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1995-02-08 第132回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年二月八日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員の異動  一月三十日     辞任         補欠選任      橋本  敦君     上田耕一郎君  二月六日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     松谷蒼一郎君      続  訓弘君     寺澤 芳男君      下村  泰君     青島 幸男君  二月七日     辞任         補欠選任      和田 教美君     足立 良平君      上田耕一郎君     林  紀子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         坂野 重信君     理 事                 伊江 朝雄君                 片山虎之助君                 成瀬 守重君                 山崎 正昭君                 穐山  篤君                 山本 正和君                 藁科 滿治君                 猪熊 重二君                 井上 哲夫君     委 員                 遠藤  要君                 大塚清次郎君                 加藤 紀文君                 木宮 和彦君                 沓掛 哲男君                 河本 三郎君                 斎藤 文夫君                 下稲葉耕吉君                 野間  赳君                 野村 五男君                 服部三男雄君                 松谷蒼一郎君                 宮崎 秀樹君                 大渕 絹子君                 大脇 雅子君                 北村 哲男君                日下部禧代子君                 瀬谷 英行君                 竹村 泰子君                 堀  利和君                 峰崎 直樹君                 本岡 昭次君                 渡辺 四郎君                 足立 良平君                 荒木 清寛君                 北澤 俊美君                 都築  譲君                 寺澤 芳男君                 中村 鋭一君                 磯村  修君                 武田邦太郎君                 有働 正治君                 林  紀子君                 西野 康雄君                 青島 幸男君    国務大臣        内閣総理大臣   村山 富市君        外 務 大 臣  河野 洋平君        法 務 大 臣  前田 勲男君        大 蔵 大 臣  武村 正義君        文 部 大 臣  与謝野 馨君        厚 生 大 臣  井出 正一君        農林水産大臣  大河原太一郎君        通商産業大臣   橋本龍太郎君        運 輸 大 臣  亀井 静香君        労 働 大 臣  浜本 万三君        建 設 大 臣  野坂 浩賢君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    野中 広務君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 五十嵐広三君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  小澤  潔君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高村 正彦君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       田中眞紀子君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  宮下 創平君        国 務 大 臣  小里 貞利君    政府委員        内閣官房内閣情        報調査室長    大森 義夫君        内閣法制局第一        部長       津野  修君        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   土屋  勲君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁人事局長  萩  次郎君        経済企画庁国民        生活局長     坂本 尊聴君        経済企画庁総合        計画局長     土志田征一君        科学技術庁研究        開発局長     沖村 憲樹君        科学技術庁原子        力局長      岡崎 俊雄君        科学技術庁原子        力安全局長    笹谷  勇君        環境庁長官官房        長        大西 孝夫君        環境庁大気保全        局長       大澤  進君        環境庁水質保全        局長       嶌田 道夫君        国土庁防災局長  村瀬 興一君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        外務大臣官房長  池田  維君        外務省条約局長  折田 正樹君        大蔵省主計局長  篠沢 恭助君        大蔵省主税局長  小川  是君        大蔵省理財局長  田波 耕治君        大蔵省銀行局長  西村 吉正君        文部大臣官房長  佐藤 禎一君        文部省生涯学習        局長       泊  龍雄君        文部省教育助成        局長       遠山 耕平君        文部省高等教育        局長       吉田  茂君        文部省学術国際        局長       岡村  豊君        文部省体育局長  小林 敬治君        厚生大臣官房総        務審議官     太田 義武君        厚生省健康政策        局長       谷  修一君        厚生省保健医療        局長       松村 明仁君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  藤原 正弘君        厚生省社会・援        護局長      佐野 利昭君        厚生省老人保健        福祉局長     阿部 正俊君        厚生省保険局長  岡光 序治君        農林水産大臣官        房長       高橋 政行君        農林水産省食品        流通局長     鈴木 久司君        通商産業大臣官        房審議官     河野 博文君        通商産業省産業        政策局長     牧野  力君        通商産業省生活        産業局長     江崎  格君        資源エネルギー        庁次長      白川  進君        中小企業庁長官  中田 哲雄君        中小企業庁計画        部長       安本 皓信君        運輸省運輸政策        局長       豊田  実君        運輸省鉄道局長  戸矢 博道君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        労働大臣官房長  伊藤 庄平君        労働省労働基準        局長       廣見 和夫君        労働省職業安定        局長       征矢 紀臣君        建設大臣官房長  伴   襄君        建設省都市局長  近藤 茂夫君        建設省道路局長  藤川 寛之君        建設省住宅局長  梅野捷一郎君        自治大臣官房総        務審議官     二橋 正弘君        自治省財政局長  遠藤 安彦君        自治省税務局長  佐野 徹治君        消防庁長官    滝   実君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  石垣 君雄君    事務局側        常任委員会専門  宮本 武夫君        員    参考人        地震予知連絡会        副会長      高木 章雄君        首都高速道路公        団副理事長    三谷  浩君        日本建築学会副        会長        東京大学生産技        術研究所教授   岡田 恒男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○平成七年度一般会計予算内閣送付予備審査  ) ○平成七年度特別会計予算内閣送付予備審査  ) ○平成七年度政府関係機関予算内閣送付予備  審査)     —————————————
  2. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  議事に入るに先立ち、申し上げます。  このたびの平成七年兵庫南部地震により五千二百人を超える方々が亡くなられましたことは、まことに痛恨のきわみであります。  ここに、犠牲者の御遺族に対し衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災者皆様にも心からお見舞いを申し上げます。  この際、犠牲となられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 黙祷を終わります。御着席ください。     —————————————
  4. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  平成七年度総予算三案の審査のため、本日の委員会地震予知連絡会会長高木章雄君、首都高速道路公団副理事長三谷浩君及び日本建築学会会長東京大学生産技術研究所教授岡田恒男君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、平成七年兵庫南部地震災害対策に関する集中審議を行います。  質疑者はお手元の質疑通告表のとおりであります。  それでは、これより質疑を行います。沓掛哲男君。
  7. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 私は、自由民主党の沓掛哲男であります。さきに発生した兵庫南部地震について質問いたします。関連質問を同僚の松谷委員河本委員から行います。  本題に入る前に、今回の地震で亡くなられた方に心よりお悔やみ申し上げるとともに、被災、負傷された方々衷心よりお見舞い申し上げます。  被災者皆さんには、不便な避難場所生活、どんなにか不自由なことと存じます。また、救援活動に当たっている自治体、警察、消防、自衛隊、医療等団体ボランティア皆さん、どんなにかお疲れのことと存じます。  政府・与党は、今回の地震発生後直ちに対策本部を設置し、現地に調査団を派遣して被災状況を把握し、被災者救援活動避難施設整備等に全力を尽くして取り組んでまいりました。  今回の地震被害が大きかったのは、一つには大都市部に起こった活断属活動を伴う大規模直下型地震であったこと、二つには被災地過密都市であったことによるものが大きいと思います。過密都市災害には極めて脆弱な構造であります。復旧に当たってはこのことを特に配慮していただきたいと思います。  これから基本的なことにつき質問いたします。  まず最初に、今回の地震に際しては悲痛なことばかりでありますが、ただ一つ、内外の皆様から大きな御支援を賜り、心温まる思いがいたします。特に、多くの外国ボランティア方々の御好意には国を挙げて感謝いたしております。  この各国からの善意に対する外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
  8. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 議員御指摘のとおり、今回の地震災害に対しまして、世界のほとんどの国から早速に見舞いの言葉が寄せられました。と同時に、七十に近い国及び地域、さらには国際機関から、そしてNGO、民間団体から支援申し出がございました。まことにありがたいことでございます。  少し説明をさせていただきますと、七十に近い国・地域及び国際機関と申しましたが、地域の中には台湾北朝鮮あるいは新ユーゴと言われる国がございます。もっとも、台湾は駐日台北経済文化代表事務所を通じて、あるいは北朝鮮北朝鮮赤十字会からの支援申し出でございます。さらに国際機関につきましては、国連、WHOあるいは欧州連合、こういった国際機関からの申し出があったわけでございます。  こうした世界からの温かいお申し出というものに我々は深く感謝を申し上げ、そしてそのお申し出の中には、緊急に人的支援を行おうというお申し出もあれば、物資を供与するというお申し出もございました。さらには義援金のお申し出もあったわけでございます。  私どもとしては、まさに世界の中で助け合って生きているということを実感しながら、こういうお気持ちに心から感謝を申し上げ、そのお気持ちを大切にしていかなければならないものと、こう考えているわけでございます。
  9. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 外務大臣、どうもありがとうございました。  では、続いて次の質問をさせていただきたいと思います。参考人地震予知連絡会会長高木東北大学名誉教授にお尋ねいたします。時間の関係で二問一緒に質問しますので、一括してお答えをお願いしたいと思います。  一つ地震がどこでいつどれだけの大きさのものが発生するかといった地震予知が可能になれば、地震対策は大変やりやすくなります。近年、我が国周辺で大規模地震が多発しておりますが、その予知はまだされておりません。地震予知が可能なのはどのような場合なのかについてお尋ねいたします。  二つ東海地域南関東地域に対しては観測強化等地震対策が講じられておりますが、最近これ以外の東北、北海道近畿等大型地震が多発している現状にかんがみ、大型地震発生のおそれが高い地域見直しや拡大を図り、観測強化等の必要な措置を講ずべきだと思いますが、参考人の御所見をいただきたいと思います。
  10. 高木章雄

    参考人高木章雄君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。  現時点では地震予知を可能とする地震は限られております。それは次のような理由でございます。  まず、あるほとんど同じ場所と考えてよろしいですが、そこに繰り返し繰り返し起こっている地震、それから過去、歴史的に起こっておりますが、その過去に大きな地震が起こった前に前兆現象があったということが認められて、それが現在の観測技術十分検知ができる、そういう場合には地震予知が可能でございます。  そのような観点に立って日本列島地震活動を調べますと、まず地震予知が可能と考えられるのは東海地域、それから南海地域でございます。  御承知のように、東海地域は今から約百年くらい前の安政東海地震以来、駿河湾などにはいまだに地震が起こっておりません。それから最近も御前崎の近辺では一年間に約五ミリくらいの沈降が進んでおります。そういうような意味で、現在あの周辺は非常に地震エネルギーが蓄えられていると考えております。そういう意味で、地震予知をあそこで遂行しようというようなことを国でお決めになりまして、現在、前兆現象をつかまえるべく集中かつ監視観測を行っております。日本列島ではこの場所だけでございます。  なお、南海地方に関しましては、明治十八年以来日本政府測量を盛んにやりまして、南海に面しています和歌山あるいは四国などにはたくさんの水準測量がなされて、その間、一九四六年、昭和二十一年に南海地震が起こりました。その意味で、一つ地震が起こった前と後にその周辺地殻変動観測が全部なされております。これは非常に大事なことでございまして、一つ地震のサイクルの間にそこの付近の地殻変動が全部観測できた、そういう記録を持っている。これは今後、次の世紀に発生すると予測されています南海地震に対して非常に貴重なデータを提供するものと思っています。  なお最近は、南海地震の静かになったのにかかわらず、最近になりまして潮岬あるいは四国の室戸岬には沈降が始まりました。これはやがて起こるべき南海地震のまず地震の核ができつつあるんではないかというように考えている人もおります。そういう意味で、西南日本にだんだんと地震活動が高まるというのを予想する人もございます。  二番目に、最近起こりました大型地震活動について、それをどう思うかという御質問でございますけれども、まず第一番目は、東日本に起こりました地震について、これは非常に八戸などに被害がございましたけれども、我々にとりましては非常に大勢なデータが得られました。  と申しますのは、九月から宇宙技術を使いまして日本列島位筒観測する測量が始まっております。たまたま十月四日に北海道東方沖地震がございまして、それを挟みましてその前後の北海道の動きを調べることができました。あの地震北海道東方沖でございますが、あそこから西八十キロ離れている釧路では何と四十センチ束の方向に伸びた。というのは、北海道東方沖地震地震エネルギーで、今まで北海道が西に押されていたのが地震と同時に東にそれがリバウンドするというか、はね返りまして、北海道全体がそれだけ面積が大きくなったというようなことがわかりまして、今後こういうデータ日本列島で非常に密に展開しますと、これから日本のプレートの運動の動態がつかめまして、長期的な地震発生に対して大きな情報を与えてくれるものと思っております。  それから最後に、今回の活断層中心とする直下型の地震でございますけれども、これは測地学審議会でおととしに活断層地震ポテンシャルについて研究しなさいということがありましたけれども、今や我々の認識では、あれほどの災害を起こす以上は、もう一丸となって積極的にこれは研究しなければいけないというように思っております。  と申しますのは、直下型地震というのは非常に先ほど申し上げました海の地震に比べて繰り返し周期が長い。海の場合は、先ほど申し上げましたように、百年ないし百五十年の繰り返してございますが、陸の場合には七百年あるいは千年以上でございます。そうしますと、活断層で起こった一番新しい地震は何と我々の歴史にはないわけなんです。そういう意味でもう大変な時間的に問題がある。それから繰り返しの年代も三千年と四千年になっておりますから、地質的な年代でやりますから、非常に精度が悪い。そうしますと、活断層が今非常に切迫しているということを知るのには相当なエラーがある。そういうために、なかなか内陸の地に関しては調査あるいは研究が進まなかったわけです。  しかし、これからは内陸の地に限りまして三次元の問題を含めてあらゆる分野の研究者が集まって総合的に研究していかなければならないと思います。そうして、切迫度がわかるようなマップをつくり上げまして、その結果、今までの地震予知連絡会でつくっておりました強化地域とかあるいは観測特定地域とか、そういうことに対して見直しができるようになります。そうすることによって地震災害をより軽減することは確実になると思いますから、今後頑張りたいと思っております。  以上です。
  11. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 どうも高木参考人、ありがとうございました。  そこで、科学技術庁長官にお尋ねしたいんですが、政府地震予知体制は、文部省測地学審議会や各大学地震研究所科学技術庁防災科学研究所建設省国土地理院地震予知連絡会、通産省の地質調査所等となっており、それぞれの特徴を生かして実施されております。もちろん今のお話のように、地震予知揺籃期にございますのでそれぞれの学問の特徴を生かした予知研究は大切とは思いますが、もう少し横の連絡を密にすべきだと思いますが、地震予知推進本部長でもある科技庁田中長官の御所見をお伺いしたいと思います。
  12. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 今、高木先生から大変詳しく内陸型と海についてお話がございましたけれども、結論的にはなかなか正確な地震予知というものは全国的に困難であるという判断をせざるを得ないと思います。  そして、一度発生してしまいますと大変なことになりますので、その災害を軽減するために、今、沓掛先生もおっしゃいましたように、気象庁を中心といたしまして科技庁それから国土地理院文部省大学等連携を密にとっておりまして、三月の末からはインターネットでお互いに情報交換をできるようにするようになっております。それぞれが違った角度でもって地震予知等の努力をいたしておりますけれども、御理解いただきたいと思っております。
  13. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 協力し合って一日も早く予知ができるようにひとつ研究をお願いしたいというふうに思います。  地震予知がまだ特定な場合に限られているということであれば、やはり地震に強い町づくりといったような、そういう耐震設計などが非常に重要になっていくのではないかというふうに思います。  そこで次に、今までの地震では、近代的な耐震設計により設計された構築物はほとんど被害を受けておりませんでした。ところが今回の地震では、我が国科学技術の粋を集約した高速道路高架橋が各所で倒壊いたしました。政府は今まで予算委員会建設委員会で、橋梁関東大震災クラス地震でも大丈夫と説明されておりますが、今回の地震でなぜ高架橋が倒壊したのか、政府委員で結構ですからお願いします。
  14. 藤川寛之

    政府委員藤川寛之君) お答えいたします。  今お話がございましたように、我が国道路橋につきましては、関東大震災くらいの大きさの地震では落橋しないようにというようなことでその整備を進めてまいりました。また、既設の橋梁につきましても、落橋しないように落橋防止対策というようなものもやってまいりましたし、橋脚につきましても、鉄板を巻きづけるなどの補強をやりまして耐震性の向上というようなことを図ってまいったところでございます。  しかし、今回の地震では高架橋が倒壊いたしましたし、また橋脚についても大きな損壊があったというようなことで、大変大きな未曾有の被害が生じたところでございまして、私ども建設省といたしましてもこれを大変重く受けとめているところでございます。  今回の地震につきましては種々の観測データが公表されているところでございますが、これを見ますと、我が国道路橋耐震設計の際に想定しておりました地震度をやはり大きく上回るようなものではなかったかなというふうに思われるところでございますが、その被災原因につきましては、私どもといたしましても徹底的にやはり究明しなければいけないというふうに考えておりまして、地震工学、橋梁工学、そういう専門家から成ります道路橋震災対策委員会というのを既に設置しておりまして、現在徹底的な究明を進めているところでございます。  この委員会におきましては、橋や地盤にこの地震でどんな力が加わったのか、またどのようなメカニズムでこういう倒壊とか損壊が生じたのか、そういうものを明らかにしたい。さらにこれからの耐震設計のあり方はどうあるべきかというようなことを詳細に検討していただきたいというふうに考えているところでございます。  できるだけ早い時期に検討結果を取りまとめていただきまして、私どもといたしましてもやはり地震に対する安全性、これはぜひ向上させなければいけませんので、そういう観点から、既設橋梁につきましても全国的な総点検を実施いたしまして早急に必要な対策を講じるように努力してまいりたいというように考えているところでございます。
  15. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 ところで、関東で今回のような規模直下型地震が発生した場合、首都高速道路高架橋は大丈夫なのか、耐震強度を増すための対策は必要ないのかについて、首都高速道路公団の三谷理事長に御所見をお伺いしたいと思います。
  16. 三谷浩

    参考人三谷浩君) 首都高速道路につきましても、先ほど政府委員が御答弁されましたように、関東大地震クラスのまれに起こる地震に対しても落橋が生じないことを目標としました技術基準に従いまして整備を進めてきております。  首都高速道路は、首都圏の大動脈であります最重要の都市施設であることにかんがみまして、これまでも地震に対する安全性に配慮した設計を行い、新しく建設する場合はもとより既設の施設につきましても、過去の地震の経験を踏まえましてその都度最新の知見を反映させるなど耐震性の確保に努めてきたところでございます。例えば橋げたの落下を防ぐための処置といたしまして落橋防止措置がございますが、これにつきましては、すべての橋梁に対しましてその処置を完了させたところでございます。  今回の地震が震度七という我が国未曾有の大きな揺れが生じたとはいえ、高架橋などの大きな被害が発生したことにつきまして、首都公団といたしましても大変大きな問題として受けとめておりまして、緊急点検を直ちに開始しましたほか、橋脚耐震性の向上のための対策、これは鉄筋コンクリートの橋脚に鋼板を巻きつけまして耐震対策をするものでございまして、粘り、あるいはひび割れの軽減、あるいは耐力アップ、こういうものを目途としております。これにつきまして今、施工中でございますが、この計画を繰り上げまして平成七年度に概成させる方針でございます。  また、建設省におきまして、学識経験者から成ります委員会が設問されてさまざまな角度から検討が進められております。これらの中で解明されることや、あるいは新たに得られた知見などにより耐震対策が示された場合は、私どもも速やかに対処してまいる所存でございます。
  17. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 建設大臣にお尋ねいたします。  大型地震に際し、首都高速道路を初め幹線道路の交通の確保は人命救助や救援物資の輸送に欠かせないものですが、地震に強い幹線道路の整備についての建設大臣の御所見、御決意をお伺いしたいと思います。
  18. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答えをいたします。  今、先生御指摘のとおりに、人的な交流、物資の輸送になくてはならない道路、その道路が今回は大きな破滅的な状態に陥った。こういう点については、現実の問題として阪神高速道あるいは中国自動車道、これは交通どめになりました。阪神間や日本全体の経済の交流、西日本、東日本との交流等もでき得ない状態がわずかの期間でありましたけれども現実に起こってまいりました。したがいまして、これらの生活や経済活動に大きな影響を与えたことは間違いありません。  したがいまして、こうした幹線道路の整備を進めるに当たりましては、それぞれの道路について地震等に対する安全度を一層高めていかなきゃならぬ、これが第一点であります。第二点は、一つのルートが破壊されたときには代替のルートをどうつくるかということが重要になってくるだろうというふうに考えております。そういう意味で、幹線道路ネットワークを構成していくことが極めて重要である、そういうふうに考え、第一に道路の安全度、第二に代替の道路というものをこれから念頭に置いて進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  19. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 どうも建設大臣、ありがとうございました。ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。  今の建設大臣の言われたことをより確立するためにも、次に大蔵大臣にひとつお願いしたいんですが、このたびの地震高速道路は大きな被害を受けました。その復旧費は、阪神高速道路公団で約五千億円、日本道路公団で約千億円と聞いております。有料道路は、同じ公共施設でありながら、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法が適用されません。その復旧費は料金を値上げすることで今までカバーしてまいりましたが、料金値上げも御承知のように限界に来ております。  阪神公団法や日本道路公団法で、災害復旧工事費の一部について政府が補助できる規定がありますが、今までは適用されておりませんが、今回の大規模災害復旧工事にぜひ補助金を交付していただきたい。事業費がもうないということになってはなかなか強い道路もできませんので、ひとつぜひ先例を開いていただきたいと思います。大蔵大臣、よろしくお願いします。
  20. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 御指摘のように、大変な被害でございますが、公団法上は阪神高速道路公団につきましては、国及び出資地方公共団体はそれぞれ各公団が行う災害復旧工事の経費の一部を補助することができると規定をされております。今までは一度も発動されておりません。  この問題につきましては、今回の被害状況や今後における災害復旧工事の見通し等の取りまとめを待ちまして、公団の経営に及ぼす影響、事業の性格等を総合勘案させていただきながら、財政当局として適切に対処をしてまいりたいと存じます。
  21. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 阪神高速道路公団、日本道路公団もよく御検討いただきたいと思います。(「検討ではだめだ」と呼ぶ者あり)大蔵大臣ですから、検討ということはやってもらえることだというふうに私は思いますので、ひとつよろしくお願いします。次に、火災について消防庁長官にお尋ねしたいと思います。時間の関係上三つ一緒にいたしますので、簡潔にお願いいたします。  第一番目、今回の地震で火災が多発いたしましたが、その発生源は何か。初期の火災が鎮火した後にも火災が各所で発生した理由は何でしょうか。  二番目、初期の消火活動が必ずしも効果的に行われなかったのはなぜでしょうか。  三番目、東京都の消防用水施設の整備状況から見て、今回のような火災の同時多発に首都圏も対応できるでしょうか。  この三つを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  22. 滝実

    政府委員(滝実君) 第一点の火災の発生原因でございます。  これにつきましては、最もひどい被害を受けました神戸市につきましては、現在、東京消防庁、あるいは名古屋、京都、大阪市の各消防局の応援を得て調査を実施いたしておりますので、その詳細はまだまとまっておりません。  ただ、例として申し上げますと、大阪市の消防局の原因調査、大阪市管内の原因から判明しているところだけを申し上げますと、電気関係、例えばストーブ、ヒーター、それから屋内配線の漏電、それから冷蔵庫、そういうような電気器具等からの火災の発生、これがかなりの件数が認められる。それからガス関係では湯沸かし、そういうものの発生が認められる。要するに地震の発生とともに電源あるいはガスの供給が当然とまっているはずでございますけれども、時間的な差異がございましてこういうことによる発生がかなりの件数に上っている、こういうことでございます。それからあとは石油ストーブ、こういうのが大阪市の消防局の判定では認められるということでございますけれども、問題の神戸市の関係については、ただいま申しましたように、詳細はこれからでございます。  二番目に、初期消火が効果的に行われなかった理由でございます。  これはいろいろ考えられるわけでございますけれども、何といっても地震直後に多数の家屋が倒壊して火災が同時発生をした、こういうことでございます。ちなみに神戸市の発表によりますと、神戸市だけで同時に発生した火災が百四十二カ所に上る、こういうことでございまして、とてもそれは、救助活動とともに最初にやるものでございますので、なかなか十分な手が回らなかったというのが第一点でございます。  それから二番目には、建物の倒壊あるいは道路自体の損壊によりまして消防車等の走行が非常に難しかった、こういうことでございます。  それから三点目には、地震によりまして水利が十分に得られなかった。要するに消火栓がほとんど使えない状況でございましたので、防火水槽あるいはプールあるいは最後には海水を利用いたしましての消火活動によらざるを得なかった、こういうことでございます。  それから三点目の、東京都において仮に水利の関係でどうか、こういうことでございますけれども、東京都が、平成三年におきまして相模トラフを震源とするマグニチュード七・九程度の地震、あるいは昨年の末には直下型の七・二の地震を想定した被害想定を公表いたしております。そういうような中で、現在段階で東京都が水利の関係からあるいは消防力の関係から申しますと、やはり各県の近県の応援に頼らざるを得ない、こういうような点もございます。  また、この想定は当時の想定でございまして、今回の神戸の状況をさらに把握いたしますとやはり被害想定も見直す必要がある、こういうことでございますので、東京都の場合もこれからなお一層この地震に向けての対策を強化する、こういうようなことが必要かと存じます。  なお、ちなみに申し上げますと、東京都の場合の体制は、消防職員一万七千九百十人、消防団員二万二千人余、それから防火水槽、地震の場合には消火栓の水利がほとんど期待できないということもございますので、今回の地震にかんがみますとそういうことでございますので、そういう点から申しますと、防火水槽は二万一千二百十五基、こういうようなデータが東京都の場合には備えられているわけでございますけれども、なおただいま申しましたように十分な対策を今後とも見直していく必要がある、こういうふうに私どもは考えております。
  23. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 昨日の朝日新聞の朝刊で、このいわゆる火災の原因についていろいろ出ておりました。今おっしゃられたように、電気器具またはガス器具等による発火がかなり多かったようでございますが、これは質問というよりもお願いしておきたいんですが、通産大臣に。  電気器具やそれからガス器具についてのいわゆる電気がとまったらオフに行く、すべて何かとまったら安全弁に行く、オフに行くようなそういうことができないのかどうか、ガスも電気も二度とまったらすべてオフになってしまって新しく何かをやらなければ動かない、作動しない、そういうようなことをまた御研究していただきたいと思いますが、これは質問しておりませんので、通産大臣の頭の中に少し入れていただければと思います。  それからいわゆる防火用水施設ですけれども、例えば高校にしろ中学校にしろ小学校にしろ、今、大抵大きなプールがあるわけですから、そういうプールをうまくこの防火用水施設として使えないのかどうか。あるいは校庭や公園等には井戸を掘っておいて、そうすれば飲料水にもまたこういう防火用にも使えるのじゃないかというふうにも思いますので、これからの検討の際、消防庁でも御検討をいただきたいというふうに思います。  では、次に移らせていただきます。自治大臣に二つ質問させていただきますので、一緒にお答えをお願いします。  まず、捜索、救援の第一歩は隣近所の相互援助にあります。遠くの親戚より近くの他人と言われるよう日ごろからの隣近所の交流も大切ですが、さらに町内会の危機管理に果たす大きな役割についても再検討すべきではないでしょうか。  さらに二番目。隣近所や町内会での相互救済に続いて大切なのは警察や消防による救援活動ですが、それでも十分でない場合に自衛隊の出動を要請することになります。兵庫県知事からの自衛隊出動の要請は十七日十時に行われました。地震発生後四時間余りの時間が経過しております。要請が遅かったのではという声もあります。  私は、兵庫県や神戸市等の行政はみずからも大きな被害を受けた中で一生懸命やっておられたというふうには思います。しかし、大型地震に対する事前の準備は必ずしも十分ではなかったというふうにも思います。今回のとうとい教訓をこれからの危機管理体制づくりにぜひ生かしていただきたいと思いますが、自治大臣の御所見をいただきたいと思います。
  24. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員御指摘のように、今回の神戸の経過を見ますときに、大震災のときには電話も道路もすべて不通になり途絶をするわけでございますので、そういう著しく悪い環境のもとにおいて被災者の救援あるいは消火活動は、今おっしゃいますように、自分たちの町は自分たちで守るという地域連帯感が一番重要であると考えるわけでございますが、今回のように一斉にすべてが被災者になるという状況のもとでは、自分がどのようにしてこの倒壊家屋の中から逃げていくか、あるいは家族の救援に忙殺されてなかなか瞬時的にこの連帯感が生かせなかったというのはまことに残念でありますけれども、しかし多くの消防団、警察官等の救援、あるいはその後は全国から多くのボランティア皆さんが来てくださることによりまして、地域皆さんが自分たちが自分たちで自警団をつくってやろうという、そういう都会にはなかった新しい連帯感が神戸や西宮や芦屋や宝塚といった被災地で生まれてまいりました。これは大変私は今回の地震を契機にして都市で失われておった地域連帯感、コミュニティーというのが生まれ出てきたということを認識し、今後私どももそういう問題の一々について地域のそれぞれの連帯感がつくり上げられていくような状況を考えなくてはならないと思っておるわけでございます。  また、今回の地震発生につきまして、委員から危機管理等についてお話があったわけでございますけれども、私は衆議院でも申し上げたわけでございますけれども、知事も市長も市の職員も県庁の職員も警察官も消防職員もすべてが被災者でございました。そんな中からみんな何とかしてということで県庁や市役所に駆けつけて、そして初動捜査に当たったわけでございます。そういう点でやや御批判を受けたわけでございますけれども、私は可能な限りの努力をやられたと、今日まで現地に数回足を運びましてもそのことを認識しておるわけでございます。  ただ、私どもが今回の点で反省をしなくてはならないと思いますのは、いわゆる知事が自衛隊の派遣を要請するときには、どこにどんな災害があってどういう部隊が必要であるかということを、具体的にどこへ来ていただきたい、それはどういう災害でどういう部隊が必要であるかということを具体的に言わなくてはならないのでございます。したがいまして、事前の連絡と知事が午前十時に正式に連絡した連絡とは、そこに具体的なものを掌握しなければならなかったということに時間を要しました。  したがいまして、そういう時間が若干経過をし、そして非常に大きな災害の中から可能な調査をやって自衛隊の派遣要請をしたということを御理解いただきたいと存じますとともに、今後また自衛隊の自主的判断によって出ていただく等、多くの今回の震災を教訓といたしまして、私どもお互いにそれぞれの危機管理について今回の教訓を生かしていける形で被害が減少していく努力を傾けてまいりたいと存じております。
  25. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 高木参考人三谷参考人、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。  では、続いて質問いたします。  自衛隊の災害派遣は、自衛隊法第八十三条で知事の要請に基づくのが基本であります。ただし、緊急で知事の要請を待ついとまがない場合には自主的な出動ができると規定されておりますことから見ても、知事からの要請前の自衛隊の行動としては、偵察機による情報収集や小規模部隊の出動に限定されざるを得ないというふうに思いますが、防衛庁長官の御所見を言いただきたいと思います。
  26. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 自衛隊法第三条におきまして、自衛隊は国の平和と安全を守ることを主たる任務とし、また必要に応じて公共の秩序の維持に当たるものとされております。自衛隊法第八十三条による災害派遣は、この公共の秩序の維持の一環として行われているものであります。  御指摘をいただきましたように、自衛隊法第八十三条第二項は主文におきまして都道府県知事からの要請による災害派遣を規定しておりまして、自主派遣につきましては、ただし書きにおいて例外的、限定的に規定をされておるところでございます。  なお、この近傍派遣につきましては、八十三条第三項によって規定をされておるところであります。  災害対策基本法におきましても、災害におきましてはまず地方自治体が対処し、その能力を超えると判断をされた場合におきましては都道府県知事から自衛隊に対しまして派遣要請をいただき、それに基づきまして派遣をし、さらにまた実際的なこの活動におきましても地方自治体と連携をして行っていく、こういうことが大事である、こういうふうに考えておるところであります。
  27. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 自治大臣にもう一つ質問したいんですが、今回のように県庁所在都市が大きな被害を受けた場合の司令塔の要員の確保等についての対応も検討すべきではないでしょうか。  例えば、知事や危機管理要員は県庁舎より近くかつ特別堅牢な公舎に入ること、また情報の収集や指示の伝達のために無線を整備することにより、初動態勢をつくるに要する時間は著しく短縮するというふうに思います。  私も四十年間ほどこういう災害対策をずっと、行政のレベルでもう再三、政治家としてもやってきた人間ですけれども、やっぱりこの初期動作の基本になるのは、まずそういう危機管理要員が集まることです。私たちは、事務所長のときは、事務所長官舎の周辺に課長を全部そろえておいて、いざとなったらすぐ集まってもらって行動するということをやってきたんですが、それよりもこれは大変大きな範囲になるんですけれども、こういうことも御検討いただければと思いますが、自治大臣、よろしくお願いします。
  28. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) お説のように、今回の地震災害を省みまして、耐震性に強い構造を持ったものを中枢機能として配慮していかなくてはならないということ、あるいは職員の住宅あるいはその距離等についても耐震性や近距離等を十分に配慮していかなくてはならない。さらには防災を中心とした通信のあり方につきましても、一応、都道府県、市町村防災無線を整備しておるところでございますけれども、これを多重性にして、地上、さらには衛星、こういう幾つかの防災の通信網というものをそれぞれ分担ができ、一つがつぶれても一つが機能するような形というものをやってまいらなくてはならないと思うのであります。国庫補助及びふるさと事業債等を通じましてより整備を図ってまいりたいと存じております。
  29. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 次に、重機関係についての説明をしてみたいと思います。これはお答えというよりも、私の長年の体験談でございますので、頭の中に入れていただければというふうに思います。  自衛隊は、いろいろな制約の中で地震発生日に二千三百人、十八日に九千三百人、十九日に九千五百人を被災地に派遣しております。しかし、さきに参議院本会議で質問に立った地元の兵庫県の西野康雄議員はみずからの体験談として、被災地に入った自衛隊の活動は、初日、二日目は余り目立たなかった、それは瓦れきを取り除くスコップ等が不足したからで、三日目からはすばらしい活動をされたと発言されています。また、去る一月三十一日の読売新聞の一面ですけれども、この届書で「重機なしには手も足も出ない」という見出しが載っております。  昭和五十五年に南イタリアのナポリ周辺で今回のような直下型地震が起きました。約三千人の人が亡くなったんですけれども、その際、道路が瓦れきで閉鎖されたため軍が直ちに被災地に入りました。しかし、コンクリートの瓦れきの下に下敷きとなっている、またあの辺は地下室をよく使っているので、そこに入っている人たちを見つけてパンや水を与えて何とか命をつないでいたんです。重機の入るのを待っていたんですが、雨が降ったためにみんな亡くなってしまったという悲惨なことが昭和五十五年にございました。  そういうことを参考にして、東京都などでもいろんなことをやられておるわけですけれども、救援のためには必要な道路の啓開——障害物を開いて進むことですね、啓開や、人命救助のための崩壊したビルの瓦れきの除去には重機械が不可欠であります。災害発生後、速やかに近県から重機械が搬入されるようあらかじめ準備しておくことが必要だと思います。  重機械は主に民間が保有していますので、重機の種類ごとにどこに何台あるのかの大枠を協会等を通じて県、国で把握しておき、出動の際の条件、すなわち賃貸料や、もし事故があった場合の損害補償等についての契約条項もあらかじめ決めておくことだというふうに思います。  いざというときには、自衛隊の出動要請と同時に、隣接県を通じてその県の重機械の出動を要請します。重機械は、幹線道路の啓開を行いつつ被火地に入り、自衛隊と一体となって被災者の救助や避難にはかり知れない威力を発揮してくれるというふうに思います。同時に、救援路も形成されることになります。これは国が指導して都道府県が災害時に重機とオペレーターを集められるよう、それらを保有する建設業界と協定を結んでおくことも必要かと思います。東京都は一部都内の業者とそういう協定を結んでおりますが、実際は東京に大きな被害が起きたらその業者も動けないのですから、やっぱり埼玉県とか千葉とかそういうところからの応援も必要なので、ある程度広いレベルで今申し上げたようなことをしておくことがこれからも必要だというふうに思っておりますので、またよろしくお願いいたします。  これはお答えというより言いっ放しにさせていただきます。大事なことなのでよろしくお願いします。  それから次に、避難生活上の問題については関連質問をする松谷さんに主にしていただきますので、私からはライフラインとボランティアの話をさせていただきたいと思います。  これはまず、水道、ガス、電気、通信などのライフラインの速やかな復旧と直下型地震にも強いライフラインの整備をお願いしたいと思います。特に水道の破損は、飲料水等の不足のみならず消火作業にも大きな障害を生じさせ被害を拡大させることになったことにかんがみましても、所管の厚生大臣にひとつ地震に強い水道づくりをお願いしたいというふうに思います。  それからもう一つ、厚生大臣に一緒に質問させていただきたいんですが、医療関係者は地震発生直後から、瓦れきの下から救出された人たちの治療を初め、避難生活中に罹病された方々の看護や被災者の健康管理等に目覚ましい活動をされ、頭の下がる思いであります。  他の都道府県から派遣されている医師、看護婦が二月一日現在で千六百二十名と伺っております。当分この避難状況が続くとした場合、他府県から来ていただいている人たちの交代も必要になるでしょう。そういう交代要員についてはどういうふうにお考えになっているんでしょうか。  ひとつ厚生大臣にこの二問、続いてお願いいたします。
  30. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  先生御指摘のライフラインの中の一つであります水道施設の耐震化に関する研究開発につきましてでございますが、今回のこの地震被害の経緯を踏まえ、その研究開発をさらに推進することは極めて重要であると認識しております。  実は厚生省におきましても、一九七八年でしたか宮城県沖地震を教訓に、一九八〇年に水道施設耐震工法の手引きというマニュアルを作成いたしまして、耐震性の強い新タイプのつなぎ部分の普及などに努めてまいってきたところでございますが、今回、それらも今度のあれでは被害が出ているというような報道も聞いております。それも調査、確認をしなくちゃなりませんが、そのため、あすから京都大学工学部の住友教授を団長とする学識経験者の皆さん調査団をつくっていただいて理地に行っていただきます。水道施設の被害状況等を技術的に調査していただくことになっております。  今後、この調査結果等を踏まえまして国立研究機関、私どもで言いますれば国立公衆衛生院、あるいは民間の研究機関、財用法人水道管路技術センター等がございます。あるいは大学等の協力もいただいて水道施設の耐震性をさらに向上させるための調査研究を行い、水道システムの耐震化を進めるための施策を充実してまいる所存でございます。そのための研究に必要な予算措置も科学技術庁等と御相談をしておるところであります。  もう一つ、医療現場で大変皆さんがそれこそ昼夜を分かたず御苦労していただいておりまして、その皆さんの疲労もかなり蓄積してきておるということは十分承知しております。そのため厚生省におきましては、地元と調整の上、他の都道府県からの派遣体制を設けておりますほか、お医者さんや看護婦さんの医療ボランティアにつきましては厚生省の現地対策本部、これは国立神戸病院の中に設置してございますが、その中にマンパワー支援相談窓口等を通じまして派遣の申し出と交代要員を必要とする医療機関の情報を受け付けております用地元府県あるいは市と調整しつつ、適宜交代するなどのシステムを設けているところでございます。  今後とも被災地におきまして適切な医療体制を継続するため、交代要員を求めるニーズを的確に把握するなどして必要な医療マンパワーの確保に努めてまいる所存でございます。
  31. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 次に、復旧復興についてお尋ねしたいと思います。  去る二月四日の夜、政府・与党の幹部で、このたびの地震による被災地の新たな町づくりを推進するために、一つ、総理府に事務局を置き、被災地の復興計画の実施を政府として支援するほか、関係省庁の政策の総合調整を行う復興本部を設置すること、二つには、復興の基本方針について市長への助言を行う諮問機関として復興委員会をつくるということに合意したと各紙は報じております。このことは、このたびの被災地の復興に取り組む政府の積極的な姿勢を示すものとして高く評価いたしますが、現場の実務的な面の強化策がこれに伴わないと実は上がらないというふうに思います。  今回の地震災害に伴う復興の都市計画を定め、その事業化に至る県、市の仕事量は膨大なものです。県、市にとっては十年、二十年の仕事を一挙にこなさなければならないというような状態であり、県や市で実務を行っている人たちを支援し、協力し合って復興に当たる理地の機関がぜひ必要だというふうに思います。  今回の復興は、公的施設と民間施設のそれぞれの復興を革の両輪として進めるべきだと思います。そのために特殊法人の阪神復興院を現地に設置していただきたい。特殊法人のいわゆる阪神復興院を現地に設置することが大切だと思います。  そしてその機能としては、一つには、兵庫県や関係市のこれから行う都市計画の策定、関係省庁との事前調整について支援協力をすることができること、もう一つは、都市計画事業の実施に当たってはその一部を県、市から受託することができること、そういう機能を持った特殊法人をぜひつくっていただきたい。  また、この特殊法人は、二つ目として、中小企業の振興や家屋を失った人たちの住宅建設に超低利の資金を融資するための原資を調達する。例えば利率二%、償還期間五年程度の復興院債を義援金的な趣旨で全国に募集し一兆円ぐらいの原資を調達し、金利二%程度で例えば中小企業金融公庫から中小企業へ、あるいは住宅金融公庫から、家を失った、そして家を建てようとする、住宅を建てようとする建設者へ融資したらというふうに思います。わずかの金利ですからもちろん免税債にしていただきたいと思います。  この阪神復興院は五年程度のもちろん時限的なものとし、構成員は主に国、公団・公庫や地方公共団体から応援者として出す。伊勢湾台風のときも国及び地方公共団体から約三百二十人ぐらいの人の応援を出しております。その人たちのいわゆる受け皿という意味も含めて、ぜひこれをお願いしたいというふうに思います。  特殊法人の阪神復興院を現地に設置することについては小里大臣から、またこの低利融資の原資を調達する復興院債の発行については武村大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  32. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 先生御指摘のとおり、復興計画の作成及び実施は地元の関係住民の意向を中心にしながら市、町あるいは県などが主体的に行うべきではないかという意味のお尋ねでございますが、私どもは原則としてさようであると判断いたしております。  もとより、それに対しまして国の取り組みは、それらの一連の仕事を積極的に御支援申し上げる、これが一つの基本であろうと思っております。したがいまして、それらに関連する諸施策の国としての調整及び事業費の確保などに積極的に努めていくべきであろう、こう考えております。  なおまた、先生からお話がございました復興委員会あるいは復興推進本部なるものにつきましては、目下、お話しのとおり、政府庁内におきましてその設置をするべき方向で調整を鋭意急いでおるところでございます。  なおまた、現地におきまするお話でございますが、現在、兵庫県庁内に一つの部屋をお借りいたしまして現地におきまする災害対策本部を設置し、そして積極的に県及び市町などと連携のもとに緊急対策を急いでおるところでございますが、なおこれからの先ほどお話しの復興関係等につきましても、この機関機能をさらに拡充いたしまして機動的かつ迅速に対応をしなけりゃならない、さような方針でございます。
  33. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) この震災復興のために、いわゆる復興院債とおっしゃいましたが、復興債の御提案をいただきました。ありがとうございました。  私ども、万難を排してこの震災の復旧復興に取り組んでいこうという政府の方針でございますから、財政担当者としましてもその需要を賄うためにはあらゆる努力をしなければいけない。したがって、財源についてももちろん既存の経費を優先して充当していく、例えば予備費なんかを。これはもう当然のことでありますし、また政府全体にわたって切り詰めをお願いしてそういう財源を少しでも集めさせていただく、こういう努力もいたします。  これはもう言われなくても当然にしなければならないことでありますが、しかし何兆円という大きな被害の額からいたしますと、とてもそれでは足りません。そうなると財源をどうするかということになりますが、いきなり頭から増税を考えるとか、またいきなりもう増税は考えないとか、そういう姿勢はとらないで、いずれにしましても、今の復興債の御提案も含めてあらゆる財源の上での可能性を真剣に求めていきたいというふうに考えているところでございます。この御提案いただいた案につきましても検討をさせていただきたいと存じます。
  34. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 先日の一月二十九日のテレビであったかと思いますが、被災者が、どんな悲惨な状況の中にあっても希望のともしびがあれば我々は耐えられるんです、その希望のともしびを政府にお願いしたいという悲痛な声を上げておられました。被災者にわかりやすい援助の手を差し伸べていただきたいというふうに思います。  非常に政府で今やっておられるのは、中央でやっておられるのは複雑怪奇で、そういうことを長年やってきた私たちでもなかなかわかりにくいんです。ですから今、もう頭の混乱している——怪奇は失礼いたしました、怪奇は取り消しますが、非常に複雑でございますので、なかなか専門的にやってきた人も理解しにくいんです。どうか、今本当に頭が空白状態の被災者がよくわかるように簡便な、こうして政府がやってくれる、手を差し伸べてくれるということがわかるようにしていただきたい。  そういうためには、この災害復旧というのは現地主義なんです。中央で幾ら立派なことを言っていても現地は進まないんです。私も本当にそういう現場で長年苦労してきた一人ですけれども、ぜひ理地第一主義で取り組んでいただきたい。現地の人に協力体制を形で示してもらいたい。  その一つが私がお願いした現地の特殊法人のいわゆる阪神復興院であり、もう一つは、いわゆる中小企業者に対しても家を失った人にも今までなかった二%の金利であなた方にどんどん融資しますよということを総理から謀っていただければ、もうこれは被災者全部にとって大変希望のともしびになり、復興への勇気がわいてくるというふうに思いますので、もう余り難しいことよりもこの二つを総理から確実にやるとお約束していただければ私はもう確実に復興は大いに進んでいくというふうに思いますので、ひとつ総理の御所見をぜひいただきたいと思います。
  35. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) きょうは初めての集中審議ですから冒頭に申し上げたいと思うんですけれども、今回の大震災で五千名を超す犠牲を受けて亡くなられた方々やその遺族の皆さんに心から哀悼の意を表したいと思いますし、同時に、被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思うんです。  まだこの厳しい寒さの中で避難生活をされている方々が二十四万人近くおられるわけです。政府としては、今もお話がございましたように、できるだけ不安を解消して、そして少しでも落ちついた生活ができるようなそういう条件をどうして整えていくかというので、それぞれ各省で責任持って大臣が積極的に指導しながら今取り組んでやらせていただいておりますけれども、まだまだ至らない点がたくさんあると思いますし、それからまた、とりわけ寝たきりのお年寄りやらあるいは身障者やら、あるいはまた乳幼児を抱えた方々やら等々にもう少し細かな配慮をして、行き届いた施策を徹底してやるということも大事なことではないかというので、私からも閣議で各大臣にお願いもしておるところでありますけれども、そういう救援対策を徹底的にやると。  同時に、あしたがどうなるのか、これから一体兵庫県、神戸はどうなっていくのか、こういうやっぱり展望を持っていただくということも極めて大事なことではないか、元気を出していただくという意味でもこれは必要なことだというふうに思いますから、できるだけわかりやすい、被災者皆さんに理解してもらえるような「被災者の皆さまへ」という呼びかけをした文書を今作成をして配布するという段取りもいたしておりますけれども、それだけではなくて、今お話のありました復旧復興というものもそんな意味では極めて大事なことだというふうに私は思っています。  そのために、先ほどもお話がございましたように、今、政府・与党で検討しながら、これは主体としてやっぱり県やら市が中心になって都市計画は進めていく、町づくりは進めていくということになると思いますけれども、これは県や市、自治体だけではやっぱりそれはもうできないこともたくさんあるわけですから、国と一体となって取り組んでいくという意味で、これは仮の名前ですけれども、総理府に復興本部を設ける、そして閣僚をこれに充てて全体として取り組めるような体制をつくる。  同時に、その復興本部に対して学識経験者やらいろんな専門家のお知恵もおかりするという意味で諮問委員会をつくって、そして国と県、市等々関係者が一体となって、縦割りの行政ではなくて総体的に取り組めるようなそういう仕組みというものを考えて、機敏に対応できるそういう仕組みというものが今は一番必要ではないのかという意味で構想を今練っておるところであります。今ここで明確にどういう名称でいつごろまでにつくるということははっきり申し上げることはできませんけれども、しかし今申し上げましたように、可能な限り早くつくるということが大事ではないかと思います。  今、委員から御提案のございました復興院あるいは復興債といったようなものも貴重な意見として検討はさせていただきたいと思いまするけれども、やっぱり何をおいても町づくりに対して被災者皆さんが元気を出して、我々もこれならいける、よし頑張ろうと、こういう気持ちになっていただけるような体制というものをつくっていく必要があるというふうに思いまするし、何よりもやっぱり政府全体あるいは地元と一体となった形で取り組めるような効果的な状況をどうつくっていくか、体制をどうつくっていくかということが大事だと思いますから、鋭意検討して速やかに結論が出るように段取りをしていきたいというふうに考えているところでございます。
  36. 沓掛哲男

