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1994-06-01 第129回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成六年六月一日(水曜日)     午後六時四十二分開議 出席委員   委員長 白川 勝彦君    理事 逢沢 一郎君 理事 甘利  明君    理事 尾身 幸次君 理事 額賀福志郎君    理事 伊藤 達也君 理事 古賀 正浩君    理事 大畠 章宏君 理事 河合 正智君       浦野 烋興君    小川  元君       小此木八郎君    熊代 昭彦君       谷川 和穗君    中島洋次郎君       丹羽 雄哉君    野田 聖子君       青木 宏之君    武山百合子君       土田 龍司君    豊田潤多郎君       西川太一郎君    西村 眞悟君       山田 正彦君    吉田  治君       関山 信之君    早川  勝君       松本  龍君    和田 貞夫君       赤羽 一嘉君    赤松 正雄君       佐藤 茂樹君    井出 正一君       枝野 幸男君    高見 裕一君       吉井 英勝君  出席国務大臣         通商産業大臣  畑 英次郎君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     川田 洋輝君         資源エネルギー         庁石油部長   鈴木 孝男君         資源エネルギー         庁公益事業部長 白川  進君         中小企業庁長官 長田 英機君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      山下 弘文君     ————————————— 委員の異動 六月一日  辞任         補欠選任   西川太一郎君     青木 宏之君   井出 正一君     高見 裕一君 同日  辞任         補欠選任   青木 宏之君     西川太一郎君   高見 裕一君     井出 正一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油公団法の一部を改正する法律案内閣提出  第一八号)  ガス事業法の一部を改正する法律案内閣提出  第四〇号)      ————◇—————
  2. 白川勝彦

    白川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油公団法の一部を改正する法律案及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
  3. 逢沢一郎

    逢沢委員 ガス事業法また石油公団法法律案について質問をさせていただくわけでありますが、その前に少しばかりお許しをいただきまして、ガソリン石油の問題について少しく議論をさせていただきたいというふうに思うのです。  大臣も御承知のことと思いますけれども、先般来、愛知県は名古屋でございますが、カナレ米穀さんとおっしゃるようでありますけれども、お米の小売業をなさっておられる方がガソリン販売も始められた。通常よりもかなり安い値段でレギュラーもハイオクも販売されたということで、実態以上に大きく、センセーショナルに報道され過ぎたのかもしれませんが、連日にわたりましてテレビ新聞報道されました。自動車の行列もできたというふうなことでありますが、実はこの問題はまだ現在進行形というふうに承っております。  いろいろとすったもんだの議論があったようでございますが、名古屋通産局も相当気を入れて、神経をとがらせて対応なさったということでございます。もちろん、通産局立場からすれば、法律にのっとってない以上はやはり法律を守ってもらわなきゃいかぬ、こういうことは当然だろうかと思いますが、同時に、いわゆるユーザー消費者立場からさまざまな要望なり声も率直なところ出ているというところも我々政治家としては重く受けとめておく必要があるな、そんなふうに思うわけであります。  いろいろな経緯新聞等にもかなり克明に報道がされているわけでありますけれども、ざっと順を追ってそれを振り返ってみたいわけであります。  例えば、安全性に問題のないガソリン安定供給されるという判断ができなければ、そういうガソリンスタンドを開設するという、相談済み相談ができている、そういう書類が出せない。あるいはカナレ米穀さんとしては、一度二度登録申請をしたけれども、これが受理をされない。弁護士の方が内容証明書つきで問い合わせをする、こういう経緯もあったようであります。そうこうしているうちに、関西の方面というふうにお伺いいたしておりますけれども、安売りの業者のある団体が、カナレ米穀さんを揮発油販売業法の違反で告発をする。なぜならば、そのことが一つのきっかけとなってより一層の規制強化につながるようでは我々の立場として困るんだ、こういう議論もあったと伺っております。  改めて安定供給あるいは品質保証、このことの大切さを考えると同時に、しかし、これもやはり時代、時流に合ったものでなくてはなりませんし、その中身ということは十二分にユーザー消費者理解と納得がいただける、そういうものでなくてはならぬというふうに思うのです。  テレビを見ていましたら、マイクを向けられた方が、安定供給といったって、まさかオイルショックのときじゃあるまいし、仮にこのカナレさんの供給がとまったとしても、近所にスタンドは幾らでもあるんだから別に地域として困るわけではない、こんなふうな声もあったようです。あるいは、品質についても、それが粗悪品、悪いとなれば、それはもうつぶれるだけだということだから、広い意味ではこれも消費者の選択に任せたらといったような声も実際にテレビマイクからは流れていた、こんなふうなことであります。  今私が承っておるところによりますと、供給経路を明らかにした申請登録を行っていただこう、そしてカナレさんの方もそうする用意があるということでありますから、最終的にはどういう決着になるのか、そこのところを注目をしたいと思うのです。  実は、価格破壊と言うのでしょうか、今までの流通あるいは今までの小売あり方と形態、業態が随分変わってきている。これは何もガソリンだけではない。例えば、ビールを中心とするお酒の世界かなりのことになっているようでありますし、洋服なんかもそうですね。洋服の今までの我々の既成概念からいうとびっくりするような値段のものが店頭に並んでおるということは、大臣も御存じのことと思います。  たまたまきょうある新聞を見ておりましたら、大手の電機メーカー日立さんが、いわゆる日立というブランドではなくて、第二のブランド名で三割から五割ぐらい安い価格商品を出していく、そういう大きな計画をつくっている、たしか朝田新聞だったと思いますが、一面のトップにそういうことが大きく報道されました。時計のセイコーも、セイコーじゃなくて、アルバという名前でそういったような商売をなさっている。やはりそういった安い価格商品ブランドではないけれども品質はある程度のものが担保されているといったようなものに消費者は非常に敏感である。今回のカナレさんのこの動きを見ていても本当にそうだなとつくづく、しみじみ私はそう感じたわけであります。  もちろん、最終的にはどういうふうな落ちつきになるのか、事は現在進行中ではありますけれども大臣、今回のカナレ米穀さんの一連の報道、あるいはそれに対する需要家あるいは全国方々の声をお聞きになって、どんな感想、所感をお持ちになられましたか。事前申し出をしていなかったわけでありますけれども、どのように思われたか、率直なところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  4. 畑英次郎

    畑国務大臣 実はあの報道を拝見しましたときに、いささか旧聞に属しますけれども、せんだっての米騒動のときに電器屋さんが米を扱ったあのケースに非常に似ているなということを自分でも感じながら、そしてまた届け出がいわゆる複雑怪奇、こんなに厚い膨大な書類があるというような意味合いテレビ報道等も一部あったようでございましたので、私もその申請書類をチェックさせていただいたわけでございますが、わずか二枚で、今逢沢先生指摘のとおり、安定供給責任が負えるかどうかという判があるないということをめぐっての、また先方さんから言わせると、そこを明らかにしたのでは逆に言うと信頼関係を欠くとか、いろいろなことがあるなというように考えますが、先ほどのビールのお話等々、いろいろ最近の世相を、あるいは世間の価値観多様化を反映した一つの現象だなというようにも考えるわけでございます。  要は、これからだんだん自己責任という中における流通という分野の要素が高まることは避けられないなということを考える反面、やはり品物によっての品質に対する責任体制の問題、あるいはまた安定供給の問題等々、今回の問題は非常に考えさせられる点の多い一つの姿である、私はかように考えておるわけでございますが、広くこの問題は国民各位の、各界の方々の御意見等も寄せられておるようでございますので、さような意味合いでは、事柄をいいかげんに、一つの問題が起きたと簡単に片づけずに、いささか掘り下げて問題を受けとめさせていただきたいな、こう考えております。
  5. 逢沢一郎

