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1997-03-27 第140回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月二十七日(木曜日)    午後一時開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十五日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     松前 達郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渕上 貞雄君     理 事                 加藤 紀文君                 陣内 孝雄君                 足立 良平君                 三重野栄子君     委 員                 景山俊太郎君                 北岡 秀二君                 鈴木 栄治君                 畑   恵君                 保坂 三蔵君                 守住 有信君                 魚住裕一郎君                 鶴岡  洋君                 西川 玲子君                 松前 達郎君                 上田耕一郎君                 山田 俊昭君                 水野 誠一君    国務大臣        郵 政 大 臣  堀之内久男君    政府委員        郵政大臣官房長  天野 定功君        郵政省郵務局長  内海 善雄君        郵政省貯金局長  品川 萬里君        郵政省簡易保険        局長       金澤  薫君        郵政省通信政策        局長       木村  強君        郵政省電気通信        局長       谷  公士君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    説明員        経済企画庁経済        研究所次長    堀   一君        大蔵省主計局主        計官       中村 明雄君        郵政大臣官房人        事部長      安岡 裕幸君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成九年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成九年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成九年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (郵政省所管)     ―――――――――――――
  2. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 昨二十六日、予算委員会から、本日午後の半日間、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、郵政省所管予算について郵政大臣から説明を聴取いたします。堀之内郵政大臣
  4. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 委員の皆様には、郵政行政の適切な運営につきまして、平素から格別の御指導をいただき、心から御礼申し上げます。  当省所管会計平成九年度予算案につきまして御説明申し上げます。  最初に、一般会計予算案でありますが、歳出予定額は八百三十七億円で、平成八年度当初予算額に対し二百六億円の増加となっております。  この予算案における重要施策について御説明申し上げます。  まず、情報通信高度化により、経済構造改革推進してまいりたいと思います。具体的には、これまでの通信放送分野研究開発成果を活用し、先端的技術導入したマルチメディアモデル構築するマルチメディアパイロットタウン構想先進的情報通信システムモデル都市構築事業等関係省庁と連携して行うとともに、加入者系光ファイバー網整備に対する特別融資制度充実移動通信用鉄塔施設等整備する電気通信格差是正事業の一層の推進を図り、ネットワークインフラ全国的な整備を進めることとしております。  また、情報通信の積極的な活用を促進するための施策を講じることにより、国民生活質的向上地方振興推進してまいります。このため、公共分野におけるアプリケーションの先行整備を図る地域生活情報通信基盤高度化事業充実を図るとともに、高齢者障害者向け通信放送サービス充実や字幕・解説放送番組制作に対する支援を行うこととしております。そして、電波を安心して利用できる環境整備するため、電波監視体制充実強化等も図ることとしております。  さらに、情報通信技術研究開発については、一層その取り組み強化することとしており、重点的に推進すべき研究開発プロジェクトを早急に実施するとともに、産学官の連携の強化競争的資金拡充等、総合的な研究開発体制整備推進することとしております。  国際面では、グローバルな情報通信社会構築に貢献するため、アジア太平洋地域における情報通信基盤構築のための環境整備放送番組国際共同制作国際放送等を通じて、各国との国際協力国際交流を強力に推進することとしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出予定額はともに七兆八千七百九十三億円で、平成八年度当初予算額に対し二千四百六十三億円の増加となっております。なお、収入印紙等印紙に係る業務外収入支出分を除きますと、歳入歳出とも予定額は四兆九千三百十一億円で、平成八年度当初予算額に対し一千二百四十七億円の増加となっております。  郵便貯金特別会計については、一般勘定歳入予定額は十五兆五十一億円で、平成八年度当初予算額に対し一兆一千九百七十八億円の増加となっており、歳出予定額は十兆一千六百十四億円で、平成八年度当初予算額に対し二千二百四億円の増加となっております。  金融自由化対策特別勘定歳入予定額は十一兆七千二百八十四億円で、平成八年度当初予算額に対し四兆九千二百七十三億円の増加となっており、歳出予定額は十一兆七千二百八十一億円で、平成八年度当初予算額に対し四兆九千三百二十三億円の増加となっております。  簡易生命保険特別会計については、歳入予定額は十九兆九千二百四十一億円で、平成八年度当初予算額に対し一千四百十五億円の増加となっており、歳出予定額は十三兆九千二百十九億円で、平成八年度当初予算額に対し四千六百十六億円の増加となっております。  郵政事業における重要施策について御説明申し上げます。  まず、郵便局ネットワークを最大限生かすため、情報通信を活用した二十一世紀郵便局づくりに向け、郵便貯金民間金融機関等のオンラインシステムの相互開放に向けた調査研究郵便貯金磁気カードICカード移行のための実証実験郵便局におけるワンストップ行政サービス実験インターネットを活用した電子郵便局開設等実施することとしております。  また、地域と連携し介護知識・技能の普及促進等を行うケアタウン構想推進過疎地域における高齢者在宅福祉サービス支援アジア太平洋地域における郵政サービス向上などを通じて、地域社会へ貢献しグローバル化対応する温かい事業運営推進を図ることとしております。その他、郵便サービス案内センターを設置するなど、郵便サービス改善を図ることとしております。  さらに、健全な事業経営確保と安定的なサービス提供を図るため、事業運営効率化経営基盤強化推進してまいります。具体的には、新郵便番号制導入による郵便事業効率化推進することとしており、郵政短時間職員についてもさらに拡大を図ることとしております。また、金融自由化対策資金新規運用額確保簡易保険資金運用手段多様化による資金運用制度改善充実を図ることとしております。なお、情報通信を活用した新たな勤務形態試行実施等、変化に対応した新しい就業環境整備も図ることとしております。  以上をもちまして、郵政省所管会計平成九年度予算案の概略につきまして御説明を終わらせていただきます。  御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
  5. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 北岡秀二

    北岡秀二君 自由民主党の北岡でございます。  私は、これより郵政事業の問題を中心に質問をしたいと思います。  御承知のとおり、一連の行財政改革流れの中にありまして、財政投融資の問題とともに郵政事業民営化の是非は連日のように報道されておるわけであります。先般の郵政大臣の所信に対する一般質問の際にも、民営化論に対する大臣の所感は、郵便局国民生活に密着し信頼されているということを考えるときに、現行の国営、非営利の形態国民利益につながるものである、行政改革とは国民によりよいサービス提供することであり、国民一つも負担をかけずよりよいサービス提供している現体制が一番国民理解を得る方法であると述べられました。私も、このことに関しては全く同感でございます。  しかしながら、民営化されなければよいといっただただ守りの姿勢というスタンスでは私はだめであろうと思うわけであります。時代流れに合った形で郵政事業、とりわけ郵便局社会に果たすべき役割をさらに高め、確固たる存在感をみずからの手でつくり上げることが大事であると私は思うのであります。  ここで再確認をしたいわけでありますが、郵政事業、別の言い方を申し上げますと、郵便局が存続発展するために大事なことは、私なりにまとめてみますと、まず第一番としてはユニバーサルサービス、三千二百五十五自治体、採算地域、不採算地域であれ全国あまねく公平にサービス提供すること。そして、ユニバーサルサービスという条件を満たしつつ、不断の合理化効率化に対する努力を行うこと。そして、公共であるがゆえに、公共だからこそ時代に即応した社会のニーズに合った形で利益還元をすること。さらに、広く国民事業に対する情報開示をすることであります。  すなわち、ユニバーサルサービス、そして合理化時代に即応した利益還元情報公開、この四つが私は大事なことであると認識しておりますが、このことについて大臣の御所見をお伺い申し上げたいと思う次第でございます。
  7. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘賜りました件は、全く私も同感でございます。全国津々浦々二万四千六百の郵便局が設置されておりますが、このネットワークを通じまして、郵便貯金、そして保険といった国民日常生活に欠くことのできないサービス提供いたしておるところであります。私は、この点、国民からも高い評価を受けておると考えております。  先般、日経新聞と日経データで、昨年の六月、こうした問題の金融機関イメージ調査という形で出ておりますが、この中で、親しみやすい、窓口対応がよい、相談しやすい、サービスがよい、全部郵便局が一位であり、金融機関等の方がかえって大変下の方にランクされております。この点はやはり国民に日ごろからこうした高い評価をいただいておる、こういうように考えておるわけであります。  現在、独立採算のもとで税金は一銭も投入しておりません。そして健全経営確保しておるのが現状でございます。  また、御指摘ありました今後の郵政事業におきましては、機械化推進あるいは定員削減業務見直し等を行いまして、効率化合理化推進しながらよりよいサービス提供していく、また、料金の維持を図りながら少しでも利益還元を図っていくということが大事だと思います。また、貯金等におきましても、利益還元という立場で介護貯金の創設やかんぽ健康増進支援事業推進等福祉施策については積極的に進めておりますが、さらにまた環境対策としていわゆる再生紙を利用した郵便はがき、こういうことで環境対策にも協力をしておるところであります。  いずれにいたしましても、少子・高齢化が急速に進展する中でありますから、この二万四千六百のネットワークを一層有効に活用しながら努力しなければならないと考えております。そして、今、郵政審議会に二十一世紀郵便局あり方について諮問をいたしておるところであります。この審議会からの御答申もいただいて、さらにそれの実行に努めてまいりたいと思います。  以上のような現状状況でありますが、これからも国民の皆さんの理解を一層深めていただけるように、先ほど先生指摘のいわゆるディスクロージャー、この問題が大変大事でありますので、郵政事業損益計算書貸借対照表、財務諸表を官報や新聞やインターネット等に掲載をいたして広く公開をいたしておるわけでありますが、今後、その事業経営の内容を説明した冊子の発行、こういうものを積極的に進めまして、また、各郵便局窓口に掲示して、一般利用者にもごらんいただけるように取り組んでおるところであります。  今後とも、先生指摘ユニバーサルサービス確保、一層の事業運営合理化公共への利益還元を図りながら、国民がより豊かで安心できる生活を享受できる郵便局サービス提供に努めてまいりたいと存じております。
  8. 北岡秀二

    北岡秀二君 次に、郵政事業に密接に関連いたしております財政投融資についてお伺いをいたします。  御承知のとおり、財政投融資についてさまざまな角度から問題点指摘されている中で、それにつれて、財投の入り口の重要な原資である郵貯への風当たりも大変強くなってきております。私は、財政投融資そしてそれを支えてきた郵便貯金はそれなりに大きな役割を果たしてきたものであると確信をいたしておるものでございますが、財投が現在までに果たしてきました役割について、所管は違いますが、郵政省なりにどう評価、総括をしておられるのか、大臣にお伺いを申し上げます。
  9. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、最近は財政投融資について大変大きな批判もありますが、しかし、やはり先生指摘のように、今日まで社会資本整備国民生活に密着したいろいろなサービス、あるいはまた日本の産業発展の上に多大な役割を果たしてきたことは私ども評価しなければならない、こういうように認識をいたしておるところであります。  しかし、こうした今日の社会事情考えますときに、やはりその時節、時代においてこれを見直しながら、また改めるところは改める、これは当然のことでありますし、日ごろ総理もそうしたことを委員会等で答弁されております。今、大蔵省資金運用審議会懇談会という中でこの財投あり方について研究がなされておるやに承っておるところであります。やはり時代に即してこの財投あり方について検討するのも当然だと、こう  いうように理解をいたしております。
  10. 北岡秀二

    北岡秀二君 前段に申し上げましたとおり、財投社会的に非常に大きな役割を果たしてきたという御認識、そしてまた反面、指摘されておりますように時代流れにそぐわない部分もあるということも事実であり、財投について根本的に見直しをしょうという政府流れは私も当然であると思う次第でございますし、大臣もそのように認識をされておられるということでございます。  財投の問題は、これはもう所管外でございますので、これに関連して見直しの結果がどのようになろうとも、ここで郵政省として大事なことは、大蔵省との兼ね合いもあるわけでございますが、私は、郵便貯金自主運用、この枠を今後さらに広げていくということが大変重要なことでなかろうかということを感じておる次第でございます。  来年度予算にありましては、自主運用枠である金融自由化対策資金新規運用額七兆五千億円、純粋上積み五兆五千億円、来年度の想定の累計額が四十五兆六千五百億円となるようでありますが、この数字をどのように見ておられるか。将来において自主運用枠をさらに広げていくべきであると思うわけでございますが、このことについての御所見をお伺いいたします。
  11. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 事実関係のところもございますので、私から答弁させていただきます。  ただいま先生指摘ございましたように、私ども財投機能というものは大変重要だと思っております。その中で私ども自由化対策資金、いわゆる自主運用ということで運用させていただいておりますものが平成八年度末で四十兆一千五百億円、ただいま御審議いただいております予算をお認めいただきますと、九年度末の運用残高は四十五兆六千五百億円となるわけでございます。  私どもこの郵便貯金運用あり方につきましては、やはり財政投融資資金として使われているわけでございますので、今後の財政投融資改革議論推移というものが極めて深い意義を持つわけでございますが、その議論推移というものがございますけれども、私どもといたしましては、これは郵便貯金資金としてお預かりした大事な預金でございます。まずは預金者利益第一ということ、それからそのための健全経営確保、そして今までの財投機能に貢献してきた役割、これを基本的にしっかり果たしていくことが基本だろうと思っております。  そのためにも、ただいま先生から御指摘ありましたような自由化対策資金、すなわち自主運用の的確な運用というのが当然必要でございます。昭和六十二年度に資金運用部から資金を借り入れたこの自由化対策資金運用してまいりましたが、基本的には非常に確実、有利な運用を目指してまいりました。しかし、年々この運用市場というものは変わるわけでございますので、その進展に応じまして私ども毎年のように運用対象拡大あるいは運用方法改善を図ってまいりました。したがいまして、これからも安定的にこの自由化対策資金資金確保いたしまして、そしてこの健全な経営に資するような運用に心がけてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  12. 北岡秀二

    北岡秀二君 ただいまの金融自由化対策資金、この冊子の中にも現在までの運用の結果というのが数字出ております。これはもう低金利ということも関連しておるんだろうと思いますが、数字の上では十分な利益を得ておるように私は思わないのでありますが、このあたり評価。そしてまた今申し上げられましたとおり、将来的にさらに自主運用枠を広げていく、そういう状況の中で郵便貯金利益をある程度確保していくんだという心意気から申し上げますと、これも運用の制限というのがいろいろあるような形に書いておりますが、運用枠運用手法自体をさらに拡大していって柔軟に対応していくということも必要であろうかと思うわけでございます。そのあたりについてのお考えはどうでしょうか。
  13. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 自由化対策資金運用状況でございますが、先生今御指摘ございましたように、私ども制度発足以来、借入資金のいわゆる運用コストを上回る運用利回りを得まして利ざやは十年間プラスでございました。多いときで利ざやが一・〇五%、あるいは少ないところで〇・〇五ということもございましたけれども、若干諸先輩の御努力評価になって恐縮でございますけれども、やはり大変変動激しい自由化の中での運用としてはしかるべき成果が得られたんではないかというふうに受けとめておりまして、その後を預かる私といたしましても、大臣の御指導のもとに確実な成果を上げていくということが大事だろうと思っております。  先生今御指摘ございましたように、今後の運用の利を上げていくことの対応でございますけれども、今後いわゆるビッグバンというものが順調に推移してまいりますと、いわゆる運用市場というものの厚みというものも増してこようかと思います。したがいまして、今私ども運用対象としております国債とかあるいは社債のほかに、あるいはより確実で、なかなかそううまいものは世の中にございませんけれども、より確実で有利な運用対象というのが広がってきますれば、私ども自由化対策資金運用可能性あるいは確実性の高まりというものもさらに確保できるんではないかというふうに考えておりまして、今後とも運用市場の動向につきましては細心の注意を払って対処してまいりたいというふうに考えております。
  14. 北岡秀二

    北岡秀二君 先ほどから申し上げましたとおり、これから財政投融資がいろいろな形で多分見直しがされていくであろう。その過程の中で、郵政省としては、先ほどから申し上げましたとおり、その自主運用をこれからいかにしていくかということがかなり大きなかぎになっていくであろうと私は思う次第でございます。そしてまた、その自主運用がどういうふうな形でこれから発展をしていくかということ自体郵便貯金に対する将来の不安を解消することにつながっていくであろうと私は確信しておるものでございます。そういう観点から、積極果敢な、そしてまた幅広い取り組みをぜひともお願い申し上げたいと思う次第でございます。  次に、合理化行政改革ということについてお伺いを申し上げます。  先ほどからの議論にありましたとおり、郵政省行革論というと民営化がどうかという論点が先行しておるように私は思うのであります。これは非常にまずいことでないかと感じておるわけであります。確かに、民営化というのは一つの選択肢であることは事実であろうと思うわけでありますが、それだけではないと私は思うのであります。これだけ行革論が盛り上がっている中で、特に、郵政省にとっての行革とはどういうものなのかはっきりと意思表示をすべきであろうと私は思うのであります。  確かに、郵政事業企業で申し上げますと優良企業であり、また先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、郵便局存在は広く国民に親しまれているものであります。この際、郵政省全体として各部門ごと合理化効率化数値目標を設定してこれに取り組むべきであると私は思うのでありますが、このことについていかがでございましょうか。
  15. 天野定功

