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1997-05-09 第140回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成九年五月九日(金曜日)     午後二時三十一分開議  出席委員   委員長 綿貫 民輔君    理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君    理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 中井  洽君    理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君       赤城 徳彦君    臼井日出男君       大原 一三君    金田 英行君       熊代 昭彦君    栗原 裕康君       杉浦 正健君    谷  洋一君       中谷  元君    中山 利生君       福田 康夫君    船田  元君       山口 俊一君    伊藤 達也君       石田幸四郎君    今井  宏君       倉田 栄喜君    斉藤 鉄夫君       富田 茂之君    永井 英慈君       西田  猛君    増田 敏男君       宮本 一三君    安住  淳君       池田 元久君    末松 義規君       木島日出夫君    畠山健治郎君       濱田 健一君    前田 武志君       土屋 品子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 三塚  博君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 武藤 嘉文君  出席政府委員         内閣審議官   畠中誠二郎君         内閣審議官   白須 光美君         行政改革会議事         務局参事官   坂野 泰治君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         大蔵大臣官房金         融検査部長   中川 隆進君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 山口 公生君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         証券取引等監視         委員会事務局長 若林 勝三君         国税庁次長   堀田 隆夫君  委員外出席者         特別委員会第三         調査室長    田中 達郎君     ───────────── 委員の異動 五月九日  辞任         補欠選任   山本 公一君     栗原 裕康君   北村 哲男君     池田 元久君   畠山健治郎君     濱田 健一君 同日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     山本 公一君   池田 元久君     北村 哲男君   濱田 健一君     畠山健治郎君     ───────────── 五月九日  地方分権の一層の推進等に関する陳情書外二件  (第二九九号)  地方事務官の廃止に関する陳情書  (第三〇〇号)  職業安定行政あり方と労働省の地方事務官に  関する陳情書  (第三〇一号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  金融監督庁設置法案内閣提出第六六号)  金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備  に関する法律案内閣提出第六七号)      ────◇─────
  2. 綿貫民輔

    綿貫委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鹿野道彦君。
  3. 鹿野道彦

    鹿野委員 新進党の鹿野道彦でございます。  最初に、大蔵大臣、お入り早々恐縮でございますが、総理がいわゆるアメリカに参りまして、昨日の本会議におきましてもその報告もございました。いろいろ質疑もございました。  そういう中で、構造改革をやっていかなきゃならぬというふうなことと同時に、為替調整をすることも重要だ、こういうふうな発言もされておるということですが、これが事実だとするならばどういうことを意味しておるんでし才うか。要するに、円高に持っていこうというふうなことなんでしょうか。その辺のところ、大蔵大臣、ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えします。  為替調整政府権限主管大臣大蔵大臣これを行う、こうなっております。総理の言われた最大ポイントは、G7蔵相会談執行部隊ですが、首脳会談、七カ国サミット、この意を受けて、大蔵大臣七カ国会談において安定した為替レートという目標で協議をしているわけです。そういう中で、ポイントは、行き過ぎた円高も、同様行き過ぎた円安も好ましくない、よって、行き過ぎた場合はお互いが協調して対応しよう、こういうことなんです。  為替の安定は、まさにインフレなき持続的成長基本的政策、こういうことになります。そういう点で、行き過ぎたということであれば介入をして安定した方向にこれを導く。その場合、一国だけでは為替の安定を期するわけにまいりませんから、協調介入というのがよく言われます。日米だけではなくヨーロッパ諸国との連動の中で行うことによって安定をせしめること、マクロ経済観点からいいましても極めて重要。  ちなみに、物価安定の基本である利子については日銀の専管、こうなっておるわけです。
  5. 鹿野道彦

    鹿野委員 総理みずからが為替調整重要性発言されるということは異例のことでありまして、もう一度確認させていただきますが、いわゆるそういうふうな総理自身発言等々も含めて市場の方は浮き足立ってくるというふうなこともあります、事実円高にも振れておるというふうなことでありますから。日米間の協調介入をあり得るというふうなことを今大臣はおっしゃられたということでしょうか。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 そのとおりでありますが、首脳会談においては、今日の経済観点からいきまして円安黒字基調をもたらすのではないかということに対し適切な対応が必要、それはG7蔵相会議で決めること、こういうことの中で、ルービン長官、うちは三塚大蔵大臣の中で協議をされるべきもの、こういうことになっております。
  7. 鹿野道彦

    鹿野委員 基本的に為替変動相場というふうなことになったということは、結局為替政策にしない一こういうふうなこともありますから、やはり基本的には、そうやって介入というふうなことの一時的な判断というものがあったとしても、また結局はもとに戻るということになるわけですから、構造的な改革をいかに早くやるかというふうなことが今日の我が国為替の安定にもつながり、また行財政改革につながるというふうな意味において、ぜひとも構造改革を迅速にやっていかなきゃならないということだけは私から申し上げておきたいと思います。  そこで総務庁長官総務庁長官は大変重要な会議等がございますので冒頭わずかきりというふうなことでございますが、私も敬愛する総務庁長官です。また、今日総務庁長官という立場は、行革我が国最大テーマである行革最高責任者、そういうことで御指名を受けたものと思っております。私ども期待をいたしておるわけであります。そういうふうな観点から、政治家武藤嘉文総務庁長官というふうな形でぜひお聞かせをいただきたい、御見解をお聞かせいただきたいと思います。  それは、近ごろの総理府調査によりますと、五六%の人たちがどうも日本の国は悪い方向に行っているな、こういうふうなことの考え方を示しているんです。これは過去における最高であります。  なぜそういうふうなことになっているのか。いろいろありますでしょう。しかし、そういう中で今日金融監督庁設置法案というものを私どもこうやって行革特議論を、審議をやっておるわけでございますが、やはりバブル経済というものの後遺症に悩み苦しんでおるこの今日の日本の国、そういうふうなことからくる不安感、そんなところが大きく影響しているんではないか、こんなふうに私ども考えるわけです。  そういう意味で、重ねて申し上げますけれどもバブルを招いてしまった、バブルを放置してしまった、それに対していろいろ官僚の人たちに対する批判もございます。しかし、私は、政治家が最も責任を感じなきゃならぬ、こういうふうに考えておるところなんです。  そういう意味で、今日のこの総理府調査による、重ねて申し上げますけれども国民皆さん方が五六%もどうも悪い方向に行っているなというふうなことになっておるということに対して、政治家総務庁長官武藤嘉文大臣としてどうお考えでしょうか。御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 少し前置きをちょうだいをいたします。お許しをいただきたいと思います。  二年前、APEC大阪会議が開かれますときに、もう鹿野さんも御承知のとおり、当時、アメリカオーストラリアカナダ、こういったような国が、日本の農業に対する考え方がどうも明確でないということで、大阪会議のいろいろペーパーをまとめようとしたときになかなか協力も得られなかった。そこで、当時、政府としては何らかの形でこの誤解を解きたいということで、私、御依頼をいただいて、アメリカカナダオーストラリアへ行ってまいりました。  そのオーストラリアへ参りましたときに、オーストラリアの当時のキーティング首相から言われた一つの言葉が、日本はもうつぶれるのじゃないかと。実は、この間中国の李鵬首相と会ったら、李鵬首相いわく、君、オーストラリア日本を大変頼りにしているようだけれども、まああと三十年もしたら大体あの国はつぶれるだろう、こういうことを李鵬首相キーティングさんに言ったと。非常にキーティングさんはショックを受けながらも、私がちょうど行ったものですから、おまえはどう思うか、こういう話だったのです。私は、それはまあ、何と李鵬さんが言ったか知らないけれども、これは日本の国の政治家としてつぶれますよなんて言えっこないじゃないか、確かに今の状況から見れば非常に問題があることは事実だけれども、必ず立ち直るから心配するなと言って、実は帰ってまいりました。  しかし、今お話しのように、私は正直、バブルの前後から今日までの、今日というかあのバブルの前後、バブルがあそこまでなぜいかなければいけなかったのかということ、これはやはり日本金融政策を中心とする政策失敗があったと思っております。また、バブルがはじけた後もっと早くいろいろの手を打って、あんなに土地や株が落ち込んでしまってそのために銀行を初め不良債権をたくさん抱えてしまった、そういうような状態になる前にもっとなぜ手が打てなかったのかな、私は、私を含めてやはり我々その時代を乗り切ってきた政治家に、そういう金融政策をさせておったということにおいての責任はあると思っております。  その辺はわかってはおるつもりですけれども、そうかといって今ここで放置しておいていいものではない。例えば、今度の法律案もなかなか御賛成がいただけないようですけれども、結局そういうものから不良債権がめちゃくちゃだまってしまった、その中で、住専という問題も、バブルのときにイージーな形で金融政策が行われてああいうものが起きてきたのだろう。その結果うみというものが出てきた以上は、今度はそのうみを早くなくすことと、そして、やはりその出てきたうみを、反省に立って、今後はそういうことが起きないように手だてをしていこうというのがとりあえずの今度の法律案一つ方向ではないか、私はこういうふうに思っているわけでありまして、この点は御理解をいただけたら大変ありがたいと思うわけです。
  9. 鹿野道彦

    鹿野委員 大臣、私どもは、どうも賛成してもらえないようだということですけれども、結論は出しておりません。ですからこそ議論を、審議をしておるわけでございますから、相当長時間にわたってということでございます。ただ、いろいろやはり問題があるというふうなことを感じながら、私は長官にさらにお聞きをしていきたいと思っておるのです。  長官政治家としての責任を感ずる、だから、今回提案をしている新しいそういう法案も成立をさせて、そして新たな方向づけをしていかなければならぬ、こういうふうなことをおっしゃいました。そうすると、この金融監督庁設置法案というものを行革としての位置づけとしてお考えだということでございましょうか。
  10. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 行政改革というのは、今新たに始まったテーマではないわけでありまして、もう日本は、昭和三十九年ごろから行政改革ということが言われ、結果的にどこまでそれが実現したかどうかは別として、流れとしてはずっと来たわけだと思います。現に、私どもの前の内閣も、行政改革を一生懸命おっしゃっておられました。ですから、今ここで新しく行革という流れが出てきたわけではないのです。  その中で、行政改革というものの中には、一つは、やはり公正な行政が行われなければならない。もう一つは、情報公開法を私ども今検討させていただいていますけれども、いろいろの、住専問題といい、あるいはその後出てきたエイズの問題といい、行政というものが非常に不透明であった、そういう点からいけば、やはり透明性行政面で確保していかなければならない。そういう面では、今度の法案というものは少なくとも従来よりは、完全だとは言えないかもしれませんが、従来よりは非常に透明性という面においてプラスになってきているのではないか、私はこういうふうに考えますし、やはり正直、大蔵省の中で金融政策はすべてそこの一カ所でやられていたというものを二つに分けるということは、行政がフェアにいくという面においてはこれもプラスの面であるのではないか、こういうふうに位置づければ、これが一つ考え方としては行政改革一環としても考えられ得る、私はこういうふうに考えています。
  11. 鹿野道彦

    鹿野委員 行政改革一環である、こういうお話でございますが、先ほど来、その責任を感じております、こう明確に申されました。私が申し上げたいのは、やはり私ども責任を感じなければいけないということです。政治家責任を感じなかったら、だれが責任をとるのでしょうか。そういう意味で、私は、総務庁長官の見識、共通の認識であります。だからこそ、二度とこのような失政を繰り返してはならないというふうなこと、そういう意味長官も、行革をやって日本の仕組みを新たな方向に持っていこう、こういうことで努力されていると思うのです。  しかし、どうも、長官の今言われたような、本当に今度の出された法案というふうなものが金融行政というものを変えていくことができるのかどうかというふうなところに、どうしてもやはり疑問を投げかけざるを得ない。そういうふうなことを考えますと、二度と繰り返してはならないこのような失政というものを、政治家として本当にこれでいいのかということを私はまず総務庁長官に申し上げたいというふうなことであります。  そこで、重ねて申し上げますけれども責任を明確にするというふうな意味からするならば、金融監督庁設置において、大臣庁にすべきではなかったかという声がございます。これについての御見解をお聞かせください。
  12. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これはやはり、総理府に置かれたというところに私は大変メリットがあると実は思っているわけです。  今、行政改革の中でも、一つの今後の行政あり方として、もっと総理権限を強化すべきではないかとか官邸を強化すべきではないかという話がございますが、総理府内閣総理大臣の直接の関係役所でございますから、そこへ置かれたということは、大蔵省に置いているよりずっとそういう面においては、総理権限が行き届くという面においてプラスだ、私はこういうふうに思っています。
  13. 鹿野道彦

    鹿野委員 今大臣申されましたけれども、実質的に行政をやるというふうなことでありますならば、何もかも総理が常にやれるというふうな状況であるかといえば、それはやれないということです。やはり、そこに立つところの長官というものがあくまでも責任というふうなものをとる中で決断をしていかなければならないということです。そうしますと、やはり大臣庁というふうなことの方が、今日までの失政を繰り返したことを考えた場合に、より明確に責任をとることができるというふうなことになるのではないかという考え方から、私はこのことの問題提起をさせていただいたということなのです。  そういうふうなことについて大臣はどうも否定的なお話でございますけれども、それならば、もう一つ考え方として、過般来議論のあるところでございますけれども責任を明確にするということなら、独立性をきちっと保ったところの公取型の三条委員会にすべきではなかったのかというふうなことについてのお考えはどうでしょうか。
  14. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 公取というと、御承知のとおり、例えば問題が起きたときには、公取の場合は直接高等裁判所へ提起できるという司法的な権限を持っている役所ですね。だから、それとこれと同じというふうな形に持っていくのがいいのかどうかというのは、私はいささか疑問があると思っております。  今、総理が何でもかんでもできるものじゃないではないかという話ですけれども、やはり総理が直接権限を発揮できる。今の内閣法でいくと、私どもそれぞれ閣僚はそれぞれの役所責任を持って、総理はその内閣を束ねていくという責任だけであって、なかなか上下の関係ははっきりしないということです。  今、危機管理の問題からいっても、内閣法の六条を改正したらどうかという議論があるわけですけれども、そういう点からいけば、やはり総理府というものは総理が直轄できるわけですから、そういう面で私は、今お話しのように何も公取のような司法的な役割も持っているようなところじゃなくても十分やれるのではないか、決して総理が直接やらなくたって、権限を持っておるという形で十分行政的には機能を果たしていける、こう思っております。
  15. 鹿野道彦

