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1997-05-15 第140回国会 参議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月十五日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員の異動  五月十五日     辞任         補欠選任      志苫  裕君     梶原 敬義君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         松浦 孝治君     理 事                 石川  弘君                 河本 英典君                 荒木 清寛君                 鈴木 和美君                 久保  亘君     委 員                 阿部 正俊君                 上杉 光弘君                 岡  利定君                 片山虎之助君                 金田 勝年君                 清水 達雄君                 楢崎 泰昌君                 岩瀬 良三君                 海野 義孝君                 白浜 一良君                 寺崎 昭久君                 益田 洋介君                 梶原 敬義君                 千葉 景子君                 吉岡 吉典君    国務大臣        大 蔵 大 臣  三塚  博君    政府委員        大蔵政務次官   西田 吉宏君        大蔵省主税局長  薄井 信明君        大蔵省理財局長  伏屋 和彦君        大蔵省証券局長  長野 厖士君        大蔵省銀行局長  山口 公生君        大蔵省銀行局保        険部長      福田  誠君        大蔵省国際金融        局長       榊原 英資君        証券取引等監視        委員会事務局長  若林 勝三君        国税庁次長    堀田 隆夫君        国税庁課税部長  船橋 晴雄君    事務局側        常任委員会専門        員        小林 正二君    説明員        警察庁刑事局刑        事企画課長    岡田  薫君        法務省刑事局刑        事課長      藤田 昇三君        外務省総合外交        政策局安全保障        政策課長     高田 稔久君    参考人        日本銀行総裁   松下 康雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  4. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 白浜一良

    白浜一良君 外為法改正審議も本日で終わりでございますので、きょうは若干時間をいただきまして、私、総括的に質問をしたいと、このように思います。随分議論をされておりますので、重複することもございますが、重ねて御答弁お願いしたいと思います。  まず最初に、典型的なお話で伺いたいのは、榊原局長、今回の外為法改正は、一つには東京市場のいわゆる空洞化を防ぐと、回復するための措置だと、こう種々答弁されていると承っておりますが、そのように理解していいですか。
  6. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 東京市場活性化が今回の外為法改正目的一つでございます。
  7. 白浜一良

    白浜一良君 バブルの時期は別にして、バブルが崩壊して今日に至っておるわけですが、大蔵当局としては、東京金融市場空洞化というのはいつぐらいから認識されているんですか。だんだんこれは空洞化してきたなと、いつごろから認識されて今回の法改正に至っているのか、簡単でいいですからお話ししてください。
  8. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) いつごろからということを正確に申し上げることはちょっと難しんでございますけれども、今でも東京市場というのは、取引高からいいますと世界三番目の市場でございます、ニューヨーク、ロンドンに次ぐ市場でございます。  そういう意味で、東京市場が現在完全に空洞化したというふうには思っておりませんけれども、やはりこの五、六年前あたりから、特に外資系金融機関が例えばアジアの本部を東京から香港に移すとか、東京からシンガポールに移すとか、そういう動きがかなり活発になってきたわけでございます。そういうあたりから東京市場空洞化ということを意識し始めたと言わせていただければいいのかと思います。特にシンガポール香港等からの追い上げということでございます。そういうことがかなり急になってきたというようなことでございますから、ここ五、六年というふうに言わせていただくのが妥当かと思います。
  9. 白浜一良

    白浜一良君 私、これは何で確認するかといいましたら、当時は榊原さん、今のようなお立場じゃなかったので直接関係ないかもわかりませんけれども、法律改正するときになるといろいろ意義づけをされるわけですね。しかし、国会の中での一貫した議論から見ますと、いいかげんとは言いませんが、なかなか的確な答弁をされていないんですよ、その時々でいったら。だから私は、そういう法改正、今回大きな法改正でございますが、きちっとした一貫した、そういう当局考え方のもとでやってほしいと、これはもう前提条件ですから、私は重ねてこの問題を言っているわけであります。  五、六年前から外資系の企業がどんどんシンガポール市場とかに流れていったという、そういう兆候があったわけですね。それで、あなたは五、六年前とかおっしゃいましたが、実は私、平成六年十一月、臨時国会のときに、二年半ぐらい前でございますが、当大蔵委員会で私も質疑をいたしました。  当時は武村大蔵大臣でございましたが、今局長おっしゃったような傾向は既にあったわけですね、平成六年ですから。だから、空洞化する対策をやらにゃいかぬということを私申し上げたんですよ。そのときは、当時の武村大臣は、空洞化していないとおっしゃっているんですよ。だから私が言うのは、このときの答弁答弁で正しいと思うんですよ、平成六年十一月は。もし、今局長がおっしゃるように五、六年前からそういう兆候があったといったら、今回のようにビッグバンというような大層な意義づけがなくても、それなりの対策というものは徐々にとっていくべきである。これは当然なんですよ。それの答弁のいわゆる一貫性がないと、私は御指摘を申し上げたいんですが、いかがですか。
  10. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) そのときの答弁は、ちょっと今手元にございませんけれども、空洞化が現実問題として非常に激しく起こってきたという状況では当時も現在もないと思っております。  ただ、空洞化懸念が非常に大きくなってきたということが一点と、それから外為法に関して言わせていただければ、外為法法改正というのは今回お願いしているわけでございますけれども、法律に基づかずに自由化できるものについてはこの二、三年かなり積極的に自由化をしてきておるところでございます。  例えば、去年なんかもかなりいろいろな自由化をしたということでございますので、法改正ということですと、やはり審議会審議というようなものを経てやらなければならないということでございますので、法改正が今度の国会に提出するまではできなかったわけでございますけれども、それまでもかなり通達レベルであるいは省令レベルでの自由化空洞化を阻止するための自由化というのは行ってきたところでございます。
  11. 白浜一良

    白浜一良君 いや、空洞化対策を何もやってきていないという意味で私は言っているんじゃないんです。私が平成六年十一月十六日の当委員会質疑したときに、武村大臣は、「必ずしも一様に空洞化という表現が本当に正しいんだろうかと。」、こういう答弁をされている。そしてまた、もう「ほとんど取引の面では影響がないという見方もあるわけ」だと。二年半前ぐらいはこういう大臣答弁があって、今この外為法改正するときに、東京市場空洞化してはいけないというための一つの柱として今回の法改正なんだという位置づけをされている。じゃ、この二年半の間に何がどう変わったのか言ってくださいよ、それじゃ。
  12. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 一つは、やはり外為法改正あるいは金融システム改革一つの大きなモチベーションになったわけでございますけれども、このところ一、二年、欧州通貨統合というのが非常に急速に進展してきておりまして、九九年からは欧州通貨統合が行われるというようなことで、そういう形でヨーロッパ一つ国際市場として、あるいはヨーロッパの新しい通貨、ユーロが国際通貨として非常に大きく正面に出てきた。今までももちろん空洞化懸念というのが全くなかったわけではございません。ですけれども、このままでは東京ローカルマーケットになってしまう、あるいは円がローカルな通貨になってしまうという懸念ヨーロッパ通貨統合が加速させたという側面があるのではないかというふうに思っております。
  13. 白浜一良

    白浜一良君 まあ、御説明ですわな。私、これ繰り返し言葉じりとらえてどうこう言うつもりはないんですよ。でも、その時々いろんな適当な言いわけ、言いわけというか説明をされているけれども、このような大きな法改正のときに、果たしてこの何年かの空洞化が五、六年前から始まっているとおっしゃっていて、それぞれ対策は練ってきているとおっしゃるけれども、そういう当局考え方一貫性があるのか。やっぱりそういうものの一貫性が一番大事だという点で、私はまず前提として過去の当委員会における議論を踏まえて問題提起をさせていただいた、こういうことでございます。  それで、きょうは日銀総裁、お忙しいところ申しわけございません。十時半までと聞いていますので、先に日銀関連の御質問を申し上げたいと思います。  今回の法改正の中で外為の為替介入権、これはいろんな考え方が諸外国を含めあると思うんですが、今回のこの七条の法改正日銀法改正とも連動していくわけですが、私の理解によりますと、七条の三項で「大蔵大臣は、対外支払手段売買等所要措置を講ずることにより、本邦通貨外国為替相場の安定に努めるものとする。」と。これは条文ですから、このまま理解いたしましたら、要するに外国為替をつかさどるのは大蔵大臣だと、こういう理解ができるわけです。  それで、今回日銀法改正衆議院審議が今されていると思いますが、日本の中央銀行ともあろう日本銀行が、この外国為替相場に関しましては、「規定により国の事務の取扱いをする者として行うものとする。」、このように書かれているわけです。日銀がこういう外国為替相場に関する主導権を放棄されたのかな、そういう条文ですよね。私はそういうふうにこれ理解しているわけですが、総裁、この点に関しましてのお考えをお聞かせください。
  14. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 日銀外国為替介入関連しての立場でございますけれども、ただいま御審議をいただいております日銀法改正案の方におきまして、日本銀行外国為替売買に関しましては為替相場の安定を目的とする外国為替売買については国の事務取り扱いをする者として行うというふうに規定がなされております。  これは、為替介入につきましては、現在の国際金融システムのもとでは政府が一元的に責任を持つべきであるという中央銀行研究会報告を踏まえたものでございまして、政府日本銀行のこれは現在の役割分担に沿った形で規定の整備を図ってまいるものというふうに考えております。その場合に、日本銀行としましてはどういう立場為替の問題に参加をするかということでありますけれども、これは今後とも大蔵大臣の代理人といたしまして実際のオペレーションを行っていくということになるのでありますけれども、その際一に、私どもとしましては、常時政府と密接な連絡をとり合いながら、市場の中に身を置いて日常業務を担当しております中央銀行としての専門性を発揮いたしまして、必要な役割を果たしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  15. 白浜一良

    白浜一良君 今は経緯を説明されたわけでございますが、いろんな経済学者金融関係学者の方々も、中央銀行が、日本銀行がそういう外国為替をつかさどるべきだという御意見もあるわけですね。政府連携をとってと今いろいろおっしゃっておりますが、逆に言いましたら日銀専管事項でもいいのに、大蔵大臣が所掌するというふうなことになっている意味は何ですか。極端なことを言いましたら、国の事務取り扱いをすると、何か下請みたいな立場日銀を位置づけられている意味は何ですか。
  16. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 一つの国の外貨資産管理調整等につきましては、国によってやり方はいろいろございますけれども、主として大蔵省系統の官庁にその最終責任を与えて、通貨当局同士協議等を進めていくという形、それからその際に、中央銀行にその一部分の、例えば外貨市場に対します介入でございましたならば例えばスムージングのための部分的な調整ということを行わせるというやり方、両方がまた協議をしながら進めるというやり方、国によっていろいろでございます。  我が国の場合は、先ほど御説明を申し上げましたように、最終的な一元的な責任というものは政府がこれを保有いたしますけれども、実際の売買等実務に関しましては、中央銀行の持つ経験、能力を十分に生かして、この意見を十分に取り入れていただきながら実際の業務を進めてまいるということになっております。
  17. 白浜一良

    白浜一良君 私は、余り賢くないので難しいことわかりませんけれども、非常に俗っぽく言いましたら、日銀為替介入するときは政府方針に基づいてやるということですか、日銀独自の判断はどうなるんですか。そこを具体的に言ってください。
  18. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 政府責任を持ってその判断をいたすわけでございますけれども、政府がその判断をいたすに当たりましては、実務を担当し、また海外中央銀行とも密接な関係を常時保っております日本銀行意見を十分に聞かれた上で、両者の意見が合致した形で現実の介入は行われている、そういうふうに考えております。
  19. 白浜一良

    白浜一良君 もう少し具体的に聞きますと、それは要するに日銀独自の、世界的にいろんなそういう情報を握っていらっしゃるでしょうから、独自の御判断もある、またそうでしょう。だけれども、この法律条文から判断すれば、大蔵大臣がそういう統括することになっているわけですね。これは総裁大蔵大臣と御相談をして決められるんですか。それはどこでどういうふうに決まっていくんですか、この法文の解釈からすれば。
  20. 松下康雄

    参考人松下康雄君) それは、大蔵省におきましても日本銀行におきましても為替の問題を所管している事務当局がございますので、通常の場合の日常的な介入等方針につきましては、その事務当局における責任者が常時話し合いをし情報交換もいたしておりますから、協議の上で決定をしてまいるということでございます。
  21. 白浜一良

    白浜一良君 それは、事務当局はしょっちゅう連携とるでしょう。だけれども、決断するのは中心者でしょう、中心者というか責任ある立場でしょう、要するに。そこのメカニズムはどうなっているんですか。
  22. 松下康雄

    参考人松下康雄君) 国の為替政策の基本に関します事項は、当然それは通貨当局最高責任でございますが、また同時に、例えば海外でのG7等通貨当局の首脳との意思の疎通、情報交換というようなこともこれはトップの責任でございます。  ただ、今申し上げましたのは、そういう大きな方針の中で日常市場を見ながらの日々の為替介入等のそういう実務について両省の事務レベル協議をしながら行っているということを申し上げたところでございます。
  23. 白浜一良

    白浜一良君 それはよくわかりませんな。所管されている事務の担当の方がそれぞれ連携をとって決めるんでしょうが、だけれども、だれかが決裁しないとそれはできないでしょう。例えば、日銀の場合は、どこまでこういう問題は上がるんですか、だれが判断されるんですか。
  24. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 先ほどから総裁が申し上げているとおりに、為替については最終的な責任政府にあるということでございますから、最終的な判断をするのは大蔵大臣でございます。
  25. 白浜一良

    白浜一良君 それは法律でそう書いてあるんだからそうでしょう、わかってますよ、そんなことは。いや今、日銀総裁が、事務方がいろいろ連携をとって判断しているんだとおっしゃったから、私はだれが決断をするのかということを聞いたんですよ。それは最高責任者大蔵大臣というのはちゃんともう法律に書いてますよ、これ。それはわかってますよ。やめましょうか、このぐらいで。  もう一つ、この問題で私気になることがある。これ榊原さんに聞きますけれども、あなたがいろんなところでお述べになっている中にもあるんですが、今、日銀総裁もお話しになりましたけれども、この問題に関して、今回の法改正中央銀行研究会のいわゆる答申というんですか、お考えベースに今回のそれぞれの法改正をされたと言われておりますが、しかし、この中央銀行研究会というのは総理の私的な研究会でしょう。本来、大きな制度改革というのは金制調の中の日銀法改正小委員会ですか、既存のそういういろんな審議会があるわけでしょう。そういうところで結論が出るというのだったらまた話は、前提条件にされるのは私わかりますが、極めて私的な研究会のお考えベースにして今回の法改正をしたというのは、ちょっとこれはいかがなものか。
  26. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 中央銀行研究会だけの答申ベースにやったわけでございません。まず介入権についていえば、これは現状の維持でございます。現状政府が最終的な責任を持って日銀事務取り扱いをするということになっておりますので、大きな変更をしたということではございません。それから、もちろん外国為替等審議会でもこの問題については十分論議し、外国為替等審議会でこういう形での法案を準備すべきだという結論を得たわけでございます。  ただ、日銀法との関連がございますので、中央銀行研究会においても、為替介入というのは最終的な責任政府が一元的に負うべきだという結論が出ておるということでございまして、いわば一種の補強材料でございまして、外為法審議につきましては外国為替等審議会で、介入については政府が一元的に責任を持つべきであるという結論が出ておるところでございます。
  27. 白浜一良

    白浜一良君 今、説明されていますけれども、そういう正規のいろいろな審議会では議論されていないというふうに私は伺っている、もうこれ以上水かけ論はやめますが。  いずれにいたしましても、中央銀行というのは国の金融経済すべて含めて柱になる存在でございますから、今回の外為法改正関連してでも、大綱は政府が一括して所掌するというのは変わってないんだ、そのとおりですよね、今までだってそうなんです。だけれども、今は外為法をやっていますが、一方で日銀法改正案もあるわけで、そういう一国の中央銀行法改正のときに、この部分だけの話でございますが、やっぱりきちっとした公的なそういう審議会議論を経てやるのが通常じゃないかということだけを御指摘申し上げておきたいと思います。日銀総裁、お忙しいところ、どうもありがとうございました。  次に、十六条のことに関しまして、これも何回も議論をされております。今回、法改正がされたわけでございます。いわゆる経済制裁の定義の問題で、ちょっとお話ししてもらいましょうか、今までと今回の違い、もう一度復習の意味で、
  28. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 従来の経済制裁発動要件と今回の発動要件が大きく変わっておりまして、十六条でございますけれども、従来は「我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行のため必要があると認めるとき」ということが発動要件でござ.いましたけれども、今回の改正で、「又は国際平和のための国際的な努力我が国として寄与するため特に必要があると認めるときは、」ということで、条約あるいは安保理決議がなくても、我が国が国際平和のための国際的な努力に資するという判断をした場合には、最終的には閣議決定あるいは閣議了解のもとに経済制裁発動できるというふうになったわけでございます。
  29. 白浜一良

