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1996-06-03 第136回国会 衆議院 金融問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月三日(月曜日)     午後五時二十二分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 小里 貞利君 理事 尾身 幸次君    理事 大島 理森君 理事 小沢 辰男君    理事 森本 晃司君 理事 早川  勝君    理事 錦織  淳君       伊吹 文明君    石橋 一弥君       金子 一義君    木村 義雄君       岸田 文雄君    栗原 博久君       小杉  隆君    中村正三郎君       原田昇左右君    穂積 良行君       堀之内久男君    松下 忠洋君       横内 正明君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    江田 五月君       加藤 六月君    鹿野 道彦君       笹川  堯君    鮫島 宗明君       西  博義君    野田  毅君       平田 米男君    冬柴 鐵三君       坂上 富男君    田中 昭一君       永井 哲男君    細谷 治通君       田中  甲君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         国土庁土地局長 深澤日出男君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         大蔵省主計局次         長       伏屋 和彦君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         郵政省貯金局長 木村  強君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君  委員外出席者         議     員 保岡 興治君         金融問題等に関         する特別委員会         調査室長    藤井 保憲君     ――――――――――――― 委員の異動 六月三日  辞任         補欠選任   柿澤 弘治君     小杉  隆君   野呂田芳成君     松下 忠洋君   北側 一雄君     西  博義君   村井  仁君     冬柴 鐵三君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     柿澤 弘治君   松下 忠洋君     野呂田芳成君   西  博義君     北側 一雄君   冬柴 鐵三君     村井  仁君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  特定住宅金融専門会社債権債務処理促進  等に関する特別措置法案内閣提出第三五号)  金融機関等経営健全性確保のための関係法  律の整備に関する法律案内閣提出第九四号)  金融機関更生手続特例等に関する法律案  (内閣提出第九五号)  預金保険法の一部を改正する法律案内閣提出  第九六号)  農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する  法律案内閣提出第九七号)  特定住宅金融専門会社が有する債権時効の停  止等に関する特別措置法案保岡興治君外五名  提出衆法第三号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案金融機関等経営健全性確保のための関係法律整備に関する法律案金融機関更生手続特例等に関する法律案預金保険法の一部を改正する法律案農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び保岡興治君外五名提出特定住宅金融専門会社が有する債権時効停止等に関する特別措置法案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、明四日火曜日午前十時から加藤紘一君、午後一時十五分から全国銀行協会連合会会長橋本俊作君、東京国際大学経済学部教授田尻嗣夫君、慶應義塾大学経済学部教授池尾和人君、午後四時から全国農業協同組合中央会常務理事高野博君、弁護士清水直君、東京大学名誉教授館龍一郎君、以上七名の方々に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。安倍基雄君。
  5. 安倍基雄

    安倍(基)委員 冒頭でありますが、先日北側委員からの質問で資料要求の、資料というか覚書といいますか、今度の、ノンバンク住専とは同じだけれども、何で住専だけに公的資金導入するのかということについての統一見解文書提出してくれという話になったわけでございますが、文書は参りました。  この点につきましては、これでは全く不十分である。この点につきましては、北側委員が恐らく五日の日でも改めて立っていろいろ論議するということになると思いますので、きょうは触れないでおきます。  まず、この前、総理に、かつての決定が長い目で見て、後から考えてみて果たしていい決定であったかどうかということについて我々はよく考えねばならない、現在において行け行けどんどんとやっても、これを振り返ったときに果たしていい結果をもたらすかということについて十分考えねばならないという一点を申しました。すべての政策は長期的な見通しの上にやらないと、国家国民に非常に大きな災害をもたらすという点でございます。これとともに、私は、長期的見通しとともに必要なことは国際的な視野における決定だと思います。  この二点をまず中心にして考えておりますけれども、余り時間が、私は五十九分、一時間でございますから、二時間ゆっくり質問する予定の題目を若干はしょりまして、まず最初に、この金融四法と住専法案と大きな矛盾を持っておる、対立を持っておる。同時に提出する、まあ住専法案だけのときは我々はこれはどうかということでございましたけれども金融四法が出てきて、まさにはっきりした矛盾が出てきたわけでございます。  二つ矛盾を私は指摘したいと思いますけれども一つは、いわば金融四法においては法的手続というものを前面に押し出している、ところが住専処理はそうではないという点が一つでございます。  それからもう一つは、住専法案を提案するときに、いわば金融システム安定のためということを言われました。しかし、そこで言われたのは、最終的には非常に系統が弱い、そこの預金者がどうなるのかということに問題が収れんされたわけでございますけれども、私はこの貯金保険法を見ますと、保険料は、預金保険が七倍というのに二・五倍となっておりますね。これはどういう理由でございますか。例えば相援制度があるとか、そういったことが含まれると思いますけれども、それについて農林大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 大原一三

