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1997-06-03 第140回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年六月三日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月二日     辞任         補欠選任      筆坂 秀世君     須藤美也子君   出席者は左のとおり。     委員長         直嶋 正行君     理 事                 佐藤 泰三君                 二木 秀夫君                 戸田 邦司君                 中尾 則幸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 竹山  裕君                 野沢 太三君                 溝手 顕正君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 平井 卓志君                 横尾 和伸君                 瀬谷 英行君                 須藤美也子君                 末広真樹子君                 栗原 君子君                 芦尾 長司君    国務大臣        運 輸 大 臣  古賀  誠君    政府委員        運輸大臣官房長  土井 勝二君        運輸省運輸政策        局長       相原  力君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        自治省財政局調        整室長      岡本  保君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸施設整備事業団法案内閣提出、衆議院送  付) ○外国人観光旅客来訪地域多様化の促進によ  る国際観光の振興に関する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として須藤美也子君が選任されました。     —————————————
  3. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 運輸施設整備事業団法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 横尾和伸

    横尾和伸君 平成会横尾和伸でございます。限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。  まず、今回の統合の片一方であります鉄道整備基金について、基本的なことを二、三お尋ねすることから始めたいと思います。昭和六十二年の国鉄改革に伴って新幹線保有機構が発足をして、またさらに平成三年、新幹線JR本州三社に売却するということで鉄道整備基金にそのときに改組された。さらに今回の改正案が通れば、平成九年、ことしの十月一日に船舶整備公団統合されて運輸施設整備事業団へと、わずかこの十年間で二回も別の法人に衣がえをする。そしてその都度、実は衣がえをするだけではなくて新しい業務をつけ加えている、またはきょうの法案に関連してはつけ加えようとしている、こういうことでございます。  ステップが二つあるんですけれども、まず第一段階の基金が発足したときに、鉄道事業者に対する国の補助金交付業務そのもの基金に移管した。これは本来運輸省が国として行うべき業務でありますけれども基金に移管したことによる具体的な効果は何だったのか、あるいはねらいは何だったのか、この点についてお伺いいたします。
  5. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道整備基金の設立てございますけれども、これは先生承知のとおり、解散いたしました新幹線保有機構が保有しておりました既設新幹線譲渡収入の一部を活用することといたしまして、また一方では、同機構から債務償還などの業務を承継いたしましたのでその業務を行うということ、他方で、一般会計などの補助金などによりまして新幹線鉄道主要幹線鉄道、それから都市鉄道整備に対する助成を行うということを目的としたものでございます。  当時は、特定財源によって特定施設に充てるという要素がございますので、国が特別会計を設置いたしましてこのような業務をみずから行うということも検討したわけでございますけれども、結論的には一つは、特別会計の設置というのが、基金業務のように特定財源をもって行う助成だけじゃなくて一般会計などからの助成措置まで含めまして一元的に管理するという場合には特会制度がなじみにくいというのが一つの点でございます。それから、新幹線保有機構業務を引き継ぐという点では、これをスクラップ財源といたしまして鉄道整備基金をつくる方がより効率的であるというぐあいに考えられましてこの基金を設立したものでございます。  私どもといたしましては、この結果、鉄道助成に関しまして、特定財源一般財源を問わず総合的な立場から国は政策企画立案基金補助金交付実務面といったことで鉄道整備に対する事務事業を効率的に遂行することが可能になったというぐあいに考えております。
  6. 横尾和伸

    横尾和伸君 効率的に運用ができるというのは、つまり決してそうではないんじゃないかということを言いたいんです。運輸省にとって手足ができて非常にやりやすくなったという意味だったらわかるんですけれども、国の補助金交付事業を移管することに伴って職員二十二名分の人件費、これも含んで国が基金鉄道整備基金事務費補助金として交付しているのは平成九年で四億七千万円、これは国でやればこんなにお金はかからないんですよ。  さらにこの中には、このほかにも国の負担分の二倍の分、既設新幹線譲渡代金がさらに追加されているということで、この既設新幹線譲渡代金についても、もともとは国民の所有している部分であるということから考えると、これはまさに基金補助金業務を移管した、実際は国から出ているんだけれども基金を経由して補助金を出しているということにこれだけお金を使っているという、だから効果ではなくて逆効果になっているんです。国民の側から、スリムな行政という観点からすると逆効果になっているということが言えると思うんです。若干、嫌みっぽい話になりますけれども、もう一つつけ加えますと、このことによって、前回も私は別な観点から、政治資金規正法上、JR各社政治献金ができるのかどうかという話をさせていただいたところ、その判断の一番のポイントになります法の第二十二条の三の第二項、国が補助金を出しているところについては、あるいはそれに準ずるものを出し受けとっているところについては政治献金ができないということが明確になっていて、国でない、国が経由するこのような場合、実際は国なんだけれども移管してその業務だけやらせているというものについては、これは二十二条の三の第二項、国が出しているものには当たらないから法律には抵触しないんだ、こういうおかしな手品みたいなことがまかり通るわけであります。  実際、JR各社政治献金を自粛をしているようでありまして、子会社はともかくとして本社そのものはそこは自粛しているそうでございますので、今すぐに法に抵触する、どうのこうのという話にはならないんですけれども、そういった副産物も明確に出てきているということも、やはりこれは政治分野行政分野ではきちっと認識しておかなければいけないことだと思います。  別な観点になりますけれども基金が行う無利子貸付事業原資、これは既設新幹線譲渡収入のうちの一・九兆円の分、譲渡代金が九・二兆円のうちの一・九兆円の部分無利子貸付事業原資になっているということでありますけれども、この原資JR本州三社からこの代金については年利利率が六・三五%、元利均等半年賦支払い方法によって平成三年から二十五・五年で基金に支払うということになっている。また基金は、今度は国鉄清算事業団に対して一・九兆円見合い債務年利利率六・三五%、平成三年から六十年間かけて支払う。  基金の側からすると受けとる方は二十五・五年、そして出す方は六十年かけるわけですから、基金にとっては収入支出を一時的に上回る。つまり、支出の分が六十年かけて支払う元利ですので上回ることになります。一時的に上回るので、これを鉄道事業者に対する無利子貸付事業原資としているということは、どこかで限界が来るということは確かであります。  そこで、あくまでこれは一時的なので、この無利子貸付事業、これに依存している各都市鉄道関係、その他の関係者は大変多いと思うんですけれども、またこれは大変ありがたいものだと思うんですけれども、この無利子貸付事業はいつまで行えるのか、また行えなくなった後はどう手当てするのか、運輸省の責任ある答弁を求めたいと思います。
  7. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 無利子貸付制度でございますけれども、今、先生指摘ございましたように、これは財源の性格といいますか、そういう点から見ましておのずから限界がございます。今認めております計画でほぼ手いっぱいの状況でございます。したがいまして、今後この無利子貸付制度によります新たな鉄道整備というのはなかなか財源の余裕から見ますと困難な状況でございます。  そこで、そういった事態にどう対処するかということでございますが、先生承知のとおり、都市鉄道に関しましては地下鉄整備に対する補助制度とか、それからニュータウンの補助制度、それから運賃に上乗せいたします特定都市鉄道整備積立金制度、それから大手民鉄事業者輸送力増強工事に対します利子補給制度といった制度がございます。それから、幹線鉄道につきましてはこの無利子貸付制度のほかに幹線鉄道活性化補助制度というものを設けまして、我々はそれぞれのメニューに応じまして鉄道整備に対する支援を行っております。  したがいまして、今後これらのメニューを活用する、あるいは不十分な場合には必要に応じましてこういつたものの充実を図るということによりまして鉄道整備に対する支援をやっていきたい、このように思っております。
  8. 横尾和伸

    横尾和伸君 今、趣旨がちょっと聞き取れなかったんですけれども、この制度による無利子貸付事業はいつまで行えるのか、金目の話ですのでそれなりに先が読めていると思います。何となくでは済まないと思うんです。そこで、いつまで行えるのかということを端的に、そして、ちょっと先走りますけれども、お答えの中でその後はなくなるということではなくて、実質的に継続できるように運輸省としては最大限努力をする、こういう意味なのかどうか、後半部分のお答えですね、その二点について伺います。
  9. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この制度は、基金清算事業団に対する債務償還支障を生じない範囲で実施する、こうなっております。したがいまして、今まで幹線鉄道あるいは都市鉄道、それぞれプロジェクトを幾つか認めまして、無利子貸付制度で実施するということになっておりますが、それぞれ個別プロジェクトごとにいつからいつまでというのが決まっておりまして既に完成したものもございます。  一番長いプロジェクトといたしましては常磐新線に対する無利子貸付制度でございまして、これは昨年末スキーム見直しをいたしまして、平成十六年度まで実施をするというぐあいになっております。したがいまして、今認めておるプロジェクトでございましたら、この平成十六年度までというのが一番遅い年度でございます。認めておるプロジェクトはそれまでの間に完成をするということでやっております。  それから、それじゃその後ということでございますが、先ほど申し上げましたように、これは清算事業団償還する長期債務資金を一時的に無利子貸付制度ということでこちらの方で使う、有効に活用するということでやっているわけでございます。その後は、新たにこの無利子貸付制度でやっていくということは長期債務償還等関係でなかなか難しゅうございますので、先ほど申し上げましたように鉄道整備に対する私ども支援メニューを活用する、あるいは必要に応じましてそれを充実する、そのようなことによりまして鉄道整備に対する支援をやっていきたい、このように思っておるわけでございます。
  10. 横尾和伸

    横尾和伸君 私は、無利子貸付事業によって補助を受けている事業がいつまで続くのかなんてことは聞いていないんですよ。無利子貸付事業そのものに、先ほどわざわざ私が説明をしたことによってわかると思うんですけれども限界があると、その限界がいつかということを聞いているので、それが答えられないというのは、もう二回も聞いて、また何回聞いても同じようなことを繰り返すんでしょうけれども、非常に情けない。二十兆円の国鉄長期債務の問題とこれはかなり連結した問題なんです。これだけ重要な問題に対して、今私が二度重ねて聞いたけれども、きちっと答えられない。重要課題に対する主務省としての見通しの甘さなのか、腰の弱さなのか、やる気がないのか、私は大変どうかと思います。大変情けなく思います。これ以上聞いても同じ答えしか返ってこないと思いますので、ただ、運輸省としてはこの態度でいいとは私は思いませんよ。  それから、この件に関連してですけれども基金国鉄清算事業団に六十年で債務償還する、そのために結果的に、JRからの収入とそれから基金としての支出、これ先ほど言いましたけれども収入については一・九兆円の元金と三十年間の利払いトータルしたもの、それから支出については一・九兆円の元金と六十年間の利払い、これは当然六十年間の利払いの方がトータルをすれば多くなるわけで、この増加分支払いが要するに足りなくなる。支出が間違いなくトータルをすると多くなるわけですから足りなくなる。これはどうするんですか。今ちょっと計算上合わないんですけれども、足りなくなったのはどういう手当てをするのか、どういう計画になっているのかお尋ねします。
  11. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 既設新幹線譲渡収入のうち、いわゆる特定承継債務にかかわる分でございます。すなわち一・九兆円の部分でございますが、これは償還方法鉄道整備基金法等施行令におきまして年率六・三五%、期限が平成六十三年九月三十日まで、こうなっております。  具体的にどのような返し方になるかということでございますが、既設新幹線譲渡収入のうち無利子貸し付けに活用されるものを除きまして、基金収入がありました際に事業団にそれを返済する。それから、無利子貸し付けに回りました分は、まず元本分でございますけれども、これは五年据え置き後十年償還という条件で基金貸付対象事業主から償還を受けまして事業団償還するというスキームになっております。  それから、当然のことながら、無利子貸し付けでございますから利子負担が問題になるわけでございます。この利子負担につきましては、一方、JR本州三社から既設新幹線譲渡収入としてもらっております一・一兆円見合いの分がございまして、この一・一兆円見合い財源はすなわち年間七百二十四億円でございますけれども、六十年間支払いを受けることになっておりますが、これを利払い償還財源とする、こういうことでございます。  すなわち、この一・一兆円見合いの分と申しますのは、現在は新幹線整備のための交付金となっておりますが、一定の年限以降は利払い償還財源となる、こういうことで無利子貸し付けにかかわる利子負担分基金から事業団に払いまして、国鉄長期債務のいわゆる特定承継債務償還に充てるということになっているわけでございます。
  12. 横尾和伸

