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1995-12-26 第134回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月二十六日(火曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      末広真樹子君     中尾 則幸君  十二月十二日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     山下 栄一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浦田  勝君     理 事                 大木  浩君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 星野 朋市君                 山崎 順子君                 筆坂 秀世君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 景山俊太郎君                 笠原 潤一君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 守住 有信君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 芳男君                 山下 栄一君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 今井  澄君                 栗原 君子君                 山口 哲夫君                 中尾 則幸君                 国井 正幸君                 水野 誠一君    国務大臣        内閣総理大臣   村山 富市君        大 蔵 大 臣  武村 正義君        会計検査院長   矢崎 新二君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        大蔵省主計局次        長        林  正和君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        厚生省薬務局長  荒賀 泰太君        会計検査院事務        総局次長     中島 孝夫君        会計検査院事務        総局第一局長   山田 昭郎君     —————————————   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百三十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十二回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、末広真樹子君が委員辞任され、その補欠として中尾則幸君が選任されました。  また、去る十二日、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君が選任されました。
  3. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総括的質疑第一回として内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑に先立ちまして、平成年度決算における警告決議に対し、その後内閣のとった措置につきまして、大蔵大臣から説明を聴取いたします。武村大蔵大臣
  4. 武村正義

    国務大臣武村正義君) 平成年度決算に関する参議院審議議決について講じました措置概要を御説明申し上げます。  政府経済見通しにつきましては、従来から種々の経済指標等を十分に評価、分析してその策定に当たってきたところであります。今後とも、経済情勢等変化に対応して的確な見通し策定するよう最善努力を行ってまいる所存であります。  また、毎年度税収見積もりにつきましては、その時点で判明している課税実績政府経済見通しに係る諸指標等を基礎に個別税目ごとに、最大限の努力を傾けて見積もっているところであります。  税収見積もり精度向上を図るため、例えば法人税について、主要な大法人に対する聞き取り調査充実させるほか、特に株、土地の取引につきましては関係業界からヒアリングを行うなどの工夫をしてきたところであります。今後とも、さまざまな視点から創意工夫を加えてまいる所存であります。  次に、義務教育費国庫負担金等過大交付につきましては、関係事務が複雑かつ膨大であることから、教職員の実数や標準定数を誤って算定したことなどにより生じたものであります。過大交付となった都府県に対しましては、厳重に注意をするとともに、過大交付となった額について返還の措置を講じたところであります。  また、過大交付再発を防止するため、各都道府県教育委員会に対し、会議及び文書等を通じ、関係事務処理適正化に努めるよう強く指導を行ったところであります。  今後とも、過大交付再発を防止するため、会議及び文書等あらゆる機会をとらえて指導をより一層徹底し、義務教育費国庫負担金等の適正な執行に万全を期してまいる所存でございます。  次に、国民年金未納保険料解消につきましては、従来から催告状の発行、戸別訪問による納付督励等施策を講じてきたところでございます。  今後とも、国民一人一人の年金確保するとともに、公的年金制度を健全に運営していくため、国民理解と信頼を深めるための広報活動強化充実するとともに、国民健康保険との連帯強化専任徴収員の活用による積極的な納付督励実施口座振替促進を通じた保険料を納付しやすい環境づくりなど各般の施策を推進することにより、未納保険料解消になお一層の努力を続けてまいる所存であります。  次に、輸入米安全性確保につきましては、平成年産米の不作に伴う外国産米の緊急輸入に当たり、食糧庁が輸入業者をして、輸出国における船積み前の安全性確認と、我が国における厚生大臣指定検査機関での検査実施させ、さらに厚生省もみずからが安全性確認を行い、安全な食糧の供給に万全を期したところであります。  ミニマムアクセスで輸入される外国産米につきましても、御決議の趣旨を踏まえ、所要の措置を講じ、引き続き安全性確保に万全を期してまいる所存でございます。  次に、建設業界事業活動適正化につきましては、公共工事をめぐる一連の不祥事を踏まえ、建設業法の一部を改正し、監督処分強化などを行うとともに、建設業界に対して倫理綱領策定社内管理体制整備などの指導を行ってきたところであります。  また、公共工事入札契約制度改革につきましては、平成五年十二月の中央建設業審議会建議及び平成六年一月の「公共事業入札契約手続改善に関する行動計画」に基づき、一般競争方式の本格的な採用などの施策に取り組んでいるところであります。  今後は、これらの諸施策実施状況について定期的なフォローアップを行い、制度や運用を絶えず見直しつつ、その改善を図ってまいる所存でございます。  次に、設計業務外部委託に係る地方公共団体審査体制の確立につきましては、従来から、当該団体が果たすべき行政責任十分留意をして、当該団体の適正な管理監督のもとに外部委託を行うよう指導してきたところでございます。  今後とも、一層適切な外部委託が行われますよう、引き続き必要な措置を講じてまいります。  以上が、平成年度決算に関する参議院審議議決について講じてまいりました措置概要でございます。  政府は、従来から決算に関する国会審議議決会計検査院指摘等にかんがみ、国費の効率釣使用事務事業の運営の適正化不当経理の発生の防止等に特に留意をしてまいったところでございますが、今後ともなお一層の努力を続けてまいる所存であります。
  5. 浦田勝

    委員長浦田勝君) それでは、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑時間等につきましては、理事会において協議し、各質疑者に御通知申し上げたとおりでございます。  それでは、これより質疑に入ります。  まず、私が決算委員長として若干の質疑をさせていただきます。  ことし夏の参議院通常選挙後に召集された第百三十三回国会において、私は五十五代目の決算委員長に選任されました。これまで決算委員長は、昭和三十七年以来、社会党の出身でありましたが、この間、諸先輩の努力により参議院における決算審査重視の考え方が確立されてきたことにまず敬意を表するとともに、本院における決算重視の伝統をさらに発展させていくことに微力ながら力を尽くしたいと思っております。  本院では、最近、行財政機構及び行政監察に関する調査会が新設され、その活動が開始されているところでありますが、我が決算委員会におきましても、時代変化に対応した審査充実改革各位の御協力を得て真剣に取り組んでまいりたいと思います。  しかし、それには政府側の積極的な協力が必要であります。  そこで、国会決算審査改革の観点から、村山総理に伺いたいと思います。  第一は、決算早期提出の問題であります。  私は、委員長就任以来、委員各位の御理解と御協力を得ながら、おくれておりました平成年度及び五年度決算審査促進に、例えば閉会中の九月に連続して審査を行うなど、全力を傾けてまいりました。これも決算審議結果を政府予算編成早期に反映させたいとする願いからであります。また、内閣に対し決算早期提出を求めるなら、まずみずからがその審議促進に努め、次年度決算提出されるまでには議了すべきであると考えたからでございます。  ところで、財政法四十条は、決算を「翌年度開会常会において国会提出するのを常例とする。」としており、その点が決算早期提出の支障になっているのかどうかについて、当時の宮澤総理からは、財政法決算常会以前に提出することを別に禁じているところではないとの御答弁をいただいておりますが、そうであるとするなら、私は、現行財政法が制定された算盤の時代から今日のコンピューター処理への大きな状況変化を踏まえて、決算早期提出、例えば秋の臨時国会あるいは十月末までの提出内閣は具体的に検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。  これが実現するならば、予算編成前の決算に対する審議が可能となり、今後の国会改革への大きな足がかりになると思われますが、決算早期提出参議院決算審議に対する村山総理の御所見を伺いたいと思います。
  6. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、委員長からもお話がございましたように、決算重要性については今さら申し上げるまでもないと思いますが、予算執行実績である国会における審査は、予算執行が所期の政策目的を果たしているかどうか等について審査、検討いただくものであり、極めて重要なものであるというふうに認識もいたしております。  政府としても、従来から予算の適正かつ効率的な執行留意しており、予算編成に当たっても決算の成果を十分反映させるよう努めてきたところでございます。決算審査重要性を十分認識し、その審査についてはできる限りの協力を行うことの基本姿勢で対処してきたところでございますが、今後とも一層努力をしてまいらなきゃならぬというふうに思っております。  お話のございました決算国会への提出をできるだけ早くするということにつきましては、もちろん望ましいことでございますから、政府といたしましても従来からできるだけ早期決算書国会提出するよう努力してきたところでございます。しかし、各省庁及び大蔵省における決算の作成、会計検査院による決算確認には相当の日数を要することにつきましても御理解をいただきたいと思いまするが、そのために国会提出時期は常会となっているところでございます。  しかし、今後とも決算作業事務促進を図るべく最善努力を尽くしてまいりたいと考えております。  それから、お話のございました財政法四十条に関連する問題でありますが、「内閣は、会計検査院検査を経た歳入歳出決算を、翌年度開会常会において国会提出するのを常例とする。」と、こういうふうに規定されておりますが、この規定は、「常例とする」という意味でありまして、しなければならないという意味ではないというふうに思っております。それは先ほどの宮澤総理答弁のとおりだというふうに私も理解をいたしております。  法律上は常会への提出を義務づけているものではないと、今申し上げたとおりでありますが、したがって、決算常会以前に提出することは現行財政法上可能であるというふうに考えておりますので、できるだけこれからも早期提出できるようにさらに一層努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  7. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ややもすると予算が最優先して、いわゆる衆議院の方では予算だ、参議院の方は決算だと言われながら、決算参議院は伝統的に重視してきたところでありまして、そういう面では決算があって初めて予算でありますが、国民皆さん方の見る目も、決算委員会審査において、予算がどのように執行されたかということをやはり注目しておるわけでありますけれども、今申し上げましたようにどうもその点ではおくれておる。私は、平成四年、五年とかこんなにおくれたのは異常だと思います。そこはいろいろなほかの問題もあったからだと思いますけれども、やはりノーマルな姿に早く戻していくべきだと。これは、総理に言わせれば国会運営上の問題だとおっしゃるかもしれませんけれども、私は、やはりこういう時代ですからきちんとした姿に戻していかなきゃならぬ、そういうふうに思います。  そこで、次にお尋ねを申し上げますが、会計検査機能充実の問題について伺います。  検査機能充実の問題では、会計検査院法を改正して検査権限強化を図るべきとする提案にもまた大いに耳を傾けるべきであると思いますが、私には、もっと足元の問題で緊急に改善すべき課題があると思われます。  具体的には、会計検査機能現実に担っている第一線調査官事務官等処遇改善の問題であり、検査活動環境整備の問題であります。  会計検査院は、昭和四十四年度以降、毎年、検査業務特殊性、あるいは調査官等職務困難性出張の多い勤務環境等から、俸給調整額新設要求を続けておりますが、二十五年以上を経過した現在も今なお実現しておりません。予算編成権内閣にあるのは当然であるといたしましても、内閣から独立した地位と権限を与えられた会計検査院が四半世紀以上にわたって要求している予算措置がいまだ実現しないということは異常なことであります。  政府側にも、他の公務員とのバランス等理由も種々あるでしょうが、会計検査院が正式に要求している内容にもっと耳を傾けてよいのではないかと思うわけでありますが、総理大臣、いかがでありましょうか。  第一線調査官事務官等日本全国出張に次ぐ出張を重ねて検査に当たっている勤務条件に心を配り、検査活動環境整備に努めることは、行財政改革を進めることと表裏の関係にあるのではないかと思われます。  国家公務員日当宿泊費を調べてみますと、例えば三級以下の職員では、日当宿泊費を合わせましても一万円程度にしかすぎません。これを実情に合ったものに改定するとともに、昭和六十三年度以降据え置きになっている会計実地検査手当の増額の問題を含めて、総理の御所見を伺いたいと思います。
  8. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、委員長からお話がございました会計検査院のいろんな処遇の問題についてでございますが、これは会計検査院検査機能重要性につきましては先ほど来申し上げておりまするし、委員長からもお話があったとおりだと私は思います。  この調整額等につきましては、職務特殊性に基づきまして俸給月額を調整する制度となっておりまするが、その職務特殊性が恒常的、安定的で俸給として評価することが適当であるというふうに人事院が認めた官職に支給することになっているわけです。  そういう点から申し上げますと、会計検査院検査官等職務が、実地検査に当たる困難性や労苦や、あるいは精神的緊張等の面において一般職員と異なる面があることは十分認められるのではないかというふうに思いまするけれども、しかし、職務全体としては調整額を支給できるような恒常的、安定的な特殊性は年間を通じてまだ認められないんではないか、こういうふうに人事院では解釈をしているのではないかというふうに私は思っておりますが、御指摘のあった点につきましては人事院等にもまたお願いをして検討していただきたいというふうに思っております。  それから、会計実地検査手当等につきましては、これまで改善もされてまいりましたけれども、調べてみますと六十三年度以降は据え置かれております。第一線で働いておる調査官処遇は極めて重要であるということは先ほど来申し上げておるとおりでございますが、実地検査手当の水準につきましては、その対象業務特殊性及び他の特殊勤務手当バランス等から考えれば現状においてはやむを得ないんではないかというふうに私は考えておるところでございます。  それから、日当宿泊等関係につきましては、これは一般行政職公務員とのバランス関係もございましてなかなか難しい、これだけをどうこうするということは難しい点もあるのではないかと思いまするけれども、しかし実情に沿わないというようなことがもしあるとするならば、これは当然是正をされるべきであるというふうに思いまするので、今後ともそういう点に留意しながら適切に対処できるようにしていかなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、会計検査院検査活動が円滑かつ厳正に行われ、その機能が十分発揮されるよう、政府としても今御指摘のあったような点につきましては十分配慮をし、これからも協力してまいりたいと考えておることだけは申し上げておきたいと思います。
  9. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 私は、ここでは時間が余りございませんから、いろいろ申し上げたいことは山ほどありますけれども、やはりこれだけ官官接待とかいろんな接待行為について世の指弾を受ける今日、公務員たる者は、やはりそれらしき待遇があってしかるべきだと思うわけであります。特に宿泊におきましてもそれにふさわしい宿泊所宿泊しなければならない。その宿泊費がいかに現実と即応しないような支給額になっておるかと。下級になれば下級になるほど日当なんというのは低いわけですから、そこらあたりをよく考えて、公務員皆さん厳しくしろと言うなら、まずその方からも改善していくべきじゃないかと強く私は申し上げておきます。  今のことにつきましては、私自身がいろいろと他の省庁公務員の方々ともお話をしてよく伺っておるところでありますので、後日に譲ってまた質問します。  次に、政府開発援助ODAについてお尋ねいたしたいと思います。  我が国ODAは、一九九一年から四年連続して世界第一位の規模となり、一般会計予算額でも平成年度には一兆円を超えるなど、毎年増加をいたしております。これは我が国国際的貢献を果たしていく上からも重要なことであります。  しかし、国内的には、本年一月の阪神・淡路の大震災はもとより、長く続いた雲仙・普賢岳の被害三陸はるか沖地震など全国各地で相次ぐ地震風水害等被害に多くの国民が苦しんでおります。また、長引く不況と企業のリストラによる失業、あるいは超低金利の中で経済的困難が増大しており、こういう中で税金を主たる財源とするODAに対しては、以前にも増して国民の関心が高まってきております。  そこで、村山総理に伺いますが、会計検査報告に毎年ODAの不適切な事例が掲載されている現状政府として真剣に反省し、新規のプロジェクトはもちろん、実施中のものについても不適切な事態が発生しないよう、ODA予算の効果的、効率的使用に今後一層努力をすべきではないかと思われますが、総理の御決意のほどをお聞きいたしたいと思います。  また、関連して伺いますが、国際協力事業団が発注する技術協力機材入札においていわゆるODA談合が発生したが、このような分野にまで談合が行われていたことに国民の怒りは大変大きなものがあります。政府は、同種事件再発防止策の徹底を図るべきだと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
  10. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今御指摘のございましたODAの効果的、効率的な実施というのは、これは財源国民税金でございますから、そのように厳しくとらえていかなければならぬことは当然だと考えます。  会計検査報告掲記されておりまする案件につきましては、これは調べてみますと、七十七案件のうち大部分についてはおおむね順調に推移していると認められたとしておりますが、他方、六案件については援助の効果が十分発現しない事業として掲記をされているわけです。これは、主として被援助国側の事情によると私は考えられますけれども、しかし、冒頭に申し上げましたように、これは国民税金でもって開発途上国に対してODA大綱に基づいて援助がされているわけでありまするし、せっかく使われた金がその国のために効果的に活用されておるということは当然検証されなければならない問題だというふうに思いまするので、今御指摘のありました、あるいはまた会計検査院から掲記をされておる案件等については、十分そういうことのないように今後とも留意していかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  11. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 会計検査院からの指摘は十分に尊重されまして、このODAの問題には厳正な態度で措置していただきたいということをお願い申し上げます。  以上で私からの質問は終わりますが、当委員会では、中央官庁地方公共団体関係者との間でのいわゆる官官接待の問題や、大蔵省幹部職員が在職中に民間から極めて異例な接待等を受けていた問題が審査の中で取り上げられました。  中央官庁地方実情に耳を傾け、その声を聞いて行政に反映させていくことはもとより大切なことでありますが、国民から疑惑や批判を受けるような官官接待については即刻改めるべきであり、また一方、国家公務員日当、旅費を実情に合ったものに改定する必要があると思われます。  政府においては、国民から最近厳しい批判を受けている公務員綱紀粛正の問題については厳正に対処するとともに、地方分権を推進する中で、二十一世紀にたえ得る行財政改革に真剣に取り組んでいただきたい。このことを村山総理大臣並びに関係大臣に強く申し上げ、決算委員長としての発言を終わります。  以上で私の質疑は終わらせていただきます。  それでは、質疑を続けてまいります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 大木浩