    大原国務大臣 預金保険が七倍で、こちらが二・五倍となっているわけでございます。普通保険については、これまで単協でいろいろ事案が起きたわけですが、大体五倍ぐらいの確率で起きるであろうという前提で一・五倍にいたしたわけでございます。それから特別保険料の方は、御存じと思いますが、一千万円以下のカバーが八割程度水協もあるいはまた単協の方も。そういうことで一倍、こういうことにしたわけでございますが、なお細かい数字について、よろしければ事務局からお答えさせていただきます。
  7. 安倍基雄

    安倍(基)委員 細かい数字は要りません。  私がここで質問していますのは、貯金保険法においては、いわば系統は比較的安全である、倒さない。更生手続の申し立ても、信組あたりについてはするけれども系統においてはやらない。つまり、そこの根底には、基本には、いわば系統は比較的安定している、安全だという思想がはっきりとあらわれているのです。これは絶対に倒さないよ、これは安全だよと。ところが住専処理法案においては、これは系統が危ないからやるんだということ、金融システム安定のためにというのを表へ出しているのです。この矛盾について農林大臣はどうお考えになるか。これは事務方意見は要りません、全く二つの対立した考えでございますから。この点についてお答え願いたいと思います。
  8. 大原一三

    大原国務大臣 この点については、何回も申し上げましたように、系統が危ないからというので今回の処理案ができたというふうには我々は理解しておりません。  と申しますのは、これまでのこの決定までに至る経緯をごらんになりましても、正直に言って、何回も再建計画をしながら、お返ししますといういわばお約束をいただいて、そしてずるずる来たその結果、中身を見ますととんでもないいわゆる住専経営内容であったわけでございまして、我々としては母体責任をきつく主張したのでありますが、しかし、全体のバランスを考えて贈与という形で与党決定は協力をせろということでございますので、非常に厳しい状況の中で五千三百を供出する、こういうことでございます。  さらにまた、先ほどおっしゃった安定しているからというお話がございましたが、正直言いまして、単協系統年間利益というのは二百四、五十億であります。それから、水協が十三億程度の規模でございますから、現在千五百億ほどあるところのいわゆるこの保険料積み立て分は手つかずに現在残っているわけでございます。  それと、先ほど御指摘のありました相援制度にも四百億くらいのリザーブがありまして、それを十年がかりでさらに四百億ふやそう、こういう仕組みになっておりまして、この程度なら何とかしのいでいけるだろう、万が一事態がいろいろ変わりますればさらに引き上げを検討していこう、こういう考え方であります。
  9. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大臣、ちょっと言葉を飾らないでほしいのですけれども、私はある外人に聞きました、今度の処理スキーム。そうしたら、びっくりしているわけですよ。母体行は三兆五千億捨てる、そして一般行は三・八兆のうち一・七兆。片っ方は五兆五千億全部返す。要するにこんなスキームというのが国際的に考えられるのだろうか、通常金融マンの目から見たら非常にこれはおかしいというような意見もあったのです。  基本的には、だんだんと浮き彫りにされてきましたのは、最終的にはやはり系統に対して考えなければならぬということがだんだん浮き彫りにされてきたわけです。ところが、貯金保険法案におきましては、これは保険料もほとんど上げない、大丈夫でございますと。片っ方で、住専法案は、これはもう大変だから、農協の預金者が危ないからやりますということを言っておる。片っ方では、我々は安全ですよと言っています。  ちょっとほかに時間がございますから、今の答弁で、もしこれを議事録で国際的にばらまいたら、これは論旨一貫していないのです。この点、今まで欠けておったのは、いわゆる長期的な見通しと国際的な目と、両方から見たときにいかに今度の処理案というものがおかしく映るかという点でございます。この問題につきましてはまたやります。  二番目の、これは一番基本でございますが、いわゆる金融機関に対しては基本的には法的処理で臨む、ところが、何で金融機関でもない通常のいわばノンバンク一つである住専に対しては法的処理ではなくてこういう形にしたのかという点が一番問題なんです。  北側委員がこれからノンバンク問題が火を噴きますよと言いました。この点に関連しまして私は一つお聞きしたいのですけれども、現在発表されておるいわゆる不良債権の中で一体ノンバンク関係のものがどの程度含まれているのか、あるいは含まれていないのか、この点についてお聞きしたいと思います。これは政府委員で結構でございます。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 不良債権全体の数字は昨年の九月末で三十八兆円と申し上げているわけでございますけれども、そのうちどれだけかというお尋ねかと存じます。  これを住専とそれ以外というふうに分けて、全体としてお答えを申し上げますと、十兆円余りがノンバンク不良債権ということになろうかと存じます。
