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1996-06-14 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年六月十四日(金曜日)     午前九時五十分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 久保 哲司君    理事 古賀 敬章君 理事 高木 義明君       小里 貞利君    高村 正彦君       佐藤 静雄君    橘 康太郎君       林  幹雄君    堀内 光雄君       茂木 敏充君    横内 正明君       実川 幸夫君   柴野たいぞう君       田名部匡省君    東  順治君       吉田  治君    左近 正男君       寺前  巌君 出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君  出席政府委員         運輸大臣官房長 戸矢 博道君         運輸省運輸政策         局長      土坂 泰敏君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         運輸省航空局長 黒野 匡彦君         運輸省航空局技         術部長     北田 彰良君  委員外出席者         警察庁交通局都         市交通対策課長 末井 誠史君         環境庁大気保全         局自動車環境対         策第二課長   中山 寛治君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      豊島  達君         建設省道路局企         画課道路経済調         査室長     藤本 貴也君         建設省道路局有         料道路課長   佐藤 信秋君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十四日  辞任         補欠選任   江崎 鐵磨君     吉田  治君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     江崎 鐵磨君   寺前  巖君     志位 和夫君     ――――――――――――― 六月十日  ハイヤータクシー事業の健全な発展のための  適切な事業規制に関する請願上原康助紹介  )  (第二九三二号)  気象事業整備拡充に関する請願土肥隆一君  紹介)(第二九五六号)  同(正森成二君紹介)(第二九五七号)  同(吉井英勝紹介)(第二九五八号)  同(小坂憲次紹介)(第二九九二号) 同月十一日  気象事業整備拡充に関する請願石田祝稔君  紹介)(第三〇五〇号)  同(寺前巖紹介)(第三四七七号)  JR各社経営安定確保のための緊急課題の解  決に関する請願山下洲夫君紹介)(第三四  七六号) 同月十二日  気象事業整備拡充に関する請願赤羽一嘉書  紹介)(第三五八六号)  同(岩佐恵美紹介)(第四一九六号)  同(穀田恵二紹介)(第四一九七号)  同(佐々木陸海紹介)(第四一九八号)  同(志位和夫紹介)(第四一九九号)  同(寺前巖紹介)(第四二〇〇号)  同(中島武敏紹介)(第四二〇一号)  同(東中光雄紹介)(第四二〇二号)  同(不破哲三紹介)(第四二〇三号)  同(藤田スミ紹介)(第四二〇四号)  同(古堅実吉紹介)(第四二〇五号)  同(正森成二君紹介)(第四二〇六号)  同(松本善明紹介)(第四二〇七号)  同(矢島恒夫紹介)(第四二〇八号)  同(山原健二郎紹介)(第四二〇九号)  同(吉井英勝紹介)(第四二一〇号)  JR各社経営安定確保のための緊急課題の解  決に関する請願山下洲夫君紹介)(第三五  八七号)  同(青山丘紹介)(第三七三二号)  同(細谷治通紹介)(第三七三三号)  同(細谷治通紹介)(第三八三三号)  同(高木義明紹介)(第四〇五二号)  同(細谷治通紹介)(第四二一一号)  ハイヤータクシー事業の健全な発展のための  適切な事業規制に関する請願竹内猛紹介)  (第四一九五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十日  北陸新幹線整備促進に関する陳情書  (第三八  〇号)  四国の新幹線鉄道整備促進に関する陳情書  (第三八一号)  九州新幹線鹿児島ルート建設促進に関する陳情  書(第三八  二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、昨日の福岡空港におけるガルーダ・インドネシア航空八六五便の事故について運輸大臣から報告を求めます。亀井運輸大臣
  3. 亀井善之

    亀井国務大臣 昨日十二時八分ごろ、福岡からデンパサール、ジャカルタに向かうガルーダ・インドネシア航空のDC10型機が、福岡空港において、一たん離陸したが、滑走路の南側の延長上納五百メートルの飛行場内の緑地に墜落し、大破、炎上する事故が発生いたしました。  事故機搭乗者二百七十五名のうち、三名の方が亡くなられ、また、百八名の方々が負傷されるというまことに痛ましい事故となりました。この傷をおかりして、改めて亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族方々に心よりお悔やみ申し上げる次第であります。また、負傷された方々にも心よりお見舞い申し上げ、一日も早い御回復を願うものであります。  運輸省といたしましては、この事故重大性にかんがみ、まず、現地福岡空港事務所において、事故直後の十二時十分に空港長本部長とする事故対策本部を、運輸本省では同日十三時三十分に運輸大臣本部長とする事故対策本部を設置しました。  また、私は事故現場に急行し、事故状況の把握を行った上、福岡市役所同市消防本部福岡県庁、同県警本部航空自衛隊春日基地のそれぞれの事故対策本部を訪れ、事故発生時の救助活動を初めとする事故対策全般への協力につき感謝の意を表し、今後の一層の支援の要請を行うとともに、福岡空港事務所事故対策本部において職員を督励したところであります。  関係方々に多大な御協力をいただいたところでありますが、特に、事故発生時の救助活動に際し、機体から流出した燃料等によるやけどを負いながらも、みずからの危険を顧みず救助活動を行った方々使命感あふれる行為に深く胸を打たれました。  ここに、関係者方々に改めて厚く御礼申し上げる次第であります。  さらに、航空事故調査委員会におきましても、事故調査のため、昨日六名の航空事故調査官現地に派遣したところでありますが、本日新たに、委員一名、専門委員一名、医官一名及び航空事故調査官一名を現地に派遣することとしております。  運輸省といたしましては、今後、亡くなられた方々及び負傷された方々への対応等被災者対策に万全を期すとともに、航空事故調査委員会による事故原因究明を待って、速やかに必要な措置を講じ、事故対策に万全を尽くしてまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第であります。
  4. 辻一彦

    辻委員長 それでは、私から、委員会を代表し、運輸省当局に対し簡単にお尋ねいたします。  質疑に先立って、今回の事故により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族方々に衷心よりお悔やみ申し上げます。また、負傷されました方々の一日も早い御回復をお祈りいたします。  それでは、まず第一に、昨夜事故現場を視察してこられました大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  5. 亀井善之

    亀井国務大臣 事故現場に参りまして、航空機事故が発生するとまさに重大な事態を引き起こすものである、このような事故の悲惨さ、これを痛感してまいった次第でございます。運輸使命は安全の確保であることを改めて深く認識するとともに、事故原因究明を急ぎ、このような惨事が繰り返されることのないよう、安全対策に万全を期す所存であります。
  6. 辻一彦

    辻委員長 第二に、乗客の脱出誘導が適切でなかったとの報道がありますが、今後、事故による負傷者治療等に万全を期すべきだと考えるが、いかが対応しているかをお伺いします。
  7. 黒野匡彦

    黒野政府委員 先ほど大臣お話し申し上げましたとおり、二百七十五名乗ってみえましたが、そのうち三名が不幸にしてお亡くなりになりました。負傷者の方が百八名でございまして、その中でさらに入院を要する方が十四名、その中でまた一カ月以上の入院加療が必要な重症者の方が三名、こういう数字になっております。  このような事態でございまして、私ども事故発生時の救助活動につきましては、消防警察、さらには自衛隊病院関係者方々の大変献身的な御努力をいただいておりまして、感謝申し上げているところでございまして、それなりに十分な治療が施されていると思っております。  ただ、今後とも関係機関との連絡を密にいたしまして、加療中の方々が一日も早く回復されるようできる限りの努力を尽くしてまいる所存でございます。
  8. 辻一彦

    辻委員長 第三に、エンジントラブルがあったとの見方もあるようだが、事故原因早期究明に全力を尽くすべきだと考えますが、今後どのように進めるのか、お尋ねします。
  9. 豊島達

