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1997-06-12 第140回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      木庭健太郎君     福本 潤一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木宮 和彦君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉村剛太郎君                 片上 公人君                 前川 忠夫君     委 員                 大木  浩君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 中曽根弘文君                 林  芳正君                 平田 耕一君                 加藤 修一君                 平田 健二君                 福本 潤一君                 梶原 敬義君                 竹村 泰子君                 藁科 滿治君                 山下 芳生君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君    政府委員        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局長      塩田 薫範君        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   山田 昭雄君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        矢部丈太郎君        中小企業庁次長  岩田 満泰君        中小企業庁小規        模企業部長    篠原  徹君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君     —————————————   本日の会議に付した案件私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の適用除外制度整理等に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十一日、木庭健太郎君が委員を辞任され、その補欠として福本潤一君が選任されました。     —————————————
  3. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 林芳正

    林芳正君 適用除外につきまして質問してまいりたいと思います。  まず、総論的なことからお聞きをするわけでございますけれども、先日、本会議で通りましたけれども、今回、持ち株会社の解禁ということで今までの政策を大きく転換するということでありますが、これから経済の憲法としての公正取引委員会の役割というのが一層大きくなる。特に、橋本内閣六つ改革の中で規制緩和というものも進んでいけば、この独禁法のルールというもののきちっとした適用というのが本当に大事になってくる、こういうふうに思うわけでございます。  そういった中で、欧米先進国の基本的な独禁法考え方といいますか、ヨーロッパもしくは大陸法系の国では、いわゆる行為規制といいますか、行為について当否を問うことに重きを置いておると。一方、アメリカアングロサクソン系では、むしろ行為よりも構造そのもの、大きければそれを注意をして見守っていくという考え方が既にもう大きな流れとしてあるような気がいたすわけでございます。  我が国のこの独禁法の今後の大きな流れというものにつきまして、またあわせて、その大きな流れの中で今回の適用除外制度が見直されるわけでございますが、その考え方並びにまだいろいろ残っておるわけでございますが、今後どうされていくのか、方針についてお伺いしたいと思います。
  5. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいま御指摘のように、独占禁止法あるいは公正取引委員会の職務といたしまして幾つ仕事があるわけでございます。一つは大きく申しまして構造的な規制あるいは一つ行為規制という二つ流れがありますし、また、つづめて言いますけれども下請法とか景品表示法とかいう消費者保護仕事もあるわけでございます。いずれも重要な仕事でございますので、この仕事に対しては、我々はどの仕事に重点を置くということではなくてどの仕事目配りしてやっていくということでございましょうけれども、どうしても今後は行為規制といいますか、個々行為について目配りをしていくという方向にならざるを得ないような状況だと思います。  増員を毎年幾らか認めていただいておりますけれども、この増員理由審査部門の充実ということで増員をいただいておりますので、役所自身がやはり行為規制の方に傾きつつあるんじゃないかというふうに感じております。  さらにお尋ねでございますが、適用除外制度見直しについての今後の方針でございます。今回、法律案としまして適用除外の削除ということでお願いしておりますけれども、まだ大分残っております。これは政府方針といたしましても、今後適用除外制度見直しを積極的に取り組み、今年度末までに具体的結論を得るというふうにされておりますので、これからもさらにお願いいたしまして、この制度見直しあるいは廃止という方向検討していきたいと思います。  よろしくお願いします。
  6. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  まさに六つ改革の後の姿をかいま見たような気がいたすわけでございますが、よく金融行政で言われる事前護送船団から事後のマーケット及び事後規制ということにつながる、構造規制よりも行為規制に一歩重きを置かれるということでございました。  この除外制度見直しということについても規制緩和推進計画、またこの改定についてということで閣議決定もなされておられます。その流れでお聞きをするわけでございますが、独禁法個別法整理でございますが、本体の方の不況カルテル適用除外カルテル等制度見直しを今からやらなければいけないことでありますが、今回は個別法整理だけにとどまっておるわけでございます。これはどういう理由でございましょうか。
  7. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) お答え申し上げます。  独占禁止法適用除外を定めている法律としては、大きく分けますと三つあるわけでございまして、一つは今回一括法という形で手当てをお願いしているいわゆる個別法による適用除外制度、これは各種の業法といいますか法律によりまして個別に独禁法適用除外規定されているものでございます。  そのほかに、先生御指摘のように独占禁止法本体不況カルテルであるとか合理化カルテルであるとか、その他幾つかの適用除外制度がございます。  それから、もう一つグループとして、独占禁止法適用除外に関する法律というものがございまして、大きく分けるとこの三つグループに分かれるわけです。  今回お願いしているのは、先ほど申し上げましたように個別法に関するものでございますけれども個別法関係でもまだ引き続き検討するということになっている制度幾つかございます。それから独占禁止法本体適用除外法によるもの、この三つは、先ほど委員長から御答弁申し上げましたように本年度末までということで検討を進めるということで予定をしているところでございます。  御質問のポイントでございます、なぜこの三つグループがあるのに、その中で個別法による適用除外制度をまず優先して取り上げたのかという御質問ということだと思いますけれども独占禁止法の第二十二条に、特定事業において特別の法律がある場合において事業法令に基づく正当な行為について適用除外とするという規定がございます。これに基づいて、その特別の法律ということで適用除外法独占禁止法適用除外に関する法律ということが制定されているわけでございます。  したがって、独占禁止法のスタートした時点におきましては、適用除外独占禁止法本体があるいは今申し上げました独禁法適用除外に関する法律の中で規定をするということでスタートいたしたわけでありますけれども、その後、今申し上げました二つ法律改正ということではなくて、個別法規定によって適用除外を定める例が増加してまいりました。  これは昭和二十年代から三十年代にかけて、当時の経済状況のもとで産業の育成強化あるいは不況事態の克服といった特定の目的を実現するために多数の個別法による適用除外カルテル等制度が設けられたわけでありまして、いわばそういう意味で個別法の方は例外性の強いものであるというような位置づけといいますか、そういうふうに考えられるということで、今回まず個別法によるものを最初に取り上げたということでございます。  今後は、その個別法の中で引き続き検討するということになった制度と、それから不況カルテル等制度独禁法の中にある適用除外制度、それから適用除外に関する法律の中で定められているもの、こういったものについて全体を検討いたしまして、本年度末までに結論を出したいということでこれから作業していきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
  8. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  むしろ、個別法の今回やるものについてはほとんども適用がないものが多いわけでございまして、それゆえにやりやすいということもあったというふうに理解するわけでございますが、この禁止法そのものによる二十一条から二十四条までと、それと百二条ですか、それから除外法一条、二条というところがまだ使われている件数も非常に多いわけでございますから、鋭意この期限内に見直しを進めていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  一方、この適用除外をだんだん外していきますと、独禁法土俵が、まさに原則が適用される部分が広がっていくということでございますが、そうなった場合に、違法な行為カルテル等に対しましての摘発をしたり、いろんな執行する体制が十分に整っているのか。特に地方の場合、我々も地元におりまして、例えばディスカウント等いろいろ出てきた場合に、地方でどういうふうな執行体制になっていくのかということについて若干の心配もあるわけでございますが、その辺あわせてお答え願いたいと思います。
  9. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) お尋ねの点でございますが、累次、今地方の方も審査部門中心に組織の改善が行われておりますし、また人数についても少しずつふえているのでございますけれども、従来から申し上げていますように、私も全く万全であるとは思っておりません。ですから、地方の方の指導につきましては、本省からも十分指導をいたしまして、少ない人数で最大の効果を上げるように努力をしております。それにはやはり地方の方々の御協力といいますか、御叱正がなければなかなかできないものですから、引き続きこの委員会でもいろいろ御意見をちょうだいできれば非常にありがたい、こういうふうに思っております。
  10. 林芳正

