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1994-06-01 第129回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月一日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 山口 鶴男君    理事 衛藤征士郎君 理事 中川 秀直君    理事 野中 広務君 理事 深谷 隆司君    理事 月原 茂皓君 理事 山田  宏君    理事 後藤  茂君 理事 中西 績介君    理事 草川 昭三君       伊藤 公介君    江藤 隆美君       小澤  潔君    越智 伊平君       後藤田正晴君    近藤 鉄雄君       佐藤 信二君    志賀  節君       島村 宜伸君    関谷 勝嗣君       高鳥  修君    武部  勤君       東家 嘉幸君    中山 太郎君       水野  清君    村田敬次郎君       村山 達雄君    谷津 義男君       柳沢 伯夫君    若林 正俊君       綿貫 民輔君    岡島 正之君       川端 達夫君    工藤堅太郎君       笹山 登生君    鮫島 宗明君       高木 義明君    長浜 博行君       二階 俊博君    広野ただし君       松沢 成文君    山田 正彦君       山本 幸三君    吉田 公一君       伊東 秀子君    坂上 富男君       鉢呂 吉雄君    細川 律夫君       三野 優美君    東  祥三君       石井 啓一君    長内 順一君       北側 一雄君    久保 哲司君       竹内  譲君    谷口 隆義君       福島  豊君    山名 靖英君       渡海紀三朗君    穀田 恵二君       松本 善明君  出席国務大臣         内閣総理大臣  羽田  孜君         法 務 大 臣 中井  洽君         外 務 大 臣 柿澤 弘治君         大 蔵 大 臣 藤井 裕久君         文 部 大 臣 赤松 良子君         厚 生 大 臣 大内 啓伍君         農林水産大臣  加藤 六月君         通商産業大臣  畑 英次郎君         運 輸 大 臣 二見 伸明君         郵 政 大 臣 日笠 勝之君         労 働 大 臣 鳩山 邦夫君         建 設 大 臣 森本 晃司君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     石井  一君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)熊谷  弘君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 石田幸四郎君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      佐藤 守良君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 神田  厚君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      寺澤 芳男君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      近江巳記夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 浜四津敏子君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 左藤  恵君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第一         部長      津野  修君         人事院事務総局         管理局長    山崎宏一郎君         国際平和協力本         部事務局長   鈴木 勝也君         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         審議官         兼内閣審議官  上村 知昭君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       根本 芳雄君         総務庁行政管理         局長      八木 俊道君         防衛庁参事官  萩  次郎君         防衛庁長官官房         長       宝珠山 昇君         防衛庁防衛局長 村田 直昭君         防衛庁教育訓練         局長      上野 治男君         防衛施設庁長官 米山 市郎君         防衛施設庁施設         部長      江間 清二君         防衛施設庁労務         部長      小澤  毅君         経済企画庁調整         局長      小林  惇君         経済企画庁物価         局長      谷  弘一君         経済企画庁総合         計画局長    吉川  淳君         科学技術庁科学         技術振興局長  新  欣樹君         科学技術庁研究         開発局長    石井 敏弘君         科学技術庁原子         力局長     石田 寛人君         科学技術庁原子         力安全局長   笹谷  勇君         環境庁企画調整         局長      森  仁美君         公安調査庁長官 緒方 重威君         外務大臣官房長 池田  維君         外務大臣官房領         事移住部長   畠中  篤君         外務省総合外交         政策局長    柳井 俊二君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 林   暘君         外務省アジア局         長       川島  裕君         外務省北米局長 時野谷 敦君         外務省欧亜局長 野村 一成君         外務省経済局長 原口 幸市君         外務省条約局長 丹波  實君         大蔵大臣官房総         務審議官    田波 耕治君         大蔵省主計局長 篠沢 恭助君         大蔵省関税局長 高橋 厚男君         大蔵省理財局た         ばこ塩事業審議         官       寺本  泉君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆俊君         国税庁次長   三浦 正顯君         文部大臣官房長 吉田  茂君         文部省初等中等         教育局長    野崎  弘君         文部省学術国際         局長      佐藤 禎一君         文化庁次長   林田 英樹君         厚生大臣官房総         務審議官    佐々木典夫君         農林水産大臣官         房長      高橋 政行君         農林水産省経済         局長      東  久雄君         農林水産省構造         改善局長    入澤  肇君         農林水産省農蚕         園芸局長    日出 英輔君         農林水産省食品         流通局長    鈴木 久司君         食糧庁長官   上野 博史君         通商産業大臣官         房長      牧野  力君         通商産業大臣官         房審議官    稲川 泰弘君         通商産業省通商         政策局長    坂本 吉弘君         通商産業省環境         立地局長    高島  章君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         工業技術院長  柏木  寛君         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         中小企業庁長官 長田 英機君         運輸省自動車交         通局長     越智 正英君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       樋口 忠夫君         運輸省航空局長 土坂 泰敏君         郵政大臣官房財         務部長     楠田 修司君         郵政省放送行政         局長      江川 晃正君         労働大臣官房長 征矢 紀臣君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 藤川 寛之君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     佐野 徹治君         自治省財政局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)三重野 康君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     武部  勤君   村山 達雄君     佐藤 信二君   柳沢 伯夫君     水野  清君   工藤堅太郎君     広野ただし君   田名部匡省君     吉田 公一君   石井 啓一君     山名 靖英君   北側 一雄君     福島  豊君   谷口 隆義君     長内 順一君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 信二君     村山 達雄君   武部  勤君     江藤 隆美君   水野  清君     柳沢 伯夫君   広野ただし君     工藤堅太郎君   吉田 公一君     山田 正彦君   長内 順一君     竹内  譲君   福島  豊君     北側 一雄君   山名 靖英君     久保 哲司君 同日  辞任         補欠選任   山田 正彦君     松沢 成文君   久保 哲司君     石井 啓一君   竹内  譲君     谷口 隆義君 同日  辞任         補欠選任   松沢 成文君     田名部匡省君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  平成六年度一般会計予算  平成六年度特別会計予算  平成六年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山口鶴男

    山口委員長 これより会議を開きます。  平成六年度一般会計予算平成六年度特別会計予算平成六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部勤君。
  3. 武部勤

    武部委員 おはようございます。  総理はお忙しい中、よくつじ立ちをやっておられるようでありますけれども、これは非常に結構なことだと思います。しかし、御自身のことを、お考えを訴えることも大事ですけれども、国民が何を今一番政治に求めているかということを的確にとらえて、そしてそれに迅速に対応するということが非常に大事だと思うのですね。  我々、地元へ帰りますと、予算はどうなるんだということを、特に北海道はすぐ冬が来てしまいますから深刻です。私は、その予算のことについてはきょうはあえて言いませんけれども、我々が説明しているのは、とにかく細川前政権は、我々が予算を年内に編成すべきだと盛んに言ったにもかかわらず、それをおくらせて、そして三月四日になって初めて国会に上程されたんだ、そして四月八日には突然退陣表明というまことに無責任きわまりない、そういう言動があって、それで今日おくれているんだということを説明しますけれども、もう一つ問題になっているのは、過積載の問題であります。  予算がいつ上がるのかということと、もう一つ非常に深刻な問題になりつつある、特に、秋の収穫期ですね、一次産業北海道は、農業、林業、漁業、今からもう車の手配もできないということで大騒ぎです。この過積載の問題について、総理はどのような御認識をお持ちか、まずそのことをお聞かせいただきたいと思います。
  4. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 過積載の問題につきましては、今回の道路交通法、これの改正によりまして取り締まりに努めておるところでございますけれども、この問題につきましては、重要性認識しながら、関係各省ともこれを督励しながら、さらに改善に努めていきたいというふうに考えておるところであります。
  5. 武部勤

    武部委員 総理に詳しいことをお尋ねして答えを求めるのは無理かと思うのですが、ちょうどこの問題は、タイ米輸入によって、消費者皆さん方が米はどうしたということで大騒ぎしたことに似ている問題が潜んでいるのではないか、こう思うのですね。これは、総理答弁からしますと、基本的にはそういうことだと思うのです。  しかし、これはもう一度確認しておきたいと思うのですが、現実問題として、許される積載量よりもはるかにオーバーして運送業者荷物を積んでいる。このことについて、安全対策上問題があるとして、五月十日、改正道交法施行に伴いまして、極めて厳しい取り締まりが行われているわけであります。しかし、そのことによって安全性の問題がきちっと確保できるというならいざ知らず、結局積み過ぎている荷物を規制されている範囲で輸送するということになりますと、一回で運んでいたものを二回、三回で運ばざるを得ない。結局スピードを出し過ぎる。そして交通安全上問題が生ずるということもありましょう。  それから、先ほども言いましたように、秋の収穫期になりますと、特に総理農業に造詣の深い方でありますからよくおわかりと思いますけれども、例えば、八月には麦の収穫期が来ます。通常、今でも二、三十台、麦乾センターの前にトラックが並んでいるんですね。それはなぜかというと、麦は雨が降ると穂発芽が生じますね。ですから、本当に一分一秒をせいて、一刻も早く荷をおろして、そしてまた畑に行って、そして麦を積んでまた運ぶということになりますと、この秋、八月、収穫期になりますと大混乱を生ずるんじゃないか、こう思っております。  さらには、漁業についてもしかりですね。腐ってしまう。この間、私はある市場に参りまして、やはり最近は生鮮食料品は随分鮮度が落ちているということで消費者からいろいろ苦情が出ている、そういう話も聞いていまして、これも大きな問題になる。  さらには、木材の関係でいいますと、ラワン材、あれ一本どの程度の重量があるかと私も調べてみたのですが、五、六立方ですね。適載量ですと、大体ラワン材三本か四本しか積めないということになるわけですね。  ですから私は、決まり決まりとして守らなければならないけれども、例えばラワン材なんかの場合には、水分を含んでいると、すぐ三百キロ、五百キロ重量がオーバーしてしまうのですね。最近は六十キロで取り締まられた。ですから、その運送業者の方いわくは、スピード違反だって六十キロ制限であっても十キロぐらい幅を持ってやっているんじゃないのか、ですから、六十キロや三百キロオーバーしたからといって、もう少し猶予というものは考えられないのかというような、そういう注文を我々受けるわけです。  ここで、私は確認のためにそれぞれの大臣から御答弁いただきたいと思いますけれども、まず運輸大臣から、この問題についてどのように御認識をされ、どのような対応を考えておられるのか。その次には農林大臣にも、特に前のトラック協会の会長でもありますから、この点についてお伺いしておきましょう。
  6. 二見伸明

    二見国務大臣 過積載のことにつきましては、武部先生も相当詳しいけれども、この問題は、恐らく代議士でこの問題に全く関係のない人はいないぐらいだと思います。過積みで捕まったから何とかしてくれという要請は日常茶飯事です。五月十日の法改正以来さらに厳しくなりましたから、そういういろいろな不満や何かがあることは私もよくわかります。  だけれども、さはさりながら、私も頼まれれば、その人は事情はいろいろある、わかるけれども、しかし法律は曲げるわけにいかない。泣くような思いでもってお断りをします。  私は、過積載防止というのは事業者の基本的な、守らなきゃならない義務だと思う。やはり守らざるを得ない。ただ、過積みをするその社会的背景というのも私はわかります。いろいろある。荷主運送業者との力関係がまずある、そのために過積みしなければやっていかれない。この問題は何とかしなきゃなりません。ですから、今度の法改正では、今までは運送業者だけだったけれども、今度は荷主の方にも責任を持ってもらいます。そうなりました。  また、おっしゃるように、ある期間に魚を運ばなきゃならない、野菜を運ばなきゃならないという、そのときはもう過積みして運ばなければ間に合わないというような社会的背景があることはよくわかるけれども、そうしたことをわかった上で、なおかつ過積載防止に我々としてはやはり取り組まなきゃならない、その苦しい立場も御理解をいただきたい。やはり決めた以上は、これは守らざるを得ない。  それは二十五トンを三十トンにすれば、四十トンにすればいいじゃないかという議論はある。じゃ、それを支えていく、車の方はそれで大丈夫だとしても、橋もある、道路もある、すべてのところはそれで安全なのかというと、別の面で必ずしも安全ではない。  そうなると、最高二十五トン、これは守っていただく以外にはないというふうに実は考えているところでございます。それはいろいろ事情はわかるけれども、守ってもらう以外にないというふうに考えております。
  7. 加藤六月

    加藤国務大臣 食料品農産物等を運搬してやるわけでございますが、過積載問題というのは、トラック運送事業についてはいつまでも続く問題である、こう思っております。  しかし、冷静に考えてみますと、過積載しなくても十分な採算がとれ、業として成り立つトラック運送事業にならないといけない。それが、過積載をやり、スピード違反をやるというところに、今日の日本の経済一般の矛盾、問題点がある。私はこの点について常に悩み、また、してはならないという指導を一生懸命やってきておるわけでございます。  特に、少しの過積載をする人によって、逆に、道路利用の場合にはトラック道路を壊す、トラックが橋を壊す、こう言われておるというところも、多くの道路を使う全体の利用者のことも考えなくちゃいけない。  しかし、さはさりながら、したがって、道交法改正のとき、いつも議論いたしておるのは、荷主責任というものをどうやるか。運転手責任ではないよ、荷主責任をどこまで持たすかという議論、これはまた、今後法改正議論をする場合に、私たちが幅広く議論していかなくちゃならない。  要は、過積載をし、スピード違反をしなければ成り立たない業というのが情けない、これをどうやって正していくかというところが私は一番の基本である、こう考えておるところでございます。
  8. 武部勤

    武部委員 今運輸大臣からは、二十五トンという話がありましたよね。私も当時党の交通部会長で、道路財源確保のために軽油引取税の値上げをすべきだというときに、私は反対しました。反対したことによりまして、随分えらい目にも遭いましたよ、正直申し上げて。しかし、国際的な現況に照らしても、道路橋梁等整備を急いで、そのためにまた軽油引取税引き上げもやむを得ないというような考え方から、運輸省建設省が話し合って、二十トンを二十五トンにということになったわけです。  しかし、実際私もそこのところまでは気がついていなかったのですけれども、橋の構造からいって耐荷限度というのが、二十五トンの車が四台並んだらもたないんだということになっているんだそうです。ですから、ホイール幅五・五メートル以下は従来どおり二十トンだ、こういうことですから、実際には、我々はだまされた、こういう印象を業界の皆さん方あるいはトラック運転手の方々は持っているのですね。  しかし、仮に北海道あたりで、トラックが四台連なって走るという道路があったら教えてください、建設省。そんなところはありませんよ。だからそれが、一般国民皆さん方が極めて官僚的とか便宜的とかという批判になっているのですよ。なぜこれは二十五トンにできないのですか。  私は、確かに道路整備、これは急がなければならないと思いますし、橋梁についても今までの過積によって相当傷んでおるんだろうと思います。人によっては、落ちたところを見たことがないと言うのです。それは落ちたら大変な話なんですから。それは、限度が来て、四台乗っかったから落ちるという話じゃないので、何回もそんなことが続いたら落ちるということを言っているわけでしょうから。ここのところは率直な道路利用者の疑問ですよ。しかも道路財源はみんな石油税じゃないですか。それで協力しているのですよ。  しかも、今までいろいろ御答弁がありましたけれども、二十五トン車というのはもう開発されているのですか。出ているのですか。五月十日から法律が施行されて厳しく取り締まりを行っております。しかし、二十五トン車などという新しい車種はまだ出ていないのですね。ですから、そういったところは、常に、何でもある程度の猶予期間というものはあっていいはずですよ。  そういうことについて、私は建設省にお伺いしたいと思うのですが、これはわかるように説明してください。なぜ二十トン車を二十五トンにしてはいけないのか、ホイール幅五・五。そんなこと、もう全然徹底してないですよ。  我々自身も、これは不勉強だったかもしれないけれども、軽油引取税引き上げのときに、二十トンを最大二十五トンにする、それによって経済効果は四千億円ある、そういう話を聞いて、皆さん方に説明をし、御了解を願った。そのくらいのことができないのですかね、少なくとも新しい車両が開発されるまでとか。やはりこれは建設省も、一遍に橋がどどんと落ちるわけじゃないと思うのです。この辺のところはどうなっているのか、納得のいくように説明してください。
  9. 森本晃司

    森本国務大臣 武部委員の御質問に対してお答えさせていただきたいと思います。  道路あるいは橋梁の安全という面を考えましたときに、いろいろな角度から審議会等々でも御検討いただきまして、それで今委員がおっしゃったように、二十五トン、あるいは五・五メーター以下は二十トンというふうなままで残っているわけでございますが、仮に橋の長さを四十メーターといたしますと、車両が長い場合、二十五トンで十一メーターという、前の車両真ん中から後ろ車両真ん中まで、この距離を十一メーターと計算いたしますと、四十メーターの橋で三台少々という形になります。仮に、二十トンが前の車両から後ろ車両センターまでを九メーターといたしますと、四十メーターの橋でこれは四台が並ぶことになります。これを二十五トンにいたしますと、橋梁が非常に耐えがたくなってまいります。  そういった意味で、今二十トンということに据え置いておるわけでございますけれども、さらにまた、北海道は特別な事情じゃないかとおっしゃる意味もわかるのですが、車両が走る時期、あるいは連なって四台が一緒になるということも想定されるときもございますので、この橋あるいはこの地域によって異なるということは、やはりつくりがたいんではないかな。最大安全度橋梁の安全という面から考えて今のような状況になっている次第でございます。
  10. 武部勤

    武部委員 建設大臣も、公明党の一国会議員としてはそんな話はしないはずなんですね。  このことばかりで私は時間をとっているわけにはまいりません。ですから、別の機会にまた突っ込んだ議論をしなきゃならぬと思いますよ、これは。  二十トン車を二十五トンにするだけで四千億円の経済効果があると言われたのですよ。逆効果はどうなるかということですね。これは、生鮮食料品、木材だってそうですよ。木材を運ぶトラックだって、業界が二メートル十センチのステッキを一メートル七十にしている。何が目的なんだということを、もう一度私はこれは警察当局に確認しておきたい。  過積載をやっちゃだめだ。二倍も三倍も積んでいるのは、それはわかりますよ、その答えは要らない。仮に、六十キロオーバー、百キロオーバー、それでもう検挙されて過積載で六点、これは減点というより罰則ですからね。罰金取られるのだ。反則金とは違うのですね。そういうことまでして、社会が混乱し、経済が混乱し、それでなくても景気が悪い。一次産業なんというのは大変な不況産業ですよ、木材業界などは。まず、何が目的なのかということ、これを国民にわかりやすく説明していただくことが一点。  それから、総理に、私は最後に御答弁いただきますが、我々自由民主党も、私は交通部会を仰せつかっておりますけれども、過積載問題に関する小委員会というものを設置しまして、今ありとあらゆるデータを集めて分析することにしているのです。例えば、外国の輸入コンテナは、現に四十トン以上のものがあるわけですよ。それは外国に行ったら、私も欧州運輸大臣会議に出席したときには七十トンのことが問題になっているのですよ。だから、国際化、国際化と言うなら、これから輸入をふやせと言うならば、輸入のコンテナを積めないような、そういう日本のルールでは対応できないのじゃないかと思うのです。まだまだたくさんあります。  ですから、これは一度、過積載問題というのは、米のときの騒動のようになりますから、これははっきり。特に荷物が集中する秋ごろですね。今建設大臣が、ルールとしてというような極めて官僚的な御答弁がございましたけれども、そんな単純なものじゃない、私はそう思うのです。ですから、これは総理、政府部内でこの問題を深刻に受けとめて、いろいろな社会問題、経済問題、さまざまな問題を含んでおりますから、その検討を指示するということをここに明確にお答えいただきたいと思います。  その前に、ひとつ警察当局に、どういう趣旨でやっているのですか。もっとわかりやすく質問すると、これは自治大臣ですね、六十キロの速度制限を十キロぐらいの幅を持たせていますわね、実際に。だからといって、七十キロで走っていいという話じゃないのだろうけれども、幅を持たせている。じゃ、同じようにこの過積載の問題だって幅があっていいのでないのか。積むときに六十キロオーバーしているのか、百キロオーバーしているのかわかりませんよ、十トン、二十トンの話で。  警察国家なんという、そういう用語があるのです。これはいい言葉じゃないですね、いいときに使われるのじゃないですね。ひとつ自治大臣、そのことも含めてお答えください。自治大臣でもいいし、警察でもいいですよ。
  11. 田中節夫

    ○田中(節)政府委員 取り締まりの現場での具体的な問題でございますので、私から御答弁させていただきます。  過積載につきましては、先ほど来御議論がありましたけれども、過積載車両の事故発生時の被害は非常に大きい、あるいは以前から危険性が指摘されておりまして、御案内のとおり、昨年道交法改正がございまして、五月十日から施行されているところでございます。昨年以来、一年間にわたりまして改正内容の周知に努めてきたところでございますけれども、先ほど委員御指摘のような問題が現場であるということにつきましては、改正内容の周知徹底がまだ不十分な点があろうかと思いますので、今後周知に努めてまいりたい。  また、今具体的な取り締まりの問題がございました。  私どもといたしましては、取り締まりが苛察にはならないように、超過重量の多いもの、あるいは差し枠を装着している車など、悪質、危険な過積載を重点に効果的な取り締まりを実施してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  12. 石井一

    石井国務大臣 委員御指摘の問題に加えて、大都市周辺で起こっておりますのは、埋め立て等に運びます土砂、これは膨大な過積状況で、そして高速道路でしばしば全体をとめてしまうというふうなことが散見できるわけでありまして、そういう観点から、これはやむを得ぬ一つの措置として、いわゆる荷主に対する規制でありますとか、あるいはまた車両の制限というふうなことを行ったわけでございます。この一面につきましてはその必要性というものを御認識いただきたいわけでありますが、コインの両面といいますか、そこで起こってくる新たな問題、国民生活への影響ということについて、今後私の立場としても真剣に取り組んでいきたいというふうに思います。  今、政府委員が答えましたのは、一キロオーバーしたからすべて検挙するという姿勢ではございません。要するに、主張いたしたいところは、本当に悪質であり、危険な状況であり、そしてこれが社会的に非常に大きな被害を与えるというものを重点的に取り組んでおるわけでありまして、そこには多少の裁量をしながら、スピードにありますような形の中でこの現実の問題に取り組んでいきたい、そう考えておるわけであります。  車両の制限等につきましては、いささか警察の立場でお答えする立場にございません。お許しをいただきたいと存じます。
  13. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 五月十日から施行されたこの道路交通法改正、今これを踏まえながらの御質問であったわけでありますけれども、物流の中に占めるトラック輸送というのは大変主流を占めておるということでございまして、これの安全性ということはもちろん一番大事なことでありましょう。それと同時に、またやり方によってはコストも大変上がってしまうというような問題があるようでございますけれども、この関係省庁、九省庁ほどあるようでありますけれども、九省庁の中で局長クラスで打ち合わせをしてきたようであります。  ですから、今後もこの施行の状況というのを、この九省庁の皆さんが集まりながら、話し合いながら、そして適切な対応をするようにしていきたいというふうに思っております。この間、またいろいろと御指導いただきたいと思います。
  14. 武部勤

    武部委員 国民生活にかかわりのある問題でありますので、ぜひ適切な対処をお願いしたいと思います。  次に、ウルグアイ・ラウンド受け入れに伴う問題について御質問申し上げます。  前段は時間の関係で省きますが、私は、絶対に受け入れられない、こう言いながら、最後はころりと変わったような印象を受けているのです。したがって、本気でなかったのではないか、このように思えてならないのですね。その後の対応を見てもそういう印象を強くせざるを得ない。  例えば、韓国との比較です。韓国の大統領はいち早く国民に、約束を守れなくて申しわけなかったという陳謝を明らかにしました。また、首相を初め、関係閣僚が責任をとって辞任しました。さらには、その後の対策として、農業振興のために、目的税を課して積極的に農業改革をやろうとしております。羽田総理も、当時副総理・外務大臣というお立場にありましたが、このことについての率直なお考えをお聞かせください。
  15. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ラウンドに対する対応でありますけれども、これはやはり七年何カ月という間、日本の場合にはもうほとんどこの米問題に集中して、みんながすべての精力をここに傾注してきたのじゃなかろうかと思っております。  そういう中で、私も、しばしば申し上げたのですけれども、いろいろな国と話しておりましても、どうしてもなかなか理解をしてくれないという中にあって、それじゃ日本がこれを全然否定して過ごせるのかというと、そうでもないという中で、一体何ができるのかということをいろいろなところで実は語りかけてまいったわけであります。  まあ私は、結果は決して我々も何も承服できるというものでもありませんですけれども、しかしぎりぎりの選択であったということについてはぜひとも御理解をいただきたいと思います。  そして、韓国と違いましたのは、韓国の場合には途上国の扱いということで、これは何のあれもないだろうというようなあれがあったんじゃなかろうかと思いますけれども、我が国の場合には初めから実はこの問題でやってきておったということ、これはやっぱり違うんだ、彼我の差があったということを御理解いただきたいと思います。  それと、私どもといたしましても、新しい一つの枠組みができたわけでありますから、そして今までも実は農業の中にはいろいろな問題を抱えておるということでありますから、やっぱりこの機会にきちんとした対応をする必要があろうというふうに思っておりまして、今そういった今日ある問題、そして新しい問題、こういうものをあわせながら農政審でも議論いただいておりますけれども、私どもはこういったいろいろな幅広い意見をちょうだいする中で、やっぱり日本の農業というのが、食糧の問題、あるいは生産に携わる人の問題、その双方を考えながら、あるいは環境問題なんかも含めて考えながら、私自身もこれの先頭に立っていかなければならない、その覚悟を持っておるということを申し上げたいと存じます。
  16. 武部勤

    武部委員 今後のことが大事なんですから、これからさらに質疑を詰めて、本当に羽田内閣は農業の問題に真剣に取り組んでいるのかどうかということを明らかにさせていただきたいと思うんです。  そこで、米のミニマムアクセス受け入れによりまして、農林大臣、当然自給率に影響を与えると思います。これは実際にどの程度自給率に影響を与えますか。そのことをお答えいただけますか。試算したことがありますか。
  17. 加藤六月

    加藤国務大臣 私たちは、このミニマムアクセスの受け入れにおいて外国産米が入ってくる、しかし、それは国内の米の自給その他に影響ないようにしていくということですから、本来的に見ますとミニマムアクセスの受け入れと自給率には関係ないようにしてあると思うんですが、やっぱり考えてみると、そこら辺がいろいろあるな、先般来の御質疑を通じてそう思っておるわけでございます。  そこで、どうやっていくかということで、何としても新政策というものを徹底的に本気で追求し、充実していくということによって、あくまでも自給率を維持拡大する方向で努力していきたい。しかし、来年から入ってくるいろいろなものはあるというところに、これからの農政あるいは自給率を達成していく難しさと困難があると私は考えております。
  18. 武部勤

    武部委員 自給率を維持拡大できるんですか。どうやってするんですか。私の試算では、いわゆるミニマムアクセス、八十万トン輸入した場合の自給率は、穀物ベースで二%米だけで下がります。カロリーベースでも同様に二%少々下がりますよ。現在穀物ベースでは二九%ですから、米だけで二七%に下がる計算になるんですよ。それから、カロリーベースでは四三%台になるんです。ほかの乳製品、でん粉等は入っていません。米だけでこういう試算になるんですよ。  御案内のとおり、平成二年の閣議決定事項であります「農産物の需要と生産の長期見通し」は、平成十二年に五〇%にする、こういうことになっていますね。畑通産大臣がおられますか。農林大臣のときには、五〇%などということはとても今考えられないと、十月五日の私の予算委員会の質問でそうお答えになった。何とか現状を守る、これに歯どめをかける、そういうことで努力したい、こう答弁されているんですね。  今、加藤農林大臣は、現状を守り拡大する、こう言っている。どうやってやるんですか。私は、むしろ農産物の長期需給の見通し、これは改定しなきゃならぬだろう、こう思うぐらいなんですけれども、この点についてはどうなんですか。
  19. 加藤六月

    加藤国務大臣 この議論も、議論すればするほど本音と建前が若干分かれてくる問題でございます。しかし、私の立場からしたら、自給率は下がるのはやむを得ませんということは言えない。しかし、それなら日本の能力、国土を有効に利用した能力と意欲を最大限発揮してどうだという答えはできる。こういうときに多くの皆さんが不安を持っておられるということになりますと、やっぱり維持ということと最大限頑張って拡大するという目標を立てていかなくてはならぬ。  しかし、もう委員御存じのように、自給率の低下要因というのはたくさんあるわけですね。それはもう私が改めて申し上げるまでもないんですが、米自身の毎年毎年の消費の減少という問題がある。あるいはまた、畜産物の消費が増大しておる。これに伴う飼料穀物等の輸入が増加する等々の問題があります。  しかし、繰り返して申し上げますが、私たちは、新政策を一層強力に推進し、効率的、安定的な経営体制が生産の根幹を担う農業構造をつくっていって、国土資源の有効な利用により可能な限り国内農業生産を維持拡大し、国民への食糧の安定供給に努めていくということでございます。
  20. 武部勤

    武部委員 具体的に簡潔に答えていただきたいと思います。我々も、事農政については相当詳しいはずなんです。ですから、そのような大臣の抽象的な話では全く納得できませんよ。  しかも今度、これは北海道新聞の三十一日に「食糧自給率アップ明確化 農業基本法 農水省が見直し方針」、出ているんですよ。これについて、私は、おっ、やっぱりやるんだなと。私は食糧の自給率を五〇%にやる方法はある、こう思っていますし、食糧の問題について言うならば、よく食糧安保論という議論がありますけれども、これは間違いだと思っているんですよ。  今度、タイ米輸入で米の国際価格が上がりました。米を輸入せざるを得ない国は百カ国以上ございますね。それらの国はそんなお金持ちの国じゃありません。日本がタイ米を輸入したことによって、百カ国以上の国々に迷惑をかけているんですよ。タマネギの場合もそうです。  ですから、この自給率を確保しなきゃならないという背景は、国際貢献論、人様に迷惑をかけない、食糧生産可能な国は可能な限り食糧を生産する、もし余れば国際機関等を通じて山岳地帯とか砂漠地帯とか農産物のできない国々の人々に供給してもいいじゃないですか、ただででも。今地球上の人口は五十八億人ですか、二〇五〇年になれば百億から百二十五億人になる。そのときに地球上で生産できる食糧の総量は八十億人分しかない、こういう試算があるくらいなんです。  ですから、今大臣がお話しのとおり、自給率を上げるという考え方は全く同感ですし、そうあらねばならぬと私は思っている。しかし、そのためにはどうするかということが問題なんです。  しかも、今、私はこれは許しませんよ。私の立場ではそう言わざるを得ないというような答弁、何ですか。本音と建前があるんですか。さっきも、建設大臣だってそのとおりですよ。
  21. 加藤六月

    加藤国務大臣 それは、私たちが自民党にあったときも党を挙げて食糧の自給率の向上に努めると言って一生懸命英知を結集してやってきた。やってきたけれども、その結果がどうであるかということを胸に手を当ててお互い考えたときに、悲しいそういう現実があった。  しかし、今度はミニマムアクセスを受け入れ、新しい展開をする。そういうときですから、決意を新たにしてやるということでありますが、今までの実績をやってみると、農業基本法制定以来あらゆる努力をしたけれども、現実は武部委員がおっしゃったとおりの数字であったということであります。
  22. 武部勤

    武部委員 それなら申し上げますけれども、細川政権、羽田総理は当時副総理ですね。前の予算委員会でも私は大蔵大臣とも質疑をやったんですけれども、第四次土地改良長期計画というのがございますね。これは平成五年度以降の十カ年間に総額四十一兆円に相当する事業を実施する、こういう計画であります。当時の細川さんも、生活者重視ということで農業予算農業基盤整備が後退することはありません、こういうお話でした。  しかし、大蔵大臣、実際にはどうだったんですか。農業農村基盤整備農業経営の基盤整備、この予算はふえたんですか。どうなんですか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  23. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 公共投資の配分の問題だと思います。  この基本論は余りるる申しませんが、やはり生活環境に密接したものに限られた財源を回したことは事実であります。しかし、同時に、今お話しの農業基盤整備等についても、これからの新しい農業の方向に見合うものは重点的に取り上げていくという基本方針というふうに農林省と話し合っております。
  24. 武部勤

    武部委員 いや、そんなことでは話にならぬ。じゃ、農林大臣いかがですか、この四十一兆円の十カ年計画は、これは改定しますか。これはどうしますか。捨て去りますか、この計画を。
  25. 加藤六月

    加藤国務大臣 中身を充実して大いにやっていっておるところでございます。
  26. 武部勤

    武部委員 今は食糧問題、農業問題というのは重大な岐路じゃないですか。生産者がこの議論を聞いたら、やはり若い人たちは失望して、おれたちに将来はないということになってしまいますよ。  私は、羽田政権、ややもすれば農業政策がアキレス腱になるんじゃないかと心配しているんです。この四十一兆円の計画を達成するためには、予算の伸び率は五、六%にしなければならぬはずです。しかし、平成六年度の予算は一・数%。この計画達成にほど遠い。このことについて農林大臣はどのようにお考えなんですか。もう一度答えてください。
  27. 加藤六月

    加藤国務大臣 第三次補正予算並びに平成六年度予算におきまして、私たちが新しい国境措置のもとにたくましい活力あふれる農村、農業を築いていくためのぎりぎりの予算は計上してある、こう考えておるところでございます。
  28. 武部勤

    武部委員 農林大臣のお話からはとても、十二月十四日、ウルグアイ・ラウンド農業交渉を受け入れて、その後閣議でこれからのことを、決意を述べているんですね。時間がないから、どんなことを言っているかということはここで言いませんけれども。  総理に伺います。この自給率の問題ですね。需給の長期見通し、私は今のままでは納得できませんよ。四六%が私の試算では四三%台になるんです。ほかのものを入れたらもっと下がってくる。二九%が二七%になるんです、八十万トン入れれば。それを否定するなら否定する根拠を言ってくださいよ、農林省。そして、四十一兆円という第四次土地改良計画、これを達成するためには少なくとも五、六%の予算の伸び率にしなければならないんだ。  ですから、この長期見通し、これは自民党政権時代のことでありますが、これを改定するのか。改定するとすればいつ改定するのか。  それから、土地改良計画もそうです。これを改めるのか。それでなかったらおかしいですよ。こういう計画があって、あらゆる予算が、あるいは事業計画がそうだと思うんですよ。憲法みたいなものがあって、それと大幅にずれてきたら、これは変えなかったら、何を今度目安にしてやるんですか。これは生産者も、農業者も目安にしているんですよ、この長期需給見通し、予算も。それが大幅にずれてきている。改定するのか、さもなくばこの計画に沿って軌道をもとに戻していくのか、どっちですか。
  29. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 ミニマムアクセスと土地改良の問題についての特に御指摘があったわけでありますけれども、いずれにしましても、この間までガットのその交渉のさなかであるということのために、その後一体どうするのかということは、残念ですけれども、そういったことを基本にしながらの議論というのは、私は今までできなかったということがあるだろうというふうに思います。  そして、今お話がありましたように、四%から八%というものがミニマムアクセスとして、各国がちゃんと売る力のあるときには売ってくるということになるわけでございますから、それを買うということになりますと、ただそのまま入れば当然今御指摘があったように自給率というのは下がるということがあるでしょう。  しかし、そういう中で、今度は本当に安い米が入ってくるということになるわけですから、全然違った新規の用途というようなものも本気になってやはり開拓していく必要があろうと思いますし、それから一部、今お話があったように、そういうもの、いわゆる支援ですとかそういったことなんかにも活用していくということも私たちも考えていかなければならない問題だろうというふうに思います。  土地改良につきましても、これはこれから、今度本当の大規模化ということは、本格的にやっていかなきゃならない新しいニーズがまた生まれてきているわけでございますから、そういった問題に対してどう対応するのかということを、これはまさに今我々は考えなきゃならぬ。  これは長期の問題ですから、そう簡単に今どうですよと、交渉が終わりましたからといって簡単に訴えちゃうなんというものじゃない。私は、腰を落ちつけながらも、しかしやはり機敏に一つの方向を示していくことが大事だろうというふうに考えます。
  30. 武部勤

