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1996-04-19 第136回国会 衆議院 内閣委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十九日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 今井  宏君    理事 倉田 栄喜君 理事 弘友 和夫君    理事 山元  勉君 理事 宇佐美 登君       大野 功統君    唐沢俊二郎君       佐藤 信二君    塩谷  立君       鈴木 俊一君    津島 雄二君       虎島 和夫君    石田幸四郎君       石破  茂君    野田 佳彦君       田口 健二君    金田 誠一君       松本 善明君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         行政改革委員会         事務局長    田中 一昭君         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         総務庁統計局長 伊藤 彰彦君         外務省北米局長 折田 正樹君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      松下 英彦君     ――――――――――――― 四月五日  恩給欠格者救済に関する請願遠藤登紹介  )  (第一二八〇号)  同(佐藤泰介紹介)(第一二八一号)  同(青木宏之紹介)(第一三四一号)  同(伊藤英成紹介)(第一四二四号)  同(草月昭三紹介)(第一四二五号)  同(田中恒利紹介)(第一四二六号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願上原康助紹介)(第一  二八二号)  同(小沢鋭仁君紹介)(第一二八三号)  同(桜井新紹介)(第一二八四号)  同(高鳥修紹介)(第一二八五号)  同(中馬弘毅紹介)(第一二八六号)  同(中田宏紹介)(第一二八七号)  同(細川律夫紹介)(第一二八八号)  同(村山達雄紹介)(第一二八九号)  同(矢島恒夫紹介)(第一二九〇号)  同(細川律夫紹介)(第一三四二号)  同(伊吹文明紹介)(第一三七九号)  同(七条明君紹介)(第三八〇号)  同(千葉国男紹介)(第一三八一号)  同(村田吉隆紹介)(第一三八二号)  同(山本公一紹介)(第一三八三号)  同(稲葉大和紹介)(第一四二七号)  同(草川昭三紹介)(第一四二八号)  同(権藤恒夫紹介)(第一四二九号)  同(三野優美紹介)(第一四三〇号)  同(渡辺省一紹介)(第一四三一号)  元日本軍慰安婦等に対する個人への補償実現  する戦後補償法制定に関する請願岡崎宏美  君紹介)(第一四二二号)  同(小森龍邦紹介)(第一四二三号) 同月九日  公務員定年延長等に関する請願輿石東君紹  介)(第一四七六号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願輿石東紹介)(第一四  七七号)  同(山崎広太郎紹介)(第一五二七号)  同(谷洋一紹介)(第一五七九号)  元日本軍慰安婦等に対する個人への補償実現  する戦後補償法制定に関する請願岡崎宏美  君紹介)(第一四七八号)  同外四件(石井紘基紹介)(第一五二八号)  同(岡崎宏美紹介)(第一五二九号)  同(岡崎宏美紹介)(第一五八〇号)  恩給欠格者救済に関する請願衛藤征士郎君  紹介)(第一五七五号)  同(久野統一郎紹介)(第一五七六号)  同(谷洋一紹介)(第一五七七号)  同(古屋圭司紹介)(第一五七八号) 同月一二日  軍人恩給改定に関する請願村山達雄紹介)  (第一六四一号)  恩給欠格者救済に関する請願浦野烋興君紹  介)(第一六四二号)  同(川端達夫紹介)(第一六四三号)  同(河本敏夫紹介)(第一六四四号)  同(古屋圭司紹介)(第一六四五号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一七六九号)  同(野田聖子紹介)(第一七七〇号)  同(村上誠一郎紹介)(第一七七一号)  同(山本公一紹介)(第一七七二号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願川端達夫紹介)(第一  六四六号)  同(北橋健治紹介)(第一六四七号)  同(柳田稔紹介)(第一六四八号)  同(東家嘉幸紹介)(第一七七三号) 同月十六日  恩給欠格者救済に関する請願関谷勝嗣君紹  介)(第一八五五号)  同(西田司紹介)(第一九一七号)  同(相沢英之紹介)(第一九八四号)  同(小野晋也君紹介)(第一九八五号)  同(緒方克陽紹介)(第一九八六号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願増子輝彦紹介)(第一  八五六号)  同(小杉隆紹介)(第一九一八号)  同(櫻内義雄紹介)(第一九一九号)  同(左藤恵紹介)(第一九八七号)  恩給欠格者救済に関する請願麻生太郎紹介  )(第一九一五号)  同(平泉渉紹介)(第一九一六号)  同(相沢英之紹介)(第一九八二号)  軍人恩給改定に関する請願宮路明君紹介)  (第一九八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  アイヌ新法早期制定に関する陳情書  (第  一六八号)  男女共同参画社会の形成に関する陳情書  (第一六九号)  国家公務員定員削減計画見直しに関する陳  情書  (第一七〇号)  人事院の寒冷地手当見直しに関する陳情書外  一件  (第一七一号)  青少年の健全な育成に関する陳情書  (第一七二号  )  元植民地出身戦争犯罪者服役拘禁期間に対する  救済補償措置等に関する陳情書  (第  一七三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  行政機構並びにその運営に関する件      ――――◇―――――
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田幸四郎君。
  3. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 この内閣委員会質問をさせていただくのは初めてかと思うのでございますが、本日は、行政改革の問題について全般にわたりまして質疑をいたしたい、このように存ずる次第でございます。  当初、中西総務庁長官が閣議のために少しおくれるというようなことでございましたので、三十分ぐらいの間に、現在の行革委員会あるいは地方分権推進委員会の方の状況をお伺いしたい、こういう予定でございました。その予定に従いまして順次伺っていきたいと思うのでございます。  行政改革委員会が設立をされまして大変積極的な討議をしていただいていることについては、関係各位に深く敬意を表する次第でございます。しかしながら、特に規制緩和の問題については行政全般にわたるわけでございますので大変問題は幅広く、しかも深いものがあるわけでございます。また、規制緩和の問題を進めていかなければ、国際的な大競争時代に突入した日本経済、これにも大変大きな支障があるわけでございますので、この行革委員会におきます規制緩和検討、まさに経済界あるいは社会全体からもその推進方が強く望まれ注目されているところであろうというふうに思うのでございます。  昨年の末に、いわゆる千九十一事項、この問題が行革委員会において検討され、そして報告がなされておるわけでございます。まず行政管理局長の方にお伺いをいたしますが、この報告があった後、何割ぐらいが既に措置されているか、またあるいは、この報告に基づいて、特に政府としてきちんとした措置ができるようになったか、そこら辺のことについて、まず簡単に御報告をいただきたいと思います。
  4. 陶山晧

    陶山政府委員 行政改革委員会規制緩和に関する御意見政府提出をされまして、これを受けて政府といたしましては、この御意見を最大限尊重して規制緩和具体化を図るという内容を昨年の末の行革大綱においても決定をしたところでございます。  ただいま石田先生から御指摘のございましたことについて端的に御説明申し上げますが、行政改革委員会の御指摘のありました内容のうち、委員会自体が今後検討していくこととするという結論で、現段階委員会としての結論を出しておられない問題もございます。例えば、著作物の再販売価格維持制度廃止でありますとか企業による病院経営の問題でありますとか、あるいは医薬品の販売規制の問題でありますとかそうした問題がございますが、こうした現段階結論を出しておられない事項を除きますと、委員会の御意見のほぼすべてにわたって政府としての対処方針を今回の改定計画に盛り込んだということでございます。
  5. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは田中事務局長にお伺いをいたしますが、今までの成果を踏まえて、行革委員会として今後どういう計画をお立てになるのか。きょうの新聞によりますれば、三月からの計画について、何か項目を絞って検討するというようなことも新聞で散見をいたしておるわけでございます。  まず一つは、行革委員会で行われた規制緩和小委員会方々、この中間報告を出されたわけですが、それに対してどんな感想を持っておられるか、また、今後どんな点に踏み込んでやるというふうに皆さんがお考えなのか、そこら辺も含めて少し御報告をいただきたいと思います。
  6. 田中一昭

    田中(一)政府委員 この三月に、第一回目の政府による規制緩和推進計画見直しが行われたわけでございます。行政改革委員会といたしましては、その設置法で、規制緩和の問題の政府実施状況を監視するという役割を持っております。  それで、昨年の四月から、今お話がございました規制緩和小委員会を、委員会のもとに専門的に審議してもらいますために設けております。昨年の十二月十四日に第一回目の行革委員会としての意見提出して、政府がそれを参考にしまして、最大限尊重いただきまして改定していただいたわけでございます。一月から三月の改定までは、委員会としましては、小委員会と一緒になり、あるいは小委員会のみで、政府といいますか各省改定作業を見守ってきたわけであります。具体的には、ヒアリングをやってきたということでございます。  さてそこで、改定後、今後の問題でございますが、きょうの新聞、必ずしも正確ではございませんけれども、まずはそういう政府改定作業を見きわめた上で、ことしはどういう点に重点を絞って規制緩和を監視していくかという議論を今やっておる最中でございます。  昨年は十二分野五十三事項意見書に出したわけでございますが、ことしどのくらいの規模になるかわかりませんけれども、若干の参与の入れかえ、委員の交代も行いまして、昨年一年やった結果を踏まえ、あるいはまた、その後各界からいろいろな御意見が寄せられております。政府が、措置が困難だということで各界各層の御意見を一応見送った問題等々もございます。  そういうものを眺めまして、ことしは、昨年の反省に立ってもう少し重点を絞ってやったらいかがかというようなことでございまして、方法としてはほぼ昨年と同じ方法をとりたいと思いますが、六月中ぐらいに取り上げる事項を決めまして、七月いっぱいぐらいで、昨年同様、論点整理といいますか、規制緩和は必ず賛成、反対があるわけでございます。現状維持はどういう論理でそれを主張しておるのか、緩和すべきというのはどういう論理緩和を主張しておられるのか、これを両方整理しまして国民の前に示し御意見を賜った上で、秋から具体的に小委員会としての意見をまとめ、十二月中には委員会として政府意見具申をする、こういうスケジュールで進めたいと思っております。
  7. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 政府は千九十一事項見直しを設定して、そしてそのめどがつけば、さらに順次計画をまた立て直してふやしていくんだというような方針であったというふうに思うのでございますけれども、そこら辺の具体的な数値目標はどうなっているのか。  それからまた、今まで規制緩和小委員会に取り上げられてきたそういった各項目は、それぞれの省庁から上がってきたものですよね。そのほかに、やはり私は、恐らく小委員会方々からもこういう問題をさらに追加して取り上げるべきであるというような御意見もあったのではないかと思うのでございますけれども、その二点について、いま少し御報告をいただきたいと思います。
  8. 田中一昭

    田中(一)政府委員 ただいまのお話でございますが、私ども規制緩和小委員会はどういうテーマを取り上げるかといいますと、単に政府が千九十一、ことしは千七百九十七事項ございますが、その中からだけではございません。もちろん政府計画の中で必ずしも、内容が今後に任されておるというものもございます。あるいは事項によっては時期を早めなければいけないというような問題もございますので、当然私どもの監視の対象にはなりますけれども、そのほかに小委員会といたしまして、各界からのあるいは外国からもいろいろ御要請がございます、そういう事項。あるいは、先ほどもちょっと触れましたがへ各界からの意見政府が、各省措置困難である、こういうふうになされる課題もございます。あるいはまた、学識経験者が集まっておるわけでありますから、いろいろの学会からの従来から問題にされておる問題等々も当然対象にいたしまして、ということは、聖域なく幅広く事項を取り上げて検討するという考えで進めております。
  9. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それからもう一つ田中事務局長の方にお伺いをいたしたいのは、情報公開制度の問題について、同じく小委員会検討されておるわけでございますが、一つの中間的な報告というのを当然目指しておやりになっていると思うのでございますけれども、今までの議論の概要とその中間報告をいつごろ出すのか、ここら辺について御報告をいただきたいと思います。
  10. 田中一昭

