○富田茂之君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました
地方財政計画、
地方税法の一部を
改正する
法律案並びに
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案につき、行
財政改革の
観点を踏まえて、村山
総理大臣並びに
関係各大臣に
質問いたします。
本論に入ります前に、去る一月十七日に発生いたしました
阪神大震災により亡くなられた
方々並びにその御遺族に対し、心よりお悔やみを申し上げるものであります。また、
地震により家屋財産を失い、負傷された皆様、
地震発生後約一カ月が経過するにもかかわらずいまだに
避難所生活を余儀なくされている多くの皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げるものであります。
とともに、支援活動、
復旧活動に携わっておられる
関係各機関の職員の皆様並びに多くの
ボランティアの皆様の
不眠不休の御努力に対し、心からお礼を申し上げ、深く敬意を表する次第であります。
私ども新進党も、与野党の壁を越えて、海部党首を中心に一致団結して
復旧・
復興のためのあらゆる
施策に総力を挙げて取り組んでまいることをお約束いたします。(
拍手)
さて、村山
総理は、就任以来、
行政改革に命運をかけるとか、
行政改革は村山
内閣の最重要課題と、あらゆる機会をとらえて明言されてきました。殊に、昨年九月三十日の所信表明演説では、「特殊法人の
見直しにつきましては、本
年度内に行うことといたします。」と、明確に期限を区切って公約されております。
そして、本年一月二十日の施政
方針演説におきましても、「私は、
行政改革の断行を初めとする諸課題に全力を傾注し、「改革から創造へ」と飛躍を図ることにより、我が国の新たな地平を開くための「創造とやさしさの国づくり」に真正面から取り組んでまいります。」とか、「改革の方向を一言で言えば「官から民へ、国から
地方へ」であります。すなわち、官と民との
関係では規制緩和、国と
地方との
関係では
地方分権、
国民の信頼
確保の
観点からは
行政情報の公開を進め、また、
行政組織やそれを補う特殊法人等を改革をして、簡素で効率的な、
国民の信頼にこたえる
行政を
実現していかなければならないと存じます。」とか、さらには「特殊法人については、情勢の変化によってその事業の
役割が十分に果たし得なくなっているものはないか、改めて評価するとともに、
行政の減量化と新たな
時代の要請にこたえるため、
年度内にすべての特殊法人の
見直しを行い、
政治的リーダーシップをもって統廃合を含めた整理
合理化を
推進する決意でございます。」と、力強く決意表明されております。
ところが、この決意に反して、
政府・与党が二月十一日未明までにまとめた特殊法人の整理
合理化案は、単なる数合わせに終始し、大幅な歳出削減に結びつく本格的な
行政改革とは到底言えないものであります。
統廃合により十一法人の削減がなされるようでありますが、廃止される特殊法人は、厚生省所管の役員二名、職員わずか二十一名の社会保障研究所一つだけであります。この社会保障研究所についても、その機能が厚生省所管の他の研究機関に引き継がれる予定のようであり、歳出削減の実効性があるのか甚だ疑わしいのであります。
また、統合が予定される七件についても、その業務の多くは継続され、理事ポスト並びに職員の定員が現実にどれだけ減少し、どの程度の歳出削減になるのか、
国民の目に全く見えてこないのであります。焦点となった
政府系金融機関の統廃合問題につきましても、与党各党、各省庁の思惑が絡み、
国民の目から見て全く理解しがたいドタバタ劇を繰り返したあげく、結局、今国会会期中に結論を出すとして先送りされてしまいました。
総理は、今回決定した特殊法人の整理
合理化案を満足のいくものと
考えておられるのですか。
総理が
国民に約束した改革とは、この程度のものなのですか。明確な答弁を求めるものであります。(
拍手)
報道によりますと、
総理は
消費税率引き上げで
国民に痛みを背負わせたことにじくじたるものを感じているとのことでありますのであるならば、なおさらのこと、
国民が見てはっきりわかるような、
国民が十分納得できるような改革案、整理
合理化案を
総理みずからが先頭に立って取りまとめ、みずからの
責任で実行に移すべきではないですか。
今回の特殊法人の整理
合理化案の決定に至る過程で、村山
総理の顔が全く見えてこなかった、
総理の
リーダーシップが全く発揮されなかったのは、まことに遺憾であるとともに、