    豊島説明員 航空事故調査委員会といたしましては、事故情報に接し、昨日午後直ちに六名の航空事故調査官現地に派遣しまして、午後八時ごろから初動の現場調査を開始したところでございます。  これまでに、コックピットボイスレコーダーフライトレコーダーを回収しましたほか、とりあえず、滑走路痕跡調査を行ったところでございます。また、本日十四日、委員一名、専門委員一名、医官一名、航空事故調査官一名を派遣しまして、調査体制の強化を図ることにしております。  今後でございますが、機体エンジン等残骸調査、乗員からの聞き取り調査、回収したコックピットボイスレコーダーフライトレコーダー調査等を行う予定でございます。  事故原因につきましては現段階ではまだはっきりしたことは申し上げられませんが、今後鋭意調査に取り組むこととしております。  なお、本事故アメリカ製航空機インドネシア航空会社が運航して発生した事故でございますので、今後、両国とも連絡をとりながら調査を進めていく必要があると考えられます。  以上でございます。
  10. 辻一彦

    辻委員長 ただいま政府から丁寧な答弁をいただきましたが、重ねて負傷者対策及び事故原因究明には万全を尽くすよう要望しておきます。     —————————————
  11. 辻一彦

    辻委員長 調査を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  12. 吉田治

    吉田(治)委員 新進党吉田治でございます。  ただいま大臣からの御報告並びに本委員会を代表しての委員長の御質問がありましたとおり、昨日、福岡空港におきまして、ガルーダ・インドネシア航空炎工事故が発生いたしました。亡くなられた三名の方々に対し、心より御冥福をお祈りいたしますとともに、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。特に、救助に当たられた消防関係者警察関係者また自衛隊関係者方々には、強い感謝の念と、またその中で負傷された方々に対して特段のお見舞いを申し上げたいと思います。  私ども新進党におきましても、事故発生後直ちに明日の内閣運輸交通政策担当田名部匡省大臣本部長とするガルーダ航空機事故対策本部を設置し、現地国会議員中心とする調査団を派遣いたしました。  運輸省におかれては、亡くなられた方々の御遺族並びに負傷された方々への万全の対応を行い、迅速な原因徹底究明に取り組み、また、事故再発防止と早急な福岡空港機能回復を図るため所要の対策を講じられるよう、強く要望いたします。  特に、この事故平成六年四月二十六日にも名古屋空港中華航空機事故を起こしております。今の答弁にもございましたように、外国の旅客機が事故を起こした場合には、その運航の国、またその飛行機の国、そして我が日本というので調査をしなければならない。私、聞き及びますと、中華航空機事故原因報告書も、それぞれの中華民国政府並びに航空機を製造した、たしかフランス政府ですか、その間の協議で、できているけれどもまだ発表はされていない。また、賠償の問題も非常にその国の判断でなされる。命の値段という言い方はいいかどうかわかりませんけれども日本ではなく、例えば中華航空機であれば中華民国、また今度のガルーダ・インドネシア航空であればインドネシアのというふうなことが起こるということも聞いておりますが、それ以前に、我が国航空機については航空法に基づき安全確保のための指導監督が行われていますが、我が国空港で離発着をするこういう外国航空機事故を起こさないということが大事なのですけれども、この外国航空機安全確認というものはどのように行われているのか、この一点だけをお聞かせいただきたいと思います。
  13. 黒野匡彦

    黒野政府委員 この航空分野におきましては、国際民間航空条約、我々略しましてICAO条約と呼んでおりますが、こういう条約がございまして、この加盟国ICAOで定める安全基準を必ず守っている、こういう義務づけがされております。インドネシアも当然この条約に入っております。したがって、基本的にはインドネシアの国が自分のところの企業を、ICAO条約に従った安全基準を満たしているかどうかを責任を持ってチェックしていただくというのが第一の原則でございます。ただ、私どもインドネシアとの間の航空協定の中で、問題があるときにはお互い調査する、あるいは検査する、そういう権利は留保しておりますから、必要な場合にはそれを使うということもあり得ます。  ただ、参考のために申し上げますと、このガルーダ航空日本に入りましたのが一九六二年でございますが、それ以来、報告義務のあるような事故は一件も、我が国との関係では発生いたしておりません。
  14. 吉田治

    吉田(治)委員 まだまだお聞きしたいのですけれども事故究明の途中ということでございますので、この問題については後日、日を改めて質問をさせていただきたいと思います。  今、こういう航空機事故という形になりますと、よく引き合いに出されますのが規制緩和という問題でございます。よく言われますのは、規制緩和をした場合に、例えば航空機飛行機会社、安くなるけれども、その分安全性に手抜かりがあり、事故がふえるのではないかという一つ意見がございます。もう一方の意見としては、いやいや、規制緩和になってお互い競争をするからこそ事故を起こすわけにはいかない、そのためにも安全性は増すんだ、そういう意見もございます。  私、運輸行政全般を考えた場合に、非常にたくさんの規制が今現在も残っている。これは許認可という言い方があるのではないかと思います。そしてマスコミ等も、どうもこの運輸省が持っている規制というふうなものが非常にターゲットというのですか、目的というのですか、割とマスコミに論調として書いた場合に共感を呼ぶ。例えば、一番いい例が自動車整備という問題。この問題に関しましては私もたびたび質問をさせていただいておりますが、どうもマスコミがそれを取り上げると、何となしにシンパシーというのですか、そうだね、何かおかしいんだ、あそこを規制しなければと。  随分業界の方も、ここ数年こういう流れの中で、若手経営者中心に変わってきたというふうなことは聞いておるのですけれども運輸行政規制緩和というふうなもの、特にこれは、単に消費者というのですか、利用者というのですか、国民というのですか、そういう立場も私は重要だと思うのですけれども、やはり規制によって今まで、守られてきたという言い方はいいかどうかわからないのですけれども規制によって生計を営んできた、割と規制に守られているというか、規制によって生きているというのは大企業は余りございませんね。中小零細が私は割と多いように感じておるのですけれども、本年三月にも今後の規制緩和推進計画等々で、運輸省としてはこういうものを出すというふうにさまざま出されておられますけれども大臣として、運輸行政規制緩和、特に事業者というふうなものの立場をどういうふうに思われているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  15. 亀井善之

    亀井国務大臣 我が国をめぐる経済社会情勢、また、現在の国民生活高度化多様化あるいは国際化の進展、高齢化社会への移行と、大きな変化をいたしておるわけであります。こうした中で運輸は、国民日常生活経済活動の基盤としての機能を果たすものであるわけであります。豊かでゆとりある社会を実現していく、その役割は大変大きいわけであります。  このような認識のもとに、今先生からも御指摘をいただきましたが、やはり安全の確保ということがまず私は大前提でなかろうか。鉄道あるいは空港、港湾のいわゆる運輸社会資本整備高齢者障害者移動円滑化規制緩和を初めとする行政改革推進環境問題への対応、これらは時代対応につきまして進めていかなければならない課題であります。  しかし、運輸省の関連、運輸行政中小企業関係皆さん方が大変多いわけであります。また、先ほどもお話し申し上げましたように、安全ということがまたさらに重要な使命を果たさなければならないことでありますし、環境問題であるとか、いろいろこの規制の問題につきましては十分考えていかなければならないところもございますし、さらに御利用いただく皆さん方自己責任ということにつきましても十分御認識をいただくということも必要なわけであります。  そういう中で、時代変化対応する規制緩和を進めていく一方、中小企業等々を持ちます行政として、安全と環境、こういうものをミックスした中でこの対応を進めてまいりたい、このように考えております。
  16. 吉田治

