運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1997-05-08 第140回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月八日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 穂積 良行君    理事 谷  洋一君 理事 平林 鴻三君    理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君    理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君    理事 田中  甲君 理事 穀田 恵二君       石橋 一弥君    久野統一郎君       下村 博文君    田中 和徳君       滝   実君    中野 正志君       西川 公也君    西田  司君       平沢 勝栄君    持永 和見君       渡辺 具能君    今井  宏君       川端 達夫君    笹山 登生君       島   聡君    白保 台一君       福留 泰蔵君    松崎 公昭君       鰐淵 俊之君    葉山  峻君       古川 元久君    春名 直章君       畠山健治郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     白川 勝彦君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         警察庁長官   関口 祐弘君         警察庁長官官房         総務審議官   金重 凱之君         警察庁刑事局長 佐藤 英彦君         自治政務次官  久野統一郎君         自治大臣官房長 谷合 靖夫君         自治大臣官房総         務審議官    嶋津  昭君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局公         務員部長    芳山 達郎君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   渡辺 具能君     田中 和徳君   今井  宏君     島   聡君 同日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     渡辺 具能君   島   聡君     今井  宏君     ――――――――――――― 四月二十五日  地方単独事業推進に係る地方交付税措置に関  する陳情書  (第二一〇号)  地方公営企業に係る既往債の借りかえに関する  陳情書  (第二一一号)  銃器犯罪根絶に関する陳情書  (第二一  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第七四号)  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第八四号  )      ――――◇―――――
  2. 穂積良行

    穂積委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方自治法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福留泰蔵君。
  3. 福留泰蔵

    福留委員 新進党の福留泰蔵でございます。本日議題となっております地方自治法の一部を改正する法律案に関連して当委員会質問の機会を得ましたことを、御礼を申し上げたいと思います。  この法案については、私、本会議においても質疑をさせていただきました。その関連で質問をさせていただきたいと考えているわけでございますが、この法案中身質疑に入る前に、今日の地方自治にかかわる最も大きな課題一つでございます地方分権の問題、そしてその地方分権の中でも、本日私は、市町村合併に関する問題について初めに質疑をさせていただきたいと存じます。  今最大の課題となっていると思うわけでございますが、この地方分権という問題を実効あらしめるためには、現行制度見直しという視点からは、機関委任事務制度の廃止、またそれに伴う自治事務法定受託事務振り分け等の作業が必要となっているわけでございます。また地方分権でさらに大事なことは、地方自治体自主性強化という面から、課税自主権強化地方債許可制度見直し等の問題があるわけでございます。  これらの問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、本日は時間も限られておりますので、地方自治体自主性強化行政能力強化という面から必要となっております市町村合併問題についてお伺いしたいと思います。  これはもう私から申し上げるまでもありませんけれども、我が国では今まで二回の大きな市町村統合があったわけでございます。明治二十二年には、市制及び町村制を施行し約七万一千あった市町村を約一万六千と五分の一に減らした、明治の大合併というものがあった。そしてまた戦後の新憲法の制定後、地方自治の確立が大きな課題となる中で、教育、福祉、保健衛生警察等事務市町村で処理されることになりまして、市町村行政能力強化が必要となって、昭和二十八年には町村合併促進法及び新市町村建設促進法制定されました。以後約六年間で、九千八百六十八あった市町村が三千四百七十二ということで約三分の一くらいになったというわけでございます。いわゆる昭和の大合併と言われているようでございます。  そして現在、地方分権が本格化する中で、大胆な、いわゆる平成の大合併ということが必要になってきているのではないかという認識だろうと思っているわけでございます。  それで、平成七年には市町村合併特例に関する法律の一部改正が行われました。法律有効期限を十年間延長するとともに種々の改正が行われ、実質の新法の制定に近い内容認識しているわけでございますけれども、その中の一つの目玉として、合併協議会設置に関する直接請求の制度といたしまして、住民発議制度の創設があったわけでございます。  この法改正後二年間で、合併協議会設置要求住民発議がさまざまなされていると思うわけでございますが、全国でその住民発議が何件出されているのか、そのうち合併協議会設置にまで至ったのは何件あるのか、そしてその進行状況はどうなっているのか、まず自治省にお伺いしたいと思います。
  4. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御質問住民発議は、現在まで十六地域で三十九件が成立いたしております。そのうち三地域の五件が合併協議会設置に至っておりますが、九地域の二十五件につきましては協議会設置に至りませんでした。また、残りの四地域九件につきましては現在手続中でございます。
  5. 福留泰蔵

    福留委員 今お伺いするところによると、まだこれからの話もありますが、どうも、住民発議がなされても合併協議会設置できなかった件がかなり多いように伺ったわけでございます。  合併協議会設置されなかったところに関しては、どのような理由でそれが設置できなかったのか、その理由をお伺いしたいと思います。
  6. 松本英昭

    松本政府委員 合併協議会設置に対します住民発議につきましては、発議が成立いたしますと、合併対象市町村に対しまして意見を聞くわけでございます。その際に合併対象市町村は、市町村長みずからが議会に付議するかどうかを決する、そしてまた議会に付議いたしましたときにはその議会で採決をする、こういうことになっています。  そういう手続の中で、合併協議会設置に至らなかった、先ほど報告申し上げました二十五件のうち十七件は、合併対象市町村長議会に付議しないという回答をなさったわけでございます。残りの八件は議会に付議した上で議会で否決された、こういう結果になっております。  それぞれの理由でございますけれども、いろいろな理由がございますが、例えば、合併住民関心度からいってまだ時期尚早であるとか、あるいは、発議対象としております区域については、歴史的な条件あるいは地理的な条件で、広域行政の実績を考えますと適当ではないのではないかとか、それから、もっと大きな合併を考えているときに特定の住民発議で出されました市町村だけを対象にするのは適当ではないのではないかとか、あるいは地域独立性独自性が失われるおそれがある、そういうような意見が多かったやに承っているところでございます。
  7. 福留泰蔵

    福留委員 確認をいたしますが、基本的には、住民発議がなされて合併協議会設置されなかったのは、当該市町村長議会に付議しなかった、市町村長判断でそれができなかった、こういうことでよろしいでしょうか。
  8. 松本英昭

    松本政府委員 先ほど申し上げましたように、合併対象となっている相手方市町村長が自分の議会に付議しないという件数が二十五件のうち十七件、それから、付議はいたしましたけれども議会の方で否決された、これが八件でございます。
  9. 福留泰蔵

    福留委員 今の住民発議制度でございますけれども、今お聞きしたとおり、市町村長また議会の反対で、相手方市町村長議会ということでございますが、簡単にほごにされているのではないか、そういうケースが多過ぎるのではないか、これは問題ではないかというふうな認識を私は持っているわけでございます。住民皆さんが、ぜひとも合併をして、ある意味でいえば地方行政サービスの向上を求めてそういう意見を出されたにもかかわらず、それが反映されないということは、仕組みの中にさらに工夫をしていく必要もあるのではないかなと私は考えているわけでございます。  私ごとになりますけれども、私が住んでおりますのは埼玉県の川口市でございます。この川口市は、川口市の中に鳩ケ谷市という市がございまして、この鳩ケ谷市というのは北もそれから東も西もすべて川口市に囲まれておりまして、鳩ケ谷からほかの市に行くためにはわずか一本か二本ぐらい東京都に抜ける道があるぐらいで、ほとんど川口に囲まれているような市でございます。  この鳩ケ谷川口は、昔は同一の市となっておりましたけれども、住民間の対立で鳩ケ谷市が再度分離したというふうな歴史があるわけでございます。その後、時代の変化に伴って鳩ケ谷市民の中からも、ぜひとも再度合併してほしいという発議がなされました。しかし、それが、先ほども御説明ありました一例でございますが、川口の方の判断でその協議会設置されなかったというふうに聞いているわけでございます。  私は、こういう住民発議制度を一歩さらに進めまして、住民投票によって住民が直接合併の態度を決定するような制度導入を図るべきだと考えておるわけでございます。今のところはそれぞれの首長さんそれから議会が最終的に判断をするという先ほどお話でございましたけれども、首長さんまた議会を構成される議員皆さんは、みずからのお立場の問題もさまざまあって、合併ということについてはなかなか前向きになりにくいというふうなお話も伺っているわけでございまして、ぜひとも、合併問題について住民意向をもっと取り入れるような方策を私は考えるべきではないかと思うわけでございますが、自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
  10. 松本英昭

    松本政府委員 平成七年の合併特例法改正に当たりまして、その前に研究会設置し、また地方制度調査会においていろいろと御議論をいただいたわけでございます。その際にも、住民投票制度というのを導入したらどうかということが大変大きな論点になったと私どもも承知をいたしております。  その際もいろいろ御議論があったわけでございますけれども、一つは、今日の地方自治制度全体の中で、代表民主制を基本としているということから、住民投票制度を組み入れることがどうだろうか、それが一つ論議の中の論点であったと思います。  また、市町村合併についてだけ申し上げますと、合併後の町づくりなどを行うかどうかを総合的に勘案して判断するべきもので、住民投票というのはどうしても、イエスかノーかといいますか、右か左かということで、選択肢が非常につくりにくいこともあります。  そういうことを考えますと、合併ということについても、住民投票にゆだねるということについてはいま少し慎重な検討が必要ではないかというような御議論がございまして、さきの改正の際には、発議制度、イニシアチブの制度にとどめたわけでございます。  今後、合併の動向を見ながら、果たして住民投票制度まで踏み込むべきかどうかということは、現在、地方制度調査会合併問題についての論議を進めていただいておりますので、そういうところの議論、そのほか関係方面の御議論等を踏まえながら、幅広く検討してまいる必要があるだろうというように考えております。
  11. 福留泰蔵

    福留委員 いずれにしても、まだまだ市町村合併への機運というのはなかなか高まりにくい、現実的には高まりにくい状況にあろうかと思います。住民発議制度がとりあえずできたということでございますけれども、今の答弁によりますと、地方制度調査会等議論を踏まえて今後検討していくというふうに伺ったわけでございます。  当初のねらいでありますこの市町村合併というものを促進するためには、先ほど住民投票ができにくい理由一つとして代表民主制ということをおっしゃいましたけれども、市民代表として議会を構成される方々がこの問題に関して、先ほど申し上げましたとおり、みずからの身分とかかわる問題が生じているために、すべてがこの問題について市民代表として行動されているのかということについても私は多少の心配をしているわけでございまして、ぜひとも、住民意向がこれに反映されるように前向きに検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  続きまして、いよいよ本論でございます、今回の地方自治法の一部を改正する法律案中身について質疑をさせていただきたいと存じます。  今回の改正案では外部監査制度導入というのが一つの柱でございますが、この問題については他の同僚議員質問に譲るといたしまして、私は、現行監査委員制度問題点指摘をさせていただいて、その改善を図るという面からの質問をさせていただきたいと存じます。  まず、全都道府県市町村対象にいたしまして、平成八年六月現在で、自治省の方で調査されましたその調査結果によりますと、この監査委員のほぼ半数を議員が占めている。そして、地方自治体OBが一五・三%。そして、公認会計士、弁護士、税理士の資格を持っている方々が三・五%にとどまっているという実態であるということでございます。監査独立性専門性の面で、この実態は多少問題があるのではないかと私は考えるわけでございますが、この点について自治省の御見解を伺いたいと存じます。
  12. 松本英昭

    松本政府委員 現行監査委員でございますが、今委員指摘のような状況になっているところでございます。  ただいま問題点として御指摘いただきました当該地方団体議員とかOBが多いではないかということにつきましては、この監査委員制度の改革を議論していただきました地方制度調査会におきましても、いろいろと両面からの議論があったところでございます。  一つは、当該地方団体監査を行います際に、やはりその団体の公務の実態というものに精通した人が必要ではないかとか、あるいはまた、議員立場からいいますと、将来、その監査の結果を反映した行政をやっていく場合に、意思決定機関である議会意思をうまく集約していただけるという意味から、監査委員議会議員を入れた方がいいんだという意見等もございました。現実に、識見を有する監査委員の方、その方にも来ていただきまして、果たしてそのことについてどういうお考えをお持ちでしょうかということを地方制度調査会で聞いたことがございます。その際にも、識見を有する方で御意見をおっしゃった方のかなり多くが、やはりそういう人がいてもらった方がいいという感じのことをお話しになった記憶がございます。  しかしながら、今委員も御指摘のように、そういうことの反面で、当該団体OBの方が多いとか議員の方が多いとかというような実態は、どうしても監査相手方となる方々との関係が深いわけでございますから、監査においての緊張感を欠く、それが現在の監査制度の大きな問題ではないかという御指摘もございまして、そういうことから今回は、OBにつきましては上限を一人とする、上限を一人とするということはゼロでもいい、こういうことでございますが、ゼロないし一人でいい、こういうことにいたしたわけでございます。  一方、議員の方は、いろいろ議論がございましたが、議会全体の権限とか議会活性化というような幅広い観点からの審議を現在分権推進委員会等でお願いいたしておりますから、そちらとの関係も考えながらこの問題は処理する方がいいだろうという結論に達しまして、議員の方については今回手をつけない、こういうことにいたした次第でございます。
  13. 福留泰蔵

    福留委員 次に、これは本会議でも質問させていただいたわけでございますけれども、監査委員定数の問題でございます。  監査委員定数の問題については、都道府県では四人ということで画一的に決まっているわけでございますが、都道府県といっても大小さまざまあるということでございます。大はどこかというとまたいろいろ差しさわりがあったり、また小はどこかというと差しさわりがあるかもしれませんけれども、一つ例えで申し上げれば、東京都とそれから人口の少ない鳥取県を具体的に比べてみましても、東京都の人口は一千百五十五万人、予算規模が七兆円、そして一般職員だけで約十万人近くいる都でございます。それから鳥取県は、人口が六十二万人、予算が四千二百十七億、職員数が約五千名という県でございます。東京都と鳥取県を比べても、人口予算職員数、おおよそ二十倍ぐらい違うわけでございます。  この二十倍違う都道府県を画一的に監査委員四名ということで決めているのが現状でございますが、こういった人口とか予算とか、また地域性もいろいろあると思いますけれども、そういうことを含めて、定数については弾力化する必要があるのではないかと思うわけでございますが、この点について自治省の御見解をお伺いしたいと思います。
  14. 松本英昭

    松本政府委員 監査委員定数につきましてもいろいろ御議論がございまして、今委員指摘都道府県の四人ということについても、もう少しふやせばいいじゃないか、ふやすことができるようにすればいいじゃないかというような論議もあったように私も記憶をいたしております。  基本的に、都道府県の大小はございますけれども、権限に差がないというのが現行制度でございまして、そういうことから、今の制度のもとでは四人という定数を決めておるわけでございますが、今回この弾力化ということを考えますと、やはり現在の地方団体に対するチェック機能ということを考えますとどうもこれを増加する方向意見が向きがちではないだろうかというようなことが地方制度調査会でも出ておりまして、それは、現行監査委員をふやすということよりも、やはり違った目で監査をするという方に制度を立てた方がいいのではないかということで、今回、外部監査という形で制度導入する、こういう方向に行ったのが論議の過程でございました。  一方、減少させる方については、現在の制度の運営の実態を見ながら定数を減少させますと、どうしても有識者、識見を有する者の監査委員を減らすような方向に動きがちであろう、それは、今監査機能充実強化ということが言われている方向とはどうも合わないのではないかというようなことで、現行制度のもとにおいての都道府県監査委員定数は四人ということとするという方向で今回は臨んだわけでございます。
  15. 福留泰蔵

    福留委員 今回は、そういう背景をもとに、外部監査制度導入させてさらに充実した監査を行っていくという趣旨だと思うわけでございます。端的に申し上げると、現状監査制度が十分でないから外部監査制度導入するということですよね。ですから、私は、外部監査制度導入されることはいいことだと思うわけでございますが、現状が実は形骸化してしまっている、機能を果たしていないということを放置したままで外部監査制度導入するという考え方は、若干違うのではないかと思うわけでございます。現状内部監査制度もさらに改善をし、その上で外部監査制度導入するということが当然のことだろうと思うわけでございますが、現行監査委員制度改善充実をさらに図って、監査の実効が上がるようにしていくべきだと思うわけでございます。  今回の法案の中では、現行監査制度改善という面では多少不足している面があると思うわけでございますが、その点についての御見解はいかがでしょうか。
  16. 松本英昭

    松本政府委員 確かに、先生のおっしゃいましたように、現行監査制度をどの程度充実強化方向制度改正をするかということは重要なポイントの一つであったわけでございまして、二十四次の地方制度調査会におきます専門小委員会報告の中でも、外部監査制度導入ということと現行監査制度充実強化両面で対応する方向意見書が出されているわけでございます。  それを受けまして、二十五次の地方制度調査会でその内容を詰めたわけでございますが、先ほど申し上げましたようなことで、委員指摘定数についてはそういう形で今回は臨もうということになったわけでございますが、例えば先ほどOB制限の問題、それから町村監査委員を二名とするとか、あるいは町村事務局設置づける方向にするとか、そういう点において充実強化をいたしましたし、一番実質的な話としてあると思いますのは、今までは監査の結果は報告、公表していたのですが、それに基づいてどういう改善をしたかということを公表していなかったわけでございます。今回は、現行監査制度についても、監査の結果に基づいてどういう改善をしたかということを出しまして、公表をする、こういうことを義務づけることにいたしました。  そういう点で、現行監査制度についてもいろいろと、改善を加えるべき点は制度的な措置をしたつもりでございます。
  17. 福留泰蔵

    福留委員 先ほど監査委員の問題について申し上げましたけれども、監査委員を支える事務局についても、職員数現状というものはさまざまあるようでございます。現実的には、事務局の仕事も大変忙しくて、十分な監査事務局としても体制ができていないというふうなお話も伺うところがあるわけでございます。監査委員事務局職員数もふやすべきではないかという御意見もあるようでございますし、また、専任の職員を置くことが困難な小規模町村もあるようでございますので、こういうところには共同で事務局設置する等の工夫も必要ではないかとも考えているわけでございます。  時間がちょっとなくなったものでございますから、この点については意見だけを申し上げておきたいと思います。  最後質問に入らせていただきます。  今事務局職員の人数の問題を申し上げましたけれども、具体的な監査委員事務局職員研修制度の問題について、最後質問させていただきたいと思います。  今、実際の監査事務をやっていただいています職員方々に対する研修というものが行われていると思いますが、それについては、どういうものがどこで実施されているのか、まずお伺いしたいと思います。
  18. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 お答えいたします。  現在、監査委員事務局における職員研修ですけれども、いろいろの研修体系レベルがございます。一つは、もちろん地域における研修県レベル研修ということと、あわせて全国レベルの自発的な研修として全都道府県監査委員協議会連合会における研修、また全国都市監査委員会事務研修会というような自発的な研修、また全国研修組織として市町村職員中央研修所市町村アカデミーにおける監査事務研修というような、いろいろの体系研修が現在存在してございます。
  19. 福留泰蔵