    鹿野委員 それなら大臣、例えば大蔵省改革という議論の中で、予算編成というふうな編成権総理のもとに持ってきたらどうか、こういうふうなことの中で、とてもそんな、総理大臣は忙しくてそこまでそれはできるはずがありませんよというふうな考え方も一方にはあるわけですね。しかし、今武藤長官は、とにかく総理のもとに持ってくるということが権限強化にもなり、決してそういうふうなことをやることが責任を不明確にするということよりも、むしろ明確にするということだとおっしゃられたのですけれども、それならば、あらゆるそういうふうな分野を総理に持ってくるというふうなことが、正確に責任を明確にするというふうなことにつながるのでしょうか。そういう考えでしょうか。
  16. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私はまだ行革会議で──マスコミは何か、予算編成権まで官邸に持っていったらいいんじゃないかというようなことが今行革会議で言われている、これはまだ行革会議のまとまった意見ではございません。ですから、これは別に置いておいていただいて、私がここで、それは結構でございますよとか、いや、それは大蔵省に置いた方がいいですよと、なかなか今の私の立場で申し上げられる問題ではございませんので、それは置いておきまして、やはりすべてを何も総理のところへ持っていくということじゃなくて、たまたま今度大蔵省からこれを分離をしなければいけない、要は金融政策をすべて同じところでやるところに問題があったという反省に立ってきているわけですから。  それと、先ほど申し上げたようにできるだけ公正な形で、片一方で大蔵省の方で政策立案をするけれども、その政策立案した金融政策に基づいていろいろ行われた結果、いろいろそこで行われている金融機関のことについては別のところでチェックしていこう、こういう話のときに、それをどこへ持っていくか。  今のところ、ほかにそれは、今鹿野さんおっしゃるように何か別の役所をつくってしまうというのは一つ考え方かもしれませんけれども、当面我々、行政改革というのはとにかく機構を簡素化しようと言っているときだものですから、やはりそういう新しい役所をつくるのはいかがなものか、こう考えたときに、それではどこへ持っていったらいいかといえば、一番首相権限が及ぶところへ持っていったらいいのじゃないかということで、私は、こういう形ができたと。  私がつくったわけじゃないですから、これ。私は直接の所管じゃございませんので、総理府大蔵省とおやりいただいたので、私は相談にはちょっと乗りましたけれども、すべて私が全責任を持ってつくったわけじゃないので何とも申し上げられませんが、私は、そういうことでこういうふうな形になったのではないか、そういう点で理解をしておるつもりです。
  17. 鹿野道彦

    鹿野委員 内閣に入っておる総務庁長官行革最高責任者ですから、長官が直接つくったからとかつくらなかったからとか、そういう意味で私は長官に御指名をさせていただいて御答弁をいただいたわけじゃないのです。やはり政治家行革最高責任者、何遍も申し上げますけれども、それだけの期待を持った中で登場された長官なわけですよ。二度と失敗を繰り返してはならないわけですよ。  責任を明確にしていかなければならないのだというふうなことをおっしゃられている。本当にそういうふうなものを考えたときに、おれが直接じゃないからということじゃなしに、みずからが、やはり問題があるならばこうじゃないかということで先頭を切って走っていくべきではないか、走ってもらいたい、そういうふうな期待感から私は申し上げて、お聞かせをいただいているところでございますので、どうぞそういうふうな観点からさらにお答えをいただければと思っております。  どうも長官とは、そこの部分でまだかみ合いません。長官らしくないと思うのですよ。それは、ただ単に、例えば行革だから数を減らせばいい、だから行革だ。これは本当の行革じゃないですよ。ふやさなければならないときにはふやす。間違った行政をやらないようにするためには、ふやさなければならないときもあるんじゃないでしょうか。どうでしょうか、長官
  18. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほどから申し上げているように、一つの今度の大きな目的は、とにかくああいう住専その他でいろいろの問題があった、それはやはり若干、非常識なことが起きておった、それは一カ所で全部やっているからだ、これをとにかく分けようということから発想は出てきたと私は思うのですね。そして、そこで政策立案という部門と、実際に執行をしていく、そして監督をしていく部門を切り離すということにおいては、私はそれは行政改革一環であると申し上げているわけです。そこは私は理解を十分しております。  ただ、もっと言えば一新しい役所をつくったらどうかといえば、当面、今私ども一つ行政をスリム化しようとしているわけですから、そして、二十一世紀にはどういう形の行政機構にしたらいいかというのを今やっているわけですから、そのときにはこの問題も含めて、これはこの間私は鈴木さんにも答弁申し上げましたけれども、二十一世紀の新しい行政機構改革をやったときに、これがずっとこのまま残っていくかどうかは私はわからないということを正直申し上げまし一た。  行政改革会議でも、この問題も含めて今のすべての役所機構を、ゼロから出発だ、私はこう言っているのですけれども、二十一世紀というのは新しい世紀で、そして それこそ国民から見て本当に簡素なスリムな行政機構になったな、本当に我々の立場に立って考えてくれる行政機構をつくってくれたな、そして効率のよい、縦割り行政もない行政機構をつくってくれたな、そんなものをつくりたいと私は思っております。  だから、今のすべての役所は全部ない、もう全くゼロから新しいものをつくり上げるというぐらいで行政機構改革改革というよりは創造していかなければいけないんじゃないか、私はこう考えているわけでありまして、その中では、当然、この金融監督庁についてもやはりその対象にはなり得る、これだけはここでつくった、これは全然別だよ、そういうものではない、私はこう思っておるわけであります。  そうすると、四年の間ですから、四年の間は、やはり当面いろいろと批判されたことを直していこうと思うと、今それだけの議論をしながらやっていく余裕もないという形でこういう形で出てきたということは、これはやはり御理解をいただかなければいけないんじゃないか、私はこう思っています。
  19. 鹿野道彦

    鹿野委員 過般、同僚の鈴木委員に対する御答弁もお聞かせいただいておるところでありますが、当面という言葉をよく長官はお使いになりますけれども、これは長官らしくないと思うのですよ。新しいものを求められておるんだ、新しいものをつくるんだというならば、ダイレクトに新しいものと、何でそういうふうな発想にならぬのでしょうか。当面まずこれやって、こういう形でやって、そして今度二十一世紀になったら新しいものを、こんな余裕がある日本の国なんでしょうか。  ましてや、総務庁長官としての政治家武藤、私どもも過去にいろいろと御指導をいただいて、おまえ、こんなものは思い切ってどんとやらなければいかぬぞ、こういう形で私ども御指導いただいた。だから、私はそういう意味で、期待の中で総務庁長官として頑張っていただいているわけですから、そこのところはどうなんでしょうか。
  20. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 大変お褒めをいただいて恐縮ですけれども、私は、今申し上げたような形で将来はそういう形を考えたい。ところが、それを今やっているのは、実は今これから、行革会議がそれこそまだヒアリングをやっている段階でございますし、私は、行革会議では会長でもございませんで、会長代理という立場でございます。やはり会長は総理でございますし、総理に任命された人間ですから、やはり私は、総理一つの二十一世紀からの新しい行政機構をつくっていきたいという枠の中で仕事をやらなければいけないわけですから、それは幾らあなたにうまく言われても、ひとつ私が思い切って総理なんかほっぽり出してでもやる、そうはなかなかいかないというところは、あなたも閣内にいらっしゃった方でございますから、おわかりがいただけると思うのです。
  21. 鹿野道彦

    鹿野委員 もう世の中も大変な速い流れですよ。ですから、過去に閣僚を経験したなんていうのはもう関係ないのです。私らももう一から、本当に原点に返ってやっていかなければならない、こういうふうな考え方に立って私は申し上げているのであって、今、行革会議の会長代理で、やはり総理のもとにいるんだから枠の中で、このような御指導を私は受けてこなかったわけでございますけれども、ヒアリングをやっておるところだというふうなことですが、それならば、この行革をなし遂げるという中において、私は過般の行革特でも総理等に対していろいろお話を承らさせていただいたときに、火だるまになるのだ、このような御決断ならば、御自身の考え方はこうだというふうなことを申されたらどうでしょうか。このことによって火だるまになるのじゃないでしょうか。それに対して、反対だ、けしからぬ、いや、いいな、賛成だ、こういうふうな議論が出てくるのじゃないでしょうか。  審議会だ、いや行革会議だ、私その会長代理だから、ヒアリングだからと、これは本当に、長官、そのような形で長官になられたわけじゃないと思う。総理がそのような姿勢ならば、よし、おれが火だるまになる、このくらいの責任をお持ちの中で今日取り組んでいただいているものじゃないか、そういうふうな総務庁長官でありますならば、私は、国民はついていく、こういうような気持ちになると思うのですよ。  いかがでございましょうか、まことに恐縮でございますが。
  22. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 やはり最高責任者である総理が、十一月末をめどにまとめてもらいたい、こういうことで私はその仕事の委嘱を受けているわけでございますから、やはりその辺はそのテンポで今やらせていただいているわけでありまして、今ここですぐこうだと、私が私の一つ考え方を、これは公の場ですから、この公の場で申し上げますれば、今の行革委員の皆様方にもこれから御意見をいろいろ承りつつある中で、私が私の考え方を余り公の場で申し上げることは、かえって行革会議をこれからスムーズに、そして積極的な御発言をいただくという上において、ひょっとしてそれが足かせになるようなことはいけないので、私は私なりの考え方を持っておりますけれども、まだ今、公にすべき段階ではない。相当思い切ったことを私は考えておりますけれども、まだその段階ではないということで御理解をいただきたいと思います。
  23. 鹿野道彦

    鹿野委員 長官が相当なことをお考えになっておられる。どうぞぜひお聞かせいただきたいと思います。  それでは、そういうふうなことから、大臣庁にもしない、独立性を保ったところの三条委員会にもしない、こういうふうなことでありますならば、重ねて申し上げますけれども、この金融監督庁というものの独立性というふうな考え方に立って、この設置法案の中に、内閣総理大臣長官を任命するというふうなことを念には念を入れて明記するというお考えはありませんでしょうか。
  24. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これは先ほども申し上げておりますように、総理府というのが総理の直接の管轄の役所なのですから、当然総理が任命できるわけなので、何も法律に書かなくたって総理が任命されると、私はそういうふうに理解をしております。
  25. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、そういうふうな意味から御質問しているわけじゃないのです。入念規定というふうなものがありまして、いわゆるそこは重なったものでも、そういうふうに念を押すという意味で書くということによってその独立性をさらに明確にしていくというふうな考え方があるのじゃないでしょうか、こういうようなことを申し上げているわけでございます。
  26. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まあ私は、やはり閣議でこの法律案を結構でございますと申し上げたのでございますから、今ここで私が、いや、そうではございませんと言ったらおかしなことになるわけです。これはやはり委員会で御議論いただいているわけですから、委員会の中で御議論いただいて結論をお出しいただくべきことであって、私はやはり閣議でこの法律案が提案されたときは結構でございますと申し上げたので、そこまで書かなくても実際はできるのではないか、こういうことを申し上げたわけであります。
  27. 鹿野道彦

    鹿野委員 それでは官房長官、今私申し上げたような考え方、いかがでございましょうか。
  28. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 相当に信頼関係の深いお二人のやりとりを聞いておりまして、もう思想、哲学が全部出ておって、将来性まで見通してお話をなさっているようでございまして、私のような人間がこの問題に口を挟むべき問題ではありませんが、ただ、武藤長官の説明をしているその思想、哲学はわかります。  具体的な話は、先ほど来鹿野委員の質問の中に出たわけでありますが、バブルがだれによって演出をされたかどうかという問題は抜きにいたしまして、いずれにしてもこの資産インフレ、資産デフレが今日の日本経済を大変大きく曲げてしまったという現実は、これはもう覆いがたいことであります。そして、住専に見られるあの時代、特に銀行も悪い、大蔵省も悪い、その中からこの話が出てまいったというふうに、私は小さいところから見ているわけですから余り大きい見方はできないのですが、いずれにしても大蔵省が企画立案と検査監督、悪く言えば二枚鑑札を持っていることはよろしくない、これを分離をすることが一番いいのだということで、この発端が出たわけであります。  今、武藤長官の話を聞いておりましても、前回の質問でもだれかの質問に答えておりましたけれども、これから行政改革を進めていけばもう一回これを見直すかもしらないという表現を使っております。  と申しますのは、なぜそれではこの金融監督庁かといいますと、金融監督庁はいわば行政改革の一丁目一番地的な立場にこれは位置づけられたものであります。昨年来、いかにして大蔵省権限を分割するか、それから二枚鑑札をなくするか、そういうことが今度の金融監督庁につながったという気がいたします。  ですから、私たちの与党の中でも、昨年の九月に出たプロジェクトチームの答申の中からは、大蔵省改革案という名称で出ておりますから、どう見てもこれは大蔵省をどうするかという問題が中心にあったはずであります。ですから、今委員御指摘のような公取型、独立性を保っておこうということに力点が置かれたわけであります。それからややさめたというか、いい意味でさめた、その熱意がさめたのではなくて、冷静にその力関係というかそういうものを見るために、今度は、昨年末に出たものは金融行政機構案、そういうことですから、金融機構はどうあるべきかという視点に立って、今回のいわば素案というか大きな方向づけが我が与党の中ではなされたわけであります。  そういうものが、独立官庁がいいのか、あるいは行政的なそれぞれの仕組みを併用できる分野がいいのかどうなのかという結論のもとで、今日のいわば行政機関としての金融監督庁、これをつくり上げたわけであります。  私も、本当は、官房ですから本来知らなきゃならないのですが、そういう形、おおよその枠を決めればおおよその建物は建つだろう、そして最後は、今も最終的な話にあった、この長官をどういう人を持ってくるか、これによってこの金融監督庁のこれからの将来が決まっていくだろう。この大事において私は過半のいわばこの金融監督庁の成否が決まる、このような感じすらいたしますので、ぜひともその意味での御協力を願いたいと思います。
  29. 鹿野道彦

    鹿野委員 私は、冒頭から申し上げましたとおり、その責任がどこにあるのか、この責任をだれもとらないできた、ここが一番のこんな日本の国にしてしまったというふうなこと、これはやはり、何遍も申し上げますけれども政治家が感じ取ってやっていかなければならない。だから、過ってはならない。  そういう意味で、せっかく、では、そういうふうなことで企画立案と検査監督を分けるのだ、それならば自主的に本当に分かれたところの分離したというふうな形で責任を明確にできる、独立性を保った、そういう組織にしていかなきゃならないじゃないか、そういう意味で、入念規定もありますよと。そういうふうなことから、長官は、大臣庁にもできないのだ、三条機関にもできないと言うならば、明確に別に付記する、そこにきちっと法律に書くというふうなことによって、より責任の所在というものが明確になるのではないか、こういうふうに私は申し上げておるわけでございます。  そこで、長官、もう時間もそろそろですから、ひとつもう一点お聞かせください。  今、奇しくも官房長官が、長官をどのような人になってもらうか、こういうふうなことを言われました。いわゆる本当の金融監督庁の目的を、その使命を果たす、こういうふうなことを考えた場合に、総務庁長官として、どのような方がふさわしいか、どういう人材が長官としてふさわしいかというふうにお考えでしょうか。
  30. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 これこそ任命権者がお考えになるべきことであって、私がこういう人がよろしいと言って任命権者を束縛するようなことはできないんじゃないでしょうか。その辺は御理解いただきたいと思います。
  31. 鹿野道彦

    鹿野委員 そういうふうな答えが出てくるというふうなことは思っていなかったです。もう少し踏み込んだお話考え方をお示しいただけると思っておったわけでございますが、しかし、少なくとも、せっかくそうやって設置法によって分離をするというふうなことならば、独立性だけは保たなければならぬ。これはもちろんのこと、そういうお考えであることは間違いないと思うのです。  それでは、大蔵大臣、まことに恐縮ですけれども大蔵大臣は、どのような人材がふさわしいか、政治家として、政治家三塚大蔵大臣としてお聞かせください。
  32. 三塚博

