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1996-05-10 第136回国会 衆議院 労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十日(金曜日)     午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 岡島 正之君    理事 大野 功統君 理事 森  英介君    理事 若林 正俊君 理事 上田  勇君    理事 北橋 健治君 理事 池田 隆一君    理事 金田 誠一君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       田澤 吉郎君   田野瀬良太郎君       長勢 甚遠君    藤尾 正行君       二田 孝治君    細田 博之君       宮里 松正君    江田 五月君       須藤  浩君    桝屋 敬悟君       松岡滿壽男君    柳田  稔君       井上 一成君    岩田 順介君       岡崎トミ子君    三原 朝彦君       寺前  巖君  出席国務大臣         労 働 大 臣 永井 孝信君  出席政府委員         労働政務次官  坂井 隆憲君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省労政局長 七瀬 時雄君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君  委員外出席者         労働省労政局勤         労者福祉部長  藤井 龍子君         労働委員会調査         室長      松原 重順君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   長勢 甚遠君     金田 英行君   柳田  稔君     樽床 伸二君   三原 朝彦君     簗瀬  進君 同日  辞任         補欠選任   金田 英行君     長勢 甚遠君   樽床 伸二君     柳田  稔君   簗瀬  進君     三原 朝彦君 同月二十五日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   志位 和夫君     寺前  巖君 五月八日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     田名部匡省君   寺前  巖君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     柳田  稔君   志位 和夫君     寺前  巖君 同月十日  辞任         補欠選任   大石 千八君     細田 博之君   佐藤 孝行君    田野瀬良太郎君 同日  辞任         補欠選任  田野瀬良太郎君     佐藤 孝行君   細田 博之君     大石 千八君     ――――――――――――― 四月二十六日  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、公共職業安定所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第三号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十六日  女子学生就業促進に関する陳情書  (  第二五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三九号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、公共職業安定所設置に関し承認を求める  の件(内閣提出承認第三号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 岡島正之

    岡島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案及び内閣提出参議院送付地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件の両案件議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。坂井労働政務次官。     —————————————  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 坂井隆憲

    坂井政府委員 ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  勤労者財産形成促進制度は、勤労者の計画的な財産形成を促進し、その生活の安定を図ることを目的としており、昭和四十六年の制度発足以来、七次にわたる法改正が行われ、逐次内容充実が図られてまいりました。現在、勤労者財産形成貯蓄を行う勤労者は千七百万人を超え、その貯蓄額は十八兆円近くに達するなど、我が国勤労者生活において大きな役割を果たしてきているところであります。  しかしながら、近年における少子・高齢化進展労働移動増加等状況のもとで、我が国経済社会を支えている勤労者の活力の維持を図りつつ、豊かさを実感し、安定した勤労者生活の実現を図るためには、勤労者自助努力を基本に、これを支援する仕組みを拡充することが必要となっております。  また、企業規模によって依然として格差が見受けられる企業内福祉充実観点からも、中小企業への財形制度の導入を促進し、もって中小企業勤労者福祉の向上を図ることが求められております。  政府は、このような状況にかんがみ、勤労者財産形成施策充実強化を図るための案を勤労者財産形成審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案として提出した次第であります。  次に、この法律案内容につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一は、勤労者財産形成貯蓄活用に関する支援であります。  勤労者の生涯にわたる生活設計支援するため、勤労者が、計画的に財産形成を行い、育児、教育、介護等について一般財形貯蓄の払い出しにより対処した場合に、当該勤労者財産形成貯蓄活用給付金を支払う事業主に対し、雇用促進事業団助成金を支給することとするとともに、財産形成貯蓄活用給付金について課税上特別の措置を講ずることとしております。  第二は、中小企業における財形事務事務代行制度の創設であります。  中小企業における財形事務負担軽減を図るため、中小企業事業主事務代行団体に対し財形事務を委託できる制度を創設するとともに、これらの業務に関して雇用促進事業団が必要な助成を行うことといたしております。  第三は、勤労者財産形成貯蓄制度改善であります。  勤労者転職等をした場合で、転職先等財形制度が導入されていないときでも、計画的な財産形成の継続を可能とする措置を講ずるとともに、財形貯蓄商品選択を幅広く行うことができるよう、財形貯蓄について他の金融機関財形貯蓄商品への預けかえを可能とする制度を創設することといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその内容概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現在、労働省地方支分部局として、公共職業安定所が全国に配置されておりますが、これに関して、現下の重要課題である行政改革の一環として、その一部を整理統合するとともに、近年の地域の実情の変化に伴い、その配置の適正化を図る必要が生じてきております。  この案件は、平成八年度において行う予定の右の理由による再編整理に伴い、札幌北公共職業安定所設置を行うことについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  4. 岡島正之

    岡島委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 岡島正之

    岡島委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田隆一君。
  6. 池田隆一

    池田(隆)委員 社民党の池田でございます。  ただいま提案されました二つ案件について、総括的に質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、財形法に関連してでございますけれども、この財形制度が発足したのは一九七一年、昭和四十六年でございます。翌年の四十七年の三月末の財形貯蓄の総残高が、資料によりますと約十二億八千万であった。今御説明にもありましたけれども、昨年の七月末ではその残高が、三つ財形合わせて約十八兆円に迫る金額になっているという形で、勤労者の中には本当に浸透しているのではないかなという思いをしています。  また、預け入れ先金融機関としては、都市銀行を初め信託銀行、信用金庫、さらには信用組合、農協、漁協、さらに生保、損保、証券会社、さらにまた郵便局という形で、いわゆるノンバンク以外はすべて金融機関がこれに参画をしているという状況も明らかになっています。  今参議院の段階で、本会議で本年度予算が、特に住専処理の問題をめぐっての扱いの中で審議をされていますけれども、この住専処理問題一連の中で明らかになったのは、戦後五十年、銀行は極めて安全であるという形のものが、本当に大丈夫なのかという不安が国民の間に広がったこともあるのではないかというふうに思っています。そういう意味では、銀行安全神話が崩れたという意味において、どこの銀行が、金融機関が安全なのかということを国民に知らしめるという意味においては、一つの別の観点からの成果ではなかったかなというふうに思っています。  そこで、そのことを逆に考えれば、言葉を言いかえれば、財形加入している勤労者が、預け入れている金融機関が本当に安心なのかどうなのかということが問われてくるんではないかというふうに思います。金融機関破綻については、近年でも東京二つ信用組合、コスモ、木津など現実破綻しているわけですね。  そこでお尋ねしますが、今現実に、最近破綻をした金融機関財形制度加入している貯蓄はどのように保護されてきたのか、扱われてきたのか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
  7. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生が幾つかの信用組合の名前を挙げられましたけれども、私どもが把握している限りでは、いずれの信用組合財形貯蓄は扱っていないというふうに承知いたしております。  それで、一般的に、例えば東京二信組のように破綻に瀕した金融機関が他の金融機関に営業譲渡した場合には、財形貯蓄の新金融機関への移管がなされまして、その後も財形貯蓄は継続され、財形年金貯蓄あるいは住宅貯蓄利子非課税についても継続されることになっております。
  8. 池田隆一

    池田(隆)委員 そこで、これから国会審議されるわけですけれども、これからの金融のあり方をめぐって、どう金融を再整理していくのか、保証をどうしていくのかという視点も含めながら審議されていくわけですけれども、今後の一般的な金融政策原則として、政府は、五年間は預け入れられた貯蓄については保証していきたい、その後状況によってはペイオフ、一千万までの保証しかでき得ないということで、金融機関のディスクロージャーを図る中でそういうことを進めていきたいということを言われています。  そうしますと、財形制度加入している貯蓄も、やはり年金や、さらに住宅という形でいけば多額の金額貯蓄していくわけですので、そのことがどういうふうに扱われるのか、ペイオフとして一千万までしか保証されていかないのか。とすれば、その預入先をどういうふうに変更していくのかということでも、いろいろと勤労者の中で不安が生じていくのではないかと思うのです。  そういう意味で、財形加入している勤労者の皆さんが、その心配をどういうふうに解消していけばいいのかということでいろいろ疑問も問い合わせもあるわけですけれども労働省としては将来的な展望としてペイオフはどういうふうに押さえているのか、財形におけるペイオフはどういうふうに押さえているのか。それから、そういうふうな事態になっていくと、保護をする視点からいって、財形法を将来的に改正していくというようなことが生じないのかどうなのか、それらの見解をお聞きをしたいと思います。
  9. 藤井龍子

    藤井説明員 財形貯蓄も、ほかの貯蓄と同様に、取扱金融機関が倒産した場合にはペイオフの対象となっているわけでございます。その限りにおいて保護されていると申し上げてよろしいかと思います。ただ、先生指摘のように、財形制度は、勤労者財産形成のための自助努力事業主と国が支援していく制度でございまして、国といたしましては、利子非課税措置を設けるなど、支援普及促進を図っているところでございます。  その観点から、最近の金融機関をめぐる状況あるいは金融制度改善の動きにつきましては、私どもとしましても大変重大な関心を持っておりまして、今後、状況進展に応じ研究を深めていく課題と考えているところでございます。
  10. 池田隆一

    池田(隆)委員 法に基づいて勤労者のために貯蓄制度をしているという観点ですから、一般的に選択をして貯蓄をしていくという意味合いとちょっと違うんですね。そういう意味で、預金者保護という視点がより以上この財形加入者については厚く扱われるべきじゃないかという思いがするわけですので、そのことも含めて今後とも検討していただきたいというふうに思います。  そこで、財形契約者の推移を見ていきますと、平成四年と平成七年の比較では、財形貯蓄では約百万人、年金では三十万人、住宅では二十万人、契約者が減少している状況にあります。また、契約事業所も、財形貯蓄では約五十万、年金では九万、住宅では六万という形で、これも残念ながら減少しています。預入金額が多くなっていますから貯蓄残高としては総体的に伸びていますけれども、そういう状況にあるのではないかというふうに思っています。  ところが、昨年七月に出された財形制度研究会報告では、契約数事業所数とも伸び悩んでいるという表現を使っていますけれども現実的には減少しているのが実態ではないかなという思いがするわけです。このように減少している実態労働省としてはどのように分析をされているのか、お聞きをしたいと思います。
  11. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 大変残念なことでございますが、確かに先生が御指摘になったような状況財形貯蓄にはございます。  その原因として、一つには、昭和六十三年の法改正で、税制上の優遇措置を講じられるものが住宅年金だけになった、つまり、一般財形のメリットが縮小してしまったということがあろうかと思います。それから二番目には、最近の低金利下におきまして住宅建設が促進されたことから、住宅財形について、住宅を取得するために解約をする事例が出てきたということがあろうかと思います。それから三番目には、中小企業におきましては事務を担当できる職員がいないなど、十分な事務処理体制がないということで、例えば非課税限度額の管理の事務など、財形事務に関する負担が非常に大きいというようなことがあるのではなかろうかと思います。  こういう状況でございますので、私どもが今回お願いしております制度改善を契機といたしまして、中小企業勤労者を含め、できるだけ多くの勤労者財形制度活用いたしまして充実した職業生活を送ることができるように、さらに制度充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  12. 池田隆一