    横尾和伸君 それはおかしいので、一・一兆円というのは整備新幹線に使う、年々にすると七百二十四億円ということで、ある時期から切りかえると、こういうお話なんですけれども、そもそも一・一兆円というのは新幹線整備に使うという位置づけ、あるいはその前に一・一兆円というのはそもそも既設新幹線を譲渡した代金なんですね。既設新幹線はもともと国有鉄道が持っている、これは国民のものだったんです。それは長期債務を埋める際に最大限努力をしてそれを埋めて、残ったものを国民が負担しなければならないかなという大問題が起こっているわけです。  そこのところを、今の話ですと、新幹線に用が済んだら、ある時点からというのははっきりしなかった、ある時点からそれをこの借金の穴埋めに、無利子貸付事業穴埋めに使うと。これは目的外使用になりませんか。そんなことはどこにも、国会では何も議論していないし、そんなこと決めていませんよ。そういうお金がもしあったら、これは本来の国鉄長期債務の穴を埋めるべきなんじゃないんですか。
  13. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今の点は、平成三年に鉄道整備基金法国会で審議されました際に、無利子貸付制度鉄道整備基金事業として導入する際、当然のことでございますが、法律にも書いてございますけれども長期債務償還支障を生じない範囲内で無利子貸付制度をやるということになっておりますので、その際の利払いをどうするかという平成三年時のスキームの際に決められたものでございます。決して法律の根拠はないわけではないわけでございます。  新幹線財源に充てるということに関しまして、基本的には、前から国会でも御答弁申し上げていますとおり、長期債務償還支障がない範囲内でということでございますので、これは無利子貸付制度も同様でございますが、そういった観点から平成三年にこのスキームがとられたものでございます。
  14. 横尾和伸

    横尾和伸君 それは新幹線整備に使うということであって、新幹線以外のものの無利子貸し付けとまた別なことだと思うんです。そっちに流用するなんていうスキームはなかったと思いますよ。それは、また時間の問題もありますので、きょうの御答弁を踏まえて次の機会にまた、長期債務の件でこれからみっちりやるチャンスがあると思いますので、そちらに譲ります。  それでは、今回の鉄道整備基金船舶整備公団統合するという件についてお伺いすることにいたします。  大臣にまず伺いたい。国民が、今行政改革政府に強く求めている。これは言うまでもなく、消費税の増税あるいは医療費等負担増、そういうことと、この数年ずっと続いているバブルの崩壊から来た不景気、そういうことが重なって非常に国民としては心配している。心配している分だけ政府に求めている。その求めているものは何なのか。  スリム化減量化ということを政府は盛んに閣議決定レベルで言われていますけれども、私はそういうことが少なくとも中心になっているだろう、こう思うんです。そういう意味で、何を国民行政改革政府に求めているのか、どう自覚されているのか、大臣にお尋ねいたします。
  15. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御質問行政改革国民の求めるもの、先生も御指摘をいただきましたけれども平成七年また平成八年、実は閣議決定を行わせていただいているわけでございますが、その中にも行政スリム化減量化ということについての必要性というものが強く言われているわけでございます。  御承知のとおり、運輸行政の中でも社会経済構造というものが変化していく中に、国民運輸行政に対するまたニーズの変化というのを見定めながら、それに的確に対応していく、このことが大変重要なことだろうと思っておりまして、今までもそういう視点に立ちまして行政あり方というものを不断に見直してきているわけでございます。  とりわけ、行政改革というものについて国民期待、また同時に国民の強い要請、こういつたことを踏まえて、今後運輸行政の基本的な目標であります。まず安全、それから円滑かつ効率的な交通サービスを提供する、こういつたことを十分確保しつつ、今御指摘いただいているような効果的な、効率的な達成のために、行政改革について国民から求められるものをしっかりと踏まえて今後特殊法人あり方というものを考えていくということは、先生指摘いただいていることと私ども認識というのは同じ方向ではないかというふうに承知いたしているところでございます。
  16. 横尾和伸

    横尾和伸君 私は、こういう基本的な問題ですので若干かまをかけたつもりだったんです。スリム化減量化ということをもう少し具体的に大臣が言われるのかなと思っていたんですが、とうとう単語が出てこなかった。具体的に言うと人員を減らす、金を減らす、これを求めているんですよ。これだけではないけれども中身はどうであってもいいとは国民は思っていないから、ただ減らせばいいというものじゃないけれども、結果的に努力努力を重ねて人を減らす、お金を減らす、このことが私はポイントだと思うんです。この言葉が大臣から出てこなかったので、大変私は期待が外れたわけです。  大臣、もう一、二点お尋ねしますけれども、今回の法改正の問題について、ことしの二月二十日に運輸委員会の所信に対する一般質疑ということで、私は同じ趣旨で全く同じ問題の同じ角度から大臣にお尋ねをしております。それに対して大臣の御答弁を一部御紹介しますと、御本人を前にして大変失礼ですけれども、言うまでもないということかもしれませんけれども、一部読み上げますと、 いずれにいたしましても、この今回の鉄道整備基金船舶整備公団というものの統合は決定いたしているとおりに進めさせていただくわけでありますけれども、その中身につきましても、今先生の御指摘等を踏まえて精査すべきところは精査していくべきだろう、このように考えているところでございます。 これが大臣の御答弁だったんです。「精査すべきところは精査していくべきだろう、このように考えている」と、どのように精査されたのか、大臣に直接お尋ねいたしたいと思います。
  17. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の御質問の中で具体的な人員の削減だとか予算の縮減、こういった点に触れなかったことはまことに期待に反するということでございますが、私がただいま御答弁申し上げましたように、効果的、効率的というのはそのことをある意味では意味しているのではないかな、そういうことをまた先生方期待していただいているんではないかな、また何よりも国民がそれを求めているということは私も十分認識をいたしているところでございます。  また、私の答弁に当たりまして具体的な精査の問題でございますけれども、御承知のとおり、当然こうした特殊法人というものを整理統合していく、また特殊法人あり方というものについて、業務内容だとか、それから見直し管理部門縮減、こういつたことはこの法律に基づいてこれだけで済むという問題ではなくて、やはり日々これについて常に検討を加えていく、検証していくということが大事だろうということで、今後もこの新しい法人につきまして経済社会構造変化の中でどのように業務運営効率化が必要なのか、どういう対応が国民皆様方に求められているのか、こういつたことを今後も常に考えながら国民期待にこたえていく、そういう新法人でなければいけない、そういう認識にいることを御理解いただきたいと思います。
  18. 横尾和伸

    横尾和伸君 今後もという話を伺ってよくわからないんです。今後も精査を頑張っていくということですけれども、今後の前にこれまで精査はどうしてきたかということを伺わないと、それを踏まえて今後もということにつながると思うんです。これまで、二月から現在まで三カ月ちょっとですか時間があったんですが、大臣御自身が精査をする、こうお約束されたわけですから、その精査内容については、これまではやってこなくてこれからやるのか、あるいはこれまではここまでやってきて、そしてさらにそれを続けるのか、ここのところをはっきりお答えいただきたいと思います。
  19. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御答弁いたしました点を踏まえまして、事務当局の方に精査できるべきところ、必要に応じてしっかり努力するようにということで、事務方にお話を申したところでございます。  具体的な点については事務方から御説明申し上げさせていただきたいと思います。
  20. 相原力

    政府委員(相原力君) 今回の二法人統合に当たりまして、行政改革観点からスリム化減量化というのも非常に重要な課題であるという認識のもとに今まで対応してきたところでございますが、例えば役員につきましては、両法人統合いたしますと合わせまして十一名になりますが、それを理事長、理事、幹事、各一名ずつ減の八名、十一名から三名減にした体制にしているところでございます。職員につきましては、両法人合わせますと百三十六名でございますが、それを五年間で九名減にする、百二十七名にする。組織につきましては、両法人合わせますと現在七部あるわけでございますが、管理部門等を中心に二部削減して五部にする、こういう前提でスリム化減量化を図ってきているところでございます。  また予算につきましては、これはそれぞれ、鉄道整備基金新幹線とか地下鉄等大変重要な課題にこたえるための政策的に必要な助成金、補助金等でございまして、船舶整備公団につきましても旅客船、貨物船等に対する共有建造等の事業費でございますので、これらについては必要最小限のものを確保するという観点で、所要の予算あるいは財投等を措置しているところでございます。  そういう意味で、今回の統合に当たっては、我々としては簡素化、効率化のために最大限努力をしているところでございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、また二月の時点大臣から御答弁申し上げましたように、今後とも経済社会構造変化等に対応した業務運営効率化が図られるように、なお一層の努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  21. 横尾和伸

    横尾和伸君 この場を軽く見ないでいただきたいんです。今答弁されたのは、大臣は指示をした、そしてその指示した結果精査をしていないならしていない、これからなんだと言えばいいんじゃないんですか。今の御答弁の中には何も精査した結果は入っていないですよ。二月二十日に聞いたときの前提と同じじゃないですか。違うところがあったらもう一回言ってください。どこを精査したのか、したところを。
  22. 相原力

    政府委員(相原力君) ただいま私の方から御答弁申し上げましたのは、結果的には先生指摘のとおり、私どもが予算的な措置として両法人統合する前提として検討したものと同じになっておりますが、今後、先ほど申し上げましたように、経済社会構造変化等に対応して業務運営効率化が図られるように最大限努力をしていきたいということでございまして、そういう意味で、先生指摘のとおり結果的には二月の時点と同じ内容になっているところでございます。
  23. 横尾和伸

    横尾和伸君 結果的には同じということは、あくまでもやった、精査をしたと、こう言い張るんですか。どれだけの精査をしたのか。国民は本当に真剣なんですよ。何も変わらなかった、努力をした結果だと、こういう話なんですけれども、これから始めるならこれから始めるとはっきり言ってくださいよ。これまでやってきたんだったら、その結果をそれなりに示してください。今の答弁では絶対私は納得できません。
  24. 相原力

    政府委員(相原力君) 私ども、今回の両法人統合に当たりまして、行政改革趣旨を踏まえまして極力減量化スリム化を図るという観点で昨年来最大限努力をしてきているところでございます。したがいまして、結果的に二月の時点と現時点での案は同じ案になっているわけでございますけれども、その点については今まで最大限努力をしてきているということでぜひ御理解をいただきたいと思います。  なお、今後については、先ほど来大臣からも申し上げておりますとおり、私どもも全力を挙げて努力してまいりたいというふうに考えております。
  25. 横尾和伸

    横尾和伸君 昨年来の努力を言っているんじゃないんですよ。二月二十日から三カ月半たっている。その努力は何をやってきたのか。その結果何なのかと聞いているんですよ。  局長に聞いても結局同じ答えしか準備されていないようですけれども大臣、それはどう思われますか、精査をすると約束された大臣は。
  26. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今、政府委員から御答弁を申し上げておりますように、特殊法人の合理化、また特殊法人への国民期待というものに十分対応すべき、できることは積極的に取り組んでいかなければいけないということは当然のことであります。  私といたしましても、そういう気持ちで二月の先生の御質問に御答弁を申し上げさせていただいておりますが、事務当局が申しておりますように、この法案につきましては、合理化そしてまたあらゆる効率的な、効果的な業務の運営についての最良のものとして考えられることを御提案申し上げているわけでございます。当面、私の二月のときから具体的なものについて明らかにできないということはまことに微力を恥じるわけでありますけれども、今後とも、こういった問題についての日ごろの取り組みとしては常にそういう気持ちでいなければいけないし、またそういう気持ちを持ち続けさせるように今後とも事務当局に強く要請をしていくということは大事なことではなかろうか、今こういう認識におります。
  27. 横尾和伸