    沓掛哲男君 総理大臣、どうもありがとうございました。大変お疲れだと思いますけれども、村山内閣挙げて、また与党挙げてこの対策に取り組ませていただきたいと思いますので、本当にきょうは長時間ありがとうございました。次に関連質問に移りますので、終わります。
  37. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 関連質疑を許します。松谷蒼一郎君。
  38. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 自民党の松谷でございます。初めに、このたびの阪神大震災で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますと同時に、御遺族の方々被災者方々に心からお見舞いを申し上げます。  さて、現地に参りまして最も胸を打たれますのは、これは建物の崩壊でもなく瓦れきでもない、被災者方々の姿であります。今も総理が申されましたが、この寒空に、雪が降っている中に、被災者方々は凍えながらおかゆをすすっているわけですね。さらに私がもう本当にやりきれないなと思いましたのは、神戸市役所のあの一階のロビー、人がたくさん行き来をしている、ごみが舞っている、そのロビーの中に段ボールで囲って毛布にくるんで昼間から寝ていられる。その被災者方々を見ますと、本当にこれはもう被災者というよりは難民のような現況じゃないかというような思いがいたします。本当にやりきれない思いでございます。  総理は、人にやさしい政治をということで今、着々とおやりになっていますが、まず第一に被災者にやさしい政治をやっていただきたいと思うわけでございます。いろいろ法律の問題もあります。組織の問題もあります。あるいは予算もあります。いろいろな制約はありますが、何とかここは総理が指導力を持って、あらゆることを乗り越えてこの被災者の救援のために全力を挙げて取り組んでいただきたいと思うんですが、総理の御見解を問います。
  39. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 今、委員からお話がございましたように、私も現地に参りましてそういう生活をされておる皆さんの実態というものに触れてまいりました。もう言われるとおりだと私も認識をいたしております。  そういう避難生活、難儀をし不自由をかこちながら、お互いに協力し合い助け合って励まし合って頑張ってやっている方々の実態を見た場合に、やっぱり一日も早く生活が安定できるような居場所、居住場所というものをしっかりやっていく必要があるんじゃないか。そのためには仮設住宅等もどんどんつくっていく必要があるというんで、私はこれは閣議でも何回か申し上げましたけれども、今ある法律制度を最大限に活用して、そしてやれるだけのことはやってほしい。どうしても今の制度じゃ無理だということでやらなきゃならぬことがあるんなら、これはもう積極的に改正をして取り組む必要があるんではないかというようなことも申し上げて、今プロジェクトをこしらえて検討もしてもらっておりますけれども、しかし現行制度の中でやり足りぬこともあると思いますから、存分にやっていただくということが大事ではないかというふうに考えておるわけでございます。  住宅の問題につきましては、後でまた必要があれば建設大臣からも御答弁をいただきたいと思うんですけれども、とりあえず応急の仮設住宅の建設を急速に進めるほか、近隣の大阪府やらあるいは大阪市やら等々の町村にもお願いをして、公営住宅や何かであいているところがあれば積極的に入居させていただくというんで、先般も大阪府の知事と大阪市長がお見えになりまして、これだけあけて待っています、そしてもうこれは生活費から家賃から全部見ても結構ですからと、こういうお話もあって積極的な協力の姿勢も見せていただきましたけれども、そういうことも含めて何としてもやっぱり生活が少しでも落ちつけるような、そういう状況をつくっていくことが大事だというふうに思いますから、これからも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
  40. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 野中自治大臣、追加答弁を。
  41. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員が御指摘になりました今の避難場所にいらっしゃいます多くの痛々しい被災者皆さん方のお取り扱いにつきましては、総理が今申し上げましたように、閣議があるたびに、あるいは災害対策本部の会議があるたびに総理から強い指示を受けておるところでございます。今お話しございましたように、私どもも何とかしてあの劣悪な条件の中にいらっしゃる避難者の背さん方が他の住居に入っていただくこと、あるいは県内はもちろん近隣府県のそれぞれ住宅に入っていただくこと、これを知事さん、市長さんにもお願いをいたしまして、そして御準備をいただいておるわけでございますけれども、なかなかやっぱり地元を離れるということに非常な執着がこざいまして、また倒壊家屋の中には幾つかの自分たちの持ち物も残していらっしゃるわけで、私もつい三日前に行ってまいりましてお伺いいたしましたけれども、なかなかやはりあの地を離れにくいというお気持ちがあるわけでございます。  もう、しばらくでもいいですから、村山総理は、とにかく温泉であろうがどこであろうがそれぞれの市町村、府県が経費を負担して、そして料金も見ます、食費も見ます、すべて経費は見ますから、そしてそこから迎えに行きますから、その間だけでも仮設住宅ができる間だけでも待ってくださいと。町村も市も結局仮設住宅の募集をして、そしてその人たちが郷里を離れたら、当選したら通知をする、そして迎えに行く、そういう経費をすべて見ますということを強くお願いをこの間もしてきたわけでございますけれども、なかなか他府県に入っていただく数がまだ少のうございまして、何とかして関係市町及び県にお願いをして、こういう皆さんの現在の実情を私どもも少しでも解消したいというのが総理の気持ちを生かすことだと思って頑張っておる次第でございます。
  42. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、自治大臣のお話を伺っていますと、総理も非常にそういうことを心配されて指導力を発揮されているということはよくわかりました。ただ、それを実現に向かってやっていただきたいというように思うわけです。  特に冒頭申し上げましたように、この住宅の問題が現在最も緊急かつ重要な問題であろうと私は思うわけです。しかも、その住宅問題というのは非常に多岐にわたっております。災害応急住宅の建設、それからそれのまた入居に対するいろいろなPR、伝達、手続、それぞれ大変なことだと思います。それから災害公営住宅の建設でありますとか、あるいは今マンションが半壊している、そういう半壊したマンションを建てかえるのか改修するのか、権利関係はどうするのかというような問題、あるいは住宅ローンの問題、あるいはまたこれから復興をしていこうという場合の借地権、借家権の問題、あるいはまた区画整理事業、例えば長田区で再開発をやるとすれば再開発事業あるいは区画整理事業、こういうことをどうやってやっていくのか、そういうようにいろいろ住宅問題は山積しているわけです。  ところが、現在の兵庫県の役所の職員の方あるいは神戸市の職員の方、私はもう体力的には限界に来ているんじゃないかと思うんです。しかも人間、定員というのは非常災害を考慮した上ではなくて平常時を想定した人員ですから、やはり私はここに国が強力なてこ入れをすべきじゃないかと思います。  今、最も必要なのは住宅でありますから、現地に、永田町や霞が関ではなくて現地に緊急住宅対策本部をつくりまして、それはもう県庁の前の敷地に大きなテントを張ってもいいじゃないですか。そしてそこに国の職員あるいは住都公団の職員、今、住都公団から二百人ぐらい来ているそうですけれども、もっといいと思うんです。住都公団、一カ月ぐらいは何とかなると思いますから五百人でも六百人でも入れる。それから関係都道府県の職員を入れる。それからまた、場合によっては公的な法人があります。日本建築士会連合会とかいろいろそういうところがありますから、そういうところからの会員も参加してもらうというような形で理地に緊急住宅対策本部をつくって二千人でも三千人でも入れて、この一カ月か二カ月、徹底的に住宅問題を解決していく、こういうことをやっていただきたいと思うんですが、総理、いかがでございましょうか。
  43. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほど御質問のございましたことにお答えする意味で、後でまた参考にしてもらいたいと思うんですけれども、「被災者の皆さまへ」というこういうパンフレットをつくって、そして各省が取り組んでおる。今お話がございました住宅問題について建設省なり厚生省なりどういう施策をやっているというようなことがわかるようにつくっているわけでありますけれども、今お話がございましたように、いろんな意味で不安に思っている方がたくさんあるし、それからまた一体借地権はどうなるのか、借家権はどうなるのかといったようなことについても心配される方もあると思いますし、例えば自分の家は半壊しているけれども、これは建て直した方がいいのか、あるいは修復はできるのかというようなことで判断がつかない、どこに行って聞けばわかるんだろうかというようなことで御心配になっている方もおられると思いますね。  そんな意味で、今お話もありましたように、地元の県やら市職員だけではこれはもう対応するといってもなかなか対応できない問題点がありますから、政府としては建設省、住宅・都市整備公団、周辺都道府県等からそれぞれ御協力をいただきまして、建築技術者が延べ八千二百名ぐらいもう理地にはそれぞれ派遣されて相談に応じているわけです。しかし、これで十分とは言えませんから、これからもそういう不安におこたえできるような仕組みというものを考えていく必要があるというので、今、御存じのように、先ほどお話もありました現地に対策本部をつくってありますから、その対策本部と十分連携をとりながら、まだまだ足りない部面はこれからどうして充足していくかというようなことも工夫しながら、積極的に今の御指摘についてはおこたえをしていきたいというふうに思っております。
  44. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ちょっと総理大臣の方からさっき御説明ありました「兵庫南部地震 被災者の皆さまへ」というのを回覧しますから、皆さんに。
  45. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 総理から指導的な見解を出されましたけれども、とにかくこれを実施してもらわないと。  この間テレビでも、何十人の人が住宅の問題について相談に県庁に行ったと、行ったらたった三人しか対応する人がいなくて何時間も待たされて本当におざなりなことしかできなかったと。それは私は職員に責任があるんじゃないと思うんですよ。職員は一生懸命やっていると思うんですね。やはり国がこれをカバーしていかなきゃならないと思いますので、どうかひとつよろしくお願いをいたします。  次に、個々の住宅対策について伺います。  応急仮設住宅の建設でありますが、政府は、小里大臣がよくおっしゃいますように、五万六千戸の住宅を建てるんだ、そのうち応急仮設住宅が三万戸だと、こういうようなことであります。しかし、せんだって大蔵大臣でありますか報告がありましたが、利用可能な国有地が兵庫県を中心とした近県で三百二十ヘクタールあるというわけですね。三百二十ヘクタールを簡単に計算して、まあ道路をとったり建ぺい率も五〇%ぐらいでかなり余裕を持って計算しますと五万戸ぐらいは住宅が可能なんですね。これは国有地だけですから、それ以外のものをずっと勘案すればかなり用地としては余裕があると思うんです。  であるならば、私はまず第一に応急仮設住宅の建設だと思いますので、これは厚生省の所管だと思いますが、何とかこの二、三カ月の間に三万戸と言わず五万戸ぐらい応急仮設住宅を建設してもらいたいと思うんですが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  46. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 応急仮設住宅を建てるべく関係十四省庁が提供してもいいといって申し出た国有地の面積は、先生今御指摘のように、近隣を含めて三百二十ヘクタール、うち兵庫県の中で百七十九ヘクタールございます。そういいますと、建ぺい率その他をあれしまして、私どものあれでは少なくも約六万戸程度は建設可能じゃないかなと、こうは思っております。  それで、三万戸が今計画になっておるわけでございますが、これだけじゃ恐らく足りないということは私どもも十分承知しておりますが、ただ兵庫県の方からその見通しが立ってさらにつくりたいというお話があれば、もういつでもそれに応ずるつもりでございますが、兵庫県の方はせっかくつくってもそこへ住んでくれなかったら困るといったような、今いろんな意向調査をされておられるようであります。  先ほど自治大臣の御報告というか現地のお話がございましたが、私も先週、土、日、行ってまいりましていろんな被災者皆さんお話ししてきましたらやはり同じようなことで、大変現地を離れることに不安を持っていらっしゃる。したがって、その不安を除去するような努力を一方ですることと、それからやっぱりできるだけ国有地あるいは違う土地も探しながら近くに用地を見つけて三万戸を上回る仮設住宅をつくる、二つの努力をしていかなくちゃならぬ、こんなふうに考えておるところでございます。  兵庫県あるいは関係省庁と密接な連絡をとりながら、そのような方向で努力をしてまいるつもりであります。
  47. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今、厚生大臣は、地元がなかなか言ってくれないからなかなか応急仮設住宅の建設も進めないようなお話ですが、自衛隊の出動じゃありませんけれども、やはり今は地元も大変なんですから、厚生省としてもあるいは非常災害対策本部としても、地元を説得しながらどんどん仮設住宅を建設していったらどうかと思うんです。  能力は、いろいろあると言いますけれども、私は、住宅産業は世界でも最もすぐれたいわば世界一の国なんですよ、我が国は。その住宅産業を抱える我が国がたったわずか月産一万戸の住宅の建設ができないということはないと思うんですよ。しかも応急仮設住宅であれば、決してそれはいわゆるプレハブ住宅じゃありませんから、普通の一般の建築業者でもできるわけですから、そういうものを動員してどんどんやっていただきたいと思います。  それとあわせて、被災者方々が近いところでないと住みたくないと。これはわかります。わかりますけれども、応急仮設住宅というのはあくまで応急のものですから、ですからせいぜい半年か一年と。一年たったら災害公営住宅を建設していくんだということで一緒に並行してやっていって、一年間待ってくれ、そのかわりその後災害公営住宅に優先的に入居させるというような約束をやっていけば、私はやっぱり入居していくんだと思うんです。その点についていかがでしょうか。
  48. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) もう先生は造詣の深い専門家でございますから簡略して申し上げますが、まず土地の問題、これはもう先生御認識のとおり、三百二十ヘクタールとりあえず国の所有する分、しかもこれは仮設住宅を建てますよという前提でお願いいたしまして集計いたした面積であります。しかも、その中で百八十ヘクタールは兵庫県域と、こういう状況でございまして、そのほかにも民間の皆様方が相当な面積を持つ土地を無償で提供いたしますと、そういうような状況等もございますから、土地に関しましては先生もお認めのとおり大体賄えるな、そういう一つの状況に至っておるわけでございます。  さて、その仮設住宅の問題でございますが、仮設住宅は、もう先生も御承知いただいておると思うのでございますが、日にちがちょっと定かでございませんが、今から約一週間前、兵庫県の貝原知事から連絡がありました。仮設住宅は現在三万戸お願いしておるけれども、これを必要があるときにはふやしてよろしいか、その宣言をいたしたいと思うかどうか。同時にその入居の手続等も簡単にしてくれ、郵送でよろしい、こういうようなことなどを中心にいたしました知事宣言をやる、仮設住宅に関連して。そういう問い合わせがございましたので、直ちに自治あるいは厚生大臣とも相談しながら総理大臣と相談いたしました。総理大臣、その線でよろしいと、そういうことでございましたから、知事さん、早速そのとおり宣言をいたしたわけです。その前後に、実は先ほども自治、厚生両大臣も説明いたしておられましたように、私自身もしばしば知事あるいは関係市長、例えば西宮あるいは神戸、芦屋の市長さん等にも、仮設住宅は最も住宅緊急対策の中で要請ですよ、だから今一番注目するべきはこの三万という数値だ、これは生きておるんだ、これは恐らく増加の方向にあると我々は見ておるから、できるだけ早目にこの増加についての要請はしてくださいよと。  しかも、私どもはその要請があれば間髪を入れずいつでも緊急に臨機応変に対応する用意はいたしておりますからと、そこも申し上げておるところでございますが、なかなかその辺が、先ほどお話がございますように、地元の事業を積極的に前向きで市長、県知事なども配慮いたしておられますけれども一つは、先生御承知のとおり、なかなか現品が枯渇いたしておりました状況でございましたので、国内外に手を広げましてその調達も今、算段をして計画をして既にそれも実行行為に入っておる、そういうような状況でございます。  以上、実態を申し上げた次第でございますが、先生も住宅対策は本当に複雑多岐だとおっしゃいますが、もう一つその他の分類でも、お話がありますように、民間のマンションでもいい、あるいは公営の宿舎でもいい、あるいは旅館でもいいから仮設住宅取り扱いをせよという、そういう緊急しかもある意味では大胆な措置をとりまして、その三万戸のほかにまた別枠で八千戸をこれは総理大臣からも指示がありましてセットをいたしました。  ですから民間にも入ってください、あるいは旅館でも結構です、民間マンションでも結構だから入ってくださいと、しかもその対応は仮設住宅並みの取り扱いをいたしますという宣言をいたしておるわけでございますから、それらのところはもう既に物理的にあるわけでございますから、手続さえ進めば直ちに応用できると思っておるところでございますが、残念ながら市、県の職員の皆さんも精いっぱいやっておるけれども、その辺の事務のつなぎが非常に複雑で、殺到いたしておるものですから思うようにいっていないな、そういう感じを受けております。  また、お話しのとおり、私自身、西宮、芦屋あるいは神戸等の市役所にも現実に行ってみました。あの市長さんの部屋のすぐその前の廊下まで避難者の方々がおいでになるという状況の中で、もう本当に市民の罹災者の皆さんが殺到して、そして整理していらっしゃるという状況でございますから、その辺の事務のお手伝いもいろいろやっているんだけれども、もっと幅広くできないかということを四日前から自治大臣とも具体的に相談いたしまして、自治大臣は早速また現地でその辺の事務的な一つのお手伝いをする方途を私どもを含めまして進めておるところでございます。
  49. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 今いろいろお話がありましたように、やっぱり事務的に大変だと思うんですね。このためにもぜひ国の関係、住都公団その他集中的に応援をしてもらうよう総理からも指示していただきたいと思いますし、それからやはり、冒頭に戻りますけれども、県庁や市役所のロビーにああやって毛布にくるまって段ボールで囲って生活しているという姿は、何とかこれは一刻も早く、それこそ総理指示で一定の避難所に収容というか、つくっていただきたいというように思います。  ところで、雲仙・普賢岳の災害関係で、私は地元の関係でもありますしいろいろと体験をしたんでございますけれども、応急仮設住宅に入る場合に、仮設住宅に入るのはいいんだけれども、今まで避難所にいれば救援物資とかなんとかそういうものが常時配給されていた。しかし、一たん仮設住宅に入ればそういうものの供給がなかなか思うに任せなくなる。ということは、仮設住宅に入れば、特に遠隔の地の仮設住宅に入りますれば生活費で非常に困ってくるというような思いをする方々が非常に多いわけですね。そういう意味で、雲仙岳災害対策基金を長崎県がつくりまして、それの果実を、運用益をもってその生活費を支給していたと。  スケールが大分違いますからあれですが、簡単に計算すればできないことではないと思うんですが、そういう意味で、自治大臣、この雲仙岳災害対策基金のような基金を今回もつくってそういう生活資金を捻出するというようなことはいかがでございましょうか。
  50. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員が今御指摘になりましたように、兵庫県におかれましても関係地方公共団体と一緒になられまして災害復興のための基金創設を知事がお考えになっておるようでございまして、その御意向につきましては私どもも承知をいたしておるところでございます。  もちろん雲仙・普賢岳のあの基金を参考にされまして、けれども委員が御指摘になりましたように、今回は災害規模、態様が非常に違います。それだけに私どもも知事の意向を十分しんしゃくしながら、きめ細やかな、行政がなかなかでき得ない支援というものがこの基金をもってできるようなために、この基金の創設に十分の協力、支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  51. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 次に、今回の地震と建設基準の問題に関連をいたしまして参考人に来ていただいております。東大生産技術研究所の教授の岡田先生でございますが、参考人にちょっとお伺いしたいと思います。  今回の地震は縦揺れがあった、しかもそれがかなり大きかったというように聞いております。例えば、神戸大学の工学部の地下トンネルの計測装置では、南北方向の加速度が二百七十ガル、東西方向で三百五ガル、垂直方向にはこういったものよりはずっと大きい四百四十七ガルが測定されたというような報道もなされておりますが、建築物の設計をする場合に建築基準法でいろいろと法規制がされているわけですが、今までは垂直方向すなわち上下動、縦揺れについては考慮をしないで設計をしていたわけですが、こういった地震の加速度に関するさまざまな計測値が出されている状況について、果たしてこの計測値は専門家の目から見てどうなのか、御見解を伺いたいと思います。
  52. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 岡田でございます。  ただいまの御質問の計測値というものがどういう状況かということについての状況の御説明をいたしたいと思います。  御承知のように、特に震源の近くのあるいは断層の近くの縦揺れの問題というのは大変複雑でございまして、ただいま明確な結論が出る状況にはなっておりませんので、私はその辺の現状を御報告申し上げたいと思います。  今申しましたように、一般的に地震動の性質と申しますのは、震源からの距離とかあるいは地盤の条件、地盤のかたさとかやわらかさ、それから地形でございますね、こういったものの影響を強く受けます。それから特に今回のように断層の非常に近くでは、これまた非常に局地的に地震動が増幅されるとか、あるいはそうでもないとかという状況がございます。  それからもう一つは計測値の問題でございます。計測値につきましても、計測しております器械、地震計もいろんな種類がございます。それからその器械をどこに置いてあるか、あるいは地上に置いてあるのか、建物に置いてあるのか、地下に置いてあるのかということによってもいろいろ変わってまいります。  今回、決して多くとは申しませんが、ある程度の地震計の記録がとれましたけれども、震災地の規模に比べますとそんなにたくさんの記録が細かくとれているわけでもございません。そこで今、私どもは限られたデータからできるだけ全体像を上下動につきましてもつかまえていきたい。  それからもう一つは、さてそれが本当にその建築物のような構造物にどんなふうな影響を及ぼすのか、これもその構造物の種類によっていろいろ違いますので、これの全体像を早くつかみたいということで専門家の間で今盛んに議論が行われ、結果を出そうとしているところでございます。その結果としていろんな報道で、こうでもないああでもないというのがいろいろ出されておりますので、大変御迷惑をおかけしているのではないかなというのが現状でございます。  ということで、御質問の神戸大学の記録云々というのをちょっと御説明するのは難しいのでございますが、一つの例として、その難しさの例としてお聞きをいただければ、神戸大学の記録につきましては、御質問のように、鉛直縦揺れの方が大きかったのではないかということが言われております。ところがこの記録は、実は速度をはかりまして、地震計には変位をはかる、速度をはかる、加速度をはかる、大きく分けると三種類ございますが、速度をはかりまして、これを数学的に処理をいたしまして加速度を求めた。その結果、縦揺れの加速度の方が水平方向の加速度より大きかった、こういうことでございます。  ところが、はかっておりますもとの速度の記録を見ますと縦揺れの方が小さいのでございます。この辺のところがどうなっているんだと。これが特殊な地震なのか、局地的に増幅されたのか、やはり本質的なものであるのか、それがどういうふうに構造物にあるいは建物に影響するのか、こんな議論を命じている段階だということで例として申し上げました。  しかしながら、これは大変重要な問題でございますし、たくさんの記録、限られた数ではございますがとれておりますので、これから記録を詳細に分析調査いたしまして、構造物、建物などにどういうふうに影響したのか、あるいはするのかということを調査いたしまして、今回のような都市の直下型の地震対策に私どももできるだけのお役に立ちたい、こんな状況でございます。
  53. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 といいますと、参考人にお伺いしますが、現行の建設基準では水平方向についてだけしか想定されてないんですが、今回かなり縦揺れがあったかもしれない。これからの結論であると思うんですが、となると、やはり建設基準を改正しなきゃならないというようにお考えですか。
  54. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) ただいま御質問の縦揺れと建築基準の関係について御説明申し上げます。  ただいま申し上げましたように、上下動の問題、それが建物に及ぼす影響につきまして大変複雑な問題だということで、これは実は研究テーマとしては古くて新しいテーマだといつも言われているものでございます。その一つが、特に断層の付近での地震動の性質がわからなかったということが非常に大きいことでございます。これは先ほど申しましたように、今回ある程度のデータが得られましたので、これが何らかの手がかりを与えてくれると私どもは思っております。  そこで、現在の建築物の耐震設計基準でございますけれども、そういった状況にありますので、数値を挙げて縦揺れの影響を入れて構造解析と申しておりますようなコンピューターを使ってやるところを構造計算に取り入れるということは、一般の建物についてはやっておりません。これは特殊な構造物は別でございます。しかしながら、これは耐震設計のときに縦揺れの影響を無視しているということでは決してございません。間接的に、縦揺れも地震が来たときにはあるのだと、これも数字を申し上げるのは大変難しいんですが、大ざっぱに申しまして横揺れの三分の一ぐらいはあるだろうということを考えて、間接的ないろいろな規定を設けております。  この一つの例を御披露いたしますと、例えば鉄筋コンクリートの柱をつくりますときに、縦方向の強さの計算のときに大きな安全率をとっている。こういうことで縦揺れが来たときも安全になるようにというような配慮をしている。そのほかの構造物、木造とかなんかについてもそういう規定がたくさんされているわけでございます。  そういう対処で現在よろしいのかということにつきましては、今回の地震被害調査いたしておりますが、まだ途中でございますので断定的に申し上げることはできませんけれども、現在の新しい耐震基準で設計された建築物に限りまして申し上げますと、多少のあるいは亀裂が出るとかという損傷を受けた建物も若干ございます。しかしながら、倒壊してしまうとか崩壊して重大な事故を起こすとか、こういう報告は今のところ出てきておりません。  これは現在の建物の耐震基準の目標と申しますのが、今回のような大きな地震動あるいは激震に対しまして建物は多少の損傷は出ても仕方がないだろう、あるいは出るかもしれない、しかしながら倒壊をするようなことは避けようというのが今の設計基準の目標でございます。その面で見る限り、ある程度今回この目標をクリアできたのではないか、かように考えておりますので、現在の建築の設計基準を大幅に改定するというようなことは私は必要ないのではないかと思います。  ただし、私ども新耐震と呼んでおりますが、新耐震と申しましても十数年経過しております。常にこういう基準といいますのは新しい知見に基づいていつも点検をしていくということがかような災害がなくても私は必要だと常々思っております。  こういう災害が起こりましたので、この結果をぜひ詳細に調査し、それを研究のレベルまで上げて、必要とあらば私ども研究者といたしましても基準に反映させていくような提案をさせていただきたい、かように考えております。
  55. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 引き続いて最後に参考人に伺いますが、被災建築物についてかなりの程度補修ができるんじゃないかという説もあるんですね。特に民間の分譲マンションで非常にいろんなトラブルが起こっていますが、かなり傾いたり相当損傷したものでも補修できるというようにも伺っておりますが、その点について、時間がありませんので、参考人、簡潔にひとつお願いします。
  56. 岡田恒男

