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1996-06-07 第136回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月七日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員   委員長 加藤卓二君    理事 太田 誠一君 理事 佐田玄一郎君    理事 志賀  節君 理事 山田 英介君    理事 山田 正彦君 理事 山本  拓君    理事 細川 律夫君 理事 枝野 幸男君       奥野 誠亮君    金子 一義君       川崎 二郎君    塩川正十郎君       白川 勝彦君    橘 康太郎君       萩山 教嚴君    古屋 圭司君       横内 正明君    阿部 昭吾君       加藤 六月君    貝沼 次郎君       左藤  恵君    富田 茂之君       佐々木秀典君    坂上 富男君       正森 成二君    小森 龍邦君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君  出席政府委員         法務政務次官  河村 建夫君         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務大臣官房審         議官      山崎  潮君         法務大臣官房         司法法制調査         部長      永井 紀昭君         法務省民事局長 濱崎 恭生君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任        補欠選任   塩川正十郎君    川崎 二郎君   浜野  剛君    金子 一義君   熊谷  弘君    富田 茂之君 同日  辞任        補欠選任   金子 一義君    浜野  剛君   川崎 二郎君    塩川正十郎君   富田 茂之君    熊谷  弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  民事訴訟法案内閣提出第八四号)  民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関  する法律案内閣提出第九三号)      ————◇—————
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤卓二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 加藤卓二

    加藤委員長 内閣提出民事訴訟法案及び民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、両案に対し、太田誠一君外二名から、また、民事訴訟法案に対し、山田英介君及び正森成二君から、それぞれ修正案提出されております。  提出者から順次趣旨説明を求めます。細川律夫君。     —————————————  民事訴訟法案に対する修正案  民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  5. 細川律夫

    細川(律)委員 私は、提出者を代表して、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけ共同提案に係る修正案について御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付したとおりでありますので、案文朗読は省略をいたします。  まず、民事訴訟法案に対する修正案について御説明をいたします。  原案は「公務員職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督官庁承認をしないもの」は文書提出義務がなく、当該監督官庁承認は、「公共利益を害し、又は公務遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。」こととなっておりますが、その判断行政の裁量にゆだねられ、司法審査が及ばないこととなっているのであります。さらに、情報公開に対する国民の要請及び裁判所審理促進に不可欠な証拠文書の拡大という本法案趣旨を踏まえ、情報公開制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加える必要があります。  そこで、本修正案は、文書提出命令に関する規定について、法案第二百二十条第四号ロを削除し、同号柱書の「文書」を「文書公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書を除く。)」に改めた上、法案第二百二十二条を削除することとし、これに伴い、所要規定整備を行うこととするとともに、附則において、法案「第二百二十条第四号に規定する公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書対象とする文書提出命令制度については、行政機関の保有する情報を公開するための制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こととし、その措置は、本法律の公布後二年を目途として、講ずるものとするものであります。  次に、民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案に対する修正案については、民事訴訟法案修正に伴い所要規定整備を行うこととするものであります。  以上が、両修正案趣旨であります。  何とぞ両修正案に御賛同くださいますようお願いをいたします。(拍手
  6. 加藤卓二

  7. 山田英介

    山田(英)委員 ただいま議題となりました修正案について、新進党を代表して、その趣旨を御説明いたします。  修正案はお手元に配付したとおりでありますので、案文朗読は省略いたします。  原案は「公務員職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督官庁承認をしないもの」は文書提出義務を免除しており、当該監督官庁承認は、「公共利益を害し、又は公務遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。」こととなっておりますが、その判断行政官庁にゆだねられ、裁判所は行えないこととなっております。  しかし、公務秘密文書秘密該当性判断は、行政官庁にゆだねるべきではなく、裁判所が行うべきであり、また、裁判所判断に資するため、原則として、公文書インカメラ手続対象とすべきものであります。  そこで、本修正案は、文書提出命令に関する規定について、法案第二百二十条第四号ロを「公務員職務上の秘密に関する文書でその提出により公共利益に重大な支障を及ぼすこととなるもの」に改めることにより、文書提出義務を免除する要件を厳格化しております。  また、法案第二百二十二条を削除し、公務員職務上の秘密に関する文書について第二百二十条第四号の文書であることを提出義務の原因とする文書提出命令の申し立てがあった場合、裁判所が、当該監督官庁に対し、当該文書提出に応じるかどうかについての意見を求めることができ、この場合、当該監督官庁当該文書提出に応じないときは、その理由を疎明しなければならないこととしております。  そして、裁判所は、疎明を理由がないと認めるときは、当該監督官庁に対し、当該文書提出公共利益に重大な支障を及ぼす旨の声明を要求することができることとし、声明があった場合は、当該文書は、第二百二十条第四号ロに該当するものとみなして提出を求めないとする厳格な手続を設けて、司法行政の均衡につき、一定の配慮をいたしております。また、法案第二百二十三条第三項の文書提示命令対象公務員職務上の秘密に関する文書を加えることにより、インカメラ手続対象としております。  以上が、本修正案趣旨であります。  何とぞ本修正案に御賛同くださいますようお願いいたします。(拍手
  8. 加藤卓二

  9. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました民事訴訟法案について、日本共産党修正案提案理由説明いたします。  修正案はお手元に配付したとおりでありますので、案文朗読は省略いたします。  今回の民事訴訟法改正は七十年ぶりの大改正であり、改正点は極めて多岐にわたっています。  裁判における当事者であります日本弁護士連合会は、本法案に対して幾つかの問題点を指摘し、少なくとも三点にわたって修正すべきであるとの意見を表明しています。すなわち、第一に、秘密公文書提出命令除外規定について、第二に、裁判公開制限の問題、第三に、上告制限の問題であります。  我が党は、基本的には、右日本弁護士連合会見解を同じくするものであります。  右のような見地から、論議の中で幾つかの問題点を指摘してきましたし、今後も指摘する予定でおりますが、これまでの審議経過並びに各党間の協議の経過から、問題の焦点となりました公文書提出命令除外規定に限って修正案提出した次第であります。  政府原案は、形式的には文書提出命令を一般義務化するといった体裁をとりつつ、除外規定で「公務員職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督官庁承認をしないもの」を提出命令対象から除外しており、しかも、文書提出義務の存否の審理手続として裁判所文書提出させるという、いわゆるインカメラ手続対象からさえも右「官庁承認しないもの」は除外し、裁判所判断権を全く奪うものとなっています。  すなわち、監督官庁提出を拒絶した場合、拒絶理由の当否を裁判所は実体を知った上でチェックする方法はないわけで、エイズ訴訟などで改めて浮き彫りになった行政当局の体質を考えると、公文書は出さなくてもよろしいと宣言しているようなものとの批判に見られるように、まさに行政側証拠隠しを助長し肯定するという、時代逆行の大改悪と言わざるを得ません。もしこのような改正が成立するなら、今検討されている情報公開法制定についても大きな悪影響を与え、国民の知る権利への道を閉ざす武器となることは明白です。  我が党の修正案では、第一に、提出命令を拒むことのできる文書について、「公務員職務上の秘密に関する文書で」当該文書の「提出により国家の利益又は公共の福祉に重大な不利益を及ぼすこととなるもの」と改めることとしています。これは、文書提出命令をめぐって争われた家永教科書裁判伊方原発訴訟において裁判所決定で示された判断を基本的に採用したもので、国民の皆様の理解を得られる見解と信じます。  修正の第二点は、右修正によって、「当該」「官庁承認をしないもの」との規定が削除されることに伴い、法案の第二百二十二条を全文削除するものであります。  修正の第三点は、法案第二百二十三条に「ロ」を追加することによって、法案第二百二十条四号ロで定めた文書に該当するかどうかの判断をするについて、裁判所文書所持者に対してそれを提示させ、すなわちインカメラ制度にのせることにより裁判所判断にゆだねようとするものであります。  以上が、修正案提案理由でありますが、本修正によってのみ、行政資料隠しを抑え、司法権の独立と権威を守り、国民が求める公務秘密文書を最大限提出させることにつながると確信いたします。  何とぞ御検討の上、御可決くださいますようお願いし、提案理由説明とさせていただきます。(拍手
  10. 加藤卓二

    加藤委員長 以上で三修正案趣旨説明は終わりました。     —————————————
  11. 加藤卓二

    加藤委員長 これより両案及び三修正案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐田玄一郎君。
  12. 佐田玄一郎

    佐田委員 与党を代表いたしまして質問に入らせていただきます。  与党を代表するわけでありますけれども、今回の法案は七十年ぶりということもありまして、非常に重要な民事訴訟法改正である以上は、多岐にわたりまして質問もさせていただきたい、かように思っているわけでございます。  今までに、委員会、そしてまた参考人招致、そしてまた名古屋での地方公聴会、随分と私自身もこの議論も煮詰まってきたのではないか、かように感じておるわけでございます。  この根底にあるものは、もう言うまでもなく、非常に社会が複雑化し、その訴訟形態というものも非常に煩雑になってきた。そういう中において、時あたかも、公害の問題であるとか、先ほどお話にも出ましたエイズの問題、そしてまた官官接待の問題、「もんじゅ」の問題、あらゆるこういうふうなことが時を同じくして起こった。これに対して、今までの訴訟形態が多少変わってまいりまして、個人と企業、そしてまた個人と国、そういうふうな非常に今までにないような形がかなり多くふえてきた。それに伴いまして、証拠の偏在、こういうことを何とか直していかなくてはいけない。そういう中において、社会の大きな流れとして情報公開流れというものができてきたのではないか、私はこういうふうに感じておるわけでございます。  各党いろいろと今まで議論してまいりました中で今回の議論が出されたわけでありますけれども行政文書提出仕切りだと私は思うのですね。と申し上げるのも、要するに、情報公開社会一つの趨勢、流れの中で広げていかなくてはいけない。これは各党一致している、根本的な差異はないのではないか、こういうふうにも思っているわけであります。そういう中におきまして、いかにその仕切り法律に文章化していくか、この難しさというものを今回は如実にあらわしておるのではないか、かように思っているわけであります。  言いかえるならば、先般のエイズの問題、大変な犠牲者を出した、大変けしからぬ話であります。そしてまた「もんじゅ」の問題、これも、情報隠しもけしからぬ話であります。これはもう皆さん一致しておるわけであります。こういう中にお いて、これを法律に文章化していく、この難しさが今回出てきたのではないか。根本では違いはない、繰り返してはありますけれども、私は申し上げたいわけでございます。  そういう中におきまして、今回の法案において、要するに情報公開における一般化、これをとにかくできるだけ広げていこうじゃないか、これも各党で一致しておるところであろう、私はそういうふうに思っているわけでございます。  そういう中におきまして、一方ではまた、行政改革委員会の部会においては情報公開法議論も進んでおるわけであります。これは今途中であるわけでありますけれども、先般の参考人招致におきましても、この情報公開法を待たずして民事訴訟法を先に議論する、そして制約をしていくのではないかというふうにお怒りの参考人の方もいらっしゃいました。  そういうことを考えますと、これは共産党新進党の方にお聞きしたいのでありますけれども、今回の修正案、これにつきまして、今の時点において決着をしていいものかどうか、この辺をお伺いしたいと思います。
  13. 山田英介

