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1997-05-29 第140回国会 参議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月二十九日(木曜日)    午後一時四十四分開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      西川  潔君     佐藤 道夫君  五月十六日     辞任         補欠選任      吉川 春子君     立木  洋君  五月二十八日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     北岡 秀二君      笠原 潤一君     海老原義彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺澤 芳男君     理 事                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 高野 博師君                 武田邦太郎君     委 員                 海老原義彦君                 北岡 秀二君                 武見 敬三君                 成瀬 守重君                 宮澤  弘君                 猪熊 重二君                 田村 秀昭君                 田  英夫君                 萱野  茂君                 立木  洋君                 佐藤 道夫君                 椎名 素夫君                 矢田部 理君                 小山 峰男君    国務大臣        外 務 大 臣  池田 行彦君    政府委員        総務庁行政監察        局長       土屋  勲君        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        経済企画庁調整        局長       土志田征一君        環境庁企画調整        局地球環境部長  浜中 裕徳君        外務大臣官房長  原口 幸市君        外務大臣官房審        議官       西田 芳弘君        外務省総合外交        政策局軍備管        理・科学審議官        事務代理     稲川 照芳君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     朝海 和夫君        外務省アジア局        長        加藤 良三君        外務省欧亜局長  浦部 和好君        外務省中近東ア        フリカ局長    登 誠一郎君        外務省経済局長  野上 義二君        外務省経済協力        局長       畠中  篤君        外務省条約局長  林   暘君        大蔵大臣官房審        議官       尾原 榮夫君        通商産業大臣官        房審議官     安達 俊雄君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君    事務局側        常任委員会専門        員        大島 弘輔君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   深田 烝治君    参考人        海外経済協力基        金総裁      西垣  昭君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○航空業務に関する日本国政府香港政府との間  の協定締結について承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニ  アとの間の協定締結について承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共  和国政府との間の条約締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○包括的核実験禁止条約締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条  約の締結について承認を求めるの件(内閣提出  、衆議院送付) ○千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協  定の譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修  正及び訂正に関する確認書締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十八日、岩崎純三君及び笠原潤一君が委員辞任され、その補欠として北岡秀二君及び海老原義彦君が選任されました。     —————————————
  3. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件外一件の審査のため、本日の委員会参考人として海外経済協力基金総裁西垣昭君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニアとの問の協定締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 高野博師

    高野博師君 航空協定二本については特に問題がないので、賛成でございます。  それでは、海外経済協力基金総裁においでを願っていますので、前回、それから前々回、二回にわたっていろいろ御質問をさせていただいたんですが、直接御本人から伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  海外経済協力基金については、ODAというか、円借款も含めた経済援助の中で非常に重要な役割を果たしているわけでありますが、まず西垣総裁に我が国の経済援助についてどのような認識をされているか、簡単で結構でございますので、お伺いいたします。
  7. 西垣昭

    参考人西垣昭君) ただいま海外経済協力基金が支援している国の数は八十五カ国あります。その八十五カ国に対しまして基金は直接借款という資金を供与しております。この分が基金貸し出し残高ベースでいいますと九八%ぐらいに当たるわけでございます。それから、それ以外に民間企業に対して出融資をやるという事業がございまして、これは海外投融資というふうに言っております。その投融資残高が約二%ぐらいでございます。  いずれにしましても、私ども政府ODA実施機関一つといたしまして、自立を求めて一生懸命努力している国の経済成長を助け、国力を充実させることによって国民生活を向上させる、こういうことで努力しているわけでございます。  九八%の円借款につきましては相手方は国でございます。二%の海外投融資につきましては相手方民間企業でございます。それだけに、海外投融資事業は金額は小さいわけですが、大変苦労が要るところでございます。  いずれにしても、経済協力性があって、しかも事業が実現する見込みがあるものということで、しかもそれが民間金融とか、原則としては輸出入銀行金融ではやれないようなもの、それだけにリスクが多い、しかし見込みが立つものということで非常に精査をし、気をつけながら事業を進めているところでございます。
  8. 高野博師

    高野博師君 私、そこまでは聞いていないんです。  経済援助についての認識、その中でOECFの果たす役割についての認識をお伺いしたいわけですが、今民間企業に対する投融資の問題をお話しされました。いずれにしても、円借款の問題にしても投融資にしても資金国民税金で賄われている、こういう厳粛な事実についての認識はございますか。
  9. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 正確に申しますと、基金資金としては、国民税金を原資といたしました出資金と、それから財政投融資、両方の資金源を使っておりまして、今のところ出資金が総額の半分弱、それから半分強が財政投融資、こういうことになっていると思います。  したがいまして、いずれにしても、私どもは貴重な資金をお預かりしているという認識のもとに事業をやっているということでございます。
  10. 高野博師

    高野博師君 資金運用については、補助金に関する法律あるいは海外経済協力基金法という法律があります。公正な、厳正な、適正な運用について規定されているわけです。当然過ぎることでありますが、そういう認識はお持ちだと思います。これらの原則あるいは法律に反する場合は、当然これは責任問題になろうと思いますが、その辺についてはいかがでしょうか。
  11. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 私どもは、事業執行に当たりましては、法律規則等に基づきまして厳正にやっているわけでございます。
  12. 高野博師

    高野博師君 それでは、具体的にお伺いいたします。  上海金融センタービル建設運営事業について、これは基金がつくってこられた資料に基づいてでありますが、この事業については基金が五十億円の出資を行うということで、現在まで二十六・七億出資しているわけであります。一九九四年の二月に超上海市長より森ビル要請があったと、同じ年の六月に森ビルからOECF内談があったということが書いてありますが、基金の前に輸銀要請があったということを聞いております。その後、輸銀の方ではこれはできないということで基金に回したと。  森ビルからOECF内談があったというのは、森ビルのだれからOECFのだれに内談があったんでしょうか。
  13. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 通常、基金出融資を求める企業担当部担当課の方にアプローチしてまいります。したがいまして、その段階でだれが最初に来られたかということは私のところでは承知しておりません。しかし、資料によりますと、一九九四年の六月に森ビルから担当部担当課の方に内談があったと、こういうふうに聞いております。そして、六月二十七日に事業計画書提出がありまして、出資の申し込みがあったと、こういうふうに聞いております。
  14. 高野博師

    高野博師君 内談というのはどういう意味か私は正確に理解しているわけではありません。しかし、こういう重要なプロジェクトで、担当の部局だけで内談が進んだ上でOECF現地調査を行っているわけです。これはその次の年の二月に現地調査を行っている。そして、その現地調査段階上海市長から正式にOECF要請状が出たと書いてあります。その五カ月後にOECF役員会によって本件出資を決定したと書いてあります、この資料は。  そこで、OECF役員会でこの案件についてどういう議論がなされたのか、お伺いいたします。
  15. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 私どもといたしましては二つの尺度で物を考えるということであります。  一つは、この事業経済協力性があるかどうかということであります。浦東開発につきましては中国政府として最重点開発地域ということで大変力を入れておるところでありまして、私どもはいろんな段階中国政府の方から浦東はよろしく頼むということを聞いております。上海市からの要請もあり、これは森ビルに対してのみではなく、基金の方にもありました。それから、その内容を見ますと、なるほど浦東開発のために必要な中心的な事業だというふうに認識されたわけであります。  それからもう一つの基準は、基金がやらないで民間だけに任せておいたのではやれるかどうか、あるいは輸銀に任せておいてやれるかどうかという判断であります。私ども判断としては、やはり基金出資がなければこの事業は難しいのではないかと。つまり、経済協力性がある、したがって実現する、それから完成されることが望ましいことだと。しかも、それを完成させるために民間だけではできないということで、要請があれば、我が方としては事業達成見込みがあれば支援する、こういうことで差し支えないんじゃないか、むしろそうしなければならないんではないかという判断をその当時したわけでございます。
  16. 高野博師

    高野博師君 まさにそこのところが問題になっているのでありまして、経済協力性があるかどうかという判断であります。  そこで、基金法によれば、出資というのは非常に限定的に規定されておりまして、出資開発事業の遂行のために特に必要がある場合にのみ貸し付けにかわって行うことができるという規定がされているわけであります。  先ほどお話の中で中国政府からも要請があったというんですが、中国政府のどこからどういう形でどこに要請があったんでしょうか。上海政府からあったというのはここに書いてありますが、中国政府から要請があったというのはどこにも書いてありません。事実関係を明らかにしてください。
  17. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 一九九一年の十月に私は初めて上海に参りました。そのときの市長が今筆頭総理をしておられる朱鎔基さんでありまして、朱鎔基さんから直接にいかに浦東開発が大事であるかという話をるる御説明いただきました。私どもとしましては、上海市だけの話ではなくて、中国政府からの要請がないと円借款は出しにくいと。つまり、我が方は国ベースで物を考えておる、中央政府がやらないと、幾ら上海にとって大事だと言われても困るんです、こういう話を当時したわけです。  その後、朱鎔基さんが中国筆頭総理になられた後、私が参りましたときも、上海の件はよろしくということを言われた記憶があります。
  18. 高野博師

    高野博師君 それは円借款要請をされたわけですか。
  19. 西垣昭

    参考人西垣昭君) それから、中国政府がその後上海浦東地区開発にとってきましたいろんな制度と措置を見ますと、これはまさに中国重点を置いているところだと、それが裏書きされているというふうに解釈しているわけであります。
  20. 高野博師

    高野博師君 それではお伺いいたしますが、経済協力性が高いというのは具体的にどういう意味でしょうか。何をもって経済協力性があると言っているんでしょうか。
  21. 西垣昭

    参考人西垣昭君) ちょっと長く……
  22. 高野博師

    高野博師君 簡単に説明してください。
  23. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 簡単にではありますけれども、わかっていただくためには多少長くなることをお許しいただきたいと思います。  浦東開発計画は、先ほども申しましたように、中国政府国家的事業として推進しているものでありますけれども、その計画の中で、金融センターとなります陸家晴金融貿易区の開発がその中核をなすものというふうに位置づけられております。そして、多くの外資系金融機関がこの金融貿易区への進出意欲を持っているわけであります。しかし、その受け入れを可能とする設備、運営の整った十分な規模で高規格のインテリジェントビルが不足しておりまして、金融センター育成の妨げの一つとなっている。これを何とか解決してほしいということであります。  その裏づけになる資料はいろいろあります。もしあれでしたら申し上げますが、簡単にということですから、次の質問をお待ちいたします。
  24. 高野博師

    高野博師君 それだけで経済協力性があるというのは私は非常に疑問だと思っておりまして、このビル建設については、経済効果としてこの間もいろいろ答弁いただきましたが、納得いきません。  国家的プロジェクトだという位置づけは向こうの政府から基金に話があったということでありますが、これは政府ベースでやる話ではないかと思うんです。この辺については企画庁はどうとらえておられますか。
  25. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) ただいま総裁から御答弁がありましたように、本件につきましては、中国経済開発にとりまして浦東地区開発が非常に重要であるということは政府間でも再々中国側から述べられているわけでございます。  そういったことを踏まえて基金に対して要請があり、基金の方で検討した結果、こういった出資をするということは基金法の目的としているところにかなっているという判断だというふうに私どもも聞いております。
  26. 高野博師

