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1994-11-11 第131回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年十一月十一日(金曜日)    午後一時三分開会     —————————————    委員の異動  十一月十一日     辞任         補欠選任      梶原 敬義君     菅野 久光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石渡 清元君     理 事                 鈴木 栄治君                 中曽根弘文君                 村田 誠醇君                 松尾 官平君     委 員                 井上 章平君                 岩崎 純三君                 大木  浩君                 加藤 紀文君                 竹山  裕君                 大森  昭君                 梶原 敬義君                 櫻井 規順君                 菅野 久光君                 前畑 幸子君                 吉田 達男君                 井上  計君                 古川太三郎君                 白浜 一良君                 中川 嘉美君                 市川 正一君    政府委員        通商産業大臣官        房総務審議官   林  康夫君        中小企業庁小規        模企業部長    小川 忠夫君    事務局側        常任委員会専門        員        里田 武臣君    参考人        日本商工会議所        中小企業委員会        副委員長     中西 真彦君        全国商工会連合        会相談役     芦田 完治君        全国中小企業団        体中央会会長  大河内信行君        全国商店街振興        組合連合会理事        長        山本 勝一君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○中小企業対策樹立に関する調査  (中小企業現状と課題に関する件)     —————————————
  2. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  中小企業対策樹立に関する調査を議題とし、参考人から御意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、日本商工会議所中小企業委員会委員長中西真彦君、全国商工会連合会相談役芦田完治君、全国中小企業団体中央会会長大河内信行君及び全国商店街振興組合連合会理事長山本勝一君に御出席をいただいております。  この際、参考人皆様一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  本日は、御多忙のところを本委員会に御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。皆様から忌憚のない御意見を伺いまして、今後の国政審議参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  なお、議事の進め方といたしましては、中西参考人芦田参考人大河内参考人山本参考人の順でそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただくということでお願いしたいと存じます。  なお、委員には起立して質疑お願いいたしますが、参考人の方々の意見陳述質疑に対する答弁は御着席のままで結構でございます。また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、あらかじめ御了承をいただきたいと存じます。  それでは、これより中西参考人に御意見をお述べいただきたいと存じます。中西参考人
  3. 中西真彦

    参考人中西真彦君) 中西でございます。  それでは、冒頭十五分ほど意見を述べさせていただきます。  各論は後の質疑応答になると思いますので、まず、全体的な中小企業の景況、現況を御説明いたしまして、その後、我々が考えております政府への要望事項について二、三物申したい、こう思っております。  申すまでもなく、今、産業界は戦後初めてといっていいほどの大変な大転換期に差しかかっておりまして、御案内のように今までの欧米に追いつき追い越せのマスプロダクション、マスセールス経済のありようから大きく転換を強いられております。その結果、大変な不況が来ておるということが一つ。もう一つは、バブルがはじけた後の反動の循環、景気の低迷というのが重なり合って、いわゆる複合不況と言われるような非常に深刻な事態が出ておるわけでございます。  大企業は、今新聞紙上をにぎわしておりますように、当然のこととしてどんどんと海外へ移転を進めております。これは非常に中国ASEAN賃金が安うございます。私どもも今度ベトナムに工場を出す予定ですが、これも恐らく賃金が、我々日本職長クラス一人の給料で五十人から百人ぐらい雇えるほどの賃金差ですから、当然のこととして流出がどんどん進んでいるわけでございます。  きのうも私、本田技研の最高顧問の元社長の河島さんと御一緒したんですが、本田はバンコクに工場を出していますし、最近はパーツに関してもどんどんとタイ進出をして、タイと合弁をさせて技術移転して、そして現地で調達する、こういうふうな動きでございます。  先般も、中小企業庁長官の部屋で私と日産の某大手部品メーカー社長座談会をやったんですが、その方がおっしゃるのに、下請数社を引き連れて大連に工場進出をする、そこで技術指導をして、品質のいいパーツをつくって中国に提供するとともに日本に持ち込む、こういうことでございます。  その他、下請でなくても、例えば御案内のような建築用配管器材、フランジとかその他は、もう最近はああいうローテク品は韓国、台湾、ASEANからどんどん日本に今逆流をしておりまして、非常に低価格逆流をしてくる。となると、当然その商品のマーケットはどんどんと価格が下がるわけです。企業にとって売り上げが減るということは、これは御案内のように固定費負担が大きくなりますから、当然それが赤字としてのしかかります。同時に、売価が下がるということは、これまた当然のこととして大変な採算悪化を招きます。この両方のダブルパンチが今来ているわけです。  そこへ、後で触れますが、例えば固定資産税なんかは、これはそれこそ東京都では一気に三倍、四倍になっていますから、こういう点で中小企業が今大変な苦しい局面に遭遇しているわけでございます。例えば日本一の中小企業集積地であります大田区では、御案内のような直接請求という署名運動がもう既に起こっています。これはもう、それこそリース代が払えない、生命保険を解約してリース代を払うというふうな零細企業が出ておるようなことでございまして、かなりの数に署名運動が展開しておるというふうな実情になっております。  これは、中小企業庁中小企業円高影響フォロー調査というのが十月十九日に発表されておりますが、それによりますと七八・四%の企業が親会社から受注減を受けておる、こういうことですね。それから、値下げ等契約条件の変更が三五・五%ということでして、一ドル百円で採算がとれる企業はというと、何と五%しかない。九五%の企業がもう百円では採算がとれないということを言っておりまして、非常に厳しい局面でございます。  日本商工会議所調査でも、いわゆる業況DIというものですが、いいというものから悪いというものを差し引いてマイナス値が出てくるわけですが、これが平成六年に入ってその幅が徐々に縮小しておったんです。それが、ここへ来まして足踏みが始まって、最近のまた一段の円高で非常に悪くなってきておりまして、ちょっと先行きどうなるんかいなという大変な不安感経営者が非常に強く持ち始めておる。  一部新聞では、政府建設関連投資、その他関連での限られた業種では若干設備投資に明るさが出てきておるというのが出ておりますが、全般的には、商工会議所で見ましてまだまだ厳しい局面にあると言っていいんじゃなかろうかと思います。  現況、ざっとそういうことを申し上げまして、きょうお願いするポイントでございます。  まず、一言で申し上げまして、今までの中小企業対策は弱者を支援しろ、こういうふうに苦しいんだから何とかして助けてやってくれということだったんですが、これは私はよろしくないと思います。やっぱり企業の原点は自助努力であって、みずから努力をする。その上で、どうしても及ばぬものを政府支援するというのが原則であり、いわゆるばらまき行政といいますか、そういうものを弱い者に何でもかんでもばらまくという時代は過ぎたのではなかろうか、私はそう理解しております。  そこで、企業が今やらねばならぬことは、要するに自動車で例えれば、自動車産業が外地に出ていくわけです。そうすると、ある大田区なら大田区の下請が、今まで一〇〇%自動車下請で生きておったものが、これが三分の二減ってしまう。そうすると、これは別の仕事をそこに深さざるを得ない、こういうことになるわけです。そこで、それがいわゆるリストラクチャリングということでございまして、今リストラという言葉が安易にただ合理化という程度に使われておりますが、さにあらずで、やっぱりリストラクチャリングというのは、通産の言うように第二の創業ということで新しい事業を構築せざるを得ない。  わかりやすく例え話で言いますと、要するに山の猟師で飯を食っておった企業が、ある日突然、今度は海の漁師になって生活をせねばならぬという状況だと思うんです。私自身もここ十数年新しい事業部門の構築を幾つもやってまいりまして、自分で体験していることですが、ともかく事業家は、要するに山の猟師は山のことに関してはすべて知り尽くしております。もう銃を撃つ技術も道筋も、ありとあらゆることがわかっております。ところが海へ行ったら、これは船の操船もわからぬわ、朝焼けだから船を出しちゃいかぬということもわからぬわ、魚の居どころもわからぬということでして、全く業種の違うものへ進出するということは至難の技なんです。  これがなれて、そこにリターンが来る、創業が成功するに至るまでは大変な時間がかかる。大体、桃クリ三年カキ八年と言いますが、事業でも私の体験ではやっぱり七、八年。そのシーズ、種をまず植えて、それが大きく花開いて実がなって返ってくるようになるのに七、八年かかります。  その間、資金は全部ただひたすら投入せざるを得ない。人材が必要だ。人材はスカウトしてこざるを得ない。山の猟師が船を操船して成功したためしがないですね。あるいは、大卒を教育していったらこれは十年かかります。やっぱり海の漁師のプロをスカウトしてこざるを得ない。ところがスカウトの費用がかかります。新たに船の喫水が下がります、船が人をどんどん入れるわけですから。そうすると、やっぱり在来の要らぬ人を雇用調整せざるを得ない。そうしなきゃ船は沈みます。そういう非常に難しい問題がこのリストラにはあるわけでございます。  したがって、大きく言ってそのリストラ支援するのに、まず一番は金融措置です。これはもう当然政府中小企業金融公庫その他でもいろいろ今やっていただいておりますが、なお一層の金融支援が必要になる。  第二は、今申し上げましたように人材技術、この辺のフォローです。後でちょっと詳しく質疑応答のときに申し上げたいと思うんですが、人の移動ですね、技術者移動、例えば大企業から中小企業へこれをどう移動させるかという、この辺が労働省の今の規制撤廃じゃないですが、職安法でがっちりと締められておってできないですね。商工会議所といえどもできない。まことに不合理千万な話でございまして、そういうことをやっぱり会議所政府がしてやらねばならぬ。  第三がやはり税制だと思います。この三点を応分のお願いをこの後したいと思います。  あと五分ほどありますので、ざくっとした話といいますか、グローバルな視点でこの問題でお願いをしたいと思うんですが、実はきのう私、通産省産業政策局長のところとか関東通産局長のところを回りました。中小企業庁長官のところはもちろん行ったんですが、いろいろ通産省のお役人と話をしました。  御案内のように、一般会計予算でいきますと、今全予算六十兆から七十兆でございますか、中小企業対策費というのはこれの〇・三%しかないですね。ほんのわずか、スズメの涙です。農業対策費というのは、これは先生方十分もう御承知でしょうが、一般会計予算でいって大体二%近くありますから一兆数千億あるわけです。しからば、農業に従事している従事者は今どれほどおるかといいますと、兼業農家を入れて四、五百万しかおらぬですね。ところが、中小企業従事者というのは大体四千万から五千万と言われています。これは、おのずからこの一般会計予算配分がいかに異常であるかということがわかるわけです。  そこで、私が最近非常に奇異に思っておることは、ウルグアイ・ラウンド対策費、これが六兆上乗せになったわけです。もちろんこれは上乗せと言っても、農業予算を組み替えたものとか財政投融資も当然入っておりますから一般会計支出の純増と言うわけにはまいらぬと思うんですが、それにしても膨大な額が上乗せになった。この辺はいかがなものかと実は思っておるわけでございます。  農業にとってウルグアイ・ラウンド黒船だと思いますのですが今、日本中小零細企業中堅企業も含めて、この先冒頭申し上げた産業構造転換は大変な黒船で、まさに明治維新や戦後に匹敵するほどの大転換中小企業に要請しているわけでございますから、私は、もし農業にそれほどのウルグアイ・ラウンド対策費を出すならば、これはまさに日本の国を支えていると言ってもいい、兼業農家の人はほとんどみんなサラリーマンですから、産業がこけたらこれはまさに国がこけるわけです。  今、日本企業が約六百万から七百万社あるんですね。その九九%が中小企業です。したがって、この中小企業がおかしくなると、当然日本がおかしくなると言っても私は過言ではないんじゃないか。だから、この辺をやっぱり通産の優秀なお役人さんの頭で十分御配慮願わないと。  去年、リストラ支援法というのを会議所お願いしてできたんです。これは今非常に中小企業に歓迎されておりまして、きのうも関東通産局長と、この時限立法は非常にいいタイミングでよかったなということをお互いに話し合ったんですが、これは先生方の御理解を得て、非常に今喜ばれています。もう既に千件近い会社が申し込みに殺到していまして、今のような状況ですから時宜を得た策で非常にありがたいと思ってお礼申し上げるわけです。  しかしながら、悲しいことに全体の原資が、予算額スズメの涙である。ここがきょう私は声を大にして訴えたいところでございまして、どうかお力のある先生方の御努力によってこの辺の配分を、まさに百年に一度の大変なときにぜひやっていただきたい。そして、通産省殿がその資金を使ってまだまだ支援をしてやるべき分野が私はいろいろあると思うんです。  例えば中小企業リストラ支援法は、御案内のように中小企業基本法というのがございまして、釈迦に説法でございますが、中小企業定義は、製造業資本金一億、従業員三百人以下でないと中小企業のこの支援法が適用されないんですね。ところが、日本産業界を支えておるまさに中核企業と言っていい企業群が存在します。これはこの中小企業定義の枠を超えたところにたくさんあるんです。例えば、もしこの企業がなくなったらまさに産業界が困るというようなのがあるわけですね、仮にパーツメーカーであっても。そこのところには全く支援の手がないんですね。この中小企業支援法では全くそこにいっていない。  この辺をやはり私どもやかましくこれもお願いしたわけでございます。例えば開銀あたり特別融資枠をいただいて低利の金でやっていただくというようなことができぬものか。例えば今度の農業は、五パ一の金利で借りている金を二パーにする、利子補給をしてこれの償還援助をするということが入っているわけです。これ再三再四にわたって昨年から会議所お願いしたんですが、中小企業庁もお手上げですね。いや中西さん、それをやるには原資がウン千億要る、それの運用でないと利子補給の金は出てこない、これは我々の領域外である。こういうことでございますので、その辺がひとつぜひ先生方お願いをいたしたいと思っている私のポイントでございます。  その他、あと税制の問題二、三ございますが、時間が十五分経過したところでございますので、また質疑応答のところでいろいろとお答えをいたしたいと思います。  以上でございます。
  4. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ありがとうございました。  次に、芦田参考人お願いいたします。芦田参考人
  5. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 全国商工会連合会相談役であり、岡山商工会連合会会長芦田でございます。  先生方におかれましては、日ごろから商工業、とりわけ中小企業振興発展につきまして御支援、御協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。また本日は、私にこのような機会を与えていただきましたことをまことにありがたく感謝いたしております。  私ども商工会は、主として町村において事業を営む商工業者会員とする地域総合経済団体でございまして、全国に二千八百二十五の商工会があり、商工会都道府県ごとに集まりまして四十その都道府県連合会を形成し、都道府県連合会が集まりまして全国商工会連合会を形成いたしておるわけでございます。  商工会会員は、全国で百十二万事業者を擁しますが、そのうち小規模事業者従業員製造業で二十人以下、商業、サービス業は五人以下のものが約九二%を占めておりまして、いわば小規模零細企業の集まりと御理解をいただきたいと存ずるわけでございます。組織率は、全国連で六四・六%、岡山県の場合は六九・一%で、七五%を目途に今頑張っておるわけでございます。  なお、私自身は、岡山県におきまして米穀飼料業畜産農場ふ卵器製造販売機械金属加工などを営んでおりまして、日々これら事業発展のために現場で一生懸命頑張っておるわけでございますが、小さいながらも広範囲な事業をやっておりますので、先生方から後ほど御質問がございましたら、私ども会社現状を持ってまいっておりますので、それをお話もいたしたいと思っております。  まず、景気動向についてでございます。  現在の景気について申し述べますと、私ども全国商工会連合会が行っている七月から九月の小規模企業景気動向調査、これは二百商工会を対象にいたしたわけでございますが、七、八月の売り上げについては、増加しているとする事業所減少しているとする事業所を上回りまして、差し引きで七月が一〇・九%、それから八月が一六・六%と好転をいたしたわけでございますが、九月は猛暑効果かさ上げ分がなくなりまして四・三%に低下いたしておるわけでございます。また、九月の建設業を除く産業は、前月に比べて売り上げ資金繰り、採算、業界の業況、すべて悪化している状況でございまして、特に小売業は大幅に悪化しているのが現状でございます。さらに、今年度の倒産件数は昨年度の一万四千五百件程度と同じ水準で推移している状況でございます。景気については依然として予断を許さないというのが現状であろうかと思います。  また、このところの円高問題については、産業空洞化に一層の拍車がかかるものと懸念されるところでございまして、今後とも国は積極的な景気対策を講じるとともに、とりわけ、さきの経済対策として講じられ十二月で期限切れとなる設備投資減税措置及び金融措置を継続して実施いただけるようお願いを申し上げたいと存ずるわけでございます。  景気状況についていろいろございますが、たくさん資料を持ってまいっておりますけれども、最近の中小公庫の十月調査の分がここにございますが、これをちょっと読み上げてみましても、ちょっと悪くなっておりまして、「中間決算をにらんで九月に売り上げを増やした反動が出たほか、円高の定着も一因。」をなしておるわけですが、要するに、ことしの猛暑特需が去った反動というものが現在出ておるということで、一応回復への足踏み状態が十月は続いておるという報告が出ております。「売り上げDI分野別にみると、公共工事関連では持ち直しているが、乗用車、設備投資住宅関連などでマイナス幅が拡大している。販売価格は需要の緩和傾向が基本的に続いておりこ、ここですが、「下請け加工賃引き下げ圧力が強いため、ほとんどの業種で低下している。」、ここが非常に重要なところだと思います。反面、仕入れ価格は落ちつきを示しておるというのが現況だろうと思います。  まだ我々もリストラに没頭しておるわけでございまして、先のことまで考える余裕がないということでございましょうが、地価や株価の低落で担保余力が減りまして、経営体力面での自信がなくなっていると考えます。  ただ、見逃せないのは、大手リストラの波を中小企業がまともにかぶっておるということではないかというように考えます。特に下請グループが厳しゅうございまして、親企業から納入価格引き下げ納品量の削減などが言い渡され、中には親企業従業員の引き取りまで要求されているところがあるわけでございます。それはそれで親企業にとってはリストラかもしれませんが、中小企業零細企業にとってはしわ寄せでございまして、要するにしわ寄せを再転嫁するところじゃないかと思うわけでございます。親企業からどんな追加要求があるか、こればかり心配しているわけでございまして、前向きの経営戦略を考えるゆとりがないというのが私は現状ではないかと思うわけでございます。  そういう面で、要するに業況が不透明だということがございますし、中小零細企業には勢いかないということで、工作機械関係におきましても非常に設備投資が出てこないということで、業況はなお不透明な状況にあるわけでございます。最近、設備投資が少し歯どめがかかったというようなことも日経や朝日にも出ておりますが、現実にはまだ歯どめがかかるところに私はまだ行っていないというように考えるわけでございますし、特に猛暑特需以後におきましての落ち込みは非常に憂慮するところであるというように考えておるわけでございます。  次に、過疎対策予算措置について申し上げたいと思います。  私ども商工会地区は、約四割が過疎地域でございまして、また多くの中山間地域を抱えております。これら地域に加えて、人口減少地域を加えると約六割に達しております。こうした地域では、若者の域外流出後継者難高齢化の進展などに直面しておりまして、地域存立基盤そのものが危ぶまれておるわけでございまして、深刻な状況にございます。  全国商工会連合会では、こうした地域振興発展のために、地域産業企業、観光、イベントなどの地域固有情報都市住民民間企業に提供し、地方定住、雇用の促進や都市地方の交流をより一層推進する情報拠点として、ふるさと情報館を設置することを平成七年度の新規事業として国に要望しております。この点についてぜひ先生方の御理解を賜りたいと存じます。  また、今日まで必ずしも十分ではなかったと考えられる創業者支援措置については、地域事業者減少にかんがみ、税制措置を含めた適切な支援措置お願い申し上げたいと存ずるわけでございます。  いろいろ申し上げて時間もなくなってまいりましたが、私は先ほど申し上げましたように、要するに規制緩和の厳しさもございます。価格破壊の問題も出てまいっております。なお、空洞化の問題につきましては、これは先ほど申し上げました人事破壊の問題と、もう一つはやはり下請価格引き下げの問題、非常に親企業から厳しいというのが現状でございます。  そこで、ひとつそういう問題について創造的中小企業振興法、これは仮称でございますが、制定などを中小企業庁ではお考えになっておるようでございますので、そういう問題についてひとつ思い切った新しい方針を立てていただきたいというように考えるわけでございます。  時間がございませんが、税制問題についてでございます。  税制問題についてはいろいろお世話になりました。いろいろ我々としても十分とは言えませんが、一応消費税五%に引き上げということでございますが、政府みずからが行財政改革の徹底などを行われまして、少子あるいは高齢化社会に対応した負担のあり方を明らかにすることにより我々の理解と合意が得られるよう、財政状況などを総合的に勘案した上で決するべきものであろうと考えるわけでございます。  なお、消費税率の引き上げの際には、中小企業、とりわけ小規模事業者の転嫁の適正かつ円滑な実現などが図られるよう、所要の措置を講じていただきたいと思うわけでございます。特に中小企業特例制度でございますが、これは限界控除それから簡易課税の問題がございますが、この見直しということは我々にとっては非常に残念に思います。しかし、免税点の三千万円でございますが、これは認めていただいたように考えておるわけでございまして、この点につきましては非常に皆様方にお礼を申し上げなければならない。小規模零細事業者価格転嫁能力や事務処理能力について御理解をいただけたものと考えております。今後につきましても、中小企業特例制度がこれ以上後退することのないよう強く要望いたしたいと思うわけでございます。  なお、税制についても、まだ事業承継の問題であるとかあるいは固定資産税の問題、いろいろございますが時間がございません。  時間がございませんから結論めいたものを申し上げますが、今私は一部述べたわけでございますけれども、まず簡単に私なりに要約してみますと、大店法の問題、これは小売業者が非常に困っておるわけでございまして、私は商店街というものは一つの公共財であり、文化財、文化であるという考え方を持っておるわけでございます。旧商店街を残すような再開発に助成する必要があると思うので、よろしくお願い申し上げます。  なお二番目に、円高空洞化に伴う下請加工賃の引き下げにつきましては、先ほど申し上げたとおり、下請加工賃の問題以外に人事破壊の問題も出ておるということもひとつ十分御賢察願いたい。  三番目に、金融の枠の拡大、貸付金利の引き下げ。これはマル経資金も同じでございますが、私が非常に残念に思うのは、今やっとこの夏の猛暑の特需で一応景気が出かけたと、今はちょっとストップしておりますが、そういう今まさに景気が出んとしておるときに金利が最近上がっておる。国会にしましても、金利体系を持ってきておりますが、三%でもございましたけれども今は四・七が普通だと思います。私ここへ資料をみんな持ってまいっておりますが、後で御質問ございましたらお答えしたいと思います。そういうときに要するに金利が少し上がっていくということは、これはいかようなものかというように私は考えるわけでございます。  それから、四番目に労働力、この不況下における時短の問題、時間外労働の賃金増の問題、要するに単価の引き上げでございますが、これについては非常に困るわけでございまして、これについて国の助成措置の必要を痛切に感じておるわけでございます。  五番目に、景気は、大企業がよくなったときよりも中小企業は大体四カ月ないし五カ月おくれるわけでございます。なおまた、過疎地においてはその上にまた四カ月なり五カ月おくれるということをひとつ十分御賢察願いたいと思うわけでございます。  なお、現在の株価でございますが、これについても担保力の問題あるいは購買力の問題ということで非常に影響があるわけでございまして、このように株価がどんどん下がっていくということになれば、やはりこれは小売関係もそう売り上げがふえるというようなことも考えられないと思うわけでございまして、その点についてもひとつ御賢察願いたい。  全国企業の九九・一・%、従業員数は約七九・二%を占めておる中小零細企業でございます。今日まで、中小零細企業日本経済の原動力となっており、地域経済に果たす役割も極めて重大であります。今後、これらの役割を有し、その存在を維持拡大がなされるよう、諸先生方の御理解と御支援を引き続きお願い申し上げまして、ちょうど時間ももうわずかでございますが、私の意見とさせていただきたいと思うわけでございます。  中小事業者については、先ほど中西参考人からもお話しになりましたが、予算についてひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  また、大店法の問題につきまして私もお話ししたいのでございますが、これはもう時間もいっぱいでございますから、ひとつそういうことで何分よろしくお願いを申し上げ、一応私の所見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  6. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ありがとうございました。  次に、大河内参考人お願いいたします。大河内参考人
  7. 大河内信行