    福留委員 自治学校での監査に関する研修についてお伺いしますけれども、その時間数はどうなっているのか。それから、監査委員事務局に配置された職員については、自治学校における監査についての研修の課程を新しく設けて、そしてその研修の受講を義務づける等の実効ある監査制度の充実を図るべきだと考えているわけでございますが、この二点についてあわせて最後自治省の御見解を伺いたいと思います。
  20. 芳山達郎

    ○芳山政府委員 自治学校における研修でございますけれども、現在、自治学校研修の性格として、職務全般にわたりまして、地方公務員の中堅幹部の研修を基本的な任務としてございます。現在の監査制度についても、地方自治制度研修の一環としてその中身が取り上げられておるところでございます。  時間数のお尋ねでございますけれども、地方自治制度全般として、第一部課程の都道府県職員研修、また第二部課程の市町村職員研修ということで十数時間やっておりますが、その中で監査制度についても触れられておるというわけでありますけれども、今後研修内容等についてはなお一層工夫改善に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
  21. 福留泰蔵

    福留委員 ありがとうございました。
  22. 穂積良行

    穂積委員長 松崎公昭君。
  23. 松崎公昭

    ○松崎委員 新進党の松崎公昭でございます。  外部監査制度の問題は、監査というか、行政全般に対して市民なり有権者がどういうスタンスで見るかの一つの大きな材料だとは思いますが、今回、その住民の信頼にこたえられる行政の整備ということで新しくこの外部監査制度が出てきたと思います。先ほど福留先生の論点では、現状監査制度もしっかりやるべきだということでありますけれども、私のつたない狭い経験でも、市の監査委員もやったこともありますし、きのうは私の出身の県の監査委員と、議選でありますけれども、お話をしました。  やはり、要は、今までの体制を幾らいじくっても、どうも今の体質でいくとなかなか簡単にいかないな。ですから、そこで思い切って外部監査を入れたのかなということで、私は歓迎するという立場でございます。ただ、次に質問される私どもの同僚の白保さんの方は、沖縄の方では十分今の制度でいいのだと。ですから、これはまさに地方自治全国的に千差万別で、それぞれの地域の歴史性だとか、やはり政治あるいは行政の仕組みの歴史性もあって、一概にこれは現行だけでいいんだ、あるいは現行はだめなんだということはひょっとしたら言えないのかもしれませんけれども、私の今住んでおります首都圏の人口急増地帯の行政に対する信頼性、そういうような自治体がかなり多いと思いますけれども、そういう中での経験からいきますと、やはり今までの監査制度では——正直言いまして、私も住民監査を受けたこともあります。どう見てもなれ合い、甘いということは、これはもうどうにもならないことだろうと思っております。ですから、外部監査制度が今回導入されるということはいろいろな意味で一歩二歩前進だろう、そんなふうに私は思っている次第でございます。  今回の外部監査制度の一番のポイントは、やはり独立性専門性、これを外部の方にお願いをしてしっかり住民に信頼できるようにしようではないかというふうに私は受けとめておりまして、この前の答申でもそういうことを、独立性専門性の確保の観点から今までの制度ではおのずと限界があると認めておるわけですね。また、地方自治団体に属さない者が監査するという新しい概念でやるのだというふうに言っております。  ですから、この辺で、残念ながら、二百五十二条関係では、外部監査人の契約をするときも監査委員意見を聞くとか、それから二百五十二条の三十八ですか、包括外部監査人の権限として、関係人の出頭を求めるときも監査委員と協議する。それから監査結果に関して、外部監査人の監査結果に関しても報告措置の通知、あるいは公表も全部監査委員にゆだねる、こういうことになりますと、私は導入の趣旨とどうも違うような気がしてしまうわけであります。そこで、外部監査人がこうやって監査委員との、まあ顔色をうかがうというか、常に監査委員を通さなければすべてを行えないということは、本当の意味専門性独立性が確保できるんだろうかというふうに思いますので、その辺はいかがでしょうか。
  24. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘になりましたように、外部監査というのは、監査の実行に当たって地方団体から独立してその業務を行うということ、そして、みずからの専門性を最大限発揮していただくということに制度の眼目があるわけでございます。  その際に、まず最初に、そういう外部監査人と地方公共団体との契約関係に入るときに、地方公共団体意思を決定する必要があるだろう、その意思の決定に際しては議会の議決を行う、こういう形にいたしております。それで、議会の議決を行うに当たって、やはり執行機関の中で意見を述べる立場の者が必要だろうということで監査委員が、これは長の方が意見を言うという建前もあったわけですが、この外部監査ということの性格から考えますと、やはり監査委員の方が意見を述べる方がより中立的であろうということで、監査委員意見を述べるということにしたわけでございます。  それから、次の、業務の執行に当たって二点だけ、実は監査委員と協議をすることを法律上規定いたしております。  その一つは、今委員が御指摘になりました、関係人の出頭ということであります。この点は、ただいま申し上げましたように、外部監査人と地方公共団体との関係というのは契約の関係でございますから、私人に対しまして関係人として出頭を要求する、そういう立場外部監査人が立つ場合、直接その外部監査人と関係しない第三者に義務を課していくという性格のものでございますので、その間にやはり地方公共団体意思を介在させる方が適当であろうということで、例外的に監査委員意見を聞くことにいたしているわけでございます。  あと、外部監査人の補助人を立てるときに、これは外部監査人とチームを組むわけでございますので、外部監査人そのものに監査委員意見を聞いたり議会の議決を経るという制度にしておりますこととのバランス上、補助人についても協議をする。その際に、やはり協議の相手方監査委員の方が適当であろう、こういうことにいたしたわけでございます。  あとの公表の問題でございますけれども、この公表につきましては、これは企業の会計監査人も、御承知のように、会計監査人が出しました報告は、監査役に対して出して、監査役が取締役会に報告をする、そして総会の招集のときにそれを添付する、こういう形になっているわけでございますけれども、やはり対住民一般の関係に立つときには、これも先ほど申し上げましたように、外部監査人は地方公共団体との契約関係ということでありますので、対住民一般に立ちますときにはその地方公共団体の機関であります監査委員が立つということでございます。ただ、その公表は、当然外部監査人が報告したものを公表する、こういうことでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  25. 松崎公昭

    ○松崎委員 ただ、最近監査委員会まで監査されたり、不正の支出をしている、こういうことがあって、少ない場所かもしれませんけれども、やはりこれは新聞報道等されるわけですから、常識的に言えば、監査委員会が、監査する側の人間が、江戸時代の何か役人の悪いやつがやっているみたいな、映画みたいな感じで非常に、悪代官ですか、それではやはり信頼性がないので、そのために外部監査をつくったと私どもはまさに素直に受け取ったものですから、どうもその辺が、多分外部監査人のいろいろな思惑とかあるんではないかと思いますけれども。  私は、むしろ現行監査委員制度はなくしちゃって外部のだけでいいんじゃないかぐらいの強い、それは行革の時代でもありますし、下手をすると屋上屋になって予算も相当かかるということになると、どうも時代の流れに反していることは確かなんですね。しかし、住民行政との信頼関係を持たなきゃならないということですから、こういう制度はしっかりつくらなきゃならないということで外部ということなんで、そんなことで少し、私は、もう少し外部監査人の立場をバックアップしてあげる。監査の場合後々いろいろ問題が起こることはわかりますけれども、ですからその辺で、行政もあるいは政治の方も外部監査人をバックアップするというしっかりとした形でいけば、私は外部監査人だけでもいいくらいのつもりでおります。  今の状態でいくとどうも、上下関係というとおかしいんですけれども、行政組織的に表現すると、ちょっと私よくわかりません、法的なことは。ですから、もう一回、現行監査委員さんと外部監査人の位置関係というのをちょっと教えてください。
  26. 松本英昭

    松本政府委員 現在の制度におきます監査委員外部監査人、これははっきり申し上げまして、職務の遂行に当たっては外部監査人は完全に独立をしてこの業務を行っていただくということなのでございます。  ただ、今申し上げました関係人の出頭の部分だけは、先ほど申し上げましたような理由に基づいて、そもそも当該団体との契約関係にある人でございますので、第三者を強制的に呼ぶということになりますとそこに公の意思というものをやはり介在をさせていく必要がある、そういう意味から、関係人の出頭のところだけは協議をする、こういう形にいたしております。  あと、外部監査人と契約関係に入るときの問題、これはやはり地方公共団体側の意思を決定するという意味において、監査委員が例えば契約について意見を述べるとか、外部監査人の補助人について協議するとか、こういう立場に立たしめているわけでございます。  あと、監査してしまった後の結果の報告は、これは先ほども申し上げましたように、外部監査人と地方公共団体というのは一対一の契約関係、対等の契約関係にすぎませんから、住民に対してその責任を負っていくのはこれは監査委員、そういう地方公共団体の組織の中で監査委員がその役割を負う、こういう形になっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、企業における会計監査人も公表の点では、公表というか報告の点では同じような仕組みをとっている、こういうことでございます。  繰り返し申し上げますが、業務の遂行に当たっては、これは完全に独立をして権限を、権限といいますか業務を執行していただく、こういうことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  27. 松崎公昭

    ○松崎委員 大体わかりましたけれども、ただ、私の経験上からいきますと、やはり事務局がやってきたことは、自分自身、監査委員がやったことも最終的には監査委員が決定したり知るわけですから、その辺で、外部監査人のかなり厳しい意見が出たときにきちっとそれを受けとめるのかというような、大変単純な疑問を感じておりますものですから御質問いたしました。  こればかりやっていますと時間がなくなりますので、今回外部監査制度を七十六団体に義務づけた、その他の市町村は条例で定める。これはどういう理由でしょうか。私は、できれば全国的に、もっと条例よりも強い形で外部監査導入すべきではないか、そういうふうに思います。  それともう一つは、財政援助団体に対する監査を同じくやはり条例で定める、包括外部監査制度の中では条例で定めるということになっておりますけれども、これも最初から対象とすべきではないか。  この二点、お願いいたします。
  28. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  今回の外部監査制度導入します際に、外部監査制度を全団体に義務づけることを原則とするという立場に立って考えていくのか、それとも外部監査制度導入についてはそれぞれの、制度の仕組みは法律できちっとつくらなければいけませんが、それぞれの導入に関しての自治体の意思を尊重してやるべきだという考え方と、実は地方制度調査会で大きく二つに分かれておりました。その際に、どちらを原則に持っていくべきかという議論をいろいろしていたのでございますけれども、そういう原則論をしていてもらちが明かないといいますか、意見が分かれていたところでございまして、実態から見て判断をしようではないかということでございます。  その際に、やはり都道府県や指定都市や中核市、こういうところはその業務が非常に膨大であるし、その役割も周辺の地域を含めて機能を及ぼしている面もいろいろあるわけでございまして、そういうことからこれらの団体については義務づけるということをしたわけでございます。その他の団体はそれぞれ条例で適用していく、任意に適用していくという建前をとったわけでございます。  これは包括外部監査の規定でございますが、その際に、包括外部監査が前提としております随意監査、この随意監査については、そういうことで当然制度的に義務づけられるわけでございますが、財政援助団体が非常にいろいろ問題がある、財政援助団体に対してはどうも、現行監査委員の中でそういう企業等の会計に明るくないというような実態も見られるので、これはやはり場合によって外部監査の方にお任せしていただいた方がいいという面も多々あるだろうということでございまして、それで財政援助団体監査外部監査に取り込むことは、これはその方向がいいんだろうという話でございましたが、実際の地方団体の中で財政援助団体というのは非常に区々でありますものですから、今回はともかく条例で外部監査制度というものを取り入れることをそれぞれの団体判断をしていただくということにいたしたわけでございます。  なお、将来、地方公共団体監査をめぐるいろいろな動向とか、あるいは導入いたしました外部監査制度の運用の実態を踏まえまして、さらに、委員の御指摘のような義務的な外部監査の範囲というもののあり方についても検討することについて、私どももその必要性が出てくるんではないかというように考えているところでございます。
  29. 松崎公昭

    ○松崎委員 それはこれから積極的にまた、導入してからまた検討しながら、よりいい制度にしていただきたいということで、この程度にとどめます。  次に、今ちょっとお話しになりましたけれども、包括外部監査で、外部監査人のイニシアチブによって監査を受けるというふうになっておりますけれども、この外部監査人のイニシアチブというのは、弁護士さん、公認会計士さん、それぞれ御専門かもしれませんけれども、膨大な行政の中で、具体的にどんなふうに、どういうステップを踏んでそのイニシアチブは発揮されるのか。また、これはそういう弁護士の団体の方とか公認会計士団体の方に相当周知、啓発をしておかないとなかなか難しいのではないかと思いますが、その二点、いかがでしょうか。
  30. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  包括外部監査で、外部監査人がイニシアチブでもって特定の事件について監査を行います局面というのは、大きく分けると二つあると思います。  一つは、それぞれの、これは年度ごとに特定事件を指定するわけでございますが、経常の業務の中で特定事件を、周期的に監査をした方がいい、外部の目で監査をした方がいいというような属性なり性格のものをつかまえて、そしてそれを監査していくという、そういう局面が一つあります。  いま一つは、いろいろマスコミとか住民方々からの意見の中で、これはどうもおかしいではないかとか、これはどうも疑問が持たれるというような風評が立っているような局面で、その局面で随意に外部監査人が監査に入っていただく、そういうことと、二つあるのではないかと思っております。  ただいまの委員お話しになりましたようなこと、すなわち、そういう局面で外部監査人がいかにして入るようにするのか、そういうことについての十分な周知や啓発というものについても、私どもも全く同感でございまして、既にいろいろと関係方面等とも、そういうことについての御意見も承っておるわけでございますが、今後とも御指摘制度の周知、啓発、あるいは、ただいま申し上げましたような点における情報の収集のあり方等について十分、私どももそういう関係者とともども研究し、検討して、制度の発足のときには遺憾のないようにしてまいりたいと考えているところでございます。
  31. 松崎公昭

    ○松崎委員 義務づけをされない、条例で導入しようとする市町村、これも、ちょっと私も今わかりませんけれども、どのくらい導入するのか。これは今の段階では確かに判断は難しいのではないかと思いますけれども、どのように外部監査制度市町村導入しようとするかという見通しと、それをどうやってふやしていくか、これもこの制度そのものの周知が相当徹底しないといけないと思いますが、その辺の指導の方はどうお考えでしょうか。
  32. 松本英昭

    松本政府委員 町村等一般市町村の条例での導入でございますけれども、定量的にどのくらいの程度だというのはなかなか私どもも申し上げるようなデータがないわけでございますが、この外部監査制度を検討いたしておりました段階で、現実に監査委員になっておられます方の中で有識者の方の意見を数人、いろいろお聞きしたことがございます。町村の方、市の方、いらっしゃいましたけれども、特に町村などにおいて、私は大変意外に思ったわけでございますが、有識者の方々が、こういう制度導入してもらった方が私どもは非常にやりやすい、そうしますと私どもは自分たちの本来の定期監査だとかあるいは決算監査だとかというものに精力が集中できるのだというような御意見宣言われたことが、非常に私の印象に残っております。そういうことを考えますと、一般の市町村に対しても、かなりのところで条例で導入されるということになるのではないかというふうに考えております。  また、一方では、現在の住民の要求ということもございますので、そういうこともあわせて、私は、この外部監査制度導入全国的に広まってまいるような気がいたしているわけでございます。
  33. 松崎公昭

    ○松崎委員 先ほどちょっと触れましたけれども、監査委員会へ外部監査人が入る、あるいはそういうこともあるのではないかと思います。そういう場合は、やはり報告とか措置、公表、これは監査委員を通してやるということなんですか。
  34. 松本英昭

    松本政府委員 結論から申し上げますと、監査委員会に外部監査人が監査に入るときも、手続等は全く同じでございます。  ただ、あくまでそれは、先ほども申し上げましたように、公表とか何かは形式的な行為でございますので、それでもって外部監査人の監査監査委員が妨害する、そういうようなことはないものと私どもも信じております。
  35. 松崎公昭

    ○松崎委員 住民監査請求の件でございますけれども、今までは、平成七年が五百九十五件ですか、そのうち住民訴訟に至ったのは百十八件とデータでは出ておるわけですが、実は、個別外部監査の中で住民監査請求、これの決定も議会の議決によらないで監査委員が行うということになっているのですね。これはちょっと私、よくわからないわけですね。議会の決定の方が公平、公正ではないかなというふうに思います。また、この住民監査中身を見ましても、私も経験があるわけですけれども、今までの監査委員さんでの住民監査では相当信頼性が厳しい。ですから、監査委員がこの決定を、取り上げる、取り上げないということを考えるのはどんなものかな、そんなふうに思うわけでありますけれども、その辺。  それから、もし外部監査人が個別外部監査住民監査をやってくれるということになると、かなり件数がふえるのではないか。ですから、これは予算の問題も相当影響が出てくるなということで、この外部監査制度全体の予算の問題も非常にわかりづらいのですけれども、この辺は、ガイドラインというか、そういう指導をされるのかどうか。  二点、お願いをしたいと思います。
  36. 松本英昭

    松本政府委員 住民監査請求につきましては、他の要求監査と若干違った制度にいたしております。  それは、他の一般的な要求監査といいますか、単なる事務監査請求の場合は、これはまず、それを外部監査にゆだねるかどうかということについても議会の決定に係らしめ、かつ、契約についても議会の決定に係らしめております。住民監査請求につきましては、それを外部監査にゆだねるかどうかということは監査委員の方が決定をして、そして契約を議会にかけることにいたしております。  それは、一つは、住民監査請求の場合には、後に住民訴訟という手続がくっついているものですから、果たして二度議会にかけるという手間をとらせることがいいのかどうか、また法制的にもちょっと難しいところがございまして、監査請求そのものは本来監査委員に行っているということから、これは監査委員が決定をして、そして契約については議会の議決を経る、こういうことにいたしたわけでございます。また、もう一つは、住民監査請求については、後に勧告の手続がございます。勧告の手続は、明らかにこれは監査委員本来の業務になっておりますので、そういうことも勘案をしたところでございます。  今後、いろいろ件数がふえたり予算の問題がございますが、これはいろいろ区々であろうかと思います。私どもは、余り予算であらかじめ縛ると、これはまた、予算がないから外部監査の請求ができないんだ、こういうことになってもいけませんし、逆に、幾らでもどんどん外部監査の請求でお金を使っていいというわけでもありません。その辺は、私どもが指導するというよりは、地方公共団体の中で、それぞれの判断で対応していただくことが重要であろう、要は、この外部監査制度の趣旨というものが生かされるような対応ができるように、その部分は私どももそれなりの技術的な助言等は行っていかなければならないのではないかというように考えております。
  37. 松崎公昭

