運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-02-28 第136回国会 衆議院 地方分権に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十八日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 月原 茂皓君    理事 野田 聖子君 理事 蓮実  進君    理事 山本 公一君 理事 岩浅 嘉仁君    理事 谷口 隆義君 理事 永井 英慈君    理事 畠山健治郎君 理事 田中  甲君       遠藤 利明君    小此木八郎君       佐田玄一郎君    中馬 弘毅君       西田  司君    浜田 靖一君       林  幹雄君    若林 正俊君       青木 宏之君    今井  宏君       佐藤 茂樹君    富田 茂之君       山崎広太郎君    五十嵐広三君       山口 鶴男君    穀田 恵二君  出席国務大臣         自 治 大 臣 倉田 寛之君         国 務 大 臣          (総務庁長官) 中西 績介君  出席政府委員         地方分権推進委         員会事務局長  東田 親司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    飯原 一樹君         厚生大臣官房政         策課長     江利川 毅君         農林水産大臣官         房文書課長   宮本 晶二君         建設大臣官房文         書課長     藤田  真君         地方分権に関す         る特別委員会調         査室長     黒沢  宥君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   古賀 敬章君     山崎広太郎君 同日  辞任         補欠選任   山崎広太郎君     古賀 敬章君     ――――――――――――― 二月二十二日  地方分権推進に関する陳情書外三件  (第一二三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方分権推進に関する件      ――――◇―――――
  2. 月原茂皓

    月原委員長 これより会議を開きます。  地方分権推進に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畠山健治郎君。
  3. 畠山健治郎

    畠山委員 地方分権推進法が昨年春成立して以来、間もなく一年になろうとしております。この間、地方分権推進委員会は、去年の秋に基本的な考え方、十二月末には検討試案をまとめ、現在、三月の中間報告に向けて精力的に検討されておると承っております。  そこで本日は、総務自治大臣所信表明を中心に、推進委員会における現在の論点について幾つか御質問申し上げたいと存じます。時間が極めて限られてございますので、手短にひとつお願いを申し上げたいと思います。  まず第一は、地方分権推進法審議の際、機関委任事務制度取り扱いについて、同法第五条に定める「その他所要の措置」は、廃止を含むものであると当時の村山総理並びに山口総務庁長官答弁しております。この政府見解は今も変わりありませんでしょうか。お承りをいたしたいと存じます。総務庁長官お願いします。
  4. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進法を制定するに当たりまして、並びに検討過程におきまして、畠山委員、大変御努力、御迷惑をおかけしました。この点は、推進法を制定する過程の中における大変な御貢献に対して、お礼を申し上げたいと思っています。  で、今ありました内容については、村山総理並びに山口当時長官答弁とは全く変わりがないことをここでお答え申し上げたいと存じます。
  5. 畠山健治郎

    畠山委員 昨年十二月、推進委員会は、機関委任事務制度廃止した場合の従前機関委任事務取り扱いに関する検討試案を示しております。その大要は、廃止するものは廃止し、それ以外の事務自治事務法定受託事務とするというもので、これは機関委任事務制度に取ってかわる具体的結論という政府見解にこたえるものと言えます。しかも、中央政府自治体間の責任分化を明確にする地方分権にふさわしい新しい事務概念として説得力があるものと考えます。これをどのように評価しておるか、総務自治大臣見解を承りたいと存じます。
  6. 倉田寛之

    倉田国務大臣 畠山委員指摘のように、機関委任事務制度につきましては、地方団体を初めまして、地方制度調査会などにおきましても、「地方自治の本旨」との関係地方公共団体自主性自立性確保事務処理責任の所在の明確化などの観点から、制度自体見直していく必要がある旨の指摘が行われたところでもございます。  御指摘の、地方分権推進委員会が昨年の十二月の二十二日に発表いたしました機関委任事務制度に係る検討試案につきましては、地方団体からの機関委任事務制度廃止に向けての強い改革意見表明に沿ったものであるというふうに存じております。機関委任事務制度廃止した場合におきまする新たな地方公共団体事務あり方にまで踏み込んだものでございまして、評価をいたしているところでございます。
  7. 中西績介

    中西国務大臣 先般、検討試案が出されましたけれども、今後地方分権推進委員会検討を進めるに当たっての大まかな枠組みを示したものであると思います。  一口に機関委任事務といいましても、その内容が極めて多種多様でございますので、検討試案考え方を現実の行政事務に適用するといたしますと、具体的な事務の振り分けの考え方や基準をどのように設定をするのか、現行行政運営実態がどのように変わってどのような問題が生ずるか、あるいは生じないのか等々、具体的に検証してみる必要があろうかと思っております。  そうした中で、機関委任事務制度改革については、国と地方役割分担の根幹にかかわる問題でもありますが、個々事務、所管する各省庁はもとより、関係各方面の意見を聴取し検討すべき事柄であろうと思っております。  以上です。
  8. 畠山健治郎

    畠山委員 法第十五条に基づいて、推進委員会検討試案に関する省庁の資料の提出、意見の開陳、説明を求めたと聞いておりますが、これに対する省庁評価はどのようなものであったのか。積極的か消極的か、説明をいただきたいと思います。
  9. 東田親司

    東田政府委員 お答え申し上げます。  検討試案につきましては、先生御指摘のとおり昨年の末に公表いたしまして、ことしに入りましてから、地方団体それから関係省庁等のヒアリングを重ねているところでございます。  これに対する評価でございますけれども地方団体と一部の省庁からは、新たな地方公共団体事務あり方にまで踏み込んだ画期的なものであるという御評価をいただいておりますが、一方で、大方の省庁からは、三点ほどに要約できるかと思いますが、次のような御意見をいただいております。  一点は、現行機関委任事務が多種多様であって、そのすべてを検討試案では自治事務法定受託事務の二種類に当てはめようとしているけれども、これは難しい面があるのではないかという懸念が一点でございます。  それからもう一点は、したがって、国と地方共同事務という概念もあり得るのではないだろうかというのが二点目でございます。  それから三点目は、仮に二類型の中の自治事務にした場合に、この案で提案されている国の関与手法幾つかあるわけでございますけれども、この関与手法だけでは、全国的な統一性公平性を要する事務を的確に執行できないおそれがあるのではないか。  以上、三点の懸念といいますか意見が出されておるところでございます。  ただしかしながら、各省庁からは、今回のこの検討試案基本的考え方におよそ反対である、評価に値しないというような意見が出されているわけではございませんで、委員会といたしましては、今提起されております懸念意見等をも勘案しながら、国民皆様にわかりやすく、また、対等協力国対地方関係にふさわしい制度へと改革できるようさらに詳細な細部を詰めてまいりたいというのが現在の委員会考え方でございます。
  10. 畠山健治郎

    畠山委員 ただいまの説明では積極的に評価したのはどうも自治省だけのようでございまして、他省庁は軒並みに消極的のようであります。これはどういうことでしょうか。立法意義政府見解の否定とつながるものではないだろうかと考えます。総務庁長官見解をまずお伺いをいたしたいと思います。  続きまして、推進委員会詳報を読みますと、高く評価した自治省といえども個別具体の話となると、どうもそうではありません。総論賛成各論反対の面があります。この点、自治大臣見解を承りたいと存じます。  また、機関委任事務を比較的多く抱えていると思われる省庁のうち、差し当たり建設、農水、厚生省庁にお伺いしたいと思います。  まず第一点は、消極的評価の理由について、第二点は、推進委員会意見開陳するに当たっての最終的省内意思決定レベルについて、具体的にお答えをいただきたいと思います。
  11. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  私といたしましては、各省庁におきまして、委員会からの求めに応じまして、検討試案に対して所管省庁問題意識を率直に述べられたと思っております。こうした議論は、委員会提言が真に実効性のあるものになるために必要かつ有益なものだと私は思っております。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、機関委任事務制度あり方を含めまして地方分権推進委員会から具体的な指針勧告を受けまして、なるべく速やかに地方分権推進計画の策定に取りかかり、地方分権流れを思い切って加速をさせなくてはならぬと私は思っています。  特に、私といたしましては、地方分権推進委員会というのは、戦後あるいは戦前から考えましても、多くの問題を中央に集中するということが問題視されておりましただけに、もう後退するわけにはいきませんので、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  12. 倉田寛之

