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1997-12-03 第141回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年十二月三日(水曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 大野 功統君    理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君    理事 実川 幸夫君 理事 林  幹雄君    理事 石田 勝之君 理事 江崎 鐵磨君    理事 細川 律夫君 理事 寺前  巖君       江口 一雄君    岸田 文雄君       熊谷 市雄君    菅  義偉君       鈴木 俊一君    関谷 勝嗣君       橘 康太郎君    細田 博之君       村田 吉隆君    望月 義夫君       森田  一君    米田 建三君       木村 太郎君    草川 昭三君       今田 保典君    佐藤 敬夫君       坂本 剛二君    中田  宏君       桝屋 敬悟君    松浪健四郎君       赤松 広隆君    家西  悟君       古堅 実吉君    濱田 健一君       北橋 健治君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 藤井 孝男君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      野田 哲也君         防衛庁参事官  伊藤 康成君         運輸政務次官  江口 一雄君         運輸大臣官房総         務審議官    和田 敬司君         運輸省運輸政策         局長      土井 勝二君         運輸省鉄道局長 小幡 政人君         運輸省自動車交         通局長     荒井 正吾君         運輸省海上交通         局長      岩村  敬君         運輸省海上技術         安全局長    山本  孝君         運輸省港湾局長 木本 英明君         運輸省航空局長 楠木 行雄君         運輸省航空局技         術部長     松本 武徳君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   松尾 好將君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   武本 俊彦君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      下出 敏幸君         労働省労政局労         働法規課長   三沢  孝君         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     杉浦 信平君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     藤本 貴也君         運輸委員会調査         室長      長尾 正和君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月三日  辞任         補欠選任   細田 博之君     熊谷 市雄君   村田 吉隆君     鈴木 俊一君   久保 哲司君     桝屋 敬悟君   中田  宏君     草川 昭三君   田中  甲君     家西  悟君   平賀 高成君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     細田 博之君   鈴木 俊一君     村田 吉隆君   草川 昭三君     木村 太郎君   桝屋 敬悟君     久保 哲司君   家西  悟君     田中  甲君   古堅 実吉君     平賀 高成君 同日  辞任         補欠選任   木村 太郎君     中田  宏君     ――――――――――――― 十二月一日  リニア中央新幹線整備促進に関する請願(小  坂憲次紹介)(第八八一号)  同(堀込征雄紹介)(第八八二号)  国民生活に不可欠な公共交通機関確保に関す  る請願小坂憲次紹介)(第八八三号)  同(堀込征雄紹介)(第八八四号)  同(小川元紹介)(第九七九号)  北陸新幹線整備促進に関する請願小坂憲次  君紹介)(第八八五号)  同(堀込征雄紹介)(第八八六号)  同(小川元紹介)(第九八〇号) 同月三日  国民生活に不可欠な公共交通機関確保に関す  る請願宮下創平紹介)(第一〇五七号)  同(北沢清功紹介)(第一一九八号)  北陸新幹線整備促進に関する請願宮下創平  君紹介)(第一〇五八号)  同(北沢清功紹介)(第一一九九号)  リニア中央新幹線整備促進に関する請願(小  川元君紹介)(第一一一四号)  同(北沢清功紹介)(第一二〇〇号)  同(宮下創平紹介)(第一二〇一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月二十六日  北海道新幹線早期建設に関する陳情書  (第一一五号)  東北新幹線鉄道建設促進等に関する陳情書  (第一一六  号)  北陸新幹線整備促進に関する陳情書外一件  (第一一七号)  新幹線鉄道早期実現及び在来鉄道高速化に  関する陳情書  (第一一八号)  山陰新幹線鉄道等高速鉄道網整備促進に関す  る陳情書外一件  (第一一九号)  九州における新幹線網建設促進に関する陳情  書  (第一二〇号)  日豊本線の高速化複線化及び活性化促進に  関する陳情書  (第一二一号)  鉄道網整備に関する陳情書外一件  (第一二二  号)  東日本地域太平洋沿岸へのリニア鉄道の導入  に関する陳情書  (第一二三号)  リニアモーターカー中央新幹線整備促進に関  する陳情書外一件  (第一二四号)  国民生活に必要不可欠な公共交通機関維持確  保に関する陳情書外百七十三件  (第一二五号)  中部国際空港へのアクセス整備に関する陳情  書外一件  (第一二八号)  名古屋空港整備等に関する陳情書  (第一二七  号)  関西国際空港の全体構想早期実現と近畿の空  港整備に関する陳情書  (第一二八号)  離島空路整備法の制定に関する陳情書  (第  一二九号)  海底地震常時観測システム三陸沖への設置に  関する陳情書  (第一三〇号)  船舶航行安全対策及び海洋汚染防止対策に  関する陳情書  (第一三一号)  港湾海岸事業等促進に関する陳情書外四件  (第一三二号)  ロシア船籍タンカー重油流出事故対策に関する  陳情書外一件  (第一三三号) 十二月二日  北陸新幹線整備促進に関する陳情書  (第二一四号)  国民生活に必要不可欠な公共交通機関維持確  保に関する陳情書外四十七件  (第二一五号)  バス事業維持確保に関する陳情書外四十五件  (第二一六号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する  不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律  の一部を改正する法律案起草の件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件      ――――◇―――――
  2. 大野功統

    大野委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。久野統一郎君。
  3. 久野統一郎

    久野委員 本国会、初委員会の冒頭に質問をさせていただきまして、本当にありがとうございます。貴重な三十分間、勉強させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  最初に、米国FMCの制裁問題について質問をいたします。  今回、米国連邦海事委員会、いわゆるFMCは、我が国港湾労働慣行である事前協議制度改善を要求し、本件に関して何のとがもない日本海運企業三社に対し、米国の港への入港ごとに十万ドルの課徴金を課すことを決定しました。最終的には三社から百五十万ドルを徴取したと聞いております。  こうした事態に至ったことはまことに遺憾であります。日本政府として、二度と同じような事態に至らないように、再発防止に万全を期すべきだと考えます。どのように対処するおつもりなのか、大臣お答えをいただきたいと思います。
  4. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今、久野委員指摘のとおりでございまして、我が国政府といたしまして、今般のFMCの一方的制裁措置、このことにつきましては、日米友好通商航海条約に明らかに違反するものでございまして、もうたびたびこれを全部撤回するように求めてきたところでありますし、また要請を繰り返してきたところでありますが、今委員御発言のとおり、現実には制裁措置が発動され、課徴金が徴収されたことは、まことに残念であり、遺憾なことであると思います。  運輸省といたしまして、また日本政府といたしましても、今後とも、同条約に基づく二国間協議の速やかな開催を図っていきまして、FMCの一方的制裁措置全面撤回を求めていく考えでございます。このような一方的な条約違反制裁措置の発動を今後牽制する、また、交渉に際しましてお互いに対等な立場で話し合いができる、そういうことを担保するためにも、対抗立法整備が必要ではないかなと考えておりますし、この事案の緊急性にかんがみまして、今臨時国会において対抗立法が早急に整備されることを強く希望いたしているところでございます。
  5. 久野統一郎

    久野委員 法改正については、一般質疑終了後、大野委員長から委員会としての提案が正式になされるものと聞いておりますけれども運輸大臣及び運輸省としても、制裁問題の解決とこうした問題の再発防止に向け、引き続き努力をしていただきたいと思います。  次に、我が国社会資本整備先進諸国に比べて大変おくれている、そんなことが言われているわけでございます。人々の豊かな暮らしというのは、目先の福祉や医療や文化や教育、もちろんこれも大切ですけれども人々の本当の豊かな生活というのは、社会資本整備、このことが人々の豊かな生活につながってくるのじゃないか、私は常々そう思っているわけです。公共事業といいますと、何か悪いことをしているみたいな、まさに袋だたきされるようなところがあるわけです。もちろん、間違った投資というものも中にはあろうかと思いますけれども、どうも間違った報道も多いような気がしてならないわけでございます。  最近でいいますと、海につくった突堤が釣り堀になっている、そんな記事もありますし、また、農道空港というのですか、畑の真ん中に飛行場ができて、一週間に一回ぐらいしか飛行機が飛ばない、そんな話題もあります。  ちょっと一時期前には、そういうふうな社会資本の間違った投資代表例としていつも三つの例が挙がっておりまして、その一つが、石川県の能登島に橋を二本かけたというので、一般有料道路があるのにそこへ農道をつくった、そんな小さい島に二本も橋は要らないのじゃないか、そんなのがあります。  もう一つは、どこだったか忘れましたけれども都市下水集落排水、この処理場が隣り合わせにつくってありまして、隣り合わせで同じものが二つある、一つ十分用を足すのじゃないか、そんなのがありました。  三つ目が、私の選挙区にあります知多半島なのですけれども、ここの広域農道有料道路半島に真っすぐ通っておりまして、それと並行して広域農道をつくるというので、細長い半島に二本道路ができる、そんなのはむだだというので新聞紙上でたたかれたわけです。  これらの報道が合っているのかどうか、ほかのところについては知りませんけれども、この知多半島については明らかに間違っていると私は思っているわけで、地図の上に細長いところに二本真っすぐ道路がある、それはむだだとだれでも思う。地図を見た限りではそう思うかもしれませんけれども、実際は、御案内のとおり、有料道路というのはインターからしか出入りできません。広域農道は、それに張りついた農地からいろいろな作物を運び出すわけで、ぜひこういうことはきちんと現地を見て判断をしていただきたいなと思っております。こういうふうな間違った報道に対して、ぜひ役所もきちんと、それは違いますよということをマスコミ関係にも言っていただきたいと思います。  社会資本整備というのは、公園だとか下水だとか道路だとか、私は建設畑をずっと歩いてきているものですから、よくそんな話をするわけですけれども公園なんかは、平成七年度末で一人当たり七・一平米ですか、そんな状況になっているのですけれども、諸外国はもう二〇%を超えているわけで、将来はこれに向けて今公園づくりをやっております。下水道も、諸外国はどこももう七〇%を超えているわけですけれども、多いところは八〇%を超えているようなところもあるわけですが、我が国はまだ五五%、これを一日も早く追いつくようにということで、今いろいろ計画がされております。また、道路なんかも、今のままですと、年間十二兆円の損失があるということで、本来なら一時間で行かれるところが交通混雑しているために二時間もかかる。そうすると、一時間余計にかかれば当然ガソリン代もかかりますし、車の維持費もかかるわけです。その時間を労賃に計算いたしますと、それらを積み上げてまいりますと、十二兆円になるということでございます。  そこで、空港だとか港湾についてなのですけれども空洞化はしていないにしろ、どんどん地盤沈下が進んでいるという報道がございます。また、現在、道路なんかももういっぱいになっておりまして、やはりこういうふうに物を運ぶ、人を運ぶのには、道路じゃなしに鉄道考えていかなければならぬのじゃないか。今盛んに言われておりますパーク・アンド・ライドですか、あんなことも考える中で、これから鉄道を重視していかなければならぬのじゃないかと私は思っておりましたら、どんどん鉄道廃線、なくなっていくような逆の状況下にあるわけです。やはり鉄道というのはこれからもう少し整備をしていくことを考えていかなければならぬのじゃないか。それから海の、航路というのですか、皆さんも御案内のとおり、百キロを超えるようなスピードの船が開発されているということですので、これはへたな道路なんかより、よほど海の道づくりをした方が物を運ぶ物流には大変有効に働くわけです。  鉄道にしろ、港湾にしろ、空港にしろ、現在の状態はどんなふうな状態になっているのか。また、これから将来どういう構想を持って、進めていかれるのか、その辺についてお聞きをしたいと思います。これはお役所としてはなかなか答えづらい話があろうかと思うのですけれども、私はこう思っております、だれかがこう言っていたという、そんなお話でも結構ですので、ぜひわかりやすくお答えをいただきたいと思います。
  6. 土井勝二

    土井政府委員 お答えを申し上げます。  先生、今社会資本整備についてお話になられましたが、私ども運輸省もその中で社会資本整備につきまして責任を持っている官庁でございますので、一生懸命やってまいりたいということでございます。運輸関係社会資本整備は、我が国経済社会基盤となるものでございまして、二十一世紀に向けまして、国際化の進展あるいは経済構造改革などに対応するため、むしろますますその必要性が高まっているのではないかというふうに思っております。  それで、お尋ね現況及び今後の見通しでございますが、私どもといたしましては、まず国際面から申しますと、国際ハブ空港あるいは物流関係国際ハブ港湾、こういったものについて、アジアの近隣諸国動向も踏まえながら、あるいは日本人流物流需要増というものも考えながらおくれることなく着実に整備してまいりたい。もしこの整備がおくれますと、人流物流のボトルネックができてしまう。したがって、日本国際社会の中でおくれてしまうという、日本全体にかかわることだと思っております。それで、そのために、今後のものといたしましては、具体的には空港あるいは港湾につきまして五カ年計画を着実に進めてまいりまして、特に国際ハブ空港あるいは国際港湾整備を進めてまいりたいということが一つでございます。  それから、鉄道関係につきましても、地域間の連携であるとか、あるいは都市でいいますと通勤通学混雑緩和であるとか、非常に重要な機関でございます。最近とみに重大になっておりますいわゆる環境問題につきましても、鉄道大変環境に優しい機関でございます。したがいまして、国内の鉄道のネットワークの整備も必要だと思います。新幹線整備もその一つでございます。それから、通勤通学混雑につきましては、特に大都市における私鉄とかあるいは地下鉄の整備を着実に推進をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  7. 久野統一郎

    久野委員 時間が短いものですから、もう少し具体的にお話を聞かさせていただきたいと思うのですけれども、また後ほどでも結構ですので、具体的に、鉄道はこうするんだ、港湾はこうするんだ、空港はこういう計画をというような話、また教えていただきたいと思います。  次に、社会資本の具体的な例として、自由民主党の景気対策の中にも出てきているんですけれども中部国際空港お話、私の選挙区でもありますので、この取り組み状況についてお聞きをいたします。  採算の面だとか環境の面、既得権を侵害する補償関係だとか、自衛隊空域調整の問題、こんな観点から取り組み状況について御説明お願いします。
  8. 楠木行雄

    楠木政府委員 お答えいたします。  中部空港につきましては、第七次空港整備五カ年計画にその新規事業化ということが書いてございますので、それにのっとりまして、現在、平成十年度事業着手のための予算要求を行っております。その前提としております整備計画案の概要でございますが、愛知県の常滑沖海上に三千五百メーターの滑走路一本、面積約四百七十ヘクタールの空港建設しようというものでございます。  また、概算要求前提としております事業方式につきましては、株式会社の方式建設、運営を行うこととしておりますけれども採算性確保のために四割の無利子資金が必要と見込まれておりますので、その負担割合につきましては、関西国際空港一期と同様に、国、地方自治体、民間を四対一対一という形にしておるところでございます。  また、お尋ねがございました空域の問題でございますが、これは、現在の空域名古屋空港、それから三重県の方に陸上自衛隊の明野の飛行場がございます、さらに静岡県の方に航空自衛隊浜松飛行場がございます、こういったものとの調整というものが必要でございますので、実は、平成七年の十二月から中部圏空域利用調整会議というものを防衛庁と私ども運輸省との間で発足いたしまして、空域調整を鋭意実施をいたしました結果、中部空港周辺の、今申し上げました自衛隊飛行場の運用の両立を図ることは可能であるという認識を、現在有しているところでございます。
  9. 久野統一郎

    久野委員 地域人たちへの補償お話がなかったわけです。まだ事業がそこまで進んでいないかと思うわけですが、漁業補償にしろ地域人たち補償にしろ、何かごね得みたいなそんなことを言う方もみえるわけですけれども、そういう人たちにとっては、まさに何もないところに新しいものができれば当然環境も変わってくるわけですし、また生活の場を奪われるようなところもあるわけですので、ぜひそういう点もこれから大いに配慮される中で事業を進めていただきたいと思います。  よく子供を育てるときに、小さく産んで大きく育てろというようなことを言われているわけですけれども、今大変お金がないときですので、なかなか中部空港最初からそんなばかでかいものができないわけです。それで、これをどんどん大きく育てていくためには、やはり便利よく人々が使えるような環境づくりといいますか、そんなアクセスをつくっていくことが大変大切なことじゃないかな、そのことがこの空港利用価値のあるものにしていくわけですので、ぜひその辺をこれから検討していただきたいわけですけれども、現時点で、鉄道だとか航路、海のアクセスはどんなことをお考えになっているんでしょうか。
  10. 土井勝二

    土井政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねアクセス整備につきましては、本年、平成九年三月の三十一日に、地域として中部空港関連プロジェクト全体の推進について調整するところの組織であります中部国際空港推進調整会議におきまして、アクセス整備方策案というのが取りまとめられております。  この中でまず鉄道アクセスにつきましては、アクセス整備方策案におきましては、まず、新空港の開港時までに名鉄常滑線延伸ルート整備するということ、それから二番目といたしまして、将来の航空需要動向を勘案しつつ、西名古屋港線延伸整備について検討を進めるという二点を主な点として定めております。  それで、さらに本年十月の二十二日には、地元自治体経済界鉄道関係者等から成る中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会設立をされておりまして、この協議会におきまして、連絡鉄道施設整備事業化に向けた検討事業主体となる第三セクターの設立に関する調整協議が行われることとなっております。運輸省もこの協議会に参画をいたしまして、地元におけるアクセス計画の取りまとめに可能な限り協力をしてまいりたいと考えてございます。  また、本年九月の二十四日には、中部運輸局中部国際空港関連シティエアターミナル整備等調査委員会設置をされておりまして、本委員会におきましては、シティエアターミナル整備のあり方のほか、名古屋における乗り継ぎ利便向上のための方策について検討してまいるということでございます。  それから、大きな二番目として海上アクセスでございますが、これにつきましては、先ほどのアクセス整備方策案におきまして、四日市港、津松阪港及び鳥羽港において地元市町村運航事業者で組織する協議会設置し、検討を進めるということを定めておりまして、運輸省といたしましては、協議会設置された後、その場での検討について支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。これが現況でございます。
  11. 久野統一郎

    久野委員 今お聞きしておりますと、鉄道関係は北側の名古屋方面からのアクセスだけのようになっているようですけれども、やはり、先ほども言いましたように、空港を有効活用していくためには、東の方、三河方面からのアクセスもつなげる、また、南の方は確かに乗る人は少ないのかもしれませんけれども、そんなところは簡易鉄道でもつくって、そういう人たちも便利に使えるようにしていくことが私は大切なことじゃないかな、そんな気がしますので、またこれから御検討をいただくようにどうぞよろしくお願いをいたします。  中部国際空港をつくってその周辺波及効果を広げていくために、海の埋立地を使うんだとか、また、陸の山を削って、そこにいろいろな施設をつくる土地をつくるんだとか、また、土取り場空港を埋め立てるための土を取った跡地をいろいろ活用していくというようなことが今言われているわけですけれども、結構農地なんかで、遊んでいると言ったらちょっと語弊があるかもしれませんけれども、まだ利用ができるような土地もあるわけです。ですから、農地開発したり圃場整備した農地でも、使えるような土地はどんどん、住宅にしろ工場にしろ商店街にしろ、そういう方面に使っていくべきではないか、ぜひ、そういうものは規制緩和をして土地有効利用をしていくべきではないかと思います。  きょう農林省の方から来ていただいているかと思うんですけれども、ぜひその辺のお話をお聞かせいただきたいと思います。
  12. 武本俊彦

