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1995-12-13 第134回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    十一月二十一日  次の委員会開会要求書が提出された。    衆議院予算委員会開会に関する要求  今臨時国会は、未曾有な長期不況の中で、阪 神・淡路大震災対策を含め、景気回復経済立て 直しを目的とするものであった。よって、新進党平成七年度第二次補正予算審議に積極的に協 力してきた。  補正予算は成立したが、政府与党各種法案 審議のためと称し、強引に国会会期延長を決定 した。  延長された以上は、国会及び予算委員会国民 から重大な関心を寄せられている諸問題を積極的 に論議し、その責任を果たすべきと考える。  具体的には、今国会中に露呈した、大和銀行不 祥事問題、住友銀行との合併問題、住専問題、コ スモ信紙問題、東京共同銀行問題など拡大する金 融不安について真剣な論議がされなければならな い。さらに、米軍兵による少女暴行事件に端を発 した日米地位協定や米軍基地強制使用代理署名 拒否問題、日米安保条約問題等、新たに予算委員 会を開会して、集中審議を行うべき課題が多発し ている。  新進党はこれら諸課題を真剣に審議するため、 衆議院規則第六十七条に基づき予算委員会開会要求する。   平成七年十一月二十一日  理事  鳩山 邦夫 草川 昭三 伊藤 英成  委員  安倍 基雄 伊藤 達也 石井 啓一      石田 勝之 川島  實 工藤堅太郎      左藤  恵 笹木 竜三 月原 茂皓      野田  毅 冬柴 鐵三 松田 岩夫      山口那津男 山田  宏 衆議院予算委員長 上原 康助殿 ――――――――――――――――――――― 平成七年十二月十三日(水曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 池田 行彦君 理事 近岡理一郎君    理事 保利 耕輔君 理事 伊藤 英成君    理事 草川 昭三君 理事 鳩山 邦夫君  理事 三野 優美君 理事 五十嵐ふみひこ君       伊藤 公介君    小川  元君       小野 晋也君    越智 伊平君       越智 通雄君    奥田 幹生君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       住  博司君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    原田  憲君       堀之内久男君    御法川英文君       村岡 兼造君    若林 正俊君       安倍 基雄君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    工藤堅太郎君       左藤  恵君    笹木 竜三君       月原 茂皓君    野田  毅君       平田 米男君    冬柴 鐵三君       松田 岩夫君    山口那津男君       山田  宏君    米沢  隆君       今村  修君    佐々木秀典君       佐藤 観樹君    坂上 富男君       細川 律夫君    前原 誠司君       古堅 実吉君    松本 善明君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 宮澤  弘君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         厚 生 大 臣 森井 忠良君         農林水産大臣  野呂田芳成君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      浦野 烋興君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大島 理森君  出席政府委員         警察庁刑事局長 野田  健君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   宮林 正恭君         環境庁企画調整         室長      大西 孝夫君         環境庁企画調整         局環境保険部長 野村  瞭君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省証券局長 日高 壮平君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省銀行局保         険部長     福田  誠君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁         )       松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月六日  辞任         補欠選任   伊藤 達也君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     伊藤 達也君 同月十四日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     江藤 隆美君 十二月十三日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     堀之内久男君   奥田 幹生君     住  博司君   中山 太郎君     御法川英文君   村岡 兼造君     小野 晋也君   笹木 竜三君     米沢  隆君   山口那津男君     平田 米男君   不破 哲三君     古堅 実吉君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     村岡 兼造君   住  博司君     小川  元君   堀之内久男君     江藤 隆美君   御法川英文君     中山 太郎君   平田 米男君     山口那津男君   米沢  隆君     笹木 竜三君   古堅 実吉君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   小川  元君     奥田 幹生君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件(金融問題等)      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  本日及び明十四日は、金融問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  3. 堀之内久男

    堀之内委員 自由民主党代表して、本日は、喫緊の課題であり、全国農業団体及び農民が一刻も早い解決を待ち望んでいる住専不良債権処理問題について、政府見解お尋ねいたしたいと思います。  我が国の経済は、いわゆるバブル崩壊後、深刻な不景気の中で苦悩していますが、この景気低迷の大きな原因をなし、さらに景気回復を妨げているのが金融機関の抱える巨額の不良債権であり、その代表的不良債権住専問題であると思います。  与党においては、金融証券プロジェクトチームを設置して二十数回も検討を重ね、勧告もなされたと聞いております。また、私ども自由民主党においては、非公式でありますが系統金融プロジェクトチームを設置して、数回にわたり検討を重ねてまいったところであります。検討の結果を大蔵農林大臣に、そして官房長官に申し入れ書として要請をいたしたところであります。  特に、与党政策調整会議に対しては、農林部会総合農政調査会として次の三点を強く申し入れたところであります。一つ、これまでの経緯などから見て、母体行が最大の責任を負うべきことで、元本ロスは絶対に認められないこと、二つ、農家の貯金を運用し、これを農家に還元することを使命とするなどの系統金融の特色に配慮すること、処理に当たっては系統信用事業支障を生じないようにすること、この三点を強く申し入れたところであります。  そこで大蔵省お尋ねいたしますが、住専設立経緯、さらに役員設立当初及び現在の構成関係金融機関のかかわり方、さらに住専公的位置づけ性格等について、国民にわかりやすく正確に、しかも簡潔にお願いをいたしたいと存じます。
  4. 西村吉正

    西村政府委員 まず住専設立経緯でございますが、住専各社昭和四十年代の後半から五十年代の前半にかけまして、当時の旺盛な住宅資金需要にこたえていくべく、金融機関等共同出資によりまして、個人に対する住宅ローン提供を主たる目的として設立されたものと承知しております。  次に、住専役員の問題でございますが、住専役員の多くは母体の出身でございますけれども、その中には、大蔵省時代金融機関監督あるいは予算経理等知識経験を必要とする職場に請われまして就職するケースがございました。現在ではそのような状況は非常に少なくなっておりまして、住専八社のうち一社の社長、一社の会長を務めておるのみでございます。  次に、母体行中心といたしました関連金融機関住専とのかかわり方でございますが、住専は、旺盛な資金需要に応ずべく、金融機関等共同出資により個人に対する住宅ローン提供を主たる目的設立されたものでございますが、母体行は個別に、程度の差はあると思われますが、役員の派遣だとか資金供給等住専経営に関与してまいったものと承知しております。  最後に、住専の公的な位置づけでございますが、住専はいわゆるノンバンク一種でございます。この点、世間では住専というものが非常に特殊な地位であるかのように理解しておられる方がおられるようでございますが、いわゆる一種ノンバンクでございまして、法律の対象といたしましてはノンバンク以上に規制の緩いノンバンク、いわゆるノンバンク貸金業規制法によって規制されておりますが、住専はさらに規制の弱い改正前の出資法、旧出資法に基づいて届け出制をとっておる会社でございます。
  5. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの公的位置づけについてはちょっと納得できませんが、大蔵省が直轄の金融機関貸金業ではないが大蔵省監督下金融機関、こういうような準金融機関位置づけられておると聞いておりますが、これは間違いか、後でお答えいただきたいと存じます。  去る九月十四日、与党証券プロジェクトチーム責任座長から勧告がなされております。また、与党政策調整会議座長からもガイドラインが示されたところであります。  大変重要な御指摘をなされておりますので、その一部をちょっと読み上げてみますが、まず、政策調整会議においては約四点指摘をされておりますが、その四点の中の四番目。「(一)日本の金融が国際的に位置づけられていることに配慮したものであること。(二)住専設立から今日の破綻に至った経緯等を十分踏まえたものであること。(三)それぞれの当事者が有する経営状況、対応力等を考慮したものであること。」これは四番目の「ロス負担の割合を決める場合」の重要な指導事項だと思います。  また、プロジェクトチームから御指摘されておりますのは、一部でありますが、「ここにおいて我々は住専各社関連金融機関の行為に強い不満を表明せざるを得ない。特に、大蔵省住専指導監督責任を負う官庁であって、その行政責任は重い。」このようにプロジェクトチームからは御指摘をされております。  このような重大な指摘をされ、また、ガイドラインも示されておりますが、相当期間も経過しておりますが、この間大蔵省はどのような指導監督あるいは対応をされてきたか、お伺いをいたします。
  6. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど、住専公的位置づけに関しまして、法律的には貸金業法より規制の緩い旧出資法に基づくと申し上げました。別の見方をいたしますならば、ただいま先生御指摘のように監督の主体がどこかという点に関しましては、それぞれ旧出資法貸金業規制法都道府県知事に委任することができるということになっておりますが、貸金業業者の場合には、都道府県をまたがらないものは都道府県知事に委任をしております。それに対しまして、この住専に関しましては、都道府県をまたがっておるものですから委任せずに大蔵大臣が直接監督をしておる、こういう違いがございます。  なお、後段のお尋ねの、大蔵省としてどのような行政をしてまいったかという点でございますが、ただいま申し上げましたように、住専一種ノンバンクでございますので、預金を預かっておる銀行だとか信用金庫のように日々の厳しい規制をしておるわけではございません。比較的経営自由度の高いものではございますが、しかしながら、設立の当初におきましては、個人住宅ローンというものを業務の中心にするという趣旨で設立されたものであるにもかかわらず、その後、むしろそのような仕事のウエートが減りまして、現在では二割ぐらいでございますが、どちらかというと不動産融資等中心とする事業に傾いてまいった。そういう事業の重点の推移等に関しましては、もう少し行政的に指導をすることが可能であったのではないか、そういう御批判をいただいておるということは謙虚に受けとめておるところでございます。
  7. 上原康助

    上原委員長 議事の途中でございますが、ただいま本委員会に、ドイツ連邦共和国連邦議会議員カールデトレフ・フォン・ハンマーシュタイン男爵外三名がお見えになっております。この際、御紹介を申し上げます。     〔拍手〕     ―――――――――――――
  8. 上原康助

  9. 堀之内久男

    堀之内委員 次に、住専経営破綻原因についてお伺いをいたします。  平成三年、経営問題が表面化するまで、母体行に対しては、大変高収益を上げて一〇ないし一六%の配当を続けておったと聞いております。バブル経済崩壊が始まった平成二年以降経営悪化してまいりましたが、その原因はどのようなところにあるのか、また、どのように理解されておるのか、お尋ねをいたします。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 住宅金融専門会社は、先ほど申し上げましたように、当初、個人に対する住宅ローン提供を主たる目的として設立されました。そして、比較的順調に事業を伸ばしてまいりました。  その後バブルの時期になりまして、どちらかというと、経営判断といたしまして、事業者向け融資に急激に傾斜してまいったわけでございますが、バブルが盛んなころはそのような事業も非常にうまくいっておったというふうに承知しております。  しかしながら、そのような事業者向け、主として不動産融資に急激に傾斜した結果、バブル崩壊に伴いましてそのような融資不良債権に転じまして、今日の経営の窮状に至っておる、このように理解をしております。
  11. 堀之内久男

    堀之内委員 私は、今の説明はちょっとなってないと思うんだよ。母体行住専とのすみ分けを先にやらなかったんだ。最初、住宅ローンが主たる任務で住宅金融会社は認められておるんだ。それが、親会社が全部この住宅ローンに手を出してしまった、子供は、仕事をとられてしまったから、結果的に不動産屋に手を出さなきゃならなかった、それが本当じゃないのかと。
  12. 西村吉正

    西村政府委員 そのような御指摘があることも私どもは承知しております。個々案件についてはそのような例もあろうかと思います。  しかしながら、全体として申し上げますならば、個人向け住宅融資というものにおきます融資構成比を見てみますと、必ずしも銀行融資比率が上がっておるというわけではございません。例えば、昭和五十五年度に全国銀行融資比率は三九%ぐらいでございましたが、最近に至りますと三四、五%とむしろ下がっているぐらいでございまして、比率を上げているのは住宅金融公庫でございます。  このように、必ずしも全国銀行住専のシェアを蚕食していったというわけではないわけでございますが、恐らく、個々ケースといたしましては、母体行と子会社的な性格を有する住専の間で融資対象の競合というようなことも生じた例があろうかと存じております。
  13. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの西村局長説明には納得いたしませんが、もう時間がありませんので次に移ります。また後で党においてあなたには質問をいたします。  次に、再建計画についてお伺いをいたします。  平成三年、住専のうち地銀生保ローン悪化が伝えられたころ、各住専とも経営悪化しており、第一次再建計画が樹立されたと聞いております。また同時に、平成三年から平成四年にかけて大蔵省立入調査が行われ、この調査結果に基づいて第二次再建計画が立てられて、大蔵省農林水産省、両省が仲介して第二次再建計画が実行されたと聞いております。この第一次再建計画、第二次再建計画内容対策について御報告いただきたいと存じます。  また、大蔵省農水省へ提出した覚書あるいは母体行大蔵省に提出した約定書、その内容についても簡明に御報告願いたいと存じます。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、バブル崩壊に伴いまして住専各社経営は非常に難しくなってまいりました。そのような状況に対応するために、住専各社におきましては再建計画策定するという作業が行われましたが、しかしながら、関係者再建計画策定への努力というものはなかなか難航をきわめまして、合意を得ることなく平成四年の年を越えるというような事態になりましたので、金融システム安定化に大きな支障を来すのではないかという観点から、大蔵省あるいは農水省金融システム安定化観点を踏まえまして問題の取り進め方についての議論整理をいたしました。それがいわゆる覚書と言われておるものでございます。  この覚書内容につきましては、去る八月二十四日に既に公表をさせていただいておるところでございますけれども、全金融機関が一致しての支援を踏まえた上で、金融システム安定化観点から再建計画に沿って責任を持って対応してまいる所存であるという旨の文書が、このような議論の結果、母体行から銀行局に対して提出されているというのは事実でございます。  要するに、当時農水省大蔵省がこのような再建計画策定されることを側面から支援し、その結果といたしまして策定されたものについて母体行協力を約しておる、こういう状況でございます。
  15. 堀之内久男

    堀之内委員 協力母体行が約束をしておるというのは、この約定書はそうじゃないでしょう。再建計画に沿って責任を持ってまいる所存であります、これが母体行大蔵省に提出したものでしょう。ほとんどの住宅金融会社責任を持って対応する所存でありますというのが約定書である。  そして、あなた方が農水省説明されたときに、系統金融機関代表はなかなか納得しない、そのときの金利が四・五%というのは、いわゆる公定歩合であります。あなたの方から、小山審議官浜田金融室長がお伺いをして、そして、私の方で元本ロスを生じさせない、大蔵省系統金融機関に今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していく、これだけはっきり言われておる。  大蔵省の高官がここまで来て言えば、これはだれだって信用するのが当然でしょう。だから、代表者皆さん方は各信連会長を集めて、これこれしかじか大蔵省が言うんだからこれで協力しようじゃないかと、これが本当なんです。大蔵大臣、これについてどのようにお考えになりますか。これは大蔵大臣に聞いておるんだがな。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の点は、当時の担当者農水省に出向いていきまして御説明を行ったものと聞いておりますけれども、当時系統代表の方が住専問題に関しまして要請に来られたのは事実でございます。その際の模様について、そういうような私どもの御説明を申し上げたということでございます。
  17. 武村正義

    武村国務大臣 なお、再建計画につきましては、この再建計画がきちんと実現されることが、系統、民間を含めて関係者のそれぞれの努力にこたえることとなるものであり、計画どおり達成されれば元本ロスが生じることもないと考えていたとは思いますが、万一再建計画が何らかの理由で実現されないような場合について、いかなる場合にも一切の負担をかけないといった御説明まで申し上げているわけではありません。
  18. 堀之内久男

    堀之内委員 それは大蔵大臣世間常識ですよ。あなたの言い方は、そんなに集めておいて元本ロスはさせない、責任を持って指導していくというのが、そんな、再建できなかったときはその責任までは保証していないと言ったら、これはペテンにかけたと言われてもしょうがないんじゃないですか。  時間がありませんから次に移りますが、最近の報道によると、あなたと同じようなことを言っておる。母体行関係者の一部には、前回の再建計画覚書再建前提としたものであり、整理の話が進んでいるときは通用しないという主張があると聞いております。  これはとんでもないことだと思うのですよ。再建なればこそ母体行責任を持つということを前提関係者協力が得られたのであります。これが整理という一層深刻な事態を迎えるということであれば、母体行責任は、一層深刻な事態を迎えるのでありますから増大するはずなんです。増大する。これが常識じゃないでしょうか。大蔵大臣の御見解をもう一回お尋ねいたします。
  19. 武村正義

    武村国務大臣 この辺は考え方だと思いますが、私どもは、この覚書の前文にもありますように、地価バブル崩壊によって下がり始めた、そのことによって住専経営がどんどん悪化してきている中で、当時しかし地価の今後の動向をどう見るか、まだいろいろな意見があっただろうと思います。もうこの辺でとまるのじゃないかという意見もあるだろうし、まだまだ下がるぞという意見もあっただろうと思います。今日ですと、もう平成七年末でございますから、かなり冷静な地価に対する見方が広がっておりますが、崩壊直後はさまざまな議論がある中で急いで第二次の再建計画策定することになったわけであります。  再建計画策定であります以上は、この計画を実行できる、そして実行できれば経営は基本的には何とかなる、こういう前提でさまざまな条件が詰められたわけであります。その後の地価推移を含めて一層住専経営悪化をしてきて、そして第二次再建計画そのものがもう難しい、いわば破綻状況になってきて今日を迎えているわけであります。  基本には地価動向があるにしましても、そういう新たな、当初予想しない、より深刻な事態の中で今日の住専問題の解決を図っていかなければならないということだと私は認識をいたしております。
  20. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの大蔵大臣の答弁では全然納得はいたしません。  これは、第二次再建計画がなぜできないかというのは、これから申し上げる問題でたくさん出てくるのです。いわゆる母体行のつけかえの実態であります。大蔵省立入調査をいたしておると思いますが、例えば融資のやり方も、角地やかけ地や、こういうところに膨大な融資をやって、めちゃくちゃな融資をやっておるわけです。これらの融資もまた、母体行紹介があったり、あるいは母体行からの出向社員が悪徳の不動産屋と組んでいろいろと融資をやっております。  私が聞いた話によると、住専母体行から根抵当権を譲り受け、これと同時に融資を開始し、その直後に延滞した事例とか、住専が第一順位抵当権を設定しておったのに、その後、母体行あるいはその系列ノンバンク順位を譲渡して、住専は第三順位になって、そしてロス九〇%という事例もあります。  きょうは、ここに八月二十六日の日本経済新聞、銀行融資紹介に焦点、こういうふうに書いてあります。きのう、資料として銀行局長には渡しました。朝日新聞、母体行紹介が数多く、住専不良債権など肩がわりの例も。ここには細やかに一つ一つの事例が書いてあります。これを一つ一つ確認するためには時間がありません。  きょうは、もう一つ、このビデオテープがあります。これをよく見てみてくださいよ。これはもう全く、内部告発によって出てくるのですよ。ほとんど住友銀行出向社員であります。だから、こういう問題があって、こんな融資をしておって、第二次再建ができるわけがない。もともとがもうつぶれるべくして倒産したのであります。  そこで、この前大蔵省は、この調査について、金融機関不良債権の肩がわり、あるいは協調融資の際の後順位担保の設定、紹介人への見返り資金住専の優良案件の引き抜き等も立入調査対象となったと聞いております。しかし、これらは犯罪行為に直結するので、公式な発表は困難と思います。  ただいま私が申し上げたようなことがあっなかなかったかだけを返事ください。
  21. 西村吉正

    西村政府委員 私どもも、いろいろな報道だとかあるいは直接の情報によって、住専経営上いろいろな問題があったということは承知をしておりますし、今日このような経営状況に至りましたにつきましては、問題点があったからこそこういう状況に至ったということは十分認識をしております。また、我々としましても、例えば今御指摘融資先の紹介の問題などについては、我々なりに調査をいたしたことも事実でございます。  しかしながら、そのようなことを詳細に当たってみますと、それぞれいろいろな背景があり、事情もございますし、例えば紹介と言われておるようなものも、母体行の方が紹介を積極的にしたケースもあれば、住専の方がむしろ融資先に困って紹介を求めた例があるというふうに、いろいろなケースごとの特色もございまして、一概に全体としてどうだと言い切れないものもあるように理解をしております。
  22. 堀之内久男

    堀之内委員 そんなことを聞いておるわけじゃないよ、私は、あっなかなかったかと聞いたのであって。それなら、このテープをあなたにも見せるから。大蔵大臣、これ一回見てくださいよ。四十分かかります。これで住専の不良は皆わかります。  よくこの内容を見ていけば、今度は、アメリカの再建の実例も出ております。アメリカは、再建するのに千五百三十七名逮捕して、九百億ドルの公的資金を入れた、こういうようにはっきり出ておるのです。日本も将来、恐らくそういうことが起こるのじゃないかと、私はそれを懸念しておるわけであります。  そこで、時間がありませんから次に移りますが、いわゆる体力論についてお伺いをいたします。  先般の与党政策会議ガイドラインには、住専の処理に当たっては、当事者が有する経営状況、対応力を考慮すべきことの一文があります。いわゆる体力論であります。六月二十一日に起きた函館ハイジャック事件において銀行の高給与が問題になったことは記憶に新しいことだと存じます。母体行としても、体力がないために一定以上の負担は困難との話を聞きますが、各銀行の賃金水準、店舗等の資産状況から見てまだまだ努力の余地は十分あると思います。  昨年、住友銀行は八千億円に及ぶ不良債権の処理を行い、本年、また富士銀行がこれと同じような不良債権処理をしようとしております。そのほか東海銀行、東京銀行、第一勧銀等、単独の子会社あるいは系列については親銀行責任で全部負債を整理し、また整理しようとしておるのであります。  また、聞いたところによると、都銀の上位行、興銀、三菱、さくら、富士等の頭取や会長は年俸八千万から一億円、少ないところで四、五千万円、役員でない部長でさえ二千万円以上もらっておると聞いております。住専の社長については、第二次再建計画で給与がカットされた後でも年俸二千六百から二千七百万円と言われております。ピーク時には四、五千万円であります。また、ある住専の社長は七千万の年俸を取っております。  そこで、私が申し上げたいのは、私の都城農協、数年前までは日本一の農協と言われました。昭和五十年に十四農協が合併をしてできたマンモス大型農協であります。そこの農協が、組合員二万二千名、取扱高五百六十億、預金一千億、そして組合員貸し付け三百億、残り七百億の七〇%は財務処理規定によって信連に預けなければなりません。約五百億預け、残り二百億が、国債を買ったり金融機関の証券を買ったりしておるそうであります。  そこの組合長が、日本一の組合長ですよ、それが八百二十五万円であります。副組合長が七百七十万円、職員の給与は平均二十一万円であります。そして県連の会長が千百万円であります、信連会長とか経済会長。これは宮崎県だけが安いかと思って私はこの前の米価のときにあちこちの会長が見えましたから聞いてみると、いや、わしもそのくらいです、同じですとか、ほとんど同じです。この一例を見ただけでも体力差というのは歴然としている。  事務所、店舗等はほとんど町の一等地なんです、銀行は。農協といえばほとんど町の外れであります。資産価値からいっては問題になりません。内部留保金に至っては、三十数倍の内部留保金を持っておるのが銀行であります。  今年は銀行は空前の業務純益を予想されるとこの前報道されました。我々国民の懐に入るべき金利が銀行に取られているのであります。この低金利政策は銀行救済以外の何物でもありません。そして、証券も最近は上昇しつつあります。銀行にとって最良の年であろうと予想されます。母体行が親会社としての責任を全うすべきであり、最大の負担を行うべきだと思いますが、大蔵大臣の御見解伺います。
  23. 武村正義

    武村国務大臣 基本的には、たびたび申し上げてまいりましたが、住専には、御指摘系統も含めて多くの我が国の金融機関が関係をいたしているわけであります。あくまでも、基本は当事者間の問題だと思います。  これまでも、母体と貸し手金融機関の間の協議を通じて当事者間の合意形成を慫慂してきたところでありますし、いよいよもう十二月も半ばになってまいりまして、年内解決という目標からいたしますと、もう本当に限られた日数になってまいりまして、最終場面を迎えてきていると思っておりますが、この基本に立ちながら、最後まで努力をさせていただきたい。  しかし、母体行系統が、あるいは系統を含めた貸し手かという単純な割り切りでこの問題は解決ができない。母体行母体行として、おっしゃるとおり、ぎりぎり最大限の責任は全うしていただきたいと私どもは思っております。  それにしましても、貸し手側の責任もないとはもちろん言えないわけでありまして、そういう全体の中で、しかも基本は関係者の話し合い、納得ということでございまして、大蔵省農水省がいわば予算や法律のように我々の決断で事が済むというそういう問題でないことも認識いたしますと、大変困難な状況であります。それだけに、しっかり踏まえて、この問題の解決、最終場面でございますが、全力を尽くしたいと思っております。
  24. 堀之内久男

