運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1995-05-26 第132回国会 衆議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年五月二十六日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 三原 朝彦君    理事 小杉  隆君 理事 田中 直紀君    理事 福田 康夫君 理事 東  祥三君    理事 松沢 成文君 理事 秋葉 忠利君    理事 前原 誠司君       安倍 晋三君    柿澤 弘治君       斎藤 文昭君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    鈴木 宗男君       二階堂 進君    原田昇左右君       石井 啓一君    上田 清司君       鹿野 道彦君   柴野たいぞう君       白沢 三郎君    高市 早苗君       山田  宏君    伊藤  茂君       上原 康助君    松前  仰君       古堅 実吉君    大矢 卓史君  出席国務大臣         外 務 大 臣 河野 洋平君  出席政府委員         外務大臣官房外         務参事官    谷内正太郎君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部長    高野幸二郎君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省中近東ア         フリカ局長   法眼 健作君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省経済協力         局長      平林  博君         外務省条約局長 折田 正樹君  委員外出席者         警察庁刑事局刑         事企画課長   篠原 弘志君         郵政省郵務局国         際課長     渡辺 和司君         外務委員会調査         室長      野村 忠清君     ————————————— 委員の異動 五月二十六日  辞任         補欠選任   赤羽 一嘉君     石井 啓一君   岡田 克也君     上田 清司君   羽田  孜君     白沢 三郎君   若松 謙維君     山田  宏君 同日  辞任         補欠選任   石井 啓一君     赤羽 一嘉君   上田 清司君     岡田 克也君   白沢 三郎君     羽田  孜君   山田  宏君     若松 謙維君     ————————————— 本日の会議に付した案件  万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結につ  いて承認を求めるの件(条約第一号)(参議院  送付)  万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結  について承認を求めるの件(条約第一二号)(  参議院送付)  小包郵便物に関する約定締結について承認を  求めるの件(条約第一三号)(参議院送付)  郵便為替に関する約定締結について承認を求  めるの件(条約第一四号)(参議院送付)  郵便小切手業務に関する約定締結について承  認を求めるの件(条約第一五号)(参議院送付  )      ————◇—————
  2. 三原朝彦

    三原委員長 これより会議を開きます。  万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替に関する約定締結について承認を求めるの件及び郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安倍晋三君。
  3. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 それではまず、万国郵便連合関係条約について質問をさせていただきたいと思います。特にリメーリングの問題について絞って、三問ほど質問をさせていただきたいと思います。  今回の万国郵便条約改正の目的の一つといたしまして、国内料金よりも安い国際郵便料金利用して日本国内ダイレクトメール等を大量に海外から郵送する、そういう、この価格差をある意味では悪用したと言える事業、こうした事業を防いでいくということもあるわけでございます。  現在、どの程度規模でこうしたリメーリング事業が行われているかということをまず教えていただきたいと思います。そしてまた、この条約改正によってそうしたリメーリング事業自体をなくしていくことができるのかどうか実効性についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  4. 渡辺和司

    渡辺説明員 リメーリングに関する私どもが措置しております状況でございますが、これはリメーリング郵便物として条約に適応するものとして措置したものでございます。これは、平成六年度で申し上げますと、年間を通じまして四百三十九件ございまして、通数でいいますと約四十万通というデータでございます。  今回、条約改正によりましてこのリメーリングに関する対策について改正がされたわけでございますが、この中身を簡単に申し上げますと、これはリメーリング郵便物到着した場合に、到着郵政庁は差し出し郵政庁に対しまして配達費用に見合う報酬を請求できる、また適正な報酬が支払われない場合においては差し出し郵政庁負担においてリメーリング郵便物を返送できることを新たに規定しまして、リメーリング郵便物を引き受けた郵政庁の責任をより明確化したということが一点でございます。さらに、リメーリング郵便物のほとんどすべてが大量郵便物として送られてくることに着目いたしまして、大量郵便物について通常の到着料率にかえて到着郵政庁配達コストをより反映した到着料率を適用することとされました。  このような改正によりまして、私どもとしてはリメーリング現象は減少していくのではないかというふうに考えているところでございます。
  5. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 そもそもこのリメーリング事業が成り立つというのは、国内郵便料金国際郵便料金価格差に着目をして、十分に事業が成り立つということによってこうした事業が行われてきたわけであると思います。  しかしながら、この価格差というのは、当然国際郵便料金を下げることによって最低のコミュニケーション手段である国際郵便を廉価にして、そしてコミュニケーションを続けていくということにしているわけでございますが、しかし一方、この価格差については、我が国国内郵便料金が少 し高過ぎるのではないか、そういう声も事実あるわけでありまして、特に香港から日本に出す料金が、例えば東京都内での料金よりもそちらの方が安いというのはおかしいではないかという単純な疑問もあるわけであります。そういう意味において我が国国内郵便は、外国郵便外国での国内郵便料金と比べて、果たしてどの程度ぐらい平均よりも高いのかどうかということを教えていただきたいと思います。
  6. 渡辺和司

    渡辺説明員 国際郵便についての料金でございますが、おおむね為替レートで比較いたしますと、日本の書状あるいははがきの郵便料金米国や英国と比べては高くなっておるという状況でございます。一方、フランスドイツスイスとはおおむね同じような価格ということでございます。  また、印刷物につきましては、比較的これらの国に比べて遜色のないものになっております。また、購買力平価ということで比較しますと、むしろフランスドイツスイスなどよりは安いという状況でございます。
  7. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 そういうことであれば、我が国郵政事業に対する批判の一つとして、国内郵便料金が高過ぎるというのは、これは当たらないのではないかと思いますし、そしてまた、この万国郵便条約改正によってむしろ競争の原理を抑え込むという指摘も、これは当たらなくなってくるわけであります。しかしながら、やはりこうした事業が起こる原因の一つ価格差があるわけでございますから、そこはやはり国内郵便料金もいかに安くすることができるかということも検討していっていただきたい、このようにも思うわけでございます。  それと、この国際郵便事業というのは差し出しと到着によって負担の大きな差があるわけでありますが、これは手紙を書けば返事が来るということで大体バランスがとれるであろうという想定のもとに成り立っているわけでありますが、我が国の場合はかなりの数で到着の方が多くなっているということでありまして、そこに我が国負担がどうしてもふえてくる。それが郵便事業コスト増にもつながってくるわけでございますが、これは、差し出しと到着バランスはどのようになっているかということと、今後そういう中で果たしてこの国際郵便事業を運用していくことに大きな問題が出てこないかということについてお伺いをしたいと思います。
  8. 渡辺和司

    渡辺説明員 先生指摘のように、国際郵便差し立て到着郵便物数につきましては、今現在おおむね差し立て到着が一対一というような比率でございまして、到着物数が非常に多くなっているという状況でございます。  私ども、これにつきましては、今般の条約改正によりまして、到着郵便物につきましては到着料収入を適正に確保できるよう努力いたしますとともに、差し立ての方につきましては、お客様ニーズにこたえた各種のサービス改善を行うことにより、我が国発国際郵便利用を一層促進していくという考えております。これらの措置を通じまして、バランスのとれた国際郵便の健全な運営に努めていく所存でございます。
  9. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 続きまして、国際情勢について質問させていただきたいと思いますが、特に中国問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  最近数年間、我が国近海、黄海、東海におきます我が国漁業に対して、中国漁船海賊行為、あるいは大変我が国漁船に対する不法な妨害等々があるわけでございまして、それに対して、従来より我が国抗議あるいはいろいろな申し入れを行ってきたわけでございます。現在は両国において協議を行っているということでございますが、どういう改善がなされているか、また、中国側はどういう努力をしているかということをお伺いしたいと思います。  特に昨今、日本漁業をめぐる情勢が大変厳しくなっておりまして、どんどんと廃業する遠洋漁業者がいるわけでございます。その中でこういう問題が起こってまいりますと、この問題を解決できないということになりますと、我が国漁業自体が、もう衰退というよりもほとんどなくなっていくという危険性に今さらされているわけでございまして、その点を踏まえて御答弁をいただきたいと思います。
  10. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  確かに、平成三年ごろから、アマダイはえ縄漁船等々と中国の底流し刺し網との操業トラブル等々、その辺から、今御質問のとおり大変厳しい状況が出てきたということでございます。  日本政府といたしましては、日中漁業共同委員会という場があるわけでございますので、漁業秩序の維持を強く求めてきているわけでございます。これに対しまして、中国側は、中国漁業関係者に対する管理、教育の強化を行っているというふうに述べておるわけでございますけれども、今後とも一層中国側に働きかけたいというふうに考えております。  最近の状況について、関係省庁にも照会を行ったわけですけれども、大きなトラブルの発生の報告はないということのようではございます。ただ、今申しましたとおり、働きかけは続けるべきであろうと思っております。本年四月には、日中漁業共同委員会におきまして、操業トラブル回避のための日中間の民間同士協議を行うということを提案いたしておりまして、中国側我が国漁業関係者訪中を受け入れるということになっておりますので、これが七月に民間協議という形で行われると承知しております。
  11. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 先ほども申し上げましたように、我が国漁業をめぐる情勢というのは非常に厳しく、特に以西の漁染者にとっては本当に厳しい状況を強いられているわけでございまして、この交渉をできるだけスピードアップをしていただかないと、お互いの合意ができるころにはほとんど遠洋漁業者が絶滅をしているという状況にすらなりかねないということでございますので、今後とも御努力のほどをよろしくお願いをしたい、私はそのように思うわけでございます。  続きまして、先般五月十五日の中国核実験の問題についてお伺いをしたいと思います。  村山総理訪中をいたしまして、李鵬総理に直接核実験の停止を申し入れたわけでございます。それと同時に、NPTの無期限延長をしたわけでございますが、我が国は、この無期限延長に同意するについて、これは将来の世界の核の廃絶という高い理想に向かってとにかく一歩一歩前進をしていくという決意と、そしてまた、このNPT条約そのものが、核を持つ国、持たざる国というこの不平等な状況を固定しかねないという懸念または矛盾に対しても、あえて目をつぶって一歩を踏み出したわけでございます。しかし、その中で中国がこうした核実験を強行したということでございまして、私は、これは大変大きな問題である、特に、NPTの無期限延長を支持した我が国の立場は一体どうだったのかということを自問せざるを得ないわけでございます。このことを外務大臣はどのように受けとめておられるか、質問をしたいと思います。
  12. 河野洋平

