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1996-05-21 第136回国会 参議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十一日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      常田 享詳君     木暮 山人君      谷本  巍君     照屋 寛徳君  五月十七日     辞任         補欠選任      木暮 山人君     常田 享詳君      照屋 寛徳君     谷本  巍君  五月二十日     辞任         補欠選任      浦田  勝君     岡部 三郎君  五月二十一日     辞任         補欠選任      岡部 三郎君     笠原 潤一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鈴木 貞敏君     理 事                 青木 幹雄君                 服部三男雄君                 風間  昶君                 常田 享詳君                 谷本  巍君     委 員                 井上 吉夫君                 岩永 浩美君                 笠原 潤一君                 佐藤 静雄君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 阿曽田 清君                 北澤 俊美君                 高橋 令則君                 都築  譲君                 菅野 久光君                 村沢  牧君                 須藤美也子君                 国井 正幸君    国務大臣        農林水産大臣   大原 一三君    政府委員        農林水産大臣官        房長       高木 勇樹君        農林水産省農産        園芸局長     高木  賢君        農林水産省畜産        局長       熊澤 英昭君        農林水産省食品        流通局長     中須 勇雄君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        総務庁行政管理        局管理官     青柳 親房君        通商産業省生活        産業局通商課長  稲葉 健次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農畜産業振興事業団法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、浦田勝君が委員辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。  また、本日、岡部三郎君が委員辞任され、そ  の補欠として笠原潤一君が選任されました。     —————————————
  3. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事常田享詳君及び谷本巍君を指名いたします。     —————————————
  5. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 農畜産業振興事業団法案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 風間昶

    風間昶君 平成会風間でございます。  今回の農畜産業振興事業団法について、まずこの新事業団について三点ばかりお伺いしたいと思います。  畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団、この二つの団体が統合するということなんですが、それぞれ畜産物あるいは蚕糸砂糖類価格安定業務ということがメインでありますので、そもそも名称をなぜ農畜産業振興事業団としたのか。端的に言うと、むしろ農畜産業価格安定事業団というふうにしてもいいのではないかと思うんですけれども、その件についての見解をひとつ伺いたいと思います。
  7. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  新事業団名称につきましては、幾つか論議がございました。先生が今おっしゃいました価格安定事業団という名称一つの案でございましたけれども、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団価格安定事業基本的な事業ではございますけれども、そのほかに例えば畜産振興事業団でございますと、肉用子牛に対します価格補てん事業あるいは国内畜産振興に関します助成事業も行っているわけでございます。同様に、蚕糸砂糖類価格安定事業団につきましても、蚕糸関係につきまして国内振興事業も行っているということでございます。  したがいまして、そういった価格安定事業国内振興事業をあわせた名称といたしまして、現在の畜産振興事業団の方も振興事業団という名称を使っているわけでございまして、簡潔な名称でかつそういった主要な事業を包含するという名称といたしまして、農畜産業振興事業団という名称に落ちついたところでございます。
  8. 風間昶

    風間昶君 それでは、その新事業団は旧事業団資産をそのまま引き継がれるわけだと思いますけれども、民間の会社であれば当然問題となる合併比率、それについてはどう考えていったらいいのかということが一点。  それから、役員職員定数の改正に伴うリストラについて、勘定ごと規模に合った案分となるのか、あるいはやりやすいところから手をつけていく方法をとるのか、それが二点目です。  そして、リストラされる職員の処置、処遇はどうなるのか、これが三点目ですけれども、いかがですか。
  9. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) まず、お尋ねの第一点目でございますけれども、特殊法人統合につきましては、いわゆる民間での企業合併の際に言われますような合併比率という概念は通常存在してございません。手法といたしましては、通常、統合する際には二つ法人をともに解散をして新法人を設立するという手法と、もう一つは一方の法人他方法人解散した上で吸収合併するという手法がございます。今回の場合には、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団業務量職員数等がほぼ同様の規模であるということで、統合法案法形式につきましては、まず両法人解散いたしまして、対等な立場から新法人を設立しまして、新法人解散をされる両法人資産をすべて引き継ぐということで、新法案形式をとりまして御提示をいたしているところでございます。それが第一点でございます。  それから、第二点目の職員削減でございますけれども、今回両事業団統合に伴いまして平成十三年度までの間に、現在両事業団職員数は合計いたしまして二百十二名でございますが、約一割程度定員削減を目途として行っていきたいというふうに考えております。この削減につきましては、必ずしも勘定ごと案分をするということではなくて、今後の新事業団業務の内容に応じまして、合理化すべきところを合理化するという方向で定員削減を行ってまいりたいというふうに考えております。  ただその際に、定員削減につきましては基本的には強制解雇を伴わない方法、すなわち、原則といたしましては定年退職される方を補充しないという定年退職不補充を基本といたしましてリストラを推進してまいりたいと考えております。  したがいまして、お尋ねのように、削減対象となる職員処遇といった問題は生じないというふうに考えております。  以上でございます。
  10. 風間昶

    風間昶君 特殊法人統合国家財政には余り寄与しないというデータもあるわけです。ことしの一月十日付の日本経済新聞の朝刊によれば、今回つくる新事業団についても予算額が両法人合わせて約二十六億円ふえたと、二十五億七千六百万かそんなものでしたか、約二十六億円ふえたというふうに言われておりますが、どのあたりがふえたのかが一つ。  それから、統合後どんな経費面でのリストラ効果を予測しているのか。  この二点をお伺いしたいと思います。
  11. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 御指摘のとおり、新事業団平成年度予算につきましては、総額では約二十六億円増加をいたしております。  この内訳でございますが、増加した部分の一番大きなものは、畜産振興事業団が行っております肉用子牛に対する補給金事業でございます。これは、牛肉は自由化しておりまして、自由化した後に、輸入される牛肉から徴収する関税を財源といたしまして肉用子牛に対する補給金事業を行っているわけでございますが、現在ガットウルグアイ・ラウンド合意実施年度目になっているわけでございまして、牛肉関税が徐々に引き下げられていくという状況にございます。そういう中で、今後の国内における肉用子牛価格の推移につきましてはなお留意すべき点もあるというふうに考えております。そういった点から、肉用子牛価格低落に備えた事業費として、平成年度におきましては約六十億円の増額をいたしたところでございまして、平成年度予算の中ではこの部門増額が一番大きい部門でございます。なお、他の部門につきましては、したがいまして減額を設定いたしております。そうしたことから、差し引きで二十六億円の増加ということになっております。  他方、今回の統合に伴います経費の節減につきましては、管理部門の一本化と組織の合理化を図っております。また、役員数につきましても法定の役員数でいいますと二十七名から二十名にということで、約四分の一の役員の数を削減いたしております。また、職員につきましては、先ほど申し上げましたように平成十三年度までの間に約一割の職員数削減ということを目標といたしております。さらに、本部事務所を一本化するということを考えておりまして、現在準備作業を進めているところでございます。  こうしたことによりまして、現在、金額的に明示をすることはなかなか難しいのでございますけれども、相当程度共通経費削減等が図られるというふうに考えております。平成年度におきまして、具体的に申し上げますと、蚕糸砂糖類価格安定事業団運営費補助金につきましては約九百万円の減額をいたしまして計上をいたしているところでございます。  以上でございます。
  12. 風間昶

    風間昶君 何年までどのぐらいかということは、今相当というふうにおっしゃいましたけれども、どういうふうにどのぐらいということは明確に言えないまでも予測は立てていらっしゃるんだと思うんですけれども、そこはどうですか。
  13. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) ただいまおっしゃいましたように、なかなか具体的に金額で申し上げることは難しいのでございますが、四年ないし五年後の平年度ベースになった場合の経費削減といたしましては、約一億円から二億円程度までの経費削減は見込まれるというふうに考えております。
  14. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  今回の農業白書によりますと、価格政策対象農産物価格は、昭和五十九年にピークに達した後、現在は昭和五十年初頭の水準に戻っているというふうに白書にも書いてございますが、この間のインフレを考えますと実質的には値下がりだというふうに思うんです。WTO条約との関係でこれから安い農産物がどんどん輸入されるようになった場合に、価格安定制度自体が、本来の市場価格の乱高下に備えるという性格からして、急激な下落の緩和という性質へ変容を迫られるということではないかと思うんですが、価格政策がどうあるべきか、ここで大臣の御見解を伺いたいと思います。
  15. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 委員指摘のように、近年の価格決定、正直に言いまして外圧ということがその状況の全部だと思うのでありますが、抑制的に決定されてきたことは事実でございます。  法律に基づいて、その時々の経済事情生産費その他を勘案しながら決めていくわけでございますけれども、事務当局サイドとしては、やはり構造政策優先で今日までの農政を、さらに今後の農政を進めていきたい。これは農政審議会答申等におきましてもしかるべき趣旨のことが書いてあるわけでございます。しかしながら、大臣初め皆さん政治家でありますから、その時々の価格決定をどのように勘案していくかということは非常に精力の要り、苦慮しなきゃならぬ課題であることは御承知のとおりであります。  ただし、価格政策一辺倒でもいけないし、さらにまた構造政策一辺倒でもいけないし、その辺の兼ね合いが非常に難しいところでございまして、委員指摘の気持ちは十分我々としてもわかるわけでございまして、そういう判断に立って今後も努力をしていかなきゃならぬと、かように考えております。
  16. 風間昶