    倉田国務大臣 委員御案内のように、地方分権推進につきましては、もはや実行の段階にあるという認識をいたしているところでございます。  そこで、自治省といたしましても、分権型行政システムへの転換を進めるために、現在全省的に鋭意検討を進めているところであり、個別具体の問題につきましてはいまだ結論を得るに至っておりませんが、機関委任事務廃止、国の関与廃止、緩和、地方税財源充実などに取り組んでまいりますとともに、地方分権推進委員会から具体的な指針勧告を受けた場合には、それを尊重して作成をされます政府地方分権推進計画に基づきましてこれを着実に実施をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  13. 藤田真

    藤田説明員 建設省の関連いたします行政につきましては、例えば国道や河川の管理でありますとか、あるいは都市計画制度土地収用制度などございますけれども、これらにつきましては、国が全国的なあるいは広域的な視点から、また、地方が身近な住民視点から、それぞれ協力をしながら適切な役割分担のもとに進めることが重要である、こういうふうに認識をしております。また、このことにつきましては、地方分権推進法の第四条の趣旨に照らしても、それの方向に沿うものというふうに認識をしているところでございます。  このような観点から、地方分権推進委員会からの依頼を受けまして、この委員長見解あるいは検討試案につきまして、建設行政実態につきまして御説明をさせていただいたところでございます。  もとより建設省といたしましては、地方分権推進が必要である、こういうふうな認識を持っておるところでございまして、個々事務ごと検討を加えながら従来から権限移譲あるいは補助金整理合理化などに努めておるところでございますが、今後につきましても地方分権推進委員会の御指導をいただきながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、地方分権推進につきましては、さきの建設委員会におきまして、所信表明の中で建設大臣自身も取り組むべき課題として述べられておるところでございまして、この検討につきましては、建設大臣の御指導もいただきながら省を挙げて行っておるところでございます。
  14. 宮本晶二

    宮本説明員 農林水産省といたしましては、地方分権推進法趣旨に従いまして地方分権推進する必要があると考えてございまして、そのような考えから地方分権推進委員会での検討に参加させていただいているところでございます。したがいまして、農林水産省地方分権反対しているというわけではございません。  そこで、地方分権推進委員会のお示しいただいた検討試案でございますけれども、これは機関委任事務廃止してその大部分を地方公共団体自治事務とするということを主要な内容とするものと承ってございますけれども、現在農林水産省が所管しております機関委任事務、これは数十年にわたりまして国と地方公共団体との協力関係のもとで共同で処理されてきたものでございます。これを新しい仕組みに移行させるためには、農林水産行政執行に支障を来すことのないよう慎重に検討する必要があるというふうに考えてございます。  したがいまして、検討試案につきましては、このような考えに基づきまして、個々事務実態に応じて事務執行の具体的なあり方について検討をする必要があること、特に農林水産関係の諸制度から要請されます全国的統一性ないし公平性確保とか、あるいは国の政策方向との整合性確保、それから広域的調整、そういったようなことのために必要な国の関与仕組み等について十分な検討が必要である旨、地方分権推進委員会におきまして申し上げたところでございます。  なお、この地方分権への対応につきましては、随時大臣に御報告しつつ、省としての考えを示しているということでございます。
  15. 江利川毅

    江利説明員 厚生省関係でございますが、厚生省はかねてより、福祉八法の改正とか地域保健法改正とかということで、住民に対するサービスは市町村において行ってもらうということで、何度か法改正を重ねてきたところでございます。  地方分権推進委員会から出ました機関委任事務見直しについての検討試案につきましては、今までの御答弁の中にもありましたが、機関委任事務を大きく二つに分類するということで案が示されているわけでございます。ただ、この二つの分類でいろいろな仕事が円滑に実施できるのかどうかという点につきまして心配がございまして、私ども事務執行上一体どうなるのだろうかという疑念を幾つ委員会では表明させていただいております。委員会の方では各省庁意見地方団体意見を踏まえてこの検討試案をさらに検討するというふうに聞いておりますので、またそういうものを踏まえながら私どもも積極的に対応してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  大臣には何度か御説明をしておりまして、大臣もまた、では検討試案見直しがあるのならそれを踏まえて大いに議論しようというようなことを私どもに言っているわけでございまして、省を挙げてこの問題に取り組むということで内部の検討調整を進めているところでございます。  以上でございます。
  16. 畠山健治郎

    畠山委員 ただいまの省庁説明では、省内意思決定過程大臣存在は極めて希薄だと言わざるを得ないと思います。これでは内閣の政治責任はどうなるのか。しかも与党は、村山及び橋本政権発足に当たり、機関委任事務制度廃止に合意しておるわけであります。総務自治大臣は直接の所管大臣であります。地方分権法ではなくて、「推進」なる言葉を殊さらにつけ加えた法の積極的な意義を踏まえ、閣内で対応されるよう強く要請したいと存じます。  推進委員会詳報でも、ただいまの省庁説明でも、余り聞きなれない言葉が使われております。それは共同事務論とでも言ったらよいのでしょうか。厚生省しかり、建設、農林省しかり、まるで省庁が一斉に、申し合わせたかのようにこの言葉を使っております。特に農水省は、機関委任事務は国と地方共同作業的性格を有すると言い切っております。  私なりに理解すれば、現状の中央政府自治体対等関係にあり、だから対等団体間の事務としての機関委任事務共同事務である、こうなると思います。機関委任事務制度廃止が迫られると、制度的、実態的上下関係を黙殺して対等を言うのは一体どういうことですか。これでは地方分権推進法の制定の積極的意義を否定することに等しいのではないでしょうか。  そこで、自治大臣にお伺いをいたします。現在の中央地方対等関係にあるのかどうか、率直にお答えをいただきたいと思います。
  17. 倉田寛之

    倉田国務大臣 国と地方公共団体は、国民皆様福祉の増進に向かいまして相互に協力をしていくことは必要でございますが、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現をしてまいりますには、地域の総合的な行政主体であります、住民皆様に身近な存在であります地方公共団体地域のさまざまな課題責任を持って対応できますように、地方分権を強力に推進をして、その自主性自立性を高めていくことがまず重要であるというふうに考えております。  地方分権推進委員会におきまする意見の聴取の場におきまして、地方団体からは、さまざまな行政分野にわたって機関委任事務制度が採用され国の関与が広範に行われているなど、国と地方関係上下関係になっているのが実態であるとの認識が示されております。昨年の十二月二十二日に、地方分権推進委員会委員長見解として、分権型社会における国と地方関係上下・主従の関係から対等協力関係に変わるとの考え方が示されているところでございます。  いずれにいたしましても、地方分権推進につきましては、これらの見解を踏まえまして国と地方の新たな関係の構築を目指すものでございまして、私といたしましても、実りある成果を上げることができますように強い決意で臨んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  18. 畠山健治郎

    畠山委員 共同事務論の意味するものは、機関委任事務制度廃止され新しい事務概念に取ってかわっても、実態従前機関委任事務制度と同様な機能を保持すること、省庁考え方はこれに尽きるのではありませんか。しかも、今さら統一性効率性を持ち出すのは機関委任事務制度廃止反対するのと同じことであり、与党として厳重に注意しておきたいと思います。  そこで、質問いたします。  検討試案で示された新しい概念機関委任事務整理しても、国の関与従前のように維持されるなら、実態は何ら変わらないことになります。したがって、国の関与などは原則廃止前提とし、新たな法定受託事務とされる事務であっても極めて抑制する手続が必要と考えます。これが機関委任事務制度に取ってかわる新しい事務概念とその保障措置だと考えますが、両大臣見解を承りたいと思います。
  19. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方分権推進委員会が昨年の十二月に発表いたしました機関委任事務制度に係る検討試案は、機関委任事務制度廃止した場合における新たな地方公共団体事務あり方にまで踏み込んだものでありまして、これとあわせまして、国の関与につきましては、法令の定めによらないものは原則として廃止するとともに、存置する場合におきましても、基本的な事項は法律で定める方針で具体的な検討を行うとの委員長見解が示されておるところでございます。  これは、新たな国、地方のパートナーシップのもとにおきまする国の関与は、従来の上下関係基本としたものから、透明公正を旨とする対等関係に移行すべきであるという考え方に立っているものと理解をいたしております。  地方分権推進委員会におきましては、三月の中間報告に向けて精力的に御審議をいただいているところでございますが、御指摘の国の関与機関委任事務制度の抜本的な見直しなど、各般にわたる課題につきましても積極的に検討が深められて、法定受託事務についてもそのあり方について論議が行われるものと考えております。具体的な指針勧告をお願い申し上げているところでございます。  先刻も申し上げましたように、地方分権推進をしてまいりますのは今や時代の流れでありますので、地方分権推進法に即しまして実りある成果を上げ得るよう強力に進めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  20. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進するに当たりまして、地方公共団体自主性自立性を高める、そのためには地方公共団体への権限移譲、もとより国の関与整理合理化に積極的に取り組んでいかなくてはならぬと思っています。  政府といたしましては、地方分権大綱に基づきまして、御指摘の問題については必要最小限のものに整理合理化を図っていく、このことが前提でなくてはならぬと思っております。積極的に推進をしてまいりたいと思います。
  21. 畠山健治郎