    三塚国務大臣 長官適格者というよりも、長官待望論の中で出てくる人材がいい、これは一般論ですけれども。  梶山長官いわく、長官によってすべてが決まる。これは新庁ですからね。新しい庁であります以上、そして、重大な第一代、初代長官として、検査監督庁が設置の目的に沿って成果を上げるということであれば、人間としてどこから見てもというのは一つ。果断であるということ、果断は判断力がいいということなんでしょうね。そして、識見のある人ということですべて包含されることになると思うし、法令に従い、そして全力を尽くす。言えばたくさんありますけれども、この辺でとどめさせていただきます。
  33. 鹿野道彦

    鹿野委員 私も政治の道を歩む者として直接指導を受けた三塚大臣であります。今の御答弁、どうもわかりにくいところもあるわけでございますか……。  そこで、大蔵大臣、この監督庁というものが独立性を保たなければならないというふうなことについては、異論はないと思うのであります。それでは、その長官の人事というふうなことにおいて、これは閣議了解事項だと思います。そうですね。(三塚国務大臣「そうです」と呼ぶ)そうすると、独立性を保つというふうなことを一つ明確にする意味において、ここで、出されてきた人事案件については大蔵大臣はもう異論は出さない、お約束できますでしょうか。
  34. 三塚博

    三塚国務大臣 内閣総理大臣、名参謀の官房長官、これがこの人ならば初代長官として設置法の目的を十二分に達成するだろうということで出してきた人事は、一番先に賛成です。
  35. 鹿野道彦

    鹿野委員 やはり、これからの新たな日本の国づくりという中で、閣議のあり方というふうなものを根本的に変えていかなければならぬわけですよ。大臣が、ただ用意された筆でサインをするというふうなことだけでは、本当にこれは閣議なのかと。もうそういうふうなものが行き詰まっているわけですよね、完全に。  そういうところから、私は、三塚大臣に対してお聞きいたしましたのは、そしてお約束もいただきました、これは意義のあることなんです。これからずっとこの設置法案審議するときに、明確に大蔵大臣はこのような約束をしたというようなことは、非常にこれからのそれぞれの機関が独立性を持って責任を明確にするという意味において重要なポイントであるように私はお聞かせをいただいて、そこに明快なお答えが出てきたわけでありますので、ぜひそういうふうな姿勢でひとつ進んでいっていただきたい、このことだけは申し上げておきたいと思います。  総務庁長官、それではよろしいです。  そこで、三塚大臣、その分ひとつ恐縮ですが、一点お聞かせいただきたいのです。四月二十八日に、日経の記事にこう書いてあるのですよ。一面の「春秋」というところですが、   大蔵省が今国会に提出した「金融監督庁設置法案」を見て、やっぱりと思った。銀行の免許権は手放したが、「長官は(金融監督庁の)銀行の業務停止、免許取消等を行うことが信用秩序の維持等に重大な影響を与えるときは、信用秩序の維持等を図るために必要な措置に関し、大蔵大臣協議する」とある。  この短い文章の中に「等」という言葉が三回も登場。大蔵省協議しなければならぬ範囲を広げている。 云々。  政治家には法案を実際に作る知識も能力も不足しているから、嵐が去るといつの間にか官僚ペース。 こういうふうな記事が載っておるのです。  いわゆる今度のこの大蔵省改革行革一環としての金融監督庁設置法案についての考え方というふうなものがその中に載っておるわけでございますけれども、所管というのでしょうか、実質的に所管は官房長官ということでしょうけれども、まず、大蔵大臣として、このような記事に対してどんな感想をお持ちでございましょうか。
  36. 三塚博

    三塚国務大臣 この記事は、一点誤りがあります。それは何かというと、「等」というのが三つあり、ぼやかしておる、簡単に言えばそういうことでございますが、実は、「等」というのはございません。法文を見ていただきますとそのことが明示されるわけでございますが、特に、監督庁でありますから、金融関係諸機関、全部監督をするわけです。銀行銀行法五十七条の二、証券は証券取引法百九十四条の三、保険業法三百十一条の二−等々、こういうことで、そこで、銀行銀行としての役割を十二分に果たすために、最低の基準をそこに明示をいたしておるところでございます。  そういう点から考えますと、「等」という言い方がどこから出たのかは、説明書、膨大なものの中に出ておるわけでございますが、私の拝見した限りにおいては、各法律に基づく規定というものがありまして、これによって、これから合同省令ということになるんでしょうか。そういう中で、やはり必要なものは、主管大臣たる内閣総理大臣、それと、企画立案を担当する金融局の主管大臣である大蔵大臣が、かくかくしかじかのときには協議をする、こういうことになっております。そういう点であります。  この「春秋」というさらりとした記事でございますが、以下の文面については激励と受けとめるわけでありまして、それ以上のコメントはございません。  そういうことを受けないようにお互い、私自身を含め、特に政府を担当しておる与党議員またしかりであるし、国会という国権の最高機関からいえば当然ということになる立法機能というものを御発揮いただき、今国会にも数々の議員立法が提出をされておりますことは、現にちゃんとこの指摘の前にやられていることでありますから、そういう点では、それはそれとして受けとめますが、違う点だけは申し上げておくことが大事、こう思った次第です。
  37. 鹿野道彦

    鹿野委員 基本的に私は、これは何も新聞だからというふうなことの受けとめ方もあると思いますが、むしろ官僚の人たちに対してどうこうというより、政治家として、私ども政治家、政治の道を歩む者に対して一つの、今回のこの設置法が本当にこれでいいのか、こんな指摘をしているのではないか。そういう意味で、私どもは共通の認識を感ずるなという意味でこの問題提起をさせていただいているのです。  そこで、どうもいろいろ私なりに、こういう厚いものですからなかなかそれは一晩では読み切れるものではないわけでございますけれども、具体的にちょっと聞いてまいりたいと思います。  監督設置法案の第三条、「金融監督庁は、法令の定めるところにより、」こういうふうなことでありますが、この法令というのは何を指しているのでしょうか。
  38. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答え申し上げます。  この法令というものにつきましてのお尋ねでございますが、具体的には銀行法等の各作用法を指しているということでございます。
  39. 鹿野道彦

    鹿野委員 要するに、銀行法、証券取引法等々が入っているわけですね。  一方、大蔵省設置法においては金融は残っているのじゃないでしょうか。
  40. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  大蔵省設置法は、大蔵省の機能としまして金融・証券行政の企画立案機能を担われるということで書かれております。
  41. 鹿野道彦

    鹿野委員 すなわち、残っているということです。そうすると、「法令の定めるところにより、」というこの法令は、大蔵省の定めた法令というふうなことになるのじゃないでしょうか。
  42. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、この「法令の定めるところにより、」の法令は、銀行法、証券取引法等の各実体法と申しますか作用法でございまして、その法令の制定、改廃は企画立案の最たるものでございまして、その意味では、そういう作用法の制定、改廃は大蔵省が役を担うということでございます。
  43. 鹿野道彦

    鹿野委員 ここは、何もわざわざ「法令の定めるところ」ということじゃなしに、「次の」というふうなことだけでよろしいのじゃないか。
  44. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 この法案第三条一項に「法令の定めるところにより、」というふうに規定しておりますのは、先ほども申し上げましたように、ルールの策定と企画立案という政策面の機能と、ルールに基づく民間金融機関等に対する検査監督という執行面の機能を異なる行政機関が分担しまして、執行面の機能を担うものとして金融監督庁設置されるという今般の金融行政機構改革の趣旨を明確にあらわしたものでございます。  具体的に申し上げますと、ちょっと長くなりまして恐縮ですが、三条は、銀行法、銀行業等の業務の適切な運営または経営の健全性が確保されるよう検査その他の監督をするというのが一点。もう一点は、証券取引法、証券取引等の公正が確保されるようその監視をするというのが二点。こういうことを通じて、終局的には預金者等を保護すること、それから金融及び有価証券の流通の円滑を図るということが任務として書かれておるところでございまして、こういう任務を具体的に執行するに当たっては、こういう法令、言ってみればルールに基づいて行うことが公正かつ透明な行政の実現に資するということで、こういう「法令の定めるところにより、」ということを規定したものでございます。
  45. 鹿野道彦

    鹿野委員 どうも説明がわからないのですが、「法令の定めるところにより、」わざわざそういうふうなことによって、むしろ法令に定められている分だけ金融監督庁は持っているのだ、こういうふうな解釈になってくるのじゃないか。  それでは次にちょっとお聞きしますけれども大蔵省設置法の五条の方に金利は残っておりますね、金利。
  46. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 残っていると承知しております。
  47. 鹿野道彦

    鹿野委員 「金利を規制する」、こういうふうな文言になっていますが、規制というふうなことになれば、これは行政じゃないでしょうか。
  48. 武藤敏郎

    武藤政府委員 金利の変更等の基準を定めるということは、まさに企画立案的な政策面の仕事というふうに理解しております。
  49. 鹿野道彦

    鹿野委員 金利を規制するというふうなことは企画立案でしょうか。行政じゃないでしょうか。それでよろしいのでしょうか、今の答弁で。
  50. 武藤敏郎

    武藤政府委員 具体的に申し上げますと、臨時金利調整法というのがございます。現在預金金利等の自由化がもう完了しておりますので、昔から見ますと金利の規制というものはほとんどなくなっておるわけでございますけれども、それでもなお、現在でも、例えば当座預金にはむしろ付利をしてはいけないといったような最小限の規制が残っておるので、規制という言葉が使われておりますけれども、そういうことでございます。
  51. 鹿野道彦

    鹿野委員 まあいろいろお答えはあると思いますが、やはりこういうふうなところを本当に大蔵大臣もお考えいただきたいのです。  結局、私らも素人なりにちょっと勉強させていただきますと、設置法というものの基本的な考え方、しかし整備法、こっちを見ると実質的に本当に企画立案、そしてこっちは検査監督、そういうふうな形になっていないのですよね。どうもそうなんですよ。  それで、お聞きいたしますけれども基本的にこの金融監督庁というふうなものを設置するということは、私は、巷間言われておるように、護送船団方式というふうなものでは完全に行き詰まった。ですから、そういうふうな業者行政的な考え方から市場行政の方に持っていかなきゃならぬ。これが根本的な思想であるべきだと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 本件については、設置法の中、さらに施行法、関係法律整備に関する法律案等々を一貫して見ますと、企画立案ということ、政策部門です、そして執行面の検査監督ということを明瞭に機能分担をするということを仕分けをしていることは間違いありません。  最大の目標は、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者の業務の適切な運営、経営の健全性が確保されるように行う検査、そしてその検査に基づく監督、法に定められ、そして認可を受けて業を営むわけでございますから、守るべき法益はまさに銀行に対する、金融機関に対する預貯金者、そして保険でありますれば契約者、そして証券であれば投資者、こういうことになるわけであります。  そのためには、今さらりと言われた護送船団的なものからの隔離で、まさに、片や金融システム大改革が進行しておる中において、自己責任の中でそれぞれの業者が業際を取り払った自由な行動が保障される金融体制の中で全力を尽くしてよき商品サービスを提供する、こういう中におけるよき競争状態がよりよいものをつくり上げていくだろう。この関係を助長するところに一点大きな視点を置いたと私は思っております。  同時に、預貯金者を含め投資者や契約者は、現行の法令の中で守られておる法益というものは、保護という観点、契約の安心、信頼、こういうものもありますが、そのことから離れまして、さらに自分たちの自己責任において高リスク・高リターンの商品を選ぶときにどうするか、こういうことでありましょうし、そして企画立案という観点から、行政庁は、その場合に対する、最大限といいますか、市場のあり方、商品のあり方についてPRをしていくというのも責任であろう、こう思うわけでありまして、まさに検査監督という事務に伴うそれぞれの行政措置を行うところは監督庁であるわけであります。  そういう意味で、それを受けて、政策の企画立案という分野において、法令に基づいて、それぞれの法律が規定する業務がございます。この業務も誠実に実行していく。その業務が現況に合わなくなれば改正をする。しかし、現行の業務体制の中で危機管理観点から必要ということであれば、さらに協調する中で、主管大臣総理大臣であり、専任の長官が出るわけでありますから、大蔵大臣等と協議によりまして、等と申し上げましたのは農中もあり労金もあり、そういう意味で所管大臣との協議もあることは当然でございますから、金融は万全を期していくという意味で、そのことが独立官庁である監督庁に与えられた権限、こういうことであります。  このことは、明確に独立法としてスタートを切るという意味で、この権限監督庁が法令に基づいてとり行ってまいる、そういうことになるわけでありますから、権限の明瞭化がここに明示されたということは大きな前進であり、そういう中で必要と認めるときは協議をするというのも、これも一つの大事な、危機管理という観点からいえば必要なことであろう。  こういうことで、相談する道を遮断しておくことが決して──民主主義下における自由主義経済市場における金融監督庁として、自分たちの範囲を超える問題について協議することは、これまた行政として当然のことだろうと思っております。
  53. 鹿野道彦

    鹿野委員 どうも私ども、今大臣の御説明をいただきましたけれども、ますます難しくなってくるわけでございます。  要するに、先ほど来からこの三条、四条の問題点を指摘いたしまして、どう見ても、預金者、保険契約者、有価証券の投資者等を保護するとともに金融及び有価証券の流通の円滑を図るための手段として、各事業者の業務の適切な運営または経営の健全性を確保する、これが三条、そのために各事業者の検査その他の監督を行うこととしている、これが四条でありますけれども、そこにいわばこの法案の底流があるのではないか。すなわち、今と何も変わらないところのいわゆる業者行政というふうなものの思想が残っているのではないか、こう思わざるを得ないわけなんです。  そこで、結局、先ほど来冒頭から総務庁長官の時間の関係で私がお聞きしてきたところですけれども、二度と失政を繰り返してはならない。それにはやはり、裁量性の高い不透明な行政、こういうふうなものを変えていかなきゃならないわけです。  すなわち、奇しくも今大臣も言われましたけれども、金融の自由化なり国際化の流れの中で、業者行政というのはむしろ、各事業者の商品開発、そういう業務展開の制約要因となる、結果的に競争力を低下せしめることになるんだ。これをやはり変えていかなきゃならない。ましてや、これからビッグバンを迎えるというふうなことならば、そういう業態横断的な市場法というふうなもの、あるいは取引法というふうなものに思想を変えていかなきゃならない。  すなわち、このことが預金者なり保険契約者なり有価証券の投資者等を保護するとともに金融及び有価証券の流通の円滑を図るための手段として、公正かつ透明なルールの設定が最も必要だ、そのルールの範囲内で各事業者は自由な業務展開を行っていく、そして一方、経営責任の明確化も図ることができる、こういうところが重要なポイントだと私は思っているのです。  ですから、言いかえるとするならば、今後、自由裁量の余地のない明確なるところのルールをつくることがまず一つ。もう一つは、そのルールを守っているかどうかということをきちっと検査する。そして同時にもう一つは、ルールを守らない事業者というふうなものは市場から排除する、こういうふうな三点に絞られるのではないか。そのための立法措置というふうなものが今日望まれているのだろう。果たしてそういうふうなことになっているのかということを考えた場合に、その辺の思想というのはまことにあいまいで、今日の旧来型の行政というものを引き続いてやっていくというふうなことになりはしないかな、こんな危惧の中で私は考え方を申し上げておるわけです。  大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  54. 三塚博

