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1996-03-19 第136回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十九日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 加藤 卓二君    理事 太田 誠一君 理事 佐田玄一郎君    理事 志賀  節君 理事 細川 律夫君    理事 枝野 幸男君       奥野 誠亮君    岸田 文雄君       橘 康太郎君    萩山 教嚴君       福永 信彦君    古屋 圭司君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       佐々木秀典君    坂上 富男君       正森 成二君    小森 龍邦君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君  出席政府委員         法務政務次官  河村 建夫君         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省訟務局長 増井 和男君  委員外出席者         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部人権難民         課長      川田  司君         厚生省薬務局企         画課長     吉武 民樹君         参  考  人         (株式会社東京         放送常務取締         役)      大川 光行君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     松岡 利勝君   白川 勝彦君     福永 信彦君   浜野  岡君     岸田 文雄君   横内 正明君     松下 忠洋君 同日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     浜野  剛君   福永 信彦君     白川 勝彦君   松岡 利勝君     塩川正十郎君   松下 忠洋君     横内 正明君     ————————————— 三月十九日  婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願  (小森龍邦紹介)(第五〇七号)  同(佐々木秀典紹介)(第五〇八号)  同(坂上富男紹介)(第五〇九号)  同(正森成二君紹介)(第五一〇号)  同(小森龍邦紹介)(第五四六号)  同(佐々木秀典紹介)(第五四七号)  同(坂上富男紹介)(第五四八号)  夫婦別姓民法改正案反対に関する請願(上田  清司君紹介)(第五一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  裁判所司法行政法務行政及び検察行政、国  内治安人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、新進党所属委員に対し出席を要請いたしましたが、いまだ出席を得られません。やむを得ず議事を進めます。  裁判所司法行政法務行政及び検察行政国内治安人権擁護に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として株式会社東京放送常務取締役大川光行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤卓二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 加藤卓二

    加藤委員長 それでは、まず大川参考人から、オウム真理教坂本弁護士事件TBS取材テープとの関連について意見を聴取いたします。大川参考人、お願いいたします。
  5. 大川光行

    大川参考人 今回の問題に関しまして、先週弊社が発表いたしました調査結果など、二通の資料をお手元にお届けしてございます。それと一部重複いたしますが、私ども基本的な立場を述べさせていただきます。  問題になったのは、八九年十月二十六日でございます。この日、富士宮にありますオウム真理教富士山総本部水中クンバカの実験があるという話がありまして、社会情報局番組「三時にあいましょう」のチームが、翌日に放送する予定取材に向かいました。しかし、実験は、事前のふれ込みとは違って麻原被告実験はなく、取材チームはその後麻原被告インタビューを行って帰りました。このインタビューでは、血のイニシエーション百万円といった高額のお布施空中浮揚信憑性について質問しましたところ、周囲におりました弟子たちが、何を根拠にそんなでたらめを言うのかなこと口々に大声を出して険悪な雰囲気になり、結果として放送できるような取材には至りませんでした。  一方、坂本弁護士へのインタビューは、同じ日の昼に、千代田区の科学技術館にありましたTBS千代田分室で行いました。そのころ、オウム真理教取材チーム富士宮に向けて出発した後で、そのスタッフ坂本インタビュー内容は知り得ませんでした。  この取材チーム千代田分室に帰ってきたのは夜の十時前後と思われます。ほどなく、事前連絡もなしに、オウム真理教早川、上祐、青山の三人の被告がこの千代田分室を訪れました。応対したTBS社員は二人でございます。この二人は、未放送テープを見せてはいけないという原則はもちろん知っております。その上で、この二人に、テープを見せた事実はないかどうかを私どもが確認しましたところ、オウム幹部と一緒に五人で小さな部屋に入って、坂本弁護士初め三人のインタビューテープを見るという異常な行動をとれば必ず覚えているはずだ、しかしそうした記憶はないとか、仮に見せようと思っても、テープ保管場所も知らなかったので他のスタッフの応援なしには不.可能などと述べています。周りにいたスタッフに気づかれないでテープを見せることは不可能と思われるのですが、周辺からもそうした証言は一切得られませんでした。  なお、調査結果を公表しました記者会見の席で、調査は当面打ち切りという表現を用いましたために、事実関係についての調べはすべて終了し、今後何も行わないかのように受け取られました。  ここで真意を説明させていただきます。私どもは、見せたか見せていないかということに関しての調査は、当面やるべきことをやり、一段落したと思っておりまして、坂本弁護士事件の初審理に当たって調査の概要をまとめて発表することにしたわけでございます。調査チームを解散したわけ ではなく、必要な事実調査を今後も行うことは当然でございます。  次に、押しかけてきたオウム要求を受け入れてあすの番組内容変更したと疑われている点について申し上げます。  翌日、つまり二十七日の新聞テレビ欄のうち、一部の新聞で当初の予定のままの「水中実験」と書かれたままでしたけれども、そのほかの新聞では別のタイトルに変わっております。通常番組内容変更新聞社に伝える場合の締め切りは午後八時か八時半ごろがぎりぎりで、午後九時以降の変更は不可能でした。一方で、オウムの三人が千代田分室に来たのは夜十時以降と思われますので、結論として、オウム側が押しかけてくる前に内容変更されていたということは確かでございます。  最後に、早川被告ら三人が千代田分室を訪れた事実をなぜ関係者皆様に連絡するなり公表しなかったかという点でございます。  御承知のように、八九年当時の社会状況は現在とは大きく異なっておりました。サンデー毎日が、修行あり方お布施の集め方などに多くの問題がある集団だと指摘し、それを受ける形で、弊社を含めました一部のマスコミが、関連する取材を始めたばかりでございました。今のように、史上例を見ない凶悪な反社会的犯罪集団とはまだ認識されておりませんでした。  また、霊感商法の問題など宗教団体をめぐる報道ではしばしば激しい抗議を受けることがありました。当時の「三時にあいましょう」の制作担当者は、オウムを異常な犯罪集団とは考えていませんでしたし、富士宮での麻原インタビューをめぐってトラブルがあったばかりでもありましたので、早川被告らの来訪についても、通常ありがちな取材上のトラブルであり、それを超える範囲のものという意識はなかったのが実情でございます。決して隠していたわけではございません。去年の春以降に明らかになってきたオウム事件の重大な全貌にかんがみまして、いかにすれば八九年当時の弊社への三人の抗議行動が公表すべき重大情報だと把握することが可能であったのか、それを検証することがみずからに課せられた大きな責務であると考えております。したがいまして、今回の問題を契機に、テープを見せたかどうかという範囲を超えた幅広い問題について、社を挙げての検証作業に取り組む所存です。  このため、弊社放送倫理委員会の討議、決定を受けまして、新たな特別委員会を発足させました。特別委員会では、外部委員の委嘱も行い、オウム関連取材活動あり方から放送内容の評価、番組制作に携わる者の行動倫理、さらには視聴者との関係など幅広いテーマを対象といたします。  どうぞ、以上のような事情と私ども決意に御理解を賜りたく存じます。
  6. 加藤卓二

    加藤委員長 これにて大川参考人意見聴取は終わりました。     —————————————
  7. 加藤卓二

    加藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
  8. 太田誠一

    太田(誠)委員 きょうは、我が法務委員会審議にこうしてTBS大川常務に御協力をいただきまして御出席をいただいたことを、本当に感謝を申し上げる次第でございます。  国会の使命は、裁判所やあるいは検察庁のかわりをするということではないわけでありまして、特に法務委員会の役割は、今この場合、刑法とか刑事訴訟法といった本委員会でたびたび取り扱い、また立法権を持っておる課題について、国民を代表してそのような国民自身を律するルールをここで定め、そしてそのルールが守られるように検察当局などに執行権を与えているわけでございますから、立法権者立場としては、検察庁が適切に刑法刑事訴訟法執行をしているかどうかということを監視をする責任があるわけであります。  そういう意味において、この坂本弁護士事件に関しまして、検察側冒頭陳述と、今概略お話をいただきましたこのTBSの中の内部調査の結果が相当食い違っておるということを我々は看過をすることができない。すなわち、法務行政検察行政の適正な執行が行われているかどうかという観点からすれば、もし事実が、冒頭陳述の方に事実と相違したことがあるのではないかという疑いが生ずるわけでありまして、そのような観点から、適切に検察行政が行われているかどうか、法務行政が行われているかどうかという観点から審議をいたしたい。それについてTBS責任者であります大川常務の御所見を伺いたいということでございます。  よく誤解されるわけでございますが、証人喚問参考人招致というものは全然違うものであります。参考人招致は、文字どおり参考人をお招きいたすというふうに書いてあるわけでございます。お招きいたすということは、そこで責任を追及するとかあるいは断罪するとかいうことではないわけでございまして、うそをついていいわけではありませんけれども、偽証罪も適用されるわけではないということでございますので、どうか率直に存分にここで御所見をお述べいただくことにしていただきたいと思います。  そこでまず最初に、この委員会でもって、その食い違い、すなわち検察側冒頭陳述に書かれたこととそれから今おっしゃった内部調査が相当に食い違っているというところがきょうお招きをいたしました論点でございますので、その点についてどのようにお考えになるか、もう一回お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 大川光行

    大川参考人 お答え申し上げます。  社内調査は、予断を排し、厳正、公正に行いました。その結果を隠すことなく発表いたしました。社内調査では、オウムの三人に対応しました二人の社員のほか、当日建物内におりました外部スタッフなどに状況を聞きました。社員二人は、何度追及されてもどうしても見せたとは思えない、狭い部屋で五人でビデオを見ているならば異様な状況なので覚えているはずだと話しております。他のスタッフは、テープを管理していた我々が知らないうちにテープを見せるごとはあり得ない、だれにも気づかれずにテープを見ることは不可能だと話しております。そうした状況から、我々はテープは見せていないと確信しております。  検察庁捜査結果につきましては私どもはコメントできませんけれども社内調査では、見せたという事実は出ていないと確信しておる次第でございます。
  10. 太田誠一

    太田(誠)委員 実は、参考人としてお招きをするということを私どもが決めた後、昨夜のTBS自身報道あるいはNHKの報道などにも、新たな事実というほどのことではないのかもしれませんけれども早川被告供述調書というものがわかったと。なぜわかったのか、私はちょっとそこもいぶかしく思っておるわけでございますが、私たち供述調書国会に提出をしていただきたいと言えば、当然法務省は嫌だと言うに決まっているわけでございますけれども、それがなぜか報道の方にだけは漏れる。まことに不思議な出来事でありますけれども国会議員には見せないけれども報道の方には漏れるというふうな非常に不思議なことでございますが、それはおくとして、この供述調書がこういうものであることがわかったということが昨夜報道されたわけでございます。  それは、早川被告メモによれば、早川被告はそのテープを見たと言っておる。そして、見た結果、けしからぬ内容だからといって圧力をかけて番組内容を変えさせた、芸能ネタか何かに変えさせたということのようであります。そして、そうしてあげたお礼に、どこかヨーロッパか何かで、麻原被告単独インタビューをさせてあげたというふうに供述をしておるらしいということが報道されたわけでございます。なおかつ、この早川被告メモ証拠採用されているというふうに言われておるわけでございます。  これは、今お話しをいただいたことと検察側証拠採用をした内容とはやはり大分食い違っておると思うのでございますが、いかがでしょうか。
  11. 大川光行