    横尾和伸君 この法改正目的趣旨説明、これが全く二月時点と変わっていない、変わったらメンツにかかわるのかどうか知らないけれども。ただ、ちょっと角度が違いますけれども、私は、今申し上げた二月二十日の質問答弁以外に、三月十八日に予算委員会で、これはほかの省庁から出ている、文部省の方からそれから労働省から出ているやはり同じように特殊法人の二つを一つにする、看板だけが一つずつ減るということを挙げまして、同じように質問をしているんです。  これは国民は本当に求めている。そして、その求めに応じて政府もやると明言している。やると明言しているけれども中身がないじゃないか。こんなおかしな話は絶対許されないということで、私は何回も、この姿勢を正してください、本気になってください、火だるまと言っているんだったら火だるまになってください。全然火だるまの火の字も出てこない、煙も立っていない。これは何なんだということを感じるんです。  そこでちょっと申し上げますと、私の同じ趣旨質問に対して、この中には運輸省から提案された今回の法律案が入っていますが、それに対して武藤総務庁長官の答弁の一部を引用しますと、  ですから、それについては私どもも、今御指摘のとおり、必ずしも役員の数もそんなに減らない、職員の数もそんなに減らない、そしていろいろ御批判をいただいた。ですから、改めて平成九年度に私どもとしてはもう一回すべての特殊法人を対象にしてその必要性を含めて検討を、行政監察という形でぜひひとつチェックをさせていただこう、こういうことになっているわけでございますので、それに対して、私自身もこれでは必ずしも十分ではない。 中略しまして、  決してこれでは十分ではないという認識のもとに今作業に取り組もうとしているわけでございます。 さらに、同じ答弁を今度は総理に求めたわけですけれども、総理の答弁は、   今、武藤総務庁長官から非常に率直な御答弁を申し上げました。そして同時に、これから先我々がどう考えていかなければならないかということもそのとおりであります。 こう明らかにこのままじゃ不十分だと、今回提案しているこの法案は整理合理化としては不十分だということを明確に総務庁長官、総理大臣が三月十八日の時点で言っている。  私は、ここまで政府の首脳が言ったから、運輸委員会にかかってくる趣旨説明趣旨は変わるのかな、これは整理合理化という趣旨ではなくて別な趣旨を何か考えて持ってくるのかなと思っていたら、全く変わらない。総理も反省しているそして総務庁長官も反省している、これでは不十分だとこう言っているんですけれども大臣いかがですか。こういった法案目的が全く同じで全く変わらない。大臣、総務庁長官のそういった御発言もあるんですけれども、どうして今回の法案が整理合理化なのか、整理合理化を言い張られる意味合いを御説明いただきたいと思うんですが。
  28. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今回の二つの法人統合につきましては、御答弁を申し上げておりますように、特殊法人の整理合理化についてという平成七年の閣議決定また平成八年の暮れの行政改革プログラムに基づきまして行政改革の推進を図っていく、また運輸関係施設の効率的な整備等を推進する、こういった観点からこの法案を提案させていただいているわけでございます。  ただ、今御指摘をいただいておりますように、先生の三月十八日の御質問を受けまして総務庁の長官、そして総理が御答弁をいたしておりますことは、特殊法人というものが今日まで果たしてきた役割、また今現在必要とされるところ、そういった分野というものも私はそれなりに評価をしていかなければいけないでしょう。しかしながら、たびたび御答弁申し上げておりますように、経済や社会構造というものが変化する中で、特殊法人あり方というものについても、国民の厳しい目また新たなニーズ、そういったものに対応していくということが今一番大事なことであり、だからこそ行政改革というものに打って一丸となって努力していくことなんだということを今私ども認識をいたしているところでございます。  そういうことを踏まえますと、まさに総務庁長官が御答弁申し上げておりますように、平成九年度中におきましては行政監察等という新しい形でチェックも行われるということでありまして、運輸行政のさまざまな特殊法人についてもそれぞれの御議論があろうと思いますが、私どもは、そういう中で積極的に取り組んでいく、こういう姿勢は国民期待にこたえるためにも持ち続けていかなければいけない、こういう認識でこの問題には取り組ませていただきたいと思っております。
  29. 横尾和伸

    横尾和伸君 私は、今の御答弁をお聞きしていて、今回の法案については不十分で及第点は上げられないけれども、だけどこれから頑張るから及第点上げられないものを及第点上げてくれと、こういうふうに聞こえたんですけれどもとんでもないことですよ。これは及第点上げられないものは上げられないんで、これを直すか、あるいはこれからやろうとしている立派なベルトコンベヤーに乗せるんだったらこれも乗せる、私はそうあるべきだと思います。  同種のやりとりだけで時間がむなしく過ぎていっては困りますので観点を変えて別な質問に移りますけれども、ぜひこの点について移る前にもう一度確認をしておきたいんです。  今、消費税のアップ、さらに医療費のアップに対する心配、そのほか国鉄長期債務の莫大な借金のツケ回し、こういつたことに対して国民に大変な負担をかけるということがほぼ目に見えているわけです。こういう中で政府としてどれだけ真剣にどれだけまじめに取り組むかということ、かつこれが見えなければいけない、このことをしっかりと認識して行政改革を本気になってやれば、私たちは協力しますよ。それは再三いろいろな場で申し上げていることですので、そういう意味で今回の法案については本気になっていない、そういう部分である、こう私は評価をしておきます。  それから次に、今回の統合のどさくさに紛れて何か研究部門が入ってくる。これは研究部門の一部が入るのではなくて、この法案を見ますと、「運輸技術に関する基礎的研究を行い、その成果を普及すること。」という仕事ができるようになる。これはかなり広い大変なことができ得る条文なんです。今回はとりあえずちょろっと種をまいておいて、その種は、そのうちに莫大な何でもできる研究機関をつくろう、こういうふうにも読めるんですけれども、それは今の時点では私の推測でございますので質問で明らかにしていきたいと思うんです。  今回の機関ではなくて、運輸省関係で現在ある研究機関はどことどこなのか。細かい中身を詰めるということの時間もありませんので、どういう機関があるのか、それから一言で役割を御説明いただきたいと思います。
  30. 相原力

    政府委員(相原力君) 運輸省所掌の研究所といたしましては五つございます。  まず、船舶技術研究所、これは船舶、船舶用機関等に関する設計、試験、調査等の研究を行う機関でございます。それから第二に、電子航法研究所がございます。電子航法に関すること、あるいは人工衛星に関することについての研究機関でございます。それから第三に、港湾技術研究所がございます。これは、港湾、航路あるいは飛行場の土木施設等に関する試験研究機関でございます。それから第四に、交通安全公害研究所がございます。陸運、航空に関する安全、公害等に関する試験研究機関でございます。それから第五に、気象研究所がございます。気象業務に関する技術に関する研究を行う機関でございます。  以上でございます。
  31. 横尾和伸

    横尾和伸君 個別にはあれですが、今言われた機関の定員の合計数、予算額の合計数。予算は直近のもので結構です。
  32. 相原力

    政府委員(相原力君) ただいま申し上げました五つの研究所の合計でございますが、定員は合わせまして七百九十二名でございます。予算額は百四億円でございます。
  33. 横尾和伸

    横尾和伸君 約八百名、百四億円のお金を使って、これは大正時代よりもっと前からあるんですか、今言われた研究所にはそれぞれ大変な歴史があるんだと思いますけれども、その研究機関では基礎的研究をしていないのか、またその基礎的研究の能力がないのか、その点について伺います。
  34. 相原力

    政府委員(相原力君) 今回、新法人において基礎的研究を行わせるということにいたしましたのは、最近におきまして経済構造変化する中で、特に従来はいわゆるキャッチアップ型で日本の産業、経済あるいは技術がきたわけでございますが、これとは異なるいわゆるフロントランナーとしての産業活動あるいは研究開発が求められている。そういう観点から、その基礎となる技術、特に独自の創造的技術を研究開発によってつくり上げる必要がある。これは平成七年の科学技術基本法それから平成八年七月の閣議決定でございますが、科学技術基本計画という中でも、「国は、基礎的・独創的研究など民間においては十分な取組が期待できない研究開発を積極的に実施することが必要である。」、こういう趣旨が含まれておるわけでございます。  そういう観点で今回新法人でそういう業務を行おうとしたわけでございますが、先生指摘のように、運輸省の中でも五つの研究機関があるわけでございます。従来の、特に運輸省関係機関の研究は、基礎的な研究も一部含まれているわけでございますが、中身といたしましては行政ニーズに基づいて、特に運輸省関係では、自動車についても航空についても船舶についてもあるわけでございますが、安全基準の策定に必要な研究等に重点を置いて実施してきたという経緯がございます。  これに対しまして、今回運輸施設整備事業団が行おうとしている運輸技術に関する基礎的研究は、先ほど来申し上げておりますような、従来の研究制度では実施が困難であって、研究者の創造性あるいは独創性を生かした基礎的研究を行うということで、特に公募方式によりまして競争的な研究環境のもとで実施することによって、より研究者の創造性、独創性を生かした基礎的研究が期待できる、こういう観点から新たにこの運輸施設整備事業団において行おうとしているところでございます。
  35. 横尾和伸

    横尾和伸君 今、基礎的研究は既存の研究機関ではほとんどやってないようなことを言われていますけれども、私、パンフレットを全部の研究機関についていただきました。それから根拠法も読ませていただきました。基礎的研究は十分できることになっています。パンフレット、これは説明しているとまた時間があれですけれども、たまたま今手に取り上げたのが港湾技術研究所の例えば「構造部」とか、個別の説明は省略しまずけれどもかなり基礎的な部分ですね。これパンフレットで十分紹介されています。  それで、今基礎的な部分をやるんだと言うんだけれども、基礎的な部分と基礎的でない部分というのは、安全基準とそうでないという例を挙げましたけれども、とても安全基準だけじゃないですよ。八百人の専門の研究官が百四億円かけて毎年やっている研究というのは安全基準をつくるだけじゃないです。もっと基本的なことをやってます。その基本的なことと今回の基本的な研究施設をつくるということとの違いがどこにあるのか。では具体的に、同じことですけれども、基礎的研究と言っている基礎的研究とそうでないものとの仕分けはどこでつけるんですか。
  36. 相原力

    政府委員(相原力君) 基礎的研究とそれ以外の研究の仕分けということでございますが、事業団が行う予定にしております基礎的研究といたしましては、既に理論的に解明されている研究の成果を運輸技術に利用するための基礎的な研究を対象にするということを考えております。逆に、それ以外のものという意味では、その研究成果を特定運輸技術に応用するために行うのは応用研究ということになりまして、その部分についてはこの事業団の行う基礎的研究の対象には考えていないところでございます。また、特定目的を持たずに、例えば理論の発見とかあるいは理論の確認のために行うような学術研究については想定してないところでございます。  なお、先生指摘のように既に運輸省所管の研究機関において基礎的研究も一部は行われているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、今回は、公募方式によりまして競争的な環境のもとに、より独創的な基礎的な研究が大学あるいは民間も含めて行われるように運輸施設整備事業団の方において行うということにしているところでございます。
  37. 横尾和伸

    横尾和伸君 そうしますと、公募をどうこうするということになりますと、みずからは研究しないんですか、するんですか。今のお答えを聞いていると、みずからはしない、公募方式でそれをコントロールしたりえりすぐったり、そういうことでコントロールしていくというふうにお答えになっているんですけれども、研究を行う機関を含むのか含まないのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  38. 相原力

    政府委員(相原力君) 先ほど申し上げましたように、事業団におきましては、公募方式をとりまして、公募して、応募者の中から審査をした上で選ばれた者との間で委託研究とかあるいは共同研究という形で行うことを考えております。そういう意味におきまして、事業団みずからが研究施設を持って研究を実施するということは想定いたしておりません。
  39. 横尾和伸

    横尾和伸君 これは大事なことを答弁されたと思うんですよ。この法文は表現が不十分なんです。今、研究機関を持たないということであれば、何条になりますか、「運輸技術に関する基礎的研究を行い、その成果を普及すること。」、基礎的研究を行うとなると、今、国会のこの場ではとりあえずは研究機関はみずからは持たない、研究はみずからはしない、こう言っていますけれども、今後法律の上ではできるんです。これから国会を通さずに幾らでも研究機関を拡大していくことができる。この矛盾はどうするんですか。もっと明確に法律の上でも今言われた趣旨のことがわかるように書くべきじゃないんですか。
  40. 相原力

    政府委員(相原力君) 先ほど御答弁申し上げましたように、応募者の中から審査の上選ばれた者との間での委託研究あるいは共同研究の形式で行うということを予定しているものでございまして、そういう意味で条文の方でも研究を実施するというような形で規定しているところでございます。
  41. 横尾和伸

    横尾和伸君 研究施設は持たないということについては、明確にお答えをもう一度していただきたいと思います。
  42. 相原力

    政府委員(相原力君) 事業団みずからが研究施設を持って研究を実施するということは想定いたしておりません。
  43. 横尾和伸

    横尾和伸君 それでは明確にこのことを伺いました。  私は、研究を進めることをいけないと言っているわけじゃないんです。ちゃんとした研究所があるんだからその研究所でしっかり、そちらの方で基礎的研究が必要なものについても充実をさせる。先ほど伺った中で、学術研究を除く基礎研究なんというのはおかしいんですよ。基本的に何を考えておるのか。私も工学部だから非常に今腹が立つんですけれどもね。学術研究を除く基礎的研究なんというのは、かなりひん曲がったすき間の部分ですよ。その点はどうもそういう素養がない、そう言っては大変失礼ですから、工学部の苦労を知らないようです、そういう意味で、  それで、もう一つ別な観点から聞きまずけれども、今回この事業団統合によって廃止される業務は何なのか。また、そのおのおのの最近の実績を述べていただきたいと思います。
  44. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 船舶整備公団関係するものにつきましては大きく分けて四つありまして、解撤資金の貸し付けとか係船資金の貸し付け、あるいは港湾運送用船舶あるいは港湾運送用荷役機械の共有建造ということがあるんですが、五十年代の前半まではかなりこの使用頻度も多かったんですが、現状では実績はございません。
  45. 横尾和伸