    大木浩君 自由民主党の大木浩でございます。  本日は、私の持ち時間が往復十分でございますので、ひとつ質問も一つに絞りまして、国家公務員の規模と配置、これが適正に行われておるかどうかということについて御質問を申し上げたいと思いますので、どうぞ総理の御答弁もなるべく簡潔にひとつ十分間の中で御配慮いただきたいと思っております。  そこで、まず最初に、これは今申し上げました国家公務員の問題とも関連があると思いますが、今回政府が決定されました政府案、この中に総理を補佐するいわゆる内閣補佐官という制度が新設されておるというふうに了解しておりますが、今回これを導入されました目的、及び、既存のいろんな行政機構があるわけでございますけれども、それとどういう関係になるか、ひとつ概略を御説明いただきたいと思います。
  13. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今お話のございました内閣補佐官につきましては、これを内閣総理大臣指導力の発揮の一助とするよう、これを補佐する者を法律上位置づけると、さきの臨時行政改革推進審議会、これは第三次行革審でありますけれども、最終答申にも含まれておりまするし、同様の趣旨の与党の御意見等を踏まえまして、内閣官房において真摯な検討を行われた結果、その制度を設けることとしたものでございます。  これは、今お話もございましたように、いろんな意見があったのでございまするけれども、今の現状を考えてみますと、各省を掌握する秘書官制度というものはありますけれども、しかしそれは行政上の秘書官でありまして、政治的に判断をするといったような立場に立った補佐官というのはないわけです。  したがって、官邸というのは私はある意味では行政と政治と両方の部面を持っていると思いますから、行政と政治と両分野でいろいろな角度から検討して総理大臣を補佐する、こういう役割を持つ機能というものは大事ではないかというふうに考え、いろいろな方々の意見も踏まえた上で、先ほども申し上げましたように行革推進審議会の答申等もございましたので、そういう点も踏まえて今回設置をするということにした次第でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  14. 大木浩

    大木浩君 せっかく新しい組織をおつくりになったわけでございますので、どうぞこれをひとつ十分に活用されまして立派な政治、行政を行っていただきたいと心からお願いをする次第でございます。  ところで、国家公務員一般の方に問題を移しますけれども、歴代内閣行政改革の柱の一つとして常に国家公務員の数の削減ということを続けてきたわけでございます。本年度も、平成年度の計画としてたしか二千百名程度の定員削減ということが組まれているのでございます。いわゆる総定員法に基づきまして最近ずっと、十五、六年間で約四万人以上削減が続いておりますけれども、その中身を分析いたしてみますと、削減されましたのはいわゆる現業の職員が中心になっておる、非現業の方の公務員の総数というのは大体横ばいになっているんじゃないかというふうに理解しております。  すなわち、非現業に含まれておりますのは、国立病院あるいは国立学校の職員の増加、これは一種の自然増みたいなことでだんだんふえていくわけですから、そちらの方の増加というのを一般省庁の方の削減によって埋め合わせて何とかバランスをとっているというのが実情じゃないかというふうに考えるわけでございます。  ただ、これは学校や病院ばかりでなくて、やっぱり社会情勢や国際環境の変化、例えば高齢化社会の到来あるいは国際社会におきます日本の役割の増大といったようなことを考えますと、一般省庁においても新しい行政需要が生まれてくる、これは否定できない現実であります。もちろん、財政赤字の増大をできるだけ抑止する、あるいは官民との関係で民間の活力をできるだけ利用するといった観点からは小さい政府を目指す、これは現在国際的にも日本においてもずっと目指してきておる姿勢だろうと思います。しかし他方、行政需要が増大しておるのに、それに対して適切な人員の確保を怠るということになると、やはり行政の質の低下を来し、長期的に見ればかえっていろいろ問題が起こって新しい財政需要を招くというようなことも考えられないではないと思います。  例えば一つの例として挙げさせていただきますけれども、現在、我が国に約三十万の不法滞在、これは外国人の労働者あるいは学生というようなカテゴリーの方もあるかもしれませんが、不法滞在という形になっておる人が約三十万いるというふうになっておりますが、これらの外国人に関連するいろいろな問題が生じておる。これはやはりこういった問題を取り扱う行政府側の対応能力、まあ私がいつも感じておりますのは、例えばですけれども法務省の入国管理局なんというのは、本当に膨大な需要に対してこれをさばく人間というのは全然足りない。言うなれば、その能力を超えた処理を迫られているというところに大きな原因があるのではないかと思います。  そこで、今の法務省に限りませんけれども、総理、既に一年半に及ぶ行政の最高責任者としてのお立場から、現行の総定員法のもとにおける各省庁の機構改革、あるいは定員削減の状況というのは果たして望ましい方向に進んでおるのか、また客観情勢に対応しましたスピードでスクラップ・アンド・ビルドが行われているのかについて、総理の御所見をお伺いしたいと思います。これはひとつ総理の方からお願いいたします。
  15. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今いろいろな御意見がございましたけれども、行政をできるだけ簡素化して効率的にしていくということは常に心がけなきゃならぬ大事なことだと私は思うんです。したがって、毎年総定員法を決めて、そしてその総定員法に基づいて削減をするという方向で努力をしておりますから、全体としては減ってきていると思います。  ただ、今お話もございましたように、国際情勢も変わりますし、社会情勢も変わりますし、それぞれ行政需要というものについてはその事態において変化があるわけでありますから、したがって、その行政需要に適切に対応していくということはもとより配慮しなきゃならぬ問題だと思います。  お話のございましたような部面については、できるだけ効率を上げるというだけではなくて、必要な人員というものは当然確保されなきゃならぬというふうに思います。例えば外務公務員なんかの場合は、平成年度末の定員は四千八百八十九名となっておりましたけれども、これだけ日本の国も影響が強まってまいりましたし、外交上の仕事もふえてきているわけですから、したがって、きのう閣議決定をされました八年度予算政府案につきましては五千五名に増員するというふうなことも決定いたしているのが一つの例でありますけれども、そういう点は十分配慮をしながらこれからも考えていかなきゃならぬ問題だというふうに認識をいたしております。
  16. 大木浩