    河野国務大臣 中国のこのたびの核実験は、極めて遺憾なことでございます。我が国にとりましても、村山総理訪中時に、今お話しのように中国首脳に対しまして核実験を行わないことを希望する旨強く述べてきたわけでありますし、お話のようにNPTの無期限延長が決まった三日後に行われたということから見ても、我々としては、極めて遺憾と言わざるを得ません。  お話のように、NPTの無期限延長に際しましては、NPTの中に核保有国という特別の位置を占める核保有国NPTの第六条に基づいて誠実に核軍縮を行うということが確認されているわけでございます。さらには、一九九六年までに全面的核実験禁止条約議論を終わるということもそれぞれ確認をしておられて、さらに、その一九九六年のCTBT条約審議が終わるまではそれぞれが核実験について極力自制するということまで文章に書き込まれているわけです。その文章を反 対なしで採択をした直後に核実験を行うということは、私としては、非核保有国核保有国に対する信頼を著しく失わせることになるのではないかというふうにも思いまして、中国に対しては、遺憾の意を強く表明したところでございます。  私は、ただ単に中国に対して遺憾の意を表明するだけでは十分ではないと考えまして、他の核保有国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、こういった、いわゆる核を持つ五カ国のうち中国を除く他の四カ国に対しても、核保有国に対する非核保有国信頼をしっかりと維持するためにも、核保有国はそれぞれ中国に対しても自制を求めてほしい、それから、それぞれの国もそうしたことを考えてほしいということを言ってきたわけでございます。  我々としては、さらに中国の態度というものについて十分注意をもって見てまいりたい、こう考えております。
  13. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 この核実験の問題については、冷戦時代、当然我が国安全保障政策上、同盟国である米国核実験に対しては、我が国の国益にもかんがみ、強い抗議を行ってこなかったという経緯もあることは私も十分承知をしております。しかしながら、冷戦体制が崩壊した今日、どの国に対しても、たとえ米国であっても、我が国は、核実験に対しては強い抗議をしていく必要があると私は思います。  そしてまた、中国の問題に戻るわけでございますが、中国に対しては、我が国は、円借款、八九年から九四年までにつきましては一兆五千三百九十四億円、無償資金協力につきましては九百五十六億円という大変巨額援助を行ってきたわけでございまして、これは我が国のまさに血税による援助でございます。それであるにもかかわらず、総理が行って、やめてもらいたいという申し入れを行っても、全く無視をされてしまうわけでございますから、口でいろいろな申し入れを言ってもほとんど効果がない、これはもう全く間違いがないことを証明したわけでございまして、今後は、やはり大切な税金を使って援助をしている国がこうして核実験を行うということは我々は許すことはできないわけでございますから、私は、当然この援助を考え直さなければいけない、または、その援助を考えるということによって核実験を行うことに対しての抑止力となっていくのではないかと思います。  外務省におきましても、この援助に対して検討するということを言っているようでございまして、減額、特に無償資金協力減額ということでございますが、中身について、大体どれぐらい減額するのかということをお伺いしたいと思います。どちらにしろ、無債資金協力というのは、九四年におきましては七十八億円でございますから、円借款と比べたら、規模においては全然違うわけでございます。例えば七十八億円のうちの一割といったらたかだか七億八千万円程度になるわけでございまして、これは圃場整備、我が選挙区の土地改良で不正をやったから圃場整備資金を少し出さないといった程度の額でしかないわけでございますから。もし無償資金協力において、核実験に対する抗議としてこれを削っていくということであれば、私は全額凍結をするということが必要であると思いますし、あと円借款についてもこれは波及させていくべきである、このように思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思いますし、具体的な策があるのであれば、既に決定しているのであれば、それを教えていただきたいと思います。
  14. 河野洋平

    河野国務大臣 まず最初に申し上げたいと思いますことは、先ほど申し上げましたように、中国核実験は極めて遺憾なことだということを私は繰り返し申し上げたわけでありますが、しかし、我々が考えなければなりませんことは、中国というものと日本という国との、つまり日中関係というものは極めて重要な関係でもあるということも我々は頭に置いておかなければならないと思います。我々日本の将来を考える上におきましても、アジアにおける中国存在あるいは日本中国との関係、こういったものがいかに重要な関係であるか、重要な存在であるかということもまた我々は考える必要があると思います。日中共同声明において、我々の先輩が大変困難な状況の中でつくり上げた日中関係というものを我々はやはり重要なものだということをまず認識し、他方、核実験については国際的に見ても強い世論が起こるに違いない。それから、唯一の被爆国として、日本国民感情からいってもこの核実験というものはやめていただきたいということは、言うべきことはきちんと言うというところは分けて考える必要があるのではないかと私はまず思っております。  それから、もう議員も十分御承知のとおりでありますが、中国状況日本状況とはやはりかなり違うところがあって、それは七億円といえば山口県の圃場整備程度だとおっしゃるけれども中国における七億円というものがどれだけのことになるかということも我々はやはり考えなければならないことであろうと思うわけでございます。もちろん中国に対しましては、我が国が持ちますODA大綱四原則その他がございます、こうしたものをやはり踏まえて考えなければなりませんということは中国に伝えでございます。そして、特に今回のこうした状況にかんがみれば、我々はそうしたことを総合的な判断の中に入れていくということになるであろうということは申し上げられるわけでございます。  ただ、現在それ以上具体的にどこをどうということをまだ我々は決めているわけでもございません。御承知のとおり、無償資金というものは一つ一つのプロジェクトが出てきて、それを相互に相談をし合ってそれが積み上がっていくというシステムであって、当初に幾らという額が決まっていてそれをどうするというやり方ではございませんので、そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  15. 安倍晋三

    安倍(晋)委員 今どれくらいの規模圧縮するかということについては全くお答えをいただけなかったわけでございまして、私も、また我が党におきましても、日中関係の重要さというのは十分に認識をしているわけでございますが、しかしながら、十分に認識をしながら、また我が国援助中国において役に立っている、それを待っている人たちがいるということも認識をしておりますが、その認識をしているということを言い続けることによって、中国は結局日本は何にもできないであろうということになってくるのですね。それがまさに村山さんが、総理大臣が相手の総理に言っても全く何の効果も与えていないわけですから、これはいわゆる子供の使いという状況になってしまったわけです。これはこのまま見過ごすわけには私は絶対にいかないと思うのです。  何といっても、我が国税金を使っていて、その国が核実験を行う、やめてもらいたいという核実験を行っているわけであります。大変中国が経済的には困難を抱えているわけでありますし、貧しい国であるということも存じております。しかしながら、核実験というのは大変な費用がかかるわけですね。外務省にどれくらいの費用がかかるのか教えてもらいたいと言ったら、全然これは計算ができないということでございますが、学者によっては開発等々の費用を全部含めれば百億円を超えるというのです。百億円を超えるぐらいの費用がかかると言っているわけです。そういう国に我が国無償資金協力を七十八億円も行っているというのは、どうしてもこれは私は容認ができないと思うのです。このまま圧縮をするという、圧縮という言葉しかまだ我々は聞いていないわけでありますから、この圧縮の額を早急に決めていただいて、これはそれぞれの党が持ち帰って十分に議論をしていかなければいけない問題である、このように思います。  時間がそろそろ参りましたので、この辺で質問を終わらさせていただきたいと思いますが、これは外務大臣主導権を発揮していただいて決断をしていただきたい、このように思うわけでございますので、よろしくお願いいたします。ありがと うございました。
  16. 三原朝彦

    三原委員長 引き続いて、松前仰君。
  17. 松前仰

    松前委員 きょうは、万国郵便連合の諸文書についての質問に絞ってやらしていただきたいと思います。  この条約改正のポイントは、先ほどお話ありましたようにリメールの問題だということでございますけれどもリメール、それが今の条約を悪用しているとか不正とかそういうような言葉が出ているわけでありますけれども、私はこれについて大変疑問に感じております。そもそもこの条約そのものについてたくさんの疑問点が次から次と出てきてしまいましたので、素人なりにいろいろと聞かしていただいて、そして私なりの理解をしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。  まず一番最初に、これは何が悪用で何が不正なのかちょっと教えていただきたいと思います。
  18. 渡辺和司

    渡辺説明員 リメーリングという現象につきましてでありますが、これは先生御案内のように、一たん第三国郵便以外の手段で運びまして、その第三国からその他の国に郵便として発送されていくというものでございます。これにつきましては、第三国から日本国到着をした場合に、差し立て郵政庁から到着郵政庁にいわゆる配達に伴うコストとしての到着料というものを支払われるわけでありますが、これが条約上は極めて低く設定されておるという状況がございまして、そのような事情を一部の特定の郵政庁利用をいたしましてリメーリングをどんどんしてきておるという状況でございます。  これについては、当然ながら郵政庁間での収支バランスを崩す、我が国にとりましてはそれがマイナスの方に影響しているという状況でございまして、このような国々がほかの国々でもございまして、UPの中ではこのようなリメーリングについては抑制をしていこうという姿勢でこれまで対応してきているところでございます。
  19. 松前仰