    横尾和伸君 これは資料を見ると、「統合に伴い、下記の業務を廃止する。」と格好よく書いてあるんですよ。今の話を聞いていると、もう大分前から仕事がなくてお客さんもいないと。だから看板おろすだけじゃないですか。統合によって何か、業務を廃止するということで縮小する、血の出るような努力をしたかのように私思えてそれで質問したんですけれども、結局、最近の業務もない、今後も業務が見込まれない、だから看板おろすだけじゃないですか。何がこれが「業務を廃止する。」なんて格好よく言えるんですか。私は大変その辺の姿勢について疑問に思わざるを得ません。  最後に、今回の法律趣旨大臣に何回もお聞きしますけれども、これまではどうも不十分だったということはもうお認めいただいたと思いますので、同じことを聞くよりも、平成七年、八年の閣議決定で整理合理化、減量化スリム化、ルール化、オープン化と、盛んにこう言っているんですけれども、このことを本当にこれから、それこそ総理の言う火だるまになってやる。これは早急に、まだ火だるまの火も見えていないと私は思っておりますけれども、火だるまになればいいというものじゃないんですけれどもなるぐらい一生懸命さが見えるように、そして結果が出るように努力すべきだ。その努力が見えれば、私どもも実質的に協力をして行政改革の実効が上がるようにしたい、こう念願するものですけれども大臣の御決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  46. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生指摘いただいているとおりでございます。  私ども、全力を尽くして行政改革に最善の努力をしてまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。
  47. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 民主党・新緑風会の中尾でございます。私も持ち時間の範囲内で何問か質問させていただきます。  特殊法人見直し等々が今言われておりますが、時代の流れあるいは経済情勢の変化によって特殊法人事業そのものあるいは必要性がやっぱり厳格に審査されなければならないというのは同感でございます。  一番目の質問でございますが、今横尾先生が同様の質問をされました。私もちょっと視点を変えまして、今回の法案によりまして、性格を異にする二つの法人統合によって具体的にはどう行政減量化が図られるのか質問をしょうというところでございましたが、今説明がございました。資料にも書いてございますけれども横尾先生指摘されましたように、既にもう業務の終わったといいますか役目が終わったものについての業務を廃止するということが書かれてあります。  それでは視点を変えまして、今後これ以外にいわゆる削減あるいは合理化、行政減量化をどう図っていかれるおつもりなのか、これ以外の計画についてお答えください。
  48. 相原力

    政府委員(相原力君) 今回統合するに当たりまして、どういう業務が必要か、あるいはどういう業務効率化あるいは簡素化できるかという観点最大限の検討努力をしてきて今の案になっているところでございます。  今後、どういう計画で検討していくかという御趣旨の御質問でございますが、先ほど大臣からの御答弁にもございましたように、総務庁の方で行政監察等も予定しているようでございますが、運輸省としても具体的に、やっている事業鉄道整備あるいは貨物船、旅客船の共有建造等大変国民生活あるいは経済生活に密着した重要な事業であるわけでございますが、その中でどういう業務、あるいは組織も予算も含めまして効率化、簡素化ができるか検討をしてまいりたいというふうに思っております。  ただ、申しわけございませんが、現時点で具体的にどういう点が簡素化の対象になるというところまでお答えできないことについては御理解いただきたいというふうに思います。最大限努力をしてまいりたいというふうに思います。
  49. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 特殊法人につきましては、コスト意識が働かないなどさまざまな問題点が指摘されております。財政構造改革会議の中にありまして、新事業団は国費助成金等の歳出削減にどう取り組んでいくのか、二間目にお答え願いたいと思うんです。  手元の資料では、平成八年度予算の国庫助成金が千三百十三億、それから九年度予算が千三百五十一億で三十八億の増となっておりますが、これを踏まえて簡単にお答え願いたいと思います。
  50. 相原力

    政府委員(相原力君) ただいまの鉄道整備基金の国費の予算額でございますが、鉄道整備に対します支援は、国土の均衡ある発展に資する整備新幹線とか、あるいは大都市の通勤、通学の混雑緩和を図るための地下鉄整備など、いずれも極めて政策必要性の高いものでございます。  そういう観点で、今御指摘のように平成八年度が千三百十三億の予算でございますが、平成九年度においては三十八億プラスの千三百五十一億ということでございまして、こういう鉄道整備という国民生活に非常に密着した事業のための予算でございますので、必要なものについては重点化、効率化を図りながらも確保していくということでございます。
  51. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 今回の新事業団の設立て私がちょっと不思議に思ったのは定員削減の問題でございますが、何も人間を減らせばいいと私は思っておりません。しかし、二つの基金と公団の統合によって、現行十一名いる役員の中で、特に理事が二つの基金、公団で六名と、合わさってたったの一名しか減になっておらないわけでございます。  いろいろ運輸省に尋ねましたら、両法人で七つの部があった。今度は両方統合で五つの部になる。その五つの部にそれぞれ理事を割り当てるという、これはどうもそういう計算になっているようでございますが、民間ではほとんどこの論理は通用しません。少なくとも例えば半減でリストラを図っていくわけです。二つの部をかけ持つというのが民間の当たり前の論理なんです。ですから、これについても私は大変不十分だなと思っております。  人数も、合わせて百三十六人が五年間で九人減らされるということは、これは自然退職を含めて、大体九人というのは黙っていても減るものでございます。  ですから、こういう点から見て、どうもかけ声とは違うなという気がしてございます。これについてどうお考えでしょうか。
  52. 相原力

    政府委員(相原力君) 御指摘の理事についてでございますが、役員を両法人合わせますと十一名のところを、新法人では理事長一名、理事一名、監事一名の合計三名を削減する、八名体制にするということでございます。  その中で、理事についてなおまだ多いんではないかという御指摘でございますが、それぞれ鉄道助成それから船舶整備支援という固有かつ重要な業務を担当している理事については従来どおりやはりそれぞれの担当として当たっていただく必要があるんではないかということで、重複することになる総務担当の理事についてはこれは当然ながら削減をするということでございます。  あわせまして、十一名を三名削減いたしますので、不十分ではないかという御指摘もございますが、割合でいいますと二五%を超える役員の削減ということでございまして、そういう意味で、私どもとしては、行政の簡素化という観点での行政改革の推進を図ってきているというふうに思っているところでございます。  なお、定員につきましては、当然ではないかというような御指摘もございますが、これも先ほど来御質問ございました基礎研究の実施等新たな業務もあるわけでございますが、これは当然のことながら従来の体制の中でやりくりをして、なおかつ五年間で九名を削減するという計画でございますので、最大限努力をしているところでございます。
  53. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私も民間の出でございますから、どうも民間の論理で考えれば納得がいかないなということでございます。先ほど横尾先生からもお話がございましたから、この問題については、この法案が成立して新事業団がスタートした後からいろいろ御質問させていただきたいと思っております。  続いて、鉄道整備基金JR三島会社について若干この機会にお伺いしたいと思います。  三島会社、私も昨年のこの委員会でどう考えるかという御質問をいろいろさせていただきました。特に、本州三社と違って財務体質を含めて大変厳しい構造的な問題を抱えている。新幹線も持っていない。ローカルの人たちに交通ネットワークを確保する等々、もう既に御存じのことだと思います。  平成九年度から経営の厳しいこのJR三島会社を支援するために、鉄道整備基金から所要の資金調達額の五割を四・九九%の固定金利で調達することになっております。これは三島会社にとっては何とか命綱がつながったかなという率直な感想も私は伺ってございます。この措置によってどのような効果が見込まれているのか、まず伺いたいと思います。
  54. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 九年度の予算におきまして、鉄道整備基金資金調達機能を活用いたしまして、先生ただいま御指摘ございましたとおり、JR北海道・四国・九州、この三社の経営安定基金から鉄道整備基金が借り入れをし、これを過去十年間の長期国債の平均利回りでございます四・九九%の固定金利で借り入れをして一定の運用益の確保をするということを講ずることといたしました。この措置は平成九年度から五年間の措置でございまして、鉄道整備基金が借り入れましたものは、三年据え置き七年元利均等半年賦償還という条件で償還をしていくことになります。  効果でございますけれども、具体的には金利の動向などによりまして変動いたしますので一概には言えませんが、仮定計算といたしまして、経営安定基金の運用益の利回りが、平成八年の一月から十二月までの新規分の実績でございますが三・一%、これぐらいしか回らないということを前提といたしまして試算いたしますと、平成九年度から十三年度までの五年間で三社合計約四百二十億の効果がある、このように試算いたしております。
  55. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 分割・民営化当時はこの経営安定基金利率が七・三%でスタートしておりまして、私も北海道なものですから、北海道のJRの方々が随分苦労されていることは承知しております。  ところが、運用益が目減りしておりまして稼ぐに追いつけないというような状態でございます。ちょっと資料をあれしますと、平成七年度は運用益が三百七十八億円、八年度になりますと、もう一年間で四十億も目減りして三百三十七億円でございます。そして、経営努力によって八年度のいわゆる欠損、赤字ですけれども、十二億にとどめているというのが実態でございます。本来、もちろん経営努力が必要最大のものであることは私も理解はしておりますが、ただもう働けということだけでは、いわゆる地方のネットワーク、鉄道ネットワークが確保されないだろうと大変私も危惧しております。  それで、次に質問申し上げますけれども平成七年二月の閣議決定では、JR七社については、経営基盤の確立を図り株式の上場が可能になるよう条件整備を図るとあります。三島会社もいずれは上場させて株式の売却益を、先週も大変質疑がありました長期債務の返済に充てるのが本当は望ましいと思うんですが、しかし現状では株式の上場というのは遠い夢であるということでございます。  三島の経営基盤確立、何度も申し上げますが、これは本当に経営陣の自助努力が不可欠だと思うのですが、それだけに運輸行政として具体的にどういう支援といいますか育成というか、そういうことを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  56. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR北海道など三社の完全民営化の問題、私どもも大変重要な課題だと思っております。私どもといたしましては、今申し上げました経営安定基金の運用益の確保のための措置のほかに、国鉄改革に伴いましてJR北海道など三社の固定資産税、固定資産にかかわります固定資産税と都市計画税の課税標準を四分の一といたしておりますいわゆる承継特例、それから三島特例と称しているものがございまして、これは税制上の特例措置でございますが、これにつきまして平成九年度から五年間延長するといったような措置を講じたところでございます。  これらの措置を前提といたしまして、各社におかれまして、早期退職制度の実施あるいは拡充といったことによります徹底した経費削減、それから高速化などによります増収の施策、こういった努力を尽くしていただくことによりまして平成十三年度までに株式上場が可能となるような経営状況となることを目標といたしまして、それぞれ可能な限りの経営改善に取り組むということにしていただいております。  私どもといたしますと、各社の経営努力によりまして平成十三年度までの五年間で株式上場が可能となるような経営状況になるように期待をしているところでございます。
  57. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ただいま鉄道局長の話では十三年度までに株式上場と、JR貨物の問題はございますけれども、それが本当に実現すれば旅客の六社がようやく民営化されたと言えるのではないかと思います。  次に、北海道、九州、四国における鉄道ネットワークの付加価値を高めるために高速化や複々線化、これは進められておりますけれども、こうした重点的な投資も必要ではないかと思います。新事業団鉄道整備基金と同じように引き継いでいかれると思うんですが、新事業団がこうした地方の鉄道ネットワークの充実のために果たすべき役割というのはどのようにお考えでしょうか。
  58. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道整備につきまして確かに利用者負担ではできない部分というのは、特に鉄道は多大の投資を要しますのでそういう点はございますので、従前から公的な支援の充実に努力をしてきたわけでございます。  鉄道整備基金におきましても、いわゆるJR北海道・四国・九州、そういった三島会社に比較的適合し得るような助成制度といたしまして幹線鉄道等活性化補助といったような制度を設けまして整備に努めてきているわけでございますし、それから無利子貸付制度、こういったようなものも設けてきたわけでございます。  今後、私どもといたしましては、この新しい事業団を通じまして幹線鉄道等活性化補助制度、こういったものも大いに活用し、必要に応じその充実を図りながら御指摘のような点につきまして対処していきたいと考えております。
  59. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ただいま局長の御答弁にありました無利子貸付事業についてでございますが、これは平成三年の十月一日、鉄道整備基金が設立されてからこの事業を行ってきておるわけです。一定の効果を発揮しているのではないかとは思います。  しかし、この無利子貸付の原資については国鉄清算事業団に対する最後の支払いに充てるというのが筋ではないか。それを一時的に借りているという形になっております。いずれこれは底をつくわけでございまして、こうしたやりくりではなくて、本来必要なものはきちっと財源としてこれは確保すべきじゃないかというふうに私は思うんです。小手先といったら大変失礼ですけれども、そういうやりくりじゃなくて、これは必要なんだ、正面、表口から正々堂々と行くべきじゃないかと思うんですが、これについて一言御答弁願います。
  60. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 無利子貸付制度は、先ほど申し上げましたとおり、確かに清算事業団債務償還支障を生じない範囲で実施されるということでおのずから限界がございます。鉄道整備に関しましては、従前一般会計の中で、私ども大変苦労しながらこの施設整備のための財源の確保なり、あるいは制度の創設に努力してまいりました。  御指摘のような点も踏まえまして、私どもとしましては、今後、先ほど申し上げましたように幹線鉄道等活性化補助制度を活用したり、あるいは充実を図っていくということで対処していきたいと考えております。確かに一般会計大変苦しゅうございます。この中で拡充をしていくというのは大変苦しい問題だと思いますけれども、必要なものにつきましては拡充に常に努力をしていきたい、このように思っております。
  61. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 時間もありませんので、最後に大臣にお伺いします。  私は、JR三島会社の経営の問題を鉄道整備基金の問題に関して御質問を今申し上げましたけれども、地方鉄道ネットワークの整備といいますか基盤安定といいますか、それについて二十一世紀を見据えた交通ネットワーク、特に地方の鉄道交通ネットワークの基盤整備について大臣はどのようなお考えをお持ちか、決意も含めて伺って、私の質問を終わります。
  62. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生指摘いただきましたように、地域の経済の発展また沿線住民の方々の質の高い生活の向上、こういつたことを考えた場合に、地域交通の分野の果たす役割の中でこの鉄道というものは、常に申し上げておりますように高速大量の輸送機関ということで非常に大きな成果を上げておりますし、また今後とも、今申し上げましたような観点から考えてみましても重要な輸送機関だという認識でおります。  これらをどういうふうにこれから整備していくかということでございますが、今申し上げておりますように、非常に限られた厳しい財政状況の中でありますけれども、できるだけの努力をいたしまして、その地域の特性に合った鉄道のネットワークの整備というものにつきましては最善の努力をしてまいりたい、こういう認識でおりますので御理解をいただきたいと思います。
  63. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子です。  まず、今回の法案は二つの特殊法人鉄道整備基金船舶整備公団統合するものですが、そこで鉄道整備基金についてお尋ねをしたいと思います。  この基金は九二年に、東海道新幹線等の既設新幹線JRに譲渡した代金の一部を活用して整備新幹線建設費に充てるものとし、これに運輸省からの補助金を加えて鉄道整備費の助成を行うことを目的として設立されました。この基金がつくられる以前から運輸省が行っている事業に新たに新幹線譲渡収入の活用が加わっただけであり、何ら基金が存在しなくとも支障はないのではありませんか。従来どおり運輸省補助金交付とあわせて業務を行えばよいことであると考えます。行政のむだをなくすことが求められているのに、行政の二重構造を温存することになるのではありませんか。  まず大臣から簡潔に、このことについて答弁をお願いしたいと思います。
  64. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道整備基金平成三年に設立されたわけでございますが、これは、解散いたしました新幹線保有機構が保有いたしておりました既設新幹線譲渡収入の一部を活用するということといたしまして、また同機構からの債務償還等業務の承継を行いまして、一方で、一般会計などの補助金などによりまして新幹線鉄道、主要幹線鉄道、それから都市鉄道整備に対する助成を行うということを目的としたものでございます。  国でできるのではないかという御指摘でございますが、当時基金の設立に当たりまして、国が特別会計というような形で資金を管理するというようなことで業務をみずから行うということも検討いたしましたが、特別会計の設置は、基金業務のように特定財源をもって助成を行うということのみならず一般会計等からの助成措置までを含めて一元的に管理するといったような場合にはなじみにくいという問題点、それから、新幹線保有機構業務を引き継ぐという点がございますのでこういった点ではこれをスクラップ財源といたしまして鉄道整備基金をつくる方がより効率的であるといったようなことから、この基金は設立されたものでございます。
  65. 須藤美也子