    逢沢委員 日本の物価は総じて諸外国に比べて高いということはよく国民の皆さんも知っておられるわけでありますが、とりわけガソリンは、特にアメリカのそれに比べると二倍あるいは三倍近い値段になっている。そういうことは非常に認識として広まっているなというふうに思うのですね。そこで、このことを突き詰めていけば、やはりガソリンにかかわっている、あるいは広く石油製品にかかわっている税金の問題と切り離して考えることはできぬぞ、改めてそこのところを大臣にも、恐縮な申し上げ方になるかもしれませんけれども、きちんと認識をいただくということがやはり必要だな、そんなふうに思うのです。  改めて私が申し上げるまでもないわけでありますが、例えば平成六年度の予算におきますと、石油関係諸税の総トータルは四兆六千二百五十億円にも上っている。大体消費税収の半分ぐらいを、石油関連諸税もいろいろなものがございますけれども、トータルすれば消費税の大体半分にも相当する額を石油という一物資、一つから上げている。ということは、やはり税の公平、公正の観点から考えてみてどうなのかなということはもう一回考えておかなければならぬな、そんなふうに思います。  例えば、ガソリンで言いますと、昭和四十八年にはリッター当たりガソリン税が二十八円七十銭だったのが、現在では五十三円八十銭ですから、二十年の間に倍になっている、そういうこともございます。ガソリン値段の大体半分は税金ですから、ビールたばこよりも多いんでしょうか少ないんでしょうか、非常に税金が高い。あるいは軽油取引税についても、景気が悪い中、去年の十二月からさらに七円八十銭引き上げられる等々のことでもあります。  また、お互いの記憶に新しいところでは、例の消費税が導入をされたとき、酒やたばこでさえ調整併課ということでありましたけれどもガソリンについては単純に併課をされる等々のことが重なってこういった大きな税金になっているわけでありますが、この現実を大臣がどう認識なさっておられるのか。まあこんなものだろうというふうに考えておられるのか、あるいはこれは全体の公平、公正の観点から考えてみて非常に過多になっている、あるいは問題だ、どういうふうに大臣自身認識をなさっておられるのか、率直なところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 畑英次郎

    畑国務大臣 これは御案内のとおり、かつて私自身もこの税制問題の論議等々の中にございまして、商工関係に特に御理解と従来から積極的なお取り組みをなさっておられるお立場方々が強く拒絶反応を示す中で論議が行われたということも私自身承知をいたしておるわけでございまして、さような意味合いでは決して少ない数字ではない、先生今お話しのとおりでございます。  そういう中にございまして、我が国そのもの財政事情等々あるいは道路現況等々を踏まえた中で、これはやはりいささか将来に対する問題ありという意味合いの中で、これからの検討課題一つの柱である、こういうような受けとめ方はさせていただいておるわけでございますが、このエネルギー資源等々、事のありようというような意味合いのもの、もろもろの要素が加味されて結論が出るわけでございますが、私は、決して少ない数字ではないという意味合いでの認識の中で今後の対応を進めてまいりたい、こう思っております。
  7. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございます。  私が衆議院に当選をさせていただいてから、いわゆる道路特定財源の問題で二度大議論がありました。五年に一度道路整備五カ年計画改定をされるわけですが、その都度大騒ぎになる。あるいはちょっと皮肉っぽい言い方をすると、そのときだけ大騒ぎをしている、そういう印象が非常に強いわけですね。  もちろん、道路財源を確保するというのは最も重要な政治課題一つである、責任を持って政府としても対応しなければいけない、あるいは我々政治家もその財源をきちんと確保しなければならぬ、こういうことであります。もちろん、道路財源を全体として確保するということは絶対に大事なことでありますが、しかし、その四割以上を石油関連諸税に頼るということは、私の私見からいいますと非常にこれは偏り過ぎている、そういう思いを強くいたしているわけでありますが、ぜひそこのところを大臣にも重く受けとめていただきまして努力をしていただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいというふうに思います。  さて、ガス事業法の一部を改正する法律案中身について質問をさせていただきたいというふうに思うわけでありますが、今回の法律改正について、改めてガスについていろいろと私なりに勉強をさせていただいたわけでありますが、これからの国民生活日本産業を考えるときに、ガスというのは本当に大事なものなんだな、ますますその役割の大きさあるいは比重というものが大きくなるんだなと再認識をさせていただきました。  そういう状況の中にあって、大口需要向けガス供給についての規制緩和がここで図られる、料金規制あるいは参入規制緩和が図られるということはまことに適当なことであるというふうに全体としては評価をするわけでありますが、しかし、その運用方においては多くのところで一つ一つ細かく詰めておく必要があるなどいう問題意識を同時に持つわけでありまして、そういう観点から幾つか、多少細かいところに立ち入るかとも思うわけでありますけれども質問をさせていただきたいというふうに思います。  この法律案成立をいたしますと、早速いわゆる大口需要家と呼ばれている方々がその供給対象になるわけでありますけれども、では全国大口需要家と呼ばれる方々対象が一体全体どのくらいあるものなのか、あるいはその中身というのは地域的に、東京とか大阪とか中部圏とか、いわゆる大都市圏ですね、非常にそこに偏っているものなのか、あるいはまんべんなく全国にそういった供給外区域にありながら都市ガス供給をこいねがっている、大きな契約をするぞという方がおられるのか、そこをどういうふうに把握をしておられますか、最初にお聞かせください。
  8. 白川進

    白川政府委員 この法律規定いたしますところの大口需要家の件数についてでございますが、まず、現に都市ガスを使っている年間二百万立米以上の大口需要家実態について申し上げたいと思いますが、平成三年度において日本全体で四百二十九件ございます。  これを地域別に申し上げますと、私どもの手元にある数字通産局管内ごとでございますけれども、それでお許しいただくとして、北海道管内で二件、東北管内で一件、関東百九十七件、中部五十件、近畿百七十一件、中国二件、九州六件というようになっておりまして、おおむね全国的な広がりにはなっておりますけれども、どうしても三大都市圏周辺の分布が高くなっている、こういうことかと存じます。  さらに、この法律施行後、この法律対象となり得る潜在的な可能性を持った需要家がどれぐらいいるかという点につきましては、統計資料制約等もございましてなかなか把握はしにくいわけでございますけれども、一応そういった今回の定義に該当する量以上の燃料需要家大口需要家という意味で、商鉱工業石油等消費統計調査などを用いまして大胆に推計いたしてみますと、大体全国で四千百件ぐらいございます。  さらに、このうち現に都市ガス事業者供給区域の中にあるものが三千件、それから供給区域の外にあると思われますものが千百件というような状態でございます。もちろんこれは、今申し上げましたように大口エネルギー需要家全体の数でございますので、こういったマーケットをめぐって、今後、都市ガス、重油、LPG等々各種の燃料供給事業者の間で競争が行われていくものと考えております。
  9. 逢沢一郎

