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1997-03-19 第140回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年三月十九日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 荒井 広幸君 理事 大野 功統君    理事 佐藤 剛男君 理事 森  英介君    理事 河上 覃雄君 理事 桝屋 敬悟君    理事 岩田 順介君 理事 金子 満広君       飯島 忠義君    大石 秀政君       粕谷  茂君    河井 克行君       小林 興起君    桜田 義孝君       竹本 直一君    棚橋 泰文君       能勢 和子君    藤波 孝生君       綿貫 民輔君    鍵田 節哉君       塩田  晋君    西田  猛君       福岡 宗也君    吉田  治君       家西  悟君    近藤 昭一君       松本 惟子君    大森  猛君       北沢 清功君    畑 英次郎君  出席国務大臣         労 働 大 臣 岡野  裕君  出席政府委員         労働政務次官  小林 興起君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部長    坂本 哲也君         労働省職業能力         開発局長    山中 秀樹君  委員外出席者         文部省初等中等         教育局高等学校         課長      石川  明君         文部省教育助成         局教職員課長  松元 昭憲君         通商産業省環境         立地局立地政策         課長      岡田 秀一君         中小企業庁計画         部計画課長   松島  茂君         自治大臣官房企         画室長     牧野 清文君         労働委員会調査         室長      中島  勝君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   小林 興起君     桜田 義孝君   中桐 伸五君     家西  悟君   村山 富市君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     小林 興起君   家西  悟君     中桐 伸五君   北沢 清功君     村山 富市君     ――――――――――――― 三月十二日  男女雇用機会均等法改正に関する請願(石毛  鍈子君紹介)(第七〇八号)  同(辻元清美君紹介)(第七〇九号)  同(土井たか子紹介)(第七五四号) 同月十四日  季節労働者冬期援護制度延長改善に関する  請願外五件(池端清一紹介)(第九五四号)  男女雇用機会均等法改正に関する請願近藤  昭一紹介)(第九五五号)  同(菅直人紹介)(第九九三号)  同(中桐伸五君紹介)(第九九四号)  同(肥田美代子紹介)(第九九五号) 同月十九日  季節労働者冬期援護制度延長改善に関する  請願児玉健次紹介)(第一〇七七号)  同(佐々木秀典紹介)(第一一七〇号)  男女雇用機会均等法改正に関する請願(藤田  スミ君紹介)(第一〇九八号)  労働基準法女子保護規定撤廃反対に関する  請願石井郁子紹介)(第一一三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。棚橋泰文君。
  3. 棚橋泰文

    棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。  連日の御審議、大変御苦労さまでございます。私から、本日は、まず地域雇用開発等促進法の一部改正法案について、幾つかの御質問をさせていただきたいと思います。  申し上げるまでもなく、政府、特に労働省の大きな役割、大きな仕事の一つに、雇用確保ということがあらゆる時代を通じて要求されてきておると思います。特に来世紀産業空洞化あるいは現在の長引く不況、さらには二十一世紀に向けて、大変厳しい世界的な企業間競争の中でいかにして雇用を守っていくかということは大変重大な意義があり、今まで以上にこの意義は増してくるのではないかと思っております。  特に、我が国の大変低い失業率を支えてきた地域物づくり中心とする産業構造、これがバブルの崩壊以降、さらにはグローバル化の中で、我が国の中で地域で地場で物づくりをやっていくことが大変厳しくなってきている。このことに対して抜本的な支援策を講じなければ、来世紀は、私は、個人的な所感ではございますが、失業率が七%、八%という最悪の時代を迎えることもあり得べしと考えております。  今回、地域雇用開発等促進法の一部改正法案内閣から提出されましたことは、この時期に大変マッチした、そしてまた、将来に向けて雇用をさらに開発していくに当たって大変意義のあることだと思っておりますし、また従来型の失業対策という側面を踏み出して、産業をそしてまた雇用をより大きく創出する観点から、この法律改正案提出されましたことは大変意義の深いことだと私は思っております。  そこで、まず、この地域雇用開発等促進法の一部改正法案の具体的な内容について御質問する前提に当たりまして、労働大臣は、現下雇用状態、特に物づくりを支えてきました地域雇用、これらに関して現状をどのようにお考えであり、またこの法律改正によっていかなる雇用政策をお考えかということを伺いたいと思っております。  特に、現在の厳しい状況を見据えた上で、新しい雇用創出するためにこの地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案を御提出になったと考えておりますけれども、その点につきまして、労働大臣の御決意を伺わせていただきます。
  4. 岡野裕

    岡野国務大臣 きょうは、一日、私ども提出をいたしました地域雇用開発等促進法の御審議をいただけることに相なりました。棚橋先生初め労働委員各位におかれましては、お世話になりますが、ひとつよろしくお願いを申し上げます。  棚橋先生の御質問お答えをいたします。  一個の人間としては、やはり自分の体、能力、それを傾け得るような職業を身につけること、それから、国といたしましては、やはり存分な雇用確保できること、これがすべての人間の一生あるいは国家の命運を左右する基本である、こういうように労働大臣考えているところでございます。  その雇用確保対策という意味合いにおきまして、いろいろの時期にいろいろな雇用の問題ができると思いますが、現下状況の中におきましては、産業空洞化雇用空洞化、全般的な産業構造の大きな変革という中で雇用確保するというのが一番大きな問題ではなかろうか、こう考えているところであります。  先生お話をするのはいわば釈迦に説法だ、こう存じますが、グローバル化された世界市場の中で、企業相手先国の税制、あるいは労賃の高さ低さ、あるいは規制の緩和の進みぐあい等々を勘案されて、やはり生産拠点を外地に求めるというようなのが当今の日本の製造業の手段、傾向だろう、こう思っております。それは、輸入の自由化と相まちまして、より廉価な商品が生活者にもたらされるという意味合いで非常に大きなプラスをもたらすものだ、かように存ずるわけであります。  だがしかし、町あるいは市街地の中心になっていた企業が海外に行く。そうすると、そこのところに大きな空洞ができる。それは産業空洞であって、イコール今度は雇用空洞に相なる。その周辺には中小企業、下請の企業がある。そこには立派な技能技術を持っている労働者諸氏もいるということになりますと、町は衰微をする、そして持っている技能は生かされない。国家的にも、あるいは個人個人にとっても非常に大きなマイナスだというような意味合いで、新しいジャンルの産業というものをそこに芽生えさせる手はあるまいか。  これは通産省とともに私ども考えて、それによって雇用確保する。そのためには、労働者側からするならば、それに応じた技能というものをそのまま維持し、あるいは新しく開発をしていかなければならない。人材の養成がそれに伴って必要だ、もろもろの問題がありますので、これをひとつ基本的に解決をし、手を差し伸べるという考え方で今お話をしました新しい法律案を御提示申し上げたところであります。よろしくお願いをいたします。
  5. 棚橋泰文

    棚橋委員 どうもありがとうございました。  それでは、今いただきました大臣の御決意をもとに、改正法案の具体的な内容について伺ってまいります。  一部改正法案の概要によりますと、まずもって、地域指定前提として、高度技能活用雇用安定地域に関する指針労働省の方で策定することになっております。この策定は、当然のことながら、地域産業創出と、そのことによる地域の新たな雇用機会創出ということを主眼として策定される指針だと思いますが、この指針の具体的な方向性、特に重点的な意味づけにつきまして、労働省の御見解をお伺いいたします。
  6. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの高度技能活用雇用安定地域におきます地域雇用開発指針、この考え方といたしましては、高度技能活用雇用安定地域におきます労働力需給の動向、新事業展開を図るための中核となる高度な技能等の特質、高度な技能を活用した地域雇用開発の方策、このようなことを定めることを予定いたしているところでございます。  具体的には、この指針内容につきましては、法律を成立させていただきました後、関係審議会で御議論をいただき、検討するということになるわけでございますが、製造業が集積している地域におきます技能高度化重要性、あるいは雇用機会創出に当たっての産業政策雇用政策連携必要性などを重点として盛り込んでいくことが必要であるというふうに考えております。
  7. 棚橋泰文

    棚橋委員 どうもありがとうございました。  それでは、具体的な高度技能活用雇用安定地域指定のスキームについてお伺いいたします。  私の地元、例えば大垣市を中心とする地域では、かつて繊維を中心大変製造業が盛んでございましたが、現在厳しい状況にございます。ただ、私の地元考えてまいりましても、単に、例えば大垣市とかあるいは周辺町一つ枠組みの中でのみとらえられるものではなく、市町村を超えて、場合によっては大きな枠組みの中でとらまえていかなければいけない地域もあれば、あるいは単独の市町村によって十分に雇用改善を図ることができるような、そういう地域もあると思います。  そこで、この地域指定に当たりまして、まず、この地域指定をいかなる地理的な範囲で、具体的には単一の市町村だけであるのか、あるいは、一体的な雇用創出できるとお考えであれば複数市町村にまたがっても地域の御指定をなさるお考えであるか、現在お決まりでしたらお教えください。
  8. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、経済活動あるいは企業活動、こういうものにつきましては、行政単位であります市町村とは関係なく活動が行われているわけでございます。したがいまして、私どもの従来の地域につきましても、例えば現在、地域雇用開発等促進法に基づきます雇用機会増大促進地域等に関しましては、一つ労働市場圏、そういうものを指定するという考え方に立って、公共職業安定所単位指定を行っているところでございます。また、緊急雇用安定地域につきましては、一つ労働市場圏の中で雇用失業情勢が急速に悪化している地域について指定するというような考え方、これはやや範囲が狭くなっておりますから、そういう意味では市町村単位指定を行っているものもございます。  今回の高度技能活用雇用安定地域につきましては、高度の技能等を有する労働者雇用されている事業所が集積している一定の地域ということでございまして、こうした地域状況を踏まえて、基本的には複数市町村一つ地域として指定することを考えております。この点につきましては、先ほど申し上げましたように、産業政策との連携、これも当然考慮しなければならないというふうに考えております。
  9. 棚橋泰文

    棚橋委員 どうもありがとうございました。  特に、地域指定に当たられましては、単なる行政区画にとらわれることなく、雇用の実質的な創出観点から、さらには産業政策との関連も含めて、実質的な御指定をしてくださいますようお願い申し上げます。  それでは、続きまして、全国的にどのくらいの地域を御指定なさるおつもりか。あるいは、さらには地域バランス等について、今お決まりでしたら、幾つかの御質問をさせていただきたいと思っております。  従前の特に失業対策的な観点からの雇用政策から一歩踏み出した今回の地域雇用開発等促進法の一部改正法案におきましては、何といいましても、全国の中でバランス考えながら、地域において、今まで我が国を牽引してきた物づくり中心とする産業、そしてまたその産業によって支えられてきた雇用バランスのとれた再創出あるいは新たな機会創出ということが大変重要ではないかと思っております。  今回の地域指定におかれましても、特に、後ほど御質問する支援策の中に関連します予算措置との絡みもございましょうが、やはり将来への、二十一世紀への我が国産業政策観点からも、そしてまた雇用確保という観点からも大変意義のある大きな投資でございますので、できる限り多くの地域を来年度から指定していただくようにお願いしたいところでございます。まずもって、今法案でどのくらいの数の地域を今御指定するお考えかをお教えください。
  10. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域の数でございますが、これにつきましては、来年度予算におきまして二十地域分所要経費予算案に計上しているところでございます。これにつきましては、産業政策の面においても同じ地域というふうになっております。
  11. 棚橋泰文

    棚橋委員 ありがとうございました。  特に、地域指定に当たられましては、雇用政策産業政策はまさにこの法案において表と裏の表裏一体の関係にあると思いますので、できる限り産業政策とすり合わせた形での御指定お願いしたいと思っております。  続きまして、今お答えにございましたように、約二十の地域を来年度御指定なさるお考えと伺いましたが、この地域バランスはいかがお考えでしょうか。  つまり、何といいましても、実質的な観点から、特に、物づくり基盤が残っていて、来世紀に向けてこの基盤を活用して新たな雇用機会創出するという地域でなければ意味がないわけでございます。一方で、我が国全国の中で一部の地域あるいは一部のブロックに偏るようですと、やはり失業対策あるいは雇用政策という観点からすると問題があるような気がいたします。  そこで、全国的なバランスをとりながら、実質的な雇用機会創出に必要な、そしてまた有意義地域指定するという、大変難しい、二面性が求められると思いますが、その点につきまして、どのようなバランス地域指定をなさるおつもりかお教えください。
  12. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域考え方については、先生指摘のような考え方で対処する必要があると思います。  この指定に当たりましては、まず全国的なバランスということではございませんで、高度の技能等を有する労働者雇用する事業所が集積し、産業構造または国際経済環境変化等経済上の理由によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれがある地域、これは法律考えている要件でございますが、そういう地域指定するということでございまして、こういう要件に該当する地域について、来年度予算は二十地域ということで指定をするということでございます。  その指定する際の考え方として、産業全国的なバランスで発展しなければならない、する必要がある、こういう御指摘でございますが、そういう視点も頭に置きながら、基本的にはこの要件に該当する地域指定するという考え方でございます。  いずれにいたしましても、九年度予算が二十地域ということでございますが、今後そういう地域があればできるだけその指定を広げていく、そういう努力を続けていきたいというふうに思います。
  13. 棚橋泰文

    棚橋委員 ありがとうございました。  少し早口で御質問をさせていただいたせいか、効率よくお答えいただいておりますので、これから少し細かく具体的なお話を例えればと思っております。  それでは、具体的な地域指定が行われた場合の政策的な支援措置についてお伺いをしたいと思っております。  この高度技能活用雇用安定地域指定された場合において、特に地域内の雇用創出に大きな役割を果たしていただくことが期待されている各事業所において、やはり当然のことながら従前にない形の支援策も含めた助成措置がこの法律において盛り込まれていると思っております。  法文の中からは具体的な内容がわかりませんので、現在お考えの中で、この地域指定ざれた事業所事業主、特に事業主の側にとりまして、雇用創出にこの法律の制定においていかなるメリットがあり、そしてまたその支援策の中で、どういう形でそのメリットを生かして雇用創出していく方向に誘導するのか、その点について、現在決まっております支援策がございましたら、できる限り具体的にお答えいただければ幸いでございます。よろしくお願いします。
  14. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のように、助成金等につきましては、これは具体的に法律を成立させていただいた後に省令等で定めることにいたしておりまして、その内容については来年度の予算の中に具体的に定められているところでございます。  やや長くなりますがお答え申し上げますと、基本的な考え方といたしましては、高度技能活用雇用安定地域指定を受けた場合、その指定された区域内の事業主地域高度技能活用雇用安定計画、やや長いのですが、この計画で定める地域雇用開発を実施すれば、地域高度技能活用雇用安定助成金及び人材高度化能力開発給付金の支給が行われる、こういうことになっております。  その中身といたしましては、具体的には、地域高度技能活用雇用安定助成金のうちで、これは二つありまして、新分野展開創業等を担う技能あるいは技術を持つ人材を受け入れ、あわせて労働者を雇い入れた事業主に対しまして、人材の受け入れに要した費用、これは賃金等でございますが、その四分の一、中小企業の場合には三分の一、これを一年間支給する。これは地域高度技能人材確保助成金というふうな名前考えております。  それから、労働環境設備または福祉施設設置整備を行い、あわせて労働者を雇い入れた事業主に対しまして、当該設置整備に要した費用及び雇い入れ人数に応じまして五十万円から一千万円、中小企業の場合には七十五万円から一千五百万円を支給する地域高度技能活用雇用環境整備奨励金、この二つを考えております。  それから、人材高度化能力開発給付金につきましては、高度技能活用雇用安定地域内の人材高度化実施計画認定を受けた事業主人材高度化支援計画について認定を受けた事業主団体傘下構成事業主労働者教育訓練を受講させる際の派遣費運営費及び賃金について高率助成を行うことといたしております。  その助成内容につきましては、その際の派遣費運営費については三分の二、中小企業の場合には四分の三、ただし、これは上限が十万円ということでございます。それから、賃金につきましては三分の二、中小企業の場合には四分の三、これは一人一日当たり一万五百十円の限度がございます。こういう内容助成措置考えておるところであります。
  15. 棚橋泰文

    棚橋委員 どうもありがとうございました。  例えば私の選挙区は、岐阜県は西濃地域でございまして、大垣市を中心とする地域でございます。比較的失業率等は良好な状態でございまして、全国の中では恵まれている地域であるとは思いますけれども選挙区内をいろいろと歩きましていろいろな方の御意見を伺っておりますと、やはり将来に対する大変深刻な不安を皆さんお持ちでございます。  働いている労働者立場からすると、現在確保されている雇用が将来も、今後とも確保されるのだろうかということに関して漠然たる不安を持っておりますし、中小企業の特に経営者の方、事業主の方の御意見を伺いますと、大変厳しい経済環境の中で、中には、正直言って来年自分企業が果たして存立しているか、そういう危機感を持って経営に当たっていらっしゃる経営者の方も大変多いようでございます。そういう経営者事業主立場からしても、今お話しいただきましたような支援策を充実していただくことは、大変厳しい企業間の戦争の中で、特に世界的な競争を強いられている地域我が国中小企業にとりましては、まさに干天の慈雨という形での、本当にありがたい援軍の助けではないかと思っております。ぜひこの部分は今後とも特に充実していただきますことをお願い申し上げます。  続きまして、この法案によります事業主団体への助成措置について、改めてもう一度お伺いしたいと思っております。  事業主に対する助成大変意義のあることでございますが、一方で、事業主団体さらには、その地域をカバーする地方公共団体に対する支援やあるいは助成措置、さらには、場合によっては労働省の誘導的なアドバイスというのも、この法律の中でもし可能であれば十分な意義を持つのではないかと思っておりまして、まずもってもう一度、事業主団体に対する助成措置支援さらにはアドバイス等、この法律に基づくものがございましたらお教えください。
  16. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回考えております地域における対策といたしましては、これは基本的に地域におきます関係者方々が積極的、自主的にいろいろと研究し、新しい分野展開をしていただく、したがってその関係都道府県においても積極的にそういうことを考えていただく、こういう考え方出発点といたしております。  したがいまして、都道府県に対しましては、都道府県がそういう観点から地域高度技能活用雇用安定計画を策定する場合、それに要する経費について補助率二分の一での補助、これは四百五十万円の限度がございますが、その範囲内での補助を行うということを考えております。また、指定地域内の事業主団体に対しましては、新分野展開創業等による雇用開発を図るための調査研究経費の全額、これは五百万円を限度といたしておりますが、これを二年間助成する。地域高度技能活用推進事業助成金というような名前考えておりますが、そんな助成金を支給することによって新分野展開を図っていただくというふうに考えております。
  17. 棚橋泰文

    棚橋委員 ありがとうございました。  この後で都道府県に対する助成内容についてお伺いしようかと思っておりましたが、今お答えいただきましたので、事業主に対する助成支援のみに限らず、事業主団体あるいはその地域を管轄する都道府県さらには市町村に対する助成、さらに雇用創出に対するきめの細かいアドバイスをぜひ御省としておとりくださいますようお願い申し上げます。  最後に、御答弁は結構でございますから、私からお願いをしたいと思いますのは、事業主も含めて普通に働く勤労者方々が今何よりも二十一世紀に向けて大変不安を抱いておりますのは、雇用確保という観点ではないかと思っております。大競争時代あるいはグローバル化ということが言われておりまして、一見大変自由な競争時代を迎えてまいりましたので、明るい時代のように見えますけれども競争の中でどうしても敗れ去る危険のある方がいらっしゃる。その方々が額に汗をして働こうと思っても職場がないというような国では、これは決して大競争時代を実現しても楽しい国ではないし、また明るい国ではないと私は思います。  その観点からすると、何度も繰り返しになるかもしれませんが、やはり御省のお仕事の中で、雇用創出あるいは雇用確保というのは、これは政府の中でも最優先の優先順位がつけられるぐらい大事な仕事ではないかと思っております。本法案改正に当たりましても、今までにない形での、特に失業という前提のもとでそれに対する対策という観点を脱却した新たな雇用機会創出、大変厳しいグローバルな流れの中で、大競争時代に向けて我が国競争に打ちかち、そして新たな雇用を特に地域において、都市だけではなくて地場地域産業においても来世紀に向けて雇用創出できるという観点からなされた、大変すばらしい畑眼の改正法案ではないかと思っております。  考えてまいりますと、特に我が国の驚異的な経済発展を支えてきたのは、都市の機能ではなくて、地域において物づくりを着実にやってきたからではないかと思っております。これは個人的な所見でございますが、今日の長引く、まだまだいまだに回復の兆しが必ずしも十分に見えたとは言えない経済構造が続いている前提には、もちろん構造的な要因もございますが、バブルの時期に、一度官民を挙げて本来ならばもう一度考え直し、そして新しい産業物づくりにもう一度力を注ぐべきであったときにこれを怠っていたがゆえに、今日の状態があるのではないかと私は考えております。  その観点からしても、この法律が新たな、特に物づくり中心とする地域産業にもう一度雇用機会創出という観点から活力を入れてくださるという観点で大変すばらしい法律だと思いますので、この一部改正法案の制定にとどまらずに、来世紀に向けて新たな雇用機会創出する形での新しい政策をどしどしやっていただきまして、そして来世紀、少なくとも額に汗をして働こうとする人間が特に物づくりの現場において必ず職場が得られるという理想に向けてお力添えを賜りますことをお願い申し上げまして、多少時間は余らせておりますが、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  18. 青山丘

    青山委員長 次に、竹本直一君。
  19. 竹本直一

    ○竹本委員 大阪十五区選出の自民党の竹本直一と申します。  まずこの法律のことについて御質問させていただきまして、最後に労働大臣に一国の基本的な労働政策をどうお考えかということについて御質問したいと思っております。  今棚橋先生からの御質問にもありましたように、国際競争が非常に激しくなる中で、空洞化現象というのが我が国内にもだんだん顕著になりつつあるわけでございます。データによりますと、例えば東京近郊の大田区では、平成三年に製造業の従業員数が九万七千人いたのが平成六年には八万人に減っている、また、有効求人倍率が平成四年ではこの地域で、一・一五あったものが平成七年では〇・五に減っている。また、私の選挙地盤であります大阪の方でございますが、東大阪ブロックで見ましても、製造業の従業員数が平成三年で十七万八千人いたものが十六万三千人と二万人以上減っている、そして、有効求人倍率が一・〇一あったものが〇・五六に減っている。このように、製造業に従事していた人たちがどんどんこの地域を去っていっているわけでございます。  個人的なことで恐縮でございますが、実は、私の長男も中学のときから機械いじりが好きで、大学へ行かないと言って頑張りまして、それで結局工業高校へ行ったのですけれども、二年生まで設計図をかいたりして一生懸命楽しくやっておったのですが、三年生になりますと、みんな鉄工所の長男が来ておりまして、みんな就職がある。ところが本人には就職がない。おやじが国家公務員だから全然そういうお呼びがない。現実にこの問題に当面したわけでございます。それで、やむを得ず急遽大学受験を目指しまして、今大学生でおりますけれども、それほど私の家庭にも現実の問題としてこういうことが肌で感じられるような経験を実は持っておるわけでございます。  人間、生まれながら機械いじりが好きだとか、あるいは工作が好きだとか、あるいは勉強が好きでそういうものは嫌いだとか、いろいろ個性があるわけでございますが、最も自分の欲するところをやろうとしてもその機会が与えられない、こういうのが現下における雇用情勢にかいま見られるのではないかなというふうな感じがいたすわけでございます。  そこで、このままではやはり問題がございますので、地域における中小企業を初めとする製造業に、新事業の展開とかあるいは新商品の開発などを通じて、何とか新たな雇用機会創出考えられたのが今回のこの法律の趣旨だと思いますけれども、どのような新技術、どのような新商品、あるいは新事業、こういったものがかいま見られておるのか、まずちょっと御説明をいただきたいと思います。お願いします。
  20. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの御質問でございますが、十分お答えできるかどうかわかりませんが、とりあえず今回の考え方を申し上げさせていただきたいと思います。  製造業関係企業が集積している地域の中におきましては、御指摘のように生産拠点の海外移転あるいは製品輸入の増大等の影響を強く受けている事業主が増加しております。他方で、これらの地域におきましては、高度な熟練技能者が多数働いておりまして、これらの技能を生かした新事業展開を図ることにより雇用機会創出していくことが可能である、こういうふうに考えているわけでございます。  このため、今回の地域法の改正におきましては、技能労働者が就業する事業所が集積しており、生産拠点の海外移転等によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域高度技能活用雇用安定地域として指定いたしまして、労働者技能を活用した新事業展開による雇用機会創出及び新事業展開に必要な能力開発の推進を図ろうという考え方でございます。  具体的には、高度技能活用雇用安定地域内におきまして、事業主あるいは事業主団体に対する助成措置といたしまして、高度の技能等を有する労働者を雇い入れること等による新事業展開によって雇用機会創出を図る事業主に対する助成、新事業展開に必要な高度の技能等を習得させるための職業訓練を行う事業主等に対する助成地域における高度の技能等を活用した新事業展開による雇用機会創出についての調査研究を行う事業主団体に対する助成、こういうものを実施しよう、こういう考え方で今回の法律を提案させていただいた次第でございます。
  21. 竹本直一

    ○竹本委員 ちょっと私の質問の趣旨が違いまして、新事業の展開の例とか新商品の開発の例、そういったものをお聞きしておるわけでございます。
  22. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま基本的な考え方を申し上げましたけれども質問の御趣旨の具体的な例といたしましては、労働者技能を活用した新事業展開、この具体例として、例えば、カメラのプラスチック部品用の金型の製造を行っている労働者の精密な金型をつくる技能を活用いたしまして、成形時に製品を回転させながら抜き出す金型に応用することによりまして点滴用の注射容器を成形する金型の製造を始めた事業所、これは大田区にございまして、実は私、大臣と御一緒に現場に行ってお話を聞いてきたわけでございますが、そういう活用の方法。あるいは、工業用といしを研磨する技能を活用して、半導体、シリコン、ガラス等を研磨する加工装置、これはダイシングソーと言っておるようですが、その開発を行った事業所、このような例があるというふうに承知いたしております。
  23. 竹本直一