    高野博師君 この点については外務省認識はございますか。国家的プロジェクトだということで経済援助をするという点について、これは援助するのが適切だと、そういう認識がございましたですか。
  27. 畠中篤

    政府委員畠中篤君) 本件プロジェクトにつきましては、先ほど総裁から御説明にあったような国家的な重要なプロジェクトとして中国側認識しておるということは承知しておりましたが、本件具体的プロジェクトにつきましては外務省は直接の担当をしておりません。
  28. 高野博師

    高野博師君 それだけ重要な国家的プロジェクトであれば、出資じゃなくて円借款でやったらどうなんでしょうか。経済企画庁はどうですか。
  29. 土志田征一

    政府委員土志田征一君) これはまさしく基金がやっております、民間企業海外投融資をする、かつそれが非常に経済協力性が高いということ、こういった形で進めるのがふさわしいのではないかというふうに考えております。
  30. 高野博師

    高野博師君 援助性ということとリスク問題等がある。今回のこの金融センタービル建設というのはいわば不動産事業でありますが、これは民間レベルで実施すべきものでありまして、コマーシャルベースで当然やるべき話であって、基金出資をするようなプロジェクトではない、これが一般認識だと私は思っております。せいぜい輸銀がやる話で、基金がやるべきものでないと認識をしておりますが、こういう議論役員会の中ではなされなかったんでしょうか。
  31. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 先ほど高野議員言われましたように、これは円借款でやるべきかという問題意識はあり得ると思います。しかし、民間事業としてやれるものについては円借款は使うべきじゃない、私ども円借款の対象としては全く考えておりませんでした。それなら民間ベースでやるものとして基金が取り上げるべきものかどうかということでありますが、原則といたしまして、民間金融だけでやれるものについては私どもは参加することはむしろしない、それは基金の仕事ではないというふうに考えております。原則として民間金融機関あるいは輸銀貸し付けでやれるようなものについては基金は引き受けない、こういうことであります。  本件につきましては、民間だけではやれない、それから輸銀ベースにも乗らない、基金出資ということでやれるんだと、こういう判断でもって取り上げたわけであります。
  32. 高野博師

    高野博師君 民間だけではできないという判断はどうしてやったんでしょうか。むしろ基金がイニシアチブをとってこの事業を進めたのと違いますか。
  33. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 今のようなことは全くございません。
  34. 高野博師

    高野博師君 このプロジェクトについては要するに森ビル不動産投機基金が力をかした、こういう批判がありますが、これについてはどう反論しますか。
  35. 西垣昭

    参考人西垣昭君) そのような事実は全くありません。私どもはそのようには考えておりません。
  36. 高野博師

    高野博師君 それではお伺いいたしますが、森ビル社長総裁関係はどんなぐあいでしょうか。
  37. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 私は森ビル社長の森さんとは知り合っております。しかし、それ以上のものではありません。恐らく森さんに特別の便宜を与えているんじゃないかという角度から御質問になっているんだと思いますけれども、そういうことは決してありません。
  38. 高野博師

    高野博師君 私が聞いていないことまで答えていただいたんですが、森ビル内にいろんな事務所がありまして、各役所の幹部等が政策勉強会的なグループを組んで時々やっているという情報もありますが、そういうことに参加したことはございませんか。
  39. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 質問の御趣旨がよくわからないんですが、私ども、例えば朝食会とか昼食会朝食昼食をともにしながらいろんなテーマを講師から話を聞き意見交換をするというふうなことは時々ございます。私自身もそういう会合に時々出ることがあります。そんな中で、森ビルが使われているものに出たかどうかということであると、それはちょっと記憶がはっきりいたしません。
  40. 高野博師

    高野博師君 この金融センタービルに関しては森ビル社長総裁が直接お話しされたことはございませんか。
  41. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 記憶ははっきりしないんですが、森ビルから事務方に話がありました後、森さんの方から今お願いをしておりますけれどもよろしくというようなお話はあったと思います。あったと思いますが、これは事務方審査に任せておりますと、ですから審査が出たら私のところに上がってくると思いますと、こういうような話をしたような記憶があります。
  42. 高野博師

    高野博師君 それは電話でしょうか。
  43. 西垣昭

    参考人西垣昭君) いや、お会いしました。
  44. 高野博師

    高野博師君 わかりました。  この件については、経済協力性援助性あるいはリスク問題等々考えて、総合的に見ても基金出資をするにはふさわしくないという私は認識をしております。  この事業については間もなく工事が着工するんだと思いますが、万一この事業がうまくいかなかったときの責任はどこにありますか。
  45. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 先ほども申しましたように、海外経済協力基金は、開発途上国開発経済の安定のために輸銀とか一般金融機関から資金供給を受けることが困難だというものにつきまして出融資をしているわけであります。したがいまして、開発事業審査におきましては万全を期しますが、開発途上国における開発事業の性質上、国内事業に比べまして当事者の努力では解決し得ない相手国の政治、経済情勢に左右される面も大きいわけであります。そのために事業の将来について不可知要素が多いということがあります。だからといって、発展途上国の支援をやめるというわけにはまいらないわけであります。  したがいまして、昭和三十七年の基金法改正におきましても……
  46. 高野博師

    高野博師君 そんなこと聞いているんじゃありません。責任はどこにあるかと聞いているんです。
  47. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 大事なことですから、ちょっと二、三分話をさせていただきたいと思いますが、OECF出融資を行う際の要件を定めました基金法第二十一条、これは昭和三十七年の改正でありますが、国会におきまして、「その開発事業に係る事業計画内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合」という規定を変えまして、「その達成見込みがあると認められる場合」に現在なっているわけでございます。  その際の国会議論の中で、当時の経済企画庁長官でありました藤山愛一郎先生が、海外投資でありますから、国内金融をやるのと同じような非常な確実性のない場合があるわけでありまして、しかしその中で十分な選択をしてやってまいる、こういう答弁をしておられます。私どもはその精神でやっているつもりでおります。
  48. 高野博師

    高野博師君 私は精神を聞いているのじゃありません。責任の所在はどこにあるかと聞いているんです。
  49. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 基金について言いますならば、基金役職員につきましては法律それから規定その他で権限、職務職務執行仕方等定めがあります。したがいまして、その定めに従って善良な管理者注意義務を十分に果たしているかどうか、あるいは忠実義務を十分に果たしているかどうか、こういったことも考えながら、そのときそのときの事情に即しながら責任問題を考えていくというのが適切な方法じゃないかと思っております。
  50. 高野博師

    高野博師君 答えになっておりません。  それでは、次に中国養鰻事業についてお伺いいたします。  御承知のとおり、日本日盛産業中国でウナギの養殖をやるということで基金融資をやっているんです。今まで四回に分けて合計三十三億円以上の融資を行っています。この案件について、現在十億五千万円が事業が失敗したということで未回収になっている、焦げついているということでありますが、この件について幾つかお尋ねいたします。  養鰻事業そのものは非常に難しい、私はウナギの養殖というのは非常に難しいということを後で聞きまして、随分リスクの高いものに基金として融資をしたなと。  そこで、日盛産業の実態についてどのように認識されていますか。
  51. 西垣昭

    参考人西垣昭君) ただいま言われました中国の養鰻事業四件、これはすべて日盛産業が主体となってやってきた事業であります。この会社がどういう会社かという点につきまして御質問でありますから、お答えいたしますと、株式会社日盛産業と申しますのは、社長の小嶺信子さん、女性の方のようでありますが、昭和四十八年六月にウナギの販売を目的にしまして個人創業したものが最初のようであります。特に、中国からシラスウナギを買い付けて、日本のウナギ業者に卸すことを主業務としておりました。その後、業容拡大とともに、昭和五十八年四月、法人組織に改組されております。  その後、中国に対しまして、シラスウナギを成鰻、つまり育ったウナギに養殖することの経済効果説明いたしまして、日本開発した高度な養鰻技術を中国に導入することによって、江蘇省で養鰻事業、養鰻飼料製造事業、広東省で養鰻事業の成果をおさめているという認識であります。技術的にも日本人養鰻技術者を擁しておりまして、日本の近代的養鰻技術にも習熟しております。  それから、日盛産業中国広東省汕頭において実施した汕頭養鰻事業は、中国における養鰻事業のパイオニアとして高く注目されてきております。また、広東省恵州において実施しました恵州東昇養鰻事業には、アジア開銀の子会社であるアジア金融投資会社、AFICが株主として参加しております。つまり、国際的にも認められてきているということでありました。  それから、日盛産業が別途推進中でありました江蘇省南通養鰻事業につきましては、世界銀行グループの一員の国際機関であります国際金融公社、IFCが出融資する予定でありました。実際に、南通養鰻事業につきましては九四年十二月にIFCの役員会承認されておりまして、九五年一月には貸付契約が締結されております。  以上申し上げましたように、日盛産業による養鰻事業には途上国における民間開発事業への支援に関して豊富な実績のある国際機関が事業パートナーとして参加しているものでありまして、日盛産業が経営不振になるまではしっかりとした事業をやっている会社だというふうに認識をしていたわけであります。
  52. 高野博師

    高野博師君 国際的に評価云々ということを幾ら言っても、四回にわたって融資をした事業がことごとく失敗しているという事実が重要なのであります。  それで、私はこの日盛産業の会社の概要について基金から資料を取り寄せましたが、極めて簡単なというか、ほとんど情報を持っていない。従業員は一体何人いるのか、どんな役員がいるのか、電話番号も出さない、こういう会社に三十三億円以上も融資している。ここに問題があるのではないかというふうに思っております。  そこで、社長の小嶺さんと総裁はお会いしたことございますか。
  53. 西垣昭

    参考人西垣昭君) この社長さんが女の人だということも知りませんでした。私はお会いした記憶は全くない、お会いしていないと思います。
  54. 高野博師

    高野博師君 この養鰻事業についてはどこのだれから要請があったんでしょうか、基金に対して。
  55. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 日盛産業と養鰻事業関係基金が関与することになりましたのは一九八八年からだったと思いますが、実は私はまだ基金に着任する前のことであります。そのころの資料としては、だれが最初に来られたかというのはつまびらかにしておりません。
  56. 高野博師

    高野博師君 この融資要請は、それではどういう形でなされたんでしょうか。
  57. 西垣昭

    参考人西垣昭君) さっきも申しましたように、海外投融資の話につきましては、事業をやりたいと考える人がその事業部の当該課に来られて、こういうことをやるんだけれども基金の仕事に乗りますかというようなところから始まるわけであります。それで、これはやれるぞという感触を、心証をお互いに持てば、それを基金融資あるいは出資に結びつけるためにはどうしたらいいかということで、それから内容の精査が始まるわけです。一番最初の日盛産業への融資、一九八八年、かなり昔の話でありますから、だれがというのはよく調べないとわからないんですが、調べてわかるかどうか、どなたが来られたかというようなことはちょっとわかりません。
  58. 高野博師