    堀之内委員 明確な回答じゃなくて、どっちを聞けばいいかわからぬようなことになってしまいますが、きょうはもう時間がありませんので、最後までまとめて一緒に質問をいたします。  去る十二月五日、全国銀行会長である富士銀行の橋本頭取が、みずからの気に入らない処理案であれば、住専について破産等の手続をとる旨発言したと報道されております。このときの報道は、この日経にちゃんと、今ここに新聞を持ってきておりますが、これでたしかもう二回この方は発言しておるわけです。これは、話し合いによる解決前提としたガイドライン内容に反する問題発言であると思います。さきに御指摘したとおり、相当不正な貸し付け、融資もあったと報道されたり、大蔵省の検査でも妥当を欠く事案があったと聞いております。  また、本日、朝の金融問題調査会において相当厳しい発言があったことは、銀行局長御承知のとおりであります。  十三兆円のうち七兆五千億円の不良債権ロスが発生するとは常識では考えられない、こういう発言でありました。また、いまだにベンツの乗用車を乗り回したり、銀座あたりを飲み歩いている者もある、こう指摘をされました。ロス懸念の七兆円については、私は、刑事事件を含めて徹底的に追及せよとの意見が大多数であった、こういうように理解をいたしております。  系統も不法行為等に基づいて損害賠償請求を行うこととなれば、住専問題の解決は、年内はおろか相当の時間がかかり、さらに、我が国の信用秩序、社会全体の混乱の原因になると思います。今後の指導方針を伺う予定でありますが、まとめてお願いをいたします。  最後に、私は、特に本問題の解決に当たっては、営利を目的とした株式会社である銀行は利益を内部留保して充実させておるのに対し、農協系統は非営利の協同組合組織であって、利益を農家に還元することを任務としております。いわゆる体力では全く比較にならないことを念頭に置くべきだと思います。  そこで、末端の農家、農協は、今やUR合意に伴う農産物の自由化、農産物価格の低迷、後継者難等で塗炭の苦しみにあえいでいるのが実情であります。  大蔵大臣、五兆五千億円は日本の全農家の二年分の米、二千万トンの代金でございます。いいですか、二年分ですよ。日本の米二千万トンの代金が五兆五千億円であります。どうか、本問題処理に当たってはこれらの事情を十分参酌の上、農家に安心感を与えるような結論となるようにしてもらいたいと思います。  これまで申し上げてきた経過からいたしましても、貸し手責任を論ずるばかげた議論をする人もいます。今大蔵大臣も貸し手責任があると言われましたが、私は、大蔵大臣が貸し手に責任があると言うことはとんでもないことだ、かように思うわけであります。あくまで住専及び経営に深くかかわってきた母体行責任があることは明白であります。  きょうは総理がおられませんのでまことにこれは残念でありますが、私は総理に伝えてもらいたいと思う。日ごろ、住みやすく活力に満ちた農村地域を建設したい、この旨を表明されております。そこで、その精神で本問題の解決には強力な指導力を発揮してもらうように心からお願いを申し上げます。  最後に、大蔵大臣、これは全部の大臣に聞く予定でおりましたらだれもいらっしゃいませんので、大蔵大臣代表して、あなたの、今申し上げた点について決意のほどをお知らせ願いたいと思います。大蔵大臣も、滋賀県という大米地帯であります。新党さきがけの党首でもあるわけですから、大蔵大臣だけではなくて政党の党首としてお答えいただければありがたいと存じます。
  25. 武村正義

    武村国務大臣 私も百姓の息子でございます。実家は今もなお田んぼを持っております。  農家や農民を困らせるような住専解決、こんなことは当然あってはなりません。しかし、農家は困らせないが都市の預金者はいいというわけにはもちろんいかないわけでありまして、共通して言えることは、預金者に犠牲を強いるような解決策はとる考えはありません。あくまでもこれは関係者の話し合いと納得を基本にしなければなりません。  系統の、今、信連にしろ単協にしろ大変詳しい実態を御説明いただきました。そのことは認識をさせていただきますが、しかし、金融機関といえども都市銀行から第二地銀や金庫、信用組合まであるわけでございまして、経営状況には随分ばらつきもございます。多くの金融機関が関係をしておりますこの問題でございます。一部には信連よりも経営の悪い第二信組もあるとも言われているぐらいでございまして、そういう中でこの問題をどう解決をしていくかという、大変複雑でもありますし、そのことに難しさを痛感をいたしております。  しかし、みずから年内解決案の取りまとめという責任を課しております以上、全身全霊をもって、残された短い期間でございますが、これはもう当事者間、当事者の納得を基本にしたものでございますから、解決案をつくり出すために最善を尽くさせていただきたいと思います。  もちろん、合意ができたとしましてもこれを、私どもは受け皿機関をつくることはほぼ基本的に考えておりますが、受け皿機関にシフトをさせていきます。この受け皿機関がこれを受けて不良債権を含めて回収を図るためには、これまた相当な歳月を要します。また努力としましても、先ほど御指摘のように簡単にいく話ではありません。借り手の責任の問題も当然あるわけであります。  今問題は、貸した金融機関が全部この問題を解決する、責任を負う、こういう方向に進んでいるわけですが、一体借りた方の責任はどうなのかという議論は当然片方にあるわけでございます。そのためには、契約に基づいて精いっぱい回収をしていく。そのためには専門家の協力や司法当局の協力も得て、一つ一つの契約に対して毅然たる姿勢で努力をしていただかなければならないというふうに思っております。
  26. 上原康助

    上原委員長 これにて堀之内君の質疑は終了いたしました。  次に、細川律夫君。
  27. 細川律夫

    ○細川(律)委員 社会党の細川でございます。私は、まず大阪信用組合の問題に関連をいたしまして質問をいたします。  昨年の十二月に、東京協和、安全信用組合が経営破綻になりました。それに続いて、コスモ信用組合あるいは木津信用組合、兵庫銀行と、相次いで金融破綻が続いているところでございます。つい最近も大阪信用組合が経営破綻を来したところでございます。この点につきましては、十二月の七日、大阪信用組合についての処理スキームが公表をされたところでございます。この点について、まずどういう処理スキームになったのか、説明を求めたいと思います。
  28. 西村吉正

    西村政府委員 大阪信用組合につきましては、去る十二月七日に、東海銀行が、預金者保護、地域の信用不安回避等の観点から同信用組合の事業を譲り受けるということで基本的な合意が得られたところでございます。  大蔵省といたしましては、今回の事業譲渡に関しまして、金融制度調査会で現在審議されている状況も踏まえつつ、事業譲渡が円滑に行われるよう協力してまいりたいと思っております。  現在想定されておりますこの処理の方式は、現在、その経営状況につきましては、近畿財務局が協力いたしまして、大阪府が主体となって検査をしておりますので、その結果を待たなければならない部分がございますけれども、現状予想されますところでは、ペイオフコストの範囲内での預金保険の資金援助、すなわち現在の仕組みだけでは、預金者に損失を分担してもらわざるを得ないというような結論になろうかと思います。  しかしながら、そのようなことは現状からしてなかなか難しかろうということで、私どもは、預金保険制度の改正をお願いいたしまして、預金保険機構がペイオフコストを超える資金援助を行うことができるように、いわゆる日本版RTCというようなものをつくりまして、そこに不良債権を譲渡し、不良債権の少なくなった信用組合の事業を東海銀行が引き継ぐ、そのような方式を検討してみたいということで問題提起をさせていただいた次第でございます。
  29. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今の説明によりますと、大阪信用組合につきましても、木津信用組合と同じように、預金保険機構を改組いたしまして、ペイオフコストを超えた融資ができるようにしまして、そして資金援助を行う。そしてこのほかに不良債権についても、東京共同銀行をいわば日本版RTCに組みかえて対処しよう、こういうものであります。  それではお伺いをいたしますけれども検討されております日本版RTCは、その内容が一体どういうものであるのか。法案は新しい法案として提案をされるのかあるいは法律の改正によるのか、あるいはまたその成立の時期などについてお伺いをしたいと思います。  そしてまた、この住専七社の処理案にも出てきております、先ほど大蔵大臣の言われました受け皿機関、これと全く違う形の日本版RTCなのか、それとも同じ機構の中でこれを処理をしていこうとするのか、そこのあたりも説明をしていただきたいと思います。
  30. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆる日本版RTCと新聞等で称せられ、私どもも提案しておりますものは、木津信用組合の処理に際して問題提起をいたしまして、御指摘のように大阪信用組合の処理に関しましても同様の問題を提起したところでございます。  それで、その具体的な内容はこれからまだまだ詰めなければならないところはございますが、全般的に申し上げますならば、最近非常に頻発しております信用組合の経営危機を収拾するために、その信用組合の破綻処理を円滑に行うための時限的な機関を設けることが適切ではないかということでございます。  その時限的な処理機関の事業内容といたしましてはおよそ三つが考えられるかと存じますけれども、既存金融機関から受け皿金融機関を見出せないような場合に事業の譲り受けを行って、その事業の清算を行う、このようなことが一つ考えられます。また二番目には、譲り受け金融機関を探すまでの間に一時的にその事業を引き継いで運営する、アメリカではブリッジバンクというような名前をつけられておりますが、そのような機能を果たすということ。第三番目には、丸ごと譲り受けるということは差し控えたい、しかし一部なら引き受けてもいいというようなケースにつきましては、譲り受けを拒む部分、不良債権の部分をこのRTCに譲り受けて回収に当たる。おおむねこのような機能が想定をできようかと存じます。  詳細は金融制度調査会で今後さらに詰めてまいるところでございますが、恐らくそのようなものをつくるとすれば法律改正が必要になる部分が必ず生じてこようと思いますので、その際には国会に所要の法律案を御提出し、御審議をお願いしたいと考えておるところでございます。
  31. 細川律夫

    ○細川(律)委員 先ほど大臣の方からお話がありました住専七社の処理案に出てきます。その受け皿機関とこの日本版のRTCとは、これは同じであるのか、それとも別々であるのか。本来ならば別々ではなかろうかと思いますけれども
  32. 西村吉正

    西村政府委員 失礼いたしました。  御指摘のように、信用組合を処理するためのいわゆる日本版RTCと、それから住専問題に関連をいたしましていわゆる受け皿と言われておるものには、共通した点があるわけでございます。特に重要な問題は、最近非常に強調されております不良債権の回収を強力に行うという観点から見ますと、二つの組織の機能は共通したところがございます。  しかしながら、他方におきまして、信用組合というのは各地域において地域に密着した地域金融機関として活動しておるものでございますから、その持っております債権の特性も、住専、すなわち大手金融機関が主として母体行となり、全国ネットワークで仕事をしているというような住専の債権の性格とは大分異なるという面もございます。このような異なる点、共通する点をどのように調整していくか二つの組織の位置づけをどのようにしていくかということは、これからの検討課題でございます。
  33. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大阪信用組合につきましての不良債権は、これは日本版のRTCに引き継ぐ、一方、優良債権あるいは資産は東海銀行が引き継ぐ、こういうことになりますと、回収不可能なそういう不良債権だけ日本版RTCに引き継ぐ、そうしますと、そこでの回収コストというのは、大変金もかかるだろうというふうに思います。  そうしますと、東海銀行だけはいいところを引き継いで、そして回収しにくい不良債権をこのRTCに引き継ぐということになりますと、これは大変金もかかりますし、公的資金を使うということになりますと、これだけでは、日本版RTCをここに適用するというのは、私はどうも安易な考えではないかというふうに思いますけれども、この点についてお聞きをしたいと思います。
  34. 西村吉正

    西村政府委員 まず、どのような債権債務関係、これは債権のみならず債務関係、すなわち預金も一緒に引き取るということでございますが、どのような債権債務関係を、例えば今回の場合東海銀行が引き取るか、そしてその場合の譲り受け価額は幾らにするかということに関しましては厳格に評価をいたしまして、適正な対価をもって、あるいはマイナスの場合には預金保険上の手当てなどをした上で譲り渡す、こういうことにしなければならない。その評価は厳格、適正にやらなければいけないということが大前提であろうかと思っております。  なお、それでは不良債権ばかりを引き受けたRTC、これはどうなるのだということでございますが、アメリカのケースでもそうでございましたし、日本でもこのような仕組みを考えるとすれば、まさに御指摘のように、そうして譲り受けた債権の回収、管理、処理をどのようにしていくかこれがポイントでございます。その点に関しては、先ほども申しましたように、透明性の高い、場合によっては法的な措置を駆使しても、回収を厳正かつ迅速に進めるような仕組みにするということが大変重要なことだと考えております。
  35. 細川律夫

    ○細川(律)委員 それでは次に、住専問題について、私の方からも若干お聞きをしたいと思います。  先ほども住専問題についてはここで議論がなされたわけでありますけれども住専問題については、母体行責任とかあるいは貸し手責任とかが云々されておりますけれども、私は、住専から借金をしてこれを返済をしなければならない、これが最も重い責任を負っているというふうに思います。住専から借金をして返済もせずにのうのうとしている者がいるとするならば、これはもう公的資金の導入などということはそもそも語ってはいけないような問題だろうというふうに思います。  そこで、住専問題の解決スキームといたしまして、借り手責任というのはどういうふうに明確にされるのか、その点をお聞きをしたいと思います。この借り手の責任を果たさずに今社会問題として大変大きな関心を集めております多額の債務者、これらについては、私は少なくとも公表をしなければいけないというふうに思います。  さらにお聞きをしたいのは、この借り手について暴力団関係者が大変多いというような指摘を受けております。暴力団だから請求をしにくいとかあるいは請求もしない、それが不良債権になっているというのではこれは大変困るわけでありまして、これらについてはきちんと把握をしなければならないというふうに思います。  これらについて調査がなされているのか、あるいはこの内容はどうなっているのか、これらについても明らかにしていただきたいと思います。
  36. 西村吉正

    西村政府委員 住専問題の処理に当たりましては、世上、母体責任であるとか貸し手の責任であるとかという議論が多いようでございます。しかしながら、先生御指摘のように、その大前提といたしましては、まず借りた者の責任と申しますか、借りた者が借りたものを返済するという当然のことが行われた上での問題であるはずでございます。私どももそういう認識の上に立ってこの問題を解決しなければいけないと思っておるところでございます。  すなわち、この住専問題処理に当たっても、不良債権の回収につきまして法的な手段を活用しつつ強力に行うことが必要であり、仮に受け皿機関というものがつくられる場合にも、そのようなことが具体的な検討対象になろうかと思っております。  なお、御指摘住専に対する大口債務者の公表という問題でございますが、個別貸出先につきましては、私どもの立場でコメントをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  また、その中に問題のある借り手が多いのではないかこういう御指摘もございましたが、住専各社と個別の債務者との取引は当事者間の問題でございまして、また債務者の現況もさまざまで、御指摘のような問題点もあろうと思われますが、一般論としてしか申し上げられませんけれども、今後とも不良債権についての回収努力をできる限り行っていくべきだということは、私どもも十分認識してまいりたいと考えております。
  37. 細川律夫

    ○細川(律)委員 大変不満な答弁でございます。この問題については、公的資金の導入ということも考えられております点から考えても、やはり国民の皆さんが納得するような、そういう形にしていかなければならないというふうに思います。これは、大口の債務者とかあるいは暴力団関係者とか、そういうのは積極的に国民の皆さんの中に明らかにして、そして国民の皆さんの納得をいただいてこういう問題は進めていかなければいけないのじゃないかというふうに私は思っております。  そこで、私は行政責任についてもここで一言触れておきたいというふうに思います。  この住専問題につきましては、先ほども出ましたけれども、二年前の第二次再建計画の時点におきまして既に実質的に経営破綻をしていたそういう住専につきまして、行政の方ではこれを、破綻を処理をするのではなくて、そのときに資金の引き揚げを検討いたしておりました系統金融に対して、行政の方がいわば裏保証をするような形で資金維持の協力を求めたのであります。したがって、住専問題におきましては、住専自身の経営責任あるいは母体行責任と同時に、護送船団方式の過保護な金融指導を続けてきました行政責任も強く自覚をすべきだというふうに思います。  今後の金融行政のあり方とともに、大臣のこの点についての認識を聞きたいと思います。
  38. 武村正義

    武村国務大臣 住専をめぐる責任のお話でありますが、よく護送船団方式という言葉が使われてまいりまして、今も御指摘をいただきましたが、戦後、日本経済が発展の過程をたどるときには、確かに資全迫ヘも十分でなかったということもありますし、競争制限的な状況が続いておりまして、その意味では規制というものが有効であった時代と言えるわけです。その間は、行政金融機関がある意味では一体になって事に当たってきたというふうにも言えるかと思います。  この十年来、金融の国際化、特に自由化が急速に進んでまいりました。今回批判される意味も含めてさまざまな問題も起こっている昨今でございますが、こういう状況を迎えております以上は、行政金融機関の間に距離をやはりあけるべし、そして、いい意味の緊張関係を持ちながら銀行行政全体で健全な金融状況をつくり出していかなければならない、そんなふうに思っている次第でございます。  この住専不良債権の問題も、過去をそういう視点からさかのぼりながら、この問題の解決と今後の大蔵省の考え方を打ち出していきたいというふうに思っております。
  39. 細川律夫

    ○細川(律)委員 時間がありませんから、次に移りたいと思います。  私は、公定歩合のことについて若干お聞きをいたします。  九月の八日に公定歩合がまたまた引き下げられまして、年利が〇・五%というかつてない低金利となりました。これに伴って預貯金の金利も史上空前の低金利となっております。この金利の引き下げによってだれが恩恵をこうむったのか。この金利の引き下げによって最も恩恵をこうむったのは、金融機関であります。  ことしの九月の都市銀行十一行の中間決算発表では、銀行の本業のもうけを示します業務純益は、合計で昨年の七〇%増しの一兆八千六百七十五億円と、過去最高の利益となっているのであります。この利益は、金融機関みずからの営業努力によって稼ぎ出したものではないのであります。そのほとんどが超低金利政策の恩恵によるものである、そういうふうに言ってもよいと思います。本来、預金者の懐に入るべき金利収入が、銀行にそっくり移転をした結果なのであります。  公定歩合の引き下げは景気対策であるというふうに言われておりますけれども、しかし、ここ数回の利下げ、特にことし二回の公定歩合の引き下げにおきましては金融機関が膨大な利益を上げておりまして、国民の立場から見ますと、巨額の不良債権を抱える金融機関の救済のための利下げというふうにとられても仕方のないようなものになっておるところでございます。この点について大蔵大臣はどのようにお考えなのか、答えていただきたいと思います。
  40. 武村正義

    武村国務大臣 御承知のように、金利政策、特に公定歩合の操作は、これまでの日本もあるいは世界各国も経済を基本にして運営をいたしてきております。景気の低迷した悪いときには金利を引き下げる、上がってきて過熱してくれば金利を上げるというのが基本でございまして、四年続きの景気の低迷の中で、日本銀行はここ公定歩合を順次引き下げてきて、史上最低の〇・五%にまで至っているわけであります。  あくまでも公定歩合の操作は経済と景気にある、これが原則だし、日本銀行の操作もそのことに基本を置きながら実施をされていると私は理解をいたします。そしてまた、金利を下げることによって景気が一刻も早く回復する、景気が回復すればすべての国民の皆様の経済状況が明るくなってくるという期待もあろうかと思います。  問題は、御指摘のように、そのことによって預金金利に期待をして暮らしておられる国民の皆さんに多大の犠牲を強いているということであります。そのことは率直に認めざるを得ませんし、また、もう一方御指摘の、金融機関がそのことによってもうかっている、業務純益を上げているということも、確かに預金金利の引き下げと貸出金利の引き下げの時差、多少ずれがございますから、そのずれの問題で金融機関が利益を上げていることは紛れもない事実であります。  今の業務純益全体が、すべてがそうとは思いませんが、しかし、金利が上がるときには逆の現象になりまして、金利が上がれば同じような形で今度は金融機関が損をするわけでありまして、ですから、全体としては、金融の、金利の操作の中で全体で見ていかなければならないというふうにも思っております。  ただ、それにしましても、生活困窮者、老齢の方等々社会的に弱い立場の方々の貴重な金利まで下がっていくことに対しては、金融機関みずからも福祉定期預貯金の制度を創設をして四・一五%に維持をしているところでございます。これも来年で切れますが、もし低金利が続くならば、ぜひこれを延長していただくように私ども努力をしていきたいと思っているところでございます。
  41. 細川律夫

    ○細川(律)委員 今大臣の方からお話がありました、低金利になりまして年金生活者なんかが大変困っているところでございます。金利を当てにいたしましてみずからの人生設計を立てていた人たちが、金利が入らなくて今大変困っておるところでございます。この五年間に金利は二十分の一となっておりまして、人生設計が根底から崩れつつあるというのが実情でございます。  村山内閣は「人にやさしい政治」というのをこれまでキャッチフレーズにしてやってまいりました。金利を当てにして生活をしていく、そういう設計を立てていた年金生活者なんかが困ったりあるいは泣かされたりするというのは、これはやはり「人にやさしい政治」というふうには私は言えないだろうというふうに思うところでございます。  先ほどちょっと大臣の方からお話がありましたけれども、これらの高齢ないわゆる年金生活者の人たちに金利の点なんかについて温かい政策をとっていただけるように、再度要請をしたいと思いますので、その点についてもう一度大臣の方からお答えをいただきたいというふうに思います。
  42. 武村正義

    武村国務大臣 老齢福祉年金等を受給されている方々の立場を踏まえて福祉定期預貯金という仕組みがございまして、この場合は年利四・一五%ということになっております。これは、政府というのじゃなしに、金融機関がみずからこういう関係者に対して努力をしてきているところでございます。この制度があることがどれだけそういう関係者に知られているのか、私どもまだ知りませんが、やはり周知徹底を図ることが大事でありますし、これも期限がございますから、ぜひ延長も含めてこういう制度の存続にこれからも努力をしていきたいというふうに思っております。
  43. 細川律夫

    ○細川(律)委員 公定歩合が下がることによって莫大な利益を上げている一方で、泣いている方々もございます。どうぞ、この人たちにも配慮されるような、そういう処置を今後ともとっていただきますようにお願いも申し上げまして、私の質問を終わります。
  44. 上原康助

    上原委員長 これにて細川君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  45. 坂上富男

    ○坂上委員 坂上富男でございます。  時間がございませんので、答弁は理由が要りません。簡単に答えだけお答えをいただきたいと思います。  まず、法務省関係についてお聞きをいたします。  本年六月十七日の予算委員会において、証人喚問で山口敏夫証人は、余暇厚生文化財団の基本財産を担保として流用したのではないかという問題について、自分は関与していない旨の証言をしております。この部分については偽証の疑いがあると考えておりますが、検察当局はこれをどのように理解をされて捜査をしておりますか。
  46. 則定衛

    ○則定政府委員 若干の理由をつけ加えることをお許しいただきたいと思います。  お尋ねの余暇厚生文化財団におきます業務上横領事件につきまして、本年の十一月二十八日に、その財団の常務理事、これは比企さんという人です、それから山口議員のファミリー企業と言われておりますところの関係者、これは佐々寿一及び岩沢義広氏でございます、この三名が起訴されております。  その起訴された事実の概要でございますけれども、被告人らは、平成四年四月八日、山口ファミリー企業の資金繰りのために、東京協和信用組合から融資を受けるに当たり、余暇厚生文化財団の基本財産である金額一億八千万円の定期預金証書を理事会の議決を経ることなく担保として提供し、これを横領したというものでございます。  ところで、山口議員とのかかわりでございますけれども、東京地検におきましては、今申し上げました被告人らを起訴いたしました当日、山口議員を被疑者とする捜索・差し押さえ令状の発行を受けまして、議員会館内の同議員の事務所等関係箇所を捜索いたしましたが、その被疑事実には、先般逮捕許諾請求いたしました東京協和信紙及び安全信用組合にかかわる二十七億円余の背任の事実のほかに、余暇厚生文化財団におきます業務上横領事件も含まれております。  したがいまして、検察当局におきましては、これまでに収集した証拠に基づき、山口議員が余暇厚生文化財団の常務理事や山口ファミリー企業関係者らと共謀の上、すなわち共同正犯として、同財団の基本財産である金額一億八千万円の定期預金証書を山口ファミリー企業の資金繰りのために借入金の担保として提供し、これを横領した疑いがあると判断しているものと承知しております。  そして、お尋ねの議院証言法におきます偽証罪の成否の関係でありますが、御指摘の箇所の山口証人の証言につきましては、検察当局といたしましては、少なくとも、これまでに収集した証拠に基づく事実関係と外形的には相反する証言内容であるとの強い疑いを持っていると思われますので、今後の業務上横領事件の捜査におきまして、この点も十分念頭に置いて捜査を進めるものと考えております。
  47. 坂上富男

    ○坂上委員 刑事局長の明確な御答弁がありました。この点については、共同正犯として横領の責任ありとの御答弁でございます。したがいまして、自分は関与していないとの証言は明らかに偽証に該当いたします。  上原委員長要請をいたします。  山口敏夫証人については偽証の疑いがありますので、これについて委員会として告発されますよう要請をいたします。特にこの国会中に、三分の二の同意があれば告発可能でございます。国会の権威のためにも、早急にこれは告発すべきだと思いますので、委員長要請をいたしたいと思います。
  48. 上原康助