    ○竹本委員 わかりました。  それで、今回の改正の対象となるような地域におきまして中小企業が活力を持って活動していくためには、どうしてもやはり優秀な人材が必要であります。そういった優秀な人材がいない場合には人材育成が必要であるわけでございますが、こういった高度な技術を育成するための人材育成、それにはどれぐらいの予算全国で行っておって、どのような数の対象者がそれを受けておられるか、御回答をお願いします。
  24. 山中秀樹

    ○山中政府委員 先生のおっしゃるとおり、中小企業が活力を維持していく上で高度な人材を養成していくというのは不可欠なことだというふうに思います。  このため、このような地域中小企業中心とした産業の高付加価値化あるいは新産業創出に不可欠な技能を担う人材を養成するために、地域人材育成総合プロジェクトというのを実施してまいりたいというふうに思っております。これは、具体的には地域ぐるみでの自主的な取り組みに対して支援する。例えば、地域における産業あるいは技能に対する理解を深めるための技能者を対象としたセミナーの開催、あるいは、技能尊重モデル事業所を選定いたしまして、特に若年者に実際に物づくりを体験してもらう技能体験教室の開催などの技能啓発等々を実施しようとするものであります。  さらに、これらの地域について人材高度化を図るということで、平成七年度より、私ども事業主団体と公共訓練等、連携して人材高度化事業を実施しております。こういう地域については、特に職業訓練を行う事業主に対して必要な助成措置人材高度化能力開発給付金を支給しておりますが、それの支給率を特に二分の一から三分の二、中小企業については三分の二から四分の三に高率に助成して、人材育成、高度化の事業が行われるよう促進をしてまいりたいというふうに思っておりますし、特に、私ども地域職業訓練センターを全国に七十九カ所設置いたしておりますが、これは中小企業等の事業主職業訓練を実際に実施する場を提供する施設でありますが、そういうものの優先的な設置等々を行ってまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  25. 竹本直一

    ○竹本委員 ちょっと数字を聞きたいのです。その人材高度化助成金というのはどれほど配られておるか、またそれを受けた団体、事業主はどの程度あるのかということです。
  26. 山中秀樹

    ○山中政府委員 八年度で予算額八十一億五千万であります。平成九年一月末現在では、事業主団体数としては百九十団体、個別事業主数としては百九十八事業主に対して行っております。
  27. 竹本直一

    ○竹本委員 八十一億余、それから百九十団体、百九十八事業主ということでございます。これだけの金を助成しているわけですけれども全国には何百万という中小企業があるわけでございます。その中ではほんの一部だけですね。結果として、このように助成することによってどのような効果が期待できるのか。  私が恐れますのは、この制度に限らないことでございますけれども、世の中にはこういった制度を活用して高度な人材を育成したいと考えている事業主はたくさんいるわけでございますが、希望しても何万分の一でなかなか当たらないのではないか。また結果として、そういった助成金に当たった人と当たらない人との間で大きい差が出過ぎるのではないか。その辺について労働省ではどう考えておられるのか。  特に、モデル事業のように考えておられるのであればまだわかるのですけれども、全般的な雇用情勢を改善していく中で、本当に池の中に小石を一個投げたようなことをやっておって果たして効果があるのかどうか、もともと疑問に思っておりますので、御回答をお願いいたしたいと思います。
  28. 山中秀樹

    ○山中政府委員 この事業はモデル的にやっているわけじゃなくて、申請があれば受け付けるという形でやっております。私ども、平成七年度から始めたところで、まだ実績として先ほど申し上げました数字でございますが、予算範囲という制約がございますが、事業主方々に対してむしろ私どもの方から、雇用促進事業団の訓練施設等々で今具体的に、実際に事業主団体に呼びかけてやっているという現状でございます。こういうことがもっとどんどん普及、皆さんがやっていただけるように私ども奨励しておるという段階でございますので、その辺御理解いただきたいと思います。
  29. 竹本直一

    ○竹本委員 労働省の施策に限らないと思いますが、中央官庁がやるような対一般企業あるいは対一般の人々に対する施策というものはアプローチをかけるのが非常に難しいというのは、一般的に、我々選挙民からも聞いております。へえ、そんなものがあったのか、そんなものがあるんだったらどうして教えてくれないの、こういう声があらゆるものについて多いのであります。ですから、結局、中央官庁のある東京都に住んでいる人は多少なりともそういう情報に近い感じはするのですけれども、大阪でさえ、離れておりますと、そんなものがあったのかという程度でございます。  したがいまして、この施策はそれなりに意味のあるものなんですけれども、もっと労働省の施策を一般の人に知らしめる、そういう情報公開をぜひ御努力をお願いしたいなと思うわけでございます。同時に、いろいろなこういうものにアプライいたしましても、手続が非常に面倒で途中で嫌になってやめたとか、そういう話はよく聞きます。  そういう意味におきまして、一般の人ができるだけ利用しやすいような、そういう説明と手続の簡素化にぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。
  30. 山中秀樹

    ○山中政府委員 おっしゃるとおりだと思います。  私ども、できる限り情報公開という形で、こういう職業訓練の政策について広報活動展開いたしておるところでございます。今後とも、私ども全国に三百五十ぐらいの公共職業訓練施設なりを持っておりますので、そういう人たちが積極的にそういうPRをするよう、実際こういう効果があるのだということを積極的にPRするような形で皆さんに浸透していくということに努めてまいるという方向で対応いたしたいと考えております。
  31. 竹本直一

    ○竹本委員 人材育成といった場合に、やはり若年労働者と高齢者と両方あると思いますが、若年労働者の場合は、これから未来があるわけでございますから、それに対していろいろなものをインプットしていくという可能性は非常に大きい。しかしながら、高齢者の場合は、既に持っている技術をさらに一歩伸ばして、そして現実に役立つようにしていかなきゃいけないということで、これは世代によって相当態様が違うと思います。  今局長申されたような、全国に三百五十余りある職業能力開発施設における高齢者と若年層の利用の状況、その辺について現況を御説明をお願いしたいと思います。
  32. 山中秀樹

    ○山中政府委員 私ども能力開発施設として、具体的にまず職業能力開発短期大学校、これは全国雇用促進事業団立として二十六持っております。これは、若年新規学卒者を中心とした高度職業訓練を実施いたしております。と同時に、技能高度化を図るという意味で、在職労働者に対しても約九千人を実施いたしております。学卒については約六千人がここで訓練をいたしております。  それから、職業能力開発促進センター、これは全国に六十五カ所ございますが、これは主として失業者、離転職者あるいは在職の人たちに対して訓練を高度化していくという形での訓練をやっておりまして、離職者が約五万人から六万人、在職者が約十六万人というところであります。  と同時に、基礎的な能力開発を行う施設として、都道府県職業能力開発校を全国に二百四十カ所設置していただいておりますが、それは主として中卒、高卒の基礎的な職業訓練をやると同時に離転職者の訓練をやる、こういうような形になっております。  なお、若年者はそういう形でございますが、高齢者については、私ども、特に高齢化が進展していく中で、高年齢者が職業訓練を受ける機会を、特に職業訓練科目について、高齢者に適する職業訓練ができるような形での訓練を実施しているという現況でございます。
  33. 竹本直一

    ○竹本委員 もう一つ、身体障害を持っている方の雇用、これについても労働省としてはいろいろな努力をいただいておると思いますけれども企業に対して雇用義務を課しておられると思いますが、その状況と、そして、こういった人たちに対してどのような職場環境を将来展開していくのがいいとお考えか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  34. 征矢紀臣

    征矢政府委員 障害者方々雇用対策につきましては、大変これも重要な課題でございまして、障害者雇用促進法という特別の法律に基づきまして一・六%という雇用率を企業に義務づけております。  現状におきましては、この達成状況は、昨年一・四七%ということで、前年に比べまして、丁四五から一・四七ということは〇・〇二ポイントと記憶しておりますが、上昇はいたしておりますが、まだ、なおかつ一・六%に達していない、こういうことでございます。  この点につきましては、経済情勢が不況であろうと何であろうと、やはり非常に重要課題ということで、実は今国会に障害者雇用促進法の改正法案の御審議お願いしております。これは予算非関連でございまして、参議院先議でお願いしておりまして、実はきのう参議院の労働委員会で全会一致で可決していただいたところでございますので、いずれまた、具体的に衆議院の方で御審議お願いしたいと思います。  いずれにいたしましても、これはノーマライゼーションという考え方のもとで、身体障害者あるいは精神薄弱者等の障害者方々が、やはり基本的には希望する仕事に希望を持ってつけるように、あるいは一般の人と一緒に働けるように、そういう形での雇用というものをできるだけ広げていくことが非常に重要な課題であるというふうに考えております。
  35. 竹本直一

    ○竹本委員 ありがとうございました。  ちょっと相前後いたしますが、先ほどお聞きいたしました職業能力開発施設、これについての応募状況、応募と実際の定員、どのぐらいの競争率があるのか、お知らせ願いたいと思います。
  36. 山中秀樹

    ○山中政府委員 具体的に今ちょっと数字を持ち合わせていませんが、例えば職業能力開発短期大学校につきましては、応募倍率としては二・六倍程度の方が応募してまいります。ということで、具体的にちょっと数字を今持ち合わせておりません。また後ほど……。
  37. 竹本直一

    ○竹本委員 雇用機会が与えられないと働けないのは当たり前でございますが、こういった不況地域においては単に雇用政策の面からのみその対応を考えるだけでは不十分であって、当然のことながら、製造業が集積している地域に対しては産業政策の面から空洞化を防ぐための努力がなされなければいけないということで、通産省の方からも関連法案を出しておられますけれども、それとの連携をどのように図られるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  38. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のように、我が国産業雇用空洞化の防止に向けて、労働省におきましては、地域雇用開発等促進法改正し、地域に集積している高度技能等の育成、発展あるいは活用を通じた雇用開発及びそれを支える人材育成のための対策を講じよう、こういう考え方をいたしているところでございます。  一方、通産省におきましては、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案を今国会に提出いたしまして、部品、金型、試作品等を製造する物づくり基盤となる産業集積、これの活性化のための投資促進、産業インフラ整備等の対策を講じることといたしております。  したがいまして、労働省が講じます雇用創出人材育成等の対策と、通産省の講ずる産業対策が相まちまして、効果的に地域産業雇用空洞化の防止が図られるように双方の地域を共通化するなど、連携協力に努めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 竹本直一

    ○竹本委員 地域を共通化するというのは非常に、もちろんいいわけでございますが、地域が共通になった場合に、それとの相互の連携、連絡調整、そういったものは特に機関等を設けてやられるおつもりかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、産業政策雇用対策ができるだけ連携をとるという観点から、地域もできるだけ連携をとって重ね合わせる、こういうことに努力をするとともに、具体的に、地域における連携のとり方といたしましては、地域高度技能活用雇用安定会議、これは仮称でございますが、そういう会議設置いたしまして地域におきます関係者の協議の場を確保する、こういうところに関係団体あるいは関係行政機関等参加していただきまして、そういうところで連携をとりながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  41. 竹本直一

    ○竹本委員 ぜひ密接な連携をとっていただきまして、効果が如実にあらわれるように、この法律の運用をしていただきたいと望むものであります。  ところで、こういういろいろな施策を講じないと雇用が安定しない、これが現実でございますけれども、各国のいろいろな現場をかいま見ますと、我が国の労働政策がこういうことでどこまで行くくのかなという、別に悪いとは申し上げませんけれども、いつまでこういう状況を続けるのかなという漠とした一抹の不安感を私は持つわけでございます。  それはどういうことかというと、私は百カ国ぐらい世界各国を歩いておるのです。一番印象に残りましたのはスイスのジュネーブだったと思いますが、三年ごとぐらいに三回ぐらい行きまして、そして同じホテルへ泊まっておったのです。  そのホテルの前にパン屋さんがあるのですね。それで、おやじさんと子供が一生懸命朝の八時から粉を練っておる。あれはもう有名なパン屋なんだ、こう言っているわけですね。その次に、三年後にまた同じホテルへ泊まりました。同じように親子でやっておりました。ちょっと息子がしっかりした、大人になったなという感じがありました。それから五年ぐらいたって行きましたら、今度はおやじさんがいなくて、息子がまさにたくましい壮年みたいな感じになってばっぱやっている。そして、そのパン屋は百四十年ぐらい続いている、こういう話を聞いたわけでございます。  恐らくは、こういう社会においては親の後を継ぐのが当たり前だ。そして、親の、ドイツではマイスターというのか何か知りませんけれども、そういう技術の伝承を受けて、そして自分が後を継いで、そしてまたその子供に継いでいく。何も疑わずにやっているわけですね。  イタリアのフィレンツェあたりの革工業の職人なんかでもまさにそうでありまして、別に大学へ行かなきゃいけないという気は全然ない。小さいときからそういうところへ入って、訓練に訓練に訓練を重ねて一流の芸を磨き上げていく。そして、それを社会が高く評価している。ほかに目が移らない。こういう状況がヨーロッパのこういった町々にはあるわけでございます。  他方、アメリカなんかでありますと、夏休みになりますと、夫婦がトレーラーでずっと全国旅行いたしまして、スーパーの前の大きいところに自分のバスをとめて、そしてパートタイマーでレジで働く。二カ月ぐらい働いたら、また場所を変えてまた別の町へ行く。そこでまた二カ月ぐらいレジで働いて、またどこか観光する。こういう老後生活を送っておるわけでございます。  最初に申し上げましたものをヨーロッパ型とすれば、このアメリカ型は、まさに特定の技術を身につけるというよりも、あらゆる人が自由に、自分の好みに応じて、使える労働の機会を存分に使う、そして自分のライフスタイルに合わせてそれをやっている。こういう現象があるわけでございまして、言ってみれば、ヨーロッパ側が左の端とすれば、このアメリカ側とは右の端なんです。  そういう中で、今、日本の雇用の現況を見ますと、一体将来の姿としてどういうものが一番理想とされているのか、また、労働省においては、そういったことをどのように考えておられるのか、ぜひお聞きしたいなと思っております。  と申しますのは、大田区とかあるいは東大阪とか、こういった地域における後継者不足あるいは就業機会の不足ということを補うために国が助成する。助成するけれども助成にいつまでも頼るわけにはいかないのではないか、そのような感じが私はするわけでございまして、そういった点も含めまして、将来どのような雇用形態が一番理想であるのかということについて、労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  42. 岡野裕

    岡野国務大臣 竹本先生、世界をお歩きになって、ヨーロッパ型、アメリカ型、非常に楽しいお話を私も教えていただいた思いであります。率直に言って、日本はどうだ、両方とも必要だ、こういうことだと思っております。  例えば、飛騨のたくみあたりからしますと、岐阜県高山一円には、やはり木工を中心とするところの技能というか技術というか、これが非常に顕著に発達をしていて、もう三百年、四百年の伝統がある。これは、日光東照宮にもその技術が生かされているなどと言われております。  そういう意味合いで、何百年もの間、その時代時代に一般からとうとばれる技能というものは、やはり今後も大事に育てていかなければいけないものではないか。言いますならば、職能教育といいますか、最近では日本でも、何も大学に行くのがあれではない、ひとつおやじ譲りの調理師なら調理師を、大工さんなら大工さんを、植木屋さんをやろうというような皆さんがふえていることは先生も御存じのとおりで、私は、これは一つの社会現象としても多とすべきものだな、こう思っております。  同時にまた、時々刻々、世界は変化をしていく。必要とする技術というもの、あるいは必要とされるジャンルの産業というもの、これも変わっていきます。したがいまして、今までの技術だけでは、グローバル市場の中で、とてもではない、この需要を満たすわけにはまいらないということになれば、世界的な需要が満たされるようなそういう生産品をつくる新たな技術、これも必要ではないか。  そういう意味合いで、先般来、政府委員からお話をしておりました技能教育というようなものを労働省もみずから、あるいは外郭団体を通じて、今二十四万人ぐらいの技能者というものをつくるべく努力をしているというような面で、両方相まって、日本の産業が発展し、それによって雇用確保できる、加えて、日本らしい伝統の技能というものも世界にどんどん紹介をしていくというようなことがあっていいのではないか、かように思っております。  先生から御紹介をいただいたこと、非常に楽しく、また、活用をさせていただこう、こう思っております。
  43. 竹本直一

    ○竹本委員 ありがとうございました。  いずれにいたしましても、これで質問を終わりますけれども、私は、基本的には、補助金、補助金、補助金でやっていきますと、その企業は育たない。日本の産業の中で、自動車とか電機というのは補助金なしであったがために、結果として優良企業として育っていった、こういう事実。補助金が麻薬であるという事実を常に踏まえながら政策をやっていただきたいという点が一つ。  それから今、郵政大臣のおっしゃいましたことに絡むわけでございますが……(岡野国務大臣労働大臣でございます。郵政とは別れました」と呼ぶ)済みません、労働大臣のおっしゃいましたことと絡みますけれども、結局、技能を育てるのは非常に大事でございますけれども、その技能が社会的に高く評価されるようなバリューシステムというか、そういうものを社会的につくっていかなくてはいけない。そのために、労働問題というのは教育問題と大いに絡む話でございまして、そういうふうにしませんと、幾らいい技能者を補助金でやって育てていったとしても、それを社会が認めてくれなければ後継者が育たないわけでございます。  そういう意味で、非常に大きい問題を抱えた労働政策だろうと私は思っておりますので、ぜひ広大な視野に立って労働政策に挑んでいただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  44. 青山丘

    青山委員長 次に、吉田治君。
  45. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今ちらっと郵政の話が出ましたので、これは行革を標榜される内閣大臣として、質問通告をしておりませんけれども、ちょっと個人のお考えというか、大臣としての答弁をいただきたいと思うことがございます。  それは何かといいますと、今大臣は着席のまま郵政とは縁が切れましたと申されましたけれども、要するに特定郵便局長会の顧問であるとか、そういうことはされていないということ。それから、現在郵政の民営化ということが非常に議論され、本会議その他で小泉厚生大臣が閣内不一致ともとれるような発言をしておられます。しかしながら、厳然として、大臣の支持母体というか、基本は郵政省というか、町の郵便局の局長さんといったらいいのか、そういう部分があると思いますけれども大臣個人として、もしくは郵政のOBとして、現在の郵政の民営化というふうなものの議論についてどういうふうにお考えで、どういうふうに対応するのか。また、小泉厚生大臣等の発言についてどういうふうに感じておられるのか。まずお答えをいただきたいと思います。
  46. 岡野裕

    岡野国務大臣 私は、閣議に引き続きます閣僚懇あたりでは、やはり郵政三事業のこれからのありさま、それの経営形態をいかにすべきかというようなことは、正直言ってどしどし発言をしているものでございますが、やはり衆議院、本会議あるいは労働委員会等、公の場におきまして、私、労働大臣として郵政所管行政のありさまについて公の発言をすることは今慎むべきだ、こうみずから考えておりますので、せっかくの御質問でありますが、答弁を御遠慮申し上げたい、お許しを賜りたいと存じます。
  47. 吉田治

    ○吉田(治)委員 余りこの問題を進めますとまた閣内不統一というふうなことになるかもしれません。ただ、これは大臣、お互い一国会議員として、さまざまな行政改革、民営化、後ほど大臣所轄の雇用促進事業団についても御質問させていただきますけれども、やはり議論は、今大臣言われたとおり、逃げてはいけない。  米の輸入自由化のときに、こういう話を私記憶しております。米は一俵たりとも入れない、入れないゆえに米が入ったときのことは考えない、しかしながら現実世界の流れとして米を入れざるを得ない。そうしますとガット・ウルグアイ・ラウンド対策費、村山内閣で六兆円もとんでもない思いやり予算をつけたというふうな現実もある。  これから大臣に答弁を求めてまいります。  この法案地域技能士、技能の方、いわば町工場の職人さんというふうなものをこれからどうするのか、どう人を集めていくのかという議論で、ついた予算はたかだか二十八億円。それがこの委員会でこういうふうに一日かけて審議をしていく。非常に私としてはじくじたる思いというか、どうもこの国はおかしいのではないかなというふうに感じておるところでございます。  さて、この法案でございますけれども、今までさまざまな施策をされてまいりました。雇用機会増大促進地域であるとか、特定雇用機会増大促進地域雇用環境整備地域等々の指定等を行いながら今まで施策をしてまいりましたけれども、なぜ今この時期にこの法案提出しなければならないのか。また、その目的、意義というものを、そして大臣が持たれている意識というものをまず最初にお伺いをさせていただきたいと思います。
  48. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生予算が二十八億でこれっぽっちでいいのであるかというお励ましをいただいた、そう受けとめをいたしております。  私が本法案に託しました中身、意義といいますものは、やはり現下産業空洞化雇用空洞化、全体的に申しますならば産業構造の大きな変革の流れ、この中で雇用を維持していくのには、やはり本法案を御提示申し上げる、このやり方が一つ中心、柱の一本に、しかも大きいものになるのではないか、こう思っている次第です。  というのは、もう先ほどからもお話が出ておりますけれども世界市場の中で日本も産業を支えていかなければならない。その世界市場の中でやはり日本の税制あるいはその規制の緩和のいかん、あるいは労賃等々を考えますと、生産拠点というものを資本投下の自由という世界的なカレントの中で、外国に新天地を求める、そして我々日本国民に対しても世界の皆さんに対しても、より安い製品を、完成品を提供ができるということは非常にプラスが大きいのではないかというような意味合いで、生産拠点を海外に移すことは大きなプラスもある、こう思っております。  ただ、しかしながら、そういう生産拠点が、製造業集積地あたりに存在したものが外地に新天地を求めていなくなってしまうというような場合には、そこにぽっかりとあいた空洞というものは非常に大きい。その町が衰微をするのではないか。あるいはそれを取り巻いていた中小企業、下請企業等々は、今まで納めていた製品の納めどころがなくなる。その製品は非常に優秀な技能に支えられたものであるということでありますならば、雇用を失うということと技術が衰微することと、両方のマイナスが大きい。したがって、通産省とタイアップをして、この産業空洞化をどうやって埋めるか、雇用空洞化をどうやって埋めていくかというようなことは、先生もう御存じのとおりで意義の大きなことだ。  したがいまして、本法案にありますようなもろもろの施策というようなものを集中的に投下をいたしまして雇用確保に当たってまいりたい、こんなふうに思っておりますので、存分な御審議を賜りたい。よろしくお願いいたします。
  49. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その中で、私個人として言うのですが、一般の方もそうなんですけれども、高度技能者という発想は、物づくりの現場の、平たく言えば職人さんというふうに理解したらよろしいのでしょうか。
  50. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の法案高度技能活用雇用安定地域というのを、職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を有する労働者雇用する事業所が集積している一定の地域である、こういうふうに考えておりますが、ここで言います高度技能労働者とは、従事する業種、職種等を問わず、その形成に職業上の一定の経験年数を要するような技能等を有する労働者、こういうふうに考えております。具体的に申し上げれば、例えば機械加工であるとか金属研磨仕上げ、あるいはダイカスト、金型製作、そういうものに従事する労働者が当たるというふうに考えているところでございます。
  51. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今大臣も言われたように、この問題というのは現状をどうするかという非常に大きな問題と同時に、これからをどうするかということの視点で私まだ後ほど質問をさせていただきたいのです。  それでは、こういう産業空洞化雇用空洞化という、これは地域指定等をされていくわけですけれども産業構造の変化の影響が大きく見込まれる地域等というような中で、これはやはり労働力需給のミスマッチの、先ほど申し上げました施策の一環だというふうに理解しておりますけれども、その地域の現状の把握状況というのですか、またそれはどういうふうなルートを通じての把握なのか。その基本になる資料というのですか、基本になるスタンスというのですか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  52. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のように、労働力という面から見ると、そのミスマッチの一つの現象であるというふうに考えております。  繰り返しのお答えになる面もあるわけですが、企業生産拠点が海外に移りつつある。海外生産比率を見ますと、アメリカ、ドイツ等と比べますと低いのですが、これも徐々に高まっておりまして、平成元年度、我が国製造業で五・七%であったものが、平成六年度には八・六%になっている、こういう状況です。それから海外で生産された工業製品の輸入率、いわゆる製品輸入率、これも高まっておりまして、平成元年五〇%程度であったものが、平成八年に六〇%近くになっている。  こういう生産拠点の海外移転あるいは製品輸入の増大等に伴いまして、製造業雇用者数は減少を続けておりまして、平成五年から三年間で全体で六十万入減少しております。  特に製造業関係企業が集積している地域の中には、こうした生産拠点の海外移転、製品輸入の増大等の彩管を強く受けている事業主も増加しておりまして、そういう地域において雇用状況の悪化が懸念される、心配される状況にある、こういうことが背景にございます。個別には、サンプル的にそういう地域について個々の状況を調べておるところでございます。     〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
  53. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これは私の手元の資料で、通産省の資料なんですけれども、「製造業の海外進出が製造業の国内雇用に与える影響」という、これは雇用政策研究会の附属資料に出ているのですけれども、昭和六十一年から貸本財輸出の増加効果という形で雇用は確かにふえていき、平成に入ってから逆にブーメラン効果という形で、中間財の輸出効果等でいくと、国内雇用の純効果という形でどんどん、今局長も言われたように六十万人も減ってきたという形になってきます。  この五年間、労働省は何をしてきたのですか。こういうのは、経済の法則からしたら、初めふえてきてだんだん減ってくるというのは、これは諸外国、アメリカの事例にしてもヨーロッパの事例にしても、たしか今から十年前、私が大学を卒業したころから、プラザ合意前後から、いや日本はこうなるよ、こうなるよと言われながら、六十万人も減りました、サンプル調査をしてございます、輸入率が高くなって、ミスマッチでと。  これは、こんな言い方よくないかもしれませんけれども、わかっていたことをやらないというのは、過失と言ったら語弊がありますけれども、何とかしようという形でこういうさまざまな今までの施策、地域雇用開発促進法等の今までも施策をされてこられたのですけれども、この五年間というものは、局長、まある長をやられる以前かもしれない、一体全体何だったのですか、どうだったのですか。その辺、現場の局長としてのお答えを、征矢さん、ちょっと教えていただけませんか。
  54. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のような点があるわけでございますが、私どもといたしましては、今回のいわゆるバブル以降の不況期につきまして雇用対策面でいろいろな対策をとってきたわけでございますが、まず短期的な不況という側面からの緊急雇用対策という意味での雇用支援トータルプログラムというような形で、雇用調整助成金とかあるいは特定求職者雇用開発助成金とか、そういう緊急対策助成によります失業の予防、あるいは離職者、失業者の再就職の促進、そういう対策をとってまいりました。  御指摘のように構造的な問題があって、短期的な不況期ということではなくて構造問題がある、こういうようなことから、特に構造的な問題を抱えた産業あるいは企業に対する対策としましては、業種雇用安定法を国会で御審議いただいて、それに基づく対策として特定雇用調整業種を指定し、そういうところの労働者が失業しないで移動できるような形の対策、こういうものもとってきたところでございます。  それからもう一点は、製造業の非常に厳しい空洞化、これは経済原則からいって避けて通れない面があるわけでございまして、そういう観点からいくと、新しい産業がこれにかわる形でどういうものが出てくるか、そういうところで雇用創出されませんと全体の雇用バランスがとれない、こういうことになるわけでございます。そういう観点から、中小企業の新分野展開あるいはベンチャー企業に対する雇用対策の強化、こういう面から中小企業労働力確保法、これも国会に御審議お願いし、改正し、その対策をとっているところでございます。  さらに、今回お願いしておりますのは、特定の地域技能が集積している、例えば東京でいえば大田区のように、企業が海外に移転した場合に、そこに集積した中小企業、そこに優秀な技能技術があるわけでございますが、それがくしの歯が欠けるようになくなってしまう。そうすると、全体としての技能が保てなくなる。したがって、そういうものをどうやって守り育てていくか、こういう対策が必要であるということから、今回、地域雇用開発等促進法審議お願いしているところでございます。  ただ、いずれにいたしましても、今後二十一世紀考えた場合に、我が国産業がどういう新しい分野で発展していくか。これについては幾つかの分野について、御承知のように情報産業その他ビジョンがあるわけでございますが、そういうところが具体化して、そこで雇用創出される、そういうことがなければ全体の需給が非常に厳しくなる。そういう問題があるわけでございまして、そういうところについて、今後、非常に重要課題で対処しなければならない。ただ、サービス産業については比較的安定しておりまして、六十万人製造業で減少しているわけですが、一方でサービス産業では八十数万人増加している、こういうような数字もあろうかと思います。
  55. 吉田治