    参考人大河内信行君) 私は、全国中小企業団体中央会の副会長を務めております大河内でございます。  本日は、この参議院中小企業対策特別委員会におきまして意見陳述を行う機会を与えていただきましたことに心より感謝を申し上げる次第でございます。  せっかくの機会でございますので、中小企業現状と課題につきまして、全国四万九千を数える中小企業組合を代表いたしまして意見を述べ、また要望を申し上げたいと存ずる次第でございます。  意見を申し上げる前に、私どもの方の景況につきまして、地元の愛知県におきまして十一月の九日、一昨日でございますが、調査をいたしました資料がございますから、若干でございますが、それを申し上げたいと思います。  なお、本日、若干資料を持参しておるわけでございます。二点ほどございます。最近の中小企業組合の動向というものと、それから中小企業月次景況調査、この二点につきまして先生方のお手元に御配付をお願いいたします。(資料配付)  まず、私ども愛知県でとらえました実態調査は、その内容は、長期にわたりまして百円を割る円高の影響について問うておるわけでございます。製造業におきましては、第一位が受注の減少、第二位が単価の引き下げ要請、第三位が利益率の低下ということでございまして、お二人の参考人のお話しされましたような価格破壊状況が出ているわけでございます。非製造業におきましては、受注の減少、単価の引き下げ要請、利益率の低下と、大体こういうような状態でございます。  では、組合員の皆様方、今後どうするんだというような設問に対しましては、付加価値を高め品質と性能を向上したい、新製品の開発・新分野への展開、そして三位に、大変残念なことでございますが、雇用の調整に着手したいと、このようなお話が来ているわけでございますし、また非製造業には、積極的に顧客サービスの強化というような希望の持てる御報告もあるのが現状でございます。  以上を申し上げまして、これから私どもの団体を代表いたしましたことについてお話し申し上げたいと思います。  まず第一は、新たな中小企業政策の樹立についてでございます。  中小企業は、お手元の景況グラフにもありますように、これは三ページに概要の説明が載っておると思いますが、不透明な景気状況、行き過ぎた円高の進行に加え、これらを背景にした国際化の進展、規制緩和による競争の激化、エネルギー・環境問題、さらに製造業を中心にした産業空洞化の急速な進行など、大規模な構造変化の波に洗われております。我が国産業構造を支えてきたその存立基盤を大きく揺るがされているような状況にあるわけでございます。  しかしながら、産業の各分野で活動する中小企業の存在こそが調和のとれた健全な産業社会を支えるものであり、常に創意と活力を持って新規事業分野の開拓を志す中小企業の活動は、経済のフロンティアを拡大し、我が国産業の構造転換に大きな役割を果たすことが期待されております。我が国が、二十一世紀に向かって豊かで活力のある経済社会を築いていくためには、中小企業が現下の厳しい環境を乗り越え、我が国経済社会の担い手としてこのような役割を果たしていくことが不可欠であります。  このため、中小企業の我が国経済に果たす役割の重要性と、構造転換の中で苦闘する中小企業の危機的な状況を十分御理解いただき、中小企業の育成、振興を国の最重要政策課題として位置づけていただくことがぜひとも必要でございます。  平成六年度の中小企業対策予算は千八百七十七億円で、国の一般会計支出総額に占める割合はわずか〇・三%にすぎないのが現状でございますが、中小企業対策費を別枠として取り扱うなど、思い切った措置により予算を大幅に増額していただき、景気円高対策を初め中小企業が直面する構造改革等への支援対策を積極的に推進していただくことが重要と感ずる次第でございます。  特に、急激な産業構造の変化に対応するための新技術開発とその成果の事業化による新規事業創出を促進させるために、現在、通産省において検討されております創造的中小企業振興法、仮称でございます、の制定と、これに基づく支援対策を講じていただくことがぜひとも必要であります。  また、中小企業をめぐる景気は依然低迷しておりますので、本年末で期限切れとなる高度省力化投資促進税制中小企業機械投資促進税制など、景気対策により創設された設備投資減税については早急にその延長を図っていただくことが必要と感ずる次第でございます。  一方、資本の過少性などにより経済的な不利性を持つ経済的弱者としての中小企業の存在を排除するような行政改革や規制緩和などは、我が国経済社会の健全な発展を阻害するものでありますので、角を矯めて牛を殺すことにならないよう慎重にひとつ行っていただきたいと考える次第でございます。  第二は、中小企業組織化政策の拡充強化についてであります。  中小企業は、今申し上げましたように国際化の進展、規制緩和による競争の激化、エネルギー・環境問題等々、構造変革を迫られる数多くの課題に直面しておりますが、中小企業がこれらの課題に個別に対応していくことは極めて難しく、組織の活用による対応が有効かつ不可欠となっております。  中小企業の組合は、ただいまお手元に御案内申し上げております動向にお示ししておりますように、現在約五万近くを数えておりますし、毎年千組合前後の組合が新たに設立されておりますが、そのメンバーの有する技術、ノウハウ、情報資金といったソフト、ハード両面の経営資源を組合に集積いたしまして、これを共有し、それを活用した共同事業を行うことによりまして、組合員である中小企業の競争の機会を確保し、その経済的地位の向上を図ることを目的としております。  戦後の復興期から現在まで、その時代の要請に応じて産地組合、工場アパート組合、工場団地組合、ボランタリーチェーン組合、商店街組合、共同店舗組合、卸売団地組合等々、多様な形態をとりながら、中小企業合理化、近代化、高度化等の達成に大きく寄与し、中小企業発展に中心的な役割を果たしてまいりました。今後とも、このような構造変化に直面する中小企業に対し、その力を発揮し、強力な支援活動を行うことが強く要請されるところでございます。  また、中小企業の組織化を推進する私ども中小企業体中央会は、これまで中小企業組合の育成、指導を通じまして中小企業発展に大きな役割を果たしてまいりましたが、近時の急激な環境変化に伴い、指導内容の専門化、高度化が要請されております。さらに近年、中小企業の組織化は、産業構造変化に中小企業が対応していく上で、従来の組織形態のみでなく、異業種交流グループ等の任意団体や共同出資会社、公益法人等の形態により多様かつ多角的な展開が行われつつあるところから、中央会に対しまして、従来の組合の組織化はもとより、このような組合以外の中小企業組織まで含めた幅広い組織化の推進が要請されつつあるところでございます。  しかしながら、これに対する現在の私ども四十七都道府県中央会の指導員の数は九百三十九人にとどまっており、一県二十人に満たない体制であります。中小企業及び組合の要請に十分こたえることはとても困難な状態にあります。国も厳しい財政事情にあることは十分承知しておりますが、指導員の増員等、中央会の指導体制の充実強化に対する国の支援をぜひともお願い申し上げる次第でございます。  その第三は、税制改革問題でございます。  ただいま芦田さんの方から消費税の問題につきましてはるるお話がございましたから私は割愛させていただきますが、中小企業の承継税制についてお願い申し上げる次第でございます。  御案内のように、事業主の高齢化の一層の進行により、多くの中小企業は後継者への世代交代期を迎えておりますが、地価の上昇に伴う評価額の引き上げ等により事業の円滑な承継はますます困難となっております。  本年度の税制改正におきまして、相続税の基礎控除の引き上げ、税率区分の拡大と刻み数の削減、小規模宅地等の相続税評価減額率の引き上げが行われたところでございますが、中小企業における円滑な事業承継を実現するためにはなお不十分な状況にございます。  このようなことから、中小企業の円滑な事業承継を図るため、個人事業用資産の後継者への移転について生前相続特例制度を創設するとともに、取引相場のない中小会社の株式の評価方法の改善や、相続に係る三百平米以下の小規模宅地に対する非課税措置、相続税の一層の基礎控除額の引き上げと税率の引き下げなどを図っていただきたいと存じます。  その四は、事業協同組合等の留保所得の特別控除制度の延長についてでございます。  この税制は、中小企業組合の資本の充実を図ることによりまして共同事業を活発化させるために設けられたものでございまして、中小企業組合が留保した所得について一定の限度額まで損金算入を認めようとするものでございまして、本年度末その期限が到来するわけでございます。  しかし、年間千組合前後の新しい組合が創設され続けており、また産業空洞化など構造変革に中小企業が適切に対応するためには、中小企業組合の共同事業による対応が期待されております。このため、一層の資本の充実が求められておりますので、ぜひとも本制度の延長を図っていただきたいと存じます。  最後に、商工中金の民営化問題についてでございます。  商工中金は協同組織金融機関としての特質を持ち、政府の出資を基盤にいたしまして、中小企業組合及び組合員企業に対する政策融資機関として重要な役割を今日果たしておるわけでございます。もし、商工中金が民営化されることになれば商工中金の資金調達力が低下し、中小企業に対する資金供給の不足、金利の上昇につながり、資金調達困難な中小企業の金融に支障を生ずるばかりか、中小企業の組織化の推進にも重大な影響を及ぼすことになりますので、商工中金の民営化は絶対に行わないよう先生方の御配慮を切にお願いする次第でございます。  まだ私の時間は若干ございますが、以上申し上げましたとおりでございます。これの実現方につきましてはよろしくお願い申し上げまして、陳述を終わります。
  8. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ありがとうございました。
  9. 石渡清元

