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1996-05-30 第136回国会 衆議院 地方分権に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十日(木曜日)     午後三時開議 出席委員   委員長 月原 茂皓君    理事 野田 聖子君 理事 蓮実  進君    理事 山本 公一君 理事 岩浅 嘉仁君    理事 谷口 隆義君 理事 永井 英慈君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       遠藤 利明君    小此木八郎君       佐田玄一郎君    中馬 弘毅君       西田  司君    浜田 靖一君       林  幹雄君    若林 正俊君       今井  宏君    佐藤 茂樹君       富田 茂之君    山口 鶴男君       穀田 恵二君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         自治省行政局長 松本 英昭君  委員外出席者         厚生大臣官房政         策課長     江利川 毅君         厚生省健康政策         局計画課長   西本  至君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     石原 一郎君         建設大臣官房文         書課長     藤田  真君         地方分権に関す         る特別委員会調         査室長     黒沢  宥君     ――――――――――――― 四月十二日  地方分権実現等に関する陳情書外十五件  (第二二五号) 同月二十六日  地方分権実現に関する陳情書外三件  (第二六〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方分権推進に関する件      ――――◇―――――
  2. 月原茂皓

    月原委員長 これより会議を開きます。  地方分権推進に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
  3. 畠山健治郎

    畠山委員 私は、与党を代表いたしまして、三月二十九日に地方分権推進委員会の行った中間報告中心に、厚生建設農水並び総務庁、各省庁にお尋ねを申し上げたいと思います。  かなり大部な中間報告が出されたことで、今後の地方分権像がある程度明らかになってきたと考えておりますが、それだけに、権限移譲についてはさまざまな抵抗も生じているやに承っております。しかし、いかなる異論、反論も国民の見えるところでオープンに行われるべきでありまして、いささかも地方分権推進委員の主体性を損なうようなことがあってはならないと考えます。質問に入る前に、所管大臣である総務庁長官におかれましては、地方分権推進委員が自主的かつ主体的審議ができるように常々御努力をいただいておりますけれども、今後とも環境整備に努めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  ただいま申し上げました立場から、中間報告に対する厚生建設農水各省基本的姿勢についてまず御質問を申し上げたいと思います。  地方分権推進委員会が行った一日地方分権委員会で、特定省庁の影響を受けたかのような発言があったと報ぜられております。省庁の名誉にとってもそのようなことはないと私は信じておりますが、いずれにしても、オープン議論を保障するためには、まずもって中間報告を正しく理解し、その上で反論すべきものは反論し、批判すべきは批判をする態度がすべての省庁に持たれるべきものと考えます。  そのためにも、この際、地方分権に深くかかわる三省においては、それぞれが所管する事業に従事する職員あるいはサービス受益者に対し、中間報告内容をまず啓蒙していただきたいと存じます。ぜひこのことを三省お願いしたいと存じますが、いかがでしょうか。
  4. 江利川毅

    江利説明員 地方分権推進委員会中間報告が三月末に出されまして、その後もまた分権委員会からヒアリングを受けております。私ども、それをよく吟味して読ませていただきまして、いろいろと問題点等思うところを述べよと言われておりますので、意見の交換をしておるところでございます。  ただ、新聞等にも報道されておりますし、関係する団体関係部分には関心がありますので、そういうところにはきちんと周知をしていきたいというふうに思っております。
  5. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  農林水産行政関係中間報告につきましては、先ほどお話のございましたように、今後調査審議踏み台ということで、関係方面との意見調整を行うものということにされております。したがいまして、農林水産省といたしましては、食糧供給の確保といった課題、それから、農林水産行政というのは当然のことながら気候、自然条件地域の実情に応じた産業ということでございます。そういう両面がございますので、そういうことで省としてはぜひオープン議論をしていきたいと思っております。  また、もともとそういう行政でございますので、地方分権についての職員等認識も、これまでの論議等を通じてかなり高まってきておるというふうに認識しております。  以上でございます。
  6. 藤田真

    藤田説明員 御説明いたします。  建設行政につきましては、特に国土建設管理という観点から考えますと、国と地方公共団体がそれぞれ役割分担をしながら協力をして事務をしておる、こういう実態にございます。  そういう意味におきまして、地方お願いできるものはどしどしお願いをしたい、こういうふうに考えておりまして、現在、中間報告が出ましてそれについての議論が行われておりますけれども、それと並行いたしまして、例えば今国会におきましては公営住宅法改正お願いいたしましたけれども、これは地方公共団体の要望を踏まえまして、地方公共団体が自主的に入居基準を設定できる、こういう内容になっております。  また、例えば住宅宅地審議会にも地方分権あるいは規制緩和時代に対応できるような建築行政あり方というのを諮問しておりますし、また、平成八年度の予算におきましても補助金整理合理化などについても取り組んでおるところでござ いまして、こういう地方分権議論と並行しまして、建設省としてはそれぞれの職員の意識を高めながら分権について取り組んでまいりたい、こんなふうに思っております。
  7. 畠山健治郎

    畠山委員 そこで、総務庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、この「分権型社会創造」と題する中間報告について、長官はどのように評価なさっていらっしゃいましょうか、お伺いいたしたいと思います。
  8. 中西績介