    参考人岡田恒男君) 簡単に御説明するのが大変難しい問題なんでございますが、簡単にやる努力をいたします。  建物の種類によっても違いますが、一応マンションということを考えますと、非常に大ざっぱに言いますと、床が大きく落下していなければ、柱が壊れているとか壁に亀裂があるとかいうものは今の技術を使いますとかなりのところできます、費用の問題がちょっとございますけれども。ただ単にもとどおりに補修するというのでは、次の地震に備えるためにはやはりどこかが傷んでいるということがありますので、同時に補強という、強くするということも一緒にやらないといけませんので、この辺についてはぜひ専門家に相談してやっていただきたいということでございます。  具体的に一つ二つだけ申しますと、例えばある階がちょっと床が下がってきているという建物でも一部分であれば、ジャッキアップと申しておる、ぐんと上げていってその辺の柱を全部打ち直して回りに壁などを入れて強くするというようなことが可能でございます。あるいは小さな亀裂、これもどのくらいが小さいかというのは難しいんですが、などにつきましては樹脂を注入するとか、あるいは鉄筋が露出しているものはそれを取りかえるとか追加していくとかいうようなことによって、補修あるいは補強の技術がかなり進んでおりますので私はできるのではないかと考えている次第でございます。
  57. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 時間がありませんので最後に建設大臣に伺いますが、今、参考人からの話のように、相当な被害があった分譲マンションその他一般の建築物についても、ある程度ジャッキアップしたり、あるいは柱の座屈についても鉄筋の補修をしたりすることによって相当補修はできるという。今、分譲マンションの居住者の方々は非常に心配をして、不安感に襲われてもうパニック状態になっているところがかなりあると思うんです。今のお話だと相当の被害でも補修できるということであれば、何とかその補修技術の開発を進めて早急に補修をしていく、復旧をしていくということのために建設省総力を挙げてやっていただきたいと思うんですが、最後に建設大臣の決意を伺います。
  58. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答えをします。  かつて住宅局長だった先生と岡田東大教授との専門家同士の討論でありますから、含蓄が深かったというふうに思っております。  先生が、御指摘冒頭にありましたように、住宅局長であって、現地に足を運んで被災者の状態を見れば何としてもおられない、もういら立ってくるというお気持ちは、私も四日間参りまして痛切に感じております。何とかならないのかということで胸がいっぱいであります。  したがいまして、今お話があった問題は、一つは救援、それから復旧、それから復興、こういうことになってまいりますが、走りながらけじめなくそれが続いていくわけでありますから、我々はまず仮設住宅をつくる。そしてそれと並行しながら、私の家を建てたいという人がございます、そういう人たちには、今、岡田先生がお話しになりましたように、一つの基準というものは相当学会では論議されておりますから、現在の基準法に基づいてぎりぎりクリアするのではなしに、ゆとりを持って安全というものに十分対応してそれをやりなさいと、こういう指示をしております。したがって、本人はなかなかわかりにくいと、それならばパンフレットをつくって、この基準はこうだけれども、この程度のことはやっておく必要があるということを全国に流せということを指示しておるところであります。そういう作業を進めております。  マンションの補修については一つ一つ、建築士及び業者、それらを動員いたしまして、補強工事、補修工事、こういうことについて全部検討して、この程度なら入居できるというものを確かなものにするように公団及び住宅局に指示をして、万全の体制をとりながら進めておるというのが現況であります。
  59. 松谷蒼一郎

    松谷蒼一郎君 ありがとうございました。以上で終わります。
  60. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 参考人、ありがとうございました。  沓掛哲男君の残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      —————・—————    午後一時一分開会
  61. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  平成七年度一般会計予算平成七年度特別会計予算平成七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。  沓掛哲男君の関連質疑を許します。河本三郎君。
  62. 河本三郎

    河本三郎君 自民党の河本二郎でございます。きょうは総理並びに関係大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。  このたびの阪神大震災による多くの犠牲者皆さん、そして御遺族に対し、深い悲しみとともに哀悼の意を表し、負傷をされた方々、そして底冷えが続く中、今なお避難生活を余儀なくされておられる大勢の皆様に心からのお見舞いを申し上げ、連日不眠不休で救援活動をいただいております関係者の皆様にも地元出身議員として心からの感謝をささげたいと、このように思います。  私も地元の被災地を歩きまして、この大震災がもたらしたすさまじい惨状に立ち向かう市民の皆さんが何を今求めておられるかについて詳しく触れてまいりました。発生から三週間がたち、町には現在復興のつち音が響いておりますが、事態はまだまだ深刻でありまして、急を要するものばかりでございます。これから市民生活に直結する問題、そして各自治体の悩みも大変深く、山積をしておりますので、早速具体的な質問に入らせていただきたいと思います。  住民が今一番求めておられるのはやはり住宅でございますが、先ほどこれは松谷議員から質問がございましたので、次の質問に入らせていただきたいと思います。  第一に、生活基盤を根こそぎ破壊をされた市民が目の前の苦境をしのぐ当座の資金に大変困っているということを我々は率直に受けとめなければなりません。義援金とか弔慰金、それから見舞金だけでは全く不十分でありまして、私はこれらとは性格の違うものを被災地皆様にお渡しをしなければならないと、このように思うわけであります。  つまり、住宅を失った方々は約十万おられます。この十万の世帯主に一律百万円をお渡しするということを緊急提案したいと、このように思うわけでございます。総額で約一千億という拠出になりますが、その財源については、政府の責任を明確にするためにもつなぎ国債によって賄うことが私はベストであると、このように確信をするものであります。そのつなぎ国債は行政改革などによる経費節減を償還財源に充てる、このように考えておりますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  63. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 議員が地元の議員として、つぶさに今困り果てておる被災者方々の現状というものを踏まえてお述べになる気持ちは十分痛いほどわかるわけでありますけれども、先ほどもお話がございましたように、公共的な施設について国は全面的な責任を持つ、しかし個人による自主的な回復というものについて、どの範囲、どの程度すればいいのかということについてはなかなかやっぱり難しい問題もあろうかと思うんです。  ただ、大変お気の毒な方々もおられるわけでありますから、今お話もございましたように、災害弔慰金やらあるいはまた災害障害見舞金等々の支給は制度として決まっていますからやられるわけでありますけれども、ただ先ほども午前中、雲仙の場合に六百三十億ばかりの基金をつくって、その基金によって運用していくというようなことによって個人に対する手厚い給付をやっていこうというような方式も考えられておりましたね。  私が十九日に現地に参りましたときに、地元の知事や市長からもそういうお話がございました。したがって、もし地元の地方自治体でそういうお考えがあって相談があれば、今どの程度のことができるかは別にして、そうしたお気の毒な個人個人に対して何らかの給付が可能になるのか、十分地元とも相談をして、そして政府として対応できることにつきましては十分おこたえできるような対応もしていきたいというふうに考えておるところであります。
  64. 河本三郎

    河本三郎君 大蔵大臣のお考えもひとつお聞かせいただきたいと思います。
  65. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 総理と重複することになりますが、今回の災害規模もまた質的にも大変大きな痛手を受けた方々がたくさんおられるわけでございまして、河本議員の御提案のお気持ちはよく理解ができますが、政府としては、今日までは個人的な財産の損失に対して公の金をもってカバーをさせていただくという制度になっておりません。なっておりませんというよりは、それがこの国の成り立ちといいますか、私有財産制度、本来、私の財産は自由に、しかも排他的に所有したり処分したりすることが認められる、しかし責任も自分にあるというのがいわばプリンシプルだと思うのであります。そういう考え方に立って我が国の個人財産に対する政治のかかわりというのは整理されてきているというふうに思います。  しかし、大災害であり、亡くなられた方々やあるいは重度の障害を受けられた方々、もう御本人がどんな意志を持とうにも再起ができない、そういうお気の毒な方々に対しては国家はいわゆる弔慰金とか障害見舞金という制度を制定いたしておりまして、これは個人でありましてもそういう給付を実施いたしております。  今回も当然でございます。財産的には損害を受けられたにしましても、元気な方々には精いっぱいもう一度立ち直っていただく、立ち上がっていただくための激励のさまざまな支援策をとっていこうというのが骨格ではないかと思うのであります。住宅ローンの話やらあるいは御商売の再建のお話やら、そういうさまざまな問題に対しては精いっぱいの対応をさせていただくという姿勢であります。もちろん公共の分野はこれはもう税金で、公的な責任で地方団体と国家が万全を期していくという姿勢でございます。  そういう中で雲仙の場合は、今、総理のお話のように、基金制度というものが設けられて、これは地方団体の御意思で設けられたのですが、地方債発行を自治省がお認めになる、大蔵省も財投でそれを応援するということで、その金の金利を地方交付税で自治省がカバーしていく、そういう形で国が応援をして、この基金がかなり弾力的に個人の家屋の焼失その他さまざまな被害に対して対応をいただいている状況でございます。
  66. 河本三郎

    河本三郎君 ありがとうございました。  いずれにしろ、生活基盤を徹底的に破壊された人たちばかりですので、ひとつよろしく御検討いただきたい、このように思うわけでございます。  次に、中小企業対策の問題でございます。橋本大臣、よろしくお願いいたします。  御存じのように、被災地は全国の八割を誇るケミカルシューズを初め、かわら、お線香、酒造、そして養殖のノリ、これらも壊滅的な打撃を受けたわけでございます。そして、商店街それから小売市場、これは神戸市だけでも全壊、全焼したのが四分の一ございます。すべてを把握はしていないのでございますが、すさまじい惨状であるということはごらんのとおりでございます。そして現在、廃業、倒産が目前に迫っております。切実な問題でございます。  再建に取り組もうとしております中小企業に対しては、政府の無利子融資制度、これを新設していただきたい。そして、せめて三年間は返済を据え置く、そして四年目からは超低利で長期の返済、この三つをぜひお願いしたいと思うのでございますが、大臣、よろしくお願いいたします。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、委員からは資金手当てのお話だけが出てまいりましたが、私の方からつけ加えて申し上げたいと思っておりますことがございます。  先日、県、市を訪問させていただき、知事さんあるいは市長さんに御相談をいたしましたときにも私の方からお願いを申し上げましたことは、一日も早く生産の立ち上がりをさせなきゃならない。そのためには県の方で、市の方で、どちらでも結構ですから比較的被害の少なかった工場団地を指定していただきたい。そして仮工場の建設にかかりたい。その仮工場も本当に二、三年使えれば、その間に自分の本拠地を整備してそちらに戻れるんだという方もありましょうし、そこで当分、相当長い期間仕事を続けなきゃいけない方もあるでしょう。ですから、それは恐らく二本立てにしなきゃならないでしょうけれども、国としてできるだけのお手伝いをしたいけれども場所はどうぞ地元で決めていただかないと我々はわからぬ、そういうお願いを申し上げてまいりました。  これは幸いにその後、県、市の方から工場団地ここをということを言っていただきまして、現在その方向に向けつつあります。  しかし問題は、同じ中小企業対策といいましても工と商でそこで対応が分かれてまいりますのが、今まで例えば店舗の非常にたくさんありました地域でありましても、周辺の状況によってそこに仮設店舗をつくってもいいかどうか、これは地元で御判断をいただかなきゃなりません。工場の場合と同様に商店に対しましても仮設店舗の準備をいたしまして、我々は今、県、市に御相談をし、その場所を決めていただき、そこに早急に仮設店舗の設置にかかりたい、そういうことを申し上げております。  今、委員からは資金手当てについての御質問がございました。そのほかに担保とすべき物権そのものが完全に消滅しているような方々もたくさんあるわけでありまして、無担保無保証での信用保証制度をこのままでいいかどうかといったことも含め、今、全面的な検討をいたしております。早急に結論を得るように全力を挙げて努力をいたします。
  68. 河本三郎

    河本三郎君 次に、瓦れきの処分でございますが、都市の復興には膨大な瓦れきの処分、これに最優先で取り組むことが不可欠である、このように思います。  現在は、個人と中小企業に限りその処理費を全額公費負担とし、大企業は除くというようなことになったようでございますが、私はその企業の規模にかかわらず援助の手を差し伸べていただきたい、このように切望するわけでございます。大企業と申しますのは、今、国が定めております基準というのは資本金一億円以上、これだけだと聞き及んでおりますが、この基準というのは今の時代には全く私はそぐわないものである、このように考えるわけでございます。資本金が一億を超えた企業の再建がおくれれば多数の失業を生むということにもなりまして、兵庫県初め神戸から生産拠点が他府県に移って二度と雇用が回復をしない、こういう事態も生じかねないわけでございます。  そこで、このような点をどのようにお考えになっておられるのか。瓦れきの処分については個人や中小だけではなくて、私は大企業、いわゆる大企業も含めて瓦れきの処分をお願いしたいと思うわけでございます。全半壊の工場、造船所のバース、クレーン、そしてデパート、それから公共性の高い卸売市場、このようなものをすべて含めて処分をしていただきたい、このように思うわけでございますが、厚生大臣、お願いいたします。
  69. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。  今回の地震災害によって生じた瓦れき、あるいはまたこれから解体をしなくちゃならぬ建築物の量は大変な量になっているわけでございまして、今まではこれらの処理を個人の責任において解体なんかはすることになっておりました。しかし、大変な量なものですから、これは個人がしかもできるだけ短期の間にやることは非常に困難であるということから、従来所有者の責任において行われていた建物の解体につきましても特例的に、所有者の承諾をいただきながら、廃棄物として市町村の責任において行うこととしたわけでございます。このような趣旨から、大企業の所有する建築物の解体処理まで市町村の責任において行うことは難しいと考えております。  なお、今回の特例措置で中小事業者というあれを入れたわけでございますが、この対象は、ただいま河本議員御指摘のように、この範囲につきましては中小企業基本法に規定する中小企業を目安としております。この基準が、中小企業基本法というのは多分昭和三十八年ごろでしたか、ですから今はもう三十年以上もたっておって、この規模とか基準でいいのかという御議論のあることは私も承知しておりますが、今のところこの中小企業基本法に規定する中小企業の基準を目安としておるところでございまして、その中でもやはりかなりの企業はここに含まれると、こう考えております。  被害を受けた大企業に関しましては具体的にどのような対応が可能かどうか、所管する省庁の方で適切な御対応がなされていくものと考えておるわけであります。
  70. 河本三郎

    河本三郎君 厚生大臣、済みません。結局、個人と中小はいいけれども大企業についてはいまだ考えていない、こういう御答弁でございましょうか。もう一度お願いをいたします。
  71. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 考えていないことはございません。特別な、ただ私どもの所管のあれではございませんものですから、低利の融資なんかをお使いいただいてそちらで対応していただくという考え方であります。
  72. 河本三郎

    河本三郎君 次は、瓦れきの処理の負担割合についてお聞きをしたいと思います。これは自治大臣でございますか。  解体処理費の八割を地方交付税交付金の手当てを含めて国費で見ていただけると、こういうことになったようでございますが、これまでの不交付団体兵庫県は三市ございます。これらについても同様の扱いと理解をしてよろしいんでしょうか。
  73. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 先ほど厚生大臣からもお話がございましたように、被災地におきます瓦れきの処理等につきましては、私有財産でありましても二分の一を国費で負担し、残りの地方負担につきましては、災害激甚地でありますので災害復旧債を発行いたしまして、これを特別地方交付税で元利補給をやってまいります。  御指摘の不交付団体につきましても、先般特別交付税におきましても繰り上げの交付をいたしたところでありますが、今回の瓦れきにつきましても、地方負担の財政運用に支障がないようにするために特別交付税で配慮してまいりたいと存じております。
  74. 河本三郎

    河本三郎君 わかりました。ありがとうございます。  この場合でありましても、瓦れきの処理費は神戸市だけでも四千億と、このように言われております。県全体を含めますと膨大な量になるわけでございますので、地方が二割を負担するということになりましても四千億の二割、八百億、これはまだまだ過重でございます。特に法人市民税が落ち込む中でこれは大変な事態になるわけでございます。先ほど自治大臣から御答弁をいただきましたけれども、この二割の分についても後年度元利補給、こういう形で面倒を見ていただけると理解してよろしいですか。
  75. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 今、委員御指摘の問題につきましては、現在、関係地方公共団体から二分の一の国庫補助の引き上げについて要望がなされておるところでございまして、私どもその推移を見ながら、なお交付税における元利償還等のあり方を十分考えてまいりたいと存じております。
  76. 河本三郎

    河本三郎君 次は運輸大臣、お願いいたします。  港神戸の復興についてですが、大臣もごらんになったように、コンテナバース、これはもう壊滅的な打撃を受けておりまして大変な事態でございます。この復興がおくれれば、日本海運にとどまらず、アジア、世界経済にも大変な不安を与えると、このように思っております。ところが、この事業主体が埠頭公社ということで激甚災害法の指定にも入っていないということでございますが、この辺をお聞かせいただきたいと思います。
  77. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員御指摘のとおり、埠頭公社の分も一千億以上の大変な被害を出しておりますが、現行法制ではこれを国が援助することはできないことになっておりますが、現在立法措置を準備いたしておりまして、万全を期したいと、このように考えております。
  78. 河本三郎

    河本三郎君 最後に総理にお聞きをいたします。  市民は今、何に活路を見出したらよいか途方に暮れております。そして、毎日不安な時間を過ごしておるわけでございます。一方では、やはり生まれ育った町でたくさんの思い出の中で家族と再び暮らしたいと、このように切望をしているのでございます。私は、たとえ大自然の脅威といえども、それから国民の安全を守り、その生活を充実向上させることが政治の最大の目標であるとするならば、この阪神の復興を最優先で国家プロジェクトとして認識していただき、世界に誇る防災モデル都市としてさらに魅力ある町にしなければならないと私は決意を新たにしているところでございますが、最後に総理の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほど来お話がございますように、厳しい寒さの中で避難生活を続けながら、お互いに励まし合い協力し合い、同時にいろんな支援、特にボランティア皆さんの活躍、各国からの支援等々に元気づけられながら一生懸命困難に耐えて頑張っておられる皆さん、そしてそういう方々が神戸市を、兵庫県を何とかもっと見違えるものに再生したい、こういう意欲を持って立ち上がれるような条件をどうしてつくっていくかということが当面の私どもに課せられた課題だと思いまするし、同時に新しい町づくりというのは、先ほど来もお話がございますように、県なり市がやっぱり主体になるわけでありますけれども、これは県、市だけでするのではなくて、国と一体となってつくっていくということが大事だと思うんです。  特にこの大震災による経験というものをやっぱり踏まえて、そしていかに防災都市をつくるか、特に地震に耐え得るような都市をつくっていくかということからすれば、これまでの都市計画のあり方を見直して、今後この経験に十分な点検をしてそして学びながら、今御指摘もございましたような災害に強い、特に地震に耐え得るようなモデル都市をつくっていくというぐらいの意欲を持って私はたち上がっていく必要があるというふうに思いますので、県、市と十分連携をとりながら、先ほどお話も申し上げましたように、例えば復興本部といいうようなものもつくって、そして地元と協力してそうした期待におこたえできるように精力的に精いっぱい頑張っていきたいという決意だけは申し上げておきたいというふうに思います。
  80. 河本三郎

    河本三郎君 終わります。
  81. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で沓掛哲男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  82. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、本岡昭次君の質疑を行います。
  83. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、社会党を代表し、兵庫南部地震について、総理初め関係各大臣に質問をいたします。  震災からはや三週間が過ぎました。被災状況はきょうの午前六時四十五分現在で、とうとい命を落とされた死者五千二百六十一名を初め、負傷者三万二千八百五十三名、行方不明六名、倒壊・焼失家屋十五万戸という状況であります。まさに悲惨な戦後最大の震災であります。被災地ではやっと仮設住宅に入居も始まり、寸断された交通網も徐々に復旧し、被災者の顔にも笑顔が見られるようにもなりました。しかし、まだ避難所では二十二万七千三百十七人の方々が寒さと不便に耐えながら歯を食いしばって新しい生活に立ち上がろうと頑張っております。  私は、質問に入る前に、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表すとともに、御遺族の皆さん、また被災者皆さんにも心からのお見舞いを申し上げます。  また、この時間帯にも被災地では被災者皆さんみずからが立ち上がり、また自治体、警察、消防、自衛隊、また学校の教職員の皆さん、さらに外国から、全国各地から駆けつけ、救援と復旧に献身的な活動を進めておられるボランティア皆さん方に心からの敬意を表し、感謝を申し上げる次第でございます。  一方、県内はもとより、全国の各層各組織から真心のこもった義援金、そしてたくさんの救援物資をいただき、本当にありがとうございました。神戸に生まれ育ち、そして地元の出身議員として心よりお礼を申し上げる次第でございます。  それでは具体的な質問に入ってまいります。  二月二日の災害対策委員会において、私は、被災者に対する給付こそ今一番重要ではないかということを申し上げました。小澤、小里両大臣はそれぞれ、その指摘の点も一つの方策と受け取られますので、学識経験者など関係各方面から十分に意見を伺うとともに、あらゆる角度から広く検討を行うと答弁をいただきました。また小里大臣は、個人給付に関するお話は重大なる関心を持ちながら聞かせていただきましたと答弁もいただきました。  私は、この被災者への個人給付問題を再度取り上げ、総理の決意、決断、文字どおり総理の決意、決断によりぜひとも実現していただきたい、こういう強い気持ちを持っております。  現在、被災者に対してはさまざまなこの融資を中心とする救済方法があります。さらに給付としては、犠牲者の遺族に対する災害弔慰金や重度障害者に対する災害見舞金、家を失ったあるいは損壊した被災者へは災害援護資金の貸し付けが災害弔慰金等支給法で決められています。これ全体を見ますときに、給付として足りないのはまさに物的損害を受けた個人または家族に対する給付がないということであります。今、避難されている人々に対し必要なのはこの給付であると思います。  一昨日から義援金の第一次配分が始まりました。十万円の使い道、着がえに使いたい、食事代に使いたい、家の修理費の足しにしたい、交通費にしたい、たばこ代にしたい、こういうささやかな庶民のこの願いであります。善意の四百五十億円のみに頼ってよいのかという問題が私はあると思います。  雲仙災害のとき、当時の自民党の海部総理や社会党を初めとする野党は特別立法に言及をしていました。さらに社会党は、土井委員長、田辺委員長のときに避難見舞金の制度を創設すべきだと主張し、その文書も今残っております。今次災害も超激震、復興に長期を要するという意味では雲仙災害にまさるとも劣らないものでございます。  政権の一翼を今、社会党は担っております。この精神に立って対処しなければ国民の信頼は得られないと思います。災害弔慰金等支給法を改正して避難見舞金の制度を設け、被災者に対して給付すべきであると思いますが、総理のこの点のお考えをまず伺っておきたいと思います。
  84. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほども御答弁申し上げましたように、今また本岡委員から被災を受けた皆さん方の状況なりあるいは心境といったようなものについて切々とお話がございましたが、私もまさにそのとおりだと思います。しかし、国の建前として、個人の損害まで補償しその補てんをするというような建前と仕組みになっていないものですから、したがって雲仙の場合もその基金をつくって、そしてその基金によってそういう部面をカバーして運用していく、こういう方策がとられたんではないかと私は考えていますけれども、私が十九日に現地に参りましたときに知事さんや市長さんからもそういうお話がございまして、ぜひひとつその基金を創設したい、そのときには国の方で十分の対応をしてほしい、こういう要請がございました。  したがって、これは国としても、先ほど来御答弁申し上げておりますように、これは自治体が主体になってつくるものですから、国もその自治体の計画に対応できるように十分な裏づけをしていきたいというふうに考えておりまして、そういう基金の運用によって今お話がございましたような点をどれくらいどういうふうにカバーできるのかということについてもよく検討し相談をして、可能な限りおこたえできるような方式をとっていきたいというふうに考えているところであります。
  85. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、あえて社会党の総理である村山総理に訴えているのであります。かつての社会党の委員長が、またかつての社会党が、こうした災害に遭ったときに個人の給付ということを何としてもやらなければならぬといって訴え続けた。しかし、その社会党の今の委員長、あなたが総理になっておられるのであります。もちろん国の建前がありましょう。今までの仕組みがありましょう。しかし、それをどう打ち破っていくかというその問題に踏み込まなければ、やはり救援というこの問題に対して国民の善意である義援金だけに頼らなければならないというこの問題は、私はやはり本当の国の責任を国民に示したということにならない、こう思います。  順次ずっと質問していきますので、後ほどそうしたことについても御答弁をいただいたらいいと思いますが、今も雲仙型のときの基金の問題をお話しになりました。たしか兵庫県も三千億程度の雲仙型の災害対策基金の設立ということも望んでおります。しかし、これは基金でありまして、運用益でこれは救援をしていくのであります。三千億の基金をもし積めたとしても、その運用益というのは一体幾らなのか。今次のような大災害に一体どのような形でそれが救援としての役割を果たすことができるのかというふうに、私も設立することについては賛成であります、協力していただきたい、しかし本当に私が今言っているような災害そのものの個人の給付ということについては、これは到底間に合わないものだと私は認識をいたしております。  そこで、同じ雲仙の災害のときに国土庁が食事供与事業というものを実施いたしました。一家族四人で十二万円、そして県が三万円と、十五万円を出したのであります。これについては、警戒区域をつくってそこへ立ち至ってはならないというからそこに出したとおっしゃるのであります。しかし今、神戸の実態はどうですか。特別な手だてによって、一カ月や二カ月立ち入ったらいかぬ、さらにひょっとしたら三カ月もそこへ入ったらいかぬ、新しい区画整理によって私権もそこに制限するというふうなことをおやりになっているというのは、文字どおり敬警戒区域をつくってそこに入ってはならぬということと同じような結果をこれはもたらすのではありませんか。  そういう意味で、その当時国土庁の中につけたそうした食事供与費といったようなものの検討も当然私はされてもいいんじゃないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  86. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 先生もただいまお触れいただきましたように、警戒区域を長期にわたって設定いたしました雲仙災害、そういう一つ特徴がございます。したがいまして、そういうような事情によりまして、本来の生活と事業と申し上げますか、その拠点に長期間立ち入ることができなかった、あるいはまた収入の道が断たれた、復旧活動への若干等本格的ないわゆる生活と事業の再建活動が長期間不可能な状況であったと、これは直接的にそういう一つの認識を持っていただけると思う次第です。いわゆる一定期間、または災害の終息するまでの間、食事の供与を確実ならしめるために実施いたしました措置でございます。  今回は、先生、先ほど大変深刻におとらえいただきまして、そして御要請いただくわけでございますが、私どももその趣旨はよく、そしてまたいたく理解するところでございますが、とりあえず対応措置といたしましては、御承知いただいておりまするように、もろもろの緊急対策あるいはそのほか仮設住宅等々を中心にいたしました対応を講じてまいっておるところでございます。さらにまた、仮設工場あるいは仮設店舗等の今回の、際立ったとあえて申し上げさせていただきますが、大分踏み込んだ施策も講じておるところでございまして、この辺の一つの救済措置で決して直接的に十分であるとは思いませんけれども、そのような措置をとらせていただいておるところでございます。
  87. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 政府は、総理を初め皆さんが、国土を保全し国民の生命、財産を守ることは国政の重要な基本であるとおっしゃいました。私も一般の市民の方に、本岡君、君は国会議員で、一言で言ったら何をするんだと問われたら私も同じことを答えるでしょう。そういうことはそれは個々人の議員の問題、また総理のという問題のみならず、やはり国政そのものに課せられた一つのテーマだと思います。  そして、今度のような大災害がそこに起こり、そして多くの困窮した国民が生まれ、そして被災者には先ほどおっしゃったように融資とかさまざまな手当てを講じている。それはそれでよく頑張っていただいておるとは思いますが、しかし先ほど言いましたように、義援金が四百五十億集まって、そして今、十万のお金を皆いただいて涙をこぼして、そしてああこれでたばこが買える、ああこれで下着がかえられると言っている。この全国の善意、これは感激もし喜ぶ。  しかしそこに、先ほどの河本さんもおっしゃったように、国民の生命、財産に責任を持つという国が、それではそうした個々人の気持ちに心情にやはりぴたっとくるような何かができたかという問題。これは従来からの、自分のことは自分でと、個人は自助努力でやりなさいということが建前であるということである限りはそこは突破できない。しかし、大災害のやはりこのときにそこのところをもう一歩進めるべきではありませんか。弔慰金、亡くなった方の遺族にあるいはけがをした方のというところに、これは個人ではあるけれども、やっぱりここで一つの議員立法という形で風穴があいているわけであります。今度こそ政府の行為でこの問題に取り組まなければいかぬのじゃないんですか。やはり議員立法で我々がこの問題をやらなきゃいかぬですか。これでは国に対する信頼、政治に対する信頼は生まれてこない、こう思うんです。総理いかがですか。
  88. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) これはもう先生御承知いただいておると思うのでございますが、弔慰金は世帯主で五百万、そして世帯員は二百五十万、大きな障害者に対しましては世帯主で二百五十万、そして世帯員が百二十五万、これらの措置はもう御承知いただいておると思うのでございます。  先ほどの食事供与の面でございますが、これもまた御承知のとおり、きょう現在で二十余万人おいでになる避難所の皆様方に対しましては食事供与は、決して十分ではございませんけれども申し上げておるわけでございます。  なおまた、仮設住宅の面は、家賃等は御承知のとおり無料で提供する、そういうような措置は講じられておりますし、さらにまた先ほど先生が若干お触れになりました当面の例えば食事代がないよというような、そういう本当に厳しい環境に置かれておられる方々等々の話がございました。まさに、いたく同情申し上げるところでございますが、これにはいわゆる生活を当面援護申し上げるという意味におきまして十万円、あるいは著しく厳しい状況にある方には二十万円のとりあえずの融資を申し上げる、そういう措置はとらせていただいておるところでございます。
  89. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 融資ですから、融資というのは言葉どおり、それはやがて借りているお金ですから返すということになるんじゃないかと思うんです。私は給付ということが今必要ではないかと提案しております。  そこで、私の方から最後に提案をいたします。  この災害が起こってからアメリカのFEMAの問題がいろいろと取りざたされました。危機管理の問題をめぐっても私たちが大いに学ぶべきところがあります。しかし、FEMAのいま一つの大きな機能は、FEMA自身が災害救援基金といった制度を持っているということなんですね。そして、現在十五億ドルというお金を災害に当たって自由に使えるんです。それで、この間のロサンゼルスのときにはその中から十一億ドルというお金を被災者に配っているのであります。住宅資金として一人三十万、生活資金として十万、これを配っているんですよ。私は、FEMAの問題で我々が学ぶべきは、危機管理の迅速な対応とそれから災害救援基金を持っているという、このことではないかと思うんです。  そこで、我々も災害対策基本法という立派な法律を持っております。しかし、その中にも災害救助のための基金がありますけれども、それは緊急の事態に対応するということだけで、そうした個人の生活を助け、住宅の問題に対して一定の援助をするというふうなものではありません。そこで何とか、これから特別立法をつくるということもいろいろ取りざたされるわけですが、災害対策基本法を改正して、その中に私が今言ったようにFEMAのような内容の給付ができる基金をつくるべきではないかということを提案したいのであります。  ここに「災害対策基本法解説」、消防庁防災課監修、防災法研究会編著という文書があるわけですが、これを見ますとこういうことが書いてあるんです。  昭和三十六年三月、この法律をつくるために特に大蔵省主計局との意見調整が難航した。大蔵省との間で特に問題になったのは、被害激甚の場合の負担特例の制度、国における災害対策基金、このことで議論になった。それで結局、大蔵省との話し合いの結果、激甚災害については別の法律で定めることにし、国の災害対策基金は落とすことになったと。結局、大蔵省が抵抗してこれを入れ込まなかったということになっておるんです、FEMAのような災害救援基金を。ここにこう書いてある。  それから、昭和三十七年の話ですから、今、昭和に直せば昭和七十年ですか、もう三十三、四年たった今日、この災害対策基本法をつくる当時のときに組み込む議論をしたけれども、大蔵省の反対でできなかったということも考えますときに、今次いろんな法律の改正が行われるでしょう。特別立法も行われるでしょう。ぜひともアメリカのFEMAに倣った災害救援基金が災害対策基本法の中に一つの改正として入れられて、そしてその財源を補正の中につけて、そして多くの被災した人たちに国の責務を果たす一助としてそれが給付できるようにぜひともやっていただきたい。このことによって政治に対する信頼を回復していただきたいというのが私の願いであります。  総理、ちょっと待ってください、私はこの続きの質問をこれでとめますから、これでもう。これはぜひとも総理、大蔵大臣に答弁いただきたい。
  90. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 昭和三十七年の当時のお話の紹介がありました。大蔵省が反対したということだけ紹介されますと、何とまた大蔵省は理不尽で冷酷でということしか印象に出ませんから、これはちょっと気の毒であります。  きっと恐らくそれなりの理由があったと思うんですね。ですから、恐らく我が国のこういう災害に対する法律もそうだし、財政をどう出動させていくかという意味では、そんなFEMAの十五億ドルよりもはるかに体系立った資金出動、これは激甚災を指定するだけでもぼんと大変な国家財政を大蔵省が覚悟することになるわけでありますし、瓦れきの二分の一というだけでも、さっきの半分は国で負担しようということになりますから、そういう意味で、全体の災害というのは非常に多方面にわたりますから、さまざまな緊急の財政需要に対してきちっと対応していくためには、そういう中間的な基金よりは制度を充実した方がいいんだろうという主張をしたんじゃないかと私は思います。  でも、それは別としまして、基金をつくれというのも一つの立派な提案だと私は思います。今、これに肯定的な返事はしませんが、個人的な給付のために基金をつくれということでございますか、本岡先生は。
  91. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 はい。
  92. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 恐らくこの問題は、先ほども切々とおっしゃっていただいているし、総理や私どももううんとうなりながら、どういうふうにお答えしたらいいのかむしろ苦慮をしているわけですが、しかし国家全体として党派を超えて議論をしませんと、国のパブリックな分野と私的な分野を分けながらこの国は成り立っております中で、それじゃもう個人の損害も、泥棒に全財産を奪われたり、また今度のように大きくなくても本当に小さな火事でも一軒丸焼けになることもしょっちゅうあるわけですから、そういうのを全部国家がカバーしていきますということになりますと、それじゃもう損害保険制度は要らぬなということになりますし、死んだ方に対する弔慰金も拡大していくと、もう生命保険制度も要らないなと、こういう制度にまで発展してくるわけでございますから、理屈を言って逃げるつもりではありません、そういうところから議論をして、しかし踏み出そうというならそれは一つの政治の決断だと思います。  これは今こういう場で質問をされて総理や私どもがぽんと答える、そういう単純な問題ではないということもぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
  93. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 社会党が雲仙の際にも主張された経緯は私も十分承知をいたしております。  気持ちの中ではもうわかり過ぎるぐらいわかるんですよ。しかし、やっぱり国の成り立ちからしてそういう仕組みになっていないという面があるものですから、したがってそこらをどうしてカバーして何か方策はできるのかというので知恵を絞って、先ほど来お話がありますような基金というようなものを設定して、できるだけ今の制度にその部分を含めてカバーしていこうと、こういう知恵から出たことだと私は思うんです。  したがって、そういう部面も可能な限りもっと力強いものにして、そしてできるだけおこたえができるようにしていく必要があるんではないかというふうに考えて、今も大蔵大臣と一緒に話しながら、難しい問題だけれども、ひとつこれはやっぱり重要な課題だからこれからも一層検討を深めていこうというふうな話もちょっとしたところでありますけれども、御理解を賜りたいと思います。
  94. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 重ねて失礼でございますけれども、私は災害対策基本法を見直していただきたい。いろんな法律の見直しが行われる、特別立法もされるというこういう時期ですから、その中に災害対策の基金の部分があるんですよ、項目が。そこのところを、そうした個人の給付というふうな問題のところを、いろいろ難しいことがあるけれどもせめて検討をするという、検討の結果一体どうすることがいいのか、政府が出すことがなじむのかなじまぬのか、それなら議員の側で前の弔慰金と同じような形で出すということもまた可能ではないかと思いますので、そうしたもう一歩、ちょっと半歩踏み込んだ御答弁をいただければありがたいと思うんです。
  95. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 私は閣議でも申し上げて、今作業も進めてもらっておりますけれども、これは今、委員からお話があった個人に対する給付をどうするかということだけではなくて、いろんな角度からいろんな問題が提起されているわけですから、今の法体系と今の制度を精いっぱい活用してやってみて、なおかつもう少し足りない、ここはやっぱりこういうふうに改正する必要があるというようなことがあるとするならば、この際だからひとつ改正をして充当していこうじゃないかというので、プロジェクトチームをこしらえて今そういったような点検をしてもらっているわけです。  そして、今の制度と今度の経験とを十分照らし合わせて、見直すべき点があれば見直すという厳しい受けとめ方もしながら十分検討して、早く結論を出して対応できるようにしてほしいというので作業も進めているところでありますから、御理解を賜りたいと思います。
  96. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 総理と大蔵大臣の今の答弁を足して、もう一遍よう私も整理してみます。しかし、いずれにしても、今回の大震災の中でぜひともその問題は我々が議論して一定の解決をしなければならぬ問題であるということをここで強く申し上げておきたいというように思います。  私にもう少し時間の余裕があればさらにもう少し議論をさせていただきたいんですが、ほかにもたくさん質問したいことがございますので、きょうはとりあえずこの程度にとどめさせていただきます。また改めて機会を見て議論をさせていただきます。  それで、神戸初め阪神、明石、淡路、各被災地が今、復興に取り組んで非常に頑張っております。しかし、その被害規模は非常に甚大で、長期にわたり大変なお金が要るわけであります。  そこで、すべてを取り上げるわけにいきませんが、特徴的なものを取り上げて各大臣簡潔にそれはどういうふうに考えているということをおっしゃっていただきたいと思います。  先ほど河本さんの方から神戸埠頭の問題についてありまして、このコンテナ関係の問題については亀井運輸大臣から非常に適切な御答弁をいただきました。私も質問しようと思っていたんですが、非常にありがとうございます。  それで、亀井運輸大臣にもう一点お伺いしておきたいのは、今、神戸の交通網が寸断されまして、JR初め私鉄、それがそれぞれ部分部分で乗り入れして、中心部に向かって東西の交通網を接続させるために全力を尽くしております。これも運輸省の大変な御指導のたまものだと思うんですが、しかしトータルとして私の聞いておるところ三千四百四十四億円要ると、こう言うんですね。大変なことで、これに対しての財政援助というんですか、支援も考えていただいておると思うんですが、この点についていかがでしょうか。
  97. 亀井静香

