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1996-05-08 第136回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月八日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 辻  一彦君    理事 武部  勤君 理事 細田 博之君    理事 村田 吉隆君 理事 久保 哲司君    理事 古賀 敬章君 理事 赤松 広隆君       衛藤 晟一君    小里 貞利君       高村 正彦君    佐藤 静雄君       橘 康太郎君    根本  匠君       林  幹雄君    村岡 兼造君       横内 正明君    安倍 基雄君       上田 清司君    北橋 健治君       実川 幸夫君   柴野たいぞう君       樽床 伸二君    東  順治君       吉田  治君    米田 建三君       緒方 克陽君    左近 正男君       枝野 幸男君    寺前  巖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 亀井 善之君  出席政府委員         運輸大臣官房総         務審議官    相原  力君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   稲葉 一次君         環境庁企画調整         局調整官    石野 耕也君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       竹田 正樹君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       加藤 文彦君         運輸委員会調査         室長      小立  諦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   茂木 敏充君     根本  匠君   江崎 鐵磨君     樽床 伸二君   工藤堅太郎君     上田 清司君   実川 幸夫君     北橋 健治君   田名部匡省君     安倍 基雄君   東  順治君     吉田  治君   高見 裕一君     枝野 幸男君   志位 和夫君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   根本  匠君     茂木 敏充君   安倍 基雄君     田名部匡省君   上田 清司君     工藤堅太郎君   北橋 健治君     実川 幸夫君   樽床 伸二君     江崎 鐵磨君   吉田  治君     東  順治君   枝野 幸男君     高見 裕一君   寺前  巖君     志位 和夫君     ――――――――――――― 四月二十六日  外国船舶製造事業者による船舶不当廉価建浩  契約防止に関する法律案内閣提出第七七号  ) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十六日  国内航空運賃改定に関する陳情書  (  第二四九号)  福山測候所廃止反対備後地方気象セン  ターとしての整備・拡充に関する陳情書  (第二五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  自動車ターミナル法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六〇号)  外国船舶製造事業者による船舶不当廉価建造  契約防止に関する法律案内閣提出第七七号  )      ――――◇―――――
  2. 辻一彦

    辻委員長 これより会議を開きます。  内閣提出自動車ターミナル法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  3. 吉田治

    吉田(治)委員 吉田治でございます。  本法は特に対決法でもございませんが、ただ、規制緩和という大きな流れの中で自動車ターミナル法改正案が実際施行されていって運用されていきますと、これがより一層の規制緩和が必要なのか、はたまたもとへ規制を戻さなければならない状況が生まれてくるのか、それぞれ柔軟にこれから対応していく必要があると思うのですけれども、その辺の大臣の所信をまずお聞かせいただきたいと思います。
  4. 亀井善之

    亀井国務大臣 今回の自動車ターミナル法改正につきましては、大幅に規制緩和をする、こういうことでお願いをしておるところでございます。  規制緩和の問題につきましては、なかなか難しい問題、積極的に進める問題、また若干社会的や経済的な両面合わせて考えていかなければならない課題もございますし、運輸業界中小企業を抱えた中でいろいろ問題もあるわけでございます。そういうような点からも、さらなる規制緩和については、この改正法施行状況を十分見きわめた上で、関係業界意見を踏まえつつ、その適否について検討する必要がある、このようにも承知をいたしております。
  5. 吉田治

    吉田(治)委員 このターミナル関係しまして、自動車といいましたら、バストラック、々クシーと、俗に言う営業車という形になるのですけれども、特に今問題になっておりますのは、ターミナルとは直接関係ないかもしれませんが、貸し切りバス会社の非常な経営難というのがよご言われております。グループが小グループ化してきた、修学旅行で飛行機を使うようになってきた、しかもそれに追い打ちをかけるように不景気が入ってきたという極めて厳しい貸し切りバス業界現状の中、運輸省の方で、プレート運輸目へ返すだけで一応車はそのまま置いていいよ、バスはそのまま置いていいよという預かり車制度〉いうのは、業界にも非常に大きなメリットを与えているのです。  そういう中におきましても、昨今非常に目につくのは、俗に言う白バスですか、レンタカーと称する大型バス、またマイクロ観光バス等を貸す、そこに運転手までつける。ある意味でこれは無許可貸し切りバス業務になる。新聞等も、議員の後援会がどうしたこうしたというのを含めて今さまざま出ております。また、貸し切りバス業界からすると、ただでさえ厳しい経営状況の中で、自バスというものの横行、これが業界に対しても非常なマイナス影響を及ぼしている。それに対して、運輸省として、また各地の運輸局、そして警察としてどういう取り締まりがなされているのか、非常に甘いのではないかという指摘が随分されておりますが、この辺の現状とこれからの対応について、運輸省並びに警察担当者からの御答命をお願いいたします。
  6. 山下邦勝

    山下政府委員 ただいま御指摘がございました白バス違法行為を行うという道路運送法違反の問題につきましては、輸送秩序を乱して、ちゃんと営業をされておる方々影響を与えるとともに、安全性についても問題を生じる可能性があり、看過できない問題であると考えておるところでございます。  自家用バスによる貸し切りバス経営類似行為が非常に足が長くなって広域化をいたしております現状にかんがみまして、こういう類似行為の疑いがある場合には、各陸運支局相互間で情報を交換いたしまして、登録されておるところできちんとした調べが行われるように連絡をしておるところでございます。また、必要があります場合には、警察等関係機関とも緊密な連絡をとっておるところでございます。特に、自家用バスを使用して貸し切りバス類似行為が確認された場合、これにつきましては、例えば車両使用停止処分でございますとか、レンタバスについては事業許可の取り消しということを含めまして、厳正に対応することといたしておるところでございます。
  7. 稲葉一次

    稲葉説明員 いわゆる白バス事件につきましては、過去五年間で六百十一件を検挙しておりまして、平成七年中には八十九件を検挙しております。  警察といたしましては、白バス事件輸送秩序を乱すのみならず、乗客の安全確保という観点からも問題があるというところから、運輸当局等関係機関と連携して、この取り締まりに努めているところでございます。今後におきましても、違法な事案に対しては厳正に対処することとしております。
  8. 吉田治

    吉田(治)委員 この問題は、単にバス業界云々というよりも、今警察庁稲葉指導課長の方からも話がありましたように、やはり乗る方の安全確保というのですか、安ければそれでいい、それでもしも事故が起こったときだれが補償をしてくれるのというふうな一面になってまいりますと、白バス横行というのは余りにも目に余る部分があるのではないかなというふうな感じを受けております。  今はやりの言葉で言いましたら規制緩和自己責任という形になれば、安いのだから事故が起こったら自分で責任をとってよ、これは余りにも、五十人、六十人とたくさんの輸送をするバスにおいてはいかがかと思います。特に、今の説明でもありましたように、過去六百十一件のうち平成七年が八十九件と、近年非常にふえてきた。反対に言えば、それだけ白バスというのはもうかるぞというふうな一面もあるのだと思います。この辺の取り締まり規制というものをより一層厳しくしていただきたいと、この場をかりて私は申し上げたいと思います。  バスといいますと、昨年十一月八日の運輸委員会で、私、質問させていただきました。バストラック運転者の安全というのですか、私はそのときに、安全距離一メーターというお話も申し上げたと思うのですけれども、非常にフラットな、衝突が起こったときに一番被害をこうむるのがバストラック運転者である。そのとき山下局長の方からの答弁は、バスについては現在検討中だ、これは先日、その審議会ですか、検討会中間報告はいただきました。しかしながら、トラックについては、できるだけ急いで検討を開始したいという答弁がございましたが、半年たった現在、何かが動いているという話も何ら聞いておりません。  トラックについてはどういうふうにされていくのか、もう一度局長の方から答弁を賜りたいと思います。
  9. 山下邦勝

    山下政府委員 トラック安全性確保につきましては、平成四年三月の運輸技術審議会答申等を踏まえまして、これまでにABS、アンチロックブレーキシステムでございますとか、さらに大型後部反射器、光るように張るものでございますけれども、また後ろに車が入ってこないような突入防止装置、こういったものを義務づけますとともに、現在、高速時のブレーキ性能確保につきまして基準改正作業をいたしておるところでございます。基準は国際的にできるだけ統一をいたす観点から外国に通報いたしまして改正いたしますので、今その作業が行われておるところでございます。  トラックの乗員の保護につきましては、車両重量が非常に大きくて、またトラックの前面ですべてを吸収するというほど前が出ておりませんので、そういったことから、まず運転室の周りの強度を高めることが必要だろうと判断をいたしておるところでございまして、このやり方をどういうふうにするか、関係団体とも現在協議をいたしておりまして、本格的な検討を近々開始いたします。
  10. 吉田治

    吉田(治)委員 その関係団体というのは、差しさわりがなければ、どういう団体と今交渉しようとしておるのでしょうか。
  11. 山下邦勝

    山下政府委員 自動車工業会でございますとか、また技術的な担当をいたします自動車研究所、こういったところでございます。
  12. 吉田治

    吉田(治)委員 その場合、例えばプロのドライバーの意見を聞くとか、まだそういう段階に来ていないのか、それともこれからそういう段階を踏んでいくのか、どうなんでしょうか。
  13. 山下邦勝

    山下政府委員 バスの場合は、先生承知のように、事業者でございますとか運転者でございますとか、こういった方に全部入っていただいた一つ委員会をつくりました。トラックの場合は非常に多様でございまして、その方式はなかなかとりづらいかと思いますが、おっしゃられているように、運転している方々が一番実感としていろいろつかんでおられる、また改善意見等も持っておられる可能性が強うございますので、そういった機会を設けたいと思います。
  14. 吉田治

    吉田(治)委員 早急にそういう機会をつくっていただきたいと思います。やはり運転する方にとっては、命をかけて運転しているというのはちょっと幾ら何でもいかがかと。  しかも、これは質問通告しておりませんが、稲葉警察庁交通指導課長、よく御存じだと思いますけれども、今このトラックバス運転手さんが亡くなられる率が大変高い。厳しい労働条件プラス死亡率も高いといったら、なかなかこの今の時代、そこまでかけてその仕事にっこうという人もいないのではないかなと思います。  その中において、今こういうふうにトラックバス、タクシーという営業用自動車というふうな中において、運輸省流れとしては、全体としては規制緩和していこう。昨年、平成七年の七月一日に道路運送車両法改正をされまして、点検整備も変わりましたし、また、随分前に自動車は、初年度、新車の場合は一回目は三年車検、その後二年車検。昨年の法改正で、十一年たった車についても今までの一年車検が二年車検。これは、管理ですとか整備ですとか、もちろん自動車自身性能も随分よくなった、そういう結果だと思うのですけれども営業用車両もこの何十年間かの一般車両技術進歩と軌を一にしてやはり進歩してきている。営業用車両だけは昔のままだということはないと思うのですけれども営業用自動車車検期間は昔から一年間のまま。営業用以外の自家用車が三年、二年、十一年たった古いものでも車検さえ通れば二年だというのに、営業用車だけはいつまでたっても一年のままである。営業用車自身管理もまた状況も変わってきて、私どもは特段大きな支障というのは何かあるのかなと。先ほど私が白バスのところで申し上げました、やはり人を乗せて安全に運行するからと。しかしながら、この緑のナンバープレートをつけているということは、乗せたお客様に対して、また乗せた荷物に対して最後最後まで保証をするということのもとの緑のプレートだと思うのですね。  ですから、営業用車両というふうなもの一これはよく規制緩和の理論の中で出てまいります、運輸省がかかわる航空行政もそうでしょうけれども飛行機会社自由化をして任せてしまうと、競争していって安全性に手抜かりが起こってくる。そうすると飛行機が落ちやすくなるから、そうならないために適正利潤に基づいた運賃規制をするのだと。しかしながら、これは皆さんも御承知のとおり、アメリカで徹底的な航空自由化をした結果、何ら事故はふえなかった。かえって、事故を起こすことによってマイナスイメージを起こしてはいけないということで、その部分に対する努力が増した。日本のこの自動車営業用車両というものも同じだと思うのですね。単に期間を、二年を一年にするから安全だということでもないと思うのです。  この一年間というものをいつまで一年のままに続けておくのか、今後それを例えば二年にするとか、経過措置として一年半にするとか、そういう検討をされているのか、また今後検討する予定があるのか、その辺を少しお聞かせいただきたいと思います。
  15. 山下邦勝

