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1996-02-16 第136回国会 参議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十六日(金曜日)    午後二時開会     —————————————    委員氏名     委員長         宮崎 秀樹君     理 事         板垣  正君     理 事         真島 一男君     理 事         吉田 之久君     理 事         齋藤  勁君                 岩崎 純三君                 海老原義彦君                 岡野  裕君                 鈴木 栄治君                 村上 正邦君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 鈴木 正孝君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君     —————————————    委員異動  一月二十二日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     狩野  安君      真島 一男君     矢野 哲朗君   出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         宮崎 秀樹君     理 事                 板垣  正君                 矢野 哲朗君                 吉田 之久君                 齋藤  勁君     委 員                 海老原義彦君                 狩野  安君                 鈴木 栄治君                 村上 正邦君                 依田 智治君                 大久保直彦君                 鈴木 正孝君                 友部 達夫君                 永野 茂門君                 萱野  茂君                 角田 義一君                 笠井  亮君                 聴濤  弘君    国務大臣        国 務 大 臣       (内閣官房長官)  梶山 静六君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  中西 績介君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  臼井日出男君    政府委員        内閣官房長官  渡辺 嘉藏君        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   吉井 一弥君        内閣総理大臣官        房審議官     平野 治生君        宮内庁次長    森  幸男君        皇室経済主管   角田 素文君        総務政務次官   赤城 徳彦君        防衛政務次官   中島洋次郎君        防衛庁長官官房        長        江間 清二君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        防衛施設庁総務        部長       大野 琢也君    事務局側        常任委員会専門        員        菅野  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (今期国会における本委員会関係内閣提出予  定法律案に関する件)  (総理府関係施策に関する件)  (平成年度内閣総理府関係予算に関する件  )  (総務庁基本方針に関する件)  (平成年度総務庁関係予算に関する件)  (防衛庁基本方針に関する件)  (平成年度防衛庁関係予算に関する件)  (平成年度皇室費に関する件)     —————————————
  2. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る一月二十二日、真島一男君及び岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として矢野哲朗君及び狩野安君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事矢野哲朗君を指名いたします。     —————————————
  5. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。梶山内閣官房長官
  6. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) このたび内閣官房長官及び女性問題担当大臣を拝命し、内閣官房及び総理府本府の事務を担当することになりました梶山静六であります。  微力でございますが、誠心誠意職務の遂行に当たってまいりますので、委員長初め皆様方の格別の御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げます。
  7. 宮崎秀樹

  8. 中西績介

    国務大臣中西績介君) このたび総務庁長官を拝命いたしました中西績介でございます。  私は、社会経済情勢変化に対応した総合的かつ効率的な行政を実現するため、総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分に認識し、行政改革推進を初めとする各般課題誠心誠意取り組んでまいる所存であります。  委員長初め理事委員皆様方格段の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げる次第でございます。
  9. 宮崎秀樹

  10. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) このたび防衛庁長官を拝命いたしました臼井日出男でございます。  宮崎委員長初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。  国内外の諸情勢が目まぐるしく変化をしているこの時期に我が国防衛という国家存立基本にかかわる崇高な任務に携わることになり、その使命の重大さと責任の重さを痛感いたしておる次第でございます。  私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保ち、さらには国際社会における我が国の責務を果たすため、国の防衛政策推進全力を尽くしてまいる所存でございますが、私に課せられました重責はこの分野に精通しておられる皆様方の御指導、御支援をいただくことにより全うすることができるものと考えております。  どうぞ今後とも委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますように心からお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。
  11. 宮崎秀樹

  12. 渡辺嘉藏

    政府委員渡辺嘉藏君) このたび内閣官房長官を拝命しました渡辺嘉藏でございます。  委員長初め諸先生方の御指導、御鞭撻と御協力をいただきまして、梶山官房長官を補佐し、誠心誠意務めさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  13. 宮崎秀樹

  14. 赤城徳彦

    政府委員赤城徳彦君) このたび総務政務次官を拝命しました赤城徳彦でございます。  中西長官を補佐し、全力を尽くしてまいりたいと存じます。委員長初め理事委員先生方各位格段の御指導と御鞭撻を心からお願いいたします。
  15. 宮崎秀樹