    逢沢委員 細かい御報告、ありがとうございました。  そこで、大口需要家に対する供給小口需要家に対する供給、これは経理をきちんと分けていただくということが担保されなければならぬわけでありますが、私は企業会計はまことに素人でございますけれども、それが同一企業内において簡単なことなのか。あるいは、今御紹介いただきましたように、全国に潜在的な大口需要家供給区域外でも千百もあるということでありますから、どのくらいのペースでここに対して導管が敷設をされることになるのか、これはわかりませんけれども、相当な準備というものが必要になるということですね。東京ガス東京ガス経理やり方大阪大阪でやる、東邦ガス東邦ガスでやる、西部ガス西部ガスと、要するに仕分けしたということになると、これはいささか公平を欠くという問題も惹起をする危険性があるというふうに思われます。  また、御案内のように小口需要家向け料金というのは認可料金である、適切な利潤がそこでは担保されている。そこで上げられた利潤がいわゆる大口需要家向けガス供給の方に回されてしまうということがあってはならぬわけでありますけれども、この防止策については、このことができないということについては、何をもって防止策がきちんと担保されているということになるのか、一括御説明をいただきたいと思います。
  10. 白川進

    白川政府委員 区分経理について、それが本当に実施可能か、あるいは適切に実施することが可能かというお尋ねかと存じます。  私どもといたしましては、今後この区分経理の問題は、ガス事業法の第二十六条に会計の整理にかかわる規定がございまして、それに基づく通商産業省令小口需要部門大口需要部門にかかわりますコスト費用のきっちりした配分方式を策定したいと存じております。それで、その策定した方法に忠実に従って各ガス事業者がそれぞれコストを両部門に配分して、それと売り上げとを比べて、部門別の収支を正確に把握するということを基本的に考えているところでございます。  そして、その費用配分方法は、基本的には毎決算期実績費用料金算定の考え方にのっとりまして、今先生指摘規制料金部門たる小口需要部門と今回自由料金部門になります大口部門とに合理的に区分いたす所存でございますけれども、こういったやり方は、既に大口部門需要家先行国でございますアメリカとかフランス、イギリスでも同様に規制部門と非規制部門の間で区分経理という形で健全な費用負担を確保しているというふうに私ども承知いたしておりまして、こういった先例から見て、実行は可能であろうかと存じます。  ただ、いずれにいたしましても、正確かつ適切な区分経理をすることの重要性というのは、私どもの御議論いただいた審議会でも中心的な論点でございましたので、そのあり方については、今後具体的に、法施行までの間に、審議会のもとの専門的な場等で御検討いただきたいと存じております。  それから第二に、小口部門利潤大口部門に不当に投入されるおそれはないのか、その防止策ということでございましたが、これについても審議会で非常に各方面からの検討を行っていただきまして、以下の四つの方策が打ち出され、今回私どものこの法案の立案過程において十分反映させていただいたところでございます。  その第一は、今申し上げました区分経理大口部門小口部門との区分経理でございます。  第二は、こういった区分をした状態事業を実施いたしていく過程で、仮に大口需要部門赤字になったというような場合でも、その赤字を補てんするための小口需要部門料金改定は、仮に認可申請があっても、これを認めない、これが第二点でございます。  第三は、一般ガス事業者についてでございますけれども、これが大口需要供給する場合には、大口需要部門全体、個々の契約ではなくて、事業全体として私どもの方に事前事業計画届け出を出していただきますし、事後的にも報告徴収等により実績を的確に把握いたしまして、もし小口部門の利益が不当に侵害されているあるいはそのおそれがあるということでございましたら、勧告ないしは改善命令をかけるというようなことを法律上の規定でも準備いたしているところでございます。  四番目は、一般ガス事業者供給区域の外に導管を引いて大口供給をしていく場合でございますけれども過大投資等を行って資金回収ができないような場合には供給区域内の小口需要家に悪影響が出ますので、そういった点、回収確実性などをきちっとチェックした上で許可をするというようなことを考えている次第でございます。
  11. 逢沢一郎

    逢沢委員 昔、別な世界でありますけれども、お酒のメーカーウイスキー部門で随分稼いだ、今度はビールを頑張ろう、ウイスキーで稼いだものをビール部門に投入して大変な競争、戦争になった、そういうこともセンセーショナルに報道されたことを覚えておりますけれども、そういうことがこのガス世界でくれぐれも起こらないように、厳重にお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、年間契約数量が二百万立方メートルを超えれば大口需要家、こういうことでありますが、いろいろと諸外国数字を調べてみると、例えば、カナダあたりは百十万立方メートル、あるいはフランスあたりは五十万ということで、比較の上からすれば日本かなり高目に設定をされておる、こういうことでありますけれども、将来、この二百万立方メートルという数字が変更される可能性がゼロではないとすれば、それはどうなんでしょう、これは法律に書き込まれているのか、政令なのか、省令なのか、あるいは資源エネルギー庁のだれかの判断でその数字を変えられるということになるのか、そこのところをきちんと押さえておきたいと思うのです。
  12. 白川進

    白川政府委員 ただいま委員指摘のとおり、これは審議会の答申で、当面、この改正法施行に当たっては、年間使用量二百万立方メートル以上というのを大口需要として扱うのが適当という結論をいただいておりまして、具体的には、この改正法成立をお認めいただきましたら、省令でこの数字規定させていただきたいと存じておる次第でございます。  今先生指摘のように、確かに諸外国の例に比べますとこの二百万立方メートルというのは大き目の数字であることは事実でございますが、これは審議会検討過程におきまして私どもの実施いたしました需要家に対するアンケート調査結果でも、二百万立米以上の需要家について大部分が料金規制緩和してほしい、つまりみずからに価格交渉力があるという認識をお示しになった、あるいは二百万立米以上の全供給量に占める割合が二割と規制緩和をした場合もある程度の規模の効果が期待できるといったような種々の観点から、この提言をいただいたところでございます。  将来の引き下げないしは変更の可能性についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、確かに大口部門料金自由化というのは欧米諸国において先例はございます。ございますが、我が国におきましては、昭和二十九年にガス事業法を制定して以来四十年間施行を経て、この際改正させていただく内容としては非常に画期的なものでございますので、当面はこの新しい制度の定着に全力を挙げるのがまず基本であろうかと存じます。  したがいまして、二百万立米の変更云々というのは、この制度の定着というまず先決事項が十分見届けられてから課題に上ってくるようなものであろうかと存じますけれども、この制度が定着いたしました上で、需要面あるいは供給面でいろいろな構造変化などが起こりまして、仮にこの二百万立米という数字を手直しする必要が生じたことがあったとしても、これは数字自身をお決めいただいたときの審議会の審議の経緯も十分ございますし、改めて関係者の意見を十分お聞かせいただきつつ、どういうことにするのがいいのかということを検討させていただくということになろうと存じます。
  13. 逢沢一郎