    委員長石渡清元君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、梶原敬義君が委員を辞任され、その補欠として菅野久光君が選任されました。
  10. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 次に、山本参考人お願いいたします。山本参考人
  11. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 私は、全国商店街振興組合連合会の理事長でございまして、本日、このような機会をいただきまして厚く御礼を申し上げます。  中小企業関係につきましては、商工会さん、中央会さん、これは同じような団体でお互いに助け合ってやっておるわけでございますので、先ほどお述べになりましたところは割愛させていただきまして、商店街としての専門的な立場からお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。  大店舗法の改正でことしの五月一日から新たに規制緩和が行われました。四年前の日米経済協議によりまして規制緩和が行われ、そして約四年間に約六千店舗の新規の店舗が展開をされたわけでございます。  特に大型店につきましては、郊外といいますか、ロードサイドにローコストの店を展開するということで店舗展開が行われてきたわけでございますので、旧市街地の商店街はいわゆる空洞化が今非常に甚だしいものがございます。地域によりましてはそのまま放置するというところもあるかもしれませんが、これを何とか再構築しようというような面もございまして、今大変な状態に陥っておるわけでございます。  特に景気につきましても、一部好転したあるいは底入れしたというようなお話がございますけれども、現場におきましては依然として停滞が続いておるわけでございます。大型百貨店につきましても、五月以降の規制緩和、要するに休日の減少、営業時間の延長等々の緩和が行われましたけれども、前年比マイナスだということでございまして、依然として景気が停滞しておるということでございます。にもかかわらず、大型店はいろいろなことで販売努力をされておるということもございまして、その中で我々も競争して努力をしておるわけでございますが、いずれも相当な幅におきまして売上高が低下しておるということもございます。  なお、この大店舗法につきまして、今の内閣の方で一定の時期を置いて見直そうというような御意見もございますけれども、私ども考えますと、現在の大店舗法というのは最悪の場合の調整をお願いできるというような場でございますので、これはぜひとも存続をしていただきたいということでございます。  現行におきましては、新しい出店につきましてはほとんどこれという支障がないわけでございます。それも規制緩和の時代でございますのである程度はやむを得ないとは思いますけれども、しかし現在百五十八万の商店、六百万に近い社員、従業員がおるわけでございまして、これから今後の景気動向等を考えますと、これははっきり言って死活問題であるというふうに思うわけでございます。国の機関による大店審の審議会が地方に置かれておりますけれども、そういうことも十分踏まえて調整をしていただくようにお願いをしておるわけでございますので、そういう面もひとつ御理解いただきまして、政治の面でも御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  今、いろんなことが言われておりますが、私ども将来を考えますと、行政改革が一体どういう形で行われるのかというようなこともございますし、地方分権にどうというお話もございます。そうすると、私どもがいろいろ御指導いただいておる行政がどう変化をして、どこでお願いできるんだというようなことも案じられるわけでございまして、これも必要であるとおっしゃるならば、的確な指針をお出しいただきましてお進めをいただきたいというふうに思うわけでございます。省庁が減るのかどうなるのかというような、先行きに対するいろんな意味において不明瞭な不安がいっぱいあるわけでございますので、そういう面につきましても明確な指針をひとつ早くお示しいただければありがたいと思うわけでございます。  いわゆる冷戦構造が解消したということで、世界のあらゆる国が市場経済ということになっておりますので、必然的に競争が激化し、競争しなければならないということにつきましては私どももある程度理解をしておるわけでございます。しかし、何といいましてもこれは大きな変化でございまして、我々はそれにどう的確に対応するかということを真剣に今検討しておるわけでございますが、なかなか不透明ではっきりつかめないということもございます。特に、政治関係におきましても明確な線をお示しいただけないということもございますので非常に不安があるわけでございます。なかなか前向きの対策なり事業転換がやりにくいということでございますので、その点にもひとつ御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  あと消費税の問題につきまして、きょう国会で御審議になっているということでございますけれども、消費税関係につきましても五%というようなことで二年先に実施というお話でございます。  正直申し上げまして、今三千万円前後の売り上げのものが私ども全国組織におきまして五六%ぐらいあるわけなんです。しかもかなり低所得であるということでございますので、業界の中でも、減税の恩恵はない、そして消費税のアップというようなことでかなり苦悩な線を出しておるわけでございます。それにつきまして何だか益税があるとかどうというお話でございますけれども、三千万円以下でも仕入れる段階では税を払っておるわけでございます。今度は五%ということになりますと、果たしてこれを転嫁せずにおれるかという問題があるわけでございまして、五%以上になれば企業負担で済むかどうか、当然転嫁しなきゃいかぬではないかというような線も出るかと思います。  いずれにしましても、現場におきましていわゆる転嫁が非常に難しいということもございますので、先般総理にお願いしたときには、税金を取られるという国民感情から、納めるというふうによく理解をしていただくような方法で政府の方で体制をとっていただきたいと。日本人はどっちかというと、今まで税は取られるものだというような印象が非常に強いわけでございます。中小の商店の現場で対面でお話をしておると、税金ぐらいまけてくれというような要求が非常に強いわけでございます。これが率が高くなれば税をまけよというようなことも当然出てくるわけでございますが、これについて、税は納めなきゃいかぬのだというような国民感情をつくっていただくということをしていただかぬと、私ども現場で非常にやりにくいという面があるわけでございます。そういうような観点から、そういう面に対しても御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  次にまいりまして、今の内外価格差の解消といいますか、今ディスカウントなんかで商店街は安売りをやっておりますけれども、しかし一過性の安売りは簡単にできますけれども、本当にいい物を安く売るようにするということになりますと、これはもっと構造的に根本的に検討し、再検討しなければ継続できないんではないかというふうに思うわけでございます。  そういう観点から申しますと、内外価格差というのは、四十年間続いた冷戦下においてインフレ経済といいますか、コストが上がるような運営が長年行われてきたということもございまして、コストを低下させるということはこれは容易なことではございません。ただ私どもが競争して安売りをすれば解決するというような問題でもございませんので、メーカーも入れ、場合によれば公共料金も価格破壊があってもいいんではないか、そのくらいから始めないと本当の意味の内外の価格差は解消できないんではないかというふうに思うわけでございますので、そういう点につきましても十分御配慮いただいて施策を講じていただきたいと思うわけでございます。  今、各団体からお話がございましたが、私どもの団体としましても今、七年度の予算を庁並びに省にお願いをしておりますが、その中で新たにお願いしておるのは、公共投資のいわゆる重点化枠ということで十億お願いをしておるわけでございます。  これは正直申し上げまして、商店街というのは非常に公共性が強いわけでございまして、町の中の商店街というよりも商業集積というものは市民の方々の生活の場であり憩いの場であるということになるわけでございますので、そういう観点からいえば非常に公共性が強いということでございます。特に各市におかれましても、商店街というよりも商業集積をどう構築して市民の憩いの場にするかということは、むしろ市の行政サービスでやっていただかなければならぬというふうに思うわけでございます。そういう観点から考えますと、これは公共投資の範疇に入るんではないかということから、ぜひとも公共投資の中で予算を確保していただきたいということをお願いしておるわけでございます。ぜひとも先生方に御理解いただきまして、お力添えをいただきたいと思うわけでございます。  承継税制につきましては先ほど中央会さんからお話がございまして、全く同じ次元の問題でございます。商店街はどちらかというと表通りに位置しておる、町でいけば繁華街ということになるわけでございますのでどうしても地価が高い。そういう意味からやはり御配慮いただきまして、承継税制の見直しというか、承継税制の改正、是正をお願いしたいと思うわけでございます。  特に、地価が若干下がってはおりますけれども、依然としてやっぱり地価はかなりの額でございまして、バブル以前に比べればまだ五割から七割高いということでございます。それに関連しまして、地価税あるいは固定資産税というものが非常に高いということで、こういう面から都心地区のいわゆる空洞化というものが非常に大きく出ておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、ローコストをねらって郊外に大型店が出る、しかも車の時代でございますので、そちらへお出かけになると。都心部へ来ると、駐車場はあっても一時間三百円、五百円という駐車料を取られるということになりますと、どうしてもお客さんは、今低価格で済むという時代でございますので、郊外の大型ショッピングセンターは一日置いていても駐車場はただというようなこともございまして、中心部が空洞化をしていくということもございます。そういう面もこれから何とか再構築しなければいかぬというふうに思っておるわけでございますので、ひとつ格別の御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  ほかの方々が非常に細かく御説明をいただきましたので、商店街としての立場だけでお願いを申し上げましたのですけれども、いずれにしましても大型店、特に大手におきましては寡占、独占を目指して店舗展開をされておるということもございまして、中小零細業者はもう既に潜在失業のたまり場ということになりかけておるということでございますので、そういう面につきましても格別な御配慮を賜りたいと思うわけでございます。  ちょっと簡単ではございますが、以上お願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
  12. 石渡清元

    委員長石渡清元君) ありがとうございました。  以上で参考人皆様からの御意見の聴取を終わります。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 竹山裕

    ○竹山裕君 自由民主党の竹山裕であります。  きょうはお忙しい中を各分野に即した大変貴重なお話をお聞かせいただいてありがとうございます。  当委員会は誕生間もないわけであります。しかも参議院だけにあるという中小企業対策特別委員会のトップバッターで質問をさせていただくことの意義を強く感じております。  皆様方の御苦労が実感としてわいてくるわけでございます。まさに、最近で言う三K、価格破壊、雇用不安、円高による空洞化ということが各所に出現するわけでございます。税制の問題が大分多く出ておりますし、共通のものもあり、またそれぞれ四分野の独自のものもありましょうが、最初、中西参考人から税制のことでまだ言い足りていないというようなお話もございましたし、新分野進出法についてもお褒めをいただき、あるいは創造的中小企業振興法への期待等もあろうかと思います。この辺のリストラ支援法に対してのより一層のお話、あるいは新しい創造的中小企業振興法に対する御要望等がございましたら、まず挙手をいただきまして御意見をいただいた方がよろしいかと思いますので、よろしくお願いいたします。
  14. 中西真彦

