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1995-10-17 第134回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十月十七日(火曜日)     午後四時四十九分開議 出席委員   委員長 甘利  明君    理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君    理事 中島洋次郎君 理事 河合 正智君    理事 古賀 正浩君 理事 増子 輝彦君    理事 小林  守君 理事 玄葉光一郎君       小川  元君    小此木八郎君       尾身 幸次君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    栗原 博久君       谷川 和穗君    額賀福志郎君       野田 聖子君    野田  実君       青山  丘君    笹川  堯君       豊田潤多郎君    西川太一郎君       星野 行男君    山崎広太郎君       吉田  治君    石井  智君       北沢 清功君    松本  龍君       吉井 英勝君    後藤  茂君       牧野 聖修君  出席国務大臣         通商産業大臣  橋本龍太郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房総務審議官  白川  進君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  治君         通商産業省通商         政策局長    細川  恒君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省産業         政策局長    牧野  力君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省生活         産業局長    中野 正孝君         中小企業庁長官 新  欣樹君         中小企業庁計画         部長      藤島 安之君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     近石 康宏君         大蔵省関税局調         査保税課長   江川 明夫君         商工委員会調査         室長      石黒 正大君     ————————————— 委員の異動 十月十七日  辞任         補欠選任   田原  隆君     栗原 博久君   小池百合子君     山崎広太郎君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     田原  隆君   山崎広太郎君     小池百合子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新たな事業活動促進のための関係法律整備  に関する法律案内閣提出第四号)  繊維産業構造改善臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第五号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 甘利明

    甘利委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、新たな事業活動促進のための関係法律整備に関する法律案繊維産業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  これより各案について順次趣旨説明を聴取いたします。橋本通商産業大臣。     —————————————  新たな事業活動促進のための関係法律整備   に関する法律案  繊維産業構造改善臨時措置法の一部を改正する   法律案  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 初めに、新たな事業活動促進のための関係法律整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  我が国経済においては、円高傾向や高コスト構造顕在化などにより、産業空洞化への懸念が高まっており、その健全な発展に支障を来すおそれが生じております。  このため、我が国事業活動を行う場としての魅力を高め、国内における新たな事業活動展開のための環境整備することを通じて、経済構造改革を強力に推進し、我が国の中長期的な発展の基礎を築くことが強く求められているところであります。  去る九月二十日に発表された経済対策においても、経済構造改革推進についての具体的な方策が盛り込まれたところであり、この内容を実現することにより、我が国における経済活動の活力を維持し、我が国経済自律的発展円滑化することを目的として、今般、本法律案を提案した次第であります。次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、民間事業者能力の活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法の一部改正であります。この一部改正においては、まず、新たな事業活動を行う上での基盤となる施設等整備を一層促進するため、支援対象となる特定施設の追加を行うこととしております。また、いわゆる純粋民間事業者が行う特定施設整備に必要な資金日本開発銀行等が貸し付ける場合に、日本開発銀行等に対し利子補給金を支給する業務産業基盤整備基金等に追加し、あわせて法律適用期限を十年間延長する等の措置を講ずることとしております。第二に、特定新規事業実施円滑化臨時措置法の一部改正であります。この一部改正においては、新規事業展開促進するため、新規事業者人材確保円滑化する観点から、新株発行の方式を利用して能力と成果に応じた成功報酬制度を新たに設けることとしております。また、新規事業者資金調達円滑化する観点から、新規事業者に対する経営指導を行う業務産業基盤整備基金に追加し、あわせて法律適用期限を十年間延長することとしております。第三に、輸入促進及び対内投資事業円滑化に関する臨時措置法の一部改正であります。この一部改正においては、輸入貨物流通円滑化を図るため、都道府県が輸入促進地域内に特定集積地区を設けることができることとしております。この地区内の輸入貨物流通促進事業者については、地方税の不均一課税を行う場合に減収補てん措置を講ずるほか、産業基盤整備基金による債務保証措置中小企業信用保険特例措置を講じ、あわせて法律適用期限を十年間延長する等の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  続きまして、繊維産業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  繊維産業につきましては、平成六年に改正、延長しました繊維産業構造改善臨時措置法に基づきまして、繊維製品生産流通部門構造改善を総合的に推進してまいりました。  しかしながら、現在、我が国繊維産業は、消費低迷長期化円高による輸入増加等の内外の経済的環境の著しい変化に直面し、一段と厳しい状況に置かれております。このため、かねてより指摘されております繊維製品生産流通部門における複雑でむだの多い構造改善を急ぎ、その効率化を加速化させることが不可欠であります。  政府といたしましては、新技術開発情報処理効率化等を通じて、繊維産業構造改革を一層推進するため、本法律案を提案することといたした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、繊維産業における新技術開発情報処理効率化等に係る調査研究等業務に必要な資金について、繊維産業構造改善事業協会が出資を受けることができることとすることであります。  第二は、繊維工業のみならず、繊維製品流通部門も含めて、繊維産業全体の高度化促進する事業を総合的に行う繊維産業高度化促進施設整備を図るため、必要な措置を講ずるよう努めるものとすることであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  続きまして、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業信用補完制度は、中小企業者信用力担保力を補完し、その事業資金融通を円滑にすることを目的とし、信用保証協会債務保証を行い、これについて中小企業信用保険公庫保険を引き受けるものであり、保証債務残高平成七年八月末現在で二十七兆円を超える規模に達しております。  最近の中小企業をめぐる依然厳しい経済環境等を背景として、特に、資金繰りの悪化している中小企業について担保不足等顕在化してきております。一方、経済構造改革推進するためにも、中小企業の新事業開拓支援を強化していくことが急務となっております。  こうした状況を踏まえ、担保不足に陥っている中小企業資金需要に十分に対応するとともに、資金調達が困難な新事業開拓支援することにより、中小企業経営基盤の強化及び構造改革推進するため、緊急に信用補完制度の拡充を図ることとし、本法律案をここに提出した次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、付保限度額の引き上げであります。中小企業に対する事業資金融通の一層の円滑化を図るため、物的担保を必要としない保険である無担保保険につきましては、現行二千万円の付保限度額を三千五百万円に、無担保・無保証人による保険である特別小口保険につきましては、現行五百万円の付保限度額を七百五十万円に、新事業開拓に要する費用に係る保険である新事業開拓保険につきましては、現行一億五千万円の付保限度額を二億円に、それぞれ引き上げることとしております。  第二に、特別小口保険付保対象となる者の拡大であります。無担保・無保証人による保証の一層の推進を図るため、現在、原則として従業員五人以下の小企業者対象としている特別小口保険対象者を、従業員二十人以下の小規模企業者に拡大することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 甘利明

    甘利委員長 これにて各案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 甘利明

    甘利委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  6. 栗原博久

    栗原(博)委員 きょうは発言の機会をお与えくださいまして、どうもありがとうございます。  私は、生産地を控えておりますから、一応繊維関係についてひとつ御質問させていただきたいと思います。  橋本通産大臣が我が党の新総裁になられまして、我が党も極めて活気づいてまいりました。早く橋本通産大臣独自の施策を打ち出していただきたいというふうに、実は思っているわけであります。  現下の経済は、申し上げるまでもなく、平成四年が〇・三%、平成五年マイナス〇・二、六年〇・六と全くゼロ成長で、本年も、もう四年連続のゼロ成長でなかろうかというふうに言われておるわけでありますが、国民が最も心配している状況を実は醸し出していると思うのであります。千四百億ドル近い大幅黒字を抱えながら、なぜ先行きがこのように不透明なのかということで、大変憂慮すべき状況だと思っております。  また、失業率が、ことしは三・二%ですか、過去五年間約二%台が、今度は三・二%を上回るというような状況でありますし、また特に、来春に学校を出ます女子学生がどうも就職がないということで、大変社会問題化もしていることは御承知のとおりであります。 こういう時期に橋本通産大臣が我が党の総裁になられまして、「元気を出せ!日本自信回復宣言」」ということで、その中で、強い日本経済再建を実は訴えておるわけでありまして、そのシナリオからいいますと、一年、三年、五年後とその姿を提示しております。今後一年間、本格的な景気回復にあらゆる政策を集中的に投入するということで、それが第一段階である。あるいは、今後三年間は抜本的な経済産業構造改革推進するということで第二段階である。また、今後五年間、二十一世紀型システム完成基盤整備を行うということでの第一一段階でありますが、こういう新しい経済システムを構築するという提言は、まさに私は的を射たものであるというふうに実は思っておるわけであります。日本経済再建を期すということを、我々は新総裁のもとで心から誓うものであります。  さて、この中で、日本経済世界経済と不可分の関係であるわけでありますが、各国は、その国々はその国の権益を守りながら秩序ある貿易関係を進めるということにやはり腐心し、我々は、最近においてはガット体制からウルグアイ・ラウンド体制に移行して、そしてまた各国の思惑、また日本米国の各分野におきます貿易摩擦問題などからして、その交渉過程を見ると、まさしく経済戦争をやっているような、そういうような状況を醸し出すこともあるわけであります。軍事戦争においては諜報活動がその戦争勝ち目を決めると言われておるわけでありますが、今日この経済交渉当たりまして、相手の出方を深く探るということ、それが最重要課題であるかとも私は思います。  我が国もかつては、きょうこの法案審議されます繊維の問題でございますが、一九五〇年代に日米繊維紛争のあったとき、トーマスニアユーイ元大統領候補我が国のロビイストに迎え入れまして、アメリカ議会政府に対してロビー活動を行ったわけであります。当然それは情報の収集に当たりアメリカ側政策決定に対して少なからぬ影響力を行使したことは事実だと思います。日本のかつてのロビーは、元上院議員とかあるいは元大統領補佐官とかあるいは元CIA長官とか元運輸長官とか、そんなのを挙げたら枚挙にいとまがありませんが、特に一九八八年の包括通商法案立法過程においては、我が国ロビーは約一億ドルを費やして、前例のないこのような巨額の中で、当時のジェームズ・ライト下院議長から強い不快の念を表明されることがあったこともありました。しかしこれは、日本の、我が国企業サイドで行使したものとして考えていいと思います。  ところが、昨日の新聞報道を見ますると、アメリカがことしの六月、橋本通産大臣が大変真摯な中で交渉を重ねまして、そして合意決着しました日米自動車交渉のその過程において、米国CIA日本側のやりとりを盗聴したということがニューヨーク・タイムズを通じて報道をされておるわけでありまして、その真意は私ははかりかねる部分がありますけれども、しかし、報道をされていることはやはり事実関係があったと私は推測するわけであります。  先ほど申したとおり、我が国もずっと今までアメリカ議会におきましてロビー活動をしてまいりました。これはまあ国家ではなくて、やはり企業中心であったと思うのです。今回は、このアメリカ諜報活動は、まさしくアメリカ国という国家諜報活動を行使したということであるわけでありまして、同盟国として大変よい関係でありました我が国に対してこのような行動をもしとったとしたら、極めて私は遺憾な事実であると思っております。  そういうことで、いろいろ新聞報道で報じられておりますが、もし日本の領土内におきまして日本権益を損なうこのような行動が行われたとしたならば、これはもう断固として認めるわけにいかないと思うわけでありまして、当時この交渉に当たられました、そして一番御苦労をされ、またその交渉の経過を一番御承知されております橋本通産大臣から、この新聞報道によりますアメリカCIA盗聴疑惑について、どのように御所見を持っているか。あるいはまた、私ども日本の国は、先進国の中でもスパイ防止法というものが日本だけがないように伺っておるわけでありますが、今後こういうことが、何かにおいてそのような法的措置も必要でなかろうかとは思うのでありますが、その点も含めて、大臣の御所見を実は承りたいと思うのであります。  よろしくお願いします。
  7. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょうど日曜日の夜、私は、マスコミからの取材によりましてそのニューヨーク・タイムズの記事の話を知りました。瞬間、大変不愉快な感じと信じたくないという思いと、双方がよぎったわけであります。私は、CIA自動車・同部品協議の間に諜報活動を行ったかどうか、これは承知をいたしておりません。しかし、昨日外務大臣お願いをし、外交的にこの問題についてアメリカ側に問い合わせていただいておりまして、現在までにそれに対しての報告があったとは連絡を受けておりません。  今委員からスパイ防止法というようなお言葉もございましたけれども、従来から我が国では何回か議論になりながら、いわゆるスパイ防止法あるいは機密保護法的な法律はつくられずに参っておるのが実態であります。また、そういう意味では、果たしてCIAがそれほど諜報活動をしなければならないほど大変だったのかなという気もしないではありません。  ただ、結果を考えていただきますと、そういうことがあった、なかった、これはいずれアメリカ側からどういう返事が参りますか、外交ルートを通じての返事があろうかと思いますけれども日米自動車・同部品協議と申しますものは、日本政府は従来からの立場を踏まえ、その筋を曲げないままに去る六月末に決着をすることになりました。そしてその内容というものは、アメリカ側が強く固執しておりました数値目標を排除する、国際ルールにのっとった形で決着を見ることができたわけでありまして、日本側としては評価できる内容の終わりを告げることができたと考えております。  この問題の真偽、現実にわかりませんけれども、実は数カ月前にもほかの新聞で、アメリカ国内で同じような話が報ぜられたことがありまして、そのときにも大変不愉快な気持ちは持ちましたが、事実問題として日本政府の筋を曲げずに決着をつけられたということから、昨日の報道を受け、日本マスコミの皆さんも大変関心を持たれていることから、改めて外務大臣お願いをし、現在調査お願いしております。
  8. 栗原博久