    畠山委員 推進委員会が、地方分権の重要なかぎである機関委任事務制度検討にまず着手したことは十分理解できます。しかしながら、自治体の首長の皆さんからすれば、特に財政の厳しい状況では、財源分権化に注目するのは当然と言えましょう。  そこで、地方団体は、奨励補助金約四兆円を廃止し、税と交付税で折半保障する改革案を提起しております。財源移譲の一方策として、これは重要な改革手法だと考えます。自治大臣並びに大蔵省考えをお伺いいたしたいと思います。  そして最後に、三月の中間報告あるいは指針勧告は、地方分権具体像国民に示す重要な機会であろうかと思います。特に、官官分権に陥りがちのこの課題国民的関心の中に置くためには、何よりも、利益集団に支配されない推進委員会の自主的・主体的検討必須条件であり、そこで得られた結論を着実かつ速やかに計画化することが推進委員会自主性を保障する道だと考えます。この点、総務庁長官決意のほどを承りたいと存じます。
  22. 倉田寛之

    倉田国務大臣 地方団体が御指摘のような提言を行いましたことは聞いております。国庫補助負担金整理合理化につきまして具体的な提言をなされたことには敬意を表したいと存じます。  国庫補助金等につきましては、一般財源などにより、これまでも整理合理化を進めてきたところでございますが、今後さらにこれを推進してまいりますには、地方団体提言のように、目標を量的に設定いたしまして、その計画的な整理を促すことも一つの考え方であろうと思います。  何よりも重要なことは、これに伴いまして、地方への税源移譲などにより、地方財源への振りかえを行う必要があるわけでございますが、これについても提言をされていることを高く評価いたしているところでございます。  自治省といたしましては、今後、地方分権推進委員会における審議などを踏まえまして、国庫補助金等整理合理化に積極的に取り組んでまいりますとともに、これに伴います地方税財源充実強化につきましても検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  23. 飯原一樹

    飯原説明員 地方交付税等一般財源についての御質問でございますが、国と地方財源にかかわる問題につきましては、国と都道府県、市町村税源配分地方交付税個々補助金制度等、種々の制度あり方にかかわる問題でございまして、今後、国と地方機能分担費用負担あり方見直しや、御承知のような国の財政事情もございますので、国と地方財政状況等も踏まえながら、幅広い見地から検討を行っていくべき課題であるというふうに考えております。
  24. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進委員会勧告を尊重するということは、地方分権推進法に明記されておる事柄であります。したがって、政府といたしましては、委員会勧告を受けまして、速やかに実効ある計画を作成し、積極的に推進したいと思っています。
  25. 畠山健治郎

    畠山委員 終わります。ありがとうございました。
  26. 月原茂皓

    月原委員長 今井宏君。
  27. 今井宏

    ○今井委員 おはようございます。今井宏でございます。  早速、質問に入らせていただきます。  第一点目は、地方分権推進委員会事務局体制の充実について何点か御質問をさせていただきますが、この委員会が発足いたしまして既に半年も過ぎたわけでございます。この間、三十数回にわたりまして極めて精力的な審議検討をしていただいております委員会委員の先生やあるいは部会の専門委員の先生方の御努力に対しまして、高く評価をさせていただきます。今後とも、着実確実な分権社会の実現へ向けて、意欲的に取り組まれております先生方のより一層の御指導と御奮闘を期待しておきたいと思うわけでございます。  また、地方団体におかれましても、二百五十ページに及ぶ事例集や十一項目にわたる制度課題について整理をするなど、その積極的な取り組みが推進委員会審議を深めていくために大きく貢献していること、そして、地方の分権へ向けての改革への熱意、これを私たちは忘れてはならないし、しっかり受けとめなければならないことだと思っております。特に自治省におかれましては、このような地方の自発的な活動を尊重いたしまして、その意向の反映に大いに努力していただきたい、このように要望しておきたいと思うわけであります。  さらに、地方分権推進法、私ども新進党も議員立法をいたしまして、閣法を修正いたしまして全会一致で成立させたわけでございますので、国会としても、国会の機能としての責任を改めて強く深く認識をしていかなければならない、このように考えておるわけでございます。  さて、この委員会の活動を支えていくのは何といっても事務局であるわけでございますが、私もこの場から再三御質問申し上げましたように、事務局の独立性と充実した体制の必要性が最も強く求められなければならないと強く要求してきたところでございます。地方分権が最大の行政改革である、このようなことも再三申し上げました。あわせて言えば、最大の政治改革でもあるわけであります。  本来ならば、小選挙区比例制の選挙制度と分権が同時に行われるのが望ましいというふうに私も考えておるのですが、その件はまた別にいたしましても、この委員会事務局体制は、十分ふさわしい体制で臨んでいかなければならないわけでございます。現在、局長以下三人の参事官のもとで三十人体制をとっている、こういうふうに聞いておるところでございますが、これで十分なのでしょうか。大変心配しております。その辺につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  28. 東田親司

    東田政府委員 お答え申し上げます。  事務局は、先生御指摘のとおり、事務局長事務局次長それから参事官三人、これが幹部でございまして、そのもとに、本日現在三十人の体制をいただいております。委員会の発足時、昨年七月三日時点では二十一人で発足いたしましたけれども、その後、部会の発足と審議状況を踏まえまして、必要な増員の配慮をさせていただいたところでございます。  この三十人の職員によりまして親委員会二つの部会の事務処理を行っておるところでございますけれども、現在、三月末の中間報告に向けて鋭意審議が進められておりまして、中間報告後どのような審議体制になるのか、現在の体制を変更するのかどうかという点については、まだ委員会としての議論が行われておりませんので、今後、特に中間報告が終わった後の委員会審議状況を見つつ、必要に応じて事務局体制の充実に努力してまいりたいというふうに思っております。
  29. 今井宏

    ○今井委員 実は、心配しておりますのは、今局長が御答弁いただきましたように、十二月の勧告に向けての体制の充実強化であります。親委員会で担当しております制度課題への対応あるいは税財源問題への対応を考えますと、あと二つ程度のチームの編成が必要ではないだろうかと考えております。財源権限はセットとされなければ本当の分権ができないわけでしょうし、この法律が五カ年間という時限立法であるのは御承知のとおりでありますが、全体の作業のスケジュールに合わせた事務局体制の整備計画、そういった全体の計画みたいなものは持っていないのでしょうか。
  30. 東田親司

    東田政府委員 お答え申し上げます。  現在、親委員会二つの部会で分担をしておるわけでございますが、その分担の考え方は、親委員会におきましては機関委任事務補助金などのいわば制度課題を最終的に検討する場である、それから地域づくり部会とくらしづくり部会は、それぞれ、地域づくり部会の方は地域社会の基盤に関する行政分野を担当する、くらしづくり部会の方は住民の日常生活に近い行政分野を担当するという考え方で今分担をしているわけでございます。  中間報告が終わった後、先生御指摘のように、税財政問題等も本格的にやらなければならないということは十分認識しておりますので、現在の親委員会・二部会という体制のままでいくのかどうかにつきましては、当然議論をしなければならないことだろうと思っております。その段階にまだ本日時点では至っておりませんので、親委員会における議論をしていただいて、その動向を踏まえまして必要な事務局体制も考えていかなければならないというふうに思っております。
  31. 今井宏

