計画という二本立てで計画をつくっていく、そういう動きの中でこの問題をどう考えていくかということについては、一つのテーマと考えております。
  75. 吉井英勝

    吉井分科員 今もおっしゃった河川法改正に伴う河川整備基本方針の見直し問題については、総合的な保全と利用に関する立場でこれを速やかにやっていくということですから、今おっしゃったように、やはり再検討というものをしっかりやってもらいたいと思うのです。  人吉市で毎秒七千トン、建設省の現在の考え方では、この基本高水流量の数値が大きければ大きいほど、河川改修だけじゃなしにダム、それもより大きなダムが必要になってくるという、要するに基本高水流量というのはダムの見直しにもつながってくるわけで、だから、見直しをすると川辺川ダムの根拠が崩れるということを恐れて見直しをしないというふうになってはうまくないですから、今お答えがあったように、今後、見直し、再検討というものはやっていっていただきたいというふうに思います。  さて、私は、人吉でこれまで水害に遭われた方たちのお話も昨年も現地へ行きまして伺ってまいりました。実は、一九六五年の大水害に遭われた方、この三十三年前の被害者の方から伺ったのですが、前日からの雨で床上まで水が来始めたときに、消防の広報車が、市房ダムが放流されます、十分注意してくださいと。つまり水が上がってきてから広報車が走ったのですが、その直後から目に見えて水かさがふえて二階の床ずれすれまで来た、もうだめかと思って幼い子供に浮き輪を縛りつけて命からがら逃げ出したという、そのときの恐怖をたくさんの方からお伺いしました。あのときは、本当にこの市房ダムがもうこのままこれ以上水をため込んだらつぶれるというところまでため込んで、そしてダムを守るためにどかんと開いたわけですよ。その結果、床下浸水まで進んでいる下の地点で一遍に増水してああいう事態となりました。  ですから、そういう中でここに新たな巨大な川辺川ダムができて、市房ダムと同時に前回のように豪雨で水位がどんどん上がっているときに一遍に放流されたらどうなるか、想像もつかない。ダムが治水より災害発生源になった経験、これが今、地域の住民の皆さんの非常に深刻な不安の根底にあります。ですから、私はこれについては、こういう地域の皆さんの不安というものをよくお聞きになっていらっしゃるのかどうか、その不安を御存じかどうかだけ、この点を最初に伺っておきたいと思うのです。
  76. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 私ども、流域の皆さん方のいろいろなお声を十分聞かせていただいて行政に反映をさせていくということでございますので、当然お聞きをいたしております。  今の市房ダムに限らず、ダムと申しますのは、上流から入ってきた水のうち相当部分、今議論になっておりますこの川辺川ダムにつきましては、ほとんど全量に近い形でため込むわけでございます。ただし、全量を全部ため込むというわけにはいかないわけでございまして、一部分は放流をいたしますが、ダムがあることによって下流の被害が軽減をされておるわけでございます。今の事例の場合におきましても、ダムなかりせばより以上の被害を受けられたということだと受けとめております。
  77. 吉井英勝

    吉井分科員 一番最後の言いわけ部分は別として、そういう不安を皆さんがお持ちだということはお聞き及びだということはわかりました。  確かに、ダム操作はなかなか難しいのですよ。数年前、例えば福岡県の異常渇水のときは、雨季の前にダムを空っぽにしてしまった、そうしないとダム操作が大変だということで。ところが、ちょうど渇水だったために雨がうまく降らなくて、この場合は利水ダムでしたけれども、大変になったりとかした。だから、ダム操作の難しさということはわかった上で話をしているわけなんですが、ここの場合には、皆さんがそういう不安を持っていらっしゃるというのは事実なんです。  だから、公共事業を進める上で、本当に利水目的でどうなのか、治水というけれども状況の変化の中で、そういう以前の経験も踏まえて、そして現状も踏まえてどういうふうに見直していかなければいけないか、そこのところをしっかりよくとらえて臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。  次に、同じ公共事業の問題について、諌早の干拓事業の一つの理由づけにされてまいりました防災対策、高潮対策についてなんですが、昨年五月の決算委員会で伺いましたところ、建設省の高潮水害対策の基本方針というのは、堤防のかさ上げであり、防潮水門を設けることであり、そして排水ポンプの三点セットで臨むのが原則だということを答弁でいただきました。  実は、超党派の議員の会で政府に対する質問主意書をこれらの問題について出したところ、ことし一月二十日に政府の答弁書をいただいたのです。  建設省による有明海の最新の海岸堤防というのは、直轄海岸保全施設整備事業としてやっているもので、平成六年から平成八年にかけて、地盤改良、旧堤防のかさ上げにより佐賀県のところで工事をやったものがありますが、これは一メートル当たりの工事費用の単価は百八十六万八千円であったという回答をもらっております。  一方、諌早湾の方の、問題になっておるところの潮受け堤防の締め切った内側の既存の海岸堤防、この海岸堤防は約三十キロというふうに、これも関係省庁から数字としていただいておりま す。  そこで、最新の海岸堤防改修での佐賀県の例、一メートル当たり単価百八十六万八千円で改修すれば、単純計算でいったら五百六十億円ということになるのではないかと思いますが、これは、建設省がやっても私がやってもこの数字は変わりないと思うので、この数字だけ先に確認しておきたいと思います。
  78. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生指摘のとおり、有明海での芦刈工区というところにおきますメートル当たりの単価が百八十六万八千円ということでございます。単純に延長を掛けますと、おっしゃるとおりの数字になろうかと思います。
  79. 吉井英勝

    吉井分科員 大臣もいろいろお聞き及びのことで御存じかと思いますが、諌早湾の潮受け堤防というのは、通常の護岸堤防などとは違って、かなり基礎の部分もうんと広くて、いわば豆腐の上に堤防をつくるようなものですから、なかなか大変なんです。難しいのです。しかも、工事は海の中でやるということもあって、工事用の船舶を出したりとか、それから工事用の進入路をつくるにしても附帯工事が随分かかるのですね。  その潮受け堤防の工事でさえ、農水省から出ている工事単価が一メートル当たり百六十八万八千円ということでしたから、今度の佐賀県でなさった百八十六万八千円よりまだ安いぐらいのところで行ったというのが農水省の言っていることなんです。だから、潮受け堤防よりも普通は護岸堤防の方が安いぐらいでできるものですから、今おっしゃった、恐らく五百六十億円、これを上回るようなことには、まず普通はちょっと考えられないのですね。  建設省方式で高潮対策をすれば五百六十億円で済んだわけですが、それを農水省方式でやっていきますと、この事業全体では実は二千三百七十億円の事業ということに今どんどん膨らんできております。さらに、減反の時代に高いコストで売れもしない農地をどんどんつくろうというのが今、諌早でやられていることなんです。  そこで、この諌早干拓事業も、当初計画よりも工事費が一千億円急増して今国民の批判の的になっているわけですが、川辺川ダムでも、工期をさらに八年延ばして総事業費を約千五百二十億円増額して、当初計画の七・五七倍の、総額二千六百五十億円もの巨額に膨らんできております。これに伴って、熊本県の事業負担金は、二百五十一億円から五百八十億円へと地元の負担も膨れ上がるということになってきているわけです。現在、特定多目的ダム法に基づいて熊本県知事に意見照会をされたりとかいろいろやっていらっしゃるようです。  そこで、建設大臣、私は、きょうは時間があれですから川辺川と諌早の例を出しましたけれども大臣も御存じのように、全国に行きますと、四百億円、五百億円かけた釣り堀と言われるような港湾があったりとか、本当に一カ月に一隻、一万トン、二万トン級の船が入るかどうかぐらいのところとかいっぱいあります。私もそれを全国見てきました。それから農道空港であったり、そしてむつ小川原開発とか、今本当に公共事業のあり方に国民の皆さんの批判が高まっているときなのですよ。一度決定したら、時代が変わろうが、当初目的が消えてしまおうが、状況が変化しようが、あるいは他に効率的な方法があろうとも、とにかくゼネコンの仕事を確保するために突っ走る、そういう時代ではもうなくなってきたと思うのですよ。  私は、そういう点では、計画決定した後も公共事業の見直しをする、こういう姿勢が今やはり政治の舞台では求められているときだと思うのです。この点について大臣のお考えというものを聞いておきたいと思うのです。
  80. 瓦力

    瓦国務大臣 建設省におきましても、従来より公共事業の実施に当たりましては、社会経済情勢に絶えず適合したものになるよう不断の見直しを行いまして、何が必要か、これは本当に必要な事業であるかということを常に検討しながら、それに限りまして推進を図ってきておるところでございます。  昨年十二月に、総理大臣の指示によりまして、事業採択後一定期間経過後で未着工の事業や長期間にわたる事業等を対象に再評価を行い、必要な見直しを行う、継続が適当と認められない場合は休止または中止とするなど、新たな再評価システムを公共事業全体に導入することにしたところでございまして、本年三月末をめどに、もう間もなくでございますが、システムの構築を図りまして、一層事業の見直しに努めてまいりたい、かように存じておるところでございます。  よって、省庁間の話し合いであるとか、プロジェクトに対する今申し上げたような検討であるとか、これは常々行っておるところでありまして――吉井委員もどちらかというと科学者でございますから、単純計算による予算の引き出しによってどうとかという議論よりも、それぞれの地域の地盤であるとか環境等を含めてそれぞれのプロジェクトが成り立っておるわけでありまして、今あそこの事業費とここの事業費を単純に計算すればというのでは、これは吉井先生らしくない議論かなと思いながら伺っておるわけであります。  必要な事業につきまして、今申し上げるように、厳しくそれらを検討しながら事業をしておりますということを改めて申し上げさせていただきます。
  81. 吉井英勝