    山下政府委員 ただいま委員指摘がございましたように、車検期間につきましては、昨年七月の道路運送車両法改正によりまして、六カ月点検廃止でございますとか、定期点検項目を簡素化する、また十一年を過ぎた車についても一年の車検を二年にするというようなことを実施いたしました。  この検討をいたしますときに、営業用自動車検査証有効期間につきましても運輸技術審議会の方で審議をしていただきまして、最近におきます自動車技術進歩等を網羅的に調査いたしまして、専門的、技術的な検討を行いました。その結果、その時点では現行の一年が適当であるという判断をいたしております。これは外国営業用車両というのは一年という期間を設けておるところがほとんどでございます。  しかしながら、今お話がございましたように、業界を中心にそういう希望が非常に強うございます。ただ、これらにつきましては、安全性にかかわることでございますから、これから自動車ふぐあい発生状況でございますとか、事故が具体的にどういうふうに起きておるのか、環境に与える影響はどうかといったようなことをきちんとデータを把握、監視をいたしまして、その結果を公表いたしたいと思います。それを毎年継続的にずっとやっていきまして、その中身につきまして、学識経験者でございますとかユーザー代表等から成ります調査会を設けたいと思っております。その中で具体的な検討をしていただきたいと思っておりまして、今年度その調査のための準備を、基礎的な調査をやる予定にいたしておりまして、来年から本格的なこの体制を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  16. 吉田治

    吉田(治)委員 ことしは準備、来年から具体的な改正の方向へ入っていくということで、答弁としては数年以内にはこれは何らかの具体的結論が出るというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  17. 山下邦勝

    山下政府委員 先ほど申し上げましたデータ等状況によりまして判断をいたしていくことになると思いますので、何年とは申し上げられませんが、その内容を皆さんとともによく考えていきたいと思っております。
  18. 吉田治

    吉田(治)委員 世界に冠たる日本自動車産業でありますし、故障がほとんどないと言われている自動車産業がつくり出す営業用車両でありますから、こういうふうなものは世界に先駆けて日本が取り組んでいくという必要も私はあるのではないかな、それが今度は日本車自身の品質というものを世界にアピールするまたもう一つ機会でもあるのではないかなというふうに考えております。  さて、本年三月の末に「規制緩和推進計画改定について」というふうなことが発表されております。先ほども少し触れましたが、昨年の七月一日に道路運送車両法改定があったにもかかわらず、また、何に慌てたのかわかりませんが、本年度にこういうことをするんだというふうな、運輸省の一方的なこれは発表ではないかと私は思うのです。  車検制度というのは、もう御承知だと思いますけれども、やはり問題点は何かというと、車検場へ持っていけば安くできるのに整備工場へ持っていけばなぜ高いのか。これはユーザーは知らないですよね、どういうふうに違うかというのを。  指定工場へ持っていけば、そこには検査員というみなし公務員であり試験に通った人があって、そしてその自動車整備工場は、その人に対してほかの従業員に比べて平均二五%高い給料を払って雇っている。そして、もしも万が一、整備が終わって一歩車が出た場合に、国の陸運支局車検に通してもらった車が、例えば、新聞報道で事実あるんですが、その車検場の門を一歩出て事故を起こしても、何らその車検をした運輸省であるとか陸運支局であるとかその車検場責任を負わない。  しかしながら、一方、民間はみなしとして検査員がやるから、もしもその車が、車検に通った、しかしその後ある期間の中で事故を起こしたら、その検査員責任をとらなければいけない、その費用まで含まれているというふうなことが、これは車検制度費用での違いというのですか、そういうのがある。こういうことをユーザーに何も理解させずに、とにかく車検は高い、高い、安くするのがいいんだ。その結果として、よしあしは別でございます、その結果というよりも、今までそういう規制に守られていた業界という意味でいえば、昨年の法改正というのは一つ非常にいいきっかけになったと思います、業界にとっては。  しかしながら、運輸省としてそういう努力ユーザーに何かしたのか。ただ単にユーザーは高い、高いと言うだけであったのではないかな。その上に追い打ちをかけて今回のような計画を発表する。しかも、その中に突然ニューサービスということを運輸省が言い出している。今までの整備ニューサービスをと。これは、一つ考えたら、民間事業に対してこれをしなさい、あれをしなさいと、そこまで運輸省が言い出していいものなのかどうなのか。また、平成八年度中に導入、普及の促進をするというのは、これは法律規則改定をもう計画しているのか。この辺はまずいかがなんでしょうか。  そして、二点目。今まで運輸省の言うとおりに、認証工場じゃだめですよ、指定工場的なものをつくりなさい、大同団結してお金を出し合って協同組合にして車検のラインをこさえなさい。言われるがままにつくってきたこの協同組合、今どういう現状御存じでしょうか。よく理解されていると思います。そこでの車検場での売り上げというのは、当初予定は七割、八割のものがもう五割行くか行かないか、ほとんどは事故車というのですか、板金、塗装という事故の処理の方がよっぽどもうかるよという状況。ですから、行政がこれだけ言うのか、法律規則改定を今予定しているのか、そしてこの協同組合というもの、これを今までつくった、近代化資金というのは指定化前提といいますけれども、これをどういうふうにされるのか、この三点、まずお聞かせいただきたいと思います。
  19. 山下邦勝

    山下政府委員 最初に、規制緩和推進計画においてニューサービスという言葉を使わせていただきましたが、先生指摘のように、今回の法改正の基本的な思想でございますとか、それから実際のかかる経費がどういうふうになっているのか、ここらが非常に理解されていないということもありまして、具体的にこういうサービスもできますよということを打ち出したわけでございます。ただ、これはまああくまでも実施されるのは民間業者方々でございまして、我々が指示をするというようなタイプのものではございません。  ただ、言葉が少しオーバーかもしれませんが、ニューサービスと呼んでおりますが、最初に一部の検査をやりまして、整備必要性ユーザーにお知らせして、いろんな選択をしていただく。例えば、これはもう私は何万キロ乗れるぐらいにしてくれという話であればこういうふうにしなければいかぬし、しばらくは余り乗らないからこの程度でいいという、そこらあたり選択をしていただくというようなことができるように整備工場の方できちんとした説明をしてやっていくというこ とをこういう言葉で呼ばさせていただいておるわけでございますが、このこと自身は既に平成七年の法改正でできるような仕組みになっておりましたので、その具体化をこういう格好でやったらどうかというようなことで発表させていただいたわけでございます。  次に、今後、指定整備工場がどういうふうになっていくかということでございますけれども、これにつきましては、できる限り安全や環境、こういったことに支障のない範囲内で指定整備工場要件を緩めまして、できるだけ指定を取っていただくということで、人的要件でございますとか、また共同で機器を使えるような形におきましても指定整備工場になれるという道を設けておるわけでございます。  これらにつきましては、もちろん近代化資金とか構造改善事業、こういったことの優遇措置が得られるわけでございますけれども、既に今先生が御指摘いただきましたようなタイプのものにつきましても、こういったものへ移行するということも可能になってきますし、いろいろな選択肢が出てくるわけでございますし、これはそれぞれの業者方々経営実態に応じて選んでいただければ結構かと思っております。
  20. 吉田治

    吉田(治)委員 じゃ、これは平成八年度どうするかというのは後で答えていただきたいのですけれども規制緩和推進計画の文章を読んでいますと、突然出てくるのですね、点検の際に検査と同様なチェックを実施するということが。従来の点検整備から検査になるのが、平成七年からは点検をした上で検査整備をするに変わった。そういうふうになってきますと、点検検査を先にやって、整備は後やってもやらなくてもいいよ。今、指定工場化を目指す、指定化することが近代化資金前提であるといいますけれども、この状況でいえば、指定化しても何ら関係ないとか、認証工場というのはもう不必要で、なくなるんじゃないか。私どもの持っている資料でいきますと、大体六万二千の認証工場のうち七千ぐらいが指定の資格を取れるであろう。じゃ、あとの五万五千というのは、これはもう指定の下請になるか、はたまたユーザー車検というふうなものに近い形になるのか、そういうふうにせざるを得なくなるんじゃないか。御承知のとおり、この業界というのは大企業はありませんよね。多くても十人、二十人の整備工場ばかりです。それについても運輸省というのは、ある意味では、こうなってきたら前検査のなし崩し的導入、しかもこれによって国における検査廃止するという、そういう戦略ではないかというふうな話もあるわけなんです。  そういうふうな中で、いろいろ新しい言葉は出てくるのですけれども、今局長が理解されていないと言われた。じゃ、説明する努力をしたんですか、今まで整備工場皆さんに集まっていただいて。また、従来のやり方、運輸省から自整連に行って、自整連から各都道府県に、そういう努力もしているのですか。私が聞いた範囲では、突然こんなのが三月の末に出てきたよ、今までのやり方と随分違うじゃないかというふうに言われていますけれども、だらだらした質問ですけれども、お答えいただきたい。
  21. 山下邦勝

    山下政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、既に法改正の中にこの考え方というものは入っておったわけでございます。したがいまして、これをもう少し徹底してやることが、押しつけ整備ではないかというようなユーザーの非難をかわすためには一番ストレートな対応ではないかということを考えて、こういうことが道として、法制度としては今度できておりますから検討なさったらいかがですかということを申し上げておるわけでございまして、強制をするというようなことではございません。  ただ、恐らく、これをこの規制緩和計画で出しまして世に問いますと、当然、こういうことができるということをユーザー側からいろいろ話が出てくると思いますから、そこは事業者の方で今後どういうふうに対応していくかはよく考えていっていただきたいということでございます。
  22. 吉田治

    吉田(治)委員 それがいわゆる自主保守管理意識の高揚という形になるのでしょうけれども、どれだけユーザーの人たちは管理についての意識を高めたのでしょうか。全部がなし崩しばかりじゃないですか。さきの法改正のときにこの委員会で附帯決議をしておりますよね。衆議院の附帯決議、委員会の附帯決議の重みというのをどれだけ運輸省は今感じているわけですか。ちょっと答えてください。
  23. 山下邦勝

    山下政府委員 今先生の御指摘ございました、当委員会でいろいろな御指摘をいただいておるわけでございますが、例えば、自己責任を徹底するためにいろいろきちんとした広報活動を行えということにつきましては、例えば自動車点検整備推進運動でございますとか、点検整備に関する手引を公表いたしましたり、チラシ、ポスター、こういったことによる広報活動、これは積極的にやっておるわけでございます。しかしながら、これはやはりいろいろ、税の問題でございますとか保険の問題、これらを含めて、なかなか高いというユーザー側の受けとめ方、このことはあることも事実でございますが、ただ、そこのところはきちんと分けて考えていただきたいということは、相当繰り返し我々としても広報活動をやってきておるところでございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 今、保険の話が出ましたけれども整備工場の大きな稼ぎ頭というのは、整備工場をやると同時に、来られるお客さんに自動車保険というものを売ると言ったら語弊がありますが、自動車保険の代理店としての活動もあると思います。しかしながら、今これが非常に大きな危機に瀕している。整備自身もこういう規制緩和の中で危機に瀕している。  しかも、保険が、これは損害保険範囲料率というのですか、いっときの事故率六〇%から今現在三〇%、四〇%になって、範囲料率がたしか上下一〇%ある。それで、自動車整備工場というのは、ほとんど国内のすべてと言っていいです、損害保険会社の代理店をやられています。そこへ今外資系が、この範囲料率一〇%、しかもいいところだけを使って、いいお客さんというのですか、おいしいお客さんだけをどんどん奪い取っていっている。そうしますと、整備工場にすれば、整備はあかんようになってくるわ、保険はとられる、どうしろという話になるのですけれども、実際、大蔵省として、この損害保険の自動車保険の範囲料率の運用状況、適用状況、それは外資系だけなのか、国内の保険会社はどう考えているのか。これはひょっとしたらカルテルかもしれないですよね、損害保険協会の会社だけやらないというのは。その辺、いかがお考えなのでしょうか。
  25. 竹田正樹