    林芳正君 まさに委員長がずっとおっしゃっておられたように、今の体制というのは必ずしも十分な体制とは言えないと私も思うわけでございまして、アメリカの例ばかり引いてもなんですが、一万人ぐらいの体制でやっておるということでございます。どんどん土俵が広がれば、それなりの執行体制というのをきちっとしていかないと、結局違法な行為が横行するということになる、こういうふうに思いますので、我々も心してやっていかなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。  独禁法厳正に運用していかなければならないのは当然でございますが、逆に枠内で罪刑法定主義といいますか、事業者がどういうところまではやっていい、これ以上やっていくと独禁法適用になってしまうという法運用事前予知性といいますか、透明性というものをますます高めていくことが重要になってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はいかがでございましょうか。
  11. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これもいつも申し上げておるところで恐縮ですが、なかなか独占禁止法というのは難しい法律でございますし、一般事業者なり国民が理解するというのも極めて難しい問題があろうかと思います。そういうことで、従来から公正取引委員会では、ガイドラインといいますか執務要領といいますか、そういうものを作成いたしまして、これを公表いたしまして、なるべく具体的にわかりやすく皆さん方理解していただくように努力を重ねているところでございます。  また、これも前に申し上げましたけれども一つは合併なんかの場合に事前相談という制度がございますけれども、これも事務の方の意見がございまして、事前相談の内容をなるべく公表してわかりやすく説明する、今度持ち株会社も御理解を得て解禁することになったわけでございますけれども、これについても事前相談という制度を入れるとすれば、これもなるべくわかりやすく具体的に公表していく、こういうふうなことを考えております。そういうことでいろいろ努力はしております。  それから、これも最近、相談室が設けられましたけれども、近々また各方面からの相談事例についての具体的な例を公表する予定でございますけれども、これについても最近の報告を受けたところでは五〇%ぐらい相談案件がふえたということでございますので、これは非常にいい傾向だと、そういう相談案件についても公表していきたい、こういうふうに思っている次第であります。
  12. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  冒頭にお聞きしたように、行為規制ということに重みを置いていけば、そういった透明性というのが大変重要になってくると思います。委員長おっしゃっていただいたように、相談事例の公表ということがガイドライン的なものになってくる、こういうふうに思いますので、その方向でぜひよろしくお願いをいたしたい、こういうふうに思っております。  規制緩和がどんどんと進みまして、この独禁法土俵が広がっていくということでありますが、我々地元におりましてよく聞くのは、やはり中小企業地方に多いわけでございますが、大企業との競争がどんどん激しくなっている。この適用除外をだんだんなくしていきますと、今まで守られていた人が裸で勝負しなければいけなくなる、こういうことでございまして、中小企業活動への救済手段といったものがなくなってくるのではないかという影響が出ることが懸念されるわけですが、その辺についてはどういうふうにお考えでございましょうか。
  13. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 一般的なといいますか、基本的には中小企業におきましても競争を通じて創意工夫を発揮する、活発な事業活動を展開するということが非常に強く求められているそういう時期といいますか、そういうことだと思いますけれども、こういう中で今回の適用除外制度見直しの中で、中小企業に関する適用除外カルテル等制度につきましても、今申し上げましたような経済環境の変化を踏まえまして、制度必要性あるいは妥当性、あるいは適用除外カルテル制度ということではなくてほかの代替的な手段可能性といったことを検討いたしまして、必要最小限にする必要があるという観点から検討いたしたわけであります。  今回御審議をお願いしております一括整理法案におきましては、中団法等中小企業に係る適用除外カルテル制度につきましても、一部これを廃止するといったような措置を織り込んでいるところでございます。  他方規制緩和適用除外とちょっと違いますが、許認可等規制緩和推進あるいは適用除外制度見直しということが進められているといいますか、進めていくべきということでございますが、こういったものとあわせて規制緩和あるいは適用除外制度廃止といいますか、縮小された後の市場におきまして、公正かつ自由な競争確保する、公正な競争秩序確保するということが重要でございますので、中小企業者等に不当な不利益を与える、例えば優越的地位の乱用といった行為あるいは不当廉売といった不公正な取引につきましては適切に対処していくということが重要だということでございまして、この点は本年三月に閣議決定をされました規制緩和推進計画の再改定におきましても、中小企業者等に不当な不利益を与える不公正な取引に対して厳正、迅速に対処する旨が織り込まれているところでございます。  私どもといたしましては、その事業者等からの相談に対応いたしまして、きちんと対応するということと各種ガイドライン、これまでもつくってまいりましたけれども、それをなるべく御理解といいますか周知をするといいますか、ということで違反行為未然防止を図るということを考えております。  なお、平成年度におきましては、審査局に不公正取引の事案を担当する部署を新設したところでございます。こういうことで、鋭意努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  14. 林芳正

    林芳正君 ぜひその方向でお願いいたしたいと思いますし、またこの不当な行為ということ以外に、我々は商工委員会でありますから、中小企業足腰そのものを強くしていくことを今度は我々の方で考えていかなければならない、こういうふうに思っておるところでありますが、今言われたように事前にいろんなガイドライン等で不当な行為がないようにするということにあわせまして、現在なかなか摘発されないのではないかということもあるわけでありまして、入札談合価格カルテル、また中小企業にとってどこまでが本当に摘発されるのかという難しい線引きもあるわけでございますが、現に行われております独禁法違反というのを積極的に摘発していってもらわなければならないということでありまして、その際、裁判所に私訴を認めてはどうかというふうに私は考えておるところでありまして、今独禁法については公取委に持って行って独禁法違反ですよと、こういうことを認定してもらわなければならない。裁判所に行って私人が相手方の私人に対して独禁法違反という訴訟を訴えるということはできないわけでありますが、地裁レベルでは民法七百九条違反ということで、七百九条の損害賠償認定等理由の中で独禁法もメンションした判決も出てきておるようでございます。この一般の方が普通の裁判所へ行くということを認めるということは、時間もかかるわけでありますけれども、その道が開かれているということで独禁法違反行為に対する抑止効果が強まるんではないか、こういうふうに思うわけでございますが、御見解をいただきたいと思います。
  15. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 今の民法規定あるいは独占禁止法の二十五条の規定等損害賠償請求の根拠があるわけでございますけれども、そういう裁判に対しては、御理解いただいておりますように私どもが保管している文書等についてはできるだけ提供して協力をするという立場をとっております。それから、また、いろいろな意見を求められたときには、私どもの方も意見裁判所に申し上げるということをやっているわけでございます。  そこで、これ以外に私訴を認めるかどうかというのはすぐれて立法問題でございますけれども民事訴訟法体系あるいは独占禁止法体系から私訴というのはどういうふうに認められるべきであるか、あるいは認められないものであるかということを少し私どもも、少しというかむしろ勉強して、その辺で意見をまとめたい、こういうふうに思っております。
  16. 林芳正

    林芳正君 ぜひ御検討を進めていただきたいというふうに思っております。  先ほどもちょっと触れましたけれども地元でよく聞きますのは、特に商店街が大規模店舗がどんどん入ってくるものですから結束も弱まってくるし体力も弱ってくるということでありまして、たしかフランスだったと思いますが、この大店法に相当しますロワール法というのをずっと規制を緩和してきたんですが、最近になって逆に少し強化を、開店時間等しているような動きもあるわけでございます。  商店街というのは御商売されているわけですが、一方で中心街の町の顔的なことがあるわけでございまして、この商店街が歯抜けになって、三つ四つ行きますと一つやっていない店があるということを見ますと大変に寂しい思いがするわけでございまして、今回の改正でその辺の目配りをどういうふうにされておられるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  17. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 今回御審議をいただいておりますこの一括整理法の中で、商店街振興組合関係でどうなっているかということでございますが、今回の改正におきましては、中小企業のみから成る商店街振興組合等につきましては独占禁止法二十四条、これは組合についての適用除外規定でございますけれども独占禁止法二十四条に規定する要件を備える組合とみなすということで、こういった組合共同経済事業独禁法二十四条によりまして独占禁止法適用除外となるということでございます。  他方組合員に大企業が含まれる商店街振興組合等につきましては独占禁止法適用除外の対象にはならないということでございますので、そういった大企業を含む組合におきましては独占禁止法の枠内で共同経済事業をやっていただく必要があるということになります。  商店街振興組合が現在実施している事業はいろんなものがあると思いますけれども、そういった共同経済事業の典型的なものとしては、スタンプ事業あるいは福引、大売り出しの実施あるいは駐車場共国運営、そういったものがあるというふうに承知しております。これは商店街振興組合あるいはその商店街自身が限定された地域に存在をする、それからいろんな業種の事業者から成っている商店ということでありますけれども、いろんな商品を扱うそれぞれの商店から成っている、そういう構成員から成る団体であるということでございますので、大企業組合員に含むといいますか、大企業も入っている商店街振興組合がこういった今申し上げましたような事業を実施する場合を考えますと、通常独占禁止法の枠内ということになるといいますか、独占禁止法違反ということにはならないんだろうと思います。  ただ、すべてそういうものはなりませんとまで申し上げるのは難しいと思いますが、通常はそういうふうに問題にならないのじゃないかという感じを持っております。
  18. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございました。  今回の改正の中には個別法に基づくカルテル廃止というのがあるわけでございますが、先ほどもなぜその個別法だけを先にやるのかということをお聞きいたしましたけれども、そこでお答えいただいたようなことでございますが、独禁法本体に基づく不況カルテルというものも維持する必要性というのが果たして残っているのかということでございますし、またもう一つ規制緩和競争条件の整備というものを重要視していこうという流れの中で、競争を促進していくという観点から見れば自然独占に係る適用除外というものもほとんど理由がなくなってきているのではないか、こういうふうに思いますが、その二点についていかがお考えでしょうか。
  19. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 独占禁止法本体規定されている適用除外のうちの不況カルテル自然独占関係についての御指摘でございますが、基本的にはなるべく適用除外という制度はなくしていく、なるべく個々企業が自主的に事業活動を展開する、そういう素地をつくるといいますか、独禁法関係の法制の中でもそういうことにするというのが適当だと思います。  不況カルテル関係でございますけれども我が国経済社会の抜本的な構造改革が進められているという状況でございますけれども、そういった中で不況という事態が出てきた場合にそれにどう対応するのか。そういった対応の仕方としては、不況カルテルといった競争制限的な方法ではなくて、より競争制限的でない手段によるべきものというふうに考えております。現在は独禁法不況カルテル制度規定されておるわけでありますけれども平成元年を最後に利用されていないということでございます。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたことの繰り返しで恐縮でございますけれども不況カルテル制度を含めて独禁法本体規定されている適用除外制度につきましても、ほかの法律に基づく適用除外制度とともに本年度内に具体的な結論を出したい。基本的な我々の考え方としては先ほど申し上げたところでありますが、そういった考え方に基づきまして作業をしたいというふうに考えております。  次に、自然独占についての適用除外の問題でございます。  独占禁止法第二十一条は、いわゆる自然独占に固有な行為についての適用除外を定めているものでございますが、その規定の趣旨は、事業法といいますか、法律によって定められた根拠といいますか、そういう根拠に基づく政府規制によって事実上独占が形成されている分野、事業につきまして、そういった独占的な地位あるいはそれに必然的に伴う行為であって当該事業に固有のものはそもそも独占禁止法禁止行為には該当しないということを確認的に規定しているものというふうに理解されまして、我々公正取引委員会としてはこの規定妥当性必要性について疑問があるというふうに考えております。  構造改革推進のために規制緩和競争条件の整備を一層進めるということが重要でございますので、この自然独占に関する適用除外制度につきましても、他の適用除外制度と同様に制度自体の廃止を含めて見直しの作業をしていきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  20. 林芳正