    逢沢委員 時間もございませんので、次の議論に移りたいと思うのです。  いわゆる大口需要家、一需要家一メーター、一つ需要家に対して一つガスメーターがついている、それが原則ということですが、つらつら考えておりますと、こういうケースはどういう具体的な扱いになるのかなと思うことが幾つか頭の中に浮かんできたわけですが、例えば、供給外区域に今度造成ができて工業団地ができる。そう大きな工業団地じゃない、中小企業にもが生えた、こんな表現はよくないかもしれませんが、中堅どころの工場ができる、四つ五つで一つのそう大きくない中規模な工業団地を形成する、そこは供給外区域にある、しかし、都市ガスがぜひ欲しいな、みんなで相談して、ここまで引っ張ってもらおうではないか、そういうケースも多分将来的には出てくるのだろうというふうに思うのですね。  それで、一つ一つの工場で見れば二百万立米を超えないのだけれども、その団地をトータルすれば三百万ぐらいになる、三百五十万ぐらいになるというふうなケースのときに、じゃそれはどういう扱いになるのか。協同組合のようなものをつくるということにすれば、それは門のところというのですか入り口のところで一つの、ここで全体を受けるメーターですよ、しかし実際には四つの工場が、五つの工場が受けている、そういうケースの場合には、これを大口需要家、一需要家というふうにみなしていただいて供給対象ということになるのか。いやいや、それは気持ちはわかるのだけれども、当分の間、当分の間ではないのか、ずっとLPGを運んでもらうということで頑張ってくださいよというお答えになるのか。どういうふうに判断をなさっておられるのでしょうか。
  14. 白川進

    白川政府委員 私どもガス事業法の運用におきまして、今お尋ねのような点につきましては、まず何よりも需要家間の料金負担の公平というのが一番大事だという考え方にのっとりまして、一需要場所一契約という原則でこれまで運用させてきていただいております。  それから、需要場所というのは、構造上あるいは会計上独立した各部分を個々の需要場所としてとらえまして、例えば今先生の御指摘のありました工業団地の中に、一構内に独立の工場が幾つかあるというような場合は、会計上独立しているということで、これは個々の需要場所という扱いをしてきているわけでございます。それでこれは、これまでの大口部門規制緩和をする前もこういう運用をしておりましたが、今後ともこの方式を続けさせていただければと考えているところでございます。  こういった運用をしております背景の考え方でございますが、これはやはり公益性の非常に高いガス供給という点に着目いたしますと、実需者、つまり個々の最終需要家に直接供給する契約を結んでガス事業者供給をしていくということが、実際のガスの使用者間の真の公平を確保する道であろうかと存ずる次第でございます。  したがいまして、大口需要判断に当たりましても、契約の相手方、これがこれまで同様、その相手が最終需要家であるかどうかということを基準に考えて取り扱いを決めていくということになろうかと存じます。  今先生指摘の協同組合の場合でございますが、共同経済事業として共同事業そのものが二百万立米以上をお使いになるというような場合ですと、これはまさに組合が最終需要家として大口需要家という位置づけが与えられますし、そうではなくて、組合の構成員が個々に使っているものを積み上げれば二百万立米以上になるというような場合は、やはり最終需要家たる個々の組合員に着目して契約をしていただくということになりますので、法改正後の大口需要家としての取り扱いは受けられないものというふうに考えております。
  15. 逢沢一郎

    逢沢委員 詳しく、細かく御説明いただいたので大変よくわかりました。  念のためにお伺いするわけですが、ということは、ちょっとひねくれた表現といいますか聞き方になるかもしれませんけれども、こういう器のつくり方をした場合にはオーケーになりますよ、こういう器のつくり方をした場合には、幾つかの企業に分かれている場合でも、全体として大口需要家とみなして供給を受けることができるという抜け道というのですか、そういうものは一切ないというふうに認識させていただいてよろしゅうございますね。
  16. 白川進

    白川政府委員 あくまで最終需要家であるかどうかという点に着目して、この法の運用に当たってまいりたいというふうに考えております。
  17. 逢沢一郎

    逢沢委員 それでは、都市ガス事業者一般ガス事業者といわゆるLPガス事業者の方々競争条件が公平に、公正に環境が整備されているか、本当の意味でイコールフッティングになっているかどうかという問題に議論を移してみたいと思うわけです。  改めて私ども勉強してみますと、都市ガス事業者というのは、その事業がもちろん非常に公益的であるという観点から、やはり普通では与えられない特権がガス事業法で与えられている。公共用の土地の使用ができる、あるいは土地の立ち入りでありますとか、細かい話ですが、その中にある植物の伐採ですとか、そういうことが認められているようであります。ガス管を敷設するのにもちろん道路を掘り返さなきゃいけない、そういうことはガス事業法で許されておる、こういうことであります。  一方、LPガス販売事業者が、七十戸以上が対象ということになりますと簡易ガス世界になるようでありますが、六十九戸以下に対して小規模の導管を敷設をしてそれに供給を行うということになると、実際問題は、ガス供給、これはもうLPガス都市ガスも変わらないわけでありますけれども、そういうケースの場合には、間違っていたら御指摘をいただきたいわけでありますが、道路の占用ということについては、一般ガス事業者と必ずしも同じ条件が与えられていないというふうなことのようであります。  また、これはもうかねてから自民党の税調でも毎年のように議論をしてきたと記憶をいたしているわけでありますけれども、例の固定資産税の減免のことにつきましても、これはやはり議論があるな、どうしてこういうことが何年も、ほったらかしと言ってはあれですけれども、そのままになっているんだろう、みずから反省をしながら、改めて強い問題意識を持ったわけであります。  拾っていけばほかにもあるかもしれませんけれども、いわゆる一般ガス事業者とLPガス事業者需要家に対して同じガス供給という非常に公益的な仕事をしているにもかかわらず、どうしてこのような差異が現実にあるのか。これはやはり問題だ、直していかなきゃいけない、そういうふうに思っておられるのか、あるいはこうこうこういう事由があるから、これが現実なんだということなのか、きちんと御説明をいただきたいと思います。
  18. 川田洋輝

    ○川田政府委員 都市ガスとLPガス、確かに先生指摘のように、ガス体エネルギーを扱うという点では共通でございます。また、いずれも大変大切なガス体エネルギー供給産業であると我々は位置づけておるところでございますけれども都市ガス事業につきましては、LPガス事業とは若干違っておるところがございまして、先生もちょっとお触れになりましたが、いわばネットワークを組んだ導管によりまして、多くの需要家に対してガス供給するというところから、典型的な自然独占事業一つと位置づけられておりまして、この事業特性を踏まえて、ガス事業法のもとで、需要家保護の観点から、供給区域を設定し、その中で供給義務を課し、かつ料金を認可制にするといういわゆる公益事業規制を課しているところでございます。  このため、都市ガス事業におきましては、こういう供給義務の遂行など、公益事業としての事業の的確な実施を確保するという観点から、道路占用あるいは税制措置等といったいわゆる公益特権が認められているというものでございます。  公益特権が付与されているほかの事例といたしましては、電気事業とか電気通信事業、あるいは水道業、鉄道といったようなものが挙げられますが、いずれも自然独占事業ということで、電気、ガスなどにつきましては、先ほど申しましたように、供給義務というところに着眼してこういう差異が設けられているものだという位置づけでございます。
  19. 逢沢一郎