    松前委員 不正とか悪用とか、こういうような言葉が出てきておりますけれども、今お話の中でその言葉は出なかった。これはやはり条約で世界じゅう一つ到着料という格好にしていますから、それで一つの規則が決まっている。しかしながら、自由な世界の貿易とか競争とかそういうような時代になれば、そういう条約存在している、そういう中でもってやはり自分の企業の利益を最大限に上げるということは当たり前の行動でありますから、これがリメールということにつながっていったにしても、これは別に不正をやっているわけではない。もともとこれは条約そのものの問題があるということであろうと思うのです。ですから、これを郵政庁が採算、収支バランスがとれないとかそういうところで何かいろいろ問題にしているようでありますけれども、もしそうであるならば到着料をきちっとすればいいということでございまして、その一環として今度は請求できるという格好になったんだろうと思うのです。  ところが、今リメールだけ問題にしていますけれども、例えば日本からメールを香港へ出す、そしてまた香港からメールを日本へ出す、そういうような二つのケースを考えますと、どっちが得をしてどっちが損をするかということを考えると、両方の郵政庁とも損をするのじゃないでしょうかその辺どうでしょう。
  20. 渡辺和司

    渡辺説明員 到着料につきましては、それぞれ配達国が実際にかけたその費用に対して払うという考え方でございますし、日本から香港あるいは香港から日本に来た郵便物について、それぞれ到着国におきまして負担する費用がございます。それを適正に負担し合っていこうということでございますので、できるだけ経済原則にかなった方法ということをUPUでも追求しているところでございまして、お互いに損得がないような形を目指しているところでございます。
  21. 松前仰

    松前委員 香港の中で郵便、たしか配達は二十二円くらい、日本の場合には五十円近く、こういうことでありますから、到着料がそれよりぐっと低いということ、到着料だけで相手国、到着した国の配達がすべてできないことは当たり前でありますから、日本からメールを出しても、香港から出しても、両方とも到着した方がみんな損するという仕組みになっておりますから、条約そのものに問題があることは間違いない。それを今度はどうしたかというと、その到着料配達料ですかその損失分について相手国の責任で処理しろ、こういうようなやり方をとっている今度の条約ということなんでございます。  私は、とにかくこっちが損したからその分だけ相手国に押しつける、それを払えよと言って、相手国の責任の中で自分の郵政庁が損をするようならば国際郵便料を上げるとかそういう措置をするんだ、こういうのが目的だということを聞いておるのですけれども、何かこれは余りにも国境を意識し過ぎた、まるで今の世界の貿易摩擦をそのまま出しているような、国境を意識し過ぎたやり方ではないだろうか。相手の責任に全部負わしてしまう、これは何かしら摩擦が出てくるのじゃないか。受け取ってこれだけ損をしたらおまえ払えよと言って相手に何かさせる、こういうやり方は、国際会議をこれだけ一生懸命やってきてやるべき内容ではないのじゃないだろうか、そんなように私は考えるわけです。  そこで、こういうようなことを防ぐには一体どうしたらいいかということを私なりにずっと考えてきました。  要するに、国際会議をやるというのは、やはり世界じゅうの郵便業務が非常にスムーズにいく、そして一律に情報交換がうまくできる、しかも経済の格差というものもその中で吸収をし得る、そして問題が起こらない、こういうようなやり方をとらなければ、相談をして決めなければ、国際会議意味がないのじゃないかと思います。  そこで、例えば日本からメールを出す、大量に出す、そして香港でそれを受け取る、そしてそれを配達する、そういうようなケースと、逆のケース、香港から出して日本到着して、それを配達するというようなことになるわけですけれども、そのときに、考え方として、日本からメールを出した場合には、香港に日本郵便の窓口があるというように考える、その窓口で取り扱った分について取扱料、そういうものを払ってやるというような仕組み、そのかわり、一番最初にお客から取る費用というものは、向こうの郵政庁でかかる費用、それからこっちで、国内でかかる費用、全部ひっくるめた国際郵便料、高くするわけですね。そういう形にしてやる。そして、相手側で一生懸命やってくれた分については、何というのでしょうか、窓口相当料、作業した額に見合う分だけ払ってあげる、こういう形で処理をしておけば、特に大きな問題にならずに、摩擦も起こらずに、おまえのところの責任でなんと言わずに、しっかりした郵便業務ができ上がるのじゃないか、世界的にうまくいくのじゃないか、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  22. 渡辺和司

    渡辺説明員 まず最初に、到着料について、もう一つの趣旨なりを御説明した上で、今の御質問に答えたいと思います。  先生承知のように、到着料につきましては、一律に低く抑えられていることが到着国におけるコストを反映しない実態になっているという事実がございます。これは、条約上の考え方は、開発途上国がほとんどの国を占めておるわけでして、この開発途上国から発信される国際郵便物の料金を低く抑えたい、そういうことによって開発途ト国の方々の国際郵便利用をしやすくするという観点から、世界一律に低く定められている、こういう趣旨が万国郵便連合では一貫して条約のもとで定められてきているわけであります。そして、今回の改正におきましても、このような考え方は維持されております。ただ一方、コスト面の配慮を見ますと、ほとんどがビジネス用で、先進国間で交換される大量郵便物につきましては、先生指摘のように各国の配達コストに応じた到着料が適用できるというふうにされたわけでございま す。  このような到着料またはそれを含めた全体としての郵便料金についての条約の考え方でございますが、現在、条約では、国際郵便料金については差し立て国、引受国といいましょうか、その引き受けた郵政庁国際郵便料金を全体として徴収する、そして実際のコスト分担がございまして、それが配達国に到着した後はその国でのコストに見合ったものを償還していく、そういうシステムで条約が規定されているところでありまして、私どもとしては、このシステムを円滑に経済原則にかなったように適用していくということが必要だと思っております。一方、先ほど冒頭述べましたように開発途上国への配慮、この点の両者を調和した形で今後とも運用していくべきであろうというふうに思っているところでございます。
  23. 松前仰

    松前委員 ですから、同じような結果になるわけなんですけれども、やはり相手の感情を害するような国際関係をつくり上げるということは問題がありますから、同じ結果が出るならば、相手国に請求をするとかそういうような考え方をとらずに、相手国といいますか到着した国のところに我が国の窓口があるんだというような考え方をもって処理した方がいいのではないか。そういうことを決めるということは、国際会議があるからまさにその場でできるだろう。その相手国の責任ということは、責任によって処理しるというやり方は、国際会議は必要ない。それこそ日米貿易摩擦みたいな関係をつくり上げるということになろうと思うわけなんでありまして、この辺についてぜひとも考えていただいて、これは私の考えが悪いというならば、悪いとはっきりおっしゃっていただかないと引き下がるわけにいかないのですが、どういうお考えですか。
  24. 渡辺和司

    渡辺説明員 私ども日本郵政庁として、大会議と申します全体の会議でございますが、そこでいろいろ百八十九の加盟国が話し合った結果を尊重しつつやっていくということ、当たり前でございますが、そういうことでやってきておりまして、この到着料をめぐる料金の徴収につきましては、先般の大会議で、多くの国の共通認識として、現在のような制度を維持していこうということで合意がされておりますし、我々も基本的にこの体制を続けていきたいというのは当然でございます。ただ、先生いろいろ御指摘いただいておりますようなさまざまな考え方もあるわけでございますし、これらをいろいろ勘案しながら私どもも今後の国際化にも対応していきたい、いろいろ研究してまいりたいというふうに思っております。
  25. 松前仰

    松前委員 その国際会議で、いろいろな考え方があるという話で、そちらで議論をされたのでありましょうけれども、今私が言ったような議論については、日本の郵政省としては話を持ち出した、議論の対象にしたということはあるのですか。
  26. 渡辺和司

    渡辺説明員 事実といたしまして、先生の御指摘のような案につきまして提起したことはございません。
  27. 松前仰

    松前委員 結局、この国際会議というもの、それで条約を決めるというようなことにおいて、私どもというか、日本の国民と言っていいのか、大げさに言えばそうでありますけれども、そういうようないろいろな知恵というものが集約されて国際会議に持ち込まれて条約に反映されているという形になっていない。これは非常に日本の国として不幸じゃないかと思うのです、知恵がそこに集約されないということは。  私は、この条約審議その他いろいろ見ていて、それでこれまで経験してきまして、何か条約そのものをここの委員会で、最終段階でこうやって議論をし意見を述べて、そして結果としては批准をする、承認するというような形の、どうしようもない、にっちもさっちもいかぬような状況になった段階でしか議論ができないというのは大変おかしいと思うのであります。もっともっと条約そのものについて問題提起をする時点でもって国会の意見、国民の意見というものを吸い上げる、そういうようなシステムをつくっていっていただく。すなわちそれは、委員会をきちっと開いて、今度の条約はこういう形であるからこうしたいのだけれどもどうだというようなこと、そしてそこで会議に臨む、そういうような形をとっていただくのがいいんじゃないかと思うのでありますけれども、この辺について、私は条約のあり方というのをよく知らないわけでありますから勝手なことを言っているかもしれないけれども、そういう点について私は意見を持っておりますが、大臣としてどのようにお考えになっておられるかちょっとお伺いしたいと思います。
  28. 河野洋平

    河野国務大臣 原則論を言えば、これは三権分立の建前で、政府が条約等の立案をし審議をしてくる、国会はその結果について審議をして、これをとるとらないということを決める、こういうことが原則の建前だと思います。  したがって、私も何度か委員会に出席をいたしましたころには、条約というものはもうイエスかノーかだと、これを認めるか、さもなければ認めないかだという、二者択一を迫られるということについていろいろな感じを持ったことがございますけれども、しかし結果として、国際的な関係について言えば、つまみ食いをするということはなかなか難しいとかそういうことになってしまうわけで、原則論をここで申し上げるのはどうかと思いますが、条約については、国際場裏ででき上がった条約を持ち帰って、ここで御審議をいただくということにならざるを得ないのが現実でございます。  しかし他方、今議員がおっしゃったように、こちらが国際会議の場裏でどういう発言をするか、どういう提案をするかということについては、まさにおっしゃるように、国民の英知を集めていくということは大事なことであろうと思います。専門家の意見も聞き、また広く国民の声も聞くという、あるいはそういうことを踏まえて国益というものが何であるかということを考えて出ていく。しかし、最終的には、国益もさることながら、国際的な合意ということに落ちつくということはよくあることだと思いますが、しかし、そのプロセスにおいてできるだけ広くいろいろな方の意見を踏まえて臨むということは、これはまた当然そうあるべきだと思います。その国民の声というものが委員会であるのか、あるいは専門家の審議会とか学識経験者とよく言われますけれども、そうした方々の御意見を伺うということになるのか、あるいはさまざまな意見の徴し方というものはあるのだろうと思いますが、そうしたことがあっていいというふうに思います。  ただ、三権分立の建前の分け方というものは、これはお互いに認め合って、それぞれの役割分担というものを認め合っていくということも重要なのだということを申し上げなければならぬと思います。
  29. 松前仰