    政府委員天野定功君) 郵政事業は、御承知のように独立採算を旨として経営を行っているところでありまして、これまでも郵便機械化あるいは貯金保険業務オンライン化などによりまして事業合理化効率化をみずからの課題として積極的に取り組んできたところでございます。  また、郵便事業人力依存度の高い事業でございますので、なかなか人員面での合理化というのは難しいところがあるわけでありますが、そういう中でこれまでも定員削減に努めてきたところでありまして、平成九年度におきましては、第九次定員削減計画の中で五年間で一万二千四百六十五人の定員削減目標といたしております。  さらに、来年二月に予定しております新郵便番号制導入におきましては、向こう十年間で約二千億円のコスト削減目標としているところでありまして、今後とも、できるものにつきましては目標数値化を図りながら、郵政事業の一層の合理化効率化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  16. 北岡秀二

    北岡秀二君 ただいまお話にありましたが、郵便番号の七けた化の実施、ちょっと合理化に関連してお聞き申し上げたいわけでございます。今二千億円とかいう数字もございましたが、この七けた化の実施によって具体的にどういう形での効果があるのか、どういうふうにお考えになられておるのか、お伺いを申し上げます。
  17. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 郵便番号の七けた化は郵便局内の全工程の機械化を図るために行うものでございますけれども、これで向こう十年間ぐらいで約八千人ぐらいの労働力削減が図られるというふうに考えております。  その計算につきましては、神奈川県の川崎市をモデルにいたしまして、そこで将来の郵便物数の予測に基づきまして、現在のやり方でやっているやり方、それから七けたを用いた場合のやり方というのを計算いたしまして、その結果を全国へ広げて計算をしてみたところでございます。そういうやり方をしますと、大体八千人分ぐらいの労働力削減できるということがわかりましたところでございます。  人件費の伸びがこれから二・五%ぐらいになるということを仮定しますと、この八千人というのは大体五千三百億円ぐらいの削減になるわけですが、七けたで郵便物を処理するためにいろんな機械を導入したり、あるいは七けたを書いていただくための宣伝といいますか、そういうこともやらなきゃいけない。それから、利益還元といいますか、書いていただいた方への料金の低減化というようないろいろ経費がかかるわけです。そういう経費を差し引きますと、先ほど申し上げました十年間で二千億円ぐらいのコストダウンが図られる、こういうことになっておるところでございます。
  18. 北岡秀二

    北岡秀二君 七けた化によってかなりの効果がある、まあこれだけではないんですけれども、またいろいろ御努力をお願い申し上げたいわけでございます。  今の七けた化の問題、たしか平成十年の二月に実施ということでもうあと一年もないような状況。ただ、この七けた化が実施をされるということに対する国民の認知ということを考えてみますと、午前中も特別委員会がございましたので横の議員さんにちょっとお伺いしますと、全然御存じでない。国民にこれから一年間かけて周知徹底をするということは、これはなかなか大変な作業だろうと思うんですけれども、ことしもそのあたりについての予算化をされておられるようでございます。国民に対して七けた化の実施に向けてのPR活動、周知策、これからどのようにしてとられるのか、お伺いを申し上げます。
  19. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 七けた化のために国民の皆様の御協力が不可欠でございますが、できるだけ経費をかけずに宣伝といいますか御協力をお願いしなきゃいけないということで、今までは、我々が持っております郵便局舎だとかあるいはポスト、それから郵便車両、そういうようなところにポスターを掲げるだとか看板を出すとかステッカーを張るとか垂れ幕を出すとか、そういうふうな形でPRをしてまいりました。まだ不十分でございますけれども、そういうような私どもの持っている資源をフル活用してということで当たってきたところでございます。  それから、大口の郵便利用者がございますが、大口利用者については、説明会を開くとかあるいはCD-ROMで郵便番号提供して御理解をいただくだとか、そういうことをやってまいりまして、今のところ大口の方々についてはかなり相当の御理解を賜っているものと考えております。  今後は、一般利用者の方々に御理解を賜らなきゃいけないということで、テレビだとかラジオだとか新聞だとか、そういうマス媒体を使うことを考えておるところでございます。そして、ことしの八月に新郵便番号簿を各家庭に配付する計画をしておりますので、そのちょうど配付の時期に合わせて集中的に宣伝をしたら浸透するのかということを考えているところでございますが、来年の二月に合わせていろんな手法を用いて宣伝、御理解をいただくということをやらせていただきたいと考えております。
  20. 北岡秀二

    北岡秀二君 わかりました。  次に、一連の流れでございますが、郵便局存在意義ということについてちょっとお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。  以前の委員会にもいろいろ各委員さんおっしゃっておられましたが、特定郵便局長さんあるいは民営化論流れの中で、一般国民は、郵便局存在がどうなっていくかということに対して非常に不安を持たれておられます。こういう状況の中で、郵政省として、郵便局存在は将来にわたってこういう存在ですよということを、はっきりとした付加価値をこれからつけていかなければならないんではないのか、そういう時期に私は差しかかっておるような感じがするわけであります。  先ほど大臣もおっしゃっておられましたけれども全国に二万四千六百のネットワークがある、なおかつ国民に親しまれた公共機関の窓口であるという非常に大きなメリットがあるということでございます。当然、郵政事業自体郵便局を通じて実行するというのが基本でございますが、私は将来の郵便局ということを考えてみましたときに、行革流れの中で地方分権も進んでいく、町村合併も行われていく。そしてまた小さな政府という観点から申し上げますと、いろんな公共機関の統廃合がこれからどんどん進んでいくんじゃなかろうか。そういう状況の中で、行政改革を補完していく役割郵便局に大きな特性として付加価値としてつけていけるんじゃなかろうかというように私は感じておるわけでございます。  もう既に今までの施策の中で、福祉に対して、少子化に対してあるいはボランティアに対してとその付加価値づけをどんどんやられておられます。今まさにこの時期にあって、将来に向けての郵便局存在ということをもっと高めていく観点から申し上げますと、福祉であるとか過疎であるとかあるいは環境であるとか、さらには少子・高齢化に対して、それも前提としては国営である、公営事業であるという観点からの利益還元という見方から申し上げましても、そういう分野にどんどん積極的に郵便局を利用していただく。そしてまた、そういう施策をさらに打ち出していって郵便局の付加価値を高めるということが大事なのではないのかというような感じをいたしておるわけでございます。そのあたり、今後の取り組みも含めて、大臣のお考えをお伺い申し上げたいと思う次第でございます。
  21. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま先生指摘のとおりでありまして、この二万四千六百というネットワークは私は国民共有の貴重な財産だと、こう思っておるわけであります。したがって、この国民共有の財産をあらゆる面で活用していくというのも極めてこれからの郵便局に課せられた大きな務めだと思います。  先ほど先生から御指摘がありましたように、恐らく地方分権が進み、さらにまた地方行政も簡素化、効率化が進められておるときに、私は、この津々浦々まである、末端まである郵便局というものの果たすべき役割というのは極めて大きくなると思う。  例えば、今郵便局で来年度試験的なことを考えておりますワンストップ行政サービス郵便局に行けばあらゆる仕事が全部そこでいろんな代行ができるように、一つネットワークを利用して、あるいは地方行政機関とコンピューターの端末を接続することによってそうした問題が解決できる。そういうことをするためには、私はやはり郵便局の果たす役割が極めて大きいと思う次第でございます。  これからも、少子・高齢化時代に即して当然のことながら改革は進めていかなきやなりません。そして、今までも国民から高い信頼と評価をいただいておるわけであります。先ほども日経の統計を申し上げましたように、今後、大事なこういった国民理解というか協力に十分こたえるような体制を新たな考え方で、介護の問題あるいはまたケアタウン構想やいろいろな施策をこれから検討しまた進めてまいりたい、こう思っております。
  22. 北岡秀二

    北岡秀二君 ほかにも質問があるんですけれども、時間の関係でもう打ち切りたいと思います。  今、大臣がおっしゃられましたとおり、私は、将来の郵便局あり方ということを考えてみたときに、当然、郵政事業ですからその目的の範囲というのはある程度制限があるだろうと思います。ですから、何から何まですべて取り組むというのはかなり難しい部分もあるだろうと思うんですが、将来の行政のあり方ということを考えてみますと、旧来型の縦割りで物事を考えるんじゃなくて小さな政府、地方分権、行政改革が進んでいく過程の中で、先ほど大臣もおっしゃられましたとおり、この二万四千六百の全国津々浦々にある公共機関というのは、郵政省のみならず日本の国にとって大きな財産と私は認識をいたしております。  そういう観点から今後の郵便局あり方ということを考えてみますときに、郵政省自体がよその省庁といろいろ積極的に交渉をいただいて、今申し上げられましたような、これからの日本が進んでいく過程の中で社会的に多少落ち度もいろいろ出てくるだろうし、なおかつ手の届かないところもたくさんあるだろうと思うんですけれども、そういう観点で、私は郵便局というのは大いに利用できるのではないのかと思います。ぜひとも積極的に、大臣を初め郵政省の皆様方、郵便局の今後の利用について柔軟に物事を考えて取り組んでいただきたいと思う次第でございます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  23. 畑恵

    ○畑恵君 自由民主党の畑恵でございます。  私は本日、情報通信分野に対します平成九年度予算案、その中でも特に公共投資関係予算の配分を検証しながら、二十一世紀に向けました我が国の情報通信政策のビジョンですとかあり方について伺ってまいりたいと思います。  私が今さら申すまでもないことですけれども、現代はまさに情報化時代、日進月歩どころか秒進分歩とも言うべきスピードで革命的な変化が情報通信分野の発展によって人類にもたらされております。そうした中で、高度情報化の波にどれだけ乗り切れるのか、さらにはこのような情報革命をどれだけリードしていけるかというのがその国の生き残りですとか国力を決定する最大の要因になっていると私は理解しております。そうした中で、資源を持たずにしかも国土も狭い日本にとりましては、まさにこの情報通信産業こそが二十一世紀における国家の主力戦略産業と言って異論の余地はほとんどないことだと思います。  したがいまして、ただいまもあらゆる聖域を排して行政改革を断行している最中ではございますけれども、やはりこの分野の育成、発展には国家財政は何にも増して重点的な配慮がなされてしかるべきでありまして、またそれが今なされなければ、これからますます世の中がボーダーレス化していくわけですので、我が国は国際競争力を二十一世紀に向けて決定的に失いかねないということを私は危惧しておる次第でございます。  そこでまず、今回の九年度予算案における情報通信分野の予算、各省庁にわたってございますけれども、きょうは大蔵省の方にもおいでいただいていますので、まず総額と前年度比というのをお教えいただけますでしょうか。
  24. 木村強

    政府委員(木村強君) 平成九年度予算郵政省情報通信関係一般予算につきましては、総額八百三十七億、対前年比三二・五%の増でございます。
  25. 中村明雄

    説明員(中村明雄君) お答え申し上げます。  何をもって情報通信関連予算と言うのかはなかなか難しいものがございますけれども、ことしの三月四日に高度情報通信社会推進本部有識者会議というのがございまして、そこで出されました情報通信高度化に資する施策というものがございます。これを各省庁足し上げますと一兆四千八百二十二億円となっております。八年度予算におきます数字から見ますと一四・七%の増になっております。
  26. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  一般歳出の伸びが今回かなり抑えられて一・五%増という中で、一四・七%増というのもかなりの伸びだと思います。特に、郵政省の今回の予算の三二・五%というのは非常に飛躍的な伸びで大変すばらしいことだと思いますけれども、ぜひこの分野に関しましてはこれ以上の御努力といいましょうか発展を私は望んでおります。  そうした中で、この情報通信関係に対する公共投資予算ということで今度は伺ってまいりたいんですけれども、その公共投資予算、そして全体に占める割合をお教えください。
  27. 中村明雄

    説明員(中村明雄君) 公共投資の総額でございますけれども一般会計の歳出を経常部門と投資部門に分けた場合におきます投資部門という数字でお答えさせていただきたいと思います。  九年度予算におきましては、十一兆七千百二十三億円が投資部門の歳出の合計でございます。そのうちの情報関連部分というのは、大変申しわけございませんけれども数字を持ち合わせてはおりません。
  28. 畑恵

    ○畑恵君 郵政省の方、こちらのことに関してもしよろしければ。
  29. 木村強

    政府委員(木村強君) 郵政省関係で申し上げますと、公共事業費ということで、予算総則の第七条で公共事業費の範囲を限定列挙されておりますが、その公債発行対象経費たる公共事業費といたしましては、平成九年度政府予算原案では十兆二千六百九十五億となっております。先ほど大蔵省とちょっと数字の根拠が違うかもわかりませんが、私どもの調べではそのような数字です。その中で、郵政省先ほど申し上げました八百三十七億のうち公共投資予算額につきましては二百二十八億円でございますので、全体に占める経費は〇・二二%ということでございます。
  30. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  私、質問の通告をさせていただいたのはきのうでございまして、内部で若干どちらが所管するのかというやりとりがあったようなんですけれども公共投資予算の中に明らかに情報通信分野に関する予算というのはあるわけですので、数がないということ自体私はちょっと解せないといいましょうか理解ができません。積算すれば出せる数でございます。きょうのきようでお願いして数を出してくださいということを申したわけではございませんし、私自身は積算をしてぜひ出していただきたいと思いますので、後刻で結構でございますからぜひこの数値をいただきたいと思います。  ただいま郵政省の方からは〇・二二%という形で、公共投資になるといかに低いかというのはこの数値を見てもよくおわかりだと思うんです。例えば、私今手持ちのこの資料というのは、これは建設省さんが出していらっしゃるものですけれども、「重点投資を行う分野の明確化」という資料の中に「マルチメディア社会等新たな経済・社会構造の創出」ということで、こちらは公共投資の中に九年度予算額一千七百五十二億円、八年度予算額が一千百三十億円でございますので五五・一%増ということで、そういう意味では、公共投資に関しましても情報通信分野というのは重点配分がされているのかというふうに一応理解をさせていただいております。  しかしながら、全体としましては、先ほど郵政省からのお答えのような形で非常に比率が低い。確かに、日本政府のこれまでの情報通信分野に対する考え方というのは、民間の投資として十分に育ち得るものだから公的に支援する必要はないということだったんだと思いますけれども、もともと公共投資の対象とされてこなかったから少ないということだとも思います。  例えば、アメリカのゴア副大統領が提唱しましたNII、GII、日本語に直すと情報スーパーハイウエー構想。こちらの方では将来を見据えました国家プロジェクトとしてどんどん公的資金を投入しているわけです、情報インフラ整備に。これは別に米国に限ったことではございませんで、例えばシンガポールですとかマレーシアですとかフィリピンですとか、東南アジア諸国を初めとして、発展途上といいましょうか先見性のある国々ではもうこれ世界の趨勢となっております。  そうした中、たしかこれは四年前だと思いますけれども、日本の総合経済対策の中におきましても、政府部内では従来の社会資本に対してより効果の高いと思われる新社会資本をめぐりまして議論が展開されたと聞いております。その際、情報通信分野への投資が有力候補として検討されたはずでございますけれども、今はどのようにそれを御認識か、そしてこの分野のGDPを押し上げる乗数効果ですけれども、実際今どの程度と見ていらりしゃるのか、伺えますでしょうか。これは経企庁の方がお答えくださいますでしょうか。
  31. 堀一

    説明員(堀一君) 経済企画庁経済研究所次長の堀でございます。  公共投資の乗数効果について御説明させていただきたいと思います。  当方にございます世界経済モデルを用いまして、実質の公共投資を継続的に実質GDPの一%だけ増加させた場合に実質GDPが何%増加するか、これを乗数効果と一般に言っておるんではないかと思いますが、効果をあらわす乗数を求めますと、一年目に一・二四、二年目に一・四〇、三年目も一・四〇でございます。二年目が一年目より高くなりますのは、乗数効果が出尽くすまでに時間がかかるために一年目には全部出ないで二年目にずれ込むということで、一年に一・二四、二年に一・四〇ということになるわけでございます。
  32. 畑恵

    ○畑恵君 恐れ入りますけれども、一・二〇から一・四〇というこの数値というのは、一般公共投資と比べますとどのように評価されるんでしょうか。高い、低いという形でお答え願えますでしょうか。
  33. 堀一

    説明員(堀一君) 私どもでやっております世界経済モデルにおきましては、すべての公共投資ということでやっております。といいますのは、もとになりますモデルでございますのでいろいろなデータを加工して投入することでやりますが、そのときに公共投資の部門別の形ではこれがうまく機能する形のデータがそろいませんので、トータルの公共投資ということでやっております。したがいまして、どの分野であると幾らということはちょっと計算が不可能ということでございます。
  34. 畑恵