    武部委員 私は、本当は二時間の要求をしていたんですけれども、とても時間がなくて突っ込んだ話ができないんですけれども、もう一度総理、お答えいただけますか。  今後、食糧の自給率はどうされますか。それに対する対策はそこから始めなくちゃいけないと思う。私は食糧基本法というものをつくるべきだと思うんです。どういう政策を展開していくか、それが決まらないと、そしてその政策を決定したならば、それを実現するために、当然経営基盤整備だとか負債整理対策だとか農地の流動化だとか、また担い手対策、もろもろやらなきゃならないですね。先ほど農林大臣が自給率を上げる、こうはっきりおっしゃった、そのことを総理も御支持されますか。
  31. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは先ほど農林水産大臣からもお話がありましたように、食糧の自給率を、やはり将来の人口ですとかあるいは食糧事情とか、そういったものを考えたときに、我が国としても上げていきたいという気持ちで一つの方向を出しております。  しかし、今度のマラケシュでのああいう合意ができたということの中で、間違いなく向こうから入ってくる。そういったものもこれからどんなふうに需要を仕向けていくのかということも考えながら私は長期の需給見通しというものを立てなきゃいかぬと思っております。  いずれにしても、はやはり自給率というものは穀物、いわゆるえさ用のものによって一番下がってきちゃったというところに原因があったわけでありますけれども、しかし、今度新しい事態が起こっておる中でどうやって自給率を上げるのかということについて、我々としても真剣に考えなきゃならぬ問題であろうというふうに思います。
  32. 武部勤

    武部委員 くどいようで、先輩に甚だ僭越ですけれども、私はこの長期需給見通しは改定すべきだと思います。これは上げるということですね、中身も含めて。  そこで、このことについてもう一度お答えいただきたいのと、それから、やはり羽田総理も恐らくこれは同感いただけるんじゃないかと思いますけれども、今生産者は、農家の若い方々は、これからの日本農業はどうなるのかということが一番の心配事なんです。しかし、農林省が農業基本法を新たにつくるとかということでは、これは現場では納得しません。  それはなぜかというと、長期需給見通しや土地改良計画がありながら、財政審の指摘を受けてCランクにして、現に五、六%なければ四十一兆円の事業が十カ年でできないのに、一%余りなんだ。そのために我々がどれだけ苦労しなければならないか。  結局、大蔵省なんですよ。大蔵省ということは、私が先ほど来申し上げておりますように、国民の合意がなければ、防衛計画と同じように、国民が合意して、同時にもう一つは、国民の合意というだけじゃなくて、日本は積極的に国際的な合意を求める大変な問題だと私は思うんですよ、食糧政策というのは。そういう基本がなければ、私はこれからの農業というのは立ち行かぬと思うんです。これからもう休日がふえてくる。週四十時間労働、農林大臣、農民にそんなことを求めて可能ですか。酪農家が今どれだけ働いていますか。  そういうことを考えたら、国民合意のもとに基本的な立法措置が私は必要だと思うんです。これは、もう大蔵省と農林省がいつも綱引きをやって予算を獲得しなきゃならぬなんて、そんなばかなことをいつまでもやっていたらだめなんですよ。これは国家の安全保障と同じ問題。農業基本法の制定を、今申し上げましたような観点からしっかりつくった上で今後の農業政策を展開していく、国民合意のもとに農業政策を展開していく、このことが今一番必要だと私は思います。一 どうですか、農業基本法の制定、失礼しました。農業基本法じゃなくて、食糧基本法ということでなければだめだ、こういう私の考えですが。
  33. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これはあれですけれども、私ども、かつて食糧問題研究会というのを江藤さんなんかと一緒につくりました。そのとき、私自身がネーミングしたわけですけれども、やはり農業という視点だけではなくて食糧という視点から物を考えようということでそういう名前をつけたんですけれども、確かに農業基本法の今日までの果たしてきた役割、そして今でもこの基本の考え方というのは、私は別に否定するものじゃないというふうに思います。  ただ、今お話があったような、非常に食糧という面からやはり見なきゃいけないということ、それから、日本が一体食糧をどう確保していくのかというような面、そういうことになると消費者の人たちにも理解されるというようなこともあるんでしょう。  そういった御意見があることを私どもも踏まえながら、今農政審でもいろいろな角度からひとつ議論してほしいということをお願いして、私自身も、国会のあれが許されたら、何とか農政審にも出させてくれということを言っておるわけでありまして、そういったときにも問題を提起しながら、今御意見のあったことも私どもは念頭に置いておきたいということを申し上げたい。  いずれにしましても、だれもが、やはり国民も安心できる食糧、それから生産者も安心できる一つの方向というものが示されることは、今一番大事なときだろうということを私も自覚していることを申し上げます。
  34. 武部勤

    武部委員 外務大臣にもお伺いしておきましょう。  あなたは東京都出身ですから、農業政策や食糧政策というのは、どちらかというと消費者の立場でお考えになっているんじゃないかと思って心配しています。しかし、先ほど言いましたように、これは地球問題なんですね。人口問題であり、食糧問題であり、環境問題なんですよ。私は、国連あたりの機関で総理大臣なり外務大臣が食糧問題について真剣に訴えるべきだと思うんです。いかがですか、あなたのお考えは。
  35. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 御指名がありましたのでお答えを申し上げますが、私も、環境政務次官を務めまして、地球環境保全のために農業の果たす役割というものが大変大きいということは十分に承知をいたしておりますし、その点では都市住民といえども、豊かな自然に恵まれて初めて心豊かな生活、そして安定した生活ができるわけでございますので、その点は十分認識しているつもりでございます。  ただ、国際貿易の自由貿易体制を守るという点も大事なことでございますし、また、食糧の安定供給ということは大変大事な課題だと思っておりますので、その点では、今回の米不足問題の経験から見ましても、日本の自給率を上げる、また同時に食糧の備蓄をしっかりとやっていただくという必要があるのではないか。これは、コストのかかる問題でございますが、消費者を安心させるためにも大事なことだと思っておりますので、そうした点も含めて、農業政策について今後ともさまざまな期待を持っているところでございます。
  36. 武部勤

    武部委員 最後は自由貿易の話が出るから、やはり柿澤外務大臣にはもう少しおさらいをしていただかなければだめだな、そういう印象を持ちました。  総理並びに外務大臣、MITのポール・クルーグマン博士のことを御存じですか。(柿澤国務大臣「名前は聞いたことがあります」と呼ぶ)名前を聞いたことがあるという話ですね。  ところで、東京新聞の五月一日に「危険な国際競争力神話」。競争力だとかは、それは政治的に非常に使いやすいですね。財政赤字を解消するためにとにかく国際競争力第一だ、そういう議論はよくある議論なんですけれども、このクルーグマンさんという人は、ベイツ・クラーク賞という、将来ノーベル賞を受賞すべき登竜門と言われる賞をとっている四十一歳の学者ですよ。  きょうからまた日米包括経済協議が始まるということなんですが、外務省でも恐らく、総理、これは後でコピーをお届けしますけれども、私は、どうも国際競争力だとか自由貿易だとかいう、そういう議論の中で必ず農業が話題にされる。おかしいと思うんです、この議論は。  したがって、これからの食糧政策、農業政策というのは、もうこれから農業と言わずに食糧政策と私は言うべきだ、こう思っておりまして、そういう視点で食糧政策を確立するためには、仮に自給率五〇%にするためにはどうしたらいいか。  それは、まず農業をやってくれる担い手をどうするかという話になりますね。どんどん今担い手は、もう時間がないから私が説明しちゃいますけれども、六十五歳以上の農業者は、農林大臣、何人いると思いますか。平成十二年には四六・五%になるんです、六十五歳以上、年金をもらう人。それから、今農業に就職する若者は何人いるか。全国三千二百余りの町村で千五、六百人ですよ。そういう状態なんです。  きょうは、文部大臣にも、私は、農業高校のことで突っ込んだ議論しようと思ったんです。環境庁長官にもいろいろお話をしてみよう、こう思ったんですが、私は、農業の問題とかというものに  ついては、これはもう認識を改めなきゃだめだ。これは農林省任せではだめなんで、総理大臣なり政治家がしっかり方向を示さなければ農政なんてものは成り立ちません。  したがって、最後にもう一度、総理大臣農林大臣答弁を求めたいと思います。  先ほど、農政審に行って話をしたいと言うけれども、私は、ちょっと失礼なお話だなと思うんです。ここは国会ですよ。農政審に行って話をする前に、なぜ国会で、国民に向かってきちっと述べていただけないんですか。羽田総理は自民党の農林部会のときは明確に言っているじゃないですか。なぜあのときの羽田総理でなくなったんですか。きちっと明確にもう一度言ってください。農林大臣もさっきのような話じゃだめですよ。私の立場として食糧の自給率云々なんという話ではだめですよ。ここできちっと、食糧の自給率を上げるとか食糧基本法をきちっとやるとか、それに類するようなことを宣言してください。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  37. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私が申し上げたのは、ここでは毎日のようにこうやって皆さんから御議論いただいているわけですね。そうじゃなくて、農政審という場所、ああいったところでも幅広い意見をもらえるから、そして、我々は国会の意思や、みんなこういうものもありますよということもお伝えしたいという意味で、私は、農政審にも出てみたいということを申し上げたことであります。  そして、農業の問題は、今いみじくも言われたように、単に農業という問題じゃなくて、一億二千万の国民の食糧を一体どうするのかということ、それから環境の問題、そういった多くの幅広い、やはり多様なものがあるということ、これを我々は踏まえながら、まさに今お話のあったように、ただ農業基本法というものだけに何かしがみついているということじゃなくて、やはり時代というものは大きく変わるわけですから、そして私がいつも言うように、やはり五十年からたってくると、あるいはこれは三十何年たってくると一つの役割というものを終わるということ、あるいは疲労してくるということもある。  そういうものに新しい血を注ぎ込むということは大事なことでありますから、こういうちょうど切りかわるときでありますから、今御意見のあったこと等も私ども念頭に置きながら、農業者もそして国民も本当に安心できるような一つの日本の食糧政策、農業政策というものを打ち立てていきたい。そのために、またいろいろな意味で御指導、御意見を賜りたいということもあわせてお願いしたいと思います。
  38. 加藤六月

    加藤国務大臣 農業基本法が今日まで果たしてきておる役割というものは、重要な役割を果たしてそれぞれの意味があると思うんです。ここ数年、それ以上に、農村、農業の持つ多面的な機能、国土保全とか環境とかいろいろなもので、食糧農業基本法であるとか農村農業基本法という立場に立って見直すべきではないかという活発な御意見が起こって、また我々にも迫ってきておられるということは十分認識しております。今後これらの意見をいろいろ踏まえながら、中長期的な展望に立ってやっていきたい。  それから、もちろん食糧の自給率の問題については、こういうときであるがゆえに、私たちは思いを新たにして食糧自給率の維持拡大というものを検討しなくてはならない。そして、今回のウルグアイ・ラウンドの受け入れというものを、痛い痛いと言っておっただけではいけないので、これを災いを転じて福とするような、何か一億二千万の国民の皆さんが農業、農村というものに大きな目を開いて応援していただくという雰囲気をどうやってつくるべきか、私も今真剣に考えておるところでございます。
  39. 武部勤

    武部委員 終わります。
  40. 山口鶴男

    山口委員長 これにて武部君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤公介君。
  41. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 羽田総理とは私はふるさとが一緒でございまして、代議士の秘書をやっているころから一緒に県知事選挙をやらしていただいたり、大変青春時代から御指導をいただいてまいりました。また、小田急バスの課長から日本のトップリーダー、総理大臣へ、ジャパンドリームのような総理でありますし、ちょうど私も今その小田急線で通勤をしておりますので、格別に身近に感じるわけであります。  ところで、時間がありませんので、総理も、普通の言葉で語る、政治を語ると、こう言われているわけでありますので、私も普通の言葉で質問をさしていただきたい。  今庶民の皆さんが日本の政治をどう考えているかということなどを率直に伺っていきたいと思いますが、総理は、長野県の歴史上の人物で最も尊敬をする人はだれですか。
  42. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、比較的新しいところでは、佐久間象山なんという人は、やはり一つの開明、そして国の一つの方向を示した人であろうというふうに考えております。
  43. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 期せずして、私もふるさとで最も尊敬をする歴史上の人物は佐久間象山であります。勝海舟の妹を妻にして、蘭学を学び、そして木戸、高杉、伊藤博文といった歴史をつくっていた人々のまさに指導者だったわけですね。  私は、羽田総理が、立場は違いますけれども、たとえ短い政権でありましても、長いかどうかわかりませんけれども、たとえどういう状況でありましても、長野県の歴史上初めての総理としてぜひ日本の政治に一つの大きな足跡を残していただきたい、こう思います。  そこでひとつ質問に入る前に。  最近総理平成の目安箱というのを大分気にしているようでありますが、私は先輩からこういう指導をいただきました。政治家や経営者の指導者というものは今日を見ながらも将来を見る、つまり顕微鏡と望遠鏡の目を持てと。今日の国民の生活がどうなっているかということをしっかりと見詰めながら、同時にまた、足元だけではなくて、十年後あるいは次の世紀、私たちの暮らしや世界がどうなっているかというやってくる時代を想定をしながら、今政治家としてそのかじ取りをしっかりしていかなければならないと思います。  極めてそういう意味では顕微鏡的な問題かもしれませんが、一言目安箱に私も投書をさしていただきたいと思いますが、今既に東京都庁や地方議会では、こうした委員会や本会議のテレビ中継のときは全部手話が入っているんですね。全部入れる必要はないかもしれませんけれども、テレビで全国に実況される予算委員会の冒頭とか、あるいは総理、主要大臣の施政方針演説とかいうことは国会で手話を入れるべきだというふうに思いますが、一言だけ総理のお考えを伺いたいと思います。
  44. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 手話通訳について選挙のときにも実は問題になったわけでありますけれども、そのときにいつも言われることは、手話にはその話彙が限界があるなんてことが言われるわけです。しかし、語彙に限界があるとしても、全然聞こえないよりは、全然わからないよりはやはり少しでもわかることというのはこれはいいことであろうと思っております。  実はかつてNHKにも私どもこういった問題を扱っているときに出かけていきまして、それでそのころ相当取り入れていただいたんですけれども、今国会テレビにちょっと入っているかどうか私承知しておりませんけれども、これはNHKとか放送局が一層の取り組みをしていただくことが必要であろうというふうに思っております。(伊藤(公)委員「ここに入れるんです。東京都議会はもう本会議場のこの前でやるんです」と呼ぶ)やっぱりね。だから、やる気があれば私はできないことはないと思うんですね。多少その費用とかいろんなものはあるでしょうけれども、しかし、これでたくさんの人が理解することができるということになれば。  しかし、今のお考えはよくわかります。ですから、放送関係者の取り組みというものを我々も期待したいし、あるいは、そういった手話通訳者というものをふやすために我々として何ができるかということも考えなきゃいかぬ問題だろうというふうに思います。
  45. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 もう一つ国会改革でありますが、私は昭和五十一年に初当選をさしていただきました。実はそのときの委員会で私どもが提案をしたことでありますが、大臣の皆さんも、こうして私もずっと予算委員会に座っておりますと、各党一周ぐらいは私はいいと思う。しかし、それは外務大臣だって大蔵大臣だって、等々ここの委員会で必要な大臣は別にして、そうでない人たちは、私は、やはり役所に戻って、そしてみずからの役所のトップとして仕事をやってもらいたい。これはかねてから提案をしてきたことでありますから、私は今野党、自由民主党の立場で言うわけですから、もう本論でありませんので、いいか悪いかだけ伺いたいんです。  総理と、それから、各党これからのことがありますから、党首の方だけ、もう一言で、それがいいとか悪いとかそれだけ聞かしてください。
  46. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは国会でお決めになることであります。  ただ、私は、議運の筆頭理事か何かやっておりますときには、このことを各野党の皆さん方に提案をしたことがあるということだけ申し上げておきたいと思います。
  47. 石田幸四郎

    石田国務大臣 この話につきましては、私どもも個人的にはいろいろあるんでございますが、何といっても国会運営に絡む話でございますので……(伊藤(公)委員大臣の考えを聞かしてくれればいいんです、大臣の考えを」と呼ぶ)ああそうですか。私個人としては、伊藤先生のおっしゃっている方向がよろしいかと思います。
  48. 中井洽

    ○中井国務大臣 私どもの党も、また私個人も、先生のおっしゃったようなことに賛成であります。
  49. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 柿澤外務大臣の意見は、かつて新自由クラブで一緒でしたからわかっていますから。  各党の大臣はトップリーダーの皆さんですから、各党がこの国会を改革して、本当に実のある、また現実的な方向に改革をしていくべきだということを提案をしておきたいと思います。  もう一つだけ、私がかねてから、国会に出させていただきましたときに、ちょうど私、外国の大統領選挙をいろいろ現地で見させていただきました。自分が初めて国政に参画をさせてもらおうと決意をしたのは、アメリカの一年間の生活でございました。ちょうどケネディ大統領が亡くなって二度目の、次弟のロバート・ケネディの大統領選挙のさなかだったわけですが、六〇年代のアメリカが非常に低迷したときに、ケネディが有名な演説をされて、若い人たちにもう一度やはり世界に貢献しようと呼びかけた。あの平和部隊は、低迷をしていたアメリカに非常に大きな活気を呼び起こしたというふうに思うわけです。  大統領選挙というのは国民が直接投票するわけですから、これは隣の韓国でも、あるいはフィリピンの、あの百万人集まったアキノ大統領の選挙のさなかにも私は現地にいたわけですけれども、今日のように連立政権が非常に揺れる、あるいはまだこれから政局も数年間、どうもいろいろ聞くと、二回ぐらいの選挙ははっきりしない。こういう状況では、日本は太平洋に船は出たけれども行き先がはっきりしない、こういう状況になるように思うわけです。  私は、ここまで政治改革が進んできたら、大胆に、総理は直接国民投票で選ぶ。例えばそれぞれの市長さんも東京の都知事も有権者が直接自分の手で投票しているわけですから、日本の総理大臣も有権者が直接投票して選ぶ。そうすれば、総理が思う存分な組閣もできるし、そして自分が思ったことを堂々と国民に主張できる、強力な内閣ができると思うわけです。  羽田総理に御感想だけ伺いたいと思いますが、これは実は私、衆参国会議員に少し前に全部アンケートをいたしました。首相公選に基本的に賛成かどうか。その答えは、五九%が賛成、二九%は反対、無回答の方もおられました。共産党を除く全党で、首相公選を進める会が今度発足をいたしました。鳩山大臣もたしかその世話人になっていただいているわけでありますが、羽田総理の御感想をいただきたい。そして、もし首相公選が実現をしたら、羽田総理は当選すると思うかどうか、伺いたい。
  50. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 実は私、これは自民党時代にたしか伊藤さんたちが御議論なさったときに、実は反対論で弁論に立ったことがある人間でありまして、現行憲法というものもやはりそれを考えておらないということがありましょうし、かつて内閣に設置しました憲法調査会、ここでも議論が、賛成、反対ありました。しかし、多数意見というものは、議院内閣制を維持すべきであるということが実は言われたということでございまして、今私は首相公選制をとるべきじゃないということでありまして、その意味でも、首相公選があったらどうだということについては、これは答えは差し控えさせていただきたいと思います。(伊藤(公)委員「当選すると思いますか、どうですか」と呼ぶ)いや、差し控えさせていただきます。
  51. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 けさ、朝刊を見ましたら、首相、閣僚の資産が公開をされておりました。羽田総理の郵便貯金が七十万円、郵便貯金は僕よりも少ないですね。一々言っている時間はありませんが、二見運輸大臣は預金ゼロですか。(二見国務大臣「女房が持っています」と呼ぶ)ああ、奥さんがちゃんとね。そうすると、これは奥さんの資産も公開しなきゃだめですね。ああ、奥さんは入っている。  どうも、庶民感覚からすると、普通のサラリーマンだってもう少し預金がある。私もよく聞かれるのですよ。伊藤さん、随分預金が少ないけれどもおれの方が多いなんて、みんなに言われるんですね。これは恐らく定期預金だからだと思うので、例えば何月何日と区切ってすべての預金を公開したらいい。そうすれば明快になるわけですね。あるから悪いわけじゃなくて、この趣旨はそうじゃないんですから。回答をもらう必要もありませんけれども、私はそうしていくべきじゃないか。  私も羽田総理にはいろいろ長いおつき合いがあって、こういう質問は非常にしにくいのでありますが、家とか土地という資産には興味がない人間だ、普通の生活ができればと思っている、こういうコメントがあるわけでありますが、けさ、各新聞を見ておりましたら、毎日新聞に、何か羽田総理の関連企業が資産づくりをしているというニュースがありまして、読まれましたか。「七億円でリゾート用地」。これは総理みずから現地を視察されたのですか。
  52. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは私の関連企業なんという、そんなものでは一切ございません。ただ、私なんかが知っている人たちが、そこに、何ですか、要するに競馬で走った馬、これが何か殺されていってしまう、そういったことなんかを避ける、そういうための老後を預かるような牧場をつくりたいということ、それからそこに温泉が実は出ておるということ、そして温泉というものを本当の意味での保養に使いたいというような話で、いろいろな産業の中で利益を上げた人たちが、そういう一つのボランティア的なことをやっていただくということは大変いいことだなという話。  それで私は、実は現場を見に行ったり、あるいは馬小屋ができたというときに実は見に行ったことがありますけれども、私の関連企業とかそういったものではありません。
  53. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 きょうの主たる質問ではありませんので、詳細はまた改めて伺うか、あるいは同僚議員が伺うかもしれませんけれども、これは羽田総理の秘書さんがこの関連企業の役職を、役員をやっていられたのですか。
  54. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 もうこれは亡くなりましたけれども、何というのですか、私の父の時代から秘書をやっておりまして、四年か五年ぐらい前に退職をした人でありますけれども、彼は、秘書というよりも、その昔もやはり一つの起業家といいますか、起業、業を起こすということに対しては大変な、一つのロマンみたいなものを持っていた人であったというふうに思います。その人が仲間の人たちと一緒にやっておったというふうに承知しております。
  55. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 その亡くなられた山崎先輩、私大変御指導をいただきましたのでよく存じていますが、その後は秘書さんは関係していないのですか。
  56. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 きょう私ちらっと聞きましたのですと、報道の中に一人が入っていて、それは一月に何かやめておるというような話を聞いておりますけれども、その人が、もともとこの人は北海道の出身でありますから、そういうことで何かあれがあったのかもしれませんけれども、私の事務所がどうのこうのという意味でやっておったものじゃないということであります。しかも、その人は後援会の事務所の方であります。
  57. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 国土庁長官、この記事を読まれましたか、毎日新聞で。読んでいない。  これは、国土利用計画法に違反する可能性があるというのですよ。一定の面積を超えたら届け出をしなければならないわけでしょう。だが、何かその届け出をしていないという報道なんですね。国土庁長官、もし読んでいなければ読んでいただいて、事実関係がどうなっているか報告していただけませんか。
  58. 左藤恵

    左藤国務大臣 記事を読み、またその詳細を調べまして御報告させていただきたいと思います。
  59. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 それでは、まず防衛大綱の見直しについて伺いたいと思います。  防衛計画の大綱の見直しに当たりましては、いわゆる世界の冷戦型から脱却をして、現在の世界情勢を見据えた防衛計画をつくるべきだ。針路の問題が一つあると思います。  それから、米ソ対立の終えんによってその役割を再検討する必要が出てきた日米安保体制を、我が国の新たな防衛構想の中でこれからどう位置づけていくのかということが問題になると思います。  第三点は、国際的な、いわゆる国際安全保障が我が国の安全保障につながるといった観点から、PKO協力のような世界平和への貢献を防衛の基本的な柱にこれからは位置づけていくべきではないか。防衛の概念の変更が問題になると私は思っています。  そこで、細川総理は、冷戦が崩壊したのに日本の防衛政策が変わらないのはおかしいという問題意識から、実は懇談会を設置しました。しかも、夏までには取りまとめて来年度予算に反映をさせたいと、つまり大綱見直しには強い意欲を示されたわけであります。また、前総理は軍縮も世界に率先をしてイニシアチブをとっていかなくてはならないと自衛隊の観閲式で訓示をされました。  羽田総理は、この懇談会を引き継がれると答弁をされているわけでありますけれども、新しい理念を持ってこれからの防衛を一体どうするかという羽田総理の基本的な考え方をまず伺いたいと思います。
  60. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、基本的にはポスト冷戦ということで、いわゆる核による紛争というのがこれはずっと遠のいたという思いを持っていることは率直に申し上げます。  ただ問題は、まだ本当にその地域というものはどうなのかということを考えましたときに、この周辺でも核に対する疑惑という問題が今議論されておりましたり、あるいはこれはもう世界各所でありますけれども、宗教ですとか国境紛争ですとか、歴史を背景にしたような紛争というのは起こっているという現状があります。こういったものの現状というものを踏まえながら、我々としてはどう考えていったらいいのかということについて、大綱、これの骨格についての意見を幅広く私はいただきたいと思っております。そして、そのちょうだいしたものをもとにいたしまして、政府間で議論をし、これからの新しい防衛政策というものをつくり上げていくべきであろうというふうに考えるところであります。
  61. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これはもう既にどこにでも出ている図でありますが、感想だけ伺いたいのです。  これはアメリカの防衛費の推移です。それから、下は日本の防衛費の推移です。もう先進国はアメリカだけではなくて防衛費はみんなずっと減ってきているわけですね。減ってきておりますけれども、日本はまさに逆にこうなっている。  総理は今懇談会の意向を受けてというお話ですけれども、やはり日本の総理大臣ですから、総理大臣防衛庁長官が、世界がこれだけ大きく変わっているときに日本の安全保障はどうするんだ。例えば防衛費はどうなるんですか。防衛費は削減するのかしないのか、しないならばどういう内容になっていくのか。例えばアメリカの最近の安全保障をずっと私ども見ていると、やはり大きく変わってくることは事実ですよ、クリントン、それからレーガン。そういう中で、日本は日本なりの新しい防衛を考えなきゃならないときが来ていると思います。  ですから、まあ防衛費を削減しろとかあるいはふやせとかという問題だけではありませんけれども、じゃ全体として防衛費はどうなるのか、あるいはその中で日本とアメリカとのいわゆる安全保障についてはどういう関係になっていくのかということを、やはり総理総理としての考え方があって、そして懇談会の結論が出てきて、ああ懇談会はこういう考え方がある、しかし自分はこういう考え方だ。そこで軌道修正することは十分あっていいと思いますけれども、やはり一国の総理大臣防衛庁長官が、これだけ激動している国際情勢の中で、そのトップリーダーとしてどういう方針で自分はいくんだ。あるいは、防衛費の問題についてはどうする、中身はどうするという、そんな重箱の隅をつつくようなことを私申し上げるつもりはありませんけれども、基本的にはどういう安全保障をやるんだということは、私はやはり国民にわかりやすく説明していただきたいと思います。
  62. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、私は決して消極的なことじゃないと思いますよ。今申し上げたように、今日本を取り巻く状況はどうだということを申し上げたわけでありますから。  そういったことを申し上げながら、そういった中で国防というのはどうあるべきなのか。私個人がどうしなさいとか、これを言うんだったらもう何も審議していただくことはないわけであるわけでありまして、私はまさにそういったところで、こういう状況の中で、これからあなた方はどう考えるかねということで幅広く、しかもこの皆さん方はいろんな高い見識を持った方々でありますけれども、民間の中にある立場の人たちが圧倒的に多いということでありまして、私は、そういう議論というものを踏まえながら、私どもとしてどういう方向でいくかということを打ち出していくことが、より国民にも理解していただくことができるだろうというふうに確信をしております。
  63. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 それはみんなそれぞれ政治家として出てくるからには、安全保障についても考え方はあると思いますが、まずは船頭が、国の総理大臣が、世界が変わったんだから日本の安全保障はこうしていくんだ、私の考え方はこういうことだという指針を示されて、いやそれは総理、これは大いにやってください、しかしこれはやはりもう少しゆっくりといくべきだ、いろいろ議論が起きるわけで、リーダーの方からボールが投げかけられなければ、どういう方向にいくんだということが示されなければ、政権をとっているのは皆さんの方ですから、と私は思います。  そこで、それでは具体的に伺いたいと思いますが、例えば、先ほど申し上げましたけれども、防衛大綱の見直しの一つの大きな柱は、PKOに参加する自衛隊をどのように位置づけていくかということが今大変重要な課題になってきているように思うのです。この点については、総理はどうお考えですか。  あわせて、時間がありませんので、例えば自衛隊法の百条の七の雑則で扱っているPKOを三条の主要な任務に格上げをするということも私は必要だと思いますけれども、総理はどうお考えでしょうか。
  64. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、PKOは基本的に日本の憲法の許される中にあって、特に何というのですか、この間カンボジアで果たしたような役割ですとか、今モザンビークで果たしているような役割、こういったものについては日本が積極的に進めていくこと、これは私は国際的にも評価されることであろうというふうに思っております。  それから、格上げということでありますけれども、この第三条を改正しまして国際平和協力業務を自衛隊の本来の任務とすることは、これは自衛隊の存立目的を変えることとなるものでございます。このためには、自衛隊による国際平和協力業務の実績などを踏まえるとともに、防衛庁、政府部内はもとより、やはり国民的な議論というものを経た上で行っていくことが私は適当であろうというふうに考えます。
  65. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 どうも私にはよくわからないのですね。国民的な議論をすることは大事なことですよ。しかし、総理大臣が、もう目の前に来て、PKOなんか我々は経験してきたんでしょう。そしてさまざまな問題もあったんですよ。そういう経験を踏まえてこのPKOをこれからどうするかということは、やはりこれははっきりしてもらいたい。それに対して初めて議論が深まるんでしょう。  防衛庁長官どうですか。――ああ柿澤外務大臣、あなた随分積極的な発言をしていましたね。僕は長く一緒にやってきて尊敬していますから、だから、大臣になりたいから行ったなんて僕は思ってないんですよ。あなたは外務大臣をやりたかったんでしょう。だから、考え方なんか変更しちゃだめですよ。政治家は堂々と自分の論陣を張るべきだ。どうですか、意見を聞かせてください。
  66. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 総理からもお答えがありましたように、PKO活動への我が国の参加は、国連が主導する国際平和の維持のために大事な活動だと考えております。その意味では自衛隊法の中でもきちっとした位置づけをされてしかるべきものと私は個人的には考えております。
  67. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 総理、外務大臣はそう言っているのですよ。総理、どうですか。
  68. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほど私は、まず第一に申し上げたことは、先ほど申し上げたような業務であるならば、これから日本としてはPKOに積極的に参加していくということを申し上げた上でありまして、そして、そういう経験というものを積み重ねていく中で、国民の理解というものを求めながら、理解がある中で物事を、特にこういう自衛隊法の改正というようなものはやっていった方がいいだろうということであります。  ただ、問題は、今お話があったように、雑則の中にあるような状況で本当にいいのかねという思いというのは、これはもう当時から持っておったわけでございまして、いずれにしましても、私ども、この経験を踏まえながら適切にきちんと対応していきたいと思っております。
  69. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 もうやらなきゃならないことははっきりと明言して、そして国民を説得していく、そういう指導力を発揮してもらいたいと私は思いますね。  それから、朝鮮民主主義人民共和国の弾道ミサイル、ノドン一号の発射実験が成功してから浮上してきたTMD、戦域ミサイル防衛、これが日米で昨年の十二月、ハワイで作業部会が開かれました。この戦域ミサイル防衛の探知システムは、偵察衛星、AWACS、地上・海上レーダーなどをワンセットにしたものと言われているわけであります。  これはこの委員会でも既に議論が少しされたところでありますけれども、日本が専守防衛でいく。しかし、何といっても防衛、安全保障は、我々があの第二次大戦でも敗れたのはレーダーだとよく言われるわけでしょう。だから、これからはどれだけ確かな情報を早く我々は手にして、そして、それに対応するかということが、だれが考えたってこれは大事なことですよ。  そこで、五月二十六日にこの委員会でこのことも議論をされました。総理は、情報の把握のためにはどこまで許されるかを検討しながら、もう対応するときが来ていると考える、安全について一番大切なのは的確な情報をつかむことだと答弁をされました。非常に積極的な答弁をされています。私はそうだと思いますよ。総理、もう一度確認したいのですが、どうでしょうか、この問題は。積極的に私は進めるべきだと思います。
  70. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは、私が就任した今日現在は、偵察衛星の保有についての構想というのはないということ、また、計画というものはございません。  ただ、今お話がありましたとおり、やはり日本というのは専守防衛ということでありますから、専守防衛を確実なものにするためには、何としても情報というものをきちんと正確に把握するということが最も重要なことであろうというふうに考えております。  そういったことで、私たちは、具体的な問題が起こるといいますか、具体的な問題等につきまして、私どもとしてもこれからやはり勉強はしなきゃいかぬという問題であろうと思っております。
  71. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 神田防衛庁長官に伺います。  あなたは三十一日午前の閣議後の記者会見でこう答えられています。「「日本が独自に持っても情報を全部分析してやりきれるのかなとも思う」とも述べ、日本が独自に偵察衛星を保有することには慎重な姿勢を示した。」神田防衛庁長官はこれが真相なんですか、お答えください。
  72. 神田厚

    ○神田国務大臣 お答え申し上げます。  今おっしゃいましたお話は、偵察衛星を持ったらどうかという記者団からの質問がございまして、偵察衛星については、宇宙の平和利用の問題やいろいろ難しい問題がある、しかし、情報収集というのは専守防衛の我が国にとっては大変大事なことだから、いろいろな面でこれから検討していかなければならない問題だと思っているというような答弁をいたしました。
  73. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 長官、そのままちょっとこっちにいて。  長官はどう考えているのですか。積極的に今総理は、もう新しい時代だからそういうものを活用していく必要もあると言っているけれども、長官はどうお考えですか。
  74. 神田厚

    ○神田国務大臣 これから勉強をするというふうな話でございまして。と申しますのは、私は、やはり今これから問題になってきますのは、先生おっしゃいましたTMDのシステムだと思うのであります。つまり、弾道ミサイルを撃退する力を将来的に持っていかなければなりませんから、そういうことも含めて偵察衛星というものも必要になってくるのじゃないかなと考え方を申しました。
  75. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、何か繰り返すようで恐縮ですが、神田防衛庁長官長官に指名されたとき、総理大臣は、あなたが防衛の専門家なんでぜひなってもらった、こう言われましたよね。私もそうだと思いますよ。そうだったら、大臣になられたら、これから勉強するのじゃなくて、今まで勉強してきたことを決断するときじゃないですか。そうでしょう。それに対して国会国会としていろいろ意見はありますよ。でも、そこから議論が始まるのですよ。そうでしょう。あなた、勉強している間に大臣を終わっちゃいますよ。  もう一遍。あなたは必要だと思うならば、積極的にあなたの在任中にこのことができるように作業をやるべきですよ。もう一度答弁ください。
  76. 神田厚