    須藤美也子君 基金収入の大前提となっているのが新幹線譲渡収入であります。この譲渡収入のうち一・一兆円を整備新幹線の建設費に充てております。特定財源化されております。これについて、例えば他の鉄道整備費であるとか、旧国鉄長期債務解消とか、あるいは清算事業団債務に充てる、こういうほかの目的に使ってはならない、こういうことになりますか。
  66. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) まず、鉄道整備基金が負っております債務のうち清算事業団に対する債務、いわゆる特定承継債務と称しているものでございますけれども、これは法律あるいは政令におきまして年率六・三五%、期限を平成六十三年九月三十日までの間といたします支払いと、こうなっております。こういうように、まず特定承継債務に関しては六十年間の支払いということになっております。  一方、今先生指摘ございました緊急の課題となっております新幹線整備、こういったことのために、既設新幹線譲渡収入のうち再調達価格の九・二兆円と、機構の総債務額約八・一兆円がございますが、その差額でございます一・一兆円につきまして、支払い期間を建設国債の最長の償還期間でございます六十年間とするということで、六十年間毎年七百二十四億の支払いを受ける、こういうぐあいに基金はなっております。  新幹線整備につきましては、新幹線整備のための交付金の措置でございますが、これにつきましては鉄道整備基金法によりまして先ほど申し上げました特定承継債務償還支障がない範囲内で行うと、こうなっております。したがいまして、この点につきましては先ほど申し上げましたけれども、一定の年限までは新幹線整備ための交付金として使用され、その後は無利子貸付制度利払いのための財源とする、このようなことで当時スキームが成立いたしております。
  67. 須藤美也子

    須藤美也子君 清算事業団債務に充てるということの検討はいかがですか。
  68. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今申し上げましたように、特定承継債務償還支障が生じない範囲内でこれを活用されることになっております。この点につきましては、平成三年の鉄道整備基金法の制定の際に、無利子貸付制度の創設に合わせまして、無利子貸し付けに伴う利子償還分、後ほどの利子償還分としてこの一・一兆円にかかわる収入の分を充てる、こういうことになっております。
  69. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、清算事業団債務に充てるということもその中に入っているということと解釈してよろしゅうございますね。
  70. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほど申し上げましたとおり、無利子貸付制度の導入に伴います利子償還分に充てるということでございますが、無利子貸付制度そのものはいわゆる特定長期債務償還のためにJRから支払いを受けるものを活用するものでございます。したがいまして、そういった意味では、特定長期債務償還に一部充てられている、このように理解することも可能であろうと思います。
  71. 須藤美也子

    須藤美也子君 そこで、つまり七百二十四億円、先ほど約六十年とおっしゃいましたね、この間ずっと自動的に予算措置されることになるわけですね。  そこで、自治体負担との関連でお尋ねをいたしたいと思います。このように七百二十四億円が確実に予算化されることによって自治体はこの半分を必ず負担することになります。もちろん国の負担分があるので、それ以上の負担になります。整備新幹線事業費と自治体の負担分はどうなっているんですか。
  72. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 御指摘の自治体の負担分というのは、昨年の政府・与党合意でできました新しい財源スキームにおきましての自治体負担の問題であろうと思いますが、それは新幹線整備にこの七百二十四億が充てられる場合の負担の問題でございまして、先ほど申し上げました、それは一定の年限までこの一・一兆円にかかわる収入の分は新幹線整備に充てられるということと符合するものでございまして、したがいまして、それ以降の分につきましては自治体の負担というのはないわけでございます。少なくとも、昨年の政府・与党の合意におきまして見られましたスキーム新幹線整備に充てる場合の話でございます。
  73. 須藤美也子

    須藤美也子君 その充てる場合、自治体の負担はどうなるんですか。
  74. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) これは、JR鉄道整備基金に払います既設新幹線譲渡収入の全額を国の分とみなして、これに公共事業関係費を加えた分を国の負担分、その二分の一を地方公共団体の負担分、こういうぐあいにされております。
  75. 須藤美也子

    須藤美也子君 では、北陸新幹線、今行っております高崎−長野間の事業計画事業費見込み、これについて具体的に私の方で調べた点についてお尋ねをしたいと思いますが、長野県の負担分は一千七十九億円であります。そのうち一般財源で八十六億円、八%です。あとの九二%は借金で九百九十三億円になります。この分の元利償還金は一千五百八十一億円、一・六倍です。このように自治体の負担というのは相当な負担になっているわけです。この点で地方自治体に対する、県とかそれから市町村、この負担区分についてはどのようになっているのか、お答え願いたいと思います。
  76. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 昨年の政府・与党合意におきましては、先ほど申し上げましたように、既設新幹線譲渡収入全額を国の分とみなしまして、これに公共事業関係費を加えた分を国の負担分、その二分の一を地方公共団体の負担分とすることとされました。  ところで、地方の負担に関しましては、「財政運営に支障を生ずることのないよう、そのために要する財源について必要な措置を講ずる」、こういうぐあいにされたところでございます。
  77. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほど長野県の具体的な事例を申し上げましたけれども整備新幹線三線五区間の関係自治体の起債残高は現在どうなっていますか。
  78. 岡本保

    説明員(岡本保君) 三線五区間関係の、ちょっと今手元に持っておりますのは県の平成七年度末の普通会計の起債残高でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、例えば長野県でいえば一兆一千九百億円、鹿児島県八千六百九十億円等関係の九県の平成七年度末の普通会計起債残高は七兆二千八百九十億円というふうに理解しております。
  79. 須藤美也子

    須藤美也子君 こちらの方の資料によりますと、県分で七兆二千八百九十六億円、市町村分で一兆一千四百四十二億円ですか、合わせると八兆四千三百三十九億円、そうなっておりますね。整備新幹線三線五区間の関係自治体の起債残高が八兆四千三百三十九億円にもなっています。驚くべき金額であると思います。  このように自治体の財政が極めて深刻な状況になっているわけなんですが、長野県などでは借金方式で六百億円も余計な負担をしている。このような仕組みについて見直すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  80. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先ほど来、昨年の政府・与党の合意に基づきます財源スキームについて御答弁申し上げましたけれども、これはやはり新幹線鉄道が我が国の高速交通体系を形成して国土の均衡ある発展に重要な役割を果たすということとともに、地域の交通基盤施設としての役割を果たすということ、あるいは地域経済の活性化にも資するといったこと、そういった点から新幹線整備される地域の振興に重要な役割を果たすということから沿線地域自体大変強く望まれているところでございます。したがいまして、そのような点も踏まえまして、今回の財源スキームに基づきます地方公共団体の負担、これが導入されたものと私どもは理解いたしております。
  81. 須藤美也子

    須藤美也子君 今、自治体の財政が非常に深刻な状況になっているときに、新幹線がつくられるということでさらに借金を背負わなくちゃならない。そういう点では国はこれに対して交付税とかそういうもので地方自治体に対してそれを支援する、援助する、そういう考えはないんですか。
  82. 岡本保

    説明員(岡本保君) 今回議論になっています地方負担の改正の経緯は先ほど来運輸省からお答えのあるとおりでございます。  ただ、御指摘のように、こういういわゆる未着工区間を抱えている関係地方団体の財政力も脆弱であり、また財政状況が非常に厳しいこともございました。そういうこと等々を勘案いたしまして、今回の全幹法の改正におきましては、関係地方団体の負担についてその財政運営に支障が生じないよう所要の措置を講ずるということとされているところでございまして、具体的には関係地方団体の負担につきまして新たに所要の地方交付税措置を講ずるという考え方でございます。
  83. 須藤美也子

    須藤美也子君 これは当然交付税で措置すべき問題であると私は考えるんですね。そういう点で、交付税措置するならば初めから国が責任を持って負担しなくちゃならない問題ではないか。わざわざ金利分は余計となっているわけです、長野県の事例も申し上げましたように。これらはすべて国民の血税であるわけですから、運輸大臣見直しを検討すべきと思いますが、いかがですか。
  84. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 再三御答弁申し上げておりますように、今回の新しい財源スキーム政府・与党の合意の中でつくらせていただいたところでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  85. 須藤美也子