    武本説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、農地開発でありますとか各般の土地基盤整備事業を行った土地につきましては、投下いたしました税金によりまして期待される効果が相当期間継続をいたしますように、農業振興地域整備に関する法律というものに基づきまして市町村長農用地区域というものに設定することになっております。  したがいまして、その農用地区域内の農地につきましては、私どもの立場から言わしていただきますと、農業外に開発する場合には最後に回していただきたいというのが基本的な考え方になってまいりますので、農用地区域の外にある農地からまず非農業的にお使いいただければなと思っています。  ただ、そうは言いましても、さまざまな公共施設等、あるいは住宅団地なり工場団地を建設する場合に、農用地区域内の農地を使わざるを得ないという場合も地域においてはあろうかと思います。そういった場合には、農用地区域内の農地をまず外していただいて、転用の許可をとっていただくという手続になってこようかと思うわけであります。  その場合の、その農用地区域からの除外の類型といいましょうか、手段というのが三つございまして、先ほど言いましたように、税金を投入して整備をした農地でございますから、やはりそれなりの公共性なり公益性のある施設をつくっていただく場合は、農業のサイドが退くというのはやむを得ないだろうなと思っておりまして、例えば公的主体が、道路ですとか鉄道の敷地でありますとか、そういった公用、公共用の施設の用地として使う場合が第一点でございます。  第二点目が、農村地域工業等導入促進法でありますとかテクノポリス法、頭脳立地法といった、ある地域を特定いたしまして、その地域の振興のために集中的に施設整備を行っていく、いわゆる地域振興立法というものがございますけれども、この法律に基づいて施設整備する場合、これもいわば公共性なり公益性というものが事前に立証されているものでございますので、これらについての場合は、当然のことながら区域からの除外ということができるようになっております。  それ以外の、個別に発生する転用需要というんでしょうか、随時に発生するものについてどうするかということでございますけれども、こういうものにつきましては、まずその農用地区域の外側に、むしろ妥当なといいましょうか、適当な土地があるのかないのか、あるいはその一つの固まりとして、集団としてある農地の、その周辺部なのか真ん中なのかといったような点、それから、先ほど来申し上げております土地基盤整備事業を実施してから八年を経過している農地なのかそうでないのかといった幾つかの条件がございますけれども、それらの条件をすべて満たしている場合には、農用地区域からの除外が認められることになっています。  中部国際空港周辺の開発につきましては、現段階で私どもその具体的内容を承知しておりませんけれども、いずれにいたしましても、まず地元関係市町村におきまして、具体的な施設の立地の検討に当たっては、優良農地確保との調整を図りながら具体的な施設の立地場所を決めていただくことが、その後の非農業的土地利用への円滑な転換を図る上で何よりも肝要ではないかなと思っておるところでございます。
  13. 久野統一郎

    久野委員 そういう地域での農地転用はできないというような、人々が思っているところもあるわけですので、ぜひ有効に使えるように、また御配慮をいただきたいと思います。  それでは、最後になりますけれども、まさに日本の国の発展というのは、産業、物流がかぎを握っているわけですので、まさに物流の核になる空港というのは、これからどんどん整備していかなければならぬと思うわけでございます。中部国際空港整備について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  14. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど航空局長の方からも現況等についての話がございましたけれども、実は、先生の御地元ということでありますが、私は隣の岐阜県でございまして、この中部空港につきましても、岐阜県民も大変大きな関心を持っておるところでございます。これは、単に新しい空港をつくるということではなくて、あの中部地域を中心として、これからの二十一世紀を目前にいたしまして、また二十一世紀を展望いたしまして、物流、人の流れ、それから国際化あるいは海外との競合が大変激しくなる、そういう中で、やはりその大きな拠点となる空港として位置づけ、これは第七次空整の五カ年計画にも最優先課題として位置づけられております。  そうした中で、来年度の事業着手に向けまして概算要求を行っているところでありますけれども、大変厳しい財政事情でございますが、先ほど委員お話がありましたように、与党の方でも、今般の経済対策にもこの点につきまして提案がなされておりますので、そういったこともいろいろ踏まえまして、来年の事業着手に向けて最善の努力をしていく、そしてまた予算獲得に全力を傾注してまいりたいと思っております。
  15. 久野統一郎

    久野委員 どうぞよろしくお願いします。  では、終わります。
  16. 大野功統

    大野委員長 次に、草川昭三君。
  17. 草川昭三

    草川委員 草川でございます。  本日は、差しかえで質問の機会を与えていただきまして、皆様にまずもって御礼を申し上げたいと思います。  最初に、今リアルタイムで動いているのではないかと思いますが、国鉄清算事業団の債務処理の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。  政府・与党の方も、財政構造改革会議の企画委員会等々でいろいろな御提案をなすっておみえになり、関係者に説得をしておみえになるやの報道もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、この国鉄の長期債務の本格的な処理のための具体的な処理方策については、今年中に成案を得るということになっているわけでございますが、その見通しについて、まず大臣のお考えをお伺いしたいと思うのです。
  18. 藤井孝男

    藤井国務大臣 草川委員お答えいたします。  この国鉄長期債務の問題は、先送りできない課題であると認識をいたしておるところであります。  そこで、政府といたしましても、昨年十二月の閣議におきまして、平成十年度よりその本格的処理方策について実施をする、そして、今委員の御発言にもありましたように、本年中にその具体的処理方策について成案を得ることといたしておるところであります。  そして、リアルタイムとおっしゃられましたが、まさにそのとおりでございまして、現在、政府・与党で構成されております財政構造改革会議の企画委員会で具体的処理方策について検討を進めているところでございます。また、本日、その企画委員会が開催されまして、座長案が示されたところでございます。これは有利子債務及び無利子債務を国の一般会計において処理するということ等を基本といたしました座長案が示されたわけであります。  今後、この財政構造改革会議等の議論を経た上で最終的に処理方策が決定されるということになっておりますけれども運輸省といたしましても、その決定に基づき、国鉄長期債務の本格的処理に向けて最大限の努力をいたしていきたい、このように思っておるところでございます。
  19. 草川昭三

    草川委員 そこで、まず私は、JRへの追加負担に絞って質問をしたいと思うのです。  国鉄改革に当たって、処理すべき債務総額というのは約三十七兆一千億、そのうち十四兆五千億はJRの負担とされたわけでありますが、その議論の中で、二十二兆七千億は清算事業団に移管をされたわけです。今問題になっておりますのは、清算事業団に承継された二十二兆七千億であり、それが六十二年度以降増加して二十八兆一千億になったわけで、どうしてJRへの追加負担が問題になってくるのか、これは新聞を見る限りちょっと私、わからぬわけですよ。まず、その点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  20. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、企画委員会におきましてあらゆる角度からこの長期債務について検討が行われてきたところであります。そして、これは基本的には国の債務という前提でさまざまな議論が交わされたところでございます。  そうした中で、今委員おっしゃられましたとおり、この国鉄改革、昭和六十二年ですか、いろいろな議論の末に一つのスキームができ、そして今日に至っておる。その間にそれぞれの仕切りが行われていることも事実でございます。そうした中で、私どもといたしましては、各方面の各機関におきまする協力は得られないだろうかという中で、実は昨日、JR各社の代表の皆様方にお会いいたしまして、その年金移換部分の一部につきまして、御協力、御理解いただけないだろうかということをきのう申し上げたところであります。残念ながら、御納得、御理解いただけなかったところでありますけれども、いずれにいたしましても、今後、企画委員会の座長案をもとに、またさらにJR各社等々につきましてお会いし、お話し合いを進めていきたい、そうした上で納得を得られるように努力していきたいと思っております。
  21. 草川昭三

    草川委員 JRが納得しないというのは私当然ではないだろうかと思うのですが、例えば、昭和六十三年の一月に閣議決定があるわけでありまして、清算事業団の債務処理は、土地、株式等を処分してもなお残る債務は云々ということになっているわけです。いわゆる国鉄改革の債務処理の基本的な枠組みに反する今の座長案ではないだろうかというふうに思うのです。私はきょうは一般の国民の立場から、実はJRの株のことでございますが、既にJRの各社は上場をしているわけですね。株式の株価や今後の株式を新しく売却をすることに私は影響を与えていくのではないだろうかと思うのですよ。  今、株の問題というのは非常に透明性が叫ばれておりますし、日本の株価をどのように維持するか、あるいは少しでも株が、かつてのように高くなればいいとは言いませんけれども、もう少し現状より上がるということが日本の金融市場の中で非常に叫ばれている中で、JRの動向というのは、国民全体のひとしく見ているところだと思うのです、別に株を購入する、しないは別としまして。  ですから、JRというのはそれなりの中で負担をしてきた。それで、利子についても国庫に納入をしてきた。そして、自立再建で新たな収益を上げまして、それなりの効果があった。そこに対して新たな負担というものが要求をされるということになると、私は日本の株式市場にとりましても重要な問題だと思うのですが、その点の御見解を賜りたいと思います。
  22. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、実は我々の方、政府の方でJRの方に協力をお願いしておる中身は、厚生年金移換金の一部ということでございまして、これは、先生お話しの昭和六十二年四月の国鉄改革時の話ではございませんで、その後に生じた厚生年金へ鉄道共済年金が統合されるに当たっての問題でございます。  この移換金債務につきまして、御案内のように、この四月から統合されたわけですが、それに当たりまして、実は鉄道共済として一兆二千億の足らず前の負担をすることが必要となったわけでありますけれども、その際に、二千億は鉄道共済として積み立てがございました。残り一兆円につきまして、実は分担関係を決めさぜていただいたわけでございますが、その際に、鉄道共済のグループとして、清算事業団とそれからJRグループと大きく分けまして、清算事業団が八千億、それからJRグループが二千億、こういう分担をしたわけでございますけれども、今回、御案内のように、清算事業団につきましては、長期債務の本格的処理ということで、来年度廃止をさせていただくということを予定しているわけでございます。  そういたしますと、八千億を分担することになりました清算事業団が廃止されるということになった場合に、その処理のための負担をだれが負うかという問題が生じてきているわけでございまして、その場合に、鉄道共済年金の関係者である方々の中でまずは御議論いただくというのが考え方でございまして、その際に、移換金債務のうちJRの社員となった方の分について、JRの社員の年金制度の安定のための負担ということでございますので、その意味で、御負担いだだく、御協力いただくことは可能ではないかということでお願いしておるということでございます。
  23. 草川昭三

    草川委員 株価に対して悪影響を与えるのではないかという御答弁がないので、またこれはどう思うかは、大臣、一言でいいから、経済人の経験もおありですから、お答え願いたいと思うのです。  それで、今おっしゃいました年金の話ですが、鉄道共済年金の追加費用と、いわゆる厚生年金の移換金の追加負担と、大きく二つに分けて私質問をしたいと思うのですが、前段の鉄道共済年金の追加費用はもうあきらめたのですか、一言だけ答弁してください。
  24. 小幡政人

    ○小幡政府委員 これは、先ほど申しましたように、六十二年四月の国鉄改革時の基本スキームでございますので、そのまま清算事業団、国において処理するという考え方でございます。
  25. 草川昭三

    草川委員 先ほどの答弁では、いわゆる移換金の追加負担についてはお願いをしたいということを答弁されたと思うのです。ところが、これは、いわゆる国鉄改革法施行法の三十八条の二、これに私は該当すると思うのです。ここに明確に書いてあると思うので、運輸省から答弁をもらうよりも、内閣法制局に来ていただいておりますので、法制局に、ここはどういうように書いてあるのか、ちょっと説明を願いたいと思うのです。
  26. 野田哲也

    ○野田(哲)政府委員 お答えいたします。  いわゆる厚生年金の移換金に係る債務につきましては、鉄道共済組合が厚生年金の管掌者たる政府に支払わなければならないわけでございますけれども、その負担については、「旅客鉄道会社等」という言葉を使っておりますけれども、国鉄清算事業団を含む旅客鉄道会社その他の国鉄から承継した法人が負担することになっております。そして、そういうグループの中の負担につきまして、厚生年金への移換の際の昨年の法律改正におきまして、その負担金のうち、清算事業団がこの期間の分を負担するということが、日本国有鉄道改革法等施行法三十八条の二に規定されております。
  27. 草川昭三

    草川委員 だから、今内閣法制局が見解というよりは説明をしていただいたわけですが、三十八条の二に明確にその清算事業団の責務ということが明記されているわけですから、それを与党の、あるいは政府の試案というのですか、座長案というのは、基本的に法律を無視した提言をしている、私はそう思うのです。そこはきょう一番私の言いたいところでございますので、ひとつ念を押しておきたいと思うのです。  そこで、藤井大蔵大臣、その株価について……(藤井国務大臣運輸大臣です」と呼ぶ)ごめんなさい。大蔵大臣はいずれやられると思うので、その前段としての運輸大臣ということで、株に対してどのような見解か、改めて問いたいと思います。
  28. 藤井孝男

    藤井国務大臣 率直に申し上げまして、昨日のJR各社の代表者との話し合いの中で、今委員おっしゃられることが、意見が出されました。  私、経済人とおっしゃられましたけれども、かつてサラリーマンを十二年間経験したことがあるわけですが、直接株に携わったことはございませんので、そういった面からは知識があるわけではございませんが、民間企業という立場からいいますと、当然、株主に対する責任という中での株価の安定というのは、一番大切な基本だとは思っております。そのことと、今回のお願いした件につきまして、私どもといたしましては、この年金移換金の分の一部につきましての御協力という形の中で、そうした基本的なスキームを変えるということではございませんので、何とかここで御理解  いただけないだろうか。  しかしながら、やはり経営者側からいいますと、株主の理解を得なければならないといったことについての御示唆がありまして、その点につきましては私どもも十分承知の上で、今議論を進め  ているところでございます。
  29. 草川昭三

    草川委員 我が国全体にも影響を及ぼすことでございますし、せっかく旧国鉄時代の反省から民営化の努力が着実に実っている、そういうJR各社に対する負担金の追加ということはあり得ないということを私は強く申し上げて、国鉄債務処理の問題については終わりたいと思います。法制局さん、御苦労さんでございました。  続きまして、中部国際空港をめぐる問題について、私ども地元でもございますので、お許しを得て質問をさせていただきたいわけでございます。  国際ハブ空港として七次空整で計画をされたものというのは、先ほどの答弁の中にもございました。それで、来年度の予算に着工関連費も盛り込まれたわけでございまして、非常に重要な時期になっておるわけでございますが、問題は、愛知県は二〇〇五年に万国博覧会を誘致をするということが、既にこれも国のプロジェクトとして決まっておるわけでございまして、新空港で海外からのお客を迎えるというのは悲願でもあるわけであります。  そういう上に立って質問をしたいと思うのですが、一つは、特にアジアにおける航空需要というのは非常に増大をしてきておるわけですが、韓国あるいは香港、アジア諸国における新しい空港というのはどんどん今建設をされています。そして、シンガポールもそうですし、ソウルもそういうことが言えるわけであります。  世界の主要空港の着陸料をボーイング747のジャンボで比較をしますと、日本円で、アメリカのケネディ空港が三十一万二千円です。サンフランシスコは安くて五万一千円、ドイツのフランクフルトは一回着陸して四十五万円、イギリスが七万七千円、香港が三十五万八千円、成田が九十四万八千円、そして関西空港が九十万八千五百円、ソウルは三十二万四千円と我々は聞いているわけです。これはやはり国のお金で、国家プロジェクトとして建設費が賄われているわけですから、そういうことができると思うのですよ。我々もぜひ救ってもらいたいという希望があるのでございますが、どうやら中部国際空港の場合は、民間主導型の公共投資ということで対応してもらいたいということにほぼ固まりつつあるわけであります。私としましては、地元負担ということがひとり歩きをしないように、国が面倒を見るべき点はきちっと面倒を見るということが、今申し上げましたように、将来の空港の着陸料にもはね返らないことになるわけなので、そこはしかと心得ていただきたいと思います。  またこの新空港の経済効果というのは、いろいろな研究機関があるわけですが、中部地域でも二兆七千億ぐらいの経済効果があるだろう。あるいは、全国の規模でいうならば五兆五千億という数字も出ているわけでございますが、改めて、運輸省の取り組みの決意というのですか、万博に間に合う、二〇〇五年というものを目指してどのようなお考えか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  30. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど久野委員の御質問にも答えたわけでございますけれども草川委員おっしゃられたとおりでございまして、基本的には私も同じ意見でございます。  私も、中部圏の、代表する、代表といいますか、選出された議員でありますから、愛知万博につきましても、余り力はなかったのですけれども、招致に対しまして応援をさせていただいた人であります。この中部空港は、決して万博のためにつくるわけではございませんことはもう御案内のとおりでありますが、しかし、これからの中部圏先ほど申し上げました、二十一世紀を見据えた中で、やはり今委員おっしゃられたように、この波及効果と申しましょうか、二兆七千億というような、私もむしろそれ以上の効果があるのだろうと、岐阜県の方から見ますと、もっともっと効果はあるのではないかなと思います。それは別といたしまして、いずれにいたしましても、やはりせっかくの、もう一方で愛知万博という大きなプロジェクトを控えておりますので、これに間に合うように、向けて最大限の努力をしてまいりますけれども漁業補償の問題ですとか環境アセスの問題ですとか、地元といたしまして御努力いただかなければならない点もたくさんあると思います。  また、今お話ありましたように、民間資本の問題につきましても、御協力いただかなければならない。まさに国と地方自治体そして民間、三位一体となって二〇〇五年に間に合うように、私どももその点を踏まえて努力していく所存でございます。
  31. 草川昭三

    草川委員 そこで、先ほども答弁がありましたが、いわゆる民間主導型の公共投資PFIということを与党の方では御提言をなすっておみえになるわけであります。確かに一つの方法だと思うのですが、繰り返し申し上げますけれども空港建設というのは、非常に大型の国家プロジェクトである、これだけはぜひ忘れないようにしていただきたいと思うのです。  そういう立場から、いわゆる事業費が約八千億、こう言われておりますが、これは連絡橋を除くのですが、そのうちの四〇%は無利子融資という形になっておるわけですが、その約三千二百億の割り振りを四対一対一で負担をする、国、地方自治体、民間と、こういうことで言われておるのですが、民間主導型の公共投資ということが余りにも定着をしますと、この負担割合という当初の案が変わっていくのではないだろうかという、ひとり歩きになるのではないかという心配があるのですが、その点はどのようにお考えになるのか、枠は変わらないのかどうか、確約をしていただきたいと思います。
  32. 楠木行雄

    楠木政府委員 私どもが現在、平成十年度の概算要求で要求しております事業費四割の無利子資金の、国、自治体及び民間の負担割合、これが変わるのかどうかという点でございます。  もともと概算要求前提といたしておりますこの事業方式におきましては、関西空港の一期を見習いまして、そのときには、三割出資の中で国が二割、地方と民間が五%ずつということでやっておりましたので、これを見習いまして四対一対一としているところでございます。これをやります場合に、四割というものの無利子資金が非常に重要でございまして、やはり非常に長期的なプロジェクトであります空港につきまして採算を安定的に維持していくためには、四割どうしても必要だ。その際に、やはりそういった性格が関西空港一期と同様であるということから、四対一対一としてきたところでございます。現在、財政当局との間で予算折衝を行っておるところでございます。大変厳しい財政状況の中ではございますけれども、新空港の着実な整備が可能となりますように、運輸省といたしましても最大限の努力を行ってまいりたいと思います。
  33. 草川昭三

    草川委員 その四対一対一に決めたときに関西空港をモデルにしたというお話がありましたが、確かにそういう経過は我々も承知をしておりますが、関西空港の場合は、連絡橋、いわゆる空港半島との間の連絡橋というものが事業費の中に入っていたわけですよ。ところが、中部国際空港の場合は、その連絡橋というのは含まれていないのですよ。連絡橋は大体千五百億とも千八百億とも言われておりますが、この事業費を含めますと、私は、関西空港に比べますと、民間の負担分は増加するのではないかという心配があるのです。  ですから、連絡橋を外してどうしてこのスキームができたのか、私はかねがね疑問に思っているのですよ。ところが、運輸省の皆さんに言わせてみると、いや、実は飛行場だけではございません、関連するもろもろのいろいろな附帯施設あるいは事業等々を行うものが、前島というのですか、関連する、膨らみの、いわゆる埋立地として利用されるので、そういうところを利用する人たちのことを考えると、これを切り離すことが得策だというような説明をしてみえるのですよ。  しかし、いずれにしても、飛行場関連としてやるには、事業費は一体として検討するのが、将来の償還だとかいろいろなことを考えると、私は必然的な方針ではないだろうかと思うのですが、改めて運輸省の見解を求めたいと思います。
  34. 楠木行雄