    ○松崎委員 せっかく導入するわけでありますから、しっかりと確立をしていただきたいと思います。  もう時間がないのですけれども、分権推進委員会のことだけちょっと聞きたいなと思っております。  第二次勧告が六月末ということで、今大詰めを迎えておるのではないかと思っております。今回の外部監査制度、前倒しということで、非常にそういう点では積極的に自治省は頑張っておるなというふうに私は受けとめておりますけれども、分権推進委員会の検討の状況、かなり今、各省庁と詰めの段階でいると思います。  特に、機関委任事務の、第一次勧告の残余の部分ですね、かなりありますが、この辺は相当攻防戦がされているというふうに聞いております。その点どんな状況か。  それから、各行政関係検討グループ、西尾座長あるいは堀江座長のそれぞれのところでかなり今中間的にやられておると思います。紛争処理委員会のことでありますとか、それから市町村合併の問題も当然入ってきておる、その辺のことですね。  それから、補助金の整理合理化が今回の第二次勧告では一番重要なところだと思いますけれども、この辺、ヒアリングは終わったようであります。その辺、ちょっと聞かせていただければと思います。
  38. 東田親司

    ○東田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、私ども地方分権推進委員会の方では、三つの検討グループを中心に審議を進めております。それぞれのグループごとに、どういう主な検討事項があるかという状況を御説明させていただきます。  第一点目は、行政関係検討グループ、西尾座長の受け持ちの部分でございます。ここにおきましては、国の関与の手続ルールの問題、それから国と地方に紛争が生じた場合の第三者機関の設置、あるいは紛争処理の手続の創設の問題、それから三つ目の大きな柱として、先ほど指摘がありましたが、機関委任事務廃止後の新しい事務の区分の、振り分けの問題を中心に進めております。  このうち、事務の振り分けの点について若干付言いたしますと、第一次勧告におきましては、機関委任事務自治法の別表ベースで五百六十一項目でございましたが、第一次勧告では、このうち百六十五項目につきまして事務の区分を示しております。したがって、三分の二ほどが残ったわけでございますけれども、これにつきましては、現在、個別に所管省庁に意見を聞きまして、どちらの区分にするかということで詰めておるわけでございますが、考え方といたしましては、原則自治事務にする、例外的に法定受託事務にする、こういう考え方をベースにして努力しているところでございます。  それから二つ目が地方行政体制等検討グループの審議でございますが、これは堀江座長が受け持ちになっております。ここにおきましては、課題は大きく分けますと三つになるかと思いますが、一点目は、地方の行政改革とか広域行政といった地方行政体制の問題が一つでございます。それから二点目はいわゆる必置規制の問題、それから三点目は国の地方出先機関の問題、こういう内容でございます。  本年一月に発足いたしましたので、まだ回数は少のうございますが、これまで十二回にわたりまして審議を進めております。  お尋ねのありました市町村合併の問題につきましては、第一次勧告におきましても方向性を示しておりまして、市町村の行財政能力を充実強化していくためには、その規模の拡大や能力の向上も重要な課題であって、市町村の自主的合併を一層強力に推進する必要があるという認識を示しておりまして、この基本認識のもとに審議を進めております。  それから三つ目のグループでございますが、補助金・税財源検討グループでございますが、これは神野座長の受け持ちの部分でございます。こちらにつきましては、一次勧告に合わせまして補助金・税財源に関する中間取りまとめというのを昨年末に公表させていただいておりまして、この中間取りまとめの基本的な方向に沿って今審議を進めておるわけでございます。  考え方としては三つございまして、国庫補助負担金の整理合理化を進めるということ、それから二点目は、存続する場合の国庫補助負担金の運用、関与を改革していくこと、それから三点目は、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保を図ること、この三項目で検討を進めておる次第でございます。  全体といたしましては、一次勧告の際触れておりますように、本年前半を目途に第二次勧告を行いたいという基本姿勢で取り組んでいるところでございます。
  39. 松崎公昭

    ○松崎委員 どうもありがとうございました。
  40. 穂積良行

    穂積委員長 白保台一君。
  41. 白保台一

    ○白保委員 白保台一でございます。  初めに、大臣、ちょっとお聞きしたいと思いますけれども、週刊誌等でちらっと見ただけなんですが、舛添要一さんと対談をされている広報が載っておりました。内容をよく見ていませんので、その内容と目的、そういったことについて大臣からお答えをいただきたい、こう思っておるのですが、いかがでしょう。
  42. 松本英昭

    松本政府委員 大臣がお答えになります前に、私どもの方から御説明をさせていただきたいと思いますが、ことしは実は地方自治法施行五十周年という大変記念すべき年になっております。そういうことで、地方自治法五十周年を記念いたしまして、年度間を通じ、あるいは年間を通じ、私ども、地方自治制度の発展を願っていろいろと企画をいたしておるわけでございます。  ごらんになったかもしれませんが、先日の、五月三日の憲法記念日に地方自治問題を取り上げていただきましたのも、NHKさんの大変な御好意で実は取り上げていただいたわけでございますが、それも一つの、私どものお願いをしたことにこたえていただいたもの、私どもはそういうふうに理解をしているわけでございますが、違っていればこれは訂正いたしますけれども、そういうふうにありがたく思っております。  そういう中で、自治省といたしましても、特に大臣が先頭に立っていただいて、大変大きな転換期に来ている地方自治、あるいは地方分権問題、あるいは地方行革問題等をいろいろとマスメディアあるいはその他のメディアを通じましてお話をしていただき、国民に直接働きかけていただく、語っていただく、そういう企画をいろいろなところで私ども行っているわけでございます。  そういう中の一環として、大臣が先頭に立っていただいて、先日舛添先生との対談をしていただきまして、これを各週刊誌等について、あるいは雑誌についても出していただきましたけれども、そういうことで大臣と舛添先生との対談をしていただいたものでございまして、国民から大変好評を得ていると私どもは自負をいたしているところでございます。
  43. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 ちょっと質問の趣旨がよくわからなかったものであれなんでございますが、結論から申しますと、私は就任以来ちょうど半年になりましたけれども、就任直後、私自身が一番大きなテーマとして自治省を初め自治関係者にお訴えをしなければならぬことは、地方行革というのをどうしてももう少し関心を持ってもらわなければいけないということを強く考えていたわけでございます。  御案内のとおり、国の行政改革も大事でございますが、財政的にも、また規模の面でも中央の倍を持つ地方行政について、まだまだこれは、三千三百に分かれているせいか知りませんが、一つの流れができていないのじゃないかということで、政府広報を扱っている部署などにも、とにかく、地方行政の規模は決算ベースでいえば百兆円なんだ、ここをみんなで少し節約すればすぐ一兆円や二兆円浮いてくるのだから、そういう私どもの主張をいろいろな面でキャンペーンできる機会をつくってほしい、こういうことを強く申し入れておりまして、従来からも政府広報の中で自治省はやってまいりましたが、特に私の方から政府広報の担当部署の方にお願いをいたしまして、今回、いろいろな形があるのでございますが、自治省はそういうことだから、全紙、全十五段抜きで一回やると三億円かかるそうでございますが、地方行革を一面全面使っても果たして読んでいただけるだろうかということで、費用はずっと少なくなったと思うのでございますが、文芸春秋を中心に、そのまた要約版を各週刊誌というところでやるのが事のテーマの上では一番適切な広報手段ではないか、こういうことで、そっちの方の道を広報室と政府の総理府との間で協議して決まりました。ちょうど連休の合併号に携わってほかの週刊誌がない中で二週間分あれがさらされたという意味では大変よかったのではないかな、こう思っております。
  44. 白保台一

    ○白保委員 局長、大臣の御答弁のとおり、地方行革は大事でございますし、財政は非常に大事な時期でありますし、また憲法五十年という非常に節目の極めて重要な時期でありますから、私どもは、地方分権が進み、それからまた地域がそれぞれに責任を持って、民主主義がきちっと定着していく、こういう極めて重要なスタートの時期であろう、こういうふうに思っておりますので、今後ともこれはぜひ進めていかなければならない重要な課題である、こういうふうに思っています。  そこで、今回のテーマに移らせていただきたいと思いますが、今回の監査制度改正の問題について私、よく理解をしておりませんで、何で改正しなければいけないのか、今のままでいいのではないのか。一部いろいろな問題が出てきたということで、応急措置的にみんなが周りで騒いでこの監査制度に手を入れようとしておる、こういうことに対してよく理解をしておらないのです。なぜ改正をしなければならないのかというこの辺のことについて、大変基礎的な問題ですが、お答えをいただきたいなと思います。
  45. 松本英昭

    松本政府委員 お答え申し上げます。  実は、外部監査制度ばかりでなく、監査制度改善というのは、地方自治法成立以来たびたび議論になりまして、またたびたびこれを行ってきております。  その中で、今回御提案申し上げているような外部監査制度導入ということが初めて公に言われましたのは、私の記憶では昭和五十五年の地方制度調査会の答申であったと思います。このときには、外部、内部の両面にわたる監査制度の充実というのが必要だ、ただ、外部監査制度についても導入を検討しなければいかぬけれども、これは今回はさておきという形のような答申であったと思うのでございます。  そういう中で、現行監査制度充実強化ということを答申をいたしまして、それに基づいて現在の監査制度改善がなされましたのが、実は平成三年の改正でございます。あの平成三年の改正を経て、これでどうかなと思っておったのでございますけれども、やはりその後の状況は、現行監査制度に対する住民の目も大変厳しいものがございました。これは、委員の前でそういうことを申し上げるのは大変失礼かもしれません、沖縄のようにきちっとやっておられるところもあるという話でございましたので失礼かもしれませんが、しかし、全国的にいろいろ現行監査制度に対する不満も出てまいりました。  それと、もう一つ大きなのは地方分権の流れでございまして、やはり地方分権ということを行うにつきましては自己決定と自己責任ということが非常に重要でございます。この自己責任というものを確立するためには自分たちで自分たちの行政というものをチェックする仕組みというものを確立していかなければならない。その自分たちでチェックする際に内部、外部の両面からのチェックが必要であろうということなのでございます。  そのほか、これは非常に一種のアクシデントのような話でありますけれども、御承知のような公費支出の問題等が噴出いたしまして、そういう面からも地方団体のチェックは甘いではないかという御批判を受けております。  そういうことがございますが、直接の契機となりましたのは、平成六年九月の地方六団体意見書でございます。この地方六団体意見書は、地方分権推進に当たりましてみずから、外部監査制度導入が必要である、導入するべきであるという御意見を出されまして、それが今回の改正の直接の契機といえば直接の契機ではないかと思っております。
  46. 白保台一

    ○白保委員 局長、監査制度なんですが、この監査制度というのはそもそも外部監査制度なんですか、内部監査制度なんですか。この監査制度そのものはどういう制度なんですか。
  47. 松本英昭

    松本政府委員 現行監査制度の性格をどう見るかというのは、実はいろいろ議論のあったところでございますが、現在の監査制度がまず地方公共団体の組織に属しておるというものであるということ、それから当該監査を行う監査委員及び職員は地方公共団体職員としての身分を持つという点、そういう点から見ますと内部監査制度をその内部で比較的中立、独立して行うという仕組みであろうというふうに考えておりまして、現在の制度外部監査制度だということにはならないと思っております。
  48. 白保台一

    ○白保委員 そうすると、議会監査委員を決めますね、推薦を得て。それからまた、議員の中からも議選の人がいきますね。そして、都道府県でいうならば四人です。この四人のうち二人は議選、こういう形で出てくるわけですが、私も実は議選の監査をやりました。やりましたが、みずからの意識の中ではこれは内部の監査だと思っていません。  選ばれて送り出されて、しかも議会人という立場からいくならば議会の人は執行部を常にチェックをしていく、議会にあるときでもそういう考え方で立っていますから、たまたま県の監査委員事務局、こういうことで県に属しておる、そして職員がその中から人事異動で入ってくる、こういうことで、長の任命があるということで皆さんは内部監査というふうな形で見られるのかもしれませんが、監査委員に選任された方々は、みずからがその県の中の組織に所属しておる、こういう気持ちで参加している人というのは少ないと思うのです。私みずからも、自分は県に所属しておる、こういうような考え方で監査に参加した覚えはありませんし、そもそも監査そのものが、内部監査だというふうな位置づけにしてしまったら初めから監査にならないのじゃないですか。  制度そのものが、外からきちっと、執行部が物をやっておる、やっておるものに対してこれをチェックする、そういう組織をつくったのが監査制度だと思うのです。そういう面から、たまたまそこに属している事務局方々が県の職員であったりするからそういうふうにおっしゃるのかもしれませんが、私は、これは初めから外部監査だ、こういうふうに思っているのです。  そういう立場で考えますと、私は、今もあるものは十分に機能させるべきだ、そしてまた職員そのものに長い中で使命感を持たせて責任感を持たせていく、そういう方向に持ってくることが一番重要なんであって、それは今のものを、局長おっしゃるように内部監査という形でもって受けとめてやれば確かにそのとおりです。そうしたら、また新たに外部監査というのを、新たなものをつくらなければいけません。監査人を監査するのはだれだというそういう古典的な話もありますけれども、だからこそ議選だとかあるいは識見者だとか、そういった人たちを議会から選び、事務局から推薦してもらって、議会で決定をしてやっていく、こういう形をとっているわけです。少なくとも監査委員そのものは私は外部監査だと思っています。いかがですか。
  49. 松本英昭

    松本政府委員 委員指摘のように、地方公共団体の組織の中で、いわゆる長の部局に属しているというもののほかに委員会制度というものをとっておりまして、委員会制度をとっておるものの中には、いわゆる専門性、中立性、独立性、そういう点を重視して他の長の所属とは一歩距離を置いた仕事をしていく、そういうものがございます、選挙管理委員会もそういうものでございますが。そういうものの一環として監査委員も位置づけられておりますので、その点においては、まさに地方公共団体の他の執行機関に対しては一定の距離を置き、独立性を持って機能をしていただく、仕事をしていただくということについては当然のことでございます。  したがいまして、私どもが内部だの外部だのと言っておりますのは、そういうことからそれを言っているわけではなくて、単なる制度の建前として、制度立てとして内部か外部かという議論をしておる。そういう意味先ほど申し上げたわけでございますが、仕事の、業務の遂行に当たって、監査委員さんがみずから独立した意識と自負を持って仕事をしていただいていることについては、私どももいささかも疑っておるわけではございません。  ただ、一点申し上げますならば、そういうことに対して住民の目がどうか、住民の信頼がどうかという点で、これはもう全国で、先ほど松崎先生からも御質問ございましたが、いろいろなところがございます。きちっとできているところもあれば、どうも地方公共団体監査というのは、現在の監査制度はどちらかというと緊張感に欠けるのではないかというような疑問の目で見ておられるところもあるわけでございます。  そういうことを総合的に全国的に判断をして、恐らく六団体の方も意見書を出されますときには、これからの地方公共団体の自己責任というものを確立していく上において、現在の監査制度の上に、ほかにと言った方がいいでしょうか、外部監査導入するということが必要だというようにお考えになったのではないかというように私どもは理解しております。  現行制度が、監査委員の人たちが決してそういう独立して仕事をしていただいておらないというようなことを申し上げているわけではございません。
  50. 白保台一

    ○白保委員 ですから、監査委員が独立して、そしてその業務を遂行していく。今問題があったからといって改正方向に持っていこうとするかもしれませんが、だからこそ今日までそれは成り立ってきたのです、それがなければ信頼性などあるわけないわけですから。これまでそれが成り立ってきたというのは、そういう信頼性があって成り立ってきたのです。  そこで、今も答弁がございましたように、同僚委員お話を引き合いに出されましたが、ちゃんとできているところとできていないところがあってという話がございましたが、できているところはいいのですよ。できていないところをきちっとするところが問題なんです、大事なんです。それを十把一からげにして法改正に持っていこうというのは私は納得いかない、そういうことですよ。  そして、業務遂行に当たっては、監査委員はまさに行政をチェックしているんだという、外部の方から見た目で、しかもその人は職員じゃありませんから、そういう立場で見て仕事を、業務を遂行させていっているのです。そういう面から言うなら、これまでの監査もまさに外部監査なんですよ。そうすると、ここにまた改めて外部監査を入れようという話になってくると、二重の外部監査になるのです。これはちょっと経済性の面からいっても少し指摘される問題になりかねない。そういう面では、経済性の問題を指摘している人たちもいるわけですが、この辺についてどのようにお答えになりますか。
  51. 松本英昭

    松本政府委員 委員指摘の、屋上屋を重ねるようなことになるのではないかということについては、これも地方制度調査会でもさんざん論議があったところでございます。したがって、確かに、外部監査制度というものを導入した場合、現行監査制度との関係をどういうふうに整理していくか、これは非常に大きな論点一つでございました。いろいろ御議論をいたしました結果、やはり外部監査制度というのは、随時の監査、要するに自己のイニシアチブで入っていける監査というものを中心に考えて、それと要求監査については、監査委員意見も聞いた上で、外部監査というものを要求される側が要望し、かつ議会もそれに応ずるような、そういうものに限って導入をしていこう、こういうことにしたわけでございます。  私どもといたしましては、そういうことで、外部監査制度のカバーするところというものと、また現在の監査制度監査委員が行われるところというものは、個々に具体的にはそれぞれそれなりのすみ分けをしてやっていただくことになるのではないかと思っておりますし、先ほどもちょっと申し上げましたが、現行監査委員の方の御意見を聞きましても、そういうことがあれば、私どもは定期監査とか今までの決算監査とかあるいは例月の検査とかというものにより精力的に対応することができるという御意見等もあったわけでございまして、この二つの制度が両々相まって、より地方公共団体全体の監査充実強化ということにつながっていくのではないかというように考えている次第でございます。
  52. 白保台一

    ○白保委員 私は、現行制度の、先ほどお話が出ましたように、十分やっていっておるところもある、それからまた問題が出てきたところもあったり、そういうことで改正をしていくということですが、もう一歩やはり現行制度充実強化ということをもっと本気になって考えられることが大事なんじゃないのか。  例えば、今の監査委員の中に公認会計士の方がいっぱいいますよ。私の関係するところは必ず公認会計士が入っています。そして、一生懸命やっていらっしゃいます。そういう公認会計士や弁護士の方々が入っておられる、そして十分機能させている、そういうところにまた公認会計士や弁護士を外部監査で入れる。この辺のすみ分けと言いますけれども、この辺の関係はどういうふうになるのですか。
  53. 松本英昭

    松本政府委員 現在の監査委員の中で、弁護士さん、それから公認会計士さんが監査委員に入っていただいているところもございます。全国的に見ますと必ずしも多くはないわけですけれども、沖縄県は今委員指摘のように公認会計士さんがお一人入っていただいておるわけでございます。そういう点で、現在のそういう弁護士さん、公認会計士さんが入っていただいて監査をやっていただいているところ、それはそれで現在の制度のもとにおいて大変有意義な監査を行っていただいているものと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、制度全体として見た場合に、やはり外から見て監査をするという制度が必要なんであろうというその要請が先に来たわけでございまして、その中で、それではそういう外部監査人として必要な人たち、これはどういう人たちであろうかという検討をした結果、先ほどの弁護士、公認会計士さん等が一つの考え方として議論になり、そしてまた、地方制度調査会でもそれがよかろうということで答申されたわけでございます。  したがって、現在の制度のもとにおいて公認会計士さん、弁護士さんが果たしていただく役割というものと、また外部監査という目で果たしていただく役割というものは、それぞれその性格に応じてお互いに機能を発揮していただいて、全体としての地方公共団体監査機能強化されるということを私どもは期待をしているわけでございます。
  54. 白保台一