    高野博師君 これだけの、十億円以上の資金が焦げついている話について、そんないいかげんな情報でやっていけるんでしょうか。——ちょっと待ってください。答弁の時間が長いものですから、質問はこれで終わりませんので、次回また来ていただこうと思っております。  最後の十億五千万を融資したときの、これは九四年三月ですが、その一年半後には日盛産業は和議開始申し立てを行っている。事実上もうつぶれると。その前の段階でかなり事業が危なくなっているというか、そういうことが当然考えられたので、この段階で十億五千万もの融資をしたという判断は大変僕は問題があると思っております。  そこで、この十億五千万が一体何に使われたのか。この金によって実際の養鰻池が九〇%完成したと。しかし、水車、ボイラー、発電機等の設備については何もできていない。そうすると、一体この十億五千万はどこに行ったのかということになるんですが、この辺についてはいかがでしょうか。
  59. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 一次から三次までのものにつきましては全部回収が終わっております。残った問題がこの第四次だと思います。一次から三次の回収が終わったと申しましても、回収はできたんですけれども経済協力効果を十分発揮するということが後にきちんと残らないかもしれないという点につきまして私どもは実は残念に思っているわけです。しかし、回収は終わったわけです。けれども、第四次のものにつきましても、一次から三次と同じようにちゃんと事業が行われるだろうという前提のもとに貸し付けを行ったわけでありまして、現に貸し付け後、現地に行って調査をしたときには養鰻池の建設が進んでおったということで、私どもはこの金は当然現地に流れて養鰻池の建設に使われていると、こういうふうに認識しておりました。
  60. 高野博師

    高野博師君 事実はそうじゃないんじゃないかと思います。  それから、前回三回やった融資について経済効果が上がっていないのは残念だと、そんな簡単に済まされる問題なんでしょうか。そういう前例がありながら、最後にまたこれだけの膨大な金額を融資したということについては問題がある。特に、十分な債権保全策がなされていない。そういう中でこれだけの金を出したということに重大な問題があると思いますが、いかがでしょうか。
  61. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 先ほど申し上げましたように、この一次から四次までの養鰻事業につきましては日盛産業が主体となって進めてきたわけであります。一次から三次までのものについては、私どもが承知している限りは円滑にいっていたと、日本にもウナギが輸入されていたと、そのために日本のウナギの価格が低く抑えられたというようなことを褒められたこともあったわけであります。しかし問題は、日盛産業が経営不振になってしまった。これは融資を決定したときには考えられないような状況だったわけです。このことは第四次の融資決定のときにも予知できなかった、そういうことであります。
  62. 高野博師

    高野博師君 今のお話の中のウナギの関係で、日本のウナギの値段が下がるとか、いろいろ今おっしゃられましたが、その辺の資料を出してください。一体どのぐらい生産をして、輸入をして、日本全体のウナギの消費量あるいは生産量の中でどのぐらいの位置を占めたのか、それを出してください。
  63. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 資料を作成してお出しするようにいたします。
  64. 高野博師

    高野博師君 それで、内部の文書が私の方に届いておりまして、基金が現地の合弁会社に指示して、この十億五千万を受けた会社ですが、問題の本事業のバランスシートを改ざんさせているというような告発もされております。また、西垣総裁がたかが十億ぐらいというような発言もしているという情報もありますが、この辺はいかがでしょうか。
  65. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 私自身がたかが十億ぐらいといったようなことを言うはずがないと思います。  それから、書類の改ざんというお話がございましたが、私どもは、日盛産業が経営不振になった後、やっぱりやり出した以上は経済協力効果が発揮できるようにこの事業を何とか続けられないかということで関係者等にいろいろと打診をいたしました。  しかし、それがなかなかうまくいかないということで、今度は債権の保全をしなくちゃいけないということで現地にも参りましたところ、この借入金がバランスシート上計上されていないという事実を発見いたしまして、債務額の確認をいたしましたところが、それは確認はできますと。確認ができるのならばバランスシート上もはっきりと書かなければ正しいバランスシートになりませんねということで、先方が正しいバランスシートにするということで直したわけです。したがいまして、直されたものが正しく、それ以前のものは何かの間違いだったというのが私ども認識であります。
  66. 高野博師

    高野博師君 そういういいかげんな会社に金を出すことにやはり問題があると思うんです。  それで、いずれにしても、この十億五千万がどういうふうに使われたのか、これを基金としても確認していただきたい。  それから、最終的にこれが未回収のままになった場合には総裁責任であると思いますが、どうでしょうか。
  67. 西垣昭

    参考人西垣昭君) 資金がどのように流れていったかということにつきましては私ども知りたいと思っています。したがって、最初に貸付資金を振り込んだ銀行に対して、その後の流れを何とか教えてほしいということで申し入れを行っているところです。  それから、責任問題につきましては先ほど説明したとおりであります。
  68. 高野博師

    高野博師君 会計検査院と総務庁にお伺いしますが、本件についてもう一度行政監察をきちんとやってもらいたいということと、会計検査院はもう一度この金の流れも含めて検査をしていただきたい、答弁をお願いします。
  69. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 行政監察につきましては、行政監察プログラムに基づきまして計画的に行政監察を実施しているところでございまして、いわゆるODA関係につきましては、平成七年四月に無償資金協力に関して、平成九年三月に有償資金協力に関して勧告をいたしているところでございまして、現在策定しました向こう三カ年の計画の中では、これらの監察が非常に最近実施したということで、予定に入れていないところでございます。
  70. 高野博師

    高野博師君 予定に入れていただきたいという要請をしているのであります。
  71. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 監察プログラムそのものは……
  72. 高野博師

    高野博師君 プログラムはわかっています。しかし、これだけ重大な事件でありますので、特別監査をしてもらいたい。
  73. 深田烝治

    説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。  本件の柏塘養鰻事業につきましては、海外経済協力基金より貸付先からの利息の支払いが滞っている、そしてまた元本回収の見込みも難しい、そういう案件であるという報告を受けておりまして、私どもといたしましては、貸付契約の締結時から現在に至る事情につきまして現在調査を実施しているところでございます。
  74. 高野博師

    高野博師君 時間です。終わります。この件についてはまた別の機会に取り上げさせてもらいます。
  75. 田英夫

    ○田英夫君 きょうの議題から離れまして、通告もしておりませんから突然のお尋ねというか発言ですが、五月の初めにペルーの事件に関連をして青木大使を参考人として当委員会でお呼びをして質疑をしたわけですが、けさの東京新聞に中江要介元駐中国大使がこの問題について大変注目していいといいますか、厳しい意見を述べておられます。  簡単に申し上げると、外交関係に関するウィーン条約に基づいて、このペルー日本大使公邸事件の責任は接受国であるペルー政府にある、このことは明らかだと。大使公邸の損壊に対しても責任はペルー側にあると、こういう論陣であります。外交関係に関するウィーン条約の二十二条を引用されて、大使など使節団の公館は不可侵とすると。接受国は侵入または損壊に対して公館を保護するため及び公館の安寧の妨害または公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置をとる特別の責務を有すると、こういう条項も引用されて、この責任はペルーにあると。にもかかわらず、事件発生以来、特に「解決後の日本における論評は、」と、マスコミのことを指しておられるんだと思いますが、ペルー政府責任については目もくれず、ほとんどが大使の責任を云々するもので、日本人が日本で引き起こした事件のような錯覚をしているのではないかという指摘をしておられます。  実は私も全く同感ですが、外務省は、外務省の一員である青木大使のお立場あるいは世論の動向を十分に知っておられながらこのことを余り言われなかったと思います。しかし、これは国際法上明らかに責任はペルーに、接受国にあるということでありますから、私は、あえてきょう、この中江元中国大使の意見に対して外務大臣としてどうお感じになるかを言っていただきたいと思います。
  76. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) ウィーン条約上の考え方はそのとおりであると思います。  実は外務省としてもそのことを認識していなかったとか、あるいはそういったことを言っていなかったということではございません。私自身、事件の決着に至るまでの過程におきましても、本院あるいは衆議院における審議の中で、ウィーン条約に触れながら、第一義的にはペルー政府がこの事件の解決に当たる責務があるんだという答弁をした記憶がございます。  それから、一番はっきりしておりますのは、事件決着後リマへ参りましたとき、現地の記者会見におきまして私はその点を明確に申し上げました。それが、その当時も、一部私の申したことが落ち、申さなかったことが付加されまして、若干ニュアンスの違った報道がされましたけれども、そのとき私が申しましたのは、ウィーン条約上、二十二条もございます、二十九条もございます、二十二条、二十九条までは読みませんでしたけれども、接受国が第一義的に責任があるんだということを申し上げました。しかし、そのことが、我が国としてあるいは外務省として責任があるかないかということを必ずしも言っているわけじゃない、まず一義的に接受国の責任であるということを申し上げたわけでございます。  我が外務省として責任問題等をどう考えるかは、現在調査の、検討の過程にございますので、その結果を待っていろいろ考えてまいりたいと思っています。
  77. 田英夫

    ○田英夫君 私も、大臣がウィーン条約を引用されて第一義的には接受国にあると、橋本総理もそう言われましたが、このことはよく記憶しております。改めて、私は日本の世論といいますかそういう中に不勉強な点があったということを指摘したいと思います。  香港の問題に入りますが、本日の議題になっております航空協定も香港返還ということで七月一日を控えて締結されたものであるわけですが、この香港返還の七月一日以後、香港は一体どういう姿になるのか。  マスコミ出身の人間がこういうことを言うのはあれですが、どうも私は、今、日本のマスコミの中でその姿が正確に伝えられていないんじゃないだろうか。結論を言えば、私は一般の方から見て現在の状況とそう変わる状況にはならないというふうに見ておりますが、政府としては、政治的な問題を含めて、返還後の香港というのはどういう姿になるというふうに見ておられるか、お答えいただきたいと思います。
  78. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 返還後の香港の姿はどうなるかという御質問でございますけれども、基本的には一九八四年の英国と中国の間の共同声明を踏まえてこれまで返還のいろいろ具体的な作業が進められてまいりましたが、そういったことを基本にしてあすの香港の姿が描けるんだと思います。そして、共同声明では、香港は中国の特別行政区となりまして、外交、国防の分野を除いては高度の自治が付与される、いわゆる一国二制でやるということになっております。そうなりますと、基本的に現在の香港の姿が維持されるんじゃないかなと思います。  私はつい最近も北京へ参りまして中国の首脳ともいろいろお話しいたしました。また、先週から今週にかけましてはヨーロッパへ参りまして、その際、英国の新しいクック外相を初め、欧米の方々とも香港の問題についてもいろいろ意見を交換したところでございます。  そういったことも踏まえまして、私は基本的に共同声明でうたわれているような現在の姿を維持するということは実現するんじゃないかなと思っております。すなわち、現在の香港の自由貿易、あるいは税率も非常に低いとか規制も非常に緩やかであるとかということで、非常にビジネスに適した環境でございます。そういったものが維持されるんじゃないかと思っております。と申しますのは、中国政府としても、やはり香港が現在果たしているような経済を中心とする役割が維持されるということがみずからの利益でもありましょう、約束でもございますし。そういうふうなことで、我々は、七月一日以後も基本的には、香港の経済はもとよりのこと、社会的な状況も変わらないんじゃないのかなと、このように見ているところでございます。
  79. 田英夫