    参考人中西真彦君) それではお答えをさせていただきます。  まず、リストラへの支援ということでございますが、先ほど申し上げましたように中小企業定義の枠内に入る企業、それに対しては先般のリストラ支援法が非常に有効に機能しておりますから、これはこれで、あと資金量が豊富になされれば私はこれは非常にいいものになる、こう思っております。  今、竹山先生からも御指摘がありまして、さっき私が申し上げました中堅企業、これに対する支援をぜひやるべきであるということを再々にわたって当局にも申し上げてまいったんですが、今お話にありましたように、今度中堅企業群のリストラに対する支援を法制化してやろうという、これは二月から一応出たようでございますが、これをもう少し充実したものに、さっき申し上げた農業と比較して非常に絶対量が少ないわけでございますから、この辺をともかく思い切って予算先生方のお力で持ってきていただくということが先ではなかろうかというふうに思います。  開銀に特別枠を設けてくれということを一昨年申し上げて、この間それらしきものができたんですが、開銀から説明に来られて、そして委員の一人が金利は幾らですかと聞いたら都銀の金利よりも高い金利を言って、そんなものつくった意味がないじゃないかという一言で彼はすごすごと帰ったような一幕がありました。要するに、本気でやる気があるのかどうかということに大いに疑問を持ったわけでございます。私は、政治家先生のお力でその辺の原資を回すと、財投の金にしろ何にしろ、それを持ってこないと、見せかけと言うと言い過ぎですが、本当の見かけだけの余り強力でない施策に終わる、こう思います。ぜひひとつその辺を。  中堅企業というのは非常に大事でございまして、今言われておるように大企業がある意味では斜陽に向かっております。結局、日本産業界が活力を持つには、やはりこの中堅企業群の中から、かつての本田とか松下とかソニーのようなビッグビジネスまで育て上げていく企業が数十社出てこないといかぬと思うんです。したがって、私はそこが非常に大事だと思うのです。  零細の農業の困っておる人にどんどんばらまくのもそれはいいんでしょうが、ふるさと創生にしても一兆何千億ばらまかれておるわけですね。これにけちをつけるともらっておる人から怒られるんですが、私をもって言わしめれば、この一兆何千億でそういった産業を育てると。要するに、卵を食うんではなくて、その卵を産む鶏を育てることに今こそ着目すべきじゃないかというふうに私は思うわけです。  政治というのは、やっぱり三十年、五十年先をにらんで、釈迦に説法でございますが、日本の戦後の発展は、いろいろその原動力は言われておりますが、私が一つ考えております大きな理由が、明治の時代に全国の津々浦々に小学校をつくったことです。日本は世界一文盲卒が低いわけですね。この辺のレベルの高さが日本の戦後の復興をなさしめたと。そのつくったときの明治のあの時点は、娘の身売りが行われるほどの、目先はそういう厳しい状況の中で先見性を持った政治家先生がおやりになったということに私は今でも大変な敬服の思いを持っておるわけでございまして、そういう意味でぜひひとつ先を読んだ施策をしていただきたいということが一つです。  それから税制についてですが、これは大きく言いまして今国会で問題になっております直間比率の是正に伴う消費税率のアップ、これはあと何パーにするかということと、その仕組みを二階建て論にするかあるいは一発でやるかということの議論ですが、大枠は、私は政府税調の委員を拝命しておりまして税調の場でもかなり議論をいたしましたから、私は山は一応越えておるんではなかろうかという思いがしております。  大きな流れをおまえはどう考えるかということになれば、要するに今世界の税制の動きが応能負担説から応益負担説へ大きく変わっているんです。言い方を変えれば、直接税負担は余りこれを過酷にすると非常にぐあい悪い、したがって間接税に持っていけというのが世界の傾向でございまして、アメリカもレーガンの時代に一気に累進税率の上限をずうんと下げたんです。そして付加価値税に持っていったということですから、私はやはり間接税にウエートを持っていって直接税は低く下げていくべきだ、こういう考えを持っております。  問題は、その場合に、ここで事業者の立場でお願いしておきたいことは、税調の場でもそうですが、学者先生の御意見は、要するにフローのフラット化は是認できる、これは世界の税制の趨勢である、だけれども、ストックのフラット化はまかりならぬ、逆に課税強化すべきだ、こういう御意見の方が多いんです。  名前は差し控えますが、某有名な財政学者の先生も、なぜだと聞きますとこういう理論が返ってくるんです。要するに、直間比率の是正で消費税、間接税のウエートが高まると御案内のように低所得者の逆進性が高まるんですね。これは果たしてそうなるかどうかちょっと私は疑義があるんですが、そういう説がある。それに対して、やはり当然のこととして、金持ちから税を取り上げるということで、土地に対しても何に対してもストックに対して課税を強化することによって富の平均化を図るべきであるというのが学者先生の御意見だと、私はこういうふうに理解しておるんですが、この辺に実は私は大いに疑義があるわけです。  これを言い出しますととてもきょうの時間で足りませんから、もし何でしたら、僭越ですが後で私の論文をお配りしてお読みいただいてもいいと思うんですが、要するに税の公平とは何ぞやということを私は先生方にもじっくりと考えていただきたいと思うんです。  一体、税の公平とは何ぞや。公平公平ということを盛んに言われるんです。税の三原則で、公平と公正と簡素こそ大原則であると言われるんですが、公平ということには二つあるんです。物差しが二つある。一つは、税というのは、政府から受けたサービスに対してその対価を支払うべきだといういわゆる応益負担説です。一つは、税というのは、持てる者から、取れる者から取れといういわゆる応能負担説です、能力のある者からもっと取れ。こういうことでございまして、このどっちを物差しにするかで公平というもののあれが大きく変わってくるんです。この辺がまだ議論がされていないように私は感じておりますので、この辺をぜひ御議論をいただければありがたいと思います。  細かい諸施策については、またお三方の御意見もあるやに思いますので、この辺で一応打ち切りたいと思います。
  15. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 円高による産業空洞化の問題でございますが、先ほど申し上げましたようにやはり大企業からの加工賃の引き下げの問題は非常に厳しゅうございまして、現実に私ども企業の問題も、先ほどお話ししましたようにいつでもお話ししますが、かなり厳しく来ております。と同時に人事破壊の問題、下請に対して四十五歳程度の若い者を大企業から持ってくるというような問題も出ており、非常に混乱をいたしておるという現象も出ております。  そういうことから、やはり空洞化対策を考えなきゃならないということで今通産省がいろいろお考えになっておる産業経済変化適応円滑化法案、仮称でございますが、この問題も考えていただかなきゃなりませんが、私が先ほど申し上げましたように創造的中小企業振興法、これは仮称でございますが、の制定、これは既存の中小企業者のみならず新規事業開拓の担い手としての創業者も対象とするということになっておりますが、そういう問題につきましてひとつどうぞ御配慮を十分お願いしたいということでございます。  以上。
  16. 大河内信行

    参考人大河内信行君) 税制改正要望に関連いたしまして事業協同組合等の留保所得の特別控除制度の適用期限の延長を私はお願いしたわけでございますが、これは御案内のように協同組合に課せられておりますところの全く私どもだけの税制でございます。事業協同組合を初めといたします中小企業組合は、御承知のとおり中小企業を構成員とした組織でございます。この中小企業組合は、各種の共同事業を構成員である個々の中小企業を対象に実施しておりまして、中小企業の資本力とか信用力の脆弱性等の不利の是正を図りながら、また例えば中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業の実施主体を担うなど、これまで長年にわたりまして国の中小企業政策の推進組織として中心的な役割を果たしてきております。  このような共同事業を円滑に実施するためには、内部留保の充実を図ることによりまして経営基盤を強化することが必要不可欠でございます。しかし、多くの中小企業組合の資本充実度はいまだ十分な状態ではあり得ません。さらに、毎年新規に設立されます組合も約千組合前後を数えるに至っておりますが、これら新規の設立組合の設立時の自己資本は概して大変弱小のものが多いのが現状でございます。  この特別控除制度は、中小企業組合の資本の充実を促進させ、共同事業を活発化させることによりまして、組織の健全な発展と構成員である中小企業及び債権者の利益保護を図ろうとするものであり、中小企業組合の実態を踏まえた制度であろうと考えておるところでございます。  また、先ほども申し上げましたところでございますが、現在我が国中小企業は、産業空洞化、国際化、規制緩和等々、これまでに経験したことのない大きな構造変化の波に洗われておりまして、これへの対応を迫られておりますが、中小企業が個々でこれらの諸課題に対応していくことは極めて困難でありますから、中小企業組合の共同事業における道切な対応が大きく期待されておるところでございます。また、現在通産省において御検討いただいておりますところの、お話しの創造的中小企業振興法(仮称)に基づく事業開拓計画の実施主体としても中小企業組合は対象にされておりますが、これに対応するためにも一層の資本の充実を図ることが要請されております。  したがいまして、この特別控除制度はぜひ引き続き延長する必要がありますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
  17. 竹山裕

    ○竹山裕君 ありがとうございました。  共通の中小企業事業の承継税制の問題も御提案がございましたが、これについても一言言いたいとおっしゃる方はよろしく。
  18. 中西真彦

    参考人中西真彦君) 先ほどは私だけで時間を占領してはいかぬと思いまして途中で打ち切りましたが、もう一歩税の問題を踏み込んで申し上げますと、ストックの課税の問題ですが、今、中小企業が直面しておる大きな問題は、一つ固定資産税の問題、一つは相続税の問題です。  まず、固定資産税の問題ですが、御案内のように自治省の方針で固定資産税は一気に公示価格の七〇%にその評価額が引き上げられたわけです。これに対して今、不服審査請求がどんどん各地で起こっておりますし、場合によれば訴訟までいきかねないようなことになっております。なぜそういうことかといいますと、固定資産税が一気に、大体全国平均で三倍ぐらいになったんじゃないでしょうか、東京の都市部だと四倍ぐらいになっている感じがするんです。  本来、固定資産税というものは行政のサービスに対する対価として払うものであって、基本的に昔からせいぜい一割程度のものなんですね、評価額は。ところが公示価格の七〇%であると、こういうことになった。なぜそうなったか。その経緯は、私が御説明するまでもなく先生方案内でしょうが、海部内閣のときの土地基本法で、要するに当時土地が暴騰したわけで、土地の暴騰を抑制することと土地を持っておる者の有利性を抑制するための二つの観点からああいうものができたんです。  ところが、これは今土地がどんどん下がっているわけですね。そうすると、要するに公示価格というのは年に一遍、大体全国の公示地点でやるわけですね。ところが、三年の間にどんどんと実勢価格の地価が下がるわけです。そうすると、地価の方が安くて公示価格の方が高いということが起こり得る。その公示価格の七〇%の評価額で一・四の税率を掛けられたのでは、これは大変な増額になっておる。固定資産税はしたがって三倍ぐらいになったんじゃないでしょうか。  そうすると、いやそれは金持ちから取ればいいじゃないかということですが、さにあらずで、固定資産税が課税される人口は大体三千万ぐらいになるんですね。この中には年金生活者も零細事業者も入っています。これを一気に、余り議論もしないで自治省があれほどの増税をやったということは、私はある意味では消費税以上にこれは大変な過酷な増税であると。要するに物納せざるを得ないような事件が随所に起こっておる。かつて歴史を振り返って、事業をやっておる土地を国家に取り上げられるような説とか時代はなかったはずです。  これは、私は先生方に十分御議論をいただいて御検討をいただくに値するほどの大きな問題に今後発展をする、こういうふうに思っておりますので、この固定資産税もぜひひとつ御検討いただきたい。会議所でもあちこちで集会が開かれて、恐らく東京ではかなりの数の不服審査請求が今後も出てくると私は思っております。  相続税の問題は、これは非常に長期的な課題でございますから、これについてもいろいろ私は申し上げたいことがございますが、きょうは時間制限もございますのでちょっと後ほどに譲らせていただきますが、一言申し上げれば、やはりさっきの基本哲学から申し上げて、それは金持ちの相続、財産のある者から取るというのは富の平均化のために必要であるということは、一応私はうなずけます。  しかし問題は、巨大な金持ちからは取っていいんでしょうが、その相続税の土地を評価するときに不動産としての売買事例で評価しておるところに問題があるんです。これは、明治時代は要するに収益価格還元方式でやったんですね。例えば、百坪の八百屋さんがあって神田で店を開いておる、その百坪でどれだけの収益が上がるかということから評価していってその評価額を決めたんですね。ところが今はそうじゃなくて、百坪が神田近辺で幾らで売れたかという不動産売買事例でもってその評価額を決めておる。ここに決定的な違いがあるんです。ですから、八百屋をたたき売って都落ちしないと、中小企業なら工場を畳んで物納しないと事業が継続できないということになるわけです。  産業界事業の承継というものは非常に大事でございまして、御案内のように農業は、農業専従者が継続する場合に相続税を払わないでいいという法律があるんですね。さっき申し上げたように、今農業ウルグアイ・ラウンドでどんどん外国の米も入れますから、日本から自立農業がなくなっていいとは申しませんが、これはやっぱり海外から輸入しても十分に対応はできる、こういうことです。その農業と製造産業と、余りにもその取り扱いに対して、さっきの話じゃないですが公平を欠くのではなかろうか。片方は相続税をとらないで非常に優遇措置がある、今度も六兆も金をとってどんどん利子補給もやるし、いろんな手厚い保護を与えておる。一方は全然それがない。そして事業承継は、今、通産省の統計で中小企業はどんどん廃業率が上がっているんです、それで創業する人が減っているんですね。これは長い目で見て日本の国を私は滅ぼすことになるんじゃないかと。  ぜひひとつこの辺を、そういう視点から、この相続税問題は私も税調の場で今後大いに議論をするつもりですが、どうぞ政治の場で先生方の強力な御支援をこの場をかりてお願いいたします。  以上です。
  19. 竹山裕

    ○竹山裕君 時間がなくなってまいりまして、個々のテーマもたくさんございましたが、特に組織化、共同化、大河内参考人へ御質問した方がいいでしょうか。新しい技術革新の中での指導者の養成、相当専門化、高度化してまいります中で人員の強化、指導員の育成ということで大変御苦労をしておられるようでありますので、大河内参考人の特にそのテーマに絞った付言がございましたらどうぞ。
  20. 大河内信行