    林芳正君 ぜひその方向でお願いいたしたい、こういうふうに思うわけでございます。  今、禁止本体による適用除外についてお尋ねをいたしたところでございますが、もう一つ先ほど冒頭でお尋ねしましたけれども適用除外法による適用除外カルテル等制度があるわけでございまして、一条で、例えば損害保険料率算出団体に関する法律ですとか、漁船損害等補償法等いろいろあるわけでございまして、また二条でいろんな法律規定をされておられますが、この適用除外法については、法そのものの廃止を含めて抜本的に見直すということになっておるわけでございますけれども、この法にどのような問題があって、廃止を含めて抜本的に見直すということは、具体的にいつごろまでにどういうことが考えられておられるのかということについてお尋ねしたいと思います。
  21. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 独占禁止法適用除外に関する法律という、これも略称で申し上げましたけれども、その法律の問題といいますか、法律廃止を含めて検討をするということが閣議決定された規制緩和推進計画の中で盛られているわけでございます。  適用除外に関する法律というものは、先ほど申し上げましたように、独禁法の中で特別の法律で定めるということで、その規定に基づいて定められた特別の法律という位置づけでございますけれども、今先生がおっしゃったように、適用除外法は一条と二条から成っておりまして、第一条の方では特定の法令に基づいて行われる正当な行為適用除外にする、それから第二条におきましては、一定の団体等についての独占禁止法の第八条の規定適用除外する、こういう法律でございまして、三十二の制度規定されているところでございます。  先ほど申し上げたことの繰り返しが若干入って恐縮でございますけれども適用除外法独占禁止法第二十二条に基づきまして事業法令を指定するために独占禁止法の制定とほぼ同じ時期に制定されて、そのときは第一条だけでございました。昭和二十八年に独占禁止法改正が行われまして第二条が追加されたものでございますが、制定当初から考えますともう間もなく五十年、それから二十八年からでもそれに近い年月がたっているということでございますので、かなり年月がたっていると。それから、経済運営の基本ルールとしての独禁法の役割というのが非常に高まっているというふうに思います。  したがって、全体として適用除外制度はなるべく廃止、縮小していくという基本的な方向の中では、この適用除外法に定められている適用除外自体についてもその意義が失われてきているといいますか、抜本的に検討するという必要性があると思います。  それから、適用除外法廃止を含めて検討をするというのはどういう趣旨がということでございますけれども、この適用除外法は、先ほど申し上げましたように、一定の行為あるいは団体について包括的に適用除外されておりまして、独占禁止法あるいは個別法適用除外制度の中では通常つけられております適用除外となるための具体的な要件あるいは原則は適用除外だけれども、例外的に適用除外にならないという場合が規定されているわけでありますけれども、この適用除外法の中にはそういった規定がないというのが第一点。  それから第二点として、適用除外法の第一条と第二条の間に重複して規定されているもの、あるいは独占禁止法、これは協同組合に関する適用除外、一定の組合行為に関する適用除外規定した規定でございますけれども、それとの重複といいますか、そういうものがあるということでございまして、法制上もいろいろ問題があるということでございます。  したがいまして、適用除外法による適用除外制度見直しに当たりましては、この適用除外法に盛られた個々適用除外制度の存否といいますか、どうするかということを検討するということだけでなくて、適用除外法そのものの廃止をして、本当に適用除外が必要不可欠と考えられるものに限って個別に手当てするということも考えられるといいますか、そういう検討もする必要があるのではないかということで、適用除外法そのものについての抜本的な検討が必要だと、そういった趣旨でございます。
  22. 林芳正

    林芳正君 大変すっきりした答弁をいただきまして、おとといの質問のときと大分私も気分が違うわけでございますが、今のカルテルという制度を根本的に廃止していくということでございますけれども先ほど来何度か触れておりますが、特に中小企業にとっては大企業による不当廉売優越的地位の乱用等の問題に対抗できなくなるんではないかという懸念もあるわけでございまして、先ほどいろんなことを個別にお伺いしたわけでございますが、公正取引委員会としてこういうことに対して厳正に対処をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、その点についていかがでございましょうか。
  23. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) お答え申し上げます。  規制緩和後の市場におきまして公正な競争推進していくということが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございまして、中小事業者に対しまして不当な不利益を与える大企業による不当廉売とか、あるいは優越的地位の乱用行為などのこういった不公正取引に対しましては厳正に対処していく、こういったことが非常に重要である、このように考えております。  先ほど塩田の方からも答弁申し上げましたが、規制緩和推進計画におきましても、中小事業者等に不当な不利益を与える不公正な取引方法に対して厳正、迅速に対処すると、こういう旨が盛り込まれているわけでございます。  また、私ども所管しております下請代金支払遅延等防止法におきましても、この法律も活用しながら、親企業が下請事業者に対して不当なしわ寄せをする、あるいは支払いを遅延するというような問題につきまして、こういった法の運用を通じましても大企業による中小企業者に対する不当、不公正な取引方法について十分対処してまいりたいと思っております。  また、事業者からの相談にも適切に対応するというようなきめ細かい対応をするとともに、先ほど来お話が出ておりますようなガイドラインの周知徹底等によりまして違反行為が起こらないようにするということ、違反行為が起こったら厳正に対処すると同時に、車の両輪として未然防止ということに徹底していくということが重要である、このように考えているわけでございます。
  24. 林芳正

    林芳正君 ありがとうございます。  日本の場合、特に中小企業地方に、大企業が都会にという構図がございますし、垂直的な関係と申しますか、今まさにおっしゃっていただきましたように、下請という言葉にあらわされますように支配的な関係が非常に強い風土もあるわけでございますから、ぜひ弱者といいますか、中小企業の立場に立って、本当に独禁法がきちっとその趣旨が生かされて適用されますことを最後にお願い申し上げまして、予定していた質問も終わりましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  25. 片上公人

    ○片上公人君 今回提出されました法案は五省庁にまたがる二十の法律、三十五の制度を一括して整理しようとするものでございますが、それぞれの法律が対象としている制度の内容とか現状は、所管している各省庁がこれは本来ならば本委員会でつまびらかに説明せぬといかぬのじゃないか、わかりようがない、こうも思います。今回一括して提出したことにつきまして、公正取引委員会はどのように考えておるのか、委員長の見解をまずお伺いしたいと思います。
  26. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 私も、確かに委員の御指摘のように、そういうふうに思います。  各省庁からしかられると思いますけれども、やはり各省庁が所管しているものでありますから、御説明するのが至当だと思いますけれども法律の内容自身が割に単純であるというようなことがございまして、便宜私どもの方で各省庁にそれぞれ事情をお伺いして、これは必要がないという判断のもとに一括して取りまとめて御審議を仰いでいる次第でございますので、まことに恐縮でございますが、そういう見地でひとつ御審議いただければありがたい、こういうふうに思っております。
  27. 片上公人

    ○片上公人君 それで、今回公正取引委員会から独占禁止法にかかわる二つの法案が出されたわけでございますね。ところが、その経緯というのはもう全く対照的である。先に当委員会審議した純粋持ち株会社の解禁にかかわる独占禁止法改正案、これにつきましては、公取の研究会の当初案が一部解禁であったものがわずか数カ月で原則解禁というふうに大幅に変更されたと。当委員会でもいろいろ質問が出て、独禁政策の産業政策的見地からの軌道修正と、このような話がありました。  一方、きょう議題になっておる独禁法適用除外見直し法につきましては、過去において産業政策的見地から修正されたものを本来の軌道に修復する、こういうものでございますけれども公正取引委員会の研究会が平成元年でしたか、最初に報告をまとめてから数年たってこの法案の提出になっている。何でこんな差が生じたかということをお伺いしたいと思います。
  28. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) お答えを申し上げたいと思います。  適用除外制度のあり方といいますか、あるいは適用除外制度に基づいて実施されているカルテル、こういったものについてどうするか、これは従来から公正取引委員会もあるいはそれ以外の例えば行革委とか何かそういうところでもいろいろと検討されていたわけでございますけれども、なぜ今回のような形で廃止をする等の法律案の作成に時限がかかったのかという点について、若干経緯といいますか背景を御説明させていただきたいと思います。  独占禁止法適用除外制度は、先生御承知のように、現在、実際には活用されていない、つまり実際の運用としてカルテル等制度が動いていない、活用されていないというのがほとんどでございますけれども平成年度末の時点までさかのぼってみますと、私ども個々法律個別法規定の中で協議の制度ということで私どもが知り得る立場にある適用除外制度によるカルテルの実施の件数は平成年度末で二百六十五件ございました。私どもといたしましては、こういった実際に活用されているといいますか、実施されている適用除外カルテル制度が多数に上っていたという状況にかんがみまして、関係省庁に対しましてまず実施していることをやめるといいますか、廃止をするといいますか、それを働きかけるということとあわせて制度自体の見直しということをやってきたわけでございます。  したがって、現時点では実施されている件数がほとんどない。たしか私の記憶では、私どもが把握しているものは二件だったと思いますけれども、そういうことで実際のカルテルの運用をやめるということに重きを置き、あわせて同時並行的にその制度見直しを行ってきたということでございます。  平成七年三月の規制緩和推進計画の中で、個別法適用除外制度について原則廃止するという観点から検討をしようということになりまして、それ以前から検討はしておりましたけれども政府全体として閣議決定という形で取り上げたということでございます。それで、その見直しの結果に基づきまして、今回個別法関係につきまして一括して改正をお願いするということでございます。
  29. 片上公人