    大川参考人 きのうからけさにかけての報道で、早川供述の中で、ビデオを見たことは公言しないと約束したとか口どめがあったというようなことが報道されたことは、私も承知しておりますが、そのようなことはないと思っております。私ども調査結果では、ビデオを見せたことにつながる事実は一切出てきておりません。この点につきまして二人は、見たことを公言しないというような口どめの約束などは全くなく、あり得ないことである、するはずもないと言っております。  ボンの単独インタビューというのもございます。番組中止したお礼インタビューさせてやったということでございますが、インタビューの交渉をしたのは報道局員でございまして、この報道局員はワイドショーの番組変更には一切かかわっておりません。職場も違うのでかかわることはございません。この報道局員は、通常取材としてインタビューを交渉し、何度も粘り強く交渉したあげくに記者会見の直前になってようやくこの単独インタビュー約束を取りつけた、こういうことでございまして、通常取材であってお礼とか見返りであったということは全くあり得ません。  それから、放送中止を働きかけたとされております報道局員でございますけれども、十月二十六日に水中修行取材した人物でございます。この「三時にあいましょう」のスタッフでありますけれども、このとき「三時にあいましょう」のスタッフがどんな取材をし、どんな放送を出すのかについて全く関知していない立場でありました。また、この報道局員坂本さんのインタビューの存在を知ったのは、坂本さんが公開捜査になった際「三時にあいましょう」が映像を出したためで、こんな取材もしていたのかと驚いたと言っております。知らないものを放送中止する働きかけをすることはあり得ない、こういうふうに思っております。
  12. 太田誠一

    太田(誠)委員 あくまでも見せなかったということの御主張でございます。そして、見せなかったんだから、したがって弱みもないから放送内容を変えることもないし、したがってそのお礼インタビューに応じてもらうということもなかったんだという御主張でございます。  そこで、では、見せなかったということは仮に事実だといたしまして、しかし、オウム真理教の信者が押しかけてきたということは、これ自体も一つの重要な出来事であろうかと思いますけれども、この件について捜査協力をするというか当局通報をするということがなぜなかったのか、あるいはそういうことがあったということを放送で公表をしてもよかったのではないかということを疑問に思うわけでございます。  昨年でしたか、サリン事件の後、サリン関連してサリン法サリン関係法律をつくったわけでございますが、この法律精神というのは、そういった事件に進展をするおそれがあるときには国民はそれを当局通報しなければいけない、知らせなければいけないという国民一般的な義務をうたっているわけであります。  一般国民に対してこのような、これは去年の話でありますから最近のことですけれども一般国民に対して、このような犯罪のおそれのあるときにそれを通報をする義務を直ちに課するかどうかは別として、およそそのような現場に立ち入ることの多い、あるいは関係することの多い報道機関としては、本来は、犯罪に至るおそれのある出来事に遭遇した場合にそれを警察当局などに通報をするというのは、一つ道義的責任としてはもともとあったのではないかというふうに思うのであります。  これは、サリン法律は新しい法律でございますから、今後私どもは、こういう犯罪のおそれがある、それが濃厚であるときに、どうそれを、公務員だけではなくて一般国民やあるいは責任のある立場におられる方々はそのような責任があるということを、どのように国民ルールとするかということは考えていかなければいけませんけれども、ともかく、TBS方々は、このようなことがあったということについて、それを通報するなり放送で公表するということをなぜしなかったかということについて御説明をいただきたいと思います。
  13. 大川光行

    大川参考人 通報しなかったということに関しましては、さまざまな御批判があることは承知しております。これにつきましては、ぜひとも当時の社会状況を御理解いただきたいと思っております。  当時、オウムにつきましては、サンデー毎日修行あり方お布施の集め方について取り上げていた程度でございまして、現在のように、史上まれな凶悪事件を起こす集団というふうにはだれも思っておりませんでした。その認識基本にございました。  また、宗教団体取材では、例えば霊感商法を取り扱ったときのように、抗議を受けるということはよくございました。ですから、二人の担当者オウムの訪問を特に重大なものとは思わず、通常抗議という程度認識でございました。今から思いますればそうした担当者認識に問題があるという御意見もありましょうけれども、当時の社会状況がそういうものだといったことをぜひとも御理解いただきたいと思います。
  14. 太田誠一

    太田(誠)委員 そういうふうに、そのときの状況に立ち返って一般国民や世間の風潮というものを思い起こすことは難しいし、今おっしゃったようなことだったかどうかということも確認はできないわけでございますけれども、今おっしゃりたいことは大体わかりました。  ただ、オウムが押しかけてきたことが事実としてあって、そして放送内容がその後変更されたということは紛れもない事実でありまして、その間に、先ほど冒頭に御説明をされましたように、締め切りといいますか、番組変更締め切りの時間のことをもって、その関係は時間的には逆である、圧力によって変えたのではないというふうな御説明でございましたけれども一般的にこのような、だれかが圧力をかけてきたらば放送内容を変えるというふうなことがあったのではないかというふうに疑われている点について、どうお考えでしょうか。
  15. 大川光行

    大川参考人 お答え申し上げます。  オウム圧力放送中止したり番組内容を変えたのではないだろうか、こういうことでございますが、まず、基本的には我々はだれからも干渉されずに、圧力も排除して放送を出していくというのが、私ども基本精神であります。それから、今度問題になっております番組内容変更についても、オウム圧力中止を決めたということではないことは確かでございます。事実関係といたしましては、先ほども申しましたけれども、翌日の新聞各紙番組欄が既に変更になっておりました。番組欄内容変更は、遅くとも夜八時半までには連絡しないと間に合わない。それが変更されているのでございますから、変更したのは八時半より前ということでございます。オウムの三人が千代田分室に来ましたのは夜十時ごろでございます。ですから、それから番組欄変更することは不可能でございまして、それ以前に私どもが独自の判断で変更したということでございます。
  16. 太田誠一

    太田(誠)委員 最後質問でございますが、別にこれは法務委員会として直接というよりも、オウム事件は結果としては破防法の適用に至るようなまれな事件でありますし、また、多くの社会的な混乱や不安を呼び起こしたわけであります。その中で、公共の放送報道機関としてその一番最初の端緒の部分でかかわっておられたということは、結果としてはかかわっておることになろうかと思うのでございます。  そういう、このような事件、あるいは報道機関としての関係の仕方ということ全体を振り返って、今、TBS側内部調査をされた責任者として、大川常務坂本さん一家に対してどういうお気持ちでおられるかということを最後にお聞きをいたしたいと思います。
  17. 大川光行

    大川参考人 御一家の無念を思いますと言葉も ございません。また、御遺族の悲しみもいかばかりかと思います。  しかし、当社とのかかわりは御説明しているとおりでございまして、ぜひとも深い御理解をいただきたいと思います。報道機関としては、今後も凶悪犯罪を許さないという基本姿勢を貫いてまいりたいと思っております。
  18. 太田誠一

    太田(誠)委員 ありがとうございました。
  19. 加藤卓二

  20. 坂上富男

    坂上委員 私は、社会民主党の坂上富男でございます。  質問をさせていただく前に当たりまして、坂本弁護士一家皆様方オウムのために犠牲になられた方々と御遺族様に対しまして御冥福とお見舞いを申し上げるとともに、本件事件の真相、そしてこれが再び起きないことのために国会においても努力する決意でありますことを申し上げさせていただきまして、質問をさせていただきたいと思います。  刑事局長おられますか。ちょっと、参考人質問する前に整理由したいこともありますので、先般質問をしたこととダブる点もありますが、御答弁をお願いをいたしたいと思います。もう理由は余り要りません。できるだけ簡潔にお答えをいただきたいと思います。  TBS役員、今参考人でお見えの常務さんが、TBS社員オウム幹部坂本弁護士に対するインタビュー内容を知らせたことを否定されておりますが、検察は、冒頭陳述において、そしてまた証拠において、これは事実であるというような冒頭陳述がなされております。ただし、いわゆるインタビュー内容を詳細に知った、こういう冒頭陳述でございますので、直接的には、ビデオを見せた、詳細に話をした、こういうことは言っていないのでございますが、その詳細を知った上で麻原早川が報告をしたと冒陳では言っておるわけでございます。  したがいまして、いわゆる詳細に知ったその手段についてはまだこの法廷では明確にはなっておらないようでございますが、しかし、少なくとも言えますことは、TBSの本日の御説明冒頭陳述は真っ向から食い違っておると言うべきでございます。検察はどのような証拠に基づいてそのような冒陳になったか、再度御答弁をいただきたいと思います。
  21. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  検察当局は、収集いたしました関係証拠を総合いたしまして、ただいま御指摘のようなオウム真理教幹部の三名がTBS放送局に赴きまして、その折衝の過程で、坂本弁護士インタビューに応じまして、その中でオウム真理教団の活動のあり方を批判して、これを追及していく旨の発言をしていることを知ったという事実が認定されるものとして判断したものと思いますが、今後裁判が行われていくものでございますので、検察官が具体的にどのような証拠に基づきましてそのような判断を行ったかについては、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、この事実は、今後の公判におきまして十分な審理が行われまして、最終的に裁判所の判断によって認定されるものであると承知しております。
  22. 坂上富男

    坂上委員 報道によりますと、中川被告の公判での、取り調べた早川供述調書には、TBS抗議に行き、坂本弁護士の教団批判内容を知り、その内容を自分の手帳に記載をしたという記載がある旨、いわゆる要旨の告知がなされたようでございますが、これは事実でございますか。
  23. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  そのような趣旨の記載があると聞いております。
  24. 坂上富男

    坂上委員 さらに、中川被告の公判で、取り調べたTBSの二人の社員供述調書オウム真理教幹部が来た後に坂本弁護士インタビュー放送を取りやめた、こういう記載がある旨報道もされておるようでございますが、これは事実でございますか。
  25. 原田明夫

    ○原田政府委員 そのような趣旨の記述があると聞いております。
  26. 坂上富男

    坂上委員 刑事局、ありがとうございました。  それでは、今度参考人にお聞きをいたしたいと思います。御苦労さまでございます。簡潔にお答、えをいただきたいと思います。  まず、調査報告書を二通見せていただきました。これはどなたが一おたくさんが責任者であることはわかっているのですが、具体的に文章にしたり、具体的に取りまとめてこういう文を作成をされたのはどなたか、これだけ言ってください。
  27. 大川光行