    吉田(治)委員 この規制緩和というのは、日本の豊かさを求めるという段になってさましたら、日本というのは今まで随分あくせく働いてきた、経済合理主義ばかりを追い求めてきた国だ、だから豊かさという少し余裕を持った生活が必要じゃないかということなんですけれども、どうも規制緩和の話になると、より一層の経済合理性というのですか、大規模化しなければいけない、より安いものにしなければいけない、もっとそのかわりに働く時間を、また、極端なことを言いましたら賃金カットまで含めて、どうも規制緩和流れというのは、今までの日本のあり方をより延長するような形にあるのではないかなという気が非常に私はしてならないのです。  例えば、今お酒屋さんですとかお米屋さんというのは随分規制緩和をされました。お米というのは、私たち子供時分感覚からしますと、五キロなり十キロなりの袋を家に持ってきてもらう。今、六月一日からの規制緩和でお米屋さんが登録制になって、販売店が二倍にふえた。しかしながら、大臣、今高齢化社会を迎えてという中においては、非常にこれは高齢者の方にとってはつらい話ですよね。安くなるけれども、五キロなり十キロのものをスーパーなりお店へ買いに行って持つて帰るんだ。お酒も同じようなことが言えるのではないか。  私、運輸行政の中での規制緩和というのは、ある意味でその辺の、弱者という言い方がいいのかどうかわかりません、しかしながら、今大臣もいみじくも言われましたように、高齢化社会の中においてそういう人たちの視点というものも置いたような規制緩和でなければ、その人たちを置き忘れてより一層の経済合理主義を追い求める、そのときの一つ言葉自己責任という、これほどまやかしの言葉はないんじゃないかと私はいつも強くいろいろな委員会で主張しているのです。そういう感じ議員の一人として、また国民の一人として感じているということだけを申し上げまして、次の質問に移ります。  そういう中において、規制緩和という流れ、また運輸行政という全般を見回した場合に、きょうは時間を比較的たくさんいただいておりますので、大臣なり政策担当者なりの御意見をちょっと聞かせていただきたいのですけれども、五年先、十年先を考えた場合に、果たして今の運輸行政だけでいいのかという気が非常にいたしております。  私はこのごろ思いますのは、運輸というよりも交通行政というのですか、単に物を運ぶ運び屋さんというふうなものだけではなくて、何か渋滞、事故、公害といった車社会問題点というものの後を追いかけていっているというのが、運輸を基本とした運輸行政じゃないかな。現実に、人の移動の六〇%、また物の移動では一七%が、運輸省が管轄しないような交通という概念による移動となっているこういう社会の趨勢において、またもう一つ言いますと、交通関係といいますと、ちょっとまず担当者にお聞かせいただきたいのですけれども交通政策というのはどこがやっているのですか。
  17. 土坂泰敏

    土坂政府委員 運輸行政は、人や物の移動確保ということを最終の目的といたしまして、さまざまな分野行政をやっておるわけでございますが、今お話のありました自動車交通に関して言いますと、運輸省だけで完結するわけではございません。道路整備については建設省交通規制については警察ということで、関係行政機関が総合して交通行政に当たっている、そういう状況であろうかと思います。
  18. 吉田治

    吉田(治)委員 私の手元の資料では、経企庁総合計画局が総合的な交通政策をすると書いてあるのですけれども、これはどういうことになるのですか。
  19. 土坂泰敏

    土坂政府委員 自動車鉄道あるいは空港、そういう各交通機関全体の関係をどういうふうに考えたらいいのかという議論がずっと前からあるわけでございまして、その議論の中で、総合交通体系あるいは総合交通政策というものをきちんとつくっていかなければいけないというふうにだんだんとなってまいりました。そこを、全体を調整する官庁として経済企画庁が、今申し上げました各省にまたがる総合交通政策について調整の立場に当たるということでやってきた、こういう経緯でございます。
  20. 吉田治

    吉田(治)委員 私も調べていて本当に意外だなというのは、経済企画庁がこういう交通政策をつくるということ、取りまとめ官庁実質的権限のあるなしは別にするのですけれども、ほうと思いまして、省庁だけでも、運輸省、国土庁、経済企画庁、総務庁、警察庁建設省、通産省、環境庁、文部省、まあ本当に、交通行政のことを広く聞こうと思えば、極端なことを言ったらこれだけのところの方に来ていただいて一問一答をしていかなければならないという部分もあると思います。  ある大学の先生お話をしていましたら、いやいや吉田君、縦割り行政縦割り行政というけれども、それはそれでいいところがあるんだという先生がいらっしゃいまして、何でですかというと、縦割り行政の弊害だと言われるけれども縦割りにすることによってそれぞれが競争するんだ、もしも一つにしてしまうと中でなあなあにやっちゃう可能性が非常に高い、だから縦割りというのも評価すべきだというふうな意見を言われるのです。しかし、それにしても九つも省庁がかかわっているということは、個人的感覚としてもちょっと多過ぎるのではないかなという感じがしておるのです。  一つアメリカでは、例えば交通運輸行政全般を、これはデパートメント・オブ・トランスポーテーションになるのですか、交通省というのですか、日本で訳したら運輸省になるのですか、そういうものが統括していると聞いておるのですけれども、この辺については、運輸省として何か調査をしたり、現地の、向こうの省庁との交流をしたりということはやっておられるのでしょうか。
  21. 土坂泰敏

    土坂政府委員 今お話がありましたように、縦割り行政縦割り行政でいいところがございまして、それぞれしっかりした行政をやっていかなければいけないというふうに思います。  ただ、交通政策全体を一つの概念で見たときにどう考えるべきかという基本的な議論がありまして、それがさつきの交通政策でございます。これの議論の結論は、端的に言いますと、各輸送機関がそれぞれの特性を発揮できる分野で競争をしなさい、その競争を通じて利用者が選択をしていった結果が一番いい交通体系になりますということでございまして、そういう考え方に従って、それぞれの交通機関がそれぞれの分野でしっかりやつてもらうというのが一番いい姿ではなかろうかと私どもは思っておるわけでございます。  それから、今アメリカお話がございましたが、私ども、今直接手元にございませんで申しわけございませんが、各省いろいろな各国の動向については十分勉強したいと思っております。
  22. 吉田治

    吉田(治)委員 どうですか、局長、官房長でも結構ですが、五年先、十年先の運輸省を考えた場合のあるべきビジョンとか、そういうのは今から検討はなされているのでしょうか。
  23. 土坂泰敏

    土坂政府委員 運輸省は、大体十年置きに十年間を見通した交通政策をつくってまいりました。昭和四十六年、五十六年、それから平成三年でございます。今まで三回やっているわけでございますが、それぞれ、例えば四十六年でいいますと高度成長の時代、五十六年でいいますともはや安定成長、いろいろな制約条件が厳しくなった状況、五十六年になりますと多様化とか国際化時代を迎えた政策ということで、今は平成三年の政策でやっておるわけでございますが、今の時点では、先ほど大臣も申し上げましたような、今後の変化する日本の経済構造の中で運輸省の果たす役割というのを運輸省として考えて、それに基づいて行政をやっておるところでございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 交通行政の件に関しては、私だけじゃなくて、交通にかかわるさまざまな団体、例えば経団連さんなどもこういうふうなことについて大同小異、五年先、十年先には運輸行政という枠ではなく交通行政というところでの、今局長もお答えいただいたような方向でというふうなことも言っておりますので、その辺はよく御検討していただきたい。  こんな言い方はよくないかもしれませんが、五年、十年たったら、きょう答弁していただいている局長さんはほとんどいられないと思いますけれども、五年たって私がまだ議員を万が一やっておって、議事録を見て、やはり五年たっても同じことを言わなくちゃいけないのかな、あのときの局長は今どこに天下りをして理事長か副理事長をやっているのだ、参考人で呼べというふうなことがないように、しっかり受けとめていただきたいな、かように私どもは思う次第でございます。今、交通の一番大きな問題は、事故ですとか公害ですとかありますけれども社会的損失という部分でいいますと、やはり交通渋滞というふうなものが非常に大きな、社会的な損失だけじゃなくて経済的な損失、手元にあります私の資料では、数年前ですけれども、例えば年間十二兆円、国民一人当たり五十時間が交通渋滞のために損失をしている。よく経済学者の方々また交通関係の学者の方々、いろいろな方々が、日本交通渋滞がなくなればそれだけで日本に豊かさが出てくるという極端なことを言う人もいるのですけれども、果たしてどうかなという気もするのです。  また、交通渋滞というのは交通事故を引き起こす大きな要因になるのです。特に私の選出されております大阪というところ、しかも私、大阪市内でございまして、私自身も反省するところはしきりでございますが、駐車違反で車がなくなっていたこともあるというふうにも聞いております。ですから、交通渋滞というふうな中で、特に大阪でしたら駐車違反による交通渋滞も大きくありまして、例えば大阪府並びに大阪府警の方で大阪名物何とかというふうな形でユニークなCMが打たれたりしております。  随分前の委員会かと思いますけれども交通需要マネジメント、略称TDMというふうなものが建設省並びに運輸省、そして警察庁において打ち出された。これが非常に切り札的な形で、交通渋滞の抜本的対策をするのだ。なるほど、その後の成果等はいろいろ聞いておるのですけれども、実際このTDMというものが今果たしてどれだけ機能し、どういう活動をし、今後どうしていこうとされているのか、まず、ちょっとその辺をそれぞれ、担当であります建設、運輸、もしも警察の方でお答えできるのであれば、三者からそれぞれお答えを賜りたいと思います。
  25. 山下八洲夫