    三塚国務大臣 究極の目指す方向というのはおっしゃるとおりです。よって、機能分担を明瞭にする、干渉をしない、独立独歩というのが検査監督庁のそもそもの発足の原点であります。  そういう中で、すべてのものから独立をして検査監督を行う、こういうことで、健全な企業育成の中で、それぞれの預金者等々の皆様の保護であり、また最終的にその結果として正常な状態が出ていくでありましょうし、そういうことで金融秩序の維持が図られて、健全な発展を期することのできるそれぞれの金融業界というものが生まれるであろう。  言われるとおり、おのれの責任において行うというのが自由主義経済下における最大ポイントですから、自分の努力、自分の経営努力、こういうことの中でよきサービスを提供する、この一点がなければその企業は生存できないわけであります。それはまさに企業の責任ということでありますから、自己努力をしない、企業努力をしない、そしてよき商品サービスを提供することができないということであれば、マーケットはこれを認めないわけですし、国民も認めないということでありますから、本業界の中では生きていけない、こういうことでいくことになります。  全力を尽くしてやるということが基本でございまして、そういう中で、検査監督に徹底をして健全な企業をつくることが最終的に結果としてあらわれるわけでありますから、意図してそれをやるわけではございません。  そういう点で、この基本は投資者、預貯金者の保護と私が申し上げたことは、それだけのことを企業、業界は投資者、預貯金者、契約者に対して与える義務があるわけでありますから、まさに自己査定が必要であるでしょうし、そのことに基づいての企業責任が明示をされていくということで、ディスクロージャーというのがこれからの企業経営の、基本的な企業者の責任になる。それを見て判定をしてそれに投資をしていくという国民サイドの皆さんの判断が明確になるわけでございますから、そういう意味では、また投資者の皆様方の、また契約者や預貯金者の皆様方の自己責任というものも当然出てくる。  ただ、やはり国民の皆さんということについて、自由市場の持つ意味合い、商品の持つ意味合いというものは自己判断でありますけれども、これに対して広く、大蔵省だけではなく、国民生活センターがある経企庁もそうでありましょうし、それぞれの分野がそういう点で啓蒙をしていく。賢い消費者、投資者、こういうことで進まれますように、いささかも検査監督庁に、金融局の中において監督庁の業務に口を入れる、干渉をするということは、この法律によっては明示をされておりますから、ございません、こう申し上げさせていただきます。
  55. 鹿野道彦

    鹿野委員 どうも私ども、だんだんわからなくなってくるのであります。  それでは、設置法の「所掌事務及び権限」、いわゆる二条、四条、五条のところでお聞きしますけれども金融監督庁設置法案考え方で、銀行、信用金庫、保険会社、証券会社、住宅専門会社等の免許等については、内閣総理大臣が所管し、金融監督庁がこれを補佐することになっておる。  いわゆる各種産業の中で、なぜ金融機関等についてのみ内閣総理大臣が所管するのでしょうか。
  56. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 金融監督庁の対象が銀行業、証券会社、保険会社等の金融機関でございまして、その免許と免許取り消し等でございますが、これは当該業種への参入に係る監督権限の根幹をなすというものでございますので、総理府の主任の大臣として行政責任を負う内閣総理大臣がみずからその権限を行使するということとしているものでございます。  ただ、執行面の機能を迅速に果たすという観点から、破綻処理を初めとして、原則として、免許等以外はその権限内閣総理大臣から金融監督庁長官に委任することということにしております。
  57. 鹿野道彦

    鹿野委員 最も重要だからということでしょうか。
  58. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 金融機関監督として最も重要であるからということでございます。そのとおりでございます。
  59. 鹿野道彦

    鹿野委員 最も重要であるかどうかという判断は、だれがやるのでしょうか。
  60. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 金融機関として参入する、退出するということにつきましては、入り口と出口に当たるところでございまして、それを認めるかどうかということは重要な監督権限の根幹をなすということで、法律上、内閣総理大臣権限としているということでございます。法律で明確にそのようにしているということでございます。
  61. 鹿野道彦

    鹿野委員 お答えにはなっていないですけれども、これはなかなか答えにくいところだと思うのですよ。だれが決めるかわからない、どうやって決まるのかわからないわけですよ。だれが重要と、そういうところがあいまいなんですね。  だから、結局、こういうふうなことによって、事業者の立場からすると、あっちにもこっちにもお伺いを立てなければいかぬじゃないか。中央銀行の人が言っていましたよ、いや、これ、困りますよ、もう一カ所、ただ頭を下げる、お伺いをしなきゃならぬところがふえただげですよと。こういうことなんですよ。  大臣、どうでしょうか。本当に現実的に現場で頑張っておる人たちのこういう生の声をどう受けとめるのでしょうか。
  62. 三塚博

    三塚国務大臣 前段、バブル責任いかん、こういうこと。これは私も国会で答弁しているのですが、政治家責任、これは申し上げてきておるところであります。  同時に、このことは全体がやはり反省をするということでなければなりません。特に金融関係機関、これに付随するもろもろの関連する業界、しかし、そういっても、一生懸命頑張り抜いて、辛抱して、それに踊らなかった金融機関関係業界もあるわけであります。一概に言えませんけれども、やはり自由主義社会、言いかえれば、資本主義社会の基本的なポイントは金融業界にあるわけであります。  金融はまさに産業の血液でありますから、この血液が順調に回転をしておりますところに国民生活が安定をし、企業が安定した成長、発展を期することができるということでございまして、住専問題をとっかかりとしてあれだけの騒動が起きて、あれだけの国民批判がわいたわけです。これは、公的資金を導入して救済をしなければならない、この危機を乗り越えなければならぬという苦悩の決定が行われたところに、この問題の深刻さがありました。  そして、母体行という言葉が頻繁に飛び出すということでございまして、母体行それぞれが、また金融機関であったそれぞれがやはり深刻な反省の中でいかなければいけませんし、みずから自己責任の中で経営を行っていくということでありますと、この監督庁をつくらざるを得なかった、そのことに合致をしていくのではないでしょうか。  鹿野議員の言葉じりをとらえるという意味ではございません。どこに行ったらいいのかわからぬというバンカーの何人かの声を御紹介をいただいたことにかんがみまして、私ども、それはそれとして受けとめるわけでございますが、そうでありませんようにきちっと透明性を確保する中で、自己責任そしてこれに伴う経営規律、こういうものが担保されていく業界になりつつあるわけですが、これが完成をしていくということになれば、監督庁をもって検査監督をしなくてもいいような状態になること、いつなるかわかりませんけれども、その日の近からんことを望みながら、これから御指摘の点を十二分に踏まえて監督庁がやられる。  今度は全く所管大臣でございませんので、しかし、ただいま発足するまでの間の責任という意味で、過去にさかのぼって、ちょっと長くなって恐縮でしたが、申し上げさせていただきました。
  63. 鹿野道彦

    鹿野委員 各事業者はもう大変こういうことについては敏感なわけであります。ですから、今度はどうなるのか、また一カ庁ふえたのか、これはまさに生の声なのですよ。すなわち、この法案そのものが今大臣が言われたような形になっていないというふうなことのあらわれなのでございます。  それでは、さらにお聞きをいたします。  労働金庫なり農林系統機関等について、総理大臣と各省大臣の共管、こういうことになっていますけれども金融行政が多元化しているというところが問題だ、こういうふうに言われていますが、どうしてこういうふうにするのですか。簡潔にお願いします。
  64. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 御指摘のように、労金、農協系統等検査監督につきましては、内閣総理大臣と各省大臣との共管とすることにしておりますが、各省で行われている検査監督はそれぞれの行政の目的を踏まえて実施されるということとともに、金融監督庁金融行政観点から民間金融機関等に対する検査監督を所掌する、機関として検査監督を行うことが必要であるという考え方によるものでございます。
  65. 鹿野道彦

    鹿野委員 時間の関係で問題点だけを指摘してまいりますが、どう見たって説得力がございません。わからないです。一元化の方向に持っていこうという中で、これは本当にわからない。  それでは、地域金融機関の検査監督について、大蔵省の各地方財務局に委任するというふうなことになっていますが、もしも、問題が起きた、チョンボになったというときにはどっちが責任をとるのですか。
  66. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 地域の金融機関の検査監督について問題が生じた場合の責任は、委任し指揮監督した金融監督庁でございます。
  67. 鹿野道彦

    鹿野委員 東京におけるところの二信組の問題のときも、結局東京がその責任をというふうなことだったのですけれども、実際はそうでない形であったのです。同じようなことがこれからも繰り返されるということなのです。今までの延長だということです。  それでは、もう一つお伺いします。  破綻のときのその最大ポイントは預金保険機構です。なぜ預金保険機構というふうなものを残したのですか。大蔵省の所管だということになっているのですか。
  68. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 今回の金融機構改革は、たびたび御説明申し上げましたとおり、企画立案は大蔵省、検査監督金融監督庁という明確な分担のもとに、預金保険機構についてもそのような考え方で分担をしているところでございます。  すなわち、預金保険機構に基づく行政上の関与のうち、資金援助に係る破綻金融機関の合併等の適格性の認定というのがございますが、これは、個別金融機関に対するものでございまして、金融監督庁が検査その他の監督を通じて金融機関の実態を把握していくということでございますので、金融監督庁が所管するものでございます。  一方、この資金援助が機構の財務状況を著しく悪化させ、預金保険制度の基盤を揺るがすことになる、信用秩序の維持に重大な影響を生ずるおそれがある場合も想定されます。そのようなときには、長官大蔵大臣協議するというような規定も設けております。  それからあと、預金保険機構の例えば定款の認可とか保険料の認可とかというものは、むしろ預金保険制度そのものでございますので、これらのものについての所管は、企画立案という観点から大蔵省ということにしておるところでございます。
  69. 鹿野道彦

    鹿野委員 素朴な疑問ですけれども、なぜこれだけ別個にするか。要するに、そうすると、金融破綻があったときに、金融監督庁の役目というのは、合併だけをやるのだというふうな解釈になるのじゃないの。これは素朴な疑問ですよ。  それから、金融監督庁設置法施行に伴う関係法律整備に関する法律案の方なのですけれども金融監督庁が各事業者の経営破綻に対応する際には、内閣総理大臣大蔵大臣と事前協議を行うことが事実上義務づけられておる。また、そのほかに、過般来、議論がございました、民主党の池田議員からも指摘がなされましたけれども大蔵大臣は、金融監督庁ほか各事業者に対して、必要な資料の提出を求めることができる。これはもう、むしろ事業者に対してグリップを強くするみたいなものなのですね。それから、総理府大蔵省の共同省令として定めるというふうなところもいろいろな問題があるのではないか。  それから、金融監督庁設置に伴う銀行等の停となり免許取り消し等を行う場合、及び預金保険法におけるところの適格性の認定等々というふうなもののときには、内閣総理大臣は、あらかじめ大蔵大臣協議することが事実上義務づけられておるのです。  そういうふうなことを考えた場合に、先ほど来の議論の中で、なぜこういうふうな金融監督庁設置しなければならぬかというふうなものが、どう見てもそういう方向になっていない。いわゆる業者行政というものから、市場行政という方向に持っていこう、そういう中で、この時代の流れに対応していこうというふうなことになってない。  また、人事面においても、本当にこの金融監督庁独立性というふうなものを保つためには、思い切って人事面においてはもうノーリターンだというぐらいの決意を持ってやっていくのかどうかというふうなところも明確でない。そういうこと等々から考えまして、もういろいろな問題点を抱えた、それが今日のこの設置法の内容ではないか。  そういう意味で、きょうは時間が来ましたので、同僚議員がさらに議論を展開していくというふうなことでございますけれども、どうぞひとつ、そのような考え方に立っての私ども新進党でありますというふうなことを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
  70. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、枝野幸男君。
  71. 枝野幸男

    ○枝野委員 まず私からは、過日の本委員会の質問で私どもの民主党の池田議員が質問させていただいたことに対するお答えに絡んでお尋ねをさせていただきたいと思います。  池田議員の質問の中で、政府案は金融機関の支店の配置や変更の認可、要するにはしの上げ下げまで大蔵省総理府との共同の省令で定めなければならない法律案になっている、これは、企画立案だけと表向きは言っていながら、実質は大蔵省が金融監督に関与することを許す内容になっているのではないかといったようなことを御指摘を申し上げましたところ、橋本総理が、よき御注意をいただいた、御指摘のうち幾つかは我々としても不本意なものがありますので、そうした意見をいただいたことは非常に幸いだと思っておりますというお答えをしていただきました。  では、この我々としても不本意なものというのはどういうことなのか、具体的に政府としてお答えいただきたいと思います。
  72. 三塚博

    三塚国務大臣 まず、先般の最初の行革委における池田議員に対する答弁の中の指摘は、私も同席でしたから承知をいたしております。  本件は、銀行法等における省令に関するものであると思われます。省令は、銀行等に対する検査監督という個別具体的な行政措置ではなく、銀行法等の法律、政令の範囲内でこれを補充するルールを定めるいわゆる行政立法でございまして、企画立案としての性格を有するものである一方、その制定、改廃に当たりましては、執行面の機能を的確に発揮させる観点から検討を行うことが必要だと考えます。  今般の金融行政機構改革は、金融監督庁大蔵省が相互に独立した行政機関として、明確な機能分担のもとに適切な連携を図ることとしております。銀行法等における省令については、このような観点から両者の共同省令としたものでございます。  省令の実際の制定、改廃に当たりましては、総理が御答弁いたしましたとおり、いやしくも一方が他方に不当に影響力を行使してはならないことは当然でありまして、大蔵省としても、主として検査監督のための手続の詳細を定めるものについては総理府が主導的立場に立つべきものであると考えておるわけでございます。総理の言われたことはまさに、一方が他方に不当な影響力を行使してはならないと、これをするのではないかという池田議員の質問に答えたわけでございまして、そのことは、大蔵省としてはそういうことはございませんで、総理府が主導的立場に立つものである。先ほど来申し上げているとおりの明瞭な分担、こういうことでありますから、総理の不本意なことであるという答弁、その前の池田議員の万般にわたる御指摘に対して申し上げたことを補てんをしながら答弁させていただきました。
  73. 枝野幸男

    ○枝野委員 わかったようなわからないような御答弁なのですが、どうやら、不本意なものがあるというのは、一方が一方に対して不当に影響力を及ぼすのではないかというふうな疑いを持たれ得るような部分を指摘されたということであり、そこについては、大蔵省としては不当な影響力を行使するようなつもりはないので大丈夫ですという趣旨のように受けとめさせていただきました。  まさに私どもが、あるいは前回の池田議員がお尋ねをさせていただいたのは、不当な影響力を行使しませんということを担保する仕組みはないではないですか、共同省令ということで法律に書かれているということだけでは幾ら一もちろん、例えば総理大蔵大臣をこの法律が施行された後五年、十年ずっと橋本総理三塚大蔵大臣でやっていただくのであれば、今のお二人の関係の中で、大蔵大臣が不当に影響力を行使することはないでしようということで結構だと思いますが、そもそも、例えば住専のときには、大蔵大臣と農林大臣が知らない間に合意文書を交わしていたような話も出てきたわけでありまして、大臣は大丈夫かもしれないけれども、事務方のところで何をやるかわからないことをどうやって担保するのか、不当な影響力を行使しないということについてどうやって担保するのかということが問題だと思っています。もしお答えになれるのでしたらお答えをいただいて、通告をしておりませんので、後日さらに同僚議員からこの点についてお尋ねをさせていただきますが、いかがですか。
  74. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、行政のディスクロージャーということで、それぞれの疑念の問題について国会で御質問をいただく、率直にその際御答弁を申し上げる。また、緊急かつ国際的な問題の中における対処等について行うことについては記者会見、官房長官になると思うのでありますが、また国会における報告、こういうことで、両々相まちまして、明確な職務の分担が期せられるということにしてまいりたいと思います。
  75. 枝野幸男