  11. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この間北側委員からお話がございましたように、ノンバンクの貸し付けというのは大体八十九兆あるわけですね。六十四兆が事業者向け、そのうち六〇%が不動産担保。つまり、銀行からノンバンクへ貸しているところの債権の不良か優良かというのは判定できるのですけれどもノンバンク自身が貸している債権がどのくらい不良化しているかということがわからないのです。  よく見ますと、住専においても、約十三兆のうち半分悪くなっている。となりますと、この間系統ノンバンクに七・七兆円、今は少しそれよりも縮まったと言っておりますけれども、その中に含まれる不良債権はわずか六百億と言っています。ただ、もしこれを住専並みの評価でもって、一体どのくらい回収できるかというのをぎしぎし積み上げていけば、ノンバンクにおける不良債権というのは、十兆円そこそこではないと思う。今持っているのは銀行からノンバンクに対する不良債権でございますから、ノンバンクそのものが抱えている不良債権というのは、八十九兆のうち、半分とまでいかないにしても、大きな単位じゃないかと思われます。ということは、この住専問題は不良債権問題の入り口であって決して出口ではない、そこをはっきりと認識していただきたい。  となりますと、ここで住専処理をこういった国費の導入あるいは第二次ロスの二分の一の国庫負担ということを決めますと、このノンバンクに火がついたときに、これはまた、ノンバンクはこの前のときに久保大蔵大臣公的資金導入しないよと言われましたけれども、その中における系統の貸し金が七兆円を超えているわけですよ。そうすると、そのまさか半分近くがもしまたあれになればこれは大変な話になる。でございますから、今回の住専処理入り口であって出口ではない。  となりますと、ここでいわば一つの例をつくると、今のところ、ノンバンクは絶対見ないよとおっしゃっていますけれども信組についてもあります。信組については公的資金導入すると言っていますけれども、この中でも、今までの要するに不良債権かどうかという基準は、住専のようにきちっと調べていってこれはこのくらいあるという積み上げをしていないのです。その意味ではこれは大変な話なんですよ。  私は、長い目で見てここでこの決断をすることが果たしていいことかどうかということは本当に疑問に思います。でございますから、我々が当初から言っております、いわば法的処理を行うこと、それによって本当に経営が立ち行かなくなりそうになれば別途手段を講じるということの方が本当に筋が通るのですよ。  大蔵大臣、まず、いわゆる金融三法において法的処理をとるということにしながら、住専についてはこういう公的資金導入をするというこの矛盾をどう考えるかということをはっきりと、事務当局ではなくて大臣の口からお聞きしたいと思います。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 まさに安倍さんがおっしゃいましたことが、今日本良債権問題を解決してまいります私ども考え方基本にあることだと思っております。つまり、この不良債権問題が、特に非常に深刻で象徴的な課題となってまいりました住専不良債権処理の問題が、長期的に日本経済の将来を見ましても、また国際的な信用という視野から見てまいりましても、早期の解決を迫られているということについては御異存のないところだと思っております。  そのような立場からこの問題を処理していかなければならない中で、私どもは、今日この巨額の不良債権を抱えるに至ってなお、金融システム安定化のために、この今日のグローバル化が進みます時代に対応し切れないでいる今の金融システムのあり方について根本的な改革をしなければならないという課題と、現実に起こっておりますこの住専問題がこれ以上先送りを許されないという課題との両面を処理していかなければならないということであって、そのことは矛盾する問題ではない、私どもはそう思っております。
  13. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これは全く答弁になっていないのですね。  プリンシプルの問題なのですよ。いわば住専処理を急ぐから、急ぐためには思い切って公的資金導入しなければいかぬというようなことは本当に原理原則の問題じゃないのです。よく新進党対案を持っていないじゃないかと言います。しかし、この金融三法のやり方が我々の対案なのですよ。法的処理でやるというのが我々の考えなのです。金融法そのものは、法的処理をすると明言しているのですよ。金融機関においてさえ法的処理をするということを主張しておきながら、金融機関でもない、預金者がだれもいない住専を何で法的処理をしないのか。  過去におけるノンバンクにおける処理幾つかございます。その例をこの前の委員会でも聞きましたけれども、重ねて聞きたいと思います。その際にどういう処理をしたか。大体修正プロラタ中心になるようでございますけれども、既にノンバンク幾つかの法的処理をしているのです。御承知のように、きょうですか、新京都信販自己破産を申し出ましたね。こういったものがどんどん起こってくる。でございますから、過去においてどういう手段をとったか。そこにおいて、私の理解するところは、それぞれ法的処理会社更生を行ったり、特別清算を行ったり、会社整理を行ったりということでございますけれども、この間の委員会でも質問いたしましたが、重ねて報告していただきたいと思います。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 まず、金融機関破綻処理はすべて法的処理をするというわけではございませんで、預金を受け入れている金融機関が破綻した場合でも、関係当事者がお話し合いをされまして、それで解決が図れればそれにこしたことはないわけでございます。現に、預金受入金融機関で完全な法的な処理をされたというものの方がむしろまれなくらいだろうと思います。  なお、ノンバンクの場合、既に法的処理をされたものということになりますと、いわゆる直系ノンバンクにつきましては五例ほどあろうかと思いますが、静信リース会社更生法の適用で処理されましたほか、大阪総合信用等三社、これは大阪銀行の例でございます。フクトクリース等六社、これは福徳銀行母体でございます。阪和リース等二社、これは阪和銀行母体でございます。兵銀ファクター等二十社、これは兵庫銀行母体でございます。そのほか、独立系ノンバンクにつきましては、日本モーゲージ特別清算を行っている例もございます。  それぞれにおきまして、いわゆる修正プロラタ方式あるいは完全プロラタ方式母体経営状況等をも勘案しながら、当事者の間で処理方式が決められている、こういうことでございます。
  15. 安倍基雄