    山田(英)委員 法律制定権は、申すまでもありませんが立法府にございます。先ほど委員もお触れになりましたけれども各党三巡の質問、約十四時間を審議いたしました。その間、参考人質疑、また地方公聴会ども開き、延べ十四人の公述人参考人からの貴重な御意見も伺い、審議をしてきたところでございます。  私どもといたしましては、固めて審議をし、そしてそこで、おっしゃいますような一つ方向性というものが明らかにされた場合には、やはりその時点その時点立法府判断をして法律案の中身を確定させていく、それを反映させて修正していくということが本来あるべき姿ではないのか、またそれが立法府に課せられた責任ではないのか、かように存じております。
  14. 正森成二

    ○正森委員 申しわけございません。中座しておりまして御質問を聞いていなかったのですが、私の方の修正案は、最終的に修正案では決定するということになっておりますけれども、私は、情報公開法での考え方当事者との権利義務が問題になっている民事訴訟法案とはおのずから別のもので、必ずしも同時決着、あるいはそれが決まらなければ民事訴訟法決定できないという性質のものではないと思います。  私どもの案は、後でも申し上げますが、既に判例として出ております家永教科書裁判での高等裁判所決定の文言をそのまま採用したもので、判例上も非常に根拠のあるものだというように考えていることを申し上げさせていただきます。
  15. 佐田玄一郎

    佐田委員 今共産党の正森委員の方からもお話がありまして、要するにこれは別の次元で話していかなくちゃいかぬ、そういう例もあるというお話を聞きました。  そしてまた、新進党山田委員の方からもお話を聞いたわけでありますけれども新進党の案として、これがまた決定になった場合に、例えばこれが情報公開法と著しく内容的に変わってきた場合に、見直すという考え方新進党におありなのでしょうか。
  16. 山田英介

    山田(英)委員 先ほど答弁をさせていただいた延長線上にあると存じますが、将来、情報公開法制定され施行された場合に、民事訴訟法との整合性をどうするかという、そこに改正すべき問題点があれば、その時点でまた速やかに法改正作業に入るべきではないのか。  要するに、申し上げたいことは、国会の審議というのは極めて重要な意味を持つものでありまして、その時々において判断をしていく、生煮えのところまで無理にということでは決してないわけでありますが、その審議審議の段階で一定結論を出し、それは法案修正という形で反映させるべきである、かように考えております。
  17. 佐田玄一郎

    佐田委員 今委員から御答弁がありまして、今回の重要なポイントというのは、やはり、先ほども申し上げましたとおりに、行政文書提出仕切りと、そしてまた、今申し上げました、これから成立いたしますところの情報公開法との整合性だと私は思うわけであります。  法律国民を守り、そして法律を基準にしていく以上は、それが整合性を失ったときには先であっても後であってもやはりこれは改正していく、順応していく、こういうことがこれから非常に複雑な社会に向けて大事なことではないか、私はこういうふうにも感じておるわけでありまして、今の委員のお言葉、これはやはり我々も身にしみて感じていかなくてはいけないのじゃないか、かようにも感じておるわけでございます。  次に、要するにこの改正案につきましては、法制審におきまして五年にわたる議論がなされてきたわけでございます。そしてまた、閣議決定されて、法務省の方も多少安心していた向きもあるわけでありますけれども、その中で、これが委員会議論を重ねることに至りまして、大勢が、法制審での議論というのは不十分ではないか、私は私なりに、そういう結論ではないか、こういうふうにも感じておるわけであります。このことは同時に、立法権威が保たれたのではないか。  そしてまた、これを、例えば法制審に差し戻しするとか立法の方で議論し直すとか、これからいろいろな方法があろうかと思うのでありますけれども、これからの法制審のあり方のみならず、これから審議議論の場というものをどういうところに持っていかなくちゃいけないのか、これにつきまして枝野委員のお考えをお聞きしたい。
  18. 枝野幸男

    枝野委員 お答えをいたします。  この委員会の場でも、この問題点については開かれた議論をされてまいりまして、それによって国民の皆さんにも問題点あるいはポイントなどかなり知っていただくことができてきていると思っておりますし、今回の、仮に一部分行政文書について今後も議論しようという部分が残るとすれば、こうした今までの経緯を十分に踏まえて、私ども立法府の立場としても、それからさらには、ぜひ法務省の方にも国民に開かれた議論というものを、わかりやすい議論というものを進めていくべきであると思っておりますし、具体的な進め方については、今後この委員会理事会等でも検討していかなければならないというふうに思っております。
  19. 佐田玄一郎

    佐田委員 今委員の方からもありましたように、繰り返しになりますけれども、これは非常に重要な改正法案であり、今回出されたいろいろな修正案、これも私はそれぞれに非常に当を得ているのではないか、かようにも思っております。  そしてまた、これが真に、先ほど漠然とした言い方をしましたけれども国民の側を向いて、そして国民のための法律になるように、そしてまた情報公開がしっかりと行われるようなそういうふうな議論、これはそう一朝一夕にできるものではないと思います。そしてまた、いろいろな方を呼んでこなくちゃいけない。そういう意味におきましては、国民に対しても、そしてもちろん、先ほど出ました法制審に対しましても、しっかりとした、全く束縛のない、自由な議論をして、やはりこれから時間をかけてやっていかなくてはいけないのではないか、こういうふうに感じておるわけでございます。  それと、与党案の方でありますけれども先ほどの話に戻りますけれども情報公開法。これからできるわけですけれども、それにつきまして、今回の民事訴訟法改正との整合性の問題ですけれども、それに根拠があろうかと思いますけれども、この二年という根拠を、三党で決めたわけでありますけれども、その辺の議論をお聞かせ願いたいと思います。
  20. 太田誠一

    太田(誠)委員 二年間の根拠は何かということでございますが、率直に申し上げまして、法制審議会審議期間というのは信じられないぐらい長いわけでございまして、それをどうやって短縮をしていただくかということは、これまでも大変悩ましいことであったわけでございます。私は、二年間というのは最短の時間になるのではないかというふうに思っております。  それともう一つ先ほどから佐田委員御指摘の とおり、情報公開法との関係は、私自身は、情報公開法は、国民行政との間の情報開示の問題を律するルールであって、それに対して民訴法というのは、行政司法との間の情報開示についてのルールを定めるものでありますから、本来、こちらがなければこちらが立たないとかいうふうなお話ではないと思っております。  しかしながら、従来の我が国のこの情報開示に関する法律、例えば議院証言法であるとか、あるいは地方自治法における地方議会行政の間の関係などを見てみますと、それと今度中間報告が出されました情報公開法考え方というのは大分違ってきておる。  原則的には、従来の法律というのは、行政が、どのような形にせよ文書提出あるいは証言を拒絶するという手続が最終的なものであるということがあるわけでございますけれども、今度の情報公開法中間報告考え方では、それはそうではなくて、ちゃんとその情報の種類によって、あらかじめこういうカテゴリーのものは不開示とする、しかしそのほかのものは原則として開示という考え方になっておると思いますので、そのような発想の転換、さまざまな法律の体系が、考え方が変わってくるわけでございますから、それと並行して進めなければいけない。  並行して進めるという観点からいえば、ことしの年末に恐らく情報公開法については成案を得るであろうということが言われておりますので、それと並行して、そして速やかに民訴法改正を進めるとすれば、二年間というのが一番適切な期間ではないかというふうに考えております。
  21. 佐田玄一郎

    佐田委員 この情報公開法と今回の民訴改正、理想的には、やはり本当に整合性をとって余り混乱が起きないようにしっかりとこれはやっていっていただきたいと、かように思っております。  時間もだんだんなくなってまいりましたけれども新進党の案なんでありますけれども、これを大まかに申し上げますと、結局最終的には、大臣声明を出すか出さないかというこういう議論だと思うんでありますけれども、この大臣声明ということは、これは結局は文書提出の拒否の大きなハードルにしていると、こういうふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
  22. 山田英介