    中西国務大臣 昨年七月から、委員会におかれましては発足以来精力的に審議を続けていただきました。その結果、委員専門委員、大変な御尽力をいただいて、私たち期待するものを発表していただきました。  中間報告におきましては、委員会の現時点における基本姿勢検討方針を明らかにして、広く各界各層人々論議を起こし、その理解賛同を求める趣旨のものであって、委員会最終結論を提示したものではないといたしております。  なお、関係方面とも意見調整が必要であるということをうたい込んでありますので、委員会におかれまして、今後とも関係各界皆さん意見を十分お聞きいたしまして、さらに国民皆さんの御意見をまとめていただけるものと確信をいたしております。したがって、実効性のある具体的な内容のものを指針勧告として出していただくようにお願いをしたいと思っています。  政府といたしましては、委員会勧告を待ちまして、これから速やかに地方分権推進計画策定に取りかかる方針でありまして、私としても積極的に取り組んでまいりたい、こう考えます。
  9. 畠山健治郎

    畠山委員 この中間報告総論部分で最も重要なのは、国、地方公共団体間の調整ルール一般法で定めるとする部分ではないだろうかと思っております。これに関して、我が党も数年来、国・地方関係調整法のような法定を提起してまいりましたし、地方団体においても裁判的調整提言しております。官民の行政手続法官官版とも言えるような法の制定必要性について、総務庁長官はどのようにお考えでしょうか、承りたいと存じます。
  10. 中西績介

    中西国務大臣 御指摘のように、地方分権推進委員会が国、地方関係調整ルール一般法制定提言されたことにつきましては、中間報告とはいえ重く受けとめております。  この中間報告につきましては、個別法における国と地方との関係調整方式を、一般法に定められた関係調整方式の種類の中から選ぶことを原則とするとうたってあります。一般法に定める国の関与の態様といたしまして、報告徴収・届け出、技術的な助言あるいは事前協議等、七つにわたって報告されております。  委員会といたしましては、「この中間報告を今後の調査審議踏み台にして、引き続き関係各界との意見調整に努め、具体的な指針勧告に向けて精力的かつ慎重に調査審議を続けていく所存」と述べられております。したがって、国と地方との関係調整ルールについても今後さらに論議を深めていくであろう、こう思っております。私といたしましても、国の関与あり方等については大変関心を持っているところでありますので、委員会審議の動向を今後見守っていきたいと思って  います。  さらに、委員会関係方面等意見を十分お聞きいただきまして、論議を尽くして実効性のある具体的な指針勧告をなされることを強く期待をし、これからこれをお待ちいたしまして、これを受けた中でどうするかについても、十分体制を整え、そして論議を深めていきたい、こう考えております。
  11. 畠山健治郎

    畠山委員 次に、中間報告各論部分では、主として土地利用福祉中心改革方向ないしは検討すべき課題が提起されております。  そこで、厚生建設農水各省にお伺いをいたします。三省はどのようにこれを受けとめ、今後推進委員会ヒアリングに対してどのような意見表明を行おうとしているのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。
  12. 江利川毅

    江利説明員 厚生省分野でございますが、厚生省分野は、基本的には私ども住民に身近なサービス住民に身近な市町村において提供されるべきだというようなことで、何度か法改正をやってきておるところでございますし、そういう姿勢は今後もとり続けていきたいというふうに思っているところでございます。  中間報告につきましては、大変新しい視点に立って幅広く精力的にまとめられたというふうに認識しておりますが、この中間報告は、先ほど総務庁長官の御答弁にもございましたが、今後関係者との意見調整を行っていくための踏み台、十二月の勧告に向けて議論していく踏み台であるという位置づけでございます。この中間報告につきまして、先般も私ども意見聴取を受けましたが、新しい視点に立っているだけに必ずしも明確でない点もあるわけでございまして、そういう点などについて意見を交換して、今後も分権推進委員会に積極的に審議協力をするといいましょうか参加させていただきまして、十分議論を尽くして対応してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  13. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  農林水産関係の今回の中間報告では、土地利用関係保安林、農振、農地転用という関係、また地域づくりということでの集落排水事業等につきましての報告がなされております。  農林水産関係事務につきましては、非常に多種多様でございます。そういう意味で、国と地方関係もその事務性格によりいろいろさまざまでございます。今回出されました中間報告方向なり課題につきましては、個々の事務性格に即しまして、十分検討していきたいというふうに考えております。その際、食糧安定供給なり国土環境保全といったようなことも含めて十分念頭に置いて、農林水産行政方向に誤りのないよう対応していきたい、かように考えております。  以上でございます。
  14. 藤田真

    藤田説明員 御説明いたします。  地方分権推進委員会中間報告におきまして、土地利用も含めましてさまざまな提言がなされております。地方分権推進委員会とされては、今回の中間報告をたたき台にして幅広く意見を聞いていかれる、こういうふうに予定をされておると承知しております。  その中におきまして、特に機関委任事務について廃止の方向を打ち出しておられまして、原則として自治事務に移行するという議論もなされておるところでありますけれども、例えば国土建設管理分野におきます全国的なネットワークを形成する国道でありますとか、あるいは広域的な調整が必要な川の管理でありますとか、こういうようなこれまで国と地方協力、共同して事務を執行してきたものについて、この提言の中でどのような取り扱いが具体に実態になされるのかということについて必ずしも明らかになっていないという部分もございますので、今後十分な議論をしていただきたい、こんなふうに考えております。それに対しまして、私ども建設行政実態委員会にも十分に御説明してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  15. 畠山健治郎