    逢沢委員 長官の御説明はよくわかるわけでありますが、例えば、ある団地ができて、そこで簡易ガスでもって供給をするというふうなケースも、やはり固定資産税で問題があったなというふうに私は思っているのですね。これは引き続きちょっと私も勉強させていただきたいと思います。  本当にユーザー需要家のためのガス供給都市ガスも成長してもらわなきゃいけないし、LPガス業者の方々も持てる力を十二分に発揮をしていただく、やはりそういう環境はきちんと担保してさしあげるべきところがあるなという問題意識を非常に強く持っているわけでありまして、引き続き議論をさせていただきたい、そのようにお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、次の議論に入りたいわけでありますが、供給区域に指定をされていながら、どうもいつまでたっても都市ガスが来ない、休眠区域というのですか、休眠供給区域というふうに呼ばれているようでありますけれども、ちょっと不勉強で恐縮でありますが、全国供給区域に指定されながら眠っている、これが現実にどういう実態になっているのか。全国供給指定区域の中で事実上休眠状態になっているところ、細かい仕分けができるのかどうか、技術的なこともあるかもしれませんが、数字でもって把握をしておられれば、ぜひお示しをいただきたいというふうに思うのです。  もちろん、都市ガス事業者企業でありますから、ガス管の敷設をするというのは相当な設備投資であり、一遍に全部供給区域をカバーするということは資金的にもなかなか難しいということはよく理解ができるわけであります。  たしかどこか、私ちょっと具体的な場所は失念をいたしまして恐縮でありますが、ある地域に住宅団地ができた、ここは都市ガス供給区域だ、今はまだガス管は来ていないんだけれども、そう遠くない将来にガス管は来ますよ、そういうふれ込みで、まあしばらくの間待っていれば都市ガスが来るといったようなことを一つのうたい文句にして、土地を売った、家を建ててもらった、ところがなかなか来ないというふうなことをどこかで聞いたことを記憶をいたしているわけでありますが、そこのところをやはりどうもぴしっとする必要が実態としてはあるんではないかなというふうに思うわけであります。  供給区域に指定をされながら、しかし現実、では何年たてばいいのか、その見当も立たないといったようなことがもし仮にあるとすれば、その見直しということは当然やっていかなきゃならぬということになろうかと思いますが、その実態について御報告をいただきたいと思うのです。
  20. 白川進

    白川政府委員 ただいまお尋ねの休眠区域でございますけれども、まず、供給区域の中で、導管が敷設されて現実に供給されているかどうかということもさることながら、いわゆる休眠区域という場合は、それであって、かつ将来も供給される予定がない地域、言ってみれば権利の上に眠っているといったような状態になっているところを私どもの用語では休眠区域と呼ばしていただいているわけでございますけれども、これは率直に申し上げまして、前回の改正時、昭和四十五年でございましたけれども、そのときには非常に多くの休眠区域がございました。厳しい御指摘を受けましたので、その削減をいたしまして、当時の全供給区域面積の約三割強に及ぶ、減区と申しておりますけれども供給区域の削減をしたところでございます。  それで一たん休眠区域はなくなったという認識でございまして、その後は実際の需要が出てくるたびに、小規模な区域ごとに、近い将来の実際の需要、実需要ベースで供給区域の拡張をやってきておりますので、私ども認識といたしましては、現在において問題となるような休眠区域は存在していないんではないだろうかというふうに思っている次第でございます。  ただ、仮に一般事業者の供給区域内でいわゆる権利の上に眠っているような休眠区域が実在しているということになりますると、その理由、背景等を徹底的に追及いたしまして、いずれにしましても、その地域ガスの使用者の利益に最重点を置いて適切な対応をしてまいりたいと存じております。
  21. 逢沢一郎

    逢沢委員 ぜひひとつ、各通産局を通じることになるんでしょうか、この大きな法律をいよいよ通そうという段階を迎えているわけでありますから、昭和四十五年からいいますともうかなり時間もたっているということでございますので、いま一度厳重にその実態把握をしていただけますように、また必要とあらばお伺いをしたいというふうにも思いますが、重ねてお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  さて、ちょっと話が相前後するように思うわけでありますが、これから先、将来を展望したときに、供給区域外大口需要家がある。先ほどの御報告でも、供給区域外全国で千百ほどそういった大口需要家の存在を全体として把握をなさっておられる、こういうことでありますが、時間がたてはそういうところにガス管、導管が敷設をされて、実際に供給が始まるという段階を迎えるわけであります。ガス管を敷設するというのは、大概の場合は道路を掘り返すわけですから、地域の人から見れば、あっちの大きな工場にいよいよガス供給されるんだなということは、それはもう地域からしても町内会からしても一目瞭然、よくわかる、こういうことだろうというふうに思うのです。  そうこうしているうちに、その地域の方から、あるいはその町内、区域といってもいいかもしれませんが、自分たちのところにも、せっかく大きな導管が敷設をされたわけだから、そこから支線というのでしょうか枝管というのでしょうか、それをぜひ出してほしいものだといったような要望が出る、そういうことがひょっとしたら将来起こるかもしれない。そういうときに一体どういうふうな対応方になるんだろうか。  あるいは、確かに供給区域外大口需要家についてはこういう法律を背景にガス供給ができるんだけれども、その供給区域外の扱いは今までどおり、こういうことでありますが、五年たち十年たち、せっかくの設備投資でもあるし、ぜひその区域を供給指定区域に指定をしてほしい、こういう動きが出てくるということも全く予想されなくはないというふうに思うわけであります。  例えば、少し先の話になるかもしれませんが、そういう動きが出てきた場合の対応方というのは現実問題どういうふうなことになるのか、お教えをいただきたいと思うのです。
  22. 白川進

    白川政府委員 お尋ねのケース、小口需要家の需要に応じて新たに小口需要向け供給を開始しようというときには、今御指摘のとおり、供給区域の設定あるいは拡張ということに相なりまするので、これはガス事業法の所定の基準に適合しているかどうかということをきちんと審査をすることにまず相なります。  具体的に言いますと、その供給区域の拡張計画が真にその地域の需要に適合しているのか、あるいはガス工作物の能力が適合なのか、経理的基礎、技術的能力はあるか、計画確実性があるかといったようなことを慎重かつ厳重に審査をするわけでございますし、さらに、公聴会を開催いたしまして、地元の意見を十分しんしゃくをするという手続も踏みます。さらには、私どもの通達によりまして、これは法第八条でございますけれども供給区域の拡張の申請を行う場合には、必要に応じて周辺の液化石油ガス販売事業者にその申請の内容を事前に通知するような指導もいたしております。  こういった所定の慎重な手続を着実に踏みまして、かつ、ガス事業法所定の要件に該当するかどうかをきちんとチェックした上で、いずれもパスするということでありましたら、その供給区域の設定ということは許可されるに至るということでございます。
  23. 逢沢一郎