    松前委員 恐らくそういうお答えだろうと思いましたけれども、結局これは、国民の声というかそういうものがなかなか反映できないのは、UPUというシステムそのものが余り知られていない、ぱっとしない、そして宣伝も、国民の中に周知もなかなかされていない、こういうことであろうし、そういうところから問題意識も余りみんなが持たないということになるのだろうと思います。  ですから、ぜひともこのUPUという組織が非常に有効な活動をしているのだということを郵政省、外務省の皆さんがこれからも周知徹底するようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。終わります。
  30. 三原朝彦

    三原委員長 引き続き、上田清司君。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 新進党の上田清司です。よろしくお願いいたします。  万国郵便連合に係る条約関係でございますが、まず私は、今回の条約の中でいわゆる到着料料金引き上げ問題が、発展途上国におけるいわゆる収支のバランスがどんな形で展開していくか。恐らく大半のところが赤字ではないかなというふうに思っておるわけですが、途上国の収支のバラン スの状況について一点伺いたいことと、また、常に我が国が発展途上国に対するいわゆる援助の部分において多大なる貢献をしているということも事実でございますが、この郵便事業に関しての援助の実態について若干御教示賜りたいと思います。
  32. 渡辺和司

    渡辺説明員 個々の開発途上国についての郵政部門での収支状況について私ども数字的に明らかにしているわけではございませんが、私ども同じ加盟の郵政庁として聞いているところでは、非常に財政上告しく運営されているというところが大半のようでございます。  私どもは、このような実態を踏まえまして、UPUとしては、世界的にすぐれた郵便サービスを提供していくためにはこのような開発途上国の郵便ネットワークの充実強化が不可欠であるという認識のもとに、UPUを中心にさまざまな技術協力活動が展開されているところでございます。  具体的な形態といたしましては、専門家の派遣による現地指導あるいは研修講座の開催、郵便機材の供与、これらを通じまして技術の移転を目的とする人材の育成が主な内容となっているところでございます。  ちなみに、UPUによる技術協力活動の予算規模は年間約四億円となっているところでございまして、我が国としても積極的にこのような技術協力活動に貢献をしておるというところでございます。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 意外に金額的には少ないものだなというふうに感じたものでございますが、ぜひこれは郵政事業に限らず、通信、情報、こうした分野が世界の民主化あるいは自由化、そういうものに多大なる影響を与えてきた、あるいは各国の情報公開とかが大いに進むことによっていわば世界じゅうの生活レベルのアップとかそういう意味においても影響を与えているということにかんがみ、特にこうした通信、郵政分野において政府もしっかりと発展途上国に対する援助を続けていただきたいということをまずお願いしたいと思います。  次に、通信の秘密について少しお尋ねをしてみたいというふうに思っております。  と申しますのは、今回の、オウム真理教によると言っていいかどうかまだわかりませんが、サリン事件等の、いわば日本国民全員を恐怖に陥れるようなテロ的な、あるいはまた凶悪な犯罪に対処する場合、さまざまな通信技術の中で、時と場合によっては、いわば通信の傍受ともいうべき、言葉汚く言えば盗聴ともいうべきこともやらなければならない。  現実に、アメリカにおいて昨年、略して言えば盗聴法というのでしょうか、ややこしい、デジタル電話及び通信プライバシー改善法という、事と場合によっては捜査の基準の中に盗聴を認める、こういうお話がございますが、しかし、現実には、これは憲法においても「通信の秘密は、これを侵してはならない。」あるいはまた多分に郵政事業の中でも、このことは通信の秘密を守るという根幹を示すものだというふうに私は感じるのです。一方において、今後、日本社会も、アメリカ型とは言いませんが、それに類するような事件があるいはあり得るということを前提に、今後こういう問題についても検討しなければならないというふうに私は思っておりますが、とりあえず万国郵便関係の中で、通信の秘密についての理念というのでしょうかあるいは条約の中にそういうものがないというふうに伺っておりますが、条約の中になければないなりに、どういう形で通信の秘密についての理念というものがしっかり枠組みの中でできているのかどうか、このことについてまず第一点目、聞いてみたいと思います。
  34. 高野幸二郎

    ○高野政府委員 現在の万国郵便条約におきましては、ただいま委員指摘のとおり、通信の秘密に関する規定はございません。  経緯的に申し上げますと、これはもう随分昔の話でございますが、この条約の大会議におきまして二回にわたりまして、通信の秘密に関する規定をこの条約に盛り込むべきだという提案がなされております。ただ、いずれも、二回ともこれは否決されたという経緯がございます。  その当時の経緯として、調べたところによりますと、一言で申し上げれば、各国の国内法によって定められるべきであるという理由で否決された。さらにそれを砕いて申し上げれば、確かに通信の秘密の不可侵の原則というものは国際郵便の分野においても重要な原則ではありますが、ただ、各国におきまして、この通信の秘密という問題は、国家の安全であるとかあるいは法秩序維持の要請とか、そういう側面がございます。そういう側面によってこの原則がある程度制限されるということは排除されない、したがいまして、むしろこの条約では定めないで各国の国内法にゆだねるべきだという議論によって否決されたというふうに承知しております。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。それはそれで、各国の事情による、特に安全保障の問題等についての国家機密、そういう部分での問題があるというふうに私なりに納得できますが、もう少し個人のレベルで、秘密をきっちり守っていくんだ、そういう論議というのは共通の認識がある程度でき上がっているのでしょうか、万国郵便連合の中で。
  36. 高野幸二郎

    ○高野政府委員 少なくとも私ども承知しております本件条約絡みの議論といたしましては、ただいま私が申し上げましたような内容の議論が、随分過去ではございますが、行われたということだけでございまして、それ以上の議論はその後も、たった今の御質問の点も含めて、格別の議論は行われていないというふうに承知しております。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。それでは、いずれにしても、通信の秘密について憲法で保障されている部分、いわば個人のそういう意味での思想、信条の自由を守るという側面から見ても大事なことだというふうに思いますので、関係機関において、また国際機関において、この部分についてのいわば枠組みをきっちり各国国内法においてもうまくやっていくような、そういう提案を常に主張し続けていただきたいなということを申し上げたいと思います。  それで、前置きの中で申し上げましたけれども、昨年、旭川で、覚せい剤の取り締まりのために、家裁の了解を得ながら、ある意味ではきちっとした手続を経ながら、現実に、傍聴というのですか、傍受というのでしょうか悪く言えば盗聴という話になるのですが、きちっと刑事事件として了解を得て、家裁の許可を得てやっているので傍受ということらしいのでありますが、今後もこうした、先般のサリン事件みたいな形になってきますと、極端なことを言えば、超法規とは申しませんが、生命を守る緊急避難的な意味での捜査の方法も時と場合によっては考えなければいけない。そこで、また同時に、通信の秘密を初めとする個人の人権というものが尊重されなければならないという、大変難しい、微妙な関係が出てくるわけですが、アメリカにおいて盗聴法と言われるような法律がつくられて、なし崩し的な意味で、逆にある程度裁判所の許可さえ得れば何でもできるというようなことにならないためにも、私は、この盗聴法というべきものを、個人の権利、通信の秘密、こういうものをもう最大限に尊重するような仕組みをつくりながらも、研究をしていかなければならないというふうに考えておりますが、この点について政府においてどんな検討を今後されるのかあるいはすべきなのか、そういうことについて研究をしているのかどうかお伺いしたいと思います。
  38. 篠原弘志

    ○篠原説明員 お答えいたします。  いわゆる電話傍受につきましては、従来薬物事犯の捜査におきまして、裁判官の発します検証許可状に基づきまして、一定の要件のもとに実施された例がございます。裁判におきましてもその適法性が現在認められているところでございます。  電話傍受は犯罪の態様によりましては有効な捜査手法であるというふうに認識をしておりまし て、今後ともその適法性、妥当性に十分配慮をしながら運用していく方針でございますけれども、今後の犯罪情勢の推移によりまして、必要があれば立法の問題につきましても検討すべきものと考えておるところでございます。
  39. 上田清司

    上田(清)委員 それぞれの地裁や家裁に了解をとりながらの捜査の方法ということでありますと、時々の裁判官のいわば判断によって中身が変わっていく町能性もありますので、多分にこういうことをやらざるを得ないという判断を警察庁がなされるのであれば、何らかの形で立法措置をとることについて積極的に考えていただきたい。あくまで個人の人権やあるいは通信の秘密を最大限に保護するという観点を忘れないということを前提にして、しかも、事後においてそのことについてはきっちりオープンにする、こういう形でこういうふうにやりましたということを事件解決の後にははっきりとオープンにするということを前提に、ぜひ研究していただきたいというふうに思います。  次に、国際情勢について若干お時間をいただいて質疑をさせていただきたいというふうに思います。  まず、これからいろいろな意味での玉突き現象になり得るんではないかなというふうな考え方を持っております。と申しますのは、いわゆる台湾の李登輝総統のアメリカでの私人としての受け入れでございますが、もう既に中国政府の正式な表明の中で大変な反発が行われておりますし、いわば米中関係の悪化というものが極めて懸念される。なおかつ、今度APECの大阪会議があります。この中で台湾は、外交攻勢の一つとして、経済担当閣僚ということで徐立徳行政院副院長の来日も非公式に打診してくる可能性もある。こういう中で、日中関係バランスというものもまた大変な問題が出てくる可能性もあります。  なおかつ、今北朝鮮のいわゆる非核化という問題に関してのKEDOの問題も、これは中国あるいはアメリカ、日本、韓国といった形の中でのいわばチームワークの中で初めて可能になる問題でありますし、それぞれがリンクされながら、いろいろな意味で東アジアの大変な大きな問題につながっていく可能性がありますので、このことについてさまざまなケースを当然外務省として予想されているのではないかというふうに思いますが、例えば李登輝総統が、京都大学に在籍されたこともありますので、アメリカと同じように私人の形で、同窓会に参加したいということで、来日したいという意向が出た場合にどうなされるのかがまず一点。  それから、もう再三再四、シアトルあるいはボゴール方式でということで、経済閣僚のみという受け入れの態勢を言っておられますが、しかし、経済閣僚という範疇の中に徐立徳副院長を台湾側が出してきた場合にどうなされるのか。もう既に徐立徳はだめよということを中国側は非公式に表明しておりますので、その辺も踏まえて、この一点と二点、大臣にお答えをしていただきたいと思います。
  40. 河野洋平