    吉井分科員 実は、数字は単純化して見るとともに、時間があればもっと諌早の数字についても、潮受け堤防の単価について農水省が出してきた数字と比べても、本来安くできる要素を持ったところで、幅も一つ一つみんな違うわけですから、まさに大臣おっしゃったように、私、一つ一つを具体的に見て、実はこちらの方が諌早についても効率的になるということをきちんとした根拠を持って、ただ、この限られた時間で議論は非常に難しいからある程度数字を簡素化してお話をしたというところです。  時間が参りましたので終わりたいと思いますが、やはり初めに川辺川ダムありきとか、巨大ダムに頼るというやり方ではなくて、科学的といえば、遊水地とか洪水常襲地域の家屋のかさ上げとか内水排除などを組み合わせて、どれが財政的にも効率が高いかとか、本当に安心して暮らせる総合的な治水計画とそして災害に強い町づくりというのを、何といったって現地の住民の皆さんの参加や協力を得てやらないと現実的に進まないわけですし、もちろんダム建設をとめるとなれば、あの地域でいえば五木村の再生とか振興に国が全面的に支援するということは当然だと思うのです。むだな公共事業に国民の税金をさらに使うというやり方、そうならないように抜本的に見直す。そういうことを先ほども、再評価見直しをおっしゃったけれども、この地域についてもお考えいただくように申し述べまして、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  82. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、松崎公昭君。
  83. 松崎公昭

    松崎分科員 民友連の松崎公昭でございます。この委員会は、分科会は初めてでありますが、過日、道路整備緊急措置法の提案者として参加をさせていただきました。実は、きょうは、その道路整備緊急措置法にも若干関連のある第十二次の道路計画に関係することを御質問をさせていただきます。きょうは分科会でもございますので、すべて地元の問題ということでお願いを申し上げたいと思います。  さて、前回、私どもの民友連といたしましても、緊急措置法、これに関しまして新しい視点でこの計画を見直すというかチェックをするべきだ。その中に、住民の方々への計画の作成過程、この透明化ということが、非常に今後こういう大きなプロジェクトの場合に重要になるのではないか、そういう御提案を申し上げました。これは当然否決されてしまったわけでありますけれども、その精神を生かしながら質問いたします。  実は私どもの地元に国道十六号線というのがご ざいます。私は今千葉県柏というところにおりますが、交通情報では常に名前が出てきます呼塚交差点、これは一日六万三千台以上の通過交通がある。千葉県の北部なのですが、そこの経済動脈。ただ、通過交通が多いものですから、町の真ん中へ入ってきている国道、これをどうしてもバイパス化しないと地域経済も非常に難しい。そういうことで十一次五計に実は入れていただきまして、既に十一次五計で調査が進んでおります。ところが、この路線は、いろいろ、沼がありましたり、国道がありましたり、JRがありましたり、非常に難しいところを通さなければならない。たった二十七・五キロなのですけれども、常磐高速もある。非常に難しい路線だと思います。  そこで、この大事な私たちの動脈である国道を早くバイパス化してほしい、そういうことで千葉国道事務所を中心に非常に頑張ってはいただいておりますが、私の見るところ、問題が二カ所あるのです。手賀沼をどうやって横断するかということと、それと住宅密集地が一カ所ございます。そういうことでその二点をよほどしっかりやっていかないといかぬということを去年も指摘をさせていただいたわけであります。  そこで、今回は、実は河川法も昨年改正をされまして、環境面を非常に重視するという、今までの建設省の方針に環境を取り入れるという姿勢に河川行政そのものが大きく変わってきた。  そこで、一つ目の御質問は、住宅密集地、これは今までのやり方でいきますと大体反対運動が起こってしまう。そういうことでありますので、今回、道路審議会の建議にも入っております三つの新しい視点の中に、国民参加型の新しい方法を取り入れるのだ、そういうことでパブリック・インボルブメント方式だ、広く住民の意見を、それから計画段階からある程度住民の意見を取り入れながら反対が起こらないようにということも建議の中には入っておるわけであります。ですから、こういう考え方を取り入れながら、このやや難しい国道十六号線の千葉柏道路というバイパスの建設に当たって、そういう新しい考え方を取り入れて工事にあるいは計画段階から入るかどうか、これはちょっと政策的なことでありますので、一言大臣から御所見をいただきたい、そういうことであります。
  84. 瓦力

    瓦国務大臣 松崎委員から、昨年六月の道路審議会の建議に当たりまして、道路利用者のニーズを的確に道路行政に反映させるということで、パブリック・インボルブメント・システムを初めて採用することにしたわけでございます。  やはり道路は公道といいますか、公の方々が利用、活用するということになりますし、また、地域の方々にとりましては利害の問題があります。また、加えて言うと、自然環境の問題もあります。そういった問題整理をしながら道路整備をしなければなりませんので、手法としてこの際パブリック・インボルブメント方式というものを採用して考えてまいるということの提言に対しましては、私は、それなりにやはり評価しなければならぬ、そういうことを通じて住民の方々の意思を探り、また理解を求めることも一方にあるわけでありますから、大切なことかな、こう思ったりいたしております。  しかし、具体的な手法を講じつつ、個々の施策、事業の実施に当たって、可能な限り国民と対話を行いながら進めてまいらなければなりませんが、それが、時として、長い時間がかかって、整理がつかないで、一つ経済効果を生まないということもありますし、いかなる形がいいのかということにつきましては、また委員にもいろいろ知恵がありましたらお聞かせをいただきたいと思うわけであります。  加えて、今国道十六号線の具体的な問題につきましてもお話がありましたが、今の方法ではこの問題はなかなか適合しがたいのではないかなと私は考えたりいたします。
  85. 松崎公昭

    松崎分科員 どうもありがとうございます。  そういう基本認識では、今までの、行政がある程度決めて、押しつけではありませんけれども、かなり強引にやらざるを得ない、その結果、千葉県は成田空港というよくない経験を持っております。  同じ柏でも、実は今問題にしております手賀沼の周辺の反対側、北側に常磐新線というのを今つくろうとして、そこに九百ヘクタールぐらいの大きな町づくりをしているのですけれども、これも行政の最初のアプローチのミスから非常に今難航しております。鉄道をつくらないと、筑波学園都市と東京を結ぶ、そしてまた、千葉県の北部の大きな拠点開発にもなるものですからそこは大事な開発なのですけれども、それも行政の最初の入り方、説明の仕方、住民参加のさせ方にやや手違いがあったものですから、今非常に難航しております。  ですから、茨城県でありますとか、埼玉、東京の皆さんに、常磐新線がうまくいかないのは千葉県が非常におくれているからという、これは建設省さんも御存じだと思いますけれども、そういう轍を私どもの地元でも既に一度やっていますので、大事な道路、十六号線のバイパス、みんな待っているのですけれども、同じようなことになるといかぬ。ですから、この新しい手法をぜひ取り入れていただきたい。  そこで、今までいただいた資料によりますと、環境アセスの問題は新しい法案もできておりますので少し進んできていると思いますけれども、環境アセスの問題まで入りますとちょっと時間がなくなりますが、その新しい手法、あるいは環境アセスを含めて、今までの手法とどこか少し違ってアプローチするのかどうか。これは通告からちょっと外れるかもしれませんけれども、御専門の方の御意見を、十六号線のバイパス千葉柏道路に関してちょっとお聞きをしたいと思っております。
  86. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 現在調査を行っております千葉柏道路でございますが、むしろ、道路事業におきましては、事業を進めるという観点からは、都市計画決定、それから環境アセスメントの手続、この中で住民の方々の御意見を十分伺っていくといったところがございますし、それから、千葉柏道路につきましても、事業の各段階におきまして、可能な限り住民との対話を行いながら事業を進めてまいりたいと思っております。  といいますのは、大臣からお話がありましたように、パブリック・インボルブメントという方式は、建議においても指摘はされておりますが、今後はその効果や手法等についても一層の議論を深め、可能なところから逐次モデル的に、適切な手法開発していくことが重要であるというふうに言われておりますように、試行的に提言を求める、広範囲に提言を求めるという意味では非常に効果の高い手法でございますが、計画をまとめていくとかそういう段階ではなかなか適用しにくい部分がございます。そういったものについて、今回の建議におきましても、今後もう少し議論を深めて、使えるところへ使っていこうじゃないかという趣旨のことが言われております。  したがいまして、そういったことで、この方式につきましては、これからいろいろな工夫を重ねながらさらに充実を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  87. 松崎公昭