    ○畑恵君 ちょっと私の伺い方がよくなかったのかもしれませんけれども、大体乗数効果一・二から一・四というのが通常の、単純比較をしては専門家の方からすると問題があるのかもしれませんけれども、一・二から一・四ぐらいが一般だというふうに私は伺っておるんです。  その観点からしますと、一般公共投資と情報基盤整備に資するような公共投資というのはさほど変わりがない、計算の仕方によっては中には情報基盤整備の方が景気浮揚の効果は高いという試算もあります。確かに、このどちらが高いかということに関しましては三、四年前に非常に議論が沸騰したところでございますのでこれ以上深くは追及いたしません。  要するに、乗数効果としても何の遜色もない情報通信分野であり、しかも、社会的ニーズから見てプライオリティーが格段に高くなっている昨今でございますので、私は、重ね重ねではございますけれども、ぜひもっと公的なサポートをこの情報通信分野にしていただいて、文字どおり国策としての取り組みをお願いしたいと思うんです。  こうなりますと、やはり情報通信分野を率いていくのは郵政大臣でございますので、ぜひ大臣の御所見、意気込みというのを伺えますでしょうか。
  35. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先ほどから御指摘いただいておりますが、今やもう情報通信産業が世界の経済構造改革の中心になる、こう申し上げても過言ではないと思います。アメリカの産業を見てみましても、アメリカはもう情報通信の大競争時代じゃなくて戦国時代だと、こういうように表現をされておるようであります。一週間ぐらい前でしたか、NHKが三日間にわたりまして情報通信の報道をなされました。私は、あれを見ておりまして、まさしくそのとおりだな、あの点から見ると日本は少し立ちおくれをしているなと思っております。  先ほどから局長大蔵省の方からも答弁いたしましたように、日本におきましても今、高度情報通信社会推進本部ですか、総理大臣を本部長にいたしまして郵政大臣と通産大臣が副本部長ということで、この情報通信の今後の推進について閣議でもっていろいろ協議をいたしておるわけであります。  そうしたような形で、昨年の予算編成に当たりましても、基礎科学研究あるいは情報通信基盤等の整備につきまして特別措置がなされました。その結果、郵政省が今年度の予算編成で三二・五%という大幅な予算拡大を認められたわけであります。  これからも私どもは、このネットワークインフラ整備について積極的に進めていかなきやなりませんし、さらに各省連携のアプリケーションの開発あるいは活用等、こういうものもさらに努力をしていきたいと思います。立ちおくれしておるかもしれません情報通信の技術研究、こういうものもそれぞれ民間の皆さんと産学一体となって今後さらに努力をしてまいりたいと思っております。
  36. 畑恵

    ○畑恵君 大臣の大変心強い、力強いお言葉をいただいてありがとうございます。ぜひさらなる御努力を重ねていただければ幸いでございます。  そこで、先ほど公共投資にまだいささかこだわらせていただくんですけれども、ぜひ公的サポートということで、私、提言をさせていただきたい施策がございます。といいますのは、建設国債の発行対象として、そうした公共事業としてこの情報インフラに関する費目も認めていただけないか、認めていただきたいということでございます。  例えば、今、ある公的な建物を建てるとしますと、その建物の費用というのは当然建設国債の対象になりますけれども、そこに内装されますパソコンですとか建物内にめぐらされるLAN設備、そこにサーバーですとかファイアウォールですとかいろいろなものが附属するわけですけれども、そうした設備というのはこれは対象外になるわけです。建物にしましてもそうしたLANなどの設備にしましても、公共事業の範囲として規定される資産として後世に残るものということに変わりはないはずだと思うんです。どういうものが対象内でどういうものが対象外かというのをちょっと伺いましたところ、例えば照明設備ですとか空調関係、それからトイレ、こうしたものは建物に付随するものとみなされるので対象内であると。  そうしますと、確かに数年前の感覚ですと、LANなどというのは特別なもので、これは違うのではないかという感覚もあったかもしれませんけれども、今、ほとんどのビルがインテリジェント化されておりますし、現代人の暮らしの中で冷暖房ですとか明かりと等しくこうしたマルチメディアというのは生産活動に欠かせないものだと思います。ぜひとも私は建設国債発行の対象として情報インフラ整備というのも加えていただきたいと思うんですけれども、これはいかがお考えでございましょうか。
  37. 中村明雄

    説明員(中村明雄君) 先生御存じのように、財政法第四条一項ただし書きがいわゆる建設公債の発行の根拠規定でございます。第四条第一項ただし書きは、公共事業費、出資金、貸付金の財源にする場合に限り、その建設公債の発行を認めているところでございます。これは先生先ほどおっしゃられましたとおり、これらの経費の支出により資産が形成され、その資産からの受益も長期にわたることから建設公債の対象になっているものでございます。  このような財政法の趣旨にかんがみますと、建設公債の対象となる公共事業費の範囲につきましては、従来から公債を発行するにふさわしい性格と一定の耐用年数を要する経費に限定しておりまして、パソコン等のような機材につきましては建設公債の対象とはしていないところでございます。  仮に、これまで建設公債の発行対象経費とされていない経費を対象として公債を発行することになれば、それは財政法に規定しております建設公債の原則を事実上放棄することにほかなりませんで、財政法の基本を変えることになりますと考えており、適当でないと考えております。したがいまして、今後ともこのような基本的考え方に立って対処していきたいと思っております。
  38. 畑恵

    ○畑恵君 今の大蔵省の方からのお答えは大体予想されていたものなんでございます。ちょっと答えにくいかもしれないんですけれども、お答えできる範囲で結構でございますので、もし御所見ありましたらお願い申し上げます。
  39. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま畑先生の御指摘は、私はこれは大変大事なことだと思うんです。大蔵省の今の答弁は、もう今までのがんじがらめの考え方。これは私は、やはり今から我々が、政治が出ていかなきやならぬ問題。  昨日、NHKの予算を通していただきまして、会長が御礼のごあいさつに来られました。そのときに、もうちょっとNHKは外国にどんどん日本のすぐれた放送技術をやるべきだと言ったら、いや、盛んにやっておりますと。ハードのものの放送局をつくるまではODAを利用してつくるんですが、その次の今度は番組とかソフトになるとODAの対象になりませんと。外務省の経済協力局長にもお願いしましたけれども、もうどうせだめだと言われるから、結局ハードの面は日本がつくったが、あとのソフトは全部ドイツとかあるいはフランスの番組でみんな放送されると、こういうことなんです。  私は、きのうそれを聞きまして、全くこれはいかぬなと。開発途上国のことは、やはりソフトの面、番組、そういうものもできていないわけですから、これは私は、今後ぜひ検討しなきゃいかぬなときのう痛切に感じました。  今、畑先生のおっしゃるようなことも、どれが建設でどれがソフトとかいう、今ごろそんな、建設国債というけれどもどれも一緒になつちゃったんです。今のような考え方を私は改めながら、今後の予算編成というのは全部考え直していかなきゃいかぬ。主計官は今までのそれをそのまま申し上げる、これはもうやむを得ないと思いますが、私も畑先生考え方に全く同感でありますので、今後大蔵省に十分、また我々閣議の中でも申し上げていきたい、こう思っております。
  40. 畑恵

    ○畑恵君 大臣、本当にありがとうございます。  余りにも大臣の御見識が高くてすばらしい答弁だったので、私は、ここまでのお答えを予想していなかったものですから、もうちょっと自分で何かしゃべらなきゃいけないかと思っていささか資料を用意したんですけれども、かえってそれが蛇足になるかもしれないほどの本当にすばらしい御答弁をありがとうございます。  これまでどおりのお答えというお話が今大臣のお言葉にありましたので、どれだけこれまでどおりを続けていらっしゃるかという参考資料を私はきょう持ってまいりました。  公共事業というのはかなり硬直化している、予算配分が硬直化しているというのはもう津々浦々いろいろなところで言われていることなんですけれども、こちらにありますのは、昭和四十年からの公共事業のシェアの推移に関する資料でございます。これは大蔵省の方がおつくりになったものでございます。  事業別のシェアを拝見しますと、時代流れによりまして、ニーズによりましてある程度の増減というのは確かにございます。ところが、所管別シェア、要するに省庁別シェアでございます、これになりますと、昭和四十年から三十数年たっているわけですけれども、見事に本当に、中には一%の狂いもないのではないかというぐらいに違いがないんです。  昭和四十年といいますと私が生まれて間もなくということでございますので、生まれたばかりの赤ん坊が参議院でこうして質問をさせていただくぐらいの年月でございます。そうした中で省庁別のシェアがほとんど変わらない公共投資というのはやはりいささか問題があるのではないかということで、当然その昭和四十年にマルチメディアのマの字もないわけです。先ほど大臣のお言葉にもありましたとおり、これは抜本的にぜひ見直していただいて、情報化時代にマッチした予算配分をぜひお願いしたいと思います。  さて、そろそろお時間も迫ってまいりましたけれども、各国が情報インフラにしのぎを削っている中、ぜひ日本もおくれをとることなく、先ほどゴア副大統領が提唱しましたNIIの話をちょっと例に引きましたけれども、ぜひ私は日本版NIIと言えるようなものを、実現はもちろんですけれども、また早急にしていただきたいと願っております。  このためには、やはり各省庁にある程度またがっていくタスクフォースといいましょうか、機動部隊のようなものが必要なのではないかと思います。当然、郵政大臣にそのリードをお願いしたいと思うんですけれども、やはりその各省庁との連絡をぜひ密にしていただく必要があると思うんです。こちらについて、ある程度先ほど御見解を伺ったところがあるんですけれども、NIIということに関しまして、少し特化して大臣のお考えを伺えますでしょうか。
  41. 木村強

    政府委員(木村強君) 米国がNII構想、情報通信スーパーハイウェーということで、ゴア副大統領が提唱されたようでありますけれども、クリントン大統領がこれを大々的に国家の今後の情報通信戦略ということで打ち出されております。これが全世界に衝撃的なインパクトを与えたわけであります。これからはグローバル化情報通信基盤というのが二十一世紀に向けての一つの大きな産業である。これを基盤にしてどう大競争時代に勝ち残っていくかという大きなアメリカの戦略として情報通信のウエートをつけられておるかということがまざまざとわかったわけであります。  我々も、大臣先ほど御答弁いたしましたように、平成六年でありますけれども、総理大臣を本部長といたします情報通信本部というものをつくりました。NII構想におきましても、タスクフォースということで、それぞれの省庁を集めたスーパーハイウエー構想の取り組みが全省庁、政府として一体となってアメリカも取り組まれておるわけであります。私どもも高度情報通信社会推進本部ということで、総理大臣を本部長とし、郵政大臣、通産大臣を副本部長とする、そういった内閣を挙げて政府一体として情報通信高度化に取り組んでいくんだという体制を整えて既に着々と進めておるという状況でございます。  これは政府全体で基本的にはそこでありますけれども、また我々自体といたしましても、この九年度予算で計上されております経済構造改革特別措置、これは先生先ほど公共事業費とおっしゃいましたけれども、経常経費ということでこの経済構造改革特別措置が組まれておりまして、これには、ハード、ソフトのかかわりなくやっていこう、まさにこの情報通信基盤にとっては非常に使い勝手のいい、建物だけつくって終わりというのではなくて、非常に使い勝手のいいそういうお金もこの経済構造改革特別措置という中で認められたということであります。おくればせながらではありますけれども、日本もそういう情報通信の、本当に使い勝手のいいお金の使い方、あるいはめり張りをつけた予算編成というものに動き出しておるというふうに考えております。  それから、個別のパイロットのプロジェクトにつきましても、大臣も申し上げましたように、例えば、農水省とはマルチメディア・パイロットプラン構想ということでモデル農村地域事業、あるいは建設省としてはモデル住宅事業、あるいは文部省としましては学校教育、大学キャンパスのパイロット事業といったような形で、私ども情報通信を担当いたしております省が、お金も先ほど申し上げましたように多くないものですから、頭出しの部分あるいは研究開発の大切な部分を入れまして、それ以外にインフラのお金を持つ各省庁がドッキングをして効果的な一体的なそういう施策全国で展開できるようにというような形で、アメリカのスーパーハイウエーじゃありませんけれども、我々も省庁をまとめてしっかりとした情報通信高度化に取り組んでいるという状況でございます。
  42. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  そうした中で、内閣総理大臣をヘッドにしてそうした動きがあるというのを私も伺っておりまして、ぜひ推進をしていただきたいと思っておるのですけれども、これは広報の問題なのかもしれません。やはりアメリカですとかマレーシアですとか、他国のように余り華々しくその動きというのが伝わらなくて、これは大変国のイメージアップですとか戦略アップにもなることでございますので、もちろん部外秘ということはたくさんあるとは思いますが、ぜひ表向き出していい話、そしてこれだけ日本が力を入れているんだということを内外に示すというのは決してマイナスではない、むしろプラスなことだと思いますので、そういう広報の御努力をお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  43. 木村強

    政府委員(木村強君) 先生指摘のように、私ども外国に行きましたら、アメリカのNII構想、情報通信ハイウェー構想などがすぐにその外国の方々とのお話の中で出てくる。最近ではマレーシア、アメリカと比べますと非常に小さな国でありますけれども、マハティール首相が提唱されましたマルチメディア・スーパーコリドーといったような、そういう言ってみれば非常に国家プロジェクトのネーミングの上手さによりまして、我々が外国に行きましても、あるいは日本におる我々でも、例えば今申し上げましたマレーシアのそういったスーパーコリドーというものがわかる。  ところが、我々が外国に行きますと、今申し上げましたことを一生懸命外国の人に伝えておりましても、汗水垂らして各省庁が情報通信高度化に取り組んでおりましても、それをまとめて何だというのがございませんから、なかなか理解をしていただけないということは痛感をいたしております。  そういう意味では、今、沖縄の振興ということで、私ども情報通信関係で、沖縄の国際都市形成に、あるいは日本の情報通信高度化に、あるいは世界の中に伍していく、そういったものができないかということでマルチメディア特区構想というものを出しております。この言葉は総理が沖縄に昨年行かれましたときに総理の口からこういったお言葉が出るといったことで、我が国もそういった情報通信の国家プロジェクトみたいなものが政府の方々から本当に言葉となって出ていくとなれば、先生今御指摘のあるようなことが、日本の国の情報化の中身が世界の人たちにもわかっていただけるだろうということで、今、情報通信ビジョンを電気通信審議会におかけをして審議していただいております。そういった状況の中でいいものがあれば、外国にもすぐわかるような、あるいはこれは郵政省だけではございませんので国としての話になろうかと思いますが、そういった情報通信本部の中での御議論も踏まえながらそういったものを打ち出していければということでこれからも努力をしてまいりたいと考えております。
  44. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  おっしゃられたとおり、私自身も日本版NIIですとか日本版スーパーコリドーというのは大変せつのうございまして、アメリカが米国版日本の何とかかんとかというふうに、日本のマルチメディアプロジェクトを他の国がまねするというような位置にあるぐらい、当然日本の技術力ですとかポテンシャルというのは高いものだと思いますので、ぜひともお願いいたしたいと思っております。  ただ、そういうネーミングの問題一つをとりましても非常に象徴的なことだと思うんですが、やはり、例えばアメリカの場合は、商務長官がヘッドになって、そしていろいろな省庁にまたがりますタスクフォースを率いている。日本の場合は総理なわけですが、総理は非常に本当にお忙しいと思います。各大臣も当然お忙しいのですけれども、特に総理はいろいろな問題がある。そうした中で、総理を完璧に補佐するようなスタッフが高度情報通信社会ということに関してあればまた別なのかもしれませんけれども、なかなか今のままでこれを進めていって、どこが、だれがリーダーシップをとるのかというのが私はいささか見えてこないのではないかと危惧いたしております。  といいますのは、今回、情報通信高度化に資する施策予算を教えてくださいということで資料をちょうだいしましたら、これは内閣内政審議室がおまとめになっていらっしゃる。ところが、内閣内政審議室の方では、まとめはするけれども、御自身の方から何か提言をして、ビジョンを示して、あり方を示して率いていくというのではなくて、各省庁の方々をバランスをとりながらおまとめしていきますと。事後報告をきちんと受けて、それを積み上げていきますということですので、じゃ一体どこが日本の情報通信政策を強力なリーダーシップで引っ張っているのかということになると、どうもはっきり見えてこないところがございます。中心になるのはやはり郵政省、産業分野でありますと通産ということもかかわってくると思うんですが、やはり一元化する、そしてどなたかにリーダーシップを発揮していただくというのは、情報通信分野だけでない話でございますけれども。特に、二十一世紀に向けて欠くべからざることだと思いますので、私は、先ほどの力強いお言葉のとおり、ぜひ堀之内大臣にお願いいたしたいと思いますので、御期待申し上げますとともに御所見をいただければと思います。
  45. 木村強

    政府委員(木村強君) アメリカのNII構想の推進につきましては、情報基盤タスクフォースというのができております。その下に電気通信情報庁というものが、NTIAと申し上げますけれども、ここが取りまとめ事務局になっているということで、アメリカの場合には、NII構想の取りまとめは電気通信情報庁だということであります。その横にNII諮問委員会というのがありまして、民間各界の二十七名がお入りになっておる。その下にそれぞれ電気通信政策委員会であるとか情報政策委員会、アプリケーション委員会があり、国務省、国防省、司法省、内務省その他の省庁がひっついておる、こういうことであります。  日本の場合には、先ほど申し上げましたように、総理大臣を本部長といたしますが、事務局は内政審議室ということで、郵政は副本部長でございますが、事務局は一応内政審議室。もちろん、情報等の中身についてはよく連携を保ちながら、事実上私どものいろんな情報を上げて動いておりますけれども、やはりその点は間接的な動きにならざるを得ないというのが今の現状でございます。  今の先生の御質問、よく承りまして、またそのように機動的に本当に積極的に動けるような事務局になれるようにと考えてまいりたいと思っております。
  46. 畑恵