    国務大臣(亀井静香君) 委員御指摘のように、大変な甚大な損害を受けておりまして、これを一刻も早く復旧ではなくて復興をしなければならないと思っております。それにつきましては、委員御承知のように、現在の鉄軌法に基づく省令では私鉄、地下鉄等については対応できませんので、これは省令を改正いたしましてきっちり対応する予定にいたしております。  なお、事業者によっては国の補助よりも低利融資の方がいいという、そういう選択をされているところもございますので、個々に事業者とも私ども十分打ち合わせをした上に万全の対策を講じたいと思っております。  以上です。
  98. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございました。  それでは厚生大臣にお伺いします。  上水道、公立病院、清掃工場の復旧あるいは災害廃棄物処理といったこうした問題についても激甚法の対象外でございますし、市民生活と切っても切れない内容でございます。したがって、これについても特別の財政支援というものがなければ復興に支障を来すと考えておりますが、今、亀井運輸大臣がおっしゃっていただきましたように、簡潔に考え方を述べていただければありがたい。
  99. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。  今、先生御指摘になられたそれぞれの施設は、残念ながら激甚法の対象にはなっておりません。  しからば現在どのようなことができるかということでございますが、水道事業及び水道用水供給事業の用に供する水道施設並びに清掃工場等の廃棄物処理施設につきましては、従来から予算補助によって災害復旧に必要な費用の二分の一の国庫補助が行われているところであります。また、マグニチュード六以上の地震の場合などまだほかにも条件いろいろあるようでございますが、復旧事業費等に応じてこの補助率二分の一を三分の二にまでかさ上げすることもできる方途もございます。  瓦れき等の災害廃棄物処理につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、このたび国庫補助対象事業として瓦れきの方はしてまいりましたが、今回新たに従来は所有者の責任で行われてきた解体につきましても特例的に所有者の承諾のもとに市町村の責任において行うこととして、これに要する費用につきましては国がその二分の一を補助することとしたところでございまして、さらに自衛隊の御協力や市町村負担分についての地方債や交付税措置の手当てもなされているところでございます。  公立病院につきましても、予算補助により災害復旧に必要な費用の二分の一の国庫補助が行われております。  被災地域における水道施設あるいは廃棄物処理施設及び医療施設を一刻も早く復旧するために、厚生省といたしましてはどのような措置を講じるべきか、特別立法の問題もあわせて今後関係省庁と協議をしながら早急に検討し、今詰めておるところであります。
  100. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございました。  それでは農水大臣、卸売市場の復旧の財政援助についてはどういうふうなことをお考えいただいておりますか。
  101. 大河原太一郎

    国務大臣大河原太一郎君) お答え申し上げます。  被災地域におきます中央卸売市場なりあるいは地方卸売市場については十市場が被害を受けております用地域、箇所によっては大変激しい激甚な被害を受けておるところでございますが、この卸売市場に対しては災害に伴う財政支援についての制度がございません。  したがいまして、今回は、市場は生鮮食料品の供給のキーステーションで、いわばある意味のライフラインだということから、激甚災害法の指定等を含めた強力な財政支援についてただいま検討中でございます。
  102. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございました。  それでは通産大臣、仮設工場建設問題、いろいろなときに答弁をいただいておるんですが、ひとつこの場で改めて財政援助の問題についてお伺いできればと思います。
  103. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私ども中小企業の復旧から復興にかけての道筋におきまして二つの点に注意を払っております。一つは金融を含めました支援策であり、もう一つはいかにして早く操業を開始していただける状態をつくり出すかであります。  そこで、工と商とを分けさせていただき、工につきましては、先般私が現地に参りましたとき、県及び市に対して、適切な工場団地等をできるだけ早くお決めをいただき、仮設工場の建設をしたいということをお願いを申し上げました。  その場合に、当面すぐ必要なんだ、だけど自分の店舗ができたら撤退するんだという方もありましょうから、それは大変簡単なものでもスタートができるかもしれない。しかし、当面その仮設工場を中心にこれからも仕事を続けたいという方々のためにはある程度恒久的に使用できるものが必要であろう。二つの考え方をとっていくべきであると考えました。  同時に、仮設店舗につきましては、これはその商圏に当たる地域被災状況等が我々ではわかりません。ですから、これは県または市の方で適切な場所をお選びいただき、商店の皆さんが仮営業ができる状況にするための仮設店舗は高度化事業等で対応していこうということで今準備をし、御相談をいたしております。  これからもできるだけ御注意がありましたならお聞かせをいただきたいと存じます。
  104. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございました。個別の問題を個々に聞きまして本当に申しわけございませんでした。  それでは 被災地における雇用の安定確保についてお伺いししておきます。  甚大な被害を受けた兵庫県の基幹産業初め中小企業など被災事業主の雇用維持、働く場を失った人々の生活安定のために政府の強力な支援が必要でございます。被災事業主にとって従業員を離散させないためにやっぱり給料を払っておきたいと思うんですが、その資金をどうすればいいかなど深刻な問題が出てきております。そこで、雇用調整助成金あるいは雇用保険等の果たす役割が非常に大きいと思うんです。  そこで、労働大臣に二、三お伺いします。  まず雇用別整助成金の助成率の引き上げについてお願いをしたいんですが、昨年二月九日スタートした雇用支援トータルプログラムで再指定を二回まで認めたり、助成率の引き上げについては一昨年六月一日より大企業二分の一を三分の二、中小企業三分の二を四分の三に引き上げるなどしております。これらの措置は本年の三月三十一日までということになっていますが、しかしこれは災害のためにやったんじゃなくて、景気動向のためにやられたものであります。  今回の大震災ということを勘案しまして、この三月三十一日の期限を大幅に延長するということ、さらにできればこの助成率を災害ということを加味して引き上げるというふうなことはできないでしょうか、お伺いします。
  105. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) お答えいたします。  今回の被災に伴いまして、被災地域内で雇用の維持を図ろうとしております事業主に対しまして雇用調整助成金を特例的に適用することにいたしております。本措置におきましては、雇用支援トータルプログラムによる高率な助成が適用されておるところでございます。この高率補助の適用を継続してやってほしいということなのでございますが、労働省の方といたしましては、目下、復旧の状況等を勘案いたしまして真剣に検討してまいりたいといいうふうに思っております。  助成率の問題につきましては、なかなかこれは難しいので、今よろしゅうございますというふうにはお答えできませんので御了承いただきたいと思います。
  106. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 神戸の基幹産業の中には出向というのが非常に多いんですね。それで、出向した出向先の企業が震災に遭って休業あるいは倒産などに追い込まれて、出向していた者が余儀なくもとの本社に戻ってくるという場合があるんですが、この人たちを雇用調整助成事業の対象としてあげるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  107. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 今回の震災によりまして、事業活動の縮小等を余儀なくされました出向先企業からもとの企業に帰って休業の対象になっておる場合というふうに理解をいたしました。これはいずれも雇用調整助成金の適切な運用によりまして被災地の事業主の雇用維持に役立つように努めてまいりたいと思っております。
  108. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 大臣、失礼ですが、対象にしていただけるんですか。
  109. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 対象にするつもりでおります。
  110. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ありがとうございました。どうも済みません。  それで、同じようなもう一つ応用問題ですが、この震災によって被災した企業の影響で、関連している企業、工場が被災地以外のところにあって部品を供給したりあるいはさまざまな関連があって、震災に遭ったところの企業の活動がとまることによって操業ができないという事態に追い込まれるというのは被災地以外のところに起こるんですね。その場合、被災地以外の企業で休業になる場合、地域指定でございますから、地域指定でないところでも震災のためにそういうことが起こったんだということで雇用調整助成金の対象にこれもやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  111. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 事情はよくわかりますので、まさに前向きに検討させてもらいたいと思います。
  112. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもたびたび済みません。もう一問お願いします。  雇用保険延長、給付日数の引き上げの問題についても、労働省は先月、給付日数プラス六十日個別給付の措置をとっていただきました。大変皆喜んでおりますが、これがとりあえずの手だてだと思うんですが、復旧が手間取るあるいはまた企業の操業あるいは再開等にいろんな障害が起こってさらにそうしたことが継続されていくというときに、この六十日個別給付というのを再延長するというふうなことも検討していただけるかどうかという点ですが、いかがでしょうか。
  113. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) 委員も御承知のように、失業給付には一定の基準がございます。したがって、無制限にお説のような趣旨を実行いたしますと公平とか公正とかいう問題が発生いたしますので、ちょっと難しい点ではないかというように思っております。
  114. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 きょうはこの程度でお考えを聞かせていただくということにとどめておきます。ありがとうございました。  それでは、文教関係について若干御質問いたします。  文教施設及び文化財が四千四百四カ所被害を受けております。それで、多くの学校で教育活動の再開に支障を来しておるのが実態であります。特に神戸市では、二月四日現在、倒壊や避難所としての使用で高校が五校、小中学校は二百七十五校中百十七校が休校中という状態であります。それで、県全体では児童生徒数で約六万人が登校できておりません。再開した学校でも登校できない子供たちが約四万人と推計されております。児童生徒の死亡も四百五十一人、教職員三十二人ということで、被災した子供たちが疎開ということで転校した幼稚園、小学校、中学校、高等学校、障害児学校の子供たちの数も、二月三日現在、県内で五千七百五十二名を初め大阪で五千七百八十九名がお世話になり、そのほかも北海道からすべての都道府県に子供たちが転出してお世話になっております。その総数は二万一千三百五十二人に今上っておるわけであります。やがてこの子供たちの多くはやはり自分の生まれ育った神戸、阪神間、淡路といったところに皆、帰してやらなければなりませんが、こうした実情を踏まえて文部大臣に二、三質問をさせていただきます。  まず被災地の学校の一九九五年度の教職員定数についてであります。  これは四月と五月に決めるわけですが、そのときに、学校が正常な形に復帰していないというときに、その現状でもって定数を決めるということになりますと、その後の子供の数の増減ということに大変混乱が起こると思うんです。  そこで、できれば現在の一九九四年度の定数、すなわち地震の起こる前の一月十六日の定数ですね、それの現員を維持して、その上に第六次教職員定数改善の問題を一九九五年に上乗せをしていくという対応を特別措置としてぜひとも地元のためにお願いをしたいわけであります。  そしてまた、子供たちも学校に来ますけれどもかなり傷ついております、いろんな面で。それでカウンセリングが必要であろうと思うんです。だから、カウンセリングを担当する教員の加配、文部省はかねがね教育困難校というところには教員加配というのを行って問題にそのときどき対応してきていただいた経緯がございますので、この際そうした教員加配の問題もぜひともお願いしたいと思うんですが、いかがでございますか。
  115. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 現在の状態は正常な状態ではございませんので、通常適用いたします基準や尺度を用いて教員の定数配分等を決めるということはややしゃくし定規的であって、多分妥当性を欠くのだろうと私は思っております。  先生御指摘のように、見た目には児童生徒の数は当然減るわけでございますが、やがてふるさとに帰ってくる児童生徒はたくさんいるわけですから、そういうことも視野に入れて物事を決めなければなりませんし、また先生御指摘のように、災害でショックを受けあるいは精神的に大変な負担を背負った子供たちが学校に来るわけですから、そういう面でのやはり考慮も十分していかなければならない。  そういう意味では、教育指導上の観点からもあるいは学校運営の観点からも先生の御指摘は大変妥当なものだろうと思っておりますし、私ども文部省としては、兵庫県及び関連の市の教育委員会ともよく相談をし、また財政当局ともよく相談をしながら弾力的かつ妥当性を持った配置をしてまいりたい、そのように考えております。
  116. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつ、ぜひともお願いをいたします。  先ほど言いましたように、四万人とも六万人ともいう子供たちがこの災害以来学校へ来ていないんですね、ずっと。これはひょっとすると、このまま三学期は学校へ行けないまま学年をみんな進級するということになる。そうすると、その子供たちの学業のおくれをどこでどう取り戻すのかということを考えましたときに、いや夏休みに通わしたらええやないかということでは済まぬと思うんですよ。だから、教員配置もやはり特別の配置をして、そうした子供たちの精神的な傷もいやし、そして学業の面も通常に追いつくようにひとつやっていただきたい。  それから学校の教職員も、学校が避難所になったものですからもう不眠不休で文字どおりボランティア活動に専念をいたしておりまして、それでこの人たちにすぐさあ教壇に立って教えろといっても、ちょっと私の体と精神的なものはという、こういうものも恐らく起こってくると、先生自身のカウンセリングみたいなものがやっぱり要る状況もあると僕は見るんです。だから、そういう意味でぜひとも学校の教職員配置等の問題、今、大臣もおっしゃいましたように、そういう実情をよく勘案していただいて御決定いただきますように重ねてお願いをいたします。  それから被災した四千四百四カ所の文教施設の復旧については設置者負担の軽減ということで、公立とか国立というのはいろいろな仕組みが動きますが、私立の学校ですね、私学という学校をどうするのか。また、それに関係して専修学校とか外国人学校等の各種学校もこの補助の対象ということにする方法がないのか、知恵がないのかという問題でございますが、この点はいかがでしょうか。
  117. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先生御承知のように、私立学校につきましては、激甚災害に指定されますと二分の一の国庫補助、それから残りの二分の一については私学振興財団の災害融資ということで四・一五%の融資を受けられるわけでございます。  まず第一の問題は、このレベルの援助で私立学校が立ち直れるかどうかという問題が実はございます。今、財政当局と話をしておりますが、これは他の制度との横並びの問題がございまして財政当局との交渉は大変難しいものになっております。したがいまして、その補助率をどうするかという問題と金利を四・一五%のままでいいのかという二つの問題があります。しかし、これはいましばらく財政当局との折衝を待っていただきたいと思います。  次に、専修学校、各種学校の問題でございますけれども、専修学校については私学振興財団の融資の対象になっております。おりますけれども、果たしてこれだけで立ち直れるか、これまた問題がございます。それから各種学校もまたいわば教育の場でございますから、大変な被害に遭われたところからどう立ち直っていくのか、これも私どもは深刻に考えなければならないわけですが、これも補助の対象にはなっておりません。私学振興財団の融資の対象にはなっております。御指摘の外国人学校は私学振興財団の融資の対象にもなっておりません。  総じて申しますと、この大震災で受けました教育関係施設の被害というのは少なくとも三千五百億、場合によっては五千億を突破するかもしれない、こういう大震災でございます。しかしながら、国民に教育の場を提供するということを早急に行わなければなりませんので、やはり融資の対象、補助の対象になっていないものに対してどういうことができるかということを今、研究し検討しているところでございます。
  118. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に、公立の場合は授業料、入学料とかいった問題について特段の対応がありますが、私学も同じようにそうした対応をするための財政補助ということは可能なのか。また、非常に大きな被害を受けて私学が立ち直っていくときに、生徒や子供たちの家庭の負担という余り大きなものにかぶせていかないために、私学の授業料、入学料あるいはまた学用品、こうした問題等々について今特段のお考えはございますか。
  119. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 仮に、ある私学が被災に遭った生徒の入学料、授業料等々を免除した場合、それを補てんする措置があるかという御質問だと思いますが、そういうことは実は考えております。これは私学助成の一環として都道府県と御相談をしながらこういう措置もとりたいと考えております。
  120. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 文部大臣、ありがとうございました。いろいろお考えいただいておりますし、財政的な裏づけも今後十分していただけるようにも思いますので、よろしくお願いをいたします。  最後に住宅の問題について、もう時間の残りもわずかしかございませんが、総理並びに建設大臣にお伺いをいたします。  この兵庫南部地震では、倒壊、焼失で住めなくなった家、私はやっぱり住めなくなった家と言いたいんですが、これは十五万戸を超える現状で、住宅再建はもう緊急かつ重要な問題でございます。そこで、今まで住んでいた家が借家であれあるいは持ち家であれ、被災者の新しい住宅確保について国がやはり責任を持って対応するという必要があるんではないかというふうに思っておるんです。  そこで総理に、住宅確保の保障と援助の問題で基本的にどういうふうなお考えを持っておられるのかということをまずお伺いしておきたいと思います。
  121. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 現状を報告……
  122. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、ちょっと時間がないんで、もう現状じゃなくて基本的に。  私が言っているのは、持ち家それから借家といろいろあるけれども、家を失った人が自分の家を持てるために国としてどういうことを基本的に考えているのかということだけをお聞かせいただければいいんです。
  123. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 御指摘のように、家屋が崩壊してもう住むに住めないという方が大変多い。今、十五万戸と言われましたけれども、そうした方々の住宅をどう充足していくかというのはもうこれは最大の課題ですから、当面は仮設住宅とか公団の空き家とかいうことにしていきますけれども、これはそれだけじゃ済まぬわけですから、したがって地震がある前に自分の家を持っておった者あるいは借家に住んでおった者等との区別なく、住宅に困っておる度合いに応じて優先的に選考しながら住宅を提供していくという措置をとっていきたいというふうに考えています。
  124. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そこで、建設大臣にお伺いをするんですが、さきに適用が決められた罹災都市借地借家臨時処理法ですか、非常に長い法律の名前ですが、これは罹災都市というのが頭にありますように、戦後処理法であるためにその適用を受けても本当にその効果がどれほどあるのかなという私は疑問を持っております。しかし私は、この法律は現在緊急を要する住居をかつての居住地に自前で建てることを借家人にも保障するということで。借家人保護の役割は果たす、こう見ております。しかし、それだけでは私はだめじゃないかと思うんです。  そこで、借家人の居住権保護としてこの法律を有効あらしめるためには、やはり急いで公共事業としての公的住宅を大量に建設して、そして優先的にその人たちをその公共住宅に居住していただくということがなければ、焼け野原になったところであなたはここに家を建てる権利がありますよと育ったってこれは建てられるわけでないわけで、むしろそれは地主の権利の方を抑えておいて、そして公共施設を建てて、そしてそこに皆に入っていただいて、そこは新しい都市開発を進めていくという手法でなければこの法律は生きないんではないかと思うんで、やはり急いで公共事業としての公共住宅の大量建設、それと優先的に借家人の皆さんをそこに入れてあげるということでなければいかぬと思うんですが、いかがでしょうか。
  125. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) 急いでおられるようで、ごく簡潔に申し上げます。  二月六日に、お話がありましたように、罹災都市借地借家臨時処理法、これを適用することに決めました。これは政令で兵庫県下の三十三市町を対象に決めました。  焼失をすれば借家人は権利がないように見えますが、そこでこの政令を生かして活用するわけでありますが、そこで建てる、建設をするということでありますが、借家人ということになりますとなかなか財源がない。したがいまして、おっしゃるように、我々は早急に仮設住宅ではなしに公営住宅を建設していかなきゃならぬだろう、こういうふうに思います。  そこで、この三十三市町はほとんど区画整理事案の宣言をいたしておりますので、網を張ります、一つは。そこで、区画整理事業に伴って、工場、商店、住宅というふうにばらばらになっておるようなところはできるだけまとめていく。そして借家人の方々もそこを、家主と我々とも話をしますが、二十五平米であれば私権制限がありまして二十二になる。しかし三人入っておったということになればもっと大きくなりますから、快適性、利便性のある安全性の高い都市づくりに貢献することができるだろう。  したがって、困窮の度合い、そういうものを感じていち早くそういうところに入居していただくということになろうと思いますが、まず今は救援、復旧、復興でありますので、先生の御指摘は復興の部類に入りますので、速やかにそのことに対処していかなければ安心して暮らせるということはできぬだろう。そういう点についてはできるだけ速やかに対処、対応をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  126. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつよろしくお願いいたします。  次に、持ち家者の問題についてお伺いして私の質問は終わります。  私は、今回の大震災によって持ち家を失った方たちも、できれば公的住宅の提供によって基本的にやっぱり問題を解決するという立場に立つべきではないかと考えています。なぜそういうことを考えるかといいますと、私たちは小さいとき、私は神戸で小学校を三つかわったのですが、なぜかというと、私のおやじが借家を次々に回っていくんです。給料が上がったらちょっといい家に、また給料がと、こういう借家住まいということが、神戸の市民の中に残って借家住まいという人がかなり多いんです。  だから、その時分には家を持っている人というのは金持ちやなというふうに、いわゆる富裕層という認識を持っていましたけれども、今の持ち家というのはそういうことではなくて、国の政策もあって五〇%に上る人が皆持ち家、私も今は自分の持ち家になっておりますが。そういうことで考えると、(「富裕層だ」と呼ぶ者あり)いやいや、昔は富裕だった。だからもう半分以上の人が持ち家である以上、持ち家が富裕層で借家が弱者だ、そういうことにはならぬということを私は申し上げたいわけです。  しかも、国の政策で推進していく中で持ち家者は、もう御存じのとおり、住宅金融公庫を初めとするローンをたくさんつけて家を購入し家を建てるということの中で、今、家がつぶれた、家が焼けた、さあそれをどうするかということで、二重ローン、あるいはどこかに家を借りたとしても、今までのローンを払うこととそのローンを払うのと同じぐらいの家賃を払うというここの関係で、さあ経済的に立ち直れるのかどうかという問題が起こっているという立場で、この持ち家の人たちにも借家人と同じような発想で考えていかなければいかぬのじゃないかということを申し上げたいわけなんです。    〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕  そこで私は、希望者があれば滅失した建物の敷地を公共が、国や地方自治体あるいは第三セクターが定期借地権によって借り上げて、そこに公共の手で建物を建設してそして敷地所有者に賃貸しをするという、こういう公共事業を進める。すなわら持ち家者の土地を活用してローンの二重苦から解放してやる手だてというものがないのか。それから土地の借り賃と家賃とが相殺できるというぐあいになれば、この家賃、非常にうまくいくんですが、きょうの朝日新聞にもそうしたことが出ておりました。従来の発想でなく、何とか二重ローンという形を、若い皆さんが家を持って共稼ぎで一生懸命払っているという状況を解決していってやるその手だてというものを、建設省の方が従来の法律の枠とか従来の手法以外にここでひとつ考えていただくということが必要ではないか。  要するに、この借地借家という問題が昔の立場からの問題解決の手法であり、これから持ち家者がずっとふえていくという中で、やっぱり新しい発想のこうした問題の解決ということで、要するにどちらであっても不公平がなかった、国がきちっとした支援の手を同じように差し伸べてくれたということをぜひとも被災者の人の実感として感じるようにしていただきたい、こう思いますので、ひとつよろしく。
  127. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) お答えします。  先ほどは借家人のことでございましたが、今度は持ち家者、土地も持っておる、しかし住宅ローンを借りておるので借金が多い、返せない、したがって新しく建設すれば二重のローンになるのでとても生活ができない、こういう立場の人たちに対する対応はどうかということだろうと思います。  したがって、その宅地を国に売っていく、あるいは個人の人に売っていくという場合もありましょう。しかし、せっかく求めたものだから国に貸してあげる、県に貸してあげるということになれば、それを借り上げてそこに住宅を建ててまいります。そして、相殺になるかどうかはわかりませんが、できるだけ安く優先的に、自分の土地であったわけですから、借りる場合あるいは買った場合、いずれも優先的に入居していただくという方法をとろうと考えております。
  128. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもありがとうございました。
  129. 伊江朝雄

    ○理事(伊江朝雄君) 関連質疑を許します。大渕絹子君。
  130. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 大渕絹子です。  今度の大震災で被災をされた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、総理を初め、被災者の救援、復興のために本当に日夜努力されているすべての皆さんに心から敬意を表します。  未曾有の大震災を目の当たりにして、国民の生命、財産を守るのが政治の第一義だと胸を張って主張してきました、私もそういう主張をしてきました、でも自分のそうした信念が音を立てて崩れました。この国は一体何をしてきたのか、胸が震え、背筋が寒くなります。  遠く離れていてもこれほどのショックを受けたわけですから、実際に被災をした人たち、家族や家、財産を失った方々の絶望感は想像を絶するものがございます。年とった父や母、夫や妻を、最愛の子供たちを突然失った悲しみ、人生で築いたすべてのものが消えた無念さは当人でなければわかりません。三週間たつ今でもまだ不眠に悩まされ、余震が続くたびに恐れおののいている被災者たち、事が落ちつくに従ってさらに心の傷は深く深くなっていくのではないかと思います。  そういう被災者たちの悩み、苦しみ、心の不安にこたえるようなその手助けはどういう形で行われているのか、まず厚生大臣にお聞きをしたいと思います。  それからあわせて、時間がないので続けてやらせていただきたいと思います。  先ほど来から仮設住宅の建設状況等々ともるる説明があったわけでございますけれども、一体今、避難をしている全員の被災者が仮設住宅なり公営住宅なり民宿なりホテルなり、全部おさまることができるのは一体いつだと見越していられるのか、そのことをお聞かせをいただきたい。  そして、優先順位はもちろん、総理は、ここはもう地震が起きてからずっと言われているわけですけれども、いわゆる災害弱者、お年寄りや病人の方、赤ちゃんを抱えているような家庭をどうぞ優先させていただきたいこともあわせてお願いを申し上げます。  それから住居の問題が何とかめどがつけばあとはお金なんです。義援金が今十万円ずつ配られたという御報告もあったわけですけれども、私も街頭カンパに何度か出ました。あの義援金を寄せてくださった国民の皆さんは、一日も早く被災者にこのお金を届けてくださいという、そういう願いの中で箱に入れてくださいました。それなのにいまだにまだ被災者の手元にはごくわずかしか届いていないという現状。第二次の義援金の配分はどのようになさるのか、早急に御返答いただきたいと思います。  もう一つ、海外から今大変な援助を受けているわけでございますけれども日本に滞在をしている外国人の援助も日本人と同じように登録をされた外国人については行われると聞いておりますけれども、事情があって不法滞在をしていたり不法就労をしていた人たちには何ら手当てをすることができない。そういうことの中で、今、国外に強制帰国をするような人が大変多く出ているということがけさの新聞にも出ていたわけですけれども、独制帰国をさせる人たちの中で明らかに被災者だという証明がある人たちに対しては、何らかの義援金というものを与えることはできないのでしょうか。外国からもたくさんの義援金も来ているわけですから、そういう外国人にも手当てをしていただけないものかということを、合わせて四点になりますが、お答えをいただきたいと思います。
  131. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。  まず被災者皆さんの心の健康の問題でございますが、避難生活が長期化いたしますといよいよその大きな影響が出てくるものと心配しておるわけでございます。  被災者皆さんの心の健康状態を取り戻すには、何といいましても一日も早く生活の安定を図ることがまず何よりも求められるわけでございますが、それに至るまでに著しく心の健康を害された方々には専門的な医療や相談も当然必要となってくるわけでございます。  このため、神戸市等では十の保健所に精神科救護所を設置し、その一部においては巡回診療を実施するとともに、尼崎の保健所の管内では七地区におきまして地元の医師会の御協力を得て協力診療所を確保しているところであります。また、兵庫県南部の保健所二十カ所でございますが、ここではそれらを拠点として保健婦さんが現在一千五十カ所の避難所を原則一日一回巡回し、健康相談を行う体制を組んでいるところでございます。救護所の模様は、現在、多いところでは一日約三十件程度の相談を受けておって、相談内容としては不眠とか不安とか避難生活への不適応等が非常に多いという報告を受けております。  さらに、これから子供さんたち、児童の心の問題も大変憂慮されるわけでございますものですから、児童・心の相談という名のもとに児童精神科医や心理判定員等の専門家によってチームをつくりまして、相談やあるいは集団遊びをしながら児童の精神的な安定を図っていくべく、二月の中旬より毎日最低四チームは繰り出そうと、こんな計画を立てておるところでございます。  それからちょっと順序が違うかもしれませんが、外国人の問題を先にお答えさせていただきます。  災害弔慰金は、救助法の第三条なんですが……
  132. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 もうわかっていますから、最後のところだけお願いします。    〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
  133. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) そうですか。  国籍要件はございませんから、永住の外国人はもちろん、企業の駐在員や留学生の皆さんも一般的に国内に住所を有していると見られるため、災害弔慰金の対象にはなります。  しかしながら、先生御指摘の不法滞在外国人につきましては、適法に日本国内に住所を有しているとは認めがたく、またほかの給付との整合性もありますし、大体どなたにお支払いしていいかわからぬというようなこともありまして、なかなかこの弔慰金の対象にするのは難しいわけであります。各自治体で義援金等で何かの処置をしていただく以外にないんじゃないかなと、こんなふうに今考えているところが現状でございます。  また、義援金でございますが、過日、一軒当たり十万円を第一次配分として決定したところでありまして、数日前から各市で配分が開始されたと聞いております。できる限り早くに第二次以降の配分を決定したいと兵庫南部地震災害義援金募集委員会は考えておるようでございます。しかし、まだ具体的な内容、時期等は未定であると。ただいま義援金は、きのう現在五百八十九億円に至ったという報告もあわせて申し上げておきます。  それから仮設住宅の入居に当たりましては、高齢者あるいは身障者の皆さん等を優先することは当然でございまして、そのような指示を現地にもいたしまして二十五日から大腸者の選考に入っているところでございます。今後もそのような対応を続けていきたいと、こう考えております。
  134. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 被災者が全員住宅等に入れる見通しの時期をお聞きしたわけですけれども、そのことにどうぞ答えてください。
  135. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 時間の関係もおありのようでございますから、まず五万六千、その中の三万が仮設住宅でございますが、あとの二万六千の方からお答え申し上げた方がいいかと思うのでございますが、二万六千は最初説明申し上げました段階ではその中の一万六千が県域外と、そういう説明を申し上げておるところでございますが、その数字はそのまま動きませんけれども、あとの一方、これはもう既に兵庫県内域におきまして準備ができておるわけでございます。既設の施設をそのまま活用するわけでございますから、これは事務的手続が具体的に迅速に進めばそのまま消化されるものと、私どもはさように考えております。  なおかつまた、午前中も御説明申し上げましたが、そのほかに八千人の老人の方々中心にいたしました仮設住宅取り扱い分がございます。これも既設の建物等を利用する建前になっておりますから、私は、事務的な処理が進めば即時消化されるものと、さように期待をし、かつまた督励をいたしておるところでございます。
  136. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 小里地震対策大臣に御足労いただきましたから、重ねてお願いいたします。  ボランティアがこのたびの震災では大変な活躍をなさっているわけですけれども日本におけるこれからのボランティアシステムをどのようにつくっていくようにお考えになっているのか。あるいは私の地元の消防団員の若い方だったんですけれども、おれたちはこうやって消防団を形成していながらこの大震災にも全く組織として行くことはかなわない、これではもう何のために消防団を地域につくっているのかわからない、おれたちのこの組織を使えるようにやってもらえないかと、そういうような要望も出たわけです。そのこともあわせてお答えをいただきたい。できるだけ短くお願いします。
  137. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) ボランティア問題等に関する関係省庁連絡会議、既に緊対本部で決定をいたしまして組織いたしました。関係省庁十八省庁でございます。  しかも、どのようなことを検討するのかというお話でございますが、もう端的に申し上げまして、ボランティア及び公益団体等のいわゆる公益性を担保する法的枠組み、あるいは国や関係団体等がこのような支援ができるか、その辺の対応を中心にいたしまして検討しようと、そのようなことでございます。なおまた、理地におきましては既に神戸市を初の他の四市に対しまして登録がなされました。二十二万と承っております。したがいまして、傷害保険等もこれで担保されたわけでございます。あわせて御紹介申し上げますが、その登録に要するいわゆる保険料等は日本損害保険協会が一カ月分だけは義援金としてこれをボランティアで出していただいたと、さようないきさつでございます。
  138. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 消防団の方はどうでしょう。
  139. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 消防団の問題、もう先生中身は御承知のとおりでございます。今、サラリーマンの皆さん関係していらっしゃる方々が全国で約五六%と、さように承っておりますから、年次有給休暇二十日を適用せず特別な措置でこれを督励いただくように関係市町村等に御相談をする必要があるな、そういうようなこと等に留意しながら今対応を急いでおるところでございます。
  140. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 どうもありがとうございました。  次は、建設大臣に震災復興のための特別立法についてお尋ねをいたします。  先ほど来も御返事があったかと思いますけれども、耐火建築物しか残っていない被災地にも市街化再開発事業が適用できるなどの区画整理の再開発のためには、ちょっと私権制限ということも問題があるわけですけれども地域住民の皆さんと相談をしながら、あるいは地域自治体の人たちとも相談をしながら、かなり強力な特別立法を仕立てて災害に強い都市をつくっていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  141. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) 簡単に答弁いたします。  都市づくりについては、安全性と利便性とそして快適性、この三条件だろうと思っております。できるだけ速やかに建築基準法の八十四条を発動しなければならぬということについて、私どもの本省からも現地に派遣をしております。したがって、現地で指導、助言、協力をして、御案内のとおり、神戸市を初め多くの市町が八十四条の発動をいたしまして一応面的に規制をしたわけです。  これから区画整理事業、都市再開発事業、都市整備事業、こういうものを具体的に進めてまいりまして、世界の神戸、世界兵庫と言われるような立派な都市づくりに努力をしたい、こういうふうに考えておりますが、現行法で総理がおっしゃいますようにぎりぎりやってまいりますけれども、現在検討中ではございますけれども特別立法を考えていかなければはみ出るところがある、こういうことが考えられます。私権の制限というものはありますけれども、できるだけ話し合いをしてより有利に、被災者皆さんに余り迷惑をかけないように、一軒のものは三軒を合わせて広くとっていくというような方法をとりながら堅牢な防火対策のでき上がった市をつくり上げてまいり一たい、こういうふうに考えております。
  142. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 次は、法務大臣に罹災都市借地借家臨時処理法の適用についてお伺いいたします。  この法律が適用されて、大変不利に置かれております借家人や借地人に対して権利保護ができるということで私は拝んでおります。しかし、この法律は大変難しゅうございます。被災者がこの法律の存在、適用を知らなければ上手に活用することができないわけですね。その周知徹底の方法をどのようになさっているのかお伺いしたいと思います。  あわせて、この法律が関東大震災のときにも適用になったわけですけれども、そのときには百人に上る調停委員をふやして、一万件以上の案件を処理して円滑な運用を図ったというふうにお聞きをしているわけですけれども、今回の場合にもそういう措置がとられるのかどうか、あわせてお聞きをいたします。
  143. 前田勲男