    ○今井委員 臨機応変、機動的な人事配置というような消極的なものではなく、全体計画の中で、この時期に集中的に何をどう検討され、決めていかなきゃならない、そのための人事配置計画というものをしっかり持つべきだと私は思っておりますので、その辺を強く要請をしておきたい、かように思うわけであります。  次に、畠山委員からも発言がございましたが、各省庁の対応につきまして何点か御質問をさせていただきたいと思います。  私も審議概要を読ませていただいておるわけでございますけれども、強く感じますのは、各省庁地方分権に対する意識改革の欠如と言ってもいいくらいな感じを受けるわけであります。地方分権推進法が施行されていることすら十分理解していないのではないかと思われるようなやりとりも見受けられるわけであります。各省庁とも共通しているものは、全国的な統一性だとかあるいは公平性への強いこだわりであり、現状のままが一番いいのかな、現状維持志向である、こんな感じさえ受けるわけでございます。従前の集権型の社会から分権型社会への転換への意識の欠如がちょっと見受けられ過ぎる、このように感じます。  そのうち幾つか拾ってみますと、この時期に至っても、地方分権推進が所管行政の効果的かつ円滑な達成に資するか否かを検討するなんという発言もあるわけですね。あるいは、補助金は全国的見地から、一定方向へ誘導等の政策目的を実現する上で重要な役割を果たしている、補助金の削減は円滑な行政推進にとって大きな障害である、こういう発言もございます。現在の自治体は小さ過ぎる、もっと大きな行政単位になれば省としての考え方も変わるかもしれぬ、こんなような発言があるわけです。  地方分権を総合的かつ計画的に推進することを目的として五月に分権法が成立したわけであります。推進委員会において検討が進められている今日の状況について、全く基本認識を欠いている現状を我々は見逃すわけにはいかないわけであります。  明治維新、戦後改革に次ぐ第三の改革とも言われておるわけでございます。明治維新あるいは戦後改革は外圧による改革でありましたが、今回は平時における改革でございますので、自己改革ができるかできないか、ある意味では地方分権革命、こう言っても言い過ぎではないわけでございます。  ところで、総務庁といたしましても、法案提案者といたしまして、各省庁に対しまして強く意識改革を求める必要があると思うのですが、いかがですか。
  32. 中西績介

    中西国務大臣 先般、地方分権推進委員会検討試案を出しまして、委員会が今後検討するに当たりまして各方面から意見を聞くということで、今指摘のあったような各省庁からの意見もお聞きをしたところであります。そうした内容を公表をいたしまして、試案を初め、地方分権推進方策についてこのような議論が行われておるということが明らかになったということは今までになかったことだろうと思っています。したがって、各省庁におかれましては、資料提供あるいはいろいろな考え方などを積極的に出していただいたというように理解をしております。  いずれにしましても、問題があることは事実でありますから、政府といたしましては、地方分権推進委員会から具体的な指針勧告を受けまして、なるべく速やかに地方分権推進計画の策定に取りかかることがまず第一であろうと思います。そして、地方分権流れを思い切って加速をさせていくということが今一番大事だろうと思います。したがって、私といたしましても積極的にこうした問題について取り組んでまいりたいと思っております。  以上です。
  33. 今井宏

    ○今井委員 ただいまの試案の発表でございますが、これは大変意欲的なものでありまして、私どもも高く高く評価をさせていただくところであります。  私どもの議員立法の案でも、機関委任事務廃止という文言で強くお願いをしたところでございますが、最終的には廃止の文言は取り除かれた形で法案は成立されたわけでございます。私ども機関委任事務をなぜ廃止というふうに文言に組み入れたかということは、まず国と地方との関係を見直す第一歩が機関委任事務廃止である、このように考えたからにほかならないわけでございます。そして、廃止した後で、その背景として新たな仕組みを構築することが可能である、このように発言もし続けてきたわけでございますので、まさにこの委員会の昨年暮れの試案につきましては大いに共感を覚えるところでございます。  さて、その機関委任事務制度をどう処理していくかが今後の地方分権推進の帰趨を制する課題である、と同時に、国と地方関係上下関係から対等・平等の関係に転換し得るかどうかの岐路である、このように認識しておるわけでございます。推進委員会において検討試案の提出に至った経緯、それから機関委任事務制度に対する基本的な考え方をお尋ね申し上げたい、かように思うわけでございます。  次に、総務庁、自治省におかれましては、この検討試案に対してどのような見解をお持ちなのか。先ほど畠山委員にも御答弁がございましたので、簡単で結構でございますので、この件御答弁いただきたいと思います。
  34. 東田親司

    東田政府委員 一昨年末の地方分権大綱方針、それから昨年成立させていただきました地方分権推進法案の国会審議等を通じまして、地方分権推進上大変重要な課題であります機関委任事務制度あり方につきまして、当委員会として検討することが要請されていたことは御指摘のとおりでございます。  そこで、委員会発足後早速に検討に取りかかったわけでございますけれども、昨年の十月から、二つの部会の場を通じまして地方団体中央省庁から精力的なヒアリングを実施いたしまして、主な論点を整理いたしました。そうすると、機関委任事務制度を初めといたしまして、多くの課題地方団体側の主張と中央省庁側の主張との間にかなり大きな隔たりがあるということがわかったわけでございます。  そこで、このままいわば第一段階のヒアリングを終えて、そのまま第二段階、第三段階というヒアリングを繰り返していくのか、それとも、ここで機関委任事務制度というものを廃止した場合には一体どういう姿になるのかという仮の案というものを示して、それでどう考えるかというふうにいった方が論議が深まるのではないかというふうに考えまして、機関委任事務制度廃止した場合の代替措置につきましての基本的な考え方仕組み等をまとめまして、昨年末の公表に至った次第でございます。  それで、この検討試案の背景にあります基本的な考え方を三点ほど申し上げさせていただきますと、第一点目は、現在の国と地方との関係がいわば上下関係にあると言われているけれども対等協力関係という考え方に改めようではないかというのが第一点でございます。第二点は、地方公共団体の首長さんが国の機関として扱われているということは責任の所在が不明確なことではないか、もっと責任関係を透明公正なものにする必要があるのではないかというのが第二点目。それから第三点目は、法治主義を徹底いたしまして、行政統制から国会による立法統制、あるいは裁判所による司法統制に中心をシフトしていこうではないかというのが三点目でございます。  こういう考え方に沿いまして検討試案をつくりまして、関係各方面の御意見を拝聴しているという状況でございます。
  35. 今井宏

    ○今井委員 今話題の住専問題もそうですし、エイズの問題もそうなのですが、機関委任事務の、法律に位置づけされていないもの、いわゆる行政指導だとかあるいは通達だとか、もろもろの形で中央集権システムになっているわけでございますので、この流れを分権システムに大きく転換する時代なのだという、この時代の認識をしっかり私たちが持つ必要がありますし、各省庁の皆さんもぜひその時代をわかっていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  中間報告でございますけれども、当初、中間報告が三月の末に出されるという予定はなかったというふうにも聞いております。中間報告を必要とする理由というものがどんなものだったのかお聞きいたします。  そして、十二月に予定されております具体的な指針勧告とこの中間報告との相互の関係、これはどんな関係になるのか。そして、中間報告に盛り込まれる内容や骨格はどのようなものが予定されているのか。お聞きしたいと思います。
  36. 東田親司

    東田政府委員 お答えを申し上げます。  中間報告は、指針勧告に至るまでの中間段階におきまして当委員会調査審議成果を世間に公表したいという考えから出ておりまして、具体的な地方分権推進方策の方向性を示す内容にいたしたいというふうに思っております。昨年七月に発足した時点におきましても、できれば年度末に中間報告を行いたいという考え方のもとにスケジュールを組んで審議を進めてきたところでございます。  中間報告が出ました後、四月以降、この中間報告に関しまして、地方公共団体中央省庁等から意見聴取を当然行いますし、また、一日地方分権委員会を各地で開催することなどによりまして、広く国民皆様から御評価の御意見をお聞きいたしたいと思っております。それで、指針勧告の時期につきましては、中間報告をもとに、新年度、審議が進められますけれども、できれば本年の秋ごろ、遅くとも年内には行いたいということで、現在審議を進めております。  それから、中間報告内容でございますが、本日時点で、もとよりまだ確定したものではございませんけれども、骨格的に申し上げますと、機関委任事務関与、必置規制、補助金等の制度課題につきましては、昨年末の検討試案委員長見解とをさらに深めたものにしたいということで考えております。  それから、個別の行政分野ごとの課題につきましては、地域づくり部会関係では、都市計画、農地転用等の土地利用関係、それから港湾、自然公園等の土地利用関連、それから都市公園、地域交通等の町づくり関連等の行政分野を取り上げることになろうと思います。それから、くらしづくり部会関係におきましては、福祉・保健、教育・文化等の行政分野を取り上げることになろうと思います。それぞれの分野につきまして、代表的、象徴的と考えられる事項につきまして検討方向を盛り込むことになろうと考えております。
  37. 今井宏

    ○今井委員 大変心強い局長の話が聞かされたわけであります。私はそのように理解します。  したがって、特に中間報告の骨格、これは揺れないように頑張ってもらいたいと思うのですね。特に制度的な改革の骨子、これはしっかり貫いてもらいたい。当然ヒアリングをしていきます、こういうことでございますが、その方向性の骨子だけは貫いてもらうように強く要請を申し上げたいと思っています。  ところで、現在の推進委員会審議の進め方を拝見いたしますと、部会においての行政分野別の課題検討をある意味ではたて糸、親委員会における制度課題検討をよこ糸、このように見た場合に、たて糸とよこ糸をどう編み込んでいくか、これが重要な問題だろうと思っておるわけでございます。  そこで、中間報告ではどの程度までそのたて糸、よこ糸を整理していくのか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  38. 東田親司

