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1995-03-16 第132回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十六日(木曜日)     午後三時十五分開議 出席委員   委員長 川崎 二郎君    理事 塩谷  立君 理事 中馬 弘毅君    理事 穂積 良行君 理事 粟屋 敏信君    理事 山名 靖英君 理事 米田 建三君    理事 北沢 清功君 理事 田中  甲君       石橋 一弥君   田野瀬良太郎君       谷  洋一君    西田  司君       蓮実  進君    平林 鴻三君       山本 有二君    愛野興一郎君       上田  勇君    岡島 正之君       白沢 三郎君    富田 茂之君       永井 英慈君    吹田  愰君       山崎広太郎君    吉田 公一君       池田 隆一君    緒方 克陽君       山崎  泉君    穀田 恵二君       川端 達夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 野中 広務君  出席政府委員         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         自治政務次官  小林  守君         自治大臣官房長 秋本 敏文君         自治省行政局長 吉田 弘正君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    前川 尚美君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   栗原 裕康君     山本 有二君   吉田 公一君     白沢 三郎君   加藤 万吉君     緒方 克陽君   畠山健治郎君     山崎  泉君 同日  辞任         補欠選任   山本 有二君     栗原 裕康君   白沢 三郎君     吉田 公一君   緒方 克陽君     加藤 万吉君   山崎  泉君     畠山健治郎君     ――――――――――――― 三月十五日  地方公務員災害補償法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第七八号) は本委員会に付託された。 三月十五日  新設警察署整備に関する陳情書  (第六号)  銃砲刀剣類所持等取締法罰則強化に関する陳  情書  (第七号)  銃の流入阻止及び銃犯罪捜査体制強化に関す  る陳情書外一件  (第八号)  坂本弁護士一家失踪事件捜査に関する陳情書  外十三件  (第九号)  暴力団及びその構成員で組織する右翼団体への  寄附金等の拒否に関する陳情書  (第一〇号)  議会権能強化等に関する陳情書  (第二号)  地方財政充実強化に関する陳情書外六件  (第一二号)  町村財政基盤強化に関する陳情書外二件  (第二二号  )  日本国有鉄道清算事業団所有地の取得に係る財  政支援措置等に関する陳情書  (第一四号)  固定資産税等税負担軽減措置に関する陳情  書  (第一五号)  自治体病院補助拡充に関する陳情書  (第一六号)  愛媛県立北宇和病院拡充整備に関する陳情書  (第一七  号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  市町村合併特例に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第三〇号)(参議院送付  )      ――――◇―――――
  2. 川崎二郎

    川崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田野瀬良太郎君。
  3. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 合併特例法がいよいよ改正されようといたしております。そもそもこの特例法ができ上がったのは昭和四十年でございまして、今回で三回目の改正ということに相なりますが、過去三十年間振り返って見てみますのに、昭和四十年、初めて施行されたときに市町村の数が三千三百九十二市町村、三十年後の今日、三千二百二十四。これを見たときに、三十年間のこの特例法が果たして効果があったのかどうか、大して実効が上がっておらないのじゃないかという見方ができるのではないかと私は思うのですが、その辺のところ、自治省はどういう御見解に立っておるのか、まず御質問したいと思います。
  4. 野中広務

    野中国務大臣 委員がただいま御指摘になりましたように、現在の合併特例法のもとでこの合併が進められてまいりましたのは、百四十五件の合併が行われたわけでございます。そのうち、最初の十年間に百二十五件、次の十年間に四件でありまして、この十年間に十六件の合併が行われているという状況でございます。最初の十年間と比較をいたしまして、この二十年間については合併が余り進んでおらないという状況でございます。  これは、地方制度調査会答申にのっとりまして、これまでのような市町村合併に際しての障害を今度は除去しなくてはならない、そして自主的な市町村合併推進していくという観点合併特例法に明確に織り込むとともに、市町村合併が本来持つ効果が、一層確実な成果が発揮されるような、そういう行財政支援措置を講じるなど、大幅な内容の見直しを行おうと今回しておるところでございます。  また、最近の状況を見ますと、住民の側から合併に向けた活発な動きが目立ってくるようになってまいりました。わけても、地域に根づいた、青年会議所とかこういう諸君が広域的な自治体のあり方というものに着目をされるような状況も出てまいりました。こういう新しい潮流をも反映をいたしまして、住民発議制度を織り込んで提案をさせていただいておる次第でございます。  この合併が進まなかった要因というのは、ある意味において、ちょうど東京オリンピックの直後からでございまして、これを振り返りますと、昭和五十年当初の地方財政の危機が一時ありましたけれども、案外、財政が平たんな道をたどる、そういう経過も若干合併への意欲をそいだのではなかろうかと、私自身は思うわけでございます。
  5. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 今大臣から、満足すべき合併が進まなかった、あるいはまた、時代の趨勢から非常にそれを促進する機運が出てきたというような、今回の改正に当たっての理由が述べられたわけでございますが、しかし、過去三回、今回も含めて三回、振り返りましたときに、余り進んでおらないということは、もう既に十年前も二十年前にもおおよそ察しがついておりましたのですが、このたび、見てみますと、過去二回に比べましてかなり大幅な改正になっておる。その辺の際立った理由というものが恐らく私はあるんじゃないかなと思うのですが、再度、その辺のところの今回の改正趣旨あるいは理由等につきまして御説明いただいたらと思うんですが。
  6. 野中広務

    野中国務大臣 今委員指摘のように、今回の改正に当たりましては、単に期限延長するというだけでなく、地方制度調査会答申を踏まえまして、前回の延長後に生じましたいわゆる国土の均衡ある発展や、今回法案お願いをいたしました、地方分権という我が国の内政上の重要な課題に向けまして対処する必要や、あるいは住民の側から見ますと、より自主的な合併への取り組みの活発化といった諸条件を勘案をいたしまして、自主的な市町村合併推進をするということを基本とした次第でございます。  そのために、これまでのような行政イニシアチブだけでなく、幅広く住民イニシアチブによりまして、より市町村合併推進していくための住民発議制度を創設をいたしまして、合併市町村町づくりを積極的に推進するための財政措置等市町村合併が本来持つ効果を一層着実に発揮できるような、そういう行財政上の支援措置を講ずることといたしまして、むしろ従来、まだまだ不十分であった面をより充実をすることによって、合併促進がされようとしておる機運をより増幅しようという努力を私ども法案の中に盛らせていただいた次第でございます。
  7. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 このたびの改正趣旨理由等についてはよくわかりましたのですが、私も今回の改正は非常に評価をし、期待をしておる一人でございます。自治省が今回のこの改正に当たって、やはりそれなりの、文言に「推進」という言葉をあえて加えておるところから、私は、かなり期待を持って自治省も当たっておる、こういうふうに推察するんです。  さすれば、どんな効果期待できるのか。できればある程度具体的な、現在三千二百三十四あるのが千五百ぐらいになる予想だとか、何かそういう目標めいたものがあるのかないのか、あるいはどんな効果期待しておるのかというようなことを、具体的にそういう目標というんでしょうか、目算があれば、ここでお教えいただけたらと思うんですが。
  8. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回、合併特例法改正お願いしておりますが、その改正趣旨は、今大臣からお答え申し上げたとおりでございます。合併地域一体性整備でありますとか、あるいは行財政水準の向上、さらには各種行政サービス充実に有効でかつ適切な方策であるという見地から、これが進むようにということで、従来の単に合併障害になるようなこういう事項を取り除くというところから一歩踏み込んで、さらにこれが進むような環境整備をするということで、今回御提案申し上げているところでございます。  そういうことでこの法律案お願いしておりまして、これが成立されますと、これに伴いまして各種特例措置が動くわけでございます。合併についての住民発議制度というものも画期的なものでございますし、また特例措置につきましても、従前に比べまして財政措置拡充強化をしてあります。特に私ども、今回のこの合併特例法改正に当たりましては、いろいろ関係市町村にもアンケート等もとりまして、そういう中で財政措置拡充ということについては非常に強い要望もございまして、それにもこたえているということでございますので、相当進むとは思っております。  ただ、合併につきましては、やはり昭和二十八年当時の町村合併促進法のときのように、あらかじめ一律の基準を決めて、それによって計画的に進めるという手法ではございませんので、自主的な合併ということにいたしておりますので、そういう中でそれぞれの地域地域が自主的に御判断を願って、本当に地域振興を図っていくために合併が望ましいということになれば、それが十分進められるような手当てを今回準備しておりますので、これによって相当程度進んでいくんではないかというふうに思っております。
  9. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 今回の改正によって相当数進むだろうという御見解なんですが、おおよそ全国合併機運のある地域あるいは市町村は、大体私は把握しておるんじゃないかなと思うんですね。この法令によって、この市町村はこういうふうになるだろう、こことこことが恐らくクリアしてなるだろうというような、おおよそ予想がつくんじゃないかな、こういうふうに私は推察するんです。おおよそ、ちょっと成り行きを見守っておるというのか、ある程度、五年後十年後にはこうなるんだというようなものがあれば、私は恐らくあるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
  10. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 私ども、今、合併は非常に今後の地域振興等にとりまして有効適切な方策であると考えておりますので、これが進むことが望ましいと思っております。ただ、今、では一体五年先、十年先にはどの程度合併ができるかということもあらかじめ予想を持っているというわけではございません。こういうような合併が進みやすいような環境整備することによって、それぞれの地域地域が自主的に御判断を願って、まさに合併ということになりますと、その地域地方公共団体の存在にかかわる問題でございますので、国が一律的にやるというよりは、地域地域がそれぞれの御判断で、この特例措置を踏まえて検討をして御判断をいただくということが望ましいんだろうというふうに思っているところでございます。
  11. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 そこで、私は、この今回の改正によって市町村合併が大いに推進される、今地方分権が大いに叫ばれておる中で、非常にこの市町村合併が有力な一つの手段である、こういうふうに解釈をし、非常に期待をしておるところでございますが、今回のこの改正案の中で、さすれば全然問題がないのかどうかということになってくると、私、若干やはり心配な面もあるわけでございます。  その点についてちょっと、この後一つずつお聞きをしてまいりたいと思うんですが、私、この法案というか、この種のものは、その効果考えたときに、余り期限には関係ないというより、十年であっても、五年であっても、三年であっても、その効果は同じじゃないかなという思いを持っておるものでございます。  十年ということになると、割合こうのんびり構えて、まあ、よそ様がやることを見守りながら、八年か九年ぐらいに駆け込みでやったらいいじゃないかというような考え、しかし、三年という期限を切られますと、これはしっかりと準備を整えてやらにゃいかぬなということで、私、三年であっても、五年であっても、十年であっても、この実効はそんなに大きな差がないんじゃないかな。それであれば、三年とか五年で切りながら、その都度様子を見ながら、さらに改正を加えていくというようなことの方がさらに実効が上がっていくんじゃないかな、こんなふうに思うわけなんですが、その辺はいかがですか。
  12. 野中広務

    野中国務大臣 大体、委員先ほど指摘になりましたように、最初合併促進法昭和二十八年でございました。  そのとき、あの合併によりまして、もちろん国も積極的に関与いたしましたけれども、府県が、それぞれ市町村のあるべき方向、人口規模を八千人と定めまして、随分積極的に慫慂をしてまいったわけでございます。  このときに市町村の数は約三分の一に減ったわけでございますけれども先ほど申し上げましたように、その後の法の施行に伴いましては大きな合併が進まないまま今日を迎えたというのは、私は、ある意味において、昭和三十年を節目にして大胆に行われた市町村合併のときの世代がそのままずっと市町村の役場に、市役所に、あるいは議会に、それぞれそういう世代構成をしてきたと思うわけでございます。今回はそういう世代がかわっていく、そういう時期であります。  もう一つは、先ほど来申し上げていますように、地方分権の大きな変革があり、国土の均衡ある発展というものがまた国策としての大きな柱になっておるときでありますので、そういう意味では、私は、ここ十年ほどかけて、このかわった世代地域実情をよく見直して、そして大胆な合併を行うことによって市町村基盤充実していくという、そういう方向づけをやってくれるのに必要な期間ではないのかなというように考えておる次第でございます。
  13. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 わかりました。  次に、私の出身の奈良県でも体験をしておることなんですが、このたび衆議院選挙制度改正による区割りがされましたね。随分長い間、現行の円滑化を図る法のもとで合併を目指して、広域町村圏なるものをつくって、そして消防署をつくったり、警察署をつくったり、そして処理場をつくったりということで、限りなく合併に向かって進んでまいったその地区において、ちょうどそのど真ん中で区割りがされて、合併機運がしぼんでしまったという地区が、実は奈良県にもあるわけでございます。  こういう事例日本列島全国に、至るところにたくさんあるのかないのか。あるとすれば、せっかく合併を進めていこうという中で、一方立てれば一方立たず、それは何もかも満足するわけにはいかなかったかと思うのですが、こういう事例が我が県にもあるわけでございまして、他県ではいかがなものでしょうか。あるいは、そういう分断された地区をどんなふうにこれから指導していこうとするのか、お考えがあればお聞きしたいと思うわけでございます。
  14. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回、衆議院議員選挙制度につきまして、小選挙比例代表並立制が採用されたわけでございます。これはもう先生御案内のとおり、政策本位政党本位選挙を目指してこういう制度にするということでございます。小選挙区三百の区画につきましても、区画審の勧告に基づいて法律区画が制定されたわけでございます。これは、この区画市町村合併とは、制度的には直接関連するものではないというふうに考えているわけでございます。  ただ、市町村合併をするという場合には、やはり住民共同意識の醸成を前提として、市町村住民自主性が十分に尊重されて行われるべきものであるというふうに考えております。市町村の皆さんが、将来の自分の市や町をどうしていったらいいかということを検討していく上で、この区割りというものも一つ判断材料にはなるかもしれませんが、それはあくまでも一つ要素でございましょうし、ほかのいろいろな地域的な要素、あるいは経済的、社会的な関連というものも踏まえて考えていくものではないかというふうに思っているわけでございます。  全国的にどの程度そういうものがあるかということにつきましては、私ども詳しく承知しているわけではございませんが、これから関係市町村がそれぞれの地域地域について合併をする場合については、先ほどから申しましたように、市町村の自主的な判断によって、地域実情に応じて、どういうものが一番適当かということを判断してこれを進めていただけるものというふうに考えている次第でございます。
  15. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 全国的にどういう地区があるのか、一遍調べておいていただければ大変参考になりますし、また、どんなふうにこれから国、県が指導していくかというようなことの非常に参考になるのじゃないかなと思いますので、よろしくお願いしておきたいと思います。  次に、これは今までよく聞かれたことなんですが、なるほど村から町へ、町から市へ、おおよその住民はなりたい、こういう願望は持っておることは事実でございますが、さりとて、合併することによってどんなメリットがあるのかということを考えたときに、今までの法のもとでは大したメリットがないんだ、こういうことでございました。それが促進を鈍らせた一つの原因じゃないかなと思うわけでございまして、今回は、かなり肝いりでそのメリット考え法案がつくられたと私は推察するのですが、改めて、今回の改正によって、合併によるメリットはどこにあるのか、つまびらかにしていただければ大変参考になるわけでございまして、その点お聞きしたいと思います。
  16. 野中広務