    ○白保委員 そこで、監査委員、このことについて今議論を相当されておるわけですが、もう一つ事務局ですね。事務局の方が、我々が目を向ける場合に一番重要な部分を持っているわけです。そして、専門性独自性独立性、こういった話がございますが、やはり事務局そのものがまさに専門性独立性を持つような、そういう事務局につくり上げていかないと、両方の、監査委員の問題はそうです、ところが事務局は何年かでくるくるかわっていく、そしてまた、今度は監査される側に行く、また監査する側に来る、こういうことを繰り返しておったら、むしろそちらの方が私は重要な部分じゃないのか。監査委員はいい人を探してお願いをして監査委員になっていただくこともできますけれども、支える事務局の方の独立性専門性、そしてまた大きな使命感ですね、こういった問題を考えたときに、事務局をどうするかという問題が一つ大きな問題としてあるのです。こっちの方がむしろ大事なんじゃないですか。いかがですか。
  55. 松本英昭

    松本政府委員 監査委員事務局強化、これはもう全く委員と同じ考え方を持っております。  現在の監査委員事務局職員というのは、大変勤務年数も短うございますし、本当に専門性とかそういう点で、いろいろ論議のあるところであろうかと思っております。  一方で、監査委員事務局が、現在でも監査委員事務局としての職員の独自の採用ができないかというと、それはできないわけではありません。現在の制度のもとにおいても、書記を採用するということは可能でございます。ただ、地方団体全体の人事行政というような面から見ますと、なかなかそういうふうに実態としてならないわけでございまして、それは現実は現実として私どもも受けとめながら、いかにしてこの事務局というものの体質を強化していくかということを考えていかなければならないのではないかというふうに思っております。  先ほど務員部長からも御答弁いたしましたように、そういう点で、これから自治学校ばかりでなく、市町村アカデミーだとかそういう方法を通じまして、事務局職員の資質の向上等については一層意を用いていかなければならないというようにかたく私どもも思っているところでございます。
  56. 白保台一

    ○白保委員 冒頭に大臣にお話を伺いましたが、地方行革、それから財政の問題等を含めて、百兆円ぐらいのものを少しでも浮かせないかというようなことも含めて、そういったことをずっと訴えてきたというようなお話がございました。  そこで、私は先ほどからずっと申し上げているように、外部監査、これは屋上屋を重ねるような形になるのじゃないかということを申し上げているのですが、新たにこの外部監査制度導入をすることによって、どれだけの予算を必要とするのか、ある程度の試算をされているのだろうと思うのです。余計な出費になるのじゃないかということが私自身の考え方なんですが、この辺の試算は行われていますか。
  57. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査導入に伴いましてその報酬、経費等をどうするかということは、外部監査契約の中で決めていくことになっております。したがいまして、それぞれの団体がどういうことを外部監査に期待されるかという内容等にもよるわけでございます。  もう一つは、条例で入れますところがどの程度あるだろうかということもございますが、そういうことを踏まえて、現在義務的に導入するというところは中核市以上でございますから七十六団体になっておるわけでございますので、その七十六団体に対する経費それ自体はそれほど驚くような経費じゃないのじゃないかと私どもも思っております。ただ、条例で全国入れてまいりますと、これはなかなかな、それなりの経費になるのじゃないかというようにも思っております。
  58. 白保台一

    ○白保委員 時間でございますので終わりますが、私どもは、地方自治が生き生きとしていく、このことが極めて大事であり、またそこに従事する者が、働く者が信頼を得ていく、このことが極めて重要です。そういう面では大いに議論もしていかなければいけないと思いますが、いずれにいたしましても、このことについては、今回の改正についてはいろいろと問題点もあるな、こういうふうなことがありまして質問をいたしました。  以上で終わります。
  59. 穂積良行

    穂積委員長 富田茂之君。
  60. 富田茂之

    ○富田委員 新進党の富田でございます。  私の方からは、「外部監査契約を締結できる者」、この範囲に関しまして、ここに重点を絞りまして御質問させていただきたいと思います。  実は、本委員会審議の中で、社民党の畠山委員の方からは、外部監査人になれる者の範囲として、実態に即して柔軟に対応していくべきじゃないか、なかなか人材を集めるのは困難が予想されるというような御指摘もありました。そして、自民党の筆頭理事であられる宮路先生の方からは、一般市町村にも外部監査契約がこれから広がっていくだろう、そうなると今の規定だけではちょっと足りなくなるのじゃないか。税理士を例に挙げられまして、監査委員として実績、また有能な人材を全国津々浦々、各地域に配置している、こういうことも踏まえて、税理士を入れてみてはどうだという御提言もありました。また、自民党の滝委員の方からは、弁護士や公認会計士外部監査人としてふさわしいのかどうかは疑問だ、だれでもいいのじゃないかというような御指摘もありまして、自治省の最高幹部を務められた委員の御発言ですので、これはかなり重みのある発言ではないかと思うのですが、私ども新進党の方でもちょっと、今回提案のありました改正法案二百五十二条の二十八に規定されております、一号に「弁護士」、二号に「公認会計士」、そして三号に「国の行政機関において会計検査に関する行政事務に従事した者又は地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるもの」、この三者が挙げられているわけですけれども、これで本当に足りるのかなという一つ疑問を持ちまして、党内でも議論いたしましたし、また各党ともいろいろ御協議させていただきました。  そういうことを踏まえてきょうは質問させていただきたいと思うのですが、まず、もともとのこの改正法案で、なぜ外部監査人として弁護士と公認会計士、それぞれ士業でありますが、この二者が適当と考えられたのか、その点を教えていただきたいと思います。
  61. 松本英昭

    松本政府委員 今回の外部監査制度導入するということの意義でございますが、それは、現行監査制度では一定の限界があるだろうということが言われております外部性と専門性を高めるということでございまして、外部性という面からは、外部から監査を行うという制度を取り込むことによりまして、それはそういうことで実現できるだろう。一方、専門性というものをどう考えるかということが問題になったわけでございます。その際に、地方公共団体監査というものについて専門性というものを反映した外部監査人の母集団というものをどういうふうに考えていくか、そこの制度の仕組みをどうするか、これが本当は大変大きな論点だったわけです。  この外部監査制度議論が、先ほど申し上げましたように、平成六年九月に地方六団体の方から意見書が出されて、いろいろ、あらゆるところで議論をしました際に、最も大きな論点一つがそれであったと思います。そのときに、やはり現行監査委員の選任資格、いわゆる「識見を有する者」ということは当然の前提として、その上にさらなる専門性というものが必要であろう、しかも制度的背景を持った専門性ということが必要なのではないだろうか、振り返ってみますとそういう論議の過程であったような気がいたします。  そうしますと、公務の監査について、監査というのは定義的に申し上げると、監察的な視点から業務の遂行、執行に対して検査を行ってその正否をただすことということだと思いますが、そういう点から考えますと、まず公務の監査専門性の一般共通的な要素として、これは横断的な要素ということになります、それとして法規適合性、これは法規というものの中には地方団体の条例、規則、その他規程等も入るわけですが、その法規適合性の判断という面で専門性が横断的に考えられるような制度的背景のあるものが一つ。  それからもう一つは、それぞれの、先ほど申し上げました監査機能ということから、事実というものを探求して、その中から問題のあるものを指摘していく、そういう面で、監査という機能で各分野横断的に制度的背景を有するものは何だろうか。それは今の制度の中で公認会計士法に基づく公認会計士ではないか、そういうことであったわけです。  それから三番目は、もうおわかりだと思いますけれども、公務ということについて各分野に共通して専門性を有する人たちの集団、こういう集団で、そういう人であればすべてがいいということではございませんで、そういう制度的背景の中から、それを母集団として、地方団体議会の議決を得て選んでいただく、こういうふうな制度にいたしたわけでございます。
  62. 富田茂之

    ○富田委員 制度的背景を持った専門性を重視して、その観点からこの三者が選ばれたという回答でしたけれども、弁護士、公認会計士、それは弁護士は法律の専門家だ、また公認会計士監査またその証明に関して独占的に業務を行えるという資格を有しておるということで、その専門性というのは理解できるのですが、第三号に規定している「監査に関する実務に精通しているもの」というこの意味なのですけれども、今の御説明では、公務に関してよくわかっているのだ、公務に関する専門性を持っているというふうな回答でしたが、「監査に関する実務に精通しているもの」というのは、もう少しかみ砕いて言うとどういう方たちになるのでしょうか。
  63. 松本英昭

    松本政府委員 公務の監査に関して実務に精通しているという者では、現在では、具体的には、国の会計検査、これは法律にもちゃんと書いておりますが、国の会計検査の面で実務に精通しているということから、会計検査院において一定年数以上検査に従事した者、それからいま一つは、地方公共団体において一定年数以上監査業務あるいは予算統制、会計統制等に従事した者、そういう人たちを今考えているところでございます。その具体的な範囲は政令で定めることといたしております。
  64. 富田茂之

    ○富田委員 そうしますと、この規定の三号に書かれている「監査に関する実務に精通しているもの」の前段に「地方公共団体において監査若しくは財務に関する行政事務に従事した者であって、」というふうになっています。監査業務をやってなくても財務関係事務をずっと一定年数やっていれば、政令でその人を定めるというふうになれば、これは対象者になっていくわけですよね。  それを一点踏まえて、例えばちょっと調査室の方から資料をいただいたりしたのですが、公認会計士さんと税理士さんの業務の比較というものを考えたときに、税理士法の第二条二項で、財務書類の作成とか会計帳簿の代行、その他財務に関する業務も税理士の皆さんはできるようになっている。これは付随業務と言われたり、また本来、もともと自由業務で行えるものを確認的にこの規定を置いたのだというふうに言われているようですが、こういう規定から見ますと、公認会計士さんだけが会計の専門家とはなかなか言い切れないのではないか。税理士さんもまた会計専門家として世間一般からかなり認知されているところがあるのではないかなというふうに思えるのですね。  そういう今のような規定と、先ほどの地方公共団体において財務行政に携わった人も法案の規定で外部監査人になれるということを考えますと、弁護士、公認会計士がその専門性のゆえにここの規定の中に並べられて、なぜ税理士さんがここに入ってこなかったのかなというのがちょっと疑問として出てくるのです。この法案作成過程で、一号で弁護士、二号で公認会計士、例えば三号で税理士というような形がなぜ出なかったのか。何かもし理由があれば、ちょっとその点を教えてもらいたいと思います。
  65. 松本英昭

    松本政府委員 当該地方公共団体当該といいますか地方公共団体の中でこういう財務に関しまして統制的な業務をやっておりますのは、普遍的な形でやるものというのは、予算の段階での統制、それから会計の段階での統制、こういうことでございます。そういう意味で、単に予算に携わるとか、単に会計に携わるとか、これではないわけでございまして、その中で端的に言いますとチェック機能を行う業務に携わっている、これが今回の資格の中の一つの要点なのでございます。そういう意味において、長年そういうことを行ってこられました方を第三号で外部監査人としての資格を有する要件の一つにしたわけでございます。  ただ、当該団体外部監査人になったのでは、また先ほど緊張感を欠くというような問題もございますから、当該団体にはなれないということでいたしているわけでございます。  ところで、一方、税理士の問題でございますけれども、この問題につきましては、確かに今委員指摘のように、税務業務の附帯業務として行うというふうな税理士法の規定があることも承知をいたしているわけでございますが、制度的な背景として、先ほど申し上げました弁護士さん、公認会計士さんのような規定の制度的背景とは若干違っている形になって、税務に関して業務を行っていくということでございますので、そういう意味から、これはいろいろ法制的にも議論も我々なりにしたつもりでございますが、私どもの段階では、ただいま御提案申し上げているような者を外部監査人の資格を有する者ということで提案をさせていただいたわけでございます。
  66. 富田茂之

    ○富田委員 自治省の方は公認会計士法や税理士法の解釈権限がないというふうに聞いておりますので、ちょっと質問しても答弁できないと思いますから、私の方で意見を言わせていただきたいと思いますが、今の局長の答弁にちょっとあったのは、恐らく株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律や証券取引法、また私立学校振興助成法、政党助成法等で、やはり監査に関しては公認会計士さんが行うんだというふうな規定になっている。そういう関連規定との整合性を考えると、弁護士、公認会計士と並べてここのところに税理士さんを置くというのはなかなか厳しいものがあったのじゃないかな、そういう議論を背景に、今回のような提案がされたのではないかなというふうに理解します。  それは理解はするのですけれども、ただ、実態として税理士の皆さんかどういう業務をされているか。単に納税業務だけに携わっている税理士さんが数多いというのも、またそれは一つの事実だと思います。  私も、議員になる前に弁護士をやっておりまして、今も一応弁護士資格を持って、法律事務所の経営者であります。弁護士四人、秘書二人という本当に小さな、大臣のおられるような大きな事務所とは全然違って小さな事務所ですが、やはり税理士さんに顧問をお願いして会計の方をやっていただいております。  その税理士さんがどういうふうな活動をしているか。日常接する機会が多いものですから、いろいろお伺いしますと、私の法律事務所も含めて、この税理士の先生の関与先企業に毎月行かれる。当然、期末の決算時には必ずきちんと事務所に行って、会計資料やまた会計の適法性、正確性を確保するために、品物のあるような法人では棚卸しに立ち会ったり、在庫の確認までされている。会計事実の真実性、実在性、網羅性を確かめる、本当にそういうものがあるのだろうかということを確かめて、また、ただそこだけに終わらないで、経営指導まで踏み込んでいろいろやられておる。こういうふうにした方が小さな費用で大きな効果を上げますよということもきちんと指導されております。私の事務所に対しても、そういうことをきちんと言ってくださっている。  こういう行為をこの業界では巡回監査というふうに称していらっしゃるようなんですけれども、こういう実態を見ますと、税理士の皆さんというのは、単に納税業務をしている、また納税計算を行われているというだけではなくて、そのためには実質的に監査的な業務も行わざるを得ないのじゃないかな。今、局長は、第三号の規定に上がってきたというのはチェック機能に携わったという点が要点なんだというふうにおっしゃいましたけれども、そういう意味では、こういうチェック機能をきちんと果たさないと適正な税理士業務も行えないのじゃないかな。  税理士法一条では、公正な立場において納税の適正な実現を図るということを使命にしている、税理士はそういうことを使命にしているんだということをきちんとうたっておられます。その使命のためには、やはりきちんとしたチェックをしていかないと適正納税もできないというふうになると思うのですね。  そういう実態を考えると、やはり外部監査人に税理士の皆さんも加えた方が、できるだけ人材も確保できるという意味で適切ではないかなというふうに私自身は思うのですが、その点はいかがでしょう。
  67. 松本英昭

    松本政府委員 この法案を立案いたしますに当たりまして、税理士につきましては、先ほども申し上げましたように、監査というものの各機能について一般的に必要とされます専門性を有することについて制度的な背景を有しているかどうかという点がこの判断の分かれ目だったのではないかと思っております。そういう点で、この法案はどちらかというとより厳密な判断に立って作成をしたわけでございますが、今委員指摘のように、その点は判断が分かれるところではないかというのが率直な気持ちでございます。
  68. 富田茂之

    ○富田委員 制度的に考えるか実態の方から考えていくかというところの分かれ目だと思うのですが、実際問題として、この規定に挙げられている弁護士あるいは公認会計士は大都市圏に偏っております。これから市町村外部監査制度がずっと広まっていって、本当に人材確保できるのか。これはもうこの委員会でもずっと議論になってきましたけれども、その点は本当に心配じゃないかな。  ただ、この点に関しまして、資料をいろいろ読んでおりましたら、地方制度調査会の副会長でいらっしゃいます成田頼明横浜国立大学名誉教授が日経新聞のインタビューに答えられて、そういう心配はしていない、公認会計士が人選の中心になるだろうけれども、地元の人でなくても構わない、公認会計士にとっても新分野ができたわけで、早くも売り込みがあると聞くというふうに答えられております。この制度のもともとの根幹のところを提言された先生の発言ですので、かなり重みのある発言ではないかなと思うのですが、実際に、私も弁護士業務をやっていたりして、本当にそうなのかな、地元の人じゃなくていいというのはそれはそのとおり、東京や大阪から来てもらえばいいのですけれども、本当にそれで機能していくのかなというところが疑問にあります。  公認会計士協会の皆さんにお聞きしましたら、ことしの四月三十日現在で、公認会計士全国で一万一千六百九十五名だそうであります。これは弁護士より少ないのですね。このうちの六千百十一人が東京、千五百九十七人が大阪の地域会に所属している。大都市に偏っているわけですね。資料をいただきましたら、秋田、岩手、鳥取、佐賀には一けた台の公認会計士さんしかいらっしゃらない。それで、この四県でもし市町村がやろうとしたときに、本当に適切な人材を確保できるのかなというのを一つ思います。  また、自治省の方で、監査委員に関する調査平成八年六月一日現在で行っておりますが、その資料をいただきましたら、公認会計士さんが監査委員に就任しているのが、都道府県では九名、指定都市で二名、監査委員定数四名の市で十名、監査委員定数三名の市で四名、定数二名の市では七名、町村に至っては公認会計士さんはゼロだ。これは内部監査委員ですけれども、なかなか人材を見つけるのが難しいということを一つ証明しているのではないかなと思うのですね。  先ほど白保委員は、自分のところでは公認会計士さんがきちんとやって頑張っているんだというふうに言われていましたけれども、多分、沖縄県でいらっしゃいますから、都道府県九名のうち一人はこれは沖縄県のことなんだと思うのですけれども、具体的に地方に行った場合に、これはなかなか難しいな。  これに比べて、税理士の皆さんは、例えば定数三名の市では二十二名、定数二名の市では五十名、町村では六十九名も監査委員に就任している。そういう意味では、地元に密着している税理士の方たちから適切な人を見つけやすいなという実態一つあると思うのですね。  弁護士も実は弁護士過疎が大きな問題になっておりまして、日本弁護士連合会に登録されている弁護士というのは現在一万六千四百十六名おります。これもまた、公認会計士皆さんと同様に、ほとんど大都市圏を中心に活動している。  日弁連の方で「弁護士0〜1マップ」とか「0〜4マップ」というのをつくられました。これは、弁護士がゼロか一人しかいない地域を色をつけた地図とゼロから四人までしかいないという地図をつくっているのです。  委員長にお願いしたいのですが、御許可いただければ、その地図を委員皆さんにお配りして、ちょっとこういう実態なんだというのを知っていただきたいと思うのですが。
  69. 穂積良行