    上原委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。
  49. 坂上富男

    ○坂上委員 ぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、法務大臣の御出席をいただきたかったのでございますが、参議院本会議があるそうで、どうしてもそこに出席だそうでございますので、公安調査庁に御質問を申し上げたいと思います。  オウム真理教に対する破防法適用については、法務大臣にどのような報告をなされておりますのか。あるいは、破防法適用についてどのような検討がなされておるのか。きのうきょうの新聞によりますと、年内というような報道があるようでございますが、その状況について御答弁をいただきたいと思います。
  50. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 委員指摘の新聞報道については承知しておりますが、再三別の委員会でも申し上げておりますように、破防法の適用につきましては、法と証拠に基づいて厳正に判断すべきものと考えております。同法所定の要件が極めて厳格なものとなっておりますために、細部にわたって詰めるべき点が多く、それらの問題を解決するために時間を要しております。ただ、その作業も最終段階にあるということが申し上げられると思います。  公安調査庁といたしましては、時期は明言できませんけれども、できるだけ早く結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。  こうした破防法適用の検討作業につきましては、法務大臣に適宜報告をいたしておりますが、法務大臣のお考えは、法と証拠に基づいて厳正かつ慎重に判断するというこれまでのスタンスと変わらないと承知いたしております。
  51. 坂上富男

    ○坂上委員 この問題は、特に今、東京高等裁判所でオウム真理教に対する解散問題が審理されておるわけでございます。この解散が決定をしてから、そしてこれらの諸君が解散後どのような行動をとられるか、これが非常に重要な問題になろうかと思っておりますので、私は、この解散決定があってから、これも一つ破防法適用の構成要件の重要な事実なんじゃなかろうかと思っておりますので、この点は要請をしておきたいと思っております。  法務省、結構でございますよ。  その次は、ちょっと水俣病について御質問をさせていただきます。ちょっと急ぎますので、あるいは聞き取りにくいかもしれません。  公害の原点であります熊本水俣病は、環境庁の調整案合意により、また、第二の水俣病と言われる新潟水俣病は、当事者の自主交渉によりまして合意が成立し、四十年、三十年の長期にわたる苦難の道を今乗り越えようといたしております。  地元有力紙は、この合意についての患者の思いを的確にとらえて報道をいたしております。例えば、これでございますが、「闘争三十年〝朗報〟苦く」「新潟水俣病患者救済 全面合意」「命の時間がない 無念、安ど-複雑な被害者」   発生公表から三十年目-。新潟水俣病の気が遠くなるような長い闘いに終止符が打たれた。七日、新潟水俣病共闘会議昭和電工は解決協定をめぐり全面合意した。原告の平均年齢は七十歳を超える。「不満で残念だ。でも私たちには命の時間がない」。ニセ患者の汚名を返上するという初心を貫けなかったためか、積年の傷跡の深さからか、「朗報」だったはずの全面会意にも、被害者の表情は複雑だ。南熊三郎会長は、自宅で、   だが、「早期解決のために合意は大切にしなければならない。新潟水俣病の教訓を生かすためにも、地域再生振興策を勝ち取ることができたのは運動の大きな成果」と安ど感もにじませる。被害者の会副会長の樋口幸二さんは、「やむを得ず受け入れなければならないのが現状だ。死んでからの解決ではなんにもならない。政府の遺憾の意の表明と、昭電社長の謝罪でこれまでの苦労がいやされるのかその内容に注目したい」と自らに言い聞かせるようにつぶやいた。と報道をされているのであります。  私自身も、弁護人の一員といたしまして、わずかでありますが水俣病の裁判にかかわらせていただきました。我が仲間の弁護士たちは、弁護士生活の大半を、長期にわたり手弁当、無報酬のまま、その全精力をささげ尽くしてくれました。私は、これらの献身的な努力を続けてくれた仲間の存在を誇りに思っております。  新潟県の労働者や県民の方々は、幾たびかのカンパに応じて、早期解決の署名や街頭演説、座り込み、各市町村や政府、環境庁交渉、数知れないところの昭電交渉と、患者とともに善意の人たちが走り続けたのであります。患者は勝利をつかむことができなかったかもしれませんけれども、抱え切れないほどのたくさんの皆様方の善意と思いやりを手いっぱいにつかんで解決をしたのであります。  ここに、勇気を持って政治決断をされた村山総理、大胆に立場を乗り越えて、大上段に解決に当たられた大島環境庁長官、閣議で解決へ強硬に発言された田中眞紀子前科学技術庁長官、そして与党、野党、全党の皆様方の御支持、すべての関係者国民の皆様方に私たちは厚く御礼を申し上げたいと思うのであります。  大島長官は、十二月十一日患者に対し、現地において、政府として深く反省し、皆様はいわゆるにせ患者と呼ばれるいわれはないと言っていただきました。その夕刻、長官は、南会長宅で仏壇に手を合わせ、患者代表から最後の訴えを聞かれました。私は、患者の後ろの横で患者の一言一言を確かにかみしめて聞いておりました。語り終えた患者の顔からは、いずれも涙が流れておりました。長官あるいは野村環境保健部長、中島特殊疾病対策室長の目にも先るものがあったのは、私の見違いであったでありましょうか。  大島長官、水俣病の救済はこれからであります。この解決に当たっての御所感と、患者の要望についての長官の決意をお聞きをいたしたいと思っております。  そして、十二月十五日、村山総理は遺憾の意を表明することになっております。何時ごろ、どの場所で、どのような形で表明されるのでありましょうか明らかにしていただきたいのであります。  あわせて、その内容については、拡大責任と放置責任に、現在係争中の訴訟への影響を心配することなく、遺憾の意を大胆率直に表明され、患者諸君と御遺族におわびされることを強く要望いたしたいと思っております。  本年八月十五日の戦後五十年に当たっての総理談話にまさるとも劣らない、患者への心からなる総理の言葉をいただきたいのであります。患者を初め全国民は、これが遺憾の意の表明を注視して待っておるのであります。どうぞひとつ、総理御出席ではないのでありますが、担当大臣である環境庁長官から以上の二点、三点について御答弁賜ればありがたいと思います。
  52. 大島理森

    ○大島国務大臣 お答えを申し上げます。  十一日に、新潟水俣病問題につきまして、昭和電工と共闘会議の皆様方がいわば協定書を締結されました。この間、大変な長い苦しみを負いながら、本当に必死な運動をされてこられた皆様方と協定を結ばれたことには心から敬意を表したいと思います。  加えまして、その後患者団体の皆様方とお話をさせていただく機会がございました。改めてその歴史の重み、また苦しみを実感いたしました。特に新潟水俣病の問題は、熊本、鹿児島地域におくれて十年、公式発見されたわけでございまして、後発として惹起されたことに思いをいたせば、まさに苦渋の決断であったということは私の気持ちとしても理解されるものであり、そういう意味で、その御努力と決断に敬意を表したい、このように思っております。  今後私どもの責務は、まず第一に、二度とこういう公害問題を起こさないという決意であり、環境政策に一層努力することでもありましょう。もう一つは、今度締結された内容において、国としてなさなければならない事業は、その歴史を考えながら、そして誠実に実行していくことが肝要である、このように思っております。  総理の遺憾の意の問題につきましては、十五日に関係閣僚会議そして閣議を開き、まさに今坂上先生がおっしゃられた、その今までの総理の御発言あるいはこの歴史そして基本的な思い、そういうものを含めて、総理御自身の思いを入れて談話としていただけるであろう、このように私は思っております。したがいまして、十五日の朝、まず関係閣僚会議を開き、その後閣議を開き、そしてその後総理の談話の発表ということになろうかと思います。具体的な中身あるいはやり方については今後詰めてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、村山総理の強い意思のもとで、与党三党の皆様方が六月二十二日に政治の合意としてつくっていただいた、その中に坂上先生も積極的に参加していただきました。そういう大きな流れの中で、関係者各位の本当に真摯な、必死な努力の成果をもって今次のような結果が生まれた、このように思っております。
  53. 坂上富男

    ○坂上委員 もう時間がないようでございます。もう終わりますが、大変ありがとうございました。どうぞひとつよろしくお願いをいたします。  官房長官大蔵大臣、質問しないで恐縮でございました。官房長官には、このこともお聞きをいただきたいと思って御同席をお願いをいたしました。よろしくどうぞ。  ありがとうございました。
  54. 上原康助

    上原委員長 これにて坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、前原誠司君。
  55. 前原誠司

    ○前原委員 まず、住専問題の処理期限についてお伺いをいたしたいと思います。  これまでに関係当事者同士の話し合いが何度か行われてきたようでありますけれども、なかなか進展がいたしておりません。総理は、決着は今月の十九日までというふうなことを言われておりますし、また先ほど大蔵大臣も、年内には必ず解決案というものを見出す努力をしていくという御発言をしております。これは一種の国際公約だと思いますし、今の日本の金融に対する不安視、そういったものを払拭するためにも、ぜひそれは実行していただかなくてはいけないことではないかと思います。  私も、与党金融証券プロジェクトチームのメンバーでございますけれども、今まで二十六回ぐらいのヒアリングや議論を重ねてまいりました。そして、母体あるいは系統両当事者の方からもお話を伺ったりいたしました。また、両当事者でお話し合いもされたようであります。しかし、基本的には、お互いに自分の主張を繰り返すだけで、なかなか解決のための糸口すら探ろうとしない。何か話をするということだけの既成事実をつくっておられるような感もぬぐえないわけでございまして、その点については、我々も非常に不満を持って見ているところでございます。  こうなったら、やはり大蔵大臣そして農水大臣がリーダーシップを発揮をされて、当事者間で何とか合意をしろというふうなことをおっしゃるのか。当事者間でできませんということであれば、お二人がトップ会談でもって何らかの合意を得られることが必要ではないか。それほど時間は切迫をしているのではないかと思います。  総理は十九日とおっしゃっておりますし、その解決に向けて、もう時間がありませんけれども、両大臣ともどのようなお気持ちで取り組もうとされているのか、あるいは最終的にはどういうふうな御決断をされようとしているのか、その点について、お二人の大臣にお伺いをしたいと思います。
  56. 武村正義

    武村国務大臣 秋から年内という目標をみずから課してまいりました。いよいよもう十二月の、きょうは十三日でございますから、もう数えるほどしか日数は残っておりません。  年内いっぱいと申し上げても、もう日数は少ないわけでありますが、総理は恐らく、二十日に予算の原案内示が行われる、そうなるとまた復活折衝に忙殺されることを考えて、それまでという意味で十九日という目標を設定してくださったのじゃないかと思いますが、きょうの参議院の総理答弁を聞いておりましても、最終目標は年内いっぱいである、しかし、それをできるだけ十九日にまで短縮する形で努力すべし、こういうお考えのようでございます。私ども、これをしっかり受けとめて努力をしなければならないと思っております。
  57. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 当事者間の話し合いでございますけれども母体行側からは、住専再建は困難であるから整理、清算したいという意向が示されました。これに対して農協系統は、母体行がその責任を明確にしないまま整理を申し出ることはまことに遺憾な次第である、融資紹介案件など母体行の関与について資料の提出を、説明をもう少ししていただきたい、こういうことで話し合いを頻繁にやりまして、十一月下旬までに、テーマごとでは五回でありますが、延べ回数では十回以上にわたって真剣な意見調整がなされたところでございます。  さらに、農林大蔵との間では、両局長が頻繁に、枚挙にいとまがないほど最近は会っておりますけれども、私どもは前から申しておりますとおり、これまでの経緯を踏まえて、例えば住専性格とか設立経緯とか経営破綻原因とか、あるいは再建計画策定時の経緯を踏まえて、母体行はぎりぎりの責任を負っていただきたい、こういうことを申し上げて、今まで、ついこの間も、私と武村大蔵大臣との間でも、そういう基本論に立っての意見調整をしたところでございますけれども、なかなか今の時点で合意には達しておりません。これからもひとつ残された期間、この妥結を図るべく精いっぱい頑張りたいと思っております。
  58. 前原誠司

    ○前原委員 では、今のお二人のお話を伺っていると、最終的には政治的な決断というものを大蔵大臣あるいは農水大臣責任を持ってやられるというふうに理解をしてよろしいわけでございますか。
  59. 武村正義

    武村国務大臣 私どもは担当の大臣として精いっぱいの努力を果たしたいと思っております。  問題は、たびたび申し上げてまいりましたように、大蔵省予算編成、予算マターであるとか、何か法律を共同してつくるとか、そういうケースにおける意見の違い、調整という問題とはがらりと違います。事は行政の外にありまして、行政のかかわりはございますけれども、外の問題であり、民間の問題であり、しかも不良債権総額八兆何千億、ロスだけで七兆五千億、考えてみても巨大な、国家財政から見ても巨大でありますから、民間金融銀行から見ても、ましてや農協、信連から見れば巨大な額の不良、回収不能債権が出現をしている、この巨大な額をどうするかという問題でございます。  過去までさかのぼりますと、いろいろ議論がありますように大変根が深いし複雑だし、この問題を解決するというのは、今まで政治がかかわってきたさまざまなテーマがございますけれども、数字の問題としては極めて大きな難しい問題であることは紛れもない事実でございまして、民間の関係者、当事者が納得、合意をいただくということがどうしても基本になりますから、二人で、野呂田大臣と話をして、この辺でいこう、よしこれでいこうと握手したら民間がはいはいと、こう従うというものであればいいんですが、そう単純ではないだけに、やはり関係者の納得を基本にしながら両大臣が話し合いをしなければならないところに重さがあると思っております。  しかし、難しいことを強調するつもりはありませんが、そういう難しさをしっかり認識しながら、私どもはこの問題、日本の経済の将来のためにも全力を挙げて、全責任を背負って解決に当たらなければならないという思いでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  60. 前原誠司

    ○前原委員 農水大臣には後の答弁とあわせて今の話もお伺いしたいと思います。  ちょっと原点に返りまして、私がこの住専の問題で非常に不可解なのが、いろいろな、外野と言ったらなんでありますけれども、直接当事者ではない人たちまでが入り込んできて、そして主にロス負担の割合の話についていろいろと発言をされる。私は、果たしてこういうものは、政治のそういった駆け引きあるいは政治力の大きい、小さいによって左右をされていいものだろうかという根本的な疑問がございます。  したがって、原則論から言うと、なぜ金融機関を特別視するのか。普通の会社でしたらもうだめですと、さっき農水大臣がおっしゃいましたけれども住専からはもはや経営を断念をして整理をしたいということになったときには、裁判所を通じての破産申請を行って粛々とそういうものの手続をしていくということが、今までの議論を全くむだにするわけではございませんが、原点に返った場合においてはそういう方法というものも一つ根本にあっていいのかな。  つまり、公平な判断、そして破産申請ということになりますと、責任論というのは必ず出てまいります。そして、その責任論が出てきたときに、例えば母体とかあるいは系統とか、負担ができません、そういうときに初めて金融システムの維持ということで公的資金の導入というものが明確な大岡裁きのもとで行われて、そしてなおかつ責任論を裁判所がきっちり追及する、負担割合というものをきっちり追及してもらう、そして責任問題についても国民に目に見える形で行われる、なぜこういう話が根本にないのかということを思うわけです。  確かに、裁判を行うと時間がかかるという点がございます。そしてまた実際の体力というもの、つまり負担をする体力というものについての差異もあると思います。しかし、そういうことを前提にして政治的なものでゆがめられたものが国民の前に出てきたときに、果たして公的資金の導入というものを認められるかどうかという根本的な疑問が私はあって、これはすべての政治家の責任の問題にもかかわってくる問題ではないかと思います。  そこで、両大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、こういう破産処理の仕方にのっとるということについての両大臣のお考えをぜひお伺いをしたいと思います。
  61. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私は、二つの面からお答え申し上げたいと思いますが、もう何回も申しておりますとおり、この住専というものは母体行らがつくったものであります。そして、その破綻原因も、競合する業務を母体行みずからがやることによって破綻原因をつくった。  そして、再建計画をつくった際に、一切、この再建計画の実施に当たっては母体行責任において処理しますという誓約書を母体行大蔵省に出しているわけであります。その誓約書に基づいて大蔵省農水省覚書をつくったという経緯があって、その覚書には、再建に当たっては母体行責任を持って対応し、これ以上系統負担はかけないということが書かれておるわけであります。したがって、これはあくまでも遵守されるべきものであって、これがなおざりにされるということは私は許されないことだ、そういうことをやったら行政の信用が全くなくなると思うのであります。だから、そのことが一点であります。  それからもう一つは、何でこの住専問題が国会等やあるいは世界的にこんなに問題になるかというと、やはり金融不安を起こしちゃいかぬ、金融信用というものを保全しなきゃいかぬ、こういう趣旨であるとすれば、私は、やはりこの系統関係が大変体力は弱くて、このまま、あなたのおっしゃるとおりもし系統が全面的に負担を強いられるようなことが起こってくるとすれば、これはもう数多くの信連がつぶれて、信連がつぶれれば農協がつぶれるという悪循環を来すわけですから、これはある意味では銀行が倒産するよりもっと深刻な金融不安が起こってくるだろう、私はこういうふうに考えます。  だから、そういう両面からいっても、私は、やはり系統が体力や対応力を超えて負担をしなさいということは、これはちょっと理解できない御質問であると思っております。第一、金融機関系統の体力や能力ということになればまさに鯨とフナの違いでありまして、それを一緒に考えられては、これは困ると思っております。
  62. 武村正義

    武村国務大臣 農水大臣のお話にはいささか私も違った意見もありますが、総理大臣の前で閣僚が違った意見を述べ合っておりますと閣内不統一になりますので、それに対する反論は差し控えます。  裁判でやるという道があることは十分認識をいたしております。裁判の、司法の場におけるジャッジがすべて正しいというわけではありませんけれども国民の信頼からすればそのことが納得しやすいということもわかっております。  しかし、御承知のように大変時間がかかるということもあります。不良債権の問題からして、そう時間をたっぷりかけてという余裕のある状況ではありません。そういう意味ではそれぞれ、系統には、農水大臣がおっしゃるように組合員の目が光っている、農家の利害が大きくかかっているということも事実でありますし、一方、金融機関には株主の目が光っているということもあるわけでございまして、裁判がやられても大体こんなところだと思われるようなフェアな解決策というものを見出していかなければならないというふうに思っております。
  63. 前原誠司

    ○前原委員 農水大臣は私の質問に直接答弁をされていないと思います。農協側に立った御説明ということでは、二点おっしゃったことについては理解は私もしております。経緯とかあるいはその再建計画の中身、それからいろいろな取り決め、また二番目の金融不安等々、農協系統に与える不安あるいは実際的なダメージということは、それはよくわかっています。  そういうことをこういう国会の場で討論して、そして政治的に、では割合を決めましょうということではなくて、そういうものを裁判所に持っていって、ある程度その中身について公平な立場から議論をなすったらどうですかということを私は申し上げたく、この質問をさせていただいたわけであります。  それから、武村大蔵大臣に対してでもありますけれども、時間がかかると。時間がかかるのは、さっき前の委員の方が御質問されていたように、これは全体の処理というのは、時間が裁判でなくてもかかると思います。ただ、破産処理で行った場合においてはすぐさまその処理に入るというふうなことでありまして、そして責任問題なんかもあわせて話が進んでいくわけでございますから、そういった意味で私は、時間がかかるということについては、裁判をやるから処理に時間がかかりますということにはならないのではないかというふうに思っております。  余り時間がございませんので、残りの質問に移らさせていただきます。金融システム安定化委員会が出したもので、今後のことについてお話を伺いたいと思います。  それで、金融機関がこれほどだめな経営というものを放置をされていて、そして経営状況が悪くなったということが一つ大きなポイントではないかと私は思っております。したがいまして、この金融システム安定化委員会でも出されております早期是正措置と破綻処理手続の早期開始といったものを今後の課題として早急に具体的に形にしていく必要性があると思っております。  この報告書におきますと、「年内には具体的な制度等の枠組みにつき結論を得る。」ということが書いてございますけれども、一体、具体的にどういう法改正が必要になってきて、そしてまた新たな法律の設置というものが必要なのかということがまず一点。  もう一点については、どういうタイムスケジュールでこの早期是正と破綻処理手続の早期開始について大蔵省が考えておられるのか、その二点についてお伺いをしたいと思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 西村吉正

    西村政府委員 早期是正措置と言われているものは、現在アメリカにおきましても、自己資本比率中心にいたしまして判断の基準となり措置がとられているものでございます。  私ども、昨年の二つの信用組合の処理以来、国会においても御指摘を受けておるわけでございますが、私どもの反省といたしましても、都道府県知事大蔵省、両方含めまして、経営状況悪化というものを承知しながらなかなか現実に思い切った措置がとりにくい、決断ができないというような経験を重ねてまいりました。  これは、どういう指標に基づいてどのような判断を下すかということがもっと明確化されておれば早い処理がてきたのではないか。こういう観点から、ただいま金融制度調査会におきましては、自己資本比率、その他いろいろな客観的指標を判断基準といたしまして、明確な判断結果を示せるような、このような仕組みが検討されております。これが早期是正措置であり、破綻処理の早期開始措置でございます。  年内には金融制度調査会の結論を得まして、もし必要であれば法律改正を通常国会でお願いするというようなこともあり得るかと考えております。
  65. 前原誠司

    ○前原委員 時間が来ましたので終わります。
  66. 上原康助

    上原委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  67. 米沢隆

    米沢委員 この委員会金融問題に対する集中質疑でございますが、お許しをいただきまして、冒頭、先般起こりました「もんじゅ」の事故について、まず御質問いたしたいと思います。  我が党は、かねてより、今後増大が見込まれておりますエネルギー需要への対応と地球環境保全を両立する施策の一つとして、核燃料リサイクルの構築を支援してきましたが、あわせて、省エネ技術開発、新エネルギーの開発、資源リサイクル利用の推進を主張してきたわけであります。  今回の「もんじゅ」の事故の深刻さは、現政権のエネルギー政策の硬直性、危機認識の薄弱性によって一層増幅されるものであり、エネルギー・環境政策に正面から取り組むことを避けてきた現政権の無責任な体質が改めて強く指摘されなければならないと考えます。原発の推進計画が予期せぬ事故等で大幅におくれた場合のオプションを政府はどう考えておられるのか総理にお伺いしたいと思います。
  68. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今お話がございました「もんじゅ」のナトリウムが漏えいするといったことによる事故については、まことに遺憾なことでありまして、私は、何よりもやはりその「もんじゅ」が存在する地域の住民や県民、国民全体に対する不安を解消するということの手だてをしっかり講じてほしい、同時に、原因究明を徹底させて、そして二度とこういうことが起こらないような、そういう安全面の確保というものはしっかりやってほしいということを強く科学技術庁なりあるいは原子力安全委員会なり関係機関に申し伝えたところでございます。  今お話がございましたように、我が国としては、昨年六月に総合エネルギー調査会において長期エネルギー需給見通しというものを策定をいたしました。これを九月の総合エネルギー対策推進閣僚会議でもって了解をしてきたところであります。  この長期エネルギー需給見通しの中におきまして、引き続き石油の依存度をできるだけ低めていく、そのことによってエネルギーのセキュリティーの確保と、それから地球環境問題等に対応していく必要があるということの方針を決めておるところでございます。  こうした観点から、引き続き省エネルギーの政策を強力に推進をしながら、前段に委員からお話があったような観点も十分踏まえた上で、これからのエネルギー対策をしっかり講じていく必要があるというふうに考えて施策を推進をしているところでありますから、なおざりにしているとか、対策がないとかいうことでないと私は思っております。  それから「もんじゅ」については、これは今ナトリウムを使った試験研究段階にあるのでありまして、今直ちに発電をするというものではないものでありますから、できるだけ試験研究を踏まえた上で、安全性が十分確保されて実現化するような方向にさらに努力していく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  69. 米沢隆

    米沢委員 まともにお答えにはなっておられぬわけでございますが、科技庁長官も来ていただいておりますから、補足があればどうぞ。
  70. 浦野烋興

    ○浦野国務大臣 お答えをいたします。  今回の「もんじゅ」の事故につきまして、私ども科学技術庁といたしまして、極めでこのことを重く受けとめておるところでございまして、地元の皆様方また国民に対しても大きな不安を招来した、このことに強く責任を感じておるわけでございます。  しかしながら、資源に乏しい我が国にございまして、原子力開発、エネルギーの供給、そうした点につきまして、私は、この高速増殖炉の研究開発、このことは引き続いて続けていくべきだと認識をいたしております。  あわせて、今委員指摘の他のエネルギーの開発、いわゆるエネルギーの多様化という観点からも私どもの科技庁におきましても続けておるところでございまして、我が国の後世に対しましての安定したエネルギーをいかに確保するか、そういう観点では真剣に取り組んでいるつもりでございます。
  71. 米沢隆