    野中国務大臣 現在の特例法につきましては、その目的を市町村合併円滑化を図るということにしておったわけでありますが、今回の法案におきましては、自主的な市町村合併推進するという方向づけをしたわけでございまして、このような観点から、合併市町村町づくり支援をしていくための財政措置拡充を初めといたしまして、市町村合併が本来持つ効果が一層確実に発揮できるような、そういう行財政支援を講ずることを柱としたところが私は特色であると存じておる次第でございます。
  17. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 さらに、今までの市町村合併ネックになっておりましたのが、当該市町村議員の反対というのでしょうか、あるいは積極性のなさ、あるいは消極性というのでしょうか、それが最大のネックであったということもよく聞かされるわけでございまして、今回の法案改正は、その点についても随分配慮してあるやに思うわけでございますが、改めてその点も、どんなふうに、どこにどんな効果を求めておるのか、再度はっきりとしていただければと思うわけでございます。
  18. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回の法律改正案では、従来の特例措置に比べて、特例措置充実をいろいろ図っているわけでございますが、合併が、特に議会議員方々のことが問題になってなかなか進まなかったというようなことに対しましては、今回は、一つには、先ほどから申します住民発議制度という格好で、住民サイドから合併前提となります合併協議会の設置について発議をするということで、住民イニシアチブを発揮できるようにするということが一点でございます。  もう一点は、旧合併関係市町村住民の意向が新しい合併後の市町村行政によく反映できるようにということで、議会議員の定数とか在任期間に、今でも特例があるわけでございますが、これを今回さらに、経過的な特例措置でございますが、これについて、その期間延長等を行いまして、その効果がより発揮できるようにしていくということが、もう一つの点でございます。
  19. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 確かに、住民発議によるという方法、私も、これは画期的ないい案を、思いつくというか考えたものだなということで、大変これに期待をいたしておるところでございます。  議員というのは、やはりどうしても地域住民に弱いというか、弱いというのは語弊がありますが、その考えを反映するというか、そういう義務があるわけでございまして、大いにその点に期待したいところでございます。  さらに、ネックとなっておることが一つございます。  合併することによって、なれ親しんできた我が町、我が村の名前が消えてしまうということも、今までの大きなネック一つであったわけでございますが、この点については、今回の改正案には余り盛り込まれておるところは見られないし、あるいはこれをどんなふうに解決するのか。なかなか難しいとは思うのですが、何かお考えがあればお聞きしたいと思うのです。
  20. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併後の市町村名称をどうするかということは、基本的には、当該市町村関係する市町村合併協議会等でいろいろ御議論をいただいてお決め願うということでございます。  これは、新設合併の場合は、Aという町とBという町が合併して、新しい名称をどうするかという問題のときもございますし、あるいは吸収合併の場合はどうするかというような問題もあるわけでございます。基本的には、それぞれの市町村合併することによって、旧来のお名前を生かす場合もございましょうし、あるいは全く新しい名前をつける場合もあるということで、それぞれさまざまだと思います。  ただ、合併して市になる場合につきまして、市の名称が、これは通常、都道府県名称をつけずに、何々県何々市というわけではなくて、ただ何々市という格好で呼ばれるケースが多いわけでございますので、そういう場合に、全国的な混乱をできるだけ回避するという趣旨で、従来から、町を市とするような場合には、同一あるいは類似の名称を避けるようにということでお願いをしているところでございまして、各地方団体におきましても、その趣旨を踏まえて、いろいろ工夫をしていただいて、やっていただいているというようなことでございます。
  21. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 それでは、最後にお聞きしますが、今回の法案改正点の中での住民発議制度、これに大いに期待するところでございますが、それだけに、国民周知徹底することが非常に重要であると思うわけでございます。もう既に、その方策をいろいろとお考えになっておると思うのですが、どんなふうにしてこれから国民に広くこれを理解してもらうことにするのか、その点についてお聞きをいたしたいと思います。
  22. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民発議制度を初めとして、今回の改正内容について広く一般の住民方々に知っていただくということは大変重要なことだと考えております。  そこで、私どもは、これから法案が通りましたら、都道府県市町村に対しまして、シンポジウムの開催や講演会への講師の派遣等を通じまして、今回の合併特例法改正内容でございますとか、その趣旨について、よく周知をしてまいりたいと思っております。また、広報紙等を活用して制度周知についても努めていただくように協力をお願いをいたしたいと考えているわけでございます。  また、特に、今回創設いたしました住民発議制度というものについて住民方々から御照会等がありました場合には、これは当然のことでございますが、積極的に対応をしていきたいというふうに考えております。  こういうことの周知徹底に努めることによりまして、今回創設いたしました住民発議制度住民方々に有効に活用されるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  23. 田野瀬良太郎

    田野瀬委員 それでは、どうもありがとうございました。私の質問を終わらせていただきます。
  24. 川崎二郎

  25. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 今度の改正案の御提案に至るまで、事前に、自治省として、各市町村にいろいろ実情を調査されたり、あるいは地方制度調査会に諮問されて、答申を受けられて、かなり配慮されてこの改正案を提案されておられるということは理解をするものでございますけれども、幾つかの点についてお尋ねをさせていただきます。  まず、改正案と現行法との違いで、第一条の「(趣旨)」の中で、現行法は「市町村合併円滑化を図り、」いろいろな障害を、できるだけ合併のための障害を除いていこうということで、ここ三十年間、この法律できたんだと思いますが、今度の改正の「(趣旨)」で違いが、「自主的な市町村合併推進しことございます。これをどういうふうに読んだらいいのか。「自主的な」の方に重きを置いて読んだらいいのか、「推進」の方に重きを置いて読んだらいいのか。その辺のところのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  26. 野中広務

    野中国務大臣 先ほど田野瀬委員の質問にもお答えをいたしましたように、今日までの合併の歩みを考えますと、非常に、最初の十年と比べまして後の二十年が進んでおらないというような反省点等も踏まえながら、地方制度調査会におかれましても、市町村合併に際しまして、障害を除去するというだけでなく、さらに委員が今御指摘になりましたように、自主的な市町村合併推進していくという御答申を、方向づけ答申をいただいたわけでございまして、そういう意味でこの法案に織り込んだ次第でございますが、どちらに比重を置くかという問題は、むしろ市町村が積極的かつ自主的に推進をしてほしいという願いを込めて、その中から私どもは、合併が円滑に行われるような、そしてその効果が見出せるような、そういう行財政支援をしていくというところに私どもの力点を置いて、従来と異なった見直しをやらせていただいたと存じておる次第でございます。
  27. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 この「推進」の方に市町村または住民が重きを置いて受けとめますと、国は再び市町村合併推進するんだという受けとめ方になって、これが今度の法改正の大きな目玉である住民発議、これに影響が及ぶのじゃないか、非常に混乱が起きるのじゃないかという心配をするものですから、その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回、合併特例法改正案お願いしておりますのは、合併地域一体的な整備行財政基盤強化あるいは行政サービスの向上のために有効で適切な方法であるというような御答申もいただいておりますし、ただ、合併については、あくまで自主的な合併を進めるべきだということも言われているわけでございます。そういうこともございますし、さらには、今日的な課題として、まさに地方分権推進とか国土の均衡ある発展という重要な課題に対処するためにも、市町村の自主的な合併を進めていくのが必要であるというふうに答申では言われているわけでございますので、従来の合併の、ただ合併障害になることを取り除くといういわばニュートラルなところから一歩踏み込んで、自主的な合併が進むような環境整備をしようということでございます。  そういうことでございまして、合併を進めるということはそのとおりでございますが、一律的な基準をつくって、それで計画的に進めようというものではございません。  そういう中で、市町村住民方々の動き、合併に対する動きもいろいろございます。そういうものをこの合併推進に反映させることも必要だということで住民発議制度も創設をしたということでございまして、これがそれぞれの地域でその実情に応じて適切に発揮すれば、望ましい方向で合併が進むのではないかというふうに考えている次第でございます。
  29. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 よくわからないと思うのですけれども、いずれにしても、今度の改正が、今何か世の中第三次の合併ブームがあるというような、そういうやはり背景、今の現状認識。あるいは、昭和四十年ですか、この現行法がスタートして三十年たつわけですね、私も、昭和四十年代から、私は福岡市でございますけれども合併事例考えてみましても、福岡市が昭和四十七年に政令市になる時点で周辺の幾つかの町村と合併した、それぐらいしか記憶がないわけでございまして、ひとつ、今日までの三十年間、この現行法の果たした役割というか、市町村合併に対する評価というか、そういうことをお聞かせいただきたいと思います。
  30. 野中広務