    ○田英夫君 全く同感でありますが、一方で、四月中旬に香港のいわゆる民主運動のリーダーであるマーチン・リー、李柱銘氏がアメリカを訪問いたしまして、オルブライト国務長官と会談をし、またクリントン大統領とも会談をしております。香港返還ということを控えてアメリカの最高責任者がいわば北京の中国政府に対して不快感を与えるに違いない人物と会談をしていること自体私は首をひねるのであります。オルブライト国務長官は、その後、香港が現在の社会体制を引き続いて維持することをアメリカは支援する、こういうことを強調して、七月一日にはオルブライト国務長官自身が香港の返還式典に出席する、こういう発言を記者会見でしております。これに対して中国は極めて不快感を表明して、新華社がアメリカはイギリスにかわって香港を支配しようと企図しているというような論調を掲げているということを承知しております。  アメリカ政府、オルブライト国務長官の意図が那辺にあるのかまことに不可解というか読みにくい。しかし、こういう空気が日本の一部に反映をして、香港が民主化を阻害されるとか、中国の本土の方と同じようになってしまうとか、変わるであろうというようなことをしきりに言うのではないかと危惧をいたします。こういうことで、返還後の香港というものについてはもっと冷静に見守るべきではないか、こういう感じがしております。  それに関連をして、四月二十三日にはダライ・ラマがゴア副大統領と会談をするという形でワシントンを訪ねているんですが、そこへたまたま同席したという形でクリントン大統領が会っている。このこともまた大変中国を刺激することは間違いない。  私は、どうもこういう動きを見ていると、最近の第二次クリントン政権、そしてオルブライト国務長官初め新しく起用された閣僚の皆さんの姿勢というものが私は以前にも増してアジアの平和のために危険なのではないかという気がしてならないのであります。こうした動きに対して政府はどういうふうに見ておられるか、伺いたいと思います。
  80. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 御承知のとおり、第二次クリントン政権が成立しましてから新しく任命されたオルブライト国務長官あるいはコーエン国防長官、それからさらには引き続いてでございますがゴア副大統領というふうに、次々に中国を訪問しておられます。そして、中国だけでなくて、我が国あるいは韓国等も含めましてアジア各国を回られたわけでございます。  そういったことで、米国の政権としてはこれからもアジアの関係は非常に重視していくと。その中でも中国との関係を良好に保っていこうという基本は揺るぎないものがあると私は認識しております。  先ほど香港をめぐるオルブライト長官の発言について御披露ございましたけれども、そこのところの真意は、やはり香港が現在のような自由な、そして経済的な役割を果たせるような状況がきちんと維持されることが大切だと、中国もそのあたりをきちんとやってくれるんだろうなという期待感を含めての発言ではなかったのかというふうに、私は性善説でございますからそういうふうに解釈しておりますし、日本といたしましても、米国とも連携をとりながら、中国との関係あるいはアジアの諸国との関係を今後良好に維持していくように努力してまいりたい、こう考える次第でございます。
  81. 田英夫

    ○田英夫君 今、政府がアメリカとの間で進めておられる日米防衛協力のガイドラインの見直し問題が間もなく表面化してくるという状況の中で、私は率直に申し上げて、日米基軸でいいのか、それだけでいいのかと。日本の外交というのはやはり日米中トライアングルでなければいけないんじゃないだろうかという意見を持っております。先日もちょっと触れましたけれども、改めてまた議論をさせていただきたいと思いますが、そういうことを考えているだけに、危惧を持ってこのことを取り上げたということできようは終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  82. 萱野茂

    ○萱野茂君 本日議題になっております香港及びパプアニューギニアとの航空協定と関連いたしまして、この機会に日本とロシア間におきます航空交渉の今後の見通しについて伺っておきたいと思います。  昨年の十月、我が国とオランダの間で航空協定が持たれ、この交渉はオランダの民間航空機の名古屋−札幌−アムステルダムの間の新たな運航についての合意がなされました。ただし、このオランダ機の運航は、日本とオランダ両国がロシア側からの必要な権益を確保した上で就航が可能になるというものであります。  しかし、我が国とオランダの合意を受けて、その後に持たれました日ロの航空交渉では、永年の課題でありますが、ロシア側から新千歳空港へのロシア機の乗り入れの提案がありました。これに対して、日本側の省庁間の足並みがそろわず、交渉は合意に至らずに終わっております。原因は、これまでもそうでありますが、北海道と旧ソ連、ロシア間の航空機の千歳空港への乗り入れについては防衛庁が、第二航空団があるわけですが、防衛上の理由から難色を示すというか反対といいますか、そういうことが原因であると聞いております。  一方、KLMオランダ航空は合意を受けて週二便を予定しているわけでして、国際エアカーゴ基地の形成を目指しています新千歳空港としては、空港の二十四時間運航について苫小牧あるいは千歳住民との、市民との合意を既に終えているところであります。  そこで、私は、旧ソ連の体制変革、冷戦構造の終えんなど国際環境が大きく変わった今日、防衛庁が懸念する防衛上の心配は余りないのではないかと思っております。国際線の相互乗り入れば、我が国の国際化の進展にとってはもちろん、地域の活性化にとっても大切なことであり、航空条約趣旨、そしてまたオランダとの航空交渉の合意の遵守の観点からも重要であると考えております。  ロシアとの次の交渉は六月下旬と聞いておりますが、運輸省と防衛庁の調整はどのようになっているのか、政府として日ロの交渉をどのように成功させようとしておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  83. 黒野匡彦

    政府委員(黒野匡彦君) 今の件でございますが、先生御指摘のとおり、十月下旬に、日本とオランダとの間でアムス−新千歳−名古屋と、こういう線を新設するということで合意に達しました。ただ、この路線はシベリア上空を経由するために、日本、オランダそれぞれがロシアから上空通過の権益を取得する必要がある、その後に運航可能となる、こういうことでございまして、早速十月末に日本とロシアとの間で交渉をやりました。結果といたしまして、全体の枠組みにつきまして日ロ間で考え方が大きく差があるものですから、交渉は合意できなかったものでございます。次回、私どもといたしましては六月下旬にロシアとやろうということになっております。  先生御指摘のなぜ昨年合意に達しなかったかということでございますが、国内事情もございますが、ロシアから大変多くの便数、枠でございますね、これの要求がございまして、日本側の需要との乖離が余りにも激しかった、大き過ぎたということが主な問題でございました。  空港に外国航空機が乗り入れるに際しましては大変多くの省庁と関係がございます。一番代表的なのはCIQでございます。それから、この新設につきましては防衛庁も関与しているわけでございまして、これら関係の方面の合意をなるべく早く取りつけまして、このKLMの運航を早期に実現したいと思っております。
  84. 萱野茂

    ○萱野茂君 次に、日本とロシアの関係について、日ロの航空交渉の推移も含め、今後の日ロの関係は非常に大切であると私は認識しております。  昨年は日ロの国交回復四十年ということもありまして、最近、橋本内閣のもとでは日ロ関係の新しい枠組みつくりについて日本側から積極的にアプローチされていることは大変結構なことと思っております。特に、池田外務大臣は、ロシアでの会談を終え、お帰りになられたばかりですが、この会談でもさまざまな提案をなされておられ、今後両国の首脳会談の成功を期待したいと思っております。  日本としては、冷戦終えん後の、また体制変革後のロシアの国際的地位についても十分配慮した関係の構築が望まれると思っております。そして、ますます経済貿易、安全保障など幅広い分野での関係強化を期待しているわけでありますが、いわゆる北方領土の返還につきましても、息の長い、しかも同時に我が国の主権を大切にした対話の継続を期待したいと思います。  領土の帰属問題と北方地域の環境の整備は車の両輪であると言われます。しかし、この車の両輪が均衡ある同じ大きさの両輪でなければ前に進まないわけでして、なかなか困難な課題であることは承知しておりますが、今回の池田外務大臣のロシア訪問では、北方地域の環境の整備も含めまして、日本としてどのような姿勢で臨まれたのか、またどのような協議になったのか、お伺いしたいと思います。
  85. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 御指摘のとおり、冷戦も終えんいたしまして、ロシアもかつてのソ連と言われた時代とは随分違った国柄になっております。また、国際社会の中における位置というものも随分変わってきております。そういった中で、我が国といたしましては、ロシアとの関係を改善し、さらに発展させていきたいというのが基本姿勢でございます。  そのときに、何といいましても領土問題が未解決だということがございますので、やはり東京宣言に基づいて領土問題を解決して、そして平和条約を結んでいくというこの基本は絶対に忘れてはいけないことだと思います。それと同時に、今もお話ございましたけれども経済あるいは文化、さらには安全保障等々幅広い分野で両国の関係を強めていくということは重要だと思います。  そのような基本姿勢に立ちまして、今回も私、プリマコフ外相、それからエリツィン大統領にもお会いいたしました。そしてネムツォフ第一副首相ともいろいろ話をしてきたわけでございます。その中におきましては、まず政治的な対話について、昨年来、御指摘のとおり、随分対話を強めてまいりました。私自身が今回プリマコフ外相とお会いするのは六回目でございます。さらに、最近では防衛庁長官と国防大臣の相互訪問なども実現したところであります。もとより橋本総理も、昨年、原子力安全サミットの際の訪ロ等でエリツィン大統領ともいろいろ話をなさっています。  そういったことをさらに強化していこうということで、今回はデンバー・サミットの際に日ロ首脳会談を開催するということで合意いたしましたし、さらにその先に向かっても首脳間の隔意のない対話を続けていこうじゃないかということをエリツィン大統領の方からむしろ積極的に申されたと、こんなこともあったような次第でございます。  それからさらに、ネムツォフ第一副首相も来月早々日本に来られて、これは経済問題を中心としていろいろ相談をしていこうということにいたしています。  それからさらに、今回参りましたときにシベリア抑留者の方々のいろいろな所持品の一部の引き渡しを受けました。それからさらには、我が国の在サハリン出張駐在事務所の開設、先方は函館でございますか、そういったところについても新たな外交といいましょうか領事の機関を開設するということで合意したわけでございます。こういうふうにいろいろな面で関係を強めてまいりたいと思っております。  そういった中で、先ほど申しましたけれども、領土問題は決して忘れちゃいけない、大切にしなくちゃいけない、こう思っております。私の方からも、重ねて、帰属の問題といわゆる環境整備の問題は車の両輪だということは強調しておきました。エリツィンさんはまず経済をとおっしゃるものですから、私は車の両輪でございますということを言いました。車の両輪といっても大きさがという話がございましたけれども、これもいろいろな話をやっております。そういったこともプリマコフさんとの間で話をしておりまして、私は二輪馬車の両方で並行して走らなくちゃいけないんだと。プリマコフさんは、去年の十一月には、自転車の車の両輪で一方が先に行けばいいじゃないかという話もあったけれども、そこのところはやはり両方バランスをとらなくちゃというような話も出てきたところでございます。  先方にも先方のいろいろ政治的な情勢とか世論の関係もございます。難しいところもありますけれども、領土問題は厳然としてあるんだ、これを解決しなくちゃいけないという認識は一致しているわけでございますし、おっしゃるように、これからも粘り強く解決を目指して努力してまいりたいと思います。  私の方からは、何しろこの問題は今世紀、二十世紀に起きた問題なんだから二十世紀中には決着、少なくともそのめどを見出すぐらいの決意でいかなくちゃいけないぞと大分迫ったわけでございますが、先方もいろいろ難しさは申しながらも、今後もその努力をしなくちゃいけないということは改めて確認をしたような次第でございます。
  86. 萱野茂