    大木浩君 総理の方から外務省のことにつきましてお触れいただいたんですが、やはり行政の中に占める国際関係事務というものの量というのが飛躍的に増大しておる。これは、外務省ももちろんでありますけれども、その他の省庁におきましても外国との折衝を必要とする仕事は急速に増大しておるわけでありまして、例えばそういったことを反映して在外公館などにも各省からの出向者が相当入っておるということは御存じのとおりでございます。  ところで、現在の外務省の定員につきましては、他の先進国に比べまして非常に少ないということで、毎年よその省に比べれば相当大きな増員ということをいただいておるわけでありますけれども、この中をもう少し調べてみますといろいろな問題点があるように私は感じております。  一つは、在外公館の増大とそれから本省の定員増、この間に余りしっかりしたバランスがとられていないんじゃないかということでありまして、これは、在外は特別だということでどんどんふえていくんですけれども、本省の方はなかなかふえません。恐らくここ七、八年で千人ぐらい在外の方はふえたんですけれども、本省は三百人幾らというような数字がたしか出ております。細かいことはお聞きいたしませんけれども、そういう問題があるということをひとつ御認識いただきます。  それから、そういうことになりますと、なかなか外から来る情報というのが外務省においても十分にそしゃくされていない。せっかくいい情報が来ても、大使が一生懸命書いた電報が本省では課長補佐の机の中に入っておるというような格好になりまして、十分にそしゃくされていないというようなうらみがあります。  それからまた、在外公館の中では、これは最近は非常によその省からの出向者も多いわけですけれども、このバランスというものが外務省と各省、あるいは各省の間のバランスといったようなものも、これを子細に点検してみますと必ずしも適正でないというようなこともあるんじゃないか。  それからもう一つは、今、国家公務員の質のお話ということもございましたが、特に在外勤務の職員に対しましては、特殊語学を含む語学研修など十分な訓練を受ける体制が必ずしもできていないというふうに私は感じておりますので、これはお答えは要りませんけれども、中長期的な課題としてひとつ総理の頭の中に入れておいていただきたいと思うわけでございます。  それから、在外公館に限らず、今申し上げましたように国際関係で各省におきましてもいろんな需要が生じておりますから、こういった人員を確保するだけでなくて、同時に他国の官民を相手として十分に職務が遂行できるだけの訓練を与えるということが必要じゃないか。  これは国家公務員の話からちょっと横に行きますけれども、例えば国連に勤める日本人職員の数が非常に少ないということがよく言われております。これは日本で、国連分担金は非常に多いのに国連に勤めておる日本人の職員は少ない、こういうような問題はいつも言われておるところでございますが、これは、正直申し上げまして、そういった国際機関で活動できる能力を備えて訓練を受けた日本人が少ない、候補者が少ないということにも一つ原因があるんじゃないか。  これは、今たまたま国連の話を申し上げましたけれども、同じようなことが私は国家公務員についても言えるんじゃないかということでありまして、これはだんだんにその遠因をたどっていきますと、日本の大学教育でそういった訓練が本当にできておるのかと。最近、よく企業の方でも、大学から出てきた若い新しい職員はそのままじゃ使い物にならないということがありますけれども、私は、外務省やらあるいは国家行政組織全体の中で、特に国際という視点から考えますと十分な訓練ができていないということを感じております。そういうことで、大学のところまで直してどうということはなかなかすぐにはできませんけれども、行政府の中でできるだけ国際関係の仕事に従事する人間の訓練ということにひとつ努力していただきたい。  実は、既に御存じだと思いますが、人事院行政官の長期在外研究員制度というようなことで、これは外務省ばかりじゃなくて、各省通しまして中堅の職員を二年程度外国の大学に出して勉強させておる。私はそういった方々を直接見ておりますけれども、非常によく訓練されて、その後、在外公館やら国際機関で大変に立派な仕事をしておられるという感じを持っております。  どうぞひとつ総理、こういった国家公務員の中で、特に在外関係の仕事をする人について、今の総理のお言葉をかりれば質ということだと思いますけれども、質の向上というものも考えていただきますように、今申し上げました研究員制度を含めて、そういったところに今後とも御努力いただくということについてぜひとも総理の御発言をいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  17. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘のございました点は極めて重要な視点だと思います。  私も、国連五十周年記念の総会に参りまして、国連で働いておりまする日本の方々にお会いをしまして、もっとふやしてほしいというような要望もお聞きいたしました。ただ、境遇やら待遇の問題等もあってそう簡単になかなか右から左にいかぬ面もあるんではないかと私は思いましたけれども、しかし国際的に活躍できるような人材を養成していくということは極めて大事だと思いまするし、同時に一般公務員につきましてもそうした国際的な感覚を身につけてくるということも大事なことだと思いますから、毎年毎年そういう研修生をふやしておるということについてもこれから一層努力をしていきたいというふうに思います。
  18. 山崎順子

    ○山崎順子君 平成会の山崎順子でございます。  本日は、総理に対し、いわゆる住専問題に関しその行政責任を明らかにする目的で幾つかの質問をさせていただきたいと思いますが、まずその前に本年度の財政危機について御質問いたします。  来年度予算については、経済企画庁は経済見通しをその責任において作成され、それに基づいて大蔵省が来年度の税収と歳出を算出し、これから国会予算審議を行う手順となっております。  現内閣は、現政権をおとりになってからきょうまで経済運営について失政を重ねられ、政府の公式な経済目標を達成できなかったばかりでなく、巨額な歳入欠陥を抱えるに至り、閣僚の重要な一員である大蔵大臣が、先般、内閣の意思を代表して財政危機宣告をせざるを得ない立場に追い込まれました。これは、現内閣国会に対して、我が国の経済運営に失敗し、その行政能力が十分に発揮できないことを声明したのと同じではないかと私は思います。そして、金融監督の行政責任を追及するという強い内容の声明を出された内閣行政責任は大変重大であると考えます。  巨大な歳入欠陥は政府の経済運営の失敗でもあります。大蔵大臣のこの財政危機宣告は行政能力欠如の宣告と同じであり、直ちに責任をとらせ、辞任させるべき事態であると思われますが、総理の御見解をお伺いいたします。
  19. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今お話もございましたように、去る十一月に大蔵大臣より、財政事情の一層の開示を図るため、八年度の財政事情は容易ならざる状況に立ち至っておると、八年度予算におきましては特例公債の発行を回避するのは困難であること、そのような状況であればこそ歳出削減に一層強力に取り組む必要がある旨、説明がなされたところでございます。  これは、財政の実情国民の皆様によく認識をしていただくとともに、広く御議論をいただくということも大事なことではないかというような意味大蔵大臣の談話を発表したということになっておると私は理解をいたしております。  昨日閣議決定しました八年度予算案においても、残念ながら今申し上げましたように特例公債を含め二十一兆円を超える公債を発行せざるを得ないという事態になっていることはもう御案内のとおりであります。この結果、八年度末の公債残高は二百四十兆円を超える見込みでございます。  こうした財政の状況について、今後の財政運営に一層の配慮を払っていかなきゃならぬというふうに思いますけれども、当面は何よりも景気を浮揚することが大事だということに重点を置くと。同時に、高齢化社会を迎え、あるいはこれから日本の産業というものをどういうふうに構造改革していくかといったような展望に立ったときに、必要な財源というものはやっぱりそれなりにめり張りをつけて充当していくということが大事ではないかというようなことも工夫をしながら編成をされた予算案であると私は受けとめておりまするけれども、今お話もございましたように、財政事情は極めて厳しい状況にあるし、やや経済は上向きになる可能性を持ってきたというふうに期待もいたしているところでありまするが、歳出の面についても一層これから努力をしていく必要があるということについては申し上げるまでもございません。
  20. 山崎順子

    ○山崎順子君 来年度予算編成は経済成長が見通しどおりに達成できるかどうかにかかっております。ところが、この数年間の政府見通しは未達に終わっていることから見ましても、政府の想定する経済成長が来年度も達成できるとは考えられません。  日本経済がこの百三十年間に経験しました三大危機は、明治維新時の危機、また五十年前の戦後の出発時の危機、そして今回の平成とともに始まる平成危機と言われております。今回の平成財政金融危機は、デフレ策の強行による日本の国富の海外、つまり米国への移転と、冷戦の終わった自由な国際市場でのアジア諸国とのメガコンペディションであり、日本の景気の回復は絶対にないと言われております。今、総理は景気の浮揚が大事だとおっしゃいましたけれども、政府の交代こそが経済成長の近道ではないでしょうか。これが多くの国民の今現在の偽らざる気持ちだと申し上げ、住専問題に移りたいと思います。  金融システムの監督行政責任を有する大蔵省は、つい最近まで、住専と称される一つの産業が十分自力でその不良債権を克服できると表明していられました。ところが、この業種の全社を整理せざるを得ない事態までに追い込んでしまいました。  今、住専で生じた不良債権を他の業種の金融機関に肩がわりさせようと強行する余り、農林系金融機関だけでなく、各種銀行の金融機関にまで危機が波及しようとしております。不良債権の償却には第二地銀で五、六年、地銀、都銀で三、四年、信託銀行では十一年から十二年かかるという試算があり、これでは日本の金融システムの中心に実質的には債務超過となる銀行までも幾つも抱え込んでしまうことになってしまいます。こうした事態は何といっても待ったなしの行政責任であり、現在のままではその行政能力が喪失されてしまっていると言わざるを得ません。  今年度末に予想される銀行決算に見られるような多数の金融機関の巨額な赤字の計上が行われるといった歴史上の前例は、かつていつごろ存在するのでしょうか。日本は、その前例とされる時代とは異なって、現在では世界でも類例を見ない巨額の貿易黒字を長い年月続けております。また、海外投融資残高面でも世界最大の債権国となっているわけです。それにもかかわらず、日本の金融機関のかくも多数のものがこのような巨額の不良決算に一斉に追い込まれたのは、個別の銀行の経営の問題である以前に、何か金融政策上の行政責任の失敗があったのではないでしょうか。  また、欧米で財政金融当局が金融機関の不良債権を無税で一括処理させてきた時期に、我が国では、日本の行政当局は金融機関に対し、その有税償却に固執し、不良債権処理を先送りさせる行政指導を発揮し、金融機関の体力をいたずらに消耗させ、取り返しのつかない金融システムの自壊メルトダウンを招来し、マネーフローの停滞と企業体力の消耗を招来したのではないでしょうか。この二点について総理の御答弁をお願いいたします。
  21. 村山富市

    国務大臣村山富市君) いろいろお話がございましたけれども、質問のポイントはどこにあったのかというのがよく聞き取れなかったんですけれどもね。
  22. 山崎順子

    ○山崎順子君 それではもう一度申し上げます。  個別の銀行の経営問題である以前に金融政策上の行政責任の失敗があったのではないか、この点についてお答えいただければと思います。
  23. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 恐らく主として住専問題に対する今回の政府決定に対する御批判ではないかと思うんですけれども、日本のバブルというものがどういう原因で起こってきたのか、どういう経過をたどってどういう行政指導なりあるいは経済界の動きによってバブルが崩壊するに至ったのか。そのために抱えている資産が下落をして大きな金融不安が起こった、こういう事態に立ち至った理由は一体どこにあるのかというようなことはこれからまた明らかにしていかなきゃならぬ課題だというふうに思っておりますけれども、私は、この住専問題というのだけを挙げてみますと解決には三つの方法があったと思うんです。  一つは、これは関係する団体が非常に多いわけですから、例えば母体行とか系統金融機関とか、それから一般の金融機関とか、それから住専の問題とか、あるいはノンバンクの問題、あるいは不動産会社の問題とか、いろいろ関連する貸し手、借り手の中には複雑な要素があるわけです。そういう関係した者が一遍全部集まって、そしてこの事態をどう解決するか、だれが一体この負債を負担するのか、損害を負担するのかというようなことについてお互いの合意が求められれば、これは民間の企業ですから政府の関与することではないということで解決できればそれが一番いいと私は思います。その努力もしてきたと思うんですけれども、これもなかなか結論が出ない。  そうとするならば、だれが悪かったのかということを明らかにして、これは民事、刑事を問わず法律的に裁判なら裁判を通じて決着をつけてもらうという方法もあったかと思います。しかし、これには大変な長時間がかかるわけです。長時間かかってまいりますと、不良資産というのはどんどん傷口が大きくなってふえていって、最終的にはもう決着がつかなくなる、混乱は大きくなる。  こういう事態というものはやっぱり避けなければならぬということから考えてまいりますと、第三の道としてはお互いがその責任を感じ合って、その責任で果たし得る能力は最大限ぎりぎりまで果たしてもらう。同時に、借りた者に対する回収も積極的にやるだけのことはやる。その上でなおかつ不足する分については考えざるを得ない、こういう決着しかなかったのではないか。私はやむを得ない選択だったというふうに言わざるを得ないと思うんです。  しかし、そういう全体の事態が明らかになって、そしてなるほどやむを得ないんだなと、こういう経過をたどっておれば、私は国民皆さんにもある程度御理解がいただけたのではないかと思うんですけれども、その経過が余り明らかにならないままにこういう決着をつけたものですからこれは一体何だと、こういう怒りやら不満が出ているのではないかというふうに私は思うんです。  したがって、これからそういう国民の疑念と怒りにこたえるためにはやっぱり真相を解明して、そして責任の所在も明確にしながら明らかにしていくということが大事ではないかというように思いますし、これはどこに責任があったのか、お前たちのやり方がまずかったからこうなったんじゃないかと、こう言われてみても、それは全然ないとは申しませんけれども、ただ私はやっぱりこういう決着をつけたという、そのつけた責任というものは十分踏まえて責任は果たさなきゃいかぬというふうに思いますけれども、長い経過の中で出てきているこれは結果ですから、その経過は経過としてまたこれからの審議の中で明らかにされなきゃならぬ課題だというふうに思っております。
  24. 山崎順子

    ○山崎順子君 今、総理は責任の所在を明確にしたいとおっしゃってくださいましたが、では大蔵大臣にお聞きしたいのですが、いわゆる資産インフレを退治するという金融政策の大転換をやられまして資産デフレの政策不況を引き起こし、不動産価格の大暴落で今日に見る金融機関、ノンバンク、住専などの金融システムの待ったなしのデフレスパイラルに巻き込まれる危機を我が国は迎えたわけですけれども、大蔵大臣はインフレを引き起こした際にも行政責任があるとたしか公言されましたし、今のデフレスパイラルがコントロールできなくなっていることにも行政責任があると主張されているように聞いております。  それでは、行政責任を厳しく問うというときに、私は大蔵大臣の責任は言わずもがなのこととしまして、その他の責任をどう具体的に追及しようというお考えなのか、お聞かせください。
  25. 武村正義