    田中(一)政府委員 行政改革委員会は、その設置法に基づきまして「行政機関の保有する情報を公開するための法律制定その他の制度の整備に関する事項調査審議する。」ことになっております。これは設置法上の任務でございます。その結果に基づきまして、設置の日から二年以内に内閣総理大臣意見具申をするという仕掛けになっております。発足いたしましたのが一昨年の十二月十九日でございますから、遅くとも本年の十二月十八日までには、正式に内閣総理大臣情報公開法についての意見具申をしなければならない、こういうことになっております。  さてそこで、今御質問のことでございますが、委員会委員はわずか五人でございますので、この専門的な問題を調査審議するために、昨年三月、行政情報公開部会というものを設置して、検討しております。  この部会におきましては、設置以来部会を三十六回、それからいわば起草委員会ともいえます小委員会を七回開催して、現在はその小委員会でつくりましたたたき台をもとに再び部会を開いて、いわば法案の要綱ともいうべきものを調査審議しております。毎週一回開いておりますが、大体一回三時間以上、精力的に審議していただいております。この成果につきましては、今お話しのとおり、来週の二十四日に部会として取りまとめたものを本委員会の方に中間報告していただくことになっております。いわば情報公開法要綱案というべきものだと存じます。  内容は、当然のことながら法律でございますからその法律の目的、それから対象とする行政機関、まあ行政機関すべてを対象にしますけれども、それから、この法律基本的に権利を設定するものでございますから、情報公開、つまりディスクロージャーと違いますのは、ディスクロージャー法令等々に基づいて義務的に公開するものでございますが、これは国民の請求に基づいてオープンにするということでございますので、そういう権利基本的に定める。  当然のことながら、すべでが出せるわけではございませんので、不開示情報、こういう場合には開示してはならない、できないという場合。しかしまた、ただし書きも当然ございまして、そういうものであってもこういう場合には公開すべきであるということ。それから、当然、不開示決定をいたしましたときにはすぐ訴訟ということではございませんで、総理府の方に第三者機関として不服審査会のような権威のある機関を設けること等々を定めていくことになると思います。  関連のことといたしまして、既に地方公共団体等では条例、要綱等を既に先行して定めておりますが、そういうものとの関係あるいは特殊法人等をどうするかという問題についても、当然その法令要綱案の中で書いていくということになると思います。  そういうことでございまして、遅くとも部会としては、この中間報告を出しまして各界意見を聞いて、その上で十月ごろには部会としての最終報告を取りまとめて、行政改革委員会の方で審議をいたしまして、先ほど申し上げましたように十二月十八日がデッドラインでございますから、各界から求められておる大事な法令でございますので、極力早く提出いたしたい、こういうふうなことで作業を進めていることでございます。
  11. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 もう少しその問題も聞きたいのでございますけれども、余り時間がありませんので、その問題については以上にいたしたいというふうに存じます。そんなことで、田中事務局長はこれで結構でございます。ありがとうございました。  それから、地方分権の方を少し東田さんの方にお伺いをいたしますが、これは先般報告書提出をされたわけであります、いわゆる中間報告。この要旨をいろいろ拝見をいたしておるのでございますが、地方分権の問題については大変これは多岐にわたるわけでございまして、これからもより深く検討を重ねていかなければならないのでありますが、この中間報告と、現在いろいろここで指摘されている問題、直ちに実施しなければならない問題もあるわけですね。  その中で、地方分権推進委員会の方で一番重点的に議論になった問題は何と何なのか、そこら辺を少し御報告をいただきたいと思うのです。
  12. 東田親司

    東田政府委員 地方分権推進委員会事務局長でございますが、先生今御指摘のとおり、三月二十九日に中間報告総理の方に出させていただきました。先生既にお目通しのとおり、全体が五章から成っておるわけでございます。中身の逐一の説明というよりも、どういうところに特に審議重点が置かれていたかというお尋ねかと思いますので、事務局としての御説明をさせていただきます。  昨年七月から本年三月まで九カ月間で約六十回審議をさせていただきました。親委員会二つ部会でございます。この六十回の中で一番審議のウエートがかかっておりますのは、今回の中間報告で言いますと第二章に当たりますが、「国と地方の新しい関係」という章の名前をつけてございますけれども、いわば機関委任事務を中心とする現在の中央集権システムを改革して新しい国と地方関係にすべきではないか、仮に機関委任事務制度をなくすとしたらそれでは具体的にはどういう制度考えられるのかというところが、やはり結果的には審議の時間が相当割かれた部分だったと思います。  それから、第四章と第五章のところに各部会の個別的な、私ども行政分野別課題と称しておりますけれども地域づくり部会では九分野、それからくらしづくり部会では六分野の十五項目と称しておりますが、この個別的課題のところが部会の中心的な審議対象であったというふうに言えるかと思います。まずその二点でございます。  第一点目の「国と地方の新しい関係」について、それではもう少し中身的にどういう審議であったかということで若干敷衍させていただきますと、書かれておりますように、現在の機関委任事務制度というのが種々制度疲労に陥っていて、国際調整課題等新たな課題への対応上、種々問題を生じているのではないかというような問題点を述べた上で、現在の機関委任事務制度廃止を決断すべきである、そして廃止された後の新しい事務整理方向といたしましては、国と地方が対等・協力関係になることを基本に、地方団体が担う事務自治事務とすることを原則とする、ただし、自治事務にはなり切れない、どうしても国の事務として残るというものは例外的に法定受託事務という区分を設けるべきではないだろうかということでございます。  さらに、この自治事務法定受託事務という二区分に応じまして、国の関与が許される範囲というものについて濃淡をつけるべきではないかという考え方、それから、国と地方との間の関係が対等・協力関係基本になるとなった場合に、どうしても国と地方とで調整をとらないとならない局面、あるいは国と地方とで紛争が生じた場合の解決の仕組みを講じなければならない面もあるので、こういう関係調整ルールあるいは紛争調整ルールというものを一般法で定めるべきではないだろうかという考え方、その他必置規制、それから国庫補助負担金税財源出先機関地方事務官等につきまして、この第二章で一定の検討方向 を示しておるわけでございます。  繰り返しになりますが、この第二章の「国と地方の新しい関係」というのが、六十回の審議の一番時間を要した部分であったというふうに振り返っております。
  13. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 これは、国と地方の権限の問題、それから財源の問題、あるいは市町村三千三百という現在の地方自治体の実情、そういったものも整理をすべきだという議論が盛んに内外で行われておるわけでございますが、この問題についても我が党としては、当然、受け皿論は三百ぐらいの地方自治体にまとめなければ、いわゆる町村段階分権を進めていけばいろいろな意味で行政的な機構の上でかなり無理があるというような議論がたくさんあるわけなのです。  それはそれとしまして、これは政府の方にお伺いをいたしたいのですが、この中間報告政府として受けとめていろいろな角度で検討されていると思うのですけれども、やれるところはすぐやらなければいけない、こういう問題がありますね。地方分権の総括的な議論、さらに細部にわたる議論、そういったものが進んでいくことになりますとかなりの日数がかかるわけでありますから、それを待ってすべてを措置するということでは、これはいわゆる行政改革が進まないわけですね。  そこで、地方が国の関与を受けている問題について、既にもういろいろなところから指摘されているわけですね。ちなみに、東京都が国の関与に関するさまざまな調査をしているわけですが、権力的関与それから非権力的関与、そういうような問題の中で、東京都は六項目にわたって指摘をしているのですが、そのうち四項目を今大臣に申し上げたいと思います。  その国の関与の問題の中で、「本来自治体が処理しなければならない分野事務にまで関与している。」というのは二七%ある、こう言われております。これは東京都の調査ですが、それからもう一点、「事実上、自治体が判断し、処理する事務となっているので、国の関与が形骸化している。」これも二七%あります。この二つだけで実に半分以上を占めているわけです。それから、「申請書内容が複雑、添付書類が多い、処理期間が長い、報告監査等の頻度が多い等、事務処理上の負担が大きすぎる」というのが一六%あるのです。それから、「社会経済情勢の変化により、現在の情勢に合致しない関与となっている。」こういうのが一三%あるわけですね。  ここら辺の問題は、中間報告でもこの国の関与については大変厳しい意見を申されておるわけでございますので、これは直ちに実施方向へ踏み出す議論をしなければならない。そこをどういうふうにこれから進めようとされているか。まだ中間報告ですから、最終的な方向を待つまでもなく、まずこういうものは処置すべきであるということについて総務庁長官はどうお考えなのか。もしそれをやるべきであるというなら、どのようにお進めになろうとしているか、この二点について長官の御見解を承りたいと存じます。
  14. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  このたびの中間報告につきましては、地方分権推進委員会の作成されます指針あるいは勧告に向け、委員会が現時点におきまして基本姿勢と検討方向を明らかにしてまいりましたもので、これに沿いまして委員会としての最終結論を出したものではありません。あくまでも、やはり御指摘のとおり中間報告でありますから、したがって委員会中間報告の中におきましても、委員会の現時点における基本姿勢と検討方向を明らかにしまして、広く各界各層の人々の理解あるいは賛同を求めながら委員会の最終結論を提示しなくてはならぬ、こういうことになっております。  したがって、委員会におきましても、今後さらに関係方面の意見を十分聴取いたしまして十分審議を尽くし、そして具体的な指針の勧告を作成していくものと私たちは解釈をいたしておるところであります。したがって、そうした状況が出てきた段階で、さらに我々としては具体的な内容等について検討方向を出していかなければならぬ、こういうふうに考えておるところです。
  15. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それは、現段階基本的な方針については長官がおっしゃったとおりだと思うのですよ。だけれども、それでは私はまずいのではないかと。中西長官も長い間議員をやっていらっしゃるわけでございますから、第三次行革審のさまざまな御議論もいろいろな角度からございましたし、この地方分権議論というのは、これはもう二十年、三十年やっていると言って過言でないわけでございますので、しかも地方自治体においても、そういった国のいわゆる関与の問題についてはさまざまな角度から各地方議会では議論されているわけです。  国の権力的関与、非権力的関与、何とかして整理できるものはしなければならぬという議論は、これはもう十五年、二十年、三十年やってきているわけですから、少なくともこの国の関与に対する問題については中間報告が出た段階で具体的に踏み出さなくてはいけないのじゃないですか。それでなければ、百年河清を待つという言葉もありますけれども地方分権というのは地方分権全体の議論が終結しなければ何にも手がつかぬのだというのでは、これは、私は国民の皆さんの御期待にこたえるというわけにはいかないと思うのですが、ひとついま一度御答弁をお願いしたいと思います。
  16. 陶山晧

    陶山政府委員 石田先生のただいまの御意見の御趣旨は、一般論として申し上げますならば、もちろん理解しているつもりでございます。  ただ、実務の観点から若干申し上げさせていただきますが、これまで地方団体に対する国の関与整理合理化につきましては、政府としても法律改正を要するものについては一括整理法等の形で国会にお願いをし、政省令等によって処理できるものは閣議決定という形でたびたび整理合理化を行ってきた経緯がございます。  ただ、これらに政府としてこれまで取り組んでまいりました際に、多くは臨時行政調査会でございますとか、ただいま先生の御指摘にもございました行革審の答申でございますとか、そうした権威のある審議機関からのまとまった形の御意見、御提言を受けて、そしてそれを個別具体的な内容として具体化をしていく、そういうやり方で進めてまいりました。  それで、ただいま先生お触れになりました東京都の研究会の報告につきましても、私どもももちろん承知をいたしておりますが、国の関与というのが、総務庁行政監察局が例年実態把握をしておりますけれども、三千三百余と言われております。そうした数多くの内容について、それを整理合理化を進めていくための一つの手法と申しますかやり方として、やはりある程度まとまった形で、しかもそれが基本的な物の考え方と基準に基づいて具体的な提言を権威のある機関から提示していただき、それをある程度まとめた形で処理をしていくということの方が、実務の観点から申しましても、いわば処理のしやすいと申しますか対応のしやすいやり方ではないかという感じを持っているところでございます。  なお、できるものはその都度と申しますか逐次簡素合理化を進めていくべきであるという御意見につきましては、一般論としてはもちろんそのとおりだろうと考えております。
  17. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 ですから、今申し上げてきましたように、これらの問題の中でやはり地方分権というのはできるところから着実にやる。受け皿論、財政論、そういうものを全部議論した上で進めていくというようなことでは、これは、また仮に地方分権のいわゆる最終報告が出たとしても、まだ役所の中でもあるいは地方自治体の中でもさまざまな議論が出てくるでしょうから、そう簡単に進むべき問題ではない、全体像が見えてくるというのはなかなか難しいのですね。だから、やはり一つ一つのできるところの切り口をつくるというのが行政改革の趣旨からいっても大事なことなんですよ。  これ以上答弁は出てこないでしょうからあれですが、少なくとも総務庁としては、この東京都が 指摘している「事実上、自治体が判断し、処理する事務となっているので、国の関与が形骸化している。」ここら辺はきちんとしなければならないと私は思いますよ。ひとつそこら辺の総務庁長官の御決意を伺いたいと思いますが。
  18. 中西績介