    楠木政府委員 お答えいたします。  これは、私どもの出先機関あるいは地元の地方公共団体、それから経済関係者等が入りました中部空港中部国際空港推進調整会議というところでいろいろ検討をしておられ、また県が独自に前島等も検討する、こういった体制になっておるわけでございますけれども、今お尋ねがございましたように、確かに前島とそれから空港島の中にもいわゆる地域開発部分というのはございます。それで、やはりこういった一般的な意味での連絡橋、つまり空港島の関連整備部分とそれから前島の関連整備部分を結ぶという意味で、連絡施設については別途考えていこうということになっておるわけでございます。  そして、現在、その連絡施設事業方式につきましては、鉄道部分と道路部分とございますけれども鉄道部分につきましては、地元自治体経済界あるいは鉄道事業者等から成ります中部国際空港連絡鉄道施設整備協議会設置をされておりまして、中部空港連絡鉄道施設整備事業化に向けた検討を行うとともに、事業主体となる第三セクターの設立に関する調整協議を行っているところでございます。  道路部分につきましては、愛知県が中心になりまして、受益の関係機関からの負担等により建設をするよう関係者と調整を進めているところでございまして、私どもの方としては、こういった体制によって今後ともやってまいりたいと思っておるところでございます。
  35. 草川昭三

    草川委員 さらにお尋ねをしますが、いわゆる鉄道、軌道部分ですね、それは当然地元鉄道会社がこれを利用するわけでありますが、それを中心とした第三セクターという、そういう御答弁ですか。  それから、道路部分については、愛知県が主体の、これまた公社になるのかどうかわかりませんが、そういうものが事業主体になるというように受けとめていいのか、念を押したいと思います。
  36. 楠木行雄

    楠木政府委員 鉄道部分につきましては、事業主体となる第三セクターをつくりたいということでございます。これは、今申し上げましたような鉄道事業者等もこの中に含まれている。  それから、道路部分につきましては、愛知県が中心になりまして、受益関係機関からの負担等によって建設するように関係者と調整を進めているということで、先生指摘道路公社等もその中に含まれてくると思います。
  37. 草川昭三

    草川委員 ちょっと細かいことになって恐縮ですが、関西空港の場合は、たしか国家公務員、運輸省から技術者が大分、二百人前後出向されまして建設に関するいろいろな業務に携われた、こう聞いております。私も、中部国際空港を、地元で民間会社が、多分来年の一月発起人会、あるいは四月には設立、立ち上がるということになると思うのですが、そういうノウハウを持った方々というのは不足をしていると思うのです。  当然、国からの御支援を頼まなければいけないと思うのですが、民間会社に対して国家公務員が出向することは私は不可能だと思うのですよ、人事院の規則等々で。関西空港の場合は特殊法人ですから、これができたと思うのです。どういう手法でやられるのか、一言お伺いしたいと思うのです。
  38. 楠木行雄

    楠木政府委員 どのような建設体制でこれを建設するかという点につきましては、現在、私ども地元との間で建設体制の協議という形で検討しておるところでございます。  来年早々立ち上げることができるかどうか、これは、こちらの現在検討中の予算とか、それから法律案も、やはり法人をつくったりいろいろな面で必要でございますので、そういった点を国会でお認めいただいて、それからそういうことについての検討ということになる可能性もございます。  先生お尋ねの、国家公務員がストレートにそういうところに、例えば出向することができるかという点については、このような民間活力を活用したいわば指定法人のようなやり方につきましては、原則として非常に難しいと考えておりますが、何らかの形で、そのノウハウをどう反映していくのか、そういった点については、先ほど申し上げました、現地と現在やっております建設体制の協議ということで検討してまいりたいと思っております。
  39. 草川昭三

    草川委員 確かに、今答弁がありましたように、国家公務員の出向というのはそれなりの縛りがあるわけですから、私どもは、そういう意味では、超党派の実は推進議員連盟もつくり、久野先生はその事務局長という形で、我々もバックアップをしなければいかぬと思うのです。  ですから、国家公務員が、少なくとも、私は百人程度では足らないのではないだろうか、関空のように、やはり二百人前後の出向をお願いをしなければいけないようなことは当然予想されるわけですから、そこはやはり知恵を出して対応していただきたいと思うのです。  同時に、四割を無利子融資、あとは有利子で、いろいろな財投の金もお願いをしなければいかぬと思うのですが、当然のことながら、政府保証債という形でこれを裏打ちしなければいかぬと思うのです。これまた、中部国際空港株式会社は表だけでは一民間会社ですよ。これが膨大な有利子を集めなければいけないということになり、それに対して政府保証が簡単にできるとは私は思いません、今日の財政法上から。それはどういうような手続でお考えになっておられるのか、これもあわせてお伺いしたいと思います。
  40. 楠木行雄

    楠木政府委員 お答えいたします。  現在の中部空港事業スキームからいきますと、事業主体に対して、先ほど先生お話がございましたような政府保証債、あるいは開銀融資といった形の財投を要求しておるわけでございます。ちなみに、平成十年度におきましては、政府保証債を十五億、日本開発銀行の融資を三億要求して、お願いをしておるところでございます。  このような事業主体に対して、法律で指定法人というような位置づけをしたいなと思って今考えておるところでございますけれども、そのようなもので、特別の法律によりまして政府保証を特別に規定するというようなやり方が、先例も一つございますし、そのような形でやろう、今そういった要求をし、財政当局等とも要求対象に対して検討していただいておる、こういう段階でございます。
  41. 草川昭三

    草川委員 指定法人というような考え方が打ち出されましたので、またそれもひとつそういう形で、政府保証で、あるいはまた非常に有利予め利率が低い、そういう条件で対応がなされるようお願いをしたいと思います。  本問題について、実は建設に関して、昨今、公共事業の透明性、公平性ということから、海外企業からの関心も非常に高まっておりますけれども、私は政府調達になり、国際入札になるのではないかと思うのですが、その点の見解はどうか、お伺いしたいと思います。
  42. 楠木行雄

    楠木政府委員 中部空港建設に係る調達につきまして、国際調達になるのかというお尋ねでございます。  実は、平成四年におきまして、中部空港は、大型公共事業への参入機会等に関する我が国政府の措置に基づきまして、将来プロジェクトとして追加指定をされております。こういう位置づけでございますので、中部空港事業主体を仮に指定法人ということで考えますと、そういった要求をしておりますことから、その建設の調達に当たりましては、やはりこれは国際調達になるものというふうに考えております。
  43. 草川昭三

    草川委員 では、農林省に来ていただいておりますので、先ほども質問がありましたが、今度は基盤整備事業を実施した地域内の農地中部国際空港建設に伴う公共施設や住宅あるいは倉庫に転用する場合、農振制度や補助金の返還の取り扱いはどうなりますかという質問をしたいと思うのです。  先ほど来、条件が出まして、農用地以外にあるかどうか一中心部は問題がありますよ云々というさまざまな答弁が出ましたが、要するに、中部国際空港に伴うという前提があれば一応その条件に入るのかどうか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  44. 武本俊彦

    武本説明員 お答えいたします。  先ほど私の方から申し上げました条件というのは、先生指摘のように、区域の外に代替地があるかどうか、八年未満の農地が入っているかどうかということでございますけれども中部のこの事業に伴いまして、何か公的なスキームと申しましょうか、その計画が策定されてまいりますと、それと農地との、あるいは農業の公共性、公益性との比較検討というスキームに入ってきますから、それは当然その段階で処理されます。  ですから、先ほど言いましたけれども、公用・公共用施設の用地というのは、八年未満であろうがなかろうが、それは使われます。それから、農村地域工業等導入促進法等々の地域整備立法、これの場合も八年未満であっても農地を使うことができますので、要するに、そういう公的なスキームに乗っていただけるまでの熟度にいくのか、それとも個別のプライベートな段階のものであるかによって、当然取り扱いは変わってきます。  以上でございます。
  45. 草川昭三

    草川委員 わかりました。今おっしゃいましたように、当然公共用のものが優先するでありましょうし、落ちついた段階で、例えば住宅とかあるいは倉庫だとかというものが申請されることになると思うのです。そこらあたりは、最初に申し上げましたように、国家プロジェクトに対する農林省の指導をぜひお願いをしたいと思います。  建設省にも来ていただいておると思うので、中部国際空港へのアクセス道路の最終決定はまだなされておりません。おりませんけれども、並行していろいろな対応をしなければいけないと思うのですが、早期整備についての建設省の見解を賜りたいと思います。
  46. 藤本貴也

    ○藤本説明員 お答えさせていただきます。  建設省におきましては、平成六年度から、関係の五県一市と一緒になりまして、中部国際空港に関連した道路アクセスにつきまして、環伊勢湾地域整備連絡会議というものを設けまして、そこで検討をしていたところでございます。  また、平成七年の十二月からは、中部国際空港関連プロジェクト全体の推進について調整を行うということで、中部国際空港推進調整会議というものが関係県市、経済界あるいは運輸省建設省が入りまして設置されたところでございまして、そこで道路アクセスについても検討をしておるところでございます。この調整会議におきまして、平成九年の三月に、空港計画案ですとかあるいは空港事業推進方策案ですとか、そういうものとあわせまして、アクセス整備方策案につきましても取りまとめさせていただきまして、公表させてもらったところでございます。  具体的には、例えば名古屋都心地域から空港までは三十分ないし四十分でアクセスをするとか、あるいは空港を中心として六十キロ圏内の主要都市から空港までは一時間以内でアクセスをするようにする等々の内容についての取りまとめをとりあえずさせていただいたところでございます。  いずれにしましても、中部国際空港アクセス道路整備というのは非常に重要な課題だと考えておりますし、また、地元からも強い要望があることもよく承知しておりますので、建設省といたしましても、厳しい財政状況ではございますけれども、その中で、新空港の具体化とあわせまして、所要のアクセス道路整備につきまして計画的な支援をしていきたい、こういうふうに考えております。
  47. 草川昭三

    草川委員 時間が迫ってまいりましたので、現在の名古屋空港問題について質問をしたいと思うのです。  これは運輸省にお伺いをしたいわけですが、いわゆる新空港前提として一元化ということが言われておるわけですが、一元化になった場合の現在の空港管理というものはどうなるのかということをお伺いしたいわけですよ。  それで、答弁の前に、既に報道等によりますと、現在の空港を半分程度地元に買ってもらいたいと。地元の方もそれを購入をするということが相談されているようでありますが、この地元という言葉が、愛知県というものを指すのか、あるいは地方自治体を含めた複数のところを地元と言うのか、あるいは民間企業を含めた愛知の地元経済界、そういうものを含めて地元と言っているのか、それがまだ明確じゃないのですよ。だから、運輸省は特別会計をもって、それに売ったお金は入れると思うのですが、運輸省はだれと話しているのですか。地元とはだれと話をしているのか、お伺いしたいと思うのです。
  48. 楠木行雄

    楠木政府委員 第七次空港整備五カ年計画におきまして、この中部空港整備するに当たりましては、前提として現在の名古屋空港の定期便を新空港に一元化するということになっておるわけでございます。  それで、昨年の三月から、名古屋空港周辺市町の調整会議というのが周辺の三市一町と愛知県とで構成されまして発足をいたしました。ことしになりまして、この会議におきまして、愛知県が中部国際空港開港後の名古屋空港のあり方及び地域振興等の対応策に関する愛知県の基本的考え方というものを提示をいたしまして、審議が行われ、三回目の検討会議におきまして一元化を前提地域振興に向けた実質的な検討を進めるという方向性を確認するなど、愛知県の御努力によりまして、現空港周辺市町の理解が進みつつあるというふうに認識をしておるところでございます。  では、この一元化後の現空港の管理についてどう考えておるのかという点でございますが、現在の名古屋空港は、今申し上げました民航の定期便以外にもゼネラルアビエーションとかあるいは自衛隊機が利用しておりまして、かなりの数に上っております。この一元化後の現空港につきましては、愛知県としては、GA空港といいますか、ゼネラルアビエーション空港として活用したいとの意向を示しております。また、防衛庁の方も、航空自衛隊による使用を継続したいという希望があると聞いております。そういたしますと、いずれにいたしましても、一元化後の現空港の管理について、今後関係者の間で調整が行われていくものと考えておるわけでございます。  それで、その場合に、現空港用地について地元で取得するという話があるけれども、これはどういう意味なのかというお尋ねでございます。  今申し上げましたような、愛知県がゼネラルアビエーション空港として活用したいという意向を示しておりまして、GA空港として利用する着陸帯以外の区域については、地元において用地を取得する方向で検討しているところではございますが、この買い取り主体が何かということは、私たちは愛知県を通じて航空審議会等の場等で聞いておりますけれども、まだ固まっていないというものでございます。したがいまして、どういう種類のものなのかという点については、向こう側の事情をもう少しよくお聞きしたいと思うわけでございます。運輸省といたしましては、このような地域の意向を踏まえまして、引き続き関係者と調整をし、検討してまいりたいと思います。
  49. 草川昭三

    草川委員 今局長は非常にきれいな言葉で言っていますが、実質的には、運輸省地元に対して現空港を買いなさいということをいろいろと話をしているのでしょう。強く言っているかどうかは別として、話をしているんだ。それで、地元の方も、それはそうですねということで、では一体地元経済界は幾ら負担をするのだろう。これがエンドレスで、万博の問題もございますし、膨らんだらえらいことだという心配があるわけです。  この点はまた後で大臣からお答え願いたいのですが、その前に、せっかく防衛庁に、長時間待たせて申しわけございませんので、防衛庁に、まず自衛隊における名古屋空港必要性をどのように認識しているかということが一つ。二番目に、一元化された後、滑走路等の空港財産の管理は防衛庁が行う用意があるかどうか。  それから、当然のことながら、管制業務という非常に大きな問題があるのですが、これは、今の答弁のGAという、企業の持ついろいろなフライトの機材等々の管制もあると思うのですが、管制業務は防衛庁が行うことになるのか。さらに、周辺の防音対策というのは将来は防衛庁に移管をされるのかどうか。ここを防衛庁側から答弁願いたいと思います。
  50. 伊藤康成

    ○伊藤(康)政府委員 お答え申し上げます。  まず、私どもは小牧基地と、航空自衛隊の用語ではそういうふうに申しておりますが、小牧基地は現在、先生も十分御承知かと存じますけれども、C130という航空自衛隊の主力の輸送機の基地として使っております。そのほかに、民航側が使っております土地とは反対側に航空自衛隊の用地があるわけでございますけれども、そこにはそのほかにも学校等の施設がいろいろあるわけでございますが、そういう意味で、航空自衛隊の中では非常に重要な施設一つでございます。特に、輸送機C130Hというのは全国でここにしか配置しておらないという事情がございます。そういうことも含めまして、非常に大きな施設でもございますので、私どもといたしましては、今後、中部空港ができました後にも、ここの飛行場が使えるものであれば、引き続き使わせていただくのが最も適当ではないかというふうに思ってはおります。  ただ、そこの管理をどうするのかということでございますが、管理と申しましても、これはなかなか、はいそうですかと言ってすぐにお引き受けいたしますというようなものでは必ずしもないのだろうと思います。いろいろな問題が今後出てくるということも考えられますので、先ほど航空局長お話がございましたけれども、私どもといたしましても、運輸省等と、あるいは関係のところとよく協議して進めてまいりたい、どういうふうにするか決めてまいりたいというふうに考えております。  それから管制でございますが、これも一元的には恐らく運輸省の方で御検討なさるべき問題かと存じますけれども、仮に防衛庁の方で引き受けろというようなお話であるならば、引き受けられるのかどうか、またどういう手段があるのか、これもまた今後の検討ということになろうかと存じます。  最後に、周辺の騒音対策等についてお尋ねがございました。  これは現在、運輸省の方でかなりやっていただいておりますので、今後、その管理主体がどうなるかということに伴って整理されるべき問題であろうと思います。  現在のやり方でございますと、防衛庁管理のところは防衛庁がやる、運輸省管理のところは運輸省がやるというような仕分けが一応できておるわけでございますので、その辺を準用していくのかどうか、これもまた今後協議していくということになろうかと存じます。
  51. 草川昭三

    草川委員 時間が来ましたので、最後になりますが、大臣から、特にこれは、大臣も岐阜県の御出身でございますので、中部国際空港建設に当たり、促進方と、それから地元負担ということを極力少なくするような知恵を出していただきたいということを申し上げて、見解をお伺いしたい。それで終わりたいと思います。
  52. 藤井孝男

    藤井国務大臣 草川委員からの中部空港に対する大変な熱意というものは十分私も承知をいたし、また理解をしているところであります。  そこで、地元とのいろいろな調整というのはこれからさまざまな形で出てくると思います。また、地元に過度な負担がかからないように、国は国としての責任を果たしていきながら、地域、自治体、民間、それぞれの関係機関とよくその点を調整検討して、お互いの理解の中で、そしてまた、先ほど御質問にありましたように、二〇〇五年の愛知万博に間に合うように整備を進めていきたい、このように思っております、
  53. 草川昭三

    草川委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  54. 大野功統

    大野委員長 次に、今田保典君。
  55. 今田保典

    ○今田委員 私は新進党の今田保典でございます。  まず最初に、当委員会において、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について検討されておりますが、大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  56. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほどもたしか久野委員の御質問に答えたと思いますが、今般の、海運企業に対しての一方的、条約としても違反している、そうした制裁措置をとられたことは大変遺憾でございます。  今後ともその撤回について求めていくところでございますけれども、こうしたことが二度と起こらないように、また今後、日米間あるいは他の外国との関係でもそうでありますが、一方的な形で制裁が加えられるということはまことに遺憾なことであり、残念なことでありますから、そうした中で、やはり対等な話し合いの場というものを担保するためにも、今提案されようとしておりますこの対抗立法措置というのはぜひとも必要ではないかな、そのように思っております。     〔委員長退席、久野委員長代理着席〕
  57. 今田保典

    ○今田委員 ありがとうございました。  次に、私は、運輸事業関係する規制緩和問題についてお伺いをしたいわけであります。  とりわけ、バス、タクシーの規制緩和問題でありますが、この問題については現在、運輸政策審議会において具体的に検討されております。それを承知の上で、あえて運輸省の基本的な認識をお尋ねしたい、このように思っておるところでございます。  まず最初お尋ねしたいのは、政府規制の根拠についてであります。  昨今の規制緩和をめぐる動きを見ておりますと、あたかも規制緩和が善であり、それに反対するのは悪であるかのような風潮になっております。私は、こうした風潮に違和感を覚えるだけでなく、危険性さえも感じ取っております。このため、規制そのものについて、これを正しく理解しておくことが必要であろうというふうに思っております。  そこで、お尋ねしたいわけですが、これまで一般的に政府規制の根拠として、一つは自然独占、つは過当競争、一つは公共性の基本的な考え方、これを根拠とされてきたというふうに私は理解しておりますが、この政府規制の根拠については今後も変化はないというふうに思っておられるか、お聞きをしたいと思います。
  58. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えします。  運輸分野に係ります規制につきましては、御指摘のありましたように、自然独占、過当競争、公共性といった課題は、安全性の確保等と並びまして、いずれも大変重要な視点であると認識している次第でございます。一方で、経済社会の構造的な変化や国民ニーズの動向に対応いたしまして、規制のあり方を不断に見直していくことも重要な課題であると考えている次第でございます。  いずれにいたしましても、運輸行政の基本的な目標は、住みよい社会の形成、ゆとりある国民生活の実現を目指しまして、国民に安全、円滑かつ効率的な交通サービスの提供等を確保するということでありまして、このような観点から規制のあり方を考えていくことが必要であると考えております。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 今田保典