    ○枝野委員 省令をつくる過程などということが本当にディスクローズしていただけるのかどうか。この後質問をさせていただく中で、幾つか情報を出してくださいということをお願いしようと思っているので、今の答弁だと、きっと期待している以上に出していただけるのかなと、ディスクローズしていただけるのかなと期待をしながら、先へ進みたいと思います。  金融監督庁長官の問題について、先ほど鹿野先生も御質問されていましたが、ちょっと違う視点からやはりこの長官の問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  長官は一般職にするという、要するに政治家ではないということのようです。国会議員などの大臣がやるというわけではないということですが、要するに、位置づけとしては国税庁長官あるいは社会保険庁長官と横並びという理解をしてよろしいのでしょうか。
  76. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁長官につきましては一般職ということでございますが、この金融監督庁長官の位置づけという点につきましては、金融監督庁長官というものが、民間金融機関等に対する検査その他の監督を所掌する、経済活動、国民生活の安定との関連で極めて重要な預金者保護、信用秩序の維持等の責務を担うという重要な役割をも担っているということ、こういうことを踏まえまして、俸給上の格付につきましては十年度の予算編成過程におきまして詰めを行ってまいりたい、このように考えております。
  77. 枝野幸男

    ○枝野委員 要するに、決めていないということですか。
  78. 白須光美

    ○白須政府委員 一般職の俸給の格付につきましては、人事院等と折衝いたしまして決めていく必要がございますので、いまだ決めておりません。
  79. 枝野幸男

    ○枝野委員 では、例えば事務次官会議などに出席をして意見を述べるような地位は確保されるのですか。
  80. 白須光美

    ○白須政府委員 長官の事務次官会議等への出席の問題、この点につきましても、ただいまの俸給上の格付等の問題も踏まえまして今後検討されることになろうかと考えております。
  81. 枝野幸男

    ○枝野委員 それでは、経済対策閣僚会議、これは閣僚会議ですが、日銀総裁は閣僚じゃなくても出ています。こういった会議には出られるのですか。
  82. 白須光美

    ○白須政府委員 お尋ねの経済対策閣僚会議につきましては、今御指摘のとおり、全閣僚が構成員となっておりますほか、必要に応じまして関係者の出席を求めることができるとされております。また、協議に必要な専門的事項について意見を求めるため、学識経験者の参集を求めることができることとされているところでございます。したがって、今後新たに設置されます官職等、新たな者の出席などにつきましては、当該会議におきまして判断いただく問題かと考えております。
  83. 枝野幸男

    ○枝野委員 どうも今のお話を伺っていると、金融監督庁長官にどういう人を充てるかということ以前の問題として、金融監督庁長官がどういう位置づけになるのかということがまだ決まっていませんということにならざるを得ないと思うのですが、これでは審議のしようがないんじゃないか。  この法律では、金融監督庁長官は、内閣総理大臣の委任を受けて、必要と認めれば、内閣総理大臣の名前ではなくて金融監督庁長官の名前で銀行に対して業務停止命令を出すことができるということになっているわけですね、確認させていただきますが。
  84. 白須光美

    ○白須政府委員 銀行法上の業務停止等の権限につきましては、内閣総理大臣から長官に法定委任がされておりますので、監督長官の名をもって命令が発せられることになります。
  85. 枝野幸男

    ○枝野委員 これは大変な権限なわけです。  例えば、我が国銀行の中で大きなところ、何十兆、最大のものは七十兆以上の金融機関に対して、権限の上では、ある日突然、こうした銀行がおかしくなればこの金融監督庁長官が業務停止命令を出せるという権限を持っている。七十兆を超えるお金について影響力を行使できるということ。もちろんそうした場合には、国際的な信用秩序にまで多大な影響力を与えることになるわけです。だからこそ大蔵大臣との事前協議が義務づけられることで担保しているということをおっしゃるのでしょうけれども、しかしながら、実際に権限を持っている、その命令を下す責任者はこの長官なわけです。  この長官政府部内でどういう立場に立つのかということがはっきりしないで、果たしてこの金融監督庁がどういう存在になるのかということを我々に理解をしろということが無理なのではないか。  例えば大蔵大臣との協議について、先ほど省令の話も大臣に御答弁をいただきましたが、もちろんそういったことがありますが、大蔵大臣協議をする以前の段階として、当然事務ベースでの準備の打ち合わせがあるというときに、では、大蔵省の事務次官とどっちが格が上なのか下なのか、現実の霞が関がそうしたことを大変重視をするというか、意識をせざるを得ない中で仕事をしているということは、これは否定のできない事実でしょう。どちらが格が上なのかということもはっきりとしない。  例えば経済対策閣僚会議などには、当然のことながらその権限、機能からすれば出ていなければ、まさに銀行が破綻をしたような場合に、何兆円というお金の問題、例えば財政出動が必要ではないかとか、緊急経済対策を打つのに匹敵するような問題について日ごろからチェックをしている、把握をしている責任者ですから、当然のことながら出てこないといけないんじゃないか。  事務次官会議などのような場にも、事務次官に準じた立場として出ていって、常にその持っている権限にかかわる部分について定期的に意見を述べる、あるいは発言を求めるというようなことが確保されなければ、独立性とか何だかんだ言っても、本来の意味での独立性というのは本当に担保できるのかどうかということは、これは疑ってかからざるを得ないと思っているのです。  ここについては明確に、どういう位置づけにするのか今わからない、決めていないということでは納得できないのですけれども、いかがでしょうか。
  86. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  議員も既に十分御承知のことと思いますが、まず、予算要求をいたしまして、それで人事院等と協議するという仕組みになっておりますので、長官のグレードが決まっていないというおしかりでございますが、具体的に今のところこうだと申し上げられないのはまことにそのとおりでございます。  議員御案内のとおり、例えば各省の外局の長官は指定職九号俸だと思います。事務次官はたしか指定職十一号俸だと思います。こんなことをこういう公式の場で申し上げていいのかどうかわかりませんが、私どもの希望としましては、この金融監督庁の職務の重要性にかんがみまして、できるだけその職務に合った、重責を担うにふさわしいグレードにしていただければというふうには考えております。
  87. 枝野幸男

    ○枝野委員 そういった御答弁では到底納得できないですよ。  どういう位置づけになるのかはっきりしない、確定しないで、法律だけは通してくれという話じゃないでしょうし、それから、予算要求をして云々という話については、まさに政府部内の話なんですから、これについては総理府でやっているわけですから、大蔵省総理府の間で話をつけておけばいいだけの話なのです。提案したのが内閣官房サイドだから、予算要求の段階になって大蔵省がうんと言ってくれるかどうかを見ないとわからない、それは役所の、内閣の中での話であって、議会や国民との関係では全然関係ない話ですから、そんなものは統一した見解を出してもらわないと。  内閣としては今の段階でも決め得るわけです。人事院は内閣との関係で若干微妙ですから、人事院の了解がないと云々ということで確定はできないと言うならわかりますけれども、今の答えじゃ答えになっていないと思いますよ。
  88. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 繰り返しでまことに恐縮でございますが、手続としまして、まだ概算要求の基準も決まっておりませんし、今の段階で確定的にこうだということを申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。  ただ、私どもの希望としましては、そういうことを考えているということは申し上げられるというふうに考えて先ほど御答弁した次第でございます。
  89. 枝野幸男

    ○枝野委員 政府の中で、我々はこう希望して、大蔵省と話をしないとできないという話は、それは政府の中ではどう勝手に話していただいてもいいですが、行政権を持っているのは内閣官房でもなければ大蔵省でもなくて、内閣として行政権を持っているのですから、内閣としては物が言えないとおかしいのですよ。内閣としては決めてませんというだけにしかすぎないわけです。そんな話じゃ話は進まないです。
  90. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、一般職の職員の級別定数は人事院の権限でございまして、予算要求をした上で人事院と協議するということになりますので、予算編成の中でその結論を得なければ申し上げられないということは御理解いただきたいと思います。
  91. 枝野幸男

    ○枝野委員 人事院に御了解をいただかないといけないというのは、それは内閣の、厳密に言うと外側と言えるのかどうかは別問題として、ただ、少なくとも、内閣としてはこういう俸給表で人事院に対してはお願いをするんだということは、内閣として出していただかないと困りますよ。
  92. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 同じ答弁で本当に恐縮ですが、予算要求として内閣として出すということでございますので、まだ、言ってみれば予算要求をする基準というのですか、昨年度まではシーリングと言っておりましたが、そういうことも決まっておりませんので、要求自体も今のところ決められないという事情は御理解いただきたいと思います。(枝野委員審議にならないですよ。答えになっていないですよ。内閣としてどうするのかと聞いているのです。どうしたいのか」と呼ぶ)
  93. 綿貫民輔

    綿貫委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  94. 綿貫民輔

    綿貫委員長 速記を始めてください。  枝野君。
  95. 枝野幸男

    ○枝野委員 それでは先へ進めますが、我が党が従来から主張しております財政と金融の完全分離の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今回の法案で金融と財政を部分的にであれ分離をしようという方向性があるのかないのか、非常に判断のしがたいところでありますが、今の大蔵省、あるいはこの法律案が仮に通った場合の大蔵省の位置づけというものを考えていったときに、どうも従来問題を起こしてきた事情というものはまるで変わっていないのではないかという意識を持たせていただいています。  大蔵省、あるいは政府の財政部門というものは、金融市場において国債を発行して資金調達をしています。そうした意味では、金融市場というもので実際にプレーをするプレーヤーであるという側面を一面において持っております。そして一方では、その市場というものをどういうふうにしていくのかということを考える、企画立案をする。野球でいえば、実際にバットを振ってやるのがプレーヤーだとして、コミッショナーとしてことしは百三十五試合にするのか百三十試合にするのかというような仕事が企画立案だろうと思いますが、これはなぜか今回の法案でも、プレーヤーである部分を兼ねている大蔵省が引き続きやるということになっている。  片方で、ことしは百三十試合にするのか百三十五試合にするのかという企画立案、コミッショナー的な役割をしながら、一方で、時々バッターとしてバッターボックスに入ってバットを振る、プレーイングコミッショナーのような仕事をするということになっています。  一方、少しは前に進んだと言える部分としては、金融市場のルールが守られているかどうかを監視して判定を下して、余りおかしなことがあったら、あなたは退場だという審判をする、監督をする。監督という言葉でありますが、むしろ、今のような例えで言えばこれはアンパイアの仕事。これをまさに今回の案で金融監督庁という新しい役所に移しましょう。ここは半歩前進かもしれません。  しかし、本来の意味とは違うかもしれませんが、今のような野球に例えて言えば監督やコーチのような仕事、この場合ですと、例えば銀行をどうやって育てるのか、証券会社をどうやって育てるのか、今の日本状況だったら銀行を育てるというよりも別の視点かもしれませんが、わかりやすい言葉で言うと、業界、業者の育成、産業政策としての行政という仕事が、この問題を取り巻く状況の中であると思います。  これがどこに行くのかよく見てみますと、今回の附則で大蔵省設置法をわざわざ書きかえておりまして、これまで明示をしていなかった証券投資信託協会の監督といった業務まで書き加えられて、大蔵省設置法上は、証券業協会あるいは証券取引所というようなところを大蔵省監督をすることによって、産業政策にかかわる行政、つまり金融の問題に関して、プレーヤーである金融機関を後ろからコーチをするというような役割については、どうやら大蔵省が引き続き続けるというような位置づけになっているように思う。  今の、いわゆる産業政策としての行政部分は大蔵省が引き続きやるという認識は、それでよろしいのでしょうか。
  96. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま委員から、業者行政といいますか業者育成行政というようなお話がございましたが、その意味するところが業者に対する監督ということでございますれば、今回、この監督機能は内閣総理大臣及び新庁の長官ということになっておりまして、大蔵省には、大蔵大臣にはその機能がなくなるわけでございます。  お尋ねの証券業協会、証券取引所についてでございますけれども、これらは従来、当然に、大蔵省が証券全体を所管しておりましたので大蔵省の所管でございました。ところが、このたび証券会社の監督は完全に監督長官の方へ移るわけでございますけれども、この証券業協会、証券取引所というものの性格が一体どういうものかということが検討課題になるわけでございます。  御承知のとおり、この二つは、証券取引のいわばインフラをなします証券市場の取引ルールを整備する機能がございます。それから、会員の証券会社が法令あるいは自主ルールを遵守しているかどうかをチェックする機能も持っております。前者はいわばルールを整備するという企画立案の機能、後者はチェック機能でございますので監督機能でございますけれども、こういう二つの側面がございますので、それぞれ、企画立案を所管いたします大蔵大臣監督を所掌いたします内閣総理大臣の共管ということになっておるわけでございます。
  97. 枝野幸男

    ○枝野委員 よくわからないのですけれども、本当に金融監督庁が産業政策的な側面のところの監督あるいは配慮ができるでしょうか。それから全く、逆に言うと、ルールを守っているのかどうかチェックをする検査監督機能という側面を前提に考えて今のような御答弁を考えると、もう日本の国では金融にかかわるいわゆる業界あるいは業者育成の仕事からは一〇〇%手を引くとかいうのであるならばわからないではないですが、本当に一気にそんなことをしてしまって、この国の金融がもつのかという問題もあります。まあ、指摘をしておいて先に進みます。  もう一つ、何の権限がどこに行っているのかということの絡みで、預金保険機構あるいは農水産業協同組合貯金保険機構、保険契約者保護基金といった信用保護のための三機関も、引き続き大蔵省の所管ということでよろしいですね。
  98. 武藤敏郎

    武藤政府委員 お尋ねの預金保険機構あるいは農水産業協同組合貯金保険機構等につきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、企画立案機能に属するのか監督機能に属するのかということを一つ一つ検討していく必要があろうかと思います。  預金保険機構の場合についてまず申し上げますと、いわゆる資金援助に係ります破綻金融機関の合併等の適格性の認定、これはいわば事実の確認ということでございますが、個別の金融機関に対するものでございます。そういうことでありますので、民間金融機関の実態を把握することができる金融監督庁が所管することになるわけでございます。  ところが、預金保険機構には、一般的な信用秩序の維持という全体の機能があるわけでございます。金融システムの安定に関する一般的な機能があるわけでございます。例えば保険料率をどうするか、あるいは、前回の住専処理などでもございましたけれども、新たな債権取り立て機構のようなところに出資をするかどうか、こういうことは全体の信用秩序の維持の枠組みを決めるということでありますので、いわば制度の企画立案的な視点に基づいて行うということになります。こういうものの認可、出資の認可といったことは、実は監督ということでございますので、一般的な監督も、したがいまして大蔵大臣が所管するということでございます。  この点につきましては、農水産業協同組合貯金保険機構及び保険契約者保護基金、お尋ねの点につきましても全く同様でございます。  こういう役割分担は、そもそも企画立案と検査監督を分担することによって、市場メカニズムを基軸とした新しい透明性の高い行政というものに資するんだという考え方に沿ったものというふうに思っております。
  99. 枝野幸男