    松崎分科員 ありがとうございます。今のお話はそれはそれで難しいとは思います。今の住民の皆さんは、総論では賛成、各論反対ということもあります。ですから、大変難しいことは承知しておりますけれども、何とか住民をうまく巻き込みながら頑張っていただきたい。  そこで、もう一つ提案なのですけれども、これも昨年お尋ねいたしまして、一年間かけて御検討いただいたかどうか、それも含めてお答えをいただきたいのですけれども、後ほどまた浄化問題でやりますが、我々、千葉県北部東葛地区に関しましては、手賀沼という大変重要な自然環境がございます。最近、県道の整備とか、大きな橋ができたり、あるいはまたもう一本橋ができたり、いろいろ環境面が変化をしておりまして、そこへこの十六号線がちょうど入るのですね。そうします と、また大きな橋をつくらなければならない。そこが、便利さは求めるけれども非常に環境面では我々地元としては残念だ。  そこで、関係する市長さんも町長さんも前々から一つ提案としては、沼の下をトンネルにして、地下トンネルにして道路を抜けないだろうかと。それは、先ほどちょっとお話しした六号線という国道がありましたりJR線もあります、それから先ほど指摘したいろいろ問題点のある住宅密集地、そこも入っております、そこを全部地形的に抜けるのですね、下からずっと。そうしますと、極めてこれはよろしいのじゃないか。ただ、工費が六倍から十倍にはね上がるのじゃないか、そういう担当者の皆さんの考え方もございます。しかし、もし反対運動が長引いたり、そこにコストがかかるのであれば、むしろ最初から環境面も含めて、それから住民の皆さんの反対の意向も踏まえながら、トンネル化することがよろしいのじゃないか、そういうことを昨年から御提案を申し上げておりますが、この辺の御検討はさらにしていただいたかどうか、お尋ねを申し上げます。
  88. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 国道十六号の千葉柏道路の中の手賀沼地区でございますが、これは県立自然公園である印旛手賀沼自然公園に指定されている地域であるということを私ども十分認識しているところでございます。建設省としましても、現地の動植物の環境現況調査を十分に行いまして、渡河位置についても、渡河位置というのは当然ルートの問題になってくるわけでございますが、そういったことについても、環境に影響を与える度合いを極力抑えるためにルート等の検討どもさせていただいているところでございます。  その中で、また一つ先生おっしゃられる、手賀沼地区を地下構造とした場合というお話でございますが、もちろん検討はしているわけでございますが、当地域は御存じのように軟弱地盤でございますので、これを実施する場合には、トンネルの延長は非常に長大化されるといったことで、工費の問題もございますが、それ以上に道路の場合には、これは鉄道と大分違うわけですが、沿道利用がどのくらいとれるかというのは、その道路活用する方々の利便性から考えて、あるいはそこの地域開発の問題、そういった点から非常に大事な要素でございますが、そういった面での制限を受ける。それから、むしろ環境の問題も多少は逆に出てくることもあります。  そういったこともありますので、さらに検討は続けていきたいと思っておりますが、いずれそこの中身がまとまった段階におきまして、都市計画決定の手続、それから環境影響評価の各段階におきまして、地元住民の方々の御意見も十分伺いながら進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  89. 松崎公昭

    松崎分科員 ありがとうございます。  利便性か環境か、そういう問題が常につきまとうわけでありますけれども、ぜひ、地元の御意見もしっかり聞いていただきながら、少しでも早い実現をお願い申し上げます。  続きまして、住都公団の問題をちょっと取り上げさせていただきますが、昨年六月の閣議決定で住都公団の改革が行われました。それで分譲住宅から撤退をする、それから賃貸関係も、町づくりとか再開発、そういったものに重点的にいくのだということで、実はそれ以降全国にある住都公団の皆さんあるいは住民の方、住んでいる方、いろいろなところから建てかえ問題等にまつわっていろいろな動きがあります。実際に耐久性あるいは居住性、時代の流れ、いろいろなことからいきますと、やはり建てかえもしなければならない場面も出てくることは承知しておりまして、今現在進行中でありますが、その建てかえの方々は非常に不安――というのは、千葉県にもたくさんありますが、私どもの地元、千葉県柏にも大きな団地が一つございますが、非常に高齢化をしております。それで、かなり収入も減っている、そこでもし建てかえられてしまったら住めなくなる家賃になる、いろいろ皆さんの方も手だてをされております。高齢者の特別減額家賃でありますとか、傾斜家賃でありますとか、戻りの方にはかなり減額をする、そういうことをされてはおりますが、それでもなかなか厳しいのだと。  そこで、昨年も、そういう方々の不安を取り除くためには、戻りの公営住宅、そういう方々に対して公営住宅の併設事業、それから公共団体が借り上げてまた住民にお貸しする、そういうことが多くなっております。実際に全国的にどのくらいの状況に今なっておりますか、お答えをいただきたいと思います。
  90. 小川忠男

    ○小川政府委員 お答えいたします。  公団住宅の建てかえの際の公営の併設あるいは公営としての借り上げでございますが、現段階で、公営併設につきましては、公共団体と話がまとまったという団地が全国で十七団地ございます。現在いろいろ御相談中というのも七団地ございます。それから、公営住宅として借り上げる、あるいは公営的な住宅として借り上げる、両方含めまして基本的な合意がまとまった団地が七つ、それから、現在いろいろ御相談中の団地というのは十三団地ございます。  以上でございます。
  91. 松崎公昭

    松崎分科員 この戸数がどのくらいかお答えもいただきたかったのですが、まだ非常に始まったばかりの、併設は平成四年度ですから始まったばかりとは言えませんが、借り上げは平成六年からということになっております。この辺は、やはりもっと広げていくべきだろう、そんなふうに私は思っておりますが、どうも実績が少ないのではないか。各自治体に対してもっとPRしたり、いろいろ御都合があるかもしれませんけれども、住宅公団の一つの使命も確かにもう既に終わってきたのだとなれば、主だったものはもう民間へということで分譲も撤退された。そうしますと、大体入っていらっしゃる方々は、先ほど言いましたように、高齢化して非常に収入も少ない。そうするとあとは、確かに公団がどこまで役割を担うのかという問題もある。しかし、いろいろな制約の中で、今までの財政上の問題、住都公団もいろいろたくさん抱えております。ですから、そういう問題をクリアしながらいくとなると、やはり公営住宅か、あるいは借り上げをしていただく、併設をしていただく、そういうことになると思いますけれども、実績件数が、私の方でいただいておるデータでは、団地数は多いのですけれども、件数がまだまだ少ないのではないか、全国規模で見ますと。その辺、積極的にやるべきだと思いますが、少ない理由と、どのようにこれから促進していくか、お答えをいただきたい。
  92. 小川忠男

    ○小川政府委員 少ない理由というふうなお尋ねでございますが、基本的には公団と公共団体との間で、用地の売買ですとか交換というふうなことが、やはり現実問題としてはそれなりのネックになっているという点は否定できないだろうと思います。  ただ、今後の考え方でございますが、公営併設等々につきましては、一つには、建てかえを円滑に進める、高齢社会を前提にした建てかえというふうな側面からが一つ。それから、やはり基本的には、公団にせよ、公営にせよ、町づくりのありようとして、単一の町あるいは居住空間ではなくて、やはり現実のいろいろな方が住んでいる町というのがコミュニティーのありようとしては理想的だろうというふうな考えもございます。こういうふうなことから、私どもとしては、積極的に公営併設あるいは公営借り上げというふうなものを進めたいと思います。  そのときに、私ども若干期待をいたしておりますのは、先般の公営住宅法の改正で、公団にせよ、民間にせよ、おつくりになった住宅を公営住宅として借り上げるというふうな制度が正面から創設されました。したがいまして、従来の土地をめぐるいろいろな煩わしさというものは比較的解消されると思います。そういうふうなこともございますので、これから大いに努力をさせていただければというふうに思っております。
  93. 松崎公昭

    松崎分科員 ですから、各自治体といたしましても、自分たちでつくっていくよりは費用的には かなり安上がりだと思う。ですから、建設省としてもその辺を、逆に公営住宅のバックアップということで、国の方から自治体にバックアップしてそして公団の借り上げを進める、そういう手法も非常にこれから大事ではないか、総体的なむだを省くということも含めまして。  それから、私の地元に光ケ丘というのがあります。最近、きのう、おとといでしょうか、住都公団の空き家の値段を下げたというNHKのニュースをやっていましたね。神奈川とか八王子、印西、随分下げていますね。大きいところは三〇%。これは売れ残りが多過ぎるということと、財政上いつまでもこのままではもう無理だということで御判断されて、今までも随分値下げをされて売っていらっしゃる、分譲ですね。  私どもの柏市に光ケ丘団地、これももう昭和二十九年でしょうか、非常に古い団地がございまして、今建てかえをしております。その中で分譲住宅の空き家がかなりありまして、周辺の商店街とか住民から、できたはいいけれども、ほとんど、百三十八戸のうちたしか三十八ぐらいしか入居していないのじゃないのと。これは非常に危険性もあるし、商店街も困っていますし、どう見ても何年か、でき上がってもう随分たっています。  ですから、これを放置しておくのは何なんだというふうな御意見もありますので、その辺の光ケ丘団地の空き家の問題、どのように考えていらっしゃるか、あるいは値下げということも考えなければならないのじゃないか、そんなふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  94. 小川忠男