    山下政府委員 我が国が非常に高密度の交通社会であるということは御承知のとおりでございますが、そういう中で慢性的な交通渋滞を生じておるということで、大きな社会的な課題という認識を我々もいたしておるわけでございます。このため、建設省中心道路の拡充や新設等ハード面の対策をやってこられたわけでございますけれども、これだけではなかなか、非常にこの高密度社会の中では難しいということで、パーク・アンド・ライドや相乗り、また時差出勤など、利用者サイドに渋滞解消を働きかけるいろいろな施策の必要性が痛感されたわけでございまして、今先生御指摘の交通需要マネジメント、こういう施策を三省庁推進をしてきておるわけでございます。  平成六年の九月から建設省警察庁とともに渋滞対策協議会を設立いたしまして、こういった施策に積極的に取り組む都市を支援するために、総合渋滞対策支援モデル事業を実施をいたしてきておるところでございます。平成六年度には、札幌市を初め十都市を指定をいたしました。さらに、七年の十月には長岡、長崎の二都市を追加をいたしております。  これらの具体的な効果につきましては少し長い目で見る必要もあろうかと思いますが、例えば金沢では、インターチェンジから付近にパーク・アンド・ライド用の駐車場を設置いたしまして、そこから、御承知のように金沢は非常に旧市街地が道も狭うございますので、そちらまでバスを専用で運ぶというようなことをやっておるわけでございます。実施前は兼六園まで二時間を要しておりましたが、これをやりましたところ三十分に短縮をいたしております。これは一番典型的な例かと思いますが、こういったものを皆様にお示しして、少しずつ全国的な運動として積み上げていくということが必要なのではないかと思っておるところでございます。  私どももこういったものの活用のためにバス活性化システム整備費等を用意をいたしておりまして、これらの施策の推進に努める所存でございます。
  26. 藤本貴也

    ○藤本説明員 先ほど先生お話ございましたように、渋滞というのは時間なりエネルギーのロス、それによる経済活動への影響、それとあわせて排気ガスですとか騒音ですとかあるいは交通事故というように、非常に重要な課題でございます。  そういう意味で、建設省といたしましても、渋滞の解消に向けて強力な対策をいろいろやる必要があるだろう。先ほどもちょっとお話がございましたけれども、抜本的にはバイパスですとかあるいは環状道路ですとか、そういうものの整備ということを通じて渋滞の解消を図っていくというのが基本ではございますけれども、緊急の対策といたしまして、ボトルネックの対策というふうなことで、平成五年十一月に新渋滞対策プログラムというのをつくらせていただきまして、そういったネットワークの整備とあわせましてボトルネックの対策等の交通容量の拡大策に取り組んでいる、こういうことでございます。  それとあわせて、先ほど来ございました相乗りの促進ですとか、あるいはプレックスタイムを協力してもらって入れていただくとか、そういうふうな形で需要の平準化を図ります、我々TDMと言っておりますけれども交通需要マネジメント、こういうものも三省庁一緒になりまして促進をしている、こういうことでございます。  TDMの内容につきましては、多少重複いたしますのであれでございますけれども、先ほどお話ございました総合渋滞対策支援モデル事業ということで、十二都市で実施をし、その試行結果を蓄積しながら全国に拡大をしていきたい、こういうふうに考えております。ちなみに、大阪府内におきましては、例えば駐車場案内システムとかそういうふうなものもいろいろ取り入れながら、渋滞対策協議会におきまして今後TDM施策、いろいろ検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  27. 末井誠史

    ○末井説明員 TDMの内容につきましては、先ほど来いろいろありますので重複しておりますから申し上げませんが、警察といたしましては、第六次五カ年計画の中でTDMにつきましても重要な施策として位置づけておりまして、先行的な都市がやっておりますものの効果をさらにどうずれば高めることができるか、パーク・アンド・ライド方式でございますと、バスをいかにして優先的にやるか、信号機の高度化といったものを考えながら進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 先ほどから私申し上げましたように、本当に交通ということを考えた場合に、まあこれは三省庁にまたがる。一番極端な例が、今から数年前ですか、大阪空港、伊丹の方の空港でございます。そこから出るところ、その空港道路を出ましてすぐ信号が一つございまして、その信号を少しだけやり方を変えたのですね。そうした途端、そこから中央環状線という非常に大きな道路へ出る車が二時間も渋滞した。二日か三日やって、もうそれをやめてしまうと、ものの五分で行けるようになった。  この交通渋滞というもの、これはシステムとしては運輸省、また物をつくるということは建設省なんですけれども、それを具体的に動かすソフトというのですか、そういう部分は非常に警察庁さんが大きな責任というか大きなウエートというのですか、重さを持つべきだと私は思うのですけれども課長、今そういうことについて何か、俗に言う人間工学だとか難しいいろいろなのがあると思うのですけれども、庁内で、どうしたら車が行きやすいとかこうした方がいいとかいう、まあ心理学だとかそういうふうなのを使っていろいろされていると思うのですけれども、その辺具体的に、今、そういう部署があるとか、そういう研究委託をしているとか、共同研究をしているとか、そういう事例はあるのですか。
  29. 末井誠史

    ○末井説明員 お答えいたします。  担当は警察庁交通規制課というところがございまして、交通管制官というものが責任を持ってそういった点の研究をしておるわけでありますが、私ども、科学警察研究所に交通部というのがございまして、そこで、都市におきます交通管理の手法としてどういうものがあるか、あるいはまた第六次安全施設等整備事業五カ年計画におきましては、新交通管理システムということで、より高度のもの、先ほどのお話のような、例えば信号の制御というのは大変重要な影響を与えますので、それをいかにするかということを研究しておるというところでございます。
  30. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうふうな部分で交通渋滞の対策をされているということですけれども、私は本当は一歩踏み込んで、ただ、一歩踏み込む前提として問題なのは、日本というのは、自動車を自分のところの国でつくって、自分のところの国もまた大量に消費する国だということを考えると、なかなか思い切った施策というのは私はできづらいんじゃないかな。  私なんか、ふと思うのは、例えばシンガポールなんかでとっているような総量規制政策であるとか、土曜日と日曜日しか走れないナンバープレートがあるとか、またきょうは末尾が奇数の車しか走れない、偶数の車しか走れないとか、有名な話ですよね。多分、運輸省の方でしたら、海外へ住まれた方は、アメリカのワシントンDCなんかに住まれると、朝だったら三人乗ればエクスプレスウエーとかいうところでずっと早く行けるとか、そういう施策というものを大胆に取り入れる必要があると思うのですけれども、どうですか、TDMのそういう協議会というのですか、そういう中でそういう発想というのですか、そういうことも検討はされているのですか。
  31. 山下八洲夫

    山下政府委員 TDMにおきましては、具体的に施策を推進するという必要がございますので、今先生がおっしゃいました総量規制、こういったことになりますと、相当幅広く国民的な理解を得ながら進めていく必要があるわけでございますので、とりあえず、先ほど申し上げましたような時差出勤でございますとかパーク・アンド・ライド、こういったことを中心にやっておるわけでございます。  そういう中で、やはりこれだけではなかなか難しいというような声が出てくれば、当然そういったことの検討、これは例えば鎌倉市でございましたか、そこでは少し、例えば休日にはマイカーを入れないためにはどうすればいいかということをいろいろ検討されております。まだ具体的な成果までは至っていないと聞いておりますけれども、当然そういう動きが今後強まってくることは我々も予想しておりまして、これに対応する体制を組んでいきたいと思っております。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 これ、もしも万が一、万が一の話ですよ、どこかの地方自治体が条例で総量規制だ、検問所をこさえてやるのだということが起こった場合に、それはどうされるのですか、もしもそういう事態が起こった場合には。
  33. 山下八洲夫