    野中国務大臣 委員おっしゃいますように、この合併特例法が果たした役割というのは、さっきも田野瀬委員の御質問にお答えいたしましたように、昭和二十八年の合併促進は、いわゆる戦後の混乱期から新たな秩序を求めて、そして、地方自治の新たなあり方を方向づけるために、国も府県も積極的にある程度関与して、そして推進をしたわけでございます。それから三十年、やはりその合併をつくり上げた世代がそのままその社会を構成をしてきた。もう一つは、先ほど申し上げましたように、昭和五十年代前半の地方財政危機を除いては、意外に経済的に市町村の運営が円滑にいったという背景。  それがここに来て、一つ地方分権の問題、あるいは国土の均衡ある発展の問題、特に、そういう中で急速に高齢化、少子化という社会が進んでくるわけでございますから、これから積極的にそういう面では行政の効率的な運営を考えなくてはとても地域づくりは対応できないという時代を迎えてきたのではないか、こう考えるわけでございまして、かつてのような、国が関与したり府県が慫慂するようなことはできませんけれども、ある程度府県が、あるべき方向について調整したり、あるいはお手伝いをできるような環境づくりをしながら、市町村みずからが地域における福祉を充実をしたり、困難な時代を変革に耐え得るような、そういう市町村づくりというものをみずから考える、そういう時期に来ておるのではなかろうか、このように思うわけでございまして、この今日までの特例法と異なる側面を今回は持っておるではなかろうかと思うわけでございます。
  31. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 私も大臣のおっしゃるとおりの方向に行くべきだというふうに思うわけですが、しかし、果たして必ずしもそういう方向にこれからの市町村合併が行くだろうかという危惧を持つわけでございます。  明治の二十二年ですか、それと昭和二十八年から昭和三十六年、これを二度の大合併、これはやはり、特に町村の規模を決めたり行政能力を高めなければいけないということで、そういうことで国が指導力を発揮して大変な成果を上げられたわけでございますけれども、しかし、どうも昭和四十年以降の合併状況というのは、先ほども申し上げましたように、例えば政令市に昇格するために、仙台市のように、周辺の市町村を吸収する、あるいは県庁所在市とその周辺の市町村合併する、あるいは広域市町村圏の中の中心市とその周辺の市町村合併するというような状況で、どうも、いわゆる僕ら普通、町村合併町村合併と言ってきたわけでございますけれども、町村の能力をアップしていくという方向よりも、むしろ、何といいますか、地域の活性化とかいわゆる拠点づくりをやるために合併一つ方策にするというような、いわゆる町村の合併よりも都市の合併、都市が中心になった合併という形態に今変わっているのじゃないか、このように思うわけでございますが、その辺の評価はいかがでございましょうか。
  32. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 確かに、過去の合併特例法のもとで行われました合併について見ますと、約七割が、県庁所在市あるいは広域市町村圏の中心市などが地域の中核となるような都市に関して、そういうような地域地域の中核となるような都市について行われたというケースでございます。  地方制度調査会答申におきましても、今後の国土の均衡ある発展を図るためには、やはり「広域的な地域振興整備推進していくことが重要」となっており、「圏域の中心となる都市が一定の規模や行政能力を有し、地域発展のための牽引力を持つようになることが望ましい。」というような指摘もしているわけでございます。このような観点から、市町村住民の自主的な判断のもとにこのような都市を中心として合併が進んできたということは十分評価できるというふうに思うわけでございます。  まさにそういうケースも多いわけでございますが、ただ、町村の方についてはそうないではないかというようなことではございますが、実は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私ども、この合併特例法改正に当たりまして研究会等も設けまして、市町村にもアンケートをとりました。その場合に、今後要するに町村側としても合併が必要だとあるような回答を寄せられた町村が、約六百余りございます。  これを多いと見るか、少ないと見るかございますが、やはり相当程度町村においても、今後のそれぞれの課題に対応するために自主的な合併について真剣に検討していくという下地はあるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  33. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 なるほど、合併が必要だと思っている町村が確かにある。ただ、今おっしゃった、自治省で研究委員会をつくられて、市町村と県についてもいろいろ意見を聴取された。アンケート調査をやられた。その中では、合併に対する意欲は、県、市、町村の順で、割と町村が県や市に比べると余り意欲的でないという数字が出ているようでございます。  それで、この特例法改正がいわゆる地方分権推進法とちょうど同時期に提案された。これはその地方分権との絡みだというふうに我々も受けとめておるわけでございます。それはあくまでも基礎的自治体である市町村がその分権の受け皿となるべき行財政能力を高めてほしいという一つの我々の気持ちもあるし、自治省もそうだと思うのですけれども、今の合併状況が、もちろん町村の中でもこの法律によって合併に進む町村も出てくるとは思うわけでございますが、どうも中心は、先ほども申し上げましたように、都市に移っているのじゃないか。そうなると、我々がねらっている地方分権と、今度の町村合併とが必ずしもかみ合わないのじゃないか。この法律改正は我々が期待をするほどの効果を上げるのだろうか。そういう疑問を持つものですから、その辺についてのお考えをお尋ねいたします。
  34. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回の合併特例法改正につきましては、一つの視点としては、やはり地方分権推進に資するという視点もあるわけでございます。  そして、同じく今国会に御提案を申し上げております地方分権推進法、これはまさにこれからの地方分権推進していくための手順、仕組みをつくりまして、具体的な分権を進めていこうという内容法律案でございますが、いずれにしても、これから地方分権は今まさに時代の大きな流れというふうなことになってきているような状況でございます。  そういう中で、地方分権ということになりますと、やはりそれぞれの地域が個性ある行政を展開することができるように、国と地方の役割を本格的に見直して、権限の移譲あるいは財源の強化ということを図りまして、それぞれの地域自主性、自立性を高めていくということになるわけでございますが、それとあわせて、これにふさわしい地方公共団体行財政の体制整備ということも必要になってくるわけでございます。  第二十四次地方制度調査会答申では、この辺の問題につきましては、まず国から権限移譲を進めるに当たっては、当面、都道府県により重点をおいて進めることが、現実的かつ効率的というふうにしております。その上で、住民により身近な存在であり、地域づくりの主体である市町村へも、その規模、能力等をも踏まえながら、移譲を進めることが適当であるという御指摘をいただいているところでございます。  そういう中で、当面は都道府県にいたしましても、最終的にはやはり基礎的地方公共団体である市町村がきちんと自主的、自立的に行財政運営を行えるということが大変重要でございますので、そういうようなことで体制も考えていかなければならないということだろうと思います。その一つの方法として合併もありましょう。  ただ、合併がどうしても進まないというような事情もあろうかと思います。それは、昨年実は私ども、地方自治法の一部改正をさせていただきまして、その中で広域連合制度というものを創設をさせていただきました。これは近年におきます多様な広域行政需要に的確かつ効率的に対応することができるとともに、そこに国や県から権限移譲ができるようなことにするということで、いわば権限移譲の受け入れ体制を整備するという意味を持っているわけでございます。  そういう制度を創設いたしましたので、それを御活用願うということも一つの方法だろうと思いますし、さまざまな方法で市町村あるいはそれぞれの共同体が適切な行財政を行うことができるようなことにしていくということが大事であろうと思っております。
  35. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 今から行う質問の一部をもうお答えをいただいたのですけれども、いわゆる町村の中でも小規模町村、人口五千人以下ですか、二十数%あるそうでございますけれども、ここは大体離島であるとか山間部の町村ですから、自主的な合併を望まれても、そういう合併が起こらないだろう、なかなか実現しないだろうと考えられるわけですね。この辺の、いわゆる小規模町村をどうするか。今お答えがございましたように、広域連合等で救済するというか、あるいはその広域行政の主体である県が非常にきめ細かに、この辺に対する行政能力の欠けたところを補完していくということになろうかと思いますけれども、こうした小規模町村に対するお考えがございました、……
  36. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 確かに規模の小さい町村の行財政能力をどうするかというのは大きな課題でございます。合併しようと思っても、地理的な事情その他の事情でなかなか合併ができないような、あるいは困難な団体もあろうかと思います。一つは、先ほど申し上げました広域連合制度、これを昨年地方自治法の改正で創設をいたしましたので、これを御活用願うということも、つの方法であろうと思います。  それから、もう一つは、都道府県やあるいは広域市町村圏の中心都市がそういう小さい町村の行財政について補完・代行をする仕組みということについて検討する必要があるということは地方制度調査会答申でも言われておりますので、さらにこの問題については、答申趣旨もよく踏まえながら、検討をしていくべき課題だというふうに思っているわけでございます。
  37. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 別途、小規模町村、いわゆる地方分権が進む過程における小規模町村のあり方について、ひとつ格段の御対応をお願いいたしたいと存じます。  次に、先ほども申し上げましたように、過去二回、これは国主導で二度大きな合併の成果が上げられたわけでございますが、今は何か第三次の合併ブームだと言われておるようでございます。  確かに、私の知る範囲でも、青年会議所が四か町村を一つにしたいとかいろいろな動きがあるようでございまして、こういった構想は全国で九土地域、対象市町村は五百五十余にも及ぶというようなことが、やはりこれでしたか、出ておったわけでございます。大体今のそういう合併の話は、商工会議所とか商工会とか青年会議所とか、むしろそういう民間団体から、やはりその地域の、それこそ活性化等々の方策を模索する中でこの合併問題というのが起きてきている。これはまさにこの法律のねらいでもございます自主的な動きではないか。そういうものが一方にあって、そしていわゆるそういう民間経済団体の皆さん方は、関係市町村、首長とか議会とかにいろいろ配慮しながらそれなりに当たっておられるのだろうと思うのですよ。  ところが、この住民発議のことに触れるのですけれども、こういう住民発議が一方でぽんと起こってくると、その辺のこととバッティングしやしないか。せっかく積み上げてきていたものが、一方で五十分の一の方々からぽっと提起されて、今まで積み上げてきたものに対して何か横やりみたいな形で出てくるということになりはしないかなという感じがするのですけれども、何かその辺のことについて、いかがでございましょう。
  38. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 まさに今回のこの改正案では住民発議制度の創設というものが一つの大きな柱になっているわけでございますが、これは今先生御指摘にありましたように、地域におきます住民方々あるいは経済固体等の最近における動き、活発な取り組み等を踏まえて、そういう方々イニシアチブで自主的な合併が進むようにということで制度化をさせていただいたものでございます。  ただ、合併につきまして、この住民発議制度というのは、言ってみれば合併の前段階となります合併協議会の設置についての発議でございまして、最終的には、当然のことでございますが、それぞれの合併協議会を設置するについては議会の議決が要るということに相なるわけでございます。  そういう中で、今回のこういう発議制度を設けましたのは、いろいろなチャンネルを設けて、行政当局自身がおやりになることはそれはもう当然結構な話でございますし、それ以外のいろいろなチャンネルからこういう合併機運が起こるということは大事なことだろうということでこの制度をつくったものでございまして、御心配のような向きは余りないのではなかろうかなと思っております。
  39. 野中広務

    野中国務大臣 今手続につきましては行政局長から御答弁申し上げたとおりでありますが、私は委員が懸念されるようなことがなしとはしないと思っております。  しかし、それが二十世紀の終わりから二十一世紀へかけて、むしろ二十一世紀を担っていく人たちの中から広域行政のあり方が言われていくというのは、非常に私はいいことではなかろうか、そしてそういううねりが新しい町づくり構成していくのではなかろうか、これからの地方自治のあり方としてのエネルギーになるというように考えておるわけでございまして、この現在の特例法がいわゆる期限切れを迎えるときに、そして新しい法律お願いするときにまさしくまた地方分権推進法をお願いする時期に当たったというのは、私は地方自治の大きな転換期であるととらまえて、これがより実効が上がるようにしなければならないと考える次第であります。
  40. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 住民発議制度は大変画期的なことだと思うわけでございます。ただ、いろいろ心配な点が、これは現実に住民相手の制度なわけですから、いろいろな反応が起こりやしないかという、その辺は十分皆さん方この法案をつくり上げられるとき御論議があっただろうと思います。その辺をちょっと聞かせていただきたいわけです。  例えば住民発議がなされて、それを受けて九十日で回答するのですか、あるいは関係市町村に投げかけるのだったですか、ちょっとそれは形式的にすぎないのではないかなという感じがするのですけれども、例えば九十日と設定された意味合いとか、そういったものについて積み重ねられた御論議についてお聞かせいただければと思うのですが。
  41. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民発議の手続に関する問題でございますが、今回の改正案におきましては、合併対象市町村の長が合併協議会の設置協議について議会に付議するか否かの同答をする期限を、意見を求められた日から九十日以内というふうにいたしております。これは先生御指摘のとおりでございます。  合併の前段階となる合併協議会というものではございますが、やはりその当該団体が存続するか消滅するかというような大きな事項でございますので、当該市町村の長がそれを決めるにはそれなりの時間が必要であろうということで、九十日ということであればかなりの時間的余裕を持って答えが出せるのではないかということで設けているわけでございます。  一方では、確かに九十日では短か過ぎるのではないかという御意見もあろうかと思いますが、今回のこの合併協議会の設置のための住民発議制度というのは、住民イニシアチブによりまして自主的な合併の議論の場を設ける、そういう機運を高めるということでございますので、ある程度期限を設定いたしまして合併協議会の設置についての結論を出してもらうということも必要ではないかということで、こういう期限といたしているところでございます。
  42. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 そういう合併環境が何も整っていない中でそういう住民発議でぽんと出てきたときに、恐らく首長にしろ議会にしろ、手続だけ踏んでノーというお答えをされるというふうに思うわけですけれども、何かその辺でもっと受けとめた形の、例えば議会あるいは全員協議会か何か開いてやるとか、何か住民に形が見えるようなことで回答する必要がありはしないかなという感じを持つものですから、別にお答えがなければ……
  43. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 行政サイドだけでなくて、住民サイドの方からも合併を進めるべきだという声を上げたいというときに、それを行政側に伝えるチャンネルをつくっていこうということでございまして、それですべてが決まりになるということではございません。一種のそういう一連の手続を動かす最初のところに住民発議一つの直接請求制度でございますが、それを契機にしてそこからいろいろな手続が動くということでございますので、そういう見地からこれを設けたということでございます。
  44. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 善意の中でこれが活用されれば非常に結構だと思うのですけれども、非常に静かな市町村で、私の友人などが町長ですけれども、自分は合併する気はないよと。確かにいい町政をしいていまして、住民がその長を非常に誇りに思っているし、住民が非常に明るいあいさつも交わすような非常にまとまりのいい町というものが経営されている。例えば、陰切り条例と言っていましたかね、山間部なものだから、冬、雪が降ると、杉林の中で日が差さないから雪がなかなか解けない、だから植林するときは自主的に引いて植林するとか、いろいろな住民自主性というか、そういうものを非常に引き出している。例えばこういう町が全国にたくさんあると思うのですけれども、そういう合併考えていない、また隣の町村と合併する環境にもないところで、例えばある政治的な、当然町長には反対派もおるでしょうから、そういうものが住民発議で出されてくるということは考えられると思うのですよ。  だから、私は最初に申し上げましたように、やはり今度の法改正推進法だ、これは推進法だということになったら、そういう機運に乗って、いわゆる町長に対する不信任の別の形でそういうものがどんどん提起される。それに対して、合併推進というのが一つの正しい方向であるにもかかわらず、その今の現職の首長はただノーと言う、だめだと言うことでは、不作為というそしりを免れないと思うのですが、そういう状況において何か対抗策というのは考えられないのかどうかということ。
  45. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今御指摘になられました事例等を考えますと、故意に政治的にこの発議制度を活用して混乱を招くおそれがあるのではないかということでございますが、そもそもつくりました発想はそういうことは全く意図をしているものではございません。  現在でも、直接請求制度、ほかにも条例の制定改廃の直接請求とか、あるいはもっと大きな問題としてはリコールの直接請求等もございますが、そういう住民イニシアチブを何らかの格好行政に反映させ、最終的にはこの合併の協議会の設置でございますので当該議会の御判断ということになるわけでございますので、一つの議論をそこで巻き起こしていただくというふうなことを意図してこれをつくっているものでございます。
  46. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 私も、こついう制度をこれから取り入れていかなきゃいけないというのはお答えのとおりだ、勇気を奮って取り上げていかなきゃいけないシステムだというふうに思っておりますけれども、もう、歩踏み込んで、いわゆる住民投票制度、例えばこういう事例の場合、むしろ首長側からもうぼんとこの住民投票にかける、合併の是非について。これくらいの、むしろ町政側から対抗手段として、そういう住民投票にかけるようなことがあってもいいのではないかというふうに思うのですけれども、その住民投票制度について、そのお考え、これの延長線上としての住民投票制度についてのお考えをお尋ねしたい。
  47. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 単に住民発議にとどまらず、住民投票というところまで考えたらどうかということでございますが、この問題は実は私どもいろいろ検討いたしましたけれども、なかなか難しい問題もあって今回見送っているわけでございます。  つまり、住民投票制度ということになりますと、特に市町村合併についてその是非を住民に問うということになりますと、合併というのは、合併の形態あるいはその合併後の市町村の姿、その他の諸条件を総合的に判断をした上で、総合的に検討した上で判断されるような性格のものでございますので、単純に一つの案を示して、それで是か非かという住民投票をするということは疑問があるということが一点。  それから、合併は、相手方となる市町村の存在が当然前提となりますので、一方の市町村住民投票によって合併を進めるということの手続を構成することがなかなか難しいのではないかという点、さらには現行法や過去の立法例においても、例外的な場合に住民投票の活用がなされるというようなことを勘案いたしまして今回のこの改正を見送ったものでございまして、まあ今後の検討ということになろうかと思います。  今は住民側から、ああいうことについて申しましたが、首長の方から逆に住民投票をするというのも、これも同様の理由でなかなか難しゅうございますし、首長の方々は、特に選挙のときにはいろいろ公約等も考えてやられるわけでございますので、住民の立場とはちょっとまた違うケースがあろうかと思います。
  48. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 この特例法昭和五十年、昭和六十年、二度法改正がやられたときに、衆参の地行委で、附帯決議として、住民投票についても検討すべきだということをうたわれているようでございます。また、地方制度調査会でも住民投票制度について検討すべきだということが指摘されておると思います。  最後に、大臣に、地方分権が進んでいく過程で、やはり住民の、自分たちで決めていく、住民自主性、そういうものが強く求められていくと思うわけでございますけれども、そうした地方の行政議会、また住民の自治というものに対する非常な意識の改革が求められていくだろう、またその意識改革をやらないと本当の意味地方分権というのは実現できないというふうに私は考えておるわけでございますが、最後に、その辺に対する大臣のお考えをお尋ねして、質問を終わらせていただきます。
  49. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、地方分権推進が我が国内政上の最大の課題とされておる今日であります。このときに、先ほど申し上げましたように、合併特例法期限を満了して新しい法の制定を迎えるというのは、一つの大きな転換を迎えるときであると私は考えておるわけでございまして、それだけに、地域づくりの主体である市町村行財政能力が強化をされなくてはならないと望んでおるところでございます。  このような過程におきまして、行政議会住民の地方自治に関する意識改革が進められていく中で、みずからの分権がさらにみずからのものとなって改革がされていくというのは、そこに大きな意義があるのではなかろうかというように期待をしておるところでございます。
  50. 山崎広太郎