    白浜一良君 これはそのように何回も答弁されておりますし、これは行政権の範囲だと、それはそのとおりだとも私は思うんですが、今回はそういう面で早く判断はできるけれども、そのかわり、いわゆる判断する概念は広がったわけですね。そこは行政で適切な判断をされるんでしょう、決められる場合は。  だけれども、それのいわゆる根拠づけという面で国会への報告ということ、これも何回も衆議院も含めて議論をされているわけでございます。衆議院では附帯決議の中にもそういう項目が入った、このように伺っております。これはどうですか、報告と言いましてもいろんな幅がございまして、よく私たちも会館にこういうチラシというかレジュメみたいなものがばっと回ってくることがある、これも報告といえば報告ですね。  だけれども、こういう経済制裁発動されるというのは、それは一定政治判断ベースにしておるわけですね。今までは安保理決議とか非常にわかりやすかった。今度は一定のそういう政治的判断政府判断ベース、にするわけですから。だから、決して疑うわけではございませんが、そこにやっぱりわかりやすさがないといけない。  そういう面で、国会への報告ということが言われているわけですが、一々大蔵委員会を開いて何か報告しろとは言いませんが、文書で回されてもわかれというのは無理で、何か具体的にちょっと報告のパターンというか様式というか形式というか、局長も何回もおっしゃっているように、この法律そのものにはそういうことを書き込むことはできないという、それは私は理解するとして、何かそういう実際の運用上で非常にわかりやすさというか、そういう面での形というのはないものですか。
  30. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 経済制裁というのは、高度の政治的な判断に基づいてやる極めて重要な外交上の行為でございますから、当然のことながらこれは官房長官記者会見をして十分これを説明するということがあるわけでございますし、国会開会中であればそこでいろいろ御説明をするというのも当然なことだろうと思います。  もちろん、必要な掲示、必要な報告というのは当然官報等でやるわけでございますけれども、そういうことで十分国会説明をするということが極めて重要であるということについては、全く委員指摘のとおりだというふうに考えております。
  31. 白浜一良

    白浜一良君 いや、そういう答弁は何回も聞いています。  これは、大臣大臣は一生大蔵大臣をやられるわけじゃないのであれですが、これは非常に私大事なことだと思うんです。それは、官房長官記者会見等を通して国民に訴えられる、我々にもペーパーが回ってくる、そういうこともあるでしょうが、今回の法改正の内容からすれば、それは今おっしゃったように高度な政治判断をどう共有できるかということがなければ、そういう強硬な措置を決めるということに対して、やっぱり私は裏づけとして要ると思うんです。  大臣、具体的な御答弁はされにくいとは思いますが、ちょっと所感を述べてください。
  32. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 閣議決定しました後に、局長が言われましたとおり、当然会見、そして国会があればその場において報告、こういうことであろうと思うんです。  白浜議員が指摘されるのは、制裁等の問題を含め我が国の主権の発動ということになるわけでございますから、特にイラクの教訓の中でこのことが明示をされておることを考えてみれば、地域紛争、不法な一方的なしかけ、侵入が行われた場合、安定のために共同して行動することは、武力を除いて我が国の憲法の範囲内と。  その場合、内政の問題は水際までとよく言われますね。そうしますと、当然議院内閣制のもとで与党に対しては事前にこんなことに取り進めたいということでありますね。野党という立場、しかしいつか与党になるわけですから、そういうことを考えれば、政権交代を前提としたのが議会主義でございますから、やはり国際的な問題については同様に申し上げると、それはしかるべく責任者がおられるわけでございますから。  ということは、私、大臣任期中にそういうことがあればそうするのが大事かなと。もちろん、それが官房長官なのか私なのか、また与党の代表からそう申し上げるのかはあろうと思いますが、いずれにしても、議会制民主主義を基本としてやっております以上、国際国家として緊急に対応しなければならぬ問題については意思疎通を図る必要がある、それが事前事後ということであっても当然であるのかなと。事柄によりますけれども、国論また大きくその是非について分かれるということであれば、当然のことであろうと思います。
  33. 白浜一良

    白浜一良君 今、大臣おっしゃったように、これ、なかなか形では言いづらい。私わかります。また、問題の内容にもよりまして、大きな問題であれば党首会談なんかぱっと開いていただいたらいいですし、小さな問題と言うのは失礼でございますが、そういう通常大蔵委員会マター的なことであれば、ぱっと理事さんが集まっていろいろ説明を聞くとか、いろんなパターンがあっていいと思うんですが、ぜひともそういう御配慮、日本の国の判断をサポートする意味でもどうか御配慮いただきたい。このことを主張しておきたいと思います。  次に、お聞きしたいのは六十九条のことでございます。私も最近の電子機器というのはよくわかりませんけれども、この六十九条の二で電子情報処理という概念が出ているわけです。大変な事務量を今コンピューターで処理されるというのはこれは当然でございます。そういう意味で法文にも挙げていらっしゃるんでしょうが、これもなかなか難しいんですね。帳簿で残すと積み重ねてもう検索するのが大変ですが、過去の事実としてずっと蓄積されていっているわけで。  ちょっと話変わりますけれども、きのう野村の元常務が逮捕されましたけれども、あれも何か伝票を改ざんしてですね。伝票だって改ざんできるんですから、コンピューターなんて何か問題起こってからぱぱっと処理して後で情報がぴっと整理されてくるという、そういうことであればいわゆるそういう電子機器に対する信頼度というか、そういう会計処理に対する信頼度というのはなくなるわけでして、そういう意味で、この六十九条の二で条文に入れていらっしゃる中で特に留意されている点というのはございますか。
  34. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 六十九条の二でいわゆるペーパーレスで報告ができるように法律的な整備をしたところでございますけれども、特にこういう電子計算機、コンピューターの関係では、委員指摘のように、いろいろセキュリティーの問題というようなことがございます。特にオンラインであるとかあるいは電子メールでやるということになりますとセキュリティーの問題がありますし、例えば電子メールでやるということに対して行政的な今準備がすべてできているというわけではございません。  ただ、直ちにできることとしては、例えばフロッピーディスクとか磁気テープを紙のかわりに持ってきていただくということは今までの延長線上でできるのではないかと。これは相当の、やはり磁気テープなりフロッピーディスクなりにあるものをすべて印刷して我々に御報告いだだくということに比べればかなりの手間が省けることになるということでございまして、こういうことは直ちにできるペーパーレス化かなというふうに考えております。  また、電子メールあるいはオンラインで行うということについては今後いろいろの問題点が考えられるわけでございます。例えば、送信者が報告義務者本人であるかどうか、あるいは送信時にデータが漏えいするとか、今度そのデータの送信、受信の確認とか、いろいろ難しい問題点があるわけでございますけれども、こういう問題点に関しても前向きに対応して、今後できるだけ報告が簡素かつ明快にできるようにしたいというふうに考えておるわけでございます。
  35. 白浜一良

    白浜一良君 こういう条文があったとしても、いろんな企業がこんなのできるわけじゃないですね。これを適用される、こういう手続でいいですよ、こういう形の報告でいいですよと、そういう基準か何か決められるんでしょうか。
  36. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) この外為法関係報告金融機関等あるいは商社等からとる場合が非常に多うございますので、この条文を踏まえまして実務ベースで、一体どういう形の報告が最も効率がいいものか、最も手間が省けてなおかつ正確を期すことができるかというようなことを今いろいろ話し合いを続けております。そして、法律が成立しましたら政令あるいは通達のレベルでこういう形でやるのがいいんではないかというようなことを決める、そういうプロセスになるというふうに思っております。
  37. 白浜一良

    白浜一良君 きょう委員会で上がればあすの本会議で成立するということで、まあ多分そうなると思います。  それで、ちょっと確認したいんですが、今おっしゃったように、主として銀行とか商社とかそういうしっかりした企業ですよね。だから、そういう対象を検討されているし、結論出されるということですが、そういうふうに限定されるかどうかという、まず認めるのを、そういう形の報告をですね、ということ。それから、これは来年の四月一日から実施される計画でございますが、来年四月一日以降もう即適用、こういうことをお考えになっているのか。この点を確認したいと思います。
  38. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 個人からとるものは全くないかどうかはちょっと確認、手元に詳しい資料ございませんけれども、基本的には、今までの例からいいましても、銀行あるいは商社等から日銀を通じて報告をとっているという形でございます。  実施については、来年の四月一日に実施したいというふうに思っております。これは今後協議を鋭意加速いたしまして、恐らく企業の側でもかなりのデータがコンピューターの中に入っておってそれを処理するコンピューターソフトみたいなもめがあると思いますので、それをどういうソフトにどう変えるかということを含めてかなり広範な対応をしていただかなければいけないというふうに考えておりますので、法律が成立し次第そういう実務的な話し合いをできるだけ早くまとめるようにしたい、そして来年の四月一日には実施したいというふうに考えております。
  39. 白浜一良

    白浜一良君 来年の四月一日から実施ということであれば、いろいろ具体的に処理せなあかぬこともあるでしょうから、少なくともそういう具体的な細目の結論というのはどうなんでしょうか。やっぱり九月いっぱいぐらいにはまとめなきゃいかぬのでしょうね、これは。どうなんでしょうか。もう直前まで行って、さあやれと言ったって無理でしょうから、準備期間も要るでしょうから、ある一定の準備期間というのは考えていらっしゃるんでしょう。
  40. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 九月一日かどうか、ここでお約束は必ずしもできないんでございますけれども、おっしゃるようにある程度ソフトを変えるとか、そういう準備期間は当然必要だと思いますから、できるだけ早い時期に様式等について合意をして準備を進めていただくということになると思います。
  41. 白浜一良

    白浜一良君 いつごろか言ってな、大体秋ごろとか。
  42. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 秋ごろには最終的なものがまとまることが望ましいというふうに考えております。
  43. 白浜一良

    白浜一良君 えらい無理やり言わせて済みません。それでよくわかりました。万端な準備をお願い申し上げたいと思います。  ちょっと関連して、私余り詳しくないんですが、今国税の方でもいろいろ電子データの処理の仕方が研究されていると伺っております。これ国税の方もこういう処理というか報告のさせ方というか、こういうことは考えていらっしゃるんでしょうね。
  44. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) お答え申し上げます。  税法におきまして帳簿書類の記帳義務、保存義務というのを民間に課しているわけでございますけれども、紙による保存ということで今行われているわけでございますけれども、高度情報化なり、先ほど来お話のございますペーパーレス化が進む中で、その帳簿書類を電子データによる保存ということでいいようにしてくれないだろうかという要望が各方面から参ってきておりまして、それをどうしようかというのが私どもの今の検討課題ということでございます。  それで、税法上の帳簿書類について電子データにより保存を行うことは時代の要請であろうと思っておりますし、これにより納税者のコスト負担の軽減にもつながるところで、前向きに取り組まなければいけないと基本的に考えております。  一方で、税法でなぜこれを定めているかと申しますと、きちっと申告納税をしていただく、その基礎となると。申告納税制度の基礎とするという位置づけになっておりますので、先ほどもお話ございましたけれども、この電子データによる保存を行う場合には、改ざんとか消去というのが痕跡なく容易に行えるという特徴もございますので、そういった特徴も踏まえながら、税務執行面における税負担の公平確保の要請とのバランスをどう考えていくかという問題になるわけでございます。  そこで、私どもの方は、昨年の七月からことしの三月末まで帳簿書類の保存等の在り方に関する研究会というのをお願いいたしまして、検討を進めていただきまして、この三月末に報告書を取りまとめていただいたということでございます。そこで、その電子データ保存が行われる際に必要な条件等について具体的な御提言をいただいているということでございます。私ども、現段階では、その報告書を踏まえまして、さらに具体的な問題点につきまして詳細に検討を加えているところでございまして、必要に応じて法令上の手当てが必要になればまた主税局の方にも相談をしていきたいと、そういう段階でございます。
  45. 白浜一良

    白浜一良君 今、経過をお話しいただきましたが、まあそういう時代になってきていますからね、これ、だんだん。いろいろ御指摘ございましたように難しい、整合性とらなきゃならない問題もあるのはよくわかりますが、これはいつごろそういう研究会結論は出される予定なんでしょうか。
  46. 堀田隆夫

    政府委員(堀田隆夫君) 研究会自体の結論はことしの三月末、ついこの間ですが、出していただいたんです。あとはそれを具体的にどういうふうに措置内容として取りまとめていくかというのを今検討しているということでございます。  この電子データによる帳簿書類の保存という問題は必ずしも税だけの問題ではなくて、その必要性が、例えば規制緩和の観点とか、あるいは高度情報通信社会を実現するという観点などから政府全体として取り組まれて検討は行われておりまして、その高度情報通信社会推進本部というところでは、この問題を平成九年度末までに検討を了して、できる限り速やかに所要の措置をとるという方針が出されております。そういった政府方針を十分に念頭に起きながら、私どもとしてもその中身について早急に検討を進めていきたいということでございます。
  47. 白浜一良

    白浜一良君 その一環でやられるということでございましたが、今おっしゃったように、平成九年度末までに一定結論を出されると、こういうことでございますね。わかりました。  次に、海外に送金するに当たりましてのさまざまな問題点、このことにつきまして御質問したいと思います。これもいろいろ議論は出尽くしているわけでございますが、国内でしたら当然株式も源泉徴収されますし、預金しても利息は天引きされてしまうわけです。これから自由に海外にお金を送金できるという面では脱税行為が不当に行われるんじゃないかという、こういう危惧が随分指摘されているわけでございます。  それで、私もよくわかりませんが、そういうのを阻止するための報告義務を一定の金額、アメリカでしたら一万ドルですか、そういう法律をつくってございますが、そういう報告をさせると。そういう不正な海外送金による脱税行為、脱税的な行為を阻止するためにそういう法律が要るというふうに言われておりますが、この点のお考えはいかがでございますか。
  48. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 現在の状況ですと、外為法の世界で今御心配のようなことが起こりにくいシステムになっているわけですので、その上に乗って税制を考えておりましたが、自由化されれば、性悪説をとるわけではありませんが、いろんなことが考えられます。そうした場合に、為替自由化の先輩国である諸国がどういうことをしているかを確かめますと、やはり海外との関係についていろいろな形でチェックができるようにしているのが実情でございます。この点につきましては、現状では税制上仕組みがございませんので、御指摘のように法律を出して送金あるいは入金につきまして義務づけをしたいと思っております。  なお、御質問に直接ありませんけれども、国内の企業が外国で起債をすると、ユーロ債というようなものを出しておりますが、これは外国の資金を調達するために私ども必要なことだと思いますので、その一定のものにつきましては、その利子について非課税にしておりますけれども、これにつきましても、外為法が自由になってくると、本当に非居住者がそれを購入しているのかどうか確かめないといけないという問題が出てくると思います。この点についても一、二年続けて議論してきておりますが、私どもとすれば、これも法的に本人確認をさせていただくシステムが要ると、この二点について法的整備の準備をしているということでございます。
  49. 白浜一良

    白浜一良君 起債の問題までおっしゃっていただいて恐縮でございますが、来年の四月からこの改正法が施行されるわけで、もう直ちにこういう事態は現実に起こってしまうわけですから、今はいろいろその法的な整備を考えていらっしゃるということでございますが、そうすると、この秋に臨時国会があるかないかわかりませんが、少なくとも来年度始まるまでにはそういう法的な措置をしなければならないということなんでしょうね、これは。
  50. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 確かに、臨時国会があるかどうか、これは国会のお決めになることですが、もし臨時国会が開かれるならば、それに間に合うような準備を私どもは進めているということでございます。
  51. 白浜一良

    白浜一良君 わかりました。  それから、ちょっと関連して幾つかいろいろ聞きたいんですが、株のいわゆる譲渡益課税でございますが、今は源泉分離と申告分離と二つの方式になっていますね。ところが、外為法改正をきっかけとしていろいろ考えなければならないそういう法整備として、いわゆる株の譲渡益課税を申告課税に一本化しようという、こういう報道がなされております。この辺の真偽はいかがなものでしょうか。
  52. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 外為法の絡みといいますか、外国為替自由化ということが行われた場合に、それなりにそういう状況に合った証券金融税制にしていかなければならないという気持ちで、これもここのところ数年議論を続けてきておりますが、今御指摘の証券関係税制に関して言えば、世の中では有価証券取引税をどうするのかという議論がよく出されます。  この有価証券取引税は、株の譲渡をしたときにかかるわけですけれども、この税と並んで御指摘の所得税関係、株の譲渡益にどう課税するかという問題が常に私どもの問題意識の中にあるわけでございまして、有価証券取引税の姿をどうしていくか、そしてキャピタルゲイン課税、株についてどうするかということにつきましては本年末までに議論をし、詰めまして、来年度税制改正に間に合うように対応したいと思っております。  その具体的な姿につきましては、まさにいろいろな議論をしております。人によっては非常に極端な御指摘をする方もいらっしゃいます、有取税なりキャピタルゲイン課税について。その辺につきましては、市場に与える影響だとか公平性の観点あるいは執行上の問題、いろいろ考えて最終的な答えを出していきたいと思っております。
  53. 白浜一良

    白浜一良君 確かに、関連して整備をしていかなきゃならない問題がいろいろ起こるんでしょう。それで今有取税の問題も出ました。  それで、ちょっとこれは伺いたいんですが、よそ様の党のことを言っては失礼でございますが、五月九日ですか、自民党の部会に大蔵省が招かれてさまざまこの一連の流れ、具体的にお考えになっていることを説明されたと、こういう報道が載ってございます。金融制度調査会、証券取引審議会、保険審議会、ビッグバン関連の蔵相の諮問機関というふうに、この辺のいろいろ説明をされたと、こういうふうに書いてございますが、これはだれに聞けばいいんですかね、こういうことは。
  54. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 金融システム改革大蔵省内で取り進めております。これに関係する各局が議論をしておりますし、これは主税局とその関係局とは連携といいますか議論を重ねております。  御指摘の点は多分、審議会が各種分野で開かれております、そこに証券税制なり金融税制についてどういう考え方を主税局は持っているのかという御下問があって、そこに考え方説明に行ったということかと思います。
  55. 白浜一良