    ○吉田(治)委員 局長一人を責めたような形になって、申しわけないです。これは局長お一人がどうこうじゃなくて、労働省云々というのじゃなくて、この時期にちょうどバブルがあって、それに浮かれた議員も、そして、こんな言い方はよくないかもしれませんけれども、国民、有権者もそこのところを真摯に受けとめなかった、こうなるよとわかっていながらしなかったということは、これは反省をすべきところです。やはり現場の、雇用と労働条件を守るというか、一番そういう立場に立つ労働省がもっと頑張っていただければなという意味合いがあるという意味での質問だととらえていただければ結構かと思います。  では、今局長が言われたこういう高度技能活用雇用安定地域指定基準というのですか、客観的指標というのですか、これは私は二つあると思うのです。客観的指標で集積度だとかエリアだとか地域だとかというのと同時に、今度はこれは主観になってしまうかもしれませんけれども、では実際指定をした場合にその地域関係者なりその指定を受けた事業者がどれだけ本当にやろうという意欲があるのかどうか。意欲の問題と、それから本当に客観的指標ではあらわれないその地域の持つ基盤というのですか、その辺の基盤というもの、これは私は二つ合わさって指定基準というふうなものができ上がっていくのじゃないかなと思います。この指定基準というふうなものについて、主観、客観、さまざまな指標というものを今どういうふうにとらえられているのかというのをまず一点お答えいただきたいと思います。  そして、きょうは中小企業庁の方にも来ていただいております。これの運営方針について、やはり単に労働省のみならず、現場の中小企業の声ということで中小企業庁との連携ということも、これは後でまたもう一度質問しますけれども、必要になってくるかと思います。中小企業庁としてもこの辺をどういうふうに協力、支援、サポートをしていくのか、この辺を含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  56. 征矢紀臣

    征矢政府委員 高度技能活用雇用安定地域につきましては、基本的な考え方として、高度の技能等を有する事業所が集積し、経済上の理由によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域指定する、これは労働大臣指定することといたしているわけでございます。  具体的な地域につきましては、各都道府県の中にありまして、製造業中心とする物づくりを支える産業事業所が集積している地域であって、企業の海外移転や製品、部品の輸入によって大きな影響が生じていること、また二点目として、雇用に関する状況が次第に悪化し、または将来悪化するおそれがあること、こういうことを基本的な要件として考えているわけでございます。御指摘のように、この地域につきましては、産業政策雇用政策が相まって効果的な施策が講じられる、これが重要であるというふうに考えております。  なお、二点目の御指摘もそのとおりでございまして、地域指定された地域におきます関係者がどれだけ熱意を持ってこの問題に取り組んでいくか、それが非常に主観的には重要でありまして、そういう熱意に基づく計画対策方向、そういうものについて雇用政策という面から支援をしよう、こういう考え方でございます。
  57. 松島茂

    ○松島説明員 お尋ねの点でございますけれども中小企業庁といたしましても、また通産省全体といたしましても、中小企業あるいは基盤技術の集積に着目をいたしまして、一定規模以上の集積があり、かつ真摯にその改善あるいは新分野進出への努力をされる、そういう意気込みのあるところに着目いたしまして、労働省と協力いたしまして政策を遂行してまいる、そういう所存でございます。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 客観的指標ということを申し上げたのは、次の質問の項目で、労働大臣による高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発指針を策定するということで、また都道府県でも、そういうふうな市町村長の意見聴取等で計画を策定するという部分になっていくのだと思うのです。  今中小企業庁の方もお答えされましたように、意欲だとかやる気というのはなかなか数字であらわすわけにもいかないし、かといって、やる気はあるのだけれどもその基準に合わない部分、今のはやりで言うならば、商工、通産関係で言うならば、ベンチャーキャピタルというのですか、やる気はあるのだけれどもちょいと足らないのだよねという部分を含めて、この意欲だとかやる気というふうなものを、これは具体的にと言ったら語弊があるかと思うのですけれども局長、どういうふうにこれを今後のこの中で反映していくのか。やりたいという会社が出てくるのを待つのか、それとも、基盤を見て、この会社だったらできそうだなという形で、どう、やってみてはという形で進めるのか。その辺は、どうなのですか。     〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 征矢紀臣

    征矢政府委員 まず都道府県計画を策定するわけでございまして、この地域雇用開発の促進に当たりましては、地域における労使を初めとする地域関係者の自主的取り組みが重要でございます。したがって、都道府県指定地域において地域雇用開発を促進するための具体的な計画を策定するに当たりまして、地域関係者意見を十分反映するものであることが必要である、こういうふうに考えております。  このため、法案第七条の三第四項におきまして、都道府県知事は、計画の作成に当たり、あらかじめ、当該地域を管轄する市町村長の意見を聞くものとしております。また、計画の策定に当たっては、地域の労使団体、学識経験者等をメンバーとする検討の場を設けることなどによりまして地域関係者意見を反映させていく、こういうことも考えているところでございます。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 後ほど同僚議員である鍵田議員がその辺は詳しく聞くかと思うのですけれども、今局長が言われた関係地域の、特に労使団体の意見聴取方法という、この方法というのですか、何か具体的なイメージ、どういうふうにしていくというふうなものを何か今、現状でお持ちなのかどうか。あれば教えていただきたいと思います。
  61. 征矢紀臣

    征矢政府委員 具体的な方策の一例といたしましては、各都道府県都道府県職業安定審議会という場がございます。これは、労使、公益、三者構成の審議会でございまして、そういう場におきましてこの計画についての御意見を聞く、こういうような枠組み考えられます。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 先ほど申し上げました、その前提となる労働大臣による地域雇用開発指針というものがこれから策定されていくわけですけれども、この指針で予定されている内容、事柄、どういうふうなことを都道府県指針のメニューとして出すのかということを今、現状で考えている範囲で結構でございます、また、これから検討したいということも含めて、検討項目も含めて、お答えをちょうだいしたいと思います。
  63. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域雇用開発指針内容といたしましては、今回の高度技能活用雇用安定地域に関しまして、地域別に見た労働力需給その他の雇用の動向、あるいは地域雇用開発必要性地域雇用開発方向、具体的には新事業展開を図るための中核となる高度な技能等の特質及び新事業展開を通じての目標とする雇用状態、あるいは地域雇用開発の目標達成のための方策、このようなものが記述されることになろうかと思います。  具体的には、法律を成立させていただきました後、関係審議会の御意見も聞きながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、今最後に局長言われたように、これは審議会マターになるということで理解してよろしいのでしょうか。どの審議会でございますか。
  65. 征矢紀臣

    征矢政府委員 中央におきましては、中央職業安定審議会の御意見を伺う予定でございます。
  66. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そういうふうな形で指針ができ、安定計画都道府県でされていった場合に、今度の新しいスキームによりましたら、地域関係者の協議の場として、高度技能活用雇用安定会議にも予算措置がされるという形で、助成金ですか、安定会議の形で四億五千三百万のお金を使っていくということですけれども、これは具体的なイメージというのですか、どういうふうなものをつくっていき、これが今申し上げた指針だとか計画策定だとか、そして具体的な地域指定においてどういう影響を持つのか。また、それが実際、地域が決まった場合にどういう動きをするのか。また、それにかかわる労使の団体、まだ雇用促進事業団、公共職業安定所というものは、このスキームにもそういうふうに書いてありますけれども、それぞれどういうかかわり合いを持っていくのか。ちょっと大きな質問ですけれども、まとめてお答えをちょうだいしたいと思います。
  67. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域高度技能活用雇用安定会議、これは仮称でございますが、こういうものを設置して対処してまいりたい、こういうことでございます。  これにつきましては、具体的な内容をまだ詰めたわけではございませんけれども高度技能活用雇用安定地域におきます関係者、これは事業主団体あるいは労働団体あるいは行政機関、その地域によってさまざまな団体があるわけでございます。そういう団体のメンバーに集まっていただいて、その地域における雇用開発を具体的にどういうふうにしていくことがいいのか、そういう点についての御議論をしていただき、そういうものを出発点にしてその方向を定めていく、こういう考え方での関係者の協議の場ということで考えております。
  68. 吉田治

    ○吉田(治)委員 協議して、何を決めるのですか。
  69. 征矢紀臣

    征矢政府委員 個別具体的な対処というのは個々の企業ということになりますので、そこまでの話にはなかなかならないと思いますが、当該地域について、これがどういう現状にあってどういう方向にその地域を持っていくのがいいのか、そういう考え方をいろいろ整理した上で、その地域における企業が新分野展開を具体的に図っていただくための準備段階での整理、そういう観点でいろいろな協議をしていく、そういう機関として考えているところでございます。
  70. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、今ちらっと局長事業主団体その他と言っていましたけれども、労使団体というものはどういうふうにかかわっていくのか、再度ちょっと答弁のほどをお願いしたいと思います。
  71. 征矢紀臣

    征矢政府委員 事業主団体だけではございませんで、当然労働団体も含めて考えているところでございます。
  72. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それと同時に、この助成金というふうなものを雇用促進事業団を通じて支給するという話も聞いているのですけれども、その辺は、同雇用促進事業団というのは、地域関係者の協議の場であるとか、地域対策において、活動というのですか、どういう役割を果たしていくのか、ちょっとお教えください。
  73. 征矢紀臣

    征矢政府委員 助成金の支給事務につきましては、これは具体的には雇用促進事業団においてその事務を行う、こういう考え方でございます。  それから、当該事業団につきましては、今申し上げました会議関係者の中には当然含まれるわけでございます。したがいまして、その事業団自体もこの制度が発足いたしました場合には、給付金の支給、そういうものについてのあり方、そういう点については積極的にPRその他を行っていくことになろうかと思います。
  74. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣、この雇用促進事業団、こうして役割を入れていくということなんですけれども、たしか武藤総務長官の方から、行革の一環で、特殊法人の見直しという中で、雇用促進事業団に関しては、たしか与党内もしくは自民党内で議論が整うのであれば、廃止もしくは統廃合してもいいよというふうなことを言われているのですけれども、所轄大臣として、その辺についての促進事業団に対してのお考えというのはいかがなんでしょうか。
  75. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、先ほどは郵政三事業についてでございましたが、これは私の所管ではありませんが、雇用促進事業団は労働大臣の所管であります。したがいましてお答えをいたします。  まだ、党あるいは与党三党の方で、労働省に対して、本件等その他万般、行革についてのヒアリングを行っているところであります。  雇用促進事業団につきましては、まず雇用促進事業団の現在行っている機能、その機能の一つ一つについて、国としてそれが必要であるか否か。かつまた、必要だという機能については、それはどういうやり方で、つまり、国そのもの、あるいは特殊法人、その他いろいろの公の法人があるわけでありますが、どのような経営形態のもとでこれをやらせるべきであるかというような観点について、労働省内においても目下検討中であります。  大まかに言いまして、大体、雇用促進事業団は三つの分野から成っている、こう理解をしております。  一つは、職業能力開発、簡単に申しまして職業訓練という面であります。もう一つは、先生お話にもあり、本日も何度か答弁申し上げているわけでありますけれども現下雇用確保するために、産業空洞化雇用空洞化に対応する施策、これについてであります。まあ、二つに分けて言うなら、一つは、中小企業の活力をどう利用して雇用確保するかという問題。あるいは失業なき労働移転、その概念の内包はいろいろ複雑でありますけれども先生、御専門でありますので、この二つに相なっているかと思っております。  もう一つは、住宅でありますとか福祉施設、これの運営であります。この住宅につきましては、昭和三十六年当時、炭鉱離職者が全国的に、北海道、九州を中心にしてほうはいとして数多く出てまいった。この皆さんをぜひ職と結びつけるというためには、当該地域だけでは無理だというような意味合いで、新しい天地に自分の新生活をかけて職を求める。それじゃ、住宅が要るじゃないかというようなためで、この住宅ということを我々は考えた。  あるいはまた、労働者諸君の場合でいいますと、大企業の場合には、みずから会社の営むところの福祉施設、例えば保養地等におけるところの安価なホテル的なもの、あるいは体育館でありますとか運動場でありますとか、やはり当時、余暇の活用ということが言われておりました。  だけれども、日本の場合には、先生、どうですか、私らは、たまの日曜日だというと、毎日役所で午前一時まで二時までも疲れておりましたもので、やはり一日じゅう昼寝をしていて家内からしかられるといっていたらくでありました。もう一歩、余暇の活用があるのではないかというような意味合いで、福祉的な施設をいっぱい使って、どうぞ、御利用をと。  以上、大体三点が雇用促進事業団の仕事でありましたので、この機能を一つ一つ分析をしてまいっているところであります。  今、第一番目にお話をしました職業訓練といいますのは、雇用空洞化等、あるいは、やはり規制の緩和等々で、非常に新しい技能というものを身につけなければ新しい職業というものに結びつかないということになりますので、職業能力といいますのはぜひ必要だ、こういうふうに思っております。  それから、二つ目の中小企業の活性化、これを雇用にいかにして結びつけるか、通産省と相ともにやっておるわけでありますが、これは絶対必要だ、こう思っておりますし、失業なき労働移転も必要だ。  三つ目は、住宅といいますものは、民間のマンションその他、結構今日においては普及をしてまいったというようなことと、レクリエーション関係の諸施設も民間においていろいろできてきたというような中で、どの程度労働省傘下の特殊法人として営む必要があるかということになりますと、これは直接雇用促進事業団でやらなくてもいいじゃないかというような感じを覚えております。  しかし、前段の一つと二つは、これはやはり国の政策として絶対必要だ。されば、国として必要な機能を労働省みずから営むか、雇用促進事業団に営ましめるか、雇用促進事業団以外の公のものによって運営を図ってもらうか、この辺は目下検討中で、結論が出ておりません。  以上、労働大臣の今の時点におきますところの感触をお話しすると、こんなところであります。
  76. 吉田治

    ○吉田(治)委員 微に入り細に入りの御説明で、これは中学生が聞いてもどういう特殊法人かというのがよくわかるお話でございましたけれども、特殊法人の見直しにつきましては、私ども新進党の方でも別途勉強会をしております。  私個人も、労働省所轄の特殊法人、雇用促進事業団のみならず、各特殊法人の役職者の前職、それから年収、勤務形態、週に何回来ているのか、何時間働いているのか、そして通勤形態、車で送り迎えか、電車で来ているのか、その車は自家用車か、ハイヤーか、タクシーか。そして、専用の部屋を持っているのか、秘書はどういう人が秘書をやられているのか。また、その事業団、ましてや特殊法人自身がどういう事業をし、国のお金がどれだけ使われ、民間の会計でいくと、黒字、赤字という言い方がいいかどうかわかりません、そういうような部分も含めての資料を、雇用促進事業団を含めて、特殊法人にすべてお出ししていただくように要望しておりますので、これはしっかり出していただきたい、かように思うところでございます。その上での特殊法人の見直しもしくは統廃合等を含めた議論をしていかなければならないのではないかなと私は思っております。  もう一つ、この安定会議に含めて、公共職業安定所というふうなもの、私の地元事業主団体である関西経営者協会から「提言」というものが出七おります。「職業紹介自由化と公共職業安定所のあり方」、「非効率性」というのが出ておりまして、「全国五百九十七カ所(出張所を含む)、約一万三千人の職員一本省及び地方の関係部門を含めると約一万五千人)を投入している現行システムでありながら、統計史上最高水準の失業率職業紹介に占める職業安定所の関与が二割程度にすぎない」「少なくとも今日においては充分な成果を挙げているとはいえない。 平成七年度の職業安定所の職業紹介実績(労働省調べ)を見ると、就職件数は約百二十三万件とされており、職員一人当たりの実績は年間約九十五件で四日に一件のペースにとどまっている。」云々と書いてあって、「この就職件数は、新規求人(約五百二十四万人)の二三・五%、新規求職者一約四百八十三万人)の二五・五%にすぎず、決して効率的とはいえない実態にある。」という、こういう提言が来て、最終的には、紹介自由化職業安定所を何とかせいということなんですけれども、こういう提言があるということを知っていられるのかどうか、また、知っているのであれば、それについてどういうふうに考え、この提言を受けとめてどうするのかということをちょっとお聞かせください。
  77. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生挙げられましたもろもろの、関西協会からしますところの数値、これの問題については所管局長から答えさせたい、こう存じますが、そもそも、職業安定、国の施策としてどうあるべきかという点については、私は、より一層民間の有料の職業紹介というようなものを自由化する方向にあるべきだということで先年来検討をしてまいり、この四月一日から、ホワイトカラーにつきましては、民間有料職業紹介に全面的に自由化をするという方向で割り切っているところであります。  では、全部の公共職業安定所が民間で営まれて、それで日本の雇用は十分的かといいますと、これについては、まだいささか疑問が残っている。といいますのは、やはり有料でないと民間は務まりません。そろばんをはじいてプラスが残らぬとならぬのでありますが、例えば、三井三池で、今二千名を超えると言われる大量の離職者が出ることになっております。ある程度自分職業を持っていて、よりよい職業をおのれのものにしたいというならば、民間の有料という料金を払っても新しい職場を探そうということでありますが、三池の皆さんのような場合には、将来の展望が開けない。  そこで手数料を払ってというのは、これは無理でありますし、私が今、あした三井三池に参上するつもりでありますけれども、もう、よその安定所の職員を大勢、三井の離職者の雇用のために集中的に相談に乗るとか、あるいは、三井鉱業所の中で臨時に仮設の職業紹介コーナーを設けて、そこで人生相談を含めて懇切に、ニーズに合ったような雇用に結びつけるというようなことは、とてもではない、そろばんをはじけるものではさらさらない。  要するに、国の職業紹介機関があって、その上に民間が、どうぞ、自由に振る舞えるところがあったならば振る舞っていただきたいというのが職業紹介についてもこの国のありざまではないかなということで、自由なところは自由に民間に、しかし、基本の支えばやはり国がやらねばならないというようなことで今考えているところであります。関西協会の御教示は、つまびらかに読んでおるところであります。
  78. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大臣、言われるのはよくわかるのですけれども、それは特殊な、そういうところをもって一点突破、全面展開という全共闘方式的な言われ方をされると、それはちょっと、それはそうだと理解はできるけれども、それはそういう地域での特殊な話であって、じゃ、普通の、民間の中小の零細企業がばたばた倒れていって、そこでたくさんの人が今リストラという名前でやめられている、じゃ、そこへ集中投下で職業安定所の人だけ集まってやっているかといったら、こういう法律もできることですけれども、そういう状況ではないでしょう。  三井三池をとらえて、だから職業安定所が必要なんだと、それは、理屈としてはよくわかりますけれども、それとこれとは議論が違うということだけは私は申し上げておきたい。私も、公共職業安定所が必要か必要でないか、これも、先ほど申しました特殊法人と同じように、さまざまな議論をこれからしていかなければならないという問題提起にとどめさせていただきたいと思います。さて、この地域関係者の協議の場という中になりますと、今、雇用安定協力員制度というのが昨年から発足したやに聞いております。連合の方からも、たしか職業安定局長あてに、こういうふうな問題点、こういうことをやってよという要望も出ているというふうに聞いておりますけれども、これもまた、お聞きしますと、協力員お一人お一人に年間六十万円というお金も出ているやに聞いております。場所も聞きますと、まさにこのさまざまなミスマッチが起こっている地域の労使というのですか、その方々が入られている。  やはり、こういう新しい制度ができて、現場というのですか、一般の方々というのですか、平場におりた場合には、後で質問させていただきますが、現在のさまざまな、今までのいろいろなことがあって、また今度新しいのが来ると現場ではなかなか対応できないという中で、この雇用安定協力員制度、せっかくあるのですから、これをもっとうまく活用する、もっとうまく回していくということが必要だという声が強いのですけれども、その辺についてのお考えというもの、現状の課題、認識等を含めて、どういうふうに考えていられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  79. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域雇用安定協力員につきましては、地域におきます雇用調整に関する情報の把握、あるいは雇用調整に関する労使からの相談に当たっていただく、こういうことを目的として、産業構造の変化による雇用状況の悪化等が特に見られる地域、そこの公共職業安定所に配置されております。また、この協力員の委嘱につきましては、地域の実情に通じている労使団体の役員等にお願いをいたしているところでございます。  この制度につきましては、雇用調整に関する情報の早期把握を通じた公共職業安定所による円滑な再就職の支援等に対して効果を発揮しているところでございます。  地域におきます一層の雇用の安定に資するため、これにつきまして、来年度については、新たに協力員を対象としたブロック会議を開催し、協力員間の情報交換あるいは意見交換を行うなどして、相談・助言業務の充実をさらに図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  80. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今のこの制度を非常にうまく活用、また円滑に運営の方をしていただきたいと思います。  さて、大臣も申されておりましたように、この法律に関しましては、通産省とある意味で車の両輪だとも言われております。施策全般についての通産省との連携、また高度技能活用雇用安定地域指定に当たっての通産省との調整について、まず通産省の方に、労働省の方は、先ほどから質問がございましたし、後ほど質問も出てまいりますから承っておりますけれども、通産省の方としては、今後どういうふうにこの調整、連携についてしていくのか、そのお考えをまず聞かせていただきたいと思います。
  81. 岡田秀一

    ○岡田説明員 通産省でございますが、通産省の方で現在準備しております地域産業集積活性化法、ここで定めております基盤技術産業集積と、それから、本日御審議いただいております地域雇用開発等促進法高度技能活用雇用安定地域というのは、どちらも、技術あるいは技能というものが集積しているという点で、地域のとらえ方に大きな共通点がございます。また、二つの法律に関します業種構成や、あるいは規模等の要件、これもほぼ同様のものを想定しておりますので、両法の対象となるところはおのずと共通性が出てぐるものと考えております。  私どもの方で準備しております集積活性化法の運用に当たりましては、地域雇用開発等促進法指定地域と可能な限り同一な地域を手当てすることにしておりまして、その地域におきまして二つの法律の施策が相乗的に効果を発揮するように努めてまいる所存でございます。
  82. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今まで、通産省との連携という形でいいますと、中小労確法、中小企業労働力確保法というのが、ベンチャー企業の、新分野を図る中小企業支援という形で、雇用創出、また施策という形で連携をしてきたやに聞いております。この辺の連携状況というふうなものを、まず労働、通産、それぞれお答えをいただいた上で、時間がございませんので、労働省が今までやってきた雇用機会増大促進等々の施策、三施策の効果というのですか、反省も含めて、まず、中小労確法についての通産、労働のそれぞれの連携と効果について、そして、その後に、労働省が今までやってきました、この法律に基づくスキームの効果並びに自己反省というものをしていただきたいと思います。
  83. 征矢紀臣

    征矢政府委員 中小企業労確法におきます通産省との連携でございますが、産業構造が大きく変化している中で、今後我が国が経済活力を維持しつつ労働者雇用の安定を図っていくためには、雇用政策産業政策が十分に連携をとって各種施策を推進していくことが重要であるという点につきまして、御指摘のとおりでございます。とりわけ、新しい分野で新たな雇用創出を図っていくためには、ベンチャー企業を初めとした中小企業の新分野展開の取り組みに対する支援、これが重要である、この支援を効果的に行っていくために、労働省と通産省との連携は必要不可欠である、こういうふうに考えております。  このような観点から、中小企業の振興と労働者職業の安定を図ることを目的とした中小企業労働力確保法、これは労働省と通産省の共管法として、両省の密接な連携が図られているところでございます。また、法律に基づきます改善計画認定、相談援助、融資、助成金の支給といった各種支援策の実施に当たりましては、各都道府県の労働担当部局と商工担当部局、これが連携をとりつつ推進しているところでございます。  この連携の効果でございますが、法律が施行されて以来、平成八年度の上半期までに七百九十六の事業協同組合等の団体が認定を受けまして、各種の助成措置を活用し雇用管理の改善事業に取り組んでおります。  また、平成七年十月から、ベンチャー企業を初めとした新分野展開を目指す中小企業支援するため、個別中小企業を施策対象としましたが、平成七年十一月の施行以来、平成九年一月末までの十四カ月間で五百三十二の中小企業認定を受け、各種助成措置を活用していただいているところでございます。  今後とも、私どもとしては、この中小企業労確法の施行に当たって、通産省と密接な連携を図りながら、より効果的な周知及び各種制度の活用促進に努めてまいりたいと考えております。
  84. 松島茂