    畠山委員 きょうは比較的とげとげしい言葉はないわけでありますけれども三省見解を私なりに整理をしてみますと、このような改革がなされればこういう問題が生ずる、だから問題だというように感じ取られてならないと思っております。確かにそうした問題、指摘も必要であるかもしれません。しかし、社会経済グローバル化のもとで今後中央政府はいかなる役割を担うのか、それが地方分権の背景なり意味合いではないかと存じます。言ってみれば、新たな中央政府役割に対応する各省庁の新たな存立基盤政策開発が求められているのではないかと思うのです。  一体各省は今後の存立基盤政策課題を何に求めようとしているのか、またそうした展望は中間報告内容と相違するのか一致するのか、改めて見解をお伺いしたいと思います。
  16. 江利川毅

    江利説明員 大変大所高所の御質問お答え が難しいのでございますが、厚生省の所管しております社会保障分野につきましては、最近の経済の低迷であるとか、あるいはそういう中で高齢化がどんどん進んでいく。しかしまた、せっかく整備されてきた国民福祉水準、これは下げることなくそういうものを実現していかなくてはいかぬ。そういう意味で、社会保障制度全般の、福祉であるとか医療であるとか年金であるとか含めまして、さまざまな改革を今までもやってきましたし、これからも求められているところでございます。国際的な問題もございますし、また国内的な問題でもなおなお課題があるわけでございます。  そういうようなことでございまして、そしてこういう事務を的確に実施していくに当たりまして、その事務性格、多種多様な事務内容に応じて、国と地方国民福祉の向上を図る観点から分担していくことが適当ではないかというふうに思っているところでございます。
  17. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  農林水産省は、農林水産行政につきましては、農業という地域性のある産業を対象にしまして、その振興を図りますとともに、安全で品質のすぐれた食糧安定供給、また国土保全環境保全ということで国民全体の利益を図るということを目的としております。このことにつきましては、多分変わりはないのだろうと思っております。  ただ、もともと農林水産行政というのは、非常に地域性のある産業、かつ全体的な国民食糧安定供給という両面ございます。そういう意味で、今も国と地方との適切な役割分担なり協力関係のもとで進めてまいったところでございます。今後とも、国と地方協力関係のもとに一体となって進めていく必要がある行政と思っております。そういう意味では、地方分権なりが、もともと国と地方の適切な役割分担なり、一体となってどう進めていくかというところにあろうかと思います。そういう意味での方向性なりなんなりというのは、いささかも矛盾するわけではないというふうに考えております。  以上でございます。
  18. 藤田真

    藤田説明員 お答えいたします。  建設省関係国土建設管理でございますけれども、例えば、先ほどもちょっと例に挙げて述べさせていただきましたが、全体として一つの全国ネットワークを形成しておるような国道管理でありますとか、国民生命財産を守る、そして整備水準全国的な統一が必要な河川の管理、あるいは全国を通じて統一的な、基本的なルールを定めることの必要な都市計画制度でありますとか、また収用制度を所管しておりますが、憲法上基本的な人権として保障されておる私有財産権を収用するために全国的な統一性公平性が不可欠な収用制度でありますとか、こういうような国土の根幹をなす住宅社会資本整備について、最終的に国が責任を持ってなさなければならない分野があるのではないかというふうに考えております。全体としては、地方分権推進法四条に国と地方役割分担が明記されておりますけれども、そこに述べられておりますような、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動などに関する基本的準則に関する事務とともに、全国的規模視点に立って行わなければならない施策、事業実施その他本来国が果たすべき重要な役割を担う、こういうふうにされておりますが、私どもも、この地方分権推進法四条に基づいて分権が進められる、その中で国が果たすべき役割を果たすということが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  19. 畠山健治郎

    畠山委員 地方分権について、個別省庁の権限問題ではなく、巨視的視点からの接近を強く要請しておきたいというふうに思っております。  そこで、改めて総務庁長官にお伺いをしたいと思いますが、推進委員会は遅くとも本年末には第一次勧告を行うと明言しております。地方分権推進法制定時にも、五年の前半には勧告、後半には政府計画により実施とされております。そうした経緯からしても、本年末の勧告は、一次勧告であれ何であれ、当面必要不可欠なものと考えますが、地方分権推進委員会の明言に基づく今後のタイムテーブルについて、見解を承りたいと存じます。
  20. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進に関しましては、内閣の重要課題として位置づけておりますし、各閣僚並びに各省庁におきましては、十分このことの御認識をいただいて取り組みいたしておると考えます。したがって、この地方分権推進に当たりましては、各省庁並びに閣僚皆さんが前向きで対応していただきますとともに、これから以降地方分権推進委員会が円滑に審議いただき、そして一定方向性を持たれるように御協力いただけるものと確信をいたしておるところです。  特に、今指摘のございましたように、日程的にも、これから後、年内に地方分権推進計画作成のための具体的な指針勧告が行われるわけでありますから、これを受けまして、委員会勧告内容を十分精査いたしまして、速やかに実効性のある計画を作成していかなくてはならぬだろう、こう考えております。したがって、それぞれ各省庁の御協力をいただきながら、当庁といたしましても努力をし続けていきたい、こう考えております。
  21. 畠山健治郎

    畠山委員 時間ですから終わりますが、最後に、くどいようですが、地方分権推進法がスタートして、今動いているわけでありますから、全省庁こぞってやはり中身協力していただくように重ねてあえて申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  22. 月原茂皓