    東田政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、当委員会では、機関委任事務関与補助金など各行政分野に共通いたします制度課題について主として親委員会が最終的責任を負うという考え方で一方で調査しておりますが、これと並行いたしまして二つの部会がそれぞれの行政分野について専門的な調査検討を行っているということで、ただいま先生御指摘のような縦と横という関係にあるわけでございます。  それで、地方分権を進めるためには制度課題検討は当然でございますけれども、その際、分野別の具体的事項の検討を踏まえて制度課題方向づけを考えていかなければならないという、いわば縦を踏まえた横の検討をしないとならないという関係にあるわけでございます。そこで、親委員会と部会とが完全に切り離した審議をしていくのは余り適当でないという考え方に立ちまして、親委員ができるだけ部会に入って一緒に審議を行うという考え方をとっておりまして、委員長委員長代理が部会に入るほかに、その他五人の先生も二つの部会に分担していただきまして、それぞれの部会に加わって審議しておる状況でございます。  中間報告の取りまとめに当たりましては、各行政分野課題の報告が委員会において十分こなされて、その上で制度課題に昇華されるように、制度課題が分野別課題を踏まえた所見になるようにということで、一体とした報告にしようという考え方のもとに進められておると言っていいと思います。
  39. 今井宏

    ○今井委員 最後の質問になりますが、中間報告への推進委員会の姿勢について再度決意をお聞かせいただきたい、かように思うわけであります。  中間報告の取りまとめに至るまで、今お話がございましたように、従前からの集権システムのやり方、とりわけ各省庁の抵抗を含めまして、委員会では大変な御苦労があろうかと思うわけであります。それらの抵抗に惑わされることなく、中間報告によって今後の地方分権方向性を大いに世論に問うべきだろう、こういうふうに思っておるわけであります。国民の支持を背景として、各省庁をむしろ誘導していくことが肝要であると考えるわけであります。  推進委員会がこれまでの議論の流れを踏まえて毅然とした態度で臨まれることを心から期待しておるわけでございますが、その事務局としての決意のほどを最後にお聞かせいただければと思います。
  40. 東田親司

    東田政府委員 お答えいたします。  委員会としては、地方分権推進に当たりまして国民の理解と支援が不可欠であるというふうに考えておりまして、このために、議事録の公開を初め審議状況の広報活動を積極的にやっていかなければならないと思っております。それから、各地で一日地方分権委員会を開催することなどによりまして、現地の国民皆様の生の声を聞きつつ分権の必要性をアピールしていくことも大事であろうと思っております。それから、今後の審議に当たりましては関係各方面の意見を十分聞いていく必要があると考えておりまして、発足以来、制度課題あるいは分野別課題につきまして、地方団体、各省庁、有識者等からのヒアリングを繰り返し行いまして、具体策の検討を広く進めているところでございます。  いずれにしても、委員会といたしましては、先生方の考え方を申し上げますと、地方分権推進が、国と地方団体行政機関同士のいわゆる官官分権といいましょうか、そういうふうに受け取られるようなことになってはならないんだ、やはり住民の暮らしや地域づくりに真にプラスとなるような改善案を出さなければならないんだという考え方に立っております。  そういう考えに基づきまして、現在、国会の御同意をいただきまして総理から任命された七人の先生方、公正中立な立場で判断して、真に必要と考えられる改善事項を盛り込んだ指針勧告を行うという考えに立っておりますので、事務局といたしましても全力を挙げてサポートしてまいりたいと思っております。
  41. 今井宏

    ○今井委員 情報の提供ですが、三十人のスタッフでは無理だろうと思うのです、このごろちょっとおくれぎみですよね。だからこそ事務局の充実をもっと図るべきだと冒頭申し上げているわけであります。  いろいろな工夫がありまして、漫画チックな、比較的だれでも、素人でも、アマチュアでも、納税者がわかるような工夫をしたりしていらっしゃることに対しましても、大変高い評価をさせていただくわけであります。  今局長がお話しのように、国、省庁地方自治体、国民、これらがこの地方分権の本当の姿、なぜ必要かということを情報の共有をする必要があろうかと思うわけでございます。そういう意味でも、どうぞ事務局の体制の強化を計画的に持っていただいて進めることが大事だと再度要請をさせていただくわけであります。  この後の質問は私たちの同志の山崎委員にお譲りさせていただきます。どうもありがとうございました。
  42. 月原茂皓

  43. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 ただいまの今井委員と私は新進党で、政府提案の地方分権推進法に対して、新進党としての対案を出させていただいて、その提案者でございました。そういった意味で若干質問をさせていただきます。  御承知のとおり、地方分権推進法は一部修正ということで成立を見たわけでございますが、その  時点で私どもが一番関心を持っておりましたのは、やはり機関委任事務、これの廃止ということをまずうたうべきだ、ゼロベースからやらないと、一つ一つ機関委任事務個々的なものを検討していったのでは、規制緩和等々の事例もございますように、実効が上がらないという考えに立つておりまして、その点を強く主張してまいったわけでございますが、結果的には、総理や所管大臣答弁の中で、廃止も含むんだという御答弁をいただいて決着を見たわけでございます。  それで、法案が成立し、委員会が発足して半年たつわけでございますが、非常に今精力的に委員会審議をされておるというふうに伺っておるわけでございます。この機関委任事務の件については、十二月の二十二日に委員長見解ということで廃止が明確にうたわれたということについて、私ども、新進党はもちろんでございますが、議会側として高く評価をさせていただいておるところでございます。  また、今委員会が非常に精力的に審議をやっておられるということに心から敬意を表させていただきますが、同時に、委員会審議内容が我々にもわかるようにしていただいている、公開をされておるということがまたすばらしい。これでどのような審議が行われているかが我々わかりますし、やはり委員会に対する信頼感というものが非常に高められる。その意味でも、私はやはり情報公開というのが大事だなということを改めて感ずるわけでございまして、その審議内容の中で、分権に対する各省庁意見考え方も我々わかるわけでございます。  そこで、推進法の四条と五条の関係について、まずお尋ねをさせていただきます。  四条は国と地方役割分担あり方について規定をされておるわけでございますが、各省の考え方は、先ほど畠山委員も強くおっしゃっておられましたように、何か国と地方との関係は、同じ目的といいますか、国民福祉の増進という共通の目的に向かって共同の立場にある、協力関係にあるんだということをいろいろな省が共通しておっしゃっておられるというふうに感ずるわけでございます。  しかし実際は、もう御承知のとおり、全く中央地方をコントロールするという仕組みになっておるわけでございまして、それが今日の自治体中央依存の状況をつくり出しているし、なかなか地域に住む住民自治意識が生まれてこないというか、強まらない。何かすべて要求型の住民をつくり上げておるという状況になってはいないか、そういう感じが強くするわけでございます。  したがいまして、この国と地方との関係ということをここでやはりはっきりと把握しないと、次の第五条のいわゆる国の施策というものもしっかりした形になってこないという感じを強く持つわけでございます。  私どもも、この国と地方役割分担については、法案審議過程で随分議論をさせていただきました。当時の山口総務庁長官から、国としては、内政に関する役割は思い切って地方にゆだね、地方地域における行政を広く担い、企画・立案、調整、実施などを一貫して処理していくという考え表明していただいているわけでございます。これは非常に重要視しなきゃいけない考え方だ、このように私は思うわけでございますが、この国と地方との役割分担についての基本的な御認識、これを総務庁それから推進委員会事務局にお伺いしたいし、その認識に立って、第五条のいろいろな分権に対する国の取り組みについての考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 中西績介

    中西国務大臣 地方分権推進法の二条、四条に規定されておるとおり、国と地方公共団体との関係につきましては、共通の目的である国民福祉増進に向けて相互に協力する関係にあるということを規定してあり、国としては、内政に関する役割を思い切って地方公共団体にゆだねる、国が本来果たす役割を重点的、効果的に担うとともに、地方公共団体は、住民に身近な行政住民に身近な地方公共団体において処理するという観点から、さきの山口総務庁長官が言われましたように、地域における行政の企画・立案、調整、実施などを一貫して実施する役割を広く担うべきだということを確認できると思います。  こうした考え方に沿いますと、地方分権推進については積極的に取り組んでいかなくてはなりません。地方分権推進法第五条に定める権限移譲や国の関与、必置規制の整理合理化などを推進する必要があるということを認識をいたしております。
  45. 東田親司