    国務大臣(前田勲男君) 短くお答え申し上げます。  大変厳しい環境の中で復興に御苦労いただいている中で特に不安が多いのが住居でございまして、特に借地借家、借地の場合は今まで住んでいた土地を売られてしまったら再び住めるんだろうか、借家の方はまた再び住めるんだろうか、大変小安を抱いておるわけでございまして、この法律はできるだけもとどおり住めるように権利を保全するという法律でございまして、名前は先生御承知のとおり少し長い法律でございます。  ただ、残念ながらなじみが少ない法律でございまして、そのために私どもとしましては、周知微風をするために現在パンフレットをもう刷り終わりました。あす現地に向けて発送できる予定でございますが、とりあえず二万枚を発送いたします。それから政府広報の場、マスコミ、特にテレビ等でも解説をしていただき、周知徹底をまず図ってまいりたいと存じております。  なお、一月二十六日から日弁連、近弁連、それから法律扶助協会、土地家屋調査士それから司法書士、こうした関連の皆様方に無料法律相談や説明をしていただいておりまして、来週から大々的に日弁連の御協力をいただきまして、各避難所にも弁護士の先生方に相談に行っていただけるというような体制を組んでおりますが、いずれにいたしましても、この御相談に応じていただく弁護士等の皆様にこの法律を周知徹底するべく、あさって大阪と理地神戸におきまして、国会のお許しをいただければ私も参りまして詳しい説明をさせていただく予定でおります。  なお、もう一件は裁判所の関係でございますので、最高裁よりお答えをいたさせます。
  144. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいま委員が御指摘になりましたように、関東大震災後、東京都区内の十数カ所に区裁判所の臨時出張所を設けまして、百余名の調停委員を派遣して調停を行って、ほぼ一年間の間に一万二千件の事件を受け付け、約九千件について調停が成立したという報告がございます。  今回の震災につきましても、その被害の実情を見ますと、特に借地借家関係の事件が大量に申し立てられるということが予想されます。この種の事件は継続的な人間関係を前提にいたしますので、訴訟でクロシロをはっきりさせるというよりも当事者の合意による円満な解決が望ましいと、そういうことを考えますと、この調停が積極的に利用されることになるのではなかろうかというふうに考えられます。  また、先ほど指定になりました罹災都市借地借家臨時処理法におきましても調停の活用が想定をされているというところでございます。  そこで、裁判所としましては、迅速に処理できるような体制をまず確立しなきゃいかぬというふうに考えておりまして、具体的には神戸地裁管内の民事調停委員を増員する手続を現在進めております。主に専門的な知識を持っておられます弁護士を中心として、弁護士会にお願いをして任命していきたいというふうに考えております。  そのほか、裁判所の庁舎だけでは処理できないものにつきましては、裁判所外の施設を利用するとか、あるいは裁判官、書記官等の人員の手当てにつきましてもほかの裁判所からの応援も含めて積極的に対応していきたい。なるべく御迷惑をおかけすることのないように最善を尽くしていきたいというふうに考えております。
  145. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 総理大臣にお尋ねをいたします。  けさほど来も救急援助隊の創設について大変積極的に取り組む姿勢を見せておられますけれども、私も改めて整理をして主張してみたいと思っています。自衛隊の出動のおくれや地元行政の機能麻痺、縦割り行政の障害などが指摘されていますが、根不的には緊急災害に対応できる組織がなく、平時の組織や制度の継ぎはぎで動員せざるを得なかったことにこのたびのおくれの原因があると思います。その一つは、消防や警察は数や活動範囲に限界があるなど、それだけでは不十分です。二つ目は、自衛隊は戦闘が主目的の組織ですから、救助活動のために組織されていないということが二つ目。三つ目は、国際緊急援助隊はありましたけれども、海外の自然災害に派遣をすることが決められておってこれは出動させることができなかった。このたびのことで今度はできるようになったと聞いていますけれども、こういうそれぞれの組織、それぞれは立派な組織としてありながら、連携をして活用できる体制になかったことが一番の原因だったと思います。  そこで、次のような内容の緊急援助組織を創設すべきだと考えます。  まず一つは、内閣直属の機関として設問をすることが第一点目。  第二点目は、人命救助や被災民救済のための技術やノウハウを持ち、必要な情報収集を的確にできる機能を持っていること。それから機材の整備、もちろんこの中には飛行機もヘリコプターもそれから重機類も含まれると思います。物資、食料とか生活用品ですけれども、そういうものの備蓄ということも考えていかなければならない、これが二点目。  三点目は、日常的に訓練や研究を重ね、国内でも海外でも問わずに救助に当たること。  四番目は、代替要員、補助要員として各地、各分野に数千人登録制の援助隊員を確保しておく。この中に先ほど来の消防隊などももしかしたら組織的に組み込むことも可能かもしれない。いろいろな組み合わせができるんじゃないかと思いますけれども中心は内閣に置いて、そして全国に指令ができるような体制をつくるべきだということです。  五番目に、緊急時に消防、警察、自衛隊、民間医療チームや技術者、ボランティアなどの先頭になって活動指揮をする権限が与えられること。この五つ。  このような条件をそろえた組織を早急につくるべきです。自衛隊を分割する形でやれば、私たちが主張している軍縮にもつながります。人員確保も今すぐできるわけです。  ぜひ社会党の総理大臣として決断をするときが来たと私は思っています。どうぞお答えをいただきたいと思います。
  146. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 貴重な御提言をいただきました。  今回のこの地震による大災害を経験したわけです。この経験に照らして、現行の防災対策、防災計画でいいのかどうかという点については、やっぱりあらゆる角度から率直に見直しをする必要があると私は思うんです。そういう意味で、今、委員から指摘のありましたようなことも私はやっぱり検討に値する対象だというふうに考えています。  ただ、この防災計画をつくる際に、できるだけ広域的な立場でお互いに協力できるような体制でつくっていくことも大事なことだし、同時にその防災計画を立案する段階から、これはもう警察から消防から自衛隊から関係するものが全部参加して、そして一緒につくっていくということも大事なことだと思いますし、それから今度の経験からずっと反省してみますと、やっぱり情報をどうして正確に収集することができるか、そして一元的に全国に必要なところに伝達できるか、こういう危機管理の体制というものもしっかりつくっていく必要があるというふうに思いますし、いろんな角度から今ある理行の制度、あり方について点検をして厳しく見直しをする必要があるというふうに思いますが、まだその作業も今進めておるわけです。  そういう作業を進める過程の中で、今、委員から御指摘のあったような点も含めて、あるいはアメリカのFEMA等々も、諸外国の例もありますから、そうした例も参考にしながら十分点検をして、再びこんなことの繰り返しがないようにしっかりやらなきゃいかぬという決意で今取り組んでおるところでございます。
  147. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 午前中に自民党の委員質問の中で、自治大臣から自衛隊の中にそういう組織をつくってもいいじゃないかというような御発言があったようにちょっと記憶しているんですけれども、私は自衛隊の中に緊急援助隊というものを置くべきでないと思います。自衛隊は軍隊です。軍隊が自由に自分の裁量で出動できるようなことが許されるとなると非常にいろんな問題が起こってくると思います。それは規制の中でいろいろ規制ができるかと思いますけれども、私はその道はとるべきでないと思います。ですから、自衛隊とあくまでも別組織をつくることを主眼に置いていただきたいことを重ねてお願いを申し上げます。総理、別組織にしてください、お願いします。
  148. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 自治大臣。
  149. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 私、質問していません。
  150. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 私は、自治大臣としてさような答弁を、発言を含めてしたことはございません。
  151. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 別組織をつくるということも一つの私は貴重な提案だと思いますし、これはもう何かあったときに緊急に対応できるような仕組みというものをしっかり考えていく必要があるというふうに思いますから、今、委員から提案がございました別組織にするがいいのか、あるいは自衛隊の中に常時そういうことに間に合う緊急に間に合うような体制にするのがいいのかというようなことも意見がいろいろありますから、そういう点も含めて検討して結論を出していかなきゃならぬと思います。  ただ、委員が懸念されておりますように、例えば治安に出動するとかあるいは有事立法が議論されるようなそういう観点からの議論ではなくて、防災と災害に対してどのような、国民の身体と生命と財産を守る、その機能を果たし得るためにはどういうことが必要なのかという観点から私はやっぱり真剣に検討しなきゃならぬというふうに思っています。
  152. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 科学技術庁長官にお尋ねをいたします。  原子力発電所の設置地域にこのたびのような規模の大震災が起こったときにどういうことになるか、試算をされていますでしょうか。
  153. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 試算はいたしておりませんけれども、実態に即してお答え申し上げます。  このたびの地震後に全国のすべての原子力施設に結果を問い合わせいたしましたけれども、何一つとして被害等はございませんでしたので、そのことをまず御報告申し上げます。  それから先生御案内と思いますけれども、原子力立地に当たりましては、文献とか地質調査だけではなくて、航空写真による判読でございますとか、それから海上の音波探査等も確実にいたしまして、その上に立地をしております。そして、構造物も耐震構造をしておりますし、緊急時が発生いたしました場合には自動制御、それから同時に二十四時間体制で人的な体制でとめられるようなことになっておりますけれども、とにかく安全ということが至上命題でございますので、ですから念には念を使えで、慢心することなく、安全第一ということでもって常に注意喚起をいたしております。
  154. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今回の地震で大変活断層ということが議論になっているわけですけれども日本全体には千五百もの活断層が存在をし、そしていつ地震が起こっても全く不思議でないと言われている国です。こういう国で原子力発電をこれから先もさらに推進をしていくということは私は非常に危険だというふうに思います。  日本は原子力発電には向かない国、そういう地震の国だということをよく考えていただきまして、そしてしかも原子力発電所の耐震と言いますけれども、大体四百ガルあるいはマグニチュードでいくと六・五ぐらいを想定して建設されているというふうに聞きます。今回の地震では加速度では八百から九百ガルにもなったと言われていますし、震度七を超えているわけですよね。マグニチュードは七・幾つでしたかね。そういうことで、大変予想を超えた地震も起こり得る国であるということをぜひ考えていただいて、脱原発社会を目指していきたいという方向を貫いてほしいなというふうに思っています。  総理、田中長官は就任に当たりまして原子力発電所を積極的に推進するという発言なさいました。私は新潟県ですが、同じ選挙区ですが、新潟には今、世界一になろうとする柏崎刈羽原発、そして巻原発というのも新しくつくられようとしています。こういう原発立地県の人たちは、地震があるたびに原発は大丈夫だろうかということがまず頭にきますと現地に行くと言います。私もわずか三十キロぐらいしか離れていないところに住んでいますけれども地震があるたびに原発は大丈夫だろうかという不安にいつもさいなまれています。  ぜひこのたびの地震を教訓にし、このたびの地震でそれは原発のところにたまたま当たらなかっただけなんですよ。あそこに原発があれば私は当然何らかの形で事故あるいは放射能漏れも起こってくると思います。そして原発は、核廃棄物についても長い間管理をしていかなければならないというすごいコストがかかるわけですよね。そういう中でこれから先もこれに頼って私たちはエネルギー政策を立てるのでは全くならないというふうに思います。  今、政府ではソーラーシステムをつくる家庭に対して二百万円の補助をするという政策をやっています。こういうことがもっともっと多くやられるようになれば、今、六百万円もかかるというソーラーシステムの施設ですけれども、大量生産がされてコストダウンがされていくと思います。かつて日本は、私たちも自動車を持つことなどできないと思っていましたけれども、瞬く間に自動車が一人一台持てるような時代に突入をしていきました。あのことを考えても、大量生産、コスト削減、そして技術革新、このことをやっていけば一家に一台の発電機、発電施設を設けていく国になることもできるというふうに思うわけです。  ぜひこういうことを広めていただきまして、エネルギーの転換をこの地震を契機に図っていただきたい。脱原発社会を目指す日本なんだ、これが世界の潮流なんだということを総理のお口からお聞きをしたいと思います。
  155. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 我が国エネルギー需要というものが今後とも着実に増加していく、その増加するエネルギーを何で充当していくのかという観点は私は極めて大事なことだと思いますね。その際に、できるだけ二酸化炭素の発生など環境を十分考えていく必要があると思います。  そういう観点から、政府としては、省エネルギーとか、あるいは今お話もございました太陽光とか、あるいは地熱発電とかごみの焼却による発電とか、そういうクリーンなエネルギーをできるだけ開発できるように積極的に取り組んでいくということは当然なことだと思います。  ただ、それですぐ、じゃ全部充足できるかといえば、それはなかなか難しい点もあるわけですね。そうするとそれは何で補うかということになってまいりますと、やっぱり原子力発電というものも無視できない点が私は若干あるのではないかと思いますね。そういう場合には、今御指摘のような活断層あたりはできるだけ避けて、そして何よりもかによりもやっぱり安全性というものを一番重視してそして考えていく必要があると思いますから、今御指摘のありましたような意見というものも十分踏まえた上で、今後の我が国エネルギー政策というものを考えていく必要があるというふうに思います。
  156. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 時間がありませんので一言だけ。  総理、この震災を踏まえて、東京に地震が起きたらどうするかということを常に考えておられると思いますけれども、遷都問題を、首都移転問題を本当に真剣に考えるときが来たのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。もう時間がありません。よろしくお願いします。
  157. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 国会等首都機能を移転させたり分散させたりするということは、これは当面する重要な課題になっておるわけです。そして、現にもう国会等移転調査会というものもできて、その調査会で検討してもらっておりますが、その結論も見ながら政府としても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えています。
  158. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 終わります。
  159. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で本岡昭次君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  160. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、中村鋭一君の質疑を行います。中村鋭一君。
  161. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 連日、総理初め閣僚の皆さん、今度の震災に対して一生懸命やっていただいてありがとうございます。  どうやら復興の方もいろいろな面で少し軌道に乗ってきたような印象を受けておりますが、これは今度被害に遭われた被災者方々の本当に沈潜冷静な行動、これをまず第一に挙げなければいけないと思うんですね。  先日も視察に来られたアメリカの法律学者が現実に被災者の方が避難しておられるところ等をごらんになりまして、これはもうアメリカだったら行政や政府に対する訴訟が頻発して収拾がつかぬようなことになっているだろうが、本当に日本人というのは節度があって沈着冷静でということをおっしゃっておいででございました。  それからもちろん地方自治体の皆さんもほとんど家にも帰らないで頑張っておられるわけでございます。その先頭に立って村山総理は日夜大いに努力をしていただいております。そのことに私は敬意を表するにやぶさかではございません。しかしながら、今回の少なくとも一月十七日について言うならば、その即応体制といいますか、そういうものについて、あるいは官邸の情報収集の機能が発揮されたかどうかという点について、あるいは総理がまことに敏活な即応体制をしいて、例えば自衛隊の出動等も含めて強力なリーダーシップを発揮されたかというと、少し私はこの辺に疑問を持たざるを得ないのであります。  十七日の午前中に総理のところに第一報が参りまして、総理がこれは容易ならざる事態である、したがって自分が先頭に立って今回の危難に際して大いにいわば蛮勇を振るってでもこの危難を乗り切るために指揮をしようと、こう決意されたのは、総理、正確に言って十七日の何時ごろでございますか。
  162. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) これは私は、衆議院でも質問がございましてたびたびお答えしてまいりました。  これはありのままに申し上げますけれども、六時過ぎにテレビのニュースで地震のあったことを知りました。そのときにはたしか震度六、それから淡路島が震源地でマグニチュード七・幾らといったような報道がございました。そのテレビを見てこれは相当ひどい地震だなと思いましたから、すぐ秘書官に連絡をとって正確な情報をキャッチしてすぐ報告してほしいということをお願いいたしました。  国土庁やら警察やら等々に連絡をとって私のところに第一回の報告がございましたのが七時半ごろであります。そのときの報告は、相当範囲が広い、相当の被害が出そうだと、こういうお話でございましたが、その直後に官房長官からも連絡がございまして、そして同じような報告があり、同時に国土庁の方にこれは非常災害対策本部の設置が必要だからということを指示しましたという報告を聞きました。それが大体そのときのあれです。私は、これはもう異常な状況になるということはそのときに決意をして、そして十時の閣議で非常災害対策本部を設置した、こういう経過であります。
  163. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総理は、二階俊博新進党災害対策副本部長質問に、これは一月二十日でございますが、お答えになりまして、「何分初めての経験でもございますし」と、こうおっしゃった。また、新進党の海部党首の質問に対しては、最善の措置であったと、こうおっしゃって、後で最善の体制と言いかえられたということですが、今の総理の御答弁を伺いますと、このような「何分初めての経験でございますし」とか、あるいは最初は最善の措置と言いながら後になって最善の体制と言いかえる必要はなかったと、こう思いますが。
  164. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 誤解を解いていただく機会を与えていただいたことを心からお礼を申し上げます。  これは正確に申し上げておきますけれども、私が、初めての経験で早朝のことであったし混乱もあったんだと思いますということを申し上げましたのは、何も政府の体制の中のことを言ったんではなくて、現地のことを言ったわけですよね。これは言葉足らずで誤解もあったんだと私は思いますけれども、理地のことを考えてまいりますと、これは県庁の職員も市役所の職員も警察も消防も全部ある意味では被災者なんですよ。そして、しかも県庁、市役所という中心部がやられているんですよね。したがって、そんな意味では、やっぱりいろんな角度から考えてみて混乱があったんではないかということを申し上げたんであって、そこは若干の言葉足らずがあったと思いますから、この際、誤解を解いていただきたいと思うんですね。  しかし、あなたも冒頭に話がありましたように、そういう困難の中から自分がみずから被災者であることも顧みずに不眠不休で頑張っておる職員の皆さんやら消防署あるいは警察の皆さんやら、今は自衛隊の皆さんも一生懸命苦労していますけれども、そういう方々に対しては、私は本当に心から頭の下がる思いで感謝をしたいと思っています。それはそういうことですから。  それからもう一つの最善の措置であったという意味は、これはこういう質問があったんですよ。なぜ災害対策基本法に基づく緊急災害対策本部にしないのか、こういう質問がございましたから私は、今とっておるこの体制、例えば非常災害対策本部を設置してそして専任の大臣を置いて担当してもらっておる、もう一生懸命今やってもらっていますが。そして、県庁の中に現地対策本部をつくって、そして縦割り、ばらばらじゃこれは困るので、やっぱり一元的に集約をしてやる必要があるというので各省からそこに派遣をして、そして東京につくっておる非常災害対策本部と現地の対策本部とが十分連携をとり合いながら、あるいは地方自治体とも一体的にやれるような仕組みを考えてやるという仕組みにしたんですね。  同時に、それはやっぱりあくまでも内閣が責任を持たなければいけませんから、したがって私が本部長になって内閣が全体として今の体制をバックアップしていく、これが私は最善のやり方ではなかったかと、こう考えておりますからそういう意味で申し上げたんであって、冒頭に申し上げましたように、御理解をいただけると思いますが、せっかく私にそういう機会を与えていただきましたことを本当にまた重ねてお礼を申し上げます。正しく御理解をいただきたいと思います。
  165. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今、るるお話をいただきました。そのことについては、御説明のように理解をいたしましょう。  しかし、総理、率直に総理の本当の心中にあるものを私はお伺いしたいんですが、やはり一月十七日の午前中の全体の体制も含めて総理の心の中に、もう少し早くこういう処置ができていれば、例えば自衛隊の出動も含めてですね、あるいは死ななくてもいい人を死なせずに済ませたかもしれないと。これは一説によりますと、直下型の地震で即死をされた方は三千五百人ぐらいではないか、こういう説もございます。実数は五千人を超えているわけですね。そうすると、その差であります二千人ぐらいの方の中で少なくとも何人かはもし政府が敏活な対応をしていれば死なずに済んだかもしれない。その点にやや心残りはあるということは、総理、ございませんか。
  166. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 五千人を超すとうとい生命を亡くした結果に終わっておるわけですね。しかも、テレビで皆さんもごらんになったと思いますけれども、火事が方々に起こって、そしてもう水が足りない、消防車が間に合わないというので、焼けるがままにもう手がつけられない、こういう現状を皆さんごらんになったと思いますね。  私はこれは、ここに外務大臣も大蔵大臣もおられますけれども、三党の党首にも集まっていただいて、そして国土庁それから建設省、関係省庁の皆さんに来てもらって、そしてその現状に対してどういう手が打てるのか、どういうことが必要なのかという相談もいたしましたし、それから消防庁長官から現地から電話がありましたから、この際責任を持つからやれることはもう何でもやってくれ、今大事なことは人命救助と消火だ、全力を挙げてやってほしいということもお願いを申し上げました。  結果から振り返ってまいりますと、やっぱり欠陥もあるし、指摘されるような足らざる点もあったのではないかと、それはもう本当に厳しく重く受けとめておることは率直に申し上げます。それだけに、やっぱり対応だけはこれからしゃんとせないかぬという決意で内閣が一体になって取り組んでいることについても御理解を賜りたいというふうに思います。
  167. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ここに私、参議院手帖を持っているんですが、この参議院手帖に憲法が記載されておるんです。第二十五条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、こうありますね。それから十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、」「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」、このような規定がございます。  理に今、兵庫中心に二十四万人になんなんとする人たちが避難所生活を送っておりますね。この人たちを中心とする罹災者の方々生活が、今、私が読みました憲法十三条や二十五条に保障されておるところの権利に抵触するものであることは、これは総理、お認めになりますか。
  168. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 今あれだけの災害の中で、家がなくなった、崩壊した、住む家がない、着るものもすべてもう焼き尽くしたというような方もおられる中で、大変被災者方々が厳しい環境の中で生活されておるということは私も現地に行ってつぶさに拝見もさせていただきましたから、もう本当に想像を絶するものがある。  今あなたがどういうお考えで言われたのか、あなたのお気持ちはよくわかりますけれども、そういう状況の中でできるだけ最低の生活がかなうような条件を整備していかなきゃいかぬといって今、一生懸命取り組んでやっているわけでしょう。  私はもう、ある意味ではあれだけ大勢の方が小学校の校庭、講堂なら講堂で集団で生活している、いろんな角度から考えてみてもう限界に来つつあるんではないかと。そこで、できるだけやっぱり分散をしていただいて、そしてプライバシーも守られて、それなりに必要なものも満たされて落ちついた生活ができるような、そういう環境をつくらなきゃいかぬというので今全力を挙げて取り組んでやっている過程にあるわけです。そのことはあなたも十分御理解をいただけると思うんです。できるだけ最低生活が、憲法で保障された条件が満たされるように全力を挙げて今努力の過程にあるということについて御理解を賜りたいと思います。
  169. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総理、その認識は共有しておきたいと思います。憲法にこれほどしっかりと規定されておる基本的人権を著しく侵害されている状況の人たちが現に何十万人もいるわけですから、そのことについてはこれは行政府の責任として総理がまずだれよりもそのことを重く受けとめて、これからも大いに頑張っていただきたい。  そこで、これはもう政府も国会も地方自治体も住民の皆さんも力を合わせてこの危急を乗り切らなければいけないのは当たり前でございますし、国会は我々が一生懸命努力をして、一刻も早い安定と復興に向けてこれからあらゆる立法措置あるいは法律の改廃、行政、地方自治体に対する指導等をしていかなければいけませんが、幸いにこれが国会や政府の対応が一段落を見て、おおむね政府や国会において今回のこの大惨事について手当てはこれで一応ではありますけれども終わったという段階で、今回の五千有余人の死者を出した大惨事につきまして村山総理が、ではここでひとつ今回の大惨事が起こったというその結果について自分のけじめを一遍つけさせてもらいたいとか、そのようなお考えは今のところございませんか。
  170. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほど来申し上げておりますように、これだけの大惨事になったわけです。その現状についてはもう厳しく重く受けとめております。五千人以上の方が亡くなった、そのみたまに報いるためにも、もう二度とこんな過ちは繰り返さない、そういう都市をつくる必要があると。  私は、先ほど来お話もいろいろ委員の方からございましたけれども、困っておる被災者皆さんが集団生活をしておる。その集団生活の中で、強い者が弱い者に力をかして、そしてお互いに助け合って共回生活をやっておる。そこに全国からボランティア皆さんが献身的にまた働いてくれる。あるいはまた関係行政の皆さんも不眠不休で頑張ってきておる。そして全国から支援の手が差し伸べられるし、各国々からも支援が届く。こういう状況を見ておりますと、これはやっぱりあの廃墟の中から日本が今日の日本をつくり上げたあの気持ちというものはまだやっぱり生き生きと生きているなということも思いますけれども、私はそういう現状を考えた場合に、今我々がしなきゃならぬことは何かといえば、やっぱりそういう生活をして耐えておる方々にあすへの希望を与える、元気を出していただくということのために何をしなきゃならぬかということを真剣に考える必要がある。  それは何よりもやっぱり環境の整備をして、瓦れきの処理処分もするし、同時に復旧と復興を精力的に取り上げて、もう二度とこんなことを繰り返すことのないようなそういう新しいモデル都市をつくり上げていくということが私どもに課せられた当面の最大の課題ではないかというふうに考えておりますから、したがってそれをやり遂げるということに今は全精力を投入していくという決意でありまして、総辞職をするとかそんなことは今は考えておりません。
  171. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私は総辞職という言葉は使っておりませんが、総理のこれはお考えの問題でございますから、私は私なりの意見を申し上げ、お考えを伺った次第でございます。  大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、今回の大震災は当然ながら膨大な資金を要求いたしますが、大臣も関西の出身、私も関西の人間でございます。関西弁で言いますと、被災地皆さん初め自治体の職員の方は、もうぐじゃぐじゃ言わんと要る金は要るのやからそれを出してくれや、それで借金を返すのは後で考えてくれたらええやないか、このような考えが偽らぬ気持ちではないかな、こう思うのでございます。  大臣は、短期、中期、長期に分けて資金需要、もし出せましたら、今、大体幾らぐらいだというふうにお考えか、教えていただけませんか。
  172. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) これだけの大きな災害でございますからやはり通常の感覚とか判断を超える大きさだと思っておりますので、ごしゃごしゃ言わずに出すもんは出したらええやんかいと中村さんおっしゃいましたけれども、ごじゃごじゃじゃなしに、それは出さなきゃならぬものはもう惜しまず出さなきゃいけないという決意で私どもも対応をさせていただいているつもりでございます。  資金需要そのものはまだきちっとしたものが上がっておりません。しかし、新聞社にしましても民間のシンクタンク等によりましても、さらには地元兵庫県も一定の被害総額を発表されておりまして、私どもはこういうものを参考にしながらそれなりに勉強をしているところでございますが、実際は今、担当官、大蔵省じゃなしに各省庁の担当官が、港湾は運輸省、高速道路は建設省、そして現地で被害状況を精査されながら、学校だけでも何千という数になるんだそうですね。学校、社会教育、文化財を入れると四千五百だという文部大臣の御報告を伺ったことがありましたが、そういう数に上りますから、それぞれ一つ一つ精査をして集計をして各省に上がってくる。それを財政当局に出していただくわけですが、まだその数字はきのう現在ではどの役所も上がってきておりません。一生懸命今数字をそろえている最中だと思うんです。  第二次の補正予算ですらそれをじっと待っておりまして、上がってくればもうこういう事態でございますから積極的に、まず規模そのものは、ある意味では財源論抜きになりますが、目をつむって組まなきゃいけないという姿勢です。  しかし、当然次は財源をどうするかという議論がありまして、これはもう国会議員の各位もいろいろ御心配をいただきながら御発言もいただいているところでございますが、要るものは要る、どんどんやるべし、これはもう共通した皆さんの意見です。増税は反対とおっしゃいますとどうなるかというと、じゃ借金がどんどんとたまっていく。またその道を選ぶべきか、いやもっとそこは工夫しようじゃないかと。  おっしゃるように、国民の皆さんも連帯感を持ちながらこの事態に対して何かできないだろうかという気持ちを持っていただいているときに、一番安易な道だけを選んでいいのか。じゃこれはこういう形で工面しよう、やりくり算段まずやろうと。あるいは既存の予算でも補正、今の段階で一千万ちょっとの予備費がございます。新年度は三千万の予備費がございます。これはもう目をつぶって充当しようとか、あるいはさまざまな当初予算も含めてやりくり算段をどうするか。そういう中でやはり工面をしながら、財源をどうするかということをむしろ国会、与野党を超えて真剣に詰めさせていただきたいというふうに思っております。
  173. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今のお言葉の中で、私がごしゃごしゃ言わんと要るもんは出したらええやないかというのと表裏一体といいますか、要るものは目をつぶってでも出さなきゃいけない、こういうお言葉がございまして、大変その部分については心強く思っております。  武村大臣、赤字国債、建設国債の発行、これは今のところどうお考えですか。それから自治体が復興の宝くじを出すことについてはどのようにお考えでございますか。
  174. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 財源は、今も申し上げたそういう考え方に立ちまして、これも枠をはめないであらゆる可能性を真剣に求めていきたいと思っております。  宝くじは自治大臣の方で所管をされております。  赤字国債、建設国債というのは、結局、通常のものは六十年償還の債券でございますが、結局六十年かけて金利を含めて国民の皆さんの御負担で償還をしていくものでございますね。だから何がいいか、また何が一番まじめか、あるいは国民の皆さんが御支持をくださるか、その一点でお互いに真剣に最終の結論を目指して議論をしていきたいというふうに思っております。
  175. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 自治大臣、宝くじはいかがでございますか。
  176. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 兵庫県及び神戸市の意向を承りながら、関係府県で構成する宝くじ協会において現在検討をいただいておるところでございます。  それぞれ今回の地震の深刻さを考えて、関係機関の御理解もいただきながら本日あたりには結論を出して、四月ごろにはその宝くじの販売ができるような方向で貢献をしていきたいという御意向をいただいております。
  177. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 次の質問ですが、特殊法人の見直しを含む行政改革、これはきっちりやっていただかなきゃいけない、こう思うんでございますが、聞こえてくるところによると、大蔵省は、それはこんな危急の際に日本開発銀行を統合する、そんなことはできることじゃないし、それから例えば建設省の方からは、阪神高速道路があれだけの被害を受けているんだから、阪神高速道路の民営化なんかはとんでもない話だと。そういう点で特殊法人の見直しとか行政改革はもうこれはできないものだというふうな声も聞こえないではないわけでございますが、十日にまとめる予定でありました政府案、これは今どのようになっておりますでしょうか。
  178. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 現在、各省庁において特殊法人の見直しを進めていただいておりまして、十日の日にそれぞれぎりぎりの検討結果を総務庁に御報告をいただくという状況になっております。
  179. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは、じゃ中間報告にとどめるんですか。それとも、今ぎりぎりとおっしゃいましたが、これは一つの最終的な結論を十日には報告されるという意味ですか。
  180. 土屋勲