    参考人大河内信行君) ただいま先生から大変ありがたい御指摘を私どもにちょうだいしたわけでございます。  御案内のように、県下全域の中小企業を、地域業種を問わず組織化し、そして共同化いたしまして成果を上げているのでございまして、日夜私どもも頑張っているわけでございます。特に、最近本格化してまいりました高度情報化社会において、中小企業がどのような活力を維持していくかということで大きな問題を抱えているわけでございます。  御案内のように、情報化指導は今までのハードな経営指導と異なりまして、かなり専門的な知識を持った指導員でなければ対応が大変難しいわけでございます。こうした情報化担当の育成には日夜私どもも心を砕いているところでございます。しかし、先ほども陳述をいたしましたように、各県中央会とも平均で二十名に満たない指導員の数でございます。なかなかこうした専門分野担当の専任指導員を置くことは難しく、何とかしてこの面の人的体制の強化をお願いしたいのでございます。  幸い本年は、中小企業庁の御理解をいただきまして、大変厳しい予算の中で指導員の増員につきまして予算の要求、これとても全国で三名でございますが、お願いしているところでございます。ぜひとも本委員会先生方の御理解によりましてこれが実現することをお願い申し上げる次第でございます。  以上でございます。
  21. 竹山裕

    ○竹山裕君 大店法のことが山本参考人からも出ましたが、関連で御意見がございましたら、いかがでございましょうか。
  22. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 規制緩和で、いわゆる自由経済といいますか、今そういう方向に国自体も経済関係におきましては原則自由、例外規制というようなお話でございますけれども、全く自由放任になったときには一体どうなるのかなということになりますと、適者生存という面もございますが、はっきり言って弱肉強食ということにもなると思うわけでございます。果たして経済の面からいけばそれもやむを得ないということになるかと思いますけれども、中小零細といえどもやはり生きていくということがあるわけでございます。  そういうことを考えますと、一般の二次産業等々につきましては、一つ技術を習得してそれに打ち込めば何とか生きられるという面もございますけれども、私ども商店関係でいきますと、大体あるメーカーがつくったものを売る、製造者がつくったものを売るということでございますので、これからそういう面につきましても特色を発揮しなきゃいかぬというふうには思うわけでございますが、なかなかこれは至難のわざでございます。  人がつくったものを幾らかマージンをいただいて売るということになりますと、これははっきり言って大型も中小も大して変わらないということでございます。そうすると、結局は資本力によって寡占、独占ができるという業界でございますので、そういうことを考えますと現在程度の大店舗法はぜひとも存続をしていただきまして、これに基づきまして我々中小にも幾らかの商圏を与えていただきたいというふうに思うわけでございます。もちろん我々も大型店の中へテナントとして入って一緒にいくというのもございますし、全く逆の効果で、大型店から相当離れたところで店舗を展開してその地域に貢献するという面もございます。  いずれにしましても、完全自由ということになりますと弱肉強食ということで、恐らくアメリカもそうでございますけれども、アメリカは繁栄しておりますけれども絶えずホームレスが二百万もおる。アメリカは全く自由な国ということで、そういう方々が移民をして国家をつくったということもございますので、これはアメリカでは認められるということになりますけれども日本の場合でいけば二千何百年という歴史があり、伝統があり、そして今日に至ったということを考えますと、中小も生きる道をやっぱり与えていただきたいというのが我々の願いでございます。  性格上からいくと、やはり大手で独占、寡占ができるという業界でございますので、そういうことを御配慮いただきまして、大店舗法で適正な調整をしていただいて中小の生きる道も残していただきたいというふうに思うわけでございます。
  23. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 今、山本参考人から申し上げられましたので、私ごく簡単に申し上げますが、非常に厳しい状況でございます。  大店法の規制緩和については、店舗面積千平米までの大型店の出店の原則自由化という大幅な規制緩和がこの五月一日から実施されておるわけでございますが、今後地域中小小売業への一層の影響が懸念されておるということでございまして、政府においては先般、六月二十八日の行政改革推進本部決定において大店法の廃止等規制緩和の具体的な見直しは当面見送られることとなりましたが、今後これまでに決定された規制緩和方策の推進計画を取りまとめていくやに仄聞しておるわけでございます。  先ほど山本参考人からお話のありましたように、この大店法の規制緩和というものは、公共的あるいは文化的という面からも私は非常に大きな問題であると思うわけでございまして、この点についてはひとつ十分お考えいただきまして、これ以上緩和をするということについては、商工会地区の地域の小売店は壊滅するという状況になる可能性が十分あるわけでございますので、十分御配慮をお願い申し上げたいと思います。  以上です。
  24. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 社会党の村田でございます。  本日は参考人の皆さん方、専門的立場からいろいろ理解できるお話をしていただきましてありがとうございます。そこで、幾つかの点につきまして質問をさせていただきたいわけでございます。  まず、中西参考人の方にお伺いをしたいのでございますが、今いろいろ中小企業中小企業というよりも参考人のところは恐らく中堅企業の方に入っているんだろうと思うんです。そこで、いろいろな事態に合わせての事業転換をなさったり、あるいは新分野進出なさったり、いろんな自助努力を今拝聴させていただいたわけでございます。しかし、それに比べて、よく言われておりますように官の方が非常にそういう努力というのが足りないじゃないかと。要するに、企業は血を流してやっているのに官の方は何もやっていないじゃないかというのがかなり強い意見としてあると思うんです。  そこで、参考人の経歴等を見せていただきましたときに、いろいろな各種委員をやっておられるわけでございますが、その中の一つ中小企業退職金共済審議会の委員をなさっておられます。恐らく私どもの労働組合関係の人も委員の中に入っていろんな論議をなさっていると思うんですが、その中で、もし差し支えなければ、こういう意見についてはどういうふうな御意見をお持ちなのかひとつお聞きをしたいと思うんです。  それは、御存じのとおり労働省が管轄をしております中小企業退職金共済制度というのがございます。それと同時に通産省で所管しております小規模企業共済制度というのがございます。それから特定の職種を対象とした退職金共済制度というのがある。これがいずれも皆ばらばらに施行されているということがございまして、私どもの労働関係で出ておる委員の方の意見を仄聞いたしますと、統廃合をしたらどうだという意見がかなり出ているというふうに、あるいは主張なさる方もいらっしゃるというふうに聞いておるんですけれども、まず一つは、こういった類似の国のシステムを統廃合するという点については参考人はどういうような御意見をお持ちなのかということ。  もう一つは、いろいろな自助努力をなさる、あるいは新分野進出をしようとするときに常に問題になってくるのは、参考人が御商売をなさっております大田区でもそうだと思いますし、東京都内は、工場追い出し政策といいましょうか、製造業地方に持っていったらどうだという意味で、もう長らく人口の集中を防ぐとか産業の集中を防ぐとかという意味で製造業の追い出し政策をとっているわけですね。したがって、新しい分野に行こうとして新しい生産工程をつくろうとしても、工場法なり都市計画法なりに引っかかっちゃって、いやこの敷地ではだめですよとか、ここの場所ではだめだとかといっていろいろな規制が自助努力を妨げるという声を時々いろいろなところで聞くんですけれども、その点については委員はどのようなお考えをお持ちなのか。  二点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
  25. 中西真彦

    参考人中西真彦君) お答えします。  まず、行政改革の御質問ですが、原則論といたしましては、私、税調の第一回の場でも冒頭発言で申し上げたんですが、今税制抜本改革をやるに当たって、やっぱり税制と行政改革と財政改革はもうまさにこれは根深くリンケージしているものであるから、ともかく行政改革をやらないで国民に増税を求めることはこれはいかがなものかと。家庭でも財政が逼迫すればまず小遣いを締めるのが物の道理ですし、会社は全部経費節減をやります。もう昼間の電気も消すほどのことをしていますから、これは行政改革をやらないと、いかなる増税も国民のコンセンサスが得られないんじゃないかということを強烈に申し上げたわけです。  私は、行政改革は、今いろいろ言われておりますが、一つ問題点を指摘いたしますと、いつの場合も事務局が総務庁に置かれるんですね、これはよろしくないと。なぜならば、例え話で言えば、虫歯は自分の手で抜けないですね。やはり他人様に抜いてもらわぬとしょうがないわけです。ですから私は、やはり行政改革は政治家先生と民が一緒になって、そして官の行政改革をやるべきであると。  大きく言って明治以来、行政機構は肥大に次ぐ肥大を続けているわけです。これは非常にいいものがあると思います。私は日本の行政を頭から否定する気は毛頭ございませんで、日本的な非常にいい仕組みであると思っております。ただ、肥大化しているわけですね。必要でないものが随所にあります。  それから、いわゆる特殊法人が何十とありまして、公益法人に至っては全国に二万幾千ある。こういうことでして、この辺に相当むだがある。私、税調の場でも具体例を挙げて例えばと申し上げたんですが、労働省でいえば雇用促進事業団というのがございます。これはかって東北の稼ぎ人を東京の都心の方へ労働人口を移動させるためにつくったもうかびのはえた事業団ですが、依然としてこれが存続しておる。あるいは、蚕糸砂糖類価格安定事業団、これは従事者はせいぜい数万しかおらぬわけですね。これがやっぱり大変な政府の金を食って事業団として存続しておる。それなりの理由があるんでしょうが、果たしてそれを存続するだけの価値があるかどうか。そういう意味で、原則論は大いに私は統廃合は進めるべきであるとまずお答えしたいと思います。  御指摘の中小企業退職金共済制度、これは今やめていますが、私もいっとき出ておったんです。小規模企業共済制度と統合すべきであるという御意見ですけれども、実は会議所は小規模企業共済制度の委託団体となっておりますが、中小企業退職金共済制度はこれは官がやっているんですね、労働省の。それで我々商工会議所は、特定退職金共済制度というのをやっております。したがって、官の中小企業退職金共済制度に入っていない団体が結構多いんです。  もう一つ言いますと、したがってそこの合併はちょっといかがなものかという思いが一つあるのと、御指摘の小規模企業共済制度は、御案内のようにこれは中小零細事業者のための保険です。ところが、中小企業退職金共済制度も私どもでやっております特定退職金共済制度も、これは労働者のための保険です。したがって性質を異にするわけですね。ですから、これを統合するとなると、ちょっとこれはいかがなものか。いろいろ混乱が発生するというのが我々の見方でございまして、この辺は、御趣旨はよく理解できますがそこのところをもう少し御議論していただいた方がいいのではなかろうかというのが私の答えでございます。
  26. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 今、中西参考人から御答弁ございましたが、商工会も同じことでございます。商工会も小規模企業共済の委託団体になっておるが、それぞれ自主事業としての退職金共済事業を行っておりまして、中退共の方の委託は受けておらないということでございます。  もともと小規模企業共済というのは、これは一人親方といいますか、非常に従業員の少ない小規模の店主が入っているのでございまして、中退共の方は、恐らく従業員十人以上ぐらいのところに限定されると思いますが、五人や六人のところで中退共に入っておるところはほとんどないと思うわけです。かなり大きいところ、小企業はございませんが、中企業が中退共に入っておるんであって、これは性格が私は違うと思うので、かみ合わないというように思います。私はこれは反対であるというふうな見解を持っております。  以上。
  27. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 別に労働省は労働者だけを対象にして事業をやっておりませんからね、小規模の事業主も対象にしたやつも一部入ってますから。その辺はきょう論議をするつもりがございませんけれども。  それで、山本参考人にちょっとお伺いをしたいんですけれども、先ほど公共投資重点化枠でぜひこれをお願いしたいというお話がありまして、私どももいろんな要望書を見せていただいたんですが、ただ、おたくの団体から出ているものの中に、この重点化枠でやるものの事業として商業パサージュ整備事業の創設というふうに書いてあるんですね。最近横文字がいっぱい出てくるものですから、一体この商業パサージュ整備事業というのはイメージとしてどんなものを考えておられるのか。この言葉だけではちょっとわからないものですから、もしよければ、概略こんなことを考えているんだよというのがありましたら御説明をいただきたいと思います。
  28. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 私どもはこの問題につきましては、これは何かフランス語というような話でございますけれども、私どもでいきますと、やはり文化的なものとか再構築してもいいというようなものを公共投資の中で構築をし、また維持をしていくということと、それから一歩前進しまして、高齢化社会ということもございますのでそういう方々に対応した施設の改善もしていきたいというようなことでございます。新しく言われると、例えば白壁とかそういうような特殊な日本の文化的なものを中心にして保存して残そうというようなところが重点でございまして、あとは弱者といいますか、高齢者といいますか、そういう方々にも安心して来ていただけるような施設を構築するということで聞いております。    〔委員長退席、理事中曽根弘文君着席〕
  29. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 大河内参考人にお聞きをしたいのでございますが、中小企業、なかなか景気がよくなったといっても、まだまだ下にまで来るのには恐らくもう半年はずれて来ると思うんです。中小企業の場合には、景気がよくなるまでなかなか資金的な部分では持ちこたえられないということが時々起こってくるわけですね。あとしばらくもては何とかなるんだけれども、もうそこまでに体力を使っちゃって、そこから先の新しい展望を見ることが非常に難しいということがよく言われております。  そうすると、資金的な手当てということが十分されませんと中小企業はこの不況を乗り切れないわけでございますけれども、ところが、ほとんどの中小企業の人というのはもう真っさらな担保はほとんどないわけでございまして、何らかにみんな個人財産も含めて入っちゃっている。そうしますと、あと残るのは自分の企業が持っている技術力とかあるいは新分野に対する事業発展性、計画性、あるいは社長自身の信頼性といいましょうか、そういった企業なり社長さん自身が持っておられる無形の財産というんでしょうか、これを評価してもらってそれを担保に使えないかという希望がかなり強いと思うんですけれども、その辺についてはどういうような御意見をお持ちなのか、ちょっとお願いしたい。
  30. 大河内信行