    米沢委員 きょうの地元の新聞なんかを拝見いたしますと、大変県民が不信を持っておるのは、事故発生後の、例えば地元自治体への通報が事故発生から一時間おくれているとか、あるいは官邸には二時間後に伝わったとか、あるいは県警あたりには二時間半後に伝わったとか、そういうものが一体何なんだと。  同時に、県が早朝立入検査をして何かビデオを撮ったそうでございますが、その後動燃の方が撮られたビデオとはちょっと違う、雰囲気が。例えば、あのナトリウムの塊みたいなものが、物すごく生々しくあるものが映されていたりいなかったり、そういうふうに、何か事故を小さく小さくして、余り関係ありませんよというようなところが先走って行政が対応しているのではないかというところに不信があるやに聞いておりますし、まあ時間もありませんので、私は、今後、事故の発生の原因や、事故発生後の経緯や、事故の通報体制の国民への開示の問題や、エネルギー供給のオプション等について、同僚議員のこれからの追及を待ちたいと思っております。どうぞお帰りください。  私はまず最初に、本題に入りたいと思いますが、金融の自由化と自己責任の原則の貫徹という問題について、総理の見解をただしてみたいと思います。  もうこれは釈迦に説法でございますが、金融自由化とかあるいは金融の国際化といえば、その表裏一体の関係で自己責任の原則の貫徹がある、これは世界の常識でございます。我が国が、あのプラザ合意の前年、日米円・ドル委員会をつくり、国際化の中で世界に金融自由化を公約されたわけでございます。自後約十年にわたりまして、金利の自由化だとか業務の自由化など金融自由化の具体的な措置を進めてまいられたことは御案内のとおりでございますが、しかし、その表裏の関係にある自己責任の原則の貫徹というのは一体どう進んだのか、このことが今私は問われているのではないかと思うのでございます。  残念ながら、今日の金融不安の中に見られますような乱脈経営、つぶれてもバブルのせいにして自分の責任を云々される方が意外に少ない、そういう現状。甘えの構造。そして、よく言われます護送船団方式という銀行・証券行政はいまだに健全に続いておるわけでございまして、また、東京の二信組のとき、ほとんどの方がと言ったら語弊があるかもしれませんが、預金者にも自己責任があるという話なんというのは、まあびっくりされた人も多分たくさんおられたのではないかと思うのでございます。  そういう意味では、金融の自由化をこの十年間進めながらも、国民の意識の中にも、特に当事者、経営者なんかの意識の中にも、行政の中にも、自己責任の原則はほとんど棚上げされて、有名無実になってきた、このことが大きく反省されねばならぬと思うのでございます。そのいわゆる前提条件でありますディスクロージャーは進んでおりませんし、自己責任の貫徹をする場合の制度的な担保も整備されないままに今日を迎えている。そして、金融システムの崩壊寸前にあるという現実を直視しなければならないと考えます。  我々は、今日の不良債権を一刻も早くけじめをつけて、早期に国際的にも通用する新しい金融システムをつくることが迫られているわけでございまして、せめてまあ四、五年後には新しい金融システムをぴしっと完成させていかねばならない、そしてそれに応じた行政の対応も考えられていかねばならぬと思うのでございますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  72. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今御指摘もございましたように、金融の国際化、自由化ということが言われてもう久しいわけでありますけれども、しかし率直に申し上げまして、残念ながら強制的な制限を、規制をしていくといったような体質から完全に抜け切っていなかったということは私は言わざるを得ないと思います。そのために、金融が倒産をするといったようなこういう事態が起きたときに、一体どこに責任があるのかということがやはり問われるというようなことになるわけであります。  私は、今御指摘のございましたような、金融機関の自己責任体制というものをしっかり確立する、同時にディスクロージャーも徹底をさせて、そして透明度を高めていくというようなことが非常に大事だ。言うならば、責任の所在というものをやはり明確にして、おのおのがその責任をしっかり自覚をした上で運営されていくということが何よりも大事ではないかというふうに思います。  同時にまた、行政のあり方としても、金融機関とそれから行政というものが、ある程度距離を置いた中で、お互いに緊張感を持ち合ってそして関係していくということもまた大事なことではないかというように思いますが、今回の一連のそうした問題を通じて、私はやはりこの教訓に学ぶべきものはしっかり学んで、そして直すべきところは直すということがまた必要ではないかと思うし、大事なことだというふうに考えております。
  73. 米沢隆

    米沢委員 特に聞いておきたいのは、新しい金融システムといいましょうか、いろいろな不良債権の問題を片づけた後我が国がとるべき新しい金融システム、近代的な金融システム、そういうものをいつごろをめどにつくる決意があるのかという点をもう一回伺っておきたいと思います。
  74. 武村正義

    武村国務大臣 私どもは、既におおむね十年前から、バブルと軌を一にしますが、金融の自由化に踏み出してきたところでございます。  この分野は、ことしは保険等も保険業法の改正が成立を見まして、広い意味の金融の中に含めますと、銀行、証券、保険、これはもう生保も損保も入りますが、幅広く大きな改革を今進めているという状況であります。  そこへ不良債権という大きな問題に直面をいたしておりまして、この問題は、先般九月期で集計を見まして三十八兆円弱という数字が出ております。当初おおむね五年前後という目標を立てておりましたが、これを少しでも短い期間に、できれば三年前後で乗り切っていきたい。早いところは一、二年で乗り切るところもありましょうし、ちょっと重いところは四、五年かかるかもしれませんが、平均二、三年ぐらいでこの不良債権問題を、多くはみずからの力で解決をしていかなければならないというふうに思っております。そのことが、結果として今議員のおっしゃるような新しい時代の新しい日本の金融システム、自己責任原則もより一層しっかり貫かれる、そういうシステムができ上がってくる時期だというふうに思っております。  ディスクロージャーとか預金保険機構の改革とか、預金保険料の引き上げとか、あるいは信用組合制度のような弱い金融組織については、この面の法律改正等も含めて大胆に取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  75. 米沢隆

    米沢委員 三年間ぐらいかけて不良債権の問題を片づけたい。ぜひ私はもっと早くと言いたいところでございますが、かなり厳しい問題もあります。しかし、今我が国の金融システムに対する世界の皆さんの不信、これは大変なものがありまして、その中でいつも金融機関は後ろを向いて償却だけを考えているという姿が続きますと、これは我が国の経済の将来にもかかわる話でございますから、できるだけ急いでもらいたいと思います。  同時に、私は、新しい金融システムといえば、キーワードといえば、ルールが支配する市場、市場原理あるいはディスクロージャー、自己責任、検査・監督機能の強化、透明な処理スキーム、そういうものに応じて行政のあり方も変わっていかねばならぬ。端的に言えば、護送船団方式の解体をしなければならぬ時期に来ている。これも一挙にはいけないとするならば、まさに三年ぐらいかけて護送船団方式と言われる行政のあり方も解体する。私は、そのためには現在の大蔵省の機能も大きく変えていかねばならぬと思います。  既に、金融庁の設置の問題だとか、あるいはまた大蔵省から銀行局や証券局を外に外して、そして検査や監督を旨とする委員会に変えるとか、あるいはまた、ルール、市場原理だけは金融行政の一つの指導指針にして、新しく行政も抜本的にメスを入れるべきだ等々の話がいろんなところから出始めておりますが、私は総理に、まあいつまで総理をされるかわかりませんが、せめて今の気持ちとして、護送船団方式を解体し、そしてやはり新しいシステムに応じた、大蔵省の解体につながるかもしれない行政改革を大胆にやるべきだという所論を持ってほしいと思うんですが、いかがですか。
  76. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 護送船団方式と言って、お互いにもたれかかっていくようなやり方というものは、やはりこれは徹底的に改めるべきだというふうに思いますね。  同時に、今大蔵大臣からも答弁がございましたように、この不良資産の決着やあるいは金融不安というものを解消する、そのためには三年間ぐらいはかかる。三年間ぐらい、できるだけ早い時期にやはり決着がつけられるようにするべきであるというふうに思っておりますけれども、そうしたものを解決する過程の中で、同時に、行政のあり方として今のようなあり方でいいのか。  先ほど申し上げましたように、金融機関行政というものが一定の距離を置いて、お互いに緊張関係を保っていくためにはどういうあり方がいいのかというようなことについてもやはり検討されなければならぬ課題だというふうに思いますし、その過程において、私は、大胆に改めるところは改めるし、大胆に改革すべきところは改革するというくらいの決意でもって取り組んでいくことが大事ではないかというふうに思っています。
  77. 米沢隆

    米沢委員 総理は御苦労さんでした。もう結構です。  住専の問題に入りたいと思います。  先ほどからるる議論がなされておりますが、日本経済を再活性化させて失墜した国際信用を回復するには、目下我が国の重圧となっております金融機関不良債権を片づけねばならぬ、もう言うまでもありません。特に住専問題は、不良債権処理のかぎを握る、こう言われ続けてきたわけでございますが、にもかかわらずこじれたのは、そしていまだにまだ決定し得ないのは何か。これは、単に不良債権の大きさだけではなくて責任というものが複雑に絡んでいるところに大きなゆえんがある、そう思います。  もうこれは社会の常識でありますが、責任のないところには負担はない、これが常識だと思っておりますが、事住専に関しては、それぞれの当事者責任を明確にしないままに、否、大蔵省としてはそれぞれ中に介入してきたような事案もたくさんありますから、逆にさばき切れないようなところがありまして、結局は、責任を明確にできないままに、相変わらず護送船団方式の延長線で、不透明で談合的な形で損失の分担論議が試みられてきたというところに問題があると私は思うのでございます。いかがでしょうか。
  78. 武村正義

    武村国務大臣 住専問題は、御承知のように、既に第一次再建計画、そしてまた第二次再建計画という取り組みを住専みずからが主体的にしてきたところであります。  第二次再建計画策定に当たりましては、なかなか利害関係が調整できないために、最終、大蔵農水省覚書を締結する等しながら、側面から一定の激励をしながらいわば再建計画に取り組んできたという経緯でございます。  しかし、バブル後の、特に地価のここ数年にわたる低落の中で、住専をめぐる不良債権ロスの額がどんどん膨らんできておる。とてもこの再建計画ではパスしない状況に立ち至って今日を迎えております。率直に言って、この第二次再建計画がだめと。  したがって、この住専問題を真っ正面から見据えて論議が始まったのはことしてございます。そういう意味では、年内にこの解決案をまとめるというのはかなりスピーディーな対処の仕方だと私は思っておりまして、そういう意味では、何としても、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、事は大変巨大だし複雑でありますけれども、万難を排して、関係者の納得のもとに、今年じゅうに解決策を見出していきたいという決意でございます。
  79. 米沢隆

    米沢委員 私は、確かに物理的な時間の問題もあるでしょうけれども、やはり行政当局がそれぞれの当事者の責任を明確にするところから初めて負担論議は始まっていくと信じておるわけでございまして、それをお互いに自分たちの、一見責任逃れ的な、一見負担を減ずるような議論がお互いがみ合わない、これは当たり前でございまして、結局彼らは自分たちのことを言いながら行政を非難しておるというふうに私は聞いてほしい、そう思っておるわけでございます。  例えば、責任の問題をもっと具体的に言いますならば、それぞれの責任を明確にした上で、なぜ貸し手責任ではいけないのか。どういう問題があって法的手続にゆだねることができないのか。あるいはまた、なぜ母体行主義ではいけないのか。この住専経緯を見る限り、限りなく母体行責任は僕は重いと思うのでございますが、そのことをあなた方大蔵は一言も口にしたことはない。  結局、なぜというこの議論の中で、大蔵省の判断が、その真ん中に立ってリーダーシップをとって、主体的にこの処理スキームを決めねばならないという立場にある大蔵大臣の、言葉としては言いにくいかもしらぬけれども、もうそろそろあなたの口でそのことをはっきり言わない限り、いつまでたってもエンドレスな議論が続くだけじゃないのでしょうか。そして、最終的には政治的な決着と言って、不満を残しながらお互いに分かれるという話では、そんなものであってはいけないと僕は思うのでございます。  したがって、何回も申しますように、なぜ貸し手責任ではだめなのかというのをはっきりしなさい。あるいは、なぜ母体行主義ではだめなのかということをはっきりしなさい。そして、今報道に伝えられますように、二段階方式でしか対処しょうがないんだということもはっきりすべきではないでしょうか。あるいはまた、公的資金の導入が必要だということはそれなりの議論を重ねておられるわけでございますから、少なくともこれから公的資金を最終的には入れて片づけさせてもらいたい、そういうことをあなたの口から本当は言うべきではないでしょうか。  結局、ルールのない処理方式を採用されるわけですから、ルールのないところに責任に応じて処理方式をつくろうと私はされておると思うのでございますから、でき得る限り我々は破綻に至る実態をディスクローズしてもらわねばなりませんし、大蔵当局は責任を持って国民説明しなきゃならぬ義務がある、もうその段階ではないかと思うのでございます。いかがですか。
  80. 武村正義

    武村国務大臣 今御指摘をいただいておりますが、私どもはそのことを自覚をしながら今日までこの問題に対処をしてきたものであります。  単純に母体行か貸し手か、こういう割り切りでイエス・ノーが言える問題ではありません。母体行は少なくともこの住専設立することに大きな影響を持って、主体的に責任を持って設立をしたわけでありますから、母体行としての精いっぱいの責任は果たすべきである、もちろんそう思っております。  しかし一方、この住専という金融会社に多大の融資を行ったいわゆる貸し手側の責任も、これもゼロではあり得ないということであります。問題は、このバードンシェアリングといいますか、負担の割合をどういう形で調整し切るかというのが最終段階の我々の目指している解決策の中身になります。  もちろん、種々論議がありましたように、この住専問題の経緯については、行政の側にも全く責任がないとは言っておりません。少なくとも、ローン融資から始まった住専が、ある時期から、ローンからもう一歩踏み込んで宅地造成等を中心とした事業にどんどん大胆な融資を行うようになっていった。そのことが今回の住専不良債権問題の一番大きな根拠になっていることを考えますと、あの時期に、それぞれ言いわけはあります。行政側の説明もそれなりにあります。  しかし結果として、今振り返りますと、住専事業融資に対する見方が、もう少ししっかりした見方ができなかっただろうかという率直な反省も持っているところであります。もちろん、一般的に金融機関に対する行政責任を背負っているわけでありますから、その行政責任もしっかり感じながらこの問題の解決に当たっていきたいというふうに思っているところでございます。  もう一方、借り手の責任という議論も当然あるわけであります。融資というのは貸す側と借りる側、相対でございますが、なぜか今回の問題解決は、基本的には貸した側が回収不能な債権については全部泣く、責任を負うという考え方に立っているわけでありますが、それで果たしていいんだろうかと。そこに日本版RTCの構想も浮上しておりまして、ここにはぜひ司法関係者、専門家も入っていただいて、大変難しい相手も存在をいたしておりますけれども、精いっぱい債務の履行、債権の回収にこの受け皿機関、処理機関が努力をしていくという意味で、いわば借り手の責任も精いっぱい求めていきたいというふうに思っているところであります。
  81. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 ただいま委員から、貸し手責任の問題につきまして御質問がございましたが、私どもは、系統に関する貸し手責任の問題は、通常の場合とは少し違うということをはっきりと申し上げておきたいと思います。  再三申し上げるようで恐縮でございますが、住専は、金融機関各業態が共同で出資して設立した金融会社であります。母体行経営幹部を常時派遣し、業務面でも深く関与していたという住専設立経緯性格がございます。また、母体行住専との業務分野を調整しないまま住宅ローンを拡大したこと等が住専経営不振を招いたという、破綻原因は主に母体行にあるように思います。  また、再建計画策定するに当たりまして、先ほども申したところでありますが、母体行から母体行責任において対応するという誓約書を大蔵省に出しており、それに基づいて大蔵と農水が、この問題については母体行責任で対応してこれ以上系統負担をかけないという覚書を結んでいるわけであります。これは、私は、いわば一種の契約に準ずるものでありまして、あくまでもこのことは遵守されなければいけないことだと思います。  そこで、当時系統としては元本を回収する動きを持っておったのでありますけれども、これを信頼して元本の回収を断念したという経緯もありますから、これは単純な商法上の貸し手責任だけで議論するわけには私どもは断じていかない、こう思っているわけであります。  以上、本問題の解決には母体行がぎりぎりの責任を負うべきであるということを改めて申し上げながら、そういう原則論に立って大蔵省とも十分早急に協議しながら打開を図りたい、こう思っております。
  82. 米沢隆

    米沢委員 今の農水大臣の御見解に私もほぼ同感でございます。  ただ、特に大蔵省農水省も、ここに至るまでの間全然関係なくやってこられたわけではないわけでございまして、それなりにそのたびごとに意見を言い、そして通達行政を通じでそれぞれを指導されてきたという立場にあるわけでございます。したがって、私は、農協系金融機関による住専融資がなぜこんなに膨張し、それに行政はどう関与してきたのかというところがやはり徹底的に究明されない限り、だからこそ護送船団だ、けしからぬという議論に及ぶ話だ、そう思っておりますので、これからその点について触れてみたいと思います。  住専融資で農協系統金融機関がどんどんどんどん急膨脹してきたその最初の決定打になったのが、私は、九〇年三月二十七日に出された二通の通達であった、そう思っています。その二通の通達とは何かというと、一つは、いずれも表向きは不動産融資の総量規制、自粛を求めるものでありましたが、一通は大蔵省銀行局長名で銀行などに出され、もう一通は大蔵省銀行局長農水省経済局長の連名で農協系金融機関に出されたものであります。  しかし、二通は中身がちょっと違う。前段の、不動産向け貸し出しについては、公的な宅地開発機関等に対する貸し出しを除き、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制することを目途としてその調整を図るよう周知徹底願いたいとあるのですね。ただ一点、銀行に出された通達の後段部分、また、上記の趣旨にかんがみ、当面、不動産及び建設業者、ノンバンクの三業種に対する融資の実行状況を報告するよう貴傘下金融機関に周知しなさいというのが農協系金融機関の通達には書かれていなかったのですね。  そのことがすなわち、総量規制については一般金融機関、農協系金融機関対象規制をされ、そのとき住専自体は対象外とされたというのが一つですね。そして、三業種規制については、規制対象は都銀等の一般金融機関であって、農協系統は除外されていた。ここから大きな問題が始まると我々は見ているわけでございます。  そして、いわゆる農協系にはなかったこの後段の部分があったがゆえに、大蔵省から報告義務がつけられた銀行は不動産業界への融資を絞り込まざるを得なくなったわけでありますが、一方、農協系にはその報告義務がないために、事実上制限のない融資が可能になっていたわけでございます。当然のことながら、巨額の融資の肩がわりが発生をし、農協金融住専融資を急膨張させた、こういう形になっていくわけですね。  その結果、これは数字ですから異論はないとは存じますが、八二年からバブル期を含む九二年末までの間、農協系の貸付金増加額は六兆二千億に上ると推計されます。そして、住専八社の貸付金増加額、約八兆六千億でございますから約七七%が農協系から注ぎ込まれることになっていったわけで、これは数字が示すとおりでございます。このような現象が起こった背景には、先ほどからるる言いますような二つの通達行政、ここに深く原因があると言ってもいいと思うのですね。  そこでお尋ねをしたいのは、なぜ銀行向けには書いてあったものが農協系向けには書かれなかったのか、どのような意図がそこにあったのかはっきりしてもらいたい。この通達は、役所でございますから、大蔵省農水省が一言一句すり合わせてできたはず。それで、これは農協向けには書かないよ、これは銀行向けに書こうじゃないかという判断がなされたその理由はどういうところにあったのか、これが一点ですね。思うに、農協系の資金運用に便宜を図ろうとされた親心だったのかなという気もいたします。しかし、それがあだになった結果をつくったというふうにも思います。  第二番目には、もう先ほどから議論がありますように、八三年に変動金利制の住宅ローンが導入され、特に都銀の猛烈な勢いでこの分野への進出が始まっていたわけです。住専は、あっという間に住宅ローン市場を奪われて苦境に立った。ちょうど九〇年春には、住専各社の第一次再建計画をどうしようかという話があったころですね。そういう意味では、住専そのものは相当経営的には厳しい状況になったという現実は、あなた方は知らないはずはない。だからこそ、農協から資金住専に行って、住専が不動産に融資することを、逆に流れをつくろうとされたのではないか、そう推測されるわけでございます。  その当時、ちょうど八九年末で住専各社の貸付先は、個人向け住宅ローンが三〇%を切っておりましたから、そういう意味では、住宅ローンよりも不動産向けの融資の方が七割を占めていた。だから、住専に金が流れれば、住専はそのパーセントで貸すとするならばほとんどが不動産の方に向いて走ったであろう。こんなことは行政でわからぬはずはない。  にもかかわらず、住専の総量規制は外され、そして農協の系統は金が住専に行ってもいいような仕組みを通達行政でしながら、今さらながら指導ができなかったなんというのはナンセンスな話だと僕は思う。そのあたりをどう考えられるか、大蔵大臣と農水大臣に聞きたい。
  83. 西村吉正

    西村政府委員 まず、総量規制通達の発出時におきまして、なぜ農協系統金融機関に関しては報告義務を課さなかったかという点でございますが、ただいま御指摘のように、いわゆる総量規制平成二年三月二十七日付の通達におきましては、一般の金融機関向けの通達、銀行局長通達では、三業種に関する報告義務が明記されております。他方におきまして、銀行局長及び農林水産省経済局長連名の全国信連協会会長理事あての通運ではその部分がございません。  それはなぜかと申しますと、当時既に他の手法、他の通達によりまして、系統金融機関状況につきましては、農水省及び大蔵省において状況を把握し得る体制になっていたということでございます。  すなわち、これは四十九年十二月に発せられております通達によりまして、系統金融機関につきましては融資状況の報告を把握することになっておりましたので、あえてこの部分はつけ加える必要がないということでつけ加えなかったということでございます。既にその措置がなされておったので、必要がなかったからこの部分は省略いたしましたというふうに私どもは理解をしております。
  84. 堤英隆

    ○堤政府委員 今銀行局長の方から答弁があったとおりでございますが、これにつきまして分けて申し上げますと、不動産業とそれから建設業向け貸し出しというのは、基本的には系統の場合は小のうございます。また、不動産業、建設業向けの貸し出しの状況につきましては、従来から報告を行わせていたという事実がございます。  それから二つ目の、住専を除きますノンバンクにつきましては、これは員外貨し出し規制といろことでございまして、会員貸し出しの二〇%以内ということで制限をされていたということがございます。  それから三番目に、住専貸し出しにつきましては、先ほども御答弁ございましたように、半期ごとに貸し出し状況の把握をするということで従軍から行っておりましたので、そういう意味で、ご業種に対します融資の実行状況の報告ということを改めてこの中では明記しなかったという経緯がございます。
  85. 米沢隆

    米沢委員 いかにも官僚らしい、僕は詭弁だと思うな。  そんなにして、もう既に監視する、あるいは検査する体制ができておったならば、なぜこんな事態になったのですか、それじゃ。
  86. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のようなことでございまして、私どもといたしましては、系統金融機関銀行を含めまして、住専を含むノンバンク向けの融資状況については状況を把握していたということでございます。  したがいまして、そういう状況把握を行政にどのように生かすということができたか、その点における行政としての反省というものは、私ども感じるべきであろうかと考えております。
  87. 米沢隆

    米沢委員 例えば昭和五十五年の十月には、信連の住専貸し出しを金融機関貸し付けとして員外利用規制からの対象外にしたわけですね。一つの流れですよ。信連は住専融資をしても結構ですよ、員外貨し出しもオーケーですよという形で、まず枠をべらっと外すわけですね。  そして、かなり不動産の高騰で、バブルでいろいろな問題が起き始めたので、総量規制しなきゃならぬという話になった。しかし、住専自体を総量規制から外したのは一体何かというと、住専そのものが先ほど言ったようにもう既に苦境に立って、ここで金が流れていかなかったならば、そこではったりいくかもしれないという情勢が現実にあった。それは皆さん知っておるはずだね。そして、そのころ既に個人住宅ローンに向ける融資比率は三割を切っておったわけですから、住専に金が農協系続から流れたならば、それは不動産みたいなところにどんどん流れるであろうということを目をつぶって認めたわけですよね。  そして、何か既に規制する措置があったからわざわざ三業種規制はしなかったなんて詭弁を弄しておられますが、ただ単に文書の話じゃないわけですよ。流れとして、金融機関取引にして員外利用を許しましょうと言いながら、そして住専は大変厳しい状況にあったから、住専には金を流してあげねばならぬ。しかし、総量規制をかけて一般金融機関はノーと言ったから、厳しくしたから、結局農協系続から金が流れるようにしてあげねばならぬ。よくわかりますね、これは。それは住専を思っての措置だったかもしれません。  同時にまた、農協系統としても、バブルで金が集まっている、それを運用するところがない、したがってどうでしょうかという話に乗りやすい環境でもあったわけだ。そのために、結局三業種規制から農協系統は除外するという措置をとることが、その流れをつくる意味において、一つは住専のこの困っておるときにお金を流してあげねばならぬ、農協は運用したくてもできない状況で、何か風穴をあけてあげねばならぬ、その発想の中でこれは始まったんでしょう。これは、農水省大蔵省も入った合意の上にこんな通達ができた。そうじゃないとどこで言えるのですか。そんな詭弁でごまかしてはいかぬよ。あなたはいつもごまかす。
  88. 西村吉正