    須藤美也子君 この問題についてはもっと突っ込んでお聞きしたいところですが、時間がありませんので、最後に航空会社について質問したいと思うんです。  航空会社の天下り大事についてですけれども、全日空の役員人事をめぐる内紛劇は二カ月に及んでいます。これはマスコミ等でも取り上げられておりますから、国民が関心を持って見ているわけです。利用者不在の迷走飛行だと。この問題に無関心でいるわけにいかないのは、乗客の安全確保を最大の使命とする航空会社で、しかも社外まで怪文書が飛び交うというまさに利用者不在の問題であります。社長みずからが動揺しないで安全運航をと社員に呼びかける文書を配付するほどの事態になっております。  ここで重要な問題は、この人事内紛の背景に運輸省の天下り問題があるということを指摘しなければならないと思います。若狭名誉会長は、ロッキード事件の刑事被告人であったが引き続き実権を持ち続けてきました。この名誉会長と杉浦会長はいずれも運輸事務次官経験者であります。この元運輸省官僚の両氏と生え抜きの普勝社長とがぶつかり合い、社長が六月末に退陣に追い込まれる。こうしたことから、利用者を含め、元運輸官僚の天下りによる専横、横暴なやり方と、こういう批判の声が出ております。  そこでお聞きいたしますが、運輸省から航空会社への天下りの状況はどうなっておりますか。
  86. 黒野匡彦

    政府委員(黒野匡彦君) 五月三十日現在のものでございまして、航空局あるいは運輸省職員から三社に再就職した者の人数でございますが、日本航空が七人、全日空が十四人、日本エアシステムが九人でございます。
  87. 須藤美也子

    須藤美也子君 全日空十四人、日航七人、JASが九人とおっしゃいましたけれども、全日空では名誉会長、会長、専務、取締役、日航は会長、副社長、日本エアシステムは会長、専務二人、常務、顧問と主要なポストは運輸省天下りで占められております。この実態から見れば、天下りの運輸省枠が決まっているのではありませんか。  例えば、羽田空港が七月から四十便の増便が可能になった。この路線の配分をどうするかは、各航空会社の営業政策上極めて重要な問題であります。この配分を決めるのに、監督庁である運輸省の先輩であり上司であった元事務次官や局長と協議をすることになる。  こうした天下りの弊害を是正していくことは緊急な課題であると思います。天下り人事をやめる、禁止する、これが基本だと思うんです。今の全日空で起こっている内紛劇もそういう天下り人事の根っこから起きているわけです。このことを示したのが今回の一件だと思うんです。これを機に天下り人事を是正していくべきだと思いますが、最後に運輸大臣のこの問題に対する決意を答弁していただいて、私の質問を終わります。
  88. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 今回の全日空の人事の問題につきましては、天下りとは関係のない問題だというふうに思います。また、基本的に、民間会社の大事につきまして行政がとやかく言う問題ではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、航空行政というものに対しまして、航空会社の役職員だとかOBだとか、そういったことによって影響されるということがあってはならないということは、先生の御指摘いただいているとおりでございます。
  89. 末広まきこ

    末広真樹子君 自由の会の末広真樹子でございます。  先日の清算事業団長期債務法案審議では、二十八兆円の債務国民の負担にしょうというお考えは今のままでは到底理解を得るものではないということを申し上げました。まず政府みずからがどれだけの血と汗を流すか、このことを見届けるまでは俎上にのせることも国民に失礼ではないのか、そのように思うわけであります。来るべき高齢化社会にどう対応していくのかとか、国際大競争時代にどう対応するのか、いろいろとあるわけです。それをすべて国民の負担や将来的ツケに回していくわけにはいかないんです。まず、すかっと大胆な行財政改革、これをしなければならないという意見を申し上げてきたところでございます。  このあたりで、元気の出る、国民の皆さんに喜んでいただけるような歳出削減、国民負担の軽減につながる法案が出てくるんだろうなと思って実は大変期待していたんです。ところが、運輸施設整備事業団——平成七年二月の閣議決定では、行政減量化と新たな時代の要請にこたえるため十二の特殊法人を整理統合するとあり、今回統合される鉄道整備基金船舶整備公団もこれに含まれております。しかし、今回の統合が本当に行政減量化スリム化につながるのでしょうか。確かに、船舶整備公団業務のうち四項目の業務統合に伴い廃止されます。しかし、これらの四つの業務は既に時代おくれのものばかり。  そこでお伺いしますが、これらの四つの業務、つまり貨物船の解体撤去に伴う運転資金の貸し付け、日本内航海運組合総連合会等の船腹調整事業への資金の貸し付け、港湾運送用船舶の共有建造、供用、譲渡、港湾運送用荷役機械の共有製造、供用、譲渡の近年の実績を説明してください。
  90. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) 今の四つの事業への貸し付けでございますが、昭和四十年代あるいは五十年代の初めのころはかなりの頻度で貸し付けがなされていたわけでございます。近年の状況を見ますと、実はそういう実績はございません。例えば、解撤に伴う運転資金の貸し付けにつきましては五十四年度以降、それから共同係船事業への融資については四十八年度以降、それから三番目にありました港湾運送用船舶の共有建造については四十七年度以降、最後にありました港湾における荷役機械の共有製造については五十一年度以降実績がございません。
  91. 末広まきこ

    末広真樹子君 そうなんです。もう昭和四十年代、五十年代にお役御免になっているものばっかりなんです。ふたをあけてびっくりしました。近年全く行われていない、実績のなかった業務法律上削除するにすぎない。こんな業務を削減しても痛くもかゆくもない。この認識は間違っておりますでしょうか。古賀運輸大臣の御見解をお伺いします。
  92. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 確かに、御指摘をいただいておりますこの四つの業務につきましては、今政府委員から御答弁申し上げましたように、近年その実績がないということは事実であります。  しかしながら、こうした業務について将来的にもずっとないかというと、それはまたいろんな景気動向だとか金融情勢の変化で必要な状況が生じるということも考えられないことはないというふうに思っております。しかし、そうなったときに、この四つの業務を廃止しているということは、それぞれの民間の自助努力によってそれを克服しなければいけない、こういうふうになるわけでございまして、民間の自助努力で対処していただく、こういうことも含めて今回の関係業務というものを廃止したものだという、温かいひとつ前向きな御理解もいただいておきたいと思います。
  93. 末広まきこ

    末広真樹子君 私、心は温かいつもりです。前向きでもあるつもりでございますが、これは理解できません。つまり、大臣の御見解と国民認識の間にある溝は深いですよと御指摘申し上げたいと思います。  つまり、行政減量化と新たな時代の要請にこたえるためとはいうものの、実態は頭数を減らすだけ。特殊法人の数を減らさなきゃいけないから、適当な二つの法人を見つけてきてただ単にくっつけた。ついでに時代おくれで全く行われていなかった業務を条文から削除すればいかにも業務縮小したかのように外からは見える、こういうことなんです。  さらに、そのほかに基礎的研究の助成という業務が新たに加わるんです。運輸省では既にさまざまな国立研究機関が存在します。ここで直接基礎的研究を行うことができます。それなのになぜ新たな助成制度をつくる必要があるんでしょうか、お答えください。
  94. 相原力

    政府委員(相原力君) お答え申し上げます。  基礎的研究につきましては、運輸省の中にも国立試験研究機関がございまして、その中でも一部行われていることは事実でございます。今回、運輸施設整備事業団の方で負わせようとしているものにつきましては、もともと科学技術基本法というのが平成七年に制定されておりますが、その中でも、特に基礎的研究が新しい現象の発見、解明、独創的な新技術の創出等をもたらすものであるけれども、その成果の見通しを当初から立てることが難しくて、成果が実用化に必ずしも結びつくものではないこと等の性質を有するものであることにかんがみ、国、地方公共団体の果たす役割が非常に大きいということ。  それから平成八年七月の閣議決定、科学技術基本計画におきましても基礎的、独創的研究の重要性がうたわれているところでございます。特にその中におきまして、創造的研究開発活動の展開のためには、競争的な環境のもとで提供される研究資金、これは特に研究者間とか研究開発機関の間、あるいはセクター間等の競争と連携を通じて研究開発活動の活性化を図っていく上で非常に重要である、こういうようなことがうたわれているところでございます。  そういうような観点で、従来運輸省の研究機関においても一部は行われていたわけでございますけれども、従来の研究制度ではなかなか実施が困難でございました研究者の創造性とかあるいは独創性を生かした基礎的研究が行われるように、今回の運輸施設整備事業団では公募方式によりまして一般から募集いたしまして競争的な研究環境のもとで実施するということで、これによりましてより一層創造性、独創性を生かした基礎的研究が行われるものというふうに期待しているところでございます。
  95. 末広まきこ

    末広真樹子君 研究助成の対象となる分野は、陸上運送、海上運送のほか航空運送も加わります。船舶整備公団鉄道整備基金統合された法人でどうして航空分野の研究が加わるのか。これでは整理統合どころか焼け太りだと言われても仕方がないと思います。  ちなみに、今回の統合による節約効果は金額としてどの程度になるのでしょうか、具体的にお伺いします。
  96. 相原力

    政府委員(相原力君) 統合に伴う経費の節減効果の具体的な額ということでございますが、役員の削減、それから管理部門縮減等による管理経費の節減が具体的な節減効果でございます。  具体的には、管理体制の効率化を進めて、役員について両法人合わせて十一名になるところを三名削減、職員につきましても両法人合わせて百三十六名になるところを五年間で九名削減することといたしておりまして、これらの要員削減、単年度ベースで約一億五千万円の人件費の削減を予定しているところでございます。なお、この一億五千万円というのは、現在の人件費の総額から申し上げますと八・三%の削減率になるところでございます。
  97. 末広まきこ

    末広真樹子君 その何%というのは信じていいときとよくない場合がありますね。  たった一億五千万円とあえて言わせていただきます。だって、この前まで二十八兆円の話をしていたんですから。これでは国民の皆様に喜んでもらうどころか、失望が深まりそうです。国民が望んでいるのは、大規模な歳出削減につながる行政改革の実行です。その観点から見れば、今回の統合案は大変問題点が多いと思います。  運輸省は時代おくれの業務は見直すと言っておりますが、これでは二つの法人をただ単に接合した、それだけにすぎないと思いますが、古賀運輸大臣の御見解をお伺いいたします。
  98. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 大変先生の厳しい御指摘でございますけれども、まさに行財政改革、とりわけ行政改革というのは近々の課題であります。私どもは、行政改革に全力を挙げて努力をしていくということは申すまでもないことでございますが、その行政改革の難しさということもまた御理解をいただくのではないかと思っております。  大変厳しい中にありますけれども行政改革の第一歩だとぜひひとつ御理解をいただきまして、今後これを踏まえましてさらに行政改革に取り組んでいくということをここにお誓いを申し上げる次第でございます。
  99. 末広まきこ

    末広真樹子君 お苦しいというのはよくわかるところでございますけれども、苦しさを乗り越えていただきたい。これが第一歩だから御理解をいただきたいということは、逆に言えばこの程度が第一歩なのかと。これで理解を示したんでは後々どうなることやら、立ち消えの可能性もありと、このように思うわけでございます。  長期債務処理に当たっては、まず財投をなくしてください、これを先週お訴え申し上げました。この法案につきましては、官僚の天下り先を確保するだけの特殊法人、これも全部おやめください、すべてを民営化して自立してもらいたい、国民はそう望んでいるのではないでしょうか。政府は、特殊法人見直しに当たっては外庁、エージェンシー制度の採用という大変耳ざわりのいいフレーズを出しておられるようでございますけれども、むしろすべての特殊法人を民営化することが今やらなきやならないこと、変えなきゃならないことだと私は思うのでございます。  行財政改革の中で単純な特殊法人の接合に終わらない抜本的改革、それこそ血のにじむ改革が必要かと思われます。その上で国民に痛みを分かち合ってくれと、これが順序ではないかと私は思いますが、古賀運輸大臣に閣僚としての御見解をお伺いします。
  100. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 行財政改革は橋本内閣の最大の課題でございます。また、国民の最も期待するところでもございます。そういう意味で、内閣を挙げまして行政改革に全力を尽くしてまいりたい。  また私といたしましても、閣僚の一人といたしまして、とりわけ運輸行政の基本であります安全の確保、また輸送機関を通じての輸送サービス、こういった基本的な目標を踏まえつつ、先生の御指摘を十分踏まえた中で行政改革に今後とも全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  101. 末広まきこ