    ○片上公人君 いろいろお話ありましたけれども、各省庁が持っておるのを大したことないから今回あれをするみたいで、大したことないものをいつまでも持って、なかなか言っても出せへんというようなこの姿勢に対してもうちょっとびしっと言えるようにならないかぬなと私は思っております。それでいて純粋持ち株会社やったらさっさと、各省庁といっても通産省が一番頑張ってやれやれ言うたけれども、それだったらすぐやるというようなことについてやっぱり若干みんな疑問を持っておることは事実であるということを申し上げておきます。  公正取引委員会競争政策の促進を掲げておるわけですが、今までの経緯を見ますと、いささかその姿勢は消極的ではないかという意見もございます。公正取引委員会競争政策のかじ取りが揺らいでいるようでは、独禁法適用を受ける企業側も法を遵守する姿勢はとれないと思う。公正取引委員長はどのように思っていらっしゃるのか。
  30. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) いろいろ御見解があるわけでございますが、私も途中入社でございますので、余りこれということを申し上げる素地はないわけでありますけれども、極めて評論家的に申し上げて恐縮ですけれども、やはり日本の経済の仕組みというのがもうだんだん時代を経て変わってきたというのが一つであろうと思います。  といいますのは、戦後、アメリカ中心とする連合国軍が参りまして、独占禁止、財閥解体という旗印で独占禁止法ができたわけでございますが、講和条約ができましてからはやはり日本の産業を強くするということで産業保護政策がずっととられてきたのでございます。そのころは、公正取引委員会というのは社会の片隅にというか、そういうところにおったわけでありまして、そういうことであったんですが、四十年後半の石油ショックを契機としまして、やはり消費者保護あるいは商社の横暴というようなことを言われまして、そして公正取引委員会がフットライトを浴びてきたというようなことでありますし、昭和六十年代になると、アメリカからの経済構造協議ということで自由経済ということが叫ばれてきまして、やはり公正取引委員会の任務というのは非常に重くなったというようなことで、経済社会自身が変わってきたということで、それに対する公正取引委員会の地位の変化というのは当然あろうかと思います。  そういうことで、最近は規制緩和、自由競争ということが声高に叫ばれてきました。そこへやはり公正取引委員会の使命の重要性ということがその裏腹に言われてきたわけでございますので、その辺から少し社会についていけなかったという点は確かにあろうかと思います。これからはそういう社会の情勢にやはり相応しまして、我々も自分の力をつけて、そして経済社会に即応していかねばならない、こういうふうに思っております。
  31. 片上公人

    ○片上公人君 今回の法改正で見送られました適用除外制度につきましては、本年再改定された規制緩和推進計画におきまして九年度末までに具体的結論を得ることになっていると聞いています。個別の適用除外制度につきましては、その存否を検討することはもちろん必要でございますけれども、まずは独禁法適用除外という制度自体についてどのように考えておるのか、公取委の見解をここで明らかにしていただきたい。今までの経緯を思いますと、時の産業政策によってまた適用除外制度がふえることも考えられる。今後は公取委の方針として断固として適用除外を認めない方向で対処するのかどうかもあわせてお聞きしたいと思います。
  32. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 独占禁止法本体規定されている適用除外制度見直しについての御質問でございますけれども、この独占禁止法本体規定されている適用除外制度につきまして、これまで平成七年三月、平成八年三月の規制緩和推進計画の中では、引き続き検討するということとされていたわけでありますけれども、今回ことしの三月に再改定されました規制緩和推進計画におきましては、適用除外法に基づく適用除外制度とともに独禁法に基づくものについても、「適用除外となる行為及び団体の全範囲について、制度自体の廃止を含めて見直し平成年度末までに具体的結論を得る。」ということにされたわけでございますので、見直し方向性及び期限が明確にされたところでございます。  公正取引委員会としては、この方針に基づき、できるだけ適用除外制度廃止、縮小する、必要性等を検討もしながら、基本的にはそういうことで対応していきたいというふうに思っております。  現在、現行の法律により規定されているものについての考え方はそういうことでございますので、今後の新たな問題についての考え方も、基本的には今申し上げたところに従って検討するといいますか、対応するということになろうかと思います。  それから、ちょっと先ほどの答弁を修正させていただきたいと思いますが、現在実施されているカルテル等の件数、平成年度末で二件と申し上げましたけれども、ちょっと私、別なケースを見てしまいまして、八年度末では十二件でございます。訂正をさせていただきたいと思います。恐縮でございます。
  33. 片上公人

    ○片上公人君 今回見直される適用除外制度は、先ほどから話があるけれども、現在使われていないだけでなく、過去一度も使われた実績のないものもあるわけですけれども、例外というのは一度設けると既得権益として維持される傾向があるわけです。不必要な適用除外制度がいつまでも存続するという事態を防ぐためには、絶えず利用実績とか存続の理由妥当性、そういうものを検討する必要があると思いますけれども、公取の取り組みの姿勢をお伺いしたいと思います。
  34. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 今回、個別法に基づく適用除外制度、それから独占禁止法本体あるいは適用除外法に基づく適用除外制度について全体的に見直そう、抜本的に見直そうという作業をしているわけでありますけれども独占禁止法適用除外制度につきましては、やはり自由経済体制下における例外的な制度でございますので必要最小限にすべきだということで、先生御指摘のとおり不必要な制度がいつまでも継続することのないよう、私どもとしては残された適用除外制度につきましてその必要性あるいは妥当性を継続的に把握をするといいますか、検討をして見直してまいる、そういうことが必要であるというふうに考えております。
  35. 片上公人

    ○片上公人君 今般、総理主導の行政改革の一環といたしまして省庁再編が検討されているわけですが、公正取引委員会はそういう中でどのように位置づけられておると思うのか。本法律案の提出の経緯を見ましても、公正取引委員会の調整能力を強化する必要があることは明らかでございます。競争政策を強力に推進するために、公正取引委員会に各省との調整を行うといったときの対応でございますけれども競争政策局を設置するというような機能強化方向検討されているのかどうか、委員長にお伺いいたしたいと思います。
  36. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 昨年でございますが、公正取引委員会事務総局が認められました。また、ほかにも局が認められました。  そういうことで、公正取引委員会も役所らしいといいますか、いい意味で役所らしくなってきたと、こういうふうに思っております。こういう御理解を賜っているところでこれ以上さらに申し上げるのも恐縮でございますが、やはり今の政府方針というのは、行政の効率化を図るということと、それから行政の肥大化を防ぐということでございますので、スクラップ・アンド・ビルド、要するに家でいえば、改築は認めるけれども増築は認めないという姿勢、方針でございます。  そこで、私どものような小さな役所で、例えば先ほど申されました局を設けるといたしましたときに、何かやはりつぶさなければならない。これが非常に大変な話でございまして、この前、事務総局が認められたときも地方事務所を支所にした、あるいは本省の政令官署か省令官署が、その程度の官職をスクラップにしたというようなことで、一つお認めいただくのも非常にありがたいんでありますが、一つを片一方でつぶさなきゃいけないというのは非常につらいところでございます。  こういう小さな役所では少し例外をお認めいただきたいなというのが本心でございますが、おっしゃるように、これから公正取引委員会がいろいろ活動していくためには、やはり研修機関とかシンクタンクとかそういうことも必要でありますし、悩みは尽きない、欲望は尽きないというところが現状でございます。
  37. 片上公人

    ○片上公人君 さきの持ち株のときも話が出ましたけれども、いわゆる国際競争がだんだん激しくなって、日本の市場をほんまに生き生きしたものにするためには何かしなければいかぬ。そういう中で、やっぱりいわゆる公正な取引ができるようにという意味の公正取引委員会の本来の力を発揮するときが私は来たと思うんですよね。それに対応する機構とか体制とかいろんな人材とかいうのを今確保しなかったら、せっかくこういう動きがある中でそれをやらなかったら、また日本だけ何でおくれとるんやという形で世界からえらい目に遭うようなことになってはいかぬと思う。  私は、この今の大きな流れで人をふやしたらいかぬとかなんか言うけれども公正取引委員会はむしろ日本をよくするためにもっと充実させるのが本当の姿勢やと思うんですよ。もう審議会とかなんかでもつくったらいいとか悪いとか、いろいろあるが、あかんのはやめて、必要なのはやるというのは、この間からこのお方も一生懸命言っていましたけれども、私はそのとおりやと思います。その辺を硬直的に考えておる考え方を直すのが日本の復興になると思うんですね。  そういう中で、今回、根來委員長という検察出身の公正、厳正をモットーとして生きてきたそういう人物が公取の委員長になったということは、私は期待ができると思うんです。それで、根來時代に本当に公正取引委員会が見事な働きができるような体制をつくって、ああ、あの根來がおったから日本はよくなったと言われるようになってほしいなというふうに思うんです。  何でこういうことを言うかといいますと、大体大蔵省が偉そうにしておって、公取にちょいちょい委員長で来て、嫌々来たみたいな顔をしておりながら、それだったらやめたらいいのにじっとおったりして、それから今度はどこかへ帰ったときに、公取のあの独占禁止法はおかしい、おれもおかしいと思ったというようなことを言うた男もおるそうですが、そういう人が出ぬように私はしなきゃいかぬと思う。思い上がったらいけないと思うんですよ。だから、そういう点では、何かの雑誌で見たけれども、これはうそか本当か知りませんよ、根來さんなんかほんまはこれにならぬ方が収入がよかったらしいんやけれども、そんなふうな話を聞きましたけれども、それは余り言えませんけれども。  私は思うんですが、何とか公取の機構を、ただ役所関係云々じゃなしに、日本の将来のために、先ほども御質問ありましたけれども、やっぱり本当に公正な取引ができるようにするための最低限の機構とか人員をそろえるために、私はほんまに一生懸命みんなが協力してやらなきゃいかぬと思う。それをすることがいろんな今の世界に対応できる日本の最大の武器だと思うんですよ。  この辺について、例えば根來さん時代に必ず公取の委員長はよそから来るというのをやめさせるようにしなければいかぬし、もともとおる人で勉強してすごいやつが委員長になるとか、それでまた公取の職員が余り優秀なので大蔵省にも通産省にもどんどん派遣して長官、局長になるというような形にするぐらいに私はやってほしいと。そして、日本じゅうの学生がどこか試験を受けるときは公取に行きたいと言われるようにしてほしいなと、そういうふうに思うんですが、根來委員長の決意等をひとつお伺いしたいと思います。
  38. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これは本当に御理解あるお言葉をちょうだいして恐縮であります。私のことに関してはただ汗顔赤面するだけでありまして、これは、もうおっしゃったことは全然当たらない話だと思いますけれども、歴代委員長もその出身省庁を離れて一生懸命やられたことは、ちょっと今のお話とは違うと思います。私も力はありませんけれども、職員を叱咤激励と言うと思い上がった話ですけれども、また違う見地からいろいろ提案いたしまして、全般的に御期待に沿えるとは全く思いませんけれども、なるべく少しでも沿えるように努力したいと思います。
  39. 片上公人