    ○松島説明員 御質問でございますが、ただいまの御説明に若干加えさせていただきますと、本法におきましては、中小企業者の労働力の確保という側面と労働者職業の安定という側面と両方の側面がございます。こういう両方の政策目的がございまして、労働省、通産省協力して実施に当たっているところでございますが、都道府県知事が行う事業認定の基準につきましても両省で共同で策定をする、あるいは、事業が認定された組合あるいは個別中小企業者に対しましても、通産省、労働省それぞれが持っておる施策を総合いたしまして応援をしているところでございます。
  85. 吉田治

    ○吉田(治)委員 これは本当に中小企業を取り巻く、これは労使一体というのですか労使協調というのですか、一緒になってしていかなければ、日本の産業基盤というか基礎というようなものが、まさにずっとこのごろ言われております空洞化という言葉、これは、たしか東海大学の唐津教授が今から十数年前に何かの月刊誌に書かれてから、空洞化空洞化と言われたというのを記憶しておるのですけれども、その唐津先生が言われた空洞化というふうなものがまさに現実のものになる。  今度の法律は、現状、病気で言うなら、今をどう対応するか、今の病気についてどういうふうにしていくかということですけれども、やはり一歩進めて、この技能というもの、高度技能を含めて、今後この物づくりというふうなもの、これが日本で成り立つのかどうか。  例えば、白書に出ております中小企業等の調査によりますと、物づくり企業において、今後休廃業を考えているというのは、例えば全製造業でしたら一七%、物づくり技術企業合計であれば二四%。その理由は何と聞きますと、事業の先行き不透明、営業不振、後継者難等がありますけれども、やはり労働力的に若年労働者の不足というふうなもの、また一方では、高齢者がちょっと多いのではないか。これはコスト的にいったら人件費の圧力ということが言えるかもしれませんけれども、しかしながら、若年労働者の不足というふうなものは、特に物づくりといった場合に、日本の産業基盤のみならず、製造業物づくりというよりも、日本のこれから先が本当にやっていけるのかどうかというふうな形になろうかと思います。  私ごとで恐縮ですけれども、私も多分、こういう議員をやっていなければ、うちの父親はそれこそこの地域指定を受ける地域のすぐ横で町工場をやっておりますので、高度技能者になっているのかどうかわかりませんけれども、していたかもしれません。しかしながら、そういうふうに若年の技能労働者確保技能高度化というのは雇用対策として重要でありますし、また、それを支える中小企業人材確保の困難さというのは、高賃金が払えないとか三K職場であるとか、福利厚生が不十分である、労働環境の改善、福利厚生等の向上策が必要である。  こういうふうな部分を含めて、一つには、きょうは文部省の方もおいでいただいています。進路指導というのですか、その中で物づくりの教育というふうなもの、これは単に概念的に道徳的に物づくりはとうといというのみならず、例えば物づくりというのはこういうふうなものよという現場での実習であるとか体験であるとか、また、一番直結しているのであれば、工業高校等に果たしてそういう物づくりの実習、体験というものもどれだけ制度化されているのか。  やはり先生になるには教員免許云々となってきますと、町工場というのですか、ここで言われております高度技能者の一芸、一わざというのですか、そういう人が教師になっていくような道も開く必要もあるでしょうし、進路指導の中で、士農工商じゃございませんけれども、どうもこういう工場で働くというのはダサイだとか格好悪いとか、勉強できへんからというふうな形にならないような進路指導というものも必要だと思います。  また、今度のこの法律、今質問してまいりましたように、国が指針を、労働大臣がつくって都道府県計画をつくってという、どちらかというと中央集権的と言ったら悪いですけれども、中央一元的な発想ではなくてやはり、自治省の方にも来ていただいておりますけれども、各地方自治体が、それぞれの地域の経済と雇用状況に合わせたような産業空洞化対策というふうなものを、これは財源的にも十二分に措置する必要があるのではないかなと私は思っております。  また、今るる申し上げてきましたように、労働省においても、例えば先ほどの委員質問でもありましたように、やはり何代もやっていくというのは、それに一つの誇りを持てる、今文教の問題で申し上げましたように、どうも工場で働くというのは、勉強ができなかった、悪く言えば落ちこぼれだというふうな発想ではなくて、よく言われておりますように、ドイツ、ヨーロッパでありますようにマイスター制度というのですか、そういうふうなものを名前もつけて、一級技能士だとかなんとかいうよりももうちょっと片仮名文字の格好いい、マイスターであるとかなんとかいうのをもっとつけていく必要があるのではないかと思うのですけれども、時間の都合上、この辺を含めて文部、自治、そして最後に労働大臣の御決意というものを聞かせていただきたいと思います。
  86. 石川明

    ○石川説明員 御説明申し上げます。  先生ただいまお話しのように、物づくりの大切さというのは本当にそのとおりだと思っております。そしてまた、学校教育におきましては、さまざまな体験活動を通しまして、職業につくことあるいは仕事の重要さといったようなことを教育しておるところでございまして、地域の伝統産業など、職場見学や職場体験といったようなことも積極的に行っております。  また、進路指導におきましても、望ましい職業観の形成について指導しておりまして、生徒が主体的に進路を決定できるような能力や態度の育成に努めているところでございまして、今後とも、そういった職業関係の指導、あるいは適切な進路指導の一層の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
  87. 松元昭憲

    ○松元説明員 町工場の職人の方を高校等の教員等に活用できないかということに関しましてのお答えでございますが、先生指摘のように、すぐれた知識や技術を持つ社会人の方々を学校教育で活用する、これは非常に重要なことであるというように私ども考えております。このため、昭和六十三年に教員免許法、これを改正いたしまして、免許状を持たない方でも非常勤講師として学校教育に参加していただける制度、特別非常勤講師制度を設けております。  御指摘の町工場の方々につきましても、この特別非常勤講師制度を利用していただきまして積極的に対応していくということが期待されると考えるところでございます。現に、そのような事例といたしましては、高等学校でございますが、工業におきまして、自動車工場の方が自動車工学を指導する例とか、あるいは鉄工所の方が溶接技術を指導している例ということもございます。  その専門的で具体的な指導によりまして、生徒の学習意欲が高まる、さらには望ましい勤労観、職業観の育成が図れるというような効果も報告されておるわけでございまして、文部省といたしましては、これらの制度の活用によります社会人の学校教育への活用、これをさらに進めるよう各都道府県教育委員会を指導してまいりたい、かように考えております。
  88. 牧野清文

    ○牧野説明員 自治省といたしましては、産業の不振などによります経済停滞地域、これらを地域経済基盤強化対策推進地域という指定を行いまして、選定を行いまして、その地域におきます市町村が行います地域経済振興のための事業につきまして、地方財政措置を講じているところでございます。この制度も平成八年度をもって一応三カ年の期間を終了いたしますが、地域の存続の要望が非常に強いものですから、平成九年度以降、この措置を引き続き講じていくところといたしてございます。  そのほか、民間事業に対しますふるさと財団の融資等につきましても、今後とも積極的に対応してまいりたい、そのように考えております。
  89. 岡野裕

    岡野国務大臣 物づくり意義重要性、そして若年技能労働者の育成及び確保、これの重要性、これは先生と全く同感であります。労働大臣としても一生懸命相努めるつもりであります。よろしくお願いします。
  90. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この法律また指針等を進めていく中で、大臣は多分十年先はまだ御健在かもしれないですけれども、五十年先はちょっと、申しわけないですけれども、自信を持って申し上げられない。私どもは、今の平均余今からすると、私もあと五十年ぐらい生きなあかん、この日本で。そうしますと、日本の国が衰退するわけにいきませんので、この法律並びに指針等、そして現場での対応等によってよりよい方向になるように、これは私は与野党関係なしにやっていかなければならない。今るる申し上げました問題点をしっかりと受けとめていただいて頑張っていただきたい、かように思う次第でございます。  以上で質問を終わらせていただきます。
  91. 青山丘

    青山委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩     ―――――――――――――     午後一時八分開議
  92. 青山丘

    青山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍵田節哉君
  93. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 新進党の鍵田でございます。先月の時短促進法に引き続きまして、時間をちょうだいいたしまして御質問をさせていただきたいと思っております。時短促進法のときには、大臣に労働観などにつきましていろいろお聞きをしたわけですが、きょうは、雇用の問題、それも高度技能の活用雇用安定地域指定ということでございますので、特に職業観というようなことについて若干大臣にもお聞きをしたいというふうに思います。  その質問に入る前に、私ごとになるわけでございますけれども、若干自分なり家庭の経歴なども経験としてお話をさせていただきたいのです。  実は、父親は洋傘の柄をつくります職人でございまして、特に水牛の角などを曲げまして、それで洋傘の柄をつくるわけでございます。南方から輸入しました水牛の角を湯で温めまして、それを手で曲げてちょうど柄の形にする、そしてまた、ステッキの柄なんかにも使うわけでございますけれども、それをグラインダーで削りまして、最後は自分のいろいろなやすりを使って仕上げていく。そし、バフで仕上げて、非常にきれいな柄にするわけでございます。それは、何かお金持ちのだんな衆が持たれるというふうな高級品だったようでございまして、小ざいときにそれを見ながら実は育ったわけでございます。  私自身も、実は学校を卒業しましてから就職いたしました会社が、蛍光灯などをつくっております家電関係の会社でございます。どういう職種を望むかということを聞かれたときに、自分技能を身につけたいというようなことで、金型がやはりその中でも一番いいのではないかということを希望いたしまして、実はその希望を入れていただいたわけで、会社全体では三百人ぐらいの規模でありましたけれども、金型自身は十人もいないぐらいの小さい職場でありましたけれども、そこへ入れていただいたわけでございまして、そこで三年ぐらい金型の製造に従事しておったわけでございます。恐らくこの国会議員の中でも、金型を製造しておった議員というのは余りいないのではないか。ひょっとするど唯一の議員かもわかりませんが、唯一で最後の議員にならないように後輩に頑張ってもらわないといかぬなと思っておるのですけれども。  その当時の金型というのは、こういう鉄の塊がありますけれども、その表面を両方削りまして、そしてそれに穴をあけて雌型をつくるとか、それを削って雄の型をつくって、雄と雌とがうまく合って、鉄板を打ち抜いたり、それからまた絞ったりというふうな型をつくるわけでございます。私が就職しましたのは昭和三十年ちょっと前でありましたけれども、当時は、その金属の塊を打ち抜くのに、形をけがきましてその内側をずっと細かくボール盤で穴をあけて、そこへ当て金を当てて大きなハンマーでたたいてそれを打ち抜く、そしてその後、のみなんかで削っていったり、やすりで仕上げたりしてそういう形をつくっていくわけです。大変原始的で、手間のかかる仕事をしておったわけでございます。  さらに、それを仕上げていくためにはいろいろな機械も使わなくてはならない。セーパという、平面に削る機械もあれば、回転をさせながらやる旋盤もありますし、それからまた中をくり抜くためのミーリングという機械もあります。また、平面をきれいに磨くための研磨機もあります。いろいろな機械を使いこなさないと、金型仕上げ工というのはなかなかできないわけでございます。  そしてその金型を、今度は焼きを入れなくてはなりませんけれども、この焼きを入れるのも、自分で色を見て、この型にはどの程度の硬度が必要か、そういうことで、焼きを入れる。何といいますか対象になる、水でやるのか油でやるのか、またそこへ青酸カリを塗ってやるのかというふうなことを自分自身で判断をしなくてはならない。また、要とする硬度によりましては、色とか何かを見まして、その焼き方の度合いを判断をしながら焼き入れをするということも必要なわけでございまして、そういう技能を全部習得しようと思いますと大体十年ぐらいはかかるというふうに言われておりまして、私は、そこまでいかないでほかの、労働組合の仕事に入ったものですから、もう三年ぐらいでやめましたから、一人前にはまだなっておりませんでした。  しかし、先輩などには非常に習熟した人がおりまして、その人がそれでは教えてくれるのかというとそうではないのですね。ただ、おれのやっていることを見て自分で覚えろというようなことでありまして、どこかへ行って自分が習ってくるとかいうふうなことがなかなかできなかったわけでございます。大体、職人という世界はそういうもののようでございまして、余り自分技能を人に教えるとかいうふうなことをやらない、それを、でっちというのですかね、その当時はもう余りでっちとは言わなかったようですが、見習い工ですね、これは先輩の技能を盗み見をして、そして一つ一つ覚えていくというふうなことでございます。  これは、私たちの金型もそうでありますけれども、鉄鋼関係に行きましても、溶鉱炉の中でいろいろな薬品を配合をしたり、それからどういうタイミングで火を出すのかというふうなことを、その色だとかそういうもので判断をして出す。今はもうコンピューターでほとんど制御されておりますが。  そういう、いわゆる職人の勘で非常に精度の高い製品をつぐっていくというようなことが常識的な世界であったわけでありますけれども、最近はそういう職人というふうな言葉は本当に使われなくなってきておるのじゃなかろうかなというふうに思うわけでございます。何か職人といいますと、午前中も話がありましたけれども、ちょっとダサなとか、ああいう汚い仕事は嫌だとかいうふうなことで、若者あたりからはどうも敬遠されるというのですか、そういう風潮があったわけであります。  こういう環境というのはどこから出てきたのだろうか。時期は私もわかりませんけれども、私が就職しましたころはまだ工業高校が大変盛んでありまして、工業高校を出ておれば非常に就職もしやすいというようなことでありましたけれども、いつの間にか、そういう工業高校はできるだけ敬遠して、普通高校に行ってそして次に大学を受験するのだというような風潮になってきたのではないか。それで、大学を通っておらなかったら会社へ就職しても余り立身出世は望めないというようなことで、とにかく普通高校へ行って大学に行くというような教育が、学校でもそして家庭でも蔓延しておったのじゃないかなというふうに思うわけです。  企業企業で、大学卒でないと、ある程度技能とかそういうものはあっても余り重用しない。そして学卒だけを役職なんかにつけていくという。昔、軍隊などでもそうだったようでございます。例えば、幾ら軍隊でのいろいろな経験があっても、せいぜい軍曹ぐらいまでしか学校へ行ってなかったら上がれない。そして、学校を出ておれば、若い人でも尉官から将官に上がっていけるというふうな世界であったようでありますが、公務員の皆さんもそうじゃないかなというふうに思うわけなのですが。こういう風潮がだんだん、ブルーカラーといいますか、現場の仕事を嫌って、そしてホワイトカラーであるとかサービス産業であるとか、そういうところにみんなが就職するというような状況になってきたのではなかろうかというふうに思っております。  実は、円高不況のときに、とにかく中小企業は大変なダメージを受けまして、その円高不況を何とか克服するためには、やはり外需よりも内需を中心にした経済に切りかえていくということで、いろいろな経済政策が発表されたりしたわけであります。それが、物づくりとか、そういうものをもっと大切にするということでそういう経済政策が達せられるならいいのですが、どうもあのときの状況を見ておりますと違ったのじゃないか。というのは、当時の一部の著名な評論家などは、高額所得者がたくさんおるのだ、年に一億も二億も稼ぐような者がいっぱいおるのだ、だからそういう人をターゲットに需要をつくっていけば景気が一遍によくなるのだというようなことを言っておった評論家がおりましたけれども、そういうことが現実のものになったのではなかろうか。  結局、こつこつと物をつくっていくよりも、マネービルというのですか、土地の投機だとか株の投機とかゴルフ場の会員権だとか、そういうものにどんどん手を出して、そして、実際の物づくりとかそういうGDPの何倍にもなるようなそういう投機の金が動いたというような時期があったわけでありまして、こつこつと物づくりをするということが何かばかに見えてくる、そういう風潮が大変広がってしまった。今そのしっぺ返しが来て、不良債権に大変困っておるのが金融機関ではないか。  大体、金融機関というのはもちろん大切な仕事でありますけれども、本来、産業活動をやっていく、それをどうサポートするかというのが金融機関の仕事ではないかというふうに思うのですけれども、あのバブル景気を支えたのは金融機関でありまして、中小企業経営者とか金を持っている人には、ここに物件があるからこの土地を買えとか、こういう株を買うともうかるぞとか、ゴルフの会員権、これはもう二倍、三倍になるから買いなさいとか、金は貸してやろう、そういうことでやった結果が今金融機関が困っておることになっておるわけでありますし、そして、学校教育も、企業の採用、あと昇進、昇格などのあり方までみんなおかしくなってしまっておるのではなかろうか。  こういうふうな現状にあるわけでございますけれども、そういうことに関しまして、今後学校教育の問題、午前中も若干質問ありましたけれども、学校教育というのは、何も技能を教えるだけの教育ではなしに、物づくりが大切である、そういうことを教えていくという学校教育、家庭教育、そして、企業においてもそういう人たちをもっと重用していくというような風潮が必要ではないかというふうに思うわけでございますけれども、その辺につきましての大臣の御所見があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
  94. 岡野裕

    岡野国務大臣 鍵田先生、生い立ちのお話から始まりまして、物づくり離れの世相を憂えておられる、これはまことに同感であります。  先生、工業高校へ行く者が少なくなって、みんな普通高校へ行くというお話でありますが、私の昔の仲間あたりと比べても、やはり大学を工学部等で出ながら、先生お話しの金融機関にどんどん手を挙げていくというのがはやった時代がございました。最近、金融機関、いろいろ新聞俎上に上せられたりしてそうでもない雰囲気が出るのでありますが、先ほどうちの安定局長が数字を挙げてお話をしましたが、最近四年間で、製造業が六十万人ぐらいが減っておる、そのかわり流通業の方が八十九万従事者がふえているという話がありました。だけれども先生、運ぶ物件がなければ、流通業で幾らトラックやら何やら走ってもどうしようもない。そういう意味合いでは、やはり製造業というものがあってこその金融業であり流通の世界ではないかな。その意味合い物づくりというものは非常に重要だ。  我々子供のころを考えても、先生もそうかもしれません、やはり野っ原で陣取り合戦をやったり砂場で取っ組み合いをやっていた。ところが、最近は、うちの中でひとりぼっちでもってファミコンゲームなんかをやっている。つまり、体を全面的に使って楽しむのではなくて、手の指先だけで楽しむというようなのが、あるいは製造業離れといいますか、物づくり離れの基盤になっているのかな。だから、このごろの学校教育も、もっと子供に自然に親しむようにというようなことをやっているというものが、あるいはまた物づくりが大切だということにつながってくるのかもしれない、こうは思っておりますが、我々労働行政の中では、やはり物づくりが重要だ。  先般も、先生のお隣、滋賀県で、職人大学パイロットスクールというのをやりました。全国から四百五十人ぐらいの、先生がおっしゃった職人と言われるような労働者の皆さんが集まられて、かんかんがくがくのゼミナールをやり、直接自分でつくったものの展示をするというようなことがありますが、やはり、言いますれば、物づくりが大切だ、そちらの方に雇用が結びつく土台づくりを労働省はやるべきだというような意味合いで、ほかにもシンポジウムを開きましたり、あるいはガイダンスをやりましたり、あるいは職業講演会というようなものを開催しまして、特に私よく知っているのですが、NECの関本さんなんというのが、みんな事務屋になってしまう、慨嘆これ久しゅうしている先端を切っている人なものですから、あの大声の人を呼んできたりしてというようなことで、ひとつ物づくりというものの大切さを若い皆さんにも体感をしてもらおう、こんな、あんな試みを一生懸命やっているところであります。
  95. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 実は、私の友人で、本当につい先日まで金型屋をやっておった、自分が独立して。だれか後を継いでくれる人がおらぬかな、おるのだったら、自分の子供でなくてもいいから、それを、機械も何もみんな上げて、そして技術も教えてやろう、そしてこの仕事を引き継いでくれぬかなということでいろいろ人を探しておったのですが、結局それが見つからずに廃業してしまったというような事例もあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、一度技能を失ってしまいますと、次にそれをまた教育してやっていくのには十年間もかかるわけでございますから、ぜひともそういうことが続いていくように、今度の施策というのは私も大変感激をしておりまして、そういう面では強力にもっと推し進めていただきたいというふうに思っておる次第でございます。  それで、この高度技能の定義につきまして、本法案では金型の製造とか金属加工などというふうな書き方をされておりますが、通産の方で出されておる特定産業集積活性化に関する臨時措置法、この方では金型、部品、試作品というふうなことになっておるわけでございます。もちろんそれは共通をした取り組みをなさるのではないかというふうにも思うのですが、そのほかにも何かこれに類するようなことを考えておられるのかどうか、その定義づけについてお聞きしたいと思います。
  96. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の対策でございます高度技能活用雇用安定地域指定して対策をとるということでございますが、職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を有する労働者、これを高度技能労働者、こう言っておりますが、御指摘のような、具体的に言いますと、金型製作のほか、例えば機械加工であるとか金属研磨仕上げであるとかダイカストであるとか、こんなものを例示として考えておりますが、いずれにいたしましても、その辺につきましては、通産省とよく連携をとって同じ考え方で対処してまいるというふうに考えております。
  97. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 実は、今の空洞化によりまして製造業が大変苦しい状況に置かれておるというふうなことにつきましては、私自身も同じような認識をしておるわけでございますけれども、また一面、いやそれほど心配することもないのじゃないかという、心配はせぬといかぬのでしょうけれども、まだまだ捨てたものでもないなというふうな経験も実は私二つほどしたことがあります。  その一つは、造船業が韓国に大変追い上げられて、もう日本の造船はだめなのじゃないか、こう言われておったときにでも、造船産業の、言うたら基幹的な、中の重要な部分については韓国ではなかなかつくれない、それだけの技術がない、だからみんな日本に仕事が来るわけですね。もともと日本で造船産業が盛んなときから、みんなそういう部分については中小企業がやっておったわけですね。だから、本体は韓国の方へ仕事は行っているけれども、中身の仕事はほとんどが日本の企業がやっておるというようなことで、簡単に、向こうは側だけ、空気売っているようなものだとか言ってその人たちは笑っておったこともあるわけでありますが、そんな経験も一つはございました。  もう一つは、上海の軽工業局、向こうは自動車も含めて軽工業と言われておるのですが、そういうところから、何とか日本で金型の研修生を受け入れてくれないかというような依頼を受けまして、私、日本へ帰ってきましてから、早速いろいろ金型を使っておる大企業を当たってみました。プラスチックの金型も金属の金型もあるわけですが、ずっと回りましたら、全部うちではつくつていないと。大きな会社でたくさんの金型を使っておるのですが、いや、実はうちでは扱っていない、ほとんどのところはみんな外注なんだということなんです。  ではどういうところへ外注しているのだということで、その外注先を聞きまして、ずっと回ってみたのです。特に東大阪だとかには金型屋さんが多いのですが、大抵はせいぜい三十人か五十人ぐらいの中小企業ばかりでございます。それが例えばトヨタとか日産の自動車をつくったり、それからいろいろな電機メーカーとかの仕事もほとんどやっておるということでございまして、そこへ何とかそういう研修生を受け入れてくれないかということでやったのですけれども、やはり規模がそんな小さいと泊まる場所もないし、またそんなゆとりもないというようなことで、ほとんど断られまして、結局、上海の方には申しわけないけれどもということで、見学に来てもらうとかぐらいだったら受け入れするけれども、それ以上、研修生の受け入れというところまではちょっと勘弁してほしいというようなことで、私自身は断ったことがあるのです。  労働省の方では何かいろいろそういう研修生の受け入れの事業をやっておられるのは私も聞いておりましたので、前の大阪の労働局長をやられておった菊地さんがそういう仕事をされておるというふうなことで、いろいろな情報も得たわけでありますが、しかし、実際は私の手に負えないということでその場はお断りしたのです。  そういう経験を通じまして、これは、日本の技能とか技術とかというものもそんな捨てたものじゃないじゃないか、要はその部分をしっかり守って育てていけば、日本の製造業はまだまだそんなやわなものじゃないという実感をしたわけでございます。  そこで問題は、やはり技術技能を失ってはいけないということで、何とかいろいろな政策をやろうということで取り組んでいただいておるわけでございますけれども、この予算内容を見てまいりますと、この高度技能の分だけでも二十八億円を切るぐらいの内容でありますし、それからまた、地域雇用全般を見ましても百十五億円ぐらいですか、最近いろいろな経済事件だとかなんとか出ますと、何千億円というふうな金額で報道されますし、またそのほかのそういう数字が出てくる問題というのは、本当にもう皆、億とか兆とかいうふうな単位で話がされておる割には、非常にこれは少ないのではなかろうかなというふうに思うわけです。  これは、きょうの新聞でしたか、ドイツが大変な、今この二、三カ月で一一%台に失業率がいったらしいのですけれども、二百五十億マルク、約一兆八千億円もかけてベンチャー企業などの育成をしていこうかというような記事が出ておりますけれども、そういうものとは一緒にはいきません、雇用環境も違いますから。それにしましても、余りにもこれはちょっと少な過ぎるのではないかというふうに思うわけでありまして、もっと大蔵当局と頑張ってたくさん予算をもらってこないといけないのじゃないかなというふうにも心配するわけでありますが、その辺についてどのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思います。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  98. 征矢紀臣