    ○竹田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の、現在、任意の自動車保険の料率の大部分は、損害保険料率算出団体に関する法律に基づいて設立され、各損害保険会社が会員となっている自動車保険料率算定会が算出しているところでございます。この算定会の会員である損害保険会社は、算定会が大蔵大臣に届け出た料率を使用しなければならないという義務が課されておりますけれども、一方で、料率の弾力化を図るという観点から範囲料率という制度が設けられてございまして、算定会が届け出た料率の上下一〇%の範囲内であれば、会員各社は認可等の手続を要することなく自由に、つまり、損害保険会社の個別の経営判断で料率を設定できる、そういう仕組みがとられているわけでございます。  先生御質問の点につきましては、損害保険会社の中に、算定会が届け出た料率そのものを用いるのではなく、一〇%の範囲内でそれより低い料率で自動車保険を販売しているケースがあるのではないかというお尋ねでございますが、この点については、私どもは、一部の外国損害保険会社が個別会社の経営判断としてこの範囲内でほかとは異なる低い料率を設定している例があると承知いたしております。それで、国内の保険会社についてでございますが、私ども承知しております限り、自動車保険の分野におきましては、今申し上げま した外国損害保険会社の一部に例があるだけで、国内の損害保険会社におきましてはそうした例はないというふうに承知いたしております。
  26. 吉田治

    吉田(治)委員 そうした例がないから、今整備工場で代理店やっているところは困っているわけですよね。踏んだりけったりというやつです。  これは、指定工場の方からすると、昔やった大牟田方式というのですか、認証で点検して検査ラインまで持っていってという、そういう方向になるのか、指定からするとどうなるのか。現実に、昨年の規制緩和の結果どういうことが起こったか。先ほどから安全、安全と言いますけれども、現にダンプであるとか大型トラックユーザー車検を通っているのですよ、あんな大きなものが。そういうことまで規制緩和として認めていいのかどうか。  そして、私は局長にここを聞きたいのですけれども、内外からの規制緩和に関する意見、要望、具体的に何があったのかを答えてください。
  27. 山下邦勝

    山下政府委員 まず、内外からの要望でございますが、これにつきましては、一つ大きいものは、アメリカの日米自動車部品交渉におきまして、我が国の制度につきましていろいろ御指摘がございました。特に、メーカー、ディーラー系のものを中心に運用する、そういったものの部品が流れていくということを強制されるのはいかがかということで、独立系のものをもう少しふやしてほしいというような要望がございました。  これを受けての一つの今後の改正であるわけでございますけれども、そのほかに、各団体、いろいろな団体がございますが、例えば自動車総連なんかもいろいろな御意見をいただいておりますし、それらを全部踏まえまして、行政改革委員会で御議論をいただいたときに、今申し上げたようなお話がいろいろ要望として出てきたわけでございます。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 ずっとこの整備の話、私もここで質問させていただいておりますが、余りにもちょっと誠実さに欠けますな。私、これ以上質問できない。
  29. 辻一彦

    辻委員長 今のような御質問ですが、もう一度、少し御答弁いただけますか。山下局長
  30. 山下邦勝

    山下政府委員 今お尋ねの、内外の要望はどういうことがあるのかということでよろしゅうございますか。(吉田(治)委員「いや、全体にわたってもう一度」と呼ぶ)私どもは、途中でも申し上げましたけれども自動車安全性、また我が国が非常に車の高密度社会であるということから、環境に与えるいろいろな影響、これらが阻害されることのない範囲で、できるだけ民間方々の自由な活動を促進していこうという基本的な考え方で今の制度改革を、一連のものをやってきておるわけでございます。  確かに、七年の法改正で一応一まとめの区切りをしたわけでございますが、その後内外からのいろいろな要望も受けまして、その中で実施することが可能なもの、これについてはできるだけ拾い上げていくというのが我々の基本的な姿勢でございます。
  31. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間ですので、最後に、この件に関しては、監督官庁として運輸省説明とビジョンというのが必要だと私は思うのです。特に、この三月のこのことがいろいろな波紋を呼んでいるというのは、単に突然出したからというのも一つあると思います。しかしながら、運輸省が、前線の職員、霞が関の運輸省本体ではありません、例えば地方の運輸局陸運支局、その職員がちゃんとこたえられるようなことをしているのかどうか、それが非常に重要だ。そして、しかもそれを聞いた業界の人たちが、また普通の町工場のおじさん、おばさんが、また町工場をやられている経営者の人が、これはどうなるんだと。そういうことに対して、縦のラインと言ったら語弊があります、情報伝達のラインが何かずたずたになって、突然上からこうだよと。今局長言われたように、法律でもう決まっているからわかっているじゃないか、それはニューサービスだよというふうになるからおかしくなるのであります。  ですから、この監督官庁としての説明とビジョンということについて、大臣として責任ある答弁をちょっと最後にいただきたいと思います。
  32. 亀井善之

    亀井国務大臣 車検制度規制緩和につきましては、何よりも安全の確保が第一でありますし、あわせて環境の保全、こういう観点からもその後退は許されることではないわけであります。そのような視点に立ちまして、今先生からもいろいろ御意見をちょうだいしております。  その制度を実施するに当たりましても、業界皆さん方に私どもは十分説明をし、その対応の万全を図ってまいりたい。特に規制緩和車検制度の関連は中小の整備業者が関連をすることでありまして、昨年の法改正と、またその見直しの問題もその法改正に出ておるわけでありますので、それらを踏まえて万全の体制をしいてまいりたい、このように考えております。
  33. 吉田治

    吉田(治)委員 終わります。
  34. 辻一彦

    辻委員長 以上で吉田治君の質疑は終了しました。  北橋健治君。
  35. 北橋健治

    北橋委員 新進党の北橋でございます。  まず、今回政府から提案されました自動車ターミナル法の一部改正案につきまして、二点質問をさせていただきます。  まず第一に、今回のこの法改正の趣旨でございますけれども、昨年三月に行政監察が行われておりまして、特別積み合わせ事業者の負担軽減を図る見地から、専用ターミナルにつきまして三つの改善の勧告が出されております。これをきっかけに法改正準備が進められたのではないかと思いますけれども、昨年三月にこの行政監察の勧告が出た、そして具体的に三項目の改善の勧告が出されているわけでございますけれども、この三点は今回の法改正によってクリアされたと理解してよろしいのでしょうか、お伺いします。
  36. 亀井善之

    亀井国務大臣 御指摘行政監察では、専用トラックターミナルについては、貨物自動車運送事業法及び自動車ターミナル法の両法の規制を受けること、一般トラックターミナルとは利用形態が異なるにもかかわらず同等構造設備基準等が課せられていること等を指摘し、事業者の負担軽減を図るため、自動車ターミナル法規制を改廃するよう見直すことを求められたわけでありまして、この点、今回の改正は専用自動車ターミナルについて自動車ターミナル法上の規制をすべて廃止しようとするものであり、これにより行政監察において指摘されている点については解決をされている、このように考えております。
  37. 北橋健治

    北橋委員 本来の規制緩和の趣旨は、ユーザー、国民の負担を軽減するというところにあるわけでございまして、今回の法改正を契機といたしまして、特別積み合わせ事業者の負担が着実に軽減されるように今後万全を期していただきたいと思っております。  二番目に、この法改正をきっかけに、私も各地域で、例えばトラックにかかわる事業者方々に、今回こういう法改正ができますけれども皆さんの地域でこういうターミナルを新たにおつくりになる考えはありますかと聞きますと、多くのところで、中小事業者をめぐる経済環境が余りにも厳しいこともありまして、当面考えていない、そういうお答えも返ってまいりました。そういった意味では、この自動車ターミナル整備するということは日本の物流全体の発展のためには極めて有益な施策であると思いますので、今後こういった施策についての万全の助成というものが重要になってくるものと思っております。  私の選挙区、北九州という地方都市、百万都市でございますが、三大都市圏とまた足回りがやや異なっておりますのは、もう皆さん車で、マイカーで通勤される方が非常に多うございます。車はまさに地方社会における必需品になっておりますが、北九州に限らず、地方都市に行きますと、どこでも駐車場の確保というのが大変難しいわけであります。  運輸省の中でもいろいろとこれからの交通体系を議論されまして、パ一ク・アンド・バスライド のビジョンであるとか、もしこれが各地域で実現しますと、これは大変喜ばれる政策だと思います。要は、マイカーで通勤される方が一定のところまで、ハスなり交通機関のあるところまで行きましてそこの駐車場にとめる、そこから公共交通機関を利用しまして通勤をするということでございまして、交通混雑が厳しくなる状況におきましては、これは非常にありがたい構想だと思います。  ところが、御案内のとおり、駐車場をつくるというのは、これはもう自転車の駐車場一つつくるだけでも、地方議員の皆さん方と懇談しますと必ず、この点が大変難しい、財政的にも非常に難しい問題があるということでありまして、このパーク・アンド・バスライド構想は立派でありますけれども、これを実現していくためには相当の公的な支援というものが必要になってくると思っております。  そこでお伺いをいたしますが、いわゆるバスターミナルを初めといたしまして、自動車ターミナル整備というのは事業の公益性が非常に高いと考えますが、今回の法改正を契機に、政府として抜本的な支援措置の拡充というものをお考えになるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 山下邦勝

    山下政府委員 自動車ターミナル整備改良等につきましては、地価税でございますとか事業所税、さらには特別土地保有税の非課税措置など、税制上の特例措置のほか、日本開発銀行等によります低利融資の措置が講じられております。さらに、バスターミナルにつきましては、バス活性化システム整備費等補助制度というのがございまして、国及び地方公共団体が五分の一ずつ、総計五分の二になりますが、これを補助できる仕組みが設けられておるところでございます。  これらにつきましても逐次、我々としては、そのバスをできるだけ使って、どういうふうにすれば例えばマイカーで来られた方とも共存できるか、そういう今先生が御指摘いただいたようなことができるか、これからさらに検討を深めていかなければ、交通渋滞というのは結局国民生活に大きな影響を与えるということについては十分認識をしておるつもりでございます。  こういった一環として、ターミナルのみならず、全体としてどういうふうにしていけばこれが円滑に進むか。もちろんその助成の問題もございますでしょうし、土地の取得でございますとか都市計画上どういうふうに位置づけてもらうかとか、そういったことについてさらに検討を深めていきたいと思っておるところでございます。
  39. 北橋健治

    北橋委員 これから検討するとお伺いしまして、大変寂しく思っております。運輸省関連の法案が改正されるという、今非常にいいタイミングでもございますので、こちらが期待をしておりましたのは、今回の法改正を契機に、例えばバスターミナル整備については、来年度の予算編成についてこういったビジョンを出して、そしてこれだけの助成の拡大を図るんだ、そういった決意というものを持っていただいているのではないかと期待しておりましただけに、大変期待外れでございます。  地方都市に参りますと、マイカーというのは必需品でございます。そしてどんどんあふれてまいりまして、もう道路をつくるといっても、なかなか予算上も、また住民の理解を得るのも大変難しい。そういった意味では、最近私も、つくづくこのバスの復権ということがこれからの交通体系では極めて重要になってくるのではないかと。その場合に、やはりあるところまではマイカーで行かないとバスに乗れないようなところもたくさんあるわけでございますので、そういった意味では、今回の法改正を契機に、バスターミナルを念頭に置いて思い切った助成措置を、来年度予算編成に向けて、ぜひとも理論武装されて大蔵省にかけ合ってほしいと思うわけであります。それについては与野党挙げてぜひとも応援させていただきたいという気持ちでございますので、御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  40. 山下邦勝

    山下政府委員 今申し上げましたように、私どもバス活性化補助金というのを既につくっておりまして、それについては既に平成八年度におきましてもかなりの拡充をいたしております。こういう中で、さらに我々としてはこれをどういうふうに持っていくか、今鋭意検討をいたしておるところでございまして、今御指摘いただいたような点につきましても、皆様方の御支援も得ましてさらに検討するというのはそういう意味でございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  41. 北橋健治

    北橋委員 ぜひともこういった事業につきまして、予算編成が大変厳しい、来年度、特に難しいと思います、安易に国債を発行することも許されない状況でございますだけに、ぜひともこういったところに光を当てていただきたいと要望をしておきたいと思います。  きょうは残された時間、限られておりますけれどもトラック事業者をめぐる政策課題につきまして質問をさせていただきたいと思っております。  まず、大臣にお伺いしたいことは、現在のトラック事業者がどういう経済環境に置かれていると認識されているかであります。もとより亀井大臣はこういった運輸事業について大変お詳しい方だと聞いておりますので、日本の物流におきましてトラック輸送の果たす役割がどれだけ重要であるか、また、今後ともこの物流体系におきましてトラック輸送はますます重要である、国民経済においても重要であるということは、これはもうひとしく認識をされていることだと思っております。  問題は、この間の数年間の経済環境の変化、これは特にだれの責任というわけではありませんけれども、景気の低迷によりましてどの産業も大変厳しくなっておりますが、とりわけこのトラック事業者には、本当に聞けば聞くほど気の毒な、いろいろなことが押し寄せてきております。NOx対策で環境問題に対していろいろとコスト面でアップになっているとか、最近では労働時間短縮に向けて人手もなかなか集まらない中でどうやってそのコストアップに耐えていくかとか、そしてまた、私どもが非常にこれは何とかしなければいけないと思うのは、二年前から、平成五年の十二月一日から軽油引取税が増税になりました。業界全体では千百億円との試算もあります。そして、最近では三段階に分けて高速道路の料金もアップされている。このコストアップも五百億円になるのではないか。そしてまた、さらには特石法の廃止に伴いまして軽油がアップするのではないか。次から次へとトラック事業者をめぐる環境は厳しさを加えてきております。  そこで、今日のトラック事業者はほとんどが中小事業者と聞いております。大臣として、運輸大臣に就任されまして、こういった業界の認識をどういうふうに持たれて、今後どういう決意でこの振興に取り組むお考えかをまずお伺いしたいと思います。
  42. 亀井善之