    栗原(博)委員 私も、新聞報道の限りにおいては大変不快の念を持っていますし、米国に自重をひとつ促していただきたいというふうに思っております。  さて、繊維産業の件でございますが、かつてこの繊維産業我が国基幹産業でありましたし、戦後はまた輸出産業として我が国の復興に極めて大きな役割を果たしてまいったわけであります。現在その産業の力も弱まっているといっても、事業所数で十二万軒で、全製造業の一七・四%にも当たる、あるいは従業員は百二十二万人で、全製造業の一〇・四%に当たるということでありますし、また、流通関係も大変多くその従業員がおるので、約百四十六万人で、これは流通の一二・五%に当たるということでありまして、国内市場だけでも二十兆円の市場構成を実はしているやに伺っております。  しかしながら、繊維産業付加価値が低いということで、他の産業に比べて約半分である。その付加価値生産従業員一人当たり四百八十三万円と伺っておるわけであります。また、従業者数も一事業者当たり九・八人前後と大変低いのでありますが、しかしそのすそ野は極めて広くて、地方経済とのかかわりは一番深い産業であります。また、地方の、とりわけ過疎の地域においてはこの繊維産業はまさしく主要産業であるわけでありまして、私ども地方においては、ある市においては産業重要性が全産業の八〇%にも当たる地域もあるわけであります。また、そのすそ野は、先ほど申しましたけれども、例えばニットに対しましては、染色整理とか編み立て、そして縫製、リンキングとか、まとめとか、各分野にわたりまして農業関係方々が内職をしたり、あるいはまた勤労者方々奥さんたちがその仕事をしておりますので、この産業の力が弱まれば当然やはり消費需要についても極めて低くなって、地方経済を襲う波は大変大きいわけであります。その中におきまして、この産業は本当に不況感を脱し切れない、要するに不景気の真っただ中にあるというふうに言われておるわけです。  例えば、従業員の数も、私ども地方もそうですが、従業員の数が大変減っているわけでありまして、昭和五十五年から平成二年の十年間で約十二万人で、一年間一・二万人ずつ減ったそうでありますが、平成三年から五年までの二年間で約十一万人ですから、一年間に五万五千人も従業員が減っているということであります。  それはなぜかということになるかと思うのでありますが、この産業は、こうして対米自主規制以来、過去幾度も苦難の道を歩きながらも経営努力をされ、経営者は心血を注いで努力してまいりました。政府、通産省におかれましても、繊維工業設備等臨時措置法を初めとして、今まで幾度もこの法律改正しながら構造改善を進めてき、その効果も出ておるわけでありますが、しかし現実的には、過去のドルショック、そしてまたオイルショック、一九八五年のプラザ合意以来、繊維産業、もはや極めて不況のどん底にあるわけです。  政府はこれに対して、どのようにこの繊維産業を見ておられるかということについてお聞きしたいと思うのであります。
  9. 中野正孝

    中野政府委員 お答えいたします。  今委員おっしゃいましたように、日本繊維産業、かつてない大変苦境状態が続いておるわけでございます。  御例示にありましたように、四十年不況あるいは円高不況、過去の例でございますと、一年ないし一年半で百貨店あたり婦人物あたりから需要が回復いたしまして、それが全体の景気とともに生産も順調に回復していく、こういうサイクルをたどってきたわけでございますが、昨今の繊維産業状況を見ますと、例えば百貨店売り上げで見ますと、平成四年から三年間、また、ことしに入りましても連続して衣料品売り上げは減少しておるわけでございます。  輸入品につきましても、今御指摘いただきましたように輸入浸透率、これは数量ベースでございますが、五六%ぐらいになりまして、アメリカでありますと輸入浸透率は約三五%ぐらい、ヨーロッパでありますと四五、六%、こういう状況でございます。もちろんこれは数量ベースでございますが、金額ベースで見ますと、あえて試算しますと、私ども、二三%か四%ぐらいの輸入のもとで繊維産業経営を行う、こういう状況に立ち至っていると思っております。生産につきましても、大体この三年間で二十数%減少でございます。  したがいまして、企業収益につきましても、紡績業は総じて今赤字状態原糸供給であります合繊につきましても、特定の数社を除きまして大変苦しい状況が続いておるわけでございます。織布あるいはニット等につきましても、頑張っている企業もございますが、総じて企業収益大変状況が悪い、こういう認識におるわけでございます。
  10. 栗原博久

    栗原(博)委員 そういう中で、私は今お聞きしましたけれども、もう国内産業はたえがたい状況にあることは御承知のとおりであります。  では、この中で、特に最近は東南アジア等からの輸入品がふえておるわけですが、その各国別輸入状況、おわかりでしたら、あるいはまた最近イタリアのいい品物がひしひしと日本に入っているようですが、そういうことについて、簡単でよろしいですから数字をお示ししていただけますか。
  11. 中野正孝

    中野政府委員 お答えいたします。  日本繊維製品全体の輸入の現在の姿でございますが、約半分が中国から参っております。あと、残りの主な輸入国を申し上げますと、韓国が一割ぐらいでございます。パキスタンが一割強。それからASEAN、これはインドネシアが、最近はタイが主力でございますが、大体八%から九%輸入シェアを占めているという構図になっております。EU全体からの輸入は四%ぐらいでございますが、イタリアにつきましては毛織物あるいはニット中心に最近輸入がふえておりまして、ただ、全体に占める割合は一・二%程度のものでございます。  昨年の輸入状況を申し上げますと、数量ベースでいきますと、一七%の輸入の増加がございました。イタリアにつきましても五一%、これは過去、昭和五十年ぐらいを見ますと数量はそうふえておるわけではございませんが、昨今のファッション性のものというようなことを中心に昨年はふえております。それから東南アジア、ASEANにつきましては、昨年の輸入は三三%増という状況でございます。  ただ、繊維輸入につきまして一言申し上げますと、本年になりましてからこの輸入増加のテンポは相当なだらかになってきておりまして、全体で申し上げますと、昨年一七・二%の増でございましたが、ことし一月から八月、統計のわかっておるところで申し上げますと六・八%増ということで、現在比較的落ちついた状況にはなっております。  以上でございます。
  12. 栗原博久

    栗原(博)委員 橋本大臣もかつて繊維関係にお勤めでございましたので、私が申し上げるまでもなく、私以上に熟知されていると思いますが、織物は後染めと先染めがありまして、白地にプリントする、要するに後染めが生産量の大体九五%ぐらいある。私ども新潟でやっております、見附とか栃尾等でやっております先染めが五%で、この中で一%の生産量を食うか食われるかによって、その産地の好況感というようなものが出てきたわけであります。ところが最近は、こうして外国の攻勢が強くなりまして、それを飛び越えた形で繊維産業は参っているわけでありますが、自由貿易の美名のもとにおきまして、どうも弱い繊維産業が風にさらされているというふうに産地の方は実は考えております。しかしながら、政治、行政に頼ることも限界だ 自分たちは自分たちの力で生きる限りやらねばならないという形で産地の方は頑張っておられるわけでありまして、例えば、きょう私この質問をしようと思いましたら、きょうの私どもの地元の新潟日報でちょうど出ておったのでありますが、うちの方で五泉市というニットの土地があるのでありますが、ファッションタウンづくりでシンポジウムを開いて、地場ファッションをつくろうということ、あるいはまた、それとあわせまして、五泉ドリームという中でのファッションショーをやって、地元だけでもいいから需要を喚起しようということもやっているようであります。あるいはまた見附においては、見附のニット工業協同組合などが東京の青山でやはりショーをやっているのですが、一生懸命みずからの力で生き延びようという努力をされているわけであります。  しかし、それにも私は限界もあろうかと思います。例えば、新潟県を初めとして北陸の石川、福井県等は、全産業の二〇%以上が繊維産業に依存しているわけでありまして、こういう中で繊維産業をどうしてやっていくか。また、ウルグアイ・ラウンドの中で、米もうまくなくなる。米をつくっているところと織物の内職、下請はお互いに共存、共生じておりまして、水もうまくない、織物のニット等の下請もうまくないとなりますと、やはり地方の農村における経済的なダメージ、打撃は大変大きいわけであります。  この中で私は、従来からWTO委員会あるいはまた予算委員会等でも質問してまいりましたけれども、ガットの原則の中で、MFAの中で認められておりますセーフガード、このセーフガードの発動を何としてもやはりせねばならない。欧米諸国等では認められているのに、日本がなぜここまでいかないか。これは、貿易黒字を持っていることと、あるいはまた東南アジア等に対して、発展途上国に対する市場開放の問題等もあるかもしれませんが、日本だけが唯一のノンクオータで輸入枠がない国でありますし、あるいはまた関税も他の国よりも低いわけでありまして、まさしく繊維業界の方はフェアじゃないと言っているのであります。この前の審議会の報告書を見ましても、急激な円高や、長期にわたる国内需要の低迷もあって、産業調整が急速に進み、撹乱的輸入により計画的な構造改善等の努力も無に等しいというようなことを言っておるわけでありまして、従来考えられなかった生産基盤の崩壊を招きやすい事態に陥っているわけであります。  その中で、私は今回、二月二十三日ですか、日本紡績協会とか日本線スフ織物工業組合連合会が四十番手の綿糸とポプリン・ブロードについて、中国あるいはインドネシア等を限定しながらセーフガードの要請をされておるわけでありますが、これがどのように進められているかということについてお聞きしたいと思うのであります。
  13. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、多少脱線するようでありますけれども、栃尾、見附あるいは五泉といった地名を聞き、大変懐かしく、私自身が紡績会社の社員として通いましたころを振り返っておりました。  というのは、ちょうど私は日米繊維騒動が起きました時期に社会人になり、紡績会社の社員となり、まさにアメリカ側措置によりまして、製品倉庫の中にどんどんどんどん売れない原反が積み重なっていった時期の綿紡績の社員であります。また、合繊への切りかえを失敗しまして、かつて私がいた会社はなくなりました。そんな思いを持っておりますだけに、今、日本がセーフガード協定をという時代になった、改めてその重みを感じております。  今委員からお話がありましたように、本年二月二十三日、関連の事業者団体から綿糸四十番手クラス及び綿製ポプリン・ブロード織物の輸入に対しまして、繊維セーフガート措置の発動要請がございまして、厳正な検討を行った結果、四月二十一日、調査開始を決定をいたしました。  この繊維セーフガード措置の手続などにつきましては、検討すべき事項として、輸入増加の事実及びこれによる我が国産業に与える重大な損害などの事実、原産地に関する事項、国民経済上の緊急の必要性に要する事項といったものが規定をされておりまして、通産省といたしましては、これらの事項を検討しながら、引き続き調査を行っている段階であります。  繊維セーフガード措置の手続などにより、この調査調査開始決定後一年以内に終了させることとされているわけでありますが、私どもは可及的速やかに調査を終了させるべく、現在努力を続けております。御協力をもまたちょうだいをいたしたいと存じております。
  14. 栗原博久

    栗原(博)委員 なかなかデリケートな時期でございますから、大臣の御回答も含みのある中でのお話だと思うのですが、産地の皆さんがおっしゃるには、欧米に比べて厳しい条件と手続をされているのではなかろうか。そしてそれが発動しましても、中身を見ますと三年間の限定である。そしてまた、年六%の上限は許されるというようなことであるようでありまして、極めてセーフガードの効果は薄いのではないか。  例えば、先ほど局長さんですか、六・八%今年度は輸入の増加だとおっしゃっておりましたが、そうなりますと、この二団体の要請を受けてセーフガードが発動されますと、まあ繊維業界広いわけですから、他のニットとか絹織物、あるいはまた合繊の織物までいろいろあるわけなんです。こういう方々が、やはり一つの励みになるわけですね。日本の国は、欧米諸国等ではセーフガードをやっているけれども日本だけはしていなかった。しかし、日本政府も我々の産業を守るという意思はあるんだという、そういう意味でも極めて私はこれは大きいものであり、また業界の業者もみずから生きるために、みずからの努力で構造改善を進めていくと思うのであります。  ですから私は、このセーフガードを発動するかどうかによって、国内繊維産業の皆さんがあすに対する希望を持てるということを申し上げまして、ぜひひとつ大臣から早急な御決断を下されて発動を賜りたいと思います。
  15. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この調査開始を決定いたしますにつきましても、いろいろな国から、やめてほしい、あるいは自主的な規制で対応したいといったようなお話もありました。しかし、そうした中で通産省は、今回初めてでありますけれども調査開始を決定いたしました。そこで我々の意をぜひお酌みをいただきたいと存じます。
  16. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。ひとつよろしくお願いします。  実は、きょうの繊維のこの法律のことでございますが、たびたび業界も構造改善をやってまいりました。しかしながら、リスクを分散するという中で、この繊維業界は複雑、私に言わせれば、複雑でありまたなかなか怪奇な業界であると私は思っておるわけでありますが、いわゆるプロダクト・アウト構造を余儀なくされております。実は製品の差別化競争とか、あるいはまたそれよりも価格競争を促す産地の下請制度がまだまだ認められますし、また、かつて輸出時代に重きをなされました低価格競争の大量生産というものもまだまだ残っておるようでありますし、いわゆる、繊維は流行物だからリスクがあってもいたし方ないという流れがあるかと思うのであります。要するに、生産者、卸、小売の段階でお互いに売れ残りを抱え込むというむだの多い業種でありますが、しかし、これももうこれ以上はっておけないということであると思うのです。  事実、売れ残りのリスクの中で、流通マージンでありますが、全商品は一六・八%が流通マージンである。ところが、繊維は三七・七%にまで実は流通マージンがいっているやに伺っておるわけでありまして、そのためには、その市場の求めるものを把握し、開発し、そして生産、販売するというマーケット・イン型の産業構造にしていかなきゃならぬ。これは生産者も流通段階の方も十二分に承知しておると思うので、情報ネットワークを進めまして、生産、販売、そして技術を共有化してリードタイムの短縮化を図って、流通ロスの削減を図らねばならぬということで、要するにクイックレスポンスですか、これの効果ははかり知れないものがあると思うのであります。  平成六年度にこの法律の制定を見ておるわけでありますが、既にアメリカなどはこれに成功しているようであります。そういう意味で、今回この法律改正の要点をひとつお聞きしたいと思うのであります。
  17. 中野正孝

    中野政府委員 改正の要点とねらいでございますが、今先生御指摘のとおりでございますが、繊維日本産業の実態、平均的に申し上げますと、糸から製品になるまで、リードタイムといいますか、大体六十八週、一年三カ月ぐらいかかっているわけでございます。八年前からアメリカがクイックレスポンスということを業界の大きなうねりとして実施しまして、これが三カ月、四カ月に短縮、かつ消費者も二、三割の安いものを得ることになった、かつ産業界も収益も基盤もしっかりした、こういうことでアメリカ繊維産業が立ち直った、こういうことを言われておるわけでございます。  昨年改正いただきましたこの繊維法に基づきまして、私どももむだの多いといいますか、結果として見込み生産で二割三割の返品になる、マーケットも非常に多段階になっておる、こういう構造を、情報技術を核にしまして、必要なものを必要なだけ生産してできるだけ短縮ルートでマーケットに直結して届ける、こういう構造をつくりたいということでやってまいりました。この一年間で大体十五のグループの方が、現在情報化ということで企画、プランをつくっております。  そういうことで、今回私ども繊維構造改善事業協会に補正予算で二十五億円いただきまして、これによりまして利用するソフトウエア、中小企業でも使いやすいソフトウエアの開発、あるいは情報化に伴う生産流通のシステムのハードを含めた汎用的な技術開発、あるいは全国の産地、消費地を結ぶ実験的なネットワークを提供いたしまして、これでいろんな繊維のグループの方がアソシエーションを組んでクイックレスポンスの実験をしていただく、こういうような事業を行いたいということによりまして、体質の強い繊維産業を担うグループの育成をしたいというのが、私どもの今回の法改正のねらいでございます。
  18. 栗原博久