    参考人大河内信行君) 御案内のように、銀行取引につきましては、大企業と違いまして企業の信用だけでは金融取引は当然できないわけでございまして、特に中小企業におきましては、先生御指摘のように企業の信用力、経営力、財力、加えて経営者の識見とか経営力、信用力が総合されて初めてランクづけられて融資が決定する、このように私は自分の経営体験から眺めているわけでございます。  そういうふうな中で、今、先生がお話しのように非常に今景気が低迷して厳しい。そういう中で、特に価格破壊だけならよろしゅうございますが、巷間言われておりますように戦略的価格破壊とかまた戦術的価格破壊というようなことを私どもの業界で耳にするわけでございます。言うならば、成長力がないマイナス成長の中でなおかつ生きるためには、特定の機会のたびに昔で言う安値受注をする、またある特定の企業から受注を奪う、それを計画的に行う。    〔理事中曽根弘文君退席、委員長着席〕  したがって、そういうような中で一斉に価格破壊が相関して大きくなっていると、このように見るわけでございます。  そういうような中で、政府系の金融機関に私ども中小企業は、御案内のように非常に手厚いと言ったら大変失礼でございますが、よく御理解をいただいて金融を受けているわけでございます。御案内のように中小公庫であるとか国民金融公庫であるとかまた商工中金であるとか、それぞれの機関のそれぞれの役割を使い分けながらお願いしているわけでございます。  例えば、商工中金につきましては御案内のように組合融資が中心でございます。今、先生のお話しされましたように、一つには組合が後ろにありまして、そして組合の大きな信用もこれを乗せまして企業の融資が行われている、こういうことでございます。  したがいまして、言うならば国の機関でございます。したがって、市地、民間金融機関のように直接営利を目的としておりませんし、また採算性の低い中小企業であるとか不況業種であるとか、そういうような業種のために貸出金利を引き下げるとか、また地方店舗にも手厚い配置がされているわけでございまして、そういう意味で、これから行革がどんどん行われるわけでございますが、政府系の中小金融機関は私どもの駆け込み寺だと、こういうことでひとつ御理解をいただきましてぜひとも御支援をちょうだいしたい、こんなことを考えているわけでございます。
  31. 村田誠醇

    ○村田誠醇君 芦田参考人にお聞きしたいんですけれども芦田参考人以外にも税制度いろいろ意見述べられましたけれども、私ども社会党といたしましても今いろいろな立場で論議をしているわけでございます。  中小企業とかこういうところを扱っているところの商工部会できょうも午前中論議がございまして、私どもとしては何か中小企業の団体に誤解があるみたいでございます。税制度あるいは租税特別措置等について全部廃止しろみたいな意見を流布されているように聞きますけれども、私どもの基本的な考え方といたしましては、本来政策的につくられたものであれば、その政策目的が達成されたら廃止すべきであるという基本的な態度、それと同時に恒久的に残さなければいけないもの、例えば日本が少資源であり、技術力を開発しなければやっていけないとすれば、この技術開発に伴う研究投資というのは二年間とか三年間の時限立法じゃなく恒久的な立法にすべきであるということも含めて論議を合しているわけでございます。ただ、例えば年末、この十二月末に税制度が切れちゃうというのも片方であるわけで、これを臨時的にどうするかということも論議しているわけでございます。  そういう意味で、若干皆さん方の方に社会党は全部なくしちゃうんではないかというふうな御意見があると思うんですけれども、そういうことはないよということを前提に置いて、なおかつ皆さん方から見て、例えば恒久的に残してほしい税の特例措置、表現がある程度許されるとすれば公害の関係の設備をつくるときの施設設備、これは恒久的にしてほしいとか、あるいは排水ですね、汚水等に伴うものについてはこれはやっぱり環境を守るために絶対に恒久化すべきだとか、今言ったように研究投資の部分についてはどうすべきだとかという意見がいろいろあると思いますので、皆さん方のところ、あるいは周りの方々から見まして、今の時限立法的に扱われている租税特別措置の中においてどういうものを恒久化してほしいのかについて、もし何らかの御意見がございましたら聞かせていただけますでしょうか。
  32. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 非常に難しい御質問なのでございますが、税制については今、中西参考人からもお話ございましたけれども、基本はやはり資産それから消費、所得、将来この三点をひとつうまく考えて税制を考えていく必要があるんではないか、基本は私はそう思っています。  そこで、いろいろ消費税の問題あたりにつきましても、先生は消費税のことをおっしゃっているのではないんですが、例を言えば、我々としては、消費税について一応五%というものについては決められてこれはもういたし方ないと思っていますが、しかし景気が出るのを見てからでも遅くはなかったんじゃないですかという気持ちは持っておりました。しかし、まだ平成九年度というと二年半はございますから、その間に景気が出てくればいいがなと思っておるわけでございます。  その中でも、特にさっき私申し上げました中小企業特例の問題、これも先生のお腹の中にあると思うんですが、これは消費税を最初導入したときのいきさつがいろいろございまして、はっきり申し上げまして三%の消費税を入れるときには非常に重大な決意が要りまして、あんなに早く定着するとは私自身も随分長年携わってまいりましたけれどもびっくりしておるような状況であって、あんなに早く定着するとは思わなかったのが案外早く定着してしまったということでございます。  ところが、それが定着したから一遍にどんどん消費税に持っていってもらうということは、これはもう非常に大変な問題がございまして、やはり行財政改革あるいは歳出の問題あるいは税収の問題とか総合的にいろいろお考えになって、国民の納得のいく上でやはりお考えいただかにゃならぬというのが基本であろうと思うわけでございます。  一応そういう面において我々も中小企業特例について三点を特にお願いをいたしておりますが、私はきょう二つの問題について、簡易課税あるいは限界控除の問題については反対だからといって、簡易課税は四億のものを二億にする案が出ておるようですが、二億のものを三億にとまで私は言っておるのではないんであって、それは実際、私個人としてはやむを得ないなという気持ちもございます。  三千万の問題は、本当のじいちゃん、ばあちゃんでは記帳能力もない、どうにもならない。今さっきお話しになりましたが、原価の仕入れのときには消費税が負担されており、やはりこれの付加価値が二割とすれば百円のものにすれば二・四円が取られておるわけでございますから、その点もひとつお考えいただいて、三千万の問題はいろいろ論議があったようでございますが、すんなりとこれは認めていただいて、将来の税制の移行を見ながら御検討願いたいと思うわけです。  先生のおっしゃる御質問についてお答えできませんが、やはり基本は私は所得、消費、資産、それについて均等に持っていって将来やっていただくということが基本である。と同時に、行財政改革、それから歳出の見直し、それから自然増の問題、そういうものをすべて勘案した上で、国民の納得のいくものでやっていただきたいというように考えておるわけでございまして、御回答にならぬかわかりませんが、時間もございませんからその程度でひとつ。
  33. 中西真彦

    参考人中西真彦君) ちょっとつけ加えさせていただきます。  今、租税特別措置の廃止云々の話が出ておりますが、アメリカは一律に全部これを撤廃したんです。そして法人税を一気に下げたんです。やはりおっしゃったように、もう用をなくした租税特別措置がかなりあるようなんですね。  それで私、これは国税庁の親しい友人から聞いた話ですが、租税特別措置なるものは必ずしも非常に広範囲かつ普遍的な措置でないんですね。ある業界に限って、それこそほんの数十社ぐらいの大企業に対して租税特別措置が講じられているというケースが多々あるということです。ですから、この辺は大いに検証する必要がある。そして、必要でないものはやっぱり廃止していっていいんじゃないか、こう思います。  一番大事なものは何ぞやという御質問ですが、私は新しい技術開発の研究開発費は、これはぜひとも租税特別措置を講じていただきたい。  なぜならば、うちの例で申し上げましても、企業採算が厳しくなってきますと不要不急のものは切って捨てるんですね。本来、新しい技術開発というのは企業の五年先、十年先、二十年先をにらんだら絶対に必要なものなんです。だけれども、きょう食う米がない、ことしの決算が成り立たぬとなるともう切って捨てると、こうなるわけです。これはまた恐るべきことなんです。  国家的視点からいえば、私はこれはやはり租税特別措置を講じてでも支援していくべきである。そうしないと、日本の将来の産業の種が、それでなくても日本は基礎研究が非常に少ないですし、第三の産業の待望論があるときに貿易立国の日本は一体何で飯を食うんだということに十年後、十五年後になるんではなかろうか、こう思います。
  34. 井上計

    井上計君 新緑風会という会派をつくっておりますが、その中の民社党の所属である井上計であります。  きょうは四人の参考人の方、本当に御苦労さまでございます。きょう御苦労さまというよりも、中小企業に対するいろんな面での御指導、大変な御苦労を長年していただいていることに心から敬意と感謝を表するものでございます。  先ほど来、参考人の方々の御意見を拝聴し、また今、同僚委員の質問にもお答えいただいていることをお聞きして、私ごとで恐縮でありますが、実はちょうど四十年前の昭和二十九年になりますが、戦後、鮎川義介先生がA級戦犯として巣鴨に数年間入っておられました。そのときにお考えになって、出てこられましてから、戦前自分は日産コンツェルンという大変な会社をつくり、また満州重工業をつくった、その大きくした最大の理由は、言えば中小企業の犠牲においてそれをつくった。戦後の日本の復興は中小企業の復興なくしてあり得ないと、こういうふうなお考えで中小企業運動に入られました。私も、当時大変若うございましたが、鮎川先生のもとでいささか中小企業運動らしきものに入ったわけであります。最初は中小企業団体法期成同盟という名称の運動でありまして、自今それがいろいろ変わりまして中小企業政治連盟になったわけであります。  そのときに鮎川先生が言われたことを今でも思い出し、また先ほど来の皆さん方の御意見をお伺いして思い出すのでありますけれども中小企業問題というのは、今の問題皆さん方お話しになりましたけれども、古くて常に新しい問題だなと、こういう感じがするわけであります。ただ違いますのは、当時は、鮎川先と言われましたけれども、まず中小企業が強くならなくちゃいかぬ、強くならなければ政府に対するあるいは国会に対する要求もできないぞということを常に言われまして、まず強くなろう、それには団結をしよう、まとまっていこう、それで組織をつくろう、こういうことであります。  それから、中小企業の人たちの当時の一番の大きな願いは、まず金融と税制について国がもっと助成しろと要求をしようということであったわけでありますが、現在はさらにそれ以外の問題として、円高対策あるいは労働力の問題、コストの問題から海外への移転、空洞化、あるいは新技術の開発によるところの将来の展望だとか、むしろその当時よりももっと複雑になって、中小企業の前途というものはますます不安が増大をしておる。容易ならぬ時期だ。ある意味では終戦後のあの当時よりも現在の方が中小企業にとってはもっと難しい時期に入っておるな、私自身はこういう感じを持っておるわけであります。  意見ばかり申し上げて恐縮でありますけれども、皆さん方が御参考に今お述べいただきましたことで、質問というよりも、ある意味では私実は全部もう十二分にわかっていることでありますから質問を省略します。  そこで、きょうは御遠慮されたかと思いますが、国会に対して、政府に対しての不満を余りお述べになっていないんですね。本当はもっともっと不満がおありであろう、こう思うんです。租税特別措置法の問題にしてもあるいは金融にしても、先ほど承継税制の問題も出ておりますけれども、あるいは大店法の問題ももっとこうすべきではないかという不満が随分おありであろうと思うんです。ところが、その不満をお述べになることについて遠慮されておるというのは、一つはやはり何といっても、現在はまだそうでありますけれども、言えば中小企業と相対する団体、相対する組織に対して自分たちがまだ弱いという気持ちがやはりおありではなかろうかな、こう思うんです。  そこで、具体的な面で一つお伺いするのでありますけれども、我々が鮎川先生のもとで四十年も前からいろいろやっておりますときに、まず中小企業対策としてあるいは政策をつくった場合に、大企業と綱引きになった場合には必ず負ける。労働組合と綱引きになればこれまた完全に負ける。農村問題と綱引きになればもう完全に最初から勝負はついておる。だから強くならなくちゃいかぬ、こういうふうな指導を受けたわけであります。現在でも中小企業四団体としていろんなことで御活動でありますけれども、事労働組合との綱引きの問題になれば、勝てるというふうな自信はまずお持ちになっていないでしょう。  大企業との問題は、租税特別措置なんかはやはり依然として私は大企業は大変優遇措置があると思うんです。時間がありませんから詳しく申し上げませんが、一例を挙げれば機械の法定耐用年数にしても、現在一般企業は大体平均すると設備耐用年数大体十年だろう、こう思います。ところが、大企業の中には租税特別措置で実は事実上四、五年がたくさんあるんですわ。もっと私はけしからぬといつも言うのは、新聞社なんかの印刷設備は四年ですよ。こういうふうなことが余り明るみに出てこない。わかっておるけれども言えない。こういう問題があるんですね。  それから、農業問題についても、私も実は二十年前皆さん方と同じ立場でありまして、全国中小企業団体中央会の役員をしておりました。そのときに我々が中央会の中で言い出したのが現在の承継税制です。昭和四十年に農業に対する相続税の問題が大幅に変わりまして、生前贈与制ができた。それから、同時に相続税の猶予制度ができた。二十年耕作すれば事実上相続税はゼロである、こういう制度ができました。それでは中小企業に対しても当然こういう制度を適用すべきだということで、我々が運動したのが昭和四十二、三年であったわけであります。  当時は中小企業事業主さんの相続についての減免という要求をしたんです。しかし、現在でもまだ承継税制という税制は法律上ないわけです、ただ、主税局長通達で中小企業事業主さんについての部分がありますけれども。だからこれは確立されていないんです。だから、それらのことを考えますと、もっと中小企業団体が強くならなければいけない、こう思うんです。  そこで、結論として意見を申し上げますけれども、失礼ですけれども、現在中小企業四団体としてそれぞれ同じ問題を四団体が別々に取り扱っておられることが弱くなっている一つの理由ではなかろうかな、こう思うんです。商工会議所としての中小企業対策、それから商工会としての中小企業対策、団体中央会中小企業対策、また商店街振興組合としての中小企業対策。例えて申しますと、商店街の問題でも、振興組合とあるいは商工会とあるいは中央会と商工会議所がやはり横の連絡をもっと密にしていただければもっと強くなることがあるんではなかろうかな、こう思うんです。具体的な問題に触れますとまたいろいろと問題があるから触れませんけれども。  そこでまず、一次産業これは別ですが、二次産業の中でも製造業分野については、商工会議所商工会も団体中央会も今それぞれの縦割りですけれども、何かそれを縦横を縦横無尽に結ぶようなそういうふうな指導をお願いできぬであろうか。商店街問題でも協同組合と振興組合と異なっておりますし、あるいは先ほどお話出ましたけれども商工会の傘下でおられる商店街、ますます都市近郊の商店街がもっとふえてまいりますけれども、ところが商工会の商店街対策と振興組合とはまた余り連絡ないですね。それから、中央会に入っておる商店街協同組合と振興組合との連絡がこれまた余りないですね。そういう面についてもっと縦横の言えば緊密化、指導の一元化と言うとおかしいですけれども、そういうことをお考えいただく必要があるんではなかろうかなと、これがまずお伺いしたい一つです。  もう一つは、中小企業問題は幸い参議院ではこのような特別委員会が設けられましたが、国会の中で中小企業の問題について本当に詳しく勉強をし関心を持っていただいておる国会議員の先生方、きょうここへお見えの方はみんなそうですよ、それ以外には余り多くないんです、率直に申し上げてもっと極端なことを言う人は、中小企業の問題を一生懸命やっておったら選挙に当選できないんだというのはもう二十年前からみんな言っているわけです。  それは中小企業自体が私は反省すべき点だということを必ず言ってきたわけです。だから政治的にもっと強くならなくちゃいかぬ。何といっても民主主義の時代でありますから、やはり農業と、あるいは大企業と、労働組合と相対抗できるような立場にならなければ解決しない中小企業問題はいっぱいありますよね。それらについて、言えば政治的な力を強めるために中小企業団体はどうお考えか。  大変雑駁な質問になりましたが、二点まずお伺いして、それぞれの参考人の方から御意見を拝聴できれば大変ありがたいな、こう思います。  繰り返し言いますと、第一点は、四団体が言えば縦割りだけでなくて縦横きちっと結びついたような指導をおとりになること、これについてはいかがでありましょうか、これが第一点。第二点は、政治的にもっと地位を高め、強くなるために何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたい。この二つをどなたでも結構でありますけれども、お伺いしたいと思います。  意見になって恐縮でありますが、よろしくお願いします。
  35. 中西真彦