    政府委員(土屋勲君) 政府の側といたしましてはぎりぎりの検討結果を求めているわけでございまして、できるだけその線で最終的なまとめをしたいというふうに考えているところでございます。
  181. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 総務庁長官がおられるとよかったんですけれども、おりませんから私の方からお答えしたいと思いますけれども、これは、特殊法人の問題それから規制緩和の問題等々は、この内閣の最重要課題として取り組んできておるわけです。  いろんな意見がございます。ございますけれども、御指摘の特殊法人につきましては、各法人の設立当時の原点に立ち返ってその事業の役割あるいは意義等を改めて点検をして、行政の減量化と新たな時代の要請にこたえる総合的、全般的な見直しを今やっているわけです。そして、できるだけ統廃合、それから事業、組織のスリム化等を進めてこの結論を出したいというふうに考えておりますから、二月十日に各省で詰めた報告をいただいて年度内に結論を出すということについては変更はございません。
  182. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは総理、本当にしっかりとやっていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  武村大臣もさきがけの党首でもございまして、さきがけは随分御熱心と伺っておりますが、これが後退することのないようにひとつお願いを申し上げておきたいと思います。  神戸には、兵庫県下に在日韓国人・朝鮮人の方はおよそ二十九万人と聞いております。それで、今回まことに激甚な被害を受けました生田、長田区にはやっぱり十万人以上の在日韓国人・朝鮮人の方がいらっしゃると聞いているわけです。  きのうテレビをたまたま見ておりましたら、その長田区在住の在日韓国人の方が非常に心配をしておられました。  そこで、このような在日韓国人・朝鮮人の方々が心配をなさらずに済むように、今回はその補償において、仮設住宅の入居において、あらゆる面で日本国籍を有する人と全く同じような差別のない対応が望まれるわけでございます。その点についてひとつ総理からはっきりとした御答弁をお願い申し上げておきたいと思います。
  183. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 私は、これはテレビで見たわけでございますけれども、今、被災された皆さんが集団で生活しています。その集団で生活する中で、もう韓国人であろうと朝鮮人であろうと日本人であろうと、そういう隔てなく助け合って、協力し合ってやっておるという実態なんかが放映されましたけれども、私はそれがそのままの姿だと思います。  政府が扱う扱い方について一切の差別はございませんから、その点は明確に申し上げておきます。
  184. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今のお話を伺いまして大変安心をいたしました。この点はひとつよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、今回外国からの援助が随分たくさん申し込みがあったわけでございますが、まずこの援助の件数とその内容がどのようなものであったかを、大臣、教えていただけますか。
  185. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 今回、災害直後から世界各国からお見舞いの温かい言葉、さらには大変優しい支援申し出、そういうものをいただきました。七日までに六十九の国・地域及び国連つまり国際機関、そういうところからいただきました。さらに先ほどからお話がありますように、NGO、これはもう国籍を超えて世界各国からNGOが集まってくる。あるいは民間の方々、さまざまな国の民間から支援申し出をいただいております。  そして、その申し出の中身でございますけれども、非常に大きく大別いたしますと、災害直後にいわゆる災害援助隊のような、つまり人的支援申し出てくださった国々、それから物資を届けましょうとおっしゃっていただいた国、あるいは義援金を届けてくださった国、つまり人の支援、物の支援、お金の支援、こういうふうに分けられるかと思いますが、それぞれ大変ありがたい支援だと思って心からお礼を申し上げているところでございます。
  186. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは報道されるところによると、例えば一例を挙げますと、イギリスがいち早く、一報を受けて三十分ぐらいして助けに行きたいということをロンドンの大使館に申し入れた。ところが、それを受け入れるという返事は二日後で、それも大変ありがたい、すぐ来てくださいというのじゃなくて、どちらかといえば来ていただいても結構でございますというような返事であった、こういう報道を私はテレビで目にしたわけです。  それ以外にも外国の実際に来られた方の中で、日本政府の対応がもう一つであったとか、せっかく行ってやろうと言ったのにもう一つ積極的な返事がもらえなかったとかいうようなこと、あるいはその返事が行くまでにちょっと時間がかかり過ぎたと、そういう意思決定のシステムというんですか、受け入れを決めるための。  それで、各方の連絡とかこういうことにつきましては、河野大臣、私はこれまで日本は割に外国に対して援助をすることが多くて皆さん富んでおられたと、こう思うんですね。今度こういうような未曾有の災害が発生して、外国の人たちからすれば、これまで日本から随分助けてももらっているんだから今度は我々がお返しをする番だと、いわば非常に積極的に言ったのに、もし仮にその受け入れが時間がかかったり返事がもう一つどうぞというものでない場合は随分失望をされ、その点について不満も漏らされていると、こういうことを聞くわけでございます。  どうなんでしょう。そのような申し出があれば、私は、これは最初の窓口は外務省でありますから外務省が、結構です、どうぞ来てください、ありがとうございますと、そういう返事をしておいて、後は例えば検疫の問題であるとか入国の問題であるとか関係省庁への連絡等々は、それはしかるべきその衝にある人がそういう障害を取り除いていくのが順番じゃないかと思うんですが、その点について外国にもし失望を与えたとすれば、今回のこと、援助の申し出で、その辺も含めてひとつ大臣に御答弁をお願いいたします。
  187. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 確かに地震発生当日に、私の記憶に間違いかなければ六カ国からまことに迅速な支援申し出をいただきました。翌日からさらにその支援申し出はずっとふえたわけでございますが、地震直後にいただいた申し出については、三十分というのは私は記憶しておりませんが、十七日じゅうにいただいた申し出についても、これはその申し出の内容を現地に確認して、やはり現地の対応できるものとできないものとございますから、現地にその旨連絡をするわけですが、十七日の例えば地震発生後半日ぐらいたっても、現地の状況を考えればそれはとても正直言って対応できる状況ではなかったというのが正直率直なところでございます。  今のお話の中に検疫という言葉がございました。恐らく犬の検疫のことが若干新聞で話題になりましたので、そのことを指しておられると思いますが、もし救助犬の検疫の問題で救助犬の要請がおくれたのではないかという御趣旨であるとすれば、そうしたことは全くございません。私と農水大臣との間で検疫の問題についてはお話をして、これは農水大臣の大変な決断でございましたけれども、本来、犬が入ってくるときには二週間程度の検疫が必要だという、たしかそんな話なんでございますが、この場合は農林省は、結構です、そのままどうぞ、ストレートで入れますというお話があって、検疫にひっかかったということはございません。  ただ問題は、関西空港まで飛行機で一飛びで来るんですが、関西空港から現地までどうやって行くかという問題は、これは実はなかなか難しい問題でございます。だれかがやっぱり関空へ迎えに行って、そしてヘリで送るのか、あるいは陸路を行くのか海上を行くのか、そこらのアレンジをしてそして現地まで行くという段取りはやっぱりつけておかなければならないわけでございまして、そうしたことについて理地の対応というものを確認するということが必要であったことは事実でございます。
  188. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今後について。
  189. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) それで、確かに議員がおっしゃるように、我々は支援をするという経験はたくさんあるわけですが、支援を受けたということはこれまでそう多くございません。したがって、この対応をどうするかということは今回貴重な経験をいたしました。この経験はやっぱりむだにしてはならぬと思います。  もう一つ申し上げれば、今回、外国からの支援の対応で我々がやっぱりこれは考えなきゃいけないと思ったことは、NGOの方々に対する対応でございます。国と国とは、そうやって話をして一応現地の状況も確認してどうぞ来てくださいというときには関空まで来てぱっと現地まで届けることができたわけですが、NGOの方々がそれぞれ来られた場合にはその受け皿をどうするかという問題があって、その受け皿についてもやはり我々はもう一つ考えなければならないことがあるのではないかということがございました。
  190. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 先日、三日でございますが、兵庫県が小里大臣に緊急要望書を提出いたしまして、幾つかの中に、住宅ローンの帳消しをしてもらいたい、これを政府で対応してもらいたい、こういう緊急要望があった。  長年かかってやっとマイホームを手に入れた、残債があと二十五年残っている、しかし家は壊れた、壊れた家にはもう住めない、住めないが残債は払っていかなきゃいかぬと。これは余りにも過酷であるから、ひとつ政府におかれてはよろしく御配慮を願いたい、こういう兵庫県からの緊急要望が来ているわけでございます。  例えば、あれは十五世紀でございますか、足利時代に徳政令というのが何回か公布されて、あらゆる借金の証文は帳消しにするというようなことも既に六百年以前にやったわけでございますが、こういう要望について小里大臣はどのようにお考えでございますか。
  191. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 確かにそのような要請があったことは事実でございます。もちろんのこと、検討をいたしました。  その結果を申し上げますが、先生も御承知のとおり、この住宅ローンもいわゆる民間におきまする債権債務関係であることは間違いないわけでございまして、そのような性格にかんがみまして、これをいわゆる金融機関に対しまして、金融機関といえどもまた預金者から預かっておりまする言うなれば公金でございますから、そのような場合に強制的に先生がおっしゃるような帳消しを要請するということは妥当でない、さように私どもは判断をいたしたわけでございます。  したがいまして、民間金融機関等に対しましてもでき得るだけ先生のお話のような趣旨に沿い得るようなひとつ対応をお願いしたい。さらにまた、政府系金融機関、例えば住宅金融公庫等におきましては、十分とは申し上げませんけれども、それぞれ幅広く対応方を決定いたしまして既に御通告も申し上げ、そしてまたこの活用が始まっておる実情でございます。
  192. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 何というんですか、法律というものはきっちりと規定されてありますね。我々は行動する場合には法律の枠内でしか行動できないのかもわかりませんが、法律を運用するものは人間でありますから、その運用に当たっては弾力的な考え方があってしかるべきですし、それからまた、もし現実の状況にそぐわないものであれば、新しい法律をつくるとか法律を改めるとか特例法をつくるとか、そういう手段もあるわけでございますので、兵庫県からこのような切実な要望がされたということは総理初め小里大臣も念頭に置いておいていただきたい。  次に、今回、多くの町に災害救助法が発動されました。しかし、大阪府でもこの災害救助法の適用除外の町、現実には茨木市とか高槻市とか、こういうところで実は家が半壊しているところがあるわけでございます。これは地元から私の方に報告があったんですが、例えば茨木市では半壊家屋が二、高槻では半壊家屋が十一と、こういう報告がございます。  今回は特例をもちまして、災害救助法の適用の市町においては家の取り壊しの費用も撤去の費用もこれ全額国と市が負担をする、このようにお決めをいただいた。このことは大変結構でございますけれども、高槻で半壊十一、茨木で二、こういう人たち、現実にはマンションを経営しておられまして、そのマンションが半壊いたしまして、これ撤去の費用が見積もりさせますと八千万円かかるというんですね。取り壊しと撤去ですよ。その人からすれば、市境を越えた瞬間に全額持ってもらえるところと全額自分が負担をしなきゃならぬでは余りにも殺生だと。これは当然の声だと思うんですが、この点につきまして担当大臣初め関係の方の御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  193. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 今お話しの問題につきましては、災害救助法の適用を受けましたのは現在十六市十町でございます。ここにつきましては、今までの委員が御指摘の瓦れきの処理につきまして措置をいたし、さらに国庫補助の引き上げ等について要望をいただき、あるいはこれの取り扱いにつきまして地方公共団体の行います災害債の元利補給等につきましても私ども配慮をしておるところでございます。  それ以外の市町村において損壊家屋の解体処理というのは、私はほとんどこの今申し上げた中でカバーができると考えておるわけでございますが、特に財政負担が当該市町村の財政に影響を与えるということでありますれば、これはそれぞれ当該関係の市町の私は事情をよく伺った上で、当該団体の財政運営に支障の生じないように自治省として必要な措置をとってまいりたいと存じております。
  194. 坂野重信

    委員長坂野重信君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  195. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 速記を起こして。  申し上げます。  先ほどの中村鋭一君の発言中に不穏当と認められる言葉があるとの指摘がありました。委員長といたしましては、後刻理事会において協議して適当な処置をとることといたします。
  196. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今、自治大臣の御答弁の中で、やはりそういった適用除外の地域については十分な配慮もあり得るというふうな御答弁と理解をいたしました。  それからもう一つだけ申し上げておきますが、全壊、半壊ですが、全壊はわかりますけれども、半壊の基準が随分、これは地方自治体がしているんですけれども、どこまでが半壊で一部損壊なのかという基準が現実には適用があいまいな部分があるんです。しかし、皆さんからすれば、半壊というふうに判断をされれば罹災証明が出る。じゃ義援金から十万円いただける。一部損壊ならばそれが出ない。あるいは撤去、取り壊し等の費用についても同じことがございますので、この点はひとつしっかりと、厚生省におかれても関係省庁におかれてもその点はやはり被災された住民の方の身になってやっていただくようにくれぐれもお願いを申し上げておきたいと思います。
  197. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えをいたします。  災害救助法の運用において全壊、半壊の基準はきちっとできてはおります。延べ床面積七〇%以上の損壊を全壊、延べ広面積の二〇%以上七〇%未満の損壊を半壊としておりまして、これらに該当しない一部破損とは基準上明確に分かれておりますし、全壊、半壊の具体的内容についても判定の基準を実は昭和四十三年内閣総理大臣官房審議室長からきちっとした認定のあれが出ております。  ただ、被害認定作業におきましては、建築技術職員の指導のもとに市町村職員あるいは消防職員の皆さんがこれに当たりその公正を期しているわけでございますが、地元自治体は職員数など認定体制も十分でないことも事実でございまして、混乱が生じているようなことを私も昨日のテレビなんかでも見てはおりますし、それから二割という、どこかで線は引かなくちゃならぬわけですが、そのぎりぎりのところはどこへ引いても大変難しいことは予想されるわけでございます。したがいまして、被災者皆さん方と十分お話し合いをしながら認定していくよう今後とも地元の自治体を指導してまいりたい、こう考えております。
  198. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 よろしくお願いします。終わります。  関連質問足立君から。
  199. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 関連質疑を許します。足立良平君。
  200. 足立良平

    足立良平君 足立てございます。残りの時間、私の方で関連で質問をさせていただきたい、こう思います。  ちょうど私は一月の十七日に、たまたまと、習ったらなんですが、自宅が明石にありまして、震源地から大体距離にいたしますと四キロ前後くらいだろうと思うんですが、総理、実は大変な揺れでございまして、マニュアルからすると、例えば揺れがあれば机の下に潜り込めとか、あるいはガスを切りに行けとか、あるいは逃げるドアをあけに行けとか、マニュアルは私、頭で承知しているんですが、突如にどかんと来たときにばっと日が覚めて、何が起きているのかわからないし、そのうちにがしゃがしゃどかんと、こういう大変な状態のときに、本当に人間というのは予定どおりにマニュアルどおりに行動するということは、頭ではわかっているんだけれども体ではなかなかついていけないものだということを私、改めて実は感じました。  今回の政府の取り組みの問題で、先ほど来いろんな問題がございます。そしてマニュアルもあったんでしょう。そしてそれは、予想よりも大変震度も大きいというんでしょうか、そういうふうなところでそのとおりに全部やっていけるかどうかということになると、政府もこれはほとんどできなかったかもしれない。あるいは地方自治体においても、兵庫県の知事が、マニュアルはあったけれどもそのとおりには我々はできなかったんだということをおっしゃっている。ですから、これからの地震対策として私は、そういう面ではもっともっと我々自身も、私自身もこれは考えていかなければいけない問題なんだなと、改めて実はそういう観点で反省もしながら、そしてまたきょうの質問をそういう点でさせていただきたい、こう思います。  私は、総理の責任であるとか政府の責任だとか、これはまた別の場所で機会を設けてゆっくりとやらせていただきたいと思います。きょうはちょっとそういう場所ではないと思うんです。ですから、それは改めての問題にさせていただきましょう。  ただ、私は総理にもう一度、先ほどもちょっとおっしゃっているんですが、今回の地震の後、地方自治体もあるいはまた警察も自衛隊も、それはいろんな指示の問題はあったかもしれません。あるいはまた今日も、例えばガスの作業員の皆さん方は八千名から全国から集まって今作業をやってくれています。あるいは水道の皆さん方もやってくれています。もちろん警察もやっている。あるいは電力の方も大変な苦労をして、まさに不眠不休でこの災害のまず復旧ということで大変な努力をしてきている。  そういう点を考えてみますと、これは自衛隊の皆さん方もよく頑張ったんですが、例えば警察の中でも千百五十個くらい、まあ約千二百個くらいなんでしょうが、ひつぎづくりまでやっているんですよ、警察の学校の諸君が。あるいはまた、ひょっとしたらわかりませんけれども、過労で心筋梗塞で倒れて亡くなった人もいる、警察官であるいはまた、電力の方でも作業中に交通事故で、単車でだあっと走り回りますから、一般の交通渋滞でそういう事故も起きている。あるいは今、ガスを早くつけないといけない。ライフラインとあれほど言われたわけです。本当にやろうということで一生懸命頑張っていますと、交通渋滞でどうにもこうにもならない。まずその現地へ行くことができない。行けばこれはやっぱり道路を掘り返さなきゃいけませんから、そうすると今度はさらに交通渋滞を巻き起こしている。そうすると、これは作業がなかなか進んでいかない。  こういう大変な厳しい条件の中で、これは自治体の職員もあるいは警察も自衛隊も、もちろんガスも水道も電力も、あるいはまたその他の例えば流通に携わっているような皆さん方も大変な努力をしながら今やっているんだと。  私は、そういう点でいろんな総理としての責任とか、私はこの十七日から総理の、十七、十八、十九、二十ですね、総理が表に出された日程表をちょっと見せていただいても、若干この震災に対して、現場ではこれほど苦労してやっているけれども、本当にそのとおりのレベルでやられたのかどうかというのは、私はこの日程表から見るといささか首をかしげるんですよね、総理。  それも含めましてその点だけちょっと、特に現場の皆さん方のそういう苦労についての総理の考え方を再度お聞きをしておきたいと思います。
  201. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) これはたびたび申し上げておりますように、何といっても五千人を超すとうとい生命が亡くなった、しかも被災者の数も三十万ぐらいおられたと思うんですけれども、今この避難生活をされている方はおかげで二十四万弱になったというふうに聞いていますけれども、しかしいずれにいたしましても想像を絶する大惨事になってきておる。このことについてはやっぱり重く受けとめて、厳しく見直しをするということが何よりも必要だというふうには思っています。  同時に、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現地の状況を見ますと、これはもう県の職員も市の職員も消防署の皆さんも警察の皆さんも、こういう災害に携わらなきゃならない方々がそれぞれやっぱり被災者になっておるわけですね。しかも、その中枢機能がやられた。交通は渋滞するし、火事があっても水が間に合わない、消防車が間に合わない、こういう悲惨な現状になっておる。その中で、何とかやっぱり救援しよう、人を助けようといって不眠不休で頑張っておる関係者の皆さんにはもう本当に頭の下がる思いで、心から感謝を申し上げておるところであります。  今、あなたが御紹介になりました私の日程というのは、恐らく新聞に出ているものをお話しになっていると思うんですね。しかしそれは、これはこんなことを私が申し上げて気が済む問題じゃありませんけれども、しかしもう朝から晩まで官邸でも公邸でもその日程の中に出ていないいろんな会議があったり話をしたり相談をしたりなんかしていることについては御理解をいただきたいというふうに私は思うんですね。  ただ、初動期における対応が十分であったかと、もしこうすればもっとこうなったではないかというようなことは、結果からいろいろ指摘される点は私はたくさんあると思いますから、そういう点はやっぱり謙虚に耳を傾けて、率直に直すところは直すという態度が必要だというふうに思いますし、今は何よりもそういう方々に対してこたえるためにも、今やらなきゃならぬ救援対策に万全を期しながら復旧と復興に全力を投球して、そして少しでも今苦難な道を多かれている難儀をされておる皆さん方に元気を出していただけるようにしたいものだと、こういう気持ちで一生懸命に取り組みたいというふうに思っているところが私の心境であります。
  202. 足立良平

    足立良平君 それでは具体的にちょっとお聞きをしてまいりたいと思うんですが、もうきょうは朝から、まず今となりましてはこれは被災者の希望というのは、震災が起きたときには、まず例えば食べ物とかいろんなことがある。それは日がたつによってどんどんやっぱり変わってまいりますから、きょう話がありましたように、まさに仮設住宅を含めた住宅の問題だと。ですから、この仮設住宅を含めた住宅の問題はもう既に出ましたから、きょうはちょっともうこれは私は外しておきます。  それで、ただ一つだけ、これは厚生大臣になりますかね、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、災害救助法に基づいて住宅の応急修理というような項目がありますね。これは実は条件が割合厳しいわけでありまして、実際的には住宅の応急修理の対象となるものは半焼または半壊だということが一つ。それからもう一つの条件は、みずからの資力をもってしては応急修理ができない者というのが一つの条件に実はなっています。これは余りほとんど今まで適用されていないんではないかと思うんですね。  ただ、例えば仮設住宅二戸建てるに当たって、これはコスト的にいうと平均すると約二百二十万くらいだろう。約二百万強だと。応急のいわゆる自宅の修理をするということは、実際には二十九万五千円の今のなにでありますから、これは実際二十九万五千円ではほとんど意味はないかもしれない。これは増額してもらいたいと思うんですがね。  しかし少なくとも、先ほど来自治大臣も答弁で話をされていましたように、なるべく自分の命まで住んでいたところに住み続けたい。そしてまたそれは、仮設住宅というのはとりあえず半年ごとで二年が限度だということになってくると、コスト的に見てもあるいはまた被災者の方から見ても、例えばこういうふうな、既にこれはもう災害救助法の中にあるわけでありますから、これを使って、そしてこれは結果としては政府が持ち出す金額というのは少なくて済む、財政が厳しい中で。というふうな私はこういう弾力的な運用を、あるいはまた法改正をしなきゃならぬのだったらしてもいい。  要は、これはもう民間企業の場合には本当にどれだけコストを低くするのかということがもう大前提でありますから、政府としてもそういうふうな観点で、これは単に個人の資産を政府から金を出すのがいいとか悪いとかというのは別としても、そういう視点で物を考えていくということが私は必要だろうと思うんですが、この点ちょっと厚生大臣、いかがですか。
  203. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) お答えいたします。  災害救助法の中には、先生今御指摘のような、救助の一環といたしまして都道府県知事は住宅の応急修理を実施できることとされておりまして、二十九万五千円ですか、それが限度ということになっておりますが、これは現金支給じゃございませんでして、現物支給といいましょうか、本当に日常生活上欠くことのできない最小限の部分を修理してさしあげるというような制度でこの程度の額が計上されておるわけでございます。  したがいまして、今回の大災害のときに正直のところそんなに役に立つというふうには私も思いませんが、しかしこれも利用していただくことはできるわけでございますし、さらに大規模な修理を必要とされる方々についてはほかに災害援護資金などの資金の制度もございますから、そちらを有効に活用していただくよう地元自治体にも十分連絡をとって指導してまいりたいと、こう考えております。
  204. 足立良平

    足立良平君 これは厚生大臣、私はこの法律があるから援用するというのはこれは私は当たり前の話だと思うんですよ。むしろ政府としてこれから予算的にどうするかというときに、増税するのかしないのかといういろんな問題、国債、赤字国債も含めてある。そうすると、どれだけ効率的にお金をこれから使っていって、しかもそれは被災者の側から見て一番望ましい形にするのかというのを政府としては考えるのは当たり前だ。  そうすると、これは二十九万五千円の金額ではなしに、極端に言うたら二百万くらいまでこれを増額して、仮設住宅にこの人たちが入るよりもこっちへ入ってもらった方がかえって私は逆に言うたら二十万か五十万ぐらいは政府はプラスになる。国民の税金が安く済む。私はそういう発想がこの政治の場所にも当然必要なのではないかというふうに申し上げています。これは次の特別立法等の問題に私は譲りたいと思いますから、それ以上はきょうは申しません。それだけ申し上げておきます。  それからこの仮設住宅を含めまして避難生活というのは、考えてみるとまだ相当長期にわたる。しかもこれは、学校とか、あるいはまたテレビでも報じていますように、テント生活をまたこの外の寒いときにやっているわけです。ですからそういう面からすると、これはいつどういうふうにするか、この住宅を確保できるのかということが私は本当に喫緊の問題で、この前、先ほどの質問の中でも厚生大臣ははっきりとそのことをおっしゃっておりませんでした。ですから、今、私が聞いても具体的には答弁ないと思いますので聞きません、もうこれ以上。  しかし、これは早急に申し上げておきたいと思いますが、いつまでにこういうふうに全員の被災者はきちんと入ってもらうようにしますということをきちんとやっぱり政府は出していきませんと、これはああいう極めて大変な条件の中で生活している人たちは不安になる。ですから、これはもうあえてそのことだけ申し上げておきたいというふうに思います。  それで次に、自治大臣にちょっとこれは考え方をお聞きしたいと思うんです。これはボランティアの問題です。  これは参議院の平成会の方もボランティアの問題に関して議員立法で出したいということで、既に今、研究に入っています。ですからこれはまた後の問題なんですが、私が申し上げたいのは、今回の震災を通じて考えてみますと、先ほど総理も答弁ございましたけれども、神戸市に住んでいる人だけではなしに、神戸なり県庁の皆さん方は他府県からもどんどん通勤しているわけです。大変にこれはもう遠距離通勤を今やっている。そうすると交通が完全に遮断してしまったときに、これはもうそこに出てくることができないわけです。  そして、今回の行政能力からいたしますと、ボランティアなくして私は今回の震災の対応というのは不可能というふうに思うわけでありまして、そういう面からすると、私はこのボランティアというものをこういう場合の行政の中に組み込むといったら、自発的な問題ですから組み込むというのはおかしい話で、表現ちょっと悪いかもしれませんが、やはりもうちょっと連携をきちんととってやっていくような対応が私は必要なのではないか。あるところでは、もう結構ですよボランティア、ややこしいですから、指揮命令がばらばらになりますからというふうなこともあったやに私は兵庫県ですから聞いたりするわけでありますけれども、そういう面でちょっとこの点は、いわゆるシステム的にそういうボランティアを受け入れるような状態を私は地方行政としても考える必要があるんではないか、こう思うんですが、いかがでしょう。
  205. 野中広務

    国務大臣(野中広務君) 委員から御指摘ございましたように、今回の震災におきまして、災害発生時から多くのボランティア関係皆さん団体、個人を問わずに被災地に来ていただきました。一月二十九日現在で神戸市で登録していただいたのが七千二百人でございます。そして、西宮市で五千四百人、芦屋市で二千人、伊丹市で六百人という大変多くの皆さんが連日悪条件の中で御協力をいただき、わけても医師の方、看護婦の方、あるいは建築土木の皆さん、通訳の方あるいは運搬の方、クリーニングの方、こんな皆さん方が数多く来ていただきました。  私どももこの活動を心から感謝いたしますとともに、地方公共団体では今まででも、ボランティア活動に関しましてそれぞれのボランティア皆さん方の活動は制約するわけにはいきませんから、ボランティア団体の登録とか連携、こういうものについて窓口を設けておるところが都道府県でたくさんあります。私ども今回の災害に果たされた多くの役割、活動の実績を見ながら、これからも十分地方公共団体関係団体との連携の検討を今回の震災にかんがみてしていかなくてはならないということを痛感いたしました。  今後、関係地方公共団体と一緒にこの問題を検討させていただきたいと存じております。
  206. 足立良平

    足立良平君 これは早急に検討をひとつしていただきたいと思います。  では次に、これは産業の復興への援助の問題、あるいはまた雇用問題等を中心にちょっとお聞きをいたしたいと思うのであります。  何といいましても、復興し、活気をさらに取り戻していこうといたしますと、雇用の継続というのはこれはもう言うまでもないわけであります。きょうの読売新聞にも実は出ているわけでありますけれども、二月六日現在でありますけれども、三十六社で二百六十六名の内定取り消し、これは新卒者でありますね、内定取り消しの問題が出ている。これは大企業といいますよりも中小企業を中心にそういう人が出てきている。  そういう面では労働大臣も、就任以来、私はずっといろんな議論をさせていただいておりまして、この雇用の継続というのは第一に考えなければいかぬということを常々おっしゃっておりますから、いろんな点で私はその考え方というのは全面的に賛成でありますし、それを進めていただきたいというふうに実は思っている一人でございますが、そういう面で、この雇用の継続の問題についてちょっと労働大臣の考え方をお聞きしておきたいと思います。  それから一緒になってちょっと申しわけないんですが、これは通産大臣にお聞きした方がいいと思うんですが、神戸の地場産業、ケミカルであるとかいろんな産業が実はございます。これは考えてみますと、今、例えばケミカル一つとりましても、ゴム産業ですね、大体一〇%くらい輸入品がどんどん今ふえてきている、ゴム靴とかいろんなもの。そうしますと、今回の大変な震災を受けて、そして今、工場としても再建しなきゃならない。これは通産大臣が本院で答弁されておりますように、例えば仮設工場の問題であるとか、あるいはまた特別の賃貸料の問題であるとか、あるいはまた災害復旧の貸付金のいわゆる無担保の問題であるとか、私はこれはもう本当に思い切ってやっていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思うんですが、同時に企業が再建をいたしませんと本当のところ労働者はどうにもならない。  しかもそれは、今日の円高の状況でありますから、いっそのことこれだったらもう神戸でもう一度再建するよりも、同じ費用があるんだったらどこか向こうに打っちゃおうよと、海外へ。いわゆる空洞化の問題がこの災害を契機に一気に進んでいく危険性が私はあるんではないかと。そういう面では、この産業構造等なり産業の復興、復旧というものと雇用の問題というものは切っても切り離せないものである。したがって、そういう観点からもちょっと通産大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  207. 浜本万三

    国務大臣(浜本万三君) お答えいたします。  雇用の継続という問題について四点ほどございますので、御報告をいたしたいと思います。  特に新卒者の内定取り消し問題につきましては、今、議員からお話がございましたように、二月七日現在で三十六社、二百六十六人の新卒者にかかわる採用内定の取り扱いについて相談があったと、こういうことでございまして、取り消すというところまでまだ行っていないということを御報告しておきたいと思います。しかし、深刻な事態であるということを受けとめております。このため、内定取り消しの回避に向けまして事業主を指導しておるというのが現在の状況でございます。  先般も事業主団体の責任者の方にお目にかかりまして、内定取り消しをしていただかないようにということを強くお願いいたしたところでございます。事業主の方も我々の要請につきましては快く、できるだけ内定を取り消さないようにする、そのかわり労働省もしっかりと雇調金で支えてくれと、こういう御意見でございました。  また、内定取り消しにかかわる問題といたしましては、もし新卒者の採用後休業に入る企業があるかもわかりません。その事業主の皆さんに対しましては、雇用維持のために雇用調整助成金を拡大適用をいたしまして、できるだけ内定取り消しをしていただかないようにお願いをいたしておるところでございます。  それから被災地内で雇用の維持を図ろうとする事業主への雇用調整助成金の支給でありますとか、また被災による事業所の休業や、一時的離職により賃金を受けられない方々への失業給付の支給など、いずれも今回特例的な措置を講じさせていただいたわけでございます。私といたしましては、こういう措置を通じましてできる限り離職者を出さないような対策を講じてまいりたいと思っております。また、こうした措置にもかかわらずやむなく離職される方があるかもわかりませんが、その方々に対しましては、全国の公共職業安定機関のネットワークを活用いたしまして広域的な職業紹介をいたしまして、できるだけ再就職の週を支援してまいりたいと思っておる次第でございます。また、空洞化対策につきましては大変私どもも厳しく受けとめておりますので、できれば失業のない労働移転ができますように今国会に法案を提案しておりますので、御協力をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、個々の政策につきまして労働大臣からお答えがございました。私ども、ケミカルシューズを初めとした被災地域に高度に集積しております産業群、これは大企業までを含めましてこの雇用について極めて心配をいたしております。そして、中小あるいは零細の商工業者の方々に対する対応は先刻も御答弁を申し上げましたので、大企業についても何らかの手法を講じていただきたいと関係当局にも御相談を申し上げております。  なぜなら、例えば一つの例を挙げますと、神戸製鋼に関連する下請の方々、数万の方々がおられます。そしてその方々が、仮に御自分の事業所は安泰でありましても親工場である神戸製鋼が立ち上がらなければ仕事になりません。被災の当日から、そうした下請の方々までがその親工場に駆けつけ復旧に努力をしておられる状況であります。こうした方々に対しても雇用調整助成金の対象にしていただきたいということを労働大臣にもお願いを申し上げ、いろいろな御配慮をいただいてまいりました。  委員は先ほど、大企業の海外進出だけではなく、この地震というものが我が国の産業の空洞化を一層促進しないかという御懸念でありましたが、我々は同様の心配を持っております。そして、そのためにもそれぞれの企業が、大であれ中であれ心であれ零細であれ、一日も早く立ち上がれるように全力を尽くしたいと思います。
  209. 足立良平

    足立良平君 今、通産大臣から大変力強い話をいただきました。私も今そのことをお願いしたい。というふうに実は思っておりました。ひとつそういう面で積極的にお願いをいたしたいと思います。  時間があと十四分しかございません。  きょうは震災の問題が中心でございますが、一つはやっぱり、これから予算審議が始まってまいるわけでありますが、いわゆる組み替えの問題なんです。  これは本当にこれからの我が国のいわゆる防災都市、これのモデル都市として神戸をつくり上げていくというのは当然だろうと思いますが、しかしこの種の地震がひょっとするとただいまこの時間に東京で起きるかもわからないんです、実際的に。あるいは名古屋の方なり東海で起きるかもしれない。そうなってくると、これからこの防災都市というものを日本できちんとつくり上げていこうとするなら、それに見合った予算というものをきちんとつくり上げていく必要があるのではないか。そういう面からいたしますと、例えば来年度の予算というものについても本当にこれでいいのだろうかという感じを私は率直に言って持ちますので、むしろこれは組み替えという考え方をやっぱりやっていかなければいけないのではないかというふうに思えてならない。この点が第一点。これは大蔵大臣からちょっとお考えを聞いておきたいと思います。  それからこれは今ちょうど私、横に座っていて都築議員とちょっと雑談していまして、思いつきなんです。ですから、全然何も事前に申し上げてないんですが、総理、九月一日というのは防災の日なんです。防災の日なんだけれども、ほとんどもうこれは形式的になっている。けれども、私は、そういうふうな九月一日がいいのか、あるいはいつがいいのか、一月十七日がいいのか別としまして、こういう日に例えば全国一斉に本当に訓練を徹底的にやるというふうな日をつくっていいのではないか。  私は、冒頭申し上げたように、マニュアルは確かに頭の中にあるんですが、体がついていかない。体がついていかないときにこれはどうにもならない。そういう面では、極端に言うなら今指摘されているいろんな問題点を一緒に、例えば防災のそういうときに訓練をもうある程度やっていく。これは反復しなきゃならない。そういうふうな点で、今ちょっと思いつきで申しわけないんですが、もし総理の方で意見があったらまたお聞きをしておきたいと思います。
  210. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 平成七年度の予算編成を終えまして国会が始まる直前でございましたね、地震は。もう予算案は印刷がほぼ仕上がりかかっているときに地震が起こったわけであります。そして、当初予算と第一次補正予算を提案する形で一月二十日から御審議をお願いしている。  問題は、組み替えとおっしゃるときに、予算審査過程で組み替えをすべきということをおっしゃるのか、そうであればもう物理的には不可能に近い話でございますと私どもは衆議院でもお答えをしてまいりました。  おわかりのように、政府が出したものを一たん下げて組み替え、再編成をしてもう一度提案し直すというと相当な日時がかかります。一部ならいいんですが、各般にわたる事業でございますだけに、第一、第二次補正予算案の数字ですらまだきょう現在大蔵省に各省から上がってこない状況でございまして、私ども二十四日提案を目標にいたしておりますし、ぜひこれは実現いたしたいと思っておりますが、それでもきょう現在はまだ上がってきておりません。  ましてや、新年度にかかわるあるいは復興にかかわる事業費のめどになりますとまだもう少し時間がかかる。そういう状況でございますから、ぎりぎりの新年度夜前の今の時期に組み替えというのはこれはもう不可能に近い話だということで、ぜひ御理解をいただきたい。  実質、新年度がスタートするわけでありますが、しかしこれには阪神の兵庫県南部の災害対策費は入っておりませんから、当然これに組み込まなければなりません。そういう意味で、新年度の補正対応という形で実質組み替えといいますか、で対応をさせていただきたいというふうに思っております。
  211. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 私は、昨年の九月一日の防災の日に埼玉県の浦和市で七都県市が参加をして行われました防災訓練に参加しました。  恐らく九月一日は全国的にやられると思いますけれども、しかしその経験から考えてまいりまして、今度の大地震の状況と照らし合わせてまいりますと、やっぱりもう少し何といいますか、実践的なものが必要ではないかということが一つと、それから広域的に例えば関西なら関西地区が全部参加してやるとかいうような、そういう広域的なものを考えていく必要がある。それから必要に応じてそれぞれ工夫して、画一的にやるんでなくてそれぞれの自治体が主体的になってやっていくというふうなこともこの防災計画全体の中で考えていく必要があるんではないかというふうに思います。  何よりも大事なことは、やっぱり関係者が全部参加をして、できれば民間の企業なんかも企業としての社会的な果たす役割があるわけですから参加していただいて、そして全体としてこの防災に取り組めるような、そういう訓練、仕組みというものをしっかり考えていく必要があるんではないかということを痛感いたします。
  212. 足立良平

    足立良平君 では次に、これは先ほどもちょっと議論があった件でありますが、原子力の安全の問題についてであります。  この原子力、これはちょっと総理の言葉じりをつかまえて大変失礼なのかもしれません。私、間違っていたらまたこれは議事録で後ほど訂正をさせていただきますが。  総理の方は、原子力というのは、太陽光なり省エネルギーなりこれだけで一応これは進めていくのは必要だ、けれどもそれだけでは若干無理なので原発は必要なんだと、こういうふうに私はちょっとここでぱぱっとメモを実は今とりました。  もし私が間違っていればこれはなんですが、私は通産大臣にもこれはお聞きをしたいんですが、やっぱりこれからの日本エネルギー、電力というのは大変ウエートが高い。そして国家のセキュリティーという観点からすると、これはエネルギーもありあるいはまた食糧もあり、あるいはそれは防衛の問題もあるだろう。私は、そういう面ではエネルギーというものをどのように確保するかということは国家のセキュリティーとしては極めて重要だと。しかも、その中における原手力というものは極めて、若干ではなしに極めて大きなウエートを持っているというのは私の考え方としては実は持っておりますが、通産大臣の方の考え、所管でありますので、もしあればお聞きをしておきたいと思います。  それと同時に安全性の問題、今まで絶対安全だと言っていた高速道路がひっくり返りあるいはこれがひっくり返り、そして原子力は危ないんだよというふうな話が今出てくる。  あるいは二月二日に朝日新聞の「論壇」では中山さんという人が、原子炉の耐震設計は四百ガル程度なのに対して今回の地震は最大八百ガルを超えている、したがってこれは危ないと、こういう議論をされている。ところが、これは実際的にはこのガルというなにが、地底、いわゆる一番下までがんと掘り込んだ上でのガルと地表におけるガルとをこれはごっちゃにして議論として安全論議がされている。全く違っているわけですね。  ですからそういう面からすると、いかに原子力が安全なのかというのは、安全ですよと言う、長官、言うだけではなしに、こういうことで安全なんだということがきちんと国民の皆さん方に私は理解をしてもらっていく必要があるんではないかと思いますから、ちょっとその点で後ほど考え方をお聞きいたしたいと思います。  もうあと四分しかございませんので、申しわけないんですが一点だけ申し上げさせていただきたいのは、三月に入りますと甲子園の野球をやる。これは私も今から四十何年前に甲子園というのはあこがれだったんですよ。ですから、今の高校野球というのは私はちょっと華美に流されていささか問題だと思うけれども、しかしあの白球を追って子供たちが懸命に走るあの姿は被災者からすると、よしあんなに頑張っている、私も頑張ろう、こういう気持ちを起こす私は国民的イベントではないかというふうに思えてならぬわけであります。  そういう面ではこれは毎日新聞なり高野連の問題ではありますけれども、これは文部省、始球式をやられるわけですからね、大臣。そういうサイドからもこれは実施ができて、そしてみんなが本当にこれから頑張っていこう、こういうふうな気持ちを起こさせるようなイベントを私はやってほしいものだというふうに思っていまして、その辺のところお考えがあればちょっとお聞きをしたいと思います。
  213. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほど原子力発電の問題で、これは大体需給計画というのは見通しを立てているわけですから、したがって省エネルギーとか新エネルギーがどの程度開発できるのか、これは一生懸命やっていかなきゃならぬと思います。しかし、若干という言葉を使ったかどうかちょっと今、定かじゃありませんけれども、使ったとすれば、これは需給計画があってそしてどの程度不足するということはもう大体計画の中ではわかっているわけですから、もしそんな言葉を使ったとすればそれは私の方の言い間違いですから、議事録を訂正いたします。  それから甲子園の野球の問題ですけれども、今お話がございましたように、これは毎日新聞社と高野連がそれぞれ検討されていると思います。被災された皆さん方に元気を出していただく意味ではそれなりの私は意味もあると思います。しかし、そうではなくて、むしろこんなときだから控えてほしいというような気持ちを持たれている方もあるかもしれませんし、何よりもやっぱり甲子園の被害の状況とか、あるいはまた交通機関とか宿泊施設とか、そういうものもやっぱり関連してまいりますから、恐らく毎日新聞社なり高野連の方でそういう点も十分検討をしながら結論を出されるものだというふうに思いますけれども委員の今言われたことも貴重な意見として私はやっぱりあると思いますから、そういうことも含めて検討してもらいたいものだというふうに思います。
  214. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、総理御自身から再び原子力について正確な御答弁がございました。  私どもは、省エネルギー、さらに新エネルギーの導入というものには全力を挙げて努力をしてまいります。しかし同時に、環境等を考えましても、原子力発電というものにつきましては徹底した安全確保ということを大前提としてやはり進めていかなければなりません。これには当然のことながら国民の御理解と協力を求める必要があります。  そして、少なくとも原子力発電所につきましては、その建設の地点選定の時点から、今回問題になりましたような活動可能性のある活断層のある地域を避ける、そして敷地の周辺につきましても、わかる限りにおいての活断層でありますとか過去の地震の詳細などの調査をいたしまして、想定される限りの安全に留意を払ってまいりました。また、地下を深く掘り込みまして強固な岩盤に固定をするといったことで、建築基準法の三倍の地震力にも耐えるような十分な安全強度を持って努力をしております。  しかし同時に、今回の災害を振り返ってみましても、現在の安全で慢心をすることが許されるものではございません。  通産省といたしましても、今回の地震に関する調査が各方面で進められておりますこと、原子力安全委員会が今回の地震を踏まえた検討会を設置され、耐震設計に関する指針の妥当性についての検討を確認されるということを踏まえまして、こうした調査検討を注視いたします。同時に、通産省自身の中に設置されております原子力発電技術顧問の専門的な御意見も聴取しながら、今回の地震によって得られました知見から、原子力発電所の安全性について参考にすべき視点というものが存在するかしないか、どのようなものがあるのか、こうしたことを確認しながら引き続きより一層の安全確保に努力をしてまいりたいと考えております。
  215. 足立良平