    山崎(広)委員 ありがとうございました。
  51. 川崎二郎

    川崎委員長 山名靖英君。
  52. 山名靖英

    ○山名委員 今回の市町村合併特例法に関しまして、若干の質問をさせていただきます。  最初に総括的に、いわゆる市町村合併という問題について私なりに整理をしてみたわけでございますが、我が国は明治以来、まさに欧米に追いつけ追い越せ、こういうかけ声の中でいわば中央と地方が一丸となりまして今日の経済成長を遂げてきたわけでございます。その間、いわば中央政府が機関車の役割を果たし、そしてそこに地方の協力を得ながら今日まで来たわけでございますが、そこに必然的に政治、行政の一極集中といいますか、中央集権の構造を生み出したわけでございます。それはそれなりに歴史的な意味もあったわけであります。  しかし、経済成長を遂げた今日、生産至上主義といいますか、物優先あるいは企業優先、こういった考え方から、個々の生活の豊かさというところに社会の目が向けられ、また国民の目が向けられたわけでありまして、そういった意味で、物よりも心の時代という模索がされた新しい時代が到来をしたわけでございます。  中央政府が機関車役となって地方をリードしていくというやり方については、そういう意味ではもう時代おくれとも言えますし、むしろ、そうではなくて、中央の持つ権限あるいは財源というものをいかに最も住民に身近な地方に移譲していくか、そしてまさに基礎的な自治体、そこに住む住民の皆さんが豊かさを実感でき得る地域づくりをしていくか、ここに大きな課題が残されているわけでございます。  市町村間の能力の格差あるいは住民の生活圏の違い、行政区域の違い、こういったものも加味されまして、そこに一つの大きな広域的な行政への必要性というもの、財政面での脆弱さということも相まって、今そういった合併が進められております。しかし、残念ながら、先ほどからもお話がありましたように、現行法の中で一定の役割を果たしたものの、いま一歩開いた合併というものがなし得なかったわけでございまして、そこに今回の改正が行われたと認識をしておるわけでございます。  加えて、先ほどもお話がありましたように、最大の政治的テーマともいうべき地方分権を積極的に推進するためにも、この市町村合併というのは私自身も重要課題であると認識をしております。  そこで、過去制定をされたいわゆる町村合併促進法、当時と今日との合併に対する相違点あるいは基本的な考え方の変化というものに対する認識について、どう受けとめておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  53. 野中広務

    野中国務大臣 ただいま委員から御指摘がございましたように、それぞれ戦後の合併の歴史、節目があるわけでございますが、昭和二十八年の合併促進法は、戦後の一つの時代の転換に当たりまして、特に六三制の中学校の設置等が、市町村のいわゆる行政範囲で処理することが適当かどうかといったような視点で、その人口規模を八千以上という目標にされたわけでございまして、そういう点で全国一律に町村の合併が積極的に進められてきたわけでございます。  また、現行の合併特例法は、市町村行政の広域化の要請に対処をいたしまして、市町村合併円滑化を図るという視点で、あくまでも自化的な市町村合併前提として、市町村合併に際しまして障害考えられる事項を取り除くという関係法令の特例を設けてきたわけでございます。  しかし、先ほど来私が申し上げておりますとおりに、この時代を経る中で、最初の十年間はともかくとしても、後の二十年、いわゆる余り合併が進まなかったという背景を私ども考えますときに、先ほど来申し上げましたように、幾つかの条件があったと思うわけでございます。  そういう中で、今委員が御指摘になりましたように、この法律がいわゆる期限を迎え、新しい法律の制定についてお願いを申し上げるそういう時期に、時たまたま地方分権推進法を国会にお願いをするというのは、私は時代の一つの要請であろうと思うわけでございまして、この地方分権を進めていくためには、やはり基礎的市町村、特に住民に身近なところが身近な仕事をやっていくという体制を行政主体としてやっていくためには、どうしても合併推進をされなくてはならないと私は思うわけでございます。  しかし、一方において、それは自主的な合併でなければならないと思うわけでございますので、私どもは、特にその障害となる条件を排除し、そして積極的な財政支援をやることによって、より効率的な、特に今日のように行政課題が多く、また昭和二十八年の合併促進法の時代と異なった、いわゆる道路、交通、通信手段等が顕著に近代化した社会的基盤の上に立った合併というものが自主的に行われなくてはならないと考えておるところでございます。したがいまして、そういう上で行われる行財政上の支援措置は、十分整備し、拡充を行っていきたいと考えております。
  54. 山名靖英

    ○山名委員 市町村合併が行われるためには、いろいろな諸条件があろうかと思います。  一つには、私は、政治的な条件というものが考えられると思います。政治的にいわゆる似通った状況をその市町村が有しておること、例えば代議士がその町を二分しているような勢力争いといいますか、そういうところについては、合併はなかなか難しいんじゃないかと思っております。  さらには経済的な条件、これは先ほども言いましたように、生活圏あるいは経済圏として一つの輪が現実に存在をしているかどうか。地域の利害が反していないという、この経済的条件というのが。一つ目に挙げられるのじゃないかと思います。  さらに三つ目には、社会的な条件ということで、これは日常生活上共通の意識に立てる、共通項があるといいますか、姻戚関係が非常に多いとか、あるいは高校の通学圏を通じての人的交流が強いとか、あるいは総合病院を通じての人的交流があるとか、こういった社会的条件。  こういう政治的あるいは経済的、社会的、そういう諸条件が相まって一定の条件を満たして合併へと行くのではないか、こういうふうに思っております。  ところで、合併をした方がいいですよ、このようなメリットがありますよ、こういう明確な合併への誘導策といいますか、これは自主的な合併促進するわけであって、何も強制合併でない以上はあえて強調すべきではないかもわかりませんけれども、過去のいろいろな合併の類型の中での問題点、こういった分析を踏まえて、先ほど出ましたけれども合併に対するメリット、デメリットについてどのように分析をされておるのか、お答えをいただきたいと思います。
  55. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併の条件について、今先生おっしゃったとおりの諸条件が整わないとなかなか進まないと思います。  合併メリット、デメリットについてどう考えるかというお話でございますが、この点につきましては、先般の地方制度調査会答申でも述べているわけでございますが、地域一体的な整備ができる、それから市町村行財政基盤強化が図られる、それから住民に身近な行政サービス充実等を図るために有効で適切な方策であるというようなことを述べておりまして、私どももそのとおりだと考えているわけでございます。  このほかに、例えば、広く人材を確保することが可能になりまして、これによって職務の高度化、専門化等に対応して組織の整備充実を図ることができるというようなメリットもございましょう。また、公共施設の効率的な配置、利用が可能となるということもあろうと思います。さらには、住宅、交通、土地利用等に関する施策を総合的、計画的に実施することができるということなどが期待できるものと思っております。  一方、デメリットということでございますが、よく言われておりますのは、合併に伴いまして、旧市町村役場を廃止することなどによりまして人口の流出や高齢化が懸念されるというようなことが言われております。この点につきまして、今回の法律改正におきましては、市町村建設計画の作成に当たって合併市町村の均衡ある発展に配慮することというふうにしておりまして、また、地域の代表を確保するという見地から、議員定数、在任の特例措置拡充を行うということにいたしているものでございます。
  56. 山名靖英

    ○山名委員 ところで、地方分権推進する意味からも今回の市町村合併というのは重要な課題と受けとめておるわけでございますが、さきに広域的行政推進あるいは地域のニーズに合った町づくり、こういったねらいを持っていわゆる中核市制度、広域連合制度、パイロット自治体、こういったものが制度化をされたところでございます。今回のこの市町村合併特例法改正と相まって、それぞれの制度の連関性という部分、あくまでも目的は地方分権であり、住民本位の町づくりであり、豊かさが実感できるそういう地域づくり、こういうところにあるわけでございますが、いかにその連関性を持たせようとお考えなのか、お伺いをしたいと思います。
  57. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今お話がございました中核市制度、広域連合制度、パイロット制度等、最近新しい制度が創設をされましたが、いずれも地方分権推進する具体的な方策としてとられた措置でございます。  まず、パイロット自治体でございますが、これは特定の市町村地域づくり等について運用上の特例的な措置を試行的、先導的に行いまして、その結果を評価をしながら将来の一般制度へつなげていこうという制度でございます。  また、中核市につきましては、規模能力の比較的大きい都市につきまして、そこの事務権限を強化してできる限り住民の身近で行政を行うことができるようにしようというものでございまして、指定都市以外の市で一定の規模能力を有する市がその規模能力に応じて事務権限を行使できるように都道府県と市との間の事務の再配分を行おうというものでございます。  それから、広域連合制度は、近年多様化しております広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲の受け入れ体制を整備するということのために広域行政を担う新しい特別地方公共団体として創設をされたものでございます。  このように、パイロット自治体制度、中核市制度、広域連合制度それぞれ趣旨、目的は異なるものでございますが、いずれも地方分権を進める具体的な方策として位置づけられているものでございまして、それぞれの制度の特質がございますので、それらを地域実情に応じて地方公共団体判断をして御活用を願うことによって分権を進めることができるのではないかというふうに思っておりますし、そういうような制度を活用しつつ、さらにもっと進んで自主的に合併をしようということになれば合併に行くということも一つの方法だというふうに考えておりまして、今回の合併特例法では、そういう自主的な合併が進みやすいような環境整備をしていこうということで、行財政上の特例措置拡充等も行っているところでございます。
  58. 山名靖英

    ○山名委員 わかりました。  次に、先ほどからも話題になっておりました住民発議制度の問題でございますが、従来、この現行法の中でなかなか合併まで至らない、途中でとんざをしてしまう大きな理由として、首長あるいは議会等、公選者の消極的な姿勢というところがやはりどうしても存在をしておったようでございます。なかなか住民の声というものが発議として生まれてこない、こういった中で今回住民発議制度が導入をされまして、これに基づいて合併協議会の設置を発議されるといいますか、論議をされる第一歩としようというわけでございますが、この発議の、いわゆる住民の五十分の一の発議でもって協議にかける、五十分の一というこの根拠は果たして何なのか。  私は、先ほど首長あるいは議会の消極的姿勢というふうに申し上げましたけれども、この発議制導入のねらい、目的とともに、この五十分の一という根拠についてお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民発議制度につきましては、先ほど来申しましたように、住民イニシアチブ合併推進できるようにということで導入したわけでございますが、その際に、発議の要件をどの程度にするかというのが確かに一つの問題でございます。今回私どもお願いしております五十分の一ということでございます、有権者数の五十分の一の署名数をもって発議をするということにしておりますが、これはなぜかといいますと、一つには、市町村の自主的な合併推進するというための制度でございますので、直接請求を契機といたしまして合併に関する論議が巻き起こるということが望ましいわけでございまして、そのためには必要署名数というもののハードルを余り高くしてしまいますと、なかなかその趣旨に沿わないというようなことが一つございます。  それから二番目には、請求内容が、合併前提となります、いわば前段階でございます合併協議会の設置にとどまっているということでございます。  それから三番目には、合併協議会を設置するに当たりましては、最終的には関係市町村議会の議決が必要であるというようなことでございます。  そういう趣旨の性格を持った発議制度でございますので、その要件にしても、有権者数の五十分の一ということにいたしたものでございます。
  60. 山名靖英

    ○山名委員 余りハードルを高くすると本来の趣旨が達せられない、こういうことのようですが、いみじくも今おっしゃったように、この合併協議会そのものを設置をするのかどうかという発議をするわけですね。ということは、この合併協議会そのものの存在といいますか、これを設置すること自体がある面では軽く受けとめておるのではないかというふうに私は思うのですね。  五十分の一ということは、例えば一万人の人口の町なら二百人の発議でいいわけですね。それで合併協議会を設置するかどうかは議会で審議をするわけですけれども合併協議会というのはまさに合併をするかどうかの第一歩であって、この協議会の存在は重いものであるはずなんですね。  ですから、そういう意味では、二万人の人口の中でわずか二百人の発議でいいという認識はむしろ甘いし、軽いのではないか。この五十分の一という、これはどこから出た、要するに五十分の一ならハードルが低いからいいと、特に法的な根拠はあるのでしょうか。
  61. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 決して私どもは、合併協議会の存在が軽いというふうに思っているわけではございませんので、非常に重いものだと思っております。  ただ、さっきも申しましたように、発議制度というのは合併協議会を設置してほしいという発議でございまして、それを受けた市町村の長がそこからいろいろ手続を進めまして、最終的には議会の議決で合併協議会が設置できるかできないかということになる、いわば入り口のところの議論でございますので、そういう余りハードルを高くしてしまってはどうかということで、五十分の一でできるようにしているわけでございます。  この五十分の一ということにつきましては、現行法でも、直接請求制度について、条例の制定、改廃の請求につきまして、これは五十分の一というふうになっておりまして、例えば逆に議会の解散とかリコールというような、これはもう議会の身分にかかわるようなことについては三分の一ということになっておりますが、条例の制定ということについては、まず条例の制定請求をして、さらにそれを議会でかけて、議会が最終的にその条例を制定するかどうかという判断をするという仕組みになっておりますので五十分の一になっておりますが、それと同じような数を今回持ってきたというものでございます。
  62. 山名靖英