総理の
責任は重大であると言わざるを得ません。
国民に聞こえてくるのは、武村大蔵大臣と橋本通産大臣の省益をかけた争いや、連立与党各幹部間の不協和音といったものばかりで、村山
総理が強力な
リーダーシップを発揮したと思えるものは何一つありません。今回の一連の経過を見る限り、今国会会期中にと結論を先送りしたとしても、結果は既に見えていると言わざるを得ません。
総理は
リーダーシップをいつどのように発揮されるのですか。また、
総理は
リーダーシップを発揮できなかった場合は
国民に対してどのように
責任をとるおつもりなのか。明確な答弁を求めるものであります。
なお、武村大蔵大臣は、特殊法人の
見直しに成果がなければ政権離脱も辞さずと言明してきたと伝えられておりますが、今回取りまとめられた整理
合理化案につきどのような感想を持たれているのか、御
所見を伺いたいと思います。
そもそも、特殊法人の整理
合理化案に関し今回のような不十分な結論しか出なかった最大の原因は、村山
内閣がどのような目的、指針を持って改革に臨むのかが当初から明確でなかった点にあります。
我が新進党は、特殊法人は民業の圧迫、事業の非効率などの弊害を生じており、
行政改革の
視点に立って、すべての特殊法人について設立当時の原点に立ち返り、事業の
役割、意義を根本的に見直す必要があると
考え、すべての特殊法人について存続の是非を根本的に見直すため、五年というタイムリミットを設け、その期間内にその必要性を十分吟味し、不要なものは廃止または民営化するとともに、存続するものについては新たな法律をもってその存続期限を付すサンセット法案を制定することを提言いたしました。
そして、サンセット法制定に至るまでの当面の
措置として、事業目的を達成しているものは廃止か縮小する、同種の事業を実施しているものは統合する、
特定の
地域を
対象のものは全国的なものに統合か
地方へ移す、民法法人等で事業可能なものはそれに任せる、企業的経営で
効率化が図れるものは民営化するという明確な基準を設け、これに基づいて整理
合理化を進めるべきと
考えます。また、特殊法人の統合に当たっては、役員については統合前の合算総数の七割以下、職員については八割以下に削減すると、定員削減についても具体的に提言しております。
このように、
国民から見てわかりやすく明確な基準を設けることが改革の
推進に当たっては重要であると
考えますが、この新進党の提言につき村山
総理はどのように受けとめられるか、御
所見を伺いたいと思います。(
拍手)
さて、
平成七
年度地方財政計画によりますと、その
財政規模は八十二兆五千九十三億円で、前
年度比二・○%の増加とされておりますが、最大の問題点は、
地方債、企業債、
交付税特会借入金を合計したいわゆる
地方の
借入金残高が
平成七
年度末で約百十六兆円にも上るという点であります。
地方の
借入金残高は、
平成三
年度までは、累増してはいたものの、年間五兆円を超える増加はありませんでした。ところが、
平成四
年度以降、いわゆるバブル崩壊による税収減の影響があるとはいえ、八兆九千億円、十二兆六千億円、十一兆三千億円と毎年残高が異様な増大
傾向を示し、七
年度末までにさらに十三兆二千億円も増加する見込みとなっております。
昨年三月二十五日、本院の
地方行政委員会は、このような
地方財政の危機的
状況を憂慮し、
地方財政の
拡充強化に関する決議を行い、「百兆円を超える多額の借入金が将来の
地方財政を圧迫するおそれがあることにかんがみ、
地方一般財源の
充実強化により、その健全化を図る」ための具体的
措置を
政府に対して求めております。にもかかわらず、
平成六
年度末見込みより約十三兆二千億円も
借入金残高が増大するというのでは、この委員会決議が全く顧みられなかったと言っても過言ではありません。
現在、本院の予算委員会で審議中の
平成七
年度予算案によれば、
平成七
年度末の国債
発行残高は約二百十二兆円に上ると予想されております。これと
地方の
借入金残高を合算すれば、約三百二十八兆円の借金を
国民が負うことになり、
国民一人当たりに換算すれば約二百六十万円、夫婦に子供二人の標準世帯で一千万円を超える多額の借金を
負担し、これを後世代に残すことになるわけであります。
また、このような借入金の累増は、義務的な
経費である利払い費などの公債費も膨張させることになり、
平成六
年度においても
地方財政計画ベースで約九兆円が支出されているのであります。この結果、
地方が
政策的な
判断で増減できる一般歳出を圧迫し、
財政の硬直化がさらに進むことが懸念されるのであります。
平成七