    逢沢委員 くれぐれも厳重なあるいは厳正な対応方をお願いをいたします。時間がありませんので、この話はそういう表現にとどめておきたいというふうに思います。  最後に、より本格的な天然ガスの導入ということを前提にしたガスパイプラインを全国に張りめぐらせる、敷設をする、そういう大きな構想が取りざたされている、あるいは既に研究に入ったといったようなことも耳にさせていただいております。アメリカやヨーロッパではかなりきめの細かいガスパイプラインが既に敷設をされているようでありますし、お隣の韓国あたりでも日本よりはガスパイプライン化というのは相当進んでおる、こういうふうに承っております。  確かに、LNGの形でほぼ一〇〇%輸入をしている天然ガス、この天然ガス石油、石炭あるいは原子力と並んで将来のエネルギーを支える非常に大事な柱の一つに、今でもなっていますし、さらにこれからなってくるということは私ども十二分に承知をいたしているわけでありますが、その観点と、将来のこの大きな基幹のガスパイプラインを敷設をするという構想がどの程度合議論をされているのか、あるいはどの程度熟したものになりつつあるのか。  あるいは、ある程度具体的な目に見える形で国民の皆さんにそのことがいずれ提示をされることになるのだろうというふうに思うのですけれども、その中間の御報告といいましょうか、今現在どういう議論になっているのか。非常に大きな話でございますので、お答えをいただきたいと思います。
  24. 川田洋輝

    ○川田政府委員 天然ガスは、御高承のとおり、供給安定性あるいは環境面への対応などの面で優位性を持つエネルギーでございますが、今後そういった天然ガス需要の増大に対応して、一層本格的な導入のたかには、天然ガス供給基盤を整備して、最近顕著になっておりますLNG基地の立地制約の克服、天然ガス地域間の需給ギャップの解消を図って、天然ガス選択の需要に対応していくことが必要でございます。  特に、大都市圏のLNG基地立地制約を克服し、天然ガス地域的な需給ギャップを解消いたしますために、実は平成四年五月に、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会のガス基本問題検討委員会におきまして、三大都市圏を連係する幹線パイプライン構想が提唱されたところでございます。その後、この構想につきましては、都市ガス業界におきまして、平成五年の二月に、幹線パイプラインに関する業界独自の、かなりラフなものではございますが、ブランが発表されております。  私どもとしては、こういったものを踏まえまして、長期的な視点に立ってパイプラインなどの天然ガス供給基盤のあり方について検討を進めているところでございまして、平成六年度予算案に計上されております幹線パイプライン構想推進のための予算の活用などを図りながら、我が国におきます天然ガス供給基盤の整備のあり方を幅広く検討いたしまして、推進をしてまいりたいと考えております。
  25. 逢沢一郎

    逢沢委員 ありがとうございました。  ほぼ時間が参りましたので質問を終わりにしたいというふうに思うわけでありますが、この法律は、改めて思いますのに、現実の運用というものが非常に大事だな、ケースによっては非常にデリケートな問題をどう判断するかというようなところに大変関心が集まるというか注目が集まるということになろうかと思います。  私どもも、最後ぎりぎりまで附帯決議をどういうふうなものにするかということに心を砕いているようなことであります。恐らく大臣からもそのことについては強い決意の表明がいただけるものというふうに思いますが、その厳正、的確な運用ということについて十二分に意をお払いがいただけますように重ねてお願いをさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  26. 白川勝彦

    白川委員長 次に、小川元君。
  27. 小川元

    ○小川委員 お許しをいただきまして、石油公団法並びにガス事業法の一部改正案について質問をさせていただくわけでありますが、その前に一つだけちょっと中小企業対策につきましてお時間をいただいて、質問をさせていただきたいと思います。  目下大変な不況で、当然これは中小企業だけではなくて、大企業も含めた経済界は苦境にあるわけでございますが、この不況そのものは当然回復しなければ困るし、またさせなければいけない問題でございます。  しかしながら、今回の不況が単なる循環型ではなくて構造不況だと言われているように、例えば、輸出型産業におきましては、この円高に伴って工場の海外移転というものが非常に促進されている。それから、規制緩和等々を契機にして、いわゆる価格破壊と言われる現象も起こってきておって、そういう面で日本の経済の構造が転換していこうとしている。  そういたしますと、例えば出ていった工場というのは、好況になってももう帰ってこないわけでありますから、したがってその仕事というのはなくなってしまう。となると、大企業そのものは当然これは必要性があって出ていったわけでありますからいいわけでありますけれども、中小企業の仕事というのは、当然これはなくなってしまうわけであります。  また一方、例えば非常に安いものが、たくさん消費物資が出回るということは、これは消費者にとって大変ありがたいことでありますし、今の日本の物価高ということを考えると当然それはなくてはいけないわけでありますが、他方、例えば小売店が仕入れる価格は、ディスカウントハウスなりスーパーが売る価格より高いものなんというのは現在たくさんあるわけですね。そうなりますと、これはどうしたって小売店の生きていく道というのはなくなってしまうわけであります。  先ほど大臣が、逢沢委員質問に対するお答えの中で、自己責任ということをおっしゃっておられました。しかし、それがあるためには、まずその前にイコールオポチュニティーというものが保証されなくてはいけないのではないか。ただ単なる自由競争であれば、そういうものは全く自己責任といったって困るということになろうかと思います。  こういう構造転換の中で、私はやはり、従来、日本の中小企業というのは世界に冠たるものがあり、さらにまた、リストラ支援法等々準備をしていただいてはいるわけですけれども、中小企業施策全体についてもう一遍見直して、中小企業の人たちが先行きに希望が持てるような政府の態度あるいは施策というものを考えて発表する時期に来ているのではないか、このように考えるわけでございますが、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  28. 畑英次郎

    畑国務大臣 小川先生指摘のとおり、従来の、今日の日本の中小企業の存在価値といいますか、そしてまたいわゆる地域社会、国民生活に対する貢献度、これは極めて大きな、いわば大黒柱であったと申し上げても過言でないというふうに考えるわけでございますし、なおまた、事業所数におきましても九九%、あるいはまた従業員の数におきましても八割方というようなこと等々考えますと、先ほど来お話がございますように、こういったような規制緩和あるいは市場開放、従来にない厳しい中小企業分野に対する荒波が押し寄せてきておる。  そういう中にございまして、一つは、私の一つの持論でもあるわけでございますが、やはり今国民的な課題の一つは、過疎対策というようなことも念頭に置いておかなければならない。そういった場合の地方における商店街あるいは小売業のお立場、これからの高齢化社会等々を考えますと、そういったものも、これから先の一つの経営基盤といいますものをさらに確かなものにしていかなければならない。  こういうことをいろいろ考え合わせますと、一つはやはり激変緩和という視点から物事をとらえていかなければならない。そういう中にございます一つの経営基盤の体質強化、これにも力を入れていかなければならない。先ほど先生指摘のとおり、新分野に進出ができるような促進のための手当であるいは資金、金融支援あるいは税制問題、いろいろこれからまた間接税の問題等々が論議される中にございましても、こういった業態での一つのありようといいますものに力を入れていかなければならない。  さような意味合いでは、御指摘のとおり、もろもろに一遍この辺でさらなる力を注がせていただくという意味合いでの見直し、取り組み、積極性といいますものが求められておる中小企業対策の今日の姿である、かように受けとめ、力を入れさせていただきたいなと考えております。
  29. 小川元

    ○小川委員 ありがとうございました。  大臣に対する中小企業関係の質問はその程度にさせていただきたいと思うのですが、ちょっと中小企業庁に伺いたいのです。  今の大臣の御幸言にありました中小企業対策というものについて具体的に今、今後の問題として考えていることがおありになるかどうか、その点を伺わせていただきたいと思います。
  30. 長田英機