    穂積委員長 資料として配付することを認めます。お配りください。
  70. 富田茂之

    ○富田委員 今ちょっと委員部の方から配っていただきますが、これが「弁護士〇〜4マップ」、色つきでよくわかるのですが、要するに弁護士が全然いない地域がこんなにある。お手元にあるのを見ていただければわかるのですが、かなり偏在しております。  また、こういう中から外部監査人を選んでいくというのはかなり厳しいな。弁護士や公認会計士は本体業務が忙しくて外部監査人なんかなかなかならないんじゃないかというような御指摘もこの委員会審議でありましたけれども、もともとこれだけ偏在している。「0〜1マップ」の方も見ていただくとよくわかるのですが、弁護士がゼロ地域か一人しかいない地域というのがこんなにあるのですね。しかも、ただ弁護士だというだけじゃだめなわけで、監査に関して識見を有する者という限定がついておりますので、この点はかなり実態面では厳しいのではないかな。弁護士、公認会計士から選ぶのはなかなか厳しい。  東京にまとまっちゃいけないというやじが飛んでおりますが、本当にそのとおりだと思いますけれども、宮路理事指摘されていましたように、これに比べて税理士の皆さん地域密着型で、全国のそれぞれの市町村にいらっしゃるし、その中から本当に識見を有する方を長が選び、議会の承認、監査委員意見を聞いて外部監査人に登用していくということが今回の外部監査制度導入した目的に一番合致していくのではないかと思うのです。もともと税理士さんを入れない法案を提出されていて、どうでしょうかと聞くのも酷だとは思うのですが、局長、その点どう思われますか、実態について。
  71. 松本英昭

    松本政府委員 ただいま御指摘になりました地方制度調査会の副会長さんのお考え方、これは地方制度調査会のオピニオンリーダーでもあられる方ですから、今回の答申において、そういう御意見地方制度調査会の中でも多々あったことは間違いございません。そういう点でございますが、私どもは、それ以外にも、地域というものを考えながら、この外部監査人の確保が可能かどうかということについて、そういう目からも検討をしたつもりでございます。  そういう意味で、今回義務づけております中核市以上、これらについてはその確保ということについてもそれぞれお尋ねをいたしておりますし、可能であるということについてはそういう判断は間違っていないと私ども考えているわけでございますが、小規模な市町村等、これは条例によって外部監査制度導入することといたしておるわけでございます。その際、外部監査人のより円滑な確保という観点からこれはどうかということについて、これは私どもさきのこの場で御答弁も申し上げましたが、制度の運用の実態等を見ながら考えていくべきではないかというように御答弁申し上げたわけでございます。ただ、そういうことについて法制定の段階から措置しておくべきではないかという考え方があることは十分また承知をいたしているところでございます。
  72. 富田茂之

    ○富田委員 局長がおっしゃるように、中核市以上のところでは、それは皆大都市なのですから、弁護士も公認会計士も人材は確保しやすい。今後、本当に地方の市町村に広まっていったときにまた別の考え方が出てくるということだと思うのですが、こういう実態を踏まえて、外部監査人の適格者を弁護士、公認会計士及び会計検査、監査等の行政事務経験者だけに限定した場合には、外部監査人が不足する事態やまた適正な外部監査人を選任しがたい事態がやはり考えられる。そこで、そのような場合には税理士を外部監査人に選任できることとするような修正案を各党で協議して、出したいというふうに今考えております。  具体的には、提案されております二百五十二条の二十八の二項を第三項として、一項の次に次のような一項を加えることを考えております。「普通地方公共団体は、外部監査契約を円滑に締結し又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときは、前項の規定にかかわらず、同項の識見を有する者であって税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)であるものと外部監査契約を締結することができる。」こういう提案をしていきたいというふうに思っております。  ただ、全党挙げてこういう修正案が通ったとしましても、これは弁護士も公認会計士もそうだと思うのですが、今回外部監査制度導入された本当の目的をしっかり理解して、ただその資格があるからというだけではなくて、地方自治体というのは税金をいただいて活動しているわけですから、その税金の適正な使い方がきちんとなされているのかどうか、そういうことに関して弁護士も公認会計士もそして税理士の皆さんもきちんと勉強して、行政の運営のあり方にまで踏み込んで学んでいかないと、制度はできたけれども、実際運用してみたら全然だめだったということにもなりかねないと思いますので、そこは自治省の方からも、各自治体にきちんと今回の制度がなぜできたのかという御説明をいただきたいと思いますし、また、規定された者の方もしっかり勉強していかなければいけないのじゃないかな。また、税理士の皆さんも、仮にこれで修正されたとしても、監査に関して、やはりもう一歩監査論を勉強されるとか、そういうところに修練を積まれていく必要が絶対出てくると思うのですね。そういう趣旨もぜひ御理解いただいて、今各党で協議しているということをわかっていただきたいなと思います。  以上で私の質問を終わります。
  73. 穂積良行

    穂積委員長 穀田恵二君。
  74. 穀田恵二

    ○穀田委員 私も、今回の外部監査に関連をして、特に大枠のところからきょうは議論をしたいと思っています。  まず最初に、監査委員監査事務局が絡んだ不正それから官官接待や空出張というものが多発して、行政の公正を確保すべき肝心かなめのところで、しかも住民の納めている税金が正当に使われているのかのお目付役ともいうべき部署で不正が起きている。これは何をか言わんやということだと思うのですが、このような監査委員事務局が絡んだ不正事件はどの程度と掌握しているか、まずお聞きしたいと思います。
  75. 松本英昭

    松本政府委員 お答えいたします。  私ども、各地方公共団体から今回の不正経理につきまして報告を受けているわけでございますが、それぞれ各地方団体でどこまでさかのぼってお調べになったかが違っておりますので、単純にそれを合計して申し上げるのも若干誤解があるかと思いますけれども、あえて申し上げさせていただきますと、報告を受けておる金額は全体で百七十三億円ということでございます。  今委員がお尋ねの、この中で監査委員及び監査委員事務局の部分がどれだけあるかということについては、まことに申しわけございませんが、私どもで金額を分けて報告を受けておりませんので、お答えができないわけでございます。お許しいただきたいと思います。
  76. 穀田恵二

    ○穀田委員 額まで何ぼや、ここまで聞いているわけじゃないのですが、要するに、どの程度の府県まで汚染といいますか、肝心かなめの監査すべきところがそういうことにかかわっているのはどの程度あるのかということが基本ですよ。それを聞いているのですよ。
  77. 松本英昭

    松本政府委員 これも正式な数を申し上げる資料を持ち合わせておらないのでございますが、どうも、私がいろいろな新聞報道等で出たものを記憶しているのでは、十県ぐらいあったかなという感じがいたしております。
  78. 穀田恵二

    ○穀田委員 私、やはりつかみ方がこういう問題は極めて不十分だということを指摘したいと思うのですね。というのは、報告があったのは、さっきありましたように、百七十三億というのは自治体における不適正執行ですよね。ところが、監査制度の問題についての改善を提起し、それらの問題の発端となったことからこれは始まっているわけですね。  見ますと、こう言っているのですよね。地制調答申でも、地方公共団体の不適正な執行で厳しい指摘が行われた、地方公共団体への住民の信頼を著しく損なうものだ、だからチェック機能を強作しなくてはならぬ、こう言っているときにそのチェックすべきところがそういうことをやっているという問題について、どの程度の深まりの問題なのかということについて掌握しないで、新聞でこうやというようなことを言っておったんじゃ、それは本気かというふうにとらざるを得ないのじゃないですか。私はそこの点が大事だと思うのです。  先ほど行政局長の話を聞いていますと、これはもともと発端になったのはということを言いましたよね、この監査制度改善問題について、昭和五十五年が一つの取っかかりだと。あのときも何が問題だったかということを思い出してみると、もともと、やみ超勤それから空出張が起きたのが一つ背景にあったということを、これはわざわざ調査室の資料に書いているのですよ。そういうふうに指摘しているぐらい、もともとの発端もそうだったし、今度もそういうことを背景にしてやらなくちゃならぬということまでわざわざ書いているわけでしょう。  そういう点では、そういうことをせずに、ともかくそれらの肝心かなめの監査委員会の機能の低下ないしは形骸化が問題にされている折に、わざわざ外部監査の問題を出したのでしょう。そうすると、それらの問題について機能の回復なり発揮を期待して提出したのでしょう。そういうことで理解していいんだと思うのですが、それはいかがですか。
  79. 松本英昭

    松本政府委員 今回の外部監査制度導入を初めとする監査制度の改革につきましては、これは地方公共団体全体の不正経理等に対応するものでございまして、もちろん、その中にあってはならないことが監査委員の中で起こったという事の重大性、これは当然認識いたしておりますが、監査委員制度の改革そのものは、地方公共団体全体の話として私どもは問題視した、こういうことでございます。
  80. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは、あくまでも大きな枠の、建前の話であって、大体これは、先ほどあったように十数県というわけでしょう。とんでもないことが起こっていることに対して、どうも僕は、認識が、どないなってんのやということで、もう少し掌握をして、そういうことが起こらないためにもこういうことをしているんだとはっきり言っていただきたいと思うのですね。  調べてみると、この不正事件たるや、今もお話があったように、あるまじきことが行われている。その内容は、私は特にひどいと思うのは、そちらがお話しにならないから、私が見た十都道県という例を見ましても、三つぐらいあるんじゃないか。  一つは、監査委員全国懇談会自体に、つまり監査委員関係者だけの催し自身が自治体の食糧費を使っているというようなことで疑惑の対象になっているというのがありますよね。これほどひどいことはないですよ。監査委員だけ集まってそういうひどいことをやっているというのが一つなんですね。  二つ目に、裏金の使途もそれは問題ですが、東京都の場合とか北海道の場合だが、平気で何回もうそを重ねているのですね。東京都の場合などは、関東甲信越監査委員協議会の開催経費で、新聞によりますと、これは裁判にもなっていますが、本当の内容を白状するまでに実に五回ものうそを重ねてきた、こう言っているのですね。監査委員会が五回もうそを重ねる。また、北海道の場合は、新聞に載りましたけれども、うそを重ねたお目付役というようなことまで報道される。こういう特徴があります。  三つ目は、組織ぐるみのあしき慣習と告発された三重県の例ですが、これは、空出張と知りながら、自分は知っておったのですよ、知っていながら住民監査請求を却下か棄却で計四回も葬った事実があるのですね。わかりますか。知っておって、それで住民監査請求を受けて、四回もこれを葬っているのですね。  ここまで来ると、やはり事の重大性というのは、この問題についてしかるべき対処をしないで、地方公共団体全体の不適正執行の問題だなんというような話では済まぬというふうにお思いになりませんか。だから、私はそこの認識をしっかりしなくちゃならぬのじゃないかと思っています。  そして同時に、もう一つ聞きたいのは、これらの不正が明らかになった契機は何か。  この二つの問題、認識の問題と契機の問題をお聞きします。
  81. 松本英昭

    松本政府委員 最初の問題でございますが、私どもも、監査委員の中でそういう不正経理等が行われてきたということについては、本当にあってはならないことであろうと思っております。そういうことも勘案しながら議論の中で外部監査制度というものが必要だという意見が勢いを増したということは、事実として否定できない面があるかもしれません。  ただ、今委員指摘になりました三点の中で、最初の、監査委員事務局の集まりで食糧費が使われるのはまずいじゃないか、こうおっしゃいましたが、これは、程度の問題といいますか、その正当性、妥当性の問題であろうかと思っております。監査委員もそれぞれお互いの情報の交換等を行います際に全国的な会議を持ったりしておりますので、そういう会議に伴ってお互いの意思疎通のために懇談をするということは、程度の問題はありますけれども、妥当な範囲内であれば、それ自体は認められてもいい性格のものではないかとは思っております。  二や三の、うそをつくとか、組織ぐるみのどうのこうの、こういう話は、これはもってのほかであろうかと思っております。  それから、第二点の、どういう契機でこういう問題が出たのかということですが、私どもがいろいろ地方団体に聞いております限りにおいては、やはり住民からの指摘、あるいはマスコミ、報道機関等の指摘が契機になったというものが多いようでございます。
  82. 穀田恵二

    ○穀田委員 ついでに言っていましたので、反論しておきますと、一の問題は程度の問題云々とありましたけれども、まあこの程度だから大変だなと私は改めて思いましたわ。四万円も使って飯を食うとか、そういった事実と、それから食糧費として支出しているという執行のあり方自身についても問題提起しているのに、そんな話をしているようじゃあかんのじゃないかと私は思いますね。  だから、相変わらずそういうことでは、これは議論になっている全国懇談会のあり方や、関東甲信越や、いろいろなところでやっています。これは、そういう批判にさらされてその後どうなったかというと、例えば私が監査委員の議選の方なんかにお聞きすると、やはり自粛しているのですね。自粛しているということは、やはりよくないということなんですよ。そういうことに対して、そういうのがないのは寂しいなんという議論がされたりするのは情けないという議論になったりしているのですね。  そういう実態が政令指定都市やなんかの監査会議でやられているのに、それをつかさどっていると言ったらおかしいけれども、そういった問題を提起している行政局長が程度の問題だなんと言っているのでは、程度が知れるなと改めて思いました。残念なことですね。  そこで、今あったように、住民指摘やマスコミの指摘だということがありました。私が三番目のところで言った住民請求を却下ということは余り議論にならなかったけれども、私は大事だと思うのですね。つまり、情報公開の問題だとか住民の税金の使われ方に対して、先ほど住民の告発、意見ということもありましたように、関心を高めているということだと思うのですね。そういうことはいいことだと思うのです。  住民監査請求との関係でもう一つお聞きしておきたいのは、住民監査請求の件数と勧告の状況をこの十年間について報告していただきたいのと、住民監査請求の却下、棄却の主な理由を同様に答えていただけますか。
  83. 松本英昭

    松本政府委員 最近十年間の住民監査請求の件数は、私どもの調査では三千二百五十八件でございます。このうち、勧告が行われました件数は二百二十三件でございます。  却下及び棄却されました理由につきましては、それぞれについて詳しい報告を受けているわけではございませんが、私どもの方で把握いたしておりますものでは、請求内容がいわゆる法の要件であります財務内容、財務会計上の行為ではなくて、そのために住民監査請求が行える事案ではない、これはおわかりだと思いますが、そういうこと。それから、棄却されたものの中には、請求人の主張にも理由がない。これは全く真っ正面からの判断でございます。そういうものが多いというように承知をいたしているわけでございます。
  84. 穀田恵二

    ○穀田委員 そういうことだと思うのですけれども、前段にありましたように、三千数百に対して二百二十三ということですね。この辺は、私が調べているところ、その他聞いてみますと、法で定めた請求期間を過ぎている、今あったように請求の利益がないというふうなことなんかで、特に門前払いが多いなというのを率直に思うんですね。これは実は今回の議論にもなり、修正の問題にも出たわけで、私はやはり改善のための請求提起期間の延長というのが大事じゃないかなと思っています。それだけ提起しておきます、時間がきょう余りありませんから。本当は議論したいんですけれども。  その手の関係で、監査制度に対する今日の住民のニーズといいますか基本的な要望といいますか、これをどう掌握しており、また同時に、それに対して今の監査は正しくこたえているだろうか、こういう点についての認識を伺いたいと思います。
  85. 松本英昭

    松本政府委員 住民監査請求を初め、監査制度に対します住民のニーズ、これは最近住民監査請求自体が大変ふえているということも委員御承知のとおりでございまして、そういう意味では住民の関心が非常に高まっているのではないかというように考えております。
  86. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、それはそうじゃなくて、請求がふえているのと関心の高まりはわかるんだけれども、監査制度に対するどういう期待、どういう要望、それはどう思っておられますか。
  87. 松本英昭

    松本政府委員 恐らく委員の御指摘は指導型監査と摘発型監査の話じゃないかと思うので、後で質問が出てくるかと思っておったのですが、それではお答えさせていただきますと、現在の監査制度というのは、基本的なもともとの考え方が指導型監査というのを理念としていると言われてきております。そういうことでございまして、今、住民監査請求等で行うのに一種の摘発型のような監査が行われているからということなんではないかと思うんですが、私どもは、もともと、指導型であれ摘発型であれ、要は公正で透明な監査、これが重要なんだろう、こういうことでございます。  したがって、この今回導入いたします包括外部監査というものは、まさにそういう地方公共団体の組織に属さない外部の専門的な知識を有する者が自分のイニシアチブで随時に監査を行うという制度でございまして、その今日的な住民の要請にもこたえるものだというように考えているところでございます。
  88. 穀田恵二

    ○穀田委員 そうなんですね。今までの論議といいますか形でいえば、局長からお話があったように、指導型監査だとか不正摘発型だとかそういういろいろ議論がありました。  問題は、今あったように、いずれにしても住民が税金の使われ方という問題に対して関心を高めており、そのことによってチェック機能を高めてほしいというのが、結果的には、結論的にはそこだと思うんですね。これは、それぞれの地制調の答申やその他のこの問題に関する一連の見解というのはそのことを示していると私も考えています。ですから、公正であってほしい、そして透明性を高めてほしい、そしてチェック機能強化してほしいということが基本的な問題だと私も思います。  そこで、現実はなかなかそうなっていないということで、先ほどもありましたが、外部監査制度導入とあわせて、現在の監査制度それ自身の国民、住民の信頼を回復をし、充実強化の点から私も何点か提起しながら質問をしたいと思います。  地制調の「監査制度の改革に関する答申」では、監査機能専門性独立性強化という観点から外部監査導入という趣旨を導き出していますね。それで、一連のこの自治法改正監査制度の問題を議論する際の中心問題は、大体いつも専門性独立性の確保、それから二つ目に外部監査制度の検討、三つ目に監査基準の明確化、四つ目に事務局の整備、大体これが出ているんですね。ですから、こう言ってはなんですけれども、古くて新しいといいますか、常にこれを軸に議論をされているということだ、これは異論がないところだと思います。  そこで、まず独立性の問題について聞きます。  私は、独立性の確保こそ監査制度の内部的改善の中心だと思うんです。その最大のポイントは、まず監査委員首長の選任方式を改めるべきではないかということについて思うのです。その点はいかがでしょう。
  89. 松本英昭

