○長内順一君 私は、平和・
改革を代表して、ただいま
議題となりました
橋本内閣不信任決議案について、賛成の
立場から
討論をいたします。(
拍手)
国家存亡の緊急
事態に当たり、国政をつかさどる者の
責任とは何か。それは、
国民の生命と財産を守るために必要な施策を、時期をたがわず
責任を持って決断、実行することにほかなりません。しかし、これまでの政府の対応を見る限り、
橋本内閣の目指す
改革はすべて中途半端にとどまり、特に
経済対策の余りの迷走ぶりに、
国民の間には、本当にこの国をこの人に任せていいのか、本当に生命と財産を預けて大丈夫なのかといった不安の声が高まっていることも事実なのであります。
現に、先ほどからお話がございましたように、
内閣支持率は低迷の一途をたどっており、しかも、本日午前中の
市場は、
国会の
内閣不信任案に先立つようにして、一万四千八百円台の株安と百四十三円の
円安となり、
橋本内閣に事実上の
不信任を突きつけたのは、象徴的な出来事なのであります。(
拍手)
現在直面する
経済不況は、
経済のグローバル化の中で、今や一国にとどまらず
世界を恐慌へと誘いかねない底知れぬ恐ろしさを伴った様相を呈しており、まさに
危機的な
状況そのものとなっておるのであります。一方、一日一兆ドルという巨額の資金が流通する国際金融
市場の大海の中で、
我が国は、
世界第二の
経済規模を有しているのにもかかわらず、まるで笹小舟のように漂い翻弄されているのであります。
それはなぜか。言うまでもなく、
経済の本質と
見通しと
対策を完全に見誤った
橋本内閣の
失政に
世界じゅうからブーイングのあらしが巻き起こり、いまだその
信頼を回復できずにいるからであります。さらに、
橋本内閣がいたずらに放置してきた
金融機関の巨額の
不良債権が
我が国経済の大きなおもしとなって久しいからでもあります。
つまり、不安定な金融
市場が株式
市場と相互に連動し合い、その上、金融
不況と消費
不況、
資産デフレといった複合型
不況が
我が国経済の基礎体力を一層悪化させておりまして、四・一%という史上
最悪の完全
失業率、そして
企業の
連続倒産、在庫量の積み増しと極度に低下した資金需要、そして実質賃金のマイナス化などが同時にもたらされ、今やデフレスパイラルの深みにはまろうとしているのであります。この結果、
国民の生活不安は増大し、
世界経済における
我が国の威信を、もはや回復不能とさえ思わせるほど失墜させているのであります。
平成九年度当初、
我が国の
経済状況は、前年度GDP比三・二%の
経済成長を遂げ、ようやく
バブル崩壊から回復の兆しを見せ始めていたのであります。ところが、政府は、九兆六千億余の
国民負担増という冷水を浴びせて
個人消費をとめ、さらに、とどめのように、昨年末、
野党の
反対を押し切って
財政構造改革法の施行を強行したのであります。その後の政府の
景気対策の迷走ぶりは、
日本のみならず
世界じゅうから厳しく指摘されているとおりであり、今や内外の不信を買い続けている
橋本内閣の退陣こそ、最良、
最善の
経済対策であることは周知の事実なのであります。(
拍手)
以下、順次、
不信任決議案に賛成する
理由を申し上げたいと思います。
不信任案に賛成する第一の
理由は、申すまでもなく、今日の深刻な
経済危機を招いた
橋本内閣の
経済、財政、金融
政策の
失敗であります。
中でも、
財政構造改革法にかかわる方針転換はその最たるものでありました。
法案が審議された昨年暮れのころには、既に金融不安を初めとして、
我が国の
経済には暗い影が漂っておりました。しかし、政府・
与党は、我々
野党の
反対を押し切って、これを強引に
成立させたのであります。
財政構造改革法は、
橋本内閣の
政策運営の柱とされてきた
財政再建政策の魂そのものであったはずであります。しかし、この
内閣最大の売り物は、施行からわずか五カ月で
改正案を
提出せざるを得なくなりました。一度決定した六年間の長期計画をたった五カ月で変えるということは、
政策に重大な
判断ミスがあったことをみずから物語っていると私は思うのであります。しかも、一たん
改正するとなると、目標年次やキャップ制など、
総理の言う基本的な骨格まで全く失われてしまったのであります。まさに行き当たりばったり、
橋本内閣の
経済財政運営の先見性のなさは、この一事をもってしても明白なのであります。
不信任案に賛成する第二の
理由は、その無
責任体質にあります。
これまで
橋本内閣が内外に公約したことは、数多くあります。代表的なものだけでも、銀行には
公的資金を投入しない、大手銀行はつぶさない、
不良債権は着実に処理されている、
景気はそれほど悪くないしすぐにも回復する、
特別減税は効果がないし実施しない、財構法は
改正しない、当初
予算は
最善だ、
補正予算は念頭にない等々、それこそ枚挙にいとまがないのでございます。
橋本内閣は、これまでこのような場当たり的な
政策変更を繰り返し、朝令暮改を恥じることなく、
責任追及を恐れて必要な