    栗原(博)委員 わかりました。このQRが順調にいくにもまだ相当の時間が実はかかると思うのであります。我が国繊維産業を蘇生するためにはどうしても、私は先ほどから何回も申しますが、そのQRがうまくいくまでの時間に地方繊維業界が没落してはならないということで、ぜひひとつセーフガートを早急にあわせてしていただくことをお願いしたいと思います。  きょうは時間がありましたら大臣に、産業空洞化の問題とか、また産業構造の改革の問題についてちょっとお聞きしたかったのではございますが、今回の経済対策でいろいろ、十四兆二千二百億ですか、講じられておるようですが、ただその中で、今一番中小企業の方が求めていることは制度金融の問題だと思うのです。要するに、借りかえですか。長期プライムレートが財投よりも逆に低い段階においては、きょうは三・一五%で公的金融が実施しているようでありますが、今回の補正予算で、五%以上は何とか減免するというような措置を一年間限りということでやっているようでありますが、公定歩合が〇・五%でございますから、私はやはり借りかえ、これを認めていただきたい。  まあ、認めればまた財投等の運営資金、もとの原資についての兼ね合いも難しくなるかもわかりませんが、ただ、一般の方々が今借り入れしますと三・一五から三・ちょっとですかなのに、過去に借りたのは六%前後のものがあります。これが五%になりましても、その差が五%と三・一五%で約二%弱の差があるわけですから、企業にとってはこれは大きな差の感じを実は感じているわけでありまして、ぜひひとつこの景気対策の中で、ちょっと見過ごしがちでありましたこの借りかえの問題をぜひひとつお考えおき願えればということをお願い申しまして、私の質問にかえさせていただきます。
  19. 新欣樹

    ○新政府委員 政府中小企業三機関、過去に借りた金利、非常に高いという御指摘ございました。確かに金利、その水準高い時代に借りたわけでありますが、この政府系三機関の、一つは役割ということで考えますと、民間金融機関ではなかなかその資金を供給しにくい資金、これをお貸しをする、それは結局のところ固定金利で長期の資金をお貸しをする、これが一つの役割であろうかと思うわけです。  ただ、今日のように非常に超低金利ともいうべき金利水準になっておるというところの中で、やはり過去に借りた高い金利というもので非常にお困りになっておられる中小企業者の方が多いというところもありまして、私ども非常にこれは、御指摘のように原資が財投資金であるというようなこともあって非常に難しい問題があったわけでございますが、現に非常に困っておられる中小企業者がおられるという現実と、そうした政府系金融機関の役割あるいは財投原資の問題という、理屈といいますか、そういう問題との調和点、妥協点ということで、五%超の金利を借りておられる方々につきましては一定の減免措置を講ずる、こういうことにいたした次第でございまして、今後こういった措置をフルに活用していただいて、現下の厳しい経済環境というものを乗り切っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 栗原博久

    栗原(博)委員 どうもありがとうございました。
  21. 甘利明

    甘利委員長 次に、吉田治君。
  22. 吉田治

    ○吉田(治)委員 栗原委員の質問と重複する点はあるかと思いますが、私ども野党の立場で、大臣並びに担当者の方々に御質問をしていきたいと思います。  まず最初に、ここ数日話題になっておりますCIAによります日米自動車交渉の盗聴問題でありますが、私ども新進党といたしましては、やはり日米安保条約のもと、日米関係というのは本当に同盟国として、お互いコアリションの関係としていかなければならない、そのためにも、この問題についてはある意味での徹底した調査というもの、それをぜひともしていただきたい、かように考える次第でございます。  大臣、きょうのお昼のニュースから不愉快不愉快という言葉をずっと言われておりますが、それ以外に何か大臣としてのお答えを賜ればと思っております。
  23. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ただ、不愉快というのは本当に聞いた瞬間からの実感でありました。ですから、その言葉を使うことはお許しをいただきたいと思うのであります。  同時に、今調査と言われましたが、我々これを真偽を確定する手段を持ちません。また、残念ながら、国会で何回か論議がありながら機密保護法あるいはスパイ防止法といった法律を持っていない我が国として、行政府のできる範囲には限界があろうかと思います。  ただ、昨日外務大臣お願いをいたしまして、外務省から正式にアメリカ側に対して、これに対し、もしこれが事実であれば非常に問題であるということと同時に、その真実を確認する努力を開始していただいております。こちらに私が参りますまでの間にはこれについての報告はいまだ入っておりませんが、いずれアメリカ側からどういう返答が来るのか、その返答を待って対応してまいりたい、そのように考えております。
  24. 吉田治

    ○吉田(治)委員 資料を調べてみますと、随分前からそういううわさというのですか、日本国内紙にも随分出ておりましたが、やはりアメリカニューヨーク・タイムズというものが大きく取り上げますと日本でもわっと騒ぐという、ある意味での情報ギャップというのですか、とらえ方の違いというのを非常に感じた次第ですし、また、今大臣の方から外務省のルートを通じてというお話ですけれども、普通一般の常識として、人の話を盗み聞きしていて、盗み聞きされた方がおまえ盗み聞きしたやろうと聞いた場合に、そんなものは、はい、しました、ごめんなさいと言う方はまずいない。国のレベルでも同じではないかなというふうな中で、やはり日米関係というものを大事にしていただく、中心に据えていただいて今度の問題に対応していただきたい、かように思う次第でございます。  二点目はAPECへの対応でございますが、来月APECが開かれます。議長国として、これは非常にかじ取りが難しい難しいと随分マスコミ等でも書かれております。発展途上国の側に立つのか先進国の側に立つのか、包括的な自由貿易を求めていくということでありますので、どちらの立場に立つということは答えづらいかもしれませんけれども、どういうふうに議長国として臨むのか、その対応というものを言っていただきたいのと同時に、随分前から台湾の李登輝総統が、このAPECに参加したい、大阪に来たい、京大の出身者でもあるので、それに絡めて私も行きたいというふうに言われております。また、きのう、きょうの新聞では、中国の江沢民主席が、いや李登輝さんと会っても、台湾へ行ってもいいよというお話も出ておるようでございます。それでしたら、いっそのこと大阪で、そういうふうなAPECの場でお会いするような段取りを日本が努力すべきではないかなという考えもあるわけですけれども、その辺を含めての大臣所見を述べていただきたいと思います。
  25. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 順序をちょっと逆さにしてお答えをして恐縮でありますけれども、APECの非公式首脳会議にチャイニーズタイペイ、APECの場合には台湾という呼称を用いず、チャイニーズタイペイが正式の名称として使われておりますので、あえてその名称を使わせていただきます。この出席者問題につきましては、一昨年のシアトル会合、そして昨年のボゴール会合で一つのルールができ上がっておりまして、日本政府はこれを踏襲して対応するということを既に公式にも申し上げており、前例を踏襲して対応していただきたいということをチャイニーズタイペイ側にも伝えていると私は承知をいたしております。  日本が今回、このAPECの議長国という立場で本年の大阪会合を責任を持たなければならないわけですが、昨年のボゴールにおいて、御承知のように貿易・投資の自由化宣言というものが行われ、いわゆる包括性の原則というものが確認をされました。本年のAPECの最重要課題が何かということなら、この貿易・投資自由化、円滑化及び経済技術協力の推進という目標をうたったボゴール宣言をどう具体化していくか、そのための行動指針をどう定めていくかということであろうかと存じます。これは、APECとして初めて中長期的な観点に立った総合的、具体的な行動の大きな枠組みを形成するということになります。我々は、議長国としてその行動指針を策定すると同時に、その具体化に向けての確固たる決意というものを内外に示すための前向きな当初の措置というものを提示する、そうした役割を負っているわけでありまして、来るべき会議の成功に向けて全力を尽くしていかなければなりません。  先日、高級事務レベル会合が東京で終わったばかりでありますが、なお数点の問題を残しております。その包括性の原則というものを認めるということについては、参加の国・地域のいずれもそれに対しての反対はないわけでありますが、その上でそれぞれの国がセンシティブな問題を抱えている。あえてセンシティブな問題という言い方をさせていただきたいと思います。それをどのようにお互いの中でいたわりながら包括性の原則の中での一致を図っていくか、こうしたことについてはなお議長国としての努力を必要とするもの、そのように感じております。
  26. 吉田治

    ○吉田(治)委員 このAPEC議長国として、やはり大変だと思うのですね。発展途上国からは、やはり日本はバナナじゃないかとよく言われておりまして、表面は黄色いけれども中は真っ白だ、白人の言うことを聞いてきてというふうなことになったり、先進国側からすると、どっち向いているんだということにもなる。大変難しいかじ取りでございます。今の大臣の答弁を中心に、よくしていただきたいと思います。  ちょっと法案とは関係ないのですけれども、関連といたしまして、APECの警備状況について担当の方に教えていただきたいと思います。  たまたま私どもの選挙区が、大阪城、このAPECの会場の横でございまして、私が多分国会議員の中で一番会場に近いところに住んでいる。最重点警備地域に住んでおりまして、しょっちゅう警備の方が町を歩いていただいておりますので、非常に安心、安全な町に今なっておるのですけれども、その辺の警備の状況。そして、他府県からもたくさん応援が来られる。私は、この警察の方の処遇というのですか、来られて本当に仕事も大変ですけれども、それ以外の部分でも十二分な待遇がされているのかどうかということを非常に関心を持っております。  また、大阪市内では今、交通規制に対して苦情というのですか、心配の声が大変に高こうございまして、商売の町、中小企業の町大阪といたしましては、そんな三日も四日も一週間も交通規制をされてしまうと商売上がったりや、だれがそのお金払うてくれるんや、APECが来て私たちに何がもうかったんやとすぐお金勘定をしてしまうのが、よしあしは別にしまして大阪の人間の発想でございますので、その辺の広報体制というふうなもの。  そして最後には、よく説明の中で極左並びに首脳会議等の反対運動、ひょっとして過激暴力というふうなものが起こるのではないかという恐怖等がございます。その辺について、まとめて警備担当の方からお答えをちょうだいしたいと思います。
  27. 近石康宏

    ○近石説明員 APEC大阪会議につきましては、昨今の厳しい治安情勢下におきまして、大阪という東京以外で行われる初めての大規模警備であることから、大阪府警察はもちろんのこと、警察組織の総力を挙げて取り組まなければならないものというふうに考えております。具体的には、最大時、大阪府警察約一万三千人、全国道府県警察からの応援部隊約一万二千人、合計約二万五千人の警察官の動員を考えております。  次に、応援部隊の受け入れにつきましては、大阪府警察がその受け入れに万全を期しております。宿舎につきましては、大阪市内等に所在する数カ所の施設を確保しており、応援派遣部隊約一万二千人の人員を収容するに十分な施設を準備しております。  その次に、交通規制等に伴う広報についてでありますが、APEC期間中にあっては、行事の円滑な遂行のため阪神高速道路及び大阪市内北部の一般道路を中心に大幅な交通規制を行うため、交通渋滞が心配されます。府民に与える影響を最小限に抑えるため、大阪市内における交通総量を削減することが必要であり、このためには国民の皆様の御理解と御協力が不可欠であります。また、関西国際空港等におきましても、交通規制や検問等を行う必要から、利用者の方々に御協力をお願いしなければなりません。  そこで、これらの措置に対し、国民の皆様、特に大阪府民の方々の御理解と御協力を得るため、既にポスターやチラシの配布、テレビ、ラジオの放送により広報を行っておりますが、今後さらに各種の媒体を通じ、積極的な広報活動に努めることにしております。  最後に、極左暴力集団についてでありますが、極左暴力集団は、APECを日本アメリカ両帝国主義によるアジア侵略の場であり、アジアを戦争にたたき込んでいく反動会議ととらえ、APEC粉砕を主張しております。歴史的決戦に突入せよと檄を飛ばしていることもあり、今後、テロ、ゲリラを含む過激な闘争を展開するおそれがあります。警察といたしましては、その防圧、検挙のため、警備諸対策を十分講じてまいりたいというふうに存じております。  以上でございます。
  28. 吉田治

    ○吉田(治)委員 通行許可の問題とかさまざまおありでしょうけれども、本当にこの夏、地元の警察署長さんはそれぞれ地域地域を、盆踊りその他一生懸命回られて、頼みます、頼みますとやっておられますので、ぜひとも警察庁の方からも十二分の応援をしていただくと同時に、かえってこういうことによって警察に対する不信がないようにしていただきたいと存じ上げるところでございます。  それでは続きまして、新事業促進法以下の法案について質問に入らせていただきたいと思います。  まず大臣にお尋ねしたいのは、これは立法府の立場からいたしまして、新事業促進法三法、なぜ束ね法案なのか。法律というのは、それぞれ立法趣旨また目的というものが違うのは自明のことでございます。それがこういう形で、束ね法という形でなぜ出す必要があるのか、そしてなぜ私たちはその審議に対して協力をしていくのか、その辺の大臣のお考えをちょうだいしたいと思います。
  29. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 審議に御協力をいただきますのは、私は、国民のため、そういう立場からの御協力をお願い申し上げるという以外にありません。  今この新法、三法を束ねた理由というお尋ねでありますけれども、今だんだん我が国企業あるいは産業活動にとって魅力を失いつつある状況の中で、これ以上製造業我が国から逃げ出さないようにするにはどうすればいいのか、こういうことから私どもは問題意識を持ってまいりました。そしてそのためには、国内の高コスト構造を是正していくと同時に、新たな事業分野発展のための基盤整備を行って、経済フロンティアを拡大することによって経済構造改革を進め、国内において新たな事業活動が行われることを促進していく必要があると考えております。  具体的には、新たな事業活動促進し、我が国経済の活力の維持発展を図るために、民間事業者能力の活用による新たな事業活動基盤となる施設を整備すること、人材面、資金面での支援による新事業実施の円滑化、さらに輸入促進に寄与する事業支援などを一体的に進めていく必要があると思います。九月二十日に策定いたしました経済対策にもこれらの点を盛り込みまして、その具体化のために、現在参議院で御審議をいただいております第二次補正予算案による措置とあわせて、関連する法律であります民活法、新規事業法、FAZ法の改正をする必要があるという判断をいたしました。  こうした認識の中、内閣法制局と調整をいたしました結果、施策の内容の一体性に加えて、従来から一括法の判断基準となっております対象となる法律の形式的な一体性、それから付託委員会の同一性というものにも留意しながら、今回の三法の改正は一括法として行うことが適切という判断が下されたものでございます。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
  30. 吉田治

    ○吉田(治)委員 本当になぜ束ね法なのかというのはずっと問題意識で持っておるのですけれども、随時、民活法から以下質問をさせていただきたいと思います。  民活法、六十一年に制定されてから六回たしか改正をされておりまして、そのたびに特定施設の追加という形が随分されております。いっそのこと、私ども考えるには、法改正、法改正よりも、ある意味で政令化という形で、その場その場の臨機応変な形での追加措置というものが必要ではないかなというふうに考える次第でございます。  また、これにあわせまして、それぞれの認定プロジェクトの事業化の要件の緩和というのですか、これは必要ではないかな。今申し上げましたように、何か新しい、民活法を使うというのはやはりビジネスチャンスがそこにある。ビジネスチャンスがそこにあるということは、それを早く事業化していきたいというふうな形になりますと、平均して事業化まで五年も六年もかかるというのは、そこに何か要件なりなんなり、厳しさ、またやりづらさというものがあるのではないか。そのために、それをクリアするための一つとして、やはり新しいこういうビジネスが出てきたという特定施設の追加をある意味で政令化するということも必要ではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  31. 牧野力