    松本政府委員 現行監査委員は地方公共団体の長が議会の同意を得て選任することになっておりますが、この監査委員の選任方法を見直して、議会が選挙したらどうかという話が、もう委員も御承知だと思いますが、地方制度調査会ではかなり強く主張されておりました。  議会の選挙ということになってまいりますと、議会から選出される監査委員のあり方、そういうものも当然問題になってくるわけでございまして、そのこととの関連と、それから地方議会全体の活性化ということを考えますと、現在の地方議会制度というのはいろいろ制度として見直していかなければならない点があるだろう、そういうところとの関連でこの議会チェック機能というものも一連の問題として取り上げるべきであるという御意見もございまして、結果として今回はこの選任方法を見直さない、課題として今後検討していく必要があるという指摘になったわけでございます。  今後も、地方制度調査会ばかりでなくて、地方分権推進委員会でも地方議会全体の活性化ということと関連づけてこの問題を議論していただいておると思いますので、そういうことも踏まえて選任のあり方はいま一度議論になるのではないかというように考えております。
  90. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、議論になるのではないかというのはわかるんですけれども、局長はどうお考えか、要するに自治省としてはどうお考えなのかというのがもう一つ出ないわけね。  今確かにありましたように、第二十五次の地制調の答申では「今後引き続き検討をしていく必要がある。」としていますよ。もう少しさかのぼって調べてみますと、財団法人地方自治協会ということでいつも活動しているところで、御存じのところで、地方公共団体における監査制度のあり方に関する調査研究委員会というのがございますね。あの報告書を見ていると、「監査委員の職務の独立性」としてこう言っています。「任命方式も長が議会の同意を得て選任することとされ、独立性が不十分」だ、「今後は任命方式が問題となろう」とここも指摘しているんですね。また、こう言ってはあれですが、自治省の出身で、この問題の一つのエキスパートの方でもある宮元さんは、「地方自治体監査委員」という著書の中でやはり「監査委員独立性の保障」ということを掲げておられて、こう言っているんですね。「せめて地方団体の長の任免から外すことには、最大限改革を加えることが望ましい」ということまで言っているんですね。  実態はどうかといいますと、私もいろいろ調べてみたんだけれども、まだまだ、長が任命をするという中に、例えば自分の首長選挙に当たっての推薦の後援会の役員の方を監査委員に指名したりする実態まであるわけなんですね。だから、そういうことだとか身内に甘いだとか、いろいろなネックになっている最大の一つの問題はここにあるということは大体認識が一致しているんですね。  だから、地制調も言っている、それから、そういうものを特に研究されている方も大体こういうことを結論を出している、多くのオンブズマンなんかもこういうことについてもう踏み切るべきだと言っておられる。ですからここは、よそごとでそれぞれの団体がこういう議論をしていますというんじゃなくて、局長自身もそういうところへ踏み込んでそろそろやるべき時期だなとお思いになりませんか。
  91. 松本英昭

    松本政府委員 問題意識は十分持っているつもりでございます。  先ほど申し上げましたように、いろんなところで多方面に検討していただいておりますので、そういうところの議論を見て私どもは判断するべきだということを、今回はそういう決断に至ったわけでございます。
  92. 穀田恵二

    ○穀田委員 今回はそういう決断を下したということで、これは今回だけじゃないんですよ、この問題はもうそれこそ古くて新しい一貫した問題なんですよ。だから、今回はそういう結論を出したというけれども、前から課題になっているわけだから、そういうことに踏み切るべきだということを再度強調しておきたいと思います。  じゃ、次に、監査委員というものについて、公選制に改めてはどうかと私は思います。これは多くの識者も指摘していますし、特にこれが自治法の改正の大きな問題になりました一九六三年、昭和三十八年の議論の際には、市川房枝氏もこれは提起しています。そのときの議論はなかなかおもしろいものでして、議事録を見ていますと、こんなふうに言っています。  結局監査委員も市の当局も同じ穴のムジナだ、こういう批判がある。そうではなくて公選制ということはできないだろうか。監査委員は、これは住民の税金がいかに使われているかという見張り役という意味で、公選されれば信用できるといいますか、こういうような形で発言をされています。ところが、それに対して政府は、なれ合いをするというふうには、疑えば切りがない、それはできぬ、それほど心配することはないんだということで、これでぼんと一蹴しているんですね。  よく考えてみますと、昭和三十八年、一九六三年からもう三十年間経過して、結果としてどうだったかというと、これは公選制がいいかどうかは別として、今日の監査制度における重要な問題は何かというと、なれ合いということ、身内に甘いということ、こういうことが一つのネックになっていることだけは確かだと思うんですね。  そうすると、当時一つ議論となっていたなれ合いだとかということに対しては、疑えば切りがない、大丈夫だと。もちろん、その後半の方で、政治色の問題だとか政党介入の問題を言っていますよ。だけれども、こういうふうな問題からしますと、そろそろこういった問題でも公選制に踏み切る時期に来ているんじゃないだろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  93. 松本英昭

    松本政府委員 監査委員を公選にしてはという議論がかなり古くからあることは十分承知いたしておりますが、この問題は、政治的中立性が求められる監査委員に公選が本当にふさわしいのかどうかとか、あるいはそういう公選の形で本当に適当な人材が得られるかどうかというようなこと、あるいは専門性的な観点ということと公選というのは合うのだろうかというような議論がございまして、私どもとしては、これは慎重に考えなければならないと思っております。  先ほど委員もちょっとお挙げになりました監査委員制度の研究、恐らくこれは同じものだと思いますが、その中にも、「イギリスにおける公選失敗の例を参考としつつ、「公選監査は一見したところではいかにも民主的な制度のように思われるが、実際上は会計についての知識、経験のないようなものが任命されて」」、次の言葉はどうかと思いますが、「幅をきかすおそれが多分にあるという危険な制度であるという見方もある。」こういうことをわざわざ指摘をいたしております。  そういうことも考えながら公選制度はどうかなということでございますが、先ほどおっしゃいました意味で、外部の目から見るということは重要でございますので、今回、外部監査制度導入をするという制度改正をお願いをしているところでございます。
  94. 穀田恵二

    ○穀田委員 今、例を出された問題も書いています。でも、そういうときはそういう話を使うのだが、自分のところの話はなかなかはっきりせぬという問題があるんです。  しかし、その問題で、今度はそれに対応してどう言っておられるかというと、そういうことがあり得るということも指摘しています。ただし、同時に、公選の方法が、そういうふうな不十分な人を選ばないような監査基準の法定化の制約がきちんとあればこれはもう可能だ、こういう意見もあるんですね。  ですから、その辺はどっちもどっちという意見がありまして、それはやりとりの中で出ている問題であって、肝心な問題は、今ありましたように、公選で適当な人が選ばれるだろうかなどということの例証として出されたわけですが、それほど今、住民の段階で、それからまた国民の段階で、そういうふうな人が選ばれないほど関心が低いとは思われないことも事実だと思うんです。問題は、そういうことを出すとすれば、そういう例はあったことも事実だけれども、それを罷免したことも事実ですし、そして、現在の国民の意識状況やそういった問題に対する信頼という問題が私は今度は出てくると思うんですね、それを引用するとなりますと。そこだけ指摘しておきたいと思います。我々の見解とそれは違うということだけ認識しておきます。  次に、議選委員の一年交代が多いと指摘されています。都道府県だとかせめて政令指定都市、二十五万以上といいますとなかなか出てこないんでしょうけれども、そういう点での実情について報告を求めたいと思います。
  95. 松本英昭

    松本政府委員 議員選出監査委員の任期でございますが、私どもの調査ではございませんけれども、全国都道府県議会議長会で調査をいたしました結果では、都道府県のうち、一年交代が三十団体、二年交代が十五団体、その他が二団体という状況でございます。
  96. 穀田恵二

    ○穀田委員 これに見られますように、三十、十五、二ということでしたけれども、多分、結論は、議長が選ばれるたびに選ばれているというのが実は実態だと思うんですね。それと違う形で選ばれているのは、全国の例を見ても違っているというのを探す方が難しいぐらいですから。だから私は、ここの点も従来から問題になっているということだと思うんですね。  しかし、これまた言えば、それこそまた議長会からこういう意見がありますということで、自分のところはどう思っているのかなかなか言えぬのだけれども、あっちの例を出したりこっちの例を出したりするので、私は、明らかに肝心な問題は、どうあろうとも、身内意識という問題や、それから本当の意味で、その議員方々のお一人お一人の人格や能力を疑うという意味じゃなくて、先ほどそういう方々が選ばれるかどうか、適格な方が選ばれるかどうか、能力を持った方が選ばれるかどうかとおっしゃいましたよね。そうすると、そういう指摘でもし一貫するとされれば、一年交代で、しかも事実上名誉職、事実上ポストということは、これはだれもが知っていることなんですね。そういう実態を踏まえて、本当に適当と思われますか。
  97. 松本英昭

    松本政府委員 監査という視点から考えますと、やはり短期交代というのは必ずしも適当ではない、それはそういうふうに思っております。ただ、議会の中の議会運営のお話でございますから、議会の自律性という問題がございますので、議会自治といいますか、そういう点からも考えなければいけないことではないかと思っております。
  98. 穀田恵二

    ○穀田委員 議会が決めることについて、それはけしからぬと言っている意味じゃないんですよ。それは結果としては決めることになっているわけだけれども、事実上ポストになっている、そういう実情もお互い知っている。一年交代で、はっきり言えば、先ほどこうありましたよね、事務局がおよそ二年で交代するということについても、これは十分な経験を積む上でまずい、まずいというか少し不十分だとおっしゃいました。まして一年でできるかというと、なかなかならないということはもう論をまたないと思います。  そこで、もう一つ、じゃ自治OBの問題についても私は提起しておきたいんですが、時間がありませんから結論だけ言いますと、前回、二人のうち一人は五年という上限を決めたり、今回は一人という上限を決めたりいろいろしていますよね。これはずっと経過はあるわけですよ。もうそろそろこの問題は、自治職員OBが悪いわけじゃないんだけれども、今の個々人が悪いわけではないんだけれども、そういうものに対する身内意識や甘さということからすれば、OBの登用自身を、もう一人の方の上限という点についても五年をやるというぐらいにした方がいいんじゃないかと私は思います。  それから、事務局の整備についても重要でして、先ほどお話ありましたように、短期間でかわる、それから監査を受ける側に回る、こういうふうなこともありますから、独立性という問題からするとこれは非常に大事な問題ですので、これの改善も必要です。そういう意味でいいますと、規模の小さい町村においては共同設置をすることについて推進すべきであると私も思っています。  この点だけお伺いして、最後に、自治行政の不正チェックについては総合的な改善が必要だと私は思います。もちろん外部監査も必要だ、それから内部監査の、内部といいますか、現在の制度の充実も必要だ、あわせて、情報公開制度の前進、も大事だと私は思います。  この間の「地方分権地方自治アンケート」を見ますと、住民の信頼を得るには何が必要かということを見ますと、情報公開四九・二%、外部監査二五・七%という実態が出ています。ですから、その意味では、ここが大事かなというふうに思っています。  その辺だけちょっと見解をお聞きして、質疑時間が終了しましたので、最後に答弁だけ求めて終わります。
  99. 松本英昭

    松本政府委員 町村におきます監査委員事務局の共同設置につきましては、私どもも大いに進めてまいりたいと思っております。  それから、情報公開につきましても、情報公開制度のより一層の推進について、特に、この点については国の方の立法がなされる予定でございますので、そういうことも踏まえながら積極的に対処をしてまいりたいと考えております。
  100. 穀田恵二

    ○穀田委員 終わります。
  101. 穂積良行

    穂積委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ————◇—————     午後四時四十三分開議
  102. 穂積良行

    穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川元久君。
  103. 古川元久

    ○古川委員 民主党を代表して、御質問させていただきます。  今回、地方自治法改正案が政府から提案されておるわけでございますが、今回の監査制度あるいは外部監査制度導入という、行政に対するチェック機能強化するということでありますが、そもそもこれは、私は、まずそういう行政に対するチェックというのは議会がすべきものではないのか。これは大臣も常日ごろ言っておられるわけであります。特に、地方自治体首長が公選でありまして、法律家である大臣にこんなことを申し上げるのは釈迦に説法ではございますが、三権分立が国よりもはっきりしている。そういう中においては、やはり議会が国よりも独立の強い立場行政に対して物を申していく、そういうことでなければならないのではないか。とりわけ、これから地方分権が進んでいく中では、議会による自治体のチェックというものは今まで以上に重要になってきていると思うわけであります。  ところが、今の地方自治体議会事務局の現実というものを見てみますと、行政側から派遣されている職員ばかりで、数年たつと行政に戻っていくような状況になっているわけです。国会の場合には国会の職員という形で、行政から出向してくる人もいますが、ほとんどは国会独自の職員というわけであります。地方自治体議会の場合には、これはすべてが行政の人間である。しかも、人数も少なくて、議員の人数よりも議会事務局の人数が多いのは東京都ぐらいではないか。そんな状況では、地方議会において果たして十分な政策立案能力だとか、あるいはチェック能力というものが持てるのだろうかという疑問を持たざるを得ないと思うのです。  ですから、今回、監査制度の充実ということを提案しておられるわけでありますが、そもそも本来であれば行政をチェックする第一義的立場に立つべき議会について、そのチェック機能強化されるようなシステムづくり、制度見直しといったものをしていくべきではないのかというふうに私は考えるわけでございますが、大臣の御意見はいかがでしょうか。
  104. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 古川委員のおっしゃること、別の問題でも言ってきたかと思いますけれども、全く私も同じ意見から出発をいたしたというか、最初の印象はそういう気持ちでございました。  今回、これだけではございませんが、やはり都道府県を中心に不正経理あるいは不適正執行ということがこれだけ大きくなったものは、監査委員の活動でもなければ議会の活動でもなかった、市民オンブズマンとか、あるいはマスコミというよりもむしろその人たちの地道な活動の結果であった。ということは、私は、議会それから監査委員皆さんが率直に反省すべきことと思っております。  そして、今回外部監査制度導入ということを、さきにときょう、ずっと御議論いただいたのですが、外部監査制度を入れるという制度法律ができるだけでございまして、都道府県と政令指定都市は義務的でございますが、それ以外のほとんどのところは、入れるか入れないかはそこの地方自治体の自主的な判断になるわけでございます。そこで、外部監査制度を入れるべきか入れざるべきかというようなことを機に、では今ある監査委員皆さん議会事務局は、なぜ外部監査制度を入れようという声が起きてくるのか、それはやはり自分たちが一生懸命やっていないのではないか、こういうまた反省をする機会になればとも私は思います。それからもう一つは、議会の方もやはりその問題として考えてほしいということを率直に私は今言い始めております。  調べましたら、国会の予算は、衆参合わせて、物件費まで含めて一千億でございます。お互いさま、どの程度やっているか、必ずしも世間は高い評価はしておりませんが、ただ少なくとも存在感だけはあると思うわけでございます。しかし、地方議会は、御案内のとおり六万五千人で、使っているお金は、平成七年度の決算ベースで調べてみましたら六千億円でございました。六千億円のお金を使いながら、地方議会というものが憲法上それこそ必置されているわけでございますけれども、それにしては、六千億を使っている割には、地方議会の中でこの地方議会はこういうことをしたというものがもう少し我々の耳に入ってきてもいいのではないかな、こう思っております。  こういう問題意識をもともと持っておりましたので、地方六団体の中の県会議長会、それから市議会議長会、町村議会議長会の皆さんと懇談の機会を持ったときに、皆さんも考えてください、また皆様方の方からも問題を提起してください。地方分権推進委員会はどうも行政の方は一生懸命だけれども地方議会活性化とか権限強化ということを議論しているのだろうか、こういう御意見がありましたので、私も調べてみますが、皆様もそういうことを、ただ我々に言うのではなくて、皆さん自身が直接言ってくださいということで、多分、地方分権推進委員会に地方団体が行ってヒアリング等いろいろ意見を述べる機会があったと聞いております。  また一方、自治省の中では、事務的にはどういう点がやはり法律上問題なのか、私は、今事務的に検討してほしいと言っております。そして、いろいろなことがあるかわかりませんが、三分の二以上の出席の四分の三が賛成しなければ不信任決議案は通らない。これを単純に言うならば、四分の一押さえていけば何をしても不信任は通らない。例えば、多少暴れてみたところで四分の一以上の与党議員を持っていればへでもない、こう思う首長は、やはり率直に言って議会のことに真摯に耳を傾けるだろうか。私は、ここを含めてきちんと検討してほしいということを、事務当局には、地方分権推進委員会の議論とは別に研究させておるところでございます。
  105. 古川元久

    ○古川委員 今大臣から、六千億地方議会では使われているというお話がありましたが、私どもの党では、国会自体もまだまだ行政の十分なチェック機能が果たされてないのじゃないか、またスタッフがいろいろな意味でまだ少ないのではないかということで、行政監視院法案というのを提出させていただいておるわけなのです。  今の大臣のお話を聞いておりますと、議会議員の方の意識というものもありましたが、私はもちろんそこも大事だと思うのですが、同時にやはり議員のいろいろな補助として働くスタッフの人たちの充実、あるいはその人たちの専門性とか独立性といったものも、これは地方議会活性化させるためには大事なのじゃないかなというふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたように、今の地方議会事務局職員はすべて行政から来ているといった状況で、人数的にも非常に少ない。  今のお話の、六千億も使うのであれば、地方議会事務局が自分のところで政策立案に必要な、あるいは行政チェックに必要な職員を雇ってもいいのじゃないか、そういうような制度をやはり導入してもいいのではないかと思うのですが、そういった方向で地方議会を自主的に活性化させていくような、そういう方策は自治省の方では何か考えておられるのでしょうか。
  106. 松本英昭

    松本政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま委員指摘になりましたように、議員の政策立案能力も必要でありますし、同時にそれを支えてまいります事務局、こちらの方の充実強化ということも重要であろうと考えているわけでございます。  現実の制度は、御案内のとおり、議会事務局職員というのを議会で独自に採用することは可能なわけでございます。ただ、先ほど監査委員事務局などと同じように、地方団体全体の人事行政等の中から、現実には議会事務局で独自に職員を採用するということは余り実態としては行われていないのが状況ではないかと思っております。  そういうことの現実というものも踏まえながら、私どもとして、先ほど委員も御指摘のような、地方議会におきます政策立案能力等の強化のためにどういうことが必要であろうかということも、大臣の指示を受けまして現在鋭意いろいろと研究させていただいているわけでございます。  例えば、まずこれはいつも言われますことでございますけれども、もっともっとやはり研修というものに力を入れてまいらなきゃならないだろう。これは私どももやっておりますけれども、全国都道府県議会あるいは市町村議会という、そういうところの事務局でもやっておりますし、各都道府県における市町村議会のそういう連合組織、これにおいてもやっております。そういう研修について一層の充実を図るということが、一つ大きな課題であります。  それから、最近はもっと外部の人材を活用するような方法を議会事務局独自でやれるようにすればいいじゃないかということで、外部の人材の活用方策というようなこともこれから真剣に考えていかなきゃならないだろうと思うのです。行政が高度化し、いよいよ専門化してまいりますと、そういうことも非常に必要だろうということで、そういうことについても考えていかなければならないと思っております。  それからいま一つは、議会住民との関係で、今まではとかく議会議会の中の活動ということでその中に重点を置きがちだったのですが、これからはやはり議会が独自に住民との対話を進めていく、そういう方策の方にもかなり目を向けていかれているところが多いようでございます。私どもも、これはまた新しい議会活動のあり方ではないかということで、そういうことについても必要な情報の提供とか技術的な助言があればしてまいりますし、そういうことが円滑に進められますようなことについて、また研究、検討をしてまいりたいと思っているところでございます。
  107. 古川元久