    白浜一良君 我々が聞いている以上のお話をされたということは言えないでしょう。だからもういいです。それは言えるわけがないからね、建前上。  それで、きょうの日経新聞ですか、に載っていたんですが、あす証券取引審議会の中間報告が出されるんですか。それで、いわゆる株の売買の手数料の問題ですね、これも既にいろいろ報道されているんですが、二段階で自由化しようというような報道もされているんですけれども、証券局長、えらい待たせて済みません。あす答申が出るということでしょう、きょう新聞にも報道されていますが。この株の売買の手数料の考え方、いろんな報道がされておりますが、ちょっとまとめて御説明いただけますか。
  56. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 証取審では今、総合部会で昨年の十一月にもろもろの金融システム改革で検討すべき課題を整理していただきまして、その中でさらに技術的にもあるいは専門的にも突っ込んで検討すべきテーマにつきまして三つのワーキングパーティーをつくりまして、そこで作業をいただいております。あした予定されておりますのは、そのワーキングパーティーが、これはマーケットの問題、それから金融商品の問題、それから仲介者のあり方、この三つのワーキングでございますけれども、それぞれからそこに関連する問題につきましてのワーキングパーティーとしての議論の整理を総合部会へ御提出いただくという予定になっております。  そこにおきます検討項目の中で、手数料の自由化ということも大変重要な検討事項でございまして、あしたワーキングパーティーから御報告なされるわけでございますので、ただいまこの時点で先取りして御答弁するのがいささかはばかられますけれども、手数料自由化というものは金融システム改革、特に証券市場改革の大きな流れの中で実現していってしかるべきものという大きな流れがございます。  しかし、それに関しましては、手数料問題というのは、いろいろ証券会社の業務範囲でありますとかマーケットの環境でありますとかもろもろの証券のインフラストラクチャーみたいなものと関連する、それとの流れの中でどの時点をつかまえて完全自由化をしたらよいか。その御議論がある一方、明年の四月には外為法自由化が施行される。その時点において手数料の固定制というものが市場に混乱を及ぼさないようにする対応も迫られるのではなかろうか等々のもろもろの論点を今御検討いただいておりまして、あした御報告があろうかと存じますが、その内容はそういった点を踏まえて御報告があるかと思います。
  57. 白浜一良

    白浜一良君 あした答申される中身の話は当然公にはできないと思いますが、今のお話を伺っていても、自由化というのは流れだと、国際的に見ても。日本は固有の文化、商取引の慣行というのがあったわけで、それをどういうふうにやっていくかということだと思うんですが、今の局長のお話を聞いておりましたら、将来的にどういうふうになっていくにせよ、まず来年四月一日、新年度から何らかの形でいわゆる手数料に関しては変更が始まると、こういう理解をしていいですか。
  58. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) お言葉のとおりでよろしかろうと思いますが、実は手数料の自由化はこれから取り組む課題ではございませんで、平成六年以来、既に十億円以上の大口取引からもう手数料の自由化を開始いたしております。  したがいまして、先ほど最終ステージの完全自由化について私言及いたしましたのは、もう今日の時点ではどの時点をもって完全自由化にまで到達するかというスケジュールは当然のことながら議論されてしかるべきものと考えておりまして、それを考えるに当たってはもろもろの要素が、いろいろそれまでに準備しなくちゃいけない要素がある。しかし、準備しなければいけない要素があるからといって来年の四月に何もしないということでも、それで十分対応できるであろうかという議論が行われておると御紹介申し上げたわけでございます。
  59. 白浜一良

    白浜一良君 その程度で理解しておきます。  もう時間がないので、主税局長、いろいろお忙しいのに済みません、最後に一つだけ聞いておきます。これも新聞報道ですが、要するに、生保と損保のいわゆる控除の問題、これを一本化するという、控除の内容を見直すとかいう報道もいろいろ出ておるんですが、この辺はどうなんでしょうか。
  60. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 生損保控除につきましては、今ということよりもここ数年、税制調査会等では議論の対象になってきております。  それはどういう背景があるかといいますと、生損保控除を設けてまで促進する必要があるのかというか、裏返して言うと、保険というものがかなり一般的になっているのにインセンティブが今後とも要るのかどうか、またその内容が貯蓄を促進するということであるならばその時代ではないのではないか、さらに加えれば、金融システム改革が進められるということは金融機関の間の垣根が低くなる、あるいはなくなるということなのに、特定の業界に特定のインセンティブがあっていいんだろうか、こういう問題意識から議論が進められております。  ただ、これを具体的にどうするという議論にはまだ立ち至っておりません。問題意識を持っておるということでございます。
  61. 白浜一良

    白浜一良君 もう最後、時間もございませんので。  銀行局長がちょうど保険部長のときに保険業法の改正があって、私もいろいろ質疑をしたことがございます。そこでソルベンシーマージンの概念を導入されて、このときにも議論をしたわけでございますが、これをいわゆる保険会社の一定程度の経営実態をはかる尺度といいますか、そういう意味で公表すべきだという指摘を昔からしているわけでございますが、この辺が当局考え方は非常にいろいろなんですよ。  私が本会議で質疑したときに、このときも武村大臣でしたかな、おっしゃったのは、要するに「ディスクローズさせることを指導していくことを検討してまいりたい」と、このように大臣答弁されたんですが、その後の委員会審議の中では山口さんは非常に否定的な慎重な態度の答弁をされているということなんですよ、経緯は。  しかし、日産生命が破綻したというのは、こういうことも含めてこの辺の一定程度の方向性を示すべきではないかと最後に御指摘申し上げ答弁をいただいて、終わりたいと思います。
  62. 福田誠

    政府委員(福田誠君) 今の御指摘でございますが、ソルベンシーマージン基準につきましては、御案内のとおり、新保険業法に基づきまして平成八年度、今回終了しましたこの決算年度から適用となっておりまして、その保険業法に盛り込まれました基準に基づいて現在各社のソルベンシーマージン比率という数字が本年三月末の数値をベースに算出されることになっておりまして、当局には七月末に報告されることになっております。  このソルベンシーマージン比率につきましては、個別会社の事案に係るものでございまして大蔵省の方から公表する性格のものでは必ずしもなく、各社が自発的に開示していくべきものと考えておりますが、仮に現時点でソルベンシーマージン比率だけを開示いたしますと、保険会社の経営状況がこのソルベンシーマージン比率だけで判断できるものではございませんので、無用の混乱や誤解が生じるおそれも考えられるわけでございます。  このため、ソルベンシーマージン比率の開示の問題につきましては、今後保険契約者の理解を得つつ、しかるべき時期に経営に関するその他の情報の開示と合わせまして行っていきたいというのが私どもの考えでございます。
  63. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それではまず、金融ビッグバンとも密接に関係をいたします野村証券疑惑についてお尋ねをいたします。  証券取引等監視委員会は先般十三日、証取法違反、損失補てんの嫌疑で野村証券(株)及び同社元役員等三名を東京地検に告発したということであります。数々の困難の中、告発にまで至ったという御苦労に対しまして、まず感謝を申し上げたいというふうに思うわけであります。その上で、監視委員会に何点かお尋ねします。  今回は、この告発対象者に法人としての野村証券も入っていて、いわゆる両罰規定の適用を請求しておるわけであります。ということは、今回のこの損失補てん疑惑というのは野村証券の会社ぐるみの犯罪という認定をされたのかという点が一点であります。関連して、上層部の関与についてはどう判断をしたのか。  もう一つは、この損失補てんというのは必ず損失補てんをする人とされる側がいるわけでありますが、損失補てんをされた側はおとがめなしなのかという疑問を素朴に抱くわけですが、この点はどうなのか、御報告を願います。
  64. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) 証券取引等監視委員会は、今先生から御指摘いただきましたように、去る五月十三日に野村証券株式会社及び同社の元役員等三名を証券取引法に違反する損失補てんの嫌疑で東京地方検察庁に告発をいたしたわけでございます。  そこで、ただいまの法人についてはどういう考え方で告発をしたのかというお尋ねでございますが、証券取引法の二百七条で、法人の代表者等が損失補てん等を行った、そういう違法な行為を行った場合に会社が、そのやった職員が業務または財産に関してそういった違法行為を行ったという場合は、その会社についても処罰をするということを定めた両罰規定、先生も御専門で御案内のとおりでございますが、両罰規定規定があるわけでございます。そういう意味で、この元役員等の行った行為は会社の業務または財産に関して行われたものであるというふうに認定をいたした結果、野村証券そのものも告発の対象といたしたわけでございます。  それからもう一つは、損失補てんを受けた側についてはどうかということでございますが、証券取引法では受けた側については、要求してこれを受けたという場合が認定されるということになりますと受けた側についても処罰の対象になるということでございます。  我々といたしましては、今までいろんな方面から資料、情報を収集し、また関係者にも質問をする等、証拠収集等調べた結果、先般、先ほど申し上げましたように、同社の元役員等三名と野村証券を告発するということの認識をするに至ったわけでありまして、先ほど御指摘の損失補てんを受けた側という者の告発をするには至っていないということでございます。
  65. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、今後の調査の方針について可能な範囲でお話しを願いたいと思いますけれども、報道等を拝見しておりますと、この捜査といいますか調査はもう東京地検の特捜部の方に移ったかのごとき報道であります。ですから、監視委員会としてはもうこれで一応告発をもってこの調査は終了というお考えなのかどうか。私はまだいろいろ疑惑の解明が必要な点があると思うのです。  受けた側が本当に要求をしていないのかと。やはり何らかの要求があってああいうことになったのではないかと思いますので、その辺の真相究明。さらには、両罰規定の適用を超えて上層部自体がやはりもっと関与しておったのではないかといった点。あるいは利益を受けた側、いわゆる総会屋あるいは総会屋親族企業というのはこの野村証券だけではなく他の大手証券にも三十万株ずつ持っておったというような報道もあります。あるいは、いわゆるVIP口座の問題、特定の人物、政治家とか官僚が特別扱いをされておったのではないか等の疑惑が数々言われているわけでありまして、まだまだ私は調査をすべき事項はあると思うんです。  これらの点、今後監視委員会はどう対応していかれるんですか。
  66. 若林勝三

    政府委員(若林勝三君) 今般の告発に当たりましては、これまでに我々は野村証券の問題についていろいろ資料、情報を収集、分析かつ関係者からの話を聞くといった中で心証を得たものとしてまとめて告発をいたしたわけでございます。それ以外にもまだ疑わしいところあるかどうかということでございますけれども、その点については、一つは、今後は東京地方検察庁において十分なる捜査が行われるということもございましょう。  また、我々委員会としては、今後一切じゃ野村の問題について無関心であるかというお尋ねでございましたら、我々は日ごろからいろんな取引について当然ながら今後とも注視をしていきたいと思っておるわけでございます。そういう意味においては、ある事案についてもすべて完璧に終わって一切関係ないというようなものではないと思っております。  そういう意味では、今後とも幅広く関心を持ちつついろいろな資料、情報の収集に努め、いやしくも何か取引の公正を害するような違法行為が発見されれば適切に対処してまいりたいと思っております。
  67. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 比較的少ないスタッフで大変だと思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに考えます。  そこで、大蔵大臣にお尋ねをいたします。この野村証券、リーディングカンパニーでありながら不祥事を繰り返したわけであります。しかし、ここに至りましても、酒巻前社長も国会に、衆参来られましたけれども、これはあくまでも個人の責任だというお話であります。衆議院の方では個人ぐるみなんという言葉も出まして、どう理解したらいいものかと思いますが、いずれにしましても、本当にこの会社というのは反省をしているんだろうかというふうに思うわけです。本当に反省しているのであれば、もう洗いざらい事実を包み隠さず発表して認めて、その上で創業的出直しなら出直しというのであればわかるわけでありますが、どうもそうではないような気がするんです。  大臣も、この問題については監視委員会の勧告を待って厳しい行政処分をというお話はそのとおりかとは思うんですが、しかしこういう会社の実態からしますと、私はもう厳重にも厳重な処分をして反省を求めるべきだというふうに考えますが、この点大臣の決意といいますか、指針を示してもらいたいと思います。
  68. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいま事務局長から段々の経過と今後の心構え、答弁をいただいたところであります。  損失補てん行為による告発という事態に至り、強制捜査、身柄拘束、こういうことに相なりましたこと、事柄の重大性を踏まえながら極めて遺憾なことである、こう思っております。同時に、監視委員会が独立して調査という実態解明をやられておるわけでございます。そういう中で、事実認定をした上で行政処分等を大蔵大臣に勧告をするシステムということで確立をいたしておるわけでございますから、このシステムが有効に機能していると私は思っております。  監視委員会による行政処分の勧告があれば、かねがね申し上げておりますように厳正に対処し、二度あることが三度あってはならない、こういうことで、このことが全体に反省を促しながら、特に金融システム大改革のスタート台に立っておるわけでございますので、日本の市場が諸外国からだけではなく国民の信頼を保つという意味においても極めて重大なことと考えております。
  69. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 大臣にもう一問お尋ねしますが、株価が回復しているという見方が一般的な中で、しかし、なおかつ株式市場は破局のふちにあるという見解もあるわけです。その理由としては、金融新時代の担い手になれる証券会社が数少ない。今回の事態を見ると、それもそうかなというような気もするわけです。  証取法のルール違反に対する罰則強化につきましては、先般も岩瀬委員質疑をしまして、そういう方向であるというようなお話でありました。ルール違反の罰則を強化いたすとともに、やはりそれをきちんと監視をしていく体制を拡充しなければ、私はビッグバンといっても失敗をしてしまうのではないかと思います。アメリカでもそういう不祥事というのはよくあるというお話でありますけれども、しかしもうびしびしSECが摘発をしているという話でありまして、それが日本でも必要ではないかと思うんです。  証券取引等監視委員会、非常に活躍をされておりますけれども、しかし委員三名、事務局八十九名では本当にビッグバンに対応できるのかと。私、前も質疑をいたしましたが、アメリカ並みにとは言いませんけれども、しかしいかにもこの体制では十分な監視ができないのではないか。そういう意味での拡充が必要ではないか。そういう声が現場からといいますか、監視委員会の方から拡充をしてくれというようなお話もあるのではないでしょうか。この点につきまして、大臣に最後に見解を求めます。
  70. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 事務局長からも委員長からもそのことについては直接ございませんが、ただいま荒木議員申されますように、多くの方からそういう御指摘をいただきます。行政改革の厳しい折がらであります。そういう中で真剣に法制によって設立をされました監視委員会が職務遂行に昼夜を分かたず努力をしておること、評価をいたしております。せっかくの当委員会における御質疑の中において出ておることでございますから、今後どうすべきなのかは、厳しい中ではありますが、真剣に考えます。
  71. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは次に、前回も質疑をいたしましたが、日産生命の破綻問題です。  大臣は、当局は適切に行動したんではないかというお話でありましたが、どうも私は納得ができません。それでなぜ破綻をしたのかという理由を二つ先般も挙げられまして、一つバブル期に高利の個人年金商品を特に大量に発売をしたということですね。もう一つは、八年度にリスク商品を大量に取得をして失敗をしたという話でありました。最初の点は、それはもう挙げて日産生命の責任にせよ、去年そういうリスク商品を大量に取得したということにつきまして、監督当局責任がなぜないのかというふうに思うわけです。  例えば悪いですけれども、これを個人に例えて言いますと、高利の金融会社からお金を借りて返済ができなくなって、ギャンブルで大穴を当てて返済をしようとしたが、かえって失敗をしたというのとどこが違うのかというふうに私は思うわけです。もちろんこの証券市場とギャンブルは違うでしょうけれども、しかし行動パターン、思考形態というのは全く同じじゃないかというふうに思うんですね。  そういうことを大蔵省の監督のもとで許してしまった。平成七年の五月には改善計画を出させ、九月には検査に入り、債務超過が発覚をしたという後でそういうむちゃくちゃな資産運用を許したということは大いに責任あるんじゃないですか。
  72. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  御指摘の点につきましては、大変残念な点ではございますが、日産生命におきましては、昨年の平成八年四月以降に株価がやや回復してきたこともございまして、株式の値上がり期待から収益の増加を目指したものと考えられまして、昨年の十一月までは平均株価が二万円台となっていたものの、結果的にその後の下落によりまして多額の含み損を発生させることとなったものでございます。  当局のこれまでのスタンスといたしましては、従来から生命保険会社経営の基本として、自己責任に基づいて業務の健全かつ適切な運営を行うよう要請してきたところであることは御理解賜りたいと存じます。私どもも日産生命に対しましてはそのような趣旨を踏まえた指導を行ってきたわけでございますが、個別社の投資方針に基づく資産運用はあくまで経営のリスクと責任判断したものでございまして、その結果そのものについてまで私どもがなかなか責任を負えるものではないのではないかと考えております。
  73. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それは会社が通常の状況にあるときにはそんな資産運用について一々当局が口を挟んではいけないと思います。しかし、この会社は平成七年九月にもうそういう意味では破綻の兆しありと、だって保険会社が実質的な債務超過などというのは初めてのことじゃないですか。そういう状況になった後のことですから、自己責任でやっていいという話じゃなくて、これはもうしっかりと見ていかなきゃいけないという状況にあったのではないでしょうか。  私が聞きましたら、平成八年度におきましてこの会社は株価の残高が前年度に比べて倍になった、一年間でそれだけ取得したわけですね。そして、六百億円の評価損が生じたという説明でした。外国証券に至っては資産のうちの十数%をそれに充てておるという話でありまして、先般来の為替リスクという話からすればこんな危険きわまりないことはないわけでして、そんなことにも気づかなかったんですか。それとも、気づいたけれども何も害わなかったんですか。
  74. 福田誠