    ○神田国務大臣 ですから、先生おっしゃるように、決断しろという話でございますが、しかし、やはり国会決議等々もございまして、いろいろと難しい問題でございますから、これから慎重な検討をしていきたいということでございます。
  77. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 国会決議なんていうものは変わるのですよ、時代とともに。私は変わっていいと思いますよ。だから、時代が変われば、当たり前ですよ、総理国会決議したら永久に変わらないのですか。そんなことはないですよ。時代が変われば国会決議も変えなければならないですよ。だから、国会決議も変える作業もしなければならぬ。だけれども、神田防衛庁長官としては、あなたはどうしたらいいと思いますか。そこから議論が進むと僕は言うのですよ。あなたの考えを聞かしてください。
  78. 神田厚

    ○神田国務大臣 先生非常に御熱心におっしゃられましたけれども、私どもは、やはり大変大事な問題でありますから、ここで決断をするというようなことではなくて、もうちょっと慎重に検討をしなければならない問題です。
  79. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これ以上申し上げるつもりはありませんが、これから日本の政治は、大臣責任を持って発言をする。どこかに相談をするとか時間をかけるとか勉強するとかいうのじゃなくて、私は、やはり大臣大臣として責任者として物を言う、それに対していろいろな議論が進むことはいいことだと思いますから、ぜひひとつしっかりした決断でやっていただきたい。  神田防衛庁長官ばかりあれして恐縮ですけれども、そのときに、私個人的に何もあれを持っているわけじゃないですからね、この記者会見の中で、「ミサイルの発射実験を行うとの情報があることについて「別に実弾が飛んでくるわけではないので(防衛庁として)特別な準備はしていない」」と述べている。安全保障というのは危機管理ですから、どういう状況にあっても我々のこの国土、一億二千万を守っていく、そういう体制がいつもなきゃならぬと私は思うのですね。  時間がなくなりましたので、この問題でもう一点だけ総理に伺っておきたいと思いますが、この問題を積極的に進めていくのには、今お話の中にも出てまいりましたように、国会決議があります。この国会決議に抵触する可能性があるわけですけれども、TMD開発への参加、導入はこの問題を抜きにして語ることはできない。これだけ情報が大切と言われている、しかも安全保障で一番この分野が大事だと思われているところについて、総理は具体的にどんなふうにこれから進めていったらいいと考えているかを伺いたいと思います。
  80. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 TMDの問題につきましては、これは今事務方の方でちょうど米国の皆さん方の説明、こういったものを聞いておるところでございまして、そういったものを聞いた結果どうするかというのは、これは我が国が主体的に考えていく問題であろうというふうに思っております。  今具体的に御質問がありました宇宙空間の軍事利用を禁じた国会決議というのは、このことを指してお話があったと思うのでございますけれども、この国会決議の有権解釈、これは国会がされるものでありますけれども、私どもといたしましては、その利用が一般化している衛星、それと同様の機能を有します衛星につきましては、これは自衛隊による利用というものは私は認められておるものであるというふうに解釈をいたしておるところでございます。
  81. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これは総理に伺うのがいいのか、外務大臣かよくわかりませんが、五月の四日にイエメンで内戦が勃発をした。現地では在留邦人の九十六人の脱出作戦が展開をされました。そのとき現地では、日本人は、ドイツ、フランス、イタリアとヨルダンの協力を得て軍艦や軍用機で脱出することができ、どうにか事なきを得たということであります。  その後、報道によりますと、外務省の危機管理担当者は、主要国の現地大使館を通じて日本人脱出の協力を依頼した、毎度毎度のお願いで、日本はいつになったら自前の救出ができるのかと皮肉られた、こう伺っています。  今、日本経済の大変なグローバル化、世界で日本の人たちが活躍をしている、こういう時代に及んで、在外邦人のこうした緊急な救出等を含めて、一日も早く法整備を行う必要があると私は思いますが、自衛隊法の改正等を含めてどう対処していこうと考えているか、総理
  82. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 この問題につきましては、まさにこういった事態がいつ起こるかわからぬ、そういう意味で、前国会でも、自衛隊法の一部改正、これを実はお願いをいたしておるところでありますけれども、残念ですけれども、まだこれが通過しておらないという現状でございます。その意味で、私どももこれが一日も早く通過するように努力をしてまいりたいというふうに考えておりますので、さらなる御協力を賜りますようお願い申し上げます。
  83. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 それでは、時間が経過しましたので、国連の安保理常任理事国入りについて伺いたいと思います。  ちょうど来年は、国連が設立されて五十年を迎えようとしているわけであります。私たちは、一貫して国連中心外交を今日まで進めてきたと思います。この国連の安保理常任理事国に日本もそろそろどうかという声が世界の中からも少し聞こえてくるようになっていると思います。  宮澤政権のときに、安保理事会においてなし得る限りの責任を果たす用意があると当時表明をされました。細川総理は、昨年の九月の二十七日、国連総会で演説をされました。その中で、「改革された国連において、なし得る限りの責任を果たす用意が」ある、「改革された国連において、」そして、その後の前総理のやりとりの中では、日本は推されればなるんだ、こういう姿勢を繰り返してこられました。  これは、私が想像するに、当時連立政権に入っておられました当時の武村官房長官等の意見が非常に強かったように私には思えるんです。今武村さんは閣外に出られました。羽田政権の国連常任理事国入りについての明確な姿勢を私は伺っておきたいと思います。
  84. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 冷戦終了後、国際社会の平和と繁栄を維持するために国連の果たす役割がますます大きくなっていることは事実でございまして、その意味でも、五十年を機に国連の改革が大きな議論になっております。その中でも安全保障理事会の機能強化は大きなテーマでございます。  その点につきましては、細川総理は国連総会で、「改革された国連において、なし得る限りの責任を果たす」という演説をされたわけでございますが、その中には国連安保理の改組も含まれていると思っておりますし、その後、実はこの予算委員会での私との質疑でございますが、細川総理も、当然あらゆる機会を通じまして、常任理事国の問題については我が国にその意思があるということを明確に申し上げております、ということをおっしゃっておられまして、前向きの姿勢を示しておられます。  羽田総理のお考えはまた後ほど御答弁があるかもしれませんが、国連常任理事国として責任を果たしていくということをあらゆる機会におっしゃっておられますので、私もそうした点を明確にしながら努力をしてまいりたいと思っております。  また同時に、国際社会の中でも、我が国が常任理事国としてふさわしい役割を果たす国だという認識が徐々に高まってきておりまして、何が何でもなりたいと言って押していくのでもなく、そうした国際的なコンセンサスの中でおのずから実現されるべきものと私は考えております。
  85. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 前総理の国連常任理事国入りの条件として、世界の繁栄と安定のために貢献する意思と相応の能力を挙げました。何回も私は見ましたけれども、具体的にどのような能力を想定しているのか、これもよくわからない。数々の大臣の発言がありました。どうも、その内容を詰められると、この国会でも、時には弁解があったり、陳謝があったり、明確にならない。  私は、安全保障という国家の基本理念が率直に政治家同士で語られ、その論点が国民の中に論争を呼び起こし、一人一人の国民が、将来、自分たちの国の安全保障や国際的な役割はどう果たしていくのか、また、日本という国のイメージはどうあるべきかということを私はフランクに語り合うべきだと思います。首相や担当の大臣が言葉をあいまいにしていたのでは、みずからの決断で新しい時代を私は開くことはできないと思います。  そこで、総理に伺いたいと思いますが、常任理事国が果たすべき責任とは具体的にどのような責任があり、我が国は常任理事国としてそのすべての責任を果たしていくつもりなのか、国民に今明らかにしていただきたいと思います。これからの我が国の対応についてもあわせて伺いたいと思います。
  86. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、世界に平和を、そして安定をもたらす、また世界の国が、繁栄という言い方がいいのか、ともかく飢餓と栄養失調というものは捨てていく、あるいは環境問題、こういった問題についてやはり国連が果たす役割というのは、新しい時代のニーズとして大変大きくなってきておるというふうに思っております。  その意味で、国連が今改組されるということでありまして、その中で日本がその役割を果たしていこうということ、これがいろいろな国からも問われ、また、私たちもその意思があることを表明をいたしておるところであります。平和は、ただ願っているだけでは本当の平和はやってこないということであろうというふうに思っております。そういう意味で私どもは、やはりそういった問題に対して積極的に発言をしていくべきであろうというふうに思っております。  ただ、私がここで申し上げられることは、じゃ日本は一体何をあれするのかということでありますけれども、一つは、いろいろな議論があるところでございましょうけれども、国連の中において第二番目の財政的な貢献を行っている国であるということ。あるいは軍縮とか不拡散という問題、こういった問題等についても発言していくことは私は十分あり得ようと思います。  それから今は、ただ力だけで抑えていくというよりは、あるいは対話ですとかそういったものが非常に強く必要とされる、紛争があちこちで多発しておるということでありますから、そういった問題については、日本はこの五十年間、平和の中でいろいろな国の協力をいただきながら今日の日本というものを繁栄させてきたというノウハウ、こういうものを持っているということでありますから、こういった面についてやはり大きく発言をしていくことがあろうと思います。  それともう一つは、こういったところである程度平和というもの、平和といいますか安定というものを確保したならば、そこに対して復旧、復興の作業というものが必要であろう。そんなときには日本なんかは積極的に参加ができるということであろうというふうに考えておりまして、今日の日本の憲法の許された中で、私は十分日本の国は国連の中で力を発揮していくことができるだろうというふうに考えておるところであります。
  87. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 答弁を伺っていますと、常任理事国にはかなり積極的に入っていこう、そういう中で憲法の範囲内で日本は対応していく、こういうことだと思いますね。  その憲法の範囲内でということが非常にあいまいで、私はここをはっきりした方がいいというふうにずっとこの委員会の議論を聞いていて思うわけです。同僚議員であります中川委員からも質問をされて、四月二十二日の連立政権樹立のための確認事項の「安全保障」という項目の中に使われましたいわゆる普遍的安全保障、これについて、もう時間がありませんのでその経過を申し上げることを避けますけれども、統一見解として出てきたものも、結局あの統一見解を見ると明確でない。  総理にもう一度ここは確認しておきたいのです。  つまり、これから私たちのこの国が世界のひのき舞台で常任理事国に入る。そのときに日本はこれから国際舞台に行ってどういう役割を果たすかという大変大事な分岐点だから確認をしておきたいわけですけれども、この普遍的安全保障というのは、総理は当初、集団安全保障とほぼ同じ意味だと答えられた。しかしその後、普遍的安全保障は軍事的な措置と平和的手段による紛争解決とを含む幅広い概念であり、我が国は憲法の枠内でこれに協力するという与党の統一見解が出された。  この普遍的安全保障というのは、国際的な安全保障の中に含まれるのですか。含まれるということになれば、国際的安全保障の中には、今申し上げたようにもろもろの問題が含まれているわけですね。だから、普遍的安全保障ということでこの連立の合意をしたわけだから、これが今、この政権の、日本がこれから国際社会で果たしていこうという基本ですから、明確にしてください。
  88. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今お話のあった点、私はこの前からもそのことを述べております。ただ、私どもが果たせる役割というのは、今、日本の憲法の中に許されているその中で果たしていくということであります。  また、集団安全保障の中には、例えば第七章でございましたか、国連軍なんというものも実は議論されておるわけでありますけれども、それは実際にこういった形で、どういう方向でどんなふうなものでやるんだということについてはまだ明らかにされておらないということであります。  いずれにしましても、私どもは憲法の許される中でこれに対応していくということであります。
  89. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 もう細かな前置きはできないので肝心なところだけ伺いたいと思いますが、社会党が政権を離脱をした。その社会党の皆さんの考え方は、普遍的安全保障という中には軍事的な措置を含めない、こういうことを確認していたということでありますけれども、そうですか。
  90. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、我々これはみんなで話し合ったわけでありますけれども、少なくもやはり現行憲法の中に許される範囲ということでは、我々はちゃんと理解をお互いにしておるということであります。
  91. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 だから総理、軍事的な措置は含まれないということですね。答弁してください。
  92. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 おっしゃるとおりであります。
  93. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 本年の一月二十八日、アメリカの上院は、日独両国がPKOに軍事活動を含めて参加できるようになるまで、両国の安保理常任理事国入りは認めるべきではないという旨の決議を可決しました。これはアメリカの決議でありますけれども、国際世論として、国連の軍事行動への参加、不参加、それと常任理事国入りとの関係についてはどのような考え方が主流になっていると政府は分析をしているか、伺いたいと思います。
  94. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 国連のブトロス・ブトロス・ガーリ事務総長は、訪日の際にも、国連の軍事行動への参加が常任理事国入りの必要条件ではないということを明確におっしゃっておられますし、また最近、ニューヨークにおいて記者会見で同様の趣旨のことをお話をされているとも伺っております。その意味では、アメリカの議会の中で今伊藤議員御指摘のような動きがあったことは事実でございますが、それが世界の大勢であるとは承知をいたしておりません。
  95. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 具体的に伺いたいと思いますが、我が国が国連常任理事国となった場合、国際紛争に対してPKOを派遣するか否かの判断を求められることがあると思いますね。そのときに、PKO参加五原則に抵触をするために我が国が参加できないPKO派遣や、我が国がこれまで想定してきた伝統的なPKO、それを逸脱をしていくPKO、例えば平和執行部隊と言われるようなPKOについてはこれからどんな態度をとるのか。  例えば、国連が改組されて日本が常任理事国入りをする、拒否権も持つ、そのときに拒否権を発動するのか。あるいは拒否権を有しない場合もある。そのときは反対するのか、あるいは棄権するのか、あるいは賛成して参加しないか。憲法及びPKOとの関係をクリアにして、あるいは参加するのか。  これは仮定の問題です。しかし、仮定の問題ではありますが、今総理柿澤外務大臣のお話にありましたように、日本は、常任理事国入りをしていくというときには、これはその腹をしっかりと決めていかなければならないと私は思います。  つまり、今私たちは国際社会の中で重役のいすに座ろうというわけです。我々は、重役のいすに一座ったらその義務も果たさなければなりません。私たちは、国連や国際舞台に行ってから、出してください、ノーです。これも協力してください、それもノーです。一遍、二遍、三遍、我々はうつむいているんですか。私たちは今、国の中できちっとこの論争だけはやっておかなければだめだ。そして、広く国民の皆さんの理解と深い論争の中で、国民がきちっとした考え方を持って、そのときに我々は堂々と国際舞台に私は出るべきだと思いますが、総理のお考えを聞かせてください。
  96. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 五原則は、法案が通って三年目に見直すということになっておるわけでありますから、今度のカンボジア、モザンビークその他の経験というものを私たちは十分踏まえながら、やはり国会でも御議論をいただく必要があろうというふうに思っております。  それと、国連というのは、今申し上げましたように、時代が新しく大きく変わっている中で新しいニーズというものが生まれてきているわけです。そういうものに対して日本としてでき得るもの、それからPKO活動の中でもでき得るもの、こういったものを積極的にやっていないとすれば、日本として物を言うことができないでしょう。  しかし、私は、日本でなければできないものというのはたくさんあるし、この五十年に積み重ねてきたノウハウというものを生かしていくことは、今国連に求められている大きな要素であろうというふうに思っております。  その意味で、そういうものを十分果たしていくことによって、我々は国連の常任理事国としての役割をきちんと果たすことができるんじゃなかろうかと、私は確信をいたしております。
  97. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 最後に一問。  総理は五月十二日、衆議院本会議場で代表質問に答弁をされて、集団的自衛権の行使は憲法九条で許容されている自衛権の行使の範囲を超えており、自民党時代から一貫している、この解釈を変更する考えはないということでありますが、どんな事態が発生しても、この憲法解釈は変えないと総理は言い切れるかどうかを伺いたい。  もう時間がありませんので、そのお答えを伺った上で、集団的自衛権に関して内閣法制局長官に伺いたいのですが、憲法九条が我が国の集団的自衛権の行使を禁じているというのは、解釈の問題なのか、あるいは事情により、時の内閣によって変わり得るものなのか、あるいは憲法が明確に禁じておって議論や解釈の余地のないものなのか、内閣法制局に伺いたいと思います。  まず総理
  98. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今日の状況の中にありましても、今日まで各歴代の総理あるいは外務大臣、こういった皆さんがお答えしてきたとおり、私は今日、同様の考え方であります。
  99. 大出峻郎

    ○大出政府委員 お答えいたします。  現行の憲法第九条のもとにおきまして我が国において集団的自衛権の行使が認められないというのは、憲法の解釈としてそういうものが認められないというふうになってきておるわけであります。
  100. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 ありがとうございました。  終わります。
  101. 山口鶴男

    山口委員長 これにて伊藤君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  102. 山口鶴男

    山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  平成六年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁、環境庁、国土庁を除く)並びに他の分科会の所管以外の事項  第二分科会は、法務省、外務省、大蔵省所管  第三分科会は、文部省、自治省所管  第四分科会は、厚生省、労働省所管  第五分科会は、総理府(環境庁)、農林水産省所管  第六分科会は、総理府(経済企画庁)、通商産業省所管  第七分科会は、運輸省、郵政省所管  第八分科会は、総理府(国土庁)、建設省所管 以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 山口鶴男

    山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  106. 山口鶴男

    山口委員長 次に、平成六年度総予算の公聴会の件について申し上げます。  公述人の選定につきましては、さきに委員長に御一任いただいておりましたが、本日の理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしました名簿のとおり決定いたしましたので、御報告いたします。     ―――――――――――――    予算委員会口述人名簿 一、意見を聞く問題 平成六年度総予算について  ○六月三日(金)     日本私立中学高等学校     連 合 会 会 長  堀越 克明君     上智大学経済学部教授 岩田規久男君     東北大学名誉教授   大内 秀明君     日本証券経済研究所     主 任 研 究 員  紺谷 典子君     全国労働組合総連合     事 務 局 長    熊谷 金道君     TKC全国会会長   飯塚  毅君     ―――――――――――――
  107. 山口鶴男

    山口委員長 この際、羽田内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。羽田内閣総理大臣
  108. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先日中尾委員から御質問のありました前産業政策局長をめぐる大事につきまして、当時の通産大臣であった熊谷官房長官、井上一成衆議院議員及び日笠郵政大臣並びに通産事務当局から事情を聴取いたしましたので、報告をさせていただきます。  まず、熊谷長官からは、内藤前局長の人事は省内の人心一新のために行ったものであり、現在も適切なものであったと考えておる、また、井上議員及び日笠議員に対しましては、本件について国会での質問を依頼した事実は一切ないとの報告を受けております。  次いで、井上議員からは、熊谷大臣と会談し通産省内の状況が話題になったことは事実だが、質問依頼を受けてはいない、また、日笠大臣からは、連立与党内で各党ごとにテーマを決め、そのテーマに沿って質問したものであり、熊谷大臣から質問依頼によるものでないとの報告を受けたところであります。  通産省からは、本件人事は省内の人心一新のために行われたものであり、具体的には本件人事は極めて重要なものであったので、大臣から内藤前局長に話をするとともに、正式には事務次官から同局長に辞職の勧奨を行ったところ、内藤前局長から昨年十二月二十一日付で退職勧奨を受けたことによる辞職願が提出され、同月二十四日付で同局長辞任されたとの報告を受けたところであります。  私といたしましては、以上の報告によりまして、本件人事は通産省の人心一新のために行ったものというふうに理解をいたしております。以上であります。
  109. 山口鶴男

    山口委員長 質疑を続行いたします。水野清君。
  110. 水野清

    水野委員 ただいまの総理の発言要旨については、一応これは承っておきますが、私は承服できません。中尾栄一君が議員辞職をかけて御質問申し上げたわけでありますから、私の方にもそれなりの用意がございますから、これは承服できません。  きょうは、その前に飛び込みが入ってまいりました。実は羽田総理、あなた御自身の問題であります。けさの毎日新聞にこういう大変立派な記事が出ております。ごらんになったと思います。ごらんになりましたか。(羽田内閣総理大臣「まだ細かく読んでいないですけれども、ざっと」と呼ぶ)細かく読んでいない。それじゃ、まあ。  けさの、これは毎日新聞でございますが、によりますと、羽田さんの関連企業が資産づくりをしているという記事が掲載されております。政治改革を標榜して、政治倫理に対して極めて厳しい姿勢を常日ごろから口にしておられるあなたが、また特に、おれは土地絡みの話は全くないということを標榜しておられるあなた様が、もしこのような事件に、これが本当であったら極めて重大な問題であると思います。  そこで伺いますが、まず、この記事の内容から来るわけでありますが、北海道白老町の原野を開発をしていると言われる東京都港区の道白観光という会社を御存じでいらっしゃいますか。また、曽根功という方を、功は成功、失敗の功という字ですね。曽根は、昔曽祢益先生という方がおられましたが、曽根功という名前です。御存じでいらっしゃいますか。
  111. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 その会社の名前をよく承知しておりますし、あるいは今の曽根さん、この方のお子さんの結婚式にも私は出ております。
  112. 水野清

    水野委員 そこで承りますが、あなたの秘書であって、この方はもう既にお亡くなりになっておられますが、山崎貴示さんが道白観光という会社の役員に就任していたことは御存じでいらっしゃいますか。
  113. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 役員に就任していたかどうか知りませんけれども、この道白観光という会社といいますか、あそこに、北海道に、いわゆる競馬に出場していた馬、これの養老院といいますか、そういったあれをわずかなえさ代等をあれしながらやっている方がおりまして、こういった方々を今度新しい牧場の中で応援するという話を承知いたしております。
  114. 水野清

    水野委員 ここに山崎さんの登記が入っている謄本がございます。  あなたは、この道白観光という会社は、御自身はどういう関係にございましたか。
  115. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 これは一切関係はございません。
  116. 水野清

    水野委員 そういうふうにおっしゃいますが、山崎貴示さんがお亡くなりになってから、さらに、あなたのところに真壁さんという秘書さんがいらっしゃいますか。真壁晃さんという秘書さんがいらっしゃる。その方が取締役になっていらっしゃるのを御存じですか。
  117. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 それは、きょう知りました。
  118. 水野清

    水野委員 きょう知ったではちょっと済まないと私は思うんですが、道白観光という会社からあなた様の政治団体に対して政治献金が行われているというふうにこの新聞にも書いてありますが、その政治団体の名前と金額をおっしゃっていただけますか。
  119. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 金額についてはあれでございますけれども、道白観光じゃなくて、道白観光に出資されている、一つの会社をつくっている仲間の会社から、そんなに大きな額じゃありませんけれども、いただいているという話は聞いたことがあります。
  120. 水野清

    水野委員 これについては、いずれ明確に資料を出していただきたいと思います。  ところで、一九九〇年十月十日に、ここに、あなた様は御関係ないとおっしゃったけれども、道白観光、現地においでになっていらっしゃる。写真があるんですね。かつて代議士だった松浦さんとか鳩山さん、北海道の方の鳩山さんが一緒に写真に写っていらっしゃるんですね。視察の写真が掲載されております。  この当時、あなたは自民党の選挙制度調査会長をしておられまして、政治改革に御熱心に取り組んでおられました。まさにそのときに、白老のリゾート予定地を視察をされておられますが、その目的は何であったか、お答えを願いたい。
  121. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 道白観光に関係しているということは、要するに、私が役員ですとか、あるいは企業を興して私自身がそこから利益を得るとか、そういう意味で全然私は何も関係しておらないということを申しております。  それから、先ほど申し上げましたように、そこには、たしか、要するにかつての養老牧場と私申し上げましたけれども、いわゆる馬を預かる、そういう牧場をやっておられるわけですね。そういったものを今度そこへっくるということ、そういう話がありまして、私はそれに対して、そのやり方というのは、ボランティアの方たちのお手伝いをいただきながら、利益なんかほとんど追求するんじゃなくて、いわゆる馬を生かしてあげるということに大変御熱心な御婦人の方がいらっしゃいまして、その方がそれに対して携わっておる。  それが、今度新しいところに、別天地といいますか、そういったところにつくられるということで、その場所を、私は大変いいところであるという話で、一つのロマンみたいなものにあれしながら行ったことはございます。  それから、そのでき上がったときに、今度馬がちゃんと格納されたということで、行ったこともございます。
  122. 水野清

    水野委員 ちょっとお話が、馬の養老院の話にウエートがあれしましたけれども、どうもリゾート開発の方にこの事業は大変力が入っているように思いますが、もっと承ることがありますから、申し上げます。  実は、ここへあなたもおいでになったのは一度ではない、何か二度にわたって視察をしたとおっしゃっておられますね。今おっしゃった。ところが、現地に行って調べた人たちによりますと、どうもそれ以上に何回か現地に行っておられる、こういうふうに伝えておりますが、いかがですか。
  123. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 何回もって、もし行ったとしたら、あと一度ぐらい余計行っているかもしれないが、私はたしか二度だ思うんですけれどもね。それは、それ以上行っていないと思いますが、もし行ったとしてもあと一度ぐらいで、そんな何回も行ったことはありませんし、あるいは、こういったものについて、今ちょっと何かお話を聞いていると、これをどうのこうのということについて、私自身が関心とか、関心といいますか、関与する、そういうものでは一切ございません。
  124. 水野清

    水野委員 この事業については、概要はどなたからお聞きになりましたか。いっ、どなたからお聞きになりました。この道白観光のやっている事業ですね。あなたは、ここへ少なくとも二回は行っておられることを認めておられる。いつ、この話をお聞きになりました。
  125. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 三年か三年半ぐらい前か、ちょっと私も細かく記憶をいたしておりません。  ただ、私は、そこで、たしかあのときにあいさつをしたことがありましたけれども、その集まっている仲間たちにですね。まあ確かに、いろいろな産業でいろいろと御利益を上げられた方々が、例えば馬の命というようなものに対してこういう理解を示してくれるということは大変ありがたいことであるし、敬意を表するというようなことを申し上げたことがございます。
  126. 水野清

    水野委員 ところで、道白観光という会社が白老町の原野を取得をする際に、あなたは、道白観光から何らか出資をしてくれとか、あるいは融資のあっせんをお世話をされたとか、相談に乗ったとかいうことはございませんか。
  127. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、国会議員になってから、そういう事業とか、そういうものに対して一切あれをしたことがない人間であります。しかも、よく議員たちにいろいろなことを頼まれますね。しかし、そういったものについても、私は、これを採用してくれなんて頼んだことのある人間じゃございません。
  128. 水野清

    水野委員 しかし、あなた自身ではないかもしれませんが、関係者の方が、これはどうも役員になっておられる。少なくとも株を持っておられる。しかも、秘書さんが二代にわたって取締役になっておられる。その辺の事実をきちっとお調べになっておられますか。
  129. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今申し上げましたように、その山崎が役員かどうか知りませんけれども、実際にいろいろとかかわっておったことは承知しております。しかし、もう一人の人についての役員就任ということ、先ほど御指摘がありましたけれども、それはきょう実は知ったということであります。そして、少なくも、これは私どもの後援会の事務所の職員の人であります。
  130. 水野清

    水野委員 この真壁さんが役員に御就任なのは、平成四年の十一月の六日か十八日か、ちょっとこれ、謄本でよくわかりませんが、十八日ですね。ですから、既にもう二年近くたっております。その間、全く報告はお受けにならなかったですか。
  131. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 本当に、これ、報告というのは別に、私が入りましたとかあるいは今こうですというようなことの報告というのは一切受けておりません。
  132. 水野清

    水野委員 非常に、謄本その他からと御答弁とは感じが違うわけでありまして、また後ほど私の方であれですが、国土利用法によりますと、大規模な土地の売買には知事に対する事前の届け出義務があるということは、農林大臣をおやりになっておられますから、これは国土法は国土庁ですが、もうベテランの総理でいらっしゃいますから御存じだと思います。そのことは御存じでいらっしゃると思いますが、いかがですか。
  133. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほども実は御質問の中でそういった質問が伊藤さんからでしたか、ございました。  ただ、問題は、私、会社の役員でもなければ会社の運営についてどうこうというあれでございませんから、そういった取引とか、そういったものについては、これは一切承知しているところじゃありません。
  134. 水野清

    水野委員 国土庁長官、あなたに承りたい。どうも左藤さんには聞きにくいですがね。これは役目柄しょうがありませんな、左藤さん。  白老町のこの道白観光の国土利用法の問題について、北海道庁でしょうか、適正に処理をされておるでしょうか。国土法は、大規模な土地売買、この土地の場合は五千平米以上と書いてあります、知事に対する届け出を義務づけておりますが、国土庁としてはどういうふうに把握をしておられますか。
  135. 左藤恵

    左藤国務大臣 この問題、先ほどお伺いしたばかりでございますので、すぐにただいま北海道庁を通じまして、胆振支庁ですか、というところにこの所有権についての届け出がどういうふうなことになっているかということについて、国土利用計画法上違反していないかどうかのことについて調査を始めたところでございまして、まだ返答が参っておりませんので、また参った段階でお答えしたい、このように思います。
  136. 水野清

    水野委員 先ほどの総理の政治資金の問題とともに、これはなるべく早くひとつ当委員会に御報告をいただきたいと思います。  これは理事の皆さん、ひとつ適正に処置をお願いします。
  137. 山口鶴男

    山口委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  138. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  私の方からお願いいたしますが、明日、水野委員の質問のときまでに、要求いたしました資料は提出するように努力をしてください。  水野君。
  139. 水野清

    水野委員 総理に、お答えは想像していますけれども、国土計画法上この土地が問題があるということを、これを御視察になった際に、少なくとも二度は御視察になった、こういうふうに認めておられますので、何ら疑問に思ったりなさらなかったのか。あるいはその現地の秘書、特に秘書さんが役員をしておられるわけですから、当然前の亡くなった方は同席をしておられたと思いますが、自分の秘書として仕える代議士に、こういうことがありますがというお話も何もなかったかどうか。ちょっと聞きたい。
  140. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そのときはまさに、何というんですか、競馬馬の養老牧場ということに対して関心を持っていることと、そこに何か温泉が出るということ、これは大変関心を持っておりました。  しかし、今の土地のあれがどうのこうのということについては、これは一切何もそのときも感じませんし、そういうことに対して私が別にこれからどうこうしようということで行ったわけじゃございませんから、そういった問題についての取引関係なんかについては一切相談も何もありません。
  141. 水野清

    水野委員 この問題はまた次にいたしまして、総理にひとつ伺いたいんですが、新党さきがけは今の連立内閣にとって、私どもは、予算を一緒に編成なすったんですから友党である、こういうふうに思っておりますが、どういう御関係でいらっしゃいますか。はっきり言えば、敵か味方かと。
  142. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 いや、私は味方だと思っております。閣外協力はされるというお話であります。先ほども武村さんとは親しくお話しいたしました。
  143. 水野清

    水野委員 そこで承りたいんですが、官房長官、あなたの出番なんで、できればどこか、ちょっと法制局長官、席をかわってくれませんか。大蔵大臣に質問ございませんから、大蔵大臣のお隣に。  官房長官、あなたも今の総理のお言葉に違いはないか。一言で結構です。
  144. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 八カ月同志としてやってこられましたし、いろいろないきさつはありましたけれども、大きな政策の枠組みは共有しているというふうに思っております。
  145. 水野清

    水野委員 そこで、そういうお答えをいただきたいと思っておったんですが、承りたいんですが、友党の党主である新党さきがけの武村前官房長官について、あなたはどうもいろいろと足を引っ張るような調査をしていらっしゃる。具体的に申し上げますから、それに答えてください。  実は、この五月の連休中に参議院の平野貞夫さんがアメリカに行かれました。この方は小沢一郎さんの知恵袋と言われている方であります。御承知のとおりだ。平野さんはワシントンのナショナルプレスセンターやマサチューセッツ工科大学で御講演をなさいました。それが旅行の目的であるように表面見えたのでありますが、実は、ついでであったかどうかわかりませんが、ワシントン滞在中にペンタゴンやCIAの要人たちと会って、武村前官房長官と北朝鮮の金日成さんとの関係についてアメリカ側の持っていらっしゃる資料を集めて帰ったという話があります。  一方、武村さんの方もこれは大変しっかりしておられまして、このことを察知されたのか、逆に訪米をなさいまして、これは新聞に載ってますわな。国務省、国防総省、CIAなどを訪れ、特にCIAでは、ウールジー長官や、名前は忘れましたが副長官なんかとお会いになって、御自分に対する悪宣伝を打ち消して歩かれた節があります。これは私は直接会っておりませんが。  むしろ武村さんは、今は、金日成を知る西側の有力政治家としてアメリカ政府に認識をしてもらったと、これはアメリカの期待でありますから、思っております。これを踏まえて武村さんが近く訪朝されるというお話もうわさとしては私は聞いております。  そこでおもしろいのは、平野さんが、これは余談ですが、アメリカの講演で、私たちは五五年体制を支配してきた亡霊と戦っているんです、この亡霊たちの怨念を解消させなければ、これはなかなか日本の政局はおさまりません。委員長、これ亡霊なんです、社会党と自民党は、どうも。これは五月二十四日の毎日新聞の「近聞遠見」というコラムみたいなのが二ページにありますが、これに出ていることを私は読んで、ははあと思って拝見をしておったんです。  ところがあなた様は、少なくとも政治改革の同志である武村さんのいわば身辺調査に近いことをやっていらっしゃる。武村さんを金日成のエージェントと決めつけようとしている調査をしておられる節があります。最近は、これはアメリカからの便りではありませんが、滋賀県に人を派遣したというようなお話もあります。どうも極めて陰惨なといいますか、陰険な手法でかつての同志を刺そうとしているのかなと思って私はこの情勢を聞いたわけであります。  私の聞いたのは、この平野さんがプレスセンターで講演をされたその席におったある外国の特派員です。それと私は電話で直接話をしました。日本語のできる人でしたから、誤解がないと私は思います。  その方が、平野さんがいろいろアメリカの要路の人たちとお会いになったという話も聞きました。ホワイトハウスのプレスクラブの人たちの二、三の人ですが、評価は、北朝鮮の問題というのは日本じゃ外交問題じゃないんですか、反対派を刺す政治家たちの道具になっているんですか、こういうお話を聞いて私も愕然としたわけです。  北朝鮮の問題というのは、これは場合によっちゃ日本の国連に関係します。こういう大事なことを、お互いに相手を誹謗するとか、足を引っ張るとか、材料を集めてどうするかとか、そういうことではないと私は思っております。  先を急いでおりますので、ともかく熊谷官房長官の周辺だという話を聞きましたので、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  146. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 まず、御指摘の平野議員がどのようなことをされたのかというのは、私は承知をいたしておりません。  しかし、今私が、滋賀県に人を派遣したり、あるいは調べたり、身辺調査をしたりということは一切ございません。あるならばぜひ御指摘をいただきたいと思います。私はそういうことを一切やる暇もありませんし、やる興味も持っておりません。
  147. 水野清