  23. 永井英慈

    永井(英)委員 新進党永井英慈でございます。新進党を代表して質問をさせていただきたいと思います。  私は、最近特に強く感じておるのですけれども、世界も我が国も、ちょっとオーバーかもしれませんが、今まで人類が経験したことのないほどの激動、激変の文字どおり歴史的な時代の転換期の真っただ中にあるということでございまして、その中にあってもとりわけ、先進工業国、そして経済大国日本は、文字どおり生き残りをかけた対応が迫られているように思われてなりません。  そこで、今、戦後の高度成長を支えてきた政治、行政経済社会などあらゆる面で行き詰まりを見せておる、こう認識しておりまして、この激動に耐えて、新しい時代というか社会というか、あるいは文明社会というかを構築するためには、日本自身が抜本的な改革によって再構築をしなければならない、そのように考えております。  申し上げるまでもなく、特に我が国経済は、高齢化とともに、私の認識では中長期的にはデフレ経済の傾向を非常に強めてきておると思います。それと同時に、今でもそうですけれども、国、地方を問わず財政は危機的な状況にありますが、さらにそれが深まっていくように思われてならないわけでございます。そして、今地方分権あるいは規制緩和行政財政の抜本的な改革が待ったなしに求められておる、このような時代認識をしておるわけです。  そこで、先ほどお話がございましたが、重複するかもしれませんけれども、三月二十九日に出されました地方分権推進委員会中間報告、この報告は私はすごい報告だと思っております。とりわけ、いかに我が国中央集権体制が不合理なものであるか、また我が国統治構造というか地方支配体制がいかに強固なものであるかということ、これを見事に立証、証明したように思われるわけでございまして、そういう面から私は高く評価をしておるところです。とりわけ、すごい作業をやってこられまして、関係者皆さんには心から敬意と謝意を申し上げたい、このように思っているわけでございます。  私たち新進党は、現段階では、この中間報告、よくここまでやられたという評価を持っておるところでございます。私としては、まだ踏み込みが足りないのかなという感じを持っているのですけれども、そういうことでございまして、一昨年十二月、地方分権推進に関する大綱方針閣議決 定をされ、本年三月二十九日に地方分権推進委員会により「分権型社会創造」という副題で中間報告が出されたわけでございます。  まず総務庁長官にお伺いしたいのですが、この中間報告に対する評価先ほどもありましたけれども、改めてお伺いをしたいと思います。続いて、三省庁担当者からも同じように評価あるいは感想をお述べいただきたいと思います。
  24. 中西績介

    中西国務大臣 委員会は、昨年七月発足以来、大変な御努力をいただきました。今も委員のお言葉の中にございましたけれども、本当に精力的な審議を続けられたと私たちも感服いたしておるところです。こうした中におきまして、一定方向性を出していただきまして、この労苦に対しまして、私も同様に敬意を表しておるところです。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今度の中身というのは、あくまでも基本姿勢検討方針を明らかにしておりまして、これから後、広く各界のあるいは各層人々論議を起こしていただきまして、十分な理解賛同を求めるための論議をこれから続けていくことになります。さらにまた、そうした意味におきまして、最終的な結論的なものではございませんので、これから後、さらに関係方面との意見調整等が行われると思いますけれども、こうした内容についてさらに深めていただけるものと確信をいたしています。  この委員会におきましても、さらに審議を深められまして、実効性のある具体的な指針勧告していただくようにお願いを申し上げておるところで、政府といたしましても、勧告を待って、これから具体的にこうした問題について地方分権推進計画策定に取りかかるつもりでありますけれども、いずれにいたしましても、このようにして、委員指摘のように、明治以来における行政あり方そのものを大きく転換を求めるという内容になっておりますだけに、多くの国民皆さんの御期待なりあるいは御意見を集中していただければ、こう思っておるところです。
  25. 江利川毅

    江利説明員 先ほども申し上げたことと同じような話になりますが、厚生省としましては、基本的に地方分権に幾度かの法改正をしながら取り組んできたところでございます。今回の中間報告は、新しい視点に立って幅広く精力的に取りまとめられたというふうに思っております。  この中間報告は、総務庁長官の御答弁にもございましたとおり、最終結論というのではなくて、今後関係者意見調整を行っていくための踏み台という位置づけで出されたものでございまして、これからいろいろな意見調整が行われるものであるわけでございます。  私どもとしましては、この中間報告につきまして、先般も地方分権推進委員会に呼ばれまして意見交換をしたわけでございますが、今後とも、その審議協力し、意見交換をしながら十分議論を尽くして対応を考えていきたいというふうに思っている次第でございます。
  26. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  農林水産行政につきましては、先ほども申しましたが、食糧安定供給という国家の課題なりという一方で、当然のことながら、農業という産業の特性で、地域の自主性を生かした農林水産業の振興を図っていくという両面の性格を有しております。したがいまして、国と地方の適切な役割分担協力関係のもとで推進していくことが基本的に重要であろうかと思っております。  そういう事務の中にありまして、農林水産行政事務というのは多岐にわたっておりまして、事務性格に応じまして種々のものがございます。したがいまして、先ほど申しました中間報告につきましては、先ほどの両面の性格なり事務性格に応じて今後検討してまいりたいと思っておりますし、また論議をしていただくことが必要であろうか、かように考えております。  以上でございます。
  27. 藤田真