  16. 中島洋次郎

    政府委員中島洋次郎君) 防衛政務次官を拝命いたしました中島洋次郎でございます。  我が国の平和と安全を守るという崇高な任務に携わることとなり、その使命責任の重大さに身の引き締まる思いであります。  より安定的な秩序を模索して激動する国際社会の中にあって新しい国防あり方が問われている今、新防衛大綱の決定、新中期防衛力整備計画策定等を受け、新しい時代の国防を若い力が担っていかなければならないという決意を新たにしております。  長官誠心誠意補佐し、最善を尽くして任務を全うしてまいる決意でございます。委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますよう切にお願いを申し上げまして、ごあいさつとします。     —————————————
  17. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  19. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、内閣官房長官から今期国会における本委員会関係内閣提出予定法律案についての説明並びに所信及び平成年度内閣総理府関係予算説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官
  20. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 第百三十六回国会における内閣委員会の御審議に先立ちまして、所信一端を申し述べます。  まず、今国会内閣提出予定法律案について申し上げます。  現時点で、今後参議院内閣委員会に付託が予想されます法律案予算関連法案が五件となろうかと思いますが、その概要はお手元に配付いたしました資料のとおりであります。  このうち、所管内閣官房及び宮内庁関係法律案につきまして御説明を申し上げます。  内閣官房所管内閣法等の一部を改正する法律案は、内閣機能強化という観点から、内閣総理大臣補佐官設置等を行うものであります。また、宮内庁所管皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、内廷費定額及び皇族費算出の基礎となる定額を改定するものであります。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。  続きまして、総理府本府の所管行政について申し上げます。  まず、国際平和協力業務につきましては、これまでカンボジアモザンビーク等における国連平和維持活動への参加に加え、ルワンダ難民救援活動を行うなど積極的に実施してまいりました。いずれの活動も国際的に高く評価をされているところであり、また我が国においても国民理解と支持が深まっているものと考えております。現在もゴラン高原で行われている国連平和維持活動参加をいたしておりますが、今後ともこれらの経験を十分に踏まえながら、国際平和協力法に基づく人的貢献努力を積極的に積み重ねてまいる所存であります。  次に、女性社会のあらゆる分野に男性と対等に参画する男女共同参画社会を実現することは、女性問題担当大臣として極めて重要な課題であると考えております。現在、男女共同参画審議会においては、昨年の世界女性会議において採択された女性地位向上のための行動綱領視野に入れつつ、男女共同参画社会総合的ビジョンについて検討をしております。本年夏に出される予定答申を踏まえ、国内行動計画を策定して実施に移してまいる所存であります。  また、審議会等における女性委員の比率を本年三月末までに一五%にするという目標の達成に向け全力を挙げているところであり、今後とも公的部門への女性参画促進に一層努めてまいる所存であります。  いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、昨年七月に発足した女性のためのアジア平和国民基金に対し、政府として引き続きできる限りの協力を行ってまいる所存であります。  さらに、いわゆる恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者の方々の問題につきましては、平和祈念事業特別基金を通じまして関係者に慰藉の念を示す事業を適切に推進してまいりたいと考えております。  障害者施策につきましては、昨年十二月に障害者対策に関する新長期計画の具体的な実施計画として、障害者プランを策定いたしました。障害者施策推進本部の副本部長として、新長期計画及び障害者プランの実効ある展開を図り、障害者自立社会参加を一層推進してまいります。  政府広報につきましては、政府施策に対し国民の御理解と御協力を得るため、我が国の当面している課題に重点を置き、広報・広聴活動を積極的に実施してまいる所存であります。  また、その他の所管事項につきましても、施策推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。委員各位の深い御理解格段の御協力お願いする次第であります。  引き続きまして、平成年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管平成年度における歳出予算要求額は百六十九億七千五百万円でありますが、これは内閣官房に必要な経費七十一億九百万円、内閣法制局に必要な経費九億一千三百万円、人事院に必要な経費八十九億五千三百万円であります。  次に、総理府所管平成年度における歳出予算要求額は九兆八百三十億八千六百万円でありますが、当委員会において御審議を願っておりますのは、総理本府に必要な経費三百七十八億一千八百万円、日本学術会議に必要な経費十一億七千七百万円、国際平和協力本部に必要な経費五億六千三百万円、宮内庁に必要な経費百十一億九千八百万円であります。  これをもちまして平成年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わらせていただきます。  よろしく御審議くださるようお願いを申し上げます。
  21. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 次に、総務庁長官から所信及び平成年度総務庁関係予算説明を聴取いたします。中西総務庁長官
  22. 中西績介