    水野委員 多分そういうお答えだろうと思いましたが、私の集めた知識では先ほど申し上げたようなことがありますので、これはまた後ほど、いずれの機会かにやらせていただきます。  さて、いよいよ本題に入るわけであります。なかなか本題に入れなくて困っておった。  先週、中尾栄一君がこの委員会で大変激しく、おれがやめるかあなたがやめるかというようなことをやっておられました。自分のかつての部下であった内藤前産業政策局長の追い落としをやったということについてであります。先ほど総理の方から内閣としての御答弁はいただきました。私はこんなことでは満足をいたしません。これから少しそのことについて伺いたいと思います。  中尾君が当委員会でいろいろ質問しましたから、一応経過を簡単に申し上げます。  昨年の夏以来、通産省内部とマスコミに怪文書がばらまかれました。これは事実であります。総選挙の翌日から怪文書が投函され始め、多分公選法の妨害でやられることを懸念したのか、投票の翌日から投函されているんですね。これはなかなか手が込んでいる。  それで、受け取った通産省のある人は、実は二、三日前に転居をした、住所は役所の文書課にしか届けていない、にもかかわらず私のところへ来たという方もあります。これは省内のかなりのことを知っている人でないとやれないしわざだな、こういうふうに私は思いました。  実は、この怪文書は、後ほど伺いますが、三回は未発行だそうですが、二回出ているんだそうです。二回目は、これは実は私の友人のある記者から私ももらったんですが、この記者の言うには、通産省の役人からもらいました、その折そのお役人は、この犯人は高島さんという人のグループらしいと話をしていました、そう言っておるわけであります。  内容は、通産省の交際費のこと、多額の交際費。ここにありますから、ごらんになっていると思います。そういうことも書いてある。とても会計検査院か通産省の内部の人でなきゃ、通産省だって下っ端じゃわかりません。  三回目は、出ないで終わってしまいました。これは飛ばします。内容は、棚橋前次官の御子息の衆議院選挙への立候補とかその背景、あるいは棚橋氏個人を誹議する内容であります。  さて、この怪文書が出回った後、十月上旬に国会で、今郵政大臣をやっておられます公明党の日笠先生の質問の形で、この怪文書が取り上げられます。さらに十月十四日には、松林詔八さんという弁護士さんほか二名の名前で、棚橋前次官にまつわる国家公務員法違反ということで告発状が東京地検に出されるのであります。この告発状も、実はやや専門家としてはお粗末なんですが、東京地検検事正吉永祐介殿と書いてある。当時吉永祐介さんは大阪高検の検事長か何かであったはずでありまして、弁護士さん三人そろって東京地検の検事正の名前を間違えて告訴状を出すというのは大変おもしろい事件である、こういうふうに思って、私はこの事件を調べるに当たって拝見をいたしました。  さて、これは要するに概要を申し上げないといかぬものですから、この読売新聞の記事というのは、これは一月七日ですね。これはもうごらんになったと思います。総理もごらんになっていますね。この記事について少し承ります。  これは新聞記事は一月でありますが、要するに去年の細川内閣ができてから秋までの間に、内藤さんという前産業政策局長をおとしめるというために、私は中心におられるのは、失礼ですが官房長官の熊谷さんだと思います。私はそう思ってこれを申し上げます。  だれかにまず怪文書をつくらせておられる。この怪文書を国会で取り上げる。さらに、環境づくりに地検に告発状を出すという、なかなか手の込んだやり方をなすって、この内藤さんという、まあ言ってみればか弱い、産業界では大変なものでしょうけれども、一役人をだんだんと追い込めていくわけだ。このやり方は、私は極めて陰険で悪らつだと思って、いずれこんなのはテレビのドラマにでもなりますよ。それほどの手の込んだやり方をなさいました。  そこで、熊谷さんに承りますが、あなた様は昨年の九月二十一日正午ごろ、国会近くの山の茶屋というウナギ屋で、井上一成先生にお会いになりましたか。
  148. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 そのことは前回の中尾先生の御質問にもお答えしたとおりでございまして、お目にかかっております。
  149. 水野清

    水野委員 その際に、中尾さんにも答えられて、これが中尾君がバッジを外すとか外さないとかという話になったのでありますが、お会いになった際に怪文書の話をなさり、国会質問を頼んでおられるということでありますが、いかがですか。
  150. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 そのことは、これも前回お答えしたとおりでございまして、そのようなことはございません。
  151. 水野清

    水野委員 そこで、通産省の官房長、いますか。なるべく前へ座ってくださいな、時間がかかるから。  官房長に承りますが、この日の午後、九月二十一日の午後、井上一成氏は、おたくの役所に大塚さんという方がいらっしゃる、何か研究所の次長をしておられる方、通商産業研究所次長という方に相談をなすった。郵政大臣からこういうことで質問の依頼があった、しかしどんな話なんだ、おれはその怪文書も聞いていない―――郵政大臣じゃない、通産大臣。失礼しました。日笠さんの話も後であるものですから。  ともかく、教えてほしいという電話がかかってきた。熊谷通産大臣国会質問を頼んできたということを、このときは井上さんは大塚さんにどうも話をしておられるらしいのですが、いかがでしょうか、官房長
  152. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 お答え申し上げます。  今委員御指摘の、日にちはちょっとよく覚えておりませんが、九月の下旬に私は、今お名前が挙がりました大塚次長と話をした記憶はございます。  ただ、ちょっと前置きでございますが、当時いわゆる今先生が御指摘になりましたような怪文書というものが広く出回っておりまして、特に九月からその怪文書に、国会の当時与党の予算関係の先生方が中心だったと思いますけれども、そういう方々に広く国会でこれを取り上げていただけないかという前書きをつけたいわゆる怪文書が相当出回っておりましたし、それから、かつ、週刊誌等で省内の問題がいろいろ取りざたをされておったという状況がございます。  そこで、国会及び人事の、私が一応事務的には責任でございますので、省内の国会担当の幹部には、そういうことで国会議員の先生方からそういうような質問といいますか問い合わせがあった場合には、怪文書というものについて省内で一応の処理をして、今省内一致して再建に励んでいることでもあり、本件はそういうことであるので、万が一にも国会等で取り上げられるということは、これは私ども、後ろめたいことがあるわけじゃありませんが、やはり省内のそういった人事問題を国会議論されることは非常に、まあうれしくないものですから、そういうことがあった場合には、すべてそういう話が出た場合には、何とか、そういう国会で取り上げることがないようにしてほしいというような指示を私は、大塚次長も含めまして一般的に国会の担当の職員には申し伝えてありました。  その中の一環といたしまして、確かに、日にちは忘れましたが、今申し上げましたように、大塚次長からそういうような話を聞いた記憶はございます。  ただ、当時の、前大臣と井上先生との間のお話がどうであったかということにつきましては、これは先ほど総理からも内閣で十分お調べになった結果を御報告されたわけでございますし、そういうハイレベルの方々の私的といいますか公的といいますか、お二人の間のお話の内容でございますので、第三者であります私からどうこうというのはひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
  153. 水野清

    水野委員 あなたのお話は非常に微妙なんですが、要するに、怪文書が出回っている、このことについて大塚さんから何か聞いたかと私は言っているのですよ。国会担当というのは江崎さんという総務審議官ですね。その人から聞いたんですか、大塚さんから聞いたんですか。
  154. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 答弁がやや不明確でありました。おわびいたします。大塚君から聞きました。ただ、この問題は、大塚君がたまたま井上先生と面識があるということでございましたし、また、その他与党の予算関係あるいはいろいろな先生方と面識のある幹部は国会担当にはいろいろおりますので、幅広く、国会担当審議官である江崎以外にも、私が先ほど申し上げたような指示をしていたということでございます。
  155. 水野清

    水野委員 あなたは、私の調べたところでは、このとき大塚さんも、これは大ごとですからあなたに相談に行った、井上議員には内緒で相談に行ったというふうにある新聞社の記者に、はっきり言うとこの記事が出たときの人たちですよ、に話をしているわけですね。  そうしたら、あなたは、これは大変な面倒な問題なので、ともかく井上議員とよく接触をしておいてもらいたい、そして、その接触の過程についてはメモをつくって自分のところにきちっと出すようにという指示まで出している、こういうことですが、いかがですか。本当の話をしてくださいよ。
  156. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 メモをつくって、いずれにしましても、メモといいますかそういったものは存在をしておりません。
  157. 水野清

    水野委員 メモをつくったかどうかと聞いているのですよ。メモは存在しないって、そのころメモを破棄するように大塚さんに命じたという話も聞いていますよ。
  158. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 当省におきましては、いろいろ会談をした場合に、口頭で報告もありますし、メモにして報告する場合もございます。  このメモ、そのところは、そこはそれがメモであったかどうか私は明確に覚えておりませんが、いずれにしましても、そういったメモを必要がなくなればすぐ破棄するというのが私どものやり方でございますので、そういったメモは現在ないということを申し上げたわけでございます。
  159. 水野清

    水野委員 大塚さんは、社会党の有力議員であると、これは実は読売新聞は井上一成さんのお名前は出していないのですよ。いろいろ関係者から聞いて、これは井上一成さんであることが間違いないと私は断定したものですから、あえてここでお名前を出して申し上げているのです。いいですか。  大塚さんは九月の二十二日、熊谷さんが井上さんとお会いになったのは二十一日のお昼です、山の茶屋で。もうその午後には井上さんは大塚さんに電話をしています。いいですか。さらに、その日は実は大塚さんは何か忙しくてとてもお目にかかれなかったので、官房長の指示を受けて翌日、二十二日に議員会館に参上した。そして、そこで実は、当時の通産大臣である熊谷さんから怪文書を取り上げてほしいと頼まれたんじゃ。しかし省内事情は一体どうなっておるんだ。怪文書もまだそのときは井上さんは手にしてなかった。  実は、前後しますが、熊谷さんと井上さんがお別れのときに、私は見ていないという話をしたら、じゃ、送りますとか上げますと言ったら、この読売新聞に対する取材では、後ほど宿舎か何かに匿名の手紙で送ってきた、こういう話もとれております。  いずれにしても、官房長は大塚さんを通じて、かねて井上さんと親しかった大塚さんを通じて、絶えず接触をしておくように、でき得れば、実は事務次官はきょうはおいでになりたくない、どうしても嫌だと言うから、まあそれならあしたでもまたお願いしようと思う。牧野さんはこの際に熊野次官にも相談をして、まあどこの事業体でもそうですよ。こんな怪文書が国会に流れたりマスコミに流れたり、これは配ったのですから流れるわけなんですけれども、することはだれもよしとしません。みんな自分の組織がかわいいですからね。  しかし、この怪文書は、出てしまったものはしようがない、しかも前次官の余り芳しい話ではない、この問題はもうなるべく決着済みにしたいよというスタンスを大塚さんは牧野さんから確認をとって、牧野さんは次官と話をした上でとって、本来なら江崎さんという総務審議官がいるんですよ、いるにもかかわらず、いろんなつながりで大塚さんはまた井上先生のところへ行って、まあなるべくならひとつと、こう。  井上先生もああいうお人柄でありますから、結局は、まあおれは、この記事を書いた人たちの話によりますと、何かうさん臭い話は、こんな質問をするのは嫌だと言って断ったんじゃと。  そうしたら九月二十四日、再度、熊谷さんから電話でどうですかと。いいですか、再度ですよ、電話でやってきた。このときも実はイエスともノーとも言わなかった、どっちかといえば否定的なことで発言をしておいたと私は聞いております。これは井上先生の話で、人伝えでありますから、客観情勢、周辺の事情を御説明しようと思いましてね。まあこんなことに口出したくないからね、こういう話であったと、こう聞いております。  同時に、はっきりお断りをしなかったのは、おれが断ればだれかのところへ持っていくだろう、だから、まあしばらく温めておこうという親心もあったんじゃ、こういうお話も聞いております。これは、私の調べたことでありますから、申します。  そこで、今度は、これは十月の、いや九月の末ですね、ちょっと日にちがはっきりしません。しませんが、熊谷先生は日笠議員に、今の郵政大臣の日笠議員に質問をお頼みになるらしい、ここのところが実は私の方で見えておりません。しかし、日笠議員のところへ取材に伺った記者に対しては、おれが判断でやったんだ、頼まれてやったんじゃないと一度は断っておられます。  しかし、実は十月の一日、質問通告を受けた、日笠議員が質問通告をなさいます、十月の四日に当予算委員会で質問をなさっているわけでありますから。通産省側の国会担当の春山繁明さんという方がいらっしゃるようですな。質問をやめてください、先生、こんな、まあという話をしたら、おれは大臣に頼まれたんだ、大臣がやめろと言われなければやめないよと、そのお願いを拒否をされたようです。そのときの言葉が詳しく出ているんですよ、これは。「おれは大臣と同じ宿舎なんだ、宿舎で大臣から頼まれたんで、大臣から頼まれなければやめるわけにはいかない」と取り合わなかったと、こういうことなんです。     そこで、春山さんが江崎総務審議官にこれを報告をして、そこで大臣に、こういうお話で私らの手に負える話ではございません。いいですか。大臣、いかがいたしますかと確認を求めたら、これは江崎さんが確認を求めた、こういうふうに聞いております。大臣の御意向を確認をしたところ、質問をとめる必要はない、こういうお話でありました。これからだんだんとこういう話が表に出てきますから。それで、日笠議員は御質問になった。御質問の内容その他はやっていると長くなりますから省きます。  いずれにいたしましても、官房長、熊谷大臣から日笠先生あるいは井上先生に国会で質問してくれと言った云々、今言ったような細かいことについて、あなたは大塚さんあるいは江崎総務審議官から何ら報告を受けていないはずがないんです。  いいですか。何か受けていますか、受けていませんか。ないなら、ないと言ってくれていいんですよ。
  160. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 大塚次長からは、怪文書についてどうなっているかということを井上先生がお聞きになった、それについて自分は知らないんで、大塚君は知らないんで、人事担当者である私にどうなっておるかを聞いたので、私は大塚君に先ほど申し上げたようにおさまっているということを言ったわけであります。  それから、後段の、日笠議員の質問についての詳細、今先生がおっしゃいました詳細については、私は承知をいたしておりません。おりませんが、ただ、先ほども申し上げましたように、質問者がどうしてもといいますか、御自分の意思でこれは質問をされるということであった場合には、これは通産省として別に恥ずべき、まあ恥ずべきというか、格好は余りいいとは思いませんけれども、そういう問題であるので、堂々とそれは質問は受けるべきじゃないかということを江崎には申した経緯がございます。  ただ、先生が先ほどもおっしゃった細かい経緯は、私は承知をいたしておりません。
  161. 水野清

    水野委員 まあそういうことだろうと思っております。  そこで、官房長、ちょっとあなたにこれからいろいろ伺いますが、あなたはこの怪文書というものを読んだことがありますか。少なくとも私の手元に二通ありますが、読んだことがありますか、ありませんか。
  162. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 何通といいますか、おっしゃいましたけれども、まず、先ほど来議論になっております、昨年の七月か八月に通産省の幹部職員にあてて出された怪文書というのは、当然読んでおります。  それ以外、その後怪文書があるというふうに言われておりますけれども、いわゆる通産省の職員にあてて、私も含めて、私や次官も含めて通産省職員にあてて出された怪文書というものは、一切私はないと思いますので、承知いたしておりません。
  163. 水野清

    水野委員 私の手元にもあるんですから。しかも、通産省のお役人からある新聞社のかなりの幹部がもらったものを、その渡した人の名前を出しますと迷惑かかりますからね。ある新聞社の幹部です。共通の友人じゃないですよ。それから私のところへ送ってきた。これ送ってきた、二通目があります。そういうのをとぼけというのですよ。  ところで、官房長、この怪文書をだれがつくったと思いますか。
  164. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 残念ながら、現在皆目見当がついておりません。
  165. 水野清

    水野委員 知っていたら大ごとですよ。官房長が知っていてやったら、これは官房長まで一味だということになりますぜ。  想像はできませんかな。調査をする気はありませんか。お手伝いして結構ですよ。
  166. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 この怪文書が発出をされまして以来、私といたしましては、事態の解明に向けましてできる限り調査をしたつもりでございます。  ただ、何分にも怪文書というものの性格上、だれが作成したのかについては、今申し上げましたように、現在まで解明できるに至ってはおりません。今後とも私どもは調査をしていきたいというふうに思っております。
  167. 水野清

    水野委員 委員長、これ実は怪文書のつまらないことの私事の話でなくなっていくんです、私の調査では。これは当委員会でできましたら議決をしていただいて、それこそ国政調査権を発動して、私はきちっとこの問題を調査されたい。  これは、理事の皆さんにお任せをします。
  168. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  169. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こして。  理事会で相談をいたします。
  170. 水野清

    水野委員 結構でございます。  そこで、私が参考までに申し上げますと、高島さんという局長さんがいらっしゃいます。どなたですか、手を挙げてください。――いない。きょうは来るように言ってあるんですよ。政府委員が来ないんじゃ困りますよ。来られない、来られないということを盛んに――政府委員は来ないんですか。高島環境立地局長という人です。
  171. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 当然、先生の御要求でございますから、本人は来ております。ただ、人事、広報ですね、国会等に対する当省の事務的な責任者は、政府委員は私でございますので、ひとつぜひ私に御質問をいただきたいというふうに思います。
  172. 水野清

    水野委員 いや、あなたがいろいろおっしゃるからなるべくそうしてあげたいんですが、実は、高島さんを中心として、どうもいろんな方のグループがある。旧知の人々、これが全部この事件に絡んでくるんですよ。  そこで、私は申し上げようと思ったのですが、これはいずれ調査に入るとわかりますが、高沢信行さんという方は、官房長御存じですか。
  173. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 非常によく存じております。
  174. 水野清

    水野委員 どういう方ですか。
  175. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 私と学生時代の同級生でありますし、通産省にも同期で入った仲間でございます。現在は退任をしております。
  176. 水野清

    水野委員 まあわかっていて、個人の話ですからそれ以上余り触れないようにしましょう。  実は非常におもしろい。この高沢さんとそれから高島さんというのは、これまた同期なんですか。
  177. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 さようでございます。
  178. 水野清

    水野委員 先ほど、棚橋前次官に対して告訴状が出ます。これは、きょうは高沢さん、ここにおいでにならないのですが、その弁護士のお一人、松林詔八さんという方がいらっしゃいます。この方は高沢さんと長野県立長野高等学校で同級生、しかも高沢さんがかつて関連をした事件の弁護士もやっておられます。いろいろつながりが出てくるんですね。  それから、高島さんの個人的なことを余り聞いてはあれですが、高島さん中心にいろいろなお集まりがある。あるいは証券投資なんかをして御失敗をなさる。そんなことにまで皆さん方は関連してくるのです。  私は、公務員の綱紀粛正というならば、こういう問題も取り上げたらよろしいと思うのです。前産業政策局長が前の次官の息子を選挙に出るから格上げした。熊谷さんもやってもらったってこの間中尾君に言われたら、私はそうじゃないと言っておられた。そのことは佐藤さんが調べていますから、佐藤さんが後ほどやりますが、私は、この前の産業政策局長の問題よりは、この高島さんの周辺のお話というのはもっとひどいものだ。大変ひどい話ですよ。これは表へ出たらまさに職務権限に絡み、私は法務省のお世話にならなきゃならないと思います。それほどの内容です。これは国政調査権をひとつやっていただくのですから、国政調査権の中で私はお調べいただきたいと思います。  いずれにしましても、実は佐藤さんが後ありますので申し上げたいのですが、とてもきょうの答弁では私は満足できないのです。  そこで、さらにお二人ないし三人を呼んでいただきたい。そのお一人は、先ほど来出てくる通商産業研究所の次長の大塚さん、それから総務審議官の江崎さん、さらに、これはアメリカへ行って、いないそうですが、できれば内藤さんに帰ってきて、これは参考人でも証人でも結構です、当委員会でこのいきさつをきちっと、彼の被害者の立場から話をさせていただきたいと思います。いかがですか。
  179. 牧野力

    ○牧野(力)政府委員 まず事実関係について先生、ちょっと一言御説明をさせていただきますが、先ほど弁護士の松林さん、高沢さんと友人であるというお話がございましたが、これは本人に確認をしておりますが、全く面識はないそうでございます。それから、高校も同級生ではなくて一年どちらか上か、一年違いだそうでございます。それから、高沢君の弁護士を務めたということも全くないということでございます。これはお調べいただければわかると思います。  なお、恐縮でございますけれども、今いろいろ人を呼べというようなことがございました。これはまあもちろん国会のお決めになることですから、私どもがどうこう言う問題じゃないかもしれませんが、先般来次官、前大臣もお答え申し上げておりますように、本件は、内藤前局長の一件はあくまでも内藤さんが依願退職をされましてといった問題でございますし、省内の人心一新のためにやった人事でございますので、そういう問題につきまして、ぜひともこれにつきましては省内の対応にお任せをいただきたい。これは我々の強いお願いでございます。
  180. 水野清

    水野委員 私はそんな答弁では納得できません。いいですか。そんないいかげんな答弁では納得できません。きょうは、あなたがどのぐらいうそをつくかと思って私はいろいろ聞いておいた。これは速記録に残りますからね。いいですか。ともかくさっき申し上げたように、私は明日も一時間質問時間を持っております。あした、大塚通商産業研究所次長、江崎総務審議官、牧野さん、あなたももちろん、あしたは熊野次官にもぜひ来ていただきたい。  それから、ひとつでき得れば内藤前産業政策局長に、私は証人ないし参考人として当委員会に出席するように帰国を求めます。私はともかくこんな答弁ではだめです。
  181. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  182. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  水野委員の御要望は承りました。内藤さんにつきましては、これは国内においでになりませんので、これは御要望については理事会で相談をさせていただきます。
  183. 水野清

    水野委員 本日の答弁、私は満足してやめるわけじゃありません。今申し上げたように、なお追加として説明員とか政府委員とかそういう方々に出席をいただいて、まだ私は質問することがたくさんございますから、事実に基づいてお話を承りたい。その最後に熊谷官房長官にお話を聞く。場合によっては日笠郵政大臣にもお話を聞かせていただく。こういうことで、本日は、質問を途中でございますが佐藤委員に譲りたい、こういうように思っております。
  184. 山口鶴男

    山口委員長 この際、佐藤信二君から関連質疑の申し出があります。水野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。佐藤信二君。
  185. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 きょうは中尾委員が質問する予定でしたが、急遽都合ができまして、今の水野委員と私がと、こうなったわけでございます。きょうはあくまでも、先日の中尾委員が自分の政治生命をかけて、自分が言っていることがまことか、それとも官房長官がまことかということで始まったわけでございますので、その中に二つ意味合いがあったと思うのです。一つは今のやらせ質問、もう一つは熊谷さんのアメリカ留学という問題、私はこの問題を取り上げて若干質問したいと思うのです。  本論に入る前に、大内大臣いらっしゃいませんな。今度の問題は、皆様お聞きでしょうが、箔づけ人事ということで大変問題になってきたんですが、大内さんが一番担当なんですが、箔づけ人事と経歴詐称とどちらが悪いかという問題です。これはもう一番常識的なのは石田長官だと思います。もちろん、どちらも悪いと答えるだろうと思うんです。そうですね、どちらもよくないことだと。  私がこれから質問することは、どうも熊谷大臣の経歴、そういうものに関して公選法違反の疑いがあるということでございますから、その点を御注意願いたいと思うんです。  文部大臣、実はこの間文部大臣にお聞きしようと思って、話をやめて大変申しわけなかったんですが、普通、留学といったらどのように解釈されますか。このことを、一般論で結構です。
  186. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 留学というのは、常識的に言いまして、よその土地、なかんずく外国へ行って勉強、学問をするということだというふうに……
  187. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 何ですか、外国に行って勉強することですか。
  188. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 勉強をする……
  189. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 はい、わかりました。  今、文部大臣言われているように、辞典にはそのように書いてあります。しかし、何々大学にといった場合には、その大学にやはり入ったとか、行ったという何らかの証明がなけりゃいけないだろう、こう思うのですね。ただその土地に行ってその大学の前を歩いたとか、例えば大学の喫茶店に入って、そこの教授に会って面談したというのは留学と言わないだろうと思うんですが、そういう解釈でいいですね。文部大臣、どうですか。
  190. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 門の前を歩いたり喫茶店でお茶を飲んだりするのは、勉強では、学問ではないというふうに思います。
  191. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 わかりました。  そこで、熊谷大臣、寝てないで、あなたのことだから。この間の中尾委員の質問に答えて、大変怒られた項目があります。それは、中尾さんが言ったこと、私は今から申しますが、事実誤認があったと思うんですが、少なくとも熊谷さんは、今の話というのは、アメリカに行った云々のことに関して、御確認の上で話されておりますかと。中尾さんが「もちろん」と言ったら、「冗談じゃないのです。これは人事院の所定の試験を受けておるわけであります。私はすべての試験を受けました。かつ、みずからの手でハーバードの、いろいろな形でお話をいたしまして、籍をいただいた。わずかな期間だったものですから卒業とかなんかじゃありませんでしたけれども。まして、この制度は初めての制度でございまして、替え玉試験」云々と、こういうことなんですが、ちょっとこの字がわからないんですが、今読みました中で、「みずからの手でハーバードの、いろいろな形でお話をいたしまして、籍をいただいた。」とあるんですが、セキというのは在籍という意味なのか、それともチェアなのか、どちらですか。
  192. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 いわゆるカレッジだとかグラデュエートスクールの、入学してということではございません。ただ、研究のいろいろなやり方をグラデュエートスクールの場合は用意されておりまして、実は、私はこの制度ができて初めてでございました。それで、全米科学財団というのがいわばホストファミリーのような形になりまして、後は自分の手で大いにその研究をやりなさいということで、どこでもいろいろな形で口をきいてあげるということで、私はハーバードを希望したわけでございます。ちょうどハーバードというところはMITその他が全部集中しておりまして、私の研究テーマには非常によかったわけでありますけれども。  ただ、大学の方へ行ってみますと、人事院から全米科学財団へ行った話と、全米科学財団から今度はハーバードの方へ行った話とは少し違いまして、悪戦苦闘をいたしました。私の後はハーバードのロースクールの方へ研究室も設けてもらって、私の後任がやはりこの制度にのって行ったのを私は覚えております。  いずれにいたしましても、セキというのは、おっしゃるとおり、グラデュェートスクールとかあるいはアンダーグラデュェートスクールの、いわゆる入学して卒業するというコースであるという意味ではございませんので、その点はまさにチェアということなのかもしれませんけれども、私はちゃんとその場所をつくってもらいまして、そしていろいろな便宜を計らって研究をさしていただいたのでございます。
  193. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 時間がないから、ちょっとはしょって言って悪いですけれども、自治省、お見えですね、選挙部長さん。  昨年の七月に行われた選挙の公報があります、ここに。これは静岡県庁から取り寄せたものですから間違いないと思うんです。その公報の中に「一橋大学卒、通産省入省 中小企業庁施策普及室長」、これが問題の箔づけ人事と言われているんですが、それはそれとして、その真ん中に「ハーバード大学留学」と書いてあるんですね。  自治省にお聞きしますが、公職選挙法第二百三十五条、その一項に虚偽事項の公表罪というのがありますが、これをどういうふうに解釈しますか。
  194. 佐野徹治

    ○佐野(徹)政府委員 公職選挙法の二百三十五条の規定でございますけれども、これは「当選を得又は得させる目的をもって公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の」、これはいろいろございます、身分だとか職業だとか経歴だとか、そういったことに関し「虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。」公職選挙法の二百三十五条の虚偽事項の公表罪という規定でございます。  お尋ねの件がこの二百三十五条の第一項の規定に該当するかどうかということにつきましては、私ども自治省といたしましては、具体的な事実関係は承知しておりませんし、また、それがこの規定に当たるかどうかということを認定する立場でもございませんので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  195. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 今おっしゃったとおりです。こういう法律があるんですよ。それで、その選挙公報というものに対して非常に重たい意味があって、そこに、今るる述べられましたが、自分の職業もしくは経歴ですね、学歴もありますが、こういうものに虚偽の事項を公にしたというものを書いて、それが間違っていると言われた場合には「二年以下の禁錮又は十万円以下の罰金」という大変重たいことなんです。  それに関しては、自治省としてはそれを云々することはできないので、これは裁判事項になるんだということで、今参議院でもって大内先生のところの、大内委員長の率いる党に前に属していた方が裁判になっていますね。これは虚偽の事実を書いた。  私はそれと似ているんじゃないだろうかと思って、今留学というものがどういうふうに一般的に言えるのか。というのは、私は、難しいことじゃなくて一般的な感覚で言うと、選挙民の方はこれを見て、はあなるほどな、ハーバードに留学されている、立派な方なんだろうということで当選したとはおっしゃらないでしょうが、あるだろうと思うんです。今問題になっている選挙のときに箔づけ人事をするのと同じ意味合いだろうと私は思っている。  そこで、今熊谷大臣が盛んにるる説明になりましたが、私、人事院でちゃんと調べたんですよ。それを今から申し上げたいんです。  大事なことは、あなたが個人の資格でもって、私費で行かれたなら余り問題になりません。公費で行かれたんでしょう。違いますか。――うなずかれたわけです。それは今でもありますが、人事院の中に行政官長期在外研究員制度というのがあるんです。四十一年から制度が始まりました。ここに人事院の白書があります、この中にるる説明してございますが。もう一つ行政官短期在外研究員制度と二つあるんです。このいずれかで熊谷さんは行かれたと思うんですが、どちらで行かれましたか。
  196. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 それは、中尾委員にも御説明したとおり短期のものでございます。
  197. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 あなたは、中尾委員にそこまで詳しくしゃべられていないじゃないですか。先ほど私が読んだとおりじゃないですか。今のように、こういう制度だとはおっしゃっていないじゃないですか。  それで、皆様方にも申し上げたいのは、この行政官短期の方で行かれたわけなんですが、そのときの、今お見せしたものの、どういうのが行けるかという資格表が全部あるのですね。  ここに「行政官短期在外研究員派遣要綱」というのがあります。そして、人事院の方に問い合わせたところが、「熊谷弘氏は、通商産業省から推薦され、人事院の審査を経て、昭和四十九年十一月から同五十年四月までの六カ月間、行政官短期在外研究員として、アメリカに派遣され、情報処理技術の社会、生活面への活用に関する研究に従事」をしました。「同氏は、その間、国立科学財団で研究するほか、ハーバード大学においても、教授の指導を受けて研究している。」こうなっているのですよ。あなたはこういうふうな認識だったのですか。
  198. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 それこそ二十年近い、二十年以上前のことでございますので、細部の言葉遣いは私は承知しておりませんが、私の認識は先ほど申し上げたように、国立科学財団を、いわばホストファミリーのような形で受け皿になっていただきまして、そこからしかるべく研究機関あるいは大学に勉強させていただくという形であったというふうに記憶しております。
  199. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 私の方は、先ほど水野委員が質問したように、あなたの人間性の問題なんですよ、これは。しかも、一番やはり政治改革を標榜されて、そのために身命を注いでいるという羽田内閣の官房長官、女房役としてふさわしいかどうかという適格性の問題をお聞きしているんですから、今のような答弁では不満足です。  さらに私の話を続けますと、先ほど私は中尾先生の話が少し誤認があったとあえて申したのですが、それはなぜかといったら、中尾さんが申したのは、「ハーバード大学留学については、内藤前局長の論文で内藤君が受かって内藤君がアメリカに行くべきを、君がいよいよ立候補するということを」、君というのは熊谷大臣ですが、「聞いて、自分の部下に立派な思いをさせてやりたいということでもって、そして合格をさせて、」云々、こうなるのですが、それはその前にいきさつがあって、四十九年からこの短期制度が始まったのですね。  そこで、通産省の中で当時人事の補佐をしている人が、こういう制度があったんだというので一番先に内藤君どうだと、後輩を推挙したのですね。そこで、そういう制度だから何かということで、内藤さんの場合には人事院の方にどういうものを研究課題にするかということを事前に出されなければいけない。そういうことで事前に出されたのが、これからの情報化をテーマにするということから始まって、当時内藤さんが親しかったハーバード大学のダニエル・ベルという教授に面談して、そして情報化社会を論議するということ、これを内容として申請したのですね。だから、必ずしも、先ほど事実誤認と申しましたが、やはり内藤さんとあなたの間につながりがなかったと言えない。  そこで、あなたは向こうの方に行っては、一応今の話を土台にして、今の内藤さんの方は「情報化社会の未来」という題だった。ところが熊谷さんの場合は、そこのところはうまくかえられたというか、かえられて自分に都合のいいような題材にされたわけですね。  そして、人事院の試験を受けたというが、人事院では審査はあったんだが、試験はないのですよ。先ほど私が読んで、あなたはその難しい試験全部自分は通ったんだと言われているのですが、資格審査として、まず本人が適格かどうか、あるいは課題の審査があり、人物審査があり、語学審査があるのです。審査も試験も同じかも知れません、そういうのを通って、それで行かれたわけです。  要するにあなたは公務で行かれた、出張も全部公費で出た、私はこういう認識をしているのです。そこは間違いありませんね。
  200. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 試験か審査かというのは、私は試験だというふうに言葉を使っただけでございまして、それは同じことだと思います。  そして、それが、公務ではございますが、極めて自由な発想で少し勉強をするというふうな内容のものであったと思っております。
  201. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 ところが、先ほど私が文部大臣に聞いたように、今の一般常識としては、留学といったらその学校に行ってやはり入学手続をする、あるいは聴講生なら聴講生らしい手続をする、あるいはまた在籍証明書、何かであると思うのですよ。  そこで、何かないかなと思って探したのです。それは、今のように人事院の場合には、この短期の場合には併任という制度ですから。長期の場合には通産省の資格で参ります。ところが、今度の場合の短期は通産省の籍と人事院の籍と両方、併任という格好で行かれたのですね。だから、当然事前に計画書を出さなければいけません。帰ってきたら報告書を出さなければいけません。そうですね。間違いありませんね。
  202. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 急な御質問ですので、二十年前ですから。  ただ、計画はどうだったか忘れましたが、リポートは出させられたというふうに記憶しております。それから、途中でどういうことをやっているかをときどき報告をするようにということで、報告をした記憶がございます。
  203. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 おっしゃるように二十年前ですから、なかなか人事院にないのですよ、資料が。やっと探してもらったのですよ。旅行計画書というのをお出しになっている。旅行計画書があるのですよ。まあそれはいいですよ、名称は。  そして、確かに言われるように、短期も長期も一般的には役所の中ではこれを留学と言っていることも事実です。だけれども、私がさっきも申したように、公報に麗々しく書くというなら、やはり根拠があって、そして権威のあるものだろう。  しかも、普通の内閣と違って政治改革、政治改革と言い続けた人の女房役として果たして適当かどうかということを申し上げたので、それを申しますと、確かに四十九年の十一月八日、これはその年の一月に試験を受けられたはずなんですよ。それはいいんですよ。そしてニューヨークへ出て、そしてワシントンに行って、そして十一月の十七日か十八日からボストンに入っているのです。そして翌年の五十年四月の二十日に出て、そして日本に帰っているのです。だから、六カ月のうち五カ月ボストンにいられたことは、初めの計画表に出ているのです。  それで、御存じのようにハーバードはボストン市にある。市内か郊外か知りません、行ったことがありませんから。ボストンとなっていますね。そうでしょう。だから、その「摘要」には、「全米科学財団ボストン支部一研究調査)」に行くというのが計画表なのです。必要があればお見せしますよ。そして、帰ってきたら報告書、これもあったのですよ。「第一回昭和四十九年度行政官短期在外研究員報告 人事院職員局」というのが出てきた。  この中に、そこだけ、熊谷さんだけですが、先ほど言ったように「情報処理技術の社会・生活面への活用」、さっきの「情報化社会の未来」というのと非常によく似た題ですね。これはやはり作家とかああいう世界では普通盗作というのだと思うのですが、それで出されている、論文を。長々書いてありますから一々読みませんが、この中に  一言も、ハーバード大学に行ったとも学んだとも書いていない。こういう事実をどう感じますか。
  204. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 今、二十年ぶりにその報告書をお示しになられまして、どういうふうに書いたのかというのも記憶に定かではありませんが、私自身あのころ、今落選していますけれども、原田義昭君というのがちょうどこの近くの大学にいたり、ハーバードにいた人たちがたくさん現実におられます。当時のハーバードの教授も、先般私のところへ訪ねてきてくださいました。  そういう意味で、論文がどうだったとか、正直言っていい学生であったかどうかは疑問でありますけれども、学生といいますか研修員であったとは思いませんけれども、それなりにこの制度を活用させていただいたと思っております。
  205. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 私、さっき言ったように、制度がいいとか悪いとか、人事院がどうしたかじゃないのですよ。あなた自身が、先ほど申したように、ハーバードに留学と麗々しく書いて、そして当選して、今日その席に座っているわけでしょう。そのことを言っているわけですよ。  確かに、あなたがハーバードに行ったらしいという形跡も実はあるのですよ。それは、先ほど言われたように、この前後の間に研究員ニュースレターというのを出されている。記憶はありませんか。何しろ二十年前とおっしゃるが、一橋を出て、そして通産省で、ハーバードにも留学された俊才が、二十年前のことを忘れることはないと思うのですがね。  それで、そのレターというのもあったのですよ。探してもらった。それに、「短期在外研究員ニュースレター」、これは聞いてみたら六カ月の間に、その期間の自分たちがやったことを時たま人事院に報告をするのですね、何をしたかと。その中に、「熊谷弘一在米 通商産業省――情報処理 四月二十一日)」だから、もうほとんどこれは帰られてからかもしれませんね、出されている。これはちょっとおかしいのですよ。四月二十一日に帰られていますから、おかしいのですが、そこに「目下、MITとハーバードの先生のところに行って研究を進めておりますが、」とある。パーバードの先生のところに行って研究を進めておりますが、「概念」をしっかり固めるという手法に、大いに感心させられています。しと書いてある。記憶はありませんか。
  206. 熊谷弘