    ○今田委員 次に、同じ角度からの質問でございますが、自動車運送事業規制の根拠としては、政府規制の三根拠を細分化したものとして、一つは安全確保利用者保護、過当競争防止、事業の適正運営、さらに非常時の輸送力確保の五点、こういうふうに私は理解をしているところであります。  ところが、最近の需給調整規制の廃止をめぐる動きの中で聞こえてくるのは、安全確保利用者保護、この二つだけでありまして、過当競争の防止あるいは事業の適正運営、さらには非常時の輸送力確保などについては全然話題にのらない、こういうことでございますが、その必要性がなくなったのかどうかということ、それから、過当競争の防止はとりわけ重要な問題でございますので、この規制の根拠について、外されたのかどうかについてお伺いしたい。  さらにまた、五月二十八日に運輸委員会において私が運輸行政の基本姿勢をお尋ねしたところでありますが、当時の運輸政策局長は、事後的、補完的に交通市場に関与する行政手法に転換をした、こういうお答えをなされました。  そこで、改めてお尋ねしますが、自動車運送事業の規制の根拠についてどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
  60. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 今委員申されましたように、従来、自動車運送事業につきましては、道路運送法に基づきまして、安全の確保利用者の保護、過当競争の防止、事業の適正運営、非常時の輸送能力の確保の規制を行ってまいっております。  このたび、我が国の経済全体の活性化を図るという取り組みの中で、自動車運送事業の規制を見直しまして、競争の促進によりまして事業活性化して、事業者の創意工夫によってサービスを向上させ、多様化、効率化を図るということが適当とされた次第でございます。そのような考え方に基づきまして、自動車運送事業の需給調整規制については廃止するという方針が出されたわけでございます。  ただ、需給調整規制の廃止に際しましても、安全の確保利用者保護というのは、旅客の命を預かる自動車運送事業にとりましては特に重要な課題だと認識しているところでございます。このような課題をどのような手法で確保するかにつきましては、現在、運輸政策審議会において検討していただいているところでございます。  また、その他の課題、過当競争の防止、事業の適正運営、非常時における輸送能力の確保等につきましても、今後とも重要な課題だと認識しておるところでございますが、規制緩和が実施された場合にはどのように取り扱われるのが適当かということは、やはり運輸政策審議会において検討していただく必要があろうかと考えております。
  61. 今田保典

    ○今田委員 今ほど質問した件については、非常に重要な問題でございますので、慎重に扱っていただきたい、このようにお願いを申し上げたいのであります。  次に、公正競争ということについて大臣お尋ねをしたいわけでありますが、自由競争の促進による一層の効率化あるいは活性化ということについては、全く当然のことであります、私も異議はありません。しかし、すべての競争というものはルールがあってこそ競争が成り立つ、こういうことではないかと思います。自動車運送事業について、いつも問題になるのはこの点でございます。残念ながら、交通法規や労働法規、さらには規定運賃などを全く無視した競争が行われやすいのでございます。これは、車が一台ありさえすれば、だれでもすぐ仕事ができる、極めて参入をしやすいのであります。いわば自動車運送事業事業特性というものだと思っております。  こうしたことから、自動車運送事業における最低限の競争のルールを考えてみますと、その一つは、参入に当たっての条件であり、もう一つは、ルール違反者への対策ではないかというふうに思っております。参入条件と違反者対策が、公正競争を確保するために極めて重要な二本柱であろうかというふうに考えておるところであります。  そこで、お尋ねしたいわけでありますが、自動車運送事業関係者は、この規制緩和の動きをかたずをのんで見守っておるわけであります。そこで、運輸省は、この規制緩和において公正な競争は絶対に確保するということについて、ここで改めて決意を述べていただきたい、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 藤井孝男

    藤井国務大臣 ただいま今田委員のおっしゃられたとおりでございます。  運輸省といたしましても、この規制緩和というのは事業活性化、効率化ということを目的としておりますが、しかし、それが一方では、こういう規制緩和をいたしますと、よく言われますように光と影という部分がありまして、光の部分だけ見ていきますと、影の部分を置き忘れてしまう、そこが今委員がおっしゃられた大変重要な点だと思っております。  そういった意味から、やはり競争の促進というか、公正な競争と申しましょうか、それを進めていくためには、安全確保はもちろんしていかなければなりませんけれども、その安全確保の参入条件の整備やあるいは違反者対策というものをしっかりと講ずることによりまして、公正な競争というものを確保してまいる所存でございます。
  63. 今田保典

    ○今田委員 そこで、公正競争のためのルールといたしまして、参入に当たっての新しい条件を整備する必要があるかと思います。免許から許可へ変わりますので、新しい許可基準ということになるわけであります。  これまでの免許基準は、需給調整関係を除けば、事業計画と遂行能力及び公益性の三つの条件にしていました。しかし、この三つの条件は、需給調整条項の陰に隠れた形となっておりまして、事業計画を除けば必ずしも明確な基準ではなかったのではないかというふうに思います。事業の遂行能力と公益の必要性については、その判断基準も示されず、不透明な、行政の恣意的な基準となっておりました。そして、今回、そのかなめというべき需給調整の条項が廃止されるわけでありますが、これまでの免許基準を考えますと、新しい参入条件については、それこそ抜本的に考え直さなければならないのだろうというふうに思っています。  そこで、お尋ねしますが、新しい参入条件はどうあるべきかという考え方、そのポイントについてお答えをいただきたい、また、事業の遂行能力と公益の必要性という基準は今後も必要とお考えなのかどうかお聞かせをいただきたい、このように思っています。
  64. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 バス、タクシー事業の特性については、先ほど委員が御指摘されましたようなことでございます。  バス、タクシーの需給調整規制を廃止するといったときの今後の基準でございますが、まず、安全かつ安心な輸送ということが確保されるのが大前提であろうかと考えております。そうでございますので、規制を緩和いたしました後におきましても、参入時の条件、参入後のチェックということが大変重要だと考えております。  そこで、参入時の条件といたしましては、まず事業者が輸送の安全が維持できるということ、あるいは利用者の便益を確保することができるということにつきまして、十分な能力を有しているということが必要であろうかと考えております。その具体的な内容につきましては、今後のいろいろな考えがあろうかと思いますので、運輸政策審議会で検討を深めていただきたいと考えております。  また、先ほど明確性について御指摘がございましたが、その要件の内容につきましては、明確でわかりやすい基準によることがぜひ重要だと考えております。  さらに、事業遂行能力、公益の必要性といいました従来の参入基準についてでございますが、規制緩和後におきましては、どのような考え方でこの要件を取り扱うべきかということも運輸政策審議会で議論を進めていただきたいと考えております。
  65. 今田保典

    ○今田委員 今ほど申し上げました遂行能力というのが非常に、特にハイヤー関係、これが非常に問題なわけでございます。いろいろ地方では、この件については、もちろん都会でも起きているんだろうと思いますけれども、私は地方出身でございますので、地方の実態を申し上げますけれども、この遂行能力という件について、経営者は認識が非常に薄い、こういうふうに言わざるを得ないわけでありまして、その認識が薄いと、そこで働く労働者は、生活安定の観点からいいまして非常に不安であるということを言わざるを得ないわけでございます。この件についても慎重に取り扱っていただきたい、このように思っておりますし、さらに参入条件についても、やはりやるからには、そこで働く労働者のために一生懸命頑張るんだという気持ちを持って参入していただきたいというふうに希望を申し上げたい。このことについても、運輸政策審議会の中でいろいろ御検討されるだろうと思いますけれども、ぜひ慎重に、かつ具体的に検討していただきたい、このことをお願いを申し上げたいというふうに思っています。  次に、バス、タクシー運転者の資格要件のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  バス、タクシー運転者には二種免許が義務づけられております。この二種免許は昭和三十一、二年に制定され、以来四十年が経過いたしておるわけであります。この間、この二種免許の必要性効果などについてはほとんどこれまで議論されていなかったのではないかというふうに思っております。この二種免許は、一般的には職業資格免許のように受け取られがちですが、その一面はあるものの、実際には極めてあいまいなものであります。運転者の年齢と運転経験、それに運転技能の一定のレベルを定めていますので、上級運転者というふうに言ってもいいのではないかと思いますが、さらに効果としてはあるかと思いますけれども事業法的にはごくわずかに、ほんのわずかでありますが、旅客自動車の運転者の心得というものを示しているにすぎません。したがって、職業資格免許とみなされるようなものでは決してないというふうに私は理解をしております。  そこで、提案いたしたいわけでありますが、バスとタクシー、さらにはトラック運転者を含めた上級運転免許とは別に、事業法による適格性審査を基本にした職業資格制度を創設すべきではないかというふうに私は思っております。現在の二種免許についてどのように理解をされているのか、また、職業資格制度についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたい、このように思います。
  66. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 バス、タクシー運転手につきまして、今申されましたように、二種免許の取得を義務づけられております。一種免許と違いますのは、これも御指摘のとおりでございますが、免許の年齢、運転経験、求められる運転技能、さらには学科試験の一部に旅客自動車の運転手の心得ということが入っておりますが、基本的には運転技術を中心とした資格になっておるということは御指摘のとおりでございます。  バス、タクシーの運転手につきましては、輸送の安全の確保、安心して利用し得るかの観点から、その資質が大変重要だと思われます。今後競争促進が進みました場合でありましても、良質な運転手を確保するということが何よりも大事であろうかと思います。二種免許に加えまして、どのような対応措置が必要かという観点でございますが、バス、タクシー事業のそれぞれの特性がございますので、その特性を踏まえて考える必要があろうかと思いますが、委員の御提案の考え方も含めまして、良質な運転手の確保のためにどのような措置が必要かということを、今後運輸政策審議会で検討していただきたいと考えております。
  67. 今田保典

    ○今田委員 ぜひひとつ前向きに御検討いただきたい、このように思っています。  次に、ルール違反者への罰則強化というものについてお尋ねをしたいわけでありますが、これについては、公正競争の確保のためにルール違反者への対策が重要であるということを申し上げました。また、これからの運輸行政は、その基本を市場原理と自己責任原則とされております。この基本は私なりに受けとめているのでありますが、問題は、これらの基本を公正競争の確保のためどのように組み立てていくのかであります。  とりわけ自己責任原則はどのように具体的に担保していくのか。その意味で道路運送法を見てみますと、最高の罰則は無許可営業あるいは名義貸し、他人の事業経営などの一年以下の懲役、二百万円以下の罰金というふうになっております。率直に申し上げまして、この罰金は余りにも少ないというふうに私は思います。やはり、自己責任原則を具体的に担保する方法として、その一つに罰則の強化があるのではないかというふうに思っております。現在の罰則の水準について、懲役刑も強化の方向で見直すべきでありますが、罰金についても大幅に引き上げるべきだというふうに思っております。個人的な意見でございますが、現在の罰金を十倍ぐらいにというふうに思っておりますが、こうしたルール違反者の罰則強化について大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。
  68. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 まず、総論の部分でございますが、競争の促進によりまして、事業活性化、効率化を期待されておりますが、その際、市場原理、自己責任原則の確立が必要だというふうに考えております。そのための手法でございますが、罰則につきましては大変慎重な検討を要する事項であろうかと考えております。そのような観点で、今後必要な検討を進めていくというふうに、事務的には考えておるところでございます。
  69. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今自動車交通局長が答えたとおりでありますが、大変重要なことは、やはりルールを確立する、罰則を強化するということもこれは必要かと思いますが、そこはいろいろな慎重な検討をしなければならないと思います。そして、例えば罰則を強化いたすにしましても、ルールを遵守してもらうことが必要である、このためにどういう方策が適切なのか、今後とも、十分委員の御意見も留意しながら進めてまいりたいと思っております。
  70. 今田保典

    ○今田委員 次に、内部補助についてお伺いをしたい、このように思っています。  需給調整規制の関係についてでありますが、乗り合いバス事業は、御承知のように、内部補助によって経営が維持されております。これは、需給調整規制があろうがなかろうが関係なく、ネットワークを基本とするバス事業では当たり前のことであります。また、これは乗り合いバスやトラックの宅配便、定期航空といった交通関係だけではなく、手紙などの郵便事業、電話の通信事業、電気、ガス、水道事業など、ネットワークを基本とする事業は皆同じであるわけであります。  また、内部補助は、一面ではこれが経営そのものであると言われています。内部補助の行き過ぎは価格体系をゆがめるとして問題になっておりますが、大事な点は、その程度と、それをめぐる政策上の取り扱いではないかというふうに考えております。需給調整規制の廃止に伴って、内部補助をめぐる議論が行われておりますが、乗り合いバスを前提にした上で、内部補助そのものについて運輸省はどのようにお考えだろうか。また、私としては、運輸省は内部補助に対する交通政策上の見解を示すべきだというふうに思っておりますが、これについていかがなものでしょうか。
  71. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 乗り合いバスの実態につきましては、今御指摘ありましたように、黒字路線、赤字路線を両方抱えておりまして、それをネットワークで経営されているという実情にあるところでございます。  内部補助の議論でございますが、これまで黒字路線に対しまして他の事業者の参入をある程度規制するといった手法を通じまして、赤字路線に対する黒字路線からの内部補助の原資を確保するということ、さらには、一定の国、地方の公的補助を行うということで、バス路線のネットワークを維持してきたところでございます。こうした施策によりまして、地域住民の生活の足としてのバス路線網の確保が図られてきたわけでございますが、一方では、サービスの内容が固定化される傾向があるという面もございまして、バス事業活性化を阻害して、自家用自動車との競争に負けてきた面もあろうかと言われております。  今後乗り合いバスの需給調整規制を廃止した場合は、競争の促進によりまして、バスサービスの向上が図られることを期待するわけでございますが、その反面、今御指摘ありましたように、黒字路線への新規参入によりまして、既存事業者の経営が今以上に悪化いたしまして、内部補助で維持されている赤字路線からの撤退が予想されて、現行バス路線のネットワーク維持が困難になる可能性も心配されるところでございます。  そこで、需給調整規制が廃止された場合、どのような手法でバス路線を維持するかということは極めて重要な課題でございます。今後運輸政策審議会の議論でも中心的な課題になると考えておりますが、理論的な面では、内部補助の問題をどう扱うかということがその根っこにあるわけでございますので、今後検討をさらに深めていきたいと考えております。
  72. 今田保典

    ○今田委員 次にお伺いしたがったわけでありますが、既に今ほどお答えになられましたけれども、いわばクリームスキミングを許すのか許さないか、こういうことでございます。  需給調整規制の廃止に伴って参入と退出が自由になれば、当然のことながら、朝夕のもうかっているところにだけ参入をするということが考えられるわけであります。いわゆるクリームスキミングの状態が派生いたします。そういったことを許すならば、黒字路線をせいぜい一割から二割しか持っていないバス事業者が圧倒的に多いわけでございますので、そういったことのないようにしてもらわなければバス事業は成り立たない、このように思っておるところであります。しかし、そのことが競争の促進だということになるとすれば、利用者保護とか公共性とか、そういったものが全く関係のない世界になってしまうのではないかというふうに思っております。  そこで、このクリームスキミングについて、運輸省として今後新たな理論と手法を構築すべきではないかというふうに思っていますが、この件について改めてお伺いをしたいと思います。
  73. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 今申されましたように、特定の黒字路線への参入、クリームスキミングということでございますが、この問題は、従来の施策の観点からは、先ほど御議論ありました内部補助の問題と同程度、今後需給調整規制の廃止を進めていく上での重要かつ現実的な課題だというふうに考えております。  ある程度参入が緩和されると、サービスの向上が期待できるというメリットがあると思いますが、一方ネットワークの維持、安定的なバスサービスの確保に支障を生じるのではないかというデメリットも危惧されるところでございますので、具体的にどのような方向に行くのかということをよく考えていかなければいけないと思っております。今後、この点も含めまして、先ほどの内部補助の問題と同様、運輸政策審議会で議論を深めていただきまして結論を出していきたいと考えております。
  74. 今田保典

    ○今田委員 次に、生活路線の問題についてお伺いしたいわけでありますけれども、これまでにない多面的な検討が行われていることは、大変関係する皆さんに敬意を表したい、このように思っております。私としましても、かねてからいずれはこの件については抜本的に検討しなければならないというふうに思っておりました。  私の考えを申し上げますと、生活路線は、国としてシビルミニマムをつくる必要がある、このように思っております。このため、国としての理念や基準を明確にして、あらかじめ国民合意を取りつけておく必要があるのではないかというふうに思っています。そして、このシビルミニマムは、交通としての視点だけではなく、地域住民の福祉や文化としての視点も必要であろうというふうに考えております。したがって、必要とする財源についてももっと大きく、国民福祉という立場に立ってとらえるべきではないかというふうに思っております。生活路線の維持すべき範囲については、必要を満たす最小限にすべきでありますが、その判断は国の示した条件に基づく地域の決定にゆだねるべきだと考えております。また、サービス水準についても、シビルミニマムをもとにした地域の判断に任せるべきではないかというふうに思っております。  そこで、このシビルミニマムの確立について運輸省はどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  75. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 シビルミニマムというお言葉をお使いになりましたのですが、乗り合いバスは地域住民の、特に地方における地域住民の足を確保するという観点からは大変大きな役割を果たしておるところでございます。運輸省といたしましては、生活路線維持のために地方公共団体と協力いたしまして補助金を支出してその維持を図ってきたところでございます。  さて、今後生活路線のあり方を考えていく上で大事な論点は、どういう乗り合いバス路線をいわゆる生活路線として位置づけるのか、それはいかなる行政主体、国あるいは地方公共団体、県あるいは市町村というものが生活路線としてどういう基準で認定するのか、さらには、その維持に責任を持つ主体はだれであるべきかといった大変基本的な論点がこれから発生していくものと思っております。  その基本的な論点があるということを十分認識した上で、また運輸政策審議会で包括的な議論をしてもらっておりますし、地方のミニ運政審というような形で、地域の実情、事業の実態を十分聴取して考えていくという姿勢をとっておりますので、今後議論を深めていきたいと思っております。
  76. 今田保典

    ○今田委員 今ほどの問題については、各自治体によっても違うわけでありますけれども、厚生省から補助金をもらって福祉バス、あるいは自治省から補助金をもらっていろいろな形でバスを運行している。いろいろな省庁から補助金をもらってやっておる状況でございます。そんなことで、入り乱れている部分もあるわけでありまして、やはりこの点についてはしっかり国の方である程度の基本姿勢というものを示すべきではないかというふうに思っております。そんなことでいろいろ御検討いただければ大変ありがたい、このように思っております。  最後に、バス、タクシーの規制緩和についてでございますが、このスヶジュールについてであります。これについて、見切り発車はあるのかどうかということでお聞きをしたいというふうに思っております。  当然運輸政策審議会の中で検討しておるわけでありますけれども関係者には本件の重要性を十分に御認識をいただきまして、誠心誠意の御努力をお願いを申し上げたいというふうに思っておるわけでありますが、このスケジュールの見切り発車はあるのかどうかについて、一点お伺いをして、終わりたいと思います。
  77. 藤井孝男

    藤井国務大臣 お答えする前に、先ほど来今田委員お話を聞いておりますと、長い間交通会社の方に勤務されたそういった経験から、また山形県の実情を踏まえてのいろいろな御意見をお聞きいたしておりましたが、実は、私の選挙区は多分委員選挙区よりもっと山の中、私の選挙区は九割が山でございますから、先ほど来るる御質問生活路線のバスの問題等については私も全く同じ環境にあるわけですから、十分そういった点を踏まえていかなければならないと思っております。  そこで、ただいまの御質問でございますが、基本的にまずお答え申しますと、見切り発車することはいたしません。やはり今生活路線の維持、安全確保あるいは消費者保護等、そうした需給調整規制の廃止に伴いまして必要となる環境整備方策については、その事業の実態、地域の実情等を十分踏まえながら、ただいま運輸政策審議会で審議をしているところでございます。その答申を受けまして、必要な安全確保等の措置を講じた上で需給調整規制を廃止する方針でございます。
  78. 今田保典

    ○今田委員 今ほどの問題については、本当に関係する皆さんが毎日注目をしておられるわけでありますので、ぜひ慎重審議をお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  79. 大野功統