    安倍(基)委員 もちろん金融機関の場合、話し合いで、あるいは合併とか吸収で処理できるものはそれにこしたことはない。ただ、この法案の基礎には、もしその話し合いが成立しなかった場合にはこれは法的処理でいくという基本的な思想があるはずです。これは間違いございませんね。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 関係者の間で話し合いがうまくいかなかった場合には、その場合の一つ手段として法的な処理をしやすくするというのが今回の法案の趣旨でございます。
  17. 安倍基雄

    安倍(基)委員 つまり、金融三法もしくは四法というのは、できるだけそういう当事者間の話し合いでやらせようよ、しかし話し合いが成立しなかった場合には法的処理でやろうよということを言っているのですよ。これが基本原則であり、我々新進党が言っているのも同じなのです。これがすなわちお互いに対案を出してきたのと同じなのですよ。そういう非常に異例な形である案件につきまして、いわば話し合いが成立しないところで、本来は法的処理にいくべきところを特別のいわば介入というか行政判断を含めてこういう処理にしましょうという話になっているのです。  でございますから、住専処理は緊急を要するから法的処理にしなくてみんなの話し合いでやったということは理屈になっていないのです。金融三法こそ原則なのです。大原則なのです。それに対して、住専処理はまあ鬼子みたいなことになるわけです。そこをしきりと自民党の方は対案を出せ出せと言いますけれども、まさに対案がそれなのです。そこで、もし本当に経営困難になれば預金者の保護のために出動するというのは一つ考えです。預金者に対して要するに財政を投入する。  ここで金制調、いろいろ議論がございましたね。最終答申では住専の問題がうまく書かれています。書かれているというのは、政府与党決定どおり書いてあります。しかし、中間段階で果たして住専公的資金導入議論がされておるのか。非常にあいまいな形で、金融機関が危なくなったときにはある程度いわば公的資金導入考えられるという議論に対して、また反論があった。北側委員も指摘しておりましたけれども。  そういう意味で、私はこの金制調答申を見ると、途中までと住専処理で全くフィロソフィーが違っているのです。というのは、政府与党決定をそのまま受けて最終答申をやっている。それまでの過程では、いわば公的資金導入考えていなかったと思わざるを得ない。やはり自己責任原則なのだということです。  もう一度、まず大臣に聞きますけれども金融三法におきましては、一般原理原則においては基本的には法的処理というのをうたいながら、いわば住専にだけ新しい法律をつくってこういう処理をした。急を要する、急を要すると言いますけれども、これからノンバンクの問題が起こってくるのです。その意味で、そのはっきりした理由、どうして原理原則がこうなのに住専だけに特別のいわば公的資金導入考えたか、そこをきちっとお答えください。
  18. 久保亘

    久保国務大臣 何回もこれまでもお答えをしてきたのではないかと思っておりますが、金融三法あるいは四法と言われますものは、この不良債権の実態、特に住専問題のもたらす深刻な影響などを考えながら、今まで金融システムの安定のために、十分にこの破綻処理等を含めてこれらの問題に対応し切っていない、そのことを教訓に学びながらどのようにやっていくかということが今日私どもに課せられた重大な課題であるという立場から、金融関連の新しい原則を確立するための法案を御審議をお願いをしているわけでございます。  一方、この住専問題の処理に関しましては、その問題の置かれている現状、そういったものも考え安倍さんもおっしゃいましたように、長期的な見通し、国際的な視野、そういうものの上に立って今日これは緊急に処理せざるを得ないものという立場から、そのために必要な措置をとらざるを得ない。これから金融関連法の成立によって原則的に運用されていきますものから考えますならば、例外的な扱いになると思います。しかし、そのことをやり遂げてもこの問題を処理することが、日本経済と将来の金融の安定のために必要であるかどうかという政策的な判断の問題であるということを申し上げているのであります。
  19. 安倍基雄

    安倍(基)委員 まあ、これは議事録をもう一遍読み直してみると、いかに久保大臣の論理がはっきりしていないかということがわかります。  そこで久保大臣、ジャパン・プレミアムというのがございますね。ジャパン・プレミアムは銀行別につくのか、どういうぐあいにつくのですか、御存じですね。つまり、A銀行、B銀行、あるいは東京三菱にはこのくらいつく、住友銀行にはこのくらいつく、そういうぐあいに個々につくのですか、それとも一般的につくのですか。ジャパン・プレミアムについて勉強しておきなさいということを言っておきましたけれども、その辺は十分勉強されておりませんか。
  20. 榊原英資

