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1997-11-25 第141回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十一月二十五日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  十一月十三日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     聴濤  弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         竹山  裕君     理 事                 板垣  正君                 依田 智治君                 永野 茂門君                 瀬谷 英行君     委 員                 井上  孝君                 狩野  安君                 鎌田 要人君                 鈴木 貞敏君                 村上 正邦君                 矢野 哲朗君                 荒木 清寛君                 鈴木 正孝君                 山崎  力君                 齋藤  勁君                 角田 義一君                 聴濤  弘君                 吉岡 吉典君    国務大臣        外 務 大 臣  小渕 恵三君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 村岡 兼造君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  小里 貞利君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  久間 章生君    政府委員        内閣審議官    安達 俊雄君        行政改革会議事        務局次長     八木 俊道君        防衛庁長官官房        長        大越 康弘君        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁運用局長  太田 洋次君        防衛庁人事教育        局長       坂野  興君        防衛庁装備局長  鴇田 勝彦君        防衛施設庁長官  萩  次郎君        防衛施設庁総務        部長       西村 市郎君        防衛施設庁施設        部長       首藤 新悟君        沖縄開発庁総務        局長       玉城 一夫君        外務省総合外交        政策局長     加藤 良三君        外務省総合外交        政策局軍備管          理・科学審議官  阿部 信泰君        外務省北米局長        事務代理     田中  均君        外務省条約局長  竹内 行夫君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (日米防衛協力のためのガイドラインの運用に  関する件)  (対人地雷禁止条約への対応に関する件)     —————————————
  2. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 板垣正

    板垣正君 おはようございます。  きょうは外交防衛の問題につきまして、特に基本的な問題を踏まえながら各大臣の御見解を承ってまいりたいと思います。ぜひ率直な御見解を賜りたいと存じます。  昨日でしたか、読売新聞が行いましたアメリカ日本世論調査大変興味のある結論が出されておる。特に日米同盟日本の平和、安定のためにも、またアメリカの国益にも利しておる、かつ二十一世紀もこの日米同盟は堅持されるべきだ、こうしたことが両国とも過半数以上の支持という姿で出ております。  こういう意味合いで、活発化しつつあるこの首脳外交展開されつつあります。そういう中における我が国外交姿勢防衛の問題も含めた、安全保障の問題も含めた我が国外交的な基本姿勢、こういうものについて改めて確認をしていく必要があるんではないのか。基本的には、我が国国家の存立、国民の福祉、平和、この日本を取り巻くアジア太平洋、特に東アジア情勢、この安定を図っていくということ、これがもう最大の根本であると思います。  紛争を起こしてはならない、これを抑止していかなければならないと同時に、多極化されつつあると言われる国際社会の中における積極的な貢献、これは従来ODA等を通じて経済的な面における貢献は相当なものがあると思いますが、いわゆる安全保障の面も含めた積極的な貢献を果たしていく、こういう展望に立って外交展開を図っていかなければならないのではないかと思います。  そういう意味合いで私が率直に申し上げたいことは、従来の我が国外交姿勢というものがややもすると謝罪外交と言われるように、過去の歴史認識というようなものを突きつけられ、それに対する反省、これは私どもも含めて深刻な反省を踏まえながら戦後五十年この国の再建を図ってきたと思いますけれども、そういう面でややもすると国民の意識からいっても、日本外交姿勢となると何かひたすら謝るというか、経済的な面、ODAということでは相当な貢献を果たしつつありますけれども、何かそこに日本としてのきちっとした、毅然とした外交姿勢というものが見えないんじゃないかと思うんです。  これを象徴するものが、もろもろの外交の場合、特に中国とか韓国とかとの外交の場において歴史的な問題が提起された場合、これが話題となった場合、総理初め外務大臣もあるいは党の幹部も、いや、私ども村山談話のとおりです、あのとおり歴史を総括しておりますと。つまり、我々は侵略をいたしました、植民地支配をいたしました、アジアを苦しめました、ひたすらおわび申し上げます、再びそういう悪いことはいたしません、こういう形で歴史を総括しておりますから御理解いただきたいというのが言うなれば基本になっておるんじゃないのかと思うんです。  そこで、外務大臣にお願いしたい。歴史認識というもの、歴史的な見解というものはいろいろあるわけであります。我々には我々の歴史認識があるし、また村山談話に同調される日本歴史認識もあり得るわけであります。しかし、私ども基本的にあの村山談話は極めて限定された、ある意味における枠のはめられた見解にすぎないと思っております。そうであるならば、やはり歴史認識の問題が問われた場合、あるいはそうした関連の中で、少なくとも我が国は自由な国である、民主的な国である、思想の自由な国である、そういう立場においては歴史見解というものはいろいろあります、いろいろの見解があります、したがって一つ見解をもって統一するわけにはいきませんと。そういう幅広い見解に立ちながら、基本的立場において我が国は平和、安全、そして国際的協調、これを国是としております、こういう姿勢をせめてとっていただきたい、こう思いますけれども外務大臣の御見解を承ります。
  4. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府立場は戦後五十年に当たりましての村山内閣総理大臣談話に集約されておるわけでございますので、それを基本として、諸外国との円滑な交流を含めまして友好関係を維持して我が国国家としての矜持を保ちつつ外交展開していくということが基本だろうと思っております。
  5. 板垣正

    板垣正君 村山談話の経緯については私も承知をいたしておりますし、それが政府を拘束しておるという立場もあるかもしれませんが、しかしそれを超えた一つ基本的な姿勢として、我が国には我が国立場があり、言い分があり、歴史があり、誇りがあります。そうしたものを毅然として貫く姿勢、これは今後この談話の問題の処理も含めまして追求していかなければならないと思うわけであります。  基本的に言って、二十一世紀アジア情勢をどう展望し、我が国日米同盟のもとで、また幅広い国際的な平和的交流の中で具体的にどういうアジアを目指そうとするのか。どういうアジアを描いて、特に東アジアが不安定である、不透明である、御承知のようないろいろな不安定要因がありますが、そういうものを踏まえながら、我が国安全保障安保体制とともに、いかなるアジアの姿を描いていくのか、外務大臣、この辺についてはいかがですか。
  6. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 戦後も五十年を経ておりますが、この間いわゆる冷戦構造という中で、我が国米国との間にしっかりとした信頼関係のもとに安保条約を結んでおるわけでございます。  一方、従前は中ソを中心にしたいわゆる社会主義国家との大きな枠組みの中で戦後の国際政治が動いてまいりましたが、これが解消されまして、今やこのアジアにおきましても中国、ロシア、そして日本米国、この四つの国もそれぞれ外交的によき関係に入っておるわけでございます。  ただ、アジア全体にはカンボジアを初めとして今なお再建途上にある国々がございますけれども、しかし不安定な要素としては、北東アジアにおける状況というものが依然として解消されない。特に韓半島におきまして南北が極めて対立した関係にあると理解されており、休戦ライン双方に北百万、南六、七十万と言われる軍隊が張りついておるというような状況を観察いたしますと、南北がともに話し合うことによって、あるいはその前提としては四者会談等もございますけれども、将来この地域に極めて平和な状況が招来されることを祈念しつつ、我々としてはこの地域を十分注視しながら、よりよい平和環境が戻ってくることを願って種々の努力をなすべきではないか、このように考えております。
  7. 板垣正

    板垣正君 朝鮮半島の問題についてはただいま外務大臣がおっしゃったとおりだと思う。やはりここが非常な不安定要因であり、同時に、後からまた伺いますが、四者協議がようやく始まる。また、日朝関係一つ展開を見せようとしておる。こういう中で、朝鮮半島が平和的な統一を達成する、二十一世紀という時代はあの朝鮮半島統一され平和的な体制ができるというのが我々の一つ国家目標であっていいと思うし、日米安保体制を堅持する一つのゆえんでもあろうと思います。  同時に、もう一つ中国の問題であります。私は、中国が安定した民主化を遂げる、民主的な中国を形成してもらうことが朝鮮半島と並ぶ大きな柱ではないかと思います。  魏京生さんという方が仮釈放されましたね。あの方は政府転覆陰謀罪容疑で十四年間の懲役。しかし、あの人の釈放問題は再三取り上げられてきた。米中関係でも一つのあれになっておりましたし、しばしばノーベル平和賞候補とうたわれている人ですね。いずれ受けるんじゃないですか。  魏京生さんが仮釈放されて、アメリカに行って初めて記者会見をした。こう伝えていますね。私は言論権利を行使できる機会を何十年も待ち続けてきた、だが中国人はその機会を幾世紀も待ち続けている、今でも何千という政治犯言論権利を行使したために中国共産党の刑務所の中で苦しんでいることを一瞬たりとも忘れてはならないと。この彼の命をかけた叫びがまさに今の中国のある面を極めて端的にあらわしております。  さっきも申し上げました日中関係の中における我が国外交姿勢の物足りなさというものは、歴史の問題もありますけれども、同時にまだ中国はこういう問題をはらんだ国なんだと。そういう立場において、この国が民主的な体制を達成する、経済の面におきまして目覚ましい発展のみが伝えられておりまするけれども、これはなかなか大変ないろんな問題点、矛盾をはらんでおります。  朝鮮半島が平和的に統一される、中国が安定した民主化を遂げる、台湾の問題もそういう流れの中でいずれ統一される日が来るかもしれない、その辺に我が国としての展望といいますか目標といいますか、国民理解を得つつ進めていく姿勢というものをその辺に踏まえていくべきではないか。この点について外務大臣の御見解を承ります。
  8. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 人権は守られなければならないということは当然のことだと思います。しかし、それぞれの国々状況というものにつきまして私どもも的確に把握しておるわけではございませんので、国連で人権規約というものを制定して、これを各国とも批准していくという方向の中でより民主化に努めていかなきゃならぬということであります。  中国につきましては、たしか橋本総理が訪中されましたときにもそのことを申し上げて、人権規約Aについてはこれを進めていく、いずれまたBにつきましてもそうした検討を加えていっていただけるものということで、私どもはこれを注視しておる、こういうことだろうと思います。
  9. 板垣正

    板垣正君 外交基本姿勢に触れまして、少し国民にもわかりやすい前向きというか積極的に、朝鮮半島統一体制中国の本当に開かれた民主的な体制、そういうものについて、我が国としても、ただ声高に叫べばいいということではもちろんないと思うが、取り組んでいく姿勢を踏まえていただきたい。先ほど申し上げました歴史認識の問題も、いつまでも過去を引きずって過去の負い目の上での外交姿勢では安定した秩序、こういうことに積極的に貢献できない。その辺をむしろ小渕外交期待を込めて冒頭に申し上げた次第であります。  次に、さっきも触れましたが、いわゆる四者会談です。大変注目されておりましたが、来月の十二月九日に開催が合意をされた。第三回の予備会談が二十一日ニューヨークで開かれ、四者協議の本会談を十二月九日ジュネーブで開催するということが合意を得たわけであります。  従来、この問題については北朝鮮側がいろいろな条件を持ち出してきてなかなか話が詰まらない、今度もどうなるかということでございましたけれども米韓大統領が昨年の四月に提起して、一年八カ月もたってようやく四者協議が行われるということは大変注目されるべきことだと思います。  ただ、この四者協議が行われるということを我々は手放しで喜ぶわけにはいかない。いろんな見方ができると思います。いわゆる北朝鮮側が、金正日が十月八日に正式に総書記になりまして以来、金正日北朝鮮外交姿勢というか、そういう対応に変化が見出されるのかどうか、そういう上に立っての過般の日朝間の接触なり今度の四者協議の問題なのか。さらに言うならば、あした公示される韓国大統領選挙が非常に注目されます。十二月十八日に投票が行われる。あえてこの投票日の前、九日にジュネーブ会議をやる、こう決めた辺にも、北側の意向もありますし、これはアメリカ当局の積極的な意向も働いているんではないかという見方があります。  また、議題につきましては、北朝鮮側は在韓米軍撤退あるいはアメリカとの間に平和協定を結ぶと。これは従来、韓国抜き平和協定アメリカと結ぶということだった。さらには食糧の問題、こういうことの兼ね合いの中で四者協議に至らなかった。しかし、今度の四者協議は、表面的な議題はそれを下げましたけれども、在韓米軍撤退の問題あるいは平和協定締結の問題を本会談でやるようになったから今度は自分たちは四者協議に応ずるんだと北朝鮮のスポークスマンが公表をしておりますね。  そういう中で、この四者協議の始まりというもの、またその見通し、また我が方としてこれをどう受けとめておるか、外務大臣、この辺についていかがでしょうか。
  10. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) いずれにいたしましても、対話なくしては物の成就ということはあり得ないので、そういった意味では、四者会談予備交渉段階で大変時間がかかりましてなかなか本交渉にまで至らなかったことが、ただいま先生御指摘のように期日まで定まってジュネーブで開催されるということは歓迎をいたしてまいりたいと思っております。  今般、バンクーバーにおきまして韓国柳宗夏外務部長官ともいろいろお話ししました。彼自身もこの四者会談を積極的に推進してこられた方でございまして、そういった意味で一日も早くそれぞれの国々がテーブルの席に着いて話し合いに入ることができたことを多としておったわけでございます。  その交渉がどうなるかについては予測しがたいことでありますが、せっかくに交渉に入るわけでございますから、ぜひ四者間で立派な成果のできることを我が国としては心から期待を申し上げておる、こういうことだろうと思います。
  11. 板垣正

    板垣正君 韓国側としては南北対話というものを一番願っているわけですね。だから、これが南北対話につながっていく、あるいは南北対話中心とし、むしろアメリカ中国が後ろからこれをバックアップするような姿勢韓国としては望ましいと考えておる。  しかし、今度の大統領選挙前にこの設定をしたということは、つまりだれが大統領に選ばれようとも四者協議の枠は初めにまず決めてしまうという、その辺にどうもアメリカ北朝鮮の思惑の一致しているところがあるんじゃないのか。つまり、北朝鮮としては韓国相手にするよりはアメリカ交渉相手に今までも引きずってきましたし、今後もそういう中で、今度は日本にも積極的な働きかけが出てくるかもしれませんけれども、これは大臣でなくても当局で結構でございますが、その辺はどういうふうに分析しておられるのか。また、これは見方によっては二、三年はかかる、いやいや五、六年はかかるとか、いろんな見方がありますけれども、その辺はどういうふうに見ておられますか、伺います。
  12. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 四者会合の帰趨、これがどのようなものになるかということになると、今の段階ではなかなか見通しが立てがたいというのが率直なところであろうと思います。  ただ、委員から御指摘のありましたアメリカ考え方でございますけれども、少なくとも私ども米側政府当局者等と話し合っている限りにおきましては、米国もやがてこの四者協議のプロセスというものを通じて南北対話の機運というものが強まっていくということをむしろ歓迎し、これを期待しているという事実はあるように思います。
  13. 板垣正

    板垣正君 それで、関連してまいりますのが日朝関係でございます。  大臣にまず伺いますが、過般、与党訪朝団が参りました。この行ったということ、また向こうでのあの結果、これについて外務大臣はどういうふうに評価しておられますか。
  14. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 与党三党が久方ぶりにピョンヤンを訪ねられて北朝鮮の高官の皆さんと対話ができたということについては評価いたしておりますし、その段階におきまして問題となっておりましたいわゆる拉致疑惑につきましても、北朝鮮側より、北朝鮮関係のないことだけれども一般の行方不明者として調査するという回答があったと承っておりまして、そうしたことも含めまして政党間の率直な対話ができたということについては評価いたしております。
  15. 板垣正

    板垣正君 今度初めて向こうに名簿を渡した、今までの資料も渡した、名前も読み上げた、そこは今までなかった点であります。相当けんけんがくがくの双方の論議があったということも、またぎりぎりになって向こう全容淳書記がそういう考えを示したということであります。  ただ、この拉致問題については、八月に行われた第一回の予備会談、さらには両方赤十字同士話し合いの場におきましても、消息不明者というのか行方不明者というのか、そういう面では調査をするという立場向こうもとったわけですね。そのことと、今回の、北朝鮮には関係ないけれどもとにかく行方不明者として調べてみるよと言ったという、その辺は相当違うと見るのか、どの程度のウエートで見ますか、両方の成り行きを。
  16. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 拉致疑惑につきましては、政府といたしまして従来から国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立っておるわけでございます。  今、板垣委員は北京での予備会談のことに触れられましたが、私の理解するところでは、この問題については一切関知するものでないということで話にもならなかったと理解をいたしておりますが、今般の三党の訪朝団に対しまして、先ほど御説明申し上げましたような形で、ともあれ行方不明者として調査するとの回答がありました。その調査が真剣に行われて、問題解決のために具体的に行動をとることを我々としては引き続いて求めていきたい、こう考えております。
  17. 板垣正

    板垣正君 そこで、先方は年内にも正常化交渉を始めたいというふうな意向というふうに伝えられております。また、小渕外務大臣年内再開に意欲を持っておる、こういうようなことも一部報道されておりますけれども、今申し上げました一番の問題はやはり拉致問題であります。  拉致問題については、今お話がありましたとおりに、ある意味では今度初めてこちらの資料を渡したし物も言ったし、向こうも調べてみる、こういうことを言ったわけでありますが、しかし具体的な前進は何もないわけですね。調査をするといっても、じゃいつまでにどういう形で調査されるのか、こういう問題についても極めてあいまいもこであります。  こうした問題について、じゃどういう状態になれば国交正常化交渉に入り得るのか、入ろうと考えておられるのか。これは後でまた申し上げまずけれども日本人妻の帰還の問題もございます。この拉致問題が初めての展開でわずかな糸口ができた。しかし、これを私どもは実質的な前進と見るわけにはいかない。なぜならば、何ら変わっていないわけであります。  そういうものを踏まえますときに、そういう問題も含めて国交正常化交渉に持っていくのか。国交正常化交渉というのは、それ以前にそういう問題についても我々の納得できる解明がなされ解決がなされなければ、非常な大きな障害でもあり、また国民的な感情からも認めがたい面があるのではないのか、その辺、率直なところを伺いたい。
  18. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 北朝鮮との国交正常化というのは我が国にとりまして残された大きな課題でありまして、そのために各政党政派の方々におかれましても国交のないこの国との交渉を何とか始める環境をつくる努力を続けてこられて、これは評価いたしておるところでございます。  ただ、一回から八回まで、九一年から二年にかけまして非常に速い速度で始まりましたが、その後、御案内のような李恩恵問題等がございまして、中断したまま今日に至っておるわけでございます。  最近の北朝鮮の動向につきましては、その状況について不透明なところが多いものですから我々すべて理解しておりませんが、ただ最近の総書記の就任を初めといたしまして、我が国に対しての朝鮮中央通信その他の報道ぶりを見ておりますと、我が国との関係につきましても改善していこうという何らかのシグナルも感じないではありません。  こうした機会に第九回目の会合を開いて、そして正常化交渉を進め、この不正常な状況を解消していくということの新たなる展開を望んでおるわけでございまして、ただいま板垣委員指摘のように、幾つかの重要な問題がございます。ございますが、そうした問題こそ、実はこうした交渉過程の中でお互い理解し納得をし、そしてこれを進めていくものである、こういう考えでおりまして、何はともあれ願わくばことしじゅうにでも正常化交渉に入りたいというのが我が方の期待をいたしておるところでございます。
  19. 板垣正

    板垣正君 その点、北朝鮮側日本に対する正常化交渉、つまり国交回復といいますか、それを求める点は必然性があると思う。なぜならば、北朝鮮はまさに経済的にも破綻しかかっておる、食糧も深刻な事態にある。こういう状態の中で、韓国も応援するとは言っておりますが、韓国はまた経済的に大変な苦境に入って、今までのように韓国経済力を振りかざして積極的に南北統一をやろうなんということも少し困難な情勢であります。いずれにしましても、韓国の場合は来年二月に新しい大統領が決まって、新しい大統領のもとにおける韓国外交政策もきちっと出てくる、朝鮮政策も出てくる、こういう流れにあると思うんです。  そうしますと、外務大臣は前にもおっしゃったと思いますが、やはり四者協議とか南北関係とか、こういうものとのバランスをとりながら我が方としてはこの日朝関係というものを考えるし、日朝交渉も進めていくべきだというようなことを聞いた気がいたしますけれども、いずれにいたしましても先方はいろんな意味で大変急ぐと思います。  しかし、だからこそ我が方としてはあえて急ぐ必要はないという意見もあります。つまり、そういう拉致の問題、これは極めて重大な問題でありますが、こういう問題について、国際的な働きかけにもかかわらず我が方として食糧支援についても一歩置いておったというのは、やっぱりこういう問題が横たわっておる、そう安易にほかの国と肩を並べてとにかく応援すればいいというわけにはいかないと。ある意味では、我が国のそういう自主的な姿勢北朝鮮姿勢を若干緩めたといいますか、そういう見方も私は成り立つと思う。そうであるならば、ここであえて正常化交渉をそう急ぐ必要はないのではないのか、むしろその前に納得できる姿で解明されるべき問題がある、この辺のことをもう一度念を押したいと思うんです。  関連をいたしまして、日本人妻、この間十五名の方がお帰りになったわけでありますが、伝えられるところによると、十五名のうち七人の方は日本名を伏せている。これは日本側の親族の意向だということですが、日本名を伏せる。家族とともに取材に応じたのはこのうちの四人しかいなかったわけであります。  これはいろいろな見方ができると思いますけれども、やはり北側は北側で言うなれば優等生を選んで、事前にもう教育をみっちりやって持ってきたということがありあり見える。そうすると、うまくかみ合う家庭もありますけれども、同時にこの問題についてはいろんなそれぞれの家庭の悩みというふうなものもはらんでおりますから、向こう様がおっしゃるとおり、来たらもう国を挙げて歓迎しというわけにもいかない。もう既に第二陣の準備をされているというふうなことも聞きますが、こういう形で、第一陣だ、第二陣だという形で日本人妻帰還問題が行われるということになりますと、何か向こうのカードなんですね、一つの。これは継続してもらいたい、継続しましょうとは言っていますけれども。  そうすると、向こうの選定した、向こうの尺度に合った形でこれが細切れ的に行われるということになりますと、千何百名か行かれたその家族なりそういう人たちが叫んでおる、せめて自由に往来を、あるいはせめて電話が欲しいんだと、消息不明になっている、消息を聞きたいんだと。あるいは今親が病気でもう余命幾ばくもない、こういうケースが四十何名おられると、この関係団体が調べただけでも。四十何名のリストを外務省にも出して、何とかこういう人々の向こうへ行った人を優先して日本に帰還できるように、訪問できるように、こういう配慮をしてもらいたいという本当に切なる声もあります。  この問題というのは、人道的な問題と申しますか、国民的なそういう思いにかかわっている問題でありますから、もう少し我が方のペース、我が方のやり方、我が方の希望、つまりこちらで待っている人たちの気持ち、そういうものも酌み取ったような帰還の運びというものを今後考えるべきではないかと思いますが、いかがですか、その辺は。
  20. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 第一点は、日朝交渉に慎重であるべきではないかという委員の御主張も含めてのお尋ねがございました。  政府といたしましては、繰り返しますが、二十世紀の中で日ロとともにこの北朝鮮との関係の正常化というのは我が日本外交一つのポイントだろうと思っておりまして、第二次大戦後の不正常な関係をぜひ正したい、そのことが朝鮮半島の平和と安定に必ず資することになるだろうと、こういうことでございます。  もとより韓国との緊密な連携のもとに対処しなければなりませんし、御指摘がありましたように、四者協議等のこれからの姿あるいはまた南北間の話し合いというものも見据えながらいかなければなりませんが、我が国としてはこの際積極的に取り組んでいくべきチャンスではないかと思っております。  これは認識の相違かもしれませんが、交渉といいますか話し合いというものは両者間で気持ちが盛り上がらないとできないわけでございまして、そういった意味では認識としてはこの機会というのは一つのチャンスではないかというふうに受けとめて努力をしていきたいと思っております。  それから、日本人配偶者の問題につきましての御指摘もありました。現時点では第二回以降の故郷訪問の具体的な予定は決まっておりませんが、本件故郷訪問は継続的に実施されることが重要でありまして、また九月の日朝赤十字間の合意書でも継続的に実施されることが想定されております。今後、北朝鮮側と協議の上、できるだけ早期かつ着実な第二回以降の故郷訪問を実現してまいりたいと思っております。  板垣先生御指摘のように、確かに十五人の方々につきましていろいろと我が国で報道もなされております。よって来る原因はすべて理解しかねますが、いずれにしても何十年ぶりに日本人である方が我が祖国を訪ねて、しかもふるさとを訪ねて気持ちを交わし合うということは大切なことでありまして、数こそ少なかったかもしれませんが、大きな重い扉のそのすき間からでもこうしたことが行われることによってこれからそのことが大きく広がっていくことは必ず正常化につながっていくものだと確信をいたしておる次第でございます。
  21. 板垣正