    山田(英)委員 そういう趣旨でございます。  ただ、この際、お手元に差し上げてございます参考資料、チャートがございますが、基本的には文書提出命令のこの流れというのは、我が新進党修正案におきましては、文書の申し立てがありまして、裁判所インカメラを駆使して申し立てに理由があると認め、なお裁判所監督官庁に改めて意見を求める必要がないと判断すれば、それはトタに文書提出命令に行くわけでございます。ほとんどのケースはここでもって処理されると私どもは理解をいたしております。  それから、もう一つの命令発令に至るルートといいますか、これは、監督官庁意見を求める必要性があるという判断裁判所がいたしまして、意見を求めます。文書提出監督官庁が応じるという意見であれば、裁判所が申し立てに理由があるとそこで判断して、これも文書提出命令発令というところに参ります。  それから、もう一つ重要なルートで、これがただいまの御指摘にも関係するわけでございますが、文書提出監督官庁が応じないとした場合には、その理由を疎明をしなければなりません。説明をしなければなりません。その説明に合理性、妥当性がないと裁判所判断すれば、わざわざ声明まで求めることをせずに、文書提出命令の申し立てに理由があると思えば、それはまた文書提出命令の発令に至るわけでございます。  それで、なぜ監督官庁声明を求めることができるという規定を置いたかと申しますと、委員も御案内のとおり、当委員会におけるたび重なる審議の中で、やはり司法行政の機能といいますか、このバランスを、均衡をどうとっていくのかということが非常に大事だという議論がございました。  我が新進党内のいろいろな検討の場、勉強会の場などでも、三権分立の観点から、司法行政関係について一定の配慮をすべきではないのかというそういう審議あるいは我が党のいろいろな見解をまとめまして、このような規定ぶりにさしていただいたわけでございますが、要するに、監督官庁声明といった場合には、所轄庁の長ですから、監督官庁は、政治的な責任を負うことのできる例えば国務大臣であり、あるいは人事院総裁であり、あるいは会計検査院院長であり、あるいは都道府県知事、市町村長であり、それらが政治責任を伴う形で、負うという形で、これはまさに公務秘密文書であり、それを公にすることにより、提出することにより公共利益に重大な支障を及ぼす、したがって出せませんと、こういうふうな仕組みをつくったわけでございますが、これはぎりぎりのところで司法行政の要するにバランスをとっていこうと、こういう実は考え方でございまして、決してそう多くあるケースではないだろうと予想しております。  したがいまして、裁判所が、かなり秘密性の高い文書であり、そのまま文書提出命令にまで持っていってもいいんだけれども監督官庁意見あるいは声明というものも尊重していこうと。したがって、我が新進党修正案の基本的な仕組みというのは、秘密該当性について最終判断権者は裁判所にあると、こういう立て方でございます。
  23. 佐田玄一郎

    佐田委員 今のお話を聞いておりまして、確かに、裁判所にゆだねている、非常に中立公正にやっている。確かにそれはそれでいいわけでありますけれども、今言われた三権分立ということもあるわけでありまして、行政に逆に今度は全く関与させないで決めていくということもちょっと変かなというふうな気もしないでもないわけであります。これから議論の場でこういうことをいろいろ議論していかなくちゃいけないことだと思いますけれども、次に、共産党さんの正森委員に御質問をさしていただきたいと思うんです。  今回、共産党案というのは、公務員文書全体をインカメラ手続判断する。そういうことになりますと、これはすべて裁判所判断していくというお話なんでありますけれども、どうも私は、これは現状を見た場合になじまないんじゃないかなというふうな——本当に存在すらわからないような文書も中にはあるわけでありまして、急に出て、いろいろな外交、防衛の問題、個人のプライバシーの書類、こういうものまで本当にすべてをインカメラ手続判断していっていいものなのかどうかと。私なんかあれですけれども、正森先生の見識のあるところでこの辺の御答弁をお願いしたいと思いますけれども
  24. 正森成二

    ○正森委員 お答えいたします。  質問者の御質問もごもっともな点もございますが、私どもの案は民事訴訟法におけるインカメラのことを言っているわけで、これが決まったからといって、行政官庁の持っているありとあらゆる秘密文書を全部裁判所へ出して一々見せるということにはなりません。  民事訴訟というのは、御承知のように、具体的な係争事件についてのみ裁判所判断いたしますし、かつ、インカメラ対象になりますのは、その主張立証と相当因果関係のあるものについて、これこれこういう資料が提出されたいということになるわけですから、私は、その構造自体からして、今の御質問の大半はなくなるものではないかというように考えております。そして、その限度であれば、司法権の一翼を担い、同じく公務員の守秘義務を課せられている裁判所インカメラ文書を事前に検討しても、それは大きな問題点は起こらない、そういうように信じております。
  25. 佐田玄一郎

    佐田委員 そういうふうにインカメラ手続の場合はもう本当にその関係書類を要求していく、かなり狭まってくる、そういうふうなことをお聞きしたわけでございます。  いずれにいたしましても、今までお聞きした中で、本当にこれは原案と比べると情報公開においてはかなり進んできた、こういうふうに感じておるわけでありますけれども法務省の方にお聞き したいのは、改正案がかなり出されてきたわけでありますけれども、現状がこれによって相当広がるという希望が持てる、こういうふうにお思いであるかどうか、今までの原案と比べて修正案の方がかなり広がったのじゃないかとお思いになるかどうか。
  26. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御答弁申し上げます。  まず与党の御提案の修正案について申し上げますが、この修正案を承りまして、これは、いわゆる行政の保有する文書については当面現行法のままということで、さらにこの点については速やかに検討をすべし、こういう御趣旨でございますが、それ以外のいわゆる私文書につきましては提出義務一般化するという内容のものと承っておりますので、その範囲では現行の制度よりもいわゆる私文書については提出義務の範囲が拡大するということになるものと理解いたしております。  もとより新進党御提案の修正案及び共産党御提案の修正案は、これは基本的に、ただいま御説明がございましたところによりますと、行政の保有する文書につきましてもすべて裁判所が基本的に判断をするということでございますので、もとより現行法よりもその提出の範囲が拡大されるということはそのとおりであろうというふうに承りました。
  27. 佐田玄一郎

    佐田委員 次に、大臣に御質問申し上げたいのですけれども政府原案のまま成立した場合でも将来の検討課題は検討課題として検討すると答弁をしてきたわけでありますけれども、今後の検討に向けての大臣の決意というか、この辺をお聞きしたいのでありますけれども
  28. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 文書提出命令における行政文書の取り扱いにつきましては、当委員会の御審議の中でいろいろな観点から大変重要な御指摘をいただいたと思っております。  法務省といたしましては、これまでに申し上げてまいりましたが、この委員会で御議論対象となっております文書提出義務の存否についての判断のあり方などの問題を中心に再検討を加える必要があると考えているところでございます。  今後、当委員会の御審議で御指摘いただきました諸点をも踏まえ、この点について速やかに再検討を加えまして、必要な措置を講ずるべく最大限の努力を傾けてまいりたいと思っております。
  29. 佐田玄一郎

    佐田委員 そういうふうな形で情報公開に向けてとにかく努力をしていかなければいけない、こういうところでは一致しておるわけであります。  もう時間がなくなりましたけれども、今回の法案一つだけお伺いしたいのであります。  これはまた情報公開とは別な話でありますけれども、この民事訴訟法によって非常に訴訟の簡略化、時間の短縮、こういうことも盛り込まれておるわけでありますけれども、今、住専問題であるとか不良債権の問題、これは非常に大変な事態になっておるわけでございます。  去年の今ごろ、ちょうど株が一万四千円台でありました。そしてけさ見ましたら二万一千八百円ですか。そして為替の方も去年は八十円台でした。一年たった今は何と百九円なんです。大変にこれは景気も上向きになっておるわけであります。いろいろな諸事情ありますけれども、上向きになりつつある。例えば株一つとってみても一万四千円台から二万一千円台になったということは、含み益が何と百兆円、これは中小零細から株を持っている方々、全員これは行き渡った。こういう光を絶対に絶やしてはいけない、こういうふうに私は思っておるわけでございます。  そのネックになっておるのが何といっても私は不良債権だと思うのですね。これを何としてでも早急に解消していく、そのために、今回の改正、具体的にどういうふうな形になっていくのかぜひ御説明を願いたいと思います。最後にお願いいたします。
  30. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のとおり、現在、我が国の経済情勢の中で不良債権問題等の適正な処理ということが大変重要な課題であるというふうに私どもとしても認識をいたしております。のみならず、これからの我が国経済の将来を考えますときには、そういった問題も含めて、最終的には裁判所の民事訴訟手続あるいは民事執行手続、そういったものによって解決が図られなければならない場面が次第にふえてくるであろうと考えておりますし、そういうことを考えますと、我が国経済の将来にとりましても、裁判手続が適正にかつ迅速に対応することができるということが大変重要な課題であるというふうに受けとめているわけでございます。  今回の民事訴訟法案の目的の最も大きなものとして、民事裁判手続が適正を確保しつつ迅速に処理されるということを目的とするものでございまして、これは、この改正を実現いただきまして、それが適正に運用されるということになりますと、ただいま申し上げたような観点から、その効果をお認めいただけることになるのではないだろうかというふうに考えているところでございます。
  31. 佐田玄一郎

    佐田委員 それでは終わります。
  32. 加藤卓二

  33. 富田茂之

    富田委員 新進党富田茂之でございます。  委員長初め各党理事の皆さん、本日修正案審議もさせていただけるということで、その御努力に本当に感謝を申し上げます。ありがとうございました。  そこで、まず与党の共同提案の案につきまして御質問させていただきたいと思います。  これまでの新聞報道等によりますと、自民党さんは政府原案どおり、また社民党さんは四号を全部削ってしまおう、さきがけさんはまた別に、特に枝野委員原案はだめなんだということでこの委員会でもかなり鋭い質問をされておりまして、ちょっと違った案を出されていたと思うのですが、その三党がここにきまして、いろいろなこの委員会での審議経過等も踏まえてのことだと思うのですが、今回御提出された修正案にまとまっていった経緯というのは、どういう点からそういうふうになったのでしょうか。その点についてまず御説明いただければと思います。どなたかから。
  34. 細川律夫