    ○小川政府委員 御指摘のように、空き家となっている住宅が八十三戸、それから工事を中止している住宅が五十五戸、合計百三十八戸がいわゆる空き家というふうな状況でございます。  ただ、この住宅につきましては、団地の建てかえ事業に御協力をいただいた方々が既に三十八戸、購入して入っていらっしゃるというふうなことから、私どもとしましては、この方々、管理組合をおつくりになっていますが、できるだけ御理解をいただいて、第一義的には賃貸住宅への切りかえができないものだろうかというふうなことで最大限の努力を今やっております。  それ以降の話は仮定の話でございますけれども、なかなか折り合いがつかないというふうなことをもし念頭に置くとすれば、やはり経営体としてはある時期に一般の分譲というふうなことも考えざるを得ないとは思います。ただ、当面はいずれにいたしましても、まず賃貸への切りかえというふうなことについて御協力をいただくべく最大限の努力をしたいというふうなことでございます。
  95. 松崎公昭

    松崎分科員 ぜひしっかり光ケ丘団地のことも対応していただきたい、そういうふうに思っております。町づくりの中であれだけ空き家と暗い場所がありますと、周辺に商店街と住宅が張りついていますから非常によろしくないのですね。ぜひ御努力をお願いしたいと思います。  最後に、先ほどお話ししました手賀沼という、私たちの大変オアシスとして持っております手賀沼の浄化の問題でありますが、これももう毎年やっておりますけれども、今あります水をきれいにするということで、北千葉導水事業というのが建設省を中心としてやられております。これは利根川から江戸川へ水を流して主に飲料水の原水を確保するという、毎秒四十トン流すという計画、これはもう長く、昭和四十七年からやっております。約三千億近いお金をかけて間もなく完成なんですね。  途中から手賀沼へきれいな利根川の水を流すわけですね、毎秒最大十トン。昨年もお聞きしたとき、これは本当は平成九年度の末に、ですから今ごろにはもう通水テストに入っているということでありますけれども、それが今そうじゃない。この辺はどういうわけで試験通水がおくれてしまったか、今後の見通しをお聞きをします。
  96. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 昨年御答弁をいたしました折には、九年度末の完成、これは、れき間浄化施設の完成を九年度末と見込んでおったわけでございますが、この施設、当時はべた基礎でやれる、こう見込んでおったわけでございますけれども、地質調査を行いますと、これがべた基礎ではもたないということで、くい基礎プラス地盤改良が必要だということになりまして、工期が一年程度おくれてしまいました。  そういう中で通水試験、水を通しながらどういう影響が出るかをする、それが一年おくれにならざるを得ないという状況になっております。そういう中でございますけれども、何とか工期を縮められないか、これからも十分検討して対応してまいりたいと考えております。
  97. 松崎公昭

    松崎分科員 時間が来ましたので終わりにしますが、ぜひ一日も早くしっかりやっていただきたい。  それから浄化の問題では、建設省も新しい浄化システムをお考えのようでございますので、ヘドロ対策をぜひここで御要望を申し上げまして、終わりにさせていただきます。  ありがとうございました。
  98. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて松崎公昭君の質疑は終了いたしました。  次に、藤木洋子さん。
  99. 藤木洋子

    藤木分科員 日本共産党の藤木洋子でございます。きょうは被災市街地復興特別措置法に基づく阪神地域の土地区画整理事業についてお聞きをいたします。  神戸、西宮など阪神・淡路大震災の被災地では現在二十の土地区画整理事業が進められております。震災後三年以上が経過しましたけれども、いまだに更地のままのところがたくさんございます。もとの町に戻るめども立ってない人たちもまだ大勢います。また、震災によって家族や家など多くのものを失った被災者が、区画整理によって住む土地を二割、三割も奪われるという事例も生まれ、事業の見直しを求める声が沸き起こっております。  須磨区千歳地区は、震災で全焼が六八・三%、全壊が二三・六%、神戸新聞のアンケートによりますと、持ち家だった住民のうち、再建を断念するというのが二二%、再建のめどが立たないというのが三四・六%です。断念は調査をするたびにふえ続けているのが特徴です。理由は、資金が二六%、高齢が二六%、区画整理が三六%です。  借家だった人の場合は事態はもっと深刻でして、千歳に帰ることを断念というのは五〇%、めどが立たないというのは四二・二%、合わせて九割を超えるわけです。まちづくり協議会の役員は、資金、年齢ともに厳しさを増す一方です、区画整理が終わったとぎどれだけの人に自宅再建の体力が残っているのか、借家だった人たちが帰ってこられる低家賃の公営住宅がどれだけ建つかと言っておられました。  私は先日、西宮北口駅北東の事業を調査してまいりました。被災された住民の意見がほとんど無視されて事業が進められている、そういう声がたくさん寄せられたわけです。  そこで、まず大臣にお伺いをしたいと思うのですけれども、被災市街地復興特別措置法というのは、被災後ちょうど一カ月の二月十七日、衆議院の建設委員会で審議をされております。我が党の中島議員の質問に対して当時の野坂建設大臣のお答えですけれども、「第四条に、地域住民の理解と協力は不可欠という明文がございます。したがいまして、私たちは、この条文を大事にして、地域住民と話し合って、合意を得て進めるということが基本でなければならぬと考えております。」というふうに答弁をしておられます。  そこで大臣、今の震災被災地で進められている区画整理事業が、住民と話し合い、合意を得て進められている、そのようにお考えかどうかお伺いをしたいと思います。
  100. 瓦力

    瓦国務大臣 藤木委員にお答えをいたします。  今お話しの被災市街地復興特別措置法第四条におきまして、「施策における配慮」として、今御指摘のように、「国及び地方公共団体は」「地域住民、民間事業者等の理解と協力を得るよう努めな ければならない。」とされておるところでございます。  このため、個別の事業実施に当たりまして、地権者等の関係住民から成るまちづくり協議会における計画の提案を受けまして地方公共団体が事業計画を策定するなど、関係者の理解と協力を得るような取り組みがなされておる、かように理解をいたしておるところであります。
  101. 藤木洋子

    藤木分科員 それでは具体的にお聞きをしたいと思います。  これは西宮ですが、北口駅北東の事業の場合、被災後およそ一カ月の二月二十八日には都市計画案の縦覧が始まりました。被災からたった二カ月後の三月十七日にはもう決定されているのです。仮設住宅もまだ建たず、避難所や避難先での混乱期を必死に生きようとしているときの決定です。このこと自体全く異常なことだと私は思っております。縦覧が始まる前にA調査、B調査など、基本計画を立てて建設省の承認も得て、国費も措置されるようになったというふうに聞いております。  そこで、大混乱の中、住民の意見も聞かずに都市計画を決定して進めていった。被災市街地復興特別措置法というのであればもっと時間をかけて住民の意見や要望を聞くような措置をとるべきではなかったかと思うのですが、その点いかがですか、建設省
  102. 木下博夫

    木下政府委員 お答えします。  区画整理事業を初め都市計画すべての事業がやはり先生おっしゃられるように地元の御理解、御支持がなければうまく進まないというのはまず基本にあろうかと私は思います。  ただ、今回はお話がございましたように大変大きな震災ということで、できるだけ早く計画を見せるということが必要であろうかと思いまして、いわば二段階的に、ます都市計画で事業の種類あるいは地区の大きさというのを決めた上で、それぞれ町づくりの中身を詰めていくということで私ども取り組んでおりました。お話にございましたとおりに震災後二カ月たちましたときに、今申し上げたような区域とかあるいは幹線道路等の都市計画決定のみをます平成七年三月に決めさせていただいた上で、まちづくり協議会にお諮りしながらその後は進んでおりまして、まちづくり協議会からは、御承知だと思いますが、平成八年の六月にいわば計画案を取りまとめられて、西宮市に提案していくという順を追っております。  いろいろな御意見があることも私かねてより聞いておりますが、それぞれの御意見の中で貴重な御意見は採用されて西宮市もやっておられると思いますが、いずれにせよ、私は手続的にはかなり民主的に行われているであろうという認識を持つております。
  103. 藤木洋子

    藤木分科員 被災地ではおよそ二十の震災復興土地区画整理事業というのが行われております。都市計画決定、事業計画決定の際にそれでは全体でどれだけの意見書が寄せられているのかお答えをいただきたいと思います。  また、事業計画に対する意見書は一通一通について採択かあるいは不採択かを決めるということになっておりますけれども、採択された意見書は何通あったのかお答えください。
  104. 木下博夫

    木下政府委員 細かくなりますが、私の手元にあります数字では、先生も御存じかと思いますが、二土地区すべてで、合計で都市計画決定あるいは事業計画決定にそれぞれおおむね約三千通の御意見を出しておられます。  中には事業の推進を求める意見もあることは言うまでもないわけでございまして、それにつきましては方向としてはほぼ一致しているということでございますので、いわば採択か不採択かという意味では採択しておりませんが、趣旨は反映されておると思います。  それから、計画等について出た意見では、都市計画で決定済みの事項についての意見とかあるいは個別の換地、補償に対しての意見で、どちらかというといわば事業計画そのものに対する意見でないということで結果的には不採択になっておるものもかなり多くございます。
  105. 藤木洋子