    ○榊原政府委員 いわゆるジャパン・プレミアムにつきましては、先生御指摘のとおり、個別の銀行信用力を反映いたしまして、銀行によって違うわけでございますけれども、最有力の銀行といえどもジャパン・プレミアムがついているということは、日本の金融システムに対する一般的な懸念が存在している、そういうことであろうというふうに考えております。
  21. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今なぜこういう技術的な話をしたかといいますと、大臣はしょっちゅうジャパン・プレミアムがつきますよ、つきますよと言います。しかし、ジャパン・プレミアムについての知識をはっきり持っているかどうかを実はテストしたがったのです。というのは、各銀行信用……(発言する者あり)それは非常に大事なことなんです。というのは、こういう基礎知識が必要なんです。それぞれの銀行によって違うのです、ジャパン・プレミアムというのは。つまり、物の貸し手ですから、信用度の高いものには余りつけない、信用度の低いものには高くつける、こういう個人責任原則なんですよ。  私はある友人と話しました。今母体責任とよく言われている。なるほど、そうすると、例えば母体行というものは、いつの間にか政治力によって通常で想定される以上の負担を課せられるんだな。ということは、もう少し国際社会は透明でございまして、このA銀行、B銀行、C銀行、どのぐらい償却している、不良債権を持っている、これでどのくらいプレミアムをつけようかということになるのです。ということは、国際常識からいいまして、ジャパン・プレミアムがつくというのは、ただ漠然とつくのではなくて、それぞれの銀行にそれぞれつくのです。  ここで今、我々が母体責任と言っております。母体責任に対してだれも反対しないだろうと言っております。しかし、私は、母体責任、十把一からげに銀行に対して、要するに銀行を区別しないで、いわば政府の政治力によっておまえこれだけ持てというぐあいに言いますと、プレミアムがますますふえてしまうのです。これは国際金融に非常によく通暁しておるところで聞きました。  その意味で、いわゆる我々がここで今言い回しております母体責任、これは日本国内では通用しても海外で通用するかどうか、海外のジャパン・プレミアムにどう響くか。このいわば住専処理につきまして国際社会が注目しているわけです。公的資金導入されるかされないかなんというのはごく一部です。それとは別に、いわば市民社会における通常銀行業務に対して、政府が政治力でもって普通では考えられないことをするかしないかによって、ジャパン・プレミアムの動きがまた違ってくるのです。  その意味で、私は今回の住専処理が単に短期的ではなく、長期的な視野でやることが必要である。それとともに国際的な視野でやることが必要である。単に、ある金融機関を、この前大原大臣がいみじくも言われましたように、護送船団方式で、一番足の弱いいわば系統を救うためにそれだけのものをつぎ込む。もしそれが本当にこれから常態化するのであれば、日本の金融界の信用というものは、個々の銀行に対する評価が非常にあいまいなものになる。  この点につきまして、大臣、どうお考えですか。ジャパン・プレミアムを解消する、すると言いますけれども、もちろん基本的には不良債権をどんどん償却するということが大事なことです。それによって大分プレミアムが減ってきています。金融不安も減ってきています。だから、早期に処理するということも必要ですけれども、やり方について非常に不透明なやり方であれば、これは最終的には、長期的にはいい結果をもたらさないと考えます。この点について、大臣は御見解をお持ちでございましょうか。
  22. 久保亘

    久保国務大臣 さすがに大蔵省の御出身だけありまして、大変御見識の豊かなところをお聞かせいただきましてありがとうございました。  ただ、私は、いわゆる金融システムにおける自己責任原則、市場規律といったようなものを確立し、そして、これらを支える基本として透明度の高いものを求めていくという立場からいたしますと、今日の護送船団方式から抜け切っていないこれまでの対応の仕方というのは、これは時代に対応し切っていないものである。それをどう改革するかというのが、今私どもが直面している極めて重要で緊急の課題となっているものと考えております。
  23. 安倍基雄

    安倍(基)委員 では大原大臣、この間の御回答で、今度の住専処理のやり方は護送船団のいわば一つの、最たるものとは言いませんけれども、護送船団方式であるという回答をなさっておりますけれども、御記憶ございますか。
  24. 大原一三

    大原国務大臣 そういうことは申し上げておりません。日本の金融システムがいわゆる護送船団という批判のさなかにあるときに、系統関係も、もたれ合い、いわゆる護送船団的経営の典型であるから、今後の改革においてはその点に配慮しなければならぬ、そういうことを申し上げたわけです。
  25. 安倍基雄