    板垣正君 御見解として承りましたが、北朝鮮に対する食糧援助の問題ですけれども、現時点で国際機関から要請があった場合に我が国としてはそれにこたえて食糧援助等を行う方針であるのかどうか。もう一つは、我が国としての本格的な食糧援助等を見通しとしてどういう段階考えておられるか、その辺を伺います。
  22. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 第一点の国際機関による食糧支援アピールが出された場合、日本がこれにどう対応するかということにつきましては、まだアピールそのものも出されておりませんし、政府としての態度は何ら決定いたしておりません。  それから第二に、本格的食糧支援ということでございますが、これは国会の答弁においても累次明らかにしてきたとおりでございまして、経済協力という側面を持ったものにつきましては国交の正常化が前提になるという基本的な考え方でございます。
  23. 板垣正

    板垣正君 北朝鮮の問題は一応その辺にいたしますけれども、いずれにいたしましてもこの問題は、冒頭申し上げたように、基本的に朝鮮半島の平和は我が国の平和に直結する、まかり間違ってもあそこで紛争を起こしてはならない、こういう立場で貫かなければならないと思う。それだけに、外交を進めるに当たっては、やはり我が方の主体性のもとで国民理解できる姿で、特に焦点にある拉致問題というような問題については、ただ交渉の場にのったからいいんだというのではなく、具体的にこの問題をどう解決するか、こういうことで積極的に取り組んでいただくことを特にお願いいたします。  次に、ガイドラインの問題であります。  この問題につきましても、日米安保条約の枠組みには変わりはないし、条約が変わるわけではありませんけれども、やはりこのガイドラインの見直しに表明されるものは大変意義が深い。つまり、ある意味では日本が初めてアメリカの同盟国として曲がりなりにも一つの独立性を持って支援と協力を行うということであります。  従来、米軍の同盟関係にあると言われながら、米軍の有事に際しては日本の協力ということは全く計画外になっていたわけですね。そういう面からいいますと、これは周辺事態に対する支援であります。後方支援とはいいながら、やはりそうしたものを日米共同計画のもとで実施する、そこに冷戦後の国際情勢なりまた戦後五十年を経た日米安保体制の新しい展開として、そういう面ではこのガイドラインの見直しというものはある意味の画期的な意義を持つものである、このように私は認識いたしますが、防衛庁長官はどういう御認識でありますか。
  24. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) まさにおっしゃるとおりでございまして、今までの戦後五十年を振り返ってみますと、日米安保体制が非常に機能して我が国の平和が保たれ、またそれがひいてはアジア太平洋地域の平和と安定に役立ってきたわけであります。そういうことに思いをいたすならば、冷戦構造が終えんしたとはいうものの、まだ不安定、不確定な要素が残っております我が国周辺のことを考えたときに、日米関係はこれから先もきっちりとしたものであった方がいいし、きっちりとしたものであるためにはお互いの信頼性を高めることが大事であるということで、これまでのお互いの協力の中で欠けているものがあるかどうか、もう一度そういうことも検討しながらここで改めてガイドラインを見直すことにしたわけでございます。  ただいま委員指摘されましたように、これから先も日米同盟関係のきずなをよりしっかりとしたものにしていくことによって我が国の平和とアジア太平洋地域の平和と安定につなげていきたい、そう願っているところであります。
  25. 板垣正

    板垣正君 そういうことで、これも昨日の読売新聞に発表されました読売とアメリカのギャラップの世論調査で、日米安保体制というものが平和のために機能している点は日米ともにまず多数の人が認めておる。ただ、具体的に周辺有事なり日本の有事というような場合における安保体制の発動の面におきましては大分差があります。  これは無理からぬ面もありますけれどもアメリカ側は、やはり同盟関係である、かつ日本が後方にせよはっきり支援活動を行うとなった場合には、ともに危険を冒してでもできるだけの協力は行われるんだろう、こういう期待を持つわけですね。そういう声が大きいわけです。しかし、我が方の世論というものは、おおむね後ろの方で病人の世話をするとか、はっきり言って危ないところには近寄らないというものですね。  これは米側の識者も憂慮しておりまするけれども、ガイドラインで決められる四十幾つかの協力の体制ができる、これに伴ういろんな法制化も行われる。形は整ったけれども、いわゆる日本周辺有事、我が国の平和と安全にも重大な関係のある周辺事態がいざ生起した場合に、アメリカアメリカ立場で行動する、日本もそれに協力をする体制が発動された場合に、実態は大変混乱を伴う。今申し上げたような世論調査にあらわれている違いで、こういう違いはある意味じゃ当たり前かなというような感じを持ちながら眺めておりまするけれども、万一の有事、周辺事態というような場合になったら、これは眺めているだけでは済まない、行動しなければならない。こういう際には、非常な矛盾といいますか割れ目といいますか、そういうものをはらんでいるのではないか。その辺に今度のガイドラインが持っている問題なり、これを踏まえながらもう少し未来を見なければならない問題があるのではないかと思いますが、防衛庁長官、この辺はどうですか。
  26. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 御承知のとおり、我が国には憲法九条という制約があつくこれ以上はできないという一定の限度があることはアメリカ自身もわかっておるわけでございます。  そういう中で、いろいろ周辺事態あるいは我が国の有事の場合に、憲法九条との関係でどこまでができないのか、できるのか、ある程度これがはっきりしておりませんと、できないものはもうしょうがないわけでございますから、これはできないとアメリカだってわかるわけです。しかし、これはできるだろうと思っておったらできなかった、あるいはこれはできないだろうと思っておったらできるという、そういう不確かなことではお互いの信頼関係がしっかりしたものになりませんので、今度のガイドラインをきっかけに、憲法九条との関係でできないものについてはもうできないということでやるかわりに、やはり解釈上これはできるというものについては我が国としても逃げることなく積極的にしようというのが基本的にあったんだろうと思います。  そういう議論の中で今回のガイドラインをまとめさせていただきましたので、冒頭にも掲げましたように、憲法九条あるいは現在の安全保障条約、その取り決め、こういったものはそのままにしながら、その中でアメリカ日本との関係でできる範囲についてはできるだけやるということで、できるだけのことをしていきたい。そのための実施体制をどうするか。もししょうとした場合でも、法整備が必要というものについてはこれから先法整備をしていく、そういう姿勢で今取り組んでいるところでございます。
  27. 板垣正

    板垣正君 大臣としてはそういうふうにおっしゃるお立場でありましょう。ただ、現実にアメリカ国民は憲法九条なんといったって知りませんよ。まして、日本は集団的自衛権がないんだ、武力行使と一体のことはできないんだ、戦闘地域には入らないんだと、こんな理屈は少なくともアメリカ国民は知りません。アメリカの議会でも恐らく知っている人は少ないんじゃないですか。  確かに現時点ではこれでまとめざるを得ない。御苦労だと思います。非常な矛盾をはらんだものをまとめることは大変な御苦労でありますが、同時にこれは破綻をはらんでおる。一朝有事のときには役に立たないと言っていいくらいですね。やはりこういう国会の場においては、憲法論議というものを我々がやらなければならないんです、今度のことは全部憲法の枠の中でやられておりますから。我々もそれでやむを得ないというだけでは相ならないのではないのか。憲法といったって、これは日本国内に通ずるのであって、外国には通用しませんよ。同時に、憲法解釈という問題があって、例えば海外武力行使、武力による威嚇はいけない、こうなっておるわけですね。海外における武力行使はやらない、威嚇もやらない、こういう立場における憲法というものは我々は守っていくべきだと思います。  ところが、現実には憲法にはいろんな解釈がひっついてきて、集団的自衛権は認めないんだ、違憲なんだと。こんなことは憲法には書いていない。国連憲章でも安保条約でも、日本は集団的自衛権、個別的自衛権を持っています。日本はこれを持っているんだ、持っているけれども使えないんだと、こんな理屈は世界に通用しない。敗戦国でやむなく背負ってきた、まだまだ戦禍の大きかった時代の遺物ですよ。もう五十何年もたって、さっき申し上げた開かれたところで積極的な平和政策、安保政策を展開していこう、こういう段階においては、憲法解釈についても、我々に言わせればもうちょっと憲法に忠実に解釈してもらいたいと思うんです。  海外の同胞が難に陥った場合、これを救うために個別的自衛権を発動することは国際法で認められているんですね。しかし、我が国ではこれは憲法を逸脱するものだと、国際法で認められている我が国の個別的自衛権の面でもあえてみずからが抑制している。あるいは、武力行使、威嚇がいけないと言いながら、そういう武力行使と一体になるものはいけない、一体になるものも憲法違反だという法制局見解、これも行き過ぎではありませんか。一体化論というような形で、武力行使そのものではないそういう周辺事態の問題についても憲法が許さないんだと。そうすると、ますます現実にも国際常識にも合致しないですね。  だから、平穏無事なときは何とかそれでやっておれても、本当に我が国有事の場合なりあるいは周辺事態に対応しようとしたときに、さっき申し上げたような大きな破綻、ジレンマがある。アメリカの要路の人は、折衝した人たちはそれはある程度知っているでしょう。しかし、ああいうアメリカの議会などというのは日本の議会以上に強いところですから、アメリカの議会が黙っていない。これが同盟国の実態かと、こういうこともあり得るんではないでしょうか。  その辺で、現時点では今の憲法というよりは今の憲法解釈でもういくんですと、こうなった中で私が憂慮するような事態になっておるということをあえて申し上げるわけですけれども、やはり我が国のみに通用する、そうして国際社会では理解もされない、そういうもので国策を縛っていくというあり方から、やはりいろんなものを見直していく時代なんですから、もうそろそろ積極的に見直していくべきではないのか。これはあえて御答弁は求めませんが、そういう流れの中でこの国の確固とした平和と安全を守るためには憲法は乗り越えていかなきゃならない。ただし、今申し上げた対外侵略はやらない、武力行使は外ではやらない、威嚇はやらない、この原則でいいじゃないですか。  あとは、集団的自衛権もこの枠の中で、特に日米同盟関係の中で、一体化がいけない、戦闘地域に入っちゃいけないと。では、だれが決めるのですか。一挙に戦闘地域になるし、またこちらが幾ら戦闘地域じゃありません、武力行使と一体じゃありません、私どもは憲法の枠の中でやっていますなんというのを我が方が言ってみたって、相手から見れば敵対行為にほかならない。日米同盟関係にある限り危険をともにする。そこにおのずから我が方の節度はありますけれども、やはり危険をともにするものがなくして同盟は成り立ちませんよ。その実態が露呈された場合には、我が国立場はあの湾岸戦争のときにまさる非常に苦しい、厳しいところに追いやられる、こういうものをはらんでいるのではないのか。この辺について、やはり私どもは国会の場におきまして憲法の委員会も設けてそういう論議もどんどんやっていくべきであるし、政府もそういう立場で将来を踏まえていただきたいと思います。  次は、関連した有事法制の問題であります。  この問題、有事法制の重大性は九月二十九日に閣議でも決定されておりますね。こういう点で、官房長官にぜひ御答弁いただきたいのですけれども、これはもちろん防衛庁がある意味中心でありますが、しかし今度の有事法制は申し上げるまでもなく防衛庁だけではありませんね。まさに日本の社会を挙げて、国を挙げていかにして日本なりの体制をつくっていくかという面における法制的な問題が極めて重大であります。この点で、官房長官に、この有事法制的な問題については政府の責任において積極的になるべく早い時期にこれを実現するという御決意を重ねてお伺いいたしたい。
  28. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 今、板垣委員が述べられましたように、新たな指針の実効性の確保に関しましては、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえまして、法的な側面も含め政府全体として具体的な施策を検討していくことが必要であります。このため、官房副長官のもと関係各省庁が参加する局長会議におきまして検討を実施中でございます。可能な限り速やかにその検討作業を取り進め、所要の措置を講じていかなければならぬと感じております。
  29. 板垣正

    板垣正君 防衛庁長官に具体的に伺いますが、今いろいろ検討を始めつつあるけれども、来年の二月ぐらいまでに骨格的なものはまとめたい、それで来年の通常国会にはぜひ提出を図りたい、そういう段取りを考えておられるということも報道されております。  では、内容的にはどうしていくのか。有事法制といいましてもいろいろございます。大きく分けますと、かねて懸案になっております日本有事の場合の第一分類から第二分類に至る当然手をつけなければならない問題が今まで放置されてきておる。これは新ガイドラインに対応する、周辺有事事態に対応する新しい法制的仕組みとの兼ね合いの中でも相まって進めなければならないのではないのか。さらには、両者の作戦計画なり協力計画、こういう問題もございます。その辺をどういう構想でどういうプランで進めていかれようとしているのか、伺います。
  30. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今おっしゃいましたように、我が国が攻められた場合、我が国有事の場合における法の欠陥等につきましては従来から研究が進められておりまして、昭和五十六年に第一分類、五十九年に第二分類についてはこういう問題がありますということを既に国会に御報告もしておるわけでございます。ただ、そのときに、第三分類、いわゆるどこの省庁に係るかわからない我が国国民の保護の問題とかいろいろございます問題につきましては、これは内閣安全保障室を中心にしてやっていただいているわけでございますけれども、大して研究が進んでいないわけでございます。  そういうさなかにおきまして、今度新ガイドラインに基づきまして実効性確保を図るために周辺事態についてどのような法整備が必要か、その検討を、ただいま官房長官がお答えになりましたように、官房副長官を中心として各省庁の局長会議で検討していただくことにしておるわけでございますけれども、これらは今までの研究も全く関係ないわけじゃございませんで、非常に密接な関係があるわけでございます。しかしながら、周辺事態一つとりましてもなかなか広範囲にわたるものですから、この局長会議においてどのように会議等が開催されながら詰められていくのか、まだ今の段階でなかなかスケジュールがはっきりしないわけでございます。  私の気持ちとしては、先ほど委員がおっしゃいましたように、二月にはもう予算関連法案等の審議がかなり進んでまいりますので、できますればそれが終わったらすぐこの検討に入れるようなスケジュールがあったらいいなと思っておりますけれども、何分ほかの省庁にまたがりますので、そのように私どもの希望どおりにスムーズにいくかどうか。これは非常に広範囲にわたろうかと思いまずので、期待はしながらもなかなかそこまでスピーディーにいくかどうか危惧しているところでございます。  そういうようなことで、とにかく法律というのは、私はかねがね言っておるわけでございますけれども、いつも混乱したときに法律がなくして混乱した状態で物事が行われるのが一番いけないわけであって、やはりこういう平穏なときにきちっとした法律をつくっておくことによって、これはとにかく法律違反だ、これはやっちゃいけないんだということはきちっとする、そしてやっていいことはやっていいようにきちっとしておく、これが必要だろうというようにかねがね思っておりますので、先ほど言いましたような我が国有事の法制の研究につきましても、単に研究にとどまらず、これをやはりこれから先いろいろと議論していく必要があるんじゃないかと思うわけであります。  ただ、この問題につきましては、これまたかねてから言っておりますように、かなりの高度な政治的な判断も要するわけでございますので、国会等の御論議等も十分聞かせていただきながら、そういう中で作業をしながら煮詰めていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  31. 板垣正

    板垣正君 大変御苦労な作業だと思いますが、これがなければガイドラインが幾らあっても安保体制が幾らあっても絵にかいたもちみたいなもので、それだけに苦労は多いと思いますが、しかしこれは今度やらないと本当にこの国が成り立たないくらいな危機に陥る可能性があると思う。  もう一度念を押しますが、一部に、日本有事というのは当面あり得ないんだ、周辺有事というのはアメリカとの関係もあるからこの際何とかつくらなければいけないと。だから、こっちの方で今度はやっておいて、切り離してこっちだけやっておこうというような考えもあるやにも伝えられますが、そういうことはありませんね。
  32. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 有事法制研究の第一分類、第二分類を見てみましても、国民権利義務を有無を言わさずに奪うような内容じゃございませんで、例えば一たん急を要するときに橋が壊れている、その橋を自衛隊が直すとする場合に、道路法の許可を一々申請しなければならないかどうかとか、議論していけば案外理解していただけるような内容をたくさん含んでおるわけでございます。  第三分類につきましても、例えば何か非常事態があったときにサイレンを鳴らしたり避難誘導をする、それをだれがするのか、どういうふうにするのか、そういうことについて決めておく必要があるのかないのか、そこはどこの省庁がやるのか、そういうようなことでございます。  有事法制といいますと非常におどろおどろしいような言葉が動き回るわけでございますけれども、そういうことじゃなくて、こういうのはもっと国会の場において議論していただきながら、こういう平時に議論をして、やはりこれは必要だという空気の中で私どもも進めさせていただきたい、そういう気持ちを持っておることを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
  33. 板垣正

    板垣正君 もう一つ、「有事法制についての提言」、財団法人平和・安全保障研究所、会長は山本卓真さんですが、これは青山学院大学の阪中教授、渡辺教授、こういう方が中心になってまとめられた。政府の方にも恐らく提出されていると思いますが、私もこれを読みまして、いろいろ参考になる点がございました。これはほかの党でも御主張がございますけれども国民非常事態法というふうなものが基本法としてあって、それで有事法制的なものがあって、基本法の発動によって有事法制も動き出す、こういう形で提案されているわけです。  御承知のとおり、我が国の憲法には非常事態について何らない。これはまさに平和憲法ですよ。平和憲法であり占領憲法ですね。だから、有事に対しては何もない。しかも、戦後五十年間アメリカに庇護されて平和で来ましたから。しかし、大震災が起こるとかいろいろなことが起こった場合に、我が国にはそういうものに対して極めて欠陥があるということが明確になっている。本来なら憲法を改正して非常事態に対応する、当然憲法にもうたわれるべきであります。当然ほかの国々ではほとんどそうした非常の場合の重要な問題は憲法にうたわれておる、あるいはそれを受けた基本法的なものがあって発動される。我が国も、災害の場合とか警察関係の治安の悪化とか、そういう場合の緊急措置法的なもの、災害救助的な発動というものは遅まきながら規定はされております。しかし、このガイドラインなり安保体制なり、日本のもっと基本的な平和と安全、これに対応できる国家基本法というものがない。  そういう意味合いでは、この際、ここで提案されている、仮称でありますけれども国民非常事態法というような、危機に対応する、そういう非常事態に対応する総括的な基本法的なものを考えるということも一つの課題になるんではないか、こう思いますけれども、その辺はこの有事法制とも関連がありますので、官房長官、防衛庁長官から御見解を承ります。
  34. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 数日前、どこかの新聞でございましたが、全面でいろんなガイドラインについての記事が出ておりました。その中に、アメリカ韓国あるいはまたフランス等、各国のそういう非常事態における、いわゆる有事における法律等が書いてありました。  それを見ながら、日本がそういう有事になったときにどうするのかについては、ここまでは必要ないかもしれないけれども、何らかの法律の規定が要るのかなと思う反面、我が国においてまだまだそこまで、国会内においてもそうでございますし、一般世論も含めて議論がなかなか煮詰まってきていないなと。今度のいわゆる周辺事態を含めますがイドラインに基づく法整備をするときに、そこまでの法律を持っていくのはまだまだ議論が煮詰まっていないんじゃないかなと思いながら、あれを読ませてもらっておったわけでございます。  まず、ただいま板垣委員がおっしゃいましたような問題意識を持って、みんながどこまで議論をしながら煮詰めていくか、そういう中でこういう法についても必要があるかないか、その判断をしていかなければならないと思います。  私どもは、今そこまでの法律ではなくて、少なくとも今度のガイドラインに基づきます実効性確保を図っていくために、周辺事態にどう対応するか、それとの関連性において我が国有事の場合における、今欠けております、法の欠陥と私はよく申しておりますけれども、新しい有事法制をつくるというよりも、法が整備されていない、そういう問題につきましては、少なくとも関連性を持たせながら議論をしていかなきゃならないなという認識を持っております。
  35. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 先ほどもお話ししましたが、局長会議で今検討はいろいろしておりますけれども基本的には防衛庁長官の言ったような状況で、実際にこの実効性を確保するためにはどうするかという問題の協議が今進められておるものと思っておるところでございます。
  36. 板垣正