    藤田説明員 御説明をいたします。  地方分権推進委員会中間報告でいろいろな大胆な提言をなされておりますけれども、前書きにもありますように、基本姿勢を示しながら今後の検討方向を書いたというふうに述べておられるところでございまして、そういう意味で、今後この中間報告をたたき台にしながら、幅広くいろいろな実態についての意見を聞いていただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。  私ども国土建設行政について見た場合に、これまで国と地方がそれぞれ協力、共同して事務を執行してきた、こういう実態がございます。河川行政、道路行政あるいは都市計画制度などにつきまして、それぞれ個別の実態があるところでございまして、そういう意味におきまして、それぞれについて十分これからも御説明をさせていただきながら意見交換をさせていただきたい、こんなふうに思っておるところでございます。
  28. 永井英慈

    永井(英)委員 今進められている地方分権というのは、明治維新、戦後の改革、それに次ぐ改革と言われておりますけれども、私は、冒頭申し上げましたように、それを上回る重要性があろうかと思っております。  この大事業推進するのに一番大事なポイントは、役所の職員の意識改革、意識のあり方だと思っております。各省庁、昨年五月以来作業が進められ、国民関心も高まっておるわけですけれども各省の意識改革というような点で議論がされ、いろいろな指示がされているのかどうか、お聞きをしたいと思います。  それから、各省庁地方分権に対する体制厚生農水建設職員の数は、担当部課は、どんなところで積極的に取り組んでいるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 江利川毅

    江利説明員 社会保障の分野は非常に多様でございますが、特に、社会福祉サービスであるとか住民の健康に関するサービスであるとか、そういう住民に身近なサービスにつきましては、従来から住民に身近な地方公共団体である市町村が行っていくのがふさわしいという考え方で、過去においても何度か法改正をしてきたところでございますし、そういう意味で、地方分権に対する姿勢というのは基本的に持っているものというふうに思っているわけでございます。  地方分権推進委員会でずっと議論がされてきております。私ども関係する部局がそこで何度かヒアリングを受けたり、あるいは先生方と個別に意見交換をしたりしてきておりますので、そういう意味で、そういう過程を通じまして、職員地方分権に対する認識というものは十分深まってきているものというふうに思っているわけでございます。  厚生省の場合には、大変幅広い分野がございまして、全体の取りまとめは私どもの政策課でやっております。政策課も大変幅広い業務を抱えておりますので、全員ということではありませんが、担当の係を決めて対応しているところでございます。そのほか、社会福祉関係でありますと社会・援護局、そこにもこの問題に関係する課が数課ございます。それから、保険サービス絡みの話では健康政策局を初めとして若干の局に絡んでいるわけでございますし、老人福祉の問題、児童の問題、そういうような分野でもまた別の局にそれぞれ担当者がいるわけでございます。さらに地方事務官の問題とかそういう問題もありまして、あるいは水道、廃棄物の問題であるとか、ほとんどの局がこういう地方分権にかかわっている。  私ども厚生行政というのは、そういう自治体と今までも協力関係でやってきた仕事であるということもあろうかと思いますが、多くの局が地方分権関係がございまして、そういう局がそれぞれ担当者を決めてそれぞれの課題検討しているということでございます。
  30. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  農林水産行政につきましては、気候なり自然条件が当然地域によって異なっております。そういう意味で、農林水産行政というのはもともとその実施に当たりましては地元の農業事情を十分理解した上で当たるようにというようなことで、職員なりも徹底してきておるところでございます。そういう意味で、国と地方協力関係で進めるとい うことは従来からやってきておりますし、今回の地方分権をめぐる論議の中で職員認識も相当高まってきているというふうに考えております。  それから、お尋ねの検討体制ということでございますけれども、申し上げましたように、農林水産行政は非常に幅広くて、省の中でむしろこれにかかわらないところが少ない、例えば経済局の国際部といったようなところは別にしまして、それ以外のところはむしろ全省かかわっているというふうに考えております。  そういう意味で、機関委任事務なり国の関与なり必置規制なりということにつきましては、省のほぼ大部分ということでございますので、官房を中心にいたしまして、必要に応じまして関係の課長会議をしますとか担当者を集めて会議するとかというふうな形で取り組まさせていただいておるところでございます。  以上でございます。
  31. 藤田真

    藤田説明員 建設省の行っております国土建設管理分野におきましても、それぞれすべて地方公共団体と一緒に仕事をしなければその事業目的が達成できない分野でございます。そういう意味におきまして、この地方分権の問題あるいは地方の問題というのを特定のところで検討するあるいはそこのところだけで実施するということではなくて、それぞれ各局本当に、ある意味で省を挙げてこの分権問題を検討し、また、できるものは実施をしていく、こういうことで臨んでおるところでございます。  例えば、新しい施策を考えますときにも、当然のことながら、それぞれのところで分権ということについてどういうふうに進めるかという視点というものが要求されるわけでございまして、先ほども御紹介いたしましたけれども、今国会で公営住宅法の改正をお願いいたしましたけれども、この公営住宅法の改正の検討に当たりましても、地方公共団体からの要望を十分にお聞きしながら、吟味をいたして、議論をしながら検討する、そういう姿勢でまいったわけでございます。そういう意味で、地方公共団体からもこの改正については非常に高い評価を受けておる、こういうふうに思っております。  また、住宅宅地審議会でありますとか都市計画審議会など、それぞれの局の中心的な審議会におきましても、地方分権という視点を踏まえて、例えば建築行政、都市政策のあり方というようなことを検討しております。また、補助金整理合理化というようなことになりますと、これは本当にそれぞれの各部局に横断的にまたがることでございます。全体的な取りまとめということになりますともちろん官房で行っておりますけれども、そういうふうに省全体にそれぞれのところで検討し  取り組ませていただいている、そういう状況でございます。
  32. 永井英慈