    ○長田政府委員 今大臣からも申し上げましたように、中小企業は、景気の面で循環的要素あるいは構造的で非常に厳しい状況にあるものでございますから、平成五年度も三回の補正予算を組みまして、その性格としましては、倒産を回避するための経営安定のためのいろいろな貸付制度、それからさらに積極的に新しい分野に進出していくような、先ほど先生指摘になられました新分野進出法というようなことに伴う前向きの方策、こういうような方策を補正予算で講じてきております。  またさらに、平成六年度におきましては、こういう面の前向きに新しい事業を創造していくというような面に力を入れていこう。それからさらに、小規模企業というのが今御指摘のように大変な点がございますので、こういう面にも力を注いでいかなければいけないというような点から、平成六年度におきましても、予算金額で申しますと前年比九十九億円の増で二千百四十六億円でございますが、なかなか厳しい予算の中で、私どもとしては一生懸命この予算増額に努力して、対策の充実に努めているというような状況でございます。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  31. 小川元

    ○小川委員 最近私のところへ中小企業の団体あるいは個人の方々がよく来られて、愚痴をこぼすというかお話を伺うわけでありますし、私の地元の話で恐縮でございますけれども、私の地元は精密工業の中小企業が圧倒的に多いわけですが、そういうところへ伺いますと、先行きに自信を失っているといいますか、そういう気配が非常に強く見られるのですね。最近私の友人の中小企業の人から手紙が参りまして、その手紙の中に、今まで何回かの円高、オイルショック等を自分の力で乗り切ったけれども、今回は幾ら努力しても、企業の空洞化等々を含めて、どうも私の仕事には先行きがないような気がしておるというようなやや悲観的な言葉が出ておる。電話等々で何遍も話し合いをしながらその事情も聞いたわけでありますけれども、私の地域のような輸出産業地域というのは、いずれにしても空洞化は進まざるを得ない。しかし、その中で生き残っていくために何をするかということについては、なかなか個々の中小企業では、それは自己で判断するのが一番いいわけですが、できない部分もある。  そういたしますと、そういう業界団体、例えば商工会とか中小企業団体中央会とか、そういう全国レベルの団体もありますし、あるいは一つ一つ地域の特性というものがある。その地域の中でいろいろな協同組合等々が結成されておる。そういう人たちが集まって、今後何をやっていくか。こういうことをやりたい、ああいうことをやりたいという相談、あるいはそういうことをやる場合のアドバイス、支援等々、そういういろいろのきめ細かい施策を、やはり通産省、中小企業庁として、これは御自分たちだけではできないかもしれませんが、県等々も含めまして、あるいは例えば技術面で言えば工業技術院さんがあられる、あるいは各都道府県にそうした研究所みたいなものがあるわけです。そういうところがもっと中小企業相談に乗る、あるいは無償で実験をやってもらうとか、ちょっと細か過ぎるかもしれませんが、そのようなことも含めて、中小企業に機会を与えていく、そういう施策をぜひ考えていかないと、お題目だけで、確かに二千数百億の予算があるわけでございますけれども、融資とかそういうことが中心になるわけでありまして、お金というのは借りたら返さなくちゃいけないわけであります。といって、もちろん一つ一つ企業に補助金を出すというわけにもいかないわけでありますから、そうした面の実質的な支援というものをぜひお考えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 長田英機

    ○長田政府委員 先生指摘の点は、非常に重要な点だと私ども理解しております。  まず、中小企業に対して調査しましたところ、大体七割ぐらいの方が、これから先行きどうなるんだろうかというような不安を持っているという調査がございます。七割が正確であったかどうかちょっと自信がございませんが、要するにかなりの人が先行き不安を持っている。こういう方に対しまして、元気づけて、何とか新しい分野を探して事業の展開ができないか、活路を開いていくことができないか、私どもこういうような考え方を持っておりまして、それで今、先ほども申し上げました新分野進出法、実はこの法律は昨年の十一月に実施されまして、もう三百件以上の適用例を見ておりますけれども、この法律につきましても、ただ法律のPRをするだけではございませんで、例えば事業をやっていて非常に事業に苦しんで失敗した、だけれどもこういうふうにして努力をして成功した、こういう経験がある人たちにいろいろな地区に行っていただいて、そして中小企業の方が啓発されて、新しい道を何とか発見していくようにしていく必要があるんじゃないかと思うのでございます。  また、先生指摘のように、現在既に商工会、商工会議所、それから中央会、さらに技術面では公設試、県の試験場でございますけれども、こういういろいろな施設がございまして、それぞれ予算がついているわけでございますけれども、これらの施設につきましても、お互いにいろいろな連携、調整をとりながら、そういう考え方で効率的に中小企業の生きる道を探していく努力をするようにというような指導をやらなきゃいけないし、現にやっているわけでございますが、これからもっと強くやっていく必要があると思います。
  33. 小川元

    ○小川委員 ぜひそのようにお願いして、国が中小企業を見捨てるのじゃないかとか、そうは思っていないかもしれませんが、そういうことがないように、むしろ中小企業が本当に先行きの希望が持てるような国の施策というものを今後も続けていただきたい。  また、最後に、きょうの夕刊ですか、大店法の廃止は見送りとかなんとかというような、与党さんの方でしたかな、記事も出ておりましたけれども、先ほど申し上げましたように、小売店の苦境といいうのも非常に大きいわけです。その辺はぜひ考えてやっていただきたいと思います。  以上で中小企業関係の質問は終わらせていただきまして、本題の石油公団法の改正について少し質問をさせていただきます。  今度の公団法の改正というのは、天然ガスにつきまして石油公団の業務といいますか役割を拡大していくということを中心に改正がなされると了解をいたしております。  我が国はいわゆるエネルギー資源というのは全然ないわけであります。全然とは言いませんが、ほとんどないわけで、エネルギー問題は今は落ちついておりますけれども、第一次、第二次オイルショックの経験にまつまでもなく、我が国にとっては本当に死命を制する問題でございます。その中で、石油に頼ってはかりいるわけにいかないというので、エネルギーの多様化という中での天然ガス、これは非常に重要な位置づけにあろうかと思います。また、環境問題を考えましても、クリーンなエネルギーということで、大変重要なエネルギーであります。  石油については、正直言って、いわゆる自主開発というものはメジャー等々に大きくおくれをとって、なかなか我が国独自のものができてこないわけでありますけれども、天然ガスにつきましては、ブルネイの開発に始まって、我が国としても、出資規模は割合小さい、ポーションは小さい中でも現在まで相当やってきたわけでありまして、石油に並ぶエネルギー資源として大変重要なものだ、私はそう思っております。  その中で、日本の全体のエネルギーの中で天然ガスはどういう位置づけになっているか。具体的に申し上げれば、どの程度まで天然ガスに依存することが適当だというようなことにつきまして、エネルギーの観点から、大臣の御所見を伺わせていただきたと思います。
  34. 畑英次郎

    畑国務大臣 先生指摘のとおり、いわゆる天然ガスに対する期待といいますものが非常に大きいわけでございますから、この辺につきましては、端的に申し上げますと、ただいまいろいろ関係の方々におきましての検討等がなされておるわけでございます。  現行の長期エネルギー需給の見通しという立場に立ちますと、天然ガスは、二〇〇〇年度、二〇一〇年度、それぞれの時点で一〇・九%と一二・二%、こういう程度のシェアを占めるのではないかな、こういう前提に立ってこれからの取り組みを展開してまいりたいという考え方に立っておるわけでございます。
  35. 小川元