    征矢政府委員 平成九年度予算におきまして、御指摘のように、地域雇用対策関係全体といたしましては百二十九億円。それから、今回の新たな地域における対策につきましては、新事業展開を担う人材を受け入れ、あわせて他の労働者を雇い入れた場合の助成、新事業展開に必要な高度な職業能力開発向上のための助成等を合わせまして、対策実施の初年度として必要な経費として約二十八億円を計上しているところでございます。  これにつきまして、少ないではないかという御指摘でございますが、私ども、今回この地域雇用対策という観点かち、技能を守り、あるいはそれをさらに発展させていく、そういうための雇用対策予算として計上したわけでございます。これは、平年度化いたしますと恐らく倍、三倍ぐらいにはなろうかと思います。  それともう一つは、来年度予算で、地域二十カ所ということで出発いたしておりますが、これも今後の実施状況に応じて、さらに十年度予算でどうするか、こういうことも考えていかなければならないというふうに考えております。  したがいまして、この予算措置につきましては、これは当面の雇用対策の最重点対策一つとして私どもは取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  99. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 この産業の集積地などで働く高度技能保持者の養成でありますとかこれに対する助成というのは、今大変緊急の課題でございまして、ぜひとも進めていただきたいわけでございますけれども、これは午前中の質問の中にもありましたが、単に雇用問題ということでとらえるのではなしに、やはり産業政策として、産業の活性化ということでとらえていかなくてはならないのではなかろうか。  したがって、法律案要綱の第三に、「関係者の責務」の中で、高度技能活用雇用安定地域の求職者や労働者について、地域雇用開発の促進に必要な施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならない、こうなっておるわけでございます。これは、通産とか中小企業庁だとかといろいろ協議をされながらこの施策を推進されていくと思うわけでありますけれども、縦割り行政が非常にきついわけでありますが、そういう中にあってこれはうまく機能していくのかどうか。  そしてまた、中央では中央職業安定審議会などもございますけれども、地方におきましても職業安定審議会などでどのように労使の声を反映していくのか。労働行政の面にはこれで反映はできるのですが、通産と一緒になったそういう会議設置するとかいうふうなことをおっしゃったのですが、この会議の持ち方を、常設的にやるのか、それとも計画をつくる段階とかだけでそういうことに取り組まれるのか、そういう通産との会議の中にどのように労使の声が反映できるようになっておるのか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  100. 征矢紀臣

    征矢政府委員 産業政策担当部局との連携の問題でございますが、まず、今回法律をお出しいたしておりますが、通産省におきましても、今国会で特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案、これを提出し、御審議をいただく、こういうことになっております。この両法案ができるだけ地域を共通化するというようなことで、産業政策雇用対策、労働政策、両面から対処しよう、こういう考え方でやろうとするものでございます。  実は、連携がうまくいくかどうかという御指摘の点につきましては、別の法律中小企業労働力確保法というのがありまして、これは一本の法律で、共管で、両省で対策をとる、こういうことでやっております。こういう対策中小企業の新分野展開あるいはベンチャー企業支援、そんな形でやっておりまして、これについての連携は、ここ二年ぐらいになりますか、法律ができてから実績がございます。  都道府県段階では、労働担当部局と商工担当部局がございますので、その辺が連絡をとりながらやるというようなことで、実績も上げてきているところでございます。  今回の法律につきましても、実際に実施する際には、まずは県レベルの計画段階では、御指摘のように都道府県職業安定審議会というのがございまして、これは労使、公益三者構成の審議会でございますから、そういうところできちんと意見をお聞きしながら対処するというようなこと。それから、地域内の具体的な段階になった場合には、その地域におきます労使の関係団体あるいは関係行政機関等が集まりました会議をつくりまして、これはその一回限りということではなくて、そういうシステムをつくって、そういうところでいろいろな議論をし、問題点を整理していただきながら対処する、こんな考え方でまいりたいと思っております。
  101. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 先ほどから地域指定について二十カ所ほどというふうに言われておるのですけれども、これは何かの調査をされたり、また何か根拠があって二十ほどということになったのではないかというふうに思うのですけれども、その辺の若干の説明をしていただければと思います。
  102. 征矢紀臣

    征矢政府委員 高度技能活用雇用安定地域につきましては、高度の技能等を有する事業所が集積し、経済上の理由によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域指定する、こういう考え方整備いたしておりまして、この具体的な地域につきましては、各都道府県の中にありまして、製造業中心とする物づくりを支える産業事業所が集積している地域であって、企業の海外移転や製品、部品の輸入によって大きな影響が生じていること、また、雇用に関する状況が次第に悪化し、または将来悪化するおそれがあること、これを基本的な要件として指定することを考えております。  かつまた、この指定に当たりましては、関係都道府県の要望あるいは御意見を十分踏まえることといたしておりますが、この背景になる地域状況につきましては、これは全国的な、今申し上げましたようなところの状況をいろいろ把握をしながら、そういうものの中で考え方を集約をいたしてきております。  それから、あわせまして、先生御出身のゼンキン連合におきましても非常に御熱心に調査などがされておりまして、そういうものも踏まえながらこの対策の企画立案をしてきた、そういう経緯がございます。
  103. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 通産の方も地域指定される、そして労働省の方も地域指定されるのですけれども、これのすり合わせなどについてはもう既に終わっておるのでしょうか。
  104. 征矢紀臣

    征矢政府委員 地域指定につきましては、これは法律が成立後、具体的に実施する段階において指定する、こういう考え方でございまして、幾つかの今言いましたような具体的な地域の情報は得ておりますけれども、その作業自体は、これから法律成立後行う、こういうことになるわけでございます。  この地域指定に当たりましては、通産省の物づくり基盤となる産業集積の活性化を促進する地域とこの高度技能活用雇用安定地域、これができる限り共通化できるように、そんな考え方で検討してまいりたいというふうに考えております。
  105. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 そういうことになりますと、地域の方とのすり合わせもしなくてはならないわけでありますし、そうしますと通産との間で場合によってはミスマッチが起こるというようなことも考えられるのではなかろうかというふうに思うのですけれども、その辺につきましてはいかがでしょうか。
  106. 征矢紀臣

    征矢政府委員 基本的に共通の考え方で対処しているわけでございますが、全く同じ法律でぴったり同じ考え方かという点になりますと、おっしゃるように考え方が少し違い得るところもあるわけでございまして、具体的には、例えば、私ども雇用対策でございますから雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域、こういうことで考えておりますが、産業政策上は必ずしも雇用状況が悪化するおそれがなくても必要であるということもあり得るわけでございまして、そういう点での考え方のずれが少しあるということも想定はいたしております。  ただ、現実問題に、やはり産業政策と労働政策ができるだけ連携をとって同じ地域に対処することが効率的な行政という観点もございますので、そういう意味での調整を十分してまいりたいというふうに考えております。
  107. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 もう一度、地域での労働省、通産省の共通の会議の場というふうなものももちろん行われるのでしょうね。そして、その中で労使の声も反映できるということになるのか、その辺だけちょっと確認をしておきたいと思います。
  108. 征矢紀臣

    征矢政府委員 高度技能活用雇用安定地域におきます雇用開発を進めるに当たりましては.都道府県地域における雇用開発の目標あるいはその促進のための方策等を盛り込んだ地域高度技能活用雇用安定計画、これを策定していただくことになるわけでございます。  この計画は、当該地域におきます地域振興策や産業政策との整合性を図りながら策定すべきものでございまして、また、策定された計画に沿った具体的な政策の展開に当たりましても、労働関係部局と商工関係部局、これが密接な連携を図るなど、産業政策との連携に十分努めてまいりたいというふうに考えております。
  109. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ちょっと心配しますのは、労働省の場合は基準局などがそれぞれの府県にあるのですが、通産の場合には通産局というのは必ずしも各府県にあるわけではないのですね。それと、そういう労働問題なんかに精通した人が各都道府県におるとは限らないわけでありまして、そういうすり合わせがうまくいくのかどうかというのを懸念をしておるものですから、これ以上は申しませんけれども、ぜひともそういうすり合わせを十分やっていただいて、地域の声も反映をさせながら実効のある施策を推進していただきたい、こういうふうに思っております。  それから、午前中の質問の中でも出ておりましたけれども市町村単位でこの地域指定というのが原則的にはやられるようであります。若干地域を外れましても、柔軟に、一つの経済地域であるというふうな見方をすればこれも含めてというふうなことでありましたけれども、ぜひともこの問題についても柔軟なやり方をしていただかないと、やはり一つの経済圏となってもそれは必ずしも一つ市町村の区域でくくり得るわけではございませんので、そこらの点はひとつぜひともよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、助成とか援助事業の個別の金額などについて午前中に説明がございましたけれども、これが具体的にどのような効果をもたらすものか。それは確かに助成が出るわけでありますから、ないよりはある方が助かるというのはわかるのですけれども、やはり何か、別にマクロモデルとまでは言いませんけれども、そういう雇用に与える影響とかいうふうなものが予測できるようなものの資料がありましたら、若干お答えいただきたいなというふうに思います。
  110. 征矢紀臣

    征矢政府委員 まず、先ほどの点でございますが、商工担当部局と申し上げましたのは、都道府県が現在大体商工労働部になっておりまして、したがって商工担当部局と労働部局が同じところにあるものですから、そういう意味で十分連携が図れるのではないかというふうに考えております。  それから、地域につきましては御指摘のとおりでございまして、企業あるいは経済、これはいわゆる行政区画関係なしにでき上がるわけでございます、経済圏あるいは労働市場圏。したがって、私どもの行政はむしろそちらの方を頭に置いて対処をするというのが一般的でございまして、そういう意味では、一般的には複数市町村がその経済圏、労働市場圏を見て対象になるというふうに考えていただいて結構でございます。  それから、ただいまの御指摘の、どのぐらいの効果があるかという点につきましては、率直に言ってなかなか申し上げかねるわけでございまして、今回新しい考え方でこういう集積、技能地域指定して、そういうところの技能の保存と雇用確保を図る、こういう観点から対策をとるということにいたしているわけでございます。  これで申し上げるとすれば、予算の積算上でどのぐらいの人数を積算しているか、こういうような点であれば、三千人ないし四、五千人程度までの規模ということで積算はしておりますが、これは波及効果がどのくらいあるか、あるいは実際にどのくらいこの制度を活用していただけるか、率直に言ってこれはやってみなければなかなかわからない面もありますし、基本的な考え方対策方向として、少なくとも現状の中で積極的にこの対策を打った方がいい、やった方がいい、そういう判断はいたしております。制度の運用は、できるだけ実情に合わせまして効果的になるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  111. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 一番冒頭に大臣にお伺いをいたしまして、いわゆる職業観などということで若干議論をさせていただいたわけでありますけれども、こういうことを今後進めていこうとしますと、やはり学校教育のあり方、家庭教育のあり方、こういうことから変えていかなくてはならないわけであります。また、職人と言われるような高度な技能を持った人がたっとばれる社会にならなくてはならぬのではないかというふうに思うわけでありますが、今そういう高度な技能を持っておる人たちに対する評価というものが必ずしも高くない、そこらに問題があるわけでございます。  先ほど例に出していただきましたゼンキン連合の方でも調査をしましたけれども、熟練工の人たちが社内評価が非常に低い、こういうことで不満を持っておる人が五五%ぐらいおられるようでございまして、これからそういう高度な技能を持っておる人が社会的にも社内的にも評価をされる状況をつくっていかなくてはならないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  午前中の吉田議員の質問の中にも、ドイツのマイスター制度などについても質問がございましたけれども、やはり公的な評価システムといいますか、今もいろいろな形でやられてはおりますけれども、これをさらに充実をさせて、そして社会的な認知が得られるような政策を実施していただけないかどうか、こういうことについてお考えがあればお聞きしたいと思います。
  112. 山中秀樹

    ○山中政府委員 先生おっしゃるとおり、物づくりを支える人材の育成、しかもすぐれた技能を維持し発展させ、かつそれを継承していくということは非常に大切なことだというふうに私ども思っておりまして、そういう意味で、技能者の社会的あるいは経済的地位の向上を図るとともに、技能が尊重される社会を形成していくというのは、私ども非常に重要なことだというふうに思っております。  私ども、今具体的に先生おっしゃったように、百三十三職種の技能検定制度の充実を図ったりして、労働者技能が適正に評価されて、それが賃金を初め労働条件、処遇の改善に適切に反映するということが非常に大切だというふうに思っております。そういう意味で、私ども、特に技能五輪全国大会、青少年の技能を競う大会を毎年開催いたしておりまして、そういう意味技能が尊重されるという機運の醸成を図っておりますとともに、全国の公共職業訓練施設の訓練生の作品や高度な熟練技能者の作品を展示して、あるいは現実に実習する全国総合技能展などを開催いたしまして、そういう技能が尊重されるという機運の醸成をやっているところであります。  先生今御指摘の、非常に高度熟練技能者の活用ということ、そして社会的地位の向上を図るという点についてですが、例えばミクロン単位の精度が要求される光学レンズの研磨等々、高度熟練技能の実態やその活用方法について、現在私ども、学識経験者を交えまして、どういう形で今後活用、発展させていくかということの検討を進めております。  この検討結果を踏まえまして、どういう形で高度技能を承継、発展させていくかということを検討していきたいと思いますが、例えば、高度熟練技能を具体的に伝える文書、秘伝書というのですか、あるいはビデオなんかをつくるというようなことも、今まだあれですが、そんなことも考えておりますので、そういうことも含めて、今後、社会一般に高い評価が得られるような形での施策を進めていきたいというふうに思っております。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  113. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 先ほどから私は何回もすり合わせというふうな言葉を使わせていただいておりますし、また、恐らく皆さん大抵のところでよくその言葉を使われるわけです。これは、金型とか機械加工をするときに、手作業で、品物と品物が非常に平らになってお互いにスムーズに動くような、そういう作業を手で行うわけですけれども、キサゲやなんかを使いまして、それで削りながら非常に平らなものをつくっていくというふうな作業をする。旋盤のベッドなんかでも、昔はほとんどがそれでやっておったわけであります。このすり合わせという言葉はそういうことから出ておるわけでありまして、私たちにとりましては大変含蓄のあるいい言葉だなというふうに思っておるわけでございます。  そういうふうな技能者が本当にだんだんなくなっていくというのは非常に寂しいわけでありますし、これは単に情緒的に寂しいというだけじゃいかぬわけでございまして、こういう技能者を育てていくという意味では、午前中も訓練学校の問題がいろいろ出ておりましたけれども、若干それについて質問をしたいというふうに思うのです。  従来から、どちらかというと技能者の教育というのは、公的な面でもやっておられましたけれども企業は、自分企業に合った訓練をしなくてはならないというふうなことで、社内での教育に随分力を入れてきておったと思います。そして、公的な教育訓練との間にかなりミスマッチがあったと言えるのじゃないか。私は、せっかく一生懸命努力していただいているのに、それをけなすというような気持ちはありませんけれども企業経営者にとっては、かなりそれは不十分な訓練であるという評価しかされておらなかったように思います。  そういう面で、教育訓練には企業が大変力を入れておったわけでありますが、その辺は、特にヨーロッパあたりの技能訓練と大分違うのじゃないか。先ほどのドイツのマイスター制度にしましても、デンマークあたりの職業訓練にしましても、大変体系的にやっておって、企業もそれにある程度頼っておるというようなところがあって、企業の訓練にかかる経費というものを公的な面で支えておるというような実態があるのではなかろうかなというふうに思うわけなんです。  職業訓練短期大学ですか、それを今度は大学化するというようなことも聞いておるわけでありますけれども企業のニーズとどれだけマッチした訓練を行うかということを考えた場合に、こういう大学なんかに、単に教授とかそのクラスだけじゃなしに、運営全体の中に民間企業の人が入って、そしてそういう声が反映できるような形をとれないのかどうかということについて、何か御意見がございましたら。
  114. 山中秀樹

    ○山中政府委員 先生の御指摘の、職業訓練を行っていく場合に、特に現場に密着した、現実に現場でおられる方が職業訓練の先生になって具体的に教えるということは、非常に私ども大切なことだと思っております。  そういう意味で、例えば今回短期大学校を大学校化する上におきましても、例えば指導員が私どもいますけれども、そういう指導員に各企業からこちらへ来ていただきまして具体的に教えてもらうとか、今出されました職業能力短期大学校におきましても、企業の実際の人たちを呼んで具体的な訓練をしていただいている。こんなような状況で、できるだけ現場の企業のニーズと私どもの訓練とが実際合うような形での職業訓練が行われなければ現実に意味がないということでありますので、そういう方向で努めさせていただいておるところでございます。そういうことで御理解いただきたいと思います。
  115. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 ぜひともそういうことをもっと進めていただきたいと思いますし、私は、運営についてもかなりの部分で民間の声を取り入れていただければというふうにも思っております。  そこで、こういう施策を推進していく上において、今回の改正案の中でも、「雇用促進事業団法及びこれに基づく命令で定めるところにより、」「事業の全部又は一部を雇用促進事業団に行わせるものとする。」ということが書かれておるのです。私、今の段階で雇用促進事業団がどうこうということは申し上げませんけれども、しかし最近は、政府の特殊法人を統廃合なども含めて見直そうということが言われておるわけでございます。今後、そういう計画については政府の方からも発表があろうと思いますし、国会でもいろいろ議論されると思います。そういう段階のときに、ここで明確に雇用促進事業団にこういう諸施策を行わせると書いておくことがこれからの施策の推進の上においていろいろ支障が来ないのかどうか、そういうこととの整合性はどうなのかということについてお答えをいただければというふうに思っております。
  116. 岡野裕

    岡野国務大臣 雇用促進事業団を今行革という観点から見直すということは私が現にやっていることでございます。しかしながら、今先生からお話をいただきましたような職業訓練といいますものを国でやらなければならない、国で当然やるに値する仕事であるというのは、私のみならず、きょうお集まりの諸先生、御理解をいただいていると存じます。  ただ、国でやる場合に、国自身がそれをやるか、それとも特殊法人をしてやらしめるか等々は、国によって必要だという機能を決めた場合の後の作業になろうかと思っております。  ところで、雇用促進事業団は法律によって現に存在をいたしております。したがいまして、今法律案も、雇用促進事業団をして当該業務をやらしめるとこうなっておりますが、雇用促進事業団が、将来においてこの事業団そのものの存廃がどうなるかわかりませんが、その存廃いかんにかかわらずこの仕事は国の仕事として何らかの形でやりたいものである、現時点におきまして大臣としてはかように心得ているところでございます。
  117. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 行政改革という視点もありますし、それからまた雇用問題などを中心としたそういう施策も推進していかなくてはならないわけでありますから、ぜひとも、その辺の整合性というものを十分考えながら積極的に一つは進めていただきたいと思います。  時間がかなり迫ってまいりましたので、若干海外の雇用問題について御質問したいと思います。  実は、ドイツというのは日本と同じように大変物づくり中心として経済的に成功した国でございましたし、そういう面では雇用の面でも大変優等生であったわけなんですけれども、ある時期から急に悪くなってきた。一九七四、五年ぐらいから悪くなってきたのじゃないかなというふうに思うわけです。  これは第一次の石油ショックぐらいからじゃないかなというふうにも思うのですけれども、その時分までは一ないし○・幾らとかというふうな失業の状態であったのが、七五年、この時分に、五年置きぐらいの統計しかちょっと持っておらないものですから、一九七五年の時点で四・七であった。それから、最近では大体九%台で来ておったのがこの二、三カ月で一一%台に上がってきておる、こういうことになるわけであります。  よく人は、この雇用状況、ドイツが悪くなってきたのは東ドイツを統合したということもあるのだというようなことも言われておるのですが、本当はもっとその前から、三塚大蔵大臣の好きなお言葉ではないですが、ファンダメンタルズが悪くなってきておったのではないかというふうに思うわけなんです。  そこで、これをどのように分析するのかということは、やはりこれからの日本の雇用問題を考える場合にも、今高い、高いと言っても、三・五%ぐらいだったら低いじゃないか、外国から比べるとそういうふうにも見られるわけであります。こういう雇用の問題のとらえ方というのはいろいろありますから、日本の場合には三・五もいけば大変な失業だというふうに受け取れるわけでありますけれども、その辺の分析についてどのようになさっているのか。もしそういう分析があるとするなら、お答えいただければと思うのです。
  118. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のように、ドイツの現状、失業率が一〇%を超えておりまして、非常に厳しい状況でございます。一つの契機といたしましては、東西ドイツが統合したということもありましょうけれども、それのみならず、やはり全体の基盤が硬直化している、そういう問題があって非常に厳しくなっているというふうに考えております。  その点を労働市場という面から見ますと、やはり異常に労働市場自体が硬直化しているというふうな見方もされております。一方で、マイスター制度という制度で非常にきちんとした技能労働者のシステムがあるのですが、これが、急激な構造転換が迫られる時代になりますとそういう転換にうまく適合できないと、そういう面でのデメリット、そういうものもあるというようなこと。したがって、産業構造の転換に柔軟に対応できない、そういう問題があってなかなか厳しくなっている、そういう面も否定できないように思います。そういう点からいきますと、我が国の場合は比較的労働市場も柔軟性がございます。  そういうことから、今後、非常に重要な時期に産業構造の転換、構造改革を進める中で雇用対策を最大限適切にやっていく必要性、そういう面からのチェックもしながら雇用対策考えていく必要があるのではないかというふうに考えておるところであります。
  119. 鍵田節哉

    ○鍵田委員 そういう面で日本が絶対に西ドイツの二の舞を踏まないというような保証は何もないわけでございまして、ぜひとも、そういうファンダメンタルズを良好に保っていくような努力をひとつ労働省の方でお願いをしたいというふうに思います。  時間が参ったようでございますのでもうこれで質問は終わりますけれども、実は私、この間は西ドイツのDGBの例を申したのですが、アメリカのAFL・CIOの組合の皆さんと話をしましたときに、やはり日本人はワーカホリックじゃないか、けしからぬというふうなことを言われたわけです。  私自身は、日本人は物をつくるということを喜びとして、それで労働してきた、だからあなた方とは労働観が違うんだと。だから、アメリカ人のつくる自動車などは、月曜と金曜日につくったやつは乗るなというふうなことを言われておるけれども、日本ではそんなことはない。いつも品質も均一であるし、そして車の大きさも、何か余りにも日本のは小さいから危険だとかなんとかとぼろくそに私非難をされたわけでありますけれども、一人の人間が移動するのにあんなばかでかいものが要るか、資源もたくさん要るし、ちょうど日本ぐらいのやつが適正なんだ、だから日本ではなかなかアメリカの車は輸入できないのだというようなことを言って、かなりひんしゅくを買ったかもわかりません。  そんな議論をしたこともあるわけでございますけれども、やはり物づくりというのは何におきましても基礎でございますので、ぜひとも、この物づくりのところの技能労働者を養成していく、また守っていく、こういうことについて労働省の積極的な施策の推進をひとつお願い申し上げまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  120. 青山丘

    青山委員長 次に、近藤昭一
  121. 近藤昭一

    近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  今回の地域雇用開発等促進法改正について御質問させていただきます。  まず、大きくビジョンというものを大臣にお伺いしたいのでありますが、大企業が安い労働賃金を求めて海外に大変に移転しております。いわゆる空洞化と言われている状況でありますが、こうした日本の経済構造が大きく変わる中で今回の法改正が行われるわけでありますが、いろいろと資料を読まさせていただいております。  ただ、残念ながら、その目指すところがどうも文章で読んでいるだけではなかなかぴんとこない。なるほどと思う反面、ここでうたわれているような新事業、それは一体具体的にはどんなものなのか、どういう事業が展開されて、これからの時代を担っていく若い人たちがどんな夢を持ってそこで働いていくのか、それが具体的にちょっとイメージできないわけであります。  職場の環境改善あるいは労働者福祉の推進もさることながら、やはり労働省としても、これからどういったビジョンを持って日本の物づくり産業というものをとらえていくか、これが大変に必要なことだと思っておるわけであります。つきましては、今回の法改正が必要になった経済構造の変化という背景と、抜本的に、根本的に、この法改正が目指すところをちょっと大臣から具体的にお話をいただきたいのですが。
  122. 岡野裕