    池田(隆)委員 その昨年七月の財形制度研究会報告の中では、伸び悩んでいる原因というのもるる述べられています。例えば事業所事務負担の問題、今述べられましたけれども、さらには金融自由化の中での貯蓄商品多様化等々、大きくは四項目ほど挙げられています。  財形制度加入促進には、第一義的には勤労者加入意思加入したいという意思が最も重要だというふうに考えます。次には、やはり事業所できちっとその手続をしてくれるか、理解と協力をしてくれるかということが次の大きな問題だろうというふうに思います。  そこで、今回の改正で、新しく財産形成貯蓄活用助成金制度であるとか中小企業における財形事務事務代行制度が導入されたことは、大きなインパクトを与えて加入促進につながるのではないかという期待があるわけでございます。  しかし、報告書でも指摘されていますけれども、大前提である給与天引き事務負担、これが制度伸び悩みの一因でもあるというふうに指摘されているわけですね。そうすると、天引きそのものがこの財形制度の大原則でございますから、ここをどうクリアしていくのか、この事務負担軽減していくのかということが解決できれば、さらに大きな加入促進につなげていけるのではないかというふうに思うわけです。  そこで、極めて個人的でございますけれども給与天引きについては、現在あらゆる観点の中で個人の口座から引き落としていくという形が、例えばカードを通して自分の買ったものだとか、さらには生命保険等でも口座からというような形で、口座引き落としが非常に普及しているという状況を考えていけば、この財形制度加入についても、何らかの勤労者であるという証明を得た中で口座引き落としが進むということも考えてもいいのではないか、研究してもいいのではないかというふうに思うところでございますけれども、そのことの見解も含めて、さらに加入促進についてどのように考えておられるのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  13. 藤井龍子

    藤井説明員 財形貯蓄制度は、事業主による賃金控除、それから払い込み代行ということを契約要件としているわけでございますが、これは勤労者貯蓄であることを明確にするためのものでありますとともに、事業主勤労者財産形成に協力するという財形制度趣旨を体現したものでございます。  したがいまして、給与天引きというのは財形制度のいわば根幹にかかわる問題でございますので、先生指摘口座引き落としというのもなかなか難しい問題かと存じております。ただ、将来に向けまして、税制との関係も含め、御指摘の件も勤労者のニーズも踏まえて検討を進めてまいりたいと存じております。  それから、労働省といたしましては、今回の改正事務代行制度というものを創設する予定にしてございます。それによりまして中小企業事業主の方々の事務負担をできるだけ軽減して、中小企業への普及を一層図ってまいりたいと存じているところでございます。
  14. 池田隆一

    池田(隆)委員 確かに、勤労者が勤めている事業主理解をしてもらって給与から天引きをしていく、これが制度根幹だということは十分わかっています。しかし、研究会報告でも、伸び悩み原因として、事務負担量が多くなっている、それも天引きそのもの負担なのだということになってきますと、その根幹をなしている部分制度として行き詰まりもあるのではないかというふうに思いますので、研究課題として積極的に研究をしていただきたいというふうに思うところでございます。  そこで、この制度発足以来、中小企業普及促進が最大の課題だというふうに言われてきています。中小企業、三十人以上の従業員を抱えている企業からそれぞれ統計上その加入状況が明らかにされていますけれども、やはり総じて大企業との差が大きい。特に中小企業においては、福利厚生面でいえば、大企業との比較でいって、一般的な福利厚生でも非常に差があるというふうに言われています。  この財形制度福利厚生の一部分として大きな意味合いを持つだろうというふうに考えるわけですけれども、これも事業主給与天引きをしていただいて、事務を処理していただくという形で協力できるものでさえでき得ないということは、他の例えば施設等を整備して福利厚生をしていくという形になっていくと、ますます大企業との大きな格差が出てきているのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味では、この財形制度における中小企業加入促進策というのは、中小企業に働く者の福利厚生観点からも極めて重要だろうというふうに、それぞれこの労働委員会の中では過去全会派的に一致されているところだろうと思います。  したがって、中小企業加入促進策をどうするのかということについてさらに検討している部分がありましたら出していただきたいと思いますし、あわせて、一般的に言う中小企業福利厚生対策施設等の部面も含めまして何か研究したり具体的な対策をしているものがあれば、明らかにしていただきたいというふうに思います。
  15. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 財形制度の側面から中小企業普及促進を図るということにつきましては、今回お願いしております法改正によりまして、中小企業事業主中小企業団体などに財形事務を委託することができるようにするような制度を設けて事務負担軽減を図る、それから中小企業勤労者自助努力に対する支援をできるだけ手厚くするというような形で、いわば財形を魅力あるものにするという形で着実に普及促進を図ってまいりたいと思っております。  それから、一般的な意味での中小企業と大企業との間での福利厚生面での格差につきましては、こういった規模間格差を是正していくということ、そして、そのことによって中小企業勤労者が安心してゆとりある生活を実感できるようにすることが重要な課題であると考えておりまして、そういった意味で、勤労者福祉の増進に取り組む中小企業勤労者福祉サービスセンターの拡充を通じ、そういうようなサービスセンターでいろいろな情報も提供して、福祉にアクセスできやすいような環境をつくっていくということが非常に重要なことではないかと思っております。
  16. 池田隆一

    池田(隆)委員 積極的な対策をお願い申し上げたいと思います。  そこで、この財形部分についての最後の御質問ですけれども加入者から大変要求が強いのは、年金財形さらには住宅財形、合わせて五百五十万円の非課税限度額、これをさらに引き上げてくれないか、当面一千万までどうかというような要望があるわけでして、私たちもそういうことを与党の調整会議の中でもいろいろと言っております。労働省としてこのことについてどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
  17. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 非課税の問題につきましては、住宅それから年金、両貯蓄合わせて五百五十万円といういわば壁がございます。ただ、高齢化社会進展する中で安定した老後生活を送るあるいは自分で家を持つというときの経費、いろいろな試算の方法があるかと思いますけれども、五百五十万ではちょっと間に合わない、そんな状況にございますので、非課税貯蓄限度額をさらに引き上げるように最大限の努力をしてまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。
  18. 池田隆一

    池田(隆)委員 労働省としても努力をしていただきたいというふうに思います。  それで最後質問でございますけれども公共職業安定所設置の問題について出されております。  地元北海道で札幌の北職業所が新設される、それは大変結構だなというふうに思うわけですけれども、道内では江差安定所出張所への降格、芦剔出張所を初め三つの分室がこれに伴って廃止される、整理統合されるという形をお聞きしております。  労働省として、やはり地元合意ということが極めて重要だろうというふうに思っていますけれども整理統合に当たって基本的にどのように地元合意を図るように取り組んでおられるのか、基本的な考え方をお聞きしておきたいというふうに思います。
  19. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま御指摘の点でございますけれども、昨年十二月二十五日に閣議決定されました行革大綱におきまして、行政組織につきましては、「その簡素・効率化を推進するとともに、新たな行政需要への対応を進めることとし、これに当たっては、スクラップ・アンド・ビルドによる組織再編合理化によることを原則とする。」とされておりまして、また、公共職業安定所出張所等整理統合など附属機関地方支分部局についても引き続き改革合理化を進める、こういう閣議決定がされたところでございまして、この方針に基づきまして、今回、必要性の高い札幌北職業安定所の新設について承認をお願いしているわけでございます。  あわせまして、この安定所の降格あるいは廃止等につきましての地元の合意の調整をどのように行っているかという点でございますけれども、この点につきましては、計画を検討するに当たりまして、関係都道府県を通じまして地元の実情などを伺いながら進めてまいったわけでございます。具体的には予算成立後、これは八年度実施ということでございますが、事実上は、八年度中ということになりますと八年度末、平成九年三月までの間に、地元の実情をお伺いし、調整をしながらこれを進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  20. 池田隆一

    池田(隆)委員 いずれにしても、整理統合行政改革の一環の中でもそういうような形で進めるわけですので、十分地元合意を図られる中で進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  21. 岡島正之

    岡島委員長 金田誠一君。
  22. 金田誠一

    金田(誠)委員 私は、承認案件の方のみに絞りまして、わずか十分しかございませんものですから、何点か質問させていただきたいと思うわけでございます。  今回、札幌に北公共職安を新設をする、その影響といいますか、そのあおりということで、実は私どもの近郊でございます北檜山分室、これが廃止をされるということでございます。札幌は膨張する一方、過密の状態でございます。一方で札幌圏以外はすべてが過疎の状態に相なっている、これが北海道の実情でございまして、雇用安定、雇用確保という立場からも労働省としても恐らくは関心の深いところ、こう思うわけでございます。  過疎地におきましては、もちろん求職難でございます。結果としては出稼ぎが日常でございます。私ども地元のある町などで基幹産業は何ですかと尋ねますと、大変役場の担当の方が自嘲ぎみに、うちの基幹産業は出稼ぎですよということをおっしゃる。おっしゃらざるを得ない。極めて深刻であるということをまず御認識いただきたいと思うわけでございます。  この原因でございますけれども、札幌が余りにも過密過ぎる、一極集中し過ぎる、ここに北海道の場合の特殊な要因があると私は思うわけでございますが、まず、この辺の認識につきまして御見解を賜りたいと思うわけでございます。
  23. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま先生、北海道におきます実情、いろいろお話ございましたが、基本的にはおっしゃるとおりであろうかと思います。
  24. 金田誠一