    ○熊谷国務大臣 いつ手紙を出したか記憶がありませんが、そのような報告を、いわば強制的に出さなければなりませんでしたから、時々報告をするということであったと思います。  今、MITというのがありましたけれども、ハーバードというのはユニバーシティーでございまして、ほとんど講義も、特に今のいわゆるソーシャルサイエンスの部分は、共同で研究をしたり、セミナーをやったり、講義をやったり、シンポジウムをやったりということであったと思いまして、情報といいますか、私が少しかじっておりましたのは、少し言語学みたいなものを交えた話であったように記憶しておりますが、そういうものはMITがなかなか強いということがだんだんわかってまいりまして、少しそこの先生方と時間をかけてディスカッションするようになったことだけは覚えております。
  207. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 だから、私は行ったことを否定しているのじゃないですよ。研修したことも否定しているわけじゃないのですよ、勉強されたということもですが。留学という範疇、概念に当たるのだろうか。  羽田総理、今の私たちのやりとりをお聞きになって、ああ、うちの官房長官はハーバード大学に留学した俊才であったなとお思いですか、どうですか、お聞きします。
  208. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私ども、今までもよく聞く中で、例えば半年とか一年研究に行かれる、そういった人たちのことについても、よく留学という言葉では私ども聞いております。
  209. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 それは、一般的な模範答弁ですよ。先ほどからるる説明したのをお聞きになっていなかったのならもう一回言い直さなければいけませんが、選挙公報にうたっているわけですね。そのことを、じゃどうお考えですか。選挙公報にうたえるような、向こうにおける勉強あるいは留学というような一般常識に当てはまるとお思いですか。
  210. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私もいろいろな方の応援に行きまして、選挙公報をしょっちゅう拝見いたしておりますけれども、どこどこで勉強したということが書かれているのはたくさん承知しております。  私は、例えばハーバードでそれだけの相当な研究をするということになれば、これは一つの、何というのですか、自分の経歴ということの中に書くことはあり得るのじゃないのかなというふうに思います。
  211. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 先ほど申したように、留学といえば、少なくともハーバード大学に行ってそれらしい手続をしなければいけないと思うのですよ。ただハーバードの先生に会ったというだけで留学と言えるのだったら、世の中、ボストンに行ったらもう留学生だらけですよ。そうでしょう。そのことを自分の学歴、経歴として書くこと自体が、あなたの唱えている政治改革とどういうふうに考えるのか、こういうことですね。しかも、先ほどから再三言うように、普通の人なら言わないのですよ、私は。最もあなたが信頼しているはずの片腕である官房長官として、俗に言う女房役としてそういう方が、じゃ適性がある、適格だとお思いですか。  きょうの話というのは、またあしたも続くであろう話というのは、すべてこれは、やはりこの熊谷弘という人の人間性というか、この人がいかに陰険で悪らつかということでやっているわけですね。そうでしょう。その流れだと私は思うのですよ。そういうことを前提としてお答え願いたいと思うのです。
  212. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 人の人格について陰険とかそういうことは、私は簡単に言えるものではないと思います。  いずれにしましても、今日、官房長官としてその責めをきちんと果たしておるということ、私はそのように思っております。
  213. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 それならばお聞きするが、この間の中尾質問、その前の野中質問、やはり一連の通産省の問題というのは、すべてここに起因していると考えていいのですよ。先ほど水野委員から、るるアメリカにおけるいろいろな話は出ました。前の、官房長官に関することです。そういうのも、そのときに、悪らつだとか卑劣とかいう言葉は水野委員が使った言葉で、それで引用したわけでございますので、誤解のないように。  そこで、今のように、あくまでもそうなって、この人を信頼して、この人とともに羽田内閣というものを続けていくという気持ちですか。変わりませんか。
  214. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 信頼をし、選任をしたということであります。
  215. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 また話の蒸し返しになるけれども、そうすると、今の解釈では、公報なんというものはある程度許容範囲があるのだという考え方ですね、学歴、職歴に。
  216. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 例えば卒業したということ、それから何々の修士なら修士、あるいは博士なら博士、そういうものを取得したということで何か書いてあってそうじやなければ、これは学歴詐称ということになるでしょうけれども、留学というものを一体どこの範疇でとらえるのかということ、これは私は、社会の通念の中には、例えば研究であっても一年間なら一年間行きましても、それは一つのあれになるんではなかろうかなという思いを持ちます。
  217. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 私は今私の考えを申しましたが、熊谷氏は一般的に言う留学に値しないし、何をしていたか非常に疑わしいことがあるということで、五カ月間ハーバードに留学していたというのは事前の計画書で出ております。  それならば、四十九年の十一月から五十年の四月まで、ハーバード大学に対して委員長というか国会の名においてこの種の照会をしていただけませんか。これは委員長に対するお願いですが、いかがですか。
  218. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  219. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  ただいまの問題は、理事会において相談をさせていただきます。
  220. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 よろしくお願いいたします。  羽田総理、もう一回重ねて聞きますが、そういうことで照会して、確かにこの男はハーバードに来て、そしてそこの教授の指導を受けて研究したという事実が出ればいいですが、出なくて、そういうのはやはりハーバードにその期間にいたという痕跡がなかった場合には、総理としてどうされますか。
  221. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 私は、ハーバードで留学したかどうか、これを別にチェックしてこの人を官房長官に採用したわけじゃございません。まあともかく長い政治活動の中で役割を果たしてきているということを評価をしながら任命したものであるということであります。
  222. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 私、そのあれは一般的によくわからないのですが、少なくとも熊谷さんが衆議院議員だという資格でもって採用されたのですか。それとも衆議院議員でなくても官房長官に任命される気だったのですか。
  223. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 あなたも閣僚におなりになっておりますけれども、それは総理大臣としてみずからの判断でそれぞれの任用というものをしていくものであろうと思っております。
  224. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 これは、私が申し上げたのは、先はどのように選挙でもって当選する、そのときの基礎になる選挙公報、一般の人はそれを見て立派な人だなと判断して名前を書くんじゃないでしょうか。(羽田内閣総理大臣「いや」と呼ぶ)いやというのは、そうすると、あなたの唱えている政治改革でもって制度を改革し云々というのは全部おかしくなりますよ。じゃ、やはり選挙公報というのはなくてもいいということですね。(羽田内閣総理大臣「冗談じゃないよ」と呼ぶ)冗談じゃないならそう言ってください、はっきり。  だから、先ほどから言っているように、ちゃんと選挙公報に書いてあるんですよ。それに関して一体どうお考えか。だから、選挙公報に書いてある、それで先ほど話したように、そういうふうな公職選挙法でもってあるんで、罰則までありますが、自治省としてはそれはクロかシロかと言うことはできませんと、第三者機関だということで、先ほど申したように参議院の方の場合には有権者というか、それが訴訟を起こして今係争中ですね。それと同じような重みじゃないだろうか。  だから、第三者、しかもこれを調べてみると時効は三年間なんですよ、懲役二年、罰金十万円ということは。昨年ですからまだあと二年間あるんですよ、時効が。その間にそういうことをしなければ羽田総理は納得しないとおっしゃるのかと聞いているわけです。
  225. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 選挙で選ぶときには公報、特に政策をあれしてするでしょう。それはまた学歴とかそういったものに対して関心を持つことも当然だろうと思います。  しかし、やっぱり半年間アメリカ、しかもハーバードあるいはMIT、そういったところで高名なあるいは実力のあるそういった方々と接触してくるということは、私は物すごい大変なあれであろうというふうに思いまして、私なんかもそんな制度があればなと実はお話を聞きながら思ったぐらいでありますけれども、それのいかんによってどうだということをちょっと言われましても、私もこれ以上はお答えすることは差し控えたいと思います。
  226. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 しつこいようだけれども、私はこの制度が悪いとか言っているんじゃないんですよ。非常に立派な制度です。ですから、おっしゃるように確かに多くの行政官というか若い人が行っているんです。短期の場合は大体五、六カ月の資格で行くわけですね。非常に長期の場合も成功している。国際化、いいことなんです。  制度が悪いと言っているんじゃない。そこは誤解しないようにしてもらいたい。これをやはり悪用されたんじゃないだろうかな。してもいないことを虚偽の申告をしたんじゃないか。それを麗々しく選挙公報に載っけたという、それがやはり刑事的に負われなければ、問われなければいいんだということ。  私、さっき申したように、やはり大臣とか総理というのは普通の人と違うそれだけの識見というか品格があっていいんだと思うんですよ、当然。先ほどから話したように、熊谷さんの場合、その前にもやらせ質問という疑惑があるんですね。品の悪いことを言って申しわけないが、マージャンで言えばこれでイーファン、これでリャンファンついているんですよ。何ファンついたら首になるんですかということですよ、お聞きしたいのは。
  227. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 適格でないと思ったら、これは本人があれすることでございましょうし、私だってそれは処分というか処断ということ、人事でありますからそういうことはありましょう。  しかし、先ほどから申し上げておりますように、卒業したとか何々を取ったとかいうのが、それが間違いであったなら別ですけれども、そこに留学したということについて、まあ私はそれほど深く、重く受けとめません。  それから、先ほどのお話についていろいろとありましたけれども、これは一つの人事の中で判断されるものであろうというふうに思っております。
  228. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 わかりました。今のはこれ以上詰めてもあれでしょうから、時間が参りましたからやめますが、今の了解では、選挙公報の中で留学というのがあっても大して重く考えるなというふうに解釈していいんですね。そうでしょう。違うんだったら、ちょっともう一回聞き直さなきゃいかぬですよ。
  229. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、卒業したということであれば、これが卒業してなかったら虚偽ということでしょうけれども、例えば半年でも意味のあるレッスンといいますか、あるいは研究というものができれば、私はこれは一つの留学というふうにとらえてもいいんじゃないのかな、これは一般論でありますけれども、そう思います。
  230. 佐藤信二

    佐藤(信)委員 それでは、また時間があったときにひとつおつき合い願うことにして、きょうはこれでやめます。  ありがとうございました。
  231. 山口鶴男

    山口委員長 これにて水野君、佐藤君の質疑は終了いたしました  次に、中山太郎君。
  232. 中山太郎

    ○中山(太)委員 さきの暫定予算のときにも北朝鮮に関する問題を当時の内閣総理大臣初め関係閣僚にお尋ねをいたしましたが、昨日国連の安保理議長声明というものが発せられております。つまりその案文は昨日の日本時間の十時二十分に発出された核開発問題に関する安保理議長声明  同理事会は、一九九四年五月二十七日付のIAEA事務局長よりの国連事務総長宛て書簡を検討した。そして、五メガワット実験炉における炉心の取り出し作業が、同じ速さで継続されるのであれば、数日の内には、IAEAの規準に従って、IAEAが後日計測するために燃料棒を選別、分離、確保する機会が失われてしまうとIAEAが評価していることに重大な懸念を有する。 こういうふうな前文がございまして、  同理事会は、北朝鮮に対し、IAEAの要件に従って、燃料計測の技術的可能性を維持するような方法でのみ五メガワット実験炉の炉心取り出し作業を進めるよう強く要請する。 こういう文章がございまして、最後に、  同理事会は、本件に引き続き積極的に関与し、IAEA――北朝鮮問の保障措置協定の完全な履行のために、必要に応じ、安保理として更に検討することを決定する。 こういうふうな安保理議長声明というものが出されております。  この件について、柿澤外務大臣がきのうコメントを出されております、午前の閣議後に。外務大臣、どういうふうなことだったか、ここで一言おっしゃっていただけますか。
  233. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ただいま中山先生がお話しになりましたような議長声明が出されておりまして、我が国としてもこの事態を憂慮すると同時に、北朝鮮側がIAEAと速やかに保障協定、保障の措置のもとで燃料棒の取り出しができるような措置を講ずることを期待するというのが日本政府の考え方でございます。
  234. 中山太郎

    ○中山(太)委員 同じ日の三十日、ニューヨークでは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の国連安保理五常任理事国は、「実験用原子炉の燃料棒交換で査察を拒否している北朝鮮に関して会合を開いたが、中国が異議を唱えたため、何らの結論にも達しなかった。外交筋によると、席上、中国代表は北朝鮮に対する制裁を求めた決議案に反対を表明した。米、英、仏、露は決議案の内容で合意に達しているとみられている。」  これについて外務省、何か外務省としての意見をお出しになることはできませんか。
  235. 柳井俊二

    ○柳井政府委員 現在我が国は安保理事国に入っておりませんので直接の情報ではございませんけれども、この朝鮮半島の問題につきましては、随時安保理常任理事国からいろいろと説明を受けております。その中で、従来から中国はこの安保理の措置につきまして慎重な立場をとっているということを聞いております。  今回の声明に関しましても、従来どおり慎重な立場をとったということを聞いておりまして、前回もそうでございましたけれども、今回も決議ということではございませんで安保理議長声明という形で、先ほどおっしゃったような内容の声明が出されたというふうに承知しております。
  236. 中山太郎

    ○中山(太)委員 中国が決議に反対しているということを外務省で表明されましたが、ここで韓国が三十一日午前、李洪九副首相兼統一院長官が記者会見をやって、中国が反対でも日米と協調制裁をやるというふうに発言をしているという新聞報道があります。  国際原子力機関の理事会が開催される予定の六月六日まで、あと五日間ですね、六日までは北朝鮮が実験用原子炉燃料棒の分離、保管と計測作業を受け入れるよう最大限の努力をすると述べた上で、そのときまで北朝鮮が態度を変えない場合は制裁は避けられないというのが韓国政府の確固とした立場であると強調をしております。  さらに、ここで、中国が安保理で制裁決議に反対した場合、米国、日本などと協調し独自の制裁に出るほかはないと語って、北朝鮮に強い態度で臨む方針を表明している。これは韓国が表明しているわけですが、これは日本の外務省として確認をされていますか。
  237. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  韓国とは従来から本件、大変緊密に連絡をとっておりますけれども、今お読みになられました立場というものは、まだ日韓のやりとりではそういうところまで踏み込んだ話を韓国側から聞いたことはございません。
  238. 中山太郎

    ○中山(太)委員 フランス外務省のスポークスマンがやはり強硬姿勢の発言をしておりますけれども、これについてはどのように外務省としてはお考えですか。
  239. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  フランスは従来から核拡散の問題という脈絡で非常に北の問題には強い関心を持っております。  ただ、今般のスポークスマンの発言につきましては、日仏間では具体的にやりとりをやったことはございませんので、そのスポークスマンの発言を聞いたというだけでございます。
  240. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで韓国も強い態度を示している。それからフランスも強い態度を示している。日本の場合に、柿澤外務大臣は三十一日午前の閣議後の記者会見で、国際原子力機関の検査要請の受け入れを求める議長声明を出したことについてコメントをされていますね。どういうコメントをされていますか。
  241. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 IAEAの監督のもとで核燃料棒が摘出されていないという事態に大変懸念を表明すると同時に、北朝鮮が引き続きIAEAとの話し合いの中で、正常な形で燃料棒の摘出ができるよう努めることを希望するということを申したつもりでございます。
  242. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで、韓国の金泳三大統領は三十一日午前、クリントン米大統領と電話で会談し、朝鮮民主主義人民共和国の核問題について、米韓間で緊密に協調していくとともに、断固とした態度で対応していくことを確認した、さらに北朝鮮の出方次第では北朝鮮に対する制裁に向かうこともあり得るとの認識で一致した、という報道がなされていますが、この点は外務省はどういうふうに見ておられますか。
  243. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。  今の金泳三大統領とクリントン大統領の電話につきましては、おおむね今おっしゃられたラインのブリーフィングを韓国政府側から受けております。
  244. 中山太郎

    ○中山(太)委員 さらに、韓国では全軍が特別警戒態勢に入ったということを言っていますね。軍と警察が特別警戒態勢に入った、こういうことを言っておりますが、これについては外務省としてはどういう見解を持っておられますか。
  245. 川島裕

    ○川島政府委員 お答え申し上げます。具体的な状況は把握しておりません。
  246. 中山太郎

    ○中山(太)委員 いろいろと外務省もお忙しいでしょうけれども、隣国の韓国で全軍が特別警戒態勢に入っているということを確認していないということは、日本の外務省として少し手が抜けているんではないか。外務大臣、どうお考えですか。  日韓というのは、もうすぐ目と鼻の先にある隣国、しかも我々の友好国ですけれども、この国が、新聞報道とはいえ、韓国軍と警察は三十一日、特別警戒態勢に入った、金泳三大統領が六月一日から七日までロシアを訪問するのに合わせた措置、全軍は朝鮮民主主義人民共和国軍の動向に対する監視を強化し、有事に備える、こういう報道がなされていますが、どうですか。これを知らなかったらおかしいですよ、外務大臣
  247. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 私もまだ報告を受けていませんが、直ちに調査をいたさせます。
  248. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これは、日本にとりましても、我々の友好国であり、米韓防衛条約を締結している国家であり、ここで全軍が警戒態勢に入っているという情報を日本の外務大臣が知らないといったことは、大変遺憾なことだと私は思います。総理大臣、いかがお考えですか。
  249. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 実際にそういうことがあれば、当然もう大使館は情報はすぐつかめるでしょうから、私は、外務省の方に連絡が来るものであろうというふうに思っております。
  250. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それでは、総理の御発言からすると、そういうことがあれば、当然日本大使館には連絡が来ると思いますがというお話ですね。それは、来ていないということの外務大臣答弁を受けて、外務大臣が知らなければそういうことは言ってきていないのだ、こういう総理の御判断でしょうな。
  251. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今中山委員のお話をお聞きしながら、韓国でそれだけの事態が起こって、日本の方に通報がないということ、あるいは日本大使館がそれを察知ができないというのは、私も本当に率直に申し上げて、これはどういうことなのかなという実は思いを持ったということであります。
  252. 中山太郎

    ○中山(太)委員 この答弁ではちょっと納得できません。
  253. 山口鶴男

    山口委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  254. 山口鶴男

    山口委員長 速記を起こしてください。  川島アジア局長
  255. 川島裕

    ○川島政府委員 ただいまソウルと連絡をいたしました結果、一日から六日まで特別警戒態勢でございます。  これは、大統領が軍の最高司令官なものですから、外遊に出たときは必ずとる態勢ということでございます。ですから、それ以上のものではないということでございます。
  256. 中山太郎

    ○中山(太)委員 たまたま北朝鮮の核の問題といわゆる査察の期限とが重なっているわけですね。我が国としては、やはり隣の国がどういう態勢をしいているかということは、当然日本ぐらいの国になると、その情報というものを内閣が握っているということは、あってしかるべき問題だと私は思うのです。それが情報が欠如しているというところにやはり問題点の深さがある、私はそのように認識します。どうですか。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  257. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ただいまアジア局長から答弁がありましたように、ソウルへ問い合わせたところ、通常の大統領外遊の際の警戒態勢ということでございますので、その点で報告がなかったものと思っております。  また、私どもとしては、国連の安保理の議長声明の後も、IAEAと北朝鮮の間で、核燃料棒の取り出しが行われるスピードをダウンさせるとか、選別、収納をどのようにしたら軍事転用がなかったことが確認されるかとか、いろいろな形の議論がされているということを承知をいたしておりまして、一触即発の事態というふうには現在考えておりませんでしたので、そういう判断でおりました。
  258. 中山太郎

    ○中山(太)委員 まあ今世界の関心というのは、やっぱり北朝鮮のIAEAの査察に向いているわけですね。我々の国もまた、この朝鮮半島の核の問題について国民も神経質になり始めている。こういったところで、政府としてはこの北朝鮮の動きというもの、朝鮮半島の動きというものを絶えず国民に報道する責任があるんじゃないでしょうか。  ここで、さらに北朝鮮の長距離ミサイルの実験の準備がほぼ整ったということをここ一両日のテレビのニュースとかいろんなことで聞かされていますけれども、防衛庁長官、これについてはどのように御判断をしておられるんでしょうか。
  259. 神田厚

    ○神田国務大臣 委員お話しのようなことは承っておりますが、私どもといたしましては、そういうものに対応するという特別な対応はできませんけれども、実験をされるということにおきましては関心を示して、例年どおりの体制をとっております。     〔中西(績)委員長代理退席、委員長着席〕
  260. 中山太郎

    ○中山(太)委員 防衛庁長官、関心を示すという御答弁でしたけれども、まあ関心を示すだけじゃなしに、発射実験が近づいているというニュースを、報道を、情報をお持ちだと思うんですね。それに対して防衛庁としてはどのような対応をやっているかということを国民にぜひ知らしていただきたいと思います。
  261. 神田厚

    ○神田国務大臣 防衛庁としましては、去年もこの時期に実験がなされましたから、重大な関心を持って見守っているところでございます。
  262. 中山太郎

    ○中山(太)委員 実験されるという長距離ミサイルのいわゆる有効範囲、射程範囲というのは一体どこまでカバーしているんですか。それぐらいのことは防衛庁としては情報を当然とっておられると思いますが、いかがですか。
  263. 神田厚

    ○神田国務大臣 お答え申し上げます。  どういう種類のものが準備をされておるのかということについて詳細にはわかっておりませんので、お答えできないのでございます。
  264. 中山太郎

    ○中山(太)委員 まあ国民は、テレビのニュースで解説を見ているわけですね。そして、日本列島がほとんど、この西日本一帯がカバーされた射程の範囲をかいた図面まで映像で見せられているのに、日本政府の防衛庁長官が一切それはわかりませんというようなことを公式の場で、予算委員会で答弁をされるということは、私は、見識がないんじゃないかと思いますよ。国民に対して不誠実じゃありませんか。いかがですか。
  265. 村田直昭

    村田(直)政府委員 お答えいたします。  大臣答弁を補足させていただきますけれども、そういうような実験が行われるのではないかという情報については私どもも承知しておりまして、それについて、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、重大な関心を持ち、所要の措置というようなものも講じつつあるということでございます。  ただ、その実験されるミサイルがどういうものかということについては、私どもそれについては承知をしておりませんのでそういうことについてのお答えができないというのが大臣のお答えでございまして、今、北朝鮮がどういうミサイルを持っており、あるいは開発しているかということであれば、前々から申し上げておりますように、スカッドBでありますとか、これは射程三百キロ、スカッドC、射程五百ないし六百キロ。それから去年実験されたと言われるノドン一号でございますか、これについて言えば約千キロ。それから新たにテポドン一号、二号というものを開発していると報道されておりますが、そういうものでありますと二千五百からあるいは三千でありますとかいっております。ただ、これは確認をされておりません。  そういう意味で、テレビ等で図に示されておるということはあれですが、今先生のお尋ねの実験をこれからすると言われているものがどういうものかということについては、確認をされておらないという状況でございます。
  266. 中山太郎

    ○中山(太)委員 防衛局長答弁でほぼポイントはわかったんですが、問題は、我々の国民がこのテレビのニュースを見てどういうふうな感じを持ち、不安を持っているか、それに対して日本の政府というものはしっかりした姿勢を示していくということがこの国の人心を安定させる政治の基本なんです。国家の安全保障というのはそこに根底がなかったらだめなんですよね。  だから、そこのところを私は防衛庁長官にお願いをしたいのは、やはり防衛庁長官というのは、一国の安全保障の最高責任者とは言いませんが、総理に次ぐ責任者ですから、これをどういうふうにこれから防衛庁として考えていくか、国家として考えるかということはもう少しひとつぴしっとわかりやすく御答弁をいただきたいということを希望しておきます。  さて、ここで北朝鮮の問題が、まあ協力的にIAEAの査察を受け入れるといった場合には、これは隣国である我々にとっても大変好ましいことでありますし、国際関係においても非常にいいニュースになると私は思いますけれども、まあ外交というのは、いい雰囲気の場合と、それから並行して悪い雰囲気の場合というのが必ず外交交渉の場合には出てくる、そして、極限のぎりぎりのところで妥協するかどうかというところのカードを切り合うのが私は国際外交の一つの手段だろうというふうに認識をいたしております。  だから、恐らく北朝鮮はぎりぎりのところまで対応は厳しく攻めてくる。その攻めてくるときに、一体この韓半島というか朝鮮半島の情勢というものがどういう影響をこれから受けてくるだろうかというふうに外務大臣はお考えですか。
  267. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 この場でも再三申し上げておりますように、北朝鮮の核開発疑惑につきましては、IAEAまたアメリカ、韓国、中国等関係諸国との協調の中で対話で解決をしたい、すべきであるというふうに考えておりますので、一触即発のときにどうなるかという点については公のコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  268. 中山太郎

    ○中山(太)委員 そこで、羽田総理にお尋ねをしたいんですが、今の連立内閣の政策の申し合わせの中で、北朝鮮の問題を対象として、この問題の解決には日韓米、この三国でやるということが基本的な政策の合意事項として確認されておりますね。その点はいかがですか。
  269. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 そのとおりであります。  そしてまた、アジア諸国とも連携をとっていくということが書かれております。
  270. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで中国の外交というのがこれからどう動いてくるのか。そこで、日本社会党が入られた当初の枠組みの中では、日韓米中という言葉が入れてあったと私は記憶をしております。もし間違っていれば訂正しますけれども、ここで中国の外交というものが相当大きな影響力を与えてくる。これがどういうふうにカードを切ってくるのか、このカードについてどういうふうに柿澤外務大臣は考えておられますか。
  271. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 連立与党の合意、私、直接コメントをする立場ではございませんが、二段に分かれていると思います。  まず最初の方は、日米、日韓、日中等とも話し合いをしながら対話で解決をする、努力する、そして国連が措置を決めた場合には憲法の範囲内でこれに協力をするということがございました。  その後に日米韓というのが出てくるわけで、これは中山先輩もう御承知のとおり、国連で措置が決められなかった場合、それは多分中国がそれに賛成しないということであろうかと思いますので、その場合にも、日本としては日米安保体制、また日米の協力関係の必要性、それから韓国の安全は日本の安全に直接結びつく問題だということで対応をしたいというふうに書き分けてあるのだと思います。  そして、中国の立場でございますが、中国につきましても、私どもの承知しているところは、朝鮮半島に核保有国ができることは望んでいないと思っております。その意味で、中国としても国連の常任理事国の一国として、できる限りアメリカや我が国等との意見の交換もしながら協力をする体制をとっております。その点では、中国もそうした方向で努力をしてくれているものと期待をいたしております。  ただ、最終的な制裁云々ということになったときには、これは中国と北朝鮮との特殊な関係もありますので、参加をしていただけるかどうかというのは、これは先生おっしゃるとおり難しい判断であろうかと思いますが、そういう事態を避けるべく、中国は中国なりの立場を活用して協力をしていただいているものと理解をいたしております。
  272. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今、大臣は非常に大事な答弁をされているわけですね。この安全保障理事会で中国が棄権または経済制裁に反対をした場合、それは日米韓でやるんだというお話を最初されましたね。これは日本の外交責任者としては非常に大きな意味があると思いますよ。  これでもし、ここへ出てくる、私はいろいろ文書を読んでおりますけれども、ある新聞で、これは羽田外相の当時でしょうね、ゴア副大統領とのモロッコのマラケシュでの会談、そこでのことを書いてあるんですが、  「今回の文面作りには関与していない」というが、米側からのプレッシャーについては連立与党側の政策担当責任者に説明したと認めている。これが政策協議の文面に反映され、国連の決定に従うこととは別に、日本政府が緊急事態に米、韓と連携することが明記された。同省としてはこれで北朝鮮への対応は十分担保されたとみている。しかし、ここにきて社会党が日米韓の連携に中国を加えるべきだと主張していることには「いざという時に再び連立与党内でもめ、結論が出ないまま事態が悪化するのが最悪」と懸念している。というような新聞報道があるんですね。今の外務大臣答弁を聞いてこの新聞記事を読むと、ぴたっと合うのですね。  そこで、私が申し上げたいことは、国連憲章の七章の三十九条で、平和に対する脅威、これに当たるとした場合に経済制裁を行うことになるわけですけれども、その際中国は、今外務大臣が言われたように、中国と北朝鮮との特別な従来の関係がありますね。かつての朝鮮戦争のときに五十万の中国人民解放軍が戦死をしているわけですね。  こういうふうな国家と国家のつながりの中で、中国がとり得る外交のカードとしては、安全保障理事会の決議のときに棄権をするか、あるいは拒否権を発動するか、どちらかだと思いますね。これが中国に与えられた常任理事国の特権だと思いますね。もし棄権をした場合、これは制裁は成立するわけですね。  こういう事態が起こってくると、問題は、これは湾岸戦争のときも私はいろいろ経験しておりますから、自分で記憶を繰り返しながら思い出すのですけれども、だんだんだんだん締めていくのですね、国連というのは。最初の議長勧告で効かない場合は次の手段をとっていくわけですね、国連安保理としては。だからフランス政府は非常に強硬な態度を示している。そして、常任理事国の中で中国だけが反対をして、ほかはロシアも含めて制裁には賛成だと、こうやっているわけですね。こういうことになっていきつつある。  これについて、日米韓の関係というものは非常に大きなウエートを占めてくる。その場合に、ここで考えられることは、まず日本が北朝鮮に対して特殊な国家としての位置づけを各国からされている。これは外務大臣よく御存じでしょうな。どうですか。
  273. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 特殊な国家という意味について、もう少し御説明をいただければありがたいと思います。
  274. 中山太郎

    ○中山(太)委員 つまり、北朝鮮の国家経済に対して極めて大きな影響を持っている国家であるということです。
  275. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 送金の件を御指摘になっているのかと思いますが、そういうことであれば、各国の中にそういう認識があることは承知をいたしております。
  276. 中山太郎

    ○中山(太)委員 その送金の面で、日本というものは、前の暫定予算のときもお尋ねしたときに、年間六百億円の送金がある、こういうふうなことを公安調査庁は予算委員会の席で公表したわけですから、相当大きな影響力を日本というものは北朝鮮に対して持っているわけですね。その日本がどうするかということが国際政治の中では最大の関心事になってくるわけです。その点、どうお考えですか。
  277. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 再三申し上げておりますように、今話し合いによる解決が模索をされているぎりぎりの状況でございますので、そうした仮定の状況についてどうするかということはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、我が国だけが送金について措置をしても、これはなかなか思うようにいかないだろうということは事実であろうかと思います。やはりそのときにも国際的な協力関係というのが必要ではないかというふうに私は考えております。
  278. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それでは、あなたも外務省におられた方ですから、足利銀行がみずから北朝鮮に対する送金を停止したことはどういうふうにお考えですか。
  279. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 個別の事案についてはちょっとお答えを差し控えさせていただきます。
  280. 中山太郎

    ○中山(太)委員 個別の事案とはいえ、国際外交の中で日本が六百億円のお金を北朝鮮に送金をしているということが国会予算委員会で公安調査庁の長官から報告されている以上、それがコルレス契約を結んでおった大蔵省認可の銀行が送金を停止したということは、日本の国益にとってはプラス、外交にとってもプラスという判断をせざるを得ない。そういう事実について外務大臣は、仮定の事実で言えないということではありません。これはもう十日も前に足利銀行は送金を停止しているのです。一体だれの命令で足利銀行は送金を停止したのか。
  281. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 ただいま中山委員御指摘のように、邦銀の一部がドル建ての送金を停止しているという話はお聞きをいたしました。しかし、これはその邦銀の取引上の判断によって自主的にやったものであって、大蔵省はこれに関与いたしておりません。
  282. 中山太郎

    ○中山(太)委員 公安調査庁、お越しですね。公安調査庁の見解をこの際承りたい。
  283. 緒方重威

    ○緒方政府委員 お答えします。  足利銀行の関係については、当庁においても関心を持ってございます。しかし、その具体的な送金金額の内容あるいは停止しているかどうかについては、私どもの方の調査にかかわってくる部分で、個々の案件についてでございますので、申しわけございませんがお答えは差し控えたい、かように思っております。  ただ、委員が言われたようなドル送金について停止しているというようなことについては、巷間言われていることも承知しておりますし、それ以外の個々の送金関係についても、この問題が非常にシビアになってきてから果たしてどのような影響が出ているかについても、私どもとしては、当然のこととして送金全般についてさらに調査を進めているところでございます。
  284. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで、国税庁、来ておられますか。来ておられますね。国税庁にちょっとお尋ねしたいのです。  この在日本朝鮮人総連合会の発行しているパンフレットがあるのですね。ここに「五項目の「合意事項」」というものが書かれているわけです。   日本税務当局との「合意」   「韓日条約」の締結後、在日同胞商工人にたいする日本当局の弾圧と税務攻勢はいっそう激しくなった。   一九六七年十二月、日本国税庁査察官と機動警官隊は、取引先の脱税容疑を口実に同和信用組合の本店と上野支店にたいする強制捜査を強行した。   日本当局による同様の税務弾圧が各地で頻発した。 こういう中で、一九七六年十月、五項目の合意事項が結ばれているわけです。  在日本朝鮮人商工連合会と日本国税庁のあいだで合意された内容はつぎのとおりである。   ①朝鮮商工人のすべての税金問題は、朝鮮商工会と協議して解決する。   ②定期、定額の商工団体の会費は損金として認める。   ③学校運営の負担金にたいしては前向きに解決する。   ④経済活動のための第三国旅行の費用は、損金として認める。   ⑤裁判中の諸案件は協議して解決する。 こういうふうな合意事項があったと言われているのですが、これはまあ朝鮮総連の出しているパンフレットに載っているわけです。この事実を確認してください。
  285. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  国税当局が、特定の団体あるいはその会員に対しまして特別な取り扱いをするということはございません。今御指摘の在日本朝鮮人商工連合会でございますか、それとの合意事項というものはございません。
  286. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私もいろいろ実態を聞いておりますけれども、国税庁がいろんな団体と徴税に関して合意していることはほかにもあるでしょう。  はっきり言いましょうか。解放同盟というのが昔あって、活発にやっていたときには税務署でちゃんと協定ができていた。あなた方、そういうことは一切ないと今この席で言われたけれども、現実にあるじゃありませんか。今はあるかどうか知らぬけれども、かつてあったじゃないですか。
  287. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたようなことでございまして、他の団体と申しましょうか、いかなる団体あるいはその会員に対しても、特定の取り扱いをする、あるいはそれに関する合意事項というのはございません。いろんな記事とか出ておりますことは、当該団体からの要望事項として私どもが要望を聞くということはございますが、それに合意するということはございません。
  288. 中山太郎