    大野委員長 次に、木村太郎君。
  80. 木村太郎

    木村(太)委員 限られた時間でありますが、大臣初め皆さん、よろしくお願いしたいと思います。  大臣初め運輸省の皆さんにおかれては、整備新幹線の件につきまして、検討委員会の場を初めいろいろなところで御努力されていること、まずは敬意を表し、また感謝も申し上げたいと思います。実は検討委員会と並行した形で、六党から成る協議会もあることは御承知かと思いますし、若輩でありますが、私もその一人に入らせていただきまして、六党派、いわゆる超党派の形での検討委員会との連携というか、あるいはまた検討委員会に対して我々の考え方をどのように伝えていくのか真剣に議論しながら、我々もまた努力をしているところでありまして、そういった意味でも大臣初め皆さんに敬意を表したい、こう思っております。私は、その新幹線について聞いてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず、先般一日の日、第八回目となる検討委員会が開催されました。ここでは、収支採算性など基本的条件を満たした線区については新規着工を認める、しかし集中改革期間、この期間の中では事業費は抑制していくんだ、こういう検討委員会としての方針を打ち出したのは御承知のとおりであります。  しかし、この方針について、マスコミ報道によりますと、十年度の新幹線にかかわる概算要求というものが千六百六十六億円、このうち公共事業関係費三百四十億円を五十億円程度減額する、こういう報道があったわけですが、いずれにしましても減額という方針というふうに我々も受けとめるわけですけれども、今までも言われてきましたいわゆる国鉄長期債務と、私自身もそう思うのですが、直接関係のない新幹線の予算が減額される方針というふうになったこと、これに対しての大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。
  81. 藤井孝男

    藤井国務大臣 国土の均衡ある発展という観点、あるいは地域活性化のために整備されていっております新幹線というものは、運輸政策上も大変重要な課題であると認識をいたしております。今木村委員の御質問にもありましたように、一方、長期国鉄債務、先ほども御答弁を申し上げたところでありますけれども、これももはや先送りできない課題であることも事実でございます。  そうした中で、財政構造改革、政府・与党で構成される財政構造改革会議の企画委員会において、この整備新幹線の取り扱いにつきましてもいろいろ問題の提起がなされたところであります。今委員おっしゃられましたように、先般、新規着工区間についての取り扱いについて方針が出されたところでございます。  私どもは、着実に整備新幹線推進していくという、整備を進めていくということは今でも変わっておりません。ただ、財政が非常に厳しい中でありますから、とりわけ政府といたしましては今後三年間が集中改革期間という中で、これは運輸省公共事業あるいは整備新幹線等々公共事業の予算に限らず、全省庁のそれぞれの公共事業が抑制されている中でありまして、そういった意味から我々といたしましては、厳しい財政状況の中でありますけれども、この方針を踏まえながら今後、これから予算編成に向けて、またこの事業確保につきまして十分調整を行っていきたい、このように考えております。
  82. 木村太郎

    木村(太)委員 大臣から御答弁あったとおり、整備していく方針は変わらないということでありますが、そのために、その建設費にかかわるJRの貸付料の算定について、私、若干質問してまいりたいと思います。  この貸付料については、五月の参議院の運輸委員会の方で、先輩であります泉信也委員質問に対しまして鉄道局長さんはこう答えています。貸付料というものは、建設主体である日本鉄道建設公団と、そして当該施設を借り受けるJRとの間のあくまでも民法上の契約に基づく収入であり、そして公団の自主財源でありますので、法律上の明確な規定は置いていない、置かなかった、こう言っております。さらに、各線区の収支改善効果を算定して受益の範囲を算定する、こう局長さんはお答えしております。  そこで、お伺いしたいことは、JRのその貸付料というもの、これが受益の範囲という前提でこれまで検討委員会の方でも項目にもなっておりますので、議論が進められてきておりますけれども、受益の範囲というこのこと、どこに根拠を置いて受益の範囲というふうに定めたのか、お答えをいただきたいと思います。
  83. 小幡政人

    ○小幡政府委員 貸付料につきましては、先生お話しのように、昨年末の政府・与党の申し合わせ、いわゆる「整備新幹線の取扱いについて」でございますが、この中でうたわれておるわけでございますけれども、その考え方は、民営化という国鉄改革の趣旨を踏まえましてJRの経営に悪影響を及ぼさないように、こういう趣旨で、新幹線の開業に伴って営業主体たるJRに生ずる受益の範囲を限度としてお願いしている、こういうことでございます。
  84. 木村太郎

    木村(太)委員 もちろん、JR、民間企業でありますので、そのとおりだと思います。そしてその貸付料、公団法を見ますと、これは運輸大臣の許可事項、こういうふうになっております。  長野の新幹線の例で教えてほしいのですけれども、年間の貸付料というのは幾らで、何年間払うことになって、そしてまた、この額というものは固定されているのかどうか、確認させてください。
  85. 小幡政人

    ○小幡政府委員 去る十月に開業いたしました北陸新幹線高崎−長野間の受益相当の貸付料の額は、年額で百七十五億円でございます。なお、JRはこのほかに、固定資産税とか建設公団の管理費等のいわゆる実費を負担していただいております。それで、この受益相当の貸付料につきましては、開業後三十年間定額でということで計算させていただいております。
  86. 木村太郎

    木村(太)委員 三十年ということでありますが、その三十年というのはなぜ三十年なのか、では、三十年過ぎた場合はどうなるのか、お答えいただければ……。
  87. 小幡政人

    ○小幡政府委員 貸付料の設定時に期間を三十年とさせていただいておりますけれども、これは新幹線鉄道施設の平均的な耐用年数が約三十年程度でございます。これを考慮して設定させていただいておるわけでございます。  なお、三十年経過後の貸付料の具体的な額につきましては、新幹線鉄道施設の老朽化の度合い等を勘案いたしまして、開業後三十年経過を迎えるような時点において改めて設定させていただくというふうに考えております。
  88. 木村太郎

    木村(太)委員 施設の耐用年数、一つ一つ見れば、例えば線路あるいはまた車両等、差がかなりあると思います。それを平均して三十年というふうに私は今理解したわけですけれども、では、その三十年過ぎたらもう一回、そのとき見直ししましょうというふうに今受け取りましたが、そこで私、ごく自然に思い、また心配する点があるわけです。  というのは、先ほど言ったように受益の範囲内でJRが貸付料を支払う。これは、あくまでも民法上契約の額があって、そして三十年間固定化ということを、今御答弁もありましたけれども、しかし、三十年間を通じてその受益よりも多くなる場合もあるだろうし、少なくなることも一方では逆にあると思うのですね。いわゆる毎年毎年というか、やはりいつも同じというふうには私は理解していないわけです。そういうことを考えるのは当然、私だけではないと思うのです。そのときにどうなるのか、そういうことが考えられることに対してどう思っているのかということを私は思うわけですよ。その貸付料というのが三十年間固定化されると、最初見積もったことよりも多くなったり少なくなったり、逆になることもあるわけですけれども、それは、では、受益の範囲内ということが言えなくなることも場合によってはあるのじゃないかな、こう思います、受益の範囲内というのは、私は認識として受益分とほぼ同じというふうに認識しています。  ですので、私は、例えば新幹線だけでなくて、我々の社会通念上いろいろな契約を結ぶときに、いわゆる何年かに一回見直しする精算方式というような考え方、これの方が妥当ではないかなというふうにも思うわけですが、この点についていかがでしょうか。
  89. 小幡政人

    ○小幡政府委員 お答え申し上げます。  今の先生の御質問の趣旨は、いわゆる定額制ということで、予測によって前もって決めておくという問題点と、それから定額で途中で変更というものがあるのか、こういう御質問かと思います。  それで、我々、実は定額制をとらせていただいておりますけれども、その理由からちょっと御説明させていただきたいと思います。これは先ほど先生の御指摘にもございましたように、JRからの貸付料等の公団の収入は、全国新幹線鉄道整備法の規定によりまして、整備新幹線建設費に実は充当されるということになるわけでございます。したがいまして、整備新幹線建設事業計画的に遂行するためには、公団の建設財源を長期かつ安定的に確保するという必要性がございます。そのためには、貸付料収入も長期的かつ安定的に徴収できる制度であるということが望ましいという面がございます。  また一方、貸付料を支払いますJR等の会社側にいたしましても計画的かつ長期的な経営見通しが立てられるということも勘案いたしまして、JRからの貸付料というものにつきまして、定額として徴収することが適当だということで実はスタートさせていただいているわけでございます。  そういうことの中で、我々としては、貸付料算定に当たりましては、先生お話しのように将来を見通すわけでございますので、例えば現在の輸送量とか時間短縮効果とか、あるいはその運賃・料金、高速道路等の整備状況等々を総合的に勘案して、我々としては精度の高い予想を行っているつもりではございますけれどもお話しのように貸付料の算定時と大分事情が違っていた、例えば想定し得なかったような情勢になったというようなことによって大幅な受益の変動が生じるというようなことも、これはないとは言えないわけでございますが、そういう場合には、それは事情変更によりまして、見直しということは当然対象になるというふうに考えておるわけでございます。
  90. 木村太郎

    木村(太)委員 大きな動きがないとは言えない。三十年間のうちに我が国の情勢がいろいろな面でどうなるか、それはわからないことなんですね。だとすれば、長野の場合はもう既に百七十五億プラスアルファという契約をしているわけですね、あくまでも民法上だと。では、その契約書みたいなものの中に、今答弁があったそういうことが載っているかどうか。ぜひ大臣初め局長さんに御検討いただきたいのですけれども、今後新しく整備されていくものに対しては精算方式ということも、一つの心構えというか、検討すべき一つの要素として私はきちっと対応すべきだと思いますが、そのことはどうですか。
  91. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先ほど私の方から申し上げました、御説明させていただきましたスキームによりまして、実は初めてのケースとしてこの十月に高崎−長野間がスタートしたわけでございまして、これの推移を実は見させていただきながら、検討させていただきたいというふうに考えております。
  92. 木村太郎

    木村(太)委員 長野の場合は開業して間もないから、今の御答弁を否定はしません。しかし、私、繰り返しますけれども、精算方式ということもいかがなものかということを、やはり運輸省サイドとしてきちっと心の中に置いて、今後の対応をする姿勢はぜひ持っていただきたいな、こう思います。  というのは、一番聞きたいことは、いわゆる貸付料の額によって建設の負担の問題が、負担の問題というのは、国にとっても、そしてまた地域にとってもまた違ってくることが十二分に考えられるのですね。そうしますと、場合によっては、プラス、マイナスあります、両方の考え方があります、予測がありますけれども地域の負担の割合というものも何か大きくなるようなことも考えられないわけじゃない。ですので、この整備新幹線、もちろん皆さんは皆さんで一生懸命、そして地域地域で、財政的にも厳しい中でも、みんなで一緒にやろうということで頑張っておるわけですね。ですので、このことを私は最も心配するわけですね。  多分、前の白川自治大臣も、自治大臣としての地方を思うことで、私が心配するようなことも踏まえての発言がたしかあったことも、私は記憶しております。ですので、この貸付料を算定をする、長野の場合はもう既に決まっておるわけですけれども、あくまでも公団とJRとの契約でしょうけれども、オープンな形で、国民あるいはまた地域がわかる、そういった中での算定の仕方、あるいはまた、その算定の根拠はどこにあるのかということを技術的な面で明らかにしながら進めることが、私はいわゆる受益の範囲というものをもっともっと明確にする手段だと思いますので、そのことについていま一度御認識いただければ……。
  93. 小幡政人

    ○小幡政府委員 先生指摘のとおり、我々としても、この新幹線整備が世の中に情報公開された中で議論され、適正に決まっていくということが必要と考えております。  そういう観点から、実は、これからの新着工区間等の議論を政府一与党から成る検討委員会で御議論いただいておるわけですが、そこの議論につきましては、できるだけそこで提供されました資料等々につきまして、あるいは議論の内容については公開していくという原則のもとで検討させていただいておるわけでございます。現にその意味で、一番かなめになる需要予測につきましては、運輸省の需要予測も提案させていただき、また地方公共団体の需要予測も、また関係のあるJR各社の需要予測もオープンな形で出させていただいて、議論を展開しておるということでございまして、そういうことで、引き続きオープンな形での議論が進められるように我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。
  94. 木村太郎

    木村(太)委員 そのとおりでやってほしいわけですが、ただ、先ほど答弁があった長野の場合の百七十五億という額も、私は余り、どういうあれでそうなっていったのかというのはわからないですね。ですので、今後に対しての皆さんの御努力をひとつお願いしたい。  先ほども言った泉先輩が委員会の中で、貸付料というのはもう一つの別の財布があると、しかし、これは法的な位置づけがないんだ、国民に対して明確な資料、例えばその算定の資料とか、こういうことがなかなか明らかに開示されていない。そういう姿で、この建設費の負担割合、先ほども言った地域にとっての負担もどうなっていくのかということが何か公団とJRの間で決まっていく、こういうふうに泉先輩も主張しているわけですね。  ですので、せっかくみんなで頑張ろうという姿勢で取り組んでいることが、ある面では、一方で地域にとって負担がふえていくのではないかなと、一つの心配を持ちながらも前に進まなければならないというような、そういったことも否定できないと思うので、こういうことに対して、皆さんの御努力をお願いしたい、こう思っております。  時間が来ましたので、最後に大臣に御答弁いただきたいのですけれども、大変厳しい状況が続いている、私はそう思っていますけれども、いわゆる政府としての考え方、公共事業の七%カットという基本的姿勢をもって財政再建にもこれから向かうということでありますが、その考え方に照らし合わせたときに、先ほど冒頭で言いました、報道によればですけれども、三百四十億円のうちの五十億円を減額する。  それで、計算機で計算してみますと、その三百四十億円の五十億円というのは一四・七%という数字になります。一四・七%カットされるということになるのですね。もしそのとおりになるとすれば、財政構造改革の考え方の中で、整備新幹線については特に標的にされてしまうというふうに認識を持つことも否定できないと思うのですね。ですので、私はそのことを危惧いたしておりますけれども大臣は、私の指摘したこと、同じ認識を持っておられるのかどうか。  また、私が今危惧した点、このことを踏まえて、時間的にもぎりぎりになってきました、今後、検討委員会やあるいはまた企画委員会の方へ大臣考え方をどのように伝えながら、結論を出して、予算編成等に向かっていくつもりなのか、その決意を最後にお伺いさせてください。
  95. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほども御答弁申し上げたとおりでございまして、政府・与党整備新幹線検討委員会の方針が先般出たところでございます。したがいまして、この方針に従いまして、私どもは大変今厳しい状況に置かれておりますけれども、これから年末にかけての予算編成過程におきまして、所要の調整を行い、そして予算の確保に向けて頑張っていきたい、このように思っております。
  96. 木村太郎

    木村(太)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
  97. 大野功統

    大野委員長 午後一時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  98. 久野統一郎

    久野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細川律夫君。
  99. 細川律夫

    ○細川(律)委員 民主党の細川でございます。  私は、まず最初に、本日のこの委員会の総意で提案をされる予定になっておりますいわゆる対抗立法に関連をいたしました問題で、二、三、大臣にもお伺いをしておきたいと思います。  聞くところによりますと、あるいは新聞報道、マスコミの報道によりますと、本年の二月の二十六日、アメリカの連邦海事委員会FMCが対日制裁を発表いたしました。そして、九月の四日、日本海運三社に対して課徴金を課すという制裁措置をとりました。十月の十七日の日米合意以後、制裁金の賦課というものは回避をされまして、しかし、十一月の十四日ですか、日米間での書簡の交換が行われているにもかかわらず、その日にアメリカの制裁無期限の停止というだけになっただけでありまして、制裁の撤回はしないということで発表されたまま現在に至っているところでございます。  内容については私も賛成でありますから、この委員会の総意でこの法案が提案をされることについては異論はないわけでありますけれども、しかし、これまで運輸省は一体どういうことをしてきたのか。本来ならば運輸省の方でこの対抗措置の法案をつくって閣法として提案をすべきではなかったのか、それは、これまで、制裁決定の二月の時点、あるいはまた制裁が開始をされました九月の時点、こういう時点にもうきちっと運輸省の方でこの対抗法案をおつくりになって閣法として出されるべきではなかったのか、私はそう思うところでございます。  もう日にちがないということで、国会の方で、委員会の総意として今回は提案をいたしますけれども、本来ならば運輸省の方でこれは出すべきだったと思うのですけれども、なぜそういうことをなされなかったのか、この点についてまずお伺いをいたします。
  100. 藤井孝男

    藤井国務大臣 御指摘のように、本年二月二十六日に米国連邦海事委員会、いわゆるFMCは、日本船三社に対しまして制裁を行う旨を公表いたしたわけでございます。これに対しまして、我が国政府といたしましては、一方で制裁の不当性を主張するとともに、制裁の実施を回避すべく努力をしてきたところでございます。  制裁の理由となりました港運問題の解決に全力を尽くすことといたしまして、港運会社を含む関係者との間で調整を精力的に行ってきたわけでございます。  具体的に申し上げますと、四月に政府間での中間合意をするとともに、七月以降、三回にわたりまして、運輸省調停案を示すなど、あくまで話し合いによる平和的解決を追求してきたところでございます。かかる努力によりまして、十月二十日には港運問題についての意味のある改善等についての政府間での実質合意ができたわけでございますが、今委員指摘のとおり、なぜその間、対抗立法と申しましょうか、そういうものを提出できなかったのかということでありますが、私どもは、平和的解決ということを前提に話し合いを進めている中で、ざっくばらんに言うと、一方でピストルを撃つというようなことは適切ではない、こういう判断で対抗立法措置を求めなかったわけでございます。しかし、委員指摘のとおり、それが甘かったと言われれば、結果論からいってそういうこともあったのかなと思います。  したがいまして、午前中の答弁で申し上げましたように、米国に対しまして、この制裁そのものが日米友好通商航海条約に違反しているものでありますから、その点について完全撤回に向けて今求めているところでございます。そういう中で今日に至っておりまして、今委員お話にありましたように、本委員会におきまして総意において対抗立法をというお話がございまして、そのことにつきましては、私どもも時宜を得たものと大変評価をさせていただくと同時に、やはりこうした交渉事をする場合には対等な立場で交渉できる、そういう場が必要であるという中で、この対抗立法はぜひとも必要であるというふうに判断をいたしております。
  101. 細川律夫

    ○細川(律)委員 私は、今回の対抗立法、これが成立をするというだけでこの問題が解決をしていくというふうには思われません。このアメリカの制裁措置を完全撤回をさせるには、その前にまたいろいろなやらなければいけないこともあろうというふうに思います。それは、十月に合意した内容を現実化といいますか具体化させることだろうというふうに思います。  そういう意味で、事前協議の中におきます重要事項の絞り込みなどの事前調整の簡素化あるいは労使の協定の変更とか、これは港湾労組も含んだ形でいろいろと進めていかなければいけないと思いますけれども、こういう交渉というものは具体的にどのように進んでおるのか。これが私は大変大事だというふうに思いますけれども、この点について、経過と、それから具体的に今後どういうふうに進めていくのか、お答えいただきたいと思います。
  102. 岩村敬

    ○岩村政府委員 先生今御指摘のとおり、十月二十日に日米の政府間で、港運問題について改善をするという実質合意をいたしました。その後、十月二十八日に、現在行われております事前協議制のやり方、すなわち二者二者協議と呼んでおりますが、この改善について、運輸省、そして日本港運協会、日本船社に外国船社の四者で、対象案件の絞り込みということによる事前協議の簡素化、さらには手続の透明性の確保といったことについて、関係当事者で合意をしたところでございます。また、十月三十日に、現在行っておりますこの二者二者協議にかわる別方式について、運輸省そして日本船社、外国船社の三者でその設定、実施についての合意をいたしたところでございます。当然のことながら、この問題につきましては、我々、労使問題不介入という政府の立場がございますので、その原則のもとで政府として必要な支援を行う、そういう意味の合意をいたしたところでございます。  それで、この合意を実施するに当たりまして、例えば協議の対象案件を絞り込むような話、これについては、ベースになっておりますのは労使協定でございますので、労使協定の改定が必要となるわけでございます。こういったものについては、この合意の中で労使協定が改定されて初めてこの合意が実施されるということになるわけでございますが、この労使協定の改定につきましては、これも御承知のように、まさに労使が自発的に決めていくことでございまして、我々がいつまでにということではございませんが、関係者から聞くところによりますと、現時点でまだ労使協定の改定は行われていないという状況にあるというふうに承知をいたしております。  また、現行の二者二者協議方式改善につきましては、労使協定に絡まない問題がございます。例えば手続の透明化、さらには、紛争が生じた場合に運輸省が仲裁者として処理をするというような事項がございますが、こういったものについては、先ほど申し上げた十月の終わりにおきます合意の時点で、既に実施に移されておるところでございます。そういう意味で、これまでにお約束したことの運用については、今着実に進んでおるというふうに我々理解をしております。  また、新免の問題でございますが、これについては、米国船社の弁護士の方からお問い合わせがございますが、具体的に申請は現時点では出ておりません。  以上でございます。
  103. 細川律夫