    永井(英)委員 今まで話が出てきましたけれども、この地方分権のポイントというか、目玉としては、機関委任事務の廃止、あるいは地方事務官制度の廃止、あるいは国の関与、必置規制、これを徹底的に見直していく。あるいは、先ほどお話が出ておりましたけれども補助金制度の抜本的な見直しが迫られていると思うのです。実はこういうことを一々お伺いしたいと思っておりましたけれども、もう時間がございませんので、今まで三省庁からお話を伺って、実は今御答弁いただいたことと全く逆のことが起こっていると私は考えておるのです。それは、中央省庁の官僚の強い抵抗がある、地方分権についても、また中間報告についても反発がある、こういうようなことを一伺っております。  とりわけ、具体的に、新聞の報道によりますと、四月十九日の富山一日地方分権委員会で、地元の意見発表者が中央省庁の出身者や出先機関の幹部などから、発言するに当たっては中央省庁よりの発言をするようにプレッシャーをかけられたというか、そういう報道がされておるのですが、今の御説明と随分違うのですね。地方協力してやっていくという御説明と随分違う。  そこで、建設省農水省、厚生省、この三省指摘をされておりますけれども、この事実をどう受けとめておられるか、今後どう対応していくか、その辺のところをひとつ明確にしていただきたい。とりわけ、地方分権推進に当たっては、地方分権を進めるその環境を整えることが一番大事だと思うのです。その逆のことをやっておられるということで、はっきりと御説明をいただきたいと思います。
  33. 西本至

    ○西本説明員 事実関係でございますけれども、まず、富山で部長が発言予定者の一人にお会いしたということは事実でございます。  その趣旨と申しますのは、この富山の公聴会におきましては、発言予定者が福祉分野の方でございまして、厚生部は福祉、保健医療、全部にわたって担当しているものでございますから、たまたま保健医療の分野の発言者が予定されていないということがございましたので、この発言予定者にお会いをいたしまして、保健医療、福祉の全般の事項について御説明申し上げたというのが事実でございます。
  34. 藤田真

    藤田説明員 御説明いたします。  五月十八日に御指摘のような報道がございまして、私ども、事実関係を調べてみました。  四月一日付でこの富山県を管内に持っております北陸地方建設局の局長の異動がございまして、四月中旬にかけて、それぞれの所管の各県、新潟県でありますとか富山県でありますとかに着任のあいさつに回った。そのときに、当然のことでございますけれども富山県知事それから富山市長のところへもごあいさつに参りました。それぞれ二十分間程度というふうに聞いておりますけれども、所管の事業の概要でありますとか、あるいは地域の話題、また全国的に話題になっておるようなことにつきまして話が及んだ、その中でこの地方分権問題についても話が触れられた、こういうふうに伺っておるところであります。  したがいまして、地方建設局長がこの富山県知事でありますとかあるいは富山市長のところにあいさつにお伺いした、こういう事実はございますけれども地方分権のために特別に何か参って働きかけをした、こういうようなことは事実でない、こういうふうに言っております。
  35. 石原一郎

    石原説明員 御説明申し上げます。  四月十九日の一日地方分権委員会に先立ちまして、当省の北陸農政局の職員が訪問し、説明を行ったことは事実でございます。  ただ、農政の考え方ですとか、農業を取り巻く状況については皆さんによく理解していただくようにということは、省としても努めておりますし、常々そのように言っております。そういう中での一環と考えております。  各界各層の人に農業の事情なり農政の役割理解していただくことは重要なことと思っております。しかしながら、それが先ほどおっしゃられたようなプレッシャーというようなことがあってはならないというふうに考えております。今後ともそのようなことのないよう注意してまいりたい、かように考えております。
  36. 永井英慈

    永井(英)委員 そういう認識地方分権にブレーキをかける原因だというふうに私は考えているのです。  そこで、総務庁と自治省、地方分権推進をするに当たっての環境整備の言ってみれば所管省庁と言っていいと思うのですが、今後の自治省、総務庁の取り組み姿勢、決意を一言ずつお願いします。それで質問を終わります。
  37. 陶山晧

    ○陶山政府委員 地方分権推進に当たりましては、国と地方役割分担がいかにあるべきか等々の問題について十分な議論を尽くすことが必要であると考えております。  その際、関係省庁が必要に応じ説明をし、あるいは意見を述べるということはあってしかるべきだと考えますけれども、その場合各省庁が、単に既得権益を守るということだけを考えるとか、あるいはみずからの意見を押しつけたり、あるいはそのような誤解を与えるようなことがあってはならないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、各省庁におかれまし ては、地方分権推進が内閣としての重要課題の一つであるということについてその重要性を十分御認識をいただき、地方分権推進に前向きに御対応をしていただけるように、また、地方分権推進委員会の円滑な審議に御協力をいただけるように、私どもとしては期待をしているところでございます。
  38. 松本英昭

    ○松本政府委員 私どもといたしましても、ただいま委員指摘のように、さきの地方分権推進委員会中間報告は大変画期的な内容を含むものと評価をいたしております。  この中間報告に至りますまでのいろいろな過程をお伺いいたしますと、分権推進委員会の中で、関係方面との調整等について十分調整を出したものを出すべきか、あるいはある程度前広に出すべきかというようなことで随分御議論もあったやに聞いておりまして、そういう点で、必ずしも関係方面意見調整のないものも前広に出そうという御決意をされたというように伺っております。  そういうことから、やはりこの中には関係方面といろいろ御意見の違う点も多々あることは私どもも十分承知をいたしておりまして、そういう点について、今後分権推進委員会関係方面等と精力的に調整等も行われて指針勧告が出されますことを私どもとしても期待をいたしているところでございます。
  39. 月原茂皓

