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河野国務大臣 議員によく御
理解をいただきたいと思いますことは、この問題が、何かというと
日本はアメリカをとるのか
アジアをとるのかはっきりしろというような
議論になる場合があって、これは我々決してとるべき
議論ではないと思います。我々は今、APECという大きなグループの中で経済的にももっともっと交流を深めていこうと、しかも、ことしはその議長国としてその会をチェアするという立場にあるということを考えれば、二者択一の
議論をするということは我々決してとるべきでないということをまず
最初に申し上げて、もちろん議員御
理解の上でございますが、申し上げておきたいと思います。
その上でさあどうかということでございますが、私は、EAECといいますかASEANが、このしばらくの間
アジアの中にあって大変な指導力を発揮していろいろな仕事をしてこられたということを評価をしていいと思います。
で、私も昨年、ちょっと語が長くなって恐縮ですが、ASEANの会合などに参加をさせていただくと、ASEANの
外務大臣同士はもう極めて仲がよくて、話もまあツーカーの仲なんですね。これはもうしょっちゅう会合が行われて、しょっちゅういろいろな話し合いがあって、しかも政策はかなり透明になっていて、非常な連絡がついているということを見て、ああ、これは本当にASEANというグループは、相互依存もできながら、いいグループが育っているんだなというふうに見ておりました。もちろん、そういう中でシンガポールとフィリピンが昨今非常に
一つの問題をもとにして対立的になったりということもあるわ
けですが、総体的に見るとこのASEANというものは、非常によく話し合って、いろいろな問題を相談し合っているという、そういうことは我々よくわかっております。
ただ、私
どもAPECの作業をいたします上で、EAECというグループが
一つの形をつくって、例えば事務局を置いて、そこであらかじめ、この問題についてはみんなで賛成しようとかこれはみんなで反対しようとかという合意までつくるということになると、それは、APEC全体が
一つ一つの国の多様性を大事にしながらやっていこうというときに、果たしていいかなという疑問がそうでない
人たちから出てくるということが
一つ。
それからもう
一つは、今おっしゃるように、九州が
一つになってというのは
一つの例でおっしゃったわけですが、EAECということで集まると、その向こう側にあるオーストラリア、ニュージーランドは一体どうなるのか。そこで我々は、豪州、ニュージーランドも一緒に加えられたらどうかつまり地理的に近いところ、集まりやすいところが集まって時々相談をする、あるいは情報交換をするという性格のものだという位置づけをするなら、豪州、ニュージーランドまで加えられたらどうか。いや、豪州、ニュージーはちょっと違うのだというと、そのちょっと違うのだという、我々いわく言いがたいちょっと違うというところが余り強く出ることはいかがなものか。そんなことではないので、豪州、オーストラリアの
アジアの一員としての一緒にやろうという意欲とか
努力とか、今キーティング首相もお見えでございますけれ
ども、オーストラリアのそうした
努力というものは、本当に我々見ていて感心させられるようなものがあるわけです。ああいう国々まで一緒に
一つの情報交換の場をつくるということはどうなのかということを申し上げたのですが、いや、あそこはちょっと違うんだと言ってしまうと、ややそういうところで排他的な集団になってしまうのではないかという感じもするわけです。
さらに、これはEAEC構想を打ち上げてここまで来る間に若干の行き違いがあって、誤解があって、EAEC以外の国から見ると、どうもあそこは集まって、さっき申し上げたように
一つの考え方をそこでまとめてしまってAPECの場に臨むんじゃないかとか、そういうことになると自由な
議論ができなくなってしまうではないか。EAECというものはどういうものか、もう少し説明してほしいなんということを言うと、その説明に多かれたわけですけれ
ども、多かれたときに、事務局はどこどこに置き、こういうことになってなんという説明をした結果、ますます何か
一つの集団になるんじゃないかという誤解がさらに強まったなどという、これは若干不幸な行き違いであったように思いますけれ
ども、そうしたことがあって、APECのメンバー国の中に、せっかくみんな同じレベルで同じような立場で参加しようというのに、その中に強いて集団をつくってしまうということについてはどうも納得できない、いいことではないというような
議論がまだあるわけです。
それで私
どもは、そのAPECというものが、やはりそのAPECの中に、そうはいっても幾つかの国は一緒になってしょっちゅう情報交換しようなんということはあるかもしれません。しかしそれは、やはりそれ以外の国から非常に疑いの目で見られたり、あるいは余りいい思いでなく見られるということはない方がいいなと思っているわけです。
ですから私は、EAECの方々に、EAECというものができるとすれば、せめてAPECの他の国々から祝福を受けて出発をするという形でスタートをしてくださいよ、そこまで
理解を求める
努力はやはりなさったらどうでしょうかということと、それから、あえて具体的なことを言えば、オーストラリア、ニュージーランドについてはもっとよく考えてみてはいかがでしょうかとか、そういったことなどを今申し上げている段階でございます。そういうことを一切聞かずに、いや、とにかくやるんだと言われると、
我が国としては、ちょっとそれについては、まあ結構ですよと、そう簡単には言いにくいなという感じを私は持っているところでございます。