    ○萱野茂君 大臣が長い説明をしてくれるので、真ん中を一つ飛ばします。  次に、我々アイヌの念願でありましたアイヌ新法は、五月八日、衆議院で可決成立しました。七月にも施行の運びと聞いております。この法案審議におきまして、梶山官房長官から、アイヌ民族の先住性は歴史の事実とすることは内閣の一致した認識であるとの見解が述べられましたが、当然この認識については外務大臣も同様であることに異存はございませんでしょうか。その辺、ひとつお伺いします。
  87. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 梶山官房長官から答弁があったのと全く同じ認識でございます。
  88. 萱野茂

    ○萱野茂君 そこで、国際人権規約B規約による国連人権委員会への報告について伺います。  外務省は、一九九一年の報告では、二十七条の少数民族の権利に関連して、アイヌ民族は我が国の少数民族として差し支えないとしてきました。五月七日、衆議院内閣委員会におきまして、我が党の池端委員質問外務省は、今回の報告では、ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会の報告を踏まえての政府の姿勢や法律の成立について報告をされるとの見解を示され、五月じゅうにも提出の予定と答弁されております。  また、私が提訴しました二風谷ダム裁判においても、去る三月、B規約に照らし先住民族に該当するという判決が出て結審しております。  今回の報告は、内容も含めましてどのようになされるのか、その点をまずひとつ伺っておきます。  続けて、一九九四年から始まりました世界の先住民族の国際十年におきましても、アイヌは少数民族である、ゆえに我が国に先住民族は存在せずとして国内施策が施されないことの論拠にしてきたかと記憶しております。しかし、アイヌの先住性も内閣の一致した認識となりますと、この論拠は崩れ、おのずから変わるものと思います。  私は、政府に、アイヌを先住民族とする内閣認識と国際的立場との整合性を求めるとともに、先住民のための国際十年についてもしっかりとした国内施策の展開を求めますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  89. 朝海和夫

    政府委員(朝海和夫君) お尋ねの初めの点、国際人権B規約に基づく報告書でございますが、現在所要の準備をしておりますところでございまして、来月早々にも国連に提出できると考えております。  この報告書の内容につきましては、国連に提出する前に公表する性格のものではございません。したがいまして、国連に提出した時点で公表したいと考えておりますけれども内容としては、アイヌの人々に関する部分におきましては、委員も御指摘のあったこの規約の第二十七条に規定されている権利に関する措置等との関連ということで、委員もおっしゃったウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会の報告書、これを踏まえた政府の姿勢、あるいは北海道ウタリ対策に関する政府の施策、こういった点を踏まえたものを報告書に盛り込むことを考えているところでございます。  二点目の国連先住民の十年でございますが、これにつきまして、外務省としましては、御指摘の別途の委員会でも御説明してございますけれども、国連の側に基金がございまして、そこに若干でございますけれども資金を拠出しております。あるいは、国内的には政府広報紙などを通じまして、先住民の十年あるいはこれに関連する国連決議についての国内的な広報努力を重ねてまいっておるところでございます。
  90. 萱野茂

    ○萱野茂君 大臣、一言だけ、今のことに関連して、内閣認識として、国際先住民年のための十年に対しての。
  91. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたように、官房長官の答弁内閣としての答弁でございますので、その認識を踏まえまして、ただいま御指摘の問題にも対応してまいりたいと思います。
  92. 萱野茂

    ○萱野茂君 終わります。
  93. 小山峰男

    ○小山峰男君 本日の議題でございます二本の条約については賛成でございますので、一般質疑をしたいと思います。  まず最初に、北朝鮮の食糧支援問題で、パリで池田外務大臣は韓国の外務大臣と会われて要請を受けたというような新聞報道もございますが、その辺の内容等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  94. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) この問題につきましては、従来から、韓国あるいは米国とはいろいろな機会に情報あるいは考え方について話し合いといいましょうか交換しながら、その上に立ってそれぞれの国として対処しているということでございますが、先般OECDの閣僚理事会の際に柳宗夏韓国外務長官ともお会いいたしまして、その節、この問題にも触れました。  その際に柳長官の方からお話がございましたのは、一つは、韓国自身としてこれまで国連機関のアピールにこたえてきたが、そのほかに南北の赤十字間での話し合いも進んでいるというようなことも御披露がございました。それから、パリへおいでになられる前にアメリカへ回って米国ともいろいろ話をしてきたと。そういった中で、米国の認識なり米国の事情について柳長官から御披露がございまして、米国においては、現在の北朝鮮の食糧不足が非常に重大な状態にある、朝鮮半島の安定のためにも支援しなくちゃいけないという世論が強まっている、そういうふうに感じましたというようなこと。それからまた同時に、北朝鮮の食糧不足にもいろんな側面があるけれども、人道的な側面と構造的な面というものは区別して考える必要があるんじゃないかというふうなお話がありました。  それから、そのうちの特に構造的な問題については、いわゆる四者会合というものが動き出している、その中で考えるべきじゃないかなということでアメリカあるいは韓国の間の認識が大体一致したと、そういったようなことの御披露があったと思います。そんなことも踏まえまして、日本も大きな支障がなければ米韓と同じように食糧支援をしてもらえるといいがなというふうな感触が伝えられたと、こういうことでございます。  私の方からは、日本としても北朝鮮の安定にはもとより大きな関心を持っておりますし、食糧危機の状態もよく知っておる、そんなことで昨年までもいろいろ援助してきたところだと。しかし、現在どうするかということについては、御承知のいわゆる日本人妻の帰国の問題であるとか行方不明者の中に北朝鮮が絡んでいるんではないかという疑惑を持たれている問題だとか、あるいは最近では北朝鮮の船による大量の麻薬の密輸の問題とか、こういうものがあるということで、そういったことにつきまして北朝鮮の方から何らかの姿勢の変化というものがないと国民世論から見てもそう簡単に人道的な問題だから食糧を支援しましょうということにいかないんだという現在の日本の情勢というものを説明しておいたと。いずれにしても、諸般の情勢をいろいろ考えながら、この問題について日本としてどうするかはなお検討中であるということを申し上げたと、こんなことでございます。
  95. 小山峰男

    ○小山峰男君 これも新聞報道で、外務大臣今言われたようなことも書いてございますが、現在日朝間では両国政府の低いレベルによる接触を続けておりというふうになっておるわけです。低いレベルか高いレベルかは別として、その接触の状況というか、いろいろこの場で言えない面もあろうと思いますが、どんな形で行われているか、言える範囲でお願いしたいと思います。
  96. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 私は低いレベルと申した記憶はございません。私が申しましたのは、これまでも北朝鮮との間の接触、公式のものはございませんけれども、我々なりにそれは当然のこととしていろいろな努力はしなくちゃいけないと思っておりまして、そういったことで随時接触はしてきたわけでございます。  そういった中で、最近も、課長レベルでございますから低くはございません、英語で言えばディレクターでございますから、接触をしております。そういった中で、我が方からは、先ほど申しましたような日本として解明なり解決なりを必要としていると、そのために北朝鮮としても適切な対応をすることを求めたいという点について当方から提起しております。  それに対して北朝鮮側からは、いわゆる日本人妻の問題につきましては、原則的にそれはそうでしょうねと、これは考えましょうと、考えなくちゃいけないというような回答といいましょうか、そういうことは見えておりますけれども、あどの二つの問題につきましてはこれといった姿勢なり対応の変化というものは今までのところ見られていないところでございます。  ただ、それはそれとして、他方において、北朝鮮側が食糧の窮迫した事情を述べ、我が方に対して食糧の支援を期待するというような意図が伝えられていると、こんなことでございますが、この二つは必ずしもつながっている問題ではございません。先ほども御答弁申し上げたような事情でございますから、当然のこととして、我が方としてあとの問題についてどうこうするということを答えられる状況じゃないし、答えておりません。
  97. 小山峰男

    ○小山峰男君 いろいろの報道等によりますと、北朝鮮の食糧不足というのは相当厳しくなってきているという状況のようでございます。  それで、今の低いか高いかは別として、課長レベルによる接触というようなものが行われているとすれば、積極的に対応しながら、やっぱり何かの成果を出して、国民の合意を得るような努力というのもやっぱり必要だというふうに思っておりまして、接触はお互いにやりましょうとかというような形で、例えばかなり頻繁にできるというような形になっているわけですか。
  98. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたけれども、私どもといたしましては当然のこととして日朝間の関係もよくするように努力しなくちゃいけないと思っております。そういうことで、これまでもいろいろな機会に接触はしてきましたし、また日本としても解決を求めなくちゃいけない問題がある、そういったことをするためにもやはり接触は必要でございますので、これまでもやってまいりましたし、今後も必要に応じ随時やってまいりたいと思います。  それからまた、いろいろな御議論国会においてもございますし世間でもございます。こういった問題を解明するためには、政府としては第三国であるとかその他の国際的な場であるとか、いろんなところを通しても努力するべきじゃないかと言われますけれども、我々もその辺は承知はしておりまして、必ずしも今こういうことをやっております、こちらでどういうことを申しましたということをあれこれ御説明するのはなかなか難しいケースが多いのでございますけれども、いろいろな角度からいろんな努力はしているところでございます。
  99. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひ積極的に交渉をして、いろんな面の成果を出してほしいというふうに思っております。  それから、きのうのある新聞の夕刊だと、米国議会の調査局の報告というような形で、穀物の二〇%が軍備蓄にいっているとか軍要員に対する米の配給が一般の人の七倍になっているとかというようなことが米国の議会の調査局の報告で議会へ報告されたというようなことも言われているわけでございますが、当然外務省としてもこういう情報はいろいろの角度から収集されている、そういうふうに考えていいんでしょうか。
  100. 加藤良三