    大川参考人 お答えいたします。  具体的にまとめましたのは、私の下にいる六人のスタッフが分担したものでございます。六人で書き……(坂上委員「これは名前だけでも言ってくれませんか」と呼ぶ)名前は、この調査メンバーの名前がひそかにわかった段階でいろいろな変な電話などが来たりするようなこともございまして、私どもは、公表しない、私の名前だけを公表することで御勘弁をさせていただきたいというふうに思っております。
  28. 坂上富男

    坂上委員 これは、一人一人からお聞きになったとき、調書をとるとか録音をとるとか、そういうことをしてありますか。
  29. 大川光行

    大川参考人 メモは全部とってあります。
  30. 坂上富男

    坂上委員 録音はありますか。
  31. 大川光行

    大川参考人 録音は、原則的にはしておりません。
  32. 坂上富男

    坂上委員 同時にお調べになったようなこともあるのですか、その関係者の皆さんを。
  33. 大川光行

    大川参考人 同時という言葉でございますけれども、二、三人で一人の人間をというような意味でございましょうか。そういう意味でしたならば、ほとんどが複数で調べるというようなことをしております。
  34. 坂上富男

    坂上委員 報告書によりますと、調査なさったのは大川常務さん、それから番組制作現場、管理部門の局長、それから部長六名、こう書いてあるのですが、名前は結構ですから、役職だけ言ってください。
  35. 大川光行

    大川参考人 局長、次長、部長という人たちでございます。
  36. 坂上富男

    坂上委員 制作現場の役職、管理部門の局長というのはどういう局長さんなのか、それから部長さんはどういう役職の部長さんなのか、こういうことを聞きたいのですが、余りやりとりしてもいけませんから、答えられたら答えてください。  その次に、一般的なことを聞きます。  本件坂本弁護士事件を離れまして、放送局が、対立する団体や個人の取材の中で、一方の当事者に他方の当事者の放送前のインタビュー内容を教えるということ、あるいは放送前のインタビュービデオを見せるということは、報道機関の姿勢としては極めてゆゆしい問題だと思いますが、今回の問題を離れまして、一般的にこのことはどう考えておられるのですか、TBSとしては。
  37. 大川光行

    大川参考人 一般的に、そのような行為はいたしません。
  38. 坂上富男

    坂上委員 放映前のビデオあるいはその素材といいますか、これを見せるということは、私は、新聞記者が取材メモを対立する相手方に見せるものと同様のものだと思っておるのですが、TBSはこの認識はありますか。
  39. 大川光行

    大川参考人 同じようにそういう認識を持っております。
  40. 坂上富男

    坂上委員 それでは具体的に聞きます。  三月十二日の東京地裁の中川被告の公判で、オウム幹部早川被告らが民間放送局に抗議に赴き、その折衝の過程で坂本弁護士インタビューの発言内容を知ったと冒頭陳述で言っておるわけでございます。この民間放送はおたく様の方のTBSであること、そしてTBSもこれを認めているわけでございます。  常務としては、この捜査当局冒頭陳述の指摘について、どう理解して、どう感じておられます。
  41. 大川光行

    大川参考人 見せたのではないか、こういうことでございますが、社内調査厳正に行いました。お配りしてある資料にもございますように、どんなに調査しても、見せたという事実は出てき ておりません。オウムの三人に応対しました二人の社員は、どうしても見せたとは思えないとか、小さな部屋で五人がテープを見ていたなら、異様な光景なので覚えているはずだとか、どう考えてもそんな光景は浮かばないと話しております。他のスタッフも、二人が置き場所の違うテープを探し出して見せることはあり得ない、テープを管理していた我々に断らずに見せることは考えられないと話しており、見せていないことにつながる状況も逆にございます。
  42. 坂上富男

    坂上委員 私が聞いているのは、検察がこう言っていると言っているがどうですかと、こういうことに対するTBSとしての所感です。皆さんが調べた結果はさっきから聞いているからもういいのですよ。検察冒頭陳述についてTBSはどういうふうに聞いているかということなんです。
  43. 大川光行

    大川参考人 検察庁の調べに関しましては、これは検察庁のお調べでございます。私どもとしてはコメントしない立場でいたいと思います。
  44. 坂上富男

    坂上委員 そうだとしたならば、あなた方としては、あり得ることでないというのでしょう。検察のおっしゃることについても、あなた方と事実が違うというのでしょうっそうだとしたら、東京地検へ何で抗議しないのです。これはもうあなた方のいわゆる報道としての命ですよ。この命を、全くおまえら違うよと公開の公判廷で言われたわけだ。なぜ厳重に抗議しないのですか。
  45. 大川光行

    大川参考人 慎重にそれには対処させていただきたいと思います。
  46. 坂上富男

    坂上委員 これ以上聞きませんが、お立場もあるからなんでございましょうが、何遍も言うように、国民報道を信じるのです、私らも。でありますから、検察がこうまで言っているのに、あなた方は、違うんだというのだったら、どうして国民の前にも抗議をしないのですか。私は全くこれはわかりません。あってはならないことが検察はあったと言っているのだから。どういうことなんですか。もう一遍答えられませんか。
  47. 大川光行

    大川参考人 この件に関しましては、慎重な検討をさせていただきたいと思っております。
  48. 坂上富男

    坂上委員 さて次、TBS調査では、オウム幹部に応対した二人の社員は、坂本弁護士インタビュー内容を知らなかったと言っております。一方、オウムインタビュー内容を折衝の過程で知ったとするならば、そこで一緒にビデオを見たか、インタビューをした担当者がその場に来たかしか考えられないのではないかと思いますが、そういうインタビュー取材をした担当者は同席したのですかしないのですか。
  49. 大川光行

    大川参考人 同じ千代田分室という建物の中にはおりましたけれども、そのとき応対には出ておりません。
  50. 坂上富男

    坂上委員 インタビュー取材担当者が同席していないとするならば、ビデオを見せた以外に一体どんな方法が考えられるのですか。検察が言っていることはどうですか。
  51. 大川光行

    大川参考人 私たちは、ビデオを見せなかったという状況を確認しているだけでございます。
  52. 坂上富男

    坂上委員 それだけでは答弁にならないのです、これだけついているんだから。  インタビュー取材の当事者が同席しないのだったら、ビデオを見せた以外に一体どういう方法が考えられるのですか。方法を言ってくださいよ。こういう方法があるんじゃないですかといって私に教えてくださいよ。幾ら考えたって考えられませんよ。  記者会見のときの話ですが、いいですか、常務、あなたは、社内調査を終了した、当面は打ち切ったと言ったそうですが、私が今指摘したようなこういう重大な問題が残っているままこういうようなことを言うのはおかしいのじゃないですか。もっとこれから徹底的な調査をしなければ報道としての任務は果たせないのじゃないかと思いますが、いかがです。
  53. 大川光行

    大川参考人 調査は、今後とも必要に応じて継続いたします。
  54. 坂上富男

    坂上委員 これは、ぜひ調査をして、こちらにも報告してください。  大体TBSでは、放映前のテープを外部の人に見せないという決まりはきちっと確立しておりますか。
  55. 大川光行

    大川参考人 報道の当然のこととして、不文律でありますが確立し、そういう教育もしております。
  56. 坂上富男

    坂上委員 そうですが。  それでは、また別の角度から。  TBSは、坂本弁護士事件をめぐって、昨年の九月二十八日の「ニュース23」で訂正放送をいたしました。前日の同じ番組の中で流したニュースの中の表現や取材の過程で不適切な部分があったという内容でございました。  このニュースは、警察関係者が八月下旬に椿山荘で坂本弁護士事件捜査の出陣式を行ったが、神奈川県警が加わっていなかったというニュースを訂正したものなんでございますが、どこが不適切だったのですか。いわゆるニュースで、不適切だ、こうおつしゃいました。答弁してください。どこが不適切だったの。
  57. 大川光行

    大川参考人 問題の取材につきましては、一部の取材方法に行き過ぎがあったということでございます。翌日のニュースでおわびいたしますと同時に、警視庁にも謝罪いたしました。
  58. 坂上富男

    坂上委員 警視庁から注意があったのでしょう。私は、このことを裏づけをとってみました。場合によっては警視庁から出てもらおうと思ったが、文書で答弁が来ました。それは警視庁幹部の私用の会合であった。坂本弁護士事件捜査の出陣式と間違ったほか、取材現場では警視庁幹部らの出入りを撮影をしたカメラマンがおられる、TBSの。現場にいた警察官に友人の結婚式だと言ってビデオを撮っておられたそうでございます。  取材目的を偽ってカメラ撮影をしたわけでございますが、TBSさんは、こういうような取材上の問題点をしょっちゅうやっておられるのでございますが、そうやって偽った取材をする、そして、撮ったビデオを相手方に見せる、そういうようなことは、そういうことをしちやならぬということがきちっと社内では方針として確立しているのですか。どうです、今言ったこと。
  59. 大川光行

    大川参考人 残念ながらそのようなことはありましたけれども、こうした逸脱行為は非常にまれなことでございます。当社にそういう風潮があるとは思っておりません。しかし、今後とも正しい取材ルールを守るように現場への指導を徹底するよう図ります。
  60. 坂上富男

    坂上委員 そういうことが、しないということが方針として確立しているのですかと、こう聞いているのです。いいですか、こういう間違いをしたらしかるべき処分をしなきゃならないんじゃないですか。まだこれは被害が出なかったからいいんです。  この坂本君の場合はもう一つ一つが積み重なりまして、二十六日の取材でしょう、ビデオを公開したかどうかはわからぬけれども検察から言わせれば多分ビデオを公開したんでしょう。二十七日放映中止だ、三十一日坂本弁護士への抗議だ、そして十一月の四日でしたかね、坂本君が行方不明になったのは。この一つ一つ出来事の積み重ねの結果が本件の殺害事件に至ったんじゃなかろうか。さらにこれが、あす一周年だそうでございますが、地下鉄サリン事件あるいは松本事件、いろいろ起きたんじゃなかろうかと私は思っておるわけであります。  こんなようなことから考えまして、大変失礼でございますが、参考人から来てもらいまして、一つ一つ、私たちは再びかかることのないようにどこに問題があったということを検証しなければ国民の安全を守るわけにはいかぬものですから来ていただいているわけです。だからもう率直に、国民の安全、命を守るために、私は、どういう点で問題があったかということをお話しをいただきたい、こういうことで来てもらっているわけでございますから、きちっと答えていただかなければ左らないと思っておるんでございます。  そこで、二十六日にオウムが来たことについて 通報しなかったことについて、記者会見では、担当の人は当時それほどのこととは思わなかった、認識が低かった、オウムが大事件を起こすような対象ではないと考えていた。そして本日もそういう御答弁をしておりますが、十月二十六日に来たこと、二十七日の放映が中止になったこと、理由はいいですよ、抗議中止したかどうかは別として、坂本氏になぜそれを連絡しないんですか。大したことはないからというんですか。それだったら坂本君から何でインタビューしたんですか。坂本君、命をかけてこの問題で戦った、戦おうとした。それで、あなた、奥様や子供まで殺されるという事態が起きたんですよ。そんなことから見ますと、これはどうしてもその真相を解明しなければ私たちはその責任を果たせない。皆さん方も、これについて一片の疑いがあったらこれはきれいにひとつ国民の前に晴らしていただかなければならぬのであります。  坂本君が行方不明になったから、どんな情報でも知らせてほしいと弁護団が要請をしておったわけです。知っているでしょう。行方不明でも二十六日に来たことを連絡すべきだと思いますし、そしてその後、行方不明になって公開捜査になったんだから、あっ、あのときオウムが来た、あのときおれらは認識が薄かったけれども、あるいは大変なことがあったんじゃなかろうか、ありましたという連絡をなぜしなかったんですか。答えてください。——答弁できなければ無理して言うことないですよ。後で考えて文書で出してもいいですから。
  61. 大川光行