    板垣正君 今後さらに御検討をいただきたいと思います。  次に、外務大臣に伺うんですが、対人地雷の禁止、これは橋本総理も大変御熱心で、とんとん拍子で国際条約に調印する、外務大臣も近くお出かけになるということであります。これが非人道的で、年間二千人の人がこれで犠牲になっている、全世界で一億以上が埋まっていると。これはまさに悲惨きわまることでありますから、こういうものが禁止をされる、あるいは処理されるということは緊急の問題だと思うんです。  しかし、この条約は我が国基本的な防衛政策にかかわる問題であります。我が国は極めて制約された憲法のもとにいる。しかも、この憲法はなかなか改正できない。この極めて制約された憲法のもとにおける専守防衛、海岸線の多いこの国を何としても守るということは国家の存立の基本であります。そういう意味において、自衛隊創設以来、この地雷というものは我が国防衛に欠かせない、こういう形で行われてきている。もちろん我が国の地雷が外へ出ていって向こうの人を殺したり、傷つけたことは一回もない。  しかし、今度の条約はどうやらそういうことでももう一切、四年以内に全部なくしてしまえと。こういうことになりますと、一体我が国のこの基本的な防衛の問題はどうなっていくのか。まあこれの代替手段の開発というようなことも報道されておりまするけれども、そう簡単にいくものではない。また、これは予算を伴う、人員も伴う。そういうことも踏まえながらこの条約に調印しようとしておられるのか、閣議で決めようとしておられるのか。  また、肝心のアメリカとの間の話し合いはまだついていないというんじゃないですか。在日米軍は日米安保体制のもとで日本におる。当然、地雷もあります。朝鮮戦争、あの三十八度線もある意味では地雷で守られている。そういう問題についてまだ話がついてないのに、我が方だけとにかくさっさと調印しますというのはいささかきれいごとではないのか。  自衛隊は日夜黙々として国の防衛のために地雷の訓練を受ける、あるいは事故のないように努めてきておる、あるいは最近はその技術をもってカンボジアの地雷撤去等にも貢献している。今後はそういう技術も武器三原則から外して、積極的にやっていくというような姿勢は評価されると思う。ただ、事我が国防衛の問題なり、もっともっと慎重に検討されなければならないはずだった。それが、いかにノーベル平和賞に輝いたか知りませんけれども、ちょっとその辺のテンポが速過ぎるんじゃないですか。外務大臣、この辺はどうなんですか。
  37. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 対人地雷禁止条約につきましては、九月十八日の採択を政府部内で検討いたしておりまして、人道的な配慮とともに我が国安全保障を確保するとの観点に考慮しつつ、政府として今署名に向けて調整を行っておるところでございます。  我が国といたしましては、将来我が国がこの条約を締結した場合に、条約を遵守しつつ日米安保体制を損なわないよう日米双方において理解が得られるよう、今後とも米国との間で緊密に協力していく考えでございまして、ただいま委員指摘のように、私も橋本総理から御指示をいただきましてその方向性について検討する過程で、今お話のありました諸点につきましては最も考慮すべき点であるとの認識をいたしております。  日本安全保障にとって、地雷の必要性その他につきましてもいろいろ議論があることも承知をいたしておりますし、また代替措置について現下防衛庁でもいろいろ研究をしておられますが、その完成の問題等もございます。  一方、日本アメリカとの安全保障条約に基づきまして、我が国の安全に大きな責任を持っていただいておる駐留米軍の考え方も考慮しなければなりません。と同時に、日米の大きな観点から、この条約そのものについて各国の自主的な判断に基づいて署名行為が行われるということにつきましても、アメリカとの関係も十分念頭に置かなきゃならぬ、こういう考え方でありまして、私といたしましても、この問題につきましてアメリカ外交責任者でありますオルブライト長官ともいろいろ話をしてきたところでございます。  そうした過程の中で、この署名につきましてはそれぞれの国自身が決める問題であるということでありまして、我が国の署名には異議を差し挟む意図はないことを明らかにしておりますが、今後とも米国との間の協議は適切に行いまして、いやしくも信頼感が失われることのないように対処いたしていきたい、このように考えております。
  38. 板垣正

    板垣正君 この問題は、代替措置といっても非常に時間もかかる問題でありますし、慎重に検討していただきたいと思います。  最後に、行革関連で問題になっております防衛庁の防衛省移行問題であります。  この問題については、実は我が党と、与党である社民党、さきがけ、三党間でも随分時間をかけて論議はされたが、なかなか結論が出ない。こういう中で、最後は総理が判断をする、こういう運びと伝えられております。一たびは総理が今回は見送る、こういう判断をされたわけであります。  ただ、このことにつきましては、これは党の実情、内情になりますけれども、自由民主党としては総務会で大きく取り上げられておる。総務会というよりは、ほとんど我が党の声なんですね。衆議院でも二百名を超す方々が改めて署名をしている。参議院でも、私どもお願いしますともうわずか一日で八十名の方々が署名し、この際ぜひ省に昇格すべきだ、こういう声が強い。したがいまして、この問題については、もう半分決まったような感じもいたしますけれども、改めて総理意向を伺うというふうなことも私ども立場で言われております。  それはそれといたしまして、防衛庁長官、また官房長官、外務大臣、大きな改革が行われるのは決して偶然ではない。戦後五十年余を経て幸いここまで来た日本でありますが、もういろんな問題で行き詰まりもあるし、まただからこそ思い切った改革を遂げて新しい活力を奮い起こして二十一世紀に向けてひとつ元気を出していこう、こういう形でけんけんやり、また改革もいろいろ厳しい中で進められようとしておるわけであります。そういう流れの中に、この国の国家存立の一番基本である平和と安全の問題、この担当するところの防衛、自衛隊、この扱いは国家行政の立場においてもそれにふさわしいバランスのとれたところに位置づけるというのはもう当たり前ではないでしょうか。今回も別に防衛庁に新しい任務を与えるわけでもないし何かが変わるわけでもないからこれで結構なんだというふうなそんな寒々としたことではなく、一国の最高指揮官としてこの国のまさに命を守らなければならない立場から考えていただきたい。  自衛隊はいろんな制約を持っているけれども、外国に行けば立派な軍隊ですよ。国内ではいまだにいろんな制約の中で、場面によっては非常に寂しい思いも味わうような境遇の中で、しかし大筋においては誠心誠意この国の防衛のために、安保体制並びにPKO活動等の輪も広げつつある中で、防衛庁の存在というものはやはりそれなりに国民的な基盤に立ち、また国際的にも認知されつつある。それをこの大改革の機会に行おうというこれだけの大きな熱烈な期待なり要望、これは国民の背景があればこそ自民党の多くの議員も主張しているわけであります。  この国の形ということを言われますね、司馬遼太郎さんじゃないけれども。やはりこの国の形を整えていこうと。そういう形を整える中に、憲法の規制の中にあるけれども、国を守る存在としてそれにふさわしい防衛省としてそこからきちっと大臣を出す。庁が残って庁から大臣を出すのは防衛庁だけだと、こういうふうな格好というものはいかにも合理性がないんじゃないでしょうか。朝日新聞ごときは社説で、こんなものはとんだ空騒ぎだ、害があって利はないだろうと言っているが、これは防衛理解しない、日本の心がわかっておらない。  この問題について、有力閣僚三人おそろいでありますから、ぜひ省昇格が実現できるようにこの上とも最後の御努力をお願いしたいと思いますが、官房長官、いかがですか。
  39. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 御承知のとおり、行革会議の中間報告でございますが、庁とする案と省とする案とが併記されておりました。行革会議においても議論が収束しなかったのであります。このために、行革会議はこの処理につきまして会長たる総理に一任の手続をとりまして、総理政府与党の調整を待ったところでございますが、政府与党間においてもなお結論は得られなかった。自由民主党の論議がまた収束に至らず、総理の帰国までに政府与党間の決着を見るように私としては期待をいたしております。  いずれにいたしましても、その結果を踏まえて行政改革会議において最終報告が取りまとめられることができますよう期待しているところでございます。
  40. 板垣正

    板垣正君 防衛庁長官、いかがですか。
  41. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私どもとしましては、かねてから国の存立の基本に係る問題としてやはり国家行政組織においてそれなりの位置づけがされるべきであるということを申し上げてまいりましたが、現在では政府の一員として総理に一任をいたしております。現在、政府与党間でいろいろと議論がされておるやに聞いておりますので、その結果を見守りたいと思っているところでございます。
  42. 板垣正

    板垣正君 外務大臣も一言お願いします。
  43. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今回の行革におきまして、従前の省庁をそれこそ大改正いたしまして一府十二省体制にしよう、こういうことでございます。こういう機会にそれぞれの役所の役割、また果たしていかなけりゃならない問題、あるいは職員の士気の問題等を考えて最終の決定をしていかなきゃならない問題だと思っております。  ただいま党におきましてもいろんな御議論をしてこられたことでございますし、また与党としても三党でお話が進められておるようでございます。そういった意味でこれを注視、見守ってまいりたいと思っております。
  44. 板垣正

    板垣正君 終わります。  ありがとうございました。
  45. 永野茂門

    ○永野茂門君 平成会の永野でございます。  大臣各位には連休中においても国のためにいろいろと御苦労なさっておることにつきまして心から感謝を申し上げます。  最初に、新ガイドラインについて若干の質疑を行います。  新ガイドラインは、御承知のように、ポスト冷戦におきます不確実、不安定なアジア太平洋地域情勢の中で、日本の安全、さらには地域の安定、平和をより確実にするために日米の安保協力のあり方について大枠と方向性を示す極めて重要なものであります。中でも今回新たに調整が深められました周辺事態対応については、我が国民はもちろん、近隣諸国に対しても誤解のないようにすることがこのガイドラインを有効にし目的を達成するために極めて重要なことであると思います。  従来、周辺事態はどの範囲の地域を含むのかというようなことが内外から問題にされてまいりました。政府は、六月十二日の参議院外務委員会で、インド洋や中東地域での事態が重大な影響を我が国に及ぼすとは思われないので現作業ではそういう地域を入れることは想定しませんという地理的範囲を限定する答弁をなされました。その後、十月七日の衆議院予算委員会では、周辺事態は地理的概念ではなく事態の性質に着目した概念であり、事態の態様、規模等を総合判断するものである、いろんな仮定の状況についてはお答えいたしませんという修正とも受け取れる答弁をなさっておりまして、現在この解釈が周辺事態とはいかなるものかということで内外に理解されつつあるかと思います。  そこでまず、これは周辺事態というものの定義の修正と考えていいのか、あるいはそうではなくて単に重点的な説明をそこに移したのか、その付近の考え方について承りたいと思います。
  46. 田中均

    政府委員田中均君) お答えを申し上げます。  前大臣が国会で御答弁されたことと現段階でガイドラインの中に書いておりますことと大きな差異があるというふうには思っておりません。確かに、周辺地域と申しますときに、地理的な要素というものを含むものでございますが、さはさりながらどこからどこまでと線を引くというような概念ではないということでございます。  いずれにしても、国会等の場で明らかに御説明を申し上げておりますけれども、周辺事態と申しますのはまさに日本の安全に重要な影響を与える事態ということでございまして、事態の性質、そういうものを総合的に勘案して考えていく、こういう概念でございます。
  47. 永野茂門

    ○永野茂門君 私は、まさに今御説明がありましたように、いろんな事態の状態について判断をして周辺事態としての対応をするかどうかということが決まるものだと思います。ただし、だからといって、当面中東地域でありますとかインド洋における事態は重大な影響を我が国に与えるとは思われないというのは、これはちょっと行き過ぎた物の考え方であって、こういう地域における事態においても日本に極めて重大な影響を与えるといいますか、日本の安全を脅かすような事態がないとは言えない、あるいは大いにあると私は考えておるわけでありますが、この点についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  48. 田中均

    政府委員田中均君) これは米国との協議においてもそうでございますけれども、私どもがガイドラインの中で想定をしておりますのはまさに日本周辺地域日本の安全に重要な影響を与える場合ということでございます。さっき御説明申し上げましたように、特定の線引きというものはもちろんできないわけでございますけれども、一般論として考えてみますれば、中東であるとかまさに湾岸であるとかインド洋であるというところの事態を想定して考えている、そういうものではないということでございます。
  49. 永野茂門

    ○永野茂門君 そうしますと、さらにかつての答弁を限定するようになると思います。つまり、当面はとか今のところというような表現がついていたわけではありますけれども、そういう地域については考えないと、これはもう全く考えないというように我が国は決めつけておるんでしょうか、そしてそれはいいことなんでしょうか、大臣に承ります。重要な問題でありますので外務大臣に承ります。
  50. 田中均

    政府委員田中均君) 交渉の経緯も含めまして、技術的なことがありますので私の方から……
  51. 永野茂門

    ○永野茂門君 技術的ではないと思います。非常に重要な問題だと思いますが、では技術的に答えていただいて結構です。
  52. 田中均

    政府委員田中均君) 繰り返し御説明を申し上げておりますように、ガイドラインの中での周辺事態というのは、日本の周辺であって日本の安全に重要な影響を与える、そういうことで考えております。したがって、そういう観点から考えれば、中東における事態であるとかインド洋の事態というものがそういう事態に当たるということはなかなか想定しにくいということで、想定をするとかそういう問題ではないということを申し上げておるわけであります。  ただ、これも前から御説明を申し上げておりますように、例えば湾岸地域で重要な事態が生じたとして、それはそれでその時々の法令に基づいて日米の協力のあり方というのはケース・バイ・ケースで当然考えていかなければいけない、そういう事態というのはあるものだというふうに考えております。
  53. 永野茂門

    ○永野茂門君 大臣、特に御発言はございませんですか。
  54. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 政府といたしましては、周辺事態とは日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合をいうわけでございまして、この周辺事態とは地理的概念でなく、生じる事態の性質に着目したものであり、したがって周辺事態が発生し得る地域を地理的に一線を画することができないというのが公式の答弁でございます。  永野委員の言わんとされることはそれなりに理解できるつもりではありますけれども、しかし政府としてはあくまでもこうした周辺の事態ということでございまして、これを地理的にどこからどこまでと説明しろと言われましても率直に申しかねるところでございます。地球の裏側までという議論も時々お聞きをしますけれども、あくまでもその周辺事態という事態に着目して対応するということだろうと思います。
  55. 永野茂門

    ○永野茂門君 十分には納得できませんけれども、時間もありませんし、この問題につきましてはこのくらいで終わらせていただきます。  次に、報道によりますと、中国は新ガイドラインに疑義を持ちまして、機会あるごとに反対を唱え、特に周辺事態問題につきましては台湾事態を含まぬよう繰り返し我が国に要求しているように見ておりますが、この実情をまず承りたいと思います。
  56. 田中均

    政府委員田中均君) 先ほど先生から冒頭でお話がありましたように、周りの国に対して誤解を与えてはいけないという観点から、東南アジア諸国、中国等も含めて説明をしておるということでございます。  中国につきましては何回か説明を行っているわけですけれども、幾つかの点が指摘されております。一つは、この日米のガイドラインというものが日本の軍事的な役割の拡大につながるんではないかというようなこと、それからこれが二国間の枠組みを超えていくんではないか、それは台湾の問題も含めてでございますが、こういう懸念の表明がございます。  これに対しては、政府首脳、大臣も含めまして、まさに周辺事態というのは地理的概念ではない、事態の性質に着目した概念であるということで、中国等の懸念を解消するように努めておるというのが現状でございます。
  57. 永野茂門

    ○永野茂門君 その都度、中国に対して我が国の主張を説明しているといいますか、強く主張しているということは新聞報道を見ても了解できるわけでありますが、我が国はまだ不十分であると思いますけれども、さらなる理解を求めるためにどういうような活動を行おうとしておりますか、伺います。
  58. 田中均

    政府委員田中均君) これは先般の中国首脳との会談の結果もそうでございますけれども、まさに日中間で安保対話というものを拡充していく必要があるんではないか、それから防衛庁の交流も含めまして防衛交流というものをやっていく必要があるんではないかということで、できるだけ日中安保対話というような大きな枠組みの中でお互いの透明性を担保していくということに引き続き努力したいというふうに考えております。
  59. 永野茂門

    ○永野茂門君 日中が相互信頼のもとに率直に意見を調整し、相互の安全と発展、さらにはアジアの安定、平和の発展に向けて協力することが世界にとって極めて重要なことであることは多言を要しないところであります。我が国が海峡及び両岸、つまり台湾海峡及び大陸と台湾の両岸の平和に強い関心を持っているということについては、中国に幾ら要求しても、幾ら明確に伝達するように努めても足りないかもしれないぐらい大事なことだと思いますが、その点についてはどういうよ  うにお考えになりますか。
  60. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 中国人の中で平和的に解決されることを我々としては心から期待いたしておるという立場でございます。
  61. 永野茂門

    ○永野茂門君 次の問題に移ります。  周辺事態では、我が国は米軍に施設の使用について適時適切な協力を行い、時には日本周辺の公海及びその上空を含む地域における後方地域支援及び運用面の協力を行うことになっています。  私は我が国がこれらの協力を行うことには大賛成であります。さらに、将来はもっと拡大できたらいいなと希望している、期待している一人でありますけれども、それは別といたしまして、安保条約第六条に規定しているところを見ますと、具体的に日本の義務として規定されているのは施設・区域の使用を認めることだけなんですね。しかもまた、旧ガイドラインの第三項の極東事態の項でも、便宜供与についての研究のみにしか言及していないわけであります。  したがいまして、私はこれが悪いと言っているんじゃありませんけれども、新ガイドラインにおいてこういうような各種協力を行うことについて法的根拠はどういうことなのか、どういうように解釈してやろうとしているのかということを御説明願いたいと思います。これは我が国民の中にも疑義を持っている人もいますし、外国においてもおるわけでありますが、特に明確にしていただきたいと思います。
  62. 田中均

    政府委員田中均君) お尋ねの点でございますけれども、これはもう繰り返し御説明を申し上げておりますが、日米のガイドラインの中に盛り込まれている事項というのは基本的な前提というものがございます。それは一つは、日本国憲法の制約の範囲内である、あるいは国際法を遵守する、それから日米安保条約基本的な枠組みを守るといったような点でございます。そういう憲法の制約であるとか国際法を遵守するという基本的な前提を置いた上で、具体的に大枠としてガイドラインの項目が示されているということでございます。  御案内のとおり、確かに日米安保条約第六条には概念的な規定、それから施設の提供といったようなことが書かれております。と同時に、地位協定の中にはいろんな日米間の権利義務ということも書かれております。現在私どもが行っております作業と申しますのは、そういう憲法の範囲、制約の中で、具体的に現行法の中でできるところとできないところを峻別した上でガイドラインの実効性を担保するために法整備を行っていきたいというのが現在の立場でございます。
  63. 永野茂門

    ○永野茂門君 もうちょっと明らかな説明をしていただくと非常にいいんじゃないかと思いますけれども、一応了解をいたします。  その次は、臨検について少しお伺いします。  周辺事態におきまして、国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するために船舶の検査、つまり臨検及び関連する活動を行うこととされていますけれども、その検査、いわゆる臨検の実施要領、手順はどうなっていますか、承りたいと思います。
  64. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 我が国が行う船舶の検査等に関する措置につきましては、諸外国の例からして、具体的には次の措置をとることを考えております。すなわち、一として船舶の航行状況の警戒監視、二、船舶に対する呼びかけ、三、船籍、船主、積み荷、目的地等の無線等による照会、四、検査に応じた船舶に対する立ち入り、書類検査、積み荷の確認、五、進路変更の要請、六、停船または進路変更に応じない船舶に対する説得、七、検査実施船舶の存在を示すための信号弾、照明弾の使用及び遠方における空砲の使用、八、説得を行うための接近、追尾、伴走、進路前方での待機であります。  我が国としては、仮に被検査船舶が検査を無視しあるいは逃走する場合には、さきに述べた具体的措置を有機的に組み合わせることによりこのような船舶に有効に対処することになろうかと思います。  なお、諸外国におけるこれまでの対象船舶への検査等の実績等にかんがみますと、さきに述べましたような具体的措置による検査であっても、対象船舶があくまで検査等を無視しあるいは逃走するケースは極めて例外的な場合でありまして、全体として検査等の実施を担保し経済制裁の実効性を確保するための措置として実質的に有効に機能すると考えております。
  65. 永野茂門

    ○永野茂門君 諸外国がやっている場合に有効に機能してきたというのは強制力をもって対応しておるということが核心にあるからでありまして、我が国のように実弾は使わない、これは領侵対処においても同じでありますけれども、警告射撃に実弾を使わない、その他必要なときに実弾を使わないというのでは、まあそれは従順な船があれば別ですけれども、私は一般的には言うことを聞かないと考えざるを得ないんですが、これについてはどういうようにお考えでしょうか。
  66. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 委員御質問の点でございますが、第一に私たちは国連の安全保障理事会の経済制裁決議があるということを前提にしております。その必然的な結果といたしまして、それを実効あらしめるための措置については、国連憲章の二十五条に基づきまして加盟国に受忍義務が生ずるということがございます。  それから、もう一つ補足させていただきますが、船舶検査の対象になるのは商船でございます。そのようなことがいろいろと相まちまして、先ほど防衛庁長官がお述べになりましたとおり、これまでの国際的な前例というものからいたしまして、先ほどの八項目ということで実効性が担保されるのではないかというふうに期待しているわけでございます。
  67. 永野茂門