    政府委員(加藤良三君) 今、委員御指摘の米議会調査局報告というのも入手いたしまして、その分析をさせていただいております。その中に、今御提示になりましたような点が盛り込まれております。ただ、その報告書の中にも、今の部分につながるところで、例えば軍の備蓄が取り崩されたというような情報もあるけれども、この点についてはかっきりとした情報、ハードインフォメーションというふうなものになると、これはないんだというようなことも書いております。  そういうことでございまして、透明性が欠如しているというところはあるわけでございますけれども、できるだけ諸方面と連絡をとりつつ、引き続き情報収集に努めてまいりたいと思っております。
  101. 小山峰男

    ○小山峰男君 ぜひいろいろの情報を収集して、できるだけ早い判断をお願いしたいと思っております。  時間もなくなったわけでございますが、気候変動枠組み条約関係で、この条約に基づく計画では二酸化炭素、例のCO2の二〇〇〇年時点での排出量を一九九〇年水準に抑えるというようなことを国際公約と申しますか政府計画として出されているわけでございます。  ただ、報道によれば、一九九五年、五年たった時点の現在の排出量は、九〇年レベルと比較すると、既に八・三%増加するというような形で過去最高になっているというふうに言われているわけでございまして、二〇〇〇年のCO2排出量を一九九〇年レベルまで引き下げるというような国際公約の達成は大変困難な状態になっているのかなというふうに思うわけでございます。  この目標達成のための抑制、これは外務省だけの問題ではなくて、環境庁の問題であったり通産省の問題であったりするわけでございますが、どういうふうに対応をしてこの国際公約を守っていくか、その辺について、まず環境庁、通産省の考え方をお聞きしたいと思います。
  102. 浜中裕徳

    政府委員(浜中裕徳君) お答え申し上げます。  我が国の二酸化炭素の排出量の推移は近年増加基調になっておりまして、ただいま九五年の数字の御紹介がございましたが、政府といたしましては九四年度の値が現在までの最新の値でございます。九〇年度に比べまして一人当たりで五・八%、排出総量で七・二%の増加でございます。  我が国といたしましては、これまで地球温暖化防止行動計画に基づき各種の対策が実施されてまいりました。また、企業の自主的な取り組みも行われてきておりますが、計画の二〇〇〇年目標の達成は非常に厳しい状況にあるというのが事実でございます。  しかしながら、私ども環境庁が昨年取りまとめた見積もりによりますと、目標達成に向けて利用可能な技術というものも数多くございますし、目標の達成それ自体は容易ではございませんが、引き続き私どもとして最大限の努力を傾けてまいりたい、このように考えております。  こうした点から、地球温暖化防止のための施策を私ども環境庁といたしましても関係省庁と協力して一層の充実強化を図っていくこととしておりまして、本年度からは地方公共団体の地球温暖化対策事業への補助を新たに実施することといたしましたほか、対策強化には国民の理解と支持が重要だと考えております。例えば、来月六月は環境月間ということでございます。日常生活の中での国民の幅広い取り組みを促進していくというようなことで、「エコライフ・一〇〇万人の誓い」といったような呼びかけも新たに始めるというようなことなどを初めといたしまして、国民総ぐるみの取り組みを推進していきたい、そして二〇〇〇年目標の達成に向けて残された期間最大限の努力をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  103. 安達俊雄

    政府委員(安達俊雄君) 御高承のとおり、一九九〇年に開催されました関係閣僚会議におきまして、いわゆる地球温暖化防止行動計画を策定したわけでございます。その中で、先生御指摘のように、二〇〇〇年以降一人当たりのCO2排出量を一九九〇年レベルでおおむね安定化するといった目標を掲げてその後努力してきたわけでございます。  今環境庁の方からもお話ございましたが、その後の動向を見てまいりますと、例えば九〇年から九四年の変化でございますけれども、部門ごとに見ますと、産業部門が弱含みの横ばい、民生部門と運輸部門がそれぞれ一三%の排出量増加を示しておるという状況でございます。  こうした中で、より一層の努力が政府としても求められているというふうに私ども認識しておりまして、去る四月一日の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきまして、産業、民生、運輸の全部門にわたる六十六項目の新たな取り組み、あるいは強化する取り組みから構成されます総合的な省エネルギー対策を関係省庁すべての協力のもとで決定をしたところでございます。  そういった中で、幾つかその取り組みを御紹介させていただきますと、まず、これまで業種単位でやっておりました産業部門の対策でございますけれども、工場ごとにエネルギー消費原単位の低減の努力目標を設定していただきまして、重立った主要工場についてはすべてこういった目標を掲げて省エネ努力を図っていただくということをことしから開始するといったこともございます。また、建設省と一緒になりまして住宅の断熱性能に対する誘導基準、一般的な基準はあるわけですけれども、さらに意欲的な基準ということで誘導基準をさらに設定していくといったことを省エネ法に基づいて進めていく。あるいは、これは運輸省と通産省の連携でございますけれども、ディーゼル自動車の省エネ基準を設定するという方針を新たに決めるといったことをこの総合エネルギー対策推進閣僚会議の中で決定を見たところでございます。  私どもとしては、こういった省エネ対策あるいは新エネルギーの一層の導入促進、それから原子力の着実な推進、こういった国内対策についてさらに努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  104. 小山峰男

    ○小山峰男君 時間も終わったわけでございますが、まだ質問がありますので、継続して次の機会に質問させていただくということで終わりたいと思います。
  105. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、航空業務に関する日本国政府香港政府との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  106. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、航空業務に関する日本国とパプア・ニューギニアとの間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  107. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  109. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  110. 立木洋

    立木洋君 南アとの租税条約の問題についてお尋ねいたします。  南アと日本との経済的な状況を比較してみますと、相当な格差があるんですね。これは、日本のGNPでいえば、大体南アのGNPの十二倍から十三倍ですよ、一人当たり。だから大変な格差がある。そして、資本の流れ等を見てみますと、南アの方に日本の資本が投資されているのが約五十五億、六十二社の企業が進出いたしております。ところが、南アの方から日本になされている投資額というのはゼロです。進出している企業数もゼロです。貿易の格差の問題については、これはもう推してはかるべきで、非常に大きな差があるんです。  こういうような国との間でいわゆる租税条約を結ぶ場合に、これはもう大臣十分御承知のように、結局、かつての場合にはOECDのモデル条約というのは先進国間の一貫した相互主義を基準にしてつくられた租税条約なんですね。それに途上国からいろいろ意見があって、途上国と先進国との間での租税条約としては国連のモデル条約というのが一九七九年につくられたということは御承知のとおりだろうと思うんです。ですから、南アとの租税条約を結ぶ場合には、国連のモデル条約をより配慮する必要があるんではないかという感じがするんです。  これはもう言うまでもなく、今の世界的な経済の状態を言いますと、経済的な格差というのは大変なものなんですね。御承知のように、UNCTADが発足してからもう三十数年たちますが、経済的な格差は是正されるどころか、ますます広がっているんです。だから、こういう租税条約でも、やっぱり発展途上国の税収を確保するというふうな形でも十分な配慮をすると。  もちろん私は、今回の南アとの租税条約について、国連条約の問題について全く日本側が無視しているなんというふうなことを言うつもりはありません。五条の三項でも、あるいは十四条の一項の(b)でも、時間がありませんから内容は言いませんけれども、いろいろ配慮されているということも感じます。しかし、さまざまな経済状況の問題、観点を考えて、もっと国連のモデル条約の問題についても配慮してよかったんではないかというふうな感じがするんですが、大臣でも結構ですし政府委員の方でも結構ですが、そういう観点だけで簡単にお答えをいただければと思います。
  111. 登誠一郎

    政府委員(登誠一郎君) 外務省といたしましては、二重課税の排除によって二国間の人的及び経済的な交流を促進するというこの租税条約の目的を達成するためにはどのような内容条約が適切かという見地から、南アフリカ政府との間でこの条約の交渉を行ってきたわけでございます。  その過程におきまして、私どもももちろんOECDモデル条約というものと国連モデル条約案、この二つがあるということはよく承知しておりますけれども、このいずれか、どちらかを採用すべきというような一方的な観点に立って交渉を進めてきたものではございません。この交渉は、今申し上げたような租税条約の目的に照らして、適切であって、かつ双方にとって受け入れ可能な条約としたいということから交渉が行われたわけでございまして、その結果として比較的OECDモデル条約案に近い形の現在の内容について双方が合意したわけでございます。  この交渉の過程において、南アフリカ政府もかなりOECD条約案に近い議論をいたしておりました。そういう観点から、結果としてはそれに近い条文が多いわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、その中にはOECD条約案にはない、国連モデル条約にしかないような規定も幾つか入っておりますので、国連のモデルを軽視したとか、そういうことではなかったというふうに理解しております。
  112. 立木洋

    立木洋君 もちろん私はどちらかのモデル条約を基本にして進めなさいというようなことを言っているわけじゃなくて、それは協議の中でそういう話ができるわけですけれども日本経済的に先進国でありますから、そういう点についてももう少し世界の経済的な情勢のあり方も考慮に入れて、十分な配慮を払ってもいいんではないかという考えがしたものですから述べさせていただいたわけです。  この問題については何回かこの外務委員会でも外国との租税条約締結の問題に関して意見が繰り返されてきました。その中で私も何回か述べたんですけれども、我が国の外国税額控除制度、これ、かつては一括控除方式がとられたり、あるいは控除余裕額や限度超過額などについての繰り越しや繰り延べ期間などが存在するだとかいろいろな問題があって外国税額控除額というのが非常に過大になる。そういうふうな点をやっぱり見直す必要があるんじゃないかというふうなことが主張されてきて、何回か見直されてきただろうと思うんです。  特に、現在の状態で重要に見直された点が、全部具体的に言っていただくと時間がありませんから、この点ではこう直した、この点ではこう直したというふうな点があれば、主要な点について御説明ください。
  113. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 今、先生から御指摘のございました外国税額控除制度でございますが、これは国際的な二重課税の排除措置として国際的に確立された制度で、我が国企業の国際取引に伴う課税上の障害を除くという意味で重要な役割をしているわけでございます。  しかしながら、今、先生おっしゃいましたように、本来の趣旨を超えた制度になっているんじゃないかと。いわゆる控除額の流用の問題の指摘を特に昭和六十一年ごろから受けまして、昭和六十三年の抜本改正におきまして三点ほど大きな改正を行ったわけでございます。  第一点目は、控除限度額の計算の基礎になる国外所得から外国で課税されない非課税の所得の半分を除外する。二番目に、これは税率の高い国でございますが、五割を超える率で課される税のうち五割を超える率に対応する部分、あるいは高率の源泉徴収につきまして控除対象から除外する。それから三番目に、今、先生からお話がございました控除余裕額と限度超過額の繰越期間、これはそれまで五年でございましたが、それを三年に短縮するというふうになっております。  さらに、平成四年度の改正におきまして、企業経営の多様化ということで間接外国税額控除の対象範囲を孫会社に広げているわけでございますが、一方におきまして、控除限度額の計算の基礎となります国外所得から外国で課税されない所得の除外割合を二分の一に圧縮したところを、さらに三分の二に引き上げるという改正を行ってきているわけでございます。
  114. 立木洋