    国務大臣中西績介君) 第百三十六回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、所信一端を申し上げます。  第一に、行政改革推進機構定員等審査等についてであります。  行政改革内閣の最重要課題であり、昨年十二月に閣議決定された「当面の行政改革推進方策について」に沿って積極的に取り組んでまいります。  具体的に申し上げますと、規制緩和については規制緩和推進計画に基づき着実に推進するとともに、先般の行政改革委員会意見を最大限に尊重し、内外からの意見要望等を踏まえつつ、本年度末に同計画をより充実した内容に改定することとしております。  地方分権については、地方分権推進法に基づき、地方分権推進委員会中間報告とその後の具体的な勧告を受け、速やかに地方分権推進計画を策定し、権限委譲などの施策を総合的かつ計画的に推進してまいります。  特殊法人については、すべての法人事業合理化効率化実施するとともに、十六の法人を八法人に統合し、五つの法人について廃止、民営化等を行うほか、ディスクロージャーを推進してまいります。  行政機関の保有する情報を公開するための法律その他の制度整備については、行政改革委員会において精力的に調査審議が行われ、本年十二月までに意見具申がなされることになっております。  平成年度機構定員等については、機構の膨張を厳に抑制し、簡素合理化推進するとともに、平成年度最終年度とする第八次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施する一方、増員を厳しく抑制し、二千百八人の純減を行うこととしております。  なお、平成年度以降においても、政府部内における定員管理の円滑適切な運営に資するため、計画的削減の方式を継続することといたしております。  行政情報化については、国民立場に立った効率的、効果的な行政の実現を図る観点から、行政情報化推進計画に基づき、省庁間ネットワーク各種情報システム、データベースの整備などに積極的に取り組んでまいります。  また、行政サービス向上を目的としたさわやか行政サービス運動についても、引き続き全国的かつ持続的に展開してまいります。  第二に、国家公務員人事管理については、行政総合性の確保及び行政をめぐる諸環境変化等への対応といった観点を踏まえ、省庁間人事交流を積極的に推進するとともに、職員の啓発交流機会整備充実を図る一方、福利厚生を充実してまいります。また、来るべき本格的な高齢社会を展望し、公務部門における高齢者雇用に積極的に取り組んでまいります。同時に、国民全体の奉仕者である国家公務員服務規律の一層厳正な保持に努めてまいります。  第三に、行政監察については、現在、港湾行政特殊法人財務内容の公開、規制行政等調査実施しているところであり、今後とも政府重要行政課題計画的に取り上げてその解決促進を図るとともに、規制緩和等行政改革推進に努めてまいります。  また、行政相談については、今後とも国民行政に関する苦情等を幅広く受け付け、国民立場に立った行政苦情解決に鋭意取り組んでまいります。特に、行政制度運営基本に係る苦情等については、行政苦情救済推進会議意見を踏まえ、的確かつ効果的な処理を推進してまいります。  第四に、恩給行政については、恩給国家補償的性格を踏まえ、恩給受給者に対する処遇の適正な改善に努めてまいる所存であり、今国会において平成年度恩給改善措置実施するための恩給法等の一部を改正する法律案の御審議お願いしております。  