    ○畑恵君 大臣、もしよろしければお願い申し上げます。
  47. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま木村局長からも答弁いたしましたが、もうそれで尽きておると思います。本部長が総理大臣でありますし、非常に総理もこの情報通信には重大な関心を持ちながら、もう私も二回ほど個別に呼ばれたりして指示を受けておりますので、今後私ども、今先生指摘のようなことを踏まえながら、これから日本の情報通信発展努力をしていきたい、こう思っております。
  48. 畑恵

    ○畑恵君 ありがとうございます。  総理が当然ヘッドということはもちろんでございますけれども、いろいろとお忙しいときにはぜひ堀之内大臣を代理といいましょうか指名していただいて、かわりにリーダーシップをとっていただくような形を私などは望んでおります。確かに、橋本総理のツルの一声でNTT問題に決着がついたということもありますので、そのリーダーシップはいろいろなところで発揮されているんだと思いますけれども先ほど局長からもお話がありましたとおりに、やはりこの分野は郵政省の方々がこれまでのいろいろな積み上げの中で幅広い知識、見識をお持ちだと思いますので、ぜひ事務局をリードなさって、アメリカを凌駕するような形の日本版NIIを実現していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  49. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 平成会の魚住裕一郎でございます。  一昨日、NHKの予算につきまして審議をいたしましたけれども、その中で苦情対応機関、こういうことをお聞かせいただきました。その中で、国立映像資料館というようなことを御提案申し上げたわけであります。  この問題につきましては、表現の自由、いわゆる言論の自由、これはもう民主主義の根幹にかかわる問題でございますし、また一方、国民一人一人の名誉やプライバシー、高度情報化社会においては誤った情報というものは社会的な抹殺にもつながるというような意味で、これをどう調節を図っていくのかというような問題になろうかと思います。  また、一方では情報公開の要請もあろうかと思うわけでありまして、そういう中で苦情対応機関、言われているようなものはちょっと力不足なのかなと。逆に、個人の、国民一人一人の発動、発意を大事にしながら言論の自由も守っていく、そういう意味から、私は、この映像資料館、最も適切ではないかというふうに提案を申し上げた次第であります。  郵政省の方からは、放送番組センターなるものがありますということでございましたけれども、これは収集する番組も教養番組とかドラマとかかなり限定されておりますし、何といっても財団法人ですか、公益法人ですから郵政大臣のもとにあるということで、非常に言論の自由を考えた場合、ある意味ではこの組織を拡充しても意味をなさないんではないだろうかというふうに私は思っております。  もちろん、映像資料館をつくる、国立国会図書館のようなイメージを私は持っておりますけれども、莫大な費用もかかるとは思います。そうはいっても、先ほど来畑先生からお話があったような公共事業のような金額にはなりません。また著作権の問題等もあるかと思います。  私は、この問題ほうっておくと、例えば文部省とかいろいろ検討してくるんだろうと思いますが、この高度情報化社会の中において、マルチメディアに非常に熟知した郵政省が検討をし始めてもいいんではないか、そういう価値があるんではないかというふうに考えておるわけでございまして、この点につきまして、まず郵政大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 一昨日のNHK予算を御審議いただくときも先生からこうした御指摘がございましたが、放送番組は歴史的に価値の高い貴重な映像資料であることは私どもも十分理解をしております。それを系統的に保管する体制ということは大変重要な課題と考えております。  一昨日も御答弁申し上げたような形で、今は放送番組センターが指定を受けて、番組の収集、保管、公開を行っておるところでありますが、映像として約四千二百本の番組、そして九百本のラジオ番組を収集しておるわけであります。  これは、何といっても一番問題はやはり著作権の処理、こういうことが大きなネックになってくるんじゃないかと思います。私が愛知県の岡崎市に参りましたときに、岡崎市をいわゆるマルチメディアモデル都市ということで実験をやっておったわけでありますが、ここで一番問題になるのは、いろんな立派な資料はあるが、それをマルチメディアの資料として映像を加工するということはやはり著作権の侵害ということで、自前でつくる以外にはほとんどいい資料を確保できないというようなことを嘆いておられました。  教育に使うのでもそういう形でありますから、私は、今後この著作権の問題等、相当これは研究をしていかなければ問題が大きくなるんじゃないか、こういうように考えております。しかし、御指摘のように、大変貴重な映像資料もあるわけでありますから、今後大きな研究課題として我々にまた十分勉強をさせていただきたい、こう思っております。
  51. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 前向きな御答弁だというふうに考えております。感謝をいたしますけれども、ただ、著作権の問題、既に放送番組センターでも館内でそれを再映している、そういうようなこともありますし、いろんな手段を考えれば著作権法上の問題もクリアできるんだろう。また、収集、記録にいたしましても、映像の圧縮技術も進歩しておりますし、その辺を考えて、ぜひ前向きに検討会等を持っていただきたいというふうに思っております。  次に、どうしても私プライバシーとかそういう問題常に関心があるんですが、先般、ことしの一月二十八日からですか、NTTの方から発信電話番号表示サービスというようなものが試験的に提供をされているようでございます。福岡、名古屋、横浜。  今までの電話というのは、鳴ってからとって、だれだれですという、そういう意思通達手段であったものが、いきなり受信側で選択ができるという、今までの電話文化を百八十度ひっくり返すような大変なサービスになってきたということでございますが、この試験提供を始めてから二カ月ぐらいになるんですが、実際の反響というものはどういうものであったのか。  また、今モニターをやっておられるようでございますけれども、モニターに応募される、これは個人も企業もあると思いますが、企業サイドにおいてはどのような理由からこのサービス考え、そしてまた応募理由としているのか。  そしてまた、いわゆる全番号非通知、パー・ライン・ブロッキングというんでしょうか、これ申し込めるようになっておりますけれども、具体的にはどのぐらいのパーセンテージで申し込みがあるのか教えていただきたいと思います。
  52. 谷公士

    政府委員(谷公士君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、一月二十八日から横浜、名古屋、福岡の三地域でNTTが試験サービスを開始しておりまして、六月末まで続けていく予定でございます。現在、この地域で約四千加入のモニターの方が電話番号の表示サービスを利用しておられます。この試験サービスにおきまして、サービスの利用意向、発信者に与える影響等について検証いたしまして、その結果を踏まえて年内に本サービス考えたいということでございます。  この試験サービスに先立ちまして、三地域の全加入者、四百十万人いらっしゃるわけでございますが、この方々にその契約した回線を利用される場合すべての番号について非通知となされるのか、あるいは通話ごとに非通知となされるのかという意向確認を行いましたところ、その約二〇・五%に当たります八十四万加入の方から全番号非通知、回線単位で非通知という申し込みがあったところでございます。御質問いただきました、どの程度の割合で全番号非通知かということにつきましてはこの数字であるわけでございます。  現在までのところ、この試験サービスは順調に実施されておるというふうに聞いております。  それから、企業における応募の理由でございますけれども、お客様サービス向上させたい。あるいは注文・予約受付等の電話受付の効率化を図りたい。それからこのサービスに興味がある。会員等の本人性確認の強化が確実化が図られる。それから繁忙時等にとれなかった電話の相手の確認ができる。それから繁忙時等においてとれなかった電話の折り返しができる。それから番号を確認してから電話に出たい。こういつたような理由が挙げられておるところでございます。
  53. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 一見何か非常にすばらしいサービスが開始されるというような印象を持っておるんですが、どうもこのサービス導入の具体的な理由が私よくわかりません。  いろんなことを言われております。迷惑電話あるいは間違い電話、セールス電話、わいせつ電話、こういうものに非常に困っているというような言われ方、その防止策ですよということがかなり先行して喧伝をされました。  しかし、よく考えてみたら、このサービスができても、受けたくない電話であったとしても、電話をずっと鳴らし続けるわけにはいかないわけです。それからまた、この番号表示を見て相手がわかるというのはかなり一部の人だけじゃないか、自分にとってもそうでありますけれども。ほとんどの電話には出ざるを得ないんではないだろうか。また、かえって間違い電話しますと、今折り返し電話というのがありましたけれども、逆に折り返して嫌がらせされるんではないかとか、また公衆電話でかけた場合、公衆何とかとか表示されるわけでしょうから、そうなってくると、今言ったような迷惑電話の防止みたいなものにはほとんど役立たないんではないだろうか。  そうすると、一体何のためにこれをあえて導入するのか。私は、最近黒電話から変わってきておりますけれども、今の新しい機械、電話の端末を売るためにやっているのかみたいな、そこまで勘ぐりたくなるんですが、この電話番号表示サービス導入のねらいというものは一体何なんでしょうか。
  54. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 御指摘ございましたとおり、やはり電話を使っていわゆる迷惑電話等がかなりあるということはっとに指摘をされてきたところでございまして、私どもいろいろアンケート調査をいたしましてもそういう意見はずっと続いてきておるわけでございます。  こういったことを考えますと、そもそもコミュニケーションと申しますのは、相互の了解があって始まるというのが一般的な形でございますけれども、電話はその特性といたしまして、また技術的な制約ということもあったと思うのでございますけれども、一方的にかかってくるということでございまして、電話に出なければならないという発信者優位の、そういう特性をずっと持ってまいりました。そういうところがらこういう問題が出てきておると考えるわけでございます。  この発信電話番号表示サービスでございますけれども、このように発信者が優位となっておりましたこれまでの電話の仕組みを技術的な問題も解決してまいりましたので変更いたしまして、発信者とそれから着信者のコミュニケーションにおける対等な関係確保することを目的としたサービスでございます。  したがいまして、このサービスにおきましては電話番号を通知するということを基本とするわけでございますけれども、もちろん、みずからの番号を秘匿したいという場合もあるわけでございまして、その場合につきましては、先ほど申し上げましたようにあらかじめ一切の番号を非通知とするという取り扱いを設けるということ、それから、そういうサービスを利用しない場合におきましても、通話ごとに最初に一八四をダイヤルするとその通話に限って番号を通知しないということもできると、こういう方法を設けております。  先生指摘のように、こういつたことをしたから迷惑電話等の問題がすべて解決するのかということにつきましては、今申し上げましたような番号を通知しないというサービスも設けておるわけでございますし、また、そのことは別といたしましても、みずからを秘匿するということもできるわけでございます。そのこと自体を否定しているわけではございませんが、しかし、基本的にこういった現在対等でないという仕組みからできておりますこういった問題について、やはり一応制度的に対等の関係を基本として確立するということは適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  55. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 既にこの迷惑電話の対抗策として迷惑電話おことわりサービスというものがある。一部機能が不十分だという指摘もあるようでございますが、これはこれとして既にあるわけでございまして、どうもその辺の理由がわからない。  そして、先ほど二〇・五%という数字挙げられましたけれども、原則全部通知、全部非通知にするというのは、申し込みという形であっても二割の方が嫌ですよという形で申し込んでいる。これ逆にひっくり返して、そういうサービスを受けたいという方だけ申し込むという形にしたらもっと数字が違ってくるんではないだろうかというふうに思うんです。原則通知あるいは原則不通知、そのどちらかにするか、その辺の判断の基準はどのようになさったんでしょうか。
  56. 谷公士

    政府委員(谷公士君) ただいま申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれども、基本的に今回の措置につきましては、発信者と着信者の関係を対等な関係とするということを考え方の基本にいたしておりますので、そういう意味で原則通知という考え方をとったわけでございます。そして、御希望により例外的にといいますか、別の措置といたしまして不通知という仕組みを設けるという考え方をとったわけでございます。
  57. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その辺の対等原則というようなお話もございますけれども、どうもまだこのサービス導入の理由がよくわからないわけであります。  それで、この導入を始めるときに当たりまして、これはNTTですか、「電話とコンピューターがつくる新しいビジネスチャンス-発信電話番号通知サービス」というようなCD-ROM、そこの中において、この新しいサービスができることによってどんどんビジネスチャンスができるんだというような宣伝をされているようでございます。  要するに、これは先ほど、新しい電話機が売れるということも含めて商業利用が中心ではないだろうかというふうに思うんですが、その点はいかがですか。
  58. 谷公士

    政府委員(谷公士君) ただいま御指摘の点については、私は具体的な例は承知しておらないのでございますけれども、基本的にこの制度を設ける趣旨は先ほど申し上げたとおりでございます。  ただ、発信者の方も御了承いただいている範囲でこのことについて新たな商用サービスというものが派生してくる、そういう可能性はもちろんあるだろうと思っております。ただ、その点につきましては、基本的にやはり個人の情報の保護ということがございますので、それなりのガイドラインというものでございますけれども、現在のところ、その扱いについては十分慎重に行われるように関係者の方々にお願いをしておるところでございます。
  59. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 その辺、今、局長の方からお話しございました、プライバシーにかなり重大な危険性を生じかねないという御懸念かと思いますが、昨年十月ですか、発信者個人情報の保護に関するガイドラインというものをつくられたようであります。例えば、新聞見ていて、こういう事件がございました。全情連ですか、全国信用情報センター連合会、消費者金融業者の方が加盟していて、いわゆる消費者金融の利用者に関する情報が集まっているところに虚偽の業者が加入して、そこからデータを引っ張り出して流された、八十五万件だと。その情報の一部が税務職員等の人事管理に使用された、そういうような新聞報道がございました。  また、このガイドラインの中にも御指摘がございます。単に電話番号をためていくということではなくして、氏名、住所、生年月日、または商品を購入した事実、あるいは金銭借り入れの事実等、そういう細々とした情報とを結合した形で利用されかねない。だから、このガイドラインをつくったんだというような趣旨でございます。  単に番号を発信するかしないか、そういう問題以上に高度情報化社会に向けての懸念も郵政省自体がお持ちでございまして、あえてこういうようなガイドラインをつくったんだろうというふうに思っておるわけでございますが、しかし私は、これ自体非常に不十分ではないだろうかというふうに思っている次第でございます。  例えば、このガイドラインでは、発信者情報の収集、記録、記録については規定を設けたい。だけれども、収集については電話に出る前に情報が通知されるから制限になじまない、そういうような表現があるんです、解説の中に。  しかし、今の電子技術からしてみれば、電話番号が通知される前に、発信者に対して受信者側が電話番号のデータベース化をやっていますよということを知らせることによって、この発信を続けるかどうかということを、例えばシャープ番号とかキーとかありますね、そういうようなところを利用しながら選択する余地があるんではないだろうか。何で、電話番号の収集に関しては制限になじまないという形でこのガイドラインの考察を放棄してしまったのか、その辺を教えてください。
  60. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 確かに、表示される段階では、まだ収集というには当たらないという考え方をしております。ただ、先生指摘のように、その電話において番号が収集されておるということにつきましては、個人情報の保護に留意するという観点から、こういった番号を利用する事業者の方が、当該電話番号をパンフレットや広告等で宣伝する場合には、発信者情報通信サービスを利用していることを示すマークをつけるというようなことが考えられるということもあわせて言っておるわけでございまして、そういう意味で、できる限り事業者としてはそういったことを明らかにしていただくということが適当かとは思っております。
  61. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今のマークというのは、電話の向こうで見えるんですか。
  62. 谷公士