    岡野国務大臣 近藤先生、けさからこの法律案の趣旨でありますか、目的等々につきましてはお話をしてまいったつもりでありますが、先生が具体的にとおっしゃいますから。  これは、職安局長がさっきも、大臣と一緒に見てきたという話をしましたが、こんなです。これは大田区です。大田区で、今までヤシカというカメラの大きな工場がありました。それがマレーシアに生産拠点を移すということで、工場もそっくり向こうへ行っちゃったのです。そのヤシカに、周りには中小企業がいっぱいありました。非常に立派な技術を持っている下請もありました。その下請の中でこういうのがありました。鍵田先生、金型をおつくりになるというお話でありますが、これも金型をつくっているのであります。  どういうことかというと、カメラというのは、先生、中に光が入つたのではどうしようもありません。だから、完全な密閉の個室みたいなものを、小さくあるけれども、これをつくる金型でありました。そして、レンズで望遠みたいなものがあるでしょう。こう、くくくっと巻くと長くなったり細くなったりする、それがこういう溝の中をくるくるくるっと回っていくわけですね。そういう金型をつくっている工場がある。  ところが、納めるヤシカが行っちゃったものですから、もうどうしようもないと。うちの企業はどうしようか、労働者はわずかに十五人、しかしながら、これの今後にかかわるということで、これはもう前々から、ヤシカが行きそうだというころから研究をしてきた、いろいろ情報を集めてきた。  それで、医療器具で点滴があります。点滴、こんな合成樹脂でできておりまして、あの合成樹脂は中に薬が入るわけでありますので、よその空気が入ってきて、中でもって汚染されてしまっては困る。つまり、完全な密閉体をつくらなければならない。しかも、そこのところヘアンプルを差し込んで、それがこう、らせんをくるくる回すに従ってアンプルが下へおりていって、そこから液が出て、この点滴液ができる。医療機器をつくるのに、さっきの金型の技術を全面的に生かすということで大成功をしておりました。  ああなるほど、典型的な雇用空洞化、それに伴うところの既往め立派な技術を生かすものである。そうだとするならば、その技術はこれからも伝承していかなければならない。もっと大勢の皆さんがそういう新しい技術をマスターできるようにしなければならないというような、先生、私はまだ三カ月ちょっとしかならぬのでありますので、やはり現場へ行って見ることだというようなことをまざまざと感じました。  ここでさっきから繰り返しているようなとうとうとした話はなんでありますので、合っているかどうか知りませんが、具体的な話をしました。
  123. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  大臣おっしゃるように、やはり私ども政治家は、現場の声を大切にして、それを法案等の立法あるいは法案改正に反映させていくこと、それが一番大事だというふうに私は思っております。  その中で、大臣おっしゃる新しい技術、いや、今まである技術を違った事業の方向に向かって展開させていく。今回の場合ですと、カメラに使っていた技術を点滴の技術に利用していく。その中で私が一番危惧いたしますのは、そういった確かに技術空洞化を、維持発展させていくという問題、非常にそれが大事だということを押さえた上で、ただ、今回の展開でありますと、カメラから今度は医療の点滴に事業を展開していく。つまり、こういりた先端技術をとにかく日本が維持していく、そして、その先端技術をいかに展開していくか、とにかくそれを考えて、それを日本が大事にしていくか、この視点は大切だと思うのです。ただ、海外との関係で申し上げますと、確かに企業が、この場合ですと、ヤシカが新しい安い労働賃金を求めてマレーシアに行ったという状況、そこで、大きな工場がなくなってしまった。下請である会社が困ってしまった。  ただ、今度、ヤシカが移動していったマレーシアにおいても、徐々に、多分、金型をつくる下請企業と申しましょうか、そういったところが技術を持ってくる、開発をしてくる。そしてまた、それが、もしかしたらそういった点滴の医療の分野にも進んでくる可能性が全くないとは言えないと私は思います。  そういう中で、例えば、向こうの下請企業はまだ技術が発展していない、金型の下請が、日本でつくっていた、ヤシカの下請でつくっていた会社の技術がほしい、あるいはもしかしたら、医療器具に新しい事業展開を求めて、下請が頑張っているにもかかわらず、日本の企業、例えばヤシカを通して、今度は医療器具に使っているそういう事業の技術のノウハウをやはり海外にも、マレーシアにも移転をしてほしい、そういう要望はこれからたくさん出てくると思うのです。  あるいはまた、技術の進歩でありますので、どんどんとそういう技術は追いかけてくる。そうしますと、ある意味で、イタチごっこと言っていいのかどうかわかりませんけれども、日本の技術を維持していく、さらに発展させていく。それに対してアジアの方から技術移転の要望を、技術移転をしてくれ。あるいは我々も、技術を追いかけて、新しい技術を追って、そこに追いついていく。そういうときが来たときに、何というのでしょうか、産業空洞化と言っていいのかどうかわかりませんが、雇用の不足というものがまた出てくると思うのです。  そういったような状況を、先ほど大臣、現場ということをおっしゃいましたが、若い人たちはなかなか現実的なところがございまして、そういった、また追いつかれる、それに対してまた、馬車馬のようにと言っていいのかわかりませんが、そういった技術を求めていく、そこに本当の豊かさ、労働というものがあるのだろうかということを思うのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  124. 征矢紀臣

    征矢政府委員 現在、御承知のように、大競争時代に入ったと言われておりまして、具体的には、先生指摘のようなそういう状況になってきているというふうに思います。  一方で、世界経済の中でそういう状況というのが避けて通れない、そういう時代になってきた。そうしますと、ただいま大臣申し上げましたような例が、先生おっしゃるように、これがまた海外に移転する、そうなれば、さらにまた新しい技術開発して新分野に行かなければならない、そのテンポが非常に速くなってくる、そういうことが避けて通れない、そういう時代であろうかと思います。  ただ、一方で、そうはいいましても、やはり日本の現在の国の情勢、そういう中で物づくり重要性はもう基本でありまして、否定できない。したがって、物づくりのための技術技能、これも重要である。そういうものをどうやって維持発展させていくか。それと、そういう中で新しい産業を将来に向かって具体的にどういう方向展開していくのか、そういうことについてはやはりみんなで知恵を絞ってやっていかなければ、国全体の、社会の安定もなければ、雇用の安定もない、こういう状況であろうかと思います。  そういうところについてどういうふうに対処するか、そういうことに知恵を絞っていかなければならない、そういう時代になっているものではないかというふうに考えております。
  125. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  今お答えいただきましたように、大変な大競争時代になってきた、その中で労働者あるいは使用者そしてまた国というものが、一体感を持ってこれからの日本の雇用環境というものを育てていくということだと思うのです。  もう少しその点につきましてお話を伺いたいわけでありますが、今ちょっとお話の中にもあったかとは思うのですが、日本という国の戦後の地域雇用対策というものを振り返ってみますと、政府が資金を出していわゆる公共事業、これによって失業者の就業の機会をつくった失業対策時代、あるいは集団就職のような形で労働力が過剰なところから不足しているところへ職業紹介するというような、広域的な労働力の移動の政策の時代というものがあったと思います。さらに、解雇抑制をして雇用創出も視野に入れた時代へと進んでまいったと思うのです。  そういう中で、今回こうした空洞化が起こってきた、つまり私は一つの視点といたしましては、先ほども述べたことの繰り返しになるのでありますけれども、こういう人間が必要だ、こういう職能、技能を持った人たちが必要だという需要サイドの考え方はもちろんこれからも大切になると思うのですが、物づくりというのはやはり人材確保だと思うわけであります。若い人たちが働いていこう、ここで頑張っていこうという労働者の側から考えた仕事というものをどういうふうに供給できるのかという視点も大変大切になってくると思うのですが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  126. 征矢紀臣

    征矢政府委員 先生おっしゃるように、その点が非常に重要な一つの視点だろうというふうに考えます。ただ、具体的にそういう視点に立った場合の対応策で、なかなかいい知恵がないわけでございますが、先ほど来御議論がありますように、一つは学校教育の中でそういう物づくりというものに対する教育をどうするか。それから、一方ではそういう物づくりをしている技能に対する社会的な評価をどうするか。  そういう中でやはり若い人が今後の経済情勢の変化の中で必要な技能というものを、仕事を選ぶのは本人の自由という面からいきますと自分がそういう仕事をしたいというふうな流れができませんと、そういう仕事につく人が少なくなっていってしまう。そういう面もあるわけでございまして、そういう環境づくりをどうやってしていくか、これが今後の一つの重要課題だというふうに考えております。
  127. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  本当に空洞化する中で難しい問題を抱えていると思いますけれども、私ども地元に帰りましていろいろな声を聞かせていただく、その中でまた法案改正に反映させていきたいと思っております。  ところで、今回の改正案は、通産省の特定産業集積の活性化に関する臨時措置法との連携で実施されるということでございます。通産省そしてまた労働省考え方は、今幾つか御返答いただいた方向性という中で双方の考え方にずれはないのか、お聞きしたいと思います。
  128. 岡田秀一

    ○岡田説明員 通産省で現在準備しております地域産業集積活性化法案におきましては、基盤技術産業集積というものを考えております。他方、本日御審議いただいております地域雇用開発等促進法におきましては、高度技能活用雇用安定地域というものを設定して施策を行うということでございます。どちらも技術あるいは技能というものが集積しているという点で地域のとらえ方が共通しておりますので、おのずと対象となる地域にも共通性が出てくるものと考えております。  集積活性化法案の運用に当たりましては、地域雇用開発等促進法指定地域と可能な限り同一の地域を手当ていたしまして、その地域におきまして二つの法律の施策が相乗的に効果を発揮するように努力をしてまいる所存でございます。
  129. 近藤昭一

    近藤委員 労働省、通産省の指定する地域のとらえ方は大体一緒である、対象地域については共通化するということなんでしょうが、具体的にどの程度共通化できるのか、お教えいただけますでしょうか。
  130. 征矢紀臣

    征矢政府委員 具体的な地域指定につきましては、地域雇用開発等促進法を御審議いただきまして国会で成立いたしました後、これを施行する段階で指定するということになるわけでございます。したがって、現時点ではまだその準備作業を始めているわけではございませんが、そういう準備を進める中で、地域の実情、全国各地における状況がどうかという点につきましては、通産省と連携をとりながら諸般の情報は集めております。  そういう中で具体的に指定の作業を進めてまいりたいというふうに考えているところでございまして、その際、できるだけその地域が重なるように、そういう観点から努力をしたいというふうに考えております。
  131. 近藤昭一

    近藤委員 指定についてのそれなりの下調査をしていらっしゃるということだと思うのです。具体的にまだ施行されていないわけでありますが、指定希望はたくさん出ると思っていらっしゃるでしょうか。  聞くところによりますと、決してそれは多いわけではないと思いますが、こういった促進法の地域指定されることによって、空洞化が進んでいる、そこには将来についての展望がないのではないか、いわゆるイメージダウンに逆になってしまうのではないか。そんなことによって、指定されることを恐れているというか、指定されることを辞退したい、そんな声も聞いておるのでしょうか、いかがでしょうか。
  132. 征矢紀臣

    征矢政府委員 諸般の情報を集約いたしまして、どのくらいの地域が検討対象になるかということで内々検討いたしているわけでございますが、昨年末時点でいろいろ集約した結果、三十三都道府県で三十五地域ぐらいが該当するのかなという検討はいたしております。  ただ、これにつきましては当然関係都道府県の御意見というものもお伺いするわけでございまして、そういう意味では、地元の方でそういう地域の対象にすべきではないという御意見であれば、それは当然外すということになります。ただ、現状におきまして外してほしいというような御意見があるわけではございません。
  133. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。  まさしく今お言葉の中にもあったと思うのですが、今回の法案改正、その施策の進行につきましては、それぞれの地方の自治体との協力の中で行われていくのだと思います。  それで、こうして国の施策の中で行われる部分と、やはり地域地域で、産業技術が集積しているところにおいては、空洞化という大きな悩みに対して地域独自の対策を既にとっているところも多いのではないかというふうに思うのです。この地域独自の既に行われている対策についての調査、情報把握についてはどの程度進んでいるのか。労働省、通産省、双方のお話を聞きたいのです。お願いします。
  134. 征矢紀臣

    征矢政府委員 私ども立場で申し上げますと、私ども雇用対策を実施する、こういうことでございまして、そういう観点からいきますと、現在この法律お願いしているような対策、これは来年度予算で計上して法案お願いしている、こういう段階でございます。各都道府県で独自に雇用対策の面で先生の御趣旨のようなことを検討している例というのは、具体的な調査をしているわけではございませんが、そんなにないのではないかというふうに考えております。
  135. 岡田秀一

    ○岡田説明員 通産省で準備しております地域産業集積活性化法におきましては、まず、都道府県の方が活性化計画というのをつくりまして、その中で法律の対象となる地域などを定めることにしておりますけれども、私どもの方で聞いておりますところでは、都道府県の中には既に計画の作成に向けていろいろな準備や検討を始めているところもあると聞いております。  いずれにいたしましても、都道府県市町村でさまざまな対策が必要になってくるものがあると思いますので、県議会での審議やらあるいは来年度での予算に向けての御検討の中で、本法案あるいは私どもの方の法案の進みぐあいを見ながら、県の方で調整がなされていくのではないかと思っております。
  136. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  今ちょっと御質問させていただきましたのは、もう少し具体的に、既に各地域でも対策事業を行っているのではないか。  私は東海ブロックの選出でございまして、地元に三重県が入るわけでございます。三重県では、質問の中にも何回か出てまいりましたマイスターという制度、いかに職に自信を持って誇りを持って働けるかどうかという環境づくりのために、いわゆる熟練職人の人をたたえ、三重県民に広く技能の大切さを知ってもらうために、来年度からでございますが、いわゆるマイスター事業というものの創設を計画いたしております。このマイスターに選ばれますと、一定の期間、県が資金援助をいたしております。また、三重県の場合は、県立高等技術学校では、技術者の養成を行うなどの取り組みをしているということでございます。  そういった意味での地域のそれぞれの活動をよく調査していらっしゃるかどうかという質問であります。
  137. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま先生おっしゃるような、県独自でのマイスター制度というような対策、こういうものが県によっていろいろあるということについては承知いたしておりますが、ただ、それを組織的に私どもが具体的に調査をしているという点につきましては、そういうところの調査は行っておりません。  ただ、個別の例で、大変知事さんが御熱心で、県独自の雇用対策でそういうことをおやりになっている。もちろん、労働省の方にも、現代の名工というような形で、非常にすぐれた技能の方について表彰する制度、そういうものも幾つかございますが、県独自にやっているそういうものもあるのは承知いたしております。
  138. 岡田秀一

    ○岡田説明員 私どもでも組織的に正式な調査というものをいたしているわけではございませんが、このような法案を準備するということを昨年の七月ぐらいに発表いたしましてから、さまざまな県や市町村から、うちではこんなことをやっているけれどもこれはうまく法案の中の対象になるのだろうか、あるいは私どもはこういう違うことをやっているけれどもこういうものもぜひ対象にしてほしいというようなことで御相談がありましたり、あるいは私どもに知恵をかしてくださったり、そういうことで、県、市町村の方、たくさんの方とお目にかかってお話をお伺いしました。そういう中で、今先生が御指摘になりましたように、県独自にいろいろなことをやっております。  県によりましては、新しい工業技術センターをつくってみたり、あるいは箱物だけではなくて、中に入れる設備を最新鋭のものを用意して地元中小企業に使わせるようなことをいたしまして、地元中小企業、中堅企業技術力の向上のためにさまざまな対策をしたり、あるいは県独自の技術開発予算をつくって、特に物づくりの役に立つような研究開発をしている中小企業者に補助金を出すというような形もしていると聞いております。  私ども法案の運用に当たりましては、そのような自治体の努力あるいは地元の事業者の取り組みの熱意、そういうものも勘案いたしまして、そういうものがうまく生かされるように法案を運用していきたいというふうに存じております。
  139. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  この法案の中にももちろんうたってあるわけでありますが、いわゆる地方自治体、そこから上がってくる計画、その計画中心にして施策が進められていくこと、それがやはり一番大切だというふうに私も思っておりますので、その点、既にいろいろ配慮はなされておられるとは思いますけれども、十分な御配慮、さらなる御配慮をお願いしたいと思います。  私が今まで質問いたしてまいりましたことは、今後の雇用対策においては、やはりとにかく雇用創出すればいい、新しい産業をつくってどんどんとそういった技術を追い求めて、そこに雇用を求めていく、そういったある意味で与えてやるというような方向ではなくて、やはりどうしたら人材が新しい産業に入っていくか、若い人たちが意欲を持って物づくりをしていく、非常に抽象的にはなると思うのですが、いわゆる心の問題だというふうに思っております。そういった意味で、先ほど申し上げたようなマイスターの制度も出てまいると思いますので、そういった心の面に特に労働省におかれましては十分に御配慮をいただいて、施策を進めていっていただきたいというふうに思うわけであります。  続きまして、こうした情報化や急速な技術革新の進展で、労働者も、日々訓練というか、技術開発を自主的に自分の気持ちで頑張ってやろうというふうに思っていかないといけないと思いますが、ただ、そういった技術訓練の場を提供する、あるいは職業訓練、能力開発機会を提供するというのは、一つ国側ができる大切な施策だと思うわけであります。こうしたものを、労働省におきましては、職業安定所あるいは雇用促進事業団が担っているわけでありますが、そうした事業の重要性は、私は、いい意味でもっと強調されるべきだと思いますが、いかが考えられますでしょうか。     〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
  140. 征矢紀臣

    征矢政府委員 やはり人間自分の一生をどういう考え方でどう過ごしていくかという点から、一番基本になるのが職業、仕事であるというふうに考えております。したがいまして、非常に厳しい雇用情勢の中で、自分が望む仕事がなかなか得られない、これは非常に深刻な問題であるというふうに考えております。  したがいまして、国際的に見れば、非常に諸外国、先進国、なお厳しいわけですが、我が国においても、非常に厳しい失業率の中で、厳しい経済情勢の中でございまして、そういう中で、仕事のあっせんをする、これは国として非常に重要な仕事であるというふうに考えております。そういう観点から、やはり公共職業安定所が無料で職業紹介、仕事のあっせんをする、これは国の政策としてやはり基本的な重要な政策であるというふうに考えております。  あわせまして、仕事が変わる場合には、当然違う仕事に入るための職業訓練、能力開発、これが必要であるわけでございまして、そういうものについては、公共職業安定所でいろいろ相談する中で、別の仕事へ行く場合に、雇用保険による失業給付を支給しながらやはり無料で職業訓練、能力開発を行う、そういうシステムも必要でございます。  そういうシステムとしましては、御指摘のように、現在、国の仕事としてやるべきものを代行する機関として雇用促進事業団があり、そこで一定のシステム、組織を持って職業能力開発を行っている、こういうことでございまして、こういう仕事というのは、今後の厳しい経済構造改革に対処するために非常に重要な部分であろうというふうに考えております。  あわせまして、特に中小企業等の人材育成を図るという観点から、本日御審議いただいております地域雇用開発等促進法、あるいは中小企業労働力確保法というもの、それから具体的な給付金等、これにつきましては、どういう仕組みでどうやったら活用できるかということがなかなかわからないわけでございます。  一方で、給付金について簡素化することとあわせまして、そういうノウハウを、中小企業団体等と十分御相談しながらそういうものを提供し、かつ、給付金の使い方、そういうものについても指導をしながら、そういう中で職業訓練、能力開発をやっていくことが必要である。そういう意味では、そういう仕事を行っております雇用促進事業団の現在の業務、これは非常に重要であるというふうに考えております。  ただ、一方で、御指摘のあります移転就職者用の宿舎であるとか、あるいは勤労者福祉施設、そういうものについて、非常に数がふえている、あるいは現状が本来の制度と趣旨が合わない、こういう御批判もあるわけでございまして、そういう御批判のある部分については、これはきちんと見直して対処しなければならないというふうに考えております。
  141. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  今お答えの中にもあったわけでありますが、そういった能力開発については、また職業訓練等において、職業安定所あるいは雇用促進事業団が担っている仕事の重みというのは、私は大変大きいと思うのです。もちろん、その中で、今お話も出ました住宅等については、余分なものもあるのではないかという声も上がっているようであります。  そういう中で、今回、この雇用促進事業団が特殊法人の統廃合の中で挙がってきているようでございます。この雇用促進事業団、もちろん必要でない役割もあるけれども、しかしながら、まだまだこれから担っていく仕事の重要性がある中で、なぜ雇用促進事業団が統廃合の対象として俎上に上ってきたのか。それについてはどうお考えでしょうか。
  142. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生の今のお話でありますと、雇用促進事業団が行革の俎上に上っているというふうにお話しのように私は受けとめたのでありますが、実を申しますと、橋本内閣は、政府組織それから特殊法人等、これについて、例外なく、一つずつその存否について見直すということに相なっております。したがって、国の組織あるいは特殊法人等の中の一つ雇用促進事業団があるということで御理解をいただければ幸せであります。
  143. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。あくまで、雇用促進事業団については、すべての統廃合の対象の中の一つで挙がっておるということで理解させていただきます。  つきましては、今回の法案改正の中で、新しい今後の職能開発におきまして、雇用促進事業団がその窓口となる施策が幾つかあると思うわけでありますが、今回、主として雇用促進事業団がそういった業務を担うことになったのはなぜかということをお伺いしたいと思います。その中で、職業安定所はどういう役割を果たすことになるのか。職業安定所にも、私は、職業能力開発のノウハウについては随分あるのではないかと思うわけでありまして、それぞれが担う役割の違い、あるいは、今回雇用促進事業団が法改正の中で役割を担うことになる、そのあたりを聞かせていただきたいと思います。
  144. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の法案の中の具体的な給付金等の支給事務、これは雇用促進事業団で実施することといたしておりますが、これは、基本的には、一つ考え方として、給付金の支給事務等については本来国で行うべき事務でございますけれども、やはり行政改革という視点、あるいは国家公務員について総定員法の中で数をふやすわけにいかない、こういう観点から、いわば国の仕事を代行する機関として特殊法人である雇用促進事業団にこの仕事を実施してもらう、こういう考え方で今回の法案は整理しております。  その理由といたしましては、雇用促進事業団におきましては、各都道府県雇用促進センターという組織がございまして、ここが、特に中小企業あるいは中小企業の団体等に、いろいろな職業訓練であるとか、あるいは雇用管理であるとか、人材確保支援であるとか、そういうものについての相談業務を行っております。一般的な給付金の支給についての相談、あるいは職業能力開発についての具体的なやり方、そんな仕事をやっておりますので、したがって、今回のこの給付金の支給についてもそういう具体的なノウハウを持ったところで一緒にやるのが効果的ではないか、こういう考え方から整理したところでございます。  具体的には、例えば、業種雇用安定法の給付金の支給業務、あるいは中小企業労働力確保法の給付金の業務、これもやっております。今回、あわせまして、地域法の給付金についてもここで実施をしていただこう、こういう考え方で整理をいたしているところでございます。  なお、公共職業安定所ももちろんこういうシステムについての説明をし、具体的に相談もするわけでございますが、ノウハウを蓄積して具体的に相談するというのがなかなか公共職業安定所では行いにくいものですから、連携をとりながら雇用促進事業団の方で実施する、こんな関係でやっております。
  145. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。そうしますと、今回、雇用促進事業団におかれましては職員の皆さんの仕事量はある程度ふえると思うのですが、そのふえる中で、どの程度仕事がふえるのか、あるいはそれに伴って人員増ということを考えておられるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  146. 征矢紀臣

    征矢政府委員 特殊法人につきましても、ただいま大臣からお話がございましたように、やはり行政改革の一環としてこの改革を進める、こういう観点でございまして、したがって、今回もこの業務について雇用促進事業団で実施することといたしておりますが、一方で、事業団の定員自体をこれによってふやすことはいたしておりません。  トータルでたしか七名ぐらいの減になっているかと思いますが、これは既存の業務の見直し等をやりまして、そういう見直しの中で計画的に定員を削減する、そういう観点と、今回の新しくふえる業務一そういうものに基づく人員、こういうものを相殺して、全体としてはそういう考え方で対処しているところでございます。
  147. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。  そうしますと、仕事量としてはもちろんふえる、しかしながら、その点についての人員増は考えていない、既存の仕事の中で不必要なものを見直して、その分の人員を回すというか、プラスマイナスなしでやっていかれるということはよくわかりました。その人員の見直しの中、七名の人を減らした、それを、新しい仕事に回っていただくというようなお話があったと思います。  また特殊法人の統廃合ということに戻るわけでありますが、そうしますと、雇用促進事業団の中で、やはりこの仕事は必要か、必要である、あるいはこの仕事については必要でないというような見直しをされておられるのかどうか、あるいは、それはどの程度進んでいるのかどうかについてお伺いしたいと思います。たしか大臣も、六日の参議院の予算委員会で、それぞれの機能を、必要なもの、不必要なものを見直すというような発言をされたと記憶しておりますが。
  148. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生お留守だったかと存じますが、お挙げになられました予算委員会のみならず、本日この労働委員会で、雇用促進事業団の見直しの今の時点におけるところの報告的なものをお話をいたし、その過程の中で、この機能は必要であり、この機能は必要でない、別の機関でやってしかるべきではないかというようなお話をいたしております。
  149. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。  そのお話は、私も伺わせていただきました。それについて、ある程度進んでいらっしゃるのかどうかということをお聞かせいただければと思いますが。
  150. 岡野裕

    岡野国務大臣 今やっている真っ最中であります。
  151. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。  今、行革、行革と言われる中で、私は、必要なものはやはり残していかなければならない、あるいは、さらに新しいものをつくっていかなくてはならないというふうに思っておりますので、どうぞ、例外なくそういった見直しを進めていただきたいというふうに考えます。  続きまして、直近の問題でありますので、今回の法改正とは直接の関係はないかと思いますが、雇用促進という観点から少々お伺いしたいことがございます。  今月末の三井三池炭鉱の閉山に伴って、大牟田市周辺地域が本法に基づく特定雇用機会増大促進地域にされるとお聞きしておりますが、具体的にはどの地域指定されるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  152. 岡野裕

    岡野国務大臣 実は、大牟田及び荒尾、この両市につきまして特定地域にすることができないかということで、事務局に検討を命じているところでございます。
  153. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。できないかということで御検討中ということで理解させていただきます。  そうしますと、今回の閉山では、地域経済にどの程度の影響を与えると御想定なさっているのか、そのことについてはいかがでしょうか。
  154. 征矢紀臣

    征矢政府委員 私ども雇用対策を進める立場かち申し上げますと、今回の三井三池の閉山で、直接的には約千五百名程度の方が離職をするというふうに聞いております。ただし、これは間接的にはさらにこの人数が相当ふえるのではないか、こういうことを心配しているわけでございます。  したがいまして、そういう方々について、私どもは、これが閉山となれば、そういう方の求職の申し込みを受けて職業相談をして雇用保険を支給し、かつできるだけ早く再就職をしていただくための努力をする、こういうことになるわけでございます。そういう方については、これは具体的にきめ細かく相談をしなければならないわけでございまして、相当年齢の高い方、あるいは社会保障との関係でどう考えるか、それから年齢の若い方についてどう考えるか、そういうことから、地元の就職、求人をできるだけ確保してあっせんをする、そういうようなことを個別具体的に考えていかなければならないというふうに考えております。  ただ、それが今度は地域の経済に具体的にどう影響するかという点につきましては、これは相当影響するという心配はいたしておりますが、私どもとして、具体的にはなかなかそこまでは把握できかねます。
  155. 近藤昭一

    近藤委員 もちろんなかなかその点については把握しがたいというところはあると思うのですが、こういった地域の基幹産業がなくなるということは本当に大変なことであると思います。  そこで、雇用、住宅確保等々が必要になってくると思います。また、ここにも技能が集積しているということではないとは思いますが、高度な技術を持った方がいらっしゃる、そんなことも想像されるわけでありますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  156. 征矢紀臣