    金田(誠)委員 北海道、これはちょっと古い数字かもしれません、五百六十七万八千、五百七十万道民というふうに言っておりますけれども、約五百七十万人の人口のうち、道央圏、札幌圏に三百三十五万、優に半数を超える六割の人口がこの一極に集中をしておるわけでございます。  北海道の場合、広大な面積でございますから、行政圏ということで六つの圏域を設定いたしてございます。その六つの圏域のうちの一つが、五百七十万のうち三百三十数万という状態なのでございます。ちなみに他の圏域を申し上げますと、五十四万、七十一万、そして三十四万、三十五万、三十八万、こういう状態でございまして、いかに一極集中が著しいかということが御理解いただけると思うわけでございます。  私は、この原因一つとして、北海道が行政体としては一つである。例えば四国であれば四県、九州であれば七県という行政区に分かれておるわけでございますが、北海道が一つだということも少なからず起因をしている。その辺のところ、雇用確保、雇用安定というお立場からも、労働省としてもこの行政区分のあり方といいますか、これについてぜひひとつ関心を持っていただきたいということをまずは強く御要望を申し上げる次第でございます。  そして、北海道では長らく、北海道を幾つかの県に分けろ、北海道分県とかあるいは廃道置県とかという言葉で言われておりますけれども、こういう運動がずっと底流にあるわけでございます。いきなりそうしたことは難しい話だということは認識をいたしますが、すべて国が行政を行う場合、例えば何か施設をつくる場合、施策を行う場合、各都道府県ごと一カ所などという基準が往々にしてあるわけでございます。各都道府県ごと一カ所となりますと、四国は四つ、九州は七つ、にもかかわらず北海道は一つということになるわけでございます。  いきなり分けろというまでには至らなくても、この辺の行政執行に当たっての配慮というのがされてしかるべきではないか。例えば、各都府県ごと一カ所、北海道については圏域一カ所、六圏域ありますから、それを六にするかもっと数を少なくするか、設定はいろいろあり得ますでしょうけれども、少なくとも北海道を一つの県並みというのは余りにもひどい。日本の国の場合、南の沖縄と北の北海道がいかにも日本でないような扱いをされているような気がしてならないわけでございますけれども、その辺のところ、雇用確保、労働行政というお立場から御検討いただけないものか。この件についてのお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
  25. 坂井隆憲

    坂井政府委員 ただいまの先生の御指摘のとおり、北海道の面積というのは国土の二割を超え、十四の支庁が設置されるなど、他の都府県に比べて広大な行政区画を有するものと承知しているところでございます。先生のいろいろなお話、基幹産業は出稼ぎであると言われているとか、それから札幌に一極集中しているとか、そういう非常に北海道を思う気持ちをお聞きいたしまして、実情をよく理解するところでございます。  しかしながら、北海道は、現に北海道を単位として行政がなされておりますし、また、労働省の関係でいいますと、安定所、出張所等については、事業所数、被保険者数、業務量、交通事情等を勘案しながら設置しておりまして、一都道府県当たり平均十四カ所程度であるところを、北海道においては現在四十三カ所設置して行政を運営しているというところであることを御理解いただきたいと思います。     〔委員長退席、上田(勇)委員長代理着席〕
  26. 金田誠一

    金田(誠)委員 実態については理解をしているつもりでおります。しかし、申し上げましたように、五百七十万のうち三百三十万が道央圏に集中している。札幌は職業安定所を一つつくらなければならないほど人口が膨張し続けているわけでございます。その一方では、当然その裏返しとして過疎地が出る。過疎地は、先ほど申し上げましたように就職難も甚だしいわけでございます。そして、出稼ぎ、地域の崩壊、家族の別離ということにつながっているわけでございます。これについて雇用行政のお立場から関心を持っていただきたい。実情は実情として、今説明されたとおりだと思います。  しかし、こういう過密過疎を招いている原因一つとして、私が指摘したような北海道の行政体としての扱いがあるのではないか。いきなり分県ということは無理にしても、関心を持っていただいて、労働行政の面だけでも、例えば統計を出すについても、各都道府県の雇用統計を出しても北海道では意味がない。札幌で数字が上がってしまう。圏域ごとに例えば労働関係の統計を出していただければ、その深刻状況がわかろうという思いでございます。圏域ごとに関心を持っていただきたいということは例えばこういうことなんでございます。この辺いかがなものでしょうか。  そして、時間がございませんので、あわせて、先ほど池田委員の方からも御質問がございました。私どもの地元でございます。一つ廃止されますと、車で一時間半、全力でぶっ飛ばしてそういうところまで行かなければならない。こういう土地柄についてどうお考えいただけるか、善後策をどうお考えいただけるか、地元の要望にどうおこたえいただけるのかというお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 征矢紀臣

    征矢政府委員 ただいま先生から北海道におきます地域の実情あるいは産業の事情等お話がございました。おっしゃるとおりでございまして、非常に北海道全域から見ますとアンバランスな形ではございます。  そういう面で、雇用対策でどうするかという点につきましては、そういう実情等も踏まえまして、御承知のように、特別対策として出稼ぎ労働者対策であるとかあるいは積雪寒冷地の給付金制度であるとか、そんな実情に合わせた対策もとっているところでございますが、ただ一方で、行政改革という視点から見ますと、そういう事情はアンバランスにしろ、産業事情を前提として行政改革を進めるということになりますと、業務量の少ないところについてどう考えるか、あるいはその必要性のなくなったものについてどう考えるか、あるいは交通事情をどう考えるか、こんなことに対処しながらやっていく、こういうことになるわけでございます。  したがって、そういう観点から、今回につきましても、札幌北公共職業安定所の新設とあわせまして、全国的に十カ所整理統合するということで対処いたしたいと考えているわけでございますが、ただ、これにつきましても、個別の地域の実情につきましていろいろな形での違いはございます。  先生の地元の北檜山の問題につきましては、これはかねがねいろいろなお話も伺っているところでございまして、特段の難しい事情もあるということも理解いたしておりますが、そういうことも踏まえながら、ただいま申し上げましたように、八年度中にどうこの調整をするかという点につきましては、平成九年三月までの間にいろいろとお話をし、かつ御必要があれば私ども本省からも担当官を派遣して、お伺いしながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  28. 金田誠一

    金田(誠)委員 ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  時間がありませんから、先ほど申し上げました統計処理の問題一つだけ。ぜひひとつ北海道全体で雇用の統計を出しても何の意味も持たないということを御認識いただいて、統計を発表する際には圏域ごとにできないものかということを御検討いただきたいと思います。御要望だけ申し上げて、またの機会に御見解を伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  29. 上田勇

    ○上田(勇)委員長代理 北橋健治君。
  30. 北橋健治

    ○北橋委員 新進党を代表いたしまして、ただいま政府から提案されました二件につきまして質問させていただきます。  まず第一に、地方支分部局設置に関する件でございます。私どもは、今回、行政改革観点から、政府の新たに講ずる措置について基本的に了解をするものでございますが、この機会に、あわせまして、雇用情勢が大変厳しい中、公共職業安定所の職責はますます重要になってくるものと思っております。その意味で、今後、北海道庁の雇用担当の部局とも十分連携の上でしっかりと御活躍をいただきますように要望を申し上げまして、基本的に了解をさせていただきたいと思っております。  きょうは、本来、大臣に最初から御出席をいただきましていろいろと質疑をさせていただきたい、このように思っておりましたけれども参議院の予算の本会議ということで、万やむを得ず席を外されることになりました。  私ども、これから議論をいたします勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案は極めて重要な案件と考えておりまして、ぜひとも大臣御臨席のもとで審議をさせていただきたかったわけでございますが、これまで当委員会におきましては、委員長を中心に円滑な委員会運営に努めてきた経緯もございまして、万やむを得ずその点については譲歩させていただいたところでございます。これを決して慣例とすることなくという与野党の合意もございますけれども、後半のところで大臣も御臨席と聞いておりますので、大臣にぜひともお答えいただきたい点はそのときに譲らせていただきたい、こう思っております。  勤労者財産形成制度、ドイツにおいて非常に歴史に残る画期的な制度ができまして四十年近い年月がたっております。それにおくれること若干いたしまして、日本においても昭和四十六年、この制度が導入されたわけでございまして、最初は利子の非課税の限度枠は百万円から出発をされたということであります。小さく産んで大きく育てる。  また当時は、財形の基本的なスキームを考えるときに、ドイツで講じたような思い切った制度にすべきではないかという議論もあったと聞いておりますけれども、その後この制度が今日に至るまで二十五年間の七回にわたる改正の経緯を見てまいりますと、これが勤労者福祉充実のために極めて重要である、そういう精神にのっとって各党が協調し、そして制度前進に努めているところであります。  この柱は、非課税限度枠を一歩でも前進させ、上限を上げることによって、勤労者にとって非常に魅力的な制度にしていくというところに非常に大きく労働省としても取り組んできた経緯があったと思うのであります。  私ども新進党も、今日におきまして、勤労者福祉の向上のために、あるいは財産を形成するために国が特段の施策を講ずることについては大賛成でございまして、私ども生活者優先の国づくりを目指す見地から、この本来の制度については前進することについて鋭意努力をしていく立場でございますが、今回の政府の提案を最初に説明を聞きましたときに、あれ、これは非常に新しい考え方が出てきたんだなというよりは、むしろ今まで二十五年間、四半世紀にわたりまして、非課税枠の拡大、それを柱としてさまざまな知恵を絞り、そして財政当局ともかけ合ってきた経緯からいたしますと、そちらの方を何もせずにおいて、突然新たな制度を仕組んで助成金活用するということにされたことについては、正直申し上げまして党内では大変異論が出たところであります。  その意味で、財形充実させるという新進党の基本精神からいたしまして、今回の提案された内容内容といたしまして、先にやるべきことがあるのではないか、なぜ財形貯蓄非課税限度枠をふやしていくというこれまで労働省が一貫して取り組んできたことを先行させなかったのか、そのことをまず第一にお伺いしたいと思います。
  31. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 勤労者にとりまして、老後の生活の安定あるいは住宅取得のための原資を確保するということは非常に重要なことでございまして、そのためのインセンティブとして非課税貯蓄制度があるわけでございますし、私どもはこの限度額が十分であるとは思っておりませんので、これはきちんと拡大するようにふやすべきであるというふうに思っております。  一方、少子・高齢化進展あるいは労働移動の増加などの社会情勢の変化に即応いたしまして、勤労者職業生活期間において生涯の節目になるような事由に関して計画的な財産形成を図り、またその成果を活用するということが同時に喫緊の課題である、こういう認識に立ちまして新しい支援制度を設けたわけでございます。  したがって、私どもとしては、非課税限度額の引き上げは重要である、それに努力するということを前提としつつ、あわせて一般財形についてインセンティブをつけながら財形全体のすそ野を広げていく、そしてそれと並行して非課税限度額の拡充にもあわせて努力していく、こういうスタンスでございますので、結果的にはそちらが実現する前にこういう御提案をしたことになったわけでございますが、決してそちらの方をおろそかにしているつもりではございません。     〔上田(勇)委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 北橋健治