    藤木分科員 具体的な数字は後でちょうだいしたいというふうに思いますが、意見書の取り扱いは異常ですよ。兵庫県都市計画地方審議会で審議されましたけれども都市計画に対する意見書そのものを審議委員が直接見たというわけではないのです。県の職員が要旨としてまとめたものだけを見て審議しているわけです。しかも信じられないスピードで行っていますね。  都市計画案の縦覧が二月二十八日から三月十三日。縦覧期間の二週間で三千通を超える意見書が寄せられました。その審議を行って都市計画を決定いたしましたのが三月十七日です。通常は縦覧後一カ月ぐらいしてから審議会を開くわけですけれども、わずか四日後に開いています。ですから、三千通もの意見書の要旨を兵庫県は数日でまとめたことになります。全く異常な事態であります。しかも、それをたった一日だけの審議会で審議を終えています。通常行われる審議会の事前説明会も省略されております。  また、事業計画に対する意見書の審議も異例なやり方でした。要旨ではなく意見書そのものが審議されましたけれども、事前説明会が一日あったとしても、たった一日の本審議で意見書の一通一通に対して採択か不採択かが決められたのです。淡路島北淡町の富島地区の事業に対する意見書は二千通を超えています。この審議も一日だけでした。まともな審議が行われたとはとても思えません。  当事者である被災住民がこれほど軽くあしらわれるような扱いで事業を進めている実態を建設省は御存じだったのでしょうか。いかがですか。
  106. 木下博夫

    木下政府委員 当時の記録なども見させていただいておりますが、確かに先生おっしゃられるようにボリューム的にはかなりの数が出ていた地区もあることも事実でございます。異常なというお話でございますが、当時としては、一刻も早く安定した時期へ持っていくためには手続的には早められるものは早くしていきたいというのも現場としてあったのではなかろうかと私は思います。したがいまして、かなり日夜を問わず職員そのものも努力した結果が今お話にもございましたようなスピードになっていったと思います。  いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、手続的には、ます事業決定の前に都市計画決定として事業の種類あるいは区域などを決める、その後に、大枠を決めた中で事業の中身をまちづくり協議会等の御意見を聞きながらつくるというやり方は、今回、兵庫県の震災という異常な状況の中で一つとり得た方法であろうかと思います。  それにしても、御意見をいろいろ重ねてお聞きするという手順は私は大切にしていきたいと思っておりますし、これからの事業の促進の上でも、今お話の出たようなことは十分地元として自覚をしながら進めていくと私は思っております。
  107. 藤木洋子

    藤木分科員 これは単なる区画整理事業だとか再開発事業ではないのですよ。被災市街地復興特別措置法というわけです。ですから、それの第四条は、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、「国及び地方公共団体は、この法律に規定する大規模な火災、震災その他の災害を受けた市街地の緊急かつ健全な復興を図るための施策の策定及び実施に当たっては、地域における創意工夫を尊重し、並びに住民の生活の安定及び福祉の向上並びに地域経済の活性化に配慮するとともに、地域住民、民間事業者等の理解と協力を得るよう努めなければならない。」という規定があるわけです。  ところが、都市計画決定や事業計画決定の際の資料は公開しないで、被災住民に何も知らせずどんどん進めていく。出された意見書の審議は全く不十分。これでは被災者にさらに追い打ちをかける土地区画整理事業になることは明らかです。急がなければならなかったと言われますけれども、納得がいってこそ安心するわけで、納得のいかない、不安をいっぱい積み込んだようなものをどんどん進められたのではたまったものではありません。第四条の主語は、「国及び地方公共団体」で す。国の責任が問われているのは当然であります。配慮し理解と協力を得るように努めていただきたい。  さて、西宮北口駅北東の地域は、震災前は住宅地が約六割でございます。農地が約二割というところだったのです。道路の幅員も大部分が四メートル未満のところでした。こうした地域に今まではなかった幅員の道路を通そうとしています。幅員十メートルを超えるものだけでも、二十メートルの北口線、十五メートルの武庫川広田線。この二本の道路は一九四六年、戦後すぐ当初計画が決定されながら、住民の反対でわずかな部分を除いて建設がストップしていた道路です。同じく十五メートルの車庫北線、十二メートルの高木二号線、ほかにも八メートルや六メートルの道路が縦横に走ります。騒音、振動、大気汚染、環境は激変します。農業はやっていけるのか。子供たちにとってどうなのか。果たして住み続けられるのか。  そこでお聞きをいたしますが、市は、この地域の再開発構想を発表した際に、市議会本会議におきまして我が党の議員の質問に答えて、騒音、振動等の環境調査が必要と答弁しました。そして今回の事業でも、住民に対して、市議会での答弁を守り、環境調査を行うと説明していました。ところが、住民が調査を要求したら、既に調査は進められているということだったのです。住民には何も知らせずに調査を行っているということです。直接担当当局に伺いますと四月か五月には結果を公表するということでございますけれども、騒音や振動の調査を幹線道路沿いで行っていくようです。  地域全体が大きく変わろうとしているのに一体それだけでよいのでしょうか。今までにもない道路が縦横に走るだけでなく、広い道路ができますとビルやマンションが建ち並ぶことも十分予想されます。排気ガスはどうか、農業への影響はどうか、日照権はどうなるのかなと住民は大きな不安を抱えています。市議会の答弁では、住民の理解と協力を得て事業を円滑に進めるとしています。この時点の住民はまだ被災者ではありませんでした。現在は被災者になっておられるのですから一層の理解と協力を得る努力が必要ではないかと思います。住民の意見を反映した調査に改めるべきではないでしょうか。いかがですか、お答えをいただきたいと思います。
  108. 木下博夫

    木下政府委員 町づくりそのもののお話をすると先が長くなりますが、やはり今回の震災を機にして神戸を初めとして兵庫県下の各市が新しい町づくりをしていきたいということでございますから、そのときには私どもは、今先生お話がございましたいろいろ道路を初めとした公共施設等を整備する、しかしその公共施設そのものが地域の環境とうまくなじむのかどうかということは私は大変大きな課題、重要な課題であるということは認識として持っております。  お話ございました環境アセスについては、従来やってまいりましたいわば閣議アセスとかあるいは先般の環境影響評価法に基づくアセス、これは御承知かと思いますが、百ヘクタール以上のそういう区画整理事業でありますから当該西宮の場合は該当しておりませんが、地元からもいろいろお話があったようでございます。むしろ市として前向きに取り組むということで、内容的なことはこれから私どもお聞きしなければなりませんけれども、近々その環境アセス結果が出るようでございますから、そういう材料をもとにして地元の方々に十分な御説明をしていく、そういうことについて私は西宮市に対しても指導してまいりたいと思っておりますし、西宮市に積極的な姿勢を期待したいと思います。  ただ、一つお断り申し上げたいのは、震災の場合にどういう状況であったかといいますと、やはり公園を初めといたしまして例えば道路どもしっかりとしたものができていたからこそ類焼を免れたというところもございますので、私どもは大変大きな交通量が通る道路だけをつくることを目指しているわけではございませんから、必要な基盤整備というものはこの際地元の方もよく御理解をいただいて、しっかりとした町づくりに貢献できるそういう都市施設をつくることは必要じゃなかろうか、私はこう考えております。
  109. 藤木洋子

    藤木分科員 ぜひ御指導をお願いしたいと思います。あるまちづくり協議会の会長さんはこうも言っているのですね。みんなが早く解決したいと思っているのに進まないのは、都市計画決定を急いだ行政への不信感が強いからだ。これは、やはりどんなに理想的な絵をかかれましても、そのことが住民に納得ずくでなければ進まないということのあらわれだと思うのですね。ですから、あくまでも、今度のアセスの結果をごらんになってまだ足りない点があるというような住民からの指摘がありましたら、その点は建設省も協力をしていただいて、ぜひ御指導をお願いしたいと思います。  情報公開について多くの住民から要望が上がっております。現在仮換地が進められていますけれども、仮換地の個別説明会でもほとんど資料は公開されませんでした。そのため、なぜ指定された換地先になるのか理解も納得もできないとか、九十平米未満の土地、宅地は減歩しないと市は説明したにもかかわらず減歩されていることが後でわかったなどの声が上がっております。  また、北口町では幹線道路沿いのマンションが移転を迫られております。震災後も住み続けられるマンションをなぜ壊さなければならないか。住んでいる住民もマンション所有者も反対しているにもかかわらず移転しようとしています。一方では、幹線道路沿いのマンションやビルを建設するには極めて有利なところに換地されている地主の方もあると聞いております。  土地区画整理事業は公平でなければならないと思うのですが、仮換地図など事業の全体像さえ、住民にはもちろん、住民の選挙で選ばれた土地区画整理審議会にも公開しておりません。公平な事業、住民の声を反映した事業にするためには情報公開が必要ではないかと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
  110. 木下博夫