    細川(律)委員 ただいまの質問につきましては経過についての質問でありましたけれども、当委員会におきましていろいろな審議の中で、原案についてはこれは認められない、修正しなきやいかぬということについては、与党の方でも認識についてはございました。しかし、それぞれの党でいろいろな考え方修正案というのが出まして、最終的には一応まとまったわけなんですけれども、いずれにしろ、最初の当委員会での審議の過程で、二百二十条の四号ロ規定について、これは情報公開流れにさお差すものではないかというような意見、あるいはまた、判例などで培われてきましたそういう行政文書の公開について、これはむしろ範囲を狭くするものではないかというような意見とか、あるいはまた、行政の方でこの規定を盾になかなか情報を出さない、こういうような批判が出ておりましたので、そういうことから、当然ロのところについてはこれは大きな問題になる、早急にこの結論を出すべきではないか、むしろこれは修正案の中で削るべきだという強い意見も出ておりました。  私どもの方としても、このロについては全部だめだ、文書提出命令の全体的なものも従来のままでいって、後は時間をかけて論議をすべきではないか。特に情報公開法制定関係、あるいはまた民事訴訟法案の中でも証人尋問の規定なんかの整合性というようなこともありますので、そういうこともありますから、いわゆる今回はこれについては削除して、そして少し時間をかけて専門的にやった方がいいのではないかというような提案も私どもの方ではしておりましたけれども、しかし一方では、これについての、民訴法案の中で非常に前進をしている面もあるではないかという意見も出てまいりまして、特に公文書以外の私文書などについては、これは一般義務化も認めておりますし、インカメラ制度の導入もしておるというようなことから大変評価もできるということで、これまで全部先延ばしするということもいかがかというような意見も出まして、今回のような与党修正案にまとまったということでございます。
  35. 富田茂之

    富田委員 今細川委員の方から御説明ございましたけれども、一般義務化の規定は前進しているのじゃないかというような御意見でございました。当初、四号全部削ってしまおうというような意見もあったと思うのですが、行政文書以外の文書につきまして四号の規定を残していくということで、一般義務化の規定を残したという形になったわけですけれども文書提出義務の一般義務化というものがなぜ必要なのか、一般義務化の規定があるということがなぜ前進だというふうに評価されるのか、その点について御意見があれば与党の提案者にお聞きしたいと思います。もしよろしければ枝野委員
  36. 枝野幸男

    枝野委員 お答えいたします。  この委員会でも何度か議論に出てまいりましたとおり、特に現代型の訴訟において、例えば行政を相手にする訴訟、あるいは例えばPL訴訟、あるいは薬害エイズのような薬害訴訟のように、証拠に偏りがある、証拠を持っている人は片方に偏っているというような状況の中で民事訴訟一つの目的であります真実の解明というものをするためには、そうした偏っている証拠をできるだけ公平な形で裁判所の目の前に触れさせる必要がある。  そうした場合に、従来の、この部分とこの部分に限って裁判所証拠提出命令をかけられるという方法でありますと、なかなか命令をかけられる対象が狭くなってしまう。広げる努力をしてもなかなか難しい。逆に、むしろ、裁判にかかわりのある、判決を書く上で必要な証拠原則として全部出してください、ただ、これとこれは、それは出すのには酷でしょうねという部分を逆に絞るという形の一般義務化をした上で図っていくことによって、真実解明に必要な証拠裁判所に出てくる。それによって真実の解明ということも、また民事訴訟に対する信頼も、そして人権の確保という意味でも大きな意味があるというふうに考えておりまして、ぜひとも、特に現時点では私どもの案では私文書だけということになってしまいましたが、例えばPL訴訟や、例えば薬害エイズ訴訟も被告の半分は民間企業でございます。そうしたところの前進というものは大きな意味があると考えまして、ぜひともこの部分は残して、生かして修正を加えなきゃならないというふうに考えて提出をさせていただいております。
  37. 富田茂之

    富田委員 実に明快な御答弁をいただいたわけですけれども、やはり文書提出義務の一般義務化ということは、今枝野委員がおっしゃったように、これまでの伝統的な訴訟とちょっと違う、本当に複雑化した現代型の訴訟証拠の偏在がある。裁判所は本当にこれまで一号から三号の文書を、努力されて拡大解釈を重ねてきたわけですけれども、それでも現実の裁判ではやはり文書提出命令が却下されることの方が多い。そこをもう一歩今回の立法で広げようということで、この一般義務化の規定というのは意味があると思うのですが、政府側にちょっとお尋ねしたいのですが、今の枝野委員の御答弁のような趣旨でそもそもこの一般義務化の規定が出てきたというふうに解釈してよろしいのでしょうか。
  38. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 ただいま枝野委員が御説明された趣旨と大筋において同様の考え方で一般義務化ということが検討されてまいったわけでございます。
  39. 富田茂之

    富田委員 また与党提案者にちょっとお聞きしますが、この与党修正案が通ったとします。その後、行政文書についての改正作業が遅々として進まなかった場合、先ほど太田理事の方は、ことしじゅうに成案が出るんだ、情報公開法の方も。それで、二年をめどにすれば間違いなくできるんだというような御答弁でありましたけれども、仮にそういう改正作業が進まなかった場合、情報公開法についてもことしじゆうに大丈夫かなという懸念もあるわけですよね。  ちょっと話は変わりますけれども、地方分権推進委員会の方で機関委任事務について区分けをして中間報告をされたら、各省庁から物すごい反対が起きている。そういう状況を見ますと、情報公開法についてもこれから成案化に向かう中でかなりの綱引きがあると思うのですね。そういうふうに改正作業が進まなかった場合に、与党修正案でいきますと、行政文書についていつまでも一般義務化がされない、先送りになってしまうというような状況が続くことがあると思うのですね。そういう懸念に対して何か配慮をされているのか。その点についてお尋ねしたいと思います。
  40. 太田誠一

    太田(誠)委員 ただいまの富田委員の御懸念はまことにもっともなことでございまして、先ほど申し上げましたように、民訴法の問題と、すなわち行政司法との間の問題とそれから情報公開法国民行政との間の情報開示の問題というのは、同じ視野の中でとらえなければいけないけれども、事柄としては別の問題でございます。この国は、議会による民主主義という建前だ、直接民主主義の国ではないわけでありますから、議会が選んだ内閣がさらに選任した裁判官の世界というものは、それ自体として行政との間の関係はしっかり決めていなければいけないわけでございます。  一番恐れているのは、情報公開法の問題が途中で、スムーズに結論を見るに至らなかったときにどうするかということは当然考えなければなりません。そのために、情報公開法審議と並行してこちら側の審議はしなければいけないということをまずはっきりしておかなければいけない。  そして、もし法制審議会などの議論が遅々として進まないということになれば、これは附則に書いてあるとおりに二年以内に法改正をするということでございますから、立法府として、とりわけこの法務委員会では責任を持って、もし行政ができない、法務省側が提案できないということになれば我々が、富田先生も我々もみんな次の選挙でもきっと法務委員会の人は、まじめに国家のために、何の得にもならないことをいつも一生懸命やっているわけでございますから、こういう委員会の議員はみんな再度当選されるはずでございますから、我々がお互いに誓い合って、そういう際には我々の責任でもって法改正をするということでなければならないかと思います。  なお、そういう意味では、与党提案というのは、本文の修正ということと附則に書いた二年をめどにするということはワンセットでありまして、あくまでもワンセットとして我々は正当性を主張するわけであります。今後二年間だけに限って言えば、あるいは新進党さんの提案の修正案の方がよいかもしれないということはよくわかっております。新進党の提案も大変すばらしい内容だと思っております。
  41. 富田茂之

    富田委員 明快な御答弁を本当にありがとうございます。  政府の方にお尋ねしたいのですが、仮に与党修正案のとおり修正がなされますと、行政文書の取り扱いについては先送りという形になるわけですけれども、一号から三号に規定されている文書については、これまで積み重ねられてきた判例実務は間違いなく踏襲されるんだ、法制審議会でもそういう議論だったし、法務省の解釈としてもそういうことだというふうに、大臣もまた濱崎局長もずっと答弁されております。  仮に与党修正案が通ったとしても、これまでの答弁に違いはないのか。大臣、局長にそれぞれお尋ねしたいと思います。
  42. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 御指摘の修正案は、現行法の第一号から第三号までの規定はそのまま維持した上で第四号を新設し、公務員職務上保管する文書等を除いては提出義務を一般義務化し、提出義務対象となる文書の範囲を拡張するものであると認識をいたしております。  このように、現行法において提出義務対象となる文書については、すべてそのまま提出義務対象とされていることになりますので、この修正案によった場合であっても、これまでよりも提出命令対象となる文書の範囲が狭くなるということはないというふうに考えております。
  43. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 事務当局としても、ただいま大 臣が申し上げたとおりであるというふうに考えております。  なお、御指摘の、現行の一号から三号までについて、裁判所の努力によってなされている裁判例の動向、これはそのまま維持されるということであり、与党修正案によってそれが影響を受けるということはないものと考えております。
  44. 富田茂之

    富田委員 それでは政府の方に引き続きお尋ねします。  今後さらなる改正作業をするに当たって、これまでの委員会審議経過を踏まえて、行政文書に関する文書提出命令規定のことだけではなくて、証言義務規定のあり方、特に証言拒否事由の存否の判断権者とか判断基準あるいは手続、そういったものについても再検討を加えていく余地があるのではないかと私自身は強く感じているのですが、その点については法務省の方はどのように考えられていますか。
  45. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 いわゆる行政文書についての文書提出命令制度のあり方を検討するに当たりましては、先ほど来御指摘がございます行政情報公開一般についての制度との整合性、さらには御指摘の、公務員を証人として職務上の事項について尋問する場合の取り扱い、そういったものとの関係を含めて、総合的な観点から検討を加えていく必要があるものと考えております。
  46. 富田茂之