    ○北橋委員 新進党が立党する前に、私どもは、私も旧民社党でございまして、それぞれ生い立ちの違う政党、政治家が集まって日本の改革のために新進党をつくるわけでございますが、その前身として細川政権を樹立いたしました。  そのときに、税制改正を議論いたしましたときに、私ども財形非課税の問題は極めて重要な問題であると、当時は社民党もさきがけも一緒でございました、私は与党の税制ワーキンググループの一員といたしまして、主税局とも激しく自刃を交える議論を展開したことをよく覚えております。しかし、私どもも精いっぱい努力をしたわけでございますが、そのときは五百万から五百五十万に引き上げられた直後ということもございまして、私ども努力は実を結びませんでしたけれども、これは極めて重要であるという認識のもとで、今日まで新進党をつくり、政策を推進するべく努力してきたところであります。  しかしながら、今の七瀬労政局長のお話を聞いておりますと、労働省としての気持ちはよくわかるのでありますが、実際、責任ある政治の立場にいる与党の皆さん方は今の局長と全く同じ思いであろうか、そこが今回の提案された法案に対しまして私どもが一番深く疑問に思った出発点なのであります。その根拠といたしまして、細川政権が終わりました、村山政権ができました。二回の税制改正をやっておりますが、そこで財形非課税の問題について、それを縮減するとしか読めないような内容が出てきたわけであります。  直近の、平成八年度の税制改正のときにどう書いてあるか。「財形契約者数が減少しているなど、その利用実態等を踏まえ、引き続き必要な検討を進める。」これが自民、社民、さきがけ三党の決めた方針であります。今の労政局長のお考え方とは違うことが決まっている。そして、与党三党のリーダーシップのもとに今回この法案が出てきているわけでありまして、私どもは、そこにすっきりと今回の提案を歓迎できない理由があるわけであります。ここに大臣がいらっしゃらないので、その点については大臣御臨席のときに改めて考えたいと思います。  お役人の書く文章というのは実によくできておりまして、この読み方も「必要な検討を進める。」ですから、今労政局長の御答弁されたように、これはさらに前進をさせる、上限を上げるんだ、こういうふうに読めないこともないと言う人もいるかもしれない。しかし、私も税制を担当することが長かった経験もございまして、財政当局ともいろいろと議論を尽くしてきた一人といたしまして、これはどう読んでも、財形非課税制度、ひいては財形について厳しい判断を与党が下したとしか読めないわけであります。  そういう中で、この法案が本当に財形を前進させるという、勤労者が本当に歓迎するような気持ちで出てきた法案なのだろうか。そういうことで、新進党内では、これまでこの問題についてはいろいろな議論を闘わせてきたところであります。  お伺いいたしますが、なぜ最近になりまして財形契約者数は減っているのでしょうか。
  33. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 財形契約者数あるいは事業所数伸び悩みが見られるのは御指摘のとおりでございますが、それは三点ぐらいあろうかと思います。  第一点は、昭和六十三年の法改正によりまして、税制上の優遇措置住宅年金に限られて、一般財形についてのインセンティブというかメリットが縮小したことが一つ。それから、財形全体の数のストックの伸び悩みという意味では、低金利下において住宅の建設が促進されて、そのために解約して使う必要が出てきた場合があったということ。それから三番目には、中小企業におきまして事務を担当できる職員がいないとか十分な事務処理体制をとることができない、そういったことで非課税限度管理などの事務につきまして非常に負担感が大きい。そういうことで中小企業の中で新規に財形制度を設けていこうというのにちゅうちょする向きがある、そういったことが契約者数の伸びが滞っている要因ではないかと思っております。  今回お願いしておりますのも、そういった要因を少しでも解消できるようにという思いを持って御提案をさせていただいているところでございます。
  34. 北橋健治

    ○北橋委員 今の御説明の中で、低金利ということもあって住宅建設のために解約する、それで減っている、これならば、これはこれで前向きのことでございますからいいわけでありますが、いずれにしても税のインセンティブを第一に挙げられました。私どもも多くの労働団体あるいは勤労者の生の声を聞いてみて、それはそのとおりだということを感じております。だからこそ私どもは、財形制度を前進させる、勤労者福祉向上に資するためには、非課税枠を拡大させるということをやはり正面に据えて、そして議論をすべきではなかったかということを申し上げておきたいと思っております。  その意味では、与党三党の見解については労働大臣に改めてお伺いすることにいたしまして、もう一つ、この非課税枠という問題を考えるときに、利用実績ということがしばしば財政当局の中でも議論されたやに聞いております。  今、五百五十万円の上限となっておりますが、財移住宅は平均値百六十七万、年金百二十七万、上限までにはまだ開きがある。平均値ですから、実際の数字とはかなり開きがある。若い方はまだまだ少ないでしょうし、また上限いっぱいまでの方もいらっしゃると思います。しかし、こういった数字が結構ひとり歩きをいたしまして、私ども新進党は、財形充実させたい立場からしますと非常に歯がゆい思いをしているわけでありますけれども、連立与党の御指摘で、利用実績に問題があるから縮減するようなことを書かれて、それで引き下がるわけにはいかない。原因はどこにあるとお考えでしょうか。
  35. 藤井龍子

    藤井説明員 財形残高の平均値につきましては、今お示しになられたところでございますが、これは先生も御指摘のとおり、長期間にわたって積み立てていくものでございます。新入社員の方々のようにまだ貯蓄期間が短い方はどうしても残高が低うございますので、平均値になるとどうしても低くなってくるということが一つ原因であろうかと思います。  それから、非課税限度枠の五百五十万円というのは、これは積立最終目標額といいますか、そういうものでございます。しかも、それを超えますと課税貯蓄になるということでございます。それに向かって着実に積み立てていただいているというところでございますので、やはりこれも平均値にいたしますと、どうしても二百万とかというようなことになってくるのではないかと存じております。  そういう事情につきましては、私ども再三再四にわたって関係者の方々に御説明し、御理解をお願いしているところでございます。引き続き努力を続けてまいりたいと存じます。
  36. 北橋健治

    ○北橋委員 私は、労働省を責める気持ちで今まで質問しているわけではございません。むしろ歯がゆいのは与党三党の税制担当者の方針であります。その意味では、私は、この利用実績という問題も、平均値がひとり歩きをして議論されていて、まだまだ上限まではあるから何を今さらまた一千万円まで上げるんだ、こんなばかげた、実態に反した議論がまかり通ってはならぬわけであります。  それからもう一つ、今回の財形制度改正に当たりまして、各方面から、政府に対してもまた私ども新進党に対しましても要望が寄せられておりますけれども、やはり非課税枠を一千万円まで上げてくれというのが第一にあるのです。そしてその後に、五百五十万円を超えた場合に丸ごと課税されるというこの状況を改めてほしいという、その二つの点からいたしまして、私は、利用実績から見ても、また契約者が減ってきた、それは税のインセンティブだという意味におきましても、引き続きましてこの非課税枠の問題は財形を前進させるために重要な主眼である、そのように思うわけであります。  改めて確認しておきたいと思いますが、この五百五十万円という上限は、今日これで勤労者の生涯設計を考えたときに十分な数字とお考えでしょうか。
  37. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 十分であるかどうかということについてはいろいろな見方があろうかと思いますが、私ども一つの考え方として、例えば財形年金貯蓄につきましては、公的年金それから企業年金、そしてこの財形年金がそれを補完するということで、どれぐらい必要かということを試算いたしますと、やはり年金原資として一千九百万円ぐらいないと老後に豊かで充実した生活ができないのではないかという一つの試算もございます。  それから持ち家の場合に、いわゆる住宅を取得するときの自己資金額、まあ頭金と言っていいのかもしれませんが、それも一千四百万ぐらい一般的に必要とされているのではないか、こういう試算がございますので、いろいろな試算の仕方はあるにしても、五百五十万円で年金なり住宅なり、まあこれぐらいあればというわけにはとてもいかないという認識を持っております。
  38. 北橋健治

    ○北橋委員 ただいまの御答弁の趣旨はよく理解ができます。五百五十万では不十分なのであります。新進党もその点については同意をいたしております。  今日、貯蓄に対する非課税という問題については、自民、社民、さきがけの連立政権になりましてから、これを縮減するという議論が相当行われているやに各報道を通じて私ども聞いております。  例えば、老人等の少額預金の利子の非課税は減収額見込み千百十億円、それから財形の利子の非課税は百三十億円の減収見込みと言われております。あるいは、去年私どもこれは断固反対したのですけれども、ささやかな夢と勤労者が期待をしております生保の控除料の問題、この問題についても手をつけようとしまして、私ども野党の立場からでありますけれども政府・与党と激しく切り結んだ経緯がございます。これらはいずれも縮減されるならば大衆に対する圧迫、大衆増税に直結する問題でありまして、新進党は断固として反対であります。  その意味では、非課税の問題についてもこれを守り抜く、これが財形のこれからの発展のためには不可欠の中心的な課題一つなんだ、そのことを労働省としてもしかと認識をして今後とも頑張っていただきたい。新進党も万全を期してそれを応援してまいりたいということを表明しておきたいと思います。  さて、そういう見地から私ども財形制度を議論してまいりましたので、今回、貯蓄活用する助成金を創設したということにつきまして、その趣旨についてはよくわかるわけです。生涯の節目について貯金をおろして使ったときに、これも低金利の時代で、勤労者にとりましてはささやかとはいえありがたい話であります。  だから、いろいろな議論がありましたけれども、来年からは、二階建ての部分の二兆円の特別減税もやるのかやらぬのかはっきりしませんし、消費税は上がりますし、あるいは健保の財政も悪化していますし、労働者にとりましては大変な踏んだりけったりの状況が出現しかねないわけでありまして、そういった意味では、ささやかな夢に当たるということで、私ども今回の助成金に異を唱えるものではありません。  しかし、財形の本来あるべき姿として、この非課税の問題について与党から待ったがかかった。そういう中で今回、特別会計を通じて助成金をつくるということについては、私どもやはり本筋から見ていかがであろうかという気持ちが抜けないわけであります。  その意味で確認をしておきたいと思うわけでありますが、この財形制度というのは任意の加入制度であります。これについて今回、全事業主負担である労働保険特別会計でこのような制度を行うと判断した理由は一体何でしょうか。
  39. 藤井龍子