    風間昶君 そこで、ちょっと細かくなりますが、今回対象となる品目は指定食肉蚕糸及び指定乳製品であります。指定食肉蚕糸については安定帯価格制度を三十六年からとっておりますし、指定乳製品については安定指標価格制度を採用しておりますけれども、お聞きしますと、もともとは安定帯価格制度であったのにもかかわらず、指定乳製品については安定指標価格制度をとったということでありますが、この二つ制度はどのように考え方が違ってきているのか、どんな考え方の違いに基づいてこういう制度をつくったのかが一点。もう一点は、四十一年の不足払い制度運用を今後どのようにしていくのか。この二点をお伺いしたいと思います。
  17. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 今御指摘のように、指定食肉あるいは蚕糸の場合の価格安定制度につきましては、一定価格帯を設定をいたしまして、調整保管なり売買操作によりまして、その価格帯の中に市場価格がおさまるようにという価格政策運用を行うということでございます。  他方、御指摘のように乳製品につきましては安定指標価格制度を採用しているわけでございます。この安定指標価格につきましても、安定指標価格一定の幅をめどといたしまして、調整保管なり事業団の買い入れによりまして価格を安定させるという意味では同じような価格安定の機能を有しているわけでございますけれども、価格安定指標につきましては、価格安定帯としないで一つ水準ということを採用したわけでございます。  これはちょっと今先生もお触れになりましたように加工原料乳不足払い制度との関連でございます。  すなわち、加工原料乳不足払いは、農家に対しまして加工用原料乳を出す場合には一定価格を保証しております。これを保証価格と呼んでおりますが、これと、原料乳乳業メーカーに提供した場合に、乳業メーカー酪農家に支払える代金、乳業者支払い可能乳代、これは基準取引価格と言っておりますけれども、この基準取引価格保証価格の差額を生産者酪農家に対しまして不足払いするというのが不足払い制度でございます。この算定をするに当たりまして、乳業者農家に対して支払い可能な乳代を算定するに当たりましては、先ほど申し上げました乳製品安定指標価格から算出をするということで、一つの幅ではなくて一つ水準が設定される必要があることから、安定帯ではなくて安定指標価格という一つ水準を設定したというのが経緯と仕組みでございます。  それから、不足払い運用でございますけれども、ただいま先生からもお話ございましたし、大臣からもお答え申し上げましたけれども、今後、保証価格政策運用につきましては、ガットウルグアイ・ラウンド合意実施期間の中で、いろいろな農業を取り巻く諸情勢の変化に対応して、それぞれの時々の生産条件等を参酌して決定をするということでございます。多少そういったウルグアイ・ラウンド期間を見ながら、三年ないし五年で中長期的に運用するという御意見もございますけれども、農産物の場合には、それぞれのその時々の生産事情あるいは需給事情変化生産資材価格の変動といったものも毎年毎年生ずるわけでございますので、現在はそういった毎年の生産をめぐる事情変化を想定しながら価格決定していくという仕組みを採用しておりまして、これも法律に基づきましてその時々の生乳の生産条件需給事情あるいは一般的なその他の経済事情を勘案いたしまして、毎年度畜産振興審議会の御意見も伺いながら決定をいたしているところでございます。
  18. 風間昶

    風間昶君 今の乳価生産者価格について言いますと、再生産を可能にするという前提のもとで生産費基準にした価格決定がされているわけですけれども、要するに、農家経営努力が翌年の生産費に反映して価格が下がるという現象が起こるわけであります。  今までにも何度かお尋ねしておりますけれども、なぜ生産費調査は毎年やらなきゃならないのかという疑問にぶつかるわけで、毎年の生産事情を参酌してというふうに言っていますが、そんなに変わるわけじゃないわけですから、少なくとも三年ぐらい据え置くという方法がなぜとれないのか。結果的には据え置いた形になっているけれども、そうではなくて、最初から三年据え置きというふうな方法がなぜとれないのか、明快にお答えいただきたいと思います。
  19. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 確かに、先生指摘のように、一定期間一定価格水準を示すということも大変重要な一つ考え方ではあるというふうに承知をいたしております。  他方、今申し上げましたように、生産事情をめぐる状況と申しますのは、需給事情生産コスト生産資材価格の変動等いろいろな要素がございます。これも毎年統計情報部が行っております生産費調査、それによりまして、それぞれのその時々の需給事情あるいは生産コスト変化というのが表現されているわけでございますので、そういったものを参考にしながら、その時々の生産費をめぐる状況、あるいはそれをさらに超える経済事情農業を取り巻く事情、そういったものを総合的に勘案をして決定するということにいたしております。その結果として据え置きということでことしの乳価決定されたということでございます。
  20. 風間昶

    風間昶君 ここで議論してもまた堂々めぐりなんで、また機会を改めてあれしますが、いずれにしても、先ほども大臣おっしゃっておりましたけれども、現状のままでは価格安定制度がかえって効率の悪い農家経営を存続させることになりかねないという批判もあるわけですから、そういう意味では、切り口を変えれば従来の価格政策はある意味では破綻しているところもあるというふうに診断できるわけです。そこで、農業構造政策価格安定政策ということが、いろいろ切り口はあろうかと思いますけれども、両立するのかどうか、大臣に端的に伺いたいと思いますけれども、どうですか。
  21. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 六十歳以上の農家の主たる男子の労働者というのが五〇%以上を超えておるわけでありまして、十年後にはいやでも七十歳にならざるを得ないわけであります。二十年後には八十歳になる。五割の農地が一体どこへ行っちゃうんだという議論を、やはりそのときそのときの議論ではなくて、もっと長期的な視点から議論をしていって、そうして自給率を落とさないためには一体どうしたらいいんだという議論が、私は農水省へ来まして、多少欠落しているのじゃないのかなと。  それらを考えますと、今までやってきた構造政策というものがもう少し漸進的に進められなきゃならない。その構造政策の中身は、私は遊休農地集約化政策基本だと思います。  したがって、ウルグアイ・ラウンド、一兆何がしの政策をしていくわけでございますけれども、これはあと何年かで終わっちゃうわけですね。これを終わらしてはならないわけでありまして、将来の農家の構図を、イメージをもう少し的確に把握しながら、そういったところにメスを入れていくのが構造政策ではないのかなと私なりにそう解釈しております。  しかし、かといって生産費だけ上がった分を全部お国が召し上げるような価格政策はもってのほかだと。民間にいたしましても、いわゆる配当があり、そしてまた労働賃金に、そしてまた企業利潤として還元される。こういっことを考えますと、生産費上昇分の中の分け前というのはいかなる企業もこれは持っておるわけでございまして、そういった配分というのも価格政策の中で十分還元していかれなきゃならぬだろうと、かように私は考えております。
  22. 風間昶

    風間昶君 わかりました。  次に、繭糸についてお伺いしたいんですけれども、繭糸価格については、養蚕農家の激減という状況の中で、制度そのものがこれ行き詰まりがあったのではないかという反省もあるわけであります。この一年間でさえ養蚕農家数は二八%も減少しておりますので、この原因を分析しますと何が挙げられるのか、ひとつ伺いたいと思います。  それから、関連して、国内養蚕農家を守るにはどうしたらいいかということがやっぱり極めて大事な問題ではないかと思うわけです。日本の蚕や絹に関する研究水準は間違いなく私は世界一だと思っております。しかし、研究を支える養蚕農家がいてこそ水準も高めていけるということがあるわけです。去年の十二月、蚕糸昆虫農業技術研究所布団の綿一キロ当たり約百五十万本の繭糸を使用したシルクウェーブ布団を開発したというニュースや、あるいは先日も福島でございましたか、天蚕からフィブロインという、紫外線を吸収する分子の抽出に成功したという、それで特許申請をしたというニュースがありました。化粧品の応用ばかりでなくて、今環境問題が注目されておりますけれども、オゾン層のホールから降ってくる大量の紫外線により生命の危険さえ感じているオーストラリア、ニュージーランドでも医薬品として役立てられないのかなというのが僕の考えであります。  いずれにしても、そういう意味で、養蚕関連産業の育成も繭の供給があればこそ可能であるわけですから、国内養蚕農家、もちろんほかの極めて重要な産業はありますけれども、直接所得を補償する政策はとり得ないのか。所得政策への転換をやっぱり考える時期に来ているんではないかと思いますが、いかがですか。
  23. 高木賢

    政府委員高木賢君) まず、養蚕農家減少原因でございます。これは主産県であります群馬県などが行った調査、また私どもが聞き取りなどによって調べたところによりますと、やはり大きな原因は、一つ従事者が高齢化してリタイアをするというものが大きな理由でございます。それからもう一つは、近年の生糸価格の低迷によりまして収益性が低下をしております。これを背景にいたしまして、他作物への転換あるいは他産業従事が進んだということが減少要因になっているというふうに分析をいたしております。  それから、二番目のお尋ねでございます。繭が研究開発の材料としていろいろ進められているということは御指摘のとおりだと思います。ただ、いきなり所得補償ということになりますと、やはりさまざまな産業に従事している方、それから農業にありましても、米、麦、大豆その他の作目生産している農業者、こういう方々がおられる中にありまして、農業経営の一作目である養蚕に限って所得補償するということはなかなか説明が難しいんではないかというふうに考えております。  また、二番目には、そういった所得補償をストレートにということでございますが、これが農家経営の改善に結びつくということでは必ずしもないというふうに考えられます。そういう点から見まして、国民の理解というのはなかなか難しいというふうに考えている次第でございます。
  24. 風間昶

    風間昶君 それでは、次にサトウキビとてん菜の問題であります。  特に、サトウキビについては沖縄の基幹産業ですから、最低価格を保証していますけれども、これもやはり三年ぐらい据え置いたらどうかという意見があるんですけれども、これまた同じ回答しか返ってこないんでやめますが、てん菜、サトウキビの搾りかす、資源の有効利用という観点から、てん菜はどういうふうに使っているのか、サトウキビはどういうふうに使っているのか、これも簡単にお答え願いたいと思います。  もう一点は、御承知のように北海道は季節外れの大雪が降りまして、てん菜の生育が非常におくれております。減収のおそれも出てきておりますので、被害を最小限に食いとめるような農水省の指導、どんなことをやっているのか、項目で結構ですけれども、挙げていただきたいと思います。
  25. 中須勇雄