    末広真樹子君 行財政改革については、今山場をまさに迎えておると察知しております。私どもは野党でも何でもない、ただ国民のお声をお伝えしたい、このように思うわけでございます。そして、官僚の皆様も家に帰れば一国民の顔を取り戻していらっしゃるのだと思います。そんな中で、みんなで一体となって、将来の日本はどうあるべきなのか、そのためには今苦しくともこれだけはやらなきゃいけないんじゃないか、自分の権利ばかりを主張してはいけないんじゃないか、その辺のところをひとつ同じ立場で取り組んでいただけたら大変うれしゅうございます。  以上で私の質問を終わらせていただきます。
  102. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。本法案の審議にかかわりまして何点か質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど同僚議員からも質問の中でございましたように、今回の全日空の役員の人事をめぐる内紛劇、大変唖然とするところがあるわけでございまして、これにかかわって大臣が役員の交代劇に大変怒っていらっしゃる様子もテレビで拝見したわけでございます。先ほどの御答弁では民間会社の大事にとやかく言わないということをおっしゃいました。  それでは、特殊法人の大事について大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるかお尋ねをしたいと思います。とりわけ天下りに関しましてのお考えを伺いたいと思います。
  103. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 特殊法人に対しての天下りの問題でございますけれども、基本的には、特殊法人業務内容について、適材適所の考え方を重要視していく中で、それにふさわしい経験また知識を有する人材として特殊法人がより有効に活用するということは社会的にも非常に大事なことではないかというふうに思っております。そういった中で、その人材の中に、国家公務員である役所を退職した人が再就職してはいけないというようなことは私は当たらないというふうな認識でおります。
  104. 栗原君子

    ○栗原君子君 いただきました資料を見ておりますと、今回の鉄道整備基金の役員の一覧表というのがございまして、この中には役員の方が五人いらっしゃって、そのうち三名は運輸省の出身でいらっしゃいます。そして、ほかのお二人もすべて官僚の出身でいらっしゃるわけでございます。    〔委員長退席、理事戸田邦司君着席〕 さらには、船舶整備公団の役員の一覧表を見てみますと、六名いらっしゃる中でそのうちの四名は運輸省の出身でいらっしゃいます。民間の方は平成八年の七月二十二日にお一人おつきになられて、それまではすべて両法人とも官僚の出身が占めているという状況になっているわけでございます。  こういつたことを見ておりまして、幹部の給与の水準が退職時の収入を下回らないことが約束をされているように伺うわけでございます。特殊法人の役員の給与あるいはまた一時金の金額などお教えいただければと思います。
  105. 相原力

    政府委員(相原力君) 御審議いただいております両法人鉄道整備基金船舶整備公団の現在の役員の俸給の件でございますが、両法人同額になっておりますが、理事長は、報酬月額が百三十二万五千円、一時金年額が八百四十四万八千円でございます。理事は、報酬月額百一万円、一時金年額六百四十四万円でございます。常勤監事は、報酬月額が八十一万七千円、一時金年額が五百二十万九千円でございます。  以上でございます。    〔理事戸田邦司君退席、委員長着席〕
  106. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、民間の企業においてはこういうことは許されないわけでございますけれども、今回のこの法案の審議に当たりましてもさまざま意見として出されておりますように、いわゆる特殊法人をつくることによって天下り先を拡大してきたという嫌いがあるように思うんですけれども、このことについてどうお考えでいらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。  それからさらに、ただいまお伺いした中で、退職金でございますけれども、担当者の方が嫌々ながら計算をしてくれました。そういたしますと、理事長の場合、任期は四年なんですね、任期四年で退職する場合に二千二百八十九万六千円という退職金をもらって退職をするわけでございます。一般の国民感情とすれば想像のつかないことなんですけれども、この件に関してはどうお考えでいらっしゃいますか。
  107. 相原力

    政府委員(相原力君) まず前半の、特殊法人を天下り先確保のためにつくっているんではないかという御質問でございますが、特殊法人は、全般的に行政改革の中で非常に抑制的にしているわけでございますが、過去、その中でも、国が行うよりもより効率的に業務を行う必要がある、しかしながら国が密接に関与して行われるべき分野が非常に多い、そういうようなものについて必要に応じて特殊法人という形で設立してきているわけでございまして、決していわゆる天下り先確保という観点で設立しているということではございません。  それから、退職金についての御質問でございますが、退職金についても、一般的な政府全体の特殊法人の役員の退職金についての基準というような観点で、退職時の報酬月額に在職月数あるいはそれに百分の三十六を乗じて得た額ということになっているわけでございまして、御指摘のような形で、理事長の場合には四年間勤務した場合には約二千二百万という額になっているところでございます。この辺も、全体的な中で、特殊法人の長として四年間勤務された場合の退職金ということで現在こういう基準になっているということでございます。
  108. 栗原君子

    ○栗原君子君 報道によりますと、高額の渡り鳥が横行しておるといったような記事もあります。  さらには、これは識者の方でございますけれども、現役時代に手に入れられなかった給与を取り戻すため、天下り役員お手盛りで自分たちの給与水準を引き上げるという、当然の意識があるといったことを言っていらっしゃる方もあるわけでございます。さらには、これだけの高額の給与を確保することが事実上の目安であるということでございまして、これが省庁の事務次官の場合百二十三万円という月々の報酬になっているわけでございますが、これを下回らないようにするためにそうしたお手盛りがあるということ、国務大臣と同じレベルの俸給になっているということでございます。  民間人は退職すると次の勤め先では大幅に減給するわけでございますけれども、天下りの場合は逆に給料がアップするということになっておりますけれども、こうしたことに対して反論してください。
  109. 土井勝二

    政府委員(土井勝二君) ただいま先生指摘のいわゆる渡り鳥の問題、これらにつきましては閣議の了解の中でも極めて例外的に一回限りと、しかも、その人材の活用の面からやむを得ない場合というような形で運用をされておるところでございます。運輸省といたしましても、政府全体の考え方に基づきまして、残念ながら確かに運輸省の場合にそういう方が若干おりますけれども、できる限り少ない方向でやりたいということでやっております。  それから給与の問題でございますが、先ほど運輸政策局長もお答えしておりますが、決して私ども現役の国家公務員の時代における給与が基準になってそれを下回らない、あるいはそれを上回るようにするとか、そういうことはございませんで、それぞれの再就職の場合におけるルールに従いまして、例えば相手方の再就職の法人等においてお決めいただいているということでございます。
  110. 栗原君子

    ○栗原君子君 今回法案を提出されたことは、まず橋本内閣では火だるまになって行革をなさるということの中から、何かとにかく少し減さなきゃいけないんじゃなかろうかというだけのポーズのようにしかお見受けすることができないわけでございます。  それで、ここに特殊法人あるいはまた認可法人トップの給与の一覧というのがございまして、大変法人の数が多いわけでございますが、特に多いのから申しますと、農水省が十三と多いわけでございます。それから続きまして通産省、さらにはまた運輸省ということになっておりまして、これだけたくさん省庁がある中で、運輸省は第三番目に特殊法人、認可法人が多い省庁ということになっているわけでございます。  それで、少しは腹の痛むところもあるかもしれませんけれども国民の方から見えるような形で、そして天下りの行き先を確保するためのものだと批判されないための思い切ったそうした努力をしていただく必要があるわけでございますけれども、これらについてもう一度決意をお述べいただければと思います。
  111. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 御答弁申し上げておりますように、行政改革というものの重要性は私が申すまでもございません。橋本内閣は火だるまになってと、その火も煙も見えないじゃないかという今御論議をいただいておりますけれども、非常に難しい問題でありますだけに、よほどの覚悟でこの推進に当たっては努力をしていかなければいけないと思います。  そういう意味でも、橋本内閣の中で行政改革に内閣挙げて全力を尽くしていくわけでございますが、本法案につきましてはまさに運輸省のさまざまな特殊法人の中での第一歩だということを今申し上げているところでございまして、今後、社会経済の状況変化に伴いまして、従来あります特殊法人必要性また今後の役割、そういったことを踏まえながら全力を尽くして行政改革のスタートでありますこの特殊法人見直しについて最善の努力をしてまいりたい、そういう意味で省を挙げて今後努力をしてまいりたいと考えております。
  112. 栗原君子

    ○栗原君子君 ただいま私は役員のことを申し上げましたけれども、職員につきましても両法人合わせまして百三十六名でございますが、このうちの四十一人は運輸省からの出向者になっているわけでございますね。要するに、こうした特殊法人をつくりましても省庁の隠れみのになっているとしか思えないわけでございます。私は頭からこの特殊法人をなくしろということは言いません。必要なものは置くべきだと思いますし、必要な仕事はしてもらうべきだと思います。しかし、今回のように省庁の隠れみのになっていることに対しましてはやはり疑問を持つわけでございます。  そうした中で、省庁でも本当に必要なものは特殊法人に回すべきではなくして、むしろ省庁自体が取り組むべきだと思いますけれども、こうしたことはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  113. 相原力

    政府委員(相原力君) 先生指摘のように、一定の人数の職員が運輸省から出向しているわけでございますが、これは特殊法人によりまして、一挙に民間の方々だけでは十分な業務が遂行できないという運輸省の職員の専門的知識、経験を必要とする分野がございますので、そういうような分野については必要に応じて運輸省から必要な職員を出向させているということでございます。
  114. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは、今回新たにこの鉄道整備基金船舶整備公団の統廃合の問題が議題となっているわけでございますけれども、この業務内容とか必要要員とか労働条件とか、そうしたことはこれからどのようになるのでございましょうか。水と油が一緒になるというような感じもしないではありませんけれども、ここらはうまくいくと自信をお持ちでいらっしゃいますか。
  115. 相原力

    政府委員(相原力君) 御指摘業務内容につきましては、それぞれ従来行っております鉄道整備、あるいは船舶、旅客船、貨物船等の共有建造等の整備ということでございますが、それぞれの業務が効率的に行えるようにより一層運輸省といたしましても指導を行っていきたい。それから、当然のことながら、統合することにより総務部門が重複するわけでございますが、組織的にもそういう点については簡素化、効率化を図って、なおかつ企画調整機能も十分発揮できるような体制をつくっていく必要があろうというふうに考えております。  それから、職員につきましては、先生指摘のように、これは既存の鉄道整備基金船舶整備公団、生い立ちも違うという観点で、給与体系等に相違があるわけでございますが、業務の効率的運営を図っていくためには新しい運輸施設整備事業団の職員が一体となってこれを進めていくことが必要であるというふうに考えております。  平成七年の閣議決定におきましても、職員の労働条件等の悪化を来すことのないようにというふうに書いてあるところでございます。そういう閣議決定も踏まえまして、統合によって職員の労働条件等の悪化を来すことのないよう適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  116. 栗原君子

    ○栗原君子君 それじゃ、統合法人間の格差はどのようになるのか。とりわけ年金の掛金とかあるいは健康保険とか、さらには賃金の格差などはあるわけでございますけれども、これはどのようになるのか。  特に鉄道整備基金の職員につきましては、旧国鉄から行った人、運輸省から行った人、銀行から行った人、この三カ所から来ているわけでございますけれども、特に国鉄から行った人につきましては、国鉄時代から大変年金の掛金が高いということを申しておりまして、この際是正をしていただくことはできないか、こうした要望も来ておりますけれども、いかがでございましょうか。
  117. 相原力

    政府委員(相原力君) まず給与でございますけれども平成九年度予算におきましては、これは平均年齢が若干異なりますが、鉄道整備基金の場合は平均年齢約四十二・八歳でございますが、職員の平均給与は約四十八万四千円になっております。船舶整備公団の方は平均年齢約四十三・五歳、平均給与が約五十二万円ということでございます。  それから、お尋ねの年金でございますが、これについては御指摘のように、鉄道整備基金の方は従来から鉄道共済ということでございますが、これは平成九年四月に厚生年金に統合されたわけでございます。船舶整備公団の方は従来から厚生年金ということでございます。鉄道整備基金の方は従来、国鉄時代からの年金制度を踏襲してきたということでございますので、その前提に立った形での年全体系を今後とも踏襲するという方針でございます。
  118. 栗原君子

    ○栗原君子君 先ほど申しましたように、役員につきましては大変な高給でいらっしゃいまして、理事長一人で若い人が五人以上雇えるというような状況になっておりますけれども、少なくともそこに働く職員については不安を残すことがないように最善の努力をしていただきたいということを申し添えて、終わります。
  119. 芦尾長司

    芦尾長司君 芦尾長司でございます。お昼が大分過ぎましてまことに恐縮でございますけれども、もうしばらくよろしくお願い申し上げます。  四点ばかり簡単にお伺いしたいと思うんでございますが、まず第一点でございます。今、鉄道整備基金船舶整備公団統合が問題になっておりますけれども運輸省としてはこれまでの成果というものをどのように評価されておりますのか、簡単にひとつお願いしたいと思います。
  120. 相原力