    ○細川(律)委員 いずれにしましても、今後、このアメリカの制裁措置の完全撤回に進むような形、そしてまた、日本の方では対抗立法を使うことがないような形でこの日米関係の問題を処理していかれるように、ひとつ御努力のほどよろしくお願いをしたいと思います。  次に、今京都の方では、気候変動枠組条約の第三回締約国会議、いわゆる温暖化防止京都会議が行われておりまして、地球温暖化の防止をするための方策がいろいろと議論がされているのは御承知のとおりでございます。このまま地球の温暖化が進めば、海面の上昇によります砂浜の消滅あるいは水害の多発、気候異変、農作物の減収、そういうあらゆるところでのはかり知れないような影響が出てくるのは御承知のとおりでございます。我が国におきましても、政府はもちろんのことでありますけれども、国民も企業も、CO2などの温室効果ガスの削減に向けまして今後真剣に取り組んでいかなければならないというふうに思います。  そこで、このCO2の排出量の全体の二〇%を占めておりますのが運輸部門でございます。したがって、既に議論がなされまして、運輸省を初めとする省庁間でも一定の削減方針が提示をされているところでもございます。その中身を見ますと、運輸省の方では、一つには自動車などのエネルギー効率の向上、二つ目として物流の効率化及び公共交通機関利用促進、三番目として交通対策の推進ということになっております。ここで、特に二つ目の物流の効率化と公共交通機関利用促進についてお伺いをいたしたいと思います。  運輸省の方では、物流効率化を図るということで、四つばかり挙げております。モーダルシフトの推進とかあるいは港湾整備、そしてトラックの積載効率の向上、大型トラックのトレーラー化、車両の大型化、こういうようなことが挙げられております。このことによってCO2の削減を実現をしたい、こういうことでありますけれども、こういう問題はこれまでにもずっと運輸省が取り組んできた事柄ばかりなわけですけれども、それにもかかわらず、トラック輸送というのは今ふえているわけなのですね。  では、今までとどういう違った方法で今度こういう施策をとるのか、運輸省の方針を聞かせていただきたいと思います。
  104. 和田敬司

    ○和田政府委員 お答えいたします。  地球温暖化対策として、特に物流関係で、御指摘のありましたように、モーダルシフト及びトラックの積載効率の向上ということが非常に重要な課題であると、従来から認識しているところでございます。  運輸省といたしましては、モーダルシフトの受け皿となります鉄道海運の輸送力増強のために、これまでも、東海道線における輸送力増強に必要なインフラ整備に対する運輸施設整備事業団からの無利子貸し付け、運輸施設整備事業団による内航コンテナ船、内航ローロー船等の整備、複合一貫輸送に対応いたしました内貿ターミナルの拠点的な整備、複合一貫輸送施設、機器の整備に対しまして財政投融資による支援、これらの措置を推進してきたところでございますが、これらの措置に加えまして、さらに貨物鉄道整備に対しまして、既存の補助制度を活用いたしますことによりまして、鉄道貨物のインフラ整備促進を図るとともに、鉄道貨物ターミナル港湾等へのアクセス道路整備につきましても、建設省と連携いたしまして推進していくこととしております。  さらに、トラックの積載効率でございますが、近年、ほぼ横ばいで推移しているところでございまして、このため、運輸省といたしましては、トラックの積載効率を引き上げますように、自家用トラックから積載効率の高い営業用トラックヘの利用の転換を進めますとともに、市街地における共同集配や幹線輸送における共国運行を推進しているところでございます。  さらに、関係省庁とも連携の上、ITS等による情報化の推進、過度にリードタイムの短い発注等の社会的に非効率な商慣行の改善等を推進していく所存でございます。
  105. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今説明を受けましたけれども、そういうことは今までずっとやってきたことじゃないですか。そして、こういうことは進めます、進めますと、こう運輸省はずっと言われてきた。私が質問したのは、今までと違ったどういうことをやるのかということをお聞きしたわけなのですけれども、そういう点については余り明確なあれがなかったわけですが、この問題は、今後大変大事な問題として取り組んでいかなければならない。これは、運輸省だけではなくて国民も取り組まなければいけない問題だと思いますので、もう少し具体的に、今までと変わった形のどういうものをやるか、ひとつ検討もしていただきたいと思います。  次に、公共交通利用促進というようなことも運輸省の方では言われておりますけれども、しかし、公共交通利用といいましても、実際には鉄道などの新線の建設というのはなかなか難しい。それから、バスを中心とした都市交通体系の形成、これについても、乗り合いバスについてはもう年々乗客が減っているという状況でございます。そういう中で、バス事業活性化というようなこと、これについて、一体どういうような、予算措置をとるなど、今後されていくのか、そこのあたり、どういうふうにお考えでしょうか。
  106. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 バス利用でございますが、CO2対策が昨今言われておりますが、バス利用は、道路混雑の解消あるいは交通弱者の足の確保、さらに環境問題の解決には役立つというふうには考えておりますが、具体的にどのようにするかなかなか難しい課題を抱えておる実情にあることは、今御指摘のとおりでございます。  バスの利用促進を通じて環境問題に対応するという基本的な姿勢は今後とも強化していきたいと思いますが、具体的に幾つか考えられますが、まず、バスの走行環境改善、走りやすくするということでございます。道路管理者、警察と連携をとって、バス優先レーンの設置あるいは駐車違反の取り締まりというような交通環境整備お願いしております。さらに、環境対策の直接の対策といたしまして、低公害バスの導入ということを補助金によってさらに充実していきたいと思っております。  さらに、近年、地方公共団体の中に、町の交通機関としてより大きく位置づけようという公共団体、市町村があらわれてきておられます。運輸省といたしましては、このような地方公共団体、市が中心になると思いますが、連携して、積極的な支援をしていきたいと考えております。バスを活用した町づくりという、オムニバスタウン構想と呼んでおりますが、運輸省といたしましては、今申し上げました、建設省、警察庁、地方公共団体と連携をとって、補助金を充実させてその計画を進めていく。バスが利用されますと、中心市街地の活性化にも役立つ面があろうと思っておりますので、環境対策にも資するという点は今後十分認識して、より一層積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  107. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、二つばかりお聞きをして、聞いていましても、これはCO2の削減になるとはなかなか私には思えません。積極的な政策の転換というのも、そういう兆しも見られません。大変残念でありますけれども、本当にCO、削減の基準が達成されるのかどうなのか。今までも同様な政策を運輸省の方は掲げてこられながら、九〇年から九五年にかけて運輸部門の全体で二八%も伸びているわけなんです。  運輸省が提示をした案によれば、運輸部門については、九六年との比較でいわゆる二〇一〇年には一%削減を予定しておりますけれども、これもまた実現性には大変乏しいと言わざるを得ないというふうに言えます。それでも九〇年からすれば一七%はふえるというようなことになっているわけなんでありますから、そういう数字すら達成をできないということになれば、私は、最後には自動車の総量規制というようなことも考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。既に、オランダを初めといたしましてヨーロッパの各国では、都市部への車の乗り入れなんかを規制をしているわけでございます。  環境の保全ということを真剣に考えていけば、行き着くところは、現在の大量消費のライフスタイルの反省につながっていくだろうというふうに私は思っております。そういう意味でも、車社会そのものの自制とかあるいは抑制ということが私は大事じゃないかというふうに思いますけれども、そういう点、大臣はどういうふうにお考えになっているのか、ひとつよろしく所信をお述べいただきたいと思います。
  108. 藤井孝男

    藤井国務大臣 率直に申し上げますが、これは大変大事なことでありますけれども、また一方で大変難しい問題である。先ほど来自動車交通局長も答弁いたしておりますとおり、公共輸送機関の充実、利便性を上げていくということ、特に鉄道なんかはその中心になるのではないか。また、低公害バス等も開発していかなければならない。しかし、今委員のおっしゃられるように、それではとても間に合わないのではないかということも、私ども十分理解をいたしております。  そういう中で、究極的には総量規制しかないのではないかということですが、今申し上げたようなさまざまな取り組みをしていく中で、このCO2の抑制に努力していきたいと思っておりますが、最終的にはやはり国民の皆様方に御理解をいただかなければならないのではないか。そしてまた、御理解を得るために、我々運輸省といたしましても、どういう施策を講じ、そして訴えていき、御理解を得ていくか。今御質問にもありましたように、オランダ初め外国の一部でもそうしたことを実行している。これは参考にしなければなりませんけれども、それをそのまま我が国へと当てはめたときに、果たして技術的な問題、理解等々、いろいろな難しい問題点があろうかと思います。  また、私のことを申し上げて恐縮ですが、私の地元は、やはり鉄道網整備というのは都会に比べてはほとんどございませんが、一家に車が何台という状況で、まさに岐阜県は車社会のところです。そういったところで総量規制ということを例えば想定した場合に、では、自分たちの生活手段としての輸送機関を充実してくれるのかどうか、鉄道を敷いてくれるのかどうか、生活バス路線を充実させてくれるのかどうか、こういった問題等々とりましても、山間地、地方におきましてもそういった問題がありますように、都市部においてもさまざまな課題がある。  いずれにいたしましても、先ほど来申し上げたことを含めながら、これからいろいろな意味で抑制に努力していく、削減に努力していく中で、国民の皆さん方の御理解をいただき、また細川委員を初め先生方のいろいろな御指導をいただきたい、このように思っております。
  109. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大変難しい問題ではありますけれども、しかし、地球環境というのは、我々の世代だけではなくて、我々の後々の世代に受け継いでいかなければいけない大変大事な問題であろうかと思います。そういう意味で、全体の二〇%というCO2を出している運輸部門でありますから、知恵を出し合いながら、あるいはまた国民も痛みを分かち合いながら、ぜひこの目標達成に向けて御努力もひとつよろしくお願いをしたいというふうに思います。  それで、次に、埼玉県の嵐山町というところで起こった事件に関連してお伺いをいたします。  九月の八日でありますけれども、渋谷さんという女性の町会議員の方が二人組の男に金属バットのようなもので襲われた事件がございました。全治二週間のけがということで、大変な事件でございました。この町会議員の方は、競艇の場外舟券売り場、いわゆるポートピアの設置に反対をしてきたために、この設置を急ぐ業者の関係者によって起こされた犯罪ではないかというふうに推定をされておりますけれども、いまだ犯人は検挙されていないのであります。この事件の捜査の状況はどのようになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  110. 松尾好將

    ○松尾説明員 お尋ねの事件につきましては、ただいま御紹介ありましたとおり、ことしの九月八日の午後八時過ぎに、嵐山町の町議会議員の女性が、自宅を訪れました二人組の男から鉄棒様の物で両下肢等を殴打されまして全治二週間の負傷をしたという事件であります。  埼玉県警におきましては、町議会議員を襲撃した極めて悪質な重大事件というふうに認識をいたしまして、即日警察本部と所轄警察署による特別捜査班を設置をいたしまして、現場付近の聞き込みですとか、関係者からの事情聴取あるいは各種鑑識活動等を行いますとともに、嵐山町の町政をめぐる諸問題等も含め、あらゆる可能性を視野に入れた捜査を現在鋭意推進中であります。
  111. 細川律夫

    ○細川(律)委員 暴力によりまして言論を封じ込めようということは、断じて許してはならないと思います。ぜひ犯人を早く検挙いたしまして、二度とこのような事件が起こらないように、ひとつ鋭意捜査に頑張っていただきたいと思います。  そこで、ポートピア計画についてお聞きをいたしますけれども、全国のあちこちで場外舟券売り場の建設のために地元とのあつれきが生じているというふうに聞いております。民間の業者がかなり無理をして住民の合意をとろうというようなことをしているようでありまして、この点に大変大きな問題がありそうでございます。  そもそもこのポートピア計画というものはどういうもので、どういう手順で場外舟券の売り場ができるのか、ひとつ説明お願いをいたします。
  112. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 場外舟券売り場の建設をいたそうとする場合でございますが、まず候補地の選定、それに続きましてその候補地での採算性あるいは既存の施設との商圏競合等というようなことにつきまして、これはモーターボート競走会の全国団体それから施行者の全国団体とで組織いたしておりますポートピア推進本部というのがございますが、そこが調整を行いつつ、計画の策定それから地元との調整、それを経まして管轄警察との調整、それで最後に建物の建設に入り、それから設置の確認申請というのが私ども運輸省の方に出てまいります。その設置を確認した後、舟券の発売、こういった手順で進められてまいります。
  113. 細川律夫

    ○細川(律)委員 地元調整というのは、どういうことがありますか。
  114. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 お答えいたします。  地元調整でございますが、地元への説明から始まりまして、その同意を取得して、さらに県の開発許可を取得するといったようなことがその内容でございます。
  115. 細川律夫

    ○細川(律)委員 地元の同意ということにつきましては、自治体の首長あるいは議会、また地元自治会の同意が必要だというふうに聞いております。  問題は、地元の同意を得るということで、業者が強引に建設を進めようということで、同意をとるために、例えば先ほど申し上げました嵐山町、そしてまた近く設置の動きがある岡部町というようなところで、脅迫とかあるいは買収などによる、そういうことで同意をとろうということが相次いでいるようでございます。せんだっても、岡部町や近隣の人たち運輸省の方にもいろいろ反対の要請に行って、そういう事実も申し上げたようでございますけれども、例えば、反対をしている人に対して、車のタイヤを何回もパンクをさせたり、二十万円やるから反対をするなとか、あるいは脅迫の電話をするとか、あの手この手のあらゆる手を使って違法、不当なことが行われているというように聞いております。  そういうことを考えますと、仮に地元の同意という文書があったとしても、その同意をとった経過を調査をして、買収とか脅迫あるいは極端な場合暴行というような、そういう場合があったならば、私はもう同意と認めるべきではないというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。     〔久野委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 藤井孝男

    藤井国務大臣 委員おっしゃられましたとおり、地元住民の同意取得につきまして、買収、脅迫あるいは暴行等の違反行為によって行われたということが事実明らかになった場合には同意とは認められません。
  117. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大臣の方からはっきりとそのようにお答えをいただきました。  それで、次にお伺いいたしますけれども運輸省の方では、モーターボート競走法施行規則というものに基づきまして、場外舟券売り場の設置に対して、現在はそういう建物が建築をされた後に確認を申請をさせているということでございます。これでは、そういう舟券売り場を建築をした後で確認の申請があったとするならば、これはもう少々の違法性があるようなことなどについてはあるいは許容せざるを得ないような、そういう場合にも私はなるのではないかというふうにも思います。  本来、ギャンブルというものは刑法では処罰されるということになっておりまして、違法性を法律によって合法化しているわけでありますから、当然運輸省の強い関与があってしかるべきだというふうに思います。事実、他の公営競技では建築前に申請をしなければならないというふうに私の方では聞いているところでございます。  運輸省として、住民の同意等につきまして厳正に精査するためには、施行規則八条の解釈を変えるか、あるいは施行規則八条の条文をつくりかえるかいたしまして、この場外発売場の建築の前に確認を受けるようにすべきだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
  118. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 現在、確認の時期につきましては、建物の完成後、営業開始前という運用をいたしておりますが、これは、決して各種基準に外れたものの存在を認めない、こういう趣旨から行っておるものでございます。しかしながら、施行者は確認申請の前段階から当局に相談をしておりまして、行政指導ベースでは適宜関与してまいっております。  これに対しまして、確認の時期を建物の建設着工前とすることにつきましては、正規の行政の関与が早まるということによりまして、その分一層の適正化が期待し得るということでございますので、その方向で措置することといたす所存でございます。
  119. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございます。ぜひそういうことでよろしくお願いをいたしたいと思います。悪質な業者というものもそれによって追放もできると思いますし、ぜひ厳正な指導を行っていただきたいというふうに思いますが、大体いつからそれをやっていただけるか。
  120. 山本孝

    ○山本(孝)政府委員 できるだけ早くということになりますが、一つだけ先生に若干、大したお時間ではございません、いただきたいのは、やはりそれなりの経緯があって動いている部分もございまして、その経過措置的な手当ても中には必要になります。その部分は御猶予願いたいのですが、できるだけ早くやる所存でございます。
  121. 細川律夫

    ○細川(律)委員 ありがとうございました。  次に、航空機事故についてお伺いをしたいと思います。  先日、昨年の六月十三日に福岡空港で起こりましたガルーダ・インドネシア航空機にかかわる事故調査の報告が公表をされまして、インドネシア航空当局に対しましては安全勧告がなされました。また、運輸大臣に対しては建議が出されたところでございます。大変詳しい報告書でありまして、これに関係をされました各位の皆さんに敬意を表したいと思います。  そこで、航空事故調査委員会が出されましたこの建議の内容でございますが、「国際民間航空機関の安全監察プログラムに積極的に協力することにより、我が国に乗り入れている外国航空機の安全の確保に努めること。」このように書かれております。これはちょっとわかりにくいところでありますので、事故調査委員会はどういうことを具体的にイメージして、こういうような文書になって、こういう内容が建議がなされたのか、これを具体的に詳しく説明をしていただきたいと思います。
  122. 下出敏幸

    ○下出説明員 事故調査委員会でございますが、お答え申し上げます。  ガルーダ航空の事故に関して運輸大臣に建議が出されておりますが、その中で言っております安全監察プログラムと申しますのは、一九九五年の国際民間航空機関の総会で承認された制度でありまして、国際航空の安全を確保する、そういう目的で、希望する締約国に対してチームを派遣して、技能証明、運航耐空性について、各国の制度、体制、そういうものが国際民間航空機関が定める基準に沿って整備されているかどうかをチェックする、その結果不備な点があれば、国際民間航空機関改善のための技術的支援等をすることとしているものであります。さらに、最近、安全監察プログラムの受け入れを義務的にするという方針も固まっているというふうに聞いております。  航空事故調査委員会といたしましては、国際民間航空機関の安全監察プログラムの制度を通じまして、国際航空の一層の安全及びその発展に資する、そういう見地から建議を行ったものでありまして一委員会なりのイメージとしましては、国際民間航空機関のそういう安全監察プログラムのチームの一員として参加する、あるいは、安全監察プログラムのチームにより問題点が指摘されました国々に対して、国際民間航空機関の活動の趣旨に沿いまして、我が国の専門家が技術的支援を行う、そういった事柄を想定しているところであります。
  123. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今、事故調査委員会の事務局長の方から、運輸大臣に対して建議をしたその内容を細かく説明をいただきました。運輸省としましては、この事故調査委員会の建議を積極的に応援というか協力をするようにされまして、ぜひ事故のないような、特に外国航空機の安全の確保に努めるように、ひとつ努力をお願いしたいというふうに思います。  そこで、同じ事故の関連についてもう一つお聞きをいたしておきますが、私が、ことしの四月の二十三日、この運輸委員会におきまして、以前起こりました中華航空機の事故にかかわる安全勧告について質問をいたしました。平成六年の四月の二十六日でありましたけれども名古屋空港で起こりましたこの事故で、二百六十四人という乗客乗員が亡くなった事故でございます。  この件につきまして、航空事故調査委員会では、昨年の七月、事故調査報告を公表いたしまして、台湾とフランス、両国の航空当局に対して安全勧告を行っておりますけれども、前回の私の質問では、この安全勧告に対して回答がない、そして運輸省の方からは、近く改めて催促をしたいというお答えをいただきましたけれども、一体その後回答があったのかどうかということをお伺いしたいと思います。  中華航空に対しては、主に乗務員の教育訓練の体制のあり方を改善するように検討しろ、こういうことでありましたし、フランスのエアバスに対しては、自動飛行システムのあり方について改善検討する、大変大事な内容の安全勧告なわけなのですね。それに対していまだに何か回答が来ていないというふうに私は聞いておりますけれども、一体これはどういうことなのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  124. 下出敏幸