    大川参考人 今にして思えば伝えておけばよかったという御指摘もございます。担当者としては、三人の来訪を、捜査機関を含めまして社内に知らせる必要があるものとは思い至らなかったというのが実情でございます。
  62. 坂上富男

    坂上委員 じゃ、調査報告書によりますと、永岡被害者の会会長と牧サンデー毎日編集長のインタビューテープは抹消してあるっていうんですね。何でこれだけ抹消したの。坂本弁護士インタビューと、水中クンバカというんですか、水中クンバカのテープは抹消しなかった。これ、どういうことなの、一方は抹消して一方は抹消をしないというのは。理屈がわからぬね。  しかもあなたは一坂本事件がいろいろ取りざたされるようになってからこのテープをじゃんじゃんと流したんだそうじゃないですか、私は余り見ていなかったですけれども。こういうようなことから見ますと、この報告書、何で永岡さんや牧さんのを抹消して二つのものを抹消しなかったの。これにも非常に疑問を感じておりますが、どうですか。
  63. 大川光行

    大川参考人 隠したり消したりということではございません。いわゆるワイドショーの取材をしたテープは当時ほとんど保存をせず、使い回しをすると、しばらくしたら消去するというのが通例でございました。したがいまして、坂本さんのインタビューを除く二本のVTRは既に消去されております。  ただ、坂本さんのテープだけは、坂本さんが公開捜査になった段階で報道局が譲り受けたと、それが残っていたと。あとは、社会情報局にあるものは、その原本はもう既にないという状況でございます。永岡さん、牧さんのテープは現存しておりません。
  64. 坂上富男

    坂上委員 それがおかしいと言うんですよ。いいですか。大したことがないから放映を中止したと言うんだ、あなたたちの言い分は。私は、抗議を受けたから中止したと思っているんですよ。一歩下がって、あなた方の言うようにこんな大したことのない水中クンバカ、こんなことは抹消したっていいんだ。それから、坂本弁護士のもそれほど重要だとは思わなかったと言うんだ。重要と思わなかったんだから永岡さんと同じように抹消するのが普通でしょう。何でこれだけ残ったのよ。わからぬね。荷物がいっぱいになっちゃって倉庫の中大変だから抹消したと、こういう話なんだけれども、同じ価値しかなかったんだよ、当時としては、あなたたちは。何でこれ抹消しないで残っていたの。そしてあなたたちは、特定のやっと言って何か放映したという話も聞いているんですが、どうなんですかね。本当に私は、これ聞きながら怒りを感じますよ。どうですか。
  65. 大川光行

    大川参考人 先生が御指摘になりました麻原水中クンバカというようなものも既に抹消して、ございません。  それと、坂本さんのテープだけが残っている理由でございますけれども、十一月の十五日に公開捜査になりました。そのときに報道局が譲り受けて資料映像としてとっておいたのが残っておりまして、社会情報系はなくなっておりました。
  66. 坂上富男

    坂上委員 さて、もう時間がありませんから私は打ち切りますが、これは、どうしてもあなた方の調査はまことにずさんじゃないかと思います。再調査、きちっとしていただきたいと思いますが、確約をいただきたいと思います。  それから、ビデオを見せたか見せないか、ビデオを見せたにかわるべき詳細な説明オウム幹部にしたかどうか、今後裁判等で明白になるだろうと思います。もし明白になった場合、TBSさんは、これだけ公開の席上で発言をなさっているんでございますから、それに対する責任は私はとってしかるべきだと思うのでございますが、御感想を述べてください。
  67. 大川光行

    大川参考人 そのような問題は、これから公判が続きます、そういったことを見きわめつつ対処していきたいと思っております。
  68. 坂上富男

    坂上委員 最後に、あなたたち報告書で、坂本弁護士インタビューを見たと供述しておる早川被告人と、こう書いてある。ビデオを見たということを早川が言っているということをあなたたちは去年じゅうに知ったというんだよ。どういうことで知ったの。  それで、今回、きのうTBSは、ドイツへ行って麻原にあなたのところが会ったということ、それから見せたということ、ビデオを見たということ、放映したそうですわ。これは取材源であるから答えられないかもしれませんが、この際やはり答えていただかぬといかないんじゃないでしょうか。というのは、あなたたちテープを提出しているんだ、もう。テープを提出しているんだから、この取材源もお答えになっていいんじゃないですか。どうですか。
  69. 大川光行

    大川参考人 私どもの記者の取材活動の中からそういったものの存在は承知していたということでございます。
  70. 坂上富男

    坂上委員 それは去年知ったのですか。あなたの報告書に去年知ったと書いてあるのだから。どうなの、去年知ったの、早川供述内容。どうぞ。
  71. 大川光行

    大川参考人 細かいところは私からはわかりませんが、去年のうちから一応その存在は私ども承知しておりました。
  72. 坂上富男

    坂上委員 検察庁検察庁は私が聞いた以上のことはもう答えられないのでしょう。報道機関はこうやって、みんな調書に書いてあるといって、去年知っているんだ、これは。これじゃ全く法務委員なんというのはしない方がいい、こみっともなくてしょうがない。  本当に私はこういう報道あり方にもいろいろ議論があるところだと思います。そして、あげくの果ては、まかり間違いまして坂本さんの殺害につながったと思われるような事態があるいは起きたのじゃなかろうか、大変気にしておるわけでございます。  常務最後に御感想を述べてください。
  73. 大川光行

    大川参考人 その前に一つ訂正させていただきますが、私の先ほどの発言で、そのような存在を知っていたということは誤りでありまして、そのような風評といいますか、そういうことが言われているということを私たちは知っていた、こういうことでございます。  それから、非常に痛ましい事件でありましたし、こういうことに対して私どもは非常に謙虚に社会的責任を感じつつ、切瑳琢磨して取材に当たっていきたい、こういうふうに思います。(坂上委員「再調査は」と呼ぶ)再調査ということではございませんが、調査は必要に応じて今後も継続をしてま いります。
  74. 坂上富男

    坂上委員 ありがとうございました。
  75. 加藤卓二

  76. 正森成二

    ○正森委員 早川被告関連したことで大川さんに質問をいたします。  冒頭陳述によりますと、松本は、十月二十六日に早川から、右放送局、TBSですね、被害者の会の関係者主張をテレビ番組で放映するということを聞知するや、右放映は教団に不利益になるとして、早川に対し、右放映を中止させるように働きかける旨指示した。そこで、早川は、上祐及び青山とともに、同日夜、右放送局に抗議に赴きということで、その内容を知るや、これを偏見による主張であるとして、これを放送する場合には法的手段を講ずるなどと口にして、直ちにその放映中止の措置をとるよう執拗に迫ったというように冒頭陳述で書いております。  私はあえて言いませんが、冒頭陳述というのは検察庁証拠によって証明すべき事実で、通常その証拠を十分に所有しているから主張するわけであります。  そして同じ冒頭陳述によれば、十一月二日から三日にかけて、麻原関係者を呼んで、どういうように対処するかということでさまざまな方策が立てられた結果、結局今一番問題なのは坂本だ、それでこれを殺害せよ、こういうぐあいに指示したというように冒陳に明確に書かれています。ですから、まさにTBSを訪れてその内容を知ったということが殺害の重要な動機になったということを検察主張しているわけです。  私は、法務省関係者、きょう来ておりませんが、それは、法務省関係者には先日私が詳細に質問して、刑事犯罪については動機が最も大切であるということ、冒頭陳述内容は裁判の過程で十分に立証するというように答弁しましたから、あなたの横に、まあ言うたらあなたと対峙している検察側がいて、あなたが平静に参考人としてお述べになる気持ちを乱してはいけない、冷静に答弁していただきたい、こう思ってわざと退席をしていただいたわけです。  そこで私は伺いますが、あなたの方のこの報告書、これを拝見しましたが、例えば一番最後の結論のところでは、「VTRをみせたことにつながる記憶や事実関係はどうしても出て来なかった」、こう言っていますね。つまり、完全に否定はしていないわけです。非常に弱々しく、「みせたことにつながる記憶や事実関係はどうしても出て来なかった」と言うにとどまっております。  それに対して早川被告などは、明白に、押収されたメモなどに基づいて、犯罪の動機という自己に最も不利益な事実について検察側に証言しているわけであります。常識から言えば、一方は弱々しい、記憶はそういうことがつながらないということだけだ、一方はメモもあり、そして明白に証言しているということになれば、TBS側が非常に真実についてあいまいな態度をとっているというように思われるのは当然だと思うのですね。  そこで、私はきょうは、あなた方が報道機関に出しているこの主張に基づいてこれから質問をしたいと思います。  あなた方のこの主張によりますと、オウム側の三名がやってきたのは二十六日の、あなた方が午後十時ごろ帰って間もなくだったから、午後十時ごろだろう、帰ったのは午後十二時あるいは午前一時ごろだというように書いていますね。そうすると、最低二時間、恐らく三時間だということになりますが、間違いないですね。
  77. 大川光行

    大川参考人 そのような程度の時間だったと思います。
  78. 正森成二

    ○正森委員 同じように、あなた方のこの報告によれば、報道番組が、既に翌日のものが変更されておる。そうすると、通常の場合は変更は八時から八時半に連絡しなければそれは不可能だ、ところで、オウムが来たのは十時だから、オウム抗議主張をまつまでもなく自主的に変更していた可能性が極めて強い、恐らくそうである、こう言っていますね。これも確認しませんが、ここに書いてあるからそのとおりだと思います。  そうすると、重大な矛盾が起こるのではないですか。オウム側は、自分らが尊師と仰ぐ麻原から放映を中止させるという使命で三名が行っている。ところが、行ったときには既に放送しないということになっていた。行ったときに既に目的を達しているのではないですか。あなた方が、もう既に番組変更しております、放映いたしませんと言えば簡単に済むことなのに、なぜ二時間も三時間もオウムと会談したのですか。そして、そのときは相当激論が行われたというようなことも言っていますが、これは全く道理にも合わないし、つじつまが合わないじゃないですか。来たときには、ああそうですが、その件はまだ取材は不十分なので放映しないことにしましたと言えばそれで済むことであります。なぜ三時間も粘ったのですか。それ自体不合理じゃないですか。
  79. 大川光行