政策をとらない方が
政治責任だなどと強弁、言い逃れを続けてきたのであります。
こうした
橋本内閣の体質に愛想を尽かしたのか、あるいは共倒れを恐れたのか、あれほどの基本
政策の違いがありながら、かくも長期間みつ月関係を続けてきた
連立与党の仲間である社民党、さきがけさえ、ついには
橋本内閣を見限ったのであります。
橋本内閣のこれまでの
歴史は、そうしたみずからの
発言をすべて覆してきた
歴史でもあります。しかも、何よりも劣悪なことは、その都度、前言を翻したか翻さないのか明言しないままに、あいまいなまま、実質的には
政策を変更させてきた事実であります。
政治家が
責任追及を恐れ、あいまいな言葉に終始するのは本末転倒であり、それこそが現在の
政治不信の元凶なのであります。
国民にぬぐい去れない
政治不信の芽を植えつけぬうちに、また、まだ
市場が
政治家の言葉に少しでも反応しているうちに、わずかでも
政治家の
責任について深く思いをいたされますよう、強く申し上げるものであります。
不信任案の賛成の第三の
理由は、
国民に
政治への
信頼を回復するには、もはや
橋本内閣の退陣しかあり得ないということであります。
総事業規模十六兆円、いわゆる真水十二兆円の
経済対策。この
対策自体、額としては大変なものであります。しかし、内外の評価は極めて低く、冷たいものでありました。
政策は、
中身と、もう
一つタイミングであります。
内容的に適切さを欠き、
恒久減税などの本当に必要な
対策が欠落していたことが評価されなかったということであります。
株価は下がりっ放し、
為替は
円安の一方通行、見事なまでの橋本
不信任現象なのであります。
結論から申し上げれば、
橋本内閣では、もはや何を言っても、何をやっても、どういう
景気対策を講じても、既に
失敗者のイメージが定着し過ぎておりまして、世の
人々には全く信用されず、その効果は期待できないのであります。
不信任案に賛成する第四の
理由は、
政治倫理の軽視及び欠落であります。
橋本総理は、かつて、第二次
橋本内閣の組閣に当たり、ロッキード
疑惑議員を総務庁長官に起用し、世の指弾を浴びると、一転、任命権者の
責任を全うすることなく、
責任回避に終始いたしました。そしてまた、脱税と贈収賄で起訴されている石油卸商泉井被告の
政治献金
疑惑が晴れていない
議員を党の中枢の
幹部に登用したまま、一向に恥じることがありません。
さらに、
政治腐敗防止法をめぐる
連立与党内の議論では、倫理観の
欠如を
理由とされ、連立
政権の解消を招く
事態となっております。その具体的な経緯についてはつまびらかにする
立場にはありませんが、連立関係と引きかえにしてでも
政治腐敗防止法は通さないとの
橋本内閣の本音があらわとなり、
政治倫理に後ろ向きな印象を強く持ったものであります。このような
橋本内閣の
政治倫理感覚は、
国民感情を踏みにじるものであり、
政治汚職を放置する
内閣は、その存在が全く必要ないことをはっきり申し上げたいと思います。
不信任案に賛成する第五の
理由は、
外交面の
失政であります。
米軍普天間基地返還では、返還の大前提である代替基地問題の
最終判断を
沖縄県に
責任転嫁するなど、当初の華々しいパフォーマンスとは全く対照的に、基地返還は暗礁に乗り上げてしまっております。また、
沖縄経済の振興と基地返還を交換条件とするなど、その強権的な体質にも問題があります。ここにおいても
総理のリーダーシップは中途半端であり、
沖縄県、
米国双方から不安と不信を集める結果となっているのであります。
さらに、
インド、パキスタンの
核実験強行に見られる核軍縮問題につきましても、唯一の
被爆国の
総理としてパキスタンに対し自制を求めたのにもかかわらず、全く無視をされました。
我が国の核廃絶への願いが国際的にアピールしなかったことはまことに残念と言わざるを得ず、ここにおいても
総理の指導力の
欠如を指摘せざるを得ないのであります。
最後になりますが、私の地元北海道は、今、開拓以来と言われている極めて厳しい
経済状況にあります。御承知のとおり、拓銀の破綻や北海道開発庁の統廃合、苫東開発事業の行き詰まり等、明治以来の国策がすべて行き詰まり、
企業倒産、雇用情勢とも過去
最悪の記録を更新しております。このままでは地域
経済が死滅してしまいます。一刻も早い即効性のある
対策こそが急務なのであります。
今回の大
不況の
原因は大震災のような天変地異ではなく、また避けようのない特殊事情によるものでもありません。まさしく、
政治、
経済の情勢を最もよく熟知し、行政知識の最も豊かな
橋本総理による明らかな人災なのであります。
私は以前より、
橋本内閣の退陣こそが
最大の
景気対策と言い続けてまいりました。その
状況は今も全く変わっておりません。「信なくば立たず」、古来からの大鉄則であります。速やかに
橋本内閣が退陣することを求め、私の
討論を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)