    立木洋君 それで、私はこの問題についてもいろいろ改善された点について調べてはみたんですけれども、それで果たして十分なんだろうかという問題がどうしても残るんです。  昨年の十月のソニーや三菱自動車の九五年度のそれぞれの有価証券報告書によりますと、法人税や住民税の納税がマイナスやゼロという結果になっている。報告書の中ではそういうふうになっているんです。特に、ソニーなんかの場合では差し引きマイナス五億六千万円というのが還付されているんですね。  それで、実際に三菱自動車の方に話を伺いました。法人税や住民税は納税額がゼロになっているけれども、なぜだろうか、確かにそれはゼロでございますと。それについては外国税額控除による税額控除が大きいことが最大の要因ですというふうに三菱自動車の方では説明してくれました。  ところが、同社は海外に五十三の子会社を持っているんですね。前も私は指摘をしたことがあるんですけれども、外国税額控除の中には、親会社が払ってもいないのに、外国のある子会社が払ったということで外国法人税の一定部分を親会社が払ったとみなして控除が受けられるというふうな間接税額控除というのがあるんです。ところが、支店の場合ですと同じ法人ですから、支店が払ったら本店が払ったのと同じですから問題ではありませんけれども、子会社というのは別法人なんですね。これを支店並みに準じて間接的ないわゆるみなし控除を事実上親会社に対しても行うというふうなことは適切ではないのではないか。  だから、三菱なんかの場合に、五十三も子会社が外国にあれば、そこで払ったということとみなして、日本ではその親会社が全く一銭も住民税も法人税も払わないというふうな事態が出てくるのは、百億や二百億以上の利益を上げていながら一銭も税金を払っていないというふうな問題が出てくるというのはやっぱり正当ではないんじゃないかというふうな感じがするんです。  九四年度の場合を調べてみました。これは大蔵省の資料ですが、資本金が三百億円以上の外国税額控除総額というのは四千百五十億円なんです。このうち間接税額控除、つまり子会社が払ったとみなして親会社が払わないのが千二百億、それからみなし外国法人税額による控除が二百九十億、ですから結局外国での税額控除総額四千百五十億のうち千四百九十億というのは実際には外国で支払っていないのに払ったものとみなされて控除されているんです。これはやっぱり是正する必要があるんではないか。  この問題について政府税制調査会の九六年十一月に出された法人課税小委員会の報告でさえ、現実の外国税額控除の中には「外国税額控除を認めるのが適切とは言い難いものも含まれているのではないかと考えられる。」というふうに特に指摘をしています。みなし税額控除については問題がある、だから見直しをし、縮減の努力を求めている。また一方、OECDでもみなし外国税額控除制度の廃止を促す方針を固めたというふうなことまで伝えられているわけです。  こういうふうな点についてはやっぱり検討する必要があるんじゃないか。今まで訂正をされたというさっき三つの重要な点を述べられましたけれども、こういう問題点にまでメスを入れていく、そういう努力をしていただきたいというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
  115. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 何点が御指摘がございました。  間接外国税額控除がおかしいではないかというお話がございましたが、実は本邦企業が海外に進出する場合は、支店形態で進出する場合と現地法人形態で進出する場合の二通りあるわけでございます。それで、課税上のアンバランスが生じないようにするための制度がこの間接外国税額控除制度でございまして、これは国際的にも確立した制度であるということを一点申し上げたいと思います。  それから、これから外国税額控除制度についてどのような検討を行っていくかというお話でございました。昨年の十一月、法人課税小委員会報告で三点ほど受けております。
  116. 立木洋

    立木洋君 それ知っています。まだ後へ続きますから。
  117. 尾原榮夫

    政府委員(尾原榮夫君) 法人課税小委員会の指摘も踏まえまして、二重課税の排除という外国税額控除の目的あるいは制度の利用実態等を踏まえ、さらに検討を深めまして適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
  118. 立木洋

    立木洋君 最後にやっぱり大臣に御答弁いただかないと、大臣はもう大蔵の専門ですから十分御承知なさっておられるだろうと思うんです。  二重課税の排除というふうな外国税額控除制度に最も忠実に沿った税額限度額の計算方式なんというのはイギリスだとかフランスなんかで採用されているんですね。それから、所得項目別限度方式と言われているものですけれども、そういう形できちっとやられています。ところが、日本のように所得も項目も一まとめにする、今度は一定の控除方式だけではなくて一定の控除限度額を入れましたけれども、しかしやっぱり一括控除限度額方式というものになっているわけで、これであっては日本の実効税率を超える高率で課税された外国税が、他の軽課税ないしは非課税とされる外国所得より生ずる控除額を利用して控除されてしまう。これは一定の枠がありますけれども、そういう問題もやっぱり生じかねないという点があり得るわけです。  それからまた、控除余裕額だとか限度超過額の繰り越しについても、確かに五年を三年に短縮はしましたけれども、繰り越しを認めないというイギリスやドイツなんかに比べるとまだ緩やかであるというふうな問題点もあると思うんです。  だから、この問題に関しては、先ほど申し上げましたように、三菱自動車だとかソニーみたいなところが一銭も日本税金を払っていないなんというような事態が起こるというふうなことは、そういう問題がもろもろの形で作用して、そういう形で事実上は中立性を確保されなければならないのがそうはなっていない。大企業に有利な税制になっているというふうなことをどうしても改善していく必要があるんではないかと思うんです。  財政的に今大変な折ですから、知恵を絞ってやっぱり必要なもの、何も大企業から余分なものをふんだくれというふうな意味のことを言っているわけじゃないんです。きちっと払うべきものは払ってもらえるようなあり方、きちっとした制度のあり方を検討する必要があるんではないかというふうなことを主張したいんですけれども、大臣として昔の経験も十分おありですから、明快な御回答がいただけるものと思って質問させていただきました。どうかよろしく。
  119. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 経験と言われましたけれども、私は税金を集めた経験だけはないわけでございます。  しかし、こういった国際的な取引に伴う課税をどうするかという問題につきましては、我が国の企業は今日では非常に国際的に活動を行っております。そういった活動が課税面で障害にぶつかることがあってはならないという観点から調整するというのがこの制度の趣旨だと思うんです。そういった趣旨はきちんとやりながらも、しかしそのことが全体として公平な課税という原則を損なうようなことがあってはならないというのはそのとおりだと思いますから、そのあたりはよく見ていかなくちゃいけないと思います。  それからまた、ヨーロッパの諸国等の比較のお話もございましたけれども、そのあたりは税制だけで見ていいのか、あるいは国際的な企業活動をやるもの、企業についての企業会計の原則の方がどうなっているのか、その辺もあわせて見なくちゃいけないんじゃないかという感じもいたします。  いずれにいたしましても、国際的にはOECDその他のいろいろな知恵もございましょう。また、国内的には税制調査会を初め関係方面等のいろいろなお考えも徴しながら、関係省庁間で協議の上、適切なまた公平な課税を実現していくという観点から今後とも努力は継続してまいらなくちゃいけないものと考える次第でございます。
  120. 立木洋

    立木洋君 終わります。
  121. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私はつい数日前の青木前ペルー大使のテレビでの発言をちょっと取り上げたいと思います。  その際、まずもって、先ほどの田議員の御意見とも関連いたすわけでありますけれども、私も今回のペルー事件の責任は挙げて接受国であるペルー政府にあるということは、これは当然といえば当然、自明なことであるというふうに考えております。  日本国内の治安、犯罪防止、これまた挙げて警察の責任であります。ですから、今回、神戸の方で変な猟奇的な事件が起きて、子供の首を切って、傷口の間に、何か口の中にですか、警察に対する警告文か何かを入れておいたと。ああいう猟奇的な事件が起きればまずもって警察が激しく非難される。これは当然といえば当然でありますが、やっぱりあの付近の住民は、少し気持ちが悪いんで夜間の出入りは遠慮しようかと、これまた当然の自衛措置とも言えましょう。しかし、あの付近で最近一つの盛大なパーティーでも計画している人がおりまして、やっぱりやめておこうかどうしようかと、いや治安維持、犯罪防止は警察の責任、構わぬ構わぬやれやれといってやって、猟奇犯に襲われて犠牲者が出たとすれば、やっぱりこれはただでは済まない。法的責任を追及されることもあるんだろうと思います、このパーティー主催者は。そういう問題だろうと思います。  そこで、つい数日前にテレビを見ておりましたら、青木大使がさっそうと登場いたしましてペルー事件についての大変つらかった経験等を語っておりましたが、キャスターがこういう質問をいたしました。青木大使の責任問題が日本では非常にやかましく取り上げられて厳しい意見も出ておりますよと、こう言いましたときに、青木大使自身が、あのような事件に巻き込まれてしまった結果責任を感じておりますという答えをしておりました。私、これを聞いて少し国会の彼の御意見とは違うな、少しどころか基本的に違うんじゃないかと、こういう思いがしたわけであります。  巻き込まれるということは第三者が言うことでありまして、当事者ではないんです。夜、道を歩いておるとやくざたちが入り乱れてけんかをしておる、それをぼんやり眺めておったら、おまえもあいつらの味方かということで片一方の側からさんざん殴られた、こういう場合に巻き込まれたという言い方をするわけであって、けんかをしている当事者たちがおれは巻き込まれたなんと言ったら、皆、何だこいつらはといって笑い飛ばすわけであります。日本語としてはなっていないわけであります。  それから、結果責任を感じておりますと、この結果責任という意味が、法律用語じゃございませんからかなりあいまいなんですけれども、いろいろと日本人が好んで使うんですが、要するに法的責任はないが事故を起こしたことについては私なりに責任を感じておりますと、こういうときに使うようです。  非常に慎重な運転をする人が、法定速度を守って道を走ってきたけれども、子供がふいと飛び出してきてはね飛ばしてしまったような場合に、自分の車ではね飛ばしたのでそれなりの責任は感じておりまするというときにこの結果責任ということをどうも使っておるようであります。物すごい乱暴な運転をする人がすごいスピードで飛ばしてきまして、しかもこれに加えて前方不注視もありまして横断歩道を渡っている歩行者をはね飛ばした際に、私は結果責任を感じますよと言ったらこの人は厳しく非難される。君は何を言っているんだ、常識がないのかと、こう言われることになるわけであります。  今回のペルー事件、もしアメリカ大使館で開かれたといたしまして、それに青木大使が出席いたしました。ところが、あに図らんやゲリラに襲われまして百日余りも監禁された、こうなりますと事件に巻き込まれたと、こういう表現はまことに適切だろうと思います。それから、百日余りも人質にとられまして大使館の仕事ができなくなって、日本政府やら日本国民やらいろんな人たちに御迷惑をかけましたと、こういう場合にどうも結果責任を感ずる、こういう言い方をするようですよ。巻き込まれて結果責任を感じておりますると。  パーティーを主催したアメリカ大使が事件に巻き込まれて大変な結果責任を感じておりますると言ったら、日本人はこれを聞いて何だと、自分たちでパーティーを主催しておいて巻き込まれたとは何だと、反省心が全然足りない、法的責任もあるんじゃないか、結果責任を感ずる、そんな言い方はあるまいと、こういって日本人は皆憤慨すると思います。  青木大使がどういう意味であれをおっしゃったのかよくわかりませんけれども、前回、当委員会に来ていただきまして、彼ははっきりと責任を痛感しておりますということを再三繰り返しておりました。その理由といたしまして、ペルー国内の治安情勢の状況把握が不十分であった、もうテロ、ゲリラは鎮静化しかかっていると思っていたと。それから、それなりに危険は感じて一応警備はしたけれども、それは正面からゲリラが襲ってくることを考えて、まさか裏からやってくるとは思わなかったと、こういうことをこれまた言っておられました。  ゲリラですから、相手は。ゲリラが正面から来るというのはむしろナンセンスなわけで、すきを見てどこからでも入ってくるのがゲリラですから、後ろからゲリラは来ないなんという考えはいかにもばかばかしいわけでありまして、結局彼の判断ミス、自分の判断ミスだということを認めた上で責任を痛感すると、こういう意味でおっしゃったように少なくとも私は受けとめていたわけであります。  このことは参議院の本会議でも橋本総理自身も、言葉は少しニュアンスが違いますけれども、はっきりと情報収集が不十分であった、警備体制にも問題があった、責任を感じておるという趣旨の発言をしておるわけで、もう政府部内としてはそれで決まっておると思っておったんですけれども、必ずしもそうではなさそうであります。  国会はうるさいことを言うから、あの場に行って頭を下げておけばよろしい、言葉は何でもいいと。しかし、国民向けの本心はまた別の機会でということでああいうことをおっしゃったのか。いずれにしろ、我々はどちらを信用していいのかわからないわけですよ。責任を感じております、私の判断ミスです、辞職もいたしますということをきっぱりと当委員会で申し述べておきながら、テレビの前では、巻き込まれて困りましたな、結果責任を感じておりますよぐらいの、そういう軽いことで済むのだろうか。しかし、それが本心なら本心でまたやむを得ないかもしれませんけれども、一体どちらが本心なのだろうか、はっきりさせてもらいたい。  彼が公務員をもうやめておりまして自由な立場なら何を言おうと彼の勝手でありますけれども、一応やっぱり日本のお役人、公務員でありまするから、国会で述べたことと、テレビはどうでもいいんだというわけにもいきません。テレビの前で国民に向けて発言したこととはきちっと統一を保ってもらいたい、こう思うわけであります。  そこで、外務省にお尋ねいたしたいのは、これまで何回も青木大使から事情を聴取しておられるはずですけれども、彼は一体外務省の事情聴取に対して、当委員会の発言のようなことを言っておるのか、あるいはテレビでこの前言ったようなことを言っておるのか、どちらなのか、それをまずお尋ねしたいと思います。これは別に秘密でも何でもないと思いますからね、こんなことは。
  122. 原口幸市