    ○古川委員 また、そういう研究、検討の結果を具体的にやはり政策として提示していただきたいなというふうにお願いをさせていただきたいと思います。  次に、先ほど大臣もおっしゃられましたように、ここ最近の地方行政に対する不信というものをやはり明らかに、また問題点というものを明らかにしてきたのは住民の力であったということは、これはもう紛れもないことだと思うのです。地方自治は民主主義の学校と言われますように、行政住民との距離が近いわけでありますから、その行政のチェックといったものは議会だけではなくて、やはり住民の力といったものも非常に大きな役割を持つというふうに私は考えておるわけであります。  その意味で、今回導入されることになった外部監査制度といったものもその一形態ではないのかなという形で、私は大いに評価するところではあるのです。しかし、住民行政をチェックする際にやはり必要なことは、行政がどういうことをやっているかという、その実態がはっきりとわかるような情報が開示されないとチェックのしようがないわけでありますね。現行地方自治体、それぞれ情報公開制度などを持ってはおるわけでありますが、しかし現実の情報公開の実態といったものを考えてみますと、よく新聞やテレビなどでも指摘されましたように、公開はしました、しかし真っ黒に塗りつぶしてあるとか、真っ白になっていますと。そういう情報を出したというのでは、これは情報を隠していますよということを情報開示しているようなものであって、それでは本当の意味での情報公開とは言えないのではないかと思うわけですね。  ですから、今のそういった、どうも見てみると形だけのようになってしまっている情報公開の現状についてはどのようにお考えなのか、御意見をお伺いしたいと思います。
  108. 松本英昭

    松本政府委員 現在、地方公共団体は、都道府県、政令指定都市はすべての地方公共団体で、また中核市ももうほとんど情報公開の制度を持っておりますし、市町村の段階でも徐々にその整備が進んでおります。国の方も、情報公開に関しまして昨年末にその要綱を示しましたけれども、それに基づいて情報公開法の立案に向かって作業が進んでいるやに聞いているわけですが、その中に、地方公共団体も国の制度に準じて情報公開をしていくようにという、そういう規定が入っております。  今委員の御指摘の、情報公開の中で十分な住民側の要求といいますか、ニーズに合った情報公開がなされるかどうかということは、一つはいわゆる不開示情報の範囲と情報の公開の仕方にあるのではないかと思っているわけですが、その点につきましても、確かにおっしゃいましたようなこともございまして、いろいろと批判を受けまして、最近では情報公開に関します基準というようなものをそれぞれの地方団体のところで定めている例が多くなってきております。今後、こういう動きというものを私どもも、それぞれの団体で適切な基準をおつくりになって、そして住民からの要請というものと行政の面における適正な執行の確保と両面を考えながら、この情報公開制度が所期の目的を果たせるように努めてまいらなければならないのではないかと思っているところでございます。
  109. 古川元久

    ○古川委員 監査制度の充実と並びまして、情報公開というものは行政に対するチェックを十分なものにするための車の両輪のようなものだと思いますから、ぜひとも監査制度だけじゃなくて、やはり情報公開の方も完全なものにしていっていただきたいというふうに思います。  次に、監査委員制度、今回改正されておるわけですが、それについてお伺いをしたいと思います。  そもそもこの監査委員、これまでですと、やはり議員監査委員というのが必ず半分ぐらいは入っているというわけでありますが、そもそも議会議員というのは議会機能として行政に対するチェックができるにもかかわらず、果たして改めてこういう監査委員となる必要はあるのでしょうか。特に、今回の改正では、議会が請求する監査に対して個別外部監査契約を行うことが可能となったわけでありますから、今まで以上に議員監査委員になる必要性というのはさらに希薄になったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 松本英昭

    松本政府委員 確かに今委員指摘のように、今回の外部監査制度導入と並行して現行監査制度充実強化ということを審議いたしました地方制度調査会におきましても今委員の御指摘のような議論が出されまして、そのことをめぐってまたいろいろと両論があったことは事実でございます。  現在、監査委員に必ず議員が入るようにいたしておりますのは、この制度ができましたときのその理由を見てみますと、地方公共団体行政全般にわたって幅広い見地からの監査を行うことが期待でき、監査の結果を実効あらしめるためには有意義であるということとか、あるいは、議会の有する本来の性格から、執行機関をチェックするという機能を果たすために、議会みずからの検閲、検査等の権限とともに監査委員という制度を通じてもそれを行っていくのが適切であろうという観点からとか、そういうことが理由として掲げられているわけでございます。  それで、今回の監査制度改正をするに当たりまして、先ほども申し上げましたように地方制度調査会等でいろいろ議論をいただいたわけですが、この地方制度調査会等議論の中で、現実に有識者の監査委員の方に来ていただきまして、いろいろ御意見を伺いました。その中でも、果たして議会議員監査委員というのは監査制度に対してどういう機能をしているか、それが有効であるかどうかということについて御質問があったわけですが、その際に、有識者の方のおっしゃるお答えの中で多かったのは、やはり議員の人が入っていていただくことが監査の結果に基づく改善措置を講ずる上において非常に円滑にいく面があります、そういう意見を寄せられたのが私は印象に残っているわけでございます。審議会の中の委員さんの御意見の中にも、そういう面を非常に重視されて、ぜひやはり議員監査委員は必要であるというように強調される方もおられました。  結果として、いろいろな形で議論が進んだわけですけれども、この問題は議会活性化ということの幅広い議論の中でもう一度やはり議論をしていく必要があるだろうという意見が大勢を占めましたことと、それから、先ほどもちょっと申し上げましたが、そもそも監査委員の選任の仕方の問題とも絡んでくるということで、今回はその点については従前どおりの制度ということでいこうではないかというようなことで、地方制度調査会の答申もそういう線に沿ったものになったわけでございます。
  111. 古川元久

    ○古川委員 聞くところによりますと、監査委員制度というのは、国でいえば会計検査院のような立場にあって、行政からも議会からも一定の距離を置いているという話であるわけでありますから、監査委員の中に議会議員が入るということは、これはどちらかというと、それでは議会のもとにあるかのような印象もやはり与えられるわけでありますから、この点に関しましてはぜひとも次回の、やはりこれからの懸案事項として検討していただきたいというふうにお願いをしておきます。  次に、監査委員事務局について御質問したいと思います。  これは、先ほど議院の事務局の話を申し上げましたが、この監査委員監査制度も、実質的に機能させるためには事務局のスタッフの充実がやはり不可欠ではないか。独立性とか専門性とかあるいは事務量に応じた人材の確保とか、そういったことが少なくともこの監査委員制度を実効性あらしめるものにするためにはどうしても必要なことだと思うわけでありますが、現行でこれを見てみますと、事務局の人数は東京都でさえも百名程度。これはどう考えても少な過ぎるのではないかというふうに思うわけであります。  答申でも監査委員を補佐する事務局体制の充実のための方策について言及があるわけでありますが、今回の改正で行われたのは町村への事務局設置を可能とする旨の改正を行うだけであります。これでは事務局を充実するということとはちょっとかけ離れているのではないかと思うのですが、いかがですか。
  112. 松本英昭

    松本政府委員 監査委員事務局充実強化の点は、午前中の答弁でも申し上げたところでございます。  それで、地方制度調査会の中でもこのことを大変重視する意見が多かったわけでございます。具体的に、それではどういうことがあるだろうかということもいろいろ議論がございました。その中には、監査委員事務局で、ある程度の研さんを積み、監査委員事務局職員として非常に立派な仕事をされたような人については何か特別な資格を与えるような制度を考えられないだろうかとか、そういう意見も出ておりました。ただ、現実の制度の中にこれを取り込むということになりますと、なかなか制度的な仕組みは難しいということもございます。  そういうこともありまして、そういうこともありましてと申し上げますとちょっと誤解があるかもしれませんが、今回、外部監査制度外部監査人の資格の中で、地方公共団体監査委員事務局で、ある程度の経験を積まれた方は外部監査人としての資格の要件を満たすことにする、これは一つのそういう発想とも関連して出てきたものであるということは言えると思います。  それから、人材の確保等については、先ほどもちょっと申し上げましたが、監査委員独自の採用ということも十分できるわけでございますけれども、地方団体全体の人事行政ということを考えましたときに、それを監査委員独自の職員としてずっと仕事をしていただくということはなかなか難しいだろうというようなこともございまして、これを制度化するというのはなかなか困難だろうというような御意見であったと思います。  それから、研修の問題は、午前中公務員部長から御答弁申し上げたとおりでございまして、これから研修をさらに一層多方面にわたってやっていかなければならないだろうというような御議論でございまして、その点は答申の中にも書いているわけでございます。  それから、そういうことを考えますと、制度的に事務局強化の新しい制度を構築するというのがなかなか難しくて、何かいい知恵があれば我々もぜひ取り入れたいという気持ちがあったわけでございますが、そういう視点からの制度としてそれを立てることが非常に難しかった。ただ、運用の面で、今申し上げましたようなことに十分配慮して、そういうことが目指していた目的が達せられるような運用をしていく必要があろうというように、地方制度調査会でもそういうふうに意見が出ておりましたし、私どももそういう気でこれから取り組んでまいるつもりでございます。
  113. 古川元久

    ○古川委員 しかし、地方自治体としての人事の全体からいって独自に雇うのは難しい、十分な人材を確保するのはやはりそれも困難だ、そう言われますけれども、幾ら監査委員が立派であっても、特に東京都あたりであればやはり膨大な行政量、下手をすればその辺の一国よりも大きな財政規模を持っていて、そういうところをわずかな人数で、また何年かで、何か今局長がおっしゃられましたように、幾ら監査事務局にいたら資格を与えるといっても、やはりチェックするのが、これは議会事務局というよりもっと行政に近いところの人であるわけでありまして、監査事務局職員の仕事というのは行政をチェックすることであるわけです。昔、自分がいた場所のことをチェックするかもしれないし、自分があした行くその場所のことをチェックするかもしれないというわけで、やはりこの監査委員制度、幾ら監査委員に立派な人を持ってきても、実際にその手足になってやる人が内輪の身内の中でやっているという仕組みをつくっていたのでは、やはりこの監査制度に対して住民の信頼というものはなかなか得られにくいのじゃないか。  今局長が、今の制度の中ではなかなか難しいというお話をされたわけですけれども、答申の中でも、監査委員事務局の共同設置推進していくようなことが言及されておるわけですね。そう考えますと、本来行うべきは、例えば小さい市町村などは、みずから自分のところの中で監査事務局を持ちそこでやるというよりも、やはり幾つかが共同してそこで共同の監査委員の組織をつくってそこに事務局といったものを独自に雇っていくという、そういう方向制度を持っていけば、これは十分に機能していく。規模も大きくなりますから人事的にもやっていけると思いますし、また、それも実質的に住民にとって信頼の足る監査委員制度になる。そしてそこに働く事務局の人たちもプライドを持って働ける。そんな何かわけのわからない資格を監査委員事務局にいたから上げるということよりも、よほどやはりそれは自信を持って、責任を持って仕事もできるのじゃないかと思いますが、そうした方向での制度改正というものはできないものなんでしょうか。
  114. 松本英昭

    松本政府委員 ただいま御指摘の共同設置の件は全くおっしゃるとおりでございまして、私どももこの共同設置をこれから進めていかなければならないと思っております。  それから、その共同設置の仕組みそのものは現在の地方自治法の中にあるわけでございますので、現実に、例えば公平委員会などというのは現在千百二市町村が共同設置をいたしている、こういう実態もございますから、これから大いにこの共同設置という方向は進めてまいらなければならないと思っております。
  115. 古川元久

    ○古川委員 共同設置しても事務局職員が十人とかそんなのでは実際に機能するとは思えませんから、やはりそれはちゃんと実態的にワークするような規模をつくる意味でのそれで共同設置というのは初めて意味があると思いますから、ただ三つか四つ一緒になってやったら共同設置していますというのでは、それは形だけということになると思いますから、その辺の中身のものももう少しやはり具体的に制度としてつくっていくべきじゃないかというふうに私は思います。  次に、外部監査制度の方に質問を移らさせていただきたいと思いますが、私は、この外部監査制度を創設したことの意義というものは、これは大変に大きいというふうに考えております。これは住民による監査を実質化するためにも有効な手段であるというふうに思いますが、しかし、既存の監査制度たる監査委員制度との関係が、どうも法案だけを見ると不明確なんですね。  いろいろな規定を眺めていきますと、例えばあらかじめ監査委員意見を聞いてとか、監査委員と協議してとかいうような形で、そこの文言だけから見ていくと、外部監査制度というものが何となく監査委員を補佐する制度であるかのようにも見えるわけであります。  これは、本来この外部監査制度というものは独立した立場にあるべき者が行うということであるわけですから、そうした意味からすると、やはり監査委員との間にははっきりした一線を画すべきではないかと思いますが、ここで監査委員との関与をいろいろな形で認めていったということの理由はどうしてなんでしょうか。
  116. 松本英昭

    松本政府委員 この点につきましては、午前中もお答えをいたしたところでございますが、まず業務の遂行に当たりましては、これはもう現在の監査制度監査委員とは独立して業務を遂行していくという趣旨を徹底する制度立てにいたしております。  ただ、一点だけ、午前中もお答え申し上げましたように、関係人の出頭のところで、監査委員と協議することになっておりますが、これは、外部監査人というのは地方公共団体と契約の関係で結ばれるわけでございますので、第三者に対して義務を課するようなこと、特に関係人の出頭を求めるというようなことについては、そこにやはり地方公共団体意思を介在させることが適切であろうということで行ったものでございます。  あとは業務の遂行について、もちろん、外部監査人の方から協力を求めることはできますけれども、業務の上で独立性は確保するという体系をつくっております。  その外部監査人を選んだり、あるいは外部監査人と地方公共団体が契約をするというその面では、地方公共団体側の意思の確定に際しまして、例えば監査委員意見を聞いたり、議会の議決を経たり、そういう形で行うことといたしております。  それから最後の、監査結果の公表の部分は、これは先ほども申し上げましたように、外部監査人は地方公共団体との契約関係に立つということでございますから、それを一般住民に公表するというのは、形式としてはこれは監査委員が公表をする、こういう形をとったわけでございます。この点については、現在の企業の外部監査であります会計監査人においても、監査役が取締役会に報告をし、かつそれを総会招集の書類に添付するということになっておりますから、そういう形で、その点は両方の制度とも同じような仕組みを取り入れております。  繰り返して申し上げますと、業務の遂行に当たって独立して行うということについては趣旨を徹底したつもりでございます。
  117. 古川元久

    ○古川委員 私が今御答弁を聞いていて一つどうしてもわからないのは、業務の遂行については確かに独立性、そういうことは担保しているというのはわかるのですが、外部監査人を選ぶときに、どうしてあらかじめ監査委員意見を聞く必要があるのか。別にそこを選ぶのは、何か監査委員に遠慮しないと、そこで監査委員がだめだと言ったらそれは選べないのですか。外部監査人を選ぶときに、どうして監査委員意見を聞く必要があるのですか。
  118. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査人を選びます際には、執行機関の中で外部監査人をだれにするかということで意思を固めなければならないわけですが、その際に、やはり監査委員という立場の人がそういう点では知識なり識見を有しておられるだろう、そういうことで監査委員意見を聞いて、そして議会の議決にかける、こういうことにいたしているわけでございます。それはまさに地方公共団体内部の意思の決定の過程で執行機関と議会意思を固めていくという中のプロセスというふうに御理解をいただいたらいいのではないかと思っております。
  119. 古川元久

    ○古川委員 何度聞いてもよくわからないのですね。それに対して過程としてやるんだというそのプロセスはわかりますが、なぜそこで聞くことが必要なのか。監査委員識見を持っているからということであれば、じゃ、議会で承認するのは、それは議会はその長が選んだ外部監査人がそういう識見があるかどうかを判断する能力がないということですか。
  120. 松本英昭

    松本政府委員 それは議会に対してというよりは、長が自分で恣意的に選ぶということよりも監査委員という中立な立場にある人の意見を聞いて議会に提案されることの方が望ましいのであろうという考え方からきております。
  121. 古川元久

    ○古川委員 今、長が選ぶときにということであったのですが、じゃ、例えば、法案法律にそういうものを書く必要があるのかどうか。それは事実上聞いたっていいわけじゃないですか。今回の改正案ですと、これは必ず監査委員意見を聞かなきゃいけないことになっているわけですね。じゃ、聞かないで長が決めたら、そういうことはできないわけです。  そういうことで、長が議会に、この人はどうですかということで提示をする場合に、その判断をするときにいろいろな意見を聞きたいのであれば、それは別に個別に聞いてもいいわけですし、あるいは、例えばその運用のあり方として、今回のような場合であれば、その長の恣意性を排除したいということであれば、外部監査人の選任に当たっては、運用上、弁護士会とか公認会計士協会などからの、そういう職能団体なんかの適当な者を推薦してもらうというようなことをとるということだって、その恣意性を排除するということでは可能なはずだと思うのですが、あえてここのところで「監査委員意見を聴く」ということをその恣意性排除ということで入れられたという趣旨はどういうことなのでしょうか。
  122. 松本英昭

    松本政府委員 それは、制度としてつくります際に、果たして、長が自分だけで判断する方がいいのか、それともやはり、監査委員として現に務めておられます方々、これはやはり中立的な立場にあるわけでございますから、そういう方々意見を聞いて議会に付議した方がいいのか、そこのところの判断だと思います。制度としてそれをそういう仕組みにしておきませんと、事実上聞くということは可能だと思いますけれども、聞かない首長さんもいらっしゃるかもしれませんし、聞いても意見が同じならば、それは聞いたこと自体に何ら支障はないわけでございますから、そういう制度として担保しておくということが重要なのではないかというように思うわけであります。
  123. 古川元久

    ○古川委員 では、ちょっとお伺いしますが、外部監査人の監査対象監査委員も入りますよね。
  124. 松本英昭

    松本政府委員 当然、監査委員の活動も外部監査人の監査対象に入ってまいります。
  125. 古川元久

    ○古川委員 ここ、いろいろな形で地方自治体で問題になっていることは、監査委員がいろいろな不正を行っているという実態も、これはもう明らかになってきているわけです。そういうことから考えたら、監査対象になる自分を監査される人を選ぶ意見を聞かれたら、これは、この人にやられたら自分の不正がばれそうだといったら、いやその人は選んでもらっちゃ困るということで、本当に外部監査人に求められていることは、監査委員からも長からもある意味で非常に独立した、そういう立場で、行政監査委員も含めて執行機関というものをチェックしてほしいという、そこがもともとの趣旨にあったのじゃないですか。
  126. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査人の監査の範囲は、地方団体の特定の部局にかかわらず全体に及んでいるわけでございますから、それは当然、監査委員の活動も監査対象になります。  しかし同様に、もっと広く、長の活動は監査対象になっているわけでございますから、その長が自分だけで選ぶのがいいのか、しかし、その選ぶ際に、現にあります監査委員さんという中立公平な立場で仕事をしていただいている方々意見を聞く方がいいのか、そういうことを担保しておく方がいいのかという、その判断だと思うのでございますが、私どもは、やはり中立公平な立場に立っておられます監査委員さんの意見も聞いて、やはり首長さんが推薦されようとしている人が悪ければ、やはりそれは少し問題じゃないでしょうかというような御意見を出されるわけですので、その方が適当ではないかというように判断をしたわけでございます。
  127. 古川元久

    ○古川委員 今の局長の答弁を待っていたわけでありますが、要するに、首長監査対象だから、その人が選ぶんだからましてということであれば、では、なぜ今回の外部監査人の選任権を首長に与えたのか。外部監査人ということであれば、選任及び契約は議会でやるべきで、そういう形にすればよかったじゃないですか。
  128. 松本英昭