    藤井説明員 お答えします。  今回の助成制度を特別会計で措置いたしましたのは、既に事業主による支援措置企業福利厚生制度として定着してございますので、今回新しい制度を設けることによりまして、企業福利厚生制度のさらなる充実が図られ、勤労者福祉の向上、雇用の安定が図られるのではないかと考えておりますこと、また、この新たな給付金、助成金制度企業福利厚生制度として労働条件の一部をなすものでございますので、その結果として勤労者にとって適正な労働条件が確保されるものであるというふうに考えている、以上のようなことから、特別会計からの拠出により賄うことにしたところでございます。  今申し上げましたように、企業内の福利厚生制度勤労者福祉の向上、労働条件の向上に資するものであるということで、国民全般の負担である租税を原資とする一般会計で賄うより、事業主から徴収した保険料を原資とする労働保険特別会計で賄うことが適当であると考えたところでございます。
  40. 北橋健治

    ○北橋委員 一般会計から今回の助成金の原資が充てられるということであればまた話は別でありますが、労働保険特別会計からこのたび原資を充てるということにつきましては、いろいろな議論もあるところであります。しかし、労働省のただいまの御説明については、それはそれとして承っておきたいと思います。  ただ、今回の法改正を契機に各方面から寄せられた内容を見ますと、例えば教育につきましても今回は助成金活用ということになっているわけでありますが、できれば住宅年金に続いて第三の教育非課税、そういったものをやってはどうかという要望がたくさん寄せられているわけであります。そしてまた金融界からも、中堅サラリーマンは住宅ローンもある中で、とにかく住宅、それから老後のことに続いて大変頭が痛いのは教育費の負担だということでありますから、非課税を求める動きがありました。現に、今も住宅年金については非課税という方法で援助をしているわけであります。  そういった意味で、教育を初めといたしまして四つのものについて助成金という形で新たにそれを援助する仕組みをつくった理由も、確認のためにお伺いしておきたいと思います。
  41. 藤井龍子

    藤井説明員 今回、助成金の支給対象といたしまして、育児、教育、介護、自己再開発の四項目を選定しているわけでございます。  これは第一点は、勤労者職業生活期間中に発生するもので、かつ相当程度の支出を要するもので、経済的基盤の脆弱な勤労者にとって負担となるものであるというようなこと、それから二点目といたしましては、新たに支援制度を設けることによりまして勤労者の意欲と活力の維持向上につながり、事業主にとってもメリットになるものであるということ、また、社会的に見ましても客観的に支援の必要性の高いものであるというようなこと、こういったことから四項目選定をさせていただいたところでございます。
  42. 北橋健治

    ○北橋委員 その理由づけはわからないでもありません。ただ、この助成金制度を創設した場合に、党内で非常に議論が出ましたのは、この中小企業に対する普及という問題が長年の懸案になっていて、今なおこの財形制度というのは中小企業普及率が低くとどまっているわけであります。  そういった意味で、今回、全事業主負担をしている労働保険特別会計でこのような援助の仕組みを考えたときに、やはり中小企業負担している分もたくさんその中にあるわけでありますから、利用者は大企業が多いような現状が今後も続いていきますと、結果的に中小企業から大企業への所得移転という面を生むのではないかという議論が党内でたくさん出たわけであります。その意味で、この点について政府はどのようにお考えでしょうか。
  43. 藤井龍子

    藤井説明員 中小企業におきます財形制度普及は、大企業に比べますとまだ低いわけでございますが、従来から中小企業に対する財形制度普及促進を鋭意図っているところでございまして、現在のところ、一般財形貯蓄については六割以上の中小企業において制度として導入されているという状況でございます。  また、今回、中小企業事業主の方々が中小企業団体等に対しまして財形事務を委託できる制度を創設いたしまして、中小企業に対する財形制度の一層の普及を図るということにさせていただいているわけでございます。  また、助成金制度におきましては、福利厚生企業規模間格差に配慮いたしまして、中小企業助成額を手厚くするといったようなことにさせていただいておりまして、こういう新しい制度を通じましてさらに中小企業における財形制度普及を図りたいと存じているところでございます。でございますので、御懸念のようなことにならないように私ども十分に配慮してまいりたいと存じております。
  44. 北橋健治

    ○北橋委員 御案内のとおり、日本の経済の特徴は二重構造であります。私もある方からこんな言葉を聞いたことがあります。大企業中小企業格差を象徴する言葉として七五三、これは賃金で七割、そして一時金で五割、退職金で三割、それぐらいの格差がある。そういった現物支給以外のものでも大変大きな格差がある。これはもう労働省が一番その点には腐心をして努力をされている点であります。  今回、財形法改正に当たりまして、組織された大企業の労働組合の皆さん方も含めて、とにかく未組織の方々、中小企業のすべての働く人たちが入っていけるような魅力あるものにしてほしいということを主張されておりますが、私と全く同感であります。とにかく大企業の方は、社内から低利融資で住宅が建てられるとか、いろいろな恩典があるやに聞いておりますが、中小企業の場合は本当に御苦労をされております。  そういった意味では、今回特別会計から原資を充てるわけでありますが、財形といえば中小企業がどうしても少ない。今六割という言葉があったけれども、まだまだであります。そういった意味では所得移転が起こるのではないか。本来政府の意図は、この際中小企業にも十二分に配慮して財形普及させようという意図ではありますけれども、党内では、政府の意図とは反して、所得移転というのが逆に中小企業から大企業に移るのではないかという議論も出てまいりました。ひとえにこの問題の解決は、今後政府がどのように努力をされ、中小企業財形制度がどのようにこれから普及をしていくかという一点にかかっていると思います。  ですから、以下、中小企業に対してこの制度普及させるための施策について順次お伺いをするわけでありますけれども、これは非常に重要な今回の法改正に当たってのポイントだと私どもは認識しております。今回事務代行措置を設けるとかいろいろな措置が講ぜられておりますけれども努力目標であっても結構なんですけれども、今回の法改正によって中小企業の皆さん方はどの程度近い将来財形制度加入されてくる、このように期待されているでしょうか、もし数字があればお示しいただければと思います。
  45. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 中小企業に対するインセンティブをつけるとか、あるいは事務代行制度活用しながら中小企業に対して財形制度普及していきたいということでございまして、なかなか数字でお示しできないわけでございますが、現在導入率が六割ぐらいという認識に立ちまして、こういった今回お願いしているような制度ができた場合に、どれぐらいの人が財形加入するのだろうかというようなちょっとした抽出調査をやった程度でございますが、そういったことからごく大ざっぱな試算をしてみますと、八割ぐらいのところまで一生懸命努力すればいけるのではないだろうか、こういう認識に立っております。
  46. 北橋健治

    ○北橋委員 八割というのはドイツの平均だとも聞いておりまして、ぜひともその方向で頑張っていただきたいと思っておりますが、ただ、私どもは、本当に中小企業普及については、これまで衆参の国会法改正のたびごとにそういった点が論議をされ、また附帯決議がつけられたこともございます。政府もそれを受けて努力をされてきたけれども、まだまだ低い数にとどまっていることからいたしまして、これは相当の周知徹底といいますか、万全の態勢をとることが求められるわけであります。  その意味で、今回の法改正中小企業事業主事務負担軽減、これは果たしてどの程度改善されるのか、それから新しい事務代行制度普及について中小企業団体関係者への周知徹底、あるいは加入をしてくれるように勧奨する、そういった取り組みについてどのように対応されるのでしょうか。
  47. 藤井龍子

    藤井説明員 今回新設する予定にしてございます事務代行制度におきましては、中小企業事業主が行っている財形事務の相当部分事務代行団体に委託できることにしておりまして、事業主でないと行い得ない事務、例えば賃金控除事務、これだけは事業主さんにやっていただくけれども、例えば非課税限度額の管理や金融機関との事務の取り次ぎなどの財形事務の処理は委託して、事業主さんがしなくていいようになるということになっているわけでございます。  それから、委託した団体には財形事務に詳しい専門の職員を配置するということになっておりますので、事業主さんあるいは勤労者の方々からのいろいろな照会にも的確に対応できることになっておりますので、事業主さんの負担はいろいろな形で軽減されると考えております。  それから、そういうことの中小企業事業主さん等への周知徹底でございますが、今後、そういう受託される中小企業団体の方々を中心に幅広くいろいろな団体の方々と連携をとり、また金融機関の御協力も得ながら、集中的な周知徹底を図ってまいりたいと思っております。また、毎年、中小企業勤労者財産形成制度普及促進月間というのを十一月に設定してございます。全国的にこの時期に、新しい制度、それから既存の制度を含めまして集中的に周知徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  48. 北橋健治

    ○北橋委員 今、中小企業者の方々にお会いいたしますと、労働省の方でいろいろと義務づけによりまして、例えば週四十時間制への移行であるとか、非常に経営が厳しくて頭を抱えているというお話を聞きます。そういった意味で、また今度は新しい仕事が出てくるのかととられては元も子もないわけでありまして、これは事業主負担軽減するということでいろいろと工夫された制度だと思いますので、そういった意味では、万全を期してぜひとも中小企業者の八割以上ができるだけ早い機会に加入される、そういう状況を必ずつくっていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思っております。  なお、中小企業普及という問題につきまして、中小企業の場合は転職をされる方も結構多いと聞いております。そういった意味で、転職をされた方々について、せっかく加入していた方が転職を機会に財形から離れてしまうということがあってはならないわけでありまして、そういった転職に対応した措置は、今回の法改正、そしてまたそれに伴う今後の労働省の行政によって万全を期しておられるのでしょうか。
  49. 藤井龍子

    藤井説明員 今回の財形法改正案の中で、特例自己積立制度というのを創設させていただくということをお願いしているわけでございますが、これは、勤労者の方が転職されたときに転職先で一般財形貯蓄が導入されていない場合、特例として事業主を通じないで払い込みできるという新たな制度を設けたものでございます。  ただ、この特例自己積立制度というのは、財形貯蓄というのは給与天引きというのが原則でございますが、これの非常に特例的な措置ということで措置してございますので、転職後一定期間に限って認めるというようなことにしているなど、必ずしも転職した勤労者すべての方のすべての御要望におこたえできるということにはなっていないところも、正直なところあるところでございます。  今後転職がふえるというようなこともございます。こういうものに対応いたしまして、特に中小企業での転職というのが多いかと存じますので、先ほど御説明いたしました事務代行団体を通じまして、中小企業事業主に対し、財形制度の導入を行うよう加入勧奨を積極的にやっていただくというようなことも考えておりまして、そういうことと相まって、転職される方々ができる限り財形貯蓄を継続できるよう努力をしてまいりたいと存じております。
  50. 北橋健治