    牧野政府委員 御調ごもっともなところもございますが、従来、民活法を新しい施設を加えるたびに改正をしてまいりましたけれども、二言で申しまして、これはニーズに応じて、ニーズがあったものについてどんどんつけ加えていくということでございます。  それから、今委員がおっしゃいましたが、これは新規事業法で新しくベンチャーがどんどん出てくるというのと違いまして、やはり一つの社会資本的なものでございますから、やはりきちんとそれぞれについて要件を定め、必要なものがあればいろいろな助成をしておりますので、これを法律でやっていくのが正しいというようなことでやってきたわけでございまして、今まで、追加についてフレキシビリティーを非常に欠いてきて法律でなければこれを加えられなかった、そこで不都合があるというようなことは、非常に大規模な一種の社会資本でございますので、そういったことはそれほどなかったのではないかというふうに考えております。  ただ、今御説のように、新たな状況に応じまして機動的にこういったものをつけ加えていく必要があるわけでございまして、今般も生活基盤の新社会資本が必要だということから、リサイクルの関連施設でございますとか大規模スタジアムを加えることになったわけでございまして、これについては私どもいろいろ調査をしましたところ、十分にいろいろなニーズがありますので、これにこたえて、これをつけ加えていくということでございます。  ただし、今お話がございましたように、非常に細かいところまで要件がちょっと変わればすぐ法律改正しなければいかぬのかということになりますのは、これはやはり柔軟性を欠きますので、例えばリサイクル関連施設といいましてもいろいろなものがありますから、法律で要件をある程度定めるにしても、若干違ったものが出てきた場合には、これは今回は政令に落として、機動的にこういったものをどんどん拾い上げるようにできるというような措置をいたしたいというふうに考えております。
  32. 吉田治

    ○吉田(治)委員 局長さん言われるのはよく理解できるのですけれども、しかし社会資本のニーズという部分があるということであるならば、百二十九の現在の認定プロジェクトですか、これに関して運営面ですとか性格の類似性、また場所的に競合している。何か民活ができたとき、今からほぼ十年前でございますけれども、メッセ、コンベンションという形で、あちこちでコンベンションホールがコンベンションホールがとした結果、どれだけ稼働率があるのか、またどれだけの利益が上がっているのか。ある意味で、私はいい意味での競争というものは必要だと思うのですけれども、今局長の答弁の中であったように、それほど慎重にした中においてですら、何か競争というよりも競合というのですか、いい意味でのお互い発展していく競争じゃなくて、お互い余りいい方向へ行かないような競合という形に陥っているのではないかなという気がしているのがまず一点。  そして、そのためにも、ぜひとも税制等の支援策等を具体的に、現状のプロジェクト、また今後のことに関してもしていく必要があるのではないか、かように考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  33. 牧野力

    牧野政府委員 余り反論はをいのですけれども、いずれにいたしましても、できるだけ新社会資本をどんどん拾い上げていく。ただし、これはやはり社会資本でございまして、それなりの助成をいたしますので、やはり法律できちんとある程度のことはしなければいけない。こういうことで、どこで兼ね合いをつけるかということであると思います。  それから、せっかくこれ認定をいたしましても、これが需要に応じて的確に動いていくということでなければなりませんので、認定等につきましては、これは現在まだ多々反省すべき点もあろうかと思いますけれども、できるだけ短い時間で認定をしていくというようなことが必要であろうかというふうに思っております。  それから今まで第三セクターを中心にやってきたわけでございますけれども、もちろんうまくいっていないものもないわけじゃありませんが、所期に目的といたしました利益をある程度上げるとか効率的にやっているというようなことは、全体を調べてみますとうまくいっているということが言えると思います。  それから税制につきましては、これは御案内のように、今般、税制につきましては年末の税制改正におきまして一括して行うことになっておりますので、その中で私どもとしてはぜひとも頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  34. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いろいろ問題を含みつつのことですけれども、その中の一つに、やはり通産、運輸、郵政、建設と、それぞれ四つが主務大臣になっているということも、どうもこれ、例えば認定一つにしても、こういう言い方はどうかわかりませんけれども、箱物行政というのですか、いっとき言われましたように陳情して物を、箱を建ててもらう、それがいろいろ競合する、そういうふうな形になりはしていないか、しているのではないかなという気もしておりまして、主務大臣、現在四大臣あるのですけれども、これを一本化しようという話は今なされているのか、それともこれからなされていく方向にあるのかどうか。  やはりそれは先ほど申し上げましたように、事業化をしていく場合に、いろいろ大臣がかかわっできますとそれぞれ違ってまいりますので、民活法自身の運用にも影響があるのではないかなと考えるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  35. 牧野力

    牧野政府委員 御指摘のとおり、現在民活法で十五の特定施設を設定しておりますが、六施設につきましては主務大臣が複数、いわゆる共管というものでございます。  複数の主務大臣があることによって手続がおくれるのではないかという御疑問、御質問がと思いますが、これにつきましては、例えば今般つけ加えようとしておりますリサイクルの施設でございますけれども、これはやはりいろいろな役所によって見る観点が違います。例えばリサイクルにつきましては、リサイクルの再商品化に関しては通産大臣が最も知見を有しておるわけでありますが、他方、廃棄物の処理という面もございます。この面については、やはり厚生大臣が十分な知見を有しているわけでございます。こういったものを突き合わせて、総合的に判断をする必要があるわけでございます。したがいまして、現在の日本政府の役所がそれぞれ膨大な事業をそれなりの責任を持って分担をしている、また、それなりの知見を持ってそれに対応しているという状況の中におきましては、これは主務大臣が複数あるということは適切だろうと思います。  ただ問題は、それによってその手続が各省の中でなかなか話が進まないとかいうこと、これは非常に問題だと思います。ただ、これは委員承知のとおり、この法律が十年前にできましたときから各省の共管、五省庁の共管でやってきたわけでありますが、その時点におきましてもそういった相乗りの、相乗りといいますか共管の法律で、これが各大臣に分かれることによって物事がスムーズに進まないということがないようにということについて、この商工委員会等でも十分な議論があったというふうに承知をいたしております。それを十分に踏まえまして、その後、実際の運営につきましては非常に気を使っております。その結果、寡聞にして、十年間、各省でキャッチボールをされて物事がうまくいかなかったという苦情は少なくとも聞いておりません。  今後、いずれにいたしましても、そういった各省に分担割りされることによってせっかくの法律趣旨が生かされることがないというようなことのないように、その点につきましては十分に配慮してまいりたいというふうに考えております。
  36. 吉田治

    ○吉田(治)委員 あと、産業基盤整備基金について、NTTの低利融資というものが利子補給制度の創設とともにされるということですけれども、どうもいただいている資料を見ておりますと、全体に占める割合というのが低いのではないか、うたい文句は大きいのですけれども、非常に限定的ではないかなという感じをとらえるわけです。  またもう一つは、今度阪神大震災がございましたので、この被災地に民活法の特段の配慮というものが何かなされるのかどうか。  この二点、まとめてお答えいただきたいと思います。
  37. 牧野力

    牧野政府委員 現在、非常に金利が下がっているという状況の中で、NTTの、無利子は別ですが、NTTの融資でありますとか、今般民間事業者に対して利子補給の制度を設けましたけれども、これが本当に有効であるのかという議論は、これはあり得ると思います。  ただ、この法律は、先ほど大臣説明申し上げましたように十年間これから続くわけでございますし、安定した低金利なり、あるいは出資等もいろいろ、債務保証いろいろございますが、現時点において見れば多少寂しいなという気持ちもこれはわからぬではありませんけれども、社会資本の長期的な性格を考えました場合に、これは私どもは非常に有効であるというふうに思っております。  さらに、震災地域についての御指摘でございますが、これは法律事項ではございませんけれども、特に政府の強い御指示によりまして、私どもとしましては今般の補正予算におきまして、施設に対する補助金、一般的にはこれは五%でございますけれども、これを震災地域につきましては二○%にがさ上げするという措置を講じ、震災に対しまして政府としては非常に、十分な配意をしているつもりでございます。
  38. 吉田治

    ○吉田(治)委員 特に震災地域での配慮というのは、これからももっとしていただきたいと思うところです。  ただ、ちょっと事前に質問項目で出していなかったのですけれども、この問題、民活法にしましてもFAZ法にしましても、いろいろ見ておりますと、今から十年前の法案でございまして、第三セクターですとか三セクとよく言われました。民活だとよく言われました。行政の足らない部分を民間と一緒にやっていくんだということで、随分私たちも聞かされておりました。  十年たちまして今聞く話は、三セクはちょっとどうかな。こういう言い方はいいかどうかわかりませんが、やはり役所の方が必ず一枚かんでくるというか、人の部分で入ってくる、どこかのポストを占めてくる。そうすると、民間の発想といったらどうでしょう、そちらの方向でずっと行こうと思ってもブレーキになる、そういうふうな部分があるということを聞いてまいります。私どもの地元の方でもそういう一つの会社がつくられたのですけれども、正直に言いまして、役所の方が入ってこられて、どうもそれが足かせになって思ったように動かないという内部の意見等がございます。  私の質問、事前にありませんので特段お答えをいただきたいと思いませんが、大臣、どうでしょう。民活ですとか三セクの有用性、ちょっと今になって、十年たっての反省点というもの、もしも大臣の方でお考えがございましたらお答えいただきたいと思うのですけれども
  39. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今委員が御指摘になりましたようなケースがあることも、具体的なケースとして存じております。しかし逆に、第三セクターであるがゆえに、むしろ行政と非常にうまく連係プレーがとられ、よくワークしているケースも実は存じております。  それゆえに、これは要は人の問題ということなんじゃないでしょうか。民間と共同して一つの第三セクターをつくり、事業運営をしていかれる、そこにふさわしい人材を送るだけのきちんとした配慮を行政側にも求めたい。また逆に、第三セクターを形成する民間の方々も、もしもその人事が原因でうまく機能しない場合に、それをきちんと行政側に伝達されるぐらいの勇気も持っていただいてもいいのではなかろうか。たまたま私はそういう具体的なケースに遭遇したことがありますので、実感としてそのような感じを持ちます。
  40. 吉田治

    ○吉田(治)委員 突然の質問、どうもお答えありがとうございました。  あと、次は新規事業法の方ですけれども、やはり一番大きな問題になるのは、ストックオプション制度を取り入れた場合に、現行の課税制度では行使価額と時価の間に、これまた課税対象になってまいりますし、それらのすべてを含めていきますと、実質的、実効的には余りプラスにならないのじゃないか。本来、これだけもうかると言ったらいいのですか、頑張ったからこれだけの見返りがあってというのが全部税金で持っていかれるのじゃないか。  よくこのストックオプション制度はアメリカ等でも発達しておりますし、皆様方御承知のとおり、それによって随分ベンチャーが生まれましたし、その中で世界に誇る企業も生まれている中で、果たして現行のこの税制のままで、極端なことを言いましたら国税、地方税合わせて最高六五%の税、現行税率の中でこの制度がどれだけ有効に機能するのかなというのが非常に疑問に感じるところですけれども、その辺、法案提出者である通産の御意見と、それから課税する側の大蔵の、それぞれの御意見を賜りたいと思います。
  41. 牧野力

    牧野政府委員 全く御調ごもっともであろうと思います。私どもといたしまして、現在、税制につきましては、年末の税制の総体的な、総合的な税制の決定の過程の中で、ぜひこの問題について新しい税制をつくっていただけるよう、今税制当局と議論をしているところでございます。  特に、今委員が御指摘になりましたように、これは権利の行使時とそれから売却時に、権利の行使時には所得税がかかってくる、それから売却時には譲渡課税がかかってくるということでございますが、特に権利の行使時におきまして所得税がかけられるということになりますと、これは率直に申しまして、せっかくこの制度をつくっても大半の効果が減殺されるということを恐れております。  そういった意味におきまして、私どもとしましては、今後税務当局と鋭意折衝してまいりたいというふうに考えております。
  42. 甘利明

    甘利委員長 大蔵省は来ておられませんか。——大蔵省に質問要求は出しましたか。
  43. 吉田治

    ○吉田(治)委員 はい、じゃ、後でいいです。結構です。後ほどにします。
  44. 甘利明

    甘利委員長 はい、質問を続けてください。吉田君。
  45. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは続きまして、新規事業法で現行下認定企業が二十五件、これは多いと考えたらいいのか少ないと考えたらいいのか。私は、ある意味で少ないんじゃないかなと考えるのです。  やはり一つには、どうも手続に相当難しい部分があるのではないか。やはり基準の部分が、最高水準の基準というものを求めているんじゃないかな。やはり新規事業、ベンチャーという言葉もありますように、ある意味で冒険的な部分、リスクも負う部分というのが必要ではないかなと思うわけなんですけれども、その辺の手続というのですか、緩和という言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、もう少し多くていいんじゃないかな、もう少しその辺の部分を緩和されてもいいのではないかなというのがまず一点。  そして二点目が、認定企業それぞれ見ましても、ほとんど通産省所轄の事業というのですか、やはりこれからの産業というのは、御承知のとおり、サービス産業でありますとかバイオの部分という、通産省所轄ではない部分というのがどんどんどんどん広がっていくという中において、その広がりというものに対してどう通産としては対応していくのか、また、関係省庁と現状どう連絡し、これからどう対応していくのかということをお答えいただきたいと思います。
  46. 牧野力