    安倍(基)委員 つまり、細かいニュアンスは別としましても、結局足腰の弱い系統を守るために各銀行がお金を出し合うというシステムそのものじゃないですか、住専処理問題は。だから私が今言いましたように、預金保険でも普通の信用組合まで七倍の保険料を払う、ところが貯金保険法におきましては二・五倍でいいですよ、系統は強いですよ、大丈夫ですよと言っておるわけです。その反面、貸しているその五兆五千億が返ってこないと大変な危機になるということを言っているわけです。  ここはまず基本的に金融三法の原則、それに対して住専について特別扱いするというのは、やはり原則に反している。原則は我々の言っている法的処理だ。それによってもし経営に非常に厳しい話が出てくれば、例えばウルグアイ・ラウンド予算を使うなり、あるいは、まだ我が党の方でコンセンサスを得ているわけではございませんけれども、かつてこの委員会で、農林中金が長期債を出してそれを負担する、それを場合によっては政府保証する、政府保証しないでやれば一番簡単でございますけれども。そうやって応分の負担をした上で、長期的な意味系統をいわば近代化するというか、生産性を上げるというか、そういうことこそが、法的処理でもって経営に問題が起こったらそういう処理をするということこそが、談合というか話し合って、おまえの持ち分は幾ら、おまえの持ち分は幾らということにして、最後は要するにおれは持ち切れないから半分国が持てということよりよほど透明であり、いわば金融常識に合致するのではないか。  そこで、大臣にもう一度お聞きしますけれども、いわゆる二次損失を二分の一国庫負担にした根拠は何かということに対して、非常にあいまいな答えでございました。六千八百五十億以上にこれから二次損失がどんどんふえるかもしれない。これからほかのノンバンクがどんどん倒産するかもしれません。そういったときに、その損をだれがどう負担するんだ。  例えばさっきの、従来の例の兵庫銀行系のノンバンクでしたかな、たしか二十社のうち系統が貸しているのが数百億あると思いましたけれども、いかがでございましたか。
  26. 西村吉正

    西村政府委員 今まで破綻をいたしましたノンバンクの中には、系統が融資をしていた例もございます。兵銀ファクター等二十社につきましても、そういう例の一つではございます。
  27. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の記憶によりますと、数百億の系統からの貸し付けがあったわけです。そのときは完全プロラタ方式でやっておるんです。つまり、そういう事例が既にあるんです。ただ、今回の場合には、金額がべらぼうに多いというところから、みんなの協議が成立しないで、法的処理にいくのは嫌だ。そこで、こういう話し合いというか、それぞれの分担を行政が介入して決めて、最後の最後で、本来は系統にこのくらい負担してもらいたいと思われるところが急に半分になった。  大臣、もう一遍繰り返しますけれども、第二次損失を二分の一国庫負担にした根拠、そして似たような問題が起こったときにこういうことがあり得るのかどうか。六千八百五十億はまだまだいわば入り口です。第二次損失というかもう少し先の、これは地価が下がっていけば必ず第二次損失はふえます。単純な話です。ノンバンク債権もどんどん不良化していきます。そのときに、二分の一国庫負担という原則を打ち出したことは、これはほかに絶対に使われないのか、今後使われる可能性があるのか。  大臣は、ノンバンクには公的資金導入しませんよと言われました。しかし、先々になって、例えばノンバンクにおける系統の焦げつきがべらぼうにふえてくる、あるいは信用組合の焦げつきがどんどんふえてくる、そういうときに、私は、繰り返すようでございますけれども、この問題が最終局面ならいいんです、入り口公的資金導入し、かつ二分の一国庫負担というルールを打ち出すということの危険性を言っているんです。ここは、長い目で見てこの決定がいいかどうかということのいわば大きなポイントになるんです。  もう一度お聞きしますけれども、二分の一国庫負担理由づけと、今後そういった損害が生じたときに、そういう損の分担のときに、恐らく前例とならざるを得ないと思いますけれども、この辺を、まず最初に根拠のことをはっきりお聞きしたいと思います。どういう根拠で二分の一になったんですか。――大臣に、基本方針ですよ。
  28. 西村吉正

    西村政府委員 まず、他のノンバンクにつきましては、大臣も今までたびたび御答弁を申し上げておりますように、公的関与を行わないと申し上げているわけでございます。したがいまして、他のノンバンクにつきましては、今回の住専のように、財政的な支出をその段階ではしないと申し上げておりますので、二分の一という問題は生じないわけでございます。  しからば、住専の場合になぜ二次的に生ずる損失について二分の一の負担をするか、この点でございますが、これも今まで御答弁を申し上げてまいりましたように、まず一次損失については、関係者のぎりぎりの努力によって極力その損失を埋めるという処理をしたわけでございますけれども、残念ながら六千八百億についてはそういう処理をし切れなかったので、財政が負担をするということでお願いをしているということでございます。  しからば、六千八百億を万が一損失が超えるようになった場合、それをどうするかというのが二次損失の問題であるわけですが、その場合には、六千八百億のように全部国が持つということではなくて、万が一そういうものが生じた場合には、あるいは生じないようにみんなが努力をするという意味において、国と民間とで二分の一ずつ負担をする、そういうことによって処理をしていこう、こういうことでございます。
  29. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は事務当局をそう責める気にならない。というのは、最後の段階でもって公的資金導入を決めた。そうすると、銀行が実は黙っちゃいなかったと思うんですよ。というのは、いわゆる母体行は全額放棄、一般行は大体債権に応じて放棄する、その方向でいくと、やはり系統が要するに荷が重いものだから、わざわざ、第二次損失を含めた形で一般行の放棄分を決めておきながら、それで第一次損失だけにして系統の部分を少し少なくしたんだ。そういういろんなことをやっておいたところを、いわば最終段階でもって半分国庫負担になった。これでは金融界がおさまらない。第一次スキームも壊れかけた。そこで、ではもし万が一出たら、二分の一負担しましょう、それだけの根拠なんですよ。何も根拠はないんですよ。何で二分の一なんですか。何で三分の一じゃないんですか。  こういうヤマカン的な、二分の一国が持ちますよなんて、こういうコミットしたのが先にどう響くか。今でこそこの分だけに限っていますよと言っておりますけれども、どんどんと信組がつぶれ、ノンバンクがもしつぶれた場合に、言っていられるのかどうか。  例えば、ノンバンク公的資金導入しませんと大臣が言った途端にジャパン・プレミアムが上がったという話もございますけれども、いずれにいたしましても、原理原則のないやり方をするとこれは本当に後になって後悔するというか、かつての一つの政策が今から考えると間違いであったと思われると同様に、後から振り返ってみると大きなミスをしたということになりかねない。  大臣、今事務当局が、要するに、できるだけ損害をふやさぬようにしますよ、最後二分の一にしましたよ、これは論拠になっていないのですよ、はっきり言って。二分の一にした理由がわからない。これは両方納得させるためにしただけの話です。六千八百五十億の根拠があいまいであると同時に、何か二分の一という根拠はあるのか、私はここでもう一遍大臣に聞きます。簡単でいいです。もう時間もございません。
  30. 久保亘