    ○中山(太)委員 要望を聞いて、合意することはない。それじゃ、まあ聞きっ放し。聞きっ放しですか、すべて。これ、この問題だけでも一日かかりますよ。いろいろな国税局で判こを押した書類も、私は何遍も見ておりますから。そんないいかげんな答弁して、国会は通りませんよ。
  289. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 国税当局は、個々の課税の事案におきまして、常に適正な課税の実現に努力をしております。職員も日夜大いに苦労をして適正公平な課税に努力をしております。いろいろ要望があったりいたしますけれども、その要望等の有無にかかわりませず、個別の事案に対応いたしまして適正な課税ができるように努めておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  290. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これ以上ここで質問しても答えはオウム返しになるのだろうから、これ以上は申しませんが、社会はそんなことは考えてないのですよ。あなたの言われているのは公式論ということで、現場ではやっているのです。やらされているのです。そういうことをまあここでは言わざるを得ないと思います、お立場上。  しかし、こういう文書が出ているということも、これ、取り消さなければいかぬですね、本当は、この文書自身を。国税庁から文句を言わないかぬでしょう。どうですか。国税庁は団体に対してこういうことは一切合意はしていないという公文書を発出しますか。
  291. 三浦正顯

    ○三浦政府委員 要望の出方はいろいろな形で出てまいりますので、また、いろいろな個々の要望ということになります。  ただいま議員の御指摘になりました点につきましては、記事でございますか、それを子細に拝見した上でまた考えさせていただきたいと存じます。
  292. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ちょっとこの文書を聞いてください。「ブッシュ政権の国家安全保障会議アジア部長だったダグラス・パール氏は、」日本が「国内の北朝鮮関連団体への厳密な徴税姿勢を示せば、それだけで北朝鮮への圧力となる。日本国内の他の親北朝鮮組織に対しても徴税で同様の手段がとれる、」と述べております。つまり、外国の政府の公務員だった人がこういうことを言っているわけですね。  あなたは一方的に私にそういうことはあり得ないと言っている。こういうことは現実に存在しているのですよ。だから私が尋ねているわけです。  だから、あなたはそれは言いにくいことだろうと思いますけれども、やはりこれだけの大きな国際問題を抱えた東北アジアの中に日本がいるわけですし、日本から送金が行われているわけだから、それを一体どういうふうにこれから監督していくのか、そこらのところはぴしっと国税庁として考え方を整理しておいてください。  それから、これからもし経済封鎖ということになった場合のことを仮定してお尋ねをすることは、外務大臣としては仮定の事実だから答えられないという答弁をされるだろうと思います。その答弁を承知の上で、私がこれから質問をさせていただきます。  まず第一、海上防止行動というのが出てくると思いますね。海上防止行動は、海上封鎖とは違って、目的・任務には武力行使は含まれない。ただ、相手が武力で抵抗するなどの特定の状況になった場合は、それに見合った措置の行使が決議の中で認められている。我が国が北朝鮮制裁の際に海上防止行動に参加、または参加する在日米軍を支援するとなれば、現在の憲法解釈との関係から、政府はそれに見合った措置をどう判断するかが問題となる。これは法制局長官、どうですか、この憲法解釈については。
  293. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、話し合いによって解決を期待しておりますので、そうした仮定の議論は公式的には差し控えたいと思いますが、まあ一般論として考えれば、憲法の範囲内で日本としても国連の一員として協力をするということになろうかと思います。  ただ、どういうことができるかできないかという点については、これはその段階で判断をしなければならない問題ということであろうかと思います。
  294. 中山太郎

    ○中山(太)委員 そこで、問題として考えられることは、まあ在日米軍が動き始めると思うのですね、朝鮮半島に異常事態が起こってくると。それはやはり在韓米軍に対する支援を強化するということで、日本の在日米軍基地というのは非常に活発になってくる。それは兵員、物資の輸送等について活発な行動が起こってくることを当然日本の政府の閣僚は考えておく必要があると思います。  その場合に、海上封鎖行動というのがあれば北朝鮮はこれは一体何と見ているのかというと、北朝鮮は北朝鮮に対する宣戦布告というふうにみなすということを国際的に言っているわけですね。それは外務大臣、どうですか。
  295. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 そういう発言が先方からあったということは承知をいたしております。
  296. 中山太郎

    ○中山(太)委員 そこで、兵たん基地というものがそこで登場してくるだろうと思うのですね。海上封鎖を行う、あるいは海上の防止行動の後方支援、こういう問題が当然日本政府には要請されてくるわけです。その場合に、極東条項というのがきいできますね。日米安保条約第六条の極東条項というのがきいてくる。そうなってくると、日米間での事前協議というものが出てくるんじゃないかと思います。どうですか。
  297. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 その場合の米軍の活動についても、目的がどのような目的であるか。今おっしゃったような経済的な封鎖というようなことなのか、もしくは軍事的な行動なのかというようなケースがあろうかと思いますので、それについて一概にどうこうと言うことはできないと思っております。
  298. 中山太郎

    ○中山(太)委員 しかしその際、アメリカ政府が韓国及び朝鮮海域に出かける米艦艇に対する兵たんの協力を日本政府に要請してきた場合に、一体国内ではどういう法律制度を改正しなければならないのか。前にクリントン・細川会談でも憲法の範囲内で法律改正するということを約束しているわけですね。それは当然自衛隊法七十六条、七十七条の改正になるんじゃないですか。どうですか。
  299. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 これは一般論としての御質問でございますので一般論としてお答えをさせていただきますと、米国は、従来から北朝鮮の核開発疑惑とは無関係に、米国とNATO諸国間の共同訓練等の際の物品及び融通の枠組みを念頭に置いて、同種のものが日米間にあれば有用というようなことを言ってきております。こうしたことについては、現在は日本政府部内におきましてもそのような枠組みを設定することの必要性を初めとするさまざまな側面からの検討は行われております。
  300. 中山太郎

    ○中山(太)委員 今大臣から御答弁のあったのは、取得及び物品役務融通協定を日米間政府で取り結ばなければいかぬということでしょうね。どうですか。
  301. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、北朝鮮の核疑惑に関連してということではなく、一般論として議論をされているということでございます。  北朝鮮の核疑惑問題との関連で申しますれば、先ほど来何度も御答弁申し上げておりますように、その態様によって事情が異なってまいりますので、その点については今後研究をしていかなければならないと思っております。
  302. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それでは次に、危機管理の問題を、前の国会でもお尋ねいたしましたが、ここでもう一度確認をしておきたい。  それは、韓国には当時、たしか外務省のここでの答弁では八千人の邦人がいる、こういう話でしたね。そのほかに在韓米軍の家族が約三万人韓国に居住しているわけですね。こういうことになって朝鮮半島で緊張が高まってくると、家族は安全なところへ避難したいと、こういうことは当然起こってくるわけですね。その際に我々が考えておかなければならないことは、日本の人たちだけではなしに在韓米軍の家族も含めて、韓国で生活している各国の人たちで安全地域に避難したいといった人たちの輸送に日本政府としてはできる限りの協力をしないと、日本は国際的に孤立をするということを私は大変恐れています。  先般、イエメンから、戦乱が起こったときに日本人が脱出するのに日本の航空自衛隊の輸送機を使えなかったために、外国の航空機に依存したわけですね。これ、韓国で問題が起こってきたときに、今の体制でできるんですか。できないでしょう。
  303. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 韓国には現在でも我が国の邦人がいろいろな形でたくさん滞在をいたしておりますし、また観光客も行っているわけでございますので、その状況の中で有事が起こったときどうするかという点については、これも答えを差し控えさせていただきますが、これも一般論でお答えをすれば、そうした場合に何らかの形で邦人が救出できるような手段をできるだけ備えておきたいというふうに私どもは考えておりまして、先般来、邦人救出のための自衛隊機、政府専用機の使用についての自衛隊法改正をお願いを申し上げているところでございます。最低限この点についてでも今国会で成立をさせていただけるようぜひともお願いを申し上げたいと思っております。
  304. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これはもう自民党は大賛成なんですから、政府・与党の方がしっかり法案の審議を促進する立場にあるんじゃないですか。むしろ政府・与党の方が少し手抜かりしているんじゃないですか。事件はいつ起こるかわからないんですよ。こういうことを考えると、単に航空自衛隊の飛行機を使うだけでなしに、民間機それから関釜フェリー、これをどういうふうに使うか、政府として。これはよほど事前に話し合いをしておかないと、湾岸戦争の時は日本航空も全日空も一切動かさなかったんですから。  これに一体どう対応するかということは、これは内閣総理大臣総理のもう一つ最高の責任者ですから、これは外交ルートを通じ、あるいは国内の問題ですから、きちっと体制を早く整えることが私は必要だと思います。いかがでしょう。
  305. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今外務大臣からもお答えいたしましたように、この間もイエメンでああいうことがあったということで、いっ何どきにこういうことが起こるかわからない。そのための準備というものは常にしておかなければいけないだろうというふうに考えております。
  306. 中山太郎

    ○中山(太)委員 もう一つ、緊張が高まったときに考えておかなければならないことは、難民救済をどうするかということを考えておかなければならない。これはやはり日本国家にとっては大問題だと思います。かつてベトナム難民を受け入れた。現在たしか日本は受け入れ枠一万人だと思いますけれども、そんな簡単な数字ではいかない、実際もう受け入れているのは一万人近くなっていますから。これに一体どう対応していくのか。  やはりここらのことは外務大臣、よほど慎重に、早急に対応しないと、九州ともう目と鼻の先なんだから、ここいらの点は私はここでどうしろということは申しませんけれども、政府としては、国民に向かっても、やはりいざとなった場合はこれだけのことを受け入れる準備ができているぐらいのことは折に触れて話をすることが私は必要なんじゃないかと思う。  やはりこの国は国際信用を失うということが一番打撃なんですね。だから、我々が、イエメンで在留邦人が困ったときは外国の飛行機に乗せてくれる、日本の近隣で起こったときは日本が全力を挙げて難民の救済とかあるいは関係者の輸送に政府は力を入れる、こういったことで国際信用というのは成り立つんだろうと私は思うんです。そこいらの態勢が日本にまだ欠けていると私ははっきり申し上げておかなければならない。それをぜひひとつ早急に処理をしていただきたいと思います。  時間が大分過ぎましたから、ここで話を逆転させてみます。  もし北朝鮮がIAEAとの話し合いに応じた場合、解決に応じた場合は、日本政府は北朝鮮に対してどのような支援を行う考えを持っているか。
  307. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 我が国は北朝鮮との間で日朝国交正常化交渉を続けてきたわけでございます。隣国としての北朝鮮、また植民地支配でいろいろな形で苦しみを与えたその地域に住む方々との友好関係を確立することは、私どもにとっては大事な課題であると考えております。  問題は、今お話がありました核開発疑惑が世界的な関心事、懸念事項になっておりますので、この問題を解決していただきたいと考えておりますし、その問題が前向きに処理される場合には我々としてはいつでも話し合いのテーブルに着くということは、先生の御指摘のとおりでございます。
  308. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで私どもが国家として考えておかなけりゃならないことは、もしIAEAの査察を受け入れて北がある程度の小型の原子爆弾、核爆弾を持つことを事実上認められるといったような事態になってまいった場合に、朝鮮半島の統一の主導権というのは北に移る可能性があると私は心配しておるわけです。  そうなった場合に、統一後の朝鮮半島というものは、日本の隣国に核保有国がもう一つ誕生してくることになるわけです。中国、ロシアあるいは朝鮮半島。こういった点について日本政府としての考え方というのは御協議になったことがあるんですか。
  309. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 北朝鮮が核保有国になるということはアジア、特に北東アジアの安全にとっては重大な安全保障上の懸念事項でございます。その意味では、そうした事態を米国が認めるということは私ども今想定をいたしておりません。また、そのようなことがないことをこれからも期待をし、また、そのために国際社会と協調して我が国は努力をしていくことが大事であろうと思っております。
  310. 中山太郎

    ○中山(太)委員 それでは、次にナポリ・サミットの問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  この七月の八日からサミットが開かれるわけですけれども、恐らく集まってくる各国の首脳は、日本に対して内需拡大のマクロ政策はどうなっているかということを確認するだろうと思うんです。それについて、羽田総理あるいは藤井大蔵大臣、今どういうふうなスケジュールをとっておられるでしょうか。
  311. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 具体的に言いますと、三月二十九日に対外経済改革要綱というのをつくっておりますが、その中では、いろいろな規制緩和に含めてというか、非常に重要なアイテムの一つとして、御指摘の内需拡大策が出ております。それには、税制改革を行うことによって、本格的な減税を実施していきたい、また、公共投資についても後年度の負担にならないような形での公共投資の見直し、積み増しをしたい、こういうことが書いてあるわけでありますが、これらについて、より国内の政策としてきちっと詰めた上で、これらに対して総理はしかるべく発言をされるものと考えております。
  312. 中山太郎

    ○中山(太)委員 内需拡大をするということを国際公約する場合に、国内的な政策の手続を終わっておかないと国際公約できないんじゃないですか。  例えば、減税の幅とかあるいはこれからどういうふうな政策運営をやっていくかということが首脳会談では恐らく出てくると思うんですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  313. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 お言葉でございますが、私どもは、これは前から当委員会で申し上げておりますように、私どもの国の経済政策を説明するわけでございまして、公約とか約束とは考えておりません。しかし、今御指摘のように、国内的措置というものに対してもしっかりこれは国内政策として見通しを持つことは大変重要なことだと思っております。
  314. 中山太郎

    ○中山(太)委員 恐らくこのサミットまでに国連の安保理の対応も大体の方向が見えてくるだろうと思うんですが、ここでもし解決がされていない場合には当然サミットの議題になって上がってくるのは間違いない。その場合は、日本としては毅然たる態度でぜひ臨んでいただきたいということを、自由民主党としてはここに要請をしておきたいと思います。  もう一つ、サミットで日本が主導権をとるというようなことはなかなか難しいことかもわかりませんが、環境問題なんかでは日本はある程度の主導権をとってきたわけです。こういうことで、サミットに臨まれる総理の基本的なお考えというか、決意をひとつこの機会に承らせていただきたい。
  315. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 我々といたしましては、今度のサミットの一番大きな問題は成長と雇用の問題、これはやはり一つの大きなテーマになろうと思っております。  しかし、それだけではなくて、これからの、今御指摘のありました環境の問題ですとか、そういった問題なんかについて、我が国としてはやはり率直に語っていく準備をしていく必要があろうというふうに考えておるところであります。  それともう一つは、やはり各国が、例えば途上国から今立ち上がろうとしている国、あるいは計画経済から市場経済に移行しようとしている国、あるいは紛争が終わってこれから復興しようとしている国、こういった国に対して、多少先進国が援助疲れというようなものがある。しかし、今それを支援しなかったならばこれはまた振り出しへ戻ってしまうという可能性があるわけでありまして、そういった意味でも、我々としてはそういった問題についても各国の皆さんとお話をしていく必要があろうと思っております。  また、ロシアの問題あるいはウクライナの核の問題、こういった問題等についても話し合っていく必要があろうというふうに思います。
  316. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ここで、石井国家公安委員長にお尋ねをいたしておきたいのですが、石井大臣も私はよく御懇意に申し上げておる仲で、こういうことをお尋ねするのは大変失礼ですけれども、国家公安委員長として大変な重責を日夜担っておられるという大臣が、日朝友好議員連盟の会長を務めておられるというお立場で、閣僚として羽田内閣に入っていらっしゃる。  これを外国から見た場合、特に、サミット加盟国なんかから見た場合に、日本の有力閣僚の中に北朝鮮と非常に関係の深い友好議連の会長がその籍のままで入閣をしておられるということについて、日本としての立場、これについてはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。  これは、もうおれがこの日朝議連の会長をやって、閣僚をやっているから、日朝関係はおれがまたパイプでやってやるよというようなお気持ちがあるのか。それとも、羽田総理のもとで閣僚としては、議院内閣制でありますから、当然友好議連の会長であられたこともたくさんありますけれども、この際は、国際的な関心が高まっている中で、この議連だけは閣僚在任中は辞任をして、また閣外に去られたら帰られるというような配慮をされるおつもりがないのかどうか、この機会に承っておきたいと思います。
  317. 石井一

    石井国務大臣 何か機会が与えられましたらそういうことを申したいな、しかし、自治大臣で外交にくちばしを入れるということ、これは慎むべきことだと思っておりました。  私は一つの信念を持って北朝鮮を訪れたことがございますが、私の信念は、一言で申しまして、分裂国家が間近に存在しておることは大変日本の国益にとっても大きなマイナスである、また、戦後五十年たって解決しなければならない問題は、北方四島のロシアとの問題と朝鮮半島の自主的統一を達成することである、こういう見識でピョンヤンとの接触を持ったわけでございます。  そして、私は、韓国へは十五回-二十回の訪問をしておりますが、北に対しては二、三回訪ねたわけであって、そのことによって南を敵視し、そして北の肩を持つというふうな態度は一切いたしておりません。私は、日本の政治家として、日本の国益を追求するという姿勢で今日まで接触してまいりました。  先般、予算委員会の席で自民党の野中議員が私の著書を取り上げられましたが、あの当時でも野中さんは核問題を追及し、私たちはあのとき二つの問題を提起しました。  一つは、早く国連へ入りなさい、国際社会に参加しなさい。もう一つの問題は、核拡散防止条約を署名だけしておりまして批准しておりませんでした。なぜ批准をしないのか、こういう問題をずけずけと言ってきたわけでありまして、その後、共和国は、この二年間のうちに国連にも南と同時加盟し、またその批准をもしたわけでございますから、対話の状況が、雪解けの状況がどんどん進んでおりましたときに核の状況が出てきたこと、私はまことに遺憾であります。  核の問題についても、議論を交わしましたときに、核の生産をする余力もなければ経済力もないということを主席本人が言われておるのでありますから、もしIAEAの査察の後にそれが確実に判明したとすれば、一国の国家元首が外国の代表に対してそういう発言をすることに対して、日本の政治家としては深い憤りを感じますが、私は、そうでない結論が出るということをひそかに期待いたしておるような次第であります。  なお、閣僚に就任いたしますとき、だれかにその席をお譲りいたしたいなというふうにも考えましたが、武村正義さんぐらい以外になかなか引き受け手がない、今ここでこの問題で物議を醸すよりも、しばらく国際情勢の沈静する、それの事態を見守っていくということが一番適切な判断ではないかな、こういうふうなことも考えまして、実は社会党の副会長、事務局長等も考えましたが、やはり政府に近い連立与党かあるいは自民党でこの議連を推進していくことが、国全体を進めていくという意味ではバランスがとれるのではないか、こういうふうな進言もございましたので、今の御提案の問題につきましては、私の頭の中にはございますけれども、いい結論がないということでございまして、あくまで議連は友好を推進しておりますが、間違ったことに肩を持つというふうなことはございません。  願わくは、外務大臣経験者のような、中山先生のような方がお引き受けしていただけるのなら直ちにひとつお願いを申し上げたい、そういう気持ちであることを申し添えておきたいと思います。
  318. 中山太郎

    ○中山(太)委員 私の名前を出していただいてありがたいことではございますが、私は、私の立場よりもむしろ、日本の政府に外務大臣として柿澤大臣がおられるわけでありますし、外交当局にとっては一番やはり嫌がるのは二元外交なんですね。  この友好議連の会長というものは大変大事な存在であり、それなりの評価を各国ともいたしておりますから、石井大臣が国家公安委員長というような重責をお持ちでなければ私はここまで申しません。公安調査庁も調査をしている団体が国内にあり、外務省も国際関係で非常に注意を払っている対象国の議連の会長を現職の国家公安委員長が引き受けておられるということは、私はもう一回お考えおきをいただいた方が大臣のためにも国家のためにも重要なのではないか。国家公安委員長の代理はおられませんけれども、日朝友好議連の会員はたくさんいらっしゃいますから、そこらもひとつお含みおきを願って御検討をいただいたら大変、私はきょう大臣のお考えも十分承りましたから、それなりに、この時節柄こういうことを申し上げたような次第でございます。御了承をいただきたいと思います。  なお、もう時間も迫ってまいりましたから、最後に少しロシアの問題を伺っておきたいと思います。  ロシアが核廃棄物の海洋投棄を当面回避した。しかし、これは来年の二月までが一応のめどになっているわけですが、そのことに関して外務省としてはロシア政府と交渉をしておられますかどうですか。
  319. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 ロシアによる放射性廃棄物の海洋投棄を防止するには放射性廃棄物の貯蔵・処理問題の解決が不可欠でございます。右は一義的にはロシアがみずから解決すべき問題ではありますけれども、我が国としても貯蔵・処理施設につき協力する方針であり、日ロ間での協議の結果、日ロ核兵器廃棄支援の資金の一部を利用して、貯蔵並びに処理施設につき協力することで基本的に意見が一致を見ているところでございます。我が国としては、ロシア側が今後所要の作業を加速化し、両国間の具体的な協力が早急に軌道に乗ることを期待をいたしております。いずれにしましても、我が国としては放射性廃棄物の海洋投棄が再び行われてはならないとの立場であり、また、ロシア側としても最終的に海洋投棄の全面禁止を実現するとの方針は不変であるということを確認しておりますので、双方は今後ともかかる基本的方針に従いまして海洋投棄の防止に向けて努力を継続していく所存でございます。
  320. 中山太郎

    ○中山(太)委員 ロシア関係で、北方四島周辺の安全操業についてお尋ねいたしたいと思います。  海上保安庁、来ておられますか。  海上保安庁は来ていない。それじゃ外務省で結構ですが、最近、ロシアの国境警備隊は根室の海上保安部に対して、越境漁船は年間九千隻に及んでいる、こう言っているわけですね。あらゆる手段を使ってこれを取り締まるということを通告してきているわけです。最近は、ヘリコプターによる威嚇射撃をやる、こういったことが起こってきておりますけれども、この件について我々の北海道関連の漁民のためにも政府間で早急に話し合いをやるべきではないか、こういうふうに思っておりますが、いかがにお考えでしょうか。
  321. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 事実関係については野村欧亜局長から後ほど御説明をさせますが、この問題につきましては、ロシア側が非常に厳しい態度をとっていることを我々は遺憾に存じております。日本の漁民の安全のためにも、そうした点については我が国の姿勢は申し入れております。  また、この問題の解決についてはいろいろな御提案がありますが、北方領土問題に関する我が国の基本的な立場を害してはならない、こうした立場で外務省といたしましては、その中で窮状にある漁民の皆様にどのようなことができるかということを検討中であるということを申し添えたいと思います。
  322. 中山太郎

    ○中山(太)委員 最後に、国際空港の問題で運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  運輸省のやっておられる、国際空港を各地でつくっていかれる。成田も苦労していただいていますけれども、なかなかまだ滑走路一本から抜け切れない。関西国際空港も滑走路一本ということです。韓国それから中国それから香港、こういったところの空港が非常に滑走路を整備して充実してきている。それで、むしろそこらがハブ空港化して、日本へ韓国からもどんどんローカルの空港へ乗り入れさせて、そこで集客して安いチケットでヨーロッパ、アメリカへ出す、こういうシステムが今もうでき上がっているわけですね。  これができ上がってしまうと一体どういうことになるかというと、昔は貿易港のあるところは栄えたけれども、これからはハブ空港があるところが繁栄するということがもう常識になっていますけれども、日本の場合はこれがなぜできないかというと、日本はまず着陸料が高い、こういう問題がございます。それは着陸料を高く取らないとペイしないから高く取っているわけで、これを安くする方法はないのかといえば、私は一つあると思うのですね。運輸大臣から、一体どこに問題があるか、ちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  323. 二見伸明

    二見国務大臣 大体先生のおっしゃりたいことはわかる感じがするのですけれども。  結論から言いますと、日本で空港をつくる場合は人件費も高いし、建設費も高い。ですから着陸料等が高くなるのはやむを得ないというふうに思います。空港というものは昔はぜいたく品だったけれども、今は国民の足でしょう、世界に対する足でしょう。私は発想を変えなければならぬと思っています。  それで、今関西新空港の話もありましたけれども、関西新空港はこれから全体構想も推進しなければならないでしょうし、名古屋では中部新国際空港をつくりたいと思っているし、私もそれは賛成です。首都圏では第三の空港をつくろうじゃないかという機運もある。ですが、今のシステムではこれはいや応なしに着陸料が高くならざるを得ない。  運輸省としては、これからできる空港その他、着陸料等の使用料を抑えたいと思っている。ということになりますと、どういうことかというと、空港整備特別会計がありますね。この中の真水をふやす以外にありませんね。一般会計からの繰り入れ七・八%であと全部利用者の負担なんというこのシステムを変えない限り、これからつくられる日本の空港は、国際空港にしろ国内空港にしろ非常に使用料が高くなることはやむを得ません。  私は、第七次空整が平成八年から始まりますけれども、このことを本気になって考えていくべきではないか、むしろ一般会計から特別会計への繰入額をふやす以外に日本の国際空港も国内空港も整備できない、これは当然やるべきだというふうに思っています。財政審議会で公共枠はA、B、C、分けたでしょう。空港は枠外ですからね。このことも我々は本気になって考えていいのではないかというふうに考えているところです。
  324. 中山太郎

    ○中山(太)委員 運輸大臣の考え方というのは非常に未来的な考え方で、現実的なことをおっしゃっていると思います。  問題は大蔵大臣の考え方だと思うのですね。大蔵大臣が旧態依然たる昔の貿易港的発想で日本の公共投資事業の割を決めているんじゃ、これはもう話にならない。殊にシーリングを毎年かけて前年度以上は要求するなとかいろいろなことをやっていたのじゃ、この解決はできない。羽田内閣は思い切ったスリム化をすると同時に思い切った投資をやるとおっしゃっているのですから、これは藤井大蔵大臣どうでしょう、明快な答弁をいただけますか。首をひねっていないで、真っすぐひと一つ。
  325. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 どうも立場上常に悪者になることを覚悟の上で申し上げますが、やはり空港整備特別会計の今の仕組みというのは、一つのつくられた仕組みとしてそれなりにみんな考えた結果だと思います。  ただ、今運輸大臣が言われましたが、国土の骨格とか基盤の整備になるようなものは外だと言うのですけれども、あれは別の考えでやらなきゃいけないという意味でございまして、そういうものは、特にハブ空港というお言葉がありましたが、関西空港そして東京の国際空港、こういうようなものは国土の基盤になる問題であるということは十分認識しておるつもりでございます。
  326. 中山太郎

    ○中山(太)委員 これで質問を終わらせていただきますが、特に大蔵大臣総理にお願いしておきますが、この公共投資の空港の関連は一・四%なんですね。これはふえっこないのですね。これを三%にしたら、シンガポールとか香港並みの滑走料金になるわけです。そこは思い切った判断をぜひひとつしていただきたいということを要望して、私の質問を終わらせていただきます。
  327. 山口鶴男

    山口委員長 これにて中山君の質疑は終了いたしました。  次に、後藤茂君。
  328. 後藤茂

    ○後藤委員 まず最初に総理にお伺いをいたしたいのでありますが、先ほど来、またきようで総括が八日間終わろうとしているわけでありますけれども、特に北朝鮮の核疑惑に対しまして私は少し危機感があおられ過ぎているのではないか、そんな実は心配をいたしております。本当に実態はそうなんだろうか、このことを改めて私たちは問い直す必要があるだろうと思うのです。  総理は外務大臣のとき、あるいはまた総理になられても各国からの情報が入ってくるだろうと思います。昨日は安保理の議長声明が出されまして、そしてIAEAがあの五千キロワットの原子力発電所の燃料棒の取り出しを直ちに中止しろ、そしてIAEAの査察官がそこにとどまって、このIAEAの議長声明に従うように求めている声明が出たわけであります。こうした動き、情報に  ついて総理はどのように受けとめておられるか、まず冒頭お聞きしておきたいと思います。
  329. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 国際社会ではこの間のIAEAの措置、保障措置というものを履行したこと、これは評価しておったと思います。しかし、燃料棒を取り出すということについての警告といいますか注意、これが受け入れられないということに対して大変大きな懸念を持っておるということは言えようと思います。  しかし、やはり対話で何とかひとつ理解をしてもらいたい、国際社会に胸を開いてもらいたいという気持ちで結局議長声明という形になっているのだろうと。非常に厳しくあれしながら、これにひとつ胸を開いてくれということを言いながらも、これを決議という形じゃなくて議長声明という形でやっておるということ、これはいろいろな面を配慮しているものであろうというふうに理解をいたしております。
  330. 後藤茂

    ○後藤委員 私も世界各国の原子力発電所は、国内もそうでありますけれども、しばしば見てまいりました。あの監視カメラが装置をいたしてありまして、普通の軽水炉の原子力発電所にありましても、その燃料装置がどのように動き、またそれをどのように取り出していくかということは逐一記録されておりまして、だれもこの封印されたものにさわることができません。また、監視をされる人々もふいにやってくるということでございますから、これはIAEAの査察を受けているところで平和利用に対する心配は、まず体制的には整っているように思うわけです。  そこで、外務大臣にお聞きしたいのですけれども、こうした北朝鮮が核疑惑と言われ、そして燃料棒の取り出しに対しまして、そこからプルトニウムを取り出していくのではないか、核兵器をつくろうとしているのではないか、こういうような疑いを増幅してきているわけです。外務大臣はそうした情報についてどのように認識されておるのか、冒頭にまずお伺いしたいと思います。
  331. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 北朝鮮がIAEAの査察のもとで、燃料棒の取り出し等をきちっと正当な方式によって行われることを期待をいたしております。  しかしながら、北朝鮮側は、IAEAのステータスが今脱退を中断しているという状態である、特異な事情にあるということを理由にして一方的に燃料棒の引き抜き作業を加速させている、この点が懸念材料でございます。  なぜ加速させているか、その理由につきましてはつまびらかではございませんが、IAEA側から私どもがいただいている情報では、今安全性の観点からその作業を急ぐ必要は必ずしもないということでございますので、これが全部引き抜かれ、また選別、収納されない場合には、過去においてプルトニウム等が抽出されているかどうか、軍事的な転用がされていたかいないかということを確認することは未来永劫できなくなるという状態でございますので、何とかIAEAとの話し合いの中で、正規の手続によって燃料棒の抽出が行われることを今期待をいたしております。
  332. 後藤茂

    ○後藤委員 北朝鮮の核疑惑というものについては、国際的に大変大きな関心を持っていることだけは確かでありますけれども、この核疑惑ということから、核武装、そして北東アジアにおける安全を脅かす、大変危険な存在であるかのごとくしていくということに対しては、特に政府は十分に注意をしていただかなければいけないのではないだろうか。  最近、本屋の店頭等を見てみますと、例えば「日本が参戦する日」こういうような雑誌の特集記事なんかが出ておったり、あるいは「第二次朝鮮戦争Xカ月」こういうようなのが出てきておったり、あるいは「五、六、七月は危険な月」こういうようなのが出てきておったり、まだまだこれからもそういう非常に興味をあおるような、中身を見るとそうでもないかもわかりませんけれども、興味本位に、しかしあおり、唆せるような風潮というものが出ていくのではないだろうか。  昨日も同僚議員の三野委員が、大阪における在日朝鮮人の皆さん方へのいろいろな行動というものに対しまして、あるいは学生たちに対する嫌がらせを超えたような行動というものが見られるということは大変心配をする動きだと思うのです。  これは直接そのことを触れているわけじゃないですけれども、私の好きな山本七平さんの「「空気」の研究」というもう十数年前に出た本ですけれども、私はこれを読んで非常に興味を感じた。  幾つかのことを例示的に書いているわけですけれども、例えば戦艦大和というのが緊急出撃をしていった。どう調査をしても、どう資料を整備しても、情報を集めても、もう無謀な、そういうことをやるということは考えられない。にもかかわらず、なぜあの大和が、もちろん第二次世界大戦、太平洋戦争ということもありますけれども、出ていったのかということに対して、「それは空気だ。その場の空気だ。」と。  ですから、そういう空気にどんどんどんどん追い立てられていって、私なんかも軍国少年で、軍隊に行くという事態も経験をしているわけであります。あのときには、何の矛盾も、それから心配も、そういうこともなしにやられている。今北朝鮮の恐怖感をあおり立てていくような、そういう危険な状況に持っていくことが平和な世界をつくり上げていく上にどれだけマイナスになっていくかということを真剣に私は考えていただきたいと思う。  ここで、この山本七平さんというのは、一時洛陽の紙価を高めた、イザヤ・ベンダサンというペンネームで書かれた「日本人とユダヤ人」の筆者だとも言われておりますけれども、では、「この「空気」とは一体何なんだろう。それは教育も議論もデータも、そしておそらく科学的解明も歯がたたない「何か」である。」こういうように言っているわけであります。  ぜひひとつ冷静に、こうした動きも、毎日この動きが出てきておりますし、特に週刊誌、雑誌等においてはこれが既に毎日トップ記事になっている。本予算委員会におきましても、必ず北朝鮮の核疑惑ということで質問をし、議論をされているわけでありますけれども、冷静に判断をしていきながら、誤りますと、経済封鎖からさらに軍事的な緊張というものをもたらしていくということになってまいりますと、大変な日本の方向をもたらしてくるということにもなるだろうと思いますので、あくまでもやはり話し合いでこの問題は解決していく。  そして、私は後にまた科学技術庁長官等にも御質問を申し上げたいんですけれども、我が国のエネルギー構造の脆弱な状況の中で、原子力の平和利用というものは、私は世界に向かってメッセージを送るべきであるという、私は今はそういう立場に立っております。これはまた後で申し上げてみたいと思うわけです。  したがって、北朝鮮におきましても、やはり原子力の利用というものは大変重要な、そして燃料棒というのは約一年ぐらい運転をいたしますと、これは取り出していくわけです。そういう技術的なことと、それから、そこからもう直ちにプルトニウムを抽出いたしまして、核兵器につくり上げていくんだということに短絡的にとらえていいんだろうかどうかということについて、私は大変大きな疑問を持っておりますだけに、今度は自民党の谷先生、そして山崎拓先生等が北朝鮮に行かれるようでありますけれども、非常にいいことだと思うんですね。  胸襟を開いて、そして平和のために、また北朝鮮の経済建設のためには、こうした原子力の平和利用というものは大切な一つの作業であり、また政策であるという立場から、しかしこれが軍事転用されていかないように、お互いにひとつ語り合っていこう、話し合っていこう。そして、緊張を高めていくような行動をとっていかないようにということをぜひひとつ進めていくべきだ。  政府は今外交関係がないわけでありますけれども、柿澤外務大臣、そうしたいろいろな方法があると思いますけれども、この問題は、ただ単に様子を見ている、まだそういう環境をつくるために政府は努力するという抽象的な言葉ではなしに、この問題に対してどういう対応をしていくべきなのか、お考えをお聞かせいただきたい。
  333. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 羽田総理大臣もしばしばお述べになっておられますように、私どもとしては、北朝鮮が植民地支配の中でいろいろな苦しみを味わったということを感じておりまして、その意味でも、隣国である北朝鮮との国交の正常化には誠意を持って取り組みたいと考えております。  ただ、委員御承知のとおり、核疑惑問題は、我が国の安全だけでなく、北東アジアの安全、そして世界の核不拡散体制の崩壊にもつながりかねないということで国際社会が懸念を持っておりますので、この問題について北朝鮮側が誠意ある対応をしてくださることを期待をし、その場合には我々としては心を開いて話し合いをいたしたい、こう考えております。  また核疑惑の問題でも、我が国としてできることがあればということで幾つかの非公式接触もいたしておりますけれども、先方は、当面は米朝交渉を優先させたいという思いがあるのだと思いますが、我々の働きかけに乗ってきていないということでございますので、その点は残念に思っております。  また、委員御指摘の議員交流等は、私どもとしては、それによって成果が上がるものであれば、これ自身歓迎をいたしたいと思っております。
  334. 後藤茂