    ○永野茂門君 あくまで希望的な評価であると私は思います。やっぱり最終的に強制力があるということをどこかで示さなければ、ミグ25事件も似たようなものでございましたし、周辺で起きているいろんな国、隣の国あたりの船舶の不法行為に対していろいろやっておりますが、私はそんなに効果があるとは思って見ておりません。  いずれにしろ、これはそういうように御決定でありますので、そのような手段で十分な効果を上げるように努力していただきたいと思います。  ガイドライン関係につきましては以上で終わらせていただきます。  次に、対人地雷についての問題であります。  これは既に同僚の板垣委員の方からのどういうような対応をするのかについての政府全体としての御答弁がありましたので、さらなる慎重な検討を続けて決定に持っていっていただきたいということを申し上げておきます。  防衛庁長官に対しては、対人地雷の代替品、つまり条約が発効した後においても使用できるような代替品の開発についてはどういうように手を打っておられるか、そしてまたそれにはどれくらい研究開発時間を必要とするか、またその根本であります対人地雷が従来果たしていた機能はいかに日本防衛にとって重要であると判断しておられるかということについて承ります。
  68. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 海岸線が長いということと、また縦深性があります我が国の場合、起伏に富んだ山地等が控えておりますと、どうしてもそちらの方に着上陸してくる敵の侵攻を時間的にある程度おくらせて、その間に少ない人数で多方面に一度に対処しなくて済むように、例えば攻撃目標を限定しながら対抗できるというようないろんな有利性がございますために、対人地雷は我が国では防衛政策上非常に大事な一つの政策としてとられてきたわけでございます。  今回、あのようにオタワの会議等で世界的にもこの問題が大きくなってまいりましたが、一つにはこの地雷がいわゆる無差別に一般市民までも巻き添えにする、特に戦争が終わった場合、そこに地雷が敷設されていることによって一般市民が巻き込まれてしまう、そういうようなことからこれに非常に非難が集中してまいりまして、対人地雷は少なくともやめようと。そして、特に自己破壊装置のつかないものについてはまず全面廃止しようというような動きになりまして、我が国でもそれをとってきておったわけでございます。  ところが、今回は自己破壊装置を有するものでもやめようということになりまして、対戦車地雷はまあいいというふうになっておるわけでございます。実はヨーロッパ等ではどちらかといいますと対戦車地雷が多く使われておりまして、対人地雷は余り使われていない。そういうような背景等もあるのか、ヨーロッパ等を中心としまして対人地雷全面禁止についての賛成国が非常にふえてきたということでございます。  我が国としても、世界的なそういう趨勢の中で対人地雷はやはりやめようということに向かっていっておるわけでございます。これにかわるべき、要するに一般市民を巻き添えにしないような、とにかく攻めてくる敵をいかにして防ぐか、おくらせるか、その方法、それについての代替措置を研究しようということで、例えば相手を確認した上で要員による操作によってそれを爆破して、とにかく侵攻を撃破するというようなものができないかどうか。我が国もかなり探知技術その他が進んできておるわけでございますから、センサーとかいろんな点でそういうことは可能じゃないかということで研究に取り組んでおりますけれども、これにかわる有効な手段というのが現在まだ見つかっておりません。  しかしながら、そういう方向で代替措置の研究ということで一生懸命になってまいりますれば必ずやそういう方向についても開発が可能ではないかということで、今鋭意研究に取り組もうというような方向に動いているところでございます。  しかし、まだ緒についたばかりでございまして、アメリカ等もそうでございますが、いろんな研究をしておるようでございますので、そういうところのいろんな知識等もまた応用しながらこれから先取り組んでいきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
  69. 永野茂門

    ○永野茂門君 今御説明になりました対人地雷の価値等につきまして、私は次の二つのことを御指摘申し上げて御参考にしていただきたいと思います。  その一つは、ただいま対上着陸作戦における重要性というようなとらえ方をなさいました。それはもちろん否定いたしませんし、余りないと思いますけれども、仮に対上着陸作戦が行われるようなことがあった場合には大変に重要な機能を果たすということだと思います。  それよりも私は、国内の重要施設に対する特殊作戦部隊の潜入ゲリラ攻撃、これに少数兵力で防御を全うするというためには恐らくこの対人地雷が非常に有効であろうと判断をしております。日本には重要施設があちらこちらに、原発を拾ってみてもたくさんあるわけであります。そのほか極めて重要な施設がたくさんあるわけでありますが、これの警備をどうするか。特に潜入攻撃に対してどうするかということは、本当にそんなに大きい兵力を充当するわけにいかないと思いますので、それを補うのはこの種の対人地雷だけだとは言いませんけれども、この種のものの展開が一番有効ではないかと思っております。  それからもう一つは、先ほど板垣同僚も指摘されましたけれども日本の地雷を外国に売ったり外に持っていったりすることは絶対ないわけでありまして、国内使用であります。旧軍においても非常にうるさかったわけでありますが、地雷をどこにいつ埋めたか、いつ撤去すべきかというようなことについては、その記録は極めて重要なものとして扱っておったわけでありまして、敵に対しては有効であるけれども、そのほかに危害を及ぼすことはないというように私は思います。  いずれにいたしましても、代替手段の開発は非常に重要でありますので、私はその件を含めて今回の決定をさらに慎重に検討していただくことを要請しておきます。  最後に、防衛庁の防衛省あるいは国防省への格上げ問題であります。  これも先ほど板垣同僚委員がじゅんじゅんと説いておられましたので私はつけ加えることはありませんけれども、中央省庁の改革といいますか、特に組織をどうするかということにおいて一番大事なことは、国は何をやらなきゃいけないかということの立場をわきまえつつ、その中で極めて重要な安全保障というものの地位を十分考えてやることであります。そうするならば、諸外国がやっているように、エージェンシーなんていうような、エージェンシーの意味は従来のエージェンシーとは違いますけれども、国防省を防衛庁のようなところに置いておく、そういうことでほうっておくということはあり得ないことであります。  どうか三大臣ともその点につきまして十分今後の御意見の開陳を必要なところで大いにやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  以上です。
  70. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時五分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  71. 竹山裕

    委員長竹山裕君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 山崎力

    ○山崎力君 平成会の山崎でございます。  急な質問でございますけれども、きのう、きょうの問題でしたので、冒頭、官房長官にお伺いしたい問題がございます。と申しますのは、今回、省庁の再編問題、行政改革等でやられておりますが、その一つの目的として官邸の危機管理能力の強化というものがございます。その点で、現今の山一証券の問題に絡みまして一つ質問をさせていただきたいと思います。  簿外債務が二千六百億あるということでございまして、日にちは私の記憶でございますけれども、今月十七日に大蔵大臣に報告があったと。その後、一カ月以上も前の十月六日には同じことを山一証券側からメーンバンクである富士銀行に報告していたという報道がございます。私が問題としたいのは十一月二十二日の総理の発言でございまして、記者団からの山一証券が自主廃業をする動きがあるようだがという質問に対して、承知していないという答弁がございました。  そういった一連の流れの中で、官房長官は、この問題、いわゆる帳簿外の債務があって山一証券が自主廃業に追い込まれる可能性が極めて高いという情報をいつごろ御承知願ったのか、また大蔵省がこれだけの帳簿外の債務があるということを、検査を今までしていたわけですけれども、報告があるまで全然気がつかなかったということになっております。この点について、これは経済危機という観点からすればまさに一種の危機管理に対する官邸機能の強化という面、そういった面からの視点で結構でございますから、どう評価してどのような御感想をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。
  73. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 今突然のお尋ねでございますが、山一証券をめぐる問題については、いろいろそういうような動きがあるよということは事務方より私も報告を受けておりました。しかし、自主廃業という方向性については十一月二十四日の発表の前日に私は聞いたわけでございます。私の推測ではするかあるいはまた会社更生法を受けるかと、山一証券の取締役会ですか、そういういろんな動向はあったと聞いておりますけれども、自主廃業というようなことを聞いたのは発表の前日でございます。  それから、恐らく総理も、二十二日でございますか、そのような山一証券のいろいろな問題等は承知したと思いますが、自主廃業というような問題については、取締役会が何回も開かれておる、こういうことで私は聞いていないと、こんな答弁になったのではなかろうかと思っております。  いずれにいたしましても、政府として、四大証券の一つである山一証券が自主廃業するという事態の重大性にかんがみまして、投資者保護、信用、そして市場秩序の維持安定を第一義として必要な措置を講じたいという大蔵大臣談話、万全を期すということで私どもも措置していきたい、こう思っております。
  74. 山崎力

    ○山崎力君 いずれにしましても、これは経済問題であるから危機管理とはちょっとという感覚をお持ちの方もあるかもしれませんけれども国家運営の立場からすればまさにこの問題も大きな危機管理の課題であろうと思っております。  大蔵省自体への作業の問題点はここでは問わないことといたしまして、いずれにしろ政府内部でのこういった大きな問題の情報の集約化という点からいけば共通する面がございますので、内閣官房におかれましては、そういった意思で今回の一つの改革をやろうとしておられるのであればもう少し別の対応があってもよかったのではないかという印象を持っておりますので、その点をお含みおき願いまして、次の質問に移らせていただきます。  次に、対人地雷に関して若干これからお伺いしていきたいと思います。  午前中、板垣、永野両先輩議員からも話がありましたので、なるべく重複を避けまして質問させていただきますが、まず私の聞き及んでいるところによりますと、この対人地雷全面禁止条約、これについて防衛庁としてはいわゆる代替措置を講じることという条件つきで了承したというふうに報じられておりますけれども、その辺についてはそういう理解でよろしゅうございますでしょうか、防衛庁長官
  75. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 我が国防衛のことを考えますと代替措置が必要であるということを主張してきております。これを条件として認めたとかいうような表現をされますと困りますけれども、代替措置は対人地雷がなくなった場合でも必要である、そういうことを主張しております。
  76. 山崎力

    ○山崎力君 そうしますと、確かに必要だと思って今まで整備してきた兵器を一方的に廃棄するということの条約に参加しようというわけでございますから、今後いろいろなことが出てくると思うんですけれども、やはりそれなりのめどがある程度立っていなければ、これは署名するといって、署名してから発効まで四年くらいあるという話を伺っていますが、その間のある程度のめどは必要ではないのかなという気がいたします。  それで、その代替手段の問題とか経費、廃棄についても代替兵器についてもこれはある程度まとまった費用が必要だということは当然考えられる、予想がつくわけでございますが、その辺についてはどのようになっておりますでしょうか。
  77. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そのような代替措置自体がどういう形でやれるのか、まだそういう研究の緒についたばかりでございまして、これから先それにどういった経費がかかるのか、そういうことについても皆目段取りをつけることができずにおります。いずれにしましても、我が国防衛政策上何らかのそういう措置が必要であるということは主張しているところでございます。  一方、我が国の政策として、今全世界のいろんな動きの中でどういうような政策判断をしていくか、これはまた国全体としての判断でもございますので、そういう中で調整を外務大臣中心になられまして政府内でやっておるという状況でございます。
  78. 山崎力

    ○山崎力君 そういう状況だということを前提にしまして次の中身に入らせていただきますが、これは午前中の両先輩議員からの質問と重なる部分があるので、重複はなるべく避けて質問したいと思うんです。  要するに、我が国が対人地雷条約に加盟したとしても、いわゆるノーベル平和賞を受けた、対人地雷を世界からなくす、特に一般市民に対する被害をなくすということに関して見れば、事実上何の貢献もないということが断言できると思うのです。中身については両先輩議員の話の中にあったとおりでございます。そして、むしろ一方的に、我が国防衛上、これはあってはならないことですけれども、もし必要だというような事態になった場合にみずからの防衛の手を縛る内容の条約でございます。  そういった点で、まず対応措置も十分でない、予算についても検討中である、これからやっていきたいということになっているんですが、そうなってまいりますと、簡単に言えばただでさえ兵力を削減して軍縮の方向を打ち出した自衛隊、防衛庁の予算にとって、処理の費用あるいは代替兵器の新規購入というような費用面からいきますと、これはそっちをやろうとすれば予定の装備計画に狂いを生じるということは当然考えられるわけでございます。  これは外務大臣にお伺いしたいんですが、そういった中の予算、どっちが持つかというかプラスするかという問題もこれからなんでございますけれども、今いわゆる対人地雷について問題になっているのは、内戦の後始末的な、要するにどこに敷設したかもどうなっているかも全くわからない、それでかりそめかあるいは恒久かは別として一応平和が戻ってきた、一般市民の生活が戻ってきた、そういった人たちが放置された対人地雷によって多数の負傷者を出しているということであります。  こういう状況の改善に何ら貢献しない問題について、我が国が今この時点でなぜ条約に参加しなければいけないのかというような点の御見解をお伺いしたいと思います。
  79. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 対人地雷の禁止につきましては、昨年六月、リヨン・サミットで橋本総理も国際的な全面禁止に向けての支持及び使用について一連の自主的な措置を発表いたしております。また、昨年十二月に国連総会で採択されました対人地雷全面禁止決議の共同提案国になっております。  この問題につきましては、先ほど来御質疑もありましたし御意見もありましたように、NGOがいろいろ活躍され、それがノーベル賞受賞にもつながったとか、あるいはダイアナ元英国皇太子妃のたゆまざる人道的運動によりましてそれが世界にアピールしておるとか、いろいろございました。それは大きな世界の流れを象徴する事象でありまして、我が国としては我が国としての立場から、この問題が国の安全保障にかかわる重大な問題だという観点に立ちまして対処いたしておるところでございますが、大きな世界の趨勢の中で、特に対人地雷ということに関しましては我が国もそうした大きな流れの中で対処いたしてまいりたいと思います。  先ほど申し上げましたように、幾つかの条件といいますか対応しなければならない問題がございますけれども、そうしたことに適切に対応しながら今この禁止条約に向けての取りまとめをいたしておるさなかでございます。
  80. 山崎力

    ○山崎力君 世界の流れというふうにおっしゃいましたが、これは釈迦に説法でございますけれども、今一番被害を出している対人地雷の生産国が、輸出国でもあるわけでしょうが、この条約に参加するということに対してクエスチョンマークがついている、こういう状況でございます。  それからもう一つアメリカはこれは困ると。ただ、一般の市民に対しての被害を削減するように、今現実に出しているのは、散布された後放置されている地雷が被害を出しているわけですから、その対人地雷除去に対してお金を出そう、特別に予算措置をとろう、こういうふうな発言をして、それはそれで一つのやり方だろうと思っております。  残念ながら、我が国はその点についての協力もできかねる法的な状況にある。PKOの目的の一つに入っていながらその条文が凍結されている。自衛隊の職務、特殊能力という意味からいけば、自衛隊の人たちが行って、現地で、カンボジア等で除去に当たるということが凍結を解除しなければできない状況にある。むしろ協力するならばきょう、あすの、毎年何千人という被害者を出しているのを幾らかでも、一人でも二人でも少なくするならそっちの方がむしろ先決ではないかというような気もするのですが、その点について政府内部でPKOの問題についての解除、協力について検討しようという動きがあるのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  81. 阿部信泰

    政府委員(阿部信泰君) ただいま御質問のありました問題、つまりこの条約に署名する意思のない国も幾つかあるわけでございます。これらにつきましては、もう一つジュネーブで軍縮会議というのがありまして、そちらでもより多くの国を含めた条約をつくろうという議論をしておりますので、そちらの方も政府として追求することにしております。  また、地雷除去の技術につきまして、これがこれまでの政府の政策の関係上簡単に出せないという問題、協力できないという問題がありますが、これについては何とか、特に人道目的ということについてそういうことができないかということを検討しているところでございます。
  82. 山崎力

    ○山崎力君 その点、湾岸のことを思い出しておりまして、いわゆる実際的に協力できない言いわけ、エクスキューズとしてここのところの条約だけやっておけばいいんじゃないかというような感じを私なんぞはちょっと持ってしまうものですから、その辺のところは基本を踏まえた対応をしていただきたいと思います。  それから、もう一つこの問題で、これはほかのことにも感じるんですが、予算措置の問題なんですね。これはこれからだと言っているんですが、実は似たような問題がございます。  というのは、国の外交方針として、防衛庁のというか自衛官の協力を得なければできない問題をやろうとしているということなんです。その具体的な内容は、言われれば御承知の方がほとんどだと思うんですが、中国大陸における旧帝国陸軍を中心とした遺棄化学兵器、この問題をどう処理するかということが今行われております。  政府としては、日本の責任で処分に取り組むということを一種の外交上の約束にしておられるということなんですが、この問題に対する今後の法整備や処理に対する予算をどのように考えておられるのか、これは官房長官の担当だと思いますが、どうなっておりますでしょうか。
  83. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 本件については、さまざまな分野にわたる技術、専門的な知見を必要とするなどから政府全体で取り組んでいく必要があります。そのため、内閣に遺棄化学兵器処理対策連絡調整会議を設け、さらにこの十月には遺棄化学兵器処理対策室を設けたところでございます。  条約では、我が国は今後十年以内、二〇〇七年の四月までに中国にある遺棄化学兵器をすべて廃棄しなければならないとの義務が生じておるわけでございます。  質問の点に関しましては、政府としては今後とも中国側と本件処理の枠組みについて協議を続けるとともに、今後の実際の処理に向けた取り組みについて対策室を中心体制面や資金面も含め総合的に検討を進めてまいりたい、このように思っております。
  84. 山崎力

    ○山崎力君 またここでも検討を進めるというよく聞く言葉が出てきてしまうわけですが、これはもうタイムリミットを限られた問題でございます。しかも、聞くところによれば膨大な予算措置を必要とする。そして、実際に当たる人となると、やはり専門技術という点からいけば自衛隊の方々を処理の現場に向かわせなければならない、そういった事例でございます。その辺の法整備も必要になってくるんじゃないんだろうか。そこへ行く自衛隊をまさか中国の方で海外派兵だということでけしからぬというようなことは言わないと思いますけれども、現実の問題として、人道主義でもそういったもののときに行けるか行けないかという詰めた議論も必要だろうと思いますし、何よりこういった場合、国としてやらなきゃいかぬときに、省庁の縦割り予算をどういうふうに配分するかということが私としてみれば一つのテストケースになるだろうという気がしております。  そういった意味で、先ほどの対人地雷除去の問題についても、将来もし仮に自衛隊の人が国際貢献一つとして処理に向かうということになれば、これはそういった意味での予算をどこがどう持つのかという問題も出てきますし、それからまさに防衛庁とは関係のないところで、国の方策として代替兵器開発あるいは廃棄というようなところが決まった場合に、そこを全部防衛庁の予算で、形式的にはそうなるかもしらぬけれども、枠の中へ入れていいのかどうかという議論も当然出てくると思います。その辺のところを、検討します検討しますで結論だけぽんと出るということになりますと、これは非常に大きなその場しのぎの問題になろうと思います。  その辺、これは一つの国の政策における総合的な、金をどこでどう使って何をやるんだというところで、まさに先ほど言った一種の内閣官房の機能強化という部分とも絡んでまいりますので、非常に慎重な上で、その辺のところの経過をオープンにした形で、今後大きく出てくる問題ですので、はっきりした形の予算措置なり方針なりを明らかにしていただきたいと御要望申し上げます。  次に、ガイドラインの問題で若干お伺いしたいと思います。  今までもいろいろ議論になっているんですが、やはり基本にあるのは、皆様方政府側の答弁とすれば憲法の範囲内でという当然の前提をおっしゃっているわけですけれども、そこのところの集団的自衛権との絡みを考えますと、午前中の両先生のお話にもありましたけれども、すっきりしたものが出てこない、なかなか見えてこないという部分がどうしてもあるわけでございます。  そこのところで、時間の関係もございますのでまず簡潔にお願いしたいんですが、一般国際法上、交戦権というものはどういうふうな意味合いで、そして憲法九条で禁止されている交戦権というのはどういうものかということをお示し願いたいと思うんです。
  85. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 交戦権についてのお尋ねでございますけれども、一般国際法上厳密に定義されているということではございませんけれども、一般的に申しますと、伝統的な戦時国際法におきまして、国家が交戦国として有する国際法上の諸権利をいうということでございます。  さてそこで、我が国憲法第九条第二項は「国の交戦権は、これを認めない。」としておりますが、ここにいう交戦権につきましては、昭和五十五年の政府の答弁書がございまして、これによりますと、「ここにいう交戦権とは、戦いを交える権利という意味ではなく、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称であって、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶のだ捕等を行うことを含むものであると解している。」と、こういうことでございます。
  86. 山崎力

    ○山崎力君 そうしますと、今回ガイドラインのもとで、いわゆる九条の絡みで禁止されているところがこの交戦権絡みのところで出てくる部分も若干予想されるわけですけれども、その辺の検討はどういうふうになされたんでしょうか。関係はあったんでしょうか。
  87. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 新しいガイドラインにおきましては、我が国アメリカに対して行います協力が示されておりますけれども、そこに示されております行為というものは、船舶検査等を含めまして我が国が行うことを想定している具体的な内容及び態様を見ます限り、それ自体は武力の行使に該当しないというのが政府基本的な考えでございます。したがいまして、かかる協力を行うことによって我が国がいわゆる交戦国の立場に立つわけでもないし、これらの協力は交戦国の有する国際法上の権利の行使として行われるものではございませんで、したがいまして憲法第九条第二項に言う交戦権の行使には当たらないという考え方でございます。
  88. 山崎力

    ○山崎力君 そこのところで、これはまた時を改めて内閣の法制局の方も入れての議論になるかと思うのですが、周辺事態の問題を考えてみましたときに、いわゆる日本の基地からの米軍の直接出撃、そういったたぐいの戦闘になったときの協力問題というのは事前協議の対象になるであろうということになっておりますが、そういった事態における周辺事態とそうでない場合の周辺事態ではおのずから質が違ってくるという気がいたしております。  日本の基地から、例えば岩国なり嘉手納なり三沢なりから直接米軍が爆弾を積んでどこかへ飛んでいって落としてくるといったときに、それを拒否できるかできないかの場合とそうでない場合とで、オーケーを出した場合もノーの場合も、ノーはちょっと問題がどうなるかはまた別問題ですけれども、事前協議の結果直接出撃してもいいですよというオーケーを出した場合と、それほどでない周辺事態の問題とではおのずと周辺事態でも質が違ってくるというふうに理解しておりますが、そういった点、細かい点になりますので今回はこの程度にします。  もう一つちょっと別の角度から気になるのは、ガイドラインのもとでの対米協力というのが今回出ているんですが、いわゆる国連軍たる米軍に対しての協力というのはどうなっているのか。これが意味するところはおわかりだと思うんですが、その辺はどうなっておりますでしょうか。
  89. 田中均

    政府委員田中均君) お答えを申し上げます。  今次の日米の防衛協力のガイドラインというのはまさに日米の防衛協力のあり方についての大枠を定めたということでございまして、その国連軍と申しますのが何を意味するかというのは必ずしもよくわかりませんが、国連軍に対して協力を行うということを想定して策定されているものではございません。
  90. 山崎力