    大川参考人 富士宮でいろいろ取材をしました。麻原被告が、実際には潜らなかったのですが、水中クンバカの実験をやり、それからその後、麻原被告インタビューも行いました。ここで、先ほども申し上げましたように、かなり激しいやりとりが弟子たちも含めてありまして、そのことの抗議であったというふうに思いますし、それでいろいろ激しいやりとりがあったのではないか、こういうふうに思っております。
  80. 正森成二

    ○正森委員 いろいろ話があったりって、友人が友人のところへ行って思い出話をしているんじゃないんですよ。麻原の指示を受けて、翌日の放映を中止させろという使命を持って来ているのに、それがもう中止して番組変更までしたということになれば、あなた方が幾ら忍耐強くても、オウムの教義を長々聞いてみたり、あるいは既に済んで向こうは知っている麻原とのインタビューを長々と話をする、そんなことはあり得ないじゃないですか。  もう一つ言いましょうか。あなた方のこれによると「「オウムに対して偏向した不当な放送を行なうことはゆるされない」と言ったこと、「一方的なオウム攻撃の報道中止すべき」ことを強調していたとのことです。」こう言っている。ところが一方では「坂本インタビューに関する話が出たかどうかははっきりしない」、そんなばかなことがありますか。  一方的なオウムの攻撃の報道中止すべきというような一般的な話は聞いたが、まさに自分らが使命として来た、具体的な坂本インタビューに関する話が出たかどうかもはっきりしない。放映しないと言ったかどうかとか、そんなことじゃないよ。坂本インタビューに関する話が出たかどうかもはっきりしない。こんな人間が報道機関務まりますか。世間を繕うのもいいかげんにしたらどうですか。  あの冒頭陳述を見ると、龍彦さんという一歳の子供まで口をふさがれて窒息死しております。弁護士以外に都子さんまで、腹をけられ、ネグリジェで首を絞められて窒息死されております。そういうのに一定の原因をつくったということについて、放送機関だけでなしに、社会人としての良心や反省もないんですか、あなた方は。  こんな不合理なことが通用すると思っているんですか。坂本インタビューに関する話が出たかどうかもはっきりしない。不合理じゃないですか。答えられないでしょう。
  81. 大川光行

    大川参考人 そういうお考えもあるかもしれませんが、私ども調査を真摯に行いまして、今まで述べましたような結論を引き出しました。
  82. 正森成二

    ○正森委員 そういうお考えがあるかもしれませんがなんて人ごとのように言いますが、あなたのような考えを持っているのはTBSのごく一部だけで、一億二千万の日本国民の中でそんな考えを持っているのは、あなた方の、TBS内部の一部だけですよ。常識的に見てもそういうことはあり得ないことをあなた方は無理に主張しようとしている。  関係者が何とか自分の責任を免れるためにのらりくらりとするというのはあり得ることであります。それを正して、報道機関の社会人としての任務を明らかにするのが当たり前のことじゃないで すか。  あるいはまた、あなた方は否定するについて、応対に当たった二人とも、見せたという記憶はどうしても出てこないとか、素材の保管場所も知らなかったとか、あるいは、当日はスタッフが七名おったが、VTRを見せたことにつながる記憶を持っているスタッフはいないとか、そういうあいまいな表現であります。  しかし、私のところに内部告発がありましたが、何も応対した人がビデオをとりに行かなくても、またビデオを撮影した人がみずからVTRを設営しなくても、上司が電話一本でもビデオを持ってこいと言えばビデオを持っていくようになっていると言っております。どの部屋にもVTRぐらい、私のように機械に弱い人間だってVTRぐらいつけられる、そういう設備はあると言っております。電話で指示をして持ってこさせて、そしてオウム関係者に見せるというようなことは十分に可能であり、それを否定するようなことはこの調査内容でも出ていないじゃないですか。  そういうことになれば、きょう各紙に報道されているように、あなた方は抗議を受けてから放映しないということにしたのだが、それではメンツがつぶれるから、放映はしないが、こういう抗議はなかったことにしよう、こういうことで話をつけた。だから、その内容早川メモにも残っているんじゃないですか。そしてそのかわり、見返りとして、犯人を連れてドイツへ逃げた、ボンで単独インタビューが成立した、それが見返りだと言われているのはまさにそのとおりじゃないですか。  そういう見返りを得るために、人の命を危険にし、事件が起こってからもそれを隠し続けて、捜査機関から去年の秋に言われるまでひた隠しに隠しており、今もここで隠す。TBSは人間の良心があるんですか。
  83. 大川光行

    大川参考人 今おっしゃいましたような事実関係はございませんし、ボンの特別インタビュー等についても、見返りとかそのようなことはございません。
  84. 正森成二

    ○正森委員 そこまで言うのなら言いますが、検察側は、裁判の過程では冒頭陳述に書いてあることを立証するために全力を尽くすと言っております。もちろん早川被告人本人の質問で出すでしょうし、あなた方の下請である取材をしたビデオ関係者も出るでしょう。また、応対をした二人、あるいは途中で退席した一人を入れて三人ですが、証人として呼ばれる可能性もあるでしょう。そのときに、証言が真実に反し、しかも自分の認識を十分に伝えていないということになれば、偽証罪で告発せざるを得ないこともあります。  私たち報道関係者がそうなることを望みませんが、しかし、本件の重大性とTBS責任の重大さにかんがみれば、たとえ報道関係者といえども、偽証罪の制裁のもとに徹底的に追及することは国民にとって求められていると思います。  そのときにあなた方はよもや、偽証を教唆したり、本当のことを言ったら解雇するとか、不当な圧力を加えることはないでしょうね。それだけを伺っておきたいと思います。
  85. 大川光行

    大川参考人 私どもは、報道機関として真摯にこの調査を行ってまいりました。誠実に公表もいたしました。二人の人たち、聴取を受けた人たちに何らかの違ったことを言えというような圧力をかけたこともございませんし、本人たちは真実をそのまま述べているというふうに信じております。
  86. 正森成二

    ○正森委員 私は今回の質問をするに当たって、坂本弁護士が所属した横浜法律事務所の弁護士からも意見を伺いました。公開質問状が出ていることは、あなた方御承知のとおりであります。真摯に答弁すると言われておりますが、きょうの参考人質問でのあなたの態度を見ると、真摯さの程度が疑われるということは申し上げておきたいと思います。  しかし、インタビューが録画され、抗議を受けたのは一九八九年の十月二十六日であります。坂本弁護士一家事件が起こったのは十一月四日の未明でありました。そして、公開捜査が全国に発表されたのは十一月五日であります。どんな記憶の薄い者でも、あのときにおたくへ行った同じ三名が坂本弁護士の事務所に十月の末に行っておるということも周知のことでしたから、ああ、あのことかということで記憶を喚起するのは人間として当然であります。  もし、そのときにあなた方の報道が、あるいは事実の申告が関係者にあれば、捜査の方向も大きく変わっていた可能性があり、その後の事件についての推移も変わっていた可能性もあります。それを、そういうことを関係者に言うことは思い浮かばなかったということで済むでしょうか。それよりは、なかったことにしようということだときよう各紙に報道されていることの方がはるかに信感力があり、それだからこそ報道機関にばれるまではTBSは厚顔にも沈黙を守った、そう全国民が思うのは当然じゃないですか。  最後に伺って、私の質問を終わります。答えられないだろう。
  87. 大川光行

    大川参考人 先生のおっしゃったことの中で、公開捜査は十一月十五日だと思いますが、いずれにしましても、私どもは、こういった事態を非常に重く受けとめ、今後、社内においてもこういったものを検証し続けなきゃいけないと思っております。  私ども内部に、先ほども御報告しましたように特別委員会を設けまして、オウム報道全般のあり方やこれからの報道あり方、我々の生き方等も含めまして、いろいろな角度から検証を行い、外部の方の意見も伺いながら、我々を浄化する、自分たちをもっともっと力のある報道機関にしていく努力を続けていく所存でございます。
  88. 正森成二

    ○正森委員 時間が終わりましたから私はやめますが、我々は、Tというイニシアルの、ビデオを見せたという人の本名も知っております。しかし、きょうは武士の情けで出さなかったのです。あなた方が反省して、本当に人間の良心に立ち返ることを望んで、私の質問を終わります。
  89. 加藤卓二

  90. 小森龍邦

    小森委員 大川常務さんにお尋ねをいたします。  ここで、事実の関係として異論のないことは、オウム真理教関係者が、おたくのテレビ会社を訪ねて、坂本弁護士からインタビューをしたことに関係をして、おたくのところへ話に来た。これは間違いないですね。
  91. 大川光行

    大川参考人 十月二十六日に千代田分室に来たということは間違いございません。
  92. 小森龍邦

    小森委員 そうすると、それから余り時間を隔てずして坂本弁護士の行方がわからなくなった、一家みんなわからなくなったというときに、普通の常識ならば、あの動きと非常に深い、あの動きというのは、おたくを訪ねてきた動きと非常に深い因果関係があるなということぐらいは頭にひらめきませんでしたか。
  93. 大川光行

    大川参考人 当時の社会状況からオウム集団の大きさを推しはかることができず、やはり通常トラブルというような形で認識してしまいました。そのために通報等に思い至らなかった、こういうことでございます。
  94. 小森龍邦

    小森委員 結果において、サリン事件など全く理不尽なことをやった教団だということがみんなにわかったわけですが、しかし、空中浮揚とかいうようなことは、今日のお互いの科学的な知識で、常識としてあり得ないことでしょう。それを、わけのわからないことを言いよるので、興味を持っておたくの会社が取材に行った。それは、できないことを言っておるという気持ちで行ったんだと思うけれども、そういうでたらめなことを言うグループだから、おたくのところへ文句を言いに来たことを、本当言うたら、これは危険だな、ちょっと関係者に知らしておかぬと危ないなというぐらいはどうして気がつかないのですか。
  95. 大川光行

    大川参考人 取材というのは、何も大事件、大事故、大きなものばかりを追いかけるわけではありません。いろいろな角度のものを取材することは多々あるわけでございます。そのときは、ある 種の好奇心もあって行ったのかと思いますが、いずれにしましても、オウムというものの凶悪さには少しも思い至りませんでした。
  96. 小森龍邦