    東田政府委員 当委員会が、昨年の十月に部会が発足するに当たりまして、部会に新しく配属になります専門委員の先生方に、親委員会としての国と地方役割分担についての考え方を示さなければならないという考えに立ちまして、「行政分野課題審議に当たって留意すべき事項」というのを取りまとめまして公表したわけでございますが、この中におきましては、地方分権推進法第四条の規定と同様に、国の役割は、重点的に担うということと、地方の役割は、地域における行政を主体的、総合的に担う主体であるという考え方を示しております。  それから、昨年の暮れに諸井委員長が記者会見で示しました委員長見解の中におきましては、一歩進めた点がございまして、これまで全国的な規模、視点で国によって行われてきた施策、事業であっても、国はナショナルミニマムの維持達成等に係る基本的な事項を重点的に担うものとし、地域に関する行政は広く地方団体が担うものとすることとしておりまして、国の役割を重点化することにつきまして、一歩進めた見解を示しているところでございます。  したがいまして、委員会としては、第五条で制度課題、分野別課題等が示されておるわけでございますけれども、この審議に当たりまして、以上申し上げました委員会としての考え方を踏まえて取り組んでいる次第でございます。
  46. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 国と地方との役割を明確にするということは、本当に大変大事なことだというふうに私ども思っております。特に地方が、企画から実施まで総合的な行政がやれる地方自治体でなければならない、今そういう段階に来ておるということを、もう関係者の皆さん全部、よく肌身で感じておられることだというふうに思います。  戦後、例えば離農して農村から都市にどんどん人口が移っていった、そういう大きな社会的変動がいろいろございました。しかし、今日はもう落ちついていいのではないか、このようにも思うわけでございますが、相変わらずやはり地方は元気がないという感じがいたします。人口の減少ももうぎりぎりのところに来ているはずなんだけれども、なおまだ人口減少傾向にある市町村というのが全国的には過半数だろう、このように思います。  それを唯一救うのは、もう国の施策ではないと思います。やはり自分たち、住んでいる住民が、みずから自治意識を持って自分たちの地域課題に取り組んでいく、そういう仕組み、姿勢がとられて初めて、私は、地方の活力の再生が唯一図られるのではないか。その意味でも、分権自立というのが大変大事な段階に来ておるというふうに私自身認識をいたしておるわけでございます。  次に、立法権との関係でございます。  いわゆる立法権は唯一国会にあるわけで、分権化が図られても、いわゆる法律は国の方でつくられるわけでございますので、何かまたいろいろ地方をコントロールするような法律案が出されてくるのではないか。地方分権が進んでいく過程の中で、今後の国の立法のあり方と、地方の条例を含む立法のあり方との関係、この辺について、いろいろ自治省で議論されておられるのではないかと思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。  地方制度調査会の答申でも、法律は制度の大枠的なものだけを定めて、制度内容は条例で規定できる仕組みにすべきであるということがうたわれておるわけでございます。これは私ども議会とも関連しますので、我々議会も、やはり分権を阻害するような法律については厳しくチェックしていかなければいけないというふうにも思うわけでございますが、この点について、自治省あるいは推進委員会事務局でも、御検討があっておれば、ひとつ御見解を賜りたいと思います。
  47. 松本英昭

    ○松本政府委員 ただいま委員指摘の、いわゆる立法に係る分権の問題、これは基本的に大変重要な事項だと私どもも心得ております。  ただ、御承知のように、憲法におきましては、国会がいわゆる国権の最高機関ということでございますから、これには当然の制約があるわけでございます。いかにしてこの制約のもとで地方の自主立法権というものを生かしていくか、これが課題であろうかと考えているところでございます。  したがいまして、ただいま委員指摘になりました、例えば、国会はできるだけ大枠的な、大綱的なものにとどめて、その中身については地方の自主的な立法にゆだねていく、そういう方向が一つありまして、これは今御指摘になりました地方制度調査会でもそういう指摘をいたしておるわけでございます。  いま一つは、国の立法がありましても、国の立法と異なる内容の条例というものをある程度広く制定できるようにしていく、あるいは、国の立法の適用を除外するようなことができるようにしていく。これはいずれも当然国の立法の中にそういう位置づけをしておかなければできないわけでございまして、そういうことを広く認めていくことによって、いわゆる国の立法と分権システムにおける自治立法権というものの調和と調整が図られる、そういう方向もあろうかというように考えております。  そういうことも踏まえまして、私どもも、地方制度調査会等の御意見も踏まえて、できるだけそういう方向が望ましいという考え方は持っているところでございます。
  48. 東田親司

    東田政府委員 先生御指摘の法律と条例の間の関係になろうかと思いますが、この点につきまして、ただいま自治省さんの方で御答弁のありましたような御意見の開陳はございましたけれども、本格的な議論はしておりません。
  49. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 アメリカは連邦制ですから、そのまま直接の適用をするということはできないと思います。御承知のとおり、アメリカは、むしろ連邦の中央政府の役割が限定されていて、あとは全部地方政府だというふうな形になっておるわけでございます。連邦政府はどういうことをやるかというと、マンデートというのですか、いわゆる環境基準とか福祉基準とか、かなり思い切った基準を打ち出す。それは、州政府中央政府にとって努力目標みたいな形で、必ずしもそれがクリアされてはいないけれども、そういう国家としての一つの斬新な思い切った基準を打ち出していくというようなことがなされておるわけでございまして、何かそういう関係が、日本の国と地方との関係でも一つ求められるのではないか、このようにも思うわけでございます。  次に、もう時間がございませんので簡単にお聞きしますが、推進法の第六条の関係で、地方分権化に伴う地方税財源充実確保という問題でございます。  基本的には、現在の地方の歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するというのが基本だ、このように思いますけれども、現時点では、何か大蔵省などは、今国の財政も厳しいし、なかなかそこまでの検討に入れないというような状況のようでございますし、また、分権の中身がわからないと財源配分も決められないじゃないかというような議論もあるかに聞いております。  しかし、やはりこれは表裏一体のものでございますので、ひとつこの辺についても、自治省を中心にされまして検討されておられるのだろうと思いますが、特に自治省には地方財政審議会というものが設置されておるわけでございますので、せっかくこの審議会があるのですから、こういう審議会を活用して自治省としての考え見解を早くまとめられるべきではないか、このように思うわけでございます。  分権と絡んでの地方税財源充実確保、この点についての自治省の御見解を承りたいと思います。
  50. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、地方分権推進する、あるいはそれが実現されるためには、基本的に、地方団体がそれぞれの地域で自主的・自立的にいろいろ仕事ができ、住民に身近な仕事は地方団体がやれる、そういう意味で、権限移譲と同時に地方税財源の安定的な確保というものが必要だと私どもも思っているわけであります。  先般の税制改正で、地方税源の充実という観点からまさに地方消費税を導入いたしたところでございますけれども地方分権推進に当たって、やはり国と地方役割分担に応じた地方税財源充実強化ということが不可欠であるということは、御指摘のとおりだろうというように私ども思っております。  方法論としては、やはり地方税の充実強化というものが基本になると思いますけれども、弱小団体が多いというようなことも考えれば地方交付税充実強化というものも必要でありましょうし、御指摘のありました権限移譲でありますとか、それから国庫補助金整理合理化といったようなものも考えていけば、国から地方への税源の新たな移譲というものも考えていただくということが必要ではないかというように思います。  私も、先般地方分権推進委員会に出席をいたしましてそのような考え方をお伝え申し上げたわけでありますが、今後も、御指摘にありましたように自治省の組織の中にも地方財政審議会というようなものもございますし、毎年答申もいただいておるところでございますし、委員会審議過程あるいは地方団体の御意見関係する審議会や委員会等の御意見もよく聞きながら、最大限の努力を払ってまいりたいというように思っております。
  51. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 具体的には、地方団体から、これも報告書に出ておりましたけれども、奨励的補助金の半分、二兆円について、財源移譲地方交付税化により一般財源化すべしとの提案も行われておるということでございます。  それから、自治省自体の分権化への取り組みといいますか、例えば先日の、ここではなかったですが、ボランティア休暇の扱いについても、ちょっとこれは分権化とどうなるかなという感じを持たせていただきました。  それと、分権化と絡んでの地方債の許可制度についても、これはもっと積極的に、信用力の問題があるのでやはり許可制度というのは必要なんだということになると思うのですけれども、例えば共同調達機構とか、そういう前向きな形で地方債市場というものを育成していくということもこの分権化の中で必要な取り組みではないか、このように思っておるわけですが、自治省御自体の分権化ということについてはどういうふうにお考えか、お聞かせいただきたい。
  52. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 自治省自体の分権化という意味であれば、我々としても全く御同感でございまして、私ども、やはり自治省は範を垂れて分権化のために進んでいかなければならないというように思っております。  ただ、御指摘のありました地方制度でありますけれども地方制度というものを単体として考えるということではなくて、日本の今の地方財政制度の中で、地方債の許可制度というのがどういう機能を果たしておるかということを考える必要があるわけであります。  日本の地方財政は、時間がありませんので簡単に申し上げますけれども、戦後の中で大変国の財政に比べて貧弱であったというようなことから、地方財政計画あるいは地方計画地方交付税制度というような制度の発展の中で、地方債の許可制度というのも機能をしてきたわけであります。  地方債の許可制度が、単に許可をするだけということではなくて、御質問の中にもありましたけれども、許可を通じて地方団体に、何といいますか、信用を与えて、そして金融機関から地方債で借りやすくすることでありますとか、例えば政府資金でありましても、個別の市町村が財務局や郵政省に行って頼まなくても、総合的に、一元的に中央政府資金の配分管理ができるであるとか、それから、元利償還については地方財政計画の公債費に乗せましてこれの財源保障をしていくとか、そういう機能が付随をしてついているわけでありますので、これは、地方分権になりましても地方団体にとっては今申し上げたような機能が必要なわけであって、それと許可制度というのが切り離せるのかどうか、そういったことをやはりこれから真剣に検討をしていかなければならないのではないかというように思っております。  地方債の許可制度自体は弾力化、簡素化というような方向でずっと来ておりまして、平成四年からは全面的に枠配分方式ということにしております。大綱方針の中でも、許可制度については、弾力化、簡素化を図るとともに、発行条件の整備を図っていくことを基本とするということになって、そういう方向自治省としても検討を進めているところであります。  もちろんその中には、御指摘のありました資金の共同の調達機構といったようなことも重要な検討課題になろうと思いますが、いずれにしても、現在地方分権推進委員会で御審議がされておりますので、関係方面の御意見伺いながら、幅広く検討をしていきたいというように思っております。
  53. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 では最後に、推進法七条の関係、いわゆる分権化に対応した自治体行政体制の整備、確立という点でございます。  いろいろありますけれども、その中で、特に外部監査制度委員会の中でも議論が出ているように思いますが、やはりこの導入について積極的に考えるべきじゃないかというふうに思うわけでございまして、この点について自治省のお考えをお聞きしまして、質問を終わらせていただきます。
  54. 松本英昭