    亀井国務大臣 トラック運送が我が国物流の基幹的輸送機関、国内貨物輸送の大宗を占めている、そして我が国の産業及び国民生活にとって不可欠な役割を果たしておる、これはもう委員指摘のとおりでございます。  しかしながら、輸送需要の低迷に加えて、今お話しの軽油引取税の引き上げや三次にわたる高速道路の料金の改定、軽油価格の引き上げの動きなど、特に中小の事業者がほとんどのトラック業界が大きな負担を強いられて大変厳しい経営状況にあるということは、十分承知をいたしております。  運輸省といたしましても、今後とも物流二法に基づき、経済的な規制緩和をし、社会的な規制につきましては強化をする方向、こういう施策を講じ、輸送の安全を確保しつつ、トラック運送事業の活性化、ひいては我が国物流業界の発展のためにいろいろな施策を進めてまいりたい、このように考えております。  また、先ほど御指摘バス活性化の問題等々、来年度予算につきましていろいろ努力をしてまい りたい、このようにも考えておりますので、ぜひひとつ御支援をよろしくお願い申し上げます。
  43. 北橋健治

    北橋委員 今、大臣のお言葉にもありましたように、トラック事業者をめぐる経営環境は大変に厳しいというお話がございました。全く同感でございます。  そこで、まず第一に軽油引取税の問題についてお伺いしたいと思いますが、これについては、御案内のとおり、道路整備五カ年計画に合わせまして、既にもう十年三月までは現在の税率が決められております。ですから、これはもう済んだことだと言えばそうかもしれませんけれども、しかし、この増税を平成五年の暮れにするときには大変賛否両論があった。これだけの増税をするわけですから、当時の与党の中でも、あるいは運輸省におきましても、これはトラック事業者バス事業者に対する影響は大変大き過ぎると、大変な議論があったに違いないと思うわけであります。  当時、運輸省は、この軽油引取税の大増税、千百億円の負担増になるけれども運輸省としてはこういうことをしますから大丈夫ですという、何か行政指導といいますか、行政としてトラック事業者の健全な発展を図るためにいろいろな措置を講ぜられたと思いますが、何をされたのでしょうか。
  44. 山下邦勝

    山下政府委員 軽油引取税は確かに非常に大きなインパクトでございましたので、まず荷主の所管省、通産省、農水省、建設省に対しまして、荷主団体に対しましてこの事情を十分徹底して転嫁について協力をしてほしいということで要請をいたしております。もちろん、省内の我々の関係にも荷主がございますので、そういったところへも要請をいたしております。  また、全日本トラック協会に対しまして、この場合の転嫁をするためのいろいろな活動をするわけでございますけれども、これについて我々がそういう場をセットするとか、そういったことで協力をいたしております。  その一環といたしまして、例えば運輸業界、荷主業界、石油業界から成ります懇談会を設置いたしまして、それを例えばブロックごとに開いて、このトラック業界の経営の実情を十分理解していただくよう努めてきたところでございます。  また、荷主懇談会、こういったところに参加をいたしまして、今申し上げましたような運輸業界の実情、また、どうしても転嫁をしなければならぬということへの理解を求めてきたところでございます。
  45. 北橋健治

    北橋委員 平成五年の暮れといえば、バブル経済が崩壊しまして、日本の経済が下り坂のときであります。千百億円もの新たな負担増を求める増税でございますから、いかに道路整備のためという美名があるにせよ、自動車業界を預かる運輸省としては大変逡巡されたと思うわけであります。それだけに、今、種々できる限りのことは鋭意されたということは、よく承知をいたします。  しかし、政治のみならず行政も、重要なのは結果でございます。平成五年の暮れから増税になってから今日まで事業者が新たに抱え込むことになった軽油引取税の増税分、これが荷主さんにどれだけ転嫁できたでしょうか。まずその認識をお伺いしたいと思います。
  46. 山下邦勝

    山下政府委員 確かに今委員指摘のように、景気低迷等のこともございまして当初なかなか浸透していなかったのは事実でございまして、多数の中小企業者を中心になかなか転嫁できていないというような回答が中心でございました。  これについては、最近の景気の回復状況もございますので、先ほど申し上げましたようないろいろな機会を使いまして、適正な転嫁がなされるようにさらに努力をしていく所存でございます。
  47. 北橋健治

    北橋委員 トラック事業者の九九・八%が中小企業であることは先刻御案内のとおりでございます。荷主さんは大手企業も数多いわけでありまして、力関係においてなかなか物が言えない。転嫁、転嫁と言うのであればほかのトラック業者もいるという話もちまたではいっぱいされるそうでありまして、大変お気の毒だな、そういうお話はもうたくさんトラック事業者の方から聞いております。そういった意味では、今後ともこの増税の転嫁につきましては運輸省としてできる限りの御努力を続けていただきたい、こう思っております。  同時に、これは平成九年のときにまた見直しの時期がやってくるわけであります。先々のことではありますが、この暫定措置の、いわゆる増税をした分の措置の延長というものはもうやめたらどうか。  それと同時に、昭和五十一年からこの増税をするに当たりまして交付金というものが出されております。輸送力の確保輸送コストの上昇の抑制を図るため必要であるということでこの施策も講ぜられているわけでありまして、これは現在においても極めて重要な役割を持っているものと私は認識しております。思い切ってこういった交付金の増額を図るといった何らかの措置を講じなければ、あのとき運輸省が、増税分は転嫁するように努力するからと、関係省庁にも言うし荷主さんにも言うからとおっしゃっておられたのだけれども、現実はそうなっていないわけなんだから、何らかの代替措置というものについて今後踏み込んだ検討が必要ではないかと思うわけでありますが、運輸省の見解をお伺いしておきたいと思います。
  48. 山下邦勝

    山下政府委員 確かに暫定税率が平成九年度で切れます。この扱いについては、これから非常に重要な問題でございますので我々全力を挙げて取り組むつもりでございますが、特に運輸事業振興助成交付金として使われている分につきましては、環境問題でございますとか労働問題、さらには先ほどおっしゃいましたようないろいろなターミナルの問題を含めた施設の問題、こういった問題に非常に有効に使われておるところでございます。  平成十年度以降におきましても、この交付金の制度の継続と増額並びに軽油引取税をできるだけ適正な税率にしてほしいということについては、関係者の意見を十分にお聞きした上で、我々も相当な努力を払って理解を求めるよう働きかけてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  49. 北橋健治

    北橋委員 ぜひともこの軽油引取税の問題につきましては、トラック事業者をめぐる厳しい経営環境観点から最大限の御高配をいただきたいと強く要望しておきたいと思っております。  時間が少なくなりましたが、環境税と軽油の問題についてお伺いいたします。簡潔にお答えをいただければ幸いであります。  まず環境税でございますが、これについては、日本環境政策を推進するためにこういった新しい制度について研究をされることは結構でございます。大いにやっていただきたいと思いますが、このトラック業界に限らず、あらゆる産業界の方がこの環境税の政府内部の検討に非常に強い関心を持っております。運輸省も御案内のとおり、トラック事業者の中では毎年のように安易な環境税の導入には断固反対ということを言ってきているわけであります。  本来環境税の問題というのは、環境の負荷に対して一定の経済的な措置を講ずるということが議論の柱だと思いますが、同時に、これは安易な増税に終わってしまっては極めて難しい問題になるわけでありまして、例えば相殺をするための何らかの制度を考えるとかしないと、どういう方向で御検討されているかつぶさには承知しておりませんけれども、安易な増税を考えるならば国民経済、産業界に対してまた著しい負担を強いることになるわけでありまして、これは大変ゆゆしき問題だと思っております。  そこで、環境庁に簡潔にお伺いしたいと思います。  今後環境税の議論の勉強に当たって国民経済への影響、産業界への影響というものについてどの程度ウエートを置いて研究されているのか、その一点についてお伺いしたいと思います。
  50. 石野耕也

    ○石野説明員 お答え申し上げます。  環境税につきましては、環境基本計画にあるように、今日の環境問題の解決のために有効性を期待されている手法として、環境庁におきまして、現在学識経験者による研究会を設けましてさまざまな調査研究を行っております。この中で、内外の研究成果、政策の実際を参考にしながら、環境保全上の効果と我が国の経済に与える影響といった論点を勉強しているところでございます。  この中で、御指摘の税収あるいは経済への影響といった観点も含めまして研究を深め、そうした検討状況につきましては一般に広くお知らせをしながら、国民的な議論が深まるようにしてまいりたいと思っております。
  51. 北橋健治

    北橋委員 アメリカの軽油というのは、リッター二十七円と聞いております。日本の軽油を見ますと、アメリカで売られている軽油一リッター当たりよりもさらに高い三十二円十銭が税金であります。つまりエネルギーに対しては余りにも多くの税負担というものが既にあるわけでありまして、だからこそ環境税の議論についてはこれが重要なのであります。  改めて強く要望しておきたいと思いますが、環境審議会環境基本法をつくるときに答申されました。あのときにも経済的手法は相当議論されておりますが、そのときにも、やはりこういった新たな経済的手法を活用するに当たっては「広範かつ慎重な議論による国民的合意が形成されていない分野がある以上、」という議論がありました。最近の、環境基本計画における平成六年の閣議決定を見ますと、確かに「国民経済に与える影響等につき適切に調査研究」あるいは「国民の理解と協力を得るよう努力する。」と書いてありますが、トラック事業者を初め日本の産業界は今後、もう大分長らく期間を要して研究されていると思いますので、ぜひとも——日本のエネルギーに対しては余りにも膨大な税負担というものが既に課せられている、諸外国と比べましても異常なほど高い水準であります。そういった状況の中で新たな増収といいますか、それにつなげてそこで環境政策の財源を得るような、こんな発想では到底国民の理解は得られないものと思っております。また環境委員会で長官に質問させていただく機会に譲りたいと思いますけれども、ぜひとも国民経済への影響を十二分に今後参酌しながら議論を詰めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  軽油の問題でございます。エネ庁の方に聞いていただいております。  当委員会におきましても、特石法の廃止に伴いまして、元売業者から三円から五円値上げする、あるいは場合によっては供給を制限するような動きすら既にあるということで、全国各地で請願書が出たり、大変な政治問題化をいたしております。  そこで、いろいろと通産省も地方に出向かれてお話をされていると思いますが、特石法を廃止された、自由化されたのだから、商いの慣行といいますか、そういったものには直接出向かない、しかし、供給の制限その他そういう問題があるときには何らかの対応をするというふうに聞いておるのですけれども、これは一円上がるだけで百七十億円も負担がふえる。亀井運輸大臣も、これは大変心配だ、身内にトラック業者がいるのでよくわかるけれども、軽油が上がるということは大変心配なことだ、こうおっしゃっているわけでありまして、事業者にとりましてはこれはもう死活問題であります。  その意味で、今後どういう機会に通産省としては指導に乗り出す考えなのか、その方針をまずお伺いしたいと思います。
  52. 加藤文彦