    ○片上公人君 先ほど林先生から話もありましたけれども、今回のこの法律案の中でやはり心配されるのは中小企業関連、いや中小企業のことが非常に心配だと思います。独禁法適用除外制度見直しに当たりまして、今後は、公正取引委員会適用除外をできるだけ認めない方針であるようでございますけれども競争的弱者である中小企業につきましてもこれは認めない方針なのか。  中小企業安定審議会が今回の法改正見直しにつきましてまとめた報告書によりますと、中小企業については適用除外が認められる今日的意義があるとされております。また、中小企業団体側からは制度存続の要望も出ておるようでございますが、公正取引委員会はこれについてはどのように受けとめていらっしゃるのか。独禁法本則の優越的地位禁止等、不公正な取引方法の禁止などで十分対応できるのかどうか、まず公取の意見をお伺いして、中企庁もこの件について答弁願います。
  40. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 適用除外制度見直しの基本的な考え方は、先ほど来何度か申し上げましたように、なるべく独占禁止法の原則といいますかルールに戻るということで、極力廃止、縮小するということが適当だと思いますけれども、ただ、それは何の理屈もなしに、あるいは検討もなしに全部廃止だということではございません。ここはそれぞれの制度といいますか、適用除外制度の対象、中身あるいは必要性、あるいは制度がつくられた当時と現在の経済状況との差、そういったものを勘案しながら、基本的には、先ほど申し上げましたように、なるべく廃止をする、縮小をするという方向でありますけれども、そういった具体的なことを踏まえながら、私どもだけではなくて各所管官庁等と議論をして、今回の改正法案をお願いするまでに至ったわけでございます。  中小企業団体の中団法の関係あるいは商店街関係、また中小企業庁の方に御質問がございましたので、内容は私から申し上げるのは差し控えますけれども、全部を廃止するということではなくて、極力縮小をする、廃止をするという方向の中で、適正な見直しを行ったと、そういう内容になっているというふうに思っております。
  41. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) お答えを申し上げます。  私どもの立場からまいりましても、経済あるいは産業の社会におきますさまざまな問題の対応につきまして、市場原理というものを可能な限り活用するということが基本であるというふうに考えておるところでございまして、政府による規制緩和推進計画におきましても、こうしたカルテルのようなものを原則廃止する観点から見直しを行うということとされまして、今回見直しの作業を進めさせていただいたわけでございます。  しかしながら、この見直しに際しましては、中小企業というまさに規模の小ささの持つ経済全体の中での地位という、それをめぐるさまざまな問題というものに配慮をする必要があるわけでございまして、そういう観点から、見直しに際しましても必要最小限規定は存続をさせることが必要であるという結論を得たわけでございます。  具体的には、商工組合などが行いますいわゆる不況カルテル、それからいわゆる合理化カルテルにつきましてはカルテル本体に関する規定を残すと同時に、必要最小限のいわゆるアウトサイダー規制命令というものを、安定命令でございますが、存続させるということにいたしたわけでございます。  また、商工組合などが行います共同経済事業というものにつきましても、中小企業に関するものにつきましては独占禁止法適用除外を維持するということで御提案をさせていただいているわけでございます。
  42. 片上公人

    ○片上公人君 最後になりますが、この法案によりまして商店街振興組合法の一部を改正して、商店街振興組合が行う共同経済事業につきましては、中小企業のみから成る組合についてのみ独禁法適用除外とすることに改められることになるわけですが、このような商店街は全体の何割程度を占めておるのか、中小企業庁に伺いたいと思います。  また、商店街は現在大変空き店舗が増加しておる、衰退の危機に立っておると言われております。折から大規模小売店舗法の見直しも始まっておるところでございますが、商店街振興組合が行っている共同経済事業には、駅前の大型店と商店街が共同して、先ほど話がありましたスタンプ事業とか共同大売り出し、さらには駐車場の整備などを行っているものも多いわけですが、今後こうした事業独禁法適用を受けることになると思いますけれども、どのような事業なら認められるのか、明確にしていただきたいと思います。  特に、私の地元の神戸は、阪神大震災で商店街が壊滅的な打撃を受けておるわけでございますが、現在さまざまな共同事業を行いながら、必死で立ち上がろうと奮闘しておる最中でございます。独禁法適用に当たっては、商店街の必死の自助努力を抑制しないようお願いをしたいと思います。  これは中企庁と公取の両方から答弁をお願いして、質問を終わります。
  43. 篠原徹