    山下政府委員 今申し上げましたように、相当国民的な理解が要るとともに、法制的にも、交通規制の問題を初め、整備する必要が相当あるかと思っております。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 このごろ地方自治体でポイ捨て防止条例だとか、行政法上で言うたら横出し、はみ出しという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、そういう中において、やはり交通渋滞を考えた場合に、どこかのそういう地方自治体が考えないことはないのじゃないかなという気がしますので、万が一そうなったときに、あらあらということにならないようにお願いしたいなと思うところであります。  交通渋滞の一つの解消の方法、先ほど建設省の方ですか、申されていましたように、バイパスですとか新しい道路をつくるという中において、有料道路制度というのですか、俗に言う高速道路というふうなものが随分整備をされてきております。  しかしながら、私どもでしたら、地元大阪でしたら阪神道路公団、なぜこれだけたくさんの車が走って、高速道路でも渋滞が起こってお金を取られるのかなと。日本の一番最初の名神高速道路、できたときの話じゃ、何年間かで償還が済んだら無料になるというはずなのに、いつまでも無料にならず、あげくの果てには値上げたというふうな話を聞きます。それは、料金のプール制だとかいうふうな制度が決まっているから仕方がないと。  その一方では、例えばマスコミ等にも取り上げられたように、道路公団の職員自身がその料金をただにするような方法で走っていたというふうなことが話題になったり、高速道路整備というのですか、有料道路制度ということに対しては非常にいろいろな意見がある。特に現行料金というのは欧米の三倍以上、燃料費も二倍以上という驚くべき結果も出ているやに聞いております。道路という、ある意味で国家の第一級の公共財というふうなものを利用者の負担のみによって整備をするということ、これはどうも私、運輸行政の中でそういう嫌いというのは大きいと思うのですね。  きょうは問題として取り上げませんけれども、関西国際空港の問題にしても、国出しては空港という非常に大切なものだけれども、あれは国営でも熔ければ公団でもない。特殊民間会社が当時、ちょうど私が大学を卒業する年にあの構想がまとまりましたので、ちょうど今から十一年、二尊前ですか、そのときに民間活力の導入という言葉もあったやに聞いておりますが、それを使って空港をつくる。考えてみれば、今冷静に考えれば本末転倒ではないかな。  そういう大切なものは国がまず整備をしてという中で、いや利用者負担がというふうな形になっていく。その中においても有料道路制度というのは最たるものじゃないかな。特に、高過ぎる料金によって、例えば一番利用率の高い営業トラックが利用できないというふうな事例も出てくる。  私はまず一点先にお聞かせいただきたいのは、今、本四架橋という形でいろいろなルートができていっております。しかしながら利用台数が、当初予定の二万五千台を大きく下回って一万四千台しか利用していない。建設省道路審議会でも値上げを検討する方向だというふうなのも聞いております。値段が高いためにせっかくっくったものが生かされずに、結果として赤字ばかりがふえていく。これは公共財というか、公的なものがつくったから生かされるのであって、例えば民間であるならば、私どもが中学、高校で習う需要と供給の法則からすると、需要をふやすために値段を下げるというのは至極当然ですし、これを倒産させるということはいかがかと思いますけれども、そういう発想というのは非常に重要じゃないかなと思います。また、近々開通されます本四連絡道路の神戸−鳴門間は普通車でも七千七百円と、もう今からそういう値段が発表されたら、あれは使えないねというふうな意向も出ております。  まず、この瀬戸大橋の通行料金の値下げというのですか、通行料金の問題について、担当省庁それぞれ今どういうふうに、これはたしか運輸と建設の両省の所管だと思いますけれども、今どういう現状になっているのか、ちょっとお聞かせいただきたい。
  35. 佐藤信秋

    佐藤説明員 先生御指摘の既に供用している児島−坂出ルート、これは割引を用いますと往復で約一万円、こういう形になっておりまして、料金が高いではないか、こういう御指摘があることは私どもも承知しております。ただ一方で、先ほどのお話のように、計画に比べますと多少交通量が現状では下回っているということも事実でございまして、採算という面では非常に厳しい面があるということも考えておかなければいけないことかと思っております。  そのために、これまで本四道路の利用の定着あるいは促進という観点から、往復の割引券あるいは回数券それからプリペイドカードなどを導入しまして、料金の上昇をできるだけ抑制しながら、値上げをしないで済むようにしながらさらに全体の採算性の確保を図ろう、こういう観点から、借入金だけではなくて、国や地方の出資の方も充実しようということで、この出資金の拡充ということもやっておりまして、昭和五十八年、資金コスト六・一四九ということで始めておりましたけれども、例えば現状では三・九%という資金コストを目指して国と地方の出資金の充実を図っている、こういう状況であります。  それから、建設費の抑制といいますか、こういうことも大事なことだということで、設計とか材料、施工、いろいろな面で工夫をしておりまして、新しい工法の開発などもしながら、建設費の節減を講じてきているところであります。  これからどうするかという御議論でございますが、ただいま道路審議会で、本四道路も含めまして、先ほどお話がありました都市高速道路、阪神高速とか首都高速とか、あるいは一般の有料道路、公社の有料道路とか道路公団の経営する一般の有料道路とか、いろいろな有料道路の形態、態様に応じまして、これからの建設、整備のあり方あるいは管理のあり方と一緒に、料金のあり方などについてもどうするかという御審議をいただいておるところでございます。  そういう中では、償還の制度にかかわる問題であるとか、それから先ほど申し上げましたような、どうやって国や地方で助成をしていくか、これも大事な観点でございますし、料金のレベルをどういうふうに考えていくのか、そのような観点から平成六年の十一月から御審議をいただいておるところでございまして、平成七年の十一月に高速自動車国道につきまして答申をいただき、さらに残る他の有料道路につきまして現在鋭意御審議いただいておるところでございますので、その審議の結果も踏まえながら、これからのあり方について検討を加えていく、こういうことで考えているところでございます。
  36. 吉田治

    吉田(治)委員 課長が言われること、よくわかるのですけれども、私などが考えるのでしたら、四点私はお願いをしたいなと思うのは、用地費というのは、これは日本の場合は何をするにも土地代が一番かかるという中においては、やはり国の一般財源の負担をしていただきたいし、例えばインターチェンジの整備の施設費というのは、一番利益を受けるであろう地元の自治体が一つか二つか三つか寄って負担をする。また、先ほどから私申し上げておりますように、全国一律のプール制度というふうなものをどこかで見直さなければ、高速道路に乗ったらお金を払うということが未来永劫続くのかということ。そして施設費の償還期間、今課長も言われましたように、今現在四十年を五十年に延長ということを私は基本にすべきではないかなと思います。償還後の無料開放については、維持管理費程度の有料制というのは私はやむを得ないと思うのですけれども、どうなんですかね。  この辺の四点というのは私が言っているだけではなくて、さまざま要望とかよく来ていると思うのですけれども、何かそういう審議会等々で話し合われたり、生かされたりということはあったんですかしら。
  37. 佐藤信秋