    牧野政府委員 今委員もおっしゃっていましたが、多いか少ないか、これはどういう観点から見るかによって意見が分かれてくるかと思いますが、御指摘のとおり、二十五社でございます。  ただ、二十五社が少ないとすれば、これがなぜ今まで少なかったかということでございますけれども、これは確かに認定をかなり厳格にやっていたということ、手続に時間がかかったというような問題もあろうかと思います。基本的には、ベンチャーが大いに出てくるという全体的な、日本全体の地合いといいますか、それが必ずしも熟していなかったのではないかということも言えるかと思います。例えば、金融資本市場が未整備であったというようなこともあろうかと思います。  しかしながら、本年七月の店頭特則市場の創設等、資本市場の整備も着々と進められておりますし、先ほど来大臣がお答えをしていますように、現在、経済構造改革が非常に大事である、これが焦眉の急であるということから、新規事業育成の機運が非常に高まってきた。他方、そういったような中で、民間の新規事業に取り組む機運も非常に今出てきております。  そういうようなことの中で、現在、六十数社が新たに認定を求めたいということで、ウェイティングリストといいますか、そういうことがありますし、それから、先ほど冒頭に申し上げましたような、この新規事業法の認定の仕方につきましても、これは日数等につきましては手続を大幅に縮めるよう今努力をしております。それから、この認定をします上に、例えば再保証人が必要であるというような要件を過去つけておりましたけれども、これも随時外しておりますし、今後これを一層緩和いたしたい、こういうことでございますので、今般のストックオプション等の法律改正も相まって、今後この法律が非常に使われていくというふうに私どもは確信をいたしております。  それから二番目のお尋ねでございますが、なぜ通産省所管分野という御質問でございますが、これは現在の法律もそうなっておるわけですけれども、いわゆるベンチャーが出てくるような我が国の商工業、これはサービス業も含んででございますが、当省の所管分野は就業者数あるいは事業所数等で大体八割程度と、非常に大きなウエートを占めております。そういった意味で、今後登場してくる新規事業も相当部分が通産省で拾っていけるのではないかというふうに思っております。  さりながら、これから外れるものももちろん考えられるわけでございます。それぞれ各省においてもいろいろ考えておられると思いますけれども、今般、ストックオプション等の新しい有効な手だてもつくったことでございますし、私どもは他省庁を排除するつもりは全くございません。もちろん他省庁がそれを希望すればでありますけれども法律に違反しない限度におきまして、他省庁の要望につきましてはこの認定でどんどん拾ってまいりたいというふうに考えております。
  47. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは続きまして、FAZ法の方に入っていきたいのです。  総合保税地域制度という形で、現行平成四年にできて以降は、大阪の南港、ATCのみが認定された。認定要件の厳しさというのがずっと言われておりまして、私どもの手元に資料がございまして、これは通産省が出しております「FAZ施設のイメージ図」というものなのですけれども、これは法律からすると完全なでたらめと言えるのではないかな。なぜか生言いますと、蔵置、加工、展示の三施設が一団の土地になければならないのに、これは間に道路が入っておりまして、こういう図を平気で出しているというのは、まずどういうことなのかな。それとも、これが一団の土地という形で認識されているのかな。やはり通産自身の認識は、いや、一団とは書いているけれども、そうではないということかなという感じもしておるのですけれども、まずその辺の厳しさというもの、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 ただいま御審議お願いしておりますFAZ法でございますが、これは特定地域に貿易関連施設あるいは貿易関連事業の集積を図って輸入促進お願いしようという制度でございまして、各種の支援措置を講じておるわけでございます。これを関税制度の方からいろいろ御支援いただくという意味で、このFAZ法の制定と時を同じくいたしまして関税法を改正していただいて、総合保税地域制度というのを設けたわけでございます。  ところが、FAZ法の方では既に十八地域を指定しておりますけれども、今委員御指摘のありましたように、総合保税地域の方は一地域の指定でございます。私ども、せっかくこういう制度をお願いしたにもかかわらず一地域だけということでございまして、ひょっとしたら要らざるものを大蔵省さんにお願いをしてつくってもらったのではないかということで心配になりまして、本年の七月でございましたけれども、FAZ地域に指定されました十八地域対象に実態調査をさせていただきました。  その結果でございますけれども、一つは、御指摘のありましたように、蔵置、加工、展示という、この三機能をすべて備えたような地域でなければ総合保税地域に指定されないという要件が実態に合わない、大変厳しいということが一つ。それから、一団の土地の上ということでございまして、今委員から御指摘のありましたように、この一団の土地という考え方がどうも実態と合わないで厳しいのではないか。私どもの図では道路が走っておりますけれども、公道等がある場合にはなかなか一団の土地とみなせないというような厳しい点がございまして、このあたりがどうも厳しいのだ、ぜひ総合保税地域にしてもらいたいけれども、こういう要件が事実上厳しくて困っているのだという調査結果でございました。  私どもといたしましては、このFAZ法に基づきます計画の申請あるいは認可の時点で、法律上、このことを大蔵大臣に通知をいたしまして総合保税地域の指定についてよろしくお願いをするという制度になっておることもありまして、ぜひとも、これからこのFAZ地域の総合保税地域の指定要件につきましては、実態に即した弾力的な運用をお願いをしたいというふうに考えております。  また、こういう通知をすることになっておりますから、通知を受けた段階でむしろいろいろ問題があれば、さらに総合保税地域に指定しやすいようにいろいろ御指導なりなんなりをしていただいて、円滑に指定に持っていっていただければというふうに考えている次第でございます。
  49. 吉田治

    ○吉田(治)委員 そうしますと、私どもがいただいた資料というのは通産の願望だという形で理解をさせていただきたいと同時に、やはりこれから輸入をふやすということで随分努力されていますが、通関時間がアメリカの三倍もかかっている。また、今の総合保税地域制度についても、大蔵省、関税法の改正という形で何とかつくってもらったということですけれども、実際動かされていないということです。この辺を含めての、また、管理主体はまた第三セクターにしなければならないということが、先ほど大臣の御答弁いただきましたけれども民間事業者の活力の有効活用の点という形で果たしていいのかなとも思うのですけれども、その辺を含めて、大蔵担当者のお答えというのをちょうだいしたいと思います。
  50. 江川明夫

    ○江川説明員 総合保税地域と申しますのは、確かに、貿易の促進を保税の制度を活用していただいてしていただこうということでつくった制度でございますが、この許可自体は、輸入関連の施設の整備が行われた後に、その整備状況とかあるいは利用の見込みなどを勘案しまして許可するということになっております。  それで、先生おっしゃるとおり、今までの時点では大阪のトレードセンターだけが許可を受けているという状況でございますが、現在、先ほどの十八の輸入促進地域につきまして、それぞれ計画に基づいて施設の整備が進められておると承知しておりますので、これから、施設が整備されたらば総合保税地域の申請が出てくるというふうに考えております。  大蔵省といたしましては、総合保税地域の許可につきましては、既に平成五年九月の緊急経済対策におきまして弾力的に取り扱うという方針を打ち出しておりますので、個々の総合保税地域の申請につきましては、事案に即しまして弾力的に検討してまいるという所存でございます。  それで、先ほど局長からも御答弁がありましたけれども、私ども大蔵省としましては、輸入促進地域につきましては、構想の段階から関係省庁あるいは地元の地方公共団体などとよく連絡をとらせていただいて御相談させていただいて、できるだけ地元の御意見をお伺いした形で、総合保税地域になりやすいような形でいろいろと御相談させていただいておるというところでございます。  それから、輸入通関手続でございますけれども、確かに、近年輸入の申告件数あるいは貨物の量、非常にふえております。それで、そういう中で、輸入通関手続の迅速化の要請は高まっております。そういう状況の中で、大蔵省といたしましては、従来からも電算化の推進などによりまして通関手続の簡素化、迅速化に努めております。実際、通関手続に要する時間は着実に短縮されてきております。それからまた、本年三月の規制緩和推進計画におきましても、内外からの要望も踏まえまして、貨物が到着したらば即時に輸入許可ができるというような制度も導入することにいたしておりますし、その他含めまして三十一項目にわたる措置を講ずることとしているところでございます。  他方で、最近、市民を巻き込んだけん銃の犯罪とかが多発しております。それからまた麻薬の問題もございますので、やはりいわゆる社会悪物品についての水際での取り締まりということにつきましては、国民の要請は非常に高まっているという認識でございますので、今後とも適正な通関ということを確保しながら、輸入通関手続の簡素化あるいは迅速化に努力してまいる所存でございます。
  51. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大体わかりました。  あと、繊維産業の方の繊度法の方に入らせていただきたいと思いますが、大臣に、繊度法の取り組みについて、もう八〇年から九一年で十万減られて、これが九一年から九三年で本当に同じように、たった数年で、二年で同じように十万減られたことについての御所見を賜りたかったのですけれども、時間の都合上、先ほどの栗原委員への大臣の答弁聞かせていただきまして、よく理解させていただきますので、具体的な項目について質問させていただきたいと思います。  このクイックレスポンスの方法で、やはりいろいろなところからお話聞きますのは、不況助成制度、さまざま出ているけれども、やはり産地で手を挙げたところのみがなっていく、そしてまた、知っている人と知らない人の差がいろいろ出ているのじゃないかというふうな指摘がまず一点ございます。  また、二点目におきましては、こういうハードの部分というのはいろいろつくっていただいているけれども、もともと下請が中心繊維において、ひとり立ちするための人材というのですか、マーケット力ですとか販売力をつけたような人材というのはなかなか確保しづらい、また育成もしづらい。ハードはある程度済んだので、ソフトというのですか、そういうふうなものをどうにかしてもらいたいという強い声が出ておるのですけれども、その辺についてどういうふうにお考えでしょうか。
  52. 中野正孝

    中野政府委員 従来から、繊維産業の情報化につきましても、産業に従事する方が情報化について深い理解を持っていただく、これは情報化のリテラシー、こう言っておるわけでございますが、繊維構造改善事業協会でいろいろな事業ございます、この事業を通じまして普及啓蒙活動、具体的にはセミナー等やっておるわけでございます。  今回の私ども提案をさせていただいております事業におきまして、ここでも、御案内のとおり繊維産業企業は九九・九%中小企業でございますし、御指摘ありました下請、非常に零細な企業もございます。すべての方が御参加いただけるように、ハード、ソフトの開発当たりましても、実証実験でいろいろな意見を聞きながら、難しい技術を意識しなくても仕事に使えるように、そういうようなことに配慮していきたいと思っておりまして、具体的には、各地で繊維の総合的な振興支援のいろいろな事業をやっております繊維のリソースセンターでありますとか地場産センターでありますとか産地組合、こういうところで研修を行う。今回は繊維の加工生産の部門だけではなくて卸、小売、繊維産業に属する方すべての方に、製版一体という重要な事業の具体的なトレーニングを、いろいろな機会をつくっていきたい、こういうふうに思っております。
  53. 吉田治

    ○吉田(治)委員 本当に何とかひとり立ちできるような人材という形をお願いしたいと同時に、やはりこれにかかわりまして、繊維のセーフガード措置について二、三お答えをお聞きしたいと思います。  WTOのルールで、発動要請という形で、半年以内に調査することということですから、そろそろ半年、六カ月たちましたので、その結論、動向、方向等々をお聞かせいただければと。特に化繊の中国からの輸入というのは落ちておりますけれども、どうもセーフガードを発動させないためにそうしているのではないかなという感じも受けております。また二次製品、ニット、毛布等が中国より本当に無秩序に入ってきておりますので、この辺の日中間でのルール化ですとか秩序、輸入規制というのは何とかできないのかなというふうに感じております。いろいろな方にお話を聞きますと、業界の関係また組合の関係に聞きますと、どうも中国という名前が出ただけで通産省はひるんでいるのじゃないか、弱腰でどうするんだという声も聞きます。  また、先ほど大臣の答弁の中で日米の貿易摩擦の最初であります繊維交渉のお話がありましたけれどもアメリカは海外輸入の八〇%を規制しておる状況において、今アメリカというのは本当に繊維製品に関しては輸出国になったということ、そしてその輸出先の上位に日本が入ってきている。もうそのときの繊維交渉は、あれは本当の昔々の話になってしまって、アメリカが輸出大国、繊維の輸出国になれたというのも、この海外輸入の規制というものがあったのではないか。  何度も申し上げておりますように、業者、そして組合、そしてそこに働く仲間の皆さん方、もうこれ以上やめてほしい、五五%、何%、人も減って、これ以上何とかできないという悲鳴というのは皆様方もよく聞かれているはずなんです。最後のよりどころがこのセーフガードではないかと思うのですけれども、初めの二点についてお答えをちょうだいしたいと思います。
  54. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 繊維のセーフガードにつきましては、御指摘の二品目につきまして、関連事業者団体の要請を受けまして、四月二十一日に調査開始を決定いたしまして、以後、調査を鋭意進めているところであります。調査項目としては、輸入の増加の事実及びこれによる我が国産業の重大な損害の事実、それから原産地に関する事項あるいは国民経済上の必要性等について検討、調査を進めているところでございます。  既に調査につきましては、国内外の利害関係者から証拠の提出等を受けまして、当初から質問状も発出しまして、この回答もいただいているところでございます。そういう状況でございまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、調査については可及的速やかに結論を出すよう努力をしているところでございます。  なお、調査の成り行きにつきましては、当然のことながら厳正なる検討を行うという建前に立ってやっておりまして、予断を持ってやることは厳に慎みたいと考えておりますので、御理解を願いたいと思います。
  55. 中野正孝