    松本政府委員 これはそういう議論というのはあり得る議論だと思います、率直に申し上げて。ただ、現在の日本の地方制度では、首長制度をとっておりまして、いわゆる予算の執行、契約を締結するというような機能は、これは首長の方に独占的に専属させているわけでございます。したがって、議会外部監査契約を結ぶという仕組みはとれないわけでございまして、そういうことから、やはり契約を締結する立場は長にならざるを得ない。ただ、それに対しては、長だけで締結するんじゃなくて、議会にかけまして議会の議決を経て締結する、こういうことにいたしておるわけでございます。
  129. 古川元久

    ○古川委員 これは大臣にぜひ御意見をお伺いしたいと思うのですが、議会というのは、法律をつくってそれによって今までできなかったことをできるようにする、やはりそれが議会の本来の姿でありますよね。今までの制度上では議会がそういう契約の主体になれない、それはある意味では、法律上なれないから、だから今回しなかったというのは、これはそもそも本末転倒な議論じゃないかと思うのです。もし契約主体に議会がなれないということであれば、そして最初に申し上げましたように、議会が、特に地方議会というのは国会以上に、地域においては、地方においては行政をチェックする、そういう主体的な、ある意味で一議決機関であるかもしれないけれども、単なる議決機関でなくて行政府に対して立法府としてのチェックをきかしていく、そういうものとして法律的に動けるようにしてあげなきゃいけない。今までの制度でできないから、だから長にしたというのは、これはそこのところをなぜ制度改革をしないのか、そういう疑問を私は持たざるを得ないのですが、法律家として大臣はいかがお感じになられますか。
  130. 松本英昭

    松本政府委員 ただいまの委員の御意見、非常に参考になる御意見なんでございますが、これは国会と違いました、議院内閣制と違った、国の立法機関である国会の場合と地方の議会であります地方議会の場合はこれは違ってまいりまして、もしそういう制度をとりますならば首長制度そのものというものをいろいろ検討し直さなければならないという格好になってまいりますので、この監査委員のことで、そこまで論議を今回のことだけで広げていくのは、なかなか今回の改正に当たってはとれなかったということも御理解をいただきたいと思います。
  131. 古川元久

    ○古川委員 それは、でも国会が決めることはいいわけでしょう。国会がそういうことで、そこの契約の主体になれない、それをすることがそれほどに大きな問題になるのか。首長制度自体がそういうことをやることによって大きく変わってくるという局長の意見が私にはなかなか理解できないのですが、もし大臣に理解できましたら、ちょっと御説明いただきたいと思うのですが。
  132. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 その外部監査契約はだれがするかという問題と、そしてだれにするかという問題でもあると思うのですね。ですから、議会行政チェック機能があるから、自分たちだけでは手が足らないから外部監査人を選んでそしてチェックするんだ、こういう考え方に立てば、今古川委員がおっしゃったことのような気がしますが、しかし、外部監査人がやる監査議会が本当に火の玉となってやる監査とどっちが本当の意味で迫力があるんでしょうか。ですから、あくまでもこれは、外部監査人が独立して専門的な立場から監査業務を行う、その契約の、契約する甲はだれで乙はだれかという問題にすぎないんじゃないかなという気がするのです。ですから、議会チェック機能を持っているんだ、だから議会が契約の当事者になれればという話になりますと、今度は、では議会チェック機能というのは一体何なんだということに、私、逆になると思いますよ。
  133. 古川元久

    ○古川委員 その辺はちょっと私と意見が違うのかもしれませんけれども。この辺の、今までの制度法律でなれないから、主体になれないんですからこうしましたとかいうのは、やはり私はその理由づけとして、そもそも立法機関である国会の法改正のときの理由としてはどうも弱いんじゃないかなと思いますから、ぜひとも次には、やはりこれは改正のときには考えていただきたいと思いますし、また、話がちょっとそれちゃいましたけれども、最初のところの、監査委員外部監査人を選ぶときに長が聞かなければいけないというふうに、それを必ず聞くようにするということを要求するのもまたいかがかと思いますので、やはりそこのところも御検討いただきたいなというふうに思っています。  次の質問に参りますが、これは私ども後で修正案を提出いたしますけれども、外部監査人の欠格事由とされています地方公共団体と請負関係にある者につきまして、この法案では、現在、今まさに請負関係にある者だけを除外しているわけでありますが、これだと極端な話、契約を結ぶ一日前まで請負をしていた者であっても契約日に請負関係になければ外部監査人となれてしまうことになってしまうわけであります。やはり高度の独立性を要求される外部監査人にはそれだけ厳しい基準が必要であって、現行監査委員の欠格事由におきましても、公務員であった者については退職後五年間の欠格期間を定めた条項があることから考えましても、この請負関係、過去五年間に請負関係にあった者も不適格とすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  134. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査人のいわゆる兼業との関係でございますが、この規定は、もう御承知のように、首長から議会議員から現行監査委員から各種委員会委員あるいは三役、こういうところに同じような規定があるわけでございます。  この規定の趣旨は、当該普通地方公共団体と経済的、営利的な取引関係に立つ者を、職務の執行の公正を確保するという観点から利害相反することになるおそれがあるからそれを除外するということにいたしているわけでございまして、これらの職、すなわち首長議会議員、各種の委員会委員、三役等を通じて同じ規定があるわけでございます。  そういうことで、今回、外部監査人は、本来は地方団体職員ではないわけですけれども、同じようにこの規定の適用をすることといたしたわけでございまして、そういう意味で、ほかのこれらの職と同じような規定といたしたところであります。そういうことから、他の執行機関における制限の考え方と均衡をとったというように理解をしていただきたいと思うわけでございます。  ただ、この法案におきましては、過去に外部監査人が関係した事件につきましては監査することができないという規定を入れております。これは、例えば今御心配になりましたように、過去において業務に直接の利害関係があったようなものについては外部監査人は監査をすることができないということにいたしておりますので、そういうことで、御心配のような点は避けられるのではないかというように考えているところです。
  135. 古川元久

    ○古川委員 今、局長の言うようなことで本当に客観性、独立性が担保されるのかどうか甚だ疑問でありますが、私どもはこれは修正案として出させていただきますので、ぜひとも委員皆さん方の御賛同をいただきたいと思います。  次に、監査結果に基づいて措置を講じたときには、監査委員に通知して、監査委員が公表するという規定があるわけなんですが、これはよく考えてみると、措置を講じなかった場合の方が問題ではないかと思うのです。措置を講じなかった場合には公表もされないということになってしまうわけですけれども、やはり措置を講じなかった場合の理由というものも明らかにされるべきではないでしょうか。
  136. 松本英昭

    松本政府委員 外部監査人の監査結果に基づいてどういう措置を講じたかということにつきまして、措置を講じた場合に、監査委員に通知して、監査委員の方からこれを公表するという規定を入れました。これは現行監査委員制度にも入れまして、今回の一つの目玉であるわけでございます。  その際に、それでは何もしなかった場合にはしなかったという公表をするのか、こういう議論だと思いますが、逆に申し上げますと、通知も公表もないということは、いまだ措置が講じられていない、こういうことになるわけです。ただ、措置が講じられていないという場合に二通りございますから、もう措置を講じないということが確定しているのか、現にいろいろ措置を検討しているのか、それは両方あり得るわけでございます。したがって、措置を講じないということを公表するというような制度のつくり方をする必要があるのかどうか。私どもとしては、現に講じていないという事実は、公表しない、公表がまだ出ていないということでわかるわけでございますので、そのことでいいのではないかというように考えているわけでございます。また、現実にも、措置をしないという確定した公表をするという制度というのは、なかなか他の制度にも余りないのではないかというように考えております。
  137. 古川元久

    ○古川委員 これはやはり情報公開とも関係してくる問題であって、監査委員はわかるからいいですけれども、一般の住民からしてみると、こういう報告があったのにもかかわらず、それについてこうこうこういう理由措置が講ぜられなかったのですよとわかれば、それに対してまた住民が何らかのアクションを起こすことも可能だと思いますから、これはぜひ次の制度改正のときに検討していただきたいというふうに思います。  最後質問なんですけれども、これも私ども民主党として修正案を出させていただきたいと思いますが、住民監査請求の短期消滅時効についてであります。  現行は一年以内となっているわけでありますが、現在の多くの住民訴訟が一年の時効を理由に却下されていることが多く、また市民が情報を知り得るときには、一年という非常に短い時効ですと既にもう時効を過ぎてしまっているということが多いというのが現実であります。  こういうことを考えますと、やはり行政に対する信頼感、そして透明性あるいは公正さというものを保つためには、この一年の短期消滅時効を三年に延期すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  138. 松本英昭

    松本政府委員 現在の住民監査請求の請求期間につきましては、当該行為があった日または当該行為が終わった日から一年間、こういうことになっております。終わった日を入れておりますのは、継続的な行為がありますので、終わった日からという起算点をつくっているわけでございますが、この趣旨は、特に公の団体の行為などはやはり公益に大変影響が大きいわけでございます。そういうことから考えまして、できるだけ早く行政運営の安定性を確保する、法的な安定性を確保するという見地から早期に確定させることが好ましいんだ、こういう考え方に基づいているわけでございます。  この行政の行為を争う制度はほかにもございます。例えば、一番典型的なのは行政不服審査法でございますし、また行政事件訴訟法でございますが、そういう法律におきましても同様の期間制限がなされておりまして、これも同じ趣旨でございます。これも一年の期間制限でございます。ただ、正当な理由がある場合はこの限りではないということがございまして、正当な理由があってその期間内に住民監査請求ができない場合には一年を超えても住民監査請求をすることができることになっておりますので、そういう点からも現行制度、これは今回の法律改正にかかわる部分ではありませんけれども、現行制度で適当なのではないかというように考えているところでございます。
  139. 古川元久

    ○古川委員 行政の安定性というお話をされましたが、一方でやはり不正な支出等が行われた場合にそれをどういう形で是正するかという住民の側の立場というものも考えていかなければならない。むしろ、その方が行政の安定性よりもやはり大事なものではないかと思うわけであります。  地方自治法のほかのところの規定では、公務員が飲食費の不正な支出を行う等で地方公共団体から賠償を命ぜられる際の時効というのは三年になっているわけでありまして、そういった不正な支出とかそういうものが現実に住民監査とかそういうものに多いという実態を考えれば、やはり地方自治法に平仄を合わせるのが筋ではないかと私は思いますので、ぜひともこれもほかの委員方々の御賛同をいただければというふうに思います。  とにかく行政に対する不信感がかつてなく高まっている現在、やはりこの不信感を払拭するためには、情報公開の徹底等、そして行政に対する第三者的立場からのチェックシステムの構築、これが不可欠であるというふうに私は思います。今回の外部監査制度導入で満足してしまうことなく、これを第一歩として、もっともっとよりよい情報公開、そして監査行政のチェックシステムの構築へ向けて御努力をいただくことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  140. 穂積良行

    穂積委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  141. 穂積良行

    穂積委員長 この際、本案に対し、宮路和明君外四名より、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合提案による修正案並びに古川元久君より、民主党提案による修正案が、それぞれ提出されております。  提出者から順次趣旨の説明を求めます。宮路和明君。     —————————————  地方自治法の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  142. 宮路和明

    ○宮路委員 私は、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  今回、政府原案において新たに導入しようとしております外部監査制度におきましては、地方公共団体外部監査契約を締結できる者は、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関しすぐれた識見を有する者であって、弁護士及び公認会計士並びに国の会計検査または地方公共団体監査等の事務に従事した者であって、監査に関する実務に精通しているものとして政令で定めるものとされております。  この外部監査制度は、地方公共団体監査機能専門性独立性強化し、地方公共団体監査機能に対する住民の信頼を高めるため、都道府県や政令指定都市などの大きな地方公共団体だけでなく、できるだけ多くの地方公共団体で実施することが望ましいのでありますが、政府原案のように、外部監査契約を締結できる者を弁護士、公認会計士等に限定した場合、全国的に広く、適切な外部監査契約者を得られるかどうかなど、外部監査制度の円滑、適正な実施を確保する上で問題が生ずることも予想されるのであります。  このため、本修正案では、外部監査契約を締結できる者の範囲を拡大することとし、政府原案に新たに一項を追加することとしております。すなわち、「普通地方公共団体は、外部監査契約を円滑に締結し又はその適正な履行を確保するため必要と認めるときは、第二百五十二条の二十八第一項の規定にかかわらず、同項の識見を有する者であって税理士(税理士となる資格を有する者を含む。)であるものと外部監査契約を締結することができる。」こととするものであります。  その他、この修正にあわせ、所要の規定の整備をすることといたしております。  以上が、本修正案の提案の趣旨及び内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。  以上であります。
  143. 穂積良行

    穂積委員長 次に、古川元久君。     —————————————  地方自治法の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  144. 古川元久

    ○古川委員 私は、民主党を代表して、政府提出の地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案について、その提案理由及び概要を説明するとともに、本修正案に対する議員各位の御賛同をお願い申し上げるものであります。  今回の改正導入される外部監査制度を初め、地方自治体監査機能充実強化することは、平成元年の臨時行政改革推進議会の答申を初め、第二十四次及び二十五次地方制度調査会答申、地方分権推進委員会中間報告など各種の審議機関で提案されてきた十年来の懸案事項であり、地方分権推進と並行して急務となっている地方行政体制の整備の一環でもあります。  また、最近では、市民オンブズマンなどの活動を通じて、地方自治体のいわゆる官官接待、食糧費等の不正支出問題がクローズアップされ、不正をただすべき監督委員まで関与していたというゆゆしき事態が明らかになっており、ますます監査制度改善住民監視の強化が痛感されているところです。  各種の答申等においても繰り返し指摘されているように、地方行政の公正の確保と透明性の向上が必要であり、そのためには行政を広く住民の監視のもとに置き、チェック機能を高めるべきだということです。  そうした観点から、本修正案ではまず第一に、地方公共団体住民住民監査請求をできる期間を、その対象となる行為のあった日または終わった日から三年を経過した日とします。現行では一年で時効となっており、地方自治体の不正支出に関して、時効を理由住民監査請求を退けている例が少なからずあるわけです。市民が情報を知り得るときには既に時効になっているような現状を考慮すると、住民監査請求の時効を三年に延長することが妥当だと考えます。  第二に、外部監査契約を結べない者として、改正案は地方公共団体に対し請負をする者を挙げていますが、これについて、修正案では五年を経過していない者は外部監査人となることができないこととします。改正案では、仮に外部監査契約を結ぶ一日前まで地方公共団体の請負をしていても欠格事由に抵触しないことになりますので、公正の確保という観点から、五年にさかのぼって地方公共団体との利害関係がないことを明らかにしようという趣旨であります。高度の独立性専門性を要請される外部監査制度の趣旨からいっても、他の類似した規定に比べ厳しくなるとしても理解が得られるものと思います。  地方自治体に対する市民の厳しいチェックは、病気の早期発見をする主治医の行為に等しいものであり、行政の健全さを確保するものと言えます。  再度、議員各位の御理解と御協力をお願いして、私の提案理由説明を終わります。ありがとうございました。
  145. 穂積良行

    穂積委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  146. 穂積良行

    穂積委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。まず、古川元久君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  147. 穂積良行

    穂積委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、宮路和明君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  148. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、宮路和明君外四名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  149. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  150. 穂積良行

    穂積委員長 この際、本案に対し、宮路和明君外四名から、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。古賀一成君。
  151. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、この際、自由民主党、新進党、民主党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五会派を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方公共団体の適正な行政運営に資するため、次の事項について善処すべきである。  一 地方行政の公正と能率を確保し、住民の信頼・負託に応えるため、地方公共団体が自ら厳格なる姿勢をもって行政運営及び予算執行の適正化に努めるよう、助言等的確な措置を講ずること。  二 外部監査独立性専門性・実効性を一層強化するため、地方公共団体の共同の外部監査機構の設置について、外部監査制度導入後の状況を踏まえ、さらに検討すること。  三 外部監査制度導入とあいまって、地方行財政の効率化、透明化を図り、住民の信頼を高めるために、現行監査委員制度についても専門性独立性を高める観点から見直すとともに、住民監査請求や情報公開等の在り方について改善策を検討すること。  四 外部監査制度の実施に当たっては、より多くの地方公共団体においてその円滑な導入が図られるよう、国民への制度の周知徹底等、環境整備に努めること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  152. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  宮路和明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  153. 穂積良行

    穂積委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。白川自治大臣。
  154. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  155. 穂積良行

    穂積委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 穂積良行

    穂積委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  157. 穂積良行

    穂積委員長 次に、内閣提出暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。白川国家公安委員会委員長。     —————————————  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法   律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  158. 白川勝彦

    ○白川国務大臣 ただいま議題となりました暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における暴力団をめぐる情勢にかんがみ、指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止、準暴力的要求行為の規制、指定暴力団員の集団相互間の対立抗争時における事務所の使用制限等に関する規定を整備するとともに、暴力的要求行為として規制する行為を追加すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、指定暴力団等の業務等に関し行われる暴力的要求行為の防止のための規定の整備であります。  これは、指定暴力団員がその所属する指定暴力団等に係る一定の業務に関し暴力的要求行為をした場合において、当該業務に従事する指定暴力団員当該業務に関しさらに反復して類似の暴力的要求行為をするおそれがあると認めるときは、公安委員会が、当該指定暴力団等の代表者等の一定の指定暴力団員に対し、暴力的要求行為が当該業務に関し行われることを防止するために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第二は、準暴力的要求行為等の規制のための規定の整備であります。  その一は、指定暴力団員は、当該指定暴力団等の指定暴力団員以外の者に対し、準暴力的要求行為、すなわち、当該指定暴力団等またはその系列上位指定暴力団等の威力を示して第九条各号に掲げる要求行為をすることを要求し、依頼し、または唆してはならないこととするものであります。  その二は、指定暴力団員との間で、その所属する指定暴力団等の威力を示すことが容認されることの対償として金品等を支払うことを合意している者等指定暴力団員と一定の関係を有する者は、準暴力的要求行為をしてはならないこととするものであります。  その三は、公安委員会は、これらの禁止行為の違反者に対して、当該行為の中止を命じ、または再発防止のために必要な事項を命ずることができることとするものであります。  第三は、対立抗争時における事務所の使用制限に係る規定の整備であります。  これは、同一の指定暴力団等に所属する指定暴力団員の集団の相互間に対立抗争が発生した場合等においても、事務所の使用制限を行うことができることとするものであります。  第四は、暴力的要求行為に係る行為類型の追加に係る規定の整備であります。  これは、人から依頼を受け、報酬を得てまたは報酬を得る約束をして、債務者に対し、粗野または乱暴な言動を交える等して、金品等を目的とする債務の履行を要求する行為を暴力的要求行為に係る行為類型に追加することとするものであります。  その他、建設業法等に規定する罪を暴力的不法行為等に係る別表に追加する等所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行日は、別表の改正規定を除き、公布の日から六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
  159. 穂積良行

    穂積委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る五月十三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会      ————◇—————