    ○山名委員 数の問題で、多いから、少ないからということではありませんが、五十分の一の数字が果たしてこの合併に基づく住民参加の一つの道を示しているのかどうかという疑念は若干残ると私は思います。  ところで、合併に対して今回自主的な推進を図るという、住民判断を重視するということになるわけでございますが、先ほども出ましたように、であるならば、その一番最初の、いわば初動段階の合併協議会設置を求める請求だけが住民参加として今は存在をしておるわけでありまして、この住民発議制度の手続の流れを見ましても、最初に長に対してぴゅっと矢印が一本引かれている、これが住民参加の道であるのか。やはりこの合併に至るまで、協議会が設置されて建設計画等がこれから審議をされる、そういう過程の中で、もう少し住民が我が町はこういう町にしたい、合併についてはこういう町づくりがいいのではないかとか、こういう声がもう少し議会なり長に届くような場というものが、これを見る限り、最後までないわけでございます。  だから、先ほどからあったように、最終的な結論の場として住民投票制度、やはりこういったものも有効な住民参加の手だてではないか。これを黒か白か、二者選択で投票するのはいかがかということで葬り去っていいのかという思いをしておるわけですね。  だから私は、当初のこの立ち上がりの部分とともに、中間的にあるいは最終的に住民の声をいかに参加の道として聞ける場を持つかどうか、ここにもやはり、これからの自発的な推進という大きな課題の中で、そういうことが言えるのではないか、こう思っております。  再度、住民投票制度、これの導入は考えていないのか、あるいはまた、違った面で住民のそういう意思を拾う場として公聴会というような制度、こういったものが義務づけられないか、お伺いしたいと思います。
  63. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回の合併発議制度につきましては、合併協議会発議ということにとどめているわけでございまして、住民投票制度まで今回の法案には盛り込んでいないわけでございますが、これも先ほど来ちょっと申し上げているような、繰り返しになって恐縮でございますが、合併の場合については、合併の形態とか、合併後の市町村の姿がどうあるべきであるとか、あるいはその他の諸条件を総合的に判断して合併判断されるべき事柄でございますので、一つの案を示してその判断を求めるという投票、住民投票にふさわしいのかどうかという疑問があるということが一点。  それから、合併には相手方があることでございますので、一方の市町村住民投票によって直ちに合併の手続がいろいろ進んでいくということについてはどうなんだろうかというようなこと、さらには現行法とか過去の例におきましても、立法例は、非常に例外的な場合にのみ住民投票が活用されているというようなことを考えて、今回は合併について住民投票制度を導入することについては見送ったものでございます。  ただ、いろいろ住民の意向を体して合併について物事を決めていくということは、まさにそのとおりだろうと思います。一方的に行政当局だけでやるというものではなくて、住民の意向もよく把握をしながらこれを決めていくということは必要だろうと思います。  さまざまな方法があろうと思います。今お話がありました公聴会の問題につきましては、これは公聴会を開いて幅広く住民の意見を聞くということも、御指摘のとおり大変重要なことだろうと思います。これは現行法上は、地方自治法上、市町村議会における自主的な判断に基づいて、公聴会が必要に応じて自由に開催できるということになっておりますので、あえてこの合併特例法の中に公聴会を義務づけるということにはいたしておりませんが、自治法の規定を活用して、それぞれ地域地域で自主的に御判断を願うのが適当であろうかというふうに思っているわけでございます。  なお、住民投票等の住民参加のあり方につきましては、まさにこれからの地方行政全般の問題として引き続き検討をしていくべき重要な課題であるというふうに考えております。
  64. 山名靖英

    ○山名委員 ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。  例えば、これは合併協議会に対する請求が住民から発議された、議会としてはそんな必要がないということで、議会としてそれを拒否した、それでこの発議が終わってしまうわけですね。次、それを出してもいい期間といいますか、これはどうなるんでしょう。そういうことで議会が拒否した場合のいわゆる再審といいますか、こういったものが考えられるのかどうか。
  65. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 一遍住民発議をいたしまして一定の手続が進んで、何らかの事情によって相手方が賛同しないとかあるいは当該議会が賛同しないということで合併協議会の設置に至らないというケースも、それは当然あり得ることでございます。  その場合に、次なる発議制度はどうなんだというお話でございますが、これは別個の発議として、また出てくれば必要な手続が進められるということでございまして、そのときそのときのいろいろな状況判断によりまして、それぞれの関係機関がその対応を、その発議について賛同するかしないかということを御判断願うということになろうかと思います。
  66. 山名靖英

    ○山名委員 いわゆる一事不再議で、議会ごとに発議は出される、こういう考えでいいんでしょうか、局長。いわゆる一事不再議の原則で、議会ごとに発議が出せるという、こういう受けとめ方でいいんですか。
  67. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 直接請求として構成しておりまして、別々の発議として、一事不再議とは関係ないということでできるということになってございます。
  68. 山名靖英

    ○山名委員 わかりました。  次に参りたいと思いますが、今回の改正案の中で、地方債について、現行法では「適切な配慮」、こういう文章が「特別の配慮」、こういうように改正をされております。「適切な配慮」と「特別の配慮」、これはどういう違いがあるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  69. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  地方債の配慮規定には「特別の配慮」と「適切な配慮」、両方あるわけでありますが、一般的には、特別な配慮の方が適切な配慮より配慮する程度が高いということであります。現行法は「適切な配慮」としているわけでありますけれども、現行法の趣旨が、市町村合併に対する障害の除去ということにとどまっているわけでありまして、地方債の取り扱いにおいて特例的な措置を講ずることを特に予定はしていなかったということによることでございます。  この現行法に対しまして、今回の改正法が「特別の配慮」といたしましたのは、自主的な市町村合併推進するという本法の趣旨の実現を政策的に支援をしていこう、そのために、地方債についても特例的な措置、例えば市町村の建設計画を実現するために地域総合整備事業債というものを充当をして、その充当率を一般には七五%ですけれども、九〇%に引き上げる。それから、元利償還金に対する交付税措置についても、通常の交付税措置に追加をして措置をするというようなことを講じようとしているわけでありまして、そういった点が、現在の単なる障害除去ということに対して一歩進めた形で制度を構築をいたしておりますので、「特別の配慮」という文言にさせていただいているわけでございます。
  70. 山名靖英

    ○山名委員 理解いたしました。  地方債を起こして新たな借金を持って合併する、これが市町村にとって果たしていいのか、そういうことが言えると思います。やはり、十分な地域振興策あるいは高齢化社会に備えた福祉施策をさらに充実させるという意味からも、そういった特別の配慮というものは当然必要でありまして、今後ともこの充実のために御努力を賜りたいと要望をさせていただきます。  それから、先ほどからもありましたように、今回、市町村合併に当たって都道府県の絡みといいますか、関与といいますか、これを現行法よりも強化をしております。現行法では単に都道府県はその合弁の推進に当たっては努力義務規定であったものが、今回は必要な助言、情報の提供あるいは市町村相互間の必要な調整を行うというところまで踏み込んでおるわけですね。都道府県に対して新たな指導的役割を課すことがこの分権という大きな流れの中でいかがか、むしろ逆行ではないか、こういう指摘もあるわけでございますが、私はそれなりに、都道府県の絡みがあることがまた合併推進する方途であるとは認識はいたしますけれども、その辺の指摘についてはどのような御見解でしょうか。
  71. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回の改正案におきましては、都道府県の役割について法律上規定しているわけでございまして、これは何も都道府県市町村の自治に干渉しようというような趣旨からではございませんで、むしろ合併が円滑に進むように、自主的な合併推進できるようにという見地からいろいろの手当てをしようということでございます。  この問題は、昨年の十一月の地方制度調査会答申におきまして、広域的な地方団体である都道府県が、市町村合併については、関係市町村の合意形成のために重要な役割を果たすことが必要であるということが指摘されているところでございます。今回の法律改正におきましては、この答申趣旨を踏まえまして、市町村の自主的な合併推進するために、市町村に対する必要な助言や情報の提供等、あるいは市町村の求めに応じた市町村相互間の必要な調整を都道府県が行うことができるようにするというようなことにいたしましたほか、合併市町村の建設のための市町村建設計画の中に、都道府県事業を位置づけることができるようなことといたしているものでございます。  いずれにいたしましても、都道府県市町村と相協力して自主的な合併が進むようにということでつくられている規定でございまして、自治省といたしましても、この法改正趣旨等を都道府県によく理解をしてもらいまして、適切な対応ができるように指導をしてまいりたいと考えている次第でございます。
  72. 山名靖英

    ○山名委員 市町村合併については若干おいておきまして、ここで私は、地方分権と地方債のあり方という点について御質問をしたいと思います。  地方分権をいかに叫んで制度面の改革を行ったとしても、財政的な自立が市町村にとって確保できなければ地方分権というのは絵にかいたもちになるわけでございます。地方の自主財源をどう確保して充実させていくかというところがまた地方分権の実現への大きなキーポイントではないかと思っております。この自主財源を確保する一つのあり方として、地方債の発行を弾力化していく、はっきり言ったら、もう自由化する、このことをもうそろそろ考えて、実現をする時期に来ているのではないか、私は率直にそのように思います。  自治体が地方債を発行する際、自治省の認可が要るわけですね。都道府県や政令都市が発行する場合は自治大臣の認可が必要でありまして、一般市町村の場合は都道府県知事が大臣にかわって認可をする、この認可に当たっては、いわゆる債券発行の量のみならず、その中身、何の目的でどうするかという起債へのチェックが行われるわけでございます。当然起債をどんどんすればいわゆる放漫財政になるというところから、それを防ぐための理由があるわけでございますが、最大の理由は、地方債というのは一般の資本市場で流通しないことから、どうしても財投資金に頼ってしまう、こういう傾向があるわけですね。元本、利子の返却についても交付税算定の財政需要にカウントされている点からもチェックは当然であるという論法はあろうかと思います。要するに地方債という存在が、引き受けから償還に至るまで全部国が面倒見ているという、いわば地方債という名前はついているけれども、形を変えた補助金じゃないかという気が私はしてならないのでございます。地方債というのは本来そういう性格のものじゃないはずでありまして、やはり財投資金を当てにしないで、資本市場、市中金利で地方債は本来発行すべきではないかというふうに思います。  ともかく、地方自治法二百五十条、起債については当分の間許可制にする、こういうふうに規定をしておるわけでありまして、地方自治法制定五十年の今日まで当分の間が続いておるわけでございます。いつまでが当分の間なのか、そういう意味ではやはりこういう流れの中にあって地方債、起債のあり方についてどのような認識と、そして対応をお考えになっているのか、大臣にお伺いいたします。
  73. 野中広務

    野中国務大臣 委員指摘のように、地方債の発行のあり方につきましてさまざまな議論があるところは承知をしておるところでございます。私も、今御指摘がございましたように、地方債の交付税償還の問題、あるいは弱小町村のいわゆる資金をどのように活用していくかという問題等、まだクリアしなきゃならない問題がございますけれども地方分権が我々の期待する方向に行きまして、そして地方が活力ある地方公共団体としてやっていけるような環境が整うならば、この当分の間という地方債の許可のあり方というのは当然見直されるべき時期を、我々はむしろ分権のあり方として期待をしなければならないと思っておるわけでございまして、今後できるだけ地方分権が進み、このような地方債の許可が見直される時期が早く到来することを期待しておるところでございます。
  74. 山名靖英

    ○山名委員 ということは、当分の間がまだしばらく続くということでございます。  それでは、当分の間が続くということにして、地方債の発行については国債に比べて非常に債券市場では敬遠されているわけでございまして、それは自治体ごとに発行規模は当然小さいし、流通量が少ないし、値決めが困難であるということが大きな理由であるわけですが、ところで、地方財政法の第五条の石には複数の自治体で組織する事務組合が地方債を共同で発行することができるという規定がございます。  これはかつて税制改革特別委員会で私質問をしたことがあるわけですが、アメリカなんかは、州がいわゆる債券発行機関を設置いたしまして、この機関が州内の自治体の資金需要に応じて債券を発行し、民間資金を調達する、こういう制度を持っております。ドイツにおきましても、民間金融機関が複数の自治体の資金需要をまとめまして自治体債券というのを発行できる、こういう仕組みをとっておるようでございます。  このように複数の自治体が共同で債券を発行することによりまして、財政規模が少なく、独自の債券発行による民間資金の調達がコスト高になる、こういうことが回避できるという観点から、私は、いわゆる地方自治体における地方債の共国債券の発行制度といったものを今後検討してはどうか、こういうふうに思っておる次第でございます。  そういう点でのお考えがございましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
  75. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 御指摘のとおりだろうと思います。私どもも諸外国の実情を必ずしも全部知っているわけではありませんけれども、フランスにおいてもそのような制度があるようでございますし、実は日本においても現在、公営企業金融公庫が地方団体の公営企業に係る公営企業債、これについて共同発行機関としての役割を担って、ただいま御質問にございましたような趣旨の民間資金の調達をいたしておるわけであります。  ただ、この公営企業金融公庫につきましては、普通会計債についてはまだほんの一部だけでございまして、これが全般的にそのような機能を持つことができれば、今お話がありましたような機関として非常に重要な地位を占めるということになろうと思いますが、いろいろな制約もございますので、今まだそこまでいってはいないわけであります。  今後、御指摘のようなこともよく頭に入れて、これから公営企業金融公庫の業務の拡大といったようなことも私ども努力していかなければならない、それが弱小の市町村に対します資金調達の一助にもなるというように考えている次第でございます。
  76. 山名靖英

    ○山名委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、この共同地方債の発行という問題は、市町村合併推進していくために、市町村相互のいわゆる共同意識というものがそのことによって大きく芽生えていく、逆に市町村合併推進する第一歩になるのではないか、こういう認識を持って質問をさせていただいた次第でございます。  ともかく、地方分権という目的を持って、いろいろな制度市町村合併特例法を含めて大いに機能し、地域づくりに、また地域振興に大いに寄与することを念願いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  77. 川崎二郎

    川崎委員長 池田隆一君。
  78. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 るるこの特例法改正について質問が出されていますので、重複するところもあるかとも思いますけれども、社会党という意味で御勘弁をしていただきたいと思います。  まず、今回の特例法改正は三度目の改正に当たるというふうに理解をしています。基本的な市町村合併については自治法に合併の手続が決められているわけですけれども特例によってその推進を図るということだというふうに思います。今回の改正の特色は、自主的合併推進しようという視点で、有権者の五十分の一以上の連署で合併協議会の設置を発議できるということだというふうに思います。  自主的な合併推進ということについては、昭和六十年の改正の折の、本委員会や参議院の委員会での決議、市町村自主性を尊重せよということでの附帯決議に沿ったものだというふうに理解しています。参議院の附帯決議では、「その定める期間をもって廃止するよう万全を期すること。」という決議があるわけですね。  そういう意味では、今回、再度十年間延長するという意味においてはその決議に反する結果となっているわけですけれども自治省として、参議院の決議に反して再度十年間延長しようとするのはなぜなのか、改正に当たっての基本的な視点と廃止の決議との関連について御説明をしていただければと思います。
  79. 野中広務