    佐藤説明員 ただいまの四点についてでございますが、先ほども申し上げました、平成七年の十一月に高速自動車国道の整備のあり方に関しまして答申をいただいておりまして、その議論の中でいろいろな角度から御議論いただいたところではあります。  まず一点目の用地費の問題でございますが、用地費につきまして、これを利用者にお支払いいただく料金の対象にすべきではないのではなかろうか、こういう御議論がございまして、答申の内容としましては、当面これを高速自動車国道の償還の対象から除外して考えるべきであろう。ただ、その除外した用地費をどういうふうに取り扱うかという点については幾つかの考え方が提示されておりまして、それは現実的な対応を今後検討すべきである、こういうことであります。  それから二点目のインターチェンジの施設費等につきましてでございますが、これも審議会の先生方共通の御意見として、ただいま先生おっしゃいましたような、より地元の利便に密接に関連しているようなインターチェンジの費用の負担のあり方については、地方の負担、御協力ということも含めて、あり方をもう少し見直したらどうか、こういう御提言をいただいております。  それから三点目の全国一律プールの見直し、こういう問題でございますが、これにつきましては、いろいろ御議論いただいた末に、例えば地域ごとにプールを考えるというような場合ですと、北海道や四国では現行の料金の三倍以上の料金になってしまうというような問題点も指摘されまして、これについては、やはりある程度全国でプールしながら整備、管理を歩調をそろえてやっていくべきではないか、こういう御意見をいただきました。  それから償還期間についてでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げました。地費の償還をどうするかという点は、用地費の償還は除外しまして、従前、これまでの運用として四十年であった高速自動車国道の償還期間について四十五年から五十年、これは施設の耐用年数という観点からいろいろな角度で計算しますと、四十五年から五十年くらいということが出てまいりますので、四十五年から五十年くらいというのは認められ得る議論ではなかろうか、こういう答申をいただいております。  具体的にどういうふうにこうした点を生かさせていただくかということにつきましては、政府部内でもいろいろ調整しながら、今後の料金のあり方、整備のあり方に反映しようということで、今検討をさらに詰めておるところでございます。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 審議会での答申、そういう形になっているということですので、できるだけ現実化するようにお願いを申し上げたいところであります。  次に、環境の問題という中で、このごろいろいろ、特に自動車関係する環境でいうならば、非常に公害問題というふうなものが出てきておるのは、もう二十年も三十年も前からずっと公害公害という形で出ており、これが今環境というふうに名前を変えて、環境問題という形になっております。特にディーゼルトラックの排気ガスの問題も大きくなっている中で、諸外国に目をやりますと、ヨーロッパなりアメリカなりでいいますと、アイドリングストップというんですか、つまり、自動車は走っているときだけエンジンがかかるんだ、停車をしているとき、また駐車をしているときにはエンジンを切ろうというアイドリングストップという制度が生まれ、これが例えばドイツであるとかアメリカの州政府によっては法律で、もう罰則規定まで決めて、とめようと。  例えば、日本でいうならばトラックとかバス、国会見学で、バスツアーでたくさん来られます。そのバスというのは、バスの車庫へ、駐車場へ入ってどうしているかというと、エンジンを切って待っているということはまれでありまして、例えば今の季節でしたらやはり暑いからエンジンをかけておいて、中に冷房を入れて涼んで待とうと。またお客さんも、帰ってきたときに、ああ暑い暑いと言って入ってきたときに、何や、この車は冷房も入っていないのかというふうにならないためにも、エンジンをかけつ放しという例が多い。これは非常に、ちょっとそういうのを変えていくだけで、環境でありますとか特にエネルギー、省エネという中で大きな威力を発揮する、大きいかどうかわかりませんけれども、やはり一人一人の心がけによって環境だとか省エネというふうなものが現実化されていくというふうに聞いております。  ただ、これが運転する立場であるとか待つ立場になると、そんな殺生なことを、暑いのに、そんなエアコンもかけんと窓あけて待つとけというのかというふうなことになるので、これは余り、日本の風土というふうなものに合うのかどうかというのは別かもしれませんけれども、この辺のことについて、まず環境庁の方から、現実どういうふうな形になって、例えば諸外国でどういうふうに運営され、日本ではどうそれに取り組もうとしているのか。また、運輸省として、こういうふうなアイドリングストップという制度について聞いたことがあるのか、もしくは検討でもしたことがあるのかどうか。それぞれの省庁からお答えを賜りたいと思います。
  39. 中山寛治

    ○中山説明員 お答えいたします。  諸外国のアイドリングストップに関します規制状況でございますけれども環境庁が現時点で把握している情報では、米国におきましては、先生御指摘のようにニューヨーク州及びニューヨーク市が、それぞれ州法と条例によりまして規制を行っております。また、ヨーロッパにおきましては、ドイツ、スイスのほか、フィンランド、スウェーデンなどの北欧諸国におきまして、アイドリングストップに関する規制を実施しているところでございます。  それから罰則の有無でございますけれども、私ども調査した結果では、ドイツとスイスとフィンランドにおきまして、あわせて規定されているというふうに聞いております。  日本におきます状況でございますけれども、アイドリングストップを含みます自動車の運転に伴う規制につきましては、実は、既に昨年四月に大気汚染防止法の一部改正を行いまして、国民努力規定を設けたところでございます。これは市民、事業者のすべての主体に対しまして、自動車排出ガスを削減するため、自動車の適正な運転等を求めることを規定したものでございます。  環境庁におきましては、この大気汚染防止法の一部改正を踏まえまして、現在、アイドリングストップ運動を展開しているところでございます。この運動は、ドライバーなどの実践活動を通じまして、大気環境の改善と国民の意識の高揚を図るため、本年六月の環境月間を契機といたしまして、地方自治体、民間事業者、市民など、広く国民の参加を得て実施しているものでございます。  具体的には、環境庁では、アイドリングストップを求めるパンフレットそれからステッカー、それぞれ十万部を作成し、配布をしております。ここに現物を持ってきておりますけれども、このようなパンフレットとステッカーを配布しております。それから、低公害車フェアそれからエコライフフェアというような各種のイベントを実施いたしまして、啓発活動に努めているということでございます。さらに、地方自治体、関係業界などに対しまして協力要請いたしまして、地方自治体あるいは関係業界におきましては、自主的な取り組みが行われておるというところでございます。  今後の取り組みの方針でございますけれども環境庁といたしましては、国民の意識の向上とドライバーなどの実践活動を通じまして、大気環境改善を図ることを目的に、本年六月の環境月間を契機といたしまして、アイドリングストップ運動を今後幅広く、継続的に推進してまいりたいというふうに考えております。
  40. 山下八洲夫

    山下政府委員 運輸省といたしましても、環境庁のただいまの方針を受けまして、運送業者でございますとか一般ユーザー等、いろいろな団体を通じまして啓蒙活動を行っておるところでございます。  既にそういったことにいろいろ配慮をされておる事業者の方もかなりおられまして、例えば交差点ではバスのメーンエンジンを切るとか、また宅配便の配送をするために駐車をいたしますときには必ず切るとか、いろいろな運動が少しずつ広がりつつありまして、こういったことを国民の方が見られて、やはりこういうことは本当に必要だなということが浸透するように、さらに働きかけを強めていきたいと思っております。
  41. 吉田治

    吉田(治)委員 環境だとか省エネというのは、本当に身近な、そういうアイドリングのときに車をとめるというふうなことからも始まっていくということで、この施策を推し進めていきたいと思います。環境というふうなもので申し上げましたら、先ほども申し上げました、ディーゼルトラックの排気ガス、NOx、黒煙というのは非常に問題になっておりますが、経費との問題からガソリントラックヘの代替は困難な状況になってきている。  そうしますと、私いろいろ調べておりますと、このごろ、例えば通産省さんであるとか東京都の指定低公害車制度、また大阪市の民間自動車等への導入の補助金等々、ディーゼル代替LPGトラックというのですか、LPGのトラックヘの代替の可能性というのですか、それが今非常に有効ではないか。一〇〇%燃焼しますので、非常にクリーンなガスが出てくる。馬力の方も、非常に技術改善が進んでよくなってきたというふうに聞いております。  どうも低公害車といいますと、つい天然ガス車であるとかハイブリッド車がどうしたとか電気自動車という発想ですけれども、今のアイドリングストップと同じように、目の前にこういうLPGトラックというふうな低公害車がある中で、どうなんですか、運輸省として、低公害と考えた場合に、このLPGトラックというものをどういうふうに位置づけ、どういうふうに考え、どういうふうに取り扱おうとされているのですか。
  42. 山下八洲夫

    山下政府委員 ディーゼル車の代替としてLPG自動車の普及を進めるということ自体は、当面の大気汚染の防止対策としては非常に有効なものと考えております。  ただ、長期的な視点ということになりますと、エネルギーの長期需給でございますとか安定供給、こういったものを考えなければいけないわけでございまして、今御指摘になりました天然ガス自動車、こういったものとの環境の保全の効果も含めて考えていきたいと思っておりますし、また、大型ディーゼル自動車が産業の中で非常に大きな役割を果たしておるわけでございますが、これが技術的にLPG自動車へ代替できるかどうか、こういった点も踏まえまして、これは私どもだけでは判断できる話ではございませんので、関係省庁とさらに検討を図ってまいりたいと思っております。
  43. 吉田治