    河野国務大臣 まず基本的に申し上げたいと思いますことは、私どもは、台湾の問題については日中共同声明の精神に基づいて対応するという基本的な考え方は変えておりません。  したがって、そういう基本的な考え方に基づいて今御指摘の二点について考えますれば、前段の問題は、これまでもそうしたことが何度か話題になったことがございますけれども、私どもとしては、この問題についても今申し上げました基本原則にのっとって対応する。それはすなわち、恐らく全く仮の仮説を立てての議論でございますからこういう言い方は少し言い過ぎるかと思いますが、仮説に基づいて仮に申し上げれば、少なくとも私どもは、これまでそうしたときに結構ですという御返事を申し上げる予定はございませんでした。  それから、APECの問題については、繰り返しこれもシアトル、ボゴールの前例に倣うということを繰り返し申し上げておりまして、この問題、この御返事について今変更するべき新たな状況になっているとは思っておりません。  十分な答弁ではないかと思いますが、このAPEC大阪会合については、ボゴール、シアトルの前例に倣いますということだけ今お答えを申し上げるという状況でございます。
  41. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。深追いはいたしませんが、慎重に対処していただきたいと思います。  そこで、またこれは関連してまいりますが、いわゆるAPECとEAECとの問題が大変アメリカとアジアの摩擦にもつながってきておりますし、あるいはまた、日本アジア重視と言いながらもいま一つ信頼されない、日本の発言の趣旨というものがすっきりしない、このことがアジア外交における大変大きなネックになっているというふうに私は受けとめております。  また同時に、アメリカがAPECについてしっかりと参加をしながらも、EAECに対してのアメリカの反発というものが、逆にアジア側からすれば、アメリカもNAFTAをつくり、むしろ経済ブロックをきっちりっくっているのはアメリカの方じゃないかと。むしろEAECの方は、最初にそういう構想があってもやわらかく、協議体という枠組みに直したではないかと。にもかかわらず、日本はアメリカに対して遠慮をし、何かはっきりしない。そういう状況ができているんではないか。  昨年の村山総理アジア四カ国訪問の最後の方のシンガポールでの記者会見の中でも、例えばこういう御発言がございます。EAECについては、「基本的には理解できる。ただ、関係国の理解と合意を求めることが必要だ。関係国が共通の理解認識で合意しないと運営がうまくいかない。さらに、検討していく。」この「さらに、検討していく。」という部分について、どの程度検討されて、アメリカとの関係あるいはAPECとEAECとの位置づけをどんなふうに考えるのか。  私は極端な例えで申し上げますが、日本国における九州の都道府県の議長会とか知事会とか、そんな感じでAPECとEAECを位置づけていけばいいんじゃないかなというふうに考えるんですが、日本政府としての基本的な考え方をいま一度きっちりと、この一年ぐらいの間にどの程度深化したのがその点を含めてお伺いしたいと思います。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 議員によく御理解をいただきたいと思いますことは、この問題が、何かというと日本はアメリカをとるのかアジアをとるのかはっきりしろというような議論になる場合があって、これは我々決してとるべき議論ではないと思います。我々は今、APECという大きなグループの中で経済的にももっともっと交流を深めていこうと、しかも、ことしはその議長国としてその会をチェアするという立場にあるということを考えれば、二者択一の議論をするということは我々決してとるべきでないということをまず最初に申し上げて、もちろん議員御理解の上でございますが、申し上げておきたいと思います。  その上でさあどうかということでございますが、私は、EAECといいますかASEANが、このしばらくの間アジアの中にあって大変な指導力を発揮していろいろな仕事をしてこられたということを評価をしていいと思います。  で、私も昨年、ちょっと語が長くなって恐縮ですが、ASEANの会合などに参加をさせていただくと、ASEANの外務大臣同士はもう極めて仲がよくて、話もまあツーカーの仲なんですね。これはもうしょっちゅう会合が行われて、しょっちゅういろいろな話し合いがあって、しかも政策はかなり透明になっていて、非常な連絡がついているということを見て、ああ、これは本当にASEANというグループは、相互依存もできながら、いいグループが育っているんだなというふうに見ておりました。もちろん、そういう中でシンガポールとフィリピンが昨今非常に一つの問題をもとにして対立的になったりということもあるわ けですが、総体的に見るとこのASEANというものは、非常によく話し合って、いろいろな問題を相談し合っているという、そういうことは我々よくわかっております。  ただ、私どもAPECの作業をいたします上で、EAECというグループが一つの形をつくって、例えば事務局を置いて、そこであらかじめ、この問題についてはみんなで賛成しようとかこれはみんなで反対しようとかという合意までつくるということになると、それは、APEC全体が一つ一つの国の多様性を大事にしながらやっていこうというときに、果たしていいかなという疑問がそうでない人たちから出てくるということが一つ。  それからもう一つは、今おっしゃるように、九州が一つになってというのは一つの例でおっしゃったわけですが、EAECということで集まると、その向こう側にあるオーストラリア、ニュージーランドは一体どうなるのか。そこで我々は、豪州、ニュージーランドも一緒に加えられたらどうかつまり地理的に近いところ、集まりやすいところが集まって時々相談をする、あるいは情報交換をするという性格のものだという位置づけをするなら、豪州、ニュージーランドまで加えられたらどうか。いや、豪州、ニュージーはちょっと違うのだというと、そのちょっと違うのだという、我々いわく言いがたいちょっと違うというところが余り強く出ることはいかがなものか。そんなことではないので、豪州、オーストラリアのアジアの一員としての一緒にやろうという意欲とか努力とか、今キーティング首相もお見えでございますけれども、オーストラリアのそうした努力というものは、本当に我々見ていて感心させられるようなものがあるわけです。ああいう国々まで一緒に一つの情報交換の場をつくるということはどうなのかということを申し上げたのですが、いや、あそこはちょっと違うんだと言ってしまうと、ややそういうところで排他的な集団になってしまうのではないかという感じもするわけです。  さらに、これはEAEC構想を打ち上げてここまで来る間に若干の行き違いがあって、誤解があって、EAEC以外の国から見ると、どうもあそこは集まって、さっき申し上げたように一つの考え方をそこでまとめてしまってAPECの場に臨むんじゃないかとか、そういうことになると自由な議論ができなくなってしまうではないか。EAECというものはどういうものか、もう少し説明してほしいなんということを言うと、その説明に多かれたわけですけれども、多かれたときに、事務局はどこどこに置き、こういうことになってなんという説明をした結果、ますます何か一つの集団になるんじゃないかという誤解がさらに強まったなどという、これは若干不幸な行き違いであったように思いますけれども、そうしたことがあって、APECのメンバー国の中に、せっかくみんな同じレベルで同じような立場で参加しようというのに、その中に強いて集団をつくってしまうということについてはどうも納得できない、いいことではないというような議論がまだあるわけです。  それで私どもは、そのAPECというものが、やはりそのAPECの中に、そうはいっても幾つかの国は一緒になってしょっちゅう情報交換しようなんということはあるかもしれません。しかしそれは、やはりそれ以外の国から非常に疑いの目で見られたり、あるいは余りいい思いでなく見られるということはない方がいいなと思っているわけです。  ですから私は、EAECの方々に、EAECというものができるとすれば、せめてAPECの他の国々から祝福を受けて出発をするという形でスタートをしてくださいよ、そこまで理解を求める努力はやはりなさったらどうでしょうかということと、それから、あえて具体的なことを言えば、オーストラリア、ニュージーランドについてはもっとよく考えてみてはいかがでしょうかとか、そういったことなどを今申し上げている段階でございます。そういうことを一切聞かずに、いや、とにかくやるんだと言われると、我が国としては、ちょっとそれについては、まあ結構ですよと、そう簡単には言いにくいなという感じを私は持っているところでございます。
  43. 上田清司

    上田(清)委員 今大臣がいみじくも申されました、オーストラリアとニュージーランドの参加を一つの前提にしていくのではないかなというようなお話をされましたが、ちょうど十五日に、新聞ですか、マハティール首相が、オーストラリアの、いわば認めるというよりもぜひ参加していただいて、EAECの中身を充実させていきたいというような意向を言っておられますので、そういう点では、今大臣が言われた条件がきっちりでき上がった。それに対して、例えば日本政府が、いい条件ができましたので早速アメリカ等に対して誤解やそういう部分を説得しながら、いい枠組みをっくってあげようというような努力の跡がまだ余り見えないような感じが私にはいたします。  また、EU側からも、アジア全体に対する首脳会議の要請、多分日本にもこれは来ているのではないかなというふうに思いますが、こうした意味で、かつて一九八〇年代の初めのころには、日米欧というのでしょうか、三極体制ということが言われましたが、その後アジアの成長によって、このアジアという一つの枠組みを世界じゅうが認めるという状況が出てきております。  そういう意味においても、APECとはまた違った意味でのEAECの位置づけというものが、もう少し日本政府が明確に出していかないと、逆にEUとの関係においてもすっきりしなくなっていく、こんなふうに思いますし、また、マハティール首相も、大阪会議にこのままだと参加できかねるというようなニュアンスの言動もあるやに聞いております。そういうこともまたあわせて大変な問題になってくる可能性がありますし、せっかく議長国として、アジアにおけるいろいろな意味での経済の発展、自由化等々の枠組みづくりを日本が主導的に果たすいい機会ですので、むしろもう少し目に見える形で発言をしていただきたい、表明をしていただきたいと思います。  時間が来ておりますけれども、簡潔にお答えしていただければありがたいと思います。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 御意見、よく承りました。私どもとしてもこれは全く無視するというような問題ではありませんので、十分今の御意見も踏まえて、よく考えさせていただきたいと思います。
  45. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも十分期待する意見ではございませんが、質疑時間が終わりましたので、終わりますしっかり表明をしていただきたいというふうに思います。  ありがとうございました。
  46. 三原朝彦