    政府委員(篠原徹君) 御指摘いただきました第一点の、大企業組合員に含みます商店街振興組合の割合でございますけれども、残念ながら必ずしも正確なデータは持ち合わせいたしておりません。ただ、平成年度の日本商工会議所が行いました調査によりますと、大型店が存在します商店街の割合は全体で約四割というふうになっております。  ただ、先生御承知のとおり、大型店が存在します商店街でございましても、組合に大型店が必ずしも加盟しているというわけではございません。この点につきまして、やや古いデータになりますけれども、別途行いました調査によりますと、大型店が存在します商店街のうち大型店が組合に加盟しております比率は約七割というふうになっておりまして、したがいまして、この二つのデータから推測されますことは、大型店を組合員に含みます商店街の割合は約三割程度というふうに推測をいたしております。  それから第二点の、今回の法改正によります大企業組合員に含みます組合への影響でございますが、御指摘のとおり、今回の改正に伴いまして、大企業組合員に含みます商店街振興組合が行います共同経済行為につきましては、独禁法適用を受けることに相なります。  しかし、商店街振興組合は、御承知のとおり限定された地域を対象に存在いたしておりまして、また異業種から構成される団体でございます。また、やっております共同経済行為の内容でございますけれども、買い物袋を共同購入いたしましたり、あるいは一斉大売り出し等のイベントを開催いたしましたり、あるいはスタンプだとか福引事業を行っておりましたり、あるいは共通商品券の発行だとか、あるいは休業日、営業時間を指導いたしましたり、あるいは商店街皆さんでアーケードだとか駐車場等を整備する、こういった事業内容でございます。したがいまして、そもそも商店街振興組合の共同経済行為といたしましては、独禁法に抵触する事業が行われる蓋然性は小さいものというふうに私どもは認識いたしております。今申し上げましたような商店街振興組合あるいはその共同経済行為の性格にかんがみますと、今回の改正によりまして私どもは特段の影響は生じないものというふうに考えております。特に、組合員に対しまして強制力を伴うようなことを行いましたり、あるいは差別的な取り扱いがあるという場合は別ではございますけれども、現在一般的に行われております商店街振興組合の共同行為事業につきましては、今回の改正によりまして実施できなくなる事業というのはないというふうに考えております。  以上でございます。
  44. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 先ほど来御説明いたしましたように、これまで以上に独占禁止法に定められた各規定あるいは私どもが所管しております下請法等を十分に活用いたしまして、中小企業者あるいは商店が不当な不利益をこうむらないようにこの上とも努力するつもりでございますので、御叱正をお願いしたいと思います。
  45. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 私は、この法律案については賛成であります。だから、余り言うことはないのですが、また時間が十分でありますので、この前、十分の間にほとんど答弁で時間を消費されましたので、できるだけ簡単に答えてください。  この法律案ができるまでの流れというのは、非常にアメリカを初めとする外圧が、日本の公正取引委員会のあり方に対する圧力がある。また、規制緩和や行革の流れで昨年の三月二十九日にこの方針閣議決定をされました。その流れの上からこの法律案ができたという経緯については十分承知をしているわけであります。  ただ、説明を聞きましたときに、一瞬やっぱり疑問に思ったのは、適用除外カルテルの実施件数が昭和四十年末は千七十九件あったものが平成九年三月末には十二件に減少している。その状態が刻々と変わっているにもかかわらず、大きな方針閣議決定されて、そしてこれがまとまってくるという、いわば行政、公取の後追い的な対処の仕方について疑問を持ちました。  やはりこれ仕事ですから、よそから決められて、そしてそれをもとに動くんじゃなくて、一番よく知っているその部署部署がやはり能動的に対処をしていくという仕事の姿勢というのを基本的に持ってもらいたいなと、このように思いました。  何かありましたら、感想を聞かせてください。
  46. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 先生おっしゃるように、独占禁止法あるいはそれに関連する制度のあり方について公正取引委員会が自主的に検討といいますか方向を出して活動をする、そういうことが大事だということは先生御指摘のとおりだと思います。  今回の一括法関係適用除外見直し関係でございますけれども、この適用除外制度のあり方について、我々公正取引委員会におきましても従来からいろいろと検討し、考え方を出してきたということでございます。そういうもの、それから行政改革審議会その他の御意見等もございます。そういったいろいろの積み重ねを経た上で、平成七年の規制緩和推進計画ということで政府としての方向性が打ち出されたというふうに我々は理解しておりますが、先生御指摘のように、公正取引委員会はもっと積極的にあるいは自主的に活動せよということは、おっしゃるとおり我々としてもそういう方向努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  47. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 先ほど前の先生方からお話がありましたように、これは話は変わりますが、公正取引委員会というのは正義の味方といいますか、我が国の民主的な経済秩序を維持し、また民主的な経済秩序を発展させていくためにも私は最も大事な部署だろう、このようにずっと思ってきました。しかし、流れる傾向からいきますと、巨悪は眠るという、巨悪にはなかなかメスが入らないで、どっちかというと小さな事件やそういうものにはぽんぽんと適用してきているような傾向が感じられてきました、率直に言いまして。  例えば証券問題が発生したときに、これは公正取引観点からもおかしいじゃないか、一部の預金者には損害を払い戻すが、一般の投資家は放置をしておる。こういう問題がありまして、当時の小粥公取委員長、これは大蔵省から来ておりまして、私も商工委員会か何かの委員会で随分厳しく、何をしているんだということで指摘をした。やりますやりますと、こう言ったけれども、これはもうほとんど印象に残るようなことがないままずっと来たように今思い出します。  それで、そういうこともあり、我々としても公取の委員長はそういうような立場から来る者は反対だという態度をずっと貫いてきまして、根來委員長は、しかしこれからが問われると思いますが、これまでは皆さんからお話がありましたように私は非常によかったと思っております。そして、最近の公取の取り組まれている状況もずっと新聞等で拝見しても、よくやっているんではないか、正直このように思っております。  ただ、巨悪は眠らしちゃいけないと思うんですが、三月九日の新聞等に非常に大きく報道されましたが、関西、近畿、ここらの土建業者百五十六社談合という、平島という談合屋の親分が公取に持ち込んだという事件でありますが、これはもう大体国会議員の先生方は地元のことを全部知っていますから、常識なんですよ。やっているんです、やっていると思います。しかし、逆に言うと、また不当廉売みたいなものもあるんですね。とるために今度はただか一円かで入札なんという、後々のことを考えて。そういうこともありますし、やはり一概にいいとか悪いとかという問題を超えたものがある。  ただ問題は、やみの世界で実体を動かしているというような状況はもう本当にどうかならないかと、みんなそう思っておるわけです。だから、できればこれに対する公取の、関西の談合問題で公取も非常に関心を寄せられているというのを聞いておりますが、一つの例で申しわけないが、この問題について大体の取り組みの姿勢を伺って、もう時間がないから終わりたいと思います。
  48. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) ただいま関西の談合事件について御指摘がございましたけれども、これは御本人がマスコミに対しても言っている話でございますので、私どもも報告を受けたとか受け付けないとかいう話を隠すつもりは全くありませんが、そういう申告があったことも事実でございますし、また申告の後にその申告を取り下げたといいますか、そういうことも事実でございます。  御理解いただきたいのは、これは委員会意見あるいは公正取引委員会事務当局の意見ということと離れまして、若干私の私見みたいなことが入りますので御了解いただきたいのでありますけれども、今の独禁法で認められている立入検査権というのは極めて弱いものがございます。これは国税犯則取締法などと違いまして、裁判所から令状をとって、それで強制捜査をするということもございません。それから、告発親告罪になっておりますので、検察庁あるいは警察と共同で調査をするということもできません。そういうふうないろいろの問題がございます。ですから、相手方の御協力を得ないと動きがとれないという一つ法律上の問題がございます。  ですから、私は個人的に思いますのは、やはりこれから公正取引委員会が役所の性格を変えていくといいますか、先ほど来御指摘がありましたように事後審査の方に傾いていくというならば、その辺を手当てしないと、今の立入検査、これは四十六条で認められておりますけれども、任意の調査ではとても御期待にこたえられないというのは事実であろうと思います。ですから、これはきょうあすという、あるいは来年というようなスパンじゃないと思いますけれども、この辺は十分考えまして、そういう制度の整備ということ、あるいは告発を親告罪にしていいのかどうかという問題、あるいはこれは検事総長に告発するという話でありまして、これは極めて重い取り扱いをされているわけでございます。そういうふうな重い取り扱いをされているようなこと。  それから、一番つらいのは、端緒を得るということが難しいわけでありまして、組織の内部からいろいろ通報をもらってそれを頼りにやっているということでございまして、こういうのをもう少し端緒を得る方法はないかということも考えました。これは警察とか検察庁とか法的に端緒を交換する制度を整備しないといけないなというふうに思うわけでございまして、この手段の点についていろいろ思う点がございます。  しかしながら、現在認められている四十六条の立ち入りあるいは本人からの事情聴取というようなことで、今事務職員が大変苦労してやっているわけでございまして、そういうことで横から見られた場合、何だ、小さい事件ばかりやってという御批判はあろうと思いますけれども、泣き言を言うわけじゃありませんけれども、そういう事情がありますことをひとつ十分頭のどこかに置いていただければ非常にありがたい、こういうふうに思っております。  ただ、一般的には厳正に公平に全力を尽くしてやるということでございますので、御了解願いたいと思います。
  49. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 一昨日、持ち株会社の問題で禁止法の改正を議論しましたので、今回の改正、比較的議論の少ない改正だろうと思いますが、それだけに中身がよくわからない部分があるんですね、はっきり申し上げますと。ちょっといろいろと教えていただきたいというふうに思います。  先ほど梶原先生からの御指摘もありましたけれども適用除外カルテル適用件数が昭和四十年には千七十九件あった。今は十二件。百分の一ぐらいに減っているんです、なぜなんだろうと。一つは、当時のこういうカルテル適用条件のいわゆるバックグラウンドといいますか、環境が今とは確かに昭和四十年当時ですから違うのかなと。そういう意味では、私はこの制度そのものの目的が達成されたというふうに考えていいのか、あるいは別な視点から、つまり規制緩和という大きな流れの中で、条件はそう変わっていないけれども、もうこういうやり方はやめるんだということなのか、どちらの方がそのウエートが大きいのか。そのことによって後々に対する影響というのが違ってくるわけですから、まずその辺について、利用実績というのが実際に下がってきた理由、背景についてお聞きをしたいと思います。
  50. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 先生御指摘のように、適用除外カルテルの実施件数というのが、四十年だったと思いますが非常に多きを数えて、現在は非常に少なくなってきているということでございます。これはどうしてそういうことになったのか、なかなかその原因といいますか明確に分析をするということは難しいと思いますけれども幾つかの要因を挙げることができるのではないかなという気がいたします。  一つは、こういったカルテルをやって例えば不況に対処しようということでございますけれども、当時はかなり同じカルテルを長い期間続けてきているというものもございました。結局、不況に対応するということは、そう長い期間その不況カルテルのようなあれで対応するということを多分制度そのものとしては想定していなかったのだと思いますが、一度そういうことを実施しますとなかなかそれをやめられない。例えば設備制限その他でずっと来てしまった。ただ、それをやっても、結局その問題を解決するには至らないという状況があって、そういうことを業界といいますか事業者の方々も、あるいは所管官庁の方々も明確に自覚された。そこで、こういった競争を一時的に制限するような形での対応ということではなくて、それ以外のむしろ市場メカニズムをより一層使って対応する、そういうことが必要ではないか、適当ではないかということが基本的には一番大きいのかなという感じがいたします。  それとあわせて、国際的な取引関係といいますか、例えば不況でカルテルをやろうとしても輸入をとめるというわけにはなかなかまいりませんので、そういうことで国際的な対応ということを考えると、なかなかそういうのも実効が上がらなくなってきているということがあろうかと思います。  そういうことで、千件余もあったものが減ってきたということはそういったこともありますし、私どもも、それから主務官庁の方々も、こういった例外的な制度を活用するというのはなるべくやめようではないかという意識になってきたのかな、そういう点もあるんだろうと思います。  したがって、そういうもろもろの要因、今申し上げた三つの要因以外にもいろいろあろうかと思いますけれども、多分そんなふうに整理できるような気がいたします。  それで、現時点で考えますと、そういったこれまでのあれに加えまして、現在は国際化といいますか国際的に開かれた市場にする、それから規制緩和を進めて各事業者が自主的に行動できる範囲をより一層広げようということであります。そういう中で、独禁法適用除外制度もあわせて検討をする必要がある、そういうような現時点での適用除外制度検討必要性ということの背景のあれだというふうに思います。
  51. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 なかなか個別の問題をちょっとお聞きしないとわかりにくい部分があるんですが、例えば今度のあれでは、独禁法の二十四条三項あるいは四項のいわゆる不況カルテルあるいは合理化カルテルについては今後引き続き検討ということで実は先送りをされているんですが、これとても、例えば不況カルテルの方は実際の適用平成元年からないとか、あるいは合理化カルテルの方も昭和五十七年からないとかというケースがあるわけですね。今の局長の話を聞いていまして、ならば今これやめちゃってもいいんじゃないかという声も出てきそうな気がするんです。  ですから、具体的にどういうケースに対してこれが適用されて、今現在はないけれども、これから先あるかもしれないから今すぐにやめられないということなのか、あるいは別な意味でそれを先送りをして議論するということなのか。その辺が明確になりませんとちょっとわかりにくいですね、はっきり申し上げて。その辺、もし事例やなんかありましたらそういう事例も話していただくとわかりやすいので、ぜひお願いをしたいと思います。
  52. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 独禁法不況カルテルあるいは合理化カルテルといった制度について、これからの検討ということになっている背景といいますか経緯でございますけれども先ほどもちょっと申し上げたと思いますけれども独禁法適用除外カルテル等制度を設けている、制度といいますか法律としては三つのタイプがあると思います。  一つ独占禁止法本体にあるもの、それから独占禁止法適用除外に関する法律で定められているもの、それから個別法、今回お願いしているものでございますけれども個別法による適用除外制度でございます。これを全部一緒にといいますか、適用除外制度ですから本来的には一緒に検討するということも考えられるわけでありますけれども先ほどもちょっと申し上げましたように、個別法によるものはこれまでのつくられた経緯等から見まして、同じく適用除外という独禁法の例外ではございますけれども例外性の強いものでございます。そういうことから、まず個別法によるものを検討しよう、その後に独禁法あるいは適用除外法についての適用除外制度のあり方といいますか、見直しをするというスケジュールといいますか、にしたわけでございます。それがよかったのか悪かったのかということはありますけれども、我々としてはそういう段取りでやろうということで進めてきたわけでございます。  したがって、不況カルテル合理化カルテル等の独禁法に定められている制度につきましても、その制度必要性、先生おっしゃるようにもう昭和六十年代以降は使われていないわけでありますから、そういった、なぜ使われていなかったのか、あるいは使うことについての問題、あるいはそのメリット、デメリットいろいろあるんだろうと思いますけれども、そういったことも含めてこれからこの一年、一年をかけてというとちょっともう時間がありませんけれども、今年度末までに各種制度につきまして検討をして方向を出したいというふうに考えております。
  53. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 そこで、通産省の方にちょっとお聞きをしたいんですが、今度の個別法の中の適用除外で通産省関係もございますね。私、この内容をヒアリングの際にお聞きをしておりまして、なるほどなと思う反面、例えば加入命令ですか、一回も適用がなかったというお話です。あるいは設備の新設についての制限命令についても極めて少ないというふうにお聞きをしているんですが、そうであれば、確かにこれからのことを考えれば廃止をしてもいいのかなと思う反面、これはこういう言い方がいいのかどうかわかりませんが、抑止力という言葉があるわけですね。何々をしたらこういうことで罰せられるから、あるいは何々をされるから例えばその商工組合に入るとかね。つまりアウトサイダー規制なんですね、これは。もしこれがなくなった場合にそんな心配はないと言い切れるのかどうか。まだ少し別なあれが残してありますよというお話はお聞きをしましたけれども、その点が実は心配なんです、私は。  後の方の問題もあわせてちょっとお聞きをしておきたいんですが、例えば大きな問題になっていました例の一円セールとかあるいは五円玉セールとかというのがございましたですね。たしか電機商組合連合会からもいろんな審査の要求やなんかが公取さんの方へ出ていると思うんです。何度か出て、さまざまな調査やなんかされたというお話も聞いております。最近のこの事例、私は、ああいう家電の安売りをやっているあれがアウトサイダーだという言い方をしていいのかどうかわからないんですけれども、少なくとも、例えば地域でこつこつと積み上げてきた市街地における電気屋さんが、電機商の皆さん方が、これは電機商だけじゃないんですけれども、郊外に大型店ができて、それはいい意味での併存するような競争をやるんならいいんですけれども、むちゃくちゃな値段で、一円で物が売れるなんというのは考えようがないわけですよ。そういうようなアウトサイダー的な業者が出てくるのを何か取り締まることはできないものだろうかという意味で、今前段の方で申し上げたこの種の規制というものがある意味でもし効果があったとすれば、いや、そんなもの効果なかったからやめるんだということなのか、じゃ、なぜこんなものをつくったんだということにも逆になりかねないですね。  その辺の経過について、前段の方はひとつ通産省の方に、後段の方の電機商の問題はできれば公取さんの方からお伺いをしたいと思います。
  54. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) アウトサイダー規制命令の関係でございますが、加入命令というのは確かに制度としてございましたが、実績はございません。設備の新設の制限命令については、少ないという御指摘でございますが、これを少ないと見るかどうかというのはございまして、実は、数はともかく大変長年続いてきた例が少なくとも一部にあったことはこれは事実でございます。  特に、設備新設の制限命令というのは、日本に居住をする何人たりとも設備の新設を認めないという大変強い命令でございまして、例えば繊維業界で実施されましたいわゆる設備登録制というようなケースをとってみますと、個々事業者が持つ設備をすべて商工組合に登録することを一方で義務づけ、同時に既存設備のスクラップを行わない限り設備の新設を認めないということでございまして、その他の者には一切新設を認めないという厳しい新規参入の制限が行われていたわけでございます。また、そういう例が他の繊維以外の業界にも多いわけでございます。  このことの運用の実績を顧みますと、長年であるということもございますが、むしろ命令の内容そのものというものについて適当であったかどうかということを今回原則として廃止するといういわゆるゼロベースという観点に立ち直って検討いたしますと、余りにも競争制限性が強かったのではないかというふうに考えたところでございます。  同時に、御説明いたしましたように、アウトサイダーの活動規制するという安定命令というのは今回存続をさせていただくということにいたしておるわけでございまして、組合員が行います。ある種の調整事業が仮に必要な事態が発生した場合におきましては、外にいる方々に対してこれを同様に適用する安定命令というのがかけられるという事態にあるわけでございまして、設備に着目をしてそこのところだけ、設備については何人たりとも設備を新設してはいけないというような規程が必ずしも存在をしなくても、中小企業者の行うカルテルという事業目的は達成がされるのではないか、このように考えたところでございます。
  55. 矢部丈太郎