    吉田(治)委員 LPGの場合でしたら、ボンベの点検期間の問題とかさまざま、これは安全性確保した上での、いい意味での規制緩和というのですか、こういうことが必要になってくると思うのですけれども、ぜひともこのLPGトラックヘの代替というものを強く求めたいと思います。  続きまして、ちょっと私、以前から非常に疑問に思っていたことが一つございます。それをお答えいただきたいなと思うのです。  例えば、大阪でございましたら、私鉄、民間鉄道でございますね、非常に発達しております。民間鉄道の沿線へ行きますと、民間鉄道会社の関連する不動産会社が住宅開発をされます。そこには民間鉄道会社の関連するスーパーマーケットがたくさんございます。しかし、二年か三年に一度は電鉄会社は値上げをします。  私、これはもういにしえのことで、こんなことをこういう国会の場で言うのはいかがかと思うのですけれども、中学校時代のときに、社会の時間にみんなで議論をしまして、なぜ民間鉄道は料金を値上げしなければならないのか。不動産でもうけているではないか。そこへ住んでいる人は民間鉄道会社の経営するスーパーに物を買いに行かざるを得ないではないか。それでなおかつ鉄道を使って、それがなぜ経営が悪いから値上げをするのだと。  また、ここ数年の関係からしますと、悪いこととは私は申し上げませんけれども、例えば、春闘というふうな形になってきますと、やはり相場づくりという形で、民間鉄道方々が一番最初に要求、要望というふうな形で出され、決まっていく。賃金を上げるという部分では非常にいいかもしれないのですけれども、じゃ、それは回り回ってどうなってくるというと、やはり利用者の運賃にはね返ってくるという中において、私はこの民間鉄道の経営というもの、そして運賃改定というもの、これまた説明があると思いますけれども、諸外国に比べてこれほど民間鉄道が発達している国は私はないと思うのですね。  ですから、その辺を含めて私は、民間鉄道のあり方とそれから運賃改定、利用者の利便性というもの、国鉄からJRになったら値上げを九年間しなくて済んだというのですか、今でも私どもの地元のJR西日本、JR東海、そしてJR東日本というのは料金値上げをしておりませんね。なぜJRはしなくて済むのに私鉄はしなければならないのか。  一方では、非常にいいことかと思いますけれども、文化活動に非常に力を入れられている。文化活動に使う金があれば十円でも電車の運賃安くしてほしいのにというのは、一部別の部分でいったら利用者としての率直な意見かと思うのですけれども、きょうはもう時間がございませんので取りとめのない話になるかもしれません、こういうことについて、運輸省として、民間鉄道を育てる、育てるというか、民間鉄道というふうなもののあり方を含めてどうお考えなのか、お答えをちょうだいしたいと思います。
  44. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 先生御承知のとおり、鉄道の運賃につきましては、鉄道事業の公益性あるいは地域独占性があるというようなところがら、運輸大臣の認可制ということになっておりますが、その際に、それでは一体何を基準に運賃を決めていくかということになりますと、やはりそれは鉄道部門、鉄道事業部門につきまして、能率的な経営を前提といたしまして、適正な原価を償い、適正な利潤を得るということで運賃を決めていくということでございます。  最初に関連事業のお話がございましたが、この問題はかねてよりいろいろな観点からの御意見がございますけれども、関連事業をあわせて見た方がいいということになりますと、では関連事業が悪くなったときに鉄道の運賃を上げていいのかという話になりまして、やはりそこは基本的に好ましくないだろう。  一方、関連事業がいいときに鉄道の運賃をずっと据え置くというようなことをやりますと、例えば鉄道では、サービス改善のために輸送力増強を行うというようなケースでは大変多大な投資が必要でございまして、投資コストをなかなか回収できないという、鉄道につきましては投資の懐妊期間が非常に長いという問題がございますので、関連事業がいいから鉄道の運賃のコストの必要性を認めないということになりますと、やはり健全な鉄道としての発展が阻害される。こういうようなところがら、鉄道部門につきまして、先ほど申し上げましたように、適正な原価を償い適正な利益を得るということで、そういう考え方のもとに一貫してやってきておるわけでございます。  それから、民間鉄道、確かに先生御指摘のとおり、世界的に見ましても日本ほど私鉄が発達している国はないと思います。これは、我が国の場合、首都圏、近畿圏、中京圏のように、大変高密度の社会が形成されて、民間における鉄道事業というものが成立する余地もあるということからであろうと思います。ただ、一方では、先ほど申し上げましたとおり、多大な投資を伴うということでございますので、必要な輸送力の増強が自社だけではなかなかできないということにつきましては、私ども、公的な支援も含めまして、民間鉄道の健全な発達、それによります国民生活の向上に貢献していきたいと考えております。
  45. 吉田治

    吉田(治)委員 時間がございませんので、この件についてはまたゆっくりと、大手私鉄の関係もあれば、地方の廃業寸前の中小私鉄の問題もありますし、その辺の関連事業とのかかわりについてもまたこれから議論をしていきたいと思います。  あと、運輸省の方には営業用車両の車検期間の延長の問題、また白タク、白バス、白トラック等の違法運送行為の問題についてお聞きする予定にしておりました。それぞれ、特に違法運送行為に関しては、警察庁の方までおいでいただいて、資料まで用意していただいておるのですけれども、私ども、審議促進の意味から、まだ時間はございますけれども、私の質問をこれで終了させていただきます。
  46. 辻一彦

    辻委員長 以上で吉田治君の質疑は終了しました。  寺前巖君。
  47. 寺前巖

    寺前委員 それでは、私はきょうは、視覚障害者鉄道駅ホームからの転落事故防止の問題について、まず一点聞きたいと思うのです。  といいますのは、大阪の天王寺なんですが、昨年の六月に藤井さんという全盲の方が、ホーム端の点字ブロックがホーム内側に切れているところで転落して亡くなられるという事故がありました。それから、十月にもまたその天王寺の駅で、神戸市外国語大学の学生さんが、ホームを歩いているとき、ホームの端の壁に突き当たったので柱だと思って右へ寄ったところ、時速四十キロで走ってきた電車に接触、約一・三メートル下の線路下に転落、約十六メートル引きずられるという事故があった。視覚障害者の方に会うと、この転落という問題が各所でかなり聞かれるわけなんです。  調べてみたら、この天王寺駅について、実は近畿管区行政監察局が、その二年前の平成五年の一月から三月に「障害者にやさしい街づくりに関する地方監察」というのをおやりになっているのです。その中身を見ていると、やはり転落防止さくを設置していないものがあるということで問題を指摘してある。にもかかわらず、こういう事故が起こる。  私、それで早速調査をしてみたら、いまだに何の手も打たれていない。これほど視覚障害者が問題にし、監察局も問題にしながら放置されたままになっているというのは、これは軽く見ているのだろうかというふうに見ざるを得ないわけなんで、この問題について、このままでよろしいんや、これは本人の不注意なんだからという態度でこれからもいこうとおっしゃるのか、再検討されるのか、調査されるのか、はっきり聞かせてほしいということをまず私は聞きたいと思うのです。
  48. 亀井善之

    亀井国務大臣 駅における視覚障害者方々の転落事故を防止するための有効な方策を講じることは、重要な課題認識をいたしております。運輸省といたしましても、従来から、ホームにおける警告ブロックの設置、転落防止さくの設置等の措置を講じてきたところでありますが、今後ともさらに有効な方策を検討し、視覚障害者にとって安全な駅となるよう努力をしてまいる所存であります。  なお、先般我が省の職員も、霞ケ関の駅におきまして、そのようないわゆる身体障害者鉄道利用に配慮したいろいろの整備をしなければならない、このようなことから、いわゆる体験の乗車等々もいたしたわけでありまして、このことにつきましても事務当局から若干説明をさせたい、このように考えております。
  49. 土坂泰敏