    政府委員(谷公士君) その事業用の電話がそういう収集用に使われているということを示すという意味でございまして、かけた際に相手方の発信者の方の電話機に表示されるという意味ではございません。
  63. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それから、記録に対する制限というか、その中で記録の目的を明確にしなければいけないということでございます。  ただこれ、この解説記事の中では、「当社をご利用いただいたお客様として登録させていただきます」というような告知しか実は書いていないんです。私は、一般消費者にとって非常にあいまいもことした内容ではないかというふうに思うわけであります。これだと事実上規制にならないのではないか。しかも、個人情報の利用の制限というところでは、記録目的の範囲を超えて利用してはいけないと。だから、制限が記録目的に限定されるんだけれども、その概念自体が非常にあいまいなものだから、また例として挙げられていること自体がこんなことでいいのかと思うぐらいの内容になっているわけでございますので、もっとこれをきちっと厳しくする必要があるんではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 基本的に、この問題につきましては、個人情報の保護という非常に重要な問題にかかわるという認識を持っておるわけでございます。しかし、その内容につきましては、今後どのようなことが出てくるかということも完全に予測しがたい問題でもございますし、また、単に電話番号の表示のみにとどまらず、この問題は非常に関連して広がる部分が多い問題でもございます。  したがいまして、私どもといたしましては、まずは一応のガイドラインによりましてこの取り扱いの帰趨について見守ってまいりたいというふうに考えておりまして、その中で具体的に御指摘のような問題が出てまいりますれば、さらにこのガイドラインについても見直しをしていくということはあるものと考えております。
  65. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、余りにも解説の中ではミスリードするような表現になっておりますので、注意をしていただきたいと思います。  それから、個人情報提供の制限という項目がございます。この中で「法令の規定により提供を求められた場合」は出してもいいですよという表現、そういう形がありますけれども、この例として挙げられております刑事訴訟法百九十七条二項あるいは弁護士法二十三条の二、これなどはいわゆる強制捜査ではなくして任意捜査あるいは弁護士会の照会請求ということです。では任意の税務調査はどうなんだと。そういうふうに考えていくと、ほとんど無限定に自分に関する情報が予期しないところにどんどん流れていく、こういう形になるわけで、これではほとんどこの提供の制限にはならないんではないかというふうに思うんですが、この点いかがでしょうか。
  66. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 私ども今直接考えておりますのは電話番号でございまして、おっしゃるように、この電話番号を一つのインデックスとしていろいろな情報がまとめられるというところからいろいろ問題が出てくるということは、そのとおりだと思います。  しかし、関連して取りまとめられました一般的な情報につきましては、これは一般的な個人情報保護の問題になると思うわけでございまして、私どもが今考えておりますのは、取りまとめる核となるこの電話番号がそういったことにどのように使われるかという観点で考えておるわけでございます。したがいまして、おっしゃるように、広くこの問題を考えますには、全般的な個人情報の取り扱いそのものを考えていかないと完全な形のものはできないと考えております。
  67. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 今のとも関連をするんですが、個人情報の、自分の情報がどうなっているのかという開示、あるいは訂正、削除、こういう問題でございます。今、ほかのデータとリンクしている、こういうようなのは違いますよとおっしゃっておるわけですが、リンクしているとして、それだけのデータをつくっているところときちっとそれぞれ分けている場合と多分違うんだろうというふうには思います。  この個人情報の訂正の部分でございますけれども、結合していて識別できるようになっていない場合はこの訂正はどこまで及ぶのか、どのようにその点についてはお考えになっているのか。  また、ここでは訂正とか個別の削除でございますけれども、そういう記載にはなっておるんですが、当該個人情報全体、全部を削除してくれ、こういう要求があった場合はいかが考えておられるのでしょうか。
  68. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 先ほど申し上げましたように、私どもはあくまで電話番号ということで考えておりまして、その電話番号とその他の情報との切り分けにつきましては、それが識別できるようにということを同じく求めておるわけでございます。したがいまして、その他の一般の情報につきましては、私どもといたしまして今回のガイドラインの中で考えておる対象ではないわけでございます。
  69. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 個人情報全体の削除要求はどう考えているかということは答えていませんので、お願いします。
  70. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 電話番号と結びつけられましたその他の一般の個人情報につきましては、情報通信、電話の利用とは別途の場面で恐らく収集されたものだろうと思うわけでございまして、そういったものにつきましては、この場合の私どものガイドラインの対象にはしていないわけでございます。
  71. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 このガイドラインに沿って少しお話を聞かせていただいたわけでございますけれども、これガイドラインですから、違反したサービス利用者、業者というか、それに対する罰則がないわけです。この中でもちろん違反した悪質な業者は氏名公表というようなこととか、あるいはこのサービスの利用自体の制限というような形はありますけれども、ただ、それは別にこのガイドラインだけであって、業者の自主的な発動を待つだけと、そういう姿勢になっているんだろうと思います。もちろん、根本的には既にありますような国が持っている個人情報に関する保護の法律がありますけれども、民間部門における個人情報保護法なるものを早急につくるべきであろうというふうには思います。  ただ、先ほど御答弁あったように、このサービス全国に展開していくんだと、しかもことしじゅうにというふうになりますと、個人情報保護法、非常に大事な法律案だと私も思いますけれども、とりあえず、この本件のサービスによる発信者個人情報の保護に関する法律、あるいはそれに伴う電気通信事業法の改正とか、私はやるべきではないだろうかと思いますが、郵政省のお考えをお聞きしたいと思います。
  72. 谷公士

    政府委員(谷公士君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、この問題の重要性ということについては十分認識しておるつもりでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、この問題は番号問題だけにとどまらず、基本的には一般的な民間部門における個人情報保護の取り扱いの問題でございまして、それからまた、どのような事態がこの問題をめぐって展開していくかということも必ずしも予測し得ないところでございます。また一方で、民間企業の営業の自由という問題もございます。  したがいまして、当面、私どもといたしましてはガイドラインという形で、もちろん強制力はないわけでございますが、関係者の御理解と御協力をいただきまして、このサービス実施し、その中でその状況を見ながら必要な検討を重ねていきたいというふうに考えております。  もちろん、本実施に当たりましては、六月まで行いますこの試行サービスの内容を勘案いたしまして、本サービスの内容についても十分考えていくということになるわけでございます。
  73. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  74. 西川玲子

    ○西川玲子君 平成会の西川玲子こと松あきらでございます。  一昨日のNHKの予算審議での堀之内郵政大臣の免除停止に対しましての前向きのすばらしい御答弁に私はもう感激いたしまして、どうか一日も早くぜひこれの実現をお願いしたい、まず心から申し上げます。  それから、今のNTTの発信者の番号についてなんですけれども、これは私、きょうは言うつもりなかったんですけれども、正直言いまして、そういうサービスもいいだろう、そして選択も自由であるというふうには思います。一つ問題なのは、私も横浜ですけれども、これは、はがき等でこういうサービスをやめてくれ、それじゃ困るといって申し込んだ人だけお金を取られないで済むんですよ。そこが問題なんです。今はサービス期間中だからいいんですけれども、知らないでそのままいると知らない間にお金を取られちゃうんですよ。やっぱり、こういうサービスをしてくださるのなら、お願いしますと申し込んだ人からお金をいただいて、そうじゃない人からはお金をいただかないというならわかるけれども、そこのところが反対なので、横浜に住んでいる者は非常に困ると言っておりますので、ぜひこれは申し上げておきたいと思います。  先日、郵便法を審議いたしましたときに、主婦の方々から郵便業務に対するいろいろな御意見をいただきまして、大臣にもお伝えしたと思うんですけれども、その中には、もう実際には業務として実施されていますのに、私も知らないし、世の中の人も大多数知らないということが多いんです。要するに、周知徹底というか宣伝というか、そういうことに欠けている。郵便局はちょっとそういうことに対してどうなのか。やっぱり、どんなシステムでも知られてこそのシステムだと思うんです。先ほど北岡先生もそういうふうにおっしゃっておりましたけれども、やっぱり一つは、この郵便局といいましょうか、宣伝が下手だというところがあると思うんです。  やっぱりそれはやりにくい、しにくいというところもあるんでしょうけれども郵便局等に行きますと、チラシなんかはいっぱい置いてありまして、いいことがいっぱいあるわけです。でも、いろいろ手にとってみますと、イメージチラシなんかが多いわけです。やはり私はいろんな機会に、郵政省はこういうことをしております、あるいは郵便局はこういう新しいサービス考えましたということを、もっとテレビ等で実際にこうですよということを上手に宣伝、周知徹底していただきたいと思っておりますけれども、これについてどう思われますでしょうか。
  75. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 先生の今のお尋ねからはちょっと飛躍してのお答えになるかもしれませんけれども、多分、先生、私ども貯金サービス提供を申し上げている「ぱ・る・る」の件を素材に御指摘になっていると思うのでございます。これはまた後ほどお答えさせていただきますが、確かに私ども、例えばこの「ぱ・る・る」について申し上げますと、もう提供を始めてから、平成元年でございますからかれこれ八、九年たっわけでございますが、我々、「ぱ・る・る」というのは何となくもう御存じいただいているというような先入観がございまして、加えまして、「ぱ・る・る」がどんな機能を持っているのかということについては、さらに知っていただく努力が足りなかったというふうに思います。  先生今お話しになったように、イメージの情報はあるけれども、具体的にどういうふうに役に立つのか、国民利用者の方の生活の場面でどんなふうに使えるのかということについての情報提供は本当に不足しているなということでございまして、今、先生のお尋ねをいただいたことを深く恥じ入るとともに、また御指摘いただいたことをお礼申し上げまして、今後さらに充実させていきたいと思います。おわびとお礼を申し上げます。
  76. 西川玲子

    ○西川玲子君 先日もやはり来ていただいて、私、「ぱ・る・る」の御説明をしていただきましたけれども、それは主婦の方から、郵便貯金で、いわゆる郵便振替というのがあります。特に主婦はよくいろいろなものを注文で頼んだりすると、郵便振替で払ってください、こういうことが多いんです。そうしますと、一々窓口でおろして通帳に入れ直さなきゃいけないのかということで、私は郵政省の方にお伺いしたわけです。  そうしましたら、「ぱ・る・る」という総合口座ができていて、通常貯金郵便振替口座が手続さえすれば自動的に振りかえてもらえる、百三十円出せばどこでも全国ぱっと行ってしまうという御説明だったんです。私もびっくりしまして、それなら一々銀行に行かなくてもいいんだな、とっても便利だなと思いました。平成元年から五年度までは申し込み状況九百八十五万件だったのが、今この三年余りで六倍の六千三百六十万件と、もう急成長のようだったんですね。私はこの数字を見まして、自動振替になったことで利用者が大変に喜んでいるんだというふうに思ったんです。  だけれども、別に疑り深いわけじゃないんですけれども、やっぱり何でも私の場合やってみないと気が済まないたちで、この前のふるさと小包もそうなんですけれども、何でもやってみてあれするということで、早速ここにある郵便局へ行ってきました。こういうのをやりたいんですけれどもということで行きましたら、できないと言われたんです。私びっくりしまして、何でできないのか。これを持ってきて説明してくださったはずなんですね、これがこういうふうに自由にできると。(資料を示す)ところができない。  それで、何でなんだと私はびっくりしてお尋ねしましたら、窓口の方はこれできませんと、これ自動移替、移しかえですね、これは口座の残高が一千万を超えた場合自動的に口座から移すという意味でございますということなんです。私ども伺って、本当はこういういいことができて、全然知らなかったけれどもよかったですねというふうに言おうかと思っていたんです、きょうは。  ところが、実際これやってみましたら、こういうことでびっくりしまして、そうすると、これもちゃんと説明してもらわないと、一千万を超えたらって、それじゃ何の意味もない。こんなことしているからお役所は中途半端だの、やれ民営化云々とか、いろんなこと言われちゃうんじゃないかと。私もちょっと残念だったんですけれども、やっぱりこれはきちんともう一度本当のところを伺わせていただきたいと思います。
  77. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今、大臣からも「ぱ・る・る」って何だというお話があったように聞こえまして、また重ねて恥じ入っておるわけでございます。今、先生お話ありましたように、総合通帳「ぱ・る・る」というのは俗称七つの機能と申しておりまして、蓄える、受け取る、借りる、使う、支払う、送る、ふやすという機能があるんですが、先生今、実際に使ってみるとこうだったということはまことに申しわけない次第でございます。これからお客様が窓口でお使いいただけるときに具体的にどうするのか、局員に聞いてわかるということでは、これは本当にいかぬわけでございまして、あらかじめ十分な情報を持ってお使いいただけるように、さらにきめ細かい情報提供に努めたいと考えております。
  78. 西川玲子

    ○西川玲子君 今のでは全然お答えになっていらっしゃらないじゃないですか。私がこの間伺ったのは、もう自動的に百三十円で全国どこでもできる、本当に便利になったということで、よかったよかったしゃんしゃんしゃんという感じだったのに、多分きっとまだお調べになっていらっしゃらないからだと思うんですけれども、これから本当に十分お調べになっていただかないと、これは全然役に立っていないわけです。いわゆる自動的にできないということなんで、またこれはきちんと次の機会にお調べいただいて、お返事をいただきたいというふうに思います。  次に、貯金局の所管の財団法人についてお尋ねをいたします。  所管財団は二つございます。昨年九月二十日に公益法人の設立許可及び指導監督基準が閣議決定されて、財団役員構成などのあり方が決められました。私は、逓信委員会質疑の際には必ずこの関係の財団がこの基準でどのように指導されているかを伺うことにしております。  そこで初めに、財団法人郵貯資金研究協会について、最近の事業収支、賛助会員数と会費、役員の構成について説明をお願いいたします。
  79. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  先生お尋ねの郵貯資金研究協会でございますが、これは御指摘のとおり公益法人でございまして、郵便貯金資金に関する調査研究あるいは投資分析、投資助言等をする公益法人でございます。  今お尋ねの件でございますが、収支状況でございますが、平成七年度におきましては、十一億九千百五十五万の収入に対しまして十億一千三百二十一万の支出がございました。収支差額一億七千八百三十四万という数字になっております。役員でございますが、いわゆる公益法人の基準で所管する官庁の出身者は理事長を含めて三分の一以下、また同一業界の関係者の占める割合は二分の一以下という基準がございますが、この法人につきましては、この基準は満たしているというふうに承知しております。
  80. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございます。  そうなんです。もういわゆる天下り役員は三分の一以下、同じ業界関係者は二分の一以下と、本当にその基準をクリアしていると私も思います。続いて、財団法人国際ボランティア貯金普及協会について同じようにお願いをいたします。
  81. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) この国際ボランティア貯金普及協会につきましては、これは国際ボランティア貯金の普及、あるいは寄附金の配分についての海外援助事業について周知、啓発等を行う公益法人でございます。  収入につきましては六億六千七百三十万円、支出は六億六百六十三万円、収支差額六千六十七万円となっております。役員につきましては、今申し上げましたような基準でそれぞれ条件を満たしておるというふうに承知しております。
  82. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございます。  なぜ、こういうことを伺ったかといいますと、回も前々回もやはり公益法人それぞれ役員は天下りの人が多かったわけです。だから、私はちょっと納得いかないと思っていたんですけれども、こうやってきちんと整備の進んでいるところもあるんです。ですけれども、全く進んでいないところもあるというわけで、私といたしましては、というか国民の皆さんといたしましては、やはりもう速やかにこれをきちんとクリアしてほしいという気持ちがやっぱり多いと思うんです。  それで、できれば年内にはすべての財団に指導が行き届いているという状況にしてほしいと思いますけれども大臣いかがでございましょうか。
  83. 天野定功

    政府委員天野定功君) 財団法人、そのほか公益法人全般につきまして官房で所管しておりますのでお答えしますが、おっしゃいますように、今、政府で公益法人の役員等、あり方につきまして、適正化につきまして、明確な基準が示されております。私ども所管法人も多数ありますけれども、まだすべてが完全にその基準を満たしているわけじゃありませんが、おっしゃいますような形で鋭意適正基準を満たすように指導してまいりたいと思っております。
  84. 西川玲子

    ○西川玲子君 どうぞよろしくお願いいたします。  さて、先日の郵便法のときに、松前先生も御質問されたんですけれども、代金引きかえ郵便についてお尋ねをいたしたいと思います。  代金引きかえ郵便を悪用いたしまして、封筒や小包なんかを送りつけてきて代金をだまし取るということが最近頻繁に起こっているんです。トラブルの事例を調べてみましたけれども、受け取ってしまうと、後でその相手を幾ら捜しても連絡がとれなかったり、結局本当に泣き寝入りになってしまうということが多いわけです。やっぱり思った以上にトラブルが起こっているわけなんです。  先日の局長の答弁では、口で注意を喚起してもなかなかうまくいかないところがありまして、郵便自体に附せんなんか張っちゃって、もし注文していなければ受け取らなくてもいいですよと、こういう附せんを張るようなことを検討しておる最中ですというふうに伺いましたけれども、何かこれ以上の案は今お考えなのでしょうか。いかがでしょう。
  85. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 代金引きかえ郵便物は、配達する前に実は電話をかけまして、受取人に対して、こういう郵便が来ています、いつごろ配達しますというようなことをお知らせして、それから配達に行きまして、配達する際にも、これが注文品であるかどうか不明な場合は受け取らなくても結構ですと、そういうことも言って配達しているところなんです。それをさらに、言う以上に紙に書いて、受け取らなくてもいいんですという紙切れを張りつけて配達しようということを先日申し上げたんですが、この三月十八日付でもって各郵便局の方へ通達を出しまして、指導をしましたものですから、そういうことをやるように考えております。  それで、これだけまで私どもとしては注意してやっているんですが、そのほかにいい方法があるのかどうか。せっかくつくっております代金引きかえサービスという便利なサービスを悪用されてまことに残念なんですけれども、何かいい方法がないかどうか、いろいろ研究していきたいと考えておるところでございます。
  86. 西川玲子

    ○西川玲子君 そうですが、電話をおかけになって行くと。だけれども、例えばそういうときに、そういうものを注文したかどうか、本人がいない、今お母さんたちも、主婦の方も結構働いていたりして、子供が出たりあるいはお年寄りが出たりで内容がわからない、よくわからないけれどもだれか家人が注文したのかなんて思うときもあるとは思いますけれども。そこまでしてくださった上に附せんを張るということなんですね。  こういうトラブルというのは、もう悪いことを考え出す人は幾らでもどんどん悪知恵でやるわけで、本当に困っちゃうんですけれども。受取人の保護というのが今お話ししたようにやはり大事だと思うんです。つまり、老人だったり子供だったりということが今は多いですから、昼間なんかほとんど、もちろん御主人は会社だし、奥様もそういったことで共稼ぎの御家庭も多いですから。そうすると、そういう子供とかお年寄りが受け取って、危険負担を負うことというのは多いわけです。  例えば、代金引きかえ郵便を引き受けるには身元確認した総合口座の振りかえを義務づけるとか、保証金を預けるとか、差出人が特定できる工夫をすべきだと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  87. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 犯罪が起きるケースというのはごく一部でございまして、代金引きかえ郵便全体の便利さと、それからそういうことが起きる可能性というバランスもとらなきゃいかぬというふうに考えておるんですけれども先生おっしゃったような方法が可能なのかどうか。いろんな角度から便利なサービスを維持しながら、これを使って犯罪が起きないように、何かいい方法考えたいというふうに思っております。  即座に御提案のあったことができるかどうかはちょっとここですぐには回答できません。
  88. 西川玲子