第五に、統計行政については、昨年三月の統計審議会答申統計行政の新中・長期構想」に沿って、社会経済変化に対応した統計調査見直し主要統計調査実施時期の見直し結果に基づく計画的な実施報告者負担軽減調査結果の提供の拡大等を着実に推進するとともに、事業所企業統計調査社会生活基本調査等国勢基本に関する各種統計調査の円滑な実施に万全を期してまいります。  第六に、青少年対策等特定行政施策総合調整についてであります。  青少年対策については、情報化国際化高齢化などが急速に進展する中で、未来を担う青少年育成が重要な課題であることから、ボランティア活動を初めとする青少年社会参加促進や、いじめ対策等非行防止なども含めた青少年健全育成対策を総合的に推進してまいります。また、国際的な視野国際協力精神を養う観点から、世界青年船事業など青少年国際交流事業を積極的に推進してまいります。  交通安全対策については、厳しい交通事故状況に対処するため、本年度中に第六次交通安全基本計画を策定し、この計画に基づき各種施策関係省庁一体となって推進してまいります。総務庁といたしましても、シートベルト着用推進キャンペーン等官民一体となった広報啓発活動高齢者や若者に対する参加型、実践型の交通安全教育等を強力に推進してまいります。  高齢社会対策については、従来から長寿社会対策大綱に基づき推進してきたところでありますが、参議院の御提案に係る高齢社会対策基本法の制定を受け、同法の基本理念である公正で活力があり自立と連帯の精神に支えられた豊かな社会の構築を目指し、政府高齢社会対策基本的かつ総合的な指針となる大綱の案を本年六月を目途に作成することとしております。今後とも高齢社会対策の総合的な推進に取り組むとともに、高齢者社会参加及び世代間の交流推進するための啓発活動等充実強化にも努めてまいります。  地域改善対策については、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、啓発等各般事業を積極的に推進することにより、同和問題の一日も早い解決に努めているところであります。  なお、同和問題の早期解決に向けた方策あり方については、地域改善対策協議会総括部会において、同和地区実態把握等調査の結果も踏まえ、引き続き精力的に審議を進めていただくこととしております。  次に、平成年度における総務庁歳出予算について、その概要を御説明申し上げます。  平成年度総務庁歳出予算額は一兆六千百六十九億四千万円で、前年度当初予算額に比較しますと一千三十一億四千万円の減額となっております。  以下、主なものを御説明申し上げますと、恩給の支給に必要な経費として一兆五千四百三十六億六千六百万円、行政改革推進等行政運営効率化合理化等を図るために必要な経費として三十一億三千三百万円、青少年対策に必要な経費として三十一億六千五百万円、交通安全対策に必要な経費として七億九千五百万円、長寿社会対策を総合的に推進するために必要な経費として一億三千七百万円、地域改善対策啓発活動等に必要な経費として十一億八千四百万円、統計調査実施等に必要な経費として三百十三億四千万円を計上いたしております。  以上、所信一端を申し述べますとともに、総務庁予算概要を御説明いたしましたが、委員長理事を初め委員各位の深い御理解格段の御協力お願いする次第であります。
  23. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 次に、防衛庁長官から所信及び平成年度防衛庁関係予算説明を聴取いたします。臼井防衛庁長官
  24. 臼井日出男