    富田委員 今の証言義務規定のあり方についても検討を加えるべきではないかという私の考え方与党提案者の方はどのように思われていますか。
  47. 枝野幸男

    枝野委員 証言義務規定との兼ね合いにつきましては、それが文書提出命令と直接かかわるものかどうかということ自体について意見が分かれるのかなと思っております。  私は個人的には直接かかわらないと思っておりますが、直接かかわるという意見にも十分理由がある、その部分も含めて、そのところから考えなければならないかなという意味では、広い意味議論対象にならざるを得ないかなと。ただ、私は個人的には、直接にはかかわらないと思っております。
  48. 富田茂之

    富田委員 政府の方にお尋ねしたいのですが、今後の改正作業についてはどういう機関でやっていこうというふうに現時点で考えられていますか。法制審にまた戻して、法制審の方の部会あるいは小委員会等で行政文書に関する文書提出命令について審議を進める予定なのでしょうか。  先ほど佐田委員の方からも少しお話がありましたけれども、いろいろな意見を聞く必要があるのではないかというふうに私も思いますし、これまでのやり方で本当にいいのかなというふうに思うのですが、その点は現段階ではどのように考えているのでしょうか。
  49. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘の検討の具体的な作業をどういう手順で進めていくかということにつきましては、これから直ちに考えてまいりたいというふうに思っております。  御指摘の法制審議会、これは法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務の基本的な事項について調査し審議するという目的で、国家行政組織法の八条の機関として設けられているものでございまして、法務省といたしましては、基本的な法律改正に当たってはその審議を経るという取り扱いをしているところでございます。  ここで問題になっております問題も、もとより民事訴訟手続の中で重要な事項に関するものでございますので、いずれにいたしましても法制審議会の場で審議をしていただく必要があるであろうというふうに考えております。
  50. 富田茂之

    富田委員 仮に法制審審議していくという場合、この委員会でも議事録を提出してくれという要求がございました。これまでの経過については、局長の方から、貝沼委員質問した際に、昨年の九月二十九日の閣議決定を受けて、ことしの二月二十六日ですか、審議は非公開だ、議事要旨を作成して公開するんだということを決めましたという御答弁ございましたけれども、あるいはもう少し議事録の作成のあり方とか公表方法について検討を加えてもいいのではないかなというふうに私自身は思います。この委員会でもかなりその点について批判もあったわけですから、もう少し、一歩踏み込んだ形で改めてもらえないかなというふうに思います。  特に、民事訴訟法手続法ですので、例えば民法の家族法の部分委員の方の思想とか政治理念まで入るような場合に、この委員がこういう発言をしたというのはかなり影響を与えることがあると思いますけれども、そういう場合には公開できないというのも一つ理由はあると思うのですが、手続規定を決める際に、なぜそういう意見が出てきたのかというのが表に出せないというのは、どうもちょっと理不尽な感じがするのですね。  その点について、これまでよりももう少し積極的な議事録の作成、あるいはその公表のあり方ということについては何か御検討をされていませんか。
  51. 永井紀昭

    ○永井政府委員 ただいま委員からお話がありましたとおり、法制審議会における民事訴訟法改正につきまして、審議経過等について非常に関心を持たれていることは十分承知しております。委員お話がありましたとおり、ことしの総会で、総会、部会の会議ごとに議事要旨を作成して、これを公開することといたしました。  法制審議会においては、本院におけるこのような御議論を踏まえまして、さらに、会議における独立かつ公正の立場からの自由な討論の確保等に配慮しながら、しかし運営の透明性の確保になお努めていかれるものと、さらに検討を進めてまいりたい、かように思っております。
  52. 富田茂之

    富田委員 ぜひ、この委員会でこういういろいろな意見が出ているのだということを法制審の先生方にもお伝えいただいて、審議会の中で本当に積極的な検討をいただきたいと思います。  その関連ですが、法務省として、情報公開法とかそういうことは別にして、法務省という立場で今後省の情報公開について、やはり人権を守る役割を担っている大事な省庁だと思いますので、特にその中で、どういうふうな手続経過でいろいろな決定がされているのだとかということについて、ほかの省庁に先駆けていろいろな意味での情報公開に努めていくべきではないかと思うのですが、その点について、大臣から、今後の法務省としての情報公開に関する取り組み方について御意見を例えればと思います。
  53. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 ただいま法制審議会の御審議の関連で御質問がございまして、委員の皆様の御理解を得ながら審議経過議論の内容について御理解をいただけるようなことを検討してまいりたいというふうにお答えをさせていただいたところでございます。  行政機関一般の立場という御質問でございますが、行政改革委員会によって情報公開法要綱案が発表されたというような情報の公開に関する議論、こういう動きを十分に踏まえまして、法務省といたしましても適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  54. 富田茂之

    富田委員 最後に、新進党の提案者、山田委員に御質問をしたいと思いますが、各種の報道で、先ほど佐田委員の御質問に答えられておりましたけれども新進党案は、最終判断権監督官庁にゆだねられているのだ、そういう意味でやはり原案と同じように問題があるのではないかといった、私自身はこれは誤った報道だと思うのですが、そういう報道がかなりなされております。  その点について、実際に最終判断権がどこにあるのかということについて、先ほどもチャートを使って御説明されておりまして、実にわかりやすいチャートだとは思うのですが、もう一度明確にお答えいただきたいのと、また、司法行政との均衡を考えなきゃいけないという御意見でございました。その点、どうしてそういう配慮をされたのか。その二点について御説明いただければと思います。
  55. 山田英介

    山田(英)委員 最終判断権者は裁判所である、私どもはそう判断をいたしております。  それで、例えば審議の中でいろいろ検討されました、あるいは検証されましたパイロットの墜落事故の事故調査報告書だとか、あるいはベビーベッド事故について通産省が所持しているテスト報告書、あるいは官官接待における支出手続に関連するいろいろな書類、こういう公文書などは、基本的にはインカメラというのはすごくやはり有効ですから、我が党修正案というのはインカメラ公文書にも適用しますので、そこで、ほとんどが裁判所判断で、あえて監督官庁意見を聞かないでもインカメラ審査を通して文書提出命令のところまで、発令までいけるという判断でございます。  なぜ意見を求めるという第二のルートを開いたかというところでございますが、例えば外交、防衛情報一定情報、捜査情報というようなものに近いようなぎりぎりのところで、それらの官庁同士の信頼関係というようなものもやはり大事なんでしょうから、そういうぎりぎりの、秘密性の極めて高いようなところが訴訟の世界とはいえ証拠として提出してもらいたいとなった場合に、そこのところは裁判所判断をして理由を疎明させる、その理由に合理性なり妥当性がなければ、あえて声明のところまでいかずに、求めずに、裁判所判断をして文書提出命令の発令に行き着く。  それで、最後のぎりぎりのところで、やはり行政官庁監督官庁意見も尊重をする必要があるというところで初めて声明というところへいくわけでございますから、その声明を求めるか求めないかも実は裁判所がぎりぎり最終的に判断をしているということの意味において、最終判断権者は、どう考えても基本的に、原則的に裁判所にあるんだというのが新進党修正案趣旨でございます。  そして、司法行政についてなぜ一定の均衡に配慮しなければならないのか。これは、申し上げましたように、審議経過でそういう意見も少なからず出されました。仕組みとして明文規定をもって、あるいは仕組みとして、訴訟の世界とはいえ、すべての官庁が所持する文書を、トタにすべての文書裁判所とはいえ出しなさいという、ワンサイドにそのように仕組みとしてつくってしまっていいのだろうか、こういう点の均衡を保つよう努力をした。  先ほど太田筆頭理事から我が党修正案についてお褒めにあずかったところでございますが、実は内々、司法行政の均衡に配慮するという形で監督官庁声明なりそういうものを組み込んだ修正案であれば、もしかしたら自民党も乗れるかもしれない、与党第一党が乗れれば全部乗れるという話になりますので、こういうことで、私に研究しろというので僕は研究したわけでございます。  議院証言法行政事件訴訟法、地方自治法百条など、一生懸命勉強してやっといいのができたなと思ったら、何かおりられちゃって、はしごを外されちゃって、余り人のいいのもどうかなと今思っているのでございますが、したがって、太田筆頭理事のおっしゃったことは必ずしもリップサービスではないということを申し上げておきたいと思います。
  56. 富田茂之

    富田委員 質問時間もなくなりましたので、最後に政府原案問題点一つ指摘して終わりたいと思うのですが、行政文書についての最終判断権者が監督官庁行政庁側の方がいいんだという根拠として、民事局長は、訴訟というのは行政情報開示の当否を審理の対象としているものではない、あくまで私的紛争の解決あるいは適正な刑事罰の適用という観点からのお互いの協力関係規定であるということを一つ、この委員会審議の中で根拠として挙げられておりました。  ただ、行政事件訴訟法七条で、民事訴訟法証拠関係規定が準用されているわけですよね。行政事件になっても、行政事件は私人と行政庁が当事者として争うわけですから、その際に、行政事件訴訟法七条で今回の改正される規定が適用されてくるわけですね。そういうときに、最終判断権者が行政庁側でいいんだというのはやはりちょっとおかしいのじゃないかな。けんかしている当事八者で片方が行司をやっていいんだというようなことになると思いますので、その点でも政府原案には問題があるというふうに指摘させていただいて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 加藤卓二