    中西国務大臣 国の関与が形骸化しておる分野についてということの御指摘ございましたが、こうした問題等につきましては、先ほどから指摘されておりますように、相当長期間にわたってそれぞれの分野あるいは地方自治体等におきましても論議が重ねられておる部分もあるわけでありますから、そうした点についてより具体的にどうするかというところに踏み込むわけでありますから、これらにつきましても一定の方向性を見きわめながらやっていくというのは基本姿勢ですけれども、今指摘のありました分野につきましては、これからより具体的に、委員会等におきましてもさらに四月以降踏み込んだ論議を続けてまいりますので、そうした点についていち早く方向性を出していただきながら取り組みを強めていきたい、こう考えております。
  19. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 機関委任事務制度そのものの問題についても、もうこの中間報告ではっきりしておるのですよ。これは「機関委任事務制度そのものを廃止する決断をすべきである。」というふうに中間報告で明確に出ているわけです。だから、これは恐らく最終報告でもそういうふうになると思いますよ。そのぐらいの問題ですから、そういった問題に一つ一つ切り口を持って切り込んでいく、そういう行政の姿勢がどうしても必要だということを私は強く申し上げておきます。それ以上御答弁は無理だと思いますので、これは要請にとどめておきます。東田さん、これで結構です。ありがとうございました。  さて、本格的な行政改革議論をしなければならないのですが、しかし、行政改革というのはまことに多岐にわたっておりますので、私は二つないし三つの問題に絞ってこれから議論をいたしていきたいと思います。  まず一つ、長官、規制緩和。要するに規制ですね。法律等によって規制されているわけですが、毎年毎年国会ではいろいろな法案が提出されて、三十から五十ぐらいの間の法案が提出をされますね。そうしますと、それには必ず規制が伴うわけですから、必ず毎年規制緩和して減らしていかない限りにおいては、規制はどんどんどんどんふえていくわけですよ。したがいまして、その根っこになっているのは法律事項なんですね。法律を作成する段階、もしくは不必要になった法律というものはなくさなければいけない。  これを私も前、総務庁にいましたときに、一つは法制局長官と話をして、これはもうやはりサンセット方式というか、いわゆる見直し規定をきちんと設けて、そしてその時点において法律が必要なくなったらばやめるのだ、そういうものが基本でなければならぬということをかなり強く主張した。それでないと、やはり規制はどんどんどんどんふえていくわけですから、その歯どめをかけるためにはそういう法律のいわゆる時限立法的な見直しをしなければならぬということを法制局長官にかなり私強く申し上げたのです。  そのときに、なかなか法律全般についてそういうふうにするには難しいが、その御趣旨もよくわかるので、できるだけそういう点の見直しはしていくようにしますという、これはいわゆる非公式な折衝の中でそういうような方針になったわけなのですけれども、それではだめだと私は思うのですね。そういう形だけではだめなのですね。  したがって、今法制局の方をいろいろ調べてみますと、法制局というのは、法律をつくるためにいろいろな角度から、いわゆる憲法を初めその他の法律との整合性を求めて整理して、これは法律にできるという判断をするわけですね。いわば法制局の中には法律をつくるためのセクションはあるのだけれども法律見直しをするというセクションはないのですよ。こういうことをやっていてはだめですね。  では、今まで不必要になってきた法律はどうしているかというと、これは十年に一遍ぐらいになるのでしょうか、不必要なものを全部まとめて一括してどんと処理をするというような、そういうやり方をやっているわけです。  しかし、社会は動く、経済は動くわけですから、やはりいろいろな方、きのうもクリントンさんの昼食会がございましたけれども、ある財界人の方は、会計法というのはもう非常に古い時代にできた法律であるから、これは見直しをしてもらわなければ困るのだ、こういうことを強くおっしゃっておりました。  そういう趣旨から見ましても、法律全般を見直す、そういう制度をつくるべきだというのが私の主張なのですけれども、長官、どんなふうにお考えになりますか。
  20. 陶山晧

    陶山政府委員 石田先生がただいま申されました御意見、かねがね御持論として御主張なすっておられることは私どもも承知をいたしております。法律見直しについていわば制度化を図るべきではないかという御趣旨であろうと存じますが、これについては、いわば実務の観点から申しましてもいろいろな議論があろうと存じます。  少しく実務的になりますけれども、いわゆる時限法のようにあらかじめ法律に有効期限を定めるという方法ももちろんございます。また、見直し条項を規定するという方法もございます。こうした方法については、行政需要の変化に対応した簡素で効率的な行政を実現するための方策の一つという意味において、そのこと自体は大変有効な手段であると考えております。  ところで、これをすべての法律について一律にそうした方式を設けるということについては、これはもう石田先生に申し上げるまでもございませんが、法的安定性とか政策の継続性確保というような観点から内閣法制局においてもいろいろな議論があり、実務的な観点で申し上げますけれども、方策としては有効な手段であり得ても、一律にすべてについてということはなかなか難しいということでございまして、したがって、これまでの政府としての対応を申し上げますならば、いわば必要に応じて期限の設定とか見直し条項の設定に努めてきたということでございます。  例えば、規制緩和の一環といたしましては、規制緩和推進計画の閣議決定の中に、「法律により新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、各省庁は、その趣旨・目的等に照らして適当としないものを除き、当該法律に一定期間経過後、当該規制の見直しを行う旨の条項を盛り込む」という内容を閣議決定の中に明記いたしております。これに基づいて、新たな法律をつくり、その中に規制を内容とする事項を盛り込むという場合には、原則として一定期間経過後の見直しということをその法律の中に規定していくという方向各省庁にも努力をしていただき、それを総合的に私どもの立場でチェックをしていくという仕組みを今つくり、これが定着していくように引き続き努力をしていきたいというふうに考えております。
  21. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 ですから、私が申し上げているのは、やはり法律を作成する基本的な理念としてそういう時限立法なり見直しなりを盛り込んでいく。そういったサンセット方式の精神というものをいわゆる法制局としては明確にしなければならないし、やはり政府としてもそれぐらいの決意表明をどこかでやらなければいけない。例えば、毎年そういう行革方針をつくるわけでございますから、その中にそういう制度のあり方というものをきちっと明記していくとか、そういうことが必要だというふうに私は思いますよ。それ以上の答弁は出てこないでしょうから、そのことは長官もひとつよく心にとどめておいていただきたいとお願いをしたいと思うのです。  それからもう一つ規制緩和対象は一万一千件であるということでスタートをしたわけでございますが、これは総務庁の方でもよく御存じのとおり、それ以外に法律によって規制されている問題が約一万件ぐらいある、こういうお話を承っておるわけでございます。今まで挙がってきた一万 一千件の規制緩和対象案件、これは今行革委員会でずっと、今小委員会でやっておるわけです、これからもやっていくわけですね。だけれども法律によってさらに規制されている約一万件の問題について、これを何とか改善をしていかない限りにおいては規制も減りません。これをどうしますか。どんな方針でいきますか。
  22. 陶山晧

    陶山政府委員 ただいまの石田先生の御質問に正確なお答えになるかどうかはちょっと疑問がございますが、ただいま一万一千余と御指摘がございましたのは、これは行政監察局でございますが、総務庁として毎年許認可の件数の実態把握という作業をいたしております。これは法律、政令、省令、告示、この形式根拠を対象にいたしまして、いわば表現、規定の言葉として許可とか認可とか検査とか検定とか届け出とか報告とかという、これはたしか三十数種類の表現を対象にしておりますが、条項ごとにチェックをして、それが積み上げた数字として幾つになるか、そういう調査でございます。これは各省庁の協力も得て、総務庁行政監察局において取りまとめをいたしますが、これがトータルの総計が今一万一千弱になっております。  この数字はたしかここ二年ぐらい毎年少しずつ落ちているわけでございますが、それ以外にただいま先生が御指摘になりました一万件という意味がどういう具体的な意味なのか、必ずしも私、理解不足だと思いますが、要するに公的規制という概念、これは法律上の定義があるわけではもちろんございませんけれども、ただいま申し上げました許認可等と俗称しておりますが、これ以外に、例えば形式根拠としては通達とか行政指導によるものも多々あるわけでございます。あるいは、これはいろいろ議論のあるところかと存じますが、例えば農産物の価格支持制度といった制度が幅広くございますけれども、これもいわば広い意味での公的規制の中にとらえられるということは行革委員会意見の中にも表現されてきているところでございます。  何が公的規制かという定義、概念はもちろんございませんので、正確に許認可等以外が幾らなのかということを御説明はできませんが、いわゆる許可とか認可とかという、法律以下告示までのそれぞれの法令の各条項の中に入っているもの以外に相当多数の公的規制の根拠が存在するということは事実でございます。
  23. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 今行政管理局長からお答えございましたように、総務庁の監察局では、いわゆる許認可というものについて昭和六十年から把握しておりまして、石田委員お話にございましたように、一万七百六事項というのが現在の数でございます。  許認可というのは公的規制の一部でございまして、その許認可以外に公的規制というのはあるわけでございますが、残念ながらまだ政府として統一的な把握をされておりません。  そういうことで、昨年の三月の規制緩和計画の中で、この許認可以外の公的規制の実態について把握を進めるべきだという閣議決定がございまして、それを受けて、今私どもの方で学者の方々を中心に、公的規制の範囲というのはどうとらえたらいいのか、あるいはそのとらえられた範囲についてどういう数え方が最も適切なのかどうかということで研究会を開催しておりまして、早ければこの夏にでも研究会の報告をいただくことにいたしておるところでございます。
  24. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 長官、今行政監察局長の方からお答えがありましたように、この規制緩和方針が具体的に決まったのは、いわゆる細川政権のときにこれは本格的にやらなきゃならぬということで決まったわけですね。その閣議決定が平成六年二月ですから、もう既に二年たっているわけですよ。二年たっていてなお、法律、今まで言われてきた規制緩和以外に法的な規制があるという問題、その実態がわからない。スタートして二年かかってもまだわからないということでは、これはならぬと思うのですね。  そこのところ、夏までに報告が出るそうですけれども、ぜひひとつ長官、これを推進していただきまして、やはり規制緩和の正体がはっきり国民の目の前に見えてきて、その緩和を進めていくんだということが理解されるように努力をしなければならぬと思うのでございますが、長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  25. 中西績介