    木下政府委員 個別の区画整理事業について私今ちょっと手元に詳細なデータを持っておりませんが、基本的には、町づくり先ほど申し上げたように地元の関係者の御理解がないと事業は進まないという考え方、基本に立っておりますので、そういう意味では地元の御協力をいただくためには最大限の努力をすべきだと思っています。  お話ございました区画整理の場合は大多数の方々に対しての情報をどういう形で御理解いただくために公開していくかということをいろいろ工夫はしているつもりでございます。一つは代表者としての審議会、これはいろいろ選挙で選ばれた審議会委員がおられるわけでありますが、こういう場で大いに私は積極的に御意見を交換していくべきではなかろうかと思っております。それでもなお足らない部分をどういう形で情報として提供していくかということは、それぞれの地域で工夫があろうと思いますし、先例もいろいろあるようでございますので、また必要なものは兵庫県なり関係市に対しても私どもアドバイスするなり参考にさせていただきたいと思っております。  それから、減歩のことをちょっと御質問がございました。これは私、今回御質問いただくことで調べておりましたら、確かに地元に配られましたビラ等については必ずしも正確を期してないという御意見があるようでございますが、私は、正確さというよりは、何といいますか、むしろ地元の実務担当者の説明が不十分であったかと思います。  内容的には、例えば一つの例で申し上げると、九十平米ぐらいの過小宅地といいますか小さい宅地については、その中に私道部分が含まれておりまして、私道部分は現況的には道路として使われている部分でございますから、ここの部分についてはいささか減歩をするという形にしておりますが、本来宅地として使われております基本的なところについてはむしろ減歩をしないという大変特例的な扱いをしているということについて地元で 必ずしも十分な説明がされてなかったものですから、こういう配慮が生かされてないのは私どもむしろ残念な気持ちがいたします。  ただ、大変小さな宅地をたくさんお持ちの方もおられるような地域でございますから、そういう地域がうまく融和するという仕掛けもまた区画整理事業の中で、限界もございますけれども工夫をしてまいろうと思っております。
  111. 藤木洋子

    藤木分科員 その私道は全く別ですよ。それについては別にまちづくりニュースのQアンドAが設けられまして、私道は換地不交付だということもはっきり示しておられます。ですから、個々の借地が九十平米以下なら減歩はありませんというふうにはっきり述べておられますし、「意見書要旨の集約と市の考え方」という文書の中にもそのことははっきりと述べられております。九十平米以下の宅地については減歩しないことを方針としております。ですから、今おっしゃった御説明は、それは正しくはないということを私は申し上げておきたいと思います。  情報公開を求める声は住民の一部から上がっているだけじゃなくて、三月十七日が都市計画決定から三年が経過するということで、新聞やテレビなどでは一斉に区画整理や再開発事業の行き詰まり、この問題を報道しております。例えば三月十六日付の神戸新聞ですけれども、JR六甲道駅南の復興再開発事業が、行政とまちづくり協議会と住民の意見が対立して事業が行き詰まっているということを紹介しております。「完成まで長期間を要し、住民はその後も一緒に暮らし続ける。住民合意の形成へ情報の公開と共有は不可欠」というふうに書いています。  同じ被災地でも、尼崎市の築地の事業では情報公開を進める努力をしてこられました。住民との合意をできるだけ追求をしてきております。そのことが他の事業に比較しても事業を進めたということにつながっていると思います。情報公開を進めるべきだというふうに思います。  次に、宅地の減歩についてお聞きいたします。  さきにも触れましたけれども、現地では仮換地指定が進むにつれて住民の怒りが爆発しておりまして、昨年十一月には権利者八百十五人のうち二割を超える百八十人が連名で市に要望書を提出いたしました。権利者の中で二百平米以下の人が六八%、ほとんどの人が減歩はゼロにしてほしいと要望しています。市は都市計画審議会で九十平米以下の宅地については減歩しない方針と説明をし、区画整理事務所のニュースでも説明してきたところです。  ところが、例えば四十六・〇三平米から四十二平米になったり、七十八・三八平米から七十二平米になるなどという状況が起こっています。少なくとも九十平米未満の宅地は減歩しないという説明を守るように市を指導すべきだと思いますが、どうですか。私道のことは全く別ですよ。宅地に関して私は申し上げているわけです。その点はいかがですか。
  112. 木下博夫

    木下政府委員 地元のお決めになるいわば規模ということについては建設省が云々すべきものではなく、これは都市計画あるいは事業計画の中でお決めになると思います。先ほど私がお答えしたことに対して先生から、それは事実と違うじゃないかというお話でございましたが、私は地元で配られました資料が若干不十分であったということを前もって申し上げました。  私どももその真意を西宮市なりにお聞きしましたら、一例で申し上げると、いわば有効宅地部分が八十平米で、土地の所有権は本人にありますが、従来、現況的には私道で使われているところが十平米、ですから、本人は実態的には八十平米の宅地だけを使っていたという実態のときに、八十平米の宅地はます確保してさしあげましょう、それで、いささか厳しいところでございますが、私道の部分については一部、その十分の一ぐらいの減歩率でございますが、させていただこうということになっておりまして、全体では八十平米の有効宅地部分を確保した上でやるということでございます。  ですから、そのことが地元に十分御理解、徹底していないというのであれば、地元に対しての説明なり理解を求める努力はもっとすべきだと私は思いますが、この基準そのものは、私ども建設省がいいとか悪いとかと言うよりは、いわば地元の状況の中で、区画整理の審議会その他も含めてでありましょうけれども考え方を整理したものでありますから、基本的にこれに対しては、指示するとかしないというよりは、地元で、よく説明をしながらより事業が進む方向での努力をしていただきたい、私はこう思っております。
  113. 藤木洋子

    藤木分科員 事は、住居の基盤にかかわる土地の問題なんですよ。誤解を与えるような説明というのは最低ですよね。正確でなければなりません。しかし、みずからの説明に最後まで責任を負う、そうしてこそ住民の納得が得られるであろうということを私ははっきり申し上げておきたいと思います。  西宮市以外でも問題はたくさん発生しております。その中の一つ、芦屋市の大桝町の例ですけれども、小さな宅地なんですが、四メートルの隅切りを要求されて困り果てている住民がおられます。  もともと四メートルの道路に面していましたけれども、六メートルの幅員にするというので、まず二メートルの幅を削られることになりました。その上隅切り四メートルを強制されようとしているのです。隅切りにつきましては、何メートルにしなければいけないというような規定は現行法にはありませんよね。もともとこの地域は、生活道路ばかりで交通量も少ないところなんです。だれの目から見ても隅切り四メートルの必要はないと思われるところなのです。地主の方は、震度七の地震にも耐えた、無事だったこの家をなぜ取り壊さなければならないのか、こんなに削られてはもとの家は建たないと困っています。  隅切り四メートルという、現行法にも規定のないことまで強制できるのでしょうか。市にそんな権限はないと思いますけれども、その点はいかがでございますか。
  114. 木下博夫

    木下政府委員 先ほど来申し上げておりますように、区画整理事業というのは、それぞれの地権者の方々の御協力を得て、新しい街区といいますか町並みを整理するために、一部私有地をお分けいただいた中で公共施設等の整備に貢献させていただくということでございます。  今、隅切りのお話がございました。詳しく申し上げるにはあれですが、区画整理の世界からいきまして、今回の町づくりをどう考えるかといった場合に、従来の道幅が多少狭くて不十分であった、これは安全上あるいは災害上ということだけではなく、ここの地区は、私伺っておりますと、新しい町の中で、いわばコミュニティー道路ということで歩道もかなり幅広くとりたいということでございますから、たまたま角地に当たる方々に、隅切りと称する一部土地を提供していただくということになろうかと思います。  詳細を私申し上げるのはあれですが、道路構造令上は、その何メートルという規定はございません。それは事実でございますが、しかし、その幅員に応じた隅切りを設計上していこうということは、地元でお考えになったし、それを区画整理審議会その他で御審議いただいた結果、御了承いただいたのだと思っております。  また、当然でございますが、建物移転に当たっては、当然必要な補償が行われることは言うまでもないことでございます。
  115. 藤木洋子

    藤木分科員 了承いただいているとおっしゃいましたけれども、御本人は納得していられないわけですから、もう少し事情を詳しく把握していただいて、適切な御指導をお願いしたいというふうに思うのですが、いかがですか。
  116. 木下博夫

    木下政府委員 大筋について申し上げました手続として、都市計画決定なり、今、区画整理審議会等で議論したということを申し上げました。ただ、その直接の関係者、当事者に対しても、御説明をし、御納得いただく努力は最大限やるべきであろうと思っております。
  117. 藤木洋子

    藤木分科員 四メートルという規定がない以上、それが三メートルあるいは二メーター五十でも、もとの家を残すことができるということであれば御本人は御納得されるかもしれない、そんな状況でございますから、その辺は細かい御指導をお願いいたします。  最後に大臣にお尋ねしますが、そもそも阪神・淡路大震災は人災とも言われておりまして、震災によって家族や家を失った被災住民に対し強引な区画整理を押しつけるなどということは許されるべきではないと思います。六千通を超える意見書はほとんど無視に等しい状況でしたし、仮換地図などの資料は公開しておりません。事業が終了いたしましても多くの人がもとの町に戻ることさえできない、このような結果を引き起こすことは、復興に逆行するやり方であって許せないと思います。  実態は、大変な事態になっております。被災地での事業ということを十分御考慮いただきまして、今からでも情報公開などを行って、住民の要望や意見をできる限り反映させる誠実な努力が求められていると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  118. 瓦力

    瓦国務大臣 各住民のプライバシーの保護にも配慮することが必要でございまして、地域状況に応じて、土地区画整理事業の事業主体から関係住民に的確な説明を行う必要があると存じます。このため、事業主体である地方公共団体と相談しつつ、的確な取り組みが行われるよう対応してまいりたい。  こう申し上げますのも、それぞれの町づくりについて、住民の協力、理解を得ることが重要でございますので、さようにお答えをさせていただきたいと思います。
  119. 藤木洋子