    小森委員 私は、オウム真理教麻原さんという人と、ここにメモを持ってきてないから明確なことはわかりませんけれども、多分九一年だったと思います、どこかの大学の宗教学を専攻された先生が司会者で、私と二時間やりました。  私は、出向いていくときに、あの人は、輪廻転生、つまり人間は生まれる前に牛であったとか馬であったとかというようなことを主張するあの輪廻転生について、あるテレビ会社の放送であの人の発言があったということを聞いたから、その会社へ言って、そんなでたらめなことを言ってもらっては困る。それはどういうことで困るかといったら、つまり前世の悪業がたたって今日の世の中の不幸せがあるのだ、こういう理論になるから、それでは、この時点で障害者であるとか、現世において差別部落に生まれたとかということはみんなそういうことになって、この現実の世の中で解決のしようがないことになるではないか、だったらひとつ麻原さんと対談させい、こう言ってテレビ会社に言うたことがあるのです。しかし、それはぐずぐずしておったから、仕方がないから、ある雑誌社が、その対談を私らが記録して報道しましょうということになったから、受け合ったのですけれども、私もそれに行ったのですけれども、私はそういうような緊張感を持ってこの人と話しました。  あなた方のところへは、わざわざ来て文句を言うたわけでしょう。あなた方はそのことを受けて、どういうふうな感じ方で受けたかわかりませんよ、しかしながらテレビの放送が事実としてとまったわけでしょう。おたくがそういうことをやられるぐらいなら、インタビューしてビデオに撮っておる相手の弁護士に、こういうことがありましたよ、ひょっとしたらどういうことが起きるかわかりませんから、うちの会社からおたくへ迷惑をかけることになるからというぐらい言ってあげなきゃいけないのじゃないかな。なぜそれを言われない。
  97. 大川光行

    大川参考人 放送中止しましたのは、取材内容が不十分といいますか、富士宮での取材が十分でなかったために自主的な判断で取りやめたのでございます。
  98. 小森龍邦

    小森委員 恐らく、ずっと今まで自主的にやめたんだということを言っていますが、しかし、オウム関係者は、自主的にやめたということにしてくれやといっておたくが言ってきた、こうなっております。そして、この大惨事に結びついたことや——検察の、どういいますか、最初の法廷に出す文書を見ると、詳細にそのことが、私らが読んでみると、それはその事実が持つ迫真力というのがあるのですよ。事実が持つぐっと迫ってくるものがあるのですよ。おたくが言うのは全然迫ってくるものはないよ。言い逃れしておるように思うよ。  じゃ、言わなかったということについては、今はどういうふうにおたくは反省しているのですか。——時間が私は余りないのですからね。
  99. 大川光行

    大川参考人 伝えておけばよかった、こういう御指摘はあります。しかし、担当者としましては、三人の来訪をいろいろな各所に伝えるという必要があるとその時点では思い至らなかったというのが実情で、その辺は御理解をいただきたいと思います。
  100. 小森龍邦

    小森委員 そういうことは、御理解を賜りたいというようなそういうことではだめなんですよ。  私は、オウムの教主麻原彰晃氏と話をしたときに、あの人は業の問題で私と大変やり合って、前世を見てきたと言うたんですよ、私に、前世を。ほう、あんたどうやって前世見てきたんか言うたら、いや悟りを開いたら前世は見えるんじゃと言うから、私はそのとき言うたの、あなたはそれは幻覚症状じゃないんですかと。これは私との対談を読んでみてください。  しかし、いいですか、そのときに私はさほど身の危険を感じなかったけれども、もしあなたが坂本さんの側にいろんなことを言っておってくれたら、世の中はもっと緊張して、私もその場合にいろんな防衛措置を講じて論理を展開しますわな。たまたま私の場合は、そういう空中遊泳は、いや水中遊泳はうそじゃとか空中浮揚はうそだと言った坂本さんはやられたけれども、前世を見てきたというのはあんた、幻覚症状じゃないかというようなことを言って、ひょっとしたらそういう目に遣わされておるかもわかりませんよ。私は、そう考えたらぞっとしますよ。だから、あなた方の責任というものはそのときに十分に果たされていないわけでしょう。そこまで思いが至らなかったということじゃないですか。そこまでやらなかったということは、本当の意味で、仕事関連のことについてあなた方は真摯な態度をとっていないということでしょう。国民の前に何とか表明してみなさい、それを。
  101. 大川光行

    大川参考人 ただいまの先生の御指摘にもありましたように、私ども、もっともっといろんな形の努力をしていかなければならないと思っております。報道機関といたしまして、さらに自己検証を高め、自分たちをさらに鍛えまして、皆さんの御負託にこたえたい、こういうふうに思っております。
  102. 小森龍邦

    小森委員 子供だけは助けてください言ってお母さんが殺される前に言うたのに、無残にも殺したわけでしょう。そんな、あんた新聞を見て心が痛まないですか。今のような言葉で、これは国会審議というのは国民の前で言うとることなんですよ。今のような言葉で、あんた方は人間として務めが済むと思うんですか。もう一度言ってみなさい。
  103. 大川光行

    大川参考人 坂本さんの件につきましては、まことに痛ましい事件だと思っております。心からお悔やみ申し上げます。
  104. 小森龍邦

    小森委員 ちょっとよく聞こえませんね。よく聞こえませんね、最後は。最後の言葉がよく聞こえませんでした。
  105. 大川光行

    大川参考人 坂本さんの事件に関しまして、まことに痛ましいというふうに思い、心からお悔やみを申し上げます。
  106. 小森龍邦

    小森委員 言っておきますが、いいですか、宗教的な物の考え方からいいますと、私は浄土真宗の門徒ですけれども、親鸞上人がどういうことを言っておるかというと、これは非常に哲学的に関係があるから申し上げるんですけれども、うのも、羊のもの先にいるちりばかりも、つくる罪の宿業にあらずということなしを知るべし。いいですか、本当、そのもの先についておるちりでも、いろいろ因果関係があって、回り回って自分が果たさなきゃならぬ責任があるんですよ。  あなたは恐らく、この坂本事件の問題について、インタビューをし、そのインタビューに対して文句を言ってきて、それをまたやめて、やめたものを、文句を言われたからやめたんじゃなしにうちが自主的にやめたんですよというようなことを言っておるような、そういう弁解の中で、責任を感じた言葉とは思えませんよ、今のようなことは。どうですか。回り回って、この件について私らが占める位置は大きかったと思います、まことに申しわけありませんというぐらい言ってやらないと、どんな立派な人生が展開したかもわからぬあの小さな坂本さんの子供さん、どうなるんですか、あんた。  くどいようですけれども、もう一遍言ってください。
  107. 大川光行

    大川参考人 ただいまの先生のお言葉を真剣に真摯に受けとめまして、個人としましてもそれから会社としましても、さらに検証を続け、仕事を、誠意を持って報道機関の責務を果たしていきたいと思っております。
  108. 小森龍邦

    小森委員 やはりそれは本当に真摯ということになりませんよ。私だったらまず相済まぬという気持ちが先に出ますよ。よう、いんで考えてみなさい。  時間が来ましたからやめますけれども最後に簡単に答弁してください、検察庁の、刑事局の……。  こういう、つまり後から理屈を言うんだから、あの冒頭陳述というのかね。最初のあれ、出す文ですな、裁判所へ。あの中に書いてあることは、こちら側の、TBSの会社側を呼んで、オウムはこう言っておるが、この事実はどうかというのを一応調べた結果やっとるんですか。それともオウムが言うたことをばあっと一方的に出したんですか。ちょっとそれを答えてください。  なぜ私がそういうことを問うかといったら、以前も、金丸信さんの問題のときに、自民党の幹部が大分知らぬ間にいろんなことを書かれておったわけ。取り返しのつかない問題も起きてくるから、検察側もやはり証拠は固めて、一たん冒陳とか起訴状の中に書くことというものは、相手がこう言うたいって書くだけではだめなんですよ。自分の側からまさにこれは真実であるというようなことをきちっとしなきゃいかぬのですね。それはどうなんですか。
  109. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  検察は、捜査過程におきまして収集いたしました全証拠に基づきまして総合的に、ある事実について存在するということで、証拠により証明すべき事実ということで提示いたしたものと考えております。
  110. 小森龍邦

    小森委員 それは観念だけじゃが、総合的にというのは、観念で、自分の頭でまとめただけではいかぬのですよ。相手側から調べとったら、こんなこと、こんなでたらめやらぬのですよ。  以上のことで私はきょうはやめておきます。
  111. 加藤卓二

    加藤委員長 この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  大川参考人には、お忙しい中を長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  大川参考人は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。
  112. 加藤卓二

    加藤委員長 それでは、質疑を続行いたします。枝野幸男君。
  113. 枝野幸男

    ○枝野委員 外務省おいでいただいておりますね。  民事訴訟法案に関連をして、外務省の虚偽回答事件についてお尋ねをさせていただきます。  従軍慰安婦に関するクマラスワミ報告書の草案というものを外務省として入手しているかどうか、ことしの一月二十日前後に私どもの事務所からお問い合わせをした事実ございますね。
  114. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  御指摘の附属文書、クマラスワミ女史の報告書でございますけれども、ジュネーブ時間の二月の六日午前に公表されたものでございます。我が方のジュネーブ代表部は……(枝野委員「聞かれたことだけ答えてください」と呼ぶ)国連人権センターより……(枝野委員「聞かれたことだけ答えてください」と呼ぶ)はい。(枝野委員「問い合わせがあったかどうか聞いている、一月二十日に」と呼ぶ)一月二十日に先生の方から、問い合わせは伺いました。
  115. 枝野幸男

    ○枝野委員 一月二十日の時点では外務省は入手してないと間違いなくおっしゃいましたね。
  116. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、我が方のジュネーブ代表部は……(枝野委員「聞かれたことだけ答えてください」と呼ぶ)国連人権センターより草案……(枝野委員委員長、注意してください。聞かれたことだけ答えてください。一月二十日に何と答えたのかと聞いているんですよ」と呼ぶ)今その点をお答えしているところでございます。(枝野委員「イエスかノーでしょう」と呼ぶ)はい。ですから、その時点におきましては、国連人権センターから、厳に日本政府限りということで受け取ったものですから……(枝野委員「そんなのいいんだ、私に何と答えたのかと聞いている」と呼ぶ)そういう事情を踏まえまして……(枝野委員委員長、とめてください。私の事務所に何と答えたか聞いているんですよ」と呼ぶ)
  117. 加藤卓二

    加藤委員長 ちょっと、質問をしている方の答えだけ言ってください。
  118. 川田司

    ○川田説明員 はい。今、一月二十四日の先生の事務所から御照会のあった時点においては、このような、入手したことについては明らかにできないという事情を踏まえてお答えしたものでございます。  それで、外交においては、相手方のあることもございまして、必ずしも十分に御説明できないことがあるということは御理解いただければと思うのですけれども
  119. 加藤卓二