    西村政府委員 決して私は詭弁を使っておるつもりではございませんで、正面からお答えをしておるつもりでございますが、まず五十五年の措置の問題でございます。  昭和五十五年と申しますと、まだバブルが始まる前の時期でございまして、ちょうど当時協同住宅ローン設立された年でございましたが、住宅金融専門会社は、一般個人に対する住宅ローンを補完するものとして設立された公的な色彩も持つ存在であるということ、他方、系統金融機関の余裕資金の有効活用を図るということが必要であること、そういう理由から、昭和五十五年十月十六日付の農林水産省経済局長大蔵省銀行局長の連名通達で、いわゆる住専をその他の金融機関として員外貨し出しの対象に含めた、こういうことでございます。  当時は、今のような住専状況になるとはだれも想定をしなかった。むしろ、伸ばしていくべき性格金融機関として住専を考えていた時代のことでございます。その後バブルが発生いたしまして、そのバブルを何とかしなければいけないという段階で、先ほどの総量規制通達が出たわけでございます。  総量規制通達におきましては、預金を扱っております金融機関、すなわち銀行、信用金庫、そして系統金融機関も全部含めましてこれは融資規制をかぶせなければいけない、こういう考え方で、差別をしたつもりは全くございません。そこで、まず今の預金取り扱い金融機関については全部対象といたしました。ただし、先ほど御説明したように、系統金融機関に関しましては既に報告義務を農水省局長大蔵省局長連名通達で出しておりましたので、その部分はあえて二重に書かなかった、こういうことでございます。  次に、今お尋ねの、それではなぜ預金取り扱い金融機関だけで住専をこの総量規制対象にしなかったのか、この点でございますが、当時この総量規制通達というのは、規制緩和、金融自由化の流れの中で極めて強い効果を持つ規制であるということで、一部には、そんなに強い規制を課していいのかという反論もございました。  そこで、私どもといたしましては、規制業種である、すなわち免許業種である預金取り扱い金融機関だけをその対象にする。例えば住専というのは預金取り扱い金融機関でございませんので、免許業種ではございません。そういうものに対してまで融資規制しろという強い規制を課さなかった、こういう仕分けをしたわけでございます。したがって、この融資規制を課さなかった対象の中には、いわゆる住専のみならずノンバンク一般が含まれておる、こういうことでございます。
  89. 米沢隆

    米沢委員 行政というのは、言葉の上に言葉を重ねたら行政ができると思っておるのですかね。  先ほどから何回も言いますように、そのころかなり厳しい状況があり、住専経営が厳しかった。そして、住専は既にそのころは不動産に七割方を流していた、金を。そういうのがわかりながら、そんな厳しい措置を住専にかけるのはおかしいではないかなんという発想で外したなんというのは理由にならない、そんなのは。ごめんなさいと言えばいいじゃないか。住専を助けるつもりもあった、農協系金融機関の持っておる金をうまく運用しようと思ったけれども残念ながら失敗しましたとなぜ言えないんだよ、そんなことが。  同時に、これは八〇年の十月に出されました大蔵省銀行局長農水省経済局長の信連の農協法第十条第九項第三号に規定する「その他の金融機関」に対する貸し付けについてという長たらしい通達でございますが、それにも私は違反しておると思うんです、あなた方の措置そのものが。  この通達は、信連が住専に貸し付けを行う場合の資金使途を、住宅、住宅の載っておる土地を含む、の取得に必要な長期資金の貸し付けのための必要なものに限るとして、住専融資に一定の歯どめをかけたものですね。これはずっと生きておったんです、そのころ。にもかかわらず、あなた方のその通達行政は、こんなのとは関係なくあった。あなた方自身が通達違反をやっておるんじゃないか。
  90. 堤英隆

    ○堤政府委員 八〇年の十月に銀行局長名と経済局長名で通達をいたしております。これは、今も御指摘ございましたように、五十五年通達におきまして、信連の住専向け融資資金使途ということで「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」というふうにしているわけでございますが、これにつきましては、住宅の取得に関連するものに限るという意味でございまして、必ずしも個人が借りる場合のいわゆる個人住宅ローンということのみに限定しているわけではございません。  そういう意味では、住専といたしましては、主として住宅の取得に必要な長期資金の貸し付けを業として行う者ということでございますので、個人に対します住宅ローン提供ということと、それから住宅開発事業者等に対しまして、宅地開発の資金あるいは住宅建設の資金、まあ言ってみれば川上、川下ということになるかと思いますけれども、そういった資金を行っているわけでございますが、これは基本的には、住宅の供給を促進するために必要な資金ということで、私どもとしては、この通達に書いてございます「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なもの」というふうな範囲の中に入るというふうに広く理解をしておるところでございます。
  91. 米沢隆

    米沢委員 都合のいいときはあんなに拡大解釈して、都合が悪くなったら、これはそんな意味ではありませんとどんどん絞る。あなた方の裁量でこの通達はどうにでもなるのか、こんな話は。それは土地といったら、それに住宅を載せますといったらみんな土地はいいわけだ。そんなしり抜けの通達を出したのか、あなた方は。  何のために八〇年にこの通達を出したの。その趣旨を徹底するためには、その名前を利用しながらうまいことやるなんというのは防ごうという話じゃなかったの、これ。その通達の趣旨が生きないような拡大解釈をして責任逃れするなよ。もう一回、答えろ。
  92. 堤英隆

    ○堤政府委員 五十五年当時、その当時、大変住宅資金ニーズというのが高こうございまして、そういう意味で私どもとして、信連の貸付先といたしまして、従来の銀行等のほかに、そういった住専からの住宅資金のニーズということが非常に高い、かつその住専につきましても、先ほどから御説明がございましたように、何といいますか、大蔵省の直接の監督下にあって、かつ住宅政策上も育成すべきだという非常に公益的、公共的な性格の高いそういう位置づけがなされていたということでございますので、他の銀行でございますとかそういうものと並んで金融機関扱いにした、こういう経緯でございます。
  93. 米沢隆

    米沢委員 全然あなた方の答弁は納得できない。普通常識を持っておる人は、そんな答弁で、わかりましたと引き下がる人はいないと僕は思う。それがいわゆる護送船団方式のうまみなんだな。通達行政のいいかげんなところなんだな。そういう意味で、今日の金融システムがいろいろなところでおかしくなったのは、そういうところで、ところどころにみんな行政が介入して、そして都合が悪くなったらそんなつもりじゃありませんでしたと逃げる、そのあたりに大きな問題があるということを私はきょうは指摘をしておきたいと思います。  同時に、その八〇年の通達は九三年四月にいつの間にか廃止されておるのですよ。なぜか。ちょうどそのころ第一次再建計画破綻をして、第二次再建計画をつくろうとするころですから、住専はどういうところに貸し出して、どうしてこんなになったのかと皆さん調べた。調べてみたら、この八〇年通達に違反するところが続々出てくる。したがって、こんなのがあったらまたあなたがほかから怒られるといってすっと逃がしたんじゃないの。あなた方の答弁を聞いていたら、そうとしか思えないよ。そこらがあなた方のいいかげんなところだ。  そして、問題の焦点は、この二つの通達を出したのはだれかと調べてみると、土田銀行局長、当時。農水省の川合経済局長。土田さんは現在国民金融公庫副総裁。結局彼らが、まあ今さら結果論で申しわけないけれども、その場主義の通達行政をやって、それが失敗して住専や農協系金融機関が破滅に至ったということは、もう今さら言わなくても彼らの責任だと僕は思う。その通達行政の衝にあった人の責任だと思う。  しかし、その行政責任を問われないままにやってきた。そして、土田さんは既に国民金融公庫副総裁、そして金融制度調査会の金融システム安定化委員会座長だよ。これが行政というやつか。一回大蔵大臣に聞いてみたい。こんなのが行政なんですか、あなた方の。
  94. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のようなことが原因の一つになって今日の事態を生んでいるということもありましょうけれども、当時の通達の趣旨はそういうことではございませんで、五十五年当時には、一方において住宅ローンというものを充実しなければいけない、他方において系統金融機関資金を活用しなければいけない、そういう需要に基づいて通達が出されたものでございますし、不動産融資規制の時期にはバブルの収束ということを目的として、当時の土地基本法を初めとするすべての政策の動員の一環として金融行政協力をしたというふうに理解をいたしております。
  95. 米沢隆

    米沢委員 実際、この二通の通達が出た翌年の九一年春には、住専各社経営危機は早くも表面化し、ここの時点で農協系に資金引き揚げの動きもあった。もうこんなものはつき合えない。しかし、引き揚げたならば住専は即経営破綻だ。  そこで、大蔵省は引き続き農協系の住専融資の継続の協力をお願いし、そして第二次再建計画がつくられた九三年春になって、もう経営破綻は繕いようもなくなった状況の中で、またそこでも農協系は融資引き揚げを求めることになったけれども、残念ながら融資を引き揚げてもらったら住専破綻するという、またここでもそういう話になって、その結果覚書を交換するということになったんでしょう。こういうものを、ちょうど大蔵省の出された「金融機関不良債権の早期処理について」という、それに審議経過報告も添えてありますけれども、さらっと書いてあるね、これ。  先ほどから我々もちょっと失敗しましたなんというような顔をしておっしゃる答弁とは全然関係なく、ほとんど無関係にこんなことが書いてあるのですね、平気で。そして、「住専は二次に亘り、母体行が主体となって再建計画策定し」と、こうある。確かに、形は母体行がつくったんだよ。しかし、強力な大蔵省のてこ入れの中でやっとつくった再建計画じゃないの。彼らが喜んでつくった話じゃなかったと僕は思うよ、話をいろいろな人に聞くと。  結局、農協系から融資を引き揚げられたら困る、だからとどまってくれ、だから、何とかするからといって覚書になるのでしょう。そして、ここでまた住専破綻すると、大蔵省責任だとおかしくなるから、まあまあといって、嫌がる母体行に判ごまで押させて覚書をつくらせたんだろう。  考えてみれば、それは母体行がつくった再建計画ではなくて、大蔵省がつくった再建計画なんだよ。もしそこであなた方が決断をしておったならば、こんなにロスは膨らんでいないよ。そのツケを今国民の税金で払えと言っておるのだ。そんな話があるのか。答えてもらいたい。
  96. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、金融制度調査会の安定化委員会の中間報告でございますが、九月の二十七日、そこにおきまして、ただいま御指摘のような行政といたしましても反省を求められている部分がございます。すなわち、「行政当局も、住専は預金取扱金融機関とは異なるものであるが、住専の急激な事業者向け融資への傾斜に十分な指導を行いえなかった。」とか、あるいは母体行中心となって再建計画策定した経緯とか、そういうこともこの中間報告の中に記されているところでございます。  ところで、その二年前の第二次再建計画の問題でございますが、この再建計画自体は、あくまで当事者同士の契約というか、当事者同士の協議、合意により策定されたものでございますが、その経過におきまして大蔵省農水省の両省は、協議が円滑に行われるよう行政として可能な限りの対応を行った、それが覚書という形で表現されているところでございます。このこと自体は当事者の協議、合意による再建計画策定を促進したということでございますけれども、このような努力の背景には、当時の経済情勢あるいは地価動向というものに対する一定の判断があったわけでございます。  今になって考えてみますと、当時の状況判断は結果的に楽観的に過ぎたという面があるのではないかということは反省をしなければいけない部分があろうかと思っております。
  97. 米沢隆

    米沢委員 確かに皆さん方のこの文書の中には、「一方、行政当局も、住専は預金取扱金融機関とは異なるものであるが、住専の急激な事業者向け融資への傾斜に十分な指導を行いえなかった。」と、こう殊勝に書いてあるのですよ。しかし、これは結果論としてあなた方はこんなことですっと通っておるけれども、こういうふうにしむけたのはあなた方だと言っておるわけですよ。それを認めなさい。
  98. 西村吉正

    西村政府委員 ただいまの審議会の中間報告は、私どもも参画をいたしまして事務局を務めまして、当時の状況を反省しながら委員の先生方の御指導を受けたものでございますが、そのような文書になりました私どもの理解といたしましては、バブルの時期における住専に対する指導、あるいはその後の再建計画をつくります過程におきましての状況判断、そういうものに対する反省を背景にしたものであるということは申し上げたいと存じます。
  99. 米沢隆

    米沢委員 その再建計画も、その時点において土地がどうなるか金利がどうなるかわからなかった、したがって再建計画をつくらせたというのかな、つくることになったというふうに僕は今聞こえるのだけれどもね。当時から、いろいろな話が伝わっできますように、農協系融資は逃げたかったんだよ、経営が大変だから。母体行ももう逃げたかったんだよ。だから、あなた方が責任を持って処理しますよなんという判こを押されるのは嫌だったんだよ。大蔵省だけなんです、待て待て、再建計画をつくって、もう土地もすぐ上がるから、金利ももっと上がるからと言ったのは。  僕は当事者の皆さんに失礼だと思うんだよな。第二次再建計画をつくるときに、母体行の皆さんは喜々としてつくったのかと聞きたいな。農協系の皆さん方は喜々として、どうぞ使ってください、引き続きとおっしゃったのかと。それならばあなたの詭弁はわかる。  しかし、彼らは逃げたかったんだろう、もう経営危機はそこまで来ておったんだから、経営状況は。もう助けてください、つき合いたくないと、引き揚げたくてしようがなかったのです、母体行だって、農協系だって。しかし、引き揚げられたならば再建計画もパア、そこで住専はパアになる、それはまた大蔵省責任になるから、まあここはちょっと辛抱しましょうということで、あなた方がつくらせたとあなたが告白しておるようなものだ、今の話は。せめて母体行の皆さんや農協系の皆さんに失礼に当たらぬように、大蔵省だけが判断を誤りましたと言いなさい。
  100. 西村吉正

    西村政府委員 ただいまの御指摘のように、私は二年前には直接の担当者ではございませんでしたが、恐らく当時、母体行側もこの住専経営というものについて大変に懸念を持っていたと思います。そして、できることならば何らかの収拾を図りたいと思っておったと思います。他方において、非常に多額の融資をしておられました系統金融機関の方々は、やはりこのような状況を見ながら自分たちの融資した資金を引き揚げたいと考えておられたであろうと思います。  しかし、両者が、一方、母体行側がこの住専を当時処理をしようということを実行し、他方において系統金融機関がすべての融資を回収しようと思っておられるとしたならば、それは当時としても両立しないことであったであろうと思います。両立しないことが激突して金融システムの不安定を呼んではいけないということで、恐らく当時の行政当局である農水省及び大蔵省担当者は、この事態再建計画の樹立ということで収拾を図ろうとしたのであろう、そのような努力をしたのであろうと思います。  したがいまして、決して当時、大蔵省行政の判断の甘さというものを反省しないわけではありませんが、大蔵省が無理やりに再建計画をつくらせたとか、当事者同士でやっていれば何らかの別の解決策が見出せたとか、そういうことでは必ずしもないんではないか、当時の状況下としては一つの選択肢であったのではないかこのように理解をいたしております。
  101. 米沢隆

    米沢委員 私も結果としてこうなったことを前提にして皆さん方を居丈高に怒るうとは思わない。しかしながら、まさに皆さんが金融システムの安定という観点から再建計画をつくろうとされたその判断と、しかしながら、大変住専そのものは厳しくなってきておる状況を見て、これからどういうふうに動くであろうかという判断のミスと、結果としては、今だから言えるんですよ。もしそこで、いろいろあるけれども、今やっておられるような気持ちで、金融システムがちょっと壊れるかもしらぬけれども、この際ここでうみを出そうという決断に立っていたならば、私は、その時点においてまだロスもそんなに大きくなかったから、もっと簡単にと言うたらちょっと難しいが、ちょっと楽にいわゆる住専解決策ができたのではないかと。今さらうらんでもしようがありませんが、そういう話なんですよね、結局。  そういう意味で私は、政治の責任といいましょうか、行政責任というのは本当に重いということを痛感をし、また皆さんもそういう反省の上に立って行政のよろしきを得る努力をしてもらいたいということを申し上げたいと思うのです。
  102. 武村正義

    武村国務大臣 バブルがあって、バブル崩壊になりまして、そんな大きな流れの中で、この住専という、あるいは日本の不良債権という異常な事態が出来をしたわけであります。その間行政責任をめぐって、先ほど来、特に通達行政中心にしながら厳しい御指摘をいただきました。  決して答弁が詭弁ということはないと思うのでありますが、私は先ほどの二つの通達のところから振り返りましても、住専に対しては既に年二回報告するルールが存在をしていて動いておりましたから、そこはたまたま外したということ、これは紛れもない事実だと思います。  問題は、そのことよりも、住専に対する事業融資がどんどん進んでいる、そのことに報告を受けながら気がついて、そのことの異常さといいますか事態というものをなぜ重視をしなかったのかということに対する見方の甘さは、私は、今振り返りますと、責任という言葉も含めて大いに反省をしなければならない点だと思っております。  また、その後地価が下がり始めて第一次再建計画、すぐ破綻してまた第二次再建計画と、こういうふうに運んでいくわけであります。その間、おっしゃるとおり系統住専がもう手を引きたいという声は当然出てきただろうと思いますが、それをとめたのではなしに、そのことでその当時は問題が解決できなかった。  問題は地価をどう見るか。二年、三年と下がり始めて、三年、四年ごろ、我々もあのころどう判断をしたのか。もっともっと下がるぞと思った人もあるし、もうこの辺でとまるのじゃないかと思った人もあるかもしれません。その辺が大変微妙なところになりますが、それは行政の中にもそういう議論があっただろうと思いますが、これも振り返りますと、その後も地価は間違いなく下がり続けておりまして、これが一層傷を大きくしてしまったな、そんなふうに振り返ります。  過去の話でありましても、今大蔵省責任を預かる立場として、政策、行政の過去を振り返って、どこに問題があったかということは率直にやはり認めながら、その反省に立って再出発を図りたいし、また、この問題解決に当たっていかなければならないという思いでございます。
  103. 米沢隆

    米沢委員 もうそろそろ政府住専解決の処理スキームができるころかなと思ってずっと見てきました。もう新聞にはほぼ流れはできたかのごとく報道されておりますが、先ほどの同僚の質問の答えを聞いておりますと、まだできていない。できれば予算内示の二十日以前にはつくりたい。たいは聞こえるけれども、つくりますも聞こえないし、今どこまで来ておるというのも聞こえてこない。今どういうことになっておるのですか。
  104. 武村正義

    武村国務大臣 事がまとまる直前というのは、一層何かこういろいろな声、要求も錯綜しておりまして、なかなか情報開示ができないのはどうぞ寛大に御理解をいただきたいと思うのでありますが、それにしましても、大変大きくて複雑な問題でございますだけに、まだ私が今の時点で、私の知り得る限りでもとんとんといくというふうな、そういう楽観的な見通しは持てません。  しかし、決意としては、思いますじゃなしに年内にまとめますと、こういうふうに申し上げておりまして、全力を尽くしてまとめ切りたいと思っているところであります。  それでも見えてきているところもあるわけです。先般、与党三党のおまとめいただいた、いわば相撲の土俵と言いましたが、こういう土俵だということが明らかになってきております。  受け皿機関をつくるということもそうですし、一社を除いて七社の債権債務をこちらに継承していく、一括して処理をしていくという方針も見えておりますし、また、恐らく日本版RTCの議論もございますが、信組の関係のこの受け皿機関における議論が先行しておりましたけれども住専においても、同じような考え方をやはり持ち込んでいく必要があるというふうに思ってきております。  さらにまた、財政を含めた公的関与につきましても、幾ら、どうするということまでは見えておりませんけれども、私ども、一定の、何らかの財政関与も避けられないという認識でいることも事実でございまして、また、ロスそのものの認識も、先ほど来申し上げておりますように4分類、Ⅲ分類というちょっと専門的な言葉がありますが、この両方で見ると七兆五千億でありますし、Ⅳ分類で見れば六兆二千億でございますが、その認識も大蔵省農水省は一致をしてきております。  等々、まとまっているところ、見えているところも出てきておりまして、最後の責任分担、数字を含めた責任分担がまだ見えていないという状況でございます。
  105. 米沢隆

    米沢委員 しかしながら、マスコミにはかなり詳しく書かれていますね。なるほど、なるほどと見るわけです。  皆さんは、ちょうど最終段階で情報公開は非常に難しいとおっしゃるけれども、どこかでやはりそろそろリークされる人もいるわけですね。そして、それに対して推論を加えながらマスコミは書くのだと思うのですね。全然情報がないところでほとんどの新聞社が同じように書くことはあり得ませんよね、これは。  私は、そういう意味で、情報公開が非常に難しい時期だとはいえ、せめて見えておるところを、今ちょろちょろおっしゃいましたが、大体こういう方式でいきたい、そして、詰めていかねばならぬのはこの金額の問題だと、もっとわかりやすく説明できないものなんでしょうかね。  僕は新聞を見た方がずっとよくわかる。まあ新聞は責任がありませんから、ああだこうだという結果、どういう結果になろうとも彼らは責任を負いませんが、しかし、ああいうふうに流れがたくさん書いてあって、ほとんど同じような考え方で書いてあったならば、せめて大蔵大臣は、今回、例えば七・五兆というものは余りにも大き過ぎるから、第Ⅳ分類に限って六・二兆に減らして、そしてそれを処理することに決めた。母体行にも責任を持ってもらいたいし、貸し手責任を言われる農協系統の皆さんにも、ぎりぎり、その経営にも配慮しながら、迷惑かけないように、元本ロスだけはゼロにしないということで決着しそうですとか、それぐらいの話はできないのかな。  今、僕は新聞等を見ながら大体ストーリーを書きますと、第Ⅳ分類の六・二兆というのを第一次的には処理していこう、そのために、母体行の皆さんには三・何兆かの債権は放棄してもらおう。そして残ったものを、残ったものといえば、六・二兆から母体行が三・六兆円債権放棄されるならば、二・六兆残りますね。これをいわゆる貸付金額の比例配分に分ける。今、一般銀行が貸付金額を三・八兆、農協が五・五兆、これで割りますと、二・六を案分しますと、一般銀行が一兆円、農協が一・六兆円となる。これでは農協は大変だ。  そこで、もう既に大蔵省だって、農協がどれくらいの負担ならたえられるかぐらいの計算はできておるんでしょう。言えないだけでしょう。これは一・五兆から八千五百億ぐらいの範囲だと、もうどんどん聞こえていますよ、ぎりぎりたえられるのは。そういうものにまだ農水省の方がうんと言っていないなら、うんと言っていないと。  そういう話は、情報開示にたえられない話なんでしょうかね、これは。
  106. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 ただいまの委員の質問はこの問題に対する大変機微に触れる問題でございますから、私どもとしてはぜひこの際申し上げておきたいと思います。  今新聞にいろいろ数字があるというお話でありましたが、あのような数字は私どもの頭には一切ございません。全くの想像記事であるとしか言いようがないということをまずお断り申し上げた上で申し上げたいと思いますが、私ども大変綿密に計算しますと、具体的な額は言うことはできませんが、数千億信連が負担することになれば、直ちに二十近くの信連が倒産してしまうという大変厳しい状況であります。信連がだめになればそれから配当を受けている農協もだめになるということでありますから、私どもとしては、そのことがこの問題の処理に当たって大変頭を痛めているところであります。  したがって、はっきり申し上げますが、私は大蔵大臣との協議の場では、農協系統の貸付債権は全額返済して元本ロスは生じないようにすべきであるということが一つ、母体行には全額債権放棄や受け皿機関への出資は当然であり、これを上回る負担を行うことが基本である、この確保がなければ私どもは農協系統協力を得ることはできないと考えている、そういうふうに実は申し上げておりまして、ぜひこの点が確保できるようにこれから大蔵大臣の勇気ある決断を求めたい、こう思っている次第でございます。
  107. 米沢隆

    米沢委員 これ以上申し上げても余り出てきそうにありません。願わくは早急に処理スキームをつくられて、この不良債権解決に向けて国民全部が前へ向かって歩けるようにぜひ御指導いただきたいと思います。  次は、生命保険の経営問題と不良債権の処理の問題について、問題提起を兼ねて申し上げてみたいと思います。  現在大蔵省では、御案内のとおり、銀行不良債権処理問題が議論中心でありますけれども、もう一つの生命保険の問題、経営悪化、これはかなり深刻だというふうに聞いているわけでございます。したがって、早急に再建のスキームをつくってもらいたいというのが第一の趣旨でございます。  生命保険の不良債権といいましても、銀行のように土地の担保がどんどん減価してという話も少々ありますが、銀行ほどではありません。生命保険の一番の難しい問題は、銀行以上に右肩上がりの成長を前提として長期運用がなされているというのが生命保険ですよね。したがって、成長がとまるとかこういう不況が続くとかあるいは金利が下げどまりだ、下げてしまっているというこういう状況の中では、キャッシュフローが一挙にショートするという可能性は十分にあるわけです。したがって、不良債権問題が表面化いたしますと、銀行以上に経営破綻は早いというところが心配されます。  生命保険で破綻が生じた場合には、銀行と異なりまして、預金保険機構のような機能がありません。保険者は自分の一生を担保にして加入しており、考え方によっては預金以上に国民生活に大きな影響を与えるものだと考えます。  同時にまた、この生命保険の方は、預金保険機構ではなくて吸収合併みたいな感じで救おうという保険法の改正を先般見ましたが、銀行は預金とか貸し金なんかの種類は似たようなもので、銀行が違うからといってそう変わったものではありませんが、このごろ生命保険の場合には商品特性が多様に及んでおりますから、つぶれそうだから、うまく経営を譲渡しますからよろしくお願いしますといっても、事務量からしてそんな簡単なものではないという特殊性を持っているわけでございます。  そして、調べてみますと、中堅以下の生保会社の資産運用は劣後債券での運用比率が高いと言われておりまして、極めて難しい状況の中で頑張っておられる。そういう意味では、銀行不良債権の質よりも極めて悪い。このごろ銀行の方は公定歩合の下げで業務純益も相当上がっておりますが、長期の運用をしなきゃならぬというところはもう生命保険だけじゃなくてみんな頭を抱えていますよね。  そこで、森井厚生大臣、わざわざお出かけいただいて申しわけございませんが、中堅の生保の資金繰りを可能にしてきた大きな要因の中で、年金福祉事業団を中心とした年金資金の運用というのが挙げられます。特に、年金資金の運用は生保の規模で、大小でやるというよりも大体平均的にお願いするというような形でやっておられましたから、小さいところにとっては非常にありがたかったんだと思いますよね。  ところが、こういう情勢を反映いたしまして、厚生省は今度年金の予定運用利率を引き下げるとかあるいはその他の手段を使って防衛に入っておられるわけで、今どういう決定がなされ、いつごろからその決定が実行され、そのことについての生保等の関係者との協議みたいなものは進んでいるのかどうか、それをまず一点伺いたいと思います。
  108. 森井忠良