    政府委員(福田誠君) お答えいたします。  るる御答弁申し上げてきております日産生命の経営改善計画におきましては、一層のリストラによる事業費の圧縮とかグループ企業の支援による基金の増強等々が柱となっておりまして、そのほか運用面の計画におきましては安定的収益確保という観点から売却益の着実な積み上げを行うというような内容が含まれておりました。もちろん、この経営改善計画の実施についても基本は経営の自己責任に基づく判断で行われるものでございますが、結果として八年度にやはり先はどのような相場観で株式投資等を積極化したということでございます。  いろいろ御指摘の点でございますが、資産運用の失敗等が一因となって日産生命が破綻したことは大変遺憾でございますが、やはり日産生命、いろいろ経営問題を抱えているとはいえ保険業法上の免許を受けた会社でございまして、経営自体は自己責任が基本で行われるべきでございまして、個別社の個別の資産運用についてまで行政当局介入できるものではございませんし、また介入すべきではないのではないか、はしの上げ下げということになるわけでございます。  私どもとしましては、全体としての経営改善を強く指導してきたところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
  75. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私も個々の取引についてまで一々当局の決裁を求めるなどという話じゃありませんで、大枠の資産運用の話をしているわけです。そんな一年間で株式の残高を倍にするようなことにオーケーを出していたのかと。経営改善計画を守っておりながらそういう無理な資産運用ができたという話であれば、全くこんな経営改善計画というのは用をなしていなかったということにもなるわけでして、いずれにしましても私は監督責任というのはあるのではないかという見解を持っております。この問題ばかりもやっておれませんので、次に移りたいと思います。  先般、三井物産の福間参考人の発言の中に、外為法の完全自由化が始まる金融ビッグバンに対処するためには外為だけではなくもろもろの制度の国際標準化が必要であるというお話で、具体的に税制、金融と並びまして企業会計の国際標準化という必要性を訴えられました。たしか二回ぐらいそういうお話をされたわけです。  そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、今後のいわゆる日本版ビッグバンにおきまして、この企業会計原則の国際標準化ということについてはどう取り組んでいかれるのか、所信をお示し願  います。
  76. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 我が国の会計基準を国際的なスタンダードにのっとったものに整備していくべきという課題がこの金融システム改革の中にございます。したがいまして、昨年の十一月に総理から金融システム改革の指示をちょうだいいたしました上で、関係審議会と言っておりますが、企業会計審議会までこのシステム改革の作業に参加していただいておるわけでございます。  現在、企業会計審議会におきましては、国際的調和の観点から整備すべき課題といたしまして連結財務諸表制度の問題、それから金融商品の会計制度のあり方、企業年金の会計基準のあり方等の検討を進めておりまして、ことしの二月に連結財務諸表制度の見直しに関する草案が出て、現在公表されて一般に討議されておりますけれども、六月には先生御指摘金融商品に係る会計基準を国際的調和の上でどう考えていくかという中間的なお取りまとめをいただこうと思っておりますので、それを踏まえながら今後検討してまいりたいと思っております。
  77. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、その中に連結財務諸表というお話がありましたので、御報告を願います。  バブル崩壊後、日本の企業の海外進出が進みまして、九〇年代後半からは海外の現地法人あるいは子会社でも利益が上がるようになりました。そのために、連結財務諸表をつくる場合の会計基準としまして、日本の会計基準ではなく米国の会計基準、SEC基準というそうですが、これを採用する企業の割合がふえていると言われております。  そこで、まず証券局からその実態、いわゆる海外にそういう関連会社を持つ企業の連結決算につきましてどの程度このSEC基準が採用されているのか、実態をまず報告してください。
  78. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) SEC基準の採用につきましては、歴史的には我が国で連結財務諸表制度を証取法上導入いたしましたのが昭和五十二年の四月でございます。その時点で既に海外で起債を行っておるその他の理由でSEC、アメリカの会計基準に基づく連結財務諸表を既に海外で開示しておる企業が多数ございましたので、それらにつきましては特例措置として、日本で五十二年に導入しました連結のやり方ではなく、アメリカの会計基準による、既につくっておる会計基準をそのまま開示してよろしいという特例措置を、これは平成十三年三月期までの特例措置としておりますけれども、そういうものを認めたわけでございます。  したがいまして、その時点での経過措置的な色彩を持った措置でございますので、その後ふえてきたということではなく、むしろ数は減ってきておりますけれども、現在この特例措置の適用を受けております企業は二十六社あると承知いたしております。
  79. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 平成十三年三月ですか、経過措置は。それをもって日本の会計基準に戻すというんじゃなくて、むしろおっしゃるように、連結財務諸表についてはアメリカの方が先行しておったわけですから、我が国の基準をむしろ米国なら米国のSEC基準に合わせる方向で考えていくというようなことが必要ではないかと思うんです。その点、ちょっと見解をお尋ねしたいと思うんです。  私もある社の連結財務諸表を見ましたけれども、日本の基準とSEC基準では開示する情報の内容だけではなくて数字もちょっと違ってくるわけです。ですから、連結財務諸表で一方で日本の基準によるグループがあり、一方で米国基準がありということであれば投資家もちょっと比較に困るでしょうし、むしろ日本の基準をそういう国際基準に合わせていくということがこの連結についても必要ではないかと思います。先ほどと同じ答弁になるのかもしれませんが、見解をお聞かせください。
  80. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 先ほどはしょりましたけれども、本年二月七日に企業会計審議会が公表いたしました公開草案の内容は、従来の個別財務諸表中心から連結中心へ転換する、それから連結の範囲を実質支配力基準を導入する、あるいは手続の抜本的見直し等広範にわたっておりますが、これらの草案の内容は、私どもの理解では、基本的に国際的な会計基準とほぼ同じ内容になると考えております。  もちろん、この内容は先ほど、経過的に実施しましたけれどもその後数が減りましたと私は申し上げましたけれども、SEC基準あるいは国際基準というのは、開示なさる企業にとりましては大変御負担が多いものでございますので、先ほど申しましたように、一回はそうしたけれども国内基準に戻ってきたという会社が多々ございますけれども、私どもは、これから発行体は大変手続その他で御負担ではあろうかと思いますけれども、投資家に御理解をいただくためには、日本の基準そのものを国際的な基準に合わせていかなければならないと、御指摘のとおりだと思っておりますので、その点の御理解も発行体に得ながら、この作業が円滑に完成することを期待しております。
  81. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほどもありましたが、日本の会計制度の問題点というのは、国際的には時価主義、時価評価の流れが進む中で、取得原価主義を採用していることだという指摘もあります。  この国際会計基準委員会、IASCですか、会計士団体の集まりであるという話ですけれども、その委員会は三月二十七日に、金融商品の会計処理につきましては時価会計を全面適用するという国際会計基準の原案を発表したということであります。この原案の目的一つというのが、要するに日本企業を具体的なターゲットにしているんではないかという話もあるわけですね。要するに、日本の企業の含み益に依存をした不透明な経営の改善を要求するという実質的な意図がこの原則には含まれているんではないかという話もあるわけです。  いずれにしましても、我が国もこの原案の方向での対応が迫られるんではないかと。いわゆる金融商品の時価評価主義ですか、そういう対応が迫られるんではないかと思いますが、いかがですか。
  82. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 御指摘のとおり、国際会計基準委員会におきまして、IAS、国際会計基準と呼んでおりますけれども、そういった国際、的な一つの会計基準についての作業が行われておりまして、その中で金融商品に関する会計制度というのは大変重要な課題になっております。  三月にというお話がございましたけれども、物の考え方を現在整理しながら、この場では、恐らく今の予定ですと、ことしの十月に公開草案といったものを公開できればというような作業になってきております。  連結の場合と、この金融商品の会計基準につきまして多少状況が異なりますのは、アメリカ、アメリカのSEC自身が現在またデリバティブの会計などにつきましていろんな考え方を草案として発表いたしておりますが、その考え方と、またこの国際会計基準委員会考え方もまとまっておるわけではありません。世界じゅうの国が、歴史の流れとしては時価を重要視していくべきであろうと考えながらも、それをどのような形で実施していくべきなのかについて現在さまざまな角度から検討しておるところでございまして、この国際会計基準委員会も、現在のところの作業のゴールといたしましては、九八年の三月までにまとめるということになっております。  御質問の中で、日本の企業にというお話がございましたが、この一点だけ、長くなりますけれどもコメントさせていただきますと、現在このIASCでやっております作業は、例えば外国の企業が日本で資金調達をする場合、日本に会計基準がございますけれども、その日本の会計基準によらず、このIASという国際基準にのっとっておれば日本でも資金調達を認めてやってほしい。あるいはそれが逆の場合も同じことが起こるわけです、日本からアメリカに行く場合も。つまり、外国企業に対して国内基準を適用しないで済むルールとして整備いたしておりますので、日本企業をねらい撃ちという感じはこの作業の中に全くないだろうと思います。  ただ、その中で議論をしておりますのは、幾つかの国によっては、そういう外国企業に対する基準ではなくて、国内基準そのものも国際的なスタンダードにそろえてしまえというお考え方もありまして、いや、それは無理であるという国の考え方もありまして、そこらの意見が闘わされておるというのが実情でございます。
  83. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 九八年三月にまとまるという話ですけれども、この原案の原則からそれほど大きく外れることはないんではないかというふうにも思うわけですね。  そこで、大蔵省は本年三月二十八日に金融機関に時価会計の導入を認可し、これを受けまして都市銀行等は四月からいわゆるトレーディング勘定につきまして時価評価主義を採用していいということになったということです。これは金融三法の関係でもあるわけでありますけれども、ただし、あくまでもこれは金融機関の任意で選択できるという話であります。この改正は、これまで邦銀が採用してきました取得原価主義をその範囲で改めたものでありまして、国際会計基準に近づいたものと私などは評価をしているわけであります。  ただし、問題は、これはあくまでもトレーディング勘定に計上される商品についてだけでありまして、いわゆる投資有価証券として長期にわたって大量に保有する株式や債券はこの扱いから外されているということですね。いわゆる企業間の持ち合いの目的で持つような株式なんかは時価評価しないということでありますけれども、そういうものをこの時価会計の対象から外した理由を、これは銀行局になるんですか、証券局ですか、お尋ねします。
  84. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 御指摘のとおり、昨年の金融三法の改正の中で、銀行と証券会社のトレーディング業務につきましての時価会計の特例をお認めいただきました。  これは、商法の一般原則であります取得原価の原則に対する特例をお認めいただいたわけでありますけれども、その特例を認めていただきました考え方は、銀行や証券会社が行っておりますトレーディング業務と申しますのが、他の一般の有価証券の保有と異なりまして、金利や有価証券市場における相場の短期的な変動に着目して日々行われるものでございますので、その性質から、日々時価に基づく管理とか評価を前提とした取引である、そういう特性にかんがみて商法の特例をお認めいただいたと思っております。  御指摘のとおり、例えば持ち合い株といったお話がございました。こういったものにつきましては、基本的な投資有価証券でございますけれども、これはまさに銀行が事業法人株を持っていた場合と、事業法人が銀行の株を持っていた場合と、両方ございますが、その例でおわかりいただけますように、これは銀行、証券の特例ということではなくて、日本の企業全般におきます有価証券の保有に係る会計制度を商法の原則からどう改めていくかという問題になりますので、先ほど来、先生から御指摘いただいております国際的動向も踏まえながら金融商品の評価をどうしていくかという作業の中に入ってまいります。  国際的な動向につきましては先ほど申し上げましたけれども、それとあわせまして国内的には、したがいまして、これは商法の大きな原則、例えば三月期末にたまたま株が高かったというのを、それを売るつもりもない株が高かったことを利益として処分して認めていいのか、それは危険ではないかというのが商法の考え方でございまして、それも一理がございますので、国内的には商法のお考え、すなわち法務省のお考えといったものも私どもは参考にしなければなりませんし、作業的に申しますと、六月に企業会計審議会から中間的な報告と申し上げましたけれども、それを踏まえて法制審もあわせて御検討いただくべき課題であろうと考えております。
  85. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 証取法だけではなくて、商法の改正にもかかわる問題であるというお話でありました。  そういう面でいいますと、私は金融商品につきましてはやっぱり時価会計を原則とすべきであるというふうに考えるわけです。この持ち合いの問題につきましても、そういう長期に保有するものを時価評価していいのかという意見もあるというお話ですけれども、しかし企業間の株式持ち合いということが非常に日本特有の慣行として批判もされているわけですね。  仮に、そういうものも時価評価しますと、企業というのは当然株式保有のリスクというのを強く意識しなければいけませんから、保有株式の選別と売却を行う可能性が高くなりまして、結果的にはそういう持ち合いという事態も相当解消されるのではないか。そうなれば当然株主構成が変わるわけですから、いわゆる本来の個人株主による経営のチェックというのも十分できるようになるわけでありまして、そういう面でも私は、時価会計の導入というのは国際的な流れではないかと思うんです。  まあ、それは審議会審議をする話で、ここで結論は出ないでしょうけれども、私の今の意見についてはどうお考えですか。
  86. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 私どもも金融市場のサイドから見ておりますので、その側面から見ますと、これからの金融取引を正確にその時点時点ではかる、判断していく場合に時価という情報が大変重要であるということは御指摘のとおりかと考えています。  ただ、繰り返しになりますけれども、商法のお考え方にはそれなりのものがある。実現していない利益を利益として計上して、それが配当されてしまうといった事態は防がなければいけないというお考えも、それはそれなりに私は将来的にも重要なお考え方であろうと思いますので、十分に法務当局とも意見交換して検討してまいりたいと思います。
  87. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 この問題の最後に、有価証券に限らない、土地なども簿価のままでいいのか幅広く議論をしていくという考えもありますね。どうですか。
  88. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) これは証券会社の監督者としてでなくて、ディスクロージャーの所管の立場から申し上げますと、例えば有価証券その他について含み損が発生したときに、会計上それは表示されたと。しかし、それに見合って、土地その他の資産にある含み益というものは外に出てきていない。そういった会計のもとにおいて決算の判断なり配当が決まっていくというものがバランスがとれたものであるんだろうかという問題意識は私は個人的には持っておりますが、土地の評価のあり方になりますと、いよいよまた基本的な問題が多々あろうかと思いますし、その問題はかねてから指摘されておりますけれども、またもろもろの問題がございます。  今、問題意識の気持ちだけを申し上げて、お許しいただきたいと思います。
  89. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今、証券局長もにこっとされましたけれども、私が今読んだのは、長野さんがどこかの本でインタビューに応じられたそのものを読んだわけでありまして、違うことを言ったらこれはもうちょっとけしからぬと思ったんですが、ありがとうございました。  最後に、私、東京ビッグバンという言い方に若干ひっかかる点があるんですね、東京ビッグバン。  東海丸万調査センター、名古屋市にありますけれども、がまとめました「九六年新規公開企業の動向とその特色」によりますと、日本全国では九六年の新規上場企業は、前年の六十七社から七十九社に増加をしました。しかし、名古屋証券取引所、名証と言っておりますけれども、への上場は前年の十二社から五社に激減をしているわけですね。反面、東海・北陸地区の新規店頭公開企業は十六社に上っており、地元企業の名証素通り傾向が一段と強まっているということがこのレポートからもうかがえるわけです。  要するに、名証に上場したって、したってといいますか、名古屋の話でありますけれども、店頭公開をすれば、これはもう証券会社を通じて全国区である。だから、もう地方区よりも全国区という話で、そういう傾向が生じているという話なんです。これは名古屋だけではなく京都、広島、福岡、新潟、札幌のいわゆる地方証券取引所でも同様の傾向になっているのかどうか、まずこの点を御報告願いたいと思います。
  90. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 大変申しわけございません。現在の上場会社数の数字は持っておりますけれども、過去と正確に比較できるだけの統計を現在持ち合わせておりませんけれども、傾向だけを申し上げますと、各取引所とも同じ傾向だと考えております。
  91. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 東京ビッグバンは外国との関係があるから別問題かもしれませんが、しかし、東証一極集中ということが言われているわけですね。だから、私はこの東京ビッグバンという言葉に若干ひっかかりがあると申し上げたわけなんです。  例えば、ことしの一月には、三菱商事が東証と大証を除くすべての地方取引所での上場を廃止する方向で検討しているというふうな報道もあります。要するに、売買高が少ないにもかかわらず、一取引所当たりのコストがかかり過ぎるという話ですね。そういう不満が、上場している企業や、あるいは取引所会員である証券会社からも出ているという話であります。そういう地方証券取引所の活性化ということを考える必要があるんではないか、東証一極集中でいいのかどうか、その点につきまして当局考えがあれば述べてください。
  92. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 日本におきます全国八つの取引所は、東京、大阪の取引所は別格といたしますと、それぞれ地元の企業への資金調達、あるいは地元の投資家の適切な資金運用手段の提供という目的で今日まで活躍されてきております。そのことは、今後とも大変意義が深いだろうと思います。  その中で、今日までの変化の中で、例えば地方におきます企業も、どちらかといえば地方銘柄であることよりも大都市、東京で上場しておるというプレステージを得たいという中央志向がございますし、地方の投資家も、電話もコンピューターもこれだけ発達した時代に、日本じゅういつどこにいても東京取引所とつなげられるのに、わざわざ地方の取引所を経由するということについては不便であるというお声があることも事実でございます。  この二つの世の中の流れのバランスをどうとっていくか、ポイントは、それぞれの地元の経済界等も一体となりまして、それぞれの地域に取引所が置かれ、そこで地元企業の発掘や地元の投資家へのサービスの提供というものを今後ともどういった形でキープできるかという地元における御議論がこれから起こってくることを期待いたしまして、官の立場で一極集中とかいうことを進めるつもりもありませんし、しかし、さりとてこのような流れの中で何もせずに地方の取引所に取引を分散するように何か考えてみろといっても、そこに妙案があるわけではございません。  外国の例を申し上げて恐縮でありますが、イギリスは例のビッグバンに先立ちまして、イギリスじゅうにありました二十の取引所をロンドン取引所に集中いたしました。これは一つの歴史的事実でございます。アメリカにおきましては、ニューヨーク、ニューヨークと私どもは言っておりますけれども、ニューヨークと言うとアメリカの人は怒ると思うんですけれども、実はシカゴその他の取引所がそれぞれの独自の機能を発揮しながら、それは場合によっては地域の特性であったり、あるいは扱う商品が先物中心であったりとか、いろんな創意工夫の中でそれぞれの地域の活性化を図っておりますから、アメリカでは地方の取引所が衰退したという話は聞いておりません。これは合衆国という背景もあるかもしれませんけれども、そういった例も参考にしながらこの問題を今後検討してまいりたいと思っております。
  93. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、大臣に。今局長がお話しになった、イギリスではロンドンに市場が集中した、一方でアメリカでは分権的なそういうことになっていると。今後の日本の地方証券取引所のあり方ですね、もうそんなに広い国じゃないし、通信も発達しているわけですから、むしろ効率という面では集中した方がいいのか、それとも各地方取引所の役割はやはりきちんと維持をし、また活性化していくべきなのか、その点の所信をお聞きしまして、質疑を終わります。
  94. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいま証券局長からイギリスのケース、またニューヨーク、シカゴ等、ユナイテッドステートでありますから、それぞれに行われておると。いい点をやはりとっていくということなんだと思うんですね。集中のメリット、分散のメリット、日本列島、御案内のとおりであります。東京、名古屋、そして大阪は盛況なんでしょうか、それから先般アジ銀の総会をやりましたが福岡ということ。そうしますと私の方の東北、北海道は出てきませんが、まあ札幌なんでしょうか。それなりにそういう視点も大事にしながら、金融システム改革の中で、地元経済界、また地域民の盛り上がりを期待しながら、弾力的に進めていくということの方が、日本列島という長い島国であることから考えますと大事なことではないかと思います。
  95. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  96. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ―――――・―――――    午後一時一分開会
  97. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、本日、外為決済のリスクについて主に質問したいと思います。  現在、日本のインターバンク市場、つまり銀行間市場で円を売ってドルを買う外為取引の場合の決済は外為円決済制度で処理されていると思います。この制度による決済方法は、俗に言う時点ネット決済というもので、すべて受け払いを午後三時にまとめて差額決済するということだと思います。そういう仕組みになっております。  そこでお尋ね申し上げますが、仮にこの決済前にある銀行が支払い不能になった場合、取引の相手銀行は決済時点を見込んで資金を受け取ることができなくなってしまうわけでございます。ところが、現在の日本の制度では、こうした場合、取引の相手方である銀行が損害をかぶるしかないということだと思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  99. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 我が国にはいろいろな形の決済システムがございまして、大きく言いますと四種類ございます。日銀の当座預金の受け払いの中銀システム、それから今先生の御指摘外国為替円決済制度、それから全銀システム、手形交換と四種類でございまして、いずれもいろいろな問題が生ずるわけでございますが、今先生が御指摘の点についてお答えいたしますと、約定されてから決済までの間の一定時間において、資金の取り手は約定にもかかわらず決済が行われないという決済リスクを負うことになりますので、御指摘のとおり、出し手の支払い不能による損害はその相手方の金融機関等がこうむるということになるわけでございます。
  100. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 一つの銀行が支払い不能に陥りますと相手方が見込んでいた資金を受け取ることができないということは、相手方の銀行も支払い不能に陥らせるというような連鎖的な破綻を招く危険性を私は持っていると思います。幸い、これまでの日本ではこうした事態は起きていないわけでございますが、今後その可能性はないと言い切ることはできないと思います。なぜなら、むしろ外為法改正を含む各種の規制緩和によって今後このようなリスクは高まってくるのではないでしょうか。  そういう意味からすると、今の時点ネット決済という方式そのままでは大変これから困難が生ずると思いますが、先の展望を見てこのままでよいか、また直さなきゃいかぬか、どちらの方に考えをお持ちでございましょうか。
  101. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 確かに、先生のおっしゃいますようないろいろなリスクがございます。したがいまして、時点決済でいくのか、あるいはできるだけその都度の即時決済でいくのかという大変難しい問題にぶち当たるわけでございます。  ところが、先ほど私が御紹介しました四つの大きな資金決済システムの中で、中銀システムを除いたものは件数が大変多いわけでございます。したがいまして、ある程度時点決済にならざるを得ないという宿命みたいなものがあるわけでございます。一方、今御指摘のような外国為替円決済システム等におきましては、そのシステミックリスクの防止策というのがどうしてもこれから必要となるわけでございます。  そこで、国際標準化を図りながらその問題を解決していくということで、いろいろ全銀協等においても検討をされておりまして、例えば参加金融機関が破綻した場合のその負担の方法をどうするか。つまり、ロスシェアルールと言いまして、損失をだれがどういうふうに負担するのかというそれをルール化する、そのルールの変更を考えるべきではないか。今はその当事者ということになっておりますが、つまりそうでない人たちもこの決済システムの恩恵を受けているわけですから、そこで公平に負担するという考えもあるわけでございます。それから、担保制度の導入を図る、あるいはいろいろ細かくなりますが、ネット受取限度額の設定の義務化等いろいろなアイデアが提言されております。こういったものを踏まえて、今先生のおっしゃいました民間決済システムにおけるリスク削減の努力が続けられております。  それで、私も非常に大切な事柄だと思います。預金者保護は非常に大切だと国民の皆様よくおわかりいただくのでございますが、この決済システムというものに万一のことがありますと、本当に日本経済の動脈が切れてしまうと言ったら大げさになりますが、詰まってしまうことになるわけでございまして、大変な事態が起きますので、大変重要な点だと思っておりまして、こうした民間部門におけるいろいろな取り組みを私どももできるだけ支援していきたいなというふうに思っている次第でございます。
  102. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今お答えの中に出てまいりましたが、リスクの解消というのは主に民間でやってもらわなきゃならぬことだと思うんです。そういう意味からも、全銀協が昨年、上位一、二行が倒産してもその支払い超過額をカバーできるような担保制度を検討し始めたということが報道されていますが、現在、全銀協で議論されている中で一番中心的な課題というのは何でございましょうか。
  103. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 中心的な課題は、今少し御紹介いたしましたネット受取限度額設定の義務化とか、仕向け超過限度額の新設、参加金融機関が破綻した場合のロスシェアルールの変更、担保制度の導入等というように聞いております。いずれも大変重要な事柄だと思うわけでございます。そのほか、全銀協では日銀の当座預金決済の問題についてもいろいろ研究をしております。
  104. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私の手元には、平成九年四月三日の決済システム専門部会、これは全銀協の専門部会ですが、この中に今後検討しなきゃならぬというようなことで課題が載っております。その中で、「検討を要すると考えられる事項」として四つばかり挙げていますね。提供担保率が一〇〇%になるまで不払い発生時に残存加盟銀行が損失を負担する可能性が存続する仕組みとなっているからこれをどういうふうに考えるか。それから二番目は、残存加盟銀行が負担する損失額は実際に不払い額が確定するまで把握することができないという状況などをどう考えるか。三つ目には、残存加盟銀行が損失を負担するとなった場合、その負担を具体的に保証する制度が今のところない。四つ目には、現状の提供担保総額は一日の取扱金額に相当する額に達しており、大きな負担となっているからこれをどうするかということを中心に今検討されているとも伺っておるんですが、これに対して大蔵省の指導とか、これに対する示唆とか、そういうものは現在やっておられるんですか、いかがですか。
  105. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 先生御指摘のとおり、大変大事な問題でございますので、全銀協のこうした検討を私どもも支援しながら見守っていると。かなり専門的でございますし、現実に当事者でおられる方々がまず使いやすい、しかも合理的で公平であるという制度にしなければいけません。特に、今先生から御指摘のありましたロスをだれがどの程度どういう形で埋めればいいのかというのは大変難しい問題でございます。そういう万一のことを考えた対応というのはぜひ早急にやってもらいたいというふうに私どもも思っている次第でございます。
  106. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 確かに、この決済システムというのは非常に重要なことだと私も思っています。  そこで、外為決済リスクについては国際的にも問題意識が私は高まってきていると思っています。外為市場においてドル、マルクに次ぐ円の決済システムについても、単に一国のシステムではなく主要決済システムの一つとしての役割を果たす必要に迫られていると思うんです。時差のある外為取引では、担保制度だけではリスクを完全に回避することはできないと、そういう見解は述べられています。世界の潮流となりつつあるのは、私は即時決済システムの導入だと思っています。抜本的なリスク回避策についてどうすればいいのか、銀行局のお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  107. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 特に、これから問題になろうかと思いますのは中央銀行のシステムでございます。つまり、インターバンクでの取引、これが大変な額、ちょっと御紹介しますと、今私の手元には、一日平均三百九兆のお金がやりとりされるというような状況、一件当たり百三十億円という取引で、これがもし万一の場合、大変なことになるわけでございます。  それが、中銀システムでいいますと時点決済、つまり当日の午前九時、午後一時、三時、五時、こういう形で今やっております。そうすると、その決済が来るまでの間というのはリスクが発生するわけでございます。そこで、今先生の御指摘いただいた即時決済、つまりその都度、決済をやってしまうというのが世界の潮流だと、御指摘のとおりでございます。それで、システミックリスクの削減やグローバルスタンダードの整合性の観点からいいましても、私どもも基本的にはその方向が望ましいことであろうと思っております。  ただ、この即時決済制度、RTGSと言いますが、リアルタイム・グロス・セツルメント、このもとでは取引の都度、資金の手当てが今度は要るようになるわけです。時点決済ですとそれまでの間のネットアウトができますから、その都度の資金は要りませんが、一件一件決済していきますと大変な資金手当ての問題が出てくるわけです。しかも、決済には相手から入金があるだろうという見込みがあって、それで次に払うという人がいます。そういうときはいわゆる見合った形で、入るはずだ入るはずだとみんなが思っていて、そこにすくみ現象というのが起きることがございます。その問題をどう解消するかという難しい問題があります。  ただ、基本的に言いますと、そのRTGS化、つまり先生のおっしゃった即時決済方式に行く方がやっぱりシステミックリスクを起こさないためには必要だろうと思うわけでございます。したがいまして、この全銀システム等の比較的小口の資金決済に利用される民間決済システムに関しては、先ほどちょっと申し上げましたこのRTGS化は効率性をかなり阻害することから必ずしもすぐにはとり得ないと思うのでございますが、こうした中銀システムのような大口で行われております膨大な金額の決済は、世界的にも時点決済方式が採用されておりますので、我が国としてもそういう方向でやっていきたい。  ただ、そのためには、先ほど申し上げましたようないろいろな問題、例えばロスシェアルールの変更等の措置を十分に考えていく必要があるというふうに思う次第でございます。
  108. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 今もお話が出ましたけれども、時点決済の場合には、確かに資金の効率というか、小さくて済むということは、確かにそういう利点はあると思いますね。けれども、その方法をとっているときには、やっぱり即時決済と比べるとリスクの面では非常に危険度を伴うというように私は思うんです。  それで、この即時決済制度の中は、つまりヨーロッパでも既にもう検討が行われておって、これは導入されるような方向だというふうに聞いているんですが、日本の場合だって私は同じことだと思うんですね。したがって、その検討の結果とか検討の経過とかそういう段階のときに、全銀協だけに任せておってはいかぬわけです、これは制度ですから。結局、大蔵省の方が何らかの示唆を与えなきゃならぬというように私は思うんです。  だから、四月から実行しましょうというような今この外為法の適用期を考えてみると、早急にこのことを検討しなきゃいかぬと私は思うんですが、もう一度御答弁をお願いします。
  109. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 先ほど御紹介しましたように、我が国の資金決済システムは大きな意味で四つのタイプがございます。それぞれ件数、それからボリューム、いろいろ違います。したがいまして、そのすべてが即時決済に適応するかどうかの問題がございます。したがって、そこで一番効率的で、また一番リスクの少ない方法をとらなきゃいけない。  そうすると、そのときの対応としていろいろなロスシェアルール等の変更等の問題を解決しなきゃいけないということでございます。全銀協も一生懸命にそこは研究をしておりますし、またこの問題は大蔵省及び日本銀行がかなり重要な役割を果たします。したがって、そういった関係者が十分知恵を絞って理想的な形を早くつくり上げるよう努力したいというふうに思っておる次第でございます。
  110. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 即時処理のモードというか、そういうものを新設するために今議論されておるということはまことにいいことでありますし、それはぜひ応援して立派なものをつくってもらいたいと思うんです。  そのときに必ず問題になってくることは、外国為替円決済制度で一番問題になってくるのは、これはネッティングに関する法的構成の明確化ということもはっきりしてもらいたいというように全銀協の検討課題に載っていますね。二つ目は決済リスク削減策、ネット受取限度額の設定義務化、こういうものが載っていると思います。三つ目には不払い発生時のファイナリティーの確保策、損失負担ルールの変更とか、担保制度の新設とか、流動性供給スキームの新設、こういう問題が挙げられています。四つ目には参加者の資格要件の明確化。同時に、今申し上げました即時処理モードの検討、こういうものがセットになって外為のリスクに関する対応策というものが検討されているように思っておりますので、この件についてもどういうような御指導、御示唆などを銀行局がなされているか、この点についてもちょっとお尋ね申し上げます。
  111. 山口公生