    ○北橋委員 財形非課税制度を転職者について一年間認めるという制度は、たしか細川政権で私どもが実行した内容だというふうに承知いたしております。そういった意味で、中小企業への普及という観点からも、この点については最善の努力を尽くしていただきたいと思っております。  もう一つ、今度は出向した場合についての取り扱いについて伺っておきたいと思います。  やむを得ず企業のリストラによりまして勤労者が出向するケースは、今全国各地でたくさん見られております。それも大企業から大企業に行くというケースよりは、むしろ中小零細事業所に出向するケースが多いと聞いておりますが、その場合、財形貯蓄財形貯蓄活用助成金については、出向元と出向先、いずれの事業主制度の適用を今回受けることになるのでしょうか。まずそれを聞いておきたいと思います。
  51. 藤井龍子

    藤井説明員 出向にはいろいろな形態があるようでございます。財形貯蓄財形貯蓄活用助成金制度の適用につきましては、私どもといたしましては次のような整理をさせていただいております。  勤労者が出向先から給与の支払いを受けている場合には出向先の制度を、また出向元から給与の支払いを受けている場合には出向元の制度を、さらには出向先と出向元の双方から給与の支払いを受けている場合もあるようでございますが、この場合は主たる給与を支払う事業主制度の適用をそれぞれ受けるということで整理させていただいております。
  52. 北橋健治

    ○北橋委員 その場合に私どもが懸念をいたしておりますのは、出向先の同じ職場の中でアンバランスができはしないか。  これは大企業の方と中小企業の方と助成金格差がついております。これは多くの団体から要望が寄せられたように、今こそ大企業中小企業格差を是正するための努力が不可欠であって、財形の今後の運用についてもその点が大事なのだ、そういう多くの世論を受けて政府中小企業には手厚い措置を講ぜられたと思うのでありますけれども現実に出向された場合、同じ職場で助成金の適用を受けたいという場合に、出向先の事業主と出向元の事業主制度の適用を受ける勤労者が混在するような場合も当然想定されるわけでありまして、その間、同じ職場の中でアンバランスという問題が生じるのではないかということが懸念されるわけでありますが、この点についてはどのように対処されるのでしょうか。
  53. 藤井龍子

    藤井説明員 御質問は、例えば出向元は大企業で出向先が中小企業であるといったようなケースであろうかと思います。  今回の財形貯蓄活用助成金制度は、大企業に対しましては事業主の給付金の負担額の三分の一、中小企業に対しては事業主負担額の三分の二を助成するという考え方を基本として制度を設計しているものでございますので、この助成金につきましては、福利厚生規模間格差のある中小企業に対し手厚くしているというものでございます。  事業主が支給されることとしている財形貯蓄活用給付金につきましては、今申し上げましたような考え方に基づきまして、企業間においてその支給金額に大きな格差が生じることのないようにしたいと思っているところでございます。
  54. 北橋健治

    ○北橋委員 以上、順次お伺いしてまいりましたのも、今回特別会計の方から助成金制度を創設するということでございまして、それに伴いまして種々の意見が党内にございましたので、私ども政府見解をただしてきたところであります。  今度は観点を変えまして、勤労者にとりまして本当にこの制度は魅力のある制度か、どのように改善していけばいいのかという問題は従前から大いに各方面で議論されてきたところでありますけれども、その中で、毎回いろいろな団体から寄せられているのは、財移住宅あるいは一般財形の手続について簡素効率化を求める意見が毎回出てくるわけであります。  これは昭和六十二年、平成三年の附帯決議にもその趣旨が盛り込まれておりまして、これまで十年近く政府の方もこの問題意識を持って取り組まれてきたのですけれども、今回の法改正に当たって今なおこういった要望が出てきているということは、余り前進が見られないのかなというふうに言わざるを得ません。この点についてはどのように切り込んでいかれるのでしょうか。
  55. 藤井龍子

    藤井説明員 財形貯蓄につきましては、税制非課税措置が講じられているというようなこと、あるいは大変長期にわたる貯蓄であるというようなことから、手続につきましてなかなか複雑であるというような御批判、御指摘をいただいているわけでございます。  例えば財移住宅貯蓄、これは非課税貯蓄でございますが、この払い出しのための書類が膨大であるといったような声も出ているところでございまして、これは税の問題と絡むものでございますので、私ども税制当局と鋭意協議をしながら、例えば代替手段によって手続が簡素化できないか等、精力的に検討、協議を進めてまいりたいと存じております。
  56. 北橋健治

    ○北橋委員 この財形をより魅力的なものにするためには、毎回毎回法改正のたびごとに各方面から寄せられていることでございますので、ぜひともこの点について御努力いただきたいと思います。思うところ、一つの背景には非課税制度というものがありますので、この運用に当たってはどうしても硬直的なものにならざるを得ない側面もあるのかもしれませんけれども、私ども精いっぱい応援いたしますので頑張っていただきたい、こう思っております。  大臣がお越しになりました。お忙しいところ駆けつけていただきまして、ありがとうございます。後ほどポイントにつきまして大臣に質問させていただきます。  もう一点、今回の法改正のときに当たり、労働者福祉協議会を初め各方面から寄せられた中に還元融資の問題がございます。これは、例えば財移住宅を見ましても、やはりこのままでは魅力が余りにも乏しいという声が率直に出てきているわけであります。  例えば、労働団体の中の一つでございます労働金庫の方から出てきておりますが、住宅金融公庫の住宅融資と比較していろいろと差があるというわけですね。もちろん、よくよく調べてみると、この財形融資の方がいい、メリットもあると思います。  しかし、これだけ低金利の時代が続きますと、変動金利というのは非常に評判が悪い。そういった意味で、住宅金融公庫と比べて、融資額の制限等のそういった幾つかの条件による格差が公庫の場合はないのだということをおっしゃっている。そして、固定金利と変動金利の違いも指摘されております。ですから、こんなことを書いてありますね。「勤労者のための制度でありながら、国民一般を対象とした住宅金融公庫よりも条件の劣る融資制度では、利用されないのは当然です。」  今回の法改正に当たりましては、一つの団体を挙げましたけれども、こういった多くのところから、率直な勤労者の声をこれは反映しているのだと思います。どのように改善されるのですか。
  57. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 融資の条件については、ただいま先生が御指摘になりました固定金利とか変動制とか、あるいは住宅公庫との比較とかいろいろなことがあろうかと思います。この点については、財形持ち家融資の活用が一層進むようにするためには、貸し付け条件の改善などについて各方面からの要望を踏まえてやっていきたいと思っておりますが、ただ、それぞれ制度相互間の整合性といったような問題もありますので、そういった御要望なり先生の御指摘なりを踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  58. 北橋健治

    ○北橋委員 財形が発足しましてから二十五年間、その途中からこの財移住宅制度が導入されております。そういった意味では、これは結構長い年月があるわけです。恐らく今回だけではなく、いろいろな段階でこういった問題点が指摘されてきておりますので、今局長の答弁で今後努力をしたいということでございますけれども、何か障害があるのでしょうか。例えば政府部内で財政の観点からこうだとかあるのであれば、これはもう党派はない、私ども新進党も精いっぱい応援をいたしますので、ぜひとも方針を具体的に出していただきたいのですね。  大臣お越しになりましたけれども財形法第四条というのは財形の基本方針を定めるとなっているのですが、二十五年間策定されていないわけです。いろいろ聞きますと、審議会の中にも財形の基本的なあり方についていろいろな議論があると聞いているのですが、こういった例えば一つの各論を取り上げましても、毎回毎回要望は寄せられているわけであります。そして、労働省は精いっぱい努力されているのです。  だから、私は労働省を端的に責めるつもりはないのですけれども、例えば時には財政当局がどうしても理解しないとか、いろいろな意見があるかもしれませんが、労働省の所管の法律で財形基本方針といった最も哲学に当たる部分も定められないというのは、やはりここで何か、部分的な改正を七回やって八回目、これもそのときの状況に応じてやっていくことは前進であると思いますけれども、ここらあたりで本当に腹を決めて取り組まないと、こういった問題については改善は難しいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 財形の基本方針が本来定めることとされていながらまだ定められていないということはございます。  それは、先生おっしゃいましたように、審議会でいろいろ御意見を聞きながらやっておるわけでございますけれども、なかなか基本的な方針を見出すまでに至らない。それのかわりと申しますか、やや現実的な対応かもしれませんけれども、その都度具体的な改善点、目標を定めながらやってきている。ただ、それだけでいいのかというふうに言われますと、やはりそれをつなげて一つの大きな方針に持っていく努力をしなければならぬ。  ただしかし、現実の中で試行錯誤を繰り返しながら少しでも伸ばしていこう、こういう思いの中でやってきておりますので、直ちに審議会にお願いして基本方針をというところまで私として今自信を持ってお約束できませんけれども、そういう方向に行くような環境づくりというか、そういったことを本当にやっていかなければならぬ、こういう思いでございます。
  60. 北橋健治

    ○北橋委員 財形住宅を各論の一つとして取り上げましたけれども、今御案内のとおり、財移住宅加入者は二百六十万人にすぎません。年金の方は三百二十一万人です。そういった意味では、日本の雇用労働者数は五千二百三十六万人ですから、やはり思い切った措置が必要だ。そのためには哲学をしっかり打ち立てるということが大事だと思います。  大臣にお伺いしたいと思います。  実は、この法案の議論に当たりまして、新進党としては、財形制度そのものの立法趣旨については大いに賛成なんです。そしてまた、これからも労働者の福祉のために前進させたいと思っているわけですが、今回特別会計から助成金をつくるということです。いろいろと説明を聞いてきましたけれども労働省説明を聞いておりますと、それなりに私どもはいろいろな苦心惨たんをしながら理論武装されてきた経緯はわかるのでありますけれども、肝心の政治のリーダーシップがなっていない。  それは、与党三党の税制改正において、非課税の五百五十万、これを一千万に引き上げようというのはもう長年の労働省の悲願であるわけです。そして、多くの労働団体、労働者の要望も、もっと魅力あるものにしてくれ、それが制度改正の本筋じゃないか、私ども同感であります。なのに今回、ささやかなプレゼントだから反対はしないけれども、やはり本筋から離れているのではないか。  細川さんのときには、私どもはこの問題は頑張りました。社民党と一緒にやらせていただきました。大いにこの問題はカバーしたのです。ただ、努力不足でそれは実を結びませんでした。五百万から五百五十万に上がった直後でもありまして難しかったのですが、この問題については私どもは大変思いが深いわけであります。  その意味で、与党三党の中で、契約者数が減ってきている、「利用実態等を踏まえ、引き続き必要な検討を進める。」と、大蔵省の退路を断つような攻め方をしないからここの書き方でとまっていますけれども、これは明らかに、どう見ても非課税制度に対しては縮減するとしか読めない。  そのような与党三党のもとで今回財形制度改正しようとするのですが、何とか労働者のためにという意図を理解したいのだけれども、肝心かなめの哲学において何かあるのではないか、私どもそう思わざるを得ないわけであります。だから、この問題を最初受けとめたときに、党内では大変多くの異論が出ました。その意味でこれは重要なポイントでございます。  大臣、与党三党の一員であられますけれども、この税制改正大綱に盛り込まれた方針はどうなるのですか。
  61. 永井孝信