    国務大臣武村正義君) お話を伺っておりますと、すべて行政責任、これは政治も入っているという意味ですね、内閣とか大蔵大臣とおっしゃっていますから。なぜそう単純におっしゃるのか、よくわかりません。  これは、我が国は資本主義の国であります。市場原理の国であります。そういう中で、経済活動が基本的にはそれぞれの企業の自己責任で行われている中、今回、もちろんバブルがありその崩壊があったという状況の中で、いわば金融機関が貸し付けをした担保である不動産価値が大幅に下落をして相手方の事業が不能になり、したがって金融機関は債権が回収できなくなった、これが不良債権問題のまず経済的な本質であります。  大蔵省が個々の住専や銀行の貸し付けに一々くちばしを入れて、ある銀行がある会社に何億円貸すことに対していいか悪いかチェックをして了解を与えている、そういう世界ではありません。これは全くノー干渉で、銀行なり借り手の方がまさに自主的な判断で経済行為としてなされているわけであります。そこが基本だということを改めて御認識をいただきたいと思うのであります。  問題は、こうしたバブルにしろバブルの崩壊の過程にしろ、あるいは崩壊した後にしろ、政治や行政がどういう政策を打ってきたか。そのことを今振り返って反省すべき点はないんだろうか、責任はないんだろうか、こう問われるなら私どもは大いに責任はありますと、こうお答えをいたしているところでございます。  この不良債権そのものを生み出したすべての責任が行政にあるからのような言い方をされると、私どもはちょっと待ってくださいと、こう言わざるを得ません。それは責任逃れで言っているわけじゃありません。しかし、行政通達その他、大蔵省もバブルの時代もさまざまなかかわりを持ってまいりました。これは過去の政策を振り返る話でありますし、今の時点から見てどこを反省すべきかということでありますので、これは政策上の判断としては、私ども内部でも今全体の総括をしたいと思っていますし、既に今日まで通達等をめぐっては国会答弁もしてまいりました。  例えば、総量規制の通達の中で、なぜ結果として住専が対象から外れたのか。これは私どもの当時の判断は、金融機関全体に対して出した通達ですと。ノンバンク、特に住専は金融機関ではありません、要するに預金を預かっている銀行ではありませんと。こういう形式上の扱いから結果として住専が対象から外れた。しかし、そのことはともかく、その後その住専に対して農林省と大蔵省がかかわっていながら、どんどんローン融資から業務融資、土地にかかわる事業融資に資金量が拡大していることにもっと早く気がついて、これに対して何らかの措置を講ずることができなかっただろうか。そういう意味では、やっぱりしっかり反省をすべきじゃないかと、こういうふうにも申し上げているわけであります。  もともと言えば、なぜバブルが起こったか、このことに戻りますとさまざまなとらえ方があります。政府全体としましても、当時の直接な土地に対する政策というよりも、おっしゃるような資産インフレそのものでございましたから、金融政策がどうであったか、あるいは政府の当時のリゾート開発とか民活とかあるいは国有地の売却とか、そういったさまざまな政策がどうであったか。あるいはそのときの国際環境としては、プラザ合意があって円高が始まって、外国からは執拗に日本の内需拡大と経常収支の黒字を縮減する要請が強く出ておりました。そのことにも政府はこたえざるを得なかった。そのことが金利とかさまざまな政策にもかかわっておりまして、そういう全体を振り返って総括をする必要があるというふうに思うわけであります。  資産デフレに入ってからは、なぜ早くこの問題に手を打つことができなかったか、そういう点もこの不況の中で率直に過去を振り返り、どこに問題があったかは積極的に総括をして、反省すべきは反省をすべきであるというふうに思っております。  今この責を預かっておる私の心境としては、この大事な緊急事態を間違いのない形できちっと解決をする、そのことが大蔵大臣として最大の果たすべき責任だという認識であります。
  26. 山崎順子

    ○山崎順子君 質問項目を先にお出ししておきましたので、まだこれから質問したいと思うようなこともかなりお話しいただきましたけれども、どうもお聞きしておりますと、大蔵省行政の原則論とかをおっしゃっていますが、なかなかぴんとこない、どうも人ごとのような感じでおっしゃっているようにしか聞こえないのが大変残念でございますが、私はまた順番に具体的に質問させていただきたいと思っております。  まず総理、御存じだったらお答えいただきたいんですが、いわゆる住専はそのすべての責任が大蔵省にあるのでしょうか。それとも他の省庁権限も絡んでいるのでしたら、それはどの省庁が。また、住専が数社ある中で大蔵省出身のOBと言われる人材が役職員としてかつて一人も参画していない住専があるとすれば、それは何社でしょうか。お答えくださいますか。
  27. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) まず第一点でございますが、住専問題につきまして私どもの行政対象になっておることは事実でございます。他省庁の責任等につきまして私どもがコメントする立場にございません。  いずれにいたしましても、住専問題の処理に当たりましては行政、住専、金融機関等の種々の責任を明確化することが必要でございまして、このためには、関係者が実態や経緯を十分に明らかにすることが必要であり、行政当局といたしましてもこれまでの経緯を含め、明らかにすべき事項についてはきちんと責任を持って説明していくよう努めるとともに、国会の御審議等の場におけるさまざまな角度からの御論議を通じて種々の責任の明確化に努める所存でございます。  なお、住専の中で大蔵省のOBが役職員として参画していなかったものとの御質問でございますが、八社のうち大蔵省に在籍した経験のある者が役職員として参画していない住専は住宅ローンサービス一社でございます。
  28. 山崎順子

    ○山崎順子君 ありがとうございます。  では次に、住専数社が一斉に実質的に倒産・整理しなければならないということは他の産業でも余り例を見ない超異常な事態だと思われますが、大蔵省の許認可権や監督権に関連した行政責任を具体的にどう考え、その責任を省としてどうとろうとしていらっしゃるのか。また、大蔵省法人企業にその財務諸表を提出させ管理監督している他産業の法人の場合は、自己資本以上に赤字になった場合を債務超過といって増資させて赤字を消すか、あるいは会社の資本を赤字と相殺して清算させているわけですけれども、住専の各社が債務超過となっているとすれば、なぜその時点で増資させるのか、また解散・整理させなかったのか。住専という大蔵省所管の業種と他の産業の法人の場合とでの商法、会社法あるいは倒産法など法律の適用の異なった行政をした、またはする根拠となる法律は何なのか。大蔵省行政指導は法律を無視して超法規的に実行できるのか、その根拠は何か。お答えいただければ幸いです。
  29. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) まず第一点でございますが、住専は旧出資法に基づく届け出制の会社でございまして、銀行のように免許制に基づくものではございません。したがって、日常の極めて厳しい行政の監督下にあるというよりも、むしろ経営判断に基づき自由に経営が行われるノンバンクの一種として運営されているものでございます。したがいまして、そこにはおのずから銀行等に対するものとは違った行政の接し方ということで従来から臨んできたところでございます。  しかしながら、大蔵省は広く金融を監督する立場にございますので、金融当局として今般の住専処理を行うに当たって過去の金融政策及び金融行政のあり方を率直に反省しつつ、国会審議等の場においてさまざまな角度から御議論を願うことによって、私どもの行政の従来の取り扱い方について、反省の材料も含めまして明確化していただきたいと存じておるところでございます。  なお、債務超過となっているとすればなぜその時点で整理をしなかったのかということでございますが、この点もただいま申し上げましたように、住専は行政の対象としては届け出制の極めて緩やかな行政対象でございますので、業務の改善命令や業務の停止というようなことを、大蔵省としてそういう権限を持っておるということではございません。その辺につきましては、経営判断に基づきまして、そのような経営状況に達したときにどのような対処をするか、経営者の御判断にゆだねられているものと理解をしております。  なお、その法律の根拠の問題でございますけれども、今回の住専処理に係る損失分担は、会社の整理に伴い生ずると見込まれる損失を前提にいたしまして貸し手の金融機関がそのうちおのおのどれだけ分担できるかという、これは最終的には当事者の判断により決められるものでございますが、私どもは今回、行政の立場からさまざまな要因を勘案いたしまして、適当と思われる住専処理の基本的な考え方を示したものでございます。銀行に対し財産の処分を強要するといった性格のものではないと考えているところでございます。
  30. 山崎順子

    ○山崎順子君 では、また多分銀行局長にお答えいただく形になるかと思いますが、西村さんが銀行局長に就任なさったのは何年何月か、その際、住専の問題については政策としてきちんと引き継いたことがあったのか、その後きょうまでの間に住専問題で具体的にいつどのような対策を打たれたのか、また西村さんの前任者はいつどのような対策を打たれたのか、なぜ住専に対し増資するとか解散、清算させるといったごく当然の法に準じた行政をなさらなかったのか。以上についてお答えください。
  31. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) 私が現在の職に就任いたしましたのは昨年の七月の一日でございます。  この住専問題は、かねてから大蔵省といたしましても非常に大きな問題として銀行行政の担当者はその対応に頭を痛めていたところでございまして、私が職を引き継ぎましたときにも、この問題をいかに解決すべきか心して対応するようにという引き継ぎを受けたところでございます。  私、就任いたしまして以降、大臣や上司の指導も仰ぎながら、この住専問題をどのように解決していくべきか、常に銀行行政上の重要な問題としてとらえてまいったところでございますが、具体的には、政府全体といたしまして四月十四日、緊急円高・経済対策の中で、銀行行政といたしまして、不良債権問題に関しまして、金利減免債権等をも含め、従来の発想にとらわれることなく、おおむね五年以内にこの問題を解決するよう努力していく必要があるとの方針を打ち出したことがございます。  この金利減免債権等を含めということは、言いかえますならば住専問題というものを正面に見据えながらという趣旨を、そういう気持ちを込めたものでございますし、その後六月八日に大蔵省としての不良債権問題への取り組みの方針を示しました際、また九月二十七日に金融制度調査会の中間経過報告を御報告いたしました際、それぞれこの住専問題について真剣に取り組んでいこうということを、そういう気持ちを国民の皆様にお伝えしたつもりでございますし、また与党や政府全体の中でもこの問題が真剣にかなりの期間をかけて議論されてきたものと理解をいたしております。
  32. 山崎順子

    ○山崎順子君 住専各社は債務超過になっていると思いますが、このなった年月というのがわかりましたら開示してほしいんです。  それから、債務超過の住専に農林系の資金が流れるのをなぜ行政的に防止しなかったのか、そのことを正当化する法的理由は何か。また、少なくとも農林系資金提供者にその危機の忠告をしなかったのは行政上怠慢の罪を犯したことになるのか、またならないか、意図的にあえて警告を発しなかったのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  33. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) 現段階では幾つかの住専が債務超過になっておりますし、また来年三月の決算においてもその辺がさらに明らかになろうかと存じます。  このような状況について、なぜ行政が直ちに住専に対してしかるべき措置をとらなかったのかという御質問でございますが、先ほどから申し上げておりますように、住専と申しますのはいわゆるノンバンクの一種でございまして、金融行政の対象といたしましては、預金を取り扱っていない、いわば直接には預金者保護という問題とは一般の銀行に比べますと距離のある存在でございますので、私どもといたしましては、むしろ日ごろの行政の厳しい対象というよりも、できるだけ自由に御活動を願うという存在であるというふうな考え方で従来臨んできたところでございます。  そのようなことから、業務停止命令をかけるとか非常に厳しい行政の対象にはなっておりませんので、そのような枠組みの中で私ども行政を取り運んできたところでございます。  ただ、今日に至りまして、この問題が個々の会社の経営問題というにとどまらず、日本の金融全体、あるいはひいては日本の経済全体の問題に至りまして、行政といたしましてもこれを放置することは許されないであろうということで、関係者の御協力を得ながら何とかこの問題の収拾を図るように努力をしてきたところでございます。
  34. 山崎順子

    ○山崎順子君 次の質問はできれば総理または大蔵大臣にお答えいただければと思うんですけれども、六千八百五十億の公的資金、つまり国民税金が今回使われるわけですけれども、何を根拠に国家や他の債権者に農林系の不良債権の肩がわりを行政指導できるのか、またその法的手続を具体的にどう合法的に正当化できるのか、国民にわかりやすく開示していただきたいと思います。  そのような手続は、また外国の利害関係者にも合法的なものとして理解できるものなのでしょうか。省としての公式の見解を御説明ください。
  35. 武村正義