    足立良平君 どうもありがとうございました。
  216. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で中村鋭一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
  217. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、井上哲夫君の質疑を行います。井上哲夫君。
  218. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、新緑風会を代表いたしまして、民主改革連合に所属をしておりますが、総理を初め関係大臣にお尋ねしたいと思います。  まず冒頭、今回の兵庫南部地震により、多くの方が亡くなられました。その方々や御遺族に心からお悔やみを申し上げますとともに、けがをされたりあるいは今なお避難生活を余儀なくされてみえる方々に本当に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  私も三十数年前には伊勢湾台風で被害を受けた経験者でありまして、今回のこの神戸の地震皆さんが大変痛ましい限りであると心から思い、救援活動に一生懸命やっていただいている方々にも感謝を申し上げたいと思います。  さて、まず私、今回の災害に関しましてお尋ねをしたいということは、非常災害対策本部がつくられました。これは当日、国土庁の長官を本部長にしまして、災害対策基本法に基づいて設置をされました。しかし、その後、緊急災害対策本部がつくられました。よく調べてみますと、その後に内閣に村山総理を本部長とする緊急災害対策本部災害対策基本法に基づくものではないそういう本部がつくられたと。  先ほども本岡委員から、この災害対策基本法についてもろもろの直さなきゃならぬところがあるんではないかというふうな御質問もあったわけでありますが、一体この二つの、非常災害対策本部と内閣につくられました緊急災害対策本部、この二つはどういう経緯と何が必要で二つがつくられたのか、総理及び震災担当大臣にまずお尋ねをしたいと思います。
  219. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 先ほどお話し申し上げましたけれども災害対策基本法に基づきまして非常災害対策本部を設置いたしました。これは災害対策基本法に基づいてつくったわけです。それから災害対策基本法で言う緊急災害対策本部といいますのは内閣が布告をするわけですね、布告をする。そして、いろんなことが書かれているわけですけれども、国会が開かれていないときは政令で私権を制限できるというようなことになっておるわけであります。  これは具体的に申し上げますと……
  220. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 わかっております。結構です。
  221. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) いいですか。  今回の場合にはそこまでやる必要はないのではないか。むしろこの非常災害対策本部で、それよりも現地に対策本部をつくって、そして先ほどお話し申し上げましたように、中央と現地と十分連携がとれた形をつくることが一つと、それから縦割りでばらばらでやるのでなくて一元的に統括して実施ができるように、臨機応変に即断して実施ができるようなそういう仕組みというものも考える必要があるのではないか。そういう意味で、現地にも対策本部をつくって、各省庁からそこに職員を派遣して、そして県庁の中に一室を借りてやっているわけであります。  そういう非常災害対策本部とそれから現地の災害対策本部と、仕事をしていく上においてはこれはやっぱり兼任の大臣では無理があるだろうと、これだけ大きな災害ですから。したがって、専任の担当できる国務大臣を本部長に置こうというので、今、小里国務大臣を本部長にしていただいて、そして日夜現地と行ったり来たりして取り組みをしてもらっているわけですよ。  それをさらに全体をバックアップしていくという意味で、私が本部長になった全閣僚を網羅した災害対策本部をこしらえて、そしてそこで全体的な責任を持ってやっていくというようなやり方の方がいいのではないか。緊急災害対策本部になりますと、構成員というのは各省の局長クラスになりますから、それではやっぱり重要な決断はできないのではないか。  この委員会でも意見が出ていますように、今の法律制度を超えてやっぱりこれはやった方がいいというような判断をしなきゃならぬ場面もあると思いますから、そういうものに対してもやっぱり大臣がそれぞれ所管のことについては責任を持って結論を出していく、こういう取り組みを機敏に対応できるような仕組みというものを考えた方がいいのではないかというので、私が本部長になって内閣全体が責任を持つ緊急対策本部というものもこしらえまして、そしてさっき申し上げました非常災害対策本部と現地本部とバックアップしながら連携をとって対応していくという仕組みを考えて今やらせてもらっているわけでありますけれども、私は今考えられる範囲では一番いい方法ではないかというふうに考えているところでございます。
  222. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 大筋は総理大臣の方から御説明ございましたので省略いたしますが、私のところから申し上げますと、ただいまお話がございましたように、地震が発生いたしました一月十七日の午前十一時半に非常災害対策本部を設置いたしました。その後、先生も御案内のとおり、被害が甚大であること、そしてまたその時点におきましても被害が顕著な勢いで増大をいたしておりました背景がございます。したがいまして、その対策も極めて緊急かつ多岐にわたって求められる状況でございました。ただいま総理大臣のお話がございましたように、その重大性そしてまた迅速な高度な判断を要する問題等もございましたので、お話のとおり、十九日に緊急対策本部を設置された。  私の非常災害対策本部は、いわゆる具体的な緊急対策を処理する、推進する、その立場でいろいろ対応をいたしてまいっておるところでございますが、お話のございました緊急対策本部、総理大臣が本部長、各閣僚が参画をしておいでになりまして、極めて即応で、そしてまた即決をいただき、私もその緊急対策本部の副本部長として列しておりますから、それをそのまま非常災害対策本部の課題として即時に取り上げまして、そしてその緊急対策本部の指導なども仰ぎながら一体となってその処理に当たっておるところでございます。
  223. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 実は災害対策基本法を読みますと、非常災害対策本部ができて、その後、緊急災害対策本部、基本法に言う緊急災害対策本部ですね、百五条、百七条の。これができたときには非常災害対策本部はなくなるんですよね。つまり緊急災害対策本部というのは、これはもう大変な災害で、内閣総理大臣以下陣頭指揮をして国を挙げて救援、救命、救護に当たらなきゃいかぬ、こういうふうに読み取れるわけですよ。  そうしますと、今、総理並びに震災担当大臣のお話を伺うと、刻々の情報によりあるいはいろいろな情勢判断から、大変な災害である、現実、五十年に一回か百年に一回のような災害であるということになったら、内閣に緊急対策本部をつくるというよりも災害対策基本法に基づいて緊急対策本部をつくるべきではなかったか。  ただ、その場合に法律が邪魔になった。邪魔になったという言葉は語弊があると思います。布告をしなきゃならないとか、私的経済取引の停止を、私権制限をしなきゃならぬ、そういう規定に該当しないんではないか、困ったと。  しかし、私はあの法文を率直に読むと、騒乱、治安の不安があるときにこれは国を挙げて緊急対策本部をつくるんだと。しかし、神戸はまことに外国のマスコミにも称賛をされましたように、あるいは先ほど中村委員が言われましたが、非常に大きな災害を受けながら、悲しみを乗り越え、一つのお握りを二つに分け合い、あるいは被災民の方々は本当に我慢強く冷静にじっと政府や自治体の救援を待つと。何も治安の不安はない、騒乱もない、物取り、強盗のたぐいも出ない。  こういうとき、私はむしろ法の規定はあっても非常災害対策本部よりも緊急災害対策本部に切りかえて、内閣総理大臣みずから、そして閣僚はすべてこの震災に対して全力で救命救護に当たるという体制を今、ならば、たらばという話はしてはいけないですが、しておれば、神戸の被災民の方はどんなにか心強く、あるいは政府、自治体の対応が遅かったんじゃないかというような、巷間伝えられておるようなそういうものもなかったのではないかと。たまたま石原官房副長官は、私もこれは新聞の報道でしか読んでおりませんが、規定に該当しないと。規定に該当しないということでおさまる問題ではない。  むしろ非常に、ここからは私が少し強引かもしれませんのでおしかりを受けるかもしれませんが、もともと十九世紀の、国は警察官である、夜警国家論で言えば治安が乱れたときに初めて国家は乗り出すんだと。しかし、私ども中学、高校で習った教科書では、二十世紀は揺りかごから墓場までの福祉の時代で、国は夜警国家の役割ではないと。とすると、今回の災害対策基本法の規定上はなるほど不備があったにしても英断をすべきではなかったんだろうか。  私は、これを村山総理に責めるという気持ちではございません。何しろ予期もしなかったような大きな災害が神戸に見舞ったわけでございますから。しかし、そういうふうな気持ちが強いわけであります。  そして、そうすればむしろ、確かに今、災害対策基本法でいく本部というのは各省の局長が構成メンバーである、それに対して、閣議の中に臨時で異例で緊急対策本部をつくったんだから各大臣がすべて即断即決できる体制をつくりましたよということはわかるんですが、しかしどうもいま一つ納得がいかないというふうに思うわけでございますが、総理、いかがでございましょうか。
  224. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今、総理が御答弁申し上げ、また小里担当大臣もお話をしたとおりなのでございますが、我々もいろいろ当時、ああいう緊急の状態の中で最善の体制をどう組むかということは当然のことながら考えているわけであります。  お話しのように、法の二十四条による非常災害対策本部をこれは直ちに設けたわけであります。十七日の朝の七時半に、総理の御指示もございましてその準備に取りかからせて、十時の閣議で決めて、十一時半に第一回の非常災害対策本部を開催したというような段取りになっているわけであります。  同時に、ここは大事なところで、よく各省の縦割りだとかいうようなことを今回の委員会の御審議でも御批判いただいているわけでありますが、そういうものを乗り越えて、この際は政府一丸になってあらゆる可能性を追求しながらこの災害に立ち向かっていくということのためには、総理大臣を本部長にして、それから全閣僚を本部員にして、そしてもう何かになしにやっていこう、縄張りも何もないという体制を組む必要があるということで緊急対策本部というものを、これは法に基づくものではなくて閣議でそれを設けさせていただいたということなのであります。  一方、今、委員御指摘の法の第百七条による緊急災害対策本部に関しましては、先ほど来これは委員も御発言になっておりますように、その構成が、本部長は総理なのでありますけれども、本部員は各省の局長になっているというようなこともあったり、また想定しているものがこれはさっき委員の御指摘になったようなニュアンスはやっぱり当時あったんではないかというふうに僕らも感じますわけですが、そういうような中で、我々としてはあの百七条によるものよりは、一方の二十四条のものとあわせて、ただいま御説明申し上げました総理を本部長にして全閣僚による政府挙げてのものをつくるということが一番望ましいだろうというふうに考えて、今もやっぱりこの体制が私は一番機能しやすいのではないかと思うんです。  それから同時に申し上げておきますと、今回初めて前例のないことで幾つかやっているというのは、一つは担当大臣を設けたということであります。それから今申し上げました総理を本部長にして全閣僚による緊急対策本部というものを設けたということ、それから各省庁の協力を得て現地対策本部を設けたということ、こういうような全く前例のないことを次々に今回はやりまして、一丸になって地元の自治体と力を合わせて復旧復興に全力を挙げている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  225. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 そこで私は思うんですけれども、やはり現行の基本法、これは現在の日本の成熟社会といいますか、あるいはこれだけ秩序が非常に外国のマスコミから見てもうらやましいと言われるような日本の国情には規定は合わない。  そういう意味では、仮に今、足立委員がおっしゃいました、きょうあるいはあした同じような災害が東京や名古屋に起こったときどうされますか。また、今の現行基本法では緊急災害対策本部はつくれないですよ。治安が平静になっておる限り私権の制限をする必要がない、あるいは経済的な取引を東京都民や名古屋の住民が非常に冷静に忍びがたきを忍んで送れば現行の基本法では緊急対策本部はできませんよね。  そうなると、いやもう内閣総理大臣が陣頭指揮をして政府を挙げて髪振り乱して救命救護に当たっているんだというような形は被災住民に不安を与えるので、非常対策本部で国土庁の長官が本部長の方がいいんだなんということは私は逆だと思うんです。やはりすべてを挙げて被災民の人たちのことを考え、あるいは先ほどの質問にもありましたように、一人でも多くの方の命を救うために全力を尽くすという体制をつくるということが現地の人たちにどれだけ大きな力強い安心を与えるかということを考えますと、治安が乱れたときに出動をするような体制の法規をやはり根本的に考えなきゃならぬと。  したがって、中には、現行の災害対策基本法はもう全部やめてしまって全く新しい法律をつくった方がいいとおっしゃる方もおりますね。それはその人の考えですから私はそのことにすぐ同調するわけではありませんが、この対策の現行基本法については私は数々のやはり現状に合わない点があると。  先ほど本岡委員がおっしゃいました。これだけの災害をこうむった人たちに、義援金だ、やれ弔慰金だあるいは見舞金だということもこれは国民の善意で大事なことだけれども、国があるいは政府が何とかしてあげなきゃいかぬというような気持ちであれば、何らかの見舞い給付というものを考えなければいけないんじゃないか。  なるほど昔は仕事に行くときに弁当とけがは自分持ちと。しかし現在の付会ではそんなわけじゃない。災害に遭えば災害補償法で仕事をしておればもらえるとか、いろいろ社会福祉体制が完備をされておる。そうすると、災害は自分持ちという考えもそろそろ変えないといけない。私どもは今、そういう時点に来ているのではないだろうかというふうに私は思うわけであります。  そういう意味では、現行の災害対策基本法を改める場合に、これは時間の余裕は余りない、あすにでも起こったらどうするのかという問題もありましょうし、今回の場合、今、官房長官お話にもありましたように、御苦労いただき内閣に緊急対策本部をつくっていただいて皆さんが本当に一生懸命やっていただいている。それは私も本当に評価をさせていただきますが、今の基本法をやはり根本的に改める、しかもそれは急を要すると思っておるわけでございますが、いかがでしょうか。
  226. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 確かに御指摘のように、今日、我が国災害を初めとするさまざまな危機管理体制と申しましょうか、こういう点は大変見直すべき点が大きいというふうに存じております。  例えば防災計画にいたしましても、これまで二十四年間変わってないわけですね。しかし、この二十四年にはもうそれはさまざまな状況というのは変化しているわけですから、これはもう当然今、我々としては抜本的な改定作業に入るべきだと思っております。この機会にシステムのすべてを、また法や制度その他も含めて全体的に一体どうすることが一番いいのかということでしっかり見直していきたいと、こういうぐあいに思っているところであります。
  227. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私の持ち時間がもう少なくなりましたので、二つだけどうしても尋ねなきゃいけないと思っておりますことをお尋ねしたいと思います。  政府委員の方でも結構でございますが、一つは、きょういろいろな委員から質問が出ましたが、ローンを残して家はつぶれた、もう一度建てなければならない、しかしローンは組めるのか、二重にローンを払って家を建てるということは大変な負担になる、こういうことで建設大臣等に答弁を求められましたが、実は共同住宅でございますと、例えば千八百五十分の二十三しか土地の所有権はありませんね。それで六階とか七階に住んでいましてまだ千七百万円ローンが残っている、しかしその建物は取り壊して新たにつくらなきゃいかぬ、またそこで二千万ローンを組まなきゃいかぬ、果たしてできるだろうかと。  そうすると恐らく、破産の申請をして借財をなしにしてもらえないだろうか、そうすれば銀行も破産債権で不良になりますから不良債権で余力のある銀行の場合は落とせる、本人も背中の負担がなくなる、そうしたらきちっとした会社に勤めて今まで滞納は一回もないということになれば、じゃもう一回ローンを二千万組んでもう一度マイホームを考えると、こういうことになると思うんですが、その場合一番問題なのは、千八百五十分の二十三とかいう土地の所有権がどれだけの値打ちがあるのか。しかし、それには銀行は抵当権をつけておる。  あるいはもう一つは、一たん破産をした非常に優秀なサラリーマンの方や自営業者の方に再度銀行が二千万のローンを貸すとなれば、これは財政当局が、とんでもない、一回破産した人に貸すとはけしからぬと、こうなるとこれはどうなるんだと。しかし、本当に自分が浪費をして破産をしたわけじゃないんですね。破産の申し立てをせざるを得なくなって泣く泣くその道しかないかということになった場合には、これは大蔵省も考えていただかなければ困るんではないだろうか。そういう徳政令というような私にしてみるとちょっと荒っぽいやり方じゃなくて、もっときめ細かなことができるんではないか。  もう一つ、これは河本委員質問されましたが、神戸港は大変なダメージを受けました。コンテナのバースはめちゃくちゃで、私もこの三日に港をぐるっと見て回りましたが、三年はかかると言われるくらいの大変なダメージであります。そうしますと、あの日本のコンテナ貨物の三割以上を持っている神戸港のコンテナは、貨物の輸出入は三年間お先真っ暗ということになると、そこで働いている例えばタグボートとか通船とかあるいはその他海上労働者ですね、海上労働者の雇用の問題は一体どうなるんだろうか。三カ月、半年で回復するならいろいろなしのぎの仕方があるだろうと。その点の善処のことについて、社会保険庁が担当でございますか、その二つのお尋ねをいたしたいと思います。よろしくお願いします。
  228. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 簡潔に答弁してください。
  229. 西村吉正

    政府委員(西村吉正君) まず債務者が破産宣告を受けまして、破産法に基づいた配当を行った後、免責の決定を受けた場合には、破産者は残った債務について原則として責任を免れることとなるのはもう御承知のとおりでございます。そのような方、自己破産した方に対する新たな融資につきましては、一般的には破産された方に将来にわたり確実な返済を期待しづらいということでございますから、もう一度借り入れるということについては大きな制約が加わると考えられます。  しかし、自己破産を理由に新たな融資の適が全く閉ざされるのかといいますと、必ずしもそういうわけではなくて、金融機関におきまして個々の被災者の実情を踏まえまして個別に審査いたしまして、その返済能力に応じて融資の判断がされることもあり得るものと考えておりますが、いずれにせよ、これは各金融機関におきまして個々の被災者方々の実情を、これはもうそれぞれまちまちでございますので、十分に踏まえまして最も適切な答えを出していくことが重要と考えております。  なお、被災者の銀行等に対する債務の問題でございますが、基本的には民間の方々の間の債権債務関係であるし、また金融機関にとって貸付債権は預金者から預かった資金を運用しているという性格のものでございますので、これを国が強制的に帳消しにするということはできないという点は御理解いただきたいと思います。しかし、いろいろな被災者の実情に応じた対策は全力をもって国が考えてまいりたいということでございます。
  230. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 船員保険を所管しておるものですから、私の方からお答えをいたします。  御指摘のように、タグボート乗組員などの船員の方々につきましては、船員保険制度において失業給付は行われておりますが、現在のところ、激甚災害法に基づく。雇用保険の特例措置は設けられておりません。  このことにつきまして、去る一月の末、日本港湾タグ事業協会からも陳情をちょうだいしておるところでございますが、今回の震災では神戸港が受けた被害は極めて大きくて、神戸港で就労せざるを得ない船員に与える影響も大きいものと考えております。また、陸上労働者の皆さんとの比較においても、このような船員の皆さんを救済する必要性は高いと、こう考えます。このため、現在、船員保険制度においてどのような対応が可能か、雇用保険と同様の特例措置を講ずることなどを含めて鋭意検討を進めているところでございます。
  231. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 よろしくお願いします。
  232. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 関連質疑を許します。磯村修君。
  233. 磯村修

    ○磯村修君 関連質問を行います。  今回の阪神大震災で、私も実は東海地震強化地域に指定されております山梨に住んでおりますので、大変防災に対する認識というものを改めて強めたわけでございます。とにかく備えあれば憂いなし、常に防災というものに対する的確な認識を持って、そして的確な安全対策というものを講じていかなければならないと思うわけでございます。  そこでお伺いするんですけれども、実は総理の諮問機関であります国民生活審議会総合政策部会二次報告という文書がございまして、これは「安全で安心できる生活社会を目指して」という表題でいろいろ御提言なされております。その中で、これは時間がございませんので幾つか拾い上げて、この提言を政府当局がどういうふうに受けとめて、実際にこれをその時点から今日に至る間、防災計画の中に取り入れてきたのか、その辺のことについて二、三お伺いしたいんです。  まず厚生大臣からお伺いしたいんですけれども、実はこの文書を読んでおりますと、国土庁が震災時応急医療等懇談会の報告書としてまとめた中で、傷ついた方あるいは病気の方の応急措置、けが人、病人の搬送とか診療等、いろいろ各段階があるわけですね。そうした中で、患者を選別していろいろ治療を与えていくというふうなシステムというものを考えていかなきゃならない、そういう手引書をつくって検討すべきであるということが、これは今回の大震災をいろいろ報道面で見ている場合においても、この診療、けが人の救出というふうなこと、大変これは重要な位置を占めているわけなんですね。こういう提言について、厚生省がこういうものをどういうふうに受けとめ、そしてこれからどういうふうにこれを生かしていくのか、その辺について厚生大臣からひとつお伺いしたいと思っております。
  234. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 国土庁の方で、今、先生御指摘のような会合を設けてくださって御提案をいただくことになっておるようでございますが、私どもといたしましても、今、災害医療のあり方につきまして、専門家を現地に派遣もいたしましたし、それから実は昨年の一月以来この問題について省内で検討をしております。  実は一月の末にも八回目を計画しておったんですが、このような事態になったものですからしばらくちょっとこれは延期しておりますが、ここらの委員会でももちろんこれらをちょうだいしながら検討を重ねていきますし、この七月一日からは私どもの立川の国立病院に東京災害医療センターをつくる計画もございまして、この中でも災害医療に関する取り組みを鋭意考えてまいりたいと、こう考えております。
  235. 磯村修

    ○磯村修君 報道によりますと、厚生省ではいろんな応急応援部隊と申しましょうか救助部隊と申しましょうか、そういうものをこれから編成して、縦横に敏捷に対応できるようなシステムを考えているんだと、そしてこれを防災計画。に位置づけていきたいと、このようなことが伝えられておりますけれども、そういうお考えがあるんですか。
  236. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 実は、先生きっと、何新聞でしたか、確かに報じられておるものから御指摘いただいたんだと思いますが、先ほど申し上げましたように、国立立川病院と国立王子病院を統合いたしまして、立川広域防災基地内にことしの七月一日に国立病院東京災害医療センターの開設を予定しているところでございまして、このセンターにおきましては、広域災害医療の実施、災害医療に関する臨床研究災害医療に従事する医療関係者の研修等の機能を備えた施設として整備をしてきたところでございます。  厚生省といたしましては、救急救護部隊の編成をまだ正式に決定したわけではございませんが、今回の地震発生直後におきましては、多数の負傷者が生じる中で、輸送・通信手段やあるいはライフライン等が大きな打撃を受け、迅速的確な医療の提供を行うことが困難な状況であったことを踏まえまして、被災直後に現地に派遣した医療チームを編成したところでございますが、これらも含めて同センターの役割あるいは機能等につきまして今後さらに検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  237. 磯村修

    ○磯村修君 地域の中には企業も大変浸透して、それぞれの地方にもいろんな工業団地等、企業の進出が目立っております。今回の防災の観点から考えて、こういう地域の中に根差してきている企業のいわば防災に対する参加、これを真剣に考えていく必要があるんじゃないかと思うんです。  これは審議会の提言の中にも、国土庁が実施した調査の中で、例えばこういう緊急事態が起きたときに物を補給できるとか場所を提供するとか、そういう認識を持っている企業というのが二割ぐらいしかなかったと、こういう数字が出ているわけなんですね。こういう実態から見ても、地域に根差している企業、こういったものとの結びつきをさらに強めた防災対策というもがこれからの時代は必要ではないかと思うのでありますけれども国土庁長官、その辺のお考えはいかがですか。
  238. 小澤潔

    国務大臣(小澤潔君) 国土庁といたしましては、平成三年に企業における防災の活動の促進に関する調査を行ったところであります。  企業の防災活動は、災害時の企業自体の存立等だけでなく、地域社会の一員としても非常に重要な役割を担っているということを認識いたしております。これまで国土庁では、企業の防災活動を促進するため、優良事業を収集し防災白書などを通じて紹介してきたところであります。今後、企業の防災活動を一層促進するために施策を検討してまいりたいと考えております。  一月二十六日の中央防災会議において防災基本計画の見直しを諮問したところであります。今後、この中でも企業の役割の明確化についてもさらに検討を進めてまいりたいと思います。
  239. 磯村修

    ○磯村修君 時間が来てしまったんですけれども一つだけお許しを願いたいんですけれども、総理にお伺いします。
  240. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 簡潔に。
  241. 磯村修

    ○磯村修君 やはり防災計画というのは、今お話を聞いておりますと、こういう審議会からの貴重な提言があってもなかなかそれを防災計画の中に政府が、これはもう三年たっているんですね、取り入れていなかったんじゃないかという私は印象を受けたんですけれども、こういう震災が起きてから直ちにいろんなことを考え出しているというような印象ですね。  やはり総理、こういう防災計画というのは日ごろから見直し見直しを積み重ねていって初めてそれに対応できるよいものができると思うんですね。ですから、これからは真剣にこういう提言というものは尊重して考えてほしい。総理の考えをお伺いします。
  242. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) もう時間がないようですから簡単にお答えしますけれども、今度の兵庫県の地震災害の経験にかんがみてみましても、やっぱり企業自体の存立というか企業の従業員をどうして守るかとか工場をどうして守るかとかという防災対策はもとよりですけれども、社会的に果たす企業の役割というものを考えた場合に、今、委員からもお話がございましたように、空き地があれば空き地を提供するとか、それと同時にやっぱり地域でやられる防災訓練、自治体がやる防災訓練の中にも組み込んで一緒にやっていただく、常日ごろから交流をしていただくということが大事ではないかというふうに思いますから、私はこの経験にかんがみてそうした点も十分見直しをする必要があるというふうに思っております。
  243. 磯村修

    ○磯村修君 ありがとうございました。終わります。
  244. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で井上哲夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  245. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、林紀子君の質疑を行います。林紀子君。
  246. 林紀子

    ○林紀子君 私は、今回の地震で亡くなられた五千名を超える方々に深い哀悼の意を表します。そして、被災に遣われ必死に頑張っていらっしゃる皆様方に心からお見舞いを申し上げます。また、多くの自治体関係者や若者を初めたくさんのボランティア皆さんの献身的な姿、助け合いは本当に感動的なものです。改めて心から敬意を表したいと思います。  住居を失った被災者の避難生活は既に三週間を過ぎました。一日も早くすべての被災者に住居を確保すること、これは本当に緊急の課題だと思います。  西宮市の小学校の校庭で車の中で避難生活を続けている方は、早く家が欲しい、ゆっくり寝たい、申し込んだ仮設住宅だけが頼りだと言っています。また、神戸市長田区役所のメンタル相談所、心の相談所には一日およそ三十件、兵庫県立女性センターには毎日百件以上の相談が寄せられるなど、プライバシーがない避難所生活で精神的なストレスも耐えがたくなっております。せめて応急仮設住宅に入れればこうしたストレスは緩和されるわけです。しかし、住宅確保の見通しがはっきりしないために被災者は一層不安を募らせております。  政府は、三月の末までに三万戸、公団・公営住宅の空き家がおよそ三万戸と発表しておりますけれども、公団・公営住宅の空き家といいますのは北海道から沖縄までにわたっています。各自治体の善意というのは大変貴重なものだと思うわけですが、被災者は遠く離れたところではやはり行きにくい、県外を希望する人は現在でも一〇%ほどだということです。神戸市だけでも仮設住宅の発注数が約一万戸に対して応募数は約六万戸に上っています。仮設住宅の数は圧倒的に足りません。どう確保していくのか、まずはっきりさせていただきたいと思います。
  247. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 先生のただいまの御指摘は、いろいろ地元の市、県及び政府は一体となって緊急住宅対策を講じておるけれども、現実に募集してみると用意したという戸数以上に圧倒的に過剰な希望が出てきておるじゃないかこういう御指摘のようでございます。  そこで、率直に実態として申し上げる次第でございますが、決して十分であるとは思いませんけれども、例えばただいま先生のお話にございました仮設住宅、これは三万戸で、なかなか現品が国内にないものですから、その契約なりあるいは着手なりそして供給が思うようにいかないことはただいまおっしゃるとおりでございます。しかしながら、あとう限りこれは精いっぱいの努力をいたしております。  さて、そのほかの分類の、先生はただいま約三万とおっしゃったようでございますが、この三万の分について若干申し上げたいと思うのでございますが、ただいまお話がございましたように、この三万の中には例えば北海道のごとき僻遠の地の分も入っているじゃないかというお話でございますが、入ってはおりますけれども、これはしかし準備をいたしました全体からいいますと、今日の段階におきましては極めてわずかであります。  私は、三万の中身も具体的には厚生省を中心にいたしまして努力をいただいておりますが、例えば地元のすぐ隣でございますが、大阪の西尾市長さん、あるいは中川知事さん寺ともおとといも会ってみました。あなた方は本当にどれだけ準備してくれますかこう問うてみますと、それは一万戸は用意をいたしました、あるいは知事も一万戸は用意いたしましたと。しかしながらなかなかおいでいただけませんと。これは食事も差し上げる、風呂も差し上げる、送り迎えのマイクロも準備しておるんだけれども、なかなかこれが満たりませんということを言っておられました。その背景、理由を探ってみますと、あくまで兵庫県の自分たちの市の、そして自分たちの今まで住んでいたその近郊に住みたいという傾向が非常に強いということがわかりました。  したがいまして、その辺が手伝いましてかあるいはまた余震の関係等も手伝ってか、なかなかその三万、加えて仮設の住宅といたしましては、きょうも説明申し上げましたが、三万戸のほかにさらに総理大臣の指示を受けまして八千戸、既設の施設をそのまま物理的に利用できるものを準備いたしましたけれども、なかなかそれでもその辺の手続に手間取っておるということもあるでしょうが、なかなか円滑に進まないという事情もあることも御理解をいただきたいと思います。  なおかつ住宅対策としてはいろいろとこれで十分ではございませんから急いでおりますから、御理解をいただきたいと思います。
  248. 林紀子

    ○林紀子君 私の時間は大変短いので、お願いいたしました問題について端的にお答えいただきたいと思います。  仮設住宅の資材や用地、この確保はどうなっているかお願いします。
  249. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) 簡潔にお答えいたします。  仮設住宅三万戸は必ず三月中に建設をいたします。我々は、簡易プレハブ住宅業者だけではなしに、いわゆるそれ以外の住宅産業界の協力も得て五千五百戸も確保しております。したがいまして、指示された三万戸についてはきっちり三月中にやります。それ以上になった場合もそれぞれ手配をしておりますので、十分体制は整えておるつもりであります。
  250. 林紀子

    ○林紀子君 今お答えの中に、大手住宅業界五千五百戸という話がありましたけれども、大手となりましたらもうちょっと数が生産できるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  251. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) プレハブの簡易住宅を中心にやっておりますので、それで補えぬところについてはプレハブ住宅以外の業者、業界にもお願いをしてそれだけは確保しておるということであります。  ただ、思うに任せないのは、一つの業者、ここに五十五戸建ててくれと言うと三つも四つも入れぬのです、それは。だから一つの業者が五十五戸建てる、ここには三十戸建てる、こういうふうに場所の選定がなかなか現場では容易ではありませんので、それを一つの業者で一地域は建設をしていくという方法をとっておりますが、お示しのように、三月中には御心配なく全部完了いたします。
  252. 林紀子

    ○林紀子君 大手が生産するものは厚生街の基準、様式に合わないという話も聞いているわけですが、やはり大手が建設するものは単価が一戸当たりおよそ五十万円ぐらい建設省が考えているものより高いんじゃないか、こういう話も聞いているわけですね。そうしますと企業が赤字を出してしまう。  大手業界が加盟しております住宅生産団体連合会、こういうところからお話を聞きましたら、お金はかかるが、もっと生産をするのに対応はできる、行政の強力な指導があれば仮設住宅の建設をスピードアップすることができる、こういうふうにおっしゃっているわけですね。ですから、お金の問題ということであればその分国がちゃんと責任を持つということで、もっと三万戸じゃなくて本当にこたえられるような、八万戸ということもあるわけですからその要望にこたえられるような、そういうことにしていただきたいと思います。
  253. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) 発注があれば、指示があれば、小里本部長と現場の県知事及び市長と御相談をいただいて指示をいただければ、それをお受けするということであります。  それから一万九千戸は前に発注したんですね。それはリースだったんです。リースで一万九千戸はやりますと。それが二百三十万なんです。それ以上は買い上げをしてもらわなければとても、倉庫に積んでおくとカビも生えるし困るという意見もありまして、それ以降は買い上げをするということでありますから、金額の差はそれなんです、五十万円は。
  254. 林紀子

    ○林紀子君 簡潔にお願いします。
  255. 小里貞利

    国務大臣(小里貞利君) 非常に大事な問題ですから申し上げますが、大概なことは先生も今、言外に支持しておいでになるようでございますが、単価の問題でも手続の問題でも節度を乱さないように大胆に関係大臣と相談してやっております。  それからもう一つ、三万戸の数字ですが、これは動いているんですよね。だから地元の知事さんにも市長さんにも、これは動くんだよ、これは焦眉の急だよ、数値は動くんだからできるだけ前倒しで早い時期に教えてくれ、我々はそれに臨機にこたえるからと、こういうような姿勢で臨んでおりますから、よろしく。
  256. 林紀子

    ○林紀子君 そこで、総理にお伺いしたいんですが、今、三万戸という数字は動いていると。それは県の方から言ってきたらやるというお話だったわけですけれども、確かに災害救助法では県の方から国の方に要望を上げて、それで初めて建設をするということになっているわけですけれども、こういう緊急なときですからまず国がやるんだという、そういう姿勢を示すことが一番大事なんじゃないかと思うんです。  だからそれは、被災者が本当に要望しているそこのところをちゃんと国はやるんですと。知事に宣言させるというお話も今までありましたけれども、そうじゃなくて国が真っ先に宣言をする、そこのところが大事だと思いますので、お答えいただきたいと思います。
  257. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 委員が言われますように、やっぱり避難生活をされておる人たちのニーズにどうこたえるかということがもう大前提ですね、そのために一生懸命努力しているわけですから。三万戸以上やるようになれば、それは政府が責任を持ってやります。ただ、地元を全然無視してこれはやるといったってそれはなかなか難しいことですから、地元と十分連携をとった上で、もし知事さんの方が、いや国の方でやってくださいという話になれば、もういつでも三万戸以上はやれるという体制で臨む決意であります。
  258. 林紀子