    ○後藤委員 私は、北朝鮮には一九六〇年ですから、全くまだ香港までより行けなかったときに北京に入りまして、そしてピョンヤンに行った経験がある。朝鮮戦争の傷跡がまだあちこちに残っておりまして大変な国でありましたけれども、非常に清潔感を私自身はそのときは感じました。  しかし、国際環境が大きく変わり、中ソ論争等もあり、そしてまた北朝鮮の政治体制なり経済運営等についてもいろいろな問題があったことは確かだと思いますけれども、この国がもう一度経済的に発展をし、そして、そうした核疑惑を持たれないような国になっていただくというのは、私は日本の大きな責任だろうと思う。  この前も大出委員が質問の中で、日本海の方には原子力発電所もあるいはまた石油基地等も、それだけじゃなしに、多くの日本人がこの小さな島国で生活をしているわけでありますから、これをあおり立てて、そういった場合にどうするかこうするかというようなことよりも、それのない環境を、これは羽田内閣の今一番の大きな外交課題だと思いますので、特にこのことを申し上げておきたいと思います。  羽田総理はきのうプレスクラブで講演をされたようでありますけれども、新聞報道等を見てまいりますと、「(一政権交代という)大きな爆発があり、マグマが全部飛び出てしまったのでなく、マグマがまだ山の底に残っている。ある時にはまた爆発する可能性がある揺籃期にある」この種のことを言われた。さわりだけを書いておりますから、もっといろいろな立派な、いいことを言われたのだと思いますけれども。  ただ、私は、羽田内閣が約一カ月余りたったわけでありますけれども、こうして閣僚の皆さん方の席を眺めておりますと、やはり大変な感慨を覚えるわけであります。  それは、その経過についてこれまでも何回も言われておりますから、私が触れることは差し控えたいと思いますけれども、社会党が本当に苦渋の選択をしながら政権交代、そして議会制民主主義というものは、やはり政権が交代する政治環境というものをつくる、そして新しい政治システムをつくっていくということが議会制民主主義を育てていく道であるということで、国民皆さん方も、いろいろな要件がありましょうけれども、政権交代というものが実現をして連立内閣が誕生をしたわけであります。私はこれを大切にしていただきたかったという思いが実は今でもいたしております。  それを、政治家というのはなぜこう簡単に、そうして築き上げてきた連立政権、これからまだ政界再編というものがいろいろな形で行われていくでありましょうけれども、ああいう形で社会党が離脱をする、こういう状況をつくり上げてきたということに対して、特に少数与党としてと、各大臣答弁をされるとき必ずまくら言葉にその言葉を使われているわけでありますけれども、この少数与党政権というのをどのようにこれから変えていかなければならないのか。  また、こうして閣僚の皆さん方予算委員会の総括に初めて出席をされて、いろいろな意見をお聞きになっていると思いますけれども、特に羽田総理がこの約一カ月余りの間で、閣議の中におきましても、あるいはまたこうした予算委員会における答弁、論議を通じましても、多くの感慨をお持ちだと思うわけであります。総理のプレスクラブでの発言もさることながら、今その感慨をどのようにお持ちになっているかということをぜひひとつ率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  335. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 社会党が今度の連立政権から離脱されたこと、その結果我々が少数与党の上に乗る政権になったということ、結果としてそういうことであります。  しかし、ただ今日の少数与党の政権の行き先に不安を持つということよりは、過去の八カ月間というものを、社会党という、私たちとかつては真っ正面から闘った政党でありましたけれども、一緒に話し、そして一緒にいろいろなことを合意し、そして一緒に物事を進めてきた。私は、戦後五十年というものを迎えようとしている今日、ちょうど新しい政治が動き出したなというものを実は感じておったわけでありまして、このことを、苦労であったかもしれないけれども、しかし必ず歴史は評価するであろうと思いますし、この歩みというものを誇りにしているということを常々申しておるわけであります。その意味で、ただ少数与党になって困ったということよりは、社会党という政党と我々が一緒になってやっていくところにこれからの新しい日本の一つの政治の道筋を開くということを考えたときに、大変残念であるというのが私の率直な思いであったということであります。  ですから、ああいったことになってしまう、そのあたりをもう少しよくつかんで、その中で私が行動することができればよかったわけでありますけれども、ちょうど新しく選ばれた、そして新しく官邸に入った、そして新しいスタッフの中にいたという中で、本当の動きをつかみ得なかったということは大変残念でありまして、いろいろな誤解あるいはいろいろな思いを持たしてしまった結果については、大変残念に思い、また恐縮に思っておるところであります。そういう意味で、私は、皆様方とこれからも率直に語り合い、そしてともにまた歩める日が来るのじゃないかということを期待しておるわけであります。  それと同時に、我々はこの政権を進めていくに当たりましては、これはもう本当に少数与党になっておるわけでありますから、しかし、いつも申し上げますように、私たちに課せられている内外の課題というものは、これはもう与党とか野党ということではない。そういうことで私たちは誠心誠意、そして率直にそれぞれの問題を各党の皆様方に語りかけることによってそれらをなし遂げていくことができるのじゃなかろうかというふうに考えておりまして、ともかく誠心誠意皆さんに、それぞれの政党に対して話し合っていきたいという思いを持っておることを申し上げたいと存じます。
  336. 後藤茂

    ○後藤委員 この問題につきましては、各委員がそれぞれの立場からいろいろな感慨を織り込みながら質問なり答弁を聞いているわけであります。  いずれにいたしましても、内外にこれだけの大きな課題が山積しておって、そして少数与党政権でこれを乗り切っていくということは容易じゃないだろうと私は思う。しかも、政治改革を進めて、これから小選挙区比例代表というような新しい政治システムをとっていこうというような状況。  これまた不透明な部分もたくさんありますけれども、ベルリンの壁が崩壊いたしまして、そして新たな政治の枠組みなり、あるいはヨーロッパ等を見ますとほとんどが連立の形態をとっている。一つの政党が国民皆さん方の過半数以上の民意を担っているというような国はごくわずかだと思うのです。そうだとすれば、どうしてもやはり連立を選んでいかなければならぬ。  そういたしますと、歴史もあるいは考えも違うというところとどのようにお互いが譲り合い、協力し合っていくかという政治システムを、知恵を出さなければいかぬ状況に来ているわけでありますから、これは政府というよりも、むしろ我々政党の立場でお互いに話をしていくべき課題であると思いますけれども、とりわけ羽田内閣としては、今苦労しながら政府を担っているわけでありますから、答弁は要りませんけれども、心してこの問題に対処していただきたいということを強く求めておきたいと思います。  そこで、毎日刻々と新聞を整理していくのが実は大変で、なかなか頭にも入りにくいわけでありますけれども、これは総理とそれから外務大臣に、やはり日米フレームワークの協議が再開された、大人の関係で、数値目標と客観基準というものの認識の相違から一応決裂をしたわけでありますけれども、この再開にこぎつけていったということは私は大変いいことだと思っているわけであります。  後で中身の問題等についてお聞かせをいただきたいし、私なりの考えも申し上げたいと思うわけでありますけれども、こうした日米間で合意をしたその具体的な内容、毎日刻々と、数値目標を外したんだと当初言っておったら、またそれが別の形で出てきているだとか、客観基準がどうだとか店舗をどうしろだとか、どうも数値目標でまた半導体のときと同じような形で責任を負わされていくのではないかというような動きがあったり、いろいろな外電なりあるいは情報だけで、私たちは新聞からこれを見るしかないわけです。  ひとつ、フレームワークの再開につきまして今どういう状況になり、そしてこの展望がどうなっているのか、三項目から五項目になってきたり、また新たな追加が出てきたりということで整理がなかなかできないわけでありますけれども、これは外務大臣の方からお聞かせいただきましまうか。
  337. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 御承知のとおり、二月の日米首脳会談以来冷却期間に置かれておりました日米包括経済協議につきましては、マラケシュでの羽田・カンター会談以来、日米双方が共通の土俵を模索してきたところであります。  今回、五月十九日のカンター通商代表との会談に始まりまして、二十日、二十一、二十三と協議を継続をいたしまして、ワシントン時間で二十四日の未明に協議再開をすることで決着がついたところでございます。  今回の協議再開に際しましては、両国が共通の土俵として確認し合った主要点としましては、各優先分野が包括経済協議全体としての目標と分野ごとの目標との双方を有するということを確認したこと、それから客観基準は数値目標ではないということを確認したこと、また包括経済協議全体及び分野ごとの目標に向けて達成される進展を評価するために使われるというようなことを合意をいたしたわけでございまして、二月の段階で客観的基準という言葉についての日本側の考え方、そしてアメリカ側にあった考え方との間のギャップをかなり縮小することができたと考えております。  ただ、新聞報道等でいろいろ伝えられますのは、これで分野ごとの交渉が妥結したわけではありませんで、御承知のとおり、きょうから各分野別の協議がそれぞれの作業部会ということで始まっております。そして、全体の目標の中で分野別目標をどのように定めていくかという作業はこれから始まるわけでございます。  その中で、アメリカはやはり日本の市場の開放の度合いを定性的な基準と定量的な基準と合わせて複数の基準ではかる、そのときに必ずやはり開放度がわかるような形にしてもらいたいという希望を持っておりますので、その点で数値目標的なもの、それに限りなく近いものを求めてくるおそれはあるということではないかと思います。  ただ、数値目標ではないということを今回はきちっと両者で合意をいたしておりますので、そうした形にならないよう、また半導体交渉のときのような轍を踏まないよう、我々としてはできる限り市場の開放の度合いを複数の基準ではかる、特定の基準だけでその度合いをはかるようなことのないように、またそれが制裁に結びつくことのないようにということを念を押しながら交渉をしてまいりたいと思っております。  ただ、この交渉に当たりましては、それぞれの分野ごとに関係省庁痛みを伴う決断をしていただかなければならないわけでございますので、そうした点でそれぞれの関係閣僚また省の皆様にも御協力をいただいて、これを取りまとめて日米関係を正常化に持っていきたいというふうに考えております。  この過程に至るまでには、羽田総理大臣も直接クリントン大統領とお電話で話をされるなり、そういう意味では政治的な判断もされてまいりました。この点もつけ加えて御報告とさせていただきます。     〔委員長退席、中西(績)委員長代理着席〕
  338. 後藤茂

    ○後藤委員 ミクロの問題は、これはあの一ドルブラウスの時代からしょっちゅういろいろな衝突があったり、また妥協をしたりあるいは後退をしたり、いろいろな経験をずっと長い歴史の中でやっているわけですから、私は長い目で見ると、ミクロの問題というのは、一生懸命交渉の中で努力していけば一つ一つ解決していく、また新たな問題を生むということになるのだと思うのですけれども。  問題は、マクロの対策につきまして、私はこれからの日米交渉の中におきましても大変パーセプションギャップというのですか、認識の相違というものが起こってくるだろうと思いますね。  今度の再開の合意文書の中におきましても、「マクロ政策では、経常黒字を大幅に削減するために、外国の製品・サービスの市場アクセスを拡大し、内需主導による成長を促進する中期目標を積極的に進めることを日本は再確認した。」この「中期目標を積極的に進めること」、この言葉は、実はだれでも常識的に判断できるような言葉でありながら大変これは難しいことだと思うのです。  そこでお聞きをしたい。これは通産大臣にお聞きしたいのですけれども、内需主導型の経済、これは後でまた申し上げますけれども、もう最近は流行語になっているわけですね。じゃ、内需主導型の経済というのは一体何なのか。そして、合意文書の中で言っている中期目標の中期というのを一体どのように考えていけばいいのか。千三百億ドルのインバランスを持っておる日本の構造を解決していくための中期目標あるいは内需主導型の経済、産業構造、どういうようなものを一体考えているのかということを御説明をいただきたいと思います。
  339. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、内需主導型ということが一般社会用語の隅から隅まで用いられるというような現在の姿に相なっておるわけでございますが、一つの具体的な例としましては、私はやはり空洞化という言葉でも象徴されておりますように、円高等々を踏まえました産業実態が大変懸念される今日の姿に相なっておるわけでございます。そしてまた、いわば戦後五十年間続いてまいりました日本の経済に対する取り組み、産業界のありようといいますものも今一つの大きな転機を迎えておる。かような意味合いでは、あらゆる分野、とりわけ経済分野におきましても、その改革が求められておるというような段階であろうというように考えるわけでございます。  そういう中にございまして、やはり雇用との関係等空洞化に伴いますこれから先行き不安の問題、こういうことを考えますと、ただいま御指摘がございましたように、中長期的にこれからの産業界のありよう、仕組み、そしてまた雇用問題等々、高齢化社会の中における労働力確保の問題等々総合的に問題を見詰め直さなくてはならない。  さような意味合いでは、過般来、産業構造審議会等におきまして、これは十八部会に分かれてそれぞれ専門家にただいま御検討を賜っておりますが、そういうものをひとつたたき台にいたしまして、なおまた新分野のいわゆる市場創造プログラム、こういうものもつくらせていただいておるわけでございますが、広く国会等々でも御審議を願いながら、これからいわば中長期的なありようといいますものをだんだん固めてまいりたい。要は、今申し上げたような意味合いの一つの大きな転機であると。  とりわけその一つのねらいといいますものが、千三百億ドルというような経常収支の問題に象徴されておるわけでございまして、円高による下請企業等々のお立場、早急にこれらの問題に対する対応を、御指摘のような意味合いでの論議の中からつくり出してまいりたい。幸いに、経済界等におきましてもさような意味合いでの取り組みが始まっておるわけでございますから、この辺の問題を具体的に詰めてまいりたいな、かように考えているわけでございます。
  340. 後藤茂

    ○後藤委員 大臣答弁で、深く踏み込んでの中期目標なりあるいは内需主導型の経済のイメージというものがなかなか浮かんでこない。それはこれから経済企画庁長官にも御質問を申し上げてみたいのですけれども、羅針盤がなくなってしまつているのではないかという気がしてならないわけであります。  三月の二十九日に閣議了解ですか、閣議決定をされたのですか、細川内閣のときに。対外経済改革要綱というものが明らかになった。これを見ましても、市場機能の強化と対日アクセスの改善ということで、規制緩和、輸入、投資促進施策の推進、競争政策の積極的展開、政府調達の改善、そして日米フレームワークの協議の優先分野における措置としては、電気通信、医療技術にかかわる政府調達とか保険あるいは自動車、同部品、こういうようなところがある。これは、どの資料を見ましてもそれ以上のものは実は出ていないわけです。そのことによって、一体日本の産業構造なり内需主導型の経済というのがどういうようになっていくのかというイメージがわいてこないのですね。  ASEAN諸国あるいは東アジアの国々というのは、発展途上国から中進国、そしてもう先進国にキャッチアップをするような状況になってきております。そのときに、うちの方が、日本が兄貴分だったんだからお前はこちらの市場に参入することまかりならぬということは言えないと思う。垂直分業の時代はもうとっくに過ぎて、水平分業の時代に入ってきているわけでありますから、そういう発展途上国と言われた国々、中進国になった国々に席を譲って、そしてより付加価値の高い方向に日本の産業構造、経済構造というものは変えていかなければならぬ。それが今はもう全く不透明でしょう。いろいろな資料が出ておりますけれども、どれを読んでも同じことです。規制緩和をする、あるいは市場開放をする、あるいは政府調達をよくして公共事業を拡大をしていく、こういうことしかない。  確かにかつてのイノベーションの時代というもののような、ああいう技術革新の目ぼしいものがないということは言われているわけですけれども、もっと真剣に企画庁等が、調整官庁ですから、これからのガイドラインといいますか、それぞれ国民がこれからの将来展望はこういうようになっていくのだなというようなことを提起をできなければ私はいけないと思うのですけれども、後で細かくまた質問をいたしますけれども、経済企画庁長官、まだなられて短いわけでありますけれども、しかし経済的な経験は豊かでありますから、ぜひひとつお考えをお聞かせいただきたい。
  341. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 委員が御指摘のように、あと六年たった二十一世紀の日本の経済、もっと先の日本の経済というのは、非常に構造的に変革をしてくるのではないかと私は思っております。  まず、やはり一番大事なのは貯蓄と投資、この関係、すなわち日本の場合に貯蓄が投資を上回っている、これがとりもなおさず経常収支の黒という形になっているわけですが、その投資の中にはもちろん個人の住宅投資も入ればあるいは政府の公共投資も入ります、あるいは会社の設備投資も入ります。そういうものをもっと、特に政府の場合、私どもが考えております公共投資というものをきちんとやって、社会資本の整備というのを、まだ日本の国が活力のある間に、二十一世紀の高齢になる前にやって、孫子の代にはきちんとした社会整備の国にしたいとか、私はいろいろな打つ手はまだあると思います。  そういうことで、内需をあくまでも中心とした、そしてダイナミックな民間の経済活力を政府としては促す環境整備をしていくということで、いろいろな手を、委員も御承知のとおり、政府としても今打っている最中でございます。
  342. 後藤茂

    ○後藤委員 私が中期目標の問題なり、あるいは今企画庁長官に、これからの内需主導型の経済構造というものがどういうようになっていくべきなのかということについて、企画庁はひとつこれから真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げたのは、実は歴史を振り返ってみますと、鳩山内閣の、まあ一九五五年体制といいますけれども、鳩山内閣のときに初めて経済自立五カ年計画というのができたわけです。これはその当時非常に新鮮な影響を与えたんです。その後今日まで十二回くらいやっているんでしょうか、この種の経済計画、五カ年計画というのを。もちろん七カ年計画になったり、大平さんのときには新経済社会七カ年計画になったりした経過はございますけれども、しかしそれでも、企業にいたしましても、また国民も、あるいは政府も、そういう一つの五カ年計画というものを指標にしていきながら、経済運営なり企業経営なり、あるいは政府もその方向でいろいろなこれにかかわる政策を樹立してきたと思うのです。  ところが、私は、行政改革が提起をされたときに、当時中曽根総理の時代だったわけでありますけれども、行政改革の委員会でこの問題を取り上げました。その取り上げた課題というのは、それまではそれぞれの五カ年計画、いろいろな名前がつきましたけれども五カ年計画ということで進んできたわけでありますけれども、ほとんどが数字的に現実と乖離をしていくわけですね。二、三年たちますと、もう取りかえていかなければならぬということがあった。私はそれでもいいじゃないか、やはりガイドポストを提起をしてやっていくことが一番必要なんだということを言った経験がある。  ところが中曽根内閣のときに、その前の大平内閣のときには新経済社会七カ年計画ということが出されてまいりましたが、その途中で、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものが出されてきたわけであります。  そのときに私が申し上げたのは、どうも中曽根総理認識としては、経済計画というものと計画経済というものとを認識の点において一緒にしているのではないだろうか。どうも経済計画というと計画経済のように見られる。ですから、もう経済五カ年計画なんというようなことをやめた方がいいというような提起がなされまして、その後、経済企画庁御存じのように、毎年、経済の展望と指針というようなことになってしまうわけです。  そのとき私はこういうことを申し上げたのですよ。「今度の「展望と指針」ということで経済企画庁の店じまいの前兆じゃないかと思うのです。そして単なるエコノミストの学者集団的な人々が少数そこにいて、そして計数をいじっているという官庁になりはしないかということを心配する。それがそれならそれでよろしい、つまり総合企画的な行政機構というものはもうこれで終わり、なくてよろしいというなら別ですよ。」私はこういう指摘をいたしました。その後、全く海図がなくなってしまっているんではないかというように思えてならないわけであります。  もちろん、前川レポートが八年前に出されてまいりました。これも、やはり展望と指針ですね。いわゆるかつてのような八回にわたります経済計画的な手法というものは全くとられていない。そしてその後、今度は「生活大国五か年計画」、これは宮澤内閣のときに出されているわけでありますけれども、これはどの程度フォローアップをされているのか後でまたお聞きをいたしますけれども、これは生活にかかわるところに重点を置いた五カ年計画ということであったと思うのです。後はもう、今度平岩レポートにいたしましても、内需主導型の経済構造に変えていくんだということと、それからバランスある経済にしていかなきゃならないというようなことが重点に置かれているわけであります。  経済企画庁は、経済企画庁の設置法を見ますと、「企画庁は、左に掲げる事務をつかさどる。」「長期経済計画の策定及び推進」ということが第一項に明記をされているわけです。  経済白書は出されている、そしてこの展望と指針は薄っぺらなペーパーで提起をされ、それで一年終わってまた翌年出てくる。  私は、これまで出てきた毎年のものを全部読んでみましたけれども、表現と文体はほとんど同じです。そこに創造的な、あるいはこれからの困難な状況の中でどのように日本の経済を変えていくかということは全くないんです。もう前に書いているからそのまま写してもいいというようなことで、ただ数字とか年次が違うだけというのは、後でぜひ企画庁長官は見ていただきたいと思うのですけれども、そういうようなことでは、これは後で総理にお聞きをいたしますけれども、一体どのようにこれからの日本の経済を動かしていくのかということに対して、企業も実は戸惑っているし、それからまた、国民もその展望がない。  ですから、一生懸命、一生懸命と言ったら大変失礼ですけれども、貯蓄をしていって何とか小さな家でも持っていきたいとか、あるいは老後の生活の支えをしていきたいとか、あるいは不時の病気のときに備えていきたいということから、新たな再生産過程になかなか入っていかない、消費に入っていかない。内需主導型の経済構造にしようとしても、それを購入してくれる人がいなければ、これは企業だったってそこへの投資というものに意欲を持たない。もう一度、ひとつ経済計画というものについて、考え方を新たにして取り組んでみるという意思がございませんでしょうか。
  343. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 委員御指摘のように、経済計画ということと計画経済ということは、私はやはり違いがあると思います。  市場経済というのが我々が今考えておりますポイントでありまして、ただ国民の、もちろん民間の経済活動の一つの指針となるようないろんな経済の見通しとか、あるいは長期の経済の展望とか、そして特に、私の考えでおります経済企画庁は、国民一人一人の生活者、消費者の立場から、何とかして物価問題あるいはもう少し豊かな生活ができないかという、そういう問題を積極的に取り上げていくような、そういう庁にしたいというふうに私は考えております。
  344. 後藤茂

    ○後藤委員 繰り返しになりますけれども、この前川レポートも読んでみますと、今や国際社会において日本は重要な地位を占めるに至ったと。そうした中に、特に国際収支黒字は一九八五年、対GNP比で三・六%とかつてない水準まで大幅化している、この危機的な状況を認識する必要があるということから、幾つかの政策を提起をして、その提言の中では内需主導型の経済成長を図ることだと、こういうことを言っておるわけですね。  その次に出されてまいりました「生活大国五か年計画」も、「生活大国の実現を目指すことは、住宅や生活関連社会資本の整備などにより内需主導型の経済構造を定着させる」、もうまるきり同じオウム返しにきているわけです。  そして平成五年十二月の平岩レポートは、これまた四目標を提案をいたしまして、「内外に開かれた透明な経済社会」とか「創造的で活力のある経済社会」とか「生活者を優先する経済社会」とか「世界と調和し、世界から共感を得られる経済社会」、その政策を柱といたしまして、先ほど申しましたように、市場開放なり規制緩和なりということを言っているわけである。  こうしたことでは、総理細川内閣のときの国民福祉税の創設であるとか、あるいはまた実質所得倍増計画であるとか、あるいは公共料金の年内凍結であるとか、私はこういうようなものは経済企画庁がきちっと情勢を分析して、そしてこれからの展望を見据えていきながら、時の政府に対してひとつ公共料金は、後で、日銀総裁お見えになっておりますけれども、物価との絡みがあるからこういうようにしていこうではないかとか、あるいはそれが経済にどういう影響を与えていくかということを分析した上に立って、政府が、この際ひとつ凍結していこう、そのかわりそれにおける摩擦はどういうようにカバーをしていくのかということを提起すべきだと思うのですね。  恐らく経済企画庁長官は、こうした公共料金の凍結ということに対して話があったかもわかりませんけれども、企画庁の中でこの問題に対して事前に一つの検討をしたということはないんじゃないだろうか。あるいは実質所得倍増計画、結構じゃないですか、しかし、それがぽっと出てきてまた引っ込めてしまうということは、およそ組織的ではないというように考えるわけです。  総理、こうした日がわりメニューと言ったら大変失礼でありますけれども、やはりこういう政策を政府が出す場合、あるいは総理なり経済閣僚が提起をする場合は、そこのきちっとした確信を持って提起をしてもらわなければ、国民はどこを信頼して生活をし、あるいは企業は経済運営をし、あるいはこれから若干、きょうの新聞なんかを見ますと、景気回復へ動き強まるというようなことを経済企画庁は出しているようでありますけれども、よしそれじゃひとつ投資に入っていこうかというようなことになると思います。  どうぞ総理、そういった点に、思いつきではないと思います、一生懸命考えて出されたんだと思うのですけれども、もう少し組織的にルーチンワークをもって、こうした問題に対していろいろ討議をしていって、もちろん最初から考えたのをすぐ出してしまうと、つぶされてしまったり実らなかったりということもあるかわかりません。あるかわかりませんけれども、やはり確固たる一つの政策提起ができるようなスタッフはいるわけですから、そこときちっと討議をして提起をしていかなければならない、こういうように考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  345. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 御指摘の点はもう全く私も同感であります。ただ、我々の内閣、まだでき上がってちょうど一カ月経過したところ、しかも実際に動き出してからまだ二十日そこそこであるということであります。しかし、ああいった問題というのは、もうすぐ七月から始まるもの、十月から始まるものというのがあるという中で、公共料金についてはまさに一つの決断をしながらやらざるを得なかったということであります。  ただ、物価問題のあれについて、別に取り下げるとかなんとかということじゃない、また、倍増というのはどこから倍増という言葉が出てきたのかよく私は承知しておりませんけれども、やはり日本の基礎物価というのはどうしても問題があるだろうということは実は前内閣のころからも話しておったことでございまして、こういった問題に、やはり我々がひとつ注意を喚起しながら、こういった問題を追っていくということは、これはやはりこれからどんどん景気が安定して成長するという中で、給与なんかがそう大きく上がっていかない時代に、私どもが今取り組んでいかなければならぬ問題だろう。これは、まさに今経企庁の方でもよくこういった問題について検討してもらいたいということを私の方からも要請をいたしておるところであります。  そして、先ほど来のお話のこういった五カ年計画というようなもの、これは、今お話があったように、鳩山内閣の時代のこと、私も今お話を聞きながら思い起こしましたけれども、一つの夢みたいなものを持ったものでありますね。ですから、そういう何か政治の場から発信するものが、国民にやはり夢というか希望とかあるいは活力というものを与えるものでなければいけないということ、これは私どもよくこれからも勉強させていただきたいと思っております。
  346. 後藤茂

    ○後藤委員 今の総理答弁がありますように、寺澤経企庁長官、実は、日本の経済計画の手法というのは、フランス型とアメリカ型の折衷型だと、よく当時は言われておったのです。  フランス型というのはどちらかというと恣意的な経済計画、それに対してアメリカ型は、ニューエコノミックスと言われるいわゆる経済分析と経済予測に数量的手法を加えていること、ちょうどその中間的なことで、いろいろ政府が出してくるなりたたかれたり、分析が甘いだとか辛いだとか、一年たつとこの見直しをしていかなければならぬとか、いろいろなことがあるにしても、やはりそのたたき台を提供するということは必要でありますし、当時はアメリカも日本のああいう経済計画というものは一応勉強しなければならぬという声も雑誌「エコノミスト」なんかにも出てきたことがあるわけであります。そのことを申し上げておきたいと思うのです。  せっかく三重野日銀総裁がお見えになっておられて、日銀総裁は、二十七日ですか、後でぺーパーをちょうだいしたわけですけれども、期末需要の反動を大変重視をしている。これはきのうの企画庁の発表以前に言われておるわけですが、恐らくそういういろいろなデータをごらんになったのだと思います。  ここ本年のまだ前半は、経済企画庁の経済報告ですか、月例報告等を見ましても、そういう兆しは全く見えていなかったわけでありますけれども、日銀は今まで大変失敗といいますか、ばかりをここ数年してきているものですから、今度はどうも期末需要の反動を重視して、物価変動に対して少し早目に対応していかなければならないのではないかというようなことを言われておるわけでありますけれども、日銀の短観等を見ましても、そういう状況が今生まれてきているのでしょうか。その点をお聞かせいただきたいと思います。
  347. 三重野康

    ○三重野参考人 年がかわりましてから、委員がちょっと御指摘になりましたけれども、主として個人消費回りでございますけれども、明るい兆しが、動きが出てまいりました。それで企業マインドも落ちついてきております。  そういう意味で、景気は下げどまりつつあるのではないかと受けとめておりますが、委員も御案内のとおり、昨年の春ごろも同じような動きが出てまいりました。それで、昨年後半の景気回復が期待されましたけれども、昨年は、御案内のとおり急速な円高、気象状態その他もろもろの悪材料が重なりまして、去年の明るさは一時のあだ花に結果的には終わりまして、景気は停滞に戻ったわけでありますが、今回のこの明るさが去年のようなあだ花に終わるかどうかを見きわめるためには、やはりその間にどういうファンダメンタルズが変わったかということをチェックしてみる必要があると思います。  まず第一に、この一年の間にいわゆるストック調整あるいは企業のリストラというのはかなり進捗いたしました。第二に、財政及び金融政策のマクロの政策の効果の浸透もかなりのものと思われます。第三に、米国を初めとする海外のいわゆる経済環境が明るくなってきたということが挙げられます。  したがいまして、去年に比べますと、景気回復へのいわゆる環境整備というのはより整ってきたとは思いますけれども、それでは今後はどうかということを考える場合、まだ留意しなければならない点がたくさんございますが、その中において、私どもは三つ特に留意しております。  それは、やはり円のレートがまだどういうふうになるか目が離せない。第二には、いわゆる雇用調整、これがまだじりじりと進行して、終わっていない。第三に、これがまた大きな問題でございますが、いわゆる企業、金融機関のバランスシート調整がまだ道半ばである。  そういうことを考えますと、確かに去年よりはいい条件が出てまいりましたが、果たしてこの明るさが本当にずっと続くのかどうか、あるいは拡大へ向かって広がっていくのかどうかについては、いま少しやはり慎重な見きわめを要するのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、さっき委員が御指摘になりました物価の問題でございますが、それは先日の講演では金融政策のあり方について、基本的な問題について、委員が指摘されたことも含め、あるいは、もう少しまた物価は長い目で見なければいけないというようなことを申し上げたわけでありますが、それはいわゆる基本について申し上げたのであって、現在のカレントの状態に即して申し上げますならば、さっきのような状態でございますので、今後丹念にチェックしてまいりまして、政策の誤りなきを期してまいりたい、かように考えております。
  348. 後藤茂

    ○後藤委員 昨年は経済企画庁長官が、底入れをしたということで、また狂ってきたわけでありますけれども、そういう現象よりも少し違っているという認識を持ってよろしいでしょうか。  それで、経済企画庁も昨日このことにつきまして、見通しがどうも大分よくなり始めてきている、もちろん注視をしていかなければならないけれども、そういう動きが出てきているという発表をされておりますけれども、長官は、今、日銀総裁がおっしゃったような景況把握に対して、どのようにごらんになっていらっしゃいますでしょうか。
  349. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 やはり企業収益の点あるいは設備投資という点から考えまして、そして厳しい雇用状況ということから考えまして、総じてまだ景気の底入れは、低迷は続いているというふうに私は考えます。
  350. 後藤茂

    ○後藤委員 今、日銀総裁と経企庁長官にお伺いいたしましたのは、「平成六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」は、この中身につきましては何人かの委員が、成長率二・四%、そんなものは実現不可能ではないかという指摘もされていっているわけでありますけれども、若干高目にしておかなければどうもめいってしまうということが、特に大蔵大臣、大蔵省サイドの方は大分あったのじゃないか、こう思うのです。  この二・四%の実質経済成長率、この点に対して大変厳しくこの予算委員会等でも指摘をされておったわけですけれども、今の景況の、少し動きが出てきた。もちろん底入れ宣言はできる状態にないというのかもわかりませんけれども、こういう「経済見通しと経済運営の基本的態度」の中に出てきております二・四%の経済成長率、これを一体どのように今お考えになっていらっしゃいますか、長官お答えいただきたい。
  351. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 今申し上げたように、現在景気は総じて低迷が続いているというふうに私は考えます。  ただ、いろいろな指標の中で、委員も御指摘になったのも含めまして、特に消費者の消費動向についてやや明るみが見えてきたとかということもありますし、それから二月の総合経済対策あるいは所得税の減税、そういったものが住宅建設等々にいい影響を今後与えてきて、平成六年度中には景気は回復軌道に乗るものであるというふうに我々は予測しておりますので、この成長率の見直しを今やるという考えはございません。
  352. 後藤茂

    ○後藤委員 「平成四年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、それから「平成五年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、そして今年度、六年度の、これをずっと見ますと、ほとんど同じ文脈なんですよね。みんな数字が悪い方に行っている。ここで、今長官が言われたような、平成六年度中に本格的な景気回復軌道に乗るものと見込まれ、国内総生産の実質成長率は二・四%をはじき出している。もう一度これのお答えをいただきたいんですけれども、こういう方向が大体展望できて、もう一回見直しをしてもう少し厳しく見なけりゃならぬという必要はないか、こういうようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  353. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 景気の本格的な回復を平成六年度中に実現したいということで経済運営をやっておりまして、今後の推移を、もちろんいろいろな変動要因がございますので、為替をも含めまして見なければなりませんが、今のところその数値の見直しは考えておりません。
  354. 後藤茂

    ○後藤委員 そういう方向で経済運営ができることを私は希望しているわけですけれども、ただ一つ、長官、この前の第三次補正のときにも私は申し上げたんですけれども、やはり経常収支のところなんです。  この「経済見通しと経済運営の基本的態度」の中では、経常収支が平成五年度の十四兆四千億円に対して十三兆八千億円、つまり六千億円くらい改善されるということですね。これがまず、日米包括経済協議の中ではいつも、内需主導型の経済にしていくんだと言いながらこの程度の改善なのかということが、時に触れて言われていると思うのです。事実どうですか。  六千億円ということになると、ドルと円との換算がありましょうが、まあ七十億ドルから八十億ドル。そういたしますと千三百億ドル、仮に百億ドル改善されたとしても千二百億ドル、大変な経常収支ですね。これでは世界の国々に対しましても、改善をいたしました、あるいは規制緩和をし市場開放をいたしましたということにはなかなかなっていかないだろう。  なるほど、二・四%の経済成長率、これは望ましい成長率、期待の成長率としてこの実現に努力していかなきゃならぬと思いますけれども、この経常収支の改善というものは、どうですか、私はまたもっと悪くなるんじゃないかという気がするわけでありますけれども、見通しをどういうようにごらんになっていらっしゃいますか。
  355. 寺澤芳男

    ○寺澤国務大臣 経常収支の改善につきましては、委員が御指摘のように、果たしてこれだけの量でアメリカ、それ以外の国々が満足をしてくれるか、あるいは納得してくれるかという点で、もちろんもっと急激な、大幅な縮小というのが望ましいわけですが、我々としては結局、やはり規制緩和や対外経済改革要綱に従ったいろいろな諸計画を今着実に実行に移して、一つ一つマーケットアクセスを世界の国々に見せ、そして本当に日本の内需を中心とした経済の成長を遂げていくということで、そういう経済運営をこれからも着実にやっていくということ以外に私は手がないんじゃないかと思っております。
  356. 後藤茂