    政府委員(中須勇雄君) 最初に、てん菜の搾りかす、いわゆるビートパルプと呼ばれておりますが、これにつきましては、御承知のとおり製糖工場で乾燥をさせまして、大変いいえさということで主として搾乳用の乳牛のえさとして農協等を通じて供給している、利用しているという実態にございます。  一方、サトウキビの搾りかす、これは通常バガスというふうに呼んでおりますが、これも同様に製糖工場において発生するわけでございますが、その大部分は製糖工場の燃料源としてこれを燃やして発電をして工場内の電力需要を賄うと、こういうものとして有効に活用をしております。なお、バガスについては燃料にゆとりがあると、こういう場合には土地の生産性向上という観点から、堆肥化して農地に還元すると、こういう例も一部見られる状況にございます。
  26. 高木賢

    政府委員高木賢君) てん菜の被害を最小限度に食いとめるための指導状況でございます。  どういう状況になっているかということをまず申し上げますと、てん菜の植えつけにつきましては、降雪時までにほぼ八割程度が終了しておりましたが、残りの二割は圃場が湿潤のために作業がおくれているという状況にございます。それからもう一つ、既に植えつけを終えた圃場につきましては、低温による活着不良など初期生育への影響が懸念されるという状況にございます。  したがいまして、指導のポイントは四つございます。  一つは圃場の排水対策を実施して、残りの二割のものにつきまして早期植えつけを実施すると、これが第一点でございます。それから、湿潤になりますと葉に斑点が出る斑点細菌病というのが出やすいということでございまして、これの防除等の徹底というのが二つ目でございます。それから、湿潤でありますし、地温が低いということでございますので、三番目には、中耕などによります通気性の確保、それから地温上昇対策の実施というのが三番目でございます。それから、植えたものの活着不良等がございまして、中には欠株箇所が出ております。したがいまして、四番目には欠株箇所への補植の徹底ということであります。  これをポイントとして指導してきております。
  27. 風間昶

    風間昶君 質問を終わります。
  28. 都築譲

    ○都築譲君 平成会の都築譲です。  きょうは、農畜産業振興事業団法ということで、今までの畜産振興事業団それから蚕糖事業団統合のテーマでございます。  私、今までいろいろ考えてまいりましたけれども、現在の予算状況などを考えてみますと、ことしは七十五兆円、そのうち二十一兆円が建設国債、赤字国債と、こういう状況の中で年度末で公債残高が二百四十一兆円、そしてまた国の借入金等、これは約八十兆円もあると、こんな状況がございます。それから、地方のいわゆる地方債の残高が百三十六兆円と大変厳しい状況にあるわけでございます。重複分を除くと合計で四百五十兆円ともあるいは五百兆円とも言われるような国の財政状況があるわけでございまして、従来から行政改革がいろいろ唱えられてまいりました。  特に、大平内閣以降、行政改革ということで中曽根内閣とかいろいろやってこられたわけでございますが、最近どうも行政改革といったものに厳しさが欠けるんではないかというふうなことを感ずる次第でございます。特に大平内閣、あの時代にオイルショックを受けて赤字国債を発行というような状況の中で、例えば人事院の公務員の給与勧告がございますけれども、そういったものも実施を繰り延べするとか、特にいわゆる指定職と言われる方たちの給与あるいはボーナスの繰り延べとか、そういったものがもう五十年代の前半から行われていて、それが鈴木善幸さんの内閣のときに人事院勧告の凍結というふうな形で大変厳しい措置をとられたわけでございまして、公務員の皆さんには大変御苦労が多かったんじゃないかと思います。  ただ、あの当時と比べれば、国の借金の状況は今の方が格段に悪化している状況にもかかわらず、行政改革もかけ声だけでなかなか進んでいないという状況がございます。そういった中で、また経済活力を回復するための規制緩和と、こういったものもなかなか進まない、こういう状況があるわけでございます。そういった中で、私ども本当に国民の皆さんから信託を受けて国政全般を担当する立場から言えば、もっと本当に痛みを少しずつでもわけ合って、そして国民の皆さんに御負担をお願いしようと、こういう姿勢が必要なんではないかと思うわけです。  特に、農水省につきましては、以前から厳しい指摘がございました。ただ、やはり農業というのは国の基本でございますから、そういったものを十分観点に入れながら進めていかなければならないわけでございます。  ただ、今回のこの農畜産業振興事業団法につきましても、もっと農水省全体として行政改革について真剣に取り組んでいただく必要があるんではないか。これはもちろん農林水産省だけの問題ではない、各省全般にわたる話だろうと思いますけれども、もっと努力をしていただく必要があるんではないかと、こういう観点から幾つか御質問をしたいと思います。  行政改革といいますと、一番目立ちやすいのが特殊法人ということで、こういう形で法案が出てきておるわけでございますけれども、行政組織のあり方とか定員のあり方、規制緩和あるいはさらに補助金のあり方とか、その他、例えば認可法人あるいは公益法人とか、もろもろのものがいろいろあるわけでございます。  一つお聞きしたいのは、今回特殊法人でございますけれども、農水省所管の特殊法人、認可法人役員にどれだけ農水省のOBが行かれているのか、特に公益法人についてはどうか。私自身は余り天下りの議論に集中してしまうと、本来そういう特殊法人あるいは認可法人に何を行わせるのか、あるいは公益法人をつくって、そこに予算補助をしてどういったことをやってもらうのか、そういった本来の議論が薄れてしまうから、余りそういったものに集中する必要はないと思うんですが、ただこれも非常に重要な点でございますので、冒頭その点について一つお伺いをしたいと思います。
  29. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) お答え申し上げます。  ただいま農林水産省所管の特殊法人、それから認可法人、さらに公益法人につきまして、その役員に農林水産省OBがどれだけいるかというお尋ねでございます。  まず、特殊法人でございますが、平成八年五月一日現在で、常勤役員定数六十一名に対しまして三十一名、それから認可法人につきましては、常勤役員定数四十名に対して、これも同じく平成八年五月一日現在二十六名でございます。また、公益法人につきましては、先生の方からのお尋ねがございまして、早速公益法人から聞き取り等を行ったわけでございますが、これは平成八年四月一日現在で、おおむね常勤役員総数九百五十名に対して四百九十名というふうに把握をしております。
  30. 都築譲

    ○都築譲君 今お伺いすると、認可法人とか公益法人でも実はかなりな数になってくるわけでございまして、そして私のいただいた資料、これはいろんなところから引っ張ってきたんですが、やっぱり膨大な数の実は公益法人があるわけでございまして、そこにまたたくさんの補助金が出ております。例えば野菜供給安定基金と、こういったものがありますけれども、野菜価格の安定対策費補助金ということで、これは四十三億、こういったものが出ておりますし、いろんなものが本当にたくさんございます。  さらにまた、おもしろいのは、本当に零細な補助金が幾つか出ております。例えば日本果樹種苗協会、これはたまたま目に入っているから申し上げるんですが、これは農産園芸振興調査等委託費ということで二百万円というふうなお金が出る。  こんな形の大きなものから零細補助金まで大変種々雑多なものがこういうふうに入っておるわけでございます。中には幾つか重複して同じような調査あるいは指導、検査、こういったものをやっているようなところもあるわけでございます。  補助金の整理合理化といったものについて農水省としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  31. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) ただいま先生お話の公益法人に対する補助金等でございますけれども、公益法人、それぞれその設立目的があるわけでございます。その目的に従っていろいろな事業を行っております。その中で、特に国の政策遂行上必要な事業につきまして補助金等を交付しているということでございます。  私どもとしては、この公益法人に対します補助金等につきましては、その目的、事業の内容というものを毎年精査し、真に必要と考えられるものに限って交付をするという基本的な姿勢で臨んできております。  先生指摘のような点もこれから十分念頭に置いて、補助金の整理合理化という観点も考えながら、真に必要な補助金等に限定するということでこれからも対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  32. 都築譲

    ○都築譲君 ぜひそういうことで、本当に真に必要なものかどうか、そういうのをよく精査してお願いをしたいと思います。  それで、また役員定員の問題に戻りますが、今回の両事業団の合併によりまして役職員についてもその合併の効果を出すということで努力をされておられるようでございますが、私が見たところ、二百十二人の職員に対して役員が二十人いる、うち非常勤が何人かおられますから常勤役員としては数が少なくなるんだと、こういうことでございますけれども、ただ副理事長が二人もいるということは一体どういうことなのかなというふうに思うわけです。  いろんな特殊法人、総務庁の方から資料をいただいてざっと見ました。特殊法人も本当にいろんなものがございます。例えばJR関係あるいはNTT関係だって、今は公社から特殊法人という形態に変わっておるわけです。あのあたりはもう何十万という雇用数を持っております。そういったものを除くと、一番大きなのは労働福祉事業団というのがございます。これは労働省所管ですが、一万四千名の職員がおりまして、それに対して理事長一人それから理事が五人、こういう状況になっておるわけでございます。  だから、二百十二人で何で二十人もそういった役員がいるのか、常勤役員となれば十一人ということかもしれませんけれども、それにしても理事長がおられて副理事長が二人もおられるという必要性が一体どこにあるのか。またさらに、そういった人たちの処遇、給与は一体どういうふうになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  33. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、新事業団役員数につきましては、行革の趣旨に沿いまして、役員総数二十七名を二十名にするということでございます。  また同時に、今先生からも御指摘がございました常勤役員数につきましては十一人ということで、現在の法定の役員数十七人から六人減、実際の予算定数の十五人から見ても十一人へと減少させているわけでございまして、常勤役員数でいえば十一人でこの新事業団業務、すなわち畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団、両事業団業務を引き継いだ新事業団業務を運営するということでございます。  また、副理事長が二名ということでございます。この畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団、それぞれ法律に基づきまして価格の安定業務農産物の売買の業務、さらには国内助成事業ということで、いわば国の行政と一体となって行う不可分の重要な任務を法律に基づいて遂行しているという性格を有しておるわけでございます。新事業団におきましても、両事業団業務資産をすべて引き継ぐということで、業務につきましても法律に基づく業務について一切同じような業務を継続することになるわけでございまして、その任務がやはり大変重要なことには変わらないわけでございます。  同時に、新事業団におきましては理事長のいわばそういった職責が質的にも量的にも増大をするということで、それを補佐する副理事長として、従来の畜産関係業務と、他方蚕糸砂糖類業務を担当いたしまして新理事長を補佐するという観点から、二名の副理事長を設置するということで法案をお示ししてお願いをしているところでございます。
  34. 都築譲