    月原委員長 穀田恵二君。
  40. 穀田恵二

    ○穀田委員 この委員会地方分権推進をバックアップするためのものです。今までの各省庁の御意見をお聞きいたしまして、最後にまた富山の一件がございました。  私が驚いたのは、多くの委員皆さんもお笑いになっているように、およそ信じがたい、つまり、ただ会っただけだとかお会いしたのは事実だとか着任のあいさつだとかいろいろ言っています。例えば、各省庁分権委員会に対してヒアリング意見を述べる、それは当たり前でしょう。しかし、事はそうではなくて、公述人にお会いをするという事態なわけですから、私は全く情けないと言わざるを得ないと思います。  ですから、地方分権推進しようとする政府の足元からそれに逆行することが行われたということで大問題なんだ、こういう立場で臨むのかどうかが求められていると私は思うのですね。地方分権を担当する大臣として、この問題が明らかになった時点でどういう対処をされたのか、まずお聞きしたいと思います。
  41. 中西績介

    中西国務大臣 先ほど局長の方から答弁いたしましたけれども、いずれにしましても、一日地方分権委員会というのは、中間報告を初め地方分権推進に関しまして広く国民皆さんからの御意見をお聞きをするという態勢をつくった中で十分地方分権必要性国民にアピールしていこう、こういう考え方でおるわけであります。  そうした中におきまして、今、問題が出たという御指摘のようでございますけれども、これらにつきましては、熱心な余りそれぞれ個別にお会いをするとかいろいろな状況が出てくるということは誤解を与えることになるわけでありますから、今後こうした点等につきましては十分留意していただくようにお願いをしたいし、誤解を与えないように今後していかなくてはならぬと考えております。
  42. 穀田恵二

    ○穀田委員 僕は、そこが違うというんですよ。大体、誤解を与えないようにとか熱心さの余り、これが本当の筋かということなんですよ。私は、どうも違うと思うんです。つまり、大臣おっしゃるように、広く意見を聞くわけでしょう、その地方分権推進委員の方々が。広く意見を聞くところに、その意見を述べるべき方々に事前に話をするというのは何事かと言っているんですよ。そんなことしなかったら広く意見にならないのですか。逆じゃないですか。広く意見を聞くのは、当然、そういう方々のだれにも左右されない話を聞くのが当たり前じゃないですか。私いつも、こういうのを聞くと腹立たしいのですよ。  参議院でもそうですよ。「熱心さは買えるにしましても、」このことが熱心さの余りですか。先ほどの話で言うならば、地域づくりだとか町づくりだとかいろいろやっていきたい、分担をしていきたい、そういういろいろな意見を自分たちも述べていきたい。自分たちが述べるのは結構ですよ。それを公述人にまで影響を与えるかのような接触をするというのは、誤解を与えるだけじゃなくて、まさしくそれ自身がだめだということを私は言っているのですよ。そういう立場に立っていただきたい。それが本来地方分権推進する側の担当の大臣の仕事じゃないですか。  その辺のけじめがつかない限り、分権推進する側の担当大臣が、いや、これは熱心の余りやったんだとか誤解を与えるようなことをやったんだというような話をしているようではばしっとならぬと私は言っているのですよ。どうです。
  43. 中西績介

    中西国務大臣 熱心さの余りに誤解を与えるようなことはすべきでないという意見を私は申し上げておるわけですから、そういう行動というのは慎むべきであるということを言っておるつもりです。
  44. 穀田恵二

    ○穀田委員 慎むべきだというのはわかっているのですよ。結論はそうなんですよ。前段に熱、心さの余りでなくて、地方分権推進するという立場からすればそれはちょっと違うんじゃないかと私は言っているんですよ。私の意見ですよ。  そこで、大臣は参議院ではこう言っていますよ。「閣内におきましても意思統一をする必要があるだろう、」こう質問に答弁されておられます。これはやられましたか。
  45. 中西績介

    中西国務大臣 閣内においては、率直に申し上げて、まだやっておりません。
  46. 穀田恵二

    ○穀田委員 じゃ、きちっとやってください。いいですか。やってくださいと言ってもまた、前も「閣内におきましても意思統一をする必要があるだろう、」こう言っていてまだやっていないわけですから、これはちゃんとやっていただけるんですね。それだけちょっとお答え願います。
  47. 中西績介