    土坂政府委員 ことしの三月でございますが、障害者の身になった交通政策が実現するようにという意味で、運輸省が主催をいたしまして、運輸省の職員、自治体の職員あるいは鉄道会社の職員、約五十名ほど参加していただきまして、霞ケ関の駅で、いろいろな器具を使いまして、例えば色づきのゴーグルをつけるというような格好で、本当に障害のある方の身になって実際にターミナルを利用してもらう、それが交通政策なり交通施設の整備、運営に反映していくように、そういうことを願いまして、そういう会をやったわけでございます。  参加した人たちの後の感想を聞きますと、こんなに怖いものとは思わなかったというようなことも言っておりまして、運輸省としては、こういつたようなことを踏まえて、これから本当に障害者の身になった交通整備ができるように努力をしてまいりたいと思っているところでございます。
  50. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生から御指摘ございました平成五年の近畿管区行政監察局によります調査結果につきましては、私ども同年の七月に近畿運輸局から、調査対象の鉄道事業者などに対しまして、この勧告を受けまして身体障害者などの鉄道利用に配慮した諸施設の一層の充実を図るように直ちに指導したところでございます。  各鉄道事業者におきましては、これを受けて順次可能なところがら措置を講じてきたところでございますが、御指摘のございました二件の転落事故につきましては、この施設の改善が実施される前に起こってしまいまして、まことに残念な結果になってしまった、私どももこのように思っております。ただ、当該事故が起こりました箇所につきましては、その後転落防止さくの増設など必要な改善が実施されているというぐあいに受けとめております。  なお、行政監察の際に指摘を受けました状況の現在までの改善の状況でございますけれども、ホームの先端に転落防止さくが設置されていないとして指摘を受けましたのは四事業者七駅でございますけれども、これにつきましては、現在までのところ六駅が改善されております。  それから、ホーム先端付近の階段または車どめと停車中の列車の先端部との間が広く開いているホームで転落防止さくが設置されていないということで指摘されているものが六事業者十六駅ございますが、これにつきましてはまだやや改善の状況が進んでおりませんけれども、現在までのところ六駅改善されております。  私ども、この点につきましては、引き続き改善が行われるように事業者を指導してまいりたいと考えております。
  51. 寺前巖

    寺前委員 費用もかかることだからという意味か知らないけれども、意識をして事故の起こる二年も前に指摘をされたところをそのまま放置しておったということは、やはり大きな行政責任だというふうに自覚をしてもらわなければいけないと私は思うのですよ。ですから、これは計画をきちんととって、それでいつまでにこういうふうにするのかということを運輸省としても責任を持ってやっていただきたいということを僕は一点申し上げたいと思う。  それから同時に、厚生省の身体障害者実態調査を見ても、六割からの人が毎日生活上外出をしているということから考えても、ホームからの転落問題というのは、やはり重点的に早く対処しなければならない問題だというふうに私は思うわけです。  そこで、この間、東京の視覚障害者の団体の方と懇談をしたときに出た話なんですが、鉄道の転落事故の問題で、具体的に救助された人の名前と場所と日にちが明確なものだけを拾ってもらった。そうしたら八件あった。それでは、その八件の問題について鉄道事業者はちゃんと報告を受けていたのか。そこの鉄道関係者救助をしているんですから。そうしたら全部報告が行っていない。まして運輸省には報告が全然行かない。どんな実態が起こっているのかということは、結局、現実が起こっておっても何の報告もとるという体制になっていない。この大阪の事故一つとってみただけでも、意識的に勧告されてから二年間も放置されている、現状でも放置されているという事態を見てきたときに、運輸省自身が積極的に動いてもらう必要があるんじゃないだろうか。  ことしの予算を見ると、予算に新規事業として、「鉄道駅における視覚障害者に配慮した誘導方策等の検討」というのが、約千四百万円の調査費が組まれている。私は、非常に積極的でよろしい。だけれども、ちゃんと事が起こったものを報告をとるというところをはっきりしなかったら、事業者自身が助けていながら報告を受けていないという実態が存在している以上は、私はそこから改善をしてほしい。これが第二点の問題点。  それから第三番目に、この千四百万円をどう使おうという問題もあることだから、陳情の話を聞くだけではなくして、ぜひとも運輸省の方から呼びかけて、いろいろな障害者団体の方に来ていただいて、どんなふうに知恵を今働かせたらいいのかということを聞いてほしいと思う。私はそれをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  52. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 視覚障害者のホームからの転落事故、ただいま御指摘のとおり、私ども必ずしも十分実態を認識しておりません。今後やはり、鉄道部門といいますか運輸部門におきまして、身体障害者対策を進めていく上でこれも重要な課題だと思います。  したがいまして、ただいま先生の御指摘もございましたが、今年度の予算で「鉄道駅における視覚障害者に配慮した誘導方策等の検討」ということで予算もつけてもらいましたので、このお金を有効に活用することによりまして、可能な限り転落事故の実態の把握に努めてまいりたいと思います。  先ほど先生から御指摘ございました障害者への呼びかけ等々、具体的に今の段階でどうこうというのは必ずしも申し上げることができませんけれども、このお金を活用しました調査の一環で、できる限り身体障害者方々お話もお伺いして、実態の把握に努めてまいりたいと考えております。  それから、事故報告の件でございますけれども事故報告は、報告の規則で、列車または「車両の運転により人の死傷を生じた事故」ということで、これが上がってくることになっております。人身事故が起こる前に未然に防げたケースというのは、これは転落事故に限らず、全般的に事故報告が出てこないということでございます。  ただ、今申し上げましたように、転落事故に関しまして、その実情をできるだけ把握していくように努めてまいりたいと考えております。
  53. 寺前巖

    寺前委員 時間の都合がありますので、大臣に特にお願いをしておきたいのですが、視覚障害者の問題もさることながら、新幹線で起こる事故というのは大きいと思う。  この間、三島駅で、初めて亡くなられるという事故が起こっておる。通勤もふえてきておる今日であるだけに、この対処は私は大事だと思う。新聞紙上などをずっと読んでいると、駅のホームに非常列車停止ボタンを利用者等に見やすいところに表示したとか、テレビは同駅に列車監視モニターを設置したとか、車両のドアの改修とか、いろいろ書かれていました。私は、これは当然おやりになることだろうと思う。  問題は、私は、あそこの駅のホームにおる人が一人しかおらぬというのは、ちょっと異常を感じた。特に、あれはカーブしている駅だ。後ろの人は、後ろに立っていたら前の方は見えない。  例えば、私は冬になると東海道新幹線に乗る、列車のことですから、あの米原の周辺のところでおくれる。一つの駅に両方の列車が入ってきたときに、駅員が一人で両方の操作をすることができるんだろうか、こういうことを感ずると、駅員の一人体制というのは不安で仕方がない。お客さんがボタンを押して緊急を知らせる責任があるとは言うわけにはいかぬです。それは善意の話だ。鉄道事業者として、そういう輸送方式をやっているということは問題じゃないだろうか。私は検討してほしいということを一つ。  それからもう一つは、前からの懸案になっているわけですけれども、JR採用差別問題で、中央労働委員会が緊急命令を出しております。これは、国家の機関がああいう緊急命令まで出して、後は裁判所という問題になってきているということで運輸大臣責任は済まないだろうと私は思う。緊急命令まで出されているんだったら、私は、即刻解決することをやらなかったら、責任を果たしているということにはならぬと思うのですが、大臣に、この二点についてお聞きをしたいと思います。
  54. 亀井善之

    亀井国務大臣 前半の新幹線の関連でございます。ホームの要員配置につきましては、基本的には、各線区の輸送状況等の実情に応じて鉄道事業者において適切に対応すべきものと考えております。  しかしながら、今回の三島駅の事故が死亡事故に至ったものであります。これを貴重な教訓といたしまして、今後とも新幹線のホームにおける安全対策についてより一層充実を図っていくよう努力をしてまいりたい、このように考えております。  なおまた、JRの関係のことでございますが、本件につきましても、私ども過去に何回か、政治決着に向けて労使双方に対し協力方を求めたところでもあります。しかし、関係者間に大きな意見の隔たりがあり、経営側は裁判で決着をさせるという方針を堅持しておるわけでもあります。  運輸省といたしましても、これまでの経緯を踏まえまして、労使双方の対応を見守りつつ、この問題の解決のためになすべきことがあれば努力をしてまいりたい、このように考えております。
  55. 寺前巖

    寺前委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、僕は三島の駅が駅員を一人のままでいいのかという問題提起をしているのですから、これはあいまいにせんといてほしいと思う。  それから、緊急命令という形で中央労働委員会が出したのですから、緊急命令なんだから、これは僕は一般的に話が隔たっておったということで済まさないようにしていただきたい。あえて申し入れて終わりたいと思います。
  56. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時二十分散会