    政府委員(山口公生君) ことしの四月に全銀協の方から決済システム専門部会の一応の結論、問題点、意識の表明ということで私どももちょうだいいたしております。今後、こうしたものを十分踏まえて、私どもとしても真剣に検討していきたいというふうに思っております。
  112. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 これは通告をしていたと思いますが、こういうリスク問題について諸外国の場合はどのような形でリスクの削減を図っているのか、わかっているところで結構ですから、教えてもらいたいと思います。
  113. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 先ほど私が御紹介しましたインターバンク、つまり金融機関間の大口資金決済を行う中央銀行の決済システムにつきましては、即時グロス決済、RTGS方式の導入によるリスク削減が各国において進められております。米国、欧州諸国、近年では韓国等のアジア諸国でも導入されているというふうに聞いております。  一方、金融機関を通じました比較的小口の方の資金決済を行う民間の決済システムでございますが、これにつきましては、アメリカのCHIPSに見られるように、各国でも効率性の高い時点ネット決済方式が採用されておりますけれども、当日における決済を支払い不能にかかわらず円滑に終了させる方法の確立、参加者間のロスシェアルールの導入等のリスク軽減措置が講ぜられております。したがいまして、それぞれの決済の面においては工夫を凝らしているというのが実情でございます。
  114. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 この外為取引の決済リスクを軽減するためには、やはり国境を越えた決済システムをつくり上げなきゃならぬと私は思うんです。既に先ほどお話が出ましたが、欧州ではECHOと呼ばれる為替決済のための国境を越えたシステムが稼働していると聞いています。アジアの金融機関はこうしたシステムには参加していませんね。これからアジア通貨同士の外為取引とか、それから主要通貨の外為取引が、つまりアジア通貨と米ドルとか円とかというような主要通貨の外為取引が増大してくれば、アジア地域においての為替決済システムの構築もまた私は必要だと思うんです。  こういうことについて、大蔵省として何か検討の状況があれば聞かせていただきたいと思います。
  115. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 委員指摘のように、ヨーロッパにおきましては、通貨にかかわる決済リスクを削減するために、マルチネッティング及びPVP、ペイメント・バーサス・ペイメントと言っていますけれども、その仕組みを利用したECHOというクロスボーダーの為替決済センターが民間のイニシアチブで構築され、稼働しているというふうに聞いております。  私どももこの問題については大変関心を持っておりまして、国際金融局長の私的諮問機関である国際金融に関する知的協力研究会において、昨年の七月の中間的な論点整理において、国際的な金融インフラ整備の観点から、「今後、アジアにおいて、アジア通貨同志の為替取引、アジア通貨と米ドル、円などの主要通貨為替取引が増大してくれば、決済リスクの削減を実現できるような為替決済システム構築の必要性は高まろう。その意味で、我が国としてもアジア各国の主要金融機関もメンバーとなりうる為替決済システムの設立は、検討の必要性がある。」というふうに取りまとめたところでございます。  このようなアジアにおける為替決済システムの構築については、一義的には民間機関により判断されるものと考えられますけれども、民間金融機関からはまだ今までのところ、外為取引に占めるアジア通貨の割合が小さいことがございまして、現在のところそのニーズは必ずしも高くないというふうに聞いております。当局としてもまだ実現の段階には至っていないのではないかというふうに理解しております。  なお、御指摘のECHOにつきましては、アジアの諸国としては香港の銀行のほか、一部日本の銀行も参加しており、決済通貨としても香港ドル及び円が加えられているところでございます。
  116. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 とにかく、ビッグバン構想はそれはそれなりに私は結構だと思いますが、こういう問題に本当に真剣に対応策が出ていないと、結局よかれと思ってやったことが結果としてそういうリスクが多くなっちゃって、これがパンクするというような状態が出てくることを非常に私は心配します。今皆さんの答弁を聞いておっても下を向いて読んで答弁するというような状況ですから、それを見ただけでもまだ十分にこの検討が進んでいるとは思えないんです。これからの非常に重要な課題だと思いますから、御努力をぜひお願い申し上げたいと思います。  最後ですが、これは大蔵大臣に私お願いしたいんですが、今の問題とはちょっと外れますが、フェアな市場のためのルール策定プロセスの透明性の向上について、こういう課題でお伺いしたいんです。  米国の証券取引委員会、俗称SECですが、はルール案について広くコメントを求める方法を採用していたと思います。また、イギリスにおいては、マーケットプラクティショナーと言われているような市場参加者を集めて議論をさせて、それが結果として金融サービス法が出されたと思うんです。そこで、今後、我が国では金融監督庁ができても企画立案を行うのは皆さんだと思うんです。従来の審議会制度を超えて、広く各界の意見を求め、金融ビッグバンに向けたルールづくりを透明性の高いものにぜひしていただきたいと思うんです。  なぜそれを申し上げますかというと、我が国審議会などについては、特に大蔵省関係については、審議会といっても、その下に設置される小委員会みたいなところは議事録も公表されていないというようなところでございまして、それではせっかく魂を入れようということで努力しようとしている人たちが、意見の発表がなかなかできないというような面があるものですから、先般、大蔵大臣に私が質問したときには、何でも欲しい資料があったら言ってくれ、何でも出すからというお答えをいただいたところでございますが、それはそれでありがたいんですが、この審議会の透明性というものを高めるために、できることであれば議事録、何々要旨じゃなくて、議事録を公開するというようなところまでぜひこれから御努力いただきたいと思いますが、見解をお聞きして、私の質問を終わります。
  117. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 大臣にお答えいただきます前に、ただいまの鈴木先生の御指摘のような問題を踏まえまして、私どもが努力しておることだけちょっと御報告させていただきたいと思います。  御引用になりましたのは、SECあるいは英国の例でございますけれども、SECや英国のSIBの場合は国の権限の移譲に基づきましてそれ自体が規則制定権を持っております。したがいまして、彼らが判断したことが最終的に国民を縛りますので非常に慎重な手続を踏んでおります。日本の場合には、審議会答申がそのまま国民を縛るのではなく、これから法案化いたしましたりして当委員会の御審議を仰いだりするというプロセスがありますので、その違いは御認識いただきとう存じます。  それにいたしましても、私どもは審議会答申は尊重してまいりますので、実態的には似ておるのではないかということになりますので、今回の証取審の審議に当たりましては非常に慎重な手続を踏ませていただいております。すなわち、委員会だけの審議にとどまりますと、例えば個人投資家の方の御意見が本当に入ってくるんだろうかというようなことがございます。しかし、審議会に参加していただけそうな個人投資家というのは少のうございます。  そこで、私どもは今回、五百人行脚と言っておりますけれども、課長以上の人間が日本じゅうに出向きまして、いろいろ個人の投資家の方であるとか、今まで株式市場に参加したことのない人まで含めて、何か御注文がございますでしょうかというような意見の聴取に努めさせていただきました。これは根回してはなくて意見をいただきに上がりました。そして、そこでいただきました意見は取りまとめまして審議会で公表させていただきました。それが一つ。  それから、証取審はその節目節目で、昨年の十一月の論点整理、それから、けさほど白浜先生の御質問のときにちょっとお答え申し上げましたけれども、あしたの段階ではまだワーキング段階でございますけれども、そこで何が考えられておるかということを公表していただく。したがいまして、あした出てきますワーキングの報告はこれから一カ月間国民の批判にさらされて、それを来月まとめていただく。そして、時流に乗って恐縮でございますけれども、大蔵省のインターネットのホームページなどに毎回この論点整理とか、あした出ますものも当然載せますが、それに対する意見もいただいておりますし、その意見も実は公表もいたしております。  そんな形で、できる限り従来の審議会のイメージと変わる幅広い意見の集約ができるプロセスというのは、私どもなりに努めさせていただいているつもりでございます。
  118. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 鈴木議員からは情報公開、議事録の公表等についての御見解であります。  今、証券局長が言われましたとおりの方向で、証券局もインターネットを通ずる国民各位に対する情報開示、こういうことで取り組んでおりますし、銀行局も審議会が終わりますごとに議事録要旨を配付し、そして記者会見で行っておる、こういうことでございまして、基本的には鈴木議員の御要望に沿っておるものと思います。  大蔵委員会に対する詳細な議事録公開等については、各種委員おられますものですから、ネーミングを入れますとまだなれていない人がおりまして、いろいろ審議の公平という意味で一部問題があることも聞いておりますものですから、その辺のところを配慮しながら対応をし、御期待にこたえたいと思っております。
  119. 千葉景子