    ○都築譲君 恐縮ですが、もう一つ、役職者の給与、処遇の問題をちょっとお聞かせください。
  35. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 失礼いたしました。  両事業団理事長、副理事長及び理事の現在の本俸月額を申し上げますと、畜産振興事業団につきましては、理事長が月額百三十一万九千円、副理事長が百十七万一千円、理事が百万五千円でございます。他方蚕糸砂糖類価格安定事業団につきましては、理事長の本俸月額が百二十万二千円、副理事長が百七万六千円、理事が九十三万三千円となっております。  新事業団役員の給与につきましては、今後一本化して設定をするということにいたしております。新事業団規模業務量業務の性格等を勘案の上、適正に定められるように今後対応してまいりたいと考えております。
  36. 都築譲

    ○都築譲君 私自身思うんですけれども、私もおととしまで役所に勤めておりまして、次官とか局長の方の処遇民間企業と比べて低いということは確かにそう思います。  ただ、そうはいっても、例えば農水省でも何万人という職員を抱えておられるし各省それこそ何万人という、大臣を補佐するトップの事務方の官僚としてそういう処遇をとるというのはわかるんですけれども、二百十二人の、今回合併してそういうところに戻って、そういう非常に小規模な、確かに事業内容は重要かもしれませんけれども、農水省の行政の中のごくごく一部分の責任者という形になられるだけで本当にこれだけの給与をいただくことがよろしいのかというふうな問題もあるし、また数についても十分減らし切れていないまま非常に高額ですよね。さらにまた退職金の問題だって、随分前からいろいろ批判があったように、年数ではなくて月数でいくんだとかいろんな議論もあるわけでして、だから今回のものについてどうも誤解を招くような点が多いんじゃないかなという気がするんです。  それで、もう一つ確認したいのは、蚕糸とそれから糖価安定事業が合併したときも、一時期、経理勘定も別々、業務も別々、それから事務所もばらばらだった、単に形だけ一本にしたんだと、こんな批判があったわけですけれども、今回の統合によってそれはどういうふうになるか教えていただけますか。
  37. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  現在の蚕糖事業団が設立されました際に、発足当初、確かに事業所が別々であったというような事情はございます。それは先生指摘のとおりでございます。  私ども、今回の新事業団の設立に当たりまして、管理部門の一本化等組織の合理化を図ろうということで、そうした際には当然のことながらやはり事務所も一つの事務所に入って業務を効率的に運営する必要があると考えております。したがいまして、現在、十月一日を発足の目途としておりますけれども、本部事務所につきましては、現在畜産振興事業団が本部といたしております港区の麻布台ビルに統合を行う予定で準備を進めております。  そういうことで、今後、新事業団の発足と同時に事業の効率的な運営が図られますように努めてまいりたいと考えております。
  38. 都築譲

    ○都築譲君 それと、やはり特殊法人がどういう活動をどういう業務実態、経理実態の中でやっておられるかというのも国民の皆さんによく知っていただく必要があると思うわけでして、昨年の十二月十九日に「特殊法人のディスクロージャーについて」という閣議決定がなされたわけでございます。  前回の蚕糸とそれから糖価の統合のときは、例えば職員の給与水準について、実は蚕糸の方が伝統が古くて歴史があって高い給与水準、それで糖価の方が三倍の職員がおられたんですけれども、合体したところで高い方の水準に合わせた、こういうふうなお話もあったやに聞いております。  ところで、じゃ、一般管理費の方がどれだけふえたかということになると、そこのところが実は不透明になっているんじゃないかと。通常、人件費というのは一般管理費の方に計上すべきものなのに、ところが事業の方を担当しているということで、事業費の方にそういう人件費をめり込ませることがいろいろ行われているんだと、こういうような指摘もあったわけでございます。  今回の話については、職員の給与水準は労使関係の中で決定されるものですからそれはお任せをするとしても、そういったディスクロージャーについて、昨年の閣議決定に基づいて、今までの特殊法人の会計基準要領と、こういったものがあるわけでございますけれども、そういったものが本当に明確になるように、形式的なディスクロージャーだけやっていればいいというわけじゃないというふうに思うわけでございまして、これは農水省というよりはむしろ総務庁さんの方に少しそういったディスクロージャーについての考え方をお聞かせいただければと思います。
  39. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 特殊法人の財務内容等につきましては、これらを公開いたしまして透明性の確保を図る必要がある、そういう指摘を踏まえまして、議員が今御指摘ございましたように、平成七年十二月十九日に「特殊法人のディスクロージャーについて」という閣議決定を行ったところでございます。この閣議決定におきましては、特殊法人のディスクロージャーの原則を明らかにするとともに、具体的措置として三つの措置を講じておるわけでございます。  その第一は、既に法令により定められたディスクロージャーを的確に実施するとともに、逐次規定の整備を図るということでございます。  第二点は、財務諸表や事業計画の概要、子会社等の一覧、組織の概要、こういったものを毎年九月末までに官報等に公表するとともに、財務諸表、その附属説明書類、事業報告書等を事務所に備えつけるなどによりまして、ディスクロージャーを積極的に行うこと。  第三点は、昨年の十二月から実施されております特殊法人の財務内容の公開、子会社等に関する行政監察の結果を踏まえまして、一層の公開を推進するという三点でございます。  今後とも、特殊法人のディスクロージャーにつきましては、財務内容等の一層の公開を推進し、透明性の確保を図る観点から着実に実施をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  40. 都築譲

    ○都築譲君 それで、あわせて、総務庁も来られておりますから、今回の統合に至る経緯をいろいろ資料を見ておりますと、中にちょっと大変疑問に思う資料も出てきたわけでございます。新聞記事等が中心でございますけれども、例えば今回の統合案については九三年に第三次行革審でいろいろ議論がなされておりまして、第三次行革審の方が九三年六月半ばごろに特殊法人対象リストを九法人に絞り込んで第二次ヒアリングをやろうということで、その中に畜産振興事業団も蚕糖事業団も入っておった。ところが、ほかの省庁も一緒に九法人がその第二次ヒアリングをボイコットしたということで、行革審の方はもうなすすべもなく特殊法人の絞り込みが十分できないまま一般的な議論に終始をしていってしまった。  こんなお話もあるわけでございまして、その辺について農水省の方はどういうことであったのか、なぜ出なかったのか、こういうことをお聞きしたいわけですが、いかがでしょうか。
  41. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) ただいま先生が御指摘の経緯につきましては十分つまびらかには承知していないわけでございますが、事実といたしましては、平成五年二月に第三次行革審から当省所管特殊法人につきましてヒアリングがありました。  それ以降再度のヒアリングの要請がなかったというのが事実でございます。
  42. 都築譲

    ○都築譲君 これは、総務庁も来られておりますから、総務庁はたしか行革審の事務局の事務方をやっておられたと思いますので、その点について経緯を御承知でしょうか。あるいはまた大物政治家が関与したと、こういうふうな話もあるようでございますけれども、その点についていかがでしょうか。
  43. 青柳親房

    説明員(青柳親房君) 第三次行革審におきましては、平成五年四月の中間答申以降、いわゆる九特殊法人につきましての第二次ヒアリングが行われていないというのは事実でございます。  この第三次行革審の最終答申、これは平成五年十月にまとめられたものでございますが、この中にも述べられておりますように、個別の特殊法人についての具体的な方策について検討するよりも、特殊法人全体にわたる見直しの視点を提示すべきであり、その具体的検討については政府にゆだねるべきであるという判断を最終的にとられた、こういうことに基づくものと私ども承知しております。  なお、政府といたしましては、この答申を受けて各省所管の全特殊法人の見直しを行い、この結果が平成七年二月二十四日付閣議決定特殊法人の整理合理化について」になりまして、その中で今回御審議をいただいております事業団を含む十四法人の七法人への統合、それから五つの法人の廃止、民営化等、さらに同年の三月末には追加をいたしまして二法人統合ということを決定したところでございます。これらのうち、この通常国会には九法人の統廃合、民営化等についての法律案が提出されておるわけでございまして、結果的には第三次行革審の答申が今日こういう形で具体化が図られたものというふうに承知をしております。
  44. 都築譲

    ○都築譲君 今のお話をお伺いすると、やはり政府に置かれる審議会では政府の改革というのはできないんだと、こういう指摘もあるわけでございますから、むしろ本当に土光臨調のときのような強力なリーダーシップとか、あるいは国会の役割の重要性とか、そういったものをもう一度我々もよく考えなければいけないのかな、こんなことを思います。  それで、時間がなくなってまいりましたので、通産省の方にもお越しいただいておりますので、ちょっと蚕糸関係についてお伺いをしたいと思います。  生糸価格が今乱高下をしている、こういう状況の中で、非常に養蚕農家減少しているというのは先ほど風間委員からも御指摘がございました。  それで、いただいた資料などを見てまいりますと、特に平成年度などは生糸の需要の関係を見ますと、実は二次製品ということで外国から輸入しているものがもう五割を占めている。平成六年で三十八万二千俵、生糸ベース換算でございますけれども、「絹等の供給割合の推移」という表があるわけですが、こういうふうな形で二次製品が急増してきている背景というのはどうなのか、通産省の方にお伺いしたいと思います。
  45. 稲葉健次