    政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。  外務省でも既に青木大使からいろいろと話を聞いておりますが、彼の反省といいますか、例えばこの参議院の外務委員会でもお話をしたとおり、テロリストが襲ってくるとすれば正面から襲ってくるであろうということで、後ろ側については全くそういう危惧の念を持っていなかったと。したがって、そういう面では警備に手抜かりがあったということははっきりと認めております。  したがいまして、テレビでどういうことを言ったか私は実際は見ておりませんけれども、実際にこの場で青木大使が十三日に述べたことは、彼の心情をそのまま率直に述べたものだというふうに私は理解している次第でございます。
  123. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 今の件について外務大臣の直接のまた御所見も伺いたいと思います。外務大臣はどちらの青木大使の考えを採用しておるのかどうか。
  124. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) 私もちょっと海外出張中でございましたので御指摘のテレビを見ておりませんけれども委員から今御紹介をちょうだいいたしましたお話を聞いておりまして、こういうふうに思います。  当委員会参考人として出席しました際も、青木大使は繰り返し人質の方に大変な苦痛をかけたというような表現があったと思います。それからまた、多くの方々に多大な御心配をおかけしたと、そういうことを言っておりました。したがいまして、巻き込まれたというのは、むしろあのような事件が起きて人質になった方々が巻き込まれたというのが彼の本当の真意じゃないかと存じます。それからまた、情勢判断なり警備の問題につきましても、これは官房長からも今答弁がございましたが、その後の調査委員会での事情聴取に対してもそう言っているようでございますけれども、当委員会においてもやはりそこのところは後から考えてみると十分でなかったといいましょうか、手抜かりがあったという趣旨の発言をしておりましたので、私は青木大使の本当の心情というものはこの委員会で発言されたところが本当であろう、このように理解しているところでございます。
  125. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これ委員長に対するお願いなんですけれども、たかがテレビだといえばそれっきりですけれども、やっぱりされどテレビでもあるわけなんでして、かなり視聴率の高い番組で多くの人たちが見ておりまして、ああ、この大使は結果責任、要するに自分の公的な責任は認めてないんだな、巻き込まれたんだな、気の毒な人なんだな、こういう印象を持たれた人が大変多いんだろうという気がいたしております。  国会での答弁というのは余り国民には知られておりませんので、むしろどちらかといったらテレビでの話がひとり歩きしているんだろう、こういう気がしてならないわけです。もう一度外務省で、外務大臣直接でもよろしいわけですけれども、テレビのあの発言を踏まえて、一体君はどちらなんだと、国会の発言がどうでもいい、テレビの方が大事なんだと、それはそれでいいんですよ、どちらでもいいんですけれども、はっきりさせてほしいということなのであります。  ということを、できましたら委員長から外務省にお願いして、テレビでのあの発言を維持するのか撤回するのか、青木大使にもう一度確認していただいて、その結果を当委員会できちっと報告していただければと、こういう気がいたします、これは委員長に対するお願いです。
  126. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 理事会で検討させていただきます。
  127. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 以上です。終わります。
  128. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  129. 立木洋

    立木洋君 私は、日本共産党を代表して、南アフリカ共和国との租税条約について反対の討論を行います。  第一に、二重課税の防止を行うことは、外国税額控除の法人税の九〇%以上の大部分を日本の大企業や多国籍企業が利用している実態にあり、世界的規模で事業活動を行い、国内以上に海外で高利潤を上げている日本の大企業や多国籍企業に対して、税制上さらなる優遇する必要はないと考えるからであります。  第二に、日本と南アとの経済、資本の流れは、日本側より南アへの流れがかなり一方的であり、本条約が形式的には相互主義となっていても、結果として南アの方が一方的に源泉地国となって、結果として南アの方が課税権の制約を一方的に受ける実態を生み出すおそれがあるからであります。  第三に、親子会社間の配当につき源泉地税率を引き下げ、外国税額控除制度のより有利な活用ができるようにし、問題のある間接税額控除の規定によって、日本の親会社が払ってもいないのに南アの子会社が払った外国法人税の一定部分を親会社が払ったとみなして控除されるもので、これは厳密に言うと二重課税防止が成り立たないものであります。  第四に、二重課税を回避する我が国の外国税額控除制度が、一括限度額控除方式とか、繰り越し・繰り戻し期間を三年も認めるなど、諸外国と比べていまだ寛大であることであります。  以上のことから、大企業の海外進出を税制面から保障するものであり、質問で指摘した例にも見られますように、法人税の納付額ゼロということもこうした大企業優遇の租税条約がもたらす一つのあらわれであると考えます。  以上の理由によって、本条約に反対するものであります。
  130. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府南アフリカ共和国政府との間の条約締結について承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  131. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  133. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、包括的核実験禁止条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣。
  134. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました包括的核実験禁止条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、ジュネーブの軍縮会議での交渉を経て、平成八年九月十日にニューヨークの国際連合総会において採択されたものであります。  この条約は、核兵器の拡散の防止、核軍備の縮小等に効果的に貢献するため、あらゆる場所において核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止するとともに、あわせて、条約上の義務の実施を確保するための検証措置として、国際監視制度の整備、現地査察の実施等について規定するものであります。  我が国がこの条約を率先して締結することは、核兵器のない世界を目指した現実的かつ着実な核軍縮のための努力を積み重ねていくための国際協力に寄与するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  135. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で本件趣旨説明の聴取は終わりました。  本件質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  136. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣。
  137. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この条約は、平成三年三月一日に国際民間航空機関の主催によりモントリオールで開催された航空法に関する国際会議において作成されたものであります。  この条約は、これまで探知が困難とされていた可塑性爆薬の製造に際し探知剤を添加すること等を義務づけるものであり、この条約により、可塑性爆薬を使用したテロリズムの行為が抑止されることが期待されるものであります。  我が国がこの条約締結することは、国際的なテロリズムを防止するための国際協力に一層貢献するとの見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  138. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で本件趣旨説明の聴取は終わりました。  本件質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  139. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 次に、千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件及びサービスの貿易に関する一般協定の第四議定書締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣。
  140. 池田行彦

    ○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定譲許表第三十八表(日本国譲許表)の修正及び訂正に関する確認書締結について承認を求めるの件について、提案理由を御説明いたします。  この確認書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に含まれている我が国の譲許表に関し、医薬品の関税撤廃の対象産品の見直し及び情報技術製品の関税撤廃に伴う修正及び訂正を確認するためのものであり、平成九年四月七日にジュネーブにおいて作成されたものであります。  医薬品の関税撤廃については、ウルグアイ・ラウンドの成果に追加してさらに関税撤廃の範囲を拡大するものであり、平成八年十一月に合意されたものでありますが、その結果、約四百六十品目の医薬品が新たに関税撤廃の対象となります。また、情報技術製品の関税撤廃については、平成八年十二月にシンガポールで開催された世界貿易機関閣僚会議の機会に主要国間で合意され、平成九年三月末にその詳細等がまとめられたものでありますが、その内容は、コンピューター、通信関連機器等を含む約二百品目について関税を撤廃するものであります。  我が国がこの確認書締結することは、国際貿易を促進する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この確認書締結について御承認を求める次第であります。  次に、サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、サービスの貿易に関する一般協定の基本電気通信の交渉に関する附属書に基づく平成九年二月十五日に妥結した交渉の成果として、平成九年四月十五日にジュネーブで作成されたものであります。  この議定書は、基本電気通信サービス分野に関し、世界貿易機関の関係加盟国が、一層高い水準のサービス貿易の自由化を達成することを目的とし、最恵国待遇を基本としつつ、市場アクセスを自由化し、内国民待遇を付与すること等を約束するものであります。  我が国がこの議定書締結することは、我が国が世界の主要な基本電気通信サービスの貿易国であることにかんがみ、サービス分野での多角的貿易体制の発展に寄与するという見地から極めて有意義であると認められます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  141. 寺澤芳男

    委員長寺澤芳男君) 以上で両件の趣旨説明の聴取は終わりました。  両件の質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————