    中西国務大臣 いずれにしましても、今指摘ありましたように、この規制緩和そのものがどのように経済社会なりあるいは一般的な社会の構造をゆがめておるか、あるいは枠をはめて活性化を阻害しておるかということは、十分当時からまた論議されたし、今なお私たちも認識をいたしておるつもりです。  したがって、これらの問題につきましては、先ほども指摘ございましたように、二年ということで御指摘ございましたけれども、やはり当初取り組むに当たって、五年というのを三年間ということで前倒しをし、千九十一事項というこの数についても、具体的に措置できる、あるいはしなくてはならぬということ等を全面的に見直しをしましてやってきたという経過の中で、今指摘のある点についての十分な検討がまだ残っておったという、このことについては率直に認めなくちゃならぬと思います。  したがって、先ほど局長の方からもお答えありましたように、この夏に向けましてそうした問題についてさらに顕在化させた上で、八年度末の改定期に向けまして今後の具体的な取り組みをより具体化していくということが大変重要でありますから、この点についても十分認識をして取り組んでいきたいと思っています。
  26. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 それでは、法律見直し制度等の問題については、時間の関係もありますからその程度にしまして、次の問題として、ペーパー削減法、これはアメリカで既に実施されておるわけであります。この問題について、ぜひひとつ総務庁で御検討をいただきたいという意味で、私はこれから問題指摘をいたしたいと思います。  現在、我が国では許認可等の行政手続において膨大な量の書類の提出が要求されておるわけであります。これは経団連の方からも資料をいただいておるわけでございますが、「許認可の申請、届出等に係る書類の削減・簡素化等」の要望というのは相当に出ているわけなんですよ。何とかしなければいけない。  ちなみに、これは総務庁の行政監察局の方からいただいた若干の数字でございますけれども、いわゆる申請、報告・届け出等の現状はどうなっておるか。申請の関係が六千九十八、報告・届け出の関係が四千六百十九というふうになっていますね。それから、地方団体が国に提出しているもの、そういったものが別に、申請関係七百八、報告・届け出の関係が千三百八十あるわけです。  いろいろ話を承っていると、いわゆる通達関係でやっている問題は監察局の方ではとても掌握できないと言っておりますので、その数がまた膨大にあるわけです。それから、地方自治体等が民間の方々に要請している書類というのも中央では把握できないわけでございますので、これは三千三百の地方自治体が要請して書類を出させているわけですから、その数たるや、全く気が遠くなるような書類の数に上るだろうというふうに私は思うわけでございます。  例えばこの中で出ているのは、建築確認等の申請が平成五年度で約百万件あったというのですね。それから、建設業にかかわる貸借対照表等の会計書類ですね。その提出が五十四万件あるわけですから、ざっと百五十何万件あります。  そういうようなことが一例でありまして、この数がとてつもない大きな数であろうというふうに思わざるを得ないわけですね。  それから、これも総務庁の方からいただいたあれなんですけれども、例えば申請に伴う経費の負担。例えば建築業界では、一社平均年に申請する件数が四百四十八件。これは一件当たり何枚出すかわかりませんから四百四十八枚という意味ではないわけでありまして、多いところは二千七百四十四件も出さなければならない。その申請にかか わる経費というのは平均で百八十五万、多いところで一千万かかっている。こういう状況報告をされております。  それから、法人税法及び消費税法上の保存すべき伝票の量というのが報告されているのですが、大手のチェーンストアにおいて年間で六千万枚、膨大な数ですね。そして、さらに法人税法による保存義務量というのは、大手のチェーンストアにおいて三億枚というのですね。これは少ない数じゃありませんね。その保管に必要な総坪数が三千坪要るそうです。そうすると、この保管にかかる費用というのが、例えば紙で保存するだけでもコストが十五億円かかる。その三億枚の保管スペースを三千坪としますと、坪二十万の建物を建ててもそれだけでも六億かかるということでございますから、これは一社平均でもこんなに金がかかっているわけですから、これは何とかしなければならぬということになろうかと思うんですね。  今中央の公務員の数は、総務庁等の各省の御努力によって年間千人から二千人の間で減っているわけですね。その努力は多としなければならないと思うんですが、地方公務員の方の数はずっとふえ続けているわけですね。なぜ公務員の数がふえ続けているかというのは、やはり仕事がそれだけあるからですね。仕事を減らす以外に地方公務員の数を抑える方法というのは私はないと思うんですね。だから、いわゆる書類関係整理することによって行政経費も減るし、人件費も当然抑制することができる。  それから、民間の方の立場を言えば、これは先ほどお示しをしたチェーンストアの方の三億枚保存しなければならないという問題について、もしこれがマイクロフィルムでやれば、何と十五億円かかるのが三・三億で済む、電子データ媒体でやれば、百万円で済むというんですね。これはもう総務庁の方の数字ですから、あるチェーンストアが十五億円かけて保存している、そういう紙による保存をやめて電子データ媒体でやれば百万円で済むというんですから、これはやらなければならない。現実に、これは政府の方で検討してないかといえば、情報推進本部の方で情報通信という立場でいわゆるデータ化を考えているという、それも九年までということであります。  しかし、それを仮に実施すれば大変なそれぞれの業界に、産業界にメリットを与えることができるわけですが、しかし、私もう一つ問題があると思うんですよ。やはりその書類の中身をチェックしてあげなければ、申請する方は一生懸命その書類をつくらなければいかぬことは間違いないわけですからね。確かに保存をするという意味においては、これは経費の節減にそういう制度がとられればなる。だけれども、中身まで検討していかないと、実際問題としてはなかなか減らないと思うんですね。  しかもこういう要望もあるんですよ。これは建築業界にかかわる問題のようですが、いわゆる公共事業の競争参加資格を受けるためには、東京都経由で建設省に経営審査を受けるように申請をするんだそうです。そして、入札資格の許可を受けた後、だから、審査を受けて資格は取りました、それから改めて国にも地方団体にも入札の資格の審査申し込みを行っているのが現状だというのですね。既にこれはもう二重ですよね、二重手間になっている。  それから、地方公共団体の申請書類なんというのは、様式が不統一のために別につくらなければならぬ、個々に作成しなければならない、こんなふうに現状はなっているようです。  さらに一つの例として、こういうことができないだろうかということをこの業者の方は要望しているんですが、例えば何とか県、県庁に書類を申請すれば、提出すれば、その県下のすべての公共事業体には全部通用するようにしてくれないだろうか。これは無理からぬことだと私は思いますね。今、各地方自治体ごとに横にコンピューターがつながっているわけではありませんし、中央とつながっているわけではありませんから、いろいろな問題はあろうと思うけれども、様式だけでも、ある県庁に提出すれば、写しを持っていけば全部通用するというぐらいのことはしなければ、これは私は経済の活性化につながらない。むしろ今まだ景気の足取りが確かでないわけでありますから、そういう意味でそういう問題に踏み込む必要がある、こういうふうに思います。  私も、今までそういう例では幾つか経験があるわけですけれども、一番早い例は、これは外国旅券の問題ですか、期間を延ばしましたですね。そうすると、もう手間が一遍に省けるわけですね。行政のそういった手間が省けるわけですから、そういうようなところに焦点を当てながらこれをやっていく必要があるというふうに思います。  もう少し申し上げますと、アメリカにおいて、先ほど申し上げましたペーパー削減法は、一九八〇年代の当初にこれが実施をされているわけです。そのときの目標は百億ドルといいます。アメリカ政府が出した目標は百億ドル。そうすると、日本円にして一兆円ですね。一兆円の要するに経済効果をねらってアメリカはやった。そして、当初いろいろな目標を掲げてやったわけだけれども、かなりの成果が上がった。三年ぐらいで三七%ぐらい書類が減ったということを誇示している。この数字はかなりいいかげんだとは思うんですけれども、相当な成果が上がっているわけです。  これは時限立法でございますから、しばらくこの法律の適用は見送られておったんですが、今また、クリントン政権になって、ゴア副大統領が中心になって再びこのペーパー削減法を成立をさせて、そして今クリントン政権はこのペーパー削減法、いわゆる一〇%、あと何年かかけて五%、何年間かで一五%を目標にしてやろうとしている。  ゴア副大統領が言ったのは、アメリカの書類の長さをはかってみると、恐らくニューヨークからロサンゼルスぐらいあるだろうと言われているんですね。そういう表現をしている。その表現に基づいて考えてみると、日本では北は北海道から南は鹿児島、沖縄に至る、二往復するぐらいの書類があるんではないかというふうに思わざるを得ないですね。  これも皆さんから聞いた話ですが、東京都がいわゆる八重洲口の方から新宿へ移動された。実に保管してある書類が百キロに及んだというのですね。東京から三島まで並ぶぐらいの書類があったというのですから、そういう一自治体においてしかりでございますから、そういう問題を総括的に考えてみると、これは私は、規制緩和をやると同時に、並行して行政経費節減という大きなスローガンを掲げてやるべきではないか。そのためには、やはり私は法律が必要だという持論なんでございますけれども総務庁長官の御感想をお伺いをいたしたいと存じます。
  27. 中西績介

    中西国務大臣 今御指摘のございました点については、法人税法にかかわる問題等につきましても、それぞれの大手チェーンストアなどを含めて出された問題と思います。したがって、こうした問題等につきましては、さらに精査をいたしまして、何としても、財政的な問題をどのように削減していくか、そしてなお多くの問題が、軸足あるいは目線を、国民の生活との関連の中でどうするかということが基本的な条件でありますから、こうした点についての検討は十分行っていきたいと思います。  そのことによって、今指摘のございましたような数的な問題が解決をするという、そうした方向性を求めて、これからも、特に規制緩和につきましては、来年四月段階で、三月三十一日までには改定を行わなくてはならぬということもございますし、これを早急に手がけなくてはならぬと思っております。したがって、その中の一つの問題として取り上げてまいりたい、こう考えます。
  28. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 言い方が少々きつくなるかもしれませんが、いわゆる行政改革が具体的に進んできたのは、先ほど申し上げましたように、平成六年二月の細川政権のときの閣議決定において、行政改革規制緩和の推進、あるいは地方分権の問題、あるいは特殊法人等の問題、そういったもの が取り上げられて決定され、順次村山政権、橋本政権がそれを受け継いで今それをずっと実施している段階にあるわけですね。しかし、考えてみますれば、そういう意味において、村山政権、橋本政権はまさに新しい角度の行政改革方針を出したというのは一つもないのですよ。  確かに、特殊法人のものの、ああいった改革を進めるんだというような決定がなされたけれども、あれも評判が悪いですよね。事業団を二つくっつけてみて、それで行政経費が減るわけでもないんだし業務は同じようにやっているわけだし、ああいうのは改革の名に値しないというのが実は私の評価なのです。  そうしてみますと、私は、それから何年間かたっているわけですから、やはり橋本政権としてももう一本の柱を、むしろそれこそ一兆円でも、二兆円の目標も立てられるわけですから、行革方針の中にそういう新しい柱を一つ立てたらどうか、こういうことを御提言をいたしておるわけでございますが、もう一度、ひとつ総務庁長官の見解を承りたいと思います。
  29. 中西績介

    中西国務大臣 従来からの行政改革委員会設置をされまして追求されてきだこうした内容については、今指摘ございましたけれども、先ほど申し上げましたように、やはり日本の、規制緩和であるなら経済構造そのものを、あるいは社会的な構造をどうするかという、こうした視点からの取り組みであったし、そのことによって国際的にあるいは政府内部における効率あるいは活性化をここからどのように醸成していくかという、こういう取り組みであったわけであります。  したがって、そういう問題としてございました分権問題、情報公開の問題等、今まで各分野における問題点をすべて拾い上げまして、こうした体制をつくろうとしてきたわけでありますから、今改めて新しいということでもって一つの柱を立てていくということの御指摘でございますが、私は、今やっておる事柄について年限を前倒ししたりいろいろ措置をしてまいりましたので、これを何としても早急にやることが一定の方向性というのを出していくと思っています。  したがって、私たちとしては、国政全般にかかわる問題でありますだけに、こうした問題の推移というものを十分認識をいたしまして、これらをさらに発展させていくことがどうなのか、あるいは新たに立つべき柱があるのかどうかという問題につきましても、この中で検討させていただければと思っております。  したがって、今御指摘のように、直ちに新しいという、そこについてはまだ十分私たちといたしましても検討しておるわけではございませんので、大変恐縮でありますけれども、ここで直ちに御回答申し上げることはできませんので、御了承をいただきたいと思います。
  30. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 このペーパー削減法については、いろいろな角度の意見もありまして、規制緩和を進めていけば必然的にそういうものは減るよ、そういう学者の先生もおるのですよ。そのことは私もよくわかっておるのですけれども、しかし規制緩和というのは、規制緩和をしても規制そのものは残るわけなんです。そうでしょう。要するに、トーンダウンしたけれどもそこにまたやはり規制は残っているわけなんですよ。そういうことを考えてみても、やはり別途にいわゆるそういう申請書類等の書類削減を考えないといけないのですね。  各省庁の倉庫を見ても、いろいろな書類がもう山積みになっているわけですよね。そういうものだってデータ化していかなければいけないのだし、そういうような行政改革の一環の、これは自主的に、要するに経費の軽減につながっていくわけですから、ひとつ真剣に、今すぐお答えを出せというふうには申し上げませんが、やはりこの次の行革方針を立てるときにはぜひ真剣にこれは検討をしていただきたい、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。  時間がなくなりましたから、最後に雇用促進事業団関係の問題についてぜひ長官にひとつお考えをお伺いをいたしたいのです。  雇用促進事業団がやっているいわゆる住宅問題ですよね。これは当初の目的は、いわゆる石炭産業が油に変わってしまったために衰微してしまった、その人たちを、従業員を各県に移動してもらいたいというその受け皿のために雇用促進事業団住宅というのは始まったわけですよね。しかし、それから何年たっているのでしょうか。今その必要性があるのでしょうか。  これは山口長官のときに、私は予算委員会で労働大臣等も相手に御議論を申し上げたわけなんですが、そのときの労働大臣お話は、今五カ年計画を遂行している最中でございますので、直ちに本年度のものをやめるわけにいきませんという話だったのですね。それは意味はわからぬでもない。私に言わせれば大変けしからぬことなんだけれども、もう要らなくなったという判断をすればやめるべきなんですよ。これをやめられない。  総務庁の方のいろいろな資料を拝見をしておると、移転就職者用の宿舎の設置の問題についてお調べになったそうですが、その入居者はそういういわゆる移転就職者以外の入居者が大半を占めておって、その目的に合致したところの入居者は実に二三%にすぎないという、これは行政監察の調査の結果として出ているわけです。  ですから、何ぼつくってもそのうちの目的的入居というのは四分の一しかない。四世帯に一世帯しかないわけなんですよ。だからやめなさいと言ったんだ。そういうものは県営住宅とかその他の公営住宅の枠の方へふやしてあげれば、それぞれの地域で十分対応できるはずのものですよ。ところが、雇用促進事業団というものの事業がこの住宅をつくるということがメーンになっているためにやめられない。しかし、これはいかに何でもひど過ぎるのではないでしょうか。それで、行政監察の結果としては、こういうものは縮小すべきであるという意見になっている。当然なことですね。  それに伴って、では今年度どうするのだということを労働省を呼んで聞いてみたら、確かに少なくはなったけれども、また五カ年計画立ててやるというのですよ。今まで年に二千戸つくっていたのが千二百戸にしますよ、だけれどもこれまた五カ年やるというのですね。これはどういうことだろう。もう行政改革という理念、哲学というのが、具体的な問題になってくるとすっ飛んでしまうという一つのよき事例なのです。  総務庁長官、これは何とか労働大臣と、まだ法案通っているわけではないのでしょう。この間本会議で公営住宅の問題を法案で提出されましたよ、まだ可決されたわけではないでしょう。これはやめられませんかね。それだけの議論を私はすべきだと思うのです。長官いかがですか。
  31. 中西績介