    ○千葉景子君 この外為法審議も大体論点も尽くされてまいりました。これでいきますと、ほぼきょう採決ということになろうかというふうに思います。  この外為法がフロントランナーになりまして、金融ビッグバンがいよいよスタートを切るということになってくるわけでございます。私たちは、ある意味ではこの金融ビッグバン、金融改革、これはもう後には引けないところに置かれていると言っても過言ではないというふうに思っています。そういう意味では、これからこの外為法改正につながるさまざまな制度改革が着実に行われませんとこれは大変な事態になるのではないか、こういうことが懸念をされます。  この審議の中でも、これから行われるさまざま五諸制度あるいは規制緩和など含めての改革そしてそれと同時に日本の市場のあり方あるいは取引のあり方、こういうものの整備、あるいは不良債権の解消、こういうさまざまな条件が整いませんといろいろなリスクやあるいは不安が伴うということがしばしば指摘されてきたところでもございます。  私もそういう面がどれだけ解消されていくのかということについてこれからもきちっと見ていかなければいけない、こう考えているところでございますが、私たちが本当に新しい決断をしようというさなかにといいましょうか、ちょうど軌を一にするようにして野村証券の不祥事がまた発覚をしたというわけでございます。  ちょうど昨日、野村証券を含む三名が逮捕をされる、こういう事態に立ち入りました。これは四月段階での強制捜査などを受けましてここまで捜査が進んできたということになろうかというふうに思っています。この審議をしながらこういう問題が起こるということに、きょう午前中にも議論がございましたけれども、半分むなしいというか、何か大変複雑な思いが私もしているところでございます。そういう意味で、きょうは冒頭、この野村問題についてちょっとお尋ねをしておきたいというふうに思います。  まず、きょうは法務省に来ていただいておりますので、今回の逮捕の被疑事実でございますけれども、これは証取法違反、商法違反ということになりましょうが、被疑事実の内容につきまして御説明をいただきたいというふうに思います。
  120. 藤田昇三

    説明員(藤田昇三君) お答え申し上げます。  野村証券をめぐる事件につきましては、一昨日であります五月十三日に証券取引等監視委員会から野村証券及びその関係者三名について証券取引法違反、損失補てんによる告発を東京地検が受けまして、東京地検におきましては昨日である五月十四日に野村証券関係者三名を証券取引法違反、損失補てん及び商法違反、これは株主の権利の行使に関する利益供与という容疑で逮捕いたしまして、関係箇所を捜索するなどして捜査を進めているところでございます。  被疑事実の要旨でございますけれども、かいつまんで申し上げますと、被疑者らは共謀の上で被疑会社、これは野村証券でありますけれども、この業務または財産に関して被疑会社の株主であります小池隆一の株主の権利行使に関して、被疑会社の株主総会における議事が円滑に終了するよう協力を得ることの謝礼の趣旨で、被疑会社の顧客である小池が関係会社の名義で行った有価証券売買等について有価証券について生じた損失の一部を補てんするために、被疑会社の計算において平成七年の一月から六月までの間に合計六回、前後六回にわたって株式の売買等に関する取引によって得られた利益、合計約四千九百七十三万円相当の財産上の利益を小池に提供、供与したものである、こういう要旨になっております。
  121. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、要旨を御説明いただきましたけれども、約五千万円という利益を提供、供与した、こういうことになるわけでございます。  今回逮捕されました被疑事実というのは、今御説明をいただいた内容ではございますけれども、いろいろこれまでの報道あるいはこの間の野村証券の社内のいろいろな情報、そういうことから考えますと本当にこの事件が今回の逮捕の被疑事実だけなのか、あるいはさらにこれがもっと根深いものであるのかということについては、多くの皆さんが疑念を持っておられるところではないかというふうに思います。  これは、既に指摘がされているところでございますけれども、今回のこの三名、これは両罰規定で会社も含まれておりますけれども、本当にそこだけで判断され、あるいはなされたことなのか、もっと企業ぐるみ、あるいは首脳部も関与してこういう事態が起こされてきているのではないか、こういう疑い。あるいは、この総会屋と言われる人ですけれども、さらに他の大手証券会社の株も所有をしている、こういう指摘もございます。  そうなると、他の証券会社とのかかわりというのは一体ないのかどうか、こういう問題もございます。これも指摘がございましたけれども、VIP口座などを通じた、これは本当にあってはならないことであろうというふうに私も思いますけれども、政官との関係、こういうものにもやっぱり多くの国民の皆さんは何らかの疑念を抱いている方もいる。そして、この資金提供をしたのが第一勧業銀行ということになりますと、この銀行の問題というのは一体、何らかかかわりはないのだろうか、こういうさまざまな問題というのがこれから大変心配をされるところでございます。  そういう意味で、今回ここまで捜査を進めていただいて三名の逮捕ということにはなりましたけれども、今後の捜査について、これはなかなか今の段階で明確に言っていただくということにはならないかというふうに思いますが、これら既に指摘されているような点についての問題意識を当然持たれながら、これから捜査を進められるということになろうかというふうに思うんですけれども、今後の捜査の方向性、方針などについてお答えをいただきたいというふうに思います。法務省、お願いいたします。
  122. 藤田昇三

    説明員(藤田昇三君) 捜査の具体的な内容、あるいは今後の見通し等につきましては、法務当局といたしましては答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、検察当局におきましては今後とも鋭意所要の捜査を進めていくものと考えております。
  123. 千葉景子

    ○千葉景子君 率直に言いまして、それ以上の御答弁というのは出ないというのは私も予測をしているところではございますけれども、ぜひ今指摘をされている問題、私も先ほどお話をさせていただきましたが、そういう点などについても十分に頭に置かれて捜査がなされるものだというふうに確信をいたしますので、その点について、お答えは要りませんけれども、十分に御承知おきをいただきたいというふうに思います。  そこで、大蔵省の方にお尋ねをいたしますけれども、この問題について大蔵省の方でも直ちに国債の引き受けの停止などの措置をとられております。しかし、今後の捜査の状況などを勘案いたしますと、やはりかなり厳しい措置を講じていただく必要があるんじゃないかというふうに思います。特に、この野村証券の問題は証券スキャンダルを通じてもいろいろ総会屋との癒着なども指摘をされてきました。この国会でも大変重要な問題として論議をされたわけでございます。  しかし、それにもかかわらず、二度あることは三度あるなどということは本当に笑い話で言っておられないわけでして、こういう問題が引き続き起こる。結局、その体質というのが一向に改善されてこなかったのじゃないか、こういうことも言わざるを得ないところではないかというふうに思うんですね、先ほど大臣もその点お話をされておられましたけれども。こうなりますと、今後大蔵省がどういう対応をとられるかということも大変私ども関心を持つところでもございます。  また、これは正直言いまして、この長年の経過を考えますと、今大蔵省の問題というのがいろいろ取りざたされておりますけれども、監督官庁としてここまで放置をしてきた、あるいは見過ごしてきたという点もこれは忘れてはならないのではないか。何でも口を出せばいいというわけではない。ここはもう今逆に指摘をされているところでございますけれども、やはり大蔵省の対応に何か問題点はなかったのだろうか、こういうことも私は感ずるところでもございます。  そういう意味で、今後大蔵省としてどんな対応をとられるのか。これは、今後の捜査の状況などを見なければいけないことは当然ではございますけれども、そしてこれまでの経過を踏まえて、みずからの反省というのもあれですけれども、大蔵省としてのこの問題に対する認識、そしてこれからの方針に対する決意といいましょうか、こういうものをぜひこの際この席で明らかにしていただきたいというふうに思います。最後に大臣に一言お願いいたします。
  124. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 今後の方針につきましては大臣から御答弁があろうと存じますので、前段といたしまして、大変残念な事件ではございます。  ただ、あえておしかりを覚悟で過日この委員会で私がアメリカのケースを御答弁申し上げました。すなわち、アメリカにおきましても一昨年、九五年で刑事告発が九十二件、行政処分に至ったものが四百八十六件に上っておる。したがって、証券取引というのはそういうことを生じやすい基盤がある。にもかかわらずアメリカの証券市場において国民の証券市場に対する信頼が揺らいでいないのは、その起こった事件に対してきちんとした対応がなされておるという国民の信頼であろうかと考えておりますし、今回監視委員会が大変な御努力で告発まで持っていらっしゃったことに対しまして大変ありがたく思っています。  そして、アメリカやイギリスの当局者あるいは市場関係者と話をいたしておりますと、どこの国でも事件は起こるから起こったことをとかく言うよりも、我々はそういった事件の後処理、きちんと摘発してきちんとした処理をするという当局の行動の方に我々はより関心を持っておると、私どもにとっては大変重い御指摘を欧米の当局の方その他からいただいておりますし、それも踏まえながら今後対応してまいりたいと思います。
  125. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 千葉委員指摘のとおり、我が国にとりまして新しい市場を目指す大きな転機にあるわけです。よって、金融システム改革、いわゆるビッグバンの体制整備、米国及びロンドンを初め各国の市場に劣らない信頼の高い市場をつくり、自由主義国家、経済国家としての役割をしっかりと果たしていく、それは国民の支援、信任があってスタートを切るものであります。  過去の事件にかんがみて、証券取引等監視委員会がスタートいたして万全の体制を期しておると私は信じておるわけでありますが、委員の御指摘のように、取り組みに十分であったかどうかということの反省、また事件が起きた背景についての的確な分析がどうしたんだろうか、この辺のところが改めて問われることだけは間違いがないと思います。  証券局長は、今米国の例をとられました。事件が起こることは好ましくない、アメリカとてもないことがベストですからその努力をされる。しかしながら、人間社会なんでしょうか、そういうものが起きてくる。しかし、起きたときには迅速果断に処罰を含め対処していくという厳しい姿勢がそこにありますから、マーケットに対する信任は動かない、そういう先進のマーケット国家の米国における例があると、こういうことでございます。  今後、本件に対する対応とすれば、捜査が行われておるわけですし、委員会も全力を尽くしてやっておるわけでございますから、その報告は勧告という形で出てくるわけでございますから、本件についてはまさに厳正に対処して、二度と起きませんように、もって戒めとする、こういうことでいかなければならない、こう考えておるわけでございまして、今後とも御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  126. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、御指摘がございましたように、これからの金融市場というのは公平な適正なルールと、そしてそれが万が一破られたようなときには厳しい制裁の措置を科して、そして透明な自己責任の確立てきる市場をつくっていくということが大変重要なポイントであろうと思います。今回の問題を、こういうことが起こって教訓にするというのも大変残念なことではございますけれども、ぜひこれをこれからの私たちの大きなやはり教訓にしなければならないというふうに思いますし、そういう意味では、やはり厳正な、厳格な対応をぜひ大蔵省にもお願いをしておきたいというふうに思います。  それでは、少し外為法の、既に論点はほぼ尽くされてはおりますけれども、何点か確認をしておきたい部分についてお聞きをしていきたいというふうに思います。  一つは、マネーロンダリングについてお聞きをしておきたいというふうに思います。これまでもこの問題、世界的、国際的にも、この防止に向けましてさまざまな取り組みがされておりますし、日本でもその足並みをできるだけそろえて取り組みがされてきたというところでもございます。ただ、私も若干心配をいたしますのは、この外為法改正をされまして資本取引自由化をされる、そして資金が非常に国際的に流通をするということになってまいりますと、このマネーロンダリングもこれまで以上に危険性が増してくる、そういう要素が大きくなるのではないかというふうに思います。外為法改正になるから突然起こるという問題ではございませんけれども、そういう問題点があるのではないかというふうに認識をしているところでもございます。  そこで、ちょっと大蔵省にお聞きをしたいんですけれども、やはりこの外為法改正による影響、こういうものについてはどんなふうに認識をされていらっしゃるでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  127. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) マネーロンダリング対策については、従来からもいろいろ努力をしているところでございますけれども、委員指摘のように、一方で規制が自由になるということで、そういう犯罪行為が行われる余地がふえてくるということは間違いないというふうに思っております。  そういうことで、改正法では二点、マネーロンダリングについての対策考えられるようなことをしているわけでございますけれども、第一点は改正法の第十八条でございまして、銀行及び両替商に顧客の送金等に関する確認義務、両替商の場合は両替でございますが、その確認義務を課しているということ。もう一点は、改正法の十九条の第三項でございますけれども、現金等支払い手段の輸出入、つまり税関でございますね、税関を通るときにその事前届け出制度を設けているところでございます。
  128. 千葉景子

    ○千葉景子君 こういう形でマネーロンダリングに対する防止策といいましょうか、そういう規定が置かれているわけでございます。  警察庁にちょっとお聞きをしたいと思いますが、従来、このマネーロンダリング防止にどのような対応をされてきているのか、そしてこの改正に基づいてこういう規定も盛り込まれますけれども、最終的な捜査機関としてこの問題について今後どのように対応されていかれるのか、お聞きをしておきたいと思います。
  129. 岡田薫

    説明員(岡田薫君) 警察のマネーロンダリング問題に対する取り組みについてでございますけれども、犯罪の形態、動機というものはさまざまございます。  最近の犯罪情勢を見ておりますと、我が国国内においても、薬物事犯や暴力団犯罪を初めといたしまして、資金を獲得することを目的とした犯罪を敢行する事例が多く見られるところであります。また、犯罪によって得たのではないかと見られる資金を海外へ送金している事例や暴力団員が多額の資金を海外へ持ち出しているといった事例も認められているところであります。  ところで、犯罪によって得られました収益につきましては、国際的にも各国が足並みをそろえ対策を講ずることが必要であるとされているところであり、その一環といたしまして国境を越えた資金の移動につきましても、顧客の本人確認や必要な場合には捜査機関相互間の捜査協力などが求められているところであると認識しております。  警察といたしましては、従来から暴力団の資金源、資金獲得活動や薬物事犯、不法収益の隠匿、収受などのいわゆる麻薬特例法違反行為などに対する取り締まりあるいは防止策を推進してまいりましたが、そのほかにマネーロンダリング対策を含めた国際組織犯罪対策のための国際会議に積極的に参加するとともに、外国の捜査機関と捜査情報交換するなどして犯罪収益対策について国際的な協力も進めてきたところであります。  外為法改正によって、それが具体的にどう影響するのか直ちに必ずしも明らかではございませんけれども、警察といたしましては、今後とも資金獲得に係る犯罪やマネーロンダリングの状況につきまして十分注視をし、関係省庁とも緊密に連携しつつ、国際的な捜査協力など国際協力を一層推進するなどして的確な対応を講ずるよう努めてまいりたいと考えております。
  130. 千葉景子