年度地方財政計画の
策定方針によりますと、「
地方債については、
住民税の
減税に伴う減収及び
地方財源の不足等に対処するための
措置を講じるとともに、
自主的・主体的な活力ある
地域づくり、生活関連
社会資本等の
整備を
推進する」として、十六兆三百三十二億円の計画
規模とされておりますが、公債費のさらなる膨張を考慮した場合、
策定方針の言う
地域づくりや生活関連
社会資本の
整備に向けて、
地方が本当に
自主的、主体的に取り組むことができるのか、大いに疑問であります。
そこで、
地方の借入金の歯どめなき増大
傾向に対し、
地方の
自主財源の
充実、それを踏まえた
地方財政計画の
策定のあり方といった根本からの
見直しが必要であると思われますが、この点に関し、
総理並びに大蔵、
自治各大臣の御
所見を伺いたいと思います。
次に、
国民健康保険制度の
見直しについて
質問いたします。
地方財政計画の
策定方針によりますれば、「
国民健康保険制度の保険基盤安定事業については、国の
負担が
平成八
年度まで暫定的に定額
負担とされることに伴い、
市町村負担分四百五十三億円に対する
地方財政措置として、
地方交付税の
特例措置三百七十三億円及び
調整債八十億円により対処する」とされておりますが、そもそも保険基盤安定制度、これは応益保険料の軽減分を公費で補てんする制度でありますが、この制度の国庫
負担割合は二分の一の定率
負担が大原則であります。
平成四
年度においては、この原則に基づき応益保険料の軽減分約千二百億円の二分の一に相当する約六百億円を国が
負担していたのでありますが、
平成五
年度、六
年度につきましては、国庫の厳しい
状況にかんがみ、暫定
措置として国の
負担を百億円の定額
負担とし、国庫
負担縮減相当額については
地方財政措置が講じられたのであります。今回、定率
負担の原則に戻らずに、何ゆえにこの暫定
措置をさらに二年間継続することとしたのか、納得のいく
説明を厚生大臣に求めたいと思います。
国民健康保険は、
国民全体の三割に相当する約三千八百三十万人が加入しているにもかかわらず、保険者である三千二百四十五の
市町村間の
財政力格差が大きく、現在、三百六十九
市町村の国保会計は赤字であると言われております。
国民健康保険加入者は、組合管掌健康保険や
政府管掌健康保険の加入者に比べて、同一収入の場合、掛金を約二倍支払いながら、外来診療時には、組合健保等の加入者が一割の自己
負担であるのに三割の自己
負担があり、明らかに不利益な
状況にあります。この矛盾を解決するためには、各種の保険を一元化して、給付と
負担の公平化が図られなければなりません。そのためにも、国保の
財政基盤を強固にする必要があるのであります。
国民健康保険の場合、保険料を支払う水準に達していない人が加入者の約四分の一と推定されております。このような立場の人々に対してこそ、国がより積極的な
施策を講じるべきであります。暫定
措置の継続などという小手先の
対策ではなく、
高齢化社会に十分
対応できるような保険の一元化を含む抜本的制度改革に取り組むべきと
考えますが、「人にやさしい
政治」を標榜する村山
総理並びに厚生大臣の御
所見を伺いたいと思います。
最後に、投資単独事業の
推進について御
質問いたします。
地方単独事業の実績は、昭和六十三年以降毎年一〇%以上の伸び率を示しており、補助
事業費の実績や
地方財政計画で予定した
事業費を大きく上回る
状況となっております。これは、
地方が、
住民生活に身近な生活関連施設等の計画的
整備や、
地域の特性を生かした個性的で魅力ある
地域づくりに創意工夫を凝らして積極的に取り組んできた成果であり、
地方分権の
推進という
観点からも大いに評価すべきものと
考えます。
また、公共投資の過去十年間の実績を見ますと、推計ではありますが、公共投資の七〇から七五%程度は
地方団体が実施し、公共投資の六〇%程度は
地方団体が
負担し、公共投資の四〇%程度は
地方単独事業であります。この点から見ましても、
地方の
役割はますます高まっており、その事業実施に係る
財源の
確保は不可欠であります。
さきの
地方財政の
拡充強化に関する決議におきましても、「
地域の実情に応じた生活環境及び
住民生活に密着した
社会資本の
整備を
推進し、
自主的・主体的な
地域づくりを更に進めるため、
地方単独事業の一層の
充実を図ること。」が
政府に対し要請されております。この
地方単独事業の
充実という点に関し、大蔵、
自治各大臣はどのように取り組まれるのか、その御決意をお伺いして、私の
質問を終えます。(
拍手)
〔
内閣総理大臣村山富市君
登壇〕