    三原委員長 山田宏君。
  47. 山田宏

    山田(宏)委員 山田でございます。  UPUについて一点、関連の質問をさせていただきたいと存じます。  香港から日本に通常郵便を出す場合と日本から香港に郵便を出す場合、それから、日本からアメリカヘ通常郵便を出す場合、アメリカから日本へ出す場合、料金がどうなっているのか、お聞きをしておきたいと思います。
  48. 渡辺和司

    渡辺説明員 航空郵便料金の中の、料金につきましていろいろ種類がございますが、航空郵便料金の書状について申し上げますと、日本から米国向け、十グラムですと百十円でございます。米国から日本、これは為替レートで円建てにいたしますと四十二円ということであります。香港との関係でございますが、同じく航空郵便の書状十グラムで比較いたしますと、日本から香港向けが九十円、香港から日本向けが二十一円ということになっております。
  49. 山田宏

    山田(宏)委員 今回の条約リメーリングの問題が大きな問題として議論をされておりますけれども、それぞれの国にはそれぞれの郵便料金コスト、いろいろなかかり方があると思うのです。香港—本が今一番問題になっておりますけれども日本とアメリカを比べても、同じところから 同じところへ行くだけで、逆方向になれば半分以下になるという料金というのは、やはり同じ先進国でありながら、少し日本郵便にかかるコストは高過ぎるのではあるまいかこう思うわけですけれども、その点についてはどういうお考えを持っておられますか。
  50. 渡辺和司

    渡辺説明員 今、為替レートによる比較をいたしましたが、いろいろの比較の仕方としまして、私ども実際の購買力でもってこの価格を比較するということも必要だと思っておりますが、購買力平価でこれら米国を含め先進国と比べましたときには、確かにそれでも米国との関係では米国が安くなっておりますが、西欧諸国、英国、フランスドイツスイス等に比べますと、これは大体遜色のない価格になっております。  また、先ほど航空郵便料金の中にいろいろ種類があると申し上げましたが、印刷物の発送についてはどうかといいますと、これにつきましては、むしろ日本から今申し上げた国々向けのものの方が安いという実態でございます。
  51. 山田宏

    山田(宏)委員 今購買力平価で比べられましたけれども、何となくいい数字を出しておられるようですけれども、どういう計算をされてその数字が出ていますか。
  52. 渡辺和司

    渡辺説明員 購買力平価による円換算でございますが、これは一九九四年にOECDが発表しておる換算値でございます。これに基づきまして計算をしたところでございます。
  53. 山田宏

    山田(宏)委員 これについてもう少しお話をしていきたいのですが、私は、やはり日本郵便コストはもう少し引き下げられるのではないか。確かに購買力、平価というもので計算をする仕方もあると思いますけれどもリメーリングがこれほどふえていくということは、やはりそれは一面市場の原理からいうと国境の壁も下がっていますし、なかなか限度があることだな、こう考えております。しかし一方で、それぞれ国境があることも現実ですから、やはり郵政省側としてもこの五十円なら五十円の切手にかかわるコストをもう一回厳しく計算をして、先進国並みなものにするという努力が必要になってきたのではないか、そういうことの証左ではないかこういうふうに私は考えているのですが、その点についてはいかがですか。
  54. 渡辺和司

    渡辺説明員 先生指摘のとおり、今いろいろ御説明申し上げましたが、日本料金が高いという事実があるという面もあるということは我々十分認識しておりまして、私ども今いろいろと努力いたしまして、お客様のニーズに即した形でさまざまなサービス開発をする中で、できるだけ安い料金でサービスを提供してまいりたい、そのために努力をしていくという考えで事業を運営しているところでございます。
  55. 山田宏

    山田(宏)委員 やはり郵政省、郵便事業といえども国際的な競争力が問われているときだと思います。そういう意味で、今御答弁ございまして、何となく抽象的な御答弁でしたけれども、今後ともよく私も見ていきたいと思います。  それから、外務大臣いらっしゃいますので、先ほど我が党の上田委員から幾つか質問がございました。関連して何点がお聞きをしておきたいと存じます。  まず第一点は、米国先ほどの李登輝総統の入国問題でございますが、これは大変私はショッキングな出来事だった、こう考えております。このアメリカのコメントは、二つの中国を認めたわけではない、一つ中国である。しかし、私人、非公式に入るということまでは、オープンな国だからこの点について拒否することはなかなかできないのだ。大体まとめるとこういうようなお話だったと思うのです。  さて、二つの中国をとらないのだということですが、このアメリカの解釈、つまり、これは一つ中国の基本方針を変更したものではない、こういうコメントについて日本外務省としてはどういうとらえ方をしておられますか。
  56. 川島裕

    川島政府委員 アメリカの従来の政策は、李登輝総統等、台湾の首脳は、私人であるといえども入国を認めないという方針だったわけでございます。これはその意味で方針の変更でございます。  変更した背景としては、立法府において圧倒的な多数において、私人の訪米というものは認めるべきであるという決議が通ったという政治的現実がございます。それが背景となって今般の決定になったのが実態であるというふうに私ども承知しております。  しかしながら、それを認めたからといって方針、政策自体について、つまり一つから二つになるとかそういう話ではあり得るはずがないわけでございますので、そこは一つ中国しか認めないという政策を変えるという話ではないと米国政府としては言っているわけでございます。  それでは私人としてだれが入ってくると、それは事実上政府間の関係を持っていることになり、したがって二つ目を認めることにつながりかねないかどうかという判断の問題になってしまうのだろうと思いますけれども、アメリカの整理としては、私人であれば依然として一つの政策の範囲内であるという判断をぎりぎりのところとしてしたのだというふうに考えております。
  57. 山田宏

    山田(宏)委員 ここは大事なところだと思うのですが、アメリカは私人として入国を認めることは一つ中国の基本路線には反していない。今御答弁ありましたとおり、それはアメリカの考えで、日本としてもそれは一つ中国路線を逸脱したものではないと考えるということであるならば、私は日本のとり得る道が、先ほども御質問ございましたけれども、私人として、非公式として、京都大学の同窓会に来られるということについて、もしこのお申し出があった場合受け入れていくということは、今の御答弁をそのまま延長していくと、それでも一つ中国の路線を逸脱したものではないという解釈もできるというふうにとらえられませんか。
  58. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  今申し上げましたのは、米国の対中政策あるいは対台湾政策についての考え方をこういうふうに受けとめているということでございます。ただ、それと同じ政策あるいは同じ考え方を日本政府がとるかということになりますれば、これは当然に同じということではなくて、日本は従来から日中共同声明の精神にのっとって対応してきておりますし、それは今後とも変わらないということでございます。
  59. 山田宏

    山田(宏)委員 再度確認しておきたいと思いますけれども米国の今回の決定は、日本側のとらえ方としては、一つ中国の路線を逸脱したものでない、こういうふうに受けとめているわけですね。
  60. 川島裕

    川島政府委員 米国政府の整理として、一つ中国という政策を逸脱しているものではないという考え方であるということでございまして、どこの国であれ、これをこうやれば一つ中国政策の範囲内であるというふうに申し上げているわけではございません。あくまでもアメリカの政策がこうだということを、そういうふうに受けとめたということでございます。
  61. 山田宏

    山田(宏)委員 ということは、一つ中国という基本路線についても、その国々によって幾つかの幅がある、グレーゾーンがあるものだ、こういうふうなことですね。
  62. 川島裕

    川島政府委員 国によって対中関係の基本的な枠組みはおのずから異なるわけでございまして、例えばアメリカの場合はたしか台湾基本法があるわけでございます。日本の場合は、日中関係及びその脈絡での日台関係というものは、日中共同声明という基本文書があって、それによって日中正常化以来やってきたし、今後ともやるということでございます。
  63. 山田宏

    山田(宏)委員 日中共同声明は、私人としてとか非公式として台湾の首脳が入国することを禁じていますか。
  64. 川島裕

    川島政府委員 そこの具体的な話は、当然のことながら書いてあるわけではございませんけれども日中共同声明ができて以降は、台湾との関係 は非政府的な関係の中でやるということで一貫して対応してきておるということでございます。
  65. 山田宏

    山田(宏)委員 河野外務大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、台湾の外交部長がある雑誌のインタビューに答えて、去年の七月下旬にASEAN拡大外相会議河野外務大臣が出席したとき、外務大臣はソウルからバンコクに向かったのですが、ちょうど台風に遭遇して台湾の中正飛行場に一時避難したのです、ところが、翌朝、中国の銭其シン外相と会談すると、中日平和友好条約をもとに一歩も機外に出ないで飛行機の中で待機していたなどとおわびをしているというような発言があったように聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。
  66. 河野洋平