    説明員(稲葉健次君) お答えをいたしたいと思います。  現在、通関統計で把握できます絹二次製品につきましては、金額でございますが、円ベースで見ますと必ずしも増加の傾向にはない実態でございます。例えば刺しゅう布、あるいはブラウス、ハンカチ、あるいはスカーフ、ネクタイ等、いずれをとりましても趨勢的には、金額的にはむしろ減少の傾向にあるということがうかがえるわけでございます。ただ、数量的に申し上げますと、一部例えばスカーフのように減少傾向にあるものもございますが、むしろ刺しゅう布あるいはネクタイのように近年増加をしておるものも多く見られるわけでございます。  また、こうした実態の背景でございますが、最近の我が国における円高の状況ですとか、あるいは内外のコスト差というようなことがこの背景としてあるのではないかと考えております。
  46. 都築譲

    ○都築譲君 金額ベースでの換算では確かにそうですが、やはり数量ベースではということでこういう資料がありまして、平成四年から三五、四一、五一というふうな形で生糸ベースに換算して試算をすると相当ふえているということがあるわけでございます。こういうものを考えてみると、実は国内産繭のシェアというのが平成六年では実は七%にすぎないという状況になってきている。これは値段の問題等もいろいろあるのかもしれません。  ただ、考えてみますと、日本の絹というのは大変伝統的な産業ですし、高い技術水準を持って本当に世界に誇れるようなものであるわけでございますけれども、逆に一つ考え方としては、国産繭、国産生糸を非常に高い水準価格支持制度でやっているから、例えば製糸業者あるいは織物業者、そしてそういう最終加工品をつくる業者も採算が全然合わなくなってしまう。だから養蚕農家の方、大変今まで日本の経済を支えてこられた。  特に、一時期はそういう生糸とか絹織物といったものが日本の外貨を稼ぐ役割を担ってきたわけでございますけれども、今逆にそういったものが、例えば川下の産業、糸をつくるあるいは織物をつくる最終加工品をつくる、そういったところの産業さえも余りにも国産繭が高過ぎて外国産繭を買う、外国産の生糸を買うというものが十分に活用できないという状況の中で川下産業の人たちまで物すごい影響を与えているのではないか。  確かに、養蚕農家の方たちの御努力というのはわかりますけれども、もっと国全体の産業とかあるいは勤労者のことを考えたら果たしてこの価格支持制度というのがいいのかどうか。そういったことを、少し農水省のお立場でお考えを聞かせていただければと思います。
  47. 高木賢

    政府委員高木賢君) ただいまお話がありましたけれども、着物が生糸の需要先の大宗を占めるものでございます。着物の需要は実は残念ながら、今先生指摘の表にははっきり出ておりませんけれども、この何年間かで半分ぐらいに減っている、こういう状況でございますから、やはり需要が低下したというのが関係業界の苦難の一つの大きな原因だと思います。  それからもう一つは、原料に占めます生糸あるいは繭の値段というのは非常に小そうございまして、着物はいい物から悪い物までいろいろありますけれども、万円単位であるのに対しまして、原料の方は繭が一キロ千五百十八円と、どのくらい使うかということを抜きにして申し上げればかなり低いものがございます。一つの試算としては、養蚕・製糸の比率が訪問着に占める割合が三%程度ということでございますから、必ずしも原料価格がストレートに製品価格に影響しているということはないものと思っております。  なお、生糸の価格安定制度は、御案内のように繭は農産物としてのいわゆる豊凶変動があるということに加えまして、着物などの高級衣料の原料として非常に景気変動の影響を受けやすい、したがってまた価格の変動も激しいということで設けられているものでございます。上がれば当然ユーザーに非常な苦難がかかる、下がれば生産者に苦難が生じるということで、一定の安定価格帯の中に生糸価格をおさめるということで現在の繭糸安定制度ができているわけでございます。  そういうことでございますので、しかも運用といたしましては、最近一部格差が一万四百円から今年度は六千円ということで基準糸価のほぼ半分ぐらいに下がっております。絹業にも配慮した運用に努めておりますので、御指摘のようなことだけで全部動いているということはないと思っています。
  48. 都築譲

    ○都築譲君 もう時間が参りました。その点についてはまた改めてやりたいと思いますし、全酪連関係については、いろいろ指摘をさせていただいておりましたので質問できませんがよろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  49. 谷本巍

    谷本巍君 これまで行政改革といえば経済界の皆さんやマスコミの皆さんはいつも決まったように農林水産省をやり玉に上げてきた。今も都築委員から農林省はもっと真剣にやれというお話がございました。  農林水産省を他省庁と比べてみればどういうことなのか、私は実にまじめよくやってきたと思います。公務員の人減らしで言いますというと、ここ十二、三年ということになりましょうか、いつも計画を上回って人減らしを実施してきた。例えば、第七次計画の場合で言えば、三千五百の計画に対して五千弱の削減をやるというような状況でありました。こんな状況でありますから、行革が始まる前の昭和四十二年を一〇〇にすると今の農水省の定員が何ぼになっているか、四五・三であります。では全省庁平均は何ぼなのか、九五・一であります。全省庁で減らしているのが五%弱なんだ。農林省は半分以上減らしてきているんです。よくやったというよりも、これは私はやり過ぎじゃないのか。このままでいったら農林水産省はなくなるんじゃないのかという、そういう見方すら今出ていますよ。  官房長に伺いたいのでありますが、これからもこのペースでやっていかれるつもりなのかどうかのか、そこを初めに伺っておきたいと思います。
  50. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) 先生ただいま御指摘のとおり、農林水産省の定員昭和四十二年を一〇〇といたしますと、累次の定員削減がございまして、指数として四五程度ということになっております。  ただ、私どもとしては、やはり政府の重要課題の一つである行政改革、これにつきましては、業務量関係とか新しい仕事量も考えながら、また組織の簡素化、合理化といったようなこともやりながら計画的に定員削減をやってきております。  また、今後ともこういった方向については避けられないものというふうに考えております。  ただ、定員問題については、一つは食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本にいたしまして、可能な限り我が国農業生産の維持、拡大を図る必要がある、またガットウルグアイ・ラウンド対策を着実に実施していかなければならない、中山間地域対策の総合的な推進といったような多様な行政課題がございます。また、我が農林水産省の職員の年齢構成といったことも十分考えていかなければならないということでございまして、今後におきましてはこういった行政課題への対応、さらには職員の年齢構成といったような定員の実態、こういうことを十分に踏まえて対応していきたいと考えております。
  51. 谷本巍

    谷本巍君 そこのところはひとつ慎重にやっていただきたいと思いますが、私が申し上げているのは、他省庁との絡みの問題で申し上げておるのであります。  続いて大臣に伺いたいのでありますが、五月九日の参議院の予算委員会で私どもの同僚議員の質問に橋本総理が行革問題で次のように答えておられます。  総理が言っておりますのは、二十一世紀に向け活力を持つ社会を維持するのには、産業構造、社会構造が変わらねばならぬということを大前提にいたしまして、対外関係の問題も含めまして具体的な問題として総理が提起されたのは、資源エネルギー問題と人口・食糧問題、そして環境問題、この三つが二十一世紀に向けてなぜ行革をやっていくかということについての大きな課題になっていくのだと、こう強調されております。そして総理はさらに、ウルグアイ・ラウンド合意問題にも触れておりまして、とにかくこれは約束したから実行していくが、二十一世紀初頭以降の食糧問題については国際的にも改めて考えていかなければならないというふうに言っております。  こうした総理発言を引用するまでもなく、これまでのような工業化、経済成長優先の時代の公務員減らしというのと二十一世紀に向けての行革の目標というのは変わっていかなきゃならぬ重大な変化が生じてきていると、こんなふうに見ていいのではないかと思います。そうした先行き問題について、大原農林水産大臣がどのように認識しておられるか伺いたいのです。
  52. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 私も予算委員会での総理の答弁をお聞きしておりました。社民党の梶原委員のこれからの資源問題に対する基本的な質問であったと思っております。  行革問題と切り離しても、私よく農林省の中で言うんですが、僕らは五十年単位で物事を考えていかないと道を間違えるのじゃなかろうかと。梶原委員もその際おっしゃっていましたけれども、二十一世紀に人口は百億になるというようなことも、これ地球人口の増加ははっきりしているわけですね。それと同時に、我が国の食糧自給率四一%ですが、これを自分で一〇〇%賄えという時代が来ないとも限らないんです。この土地条件や地理的条件の悪い、ほっておけば自由化によって荒れ地になっていく可能性もある農地を的確に使って、百億人口のときに一〇〇%おまえらやれと言われたときに、果たして今の状況でずるずるといってできるのかどうかというような課題を、今から私たちは考えていかなきゃならぬのではないのかなと。  行革の問題でございますけれども、委員指摘のように農林省は非常に供出量が多いわけです。  一つは、食糧事務所の問題もございました。林野庁の問題もございました。しかし、林野庁の人減らしも今の計画でいったらもう限界、食糧庁の年齢構成もとにかくたまたまそういう構成であったためにおやめになる方が非常に多かったという事実、これからはそうはいかないと思うんですね。  そういう意味で、今、官房長が申し上げましたように、過日の内閣の予算が通りました後、総務庁長官から、第九次の人員削減に入るが御協力方をお願いしたいと、こういう御要請もありました。しかしながら、これは今後総務庁と十分詰めていかなきゃならぬ課題でございまして、官房長が申し上げたような年齢構成、人員構成の実態を踏まえて今後のその計画には対応していきたいと、かように考えております。
  53. 谷本巍