    ○西川玲子君 よろしくお願いいたします。  私は、二十五日の簡保の審議の折に、財投機関への簡保資金運用が前年に比べてほとんどと言っていいぐらい減っていると、この表を読み上げたと思うんですけれども、だっと全部マイナスなんです。(資料を示す)半分なんというところも随分ありまして、いろいろ読み上げたと思うんですけれども、例えば住都公団なんかも平成八年度は四千百五十億円であったのが、九年度は二千七十五億円と。  私は、これだけのマイナス行進に対して少し不安だというふうに質問いたしましたら、そのときのお答えがたしか、半減したりしておりますけれども、それは大蔵省と割合を決めて出しているし、また不用額が出たりということもあって、結局、それだけ出していても実際運用しているのはこの額なんだと。だから、このマイナスにした額は全部使う額なんだというふうにお答えになったと思うんです。  そうすると、ああそうかなと思った、そのときは。別にどんと減らしたわけじゃないというお答えだったと思うんです。だけれども、よく考えると、じゃ何で今までずっとその倍も出していたのかと反対に思うわけです。今までは財投機関の言いなりで出していたのかと。今回これだけ見直して全部減っちゃったというのは、使う分しか出してないんですよということをおっしゃったわけですから。とにかく、今までは余計に貸し付けていたので減額をしたものだから、実際的には資金は減っていない、そういうことだったんで、じゃ私としては、今言ったように言いなりで出していたのかと。公団の建物なんかはもう今普通の民間よりも高いですから、あるいは家賃なんかも高いということでいろいろ問題になっている。そういうこともあったりで考え直したのかと思ったけれども、そうではないんだというお答えだったと思うんです。    〔委員長退席、理事陣内孝雄君着席〕  簡保資金運用の三原則は安全、有利、そして公共利益ということがありますけれども、今回初めてこの三原則を生かして厳正に審査をしたということなんでしょうか。そこのところはすごく大事だと思うんで伺いたいと思います。
  89. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) 全体的なまず話でございますけれども、簡保は、各年度の運用計画の策定に当たりましては、事業計画、それから資金計画を初め財務状況、それから事業の進捗状況というようなものについて各法人から説明を受けまして、関係省庁と調整を図りながら最終的に運用計画を策定していく、そういう段階を踏んでおります。  平成九年度の運用計画に当たりまして、特に厳しく見直したというのは幾つか理由がございます。それは平成七年度に不用が出た法人が非常にあったということがございます。平成八年度も引き続き不用を出している法人がございます。特に、平成八年度には減額補正を組んだ法人もございます。それから、これは大蔵省資金運用部資金の方の基本的な考え方でございますけれども、総理の意向もございまして、財投全体としてスリム化を図ったということがございます。  それから、簡保固有の立場といたしましては、これほど異常な超低金利下におきまして、簡保としてもある程度の有利な運用をしなければいけないということもございまして、市場運用分をある程度確保しなければいけない、そういう状況の中で、全体としてスリム化が図られたということでございます。  それから、御指摘の住都公団につきまして少し御説明させていただきたいと思いますけれども、住都公団につきましては、これは今事業見直しが着々と進んでおりまして、それに対応いたしまして財投といたしましても、民間でも調達可能あるいは民間からの資金調達が適切というふうに考えられるものは財投の対象から除外するという基本的な方針で大蔵省も私ども考えているということでございます。  具体的には、分譲住宅の建設からの撤退、それから、収益力の高い商業施設の建設費については全額民間資金を充当するというふうな基本的な方針が出されて、それに基づきまして財投に対する資金需要が非常に減少したということがございます。したがいまして、簡保資金の同公団に対する平成九年度の運用額は前年に比べ半減したということでございます。
  90. 西川玲子

    ○西川玲子君 私もそれは非常に結構なことだと思っているんです。やっぱり余分なところに余分なお金を出す必要はないわけで、大切な血税ですから、そのようにしっかりと見直しをして、スリムにするところはするということはとてもいいことだと思います。  ですから、今回限りの話ではなくて、今後ともこういう見直しを続けていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  91. 金澤薫

    政府委員(金澤薫君) まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも簡保運用の基本原則でございます確実、有利、公共利益という三原則に照らしまして、今後見直すべきは見直すという基本方針でやってまいりたいというふうに思います。    〔理事陣内孝雄君退席、委員長着席〕
  92. 西川玲子

    ○西川玲子君 ありがとうございました。よろしくお願いをいたします。  郵政事業につきましてはいろいろ論議が交わされております。しかし、先ほども申しましたように、郵政事業については、どんなサービスがあるのかさえ周知がおくれているというのか知らない、わかっていない部分が多い。郵政事業は、簡易保険郵便貯金、加えて特殊法人あり、また特別会計があり、それを財団法人が囲むという仕組みになって、サービスが多岐にわたっているわけなんです。ですから、現在の郵政事業を皆さんにしっかりと知ってもらうということが私は大事だと思うんです。やっぱり真の姿を知らずして民だ官だの言わないでほしいという皆さんお気持ちだと思うんですけれども、それは本当に、そういう意味で皆さんにしっかり知っていただくということは私も非常に大事だと思います。  そこで私は、情報公開をかねて郵政事業白書のようなものを出して国民理解を求めるべきではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  93. 天野定功

    政府委員天野定功君) 私どもの行っている郵政事業は、御承知のように全国津々浦々に郵便局を配置いたしまして、大変国民生活に密着した各種の公的なサービス提供しておるところでございますが、その内容は多岐にわたっておりますので、これまでも三事業全体あるいは各事業別のディスクロージャー冊子の発行、あるいは新聞広告などによりましてその経営内容を国民に広く周知するよう努めてきたところでございます。  また最近では、インターネットを利用いたしまして、各事業のホームページ、電子郵便局の開設を通じて、より多様な手段による情報提供にも努めております。  ただいま先生から郵政事業白書といったような御提案もございましたが、こういった形になるかどうかはちょっと今後の研究が必要だと思いますが、基本的には、これまで以上にサービスの内容や経営の内容に関する情報を国民によりわかりやすく、またより入手しやすい形で提供できるよう、周知の方法研究してまいりたいと考えております。
  94. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいま官房長からも答弁申し上げたことで尽きるわけですが、今、先生の言われた白書の問題、これは各省全部白書を出しますが、あれだけの分厚いやつを一遍に出すものだから、恐らくなかなか我々国会議員もあれを全部読みとるというのは、各省ということになるとこれは大変な問題です。今、官房長が申しました各事業ごとの冊子を出して、この方が、私も大臣になってみて簡単で読みやすくていいなと思っておるわけであります。きょう打ち合わせをしましたときにも、やっぱり白書より今やっておるこの小冊子、これを広く国民の皆さん方に見やすいというか利用しやすいような場所に提供することの方がいいんじゃないか、こういうように私ども考えております。
  95. 西川玲子

    ○西川玲子君 非常にすばらしいお答えで、私もそれは大賛成でございます。白書といいましても、私自身は、郵政省ですから本来ならばインターネット情報公開するなんということは非常にすばらしいと思うんですけれども、まだそこまでは行ってないみたいでございますので、今の段階では、そういった形で一般国民の方にわかりやすく知っていただくというのが大事だというふうに思います。  この変革の時代に、二十一世紀に向かって郵政事業をどうするかについては、大臣郵政審議会に諮問しているというふうに先ほどおっしゃっておられました。しかし、それはそれとしまして、郵政事業運営されているのは大臣でございます。私は、郵政事業についてこれからどういうあるべき姿にしたいのか、簡単でよろしいので大臣御自身のお考えを伺って、終わりにしたいと思います。
  96. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) これまで郵政事業の果たしておる役割等についてはもう御報告申し上げましたとおりでありますし、そして今日、国民から高い信頼等を受けております。今、あの何でも自由の国であるアメリカが郵便事業はやはり国営なんですね。そしてイギリス、フランス、ドイツ、皆さんこれは国営またはそれに準ずる機関でやっておられる。アメリカにないのは貯金保険です。保険は、これは日本だけであります。  なぜこんなに高く評価を受けておるかというのは、やはり公務員で、郵便法、公務員法というもので職員が非常に厳しく監督をされておるということであると私は思います。そしてもう御案内のとおり、職員は毎年七、八千人採用するんでも、やはり公務員試験を受けなきゃなりません。だから、そういう意味では一般的な民間の職場よりは質の高い職員がおられる、こう思います。私の田舎を見ましても、あああの人は郵便局の職員じゃと言う。そうすると、私どものような民間会社におるのと大分値打ちが、評価が違うわけであります。そういう意味で私は、現在の経営形態を維持することがやはり国民の信頼を獲得する大きなゆえんだと思っております。  何といっても秘密保持、これがもう一番大事でありますが、郵便というもの、あの封書をポストにぽんと投げ込んでも国民がちゃんと安心してこの郵便というものを、通信というものを利用するというところが、やはりそういう意味で信頼を得ておるんじゃないかと思います。そういうことで、私は、ぜひ先生方の御理解や御協力をいただいて、現経営形態を維持しながら、そしてよりサービスを、さらにまた効率化を図りながら、なお一層の国民の信頼を得るように努力していくべきだと、こう思っております。
  97. 西川玲子

    ○西川玲子君 終わります。
  98. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党・護憲連合の三重野栄子でございます。  五項目ほど質問をいたします。  まず、郵政短時間職員の問題でございます。  平成六年に導入されましたんですが、そのときも私は賛成の立場で参加をさせていただいて、一日も早く実施できればいいなと思っておりまして、もう既に何年もたったわけであります。その当時の視点は、効率的人の配置という視点で私も賛成をしておりました。その後、これが実施されるに続きまして、高齢者の経済的自立だとか、あるいは女性で短時間労働を希望する人、そういう方々の就労の機会を得るということ、あるいは民間企業に対する先導的な役割を果たすという意味で、私としては大変この制度を評価しているわけでございます。  平成六年以降今日までの、今年度の予算計画も含めまして、人員だとか賃金だとか、あるいは待遇等々につきましてお示しいただきたいと思います。
  99. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 郵政短時間職員、先生指摘のとおり平成六年度から試行いたしまして、平成八年度におきましては約二千三百人ばかりを配置しております。平成九年度の予算におきましては二千四百四十二人増加する案をつくって御審議いただいておるところでございますけれども、もし御了承いただけることになりますと、合計で四千七百六十人になる予定でございます。そういう状況でございます。
  100. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 今の郵政短時間職員の給与関係について御説明申し上げます。  郵政短時間職員は、常勤職員とほぼ同様の業務を行うということでございまして、給与についても常勤職員に準じて行うということでございます。  具体的には、郵政短時間職員の基本給は月額制をとっておりまして、ただ、一日四時間という勤務形態であることを考慮しまして、常勤職員の二分の一程度ということにしております。それからまた、毎年四月には昇給も行っているところでございますし、性別による差は設けていないところでございます。それから、基本給のほかにボーナス、通勤手当、調整手当、超過勤務手当等も支給しているところでございます。
  101. 三重野栄子

    三重野栄子君 合計しますと二千三百名の方が働いておられるそうでございますけれども、募集した場合の応募の状況はいかがでございましょうか。それから、採用されて現在働いている人の性別あるいは年齢別がわかりましたらお知らせいただきたいと思います。
  102. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 私の手元にある資料によりますと、応募者が全体で三千五百八人おりまして、その中で女性が六九・八%、それから合格した方が三百八十五名で、女性の割合が八二・三%、倍率が九・一一倍であったと。これはあるときの採用試験の結果でございますけれども、そのような数字ございますので、非常に多くの女性の方が応募されて、そして現に応募された以上の割合で女性の方が合格されている。それから年齢的にも、実際は十六歳から六十三歳まで応募資格があるんですけれども、三十代、四十代、五十代というようないわゆる中年的なところの方がたくさん応募されまた採用されているということで、私どもにとっては波動性の高い郵便事業の中で非常に良質の労働力確保できるという面と同時に、応募される方にとっては非常にいい就労機会だということで喜んでいただいているというふうに理解しているところでございます。
  103. 三重野栄子

    三重野栄子君 出発式には地元の郵便局に私参加するわけでありますけれども、雪がちらちら降るときでも男性と同じように女性がバイクに乗ってだだだっと勇ましく出ていくんです。そういう意味では、今伺いますと大変女性が多く働いている。一方では、女性はフルタイマーで働きにくいという面もあるかと思いますけれども、それなりに女性の就労の機会ができているということを大変喜ばしく思います。  先ほどの給与の面につきましても、本職員と同じような形で待遇されていることについては大変喜ばしいことでありますが、例えばユニホームだとか健康保険とか共済保険とか退職金というのはどうなっておりましょうか。
  104. 安岡裕幸

    説明員(安岡裕幸君) 先ほど郵政短時間職員の給与等について、基本的には給与、諸休暇等の処遇については常勤職員に準ずるということでございます。ただ退職手当の支給と共済組合の加入については、いろいろと私ども政府部内でも検討したところでございますけれども一つは常勤職員並みの勤務時間で勤務しないということとか、民間における短時間社員に対する退職金の支給状況がまだ成熟していないということから、現在のところは結論が得られてないという状況でございます。  しかしながら、今後とも郵政短時間職員の処遇については、今の短時間職員のいろいろな要望等も踏まえながら検討してまいりたいというふうに考えております。
  105. 三重野栄子

    三重野栄子君 ぜひ共済保険、退職金についても今後とも御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、郵便番号の七けたの問題についてお尋ねをいたします。  五けたが入りまして随分たつと思いますけれども郵便番号の五けたのときはどういうふうに宣伝をなさいましたか。あのときの状況と、来年の十年二月から実施というふうに伺っておりますけれども、周知の方法についてどのように努力なさっておられるのか、伺いたいと思います。先ほどもいろいろ周知方法については話がされておりましたんですけれども、その点をお願いします。
  106. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 五けたを導入したときは、たまたま私郵政省へ入りまして郵務局の輸送課というところへ配属されたんですが、そこで郵便番号の五けたというのを導入する仕事に関与させていただいた。守住先生がそのころ上司でございましたですけれども。  当時は初めて郵便番号導入するということで、一体どれだけの方が記入していただけるのか。そもそも郵便番号自体がけしからないと、そういうようなことも起きるかもしれない。それから、当時は、いわゆる機械化だとか合理化だということ自体が非常にけしからぬのだというような一部の風潮もなきにしもあらずというような環境でございまして、私が記憶している限りでは、宣伝ということをどうしたらいいか、周知、PRをどうしたらいいかということを非常に真剣にみんなで討議しておりました。  今回の五けたから七けた化については、既に郵便番号が非常に世の中に定着しているということが一点と、それから世の中全体が少子社会の中で、できるだけいろんな機械で代替できるものは代替して合理化していかなければ国際競争に負けると、そういう環境の中で、郵便番号自体を書くことがけしからぬとか、合理化することがけしからぬという風潮は全然ないんじゃないか。ただ、自分の番号が五けたから七けたになって多少面倒くさいとか、あるいは七けたの自分の番号がわからない、そういうところが問題ではないかと思っておりまして、いろんな手でもって御自分の番号が何だということを周知するということがこれから重要なことかということで、かつてとはちょっと違った趣の周知をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  107. 三重野栄子

    三重野栄子君 今、デジタルの時代でございますから、そんなに大きな抵抗はないのかもわかりませんけれども、七けたにした場合に経営面にはどのように効果があるのか。それから、そのことによって勤務条件が変わるだとか、あるいは働いている人が少なくてよくなったら、後その人たちは首になるというとちょっと強過ぎますけれども、そこらあたりの人員の問題も含めましてどういうふうになるか、お答えください。
  108. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 私ども計画しておりますのは、十年間で大体八千人分ぐらいの労働力削減できるという計算をしておるところでございますが、御承知のとおり、郵便部数というのは年間今のところ二%強で伸びることを前提として営業努力等を図ってやってきているわけでございます。その結果、部数がふえることによる必要な労働力をまだ確保しなきゃいかぬ。そういうことを勘案いたしますと、十年間で八千人の職員減というのは部数増等のことで十分吸収される話でございます。  それからもう一つ郵便番号導入することによって機械化を徹底的にやるわけですが、機械を徹底的に使うためにはできるだけ集中処理をしてやっていかなきゃいかぬということで、そういう集中処理を行うために例えば今までやっていた作業を集中処理局、大きい局の方でやるというような変化はこれから起きると思うんですけれども、職員の勤務条件に極めて大幅な変更が行われるというような部類のことではないというふうに考えております。  それから、導入するに当たりましても、郵便ネットワークは非常に大きなネットワークで、個々の郵便局がございますので、例えば集中処理するといったって、どこかではあっと大きい局をつくって急にやるというようなことはできません。既存の局の事務を機械化していくということが基本の前提になっておりますので、御懸念があるかどうかわかりませんが、そういう大きな変化というのは余り起きないというふうに考えております。
  109. 三重野栄子