    ○永井国務大臣 今先生の御指摘非課税にかかわる問題でございますが、与党の税制調査会議税制全般について議論がされてまいりましたことは御承知のとおりであります。その中で、労働省の所管いたしますこの財形の問題について、非課税の問題が私どもとしては大変重要な課題であるというふうに認識をしてまいっているところであります。  先生指摘のように、現行の財形年金貯蓄及び財移住宅貯蓄につきましては、最近契約者数がわずかでありますが減少の傾向にございます。したがって、労働省といたしましては、今回の改正案において、この制度普及の進んでいない中小企業を中心とした財形制度普及を図ることにしているわけであります。  参議院の本会議の関係で大変おくれて恐縮でありましたが、今まで参議院の方に参っている間にどのような議論があったか、今直ちに知ることはできませんけれども先生の御指摘を今端的にお聞きいたしまして、その関係でお答えを申し上げているわけであります。  これから高齢化社会がどんどん進展していく中におきまして、安定した老後生活を送るために必要と考えられます個人年金原資は、相当程度必要だと思うのであります。その一方で、住宅の取得に必要な原資も、土地が下がってきたといっても今なお高水準にあることから、私たちといたしましては、今後とも両貯蓄非課税限度額の引き上げに全力を尽くしてまいりたいと考えるわけであります。  ちなみに、この五百万円の限度額を五百五十万円に引き上げましたとき大変な努力を必要としたわけでありますが、当時の与野党の一致をした、協力したお互いの努力で五十万円引き上げた経過がございます。それ以降も、労働省といたしましては、毎年の税制改正のときに一千万円を要求してまいったわけであります。昨年末の予算の編成のときに私は連立与党の労働調整会議の座長をしておりまして、昨年の年末にも何としてでも一千万円ということで大変な努力をしたつもりでありますが、最終的にその努力が実らなかったことは非常に今でも残念に思っているわけであります。  今度は労働大臣という任務を背負っておりますので、今まで私も思いを深く持ってこの問題に対応してきた経過から、先生の御指摘にもあります一千万円の限度額の引き上げについては、さらに私なりに誠意を持って全力を尽くして頑張ることだけは決意として申し上げておきたいと思います。
  62. 北橋健治

    ○北橋委員 大臣の御決意として、この問題について、引き続き非課税枠の拡大については最善を尽くすということはわかりました。  与党三党の見解をどう思われるのでしょうか。くどいようで恐縮ですけれども、与党三党のは、それをどう読んでも縮減するとしか読めないわけです。今後も努力をされるという決意はわかりました。与党三党の合意についてどうお感じでしょうか。
  63. 永井孝信

    ○永井国務大臣 与党の非課税貯蓄制度にかかわる三党の見解でございますが、「その利用実態等を踏まえ、引き続き必要な検討を進める。」このことを先生指摘になっていらっしゃると思うのであります。  今も私が答弁申し上げましたように、現実にこの契約者数は、わずかでありますが減少の傾向にあります。したがって、そういうことを危惧をしての結論だと思うのでありますが、これは、これからも減少を続けていくことを前提にした合意ではないと私は思っています。それだけに、労働省もあるいは関係団体も御協力をいただいて、契約者数がこれから増加していくような努力を続けていく、そのことを踏まえながらの対応をこの中で文言の中に盛り込んでいるというふうに私は理解をいたしているわけであります。
  64. 北橋健治

    ○北橋委員 いずれにしましても、私どもが当初この法案についていろいろと問題があるのではないかと思いましたのは、やはり財形について多くの方々が期待されているのは、今まで労働省が頑張ってこられたこういった本筋に当たる議論を前進させてほしいだったわけですよ。それが今度は特別会計からささやかながらもやるということで、それはそれとしていいとしましても、その点について何かあるんじゃないだろうかということを私どもは思ったわけです。  財形の基本方針は、制度発足二十五年間になりますけれども、決められておりません。労働側の意見を聞きますと、もっと我々労働者の生の声を取り入れてほしいんだということを言われております。そういった意味では、ときに利害の対立するものがありますけれども、今回与党でこんなものが出てきた、そしてまた新しい制度を取り上げようとしている。この機会に、四半世紀たっているわけでありますから、今回の国会審議を踏まえて、ぜひとも財形に対するしっかりとした基本哲学を基本方針に盛り込んでいただきたい、策定していただきたいということを要望しておきたいと思います。  時間が限られておりますが、最後に、私はこの問題を考えるときに、やはり財形先進国ドイツの例は大変大きいと思います。ドイツでは、全雇用者数が三千百七十万人ですが、この財形のいわゆるドイツ型の給付金の対象者は二千七百万人、実に八五・二%であります。先ほど政府委員の答弁で、中小企業に対する普及を全面的に頑張って八割を目指すというお話でございますけれども、すごい数であります。  それに対して日本は、御案内のとおり、五千二百三十六万人の雇用者数のうち、わずか三八・四%にとどまっております。しかも非課税という特典のついた財移住宅は二百六十万、財形年金は三百二十一万という微々たる数字にとどまっております。  これだけ日本、ドイツ間の開きがあるというのは、いろいろな理由があると思いますけれども、その一つは、やはりドイツの場合はこの制度に対して思い切った財政の支出をやっているということがあります。それだけに国家を構成するいろいろな人たちの合意というものがしっかりとあるわけであります。基本方針の策定一つできないことを見ても、ドイツはなぜ大きいんだろうか、なぜこれだけの援助を国家がし切るんだろうか。それは日本と比較した場合に、日本政府の中で基本方針すらも定められないいろいろな利害の対立を引きずっているからだと思います。そういった意味では、しっかりとした哲学、合意形成を図ること、それがあって初めて私は財政というのは動くんだと思います。  今回この法案を見ましたときに、私は、数は力なりだと思います。非課税枠といった問題を一つ考えましても、多くの方々が入ってくる、三千万とかそんな数が入ってきたら、数は力なりであります。財政当局は必ず動くはずであります。  そういった意味におきまして、今後、ドイツとの関係を見ましても、私が思いますのは、大臣に最後にお伺いしておきたいんですけれども、例えば西暦二〇〇〇年、加入者数三千万人を目指して、中小企業はおくれているわけでありますから、徹底したこの普及の周知徹底を図るとかあるいはいろいろな制度改善する、例えば還元融資の金利一つとってもそうでありますけれども、ありとあらゆる努力を惜しまない、そういった決意のほどを聞かせていただきたいのであります。
  65. 永井孝信

    ○永井国務大臣 先生の今御提起されました問題については、認識を持つことについては非常に重く受けとめていきたい、こう思っております。  最前も政府委員から答弁いたしておりましたように、基本方針の策定が現在できていない、非常にこれも申しわけないと思うのでありますが、この財形制度充実を図りながら、これからの経済社会の情勢の変遷あるいは勤労者意識等の推移を見守りながら、勤労者財産形成審議会に引き続き審議をお願いして、今言われましたように、基本方針の策定が一日も早くできますような努力労働省としても進めてまいりたい、これをまず申し上げておきたいと思います。  なお、財形制度そのものについてでありますが、今先生が御指摘のように逐次改善は行ってきたのでありますが、全雇用者の五千三百万人のうちの三分の一、数で言えばわずかという言葉も使えるかもしれませんけれども、一千七百万人が利用しているにすぎないのであります。したがって、先生が御指摘になりましたように、西暦二〇〇〇年にはどこまでの加入者数ということをきちっとここでは申し上げることはできませんけれども、少なくとも、財形制度改善によって、とりわけ中小企業への財形制度普及の促進を図りながらでありますが、飛躍的に加入者がふえていくための努力、啓蒙活動、普及、これを徹底して進めてまいりたいと思います。  私がいろいろな面で最近感じておりますことは、いろいろな法律をつくったりいろいろな制度をつくりましても、なかなか中小零細企業にまでそのことが認知されていないという面がたくさんございます。したがって、この財形制度もそうでありますが、単に利用しないということだけではなくて、利用しようにもそのことを承知していない、あるいは中には無関心でいるというところもあるかもしれません。したがって、徹底したこの普及を図っていくことによって、先生指摘のように、西暦二〇〇〇年の段階では千七百万人からどのぐらいの規模になるかわかりませんけれども、かなり利用者がふえたということがお互いに確認できますような努力を進めてまいることをここで申し上げておきたいと思います。
  66. 北橋健治

    ○北橋委員 ぜひ不退転の決意に立って、大臣の御活躍を期待したいと思います。  私ども、この法案に対しまして鋭意検討をいたしました。幾つかの問題点は払拭できない。しかしながら、いろいろ問題はありますけれども、大臣が今後制度普及のために一つの目標を心に持って頑張りたいということでございますので、これが勤労者にとりましてはささやかな夢になる、プレゼントになり得るという意味もあって、今回はあえて反対はいたしませんけれども、本来の制度改正制度の前進のために蛮勇を振るっていただきたいことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  67. 岡島正之