    加藤委員長 答弁は本当に簡潔にお願いします。
  120. 枝野幸男

    ○枝野委員 順番に物事を聞いているのですよ。いいですか。一月二十日前後に、私どもの事務所から、クマラスワミ報告書の草案を入手をしているのかどうかとお尋ねをして、それに対しては、あなた方は、今のようなごちょごちよした理由なんかつけずに、入手をしていませんとお答えになっているのですよ。外交上の秘密にかかわるようなことでもあるから、入手をしていたとしても公開をしろとは言えないかもしれない、公開できないかもしれない、そういった事情はある。だけれども、入手をしているのかどうかということを聞いたら、あなた方は、入手しているかどうか答えられないではなくて、入手していませんとお答えになりましたよね。間違いないですね。イエスかノーですよ。入手しているかどうか答えられないではなくて、入手してないと答えましたね。
  121. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  附属文書をお渡しできないという事情を踏まえまして、入手については明らかにできなかったということでございます。必ずしも適切でない対応の仕方があったかと思いますけれども、外交という性格上、御理解いただければと思います。
  122. 枝野幸男

    ○枝野委員 あなた、きのう、入手をしてないと言ったことは認めましたよ、私の事務所に来て。入手をしてないと言ったかどうかということをまず正確に答えてください。言いわけはその後でいいですよ。入手をしてないと一月二十日前後、言いましたね、私に。
  123. 加藤卓二

    加藤委員長 川田人権難民課長、簡潔にお願いします。
  124. 川田司

    ○川田説明員 必ずしも事実関係をきちんと把握しておりませんけれども、入手してないということを多分言ったのだと思います。入手ということについて明らかにできないという事情があったものですから、その点を踏まえてのお答えの仕方、実際にどういうお答えの仕方をしたかは正確にはわかりませんけれども、お渡しできないという事情を踏まえて先生に御説明申し上げたかと思います。
  125. 枝野幸男

    ○枝野委員 実質的には、実際には一月九日に入手をしていたということも事実ですね。
  126. 川田司

    ○川田説明員 ジュネーブ代表部の方で一月九日、現地時間で一月九日に入手をいたしております。外務本省としては、即座にそれの送付を受けまして、こちらの時間で一月十日に入手をいたしております。ただし、これはあくまで草案でございまして、事実、いろいろな手書きの入った、まさに原案であった段階でございました。
  127. 枝野幸男

    ○枝野委員 いいですか。一月九日に文書は入手をしていて、私が一月二十日前後に、入手をしているのですかしていないのですかということをお尋ねをしたら、入手をしていないとお答えになったのです。入手しているかどうか答えられないという話ではないのです。私、別に野党ではないですよ、野党的なことばかり言っていると怒られますけれども。外務省から外交上の機密に関する話であるからお答えできません、入手しているかどうかお答えできませんという答えと、入手をしていませんという答えと全然意味が違いますよ。あなたは私にうそをついたのですよ。  しかも、単なるうそではないですよ。私はどういう趣旨で外務省に対して草稿は入手しているかどうかお尋ねをしたかといえば、公表になった段階ですぐに外務省としてコメントされては困る。少なくとも、政府・与党という言葉で共同の責任を負っている与党に対して、このクマラスワミ報告書をどう評価をするのかという意見を一応聞いてくれと。それは外務省の言い分もあるだろうけれども、一応、政府・与党一体なんだから与党の意見を聞いてくれ、そのためにも、できるだけ早い段階で与党に相談をかけてほしいというニュアンスのことをそのときにもお伝えをしました。そういう趣旨のことをお伝えをしました。  ところが、あなた方は、入手をしていませんといううそをついた上に、公開できるその日になったら、公開と同時に官房長官名で、こんなものは評価に値しない、議論に値しないものだということを、与党に対して全く相談なしに、勝手にお答えになっているのですよ。しかも、人権にかかわる報告書について法務大臣にさえ相談してないというのは、参議院の委員会の記録からも出ていますよ。  うそをついて隠しておいて、そして外務省限りで勝手に政府としての見解を、それは官房長官と総理ぐらいは聞いているかもしれないけれども、そのクマラスワミ報告書に対する政府見解は、政府全体、そして政府・与党一体で我々も責任を負わなければならないのですようそをつかれて、入っているものを入ってないと言われた上で責任まで負わされてはたまらない。  外務省は、与党に対して責任を負わなくていいと、政府は政府で勝手にやる、外務省は外務省で勝手にやるということなんですか。どういうことなんですか。
  128. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、お渡しできないという事情があったものですから、その点を踏まえての対応になったかと思います。一部不適切な表現方法があったことは、担当課長としてこの場をかりましてお謝りいたします。  問題の報告書の処理方法ですけれども内部で検討しまして、先ほど先生からも御指摘ありましたけれども、総理、官房長官以下、御協議させていただきまして、政府としての本文書に対するとりあえずの見解というものを決めたわけでございます。それを踏まえまして、二月六日に本件報告書が発表されたわけですけれども、その日の朝、官房長官の方からコメントをしていただきまして、また、総理の方からも記者からの質問に答えて我が国政府の見解を発表したという経緯があったわけでございます。
  129. 枝野幸男

    ○枝野委員 要するに、皆さん、国会議員を信用しているのか、信用していないのかということですよ。外務省の皆さんも外交官としての守秘義務を負っているかもしれないけれども、我々だって国会議員として守秘義務を負っているのですよ。それ以上に、我々は有権者に対する責任を負っているわけですよ。いいかげんなことをやったら選挙で落とされるし、いいかげんなことをやったら守秘義務に違反しているとたたかれるのですよ。あなた方は自分らで、自分たちだけ隠していて、せめて外交上の秘密にかかわることは答えられないと答えるのが、我々を信用しているのだったら最低限の線ですよ。それを、うそをつくことはないでしょう。あなた方は、国会議員は、しゃべると、守秘義務に反してうそをつくけれども、自分たちだけはちゃんと隠すべきことは隠す、外交官というものはそういうものであって、国会議員というものは外交上秘密にすべきものも秘密にしない者たちなんだ、そういう前提ですよね。
  130. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  本件、なかなか難しい問題でございますけれども、一応、対外関係の処理ということは、政府、外務省の主管ということになっておりまして、本件につきましても、とりあえずは政府部内で検討させていただいたわけでございます。その過程で先生方にも御相談という、それは見解としてはあるかと思います。そういうことも大事だと思いますけれども、一応、対外関係の処理ということで、政府内、外務省内で処理させていただいたわけでございます。
  131. 枝野幸男

    ○枝野委員 今重大なことをおっしゃっていますよ。議院内閣制なんですよ。確かに外交は政府、外務省の仕事でしょう。しかし、それはそれで、おれたちで勝手にやるのだ、国会国会で知りませんよ、相談しませんよというのだったら、我々、これから外務省から、これは外務省が政府として条約を結んできたものだから与党である以上は賛成してくださいと言われたって、理屈にならないですよ。外務省が勝手にやってきたのだから、それは私は反対だから反対だ、与党だけれども反対だという話が通りますよ。それでいいのですか。  政府・与党一体というのはそういう意味じゃないでしょう。政府として結んできたものには我々も責任を負えとあなた方は日ごろ言っているわけですよ。政府の提案だから与党だから賛成しろと、あなた、日ごろから言っているわけですよ。それをあなたの今の発言は否定しているのですよ。いいのですか、それで。
  132. 川田司

    ○川田説明員 私の説明が一部不適切であったかと思います。もちろん国会の御承認を得て締結する条約とか、そういう話がもちろんございます。これはもちろん先生方に密接な連絡をとりながらやらなければいけない問題だと思います。  ただ、片や日常の、いわば外交一般の事務と申しますか、そういうものがございまして、それは対外関係事務の処理ということで、政府限りで判断できる部分もあるというふうに考えております。ただ、これはもちろん事案によって、それぞれ場合がございますので、検討しなければならないことだとは考えております。
  133. 枝野幸男

    ○枝野委員 ここでこのことを余り議論しても、外務委員会じゃないですからあれなのですが、国会の承認を要する条約の範囲は何なのかということは既に議論になっているわけですよ。外務省は、外務省が決めることだというような趣旨のことをこの国会の承認を要する条約の範囲についておっしゃっているのですよ。違うのですね。国会の方でどこまでは国会の承認を要求しろということを決めないと、外務省は勝手に、ここまでは我々の専権事項だから勝手にやりますでは、チェック・アンド・バランスが働かないわけですよ。  今回の件に関して言えば、私だって中身を出せだなんて言ってなかったのですよ。それは出してもらえるなら出してほしいけれども、うそをつくことはないじゃないですか。しかも、今のような趣旨からいえば、これは少なくとも私どもの党としては、私どもとしては非常に関心のある問題であるので、ですからあえてちゃんと相談をしてくださいと申し上げたことを尊重してもらえないんだったら、外務省に対して我々も信用は持ちませんよ。初めから不信感を持って、その前提で、外務省というのは信用できないものだということで仕事を進めさせていただきますよということを申し上げているんです。  それで、こういったうそをつくような職員を放置しておいていいんですか。処分する気はないですか。
  134. 川田司

    ○川田説明員 対応がまずかったことは深く反省したいと思います。処分なりという趣旨は必ずしもよくわかりませんけれども、私、担当課長として全責任を感じております。もし何らかの処分があるのであれば、それは当然担当課長としてきちんとその責に甘んじる覚悟でございます。
  135. 枝野幸男

    ○枝野委員 それで、これは法務大臣もお聞きいただいておりますが、今度の民事訴訟法案は、政府が、行政が、これは秘密ですということを言ったら、文書提出命令の対象にならないで裁判所にすら出さなくていいという案を今閣議決定してお出しになっているわけですよ。国会議員にさえうそをつくような、与党の国会議員にさえうそをつくような職員がごろごろ転がっているようじゃ信用できませんよ。  よっぽど、裁判官の方を信用して、裁判官といえども、裁判に必要なことを考えていっても、やはり外交上大事なもので出せないということになったら出せないということで判断するでしょうし、国会にまでうそをつくような外交官よりは裁判所を信用して、これは国家の運営上とても表に出せない重大な秘密かどうかという判断は、少なくともあの課長さんよりは裁判官に、最終的には最高裁が統一的に決めるわけですから最高裁に決めさせた方がずっと信用できると私は思うんです が、外務省さん、そう思いませんか。
  136. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  ただいまのは民事訴訟法改正法案のことかと思いますけれども、同法案において規定されている文書提出命令の申し立てがされた場合における公務員の職務上の秘密に関する文書の提出につきましては、訴訟の円滑な進行や公共の利益、公務遂行くの影響などを考慮しまして、守秘義務によって守られるべき公益と文書の提出によって得られるべき公益とを個々の事案ごとに比較考量することにより決定されるべきものと考えております。外務省としましては、文書の提出について御照会があった場合にはこれに可能な限り協力すべきものと考えておりますが、提出命令の申し立てに係る文書の内容が公になることにより、国の安全が害されますとか相手国との信頼関係が損なわれますとか、またはそうしたおそれがある場合などにおきましては、文書の提出を控えざるを得ない場合があってもこれはやむを得ないというふうに考えております。
  137. 枝野幸男