    国務大臣臼井日出男君) 防衛庁長官臼井日出男でございます。  本日は、平素から我が国安全保障に深い関心を持たれ、御指導いただいている宮崎委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げるとともに、あわせて私の所信一端を申し述べさせていただきたいと思います。  まず最初に、国際情勢について見ますと、冷戦終結等に伴い、圧倒的な軍事力背景とする東西間の軍事的対峙の構造が消滅し、世界的な規模武力紛争が生起する可能性は遠のきましたが、複雑で多様な地域紛争の発生や大量破壊兵器拡散等国際情勢は依然として不透明、不確実な要素をはらんでおります。一方、これに対し、国際関係の一層の安定化を図るための各般努力が継続されております。  我が国周辺におきましては、冷戦終結やソ連の崩壊といった動きのもとで極東ロシア軍事力量的削減軍事態勢変化が見られる一方、依然として核戦力を含む大規模軍事力が存在している中で、多数の国が経済発展等背景軍事力の拡充ないし近代化に力を注いでいます。また、朝鮮半島における緊張が継続するなど不透明、不確実な要素が残されており、安定的な安全保障環境が確立されるには至っておりません。しかしながら、同時に、二国間対話拡大地域的な安全保障への取り組み等国家間の協調関係を深め地域の安定を図ろうとする種々の動きが見られます。  次に、国内状況を見ますと、近年、科学技術が進歩を遂げていること、今後一層若年人口の減少が見込まれること、経済財政事情格段に厳しさを増していること等の変化が見られます。  また、昨年の阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件における活動等カンボジアモザンビーク及びザイール等における国際平和協力業務に際しての自衛隊部隊等の活躍により、自衛隊の果たす役割に対する期待が高まっております。  このような内外の諸情勢を踏まえ、昨年十一月、政府我が国防衛力あり方についての新たな指針となる新防衛大綱を、さらに十二月にはこの新防衛大綱のもとでの最初の中期的な計画である新しい中期防衛力整備計画を決定いたしました。  この新防衛大綱、新中期防につきましては別途御報告申し上げたいと考えておりますが、私としては、この新防衛大綱、新中期防に基づき、国民期待と信頼にこたえ得るよう自衛隊運営に努め、積極的に防衛政策推進してまいる所存であります。  現在、国会で御審議をいただいております平成年度防衛関係費につきましては、対前年度比二・五八%増の四兆八千四百五十五億円を計上しております。格段に厳しさを増している財政事情を踏まえ、本予算においては厳しい経費枠の中で防衛力全体としてその機能を円滑かつ十分に果たし得るよう配慮し、新防衛大綱、新中期防の初年度にふさわしいものとなっております。  具体的には、正面装備については、老朽装備の更新、近代化基本とした整備を行うこととしております。また、自衛隊の維持運営、教育訓練等の実施に必要な所要の事業推進するほか、生活関連施設の整備、処遇改善等の隊員施策推進するとともに、引き続き各種事業全般にわたって広く効率化合理化を図ることとしております。さらに、災害派遣を適切に実施し得るよう装備等の充実を図るほか、周辺諸国との信頼醸成を推進するため、安全保障対話等の活動について一層の充実を図ることとしております。  防衛力整備と並び我が国防衛の根幹をなす日米安全保障体制については、その信頼性の向上のため、あらゆる機会をとらえて防衛当局間の協議を行い相互の意思疎通を図ることを初め、これを有効に機能させていくため、共同研究、共同訓練等各種防衛協力、装備・技術面での幅広い相互交流、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための各種施策等の実施に努めてまいる所存であります。  また、沖縄の米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、日米安保体制堅持という基本方針のもとで、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ総合的に検討し、米側と協議の上、現実的にかつ誠意を持って対応してまいります。  さらに、日米共同訓練等の際の部隊間における物品・役務の相互融通の仕組みの構築についても、できる限り早く合意を得べく検討を進めてまいりたいと考えております。  先般、ゴラン高原に展開されている国際連合兵力引き離し監視隊(UNDOF)参加のため自衛隊部隊等が派遣されたところですが、今後ともこのような国際平和協力業務実施し国際平和のための努力に寄与するとともに、安全保障対話、防衛交流を引き続き推進すること等を通じ、我が国の周辺諸国を含む関係諸国との間の信頼関係の増進を図ることにより、より安定した安全保障環境の構築への貢献に尽力してまいります。  また、本国会には、防衛庁任務の円滑な遂行を図るため、統合幕僚会議情報本部を新設するとともに、防衛大学校に社会科学に関する研究科を新設すること等を内容とする防衛庁設置法の一部を改正する法律案を提出しております。冷戦後の国際情勢に的確に対応するためには、高度の情報収集・分析等を総合的に実施し得る体制等の充実が必要であり、また自衛隊任務の多様化、国際化に対応し、幹部自衛官等に対し自衛隊任務の遂行に資するための高度な研究能力等を修得させる必要があります。委員の皆様には、この法案が速やかに成立しますよう御理解と御協力を賜りたいと存じます。  最後に、私は、国民理解と支持を得ながら、我が国の安全確保のために全力をもって国防の任に当たってまいる所存でありますので、宮崎委員長を初め委員各位におかれましても、我が国安全保障に関し幅広く議論される場である当委員会での御審議を通じ、なお一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。
  25. 宮崎秀樹