    谷本巍君 ありがとうございました。  それでは続いて、事業団法の問題に入りたいと思います。  これまた経済界やマスコミの皆さんは、市場開放が進んでいくというと、事業団というのは縮小合理化できるし統廃合もどんどん進めていくべきだという考え方を提起してこられました。そういうものもあるでしょうし、そういうものでないものもあるはずであります。  初めに、畜産事業団の場合どうなのかということについて伺いたいのです。畜産事業団は設立以降業務がふえ続けてまいりました。例えば、四十年には加工乳の不足払い制度が発足をする、四十一年には牛肉の輸入業務が加わってくる、五十年には価格安定業務牛肉一元輸入、これが開始されるといったような例等がそうであります。それでは、牛肉の場合でしたら輸入自由化以降、それから乳製品でしたらWTO協定発効以降、業務は減ったのかどうなのか、今後の見通しはどうなのか。
  54. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  畜産振興事業団業務の追加、増加状況につきましては今先生の御指摘のとおりでございます。昭和四十年に加工原料乳不足払い制度の導入、四十一年に輸入牛肉業務の開始、昭和五十年に牛肉の一元輸入の開始、国産牛肉価格安定業務の開始ということでまいったわけでございます。  先生お尋ね牛肉の輸入の自由化以降でございますけれども、まず牛肉の輸入の自由化を決定いたしましたのが昭和六十三年でございますが、その決定をいたしまして平成三年から自由化を実施するということを決定したわけでございます。その間にありまして、まず平成元年に国内外の牛肉に関します情報収集、提供、そういった業務を開始いたしまして、内外への情報提供の業務をまず始めた。次に、平成二年から牛肉の自由化に伴います国内の肉用牛経営への影響を緩和する、そして国内の肉用牛経営を維持、拡大していこうということで、その手法一つとして肉用子牛生産者に対しまして補給金を交付するという業務平成二年から開始をしたわけでございます。そして、平成三年に牛肉の自由化に伴いまして輸入牛肉の売買業務を廃止したということでございます。事業団が行っておりました輸入牛肉の売買業務の廃止とは裏腹に、肉用子牛生産者に対する補給金業務が開始されたと、これによりまして業務量相当増加したということでございます。  他方、牛乳・乳製品でございますけれども、これはウルグアイ・ラウンド合意実施に伴いまして……
  55. 谷本巍

    谷本巍君 簡潔に答えください。
  56. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) はい。  まず、指定乳製品等につきまして全体について関税化ということで、まず一元輸入は廃止になったわけでございますが、他方、同時に、この合意の中ではカレントアクセスが合意されておりまして、その部分につきましては畜産振興事業団が一元的に輸入をするということでございます。同時に、カレントアクセスを超える、民間指定乳製品を輸入する場合がございます。これはかなり相当の額の関税相当量、いわゆるTEを払えば輸入はすることができるわけでございまして、その際の関税相当量の徴収業務、これが畜産振興事業団に付与されたということでございます。  こういった業務の変遷の過程で、量的な数字をお示しすることはなかなか困難でございますけれども、例えば予算の支出額で見ましても、昭和六十二年度予算の決算済み額が二千五百十億円でございますが、平成年度も二千五百六十五億円ということで、業務量としては従来と現在とではほぼ同じ程度業務量がある。今後も同様の業務量が維持されるというふうに見通しているところでございます。
  57. 谷本巍

    谷本巍君 そうすると、その間の職員の数の推移はどうですか。例えば牛肉自由化以前というと平成二年ですか、それから現在の数は。
  58. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 牛肉の輸入自由化を決定いたしました昭和六十三年度畜産振興事業団職員の定数が百六人でございます。その後、第七次及び第八次の定員削減計画が遂行される中で、事業団職員につきましては徐々に削減をしてまいりまして、平成年度末で九十八人というのが定員の数でございます。
  59. 谷本巍

    谷本巍君 そうしますと、労働強化になっているはずなんですね、事業団の組合の皆さんに聞きますというと。やっぱり業務をはかるのは労働時間ではかるのが一番いいんですよ。ところが、最近は残業がふえたといってもサービス残業がふえておる。これは数字に出てこない。ところが、その事業所で働いておられる皆さんの実感からしますと、サービス残業も含めて残業がふえていますというのが共通的な話でありますので、仕事はふえてきている。しかし、第八次削減計画に準じて職員は減らされてきた。これが事実なんじゃないですか。
  60. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 確かに今申し上げましたとおり、牛肉の輸入の自由化が決定されました昭和六十三年当時百六人、現在、その後削減をして九十八人まで削減したということを申し上げました。その間に業務の過重があったのではないかという御指摘でございますが、事業団業務の遂行に当たりまして、一つにはOAシステムの導入、これは現在も進めておりますけれども、そういったOAシステム化によります業務の効率化、あるいは従来の業務の中で、例えば業務の申請に当たっての煩雑な書類を削減して事務の簡素化を図る、そういったことによりまして業務の効率化を推進しております。  今後とも、そういったことで業務の効率化を図りながら適切な事業団の運営に努めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 谷本巍

    谷本巍君 そこのところはもう少し申し上げたいことがあるんだが、時間がなくなってきておりますので、現場と皆さんとの受けとめ方の間にやっぱり違いがあるなということだけ申し上げておきたいんです。  続いてお尋ねをしたいのは、大臣からお答えをいただきたいのでありますが、この二つ事業団統合で活力が生まれるのかどうなのか。何かマイナスとマイナスが一緒になってマイナスが倍増する、マイナスとマイナスとを掛けて今度はプラスにしていくんだという、何かそういうふうな発想なのかどうなのか、そこのところであります。  統合によるメリット問題は既に議論がありましたから触れませんけれども、例えば人事交流による活性化の問題であるとか、それからもう一つ、やっぱり業務上のノウハウの交換とがいろいろなプラス面というのが私はあると思うんです。  それはそれで伸ばしていかなきゃならぬわけでありますが、やっぱり何といっても活性化させていくのには役員の内部登用、これを拡充していくことが大事なのではないかと思います。役員問題については先ほど都築委員から給与や退職金の問題がありました。その点も大事だろうと思いますが、何といっても内部登用をふやしていくということが職員に元気をつけてもらうという弾みになっていくのではないかと思います。  そして、申し上げておきたいと思いますのは、企業的経営になじむ事業、そういうところを特殊法人化するということでやってきたわけでありますから、したがって自主的、能率的に業務をこなすために事業団というのが設立されてきたという経過があるわけであります。つまり、国の出先機関じゃないということであります。ところが、監督を行うべき官庁出身者が役員の大部分を占めてしまっている。事業団によってそれぞれ違いがあります。この場合もしかし例外だとは言いにくいでしょう。これではやっぱり職員はやる気を失いますよ。そして、透明性を確保していくということについても疑問が生じやすい。  そういう点があるから、七九年十二月十八日の閣議了解というのがあるわけでありまして、こうした点を踏まえて、官庁出身者の数をできるだけ抑えながら内部登用を図っていくというぐあいにすべきだと思うが、大臣のお考え方はいかがでありましょうか。
  62. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 特殊法人の行革というのは非常に難しい問題をたくさん内包していると思います。この資金原資というのは全部郵便貯金と簡保年金でございまして、この特殊法人の今後のありようをどうするんだ、要らぬものもいっぱいあるじゃないかと、私もそう思うんです。例えば銀行関係、金融関係には民間と競合するものがかなりある。こういったものを要らぬものは削っていくということをし、国しかできない、国がやらなきゃならない調整事業は、これは特殊法人としてかえってふやしていくというような考え方をやるべきではないか。私も与党プロジェクトチームにおりましてそういう考え方を打ち出した者の一人でございます。しかしながら、もう話が長くなりますから省略しますが、郵便貯金をどうするんだ、これは行革の私は非常に大きな今後の目玉だと思っております。  何はともあれ、今委員がおっしゃった問題点につきましても、我々もその行革のプロジェクトの中において五〇%を超えてはならないということを再確認いたしまして、官邸に送り込んでまた改めて省庁で確認していただく、こういうことでございますから、その点については十分厳守をしてまいりたいと思っております。
  63. 谷本巍

    谷本巍君 ありがとうございました。  最後に伺いたいと思いますのは、二百十二名の職員でしたか、平成十三年までに約一割削減をしていく、生首は切らないで定年退職者を補充しないとか新規採用を抑制することでやっていくんだというふうに、衆議院の記録を読んでみますというと当局はお答えになっておるようであります。  そこで、伺いたいのは労働条件の問題であります。  二つ事業団が一本化しますというと、給与体系にしましても勤務条件、例えば勤務時間、それから休暇の問題等々があるわけでありますが、違いがあるやに承っております。ここのところが、いつもやっぱり事業団統合のときに労使でともすると紛糾が起こりやすいというようなことになっていくのであります。幸か不幸か、この事業団の場合にはかつて砂糖類蚕糸が一緒になったという経過がありましたけれども、あのときには、他のものと比べますというと割とうまく労使の関係の話し合いがいったのではないかというふうに言われておるわけであります。  そういう経過もあったわけでありますから、そういう経過等を踏まえながら、労働組合とよく話し合ってこの辺のところは解決していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  64. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、職員の定数につきましては、平成十三年度までに約一割削減の目標で進めたいということでございます。その際、強制解雇を伴わない手法ということで、定年退職者の不補充ということを基本といたしまして新規採用を抑制する、そういったことで進めてまいりたいというふうに考えています。  さらに、尋ねの両事業団の給与体系、勤務条件でございますが、確かに若干の差異があるところは御指摘のとおりでございます。新事業団の設立に当たりましては、基本的には新事業団関係者、労使の間で十分に話し合いの上解決されるべき問題だというふうに考えておりますが、御指摘のとおり、一方の事業団であります蚕糸砂糖類価格安定事業団につきましては合併の経験がございます。その際の経験も参考になると思います。両事業団の間で十分に話し合いをし、新事業団のもとで給与体系、勤務条件が統一された形で調整が図られて、一本化された給与体系、勤務条件のもとで運営をされるということが適切かつ望ましいものというふうに考えております。  十分なそういう話し合いの上で適切な給与体系、勤務条件が設定されますように、私どもも十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  65. 谷本巍