    政府委員(相原力君) お答え申し上げます。  まず、鉄道整備基金でございますが、これは先ほど来の御審議にもございますように、既設新幹線譲渡収入一般会計等からの補助金等を加えまして、総合的、効率的に鉄道助成の執行にかかわる業務を行うということで、従来から、例えば秋田新幹線とかあるいは北越北線等により速く快適に移動できるための幹線鉄道の高速化、あるいは通勤、通学時の混雑緩和のための地下鉄の整備、地下鉄の新線建設などを行いまして、鉄道に対する国民の諸要望にこたえてきているというふうに考えております。国土の均衡ある発展と大都市の機能の維持を図る観点から国が講じる種々の鉄道助成施策を十分反映させるものとして重要な役割を果たしてきているんではないかというように考えているところでございます。  船舶整備公団でございますが、旅客船の安全の確保、あるいは高速化、大型化などの輸送サービスの改善が旅客船関係ではございますし、内航海運については構造改善とかあるいはトラックから内航海運への転移という意味でモーダルシフトの推進、あるいは海洋汚染防止のための船舶の質の向上などの施策を進めていく上で非常に重要な役割を果たしてきているというふうに考えております。具体的には、船舶の場合、七年度に建造された船舶のうち、公団のかかわったものが旅客船につきましては五八%、貨物船につきましては六七%に達しているところでございまして、我が国の国内旅客船あるいは貨物船整備になくてはならないものとなっているというふうに考えているところでございます。
  121. 芦尾長司

    芦尾長司君 これまでそれぞれ実績を上げてこられたと思うわけでございます。  今回の統合を契機とされまして、先ほど来話が出てきておりますが、今我が国も都市化、高齢社会が進展してきておりますし、また経済の国際化といったようなこともありますが、こういう環境を踏まえて新しいニーズが出てきておるのではないか。そういうことに対して、新たな観点に立った施策というものをこれから考えていく必要があるんではないかなというふうにも思います。  特に私は例示したいんですが、例えば主要幹線鉄道都市鉄道、地下鉄といったようなことを踏まえまして、高齢者も含めた交通弱者対策といったようなものが出てくると思います。また、今P線補助が低金利時代を迎えて有名無実になっておりますけれども、これから都市近郊鉄道の混雑対策、線増工事を含めた混雑対策というのはますます重要になってこようと思うわけでございます。  ちょっと地元の神戸の状況をお話し申し上げさせてもらって恐縮でございますけれども、御承知のように、神戸は東西間はいいんですけれども、南北は例の六甲山を抜かなければならぬといったようなことで、民間鉄道も非常に難儀をいたしております。例えば北神電鉄というものがあるんですが、これはもう六甲山、全線トンネルばかりだということで日本一の高料金の鉄道になっておるわけでございます。そうした問題でございますとか、まだ複線化が進んでいないような民鉄も六甲山の裏側では走っておるわけでございます。  しかし、それは都市近郊の交通状況に対して非常に役に立ってきておるというようなこともございますが、そういったようなことも踏まえまして、これからの新しい時代に即応した施策というものが必要になってくると思いますけれども大臣、この点いかがお考えでございましょうか、よろしくお願いします。御答弁いただきたいと思います。
  122. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) 先生の方からP線の補助の問題をお触れになりながら、それぞれの鉄道の果たす役割というものについてその重要性を御指摘いただいているわけでございますけれども、御承知のとおり、民間鉄道整備というのには非常に膨大な資金が必要でありますし、また懐妊期間も非常に長いというようなことで、やはり利用者負担だけに頼るという意味では投資資金の回収というのが困難だろうというふうに思います。  そういう意味で、今お触れいただいたP線補助等を通じて公的支援を行ってきているわけでございますけれども、今後とも、民鉄線を含みます都市鉄道整備というものの必要性、そういったことを踏まえながら、まずは沿線の利用者や開発者の方々の受益者の負担調整、そういったものを図りながら、今後公的支援あり方というのにどういう点が考えられるかを踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
  123. 芦尾長司

    芦尾長司君 ありがとうございました。  それではもう一点、新しい時代といいますか、これから先の運営について関係するわけですが、先般、内航海運組合法が改正されまして新しい制度に基づく事業も始まるということになるわけでございますが、今回ここの事業団法が制定されますと、この後ももちろん事業団の行います共有建造方式というものが活用されて内航船の建造が進むと思われます。一方で、船腹調整事業が解消されてくるわけでございますが、かえって船腹過剰の問題というものがまた起きてくるのではないかなといったことも考えられます。  今、規制緩和の時代でございますから、もちろんそれに逆行してはなりませんが、総合的な観点からの内航海運政策というものを進める必要があると思いますが、この点についていかがでございましょうか。
  124. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) ただいまのお尋ねでございますけれども船舶整備公団が共有建造をしていくに当たりましては、自分らがその共有部分資金を回収しなければならないわけで、ちゃんとした荷物があるのか、適正に船のオペレートができるのかということを審査しながら共有建造をしていくわけで、共有建造方式を続けることが直接船腹過剰になるとは思いません。しかしながら、今先生のお話がございましたように、船腹調整事業を解消するということで今そっちの方向で進めておるわけでございます。そもそも過剰船腹が内航海運業は生じやすい産業特性を有しておるわけでございまして、その点につきましては十分に配慮していかなきやならないと思っております。  具体的にはいろいろな施策があります。環境整備計画というのをつくりまして事業の協業化とかあるいは資本の充実などをやるわけですけれども政府としましても、将来的な、中長期的なんですが、船腹の需給がどのようになるかということを、例えば適正船腹量を引き続き策定しまして皆様に周知をする。あるいはこれを補完するものとして、今も始めておりますけれども、内航海運業界と荷主業界との定期協議機関を設けて、この場を活用して船をオペレートする方々にあるいはこれから船をつくろうとする方々に十分な知識といいますか情報が伝わるようにいたしたい、それもこれタンカーと一般の貨物船は全く違いますので物資別にやろうというようなこと、さまざまな施策を講じまして船腹需給が大変な破衡にならないように努力していきたいと思っております。
  125. 芦尾長司

    芦尾長司君 ぜひお願いいたしたいと思います。  最後になりますが、先ほど来御質問に出ておりますが研究事業についてでございます。  今回、運輸技術に関する基礎研究をやっていこうということでの新しい事業が生まれておるわけでございますが、こういう場合に、例えばさきのナホトカ号事件で問題になりました油濁防止対策といったことが非常に課題になっております。今、運輸省の既存の研究施設を見てみますと、こういうものにまともに立ち向かっていく研究所にはなっていないんじゃないかなというふうにも思うわけですが、幸いこういう調査研究を行うということでありますならば、ぜひ民間技術の導入というものも図られ、民間と一緒になってこの油濁防止対策に当たっていただきたいと思うんです。大体こういうものが対象になっておるのかどうかはっきりしないんですけれども、ぜひこういうものを対象にいたしまして進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  126. 相原力

    政府委員(相原力君) 先生指摘のように、ことし初めに起こりましたナホトカ号の大規模な災害を見るまでもなく、海洋汚染に関する環境技術については非常に重要な課題であるというふうに考えております。  今回の運輸施設整備事業団が行う基礎的研究業務は、先ほど来申し上げておりますように、公募型ということで、幅広く募集いたしまして審査の上、委託研究あるいは共同研究を行うものでございます。具体的な募集テーマを定めるわけでございますが、現在考えているところでは、輸送システムの高度化に関する技術、あるいは安全性の向上に関する技術、それに並びまして環境に関する技術というのも考えているところでございます。もう一つは交通インフラ整備技術も対象に考えているわけでございますが、四本の柱のうちの一つの重要な柱として、先ほど御指摘がございました油汚染に対する技術も含めた環境技術についても積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  127. 芦尾長司

    芦尾長司君 行政改革趣旨を踏まえられまして、新しい時代を迎えるわけでございますが、それに即した事業団の運営が図られますようにお願いいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  128. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  129. 横尾和伸

    横尾和伸君 平成会横尾和伸でございます。  私は、平成会を代表して、運輸施設整備事業団法案に対し反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、本法律案が単なる特殊法人の数合わせに終わっており、行政改革には全くつながらないということであり、鉄道整備基金船舶整備公団業務には全く関連性がなく、いわば水と油であり、統合により業務効率化を図ることは不可能であります。その証拠に、両法人統合して設立される運輸施設整備事業団は従前の業務をそのまま引き継ぐことになっております。その上、統合に伴い、運輸技術に関する基礎的研究業務が新しく追加されることになっており、特殊法人の整理合理化どころか、統合拡充となっており、焼け太りに拍車をかけることになります。  第二は、統合に伴う人員及び経費の削減が不十分であるということです。運輸省統合による整理合理化の成果として強調している役員数の削減はわずか三名、職員については五年間で九名を削減するにとどまっており、到底評価に値する削減とは言えません。また、平成九年度予算において、船舶整備公団に対して産業投資特別会計から三億円の出資が追加されたほか、統合後の運輸施設整備事業団に対しては運輸技術に関する基礎的研究のため一般会計から三億円が支出されることになっております。  国民から強く行政減量化スリム化が求められている現状にあって、このように実質的な整理合理化、効率化には一切つながらない数合わせの特殊法人統合をもって行政改革を強力に推進しているというのは、まさにまやかしであり、国民を愚弄するものであります。  以上が本法律案に反対する理由であります。
  130. 須藤美也子

    須藤美也子君 日本共産党の須藤美也子です。  私は、日本共産党を代表して、運輸施設整備事業団法に反対の立場で討論を行います。  反対の理由の第一は、今回の法案が二重行政のむだを温存したまま鉄道整備基金船舶整備公団とを統合するだけという、業務スリム化とはほど遠いまやかしの整理統合法案であることであります。鉄道整備基金は、組織的に運輸省出向者が主要ポストを占め、事業についても交付先や補助額は従来どおり運輸省の予算編成の中で細かく決められるなど何ら同基金には裁量が与えられていません。そもそも存在そのものが問われているのであり、今回の法案は、運輸施設整備事業団という新しい組織をつくることで基金に対する批判をかわし、組織を実質的に温存することにほかなりません。  第二は、運輸施設整備事業団の設置とあわせて、運輸技術に関する基礎的研究を創設し、この中に新たに航空運送分野についても対象にするなど大企業向けの委託、共同研究を焼け太り的に膨らませる可能性があることです。こうした研究は既に財団法人鉄道総合技術研究所などの研究機関が行っており、今回の制度は屋上屋を架するに等しいものであることも指摘しておきます。  第三は、従来、船舶整備公団が行っていた内航海運業者の老朽貨物船等の解撤などへの融資や債務保証、船腹調整事業に必要な資金の貸し付けなどの業務を廃止することです。これは大半が中小零細業者で占められる内航海運業者に打撃を与えるものであります。  以上の反対理由を挙げ、私の討論を終わります。
  131. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  運輸施設整備事業団法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  132. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  134. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 次に、外国人観光旅客来訪地域多様化の促進による国際観光の振興に関する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。古賀運輸大臣
  135. 古賀誠

    国務大臣古賀誠君) ただいま議題となりました外国人観光旅客来訪地域多様化の促進による国際観光の振興に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国に来訪する外国人観光旅客の数は、平成七年で三百三十四万人で、世界でも第三十一位という低い水準にあり、また、これら外国人観光旅客の訪問地は東京、大阪に集中している状況にあることから、我が国に対する理解はまだまだ十分でない現状にあります。このため、外国人観光旅客の多様な地域への来訪を促進することにより、素顔の日本人に接し多様な日本に出会う機会を提供するなど、我が国に対する理解と関心を深めることが不可欠となっております。  このような状況を踏まえ、外国人観光旅客の多様な地域への来訪を促進するための各般の施策を総合的に講じることにより、国際観光の振興を図ることが必要であるため、この法律案を提案することとした次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、運輸大臣は、外国人観光旅客来訪地域多様化を促進するための措置を講ずることによる国際観光の振興に関する基本方針を定めなければならないこととしております。  第二に、都道府県は、単独でまたは共同して、地域の特色を生かした観光経路の設定により、外国人観光旅客の来訪を促進することが適当な地域について外客来訪促進計画を定めることができることとし、その達成に資するため、国及び地方公共団体は必要な支援に努めるとともに、国際観光振興会は、海外宣伝等の措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第三に、旅行に要する費用の低廉化のための措置として、運送事業者は、共同で外国人観光旅客を対象とする共通乗車船券に係る運賃または料金の割引の届け出を行うことができることとし、その場合には関係事業法規に基づく届け出をしたものとみなすこととしております。また、国際観光振興会は、低廉な料金で利用できる宿泊施設等に関する情報の提供等の措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  第四に、外国人観光旅客の接遇の向上のための措置として、通訳案内業試験のうち一定の科目に合格し、運輸大臣の指定する研修の課程を修了した者につきまして、都道府県知事は地域を限定した通訳案内業の免許を与えることができることとしております。また、国際観光振興会は、地方公共団体等に対して観光案内に関する助言等の措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  136. 直嶋正行

    委員長(直嶋正行君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会      —————・—————