    加藤委員長 正森成二君。
  58. 正森成二

    ○正森委員 本日、政府与党から修正案が出されました。恐らくこの修正案は通過すると思います。そこで、それを前提にして若干の質問をさせていただきます。  この修正案によりますと、附則におきまして、二年を目途に公務秘密文書提出等についても民事訴訟法の内部で法案として成文化するというように理解しておりますが、もしそうだとすると、これを提出する場合にもし閣法として提出するということになれば、六法の一つでもありますし、やはり改めてまた法制審審議が必要なのか、あるいは必要がないのか、その点についてまず政府側から答弁を願います。
  59. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 法制審議会趣旨につきましては先ほど富田委員の御質問に御答弁申し上げたとおりでございまして、今回与党提案の附則で指摘されている検討課題、これは民事訴訟手続の基本にかかわるものでございますので、いずれの形にせよ法制審議会とりわけ民訴部会において審議をしていただく必要があるものというふうに考えております。
  60. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁で明らかになりましたように、二年を目途にしてもし内閣の方から提出するということになりますと法制審議会での審議が必要になるだろう、こういう答弁であります。  そこで、私は申し上げたいのですが、今度の公務秘密文書についての条項を削除せざるを得なかったということは、国会におけるすべての構成政党が認めるところであり、また参考人質問でも地方公聴会でも、法制審民事訴訟法部会の関係者以外はだれ一人として賛成がなかったという条文でございました。  そこで私は、少なくとも民訴法部会の責任者や、ましてや民事訴訟法委員会の責任者であった人物は、今度の改正案審議をもし行うとすればその任につくことは極めて不適切であり、可能かどうか知りませんが、そういう人事の更迭、あるいは恥を知るもののふなら責任をとって自分自身辞任すべきと思いますが、これについての法務大臣の御所見を伺います。
  61. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 法制審議会におきまして慎重な御検討をいただきまして、今回の法案につきまして御意見をまとめていただいたものというふうに私どもは承知をいたしております。  国会におきまして、当委員会を初め大変熱心な御意見をいただいておりますこと、これは私どもといたしまして法制審議会委員の皆様に十分にお伝えをする、これは私どもの義務であるというふうに考えておるところでございますが、すべての、民事訴訟法全体の体系をにらみまして御審議をいただくべきものであるというふうに考えておりますので、今直ちに委員がおっしゃいましたような対応はとりにくいものというふうに考えております。
  62. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 一言つけ加えさせていただきたいと存じます。  今回の法制審議会民訴部会における議論におきましても、政府原案として提出させていただいた内容、これが将来とも絶対に正しいものであるという御理解で要綱が取りまとめられたものではないわけでございまして、再三申し上げておりますとおり、これは行政情報公開について幅広い議論がされている、そういった状況を踏まえながらさらに検討すべき問題である。こういう認識のもとに今回の答申が取りまとめられたということについて付言させていただきたいと存じます。
  63. 正森成二

    ○正森委員 法務大臣や民事局長としては、現段階ではそれぐらいの答弁しか、なさるのは御無理であろうと思います。しかし、仮に法制審にかけられるとした場合に、民訴法委員長などが同じ人物の場合には、これらの人が行政官僚なら風向きによって態度を変えるということは大いに可能 でありましょうが、やせても枯れても学者と銘打っておる人がなかなか態度を変えることができないということであれば、私はしかるべき任命権限を持っておる者が更迭するなり、あるいは私が言いましたもののふの恥を知ってみずから辞任して、新しい酒は新しい器に入れるということが当然のことであるというように思います。  そこで、修正案提出者に伺います。  私が今申し上げた趣旨は御理解いただけたと思いますが、もしそういうような措置がとられないで、当委員会にも出てきたあの民事、刑事の判例についてさえ理解のない民事訴訟法の小委員長のもとでは、よりよい法案が準備される可能性は極めて薄いと思います。  そういう場合に、国会がイニシアチブをとります議員立法の場合には、私の理解では当然のことながら今回の修正案と同じように民訴法部会にかける必要はないのではないかと思います。そうだとすれば、この委員会での審議に基づいて、より自主的な、そして世論に合致した修正をかち取ることができる可能性があると思いますが、それについての御答弁をお願いいたします。
  64. 太田誠一

    太田(誠)委員 もとより立法権は我々が国民からゆだねられたものでありますので、最終的な決断は私どもがするということであって、政府が提案をされるものはこれはあくまでも政府の提案であって、立法府の最終結論ではないと思っております。法制審議会についても同様であって、法制審議会は政府が参考意見を聴取する場所であって、そこで正しい結論が出るとは今回の場合のように限らないわけでございますから、十分にそのことは踏まえて、二年後には我々も重大な決意をしなければいけないということもあろうかと思います。
  65. 正森成二

    ○正森委員 御答弁がございましたが、今回約一カ月近く審議しまして、法制審一定結論を出した、それに対して内閣が責任を持って法案提出した場合に、それを修正することがいかに困難であるかということは、論議の過程あるいはお互いの努力の中で身にしみたところであります。  それならば、いい結論法制審の答申あるいは内閣から出るということがわかっておればこれはお任せしてもいいんですが、今回除かれた部分についてはなかなか困難な場合もあろうかと思います。そういう場合には、国会がイニシアチブをとるということは十分に必要であり、場合によっては、もちろん今国会は終わりでありますし、うわさによりますと秋には解散・総選挙もあり得るか。そうなればお互い再びこの場にリターンすることができるかどうかも怪しいわけですから軽々に言いませんが、当法務委員会等適切な場所において小委員会をつくって、そして幅広く検討するということも可能な場合があり得るのではないかと思います。  それについて、まず与党提案者の御意見を伺い、さらに法務委員長の御決意を、もしよろしければ伺いたいと思います。
  66. 細川律夫

    細川(律)委員 正森先生の御意見、ごもっともなところもございますので、私どもとしては、理事会で検討して決めていきたいというふうに思います。
  67. 加藤卓二

    加藤委員長 ただいまの正森成二君のお話、よく理解できますので、理事会に諮るようにいたします。
  68. 正森成二

    ○正森委員 そのいずれの場合でも、法制審の場合には当然のことながら日本弁護士連合会の会員も参加しておりますが、しかし、その会員は必ずしも日本弁護士連合会の大方の会員の意見に基づいて発言されるとは限りません。  したがって、日本弁護士連合会と最高裁判所とそして法務省との間で、今いろいろな制度の問題について三者協議が行われておりますが、このような民事訴訟法の内容についてもフランクに三者協議を行う場を、私が言いました内閣提出あるいは議員立法、いずれになるにせよ行われて、そしてそれが法制審なりあるいは国会の小委員会に反映されることが望ましいのではないかというように私は思いますが、そういう点についての政府及び与党修正案提出者の御意見を承りたいと思います。
  69. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 法制審議会民事訴訟法部会には、従来から裁判官それから日弁連推薦の弁護士の委員が含まれておりまして、特に今回の改正作業におきましては、その日弁連推薦の弁護士委員の員数を増員するという措置をとったところでございます。かつまた、この審議の過程におきましては、日弁連の中にこの問題についての特別の委員会というものも設けられて、その日弁連推薦の弁護士委員の方とその委員会との連絡協議も密にしながら議論を進めてこられたというふうに承っております。  そういうことで、今回の審議におきましても最終的に日弁連の、この問題につきましては日弁連のお考え方が通らなかったということでございますが、その意見は十分に反映されたものというふうに理解いたしております。  今後、さらに今御指摘いただいている問題につきまして法制審議会審議するに当たりましては、日弁連とも十分協議をしながら、日弁連のお考え方法制審議会の部会の議論に一層反映されるような方法を私ども事務当局として考えてまいりたいというふうに思っております。
  70. 太田誠一

    太田(誠)委員 私もこの法務委員会に長くおりまして、たびたび法曹三者による協議ということをお聞きするわけであります。私は、この点について与党のほかの提案者の方々と意見が違うかもしれませんが、法曹三者というのは、これは法廷を舞台にして活躍をしておられる専門家の方々であります。この民訴法にしろ、この法務委員会審議をする法案は広く国民全体にその影響が及ぶわけでありますので、専門家だけの話し合いで物事を決めるというのはむしろ間違いであって、それはあくまでも専門家の参考意見を聞いて、国会としては広く国民を視野に入れた決定をしなければならないと私は思っております。  なお、法曹三者のそれぞれのあり方でございますけれども、法曹三者といっても、法務省と最高裁判所は、それ自体は行政機関と申しますか、政府の機関のようなものでございますから、日弁連、日本弁護士連合会とは性格を異にしておると思いまして、それがあたかも同じもののように三者で協議をするというのは、特にそのような協議を司法制度についてやるということについては、司法制度について最終結論を出すのはあくまでも法務委員会及び国会でありますから、そこの関係はもう少し我々は勉強をし、まだ改善の余地があるのではないかというふうに私は考えております。
  71. 正森成二

    ○正森委員 太田委員の独自の御意見を拝聴いたしました。  その御意見については、私は大いに自分の説を持っておりますけれども、時間が参りましたので終わらせていただきますが、私の質問趣旨もお聞きいただいたら、後で速記録を調べていただいてわかりますように、法曹三者の協議によって民訴法原案を決めろというようなことを言った覚えは全くありません。それらの意見を参考にして国会が決める、あるいは政府が法案提出するという意味で申し上げたことを付加して、時間でございますから私の質問を終わらせていただきます。
  72. 加藤卓二