    河野国務大臣 ソウルからバンコクへ行く飛行機がたまたま台風に遭いまして、これは実は香港経由でバンコクに行く飛行機でありましたけれども、香港に着陸するのを何度か試みましたけれども、とうとう着陸できずに緊急避難として台北空港にその飛行機が着陸したことは事実であります。  私は、その飛行機に乗っておりましたから、当然、台北空港に着陸をしたわけですが、飛行機は台北空港の滑走路のわきにとまったままターミナルには着きませんでしたから、だれ一人機外に出る人もいなければ、整備の人が機外から入ってくるということはございましたけれども、機内の乗客、乗員ともに機外に出たということはございません。一時間少し給油のために要ったと思いますが、一時間ちょっと台北空港の滑走路の隅におったということは事実でございます。  したがいまして、それによって、実は、その晩に予定しておりました日中外相会談ができなくなりました。私が遅刻したためにできなくなりました。したがって、翌朝、これはこれでもうできないかと思いましたところが、中国側の判断もあって翌朝に延ばしてくれたわけです。そこで、翌朝、昨日正式にアポイントをとっていただいたんだけれども、飛行機の都合でゆうべはお目にかかることができなくなりましたということはおわびをいたしました。
  67. 山田宏

    山田(宏)委員 受け取り方だと思うんですけれども、機外に出る出ないということがそんなに重要なことなのかということを、私は、中国との対応について異常に気を使っているという受け取れ方をされたのかな。外務大臣の御答弁は、事実上出られなかったし、物理的に出なかったというお答えだったように思いますけれども、しかし、私は、これから日本中国との関係も当然ながらやはり新たな段階を迎えつつあるんだろう、こう思っております。すぐアメリカの決定に追随するなんということは考えられませんし、日本日本独自の判断があってしかるべきだと思いますけれども、やはり中国に対してもう少し  今回の核実験の問題についても、一歩踏み出したかの印象を与える決定で、私はそれはそれで、日本は恐る恐る一歩を踏み出した、こう思いますけれども、大変その点は大事なことだ、こう考えております。  先ほどAPECの問題について上田委員質問をされました。予算委員会でもこの問題が取り上げられているので二重、三重になって大変恐縮なんですが、シアトル、ボゴールの前例というのは一体何なのか。前例の中身を具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  68. 原口幸市

    ○原口政府委員 私どもがシアトル、ボゴールの前例というときに主に念頭にございますのは、そのときにチャイニーズ・タイペイ、台湾でございますけれども、を代表した人がどういうレベルの人であったかということ、そういう事実を基本的には念頭に置いて答えているわけでございます。
  69. 山田宏

    山田(宏)委員 念のためにちょっとお聞きをしておきたいんですが、シアトル、ボゴールのAPECの会議には台湾への招待状はだれあてに出されておりますか。
  70. 原口幸市

    ○原口政府委員 招待状の伝達の方法につきましては、各主催国がそれぞれ決定して出しているわけでございまして、私どもも事務的にはそれなりの情報を得ておりますが、これはあくまでも私どもの参考として先方から教えていただいたわけで、先方はこれについては外部には明らかにしないでほしい、こう言っているものでございますので、この場で回答することは差し控えさせていただきたいと思います。
  71. 山田宏

    山田(宏)委員 そうすると、この招待状のあて先は前例ではないのですね。
  72. 原口幸市

    ○原口政府委員 招待状の伝達方法につきましては、これから我々で考えて、いろいろなエレメントを考えて、考慮に入れて考えていきたいと考えております。
  73. 山田宏

    山田(宏)委員 李総統あてに出されているというふうに聞き及んでおりますけれども、今レベルというお話がございました。レベルが前例なんだ。レベルというのは経済閣僚という意味でしょうか。
  74. 原口幸市

    ○原口政府委員 事実の問題は、経済建設委員会主任委員という方が今までは出ていた、こういうことでございます。
  75. 山田宏

    山田(宏)委員 経済建設委員会主任委員ですね。現在の主任委員はどなたになっておりますか。
  76. 原口幸市

    ○原口政府委員 徐立徳という方がそのポストに今いられるというふうに承知しております。
  77. 山田宏

    山田(宏)委員 そうすると、今の御答弁は、前例とはレベルだ、レベルというのは経済建設委員会主任委員である、そして今それイコール徐立徳副院長であるということであれば、前例に従うということは、現在の段階では今言ったイコールで結ばれた関係意味しておりますね。
  78. 原口幸市

    ○原口政府委員 いろいろな考え方はあると思います。  私が申し上げたのは、事実の問題としてそういうレベルの方が出ていたということでございまして、そういうことを念頭に置いてこれから我々は考えるということだと思います。
  79. 山田宏

    山田(宏)委員 私は何も台湾寄りで発言をしているわけではなくて、これは、日本の基本的なスタンスがアジアの諸国からも見られていると思います。中国からある面では恫喝をされれば意見が変わる、方針が変わる、原則が変わる、前例が変わるということがあってはならない。それを見れば、東南アジアの諸国の人たちは、ああやはり日本というのは最後は頼りにならないなということになってしまう。これまでの前例は今おっしゃられたような前例だったら、前例どおりしっかり踏襲をしていただきたい、こう思います。
  80. 原口幸市

    ○原口政府委員 私どもは、先ほど申しましたように、過去二回につきましては経済建設委員会の主任委員という方が出ていたということでございますが、基本的にはこれは経済担当の閣僚ということでございますので、そういうことを前例と考えて、そういうことを念頭に置いて日本としての立場を考えていきたい、このように基本的には申し上げたいわけでございます。
  81. 山田宏

    山田(宏)委員 外務大臣、それでよろしゅうございますか。
  82. 河野洋平

    河野国務大臣 いろいろ御質問をいただきましたが、私は、委員が御心配になるように、日本が他国の恫喝を受けて考え方を変えるなどということは断じてない、そんな無礼なことは言わないでもらいたいということをまず申し上げておきたいと思います。  私は何もあれこれ言っているんじゃなくて、アメリカのシアトルで行われた、インドネシアのボゴールで行われた、そうした前例に倣いますということを申し上げているのであって、アジアではこうだったけれども日本ではそうではないということを申し上げているわけではないのでありますから、その点はよく御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  83. 山田宏

    山田(宏)委員 例えばの例で申し上げたので、やはり外交であればそういった恫喝めいた話だって幾らでも私はあると思うんですね。今の政府がそれに科しているとは全然思っておりません。思っておりませんが、しかし、見ている立場から いろいろな意見、コメントがあるということも事実だと思います。そういった意味で、今の前例というお話は一体どういうことなのかということをお聞きをしておきたかったということでございます。  それから、先ほど安倍委員の方から御質問がございました核兵器の実験についての日本の対応であります。  私は評価をしております。大変難しいところをいろいろ苦労して考えられたんだろう、こう思います。外交にはばしっと実力で実質を伴うことのみならず、一定のやはりシグナルということも大変重要なことだと思っておりますので、この点については今の段階ではやむを得ないかな、こう思っておりますが、心配なのは、中国がさらにこれから来年のCTBTの条約締結までに核兵器実験を行うのではないかこういう予測がされております。そういうことが続いてまいりますと、報道されておりますとおり、フランスのシラク新大統領も実験の可能性を否定はしていないという状況になってきますと、本当に今懸念されることは、それがなし崩し的になっていった場合、本当にこの条約は、確かにNPTのときにきちっと合意はされておりますけれども、大丈夫だろうかここで一歩引き、二歩引き、三歩引いていくと、本当にこの条約が結ばれるんだろうか、骨抜きになりはしないだろうかという危惧を抱くのではないかなと思うのですね。  そういう意味で、もし次、中国核実験が行われた場合、またはその他の核兵器保有国の実験が行われた場合の対策をよく検討しておいた方がいいと思いますが、その点についてさらに次のカード、その次のカードを切っていかなければいけないと思います。  先日OECDの閣僚理事会に御出席をされました。これからサミットも六月十五日からございます。このOECDの会議でどういうお話があったのかまたサミットでこの問題をどう取り上げられるのか、日本の真価が問われておると思いますので、その点のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 フランスに参りましてドシャレットというフランス外務大臣にお目にかかりました。このドシャレットさんとお目にかかったときにも、私は核実験の問題について問題提起をいたしました。それは、主としてNPT期限延長に際して、NPTの中で特別の地位を与えられている核保有国非核保有国に対して十分な信頼を維持していくためには、そこでお互い合意した、一九九六年、CTBT条約審議を終える、それに至るまでは極力核実験はこれを抑制する、こういったしか文言がその中に入って、NPT条約の今回の決定の中に入っているわけですから、この文言はきちっと守っていただきたいと。  さらには、核保有国の一国、つまり五つしかない核保有国のうちの一つであるフランスは、他の核保有国核実験を行ったときには、これに対しても自制を求めるというぐらいの気持ちは持っていただきたい。これは既に訓令を打って在フランス大使館からフランス政府には申し入れてございましたけれども、こういった点を伝えたわけでございます。フランス政府からは日本の考え方を理解するという意味の御発言がございました。  フランスにはフランスの核政策というのがあって、今回の選挙の中でもそれは大分議論されたようでございますが、基本的にフランスは核を使うというつもりはないし、それからあの選挙の際にも、核を爆発させて実験するのではなくて、何らかのコンピューター処理のシミュレーションの中でその成果がわかるのではないかというような議論があったそうでございますけれども、それらについてもフランスとしてはこれからさらに研究をするというようなことが言われておりました。  私どもとしては、いずれにせよ一九九六年、つまりそれは来年でございますから、来年にはそのCTBT、すなわち全面的核実験禁止条約というものが合意されて実行に移されるということであってほしいと思いますし、そこに至るまでのプロセスの中で核保有国はお互いに、国際社会に公言している、極力自制するということはきちっとしていただきたいというふうに思っているわけでございます。  この点につきましては、他のアメリカあるいはイギリス、ロシアに対しましても同じようなことを訓令を打って、それぞれの大使館から申し入れをいたしているところでございます。
  85. 山田宏

    山田(宏)委員 この問題は、日本の真価が問われていることでもありますし、また、常任理事国として役割を担おうとする我が国にとって、大変注目を浴びていることだろうと思います。日本が言わなくてどこが言うのかということだと思いますので、どうぞこの辺で、この一年間重要だと思いますが、リーダーシップをとっていただきたい、こう思います。  それから、ちょっと時間がないのですが、国連の決議によって国際司法裁判所が、いわゆる核兵器の使用や威嚇が国際法に違反するかどうかということを日本に問い合わせてきているということで、オランダの日本大使館に二月八日付の文書が来ている。二月十六日に受け取って、六月二十日までに回答せよ、こういうことでございました。  この問題は、この委員会でも何度となく取り上げられておりますし、ここにいらっしゃる委員の皆さんが御質問されている速記録も拝見をいたしました。前内閣、羽田内閣のときの外務大臣もここの席に、今はお座りじゃございませんけれども、いらっしゃいました。回答期限が迫っているこのICJの問い合わせに対してどういう回答をされようとしているのかお聞きをしておきたいと思います。
  86. 河野洋平