    ○松本政府委員 外部監査制度につきましては、既に平成六年十一月の地方制度調査会の答申におきまして、外部監査制度について導入を検討するという答申をいただいております。それを受けまして、現在地方制度調査会において、外部監査制度の導入等監査機能充実強化ということについて審議をいただいているところでございます。  審議の中身は、メリットの面、それから検討すべき点、いろいろございまして、現在まだどちらというふうな結論は出ておりませんが、この二十四次の地方制度調査会が四月の末までになっておりますので、それまでにどこまで審議を進めていただけるか、私どももその方向を注目をいたしているところでございます。
  55. 山崎広太郎

    ○山崎(広)委員 どうもありがとうございました。
  56. 月原茂皓

    月原委員長 穀田恵二君。
  57. 穀田恵二

    ○穀田委員 自治大臣所信表明で、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会を実現し、こういうことで書かれていまして、地方公共団体自主性自立性を強化していくことが必要だ、こうした見地から、地方分権を積極的に推進地方自治の一層の充実発展を図ることは現下の重要な課題だということで、とりわけ地方公共団体自主性自立性、そしてそのことが地方自治の一層の充実発展になることは大事だというお話がありました。こうした地方自治についての考え方につきまして、きょうは具体的事例で質問をさせていただきたいと思います。  米軍用地の強制使用の代理署名をめぐる職務執行命令の訴訟が行われているわけですが、御承知のとおり、総理大臣が県知事を訴えた裁判で、地方自治法第百五十一条の二第三項の規定に基づくものとされています。現に行われている裁判ですから内容に触れるのは避けますが、私は、審理が公正に行われ、かつ国民のいろいろな疑問やその他についてこたえられるものとする上で、特に十分な審理の時間が必要だ、大事だと考えています。  このことと関連して、地元の沖縄タイムスなどの新聞によりますと、福岡高裁那覇支部は、知事の尋問を当初の二月二十三日から三月十一日に変更した、当初の日程では県議会と重なり知事出廷が不可能とし、期日変更を求めていた県側は、県民世論を考え結論だ、こんなふうに評価したと言っています。さらに、国側が知事の本人尋問の日程が延びたことは残念だと述べたと報道しています。  さらにこの問題で私聞きたいのは、国はこの裁判を延期することに反対という意見書を提出したとまで報道されているのですが、大臣はこのことを承知しておられますか。
  58. 倉田寛之

    倉田国務大臣 そのような事実につきましては承知しておりませんでした。
  59. 穀田恵二

    ○穀田委員 知らなかったとおっしゃるとは、残念ですね。  では、概要を言いますと、今お話ししましたように、二月二十三日に審理が行われる、そしてその際に知事の尋問を裁判所が行う、これに対して、県側は当初県議会があるのでそれは延期してほしい、片や国の方はそれはならぬという態度を表明したということなのですね、経過は。ですから、そういうことについては、今この事実をお話ししたわけで、大体おわかりかと思うのですけれども、そういう問題に対して自治大臣は、地方分権という立場から考えてどういうふうにお考えですか。
  60. 倉田寛之

    倉田国務大臣 既に訴訟係属中の具体的な事案でございますので、当否につきましては、コメントを申し上げることは差し控えたいと存じます。
  61. 穀田恵二

    ○穀田委員 裁判の中身だとか審理の中身について言っているのではないのですよね。それはおわかりいただけると思うのですね。  つまり、もともと二十三日の大田知事に対する尋問は、今お話ししましたように、県議会の代表質問があるから出廷は困難だと主張しているのですよ。そこを見ていただきたい、考えていただきたいのです。もともとそういう意向を無視して決めた問題はいろいろあろうと思うのですけれども、県議会があるから審理は別の日にしてほしいという県側の主張についてどう思うかということをお尋ねしているのです。
  62. 松本英昭

    ○松本政府委員 若干私の方からお話をさせていただきたいと思います。  私どもは、もとより地方議会の重要性については十分認識をいたしているところでございますが、訴訟ということになりますと、原告と被告がそれぞれ主張をし合って進めていくものでございまして、その間にはいろいろな経緯があり、いろいろな主張があることでございます。  したがいまして、私どもといたしまして、それをどちらにどういうふうにとか、議会がどうのこうのというようなことでコメントするというわけにはなかなかいかないのではないか、こういうふうに思っているところでございます。
  63. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、コメントするというわけにいかないのじゃなくて、事実上国は代表してコメントしているわけですから、それに対してどう思うか。では、総務庁長官
  64. 中西績介

    中西国務大臣 この問題につきましては、職務執行命令訴訟に係る尋問の日程の問題ですから、訴訟指揮は裁判所において決定される事柄でありますので、私当事者の立場にありませんので、総務庁としてのコメントをすることは適当でないと私は思っています。
  65. 穀田恵二

    ○穀田委員 大体わかりました。私コメントするわけにいかぬとかいう話だと、ちょっとまずいと思うのですよね。  つまり、双方が主張しているとか裁判の中身について言っているのじゃなくて、日程の問題について言えば、自治大臣も県議会出身でございますのでよく御承知のとおり、大体この時期というのはどこの自治体も予算議会を開催する時期ですよね。沖縄では十六日から議会が開かれる。それを、双方の言い分があったとしても、それは裁判長ないしは裁判所が決めることだというのはそのとおりですよ。  そのときに、そういう問題について意見を言う側の国の方が、そういういわば実態地方議会が行われるということを知りながら、そういう者について出てこい、ないしはそういう日程をずらすことについて反対だとする意見を出すことについては問題じゃないか。だから、そうすると国の方は、知事が議会に出なくてもよいと言っていることと同じだと思うのですね。そういうことの書かれた意見書を当然とお認めになるのかどうかというふうに聞いているんですよ。それはいかがですか。
  66. 松本英昭