    ○後藤委員 私が非常に難しいのではないかと申し上げるのは、後で事務局の方で説明いただいたらいいと思うのですが、貿易収支の中で日本が赤字になっている国はあるわけですね。御承知のように、例えばサウジアラビアだとかクウェート、アラブ首長国連邦、こういうようなところはオイルですから当然でございますし、それからカナダは石炭とかあるいは木材とかで、これまた日本が十七億ドルの赤字。それからさらにオーストラリア等も鉄鉱石であるとか石炭、さらにブラジル等がこれまた十二億ドルということで鉄鉱石、アルミニウム等を、つまり資源なり基礎素材を輸入しているところはこの構造は余り変わらぬだろうということですね。  ちょっと違っているのは中国ですね。中国の場合は特に今繊維製品が非常に大きく日本へ入り込んできている。繊維の問題は、きょう時間がございませんので、通産大臣に本当はいろいろお聞きをしたいわけでありますけれども、これは対策をきちっと講じていかなければなりません。中国が三十二億ドルというような形で日本が赤字をしょう。あとはほとんど改善の動きというのは非常に難しい。特にアメリカは今景気回復過程に入っているということ等を考えてみますと、大変だと思うんですね。  ですから、約七十から八十億ドル程度の、それでも一生懸命努力してやるんだというけれども、恐らく来年、年が明けてみるとほとんど改善していないという状況が生まれてきますと、またこれは日米経済協議に難しい課題を背負っていくのではないだろうか。  そこで、この貿易構造を変えていく、これは短期にはなかなか変えられません。先ほども言いましたように、ミクロの問題については誠心誠意私はやはり努力をしていくべきだ。数値目標とかそういうことを政府が強制するわけにもいきませんから、それはできません。  しかしこの問題は、もういろいろな苦労なりあるいは痛みもあると思いますけれども努力していかなきゃならぬが、問題は、マクロの方向でこういうように動く、そうすれば三年先、五年先は、なるほど日本経済もこう変わっていくなというときに、初めてお互いの信頼のもとにおける交渉ができる場がつくれるだろう、私はこういうように思うわけでございます。  そういう意味で、ぜひひとつこの構造をどのように考えていくかということで、これは通産大臣にお聞きしたいんですけれども、「生活大国五か年計画」のフォローアップを企画庁等もやっているんでしょうし、また通産省の方としても産構審を開いて、そしてこれからの産業構造、経済構造の新たなあり方というものを検討をしておるのでございましょうけれども、そうしたフォローアップなり、あるいはこれからの産業構造、経済構造に対しまして産構審等で取り組んでおる課題をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  357. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、ただいま産構審におきましての取り組みが、既に中間的な取りまとめ等々の報告もなされておるわけでございまして、要は、先ほど来お話がございましたとおり、対外経済改革要綱等々、マクロ、ミクロ、そしてまた産業構造の調整問題、この辺をかなり思い切って進める中にございまして、例えば高度情報通信分野、こういった新しい分野の開発を図っていく。こういうことによって、産業界に新たな意欲でお取り組みを願うというようなことでただいま作業が進められておるわけでございます。  本問題は、御指摘がございましたように右から左というわけにはまいりませんけれども、しかしながら、やはり少なくともここ三年後あるいは五年後、そういうものがきちんと効果があらわれるような取り組みを、これはやはり民間の方々に、いわゆる羅針盤というお言葉もございましたが、さような意味合いでのさらなる努力を重ねていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  358. 後藤茂

    ○後藤委員 産構審の総合部会の基本問題小委員会では、六月中下旬ぐらいには一応中間報告等をまとめて出したい、こういうように聞いておりますけれども、それは進捗状況はどうでしょう。
  359. 畑英次郎

    ○畑国務大臣 先生御指摘のとおり、ただいま大方さような意味合いでの取りまとめの段階に入りつつある。なおまた、国会の方に対しましても、いろいろ資料提供等々の中で御論議を願いたい、こういうような考え方に立っておるわけでございます。
  360. 後藤茂

    ○後藤委員 この六月というのは、二十九日に国会が一応終わるわけでありますし、七月の初めにはナポリ・サミットがある。そして税制改革の問題も、これは六月中にというような課題がある。そして今のような問題がある。さらに、フレームワークがどの程度進んでいきますかわかりませんけれども、ある程度ナポリ・サミットに、日本の努力といいますか、考えというものを説明できるようにしていかなければならぬだろうと思うのです。  そういう課題がいっぱいある中で、どうももう一つ熱意といいますか、あるいは思案投げ首しているのではないかと実は心配しているわけですけれども、積極的に取り組んでいかなければ、ナポリ・サミットで各国の首脳と会って、努力します、頑張っていきますということで帰ってくるというようなていたらくになる危険性もあるのではないかということで、これはひとつ激励をしておきたいと思います。  そこで、ちょっと角度を変えまして、この間ある新聞を読んでおりましたら、住友電気工業副会長の中原恒雄さんがこんなことを言っているのですね。   「フォーチュン誌」の銀行や企業のランキン  グでは、日本の銀行・企業が上位に顔を出しま  すが、世界の大学をランク付けした「ゴーマ  ン・リポート」では東大がやっと六十七位。   大学とは国の品格というか、国の文化の代表  的な存在だと考えると、このアンバランス状況  はエコノミックアニマルを実証するようなもの  ですよ。こういうような発言をされて、私はこの言葉を大変興味を持って見た。  今までは輸出主導型、これからは消費の、内需の主導型に変えていくわけですが、まだ日本はフォーチュン誌に、いやあ、トップから何位ぐらいまでのところは日本の企業なり銀行が占めたなんということで何か自分の懐が膨らんだみたいな錯覚を持っている。まだまだやはり輸出主導型の発想というものから変わっていない。これからは、私は、文化の方向にもっと努力をしていくべきであろうというように考えるわけです。  そこで、赤松文部大臣もいらっしゃいますけれども、ここでは何人かの方から、若者の理工離れが進んでいる、こういうことが言われております。文部大臣答弁をずっといろいろ聞いておりましても、どうももう一つその具体的な中身がないように思えてならないわけです。  大蔵大臣もいらっしゃいますけれども、ただ大学の施設をよくしていくとか、あるいは老朽化した、東大なんかももう七十年ぐらい建ったままで、蛇口をひねったら全く動かない蛇口が何%かあるなんというようなことも言われたりしているわけですし、せっかく研究費を置いても、そういう管理、施設の方にとられてしまって、研究者の研究費になかなか使うことができない、こういうように言われているわけであります。  こういう若者の理工系離れというものに対して、文部大臣、どうも文部省の対応というのはもう一つ十分でないように感じます。確かに予算では今年度も大分大きくなっているようでありますけれども、まずこの理工離れの問題についてお聞かせをいただきたいと思います。
  361. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 理工離れについていろいろ憂慮をいたしているということを何遍か申し上げたような気がいたしますが、その対策についてパンチの効くお答えができなかったということかと思います。  具体的には、文部省高等教育局の中でございますが懇談会を設けまして、どうして理工離れが進んでいるのか、それに対してどうすれば理工に対する魅力のある大学にすることができるのかというようなことを、衆知を集めて検討をお願いいたしているところでございます。  また、先ほど先生が大学の老朽化についてお触れになりました。これはまことにひどい状態に立ち至っておりました。もちろん設備の改善がすべてでないことは言うまでもございませんけれども、それもやはり大変ひどい状態でございましたから、これには大いに力を入れまして、その改善にまさにただいま努力をしているところでございまして、この点はある程度改善が見られるであろうというふうに思っております。
  362. 後藤茂

    ○後藤委員 最近、マルチメディアとかという言葉がよく新聞等に出ますけれども、けさの、これは産経新聞でしょうか、に大きく、ほかの新聞も皆出ておりましたけれども、二〇一〇年目標に全家庭に光ファイバー網を整備する、こういうことでそのマルチメディア市場は百二十三兆円だ、こういうように言われている。これはまあ一つの新しい技術が内需主導型の経済構造に変えていく大きなインパクトを与えていくだろうと思うわけですけれども、郵政大臣、短く簡単でようございますから、公共機関を先行整備していくのだという構想が出ているわけですけれども、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  363. 日笠勝之

    ○日笠国務大臣 昨日、電気通信審議会から一年二カ月にわたる議論の結果の答申をいただいたところでございます。これからその答申を踏まえましてマルチメディア時代に対応する政策展開をやっていこう、こういうところでございまして、今回の目的はもう先生御存じかと思いますが、高齢化社会に対応するとか、東京の一極集中を排するとか、また新規の産業の創出とか、こういう観点で答申をいただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、二〇一〇年までには各家庭に光ファイバー網を敷きまして、そして先導的なアプリケーションを導入いたしまして、先ほど申し上げたいろいろな課題が解決するような、そういうふうな社会にしていくつもりでございまして、百二十三兆円であるとか、また二百四十三万人というのは試算でございますが、そのような新しい有望な産業の分野になる、そのまた核になる、このような確信を持っておるところでございます。
  364. 後藤茂

    ○後藤委員 一、二、三というような数字はごろがいいので使ったのかどうかわかりませんけれども、こうしたマルチメディアが今大きく注目を集めているわけでございますから、これをどのように育てていくかということについてひとつ努力をしていただきたいと思います。  私がこれを申し上げますのは、実はこの間ある学者と話をしておりまして、私自身はどうも超電導というようなことについては理解が十分でございませんので、あるいは理解が間違っておったら御指摘をいただきたいと思うわけでありますけれども、この超電導技術というのは日本が国際的にも非常に高い水準に達しておる、そういうように聞いているわけでございます。  そういうことで、今の文部省予算にいたしましても科学技術庁予算にいたしましても、あるいは通産省予算にいたしましても、超電導だけじゃございませんけれども、いろいろな基礎研究というものに対してはもっともっと日本は投資をしていかなきゃならないというように考えますけれども、特に超電導について、現状とこれからの展望についてはどのようになっているかということを科学技術庁長官、お聞かせいただきたい。
  365. 近江巳記夫

    ○近江国務大臣 お答え申し上げます。  まず現状でございますが、この超電導技術につきましては、先生御承知のように、超電導磁石を搭載いたしまして浮上推進する磁気浮上列車、あるいは電気抵抗がゼロという超電導の性質を利用いたしました電力貯蔵などの実現、またその実用化によりまして社会に多大なインパクトを与える、こういうことから、政府といたしましても極めて重要な研究開発分野と認識をいたしておる次第でございます。  昭和六十一年に従来よりはるかに高い温度、いわゆるマイナス百七十度で超電導現象を発現する物質が発見されて以来、特に我が国を含めまして先進各国とも国家プロジェクトといたしまして超電導研究開発に全力を挙げておるような次第でございます。  我が国におきましては、科学技術会議政策委員会の報告、昭和六十二年の十一月でございますが、これを踏まえまして、科学技術庁といたしましては新超電導体に関する基礎的、基盤的な研究を超電導材料研究マルチコア・プロジェクトといたしまして推進いたしております。また、文部省におきましても研究しておりますし、通産省におきましても意欲的な取り組みをされておりますし、運輸省におきましても輸送分野にかかわる研究をしていただいておるわけでございます。  その結果、世界でも最高レベルの強い磁場を発生する磁石を開発いたしましたほか、電線に加工しやすい新しい材料の発見あるいは電子顕微鏡を用いました超電導材料の結晶構造の解明等世界をリードする研究成果を上げておるわけでございます。そういう中で、今後とも大学、産業界あるいは外国の研究機関とも協力をいたしまして、基礎から応用に至る幅広い研究開発を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  366. 後藤茂

    ○後藤委員 この超電導、今科学技術庁長官のお話を聞いておりましても、高圧線送電で送電ロスが七%ぐらい出るわけで、大変もったいない話でありますけれども、これがゼロになっていくとか、あるいはコイルに電力を送って、そしてこれが貯蔵できる。電気はもう発生即消費、ゼロになるわけですから、ためておくことができない、これができるということになると革命的な研究なんですよね。  もう既に医療関係においてはこうしたものも使われているわけでありますけれども、私が提起をするのは、学者からいろいろな話を聞いてみましたけれども、私は国際的な共同研究のテーマにしていっていいんではないだろうかということを考えるわけであります。  なぜそう申し上げますかというと、もう既にそれぞれの国境を越えてやっていく、あるいは文部省とかあるいは科学技術庁とか通産省とか郵政省とか、そういうものを垣根を越えていくような形で、基礎研究を大学ではどういうように研究投資配分をしていくか、そしてまた、企業の研究所なりはその応用研究をどういうようにしていくかというようなことがもう少し共通してなされていくべきではないか。  つまり、国際的な共同研究を日本は率先して世界にメッセージを送る必要があるだろうということを考えるわけです。各大学でそれぞれが二、三人のスタッフ、院生とそれから教授、助教授ぐらいがやっているということ。しかもそこに来るのは、文部大臣、せいぜい一教室に二百万円ぐらいしか渡ってこないというようなことでは、やはり基礎研究というものはただ乗りしている、応用研究は得意だけれども、基礎研究には投資をしないということになるわけでございます。  きょうは時間がございませんので、その研究費のあり方を私はお聞きもしたいと思いますけれども、そのことを申し上げたいと思っておりました。
  367. 近江巳記夫

    ○近江国務大臣 時間が大分ないようでございますので。  後藤先生は非常にこの超電導の問題等も研究をされておりまして、非常に深い、いろいろ私どもも御指導をいただいておるわけでございます。  御承知のように、この超電導の問題につきましては、国際協力も我が国といたしましては非常にこれは力を入れておるわけでございまして、時間がございましたらこれは本当に全部御報告したいわけでございますが、数十の国際協力は、今国立の研究所あるいは大学等々でやっておるということを御報告したいと思います。  特に、先生がおっしゃっております、今世界のいろいろな経済状態、いろいろなことを考えましても、確かに一つの過渡期といいますか、行き詰まりがあることはわかるわけですね。そういう中で非常に今期待されておりますことは、各国とも、特に先進国は、やはり今こそ科学技術の発展なくして二十一世紀、夢もなければ創造性にあふれた社会の出現もない、とにかく科学技術の振興に力を入れようというのは共通しておるわけです。  我が国といたしましても、これは閣議で、先生御承知のように、平成四年四月二十四日に、とにかく研究費を倍増しよう、いろいろな社会経済の状況はあってもやりましようということを閣議決定していただいておるわけでございます。御承知のように政府の投資は、昨年度の予算も二兆三千億ですね。我が国全体では十二兆八千億、民間が十兆五千億。八一・九%は民間であります。政府は一八%です。GNPの〇・四五ぐらいですね。先進国は少なくともGNPの一%は来ているわけです。  そういう点から、この閣議決定の倍増をしようということ、これはぜひ本当に総理を先頭としまして、各省それぞれ研究機関を持っていらっしゃるわけでございますから、さらにこの基礎研究を重視いたしまして、今こそこの研究開発、先行投資、これが本当に二十一世紀を私は解くかぎだと思うのです。そういう点では先生と私は全く同感でございますので、科学技術庁といたしましても、その科学技術の取りまとめ官庁といたしまして、各省の皆さんの御協力をいただきまして、全力を挙げて超電導を初め新技術の開発、基礎研究に向かって頑張っていきたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。
  368. 後藤茂

    ○後藤委員 総理とそれから外務大臣にちょっとお聞きしたいんです。  今科学技術庁長官が大変熱を込めて話しているんですけれども、もう一つまことに貧弱なものが、総理、国際機関が日本には何がありますか。  私の承知しているところでは国連大学が渋谷にあると思うのですが、これはキャンパスを持っているわけじゃなくて、事務所ですよね、金は相当出しているわけですが。あと国際的な機関、例えばハーグの国際裁判所ということは別といたしまして、いろいろな国連の機関あるいは国際的な機関が世界各国にあるわけです。それはそれなりに一応その国が相当な援助をしているわけです。日本は国際機関というものはどうですか。国連大学以外にはないんじゃないかな。その国連大学も来年か何かにまた研修センターをつくる、それは九名程度を予定している、こういうことを言っているようですけれども、もしあればまた御報告をいただきたいと思うんです。  先ほど千三百億ドルの黒字を、ため込んでと言ったら言葉が正確じゃございませんけれども、貿易構造改善をしていくということも大変必要ですけれども、私はこうしたものに国際貢献という、科学技術あるいは共同研究の国際投資をしていくべきだろうと思う。各研究所なりには外国から技術者、研究者が何人かそれぞれ来ている。これは共同研究という名に値しないと思うんです。  そういう意味で、例えば超電導の問題にいたしましても、あるいはプルトニウムの国際管理のための機関等を設置する。これは江田科学技術庁長官が昨年提起をしているようでありますけれども、国際的なそういう研究機関なりあるいは国際的な機構を大幅な予算措置を講じてやっていって、日本はこういう国際貢献をしているんだというものが必要だろうと思いますので、外務大臣、まずお伺いしたいと思います。
  369. 柿澤弘治

    柿澤国務大臣 まず、我が国に存在する国際機関ということで国連大学を挙げられましたが、そのほかに横浜に国際熱帯木材機構という国際機関がございます。一後藤委員「何人ぐらいいる」と呼ぶ)人数は何人ぐらいいますか、余り大きな機構ではありませんけれども、そのくらいでございまして、今、後藤先生御指摘のように、これから我が国が国際社会の中でより大きな役割を果たしていくという点では、そうした分野でも努力をしていかなければいけないと思いますし、今御指摘の科学技術の分野での国際協力というのも大きな課題であろうかと思います。
  370. 後藤茂

    ○後藤委員 私がそれを申しますのは、今言った千三百億ドルの黒字解消策の一つとして、これまでは世界各国の基礎研究を学んで応用していって今日の日本をつくり上げてきているわけです。我が国の明治時代から今日までたくさんの先進的な学者や研究者がドイツやイギリスやフランスに行ったわけでしょう。恐らくこれは、もちろん政府も奨学金を渡したり、研究費を渡して外国に二年、三年行かしたと思いますけれども、その受け入れた国が大変な資金的な援助をしているだろう。そして今日の我が国ができ上がってきているわけですから、今度は各国からの研究者、技術者というものを受け入れていくということをやっていく責任があるだろうと思うんですね。  この間、私は聞いたんですが、もし状況を知っておればお答えいただきたいんですけれども、アメリカでは旧ソビエトの科学者を助ける会というんですか、言葉は正確じゃございませんけれども、そういう財団をつくったというんですね。こういうようなことが我が国ではないでしょう。  私はそのことを強く申し上げるためにきょうは国連大学を例示的に、恐らく今横浜にあるのは、それはそういう共同研究をやるような大きな施設であるとか、あるいは国際的なそういう機構の、多くのスタッフを置いてやるような施設じゃないんじゃないかと思うわけですが……(発言する者あり)十人という声がありますけれども、これじゃだれも知らないだろうと思います。  ぜひこれからひとつ国連に行って、あるいは外務大臣はあちこち国際的に歩いておるわけですから、そんな話があるだろうと思うので、これから国際的なあるいは国連の機関をつくりたい、日本もひとつ協力してくれないかということ、あるいは何かないかといえば、そういうリストはあるだろうと思いますね。ぜひひとつそういう方向で取り上げていただきたいということを強く要望しておきます。  うちの方の県知事じゃございませんけれども、うちの兵庫県知事等は、閉鎖海域の国際的な研究施設を神戸に持ってきたいななんて言って、そんなものはたくさんないだろう。瀬戸内海も閉鎖海域だそうです。世界各国に閉鎖海域というのはあるらしいんです。その研究施設といいますか、あるいはそういう機構を神戸に誘致したいというようなことも言っているわけですけれども、これからはそういうところに目を大きく見開いていただきたいということを強く要望を申し上げたいわけであります。  そこで、だんだん時間がなくなりまして、文部省の方の文化庁の長官ですか、次長ですか、おいでになっておりましたらちょっとお聞きいたしたいんですけれども、きのうの日経の夕刊に「あすへの話題」というので、国民金融公庫総裁の尾崎さんのエッセイが載っておりました。  南フランスのニースの隣にあるアンティーブというところのピカソ美術館を訪ねていった。そうしますと、「ここでは通常の説明に点字の説明が添えられているのが胸をつかれるような思いであった。」ということで、「目が不自由であっても美術館に来る人がいると考える心の広さは、あの碧(あお)い海が生み出すものなのだろうか。」こういうことをエッセイで書いておられるわけです。  我々の常識からいきますと、目の見えない人が、それは彫刻なんかをさわるということはありましょうけれども、美術館に絵を見に行くなんてことは普通は考えない。ところが、点字の説明書があったというわけですね。尾崎国民金融公庫総裁のこの小さなエッセイというのは、私は実は胸を打たれました。  この間、国立西洋美術館でバーンズ・コレクションがあったわけです。一月の末から四月の三日までですか、約二カ月余り行われた。私は一回行ったんです。そうしたら、一時間半待てと言うので、帰ってきた。ちょうど予算委員会で、日曜日に帰ってもしようがないというので、土曜日に行った。それで帰ったんです。  どうしても見たいと思って、そしてまた、次の次の週の土曜日に行きました。今度は二時間待て。待つわけです。で、私は二時間待ちました。本当は文化庁の方へ言って、実はちょっと見せてくれと言おうと思ったんだけれども、まあしかし、みんなと並ぶということもいいだろう。ずっと長蛇の列です。もう大変な、国立博物館の前まで蛇行している。  二時間待っている間に、いろんなことを考えている。外国の博物館とか美術館等へ行きますと、入場料を取らないところもたくさんございます。箱だけ置いてある、あるいは日曜日はただというところもございます。そういうように、文化の薫りの高いところというのはこういうことに対して大変熱心にやる。  私がなぜバーンズ・コレクションをどうしても見たいかというと、またいろいろあるんですけれども、この経過は申し上げませんが、特にセザンヌの「カルタ遊びをする人々」というのは、オルセーの美術館と、それからメトロポリタン美術館にあるわけですけれども、同じものじゃない、構図が違うんですが、今度来ていたわけです。これだけは見たいと思って行った。八十点ばかり印象派、後期印象派の作品がいっぱいあります。  私が申し上げたいのは、実はこれが長蛇の列。最後の一週間、十日ぐらいというのは、もう三時間、四時間、五時間と並んでいたんですね。そのときに、国立美術館というのは閉館時間を延ばしていいんではないか、そのぐらいのことはあっていいじゃないか。今点字の解説があったということを書いておられる方がありましたけれども、もうパリで、それからワシントンでこれをやったときに、見る人が大変な列をなした美術館。  そして、バーンズというのは医者で、そして薬でもうけまして、それを全部当時まだ評価が定まっていない印象派、後期印象派の作品を購入している。  そして、これは絶対このギャラリーから外すことまかりならぬと、こういう遺言を残しているもんですから、皆さんが仮にアメリカへ行ったとしても見られないんですよ。週に何回かで、一日に何十人かしか見られないというところが日本に来たわけです。改修のための資金ということもあって来たわけです。  そういうときはもう二度と来ることがないわけですから、しかも非常に評価が高いということですから、やっぱり国立の美術館というものはそのぐらいなことの配慮があっていいじゃないか。私は、あの二時間並んでいる中でそのことを強く感じたわけでございます。  文部大臣、いかがでございましょう。最後のときには一時間ばかり延期をしたようでありますけれども、どのようにお考えでございましょうか。
  371. 赤松良子

    ○赤松国務大臣 御指摘は本当にごもっともだと思います。そういう、ちょっとしたことのようでございますが、もっと早くから気をつけてやるべきであったと思います。これからそういうような非常に長蛇の列をなすような展覧会がございました場合は、ただいまの先生の御指摘をよく思い出して対処いたしたいと思います。
  372. 後藤茂

    ○後藤委員 それと関連をいたしまして、文化国家をつくり上げていくんだということは、いろいろな政府の方針なりそういうものが出ているわけですけれども、案外我々は文化について十分の関心がないように思えてならない一つの例示的なもので申し上げました。  日本のオペラにいたしましても、音楽にいたしましても、今度第二国立劇場ができるようでありますけれども、非常に高いんですね。もっともっと私は文化に金をつぎ込んでいっていいと思うんです。外国に行かれた方々、特に在外公館で勤務された方々がみんなオペラ愛好家になったりあるいはクラシック音楽の愛好家になったり、外務省の大使なんかの中ではオペラの脚本まで書くような人が出てきたりということがあるのは、もう日常たばこ代ぐらいで、たばこ代よりもちょっと高いぐらいでしょうか、それが見に行けるというような、聞きに行けるという状況ができているわけです。それには長い蓄積があるでしょうけれども。  どうも国際会議場はあちこちに立派なものができておりますけれども、その中身をどうつくり上げていくかということ。一つは、先ほどの研究者が共同研究できるようなそういう施設、あるいはまたそれを見に行ったり聞きに行ったりする人々が、安い料金といいますか、それで行けるようなそういう条件というものを、環境というものをつくることに、総理、もっと積極的にひとつ手を加えていただきたいと思うんです。  私のところの自慢をするわけじゃないですけれども、今度ユネスコの世界文化遺産の中に国宝姫路城とそれから法隆寺が指定を登録されました。あれに登録をされたということで、観光客が、特に東南アジアの方々がたくさん来るようになったということ。これは、日本の誇る木造建築であるとか芸術的に美しい文化遺産であるということもそうですけれども、これのメンテナンス、管理、しかもこれを保存していくということは大変なことでありますから、単に指定をされた、行ってみた、あっちこっちにほころびがあった、虫食いがあったあるいは亀裂が走っていたということのないようなこともやっぱり考えていかなきゃならないと思います。  それとあわせて、文化財の国際交流について私一つ申し上げたいんですけれども、総理はこの問バチカンに行かれましたですね。バチカンでシスティナ礼拝堂をごらんになられました。あそこのミケランジェロの天井壁画というのは、これもまたすばらしい作品。これが大変くすんでおったわけですが、行かれたときには恐らくもうすべて修復が終わっていたんじゃないか。私は何回か行きましたけれども、まだ完全に終わったところは見ておりませんが、あの修復はメセナで、たしか日本テレビが全部資金援助をしたんだと思います。  しかし、その中で、実はあの修復に、いっぱいほこりがつきあるいはごみがついているわけですけれども、それをどのようにぬぐってあのミケランジェロがかいたときと同じような状況をつくるかということで苦労する中で、日本の和紙が使われているんですね。そして、東京国立文化財研究所修復技術部の増田室長さんが参加をして、製紙文化財修復研究コースでもいろいろな講師をされておる。和紙に関する文化財修復技術について、イタリアを含むヨーロッパ各国からの参加者に研修を行って大変感銘を与えているわけです。  かいた人、つくった人はもちろん名を残しておりますけれども、修復をする職人というよりも芸術家、この人々は名前が出ていかないわけです。そして、長い年月それに没頭してやるわけでしょう。こういう人々はもっと報われていいと思いますし、それから、世界にも日本の芸術、文化、工芸品等が出ているわけですけれども、これが放置されて非常に傷んでいるということも聞かされるわけです。こうした修復技術を高めていく、そして国際的な文化財保護のために貢献をしていくということが必要ではないだろうかというように考えますが、総理、いかがでございましょう。
  373. 羽田孜

    羽田内閣総理大臣 今のお話にもございましたバチカンのシスティナ礼拝堂の壁画、ちょうど修復が終わってわずかのときに私は入れていただきましたけれども、これはもう本当に見事なものでございまして、例えばイタリアの大統領なんかもこれに対して物すごく感謝しておりましたし、ともかく世界じゅうの人があそこに集まって、これは日本のテレビ会社がやったんだよというだけでも、日本に対して、文化の理解度が高いということで何か大変評価されているそうでございまして、今カンボジアのアンコールですとかインドネシアのボロブドゥールあるいは中国のシルクロード関係ですとか、またベトナムのフエなんかについても日本あたりがやってほしいなんという話も、これはフランスあたりからもあるということでございまして、こういった問題、そしてもちろんこれは国内のものもそうでありますけれども、こういったものに対してやっぱり文化国家として日本が役割を果たすことは非常に大きなものがあるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  374. 後藤茂

    ○後藤委員 日本政府のおかげでこれができましたと言われなかったのは残念ですけれども、あっちこっちで、今度アンコール・ワットなんかにも協力をするようでありますけれども、日本の国内もそうでありますし、それから外国に対してそういう貢献をしていくということが、そこにこれはだれがやったということの標柱が立たなくても、やはりそれはそれぞれの人々の口を通じて日本に文化的な尊敬の目を向けられるわけでありますから、ぜひこれからはそういうことに対して取り組んでいただきたいと思うんです。  もう一つ、今修復技術者の問題を取り上げましたけれども、伝統芸能の保存あるいは継承には、人間国宝等がついこの問指定をされました。私は大変うれしかったのは、佐賀錦の古賀フミさんが、私はあのだんなさん、だんなさんというのは失礼ですけれども、御主人が江戸学の権威の西山松之助さんでございまして、この間三越で個展をやっていられるのを行ってきて、あの奥さんにもお会いしたんですけれども。  それから、私は実はある本を書いたんですけれども、その本を書いた中に出てくる二代目中村鴈治郎、これが扇雀のときに夢二なんかと大変交流があった。そのまた夢二と交流があった詩人のことを私は書いたわけであります。この間、中村鴈治郎さんにお会いいたしましたら、大変喜んでおられて、本を差し上げたんですけれども、今度の人間国宝に二人の知っている方がなられたということをもう大変感動をしているわけでありますけれども、私が申し上げたいのは、日本の伝統芸能というものは、これまた後継者というものは非常に難しいんですね。  例えば社会党の輝ける委員長でありました鈴木茂三郎先生は、文楽の大変関心の高い、造詣の深い先生であったわけで、私はそのそばにいてよく文楽に連れていってもらったり話を聞いたりしたわけであります。あの人形が所作をしている、人形遣いと浄瑠璃とそして三味線。それであの人形を見ているだけで涙が出るなんというようなことは、そういう俳優の演技が感動を与えていくということはありますけれども、人形の芝居を見ておって感動するということは余りないんですけれども、日本の文楽の文化的な水準の高さというものは、私は大変なものだというように感じているわけであります。  しかし、国立劇場ではこの後継者のためにいろいろ御苦労をなさっているようでありますけれども、やっぱり才能もなければ、そう簡単には、三味線を弾くとかあるいは浄瑠璃を語るとか人形を使うとかということはできないでしょうけれども、こういう人々が希望を持って、そこでひとつこの日本の伝統文化を守り育てていきたいという人々がわんさと来るような環境を、これは文化庁の方、いらっしゃいますでしょうか、ぜひそういう環境をつくるために努力をしていただきたいなということを考えるんですけれども、いかがでしょうか。
  375. 林田英樹

    ○林田政府委員 先生御指摘のように、文楽などを初めといたします我が国の伝統芸能の保存につきましては、相当努力をしなければならないと思っておるわけでございます。先生がおっしゃいましたように、この関係で重要無形文化財として指定いたしまして、いわゆる人間国宝の認定を行っておりますほか、特殊法人の日本芸術文化振興会におきまして、国立劇場を、それから大阪には文楽劇場というような形で設置をいたしまして、その保存継承を図っているところでございます。  特に、文楽につきましては、その後継者確保につきまして、関係団体、文楽協会が行います若手伝承者の養成、研修などの事業に対しまして国庫補助を行いますとともに、日本芸術文化振興会におきまして、国庫補助を受けて研修を実施しまして、伝承者の養成を行っておるところでございます。  現実に、現在文楽の関係で、例えばこのような研修を修了いたしました者が全体で四十八名でございます。それで、現在、そのうち三十五名が実際に働いておるというふうなことでございます。これらの修了者が実際、文楽の場合には、太夫、三味線、人形というふうなことに分かれまして、それぞれの分野で違いますけれども、現在働いております方の約四割はこのような研修によりまして養成された方々であるというような形で努力をしておるというところでございます。
  376. 後藤茂

    ○後藤委員 大蔵大臣、欧米主要国の文化関係予算を見ますと、さすがにやはりフランスというのは、予算額においては、日本円に直しまして二千九百六十五億円、これは一九九二年ですけれども、日本は五百三十九億円。そして、国の予算全体に占める文化関係予算の比率を見ますと、フランスでは〇・九八%、日本は〇・〇七%というようなことですし、文部省予算と比較いたしましても、平成六年の今度の予算では五百九十六億円で、そして文部省予算全体の一・〇七、昨年は〇・九九、こういうような比率。  何も比率の問題を申し上げるわけじゃないですけれども、やはり公共投資十カ年計画とか、あるいはそれぞれの各省庁にわたりましていろいろな長期計画も出されているわけでありますけれども、文化にはどうしても日が当たっていない面があるんじゃないかと思いますから、これはぜひこれから念頭に置いてやっていただきたい。恐らく陳情者も余りないんだろうと思うんですが、ちょっと私、興味を持ったものですから、いろいろ調べておりまして、文化関係予算について申し上げたわけでございますが、大臣、いかがでしょうか。
  377. 藤井裕久

    ○藤井国務大臣 先ほどから後藤委員の大変見識の高いお話を伺っておりました。私も、世界の歴史を見ると、繁栄した時代、繁栄した国家が何を残すかというと、その独特の文化を残す、これが世界の歴史だと思います。私は、日本においても、ここまで繁栄した日本のこのエネルギーというものを後世に文化として残していくということは大変大事なことだと思いながら伺っておりました。  予算のことについても、今小さなメモを持ってきましたけれども、ことし一〇%伸ばしましたと書いてありましたが、まあ、そういう話ではなく、基本的なそういう姿勢で臨みたいと思います。
  378. 後藤茂

    ○後藤委員 時間が参りまして、私は、通告はしていなかったんですけれども、何か環境庁長官に一つ質問はないかというようなことで、せっかくでございますから、やはり環境庁長官にも一言だけでお答えいただければと思います。  この間気象庁が、CO2増が続けば、五十年後には温度が一・二度上昇するということが出てまいりました。アジェンダ21行動計画等もあるわけでありますけれども、私は、この問題というのは、対応していくことに対して環境庁としては真剣に取り組んでいかなきゃならぬ。  きょうは時間がございませんので、原子力の長期計画等の見直し等についても質問をしなくて申しわけないと思いますけれども、こうしたクリーンなエネルギーをどう確保していくのか、あるいはCO2、どのように対応していくのか、一言でいいですから、もう時間が来ましたので、お答えをいただきたいと思います。
  379. 浜四津敏子

    ○浜四津国務大臣 ただいまお話がありましたように、先日気象庁から気候モデル、気温上昇の予測が発表されました。また、IPCCでも第一次で、世界の気温が今後上昇する、こんな予測が出されておりましたけれども、この地球温暖化の原因はさまざま考えられますけれども、そのうちの主要な一つが化石燃料の消費による温室効果ガスの増大である、こういうふうに言われております。  そんなことで、このCO2を何とか抑えていく方法を一生懸命考えなくてはいけない、こう考えておりまして、平成二年の地球温暖化防止行動計画におきましても、目標を定めまして、何とかその目標をクリアできるような具体的な施策ということで、何とかこのCO2の排出量を抑えていきたい、こういうふうに考えております。  また、ことしの三月に気候変動枠組み条約が発効いたしまして、この条約に基づきまして、先進国の一つとして日本はその責務を果たしていく、こういう約束をしておりますので、具体的な施策、一生懸命取り組ませていただきたいと考えております。
  380. 後藤茂

    ○後藤委員 終わります。
  381. 中西績介

    ○中西(績)委員長代理 これにて後藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会