    参考人中西真彦君) 井上先生から非常に我が意を得たりというか、全く八割までは同感という御意見で、貴重な御意見としてきょうは承りたいと思うんです。  縦割りですが、この縦割り四団体はそれなりにそれぞれ歴史と実績もあるわけですから、これを理屈どおりすぐ一つに束ねるというわけにはまいらぬと思うんですが、やはりその活動において、おっしゃるように縦割りだけじゃなくて横の連携、ネットワークを持って活動する、動くということはいかがか、こういうことですが、実はこれやっております。  御案内のように一昨年、時短問題が発生しまして、労働省殿が要するに労働基準法という強権の刑事罰を伴った法律で無理に時短を実現しようとしたわけですね。これを四団体は全く同意見で、これはおかしいと。その基本的考え方は、やはり自由主義経済ではないかと。そして、企業の責任者は自決権を持っておる、おかしくすれば自分で腹を切らねばならない。したがって、労使が企業単位で話し合いをして労働時間は決めるべき筋合いのものであって、それを官が法律で介入するというのはどうしてもおかしいということで反対したんですね。  ところが、これ何と中央労働基準審議会で、これは御案内のように学者先生、連合、皆出ているわけですね、ここで決まったんです。それで、変な話ですが、某財界人は、中西さん、中基審で決まったからもうだめですよ、こう言われたんですが、私、商工会の近藤会長、中央会の会長その他とお話ししまして、それで四者が一緒になって労働省その他に働きかけをしましてこれをひっくり返したんです  ですから、これ大体商工会議所で自民党の先生方全国商工会議所の会頭に、ここでこういう話をしていいかどうか、ちょっとこれ差しさわりはあると思うんですが、お願いしてかなりの動きをしていただきました。これは一応労働省の思うようにはならないようなことをやりました。ですから、今後こういった大きな問題は御指摘のように大いに力を合わせてやるべきであると思います。  あとの、今後の方策いかんということでございますが、これは私も、原則論はやはり民主主義は多数決の論理が支配するわけですから、おっしゃるように本当は一本化がそれは理想でしょうね。ですが、これ一本化するのは果たして皆様どういうお考えなのか。私がここで軽々に、個人では意見を持っておりますが、ちょっと会議所として軽々には申し上げ切れない点があると思いますが、個人としてはやっぱり井上先生の御指摘のような方向に持っていって力を持たぬと、民主主義の世の中で多数決ですから、これはやっぱり政治的力を持たないと、何事も提案、提言だけではね。私は会議所の中で悪口を言っているんですが、坊さんのお経と神主さんの祝詞に近いんじゃないかと。むしろその後が大事だということを申しています。
  36. 芦田完治

    参考人芦田完治君) 今、中西参考人からおっしゃられましたが、四団体は、総理に陳情をされるときも一応四団体の長が皆行っておられますし、横の連絡も密にやっておられるわけでございますが、今後ともそれをやっていかぬと、井上先生のおっしゃるとおり確かだと思います。ただし、税制問題一つとっても、税制問題はもうこれ連絡をとってやっております。  ところが、さっきの御意見にしても、私余りしゃべらなかったんですが、租税特別措置法の見直し論議にしても中西さんの意見と私の意見は実際ちょっと違うわけで、私はあえて言わなかったんですが、租税特別措置の見直し論議については、これは新聞報道に出ておりましたが、現行の租税特別措置については私は維持してもらいたいという考え方を持っておるんです。そこら辺にやはり幾分の開きが出ておると。  しかし、大体の税制問題については、消費税の問題についてはこれは四団体皆一つで運動しました。それから大店法の問題についても、これも四団体一丸となって今やっております。それから労働問題、時短の問題、これもおっしゃるとおりでございまして、時短の問題を初め労働問題につきましては、これは皆一緒にやっておるわけであって、先生のおっしゃるように今後ともますますやっていきたいと思うわけです。  ここでひとつ先生から、それでも文句が出ないじゃないかというお話がございましたけれども、時短の問題にしても四団体のお力をいただいて、一応経過措置と申しますか、一部四十八時間特例というものを設けていただきました。御苦労をお願いしたわけですが、しかし現在の四十四時間制の問題、平成九年度四十時間になるわけですが、来年この運動をまた一生懸命やらにゃならぬということで、今これほど不況で本当に困っておるときにこの時短を労働省は盛んに厳しく言われるわけで、非常に我々は困っておる。  ところが、この時短の問題は、実際にそれじゃ今四十四時間をどういうぐあいに実施しておるかというのを先般岡山の労働基準局長に私聞きました。大企業は労働時間が長いんです、中小企業は労働時間が短いんですと、平均をとってそうなっておるというのを私はっきり聞きました。そういう実態でございます。それは岡山の労働基準局長言いましたよ、はっきりと。だから、一応大企業の方が労働時間が長いんで、中小企業の方が短い、平均をとってうまくいっていると先般の話で私聞いたわけです。  そういうところから見て、労働省の方ももう少し中小零細企業現状を、この景気の非常に悪いとき、今の現状をよく眺めて指導していただかぬと、一方的にどんどん走ってもらったんじゃ困るわけであって、私は労働省の行き方について遺憾な点があると。労働省自体がもう少し考えてやってもらわなければ困るというように私は考えております。  だから今後におきましても、この四十八時間特例も一年だけでございますから、来年もまた時短が問題になると思いますし、時間外労働賃金割り増しの問題はこれは決まっていますが、これらの問題も出てまいります。こういう問題についても団体は一緒にやっていかなければならない、これはもう確かです。  私は労働省の行き方については、これはこういうところで言うと失礼かもわかりませんが、あえて私は少し行き過ぎだと、中小企業の立場をもう少し考えてもらいたい、しかも現在の不況下の状況をもう少し認識してもらいたいという考え方を持っております。そういうことでよろしゅうございましょうか。
  37. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 井上計君の時間が追っておりますので、恐れ入りますが簡潔に御答弁をお願いします。
  38. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 今、井上先生から非常にいい御指摘をいただきましたけれども、私ども中小企業関係は、終戦後の段階におきましては中小企業を何とかしようということでいろいろ御指導いただきお力添えをいただいてきたわけでございます。その間、かなり経済もよくなった、高度成長が続いたというようなことでその団結が多少崩れたといいますか、それぞれ個々の方々の発想でやってきたということがございますけれども、きょう今日を考えますと、これは日本経済日本自体も非常に大きな転換期でございます。  したがいまして、そういうことを考えますと、きょう御意見を申し上げました問題もほとんど共通の問題が大半でございます。したがいまして、そういう観点から、ここで改めて私ども中小企業の団結を図って政治の方面にも強力にお願いをしなければいかぬ問題が山積しておるというふうに思うわけでございます。  ただ、規制緩和とかはいろんな方がおっしゃってみえるものですから、一体これがどこまで実施されるか。例えば、行革をおやりになると省庁がどれだけ残るんだ、地方分権になったら地方の権限はどうなるんだ、それに我々はどう対応するんだということが全く不透明でございまして、これは政治の方で早くはっきりしていただく必要があると思うわけでございます。そういう面を考えますと、ここで改めて中小企業がもう一遍団結してお願いすることはやらなきゃいかぬというような認識を持っております。  したがいまして、私ども今、商店街につきましては全国組織を通じましてその問題の浸透を図って、次の選挙のときにはそういうことをしっかりやっていただける先生を御支援申し上げたいというようなことも考えておるわけでございます。  事実、今まではどっちかというと、お願いしておってもなかなか先生方も事が多いので我々の問題に真剣に取り組んでいただけることが案外少なかったということもございますし、また環境もよかったということがございますのでまあまあで進んでまいりましたけれども、今日これからを考えると本当に不安を持っておりますので、そういう問題は我々四団体がきちっと力を合わせてお願いするなり、あるいは今我々商工四団体は、大臣がおかわりになれば省におきまして必ず懇談会をお開きいただくとか御要望申し上げるとかいうことをやってきておりますが、より一層強固にしていきたいと思いますので、先生方ぜひともお力添えをいただくようお願いを申し上げます。
  39. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 参考人皆様には本日は大変御苦労さまでございます。  まず、中西参考人にお伺いしたいと思いますが、参考人社長をしていらっしゃる株式会社ベンカンですね、一九八五年ごろには輸出比率が三〇%を超えるような輸出型企業であったようでありますけれども、その後の円高やあるいはアメリカのアンチダンピング提訴、これらによって輸出が減少した。その結果、対応の一つとして海外進出を行ったというふうに伺っているわけです。ちなみに、タイには丸紅との合弁ですか、タイ・ベンカン・カンパニー、それから英国には三菱商事との合弁で現地企業をつくっていらっしやるというふうに理解しておるわけです。  ところで、最近の円高のもとで一般の中小企業の海外進出もふえているようでございますけれども、現地法人の設立というのは非常にリスクが大きくて、また経営管理面でも労務管理などさまざまな問題を抱えているというふうに伺っております。そこで、さきに申し上げたタイとか英国に進出しておられる中西参考人の御経験からしますと、このような問題にどのように対応しておられるのか、まずこの辺ちょっと伺ってみたいと思います。
  40. 中西真彦

    参考人中西真彦君) 私どもが海外へ資本進出をいたしました動機は、今お話にありましたように輸出型企業でずっとまいったのですが、八〇年代、プラザ合意の前後から急激な円高になって、とても輸出がこのまま続行できないだろうという経営者としての先の見通しを立てました。そこで、これは現地進出する以外にないだろうということと、新規事業を今から興しておく必要があるんではなかろうかということで、新規事業へ、今で言うリストラをその時点から着手しました。したがって、新しい事業が今できておりまして、そっちの方は空洞化しても十分国内で仕事ができるようになっております。それが一つ。  対米の場合は、ダンピング提訴を受けまして、アメリカ商務省の調査でこれは全面的にストップしたわけですね。対米が一番多かったわけです。これは変な話ですが、私ども陰口をきいているんですが、陰口というとおかしいんですけれども、社内で話し合っているんですが、自動車の場合は数%落ち込んであれだけの大騒ぎを国がしてくれるわけです。私どもは全面ストップしたんですね、全面ストップ。全面ストップということは、全売り上げの、そうですね、あのころ二〇%ぐらいいったでしょうか。ですから、これはもう本当は企業にとって生きるか死ぬかの大問題なんですが、中小企業はそれほど国も騒いでくれませんし、新聞も騒いでくれないわけで、みずから対応せざるを得なかった。  この辺のダンピング提訴も、ずばり一言で言えば、まあ西部劇の縛り首裁判のようなところがあるんですね。もうああいうものはいかようにもなるわけですから、国内価格と輸出価格価格差がどのアイテムを取り上げてくるかということによって物すごく開くわけですね。そして、もう一気に六〇ぐらいの課税をばんとかけてきたということです。ですから、これはもうだめだと。  海外へ進出して古いものはもう五、六年近くなりますが、御質問の、まず海外運営で一番難しいのはやっぱり労働問題です。これは御案内のように英国あたりは非常に労働組合が強うございまして、それも職能組合で皆職種ごとに違います。そして、かつての英国の労働党華やかなりしころの慣行が残っていまして、やっぱりユニオンが非常に強いです。まず一番の特色は休日が非常に多いですね。一カ月平均実働十五、六日前後です。  これは英国の閉ざされた分野でのマーケットだけならそれはそれでいいんでしょうが、今やマーケットはボーダーレスです。したがって、例えばASEANのそれこそ三十日フルに働く日本の何十分の一の低い給料でできた商品がなだれを打ってヨーロッパやアメリカに上がってくるわけですね。これはもう絶対に勝てません。  そこで、組合と話をして労働時間をアップするということをやらざるを得ない。場合によれば解雇も辞さずということで、英国の会社で私は百人ぐらい解雇しました。テレビが来て、騒ぐぞ、取り立てるぞとやったけれども、どうぞテレビに放映しろということで開き直ってやったんですが、別に大騒ぎにならなかったです。そういうことを腹をくくってやらぬと海外進出はなかなか難しゅうございますね。  それから、タイなんかの場合は、これは本田の河島元社長ときのう話しておったことですが、いろいろ教えるわけですよ、現地の人間に。本田さんもそうおっしゃいましたが、技術者を、大卒を一生懸命教育する。しばらくすると、それがある日突然いなくなる。そして、こともあろうにコンペティターのライバル会社へ引き抜かれる。あれ自分で行くんでしょうな。  私どもの場合は、やはりタイで三百人ぐらい使っておるんですが、この一番早い方法は、日本のマザーカンパニー、工場に持ってきて、そして教育するというそれをやったんです。ところが、これが今にしてほとんどいません。なぜかというと、日本に行って研修をしてきたということが彼らの勲章になるわけですね。そして、高いレーバーでどんどん移動していく。  この辺が、余り新聞にも書かれないですが、やはりこの労務問題が日本企業が海外進出した場合に非常に大きい。要するに、日本的な労使慣行というか、もう一つ言えば日本の文化ですね、そういう人間関係というか、いい悪いは別にしまして、要するに日本だと恩になった者に報いるというある種のそういう文化がありますが、余りなくてドライですね。その辺にどう対処していくかという問題が非常に私は難しい問題だと。  ほかにもいろいろありますが、時間の都合もございますので。
  41. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 いろいろと伺いたい点が実はたくさん私もございますが、本当にきょうは時間の都合がありますので、次に譲らせていただきます。  大河内参考人、従来、製版とか印刷それから製本等、地場産業としてのイメージが強かった印刷業界ですけれども、近年、地価の高騰による地上げの横行であるとか、あるいは労働力の不足であるとか、あるいは後継者難とか、あるいは設備の大型化とか技術革新等いろいろありますね。こういったことに対応して、都心から離れて新しい工業団地の方に移転したり、また企業中心のカタログ類など、商業・事務用品印刷の比重というものは拡大しているように私は思うわけです。  このように、今後とも印刷業界を取り巻く環境というのは非常に大きく変化していくものと思いますけれども、サービス化とかあるいは情報化に向けて業界としてこれからいかなる展望を持っておられるか、またどのような対応を考えておられるのか、この辺についてちょっと伺っておきたい。
  42. 大河内信行