    野中国務大臣 昭和六十年の改正におきます附帯決議の趣旨は、法の期限内において一定の成果が上がるように、むしろ、これをもって市町村合併に終止符が打てるような政府の所要の措置を求められたものだと認識をしておるわけでございます。  そういう上に立ちまして、今回の改正は、単に期限延長しただけでなく、地方制度調査会答申を踏まえまして、前回の延長後に生じた、国土の均衡ある発展地方分権という、我が国の抱える内政上の重要な課題に対して対応できるような、そういう必要性を踏まえて、また住民の側から自主的な合併への取り組みも活発に行っていけるという、そういう諸条件を勘案をいたしまして、地域住民自主性、あるいは発議権等を入れまして、むしろ住民の積極的な参加によって市町村合併推進していくような、町づくりの中で取り組めるようなそういう発議制度等の方途を設けて、そして、先ほど来申し上げますように、財政措置など市町村合併が本来持つ効果を一層発揮できるような状況をつくり上げていくことが大切であると考えて、大幅な見直しを行ったものでございます。
  80. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 確かに、前回改正時の決議での、住民投票等により住民の意思が極力反映されるようにという意味合いにおいて、今度の五十分の一以上の直接請求制度が導入されたということについては、住民の意思の反映という部分が導入されるという意味で評価できると思います。そういう意味で、延長ということでの意味合いもあるのだということについては評価をしたいと思います。  それで、この発議制度の問題と住民投票のかかわりです。  「住民投票等により」という形で決議がされている。これについては、先ほど指摘がされました。五十分の一による直接請求というのは、確かに合併推進したいと願う人たちにとっては大変いい制度だと思いますけれども、それに対して、慎重だとか反対という人については、そういう直接請求といいますか、署名活動が回ってきたときに、自分の意思として、それに署名をしないという意思行為であらわすという意味合いにおいてはあると思うのですけれども、直接の意思反映といいますか、残念ながら慎重派といいますか反対派の住民の意思の反映というのがなされていないわけですね。  そういう意味で、るる先ほど説明されました五十分の一の根拠というのも、まずは条例上の問題としての五十分の一というふうに、よくわかりました。特に住民投票制度の導入、今の段階で難しいと、るるありましたけれども、一応その問題だとか、ありました。  しかし、民主的な住民意思の反映というのは、やはり住民投票制度というのは重要な意思反映の制度だというふうに思っていますので、この委員会での過去の決議にもあるように、導入ということは将来的課題として大切だろうと思っているのですね。ですから、今回間に合わなかったけれども自治省として、将来としてこの住民投票制度をどのように考えているのか、決議を踏まえて進めていきたいという方向性に立っているのかどうか、その辺も含めてお答えを願えればと思います。
  81. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民投票制度を導入しなかった理由につきましては、先ほど来申し述べたとおりでございまして、今回の合併特例法におきます住風発議制度を導入したのは、それによって事柄を進めようということでございます。  住民投票を入れなかったのは、合併の是非を住民に問うということに当たりましては、合併の形態とか、将来的な合併後の市町村の姿その他の諸条件を総合的に勘案をして判断されるべきものでありますので、単純に一つの案を示してその判断を求めるという住民投票にはなかなかなじまないのではないかというようなこと、それから、合併は当然相手方となる市町村の存在が前提となりますので、一方の市町村住民投票によって直ちに合併が実現するような手続を進めるということはなかなか難しいということ、それから、現行法や過去の立法例におきましても例外的な場合に住民投票が活用されているということを考慮いたしまして、今回の改正において導入を見送ったものでございます。  今後、地方分権を進めていき、団体自治とともに住民自治の拡充ということは、やはり重要な課題でございます。そういう中で、住民投票等の住民参加の制度のあり方につきましては、やはり今後の地方行政全般にわたる問題として、引き続き検討をしていくべき課題であるというふうに考えている次第でございます。
  82. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 将来的課題だということで、積極性がどうも感じられないのです。それは残念です。やはり過去の委員会の決議としては、極めて尊重していただきたいという思いが強いわけです。  特に、るる困難点が示されていますけれども、確かに、発議をしていって協議会が設置をされる、そして合併をするとするならばという形で、町づくりのイメージも含めまして、いろいろな条件が出てくるのだろうと思います。そして、最終的に議会で承認をしていくという声が出てくるのだろうと思います。私が考えるところによれば、議会の意思反映、最終的な決定をする段階ですね、住民投票を一部の参考資料として議会に反映させるという場が必要ではないかというふうに思うわけですね。  新設の場合は対等合併という形があるわけですけれども、特に問題なのは、吸収合併ということで、大きな都市のところへ小さな町村が合併していくというときに、吸収される町村は、本当に自分の町がなくなってしまうようなイメージになってしまう。そういう場合のときに、何か条件を付して、全体の合併そのものじゃなくても、こういう合併のときには住民投票を入れるようにだとか、吸収で町がなくなってしまう、まあすべてなくなるわけではないのですけれども、町名も消えてしまうとか、そういうようなことも含めていけば、当然そういうことも考えながらやっていくのも必要ではないかと思います。  しつこいようですけれども、申しわけないのですけれども、改めて、住民投票制度について、課題と言うだけではちょっと委員会の決議というものにもそぐわないような思いもありますので、決意をちょっと聞きたいと思います。
  83. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民投票制度につきまして今後どうするかというのは、やはり検討しなければならない課題だろうと思っておりますが、今御指摘のあったような、特に吸収合併等について、まさにその地域の団体が消滅するか否かというような重要な問題であるからということは、それなりに確かにわからないわけではないのです。  ただ、御承知のように、今の代表制民主主義といいますか、そういう制度をとっております地方自治制度の中で、住民投票というのは、極めて補完的な制度として仕組むにしても、それが本来の議会制民主主義の機能あるいは町の機能というものを余り侵害するようになってもいけないという点もありますので、そういうさまざまな点をよく研究をしていかなければならない問題だろうというふうに思っている次第でございます。
  84. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 今後積極的な取り組みを要望しておきたいと思います。  次に、この十年間で、町村自体でいえば十六ですか、合併が行われている。しかし、つくば市と北上市、ひたちなか市以外はすべて編入という形態の中での合併でございます。つまり、大きな市に町や村が吸収されていくという合併が多く見られるわけですけれども、十年間こういう合併が行われてきたわけですけれども、特に吸収される町や村の合併に対する要望からこの合併が行われたのか。それとも大きな市の方から合併しないかということで発議が行われたのか。編入の場合の合併発議はどのように行われたのか。また、その際、県、自治省などはどのように合併に対してかかわってきたのか。いろいろなケースがあるだろうと思いますけれども、一般的にとらえている範囲でお答え願えればと思います。
  85. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今お話ございましたように、この十年間の合併の中で新設合併、いわゆる対等合併はつくば市、北上市それからひたちなか市の三件のみでございまして、あとは編入合併という形態をとっているわけでございます。  市町村合併は、あくまでも当該市町村あるいは住民方々の自主的な判断によって、合併をするかどうか、その合併の形態をどうするかということも含めて御判断をいただくことになるわけでございます。  そういう格好で過去の合併も進められてきたわけでございますが、今御指摘のありました編入合併の中で、具体的にその地域の中心都市から周辺の市町村に働きかけてやったのか、あるいは逆に周辺の市町村から中心市の方に働きかけてやったのかというようなお話でございますが、これは地域によってさまざまでございまして、前者の例、つまり中心市の方から呼びかけたという例もございますし、それから周辺の市の方から中心市の方に話をしたというようなケースもございます。  いずれにいたしましても、関係する市町村住民地域の将来を展望してどういう方法がいいかということを判断をして自主的にお決めになったというふうに思っております。  そういう際に、都道府県といたしましても、それぞれ市町村からの要請に基づいて地域実情に応じて適切な対応をしてきたというふうに承知しておりますし、また自治省としても、同じような立場で自主的に合併が進むように対応してきた次第でございます。
  86. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 そこで、今回の改正案都道府県の関与の仕方が、市町村建設計画の作成に際してあらかじめ知事協議をしなさい、また情報提供しなさい、調整をしなさいということで、こういう改正点があるわけです。市町村自主性を尊重するという視点が極めて大事だと思いますけれども、これらの改正点が市町村自主性を損なうのであれば大変大きな問題であろうと思いますけれども、これらの改正点が取り入れられた理由といいますか、その辺を簡潔に説明願えればと思います。
  87. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回都道府県の役割を合併特例法の中に位置づけておりますが、これは決してその市町村自主性を損なおうというような趣旨からのものではございませんで、むしろ市町村に対してよきアドバイスをして自主的な合併が円滑に進むようにという趣旨からのものでございます。  今回の合併特例法改正に当たりまして地方制度調査会答申もいただきましたが、その中で、一市町村住民が、市町村のあり方について自主的に検討できるようにするためには、国や都道府県は、合併の意義や手続、その効果市町村合併に関して十分な情報を提供していくべきである。」ということを指摘しております。また、特に都道府県につきましては、「地域全体の発展住民生活の水準の確保という観点から、関係市町村の合意形成のために重要な役割を果たすことが必要であり、当該都道府県内の市町村に対して、積極的に指導、調整や意見交換等を行っていくべきである。」ということも言っております。さらに、市町村合併に際して、将来のまちづくり等に関しても適切な助言を行う等必要な支援を行う必要がある。」というような趣旨の提言が答申の中でなされているわけでございます。  私ども、今日の改正に当たりまして、このような地方制度調査会答申趣旨を踏まえまして、自主的な市町村合併推進のために都道府県市町村に対して助言、情報の提供や必要な調整を行うことができるようにということで規定を設けたものでございます。
  88. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 十分市町村自主性が損なわれないように進めていただければと思います。  それで、最近言われている一極集中または過疎の問題、それにあわせてこの問題を若干お聞きをしたいと思いますけれども、最近の合併なんかでも、先ほどの説明でも、やはり県庁所在地を中心にしながら七割程度合併が進んでいるという意味においては一極集中は進んでいるのではないかということで、市町村合併は大きいことはいいことだという理念のもとに進んでいるという発想では困るなという思いもするわけです。そこで、基本的に行政単位の適正規模をどのように考えておられるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  89. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 適正規模ということでございますが、やはり市町村合併というのは、自主的な合併推進するということでございますので、一律的にかつての町村合併促進法のときのように一定の基準を設けて進めるというのは適当ではないというふうに思っております。それぞれ地域地域によって状況も異なりましょう。そういう中で、地域実情に応じて市町村及びその住民方々が御判断をいたしまして合併をしていくということでございまして、全国を通じて一律の標準を示すということはなかなか困難だというふうに考えております。
  90. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 特に大都市への合併ということでは、過密という意味において本当にいいのかなという部分もあるわけです。つまり、政令都市、大きな都市では役所の顔が見えない。そのために区制を導入していく、区を導入していくというような形も、工夫も見られていることもよく理解をしています。  そこで、大きなところでは合併というよりも分割という、行政単位を分割していくという発想もあってもいいのではないかなという感じもするわけですけれども自治省として、大都市の行政のあり方、これを基本的にどのように考えておられるのか、見解があればお示ししていただきたいと思います。
  91. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 政令指定都市の問題でございますが、これはもう御承知のように、大都市行政の合理的、能率的な処理をして市民福祉の向上を図るという見地から、一定の事務、社会福祉とか保健衛生とか都市計画とか土木行政住民の生活に密着した事務を、本来なら都道府県が行うものを市が行うというふうに市に権限を移譲している、あわせて、監督上の特例を設けているという制度でございます。  政令市におきましては、市長の権限に属する事務を分掌させることで、条例で区域を分けていわゆる行政区を設置することにしております。この行政区を設置している趣旨は、大都市におきましてはとかく遠くなりがちな市行政住民との距離をより短くしようということ、そして、地域的なそれぞれの事情あるいはいろいろな要請にきめ細かくかつ総合的に対処することができるようにして、市民意識とか市民の行政へのニーズを市の行政に反映させるようにし、さらには、市の行政住民への浸透をより円滑にしていこうということで設けられているわけでございますので、その趣旨に沿った区の行政の運営がまず望まれるということになるわけでございます。  さらに、行政区の問題をどうするかという問題につきまして、これは大都市制度全体のあり方とも関連するものでございまして、都道府県との関係あるいは周辺市町村との関係を含めて考えるべき中長期的な課題であると考えておりますが、この大都市制度のあり方を論議していく際には、行政区の機能やあり方を含めて、大都市における住民に身近な行政のあり方をどうやって確保していくかということが論点の一つになるというふうに考えております。
  92. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 そこで、今回の合併特例法改正内容を見ると、昨年自治法の改正市町村の広域連合制度が創設されたわけですけれども、どうしても広域連合制度より市町村合併に重点を置いているのではないかというような、また誘導しているのではないかというような感じがするわけです。  それで、市町村合併と広域連合制度との関係についてどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  93. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 昨年の自治法改正によりまして広域連合制度を創設いたしました。これは、多様な行政需要に適切かつ効率的に対応できるような仕組みをとって、そこに国等からの権限移譲ができるような体制をつくろうということでつくったものでございます。  また今回は、合併特例法によって、市町村が自主的な合併を進めようという場合に、その効果がより一層発揮できるような仕組みをつくろうということで改正案を提案してお願いをしている次第でございますが、どういう方向でそれぞれの地域市町村が対応していくかというのはケース・バイ・ケースでございましょうし、合併を選択するという道も当然ございましょうし、いろいろな事情でなかなか合併を選択できないというようなケースもありましょう。そういう場合には広域連合制度というものを活用していただくということは、大変有効な制度ではないかと思っている次第でございます。
  94. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 先ほどの質問の中にもありましたけれども、やはり二十一世紀を迎えて、高齢化社会の中で福祉の問題とか、さらには新しい課題として情報通信の問題、これらのものについては、今後十年間の改正で、山村振興法とか半島振興法についてこれも導入していくというような改正も行われているわけですけれども、当然そういう意味で、地域がそれぞれ連携をしながらやっていくという意味においては連合制度というのは極めて重要だと思いますので、その辺の協調も十分していただきたいというふうに思います。  それで、地域振興という観点でお尋ねをしたいと思うのですけれども、北海道の空知炭砿の閉山問題でございます。この地域、空知炭砿の各市町村、当時たくさんあった炭鉱がなくなって、今北海道では太平洋炭砿一つ。炭鉱は、全国ではあと三池の方ということで二つだけ残るわけですけれども、非常に過疎の問題として悩んでいます。それで、財政的な支援というものも非常に求められていますし、一方、地域の中では、一部地元の新聞にも報道されましたけれども合併というような機運青年会議所等で出てきているというような動きもあります。  しかし、当面、この歌志内市に対する支援というのが極めて重要だろうと考えていますので、その辺のところを、現段階で歌志内市に対する財政的な支援を含めましてどのように考えておられるのか、あればお示ししていただきたいと思います。
  95. 野中広務