    中西国務大臣 石田委員の雇用促進事業団の住宅問題についての御指摘ございましたが、この問題につきましては、今指摘にございましたように一万戸から六千戸ということで五カ年計画をということが明らかにされてきております。  したがって、これらにつきましては、まず何と申しましても入居率そのものが、具体的に精査しますと長期入居者等を含めまして必要な方々の入居でないという部分があるわけでありますから、長期入居者等についての整理などをすることをまず徹底させなくてはならぬだろう、こういうことを考えております。  同時にまた、閣議で決定をされておりますので、こうした問題等につきましては、労働省における計画なりこうした問題等について先般の監察等によって出てきておる実態もございますので、労働省等と十分御相談を申し上げ、そして、これらの問題について適切にどうすればできるかということについての検討をしていきたいと思っております。
  32. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 私が御指摘申し上げたことについては、当然そういう考え方に立たなければならぬということに尽きるのだろうというふうに思うのですけれども、こういう問題は閣議で議論はできないわけですね、それぞれ閣議で決定すべき事 項についてのみ報告があり議論があって決定されていくわけですから。しかし、閣議後の閣僚懇談会あたりでは当然こういう議論が私はあってしかるべきだと思いますよ。非公式の場でもいいですよ、そういう議論をしながら行政改革の切り口を一つでもはっきりさせていくというようなことでなければだめなのですね。  これは書類を見てみると、労働省の方の書類だけではなくて、建設省が深くかかわっているわけですね。いわゆる公営住宅全体という計画の中にこれが織り込まれているわけですから、私は根っこは建設省だと思っているのですよ、労働省ではなくて。まあそれは両方なのでしょうけれども、そういうやり方というものをだれもチェックできないというのは、余りにも私は、行政改革を推進しようという方針を掲げた内閣としてはまことに情けない話ではないかなというふうに思います。  これは行政改革全般の問題でございますから、なかなかそうもいかないのですというのは、意味はわかるのですけれども、ぜひぜひひとつ心の中にとどめておいていただきたいし、この五カ年計画の場合もいわゆる予算そのものは単年度でつけているわけですから、この五カ年計画の中で最終的には終えんをするのだというぐらいの議論を私はすべきだと思いますよ。そのことによって行政経費が使われて、そのことによって人件費が使われているわけですからね。  そういう意味では単に、これは計算してみるとどうなりますかね、新しい計画でいくと年間千二百戸ですから、千五百万円かかったとして百八十億ですよ。五カ年計画ですと九百億でしょう。一千億に近い金です。そのほかに人件費等を加えたら一千億をはるかに突破すると思うのですね。  一千億の経費を節減するというのは並大抵のことではできないわけです。まして普天間基地の問題だって一兆円かかるという話になっているわけでしょう。そういうところから金を移動させるくらいのことを考えないと、こっちはこっち、縦割り行政だからしようがないのだというようなことをいつまでもやっていたら、行政改革にならないと思いますね。そのことを強く申し上げておきたい。機会があれば建設大臣、労働大臣にも私も申し上げたいとは思いますけれども、これは行政内部の話ですから、ぜひひとつ総務庁長官としてこの問題をお取り上げいただきたいというふうに思います。  もう時間がありませんからあとできませんが、もう一つの問題は、さまざまな財政投融資の問題、私は政府部内で特に財政投融資のあり方論、まあ審議会やなんかでは検討しておるのでしょうけれども政府部内としては検討しているということが見当たらない。ぜひこの仕組みをひとつお考えいただけないかなというふうに私は思っているわけです。  特に年金財政の問題を取り上げてみますと、財政投融資に回る原資がだんだんだんだん減ってきているわけですから、これをいつまでも放置していくわけにはいかないというふうに私は思います。別の機会があればこの問題を議論させていただきたいと思いますが、ただ、その問題を検討する仕組みを政府部内のどこかで考えるべきではないかというふうに思います。最後に長官の御意見を承って、質問を終わりたいと思います。
  33. 中西績介

    中西国務大臣 この種問題につきましては、財政計画をどのようにするかという問題で今大変大きな問題になっておりますので、具体的にそうした中で論議を願うことになろうと思っています。同時にまた、与党プロジェクトにおきましてもこの種問題につきましても論議を今継続中でございますので、こうしたところでよりよい成果を上げるように私たちも要請をしてまいらなくてはならぬと思っています。
  34. 石田幸四郎

    石田(幸)委員 終わります。ありがとうございました。
  35. 大木正吾

    大木委員長 次に、田口健二君。
  36. 田口健二

    ○田口委員 社会民主党の田口健二でございます。二十五分という非常に限られた時間でございますので、端的に幾つかの点について中西長官にお尋ねをいたしたいと思います。  その一つは、規制緩和の問題でありますが、長官御自身、規制緩和の推進は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由な経済社会実現していく上から不可欠の政策課題である、このように発言をされておるというふうに承知をいたしておるわけであります。先般閣議決定によりまして規制緩和推進計画が定まりました。新たな五百六十九事項を含めて、トータルで千七百九十七件の新しい計画が閣議決定をされたというふうに聞いておるわけであります。  ところが、この新しい計画決定に当たって、どうもマスコミの皆さん方の報道などを見ておりますと、例えばNTTの問題について先送りをされておるとか、あるいは持ち株会社の解禁の問題も同じように与党内の調整がなかなか進んでいないとか、こういうことがかなり強調されて、本来的な計画の中身についての報道が非常に私は不足をしておるのではないかというふうに感じています。  実際に、この規制緩和の問題というのは広範、多岐にわたる分野を取り上げていくわけでありますから、その中には当然きちんとした議論を詰めて結論を出していくべき問題も多々あるというふうに私は考えておるわけでありますが、長官としては、今回の計画に盛り込まれた事項、特にこの中で大変重要であるというふうにお考えになっておる点があるとすれば、率直な長官の御意見、評価というものをこの際お聞きをしておきたい、このように思っています。
  37. 中西績介

    中西国務大臣 今回の規制緩和推進計画改定問題をめぐりましていろいろな評価がなされておるということは十分認識をいたしています。ただ、我々が今まで取り組んできた基本姿勢というのは、先ほど委員指摘のとおり、あくまでも重要課題としての位置づけをしながら閣議決定いたしまして、その内容的なものも含めて、私たちは、中間公表いたしました段階から大きく前進をさせ得たという認識を持っております。  ただ問題は、この中におきまして——行政改革委員会の御意見ども十分お聞きをし、そしてこれをどのように生かしていくかということを十分考え合わせながら規制の見直しを徹底的に行ったつもりであります。その中におきまして、住宅建設コストの低減のための規制緩和、あるいは情報通信分野における新規事業の創出あるいは参入、さらにまた運輸分野における流通コストの問題等を含めまして手がけてまいったということについては、私たちは、一応の成果であるし、この点は皆さんに報告できると思っております。さらにまた、金融・証券業界等における市場機能の問題等も含めまして、こうした問題に取り組んでまいったつもりであります。  したがって、この多くの重要な規制緩和を、まだ不足しておるという御指摘等もございますけれども、今までできなかった分野につきましては、これを今度は改めてなぜできなかったかということを公表いたしまして、皆さんの御理解なりそして御意見をまたさらにいただこうと思っております。  したがって、今回の場合には、先ほどから答弁申し上げておりますけれども、五年を三年に前倒しをし、そして第一回目の改定いたしました点については、一応の成果を私たちは上げたということで皆さんに報告申し上げておる状況でございます。
  38. 田口健二

    ○田口委員 今の問題に若干関連をするわけでありますが、ちょっと私も心配をしておるところがあるわけであります。最近の論調を見てまいりますと、規制緩和というのは国是のようなものであって、これに反対をする者は頑迷固陋な既得権益の亡者であるような、そういう風潮が率直に言ってあるような気がします。しかし、確かにこの規制緩和というのは時代の流れでありますし、大変重要なことであるというふうに思っていますが、ただ何でもかんでも規制緩和をすればいいという問題でもなかろうというふうに思っていま す。  先ほどの私の質問の中にも幾つか具体的な事例が挙がりましたが、確かに経済的な側面から見れば非常にこれは規制緩和によって効果が上がる。しかし一方では、その規制緩和によって社会的に非常に大きな影響が出てくる。  これも具体的な例でありますが、規制緩和をすることによって確かに経済的な面では一定の進展が見られると思うけれども、それによって例えば労働者の基本的な権利が侵害をされてくる、そういうことになると、その辺の調和というのはやはりきちんと考えていかなければならないのではなかろうか。ただやみくもに規制緩和をどんどんやればいいという問題ではないというふうに思うのですね。これが今後規制緩和問題を取り上げていく中で必ず幾つかのところで出てくるであろうというふうに思いますし、また、現実に今、与党の中で議論が行われるところにもそういう部分というのがかなり入ってくるのですね。  その辺について長官の方は、どういうふうに御判断を、これから規制緩和を進めるに当たってそういうものの兼ね合いとの関係というのはどういうふうに整理をしていけばいいのか、お考えがあればお伺いをしたいと思っています。
  39. 中西績介

    中西国務大臣 規制緩和の推進に当たりましては、今指摘のございました雇用問題等を含めまして痛みの部分が出てくるということについては、行政改革委員会意見の中にもこれは含まれております。したがって、我々といたしましては、こうした経済の構造変化に対応した政策努力については十分配慮をしていかなくてはならぬし、個々の事情に対しましても十分対処していかなくてはならぬと思っています。  特に問題になっております点等については、例えば中小企業における問題がございますし、さらにまた雇用対策の問題もあるでしょうし、あるいは消費者への情報提供及び消費者被害防止救済措置の問題等、挙げていきますと幾つかの問題が実際にあるわけでありますから、こうした問題等につきまして、規制をするが、じゃ政策的にこれをどのように対処していくかという問題等については各省庁との連携の中で明らかにしていかなくてはならない分野もあるわけでありますから、そうしたことを十分認識をいたしましてこれからきめ細かい配慮を行って対処していきたい、こう考えております。
  40. 田口健二