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、軽油等の石油製品につきまして、トータルとして需要に見合った供給は確保しているという認識でございます。したがいまして、製品不足による売り惜しみ等が生じることはないと思っておりまして、先生指摘のような問題は、基本的に石油製品をめぐる個々の価格交渉におけるやりとりの問題だと認識しております。  価格の問題につきましては先生指摘のとおりでございます。市場原理により決定されるものでございまして、価格交渉について政府が介入するというのは、基本的に不適当であるというふうに考えております。とりわけ、本年四月からの特石法廃止規制緩和は、市場原理を石油の分野に一層導入するということを目指したものでございまして、その趣旨からも、政府の介入は極力慎重であるべきというふうに考えております。  なお、あえて申し上げますと、価格の状況でございますが、規制緩和を先取りいたしました石油業界の競争によりまして、ガソリンについて言うと十五円、軽油につきましても三円、この二年余りで値下がりしております。我々といたしましては、石油業界に対しまして、むしろこの事実を、下がっているという事実を需要家の方々に理解してもらうようにというアドバイスをしておるところでございます。
  53. 北橋健治

    北橋委員 運輸省、今の御説明で納得されるのでしょうか。これは大臣から大変心配な事態にもなりかねないという答弁があったわけでございまして、当委員会におきましても、非常にゆゆしき問題であるということから議論がされてきた問題であります。  特石法は、御案内のとおり、ことしの四月から廃止をされました。いよいよこれからが正念場でございます。そういった意味では、今のエネ庁のお考え方を聞いておりますと、もう基本的に自由化になったのだから、基本的には市場原理に任せるというようなお話でございます。しかし、当委員会にも請願が幾つか出されておりまして、大変にゆゆしき事態になってくるということで、政府に対して、十分まず調査をせよ、石油価格の安定については、実情をまず十分調査をした上で、呼定供給について適正な指導を行うように強く要望するという趣旨の請願も付託されているところであります。  そういった意味では、運輸省として、所管官庁としまして、やはり今のようなエネ庁の発想でどんどん末端価格が上がっていくような事態が放置されるならば、これはもう軽油引取税から、高速料金の問題から、あるいはこの経済の低迷からしまして、ほとんどの中小事業者は生きていけ女い。その中で、週四十時間の労働時間の問題というのは国会で決まったことでありますから、これは経営者たちも必死の思いでやらねばならぬというその重荷がますます食い込んでくるわけでありまして、この軽油の問題は決して看過し得ない重大な問題であります。  運輸大臣としてこの問題についてどのように取り組まれるでしょうか。お伺いしたいと思います。
  54. 亀井善之

    亀井国務大臣 特石法の廃止に伴い、トラック事業者に対して石油販売業界から軽油価格の引き上げ、この要請があることは承知をしております。実は、私が答弁をいたしましたが、私自身、身内が業界でやっておりまして、大変朝早くから経営者が出ていかなければなかなか事業が成り立たないというような深刻な中小企業トラック事業をいたしておりまして、この軽油価格の引き上げで大変大きな影響を受けておるということは十分承知をいたしております。  運輸省といたしましても、この軽油価格については、トラック業界あるいは石油業界との間で自由で公正な取引が行われるよう、資源エネルギー庁とも十分連携をとりましていろいろ努力をしてまいりたい、このように考えておるところであります。
  55. 北橋健治

    北橋委員 時間が参りましたけれども亀井大臣とは二年前、規制緩和委員会でワシントンに一緒に行った間柄でございます。そのときに、アメリカの航空機産業を初め、ディレギュレーションで大変な活力を得たと、アメリカ関係筋は誇らしげに語っておりました。しかしその陰で、倒産があり、あるいは労働者が失業するといった事態もありまして、これは日本的な風土のもとでは非常に難しい問題ということを先生も一緒に感じてこられたと思うわけであります。  特石法の問題というのは、規制緩和の大きな流れからして、これに対して異を唱えるものでは基本的にありません。しかしながら、今日のトラック事業者が国民経済に果たしている重大な役割とあわせまして、今大変に厳しい経営状況にあることを思いますと、運輸大臣としても、今後精力的にこの問題について奮起をして頑張っていただきたい。そのことを強く要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  56. 辻一彦

    辻委員長 以上で北橋健治君の質疑は終了しました。  樽床伸二君。
  57. 樽床伸二

    樽床委員 新進党の樽床でございます。  自動車ターミナル法の一部を改正する法律案に対しまして、確認の意味も込めながら質問をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  まず、今回の自動車ターミナル法の一部を改正する法律案でありますが、規制緩和推進計画における方針の中で今回の改正が行われる、このように認識をいたしておりますが、確認の意味も込めまして、運輸省として規制緩和推進計画、再度どのような方針で取り組んでおられるのか、そして進捗度はどのような段階に至っておるのか、こういったことをお聞きいたしたいと思います。  もとから、規制緩和につきましては総論賛成、各論反対、このような意見が噴出をいたしておりまして、党派を超えてさまざまな意見がまじり合っていることも十二分に認識をしておりますが、私個人といたしましては、この規制緩和というものは時代の大きな流れの中でぜひとも強力に進めていかなければいけない問題である、このように強く認識をいたしております。そういった前提に立ちまして確認をさせていただきたいと存じます。
  58. 相原力

    ○相原政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、今回の自動車ターミナル法改正も、昨年三月末に閣議決定されました規制緩和推進計画の中でうたわれたものの一事項でございます。  昨年の規制緩和推進計画の策定に際しましては、政府全体の規制緩和事項、全体で千九十一事項ございました。その中で、運輸省といたしましては、規制緩和事項二百十九を盛り込んでございまして、三年間の計画でございますが、七年度中に、既にその七一%に当たります百五十五事項を措置いたしております。措置済みでございます。  さらに、ことしの三月二十九日に規制緩和推進計画改定計画が閣議決定されたわけでございますが、この本年三月二十九日の規制緩和推進計画におきましては、行政改革委員会を初め内外からの新たな規制緩和に関する意見、要望を踏まえまして、運輸産業における健全な競争の促進あるいは利用者利便の向上等の視点に立ちまして、十分な検討を行ってまいりました。その結果、運輸省として新たに六十八事項追加したところでございます。また、既に盛り込まれた事項につきましても、措置内容の具体化とかあるいは実施時期の前倒しなどを盛り込んでいるところでございまして、それらを合わせますと、運輸省関係、百五十事項を盛り込んでいるところでございます。  新たに盛り込んだ主な内容といたしましては、参入の容易化あるいは運賃、料金の弾力化を図るという考え方から、例えば航空運送事業におきまして、ダブル・トリプルトラック化の基準を従来の半分に引き下げて大幅に緩和をいたしております。また、トラック事業とかタクシー事業の参入に際しまして、最低車両台数の緩和、あるいは運賃、料金設定の弾力化も行うことといたしております。また、内航海運の船腹調整事業計画的解消、あるいは先ほども議論ございましたが、車検制度につきまして、ユーザーが最低限の整備で済ませることを選択できるような情報の提供、これらを盛り込んだところでございます。  今後とも、計画に盛り込みました事項を着実に実施いたしていくことを基本としつつ、また改定計画の基本方針等を踏まえまして、規制のあり方の見直しを積極的に進めていく所存でございます。
  59. 樽床伸二

    樽床委員 進捗状況につきましては確認をさせていただきましたが、先ほどちょっと私申し上げましたように、規制緩和につきましては、総論では皆さん大体異口同音に賛成をされるわけでありますが、各論の段階に入りますとなかなか思うように進まない、こういった状況がマクロ的には存在をしているだろう、このように考えております。  そういった中で、私個人といたしましては、戦後五十年を経まして、これまで五十年間、我が国がずっと営々として築いてまいりました経済また産業の構造を大きく見直さなければ、我が国の経済社会の活力が大きくうせてしまう、こういったことを大変危惧をするものでございまして、そういった点から考えますと、市場メカニズムをいかに徹底をさせ、その力をもって経済の構造改革をしていくのかということが大変重要な視点である、私は個人的にはそのように考えております。  ただいま説明いただきました中でも、その方針につきまして、まだまだどうもぐっとくるものがないといいますか、非常にあいまいなお答えであったように私は受け取ったわけでございますが、何としてもこの規制緩和を鋭意進めていくためにそのような大方針をしっかりと立てていただきまして、さらに規制緩和を進めていただき、そして我が国の経済がさらに活力を持てるようにぜひとも御尽力を賜りたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  さて、そういった方針の中で今回の自動車ターミナル法の一部改正でございますが、再度確認をさせていただきたいと思います。  昭和三十四年制定時のこの自動車ターミナル法そのものの法律の方針、目的、そしてその後、今回改正するに当たりまして、社会が大きく変化をいたしております。昭和三十四年といいますと、今から三十六年も前でございまして、この間にまさに社会はさま変わりをいたしております。こういった状況の中で、制定時の方針とか目的、そういったものに現在変化があるのかないのか、こういったこともあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 相原力

    ○相原政府委員 自動車ターミナル法は、今御質問ございましたように、昭和三十四年に制定されたわけでございますが、当時は日本経済、非常に高度成長の段階でございまして、高度成長に伴うモータリゼーションの飛躍的発展というものがございました。また、道路網の整備とかあるいは都市内交通混雑の発生、こういった状況のもとで、自動車運送事業の基盤施設である自動車ターミナル整備が喫緊の課題でございました。  こうした中で自動車ターミナル法を制定したわけでございますが、当時は免許制ということで、免許制を通じまして、自動車輸送網の中心として望ましい位置に輸送需要に適合する規模の一般自動車ターミナル整備確保する、こういった形で、例えば乗り合いバスとかあるいは特別積み合わせ路線トラックの運行系統を集中させまして、運行系統相互間の有機的連携あるいは都市間物流と都市内物流の円滑な中継を図るというふうに考えたところでございます。これによりまして、自動車ターミナル事業の適正な運営を確保して、自動車運送事業の健全な発達に寄与することを目的として自動車ターミナル法を制定したところでございます。  今回、いろいろな社会状況の変化の中で、大幅な規制緩和という観点から法律改正をしょうというところでございますが、今回の法改正によりまして、自動車運送事業をめぐる最近の状況変化に対応して、特に一般自動車ターミナルの量的拡大を図るという必要性が非常に大きくなっているわけでございますが、こういう観点から、自動車ターミナル事業についての規制は免許制から許可制へと改める。  これに関連して、また工事手続等についても大幅な規制緩和を行うということにしょうとしているわけでございますが、この許可制度のもとにおきましても、自動車ターミナル事業の適正な運営を確保する、そして自動車運送事業の健全な発達に寄与するという自動車ターミナル法根本的な目的については変化はないというふうに考えているところでございます。
  61. 樽床伸二

    樽床委員 非常にきれいな言葉が並んでおるわけでございますが、大体の方針として変化はない、こういうようなお答えであったと思います。ということは、自動車ターミナルそのものの位置づけというものは全然変わっていない、こういうふうに考えてよろしいのでございましょうか。
  62. 相原力

    ○相原政府委員 自動車ターミナル事業そのものの位置づけという御質問でございますが、我が国の運輸活動におきまして、自動車交通は、旅客輸送でいきますと約七割を占めております。また、貨物輸送では約九割の輸送シェアを占めているわけでございまして、極めて重要な役割を果たしているところでございますが、特に一定の運行系統におきまして、定期的に不特定多数の旅客あるいは貨物を輸送する乗り合いバス事業とか特別積み合わせトラック事業がありますが、これらにつきましては、一般の利用者に輸送サービスを提供する公共的な事業というふうに考えてございます。国民生活や産業活動の基礎となる重要かつ不可欠な役割を果たしているところでございます。  このような乗り合いバス事業あるいは特別積み合わせトラック事業は、一定の運行系統を定期的に運行する形態でございますので、例えば旅客の乗りおり、乗り継ぎのための施設とか、あるいは貨物の積みおろし、荷さばきのための施設をあらかじめ確保しておくことが事業の実施上不可欠になっておるわけでございますが、自動車ターミナルは、このような乗りおりの施設あるいは貨物の積みおろし施設を道路外に集約して設置するというものでございますので、これらの事業の円滑な実施と利用者利便の確保に大きな役割を果たすものであるというふうに考えております。  こういう意味におきましては、運輸省の施策の中での自動車ターミナルの公益性あるいは重要性については、当時と変化がないというふうに考えているところでございます。
  63. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  再度、もう一度確認の意味を込めまして、制定時のところにさかのぼってみたいと思うわけでありますが、先ほどの御答弁の中にもございましたし、私どもも認識をしておりますが、制定時には、事業参入を免許制、また、施設の供用開始に当たっては工事の施行の認可を受けるとか完全に検査に合格しなければならない等々の、まだたくさんございますが、そういった規制を設けて進めていった、こういうことでございますが、その制定時にさかのぼりまして、なぜそのような細かな規制を設けたのか、こういうことを一度確認をさせていただきたいと思います。
  64. 相原力