    征矢政府委員 炭鉱の場合、おっしゃるように高度の技術を持った方もおられるのですが、ただ、一般論として言えば、そういう技術をなかなかほかの職場に転用して生かすというのが難しい、そういう問題もございます。したがいまして、職業相談をする中でほかに就職する場合について必要な職業訓練、そういうものも機動的に実施しなげればならない、こういう問題もございまして、荒尾の職業能力開発促進センターを中心といたしまして機動的な職業訓練の実施、そういうものについての準備も進めているところでございます。もちろん、従来の技能が有効に生かされる職場、そういうものがあるとすれば、やはりそういうところに優先的にあっせんすることも大変大事だろうというふうに考えております。
  157. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。  まさしくそういったところでいろいろ技能を持っていらっしゃる方、あるいはそうでないかもしれませんが、しっかりした若い労働力がたくさんあると思います。そういった人たちを新しい職場についてもらう、そのために、やはり先ほどの雇用促進事業団が大きな役割を担ってくるのではないかと私は思っております。  また、先ほど、経済影響がどれくらい出るかなかなか想定はしにくいというお話がありましたが、ただ、地元では商店街が大変に大きな影響を受けると思います。どれくらいの影響、そしてどういう具体的な対策はというのはなかなか出ないのかもしれませんが、この点については何らかの対策をそれなりにお考えになっていると思うのですが、この点、いかがでしょうか。     〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
  158. 征矢紀臣

    征矢政府委員 先ほど大臣からお話ございましたが、私どもそういう観点から、大牟田、荒尾の両地域についてぜひ特定雇用機会増大促進地域指定することを検討しろということでお話をいただいておりまして、現在検討中でございます。  そういう形で地域指定ができれば、例えば緊急的に商店等が非常に影響を受けて休業をしなければならないというような場合の雇用調整助成金の手当ての問題であるとか、あるいは就職困難な方の就職の場合の特定求職者雇用開発助成金の支給であるとか、そういうものも可能になりますし、地域指定によりまして産業振興のプロジェクトが具体化して、そういうところで雇用を吸収するようなプロジェクトができるとすれば、そういうものに対する助成措置というものも検討可能でございます。
  159. 近藤昭一

    近藤委員 わかりました。  こうして今回法改正もあるわけでありますが、旧来からある法律そしてそれに基づく対策、大変に大切な部分がたくさんあると思いますので、どうぞ、今回の三井三池の炭鉱の廃鉱の問題につきましてもぜひしっかりとした対策をとっていただきたいと思います。  それでは、この法案改正についての質問、午前中から数えますと私も五人目になりまして、幾つ質問を用意させていただいたわけでありますが、随分とダブってくるところも多い。もちろんダブっている部分につきましても、私なりのもう一度お聞き直しをしたいという部分につきましては御質問させていただきましたが、何回も同じ質問をしてもいかがなものかと思いまして、なるべく、必要でないことは、行政改革の時代でもありますので早目に終わりたいと思います。  ただ、最後に一つだけ私の考えも述べまして、もう一度大臣にちょっとお話をお伺いしたいわけであります。  繰り返しになりますが、私はやはり若い人たちにもつと物づくりに対してしっかりと取り組んでもらいたい。物づくりはやはり仕事に対する一つの熱意、仕事をどうしていくか、工夫に対する熱意だと思っております。大臣が視察に行かれました大田区の工場におきましても、今まで使っていた技術を新しい面に工夫して使っていく、こういったある意味で豊かな心だというふうに私は思っております。物づくりを欲していくというか、熱意を持っていく、そういった若い人たちの心が、熱意が大きくなっていくような観点から、これはやはりほかの方の質問の中にもあったと思いますが、文部省との関係、教育での問題の関係、あるいは通産省との関係等々との関連してくる部分も多いと思いますけれども労働省におかれましても、そういった視点を既に持っていらっしゃると思いますが、大いに持っていただきたい。  そしてまた私は、個人的なことになりますが、十七年ほど前に中国に留学をしておりました。十七年も前、実はまだまだ中国という国は発展途上でございまして、私は今日の、ここ二、三年毎年中国を訪れておるわけでありますが、中国に行ってその変化、そして熱意というものに触れますと、十七年前、あの中国がと言ったら怒られるかもしれませんが、決してこの十七年間という中でここまで私は発展するとは思いませんでした。この短期間の中で中国がここまでの産業の発展をしたこと、これはやはり若い人たちの熱意がそこにあったのではないかと思います。  そういった意味で私は若い方々、もちろん最近の若い方は、特に女性でありますが、本当に海外に出られる機会も多いようであります。そういった意味で、ぜひとも日本の若い人たちが、私はヨーロッパ、アメリカも結構だと思いますが、それ以上にアジアというものにもつと目を向けてもらって、アジアの仕事に対する熱意というものを感じてもらいたい、そんな思いであります。  大臣におかれましてはどのようにお考えいただくかお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  160. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、マスコミの御経験をお持ちでありますので、そんな感じの話をして御理解をいただこう、こう思っております。  私は子供のころから、学校の成績は、例えば武道、剣道でありますとか、体操、教練、これは甲というのでありましたが、残念なことに工作というのは丙でありました。剣道だとか体操というのはちっとも形に残らぬのです。ところが、工作で本立てをつくりますと、糸のこぎりでつくりますとちゃんと立派に本立ての本棚ができていて、展示会をやりますと、ああ、立派な本立てたな、岡野君のは何だ、つくったつもりだけれども、展示会へ出しますと、立っていないで後ろへ転んでしまうものだから、後ろから何か支え骨を、本でも置かぬとだめだというぐあいで。  今でも、私は事務屋で来ましたが、やはり工学部の諸君が家をつくったり、立派な道路をつくったりして、これが完成品だというと、どなたにも、あれはあの男がつくったのだとはっきりわかる。うらやましいことだなという意味合いでも、子供のころから、やはり物づくりというものは価値のあるものだし、みんなにわかってもらえるな、こういう感じでありました。  あるいは、人間は古来、ほかの動物と異なる。どこが異なるか。ホモサじエンスだとかホモファーベルだとかいいます。ホモサピエンス、考える人。考えるのは猿も考えるのではないか。ホモファーベル、道具を使う人、道具をつくる人。このホモファーベルの方がホモサピエンスの概念より後で出たことも御存じだろうと思っております。  そういう意味合いでは、人間が他の動物と異なるのは、物をつくる、それを使うことだ、いわゆる物づくりというものが、もう随分昔から人間の特色だ。その特色を忘れたら我々人類の将来はどうなるかというような意味合いで、今後も労働省といたしましては、製造業中心とした日本の産業の発展、これの雇用対策のために意を用いて尽くしてまいりたい、こう思っております。
  161. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございました。  大臣の高い御見識を聞かせていただきまして、やはり労働省、労働というものをどうとらえるか、しっかりと一緒になって考えて、二十一世紀の労働環境づくりに頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
  162. 青山丘

    青山委員長 次に、金子満広君。
  163. 金子満広

    ○金子(満)委員 日本共産党として、幾つかの問題について質問をしたいと思います。  最初に、この法案改正の提案理由の説明の中で、次のような箇所があります。この改正はということで、「中央職業安定審議会の建議を踏まえ、」ということを述べた後で、この「法律案を作成し、関係審議会にお諮りし全会一致の答申を得て、ここに提出した次第であります。」ということがありますけれども、この「関係審議会」というのがどういうものであったのか、これが一つ。  もう一つは、高度技能労働者の活用雇用安定のための地域指定というのを労働大臣指定するということになっておりますけれども、どんな手順を踏んでやるのか。いきなり、労働大臣がふと思ったからやるのではないと思いますので、その手順の問題も最初に伺っておきたいと思います。
  164. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生関係審議会審議を経てといいますのは、先生のたった今のお言葉にありました中央職業安定審議会、この審議を踏まえてという次第でございます。  あと、労働大臣指定をする。先般来、通産大臣指定と私ども労働大臣指定と、なるべく合致するように努めたい、こういう答弁をしてまいりましたが、その合致させる細かな手続、これはひとつ政府委員に答弁させたいと思います。お許しを。
  165. 征矢紀臣

    征矢政府委員 大臣からお答え申し上げましたが、関係審議会はもう一つございまして、職業能力開発関係がございますので、中央職業能力開発審議会にも諮っております。二つでございます。  それから手続の具体的な考え方及び手順ということでございますが、これは法律上は、高度技能活用雇用安定地域については、高度の技能等を有する労働者雇用されている製造業等の事業所が集積しており、経済上の理由によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域指定するというふうにされております。この地域については、この対策が高度の技能を活用した新事業展開による雇用開発等をその内容としていることから、労働大臣産業政策との連携関係都道府県の要望や意見を踏まえて指定をする、こういうふうにいたしております。  御承知のように、この指定については、やはり一定の客観的な考え方が必要でございまして、そういう考え方については基準をつくって、やはり関係審議会の御意見を聞いて決めて、それに基づいて指定をする、こういう手順を踏むことになろうかと思います。
  166. 金子満広

    ○金子(満)委員 手順の問題というのは非常に大事な問題だと私は思うのですね。  通産省所管の集積活性化法の指定をどうするかということになると、都道府県の申請に基づいて認可するという仕組みになっているのですね。この労働省の所管の地域指定というのは、労働大臣がやるとなっておるわけですね、労働大臣指定するという形。だから、その手順のことは今聞いて、概略はわかりました。この手順をしっかり踏まないと、何か官官接待で、変なところでやったのではないかというようなことが起こったら大変なんですね。そういう意味で、これは大臣も言われるように、手順は非常に大事なので、ガラス張りで行っていただきたい、こういうことをまず申し上げておきたいと思うのです。  そこで、高度技能労働者の活用と雇用と安定というのは、これは一体のものなんですね。これは一つだけではだめなんですから、三つが一つになって初めて機能を果たすわけです。  ここで、指定する場合の定義とか基準とか、午前中から午後についていろいろありましたけれども、ある程度数字的なものなんかも出るのではないかと思うのですね。つまり、通産省の集積活性化法の場合には、幾つか数字が出るわけです。こういう範囲でと、そして申請があるならばとあるわけですから、労働省のこの高度技能労働者地域をどう指定するかというときにも、一定の基準とか定義があるのだろうと私は思うけれども、その点、わかっている範囲お願いしたいと思うのです。
  167. 征矢紀臣

    征矢政府委員 現時点ではまだ具体的に細かく詰めておりませんので、基本的な考え方で申し上げますと、具体的な地域につきましては、各都道府県の中で、製造業中心とする物づくりを支える産業事業所が集積している地域であって、企業の海外移転や製品、部品の輸入によって大きな影響が生じていること、また雇用に関する状況が次第に悪化し、または将来悪化するおそれのあること、こういうことを基本的な指定要件として考えておりまして、この辺について、御指摘のような数字、数量的な基準をどうするかということも検討対象にはなろうかと思います。
  168. 金子満広

    ○金子(満)委員 今言った点は午前中からあるわけですけれども、先ほどのほかの委員質問の中で、去年検討しているときに三十五地域が一応上がった、ところが今度の予算では二十ということになっておるわけですね。  そうしますと、どこが減った、ふえたは、まだ法律ができてないのですからどこということは言えないと思うけれども指定されたときに、ああ、なるほど、あの地域ならそうだろうという、第三者が納得するものでないと、あそこには何かが採用された、何かが動いたのではないかというようなことになると困るので、私はそういう点では、地域指定する場合の定義、基準というものは、きょうはまだ具体的に出ませんけれども、A地域、B地域指定されたとき、ああ、なるほど、あれはそりだよというようなものになるように、ひとつしていかなければならない。そういう意味で、公正で民主的ということを申し上げるわけです。  さてそこで、二十の地域という問題ですね。これはもう予算がついておるわけですよ。ですから、初めに数字ありきで、二十だけですという形だけでごり押しをするのでなくて、私はある程度弾力があっていいと思うのです。二十を若干超える場合もある、実情においては。もう二十で決めたから動きませんというようなものじゃないと思うのですね。ですから、そこに若干の弾力があってしかるべきだと思いますが、これは大臣、どうですか。
  169. 征矢紀臣

    征矢政府委員 先ほど来申し上げておりますように、予算上は二十地域、こういうことになっております。これは、通産省の産業政策も同じ数でございます。これを、それでは具体的に実施する段階でどうかという点になりますと、これは一定の考え方を整理して、基準等をつくって指定するわけですが、恐らく、直ちにその二十が出てくるわけではなかろう。やはり早く出てくるもの、遅いもの、そういうものもあろうかと思います。  そういうものが、全体の中で、それでは来年度中に二十でおさまるのかどうか、こういう点につきましては今後の検討課題でございますが、何が何でも、どうしても二十でなければだめだということになるかどうかという点につきましては、それはやはり行政を弾力的にある程度現実に合わせて行うという観点からいけば、そういうことも含めて検討しなければならないと思います。ただし、具体的にやるとなりますと、やはりいろいろな手続も、内部手続等も要りますので、本日は明快にはお答えはできませんけれども、そういう趣旨で制度を発足させたいと思います。
  170. 金子満広

    ○金子(満)委員 二十というのは、もう予算がついた以上、大体皆さんの頭の中にはどこというのは入っているのですよ、これは。きょうは発表できないのはそれはわかっています、法律がないのだから。それはわかっておるのですけれども大臣、若干それが弾力を持たないと、非常に機械的に私はなると思うのですね。では二十番目をくじ引きで決める、これはできないでしょう、そういうものじゃないのですから。二十一になるか二になるか知らぬけれども、足らなければ追加予算をすればいいので、必要な場合にはそういう措置をとっておると。  そこで、地域の問題については、既に幾つかきょうも名前が出ました。例えば、東京の大田とか名前が出たり、そして質問者の中で東大阪というのもあったり、いろいろあるのです。  これは、去年の九月十六日の労働新聞は、もう皆さん御存じのとおりですね。週刊の労働新聞にもちゃんとそういう点では出ているのですね。「具体的には、全国二五の集積技能活用促進地域(仮称)を指定し、各種支援措置を講じていく。円高に伴う企業の海外移転により、雇用状況」何とかかんとか、こう言って、そういう中で「大田区、川口市などが候補に上がっている。」というのだから、これは新聞が書いたと言えばそれまでなんです。しかし、労働省は、この新聞はかなりよく知っている新聞ですよね。  そういうように書いてあるわけだし、日本経済新聞も、これはまた、去年具体的にいろいろのことを書いているわけですね。これは去年、やはり六月ですけれども、「技術結集・国に提言も 空洞化回避へ解決策探る」という中で、一つの記事は「景気回復の実感なし」、大手企業の収入が増す、「増益決算が相次ぐ一方で「中小企業の街」の景気回復の足取りは重い。」のだということが書いてあって、そこで「「鋳物の街」として知られた埼玉県川口市は工業製品出荷額が毎年一千億円単位で減少。」した。そして、「機械部品や金属関連の下請け中小企業では深刻な受注不振が続いている。六百社を超した鋳物組合加盟企業は二百二十六社と半分以下に減り、生産額は五百億円を割り込んだ。」こう出ているわけです。  ですから、名前が、幾つかのところがにじみ出ているわけです。一般的に言うと、大田区の問題とかそれから東京の墨田とか、さっき言った東大阪とか浜松とか川口とか出ているわけですから、これは法律が成立をしたら悠長に夏まで、秋にやりますということじゃないと思うのです。そういう点で、この見通しはどうなんですか。
  171. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの二十五という数字につきましては、確かに昨年の夏、私ども拝見しておりますが、これは要求ベースで、出発点がそういうところで出発したという経緯でございまして、現在は二十地域ということでございます。  それから、ただいま名前の挙がったような地域について、これはいわば典型的な地域というようなことで言われているところでございますが、具体的にこの法律を成立させていただいた後にどうするかにつきましては、これはやはり先生指摘のように考え方をきちんと整理して手順を踏んでやっていく、こういうことで対処しなければならないわけでございまして、現時点であらかじめそういうことを想定しているというような状況ではございません。  具体的には、恐らく地元の自主性というような面からの問題もございまして、法律を実施する段階に具体的に幾つになるかという点も、当初から二十とかそういうことではない可能性が大きいのではないかというふうには考えておりますが、できるだけ要望に沿って多く指定するというのが基本的な考え方でありますけれども、その辺はまだはっきりいたしておりません。
  172. 金子満広

    ○金子(満)委員 労働省としても、もう具体的な地域に調査に入っていることを私も知っているのです、調査に来たということを聞きますから。そういう中で、最初にもお話がありましたが、都道府県の要望も聞くということを労働省としては言っているわけです。これは当然といえば当然だけれども、本当に大事なことだと思うのです。一方的にこうじゃなくて、どういう状況であるのか関係者意見を聞くということは、大変大事なことだと思うのですね。  そこで、もう一つお聞きしておきたいのは、同じその改正案の中の要綱のところにあるのですが、指定された地域に対しては、「高度技能活用雇用安定地域内において必要な設備若しくは福祉施設設置若しくは整備を行い、」この場合、「必要な助成及び援助を行う」とあるのですね。  いろいろのものを見ると、助成というのは出ているのです。だけれども、援助というのは何のことか余り出てないのですね。しかし、法律用語で「助成及び援助を行う」ということですから、しかも福祉施設設置というのだから、これは新しくつくるわけです。これはどんなものを指しているのか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  173. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいまの点でございますが、基本的に、法律上「助成及び援助」と書いてありますが、援助につきましては、明確な定義とか考え方があるわけではございませんで、助成というのは、お金を支給するとか、あるいは施設をつくるのに助成とかそういうものでございます。援助というのは、そういう助言、いわゆる相談・助言をするようなもの等を援助というような言い方をしております。  今回の労働環境設備あるいは福祉施設設置整備に伴って、あわせて労働者を雇い入れた事業主に対しましては、当該設備の設置整備に要した費用及び雇い入れた人数に応じて五十万円ないし一千万円、中小企業は七十五万円から一千五百万円を支給する、こういう地域分野展開雇用環境整備奨励金という名称を仮に考えておりますが、そんなものを検討しているところでございます。
  174. 金子満広

    ○金子(満)委員 助成というのには予算がつく、平たく言えば金がつく。援助というのは口だけ。変な話、口だけだというようになると、いろいろの文書の説明の中には、この後の方の援助というのはほとんど書いてないのですよ。だから、変な話だけれども、そういう口だけみたいなものでなくて、裏づけを持ってやってもらいたいというのが当然ですが。  そこで、例えば福祉施設設置という問題で、これは御存じだと思いますけれども中小企業の場合、特に鋳物の場合などは、職場自身がほこりはあるし暑いし、一般的に言うと、三Kだとか言われるわけです。そういうときに、では、食事をどうするか。やはり食事は外へ出なきゃできないとかというようなときに、昼食をとる場所はきれいなものをつくってやるとか、あるいは手を洗う、顔を洗う、そして場合によってはお風呂に入る、こういうようなものを厚生施設と言えるかどうか。それに対して、それこそ援助じゃなくて助成をするというようになれば、幾らか先が見えるわけです。その点どうですか。
  175. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の点については、全部この労働環境設備または福祉施設設置整備の中に入ります。
  176. 金子満広

    ○金子(満)委員 その点はわかりました。  次に、高度技能労働者という問題です。  これは、我々が言う場合には、自分のことじゃないわけですから、皆さんだってそうです。ところが、現地に行くと、おれは高度の技能労働者指定されるのか外されるのかというのは、これは死活にかかわる問題なんです。だとすると、午前中の説明にもありましたが、一定の経験ということが言われるわけです。これも意味はわかるのです。一定の経験とは何年なのか。年数で数えても、例えば失業で休んでしまうとそれは空白になってしまうわけです。そういうようなものをどうするのか。  したがって、やはり高度技能労働者と言う場合にはしっかりした定義を労働省はつくらないと、現地へ行って高度技能といったって、おれのことかな、違うかなとみんな思ってしまうのです。その点は、定義か何かあるのですか。
  177. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおり、一定の定義、これをきちんとしなければならないと思います。基本的には、やはり職業上の一定の経験年数、そういうものを要するような技能、こういうことで、例えば一定の経験年数というものをどう見るか、そういうところを具体的に検討した定義というものが必要だろうというふうに考えております。
  178. 金子満広

    ○金子(満)委員 法案の方が先になってしまって、基準の方がなかなか出てこないのですよ、正直なところ。これでは現地はうんと心配するのです。  そこで、もう一つ伺いたいのは、これは労働省の管轄なんですが、技能検定制度というのがありますね。特級、一級、二級、三級と四種類あります、業種は百三十三です、二百十万人が入っておりますと。しかし、早く指定された方でもう亡くなった方もおりますから、実数が二百十万でないことはわかるのです。  ここでは、例えば金属加工関係でいっても、金型とか鋳物とか鍛造とかメッキとか、こういうのはみんな技能検定職になっています。こういう資格を持っている人は一般的に高度技能労働者と言っていいのだと思うけれども、この点はどうなんですか。
  179. 征矢紀臣

    征矢政府委員 技能検定の場合で申し上げれば、一級の技能検定に合格している方は高度技能労働者と申し上げていいかと思います。
  180. 金子満広

    ○金子(満)委員 そうすると、二級、三級が外れるということになると、何も持っていないのならおれも外れた、だめだと。経験年数というのを聞いても、私は、労働省、ここでわからなければ、県の職安課でも何年となかなか独自には言えないと思うのです。  だから、これを早く出さないと、大変な心配の方が渦巻いちゃって、労働省は何しているんだ、大臣、何とか早く言ってくれというふうに私はなると思うのです。法律ができるときにはそこのところが決まっていないと、法の解釈ができないです、適用するときに。これは何か時間に追われて条文だけ合わせたみたいになって、中の方はこれからですでは間に合いませんから、その点はぜひ急いで私はやってほしい。そうでないと、繰り返しになりますけれども関係労働者は今、不安の中にあるわけです。こういう点もぜひ考えてほしい。  それからもう一つの問題は、後継者の問題です。  今、大変な大企業の海外移転がある。そういう中で輸入製品が、それこそ価格破壊じゃないですけれども、安いのではあっと入ってくる。そして、不況です。手に職があっても働く場所がないです、これが実態なんです。そういう中でどういうことかというと、だんだん年だけはとっていくのです。不況であろうが何であろうが関係なく、年はとるのです。ですから、例えば川口のあの鋳物関係技術者、一九九二年ですからもう五年前になりますけれども、五年前の統計で、これは業者の組合でも商工会議所でも言っていますけれども、平均が当時で五十二歳です。したがって、今はもりと上がっていることは事実です。後継者がないのです。  そこで、午前中もよく出たわけですけれども、いや、訓練が必要であり、育成が必要だ、これは緊急の問題だ、だから法改正してやるのです、そこは出てくるわけです。具体的にどんなことをやるのですか。ここのところが明らかにならないと、案をつくって出せといったって、提起している方が、こういう案、こういう方法、こんなことはどうかという幾つかの案を出さない分には、これは金でなくて言葉の方の援助になるわけです。そういうものを出さないと全然歯車が回らないと思うのです。言葉だけが通っていってしまう。そういう点で私は、訓練、育成、後継者をどうするのか、この点が一つ。  つけ加えますと、現地でいろいろ聞くと、労働時間の問題もありますけれども、今、週四十時間にかなりなっています。ところが、四十時間になっていない鋳物工場もあるわけです。そうすると、何時間ですかと労働者は聞きます。いや、きついな、こうなるのです。ですから、週四十時間の時間短縮についても、かなり意識的に業者に対する指導、これを入れないと後継者はできない。  聞いてみたら、後継ぎということで、事業主の息子さんなんかは大学卒で後継者が若干出ている。それから、最近は女性も、重い物を持つのじゃなくて機械でみんなやるわけですね、ですから、女性も就職希望が出ているけれども、とてもじゃないがふえる状況にはない、現状維持が難しい。  こういう点で、労働時間の問題と、それからさっき申し上げた点もぜひ考えてほしいと思うのですが……。
  181. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおりだと思います。そこは考えます。そこがなかなか難しいところでございますが、そういうところを具体的に相談しながらやっていかないとなかなか生きたものにならない。  そこで、一つの方策としましては、新分野展開創業等による雇用開発を図るための調査研究を行う事業主団体に対して、調査研究に要する経費助成する。そういう形で、自分たちでその辺をよく調査研究して新しい活路を見出していただく、そういうものについて支援をするというようなやり方。  それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、雇用促進センター。公共職業安定所あるいは監督署が直接いろいろ話をするのは、必ずしも現実問題としてうまくいくかどうかという点については問題がある。そういうこともございますので、雇用促進センター、これがそういう中小企業あるいは中小企業団体にいろいろな相談をするノウハウも蓄積しておりますし、現実に六千ぐらいの中小事業主団体についていろいろな御相談をしながら職業能力開発だとかあるいは雇用管理の改善とか、そんなことをきめ細かくやっておりますので、そういうところのノウハウの中に今回の法律の実施についても加えまして、そこで相談しながら、この制度をどうやったら活用できるか、そういうことも含めて対処していく、こんなことでいく仕組みを考えております。
  182. 金子満広

    ○金子(満)委員 言われるとおり、うんと難しいのだと思います。これはわかります。我々が難しいということを言ったからといって問題は解決しないのです。その難しいのを解かなければならないのが私は政治だと思うのです。  こういう中で、訓練とか育成という点では、今局長言われるように、深刻な事態になっていることは間違いないのです。ですから私は、労働省の担当官もそれぞれの現地へ行って、生の声を聞いてみて、どういう方法があるかというのはぜひやってほしいと思うのです。そういうことでないと、これは確かに地域の職安でも難しいです。こうしたらどうかと一発で片がつくようなことはないのですよ。それだけに、やはりともに苦しんで、ともに解決をつける。そして、少々難しい問題でも、労働省の本省に言って、大臣、このくらいのことはやってくれというような、現地の声が反映するようにならないといけないのではないかと思うのです。  そういう点で、ぜひこの現地視察というようなことは、考えておられると思うが、どうです。
  183. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のようなこともございまして、十分とは言いませんけれども、先ほども申し上げましたように、大臣と御一緒に現地視察もやりましたし、あるいは関係者はそれぞれ各地域に出かけていってそういう問題点の把握もいたしておりますが、これを実施するに当たっても、やはりおっしゃるように現地に、中央で出かけるかあるいは出先で出かけるかは別にしまして、現地に具体的に出かけていって、問題点を把握し、相談をしながらやっていくことが非常に重要であろうというように考えます。
  184. 金子満広