    国務大臣武村正義君) 今の銀行局長説明にもございましたが、いわゆる預金を預かる金融機関は、この資本主義の日本の経済の中でも、あるいは規制緩和が叫ばれている状況の中でも、大変厳しい規制を加えておりますし監督をしている、こういう特異な状況にございます。確かに株式会社でありますのでありますけれども、ほかの株式会社とはかなり違います。  そもそも会社を設立するのも、局長が申し上げたように、免許業種という言葉を使いましたが、要するに認可という形で大蔵省が許可、認可をしなければ営業ができないという制約があります。その後の経営についても、経営改善命令、あるいは場合によっては業務停止命令を行政が発することができる、あるいは役員の罷免も場合によっては行政行為としてすることができる、そういう非常に厳しい監督下に置かれている。そのことは、規制緩和の厳しいアメリカも全く同じ、日本よりもより厳しいぐらいでございますし、ヨーロッパ各国もすべての資本主義国において金融だけは非常にやはりそういう意味でコントロールが厳しいということをまず御説明させていただきます。  なぜなのか。金融というのは日本経済全体でやはりかなめの役割といいますか、私どもはよく動脈とか血液というふうな表現を使っていますが、毛細血管まで金融が流れていって初めて経済が動いていく、そこに国民の暮らしがあるということを考えますと、一般の会社と違って、この金融問題というのは政府全体の中でもひときわ神経を使って厳しい姿勢で日ごろから見詰めなければならない。一たんここが壊れると経済全体が大きく傷を負うことになるし、破綻することにもなりかねない。六十八年前でございますが、昭和金融恐慌がそのことを生々しく示しているわけでありますし、数年前のアメリカの苦労といいますか、この問題に対する苦労も大変な貴重な経験であると思っております。  今回の住専というのは、先ほど局長が御説明申し上げましたが、そういうかかわりで、ノンバンクではありますが日本のほとんどの金融機関がここに融資をしている。預金は預かっていない単なるノンバンクであっても、金融機関が巨大な資金を貸し付けたというこの状況の中で、これを放置しておきますとどんどんこれが膨らんできます。そうすると、金融機関自身が破綻をしてくる可能性が出てまいります。  そんな中で、私どもはこの時期にやはりきちっと解決をしなきゃならないと。総理が申し上げているように、本当は関係者の話し合いでやってください、これで解決すれば一番よかったんです。しかし、負担割合その他、責任の問題でなかなか溝が埋まらない。  そうすると、次は破産法等の法的手続の道があるんです。一部の銀行はもうそれでやろうという主張も出てきておりましたが、万一この道に入っていきますと、破産手続だけなら一定の期間かもしれませんが、そこへそういうことに対するまたいろんな法的な対抗措置が出てきますと、訴訟合戦といいますか、裁判の場で混乱をしてきて相当な歳月がかかってしまう。五年、六年かかってしまいますと、今七兆五千億という不良債権が十兆になり、十何兆になっていく。これは目に見えております。  そうすると、裁判でやっていただくのは非常にわかりやすいんですけれども、それを数年かけて待っておりますと傷がうんと大きくなることと、そこでジャッジが行われても、今以上に各金融機関の背負う額が大きくなりますと、今でも背負い切れない状況の弱い金融機関はとても背負い切れない。そこで破綻が起こる、預金者は保護しなきゃならない、今よりもっと大きな犠牲を払ってその事態を国が救済しなきゃならない。これはもう歴史や各国の例がそれを示しておりますだけに、私どもはそのことを一点大変重視をし、心配をいたしました。  そうすると、経済情勢とか国際信用もありますが、やはり今の時期にこの問題を一挙に解決するには何がいいのか。銀行は銀行でぎりぎりの法的な許容範囲の御負担をどうしてもお願いしますと。今度の案はそれでございます。もう母体行は貸し付けした債権を全額放棄してくださいと。もうこれ以上のあれはないわけですが、そこまで厳しい要請をいたしております。  問題は農協系でありますが、ここもやはり数多くの農民の預金を預かって、単協から信連から農中までありますけれども、非常に厳しい環境の中で経営を行っている。その中で負担できるぎりぎりの負担をしていただく。そのために農林大臣が大変御苦労いただいて、限界が五千三百億であると。もうこれ以上負担させたら系統等がばたばた倒れると。この五千三百億でかなりの信連が赤字に転落をいたします。これ以上もし求めたら本当に破綻しかねない、こういう状況でありますから精いっぱいの負担として五千三百億負担いただく。  この間に六千八百億の穴ができた、これをどうするか、こういうことになってまいりまして今回の公的支援と。この問題を一挙に解決する、日本経済のためにも国際信用のためにも解決させていただくためにこの決断をさせていただいた。そのかわりに、責任はきちっと追及を厳しく、RTCのような機関をつくって債権債務にかかわるさまざまな矛盾は明らかにし、民法上、刑法上の法を超える問題があれば厳しい責任追及を関係者が集まってさせていただきたいと思っております。
  36. 山崎順子

    ○山崎順子君 それでは、母体行銀行に対して農林系の資金は別扱いとしながらまず住専の株の資本金を放棄させた法的根拠、それから住専に貸した債権を放棄させた法的根拠は何かお聞きしたいと思うんですが、さらに住専の役員が行う決定が、株主としての母体行と、株式市場で購入して株主となった者など母体以外の株主、また債権者としての銀行と、農林系の資金の貸し主ですね、農協、信組、農中などですけれども、などとを法の平等に違反する取り扱いをしたとして役員が責任を法廷で追及された場合に、法理論上、これらの役員を救済するためには国家が事前にどのような法律の修正をしておかなければならないのか。また、そのためにはどの程度の時間が必要とされるのか。法律上の措置がなくとも行政上の指導が役員を守り得るという法的根拠は何か。行政指導に従ったのであるから役員としては責任を問われないと言い得るのか。また、株主でもなくなりもはや債権者でもなくなった旧母体行に、株式放棄、債権放棄以上の金銭的負担をその後、将来にわたってどのような法的根拠により負わせることができるのか。  以上について、もし銀行局長の方からお答えいただければうれしいのですが。
  37. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) 大変多岐にわたる御質問でございますが、基本的にまず申し上げておきたいのは、今回、政府として提案をいたしております措置は、行政の立場からさまざまな要因を勘案いたしまして、住専処理の基本的な考え方、枠組みを示したものでございまして、最終的にこれをどう受け取るかということは、当事者すなわち銀行あるいは系統金融機関それぞれのお立場によりお決めになるべきものでございます。もちろん、私どもはこのような解決策が今考え得る唯一のものではないかという確信のもとにこのような御提案をしておるわけでございますけれども、最終的な御判断は当事者がされるという性格のものでございます。  したがって、そのような選択をした結果につきまして、株主との関係あるいは債権者との関係でどのような御説明をされるかということは経営者の御判断ということになるわけでございますが、私どもといたしましては、今回のような枠組みに御協力をしていただく、御参加いただくということは、これは日本の金融あるいは経済全体のためにそれぞれ公共的な役割をも有する金融機関が果たすべき役割の一環として、十分に国民、株主、債権者それぞれのお立場からも御理解を賜れる性格のものではないかと存じておりますし、また、政府といたしましてそのような理解をしていただく上で果たすべき役割がございましたら、法律の制定の上で、あるいは行政的な御説明の上でできる限りの努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  38. 山崎順子

    ○山崎順子君 終わります。どうもありがとうございました。
  39. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 総理、どうもきょうは御苦労さまでございます。  総理に軍縮問題で質問をする前に、大蔵省に一つだけ確認をしておきたいことがございます。  決算をずっと見ておりますと、最近数年間、兵器購入に当たっての後年度負担が非常に年々増額しております。これではとても軍縮予算を組もうと思っても、その後年度負担が災いしてなかなか組めないという実態であります。やはりもう少し真剣に後年度負担というものを縮小するような努力をするべきでないかというふうに考えております。  それは先般も防衛庁長官といろいろと議論をいたしましたので、とりあえずそれは横に置いておきまして、それにいたしましても決算書予算書をずっと見ておりますと、非常に不親切だと思います。  例えば艦船という一項目があるんですけれども、その中には護衛艦もありますし潜水艦もあるし掃海艇もあるし、いろんな種類の軍艦があるわけですね。航空機という一項目だけで書いておりますけれども、その中には戦闘機もあれば練習機もあればヘリコプターもある、いろんな種類の飛行機があるわけです。そういうものが一つも書かれていないで、大項目で艦船、航空機、それだけしか書かれておりません。これでは国民が見てもどういうものを、初年度はゼロなのに後年度負担は何百億もあるという、そういうものが一つもわからない。  やはり、もう少し国民が防衛費に対して関心を持ってもらうためにも、そういう決算書予算書のあり方というものを変えていく必要があるだろう、そういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  40. 林正和