    ○下出説明員 昨年の七月に中華航空機の事故調査報告書を公表し、安全勧告を行って以来、事故機の製造国であるフランス当局に対して、文書によって、ことしの五月とそれから十月、二回回答を求めてきたところであります。しかしながら、現時点ではまだ受け取っておりません。  しかしながら、国際民間航空機関の規定によりますと、安全勧告の受理国は、実施済みまたは検討中の防止策を、あるいは方策がとられない場合でもその理由を通知しなければならない、そういうことになっておりますので、時間はかかるとしても、何らかの回答はなされるものというふうに考えております。  ただ一方、フランスの事故機につきましては、この同系列機について自動操縦装置の解除の条件の改修を指示するなど、安全確保の一部について既に対応措置を講じたと思われる情報を入手しております。  それから、事故機の運航国である台湾の民用航空当局に対しても回答を求めた結果、先般担当者が来日して調整を受けたところでありまして、近々まとまり次第正式に回答があるものと見込んでおります。
  125. 細川律夫

    ○細川(律)委員 この安全勧告を出してから既に一年半近くになっておりまして、公式な形での回答がないということは、これは私は大変おかしなことだろうというふうに思います。エアバスの方で改善がなされているような、そういうことも、聞いているというだけじゃなくて、それはきちんとエアバスの方から、こういう改善をしたというようなことが正式に報告があってしかるべきだと僕は思うのですけれども、それがないということは、僕は何かおかしいと思います。  そういう意味では、こういう航空機事故というのは、一度事故が起こりますと、大変な人命が失われるというような、そういう性質のものでありますから、ぜひ督促といいますか、どうしてそういうことになるのか、運輸省の方も相手方当局とぜひきちんと話し合いをして、正式な形での回答をいただくように御努力をお願いしたい。国際的な問題ですから、難しい点はあるかと思いますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。  あと何点か、JRの大月の列車の事故についてもいろいろ質問もしたがったわけですけれども、時間が来ましたので、きょう私の方はこれで質問を終わります。いろいろとありがとうございました。
  126. 大野功統

    大野委員長 次に、寺前巖君。
  127. 寺前巖

    ○寺前委員 久しぶりの質疑でございますので聞きたいことがたくさんあるのですが、時間がありませんので、思いつくままで恐縮でございますが、新しい大臣におなりになりましたから、率直に要点だけを質問するようにしたいと思います。  まず最初に、きょう、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律の一部改正というのをしようとしておりますので、この件に関して、時間がありませんから見解だけを述べさぜていただきたいというふうに思います。  いわゆる海運の対抗法案なるものですが、私は、まず最初に、今日のこの事態に対して指摘をしておかなければならぬことがあると思うのです。それは、本来、海運摩擦等の解決のためには、力によるのではなく、あくまでも話し合いによる解決を目指すべきであります。交渉の相手国である外国が、自国の交渉を有利にするために一方的に制裁を行う場合には、我が国としても、防衛的な立場からこのような不当な制裁に対抗できる措置を持てるようにするということは当然のことであります。したがって、この法律の提案に対しては賛成です。  しかし、考えなければなりませんことは、この日米間の交渉の中で発生している問題です。私は、第一に、覚書の中に、運輸省が国内の労使慣行に干渉させる道を開いたものになるのじゃないだろうかという問題を気にします。また、覚書では、米国船社に港湾運送事業の免許を、受理から約二カ月以内に申請を承認し、別方式による港湾運送事業を可能にするような約束も含まれているというふうに見られます。これは、我が国港湾運送事業法に基づく需給調整や事前協議制をないがしろにすることになるのではないだろうか。この覚書に起因する我が国港湾運送事業の混乱は、そういうところから見るならば、すべて運輸省が責任を負わなければならないということになると思います。  現在、新ガイドラインに対応した国内条件の整備が政府部内でも検討されていると聞いていますが、このような中で、事前協議制が、国内の労使問題であるのにもかかわらず、米国政府から不当な制裁が行われて、変更を余儀なくされるということになってくる道が開かれていくということになると、労働組合の影響力をそいでいき、そこに働く労働者の働く自由と権利を奪って、周辺有事等への国内条件整備の突破口にされていくという不安も持たざるを得ないわけであります。  したがって、私は、米国の不当な制裁から我が国の国内問題である労使慣行と事前協議制を守る対抗措置については賛成でございますが、とってきた態度についてはこの際に改めて反省をしてもらうことを提起をしておきたいというふうに思います。  さて、この間、運輸委員会において運輸大臣からごあいさつを受けました。きょうは、このごあいさつについて聞きたいと思うのです。  二十八・一兆に及ぶ国鉄長期債務の本格的処理は最重要課題だと考えています。私も非常に大事な問題だと思います。国鉄分割・民営化から十年はたちました。借金はふえる一方で、何の解決もない。千四十七名の労働者を路頭に迷わせないと言っておきながら、今日まで解決されないままに進んできている、そういうようなことから、さらに、国民の交通に対する安全性の面から考えても、これは一層不安をつくっている面もあるのではないだろうかということを考えたときに、大臣が、これが最重要課題であるとして、単に長期債務の問題だけではなくして、このやってきたこと全体に対する見直しをひとつきちんとやってもらうということを前提にして取り上げていただきたいということを、まず最初に要望しておきたいと思います。  その上に立って、時間の都合がありますので、私は、労働者の問題についてきょうは聞いておきたいと思うわけです。  二、三日前の新聞に、またテレビにも、JR大月駅の列車衝突事故で回送電車の運転士が逮捕されたということが載っていました。非常に大きな事故でした。一歩さらに誤るならば超大事故ということになりかねない、そういう内容を持っていました。当時の新聞を読みますと、乗員乗客六十二名の重軽傷者を出したということが書いてあります。  ところが、問題は、それにとどまらない最近一連の、例えばJR東日本を見るだけでも、職場にまかれておりましたところのチラシを見ると、「場内冒進事故発生!(本年累計十七件)」というのが、十月十七日に小金井駅の構内で何か事故が発生したことがまかれていましたけれども、本当に、社内では、「列車は、鉄道信号の現示に従って運転すること」の徹底、「信号冒進は、お客さまに怪我をさせる列車衝突事故等の重大事故につながることを再認識させること。」など、いろいろな状況が職場では起こっているようです。東所沢電車区では十月十七日に非常事態を宣言して、社員に注意をするということまで行われています。  そこで、私は、きょう聞きたいのは、こういう事故を、本人が悪かったんだというだけではなくして、経営者の側のこういうことにならないようなあり方の問題が、私は、経営を指導する面から考えるならば、考えなければならない問題だというふうに思うわけです。  国鉄の時代に、鉄道運転規則に基づいてどういうふうに昔はやっていたんだということを聞きますと、例えばこういうことを言っていました。国鉄時代に三河島事故を教訓に労使の枠を超えた事故防止委員会設置されて、これに基づいて、乗務員に対して毎月一回の反復訓練が行われていた。当時は勤務時間内に二時間、時間外二時間の計四時間毎日実施され、分割・民営化前の八五年から訓練の指定日が日勤勤務から泊まり勤務の翌日分に指定され、だんだん訓練というのが軽く扱われていくというふうに、経営の、何というのですか、もうけの範疇で人を動かすという取り扱いから外されていくという方向に進んでいって、今では時間外に二時間だけやっているという方向で、実施期間も二週間に短縮されるというふうにして、こういう訓練というものが非常に軽視されるようになってきているということを、古くからおった関係者が言っておるわけです。  私は、経営が合理的に進んでいくということはいろいろ考えるかしらないけれども、やはり安全ということを重視するならば、そういうふうに訓練を時間外でやらせていくというようなことではなくして、時間内にきっちりと指導するという体質に管理者がなっていかないと、これはよくないのではないだろうかというふうに思うわけです。  大臣もあいさつの中で、運輸行政の基本であります安全の確保に万全を期すと言っておられるのですから、安全を考えるときに、指導する管理者の方がそういう態度では悪いのではないだろうかというふうに思うのですが、いかがなものなのでしょうか。
  128. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先般、私があいさつをさせていただいた中での事柄につきまして、大変重要な視点についての御質問でございます。寺前委員おっしゃられましたとおり、運輸行政の基本は安全である、安全というのが最大のサービスであると私は思っておりますし、これからも運輸行政はそうでなければならないと思っています。  そうした中で、残念ながらこのところ、大月駅のJRの事故等を含めまして、事故が続いておるという事実がございまして、先般、このことに関しまして、十月に鉄道関係者の代表の方に運輸省にお越しいただきまして、安全確保徹底のための指示をしたところでございます。  そういう中で、今委員おっしゃいましたように、鉄道運転規則第十条で定められている係員の教育訓練については、鉄道業者に対して、作業の安全確保に直接かかわる係員に必要な教育訓練の実施を義務づけたものであることは、もう御案内のとおりだと思います。この教育訓練の実施方法については、やはり個々の事業者ごとの多様な勤務態様があるわけでありますから、どのような時間帯で行うかを含めて、鉄道事業者の判断にゆだねられるものでございまして、必要な教育訓練が実施されていれば問題はないと考えております。
  129. 寺前巖

    ○寺前委員 私があえてこの問題を取り上げて言うのは、時間内で経営者の責任においてやるというのは、これは今おっしゃったところの鉄道運転規則の第十条の中にも、わざわざ、「作業を行うのに必要な知識及び技能を保有することを確かめた後でなければ、作業を行わせてはならない。」ということで、一、二、三、四、五、六というようなことが書かれているわけです。だから、やらせなければならないのだといって義務として定義するのと、それから、時間外に持っていくことによって選択制にやらすということでは、取り扱いの持っている意味が非常に違うと思うのです。私は改めて、この点は検討して、どういう指導をやった方がいいのかということをぜひ考えていただきたいということを提起しておきたいと思うのです。ひとつよろしくお願いします。  さらに、私は、分割・民営化後の運営の問題、いろいろ気になることがあるわけです。  この間、こういう問題があったのですね。JR東日本一株運動株主会で、JRバス関東東京自動車営業所における国労脱退強要事件が東京高裁で確定したことを受けて、十月二十八日、JR東日本会社に申し入れを行っています。その申し入れの中で、JR東日本は、今回は東京高裁の判決に沿って陳謝の手続を行った、東京自動車営業所事件はそもそも不当労働行為の事実認定の判決にすぎず、当社は不服だが、事実認定の立証をめぐって法律上の制約があることから最高裁への上告を断念した、当社としては花崎常務の不当労働行為はなかったと確信していると強弁しているという事態を、その株主会の人からこの間聞きました。それで、不当労働行為が裁判でも確定していて、そういうことがなかったんだというようなことを平気で発言させるというようなことを、私は改めさせなければいかぬのやないだろうかというふうに思うわけです。  だから、私は、さっきも言ったように、訓練のあり方も反省的な立場から見直してみるという態度、あるいは、こうやって裁判にまで持っていって、上告も断念して、それで受け入れるとなったら、素直にそのものを受けとめるという、そういう経営者の態度に立たさなかったならば、私は、安全な運転でこれからずっと仕事をやっていく上において、こういう経営姿勢では不安を持たざるを得ないというふうに思うのですが、その点についてはいかにお考えでしょうか。
  130. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほどもお答えいたしましたとおり、まず安全の確保が最大のサービスだということです。それにつきましては、今後とも、関係輸送機関、そういった企業に対しまして適切に安全確保のために指示をしていきたいと思っております。  また、今の御質問ですが、もとより不当労働行為というのはあってはならないことでございますし、また、労使関係の安定というのは経営にとっても重要であるという観点から見ますと、運輸省といたしましては、労使が信頼関係の正常化に努力していくことを私どもは望んでおり、この観点から適切に指導してまいりたいと思っております。
  131. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、一番もとに戻るわけですが、国鉄分割・民営化で十年進んだ。千四十七名の人がその間に本当に苦労してきています。いまだに解決しないままにある。この間に労働委員会でいろいろなことが決められてきました。あるいは裁判にもなってきました。それで、私はこの問題について何回か委員会でも聞きました。前運輸大臣であった古賀さんのときにも、今まさに国鉄改革十年、なすべきことがあればどんな努力もしていかなければならないということで、今詳細にその経過について勉強させていただいております、こういう答弁まであったのです。ところが、解決しないままになっている。  その後、国労北海道・九州採用差別事件の東京地裁は、JR各社、国鉄清算事業団、中央労働委員会、国鉄労働組合の四者に対して、事件発生十年、早期に抜本的な解決を図る時期との意見を添えて和解勧告が行われ、全勤労採用差別事件公判では、JR会社の不当労働行為責任を認める法律論を示すなど、JR各社の主張をことごとく退けているという状況が生まれているわけです。  私は、運輸大臣に新しくおなりになったわけですが、何代かの大臣にこの問題を提起してきて、解決への努力をしますとこう言うけれども、一向に、十年進んでもなっていない事態を、このまま放置しておいていいのだろうか。私は、新しい決意で大臣に臨んでいただきたいと思うのですが、大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
  132. 藤井孝男

    藤井国務大臣 JR発足時の職員不採用問題につきましては、委員御承知のとおり東京地方裁判所において現在係争中であるということでございまして、この件につきましては、過去に何度となく、運輸大臣あるいは労働大臣等におきまして、政治的な決着に向けての労使双方に対して協力を求めた経緯があることは承知をいたしておりますし、委員も御案内のとおりだと思います。今、いろいろ和解等々のお話がございましたけれども、残念ながら関係者間においての大きな意見の隔たりがございまして、経営側は裁判で決着させるという方針を堅持をいたしております。  私といたしましては、これまでの経緯を踏まえつつ、また本件訴訟の関係者の今後の対応を見守りつつ、問題の解決のために何かなすべきことがあれば、引き続き努力をする所存でございます。
  133. 寺前巖

    ○寺前委員 なすべきことがあればじゃないんだな、これは。和解勧告は、運輸省の直接の、清算事業団が勧告の一つの対象になっているわけですから、なすべきことではないんだ、やらなければならぬのだ。だから、あなたが大臣の間に必ず解決をしてみせるという気迫があるのかどうか。  そもそも、国鉄分割・民営化のときに、路頭に迷わさないとまで政府の方が国会で言っているんだから、それが十年間そういうことになっておって、いろいろ言い分があるからでは済まないのですよ。まして、裁判の方からも和解の勧告として責任を問われたんだから、労働委員会も問われたんだから。政府機関ですよ、それは。だから、国の機関が和解勧告のテーブルに着きなさいということまで言われているのに、それを、できることがあればでは済まないということを自覚してほしいのですよ。いいですか。
  134. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今、気迫を持ってということでございますが、気迫を持ってもなかなか解決できない問題もございまして、その点、私もこれからどういうふうにこの問題について対応すべきかということの中で、先ほど御答弁を申し上げたところでございます。  何とか労使関係の意見の隔たりというものが近づけば、また近づこうとして、過去の労働大臣あるいは運輸大臣もいろいろ調整、調停に入られたけれども、残念ながら、経営側の今現在での考え方が、裁判での決着をという方針を堅持しているということであります。そうなりますと、今、私どもが気迫を持ってとおっしゃられましたけれども、なかなかその点についての成算と申しましょうか、役割というのは難しいかなというふうに思っております。
  135. 寺前巖

    ○寺前委員 この点だけは歴代の大臣とえらい違う。  清算事業団というのは運輸省の中にあるわけでしょう。一つ事業団でしょう。それから、労働委員会というのは労働省の直接の委員会でしょう。政府機関が和解の勧告を受けたんですよ。これは従来とは違うのですよ。だから、政府が和解の勧告を受けた責任を果たしますという態度をとるのかどうかや。難しいというのは、第三者の場合に、これは難しいですな、こういう話だ。違うんだよ。政府が受けたんだ、和解勧告を。その自覚をしっかり持ってくださいよと私は言っているのです。違うよという事態を、今、見てほしい。行政機関の中だけの話じゃなくなっているんだ。裁判所、司法の分野がそのことを提起しているのだから、その自覚をしっかり持って解決に当たってもらいたい。これが新しい時点に来ているのだということを私はあえて提起したいのです。よろしいか、そこのところは。私の言わんとする意味、わかりますか。間違うてまっせというのだったら、間違うていると言ってくれたらいいけれども、違うのだということを私はあえて言っているのだ。歴代の大臣が行政機関の中において何とかしますと言っておった努力とは違うという時点に今来ているのだという、そういう自覚を持って、大臣、当たってくださいよ。大臣になられたところだから、詳細は今から研究されたらいいですよ、それは。だけれども、置かれている存在は、そういう問題ですよということを自覚してくださいよということを言っているのです。
  136. 藤井孝男

    藤井国務大臣 今、寺前委員の、そういった点につきまして、拳々服膺させていただきます。
  137. 寺前巖

    ○寺前委員 拳々服膺といったらどういうことになるのかよくわからぬけれども、よく聞いていただいたら結構でございます。ぜひひとつよろしくお願いしたい。時間が余りありませんので。  運輸委員会における運輸大臣のあいさつで、おっしゃっていないことで大きな問題がある。これは、きのう本会議質問された新しいガイドラインの問題についてここに一言も出てこないというのは、一体どういうことなんだろうかということが私は気になる。だからこれは、新しく任務につかれた大臣としてはぜひとも率直に取り組んでいただきたいと思うのです。  そこで、新しいガイドラインの出ない今までの段階の問題と、出た段階との違いということがまた非常に重要になってくる。その一つは、これは断片でしか言いませんが、飛行場について、あるいは港湾についてもそうですが、地位協定の第二条として、実質的には米軍基地のように米軍が使用している実態を問題にしなければならないことがあるのです。  米軍との共用施設・区域は全国でたしか五十一カ所あるはずなんです。その中には飛行場、演習場等があり、その使用については提供条件がつけられている、間違っておったら言ってください。例えば千歳飛行場の場合には、年約四回、一回約六週間、実弾射撃は年十日以内とか、小松飛行場の場合には、年四回、各三日から十五日程度、年合計四週間などと、そういうふうにちゃんと規定が、制約がちゃんとしてあるのですよ、提供条件として。これは共用施設・区域の場合についての条件なんです。これは間違いないですか、そういうふうになっているということは。だれか答えられる人、おりますか。運輸省だから知らない、ああそうか。そうなつとる。  ところが、日米地位協定の第五条では、民間空港の使用については一時使用ということになっている。ところが、民間空港の九六年度の使用状況を見ると、二十七空港で千四十八回の着陸回数、前年を調べてみると、前年は九百二十六回だから、大幅にふえている。米軍の利用を認めている共用施設・区域で、その使用は提供条件として使用が制限されているが、軍事利用を想定していない民間空港の米軍の使用は、その使用目的が明らかにされず、使用制限もなく、使用回数だけがふえ続けているというのが現状なんですよ。  そこで、具体的に聞きたいのです。長崎空港の場合には、九六年には三亘二十八回とほぼ毎日着陸している。前年度は二百九十二回ですから、五十回程度もふえている。長崎空港は民間空港ですよ、どんどんふえていきよる。それは一体何なんだといったら、米軍の患者輸送機ナイチンゲールと言われるもので、月曜日と木曜日の夕方になると、事実上定期便のごとくにだあっと来よる。そうしたら、ここまで来ていると、何が一時使用なんだということになってくるわけです。  ずっと議事録をもとに向かって調べてみたら、一九六九年四月十八日に、航空局長がこう言っている。私は不時着的な場合にはやむを得ないかと考えていますが、そうしたもの以外の使い方については拒否をしていく、こういう考え方でございます、これが、ずっと議事録を見ておると、残っている言葉なんです。そうすると、どんどんふえていって、定期便のごとくに使われてくる、こうなってくると、何でこれを一時使用としていつまでも黙って見逃していくのかということが問題になってくる。  そこへ持ってきて、その当時問題になって、七一年の長崎県と新大村空港建設反対市民会議との間に覚書の調印をやっています。新大村空港が軍事基地、軍事利用のおそれのある場合には、知事は県民の先頭に立って反対するという、ちゃんと署名、これです、これは知事の名前が書いてある、立会人はだれだれと書いて。こんなところまで来ておるんやわ。住民がそういうところまで来ている。  さて、聞きたいのはここからなんだ。今までの一時使用も問題になれば、新しいガイドラインで、この間新聞を見ておったら、長崎空港なんかは提供するというようなことが、これは新聞の報道ですから、私、知りませんよ、あなたたち相談しておられるのかどうか知りませんけれども。そうすると、自治体の長までが軍事目的には絶対使わせません、一時使用でもあきませんのや、ここまで判こを押しているのに、政府はそれをやめろということを言うのか言わないのかという問題が、新ガイドラインとの関係で問題になるわけです。  同じことは、神戸の港がそうなんだ。ここは市会で条例までつくっているのだ。核兵器を持っていないという証明を出しなさい、そうでない限り、軍艦は入れませんよ。ところが、やはり神戸港というのは出てくるのです。自治体の長が、自治体がどんなことを決めておったって、そんなことは問答無用ですと言って運輸省は受け入れの準備をするのか、自治体の長なり自治体の議会がそういう態度を明確にしているのに、その先頭を切っていくのか、どっちの道をたどるのかということが、いよいよ法制化してきたりなんかしてきたときに、これは問題になってくる。新しい大臣だから、決意のほどを聞かせてほしいのですよ。
  138. 楠木行雄