    中野政府委員 中国との関係についてお尋ねがございました。  中国と私ども、定期的な協議をする場がございまして、ことしの一月から中国の対外貿易合作部が輸出につきまして、秩序ある輸出を行うというような基本方針のもとで輸出管理体制をやっておるということで承っております。  爾来、三、四回にわたりまして私ども話し合いをしておりまして、実は本日からも中国の代表団が参っておりまして、先方様の貿易管理の実態につきまして詳しく私ども承っておりまして、日本の関心につきましても十分先方にお伝えしながら話し合いをしているところでございます。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いろいろ各局長が申されたとおりなんですけれども、ただやはり、理論じゃない、理屈じゃない、交渉過程じゃない、現実だというのが繊維産業の直面している問題だということは、十分御理解していただいていると思います。あしたの生活をどうするのか、あしたの仕事があるのか、あした私たちは仕事が終わるのじゃないか、もうこれで私たちの生活は終わりか、繊維から離れなければならないのかという悲痛は、この国政の場でもまた通じているところではないかと思います。  そういう声を聞きながら、いや、やはり交渉がと言う。福田内閣のとき超法規的措置という言葉がありましたけれども、今繊維産業に対して必要なのは、何もそういう交渉がどうこうじゃなくて、ある意味での超法規的措置というもの、これをする必要にまで今繊維産業が迫られているのではないか。そうでないと、十万減ったのが前は十年かかった、今度は二年だ。ひょっとしたら来年、再来年、また十万、十万、気がついたら日本から繊維はなくなっていた、全部メード・イン・チャイナかメード・イン・ジャマイカかになってしまっている、そういうふうな状況にならないように、ぜひともしていただきたいところでございます。  最後になりましたけれども中小企業保険法の問題です。  必要と十分という言葉があると思いますが、果たしてこれで中小企業のことが十分か。必要ではあるけれども、十分ではない。特に大臣に、これは本当に言いづらいことかもしれませんが、たしか大臣が大蔵大臣を務めていらっしゃったときはバブル時代の絶頂期、最高期、たしか株も三万八千円を超えたときに大臣を務められていたと思います。今、先ほどから借りかえの問題等々質問が出ておりますが、そのときの大蔵大臣として財政を指揮し、経済を運営してきた大臣として、今度は通産大臣としてこの中小企業の問題、どういうふうにお考えになり、また対応していくのか。五%を超える部分には減免措置をする等々言われておりますけれども、その辺を含めてお答えをちょうだいしたいと思います。     〔委員長退席、中島(洋)委員長代理着席〕
  57. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どういうふうに申し上げればいいのか、大変難しい御質問をいただきましたけれども、現実に中小企業をめぐる経済環境というものが極めて厳しい状況であることは、十分承知をしているつもりであります。そして、その経済環境の中で中小企業担保力信用力が低下をし、資金調達に支障を来している状況の中で、一方では、我々は我が国経済のフロンティア開拓推進していこうとするならば、その中小企業の新事業開拓というものの支援を強化していく、これが急務であるという状況に置かれております。  こうした背景から、今回中小企業信用保険法改正におきまして、無担保保険、新事業開拓保険などの保険限度額の引き上げを行うと同時に、無担保・無保証人保険である特別小口保険につきましても、その対象者を拡大することといたしました。この改正によりまして、信用保証協会による無担保債務保証、新事業のための債務保証の拡大が図られて、厳しい経済環境の中で担保不足に陥っている中小企業、あるいは新事業開拓を行う中小企業資金需要の増大に適切に対応できる状態が生まれてくれると、私は心からそれを念じております。  同時に、通産省としては、従来から信用保証協会に対して中小企業の立場に立った保証を行うように、そうした指導を行い続けてまいりました。今回、無担保保険等の付保限度額の引き上げに当たりましては、信用保証協会が無担保保証などを積極的に引き受けるように、所要の予算も計上させていただいているわけであります。  こうした措置によりまして、私は、信用保証協会による保証法りと言われるような事態が生ずることはない、そうした状態になることはないように全力を尽くしていきたい、そのように考えておるところであります。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間が少し残りましたので、最後にもう一度大臣、本当はお聞きしたかったのですけれども、先ほどのセーフガードの部分を含め、また繊維産業の現状を踏まえて、繊度法に対する大臣の御所見を、重ねてではございますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
  59. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 かつて私自身が身を置いた業界のことであり、繊維産業というものは私にとりまして格別の思いのあるものであります。  現在、先ほど来御論議が出ておりますように、我が国繊維産業というものはだんだん衰退の道をたどってまいりました。また、輸入品が急増するという状況もあります。しかし同時に、私は、日本繊維産業というものは、和装織物の時代も含めまして非常に長い伝統を持っておりますし、世界一流の技術も持っていると信じております。同時に、繊維機械工業あるいはデザイナーといった部分につきましても、私は非常に優位性を持っている部分があると思うのです。  それがなぜ、こうした衰退の状況に追い込まれているのか。私は、どこかにこの繊維産業の持つ優位性と市場との間にミスマッチが起きているという気がしてなりません。その一つは流通構造にあるということは、先般来御指摘が出ているところであります。我々としては、繊維産業というものがマーケット主導型のむだのない生産流通構造に変わってくれさえするならば、なお私は比較競争力を持つ、優位性を持つ産業であると思っておりますし、未来への活力も持ち得る産業だと考えております。  私どもが見ておりまして、先進諸国どこも歴史的に途上国からの追い上げを受けてきて、その国の繊維産業が非常に厳しい条件にさらされる時代を経験してきた。しかし、それぞれの国は、先ほどのイタリアの例にも見られますように、その国の伝統を生かして優位性を保っている部分を持っております。私は、日本繊維産業が、そのどこかで起きているミスマッチを直していただくことによって比較優位を取り戻していただきたいと願っておりますし、通産省がその中で役に立てる部分については全力を尽くしていきたい、そのように考えております。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 役に立っていただく部分が、私どもにとってはセーフガードだということは重ねて強調させていただくと同時に、最後、先ほどのストックオプションの質問に関しまして、どうも手違いがあったようでございますので、大蔵省等の答弁は後日にさせていただきたいということを申し上げたいと思います。  本当に、すべての部分について人というものは大切ではないかなということだけ申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  61. 中島洋次郎

    ○中島(洋)委員長代理 豊田潤多郎君。
  62. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 新進党の豊田潤多郎でございます。  私は、略称で恐縮でございますが、新事業促進法、その中で民活法の一部改正新規事業法の一部改正、それから繊度法、この三つを中心に質問をさせていただきたいと思います。  なお、時間がございましたら信用保険法の一部改正につきましてもお尋ねいたしたいと思います。  まず最初に、新事業促進法の関係でございますが、民活法の一部改正ということで、この民活法は昭和六十一年五月に法施行ということで伺っておりますけれども、その昭和六十一年以降今日までのこの法律によります運用の実績、できましたら年次別、そしてできるだけ詳しく、具体的にお答えいただければと思います。
  63. 牧野力

    牧野政府委員 それでは、具体的にお答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、昭和六十一年に施行されたわけでございますが、五回の法改正による施設追加によりまして、現在、十五類型三十二施設が特定施設として規定をされております。これまでに百二十九のプロジェクトを認定いたしております。  御質問でございますので逐年申し上げますが、昭和六十一年、六十二年、六十三年につきましては、それぞれ二件、十五件、十四件でございます。それから平成元年から七年、七年は十月一日現在でございますが、これにつきましては、逐年十五件、十六件、二十件、二十件、十七件、七件、七年は十月一日現在三件ということでございます。  なお、事項別に申し上げますが、研究開発・情報化関連施設でございますが、これが三十七件。これは他省関係でございますが、港湾漁港関連施設が三十七件、物流関係が二十三件、商業基盤関係が八件、国際交流関連関係が八件、インテリジェントビル関連が十四件、旅客ターミナル関連施設が二件。これは所管をいたします五省庁全部のプロジェクトでございます。  それから、金額でございますが、特定施設に対します投資が約一兆二千億円でございますが、な資を含めますと 二兆数千億の内需拡大効果があったというふうに承知をいたしております。
  64. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございます。  通産省といたしまして、これまでの運用の実績につきましてどのように評価をなさっておられるのか。当然のことですが、所管の法律、所管の事業でございますから、それなりの評価ということになろうかと思いますが、改めてその評価についてお伺いいたしたいと思います。
  65. 牧野力

    牧野政府委員 結論的に申しますと、新しい産業発展基盤として相当の役割を果たしたというふうに思っております。  なお、詳細に申し上げますが、研究開発企業基盤につきましては現在十施設が開業いたしておりますが、これを活用して約三百三十の新規事業が起こっております。さらに、情報化基盤につきましては現在八施設が開業中でございますが、約九十の新規事業がそれぞれスタートアップをいたしております。さらに、高度商業基盤施設につきましては、これはいろいろ地元の商業界、産業界から、地元商業の発展に非常に貢献しているということで評価が高いというふうに聞いております。  なお、この民活法の施設のねらいは、いわゆる三大都市圏ということもさりながら、地域産業基盤の充実ということをねらいとしております一が、これにつきましては、地方におけるプロジェクトが大体五二%から五三%になっておりましおこれに関連施設がございます。これに対する投て、いわゆる地方産業基盤のレベルアップに非常に役に立っていると思っております。  それから、それぞれの事業がどう運営されているかということでございますが、一、二所期の目的を達していないものもあるようでございますけれども、アンケートをいたしましたところ、おおむね所期の目的、まあバブル以後ということでバブル崩壊後いろいろ困難な状況がございましたけれども、おおむね所期の目的を達成するかそれ以上の成果を上げているというアンケートの結果でございます。  以上、総体的に見まして、相応の効果を発揮したというふうに私ども思っております。
  66. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 確かにそれなりの役割を果たしてきた法律だと思いますし、今の評価は正しい面があろうかと思いますが、先ほど、件数で見ますと、平成元年、二年、三年とふえて、三年、四年が二十件ということでこの辺がピークなんですが、その後、五年は十七件、六年は七件、平成七年は十月一日までですけれども三件ということになってきているわけであります。まあ、件数から見ますと、五、六年前をピークに下がってきているというような傾向が見られるわけです。  今大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思いますけれども、確かに施設整備ということはこれまでそれなりの効果もあったと思われますし、また今後も大事なことであろうかとは思われますが、これからの新しい事業活動促進するという点におきましては、まず、その既存事業者を保護しているような規制を緩和あるいは撤廃していくこと、いわゆる規制緩和、これが一番効果的であり、またこれからそのような対策を重点的に進めていくべきものではないか、このように思われますけれども大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  67. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、今の委員の御指摘を否定するつもりは全くありません。確かに、新しい事業活動を進めてまいりますために、事業活動の阻害要因となっておりますような規制を緩和する、撤廃するということが必要なことは間違いありませんし、通産省としても、規制緩和推進計画の着実な実施に努めると同時に、機会あるごとに、所管の業界からの規制緩和要望を関係する省庁に要請をいたしております。金融市場に対しましてもいろいろな努力をしてまいりました経過は、委員も御承知のとおりであります。  そして、必ずしも事業の阻害要因と思われておらないようなものでありましても、例えば税法あるいはその他がもし変わり、伝票類の保存義務が仮に今とは違った情報化時代にふさわしい保存方法を認められるとなりますと、当初は設備に多少のコストはかかりましても、その後は非常に少ない費用で済むといったものも考えられるわけでありまして、いずれにしても規制の緩和、撤廃というものを従来と違った発想の中で進めていく効果は大きい、これは私は委員の御指摘のとおりだと思うのです。  しかし、それだけでそれでは新しい事業促進されていくかといえば、私は必ずしもそればかりではないと思います。すなわち、先ほど来の御論議にもありましたけれども、人材面あるいは資金面、技術面といった分野における支援を一層拡充していく、同時にそのような事業活動発展基盤となるインフラを整備していく、こうした総合的な支援策を講じていくということは、私は一層必要になってきていると今思います。そして、そうした観点から考えました場合、今回の法改正というものは非常に意味のあるものになると思っておりますし、そのような思いで法改正を提案させていただきました。
  68. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 大臣のおっしゃられることは確かにごもっともでございまして、私も特に異論はないわけでありますが、問題は、この法律が十年間延長されるということであります。民活法、御案内のように今回の法改正の中に法律の期限を十年間、平成十八年五月二十九日まで延長するということであります。私は、それなりの効果のある法律であれば当然のことながら延長をすべきであろうと思いますし、またそういう効果の薄れてきているものであれば、むしろほかにかわって、いわゆるサンセット方式で考えていくべきものではないか、このように思う次第であります。  大臣に特にその辺をお聞きいたしましたのは、私は、基本はやはりこれから規制緩和という形での行政あるいは立法のあり方を真剣に考えていかなければならないのじゃないか。確かに施設整備というのは、これまでも景気刺激策としてはそれなりの、あるいは今までの経済を引っ張ってきたやり方としては新規事業の活動を促す意味において大変プラスだったとは思いますけれども、先ほど申し上げましたように件数自体で見る限りでは、ここ数年、一時的なものかどうか、私はむしろこれは定性的にだんだんこういう形の経済政策というのは見直しを迫られているのではないかというふうに思っております。  改めて御答弁いただければと思いますが、施設整備が新規事業活動にどのようにこれから寄与していくのか。仮に十年間法律を延ばすとなれば、十年間の見通しを踏まえた上でこのような延長を提案されているはずだと思いますが、その辺につきまして、私はちょっと施設整備が新規事業活動にどのように寄与していくのか余り明確ではないように思われますが、その点について見解を、どなたからでも結構です、いただきたいと思います。
  69. 牧野力

    牧野政府委員 再三申し上げておりますが、現在、我が国の今後の経済を考えますと、伝統的な公共投資等によって内需拡大をしていくということも大事でございますけれども空洞化あるいは円高といったような状況の中で、経済構造改革、これがもう非常に大事である、焦眉の急であるということを再三申し上げております。その構造改革を行う上におきまして、いわゆる新しい産業、新規産業をどんどん興していく、そのために必要ないわゆる新しい社会資本を整備していくということは、ここ数年の焦眉の急であろうというふうに思っております。  私ども、御案内のように、昨年、産業構造審議会におきまして、将来の我が国経済成長あるいは雇用吸収に大いに活躍すべき有望な十二分野を御提示をいたしております。これは、情報・通信関連でありますとか環境、ビジネスでありますとか、いろいろ挙げておりますが、そういったようなビジネス、事業分野が今後も育っていく上で何が大事かということをいろいろ調査をいたしますと、委員がおっしゃいましたような規制緩和、これは非常に大事でございますが、それとともに、こういった新しいビジネスが興ってくるに必要ないわゆる新しい社会資本が必要であるということ、これは強く民間からも、各界からも要求されているところでございます。  その意味におきまして、この民活法の改正におきましても、新たな、例えばりさいくるであれば、これは当然のことながら今後のビル環境ビジネスについての基盤でございますし、多目的スタジアムというのは、これは生活関連産業の伸びていく基盤でございますし、こういったものを整備していく必要があるということでございます。  それで、これをいつまでもやるのかということではございません。いろいろな対策は、当然のことながら、必要がなくなればやめていく必要があろうと思います。ただ、今私が申し上げましたように、ここ数年あるいは十年、こういった将来の我が国経済を担う新しい産業分野を育てるためのあらゆる環境づくりをやる必要があるという観点から、今般、この民活法の延長並びに拡充をお願いをしているわけでございます。  それから、冒頭に御指摘がございました、件数が若干ここのところ芳しくないのではないかということでございますが、これにつきましてはなお詳細に精査はいたしますが、景気の動向でございますとかそういったものもございますし、あるいはビッグプロジェクトが進んで若干端境期があったとか、いろいろな状況があると思います。これにつきましてはなお詳細に精査はいたしますが、私どものつかんでいるところでは、各地域ともこの民活法の一層の拡充を望んでおるというふうに承知をいたしております。
  70. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 先ほどの吉田委員からだったと思いますが、若干同様の質問になろうかと思いますけれども、従来いわゆる第三セクターが中心ということでありまして、この第三セクターによる事業経営というものほかねがね非効率性が指摘されているところであります。今回の改正の中に、純粋民間事業者、いわゆる純民と略されているようですが、この純民の特定施設整備促進ということで対象者が拡大されておりますが、やはり第三セクターというのがこれからも中心になっていくのではないかと思われるわけです。そうしますと、研究施設の追加ということで、リサイクル関連施設あるいは大規模スタジアムというのが対象施設ということで追加になるわけですが、このような形の民活法の改正を行いますと、かえってその施設整備が非効率化する、また非効率化を進めるのではないかという懸念があろうかと思いますが、その点はどのように見ておられますか。
  71. 牧野力