    三重野栄子君 私の住んでいる地元の局もこの短時間労働の皆さんがふえているということで大変喜ばれておりまして、省側あるいは勤務者にとっていい点は今伺いましたけれども、じゃ国民全般といいましょうか、利用者側にはそのような利益の還元というとちょっと利己的でありますけれども国民の方にはどういうふうなプラスがあるでしょうか。
  110. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) この効率化を図ることによって、郵便料金をできるだけ安い料金で維持していくということが何よりも利用者の方にとっての御利益だと考えておるわけです。さらに、バーコードという方式を取り入れますが、そういうものを印字していただいた大量の郵便物については今まで以上の割引を行って、そういう形で料金を下げるというようなことだとか、あるいは七けたの郵便番号を正確に書いておきますと、住所を書く場合に細部にわたる何々県というようなところを書かなくても郵便が届くという意味で、利用者の方も手紙を少し出しやすくなるのではないかというようなことを考えているところでございます。  さらに、ちょっと郵便とは関係ないかもしれませんが、最近ワープロだとかパソコンで住所録なんかをつくっておられる方が多いと思うんですけれども、従来は住所を入力するのが大変な作業だったと思うんです、漢字変換して。それが七けたの郵便番号を入力すれば町名まで全部ぱっと入る、そういう変換ができるわけです。そして、あと何丁目何番地というところだけを書けばいいということになりますので、住所録をパソコン等でつくりますと大変事務の合理化ができるのではないかというような、付随的な利益でございますけれども、そんなことも考えられております。
  111. 三重野栄子

    三重野栄子君 郵便は最後は人の手でございますから、随分御苦労と思いますけれども、今後とも御健闘をお祈りします。  次に、国際ボランティア貯金について伺いたいと思います。  開始をされまして、今日までの進捗状況につきましてお願いいたします。
  112. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  国際ボランティア貯金でございますが、おかげさまで六年の歴史を経ることになりましたが、平成八年十二月末現在で二千百六十二万二百八十六人の方にこのボランティア貯金の御賛同を得たわけでございます。  この御好意によりまして、国際ボランティア活動をされる団体に、これらの団体は約八十三の国、地域で活躍されておりますが、そうした諸団体に累計で百二十七億八千四百七十三万の寄附金をお渡しすることができております。この額によりまして、医療でございますとか、あるいは教育活動のボランティア活動にいろいろ支援がなされておる。平成八年度におきましては、二百六十四事業、十五億七千五百六十九万円を寄附としてお渡しすることができております。私ども、六年間にこれだけのいわばボランティア精神とボランティア精神のかけ橋の役割をさせていただいたということを大変名誉に思っている次第でございます。
  113. 三重野栄子

    三重野栄子君 このボランティア貯金が始まりました平成三年のときは年三・四八%、現在では年〇・二五%の利子しかありません。今伺いますと、いろんな国で大きな成果を上げておられますけれども、原資そのものが大変減っているんではないか。一方では、国際ボランティアの活動をやろうという団体もふえているし、事業内容もふえていると思いますけれども、そういう要望に対してどのようにおこたえしようとしておられるのでしょうか。
  114. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 先生、いろいろ御心配いただいておりまして恐縮に存じますが、確かに配分金額は、大きな金利情勢もございます。それから、もとより金利が下がりましても寄附をされるそもそものボランティア貯金の額とかいろんな要素がございますので、一概に金利のせいだけとも申しかねますけれども、結果といたしましては、平成八年度末、配分金額は相当減るのかなという予測もしております。  しかし、これは先ほど申し上げましたように、あくまでボランティア活動に協力してくださるというまさにボランティア精神の成果でございますから、やはり広く国民の皆さんの御理解の上にこのボランティアへの寄附金が集まるということが大事かと思っておりまして、国際ボランティア活動の実績なり成果、意義というものをより広く郵便局において、あるいはPRを通じまして知っていただいて、そしてこのボランティアに貯金を利用して大いに寄附をしょうじゃないかという志になっていただけるのが何よりかというふうに考えております。
  115. 三重野栄子

    三重野栄子君 心構えはそのとおりだと思いますけれども、具体的な問題として、二千百六十二万人が参加をしているそうでございますけれども、もっともっと広げるという意味もありますけれども、パイそのものをふやすという方法については何かお考えはないでしょうか。  それから、これが始まるときに私は思いましたので、かつて逓信委員会質問したこともあるんです、やっぱり二〇%の税金がかかる、そこらあたりの税金を何とかできないかということで。その後の経過も含めましてお答えいただければと思います。
  116. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 具体的に若干申し上げさせていただきますと、このボランティア活動の意義というものは、やはり地域におけるボランティア精神というものが広がっていくということも大事なポイントかと思いまして、ボランティアポストというようなことで全国主要局におきましてボランティア活動のいろんな情報を提供する施策も広げております。  それから、この制度発足のときに二〇%ということでスタートいたしましたけれども、やはり、まさにボランティアであるから、寄附の割合についてもいろんな選択の道があっていいんではないかと、多分三重野先生からもそのような御質問をいただいたような記憶もございます。今そういう方向で、結果は別としまして、あくまで多様なボランティアのお考えの形が広がるという意味で寄附の割合を多様化する、二〇%以上で一〇%刻みでお選びいただけるというようなことで、四月一日からそのような選択の道が可能になるように今取り運び中でございます。  しかし、これはあくまで寄附をされる方の選択の問題でございますから、ごく自然にそのような選択がなされることを期待しておるわけでございます。  それから、このボランティア活動につきまして、国内で知られることと同時に、ボランティアの活動を受け入れておられる地域でこのボランティア活動の意義というものを知っていただくこともまた意義あることでございまして、去る三月初めに、初めての試みでございますけれども、国際ボランティア活動の国際シンポジウムを開きました。明石国連次長にも来ていただきましてあいさつを賜り、また受け入れ国側のボランティア団体の方々にも来ていただきましてシンポジウムを開きました。その際に、受け入れ国の在京の大使館の方々にも来ていただいて、ボランティア活動、ボランティア貯金の意義なども知っていただくようにしたわけでございます。  それから、できるだけ在京の外国のプレスの方々にも国際ボランティア貯金のPRなどをしまして、広く内外に国際ボランティア貯金の意義が理解いただけるようにというようなことでいろんな措置を今後とも講じてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  117. 三重野栄子

    三重野栄子君 在京の方にいろいろ広めるということは大変いいことだし、お願いしたいわけですが、一つの話がありまして、日本の切手は大変きれいで、最近は非常に希望者が多くて随分もうかったというとあれですが、利益も上がったというふうに伺っております。海外のそれぞれの大使館に日本の切手の額を掲げるといいましょうか、そういうことをしたらどうかというアイデアをお話しになる方もあるんですけれども、そういうボランティア活動の問題も、それから切手の問題も海外に直接持ち出されるということについてはいかがでしょうか。
  118. 内海善雄

    政府委員内海善雄君) 切手はその国の文化を代表するようなものでございまして、手紙に張られて海外へ行って、ああこんな国からこんな切手を使って来ているんだなということだと思うんですけれども先生おっしゃいましたように、大使館というのはまた日本を代表する場所でございますので、ぜひそういう大使館あたりに日本のいい切手を飾っていただきまして、宣伝に努めたいと思っております。
  119. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 先ほど三重野先生のお尋ねの中に、ボランティア貯金の寄附金に対する課税を何とか免除できるようにならないのかということでございました。  確かに、この制度発足以来の私どもの宿願でございますけれども、今日の税制を見ますと、こういう任意団体に対する寄附というものについて非課税というのは原則として認めないというのが税制上の基本原則になっているようでございます。したがいまして、ボランティア貯金の利子に対する課税を非課税に持っていくというのは大変壁の厚い、高い課題でございますけれども、引き続き、何とかこの非課税制度、それから非課税に値するということを理解いただけるように、さらに積極的に働きかけてまいりたい、かように存じております。
  120. 三重野栄子

    三重野栄子君 時間が来てしまいました。  もう一つは、災害ボランティア口座が昨年の国会で発足したんですが、最近のナホトカ号の重油流出問題、大災害でございますが、これにはまだ適用されていないのではないかと思うのでございます。大臣、引き続き今後とも国際ボランティア貯金あるいはこの災害ボランティアの問題につきまして御検討いただきたいのでございますが、言いただきまして、私の質問を終わります。
  121. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 大臣にお答えいただく前に事実関係だけをちょっと申し上げます。  もう先生方御案内のとおりでございますけれども、この災害ボランティア口座につきましては、非常災害対策本部または緊急災害対策本部が設置されるような災害時のボランティア活動にこの寄附口座が活用されるという趣旨でございまして、幸いなことに、そのような本部が設置されるような大事故が起きていないという意味では幸いなのかなと思います。  この制度発足のときにも、そもそもボランティア活動に何らかの形であれ国がサポートするというのはボランティア活動の趣旨に反するんじゃないかというようなお考えも一部ございました。私どもとしましては、今申し上げた対策本部がつくられるような災害のときのボランティア活動については、これはいろんなサポート手段を講じても、それがボランティア精神を損なうということにはならないんではないかというような趣旨でこの災害ボランティア口座を設けたという経緯もございます。  したがいまして、今後ボランティア活動についての社会通念と申しますか、いろいろ変化もあろうかと思いますけれども、その辺の社会通念なりあるいは社会評価というものの推移も見きわめながら対処していかなければならないと考えております。
  122. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) 先ほどから局長が答弁申し上げておるところでありますから重複すると思いますが、このボランティア貯金につきましては、善意のたくさんの御協力をいただいておるところでありますが、残念ながら最近は金利が非常に下がってまいりましたので、その益金というものが少し減っております。しかし、それはそれとして、我々もこの資金を大事にして、やはり海外のそうしたNGOの皆さん方に何としても御支援を申し上げて、またこれを御寄附いただいておる、このボランティア貯金に参加いただいておられる皆さん方の御好意に十分こたえるようにこれからも充実を図っていきたい、こう思っております。
  123. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。
  124. 松前達郎

    松前達郎君 政党には所属していませんけれども、院内会派としては民緑に所属しております松前でございます。  きょうは、いろいろと各委員から質問がずっと続けられてまいりましたけれども、放送関係をテーマにして質問させていただきたいと思います。しかも、その中身としては、最近いろいろと論議がされておりますデジタルの問題、これについて質問させていただきたい、こう思います。  NHK予算審議のときは、実は委員交代がありまして、私、その審議の中に加わっておりませんでしたので、あるいはデジタルの問題等もその審議の中で出てきただろうと思います。重複するかもしれません。  BS4の後発機における衛星放送のデジタル化、それと地上波といいますか、地上放送のデジタル化の前倒しの問題、こういうことも取り上げられたのではないかと思うんです。私もかってこの逓信委員会でデジタル化については、いわゆる有限な電波資源の利用として大いに推進すべきだということをたしか申し上げたことを記憶しております。特に地上波なんですが、その地上波のデジタル化を二〇〇〇年までに開始できるようにしよう、こういうことが発表されました。これまではそこまできちっと目標を設定した方針がなかったと思うんですけれども、既存の放送事業者はこれに対していろいろと民放連を中心に反発もしているという記事もありますし、電気関係は非常に結構なことだと、これは需要の問題でしょう。そういういろいろな議論が行われているわけであります。  デジタル化の進展というのは、これは避けて通れない問題だろうと思います。通信と放送の融合というものがこれによって可能になってくるだろう。そして、また同時に周波数の有効利用が考えられるということと、双方向機能の確保考えられる。あるいはマルチメディアサービスの実現、これが加速するのであろう。こういうことが考えられるわけですが、郵政省はデジタル放送開始の時期を早めるということを発表されました。これに至った経緯についてまずお伺いしたいと思うんです。
  125. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生指摘のように、放送行政の現在の基本というのは、衛星放送あるいはケーブルテレビ、地上放送を含めまして将来に向けてデジタル化を図っていくというのが基本でございます。  そういう中で、この地上のデジタル化の問題につきましては、昨年五月に電気通信審議会から答申をいただきまして、情報通信高度化中期計画でございますが、その中で我が国の地上デジタル放送については二〇〇〇年から二〇〇五年までにデジタル放送の導入を図ることを目標と設定しておりました。二〇〇〇年から二〇〇五年ということで、一体二〇〇〇年なのか二〇〇五年なのか、こういう御質問があったこともございます。  そういう中で、衛星放送がすべてデジタル化の方向に向かうということも決まりました。ケーブルテレビにつきましても技術基準を決めておりますので、もう既にデジタル化することができるということになるわけであります。  そういう中でこの地上波をどうするかということを考えますと、地上波のデジタル化ということは、視聴者に対しますと、これはアナログ放送というのは当分まだ続くわけでありますから、それに加えまして通信とかコンピューター機能と連携した御指摘のようなマルチメディア放送サービスが始まる、あるいは移動体向けの放送サービスもできるということで非常にサービスの範囲が広がってまいるということでございます。  一方、放送事業者に対しましても、このマルチメディア放送サービスとか、あるいは自動車への放送ができるということで、放送事業といいますか、ビジネス、こういうものを拡大することができる。また、産業界全体に対しましても、こういう結果幅広い波及効果はある、我が国の経済構造改革にも貢献するだろう、こういうこともございまして、二〇〇〇年から二〇〇五年というときにこれをはっきりしょうということで、二〇〇〇年をポイントに置いて、放送方式であるとか周波数使用計画の策定、場合によっては制度整備等の行政的な措置というものを二〇〇〇年をターゲットにして行政として責任を持ってやろうということを発表したわけであります。  ただ、実際にデジタルを始めるにつきましてはまだいろんな問題がございます。それは、早急に事業者であるとか視聴者等を入れました検討会を開いてまた検討していこう、こういうふうなことを考えているところでございます。
  126. 松前達郎

    松前達郎君 その検討する組織として地上デジタル放送検討会というのをお考えになって、もうこれ既にあるんですか、お考えになっているんですか。地上デジタル放送検討会。
  127. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) この地上デジタル放送検討会というのは仮称でございまして、いろんな検討するべき事項があるのでこういう検討会が必要だということを発表いたしました。できれば二、三カ月のうちに発足させたいと思います。その中でどういうことを検討するのかということは、先ほども申し上げましたが、例えば、地上デジタル放送というものを放送全体の中でどのように位置づけるかとか、あるいは、デジタル放送のメリットを生かしていろんなマルチメディアサービスができますが、そのようなものをどのように制度的に考えていこうかとか、あるいは視聴者の保護、サイマル放送とか受信機の問題がございます、これをどのように手当てしていこうかとか、あるいは、放送事業者の投資の問題がございますので、経営の問題、場合によりましては国を含めた公的な支援ができるかできないか。いろんな検討課題がございますが、まだ発足しておりませんが、こういうことをやる必要はあるというふうに考えております。
  128. 松前達郎

    松前達郎君 恐らくこの検討会が構成されてそこでいろんな面が検討されていくと思うんですが、英国あるいはアメリカでは一九九八年に地上放送をデジタル化する方向で検討をされていると。また、それと同時に、デジタル放送の放送方式がまだ統一されていないところもあるわけです、これはアメリカだったと思うんですが。テレビの開発や生産をめぐってある程度戸惑いが広がっているという報道もされているわけであります。ですからこの際、混乱のないようにスムーズにデジタル化する、移行していくということをひとつお願いしたいと思っております。  そこで、放送がデジタル化されていきますとチャンネル数が非常にふえる。何百チャンネルというチャンネルが可能になってくるわけでありますが、そうなってきますと、その放送内容について、ソフトを数多く調達する必要がどうしても出てくるのではないか。  世界におけるソフト調達の状況を見ますと、ヨーロッパにおける映画あるいは放送番組はその大半が米国製だというふうに言われております。日本でも劇場映画の半数以上を米国製が占めている。先ほど大臣もちょっとそのお話がありましたですね、フランス製のソフトが放送されている。そういった外国製のソフトが多いわけであります。スポーツにしましても、オリンピックですとかあるいは近々行われるサッカーのワールドカップ、こういうものもあるわけですが、これには今度は莫大な放送権料がかかってくるわけです。  ですから、こういった観点から、デジタル化の進展に伴ってソフト制作環境整備というものがどうしても必要になってくるのではないか。こういう放送番組ソフト制作への支援、これにつきまして、郵政省においてこれまで幾つかの法律に基づく施策を展開してこられたと思いますが、その成果が一体どういうふうに上がっているのか。これについてお答えいただきたいと思います。
  129. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 先生指摘のように、多チャンネルになりますと放送ソフトというものが、番組でありますが、いよいよ重要になってまいります。また、この争奪戦も始まってまいります。  これまで日本の放送番組というのは比較的日本製が多く、それほどアメリカ製が入っていない、映画は別でありますけれども。かなり強かったわけでありますが、ヨーロッパ等はアメリカの番組が入るということで非常に危機感を抱いていろんな支援策をとっておるようであります。  しかしながら、我が国もこの放送ソフトの支援ということは非常に重要な課題になるだろうということで、これまでとってきました施策といたしましては、一つは、放送番組の制作者に対する人材研修というものをひとつやろうということで、これは、平成三年六月に電気通信基盤充実臨時措置法を通していただきまして、そして人材研修等を行っておるわけであります。具体的には、北海道、北陸、神奈川等でメディアセンターというのをつくりまして、そこでこういう放送関係の人材研修を行っているようでございます。  それからもう一つは、有線テレビジョン関係の番組制作の施設の整備事業ということに支援しようというものがございまして、これは、日本の場合は番組というよりも施設の整備支援するということに若干入っておりますが、こういうようなものがございます。  それから、番組関係でいきますと、字幕・解説番組、こういうようなものの制作費の助成であるとか、それから放送番組を効率的に制作するためにはその素材というものが必要でございまして、例えば、すばらしいスイスの情景であるとか富士山の情景というようなものをたくさん持っておりまして、それを融合して番組をつくるということがございます。この素材の利用を促進する事業ということで、これも平成六年九月に、ちょっと長い名前になりますが、放送番組素材利用促進事業推進に関する臨時措置法というのを決めていただきまして、具体的には東京映像アーカイブという会社に出資されて動き出しているというわけであります。  以上のような成果がございますが、一定の成果はあるわけでありますけれども、我々としては、まだまだソフトの制作環境整備というのは重要だということで、その充実策が必要だというふうに考えておるところでございます。
  130. 松前達郎