    説明員(林正和君) 予算決算の状況につきましては、その内容をわかりやすく国民の方々に周知していくことは重要なことと考えております。  そうした観点から、先生から御指摘をいただいておりました点を踏まえまして、平成年度決算から、決算説明における防衛関係費に係る部分につきましては主要装備品の契約状況を記載し、その改善を図ることにしております。  いずれにしましても、今後とも一層この御趣旨に沿いまして努力をしてまいりたいと思っております。
  41. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 決算だけじゃなくして、予算書も同じでございますので、どうぞそういうふうに改めていただきたいと思います。  それでは、総理に軍縮問題について質問をいたします。  総理は、一月二十日の施政方針演説でこのように述べております。「世界に向けて軍縮を唱える我が国が、みずからも節度ある対応をとることは当然であります。」ということで、軍縮に対する意欲を示しております。  しかし、十二月十五日、閣議決定いたしました中期防衛力整備計画、これを見ておりますと、毎年二・一%ずつ防衛費を増額しなければ達成できない、こういう内容でございます。  これでは、総理の考えていらっしゃる軍縮にはならないんじゃないでしょうか。その点いかがでしょうか。
  42. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 全体としては、今お話もございましたように、世界全体がそういう軍縮の基調にあるわけですから、その基調に沿い得るような形で日本の防衛力というものもやっぱり軍縮の方向をたどるべきだということについては、一貫をして考えている考え方については変わりはありません。  ただ、そうは申しましても、今お話もございましたように、後年度負担等もございまするし、あるいは義務的な経費というようなものもございますし、全体としてその枠は軍縮の方向に行っても、内容的にはそのとおりには必ずしもならないというので、予算規模全体としては若干の膨らみはやむを得ないのではないか。  しかし、それは軍拡をするということを前提にして枠が膨らむのではなくて、軍縮を目指しながら必要な内容についてはやっぱり措置をする、しなければならぬという意味で、総額は膨らむ、膨らんでいくということについてはやむを得ない面もあるということについて御理解をいただきたいと思います。
  43. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 軍縮というのは、前年度の防衛費に比べて、その次の年の防衛費が少なくとも前年度よりも少しでも減るのを軍縮というんですよ。しかし、総理のお考えでは、後年度負担があるからなかなかそうはいかないというようなお話なんですけれども、そこで、その後年度負担に関連する問題について、次期支援戦闘機の問題で質問をしたいと思います。  次期支援戦闘機、FSX、今閣議決定するとこれがF2になるんだそうですけれども、これが防衛庁の考え方としては百四十一機購入しようという考えでした。  それで、私はこの間の決算委員会で、これは非常に問題がある、なぜならばこれはF1の後継機だ、こう言っているわけです。F1の後継機ということになりますと、F1の機数は七十七機なんです。その七十七機がどうして百四十一機購入しなければいけないのか。しかも、曲芸飛行に九機も使う、そんなものに一機百二十三億もする予算をなぜつぎ込まなきゃならないんですかと、こういう質問を防衛庁とやったんですけれども、幸い与党の防衛調整会議の中で百四十一機から百三十機に削減するという方針になりました。ただし、将来修正があり得るとの理解を前提とするということもついておりますけれども。  これだけのものを購入していきますと、今総理が一番心配していた後年度負担というのがだんだんふえていくわけですね。そういう意味で、百三十機でも私は非常に多過ぎると思います。少なくともF1の後継機である以上は七十七機に抑えるべきではないかと思うんですけれども、その辺に対する総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは防衛庁の方から専門的な答弁があるといいと思いますけれども、私が承知している範囲では、平成七年の三月末現在の保有機数というのは、F1、支援戦闘機七十四機、それからT2、高等練習機八十一機、今お話のございました百三十機の中にはこの高等練習機も含まれておるというふうに私どもは解釈いたしておりますから、全体として機数が前回よりもふえるんだというふうには受け取っていないわけです。
  45. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 防衛庁の答弁の中で私ども聞いておりましたのは、あくまでもこれはF1の後継機なんだ、こういうことだった。だからF1の後継機ということになれば、それじゃF1は何機ですかということになれば七十七機ですと言うんですから、当然これは百四十一機でなくして七十七機でしかるべきだろうと思うのです。だから、練習機なら練習機というものがそのほかにあるのであれば別に練習機としてそれなりのものを用意すればいいのであって、何で一機百二十三億もするようなそういうものでそろえなければいけないのかという問題があると思うのです。  とにかく、それほど高度な戦闘機を用意しなければならないのかどうなのか、そこにも大きな疑問があるのであって、総理でなくても結構です、防衛庁の方からお答えください。
  46. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 防衛庁といたしまして、九月の時点でございますけれども、当時FSXと言っておりました、FSXにつきまして総取得数で百四十一機ということをお願いしたわけでございますが、そのときこれは資料もつくって御説明いたしたわけでございますけれども、その中身として、支援戦闘機の後継機、あるいは教育部隊用としての後継機、あるいは飛行教導隊用、さらには術科学校用、それから今御指摘のありましたブルーインパルスといったようなものをすべて対象といたしまして総取得数百四十一機でお願いしたわけでございます。  そのうち支援戦闘機部隊用の後継機としての数としては、部隊に配置するという意味では六十機とカウントしておったわけでございます。したがいまして、支援戦闘機部隊用だけということでございますと、現在持っておりますのが七十数機でございますから、御質問にあったような御意見もあろうかと思いますけれども、防衛庁といたしましては、支援戦闘機の後継機以外に、現在ではF2と言っておりますけれども、このF2を充てたいということを当初から申し上げていたところでございます。
  47. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 総理は恐らく御存じないと思うのですけれども、一機百二十三億円もするわけです。そういうものをできるだけ単価を低くしようということで百三十機購入する、そうすると百億を切る、こういうことになるわけなんですね。それで、少し安くなったから星もある程度ふやして、練習機なら練習機に使うものもここで賄っていこうと、そんなような考え方があると思うわけです。  とにかく、私どもといたしましては、そういういろんな種類の飛行機があるでしょうけれども、すべてのものに対してそれほど性能の高いものをあえて使わなくたっていいではないかという考え方もあるわけです。だから、支援戦闘機であるならば支援戦闘機だけに関してそれを七十七機なら七十七機をそろえるべきであって、私はそれももう必要ないと思いますよ。日本に上陸してくる、ソ連と言われた、それが崩壊してしまっているわけですから、それだけの上陸してくるものがないとするならば、それに対する支援戦闘機なんというのは全然必要ないと思うんですけれども、それでもF1に関しての後継機だというから百歩譲って、じゃ七十七機にしたらいいでしょうというようなことなんで、そういうことが結局総理の心配されている後年度負担に全部つながってくるわけですね。そして軍縮できなくなるんであって、その点を、予算額決定されましたけれども、今後十分ひとつ御認識をいただいて、これからの軍縮に努力をしていただきたいとお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、これは将来大変な後年度負担になるであろうと考えられるのがTMDでございます。これはミサイル防衛システムと言われております。あちらの方から飛んでくるミサイルをこっちからミサイルでもって撃ち落とそうということでございますけれども、ある専門家に言わせますと、飛んでくる鉄砲の弾をこっちから鉄砲を撃って落とすくらい非常に難しいんだと、こういう話もございます。これはアメリカとの開発に一兆円、最低一兆円であろう。ある説によりますと数兆円かかるという声もあります。  これは、技術的に難しいというのは立証されたんですけれども、十二月十五日の新聞を読んでおりましたら、朝日新聞ですけれども、アメリカがミサイルの迎撃試験に失敗をしたと。高高度で飛ぶ実際のミサイルを地対空ミサイルで迎撃する初めての試験であって、戦域ミサイル防衛、TMDの基礎となるものだけれども、これは失敗をしてしまったと言っているわけです。それほど難しい問題なんですね。  それで、日本にミサイルを打ち込んでくる国が一体あるんだろうかと、そういうことを考えたら、なぜこれほどの金までかけてこれからこういうものを開発、研究していかなければならないのか。私はこういった問題についてはもうやめるべきだというふうに考えておりますけれども、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  48. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは、経過はもう委員御存じのとおりだと思うんですけれども、今お話ございましたように、米国が研究を進めているわけですね。米国の研究に日本も事務レベルで入って検討している、こういう経過になっているわけです。今お話もございましたように、一つの試験として失敗をしたという事例はありますけれども、アメリカ自体がこの研究をまだやめているわけではない。  それで、今回の中期防の中でこういう位置づけをしているわけです。「弾道ミサイル防衛については、その有用性、費用対効果等に関し、総合的見地から十分に検討の上、結論を得るものとする。」、こういうふうに決めておりまして、別に今結論を出しているわけじゃありませんから、そうした全体の動向も十分踏まえながら、慎重の上にも慎重な検討を加えて結論を出さなきゃならぬというふうに考えております。
  49. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 終わります。
  50. 栗原君子

    ○栗原君子君 日本社会党の粟原君子でございます。  私は、先般外務大臣に旧日本軍の中国における遺棄化学兵器の問題について質問をしたところでございますが、あわせてきょうは総理大臣に御質問をさせていただきたいと存じます。  先般、私たちは十一月の二十六日から十二月の二日、一週間かけまして中国における遺棄化学兵器の実態及び被害に関する調査ということで私も参加をさせていただいたところでございます。私はこの問題には特別な思いがあるわけでございます。と申しますのは、広島県の竹原市というところのその沖に小さな島がございまして、大久野島と申します。戦争中は地図から消されていた島でございまして、その島で旧日本軍の陸軍が毒ガスを製造いたしておりました。そして、それらは中国大陸を初めとしアジアに送られたと、こういったことが広島でもずっと言われておりまして、今日ではその大久野島には毒ガス資料館がつくられまして、全国からたくさんの修学旅行生が毎年訪れ、平和学習に役立てているということでございます。  そしてまた、当時製造にかかわった人、戦後の処理にかかわった人などなど含めまして、今日も竹原市の忠海病院というところにはたくさんのそうした毒ガスの患者の人たちがいるわけでございまして、厚生省もこの患者に対しましては深く今日かかわっていただいているところでございます。  そうした意味で、私は、今回この中国の東北部にございます旧日本軍の遺棄化学兵器の実態調査に参加をさせていただきました。  まず、吉林省あるいはまた黒龍江省に参りまして、吉林省のハルバレイに参りましたときは二カ所の埋設坑を確認いたしました。ここはまたことしの五月に外務省の人たちによる調査もなされているところでありまして、この一号坑の試掘をし、三百六十発を外務省も中国の政府と一緒に確認をしているわけでございます。そして、もう既に五十年以上もたつわけでございますから、ガス弾から化学剤が流れていることを日中双方の調査団も確認をしたわけでございますが、もうどうしょうもなくて現在は埋め戻されているわけでございます。  また、ハルピンに参りまして、毒ガスによる被害者が今日中国には二千名以上いると言われておりますが、ハルピンで私たちは二人の被害者の方からその状況を聞かせていただきました。そして、広島大学で長年被爆者の治療あるいはまた大久野島にかかわる毒ガス患者の治療を続けてこられました山木戸教授も私たちに同行していただいておりまして、山木戸教授からも、これは確かに毒ガスの患者と見られると、このように言っていただいたわけでございます。さらにまたハルピンでは、日中の両政府によりまして、密封されました化学砲弾五十八発を、これは倉庫に今保管をされているわけでございますが、これを確認してまいりました。  そしてまた、チチハルに参りまして、ここではことしの十月に発見されました二百四十六発を確認いたしました。この中にはまだ信管が残っているもの、あるいはまた解放軍の兵士が振りますと中でぴちゃぴちゃと音のするものがあると、中身がしっかりと詰まっているということを確認することができたわけでございます。いずれも朽ちておりまして、大変危険な状況であるということを私たちは確認して帰りました。  さて、ここで中国側は、ジュネーブの軍縮会議に提示いたしました資料によりますと、旧日本軍が遺棄いたしました化学兵器は約二百万発、そして化学薬剤は百トンということを言っているわけでございます。総理も、御案内のように、ことしの五月訪中されましたときに、中国政府に対して誠意をもって対処すると、このようにお約束をしてお帰りいただいているわけでございますが、総理のそういったお気持ちを聞かせていただきたいと存じます。
  51. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今お話しのございました遺棄化学兵器の処理につきましては、これは先般我が国政府としても、国会の御協力もいただいて化学兵器禁止条約の批准をいたしました。その化学兵器禁止条約の精神というものは、やっぱり遺棄をした方の国にその処理の責任があるということは明確になっているわけでありますから、その精神を踏まえてこれは誠実に実行しなきゃならぬということは当然であります。今お話もございましたように、日中の首脳会談の席上で私はそのこともきちっと申し上げてあります。  ただ、これはなかなか専門的な知識を要する難しい問題でありますから、単に外務省だけが調査をするというのではなくて、防衛庁やらあるいは民間の専門家等も含めて今現地調査を行っているところなんです。  この処理については、それだけにやっぱり専門家の参加も必要ですし、あるいはまた外国のノウハウ等も活用できる点があれば活用して、そして遺憾のないように完全な処理ができるようにこれからも全力を挙げて、これは内閣一体となって取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
  52. 栗原君子

    ○栗原君子君 これは、日中平和友好条約が一九七八年の十月二十三日に結ばれておりますけれども、その後に判明した問題でございまして、日本の戦争責任の問題とあわせまして私はもう避けて通れない問題であろうと、このように考えるわけでございます。今日外務省がそういったさまざまな窓口の役目を果たしておりますけれども、外務省の担当の職員から聞きましても、外務省だけではどうしようもないんだということを言っているわけでございます。  そこで、現地の被害者の問題を考えますと厚生省もかかわっていただきたいし、それから既にこの中身が出て地域の環境汚染も進んでいるわけでございますし、とりわけハルバレイにおきましては八キロ下流にはダムがありますし、また松花江という川もありますし、そういったことを含めますと環境庁も私はいろいろまた環境調査でかかわっていただきたいということを思います。また、大蔵大臣がきょうおいででございますけれども、これには財政的な面も必要であろうかと思いますので大蔵省もかかわっていただきたい。  そして、何よりまたこういった砲弾のノウハウというのは防衛庁の方が一番お持ちであろうと思いますので、そうしたことで防衛庁の方にも深くかかわっていただきたい等々を考えますと、これを処理するに当たりましてやはり特別な部局を設置していただく必要があるんではなかろうかと思うんです。さらにまた、中国あるいは日本においてたくさんの専門家の人たちもこの問題に大変関心をお持ちでございまして、独自の調査をしていらっしゃる方もありますから、そういった人たちに対しても支援もしていただきたいことを含めますと、やはり特別な部局を何とか設置していただきたいと思うのでございます。  また、国会の中にも特別な委員会か専門的な機関があればいいかと思うんですけれども、まずそういった部局の設置について総理はどのようにお考えでございましょうか。
  53. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これはもう戦後五十年も経過しておる現状について考えた場合、場所を特定することやら、あるいはどういうものが遺棄されておるのかというふうなことについてもやっぱり大変難しい問題がある。今委員からお話もございましたように、これはもう外務省だけでは到底対応し切れない。やっぱり専門的なノウハウ、知識も必要ですし、あるいはまたこういう化学兵器の処理については外国の方がすぐれたノウハウを持っておるというふうなところもあるかもしれません。そういうものを十分検討して、具体的に実態はどうなっておるのかというようなことについて徹底した調査も行った上でそれは方針を決めていかなきゃならぬというふうに思います。  いずれにいたしましても、これは日中関係の親善といった面からも大変大事なことですし、当然我が国が誠意を持ってやらなきゃならぬ課題だというふうに受けとめておりますから、そうした実態の調査と兼ね合わせて、その取り組み方についてもこれからあわせて検討されなきゃならぬ問題だというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、これはできるだけ早い時期に早く調査も済ませて、早期に処理ができるような段取りだけはきちっとつけて、誠意を持って解決しなきゃならぬ課題であるという認識についてはいささかも変更はない、そのつもりで一生懸命やらせていただくというふうに思っています。
  54. 栗原君子