    牧野政府委員 第三セクターと申しましてもいろいろありまして、確かにうまくいっていないところもあろうかと思います。ただ、今回私どもいろいろ調査をいたしましたところ、良好な運営を行っている第三セクターが非常に多いということもわかっております。例えば、二、三例を挙げますと、研究施設ではかながわサイエンスパークというのがございますが、これは非常にうまくいっておりますし、国際会議場、これは幕張メッセが代表的なものでありますが、これはっとに頑張っているところでございますし、商業基盤施設におきましては下松商業開発施設というのがございますが、これも非常にうまくいっているというふうに聞いておりますし、地元経済界からも高い評価を得ているというふうに思います。  それで、全般的な問題といたしまして、アンケート調査をいたしましたが、売上高が当初の目標を上回っているというのが総じて多くなっているということでございます。いろいろ、長引く不況等の状況もございますけれども、それを考えましても安定した事業運営が全般的に行われているということでございます。  さらに、今委員が御指摘になりましたように、今般、第三セクターでやるのは必ずしもふさわしくない、というよりも、民間でやりたいというところがあればこれはどんどん今後この対象で拾っていく、新たに利子補給制度を設けてこれを大いにバックアップするということにいたしたわけでございまして、第三セクターの今後の運営につきましては、十分に効率化するように、なお一層私どもとしても注視をいたしたいと思います。  今後も第三セクターがかなり多くの役割を担うと思いますけれども、第三セクターがゆえに非効率であるということは言えないのではないかというふうに思っております。
  72. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 大臣にお尋ねいたしたいのですが、この民活法の対象とされている数多くの施設がございますけれども、これが本当に民間事業者のニーズに基づくものなのかどうか。この点につきましては、私は、確かに民間事業者のニーズに基づくものもあれば、年数の経過に伴いまして必ずしも民間事業者のニーズに合致していないものもかなり列挙してあるのではないかという気もいたします。  この辺は見方が分かれるかもしれませんが、このような民活法の対象とされる施設がいわゆる官側からのお仕着せというような形になっては問題があろうかと思いますので、そのような官側からのお仕着せということになっていないのか、あるいはまたそういうおそれがなしとしないのか、その辺、大臣に一言お答えをいただきたいと思います。
  73. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先ほど局長からお答え申し上げましたように、この民活法につきましては、十五類型、百二十九の公共的な施設が今まで整備をされてまいりました。私は、その中に全く一切そうしたものがないと言い切る自信はありません。しかし同時に、私は、ほとんどのものは今委員から御指摘を受けるような、官側の押しつけと言われるようなものではないと思っております。そして今後も、七年度中に、情報通信基盤施設、国際交流支援施設、高度商業基盤施設など既存の民活施設が三十一施設、リサイクル関連施設、大規模スタジアム等新規に民活法の対象となる施設が十六施設、四十七プロジェクトについて、また、八年度についても三十三プロジェクトについて整備を進めたいという御要望が各地域から出てきているわけでありますが、その中には、やはり私はこれは現在の経済状況の変化の中から生まれてきているものだと思いますけれども純粋民間事業者による施設整備へのニーズが大変強くなっているものを反映しておりまして、純粋民間事業者による施設整備も、七年度で例えば十プロジェクト合まれております。これらに対応して、今回の法改正で純粋な民間事業者に対する支援措置を拡充しているわけでございます。  また、これを例示にすることがいかがかと思いますけれども、今回の阪神・淡路大震災の被災地域におきまして、純粋な民間プロジェクトを含めました民活プロジェクトを震災復興の起爆剤にしたいという地元の御要望も極めて強いものがございまして、七年度から八年度にかけて六プロジェクトが上がってきております。  こうしたものを考えてみますと、私は、その経営形態はさまざまありましょう、しかし、民間の多様かつ高度なニーズというものをもとにしながら、各地域における意欲のある民間事業者のイニシアチブでこうしたものが進められておる、そう考えておりまして、押しつけというようなものではやはりうまくいかない性格のものではなかろうか、そのように思っております。
  74. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 私がかなり厳しくお尋ねしておりますのも、十年間の延長ということでございますので、今まで以上に経済状況は大きな変化、試練のときを迎えると思いますし、通産当局におかれましても、適切、有効な施策を打ち出していくためには、当然のことですが、現行の施策の効果というものにつきまして常日ごろから分析、検討を行って、適切、有効な施策をタイムリーに打ち出していただくように、これからも引き続きその努力をなさっていただくよう強く要望しておきたいと思います。これは質問ということではございませんので、この十年間延長ということに絡みまして、ぜひとも不断の見直し、検討を今後も引き続き行っていただきたい、これを強く要望いたします。  次に、新規事業法の一部改正に絡みまして、二、三質問をさせていただきたいと思います。  この法律平成元年六月に施行されましたわけですが、先ほどと同様、この法律の施行後、年次別、具体的に、できるだけ詳しくこの法律の運用実績を御報告いただきたいと思います。
  75. 牧野力

    牧野政府委員 まず、平成元年十二月に施行されて以来、平成七年十月十六日現在で総数二十五件、御指摘のとおりでございます。  内訳でございますが、平成二年度から平成七年度、これは十月十六日現在でございますが、二年度二件、三年度一件、四年度四件、五年度五件、六年度八件、七年度は今のところ五件、二十五件ということでございます。  なお、今申請を準備中のものが六十数件あるというふうに聞いております。
  76. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 産政局長、たびたび申しわけございませんが、通産省として、この実績に対します評価をお聞かせ願いたいと思います。
  77. 牧野力

    牧野政府委員 まず、件数が多いかどうかということでありますが、ただいま申し上げましたように、逐年実績が上がってきております。当初、そのときの経済状況等を反映いたしまして、必ずしも多くなかったわけでございますが、今申し上げたように逐次上がってきておるということでございます。  特に平成六年に運用の改善、それから、従来この認定をする場合に再保証人が必要であるというようなことをやっておりましたけれども、この要件を大幅に緩和をし、今般またこれをより緩和しようとしておりますが、こういったような結果、あるいはこの認定にかかる手続、日数等も短縮を図ってきた結果、伸びてきているというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、事前の相談件数は先ほど六十数件と申し上げましたけれども、これも逐年上がってきておりますし、過去において、今までの実績がそれほど誇れるものかどうかは別といたしまして、この事業法によるベンチャー、大いにこれを活用して始めようという雰囲気が非常に盛り上がってきているというふうに思っております。さらにつけ加えますと、今般の諸般の法改正によりまして、この機運が一層盛り上がってくるというふうに大いに期待をいたしているところでございます。
  78. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 私ごとで恐縮でございますが、私、実は役所で、かつて通産省の中小企業関係の予算の編成に携わらせていただいたといいますか、主計局の主査をちょうどしておりましたのですが、当時、ベンチャービジネスの育成ということで、もう十二年ほど前になりますけれども、かなり当時としては厳しい財政事情の中でそれなりの予算をつけさせていただいた、わずかなものではありますが、つけさせていただいた記憶があります。  私は、これからこの新規事業の育成ということにつきましては、特にベンチャービジネス、この育成は大変大事なことではないかと考えておりまして、今回、この法改正の中にいわゆるストックオプション、新株発行の特例ということなのでございますが、このストックオプションを設けられるということは、私なりにこれは一定の評価をさせていただいているところでございます。  ただ、惜しむらくは、なぜ新規事業法認定企業についてのみこのストックオプション、新株発行の特例を認めるのかということでございますが、これはそれなりにいろいろな経緯もあろうかと思いますけれども、まずその理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  79. 牧野力

    牧野政府委員 委員御案内かと思いますが、実は、このストックオプションを今般認めるといいますか、これを導入するに当たりましては、率直に言いまして、本当に聞くも涙、語るも涙という経緯がございます。御案内のようにこのストックオプションというのは商法で決められるべき問題でございますけれども、御案内のように日本の商法また会社法、これは株主の平等でありますとか保護といったようなことを非常に強く、そういう思想に基づいて成り立っている法律でございまして、現在の日本の商法の基本的な物の考え方からいいますと、このストックオプションというものは一種の、株主を差別するわけでございますから、非常に導入が難しいということでございました。  ただ、先ほど来申し上げておりますように、大臣もるる申し上げておりますように、現在の我が国経済にとっての構造改革が非常に焦眉の急である、その中で、どうしてもその一つの大きな柱として新規産業を興していく必要があるということで、法務省といろいろ折衝をいたしました結果、政策的に極めて支援の必要性が高いという、この新規事業法に基づく認定事業に限って本格的、本格的といいますか、いわゆる有効に使えるストックオプション制度の導入が認められた、こういう経緯がございます。
  80. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 よく存じ上げておりますが、大変頑張っていただいたと思っておりますけれども、さらに進めますと、行政改革委員会、行革委員会ですが、その規制緩和小委員会でも議論が行われましたように、そもそもストックオプションというのは一般的に導入していっていいのではないかという議論があるわけであります。一般的な導入ということになれば、これは商法の問題になりますから法務省ということになりますが、私はあえて法務省の人にそのようなことをお聞きするつもりはありません。恐らくお答えはわかっておりますけれども、念のため、このストックオプション制度を一般的に導入することについてどのようにお考えか、通産省として、あるいは個人的なお考えでも結構です、ちょっと見解をいただければと思います。
  81. 牧野力

    牧野政府委員 今申し上げましたように、大変な苦労の来ようやく法務省に認めていただいた、こういうことがございますので、まことに申しわけございませんけれども、私的な意見としても商法について云々するのはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思います。  ただ、本件については、今度の我が方の法律によりまして例外が認められたということについては、非常に高く私どもは評価をいたしております。
  82. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 確かに一つの、言葉は悪いのですが風穴があいたといいますか、なかなか商法というのは大きな法律であります。そう簡単にこの特殊なといいますか、こういう措置を盛り込めば盛り込むほど例外がふえていってややこしくなるわけでございますが、私は、先ほどの民活法のときにもお尋ねしましたように、やはりこれから規制緩和ということを進めていくということであれば、これくらいの思い切ったこともやっていかなくてはならないのではないか。いずれストックオプション制度について一般的に導入するという議論も、我々立法サイドの人間としても真剣に取り組んでいかなければならないものだと思っております。特にこれ以上はお聞きいたしません。  次に、特定新規事業法、この法律によりますと、これは先ほどの吉田委員からも質問がありまして、質問、答えが重複するかもしれませんが、ストックオプションを含めて、この法律の施策がなぜ通産省の所管分野に限られているのかということであります。  法律の条文によりますと、第一条に「目的」ということで、ここにるる目的が書いてありますが、そこに、「特定新規事業」という言葉が第一条に出てまいります。その第一条の「特定新規事業」の定義ということで、第二条に「定義」ということで「この法律において「特定新規事業」とは、新商品を生産し、若しくは新たな役務を提供する事業又は新技術を利用して商品の生産若しくは販売若しくは役務の提供の方式を改善する事業のうち」、ここからなんですが、「事業のうち通商産業省の所掌に係るものであって、当該事業に係る商品又は役務が事業活動に係る技術高度化若しくは経営の能率の向上又は国民生活の利便の増進に寄与するものをいう。」これが定義になっているわけであります。  先ほど牧野局長が、法律でそう決まっておりますからという答弁があったわけでありますが、もちろん、法律でこのように決めた経緯というのはそれなりの背景があると思いますけれども、なぜ通産省所管、「通商産業省の所掌に係るものであってこという定義になっておりますのでしょうか。お答えをお願いいたします。     〔中島(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 牧野力

    牧野政府委員 委員十分御承知の上でお聞きだと思いますので、なかなかお答えにくいのですけれども、一言で言いますと、この法律の成立のときに、これは政府部内で大変な議論がございました。そういうことで、通産省がこの新規事業の育成を行うことは結構であるけれども、その所管分野に限るということが、これは政府部内のいろいろなやりとりの中で決められたわけでございます。それが経緯でございます。  ただ、先ほど吉田委員の御質問にもお答えを申し上げましたけれども、これまでの新規事業がどういったものがあるかということを、ここで認定したかどうかは別として、いろいろ見てみましても、ほとんどが当省の所管にかかわる分野でございます。と申しますのは、我が国の商工業、サービス業を含めまして当省の所管分野が、就業者数、事業者数等で見ても大体八割ぐらいをカバーしておりますので、まあ当面、いわゆるベンチャーは、こういった法の保護あるいは施策の対象になるベンチャーはほぼ全部当省所管で拾えるのではないか。これは実際の、現実の問題でございます。  いずれにしましても、こうした分野について、まず重点的に、まず先駆的に所要の施策を講ずるのが大事であるということでございます。
  84. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 なかなかいろいろな経緯がありましたことは承知しておりますけれども大臣に一言お尋ねいたしたいと思います。  この新規事業というものは、本来、従来型の業態分野を超えるもの、すなわち一省だけの所管分野に限定できないものが多いと私は考えております。特に、これから新規事業を起こしていこうということであれば、いわゆるどこの省に属するのかという縦割りで割り切れないものが、むしろそういうものがどんどん出てくる方が活性化につながるわけでありまして、いわゆる特定分野に限定するという発想は、むしろ新規事業展開発展に好ましくないのではないか、このように私は考えております。  ただし、ここは商工委員会で、通産省の方にお尋ねしているわけでありますから、答弁はおのずと限界があろうかと思いますけれども大臣所見をお伺いいたしたいと思います。
  85. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 局長が大変正直に過去の経緯をお話をいたしましただけに、少々お答えのしにくい部分がありますけれども、私は、通産省としての立場から申し上げましても、他省庁にも関連する分野でありましても、他省庁に関連する分野における新規事業支援というものにつきましても、その他省庁の方が理解をしてくださるなら、私は、当然のことながら新境事業法を活用して協力はできると思います。また、その用意ぐらいは、産政局長、十分持っておると思います。  同時に、その新規事業の育成というものの重要性を考えますときに、例えば文部省との協力の中で産学連携を推進する、そういった新規事業の育成のために他省庁との連携を現に、既に図っているわけでありますし、今後とも関係省庁との連携は一層深いものにしていきたい、そのように考えております。
  86. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 これは一省の問題ではございません。日本国全体、日本経済全体にかかわる問題であります。経済の活性化という観点から、ぜひ大臣のお言葉のように積極的に、前向きにこれからも取り組んでいただきたい、このように思う次第であります。  次に、繊度法の方の質問に移らせていただきます。  繊維産業についてだけ、今回情報化の事業を特別に法律改正までして行うということでありますが、その理由はいかがでございましょうか。
  87. 中野正孝