    政府委員矢部丈太郎君) 御指摘の大生家電量販店が一円等の価格で家電製品を販売したことにつきましては、昨年の五月、関係人に対しまして、こうした行為独占禁止法禁止されている不当廉売に該当するおそれがあるということで指摘しまして、やめるよう注意したところでございます。その結果、一円とか八十円とか極端なものはなくなりましたけれども、その後、十四型テレビを数千円で販売するというような状況に出ておりますものですから、現在、鋭意調査を進めておりまして、できるだけ早く対処したいと考えております。  なお、そういう中小企業者に対する不当に不利益を与えるような行為につきまして、審査局の中に専管の部署をこの四月でございますが、つくりまして、迅速、円滑に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  56. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 これからの課題で、大店法の問題が大きなテーマになるわけですね。賛否さまざま大店法の問題についてもありますし、あるいは通産省の方では空き店舗対策というようなものをさまざまな角度からやっていただいているということも私ども承知をしているんですが、片方でそういう例えばアウトサイダー的な商売を、悪徳業者とは言いませんけれども、取り締まるのに手間暇がかかるわけですね。そうこうしているうちに、片や既存の商店街からはぽろぽろと歯が抜けたように店を閉めるところが出てくるというこういう矛盾、どこかでやっぱり私は線引きをしなければいけないんじゃないかというような気がするんです。もちろん、競争ですから自由であることが望ましいんですけれども、そのことが行き過ぎた場合にさまざまな弊害が出るということはもう明らかなんです。もう既に出始めているわけです。  先ほど林先生からも御指摘がありましたけれども、フランスのように新しい仕組みでそれをカバーをしようとか、あるいはドイツのように一週間のうち店をあける時間を規制しておいて、決めておいて、例えば月曜日から金曜日までは何時から何時まで、土曜日は何時までというようなやり方をするとか、例えば中小企業皆さん方と話をしますと、前川さん、そうおっしゃるけれども労働時間短縮のことを考えてください、家族営業でやっているようなところが大規模店と競争して時間短縮できると思いますかと言われると、私どもはぐうの音も出ないわけですよ。といって、そういうところで働いている人は例外でいいんだというわけにもいかないんです。とすれば、同じような条件でどうやったら競争ができるのか。今商店街のお話をしましたけれども、私は製造業の場合でもやっぱり同じだと思うんです。ぜひその辺についてはこれからも十分配慮をしていただきたい、厳しい規制が逆な面でかけられるようなことも考えていただかないと困るということを申し上げておきます。  時間がありませんので、最後に、今度の問題にも若干関連があるわけですが、再販制度の問題、特に新聞等の再販の問題についてはさまざまな議論がされているようですし、公取さんの方も研究会の中でいろいろな議論がされているようで、逐一私どもも議事録といいますか、報告をいただいておるんで承知をしておりますが、今何が焦点で、いつごろ大体結論を出そうとされておられるのか。もし、お答えができる範囲で結構ですが、お答えをいただければというふうに思います。
  57. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 御指摘のように、今研究会で極力御意見を集約するように努力していただいているところでございますが、再販と申しましても、著作物と申しましても新聞、雑誌、書籍あるいはCD、音楽用テープとか、そういうものがあるわけでございまして、各分野ごとにいろいろ問題点を関係者から聴取して、それを基本に議論をしていただいているところでございますが、見込みとしまして本年十二月ごろまでに何とか研究会の御意見をちょうだいでき、来年三月ごろまで公正取引委員会としての意見をまとめられたらありがたいなと、こういうふうに思っておりますが、御承知のように甲論乙駁ということでなかなかこれは難しい話だと認識しております。
  58. 前川忠夫

    ○前川忠夫君 終わります。
  59. 山下芳生

    ○山下芳生君 本法案は、規制緩和推進する一環として独占禁止法適用除外制度見直しを進めようとするものであります。この適用除外制度については、石井良三著「独占禁止法」の中に、「小規模事業者は、相互に団結して一事業単位を形成することによって、はじめて資本主義経済の下における独立の競争単位となることができる」、「これによって、小規模事業者は、辛じて資本主義的大企業とほぼ同一の出発点に立ち、効果的な競争を行うことができるようになる」、「このやうな競争単位を認めることは、公正且つ自由な競争を実質的に促進するために是非とも必要である。」と記述されておりますように、独占禁止法の本来の趣旨に沿ったものであるというふうに思います。  ところで、今回の法改正を見ると、どうも一括して整理するというやり方になっておりまして、規制緩和ということだけで何でもかんでも制度廃止、撤廃という方向に持っていこうという感じを私は受けているわけです。  その点で、まず中小企業庁にお聞きします。  中小企業団体の組織に関する法律商店街振興組合法というものがありますが、今度の改正で弊害は生まれないのか、あったときにはどうするのか、また最近の中小企業の深刻な経営実態を踏まえれば安易に適用除外を外すことがあってはならないし、むしろ強化する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 岩田満泰