  26. 佐藤謙

    政府委員(佐藤謙君) 平成年度防衛庁予算について、その概要を御説明いたします。  平成年度防衛関係費については、新防衛大綱のもと、新中期防に従い、適切な防衛力整備に努めるとの考え方のもと編成しているところであります。  まず、防衛本庁について申し上げます。  平成年度防衛本庁の歳出予算額は四兆二千七百二十五億八千二百万円で、前年度の当初予算額に比べますと一千百六十九億七千百万円の増加となっております。  新規継続費は平成年度甲型警備艦建造費等で一千百七十八億二千六百万円となっており、また国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆六千四百二十億二千二百万円となっております。  また、平成年度における情報本部の新設及びこれにあわせて行う自衛官の定数の変更並びに防衛大学校の総合安全保障研究科の新設については、防衛庁設置法の一部を改正する法律案を提出し、別途御審議お願い申し上げております。   この予算内容について申し上げます。  平成年度防衛本庁の予算において特に重点を置いた事項について申し上げると、次のとおりであります。  第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、老朽装備の更新、近代化基本としてその整備を進めることとし、九〇式戦車、要撃戦闘機F15DJ等の調達を行うほか、護衛艦四千四百トン型等の建造に着手することとしております。  第二に、指揮通信・情報機能の充実を図るため、情報本部を新設し、新中央指揮システムの整備に着手するとともに、引き続き固定式三次元レーダー装置等の整備等を進めるほか、防衛大学校における総合安全保障研究科の新設や、国際化、装備品の高度化に対応した教育訓練の充実を図る等、教育訓練の推進に努めることとしております。  第三に、隊員施策については、隊舎、宿舎等の生活関連施設の充実を図るとともに、諸手当の改善、生活勤務環境改善等きめ細かい配慮を行い、隊員の処遇改善に努めることとしております。  第四に、技術進歩の趨勢等を勘案し、装備品の研究開発を推進するため、救難飛行艇(USlA改)、新中距離地対空誘導弾等の研究開発を実施することとしております。  第五に、安全保障対話等の充実を図るため、これまで実施してきた交流等に加え、アジア太平洋地域内の安全保障改善のためのハイレベルワークショップの開催、「北東アジア戦略概観(仮称)」の刊行等を実施するほか、国際関係課の新設を行い、所要の体制整備を行うこととしております。  この予算の機関別の主な内容について申し上げます。  陸上自衛隊歳出予算額は一兆七千九百二十一億八千八百万円、国庫債務負担行為は四千三百六十一億六千五百万円となっております。  陸上装備については、九〇式戦車十八両、八九式装甲戦闘車三両、装輪装甲車十七両、百五十五ミリりゅう弾砲FH70十三門、新多連装ロケットシステム九両、八七式自走高射機関砲二両等の調達を予定しております。  誘導弾については、八一式短距離地対空誘導弾改善用装備品ニセット、九三式近距離地対空誘導弾八セット、八八式地対艦誘導弾四両、多目的誘導弾システムニセット、九一式携帯地対空誘導弾九セット等の調達を予定しております。  航空機については、対戦車ヘリコプターAHlS一機、多用途ヘリコプターUH60JA四機、多用途ヘリコプターUHlJ七機、輸送ヘリコプターCH47JA二機、合わせて十四機の調達を予定しております。  海上自衛隊歳出予算額は一兆一千百八十五億二千五百万円、新規継続費は一千百七十八億二千六百万円、国庫債務負担行為は四千四百六十九億七百万円となっております。  艦艇については、護衛艦四千四百トン型一隻、潜水艦二千七百トン型一隻、掃海艇五百十トン型一隻、海洋観測艦三千三百トン型一隻、潜水艦救難艦五千四百トン型一隻、合わせて五隻の建造に着手することとしております。  航空機については、哨戒ヘリコプターSH60J六機、電子戦訓練支援機UP3D一機、救難飛行艇USlA一機、救難ヘリコプターUH60J二機、初級操縦練習機T5二機、合わせて十二機の調達を予定しております。  航空自衛隊歳出予算額は一兆一千三百六十五億六千六百万円、国庫債務負担行為は六千四百六十八億三千万円となっております。  航空機については、要撃戦闘機F15DJ四機、支援戦闘機F2十一機、中等練習機T4九機、救難捜索機U125A三機、救難ヘリコプターUH60J一機、多用途支援機U4一機、合わせて二十九機の調達を予定しております。  なお、要撃戦闘機F4EJについて、引き続き延命に伴う相対的な能力不足を改善するための改修及び偵察機転用のための改修を行うこととしております。  誘導弾については、九一式携帯地対空誘導弾六セットの調達を予定しております。  なお、現有の地対空誘導弾ペトリオットについて、能力向上のための改修を行うこととしております。  内部部局、統合幕僚会議、施設等機関等の歳出予算額は二千二百五十三億二百万円、国庫債務負担行為は一千百二十一億二千万円となっております。これは情報本部の新設、新中央指揮システムの整備各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。  また、自衛官の定数については、情報本部の新設にあわせて、陸上自衛隊については五百七十人、海上自衛隊については三百三十三人、航空自衛隊については三百四十九人を減じ、統合幕僚会議については一千二百二人の増とすることとしております。  以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき安全保障会議に諮り決定されたものは、自衛官の定数の変更のほか、九〇式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホーク改善用装備品、八八式地対艦誘導弾、九三式近距離地対空誘導弾等誘導弾の調達、対戦車ヘリコプターAHlS、輸送ヘリコプターCH47JA、哨戒ヘリコプターSH60J、要撃戦闘機F15DJ、支援戦闘機F2等航空機四十六機の調達等、護衛艦四千四百トン型等艦艇五隻の建造、新中距離地対空誘導弾の開発の着手であります。  