    中野政府委員 私からお答えするのはちょっとあれでございますが、通産省全体としまして、産業の情報化というのは情報化政策あるいは経済構造改革の上で大変重要な政策ということで、一九七〇年に情報処理促進に関する法律、こういうものを設けまして、かつまた、一九八四年ごろでございましたか、産業界の情報化を進める上で、ビジネスのプロトコルといいまして、そのデータのやりとりの標準化をするというようなことで連携指針などを、現在十二業種ございますけれども、エレクトロニックコマースという時代になりましたので、こういう開発助成、振興というのはやっております。  この繊維でございますけれども我が国繊維というのは大変複雑な構造をとっておるわけでございます。わかりやすく申し上げますと、繊維日本のマーケットが今約二十兆円でございます。繊維の製造、加工、製造部門が出荷している額が、ちょっと減っておりますが十二兆円余りでございますが、卸売業が二十八兆から三十兆あるという、大変奇妙なといいますか、これは伝統的な繊維のビジネスの積み重ねによってこういうことになったわけでございます。御案内のとおり今、円高輸入がふえまして、繊維事業者十一万七千社おりますけれども、ここに属する大企業という分類に属する企業はわずか百六十社でございまして、ほとんどが中小企業の業種で、百十五万、流通、小売を入れますと二百六十万の雇用を支えている、こういう産業なんでございますが、この製造と販売が全く分離した、いわば従来は、製造いたしましてそれをマーケットに流す、リスクをマーケットが持つ、こういう構造になっておりまして、したがいまして、先ほど申し上げましたが、原糸を生産して製品になるまで平均すると六十八週もかかる、こういう構造になっておるわけです。したがいまして、流行おくれになりまして返品が二、三割ある、こういう大変非効率な構図になっておるわけでございます。  そこで、一昨年答申を受けまして、昨年国会で繊維構造改善法の改正をいただきました。このときの考え方は、今までのような生産しっ放しの産業構造ではなくて、マーケットに直結したマーケット・イン型の産業構造にしよう。それから、メーカー、流通、デザインが連携をしました、消費者のニーズに合った新商品の開発のクリエーション型の産業をねらう。もちろんグローバルなすみ分けということを模索しながらそういう新しい体質を持った産業に生まれ変わろう、これを称して、我々、構造改善と言っておるわけでございます。  この情報化というのはアメリカで十年ほど前に起きまして、現在ではアメリカの小売の八割は繊維にコード番号がついておりまして、ソースマーキングと言っておりますが、これが流通、製造段階まで情報が直結してむだのない生産を行う、こういう体制になっておるわけでございます。  私どもも、昨年の繊維法の御改正をいただいたときからこの情報化というのは新しい繊維新法の柱でございまして、日本でも繊維の製品すべてに背番号をつける、JANコードと言っておりますが、あるいは商品別のマスターコード、マスターのデータベースという準備を進めてまいりました。  ここで、繊維業界の方でも機運も盛り上がっておりますので、このたびの補正予算におきまして、プロダクトのパイプラインを短縮するという上での必要なソフトウエア、ハードウェアシステムの技術開発支援のための予算措置をいただいた、こういうことでございます。
  88. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 情報化という問題は、繊維産業だけに限っている話では当然ありませんし、製造業を含みます全産業に共通した課題だと言えると思います。既に自発的に、かつ戦略的に取り組んでいる企業あるいは組合、その例は枚挙にいとまがないと思いますが、これは繊維関係方々あるいはそれを指導されている方々には大変厳しい言い方になりますけれども、あえて申し上げれば、自助努力を怠っている者を助けるということになるのではないか。これはあえて厳しい言い方を申し上げますが。  そのような、自助努力を怠っている者を助けるということになるのではないかということにつきまして、大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  89. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 この点につきましては、私は、委員の御見解に少々異論がございます。  私自身、自分が繊維におったということも多少はあるかもしれません。しかし私は、確かに今繊維産業が非常に厳しい条件の中で苦労しておりますけれども、先刻吉田委員にも御答弁申し上げたことでありますが、我が国繊維産業というものは、長い伝統の中で、和装織物の時代から含めて見ますならば、非常に高い、世界でも一流の技術を今日もなお保持いたしております。同時に、繊維機械工業あるいはそのデザイナーの部面におきましても、我々は優位性を持つ部分を持っておると思っております。  しかし、それが、先刻も申し上げたわけでありますけれども、非常に長い伝統の中からできてしまっている複雑そして確かにむだの多い流通ルート、こうしたものの中で優位性がどこかでその市場とミスマッチを起こしている、そういう状況があると私も思います。だからこそ、その繊維産業というものをマーケット主導型のむだのない生産流通構造に変えていかなければなりません。そうして、その中で我々は日本繊維の持つ優位性というものを生かしていきたい。今後もそれだけのウエートのある、また能力のある分野であると思っております。  こうした中で、今、取引慣行の是正を図りながら情報化を活用して製版直結の体制づくりを業界として進めておられる、そしてその中において繊維業界が既にその方向に歩み始めておるわけでありまして、この一年半で十五の情報化グループが現在できて活動中という説明を受けました。ならば、そうした動きを一層促進していくことによって、繊維法に基づいて引き続き構造改革に向けての基盤整備を行うこと、私はそれは、委員が仰せになったような視点からはこの問題をとらえておりません。むしろ、こうした業界の生き残りに向けた自助努力というものを本当に効果のあるものにしようとするならば、やはりむだのない生産流通構造の構築を可能にする技術基盤の確立というものを早急につくる必要がある、我々はそう考えながら、今回の事業を補正予算としてお願いをする決断をしたわけであります。
  90. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 今の大臣のお答えに対しましては後ほど私から再度質問いたしますが、少し視点を変えまして、繊維産地対策の現状はどうなっていますか、お答えください。
  91. 中野正孝

    中野政府委員 御案内のとおり、繊維は大変産地性のある、特色のある産業でございまして、当該地域で、製造業の中で繊維の従業者が二割以上を占める県というのは十県ぐらいあるわけでございます。この現行法律におきましても産地対策というのは重要な政策というふうにとらまえておりまして、構造改善法におきましては、構造改善円滑化計画、こういう政策スキームがございます。旧法のときにはこれは五年間で九つぐらいだったと思いますが、現在、この一年で既に十五の産地組合または各地のリソースセンターから大臣承認の計画が提出され、承認されております。新商品の開発でありますとか人材育成、新技術開発、情報提供等々の事業を活発に行っておるわけであります。  さらに、繊維の場合には、中小企業施策を大いに活用といいますか繊維業界が利用する、こういうことでございまして、各種の需要開拓事業につきましては、国、県からもろもろの補助事業がございます。こういう面での需要開拓のための支援事業ということも強化をしているところでございます。
  92. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 私は、産地の実情に合った形での産地対策というのが何よりも大事なことではないかと考えております。確かに情報化というのはそれなりに意味もありますし、それなりにというのは失礼かもしれませんが、大いに進めるべきことかとは思いますが、今回のこの補正予算措置等で盛り込まれております情報化というのは、私は多少ポイントがあいまいになっているのではないかという気がいたします。ポイントがあいまいな情報化というのは、みんなのために役立つようですけれども、結局は、実際はだれのためにも役立たないということに終わりかねない、そのような懸念もあろうかと思います。  私は、産地の実情に合った形での先ほど申し上げました産地対策、これに最重点、力を注ぐべきではないかと考えておりますが、大臣所見をお伺いいたします。
  93. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに委員が御指摘になりましたような視点、それぞれの産地に合った対策というものが必要なものであることは、私は否定をいたしません。  しかし同時に、その産地に対してどのような施策を講じましても、今までと同じ流通形態、販売ルートを温存したままで情報を送りまして、果たして効果があるか、私はそう思います。そして、そういう考え方をとりましたときに、現在それぞれの繊維産地の実情把握あるいは対応策の検討を行う、そうした場も産地ごとに設けながら、各繊維産地に係る施策をそれぞれ総合的に講じている状況を、通産省の諸君が努力しておることを承知しておりますだけに、これに加えて今回の経済対策において、まず繊維産業革新基盤整備事業によりまして産地の中小企業者が高度な情報技術を活用して生産流通構造の改革を行うように配慮をしたわけでありますが、こうした対応をしていくことは、私は、産地にとって決してマイナスになるどころか将来に向けての夢をつくり上げるものだと思います。  同時に、中小企業対策という視点からも、運転資金支援の拡充あるいは政府中小企業金融機関に有する既往債務の負担軽減、さらに信用補完の充実等の本格的な対応策を用意しておるわけでありまして、繊維産地の中小企業者も当然のことながらこれらの措置を活用していただくことができるわけであります。こうした施策が総合的に活用されて、繊維産地が再活性化されることを願っておる次第であります。
  94. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 この法律の運用に当たりましては、当然これが成立してからということになりますけれども、ぜひ今大臣がおっしゃいましたように、産地に対してその効果があらわれるような形の運用方法も御検討いただきたい、このように申し上げておきたいと思います。  次に、繊維産業空洞化ということが大変深刻化しております。この点につきまして、この情報化というのは当然それなりのプラスにはなろうかと思いますが、この深刻な繊維産業空洞化ということにつきまして、あるいは産地の空洞化ということにつきまして、この情報化ではとてもそれはとまらないのではないかと思われますけれども、この点はいかがでしょうか。
  95. 中野正孝

    中野政府委員 御指摘のように、情報化だけで産地あるいは繊維産業がすべての問題を解決できるというふうに私ども思っておりませんが、ただ、日本繊維産業の体質を革新するといいますか強化していく、こういう上で情報化の果たす役割は大変大きいというふうに私ども認識しております。  御案内のとおり、繊維は大変輸入が今ふえておりますし、産地も、産地によっていろいろ違いますけれども、特に天然繊維系の産地というのは大変大きな影響を受けております。ただ、合成繊維系はまだ輸入もそう大きな浸透ではないということでございまして、繊維全体として見れば、諸外国、先進国から見れば輸入はいささか多いというのが率直なところでございます。  それで、製販直結をするという、この情報化を基礎にして行うということは、これはアメリカの実験に倣ってみますと、やはり製造加工部門が近くにいた方がいい、こういうことでございます。今まで六カ月かかってお客様に納めていたものを四十日で納める、こういう計画も現在出ております。その場合に、どうしても製造加工部門は近くにいた方がいい。繊維製品の中で占める原料加工といいますか、製造部門のウエートというのはさほど大きなわけでもございません。この辺の便利さといいますか、その辺は情報化を通じて産地がしっかりした生産基盤をマーケットに直結して持つという大きな意味合いがあると思います。  ことしからアメリカ政府におきまして、新しいDAMA計画というのを繊維産業で設けてスタートをいたしております。これは繊維のいわば電子市場化をねらう、こういう非常に意欲的な計画でございます。年間、今年度は二十億円ぐらいの基礎的な開発費が政府から支給されることになっておりますが、ここで目指している政策の目標は、現在四割ぐらいになっている輸入浸透率を少なくとも一割は国産化の生産基地に向けようということで、これは実現するかどうかわかりませんけれども、情報化というものの持つ本来の意味から、生産、加工、販売というのが直結するということから来る政策目的かと承知しております。  したがいまして、私どもも、もろもろの人材対策、景気対策その他多々の対策が要ると思いますけれども、情報化というのは政策としてこれから大事な分野だというふうに心得てやっていきたいと思っております。
  96. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 時間もあと十分程度になりましたので、そろそろまとめていきたいと思います。  大臣にお尋ねいたしたいと思いますけれども、これは、今回の情報化ということに限らず繊維産業に対する施策を考える場合には、我が国繊維産業が世界の中でどのように位置づけられるのかという観点から我が国繊維産業の現状を分析し、それの将来の見通しを立てるということがまず第一に行うべきことではないかと思われます。その上で総合的な施策を展開していかなければならないわけでありますが、将来の日本繊維産業の見通しないしは望ましい姿、ビジョンというものについて、大臣はどのようにお考えになっておられるのか。  私は、例えばヨーロッパの国々で見られているように、高付加価値製品への特化というような繊維産業の今後のあり方というのもあり得ると思います。そのようなことも含めて、大臣の全般的な御所見をお伺いいたしたいと思います。
  97. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、まずお互いが考えなければならないこととして、我が国が世界第二位の国内市場であるということ、そしてその中で、現在確かに輸入の増加あるいは消費の低迷尊厳しい環境変化に直面している状況ではありますが、先刻も申し上げましたように、世界一流のテキスタイル、そして繊維機械メーカー、デザイナー、ある意味では私は最も恵まれた環境と実力を持っていると思っております。  それがなぜこれだけ低迷しているのか。その理由は先刻来委員からも御指摘があり、私なりに感じていることも申し上げてまいりました。そしてその意味では、その方向は、一昨年十二月に出されました新繊維ビジョンに示されておりますように、まさに私どもが紡績の現場におりましたころ行っておりましたような大量生産、低価格志向といった産業構造を克服して、市場が求めるものを把握しながら生産、販売するという市場志向型の産業構造に変わっていくこと、また創造性をはぐくむ産業構造になっていく、この視点を忘れることはできないと思います。  私どもは、そうした方向に向けた繊維産業の自助努力というものに対しては、昨年度から新繊維法に基づいて販売事業者やデザイナーの方も含めた情報ネットワーク化と、新技術、新商品開発を軸とした総合的対策を講じているところでございます。  委員がお述べになりましたような特定分野により高度な製品をという行き方もありましょう、あるいはデザインを中心とした少量多品種の生産という方向を目指すやり方もありましょう。実際は、私はそれがミックスされたものになっていくのではないかと思いますし、既に世界的に通用する我が国のデザイナーの方々、そのブランドというものもできている今日、こうした方向に向けて努力をしていかれるならば、現在御審議をいただいておりますこの改正法案を初めとして、我々もできるだけ多様なかっ柔軟な政策的な対応で支援をしてまいりますので、新しい道を切り開いていただきたいと心から願っております。
  98. 豊田潤多郎

    ○豊田委員 なかなか明確なビジョンを描くといいましても、この繊維産業というのは大変大きな産業でありますし、そのようなビジョンを描いてみたところですぐにその対策が描けるのかどうか、また即効性のあるような対策が打てるのかということを考えますと、必ずしも日本一国だけ、我が国一国だけで対応できるような問題ではございません。  かつて日米繊維交渉、大変難しい経緯があったわけでございます。ただ、その中にありましても、今大臣がお答えになられましたように、我々繊維産業をこのままにしておいていいというわけでは決してありません。我々立法に携わる者も法制度の面からあらゆる手だてを講じていくべきだと思いますし、また、通産当局におかれましても、将来の繊維産業のあり方というのを、本当に今までも御苦労をなさっておられると思いますが、真剣に今後のビジョン、望ましい姿というのを御検討いただきまして、繊維産業活性化をみんなで図っていければな、このように考えている次第であります。  一応時間がもう間もなく参ります。私、最後に中小企業信用保険法関係をできればお聞きいたしたいと思いましたが、ちょっと五分ということでは足りませんので、最後に、これは質問ではございませんが、先ほども申し上げましたけれども現行政策、施策、特に経済政策というものにつきましては、その効果を常日ごろ検討、分析していただきまして、不断の見直しを行っていかれるよう、通産大臣初め当局の皆様方に心から切望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。本当にありがとうございました。
  99. 甘利明

    甘利委員長 次回は、明十八日水曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十九分散会      ————◇—————