    ○栗原君子君 防衛庁の方がおいでいただいていると思うんですけれども、やはり旧日本軍とそして今日の防衛庁というのは全く別なものでございます。このことは私も認識をいたしておりますけれども、そうは申しましても防衛庁の中にもしかしたら、どこに旧日本軍の部隊があったとか、あるいはそうした砲弾はどういうルートで送られていったものであるか、そういった資料があるんではなかろうか、こういうことを思うわけでございます。  研究者の皆さんの中には、防衛研究所の戦史部というところにもしかすればそういったものがあるんではなかろうかと、こんな話も聞いたわけでございますけれども、防衛庁は今どういったこの件に関しての資料あるいはまた調査などの実態をお持ちでいらっしゃるものかお聞かせいただきたいと思います。
  55. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 今御質問にありましたように、防衛庁自体は旧日本軍とは関係がない組織であるということは御理解いただきたいと思いますが、現在防衛庁の中に防衛研究所というものがございまして、そこで旧日本軍の関係した書類、資料などを保管しております。  我々、わかる限りにおいてそういった資料から得られた状況については御説明をし、資料の提出あるいは閲覧も全部しておるわけでございまして、今、どういう格好でその部隊があったかとか、あるいはどういう格好で砲弾あるいはこういった化学兵器だと思いますが出されていったのかというあたりについて資料があるのではないかという御質問でございましたが、我々が得られている資料から承知しているところでは、実はこれまでも答弁をさせていただきましたけれども、昭和七年から昭和十六年まで陸軍造兵廠のもとで製造されました化学兵器の記録がございます。砲弾ですと約百三十六万発、爆弾ですと一万九千発、発煙筒ですと二百十三万個、そして化学剤が三千三百七十トン。  実は、昭和十七年以降二十年までの間の資料は非常に断片的でございまして、化学兵器を生産していたかどうかについて把握することはなかなか困難な状況でございます。しかし、今後とも資料が出次第、それによってわかった状況については御説明をし、答弁をさせていただきたいと思っております。
  56. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間が参りましたけれども、いずれにせよ戦後五十年という長い年月がたっております。まず、この問題の解決なくして日中の友好をさらに深めていくということは大変困難であろうと思いますので、中国側も積極的に協力をするということを言っておられますので、ぜひ日本政府としても誠意を示しながら早期に解決をしていただきますようにお願いをして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 総理に住専問題についてお伺いしたいと思うんですが、私の持ち時間はわずか六分ですので、これは総理の日程の都合もあってそうなりましたから端的にお答えをいただきたいと思うんです。  財政資金の投入を決めた二十日未明の記者会見で総理は、春ごろから協議を続けてきた、その上での苦渋の選択だ、貸し手、借り手を含め責任を徹底的に追及し、政府の責任で全容を国民の前に明らかにすると、こう述べられました。しかし、春ごろから今まで、もうこれは一年近くたっています。住専の破綻が明らかになったのはその数年前です。もう随分時間がたっている。しかし、この間それだけ時間がたったけれども、だれ一人この問題について責任をとっていないですよ、歴代内閣も、大蔵大臣も、銀行局長も、あるいは母体行も、あるいは住専も。  どういう態度をとっているかといいますと、例えば大蔵OBで住専最大手の日本住宅金融の庭山慶一郎相談役がおりますが、こう言っています、税金を使って国として責任をとるのは当然だと。みずから破綻させながら、税金を使うのは当たり前だと開き直っているんです。とんでもない態度ですよ。あるいは住専から最もたくさん借りている末野興産という会社がある。暴力団絡みの会社ですよ。大阪じゃ悪名高い。ところが、何と言っているか。厳しい取り立てなど受けてない、こちらが税金をつけてくれと頼んだ覚えはない、こういう開き直りであります。  こういう問題に全く手をつけずして六千八百五十億円、二次損失一兆二千億円。六千八百五十億で終わる保証なんか全くありませんよ。こんなことを放置して国民の納得など得ることができないのは当たり前じゃないですか。だから、これじゃ初めに公的資金の導入ありきだという批判が出るのはこれは当然だと思いませんか。  銀行局長なんかいいよ、総理に聞いているんだ。(「内容だから」と呼ぶ者あり)内容なんか要らない。だめだよ、そんなんじゃ。何言っているんだ、総理が決めたんじゃないか。
  58. 村山富市

    国務大臣村山富市君) お答えします。  今お話もございましたように、これは長い経過がある問題でありますけれども、どういうふうに処理をすることが一番いいのかということについては、これは第一義的にはやっぱり関係した金融機関なりあるいは系統機関なりあるいは住専、ノンバンクなり、そういうものがそれぞれ自主的に責任の所在を明確にしてその責任の分野については果たしていただく、そこで解決できれば一番いいわけです。  どういう解決の方策があるのかということについて春ごろから真剣な検討を加えてきたんです。検討を加えてきた結論として、先ほども御答弁申し上げましたけれども、今も申し上げましたが、そういう関係者自体の話し合いの中でお互いの責任分野を明確にして、そして解決ができればそれはもう何よりも一番いい方法だと思いますけれども、何分複雑な関係もございまして結論が出ない、合意が見出せない。こういう段階になってずるずるこれはずっていけばそれだけ傷口が大きくなって、さらに結果的には国民的な負担もやっぱりふえていくということになる可能性もありますから、その道もとれない。  そうかといって、法的な手段に訴えて明確にするという方法をとれば、先ほども御答弁もございましたけれども、やはり日時がかかって、そして傷口をさらに大きくすることになってなかなか解決のめどが立たない。そうなってまいりますと、これはもう一日も早く解決をして始末をつけるためにはこの選択をする以外にはなかったと私はそのように考えております。  ただ、今お話もございましたように、国民皆さんの御理解をなかなか得にくいということは、それは経過がまだ不明確ですからその点は当然だと思うんですよ。これから私どもはやっぱり借り手の責任も明確にして、そして負債の回収、債権の回収も図ると同時に、貸した方あるいはノンバンク等々の責任の所在も明確にするし、同時にこれまで経過してきた行政指導上の責任とかいったようなものもあれば当然明らかにする必要がありますし、そうした点を明確にしていくことによって国民皆さんにも御理解と納得をしていただけるんではないかというふうに私は考えているわけです。  これは先ほども申し上げましたけれども、そういう実態が明確になってから結論を出して、こうする以外になかったと、こうすればわかりよかったと思うんですけれども、しかしそれを待っておったのでは傷口がさらに大きくなりますし、先延ばしはできないという問題であるというふうに考えましてこういう判断をしたということについては御理解を賜りたいと思うんです。
  59. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 なかなか御理解はできないんですけれども、もう経過は長いんですから、村山内閣になってからだって春ごろから協議をやっているわけでしょう。その前からわかっていたわけですから。ですから、何で今まで解明しなかったのか、何で何も手をつけなかったのかということが問われているわけですよ。  そして、これから解明すると言われるのであれば、例えばあの東京二信組のときには不良債権千五百億円ですよ。今度は七兆五千億でしょう。数十倍に上るんですよ。あのときだって、秘密会だけれども不良貸し出し先がどこなのか、これは国会提出されましたよ。国会では証人喚問もやられました。私は当然国会に対して、八月に特別検査が入っておるでしょう、大蔵省、こういうものも報告されてないですよ。農林水産大臣だって今月十四日に、その検査結果聞いてない、これじゃまずいと衆議院の予算委員会で野呂田農林水産大臣答弁されていますよ。  ですから、今総理のおっしゃったことが本当なら、例えば不良債権額はどこに幾らあるのか、破綻先とその債権額、母体行紹介の融資額、あるいは暴力団と関係があるのは一体どこなのか、その債権額は幾らなのか、こういうものをきちっとやはり私は国会国民の前に明らかにすべきだと思うんです。この点について総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  60. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 御指摘の点は当然なことだと思いまするし、これから行政としても取り組みを強化してそういう実態を明らかにする。同時に、国会審議の中でも漸次それは解明されていかなきゃならぬ問題だというふうに思っていますから、そういう実態の解明については全面的に国会に対しても協力をしながらこれから努力していきたいというふうに思います。
  61. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いま一つ、この問題を徹底的に解明していく上で、先ほど民事、刑事、法的に触れる問題があればと。私、これは当然のことだろうと思うんです。同時に、行政責任や政治責任、こういうものもやはり明らかにしていく必要がこれは当然あると思います。そのためには、国会で必要な参考人の招致であるとかあるいは証人喚問であるとか、こういうものも大いにやるべきだと思います。  もちろん総理はそれは国会でお決めになることだというふうにおっしゃるかもしれませんが、私はそうじゃないと思う。だって、六千八百五十億円の投入を決めたわけですから。国会としてもそういうでき得る最大限の調査をお願いしたいというのが、私はそういう国民の血税を使うことを決められた総理としてのお立場だと思うんですけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
  62. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは今お話もございましたように、六千八百五十億円という税金を使うわけですから、国民には知る権利がある、国会審議を通じて解明できる点については積極的な協力もしていかなきゃならぬというふうに考えておりますし、行政としても公開してできるだけ実態を国民皆さんに知っていただくということは当然のことだというふうに思いますから、そういう点についてはこれからも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。
  63. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  64. 中尾則幸

    中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾でございます。私の持ち時間も六分でございますから、大演説を拝聴する時間がございません。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず総理に伺う前に、会計検査院長に御質問申し上げます。  会計検査院は今月十五日、平成年度決算報告をまとめました。この中で今回初めて、官官接待が問題になっている折でございますけれども、国庫補助事業に係る食糧費について検査を行いました。この結果、使用目的等が極めて不透明であると指摘されたのは四億円余りにも上っております。  さて、大変恥ずかしい話でございますが、今回の検査に含まれていない私の地元であります北海道の件でございます。御存じのように、公金不正流用が今大変な問題となっております。昨年度とことし十月まで一年七カ月で空出張、空会議、空接待、空雇用、はたまたコピー機を買ったことにする空コピー、こんなところまで進んでおりまして、裏金づくりは内部調査だけで十億八千万円に上っております。この巨額な公金の不正流用について、国の補助金がどのように使われたのか全く不透明でございます。  会計検査院長にお伺いします。  国の収入、支出の決算を厳正に検査する会計検査院として、この北海道庁の巨額な公金不正流用に対し、国の補助金等がどう使われたのか私は調査検査する必要があると思いますけれども、院長の御答弁を願いたいと思います。
  65. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) お答え申し上げます。  会計検査院は、国の補助を受けて実施されます公共事業につきまして毎年検査実施いたしておりますけれども、検査に当たりましては、検査の重要度、効率性を勘案して、これまで本体工事の検査を重点的に実施してきたところでございます。しかし、本年は、年の途中におきまして事務費の中の食糧費の問題が提起されまして、社会的関心も非常に高まったこともございますので食糧費についての緊急調査実施しまして、その結果を先日内閣に送付した平成年度決算検査報告において掲記をいたしております。  会計検査院といたしましては、今後、補助事業者及び主管省庁の責任のもとにこれらの事務費の適正な執行が図られますことを強く期待しております。そして、それによりまして本院といたしましては本体工事費に力点を置いて検査実施できることになりまして、限られた検査陣容の中で効率的な検査を遂行できることにつながるものと考えております。  その意味で、会計検査院としては、補助事業を主管する各省庁や補助事業者である各都道府県が、内部監査の強化を含め、それぞれの行政責任を積極的に果たすように強く要請したいと思います。
  66. 中尾則幸

    中尾則幸君 短く答えてください。時間がないんです。
  67. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 御指摘の北海道における諸問題につきましては、現在、北海道自体において調査が行われておりますし、また補助事業に関しましてはそれぞれの主管省庁において対応策を検討されているところと承知いたしております。本院としては、これらの推移を関心を持って見守っているところでありますが、今後、これらについて報告を求めるなどいたしまして、補助事業の適正な執行確保するという観点から対応してまいりたいと考えております。  なお、本年の検査の場合は、実地検査期間の終盤におきまして緊急かつ短期間に検査を行わなければならなかったために特別の検査を行ったわけでございますけれども、今後の検査におきましては、北海道に限らず、本年の検査結果を踏まえまして、通常の実地検査の中で補助事業事務費の経理について他の省庁や都道府県の実態を調査してまいる所存でございます。
  68. 中尾則幸

    中尾則幸君 答えるだけでもう僕の質問時間がなくなりますよ。  もう一回確認します。私ははっきり北海道に特定して今質問したんですよ。いいですか、重大な疑義が生じているわけですよ。ですから、報告を、例えば要請すると私は受けとめたんですが、要請するんですね。そして、そこでおかしな不正事実があると判断した場合は検査するんですね。否かどうか、はっきり答えてください。
  69. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 現在、北海道の方で調査をしておられますこと、あるいは各省庁が補助事業についてチェックしておられる状況については報告を求めることにいたしております。そして、先ほど申し上げましたように、本年の実地検査の中で、これは全国的に共通の問題でございますけれども、通常検査の一環として事務費についてもその状況を観察するということを考えております。
  70. 中尾則幸