    ○山崎力君 そうしますと、まさに国連軍が戦った戦争、これは正規に成立したかどうかというのは議論が分かれているとも思うんですが、一応我々の常識としては国連軍が戦った戦争がかつて日本の周辺にあったわけでございます。そのとき我が国は占領下でございまして、主権があったかどうかの問題もあるんですけれども、そのときに国連に対する協力の法もできていたと思います。  そうすると、まず今の確認ですけれども、米軍はある意味じゃ二重国籍的な、米軍としてとそれから国連軍としてという二重国籍的な性格を持ちますが、米軍以外の国連軍というものの存在もあり得るわけで、その場合、いわゆる今回のガイドラインの協力は米軍以外の国連軍にはしないというふうに判断してよろしいのでしょうか。
  91. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 繰り返しになるかもしれませんが、今度のガイドラインと申しますのはあくまでも日米間の協力についての一般的な大枠、方向性を決めるものでございますので、それが国連軍に参加しておる国でありましても、第三国との協力関係ということを想定して策定しているものではございません。
  92. 山崎力

    ○山崎力君 想定して策定していないというのは私も承知しているんですが、問題はその想定していなくて策定したガイドラインにのっとった形で政府として国連軍に対して協力するのかしないのかという問題が出てくるわけでございましょう。  その辺についてはどうですか。
  93. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) この指針の枠組みの中におきましては、私が今まで申しましたとおり、そういう国との協力というものを想定しておりません。  しかし、そのことは日本と国連の間の協力全体を否定する、排除するという趣旨ではございません。それはまさしく国連を強化し国連に協力するというのが我が国外交基本方針でございますし、このガイドラインも前文においてその趣旨をうたっているところでございます。また、安保条約の第一条におきましても国連を強化するということがうたわれておりますので、そういう協力はもちろん排除されておりませんが、それはこの指針とは別の文脈において検討される、また行われるべきものという認識でございます。
  94. 山崎力

    ○山崎力君 その辺のところがちょっとわからないんです。要するに、ガイドラインというのは米軍との協力関係をどうするかという指針でございましょう。それで、米軍と別に国連軍というものにどうするかという問題があるわけで、現実に国連軍に対する援助の法律も我が国は持っているわけです。それが憲法に違反しない、しかも今度のガイドラインも憲法に違反しないということになれば、いわゆる米軍へのガイドラインが同じような国連軍へのガイドラインに置きかわってどこが悪いのかと。その辺のところ、二重国籍の米軍の問題と言ったのもそういうことなんです。  行った飛行機が落ちた、救助に行く、それが米軍の飛行機であるならばガイドラインにのっとって自衛隊のヘリコプターで救難に行くと。ところが、それがたまさか国連軍の米軍以外の飛行機であったら、それがわかった時点で引き返すのかという問題が当然出てくるわけでございまして、その辺のところをもう少しはっきりした方が国民に対する説明としての情報公開になるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでございましょうか。
  95. 田中均

    政府委員田中均君) 私どもが申し上げておりますのは、この防衛協力のガイドラインというのはまさに日米の両国政府の当事者の間でどういう防衛協力が望ましいかという大枠を決めたということでございます。  ただ、日本としてどういう具体的な行動をとるかということについては、当然のことながら日本として主体的に何をどこまでやるんだという形で検討していかなければいけない。ただいま先生御指摘になった点もそうでございますけれども、それは国連との協力という観点からいろんなことを考えるべきケースというのも当然あると思いますが、この防衛協力のガイドラインは当事者でない国連についてどういう防衛協力をするかということを決めたものではないということでございます。
  96. 山崎力

    ○山崎力君 一点だけ確認して次のところへ行きたいと思います。  それでは、朝鮮事態に対する国連との協力の絡みでできた法律で、国連の部隊が我が国に進駐したいというふうな要請があった場合に、我が国はいわゆる法律上、条約上、拒否できるんでしょうか。  これは質問通告になかったので、流れの中から出てきたので、申しわけないんですが、今の時点でわかればお答え願いたいと思います。
  97. 田中均

    政府委員田中均君) 先生御指摘のいわゆる国連軍というのは一九五〇年に安保理決議八十三というものでできた国連軍であろうと思います。同時に、その国連軍との間で国連軍に係る地位協定というものが存在していることも事実でございます。  ただ、一方において、休戦協定が成立しておりますから、具体的な形で今後それがどういう事態において適用されるかというのは、我々は休戦協定が破られるという事態を想定しておらないので、まさにそういう事態になったときの国連の議論というものを踏まえて考えていくべきことではないかというふうに思っております。
  98. 山崎力

    ○山崎力君 休戦協定が破棄されないといいますか、そういった事態を想定していないということで済めば非常に結構だと思うんですが、そこのところを、仮定の話で破棄されることを想定しないというのはいかがなものかということですが、時間の関係がございますので、次の問題です。  一連の流れで、重複を避けさせていただきますけれども、今回のガイドラインの問題で一番の問題は、先ほど防衛庁長官もおっしゃったように、我が国の有事法制がまだ不十分な点があるというところでガイドラインの問題が出てきている。本来であれば、結局アメリカ抜きでの、我が国独自での防衛に対する法整備をどうするかという点がまず独立国家、法治国家としてはあるべきだと思います。次いで、不十分なところを他国との条約によって、これは例の集団的自衛権の絡みが出てくるので難しいところがありますけれどもアメリカとの防衛協力によって補完していく。そのためにはどういうふうな法整備が必要かというのが次の段階にありまして、最終的にそれではいわゆる日本の領土、領空、領海内でのアメリカとの協力と若干離れて、周辺におけるアメリカとの協力、米軍との協力はどうすべきかというガイドラインが出てくる。  ところが、今の状況から見ますと、順序が逆ではないか。ガイドラインをやってみてどこが協力できるか、それをやろうとしたときに不十分な国内法がありそうなのでこれから検討してまいります、それをそのときに改めて国会に諮りますというのはどう考えても順序が逆ではないかという疑念が晴れません。その点が一つの大きなねじれ、ねじれといいますか複雑化している問題だろうと思うんです。  時間がなくなりましたので、そこのところに対するこの疑念がどういうものなのかという、私だけでないと思いますので、その辺の御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  99. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今おっしゃいましたように、我が国有事の場合の法整備については、前々からも言っておりますように、研究にとどまらず整備をすることが必要であるというふうに思っておりますが、これは昭和五十六年に第一分類、五十九年に第二分類の報告を出しましてから今日まで、これだけ年月がかかって今日に至っております。といいますのは、やはり高度の政治判断も必要だったんだろうと思います。  しかし、そういう中におきまして、今このガイドラインを新しくつくりまして、これに基づいて周辺事態の場合にどうするかというようなことになりますと、またそこで必要な法整備が出てくるわけでございまして、これらは密接に絡み合うのも事実でございます。だから、そういうような全体の流れの中でどうしていくのか、これこそまさにこれから先検討をしながら、今言いました、これまで研究にとどめておったものを一緒にやるのかどうか。  しかし、そうはいいましても、我が国が緊急事態という場合に、大体基本的な点はあるわけでございます。若干そういうところで法が不整備だという状況がございますけれども、周辺事態の場合に実効性あるものとするためには、全く新しい検討でございますだけに、そちらについては官房副長官のもとでの各省庁の局長会議でもう一回出発から議論しなきゃなりませんので、そちらの方に今勢力を注いでおる、そういう状況でございます。これは本当に関連性があるわけでございますので、決して委員指摘のそういう話をむげにするわけではございませんが、そういうことも頭に置きながら今急ぐところから整備を検討してもらっているという状況でございます。
  100. 角田義一

    ○角田義一君 新ガイドラインについて若干お尋ね申し上げます。  まず、外務大臣にお尋ねいたしますが、最近、日中あるいは日ロ、さらには米中、中ロというように頻繁に首脳外交展開されておりまして、それぞれの会談でいろいろな成果が上がっておるということについては、アジアの平和あるいは世界の平和にとってまことに好ましいことではないかというふうに私は思っておりますし、恐らく外務大臣もそういうお考えではなかろうかと思います。  こういう首脳外交というものが重層的に積み上げられる中で、アジアにおいても多国間の安全保障機構というようなものが将来展望の中で考えられていくということは私は大変望ましいし、またそうあるべきだというふうにも思っております。一方でそういう状況がありながら、この日米の新ガイドラインというものができた。  先ほどの議論を聞いておりますと、防衛庁長官は、決しておどろおどろしいものではございませんよ、私を信じてくれと。前にもそういうふうに言っておられた。私はこのガイドラインを読めば読むほど、本当におどろおどろしくないのかな、心配ないのかなと思います。  私は盛んに申し上げた、憲法はまくら言葉じゃございませんよ、憲法をしっかり踏まえて談判してもらわにゃかないませんよと、こう申し上げてきましたけれども、憲法は本当に守られているかな、さらには自衛隊も大きく変質をするのじゃないかな、専守防衛だけじゃないんじゃないかな、さらに安保体制そのものも大きく変容するんじゃないかな、こういう疑問あるいは疑惑を私は今日なお払拭し切れないのであります。  しかも、このガイドラインをよく見ますと、地方自治体あるいは民間のいろいろな協力、支援をいただくということになりますと、ちょっと言葉はきついですけれども日本の戦後五十年の体制というものをがらっと変えて、やはり一定の軍事的な体制、社会体制国家体制というものを日本が転換するのではないか、こういう疑問を持つ国民がおっても私は不思議はないというふうに思うんです。冷戦が終わり、頻繁な首脳間外交も開かれている中で、何となくおどろおどろしいような気もしないではないこの新ガイドラインというのが結ばれるのか。この背景なりその必要性なりというものについて、私は改めて外務大臣防衛庁長官にお尋ねしたい。
  101. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 御指摘のように、最近の世界の趨勢の中で、特に米ロ、米中あるいは中ロ、中日、この四カ国でそれぞれに首脳会談が行われて、そして世界の平和のために貢献しようということを論議されることはまことに望ましいことだと思っております。さりながら、現在この四カ国において、もとよりですが、安全保障の取り決めがあるわけでもございませんで、やはりそうした方向は将来の方向として世界の安定のために力を尽くしていかなきゃならぬと思いますが、当面、現下の世界の情勢、特に極東の状況を見ますと、まだこれから日米安保条約を通してこれを安定させていかなければならない状況は依然として続いておると思います。  したがって、さればこそ日米安保条約というものは依然として効果的な力を発揮しているものである。この日米安保条約が存在している以上は、従来からの経緯にかんがみまして、現安保ができましてから旧指針ができまして、その中で五条の事態の研究は進んでおりましたけれども六条事態もある、十分でないということで、今日これをきちんとした形で取りまとめていこうということが新しいガイドラインをつくっていこうという根底であるわけでございます。そういった点で、むしろ前々からこうした問題については取り組んでおかなければならない状態かと思いますけれども、ようやくこれがまとまった、こういうことだろうと思っております。
  102. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) ただいま委員が御指摘のとおり、今世の中はみんな平和にといいますか、各国関係も非常によくなってきておりまして、むしろ戦争と反対の方向に行っているのは私どもよく認めることでございまして、これはいいことだと思います。米ロ関係も中米関係日中関係も、またロシアと中国関係もそれぞれが非常に友好的な雰囲気が成り立つようになってきておりまして、非常にいいことだと思います。しかし、そうあればあるほど、その中で基軸になっておりました日米の安全保障体制、これはやはりきちっとしておくということが必要だと思うんです。  私たちはよく思うのですけれども、ふわふわしたときこそ真の意味でのきちっとしたきずなは持っておく。その上で、世界が平和にいくような動きに自分たちもまた加担していって、全体がそういうふうになるのはいいことですけれども、その中で、今までこれだけ五十年間平和が続いてきた日米のこの安保体制というのはやっぱり大事なんだということをもう一回、そういう雰囲気であればあるほど確認しておかなきゃいかぬ、そういう反面教師的な気持ちになりますときに、やはりきちっとここは守っていかなきゃならないと思います。  こういうことを言っては失礼に当たりますけれども我が国国民がみんな民主主義であり平和でありということになるならば何も要らないかというと、そうではなくて、いざというときには自分たちはとにかく国を守るんだという気概をみんなが持っておりさえすれば非常にそれはいいというのと同じようなことでございまして、やはり守るべきことはきちっとそこで根に持っておかなきゃいけない、そういう基本的な考え方がありますので、その辺は若干気持ちが違うのかもしれませんし、あるいは同じなのかもしれませんが、私としてはそういう気持ちでございます。
  103. 角田義一

    ○角田義一君 お二人の話を聞いておりまして、ああそうですが、ごもっともでございますなというようなわけには私は簡単にいかないのであります。その言わんとすることはわからぬじゃありません。  アメリカは今世界唯一の超大国と言われております、ソ連がなくなって。そういう中で、世界唯一の覇権国家であると私は思います。中国もやっぱり地域において、中国は覇権という言葉を非常に嫌いますけれども見方によっては覇権国家になりつつあるのではないかというような評価をする人もなくはない。  しかし、アメリカにしてみれば、自分は世界唯一の覇権国家でありたい。中国は十二億の民があり、あれだけの資源もあり、非常に優秀な民族でもある。今後どういうふうに出てくるかということはアメリカにとっては非常に興味のあるところ、関心のあるところだと思います。これは当然だと思います。そういう中で、アメリカの戦略とすれば、この際日米同盟というもののきずなをかたくして対中国に臨むのが望ましいというふうにアメリカ考えておるのではないかと私は思います。  しかし、日本日本立場というものがあるのじゃないでしょうか。もしアメリカの世界戦略の中に日本が組み込まれて、中国に対して、そういうアメリカの覇権の片棒を担ぐと言ってはちょっときついですけれども、そういうふうなことが果たしてよろしいかどうかということについては、やはり日本政府日本の今後の外交のあり方、これはいつも心しておかなきゃならぬことではないかというふうに思うのでございますけれども外務大臣防衛庁長官の御見解を賜りたい。
  104. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 私も委員が御指摘になりました点は全く同じでございます。  しかし、そういう中にあって、今我が国としては、戦後五十年間日米安保体制のもとで来て、そして平和が続いた。これから先の二十一世紀を見たときも、やはり現体制の中で続けてきたそれをきちっと守っていくことの方がより平和が続いていく、そういうふうな感じを私自身は持っております。
  105. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 今の委員のお言葉の中で、アメリカの戦略、特に対中の問題に触れられましたが、我々が米国と広義な意味安全保障の問題について同盟的な立場に立っておるというのは、あくまでも日本にとりましての安全保障についてアメリカとともにそれを守っていこうということでございまして、他国に対してこれを考えているものではありません。あくまでも防御的にとらえて、そして力を合わせてそれを守り抜こう、こういう立場で結んでおるものだと思っております。
  106. 角田義一

    ○角田義一君 午前中、台湾問題について板垣先生からもお尋ねがございました。  私は、今後の中国との関係というのは非常に難しい、また大事な関係だというふうに思っておりますが、御承知のとおり、周辺事態の定義をめぐりまして台湾が入るのか入らないのかというような議論がございます。例えば加藤紘一自民党幹事長は台湾は含まないんだというような趣旨のことを言ったということが新聞報道にありました。梶山前官房長官は、いや、台湾は当然含むんだというような御趣旨の発言をしたということも新聞で報ぜられておりました。片や政府の要路の方、片や与党の自民党の幹事長、全く意見が違うというような問題ですね。それだけにやっぱり台湾問題あるいは中国問題というのは非常に難しい問題だというふうに思います。  私は率直に申し上げまして、改めて日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約というものを素直にもう一遍目を通して読めば、本来、あの当時、要するにこの平和友好条約が締結された一九七八年当時、既にもう台湾問題というのは両者で決着がついておるというふうに理解をすべきではないかと私どもは思っております。  したがいまして、与党の一部にもあるいは野党の一部にも、当然ながらこの新ガイドラインの中には台湾は含まないというふうに理解をすべきだし、そのことをこの際むしろ明言した方がいいという議論もあるわけでありますから、あえてそこのところを避けて、周辺事態というものは地理的な概念ではない、事態の性質によるものだというような形で逃げおおせるものかどうか。地理的なものと全く無縁だということにはならないと思いますけれども、台湾問題、そしてこの周辺地域の定義の問題と絡めて、日本政府の本意は一体どこにあるんだということをはっきりさせていただきたいと思うんですね。外務大臣、いかがですか。
  107. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 台湾問題に関しましては、我が国基本的立場は日中共同声明において表明されておるとおりでありまして、その日中共同声明において、中華人民共和国政府中国の唯一の合法政府であることを承認した上で、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるとの中華人民共和国政府立場を十分理解し、尊重するという立場であることは委員も既に御案内のとおりでございます。  そうした意味で、今般はあくまでも周辺事態に関しましてはその周辺における日本の平和と安全に重要な影響を与える場合を言うのでございまして、その周辺事態とは生じる事態の性質に着目した概念であります。周辺事態に該当するか否かはあくまでも事態の態様によることでございまして、したがって地理的にどの地域だということは申し上げられないということになっております。
  108. 角田義一

    ○角田義一君 私は、日本政府がそれを百万遍繰り返しても、中国政府は、理解はすると思います、言わんとすることを理解はするとは思いますが、納得はしないと思います。納得はしないと思う。中国政府が納得をしないということは、これはある意味で非常に重大なことでありまして、いかに納得してもらうかということについては相当な骨を折らなきゃならぬ、外交的な努力をしなければならないと私は思います。  私は率直に申し上げまして、この平和友好条約を見れば、第一条に、両締結国は主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、それから内政不干渉ということがはっきりうたわれているわけですね。言葉をかえて言えば、日中は再び戦わない、日中再び戦わずと。これは日本の国是であるということをこの際はっきり言えば、私はそれはそれで非常に大きな価値があると思うんです。日中再び戦わずということは日本の国是というふうに私は理解をしておるんですけれども外務大臣、どうでしょうか。国是じゃないですか。それくらいの価値があると思いますけれども、どうですか。
  109. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 国是という言葉をお使いになりましたけれども、そのことの意味するところについてつまびらかではございませんが、委員指摘のとおり、我が国は日中平和友好条約を締結することにより中国との基本的な国家間の関係におきます原則を律することに合意をして、それは重要な合意でございます。そのことはだれも否定することはできない厳然たる事実でございます。  他方におきまして、日中国交正常化もさらには日中平和友好条約も、日米安保条約が存在する、それに触れることなく、それを変更することなく実現したものであるということは当時政府側からも重ねて答弁をしてきた、御説明を申し上げてきたところでございます。  現在、我々としまして、もちろん先ほど外務大臣から述べましたとおり、台湾問題につきましては中国人同士で解決すべき問題という認識でございます。これは中国の方々もそういう認識であり、我々も全くそれと同じ意見でございます。同じ立場でございます。そういうことから、関係当事者間の話し合いによって台湾問題が解決するということを我々としては願い、かつまたそういう国際環境をつくるということが我々にとっての外交であろう、こういう認識でございます。
  110. 角田義一

    ○角田義一君 国是という言葉はきついかもしれませんけれども、私は日中は再び戦ってはならぬ、絶対あってはならぬことだということは、私はこれは日本政府としてやっぱり腹にきちっと据えていかなきゃならぬことだと思うんですよ。外務大臣、いかがですか。
  111. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 日本日本国憲法にのっとりまして世界の恒久平和のために努力をいたしておるわけでありまして、いかなる国といえどもその理念に基づいて対処いたしてまいるところでございます。
  112. 角田義一

    ○角田義一君 では、ちょっと話を変えまして実務的なことを若干お尋ねいたします。  この日米ガイドラインというものの法的性格でございますが、このガイドラインを拝見いたしますと、一番最後に、日本語では「日米安全保障協議委員会は、以下に示す指針を了承し、公表した。」となっております。英語はアプルーブとなっておりまして、私も発言は下手ですけれども、アプルーブというのはどういうものかもう一遍字引を引いたら、是認するとか賛成するとかとなっております。小委員会でやってきたものを、要するに2プラス2ですね、両大臣が出てこれを是認されたということでございますけれども向こうのオルブライトさんとそれからコーエンさんですか、四人で握手している写真が出ていましたが、握手はしたんですけれども、サインはしたんでしょうか。どうなんでしょうか。
  113. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 別にサインはいたしておりません。
  114. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 別にサインはいたしておりません。
  115. 角田義一

    ○角田義一君 アプルーブということで了承したと。サインはしていないんだけれども、握手して了解した、了承した。これは国際約束じゃないんですか。ただお互いが言いっ放しにして、よかったなよかったなと。それだけですか。そんな程度のものですか。
  116. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) アプルーブしたということの意味でございますが、今回のこの指針を作成いたします作業は、日本政府におきましては外交防衛をつかさどります外務省と防衛庁が中心となってその作業をしたわけでございます。それを所管の大臣、責任者といたしまして事務方の作業に対して承認するということが日本政府の中及びアメリカ側においても同様なことが行われまして、それを称してアプルーブされた、2プラス2の機会にそれが外交的な場におきまして承認された、こういうことでございます。
  117. 角田義一

    ○角田義一君 日本アメリカ政府同士でより、にもよって握手して、サインはしていないけれども、事務方がやったことは結構でございます、了承したというだけのものなんですか。そうじゃないでしょう。日本の両首脳二人が行かれて、向こう大臣も二人来て、アプルーブした、了承した、承認したということになれば、それはもう国際的な約束じゃないんですか。日米間でそういう大枠であれ何であれ決めたんじゃないんですか。
  118. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 握手をしましたのは、これは会議が終わってからしたわけでございます。会議の席に両政府がたたき上げて決まりました文書が出されまして、それを了承したということでございます。だから、我が国アメリカの両国政府が共同の意思を、こういうふうにしますよということを公表されたようなものでございますから、要するに約束事といいますか、条約とかそういうものじゃないわけでございます。  署名をしたのは、実はSACOの最終報告、このときは署名をいたしました。しかし、今度のガイドラインもそうでございますし、前回のガイドラインでも、そういう形での署名ということじゃなくて、あくまで両国政府の事務方で練り上げました一つのガイドラインを、最終的にこれですと決まったものをその会議で、2プラス2で了承した、そういうことととっております。
  119. 角田義一

    ○角田義一君 そうすると、失礼ですけれども、この了承した、アプルーブしたということは両国政府を縛るものじゃないんですな。法的な拘束力は全くない、こういうふうに理解してよろしいんですね。
  120. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 全くないわけじゃございませんで、やはりそれだけの責任者が出かけていって会議で了承したわけでございますから、それだけの道義的な責任、努力しなければならないという義務はあるわけでございますけれども、両国政府とか国を縛るものじゃないということでございます。  だから、そこのところが、例えばもし委員が何かの会議で了承されたとしますと、そこの当事者としてその会議の決定については努力しなきゃならないという義務を負われると思います。しかし、それは法的な義務じゃなくて、あくまでそこのところで決めましたその内容について、これを実効性あるものにしていこう、そのために努力しよう、そういうような義務を負っているということでございまして、国としてあるいは政府として法的、予算的な条約上の義務というものを課せられるわけじゃないということはこの文書の中にも示しているところでございます。
  121. 竹内行夫