    久保国務大臣 今銀行局長お答え申し上げましたように、住専問題の処理の全体的なスキーム当事者であります銀行側とも協議をいたしまして、その合意点として負担の割合が決まったものと承知をいたしております。その根拠につきましては、協議の模様について今銀行局長からお答えを申し上げたのであります。  なお、私の発言がジャパン・プレミアムに影響したとおっしゃることは、いささか見当違いの御発言と思います。このことは、既に昨年の十二月十九日、ノンバンクには財政支出を行わないということについて、政府与党の確認があっておるのでございます。
  31. 安倍基雄

    安倍(基)委員 これは、私は報道で聞いただけですからどの程度かわかりませんけれども、これは事実であったようですね。というのは、十九日にしたときにはまだみんなが意味がわからなかった。ところが、はっきりしてきたときに、要するにそういう報道がなされたときに上がったというふうな話も聞いております。  いずれにいたしましても、これからのやり方によって、例えば、これから母体行に幾らか持たせようというところで、皆が、与党も野党も異論がないということを言われますけれども、ただ、もうちょっと国際的な視野で見たときに、これが果たして外人の目から見て、というのは私は五年半海外生活しまして、やはりその点でドライになったかもしれませんけれども、横から見たときにどう評価されるか、これは非常に重要なのです。国内だけの問題じゃないのです。  例えば今度の時効の問題なんかもありますね。時効の問題は別に聞きませんけれども、大体、時効法律でもって勝手に延ばしたりなんかするというのは、もしこの法律ができたら、これはちょっと通常の常識からいっておかしいなという批判を受けると思います。今度の住専処理法も、これは横から見て、海外の目から見たときに、ああ、何か通常のルールでやらないで決めたな、それで最終的には政府の要請によって、銀行は弱い金融機関のためにはやはり相当の拠出を命じられるのだなと思えば、それぞれの個々の銀行に対する評価というのは非常にあいまいなものになる、ますます不安になるわけです。  そういう意味で、我々は、長い目で見た、国際的な目で物事を見なければいけない。単にこの議場だけの、要するに、系統が大変だ、農民が大変だ、私はもちろんそう思っています。ただ、やはりその資金をだあっと危ない住専に流し込んだところに一番の大きな間違いがありまして、そこが一番の問題点である。私は、住専問題についての責任者はだれかという論文を書いたことがございますけれども、これはまたいつかお目にとまるかと思いますけれども基本的には、そういう危ない住専というものに対して、単に大銀行の子会社と思って貸したというのは、金融機関としては言えない発言なんですよ、率直に言いまして。おまえ、金融機関だろう、人のお金を預かってやっているのだろうということでございます。その意味で、私は、やはり国際常識に沿った処理が必要だと思います。  私は、実はきょう一時間で、いろいろな大勢の方をお呼びして十分お聞きできませんけれども、また五日以降に質問の機会が与えられるようでございますから、きょうお聞きできない点は御勘弁願いたいと思いますけれども、そのときに個々の法案についての処理を伺いたい。  一つこれは農林大臣にお聞きしたいのですけれども系統関係の事業収益と金融収益、いろいろ聞きますと、事業収益で赤になる、それで金融収益でもって黒になる、そういうものであるというぐあいに聞いておりますけれども、本当にそうであるのかどうか。一言でいいです。  それとともに、そういう金融収益と事業収益とをいわば一緒にしているものにおける貯金保険というのは本当に意味があるのかどうか。というのは、幾ら保険しても、事業収益がどんどん赤を食っていけば資産が減るわけですね。でありますから、そういう貯金保険とかいう種類のものは、やはり金融業務といわば通常業務とを一緒にしていくことの問題点があるのじゃないか。  あと、建設大臣とか国土庁長官にはせっかく来ていただきましたけれども、あと二、三分しかございませんので、これはもともと、要するに総括に近い一般質問だと思いますから、話を聞いていただきたい。  貯金保険は、こういったいわば事業収益と金融収益とを一緒にしたところの企業でもってやっていって適当なのかどうかという点が今後の問題としてあるということでございます。
  32. 大原一三