    岡島委員長 寺前巖君。
  68. 寺前巖

    寺前委員 二つの審査になります。最初に大臣に二つの点でお聞きをしたいと思うんです。  まず、承認案件です。承認案件というのは、見ると、北海道の札幌ですか、安定所を一つつくるんだ、そう書いてある。ところが、開いてみたら、問題は、新しいものをつくるのは賛成ですけれども、その背後でいじめられる地域が出てくるという問題が何で承認案件にならなければならぬのだろうかな。制度的な問題だからあえてここで言っても始まりませんから、それは省略しますけれども、これは大変なことやなと思いました。  中を見ると、稚内の安定所の枝幸と読むんですか、分室が廃止をされる。そうすると、百四十六・九キロメートル離れたところへ行かなければならぬ。こうなると行く行かぬの話じゃなくなってくる。存在そのものが唖然とせざるを得ない姿になってくるという問題があります。あるいは東京の大森安定所の蒲田労働出張所は廃止になる。日雇い求職者は五反田職安の上大崎労働出張所へ行くことになる。今度はお金を払って行かなければならぬ。何か廃止する方向の不合理性というものこそ本当は国会で議論をしなければならぬ課題だなということを私は感じました。  時間がありませんので一つだけお聞きをしておきたいんです。  山口県の下関職安の大和町労働出張所は平均で毎日九十人の人が出頭しています。今度下関公共職業安定所に行くということになると、行くための時間がかかるだけではなくして、仕事は最寄りのもとのところへ帰ってくるというのですから、これは何をしているのだろうか、不合理だな。僕は、現実的に廃止をしたとしても、対処はこういうふうにやりますよという展望で混乱を持ち込まないようにしなければならない。この点について大臣に対して一つお聞きをしておきたい。どういうつもりでおられるのだろうか。  第二番目に、今ここでお話しになっていた点です。  大臣は、わずかな程度ではあるけれども財形に対する落ち込みが起こってきているということをおっしゃった。私、ちょっと調べてみたら、住宅の分野でいうと、八九年度をピークにしたときに九五年三月で八七・七%に減っているんだ。年金の場合で見ると、八八年度をピークにして見ると九五年三月には八二・八%に落ちている。一般財形貯蓄に至ると、これは八六年度をピークにして九五年三月には六七・三%と落ち込んでいる。現にある制度そのものが、ピーク時といっても決して多く広がっていたものではない。ところが、それに拍車をかけてとっとことっとこここまで落ちてくるとなると、これは何らかの手を打たなかったならば、そんなものはもう魅力のないものであって、労働者の財形制度などと大見え切って言える制度ではないなということになるじゃないか。  今、大臣が、基本計画が実は二十五年たっているのだけれどもいまだにありませんのだということをおっしゃったのですよ。私は、基本的に、財形制度そのものに対する、どうあるべきかという問題としての施策を明確に打ち出す問題と、そしてこれだけ落ちてきているのをわずかだというふうに見るわけにはいかない。やはり何らかの手を打って、これは積極的にやる問題だろう。  その点で非常に重要なのは、今提起されておった年金なり住宅なりの五百五十万という問題、これでは頭金の一部にしかならぬのじゃないか。せめて一千万という問題については、これはもう本当にこれをまじめに立派なものにしようという立場であったならば、一致してみんなが言える話だろう。  だから、大臣についておられる間に、この基本的な展望の問題と一千万という課題の問題は最重要の課題として、次の国会にあるいは次の概算要求をする段階なりにきちんと提起をしてやり抜かなければならない問題として位置づけられるのかどうか、この二点についてお聞きしたいと思います。
  69. 永井孝信

    ○永井国務大臣 まず、後段の方の限度額の話について再度申し上げておきたいと思いますが、労働省といたしまして、非課税限度額を一千万円に引き上げるべきだということをここ数年ずっと求め続けてきたことは御承知のとおりであります。  それがことしの予算でも税制改正の中で認められなかったことについては、労働省の力不足といっておしかりを受ければそれまでだし、関係しておりました与党の労働調整会議の、私が座長をしておったのでありますが、力不足とおしかりを受ければ甘んじてそれは受けざるを得ないと思っております。しかし、この一千万円を何とかして実現しようとして努力してきたその経過、積み重ねの上に立って今度の概算要求に向けてさらに努力をしていきたい、このことを最前も決意として申し上げたわけであります。  結果論としてどうなるかということは、今ここで見通しを言うわけにいきませんけれども、しかし、ここ数年一千万円を要求し続けてきた経過、そしてこの財形の重要性、こういうものをさらに綿密に精査をした上で予算要求に反映をさせていきたい、こう思います。  もう一つは基本計画の関係でありますが、これについても、将来の財形のあるべき姿という問題についても審議会で御検討願うことにしているわけでありますが、できるだけそういうものが財形の利用者の拡大につながっていくような、財形そのものに大きく国民の皆さんが目を向けていただいて評価を高めていただけるような、そういうものに資するような基本計画の策定に努力をしてまいりたい、このように思うわけであります。  前段の安定所の関係でありますが、具体的な山口県の問題が出ました。これは大和町の労働出張所の廃止という問題でありますが、下関安定所内で現在出張所で扱っている業務があります。この業務を専門に処理する部門を別途設置をいたしまして、当分の間、現出張所の庁舎におきまして業務を継続して行うことにいたしているわけであります。求職者へのサービスが著しく低下することにならないように配慮をいたしてまいるつもりでありますので、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思います。
  70. 寺前巖

    寺前委員 参議院審議を聞いておりましたら、巡回的に回っていってサービスの低下にならないようにしたいと大臣はおっしゃっていました。私もそれは賛成なんです。ぜひとも労働者がむだなことにお金を使ったり体を持っていくようなことにならないように、便利性をよく考えていただきたいということをあえてお願いしておきたいと思います。  そこで、財形の問題についてこの際に聞いておきたい。  新しく財形貯蓄活用給付金制度というのを導入しようとしておられる。そこで私は、これを見ておってちょっとわからない問題があるので、三点お聞きしたいと思うのです。  一つは、五十万円以上百万円、百万円以上どうと、こう分断をされて、そして事業主がお金を何ぼか持っていただいたら、国は中小企業の場合にはこれこれ、大企業の場合にはこれこれのお金を持ちますよ、こう書いてあるんだ。だけれども事業主は一体何ぼ持ったらいいのだろうか。これがはっきりしないと、これが魅力あるものとして広がるか広がらないかの分かれ目になると思う。これは非常に大事な問題なので、そこはどういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたい。  それから、五十万円以上に対して分断をしておられるけれども、例えば教育の分野で三十万、介護の分野で二十万というふうに異なる事由によって活用しようという場合には、これは適用されないというのはおかしいのじゃないだろうかという問題を次に疑問に感じました。  三つ目に、中小企業の年次休暇の取得率というのは、全体で見ると五割前後になっています。非常に低い。だから、せっかくこういう貯蓄活用給付金制度をつくるのだったら、この年次休暇を活用したリフレッシュなどの旅行や、休暇のためのそういう施設の活用などをやった場合に対象にするという問題は考えられないものだろうか。それを考えることによって、このことがいい役割に発展するのじゃないだろうかということを私は疑問として感じましたので、この三点をひとつお聞かせいただきたい。  それからもう一つは、従来からの問題ですが、年金の積み立ての場合に、据置期間五年で利息込みで五百五十万を超えると解約し、五年間さかのぼって利子について丸ごと二〇%課税になる。非課税限度額を超えても、超えた金額のみを課税扱いにするとかそういう処理の仕方は何でできないのだろうか、私よくわからないので、御説明をいただきたいと思います。
  71. 七瀬時雄

    七瀬政府委員 お答えいたします。  前段の、中小企業、大企業、それぞれがこの財形給付金でどういう負担をするかということでございますが、事業主の方々が勤労者に対して助成をする場合に、事業主負担は、大企業の場合には三分の一、中小企業の場合には三分の二負担をする。要するに、そこで差をつけているのは、中小企業負担力の問題を考えておりますので中小企業に手厚くしておるということで、考え方としては、それぞれの事業主負担をするということでございます。  それから、先ほどの二つの事由が重なって五十万円になった場合ということでございますけれども、人生の節目節目で自助努力支援する、ある程度節目の事件が起こったときにまとまったお金が必要になる、こういうことが制度趣旨でございますし、また技術的にいろいろな仕組みをするときにも、そういう幾つかを足し合わせるということがなかなか難しいというようなこともございますので、一つの事由について五十万円という助成の仕方で割り切りをしたということが第二点でございます。  それから第三点は、人生の節目節目でリフレッシュをしたい、そういったリフレッシュ休暇というものを推進したいという思いはございますけれども、私どもは限られた財源の中でインセンティブをつけて助成していくわけでございますので、ともかく現段階においてそういうリフレッシュについてまで給付金をつけるということについては、ちょっとコンセンサスを得られるのは難しいのではないだろうか。そういう観点でその部分については外している、こういうような状況でございます。  それから、先ほどの五百五十万円を超過した部分のみということでございますが、五百五十万円以内の部分から生じた利子については非課税となるわけでございますので、この問題は実質的には非課税制度の拡大と同様の意味合いを持つということでございますので、そういった全体の枠の拡大の中でいろいろと努力してまいりたい、このように考えております。
  72. 寺前巖

    寺前委員 もう時間が来ますのでやりませんけれども、私の提起した問題に必ずしもみんなお答えになってないので、後からひとつ整理をして聞かせてください。  事業主が一体どれだけ持つかというのは、パンフレットや何やらいろいろ見ましたけれども、よくわからない。国の方は何ぼのお金を面倒見ましょうと書いてあるけれども事業主が何ぼ持つのかというのは書いてないのでわからない。これはわかるようにしなかったら執行していけないことになりますから。そういう問題とか、それからオーバーした問題なんというのは、利率が変わってくると途中で変化が起こってきまずから、何でそんな厄介な仕方をするのかな、これもよくわからない。  ですから、もうこれ以上ここで時間がありませんから継続しませんので、ぜひ私の提起した問題を改めて、後ほどで結構ですから事務当局で御検討いただきたいと思います。  終わります。
  73. 岡島正之

    岡島委員長 以上で両案件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  74. 岡島正之

    岡島委員長 これより両案件を討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  75. 岡島正之

    岡島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  76. 岡島正之

    岡島委員長 この際、本案に対し、大野功統君外四名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。上田勇君。
  77. 上田勇

    ○上田(勇)委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 勤労者財産形成促進制度については、少子・高齢化進展労働移動の増加、勤労者の意識・価値観の多様化金融の自由化等の社会経済情勢の変化に即応し、引き続き制度全般の整備充実を図っていくこと。  二 勤労者財産形成促進に必要な税制面の優遇措置充実について、さらに一層努力すること。  三 企業内の福利厚生に関する企業規模間格差の是正を図るため、財形事務事務代行制度の効果的な活用等により、中小企業に対する勤労者財産形成促進制度普及促進に一層努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  78. 岡島正之

    岡島委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  大野功統君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  79. 岡島正之

    岡島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。永井労働大臣。
  80. 永井孝信

    ○永井国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。     —————————————
  81. 岡島正之

    岡島委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  82. 岡島正之

    岡島委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 岡島正之

    岡島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  84. 岡島正之

    岡島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会      ————◇—————