    政府委員(竹内行夫君) 国際法と申しますか憲法の立場から補足説明させていただきますが、角田先生のお尋ねはこのガイドラインがいわゆる憲法七十三条第三号に言う条約に該当するかという問題に帰着するかと思います。もしそれに該当いたしますと、この条項によりますと、内閣としましては、その条約を締結する事前または時宜によっては事後に国会の承認を経ることが必要だと、こういう規定になっておりますけれども、ここで我々が取り上げておりますがイドラインと申しますのは日米防衛協力の一般的な大枠及び方向性に関しまして日米間の政府の意見が一致した考え方というものを取りまとめたものでございまして、政治的な意思の表明として発表した文書でございます。念のために、誤解があってはよくございませんので、この指針の中にあえて立法、予算ないし行政上の措置をとることを義務づけられていないことということを明記したところでございます。  要するに、新指針は重要な政策を表明したものでございますが、国際法的に両国を法律的に縛る、拘束するという意味におきます条約、国際法上の権利義務を設定するような国際約束、そういつたものではございませんで、これは憲法七十三条第三号に言うところの条約ではないということでございます。  最後につけ加えさせていただきますと、学説等におきましても、政治的な宣言のたぐいで将来正式の条約や法律によって具体化されることが予定もしくは期待されているというような政治的な文書、これは条約には含まれず、いわば外交関係の処理ということで処理されているということでございます。  卑近な例で申しますと、例えば一九七二年の日中共同声明、これはまさしく条約ではございませんでした。非常に重要な政治的文書であり、かつ道義的、政治的にこれを遵守するということは日本にとっても重要なことでございまして、累次述べているとおりでございます。しかし、そこに触れられておりました内容をさらに法律的な次元にいたしまして日中平和友好条約というのを一九七八年に締結いたしましたが、これは当然法的な拘束力のある条約でございますので、国会の御承認を経たという手続をとったわけでございます。
  122. 角田義一

    ○角田義一君 あなたは言いたいことを全部しゃべつたからすっきりしたかもしれぬけれども、こつちは全然すっきりしないんですよ。  では、ちょっと具体的に聞きます。  この新ガイドラインの中にいわゆる周辺事態というのがあって、その中で、恐らく自衛隊にならざるを得ないと思いますけれども、戦闘地域とは一線を画する後方地域支援、場合によっては公海上の米軍艦船に対する海上輸送を行うことになっておるんですね。このことは現行自衛隊法で認められますか。公海上で米軍の輸送をやるということは認められますか、現行の自衛隊法で。
  123. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) ガイドラインの中にいろいろな後方地域支援の項目がございます。それぞれに応じてその現行法上の扱いは区々でございますけれども、現在、公海上の米艦船に対して自衛隊がそういった行為をやるということについて、非常に限られた範囲内のものであれば現行法上も一定の場合可能な場合もあろうかと思いますが、一般的な形では新たな措置が必要だろう、こういうふうに思います。
  124. 角田義一

    ○角田義一君 そんなもの自衛隊法の改正をやらなくてできるはずないですよ。できるはずないです。自衛隊というのは本来、こんなことは防衛庁長官の前で言ったってしょうがないけれども、本来の任務は専守防衛だと思うんですね。そのほかにいろいろなものがいろいろな状況の中でつけ加えられてきておるわけでしょう。災害であるとかあるいは南極探検に行くのだって、どんな細かいことだって今まで全部一々法律を改正して一つ一つきっちりやられてきておるわけです。私は自衛隊というのは本来専守防衛に徹すべきだと思っているから、だからそれ以外の任務をやるときには必ず法律でいろいろやらなくちゃならないというふうに思いますよ。  そうすると、皆さんが握手してきたこのガイドライン、周辺地域における海上での輸送、これは法律改正しなきゃできないじゃないですか。法律改正しなきゃできないものを決めてきて、そして条約上何の義務も負っていないというふうに強弁するんですか、条約局長。そんなことは許されませんよ。
  125. 田中均

    政府委員田中均君) 防衛協力のガイドライン自身を見ていただくとよくわかると思いますけれども、これは日本が厳密に何をどこまでどういう状況においてやるのかということを定めているわけではありません。大きな枠としてこういう協力項目について検討をしていくということが書かれているわけで、これは従来明確にいたしておりますけれども、さはさりながら私どもとしてはできるだけこれを実効性があるものにしていきたい。実効性があるものにするという検討はあくまで日本の国内の検討作業でありまして、その結果、日本国憲法の枠内にあるけれども法的な根拠がないということについては法的な御整備をお願いする、その過程で当然のことながら法改正として国会に御提出を考えなければいけない、そういうことになっていくわけでございます。
  126. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 今のお尋ねにつきましてさらに若干敷衍をさせていただきますと、確かに後方地域支援の中にも輸送という項目がございます。輸送という項目に幾つかの協力項目が挙がってございますけれども、これをどういう形でやるのかと。先ほど角田先生は自衛隊がという言い方でおっしゃったものですから、それに即したお答えをさせていただいたわけでございますけれども、輸送をする場合にいろいろな形があり得るわけでございます。例えば米側が民間のそういう能力を活用してやるとか、いろんな場合があるわけでございます。そういうものも含めて全体として日米の協力として挙がっているわけでございます。  それから、先ほど自衛隊がということで限定してお話してございましたから、一定の場合には、限られた形ではあり得るけれども、一般的な格好ではこれは新たな措置が必要だろうと申しました。それは例えば受託業務という項目もございますので、そういった非常に限られたものではあり得るでしょうけれども、一般的な形では、自衛隊については角田先生おっしゃるように新たな措置が必要だろうと思います。ただ、要するにガイドラインに掲げているものがすべてこの自衛隊に係るものではないということでございます。
  127. 角田義一

    ○角田義一君 私の持ち時間がもうこれしかないからこれでやめますけれども、もし自衛隊がそれをやるとすれば、私は当然日本の法律を改正しなきやならぬだろうと思うし、アメリカの艦船に対して自衛隊が何か物を輸送するというときに、日本アメリカとの約束事、新たな条約がなくて勝手に押しかけ女房みたいに持っていくわけにいかないんでしょう。そうしたら、また新たな条約も要るというふうに理解してよろしいか。それだけ聞いておきましょう。
  128. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そういう意味で、今度こういう意思を出しましたけれども、これに基づいてこれを実効性あるものにするためには法律の改正が必要か、あるいはまた条約の改正が必要かどうか、そういうことについてできるだけ早く検討して提出できるようにしたいということで今作業をしているわけでございます。ACSAにしましても何にしましても、それが今の状況でやれるのかやれないのか、そういうことについてこれから先鋭意検討をするわけでございますので、どうかひとつ御理解賜りたいと思います。
  129. 角田義一

    ○角田義一君 いろいろ聞きたいことはたくさんありますけれども、これで終わるわけではないでしょうから、また次の機会にみっちりやらせていただきたいと思います。きょうは一応これで終わります。
  130. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 関連をいたしまして何点かお伺いさせていただきます。  関連するといっても、私はこれまでも内閣委員会等で幾たびか具体的に御指摘をさせていただきながら解決に向けて訴えてまいりました神奈川県内におきます在日米軍基地の問題について幾つかお尋ねさせていただきたいと思います。  最初に、神奈川ミルクプラントの返還でございます。  御案内のように、この施設は平成六年十二月十五日の日米合同委員会におきまして、横浜ノースドックへの移設完了後に返還されるとされてきております。私はさきにこの施設が閉鎖されるとの情報を得る中で文書質問を行わせていただきましたけれども、本年五月十六日付の回答がございました。その折には、米側から正式な申し入ればなく、情報収集に努めているとの回答でございました。その後、来年の九月末をもって現施設を閉鎖するという情報も入っているわけでございます。  この施設につきましては、現在の米側意向並びに移設を前提での施設建設予算の措置状況や、新たな冷凍庫等の建設の予定、計画等も仄聞するところでございます。あるいは雇用問題等もございます。政府対応について質問させていただきたいと思います。
  131. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) ただいまお話がございましたように、平成六年十二月十五日の合同委員会におきまして、この施設を横浜ノースドックへ移設した後返還するということが合意されておりましたのはおっしゃるとおりであります。さらに、ことしの九月にアメリカの大使館から外務省を通じて、来年の九月三十日までに本施設を閉鎖するという通報がありましたこともそのとおりでございます。  その後、米側と調整しておりましたところ、当初、米側もこのミルクプラントを移設して再開したいということでございましたが、乳製品の長期保存技術というものが発達したのでミルクプラントはもう要らないのではないかということで交渉をしておるところでございます。現在、日米合同委員会の下部機関の施設特別委員会で米軍内の手続がとられておるということで承知しております。当庁といたしましては、米側より返還条件が施設特別委員会に提案され、それから倉庫は要りますので、それが完成した後、平成十一年度末までには本施設が完全に返還されるよう米側と鋭意調整をしてまいりたいと考えております。  それで、先生、金額のお話をされました。確かにこういうことで移設するということで本年度二十五億余りを予算化してございましたが、そういうお話がございましたので本年度のその二十五億の執行は取りやめております。かわりに倉庫だけは必要だということで、来年度の概算要求で五億余りの倉庫の予算を現在概算要求している、そういう状況になってございます。
  132. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日米合同委員会で、先ほど申しましたとおり閉鎖が横浜ノースドックへの移設完了時にということでございます。今の答弁では十一年度末には完全に返還されるということで、新たな冷凍庫の建設に当たってもこのスケジュールについては支障がないということで受けとめてよろしいでしょうか。
  133. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) そのとおりでございまして、倉庫だけは要りますので、これを完成させまして十一年度末までに返還を完了したいという予定で作業を進めているところでございます。
  134. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このミルクプラントの閉鎖、そして乳製品を本国から運んできまして新たな冷凍庫の建設、こういう変遷があるわけでございますが、この問題についての予算の立て方、そしてまた取りやめたということについての経緯についても問題点を私自身も把握しているところでございます。本日は時間の関係もございますので、事実関係のみについて整理をさせていただくということで、この点については終わりたいというふうに思います。  次に、逗子にございます池子の米軍住宅建設問題でございますが、これは大変長い間にわたりまして今日に至っていますけれども、御案内のように、この住宅建設に当たっている場所は旧弾薬庫の跡地でございまして、いよいよ平成九年度末にすべての住宅の建設が完了するというふうに把握をしているところでございます。  さてそこで、これは逗子市と横浜市、両市域にまたがる地域でございますけれども、まずは横浜市域分でございますが、これはかねてより横浜市あるいは市議会、地元住民から再三にわたりまして横浜市域分については住宅建設とかかわる地域ではないということで、広大な緑地帯でございますけれども、国有地が大半でございますが、民有地も若干あり、ここの返還を求め、広域避難場所あるいは緑地として保全すべきではないかという要望が出されております。このことについての政府考え方について明らかにしていただきたいと思います。  二つ目には、住宅建設の受け入れのためにいわゆる三十三項目という大変膨大な地元からの実現に向けての要望が出されておりまして、この中の五項目は防衛施設庁長官と逗子市長、神奈川県知事の三者によって平成六年十一月十七日に合意をして今日に至っております。  そこで、以下述べます四点にかかわりまして、現在の重点要望でございますが、進捗状況についてお尋ねさせていただきます。  一つは、地元の逗子市では医療機関がないということで、この地域内に総合病院を建設したいという要望がございます。したがいまして、この医療機関の建設、そして用地の確保についての検討状況はどうなっているのかについて伺いたいと思います。  二つ目は、西側運動施設の市民利用という項目で、逗子市民は運動施設の不足に非常に悩んでおりまして、西側運動施設の市民利用を要望して今日に至っております。また、市民利用については自由な利用の確保と使用料金の免除も要望されておりますが、このいわゆる西側運動施設の市民利用についてお尋ねさせていただきたいと思います。  三つ目ですが、久木、池子地区公民館の建設と用地確保を求めているところでございます。地元では公民館建設の要望が強いということで、この施設・区域内に集会施設、コミュニティーセンターを建設してほしいという要望が出されておりますが、これにつきましても現状についてお尋ねさせていただきたいと思います。  池子の問題での最後の要望項目でございますが、いわゆる全面返還につきましては、この住宅建設によりまして大変長期にわたる要望事項になりますが、今度の住宅建設が完了することによりまして、先ほど横浜市の市域分での緑地についての返還と同様な内容でございますが、後背地にあります広大な緑地については、市民いわゆる国民に共有の財産として、住宅地は住宅地として継続する施設、いわゆる米軍の利用施設として、後背地の緑地については例えば三浦半島国営公園として位置づけるようという要望が強く出されております。これにつきましての跡地利用計画についてお尋ねさせていただきたいと思います。
  135. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 一つ一つお答えさせていただきます。  一番最初の池子米軍家族住宅は、一部分横浜市に張り出しておる部分がございまして、ここを広域避難場所を兼ねた自然公園にしたいという地元の御要望があるということは承知をしております。現在ここは確かに住宅用地としては利用しておりませんけれども、依然として補給品、需品とか艦艇用の資器材の置き場として活用されております。したがって、現段階ではこれを地元に返還するということは大変困難な状況にあるということを御了解いただきたいと思います。  それから、池子の方のお話で四項目ございました。  まず、医療機関の建設と用地の確保でございます。総合病院ということで二万平米ほどの土地を確保したいということで、逗子市の方からお話が出ていることは承知しております。現在、具体的な計画が出された段階で御相談したいというお話をしておりますが、ただ一点、この総合病院を公営にするか民営にするかということで、地元が民営を望んでおられるということになりますと、御存じのとおり国有地は民間に払い下げるということはできませんので、これが公共的な総合病院であるという必要がございます。  それから、二つ目の西側運動施設の市民利用、これは市民に利用していただくということで調整をしておるところでございますが、ただ使用料につきましては、これも国有財産の使用ということで原則有料ということになっておりますので、その辺の料金の率というか額高について何らかの方法がないかということで現在御相談をしておるところでございます。  それから、三つ目の久木、池子地区の公民館、これは御要望に添えるよう関係機関と調整をしてまいりたいと思います。また、建設にかかわる補助金の問題でございますが、これは私どもにございます環境整備法という法律にのっとって対処をしてまいりたいと思います。  それから最後に、跡地利用、これは先ほどの横浜市と同じ状況でございますが、現在も米軍が利用しているということで、これを直ちに現時点で返還するということは今の状況ではいささか困難かというふうに認識をしております。
  136. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 幾つかの要望項目のうち、逗子市からの要望につきましては重点要望ということで四点についてお尋ねさせていただきました。  最後の、残る緑地部分については横浜市域分と同じような内容の回答でございます。私自身はあの敷地内に立ち入ったことはございませんが、施設の前にあります神武寺駅の前に立ちますと、広大な後背地、緑地がもう目に入ってくるわけでございます。あの緑地にまだ米軍の利用している敷地があるのかどうか甚だ疑問に思いますが、御回答ではあるということですから使っているんでしょうけれども、横浜市についてはもう大変長い間のこの後背地の返還の申し入れでありますし、そして利用の仕方も三浦半島国営公園として緑を保全をしながら利用したいという住民の要望でございますので、ぜひ適切に米側と今利用されている施設についての点検も踏まえて、横浜市あるいは逗子市、関係自治体の要望が反映されるように格段の御努力をお願い申し上げたいというふうに思うところでございます。  さて次に、沖縄振興策について何点かお尋ねさせていただきたいと思います。  先週の十一月二十一日、沖縄の復帰二十五周年記念式典がございまして、橋本総理が式辞を述べられました。この式辞の内容の中で幾つかお尋ねしたいことがございますが、時間の関係もございますので、経済振興のみについて一、二お尋ねさせていただきたいと思います。  総理は五点にわたりまして振興策について触れております。これまでの国会の質疑の中での政府答弁から見ますと、具体的に「措置を講じることといたします。」とか、非常に具体的に、断言的に触れられておりますので、これにつきましては従来の答弁より前進をしているということで評価をさせていただきたいと思います。  「第一に、」ということで、「新たに特別の自由貿易地域制度を設けることとし、その地域に設立される法人の地域内で生じた所得につき、相当程度、税負担を軽減する措置を講じる」と、こういうふうに明確になっています。以下、所要の税制措置を講ずる、あるいはビザ手続の簡素化等、それぞれ触れられています。  そこでお尋ねいたしますが、これまでのやりとりでは、この「講じる」というところまでは言明しておりません。これは総理自身が御発言になっておりますから、政府内では合意をしている、省庁間あるいは政府部内での協議は終わっているというふうに理解をさせていただきますが、その上で、具体的な税目について触れられておりませんので、具体的な税目についてぜひ御説明をいただきたい。  二つ目には、来春を目途にプランをまとめるということでございますけれども、以降の具体的な施策に反映するために、法改正あるいは予算措置、スケジュールについてどう考えられているのか、お尋ねさせていただきたいと思います。  そして、「沖縄振興に係る特命担当大臣を置き、予算の一括計上を認めることといたします。」と、こういうふうに総理の式辞の中にございます。今、北海道開発庁長官、沖縄開発庁長官という大臣もいらっしゃいますけれども、新たに特命大臣を置くという内容だと受けとめますが、この考え方、そして予算の一括計上を認める、これにつきましてもあわせて、官房長官でございましょうか、ぜひ総理の式辞の具体的な内容について御答弁いただきたいと思います。
  137. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) ただいま齋藤委員政府部内で具体的に合意をしているというお話でございましたが、政府部内で具体的な合意はいたしておりません。しかし、総理が式辞でこういうことをやりたい、こういうことだと、こう思っていただきたいと思います。  まず、いろいろなところもありますので、御説明だけ申し上げます。  沖縄の振興策でございますが、沖縄県が地域経済として自立し、雇用が確保され、県民の生活の向上に資するよう、このため沖縄県知事にも参加をしていただきまして沖縄政策協議会を設置し、全省庁挙げて沖縄振興策を現在検討しているところでございます。  自由貿易制度については、その拡充強化に努力し、さらに観光対策として、総理の式辞にもあるとおり、沖縄振興にかかわる新たな税制を検討するとともに、沖縄型デューティーフリーショップの設置の支援について県ともよく相談をさせていただきながら対応を検討していくほか、査証手続の簡素化、合理化についても実現に向けた取り組みをさらに進めてまいりたい。また、基地所在市町村への対策については、島田懇事業について市町村からの要望を踏まえ、地域の振興に資する各種の事業に対し、逐次予算化を図ってきているところでございます。  さらに、沖縄振興は私ども国政の最重要課題の一つであると思っておりまして、新たな特別の自由貿易地域に設立された法人や、中小ベンチャー企業、観光産業及び通信産業に対する税制上の措置に言及しておりますが、その具体的な詳細については政府税調あるいは党税調等で、これは十二月になると思いますが、検討してまいりたいと思っているところでございます。  もう一点の特命大臣の設置、予算の一括計上という問題でございますが、二十一日の二十五周年記念式典における総理の式辞の中でも、「沖縄の重要性に鑑み、沖縄振興に係る特命担当大臣を置き、予算の一括計上を認めること」とするとごあいさつをいたしておりますが、予算の一括計上は現在もやられておりまして、沖縄の方からも要望がございましたので、現状のとおりしていこう、こういう意味でございます。  今御質問の点は以上であったかと思います。
  138. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 さらに聞きたいんですけれども、時間が来たので終わります。
  139. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 官房長官、一言だけ聞いておいていただきたいと思います。  きょう朝から防衛庁を省に昇格をするという話が出ているんですよ。それに関連して、私の方から一言だけ、これはだれが答弁をしていいのかちょっと難しいと思ったものだから、聞いていっていただきたいと思います。  防衛庁を省に昇格をさせろということは、わかりやすく言えば防衛庁長官じゃなくて大臣という名前にしろと、こういうことになるわけですよ。だけれども、内容的に変わりがないということであれば、名称だけであれば工夫すれば問題解決の方法はあるんじゃないかと思うんです。  例えば大臣という名称をやめる。行革の問題がいろいろ取りざたされておりますが、じゃ大臣という名称は外国語にあるのかどうか。大きい臣ですね、こういうのが外国語にあるかどうかちょっとわからないんですが、多分ないだろうと思うんです。これは明治以来の伝統でもってこうなっていると思うんです。だから、いろいろと内容的に問題があるのならば思い切って大臣という名称を全部やめてしまって、みんな長官にしてしまうと。アメリカなんかの場合は何々長官と言ったって別に差別でも何でもないんですからね。そうすると、日本もいっそのこと明治以来続いてきた大臣という名称をやめてしまって、押しなべて長官であるとか、こういったような名前にしてしまっていいんじゃないか。それで、防衛庁長官だからといって、大臣という名前がついてないから軽く見られるということはないでしょう。栄誉礼だって防衛庁長官が一番機会が多いと思うんですよ。  そういうことを考えるならば、この機会にいっそのこと呼び名を統一してしまうということでもって問題が解決できないのかということをちょっとけさ以来の質疑の中で感じたものですから、そういうふうにすれば、ここだけ大臣にするとかあるいはどうだとかという問題は解決しちゃうんじゃないかという気がしたんです。  だから、行革というせっかく大きな問題が来ているんですから、もう省、庁の名称も変えるんだから、大臣の呼称も変えてしまうと。その証拠に、官房長官なんというのは官房大臣と言わないでしょう。官房大臣と言わないけれども、官房長官というのはやはり大事な役目だというふうにみんなが認識しているんですよ。だから、この際どうですか、明治以来の名称を変更してしまう、そうすると国民に最もわかりやすい行革になるんですようまい手じゃないかな、橋本内閣に対して評価が高まるんじゃないかなということも感じたものですから、私は大臣の名称をこの際統一してしまったらどうだということを考えてほしいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  140. 村岡兼造