    ○千葉景子君 この問題についても、この外為法改正を契機に、危険がより大きくなるというようなことがないように、ぜひそれぞれの機関で対応をしていただきたいというふうに思います。  さて、これもこれまでの間も指摘をされてきたところでございますけれども、今回の取引の資本の自由ということになりまして海外の預金の把握、こういうようなものが大変難しくなるのではないか、それがまた税収減などにもつながるのではないか、こういう問題が何回も指摘をされてまいりました。これについては、税制上の問題としても一定情報を収集する制度、こういうものをつくることによって預金の捕捉などをしていくということが御説明をいただいているところでもございます。  そこで、私も難しい点だなというふうに感じておりますのは、一方で外為法上の事後報告制度というのがございます。そして、これは税制上の問題になりますので趣旨とかその中身というのは全く違うわけですけれども、税制上、やはり捕捉をするということから報告を求めていく、こういうものが当然、今後制度化されてくると。制度は全く趣旨は違えども、利用する側にとりましては、ある意味ではせっかく外為法改正によってかなり手続が自由になり資本取引が迅速に活発にできるようになるということが期待をされているわけですね。そこに、片方でこれは事後報告ということですけれども、さらに税制上の問題が加わるということになりますと、利用する側からすると何でそんな面倒くさい、二重にという、これは率直な御意見も出てくるのは当然であろうかというふうに思います。  私は、税法の問題というのは外為法で象徴されるような金融市場自由化と趣旨としては矛盾するものではない、制度趣旨が違いますから矛盾するものではないというふうに認識はしておりますけれども、実際の手間暇とかを考えますと、やっぱりこの辺の調整とか、あるいはでき得る限り簡便にというようなことも考えられるのではないだろうかというふうに思います。  そういう意味で、この両報告制度といいましょうか両制度ですね、今後、制度が違うんだから全然、こっちはこっち、こっちはこっちという形で進んでいくのか、あるいは一つの届けなりによって両方を兼ね備えられるような何らかの調整みたいなものが図られていくのか、その点について、それぞれの制度は局が違うわけですけれども、考え方がございましたら御説明いただきたいと思います。
  131. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) 先にやらせていただきます。  まず、外為法関係からいきますと、事後報告制度というのは新しい外為法の中で極めて重要な柱をなすものでございます。ただ、この運用に当たりましては、できるだけ報告義務者の負担が軽減されますように簡素でかつ効率的な報告制度をつくりたいというふうに思っているところでございます。  この委員会でもしばしば述べさせていただいておりますけれども、まず報告の数を大きく減らすということが一点。もう一つは、報告の様式を電子処理等を使ってできるだけ簡便なものにするということでございまして、そういう意味報告者の負担をできるだけ軽減するように努力していきたいというふうに思っております。
  132. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 委員が御指摘のように、税には税の目的があるわけですが、一方で税の目的を貫徹するためにせっかく自由化した外為の世界が動きにくくなるということではいけないわけですので、そこは税の世界でも、例えば報告をいただく金額の線を決めるということで、どんなに小さいものでも報告してくれというようなことはするべきではないと思っておりますし、また、例えば機械化されているならば磁気テープ等で報告するということであればそれをお受けするというような、この種の新しい税制上の義務を課される金融機関にとって負担が重過ぎないようにすることは私ども十分考えていきたいと思っております。  御指摘の点はそれに加えて、ねらいが違うために二カ所に報告することになるのではないか、そこの調整というのがあるのかということでございました。税の世界は課税という目的のために資料が欲しいわけですから、だれが、どういうときに、どこでといったような個別の内容を伴っていないといけないわけでございます。まだ詳細は詰まっていないと聞いておりますけれども、外為法の方の報告内容が必ずしもそれと一致しないのではないかなという点もございますし、その辺については外為法報告の状況がどうなっていくのか、それも見きわめさせていただきたいと思っております。また一方、金融機関にとってみれば一律に、機械的にといいますか、報告する方が楽だという面もあります。分けてこれはこちら、これはこちらというのも難しいかもしれません。  そういう意味では、基本的には、目的が違うし内容的なところも違うと思いますので、別々にいただくことになるのではないかとは思っておりますが、それにしても過度な負担にならないように、その際には先輩国であるアメリカなりの基準を念頭に置きながらお願いしたいと思っております。
  133. 千葉景子

    ○千葉景子君 さてこの問題、今後の条件整備というような点について、少しお聞きをしておきたいというふうに思うんです。  先ほど野村の問題から私も指摘をさせていただきましたけれども、それから御説明もいただいたわけですけれども、これからの自由な市場、そして国際的な競争、そういう中で日本の市場活性化させていくということになりますと、いろいろな今の不当な事件などができるだけ起こらないように、そういう市場の本当に浄化というようなことも当然なんですけれども、やはり一番これから求められるのは、きちっとしたルールと、そしてそれが損なわれるようなときの厳しい制裁、そしてできる限り透明化を図っていくという意味でのディスクローズ、こういうことが非常に今後の基本的な理念といいましょうか、そうなっていくのではないかというふうに思います。そこが日本の市場の中ではこれから問われていくのだろうというふうに思いますが、それについての基本的な考え方、認識をお聞かせいただきたいというふうに思います。  それと同時に、これもきょう議論になりましたけれども、企業会計のあり方、それからもう一つ私は感じているんですけれども、この野村の問題などもそうですが、やはり企業監査というんでしょうか、事業の監査あるいは会計の監査、これが十分に適切に機能しておれば対応できる、あるいは不祥事などが防げる、こういう素地もあるのではないかというふうに思います。  そういう意味では、今後の問題としてディスクローズあるいは厳しい制裁、今ルールづくりはやっているわけですから、そして企業会計とともに監査などのあり方、こういう大きな市場の基本原理、こういうものについて今後より一層整備をしていかなければいけないというふうに思いますが、その点についての御認識とそれから決意、方向性、こういうものについて総括的で結構でございますのでお聞かせいただきたいと思います。
  134. 長野厖士

    政府委員(長野厖士君) 外為法を起点にいたしまして日本の金融証券市場活性化させていく、特にそのときに利用者として一般の国民の方々、一般投資家ということを念頭に置きますと、今御指摘いただきましたような問題が大変重要であろうかと思います。  業界的には、銀行の子会社の業務範囲がどうだとか手数料がどうだとかいうような問題が大変関心を集めておりますけれども、本質的に投資家のためと考えますと、ただいま御指摘ありましたルールの整備、あるいは問題事案に対する適切な対応、それからディスクロージャーということが大変大事な課題だろうと思っておりますし、それらにつきまして、先般来委員会でも御答弁を申し上げておりますように、もろもろ取り組んでおります。  会計制度につきましてはけさほど申し上げましたけれども、なお十分に御答弁申し上げておりませんテーマが一番最後にお触れになりました会計士監査あるいは企業監査という問題でございます。地味ではございますけれども、この点につきましては、公認会計士審査会の中に懇談会を昨年以来設けてその問題に取り組んでまいりました、特に銀行の監査問題などがございましたし。そこで、四月二十四日に早急に実施すべき十の具体的施策ということで十項目の提言をちょうだいいたしました。もうお時間もございませんので内容は御報告申し上げませんけれども、かなり広範な範囲にわたりまして日本の公認会計士監査の質的向上のための重要な御提言をいただいておりまして、これが関係者の努力によって実を結ぶということを期待いたしておりますし、私どももそれに向けて努力いたしたいと思います。
  135. 千葉景子

    ○千葉景子君 ぜひ、その点についても今後とも積極的なお取り組みをお願いしたいというふうに思います。  それで、時間もあれですのでもう最後になろうかというふうに思いますけれども、これから業界間の問題、その中でどういう業務を行っていくかということは大事ですけれども、今お話にもありましたように、本当に一般投資家なりが安心して、そして日本の市場で活力のある投資活動を行える、こういうことがなければ本当の意味での力というものにはなっていかないだろうというふうに思います。そういう意味で、一般投資家などの保護、あるいは投資家が安心してできるような条件づくりということを私はぜひお願いをしたいというふうに思うんです。  そういう中で、大蔵省もこれはどういう視点で考えておられるのかまだ定かではありませんけれども、金融サービス法というような総括的な投資家保護をも含めた制度を確立していこうという考え方もお持ちであるというふうに、報道等で私も承知をしているところでございます。これまでも、日本のさまざまな金融取引などでも投資家保護、消費者保護というようなことがいろいろ指摘をされ、あるいは判例、裁判などでも積み重ねてきた部分もございます。ただ、そういう包括をしたような制度というのはこれまでございませんでした。  そういう中で、やはりこれからはとりわけ競争も激しくなる、自由な取引ができる。そうなると、金融商品も非常に多様で、そしてリスクも伴うけれども大変もうけも多い、よくハイリスク・ハイリターンと言いますけれども、そういうものも大変ふえてくるだろうと。そして、多様化していかなければ金融活性化していかないということになります。ただ、そうなるとやはり情報を多く持っている、あるいは専門家であるという者と、それから一般に投資をしようというアマチュアであり、情報をそれほど十分に持ち合わせにくい、こういう格差というのは当然あるわけですね。  そうすると、そこでは何が必要になってくるかというと、やっぱり十分な説明を行っていく。これはアメリカなどの法理でもレンダーライアビリティーというような形で貸し手の責任、とりわけ説明義務というようなことも指摘をされているところでもございますけれども、ただもうかる部分だけではなくてやっぱりリスクの部分もきちっと説明をし、十分にメリットもあることも説明した上で本当に消費者、投資家が自己の責任で、そしてそれを踏まえて選択をし、そして活発な投資が行える、こういう環境整備というのを私はぜひしていただきたいし必要であろうというふうに思います。  そういう視点も含めてこの金融サービス法、あるいは名前はどうなっていくのかわかりませんけれども、このあたりは今後どういう形で整備をなさっていくおつもりか、あるいは方向を持っておられるのか。そのあたりについて御答弁をいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  136. 山口公生

    政府委員(山口公生君) 御指摘の点につきましては、今進めております金融システム改革が進展してまいりますと、業態にとらわれない自由な市場参加や多種多様な金融サービスの提供が促進されるわけでございます。おっしゃるとおりでございます。  そうしますと、従来の業態別の縦割りの業法では市場参加者に十分なそういったケアができるかという問題が生ずるわけでございます。したがって、市場参加者に共通に適用される横断的なルールというものがいずれは必要になるのではないかという問題意識も私どもは同じく持っております。したがいまして、この金融システムの改革の進展に伴いまして、中期的な課題とはなると思いますけれども、こういった新しい金融の流れにどう行政が対応すべきかということで省内にも検討体制を整えてこれから大いに勉強していこうというふうに思っております。  今、先生の御指摘になったような方向で、法体系も含めていろいろ考えていくということを私どもとしても自覚をしておるわけでございます。
  137. 千葉景子

    ○千葉景子君 大臣にも、一言。
  138. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 金融システム改革が順調に進んでおると思います。そして、法制的には外為法が成立をいたしますと次に日銀法、そして金融監督庁と相なります。そういたしますと、御案内のとおり、証券局、銀行局を統合いたしまして金融局、こういうことで強力な企画立案という業務を担いながら、まさに消費者保護、そして横断的なルールの確立、グローバルスタンダードな法制度、こういうことで、銀行局長が言いましたとおり、その準備に入っておるわけでございます。  そういう中で、法律体制もオープンという形、まさにフリーに通ずるわけでありますが、公正、公平そして国際的基準、こういう形で出てまいりますと来年四月一日以降、金融監督庁が出ませんとちょっとずれますけれども、よってこの機会に申し上げさせていただきますと、何としても今国会中に御審議を賜り御決定をいただきますと三者きちんとした体制で前に進むということを申し上げさせていただき、答弁にかえさせていただきます。ありがとうございます。
  139. 千葉景子