    ○枝野委員 やはり聞いたことにお答えいただいていないんです。その判断を、外務省だけじゃうそをつくかもしれないから信用できないと言っているんですよ。それを、裁判官にだけはチェックをさせるべきだと思いませんかと、みずからうそをおつきになったあなたに答えていただきたいんですよ。あなたはうそをつくかもしれないから信用できないんですよ。せめて裁判所に、僕は公開しろだなんて言ってないですよ、裁判官だけでいいんですよ。裁判官にだけはチェックする機会を与えるべきでしょう。違いますか。
  138. 川田司

    ○川田説明員 お答えいたします。  裁判所より提出命令があった文書が、外交上の秘密、すなわちその漏えいが国の安全なり利益に損害を与えるおそれがあるものであるかどうかについては、我が国の対外関係事務を一体的に処理する責任を負っています外務省が判断することが最も適当であると考えております。  裁判所がこのような判断を下す立場に位置することが適当かどうかについては、慎重に検討をしていく必要があるというふうに考えております。
  139. 枝野幸男

    ○枝野委員 そういうのを盗人たけだけしいと言うんですよ、自分でうそをついておいてね。うそをついているかどうかぐらいのチェックをさせろと言っているので、行政的な判断、外交上の判断でこれはやはり出せませんよということは、裁判官に対してしっかり説明すればいいんですよ。  それじゃ裁判官を信用していないということなんですか。裁判官は外交のことを全くわからないから、外務省の人間が幾ら説明したってわかってもらえないということをあなたの発言は前提としているので、裁判所を侮辱して、憲法を侮辱していることですよ。国家公務員には憲法遵守義務があるんですからね。三権分立の基礎をぐらっかすような発言をしたら本当は懲戒免職ですよ。憲法の三権分立をあなたの発言は無視しているんですよ。これだけじゃないので、これは引き続きいろんな場で追及させていただきます。  もう一つ、薬害エイズ訴訟に関連してお尋ねをいたします。  薬害エイズ訴訟では、法務省が、訟務局が訟務検事、指定代理人として訴訟活動を行っているわけですが、ないないと、指定代理人として答弁をしていたいわゆる郡司メモというようなものが結果的には出てきました。それから、当時の郡司生物製剤課長は、これは双方申請ですので、被告国からも申請をして、立場からいって原告にとっての敵性証人、被告国にとっての味方の証人ということになりますが、この方が、これが犯罪としての偽証罪に当たるかどうかは別として、言われてきている客観的事情からは、証言した事実と客観的な事実とは食い違っているということが既に明らかになってきています。  厚生省においでいただいていますが、厚生省は、法務省の指定代理人、訟務検事に対して、こういう結果的にいいかげんな後ろ指を指されるような訴訟行為をやらしたことになるわけですよ。法務省に対しての責任を、今まで被害者の皆さんに対しての責任とかいろんな責任をお認めいただいてきていますが、厚生省として、法務省の指定代理人、訟務検事に対しての責任をしっかりお認めになって、謝罪をしていただきたい。
  140. 吉武民樹

    ○吉武説明員 ただいまお尋ねがございました郡司元生物製剤課長のファイルにつきましては、一月二十三日に厚生省にプロジェクトチームを設置いたしまして、それまで何度か資料につきまして調査をいたしておりますが、改めて調査をいたしまして、一月二十六日に薬務局の審査課の中のワクチンの係のファイルから発見されたものでございます。  先生御案内のとおり、この資料の中では、いわゆるエイズ研究班の第一回から第三回までの議事次第あるいは配付されたと思われます資料それから第四回のエイズ研究班につきまして、診断基準小委員会から提出されたと思われる資料がございまして、従来確認できないと言っておりました資料が発見されまして、このことにつきましては、私どもの過去の調査が十分でなかったということは事実でございます。  今回のエイズ訴訟につきまして、訴訟あるいは今最終的な和解協議をやらせていただいておりますが、こういう点につきまして指揮をしていただいております法務省に対しまして、まことに申しわけなく思っております。
  141. 枝野幸男

    ○枝野委員 逆に今度は法務省にお尋ねしたいんですけれども、これは一般の民間での裁判だったら、クライアントが、依頼者がこんな態度をとったら弁護士としては辞職ですよ。おまえみたいな信用できぬところの代理人なんかやっていられるかと言って辞職するような話ですよ。指定代理人だから辞職の自由もないわけですが、こういった厚生省の今回の薬害エイズ訴訟に対する対応を、指定代理人としての立場というか訟務局としての立場というか、どういうふうに御理解になっていらっしゃるんでしょうか。
  142. 増井和男

    ○増井政府委員 お答えいたします。  いわゆるエイズ訴訟につきましては、現在和解協議が重要な段階に差しかかっております。また厚生省におきましても、当時の事実関係に関する調査を進めているというふうに聞いております。したがいまして、現在、これらの経緯を見守りたいというふうに考えております。
  143. 枝野幸男

    ○枝野委員 弁護士と依頼者の関係だったら、今のように最終的には、弁護士を信用しないというか弁護士の指示をちゃんと守ってくれないというような依頼者に対しては、辞職をして、弁護士として、法律家としての筋を通す権限が与えられているわけです。それを担保にして、きちんと誠意を持った訴訟行為をしてください、出さなきゃならない資料はちゃんと出してください、法廷で偽証しないでくださいということを依頼者に対して私たちは弁護士として申し上げて、最低限のルールといいますか、それを裁判の場で守っているわけです。  ところが、御承知のとおり、指定代理人には辞職をする自由もありません。辞職の自由がない以上は、それにかわって、実際の訴訟の当事者であるこの薬害エイズのような場合は、厚生省に対して指定代理人からきちんと物事を守らせるとか、例えば、きちんと資料を探せということについて探させるだけの権限というか、あるいは偽証もどきのような証人を出さないようにというような指示を出せるような権限というものが、現行ではないと思いますが、それで責任を持った代理人としての活動がおできになるのでしょうか。法務省、いかがでしょう。
  144. 増井和男

    ○増井政府委員 法務省といたしましては、行政庁の方から報告あるいは提供を受けました事実関係ないし資料といったものに基づきまして、法的な観点から検討を加え、行政庁を指揮しつつ、統一的あるいは一元的な訴訟活動を行っております。行政庁の指示を必ずしも代弁しなければならないという関係にもございません。  そういったことからしますと、現在のところ、御指摘のような観点から権限法を改正していただく必要があるというところまでは考えておりま せん。  以上でございます。
  145. 枝野幸男

    ○枝野委員 今の御発言は大変重要なのですけれども、当該担当省庁の意見を代弁するだけではないということを今おっしゃいました。もしそうであるのだとすれば、これは逆に、菅厚生大臣は被害者の皆さんにおわびをされましたが、こんなに裁判が長く続いたことによって、事件発生自体の責任だけではなくて、七年間も八年間も裁判が長く続いたことによる被害というものを被害者の皆さんは受けているわけです。今局長のおっしゃった、別に代弁をするわけではないというのが正確であるならば、これは裁判が長く延びたことについて、あるいは長尾法務大臣に被害者の皆さんに対する謝罪をしていただかなきゃならなくなりますが、よろしゅうございますか。
  146. 増井和男

    ○増井政府委員 法的な観点から法務省訟務局としては訴訟を追行しておりますわけで、必ずしも、今委員の御指摘のような観点から大臣の謝罪に直ちに結びつくというような問題ではなかろうかと思っております。
  147. 枝野幸男

    ○枝野委員 民間同士の裁判の場合は、当事者つまり弁護士から見て依頼者本人が、要するに正義に反するような裁判行為を行うかどうかというときに弁護士のチェックが入るわけです。  弁護士も最近いろいろな弁護士がいますから、お金のために依頼者の言うとおりに何でも動くというような弁護士も残念ながら少なからずいますが、少なくとも建前の上と、それから大部分の弁護士は、どんなに依頼者からお金を積まれようが何をしようが偽証をするとか大事な資料を隠すとかということを許してはならない。誠実に、もちろん依頼者の利益のためにやるのではありますが、最低限の裁判を遂行する上での社会的なルールあるいは法律的なルールというものを守らせる責任が実は代理人である弁護士にはあるわけです。だからこそ、そこで一つチェックが入った上で、裁判の場に出されてきて裁判所がチェックをする、二重のチェックがかかっていて裁判の場に真実がかなり出てくるというような現実があるわけですし、私は建前の土でもそうなっていると思います。  ところが、国が被告事件の場合には、指定代理人という制度で、一見訟務検事の方が法律家としての、プロフェッショナルとしての立場からチェックを入れているかのような姿が見えますが、少なくとも、今回の薬害エイズの姿を見ても、それから今の御答弁をお伺いする限りでも、法務省訟務検事の皆さんが役所に対して強い立場で、いや、それは役所の立場はそうかもしれないけれども、裁判のルール法律的なルール、あるいは裁判上求められている最低限の社会的なルールから考えると、もっとしっかりやってもらわなければ代理人としての行為はできませんというようなことを強く言えるような仕組みをつくらないと、国が被告事件だけ一方的に社会正義の実現されない確率が高くなるのじゃないかと思っているのです。  ぜひ、この指定代理人の制度について、これは法務省としてこの薬害エイズの事件をきっかけに見直してもいいんじゃないか。例えば、地方自治体は指定代理人などという制度はないのですよ。民間の弁護士をその事件の都度雇っているわけだ、基本的には。むしろその方が、もしかすると若干コストはかかるかもしれないけれども、それじゃ訟務局の検事の皆さんは、その分検察官も、刑事事件をやる現場の検事さんの数も足りないわけですから、訟務局やめて、弁護士をその事件の都度依頼をしてやった方がむしろいいんじゃないかというぐらいの発想があってもいいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  148. 増井和男

    ○増井政府委員 法務省訟務局といたしましては、先ほど申し上げましたように、訴訟を国として統一的、一元的に行う必要がある、そして適正な紛争の解決に寄与するということを考えておるわけでございまして、そういった考え方のもとに法務大臣権限法が制定され、それが運用されておるわけでございますから、今後とも一層そういう立法当初の趣旨に基づいて所掌の事務を遂行してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  149. 枝野幸男

    ○枝野委員 時間になりましたので終わりますが、別に法務省のそういった統一的なことをやる上での関与を外したらなどということは申し上げていないわけですよ。逆に、例えば今回の場合だったら厚生省が法務省と相談をしながら、例えば、極端なことを言えば、民間の弁護士を事件ごとに依頼をするという形にするというようなやり方はあるんじゃないのかな。民間というところまでいかなくても、少なくとも現在の制度のあり方について、少し立ちどまって見直すことを始めていただきたいとお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  150. 加藤卓二

    加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会