    ○相原政府委員 一般自動車ターミナルにつきましての重要性は先ほど御説明したとおりでございますが、地域における交通、物流の拠点といたしまして、国民生活や産業活動にさまざまな影響を及ぼすこととなる大規模施設であります。また、旅客等多数の一般の利用者が利用する施設でもございます。  こういう施設であるわけでございますが、法律制定の昭和三十四年当時におきましては、まだ一般自動車ターミナルというのはほとんどございませんでした。したがいまして、整備の実例もほとんどなかったわけでございます。整備、運営にかかわるノウハウが全くない状態で自動車ターミナル法が成立したということでございますが、そういう段階でございますので、二重投資とかあるいは安全面で支障を生じるような施設が建築される蓋然性が高い状況であった、こういう経緯があろうかと思います。  このため、事業参入に際しましては、自動車輸送網の中心となる位置に需要に応じた規模の自動車ターミナルが建設されるということを国が直接監督する必要があるという観点から、免許制を講じたということでございます。  また、施設の安全性等の観点では、施設の安全性も確実に担保する必要があるということで、また、もう一方では、運輸大臣の公益的な判断に基づく免許制のもとでの事業者の負担の軽減を図るという観点から、例えば、免許制でございますと却下の可能性もあるわけでございますので、免許申請の際に詳細な工事計画までをつくらせるのは、事業者に対してかえって過大な負担になるのではないかという観点から、免許の際には工事の詳細な計画は不要といたしまして免許後に別途工事施行の認可の手続を定めまして、したがいまして、工事が完成した後完成検査を行うという手続を定めた、こういう当時の状況から従来の法律規制の体系がなされたというふうに考えております。
  65. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  簡潔に言うと、初めての試みであったので、国が乗り出していろいろ手とり足とり教えてやらなければいけない状態であった、このようなお答えであったのではなかろうか、このように認識をいたしておりますが、今回それを大幅緩和したのはもうそのような必要がなくなった、こういうような認識を持ってよろしいのでしょうか。
  66. 相原力

    ○相原政府委員 今回大幅に緩和することといたしましたのは、先ほど先生からも御指摘がございましたように、いろいろな状況の変化がございまして、そのような状況の変化に対応して、特に一般自動車ターミナルに対する期待が高まっておりまして、新たな一般自動車ターミナルの量的拡大が求められるようになったというのが大きな理由でございます。  例えば、バス輸送の分野におきましては、都市間交通としての高速バスの路線網あるいは空港アクセスのための路線網が急速に展開しつつあります。これに対応する自動車ターミナル整備が求められております。また、先ほどの御質問でございましたパーグ・アンド・ライドなどの観点もおろうかと思います。  また、物流の分野におきましても、特に昨今、物流コスト削減の要請が高まっておりますが、これに対応いたしまして、複数のトラック事業者の連携による連絡運輸とか、あるいは共国運行を宝施していくための拠点施設となる一般トラックターミナル整備の必要が高くなってきております。  さらに、都市内の交通渋滞とかあるいは環境問題の深刻化に対応する観点からも自動車ターミナル整備必要性が高まっているということでございます。従来の免許制という規制は、このような自動車ターミナルの量的確保を図るという観点からはむしろマイナス面があったというふうに考えております。  このため、自動車ターミナル事業につきましては、免許制ですと、適切な位置あるいは規模を事業参入の要件として考えていたわけでございますが、そういう要件を要する免許制を改めまして、自動車ターミナルとしての一定の機能あるいは安全性を有するものであれば事業参入を促進しようというふうにしたわけでございます。また、料金等に関する規制も大幅に緩和することによりまして弾力的な事業運営を可能にする、そういうふうにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  また、安全性の問題につきましても、技術の進歩等々あるいは過去の例等々から考えますと、従来行ってまいりました工事施行認可は廃止いたしまして、実質的な設計審査は許可のときにあわせて行うということで、工事完成後の最終的な確認のための実地の検査制度についても廃止してもいいのではないかというふうに考えているところでございます。
  67. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  私は、もう三十六年も経過をしておりますので、本当言うともっと早くこのような緩和をするべきであったのではなかろうか、今さらながら思うわけでございますが、ぜひともこの改正を契機にして、さらにこういった分野の振興が図られるように心よりお願いを申し上げたいと思います。  それでは、特に一般のトラックターミナルについて、もう少し質問をさせていただきたいわけであります。  どうも私個人的な見解で、もし間違っておりましたら後で答弁の中で御訂正をいただきたいわけでございますが、私の感覚の中では、一般トラックターミナルというのはどうも大手の企業が中心的に使っておられるような感覚を持っております。別に大手の方が使われるのは何も悪いことではないわけでございまして、それはそれで結構なことであろうと思うわけでありますが、やはり先ほど我が党の北橋議員の方から質疑の中でもございましたように、圧倒的多数を占める中小零細のトラック運送会社の振興を図らなければ業界そのものが底上げをしていかない、このように認識をいたしております。  そういった中で、私は、一般トラックターミナルというのはどうしても大手中心の施策にこれまで偏りがちであったのではなかろうかというような感覚を持っておるわけでございますが、その辺についてどのようにお考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  68. 相原力

    ○相原政府委員 一般トラックターミナルを利用している企業の、大企業あるいは中小企業の割合でございますが、一般トラックターミナル事業者の中で最大規模の会社は日本自動車ターミナル株式会社でございます。この例で申しますと、利用しております会社は全部で四十六社ございますが、その中で大企業、これは資本金一億円超かつ従業員三百人超でございますが、大企業が三十四社でございます。七四%に当たります。中小企業は十二社、二六%で、御指摘のように、全体のトラック事業者の割合からすれば大企業が非常に多いということは事実でございます。  ただ、大企業中心の施設ではないかというような観点から申し上げますと、トラック運送事業者の相当部分が、大企業が一般トラックターミナルを利用しているということは事実でございますが、これはトラックターミナル側があらかじめ利用者を大企業に限定したということではございませんで、大企業が特に全国各地の一般トラックターミナルを利用した大規模なネットワークを持った輸送サービスを提供している、そういう結果から先ほどのような数字が出ているのではないかというふうに考えているところでございます。
  69. 樽床伸二

    樽床委員 私が思ったよりも大企業の割合が少なかったわけでございますが、これまでは免許制という非常にいろいろな縛りがあってのトラックターミナルであったわけでありますが、これからがらりそういった規制緩和が進むとなると、もう少し小規模のトラックターミナル等々も生まれてくる可能性は十分にあるだろう、私はこのように思っておるわけであります。  そういった中で、全国ネットの運送会社だけではなくてローカルネットの運送会社等々におきましても、利用できるものだったら利用したい、このように潜在的に考えておられるところは恐らくたくさんあるのではないかというように私は考えております。実は二、三、私の知っておる方にお尋ねをしましても、ほとんど同じような答えが返ってまいりました。そういったことで、今回の改正を機にぜひとも中小業者の底上げに対して配慮した規制緩和をさらに進めていただきたい、このように考えるものでございます。  そういった中で、中小企業協同組合等々においてこのようなトラックターミナル事業協同組合で行うというようなことは可能なのかどうか、また具体的事例はこれまであったのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。
  70. 相原力

    ○相原政府委員 まず中小企業のためのトラックターミナルという観点でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、一般トラックターミナルは大企業も中小企業も何ら区別なく利用が可能であるわけでございますが、とりわけ中小企業という観点で申し上げますと、みずからトラックターミナル整備するのが非常に困難であるわけでございます。したがいまして、そういう中小企業にとって一般トラックターミナルが非常に重要な施設でございますので、一般トラックターミナル整備中小企業振興に積極的な役割を果たすというふうな認識を持っております。したがいまして、中小トラック事業者が単独であるいは共同してトラックターミナルを建設する場合には、中小企業振興策としてやはりその所要資金について支援措置を講じる等の支援策も考えているところでございます。  なお、協同組合によるトラックターミナルの例についての御質問でございますが、中小企業協同組合によるトラックターミナル事業は法的にも可能でございますし、現実にも一般自動車ターミナル、現在二十五社のうち一社は協同組合でございます。例もございます。
  71. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございます。  時間も残り少なくなってまいりましたが、最後に、今トラックターミナルの問題につきまして御質問させていただきましたが、トラック業界そのものについて、我が国の産業のさらなる発展のためには、やはり物流コストをいかに下げていくのかというのは大変重要な点ではなかろうか、このように考えております。  先ほど北橋議員の方からそういった指摘もるるさせていただきましたが、そういった前提の中で、トラック業界そのものをいかに振興していくのかというような観点、そして現状は一体どのようなものであるのか、どのような把握をされておられるのか、こういったことをあわせてトラック業界の振興策につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
  72. 相原力

    ○相原政府委員 恐れ入ります。先ほどの質問に対する訂正を先にさせていただきますが、一般トラックターミナル事業、二十五社と申し上げましたが、十九社が正しいわけで、申しわけございませんでした。訂正させていただきます。
  73. 山下邦勝

    山下政府委員 トラック事業につきましては、御承知のとおり、平成二年、貨物自動車運送事業法を施行いたしまして、大幅な規制緩和を行いました。このトラックターミナルと同様に免許制から許可制に移行をいたしております。また、運賃、料金につきましても認可制を届け出制というふうに変えております。  こういった結果、トラック事業に参入いたします数というのもそれを機会に大幅にふえておりますし、新しい、いろいろな宅配便等のサービスや配送時間をきちんとするようなサービスでございますとか、そういったものがいろいろ出てきておりまして、業界については随分活性化されてきておるところでございます。今後ともこういったものを促したいと思っておりますが、やはりこの事業につきましては、例えば過積載でございますとか過労運転でございますとか、非常に社会的な問題が生じる可能性を持っておりますので、こちらの方についてはきっちりとした対応策をとっていきたいと思っております。  経済的規制は大幅に緩和をしながら、こういったことに配慮をしていきたいと思っておりますが、そういう場合に、先ほど北橋先生の方からもお話ございましたが、例えば運輸事業振興助成交付金、こういったものを有効に活用いたしまして、中小企業を中心とする業界のレベルアップに努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  74. 樽床伸二

    樽床委員 ありがとうございました。  とにかく、私持っております一番大きな問題意識は、冒頭にも申し上げましたが、時代の大きな変化の中で、かつて三十年、四十年前とは比べ物にならないほど我が国の社会は大変高度化いたしましたし、社会全体の構造も複雑になってきております。当然人々の価値観も多様化しておる現状の中にございます。こういった中で、市場メカニズムにまさる調整力はあり得ないんではないか、私はこのように認識をいたしております。そういった市場メカニズムの動きをとめるような施策というのは、やはり大きな時代の流れに逆行するものではないかというふうな認識を強く持っております。  でありますから、今回のターミナル法の一部改正を契機といたしまして、さらにこの業界が発展するようにぜひとも御尽力をいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  75. 辻一彦

    辻委員長 以上で樽床伸二君の質疑は終了しました。  古賀敬章君。
  76. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 新進党の古賀敬章でございます。  今回の改正によりましてどのように変わっていくか、まずその趣旨はよく理解をさせていただいたわけでございますが、この法律を見ておりまして私がおかしいなと思ったのは、バストラック、これが同じレベルで一つ法律規制されておる。やはりバスというものは、そのターミナルに人間が、お客さんが集まって乗る。バス事業でありますけれども、その主な対象はあくまでもやはりお客様に利便を与えるという意味でございますが、トラックの場合は、いろいろな各地で集まった荷物をそのターミナルに持ってきて、そこでまたより集合して配送していくというわけでありまして、あくまでもトラック事業者が相手の法律であろうかなという気がするんですね。  ですから、トラックターミナルについても今回の改正になっておるわけでありますが、平成元年でありましたでしょうか、物流二法で免許制を許可制にしたときに、むしろトラックターミナルに関してはその時点で規制緩和をしてもよかったのではないかな、このように実は思っておるんですが、何か今回あわせてやったという理由があるんでしょうか。お聞きしたいと思います。
  77. 相原力