    ○松本政府委員 この事案につきましては、いわゆる職務執行命令訴訟でございまして、国の機関としての内閣総理大臣でございます。国の機関としての内閣総理大臣と国の機関としての、これはまあそこは争っておられるわけでございますが、知事とが、いわゆる機関訴訟としてやっておられることでございます。したがいまして、国の機関としての立場の総理大臣の出されました意見、その意見書の内容について他の機関がコメントをするということはいかがなものであろうかと考えているところでございます。
  67. 穀田恵二

    ○穀田委員 他の機関がというのじゃなくて、私は、だから自治大臣に聞きたかったけれども、今まで地方分権、それから地方自主性自立性と言っているときに、そういった問題について、客観的に見ればどう考えても議会が行われる時期だとわかっている。そうしたところでいえば、知事が議会に出なくてもいいというようなことに結果的になる問題について意見書が出されている、この事実に対して何にも言えないというのでは、ちょっと、地方分権だとか地方自治だとかいう場合に、同じ機関が言っているからそれは差し控えるという、大臣もそういう趣旨ですか。大臣も同じ趣旨ですか。
  68. 倉田寛之

    倉田国務大臣 本件の訴訟につきましては、裁判所の訴訟指揮にかかわる事項でもございますし、私は言及する立場にはございません。  いずれにいたしましても、本件訴訟につきましては適正な裁判を期待をいたしているところであります。
  69. 穀田恵二

    ○穀田委員 適正な裁判を期待しているわけですから、だからそういうことからしておかしいんですよ。適正な裁判を今大臣は期待しておられると、ですよね。だから、私言っているのは、そういう意味でいうと、地方自治地方分権にかかわる問題からいろいろな形で御発言があってもいいんじゃないか、ましてや大臣は県議会も御経験なすっている地方自治のいわば重要なお人柄である、そういう方として見た場合に、この問題について、やはり一定の御見解を持つのは当たり前じゃないだろうかと思っているわけなんですね。  しかも、今お話あったように、適正な裁判が行われるということからしても、私は知事がきちんと県議会にも出席し、同時に裁判の訴訟のところにも出席をする、両方やるのが望ましいんじゃないですか。そういうふうに思いませんか。そういうことについてもやはりコメントをお避けになりますか。
  70. 松本英昭

    ○松本政府委員 委員の御指摘は、恐らく、意見書を提出したことについてどう思うか、こういうお尋ねだと思うのでございます。これは恐らく意見書も、先ほども申し上げましたように、それぞれの経緯がありまして、そしてその当日のいわゆる口頭弁論、知事尋問について、それぞれ国の機関として、国のお立場から、原告という立場から意見書をお出しになったのだと思うわけでございます。  したがいまして、それは国の中の機関の一つの意思表示として、他の行政機関の方でこれをどういうふうに考えるかということについては、やはりコメントを差し控えるべき問題ではないかというように考えているところでございます。
  71. 穀田恵二

    ○穀田委員 押し問答を続けても、どうも大臣はお話しにならないようですから。私、前回も、これは場所が違いましたけれども地方行政委員会のところでも質問させていただきましたけれども、やはりこういう問題に関連して、地方自治を守るという立場ないしは地方分権推進するというお立場から、一定のみずからの御見解をお示しになるということがあってもいいと思うのですよ。そういう政治家として、立場を私は明らかにしていただきたいなと思ったところです。  しかも、これはなぜこんなことを言っているかといいますと、御承知のとおり、適正な裁判が行われることを望むと言われましたけれども地方自治そのものが問われているという面もあるわけですね。ですから、そういうものに関連して、もっと大臣の方からいろいろな意見がそういう経過の中にも、もっと適正な形で行われるように御意見を述べていただきたいなと思ったところです。これは御意見がどうも違うようですから、きょうはこの程度にしておきます。  最後の問題は、震災問題について一言だけお聞きしたいと思います。  自治大臣は、阪神大震災の復旧、復興に関する問題について、被災地を特に訪れられて、共同仮設店舗だとか仮設住宅などを視察されたと報道されておられます。現地に赴いての、被災地と被災者の現状に対する率直な感想をお話しいただければと思います。
  72. 倉田寛之

    倉田国務大臣 阪神・淡路大震災から一年が経過をしたわけでございますが、現地を視察させていただきまして、改めて災害のすさまじいことを認識いたしますとともに、本格的な復興の取り組みに対しまして、政府一体としてなお一層の支援が必要であろう、こう実は痛感をしたところでもございます。  特に、仮設住宅に入居しておられます被災者の方々が一日も早く恒久的住宅にお移りいただけるよう具体的な対応策を講ずるべきではなかろうか、中でも高齢者の方々に配慮した公的住宅の供給についても工夫をしていくことが必要であろう、このように感じたところでございます。  なお、自治省といたしましては、さきに復興事業が円滑に実施されますように、土地区画整理事業及び市街地再開発事業につきまして特別の地方財政措置を講じることとしたところでございますし、さらに住宅問題につきましては、関係省庁と連携をとりながら検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。  今後とも、被災をされました地方公共団体の実情につきまして、県などを通じて十分に把握に努め、行財政運営に支障が生じることのないよう適切に対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  73. 穀田恵二

    ○穀田委員 被災地の実態はどうかということで、今お話がありましたように、なお一層の支援が必要だと。これはぜひ頑張っていただきたいと思うのですが、実態はどうかということを少し私は私なりにお話をして、最後に一つだけ支援の具体的な問題についてお聞きします。  今、なお一層の支援が必要だというふうにおっしゃられましたけれども、実際にはいろいろな援助が打ち切られているのが実態なんですね。例えば生活保護がなかなかとれないだとか、それから医療に対する援助が打ち切られるだとかということがあります。お話があった仮設住宅の暮らしの方々からは、寒くて暮らせない、それから中央地方の温度差があって、救援は終わったと思っているのじゃないか、こういう御意見もあるし、自殺者が後を絶たないとか、こうなってきています。  地方自治体としても困難を抱えているということで、ついせんだっては超党派の芦屋だとか川西、その他の多くの地方自治体の議員が来られまして、こんなふうに緊急アピールも出しています。   生活の最も基礎条件である〝住〟の問題解決なくして市民生活の安定はあり得ず、震災復旧そのものも成り立ちません。   また、復興事業計画を策定した自治体財政にしても、桁はずれに膨大な財源を要するため、国の強力な援助なしにはこれも実行できないことは自明の理であります。こう言っています。こういう点では、先ほどいろいろな御援助をなさるという話がありましたが、あわせてこうも言っています。「住専処理に充てる政府資金が何故被災者対策に充てられないのかという率直な意見は、あながち不自然だとも思えません。」こうも言っておられます。  これはまあさておくとして、最後に一つ聞きたいのは、具体的に平成八年度以降の交付税の基準財政需要額の算定の基礎となる平成七年度の国勢調査人口は、震災の影響により平成二年度国勢調査人口に比して大幅に減少しています。このままでは交付税の減額は必至です。従来のそういう人口急増や急減補正のやり方のみで対応していたのでは間尺に合わぬのじゃないか。私は、そういう意味で特例措置を講ずるべきと思うのですが、その点だけ大臣に御意見をお伺いしたいのです。
  74. 遠藤安彦

    遠藤(安)政府委員 交付税の具体的な算定方法ですので、私から御答弁をすることをお許しいただきたいと思います。  御指摘のように、平成八年度の普通交付税の算定につきましては、既に七年の国勢調査人口が公表されておりますので、算定の基礎となる測定単位については、従前使っておりました平成二年の国勢調査人口から平成七年の国勢調査人口に置きかえて算定することになるわけであります。ただ、これも御質問にありましたように、被災団体の中には、この五年間、特に震災後その影響が大幅に出て、国調の人口が減少をしているというところがあることも承知をいたしております。  私ども、一般的な算定におきましては、いわゆる人口急減補正というものを適用いたしておりますが、その後、炭鉱の閉山でありますとか、一時に人口が急激に減るというような団体が出てまいりまして、そういった団体財政需要の激変緩和のために短期の急減補正というものを適用いたしておりますので、今度の場合についてもこういう物の考え方というものを適用していくべきではないかなというように実は思っておるわけであります。  ただ、大都市でありますとか、非常に大きな団体を含んでおりますので、従来のそういうやり方で十分であるのかどうか、そういった点については、これから各団体財政運営の実態あるいは特に住民基本台帳の実態、動向、そういったものを調べて今後検討してまいりたいというように思っております。
  75. 穀田恵二

    ○穀田委員 一言だけ。  今言われましたように、国勢調査なんかでいうと十数%落ち込んでいるなんという実態もあるのですね。ですから、そういう実態をよく見ていただいて、それは可能な限り手だてを打っていただきたいということを申し述べて、終わります。
  76. 月原茂皓

    月原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十四分散会