    ○田口委員 次に、情報公開関係についてお尋ねをしたいと思います。  住専であるとか薬害エイズの問題に見られますように、国民の行政に対する不信感というのが非常に今高まってきておる。したがって、行政への信頼を回復するということが大変重要な急務であるというふうに思うわけであります。そのためには、開かれた行政、透明度の高い行政が望まれておりますが、そういう意味では情報公開というのは時代の大きな流れになっておると思います。  地方公共団体においても、今年の三月に奈良県において条例が公布をされたのを最後に、すべての都道府県において情報公開制度化が行われています。このことが、よくマスコミをにぎわしておりました官官接待の是正、こういった行政運営の改善にも一定の効果をあらわしてきておるのではないかというふうに思っております。今、行政改革委員会の中で、情報公開法検討が進められておるというふうに聞いておりますが、これはもう早急に制定をすべきではないかというふうに思っておりますので、この辺の今の状況、そして今後の取り組みについて長官の御見解をいただきたいと思います。  同時に、この前の薬害エイズに関することの中で、私どもも含めて国民の皆さんが非常に注視をしたのがいわゆる情報隠しの問題ですね。したがって、適切な文書管理というものがやはり情報公開法の中でも非常に重要なことになるだろう、これを欠くと情報公開というのもいわば絵にかいたもちのような存在になりかねないと思います。私は、そういう意味で、行政運営の改善というのをつかさどっている総務庁がこうした各省庁の文書管理という問題についてどういう御見解を持っておるのか、あるいは取り組みとして何かお考えになっておることがあれば、この際一緒にお伺いをしたいと思います。
  41. 中西績介

    中西国務大臣 お答えしたいと思います。  御指摘のございました行政のあり方の問題でありますけれども、公正で民主的な行政運営ということは今極めて重要な課題として指摘をされておりますし、そしてその問題については、あくまでも国民との関係からいたしますと、信頼をいかに取り戻すかというこうした関係が大変重要になってまいっております。したがって、その一つとして、この行政の公開というものは今緊急な課題として問題視されておるということを十分認識をしておるつもりであります。  こうした中におきまして、行政改革委員会の中で行政情報公開部会設置されまして、この中で現在まで約三十六回にわたって御論議をいただき、その結果、専門的な観点からの調査審議が相当進んでまいりました。各方面の御意見を聴取するためにこの四月二十四日に中間報告をいただくようになっております。それを経て、さらに本年の十二月までに行政改革委員会から内閣総理大臣に対しまして意見具申をしていただくということになっております。  この問題も、三年間というのを二年に前倒しをいたしまして今取り組んでおりますときだけに、大変厳しい日程でありますけれども、そうしたことを十分勘案いたしまして、これからも皆さんの御意見なりあるいは十分聴取をした中でおこたえしていきたい、こう考えておるところであります。  さらに、二点目の問題でございますけれども情報公開することによって信頼関係を取り戻すというこの基調に立ちますと、今までの行政機関における対応というのは非常におくれておったということはもう事実でありますから、そのときに、一番問題に今なっておりますように、例えば厚生省のエイズ問題等で明らかになっておりますように、文書管理ということが国民権利だとかあるいは義務、こうした関係の保全をどうしていくか、あるいはみずからの業務の円滑な遂行をどのようにこれから進めていくかということに関しまして、効率的に、あるいは行政執行のためには十分皆さんから信頼できる体制をつくりながら、その中で適切な文書管理というのは何としても欠かすことのできない問題であります。  私たちもそうでありましたけれども、いろいろ入手したものについては机の上に積み立てておるとか、そうした点で管理が不十分であったということを十分私たちも認識をいたしまして、これから情報公開制度が有効に機能していくためには、行政情報国民に公開されるというそれを前提といたしますならば、なお一層こうした文書管理というものを適切に行って、漏れのないようにこれからしていくことが大変重要ではないかと思っています。  そういうことからいたしまして、行政情報公開部会におきましても、情報公開制度自身に伴う文書管理のあり方までについても現在論議が行われておる段階でありまして、我々総務庁といたしましても、部会審議と並行いたしまして、適切な文書管理を推進する方策を検討して、積極的に取り組んでまいりたい、こう思っております。
  42. 田口健二

    ○田口委員 官房長官、大変お忙しい中を御出席をいただきましてありがとうございました。  きょうは行政改革の問題で審議が行われておりますが、当面する最重要な課題でございますので、あえてお許しをいただいて官房長官にお尋ねをしたいと思っています。  この一週間近く、大変重要な外交日程が次々と行われました。四月十二日に、橋本総理とモンデール・アメリカ大使との共同の記者会見で、普天間基地の返還の問題が取り上げられました。十五日には、ペリー国防長官も来日をして、特別行動委員会中間報告もございましたし、ACSAも調印をされました。そして、言うまでもなく、十七日には日米首脳会談が開かれて、一定の共同 宣言の文書が発せられました。  まず私は、今与党の沖縄基地問題プロジェクトの一員として、この二月の訪米以来ずっとこの数カ月沖縄の基地問題にかかわってまいりました。本当に痛切に感じておったのは、やはりこの沖縄基地問題で沖縄県民が最も強い要望があるのは何といっても普天間基地の返還の問題。しかし、アメリカ側とのいろいろな折衝を、私どもも話し合いをした中で見ると、非常にこれがまた厳しい状況であるというふうに思っておりましたので、あの十二日の橋本総理の発表によって、五年ないし七年の期間ではあるが、普天間基地については全面返還をするということが日米で合意をされたという発表がなされまして、大変私も喜んでおりますし、橋本総理を初め政府関係者の皆さんの御努力に改めて敬意を表したいと思っておるわけであります。  そこで、お尋ねをしたいのは、日米共同宣言の中に、ずっと見てまいりますと、ガイドラインの見直しについて合意をしたという文言が入っているわけですね。若干私もこれはどういうことなのかなというふうに思うのでありますが、前後の状況を判断をすると、恐らく今後我が国周辺地域において、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態への対応に関する課題が今後整理をされて検討が始まっていく、こういうことになるのであろうというふうに思っています。  そこで私どもは、社会民主党としても、昨年の秋の防衛大綱の見直し等からの議論を踏まえながら考えてみますと、こうしたガイドラインの見直し議論が始まる前提がやはり必要であると思っています。  その第一は、新しい防衛大綱に規定をされておるように、憲法及び関係法令に従ってやるということが何といっても第一である。第二には、あの大綱が発表されたときに官房長官談話が出されました。この中では、集団的自衛権の解釈はこれまでと変更はないのだということを長官談話の中で明らかにされています。  同時に、私はこの見直し作業に入っていく場合には、近隣諸国との関係に十分な配慮をしながら、つまり、アジア太平洋地域における多角的な安保対話というふうに言ったらいいかと思いますが、こういうものがやはり並行して行われていかなければ、近隣諸国にも大変また不安を与えるのではないか、こういうことをまず考えるわけですが、今申し上げました特に後段の私ども考えております三点について、官房長官の御見解をいただければと思います。
  43. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  田口委員には、今日まで与党の連絡会議において、ACSAその他について大変な御努力を賜っておりますことに心からまずもって感謝を申し上げます。  この十七日の橋本、クリントン大統領の間で署名をされました日米安保共同宣言においては、二十一世紀に向けて、日米安保体制が我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定のために引き続き果たしていくべき重要な役割にかんがみ、日米間の安全保障面での協力を促進していく旨を明らかにしたものでございます。そして今、このような考え方に立って、共同宣言の中において日米防衛協力のための指針の見直しを開始することを表明をしたわけであります。  この見直しの具体的内容につきましては、まさに今後の検討をまつ必要があるわけでありますが、いずれにせよ、集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されていないとされている事項については、従来の政府の見解には何ら変わりがありません。これは昨日、総理が参議院の予算委員会でも明らかにしたところでございます。  そして、政府としてはさまざまな事態に対し、我が国が米国と協力をしつつ、これに対応していくための手段をきちんと整備をする必要があると考えており、そのような対応の法的側面にかかわる問題を真剣に検討しておかなければならないと考えておりますが、いずれにせよ、我が国の対応が憲法及び関連法令に従って行われることは当然のことであります。  そして、今委員が御指摘になりましたように、このような研究を行う一方で、近隣諸国との関係を配慮するという観点から、常日ごろより近隣諸国との意思疎通を図るとともに、そもそも御指摘のような事態が生じないように、多分近々に、お隣の韓国あるいは中国に今回の内容説明に出向く予定にもなっているというふうに聞いております。ASEAN地域フォーラム等の地域的な安全保障の対話及び協力の枠組みの発展を初め、各種の外交努力を積極的に払っていかなければならないと考えております。
  44. 田口健二

    ○田口委員 ただいまの官房長官のお答えを聞いて、私も全くそのとおりだというふうに思いますので、ぜひその辺の御配慮で今後の取り組みをやっていただきたいというふうに思っております。  もう時間がありませんからこれは一言だけ申し上げておきますが、今の官房長官のお考えに対して、昨日のマスコミの一部には、外務省の担当者が、集団自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈が二、三年以内に変更される可能性があるというふうに語ったなどというマスコミ報道が出ているわけですね。私はこれはもうとんでもないことだというふうに思っています。しかし、これはきょうは時間がありませんからお答えを求めませんけれども、そのことはくれぐれも、特に外務当局に私ははっきり申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたからこれで終わります。どうもありがとうございました。
  45. 大木正吾