    中西国務大臣 今後推進するに当たりまして、やります。
  48. 穀田恵二

    ○穀田委員 そこで、先ほど委員お話にありますように、お話を聞いておると各省庁が、これはいろいろペーパーの中身によるのでしょうけれども、はっきり言って魂が感じられないというのを私は非常に感じました、長官はそういうふうにお感じになっていないのかもしれないけれども。だから、そういう因果関係ですね。分権推進に当たって非常に熱心だ、その結果こういう事態が起こったというふうなところに、先ほどの各省庁の御意見をお伺いして、そうなったとはとても私は思えないのですね。  そこで、一つだけ最後、時間もありませんから議論をしたいのですけれども、今回の事件は、かつてこの委員会で参考人の方をお呼びしました。そのときに、国から地方へおりていくということについてはいわゆる天下りとその先生はおっしゃっていましたが、出向その他の問題についての弊害も私は明らかにしたのではないかと思うのです。委員会も言っているように、報告だとか事前の協議だとか助言だとかいろいろな形で中央が地方に対して権限を及ぼしている。それから、機関委任事務などでやっているだけではなくて、もともと人事でそういう一定の影響力を及ぼしているというような実態があるのではないかと私は思うのです。  これは雑誌を持ってきたのですが、THE21という雑誌なんですが、長官にはちょっと見にくいかもしれませんけれども、四十七都道府県ありまして、そして知事、副知事、総務部長、財政課長地方課長、土本部長、農政部と書いてあって、それぞれの省庁からの出向者がずらっと載っているのですね。これを見たら大体、少し見えると思うのですが、四十七都道府県中二十五はほとんど中央官庁から行っている方が、天下っているという実態があるのですね。そういうものはやはりそろそろやめるべきではないかと思うのですね。  富山県の厚生部長は、一定の期間を除いて代々厚生省からの派遣ポストになっています。しか も、公述人に対する事前の働きかけはもってのほかだというだけではなくて、中身が私はさらに問題だと思うのですね。国と地方意見が異なる問題について、県の部長が地方の立場から一定の援助を行うというのならまだしも、国の立場から公述人に働きかけるという、いわば国から地方に派遣された人の仕事をする上での心構えをはしなくも露呈した実態ではないかと私は思うのです。  調べてみますと、いわゆる天下りは四十七都道府県と政令指定都市だけでも、ことしの一月現在、厚生省八十九人、建設省百三十一人、農水省八十四人もいる。自治省ももちろん多い。この数字は課長以上の役職のものですから、県や政令市の政策に一定の影響を及ぼすことのできるポスト、そういうポストに、今回の事件に見られるように、国の意向に沿う人を配置するのはもう本当にやめたらどうかと私は思うのですね。そういう点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  49. 中西績介

    中西国務大臣 国と地方との人事交流の件でありますけれども、この件に関しましては、あくまでも先ほどから論議しておりますように、地方分権というこうした体制をいかにつくるか、こういうこともあわせ考えたときに、地方自治体の自主的な要請等の中からこれが出てきておると私たちは判断をいたしております。  したがって、それぞれ地方自治体の中で、交流人事をすることによって少しでもいろいろな内容等について、今指摘をされたような中央から地方に行くことによって一つの勉強なりなんなりができる、こういう視点なりなんなりがあってのことだろうと私たちは思っています。したがって、地方自治体におけるこうした措置につきまして私は今とやかくこれについて言う位置にございませんので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  50. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、最後に一言だけ言います。  私は、地方自治体の要請でと言っていますけれども、それは従来の経過からしますとそんなこともあったと思うのです。しかも、本来地方自治体と国というのは対等、平等な関係にもかかわらず、分権推進委員会中間報告でも述べていますように、かつて主従の関係にあったという時代があるわけです。それは、人が来ていただいてさらに戻っていくという経過を通じてそういう全体の構図ができたわけですから、その構図をやめようというわけですから、そういうことをやめようと思っているのだから余りそういう要請をするのもどうかというぐらい言ったらいいじゃないですか。それぐらいの気持ちで言ったらいいし、しかも勉強というなら別に課長、部長で行かなくても、もう少し前から行ってもいいわけですから。  そういう形で、実は人事の側面についても、今度の結果に見られるように、富山県の厚生部長というのは国から派遣された方ですよね。そして、その方が国の意向をわざわざお伝えになる、こういうことはもうやめたらどうだということを私は言っているのです。ですから、権限外だと言うけれども、私は、そういう新しい試みをしつつある時期に、従来の弊害であるこういった問題についてもすっぱり切るということを要望して、終わります。     —————————————
  51. 月原茂皓

    月原委員長 この際、理事会の協議に基づき、委員長から、政府に対し申し上げます。  地方分権推進法は、平成五年六月の地方分権推進に関する衆参両院決議を具体化するものとして制定されたものであり、地方分権を総合的かつ計画的に推進することを目的とし、国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にして、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会実現を図ることを基本理念とするものである。  政府は、この地方分権推進法に基づき、地方分権推進計画を作成し、分権推進するため、総理府に地方分権推進委員会を置き、その委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命したところである。  同委員会においては、さきに中間報告を内閣総理大臣に提出し、地方分権推進計画作成のための指針勧告に向けて、精力的に調査審議を行っているところであり、政府においては、地方分権推進法制定の趣旨及び地方分権推進委員会の任務の重要性にかんがみ、関係省庁が、同委員会調査審議にさらなる協力をするとともに、同委員会調査審議が客観的かつ公正に行えることを確保されるよう、閣議等において、周知徹底されることを要望いたします。  この際、中西総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。中西総務庁長官
  52. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進委員会におきましては、本年末に予定される地方分権推進計画の作成のための具体的な指針勧告に向けまして、各般の課題について今後より一層精力的な調査審議を深めていかれるものと承知しております。同委員会調査審議が客観的かつ公正に行われることが確保されることは、重要なことであると考えております。  ただいまの委員長の御発言につきましても、今回の新聞報道があり、国会でも取り上げられたことで、各省庁におきましても考えられるところがあるものと思料いたしております。  したがって、私といたしましては、今後の各省の対応等も見ながら、必要に応じ今後の対処について検討してまいる所存であります。  以上です。
  53. 月原茂皓

    月原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会