    楠木政府委員 まずその前に、ちょっと事実関係を私の方から申し上げたいと思います。  今先生指摘のとおり、米軍機によります日米地位協定の第五条、これは一時使用でございますが、これに基づきまして、長崎空港における着陸回数、最近では九四年に三百六十五回、九五年二百九十二回、ちょっと減っております。それから、九六年にまた少しふえて三百三十八回となっているところでございます。  それで、昭和四十四年当時に、今御指摘がありましたような航空局長が行いました国会答弁と申しますのは、軍事基地的に継続的、計画的に使用される場合は拒絶可能というものでございまして、長崎空港における米軍の使用は、今申し上げましたとおり、日米地位協定の第五条に基づく一時使用でございまして、運輸省としては、その使用は決して軍事基地的なものではないと理解をしておるわけでございます。  また、先生今ございましたように、知事が先頭に立ってするというふうなことがございましたので、実は、この九月に、大村市議会から、長崎空港の軍事利用、軍事基地化に反対する意見書というのが提出されたことでございます。日米地位協定の第五条に基づく米軍機の利用に当たりましては、こういった意見書の趣旨も踏まえまして、安全性を確保しながら、民間機の離着陸や航空機騒音などの点で支障がないように十分考慮しながら対応する必要があると考えております。
  139. 藤井孝男

    藤井国務大臣 昨日の衆議院本会議におきまして、御党の東中委員お答えをいたしましたとおり、新ガイドラインにおきましては、民間空港の使用等が対米協力項目の例として挙げられておりますけれども、これらの実効性確保のための措置については、九月二十九日の閣議決定の趣旨を踏まえ、政府全体として真剣に検討していく必要があると理解をいたしております。  米軍機は、日米地位協定に基づき、我が国空港の一時使用が可能ではありますけれども、使用の態様及び地元に与える影響等についても十分考慮した慎重な対応が必要と考えております。
  140. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来たようですので、終わります。ぜひ真摯に受けとめていただきたいと思います。
  141. 大野功統

    大野委員長 次に、濱田健一君。
  142. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 濱田健一でございます。  藤井大臣役所の皆さん方、きょうもいろいろと話題になりましたが、国鉄長期債務、新幹線、JR不採用の問題等々次の世紀に向かって解決しなければならない課題や、中部空港などのように新しくつくっていかなければならない課題、たくさんの中で御努力いただいておりますことに感謝を申し上げつつ、四つ質問をさせていただきたいというふうに思います。  一点目は、ことしの八月五日の未明に、静岡県菊川町の東名高速道路で、有毒化学物質脂肪酸クロライドという物質を積んだタンクローリーが横転をして、水と反応して塩化水素を発生させた、そして十四時間ぐらい通行ができなくなったという事故がございました。会社名はもう申し上げる必要はないと思うのですが、この会社は一九九一年二月から、事故として取り扱われただけでも、表面に出ただけでもと言った方がいいかもしれませんが、車両を廃車にするような事故がこの件を含めて十件起きているというふうに私は聞いております。一年に一回は起きているということでございます。  労働側から話を聞きますと、慢性的な長時間、過労運転を強制している、改善を求めても、団結権や、団体行動権というのがあるのでしょうかね、団体行動権が侵害されているということと、荷主の方もこうした事態を知りつつ、倉庫がなくて、トラックを移動させることによって、走る倉庫がわりに使っているというような報告もなされているわけでございます。  それで、きょうはこのことをお尋ねするのではなくて、いわゆる週四十時間労働制の問題の中で、こういう運送業の皆さん方は荷主さんに頼まれて、とにかく仕事ですから、いつでも荷物を運ぶということは、今の厳しい経済状況の中で、ある面ではいたし方ないのかもしれませんけれども、やはり荷物を頼まれる方にも、労働者保護という立場での指導や意識というものを持っていただかなければならないというふうに思っているわけです。そういう部分での指導や実態の調査等々について、運輸省及び労働省はどのようにされているのか、まずはお聞きいたしたいと思います。
  143. 荒井正吾

    ○荒井(正)政府委員 それでは、まず運輸省からお答えさせていただきます。  先ほどの事故の方については、また別途調査いたします。  長時間労働の基本問題でございますが、トラック事業の長時間労働はかなり実態がございます。やはり安全なサービス、またさらには運転手の質の確保に非常に問題が発生する可能性がございます。  本年四月から週四十時間労働制が実施されまして、今周知期間、定着期間でございます。労働時間短縮のためにはトラック運送事業者が取り組むべきではございますが、荷主の発注条件等によって非常に大きく左右されるという実態は御指摘のとおりでございます。したがいまして、荷主側の理解と協力が不可欠だと考えております。  このため昨年、八年十一月二十六日に労働省と連名で、時短促進について九十七の荷主団体へ協力要請を行いました。具体的な内容といたしまして三点ございます。急な発注等を排除した計画的、合理的な発注、安全な運転を確保するため、適正な運行時間を見込んだ輸送時間の確保、三点目は荷受けなどの待ち時間の短縮を具体的にお願いを申したところでございますが、今後とも、労働省と連携をとって、例えば荷主団体との意志疎  第一類第十号 運輸委員会議録第三号平成九通の場を設けたり、その中での要請をしたりということで、トラック運送事業者の時短に向けた取り組みを支援していきたいと考えております。  また、達成状況調査でございますが、本年六月の全日本トラック協会の調査がございますが、その時点におきましては、全国四万八千事業者のうち、二万六千事業者から回答がありました。その回答の中では、四十時間の達成率は七〇%だという報告でございますが、さらに時短の実態について調査も必要かと思いますし、促進についての指導も必要かと考えております。
  144. 杉浦信平

    ○杉浦説明員 トラック運送業を初めとする道路貨物運送業の年間総実労働時間につきましては、全産業の平均に比べまして、年間約三百三十時間程度長い実態にございまして、労働省としては、労働時間短縮の取り組みを重点的に進めているところでございます。  特に、トラック運送業における労働時間の短縮に当たりましては、先生指摘のありましたように、荷主の理解と協力というのが不可欠でございまして、労働省としましても、先ほどお話のありましたように、労働省労働基準局長運輸省自動車交通局長との連名で荷主団体に文書による要請を行うことを初めといたしまして、計画的な荷の発注、それから手待ち時間の適正化などにつきまして、従来から協力を要請をしておるところでございます。  また、さきの通常国会において成立をした改正時短促進法に基づきまして、平成十年度までの二年間の指導期間の間に、週四十時間労働制の円滑かつ確実な定着を図るため、懇切丁寧な指導、援助を行うということになっておりまして、その中で、トラック運送事業者と荷主、取引先との会議を開催するなど、事業主団体が行う時短のための自主的な取り組みに対しましても支援を行っているところでございます。  今後とも、運輸省とも連携を図りつつ、これらの施策を十分活用することによりまして、時短のための指導に努めてまいりたいと思います。
  145. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 中基審があした、来年の労基法改正に向けて答申を出すように話を聞いているわけです。いわゆる労働者保護のための労働基準法、これがさまざまな産業構造の変化の中で、いろいろな仕事の枠といいますか、広がりを、男女ともに働く場所を確保するということで労基法改正という方向性がうたわれているようでございますが、実際上、働く者にとって規制が緩やかになるということが、働く上で、そして生きていく上でプラスになるかどうかというのは非常に大きな問題点をはらんでいるというふうに思いますし、今のトラック運送に従事する労働者の部分は、もっともっと厳しくなるような気が私はいたしますので、今答弁いただいたような形で、しっかりと把握して対応を進めていただきたいというふうに思うところでございます。  二点目ですが、大臣もけさから本当に御苦労いただいているわけですけれども、国鉄長期債務をどうやって問題解決していくのかということでございますが、それに伴って、来年の十月には清算事業団がまさに清算をされる。今働いていらっしゃる約一千六百名の皆さん方も次の働く場所といいますか、若干の清算の清算のためのまた一つの部署というものも必要になってくるかとは思うのですが、千六百名のうちの千人ぐらいを、これは聞くところによりますとということでございますので、JRの方が採用する努力をしていただくというふうに伺っておりまして、いわゆる長期債務の中で年金追加負担部分をどうにかしていただきたいというような私たちの思いや、千人を新しく雇用してもらうと五十億とか七十億とかというお金が要るという、いろいろな厳しい状況を抱えながらも努力をしていただいているということに、本当にありがたいなと私は思っているわけでございます。  そのことはさておいて、この千六百人の皆さん方の再就職、再雇用の進捗の状況、そして、これからの展望がございましたらお願いをします。
  146. 小幡政人

    ○小幡政府委員 国鉄清算事業団につきましては、先生指摘のように、平成七年の閣議決定に加えまして、平成八年十二月の閣議決定におきまして、国鉄の長期債務等の本格的処理を平成十年度より実施し、平成九年度中にその成案を得ることとされておりますが、これにあわせまして、本格的処理を実施した上で速やかに事業団を整理する方向で、再就職対策を本年度より開始することとされております。  この閣議決定を受けまして、現在運輸省におきましては、運輸省における採用のほか、JR各社それから特殊法人、各省庁、地方公共団体などに対しまして事業団職員の採用を要請しているところでございます。  今回の概算要求では、事業団を、先生お話しのように、来年の十月一日には整理したいということで考えておるわけでございまして、整理に当たりましては、事業団職員全員の雇用の安定、確保が図られるよう、引き続き最大の努力をしていきたいと考えているところでございます。その進捗状況について御説明申し上げますと、お話しのように、今後再就職を必要とする事業団職員は約千六百名でございますけれども、十二月一日現在で、JR各社、各省庁、特殊法人等から約五百名の採用の申し出をいただいております。これに加えまして、先生お話しのように、JRグループとして千名程度の受け入れを実は検討していただいている最中でございまして、その検討をお待ちしておるというのが現状でございます。
  147. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 一生懸命御努力いただいておりますことに感謝を申し上げます。一年もありませんので、そこの部分を役所としてもぜひ御努力いただきたいと思います。次の質問は、もう寺前先生が厳しく、強く質問というか要請をされましたので、二番せんじになってしまうかもわからないのですが、とにかく二度目の失職という形で、これは当事者たちが言っている言葉なのですが、十年前にJR不採用という問題が、千四十七名、発生をいたしました。いろいろな経過を見てみますと、それぞれの組合の努力のでこぼことかいろいろあるとは思うのですけれども、この間の、先ほどもお話がありましたとおりに、政府や自治体の行政機関である地労委、中労委、各場所で不当労働行為という認定がなされてきた。そして、現状では、裁判所も和解というところで何とかならないかというふうに言われているわけでございまして、いろいろなことはありました。決して国鉄改革、うまくいかなかったなんということを私は申し上げるつもりはございません。皆さん、御努力をされました。そういう中で、十年たって、現在という時期が、社会的に大きく問題になったもの、そして人道的な観点から、やはり解決をしていくタイムリミットではないかというふうに私は思いますし、我が党としても、先週政府の方にも、そして自民党さんの方にも、ぜひ御努力をいただきたいという要請をしてきたところでございます。  先ほどお話がありましたとおりに、なすべきことがあればというふうに大臣は言われましたけれども、なすべきことを見つけてというようなニュアンスで寺前先生はおっしゃいました。やはり解決をしていくための一つの進捗というのはすぐどうしようということにならないわけでございまして、その環境づくりといいますかテーブルづくりといいますか、その辺のところが非常に大事だというふうに思っておりますが、その辺の大臣の御見解といいますか決意を聞かせていただければ幸いでございます。
  148. 藤井孝男

    藤井国務大臣 先ほど寺前委員より同様趣旨の御質問がございました。同じようなお答えになるかもしれませんけれども、さまざまな経緯がございまして、先ほどは、今後の対応を見守りつつ、なすべきことがあればということですが、今なすべきことを見つけるべきではないかという御質問でありますが、やはり過去の経緯を十分踏まえつつ、一日も早く解決をしなければならないことは十分我々も承知をしておりますし、そのためになすべきことがあればという意味で申し上げたわけでございます。  今後につきましても、真摯な姿勢をもって努力を続けてまいりたいと思います。
  149. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 労働省の方は……。
  150. 三沢孝

    ○三沢説明員 先生お尋ねのJRの不採用問題の件でございます。  先ほど運輸大臣の方からも御答弁ありましたし、先生からもお話のあったとおりのような経過で来ておりまして、今東京地方裁判所で中労委命令の取り消し訴訟として争われているわけでございます。  東京地裁民事一一部というところと民事一九部、二つの部でこの問題は担当されております。その民事一一部の方から、ことしの五月に和解の勧告というものがなされたところでございます。他方、民事一九部の方ではまだ審理が続いている、こういう状況でございます。民事一一部の和解につきましてはJR各社は応じられないというふうなことになっておりまして、裁判所の判断を得たいというふうに私ども聞いております。  こういうことで、労使の当事者間の見解が大きく隔たっておるわけでございまして、こういう状況を考慮した場合、労働省としては、いろいろな御意見もあるかもしれませんけれども、こういう労使当事者間の判断が非常に割れている場合、こういう状況を考慮した場合には、やはり裁判の場における対応、そういうものを見ていかざるを得ないのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  151. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 どこがネックになっているかということは言葉で言わなくてもお互いが大体わかっていると思うのであります。その辺をしっかり頭に入れて対応していただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  時間がなくなりました。  先ほど寺前先生からもガイドラインと関係づけて幾つかのお話がございました。その新ガイドラインが、思いとしていいとか悪いとかということはのけておいて、運輸省マターの部分で考えたときに、空港港湾、これらのところに協力体制というものが日常的に仮にしかれていくとしたときに、さまざまな民生上の問題点が考えられると私は思うのでございます。  実は、鹿児島空港から沖縄に行くときには、これは事実は確認していませんから、私が聞いたこととしてお聞きいただきたいのですが、民間旅客機が飛び立ちますと、奄美大島の上空に来るともう下降を始めます。三十分、四十分、水面がきれいに見えるような低空飛行を繰り広げて那覇空港におりると。私は最初沖縄に行ったときに、なぜこんなに早くから低いところを飛ぶんだろうか、旅客機にとっては多分操縦技術は難しいのじゃないかな、パイロットにとっては厳しい運航状況を強いられているんじゃないかなというふうな思いでおりましたら、やはり管制が、鹿児島空港を飛び立つときから米軍の管制下に置かれているらしいですよというふうにお聞きしたところでございます。  最終的に沖縄に着陸するときの航路の問題からすれば、お互いにどこをどういうふうに飛ぶという取り決め、ルールが必要だとは思うのですが、そういう部分が、一つの例としていろいろなところで起きる。そのときに、いわゆる民間人の使用するさまざまな部署が、今よりももっと危険にというか、不都合な状況になるのではないかというような思いがするわけでございます。  それで多分、まだなんだろうと思うのですけれども、来年度の通常国会ではこの部分についていろいろな形で国内法の改正も必要であるとかないとかという話も出ているわけですが、その辺のところが、どういう部分であるのかないのか、まだ協議していらっしゃらないのか、やるとすればどういうスタンスで、運輸省という立場からはどういう形でやられようとしているのか、お聞きして、質問を終わりたいと思います。
  152. 土井勝二

    土井政府委員 お答えいたします。  ただいま先生が冒頭おっしゃられました鹿児島から那覇へ向けた飛行につきましては、ちなみに、那覇空港のアプローチコントロール、飛行機が接近するその空域におきましては、嘉手納の基地の方で管制をしている。その関係で嘉手納基地と那覇空港との飛行のセパレーションをとるという意味で、少し前から低い空域を行くということがございます。  ガイドラインの問題でございますけれども、先ほど来大臣からもお答えいたしておりますが、米軍の航空機とか船舶が、日米の地位協定に基づきまして、現在でも我が国空港とか港湾の一時使用を行っております。それはできます。その上で、新しいガイドラインとの関係でどういう使用をしていくかということにつきまして、これから具体的に使用の態様、形態につきまして、私どもとして関係機関と相談をする、あるいは情報を与えていただいて相談をしていくということになっていくと思います。  ただ、その相談の上での検討の中で、私どもとして民間の空港とか港湾を所管しているわけでございまして、それの使用の態様がこれからこのガイドラインとの関係でどうなるのか、あるいはその使用が地元にどういう影響を与えるのか、これらにつきまして十分考慮いたしまして、関係機関と相談をし、まとめてまいりたいというふうに思っております。
  153. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございました。      ————◇—————
  154. 大野功統

    大野委員長 この際、外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等において御協議いただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  本起草案の趣旨及びその内容について、委員長から御説明申し上げます。  平成八年十一月、米国連邦海事委員会は、我が国港湾の労使慣行である事前協議制の改善等を求めて、何のとがもない我が国海運企業に対して、米国の港へ寄港するごとに課徴金を課すこととする内容の日米友好通商航海条約に違反する一方的な制裁措置を提案し、平成九年十月には、日米政府間で事前協議制の改善等について実質合意したにもかかわらず、当該制裁を実施した上、いまだその撤回を行っておりません。  一方、外航海運の分野においては、WTOのような国際的機関による紛争処理の仕組みが確立していないことから、かかる事態において我が国が対等な立場で交渉を行うことが困難な状況となっております。  本起草案は、かかる現状にかんがみ、外国等本邦外航船舶運航事業者に対し不当に差別的な負担金の納付を義務づける等の一方的な制裁措置を講ずる場合において、一定の対抗措置を講ずることを可能とすることにより、今回の米国連邦海事委員会が実施したような一方的かつ不当な制裁措置の発動を牽制し、交渉における我が国の対等な立場の確保を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、運輸大臣は、外国等本邦外航船舶運航事業者に対する不当に差別的な負担金の納付の義務づけ、もしくは本邦外航船舶運航事業者の使用する船舶の外国の港への入出港の制限等の措置を実施し、または決定する場合において、当該措置により生ずる事態に緊急に対処する必要があると認めるときは、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、期間を定めて、対抗措置を命ずることがある旨を通告することができることとしております。  第二に、運輸大臣は、当該期間が経過してもなおその事態が消滅していないと認めるときは、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、対抗措置として、本邦の港への入港の制限等の措置を命ずることができることとしております。  第三に、運輸大臣は、外国等本邦外航船舶運航事業者に対し不当に差別的な負担金の納付を義務づける措置を実施し、または決定する場合において、当該外国の外航船舶運航事業者に対し、当該負担金に相当する金額の国庫への納付を通告することができること、また、その納付をした当該外航船舶運航事業者に対しては、対抗措置を命じないこととしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。     —————————————  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  155. 大野功統

    大野委員長 お諮りいたします。  外国等による本邦外航船舶運航事業者に対する不利益な取扱いに対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付いたしてあります草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 大野功統

    大野委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 大野功統

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時八分散会      ————◇—————