    ○枝野委員 要するに、いろいろおっしゃっていますけれども、結局、預金保険機構などというところの信用保護のための機能というのは、例えば金融機関を市場から退場させるような判定を、審判、アンパイアである金融監督庁がしようとするときには、当然かかわってこなければならない。つまり、その金融機関をつぶしましょう、つぶさなければいかぬわと金融監督庁が判断をしたときに動いてくるのがまさに預金保険機構なわけですから。預金保険機構の方に金がありませんから、それじゃペイオフもできませんだなどという話になったら、要するに退場をさせるような、つまりつぶさせるような監督ができないわけです。  ということは、そういうところにも大蔵省権限を持っているということは、結果的には、金融監督庁金融機関監督する、ルールを守っているのかどうかしつかりチェックして、おかしなことがあったら退場させましようというような判断のときにも、結局は裏側から大蔵省がごちょごちょとかかわってくるというようなことであることは、やはり否定できないわけです。  結局は大蔵省は、この改正案が仮に通った場合であっても、あるときは金融市場のプレーヤーであり、あるときはそれのルールが守られているのかどうかということをチェックするアンパイアの補佐役のような形で裏側にべったりくっついていて、あるときはルールそのものをコミッショナーとして変えるというような権限を握っているわけで、三振したプレーヤーが次の瞬間には、ストライクはやはり四つでアウトにしよう、三つのストライクでアウトだったけれども今回に限っては四つにしようというようなことを大蔵省がやり得るような、オールマイティーな権限というものが結果的には残ってしまうのではないか。これがいわゆるモラルハザードを生み出して、従来の金融行政というものにいろいろな問題を生み出してきたのではないか、私どもはそういった考え方をとらせていただいています。  例えば、こういった問題と大蔵省が持っているさらにほかの権限ともあわせたときに、大変大きな問題を生み出してまいります。一つは税との問題であります。大蔵省の中の主税局は、あるいは主計局もそうかもしれませんが、金融機関からの税収が落ち込めば大変困る立場にあります。そうした金融機関からの税収への配慮というものが、金融検査監督立場銀行を見た場合に、例えば粉飾決済とわかっていても、税収を確保するために、赤字の無税償却ではなくて有税で業務純益の範囲内でほどほどに償還をしながら問題の処理を先送りしていこうというようなことに傾かないかというような心配、少なくとも制度上の可能性というものは存在をするのではないかというふうに思っています。  そこで、ポストバブル時期の銀行、証券、保険などを合わせた金融部門全体の税収がどんなふうに推移をしてきたか、大蔵省、数字を示して説明をしてください。
  100. 堀田隆夫

    ○堀田政府委員 国税庁からお答えを申し上げます。  私ども銀行、証券、保険と各業界ごとに分けました税収のケースは把握しておりませんけれども、毎年、これら業界、金融・保険業と言っておりますけれども銀行、証券、保険等合わせました金融・保険業といたしましての法人税額を会社標本調査結果ということで取りまとめております。  それで申し上げますと、ポストバブルということで平成三年から申し上げますと、平成三年分が業界合わせまして一兆七千百十二億円、四年分が一兆二千四百五億円、五年分が一兆六百三十三億円、六年分が七千七百一億円、七年分が八千五百九十九億円ということになっています。
  101. 枝野幸男

    ○枝野委員 まさにバブルの後、ずるずるずるずると税収が半分以下に下がっていっているわけです。例えばこうした既に結果として出ている部分というものを金融監督立場から考慮を全くしなかったのかどうかということは、過去のことについて、ある意味ではチェックのしようがないのかもしれませんが、時間もなくなってきましたので、もう一つそれに絡んで、資料を出せるものなら出してくださいということのお願いだけこの場でしておきます。  日産生命がこのたびの状況に陥るに当たって、そういった税収確保の配慮がなかったのかどうかという視点から検討、チェックをさせていただきたいと思いますので、過去三年間の日産生命の納税の状況、その間の不良債権の償却の状況、有税でやっているのか無税でやっているのか、それから金融検査報告書というものを資料提出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間がなくなったところで官房長官おいでいただきましたので、質問の事項を繰り返して申し上げなくてもお答えいただけますか。先ほど来問題になっている件、金融監督庁長官の位置づけをどのように政府としてするつもりなのかということについてお答えいただきたいと思います。
  102. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先ほども質問にお答えをいたしましたように、まさに初代でございますので、社会的に信用のある方、こういう方をイメージしているわけでありますが、格がどうかということになりますと、これは人事院とも相談をなしますけれども、大体、事務次官クラスという想像というかイメージをいたしております。人によって、この人ならば適格だと思う人をどんなふうに、あるいは特例措置があるかどうか、これも考えてみませんと、この金融監督庁の性格を左右しかねない初代の人事でもあると私は思いますので、慎重に検討してまいりたい、このように考えます。
  103. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間もなくなったので、さらにその話は突っ込みたいのですが、今のお答えでは到底納得いたしかねるということだけ申し上げておきたいと思います。  どういった格付にするかということがある程度固まっているからこそ我々も、なるほど金融監督庁はこういう役所になるんだ、あるいはこういうぐらいのレベル、格の人が来てもらえるかもしれないということの想定もつくわけで、やはり格付というものがはっきりしないと先に話が進まない。これは議論を進めさせていただく上での前提条件として、ぜひできるだけ早く、政府としてこれぐらいの格付でやりたいと、それは制度上人事院との関係で確定はできない部分があるのなら、少なくとも内閣としてはこういう格付でやりたいということをできるだけ早くお示しをいただかないと、これ以上の審議はできないということを申し上げておきたいと思います。  残り時間が少なくなりましたので、先へ進みます。  財政と金融の分離についていろいろと従来おっしゃっています。G7の問題で、財政と金融を分離すると支障が生じるというようなお話がありますが、具体的にどういう支障が出るのか、簡単に、簡潔にお話しください、もう一問だけしたいと思いますので。
  104. 武藤敏郎

    武藤政府委員 御承知のように、G7におきましては各国の大蔵大臣及び中央銀行総裁が集まって、去る四月のワシントンのG7におきましても、財政金融政策、財政健全化、税制、為替、金融システムの安定化など、広範囲にわたった議論が行われたわけでございます。御承知のとおり、これまでも、プラザ合意、ロシア支援、メキシコ通貨危機など、数々の国際的な政策協調の場として、世界経済の安定と発展に重要な役割を果たしてきておるわけでございます。  この各国代表は、現在ルービン財務長官、ワイゲル蔵相、フランスのアルチュイ経済・財政相などの御出席があるわけでございますが、いずれも、今申し上げましたような財政金融政策金融行政、国際通賃金融システムの安定など、幅広い課題に責任ある対応ができる各国の大蔵大臣によって構成されておるわけでございます。  このような中で、我が国大蔵大臣がこれらの問題について責任を持って発言できないということになれば、我が国の国益を著しく損ならばかりではなくて、G7等における国際的な政策協調自身に支障を来しかねないということだと思います。恐らく財政担爵と金融担当の二人の大臣が出席すれば済むのではないかといったようなこともあるいはあるかもしれませんけれども、国際的な関係では、これはもう、一人の大臣が出席するということだと思います。
  105. 枝野幸男

    ○枝野委員 我々はそうは思っていないのですよ、二人の大臣が出る必要などはないと。だけれども、財政と金融の分離は明確にできると思っています。  私どもは、金融部門については、総理府にすべて移して、金融の検査監督権限についてはすべて金融庁に移管をする、そういった形で財政と金融は完全分離とする。ただし、この場合に、外国為替や公的金融は当然のことながら大蔵省に残る。そして、金融政策は、まさに日銀法の改正が議論されていますが、日銀の独立性を強化することによって、金融政策について日銀総裁が持つべき権限というか機能、役割というものを強化していく。そうすれば、今のG7で議論をされているテーマについては、大蔵大臣と日銀総裁が出ていけば問題はない。ただ、従来大蔵省から出ていた会議のうち、例えば世界銀行監督会議などは金融庁ということになるでしょうし、あるいは、国際決済銀行、BISの自己資本比率規制をどう見直すかなんという国際会議は、これは金融庁からになって大蔵大臣は外れるでしょう。しかし、G7については大蔵大臣が日銀総裁と一緒に出ていけば何ら問題はない。やり方によっては、G7との問題は財政と金融の分離ということがネックにはならないということを御指摘を申し上げまして、時間が参りましたので、また後日、同僚議員から論点を指摘させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  106. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、木島日出夫君。
  107. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  私からは、今大きな問題になっております野村証券の総会屋企業への利益提供事件について質問いたします。  この問題は、昨年九月ころより、マスコミ報道等を通じて、事件の重大性が国民の間に知らされてきたものであります。本年三月二十五日には、証券取引等監視委員会と東京地検による強制捜査も行われております。事件の全容解明は司法当局の厳正な捜査にまつことになるわけでありますが、私は、この問題の掘り下げた解明なしに現在審査中の金融監督庁のあるべき姿も論じられない。それは、証券取引等監視委員会一つのモデルケースだったからであります。証券・金融に関する検査監督あり方について、多くの問題がこの野村証券の利益提供事件で提起されていると思うからであります。その観点から質問をしたいと思うのです。  まず最初に、この事件の真相解明がなぜこんなにまでもおくれてしまったのかという問題であります。一体、せっかくつくった証券取引等監視委員会がこの間どんな役割を果たしたのかという問題であります。  事実が大分明らかになってまいっておりますが、野村証券と問題となっている総会屋小池隆一元代表とのかかわりが一九七〇年代以来二十七年に及ぶこと、それから、九一年五月の例の証券スキャンダルのその真っさなかにこの実弟名義の口座が移動されたこと、これ自体もう野村証券が企業ぐるみでやっていたということの裏づけになるわけでありますが、にもかかわらず、なぜ今日に至るまで真相の解明がなされてこなかったのか。証券取引等監視委員会がつくられたのが平成四年、一九九二年の七月ですから、四年以上もなぜこれが見つけ出すことができなかったのかという問題であります。  証券取引等監視委員会の若林事務局長は、去る四月十一日の本院大蔵委員会で、この問題の調査を始めたのは昨年夏ごろからであったと答弁しています。では、それ以前は、本当にこの問題を証券取引等監視委員会は把握していなかったというのですか。事実はどうなんでしょう。
  108. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  証券取引に係る資料、情報の収集ということに我々はまず日ごろから努めておりまして、そういう収集した資料の中で何か不審なものがあるといったことがございますれば、それを掘り下げていくということで、証券取引の市場における公正さとか公平さ、そういったものを確保するために、今まで最大限の努力をしてきてまいったわけでございます。  先生御案内のとおり、証券取引というのは、日々膨大な取引が行われておるわけでございます。何億株という取引、これが毎日行われておるわけでございます。そういったものの中から不審なものがあるかないか、これを見きわめていくということは相当な困難を伴うわけでございます。そういった中において、とにかく我々としては、発足以来必死になって、そういった資料、情報の収集、さらにはその分析にこれ努めてまいったわけでございます。  そういった中において、今般問題になっております野村証券における不自然な取引というのを我々としては把握した、そして今回、今日に至っている、先ほど先生御指摘のように去る三月二十五日に強制捜査を行うというような事態にまで至ったわけでございます。  そこで、先般、私も国会におきまして、昨年の夏から調査を開始したというようなことを申し上げました。ただ、具体的に調査を開始する前に、不自然なものについて、それなりの情報なりそういったものがあった上で調査に具体的に着手できるわけでございます。そういった意味において、何か不自然なものがちょっとあるなというようなものを感じたのがいつかということになりますと、去年の夏よりもう少し前の時点になるわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、それよりさらに半年か、さらにはそれ以上前から、何か少しという感じはあった。ただ、それが、さらにどういうものかというのが全く見当がつかないままに調査に着手するわけにまいりません。そういう意味においてそういった情報に絡むいろいろな情報を収集している中で、どうもこれはやはり直接調査というものに着手した方がよかろうというので着手したのが昨年の夏、そういう意味でお答えを申し上げたわけでございます。
  109. 木島日出夫

    ○木島委員 どうも、去年の夏から調査に着手した、しかし、その半年ぐらい前から薄々おかしいと感じた、非常にあいまいであります。司法でいえば捜査の端緒というのですが、その端緒が非常にあいまいですね。それ自体が私は不自然だと思うのです。  最近、事件の真相がだんだん明らかになってきております。明らかになればなるほど、私は、野村証券の元社員の、本年一月十日発売の「BOSS」という雑誌二月号で「「利益供与疑惑」の真相」と題する内部告発の手記が出されているのですが、この信憑性が高まってきていると思うのです。ここに書いてあるような状況がだんだん明らかにされてきているのです。  そこで、この元社員がどう言っているか。九六年九月の北海道新聞の報道を契機に、幾つかの週刊誌や夕刊紙などがこの事件を伝えた、しかし、自分は、この問題を証券取引等監視委員会と東京地検に告発をしたのは、証券取引等監視委員会が発足間もない「九三年の春、まだ桜が五分咲きの頃だった。」と書いているのですね。いろいろるる述べまして、「その顧客が総会屋とわかった」、「これはもう放ってはおけない。SEC」これは証券取引等監視委員会のことを指しているのですが、「SECが動かないなら、私の知りうるすべての事実をマスコミに発表し、世論に問うしかない。」というので、この手記をことしの一月に発表したのですね。ですから、この野村証券の業務管理本部という中枢にいてすべてを知り得る立場にあったこの元社員が証券取引等監視委員会に告発したのが、九三年春だったのです。はっきり書いているのですよ。  今の答弁だと、去年の夏、初めて調査に着手した。じゃ、その間どうしたんですか。この元社員のあなた方に対する告発、内部告発は握りつぶしてしまったんですか。その扱いをどうしたのか、はっきりと答弁を願いたい。
  110. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたように、証券取引等監視委員会では、日ごろから市場取引に関するさまざまな情報なり資料収集かつ分析に努めておりまして、そういった監視活動の中で、取引にやや不自然なものがあるということが見られたためにこの野村証券についての調査を開始したわけであります。そういった意味におきまして、我が委員会における独自な調査、資料の収集、分析の中でそういったものを我々は把握したわけでございます。  今委員の方で御指摘がございました内部告発云々という話、そういう雑誌、私も読ませていただきました。我々、今申し上げましたように、いろいろな資料、情報の収集をしてまいりますけれども、その中で、我々が独自にいろいろな資料、情報を収集することの中に、確かに外部からいろいろな情報が寄せられるものがございます。それがいわゆる投書という形をとります場合もございましょう。また、いわゆる内部告発的なものもございます。そういったものは年間に大体四百前後ございます。我々としては、それをいただきましたら、これは非常に大事な情報でございますので、よく精査させていただいております。  ただ、これは一般論で申し上げるわけでございますけれども、そういった情報ですぐに調査に着手できるとか、具体的に、ああ、こうか、なるほどといって直ちにどうこうと言えるような場合、そういうものももちろんございますけれども、そういう場合よりむしろ一般的な、抽象的な投書が割合多いのが実情でございます。ただ、そういうものにつきましても、我々としては大事に参考にさせていただいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、我々としては、独自の資料収集活動の中で今回の事件の端緒を把握したということは事実でございます。  なお、先ほど申し上げられました、九三年にそういう投書があった、そういう告発をしたという点について、我々は把握しておりません。
  111. 木島日出夫