    谷本巍君 終わります。
  66. 須藤美也子

    須藤美也子君 先ほどの答弁の中で、理事長の給料が百三十一万、理事の給料が百万五千円と、ちょっと今の農家状況から見たらびっくりするんじゃないかと思います。  そこで、私は天下り人事の問題についてお尋ねをします。大臣にまずお尋ねをいたします。  昨年の二月二十四日の閣議で当時の官房長官が、常勤者の役員に対して国家公務員出身者の比率、これは半分以下にすべきだ、こういうことをおっしゃいました。ところが、先ほど谷本さんは、農水省がよく削減、行革審に協力をして高く評価しているようですが、私はそういう評価はできないんです、残念ながら。これは、農水省の所管する特殊法人で、当時の官房長官の発言をクリアしているところがありますか。  つまり、森林開発公団は常勤役員五人のうち四人がOBですね。さらに、農用地整備公団は六人のうち四人。畜産振興事業団は六人のうち四人。  蚕糸砂糖類価格安定事業団は九人のうち六人。これは目標をクリアしておりません。  ところで、今回の新事業団で、十六条で理事長と監事は大臣が任命するとあります。そして、副理事長と理事大臣が認可する、そういうふうになっていますね、第十六条で。そこで、大臣はこの官房長官の発言を受けて、天下り人事をやっぱり厳しく規制しなくちゃならないというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  67. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 先ほど谷本委員にもお答えしたところでありますが、何しろこれ任期というのがございますからね、あんたはこれ五〇%を超えるからやめなさいというわけにもいかないので、その任期の兼ね合いを十分見ながら、後補充の際に配慮していく、こういうことを考えていかざるを得ないのではないのかなと思っています。  したがって、私も行革審の中におりました一人でありますし、この点についてはひとつ農林省挙げて努力をしていかなきゃならぬ、こう考えております。
  68. 須藤美也子

    須藤美也子君 天下り問題について世間でも相当厳しい目で見ておりますので、その点も含めて厳しく対処していただきたいと思います。  次に、事業団が行う価格安定制度のうち、私はとりわけ今回蚕糸について質問したいと思います。  今、養蚕農家は大変厳しい状況にあります。一年間で一万九千戸から五千戸も減少して、現在一万三千六百四十戸、こういう状況になっております。繭生産量も二十年前のわずか六%、五千トンまで落ち込んでいる。こうした中で、繭糸価格安定制度養蚕農家にとっても必要な対策であります。特に、平成五年十月からは、養蚕、製糸、流通、絹業界の四者協議によって養蚕農家にキロ当たり千五百十八円、これを保証しております。  これには事業団からも奨励金が充てられております。  しかし、今現実に養蚕農家の経営にとってこのキロ当たり千五百十八円で経営が成り立つと考えておられるのかどうか、ここを率直に答弁をお願いしたいと思います。
  69. 高木賢

    政府委員高木賢君) 繭糸価格安定制度につきましては、生糸に着目をいたしまして、生糸価格が乱高下しやすい、こういう性格を持っているものに対しまして、事業団の売買あるいは輸入調整措置、国境調整措置を通じまして、一定価格安定帯の中におさめるということを目的としております。  繭の値段につきましては、一定水準生糸価格の実現を通じて製糸業者が繭代を払う、こういう仕組みになっているわけでございます。この場合生糸の価格安定帯は、生糸の生産条件需給事情その他経済事情から見て適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として定めるということになっておりまして、現在の繭価水準千五百十八円は、平成元年に糸の安定基準価格を九千八百円から一万四百円に設定した際に、基準繭価千四百四十六円でありましたものを千五百十八円にした、これが踏襲されているわけでございます。  今お話のありましたように、生糸の方の需給事情、大変悪うございます。需要が減退する、それから内外価格差がなかなか縮まらないという事情のもとで、非常に絹業サイドも苦難の道を歩んでおります。  そういった事情を配慮いたしまして、平成五年から六年につきましては、従来の基準糸価一万四百円を八千四百円に引き下げました。そうしますと、基準繭価を千二百二十六円ということに引き下げざるを得ないのが制度仕組みでございますが、ただいまお話がありましたけれども、それではなかなか難しいということで、何とか千五百十八円は維持してほしいという養蚕団体からの要望も踏まえまして、関係業界の協力、具体的にお金の負担によりまして、取引指導繭価である千五百十八円というものの水準の確保を図ったところでございます。  千五百十八円でどうかということでございますが、ただいまも申し上げたような国際事情需給事情等を考えますと、なかなかこれ以上のお金といいますか、繭価を設定するというのは難しゅうございます。  それで現実にどうかということですが、生産費等の調査もあるわけですが、先進的な農家等から見ますとまあぎりぎりの水準ではないか、このように見ているわけでございます。
  70. 須藤美也子

    須藤美也子君 大変長々と御丁寧な御答弁をいただきましたが、私は、千五百十八円で農業経営がやれるかどうかということを率直にお答えくださいと、こういう質問をしたんです。  るる御説明ありましたけれども、私は、この間群馬県の日本で最も盛んな養蚕地である安中市に行って、一トン会の会長さんともお会いしてきました。あそこの群馬県の安中に行きまして、大体今ごろは剪定して桑の畑を手入れする時期なんですけれども、今や桑は天まで上っている。天まで上ると言うと大げさですけれども、どんどん高くなって、かつて私が小さいころ、桑の実を食べて唇を紫にした覚えがありますけれども、そういう荒れ放題に荒れてしまっている。そういう中で養蚕農家はそこをもし仮に、桑畑を別のものにしようとしてもされない、そういうところに野菜はつくれない中山間地です。荒れざるを得ない。  しかも、最盛期には朝四時から起きて夜九時になる。お母ちゃん言っていました。千五百十八円で諸経費九百円引くと六百五十円しか残らない。  その辺のスーパーの一時間時給、パート代よりも安い。だから後継者なんか育つはずはない。後継者が出たとなったらショックを受けると。  だから、私思うんです。千五百十八円でこれでいいんですと、こう考えておられるのであるとすれば、私は、農水省は養蚕農家はどうか安楽死してもいいですよと言わんばかりの政策じゃないですかと。もっと現状に合わせて、安中の人たちが言っております、少なくとも今農水省が発表した生産費価格がキロ当たり三千四百五十六円でしょう、農水省が三千四百五十六円必要だと計算しているにもかかわらず四四%の千五百十八円。  少なくとも二千五百円あれば将来に展望が持てると言っているんです。  価格政策の問題で、私は、もっと養蚕農家の実態とそれから日本の養蚕をどう発展させていくのかどうか、こういう問題に対する基本的な、根本的な政策を持つべきではないか、このように思うんですが、いかがでしょうか。
  71. 高木賢

    政府委員高木賢君) 千五百十八円といいますと、全部の繭がそのように取引されているように思われるかもしれませんけれども、これはいわば下支え的な意味合いを持つ価格になっております。現実に取引される価格は、需給動向なり品質に応じまして実際には千六百円とか、時期によっては千九百円というような実勢価格になったこともございます。  そういう意味で、いい繭をつくればさらに価格は高くなると、こういう事情にもございます。いわば物の値段でありますから、需給なり品質で規定されるところが大きいわけでございます。そういった品質面での御努力もお願いして必要な所得を得ていく、こういう考え方。  さらには、何といっても先ほど来言っておりますように、需要が非常に落ちてきているということが苦難の始まりでございます。糸、繭につきまして安定的な需要を確保するということで特定の、何といいますか、お得意さんを確保する、こういった努力がぜひとも必要であるというふうに思っておりまして、そのための対策を講じているところでございます。
  72. 須藤美也子

    須藤美也子君 だとすれば、群馬県もあるいはその他福島も今大変です。耕作放棄地が一番ふえているのが福島県です。そういう中で、これらの県で今年度から研究チームをつくって、約四千万円の予算でデカップリング、中山間地への所得補償をできるのかできないのか、本格的な調査に入る、こう考えています。県でやろうとしているんですから、国ではどうですか、この問題について。
  73. 高木勇樹

    政府委員高木勇樹君) ただいまのいわゆる直接所得補償のお話でございますが、これは平成六年八月の農政審議会報告におきましても、また報告を出すに当たって大変な議論のあったところでございます。  結論的に言いますと、今の時点でこういった制度を我が国に直ちに導入することは適当ではないとの意見が大勢を占めたわけでございます。ただ、この農政審議会でも幅広い観点からの引き続きの検討が必要だという指摘がございました。私どもも現在そういった農政審議会指摘も踏まえて検討を続けているところでございます。
  74. 須藤美也子

    須藤美也子君 その点については全国の農家がそのようなことを要求しておりますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  最後に、輸入粗飼料による牛の死廃事故についてお尋ねをいたします。  山形県の庄内経済連がオーストラリアから輸入した粗飼料オーツヘイ、これを取り扱った畜産農家が初めて使用したところ、牛の足腰がふらついて死亡するという事故が起きました。(「狂牛病じゃないか」と呼ぶ者あり)頭ではないですから、足と腰ですから。これを初めて使ったところに起きているんです。このような事故がなぜ起こったのか。しかもどれだけオーストラリアからそのオーツヘイを購入しているか、この農家の救済についてどう考えているのか、徹底した原因究明、これを私はお聞きしたいと思うんです。
  75. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、本年三月に山形県下五戸の農家において、牛九頭、羊一頭の十頭が、結果的には中毒症状を呈しまして、うち六頭が死亡したということでございます。  これに関しまして、家畜保健衛生所等関係機関が発生状況原因解明のための調査及び病勢鑑定を実施いたしております。これは一つ研究所だけではなくて、複数の家畜衛生試験場、国立衛生試験場、肥飼料検査所等が検査をいたしたわけでございます。その結果といたしまして、この発生した牛の症状あるいは病理所見等から見まして、本病はウイルス等による伝染性疾病ではなくて、オーストラリアから輸入されたオーツヘイ、燕麦でございますが、オーツヘイの給与による中毒ではないかというのが現在の判断でございます。  この中毒の原因となる菌体等につきまして現在さらに詳細な解明に入っているということでございますし、また輸入先のオーストラリアに行きまして、現地での原因解明にも当たりたいというふうに言っております。この販売されたオーツヘイ、販売業者が既に残りの分全部自主的に回収をいたしておりますし、また被害を受けた農家に対しましては補償をするということで、補償の額についても決着を見たというふうに承知をいたしております。  さらに、私ども(「時間だから要領よくやれ」と呼ぶ者あり)はい。この病気につきまして、さらに家畜衛生試験場等の原因究明の結果を見た上で今後とも安全性の確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。(「しっかりやれ」と呼ぶ者あり)
  76. 須藤美也子