    ○林紀子君 それについては国の方がちゃんとやりますという宣言をしないと、例えば現地では余った仮設住宅についてはちゃんと国が補助してくれないんじゃないかという、そういう心配を持っているわけですよ。そういうことはないんですね。
  259. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) もう時間がないから先に立っていますけれども、国は三万戸以上もういつでもやりますと、こう言って宣言しているわけですから、その点は誤解のないように御理解をいただきたいと思います。
  260. 林紀子

    ○林紀子君 それを早くやる、そこのところもぜひお願いしたいと思うんです。今、大変な状況の中にいるわけですからね。  そして、仮設住宅の建設を急いでほしいということを言っているのは、今、避難所で生活している方たちの実態が本当に大変なものだ、こういうところから言っているわけなんです。避難所暮らしの中で肺炎で亡くなったお年寄り二十四人もいるという報道がありました。いや、これは実態はもっと多いんじゃないか、こういうことも報道されているわけです。これはまさに人災、大変な事態だと思うわけですね。避難所の生活改善をするためにも最大限の手だてをとるということが必要だと思います。  そこで、一番基本的な問題というのはやはり食事の問題だと思うわけです。  今、災害救助法に定められているのは一日八百五十円ということですね。そして、ボランティアはいろいろ頑張ってくださっていますけれども、必ずしも毎日温かいものが支給されるわけではない。雲仙でも千三百円にこれは引き上げるということがありましたから、ここのところはどうですか、八百五十円で切るなんということはありませんね。厚生大臣、お願いします。
  261. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) 委員御指摘のように、現在の基準は一人一日八百五十円でございますが、雲仙ではそういうこともございました。  今回被災された住民の方々については、避難所の生活が大変長い期間にわたりますし、健康管理の面からも食事の充実は大変な大事な課題と考えております。こういった特殊事情があることから、兵庫県と協議の上、必要に応じ特別基準の設定も行うなど、適切に対処してまいるつもりでおります。
  262. 林紀子

    ○林紀子君 この八百五十円にはこだわらないというお話をいただいたわけですけれども、もう一歩進めて、この八百五十円という基準そのものをこの際変えていくということも必要だと思うわけです。これは法律じゃないわけですから、厚生大臣が決意をしてくださったらそれで決まるものだと思うわけなので、そこのところもぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  263. 井出正一

    国務大臣(井出正一君) これも物価の上昇とかいろいろなものを勘案しながら必要に応じて今まで改定がなされてきたところであります。また必要ならばそういうことをしなくちゃならぬと思います。十分協議をするつもりであります。
  264. 林紀子

    ○林紀子君 次に、家財は何一つ持ち出せなかった、うちを建て直すのはどうしたらいいのか、ローンはどうなるのか、当座の生活資金も心細いと、本当に被災者の心配というのは絶えません。  そこで、個人補償の問題についてお伺いしたいと思います。  報道などによりますと、今、政府が検討している特別立法の内容では、被災者生活と営業の再建には全く言及しておりません。生活を再建するにはどうしても個人の財産を補償する、つまり個人補償が必要だと思うわけです。ところが、政府は今まで生活再建は個人の責任だということをずっと言い続けてこれを拒否しているわけですけれども、総理、この際ぜひ個人補償の制度をつくるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
  265. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 今後の議論としては、この震災からお互い各党も我々も何を学んでどういう新しい制度を考えていくかという議論はあっていいと思うのでありますが、少なくとも今日まで日本の仕組みとしては、私有財産にかかわる個人補償を真正面からするという仕組みになっておりません。  もちろんそういう中でも、低利の利子補給という先般も住宅ローンをめぐって質問がございましたが、それでも利子が下がるというだけでも百四十万ぐらいの補助をしたことになるというお話質問者からございました、どういう根拠かわかりませんが。等々そういう形で、例えば住宅ローンの場合ですと、一番ひどい地域については、これまでの既往債務についても三年間は支払いを得たしていただきます、またそれにプラス新規のローンをお借りになった場合も、家が六〇%以上壊れた方の新築の借金については三年間支払いを据え置き期間を置かせていただく、こういうような措置を一種のモラトリアムですがとらせていただく等々、理行制度も幾つかございますし、さらに今回はその辺も被害の実態に合わせながら一生懸命検討をさせていただいている最中でございます。
  266. 林紀子

    ○林紀子君 確かに据え置き融資いろいろあると思いますけれども、私が言っているのは財産を補償する個人補償ということなんです。  今回の大震災で五千人を超える人々が命を失いまして、多くの人々が財産を失いました。しかし、被災者には何の過失や責任もないわけなんです。問われなければならないのは、学者や我が党の指摘に対して今まで注意を払わないで地震に対する備え、対策を怠ってきた政府自身の責任じゃないかと思うわけです。  この震災では、断水のために大規模な火災が発生しました。国は、耐震性貯水槽を幾つ設置するのかという基準さえつくってきませんでした。そして、基準をつくっている消防車や消防職員などは、リストラ、行革の中でどれ一つ基準をクリアしてこなかった。測候所の人員を削減して無人化したために、洲本の測候所では地震情報がおくれた。まさに地震列島にありながら国民の命と財産を震災から守ることに対する備えに大きな立ちおくれがあった。これは国の責任ではないでしょうか。  こうしたことを考えれば、被災者の救済は国が行う、これを基本に据えることは当然だと思います。個人補償、やるべきじゃないかと思いますが、今度は総理の御答弁をお願いします。
  267. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) この地震による災害でいまだに避難生活を続けておる現状というものはよく承知をしておりますし、もうぎりぎり限界に来ているんじゃないかということもわかりますから、先ほど来お話がありましたように、仮設住宅なんかもどんどんつくっていって、そして可能な限り生活が落ちつくような、そういう条件をつくりたいというので一生懸命やっているわけですね。  これは先ほど大蔵大臣からもお話がございましたように、国の仕組みとして個人にわたる私有財産というものに対して限界が一応あるものですから、したがってそういうことも含めた上で今の制度でやれることはもう精いっぱいやる。同時に、先ほど厚生大臣からも答弁がございましたけれども、時代に即応していないようなものもあると。あるかもしれませんね。それは例えば八百五十円というその金額は今の価格からいったら安過ぎるじゃないかと、こういう話があるかもしれませんね。  そういう見直しを必要とするところはもう思い切って見直しをして、この際ひとつ改めるところは改めようじゃないかということも今は検討してもらっておりますし、それから同時に、先ほど来お話を申し上げましたけれども、これは雲仙なんかの例の場合もできるだけ弾力的に被災者のニーズに十分おこたえできるようなことを考えていくために基金をつくって、その基金の運用でもって今の制度でできない部面をカバーしていくようなことも考えようじゃないかというので知恵を出し合って今努力しているわけですから、御理解を賜りたいと思います。
  268. 林紀子

    ○林紀子君 今度のこの大震災に当たりましては、今までの制度をそのまま適用するのじゃなくて、本当に国民の財産、命を守る、その立場に立って個人補償もこの枠をはみ出して行うべきだということを私は今申し上げているわけです。そして、そういうことに対しては当然財政措置というのが必要になるわけですね。  そこで、私が申し上げたいのは、来年度の予算の根本的な組み替えを行うべきだということです。  今回の震災の被害額は兵庫対策本部のまとめでも約十兆円にも上ります。救援、復興は国政の今中心課題となっているわけですから、大震災を予期しないで作成された予算案というのを新しい事態に即して組み替えるということは当然じゃないでしょうか。予算は早く通す、そして震災対策は部分的な予算措置で間に合わせる、こういう発想では今回の教訓は何も生かされない、救援、復興を本当に真剣に考えているのか、こう言われても仕方がないのではないでしょうか。  特に私が申し上げたいのは、九兆三千億円の公共事業のうち不要不急のものを凍結して復興と地震に強い町づくり集中的に充てること、またアメリカ軍への思いやり予算を初めとして四兆七千億円にも上る軍事費を減らすこと、こういった組み替えをやるのは当然だと思いますけれども、総理、どうですか。
  269. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 補正ではだめで、組み替えをしてやれとおっしゃるのがよくわかりません。組み替えとなりますと、やはり災害の状況が全部明らかになってきて、それにはまだ時間がかかりますね、そして予算全体を修正して国会にもう一度出し直すということでありますね。そういうふうに御認識いただいた上で御主張いただいているんでしょうか。としますと、もう当初予算は本年度成立は間に合わない。この予算もまた景気対策も含めて国民の暮らしがかかっていることを考えますと、そういう悠長な判断はできないはずであります。  私どもが申し上げていますのは、この予算はぜひ年度内に一日も早くお認めをいただいて、そして私ども災害の実額が掌握できれば、二次補正は当然もう目前でありますが、さらに新年度においても災害に必要な対応は補正という形でやらせていただきますと。  何となく組み替えが大胆で補正は小さいようなことをおっしゃったので、そんなことは絶対ありません。実質変わりない形でやらせていただきたいというふうに思っております。
  270. 林紀子

    ○林紀子君 今、復興財源について政府が考えていることというのは、赤字国債やつなぎ国債を大量に発行するのか、さまざまな案というのが取りざたされているわけですね。消費税につきましても、総理は我が党の松本善明議員の質問に対して引き上げはしないとおっしゃいましたけれども、大蔵大臣の方は増税はしないということは約束できないというふうにもお答えになりました。予算を組み替えずに補正予算で対処しようとしましたら赤字国債か増税か、こういう袋小路に入ってしまうというのは当然だと思うわけです。  私は、公共事業の例を出しましたのでお伺いしたいんですけれども、東京湾横断道路の耐震設計基準、どういうふうになっていますか。
  271. 藤川寛之

    政府委員藤川寛之君) お答えいたします。  東京湾横断道路につきましては、全体の延長が十五キロでございまして、トンネルが十キロ、橋が五キロというような構造でございます。  この東京湾横断道路の耐震設計につきましては、関東大震災クラスの大変大きな地震に対しても、橋につきましては落橋が生じないように、またトンネルなどの構造物につきましては決定的な損傷が生じないような、そういう耐震強度を持たせようということを目標にしてやっているところでございます。  具体的な設計施工につきましては、学識経験者の方に幅広い御意見をお伺いいたしまして、御意見を踏まえた上で施工をやっている、あるいは設計をやっているということでございます。
  272. 林紀子

    ○林紀子君 関東大震災並みというお話がありましたが、あの道路もそれから新幹線も関東大震災並みでああいう状況だったわけですね。震度六ということぐらいを想定しているんじゃないかと思います。そうしますと、今度のような大震災、これが東京を襲ったときにはこれは耐えられないということになるんじゃないでしょうか。全長十五キロのうちに海底を十キロも走るわけですから、これは大変なことになるんじゃないでしょうか。  こういう東京湾横断道路、二千億円を超える予算をつぎ込んで工事を進めていこうというふうに考えていらっしゃるわけですね。ですから、これは一つの例ですけれども、全国の大規模プロジェクトは阪神大震災並みの地震に耐え得る設計基準の見直しが必要です。今の基準のままで工事を続行しても、結局公共事業のむだ遣いになるんじゃないですか。ですから、不要不急、むだや危険、こういう公共事業を見直してこれを復興に充てるべきだ、これは当然じゃないでしょうか。  それからもう一つ申し上げたいことがありますけれども、それは政党助成金の問題です。  全国から私どもに寄せられた手紙や電話でも、三百九億円にも上る税金を政党に分け与えるような政党助成金はやめて、被災者の救援にこれを充てるべきだ、こういう声が相次いています。私たち日本共産党は政党助成の廃止を要求しておりまして、また現にこれを受け取らないということを表明しているわけです。  そして、この三百九億円というお金があれはどついうことができるのか。それは先ほど申し上げましたけれども、消防庁の予算地震観測予知関係予算、一気に二倍にすることができる。また、これを利子補給に回せば一兆円規模の無利子特別融資もできる。三百九億円という額はこういう額なんです。だから、各党は政党助成金返上の態度をはっきりさせて、政府予算上も全額カットすべきですが、総理、いかがお考えでしょうか。
  273. 野坂浩賢

    国務大臣(野坂浩賢君) 私ども関係の耐震の基準についての御質問がございました。今、道路局長からお話を申し上げましたように、関東大震災とか新潟地震とか一つ一つの事故を取り上げて整備をしてまいりましたけれども、先生御指摘のとおりに、残念ながら落橋いたしました。したがって、それ以上に強いものをつくっていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておりまして、その損傷の度合い、そして実態、原因の究明、こういう点については地震学の先生方、橋梁学の先生方、学会の先生方に現地に赴いていただきまして徹底的に究明をしていただいております。  現在、一月二十四日、二月十日にもやりますが、三月中に結論を出しまして、御指摘のように、それなりの結論を得て基準なり対応をして、徹底して地震国である日本が耐震の国家にさま変わりをするように最大努力してまいります。
  274. 武村正義

    国務大臣(武村正義君) 政府は、政府みずからが責任を持って編成した予算を今、国会にお出しをして御審議をいただいているわけでありますから、その中身のたとえ一部でも否定するようなことを申し上げるわけにはまいりません。
  275. 林紀子

    ○林紀子君 政党助成の質問について、総理のお答えも聞きたいと思います。
  276. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) これはもう御案内のように、国会でお決めになって法律ができて、そしてその法律に基づいて予算を計上して皆様方の御審議に付しているわけですから、今、大蔵大臣から答弁がございましたように、政府が責任を持って出している予算を、これは削ってもいいとかこれはどうしてもいいなんということを言えるものではないということは御理解いただけると思うんですよね。  そして、いただいた、いただいたというか、交付を受けた金をどういうふうにされるかというのはそれぞれ政党がお決めになることですから、私がこの場で答弁し得る限りのものではないと私は思っています。
  277. 林紀子

    ○林紀子君 最後に一言申し上げたいと思います。
  278. 坂野重信

    委員長坂野重信君) もう時間が切れましたから。
  279. 林紀子

    ○林紀子君 政党助成の返上さえしないような政治家が本当に私たちのことを考えてくれているのか、被災者の国民のこの声を本当に聞くべきときだと思います。  寒さの中で将来への不安を抱え、苦しみながら避難生活を続けている被災者皆さんが心から願っているのは政治の温かさです。救援の規模とスピードを被害の実態に即応したものに引き上げ、前例や基準にとらわれずにすべての被災住民のために必要なことをすべてやる、政府はこの立場にきちんと立つように強く申し上げて、質問を終わります。
  280. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で林紀子君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  281. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、西野康雄君の質疑を行います。西野康雄君。
  282. 西野康雄

    ○西野康雄君 新党・護憲リベラルの西野康雄でございます。このたび一人ふえまして市民連合というふうなことが一つ下につくわけでございますが。先ほど河本三郎議員ともお話をしていたんですが、丁寧にお答えいただくのは結構なんですが、そのうちにどこに回答があるのかわからないような、そういう部分もございます。ひとつ簡潔にお願いをしたいと思いますし、各党に時間を守っていただきたいな、そういうふうな思いもございます。主張するのは主張するで結構なんですが、後の迷惑というものをきっちりと考えていただきたい、かように思います。  そこで、総理大臣、アメリカ連邦非常事態管理局、FEMAの長官お話をなさいました。FEMAが成功したというのは、最初はあれはたしか寄せ集めの団体で非常に評判が悪かったんですが、意思決定が官僚主義的なそういう形式主義にとらわれない、必要に応じて柔軟に対処するんだ、そういうふうなことから随分とFEMAというものが活動できるようになったということを聞いております。  今回、初期対応のまずさとかそういうふうなことをよく言われるんですけれども、政治家というのは一遍言うたらもうそれでいいんですね。自衛隊の出動が遅かったとかなんや言うと、現場でスコップ一つで頑張っている自衛隊員とか消防隊とかそれから機動隊だとか、過労死している人までおる、それを傷つける。責任を追及するんではなくて原因を追及する、今そんなときじゃないかなと思って仕方がないわけです。  今回のそういうふうな初期対応の中で、官僚の縦割り行政の弊害、そういうようなものがもろに出てきたんじゃないかな、真の行政改革の第一歩はそういうふうな弊害を取り除くことにあるんじゃないかなと思うんですが、総理の見解をお伺いいたします。
  283. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 初動の段階の問題は、私はやっぱり危機管理体制に問題が今から考えますとあると。これはやっぱり官邸に情報が急速に入ってくる、正確な情報が。そして、それを各所に必要なところに伝達する、それで指示が出る。こういう危機管理体制というものは十分思い切って検討し直す必要があるというふうに思いますね。  そして、縦割りの弊害をなくすために、今度は非常災害対策本部をつくり、現地にも対策本部をつくり、そして内閣全体が責任を持つという意味で緊急対策本部を設置して、そして全体で取り組んでおる。それは縦割りでばらばらでやるんでなくて、一元的、一体的に取り組めるような体制をつくるという意味でやっているわけでありますから、私は今度の取り組みに関してはその縦割りの弊害はないというふうに見ております。しかし、一般的な行政に対するあり方としていろんな問題点があることについては、それはまたそれなりに検討しなきゃならない課題はあるというふうに私は認識をいたしております。
  284. 西野康雄

    ○西野康雄君 今回、災害弱者という言葉が随分と出てまいりました。私、季刊誌「セキュリティ」で柳田邦男さんが一九八七年一月に発表なさっている文章をちょっとお読みいたします。  これは大島の、伊豆とか三宅島のあの大噴火のときの後の話なんですが、「大都市は、大島のような地方村落と対比すると、次のようなマイナス要素がある。」。「有線放送がないため、情報伝達をラジオ、テレビや広報車の巡回などに依存せざるを得ない。」。二つ目が「地域の連帯感が弱い。隣近所でも、どういう人が住んでいるのかわからない場合が多く、独り暮らしの高齢者や病気の人が置きざりにされる危険性が高い。」、これも今回そのとおりでした。三番目、住宅密集地には、救急車、パトロールカーなどが入りにくい。全地域の「災害弱者」を救援できるほど、救急車などの数がそろっていない。」、これも今回そのとおりでした。「都市のアパートなどの住民、とくに若い世代は、過去の災害の教訓をほとんど知らない。」。五番目が「避難命令の対象人口が、十万人とか三十万人といった規模になる。量は質を変えるといわれるが、一万人規模と十万人規模では、コントロールの困難度が大きく違ってくる。無秩序な行動やパニックのおそれもある。このような悪い要素が重なり合うなかで、「災害弱者」はどうなるだろうか。」。「防災対策における「災害弱者」の問題は、これまで空白地帯になってきたが、真先に不幸な目に遭う危険性のある「災害弱者」の対策こそ、防災対策の中心に据えなければならない時期にきているのである。」と指摘をされているのが一九八七年の一月のことでございました。  そういう意味において、今までずっと災害弱者の救済というふうなことを叫ばれながら、ずっとなおざりになってきた。その部分は大きいかと思います。今後の災害対策において災害弱者の視点が十二分に配慮されなければならないと考えますが、今後どういうふうに災害対策に臨まれるか、総理にお聞きします。
  285. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) 委員御指摘の点は、今回の災害の現状に照らしてこれはもう心しなきゃならぬことだと思いますけれども平成五年版の防災白書にも「災害弱者と防災対策」という項目が挙げられているわけですよ。具体的にいろいろ書かれていますけれども、しかしこうした書かれていることが実践できないというところにやっぱり問題があると私は思うんですね。  これは私は閣議でも緊急対策本部の会議でもたびたび言うんですけれども、やっぱり避難生活をされている現状を見ますと、寝たきりのお年寄りとかあるいは障害者とか、あるいはまた乳幼児を抱えた母親とか、また小さな子供さんとかいう弱い立場にある皆さんが疎外されるというようなことがあったんではこれは大変ですから、したがってそういうところにまで配慮をした対策が必要ではないかというように思いますので、この経験にかんがみまして、防災計画を立てる際にその災害弱者と言われる方々に対する対応というものは十分やっぱり反省をして、具体的に実践できるような課題というものを、過程というものをしっかり考えていく必要があるというふうに私は思います。
  286. 西野康雄

    ○西野康雄君 私のところにファクスが送られてまいりました。帰省連絡先が東京都日野市になっております古荘玲子さんという方です。  私は神戸大学大学院生です。  私を含め、学生、院生の多くが下宿を失いましたが、私達は誰の助けもなく、自力で次の往居を探すことを余儀なくされています。しかし、住宅事情は、ご存じの通り悪化していて、家賃も少なくとも、一〇%は上がっています。  被災奨学金を、自宅が被災地の学生だけでなく、下宿など、生活の場を奪われた学生にも適用するよう働きかけて下さい。  院生の多くは、すでに独立して、自力で学費や生活費をまかなっているのです。アルバイト先を失うなど生活の手段をなくした学生、院生が勉学を継続できるような措置を取るよう働きかけて下さい。こういうふうな要望が私どもに寄せられてまいりました。  そこで、文部大臣、このような要請に対してどういうお考えをお持ちでしょうか。
  287. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 学生の中には自宅で罹災された方もおられますし、下宿先で今度の地震に遭遇した方もおられますし、また学生寮でそういうことになった方もおります。また、学生寮に住んでいる方については、その学生寮自体が倒壊まではいかなくても相当の補修が必要だということで、今、学生寮の補修については相当急いでおります。  また、下宿を失った方等については、学生であるからといって特別扱いはできませんが、文部省としては、学生寮の空き部屋、地元の地方公共団体あるいは会社の寮等々、あるいは住宅・都市整備公団等と御相談しながらできるだけ住居の確保に努めてまいりたいと思っております。  また、学費等で困窮に遭遇された方に対しては、日本育英会の奨学金制度を弾力的に運営して対応したい、またしなければならないと考えております。
  288. 西野康雄

    ○西野康雄君 被災奨学金の部分ですけれども、できるだけ考慮してやってほしいと思いますので、お願いをいたします。  それと、今回、朝鮮初級中級学校だとか専門学校等大変な被害に遭いました。被災地には在日朝群・韓国の人が多いんですね。一生懸命初級中級学校なんかで炊き出しなんかしてくれて、そのときはもう日本人も朝鮮人もないんだな、一緒なんだな、頑張りましょうというふうな随分と温かいものを感じたわけです。  そういうふうな朝鮮初級中級学校だとか専門学校なども大変な被害に遭っています。校舎の倒壊の被害のため勉学に励めない子供たちがおります。補助金等の復興のための配慮を十分に行き届かせていただきたい、かように思うので、文部大原の御所見を。
  289. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) いわゆる私立学校については、激甚災害を指定された途端にある種の補助金、ある種の長期低利融資というものが保証されますが、専修学校及び各種学校についてはそのような制度は用意されておりません。  そこで、文部省としては、専修学校また各種学校も多くの人々に教育の場を提供している、また災害復旧も急がれるという観点から、専修学校あるいは各種学校に対しても補助あるいは長期低利融資の対象となるよう今努力をし、またそういう方法があるかどうか研究、検討している最中でございます。  もちろん先生の御心配になられました一例として朝鮮人学校がございますが、そういうものも各種学校の中に定義されておりますので、そういうものも当然対象として考えております。
  290. 西野康雄

    ○西野康雄君 ここらが後ろの方になるとつらいところなんです。質問が重なってきたりもします。  私も足立先生と同じで、高校野球、特に選抜大会が開催か中止かということで揺れております。でも兵庫県の被災者の中には、沖縄とかあるいま鹿児島の沖永良部だとか徳之島とかいろんなところから来ておいでになります。郷土の高校が来るだけでも励みになるかと思うんですね。もちろん確かに宿泊施設の問題だとかございますけれども、甲子園球場そのものは随分と急ピッチで復興が成って野球ができるような状況も生まれております。  そしてまた、全国から来て、そこで義援金を募るのもよろしいし、私は高校生に被害現場を見せるということが大変な教育になるんじゃないだろうか、それこそ災害教育の最たるものになるんじゃないだろうか、そう思うんです。ですから、できるだけ全国から高校生を集めて、災害教育だとかそういうふうな観点からも、選抜大会、首相はいろいろとおっしゃっていましたけれども、今度は文部大臣にこのことをお聞きしたい。文部大臣も高野連とかに働きかけていただきたいなと思うんです。
  291. 与謝野馨

    国務大臣(与謝野馨君) 先ほど総理が詳しく御答弁なさいましたが、私は次のように考えております。  これは高野連並びに毎日新聞社が主催するものでございますので、高野連と毎日新聞はやる方向で準備をされたらいいと私は思っております。そして、状況が許せばそれをやればいいわけですし、まだその開催の時期の社会的状況あるいは復興の状況を考えてやはり中止した方がいいということであれば私は中止すればいいということですが、現時点ではやる方向で検討していく、やはり復興には高校生の明るい歓声もまた必要なのではないかと思っております。
  292. 西野康雄

    ○西野康雄君 ぜひとも文部大臣が始球式に臨まれるような、そういうふうな方向でやっていただきたいと思います。  都市災害で、ここ永田町小学校とがよく見るんですけれども、あいている学校というのはやっぱり避難のスペースとして置いておかなきゃならぬのじゃないだろうか。また、そこをあいているからといってまた高層ビルとか建てたりするといかぬのじゃないだろうかな、そんな思いをしながらいつも宿舎からずっと来ております。一遍そういうふうなことも、大都市の中の学校施設、きょうもニュースでやっていましたが、一つの学校で二つ教育をやっている。だから、まさにほんまの予備校じゃないですけれども災害予備校みたいなものをひとつスペースとしてあけておいていただければなと思いますが、これは答弁は結構でございます。頭の中で大臣各位、転がしておいていただければと思います。  これで新党・護憲リベラル・市民連合の質問を終えさせていただきます。
  293. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で西野康雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  294. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 次に、青島幸男君の質疑を行います。青島幸男君。
  295. 青島幸男

    青島幸男君 二院クラブの青島幸男でございます。  この場をかりまして、このたびの地震で亡くなられた方に心から御冥福をお祈り申し上げますし、被災をされた方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。  またあわせて、総理もあの日以来、もう大変な心痛を抱えておいでになって御苦労さまだと心からねぎらいの言葉を失礼ながら申し上げたいと思います。長時間にわたりまして連日のように答弁にお立ちになって真摯な態度できっちりと対応されているお姿を見まして、私は心から敬意を表する次第でございまして、各閣僚の方々皆さん頑張っておいでなのに敬意を表します。  さて、質問に移るわけでございますけれども、きょう私が最後になりますので、もうお疲れだと思いますから余り難しい話はしないようにしますけれども、私は実際に現地を見たわけでもございませんし、総理はおいでになったんですね。中には災難に遭われた方もおいでになる。その方々お話なんかを聞きながら、現地をろくに知らないで口幅ったいことを誓うのも大変じくじたる思いがするんですけれども質問に移らせていただきます。  まず、初動にちょっとトラブルがあったんじゃないか。緊急対策が手おくれになったんじゃないか。それの一番の問題は緊急時の通信網が確立していなかったということで、実際にどこでどのぐらいの規模の何が起こったのかということを総理が実際に把握するのに不手際があったんじゃないかということなんで、緊急時の通信網の確保ということは緊急の事態に非常にもう必要なことだと思いますが、この問題につきましては、総理、どういうお考えでおいでになりますか。
  296. 村山富市

    国務大臣(村山富市君) これはもうここで御質問もございましたからお答えいたしましたけれども、率直に申し上げまして、私は六時ちょっと過ぎぐらいのニュースで一番最初にテレビで知ったわけです。それですぐ連絡をして、七時半に私のところにこの状況の報告がございました。また、そのちょっと後、七時四十分前後でしたか、官房長官の方から状況の報告がありまして、そして国土庁にこの非常災害対策本部を設置することを指示したと、こういう連絡も受けました。  私は思いますのに、その危機管理体制というものにやっぱりまだまだ問題があるというふうに率直に言わざるを得ないと思うんです。今お話がございましたように、情報管理を、一元的に正確に集まってきてそしてそれが必要なところに正確に伝達されていく、指示されていく、こういう危機管理の体制、情報管理の体制というものをしっかりつくっていく必要がある。  そのためにはやっぱりそれを担当する専門家がおって、そして二十四時間体制でいつでも備えられるというような状況をつくる必要があるというんで、今各省の担当者でプロジェクトチームをつくって、どうすべきか、何が問題なのか、どこに欠陥があるのかというようなことを率直に検討していただいて、そしてあした何かあったときに十分備えられるというぐらいの緊迫した気持ちで結論を出してほしいと、こういって今検討しておる段階でございますから、早急に結論を出して、やれる分野は即刻やっていくというふうにしたいというふうに考えています。
  297. 青島幸男

    青島幸男君 特に火事の際などは最初の五分が非常に大事なんだということを聞いておりますし、何か起こったとき即座に対応できるかどうかということが非常に事態を左右すると思います。  ですから、最近では科学技術が大変に進歩しまして連絡手段とか機器が非常に発達しておりまして、手軽に移動電話なんかも持てるような状況ですから、ホットラインみたいなものを、各都道府県の首長とかそういう方々と首相官邸との間にホットラインを設けて、何かあったらすぐに報告ができるというような事態になればそれは非常に有利なことに働くんじゃないかと思いますけれども、その点に対しましては官房長官はどのようにお考えですか。
  298. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今、総理がお答えになりましたように、いろいろ反省する点があると思うんですが、一番の問題は一体何であったかということを考えてみますと、震度六という情報はすぐ入ってきたわけです、これはニュース等でも出ているところで。しかし、震度六といいましても被害の程度はさまざまなわけであります。一体どのくらいの被害規模であるかという、ここの掌握が非常に十分でなかった、遅かったと、率直に言って。御承知のように、テレビ等でも七時ぐらいでもなかなか被害の程度に関しては明確な報道がなかったということなんですね。  我々は、振り返ってみると、災害のときの被害規模というものを何となく死者何人という数で、いやこれはすごいなとかどうとかということを思っていたということは、これは大変な実は誤りだと。それは死者何人というのは警察で死者が確認されてから発表になることでありますから、それもはるかに実は遅い時点のことであって、まず最初にどの程度の災害規模であるかという掌握を速やかにすること、この方法をどうするかということなんですね。  現地、殊に兵庫県の県庁所在地である神戸そのものが直撃を受けたということで、県庁や神戸市もしばらくはやはりちょっと機能が不十分であったということもあったと思いますし、こういうときの対応として、初期の被害規模を速やかに確認してこれを真っすぐ必要なところに、総理のところ以下直結して連絡をするシステムというものをしっかり確立する。全体の災害対策、危機対策のときの問題も、これももうアメリカその他に学びながら本格的に腰を据えてこの機会に全面的に我々は見直す必要があるというふうに思いますが、殊に初期の問題に関して、今言うような点を切り取って初期のところだけこれは速やかに、つまり今の制度で、今の法律でも対応によっては直ちに実はできることもあるんじゃないか。それが決まればあしたからでも実施すべきだと、次の災害がいつ来るかわからないのでありますから。そういうことで、今、総理がお話しいたしましたように、プロジェクトチームをつくって鋭意検討しておおむね見通しが出てまいりました。  これはアメリカのFEMAに学ぶ点もあってみたり、あるいはこの間来、民間のさまざまな意見なんかも聞いてみますと、例えばNTTであるとかJRであるとかあるいは電力関係であるとか、こういうところもそれなりに全国的な組織があって、こういう民間企業の被害の測定というのも実は相当早いということ等もあるものですから、こういうものも含めて多重的な情報ネットワークというものをきっちりつくる必要があるということも含めまして、今、鋭意検討しているということであります。
  299. 青島幸男

    青島幸男君 おっしゃるとおりでありまして、実際何が起こったというのをいち早く察知して捕捉して、それで何をなすべきかという次の手段にかからなきゃならないわけですけれども、即座に当日の十時に閣議を開かれて災害対策について御協議があったと伺いまして、私としてはこれは割合迅速だったと思うんです。ところが、たまたま国会会期中ですから閣僚の方々も皆在京ですからそういうふうになったと思うんですけれども、これが閉会中でそれぞれ閣僚の方々が地元へお帰りになっていたりしたら、これは即座にお集まりいただいて話をするというわけにはまいりませんですね。  そういうような場合に、ただいまでは双方向の送受信のテレビなども活用できるわけですから、遠隔の地にいてもあたかも一つの部屋にいるごとくに対面しながら話もできるという装置もそんなに金かからずにできますし、民間の放送局なんかから借り出すとか協力を得るということも可能ですから、そういうようなシステムをいち早くつくっていただいて、しかもその中で、遠隔の地にいても休会中であろうと即座にお集まりいただいて、きちんとした決定ができるというようなことがもしできれば理想的だなと思う。その辺のところも含めてお考えいただきたいと私は思うわけでございます。  それから通信手段と同じようにNTTなんかも、例えば鋼線のラインが切断した場合は電波にしようとかあるいは衛星を通じてとか、何重にもカバーしているわけです。ですから、そういう何重にもカバーされたようなそういう通信システムというものをいち早くつくるということ。  それからもう一つは、情報が雑多にいたずらに飛び交っていても何にもならないわけです。ですから、常設の防災センターみたいなものを、しかもこれは非常な耐震構造でトーチカみたいに丈夫なもので、ちょっとやそっとの地震では傷まないというようなところに常設の耐震・耐災害センターというものをつくって、どこに大水が出た、どこに台風が来た、どこに地震が起きたということを即座に報告して、そこからまたすぐにホットラインで官邸なりそれからそういう重要なポスト、自衛隊の幹部あるいは知事とか市町村、県庁、そういうところにすぐにつなげるような、通常そういう防災用のネットワークというものをきちんと確立しておけば、初動のおくれなんということで批判されたりすることもなくなりますし、そのことが今度の災害がもたらした大きな教訓だと思いますが、そういう考えも含めましてもう一度総理に御見解を承ります。
  300. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 一つの点は、さっき申し上げました被害の程度をなるべく早く掌握することであろうと思います。  ちょっと付言いたしますと、FEMAの場合は、この間もウィット長官と会っていろいろお話ししたんですが、この場合ですと現地のマネジャーといいますかそれが即刻動く、その報告を受けるというのはこれはどこでも同じだというのが一つ。それから一つは、気象庁だとかNASAの衛星の活用ということを考えている。  もう一つは、これはなるほどと思ったんですが、コンピューターにあらかじめインプットしてありまして、人口だとか建物の状況だとか地形だとかすべてが入っていて、そこに震度六で大体どこが震源地でということになりますと、それを入れると直ちに被害の程度の大体おおよそのものが出てくるというような、これもなるほどと思っているわけですが、こういうようなことなども含めて初期の対応について早急に考えたいというふうに思います。  もう一点は、今御指摘のその情報をどういうぐあいに正確に即刻ちゃんと伝えられるかということでありまして、ここのところはまさにこの間来のプロジェクトチームで真剣に討議をいたしまして、そのルートをこういうふうにしようというネットワークを実はやや決めたようなところでございまして、これは近々になりますけれども、きちんと決まりました折にはまたお示し申し上げて御説明申し上げたい。  御指摘のような点はしっかりひとつやってみたい、こういうぐあいに思っている次第であります。
  301. 青島幸男

    青島幸男君 通信機器が非常な発達をしておりまして、各家庭にそのうちには有線放送で相互通信もできるような事態になると思うんですね。そうなりますと、家庭にいながら主婦の方がテレビの画像を見ながら品物を選んで、キーを打つだけで金融機関に支払いの決済もできるというようなことになる。こういう時期を迎えておりますので、東京にすべてのものが集中するというよりは、各地に分散していながら、そういうネットワークでもってコンピューターと結んで、先ほど官房長官はシミュレーションのお話をなさいましたけれども、ああいうふうに、集まってこなくても個々に別々な場所にいても仕事ができるというような事態もそんなに遠くない将来に来るはずですね。  そうなったときに、やっぱり司法、行政、立法、あるいは金融も流通も全部東京に集中している、しかも霞が関から永田町かいわいに集中しているということになりますと、この辺であの十七日の地震のような規模のものが直下型で起こったときのことを想像しますと、それこそ身のももよだつ思いがしますね。  ですから、やっぱりここに一極に集中するということを何とか排除していく方途を見つけなきゃならないし、コンピューターとネットワークによってその萌芽も今見えているというような事態でありますので、何とかその方向で分散させるとか、機能を分散させるあるいは情報を分散させる、何かあったときにはそれぞれが相互に連絡し合いながら的確に反応できるという格好に御検討いただきたいということを切に要望いたしますし、それともう一つは、毎日お忙しいお体ですから、ぜひ御自愛いただきますように申し上げます。
  302. 坂野重信

    委員長坂野重信君) 以上で青島幸男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて平成七年兵庫南部地震災害対策に関する集中審議は終了いたしました。  明日は午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会      —————・—————