    ○木島委員 今の答弁だと、では、この手記で九三年春に監視委員会に告発したのはうそだった、そういう答弁ですか。いいですか、それで。  私は、証券取引が膨大な数に上っている、そしてそれの不正を発見するというのは本当に大変な事業だとよくわかります。だからこそ、外部から寄せられる情報というのは非常に大事であり、しかも証券会社の中から出てくる情報はどんなに大事な情報かというのは、私も司法に関与していてよくわかるんです。内部からの告発、これを大事にしなければ真相なんかつかめないですよ。そのぐらいに大事な内部告発を彼はしたというのでしょう。私は、命がけでこの手記を出したと思うのです、マスコミ、出版物に。本当にないと言うのですか。いいんですか、そんな答弁で。
  112. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  確かにああいう手記が出たり、いろいろなマスコミの方からそういう話も聞きました。したがって、我々としても、そういうものがあったのかどうかということを内部で十分調査をさせていただきました。  ただ、記録としてそういうものは残っておりませんし、関係者にいろいろ聞いてみましたけれども、そういったものについて記憶はないと。そういう意味において、私は委員会として承知していないということを申し上げたわけでございます。
  113. 木島日出夫

    ○木島委員 私はここに、証券取引等監視委員会が最初に出した平成五年十月の「証券取引等監視委員会の活動状況」という冊子を持ってきております。これは、平成四年七月二十日から、発足時から平成五年六月三十日までの期間における事務処理状況の概要であります。  その中に「一般からの情報の受付け」という欄があります。この「対象期間において受け付けた一般からの情報は、四百九十七件であり、内訳は、電話三百十七件、文書百四十八件及び来訪三十二件」とあります。しかも、その内容も書いてあるのです。「個別銘柄に関する情報百四十九件」、「証券会社の営業姿勢等に関する情報百九十件」、「監視委員会行政に対する意見・問い合わせ等百五十八件」。はっきり分類しているんですね。しかも、こうも書いてあります。「また、受け付けた情報は、内容に応じて、検査、取引審査及び犯則事件の調査の各部門の業務において活用している。」ここまで書いているんですよ、第一回のパンフで。  そうすると、この大事な野村証券の内部の告発を、どうなったかわからぬなんという答弁が出るはずないんです、この冊子から見れば。全部保存されているはずですよ、ここまで数字があるんですから。今の答弁は全然納得できませんね。どうですか。
  114. 若林勝三

    ○若林政府委員 ただいま御指摘のように、確かに、平成四年七月から五年六月のこの一年間におきましても、四百九十七件の外部からの情報を受け付けております。  今まさに御紹介いただきましたように、我々、外部からの情報というのは極めて大事なものだと思っております。そのために、端数の一件にわたるまで、その当時のものは全部保管いたしております。そのものの中を全部洗ってみたけれどもなかったという意味で私は申し上げておるので、それ以外、人間のやることでございます、絶対になかったのかということは我々確認のしようがございませんけれども、ただ、関係者にも聞き、もちろん残っておる資料は全部当たってみました、かつ関係者にも聞いてみたところ、そういうことについて記憶がないということなので、私としては、承知していないというふうにお答えしたわけでございます。
  115. 木島日出夫

    ○木島委員 これは本当に重大な問題であります。本当に一国民が、証券取引が公正あらんとして自分の職を賭して内部告発をした。したということを外部にも明らかにしている。それが、どうなっているかわからぬ、ない、そんな答弁は到底私は納得できません。  これは、証券取引等監視委員会が、この告発は余りにも重大なことを指摘している、野村証券にかかわる問題だ、大変だと握りつぶしてしまったんじゃないかと思わざるを得ないですね。  たくさんのことをきょうはお聞きしたがったわけでありますが、こんな答弁ですと、私は──この内部告発をした元社員は今逮捕されたりしているようですね。どういう事情かようわかりません。しかし、本当にせっかくつくった監視委員会が有効に機能したかどうかにかかわる問題でしょう。これから金融監督庁をつくろうとして今審査しているわけでしょう。こんなあいまいな形では金融監督庁のあるべき姿は論ずることはできないと思うのですね。  私は、野村証券内部からの大事な情報が長い間にわたって無視され続けてきたには、やはり背景があったんじゃないか、それは監視委員会大蔵省と野村証券との癒着だったと思うのですね。  あるいは、監視委員会がせっかくつくられましたが、その職員が基本的には大蔵省の官僚であって、いつ証券局、銀行局に配置転換されてもおかしくないんです。そうですね。今、大蔵省のもとに置かれている組織です。八条委員会の組織です。一応法律上は、監視委員会は独立して職権を行うと書かれています。そして、外部からの三人が委員長委員として任命されています。これは大蔵省の職員ではありません。しかし、実際にこの委員会を動かしている職員のほとんどすべてが大蔵省の職員ですね。  私がいただいた資料によると、事務局全部で八十九人、総務検査課六十人、特別調査課三十人とありますが、この八十九人の事務局員のうち、大蔵省の職員以外は何人いるんですか。外部からの人を何人入れているんですか、監視委員会に。
  116. 若林勝三

    ○若林政府委員 ちょっと今、手元にある数字だけでお答え申し上げさせていただきますと、大蔵省の職員という場合に、国税を別に考えますと、国税から査察の経験のある職員を中心に十八名委員会には来てもらっております。あと、裁判所から一名、検察庁から検事の方に三名、それから警察庁一名、公正取引委員会一名、それから検査院からも一名という形で来ていただいております。
  117. 木島日出夫

    ○木島委員 国税庁の職員は大蔵省の枠内の人間だと思うのですね。そうすると、この組織を事務局八十九人で動かしているのですが、そのうち、裁判所一人、検察庁三人、警察庁一人、公取一人、会計検査院一人。要するに七人しか外部から入っていないのです。この大蔵省から配置された人たちは、命令があればいつでも銀行局とか証券局に戻るのですね。本当にこれは独立性はないですよ。法律上は独立して職権を行うとありますが、実際に不正を摘発し、調査し、検査する、そういう人たち大蔵省の職員ですからね。  ですから、私はこの最大の教訓は、もし新たに金融監督庁がつくられるとすれば、それを構成する職員は大蔵省の職員と完全に分離、遮断されなければいかぬ、ノーリターン制がしっかりと法律上も打ち立てられなければならぬということを、この事件は教訓として示しているのじゃないかというふうに思うのです。  なぜこの大蔵省から派遣された職員が、例えば野村証券なんかに対して徹底した調査や物が言えないか。私は、その背景には野村証券と大蔵省の結びつきがある。その一つの典型が、審議会の重要な構成員に野村証券の鈴木政志社長、会長が座っている。証券取引審議会、十六人の委員ですが、その一人が鈴木社長ですよ。金融制度調査会は二十六人の委員会で、十五人が財界から配置されていますが、その一人が鈴木さんですよ。それから、外為等審議会が二十人の委員会でありますが、財界から八人配置されている、その一人が野村証券の鈴木さんですよ。この大事な三つの審議会、委員会に野村証券の社長がいるわけですから、これは、やはりこのかさぶたが取られない限り、本当に監視委員会は徹底して野村の不正について暴くことはできないのではないかと思わざるを得ません。  時間がないからもうやめますが、また大蔵官僚の野村証券への天下り、野村総合研究所の理事長千野さんは元大蔵省の財務官でしょう。こういう癒着が断ち切られなければ、格好だけの独立した検査監督機関がつくられたって、仏つくって魂入れずじゃないかということになるんじゃないかと思うのですね。  その独立性が監視委員会は非常に不十分だ、それが今日まで野村事件の真相解明をおくらせてきた原因だ、ここにメスを入れるべきだ、徹底して真相を明らかにして国会にも報告すべきだと考えますが、最後に一言、大蔵大臣と官房長官、そういう私の指摘に対してどういう所見か、お聞きしたいと思います。
  118. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいまの論議を聞いておりまして、基本的な認識がやはりずれがあるなと思うのです。監視委員会は、マル査で評価を上げている国税庁の査察官、それらが中心でやっておりまして、国税の査察は、御案内のとおり、公正、公平の原点から何物も恐れずやられておることだけは間違いありません。  そういうことで、監視委員会も創立以来全力を尽くしておるわけです。法曹界からの委員長以下、それぞれのパートに捜査のベテランが配置されておるわけでございますから、そういう点で御信頼ください。報告が寄せられ、勧告が出されれば、厳正に対処をしてまいるわけでございます。  以上、申し上げさせていただきたい。どうぞ真っすぐに見てやってください。
  119. 木島日出夫

    ○木島委員 終わります。
  120. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、濱田健一君。
  121. 濱田健一

    濱田(健)委員 社会民主党の濱田健一でございます。  金融監督庁設置について、細かい問題点等、るる各委員の御質問がございました。近年、我が国経済は、バブルの発生、崩壊を通じ、未曾有の経験を経ることになったということは御案内のとおりでございます。金融の世界においても、二信組問題、住専問題を初めとして多くの金融機関に深刻な不良債権問題が発生し、また大和銀行巨額損失事件のように、金融行政自体が十分な透明性に欠けていた、そういう批判にさらされているということも国民の周知のところでございます。  その過程の中で、これまでの金融機関の経営はもちろん、大蔵省金融行政そのものも果たして妥当であったのか。妥当でなかったという声が大きくて今回のような法律改正も進められているところでありますが、その問題が国民、内外から問われることとなっているところでございます。  競争制限的な規制や、競争力の弱い金融機関の保護を通じて信用秩序の維持を図るという、いわゆる護送船団方式、また一方では、金融機関の経営に対する過剰な介入行政指導を中心とするその手法の不透明さから、金融機関との癒着、なれ合いといった批判の対象ともされております。また、金融機関の競争を阻害して国際競争力の低下にもつながっていると懸念されてもおります。  この機会にそういうものを抜本的に改めるということでこの論議が進められているわけでございますが、私は、今後、ルールの明確化やその厳正な執行を確保し、市場参加者に対するディスクロージャーを促進して公正で透明な金融システムというものを構築する、また金融機関の健全性については、市場によるチェック機能を活用することで、行政はこれを完補する立場に徹するべきであるというふうに考えます。  また一方、最近の金融市場の動向を見ると、技術革新の進展により、世界の金融市場は国境を越えて一体化を深めております。また市場間の国際的な競争が高まっており、その中で我が国市場の空洞化を避けるためには、世界に通用する金融市場を構築するのは当然のことであります。また、技術革新は、デリバティブなどの銀行、証券といった伝統的な業態の垣根を越えた金融サービスを出現させるとともに、他方で、いわゆる一千二百兆円を超える個人貯蓄の残高も背景にしながら、金融商品に対する利用者のニーズも多様化してきているということも御案内のとおりであります。こうした海外、国内を通ずる大変革の中で、金融の世界には、業態の枠を超えた制度やインフラの整備が強く求められているというふうに考えているところでございます。  以上のような激動する環境に的確に対応して、効率的かつ安定的な金融システムの構築をいかに図っていくべきか、また、新しい金融システムの中で金融政策はどのような役割を果たしていくべきかという基本的な問題について、政治がしっかりとした方向性を示すことが必要であり、その上に立って金融行政と金融行政機構を立て直していくことが大事だというふうに思うのであります。  細かい点について質問したいのですが、時間がありませんので、四点だけ。  まず、橋本総理が昨年十一月に、フリー、フェア、グローバルを三つの原則とする日本版ビッグバンについて構想を示されました。それは、我が国金融システムの現状に対するどのような問題意識に基づいて、それを今後どのように改革されていこうとするものであるのか。何回も出た質問だとは思うのですが、大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  122. 三塚博

    三塚国務大臣 濱田議員にお答えを申し上げます。  世界の流動についての的確な御指摘、拝聴をいたしました。欧米の金融市場も、御案内のとおり、ここ十年間大きく変貌をいたしております。これからもダイナミックに動こうとしており、その目玉、今世紀中に新通貨ユーロが誕生じようといたしております。基軸通貨の一角を大きく占めるということは間違いないと思います。  一方、我が国は、これまで金融の自由化を進めてきたところでありますが、バブル経済の発生と崩壊の過程の中で、欧米に比べまして金融市場はおくれをとったことだけは間違いありません。私も憂慮をいたしておる一員であります。  今後、二十一世紀の高齢化社会において我が国経済が活力を保ってまいりますためには、一千二百兆という国民の金融資産がより有利に運用される場が必要であるというのが一点。第二点は、次代を担う成長産業への資金供給の場が重要であることにかんがみ、その役目を果たすシステムをつくり上げていかなければならない。そして、我が国としては、世界に相応の貢献を果たしてまいりますために、我が国から世界に向けまして円滑な資金供給をしていく必要がある。そのためには、それだけの信認を得るマーケットをつくり上げていかなければならぬと思います。  そこで、二〇〇一年までの間に、不良債権の処理を進めますとともに、金融システム改革の実行により、東京市場をニューヨーク、ロンドンに並ぶ国際金融市場とすることを目指し、就任直後に、橋本内閣総理大臣の強い要請を受け、それを担当し、今日に及んでおります。
  123. 濱田健一

    濱田(健)委員 今、大蔵大臣の方から、るる今後の展望について示していただいたわけですが、金融監督庁を含めて、論議をしていく場合に、こうした金融行政の今出されました課題といいますか、展望というようなものに対して、今論議をされている金融行政機構改革というものをどのように位置づけるか。本当に大事な視点だと思うのですが、官房長官にその辺のところをお聞きしたいのです。
  124. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今大蔵大臣の答えたことに尽きるわけでありますが、今回のこの金融監督庁の発足のバックグラウンドというのは、前回のバブルの崩壊による、いわばそのツケと申しますか、それにどう対応していくか、それは、今まで余りにも、護送船団方式という御指摘がありましたけれども、企画立案と検査監督が混在をしていたところにこれだけの崩壊の原因があった、それを反省をして、今内なるものは、この二つを峻別をすることによって一つ金融行政の筋を伸ばそうということ。  それから逆に、もう一つは、大変怖いことでございますが、そういうことで銀行の体質が極めて弱い今日、しかもこのビッグバンと言われる規制緩和、これは好むと否とにかかわらず国際化の大きな波にさらされるわけでありますから、この事態に金融界がどう対応できるのか、場合によっては整理縮小その他の問題があるかもしれません。  ですから、私は先ほど来議論を聞いておりまして、それぞれ縦割りで、いや、絶対に相手を入れてはいけないと言うかもしれませんが、金融監督庁と、これからどんなふうになるのか、金融局ですか、これが場合によっては相当な連携を保ちながらやらないと、金融自体の存在がいわば危殆に瀕する場合があるかもしれない。  こういうものを展望しながらやりませんと、これをやれば絶対大丈夫などということはあり得ないわけでありますから、一つには、やはり預金者の保護、預金者の利益、そうすれば、果たして金融機関がこれだけあっていいのかどうなのかという問題も当然出てまいるわけでありますから、金融局を中心にしてもうちょっとこの問題で対策を講じなければならない。我々が新しいものに検査と監督を求め、それがどういう金融不安を起こすかどうか、これも視野に入れながらこれからの運営というものは見てまいらなければならない、このように考えます。
  125. 濱田健一