    藤木分科員 ありがとうございました。十分に御努力をいただきたいと思います。
  120. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて藤木洋子さんの質疑は終了いたしました。  次に、今村雅弘君。
  121. 今村雅弘

    今村分科員 自由民主党の今村でございます。いよいよきょうは最後のトリということで、ひとつよろしくお願いいたします。  きょうは貴重な機会をいただいたわけでございますので、ぜひ私は、生まれ育ちました有明海のことについていろいろと御質問をしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  その前に、実は、本日未明、私の郷土の大先輩でございます愛野興一郎先生、元経済企画庁長官もやられた方でございますが、けさ未明、お亡くなりになったわけでございます。先生は、この有明海をこよなく愛されまして、そして、干拓事業でありますとか、あるいはこの有明海の防災対策について精魂を傾けてこられた方でございます。くしくも、きょうこの私の質問の日にこういうことになりまして、不思議なことだと思っているわけでございますが、その御遺志を継いで私も頑張ってまいりたいというふうに思っておりますので、ひとつ、元気よく質問もいたしますし、また力強い御答弁もいただきたいというふうにお願いする次第でございます。  まず、この有明海ということでございますが、お手元に簡単な絵をお配りいたしております。これは私がちょっとかいたもので、直筆でございまして、つたない絵でございますが、よろしければ御参照いただきながらお話を聞いていただきたいなというふうに思う次第でございます。  有明海は、先般来、諌早干拓その他で話題を呼んだわけでございますが、大変湾奥が深い遠浅の海でございまして、干満の差が大変大きいということでございます。干満の差は六メートル近くありますし、大潮のときには十キロ近い干潟も生ずるということでございまして、九州でいいますと、特にこの佐賀県、それから福岡県、それから熊本県、長崎県、この四県が一番湾奥に面しておりまして、いろいろと課題を抱えているところであるわけでございます。  御存じのように、ここにもちょっと書いておりますが、ムツゴロウという珍しい魚がおったり、その他いろいろ、魚介類も大変珍しいものがおりますし、鴨とかシギとか渡り鳥のたぐい、いろいろな野鳥がこの潟の上で遊んでいるわけでございます。最近は、人間様もガタリンピックと称しましてこの泥の上で大変はしゃいでいるわけでございまして、そういうところでございます。ふだんはこういう、大変静かな恵みの海ということでございます。  しかしながら、非常に特殊な地形といいますか、そういう中で一たん台風が来たり豪雨に遭うと、大変な被害をもたらすという面も実は持っておるわけでございます。昭和三十八年だったと思いますが、諌早の大水害とかも生じたわけでございまして、平成になってからも、何回となく台風等の被害に遭っているということでございます。  ここに図にかいておりますように、ちょうど上の方がいわゆる湾奥部になります。そして、それぞれに大きな川が流れ込んでおりますが、特に点々でかいているところが、先ほど言いました、十キロ近くに達する干潟ということでございます。左の方に、諌早干拓ということでございまして、その横に、新聞等でもいろいろ言われましたが、俗にギロチンと言われました潮どめ堤防ができて、今、ここは干拓になりつつあるということでございます。  そういう中でどういうことが起きているかといいますと、どんどん土砂が堆積していくということでございまして、そういう意味では、昔から干拓に取り組んできたわけでございますが、現在の海岸線よりも昔の海岸線は実はずっとずっと内陸部にあったということで、昔の堤防が実はもう今は国道になってしまっている、そういうこともございます。  こういうことで、どんどん陸地ができていくということは大変結構なことでございますけれども、なかなか問題も多いということでございます。どういう問題があるかといいますと、この一枚目の資料の下の方にかいておりますが、ここにありますように、右の方は昔の堤防ということで、どんどん泥がたまって、それを干拓をやって、そしてまた沖の方にずっと延びていくということでございます。堤防をつくってもまた、左の方にありますように、泥がたまっていくということです。  そうすると、泥がたまりますと、まず第一に、この干拓地の内排水ですね、これが非常に難しくなる。なぜならば、この排水路の出口に泥がたまるということで、ここから排水することが非常に難しいということになるわけでございます。これにつきましては、ポンプ等、建設省の皆さんあるいは農林水産省の皆さん、大変精力的にいろいろやっていただきまして、何とか対処しているということでございますが、これをしゅんせつするにしても、またすぐ泥で埋まってしまうということで、やはりこういう意味考えますと、なかなか抜本的な対策は難しいというのが実情なわけでございます。  また一方、ここに台風ということで書いておりますが、こういうことで泥がたまってまいりますと、どんどん海が浅くなって、いわゆる台風が、ちょうどこの下の南の方から強い風が吹くわけでございます。そのときに、まさに高潮ということで海水が吹き寄せられるという現象もあわせて、押し寄せた海水がこの堆積泥のところでぐっと高くなって堤防にぶつかるということで、この堤防を越してまいったりあるいは破壊したりということで、大変な被害を生ずるということでございます。  そういったことを含めて、やはり抜本的には、先人の例に倣って、この干拓を防災という面からももう一度評価してもらわなければいけないじゃないかというふうに実は思っているわけでございます。  もう一つ、ついでに、ちょっとこれは細かな問題になりますが、二枚目の資料で挙げておりますが、これは一枚目の資料の左の上にぎざぎざマー クで太良町と書いておりますが、ここは多良岳の山ろく部になりまして、山がここに迫っているということでございまして、ちょうど小さな扇状地みたいになっているわけでございます。山があって、すぐ谷があって、すぐ海に面しているということでございまして、ここに実は国道二百七号線というのが通っておる。そしてまた、これには書いておりませんが、実はJRの長崎本線もここを分断しているというところもあるわけでございます。  これも、先ほど言いましたように、ある意味では全く同じ問題が起きるわけでございます。雨が降ると、山から流れ出た水、沢を集めて、そして川になって、この扇状地にどんと入ってくる。ところが、この国道が、ちょうど堤防の役割といいますか、そういったことを果たしておりまして、排水するのはこの川一本しかないということで非常に水がたまりやすい。一方、この川も、先ほどの干拓地の例と一緒で、干潟がどんどん盛り上がってきておりますので、出口の排水、河口のところがやはり排水が十分じゃない、泥でもって邪魔される、そういうことでございます。したがって、一たん豪雨になりますと、あっという間にこの国道が、ある意味ではダムの役といいますか、この排水をせきとめる役をし、そしてまた、この水路も十分な機能をしないということでございます。  以上挙げました干拓地の排水の問題、それから台風時の高波対策、そしてこういった扇状地といいますか、海に面したところの問題、この三つが大きな問題でございまして、こういったところについてぜひとも、先ほど言いましたように、抜本的な干拓ということで取り組むしかないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。  しかしながら、最近、やはり米余りとかそういったことも含めて、干拓無用論というふうに言われているわけでございます。国の財政事情も厳しい中でございますが、こういったことを踏まえて、政府当局としてこういった有明海固有の問題点を認識してもらっているのかということをます第一点、お伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  122. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 ただいま先生の方から、この地域の潟土の対策について基本的な考え方をお述べいただいたというふうに考えております。  私ども、この有明海の海岸の高潮対策あるいは河川の治水対策、大変難しいテーマだというふうに思っております。堤防をつくりましてもすぐ沈下をしてしまう、そういう問題もひっくるめて、構造上の問題、あるいは非常に用排水路が入り組んでおる中で、そういう水を河川にくんで、そして河川から海にはくわけでございますが、台風のときにそういうことが起こりますので、そういうときには、高潮と山からの水が同時に起こるというような問題も重なりますので、この地域における治水対策というのは大変難しい問題だというふうに認識をいたしております。
  123. 今村雅弘

    今村分科員 どうもありがとうございます。そういう御認識をしていただいているということで、具体的な対策につきまして二、三お伺いしたいと思っております。  まず第一は、先ほど申しました干拓地の内排水対策のことでございますが、これにつきましては、基本的にはしゅんせつということも必要かと思いますが、これもすぐ埋まってしまう。そういうふうにしますと、どうしても排水ポンプの充実ということが、即効性もありますし、緊急的に必要じゃないかというふうに思っているわけでございます。  そして第二点は、先ほど言いました高潮対策ということで、堤防のかさ上げ等あるいは強化も必要ではないか。これが第二点。  第三点として、先ほど扇状地対策と申しましたが、これも、しゅんせつとかポンプとかとあるでしょうが、道路を通っている水路、これは暗渠が主体でございますが、こういったものをもっと拡大するとか、あるいは道路を橋梁化するとか、こういったことも考えられると思います。  こういった今言いました三点の対策につきまして、もし建設省の方でいろいろお考えになっていることがありますならば、あるいはまた今後のお考えがあれば、お伺いしたい。
  124. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 こういう地域の治水対策、基本としては、ます河川本川の水位を下げる、そのために河道のしゅんせつあるいは掘削、拡幅を行うということがます大事だと考えております。二点目としては、海からの高潮をとめる、そのための高潮堤防の整備、そして、そういう外水をとめた上で今度は内水をはくわけでございまして、排水ポンプの整備ということもあわせて大変大事だ、その三点セットが非常に大事だというふうに考えております。  そこで、お尋ねの排水ポンプでございますが、現在、河口部では廻里江川のポンプの整備を進めておるところでございます。二点目の、高潮堤防といいますか、高潮対策の進め方でございます。  現在も、海岸堤防、堤防があるわけでございますが、高さが、TPで申しまして大体四・五メートルから六・一メートルぐらいでございまして、これを完成堤防、計画の潮位に対して一応安全、そういうのを完成堤防と呼んでおるわけでございますが、これはTP七・五メートルでございまして、大体一メートルから二メートルぐらいかさ上げをするということでございます。こういう潟土でございますので、単純にはかさ上げをするわけにいきませんで、基礎地盤の補強、地盤改良等を行いながらそのかさ上げを行っておるところでございます。現時点で、大体六〇%ぐらいの整備状況だというふうに考えております。  それから三点目の、河口部におきます道路あるいはJR等々の対策でございますが、現在、伊福川におきまして、河口部のネック解消ということで、佐賀県の方で、今年度からJR九州と橋梁の改修について協議を開始いたしたところでございます。こういう問題についても十分対策を考えてまいりたいと存じております。
  125. 今村雅弘