    須藤美也子君 ほかの議員がそう言っているから、二度とこのようなことが起きないようにひとつ安全チェックを厳しくしていただくように。  終わります。
  77. 国井正幸

    ○国井正幸君 私は、このたびの農畜産業振興事業団のこの法案基本的に賛成をしたいと思うわけでございますけれども、運営に当たりましては、これまでそれぞれの事業団が行ってきた機能というものを後退させないように、ぜひ特段の御配慮をお願いしたいと思います。  先日、私、地元が栃木なものですから、栃木県内の畜産農家やあるいは農業団体の関係者と懇談をする機会を持ちました。その中で、畜産振興事業団から交付される生産者補給交付金、これを財源とする肉用子牛生産者補給金制度に話が及びまして、この制度については大変いい制度だということで生産農家あるいは農業団体の関係者も大変期待を込めているわけでございます。このことが肉用子牛の安定生産はもとよりでございますけれども、酪農経営の下支えにもなっておるというふうな状況でもございますので、ぜひ今回の両事業団統合ということになっても、こうした機能というものは損なわないようにお願いをしたいと思います。  なお、この事業はそれぞれ各都道府県の価格安定基金協会、名称はいろいろきっとあるのかと思いますが、栃木県の場合は肉畜価格安定基金協会というものでございます。これを通じて業務が執行されているわけでございます。ところが、この価格安定基金協会は、御案内のとおり基金によって運営されているわけですね。栃木の場合は基本財産が三億二千万というふうなことでありますが、聞いてみると全国的に大体三億から四億ぐらいのところが多いんではないか、こういうふうなことのようでございます。今、非常に金利が低いわけですね。何もこれはこの価格安定基金協会だけの問題ではありませんけれども、非常に低金利の中で運用益がなかなか出てこない、そういう中で大変に苦慮している状況があるわけでございます。  そういう中で、ぜひこういう制度を実際に執行しているそれぞれの都道府県の価格安定基金協会の業務が円滑に執行されますように、都道府県と連携をとって国の方においても特段の支援策というものをとってほしいというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  78. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 新事業団の設立に際しまして、現在の畜産振興事業団の機能はすべて引き継ぐということにいたしております。新事業団におきましても、肉用子牛生産者補給金制度の適切な運用を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、先生指摘の各県の価格安定基金協会でございますけれども、これらの基金の運営につきましては、これまで基金の造成につきまして国からの助成というのをしてまいったわけでございます。さらに、平成年度におきましては、子牛の補給金制度の運営の適正化ということで、各県の基金協会が行っております肉用子牛の個体の識別等に要します経費についても助成措置を講じる。  さらに、この子牛の基金制度運用に対しまして、各関係機関の農家に対する指導の強化も図ってまいりたいということで、新たな助成措置も平成年度には講じるということにいたしております。  こういった助成措置を通じまして、都道府県の基金協会の適切な運営を確保してまいりたいと考えております。
  79. 国井正幸

    ○国井正幸君 ぜひ、その点についてはよろしくお願いしたいと思います。  先ほど牛の病気の話が出たわけなんですが、狂牛病の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。  一時、我が国のマスコミもイギリスの狂牛病を大変大きく取り上げてきたところでございます。  消費者からすれば一体どうなっているんだというのが大変な関心事ではないかというふうに思うんです。今欧州における狂牛病対策がどういう状況になっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  80. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 欧州における狂牛病対策の実施状況でございますけれども、まず本年の三月二十日に、英国政府の諮問機関が狂牛病と人間の病気でありますクロイツフェルト・ヤコブ病との関係を示唆したわけでございます。それに伴いましていろんな国際的な論議が生じたわけでございます。  そこで、三月二十七日に、EUの委員会が英国産の生きた牛、牛肉等のEU域内及び第三国への輸出禁止を決定したところでございます。  その後、四月三日にEUの農相理事会が開催されました。その中で、三十カ月齢以上の英国牛を人間及び家畜の食べ物にしない、その際の屠殺に伴う農家への補償につきましては、英国が三〇%、EUが七〇%負担をするということが決定をされております。  さらに、英国政府は、四月末までに、特にリスクの高い牛群について選択的な屠殺計画を策定し、EU委員会に報告すべきであるということが決定されました。これに基づきまして、英国の方は、追加的な四万頭の屠殺計画を発表しておるところでございます。  その後、四月二十九日から三十日にかけましてEUの農相理事会が開催されました。現行の輸出禁止措置につきまして、英国の示した屠殺計画が適切に実施されること、さらにEUのフォローアップが実施されること、そういったことを条件にいたしまして徐々に今後解除していこうということで、一部の製品、例えばゼラチンとか精液の輸出禁止措置につきまして今後検討するということになっております。  現在、そういう対策の状況にございます。
  81. 国井正幸

    ○国井正幸君 イギリス等においては、狂牛病の問題等で牛肉の消費量が大幅に落ち込んだということが報じられているわけでございますけれども、我が国の最近の牛肉の消費動向等について、こうした影響というのは出ているのか出ていないか、その辺はいかがでしょうか。
  82. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) 狂牛病の事件が起きましてから、一時的に国内牛肉の消費が減少したということも言われておりまして、その後私ども、最近五月に入りましてから畜産振興事業団並びに関係団体が専門店等から聞き取り調査をいたしております。  その聞き取り調査の結果で量的に把握することはなかなか困難でありますが、傾向だけ申し上げますと、食肉専門の小売店では、国産牛肉それから輸入牛肉とも販売に影響なしとするものが多い。また、国産牛肉が伸びているという店もございます。量販店におきましては、輸入牛肉減少しているというところが多いわけですが、一時期に比べて落ちつきを取り戻しつつあるということになっております。  今後とも、私どもさらに牛肉消費の影響については調査し、動向を注視してまいりたいというふうに考えております。
  83. 国井正幸

    ○国井正幸君 昨日、大蔵省が公表した貿易統計の四月分の輸入速報、これによると四月の食肉輸入量が三十一万二千三百三十四トン、こういうことのようでございます。うち、牛肉が八万七千トン、豚肉がこれなかなか量がはっきりしないようでございますけれども、大体十万トンから十五万トンぐらい、鳥肉が大体五万トンぐらいだろうということのようでございます。  三十一万二千三百三十四トン、これだけの大変な量が外国から入ってきているわけでございまして、消費者サイドから見ると、せめてどこの国から入ってきたんだということぐらいは知りたいというのは当然のことではないかと思うんですね。  そういう意味で、私は原産国表示がぜひ必要だろうというふうに思うんです。一部スーパー等では表示されているところもありますし、されていないところもあるわけなんですが、この原産国表示の現状はどうなっているのか。あわせて、これからどういうふうにしていこうと考えておられるのか。その辺についてお伺いしたいと思います。
  84. 熊澤英昭

    政府委員熊澤英昭君) お答え申し上げます。  輸入食肉の原産国表示につきましては、従来から消費者の要請というものがございます。私どもはこれまで食肉関係では、まず輸入である旨を表示すること、それから可能な場合には原産国を表示することということで指導してまいりました。  その結果として、原産国表示につきまして小売店で調査をいたしますと、牛肉については八三・六%、豚肉については七四・五%が表示をしているというのが食肉消費総合センターの調査結果でございます。さらに、今回の狂牛病問題もございまして、消費者の方々の原産地表示に対する要請も高まっているということもございます。  私ども、食品小売品質基準というものでこれまで指導してまいりましたが、今回さらにこの内容を改正いたしまして、食肉につきまして原産国を表示するようにということで、さらに一層の指導の徹底を図っているところでございます。  また同時に、販売促進の事業を助成しつつ推進いたしておりますが、そういった中でも原産国の表示につきまして一層の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  85. 国井正幸

    ○国井正幸君 安全、安心な食べ物を供給するというのは大変大事なことでございますから、そういう意味ではぜひ一層頑張っていただきたい、このことをお願い申し上げて私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  86. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 他に発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  農畜産業振興事業団法案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  87. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、風間昶君から発言を求められておりますので、これを許します。風間君。
  88. 風間昶

    風間昶君 私は、ただいま可決されました農畜産業振興事業団法案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  以下、案文を朗読いたします。     農畜産業振興事業団法案に対する附帯決議(案)   畜産振興事業団及び蚕糸砂糖類価格安定事業団は、設立以来、それぞれ畜産物及び蚕糸砂糖類価格安定業務など、各般の業務を行うことにより、我が国農畜産業関連産業の発展に重要な役割を果たしてきた。   しかしながら、近年、時代の変化に対応して、その役割を一層適切かつ効率的に果たすことが求められるようになっている。   よって、政府は、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。  一 畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団との統合が行政改革推進の一環として実施されることにかんがみ、管理部門の一本化等組織の合理化を適切かつ円滑に実施するとともに、従来の業務に支障を来さぬよう配慮しつつ、可能な限り、その運営の効率化に努めること。    また、二法人統合に当たり、職員の待遇等の諸課題の解決について十分な配慮を講ずるものとすること。  二 畜産物繭糸砂糖類価格安定制度については、品目ごとの特性等に配慮しつつ、適切かつ円滑な運用を図るとともに、これら農産物価格安定制度に関する国民の理解が一層得られるよう、業務、財務等の内容についてのディスクロージャーを含め、情報の十分な提供に努めること。  三 新たに行われる砂糖類関係業務については、国内生産者関連産業のみならず、消費者や国民生活の面にも配慮した内容となるよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  89. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) ただいま風間君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  90. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 全会一致と認めます。  よって、風間君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大原農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大原農林水産大臣
  91. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。
  92. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 鈴木貞敏

    委員長鈴木貞敏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会