    濱田(健)委員 先ほどからの議論をお聞きしておりますと、金融監督庁の検査監督機能を大蔵の企画立案機能から独立させるというところが、本当にそうなるのかどうかという観点で論議が進んでおります。国民の皆さんもまさにそこのところを、今まで起きたいろいろな不祥事や事件等を含めて期待しているわけでございますが、どうしても、大蔵省が引き続き権限の保持を図るのではないかという危惧感というものがあるんですね。そこのところを、官房長官、そういうところは絶対にこの法律によってないんだよ、きちっと整理できるんだよというところを、もう一回。
  126. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 もう読んで字のごとく分けられるわけでありますから、それは大蔵省から切り離されたという現実は変わりがありません。  ただ、私は、もう一つその先にあるものというのを考えれば、脆弱な今の銀行を中心とする金融機関、これが本当に検査監督にたえ得るのかどうなのか。その場合、やはり私は、分けることはいいんですが、明治以来続いてまいった大蔵省のノウハウ、これを若干でも利用しないで、ただ単に検査監督だけをやって峻別をすればいい、それだけで果たして国民の利益が守れるのかどうなのか、これを考えれば、その辺の接点がこれからの運用の一番大切な分野になるであろう、このように私はおそれを持っているわけであります。
  127. 濱田健一

    濱田(健)委員 今官房長官がおっしゃってくださいましたようなところがきちっと機能するように、当然国会の中でも行政の中でもやっていかなければならないということを私自身も感じております。  最後に大蔵大臣にお伺いしたいのですが、ビッグバンを成功させるということは大事なことでありますし、また、今般の金融行政機構改革を実りあるものにするためには、金融機関に自己責任原則を確立することを求める、これも必要でしょう。そして、金融行政についても、市場規律を補完する役割に徹することとさせることが私は必要だというふうに考えます。そこで、金融機関の意識改革、そして金融行政改革に全体としてどのように取り組まれるのか、大臣の強い決意をお伺いしたいと思います。
  128. 三塚博

    三塚国務大臣 住専の当時、さまざまな御批判をいただきました。そういう中で、三党協議会の中で、金融機関のあるべき姿、信頼される金融機関とは、これからの二十一世紀に向けて経済国家の血液を担当する機関としての復活は何かということで、まさに金融監督庁の問題、それと企画部門は金融局に一体化して、両々相まってよき緊張関係の中で立法の基本を達しろ、こういうことでスタートを切ったことは御案内のとおりであります。  これからは、官房長官も言われましたとおり、まさに明瞭な機能分担の中で行っていくわけでございますから、そこに、焼け太りであるとか、うまいことやるのではないかとか、できても情けないことになるのではないかという、転ばぬ先のつえというか、御心配をいただいておる。御心配をいただいておることであれば、真っ正面にそれにこたえる努力を政府はしていかなければなりません。そういう意味で、新長官についても、長官言うとおり総理の最終的決心でありますけれども、立派な人が、この期待と信頼にこたえられる人材が出ることだけは間違いありません。  そういう中で、企業も、金融界という意味でありますが、自己責任の徹底、そしてディスクロージャー、早期是正措置がスタートをいたしておりますが、おくれておるところはこれをきっちりとやること、そういうことでありましょうし、市場規律の十二分の発揮ができるようにつくり上げていかなければなりませんし、同時に、透明性の高い行政という大目標に向かっていることでチェックが働き、国会、各党から、ここまで来たか、こういう御信頼を国民からもいただけるものと考えております。  情報開示の促進や早期是正のおくれておるところをぜひ完成をしてほしいということで、このルールの明確化などについて必要な措置を講じておるところであり、自由かつ透明で信頼できる市場を構築してまいり、日本の東京市場がよみがえった、こういうことで、アジア地域のためにしても世界のためにも貢献できるように頑張り抜いてまいる決心でありますので、何とぞ御鞭撻よろしくお願いを申し上げます。
  129. 濱田健一

    濱田(健)委員 時間が来ましたので、終わります。
  130. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次に、前田武志君。
  131. 前田武志

    ○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。  いつも夕日のころに登場するわけで、限られた時間でございますが、この金融監督庁の問題、同僚議員の今までの議論の中でも、金融監督政策そのものがこの監督庁によってどれだけ機能的に、大きくグローバル化し情報化しているこの市場の中で、公正なる監督検査、そういうものを確保していけるかということだと思います。  その金融監督政策、金融システムが安定して働くように、また信用秩序が確保されるようにということで、当然ながら企画立案、監督検査、そういったものが一体としてなされなければならないわけでございますが、そこに大蔵省との関係においてきちっとした独立性と公正さ、透明性が確保できるかというところが論点になっているのだろうと思います。  金融政策そのものは、特にこの監督庁の対象となる金融機関というものを具体的に限定して言えば何になるのか、念のために確認をいたします。
  132. 白須光美

    ○白須政府委員 お答えいたします。  今般、金融監督庁の方に監督権を移す機関ということにつきましては、現在大蔵省が専管である、あるいはまた共管になっているものを含めまして、銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合、漁業協同組合、水産加工業協同組合等のいわゆる預金受け入れ機関、また証券会社、証券金融会社、投資信託会社、加えまして保険会社、外国保険会社等でございます。さらに、これら以外の機関といたしまして、いわゆる貸金業者、抵当証券業者等につきましても、一切の検査監督権限大蔵省の分につきましては監督庁の方へ移すということでございます。
  133. 前田武志

    ○前田(武)委員 しからば、この金融監督検査の中で、監督というものの中身、これを具体的に簡潔に、態様といいますか、ジャンルといいますか、お答えをいただきたいと思います。
  134. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えをいたします。  監督の中身の質問でございますが、最も広い意味では検査を含むものでございますが、通常は民間金融機関等に対する免許、それから各種認可、承認、さらに業務停止命令、免許取り消し等の破綻処理に関連する権限等の行使及び報告、資料の徴求を通じてのいわゆるモニタリングなどをいうものでございます。
  135. 前田武志

    ○前田(武)委員 監督というのはそういうかなり権限を持ってやるわけでございますが、その基礎になる事実関係を確認するといいますか、そういった意味で検査があるのだろうと思うのですが、しからばその検査というものの内容についてお答えを願います。
  136. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  民間金融機関等に対する検査につきましては、営業所に立ち入りまして帳簿書類を実地に検査することなどを通じまして、民間の金融機関等の自己資本の状況とか貸出金等の資産内容、それから経営管理、収支の状況、流動性の状況などを的確に把握しまして、当該民間金融機関等の経営が健全であるか、あるいはその業務が適切に行われているかをチェックするものでございます。
  137. 前田武志

    ○前田(武)委員 ということになると、今までここ数年の間金融機関の破綻が次々とあったわけでございますが、そういう中で、破綻して是正措置あるいは閉鎖ですか、そういうことをやってみたところ、事前に想定していたよりもはるかに傷が深かったというようなことが往々にして起こるわけでございます。ということは、多分この監督という業務そのものは果断に、スピーディーにやるというのがかなり難しい性格なのだろうと思うのですね、当然その結果の責任というものも重いわけでございますから。  したがって、検査そのものがどれだけ的確になされるかというものが非常に重要でもあるし、そしてまた、一つ監督庁という組織の中で、検査部門と、その検査した情報をもとにどういうふうにそれを認識して、そして判定して監督業務をやるかというこの二つは、ある意味ではきちっと分けられていないといかぬのだろうと思うのですね。そういう性格なのだろうと思う。そういう意味において、監督庁における検査と監督の組織的な分離といいますか、性格、位置づけ、分離、そういったことについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  138. 畠中誠二郎

    ○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。  正式には来年度の概算要求で決まることですが、今考えておりますのは、長官官房のほかに、検査を担当する部と、別に監督を担当する部を設けたらどうかということで検討しております。
  139. 前田武志

    ○前田(武)委員 どうも今の答えじゃまことに頼りない限りでございまして、本来この二つのものの性格というのは全然違うわけでありますから、そこはよほどしっかりと認識して組織立てから大事から考えていかないと、その辺がごっちゃになると、今まで大蔵省の中での銀行監督行政というものが後手に回った、それをまた、ある意味では監督庁の中で同じような性格の態様になるおそれもあるのじゃなかろうかなというような気がするわけでございます。  さて、その次に、日銀の考査というものがあるわけでございますが、日銀の考査と監督庁の検査、あるいはもう少しまとめての判断の行為である監督というものとの関係、その性格の違い、これをお答え願います。
  140. 白須光美

    ○白須政府委員 お答え申し上げます。  金融監督庁の行います民間金融機関等に対します検査、これは銀行法等に基づきます監督権、これは先ほど申しました一番広い意味での監督という意味監督権でございますが、この法律上の権限に基づきまして、信用秩序の維持、預金者等の保護を図るために、銀行等の業務、財産の実態を的確に把握しまして、銀行等の業務の健全性、適切性を確保する立場から実施するものでございます。この検査に基づきまして監督が行われていくという関係にあります。  他方、日銀の考査でございますが、これは日本銀行と取引先の金融機関等との契約に基づきまして、日本銀行の最後の貸し手としての業務の適切な実施のために行うものでございまして、検査と考査、これはいずれもその目的、性格を異にするところであるというふうに考えております。
  141. 前田武志

    ○前田(武)委員 次に、日銀の考査というものについては、今、日銀は来ていないので結構でございますが、大蔵省の方から答えてほしいのです。  これは頻度といいますか、あるいは対象となる銀行に対してどの程度の率でやるのか、そういったことについてお答えを願います。1ちょっと質問の趣旨がわかりづらかったと思いますが、要するに監督庁の検査というものは、悉皆的にあらゆるケースについて行うのか、あるいはある決まった基準を置いてやっていくのか。そして考査の方というのは、もちろん対象、性格が多少違うわけでございますが、その場合には銀行の資金の流れといいますか、そういったものを追っかけているんだろうと思うのですが、その辺の頻度の違いだとか、カバーするところがどういうふうに違うのかといったようなことについて、概要がわかるようにお答えを願います。
  142. 武藤敏郎

    武藤政府委員 まず検査と考査の頻度でございますけれども、これは概要だけ申し上げますと、大体二年に一回ぐらいのペースで行っております。例えば、部長銀といったような大きな組織でございますと、期間が、大蔵省検査の場合には六週間から八週間ぐらいにわたる、考査の場合には三週間程度、そういう違いがいろいろ中身によってあるわけです。  大蔵省の検査は法律に基づく検査であり、資産内容ばかりではなくて、中のシステムがきちっといっているかどうか、法令違反がないかどうかといったようなことをやりますので、予告なしに抜き打ち検査ということになるわけですが、日銀考査の方は、基本的には契約に基づいて日銀が資金を供与する相手方としてふさわしいかどうかということでございますので、予告をして、中身も日銀と取引のある金融機関に限定される、小さな金融機関の場合には取引がない場合がありますので、そこには及ばないといったようなことがございます。中身はかなり似通ったところもあるのでございますけれども、考査の場合には主に資産内容についての考査を行う。  結果といたしましては、検査の場合には、法令に基づいて必要があれば改善命令等が行われますし、最後には示達書というものが出されるわけでございますが、考査の場合には、もちろん結果の取りまとめ、講評はございますが、そういう法令に基づく行為はない、こういうことでございます。
  143. 前田武志

    ○前田(武)委員 実は、今具体的なことをお聞きしていたのは、金融監督庁そのものの組織がいかにあるべきか、そして人事がどうあるべきか、そしてまた、その各職務ごとの人員が最低限どうであるかというようなことの基礎になると思うのですね。  この前から総理のお答え、片一方で行革というような基本方針があるということなんですが、それはよくわかるわけなんですが、やはり透明性、公正さ、独立性、これをきちっと担保するためには、行革とはこれは全く別の原理で、必要なものを最低限確保せないかぬという原理で考えるべきものであって、そこをごっちゃにしてしまうと、せっかくつくったけれども市場の信頼が得られないということになれば、これは大変なことになります。そういった意味において、私は、実態を踏まえてきちっと最低限必要なものは確保すべきであるし、組織的に分離すべきものは分離すべきである、こういうふうに考えます。  そんなことも踏まえまして、最後に官房長官大蔵大臣にお聞きをしたいわけです。  金融監督庁はどういうふうにあるべきかという組織論、これは多々ますます弁ず、いろいろあると思います。この間も私もアメリカにおいて何人かの方々に会って話を聞きました。しかし、結果としては、それぞれの国の実態あるいは経済文化といいますか、金融関係経済関係、そういうものの今までのたどってきた経緯、そしていわば大きくとらえれば文化、風土みたいなものもある。そういう中での知恵を出して組織をつくっていけばいいわけですが、結果として信用されるような市場になるかどうか、きちっと透明性、公正さをルールに基づいて確保するアンパイアとしての役目をしっかり果たしているかどうか、それは大きく言えば市場が判断することになるのだろう、こう思うのですね。  そういう意味においては、日銀の考査と金融監督庁、性格、目的は多少異なりますが、大きく見れば、ある意味ではダブルチェックというか、互いに緊張関係を持ちながら、いい意味での競合、競争をしながら厳正なチェックをしていくという意味においては、私は、二つの機関が国民の信用秩序をきちっと確保していくという意味では、お互いに緊張感を持ちながらやっていくというのもいいのではないのかな、こういうふうに思う次第でございます。  そんなことを含めまして、金融監督庁の組織のあり方、日銀との関係、そういったこと、人員、人事も含めまして、官房長官大蔵大臣のそれぞれの御見解をお聞きして終わります。
  144. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 この金融監督庁の設立の目的、これに合致するような制度、人員、それから運用、これは適切に対応をしてまいらなければならない、このように考えます。
  145. 三塚博

    三塚国務大臣 基本、組織論は長官の言うとおりであります。特に、検査、考査についての緊張した関係の中の協調をもって実を上げようという大事なポイントだと思います。この点……(前田(武)委員「協調ではなしに競合といいますか」と呼ぶ)競合、緊張を持って競合で成果を上げる、それはそのとおり受けとめて、どうなりますか、官房長官主管大臣代理でありますから、よく取り組まれるものと思っております。  問題は、信用される機関になるということでありますから、機能分担をいかによりよく生かすか。それと企画立案という、こちらに政策、いわゆる法律その他をつくり政策決定をしていくということとの分離があるわけで、これも決まった以上、その中でこの分離が有効裏に、その機能分担を大前提として、侵犯することなく、国益のため、我が国経済のためにどう取り組むかということでやられて初めて国民期待にこたえられるものと信じます。
  146. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  147. 綿貫民輔

    綿貫委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会