    中尾則幸君 疑義があれば検査するんですか。それだけでいいです。イエスかノーか。
  71. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 事務費の問題につきましては、本体の検査をいたします際に、あわせて全国的に検査をいたすという考えでございます。
  72. 中尾則幸

    中尾則幸君 ちょっと時間があれなんですけれども、私が聞いていることにお答えいただきたいんです。  北海道の問題について、例えば疑義があれば検査するのかどうかということを聞いているんです。検査をする、疑義があってもしないか、それだけでいいです。
  73. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 先ほども申し上げましたように、これは通常検査の一環として当然に関心を持って検査をしてまいることになると思います。
  74. 中尾則幸

    中尾則幸君 せっかく総理に、もう一問しかできません。  北海道庁でまさに組織ぐるみの犯罪が行われたわけですけれども、問題なのは地方自治体における監査委員制度だと思うんです。この監査委員そのものがみんな汚染されています。北海道も監査委員事務局が空出張で裏金をつくっているわけです。この問題について総理に一点だけ伺いたい。  地方制度調査会、これは総理の諮問機関でございますね。その中で、昨年の十一月、「地方公共団体の監査機能充実を図るため、外部監査制度を検討する必要がある。」と答申をしております。端的に、地方分権は推進しなければいけない、地方の自治を確立しなきゃいけないという立場では変わりませんが、これについて、おのれを律する制度がなければ地方分権も私は空念仏に終わるだろうと。総理の決意を伺いたいと思います。
  75. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 地方分権の推進に関する答申の中においても指摘されておりまするし、今お話にもございましたように、昨年十一月の第二十四次地方制度調査会の答申にもあるわけでありますから、その点も十分踏まえた上で、私は分権と兼ね合わせてこの監査制度強化充実というものは必要であるというふうに思いますから、そういう視点でこれからも検討を進めていきたいというふうに思います。
  76. 中尾則幸

    中尾則幸君 総理、ありがとうございました。  会計検査院長、もう一回確認させてください。今回の実態についてまず報告はさせますね。そして、場合によっては検査をするということでございますか。はっきりイエスかノーか、それだけをお伺いして私の質問を終わります。
  77. 矢崎新二

    会計検査院長(矢崎新二君) 先ほども申し上げましたとおりでありまして、現在の状況については報告をとることにいたしておりますし、また通常検査の一環として問題があれば事務費についても検査はいたします。
  78. 中尾則幸

    中尾則幸君 終わります。
  79. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  住専の問題について総理にお尋ねをしたいというふうに思います。  六千八百五十億円が使われる、こういうふうなことでこの住専処理については大変今国民は怒っているというふうに思うんですね。それは、先ほど総理も山崎委員の質問にも答えて、明確でないとかあるいは真相の徹底究明はこれからの課題だと。こういうふうなことがやっぱり国民の怒っている大きな原因だというふうに思うんですね。  お金というのは借りたら返すというのは当たり前ですから、これは借りだというのは住専ももちろん借りたわけですね。しかし、住専がさらに貸しているところもあるわけです、いわゆる住専が貸していると。だから、そこから金を回収もしなくちゃならないし、住専も母体行や農協に返さなくちゃ、これは借り手の責任というのは二つあると思うんですが、やっぱり明確にされなくちゃいけないというふうに私は思います。  それから、同じことがたびたび起きたのでは、これはもう国民としてはたまったものじゃないわけですね。再発の防止をどうするのか、このことも大変私は重要だというふうに思うんです。  それから、先ほども話が出ていましたが、私のところにはまだ借金取りに来ないとか、あるいはロールスロイスを乗り回しているとか、いろんなことが伝えられているわけです。そういう意味での債権回収への努力というものが明らかにならなくちゃいけないだろうというふうに思います。  それから、私はこれまでこの決算委員会の中でも大蔵省にも聞いてきたんですが、一体どのくらいの金をどこへ貸して、それがどうやって焦げついているのか、そういうことも全然明らかにならないじゃないかと、こういうことを申し上げてきたんです。全くそういうのが明らかにならずにやぶの中で、ただそれは信じてくれ、守秘義務だから言えない、そういうことだけではこれは国民は納得できないと思うんですね。こういうことも問題だ。  さらには、やはり金融機関の姿勢というものにも問題があるというふうに僕は思うんです。これは住専の中でも、いわゆる個人に貸したお金というのは比較的回収されているわけですね。勤労者に貸したお金というのは回収される。ところが、法人が返さないという部分があるわけです。これはやっぱりそういう意味では、銀行なんかも一等地に店舗を構えて、そのままもう立派なものですね。そして今度、借りた方に対してはなかなか返せないといっても、我々庶民の感覚からすれば、まず自分が持っているものを処分するなりなんなりしてまず第一義的に返すというのがこれは普通のあり方なんですね。私はそういう意味では問題があるだろうというふうに思うんです。  特に経済界の関係者の方々も、製造業から比べて金融業は従業員の給料なんかも三割も四割も高いじゃないか、あるいは日経連の給与の実態調査に対しても全然答えていないのではないかと、こういう不満も言われているわけです。私は、そういう意味からすればこれは国民が怒るのは当たり前だというふうに思うんですよ。  そして、私は農業団体出身だから言うわけでは決してないんですが、おかしなことに、きょうマスコミの皆さんもいらっしゃいますけれども、結局、お金を貸した農協がいわゆる何か圧力をかけて、そして本来負担すべき部分を負担しないでその部分を税金で埋めさせている、こういうふうな報道がまかり通っているわけですね。僕は全然違うと。これは、貸したものというのは返してもらうのは当たり前のことでして、そういう意味では、総理が二十一日、この公的資金導入というのがいわゆる農政上の判断だということで発言されているのが朝日新聞に出ているんですね。この公的資金導入が農協を助けるためだなんというそんな話でいったら、国民の怒りというのが農協に向いていくのは当たり前な話になっちゃって、僕は全然おかしいと思うんですよ。  総理、これは、貸した人が返してもらうのは当たり前のことなんですから。そのことは、もう時間がないですから私も言わせていただいて、総理のきちっとした答弁だけをお聞きしたいというふうに思います。
  80. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 誤解があるといけませんからこの際申し上げておきたいと思いますけれども、これは農政上の問題で六千八百五十億円という金を出すようにしたわけじゃないんですよ。ただ、質問の中で農協の系統機関がつぶれたっていいじゃないかと、こういう質問がありましたから、いやそれは零細な農家の皆さんが預金をして積み上げられておる金融機関ですから、これをつぶすということについては農政上問題があるんじゃないでしょうかということは申し上げたんです。ですから、今度の措置が単に農政上の問題だけでやったというふうに理解されるとそれは大変な誤解ですから、この際誤解は解いていただきたいと思うんです。  これはあくまでも、先ほど来答弁もございましたように、金融というのは我が国の経済、産業の動脈みたいなものですから、したがってその動脈がおかしくなったんでは体全体がもたなくなるわけですから、したがってそういう意味では金融というのは大事なものだと。  同時に、何よりも大事なことは信頼だと。これは、内外の不信が問われているわけですから、この際、政府としてもその信頼はしっかり確立していく必要がある。同時にまた、経済上にもいろんな影響があるというようなことを考えた場合に、私は最終的にぎりぎりの判断としてこういう選択をせざるを得なかったということについて御理解をいただきたいということを申し上げたわけです。  それからもう一つは、今お話ございましたように、金融機関みずからもこういう不祥事をしてかしているわけですから、私はやっぱり襟を正してほしいと、こう思います。  したがって、先般、経団連の評議員会もございましたから、その席上でごあいさつを申し上げましたけれども、住専問題にも触れてあいさつを申し上げた際に、こういう事態というもの、これは金融機関全体が問われているわけですから、厳しく認識をして襟を正して対処してほしいということも申し上げたわけでありますけれども、それは御指摘のとおり金融界全体としてもこの際襟を正して、厳しく国民の不信にこたえていただくということは申し上げるまでもなく大事なことだというふうに思っております。
  81. 国井正幸

    ○国井正幸君 終わります。
  82. 水野誠一

    ○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。  薬害エイズについて総理に伺いたいと思います。  総理は、八五年に衆議院社会労働委員会の質問に立たれて、当時アメリカで多発していたエイズが血液製剤を媒介として感染している疑いがあるということを指摘され、我が国の血友病患者の感染の心配をされております。まさにそれが現実になってしまったということでありますが、原因究明、早期和解のためにひとつ総理にリーダーシップを発揮していただきたいというふうに思うものでございます。  十月六日の東京地裁、大阪地裁の和解勧告においては、国の対策のおくれが被害拡大につなかったと指摘されておりまして、行政の責任が問われています。厚生省は、これまで衆議院厚生委員会において、法的責任の所在の争いを超えて広く社会的・人道的見地に立って早期の救済を図るべきという東京地裁の所見を引用いたしまして、国の責任は早期に救済すべき責任のみであると言っています。これはまさに責任逃れの言いわけに聞こえ、到底国民を納得させる説明ではないのではないかと私は思います。  八三年に血液製剤の安全性評価などをした厚生省エイズ研究班をめぐる数々の疑惑の背景には、これは八八年三月の毎日新聞の表現でありますが、ミドリ十字に業務局がそっくり移ったなどと言われている厚生官僚の大量天下りに見られるような、官僚、業界、学界との癒着構造があったのではないかという見方もあるわけであります。  ちなみに、アメリカでは、八三年三月時点で非加熱製剤にエイズウイルスが混入している疑いがあるということがわかり安全な加熱製剤を採用したにもかかわらず、なぜ我が国厚生省は八五年七月まで加熱製剤へ切りかえる措置をとらなかったのでしょうか。  また、八五年七月に安全な加熱血液製剤が承認された後も、その後八カ月にわたって危険な非加熱製剤が回収されずに出回っていた。この事実も今回、新党さきがけの衆議院議員、枝野議員の質問主意書に対する答弁書で明らかにされています。  さらに、血友病以外の治療で非加熱血液製剤を投与されエイズに感染した、いわゆる第四のルートの被害者が現在十三人見つかっているということでありますが、まだまだ未検査の患者がかなりいるという中で二次感染の危険も危惧されますし、また、調査中のこれらの被害者には救済措置の道がまだ開けていない、そんな状況もあるわけであります。  和解を一刻も早く成立させて、悲惨な状況にある患者さんに対して償いをするとともに、このような事態を招いた行政の責任をはっきりさせて今後このような薬害を二度と起こさないということは重要だというふうに思いますが、ひとつこれについての総理の見解を伺いたいというふうに思います。
  83. 荒賀泰太

    説明員荒賀泰太君) ただいまの御質問でございますが、一九八〇年代の初めにおきましては、エイズの原因が今日のようにウイルスによるものであるかどうかということは明らかでなかったわけでございます。  また、加熱製剤への切りかえにつきましても、副作用が懸念をされていたというこういった状況のもとで、厚生省におきましては、専門家によります研究班を設けまして我が国のエイズの実態把握や対応策についての検討に努めますとともに、また、アメリカにおいてエイズの危険が高いと考えられておりました男性同性愛者等からの供血を排除する、そういった措置をとってきたわけでございます。
  84. 村山富市

    国務大臣村山富市君) 今、いろいろお話もいただきましたけれども、私はこの結果から見れば、あのときにもっとこうすればよかった、もっと厳しくこう対応すべきだったという行政指導上の責任はやっぱりあると思います。これは問われてもしかるべきだと思います。  今、大事なことは、やっぱりこういう悲惨な状況に置かれておるエイズ患者の皆さん、これはもう亡くなっている方も現実にあるわけですから、したがって早期に何らかの対応をしていく必要があると。これは地裁からも和解勧告が出ていますから、その和解勧告を誠実に受けとめて、そして誠意を持って対応していく、そして一日も早く納得のできる解決を見出していくということが何よりも大事ではないかというふうに思っております。
  85. 水野誠一

    ○水野誠一君 その真相究明には国家の主導で調査委員会を設けるなどというような方法も必要ではないだろうかというような世論もあるようでございますが、その辺についてはいかがお考えなのか、お答えをいただければと思います。
  86. 村山富市

    国務大臣村山富市君) これは、東京地裁の勧告に基づいて和解のテーブルに着いて誠意を持って対応していこうと、こういう方針でおるわけですけれども、その和解の話の進む過程の中であるいはそうした問題も出てくるかと思いますけれども、そうした真相の解明についても、政府はできるだけ誠意を持ってこたえていくということが大事ではないかというふうに思います。
  87. 水野誠一

    ○水野誠一君 ぜひ、この八五年に御質問なさった総理御自身の問題意識も踏まえまして、ひとつ速やかな解決に向かって前向きなリーダーシップをお願いしたいと思います。
  88. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 以上で、総括的質疑のうち、内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  次回の委員会平成八年一月十六日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会