    国務大臣(村岡兼造君) 瀬谷先生の突然のお話でございますが、私も官房長官で、防衛庁長官も長官であります。しかし、もう一つ国務大臣という名称もついているのでございます。したがいまして、今、防衛省、防衛庁と議論が続いているわけでございますけれども、それとは別にして、先生が名称、呼び名を統一しろと、こういうような御意見であろうと思いますが、今の先生の御意見はお聞きをいたしまして、名称統一だけでいいのかどうかという問題もございますので、お聞きだけしていきたい、こう思っておるところでございます。
  141. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 はい、結構です。  限られた時間ですから、長い話は省略いたします。  君子危うきに近寄らずという昔の言葉がありますけれども日本国憲法というのは大体これを実践していこうというところから生まれているような気がするんです。だから、争い事には近寄るなということになります。積極的に争い事に加わっちやいけない、武器を持っちやいけない、他国へ侵入しちやいけないというふうな制約があってのことだと思うんですね。  そこで、北朝鮮の問題についても触れたいと思いますけれども、かつて私は、帰国する人たちがまだ日本から出ていく前に朝鮮民主主義人民共和国に、これは国会議員として行ったんじゃなくて、労働組合の招待によって行ったんですけれども、そのときの印象は非常に電気が暗いなと思ったんです。夜になると本が読めないんです、暗くて。だから、寝るほかないんですよ。また、花束を贈呈されるということがありました。今、花束贈呈といいますと生きている花なんです。だから、もらったら下の方は水の中へ入れておかなきやすぐ枯れてしまうからそうしなきゃなりませんが、あのころは花束といっても紙製の花束なんです。だから、せっかくもらっても水の中へ入れておく必要がなかった。だけど、置き場所に困ってしまって、ベッドのへりにくくりつけておくんです。そうすると、寝返りを打つたびにガサガサ音がするんです。何かお通夜の仏さんになったような感じがして余り愉快なものじゃなかったんです。ああいう時代があったんですね。  そういう時代がまだおさまらないうちに、日本から日本人妻になった人たちが出かけていったという歴史的な事実があります。果たしてそこからどれだけ進歩しているか、私らにはよくわかりません。表があって裏がある。お客さんには表だけ見せるけれども、裏の方は見せない、見せたくないという気持ちが働いているんじゃないだろうか。  せっかく里帰りしたといっても、百人に一人ぐらいの割合ですね、帰ってこられた方は。あとの九十九人の方は、もう帰りたくないと言っているなら別だけれども、帰りたいけれども許可がおりないとか帰れないとかという事情があるとすれば、これはやはり気の毒なことだと思うんですね。そういうもろもろの枠を取り払って自由に往来ができるようにならなければ、本当の開かれた国とは言いがたいだろうという気がするのであります。  他国の内政の問題ですから余り踏み込んだことは私どもも言う気はございませんが、この次、第二次、第三次というふうに続けて来られるのかどうか、その辺の交渉北朝鮮との間で話し合いが進められているのかどうか、可能性があるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  142. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 政府が八月に行った審議官級の予備会談におきましても、日本人配偶者の故郷訪問については、連絡協議会を設置いたしまして今後の日本人配偶者の故郷訪問の実現のための準備協議などを続けていくということで意見の一致を見ております。そして、先般、与党訪朝団が訪問いたしました際にも、日本人配偶者の一時帰国の問題につきましてはこれを継続していくということについて意見の一致を見ているというふうに承知いたしております。
  143. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 周辺有事という言葉がいろいろ問題になっておりますけれども、漠然と有事といったって何が有事だかわかりにくいんですが、要するにこれは憲法を守っていけという立場からするならば、他国のトラブルには介入しないということを原則にしなきゃいかぬと思うんです。他国のトラブルに介入しないということになると、日本の周辺では、例えば中国と台湾の問題とかあるいは南北朝鮮の問題ということはだれも考えられるわけです。これ以外に周辺有事で日本考えなきゃならないという事態は現在のところは想定できないというふうに思います。そのように考えてよろしいかどうか、これは防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  144. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほどからもお答えしておりますとおり、どこの国、どこの地域ということを想定しているわけじゃございませんで、我が国周辺地域の事態で我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすような事態が発生した場合を想定といいますか、そういう場合にどうこうするということで言っているわけでございますので、特定の地域等は想定いたしておりません。
  145. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それから、地雷の問題がいろいろと出ております。確かに踏んづけると爆発するということで、カンボジアあたりでは大分これで一般の市民が犠牲になっておるということを聞くわけでありますが、こういうものがあってはいけないという気がいたします。しかし、あってはいけないと言ったって持っている国は持っている。持たない者が幾ら声を高くして主張してもどうにもならぬということになりますから、いっそのことこういうものはつくらない、つくることを許さない、外国に売ることを許さない、こういうふうにしないとこの問題は解決しないだろうという気がいたします。  だから、むしろこれは国際法に違反をするということで、国際的にばっさり歯どめをかける方がいいんじゃないかという気がいたします。それで、そのためにはいろいろと諸外国の中では反対もあるかもしれませんけれども、こういうものは国際法違反だからもうお互いに持たないようにしょうじゃないかという約束ができれば、世界平和のために貢献するところが大じゃないかという気がいたしますが、その辺についての考え方を外務大臣あるいは防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  146. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 瀬谷先生御指摘のとおり、対人地雷につきましては、そうしたお考えのもとに国際的な観点で過去検討が進められ、幾つかの会議を行ってまいりましたし、国連におきましてもそうした決議がなされておるわけでございます。その実効を上げるために、今回、禁止条約をより多くの、願わくば全世界の各国がこれに署名をされることが望ましいということで、来月の当初にオタワでその会議が開かれて、そこに参加される国が相当数出てきているんだろうと思っております。
  147. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 地雷でもって軍隊だけではなくて一般の国民が被害をこうむるというような事例は昔は余り聞いたことがなかったんです。軍隊生活の中でも、いろんな経験をしてみても、地雷に対する対策というのは戦時中にはどうも私らの記憶にはないんですね。  一番苦しかったのはむしろ毒ガスですよ。完全装備をして、上から下まで毒ガス用の装備をして、そして葡萄前進をするなんということはまさに目が回るといいますか、気が遠くなるような思いをした記憶があるんです。息ができないくらい苦しいことはないですからね。防毒面をかぶって、しかも暑い最中に機関銃かなんか抱えて葡萄前進しろなんて言われると、本当に苦しかったという記憶があるんです。その当時ですらそうだったんですから、今毒ガスというものが禁止されるのは当然だと私は思います。  それと同時に、善良な一般の国民を傷つける地雷というものは地球上から根絶する必要があると思いますし、これはどこの国、あそこの国ということではなくて、地雷を全面的に禁止する方向に向かって日本も大きな役割を果たすべきではないかなという気がいたしますが、その点をどのように理解をされますか、お伺いをしたいと思います。
  148. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、一つはオタワ・プロセスと申しますか、今般、総理の指示を得て十二月三、四日に予定される署名式典においてこれを署名する方向で日本の国内調整が続けられている、こういう段階にございます。  他方、このプロセスと申しますか、この条約に当事国とならない地雷の保有国というものもあるわけでございます。米国も署名しないという決定をいたしておりますし、ロシア、中国等も署名しないという方向でございます。  ただ、そういうことでもございますので、地雷の根絶ということにつきましては、オタワ・プロセスに加えて、今度はジュネーブの軍縮委員会においてもこれら当事国打って一丸とした場においてこういう交渉を将来に向けて継続していく、日本もそれに向かって協力する、こういう立場をとっておるわけでございます。
  149. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国際的に多くの大国がこれに合意をしなければ何にもならないと思うんですが、その根回しというようなことが行われているのかどうか。それらの問題について各国の同意を得るような自信があるのかどうか。現在の見通し、あるいはまた政府としての自信といったようなものがおありになるのかどうか、この点をお伺いしたいと思うんです。
  150. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) 状況につきましては先ほど申し上げましたようなところでございまして、日本政府として必ずこれを実現できるという自信があるかと言われれば、今その見通しが立つという段階ではございません。しかし、地雷というものの廃絶へ向けて、ジュネーブの軍縮委員会という場なども利用しながら日本としての主張を粘り強く展開してまいりたい、その間、志を同じくする国との間の協力関係を緊密に維持してまいりたい、こういうふうに考えております。
  151. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 午前中の質疑でもいろいろありましたけれども、ガイドラインの問題について、例えば臨検といったようなことがありました。  私の記憶では、戦前に太平洋航路の浅間丸というのが走っていて、アメリカから帰ってくる途中、もう一日で日本の領海に入るという際にイギリスの巡洋艦か何かが出てきて、そして船をとめてドイツ人を連れ去ったといった事件があったように記憶しているわけです。こういうようなまねは果たしてどういうものかなと、何か大変に日本のプライドを傷つけられたような感じを我々も持ったのでありますけれども、あのときのいきさつということを考えると、そういうことはできるというような内容を持っているのかどうか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  152. 加藤良三

    政府委員加藤良三君) ただいまの例のころから若干時代の推移とともに状況が変化してまいりまして、国際連合というものが今存在しております。  今回、ガイドラインのもとで想定されております船舶の検査は、この国連の安保理の経済制裁決議がそこにあるということがまず前提になっております。そして、そういう決議が存在することの当然の帰結といたしまして、国連憲章第二十五条で、臨検を受ける船舶の所属国というものは受忍義務を負っている、こういう姿になります。要するに、国連の安保理決議があることをまず前提にしているということでございます。  それから、言うまでもないことでございますが、この船舶検査の対象になる船舶は軍艦ではございませんで、商船であるということが一つあると思います。その上で、午前中の質疑においても防衛庁長官から御答弁がございましたように、船舶の航行状況の警戒監視でございますとか船舶に対する呼びかけ、それから船籍、船主、積み荷、目的地などの無線による照会、検査に応じた不審な船舶に対する立ち入り、書類検査、積み荷の確認、進路変更の要請、停船または進路変更に応じない船舶に対する説得、検査実施船舶の存在を示すための信号弾、照明弾の使用及び遠方における空砲の使用、説得を行うための接近、追尾、伴走、進路前方での待機といったようなものが想定されておりますけれども、このような措置はいずれも憲法で禁ぜられている武力の行使に当たるものではないという前提になっております。
  153. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 海上自衛隊の艦船も昔と比べると、先般、観艦式というのが行われて国民の目にも映ったはずなんでありますけれども、艦船が大きくなりました。昔は海上自衛隊の持っている船もそんなに大きな船はなかったのでありますが、最近は例えば「おおすみ」などというのは空母型の輸送艦だと、こういうふうに言われている。八千九百トン、ざっと一万トン近いですね。装備をすれば一万トンぐらいになるんじゃないかという気がするのでありますが、こういうような大型化というのは一体何を目的にしているんだろうか。専守防衛という原則、君子危うきに近寄らずという基本方針に沿うものなのか、はみ出るおそれはないのかどうか、この辺を防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
  154. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先般、「おおすみ」の進水式に行きまして、その進水を見たわけでございます。空母型というふうな言い方をされますので誤解を持ちますが、形がさも空母を小さくしたような形になっているものですからそういうふうに言われますけれども、中身は全くの輸送艦でございまして、内容等は空母とは全然関係もないわけでございまして、空母に変え得るべくもないような中身でございます。  大型化になりましたのは、やはり効率的な輸送を必要といたしますので、どうしても大きな輸送艦も必要だということで配置したわけでございまして、決して専守防衛からはみ出るようなことはございません。
  155. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 きょうのニュースでは宇宙飛行というのが非常に大きなニュースになっているんです。昔、もう戦前は宇宙飛行なんということを考えたこともなかった。今、宇宙飛行というのがニュースになって日本国じゆうに放送されるようになりました。こういう時代になってまいりますと、昔式の戦争というようなことは今考えられないんじゃないか、装備もすべてそうなんですけれども。そうすると、やはり大艦巨砲主義というのはもう通用しないだろうという気もいたします。そして、それだけに内容も変えなきゃいけないだろうと思うのであります。  例えば「おおすみ」とかこういう八千九百トンの船が出てまいりましたけれども、目的というものは一体那辺にあるかというのがまだ一般の国民には納得しがたいところもあるだろうと思います、姿形を見ただけでは。だから、これはちょっと手を加えれば航空母艦に変わってしまうんじゃないか、こういうふうに見られてもしようがないんですよ。  そこで、私は、今後は海上自衛隊なんかも多目的に使えるような方法を考えるべきではないかと思います。例えば阪神・淡路大震災があった、大勢の人が焼け出される、住まいを失うというようなことになった場合に、千人、二千人の人間を収容するにはこういったような大型輸送艦というのが非常に役立つんではないかなという気もするわけですね。だから、一たん事があった場合には、そういう災害対策にも有効に活用できるというふうな内容にしておく必要があるんじゃないか。その辺の準備はあるのかないのか、そういう考え方があるのかどうか、その点もお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
  156. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今述べられました「おおすみ」なんかにおきましては、あれだけ広いわけでございますので、そういう場合には臨時に、例えば甲板にテントを張って、あるいはまたその中に被災者を収容できる、そういう能力はあろうかと思います。そしてまた、そういうような機能は十分持ち合わせて、そういう災害があっちゃいかぬですけれども、あった場合には対応できるという考えもあろうかと思います。  しかしながら、こういうふうに大型化を図りますのは、小さい船で輸送するよりも大きい船で輸送する方が、限られた人員、また機能性、いろんな点からいいまして合理的なものですからこういうようなことをしたわけでございまして、重ねて申しますけれども、決して空母なんかには絶対になれない船でございますから、その辺だけは篤と御理解賜りたいと思います。
  157. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 空母に使うなどということはなかなか大変なことですから、そういうことはない方がいいと思います。  しかし、ほかのことと違って、例えば外交上のトラブルというのは外交努力によって避けることができると思うんですけれども、大地震なんというのは外交上の配慮によって何とかなるという問題じゃないですよ。いつ何どきどこで始まるかわからない。あの阪神並みの大震災が関東で来ないという保証はないわけです。その場合に、いざとなったらどうしていいかわからないということであってはならないと思いますから、やはり自衛隊の場合は陸上自衛隊、海上自衛隊にかかわらずそういう災害に対応できるような体制と訓練というものもあわせて行う必要があるんじゃないかという気がいたしますが、その辺の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  158. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 訓練につきましては、災害がいつ発生しても、陸上に限らず海上自衛隊等もすぐに対応できるように、阪神・淡路に限りませんけれども、最近は特に意を払っておるところでございまして、これから先も十分訓練をしてそういう方面でも役立つようにしてまいりたいと思っております。
  159. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 最初に、SACOの合意に基づく県道一〇四号越え実弾射撃訓練の分散実施問題についてお伺いします。  この一〇四号越えの射撃訓練が本土で行われるようになってまず問題になっているのは、それでは沖縄のキャンプ・ハンセンにおける状況はどうなっているのかということであります。現地では、演習がかえって激化し、騒音、山火事などがふえているということが問題になっております。  新聞報道によりましても、私ここに幾つかコピーを持ってきておりますけれども、例えば「一〇四号越え演習は去ったが、依然激しい基地被害 金武町 通常訓練は増加傾向 頻発する山火事」、こういうようなことを沖縄タイムスが書いております。「キャンプ・ハンセン演習場 原野百ヘクタールを焼失 大規模な消火作業 原因は砲撃訓練」、さらに「演習場で早朝火災 キャンプ・ハンセン 「またか」と怒りの声 ロケット砲訓練が原因? 金武町伊芸区 住宅地からわずか六百メートル 生活無視した異常な訓練」と、こういうふうな記事が連続して出ております。お読みになっていることだと思います。  私が最初にお伺いしたいのは、金武町の基地対策課の調査によると、今年度になってから演習が原因となった火災が既に十件に及んでいるというふうに聞いております。これまで毎年大体三件ぐらいだった火事がこういう状況になっているという一覧表を含めた資料を私どもは現地からいただきました。これはお認めになりますか。
  160. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) キャンプ・ハンセンにおきます山火事の発生件数でございますが、これは米軍から私ども防衛施設庁の出先の方に通告があるわけですけれども、ここ十年ほど大体十件から十七件、年間に発生をしております。最近の十年で一番多いのは昭和六十三年の十七件、それから昨年度は八件でございまして、その前が十三件、本年度は今日現在で十三件、こういう状況でございます。
  161. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私どもが基地対策課からもらった資料によると、そうならないで、一昨年度、昨年度と三件ずつだったというふうになっております。米軍は現地でなかった火事までつくって、これまでも火事が多くて、ことしもそれと変わらないと言っているとしか思えません。いずれにしろ、今の十三件というのはことしになってからということじゃないかと思います。ことしになってから十三件、今年度になってから十件という報告を私どもは聞いております。  この演習の本土への分散実施、移転というのは沖縄における負担を軽減することの一つとして行われたものだというふうに思いますが、これは沖縄における演習が全く軽減されていない、こういうふうに言わざるを得ません。  特に、最近私どもが見たオキナワ・マリンの新聞によると、大変な演習をやっているということを書いております。キャンプ・ハンセン内で第八海兵連隊K中隊が部隊配置計画のもとにキャンプ・シュワブに滞在している間で最も集中的な訓練を実施した、こういうことを報じております。この中で、同中隊の第二小隊の一つの分隊が歩兵中隊が装備可能な迫撃砲、対戦車ロケット、擲弾筒、機関銃、ライフル銃などすべての兵器を使用して敵陣地を攻撃、破壊する実弾訓練の状況をリアルに報道しております。この実弾演習が行われた中に、ポップアップする、つまり飛び出す人形の標的を点在させているキャンプ・ハンセンのレンジ18ということも述べられております用地元の人の話ではこういうのは見たことがないと言っていますが、これは大体いつごろつくられたものでしょうか。
  162. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) キャンプ・ハンセンでは、御存じのとおり、大きなものは百五十五ミリりゅう弾砲、小さなものでは小銃、曳光弾等々の訓練を従来からやっておるわけであります。  それで、一〇四号線越えという一番大きな射撃訓練を本土へ移転することによって地元の負担を少しでも軽減しようということでやっておるわけであります。  現在は小銃、機関銃、曳光弾、ロケット砲、こういったものの訓練が中心となって行われておるわけでございますけれども、今のようなポップアップというものは大体想像つきますが、個別に米軍自体がどのような訓練をやっておるかということの内容を承知する立場にはございません。
  163. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 いつつくったかということを私が聞いたのは意味があって聞いたわけで、いずれにしろ県道一〇四号線越えの演習はなくなったが、なくなったのはそれだけ。そのかわり今おっしゃったようなあらゆる種類の火器を使っての演習が激化している。火事も現地から見れば、去年、おととしは三件だったのが今年度は十件になっている、こういう状況なんですね。  こういうことを放置しておいて沖縄の県民の負担を軽減するということになるのかどうか、これは防衛庁長官にお伺いしましょう。
  164. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 一〇四号線越えの百五十五ミリりゅう弾砲、これがとにかく問題だということを強く言われまして、私どももSACOの最終報告で、これは本土で痛みを分かち合っていただくということで、それで各地区にお願いして回ったわけでございます。  その他の演習については従来からやっておったわけでございますけれども、それはそのままになりましたので、その分が残っておるわけでございますが、少なくとも本土に持っていきました一〇四号線越えのこの分については確かに減っていると思います。それ以外の分野につきまして、私どもはそのように激化されたとは聞いておりませんけれども、確かに本年度、火災が多かったのは事実のようでございます。  これは何に起因するのか、私どももまた調べなきゃなりませんけれども、ことしは非常に乾燥しておったのかどうか、いろんな事情があろうかと思いますが、火事が多かったのは事実でございます。その原因等を見てみますと、曳光弾によるものとかいろいろあるようでございますが、それが山火事にまでなってかなりの面積が焼失したということも聞いておりますので、その辺についてはそういうことのないように努力しなきゃならないとも思っているところでございます。
  165. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 負担の軽減というのは一〇四号線越えの演習をなくすだけのことだったんだということだとすれば、私はこれは負担の軽減ということにならないと思います。  後でまた繰り返すことになりますが、本土でこの演習は続けられている。残ったところでは従来よりもより集中的な演習をやっているとオキナワ・マリンが書いているわけです。当事者がより激化したことを認めているわけであります。そういう演習を放置するということでは非常に問題が残る、私はこういうふうに思うものであります。  さて、その沖縄の演習を受け入れた本土側の演習の上での問題です。外務省、防衛施設庁連名の文書では、「移転される訓練は、現在キャンプ・ハンセンで実施されている訓練と同質・同量の訓練とする。」と、こう書かれております。しかし、受け入れた側の現地からの報告によると、そうもなっておりません。本土での演習の実態がどうなっているのか、報告してください。
  166. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) ただいま御質問ありました同質同量という私どもの受け取り方は、現在キャンプ・ハンセンで過去十年間、年間三十数日百五十五ミリりゅう弾砲で行われていたという訓練を移動させるということで、本土においても年間合計最大三十五日の百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練を行う、そういう趣旨で同質同量と表現しているわけでございます。
  167. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それで、本土での実績は。今まで行われた本土での演習の実績です。
  168. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 最初に北富士、二回目に矢臼別、三回目に王城寺原、つい先週終わったわけでありますが、いずれも一回の射撃が十日間ということで終了しております。十日以内でございます。
  169. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 矢臼別も三十何日滞在しているわけですが、十日間しか演習はやっていないということですか。
  170. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 三十何日というのは最初の部隊が現地に到着してから最後の部隊が現地を離れるまでということで、大部分が展開のための準備とか終わった後の清掃といいますか、安全管理というものが多いわけでございまして、実際に射撃する日数は十日以内となっております。
  171. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その点の論議はまた後にしまして、実際の演習の状況ですね。例えば北海道の矢臼別の演習の実情を北海道新聞が連日大きく報道しております。これによると、北海道の矢臼別での演習というのは、「沖縄では行われていなかった夜間訓練実施で、分散移転に当たって「沖縄と同質・同量」としていた日米合意は崩れ、拡大移転が明らかになった。」と、こういうふうに指摘しております。例えば何発の演習が行われたか、これも実績でお願いします。
  172. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 米側からの通報はまだ最初の北富士の通報しかございませんが、北富士では五百発撃ったということを通報してきております。矢臼別、それから先週終わりました王城寺原についてはまだ米側から通報はございません。
  173. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私どもの「しんぶん赤旗」が調査したところによると、今回の演習で矢臼別だけで沖縄の一年分の発射弾数に匹敵する二千八百一発、こういうものを撃ち込んだということを現地の調査で報じております。北富士と王城寺原の分を累計すると四千発近くになっていると。これは同量の合意が崩れているということではないかと思います。こういうのは、何も米軍から聞くまでもなく現地の調査で明らかになっていることです。これで合意が守られているとそれでもおっしゃるんですか、同量だとおっしゃるんですか。
  174. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 先ほど施設庁長官からも言いましたように、同質同量といいますのは、弾を何発撃つということではなくて、大体どういう規模の部隊が何日間どういう形でやるかというのを私どもは同質同量というふうに言っているわけでございまして、具体的に例えば時間数を短くして撃つ弾数が多いとか少ないとかそういうことではなくて、そこでの訓練の日数とかあるいはまた行く部隊の規模とか、そういうのがそっくり移って、それをしかも三十数日だったのを三十五日間の枠内で四カ所に分散してやるということで、その総量が同じであるというようなことを言ったわけでございまして、決して弾の数まで数えての話じゃないものですから。また、弾の数というのは私どもは一々数えているわけではございませんので、そういうことを念頭に置いていなかったということを御理解していただきたいと思います。
  175. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これは大変な答弁ですね。同質同量だということは、これはだれが見たって沖縄でやっている演習以上の演習はやらないということととるのが普通の日本語のとり方ですよ。何発撃つかはもう全く自由だ、そんなことは同質同量の合意の中に入っていないんだということになれば、これは発表したあなた方の文書が国民を誤らせるものだと、そういうふうに言わざるを得ません。  それでは、夜間演習もこの同質同量という訓練の中に入らないんですか、どうですか。
  176. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) この部隊が各本土の陸上自衛隊の演習場で代替訓練を行うわけでありますが、そのときの使用形態は現在陸上自衛隊が使っているのと同じ形態で行うということになっておりますので、例えば陸上自衛隊が朝十時から夜の八時までということであれば、その期間が使えるということであります。
  177. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、この点でも同質同量ということと違って、沖縄では少なくとも近年は夜間演習はやっていなかった。本土へ移転して演習するようになったために米軍は夜間の射撃訓練も行えるようになる、これがあなた方がおっしゃった同質同量ということの意味だと、そういうふうに考えるしかありません。  それでは、今後とも夜間演習は自衛隊がやっていた施設についていえばやってもよろしいと、こういうことですか、防衛庁長官
  178. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) そういうふうに言われますと困りますけれども、自衛隊が日ごろやっているところに、この時間はやってよろしいというところに移ってきたアメリカ兵に、自衛隊がいいのにアメリカ兵はここはだめだというような形で言えるかどうか。普通同じような形で陸上自衛隊が訓練しているなら、そこで訓練をするために移ってきてやるわけでございますから、それは許してやっていいんじゃないか、そういうような気持ちで同じような内容の訓練をさせたということでございます。
  179. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 北海道ではこの夜間の訓練、夜間射撃訓練というのが大問題になっておりますよ、そんなはずじゃなかったと。  それでは、夜間演習はどのようにやっているんですか。
  180. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 矢臼別でも自衛隊の訓練時間と同じ訓練時間で米側は訓練をしております。  それで、具体的に何時に何発撃つとかというようなことは、そのときの気象条件あるいは部隊の態様、訓練計画、こういうものによってさまざまでございます。要は、決めてございますのは、百五十五ミリりゅう弾砲を十二門持っていって年間最大三十五日やる、そして地元での使用態様は陸上自衛隊と同じ態様でやる、そういうことが決まっておりますだけで、弾数がどうとかそういうようなことが何か約束事であるというものではございません。
  181. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、これはいよいよ大問題と言わざるを得ません。夜間演習という問題は今後ともやるんだと。しかし、実際はいろいろな抗議で中止しているところもあるんですよ、本土での演習でも。だから、今のようなお話だと、もうあなた方は、自衛隊がやっているところは夜やっても構いませんよというふうに、自治体の抗議で途中である程度彼らもやめざるを得なかったところまでやってもいいと。相手はどう言っていたかと言ったら、戦争は夜でも起こるんだ、だから我々は夜でも訓練をやるんだ、こう言っていたんですよ。それを、大いにそのとおりだからやって構わない、自衛隊もそうなっているところは大いにと。こういうことで、沖縄ではやっていなかった演習まで与えて、しかもキャンプ・ハンセンで実施されている訓練と同質同量の訓練だと、こんなことが言えますか。防衛庁長官、もう一度。
  182. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 今、委員がいみじくもおっしゃいましたように、我が自衛隊にしましても米軍にしましても、訓練というのは昼間だけとかそういう形でやるわけじゃございませんで、環境が許されればその与えられた時間で訓練をするわけでございます。  そして、今言いましたように、ここは自衛隊でも例えば十時から八時までいいということになって訓練をやっているということで、それなら米軍もさせてもらいたいということになればそれはやるわけでございます。もちろん地元の皆さん方との同意といいますか、そういう理解を得るように努力はいたしておるつもりでございます。そういう中でそういうような訓練を実施しておるということでございます。
  183. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 射撃の弾の数にしても、夜間演習にしても、北海道であれ王城寺原であれ、そこの住民の感情、またこれで大変ないろいろな被害が起こっている。私どもは演習の移転反対ですよ、反対だけれども現にやられている。そのときに、あなた方はこれを考慮に入れて、せめて夜間はやめてくれとか、あるいは沖縄でやっていたそれをはるかに超えるような実弾演習はやめろと、こういうことを言う考えはないわけですか。あなた方は日本国民立場はどう考えるんですか。  外務大臣アメリカとの交渉でこういう問題、住民の要求というのをアメリカに伝えなくちゃならないと私は思いますが、やりませんか。
  184. 田中均