    参考人大河内信行君) ただいま先生からの御質問を伺っておりますと、確かに大型化とか高速化とか、いろんなことで都市産業でございます私ども印刷業界も都心に生産基盤を持つことができない。したがいまして、どんどん郊外に出ていく。そういうような過程の中で、非常に業界の中の規模の分化が生じたわけでございます。  それはそのとおりでございますが、ここへまいりまして、御案内のように私どもの業界は今情報加工産業というふうな位置づけをもちまして、昨年の十二月十三日に第四次の構造改善事業の認可をいただきました。これから約五年六カ月にわたりまして今事業をやっております。  その一番大きな内容は、もう社会はディジタルを無視して生きていけないと。特に私どもの印刷業で一番大きな力は文字の独占でございました、活字文字の。したがって、皆様方が印刷物にしようということになると印刷屋へ頼まなきゃどうしようもなかったのが、御案内のようにタイプライターになり、写植になり、そして今日もうディジタル化してしまった。そして、そのディジタルも、文字だけじゃなくして、今度は図形から写真まで全部入る御案内のようなマッキントッシュが今一般化しておるわけでございます。したがって、お客様からいただく入稿の原稿はフロッピーなのでございます。したがって、私どももそのために電子化を進めなきゃいけない、こういうようなことで今業界は一斉に電子化のための技術の習得に励んでいるわけでございます。  ちなみに、一週間ほど前、私、愛知県でございますが、約五百三十社ほどの組合員がございます。ここで電子化からマルチメディアへというようなテーマで講演会、研修会を開きました。約二百三十名の皆さんの参加を得たわけでございまして、そういう意味で非常にもう最先端を行っていると。恐らく、これから二〇〇〇年のマルチメディア社会の中におきましては、私ども産業が残れるのか、またそのメディアの中に包含されるのか、こういうような大変大きな危惧を持っているわけでございます。  技術革新のテンポが非常に厳しゅうございます。したがって、生産設備は全面的なコンピューターになっておりますから、これの陳腐化が今三年から五年ももたないというような状態でございます。また価格も、今申し上げましたマッキントッシュを入れますと大体五千万ぐらいになる。これはあくまでも前の工程でございます。私どもは印刷物を刷ってお金をいただくので、刷る前の工程にそれだけの金を入れなきゃならぬということでございます。  私どもは今、先ほど先生もお話しございましたように、租税特別措置法があるから何とかこれでということでございますが、こういう問題が統合化されましてなくなってまいりますと、どうしても適正な耐用年数をひとつ付加していただきたい。したがって、先ほど井上先生もおっしゃいましたけれども、十年なんというような耐用年数ではとても投資ができない、こういうことでございます。  以上でございます。
  43. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 ありがとうございました。  それでは、時間の関係がありますので、山本参考人に。簡単明瞭で結論をしっかりおっしゃっていただければ結構でございます。  商店街が非常に今やいろんな問題に直面していることはもうお互いに御承知のとおりでございますが、商店街を活性化させる対策の一つとして、アーケード建設とかカラー舗装とか、いろいろありました。これはハード事業ですね。それから、スタンプ事業とかイベント事業というソフトな事業、こういったものも行われております。  この商店街ハード事業というのは、一時的には来客数の増加といいますか、こういったものはもたらすかもしれませんが、その効果というのは非常に短期間であるという指摘があるようです。これに対して商店街のソフト事業について言うならば、現在の顧客の固定化を図る、そしてまた新規のお客を呼び込むという上で効果があるのではないか、そういうことで今ソフト事業の重要性というのが非常に指摘されているわけですね。  今後、商店街の一層の振興を図る上で、このソフト事業の必要性というものについてどのように今お考えになっておられるか、またそのための対応策といいますか、御要望といいますか、そういったものがありましたらひとつ伺っておきたいと思います。
  44. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 今、先生のおっしゃいました個店の経営者がしっかりそれを自覚して対応するという面と、それから全体の商店街をどう活性化させるかということになりますと、これははっきり申し上げまして都市計画、町づくりの視点から、市当局が、これだけの人口で大体商業集積はこのぐらいのもので何カ所必要なんだというような、これは都市計画、町づくりの視点ですけれども、そういう面でセットしていただいて、それにそこそこの規模でやっぱり集約をしないと、従来のような自然発生的なあり方ではいつか大型店が出てくるだろうし、出てきたときにはパアになっちゃうということにもなります。ですから、大型と中小のすみ分け、それから地域の分業制度というようなこともひっくるめてこれはお考えをいただかぬと。  私、先般、通産省の商務流通審議官の方に申し上げたんですけれども、大店舗法を緩和するとか緩和せぬとかそんなことだけでいいのかと。二十一世紀に向かって二次産業が悲しいかな空洞化します、先進国は。そうすると、これは三次産業で何とか埋めぬと活性化しない。そこの中で商業集積はどういう位置づけになるんだ、それに対してどういう施策を講じていただけるのか、ここまで考えていただきたいということを申し上げたんですけれども、もう今そういう時点に来ております。  と同時に、先ほど申し上げましたけれども、商業集積というものはやっぱり市民の憩いの場である、買い物の場でもあるということを考えますと、各市においても、どの程度が必要だ、それを大型店だけに任せてしまってやりたいことをやらせておるのかということで今まで来ましたので、町が破壊される。要するに大型店のペースによる町ができるというようなことになっておりますので、そういう基本的な問題をこの際お決めいただきたいということをお願いして、今、産構審・中政審合同会議で検討をしていただくということになっておりますけれども、私どももそこまで踏んまえてこれからいかなければいかぬというふうに思います。  ということになりますと、零細化した中小の小売店がすべてを負担してやれる問題ではございません。したがいまして、そういう面から見れば、今度の予算関係におきましても都市の整備というかそういうような方向にも予算がつけられておりますので、その中の一環でそういうものを再構築していただくということをお願いしておるわけでございます。
  45. 中川嘉美

    ○中川嘉美君 芦田参考人に対しましてお伺いしようと思ったことは先ほど来の御意見の中でもう御説明いただいておりますので、きょうは割愛をさせていただきます。  終わります。
  46. 市川正一

    ○市川正一君 私、日本共産党の市川でございます。きょうは御苦労さまです。  実は、私の持ち時間は参考人の皆さんとのやりとりを含めて十分です。ですから、まともにやりとりをしていますと時間がございませんので、まことに失礼でございますけれども、一問に絞って四人の方の御意見を承りたいというふうにお許し願いたいと思います。  その前に、これは質問ではございませんが、中小企業の直面する問題の打開の一つの方向として私どもの考えていることをこの機会に申し述べると、ルールなき資本主義とも言われておりますけれども日本の大企業の目に余る横暴なやり方、特に今日的に申しますと、深刻な不況や異常な円高のもとで大企業リストラという名のもとに産業空洞化を急激に進行させている。  私、この間もトヨタ自動車の現場へ参りました。そして、猛烈なコストダウンを下請中小企業、労働者に押しつけておる、こういう事態にやっぱりメスを入れて、雇用や中小企業地域経済を守るための必要な規制を行う、そして社会的責任を果たさせることが必要ではないかということを痛感してまいりました。  ヨーロッパでも、EUで既にそういう方向への模索が現実のものになってきておりますけれども、きょうの皆さん方のお話を伺いながら、やはりそこらのところへ接近していくといいますか、これからいろいろそういう共同の検討をする必要があるなということを私感想として申し述べた次第であります。  さて、本論の質問でありますが、大店法の問題です。  皆さん方四団体連名で出店規制緩和に対する要望書をお出しになっていましたし、また特に山本参考人の所属していらっしゃる全振連は、引き続き十一月にもそういう要望書を提出されました。九一年の大店法の改悪によって、出店ラッシュというのはもう皆さんがよく御存じですが、第一種で千四百四十四店、千百七十二万平米と、この十年間分の出店に相当するものが集中的に出されている。そのシェアは三五%とも言われておりますが、第二種を加えますと五〇%を超える事態になっております。  こういうことに対して大手の方はどう見ているのかというと、ことしの八月の月刊消費者信用を拝見しますと、坂倉日本百貨店協会の会長が、大店法の規制は実質的に意味のないものになっていると、こううそぶいておられる。それを紹介された日経のある記者でありますが、彼は大店法は既に張り子のトラになっているということまで言っておられる。私はこれはゆゆしき発言だと思うのであります。  しかし実態は、こういう発言が横行しているほど大店法の審議が形骸化されている。出店が問答無用で促進される。そして、第一条の目的、共存共栄というのが無視されているということを私、各地の状況を聞きますと実感するのでありますが、そういう点の御認識はいかがでしょうかということを四人の方に承りたい。  それからもう一つは、大店法では調整四項目が御承知のようにあります、開店日、店舗面積、休日、閉店時間。さっきのお話の中でこれが守られなくなってきているとおっしゃいましたけれども、同時に、私はそれだけではなしに、さっき芦田参考人が、商店街というのは公共財だ、また文化財だと、こうおっしゃったんですが、まさに私、我が意を得たりと思うのであります。そういう立場からすると、やはり環境、交通あるいは高齢化社会の問題等々を十分配慮して、町づくり、いわば文化財でありまた公共財である町の商店街、これを大事に育てていく、こういうことが必要だろうと私は思うのであります。  以上、大店法関係の二点についてお時間の許す範囲で結構でありますから御見解を承りたい。  以上であります。
  47. 山本勝一

    参考人山本勝一君) 市川先生、非常にありがたいお言葉をいただきましてありがとうございました。  私どもも全くそのような考えを持っております。何といいましても規制緩和、原則自由ということで、経団連関係にももう一遍見直せというようなことも言われておりますけれども、先ほど申し上げましたけれども、調整四項目につきましても、はっきり言って休日は二十四日になりました。ということは月二日前後です。それから、営業時間というものは原則八時、場合によれば九時までもいいんだというようなことで、非常に大幅に緩和されましたし、それから千平米まではもう関係ないんだ、おそれなしというようなことになっておりますので、今調整項目で私どもが勝手をさせていただくのは規模と開店日だけです。  ですから、これにつきましては、大店舗法がある以上これである程度調整をさせていただいて、不当な出店についてはこれをきちっと調整していただきたいということでお願いをしておるところでございます。これは各通産局に国の機関ということで大店番がございます。そこで適正な調整をやってほしいということをお願いしておるわけでございます。  ここまで来ると、やっぱり大型と中小のすみ分けといいますか、大型店といえどもはっきり言うと私らと同じようなもので、メーカーのつくったものを売っておるということでございます。ここへきてダイエーさんが洗剤とかビールで若干安売りをやってみえるんですけれども、本当に安いものを売るとなると、これは構造的な面も考えないとやれない問題です。それを部分だけを取り上げて、おれらが消費者のためになっているんだというようなことは通ることじゃございませんので、そういう面においては、私どもは大店舗法はこれ以上の規制緩和なんというのはもってのほかだということで、これはぜひとも確保していきたいと思いますので、先生方もひとつ御理解をいただきたいと思います。  先ほど中川先生からお話ございましたけれども、地上げによって空洞化しておるんですね。それで町が寂れていく。しかも土地が高い、税金が高いというんで各市の中心部がどうしても空洞化していく。これを何とかしなきゃいかぬという問題も一つございます。よろしくお願い申し上げます。
  48. 大河内信行

    参考人大河内信行君) 今、先生の御指摘のように、大店法の影響だけではなくして、これも大きな意味の規制緩和一つだと思います。先ほども御説明しましたように、私ども印刷業界は都市産業でございまして、成熟した都市機能の中に初めて受注が発生するというような業種でございます。現に、現在大店法の影響を受けまして都市内における受注は漸減している、こういう現況にあるわけでございまして、今お隣の山本さんでございませんが、大店法の行方は私ども都市内における営業者の将来を大きく左右する問題、そういうふうに受けとめております。
  49. 芦田完治

    参考人芦田完治君) お二方からもうお話ございましたので、私これ以上申し上げませんが、非常に残念でございます。五月一日から改正の分が実施されておるわけでございますが、これは簡単に申し上げまして基本的な枠組みは変わってないわけでございます。問題は、基本的な枠組みという問題があるわけで、これが変わっていないということで、一応今後もうこれぐらいでひとつ防御していただきたい。もちろん我々の自助努力も要りますけれども自助努力も十分要るが、もうこれ以上のことはやってもらっては困るというように考えます。  以上。
  50. 中西真彦

    参考人中西真彦君) 皆さんおっしゃいましたので、大体似たところでございますが、私はこの問題は、一つは消費者の利益に立って考えるという視点と、中小の商業者の保護という視点で考える考え方と、これは相矛盾するわけですね。この二つの問題が絡んでいるのが大店法である、こう理解しております。  そこで、私は大筋は、やはり規制撤廃の流れはこれはボーダーレスの経済でやはり進めていかざるを得ない、こう思っております。現に、日本の流通は足が三つも四つもありますが、これは雇用問題が大きく絡みますが、やはりいずれこの足を短くしていかないと日本は国際競争の中で生き残れぬだろうと思っております。  しかしながら、これはさっきお三方がおっしゃるように、会議所もそういう意見が大いに強いんですが、一気にこれは死なせたんじゃ非常に困るわけでして、やはり激変緩和措置といいますか、ソフトランディングといいますか、その辺をじっくりと考えてやっていただくのが政治ではなかろうか、こう思いますので、その辺よしなに御配慮をお願いしたいと思います。
  51. 石渡清元

    委員長石渡清元君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、大変御多忙のところをわざわざお越しいただき、当特別委員会意見を開陳していただきまして、本当にありがとうございました。これからも貴重な御意見をぜひ参考にさせていただきたいと思います。委員会を代表いたしまして一言御礼を申し上げます。ありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十五分散会