    松前達郎君 欧米各国の例ですが、これ、放送ソフト等のコンテンツ制作に関して、今おっしゃった人材育成の問題あるいは資金援助の面から、政府からの資金の拠出も含めたいろんな施策が展開しているのではないか、こういうふうに思うんですけれども、これについて具体的な施策の例がございましたら御紹介ください。
  131. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 欧米では、特に欧州が非常にこういう面で力を入れておるわけでありまして、一昨年EUが、一九九六年から二〇〇〇年までの五カ年計画によりまして、映像ソフトの振興を図るためMEDIAⅡという計画を策定いたしました。この中で、例えば独立系制作会社、これは放送事業者の資本参加が二五%以下のどちらかといえば弱小の会社でありますが、こういう会社が行う脚本作成などの映像ソフトの開発や国際共同制作、欧州でありますから小さな国はたくさんあります、そういう共同制作に対する無利子融資、あるいはその独立系制作会社の企業構造を強化するための無利子融資、それから映像ソフト制作に必要な最新の技術の利用に係る人材研修に対する助成、こういうふうなものをEUとして大きな計画として出しておるというふうに承知しております。  一方で、フランス、カナダ、オーストラリアというような国、こういう国はアメリカからの映像の侵略といいますか侵入に非常に危機感を抱いておる国でありますが、こういう国では、政府資金によりまして公的機関が、テレビ番組あるいは映画の制作に対する助成金の交付あるいは投資、融資、債務保証などを行っているというふうに承知しております。
  132. 松前達郎

    松前達郎君 デジタル化に伴うコンテンツ制作支援でありますけれども、放送のある分野だけに限ってやるというのではなくて、今後非常に幅が広くなってまいりますから、それに対応できるような人材の育成ですとかあるいは資金援助など包括的な支援ができるようなシステムというのがこれから必要になってくるだろうと思います。  またこれが、ある意味でいうと、日本の一つの立場ですとか国際的な面での評価ですとか、もっと大きく言いますと国益といいますか、こういうものとの関係も出てくるわけでありまして、ぜひその柔軟なシステムをつくる必要があろうと私は思いますが、これについて大臣どうお考えでしょうか、御見解があればお願いします。
  133. 堀之内久男

    国務大臣堀之内久男君) ただいままで放送局長から御答弁申し上げた内容と大体一緒になるんじゃないかと思います。  何といってもデジタル化の技術導入によりまして多チャンネル化がどんどん進んでいくわけでありますが、また放送の国際化というものも進んでまいります。そうなりますと、質のよい放送ソフトを十分に確保するということが大変重要になってくると思います。  ところが、先ほどからもお話に出ておりましたが、我が国の今の助成事業というのは、ハードの面はやるけれどもソフトの面は全然行わない。先ほど大蔵省の主計官も答弁申し上げたとおりであります。字幕放送に今回の予算で初めて補助というのが認められた。これはわずかではありますが、初めての補助事業であります。したがって、今後私どもも、ハード面だけじゃなくてソフト面に対する国のそうした助成事業というものを拡充していかなきやならぬ、こういうように考えております。すぐれた放送ソフトを制作するためには、先生指摘のような人材育成や資金の調達、あるいはまた国内での二次利用や海外への流通の促進、いろいろ課題がまだ控えておるわけであります。  きょう私はここに来る前に、この前のNHKで放送されたあれを見てまいりましたが、ちょうどアメリカが今三百チャンネルぐらいあるんだそうです。それで、放送されるもの、あるいは放送される中で視聴者が選ぶものというのはもうほとんど決まってしまったというようなことが、先週のNHKのものをビデオにとっておりましたので昼ちょっと見てきたわけであります。それを考えると、日本の場合もいよいよ今年度じゆうに二百チャンネル、こういうことになりますと、おのずとスポーツ、映画、ニュース、そういうものを自動的に視聴者が選択するということが出てくる。こういうことになりますと、今後、放送ソフトの制作支援ということには極めて大きな課題を残すんじゃないか、こういうように考えたところであります。  今後、そうした放送ソフトのよりよい質のものができるような支援体制を積極的に考えていかなきやならぬ、こういうように考えております。
  134. 松前達郎

    松前達郎君 チャンネルがふえてまいりますと、放送を視聴者の方で自由に選択ができる。そうなりますといいかげんな放送はできないと、見なくなりますから。そういうことになるので、あるいはチャンネルがふえることによって放送の質が上がる可能性もあるわけです。そうなれば、かつてこの委員会でもさんざんやったTBSの問題みたいなものもあるいは自然と淘汰されていくんじゃないかとも思います。  しかし、デジタル化するということは、ある意味でいうと著作権の問題、非常にまたこれ関連して出てくるわけです。デジタル・デジタルのコピーというのは完全に質が落ちないコピーができるとかいろいろありますから、ソフトの加工利用等の二次利用の必要性というか、それに対する対応考えなきゃいけないだろう。  欧米ではそういった権利処理システムというのが確立されている、こういうふうに聞いておりますけれども、これらについての状況を簡単に説明いただきたいことと、こういった問題を含めて一体これからどういうふうに郵政省として対応されていこうとしているのか。この二点を最後にお伺いします。
  135. 楠田修司

    政府委員(楠田修司君) 例えば米国におきましては、プロデューサーとか番組制作者が放送ソフトの二次利用に係る権利を各権利者から制作時に一括して取得する、二次利用の際に権利者に対して二次利用によって得られた収入等の一定割合を報酬として分配するシステムが契約慣行として確立しております。  日本の場合は、ほとんどの放送というのは一回しか使わないという権利料しか払っておりませんから、もう一回それを放送したいということはもう一度それをやらなくちゃならない、こういうものでございます。これについてはまだ日本では十分な慣行ができていない。この問題は法律で決めるとか強制するとかいう問題でなくて需要と供給の関係でもありますから、権利者としては権利をできるだけ高く売りたい、使う方はできるだけ安く買いたい、こういう関係の調整が必要になってくるわけです。  かといいまして、デジタル化でどんどんチャンネルがふえる中でいつまでも放置することはできないということでありまして、両者が歩み寄りまして、この二次利用の問題も含めましてもう非常にたくさんの権利があるわけです、数え切れないほどたくさんの権利の型がふくそうしております。それを一つ一つ解きほぐすようにして慣行をつくっていかなくちゃならない。場合によっては、数式をつくって幾ら売ったら幾ら入るというようなことを全部決めるという細かい作業がありまして、こういうことを促進するのが政府としての一つ役割だろうということであります。  そういうことで、現在やっておりますのは、例えば放送事業者とか権利を買う方の方々でどのようなことができるかというようなことを、我々としては促進のための調査研究会というのもやっていろいろ話し合って問題点を検討している。後は、その方々がある程度の腹を決めて権利者とどのように交渉して権利者との関係をよくしていく、こういう問題であろうかというふうに思っておりまして、それが政府一つ役割だろうと思っております。
  136. 松前達郎

    松前達郎君 終わります。
  137. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 平成九年度の予算折衝で郵便貯金関係で認められた主な施策という中に郵便貯金の磁気カードのICカード移行のための実証実験というのがありますので、その点についてお尋ねをいたします。  現在我が国では、磁気カードがキャッシュカード等に利用されて一般に普及しているわけでありますけれども、磁気カードというのはテレホンカードやパチンコカードに見られるように偽造、変造が容易に行われる危険性があるわけであります。  つい最近というか、きのうだったですか、何かJRのオレンジカードが中央競馬会の百円の磁気カード二つ合わせて一万円、五千円券というのが偽造されて、被害額が二百五十万だというような報道がなされているわけであります。そこで、磁気カードに比べて、安全度というかセキュリティー機能や情報蓄積機能がすぐれているいわゆるICカードの研究が進められているわけでありますが、磁気カードがICカードに移行するのは時代の必然と申しますか趨勢だと思われます。そこで、郵便貯金カードなどの金融カードについても当然ICカード化されると思われます。  郵政省では、来年の一月に埼玉県の大宮市周辺においていわゆる郵便貯金磁気カードをICカードに移行するための実証実験を行うというふうに聞いております。この実証実験の具体的な内容及びその概要についてお教えをいただきたいと思います。
  138. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  事実関係先生もお触れいただきましたけれども、今私どもが使っております磁気カードについては、もう先生指摘のとおり、大変危なくなっておるわけでございまして、トレンドとしましてはもうICカードを使うというのは理の当然と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そう言っても過言でもない状況に向かっているわけでございます。  国内を見ますと、非常に部分的に、一つのビルの中でございますとか一つの構内で使われている例はございますけれども、非常に広域的にかついろんな使われ方をするためのICカードの実験というのは行われておりません。先生指摘のように、このICカードの場合は大変容量も大きくいろんな使われ方がいたしますので、郵便貯金だけではこれはもったいないわけでございまして、そういう意味で、多様な使われ方をすることによってICカードも非常に早く広がるだろう、そういうような考え方でおるわけでございます。  大宮における実験につきましては、本予算をお認めいただきました暁には、ICカードを約七万枚大宮の市民の方に持っていただきまして、そして、この実験に御参加いただく企業あるいは公共団体、今十七団体になっておりますけれども、そこでお使いいただきまして、このICカードの普及の一つのきっかけになればと思っております。  なお、このICカードの開発等あるいは御利用いただくための経費として六十六億円をお願いしておるところでございます。  以上でございます。
  139. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 現在、民有金融機関でいわゆる金融カードのICカード化に備えてICカードの標準化仕様の策定に取り組んでいると聞いておるわけですが、郵便貯金カードのICカードへの移行について世界的な標準化の流れとの整合性が必要だと思われます。郵貯カードのICカード化における標準化への対応という点についてお伺いいたします。
  140. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) お答え申し上げます。  今、ICカードの普及につきましては、我が国の国内だけの需要じゃなくてやっぱりグローバル経済のもとで非常に汎用的に使われるということが基礎条件になろうかと思います。このICカード化も一つのトレンドでございますが、その中でさらにICカードの標準化につきましては、今のはやり言葉で申し上げますとデファクトスタンダードができつつある。それはいうところのEMV方式と。この方式を開発しましたのが、ビザ・インターナショナル、マスターカード・インターナショナル、ユーロペイ、こういったところがこのEMV方式というものを開発したわけでございます。これが事実上のスタンダードになりつつある。  したがいまして、我が国におきましても、このデファクトスタンダードを採用と申しますか、それにのっとったICカードで実験することが非常にスムーズな、あるいはICカード型のサービス提供にソフトランディングできる道ではなかろうか、こんなふうに考えてこの方式で実験をやることにいたした次第でございます。
  141. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 埼玉県の大宮周辺における実証実験ですか、磁気カードをICカードに移行するための実験において民有金融機関などから、この実証実験はいわゆる郵貯の電子マネー業務への新たな進出であって電子マネーの発展を損なうものであるという指摘もなされている。先ほど質問といささかちょっと矛盾するような質問ではあるんですが、またアメリカの連邦準備制度理事会のグリーンスパン議長が、電子マネーの普及には政府の不介入が絶対的に必要である、重要だ、こういう談話を発表されている。  これに対する郵政省の御見解をお尋ねいたします。
  142. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) まず、先生お尋ねの第一点でございますけれども、民業との関係はどうかということでございますが、実はこのICカードの採用というのは、先ほど申し上げましたように、もう磁気カードが時代おくれになりつつある、私どもそれで磁気カードからICカードへの移行と申し上げておるわけでございますけれども、そういう位置づけで見ることが実態にかなっておるのではないかというふうに思っております。  それから、電子マネーという言葉も非常に多義的に使われておりますけれども、これは電子マネー、いろんなタイプがございますけれども、決済性を伴うものとそうでないものに大きく分けることができようかと思います。  今回私ども実験するものは、普通の、今マスターカードとかいろいろございますが、カードの利用という決済のレベルはそれに近いところでございまして、いわゆる電子マネーというものの範疇からしますとちょっとそれ以前のレベルのものかなというふうに位置づけることができようかと思います。したがいまして、何かこれで新たなサービスができてくるというよりは、今までの郵便貯金を御利用いただく上でより安全に確実になる、しかもそのカードが郵便貯金のみならずほかの利用のサイドにとっても便利になるというふうにおとらえいただくのがよろしいかと思います。  それから、政府の介入ということでございますけれども、これは技術そのものも、郵政省なりあるいは日本国政府がこの標準がいいということではなくて、既にデファクトスタンダードとして決まっているものを採用していくわけでございますから、むしろそれをスムーズに普及していく上での一つのサポート手段になるのではないかというふうにも考えております。  なお、今回実証実験をいたしました際には、できるだけ多くの方々にいわば共通の体験をしていただくという意味で広くお声をかけてまいりたいと思いますし、御参加にならない企業の方々にも、得られた情報は広く提供を申し上げようというふうに考えております。
  143. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 きょう電子マネーについて質問するので、きのうの夜からちょっと新聞の材料だけですがざっと読んだのだけれども、今おっしゃつたように電子マネーの概念というか定義というのか、二種類あったり三種類あったりどうもはっきりしないところがあるので質問する立場としてもあれなんですが、通常はインターネットとICカードと二つ理解すればよろしいですか。ちょっとそこを教えていただきたいんです。
  144. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) 電子マネーの定義と申しますか概念も日々変わってくるものですから、私がきょう現在持っておる知識になりますけれども、確かにおっしゃるように決済の時点をどの時点でやるか、それがよりクローズのシステムの中での決済になるのか、インターネットのようにオープンネットワークの中で決済されるのかという点では、決済の時点それからそのネットワークの閉鎖性あるいはオープン性、この辺の差というのは実は単に広いか狭いかということ以上に、質的な安全性でございますとか暗号の問題でございますとか、あるいは資金の、通貨の管理とかということになりますとかなり質的に違ったところがあろうかと思います。  そういう意味では、先生お分けになったような分類の仕方も一つの分類の仕方かというふうに理解しております。
  145. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 欧米では電子マネーの研究というんですか実用化、いわゆるICカード導入が非常に急がれているのにかかわらず、日本は欧米と比べると相当おくれているという理解でいいのか、あるいは欧米と同じような研究が進められているのか、まずそこら辺のところをお伺いしたいと思うんです。  今回、実証実験をやられるということなんですが、そこで得られたニーズとか利用動向等のデータの開示をぜひ国民に知らしめていただくことを期待するわけであります。  以上の点、郵政省の見解をお伺いします。
  146. 品川萬里

    政府委員品川萬里君) よく、アメリカに十年おくれているとか五年おくれているとかいろんな比較がございますが、この電子マネーの理解の深さ、広さあるいは実際の利用の度合いを見ますと、ある面では進んでいる、ある面ではおくれている。一概に日本の電子マネーの研究あるいは普及がおくれている、進んでいるということはなかなか言いにくいかというところは感じております。ただ、好むと好まざるとにかかわらず一つのトレンドでございますから、これは移行するにいたしましてもできるだけ時間がかからない方が望ましいということは確かでございます。  そういう意味で、実はこのICカードの実験も大変いろんなノウハウもございますから、私ども関係しておられる企業の当然承諾があってのことでございますけれども、その理解が得られれば、できるだけ広く内容を限定せずに、より多くの関係者の方々に情報は公開してまいりたい、提供してまいりたい。したがって、先生指摘の方向で対処してまいりたいというふうにかように考えております。
  147. 山田俊昭

    ○山田俊昭君 まだ二、三質問通告していて申しわけないんですが、これで終わります。
  148. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 以上をもちまして、平成九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、郵政省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 渕上貞雄

    委員長渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会