    大木委員長 次に、金田誠一君。
  46. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 きょうは行革関連の集中審議ということでございますが、事行革問題が俎上に上るときには必ずといっていいほど出てまいりますのが北海道開発庁の存廃論議でございます。私も、地元が北海道旧三区、函館に住まいをいたしておりまして、そういう立場からこの問題についてはかねがね深い関心を持っておりましたし、現在の北海道のあり方がこれでいいのかということについても常々疑問を抱いていたところでございます。  そういう立場からお伺いをいたしたいと思いますけれども、北海道開発庁の存廃が議論される場合、なぜ開発庁が存在しているのかということについて、まずはお考えをいただきたいと思うわけでございます。  私なりに考えます。その理由は、北海道がいまだに本州、四国、九州、こういう、北海道の古い言葉ではこれを内地と言っていた時代もつい最近までございましたけれども、この内地とは違って、いまだ開拓地あるいは植民地に近い状態が続いているということのあらわれだ、内地とは違うということに起因をしていると思うわけでございます。したがって、北海道開発庁の存廃論議の前提条件としては、北海道を内地並みにするということが不可欠であろうと思うわけでございます。その具体的なあらわれとしては、私は、北海道を幾つかの県に分割をするということが北海道開発庁の存廃論の前提になるべきだ、こう思ってございます。  総務庁長官、九州の御出身でございますから、そのお立場に照らして考えていただきたいと思うわけでございますが、北海道が一つの行政区になっているということは、九州に例えれば、七つの県がすべてなくなって九州道というようなものに等しいわけでございます。そうなったらどのような弊害が起こるか、想像にかたくないと思うわけでございます。  現在でさえ、九州の場合は福岡の一極集中ということが非常に大きな問題と言われているわけでございますけれども、七つの県が一つになって、例えば福岡に九州道庁が置かれたらどうなるかという状態が、実は今の北海道の状態なんでございます。その弊害としてあらわれているのが極端な札幌一極集中でございます。福岡一極集中どころではない、あるいは東京一極集中どころではない、北海道のほぼ半分近くが札幌一極に集中しているという現実でございます。その裏返しとして 札幌圏以外はすべて人口減少、過疎化に拍車がかかっているわけでございます。  二つ目の問題点と思いますのは、道庁の権力が余りにも強大過ぎるという弊害でございます。先般来、官官接待その他で日本国じゅう問題になりましたけれども、その中でも北海道庁は群を抜いていたと思うわけでございます。これは時の政権が自民党政権であったとかあるいは社会党政権であったとか、北海道の地方政権の話でございますけれども、そういうことにかかわりなく、道庁が余りにも肥大化し過ぎた、権力が集中し過ぎた、道民の、住民の監視の目が届かない状態になっていたということに起因すると思うわけでございます。  権力は腐敗すると申しますけれども、まさにそのとおり、監視の目が届かない権力がどうなるかということの具体的なあらわれであろうと思うわけでございます。  そして不思議なことに、北海道の道民はこれについて余り身近なこととして感じておりません、残念でございますけれども。私ども函館などでは、函館市役所で例えば官官接待のたぐい、数十万円とか数百万円でも住民監査請求が起きて、あるいは訴訟に発展するという状況もございます。しかし、数十億という単位の北海道庁の問題については、私の住んでいるところでは極めて関心が薄いといいますか、市に対する関心に比べると格段の開きがある、こういう状態でございます。  このことは、北海道全体を一つ地方自治体一つの自分たちの住む自分たちの地域というふうに見ることさえ希薄になっているのではないか、地方自治の精神が、余りにも面積が広大過ぎるために阻害されているのではないかと思っております。  三点目の弊害は、札幌圏以外の市町村の行政経費のむだでございます。  道庁に用事があるときには、日帰りしようと思えば飛行機で行くしかない。これが現実でございます。私もしょっちゅう札幌に出るわけでございますが、飛行機に乗るたびに腹立たしい思いをいたしております。  行政的には十四支庁というものが置かれておりまして、その支庁が函館にもございますけれども、ここで用が足りるということはほとんどございません。かといって、顔を出さないとこれまた嫌な顔をされる。二度手間を踏むことになって、結局は飛行機で札幌に往復する。東京近辺ですと、例えば茨城から通勤圏でございます。千葉を通り越して東京まで通勤をされる。あるいは静岡から通ってこられる方もいらっしゃるようでございます。県庁に用事があるというときは、大体車でちょっと行って帰ってくるというのが普通の県の常識ではないでしょうか。  この行政経費の壮大なむだ、札幌まで飛行機で行って、また東京まで陳情に来るというむだを繰り返しているわけでございます。これは行政のむだばかりではなくて、民間レベルにおいても同じような、道庁に行く、東京に来るというむだを繰り返しているわけでございます。  そして、四点目としては、こういう状況なものですから、毎年毎年多額の公共投資をつぎ込んでいただいても、その実効性が目に見えてこない。住民の目の行き届かない、非常に遠いところで公共事業の使途が決まってくる。そういう中で、せっかくの公共事業費も有効に機能していないのではないか。いつも経済的には後進性に甘んじているのが、北海道の実態なわけでございます。  そういう前置きを申し上げた上で、総務庁長官にお尋ねをしたいと思うわけでございます。  恐らく行革議論の中で、これからも北海道開発庁の存廃論というものが俎上にのってくるかもしれません。私は、このこと自体、議論することを否定しようという気はさらさらございませんけれども、北海道開発庁の問題が議論される前提としては、先ほど申し上げましたけれども、内地並み、本州、四国、九州のように、北海道の行政区域自体もそういうことになるという議論とあわせて行わなければ、これは極めて合理性を欠いたもの、均衡を欠いたものになると思うわけでございます。  今までは、どうも開発庁の存廃だけが取り上げられてきた。なぜ北海道開発庁があるのか、北海道が一つのためにいかに多くの弊害が残っているのか、仮に開発庁をやめるとすれば、内地並みにするということについてどうなのかという議論は、ついぞ聞いたことがないわけでございます。  長官、これから行革議論をするに当たって、この両方の問題は不可分であるという御認識をぜひひとつお持ちいただきたいと思うわけでございますが、御見解を賜りたいと思います。
  47. 中西績介

    中西国務大臣 お答えをしたいと思います。  北海道の地理的な特殊性というものについては十分認めますが、特に従来から論議されております、北海道を複数の県に分けるとか、あるいは分権構想をどうするとか、いろいろあるわけでありますけれども、これらについては、私たちもお聞きをしておるところであります。  しかし、この問題は、中央でいろいろ論議する前に、やはり地方でこれらの問題については十分議論をしていただき、そして今進められている地方分権の趣旨からいたしましても、そうした声がやはり集中されないと、いろいろ中央で頭越しに行うことの是非になってまいりますと、非常に問題が多いのではないかということになりますので、地方行政体制そのものにかかわる問題でございますので、私からそのことについて今お答えするということは、大変恐縮でありますけれども、どうかと思います。  また、特に行政サービスの問題等にかかわる問題でありますけれども、この問題につきましては、都道府県の間での行政水準がどうなっておるかという、こうした問題等について、当該の施策あるいは目的あるいは対象、こうした問題等につきましては、私たちとしては、これから後の課題といたしましても、やはり対処していかなくてはならないだろう、こう考えております。
  48. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 長官に特に要望を申し上げておきたいと思いますけれども、北海道開発庁の存廃論というのが常に出てくる、その際に、北海道の特殊性というのが考慮されない、そういう観点からあえて長官の御所見を伺ったわけでございまして、地方がまずという御意見も当然わかるわけでございますけれども、開発庁存廃論が俎上に上る場合に、これは切り離せないという点について、改めて強く御要望を申し上げておきたいと思います。  そこで次に、官房長官にお尋ねをしたいと思うわけでございます。  北海道が今そのような現実にあるということを申し上げさせていただいたわけでございますが、この改善ということは、北海道開発庁をどうするしないということとはまた別にして、これは各省庁ごとにどうのこうのという問題もさることながら、まずは内閣として、北海道が明治以来開拓を続けてきて、そしていつまでもこのままでいいのか、本州、四国、九州並みになるべきなのかなるべきでないのかという議論さえされていないことは非常に残念でございます。  そこで、内閣としてひとつこの問題を御検討いただけないか。しかるべく検討の部局を、どの程度の規模にするかは別にして、まずは既存の中ででも、内閣のどの部分なりでこれは検討するのだということだけでもお決めいただけないかと思うわけでございますが、いかがなものでしょうか。
  49. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私のお答えをする分野ではないと思いますが、今総務庁長官からお答えがありましたように、極めて地方自治の根幹にかかわる問題でございますから、北海道の道民あるいは道議会あるいはそれぞれの地域の知恵を絞って、どうすべきか、まずもって一義的にはその決断があってしかるべしだと思います。  しかし、前段で委員が御指摘になったように、札幌圏への一極集中というか、あるいは政治力の格差というのか、それから施設の集中というか、そういうものをどうするかという問題は、これはこれからの、いわば道政のあり方の問題でもあろ うかと思います。  ですから、今地方分権が言われている中で、イコールそれが北海道の分県につながるのかどうかというよりも、道庁対市町村、あるいは開発庁と十幾つかある支庁の問題、自治体間の分権を行い、そして地方自治の第一線に立つ市町村をどう強化をしていくか、こういう問題が配慮をされないと、この問題は画一的には律することができないという気がいたします。  事実、また府県間でも、今の府県制度でいいのか、狭過ぎる府県制度をどう広域に取り扱っていくかということがそれぞれの府県で今検討されている段階でもございますので、この両方の意見を折衷することは私たちが主として行うべき分野ではないので、もっと世論の高まりを待ちながら、この問題には対処をしてまいることだというふうに考えております。
  50. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 にわかに俎上に上らせること自体はなかなか面倒なのかなという印象を受けたわけでございますけれども、それにしても国の施策を進めるに当たって、国としてこの各都道府県をどう扱うかということについて、ひとつあわせて御検討いただきたいと思うことがございます。  といいますのは、今国の施策は全般的に各都道府県ごとに一カ所というような形で出てくる場合が非常に多いわけでございます。どういうケースがあるかなと思って調べさせていただきましたら、大学の医学部なんかもそのようでございまして、四国四県で四カ所、九州七県で七つの医科大学なり大学医学部というものが国立て存在をいたします。これに対して、北海道は国立大学医学部と医大合わせて二つでございます。四国に四つ、北海道に二つ。人口規模でいいましても、四国は四百二十万、北海道は五百七十万、面積はもう比較にならないわけでございます。こういう問題は、北海道の機運云々以前の問題ではなかろうか、国が都道府県を一律横並びに扱っているところに問題があるのではなかろうかと思っております。  ちなみに、今北海道では、北海道全体の中を六つの圏域、生活圏ということに分けて行政を大まかな区画にしているわけでございます。例えば、さまざまな国の施策に当たって、各都道府県一カ所ということではなくて、各都府県一カ所、プラス北海道については圏域一カ所、そういうような、余りにも広大過ぎる北海道について、四国なり九州なりとのバランスを配慮した上で、国の施策について都道府県一カ所という画一的なものを見直していただけないものか、その御検討をまずいただけないものかと思うのですが、官房長官いかがなものでしょうか。総務庁長官ですか。
  51. 中西績介

    中西国務大臣 今指摘されました、北海道は一つの県並みに扱われておるということでございます。今指摘のございました国立大学等の数等におきましては、確かに低いということもうなずかれるわけでありますけれども、他の面におきまして、精査いたしましたところ、ある程度それは満たされていきつつあるということが私たちの中では確認された分野もあるわけであります。今指摘のありました点につきまして、今後どうするかについては、地方分権問題等とあわせまして、十分検討したいと思います。
  52. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 時間がありませんので、終わります。ありがとうございました。
  53. 大木正吾

    大木委員長 次に、松本善明君。
  54. 松本善明

    ○松本(善)委員 初めに、総務庁長官に行革と天下りの問題について御質問したいと思います。  第二臨調が発足しましてから十五年たちますが、この間、一番不熱心だったのが政財官の癒着を防止するという行政改革ではないかと思います。それは、現状を見ても明白であります。最近の事例でも、公共工事入札のゼネコンの談合、証券スキャンダル事件、薬害エイズ、住専など、皆天下り官僚が絡んでおります。現在の天下り規制制度について、人事院の元事務総長までが骨抜きになっていると批判をしておる現状です。  行政と企業、また行政と業界の癒着を防止するという問題は、行政改革のいわばかなめ、要所ともいうべき性格を持っている。法律改正とか新法とか、いろいろ方法はあると思いますけれども行政改革のテーブルの上に、具体的に天下り問題を検討の俎上に上せる、これが今非常に重要ではないかと思いますが、総務庁長官の御見解を伺いたいと思います。
  55. 中西績介

    中西国務大臣 天下り問題につきましては、御存じのように、離職後二年間、人事院の承認を得た場合を除きまして、密接な関係営利企業への就職につきましてはできないということになっておりますけれども、今出てきておるいろいろな現象面からいたしますと、一定の年限を過ぎ、そしてそれによって退職金をもらい、他の企業へ、こうした形のものがやはり現存していることは事実であります。  したがって、そういう中で、国民との信頼関係から申し上げますと、今いろいろ問題を醸し出しておるということもございまして、こうした点については、総務庁としては、あくまでも職業選択の自由、基本的な人権の尊重という問題と、そして今指摘のございました問題とあわせ考えまして、これをどう調和させるかということを考えていかなくてはならぬと考えています。  特に、人事院においてそうした措置についての厳正な措置が果たしてなされておるかどうかということが、まず我々十分注意をしなくてはならぬと思うと同時に、あくまでも私たちが今まで進めてきた内容がどうなっておるかということをもう一度精査するなりいたしまして、これらの問題については、基本的人権問題と言われるけれども、こうした問題がどう具体化しておるかということをさらにあわせ考えまして検討していかなければならぬだろう。特に、こうした問題が国会におきましても論議された段階において、自粛等も相当出てき始めておるということも聞いておりますし、こうした問題を制度的にどうするかという問題等につきましては、もう少し時間をかしてほしいと思います。
  56. 松本善明

    ○松本(善)委員 職業選択の自由という名のもとに天下りが行われるということの問題は、かつて私もここで指摘をしたことがありますが、厳しい態度で対処をされることを要望いたしまして、官房長官に、日米安保共同宣言の問題について伺いたいと思います。  官房長官、つかぬことですが、「アジア太平洋地域」という言葉がこの日米安保共同宣言に何回出てくるか御存じでしょうか。
  57. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 数はわかりません。
  58. 松本善明