    ○千葉景子君 終わります。     ―――――――――――――
  140. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。  本日、志苫裕君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。     ―――――――――――――
  141. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 税制をまず取り上げたいと思います。  税金というのは、憲法の規定する国民の義務だということを私どもは教わってまいりました。わかり切ったことですけれども、税について論議する出発点として主税局長に、大蔵省は税というのをどうとらえておられるのか。それから、とりわけ公平な課税の原則、こういうふうな問題について何を重点にお考えになっているか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  142. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 委員指摘のように、憲法三十条に納税の義務がございます。これによりまして国民は納税の義務を負うと規定されておるわけでございますが、この税金につきましては同じく憲法八十四条におきまして、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と、こういう憲法上のきちっとした規定の中で日本の税制がまず存在しているということでございます。  御指摘の点が、どういう分野についてお答えしたらいいのかちょっと迷いますが、私は税金というものは、国とか地方公共団体、とりあえず国の場合について申し上げれば、国民が国を形成していると、その国が国民の求める行政サービスを提供するわけですが、この行政サービスのコストを賄うための財源の中心、主要なものであるというのが租税の基本原則であろうかと思います。であるだけに、先ほどの憲法上の規定があるというふうに受けとめております。  なお、行政の簡素化とか効率化を十分きちっとやった上で必要な部分は、これは租税によって賄われるべきものであろうということで、そういう意味では租税の量といいますか大きさというのは、国民が必要とする行政サービスの総量ということになってくるのかと思います。そして、その量が決まる、あるいは一定の量の租税を国民から納税していただくためには、幾つかの原則といいますか、にのっとっていくことが国民に税金を納めていただく上で必要であろうかと思います。  その原則は、歴史的にはいろんな学者の方々がいろいろおっしゃっておりますが、私といたしましては、簡潔に申し上げて、公平であるべきだと。あわせて、経済活動に対して中立的であるべきだと。さらには、いかに公平、中立的であっても、複雑過ぎてコストもかかり、あるいはわかりにくく専門家しか計算できないということではいけないので、簡素であるべきだと。この三点がどれだけ実現できるか。  ただし、この三点は、両立というか全部が一緒に成り立つわけでもございませんので、その兼ね合いをどう考えるかということが大事かと思います。その中でも公平ということは税にとって一番の大事な点であろうと私は認識しております。
  143. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私も、今のお答えのとおりだと思います。納税は国民の義務である。国民は公平な課税の原則に沿って、担税力に応じて税を負担一する義務があるというふうにも言えると思います。  ところが、衆議院から参議院に至る外国為替自由化、ビッグバンをめぐる論議を見ますと、税というものをどう認識なさっているであろうかと考えざるを得ない議論がたくさんあります。  例えば、業界代表が参考人としておいでになっているところでの意見を、私は特に衆議院の速記録を読んで感じましたけれども、これらの人々は税というものをコストとしてしか考えていない、こういう感じを持ちました。例えば、市場が効率的でありかつ取引コストが安いという条件を満たすためには、所得税、法人税、利子課税、証券取引税等の税制コストが決め手になるから、税制をこうしてくれというふうな形ですね。私は、税をコストとしてしかとらえない考え方というのはこれは間違いであって、こういう認識は改めてもらわなくちゃいかぬということを、こういう外国為替自由化というふうな問題を論議する場合にも踏まえていかなくちゃならないというふうに思います。  大蔵大臣は、八日にここで審議したときに、国際化時代と言われようと自由化だと言われようと、企業の公共性、社会的責任は変わらないんだと、こうおつしゃったと思います。私は、そういう点で、税をコストとしてしか見ない、こういうことではやっぱりよくないと思います。これは大臣でも主税局長でもいいですけれども、それでいいか悪いかということを端的にお答え願いたいと思います。
  144. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 先ほどの御質問にお答えしましたように、租税の性格はそういったものではございますが、企業活動をされる方にとってみれば、税がコストであると受けとめられる面はこれは否定のしようがないことだと思います。  また、企業活動なり金融活動が国際的にボーダーレスに動いているときに、国にとって国民にとってどういう経済活動を実現していくのか、どういう経済水準を確保していくのかということを考えたときに、税制のあり方によって経済活動も変わることがありますので、そういう意味では、単に必要な財源を必要なだけ国民から集めればいいということだけでもないと思います。  ちょっと長くなりましたが、税の性格の本質からいったときには、コストというのは適当でないと私は思いますが、自由経済主義の中で経済活動が行われている以上、企業なり個人にとって、税をコストと認識されている面を無視はできないと思っております。
  145. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、かつてこの委員会で、ある財界人が税金が安ければ国籍を変えてもいいという発言をなさっていることを取り上げて、こういうことでいいのかということを問題にしたこともあります。ですから、税制のあり方についてはいろいろあるでしょうけれども、前提としては、税というものについてきちっとした憲法でも規定しているような認識を踏まえてかからないと、これを単にコストとして取り上げるのではまずいと思います。  そこで、もう一つこの間の論議を見て感ずる点は、企業家の発言の中には、幾つかの税制について外国にない我が国特有の税制だから、コストを下げるために廃止してくれという議論があります。例えば、有取税あるいは利子に対する源泉徴収税ですね、こういうのは我が国だけしかない。ところが、主税局長答弁を速記録で丹念に読んでみますと、そうではないんだと、そういうのはいろんな形をとっているにしろ、決して有取税でも源泉徴収でも日本の特有の税制ではないんだと、こういうふうに答弁しておられます。  主税局長答弁を信すべきか、あるいは企業家の発言、我が国特有だという発言を正当とみなすべきか、お答えください。
  146. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) 各国いろいろな税制を持っております。特に、誤解がかなり流布していたと思われますのは、有取税は日本にしかないということでございますが、これはそういうことではなくて、英国にも有取税という名前ではありません、印紙税の形をとっておりますし、税率だとか課税対象は違いますけれども、株式の譲渡取引関連して課税されているものがありますし、他国においても見られる。確かにアメリカの連邦税にもない、あるいは地方税にもないということは事実です。  それから、源泉徴収制度につきましてもかなり誤解が流布されておりまして、例えば給与所得についてアメリカでは源泉徴収してないんだという方がいらっしゃいますけれども、これはアメリカでも源泉徴収やっております。年末調整はやっていないというような違い。それから、利子等についての源泉徴収制度はアメリカにもございますし、この点についてはヨーロッパ等々では普通に行われている。納番との関係でいろんな組み合わせばありますけれども、決して日本だけの制度ではないというのが事実であると私は認識しております。
  147. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) 主税局長は、税の理論の中で一面をとらえてそう言うのは当然のことだと思います。政治家として、また大蔵大臣として申させていただきますと、まさに租税は国家活動の源泉であります。無税国家が理想とよく言われますが、それは理想でありまして、対照的に税の桎梏、重さを言うときに言われる例えでございまして、やはり税なくして国家の基本はございません。  暴君、悪代官というのが歴史の中に時折出てまいりましたが、これに抵抗するために議会が生まれたことは御案内のとおり、そして租税法定主義ということで議会制民主主義の原点はそこにあることだけは間違いございません。よって、民主主義国家は憲法に納税の義務をうたう。脱税をした場合は厳罰をもってこれに臨むと、こういうことになっておるわけでございまして、政治の出発点であったという認識をいたします。  企業といえども、この国の社会的存在であります。この国の法制、この国の政治体制の中で自由な活動が保障され、そしてそれだけの利益を得れば当然定めるところによって納税するというのは当たり前のことでありまして、余計もうけた人は多事に備える分を除きましたら喜んで納税するというのも余りないようでありますけれども、それも究極の望むべき原点なのかなと思ったりしております。  そういう中で、税の普及というのは政治そのものの再認識、出発という意味で大事なことでございますので、コストという面からいいますと、国家行政を進める、もろもろの政策を進めるに当たりまして必要なものでございますから、公正、公平そしてわかりよく、これによって御負担をいただき受益をさせていただく、こういうことであろうと思います。吉岡議員の税に対する見識、敬服して聞いております。
  148. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 速記録に、私が今ちょっと引用したようなのは載っているわけですね。国会の場で速記録に残る形で、参考人が事実まで曲げて、こんな税制は日本にしかない、外国にないものだから廃止してくれというふうな議論の中に、私は非常に大きな問題があると思わざるを得ないわけです。  したがって、今の法案をめぐる論議の中でもいろいろ税制についても論議されましたけれども、そういう要求を受け入れるだけでは、これは税制上重大な問題が残ると思うわけです。  そういう点で、私は、今OECDで税の競争に対応する問題についての協議の作業が続けられているということを新聞でも読み、また大蔵省からも説明を受けて、この問題についてこの際考えておく必要があるんじゃないかと思いました。つまり、課税減免によって経済活動を自国に引き寄せようとする方法を進めたら大変なことになるということで、現在OECDでは税金の引き下げ競争を回避する新しい国際ルールづくりの作業が進んでいる、こういうことであります。そして、そういう税の競争が起こると課税ベースを浸食して税収が減少する、可動性の低い経済活動、労働とかあるいは消費、こういうところへ相対的な重課になる、こういうふうなことになってはまずいので、これにとり得る対抗措置を明確にしようという作業がOECDで現に進んでいると。  このOECDの作業で、金融国際化と課税部会の共同議長をやっていた大蔵省の幹部の一人が、これは九四年十一月十二日の日経新聞に、この問題に関連して当時の論点を整理した論文が発表されており、私はこれは大変考えさせられると思いました。私が、ちょっとこれは大事だなと思ったところを紹介してみますと、こういうふうに書かれております。   国境の垣根が低くなり、経済活動が国際的に展開していくなかで、わが国としてどのような租税政策の方向を取るべきか、といった基本的な問題については、十分考え方を整理しておく必要があるだろう。   国際化が進む中で各国の租税政策には、大きく分けて二つの方向が見られる。一つは、課税減免により経済活動を自国に引き寄せようとする方向である。これは「税の競争」と呼ばれている。   「税の競争」が激化すれば、流動性の高い資源や活動ほど世界的に税負担が低くなり、各国は失った税収を流動性の低い資源や活動への課税強化によって補わざるを得なくなる。   企業に課税するよりは勤労者の個人に課税し、金融・証券取引に課税するより、製造活動に課税するような税体系が、「税の競争」の論理的な帰結である。   「税の競争」のこうした帰結は、税負担能力のあるところから税金を徴収するのではなく、取りやすいところから取ることを意味し、公正や公平の観点に反する。 こういうことがOECDで論議されていることだということで、こんな大きい記事を書かれております。  この間、私は大蔵省から呼んで説明を受けたら、これはこの人の個人の見解ではなく、OECDで論議しておられるところであり、かつ大蔵省考えでいる税制の方向でもある、こういう説明でありました。きょうは主税局長がおいでですから、こういう作業が現に行われているという事実はお認めいただけると思います。  同時に、OECDで行われているこの作業は非常に国際的にも重視されまして、去年のリヨン・サミットの経済コミュニケにもここに期待をするということが書かれており、大蔵大臣出席の四月のG7のコミュニケの中にも「金融その他の地理的に移動が容易な活動を誘致することを目的とする税制は、各国間の有害な税の競争を惹起し、貿易と投資を歪め、各国の課税ベースを浸食するおそれがある。」云々として、OECDの今の作業が成功するようにということを大蔵大臣出席してコミュニケで発表されているというところであります。これは事実としてまず主税局長お認めいただけるかどうか。  あわせて、今この外国為替自由化、ビッグバンをめぐる中で行われている税制の論議の中には、明らかにここでいうところのあしき税の競争という方向に向かうものもあると私は思います。私は、この作業は完了していないにせよ、サミットでもG7でも、こういう方向で成功させるようにと言っている方向に沿って、税制を通常国会に提出されるという方向も貫く必要があると思います。主税局長、お答え願います。
  149. 薄井信明

    政府委員(薄井信明君) OECDでの議論、一九九六年から続いておりますが、いずれ報告書が出てくるわけでございまして、その方向性等々、問題意識は委員指摘のとおりでございます。  そういう議論が出てきたということは、各国ともこの問題について悩んでいると。悩んでいるという意味は、一方で経済の国際化、ボーダーレスな取引ということは促進しなければいけない。それをとめてはいけないわけですが、そうなってくると、どうしても税制上ダンピングというものに走りがちだと。その矛盾をどうしていくのか。しかも、税というのは国の制度そのものでして、これを国際的に協定して税制をつくるわけにいきません。そういうことで、各国とも悩んでいるということがここに出ているのかと思います。  今回の外為法改正、税の立場から見ましてもそれは方向だと思っております。ただし、そのために適正、公平な課税が害される、害され過ぎるということは避けなければいけない。そうしますと、邪魔をしない限度において私どももきちっとすべきところばしていく、それを国民の皆様に理解していただくということで法制の準備をさせていただいているということでございます。  なお、日本の今の制度がすべて正しいとも私は思っておりません。いろんな国がいろんな制度を持っておって、よりよい制度が各国にあればそれに倣っていくべき面もあることは否定できないとは思っております。
  150. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私も、今の税制は大いに是正しなくちゃいかぬ、とりわけ大企業に対する優遇税制というふうなものは是正しなくちゃならないということを、この場でもいつも言わせていただいているところであります。  しかし、今ある税制を一層ひどい税の競争に持っていくことだけは、この外国為替自由化、ビッグバンを理由にして、そういうことにならぬようにお願いしたいと思います。大臣は、もうG7でコミュニケを発表して、こういう方向を期待を表明しておられるわけですから、考えはおのずからそれによってこの方向と一致しているというふうにとらせていただきます。  時間が来ましたので、私、もう一つ有事規制の問題についてただしたいと思っていましたけれども、十分時間をかけてできません。一、二、時間のある範囲でお伺いしたいと思います。きょう午前の論議の中でも、経済制裁発動の条件として国連安保理決議を必要としていたのをそうでないようにした、政府決定でやれるようにしたことは、これは経済制裁発動要件の大きな変更だと、こういうふうに国金局長はお答えになっておりました。  そこで、私がお尋ねしたいのは、この経済制裁という問題は、これはある意味では安全保障の基本にかかわる問題でもあるわけですね。ある意味でというよりは、むしろ基本的にはそういう性格のものだと私は思います。ところが、その経済制裁発動要件というのが、外国為替自由化あるいは外国貿易管理法改正という中に突如としてあらわれてくる。ビッグバンと安全保障の重要な柱である経済制裁との関係というのは、この必然性が私はどうもわからない。どういうかかわりがあるんですか。
  151. 榊原英資

    政府委員榊原英資君) まず、経済制裁全体、経済制裁というのはパッケージで行うものでございますから、外為法関係はその一部を構成するということでございまして、当然外為法規定外為法規定にかかわるものについての発動要件でございます。  それから、その発動要件が変わったというふうに申し上げました。確かにそのとおりでございますけれども、これは今までの経済制裁の性格というものが大きく変わるということではなくて、性格的にはこれは国際平和のための国際的な努力のために経済制裁をするんだということでございまして、それを機動的に発動できるように、つまり経済制裁というのは緊急事態のときに非常に迅速に発動しなければいけない。今まではそれができないケースが若干あったと。例えば、国連の安保理でいずれ決議をするんですけれども、その決議をする前には経済制裁ができなかったと、こういうことがありますので、経済制裁を緊急時に迅速にやるために発動要件を緩和したということでございます。
  152. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、そこが大変危ないと思っているんです。  それはどういうことかといいますと、経済制裁というのについては、あくまでこれは各国の国際法上の権利として認められていることではあります。しかし、例えば湾岸危機の場合を例にとっても、日本は被害者ではないんですね。被害者でないものが、ある国の行為を平和に対する脅威だ、あるいは平和の破壊だ、あるいは侵略だという認定を下してそこに制裁を加える。その制裁が軍事的制裁でなくて経済制裁だと、こういうことになるわけですがね。  だから、そういう重大なことを一国の国際法上の権利ではあるといっても、一国がそれをやることは、これは非常に客観性が保ちがたいし、かつまたそれについては恣意的になりがちであるということから、最も望ましい方法は国際裁判機構の決定に沿ってやるのが一番いい、それがなくても国連安保理事会の決議に沿ってやるのがいいというのが国際的な流れであり、国際法学者がひとしく指摘しているところですね。いろいろ論文がありますよ。  私は、一九六〇年代後半当時、外務省の国連政策課にずっと長年通って、国連憲章の勉強なんかをさせてもらいました。そのときにも、一国の決定、一国の判断経済制裁を含む制裁措置をとらないで国連安保理事会の決議に沿ってやるように世界がなったか、また日本がそういうふうにしているかということがどんなに重要な意義を持つことかという教育を、私はあなたたち外務省の先輩からさんざん受けてきたんですよ。それは赤旗記者として取材に行ったころですけれどもね。そして、それは一国の判断に任すと恣意的になり、それがかえって紛争拡大のもとにもなりかねない、そういう歴史の教訓に立ってこうなっているんだと。それをなぜ今ごろ変えなきゃならないのか。  機敏性という問題を今国金局長おっしゃった。しかし、そこが危ないと言ったのは、そういういろいろな紛争が起こった場合、その処理については、国際法、国連憲章がとりわけ直ちに制裁をやっていいとは言わないわけですね、これは外務・省に後から答弁してもらいたいわけですけれども。まず、紛争の平和的解決のための努力、これが国連憲章の定める国際的な義務になる。平和的な解決の努力を、あらゆる努力をやったが、もうどうにもらちが明かないというその時点で初めて制裁というふうな問題が出てくる。それを機敏性という理由でこれは説明つかないわけですよ。  国連の安保理決議がおくれるから、それを待っていたんじゃ日本だけ取り残されるという議論もあるんですが、国連安保理事会の決議がなかなかできないというのは、その行為を侵略とみなすか平和の破壊とみなすかということで各国がなかなかまとまらないからおくれるわけですよ。そういうときに機敏でなきゃいかぬといって、国際的に評価が分かれるものを一国の判断でやるということは私はやっぱり危ないと思いますね。  もちろん、いろいろなケースがあります。だから、一国の判断でやるものもケースによってはあるし、それは国際法上許されてもいるわけですね。しかし、私は、そういうふうに安保理決議を必要としないと、発動要件をそういうふうに変えるというならば、どういうケースの場合はどう、どういうケースの場合はどうするという具体的なルールをつくって、国際的にも国内的にも疑問の余地のないようなものにしなければ、私は乱用の危険があると同時に、国際的にもいろいろな議論を呼ぶというふうに思います。  これはある学者の書いた論文ですが、これでまだ全部じゃないですよ。一人の人の一つの論文の三分の二ぐらいでこれぐらいある論文、これは一つ一つ、今まで行われた経済制裁について国際的にどういう論議が起こったか、これは国際法上違法だとか、いろんなケースが書かれているわけですね。  私は、そういうことが、十分な審議をやらないで突如としてこの外国為替制度の法案の中に飛び込んできた便乗的な発動要件の変更だと考えざるを得ないし、そういうルールをつくってもらいたいと思います。外務省、どういうふうにお考えになりますか。
  153. 高田稔久

    説明員(高田稔久君) いかなる場合に我が国として経済制裁発動するかにつきましては、我が国の国際社会の一員としての責務を的確に果たすという観点から、具体的状況に応じまして、そのときの国際社会の動向あるいは我が国への影響、そういった要因を我が国として総合的に判断して決すべきものであろうと思っております。  先生、今おっしゃいましたとおり、今回の要件では、国連安保理決議等を必ずしも前提とするものではございませんけれども、その要件は、国際平和のための国際的な努力に対し我が国として寄与するためということでございまして、そういう国際平和のための国際的な努力が存在をするということが前提となっておることは申すまでもございません。  したがいまして、我が国として、これは懇意的に経済制裁の実施を決定するということを意味するものではないと思っております。
  154. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、大臣、そういう歴史的な国際的な経緯のあるものだということで、私は厳格にきちっとやっていただきたいということを再度要望して終わります。
  155. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  156. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、外為法の一部改正案に対し反対の討論を行います。  本法案による資本取引等の事前の許可・届け出制の廃止、外国為替公認銀行制度の廃止など、外国為替取引の抜本的な自由化は、内外資金の流出入を促進し、それによって為替取引の投機性は強まり、円相場の不安定性を増幅するおそれがあります。しかし、本法案は、そのような事態に対する対応手段をも基本的になくしてしまうものであります。これは我が国通貨主権を確保する上から見て問題と言わなければなりません。  改正案は、海外預金の便利さなど国民の金融資産選択の幅をふやす一方、これに伴い企業や個人が大きなリスクを抱えることになり、また取引のトラブルも予想されます。しかし、消費者保護に関する規定が何ら設けられておりません。  また、国境を越えた資金の取引の増大は、脱税対策など新たな税制上の対応を必要としていますが、これに対する対策も十分とは言えません。  今回の外為法改正は、日本版ビッグバンのフロントランナーと位置づけられておりますが、日本版ビッグバンは規制緩和万能主義の立場に立つものであり、改革の明確な理念や目標は示されておりません。政府は、グローバル基準に合わせると言うが、我が国が今のグローバル基準に達したときには、さらに別のグローバル基準が待っているかもしれず、際限がありません。  模範とされているイギリスのビッグバンについても、その結果は、多くの金融機関外国資本に支配されるなど、必ずしも成功と言えるものではなく、逆に貧富の差の拡大など、深刻な社会問題を引き起こしていることも事実であります。  以上の理由から、本改正案に対して反対の態度をとるものであります。
  157. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  158. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、荒木君から発言を求められておりますので、これを許します。荒木君。
  159. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 私は、ただいま可決されました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     外国為替及び外国貿易管理法の一部を改     正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、十分配慮すべき  である。  一 本法律平成十年四月に施行されることを   念頭に置き、我が国が国際金融センターとし   て国際的市場間競争に対応し得るよう、金   融・資本市場及び金融システムにおける規制   緩和を可及的速やかに進めるとともに、会計   制度をグローバル・スタンダードに適合させ   るなど金融インフラの整備に不断の努力を払   うこと。  一 本法律の運用に当たっては、外国為替取引   の自由化によって増加が懸念されるマネー・   ローンダリング等不正な取引を防止すると同   時に、投資家・消費者等が自由化のメリット   を最大限享受できるよう、十分配慮するこ   と。  一 外国為替取引自由化等に伴い、金融・証   券税制を適切に見直すほか、課税回避を防止   するための海外送金等の報告制度や民間国外   債に係る本人確認制度の整備等に努めるこ   と。また、国税業務の一層の国際化・情報   化・複雑化に伴い事務量の増大も予想される   ことから、国税職員については、定員の確保   及び職場環境・機構の充実に特段の努力を払   うこと。  一 経済制裁のため本邦からの海外送金、資本   取引外国貿易等をしようとする者に主務大   臣の許可等を受ける義務を課した場合は速や   かにその理由を公表し、国会報告するこ   と。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  160. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) ただいま荒木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  161. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 多数と認めます。よって、荒木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、三塚大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三塚大蔵大臣
  162. 三塚博

    ○国務大臣(三塚博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
  163. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 松浦孝治

    委員長松浦孝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十六分散会