    今村分科員 大臣がもうお帰りでございますので、一言だけお願いしておきたいと思ったのですが、この問題は、防災ということでいきますと建設省になると思いますし、干拓の問題というようなことになると農水省ということになりますし、また、しゅんせつをしてくれということになると運輸省が出てくるのかなという感じもいたしまして、どうもこの辺を、お互いにやる気はあっても遠慮し合ってしまうというようなこともあるのではないかと思っておりますが、そういうポテンヒットがないように、これは、基本的にはやはり防災ということを中心にして、建設省がぜひひとつリーダーシップをとって、精力的に鋭意進めてもらいたいなということでございます。ポンプその値、大変よくやってもらっておるということも承知しておりますので、今後ともよろしくお願いしたいと思っております。  それから次に、これに関連いたしまして、ただいま堤防のかさ上げ等々申したわけでございます。これに関連して、堤防を利用したいわゆる沿岸道路といいますか、そういったものを今後進めてもらうことはどうだろうかということで、その可能性等についてお伺いしたいというふうに思っております。  まず、有明海沿岸道路ということで、熊本県、福岡県、そして佐賀県ということで、今、高規格道路ということを基本に計画がなされているというふうに伺っておるわけでございます。これにつきましては、現在の進捗状況等を、調査区間も今度、ちょうど私の地元の鹿島の方まで調査区間が格上げにしていただいたということも伺っております。また、今後、もう少し西の方といいますか、長崎県寄りの方にもぜひ延長してもらいたいなという強い地元の要望があるということもお伝えしておきたいと思うわけでございますが、これらについて、とりあえず、現在の進捗状況あるいは今後の見通し等について簡単にお伺いしたいと思います。
  126. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 有明海沿岸道路というふ うに俗称いたしておりますが、これは、福岡県の大牟田市から佐賀県の鹿島市に至る六十キロの地域高規格道路として、平成六年十二月に計画路線としての指定がされております。これができてくることによりまして、沿岸地域の発展に大きく寄与するものというふうに思っております。  そのうち、平成八年八月に福岡県側の大川市から佐賀市までの十一キロが調査区間に指定されまして、建設省において直轄で、整備区間の指定に向けてのルート検討等調査を進めているところでございます。  また、平成九年九月には佐賀市から鹿島市までの十九キロの調査区間、これが指定されまして、佐賀県において調査に着手しておりまして、今後とも、調査の推進に努めてまいる所存でございます。
  127. 今村雅弘

    今村分科員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。  それで、実はこの機会に、私のアイデアと言ってはなんでございますが、検討をぜひお願いしたいなということで、これから申すわけでございます。  先ほど海岸堤防の強化の話をしたわけでございますが、一つは、この海岸堤防をぜひとも充実強化して、あわせて、ただいま計画されているこの沿岸道路、これに使えないか。つまり、堤防と道路とあわせた建設ということがどうだろうかということでございます。これをやりますと、まさに防災対策になるのはもちろんでございます。そしてもう一つは、何といっても、これは用地買収に全然手間取らないということ、そしてまた、今、湾の一番内側を走るわけでございますから、グラウンドの内側を走れば一番早いのと一緒で、大変スピードアップも短絡効果もあるわけでございます。そして、いずれこの地域は、過去の歴史が示しますように、やはりどんどん内陸化していくわけでございます。かつての堤防が今、国道四四四ということにもなっておりますが、将来、ここにつくっても、必ずこれは内陸部になって九州のこの地域を結ぶ大動脈になることは間違いないわけでございまして、これはもう、まさに将来を見越した先行投資ということに私は考えているわけでございます。そういう意味では、コスト面とか、あるいはまさに、時のアセスということが言われておりますが、そういったことでもこれは非常に効果的な公共事業の執行ということが言えるのではないかというふうにも思うわけでございます。  こういったところにつきまして、仮にこれをやるとして、どういうところに問題点があるのか。例えば、そんな堤防と道路一緒になどできないよということになるのか、あるいはそれは管轄が違うからとか、そういう制度上の問題もあるかと思いますし、あるいは技術的な問題の、非常に軟弱地盤といったこともありますが、特に制度上あるいはそういったところで問題があるのかどうか、そういった点について御意見を伺いたいと思います。
  128. 佐藤信彦

    ○佐藤(信彦)政府委員 有明海沿岸道路につきまして、海岸堤防を利用した道路整備が考えられないかという御趣旨の質問と伺っております。  道路の場合、一般的に道路の計画、これは、その道路の性格に応じた必要となる基準を確保しながら、地域の地形とか地質、環境、土地利用、周辺の開発計画、関連道路とのネットワーク形成、経済性等について総合的に検討しております。従来から、地域土地利用地域条件によっては、河川堤防とか海岸堤防などとの兼用工作物として事業を行ってきた例もございます。  この有明海沿岸地域におきまして道路整備について海岸堤防を利用するということの場合に、ここら辺のところがこれからの調査をやっていかなければならない問題でございます。一つは、既存道路ネットワーク、これとのアクセスの問題が非常にございます。やはり、この道路をどういうふうに使うか。道路は、当然沿道利用、道路を一本つくったことによりまして、単に通過だけ、交通を通すだけがベストかといいますと、そうではございませんで、むしろ、やはり沿道がどういうふうに利用されるかといった観点が大事かと思います。  そういった意味で、ちょっとまだ調査の緒についたばかりでございますので何とも言えないところでございますが、建設面の工費の問題、それから今言った、できたものの使われ方、それから管理面でのいろいろな問題、経済性、そういったさまざまな問題について総合的にこれから検討していく必要があるというふうに考えております。
  129. 尾田栄章

    ○尾田政府委員 海岸管理施設との関係で申し上げますと、海岸管理施設としての機能さえ確保できれば問題はないと考えております。  ただ、海岸環境と申しますか、浜辺へのアクセシビリティーを確保するということも、これは非常に大事なことだろうと思っておりますので、その辺のところはまさに地域の選択の問題にかかわってくることではないかと考えております。
  130. 瓦力

    瓦国務大臣 今村委員の御質問は、今、道路局長、河川局長から答弁がございましたが、いろいろネックになる問題があるといたしましても、道路、河川、両方の話し合いがつかないわけではない。また、いろいろ課題があるわけでございますので、研究はしなければならぬ問題がある。  大変地域の方々の要請も強い中でただいまの質問かと存じましたので、さような熱意を込めて勉強はしておかなきゃならぬ課題だな、かような認識を持っております。
  131. 今村雅弘

    今村分科員 両局長そしてまた瓦大臣までも大変力強い御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。これで、愛野先生の墓前にも報告できるのじゃないかというふうに思っているわけでございます。  いずれにしろ、これは、どんどん有明海が浅くなって陸地ができていくということでございまして、先ほど申しましたように、いずれこの海岸堤防は将来の内陸部を走る大きな中心になるのじゃないかというふうにも思っているわけでございますから、絶対これはむだな投資ではない、将来を見越した投資であるというふうに思っております。  そして、この地図にもちょっと触れておりますが、この右上に、実は佐賀空港というのが今できつつありまして、ことしの七月に開港ということでございます。いずれ福岡空港がパンクするということが言われておりますので、ぜひともこれを、国際便なりなんなりを中心にした国際空港にどうだという話もあるわけでございます。どんどん陸地ができるわけでございますから、自然と滑走路の用地も自然がつくってくれるということでございます。  また加えて、実は天草の方にも、島原半島にかけまして、三県架橋という橋をかけて三県を結ぼうじゃないかという構想も今あるわけでございまして、いずれ将来は、この有明海の時代になるわけでございます。  そういう意味で、こういった海岸堤防を利用した高規格道路をつくるということは、まさに非常に将来を見越したいい事業じゃないか、自画自賛の面もございますが、そう思っているわけでございます。  最近いろいろと公共事業のことが何かと批判を受けることも多いと思いますが、やはりしっかりしたものは将来を見据えてどんどん今のうちにやっていくんだということ、これがやはり日本の将来に結びつくということを私は思っているわけでございます。  そういう意味で、ひとつぜひ今後ともこの事業につきましても、また当初申しました防災対策等につきましても力強い御支援を賜りますことをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  132. 小澤潔

    小澤主査 御苦労さまでした。  これにて今村雅弘君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして建設省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の御協力により、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会