    ○松本(善)委員 必ずしも官房長官が知っていなければならぬものではありませんけれども、十一回出てまいります。「アジア太平洋という地域」ということも含めますと、十二回です。これは、この日米共同宣言のいわばキーワードなんですね。そういう意味で、最初にお聞きをいたしました。  この共同宣言は、日米安保体制を二十一世紀に向けたアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であると位置づけ、この地域の平和と安定に対して米国のプレゼンスが不可欠であることを繰り返し強調をしております。現行安保条約第六条はアメリカの作戦範囲は極東であることを明記しており、今回の宣言のアジア太平洋地域とこれは一致するものではなく、極東地域と置きかえることもできないというのが、十七日の参議院予算委員会での池田外務大臣の御答弁でございます。  このアジア太平洋地域というのは、言葉どおりで言いますと非常に広い、アジア全体、太平洋全体ということになります。官房長官に伺いたいのですが、ここには中国、朝鮮は入るのでしょうか。
  59. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 日米安保条約に言う極東という条項は、恐らくフィリピン以北、そして韓国を含むと私どもは今まで理解をいたしております。そして、今日的な共同宣言にいたしましても、根幹の条約、法律に基礎を置くことになれば、日米安保条約は極東に限るということが今まで明示をされているわけでありますから、このことは、条約上の安全保障というのは極東に限定をされると理 解をいたしております。  しかし、今日的な役割を考えますと、いわばこの日米安保条約の効果、効力としての範囲、これを考えますと、私は、極東というものから若干広がりを見せて、それは截然としてどの地域であるのかということは言えませんけれども、ASEANを含む大洋州、その周辺までが、ある意味でこの効果、効力としての範囲、範疇に入るのではないのかと私なりに今理解をしながら勉強をいたしているところであります。
  60. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはなかなか重大なことでありまして、安保条約の適用範囲といいますか、これが、今官房長官が言われたような範囲まで広がっていくということになります。  中近東は入るでしょうか。
  61. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まさに日米安保条約の範囲内に截然と入るかどうかわかりませんが、俗称で言うグレーゾーンというべき立場なのかどうかわかりません。
  62. 松本善明

    ○松本(善)委員 この問題は、日米安保条約の事実上の改定というふうに言われるぐらい重大な部分であります。官房長官がそのような答弁をされるということ自体が、私は、果たして内閣として、この問題の重大性を本当に内閣全体で討議をしてこの共同宣言が発表されたのだろうかという心配をいたします。  今まで、湾岸戦争のときには、実際には極東の外へ在日米軍が出動する場合は出動ではなくて移動だ、そこで命令を受けたんだ、こういうような言い方で、私ども極めてごまかしたということで厳しく批判をいたしましたけれども、極東でないアジア太平洋地域に米軍が行くことは移動なんでしょうか、出動なんでしょうか。
  63. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私のいわば専管というより、これは外務省や防衛庁がお答えになることが当然かもしれませんが、私が冒頭申し上げましたことは、安保条約の定義で言う極東、それから在日米軍というか極東米軍というか、その駐留をすることによる抑止効果、そういうものの効力、効果の及ぶ範囲を私はあえてアジア太平洋地域と申し上げたので、これが日米安保条約にイコールで結ばれる地域ではないことをあらかじめ御認識をいただいてから、これからの議論を進めてまいりたいと思います。
  64. 松本善明

    ○松本(善)委員 極東の範囲ということについての解釈が変わらないんだということは、池田外務大臣も答弁をされました。しかし、この日米共同宣言で先ほど申しましたように十一回もアジア太平洋地域と、これがこの安保条約の適用範囲として考えられていることは明白です。そういう点ではもう重大な変更で、大改悪だ、私たちが言っているのはそういうことです。  後藤田正晴氏が、三月二十二日だったと思いますが、自民党総務会で拡大反対だという意見を述べられたと聞いています。ある閣僚経験者が、これはアジアで孤立をし、日本が破滅につながりかねない歴史的な重大事件だというふうに言われたというふうにも聞いております。これは、この地域に共同作戦が展開をされていくということになりますと、日章旗ならぬ星条旗の後について日本がアジアに軍事進出をするという極めて重大な問題だということを指摘をして、もう一つお聞きしたい。  共同宣言は、両国間の緊密な防衛協力を日米同盟関係の中心的要素と規定した上で、その内容として、日本周辺地域において発生し得る事態に対して日米共同で対処する方策の研究と政策調整を行うということを確認をしております。これまで、安保条約の第五条で規定されているように、米軍と自衛隊の日米共同作戦ができるのは日本が武力攻撃を受けたときに限られておりましたが、この内容では日本周辺地域での有事に日米共同作戦を研究するということになるのではないでしょうか。
  65. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 前段の松本委員の御意見でございますが、今、確かに米ソ冷戦構造の崩壊後、我々の自由経済あるいは民主的な政体あるいは平和、繁栄というものを共有して今日に参ったわけでありますが、今日的なアジアに対する日本の役割、特に経済その他の面での私は関与が極めて強い分野だと考えております。  しかし、この東アジアにおいて紛争やその他の危険性が全く去ったわけではございません。そういうことを考えますと、私たちが−本来日米安保条約の規定をする日本のいわば防衛のあり方、これは今委員指摘のとおりであります。しかし、極東米軍がいわば抑止力として力を伸べるべき分野、それはASEANにしろその他の国々が大きくアメリカの軍事力に信頼を置き、その傘のもとにありたいという願望が強い以上、それを我々が否定をすることはできない。  なおかつ、日本という国力が強くなって、特に平和にどう貢献をしていくか。この広範な、自由とか民主政治とかあるいはその繁栄、平和、その枠組みを維持するためにどうするかということは、当然考えなければならないことであります。これと軍事上の行動は別な問題であります。  ですから、私たちは、我が国に本来戦争のあれがあれば日本本来が守らなければならない。そして、我々の近辺に起きることが我々に関係がないかどうか。それは、頭で体操をするのではなくて、現実の問題として我が国家国民が安全であるかどうか、それを不安全であるとするならば、それを防止するために何をしなければならないか、そして何ができるか何ができないかということを研究するのがこれからのガイドラインでございまして、それは憲法上の制約、当然これはあるわけでございますし、その精神にのっとってやるということは、昨日来、総理がたびたび答弁をいたしているとおりでございます。  いわゆる日米安保条約の発動というのは、極東に、いや日本に限定をされ、日本の周辺で何が起きるか、そのときに我々国民を守るために何と何が必要かということの勉強はしておかなければなりませんし、それで何ができるか何ができないかということをもう一回検討するのが私たちの今日的な役割だというふうに理解をいたしております。
  66. 松本善明

    ○松本(善)委員 共同対処の方策の研究ということだから問題なんですよ。これは共同作戦なんですよ。きょうの新聞では、研究を計画に格上げをするという報道もあります。  自衛隊が、米軍の武力行使と一体の行動をする場合に、これは集団自衛権を禁止する憲法に反するという、これが政府基本的な憲法解釈です。憲法解釈は変えないというふうに言いながら、今官房長官が言われたように、日本が攻撃をされた場合以外の地域における共同対処を研究する、あるいはそれを計画するということになりますと、言葉は集団自衛権は認めない、その禁止は守っていくというふうに言っているけれども、実際上はそれを侵犯をする重大な事態ではありませんか。
  67. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私の言葉が足りない点があるかもしれませんが、一体的行動と私は申し上げたことはございません。米軍が何をするかという問題と、日本の自衛隊ないしは日本の国民が何をするかという問題は別個な問題でありまして、そういう場合に何ができるか、何をしなければならないかという国民的な視点に立って私たちはその研究をする、そのことでございますので、御理解を願いたいと思います。
  68. 松本善明

    ○松本(善)委員 官房長官、私が一体的と言いましたのは、政府の憲法解釈についての答弁を総括的に申し上げたわけであります。今までは後方支援との関係で言われておりました。しかし、ここで言われておりますのは、共同対処の方策、日本周辺地域において発生し得る事態に対する共同対処の方策の研究ですよ。だから、これはもう共同作戦ですよ。だから問題にしておるのであります。答弁してもらっても結構ですけれども、この日本周辺地域には中国、朝鮮は入りますか。
  69. 折田正樹

    ○折田政府委員 今委員、共同対処、共同作戦云々というようなことを申されましたけれども総理とクリントン大統領が署名された文書をそのまま読ませていただきますと、「両首脳は、日本周辺地域において発生しうる事態で日本の平和と 安全に重要な影響を与える場合における日米間の協力に関する研究をはじめ、日米間の政策調整を促進する必要性につき意見が一致した。」となっているわけでございまして、共同作戦だとか共同対処だとかということがそこに入っているわけではございません。  いずれに、たしましても、今官房長官が申されましたとおり、我が国の周辺地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、我が国として、みずからの平和と安全にかかわる問題として、憲法及び関係法令に従って事態に応じ適切な対応をとることは当然のことでございます。それで、今官房長官が申されたように、何ができるか、何ができないかということをこれから詰めていこう、そういう話でございます。
  70. 松本善明

    ○松本(善)委員 言葉どおりに読んでも、これはやはり共同対処ですよ。一九七八年のいわゆるガイドライン、「日米防衛協力のための指針」で、これは、武力攻撃がなされるおそれがあるときにまで共同対処を拡大した。しかし、それが、おそれがやがて現実のものとなる場合に備えることが名目だったのですよ。昨年末、共同宣言に先取り的に、防衛計画大綱で、自衛隊に新たに周辺諸国の紛争への共同対処の任務を加えました。こういう経過からしますと、これはやはり共同対処なのですよ。  私は、官房長官に伺いたい。きょう報道されております、研究を計画に格上げするという報道がありますが、事実ですか。それから、朝鮮、中国が入るかも一緒に。
  71. 折田正樹

    ○折田政府委員 研究を計画に格上げしたとかなんとかということで政府の間で何らかの決定が行われたという事実はございません。
  72. 松本善明

    ○松本(善)委員 朝鮮、中国が周辺地域に入るかどうか、官房長官——どなたがお答えになりますか。
  73. 折田正樹

    ○折田政府委員 ここで言っておりますのは、「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、」云々でございますので、具体的な事態が発生したときに判断する問題で、特定の国、どこが入る、どこが入らないという趣旨のものではございません。
  74. 松本善明

    ○松本(善)委員 以上、この共同宣言の安保条約とのかかわりでの問題を簡単に質問いたしましたけれども、安保条約の範囲をアジア太平洋地域に拡大するという点でも、日米共同作戦を日本が攻撃されたとき以外に拡大しようとする点でも、重大な安保条約の改悪だと私ども考えております。大新聞の社説も、安保の実質改定だということを指摘をしております。先ほど官房長官も言われましたが、ソ連が崩壊をして日米安保条約の存在の口実がなくなったにもかかわらず、五十年続いた安保、基地体制を大改悪をして、二十一世紀にわたって固定化をすることは、断じて許されません。  今、安保、基地問題での国民世論は、大きく変わっております。  三月に発表されました日本世論調査会の「日米関係についての世論調査」では、安保存続論は三七・七%の少数派です。これに対して、解消・廃棄論は五四・四%の多数派になっております。在日米軍の規模でも、現状が適切とするのはわずか一〇・九%、規模縮小や完全撤退が合わせて八四・三%の圧倒的多数となっております。政府の安保政策を支持する声は少数派になっております。  安保条約の理由づけ自体の根拠が失われているもとでは、条約の継続か廃棄が本来国民的な討論に付すべき重大問題であります。それにもかかわらず、このような大改悪を国会での議論もなく行うというのは、国民主権の原則に反するもの、極めて重大な暴挙であると私ども考えております。  官房長官に伺いたいのは、こういう大問題、ここでちょっと議論をしただけでも重大な問題点が幾つも出てきました。それを、やはり国民主権の原則に基づいて、国会の論議を経てやらなければならないそういう問題を、共同宣言でやって事実上の改悪をしていくというのは、国民主権の原則に対する重大な侵犯ではないでしょうか。官房長官の御意見伺いたいと思います。
  75. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 まず、冒頭、松本委員の御指摘の、日米安保条約の存在意義というのはソ連が崩壊をしたことによってなくなった、こう言われますが、ソ連をただ一国の敵と認めて日米安全保障条約ができたわけではないということは、まずもってお認めを願いたいと思います。  それから、今度の共同宣言、これはまさに、いわば現実、現状に即応するための共同宣言、そのような理解をいただきたいと思います。
  76. 大木正吾

    大木委員長 議論もありましょうが、時間でございますし、また安保委員会あるいは外務委員会、予算委員会等での議論がありましょうから、なるべくこの辺で。
  77. 松本善明

    ○松本(善)委員 はい。  これで終わりますが、今官房長官の言われたことについて、ソ連の崩壊で安保条約の存続根拠がなくなったというのは広く指摘をされていることだということを申し上げて、質問を終わります。
  78. 大木正吾

    大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会