また、ゴラン高原派遣輸送隊の派遣については、ゴラン高原国際平和協力業務実施計画平成七年十二月十五日閣議決定)を踏まえ、国際平和協力手当等の人件費、現地活動に係る維持的経費等の所要経費として二億四千六百万円を計上しております。  さらに、安全保障対話の充実等については二億百万円を計上しております。  次に、防衛施設庁について申し上げます。  平成年度防衛施設庁の歳出予算額は五千七百二十六億五千六百万円で、前年度の当初予算額に比べますと四十八億九千三百万円の増加となっております。また、国庫債務負担行為は一千百六億六千七百万円となっております。  この予算内容について申し上げます。  平成年度予算において特に重点を置いた事項は次のとおりであります。  第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成など基地周辺地域の生活環境整備等の推進を図ることとしております。  第二に、在日米軍駐留経費負担については、日米安全保障体制の効果的な運用に資するため、提供施設の整備、労務費及び光熱水料等の負担の充実を図るほか、新たに訓練移転費を負担することとしております。  この予算の各項別の主な内容について申し上げます。  施設運営等関連諸費は、歳出予算額三千九百十六億八千四百万円、国庫債務負担行為に一千百六億三千六百万円となっております。このうち、基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費七百十八億六千八百万円を含め、歳出予算に一千五百三十八億八千七百万円、国庫債務負担行為に百十四億六千九百万円をそれぞれ計上しております。  また、防衛施設用地の借料を初めとする補償経費等に要する経費として一千九十一億八千四百万円を計上しております。  このほか、日米安全保障体制の効果的な運用に資するため、提供施設の整備として歳出予算に九百七十二億六千三百万円、国庫債務負担行為に九百九十一億六千七百万円をそれぞれ計上し、さらに光熱水料等を負担するために要する経費三百九億九千九百万円及び訓練移転費を負担するために要する経費三億五千百万円を計上しております。  調達労務管理費には、在日米軍の効果的な活動を確保するため、在日米軍従業員の基本給等を負担するために要する経費一千百八十五億九百万円を含め、基地従業員対策等に要する経費として一千四百七十四億九千五百万円を計上しております。  提供施設移設整備費には、提供施設の整理、統合の計画的処理を図るため、歳出予算に三億二千百万円、国庫債務負担行為に三千百万円をそれぞれ計上しております。  その他、相互防衛援助協定交付金一億三千三百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費三百三十億二千四百万円を計上しております。  なお、以上申し述べました防衛施設庁予算のうち沖縄関係経費について申し上げますと、防衛施設用地の借料、基地周辺対策事業及び提供施設の整理、統合等に要する経費として歳出予算に一千六百十一億一千九百万円、国庫債務負担行為に二百十六億四千五百万円をそれぞれ計上しております。  以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算安全保障会議予算を加えた平成年度防衛関係費は四兆八千四百五十四億七千九百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと一千二百十八億六千九百万円、二・五八%の増加となっております。  以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁の予算概要説明を終わります。
  27. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 次に、平成年度における皇室費について政府委員から説明を聴取いたします。森宮内庁次長
  28. 森幸男

    政府委員(森幸男君) 平成年度における皇室費歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  皇室費平成年度における歳出予算要求額は六十三億八千百四万三千円でありまして、これを前年度当初予算額五十八億三千十一万九千円と比較いたしますと五億五千九十二万四千円の増加となっております。  皇室費歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費三億二千四百万円、宮廷に必要な経費五十七億五千五十一万八千円、皇族に必要な経費三億六百五十二万五千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して三千四百万円の増加となっております。  これは内廷費定額二億九千万円を平成年度においては三億二千四百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  宮廷に必要な経費内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費六億二千九百八十三万三千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費五十一億二千六十八万五千円でありまして、前年度に比較して五億九百八十五万四千円の増加となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して七百七万円の増加となっております。これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額二千七百十万円を平成年度においては三千五十万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴い同じく皇室経済法施行法の一部を改正する法律案として今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。  以上をもちまして平成年度皇室費歳出予算計上額の説明を終わります。  よろしく御審議くださるようお願いいたします。
  29. 宮崎秀樹

    委員長宮崎秀樹君) 以上で所信及び予算説明聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会      —————・—————