    政府委員(岩田満泰君) 今回の見直しは、独禁法適用除外カルテル制度などにつきまして原則廃止という観点から見直しを行う、言葉をかえますと、いわゆるゼロベースで、私ども、あたかもないものとして、その中で何が最小限必要かという観点から検討をいたしまして御提案申し上げているわけでございますが、商工組合などにつきましては、不況カルテル合理化カルテル本体を残すと同時に、安定命令という必要最小限のアウトサイダー規制命令は引き続き存続させるということにいたしておりますし、また共同経済事業につきましても、中小企業に関するものにつきましては独占禁止法適用除外を認めるということにしておるわけでございます。  私ども、この見直しに際しましては、各業界、関係業界含め、いろいろとヒアリングをし、意見聴取も行いました結果でございまして、今回の改正がゆえに特段の悪影響が生ずるという可能性はないものと考えているところでございます。
  61. 山下芳生

    ○山下芳生君 公正取引委員会に聞きます。  今後、さらに適用除外制度見直しをする際には、関係諸団体の意見をよく聞いて、その合意のもとに進める必要があると思いますが、いかがですか。
  62. 塩田薫範

    政府委員塩田薫範君) 独占禁止法適用除外制度につきましては、自由経済体制下の例外的な措置だということで必要最小限にとどめるということでございまして、この一年かけて全体について検討していきたいと思いますけれども、今回の適用除外制度見直しに当たりましては、関係業界等の意見も参酌しながら検討を進めてきたものでございまして、今後の見直しに当たりましても、そのようなことでやっていきたいと思っております。
  63. 山下芳生

    ○山下芳生君 次に、新聞の拡販問題について伺います。  私は、昨年二月二十二日の本委員会で新聞の拡販に伴う景表法違反の問題で公正取引委員会の毅然とした対応を求め、公正取引委員会も、新聞公正取引協議会に改善の実効が上がるよう強く指導すると答弁をされました。具体的にどんな指導をされたのか、その結果どうなったのか、報告をしていただけますか。
  64. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) 新聞業における景品類の提供につきましては、昭和三十九年から新聞公正取引協議会が業界による自主規制でございます公正競争規約を運用しているわけでございます。  景品提供というのは、新聞販売店が拡販をするということの非常に日常の事業活動に伴うものでございますものですから、また新聞業ということを考えましては、このような自主規制によることが非常に効果的である、このように考えているわけでございます。  御質問、昨年の二月にございまして、早速私どももそういった実情もよく聞き、そして地区それぞれの支部にございます協議会に対しても運用の改善方を申し入れ、そしてその提出があったわけでございます。  しかし、非常に残念ですし、大変遺憾でございますが、その後も景品提供の現行制限告示あるいは公正競争規約に反するような景品提供もございまして、そういうこともございましたものですから、支部におきまして現地会という、こういう開催に当たりまして、私ども担当官も出席し、その改善策を提出させる、あるいは違反行為に対しましては迅速かつ厳正違反の処理あるいはパトロール調査の実施等を行わせてきたわけでございまして、景品提供をしているという数はかなりの数ございますが、それに対する処理もかなり行っているというように考えているわけでございます。
  65. 山下芳生

    ○山下芳生君 昨年の質問後、現地の協議会に指導したと、ところがその後も残念ながら事例が生じているというお答えだったと思うんですが、私も手元に昨年の質問以降、兵庫県相生地区で提出された申告書の写しを持っております。おっしゃるとおり、事態は全く改善されておりません。  昨年の二月二十二日からことしの二月十九日までの一年間に公取に告発した件数というのは十七回で七十二件です。内容も悪質化をしておりまして、洗剤も一個上げるというようなものじゃないんですね、そんなかわいいものじゃない。六個とか十二個とか二十個、これは一万円相当ですよ。それから、ビール一箱、二十四本、八千四百円相当あるいは商品券、一万二千円相当などが景品として渡されている。それから、その手法も非常に悪質巧妙化をしておりまして、例えば無代紙を一カ月分まず配達した後で、その後、契約を取りつけて、その契約の期間によって景品を宅急便で送ると。証拠をなくすためにそういうやり方をやる。その上、他社からそういう件に関しての問い合わせがあった場合は言わないようにと口どめをするというふうなことまでやっておるわけであります。  私がいただいた十七回七十二件のうち、公正取引委員会が法的な措置をとったものはゼロ、皆無ですね。協議会の措置としてとられたのが十四回六十四件。残り三回分八件については何の措置もとられておりません。公正取引委員会は業界の公正取引協議会による自主的な努力に期待をこれまでもされてきたわけですが、結局この問題は三十年間ずっと続いておりまして、一貫して改善されたためしがないんですね。そのことは今あなたもお認めになった。  ですから、これは業界の自主性に期待するだけでは違反事件はなくならないということだと思うんです。もうはっきりしている、事実によって。こういう事態はもう放置できないと思うんですね。公正な取引ルールを守らせなければならない公正取引委員会が、直接法律を守らせるように独占禁止法に基づいた法的措置、排除命令等ですね、これをもうやはりとらざるを得ないんじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  66. 山田昭雄

    政府委員(山田昭雄君) 御指摘のとおり、若干数字は違いますが、かなりの違反、景品提供の事実があり、ただ、それに対しましては公正取引協議会というところで自主的な措置もとっているということも事実でございます。新聞の景品つき販売につきましては、私どもとして、基本的にはやはり自主規制の運用に任せ、そしてそれを徹底的にやっていただくということが必要であると考えておるわけでございます。  それと、他方、今の新聞業における景品の制限というのは、一切の景品は出してはいけないという、こういう規定になっておりまして、ほかの商品について考えてみますと、昨年四月以降、経済社会の変化から景品規制につきましては一般的には告示の見直しというのを行ってきておりまして、それに即した形で公正競争規約という業界の自主ルールも改めるようになってきているわけでございます。告示がありました公正競争規約のうち、既に二十四の規約につきましてはそのような見直しを行ってきております。新聞業界に対しましても、公正競争規約の見直しにつきましての検討を求めているところでございます。  また、その見直しに当たっても、一般規定改正の趣旨に即して、原則禁止、一切だめだということではなくして、現在の経済情勢、社会情勢に合わせ、また消費者にとってもいろいろ選択の多様性を与えるということが必要じゃないかというようにも考えておるわけでございます。今、この業界におきましてルールの見直しを行っておりますが、ルールの設定にあわせまして、仮にルールを定めたらそれを守るようなこと、そういった手続とか体制とか、そういうのもきちっとつくってもらわなければいけないという、こういうこともあわせてお願いしているところでございます。  今いろいろと御指摘がございました点につきましては、業界の自主規制であります公正競争規約が適正に運営されるように指導するとともに、全国的な実情もよく把握いたしまして、自主規制が機能しないなど、必要な場合には公正取引委員会としての対応も検討したい、このように考えておるわけでございます。
  67. 山下芳生

    ○山下芳生君 自主規制がもう機能していないということを事実が証明しているんですよ。にもかかわらず、いつまでも公正取引協議会の自主的な取り組みに任せるということを繰り返して、市場の番人としての役割を果たしていけるのかと、公正取引委員会として、という私は問題提起をしているんです。  しかも、新聞というのは再販制度が維持されている分野ですよ。ここに不当な景品、不当と言っていいかどうか、景品がセットされるようなことを認めるということは、私は再販制度と相矛盾することにもなると思うんです。ですから、そういう点もよく吟味していただいて、いつまでも自主的な取り組みにゆだねるということでは、これは逆に公取の姿勢が問われてくるというふうに言わざるを得ないと思うんです。  最後に、委員長にぜひ伺いたいのですが、公正取引委員会が仮に指導するにしても、私は個々の販売店だけを対象にしていたんではだめだと思うんですね。不正常な拡販をやらせているのは発行本社です。景品やそれから拡張員にかかる費用の半分は本社が持っている。ですから、ここに厳しく対処しなければ改善はできません。公正取引委員会として、新聞業界に対して何か弱みを握られているんじゃないのかというような疑念を晴らすためにも、厳正なこれは法的対処をすべきではないかと思いますが、委員長の見解を伺って終わります。
  68. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 私も個人的にそういう事実はよく承知しておりますけれども一つ建前論を申し上げれば、やはり一般商品と新聞、雑誌等と商品が違うということをしきりに先ほどの再販問題の場合でも言われているわけでございます。私どももその議論の半分ぐらいは了承できるわけでございまして、そういうことからいうと、第四の権力といいますか、そういうマスコミの世界におきまして、やはりその自主規制というのが優先するんであろうと。そこへ役所の者がのこのこと乗り込んでいかなくても新聞界で十分規制できるものだろうと、そういう期待のもとに今まで推移してきたわけでございます。  私どものそういう態度が悪いかどうかということは、これからもう少し考えなければいけませんけれども、基本的にはそういう考え方でございますので、おっしゃることをよく踏まえましてこれからどうするかということをよく考えたい、こういうふうに思っております。
  69. 山下芳生

    ○山下芳生君 終わります。
  70. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  71. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 速記を起こしてください。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律適用除外制度整理等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  72. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 木宮和彦

    委員長木宮和彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会