    ○森井国務大臣 年金の生保における保証利率の問題につきましては、御指摘のように運用環境が悪化しておりますので、生命保険協会からは二・五%に引き下げてほしいという要望が出されていることは事実でございます。  経過を申し上げますと、厚生年金基金等が契約をする生命保険の一般勘定契約におきましては、基金財政の安定化の見地から、関係者の合意を得まして、昭和四十一年度に制度が発足をしておりますが、このときは五・五%でございました。これは政令で定めておるわけでございますが、これが昨年になりまして四・五%に引き下げをいたしまして今日に至っているわけでございます。  保証利率の引き下げということになりますと、これは当然のことでありますが、年金基金財政に大きな影響を与えるものでありますから慎重な取り扱いが必要と考えておりまして、政令による保証利率の規定というのもこれは一種の運用規制でございまして、基金に対する運用規制の緩和の一環といたしまして、いわゆる五・三・三・二規制というのがありますけれども、これを緩和する方向で現在検討を行っているところでございます。  いずれにいたしましても、年度の中途で利率を変えるというようなことはできませんので、なお慎重に検討していきたいというふうに考えております。
  109. 米沢隆

    米沢委員 厚生大臣ありがとうございました。もう結構です。  そこで、先ほどから生命保険の経営問題と不良債権の処理の問題について申し上げておりますが、大蔵省としてはどういう御認識ですか、生保の問題は。
  110. 福田誠

    ○福田(誠)政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、生命保険会社経営につきましては、現在、保険料収入が伸び悩み、また資金運用難というようなこともございまして、大変厳しい状況にございます。  ただ、現時点の状況だけを申し上げますと、株式相場あるいは為替相場等の運用環境が比較的安定して推移しておりまして、こうした状況が続きますれば、全体としては平成六年度の決算に比べてさらに落ち込むようなことはないものと考えております。ただ、こういう大変厳しい環境にございますので、生命保険会社各社におきましては、それぞれリストラ等の事業の合理化に一層の努力を払っております。これによりまして事業収支の改善が図られ、プラスの効果が出てくるものと期待をしております。  いずれにしましても、御指摘のとおり、各社としましては中長期的に経営の強化を図る必要がございますので、経営改善のための諸施策を講じまして契約者の利益の保全に万全を期するように努力を続けておりまして、私ども当局といたしましても、そのような方向で積極的に指導しているところでございます。
  111. 米沢隆

    米沢委員 現在の生保の状況等については軽くおっしゃいましたけれども、私は、来年度は皆さんはてんてこ舞いになることがあり得る、そう思っておりまして、今金融制度調査会等では銀行の問題をやっておられますが、できれば生保の問題を含めてどこかでやれるようなところをつくっていただいた方がいいのではないか、僕はそう思うのです。老婆心ながら申し上げます。大臣、どうですか。
  112. 武村正義

    武村国務大臣 保険契約の伸び悩み等があって、従来のように生命保険会社経営が明るくないことは承知をいたしております。申し上げたようなリストラ努力や、株が一万九千円台になってちょっとほっとしているという、これは資産の関係ですが、そんなこともあって、総体にはちょっと落ちついてはおりますけれども、大変厳しい予測をいただいて激励もいただいたというふうに承って、銀行に次いで生命保険がそんなことにならないように、保険部を中心に精いっぱい努力をさせていただかなければいけないというふうに思います。
  113. 米沢隆

    米沢委員 次は、法務大臣、わざわざ来ていただいておりますからそちらの質問を先にしたいと思いますが、御案内のとおり、木津信組の救済あるいは大阪信用組合の救済に当たって日本版RTCをつくろうという構想があります。  私は、文句を言えば、全然まだ概要も公表されず、ただ考え方だけがあるものにどんどんどんどんごみ捨て場みたいに持っていって一体どうするのだろうかという懸念があることは事実ですが、しかしもしこれができ上がってうまく機能するとするならば、この日本版RTCというのは、債権の回収を物すごくやっていかなければいかぬわけですね。アメリカの例なんかも物すごい苦難の中で頑張られてうまく成功したという結果でございますが、ちょっとやそっとで僕はRTCに投げ込まれた債権がどんどん回収されることは考えられないのですね、その債権の質も悪いですから。  そうした場合に、みんな担保に持ったものを裁判所に持っていって競売にかけるような手続が相当ふえていきますね。現に新聞なんかを見ますと、今既に「競売件数の急増で、競売手続きの遅れも目立ってきた。申し立てから売却実施命令が出るまで、東京地裁では早くて十カ月、遅いものは二年三カ月もかかる。」というのですね。  そしてこれから、御案内のとおり、ノンバンク不良債権の処理は山場を迎えるわけでございまして、「金融機関の間で不良債権の一括償却を目指す動きが強まっているが、それには担保物件を換価処分し、貸倒額を確定する必要がある。抵当に入っている債務者の不動産を差し押さえ、競売に掛ける案件が急増するのは必至だ。」それに対応して裁判所の陣容も徐々には拡大をされているようには、充員されておるようには書いてありますが、問題は、結局競売手続をおくらせているのが暴力団などによる執行妨害、そして債務者、所有者に限られる保全命令の対象を権利もなく占拠している者まで拡大すべきだ、これは民事執行法を改正せよというような意見が書いてあるわけです。  これから大変難しい債権を回収していくに際しましては、先ほどから答弁がありますように、司法の手もかりてやりたい、こうおっしゃっておりますが、問題のこの競売がうまく回らない限り、ほとんど処理はそこでとまってしまうという関係にあるわけですから、できれば民事執行法等を改正して、できるだけ競売がうまくいくような環境を整備するために、民事執行法に問題があるとするならばそれを改正していこうということを僕は早急に検討していただきたい。まあ日本版RTCが来年の春ぐらいから回るとするならば、まさにこれはちょうど隆路になる問題でございますから、ぜひ法務大臣としても御検討方をお願いしたいと思ってわざわざおいでいただいたようなわけでございます。よろしく。
  114. 宮澤弘

    ○宮澤国務大臣 専門的な問題でございますので政府委員から答弁をいたさせますが、おっしゃいますことは私自身も今後検討課題とさせていただきたいと思います。
  115. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のとおり、競売という手続になりますと裁判所が関与するわけでございまして、その手続につきましては、昭和五十四年に民事執行法という法律を整備いたしまして、手続的には迅速適正な処理がされるような手続になっておると承知しております。  御指摘のございました売却のための保全処分、この保全処分の対象者が債務者に限られているという御指摘がございましたけれども、この点につきましては、その民事執行法制定の際の国会審議におきまして、これは政府原案といたしましては債務者だけではなくて占有者も含むという案でございましたけれども、広く占有者を含むことにいたしますと善良な占有者の利益を害する場合もある、例えば差し押さえ前から合法的に不動産を占有している労働組合等の権利を不当に脅かすおそれがあるのではないかというような理由から、政府原案が国会において修正されて債務者に限ることとされたという経緯がございます。したがいまして、大変重要な指摘でございますので、その点についての対応については慎重に対処する必要があるというふうに考えております。  なお、裁判所の実務におきましては、債務者が執行妨害の目的で占有をさせた暴力団の組員等債務者の占有補助者と同視することができるなど一定の範囲の者につきましては、事案の実態に即してこの保全処分の対象とする、それによって不当な妨害により競売手続が遅延することがないよう解釈、運用がされているところでございまして、今後とも裁判所においてそのような事案の実態に即した運用の努力がされるものというふうに認識しておりますし、迅速な処理についても裁判所は懸命に努力をしておられるというふうに承知しているところでございます。
  116. 米沢隆

    米沢委員 あと五分になりましたので、あと一問御質問いたします。  いろいろと新聞等を読んでおりますと、アメリカのあの大和銀行の事件に端を発しまして、早く我が国の金融システムに対する信用を回復しなきゃならぬ、単にそれは政府だけではなくて銀行マンの中にも、この際、不良債権をいつまでもだらだら持つのではなくて、一挙に一括して処理していこうという動きがあるやに伝わります。僕は、これは本当に非常にいいことだと思いますね。  それで、特に都市銀行二十一行等については、九六年の三月ぐらいにはできれば一括処理したいという意向を持つところが多いそうでございますが、体力の差もあってそうはまいらぬというところもある。しかし、もし一括してした方がいいなと政府指導なさるならば、やってやれぬことはない。  その担保として、いわゆる優良株というのかな、その発行、特に体力の弱いところは、一挙にやりますと自己資本が欠損する、欠損したらBIS規制に触れる、それはイコールまた格付に響いて、海外での活動がかなりセーブされるということでございますから、やはり自己資本比率は達成させてあげねばならぬ、そのために優良株を発行させるという手法があるではないか等々の話がある。しかし、一挙に優良株をみんなが発行しますと証券市場が混乱するわけでございまして、証券業界の方からは余りいい話ではないと批判も出ている。  そうなれば、もし一括して処理をさせよう、そのかわり、体力の弱い方々が優良株を発行するならば、証券市場てさばき切れぬならば、それを買い取り機構をつくって優良株を引き受ける、そのかわり一挙に処理していくという方法等がいろいろと議論されておるやに聞いておるわけでございますが、大蔵大臣でもいい、村山総理でもいい。  一つは、九六年三月にでき得る限り一括処理するように行政指導しているのかしていないのか。その方向が望ましいのか望ましくないのか。もし望ましいとするならば、体力のないところの自己資本比率の欠損をどう埋めてあげるのか。そのとき優良株の話は有力な手段として考えておられるのかおられていないのか。そして、証券市場との関係もありますから、それを引き受ける、財投なんて特殊法人は嫌いだから言いませんが、何か引き受ける手段を考えてでもやってあげて早急に片づける方向に行政指導を持っていきたいと思っておられるのかどうか。ちょっと質問が行ったり来たりしましたが、お二人にちょっと聞いてみましょうか。
  117. 武村正義

    武村国務大臣 おっしゃるとおり、不良債権の処理に対しては、金融界全体がなるたけ早く処理をしていこうという考え方になりつつあるというふうに私どもも認識をいたしております。  早い銀行は、おっしゃるような目標を持っているのもあるようでありますが、しかし、実際は不良債権の額とか対応する能力は極めて個性的でございますから、一様にはいきません。でも、当初私どもが五年前後という目標を、あれは六月でございましたか全体の状況として申し上げましたが、先ほどお答えしたように、それを前倒ししていこうということでありますし、一番進んだ場合は、今おっしゃったような形で一挙に乗り切るところも出てくるのかもしれません。  ほとんどの銀行がそうなる、住専だけではなしに全体の不良債権を一気に解決するということはそう容易でないと思いますが、ただ、引当金の積み立てとかあるいは特別償却のための勘定の資金をふやすとかいう努力を重ねておりますし、また、この含み益の見方も株の動向によって増減いたしますが、こういう展望も片方にございまして、かなりの銀行金融機関がそういう能力を持ちながら意欲を示し始めているというふうに思っております。  御指摘のような優良株云々、ましてやそれを引き受ける機関という話は、そういうことが一部で出ていることは承知をいたしておりますが、私どもが今の時期にこの問題、フォーマルな形で申し上げられるようなところまでまだ来ていない、一つの提案だというふうに受けとめているところでございます。
  118. 米沢隆

    米沢委員 時間が参りましたので終わりますが、いろいろな努力銀行のバランスシートはよくなると思いますが、結局、持っておる債権が、不動産が動かないということが大変な問題ですから、またそれを成功させるかどうかは日本版RTCの成否にかかわる話でございますから、次はそんな話もしてみたいと思います。  どうもありがとうございました。
  119. 上原康助

    上原委員長 これにて米沢君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  120. 上原康助

    上原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  122. 上原康助

    上原委員長 次に、草川昭三君。
  123. 草川昭三

    草川委員 草川です。本日は不良債権の実態問題を中心議論をさせていただきたい、こう思います。  その前に、日銀の総裁においで願っておりますから、日銀の総裁に対する質問をまず最初に集中をさせていただきたい、こういうように思います。  それで、総裁がお見えになっておられますので、大変恐縮でございますが、日本銀行の特融、いわゆる二十五条というのですか、この特融の残高というのが既に一兆円を超えているというようなことが伝えられているわけであります。改めて、一兆円を超えたか、こういう感じなんですが、実際、大阪の各金融機関等々のつなぎ等々のことを考えると、やはり一兆円というのをもう突破したんだな、これは大変なことだなというのが私の率直な感想なんです。  また今後とも、金融機関不良債権というのはそれぞれかなりたくさん持っておるわけでございますので、下手をするとこの特融というものが際限なく増加をしていくのではないだろうか。ということになりますと、中央銀行の資産の健全性というような観点から見てもこれはかなり要注意だ、問題ではないだろうかというのが私どもの率直な感想でございます。  この際、何らかの歯どめというのが必要ではないだろうか。これは国民の一人として当然そういうことを感ずるわけでございますが、この点について、日銀の総裁としての見解を求めたいと思います。
  124. 松下康雄

    ○松下参考人 現在、日銀が実施をしております特別貸し付けは、コスモ信用組合それから木津信用組合、兵庫銀行、この三つに対するものでございますけれども、このいずれもが預金者の保護を通じまして金融システムの安定を図っていくという観点から、これら破綻金融機関の最終的な処理方策が実行されますまでの期間、預金の払い戻しあるいは業務の継続に必要な資金を融通をしているものでございます。  さようなものでございますので、最終処理方策が実行されるまでの間につきましては、なおこれがある程度増加をしていくということもやむを得ない点であると考えております。  しかしながら、御指摘のように、特別貸し付けがもしも今後どんどんと増加していくということになりますというと、それは中央銀行としての財務の健全性の見地から見て好ましいものではございません。しかしながら、現在の特別貸し付けは最終的な処理方策が実行に移されるまでのつなぎの資金融資でございますから、この方策が実行に移されますというと、当然その時点で最終方策に即して全部返済をされるという性質のものでございます。  したがいまして、私どもは、このいずれの場合につきましても、最終処理方策の策定を急ぐことが大切であると考えておりますけれども、その点、現状を申し上げますと、コスモ信用組合につきましては、来年の三月二十五日に東京共同銀行事業譲渡をするという予定でございます。また、兵庫銀行につきましては、来年一月二十九日にみどり銀行事業譲渡をする予定でございますので、この時点におきまして、これらに対します特融は返済を受けることになります。木津信用組合につきましては、まだ日にちは確定をしておりませんけれども、方針としまして、今後東京共同銀行が改組してつくられる新しい受け皿機関に事業を譲渡しまして抜本的処理を行うという方向は決まっておりますので、私どもといたしましては、その方向が早く実行されることを期待をいたしておるわけでございます。
  125. 草川昭三

    草川委員 じゃ、大蔵大臣にお伺いをしますが、今の質問に対して日銀総裁は、つなぎだから、いずれは返済されるんだから、まあまあと、こういうお話でございました。そこで、しかし私は先ほど申し上げたように、つなぎにとどまらない本質的な危機というのは深刻化しているのではないか、こう思うのですが、その点は大蔵大臣としてはどのような御見解が、お伺いをしたいと思います。
  126. 武村正義

    武村国務大臣 御承知のように、金融機関破綻という経験を昨年来してきているわけでございますが、金融機関破綻で、一つは預金者の保護でありますが、一つはやはり日本の金融界全体に不安が広がったり大きくなったりしないための措置、緊急措置が必要だ。ある種の危機管理とも言えますが、そのことに全力を挙げて一つ一つの事態に対応してきているわけであります。日本銀行と私ども大蔵省、本当に一心同体で破綻問題に対処をしてまいりました。そういう中で、日本銀行法第二十五条で許される特別貸し出しに日本銀行協力をいただいて、この三つの破綻金融機関に対しては御承知のような措置をとっていただいているわけです。  今、総裁からお話がありましたように、それぞれ処置がつけばその貸し出しは返ってくるわけでありますし、今残っております木津信用も来年、これは国会にぜひお願い申し上げますが、法律改正を含めて受け皿機関、先ほど来のRTC的な性格を含めて物をまとめていきたいと思いますが、こういう法律を提案し、御了承いただければそういう機関が誕生することになりまして、そういう中で結果として木津信用の問題も処理をしていく、したがって日銀特融が返っていくというようにしていかなければならない。借りっ放しでどんどん金額が膨らんでいくというふうなことに一方的にならないように私どもも考えていかなければならないと思っております。
  127. 草川昭三

    草川委員 じゃ、今度は総理にお伺いをしたいと思うのですが、つなぎなんだから心配をするな、東京共同銀行方式もある、こういうような答弁ですが、御存じのとおり、東京共同銀行もこの国会でいろいろな議論があってああいう形に落ちついておるわけですが、まだまだ本質的な救済金融機関と認定されたわけではないわけです。不良債権問題について、このように日銀法二十五条に基づく特融が、国会への報告もありませんし、もちろん了解ということもありませんね。しかし、一兆円を超えるという金額がとにかく現在出ていることは事実なんです。こういうことについて総理としてはどのような御見解が、この際改めてお伺いをしたい、こう思います。
  128. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今、日銀総裁や大蔵大臣から答弁もございましたように、破綻をした金融機関で当面一番行き詰まるのは何かといえば、預金者が払い戻しを求めたときにその資金がないというのでは、これはもう信用秩序は破綻をするし、金融不安というのは一層広がっていくわけですから、したがって、そのつなぎのための資金というものを緊急に日本銀行が第二十五条に基づいて融資を行うということは、そういう預金者の立場を守るということと同時に、信用秩序に対する信頼を保持していくという意味からすれば、私はやむを得ないことではないかというふうに思います。今回の措置も、二十五条に基づいて、法に基づいた手続を適正に行われたというふうに思っております。  しかし、今、これが次から次に野方図に拡大されていって、そしてさらに混乱を大きくするというようなことにもなり得ないかという懸念が示されたと思うのですけれども、私は、今大蔵大臣からも答弁がございましたように、最終的な処理機関を設置して、そして決着をつける受け皿というものをきちっと確立していく、同時に、金融機関全体の預金保険機構といったようなものも見直しをして、やはり強化していく必要があると思うし、そういう責任体制を明確にした中から何とかこの金融不安というものをできるだけ早い期間に解決をするということが、景気全体の動向にも大きな影響があるわけですから、大事なことだというふうに考えております。
  129. 草川昭三

    草川委員 そういうように適切な対応が立てられているとするならば、先ほどの米沢委員のような質問は出てこないわけなんですよ。だから、私どもはそういう立場に立って質問しておるわけです。  では、今度は日銀総裁にお伺いをしますが、日銀は、上期の決算で特融残高の二五%を準備金として積み立てていると言われておりますけれども、これは、貸し倒れということをある程度念頭に置いているのではないか。そもそも特融についてはあくまでもつなぎだから心配するなという答弁ですけれども、ならば二五%の準備金を積む必要はないと思うのですが、その点はどうでしょう。
  130. 松下康雄

    ○松下参考人 現在実行いたしております特別貸し出しは、最終処理方策が実施されますまでのつなぎというものでございまして、その最終処理方策によりまして全額返済をされることになっているということでございます。  ただ、この貸し出しの形態を見ますというと、これは通常の日銀貸し出しとは異なっておりまして、元来が、市中から資金を調達することができない破綻金融機関に対しまして特別の資金を供給しているものでございますから、日銀の貸し出しに当たりましては、通常のように担保の徴求を行うということを必ずしも前提としていないわけでございます。  したがいまして、この貸し付けの形態から見ますというと、これが返済をされますまでの期間におきまして、やはり中央銀行の財務の健全性を確保するという観点から、何らかの対応策を講じておくことが望ましいというように考えまして、過去におきましても、山一証券等に対します特融を行いました場合に、これに対する準備金の積み立てを行ってきておりますけれども、それと同様に、今回の三件の特融につきましても、特別の準備金を積み立てておくのが適当である、あるいは必要であるというふうに判断をした次第でございます。
  131. 草川昭三

    草川委員 私は、積み立てることがけしからぬという意味ではなくて、やはり日銀としては、あらゆる手を打っておいた方がという意思が念頭にあるからそういう措置をされたと思うのです。でなければ、やはり国庫納入は国庫納入にしていただかなければいかぬわけでありますから、私はそういう立場から物を言っているつもりであります。  次に、我が国の破綻をした金融機関の処理において、特にかねては東京協和あるいは安全信組、これらの救済がスキームとして議論をされたわけでありますけれども、その東京協和、安全信組等に全く関係のない全国の民間金融機関に、金融システムということが大切だ、こういう立場からいわゆる奉加帳方式による支援が求められたわけであります。奉加帳を回したわけですね、わかりやすく言うならば。これが私は、かえって日本の銀行の体力というのを弱めることになりますし、海外からの日本の金融機関に対する不安感、不信感、こういうものが俗に言うジャパン・プレミアムの一因になったのではないだろうか。また、事実そういうことを指摘をする人もおみえになるわけであります。  また、現在、金融制度調査会の金融システム安定化委員会議論をされておりますところの預金保険の特別ファンド構想も、こうした奉加帳を制度化するだけの方法ではないだろうかという見方もあるわけでありまして、これについて私は非常に問題がある。かえって不信感を増すのではないだろうか海外から見た方々に。そういう考えを持っての質問でありますが、総裁の見解を求めたいと思います。
  132. 松下康雄

    ○松下参考人 これまでの金融機関破綻処理に当たりましては、それぞれの場合に応じまして、経営責任を徹底的に追及をするということを前提にいたしまして、預金保険等からの資金援助を行いますほか、関係金融機関などの民間金融機関からも支援を求めてきた次第でございます。  この点は、現在、ディスクロージャー等の現状を踏まえ、破綻処理の方策としてペイオフを回避せざるを得ないという状況のもとにおきまして、金融システムの安定を維持するためのコストにつきましては、モラルハザードを回避するというような観点から申しましても、まず金融業界全体あるいは関係金融機関にできる限りの負担を求める必要があるという考え方によって来たものでございます。  もとより民間金融機関による負担にはおのずから限界がございますから、負担が過大というようなことになればそれは金融システム全体の活力をそぐことにもなりかねない次第でありますけれども、そのような点に配慮されまして、金融制度調査会において、現在、現行制度のもとでの預金保険による資金援助では貯えない破綻処理費用につきまして、より以上に透明性を高めていくという観点からも、民間金融機関からの特別保険料の徴収等によりましてカバーをしていくという制度の具体化について検討が進められているところでございます。  その際には、当然我が国の金融機関の国際競争力に悪影響を及ぼすようなことがないようにという点、またあるいは民間金融機関だけでは負担できないような場合には、国民的合意を前提としました公的資金の時限的な導入等につきましても検討を行うというような観点からの御検討が行われているということでございます。  私どもといたしましても、金融機関破綻処理につきましての損失負担のあり方につきましては、今後なお金融制度調査会その他の場におきましての御議論が深められて、早期に成案が得られることを期待いたしております。
  133. 草川昭三

    草川委員 今、日銀総裁の答弁の中で、日本の金融機関、これは農協等も含めての話でありますが、負担が過大となれば、かえって金融機関全体の活力を弱めることになるし、かえってシステムというものを混乱させるんではないだろうかという答弁もありました。これは非常に重要な問題提起だと思うのですよ。  大蔵大臣にそこで質問をしますけれども、そしてまた、国民的な合意を前提に公的資金の導入というのが必要だとおっしゃってみえるわけですよ。そこら辺の点については、大蔵大臣は奉加帳方式の私の質問を含めてどのようなお考えかお答え願いたいと思います。
  134. 武村正義