    大原国務大臣 御指摘のとおりでありまして、今日までのところ、いわゆる総合農協というシステムで、御承知のように、今指摘がありましたように、金融収益で事業損失を賄って単協はでき上がっておるという実態でございまして、今回のような事件にかんがみまして、将来、七十兆円という預金のあり方、金融のあり方を考えるときに、委員御指摘のような問題点も我々は確かに認識をしております。私は、今後の検討課題であろう、このように考えております。
  33. 安倍基雄

    安倍(基)委員 では、まだちょっと時間があるようでございますから、せっかく建設大臣が来ていただいておりますから、建設大臣に一言。  これから土地の流動化というものがなければ、幾ら騒いでみても困るわけです。というのは、既にお話が出ていますように、住専処理機構がどんどん競売するといっても、売れないことにはしようがない、価格がどんどん下がっていくわけですから。そうなってきますと、最終的には土地政策が基礎にないと住専処理はうまくいかないのですよ。  せっかくあれでございますから、今の土地をどうやって本当に流動化していくのかという基本政策が建設省になければ、これは建設省か国土庁かという問題はございますけれども、これがやはり一番の基礎になるのですよ。金融機関はどんどんと償却していく、だけれども債務はそのまま残っていく、土地は塩漬けのままだ。そこに幾ら住専処理機構が一生懸命ねじり鉢巻きで競売するといっても、値段がつかないのですから。  ちょっと一言、あと二、三分ございますから。
  34. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 これは時間の関係もございますから、ごく簡単に申し上げます。  そういう意味で、全くおっしゃる意味はわかりますけれども、従来から、平成七年度の二次補正の予算における用地費用の大幅追加を初めといたしまして、都市開発を誘発する街路、公園等の公共事業の積極的な実施、これをやっている。民間都市開発機構のこれまた土地取得業務などの都市開発の推進、あるいはまた指定流通機構制度、レインズと言われておりますが、それの充実による土地取引の活性化、あるいはまた住宅、土地についての規制緩和の推進等の施策を幅広く積極的に進めていこう、こういう方向で進めておる次第でございまして、引き続き国土庁初め関係省庁と連携しつつやっていきたい、こう考えております。
  35. 安倍基雄

    安倍(基)委員 実はそれぞれの法案について質問しょうと思ったが、まだこれからやるそうでございますから、せっかくお呼びして空振りに終わって申しわけないけれども。  もう一遍、繰り返すようですけれども総理大臣、今お話ししましたように、今ここで決断することが五年後、十年後どういう評価を受けるか、あるいは現在において、海外において、将来においてもどういう評価を受けるかということを本当に考えたときに、この不良債権問題の入り口において、預金者保護という原理原則なくして特定の機関を、もう負担ができないということでもってこういう処理をするということは、必ず第二、第三の問題を生み出すということは否定できないと思うのです。  現在、朝野を挙げて母体責任母体責任と言っていますけれども、これは国際的に見て本当に通用する議論かなと。世界は我々の決定を注目しているわけです。よく、株主代表訴訟を防ぐために決議しようとか案文をつくろうとかいろいろ言っていますけれども、やはり主民社会の論理というものがあるのです。我々が物事を決めればそのままいくのじゃないのです。必ずそこに法理というものがあるのです。  その点について総理大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わろうと思います。
  36. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、それなりにずっと伺っておりまして、議員のお考え一つ考え方として成り立つものであろうということを否定するつもりまではありません。しかし同時に、では母体行には責任はないでしょうか。私は、母体行に責任はあると思います。そして、今議員はその母体行……(発言する者あり)お聞きになったから今お返事を申し上げているのです。母体責任というものについての疑念を呈せられましたが、私は、母体責任というものは否定はできない。設立以来の経緯というものを考えましても、また本院で御党の皆さんから提起をされましたさまざまな問題点からいたしましても、母体責任というものはあると思います。  そして、入り口出口というお話もございましたが、私どもは、政策選択として、この住専問題を突破口として金融機関の不良資産の問題を処理していこう、その中でこうしたスキームを御提示を申し上げてまいりました。
  37. 高鳥修

    高鳥委員長 開会がおくれましたので、ひとつ御協力願います。
  38. 安倍基雄

    安倍(基)委員 今最後に母体責任の話が出ましたので、この問題について、実は法務大臣などを呼んで詳しくやろうと思っていましたけれども、では、この次の機会にまたさせていただきますから、どうぞよろしくお願いします。
  39. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明四日火曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十五分散会