    ○相原政府委員 自動車ターミナル法関係の社会的状況の変化等につきましては先ほどの御質問でお答えしたとおりでございますが、その中で、自動車ターミナル法における規制について見直しをしなければならないという認識は、私どももかねてから持っていたところでございます。そういう意味で、もっと早い段階法律改正を行えばよかったではないかということに対しましては、できればそうすべきであったのかなとも今の段階では思うわけでございますが、結果的に検討する期間を要しまして、今回法律改正を提出する運びになったということでございまして、大分前から私どもとしては問題意識として持って検討を続けてきたところでございます。
  78. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 そういったことだるりと思うのでありますが、やはり時代時代の趨勢というものをより迅速に把握をしていただきまして、適宜変えていくものは変えていく、この姿勢をぜひ、国民生活に密着した運輸省であるがゆえにその意識をより強く持っていただきたい、このように思う次第でございます。  先ほども言いましたけれどもトラックターミナルは物流施設でありまして、規制方法もバスターミナルと差異をつけていいんではないかなという気がするんですね。そういった意味で、今回トラックターミナルについても許可制として残す、その理由をお聞かせください。
  79. 相原力

    ○相原政府委員 トラックターミナルにつきまして、免許制は廃止するわけでございますが、やはりその利用者、複数の、多くの利用者が利用する施設であるということ、それからその地域における物流拠点として非常に大きなウエートを占める、また交通混雑の問題あるいは環境問題等々、社会的な影響も非常に大きい施設でございますので、そういった意味で、従来の、例えば輸送需要等の観点等についてはもう審査をする必要はないという判断でございますが、自動車ターミナル自体の安全性あるいは最低限の機能の確保という観点からは依然として審査を行う必要があるだろうということで、そういう観点からも許可制に改めたということでございます。
  80. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 今の御答弁ですと、専用トラックターミナルは無規制という形に今回変わるわけですね。
  81. 相原力

    ○相原政府委員 失礼いたしました。私は、先ほどのは一般自動車ターミナルにつきましてお答え申し上げましたが、専用トラックターミナルにつきましては、従来は届け出それから完成検査等の手続があったわけでございますが、今回、これは自分の会社のためだけに使う施設ということでございますので、自己責任の原則ということから、専用トラックターミナルにつきましては完全に規制廃止するというふうな考えでございます。
  82. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 今の答えでわかりました。  次に、今回の規制緩和によりどういった効果が具体的に期待できるのか、それをお聞かせください。
  83. 相原力

    ○相原政府委員 今回の規制緩和によりまして、自動車ターミナル事業の参入につきましての免許制を、先ほど申し上げましたように、自動車ターミナル安全性と最低限の機能の確保という観点から審査を行います許可制に改めるということでございます。したがいまして、従来のように、自動車ターミナルの位置が路線網の中心にあるかどうかとか、あるいは自動車ターミナルの規模が地区における輸送量に対して適切であるかといったような審査は行わないことになっております。これによりまして一般自動車ターミナル事業への事業参入が容易になりますので、一般自動車ターミナル整備の拡大が期待できるというふうに考えております。  また、料金にかかわる規制とかあるいは工事施行にかかわる規制についても大幅な簡素化をすることにいたしております。また、先ほど申し上げましたように、専用トラックターミナルにかかわる規制については全面的に廃止することといたしております。  これらをあわせまして事業者の創意工夫に基づく事業運営を弾力的に行うことが可能になりますので、サービスの多様化とか、あるいは旅客、荷主の利便の向上が図られることを期待しております。
  84. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 では、この法改正によってターミナル事業所がふえていくというふうな御期待をされておるということでいいのでしょうか。
  85. 相原力

    ○相原政府委員 旅客のバスターミナルにつきましては現に近い将来においてふえるという計画も聞いておりますし、トラックターミナルにつきましても、例えば東京都西南部におきましては、まだ構想の段階でございますが、新しいトラックターミナルの構想もございます。それから、将来的には、従来専用トラックターミナルとして使われているようなものが非常に簡易な手続で一般トラックターミナルにもなりやすいということで、ふえていくのではないかというふうに期待しているところでございます。
  86. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 一般トラックターミナルについてはもうどんどん数が減っていっておるのが現実だと思うのですね。昭和三十五年に七十一あったのが平成八年で十九に減っておるわけでありまして、どんどん専用ターミナルに変わっていっておるわけであります。そういった事実があるということを認識しておかなければならないと思うのですね。  バスターミナルについては、これも平成六年、七年で二十五、二十六というような数でございまして、昭和五十五年が二十ということで、ここ十四年ぐらいでそんなにふえていないわけですね。法の規制というものもさることながら、国としてのこういった旅客の利便性を考えた施設をつくるときの補助の問題、やはりここに大きなウエートが占められておるのじゃないかな、そういう気がしております。  バスの場合はバス活性化システム整備費等補助金というものがあって、国が五分の一、地方公共 団体が五分の一ということでございます。これはたしか上限等があったと思うのですが、上限は幾らでしたか。
  87. 山下邦勝

    山下政府委員 六千万円でございます。
  88. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 六千万円ということは、五倍すると、三億の事業に対して最大六千万円の補助金が来るということで、一つの施設、何バースも必要とするターミナルをつくるのにこの上限で果たしていいのかなという気がしておるのですが、この六千万円というものが決められた年度はいつですか。
  89. 山下邦勝

    山下政府委員 この制度全体をいじりましたのが平成二年度でございますから、恐らくそのときだろうと思います。後ほどちょっと確認いたします。
  90. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 先ほどの北橋委員の質問にもありましたけれども、国民の生活を考えたときに、やはり必要であるものに対しては国としてぜひ思い切った施策を展開していただきたい、このように思うのですね。そのことに関しまして御所見があればお伺いします。
  91. 山下邦勝

    山下政府委員 今私どもの国民生活を円滑に行う上で、交通、特に都市内の交通というのが非常に大きな課題であるというのは我々も十分承知をいたしております。  それに対しまして、交通混雑もございまして、バス事業が非常に苦戦をしておるわけでございます。御承知のとおり、今政府全体としてITS、高度情報化交通システムに取り組んでおりますが、その場合に、やはりこういった公共交通機関をどういうふうにそれに組み込んでいくのかというのが一つの大きな課題になってくると思います。  私ども、先ほどのような補助金の制度を一応つくっておりますが、恐らくこれは今後抜本的に拡充していく必要がそういうことの関連で出てくるというふうに認識をしておりますので、またよろしくお願いをいたしたいと思います。
  92. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 はい、御決意を伺いました。  次に、税制についてちょっとお伺いをいたしておきたいと思うのですが、自動車ターミナルにかかわる地価税、事業所税等は現在非課税ということでございますが、この改正によりまして見直されるのでしょうか、どうでしょうか。
  93. 相原力

    ○相原政府委員 自動車ターミナルにつきましては、その公共性から、地価税、事業所税については非課税とされる等の税制上の措置が設けられているところでございますが、今回の法改正によりましても自動車ターミナルの果たす公共的な役割は何ら変わるものではございませんので、これらの税制上の措置につきましてはこれまでどおりの取り扱いとなるということでございます。
  94. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 わかりました。  確認をさせていただきたいのですが、専用トラックターミナルは無規制という形になるわけであります。そこで、きょうは大蔵を呼んでいないわけですけれども、無規制だから一般の事業と一緒だということで、専用トラックターミナルについても地価税、事業所税をかけていくようなことにはならないかどうか、そこの一点だけ確認をさせてください。
  95. 相原力

    ○相原政府委員 現在の専用トラックターミナルにつきましては、貨物自動車運送事業法上の施設でもございまして、そちらの体系から地価税等の非課税措置が講じられている、両方から現在講じられているところでございます。したがいまして、今回の自動車ターミナル法改正で、専用トラックターミナルにつきましては規制がなくなるわけでございますが、貨物自動車運送事業法上の施設といたしまして地価税、事業所税の非課税措置はそのまま継続されるということでございます。
  96. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 はい、わかりました。ありがとうございました。  時間ですので、最後に一点だけ。  バスターミナルの構造基準等まだ規制を残すわけでありますが、これは建築基準法だけでは足りないからなのでしょうか。
  97. 山下邦勝

    山下政府委員 建築基準法は、建築物の構造、設備、用途等に関します最低基準を定めておりますが、もちろん、その規定自体は、バスターミナルも受けるわけでございますが、バスターミナルにつきましては、非常に多数の旅客が出入りをいたします。そういったことから、出入り口の問題でございますとか、さくの問題、そういった問題がございます。また、バスが、例えば二階に上がっていくとか、そういうようなことで構造上、通常の建物では耐え切れない部分がございますので、そういったものでございますとか、出入り口の車路の問題とか、そういったことについてターミナル法上の独自の技術規制を置いておる、これがこの必要性でございます。
  98. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 鉄道の駅等では、最近とみに高齢者や身障者に対して配慮した施設づくりが進められておるわけでありますけれどもバスターミナル、現存のものでそういったことをきちっとやっておるターミナルがありますでしょうか。
  99. 山下邦勝

    山下政府委員 バスターミナルにつきましても、平成六年の三月に公共交通ターミナルにおきます高齢者、身体障害者等のためのガイドラインを設けまして、エレベーター、車いすでも利用できるトイレ等の設置について指導をいたしております。また、公的助成につきましても、交通アメニティ推進機構という財団法人がこのための助成金を交付をいたしておるところでございます。  こういったことから、最近できますものについてはこういった配慮がなされておるわけでございますけれども、過去できましたものについては、改築等の機会をとらまえまして、こういった指導をしていきたいと思っておるところでございます。
  100. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 そうした改築等、そしてまた、これから新たに建築されるターミナル等について、施設整備をするときに、国からの、また公的な助成制度は現時点ではないと思うのですが、今後そういった方向で御検討いただけるかどうか、お願い申し上げます。
  101. 山下邦勝

    山下政府委員 バスターミナルにつきましては、先ほど申し上げましたバス活性化システム整備費等補助金制度により一括して助成をいたしております。ただ、先ほども申し上げましたように、今後そういった需要が大幅に出てくるということになりますと、この総額の問題をどうしても考えておかなければいけないということで、先ほど、今後に向けて我々も努力をしていきたいということを申し添えさせていただいたわけでございます。
  102. 古賀敬章

    ○古賀(敬)委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  103. 辻一彦

    辻委員長 以上で古賀敬章君の質疑は終了しました。  寺前巖君。
  104. 寺前巖

    寺前委員 自動車法律についてちょっとお聞きをしたいと思います。  私は、業者なりあるいはこの分野で働いている労働者の意見を聞いたら、二つの点で非常に心配をしていました。そういう心配は要らぬと言い切れるのかどうか、まず最初担当しておられる局長さんから聞きたいと思うのですが、一般自動車ターミナルの使用料金について、認可制を届け出制にするということになると、ターミナル事業者の自由裁量で料金が設定される。トラック運送事業者の九九%は中小零細な事業者だ。最近の貨物輸送需要の低下に直面している中で、利用料金の値上げをやられたらえらいことになるという心配があるのだ。この自由裁量で料金設定というのが不安をもたらすというのは道理のある話じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  105. 相原力

    ○相原政府委員 使用料金の問題でございますが、自動車ターミナル法の制定時におきましては、自動車ターミナル事業の料金制度も定着しておりませんで、不当に高い料金を取るとか、あるいは特定の事業者に対して差別的な料金を設定するというようなことが懸念されたわけでございまして、そういう意味で料金についての認可制がとられたわけでございます。しかしながら、法制定後既に四十年近くを経過しておりまして、不当な料金設定が行われるおそれは低下してきているのではないかというふうに考えております。このため、より事業者の創意工夫を生かす観点から、使用料金の認可制度を見直しまして事前届け出制としたところでございます。  しかしながら、一般自動車ターミナルは、一たん設置されますと、バスあるいはトラック輸送網の拠点となりまして、そういう観点から、自動車ターミナル事業者自動車運送事業者に対して一定の強い地位を有するということは事実でございます。したがいまして、今後事業者の創意工夫により登場する新たな料金制度の中には、例えば差別的な結果を生ずることとなるものもあり得るということは考えられますので、そういう場合の歯どめといたしましてへ一定の場合には変更命令を出すということを制度として取り入れてございます。  したがいまして、万が一、中小企業者を初めトラック事業運営に多大な影響を及ぼすような値上げが届け出されたような場合におきましては、その変更を命令するということ等によりまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  106. 寺前巖

    寺前委員 もう一点は、自動車ターミナル事業への参入に当たっての需給調整をなくすことは、遊休化している専用ターミナルを一般ターミナルに転用する上での垣根を外すことになる。これは、いっとき大手特別積み合わせ事業者によって爆発的につくられた専用トラックターミナルが不況のため部分遊休化している状況を受けて、これを一般トラックターミナルヘの転用で活用し、その経営を助ける土俵になっている。  さらに、一般自動車ターミナル廃止するに当たって、従来許可制にしていたものを事前届け出制にするのは、事実上ターミナル事業者の都合のみで廃止を自由にできることを意味する。したがって、中小事業者や利用者の営業と利便性を損なう可能性がある、こういう指摘を受けているのですが、いかがですか。
  107. 相原力