    野中国務大臣 先般も委員の御質問にお答えをしたかと思いますけれども、炭鉱が閉山となりました場合の地方団体への影響につきましては、国のエネルギー政策と密接に関係を持つわけでございます。第一義的には国の関係省庁において適切な対応が図られるべきであると考えますし、道並びに市の要望によりまして、来る二十二日の予定と聞いておりますけれども関係省庁会議も持たれるようでございますので、私どももその動向を見守ってまいりたいと存ずるわけでございますが、この問題が地域全体のあり方に密接に関連するものでありますので、自治省といたしましても、従来から産炭地域地方団体に対しまして、地方交付税の算定、地方債の配分等に当たり、産炭地特有の事情によります財政負担を考慮してきたところであります。  今後、歌志内市が地域活性化のための事業の推進も含めまして閉山対策を進められる場合には、自治省といたしましても、地元の要望を十分踏まえながら、その財政運営に支障が生じないように、地方交付税や地方債の適切な手当てをいたしまして、財政支援策の措置を講じてまいりたいと存じております。
  96. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 よろしくお願いをしたいと思います。  特に歌志内市は、昭和二十三年ごろですか、四万六千人あったのが、今は七千人しかいないというような全国一位のミニ都市でございます。そういう意味では本当に課題を抱えておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  最後に、大臣、お尋ねしたいと思いますけれども先ほども論議されました、現在地方分権推進法が国会で論議されているという、大きく地方自治のあり方が問われる、今後大いに推進されていくという意味で、地方の時代と言われている言葉が本当に現実化されている節目のときでないかなというふうに思います。この合併推進も、やはり市町村自主性及び住民の意思を尊重するという立場の中で推進していくことが極めて重要だと思いますので、市町村合併に対する大臣の決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 野中広務

    野中国務大臣 今委員から御指摘いただきましたように、国会におきまして地方分権推進法が審議をいただいておりますときに、また今回、期限切れを迎えました市町村合併特例法が新たに推進法としてそれぞれ御審議を賜ることになりましたことは、地方自治にかかわった私どもとしても大きな感慨を新たにするところでございます。  今後、この改正に当たりましては、自主的な市町村合併推進をするという基本を十分わきまえながら、また、これまでのような行政主体の、行政イニシアチブをとっただけではなく、幅広く住民イニシアチブによりまして市町村合併推進していくという発議制度も創設されるわけでございますので、合併市町村町づくりを、こういう土壌を大切にしながら、積極的に推進するための財政措置など、市町村合併が本来持つ効果を一層確実に発揮することができるような行財政上の支援を講じてまいりたいと存じておるところでございます。このような改正趣旨が生かされまして、自主的な市町村合併がより効果を上げ、促進をされるように、私ども自治省としても今後十分配慮してまいる決意であります。
  98. 池田隆一

    ○池田(隆)委員 ありがとうございました。
  99. 川崎二郎

    川崎委員長 田中甲君。
  100. 田中甲

    ○田中(甲)委員 さきがけの田中でございます。十五分間時間をいただきました。  本日の午前中ですが、地方分権推進特別委員会、この場で、自民党の古屋圭司議員が総理に対して質問をされました。その中で、地方分権推進と同時に合併特例の一部改正というものはもう不可分のものである、この合併法の改正に対し総理はどういう御所見をお持ちですか、そういう場面がございました。  総理は、合併は大きければいいというものではないじゃろうとおっしゃっていました。自主的に合併が行えることが基本である、自主性があるならば合併推進すべきであるものだし、国も財政面で協力をしていく姿勢を十二分に持っているという、そんな場面がございまして、特別委員会の方でも、常任委員会が進めているこの合併特例法の一部改正にかなり注目をされている、そんな場面がございました。  私が、二月の二十一日に、別の問題の質問の機会でございましたが、私見とは断りつつ、災害に強い都市づくりを考えていく場合には人口二十万から三十万の都市をつくっていくことが望ましいであろう、都市をつくっていくことを目指さなければならないと感じたという旨を、御答弁の中で大臣が述べられたわけでございますが、この合併法の一部改正、この質疑に当たりましてもこの点の真意というものを伺いたいという思いに駆られまして、ぜひその御真意を再度お話しいただければありがたいと思います。
  101. 野中広務

    野中国務大臣 市町村合併は、地域一体的な整備あるいは市町村行財政基盤強化、身近な行政サービス充実等を図るための有効な手段として、御指摘観点からも市町村合併推進していくべきであると考えておるところでございます。しかしながら、市町村合併につきましては、地方主導で、地域実情に基づき関係市町村住民の意向を十分尊重されて行われるべきであろうと考えておるところでございまして、全国一律でかつてのような人口基準を示すことは困難であると考えておるのであります。  先般、委員の御質問に対しまして、私は、いわゆる災害に強い都市づくりということを考えます場合に、一人の政治家として、今回の阪神・淡路大震災をそれぞれ数回訪れてみますたびに、私見を申し上げたわけでございますけれども、あの巨大な都市が、しかも人口もあるいは都市機能も一極に集中したところが一挙に崩壊をしていくということを考えますならば、私どもは、この国その狭い、山地が多い中における日本の都市形態を考えますときには、目指すべきものとして二十万ないし三十万ぐらいの都市が一番災害に強い都市としていいのではないかという私自身の考え方を申し述べたところでございまして、そういう点で、これが今回の合併法律と直接かかわるわけではございませんけれども、市民の避難のあり方あるいはそれぞれ地域防災計画のあり方等を考えて、私があるべき私見を申し述べたことを御了承いただきたいと存じます。
  102. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  市町村合併については市町村自主性を十二分に尊重するということが基本である、同じように認識をさせていただいております。災害の問題に関してそのような私見までお述べをいただけたということを私は大変にうれしく思っておりまして、きょう再度御質問させていただいた次第であります。  ある程度の規模の都市をつくっていくことがそんな面からも必要である、大局的な観点からの方向づけということがやはり実際には必要ではないだろうかと考えるところでありまして、今回の法案に盛り込まれました県の情報提供や市町村間の調整を図っていくという規定は大いに私は期待をさせていただいているところであります。  これからどのように法律を運用していくかがかなりポイントになってくるわけでありますが、県全体の将来像というものをよく検討した上で市町村に対して適切な指導や調整ができるように体制を整備していく県の姿勢というものが極めて重要になってくるのではないかと思いますが、この件の御所見をいただければありがたいと思います。
  103. 野中広務

    野中国務大臣 市町村合併に関する都道府県の役割につきまして地方制度調査会答申におきましても提言をされておるわけでございまして、市町村を包括する広域的な地方公共団体であります都道府県合併の際の関係市町村の合意形成等に重要な役割を果たすことが必要であると考えておるところでございます。  自治省といたしましても、本国会における御審議を踏まえまして、今回の法改正趣旨が十分都道府県で理解をされまして、合併に対して適切に対応することができるよう必要な助言指導を行ってまいりたいと考えております。
  104. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ぜひ大臣からの示唆をよろしくお願いをしたいと思います。  自主的な市町村合併を進めていく上で、住民自治体合併の目指すべき目標の一つとして政令指定都市や中核市を考えることは当然であろうかと思います。  私が生活している区域のことを申し上げるのは決して我田引水的なお話をするつもりはありませんのでお許しを賜りたいのでありますが、実は昭和三十年、三十一年に合併をして、どちらかといいますと吸収合併をされた側でありまして、いまだに住民にその不満、しこりが残っている部分を感じます。つまり、その方々は、今となっては既に合併をしなくとも十五万を超える人口になった、自分たちの市がつくれる、そんな状況になっていたのではないか、そんな気持ちが相まって余計に合併したことに対する後悔のようなものが一部残っております。  そこは東京近郊の、都市周辺の行政区域でありますから、今私や一部の団体が考えていることは、政令都市化ということを目指して、行政の中でのアンバランス、住民サービスのアンバランスということを、政令都市にして逆に区割りをして、地域住民に対するニーズに十二分に対応できる、そのサービスの基盤というものを政令都市化するその区割りで対応できないだろうかという考え方が出てきている地域なのであります。  政令都市の問題に若干こだわるのはそういう地元の問題がかかわっているのでありますが、果たして、この政令都市に向かっていこう、合併一つの姿だと思いますが、その際の財源のメリットということが検討あるいは研究していく中で余り感じられないのですが、この辺の、今後中核市や政令都市に対する財源の措置というものが現状において十分どお考えになられているか。私は、不十分ではないだろうか、合併ということを進めていくインセンティブとしても少し不十分な点がありはしないか、そう思うのですが、御意見をいただければありがたいと思います。
  105. 遠藤安彦

    ○遠藤政府委員 お答えを申し上げます。  政令市の場合には都道府県から事務が委譲をされるわけでございまして、税の面からいきますと、軽油引取税交付金でありますとか地方道路譲与税、こういったものの割り増しがありまして、財源的には充実をするわけであります。  それから、地方交付税の算定でございますが、要素は二つありまして、一つは、大都市に特有な財政需要というものを反映をしなければいけないということで各種の補正を講じております。例えば、大都市になりますとどうしても昼間の流入人口が多くなる、そういうことによる増加財政需要というものを、私ども態容補正と言っておりますが、態容補正の中に反映をさせていこうというような措置を講じております。  また、都道府県から移譲された事務についてその事務経費が要るわけでございますので、これは、その移譲された事務に係る経費を都道府県から政令指定都市の基準財政需要額に算入されるような措置を講じております。これは、普通交付税の算定上は機能差という補正を使うわけでありますけれども、移譲された事務についての経費の算入はそういう形で行っております。  したがって、こういう譲与税の面あるいは地方交付税における算定の面等によりまして、政令指定都市になった場合には、事務も大きくなりますが、財源的にも大きくなるわけでありまして、予算規模がかなり大きくなるという傾向が一般的にはあろうかと思います。  それから、中核市についてもお話がございましたが、中核市はこれから指定がされてくると思いますけれども、政令指定都市と同様に移譲された事務についての財源措置が必要でございますので、政令指定都市に準じた基準財政需要額への算入方法というものを検討し、そういったことを行っていきたいということで今準備を進めているところでございます。
  106. 田中甲

    ○田中(甲)委員 ありがとうございます。  中核市について一点、政令都市に関して一点御質問をさせていただきたいと思います。  中核市については、昼夜間の人口比率ということが基準になっているはずであります。それと、この基準の点でもう一点は、百平方キロの面積という基準があります。東京近郊のこの周辺の地域になりますと、この昼夜間の人口比率をとらえると大変に中核都市になりづらいという点がございます。それからもう一点は、どんなに人口がふえても、この再平方キロの面積という規定がございますと、人口密度の高い地域になればなるほど非常に中核都市になれないという矛盾を感じるという点がございますので、その点に対して御意見、御所見をいただきたいと思います。  政令都市の方でありますが、現在準備を進められているという地方消費税の公共団体に対する交付基準でありますが、都道府県に対しては、小売年間販売額、その他の政令で定めるもの、これを基準としたいということになって今準備をされているようでありますが、市町村には残念ながら小売年間販売額というその基準がありません。  ですから、地方消費税が導入された際の市町村に対する交付基準というものは、夜間人口と就業者人口から算出をするということに現段階でなっているようでありますが、これは政令都市に特に目減り感がある、あるいは都市周辺に目減り感が感じられるということを私は申し上げたいのですが、それ以前の段階として、やはり、市町村都道府県から配賦する際にもしっかりとした小売年間販売額というこの基準を、消費税でありますから消費の指数というものをしっかりと出して、どこからもクレームのつかない公平な交付基準というものを今からしっかりと準備をしていただきたいというこの点を、どのように御認識をされてお考えになられているかをお聞かせいただきたいと思います。
  107. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 中核市の要件の問題でございますが、御案内のように、中核市については昨年の自治法改正で創設をしたものでございますが、比較的規模、能力の大きいというところで、人口、面積、それから、人口を補完する要素として周辺地域における中核性というものを要件としているわけでございます。  で、人口五十万以上で河平方キロ以上の都市につきましては、当該地域における中核性は当然あると考えておるわけでございますが、三十万以上で五十万未満の都市については、周辺市町村の中核的な都市であることを確認する必要があることから、中核性の要件を付加をしておるわけでございます。  そういう中で中核性の要件といたしましては、当該市への周辺市町村からの流入人口がその流出人口を上回っているような場合、これは当該地域が中核性があるというふうに考えられますので、その指標として昼夜間人口比率というものを用いているわけでございます。  それから面積の方でございますが、面積要件ということをあれしておりますが、これもやはり、行政需要とか行財政能力というのはやはり面積とも関連する部分がございまして、中核市が行う事務につきましては、やはり普通の市よりも違って、本来であれば県がやっているような、政令指定都市に準ずるような事務をするわけでございますので、そういう一定な面的なまとまりが必要であるというようなこともありまして面積も要件にいたしておりまして、そういうことで先般法律をつくらせていただいた次第でございます。
  108. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 地方消費税につきましての市町村への配分基準の問題でございますけれども、地方消費税につきましては、御案内のとおり、清算をいたしました後の収入の二分の一を市町村に対して交付をするということになっておりますけれども、その基準といたしましては、先般の国会で成立させていただきました法律では人口と従業者数を用いることにいたしておりますけれども、これは、地方団体の消費の額に応じて消費課税の成果を帰属させることを泉本としつつ、現在、統計上都道府県と同様の指標で市町村ごとの消費の額を直接把握できる指標がない、こういったことがございますので、これに代替する指標として用いるようにさせていただいたものでございます。  このように、地方消費税の市町村に対する交付基準につきましては、人口と従業員数を用いることによりまして昼間の人口も含めたそれぞれの地域の消費の全体の把握をできることとなりまして、配分基準としては適切なものというように私ども考えているところではございますけれども、今後とも、各団体の消費の額に応じて適正な収入の帰属を図ることを基本としながら、適切な統計指標の活用の見地から検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  109. 田中甲

    ○田中(甲)委員 合併特例法の一部改正地方分権推進の一環の一つの手段、もしこう受けとめてよろしいのでしたら、中核都市の規制緩和ということも積極的に進めていただきたいと思います」。  地方消費税の交付基準に関しましては今後も鋭意努力をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  110. 川崎二郎