    政府委員田中均君) ただいま防衛庁の方から御答弁がありましたとおりでございます。  当然のことながら、地元との調整ということは防衛庁、施設庁を中心にやっていただいておりますし、まさに地元の御意思も踏まえながら移設が実現していっているのが今の現状であろうと思います。
  185. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 米軍の方との従来の考え方というのは、先ほどから申しておりますように、自衛隊の訓練と同様の時間帯の範囲内で行うということになっております。と同時に、場所によっては地元から夜間はなるべくやめてもらいたいという申し入れがあることも先生おっしゃるように事実でございます。私どもはそういう申し入れについてはその都度極力それを何とか考慮してもらうようにということで米側には申し入れをし、米側の現在の態度は必要最小限の訓練だけはさせてもらうということを言ってきております。  立場が違うわけですが、日米安保条約を正当に維持するために練度のある訓練を米側にしてもらうということも重要な任務でございますので、その範囲内で米側が必要最小限度、不必要な夜間訓練はもちろんしないということで現在話が進んでいる、こういうことでございます。
  186. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 沖縄から来ているレポートによりますと、当初は装備搬入を入れても二週間程度とされていた。その米軍の滞在が三十三日間に延長されたということを初め、いずれも地元との合意を踏みにじり、沖縄の訓練以上のやりたい放題の訓練になっていると、こういう激しい怒りが表明されております。  結局、沖縄でも従来以上に演習が激化し、山火事もふえている。本土では沖縄一年分の砲弾を十日間でやっている、射程距離も三倍以上の演習をやっている。そういうことで、結局この本土への分散実施というのは米軍の演習を激化させることでしかなかった、演習場の拡大強化でしがなかった、こういう実態になっているわけです。  この演習に関連して日本が負担した経費はどういう額になるのか、費目別に明らかにしてください。
  187. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 平成九年度で予定をしております移転経費、一〇四号線SACO関連経費でございますが、初めてでございますので、確定するのはすべて終わった段階で精査をするわけでありますが、一応予算として用意をしておりますのが約三億七千万でございます。
  188. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 項目別でないから三億にとどまるのかそれ以上になるのかわかりませんけれども、こういう演習を激化させるその演習に日本が三億円の予算を計上している、こういうことであります。私はこれも国民にとって理解しがたいことだと思います。  これは防衛庁からもらった資料ですが、自衛隊が米本土で射撃訓練をやる際には使用料も払っている。それから、米軍に委託して自衛隊員やら装備品を送る輸送費も皆日本が持っている。この資料によると、陸自、空自合わせて十八億七千万円という数字を私は防衛庁から資料でもらっております。日本アメリカでやる演習はこういうふうな金、アメリカ日本じゅうが大変な騒ぎになる演習で金は日本が持つ、こういう実態になっているわけです。  次にお伺いします。この演習のために動員された国、地方の機関はどういうところがありますか。
  189. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 動員されたといいますのがちょっとあれなんでございますけれども、もちろん私ども防衛施設庁現地施設局の人間は当然でございますが、あと関係する陸上自衛隊そのほかの部隊の支援は当然受けてございます。そのほか、どうしても周辺の警備といったようなことで、地元の警察にも支援の依頼を行っているところであります。
  190. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 とにかく日本の国、地方自治体挙げてこの演習のために出かけて協力させられている、こういう実態です。  特に私は警察が過剰警備で大変だったという矢臼別からの報告についてちょっとだけここで問題提起しておきたいと思います。  矢臼別では七百人の警察官が動員されて、それでもう大変な警戒態勢で、明らかに人権無視が行われた、人権侵害の警戒態勢であったということが述べられております。  しかし、それよりももっと私がここで報告しておきたいのは、当初一千人とされた警官配備のため、町は二つの公民館と二つの体育施設を宿舎として提供、その間、一カ月余にわたって住民の使用を停止した、こういうことになっていますね。既に計画済みの行事もサークルの定例日もすべて会場変更や延期、中止などの憂き目に遭った。小中高が一堂に会する音楽祭や運動会の大会、中学校駅伝、部活なども教育関連行事のために大きな影響を受けた、こういう影響を与えたということです。さらに、学校へ通う上でもいろいろな問題が出たということが詳しく報告されております。今後ともこういう状態を続けますか。どうしますか。
  191. 萩次郎

    政府委員(萩次郎君) 矢臼別のお話だと思いますが、北海道警に対しては私どもの札幌施設局から警備を依頼しまして、大変感謝をしておるところであります。  逆に、私どもの方には、地元各自治体から警備をしっかりやってくれと、新しい体験でもあるので大変不安であるということで、私どもの札幌施設局の職員も大量に派遣をしましたし、北海道警察本部の方も大変よく支援をしてくださいました。そういう意味で、私どもは逆に警備の方をしっかりしなければいかぬという考え方で種々努力をさせていただいたということでございます。
  192. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どういう報告が来ているにしろ、今言いましたように、学校の施設が警察の警備のために提供されて学校のいろいろな教育上の計画が中止されたり延期されたという事実ははっきりしているわけです。現地からよくやってくれたという報告が来ているということだとすると、これもこういう状態を続けようということかととらざるを得なくなるわけです。私は、教育より米軍の演習を重視するような政治でいいのかと、こう言いたくなります。どうです、長官。
  193. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 教育施設だとおっしゃいますけれども、恐らく夏休みの期間中だと思っております。その期間中に町の御当局がどういう形で警備関係者に提供されたのか、その辺つまびらかではございませんけれども、町当局がいろんなそういうことを判断されながらいわゆる警備体制をしっかりした方がいいというふうに判断されていろんな施設の提供も行われた部分があろうかと思います。  いずれにしましても、今回初めてでございましたために、今度の経過を踏まえながら、またこれから先引き続き行われるわけでございますから、関係自治体等の意向等も十分また聞かせていただきながら我々としても対処していきたいというふうに思っております。
  194. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この問題はこの程度にして、今の答弁に見られるような態度というのは根本的に改めてもらいたいということを要望しておきます。  問題は、こういう演習が行われた、SACOの合意に基づいて行われている、このもとになるのがこの数年間日本で論議されてきた安保の再定義、政府は再確認とおっしゃいますが、言葉はどうあれ再定義、そして去年の日米安保共同宣言、そしてガイドライン、こういうことだと思います。  この前この委員会で、私は、安保条約は変わらないと政府はおっしゃるけれども安保体制は六〇年安保当時と変わったのだなということをお尋ねし、その点について言えばそれはそういうふうに言えるということでありました。  さて、安保体制は変わると認めざるを得ないような安保の再定義、再確認でもいいですが、その契機、それはなぜ行われたのか。私はこれは防衛庁やら外務省の人々に、内閣委員ではなかった時期でありますけれども、これまでいろいろ聞いてきました。何がきっかけになってこういう作業が始まったのか、改めてお伺いしましょう。これは外務大臣からお伺いします。
  195. 田中均

    政府委員田中均君) お尋ねの点でございますが、昨年の四月に日米安保共同宣言というものを発出させていただきました。この基本的な趣旨と申しますのは、まさに冷戦が終わって冷戦の後の事態についてどういう国際情勢が存在しているのか、その中でやはりアジア太平洋地域には依然として不安定性、不確実性といったものがある、そういう中で日米安全保障条約に基づく同盟関係というのは引き続き有益なものであるという基本的な認識、そういう認識に基づいて累次日米間で安全保障にかかわる対話を経まして、安全保障共同宣言という形で発出されたものでございます。
  196. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は理由を聞いたんじゃない。何がきっかけになったのかということを聞いたんですよ。まあいいです。  今もまだ現役ですから私は名前挙げませんけれども、ある幹部はこういう説明を私にしてくれました。遠因は湾岸戦争であった、湾岸戦争はアメリカから見ると、ソ連崩壊後もこういう事態が起こり得るという認識アメリカが持ったと。同時に、それに対処する上で日本にも血を流せという言葉で当時言われたような、日本に新たな役割分担を求めよう、これが遠因であった、こういう説明でありました。これは今も現職の幹部の説明ですから、私の意見じゃない。そういう説明を受けたということだけ述べておきましょう。  では、直接のきっかけになったのは何か。これについては朝鮮有事という問題がありますが、同時に防衛問題懇談会が提出した報告書「日本安全保障防衛力のあり方」、これがアメリカの非常に大きな不安、疑いを呼んで、これではだめだということから安保の再定義の作業が始まったのだと、こういう説明を受けました。そして、このことは外務省が編集協力している「外交フォーラム 日本安全保障」、去年出たこの雑誌にある論文の中でも言われているところです。樋口レポートに対する懐疑、警戒だったと、こういうことが書かれております。  外務省、そういうことだったのかどうなのか、お伺いします。
  197. 田中均

    政府委員田中均君) 委員指摘の論文等、いろんな意見は当然あると思います。  私は樋口レポートについて米国が正式に論評したというふうには承知しておりませんけれども米国の中にはいろんな論評をする人もまたいるわけでございまして、そういう意見があるのは至極自然なことであろうかと思います。  日米両国政府間に関して申し上げますれば、まさに当然安全保障条約というものを堅持していく以上、新しいアジア太平洋情勢その他も踏まえてもう一度日米の協力のあり方というものをきちんと国民の前に示すことが必要ではないか、そういう問題意識に基づいて安保の共同宣言が出されたものでございます。
  198. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 もう一つ、私はここに防衛庁の現職幹部が議員を集めて行った講義のレジュメを持っています。この中でも、「ヒグチ・レポートから安保再確認まで」というサブタイトルがついておりまして、それで対日政策においてアメリカ側がこの樋口レポートというものに大きな不安を持ったのが安保再定義の始まりだったと、こういうふうに書かれています。長官、同じ認識ですか。
  199. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 樋口レポートを御引用でございますけれども、先ほど外務省からもお話がございましたように、私ども、この冷戦後の世界において日本安全保障をどういうふうに確保していくべきかということでずっと議論をしておりました。その過程の中で今後の我が国防衛のあり方について御議論をされ、この樋口レポートというのが総理に提出されたと、こういう経緯がございます。  また、我々としてはそういったものも参考にしながらさらに防衛計画の大綱の見直し等々の作業を行い、そういう中におきましても、冷戦後のこの時代における日米安保関係はどうあるべきかということを議論したところでございます。
  200. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 何を言っているのかさっぱりわからぬ。長官、同じ認識ですか。
  201. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 樋口レポートを委員は非常に重視しておられますけれども、それは大きな一つの流れの中で、例えば防衛大綱を決める一つの糧として、資料としてそれが参考にされている点もありますし、またそれ以外のいろんな考え方も取り入れられて防衛大綱が決まったわけでございます。そして、防衛大綱が戦後の、いわゆる戦後といいますか冷戦後の新しいこれから先の我が国防衛のあり方ということについて述べまして、それを受けた形で日米共同宣言が発せられ、そしてまたその後にいわゆる日米安保体制を信頼性の高いものにするためにどうするかということで今回のガイドラインにつながってきた、そういう大きな流れがあるわけでございます。  冷戦構造が終わったとはいうものの、先ほど委員もいみじくもおっしゃいましたけれども、湾岸戦争じゃございませんが、アジア太平洋地域においても不安定、不確実な状態が続いている、その中で我が国防衛がどうあるべきか、そういう中から防衛大綱が策定され、その後、今言ったような一つの流れができてきて、やはりこれはきちっとしておこうということで安保体制をもう一回ここで再確認した、そういう作業が行われたというふうに理解しております。
  202. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私が重視しているんじゃなくて、防衛庁の幹部がそう書いており、外務省の事実上の広報誌がそういう論文を載せているから、そうかということを私は聞いているわけですよ。  アメリカは、この樋口レポート、これじゃだめだと言ったと。なぜだめだと言ったかというと、その理由が、国連を中心とする多角的安保ということを日米安保条約よりも前に持ってきている、これは安保離れだ、これはだめだというのがアメリカがこの樋口レポートに疑いを持ち不安を持った理由だということまで書かれているわけですよ。そういうことを書いているから、同じようにこの樋口レポートというのは危ないものだというふうにあなたもお考えになるかどうか、この樋口レポート自身は防衛庁長官は疑問は持たないのかどうなのか。
  203. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) 別に疑問を持つわけではございません。樋口レポートで言っております多角的安全保障協力の促進ということは、これはまた非常に大事なことでございます。  しかし、それだけではなくて、ほかの委員の御質問にも答えましたように、それぞれの二国間あるいは多国間のいろんな枠組みというのはあるけれども日本が今日まで戦後五十年間平和で来られたのは、そしてまた日本だけではなくてアジア太平洋地域が平和で安定的であったのはやはり日米安保体制というのがあったからではないか、それに基づくことが非常に効果が大きかったんだというところで、この大事なところだけはしっかり守っていこうということで今回のガイドラインにつながってきたんだと、そういうふうに私自身理解いたしております。
  204. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、今の長官のおっしゃるところは、アメリカがこれではだめだというところから始まったことと考え方においては同じですか、どうですか。
  205. 久間章生

    国務大臣(久間章生君) アメリカがだめだと言ったからということじゃなくて、先ほどからの答弁にもありましたように、そういう意見を言われる方もあったかもしれません、それは。アメリカでどういう人がどういうふうに言ったか、私はつまびらかではございませんけれども日本国内において、我が国政府として防衛大綱をとにかく定めるときに、大綱を政府として決めますときに、いろんな考え方を整理した結果、現在の大綱ができ上がったわけでございまして、そういう流れの中に樋口レポートも参考の一つとしてはあったんではなかろうかと思います。しかしながら、それ以外のいろんな考え方も取り入れながら、やはり日米安保体制の重要性ということについて、非常にこれが大きく取り上げられてきたんだと、そういうふうに理解いたしております。
  206. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これにこだわりませんよ。いずれにしろ、アメリカは国連を中心とする多角的安保よりも日米安保条約を優先しなければならない、それを中心にして安保の再協議が始まったとこれに詳細に書いてありますよ、この防衛庁幹部のレジュメにもその経過がつぶさに書かれている。  つまり、今の沖縄の演習をめぐる問題にしても、またアジア諸国が今神経をとがらせている周辺防衛という問題にしても、こういうアメリカの圧力、これが直接の契機だったという説明があるわけですね。その結果、日米の安保共同宣言になり、ガイドラインになり、防衛大綱の改定になったと。この流れは私は明らかだと思います。あなた方はそれは認めないかもしれないけれども日本は通商関係にしても防衛関係にしても結局はアメリカの圧力のもとに動いてきた。この「日本安全保障防衛力のあり方」、これは防衛庁の幹部が中心になってまとめたものだと言われている。それでも、アメリカから批判されると、さあ再協議だと、こういう作業になった。これは僕はもう明らかだと思います。  外務大臣、私はそういう経過だったと思う。これは外務省の幹部に聞いた話ですよ、私がさっき名前は言わないと言ったのは。現在もれっきとした重要な地位にいる人ですから。
  207. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 吉岡委員は吉岡委員なりの組み立てで論理を展開されておりますけれども、先ほど防衛庁長官が御答弁いたしましたのが政府見解でございます。
  208. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私がなぜこの樋口レポートを問題にしたかというと、国連を中心とする多角的安保ということに危険を感ずるアメリカの今の安保政策というのが、これこそが国連憲章に反するものだからであります。  私は安保条約を認めていませんから、この樋口レポートにも反対ですよ。これは反対です。しかし、この中の国連を中心とする多角的安保ということが不安てしょうがないというアメリカ認識というのは、私はこれは大変な問題をはらんでいるというふうに思います。今ASEAN諸国だって大体そういうことを言っていますよ、国連を中心とする多角的安保ということを。  そして、日米安保条約だって、国連との関係で言えば、これは国連憲章に基づく安全保障体制が確立するまでの間の条約という組み立てになっていますよ。そして、その国連を補完するのが今の日米安保条約だということになっている。したがって、この安保条約がなくてもいいような安保体制をつくる、それは日米両国の義務であるということまで書かれており、十条では、国連でそういう体制ができ上がったらこれは終わるんだという終了規定まである。これが国連憲章を重視するとあなた方が言うところの安保条約の仕組みでもあるわけですね。それを、安保より先にそれを書いているから大変だということから今の日米安保条約の再定義、再確認作業が始まり、今日の安保に至った。そして、共同宣言、一連のアメリカ側の発言では、今後五十年も、さらに二十一世紀もこの日米安保体制を維持するんだと、こういうことが言われている。  私は、その安保条約を二十一世紀までも維持するという考え方の中に、樋口レポートの言うのではだめだというアメリカ考え方、それに応じていった日本政府の安保の姿勢というのがあらわれていると思うからこう言ったわけです。  私はそれをもうちょっと突っ込んでやりたいわけですが、これは次回以降繰り返し論議することにしまして、外務大臣から今言った国連を中心とする安保体制という問題についてどうお考えになっているかという答弁だけ聞いて、きょうの質問を終わります。
  209. 小渕恵三

    国務大臣小渕恵三君) 冷戦終結後もアジア太平洋地域は潜在的な不安定、不確実な要因が依然として存在しております。そのような中で、現時点及び予見し得る将来においては、日米安保体制日本の安全のみならずこの地域全体の平和と安定を維持していく上で依然として必須の枠組みでございまして、国連憲章に基づいて日米安保条約が不要となるような現在の状況でない、このように考えております。
  210. 竹山裕

    委員長竹山裕君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時散会      —————・—————