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吉田(公)
委員 バブルの崩壊で実際迷惑しているのは
国民と中小零細企業でありますが、倒産件数も非常にふえている。
政府は明るい見通しができたなんていったって、いまだに失業者二百万以上、第一、高等学校を卒業してまだ就職ができない人が七万人いる、そういう
状況でありますから、これから中小企業の運営についてはますます厳しくなるわけでありますね。しかも、五年間で六十兆円という
お金を
景気対策に出しているわけだ。
問題は、倒産をするから貸さない、要するに審査を厳しくする。それは、
金融機関として審査が厳しいということはよくわかるんですけれ
ども、しかし、中小企業、零細企業が最後に飛び込む、要するに人助け寺みたいなものだよ。駆け込み寺みたいなものだから、やはり具体的には、保証協会や都市の
金融機関みたいなことを言っていたのでは、第一条の「
目的」にも合わないわけだ。
要するに、貸し倒れ率というものをできるだけ圧縮しよう、少なくしようと思うからそういうことになるわけで、要するに厳しい貸し出しをしろ。これは、銀行
局長の通達で、「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」は、「取立て行為の規制」の中で、「
法律上支払義務のない者に対し、支払請求をしたり、必要以上に取立てへの協力を要求したりしてはならない」と明記しているんだけれ
ども、
国民金融公庫の何か内部資料があるようでありますが、この銀行
局長通達に抵触しているのではないかというようなことが言われているわけですね。
そういう点は、
景気対策だと思えばいいわけだから、六十兆円の
お金を
景気対策に使っているんだから、中小企業、零細企業の育成を助けてやるためには、多少の危険率があってもやむを得ないんじゃないでしょうかね。それが
国民金融公庫だと思う。
しかも、
景気対策に六十兆円も使っているわけだから、一兆円や二兆円の
赤字が出たって、そんなの中小企業が育成して元気になって頑張れば
税収入も上がってくるし、
日本の
経済も活性化していくんだから、どこかに中小零細企業の抜け道をつくっておいてあげないと、もう行きどころがない。最後はサラ金しかない、
国民金融公庫の次にはサラ金しかないということですよ。だから大蔵当局も、
国民金融公庫については、貸し倒れ率を厳しくやるというようなことでなくて、
景気対策の一環としてこれから融資をしてもらいたいと思うのですね。
つまり、
国民金融公庫は延滞率二・二%である。
国民金融公庫では、元金、利息、いずれでも三カ月以上延滞すると延滞債権と呼ぶ。つまりチェックされるわけだ。ところが銀行は六カ月だというんですよ。銀行のように六カ月以上たたないと延滞債権として見ないということになれば、わずか一・九%でしかない、この数字が。だから銀行よりずっと貸し倒れが少ない。バブル以前の銀行も、少なくとも公表された限りでは一%以下だった、こういうんですね。
国民金融公庫が異常なのではなくて、バブルに踊った銀行経営者が異常だった。
国民金融公庫はなぜバブルに狂うことがなかったのかといえば、それはつまり、公庫の取引相手がバブルの恩恵に浴さない零細企業であったから今の都市銀行みたいな被害に遭わなかったということなんですね。
そのこと自体は大変結構なことなんで、ぜひ
国民金融公庫、最後の——私
どもによく助けてくれませんかと来るわけだ。だけど、助けてくださいといったって、自分で
お金を貸してあげるわけにいかないし、結局、銀行に行ったって最初からだめで我々のところへ相談に見えるわけで、私たちだって何とかしてこの人たちも助けてあげたいと思うから依頼されるわけだけれ
ども、ぜひひとつ、三カ月たまったらもうだめだ、おまえのところはチェックするぞというのではなくて、つまり
景気対策の一環として、中小企業が活性化しなければいずれにしたって
税収入だって上がらないわけだから、そういう
意味でぜひひとつお願いをしたい、こう思っております。
もう
一つは、今度住専問題で無税償却というのがあるわけですけれ
ども、無税償却ということは、例えば百億円の担保物件だった、ところが今三十億円になっちゃって、七十億円というものは
赤字になっちゃった。そうすると、七十億円というものを銀行は無税償却できる。三十億だけ
確保した。だけれ
ども、不良債権が七十億円残ってい
るんだけれ
ども、これを無税償却しちゃった。
ところが、無税償却をしても、銀行が今度は、住専の先の建設業界やマンション業者や不動産屋さんに
お金を貸しているわけだから、その回収債権というのは全部銀行が持っているわけだよ。だから、
政府や何かには、いや私
どもは七十億円無税償却しましたなんといったって、今度は住専から先の取り立てを銀行ができることになっているわけだ。あの会社は徹底して取り立ててやろう、この会社も徹底して取り立ててやろうと。七十億円の債権回収権というものは銀行が持っているわけでしょう。
そうすると、住専から先の、
お金を借りた建設業でも何でも、それじゃ、ひとつ倒産をしなければ償却にならないということになってしまうんですけれ
ども、その点、七十億円の無税償却だけで終わらせていいものかどうか、最後に御答弁をいただきたいと思うんです。