    ○相原政府委員 御指摘の点につきましては、今回大幅な規制緩和という観点から、特に専用トラックターミナルにつきましては規制廃止することとしたわけでございますが、その中で、各企業者の自主的な企業の判断といたしまして、場合によっては一般自動車ターミナルに転ずるケースもあろうかと思います。それにつきましては、先ほど来御説明しておりますように、安全性観点あるいは機能確保観点等からも、適正に運営されるものについて許可を行うという体系になっておりますので、無用な、秩序を乱すとか、そういうようなことは起こることはないのではないかというふうに考えております。
  108. 寺前巖

    寺前委員 私は、今のお話を聞いておって、そう簡単に規制緩和がいいなというふうには思いません。  例えば、東京都が四三・三%出資している日本自動車ターミナル株式会社、バースの数で全国総計の四〇・三%です。そこでは施設の利用率がほぼ一〇〇%で、九四年度当期利益が八億円になっている。ところが、初期投資として買い入れた広大な敷地の購入費用の返済が、年額三億八千五百万円となっておるんです。すると、ここから使用料金の値上げをしたいという動きというのは、これは自由になってきたらそっちの方にいくんじゃないだろうか。事実、東京都の関係者は、当然そういうことを考えなければならないということを語っていました。  八九年度以降の全国の一般トラックターミナル二十五カ所中十カ所で料金値上げが行われており、少ないところで二・九%、多いところで三三・二%の値上げをやっているわけなんです。こういう動向が規制緩和することによって急速に広がっていくんじゃないだろうか、私はそれを否定することはできなかろうと思うんです。今、命令を出すという話がありましたから、それはしかと聞いておきますけれども、私は不安は消えない。  さらに、従来あるところの一般自動車ターミナル廃止することが自由にできるようになってきたら、これはまた新しい支配関係が生まれていって、中小零細な人がそこに依拠して活動していたが、不安になるというのも消せない事実だと思うんです。私はあえてこのことを指摘して、この法律は賛成だというわけにはいかぬなということを強く感じたところです。  大臣、今の見解についてどうでしょう。
  109. 相原力

    ○相原政府委員 使用料金につきましては、先ほど来御説明しておりますとおり、これはほかの事業でも許可制の場合は一般的に届け出制にいたしまして、不当な料金等の届け出の場合には変更命令を講ずるという措置が一般的でございまして、これによりまして適正に担保してまいりたいというふうに考えております。  それから、廃止が自由にできるようになるという御指摘もございますが、これは事前に届け出をするということで、届け出制ではございますが、その過程で、大規模なターミナルがある日一夜にしてやめてしまうということはそう起こらないんではないかというふうに思っておりますが、必要であれば、運輸省といたしましても適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  110. 寺前巖

    寺前委員 今のお話はしかと承っておきます。  次に、私は、トラックの零細な方々が圧倒的に輸送分野に携わっておられるし、労働者が事故を起こして大変なことになっては困るという問題で、指導についてお聞かせをいただきたい。  その一つは、運賃のダンピング問題です。一九八六年十二月二日、公正取引委員会が、貨物運送取引において優越的地位乱用行為に該当するおそれのある荷主または元請貨物運送事業者の行為について、独禁法違反のおそれがあるという事実を指摘しております。あらかじめ決められた運賃を減額する行為、自社の商品等を購入させる行為などなどの内容の指摘でありました。私は、最近のこの貨物自動車運送事業をやっている中で中小の方々から聞いてみると、この分野の話がまたもや出てきている。それは、協力金という名目でお令を集めるというのが広がっているように思うわけです。そこでお聞きをしたいんですが、そんな心配は要らぬとおっしゃるのかどうか、これが一つです。  それからさらに、現在の法律でいきますと、運送事業者にそういうことをやってはならないという法律上の、貨物自動車運送事業法の第十二条でそういう規定があって処罰をされるようになっています。ところが、要求するのは荷主の側から要求が出てくる。こうなってくると、荷主そのものにそういうことをやってはならないという指摘をしなけりゃいかぬと思うんです。そうすると、法律上はそういう規定はないんじゃないだろうか。とするならば、荷主や元請に対するところの規制をやる処置を、法改正など考えないかぬことになるのではないか、この点についていかがお考えでしょうか。
  111. 山下邦勝

    山下政府委員 最初の点でございますが、確かに、一般的にトラック事業者が大手の荷主に対して弱い立場にあるということは事実でございまして、特に景気の後退局面におきまして、いろんな名目で運賃ダンピングとみなされるようなことが行われやすいというのは否定できないところでございます。こういった点につきましては、確かに委員指摘のように、そういったことを優越的な地位を用いて強制するということにつきましては、独禁法上の問題もございますので、公正取引委員会ともよく相談をいたしまして、もしそういう事実があれば適正化を図っていきたいと思っておるところでございます。  次に、荷主についてでございますが、これは貨物自動車運送事業法、平成二年につくりましたけれども、この時点におきまして、例えば過積載を強要するとかそういったことがありました場合につきましては、運輸大臣が荷主に対して勧告をできるような制度を設けております。もしそういった事態が発生した場合につきましては、こういったものの発動についても我々はちゅうちょしてはいけないという覚悟で臨んでおるところでございます。
  112. 寺前巖

    寺前委員 私は、現実に協力金名目で運ばされている事実が広範にあるからあえて問題を提起したんであって、かつてもあったし、現実も消えていないということを見たときに、私は、法的にもきちんと整備をする必要があるんじゃないだろうかということを強く感ずるんです。後ほど一括して大臣に御答弁をいただきたいと思います。  その次に、この間NHKのテレビを見ておりましたら、こういうのがありました。昨年の六月二十六日、山陽自動車道においてトラック十台による玉突き炎工事故が起こっている。事故を起こした車は、十台のうち四台が宅配事業者の貨物自動車である。それで兵庫県警が捜査をやっているわけです。  その放映を聞いていると、運輸省の統計で、宅配便の取扱個数は九四年度で十三億二千七百九十万個、宅配便が始まった七七年度の一億七百万個に比べたら、もう飛躍的な伸びになっている。ところが、荷物の取り扱いの分野について見ると、トラックについては上位十便のシェアが全体の九九・三%を占め、このうち宅急便のヤマト運輸とペリカン便の日本通運の上位二便で六九・九%を占めているんだ。だから、大手の宅配便の業者がどういう態度をとるのかという問題は非常に重要な位置を占めてきているわけです。  そのNHKのテレビを見ておりましたら、「追跡宅配トラック事故」という表題でやっていましたけれども、要するに、荷主から受け取る時間がサービスでだんだん遅くなる。そして朝届けるのは同じように早い時刻になるから、限られた時間の間を超スピードで走っていくという姿になっていくわけです。それで、いい条件のものは直接元請の方が自分の持っているトラックで走らすけれども、悪い条件のものは下請に走らせていく。だから下請の業者はたまったものでないし、そこの労働者はたまったものではない、こういう問題提起をしているんです。私は非常にもっともなことだ。  こう考えてみたときに、荷主や元請責任を明確にして、これを規制することを考えないかぬのじゃないだろうか、どういうことをお考えになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
  113. 山下邦勝

    山下政府委員 今御指摘のありました事例は、輸送安全確保上、非常に重大な問題と認識をいたしておりまして、ことしの四月三日に、全国ネットを持ちます宅配事業者二十三社を招集いたしまして、高速道路におきます安全運行対策についての徹底をしてほしいということを要請いたしました。  この会議におきまして、宅配事業者等の責任を明確化するために安全運行統括責任者を設けて、この人たちが全体の運行をきちんと把握をして、また、その内容について例えば報告をさせるとか、そういったことをきちんとやりなさいという指示をしたところでございます。この内容について、各社今社内体制を整備をいたしまして、その内容を報告いただくということになっておるところでございます。  ただ、このような結果を招いた一つの要因として、今委員指摘のように、非常に過度な時間競争、まあ競争をしていただくのは結構なわけでございますが、あくまでもルールの範囲内でやっていただくということが必要なわけでございます。こういったことで、夜の夜中に出して、百数十キロを出さないと着かないような時間をサービスとして提示する、また荷主の方もそれをもし要求するというようなことがあれば、これは非常にゆゆしき事態でございまして、そういったことをどういうふうに見直していけばよいかということについて、今抜本的な検討を行っておるところでございます。
  114. 寺前巖

    寺前委員 検討しなければならないという立場に立たれたことについて、ぜひそのことは執行してほしい、私は強く要請をしておきたいと思います。  最後に、時間でございますので、この間、新聞を見ていたら、こういうのが載っていました。「NOx低減 場当たり行政でオーNO」、こう書いてある。要するに、NOxの規制法ができた、それを規制する上において、低減の装置をつけた車は車検場へ持っていったら通りますよ、その低減の装置をつけた車というのがどこで検査を受けるのかといえば、つくば一つしかないんだ、大きな五トン以上のものになると。  ところが、そこで一年間に処理することのできる台数は一千台ほどだ、もう既に四、五千台から要求が、申し込みが出ている。そうすると、これは解決がつかないのだ。車検までに解決せいと言ったって、車検までに解決ができない。今の体制のままではどうにもならないのだけれども責任を持って処理することができるのかどうか御説明をいただき、全体としての今日のトラック業界に対するところの指導の見解を大臣最後にお聞きしたいと思うのです。
  115. 亀井善之

    亀井国務大臣 先ほど来いろいろ御指摘をいただきました問題等につきましては、特に協力金の問題等々、荷主とそしてトラック事業者、この適正な関係を確立するために、それぞれ定期的な監査の実施あるいは適正化事業実施機関等々を活用し、あるいは荷主懇談会、こういう中でその改善のために努力をしてまいりたい、このように考えております。  なお、今御指摘大型トラック等のNOxの試験のことでございますが、日本自動車研究所で実施する、こういうことになっております。  運輸省といたしましては、試験施設の稼働率をさらに上げる等の指導を行い、NOx試験の混雑緩和を図ってまいる、この努力をいたすことと同時に、低減装置につきましても効率的な試験方法を検討することが必要ではなかろうか、このように考えております。
  116. 寺前巖

    寺前委員 時間が来ましたので、終わらせてもらいます。
  117. 辻一彦

    辻委員長 以上で寺前巖君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  118. 辻一彦

    辻委員長 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  自動車ターミナル法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  119. 辻一彦

    辻委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 辻一彦

    辻委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  121. 辻一彦

    辻委員長 次に、内閣提出外国船舶製造事業者による船舶不当廉価建造契約防止に関する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を求めます。亀井運輸大臣。     —————————————  外国船舶製造事業者による船舶不当廉価建造   契約防止に関する法律案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  122. 亀井善之

    亀井国務大臣 ただいま議題となりました外国船舶製造事業者による船舶不当廉価建造契約防止に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  平成六年十二月に、我が国、米国、欧州共同体、韓国及びノルウェーにより、造船業に対する各国の公的助成及び船舶のダンピング建造契約を律するため、商業的造船業における正常な競争条件に関する協定が採択されました。  この法律案は、同協定の実施に伴い、外国船舶製造事業者による不当廉価建造契約防止するため、不当廉価建造契約を締結した外国船舶製造事業者指定し、指定を受けた外国船舶製造事業者がその後一定期間に締結する建造契約に係る船舶の運航者に対し、本邦における当該船舶への貨物の積み込み等の禁止を命ずることができることとする等の措置を講じまして、船舶製造業における公正な競争を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、運輸大臣及び通商産業大臣は、外国船舶製造事業者が本邦の船会社等と締結した建造契約不当廉価建造契約であるか否か、つまり、その外国での通常の商取引における契約価格より低い価格で契約し、これによって本邦の船舶製造業に損害が生じているか否かにつきまして調査を行うこととしております。  第二に、運輸大臣は、調査の結果、外国船舶製造事業者が本邦の船会社等と締結した建造契約不当廉価建造契約であると認められました場合には、その外国船舶製造事業者指定することができることとしております。  第三に、運輸大臣は、指定を受けた外国船舶製造事業者が一定期間内に建造契約を締結した船舶について、その船舶の引き渡しから一定期間、本邦における貨物の積み込みまたは取りおろしの禁止を命ずることができることとしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  123. 辻一彦

    辻委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会      ————◇—————