    加藤委員長 小森龍邦君。
  73. 小森龍邦

    ○小森委員 まず、与党案に対しまして質問します。  今回の改正案において、政府は文書提出の一般義務化といいますか、一般化に向けてその枠を広げたと答弁をされておりますが、与党はこの政府答弁をどういうふうに評価されていますか。  それから二番目といたしまして、単純に二百二十条四号ロを削除いたしますと、むしろ情報公開の動きに逆行するのではないかという危惧を持ちます。もう一つインカメラの導入について与党の態度はどうも消極的に過ぎるのではないかと思います。これは、思いますというのは、いずれもそういう疑問を投げての質問でございます。  それから三番目に、法案提出に当たって、先ほ ど来いろいろと各党の方が質問なさっておりますが、政府与党として、政府の出した、しかも審議会にかけました、そこで成案を得た法案をこういう形で修正なさるということは、合意の手続に何らかの欠陥があったのではないか、かように思いますが、その点はどのようなお考えでしょうか。  それから新進党案に対しましては、新進党としてお使いになっておられますこの修正案の中の公共の福祉という概念でありますが、公共の福祉は憲法第十三条の「個人として尊重される。」というあの非常に重要な規定とどういう関係を持つと解されておられるか。  それからもう一点は、理由の疎明と声明という非常に複雑な手続をもって裁判所提出命令に至るコースを描かれておるわけでありますが、この二つは、裁判のスピード化という意味からいきまして、屋上屋となるのではないか、そんな危惧を抱きます。  それから共産党案に対してでありますが、「公共の福祉」という言葉と並びまして「国家の利益」という言葉が出ておりますが、「国家の利益」とは何か。  そして、これまた先ほど新進党さんにお尋ねをいたしました「公共の福祉」ということをお使いになっておられますが、私の危惧するところは、例えば沖縄の基地の今日の違法状態に対しましても、政府はこれを公共の福祉なる言葉で悪用されております。そんなことに関連して、共産党のお考えを尋ねたいと思います。  そこで、私の時間は極めて短い時間でございますから、ついでのことながら、私ども原則について申し上げておきたいと思います。  証拠として必要とされる文書等につきましては、民間のものであっても公務員が保有するものでありましても、原則としてすべて裁判所提出することにすべきであると思います。この点を法律に明記することが必要だと思うのであります。秘密文書について、官公庁の承認提出の要件とするということは、恣意をはびこらせることになる、したがってやめるべきである、こういうふうに考えます。  しかしながら、そういう原則に立ちまして、例外として、政治は生き物でありますから、考えなければならぬこともあろうかと思います。文書提出を拒むことができるのは、それが公共の重大な利益を害するものに限るべきである。  そしてまた、例外の二番目としては、裁判所は、提出拒否の文書について、前項の理由に当たるか否かを判定するため、当該文書提出を求め、かつ、当該公務員に対して拒否の根拠について説明を求めることが必要であると思います。  さらに、例外の三番目として、裁判所は、当該公務員文書等の提出を拒否し、または説明を拒否した場合、もしくは前記の理由に当たると思われない場合、当該文書提出を命ずることができる、こうしなければ裁判の公正を担保することはできない。  以上が私どもの考えであります。  三党の皆さん方にそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  74. 枝野幸男

    枝野委員 お答えいたします。  まず、一般義務化の評価でございますが、政府原案でも、私文書については一般義務化ということで大変大きな前進が見られたというふうに評価しておりますが、残念ながら原案では、公文書について、そのプラス面よりもむしろマイナス面の方が大きいということで、そのマイナス面を排除するために、一般義務化については二年間残念ながら先送りをさせていただいた、こういった評価でございます。  それから、ロを削除するということで、確かに一般義務化そのものがきちんと導入されることに比べれば残念な部分が残りますが、これは二年間というめどで、しっかりとした期限を切って考えております。私文書についての成果は十分確保して、そして後退ではないかという疑いの部分を削除しておりますし、また、これは裁判所が最終的に判断することでございますが、私文書について一般義務化をされたという事実が前提としてあれば、例えば従来の三号文書についての拡張解釈と言われている部分について、より柔軟な判例がこの二年の間にもつくられるのではないかというふうなことを期待していいのではないかと思っております。  それから、インカメラについてでございますが、私文書については当然インカメラが入るわけでございますが、公文書についてのインカメラをどのように評価するかということについては、与党内でもいろいろな議論がございます。私どもは、インカメラという手続で、当事者である私人が見ないで裁判所行政だけで中身を見て決めるということと、それとむしろボーンインデックスの手続の方がいいのではないかというような議論もございます。この点については、この二年の間に十分な議論をしていただいて、公文書についてどちらが適切であるか、進めていただければと思っております。  最後に、法案提出に至る経緯でございますが、これは与党三党の中でも若干見解が分かれる部分があるかと思いますが、私どもの党は、委員会審議を経て、委員会審議の中で必要があれば修正することもあるということを前提として、閣議決定提出に了解をさせていただきました。これは、ある意味では政府・与党一体という原則論からは違うという御批判もあるかもしれませんが、逆に言えば、委員会審議意味、国会の委員会でいろいろなことを議論した上で最終的なことを決めるのであるという委員会、国会の権限あるいは国会の地位といったことを考えましたときには、場合によってはこういった柔軟な措置ということもお認めいただける話ではないか。実際に、この法案については、委員会審議でお互いの議論が、理解が深まった上で前向きの修正が図られることになったということで、立法府としての見識が示せたというふうに理解をいたしております。
  75. 山田英介

    山田(英)委員 私ども修正案は「公共利益」という言葉を使ってございます。そういう観点からいたしますと「公共利益」というのは、国民の生命財産の保全など、国民生活に直接関係するもので、広く社会全体の利益意味する、こう理解をいたしております。  憲法第十三条の「個人として尊重される。」ということとの整合性でございますが、私は、公共利益が確保されることが個人として尊重される前提といいますかバックボーンといいますか、また、個人として尊重されるためには公共利益というものがしつかりと守られていなければならない、こういう関係にあるのだろうと理解をいたしております。  それから、私ども修正案でお示しをいたしました提出命令手続につきまして、屋上屋ではないのか、あるいは訴訟上これが複雑で遅延の原因になりはしないかという御指摘でございますが、実は二点ございまして、まず、裁判所監督官庁意見を必ず求めなければならないという義務規定であれば、御指摘のとおりの御懸念が出てくるかと思います。我が党修正案は、裁判所判断して、求める必要があるかどうかということを決めることにしておりますから、基本的に御心配は、御懸念はないと存じます。また、声明のところも、必ず声明監督官庁に求めなければならないという義務規定ではございません。これも、声明を求めるかどうかは裁判所判断にゆだねられているという点から、その御懸念はないと思います。  それから、例えば地方自治法の百条の規定ぶりあるいは議院証言法並びに行政事件訴訟法などの規定ぶりを見ますと、いずれもやはり相当工夫をしておりまして、実際にレアケースだけれども、もしそういうケースがあった場合どうなるかということを例えばチャートにするとかということになると、かなりやはりこういう似たような感じになってまいりますが、既存の法律規定ぶりなどを全く参考にせずに、何か私どもが独自に考えた、全く独自にということではございません。既に幾つもの同じような規定ぶりがあるということ でございます。  それからいま一点でございますが、先ほどもちょっと触れましたが、例えば原子炉設置許可の申請手続書類とか、当委員会でもしばしば議論されました、監獄内で暴行を受けた、そのことで訴訟が起こされ、証拠としてカルテを出してもらいたい、こういう事件とか事例とか、あるいは今日的で言えばHIV、薬害エイズ訴訟などに見られる厚生省の資料隠しとか、それから、やがて起こされるかもしれません住専訴訟などで、文書所持者大蔵省、そこから出してもらいたいというようなことが起こるかもしれません。あるいは、北海道のトンネル崩落事故で国の道路管理の責任を問うような、そして管理日誌だとかあるいは事故調査報告書とか、こういう公文書についても証拠として出してほしいというようなことが将来起こり得るかもしれません。あるいは、当委員会参考人から述べられた健康茶、有害物質が出てきた、その情報開示の問題、あるいは処分場のゴムシートが破れて有害物質が土壌にしみ込んだ、その関係する文書、記録を出してもらいたい。例えばこういうものは、インカメラがきいていますので、大体裁判所監督官庁から意見を求めるとか声明を求めるとかというところに進まずに、インカメラで審理をして、文書提出命令にほとんどがトタに行く、こういうふうに我々は思っております。  しかし、実際に判断するのは裁判所でありますから、必ずしも一方的には言えないかもしれません。しかし、それはそうであって、意見を求める方に仮にいったとしても、疎明の理由に合理性がなければ、裁判所はそのまま文書提出命令を発令するという、この辺でほとんどがおさまるのではないのか、こんな感じを持っておりますので、屋上屋を重ねることにはならないと思いますし、訴訟の遅延の要因にはなり得ないというふうに考えてございます。
  76. 正森成二

    ○正森委員 小森先生の御質問にお答え申し上げます。  私ども修正案の文言についての御質問でございますが、私どもがこの文言を用いましたのは、文書提出命令について非常にすぐれた決定であると御評価をいただいております家永教科書裁判における昭和四十四年十月十五日東京高裁決定及び伊方原発訴訟での高松高裁五十年七月十七日決定の文言、その中に「公表することによって国家利益または公共の福祉に重大な損失、重大な不利益をおよぼすような秘密をいう」というように定義して、それに該当しないということで文書提出を命令しておりますので、基本的に判例として一般に評価されております。その文言を利用したわけでございます。  なお、さらに、「国家の利益」とは何かという御質問でございますが、一言で言うのは大変ですが、一般的に広く認められておりますのは、裁判所の合議の秘密、あるいは捜査上の秘密が国家の利益に当たるということは異論のないところであります。そのほかに、現在進行中の外交交渉等についてのいろいろの経緯も国家の秘密ということに該当するのではないかというように私どもは思っております。  「公共の福祉」と沖縄の基地の問題についての御質問でございますが、私どもも、沖縄の基地の問題を行いました考え方については、我々は機関紙等で一貫して批判しております。ただ、公共の福祉という文言は、例えば憲法十三条で「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」という憲法上の文言になっており、憲法第十二条、第二十二条、二十九条等についても使われております。  私たちは、公共の福祉は、学説上いろいろございますが、その中で内在的制約説というのがあります。例えば、言論、表現の自由というのはもちろん尊重されるべきでありますが、その自由はおのずから、他人の名誉の毀損をしてはならない、あるいは公衆の面前でわいせつな表現をしてはならないということを内在的に含んでおる。公共の福祉というのは、それを理論的にあらわしたものであるという学説がありますが、基本的にはこの説をとるべきであると考えております。  以上で終わります。
  77. 小森龍邦