    武村国務大臣 委員がおっしゃる二信組のときの奉加帳というのは大変わかりやすい表現でございますが、すべての金融機関に大なり小なり協力を仰いだわけであります。あれが初めての破綻という経験でございますから、確かにあの考え方が、スキームを発表してから納得をいただくまでに多少努力が要ったというのは事実でございます。多少のぎくしゃくもあった保のかもしれません。今は全金融機関から負担をいただいて処理が進んでいるところでございます。  日本の預金保険機構の保険料は、必ずしも国際的に見て高いわけではありません。そんな中で今回の幾つかの破綻の経験をして、金融制度調査会にああした御議論をいただいて報告をいただいているところでございます。信用組合に特に焦点を当てながら、都道府県知事監督のもとにありますけれどもこういう事態が相次いたことを踏まえますと、何らかの新しい知恵といいますか、一つのシステムがやはり必要だというふうに思います。  特に、公的な負担になりますと、東京都の問題があれだけ大きな問題になりましたように、過去は、信用組合の破綻といいますか経営悪化が起こって吸収するような場合、してもらうような場合が多いのですが、それもほとんど、金額の多寡はありますけれども、東京都も含めて公的負担をずっともう十数年していただいているわけであります。  そんな実態から考えますと、一つのルールのもとに保険料もある程度上げる、同時に信用組合の受け皿機関については地方団体も一定の負担ができないだろうか。その場合には国も、木津のようなこういう巨大なというか一兆円を超えるような破綻を経験してまいりますと、これはもう大阪府の公的負担だけではどうしようもないという状況の中で、国も一定の公的負担を考えるべきではないかという御意見も浮上してきております。  まだ結論を出しておりませんが、しっかりした、信用組合に対応できる機構をつくっていく、そして金融の安定を果たしていくために、そういうせっかくの提案が出ているわけでございますから、私どもも真剣に、引き続いてこの問題は煮詰めてまいりたいと思っているところでございます。
  135. 草川昭三

    草川委員 私、大蔵大臣にこの際ちょっとお伺いしておきますが、また後ほど触れようと思うのですが、いわゆるシステムが危機だということが盛んに言われておりますよね。その前提で我々は議論するのですが、守るべきものは一体何か、危機の問題について。私は、それは決済だと思うのですよ。決済ね、やりとりの。その決済を大切にする、信用秩序というものを維持するということだと思うのです。だから、預金は常に保証されるべきだ、こう思うのですよ。  だから、例えばの話ですが、ちょっと余談になって申しわけないのですが、住専破綻について米沢さんも言っておりましたけれども、少なくとも三年前のときに、破綻があるとするならばそのときにいわゆる法的な措置をして、そして公的資金が必要なら必要でそのときに対応しないで、農協系ががたがた言うならそれは我々、法的な措置に訴えたっていいんですよ、その方がかえって楽なんですよということを今になってから言われたって、それは相手側はおさまりませんわね。そういうことが大切なので、その点をひとつきちっとしておっていただきたいということを私どもは申し上げておきたいと思うのです。これはまた後で議論をします。  そこで、もう日銀の総裁には最後の質問になりますけれども住専問題についてでございます。  この住専問題の処理について、日銀の資金を含む公的資金の導入が先ほども若干触れられましたけれども、公的資金の導入に当たっては、まずもってこうした問題が発生した原因の究明や責任の追及を徹底的に行うということが私は大前提だと思うのですよ。その原因の追及ということについて、ほとんど今日まで出てないんですよ、不良債権を発生した原因責任というものが。こういうことについては、当たり前といえば当たり前の話なんですが、その点は、日銀の総裁としてどのように御判断をなすっておみえになりますか。
  136. 松下康雄

    ○松下参考人 日銀といたしまして、これまで不良債権問題の処理を行ってまいります際に、モラルハザードを防止するという観点から経営者あるいは出資者等に十分な自己責任を求めていくということは極めて重要であると考えまして、そういった考え方を踏まえて問題の対応に当たってまいったところでございます。  私どもが個別の破綻金融機関の処理スキームに資金の供給を行います場合には、三つの原則を挙げまして、一つは、金融システムにリスクが現在あるということ。それから第二には、日本銀行資金供与が問題の処理に不可欠であるということ。第三番目に、経営者あるいは出資者等の責任を厳格に問いまして、いわゆるモラルハザードの問題を生じさせないこと。これを原則として考えてまいったわけでございます。  これまでの処理に当たりまして、あるいは経営者の退任でありますとか、私財の提供ですとか、あるいは出資金の損失への充当といったような措置を貫いてまいりましたのはそういった方針によるものでございますけれども住専問題の処理に関しましても、やはり公的資金導入の是非あるいは方法ということを検討いたします際にも、そういう点につきまして、物事の責任の明確な対応、これによるモラルハザードの回避ということは非常に肝要なことであると考えております。
  137. 草川昭三

    草川委員 総理、先ほども、総理がちょっとお見えにならないときに他の同僚委員の方々から、不良債権を発生したところの金融機関の幹部の方々、頭取を含め、理事長初めそういう方々が一体どの程度の反省をしているのか。大変高いボーナスをもらい、年収入も我々の想像を絶する所得がある。そういうことについての経営責任というのはほとんど追及されていない。もっとそれは責任は追及されてしかるべきではないかという発言がここでございました。  その点について総理はどのような御判断を持っておみえになるかこの際、お伺いをしたいと思います。
  138. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 振り返って考えてみますと、八〇年の後半ぐらいからバブルが発生して、そして九〇年の前段ぐらいに崩壊していく、こういう経済の急激な変動の中で、価格が異常に高まったかと思ったら急激に下がっていく。こういうような状況の中で、金融機関が、とりわけ建設業者や不動産業者等々に対してそういう管理上のリスクというものも恐らくは考えなかったとは言い切れぬかもしれませんけれども欠いて、そして今日のような不良資産を抱える現状を生み出してきたということになっておると思いますが、そういうやはり問題のあり方と原因責任というものが明確になっていかなければ、これは処理の対策というものは立てられないので、私は、ある意味では当然のことだというふうに思います。  とりわけ、これからまたこの処理のあり方については、公的資金の導入といったようなものも課題になるとすれば、やはり国民の皆さんの御理解が必要なので、国民の皆さんの理解も得られないような形の中で始末のつけられる問題ではない、私はそういうふうに考えております。
  139. 草川昭三

    草川委員 日銀総裁、御苦労さんでございました。以上でございますから。  そこで、不良債権の実態に入る前に一つ、話は飛びますので最初に確認をしておきたいのですが、先ほども兵庫銀行破綻の問題が出ました。それなりの救済策がとられているわけですが、兵庫銀行の有価証券報告書というのが平成七年にあるのですが、一体その監査法人というのがどのような報告をしていたのか私も若干奇異に思いましたので調べてまいりましたら、監査法人がもちろんあるわけであります。平成七年六月の二十九日にこの監査法人という会社の名前とそれから公認会計士の二人の名前で兵庫銀行に監査報告をしておるわけでありますが、損失金処理計算書等については通常、特に問題はない、一般に公正妥当と認められた云々ということでございまして、営業成績を適正に表示をしていたものと認めるということになっておるわけです。  にもかかわらず破綻をしたわけでありますけれども、こういう監査法人の役割というのはどの程度の責任があるのか。監査法人の信頼ということで株主は安心をするわけであるし、預金者というものはこれで信用して預金をするわけであります。ところが、現実にはそれと違った形で破綻をする。こういう問題について、監督行政であるところの大蔵省あるいはまたこれは証券局にも問題があると思うのでございますが、どのようにお考えかこの際お伺いします。
  140. 日高壮平

    ○日高(壮)政府委員 監査手続の具体的内容につきましては、私ども具体的に把握をしているわけではございませんのでコメントは差し控えたいと思いますけれども、今御指摘がございました監査法人の役割というものは、現在の法律のもと、公認会計士法でございますけれども、その法律に基づきまして監査法人というのは設立されるわけであります。業務は、主として財務書類の監査、証明の業務を行っております。  現在の監査法人制度は、企業の経営規模の拡大、経営の多角化に伴い、公認会計士個人ではできない、そういう組織的な監査を実施させることを目的として昭和四十一年に導入されたものでございます。私どもとしては、従来から監査手続の改善のため各般の措置を講じてきているところでございますけれども、監査法人、公認会計士による適切な監査の実施を期待しているところでございます。  ただ、証券取引法に基づく監査報告手続というのは、いわゆる有価証券報告書に監査意見がつけられるということでございまして、現在の証券取引法上に基づくこういった書類の審査については形式的に行われている、そのことだけ申し上げておきたいと思います。
  141. 草川昭三

    草川委員 私、別に監査法人の手続を聞いているのじゃないんですよ。いいですかもう一遍。これは大蔵大臣に答えてもらいますが、この兵庫銀行の場合、破綻直前の三月にこの有価証券報告書に、監査法人トーマツというのがあるのですが、何らの限定意見というのをつけていないのですよ、何らの限定意見というのは。それは一体どういうことなんですか。  だから、そういう程度でいいんですか、今の銀行の監査法人の役割は。何も意見なし、適正に表示しているものだ、こう言っていて破綻をするわけですから、その程度のいわゆる価値なんですかね。それをちょっともう一回念のために大蔵大臣答弁してくださいよ。銀行局でもいいし、証券局でも。要するに、監査法人というのはその程度なんだね。だまされてもいいということなら、はっきりとここで言ってください。だまされてもいいんですよ、仕方がないんですよというなら、それはそれで答えてください、はっきりと。そんなばかなことありますか。
  142. 日高壮平

    ○日高(壮)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、個別の案件についての監査の内容をどうするかという点につきましては、私どもとしては監査法人が適正にやったものとしか受けとめようがない、その点は御理解を賜りたいと思います。
  143. 草川昭三

    草川委員 ならば、今度は銀行局に聞きましょう。  兵庫銀行の特別検査をやったんでしょう、大蔵省は。特別検査をやったわけですから、当然九五年三月の有価証券報告書と検査内容の違いはチェックしたはずですよ。イロハのイの字でしょう、そんなものは。銀行局、検査をやったんだから。何の行動も起こさなかったんですか、今の証券局は、それは知らぬよ、私の責任ではございません、有効に機能したと思う、こう言っているんですが、その後に銀行局は検査をやっているんですから、そこはどうお答えになられますか、お答え願いたいと思うんです。
  144. 西村吉正

    西村政府委員 監査法人の監査結果ということは別といたしまして、私どもは私どもといたしまして、たびたび兵庫銀行に対する検査を行っているわけでございます。その都度実態の把握に努めておるわけでございますけれども、かねてから兵庫銀行経営状況が芳しくないということについては私どももそのような認識を持っておりまして、私どもとしても、この経営状況を何とかしなければいけないということでそれなりの方策を立ててまいったわけでございます。
  145. 草川昭三

    草川委員 要するに私が言いたいのは、これは大臣も総理も聞いておいてくださいよ、銀行局は検査に行ったと言うんですけれども、そのときの有価証券報告書の中で監査法人がどういうことを監査したかを調べていないんですよ、今の答弁は。破綻したんだから、もっと一生懸命全部チェックしなきゃだめなんですよ、監査法人はどういう監査をしたのか。それで、監査法人が適正だ、こう言っているなら、その監査法人を呼んで、おかしいじゃないかということを証券局に言わなきゃだめなんですよ、証券局へ。局が違うから関係ない。何を我々は信用したらいいんですか。こんな有価証券報告書なんというのは中身を幾ら見たってしょうがない、そういう答弁ですよ、これは今。大蔵大臣どう思いますか。
  146. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、監査法人の監査結果ということは別といたしまして、我々の気持ちといたしましては監査法人以上の厳格さを持って検査に臨んでいるつもりでございますけれども、そのように我々の検査というものに全精力を注いで行政の基礎としている、こういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  147. 草川昭三

    草川委員 要するに、証券局は知らなかったことは事実なんですよ。  そこで、余りこの問題について時間をとる気はありませんが、アメリカの場合は、またあすアメリカへ調査に行った方からの質問があると思うんですが、アメリカの企業監査ということは、八九年以降、その企業が継続できるのかどうか、その存続能力については重大な疑いがあるかどうかを積極的に評価する、これが義務づけられているんですね、アメリカの場合は。だから、かなり監査法人というのは真剣にやるわけですよ。真剣に調べて報告する。そこで株主は納得をするわけですよ。利害関係者も納得すると私は思うんですよ。ところが今は、少なくとも兵庫銀行の場合は、全くそれが機能していないということがここで明らかになったのではないか、私はこう思うんです。それだけをちょっと申し上げておきたいと思います。  そこで、次の方に私移りますが、いわゆる住専の七社の問題でございます。これは、十月の十八日に発表されたのは住専八社ということで、貸付総額が十一兆四千億ある。このうちいわゆる民間デベロッパーというんですか、不動産企業というんですか、不動産会社事業者向けは九兆二千億を占めるというようなことが報告をされておりますけれども、それは事実かどうか。しかもこれは全体の、割り算になりますが何割程度を事業者向けに融資をしていたのか、お答えを願いたいと思います。
  148. 西村吉正

    西村政府委員 十月十八日に住専八社の調査結果を公表したところでございますが、その結果によりますと、平成七年六月末時点での貸付残高が十一兆四千億でございますが、そのうち事業向けが九兆二千億でございまして、八割強ということになっておるわけでございます。
  149. 草川昭三

    草川委員 事業者向けが非常に大きいということがこれで明らかになったわけでありますが、その中で、住専に対する金融機関による融資先の紹介内容をお伺いしたいと思うのです。いわゆる紹介案件。特にこれは分けて聞きましょう。  母体銀行による紹介分はこの中で九千二百億と言われているがそのとおりかどうか、それから母体銀行以外も含む金融機関による紹介分は一体幾らか、この際お答え願いたいと思います。
  150. 西村吉正

    西村政府委員 既に公表いたしました私ども調査結果でございますが、債権ごとの集計によります事業性貸付金中における母体金融機関紹介分の割合、これは約一〇%、全体が九兆二千億でございますが、その約一〇%と認識をしております。金融機関全体の紹介分は一六%というふうに理解をしております。
  151. 草川昭三

    草川委員 それから、もうちょっとこれは先へ進めまして、紹介後の融資も含めたいわゆる貸付先ベースの母体銀行による紹介分は、それよりさらにふえてくると思うのですね。先ほど一・五兆円というようなお話で一六%という言い方がありましたが、一兆八千四百億ぐらいになると言われておりますが、その点はどうですか。
  152. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の趣旨は恐らく、ただいま申し上げましたのは紹介をされた債権ごとの集計でございますが、一たん債権ごとに紹介をされた、そのような債務者に対して後日融資された分、そういうものを含めた集計でいえば幾らか、こういう御趣旨がと存じます。  いわば、紹介をされたことがある債務者ごとの集計による紹介分ということで考えますと、母体金融機関紹介分の約二〇%がそうでございまして、金融機関全体で申しますと三二%程度と考えております。
  153. 草川昭三

    草川委員 だんだんこの数字を聞いておると、最後に三二%とおっしゃいましたね。やっぱり金融機関紹介というのは大きいのですよ。私は、住専の現在の従業員の能力からいって、事業者向けに三二%もの多くの融資をする能力を各住専とも持たないと思っているのです。結局、母体銀行なり関連銀行紹介をする、多分これはいいだろうということでずるずると貸し込んでいったというのが実態だ、私はそれを今言いたかったからこの数字を出してきたわけです。  そこで、農水大臣にお伺いをしますが、住専に対する貸し付けへの母体行の関与が今言ったように明らかになりましたね、数字で。このことは、損失負担に関する議論に与える影響は私は大きいと思うのですが、これは農水大臣としてどう思いますか。これは農水大臣だけに聞きますから、答弁してください。
  154. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 大変大事な御指摘であろうかと思います。私ども系統住専に個別に聞きまして集計したところによりますと、今の大蔵省の数字のとおりでありますけれども住専によりましては、母体行紹介が四割強の住専もありますし、金融機関紹介では六割弱のものもあるという大変高いものであります。そして、こうした事実は、母体行による住専経営への深い関与があったということを意味しており、住専経営破綻原因に対して深くかかわっていたことを如実にあらわすものだと思っております。  したがいまして、住専問題の解決のためには看過できない重大な問題であると私どもは認識しており、当省としては、この実態を踏まえまして、母体行が明白な責任を負うべきである、こういうふうに考えております。
  155. 草川昭三

    草川委員 そこで今度は、住専全体が一体不良債権をどの程度抱えているかということを少し、これは総理にも聞いてもらいたいと思うんですがね。  そこで、ちょっと悪いですが全員の方にはお配りしませんが、委員長と総理と農水大臣に一枚ずつ配っていただきたいんですが、私が今ここに持っておりますのは、一九九四年、平成六年六月末の各住専の大口融資先の表なんです。  これは、住総の場合は一番から二十番まで上位二十行を全部私つくってきました。それで、それの裏づけ資料は、実は私が念のために各住専から取り寄せましたいろいろな物件の資料がここにありますが、余りこれを置きますとどこかへ行ってしまいますので戻しますが、それぞれの裏づけある資料をここでつくってきたわけです。  一つ言いたいのは、住総、日本住宅金融、第一住宅金融、日本ハウジンクローン、住宅ローンサービス、総合住金、地銀生保住宅ローン、七つの住専があるんですが、複数の住専が特定の企業に数百億単位でお金を貸し込んでいるんです。一つの住専が一つの不動産企業に貸しているのではなくて、各住専が集中して貸しているという例が特徴なんです。利払いが滞っているだけではなくて、既に大幅な債務超過に陥っている不動産企業が多いんですよ。大半の貸出金は回収が期待できない。  借入金額の最大の企業は、これは大阪が本社でございますが、もう既にこれは新聞でも名前が出ておりますが、末野興産、住専五社から借入金合計は千八百六十二億円も借りているんですよ。千八百六十二億ですよ。で、関連企業のワールドエステートあるいはまた新町興産などを合わせますと二千三百億を上回るんですよ、一つの不動産企業が。大変なんですよ、これは。農協が幾ら逆立ちしたって追いつかぬですよ、これは。一兆円がどうだ、半分にして五千億にしてくれとかというのと単位が違うんですから、一つの企業に。そうでしょう。  それで、二番目に富士住建というのがありますが、これも住専四社から千五百八十九億を借りておりますし、朝日住建に至っては、これも住専四社から九百七十三億の借り入れがあるわけです。元本の回収は非常に期待不能だ。いわゆる調査専門機関にこの企業の問い合わせをしますと、極めて条件は劣悪だというようなレポートが私どもの方にも来ておるわけであります。  こういう実態というのを農水省も御存じなのか、あるいは大蔵省も御存じなのか。私はこの表をここでひょこっと出したわけじゃありませんよ。大分前に、先週にもう既に大蔵省に明示をしましたが、はっきり申し上げて大蔵省は、個別案件だからお答えできない、こういう一点張りです。しかし、この数字が間違っているかどうかだけでも示しなさい、こういうことを言ったんですが、ノーコメントで終わっております。この点についてどうなんでしょうね、一回これは大蔵大臣にお答え願いたいと思うんです。
  156. 武村正義

    武村国務大臣 これは私初めて見ましたので、答える知識が今ありません。局長から答えます。
  157. 西村吉正

    西村政府委員 この状況は新聞でも報道されたものかと存じますけれども、私ども職務上、広い意味での金融機関融資状況等をも知り得る機会がございますけれども、個別の貸出先などにつきまして私どもの立場からコメントをすることは差し控えさせていただきたいということでございます。  なお、御指摘のような問題点は私どもも認識はいたしておりまして、先般私ども与党三党のガイドラインに対して御報告を申し上げた中でも、不良債権の回収については、共通する貸出先等についてその回収について努力をするというようなことも、この住専問題の処理について大切な要件ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  158. 草川昭三

    草川委員 今銀行局長が一部新聞にも報道されておると言いますから、それを逆に応用しますと、新聞報道では、「住総の全体の四分の三が不良債権」だ、こう言うんです、四分の三が不良債権。それで、「母体行紹介案件はその過半数」だというのが、日経金融という専門紙にこれは載っております。だから、それはもう間違いないでしょう。個別の名前を出していいかななんていう不規則発言がありますが、お答えをしておけばそういう内容なんです。だから農水も大変困ってみえると思うんですよ、現状は。  そこで、銀行局長が今の答弁で、我々も知っているんだ、こう言ったんですね、調査をしたんだからと。だったらそれを、八月の、一番直近の調査報告書をこの際出してくれませんか。  その前に、農水省に当然八月の調査は報告されておると思うんですが、農水大臣、ちょっと念のために聞きます。当然私は報告されていると思うんですよ、農水には。
  159. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 とお思いになるでしょうけれども、個別案件ということで、まだ報告はいただいておりません。
  160. 草川昭三

    草川委員 これが実態なんですよ。これだけ今国民の前で、公的資金を出すとか出さないとかいう議論が一方では始まっている。信連は一兆円持て、あほなこと言うなというような議論がわあっとあるわけですよ。我々だって、ヒアリングすればそういうお話は出るわけです。国民の皆さんも、新聞を開けば毎日住専住専住専というのは、今英語ですよ。ジューセンと英語で海外で紹介されているんですよ。日本の不良債権代表になっているんです。だから、八月に大蔵省は一生懸命調査したんですよ。  ところが、今言うように、肝心の農水省にもその報告書の報告はないんです。これは総理、こういう実態で国会議論をするということ自身がおかしいんですよ。本来ならば、これは来年の予算委員会ならばここでとまるところなんですよ。  そういうことではなくて私は議論をしたいんですが、総理大臣、どう思いますか、今の私のやりとりを聞いていて。八月の情報開示がないんですよ、住専全体の調査の報告が。
  161. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 八月に、今お話のございましたように、立入調査をやっているわけですね。その立入調査をやった八社合計の不良債権額等の実態については、これは明らかにされておると思うんです。  ただ、今答弁もございましたように、個別の案件について公表するというのはやはり差し控えるべきものではないかというふうに私も思います。
  162. 草川昭三

    草川委員 いや、私は、少なくとも農水省ぐらいには、これだけ議論しているんだから、八月の内容で、各住専――今一部報道にも出ておるわけですが、私なりの、素人でも集めてくればこれだけできるんですよ。二十社できるんですよ。恐らくこれは農水だって持っていると思うんですよ、一生懸命つくったことぐらいはわかる。ところが、それが公に出ていないところでこういう議論が行われるのはおかしいじゃないですか。今の、大臣は全体がわかればいいんだ。全体がわかったって――じゃ、今から申し上げます、全体の議論ではだめだということを。  住総なら住総、日本住宅金融なら金融、中身の議論をしなきゃだめでしょう、全部違うんだから。各信連だって全部条件が違うんだから、どこにどうして貸しているかということは。大ざっぱなことで公的資金なんかは、それはとても出ませんよ。  これは、住専七社に対する各都道府県信連の融資残高。これは私持っていますよ。これはもう私は三年前からつくってきているんだから。これだって、見れば、北海道から沖縄までの各信連が日本住宅金融に幾ら貸し込んでいるか、第一住金に幾ら貸し込んでいるか。これは全部条件は違うんですから。だから、各信連でも対応が違うんです。ここら辺はこういう情報がなければどうして議論ができますか。  もう一回総理大臣答えてください。変な知恵をつけられて、全体の情報がわかっておればいいなんて、そんな答弁をしちゃだめですよ。要らぬこと言わぬ方がいいよ、あなた、後ろから。
  163. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 いや、別に変な知恵をつけられて答弁しているわけじゃありませんよ。  ただ、私はやはり実態を明らかにしていくことは大変大事なことだと思いますし、それからまた、最終的には公的資金の導入なんというものも課題になるというようなことが想定されるときだけに、国民の皆さんにもよく理解してもらうことは大事なことだ。その必要なものについては、やはり公開をしていい、すべきだと私は思いますよ。  しかし、個々の、個別の案件について明らかにすることは、これはやはりそういう業態からすればいろいろなまた問題もあると思いますから、それはお互いにそうしたものの限界というものを心得ながら始末をつけているものだというふうに私は思います。
  164. 草川昭三

    草川委員 とにかく、基本的なことについて秘密主義だと私は思いますね。そういう秘密主義の中で、結論的に国民に公金を負担しろと言われたって、これはできませんよ。  しかも、当事者ですから、農水省は。農水省は知っているかとこう聞いたら、知っていると思うけれども私のところにはございませんと。だって、毎日交渉しているんじゃないですか、今、農水大臣大蔵大臣。片一方に情報がない、片一方は情報を持っている。けんかになりますか、これが。けんかとはあえて言いませんが、話し合いになりますか。話し合いのテーブルにも乗りませんよ、農水は。  まあいいです。次行きます。今個別の話をしろというのだから、個別の話に行きます。いろいろときょうはたくさんあるのですが、では住総に絞って物を言いましょう。  住総というのは、今の中でも非常に大きい住宅金融専門会社です。母体行は主として信託銀行です。ここがいろいろと評価をされているのですが、相当な不良債権を抱えている、こう言われております。不良債権についての回収の見込みも非常に苦しい、こういうことが言われておるのですが、この住宅金融総合というのか、住総についての評価、これをまず大蔵省にお伺いしたいと思います。どのように把握をしているかお答えを願いたいと思います。
  165. 西村吉正

    西村政府委員 住総は信託銀行母体となって設立した住宅金融専門会社でございますが、経営状況につきましては、他の住専と同様非常に現状が憂慮されるということでございます。
  166. 草川昭三