    ○金子(満)委員 時間もないわけですから、最後に、この改正案の中で、第二章の七条の二の次に次の一条を加えるというところで、七条の三というところに、「都道府県は、その区域内の高度技能活用雇用安定地域ごとに、」ということで計画をつくるという問題があるわけです。そこで四つ挙げてあるわけですね。  一つは「労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項」、二が「高度技能労働者に係る雇用に関する状況」、三が「職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を活用した地域雇用開発の目標に関する事項」、四番目が「前号に規定する地域雇用開発を促進するための方策に関する事項」というので「都道府県は、」こうなっているのです。都道府県はという場合に、県の職安課がかなり中心的な任務を持つことは当然だと私は思います。  同時に、指定された地域関係の自治体、さっき行政区の区割りではないということを言われましたから、その関係自治体、それから同じく関係の業者、それから労働者と労働組合の意見を十分に聞いてほしいと思うのです。これを十分に聞いた上で、労働省に上げる案に反映すれば、ああ、なるほどということがわかるわけです。  こういう点で、これはもう大臣にお聞きする以外にないわけですけれども、これが一番民主的なやり方で、指定したらそれがぐっと力になる根源だと思うのです。ですから、何か暗室の中で事が運ぶのではなくて、オープンで、働く人も雇う人も関係自治体も十分に、大いに積極的に意見が出せる、また労働省はそれを聞くという姿勢をとってほしいのですが、これを伺って私の質問を終わりたいと思います。
  185. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、さっき私は金子先生のときに、やはり現場に行かなければだめだよ、自分の目で見なければだめだよといささか生意気な話をしたわけでありますが、やはりこの指定については現場の実態を十分わきまえてやらなければならない、これが大臣としての基本的な考えであります。  そうしたら先生、いい想定問答を部下がつくってくれまして、先生のためじゃないのですよ、一般論で。都道府県知事がこの計画をつくれ、こういうふうになっていると先生読まれました。都道府県知事は、この計画の策定に当たり、あらかじめ当該地域を管轄する市町村長の意見を聞くものとしておりますと。また、高度技術活用の雇用安定会議というものを設置し、県や市町村、それから助成金の業務の主体となる雇用促進事業団及び労使団体の協議の場、こういうものを確保して、そこで十分討論をしたものを利用せよ、こういうふうになっております。  どうも書き物を読んだだけで済みませんが、冒頭言いましたように、やはり地域の実情を踏まえて、この計画を立派な実のあるものに、役に立つものにしたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。
  186. 金子満広

    ○金子(満)委員 終わります。
  187. 青山丘

    青山委員長 次に、北沢清功君。
  188. 北沢清功

    北沢委員 社会民主党の北沢清功でございます。  実は、私は、当労働委員会には初出場でございまして、いろいろと至らぬ点もありますし、また先ほどから、この法案一つに絞られておりますから、若干重複する点もございますことを実はお許しをいただいて、質問をさせていただきたいと思います。  私は、雇用の問題というのは、私ども国民にとっては、また家庭、家族にとっても本当に大変な問題でございます。いわゆる内外の経済、産業の変化、そしてこれからの問題としては、いわゆる自由市場経済といいますか、または規制緩和といいますか、そういう面で新たな雇用の危機が到来するのではないか。私は、「世界」という雑誌の愛読者でございまして、二月号には、対談の中で、たまたまこの経団連の調査等による予測というものも、九百四十三万人出るのじゃないか、それは当然吸収されるわけですが、いろいろそういうものを含めて大変な時代に入るのじゃないか。そういう面で、やはり雇用の問題というものは国政の中で大きな柱になる。そのことで、私も予算委員会労働省雇用促進事業団の事業の問題を含めて、武藤総務庁長官に相当厳しく実は突っ込んでまいりました。そういうことで、簡潔にひとつ、時間がございませんので御答弁をいただきたいと思います。  産業雇用空洞化の現状というものはどのような状況であり、どのように理解をされているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  189. 征矢紀臣

    征矢政府委員 産業雇用空洞化の現状ということでございますが、我が国企業、これは生産拠点を海外に移しつつありまして、いわゆる海外の生産比率、これで見ますと、アメリカ、ドイツよりはまだ相当低いわけでございますが、平成元年度五・七%から平成六年度八・六%と、徐々に上昇しております。かつ、この上昇は避けられない、こういう状況にあろうかと思います。また、海外で生産されました工業製品の輸入比率、これも高まっておりまして、今後、産業空洞化が一層進むことが懸念されるところでございます。  そういうことを反映しまして、近年、製造業雇用者数、これは減少を続けておりまして、平成五年から三年間で六十万入減少しております。特に、製造業関係事業所が集積しております地域においては、生産拠点の海外移転などの影響を受けて、雇用状況が悪化し、または悪化するおそれがある、こういう心配があるわけでございます。
  190. 北沢清功

    北沢委員 そういう中で、今回のこの法改正の趣旨及び施策の概要について、大臣から御答弁を煩わせたいと思いますが、いかがでしょうか。
  191. 岡野裕

    岡野国務大臣 今職安局長が申しましたような事象が起こりますので、産業空洞化イコール雇用空洞化、これを何とか防ぎとめようというような意味合いで、先生御専門でありますので簡単に申しますと、中小企業の活力を生かした雇用政策、それから失業なき労働移転というようなものをもって対策を講じてまいりたい、これが本法の中身でございます。
  192. 北沢清功

    北沢委員 それでは、従来からそれぞれ労働省としての視点がございますが、今回、新たな法案に基づいて地域指定をするという理由はいかがなものでありましょうか。お尋ねをいたします。
  193. 征矢紀臣

    征矢政府委員 従来の地域指定考え方、これにつきましては、現に離職者が発生しているあるいは雇用機会が不足している、こういう地域指定いたしております。今回の地域につきましては、技能という面に着目しまして、技能が集積している地域という見方をいたしております。そういう地域において、雇用状況が悪化するおそれがある、必ずしも現状では悪くなってはいないわけですが、将来的におそれがあるところについて対策をとろう、こういうことでございます。  具体的な対策としては、新地域においては、既存の事業所の施設等を活用しながら、技能を生かしてより付加価値の高い新事業展開、新製品の開発、異なる事業分野への進出、そういうものを行って雇用機会創出を図る対策が必要であるということでございまして、こういう考え方というのは従来の地域にはないわけでございます。
  194. 北沢清功

    北沢委員 御答弁がございましたように、特に集積をされているということであります。確かに、今回の改正の対象になる地域においては、先ほどお話がございましたように、いわゆる労働者の皆さんの資格といいますか、そういうものを取得されるということが大事でありますが、やはり新たな人材の育成が非常に重要ではないかと私は思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  195. 山中秀樹

    ○山中政府委員 先生おっしゃるとおり、この新事業展開を図るためには、どうしても高度な技能労働者を育成するということが非常に大切だと思います。  そういう意味で、今回、その地域で自主的に総合的な人材養成に取り組むということについて、国として助成なり支援をしたい、こう思っております。地域人材育成総合プロジェクトということで実施することといたしております。例えば、人材育成のセミナーを開催したり、人材情報のガイドブックを作成したり、あるいは体験教室などを開催する等、いろいろなことを総合的にやることについて支援したいというのが第一点であります。  第二点目に、人材高度化支援事業ということで今私どもやっておりますが、これは、公共職業訓練施設が事業主の皆さんのニーズに応じた形で、どういう訓練をやったらいいかということ、具体的にカリキュラムの開発あるいは設定をするオーダーメード型の訓練を実施することといたしておりまして、それに必要な費用助成措置を講じているところでありますが、それについて、特にこの地域については高率助成をしたいというふうに考えております。  この地域中小企業事業主の皆さん方が自分職業訓練を実施したいという場合に、そういう訓練施設の場を提供する地域職業訓練センターというのを全国に現在七十九カ所設置しておりますが、そういう点についての優先的な配置をこの地域にはして、人材育成に努めてまいりたい、こんなふうに思っております。
  196. 北沢清功

    北沢委員 私は実は長野県の山の中の生まれなんですが、長野県は、ある面では日本の産業の先端的な役割を果たしたのじゃないか。いわゆる女工哀史時代からの日本の輸出の、生糸の貿易を通じて日本の大正から昭和にかけてのある時期をつくり、それから戦後はいわゆる精密工業という形で、日本のスイスと言われる中で、精工舎等から、時計であるとかまたはオルゴールであるとか写真機であるとか、そういうものをつくられたわけですね。それもまたやはり行き詰まりまして、いわゆるハイテク産業といいますかそういうものに、富士通であるとか先ほど挙がったようなヤシカとか精工舎がございます。  これは一つ地域における、集積された地域という意味ではありますが、そういう中の雰囲気といいますか、やはりこれから開くのだという雰囲気がなければならないわけで、そういう雰囲気を人材育成というものに結びつけて事を進める必要があるのじゃないか、意欲を地域で高めるということもひとつよろしくお願いをしたいと思います。  そこで、今の大臣の御答弁でございますが、空洞化の防止に向けた通産省との連携はどのように進めていくかということについてお尋ねをいたしたいと思います。大臣お願いします。
  197. 岡野裕

    岡野国務大臣 やはり、二つの役所がそれぞれの異なる考え方のもとにそれぞれの地域指定するということでは、効果がさっぱり上がらぬと思います。先ほど言いました、産業空洞化労働省から見ますと雇用空洞化になるというような意味合いでも、ひとつ地域をお互い共通の地域というもので指定しようではないかというような考え方がございまして、こういうような考え方を基本として細部的に両省間で詰めまして、総合的な成果が上がるように期待をいたしております。  なお、細かくは政府委員から説明をさせます。
  198. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま大臣お話し申し上げたとおりでございますが、具体的には、一つには、地域指定に当たって産業対策面と雇用対策面の地域ができるだけ一致するような努力をするということ、それから、具体的な施策の展開に当たりましては、これも都道府県段階におきまして労働担当部局と商工担当部局が連携をとりながら対策を進める、そういうことによりまして産業政策雇用対策両方が効果的に行われるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  199. 北沢清功

    北沢委員 高度技能活里雇用安定地域に対する施策の運用については、やはりその地域における労使関係者の意向が十分に反映されるような運用をひとつすべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  200. 征矢紀臣

    征矢政府委員 御指摘のとおりでございまして、高度技能活用雇用安定地域におきまして施策を運用するに当たりましては、地域関係者の協議の場といたしまして、これは仮称でございますが、地域高度技能活用雇用安定会議というようなものを設けまして、そこに労使関係者を初めといたしまして、地域関係者市町村、行政機関も含めて参加いただきまして、その意向がこのような場を通じて具体的な施策の運用に反映されるように十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
  201. 北沢清功

    北沢委員 安定地域労働省指定の基準といいますか、どのようなものを考えているかということですが、それに付随して具体的にどのような地域指定するかということですが、この点についてはまだ未定のようでありますから、前段についてお尋ねをいたしたいと思います。
  202. 征矢紀臣

    征矢政府委員 高度技能活用雇用安定地域につきましては、高度の技能等を有する事業所が集積し、経済上の理由によって雇用状況が悪化し、または悪化するおそれのある地域、これは法律上でございますが、これを指定することといたしております。  具体的には、各都道府県の中にありまして、製造業中心とする物づくりを支える産業事業所が集積している地域であって、企業の海外移転や製品、部品の輸入によって大きな影響が生じていること、また、雇用に関する状況が次第に悪化し、または将来悪化するおそれのあること、これを基本的な要件として考えているところでございますが、具体的な基準につきましては、これは法律制定後に関係審議会の御意見を聞きながら検討する、こういう考え方でございます。  なお、この産業政策雇用政策が相まって効果的に施策が講じられることが重要であることから、基本的には、通産省が今国会に提出しております特定産業集積の活性化に関する臨時措置法案、これに基づく基盤技術産業集積活性化促進地域とできる限り同一の地域指定するようにしてまいりたいというふうに考えております。
  203. 北沢清功

    北沢委員 現行法によるそれぞれの地域があるわけですが、これは公共職業安定所の単位で指定されているわけです。今回のこの高度技能活用雇用安定の地域ですが、指定の単位、いわゆる地理的な範囲でも結構ですが、それはどのようになっておるでしょうか。
  204. 征矢紀臣

    征矢政府委員 一般的には、経済活動あるいは労働市場圏、こういうものにつきましては市町村という行政単位、これを超えて活動が行われております。したがいまして、雇用対策を講じるに当たりましては、やはりそういう労働市場圏、そういうものを頭に置いた指定が基本的に必要ではないか、こういうふうに考えております、そういう観点からは、地域雇用開発等促進法に基づく現在の雇用機会増大促進地域等に関しましては、こういう考え方に基づきまして公共職業安定所単位指定を行っております。  ただ、一方で、緊急に雇用状況が悪くなった場合の緊急対策を行う緊急雇用安定地域、こういうものもございますが、これは、一つ労働市場圏の中で雇用失業情勢が急速に悪くなっている、そういう地域について指定するという考え方から、これは市町村単位指定を行っております。  現行におきましてはそういう二つの考え方があるわけでございますが、高度技能活用雇用安定地域につきましては、これは高度の技能等を有する労働者雇用されている事業所が集積している一定の地域ということでございまして、そういういわば労働市場圏があるわけでございますから、こうした地域状況を踏まえて、複数市町村一つ地域として指定することを考えております。
  205. 北沢清功

    北沢委員 最後に、時間がないものですからお尋ねしたいと思いますが、今までの開発助成金は業種に関係なく地域内の事業主を対象としているわけですが、今回の指定につきまして、助成金の支給対象についてはどのように考えているか、お尋ねをいたしたいと思います。
  206. 征矢紀臣

    征矢政府委員 今回の地域につきましては、従来の地域指定と異なりまして、ただいまお話しございましたように、技能の集積、そういうものに着目して地域指定を行う、こういう考え方でございます。  その技能、これは先ほど来御指摘ございましたように、技能というものについての考え方を整理することが必要でございますが、そういうことで整理しました技能、これに対して支援する、活用についての支援を行う、こういう考え方でございます。したがって、そういう意味では、従来の地域と異なりまして、基本的には製造業等に関する一定の事業主、いわば業種が一定の限定された形での業種ということになりますが、そういう一定の事業主をこの助成の対象として考えるということでございます。
  207. 北沢清功

    北沢委員 私ども立場から最後に申し上げたいと思いますが、この法案は非常に前向きであり、かつ有効、必要な法案であるということを私どもは認識しております。そういう面では、ひとつ労働省の皆さんも、今後非常に雇用問題が厳しくなる、雇用というものもそうですし、いろいろの面で規制緩和等を含めて相当なリストラ的な要素も出てくると思いますから、そういう面で万全を期して、日本産業の発展のために一層の御努力を要請いたしたいと思います。  以上で終わります。
  208. 青山丘

    青山委員長 次に、畑英次郎君。
  209. 畑英次郎

    ○畑委員 太陽党の畑英次郎でございます。  今朝来、岡野大臣岡野節をずっと拝聴いたしておりまして、いかに情熱を燃やして労働行政にお取り組みいただいておりますか、きょう、また改めて敬意を表する次第でございます。  本日のこの法案につきましては、これだけ、いわゆる産業空洞化あるいは雇用空洞化等々大変な大問題になっております時期でありますだけに、これは速やかに法案の成立を見まして実施に移していただかなければならない、こういうよう、に考えるわけでございます。  従来、雇用の促進のためにあるいは環境整備等々の問題に、これはたしか昭和六十二年からずっと施策を展開してこられたわけでございますが、私は、ちょっと今までの御発言とあるいは違うかもしれませんけれども、今回のこの高度技能を活用して雇用安定を図る、そういう要素のものも、従来指定をされました地域にオーバーラップして指定をした方がより効果が上がるのではないかなというようなことを感ずる一員でもあるわけでございますが、この辺についてのお考えはいかがでございましょうか。
  210. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おっしゃいますように、我が国のこの経済、産業の今日までの発展というか、転変きわまりないその動きの中では、あるいは新産業特別指定だとか、もろもろの指定がございました。お地元にもあるわけでありますけれども。  さて、それぞれの経済環境の変化に基づいて雇用の問題を解決しようということで指定をしてまいった、あるいはその際に産業の交流を図って、その観点から考えてきた。したがいまして、観点というものが必ずしも今回の観点と全部が全部合致をしているというわけにはまいらぬ、こう思っております。したがいまして、合致するものもあり合致しないものもあり、我々は新たな雇用空洞化等々の観点から指定をしてはいかがかと、こう思っております。
  211. 畑英次郎

    ○畑委員 私は、そういった従来指定された地域に重ねてまた違った視点からの要素を踏まえた地域指定をする、これも将来は一つ考えるべき手法ではないかなというようなことも考えておりますので、この辺につきましても引き続き御検討がいただければありがたいがなというように考えるわけでございます。  今度は、こういうような新しい一つの施策の展開という中にございまして一番懸念をしますのは、やはり何といっても、中小企業、零細企業方々のお立場にございましては、こういった中小企業のお立場では、新分野に高度技能を生かして進出をしようというお気持ちがあっても、なかなかそれだけの基盤といいますか、あるいは余力といいますものが私はなかなか難しい。そういうような意味合いでは、さらなるいわゆる零細・中小企業対策というものを同時並行的に行いながらこういったものを展開をしていかなくちゃならない、そういうような考え方に立つわけでございます。  まずは、具体的に申し上げれば、やはり若年層の、あるいは後継者と申し上げた方がいいかもしれませんが、そういったような方々が現実には高度技能を持った方々周辺になかなか現在いない、こういった問題もこれは解決をしていかなければならない重要案件ではないかなというように考えます。  なおまた、そういうような意味合いの中にございまして、御案内のとおり、就職協定の廃止に伴いまして、私は、中小企業の大卒者の採用というようなことが大変難しくなっておるというように考えます。この辺は何か一工夫して、やはり中小企業、零細企業分野にも大卒の方が就職できるような一つのチャンス、あるいは時期的な便宜を図るとか、こういうことがあってこの高度技能等々も生かされる、あるいは後継者ができる、あるいは二十一世紀に向けた体制づくりができる、そういうことも考えるわけでございます。  この辺についての就職協定の廃止に伴う受けとめ方、大臣のお考えがございましたら、御回答をいただければありがたいと思います。
  212. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生おりし々いますように、就職協定が今年は廃止をされた、したがいまして、やはり就職戦線というようなものが非常に長期に、わたって展開されるのではないか、それからまた早くなるのではないかというような観点で、私どもが非常に大きな関心を持ち、見守り、かつ使用者側は主として日経連になりますか、また大学側、これにも文部省を通じて私ども意見を申しているということであります。  特に高卒、それから女子につきまして今言ったようなハンディが大きくなるのではないか、そういう意味合いで、私どもといたしましては、就職面接会あるいは求人情報の幅広い提供といいますもの、あるいは在来から展開をいたしておりますところの公共職業につきましての全国ネットワーク、そのまた相談会などなど、そういうようなものを総合的に活用いたしまして、一人でも多くの若年層の新卒者のあるいは女子学生の卒業者の就職を円滑にしたい、こう考えている次第であります。
  213. 畑英次郎

    ○畑委員 私は、今度のこの高度技能活用の雇用安定の問題、こういうような新しい施策を展開する以前の、従来、地域指定をされました環境整備等々の地域で目をみはるような成果が上がっている地域、そういうものが御披露いただける要素がございましたら、ひとつお知らせをいただけるとありがたいがなというふうに考えます。  と申しますのは、こういった新しい施策を展開する前に、過去のやった事例から、やはりこれだけのものは地域メリットがありましたよ、実績が上がりましたよというようなことをお知らせすることが極めてこれは重要なことではないかなというようにも私は考えますものですから、そういうものが幸いにしてありましたら、ひとつ御披露を願えればありがたいと思います。
  214. 征矢紀臣

    征矢政府委員 現行の地域雇用開発等促進法に基づきます指定地域、これは、平成九年三月十九日現在、雇用機会増大促進地域が四十二地域、特定雇用機会増大促進地域が一地域雇用環境整備地域が十四地域緊急雇用安定地域が一地域となっております。  例えば、総量としての雇用機会が不足している雇用機会増大促進地域におきましては、事業所設置整備して、地域内に居住する休職者を雇い入れる事業主に対する助成措置を講じているところでございますが、この措置によります直接的な雇用創出人員だけで見ましても、昭和六十二年度、これは助成金の支給開始年度でございますが、昭和六十二年度から平成七年度までの間に約二十五万人に上っております。地域における雇用機会の増大に一定の役割を果たしてきているというふうに認識いたしております。
  215. 畑英次郎

    ○畑委員 私は、こういった地域指定が成功するかしないかの一つの大きな決め手といいますものは、これは労働省側の大変な御高配、御熱意によって物事が進展してまいっておりますことは言うまでもございませんけれども、やはり都道府県あるいは関係地域市町村あるいは事業主等々の関係方々が、まずはやろうという意欲を持ってお取り組みが願えるという下地がないと物事の解決には結びつかないということを考えますと、やはりその地域方々の主体性といいますものをあくまでも尊重していかなければならぬ、こういうように考えるわけでございます。  私は、先ほど同僚議員の方々の御質問等々にもございましたけれども、二十カ所指定をする、これに対してどの程度の競争倍率があったのかな、これから先のまだ最終的な選考といいますものは、箇所づけといいますものは、これから当然行われるというように承知はいたしておるわけでございますが、そういうような地元の関心の熱意といいますか、主体性を持ってやろうという意欲の表現の物差しとしてどのぐらいの倍率があるのかなというように考えますが、お差し支えのない範囲お答えを願いたいと思います。
  216. 征矢紀臣

    征矢政府委員 どのくらいの倍率になるかというほどの情報を現時点で把握しているわけでございませんが、私どもといたしましては、この地域指定に該当する可能性のあるところということで、三十三都道府県、三十五地域において内部検討を昨年末の時点でいたした、そういう経緯はございます。
  217. 畑英次郎

    ○畑委員 いずれにしましても、こういった新しい、そしてまた、たしか二十八億でございますか、新規にこういった分野予算を使うということでございますから、今申し上げたような意味合いで、地元の熱意に十二分に相呼応しまして、また、現場でもっていろいろ協議会的なもの、関係者の十二分な打ち合わせ、こういうことも既にお話がございましたので、この辺につきましては、さらにひとつきめ細やかな取り組みをぜひともお願いを申し上げたいがというふうに考えます。  そしてまた、大臣からもお話がございましたけれども労働省と通産省とのいわゆる連携を密にしてというケースでございまして、これはもうぜひとも推進を願わなければならぬというふうに考えるわけでございます。郵政省と通産省とが、情報産業分野では、そういった方向として、産業振興という意味合いでのターゲットは、努力目標は同じにしながらも、やはりなかなか協調体制が従来はいささか問題があったことはこれまた事実、最近は大きく改善がされておるというようには考えますけれども、この辺が一つの大きな決め手というふうに考えるわけでございます。  私は、やはり大臣お話しのとおり、雇用空洞化産業空洞化、表現は違いますけれども、全く表裏一体となって解決を図って初めてこの地域指定の成果も上がる、かような意味合いでの御認識の中でぜひともお取り組みを願いたいがというふうに考えます。  この補助事業等々の問題が、大方、雇用促進事業団が窓口としてお取り上げになるというように承知をするわけでございますが、例えば職業訓練校等との問題、これは私の認識違いかもしれませんけれども、大方、県段階で県の職業訓練校等々がある。あるいは、けさ、たまたま田舎の方から手紙が参っておりまして、こういった時期に、これは専修学校各種学校連合会、こういったような民間のお立場では、こういうような教育機関が民業を圧迫するのではないか、この辺については十分御留意を願いたいというような私に対する御要請のお便りをいただいておるわけでございます。  私は今、雇用促進事業団がいろいろこれから難しい論議の対象になることは避けられない今日の姿というふうに考えるわけでございます。これまた、たまたまきょうの新聞一紙の中に、逆に申し上げれば、「民間は採算のとれる、人気のある分野しかやらない。」でございますから、雇用促進事業団のこういった職業訓練等々は思い切って、いわゆる設備投資等々をいたしました高度な訓練ができるような体制づくりをやる、そういうことが求められておる時期ではないかなということを考えますと、雇用促進事業団のそういった分野は引き続きダイナミックな展開ができますような力を入れていく必要がある、こう私自身は考えるわけでございますが、大臣の所見がお伺いできればありがたいと思います。
  218. 岡野裕

    岡野国務大臣 先生、農林大臣、通産大臣を御経験のもとでいろいろ御高見を承りまして、ありがたく拝聴いたします。  なお、今日、県の訓練学校とそれから雇用促進事業団の訓練学校、あるいは民間経営になりますところの実習学校、これらのすみ分けの問題についてのお話がございました。  県の訓練校との絡みから申しますと、やはり県の場合には新卒中学生、新卒高校生、これを対象としたもの、これが中心になっているかと思います。ところが、私どもの方は、これも中に入れておりますが、同時に、もう既に就職をしている方が、もう少し自分能力開発いたしたい、年次休暇等々を活用して一週間とか三週間とか勉強に見える、あるいは、一たん就職したが残念ながら辞職させられてしまった、それでは新たな技能を身につけて新たな就職口がないかというような点に力を入れているところで、これはすみ分けがついていると私どもは思っておるところであります。  それから、民間との関係でいきますと、やはり民間さんはそろばんがはじけぬとこれは経営が成り立ちません。したがいまして、大都市に所在をするという傾向が多うございます。かつまた、事務系のお仕事といいますか、これを教えるということが多くて、技術系の、我々がさっきから言っておりますところの物づくり技能、これを中心とするのは全体の一四%だということでございます。そこからいきますと、私どもは毎年二十四万人に及ぶ卒業生を出して、物づくりに励む日本の全体の、言いますならば船こぎを志しているというようなことで御理解を賜りますならば、まことに幸せであります。
  219. 畑英次郎

    ○畑委員 大臣の御健闘を祈って、終わります。ありがとうございました。
  220. 青山丘

    青山委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  221. 青山丘

    青山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地域雇用開発等促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. 青山丘

    青山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 青山丘

    青山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  224. 青山丘

    青山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会