    ○小森委員 ありがとうございました。
  78. 加藤卓二

    加藤委員長 これにて両案及び三修正案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  79. 加藤卓二

    加藤委員長 これより両案及び三修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  80. 志賀節

    ○志賀委員 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表して、ただいま議題となっております民事訴訟法案及び民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案につきまして、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけ提出修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、新進党及び日本共産党提出された修正案に対し反対の立場で討論を行うものであります。  現行民事訴訟法は、大正十五年に全面的に改正されたまま今日に至っており、その間の著しい社会の変化や経済の発展等に伴い、複雑、多様化する民事紛争に適合しない部分が生じております。  民事訴訟国民に利用しやすく、わかりやすいものとし、現在の社会の要請にかなった適切なものとするため、新たな民事訴訟法制定することは極めて重要な意義を有するものであり、高く評価するものであります。  しかしながら、原案は、公文書については、現行民事訴訟法の証人尋問の規定及び刑事訴訟法の規定等を参酌し、第二百二十条第四号ロ規定を設けることとしたため、公文書提出するか否かの判断監督官庁にゆだねることとなり、裁判所司法審査が及ばないこととされております。  この点について、当法務委員会審議を通じて、情報公開の精神と相入れない面があるほか、拡大解釈された場合、行政提出拒絶の材料として使われるおそれがあることが指摘されました。  しかし、審議経過にかんがみ、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけ提出修正案は、第二百二十条第四号ロ規定を削除するほか所要規定整備をするとともに、情報公開に対する国民の要請及び裁判所審理促進に不可欠な証拠文書の拡大という原案趣旨を踏まえ、情報公開制度に関して行われている検討と並行して、総合的な検討を行うこととしているものであり、妥当なものと考えます。  これに対し、新進党提出修正案は、公務秘密文書判断基準を厳格化し、監督官庁文書提出に応じない場合、裁判所監督官庁声明を要求できること等の、また、日本共産党提出修正案は、公務秘密文書判断基準を厳格化し、その判断裁判所ができることとする等の内容でありますが、しかし、この問題は情報公開のありようと深く関係しているので、その検討と並行してさらに総合的な検討を行う必要があります。  以上のことから、私どもといたしましては、新進党案及び日本共産党案に反対の意を表するものであります。  これをもちまして、私の討論を終わります。(拍手
  81. 加藤卓二

    加藤委員長 山本拓君。
  82. 山本拓

    ○山本(拓)委員 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました民事訴訟法案並びに民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案原案及び新進党以外の修正案に対する反対の討論を行うものであります。  今回の民事訴訟法改正は、民事訴訟国民に利用しやすく、わかりやすいものとし、訴訟手続を現在の社会の要請にかなった適切なものとするため、民事訴訟手続の改善を図ろうとするものであります。  しかしながら、原案では公務秘密文書に関し、その秘密該当性判断行政官庁の裁量にゆだねられ、司法審査が及ばないこととされております。しかし、情報公開の時代の流れを考えれば、 公文書提出がこのように制限されていることはまことに遺憾なことと言わざるを得ません。  当法務委員会における審議により、公務秘密文書秘密該当性判断は、行政官庁にゆだねるべきでなく、裁判所が行うべきであること。裁判所判断に資するため、原則として公文書インカメラ手続対象とすべきであること。公文書提出は、広範囲にわたって行われるべきであること。公務秘密文書秘密該当性判断基準は、できる限り厳格にすべきであること等について、大方の意見の一致が見られているところであります。  新進党は、これらの経緯を踏まえ、民事訴訟法案に対し、公文書提出義務を免除する要件を厳格化し、文書提示命令対象公務員職務上の秘密に関する文書を加え、監督官庁文書提出に応じない場合、あくまで裁判所判断で、裁判所監督官庁文書提出命令監督官庁としての声明を要求することができることなどを内容とする修正案提出しているところであります。  しかし、与党から提出された修正案は、公文書提出義務についてその結論を先送りし、現行法のとおりとするばかりでなく、インカメラ手続対象からも外した内容となっており、文書提出が一般義務化された私文書と著しい官民格差を生じさせているのであります。  これは国会の審議を無視するものであり、国会を軽視するものであり、到底賛同することができないわけであります。法律の内容確定に当たっては、国会における審議過程、経過及び内容が最大限に尊重されなければなりません。問題を先送りすることなく、法務委員会審議結論に従い、今国会において判断すべきものはきちっと判断するということが重要であると考えております。  私は、新進党修正案のとおりになることこそが、情報公開の時代の流れの現状から見て最も適切な案であるということを確信申し上げまして、討論を終わるものであります。(拍手
  83. 加藤卓二

    加藤委員長 正森成二君。
  84. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、民事訴訟法案並びに民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案について討論を行います。  法案審議の中で最大の争点となりました文書提出命令の問題については、エイズ訴訟などで情報隠しがいかに国民に不利益を与えるかが明らかになったように、我が党は、原案のままでは、公文書秘密扱いにし行政側証拠隠しを助長するとともに、予定されている情報公開法制定に対して否定的な影響を与えるとの見地から、日弁連などの意見も参考にしつつ、当該部分について修正案提出した次第であります。  与党修正案は、世論の批判を受けとめて、公務秘密文書規定部分を全部削除し、そのほかの民間文書提出の一般義務化を維持し、かつ裁判所インカメラ制度を認め、文書提出可否の決定権を裁判所が持つとしています。次善の策であり賛成であります。  しかし、これ以外の部分につきましては、国民の基本的人権の擁護と裁判を受ける権利など、憲法の根幹にかかわる幾つかの問題点を含んでおり、十分な論議が尽くされたとは言えず、全体として反対せざるを得ません。  反対の第一の理由は、裁判の公開を制限する問題、口頭弁論の形骸化の問題であります。  法案では、非公開の弁論準備手続を導入するとともに、証拠の随時提出主義を制限、書証を重視し、結果として証人尋問や直接主義を軽視しています。弁論準備手続では、傍聴自由が原則となっておらず、争点整理が口頭弁論を空洞化するおそれがあるなど、重大な問題点を含んでいます。密室裁判と批判されていますが、公開の裁判で公正な裁判を受ける権利という民主主義の大原則に反するものであります。  訴訟遅延の主たる原因は、裁判官、職員の不足と物的設備の不備にあり、こうした点を改善しないで、訴訟促進を図るため、訴訟手続を効率化、省力化するしかないとして、裁判官の裁量的、職権的な裁判運営を多用する内容になっているのは、本末転倒と言わなければなりません。こうした傾向は、当事者主義を後退させ、裁判の公正な運営を妨げ、国民裁判を受ける権利を事実上空洞化させる危険をはらむものであります。  第二は、上告制限の点です。  最高裁判所は、憲法判断及び法令の解釈の統一という重要な任務を担っていますが、実質的に上告の理由のない上告事件が極めて多いとして、現行法で認められている「判決二影響ヲ及ボスコト明ナル法令ノ違背」の場合には、法令の解釈に関する重要な事項を含まない事件は、簡易な手続で上告を却下できるようにする裁量上告制度を導入し、全体として上告を制限しようとしています。このことによって、上告の大部分を占める審理不尽や経験則違背等を理由とする当事者の具体的救済を図る道を閉ざすことになり、現行の三審制や裁判を受ける権利を制限することになります。最高裁の負担軽減を理由に上告を制限することは、国民裁判を受ける権利に重大な制限を加えるもので、これまた本末転倒です。  以上、主要な反対理由を述べましたが、そのほかにも判決書の簡略化、少額訴訟手続の創設等幾つかの問題点を指摘できますが、時間の関係で省略します。  以上の理由で、我が党提出修正案及び次善策として与党修正案には賛成し、修正部分を除く両法案の本体には反対することを表明して、私の討論を終わります。(拍手
  85. 加藤卓二

    加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  86. 加藤卓二

    加藤委員長 これより採決に入ります。  民事訴訟法案及びこれに対する三修正案について採決いたします。  まず、正森成二君提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  87. 加藤卓二

    加藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、山田英介提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  88. 加藤卓二

    加藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、太田誠一君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  89. 加藤卓二

    加藤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。(拍手)  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 加藤卓二

    加藤委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  民事訴訟法施行に伴う関係法律整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、太田誠一君外二名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  91. 加藤卓二

    加藤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  92. 加藤卓二

    加藤委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  93. 加藤卓二

    加藤委員長 ただいま議決いたしました民事訴訟法案に対し、太田誠一君外二名から、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけの共同 提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。坂上富男君。
  94. 坂上富男

    ○坂上委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  本案の趣旨につきましては、既に当委員会質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文朗読をもってその説明にかえさせていただきます。  それでは、案文朗読いたします。     民事訴訟法案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点につき格段の努力をすべきである。  一 附則第二十七条の検討は、速やかに開始すること。  二 附則第二十七条の検討に当たっては   1 公務員職務上の秘密に関する文書に関し、秘密の要件の在り方、提出義務の存否についての判断権の在り方及びインカメラ手続を含む審理方式について司法権を尊重する立場から再検討を加えること。   2 私文書に関する文書提出が一般義務化された事実を踏まえ、不合理な官民格差を生じない方向で再検討を加えること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるよう、お願いを申し上げます。(拍手
  95. 加藤卓二

    加藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  太田誠一君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 加藤卓二

    加藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。長尾法務大臣
  97. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、附則第二十七条に規定する検討を速やかに開始し、成案を得るべく最大限の努力を傾ける所存であります。  なお、本法律案審議につきまして、終始大変御熱心に御審議をいただき、ただいま修正議決されましたことにつきまして厚く御礼を申し上げます。  どうもありがとうございました。(拍手)     —————————————
  98. 加藤卓二

    加藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 加藤卓二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  100. 加藤卓二

    加藤委員長 次回は、来る十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十分散会      ————◇—————