    河野国務大臣 今議員がお話しになりましたように、昨年もこれはWHOからICJに対して話があって、我が国を初めとして各国に問い合わせがあったということがございます。そこで、この問題については、委員会で相当な御議論がございまして、その結果、御承知のような回答を昨年出しております。したがいまして、私どもとしてはそうした経緯を踏まえまして対応をするということを今考えておるわけでございますが、いずれにしてももう少し十分に検討をして判断をしたいというふうに考えているところでございます。
  87. 山田宏

    山田(宏)委員 ここでの去年の議論を再び蒸し返すようで大変恐縮でございますが、外務大臣にお聞きをしておきたいのですが、実定法上、国際法上、この核兵器の使用、威嚇が違法かどうか端的にお聞きをしておきたいと思います。
  88. 河野洋平

    河野国務大臣 昨年もここで大変その点についての御議論があったと伺っておりますが、私どもとしてその実定法上どうであるかという議論の前に、まず、人類にとってこうした大量殺りく兵器、いわゆる核兵器が使用されることは甚だ問題であるという強い我が国国民の世論というものをICJに伝えるということがより我が国の役目であろうということで、昨年は議論がこう続いていったというふうに聞いているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、そうした点も踏まえて対応方について目下検討中でございます。
  89. 山田宏

    山田(宏)委員 もう持ち時間がなくなりましたけれども、今の御答弁、ちょっと答えられてないのですが、昨年ここで、違法かどうかということをここにいらっしゃる多くの委員の皆さんが質問されました。その点について当時の柿澤外務大臣がお答えになった。その柿澤外務大臣のお答えと、河野外務大臣の今のお考え、外務省の考え方は変わってない、こう見て、もし変わってないならば、ここにいらっしゃる委員の皆さんは昨年質問をされたわけですから、同じ質問をぜひ河野外務大臣にしていただきたい、こう思います。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 私が申し上げておりますことは、昨年ICJに我が国が提出をした我が国の考え方というものを私は踏まえて考えておりますということを申し上げているわけです。
  91. 山田宏

    山田(宏)委員 質問時間が終わりましたので、これで終わります。
  92. 三原朝彦

    三原委員長 引き続き、古堅実吉君。
  93. 古堅実吉

    ○古堅委員 万国郵便条約について二、三お尋ねします。  リメーリング対策が重要な課題となっています。リメーリングの主なるものは、企業の利益のために行われる一種の不正行為などと言われているものでありますが、我が国リメーリングの拡大状況について、最初に説明していただきたいと思います。
  94. 渡辺和司

    渡辺説明員 リメーリングの拡大状況につきまして、確実なデータとして私ども過去にさかのぼって把握しているわけではございませんけれども、昭和六十年ごろから日本から差し立てられる郵便物数より日本到着する郵便物数が多くなり、特に特定国について差し立て到着の差が大きくなってきているわけでありまして、これらを考え合わせると、そのころからリメーリングが増加してきたものとも推測しておるわけでございます。
  95. 古堅実吉

    ○古堅委員 大量郵便物、すなわちバルクメールの定義が今回の交渉を通じて見直しされたようであります。これまでは一回の到着て五百通以上の同一差出人からの郵便物をバルクメールとして取り扱ってきております。これまでのリメール郵便物のほとんどがこのバルクメールに当たるものだというふうに聞いておりますが、大方そのとおりですか。
  96. 渡辺和司

    渡辺説明員 今先生指摘いただきました大量郵便物の定義でございますが、これは実はリメーリングに関しての定義ではございませんで、先般の大会議では到着糾問題を議論したわけでありますが、到着料について特別な料率を適用する場合に、大量郵便物に対して適用されるその場合に、大量郵便物についての定義がされたわけでありまして、それによりますと、大量郵便物というのは、同一差出人から一時に千五百通以上差し出される場合を大盤郵便物として定義しているわけでございます。これはリメーリングについての定義ではございません。
  97. 古堅実吉

    ○古堅委員 私は定義を聞いておるのじゃないのですよ。これまでのリメール郵便物のほとんどがいわゆるこのバルクメールに相当するものかということです。
  98. 渡辺和司

    渡辺説明員 失礼いたしました。  リメーリングにつきましては、具体的な現象については、大量に差し出される場合についてリメーリングが行われているというのが、実態上そういう現象が多く見られるところでございます。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 一九八五年ごろ、いわゆる昭和六十年ごろまでは外国から到着する郵便物が外国に差し出す郵便物の約一・一倍でありました。大方均衡の状況であったわけであります。あれから十年経過しましたが、現在の対比ではどうなっておりますか。
  100. 渡辺和司

    渡辺説明員 平成六年度で差し立て物数到着物数との関係で見てみますと、到着物数差し立て物数の一・九四倍ということになっております。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 十年前の約二倍、このように急速にふえているということがわかります。日本からの差し出し郵便物に対する到着郵便物の格差の大きい国はどういうところがあるか、二、三の例を数字で説明していただきたい。
  102. 渡辺和司

    渡辺説明員 到着物数差し立て物数の格差が大きい国でございますが、日本との関係で見まして、デンマークが七・九倍という関係でございます。オランダが約六倍、香港が約四・一倍、これは平成五年度の実績によるものでございます。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 極めて甚だしい格差があるなということをこの数字をもってしても理解できるわけであります。  到着郵便物が差し出し郵便物を超過する度合いが大きくなればなるほど一般的には我が国における国際郵便の赤字が大きくなる、このように思われます。この条約はこの問題をどのように解決しようとしているか、またこれをもって大方解決できるということになるのですか、そこらあたりの説明を求めます。
  104. 渡辺和司

    渡辺説明員 日本にとりまして差し立て物数到着物数の乖離が大きいということが、その原因が直ちにすべてリメーリングというわけではございませんが、その一部の要因であるというふうには考えております。  それで、今般のUPU大会議でもこの乖離、全般ではございませんがその一部の要因となっておりますリメーリング対策について議論がされたわけでございますが、今般新たにそのリメーリング郵便物差し立て郵政庁の責任をより明確化したという点、それから先ほど指摘リメーリング大量郵便物に係るケースが多いということから、大盤郵便物につきましては特別の到着料率を適用するというような二つの大きな改正をされたわけでありますが、これらの改正を通じましてリメーリングの減少に結びついていくのではないかというふうに期待をしておるところでございます。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 この条約上、どのようにこの問題を解決していくのかあるいはそれによっていわゆる一般的に言われる赤字との関係では解決はできるのか、そこらあたりのくだり、もう少し説明してください。
  106. 渡辺和司

    渡辺説明員 条約改正に基づきましてこれを適正に実施していくというのが一つの私どもの考え方でございます。  その中身につきましては、まず一つは大きなポイントは、到着郵便物が非常に多いわけでございますから、その到着料収入というものを確実に確保していくということ。その中で、先ほど申し上げました大量郵便物についての特別な到着料、これはどういう考え方かと申しますと、配達国の配達コストにできるだけ見合ったような形でその到着料収入が確保できるということでございまして、私どもはこの到着料収入を適正に確保していく、これはまず一つでございますし、一方、差し立て郵便物につきましても、私どもといたしましては、できるだけお客様のニーズにこたえてさまざまなサービスを開発していく、そういう中で差し立て郵便物を一層増加させていく、このような二つの側面を適切に実施してまいりまして、郵便の健全な運営をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回の条約改定をもって、いわゆる大量郵便物、それらのリメーリングを抑える効果を生む、そういうことが期待できますか。
  108. 渡辺和司

    渡辺説明員 今般のUPU大会議では各加盟国がそういう意図のもとに改正を多くの共通の認識として出したわけでありまして、私ども日本郵政庁としてもこれらの改正によりましてリメーリングが減少していくのではないかというふうに期待しておるところでございます。
  109. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回の条約の改定に伴う郵便料金の値上げはないものだと理解しておりますけれども、そのとおり理解してよろしいですか。
  110. 渡辺和司

    渡辺説明員 現時点におきまして郵便料金を値上げすることは考えておりません。むしろ最近の私どもの動きといたしましては、その逆の方向で、できるだけ減少の方向、例えば先般、国内郵便につきましては、広告郵便物等の料金割引率の法定上限を撤廃することを内容といたしました郵便法の改正案が成立したところでございますし、これを七月下旬を目途に割引率の拡大を実施してまいりたい。また、カタログ小包郵便物等の割引制度の導入、あるいは個人のお客様にも御利用になれるよう、小包郵便物利用回数に応じた割引制度についても検討中であります。  国際郵便関係におきましても、最近では、国際レタックスと呼んでいます、これは一部電気通信を利用した国際郵便でございますが、そういうものの料金の引き下げをしております。また、一般の航空便よりも安いエコノミー航空サービスの対象範囲を拡大したというような措置もしておるところでございますし、今後とも、国際郵便につきましても割引制度の拡充を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  このような状況でございまして、できるだけ安 い料金でサービスを提供していくという考え方で我々はやっているところでございます。
  111. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  112. 三原朝彦

    三原委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  113. 三原朝彦

    三原委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  万国郵便連合憲章の第五追加議定書締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約締結について承認を求めるの件、小包邸便物に関する約定締結について承認を求めるの件、郵便為替に関する約定締結について承認を求めるの件及び郵便小切手業務に関する約定締結について承認を求めるの件、以上五件を一括して採決いたします。  各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  114. 三原朝彦

    三原委員長 起立総員。よって、各件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 三原朝彦

    三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  116. 三原朝彦

    三原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会