    草川委員 大変苦しいということが今表明をされました。  それで、これはいろいろな金融雑誌等々を見ますと、住総の実質的な延滞債権は一兆三千億、このうち九千億が担保不足、保有資産の含み損を加えれば、実に一兆円が回収不能の状態だと言っておみえになるわけであります。この住総に、例えば全国の信連が一体幾ら貸し込んでいるか。細かいことを言いますとこれは相当信連は困りますので、アバウトで申し上げますと、トータルで四千五百六十九億もこの住総に、これは九二年、ちょっと古いのですが九二年の六月にはあるわけであります。ですから、これは信連にとってみれば非常に心配のところでございますが、この住総の監査報告書というものがあるのですね。  これは先ほどの監査法人の話でございますが、なかなかしっかりとした監査法人でございまして、監査意見書というのを出しております。平成六年六月三十日、これは去年ですよ。住総に対して太田昭和監査法人というのが出しております。住総の社長は山本社長であります。  監査意見書、この中を見てまいりますと、「総括」として第一番目に出てくる言葉は、「現在の状態が」「状態が」というのは住総の経理内容等々資産の内容でございますが、「十分に計算書類に反映されているとは思われない。」と書いてあるのです。そして、今後は万全を期すようにしなさいという、これは監査法人の報告書です、私が持っているのは。これは去年ですよ。これなんかは大蔵省、知っているはずですよ、これは調査に入っているのだから。  そして、「問題点・検討事項」いろいろとありますよ。ある会社会社更生法の申し立てを行っている、しかし、それの子会社はどうかというと、会社更生法をもう適用させるのが本当なんだけれども、それがさせていない、だから貸倒引当金というのはわずかしか計上していない、この場合は〇・三だというようなことを言っておりますし、倒産をした会社の系列で、まだほかにもずっとたくさんあるのでございますが、いずれにいたしましても、貸倒引当金は非常に不足をしている。  それからさらに「問題点」で、次の方へ行きますが、例えば整理口のSという会社があるとします。すると、そのSという会社の名前が書いてあります。その中には、残元本というのが約一億六千万あるのだが、現況は、本店の登記はあるが実体はない、担保先のいろいろな担保をとっておるけれども、住総の方が後だ、だから回収の見込みがないなどというのがだあっと書いてあるのです、この監査報告には。もうこれは名前を挙げれば切りがありませんが。  それからまだ、この報告書の中には、担保評価額について、不動産価格の下落があるので、高目に評価をされているものをもう一回見直すことが必要である、こんなことも書いてあるのですね。  それからさらに、昨年の、平成六年の三月末の猶予債権、百六十九社、これについて五千八百六十六億猶予債権があるのだけれども、猶予債権という場合には、相手と約束しなければいけませんね。契約をし直さなければいかぬわけですよ。何年に幾ら払いますが利子は棚上げしてあげますよ、利子は下げてあげますよという、いわゆる契約をやり直さなければならないにもかかわらず、その契約をしていない、こういう監査報告があるのです。  これは、銀行局は住総をことしの八月も九二年も調べているわけでありますから、当然この監査意見書というのは参考にしていると思うのですが、その点、どのように掌握をしているか、銀行局長の答弁をお願いしたい、こう思います。
  167. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま御指摘の住総につきましては、証券取引法に基づく有価証券報告書の提出会社とはなっておりません。したがいまして、大蔵省といたしましては、そのような監査意見があることは承知をいたしておりません。
  168. 草川昭三

    草川委員 そんなばかなことがありますか、そんなばかなことが。それは、上場していないから持っていないのは当たり前ですよ、そんなことは百も承知で聞いているのですから。しかし、あなたの方は、ことし八月、住総にも立入検査しているのでしょうと言っているのですよ。検査をしたならば、当然そこの会社の監査意見書は見るのが当たり前ですよ。見なかったのですか。見なかったなら見なかったと答弁してください。
  169. 西村吉正

    西村政府委員 住専に対する調査と申しますのは、預金受け入れ金融機関に対する検査とは違いまして、しかも先日の夏の調査は、いわば不良債権の計数、状況をとらえるための一斉調査でございました。したがって、この監査報告書等を調べていわば経営の方針等に関する全体像を掌握するというような目的調査に当たったものではございませんので、必ずしもこの監査報告書というものを拝見するという必要があったわけではありません。  私、具体的に調査に行った人間がこのような監査報告書を拝見することを求めたかどうかということまでは把握をしておりませんが、本来八月の調査の主たる目的ではなかったということは申し上げられるかと思います。
  170. 草川昭三

    草川委員 要するに、私が今問題提起をしておることのすりかえ答弁をしているのですよ、銀行局長は。  要するに、住専全体が命これだけの国民的な話題になっておる、海外からもジューセンという言葉が英語になって紹介をされている。だから大蔵省は八月に立入調査しているのですよ、当たり前な話ですが。  だったら、そこのあらゆる問題について調査をすべきであるよということを私は言っているわけですが、その中に監査法人がこういうことを言っているということを私が言ったのだから、それはもう私ども承知をしていますよと言えばいいんですよ。そんなものは関係ないんだ、うちはうちのプロで見ましたよ、要らぬことを言うなと言うなら、それはそれで答弁ですから。だから農水省にも要らぬことを言うなと言って、資料は見せぬのだよと言えばいいのですよ。そういうものですか。大蔵大臣は知っているか知ってないか知りませんけれども、これは極めて重要な話なんです。  改めて言いますが、八月の調査報告書を本国会に提出をしていただきたい、これは明確に委員長要求をします。どのような措置をとられるか、お答え願いたい。あるいは大蔵大臣にもう一回、八月の調査報告書を国会に提出する気はないのかあるのか、なければないの理由を大蔵大臣として言ってください。
  171. 武村正義

    武村国務大臣 これは、今の段階では、個別の案件ですから、お出しをする考えはありません。あとまた委員長の御判断を受けて対応をさせていただきます。
  172. 草川昭三

    草川委員 もう一回念を押しますけれども、個別案件だから出さぬといっても、東京協和、安全信組のときには預金者名簿を大口預金については実名で出したのですよ、国会に。そういう経過があるにもかかわらず、今の答弁は何ですか。大蔵大臣責任を全然考えていない。だめです、そんなのは。もう一回答えてください。
  173. 武村正義

    武村国務大臣 お答えしたとおりでございます。
  174. 草川昭三

    草川委員 では、これは総理大臣も同じ意見ですか。個別案件だから出さぬと、こうおっしゃいますか。それでしかも、これから議論をするのですが、公的資金の導入というのが先にあるのですが、そんなこと知っちゃいない、トータルで出せばそれで済むんだ、そういう態度かどうか、改めて聞きましょう。
  175. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今それぞれのやりとりを聞いておりまして、これはやはり先ほど来答弁をいたしておりますように、公表できるものとできないものとがおのずからあるというのは、これはまた行政の立場からすれば当然だと思います。  今、草川委員の方から委員長にそういうお話があったわけですから、この委員会理事会あたりで恐らく議論をされると思いますから、その議論の結果によって対応していきたいというふうに思います。
  176. 草川昭三

    草川委員 では、委員長お尋ねしますが、委員長は私の提言をどのように処理されますか。
  177. 上原康助

    上原委員長 後刻理事会で協議をさせていただきたいと存じます。
  178. 草川昭三

    草川委員 では、後刻理事会の協議ということで、次に移りたいと思います。  そこで、住総の実態というのは、これはなかなかわかりません。先ほどから言っておりますように、報道機関に書かれているように本当に一兆円を超えるような不良債権を抱えているのかということになりますと、本当にそこに融資をしている全国の信連の方々は大変な心配を持ってくると思うのです。本当にこの内容が明らかになればいいのですが、この住総の場合は不思議なことにこういうことを言っているのですね。これは社内に、総合企画部長さんのお名前で、ことし、七年の五月二十四日でございますが、情報管理を徹底しなさい、住専内容についてはとにかく漏えい防止だ、情報の漏えい防止をきちっとしなさいというので、「情報管理の徹底について」というペーパーが回ったわけであります。このとおりなんです。  それで、従業員には朝八時半前に出勤するなど言うのです。女性のお茶酌みの方も八時半に来ちゃだめだ、残業も一人でやっちゃだめだ、課長同席のもとに残業をおやりなさい。それで、休日出勤ももちろん禁止、他の管理職が同席をした場合にのみ出勤はしてもいいですよ、六月の一日から。これは、明らかに大蔵省調査を意識して、この前後に大蔵省は頻繁に出入りをしておるわけですから、その大蔵省調査に対して住専が情報管理をするわけですよ、一方では。  こういうことでは、私は納得できませんね。国会というのは全く無視されるわけですし、それから一方では、金融システムを守るためにはオールジャパンで奉加帳も回しなさい、それから公的資金の導入もあり得る、こういうことでしょう。これは私は納得できませんし、しかも大口の融資先というのは、先ほど来申し上げましたように、富士住建七百三十八億、末野興産五百五十九億、太陽エステート四百八十二億、朝日住建三百四十八億等々と、もうこれは既にいろいろと経済誌に発表されていることでございますから、それを紹介したわけでございますけれども、かなりの大きい金額というものが不動産業者に融資をされているわけであります。  しかも、この住総の内容を見てまいりますと、もちろん住総は一つの企業だけではございませんので、いろんな関連企業があるわけでありますが、それを非常に巧みに、物件の不良資産を貸したり、また戻したり、いろんな経営操作ということをやっておみえになりますから、透明性に非常に欠けるということを専門家の方々なり情報機関というのですかいろんな企業調査をしてみえる専門の方々は言っておみえになるわけであります。  例えばこういう例があるのでございますが、住総エステという子会社、系列会社があるのですが、この住総エステと、たくさんのいろんなゴルフ場あるいはいろんな企業があるのですが、太陽グループというのがあるのですが、八七年から八九年にかけて千三百億円を超える融資を行っているということが、もう当時専門的な調査機関によって確認をされているわけであります。  当時、九二年にかけまして株式の上場をこの住総は目指していましたので、今私が紹介したような融資実態が明るみに出るということを恐れまして、太陽エステート向けの債権を買い戻すというのですか、買い取るわけですね。それでまた、融資をしている富士住建だとか菱友興産などに層がわりをさせまして融資金額というのを減らすわけです。  しかし、問題はその買い取り額でございまして、私どもが知り得た資料によりますと、ほとんどの物件は実勢価格から見て膨大な評価損を抱えているわけであります。例えば九一年二月に取得をいたしました渋谷区神宮前のテナントビルは、簿価約七十六億円に対して、実勢価格は実際は約二十六億円と評価をされているわけですね。そういうものを、二十六億を七十六億で買うわけですよ。あるいは白金の駐車場、これは自走式駐車場でありますが、簿価が百二十四億なんですが、実勢価格は三十六億。  こういうように、これも事前に実は大蔵省にこういう実例があるんだということを申し上げておきましたが、大蔵省は、先ほどの局長の答弁のように、個別案件だからだめだと言っておるわけでありますが、非常にこの実勢価格と、今申し上げましたように、時価が三十六億のものを百二十四億で買う、二十六億のものを七十六億で買う、あるいは五十六億の時価のものを二百九億で買う、こういうようなことなんですよね。  それで、少なくともこういう実態ということを、個別案件ではないんですが、大蔵省は、こういう取引をしておるという認識を持ったかどうか。認識を持たないのか、持ったのか、それだけでもいいですからお答え願いたいと思います。
  179. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま御指摘の個別の案件についてのコメントは差し控えさせていただきますが、私どもが八月の調査をいたしました時点で、それぞれの住専融資案件内容について、その現在価値がどうだというようなことをも含めていろいろな調査をいたし、その結果を集計したものを報告をさせていただいている、こういうことでございます。
  180. 草川昭三

    草川委員 だから、やはり住総が取り扱っている案件についてはかなり問題があるということを今銀行局長は答弁の中で、示唆というんですか、ある程度認識をしておみえになるというようなことでございますからこれで終わりますけれども、要するに、調査をしたわけですからね、これから調査しろというのではなくて、八月の段階で調査をしているわけですから、調べれば、かなりひどいなあということはおわかりのとおりなんです。  だから、改めて言うならば、もうこれは、今これはもう何ともならぬわけですよ。だったら、今大蔵省なり母体銀行が言うように、住専を法的手段に訴えて何とかしてくれ、その結論に従おうじゃないかなんというのはこれは居直りの論議で、だったら、少なくとも三年前に法的な手段をとっておけばよかったんですよ、三年前の段階で。そうしたら、信連だってあきらめもつくわけですよ。対応もできるわけですよ。ところが、まあまあ待ってくれ、元金の戻しはやめてくれ、やめてくれ、何とかするからと、こういうわけでしょう。  しかも、この前私がこういう発言をしていたら、後ろの方で、四・五%、六%の利子を取っておいてちょっとひどいじゃないか、業つくめとは言わなかったけれども、そういうやじが飛んだんですよ。だったら、私に言わしめれば、信連が、当時からいえば金利は安かったわけですから、高いからまけてくれというような申し出が銀行局から農水省にあったのか、あるいは信連に直接、利子をまけてくださいよというような言い方があったのかどうかちょっと念のために事実経過をお伺いしたいと思うんです。これは農水から答えてください。
  181. 堤英隆

    ○堤政府委員 再建計画平成五年にできたわけでございますが、その後二年有余たっておりますが、住専側の方からそういった形で、再建計画がうまくいかないから、例えば今先生御指摘のように金利を下げて協力してくれとかそういう話は一切ございません。
  182. 草川昭三

    草川委員 いや、だって、これはやはりおかしいですよね。やはりそれは、住専再建を考えるならば、皆さん立派な方でありますから、いわゆる貸し手責任を全言うならば、悪いけれども金利はまけてくれぬか、何とかとりあえず、わずかでもいいから負担をしてもらいたいという私は申し出があってしかるべきだと思うんです。ところがそうではなくて、今の議論では、信連も欲が深いよ、四・五とか四・六とか高い利子をもらいおってと、こういう議論ですから、それは信連だって怒るでしょう、農水省だって怒るでしょう、そういう言い古されれば。ちょっとあんたたちひどくないか物の言い方気をつけろやと、こういう話に私はなると思うんですよ。そういう今状況だと思うんですよ、両大臣の話し合いは。しかも一方はハンディーがあるんですから。  そこで、この議論をしておりますと切りがないので、かなり私は不良債権の実態というのを今ここで問題提起をしたつもりであります。しかし、切りがないぐらいに、私ども、こういうことをやろうということになりますと、いろいろなそれぞれのところから資料の提供があるのですよ。本当に我々は腹を立てているんだ、もう国民の一人として納得できないというので、山ほどあるのです。余り資料が多過ぎて理論的に整理ができないので、日住金の買い取りリストもここにありますし、その他のいろいろなおもしろい資料があるのですが、避けておきたいと思います。おもしろいというよりも、怒りに満ちた資料でございますし、それから、既に日本住宅金融とか日本ハウジンクローンとかいろいろなファイナンス会社がいろいろと、先ほど来申し上げた不動産企業から物件を買うんですが、それがまた後に地裁から差し押さえられた物件ですよというような連絡があるわけであります。  そこで、結局私が申し上げたいのは、各住専のいわゆる審査体制というのがどういう審査体制であったんだ、こんなに一兆円を超すような不良債権を抱えるような審査体制はどうか、そういう方々にこう聞いてみた。そうしたら、いやもう親銀行からの紹介案件はフリーパスだ、こう言うのですよ。それで、その住専プロパーの人に聞いてみると、チェックしようと思ったって彼らはまた親銀行に戻っちゃうんですよ、だから、自分の二年なり三年なりいる間はトラブルがなければいいんですよ、こういう態度ですから、全部オーケーを出してしまうのです。じゃ、親銀行の方はどうか。親銀行は自分の融資で、この前もこれは私は発言したわけですが、自分で貸し込んだ、しかし危ないなと思ったのを今度は住専につけかえをするわけですよ。これもフリーパスでいくわけですから、たまったものじゃないでしょう。  そこで、これは法務省刑事局にお伺いをいたしますが、これは一般論として私は聞きます、一般論として聞かなければいささか問題がありますから。  不良貸し付けが背任罪に該当するかどうか、これを考える上で、融資担当者が不良貸し付けによって人事上の処理やリベートなどの面で個人的利益を図った場合、これは犯罪の成否に影響を与えるのかどうかお伺いをしたいと思います。
  183. 則定衛

    ○則定政府委員 一般論ということでございますのでお答えさせていただきますが、背任罪が成立いたすためには、図利加害の目的、利益を図るあるいは本人に害を与える目的ということでございます。そのほかに任務違背、それから損害の発生等の要件がございます。  そこで、今御指摘のような事項と申しますのは、一般的に申しまして、図利加害目的等の要件の存否を判断する上での一つの要素ということになり得ると考えられます。
  184. 草川昭三

    草川委員 だから、今、一つの要件になる、こういうお話でございましたから、私は、だれが告発をするかという問題も出てまいりますし、それから、個別案件を精査するならば、相当これは問題がこれから出てくると思うんです。そういう問題をきちっと処理をしなければ、私は、公的資金の関与ということは絶対許すべきではないと思うんです。そうでしょう。総理大臣、改めてその点についての見解をお伺いしたいと思うんです。
  185. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 複雑な要因が絡んでおりますこういう問題の処理だけに、私は、最終処理をする場合に、不良資産の回収というものも、これは総力を挙げてやる必要がある、そのために必要なら法的な手段もやはりとって、そしてやるべきことはきちっとやるということがなければ問題の解決にはならないというふうに思います。
  186. 草川昭三

    草川委員 いやいや、不良債権を回収するんですからね。責任はもちろん我々は追及しなければいけませんが、回収をするという努力が非常に今不足をしているんです。  そこで、先ほども米沢委員が若干触れられましたけれども、要するに不良債権の早急な処理を図るためには、先ほどは売却の保全処分のことについて、民事執行法のことについて触れられましたが、私はさらに具体的なことを提起したいと思うのです。  不良債権の早急な処理を図るためには、例えば裁判所における競売手続を有効に利用するということは当然な方法だと思うのですね。しかしながら、いろいろな関係者から聞いた話によりますと、せっかく競売の手続が進行しているにもかかわらず、暴力団等による執行の妨害がかなり行われているというケースもある。こういう中で、妨害が悪質な事案については、当該裁判所の所長から、警察あるいは検察庁に対して刑事処分を求めるべく告発がなされているようであります。  そこで、警察庁及び法務省から、最近の告発事案の中で代表的な事例をひとつ紹介をしていただきたいと思うのですが、まず法務省の方からお答えを願いたい、こういうように思います。
  187. 則定衛

    ○則定政府委員 最近ということでございますので、平成に入ってからのケースについて調べてみましたところ、民事執行妨害事件ということで裁判所長から地方検察庁に告発がなされました件数といたしまして私どもが把握しておりますのは、平成五年十一月時点までのケースでございますけれども、四件ございます。  そのうち二件は、競売物件の目録中の最低売買価格等を数倍に書きかえ、改ざんするなどして公文書を変造し、偽計を用いて公の入札の公正を害した、こういう法律上の評価になるわけでございますが、無印公文書変造罪及び競売入札妨害罪で告発されたものでございます。検察当局におきまして捜査をいたしましたけれども、犯人を特定するに至らないということで、この二件につきましては不起訴処分となっております。  それから三件目は、競売物の現況調査報告書等に添付されております写真の部分を切り取り、窃取したということで、公文書毀棄罪及び窃盗罪で告発されたもの、それから四件目は、期間入札公告の物件明細書写しなどのつづりの中に暴力団会長名を印刷した名刺などを差し込みまして、威力を用いて公の入札の公正を害したとして競売入札妨害罪及び公文書毀棄罪で告発されたものです。この三件目及び四件目のケースにつきましては、いずれも起訴しております。  概要は以上でござます。
  188. 野田健

    野田(健)政府委員 最近において警察が暴力団員またはその関係者を競売物件に絡む民事執行妨害事案で検挙した事件数は、平成三年一件、平成四年四件、平成五年三件、平成六年十件、平成七年十一月未現在で七件を把握している状況にあります。  そのうち、警察が告発を受理した件数は二十件ほどでありますけれども、その態様別に見てみますと、競売物件に暴力団名等を記載した張り紙または看板を設置した事例が六件、また、公示書を破棄したり競売物件そのものを損壊するなどした事例が五件、執行官に対して虚偽の陳述をしたり買い受け申し出人等に対して不当な言動をした事例が四件、そして、物件明細書、現況調査書及び評価書の、それぞれの写しを窃取するなどした事例が五件というような状況にございます。
  189. 草川昭三

    草川委員 ここに最高裁判所の民事局の監修をしました「民事執行雑誌」という雑誌があるわけです。ここの中に特集がありまして、暴力団等による執行妨害というのでかなり詳しい事例というのがあります。中には、執行官に対して暴行を働いたという例もありますし、今答弁がありましたように、暴力団の名刺がその三点セットの中に挿入をされていたというような例もあるわけであります。  この三点セットというのは、もうこれは当然のことながら民事執行の場合に、あるいは競売の場合の基本的な条件になる、そういうものでございますから、落札を考える方々は当然その資料を見に行くわけでありますけれども、そういうところに暴力団の名刺が張ってあれば、あるいはまた不法占拠者、こういうものがいますと、当然のことながら落札をするというわけにはまいりません。  こういうのが現実にはあるわけですから、不良債権の処理というのは大変これは難しいものがあります。そこらあたりは十分、私が申し上げたいのは、結果焦げついた物件というのはなかなか活性化いたしません。焦げついた物件というのは活性化しないだけに、早目早目に手を打つことが極めて大切だ。だから、大蔵省の従来のこの住専に対する対応は週目遅目の対応であった、もっと早くやっていればというのがほとんどの方々の質問の基本的なスタンスですよ、ここで質問に立った方々は。なぜもっと早く手を打たなかったのか、後の祭りじゃないかと。  不良債権を流動化しようと思ったってなかなか進まないという例を最後に私は申し上げましたが、先ほど来から大蔵大臣の答弁は大変ふてくされた答弁でございまして、素直な答弁ではありません。もう一回真剣に事の重要性を考えて、今の状況では年内に解決をするといったって解決できる条件にはありませんよ、これは。だれがどう考えたって、我々が新聞で見ておる限りは。  それは、与党の方だっていろいろなプロジェクトチームをつくって一生懸命やっておみえになりますよ。今の競売物件についても殊のほか重要課題にしようという報告書が出ておる、そんなことは我々も承知の上ですよ。しかし肝心の、不良債権の認識は別といたしまして、割り振りの問題なんかはどうしようもないじゃないですか。だから農水省は命がけの、抵抗というと言葉が悪いのですが、態度をとってみえるし、全国の組織の方々は本当に注目をしておるのではないだろうかと思うのです。  それで、私は、本件をこういうような形に至らしめている、当面する監督官庁じゃないと言うのだけれども貸金業規制法施行令第一条の何々に基づく指定なんという言葉もあるわけでありますから、指定金融機関であることは間違いがない、そういう立場に立って、大蔵大臣の反省の弁を聞きながら、今後の決意を聞いて最後の質問を終わりたい、こう思います。
  190. 武村正義

    武村国務大臣 御指摘のように、この住専の問題にしましても、既に破綻をした幾つかの金融機関の例にしましても、私自身ももう少し早く手を打てはという思いは委員と共有するものであります。ただしかし、早く打つことができたかどうかということになりますと、これはまた大変難しい問題であります。  昨年の今ごろは、住専の問題が質問に出るごとに、私は、目下第二次再建計画住専みずからが努力しているという答弁をしていたように思うのであります。ことしの八月の木津や兵庫銀行破綻も、これは早くから私どもは心配をいたしておりまして、もう七月、八月というのは毎日のように、木津は大丈夫かと、為替の動向や株の動向とあわせて日々そのことを肩に背負って仕事をしていたような感じがいたしました。  結局、金融機関ケースでいいますと、流動性といいますか、ある日多額の資金が引き出される、そういう事態が起こって初めて銀行破綻状況に至る。どこかで金を借りてきてその跡を埋めてしまうと、経営者は、まだ大丈夫です、頑張ります、こういうことになって答えが返ってくる。あれも八月のいつでございましたか、ある日多額の資金が流出をしまして、もうこれで木津はだめだ、救えないという判断をしてあの発表になったことを思い起こしますと、結果としては、しかしなぜ一年前あるいは二年前という思いは強くいたすところでございますが、そのことは私どもの立場で見ると、またそういう一面があることも御理解いただきたい。  また、きょうは草川議員の大変具体的な住専の一面、データ、ケースを挙げながら御指摘をいただきました。大変私にも参考になりました。しかし、個々ケース、九兆二千億という総額の個々一件一件のケースはそれぞれまたいろんな状況の中で、あるいはいろんな経緯の絡まりの中で契約が結ばれ、そして今日に至っていると思うのであります。そのことにも目を向けなければなりませんが、一件一件の個別の案件、全部精査をしチェックをしなければ対策は打つべきでないとおっしゃると、これはもう手が打てないことにもなりかねません。  むしろ、あらゆるケースを想定しながら、その債権債務をシフトした、受け皿機関に移した後片ういう姿勢で、そういうケースがあることも認識しながら、暴力団が絡んでいる契約もたくさんあることを認識しながら、どういう組織や姿勢で対応をしていくのか、この債権回収に当たっていくのか、その基本方針をしっかり固めさせていただきたいと思っているところでございます。ありがとうございました。
  191. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  192. 上原康助

    上原委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十四日午前十時から委員会開会し、本日に引き続き集中審議を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十七分散会