    川崎委員長 穀田恵二君。
  111. 穀田恵二

    ○穀田委員 この合併特例法の議論をお聞きしまして、私、大臣並びに行政局長は何度もお答えになったわけですが、市町村合併の有効性の問題で、いわゆる第二十四次地方制度調査会の議論を繰り返していましたね。「地域一体的な整備」、それから「市町村行財政基盤強化」、それから「身近な行政サービス充実」と、こうなんですが、これは本当にそうだろうかと私は思うのですね。つまり、合併は今お話があった目的を果たす上で本当に有効な手段だろうかということについて、ちょっとお話しいただけますか。
  112. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 合併をいたしまして、従来幾つかの市町村に分かれたものが一つになるわけでございますので、一体的な整備ということは随分その効果が上がるのではないかと思いますし、それから、行財政基盤強化ということにつきましても、これは各団体が一緒になりまして経費面で効率化できる面もございましょうし、それぞれの収入を持ち寄って必要な行政を適時適切に行うということもできるということだろうと思いますし、いろいろのサービスについても、それぞれの、ばらばらにやるものよりも一緒になってやる方がより適切なサービスができるということになろうかと思います。
  113. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは、確かにそういう側面があるというものについてはわかるのです。  それでは、市町村の意見はどうか、そういう問題について調べてみますと、自治省が持っている研究会で、市町村の自主的合併推進方策等に関する調査研究委員会というのがありますね。その報告書の中で、「市町村の自主的合併推進方策等に関するアンケート調査の結果について」という分析がございます。その中で、問いとして、「行財政運営上支障があると考えているものについてお答えください。」ということに対して、その解決策としてどのような方策をとることが望ましいかということの答えは、今お話あった行財政上のいろいろな課題を、支障があるのを解決していく上でどういう方向がいいかという問いに対して、実は、局長がおっしゃるような「市町村合併により行財政基盤強化を図る。」というのはたった七・七%しかないのですね。そうでしょう。  それで、一体的な問題については確かにそういう側面があることを私は否定しません。しかし、それではさらに、合併の必要性の理由ということを見ましょう。合併が必要であるというふうに答えた方は、その中身で言うと何ができるかということでやっているかといいますと、やはり確かに「地域一体整備を行うことができる。」と答えている市町村が六八・五%ある。これは確かなんです。ところが、後段でおっしゃった二つの部分について言うならば、「行財政基盤強化を図り、人口の高齢化等の行政需要に対応することができる。」と言っているのはたった二五%なんですね。そしてさらに、「行財政基盤強化することができる。」というのは、これまた二一・五%なんですね。  これに見られるように、どうも、局長がおっしゃっている中身としての有効な手段たり得るかということについて疑問を投げかけているのが、市町村の実際の生の声ではありませんか。
  114. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今、この市町村の自主的合併推進方策等に関する調査研究委員会の報告書の中にありますアンケートについてのお話でございますが、合併が必要であるとお答えになった場合に、その理由は何かという中で、「地域一体整備」というのは六八・五%あるわけでございますし、それから、行財政基盤強化につきましても、「行財政基盤強化を図り、地域振興施策を実施することができる。」というところをごらんいただきますと、五一・二%あるわけでございますので、やはり相当の程度があるというふうにお考えいただいてよろしいのではないかと思います。
  115. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは今お話ししたように、地域振興、つまり地域一体整備との関係ではそのとおりなんですね。それは私は否定していないのですよ。それは私言うのを忘れましたから、言っておいてもよかったのですけれどもね。その後半の方の問題で言うならば、財政基盤強化という問題との関係でいいますと、具体的行政需要に対応できるということからしますと、余りないのですね。  さらに、では、必要でないとお答えになった場合はどうかということを見ますと、これまた大事なんですね。「区域が拡大することにより行政サービスが低下するおそれがある。」というので見ますと、これは七一・九%。さらに、「中心部と周辺部の発展に格差が生ずるおそれがある。」という方が五二・五%ということになるのですね。これは自治省が行ったものですから、そういうことになるわけです。  だから私は、本当にこれは有効な手段たり得るかという問題については、市町村自身が若干、局長がおっしゃるような、何かばら色といったら怒られますけれども、こうなるような形で残念ながら思っていないというのも事実ではないでしょうか。
  116. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今御指摘のように、合併することによって「中心部と周辺部の発展に格差が生ずるおそれがある。」というような御回答をいただいた向きは五〇%余りあるということでございますし、こういう問題につきましては、今回の合併特例法改正案では、やはりそういう地域が廃れることがないように、きちっと市町村の建設計画の中にバランスある発展を図るようにということを記すようにしているわけでございまして、その辺についても配慮をしながら合併を進めていくということだろうと思います。
  117. 穀田恵二

    ○穀田委員 ただ、この間のそういう問題はそういう指摘があるということで、万能薬ではないことだけは市町村方々自身も思っておられることだと私は思うのです。  そこで、今度の改正の特徴はということで、先ほどもお話ありましたように、第一条に「自主的」という言葉を加えたことが中心なんだというお話がございました。  そこで、自主的というのは、合併に当たって最低どういう手だてが踏まれなければならないのか。自主的というのは、国や県から言われるだけではなくて、その区域の多くの住民合併に伴ういろいろなことを考慮した上で、本当に納得した上で合併をする、最終的な判断はその区域の住民にゆだねられる。そういうことで、先ほども再三ありましたように、大事な問題は、住民の意向が反映される制度が保障されているかどうか、ここが大事だと思うのですね。この点があることが自主的な合併だと私は考えるのですが、その辺での大臣見解をお伺いしたいと思います。
  118. 野中広務

    野中国務大臣 市町村の意思は、公選で選ばれた長及び議会が基本であると私は考えております。そういう中におきまして、なかなか硬直して合併が進められない環境を見ながら、今度最低限住民発議をすることによる制度を導入したわけでございます。  今御指摘ございましたように、この市町村合併について是非を問う場合には、やはり一には合併の形態や合併後の市町村の姿その他の諸状況も総合的に勘案した上で判断をされるべきものでありまして、単純に一案を示してその判断を求めるという、そういう住民投票には私はなじまないのではなかろうかと考えております。
  119. 穀田恵二

    ○穀田委員 もう既に住民投票の件は先ほどございましたので、それでは、せっかくですから、私も言わせていただこうと思うのですが、先ほど局長がるるお話しになりましたが、私はそんな理由が成り立つのだろうかと思うのですね。先ほどお聞きしていると、つまり、今お話あったように、単純に一つの案だけではということと、先ほどもう一つ前にはこう言いましたね、総合的に判断するものだとおっしゃっていました。総合的に判断するものだというのならば、そういう判断ができる情報を当該自治体がきちんと提供すればいいわけなのですね。そういうことなのですよ。  私は、まず第一に問いたいのは、それでは、この間、十年前、二十年前に附帯決議をしてきた、問題の中で、例えば、それでは、なぜそれが実行できなかったのかという問題については全然ありませんわな。それをまず一つ聞きたい。  時間がありませんから、二つ目に、今言いました理由の問題で、今言いましたように、総合的に判断するというのだったら、当該自治体が提供すればいい。それから、単純に一つの案だけを云々ということについて言うならば、特定の重要問題での住民投票は住民の意思をより正確に反映することができるということが根本だ。  三つ目に、局長がおっしゃったように、相手があると言いましたね、相手があるというのですけれども、そのことについて言うならば、当該自治体がまず優先的に判断することで、相手がノーと言えば、それでだめになるのは当たり前なのですね。だから、私はどうも、それ自身の住民投票を否定する理由にならない。  それでは問題は、今までそういう附帯決議を二度にわたってやってきたときに、大臣は当然、大臣というのは野中大臣と違いますよ、今までの大臣がそれぞれ、やります、意を体して頑張ります、こう言ってきたことに対して、自治省は二十年間どんな努力をされてきたのですか。
  120. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 今回は住民発議制度という格好で、住民イニシアチブ合併に反映させようということで、そういう制度を創設したわけでございますが、住民投票制度について見送りましたことにつきましては、三点ほど申し上げているわけでございます。  一つは、合併の形態、合併後の市町村の姿、その他の諸条件を総合的に勘案した上で判断されるべきものである、合併は。したがって、単純に一つの案を示してその判断を求めるという住民投票には、これはなじむかどうかという問題があるということが第一点でございます。  第二点が、合併は当然相手方となる市町村の存在が前提となりますので、一方の市町村住民投票により直ちに合併が実現するような手続を構成することは難しいということ。  三番目には、現行法及び過去の立法例におきましても、例外的な場合にのみ住民投票が活用されるということを申し上げまして、そういうことを考慮して今回は住民投票制度の導入を見送ったものでございますし、この住民投票等の住民参加制度のあり方につきましては、地方行政全般の問題として今後引き続き検討していくべき課題であるというふうに申し上げているところでございます。
  121. 穀田恵二

    ○穀田委員 それは先ほど私、そういう大体三点だから、それは違うのじゃないかと意見を言ったわけですから、違う話をしてくれなくちゃ、もしそれだったら。  それで、私が言いたいのは、二十年前にこういうふうにそれぞれ決議されてきたことについては、どういうふうな努力をされてきたのですかと私は聞いたのですよ。それはちょっと答えていただかないとだめなんじゃないでしょうか。  私は、十年前にも、議会の問題や長の問題についての阻害するようなことがあってはならないというふうな見解があったことも知っています。また、先ほど大臣がおっしゃったように、住民の声というのは長や議会が基本である、これも確かに一面です。しかし、同時に、地方議会、地方の場合にはやはり住民が直接参加をするという制度があるわけですから、それ自身は、そういうものについて直接民主主義も保障するということであります。  しかも、私が言いたいのは、例えば議会やそれから長などが選ばれる際に、そのことが争点になっている場合はいいですよ。しかし、争点にならずに選ばれて、突然そういうことが出てきた場合に、その長だとか議会が代表するというのは、これは成り立たないのではないか。だから、せめてそういった問題をする場合について言うならば、地方自治、つまり住民自治の観点からいえば、そういったものについても制度化するという努力が、今後の検討課題じゃなくて、それは二十年前からわかっていたことなのだから、きちんとしてはどうか、こう言っているわけです。
  122. 吉田弘正

    吉田(弘)政府委員 住民投票制度まで今回いきませんでしたけれども住民発議制度ということで、今までに合併特例法でなかったような制度、つまり住民の側からそういう動きが出てきた場合、それを行政側に反映させて、そこから手続を動かすというような仕組みをつくったのでございまして、住民参加方式の一つの方式であるというふうに理解をしております。
  123. 穀田恵二

    ○穀田委員 住民参加の一つの方式、それは確かにそうです。だけれども、今大事なのは住民参加を広げるということであって、しかも地方分権の折ですから、憲法に書かれてある地方自治の本旨ということでありますと、住民自治の拡大ということが本来求められる筋合いのものだと私は思うのです。  そうしますと、例えば参議院などでは、住風発議制の導入につきまして、その五十分の一にした理由は、論議が巻き起こることが目的で、ハードルを高くすることはいかがか、こういうふうに答えております。同じように、先ほども、ハードルを高くするのはどうかと答えています。しかし、私は思うのです。本当に議論が巻き起こる、住民の中にそういうことについていろいろな討論が行われるということからしても、逆に住民投票制度が一番議論が巻き起こるという可能性を、少なくともこの間の事実も含めて示していると思うのです。  したがいまして、私は、事実は少なくとも編入がこの間多いわけですから、それで、編入合併される自治体についての住民投票の仕組みについては、何がなんでもこれは導入すべきだということだけ主張して、時間ですから、終わります。
  124. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
  125. 川崎二郎

    川崎委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。
  126. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。  まず第一は、合併の最大の課題である地域住民の意向を反映するシステムの導入を回避して、専ら促進の立場からの制度のみを導入しているからであります。  合併という自治体の消滅そのものに関連するような重要な問題については、住民こそ主人公という地方自治の原則に照らしても、地域住民の意向が最大限尊重されなければなりません。ところが現実は、住民の意見を反映するシステムがなく、行政側主導で合併が強行される事例は枚挙にいとまがありません。自主的というなら、地域住民の意見が正しく反映される制度の構築こそ不可欠であります。合併協議会の設置に関連して新たに住民発議制を導入しますが、請求要件を低くしたこととあわせて考えれば、これが合併促進のてこにはなりますが、住民の総意を正しく反映するものになり得ないことは明らかです。  第二は、都道府県の関与の問題です。  新たに市町村建設計画に都道府県を関与させることにしておりますが、これは国にかわって、同じ自治体でありながら市町村とは上下関係にある都道府県を活用することによって市町村合併を進めようとするものであります。現実の市町村合併の多くが、自主的と言われながらも都道府県の指導で行われており、これを容認するとともに、上からの合併促進に一層の拍車をかけることとなるのであります。最後に、自治省の研究会の調査結果でも明らかなように、市町村が抱えている行財政問題の解決を、計画的な行財政運営の確保、若者の雇用の確保に求める声が最も多く、合併に求める市町村は、一割にも満たない数字であります。こうした市町村の声にこたえることこそ国の役割であり、上からの合併促進は、市町村の意向に反するものであることを指摘して、討論といたします。
  127. 川崎二郎

    川崎委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————     —————————————
  128. 川崎二郎

    川崎委員長 これより採決に入ります。  市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  130. 川崎二郎

    川崎委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、山名靖英君外三名から、四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。山名靖英君。
  131. 山名靖英

    ○山名委員 私は、この際、自由民主党・自由連合、新進党、日本社会党・護憲民主連合及び新党さきがけの四会派を代表いたしまして、市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。     市町村合併特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、地方分権推進観点を踏まえ、地方公共団体、特に住民に最も身近な行政主体としての基礎的な地方公共団体である市町村行政体制の整備・確立を図るため、次の諸点について善処すべきである。  一 それぞれの地域実情に応じて、中核市、広域連合、地方分権特例制度市町村合併等の諸制度を適切かつ有機的に活用することにより、市町村への権限移譲を促進するとともに、地方税・地方交付税等の税財源確保を図るなど市町村行財政能力を高めるよう配慮すること。  二 本法の施行に当たっては、自主的な市町村合併の円滑な推進を図るため、必要な助言、情報の提供、財政・金融上の支援等の措置を積極的かつ機動的に講ずるなど適切かつ弾力的に制度を運用するよう努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。
  132. 川崎二郎

    川崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 川崎二郎

    川崎委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、野中自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。野中自治大臣
  134. 野中広務

    野中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  135. 川崎二郎

    川崎委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 川崎二郎

    川崎委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  137. 川崎二郎

    川崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十一分散会