    ○小川委員 ありがとうございました。  天然ガスは開発がなかなか問題がありますし、後から御質問させていただきますように、輸送といいますか、いろいろ国内の施設の問題等々もあろうかと思いますけれども、私は、二〇一〇年で一二%というのはいささか少ないかなという気もしておりますので、別にそれは、政府がそれで強制なさるというような問題じゃないかと思いますけれども、もっともっと積極的に考えていただいていいのじゃないかな、こういう気がしています。これは御答弁はもう結構でございます。  さて、天然ガスは、もちろんそうやって一割以上を占める重要なエネルギーになるわけでありますけれども、問題は、資源としての安定性といいますか、天然ガスというのは一体どのくらいの埋蔵量があって、一〇%でも、一二%でも、当然諸外国も使っていくわけですから、その資源について、石油と比較して十分と言えるかどうか、その辺を今後の需給の伸びともあわせまして教えていただきたいと思います。
  36. 畑英次郎

    畑国務大臣 この辺、これからの対応策の中で、これまた先ほどの依存度とあわせまして大きな一つの課題であるわけでございます。先生も既に御案内のとおり、今私ども承知をいたしております可採年数といいますか可能性といいますものは大体六十四年程度と、石油の四十六年程度に比べまして若干長いというような期待を持たさせていただいておるわけでございますが、なおまた最近は天然ガスの埋蔵量もある意味では順調な拡大を見ておるというようなこともございますので、これから着実な探鉱活動等々、こういうことに力を入れることによりまして、ただいま申し上げました埋蔵量も順調に拡大をすることが期待ができる、こういうような認識に立っておるわけでございます。
  37. 小川元

    ○小川委員 わかりました。  こういうものの天然資源の埋蔵量というのは、これは刻一刻とだんだんふえていくわけでありまして、一九七〇年ごろでしたか出ていたローマ・クラブの報告によれば、石油ももうそろそろ枯渇することになっているわけでありますから、それが現時点でまだ四十六年ある。ですから、天然ガスの六十四年だって、これはどんどんふえていくと思うわけであります。  そうしますと、埋蔵量としてはこの需要予測に比べて十分確保できる、こういうふうに御判断をしておられるわけですね。資源エネルギー庁にお伺いします。
  38. 川田洋輝

    ○川田政府委員 天然ガスの確認可採埋蔵量、現時点での知見では約百四十兆立法メートルでございますが、LNG換算でいいますと一千億トンということで、先ほど大臣からもお答え申し上げましたとおり、熱量換算で申しますと石油とほぼ同量の埋蔵量が確認をされておるということで、可採年数は六十四年、石油の四十六年よりも長いということで申し上げたところでございます。  こういうことで、資源的にも豊富なエネルギーでございますし、また、環境上の優位性も非常にあるわけでございますけれども、問題は、近年開発環境が大変厳しくなってきておりますので、これに対応する我が国の公的支援の強化が必要になってきた、こういうことが今回の公団法をお願いするに至ったゆえんでございます。
  39. 小川元

    ○小川委員 その必要性については私も十分理解するわけでありますけれども、ただ、今回の改正を見ますと、今度は石油公団がより積極的な役割を果たすという中で、採取、液化に対しまして出資というところまでしていこうというふうに考えられておられるわけですね。従来はもちろん融資等々、あるいは探鉱の段階での公団の債務保証はあったわけでありますけれども、探鉱は俗に千三つといいまして、探してみなければ出てくるかどうかわからぬ非常にリスクの多いものであります。これだけの国益上重要なエネルギーでありますから従来から出資までしておられる、これは当然のことだと思うのですが、採取、液化ということになりますと、これはコマーシャルの問題でありまして、本来、民間がその採算性を考えて開発をするかどうかという断を下して、その責任をとるという分野のものだろうと私は思うわけであります。  そこで、公的支援をあえてその段階についてなさる、極めでいろいろな意味で異例なことではないかと思うのですが、その必要性、あるいは今までしなかったのがすることになったその環境、事情の変化というものがあるかと思うのですが、それを御説明いただきたいと思うのです。
  40. 川田洋輝

    ○川田政府委員 公的支援が必要になりましたゆえんは、先ほどもちょっと触れましたように、最近のLNG開発をめぐる環境が大変厳しいものに変わってきた、こういうことでございます。  これを説明いたしますと、第一は開発環境の悪化でございます。従来の我が国に近い政治経済情勢の安定した、かつアクセスの容易な環境条件に比べますと、氷海あるいは密林地帯など、自然条件の厳しい地域での開発とか、カントリーリスクが従来とは異なる市場経済移行国、あるいは民族、宗教上の原因から紛争原因を抱える国での事業化の必要性が生じてきたこと。  第二番目は、投資環境の悪化であります。プロジェクトの構想段階から生産開始までの期間が長期化の傾向にありますとともに、近年のLNGプラントはインフレ率以上に上昇する傾向がございまして、投資環境の厳しさが増大する傾向にございます。  第三は、資金調達環境の悪化でございます。これまでの投資主体でありました国際・石油メジャーが資金の早期回収、選別的投資の傾向を強めますとともに、バブル経済の崩壊に伴う民間金融機関のリスク案件への貸し出しの制約の増大等の傾向が強まっております。  さらに加えまして、こうした環境条件の厳しさの増大のために、ユーザーによる長期契約のコミットだけではカバーできないカントリーリスクなどの各種のリスクが、探鉱段階のみならず、採取及び液化段階でも生じるに至っております。  こういった環境条件の厳しさの増大に対処しまして、LNGプロジェクトヘの適切なファイナンスを行うために、石油公団といたしましても、従来の探鉱段階における投融資のみならず、採取、液化を対象に出資ができるようにする、あるいは債務保証ができるようにする、こういう組み合わせによりまして支援を強化していくことがプロジェクトの円滑な遂行にどうしても必要になってきたということがあるわけでございます。
  41. 小川元

    ○小川委員 今のお答えをお聞きしますと、要するに民間だけではやれないほどいろいろなリスクが増大してきている、したがってこういう重要なエネルギーですから国も出資をして支援をしたいというふうに考えて判断しておられるということだと思います。  確かかどうかちょっとわかりませんが、この間お伺いしたところによりますと、日本側の出資規模の中の最大半分ぐらいまでは出資を可能にされるというように伺った記憶があるのですが、どの程度までの出資をされるおつもりなのか、それをちょっと伺わせていただきたいことと、やはり何といってもこれは国民税金を使っての出資ということになるわけでありまして、こういうプロジェクトというのは、実は出資を一遍いたしましたら当然株主としての義務が出てくるわけでありまして、途中でお金が足りなくなってさらに増資をしなくてはいかぬ、そしてそこに追加の資金が要るというようなことで雪だるま式にふえていくということも、巨額な資金だけに考えておかなければいけない。ということは国としてそれだけの責任を負わなくてはならないわけでありますから、その辺の、まあ意味がないとは言いませんが、追加の出資等々について何らかの歯どめが必要ではないか。これは難しい問題ではあろうかと思いますが、何か考えておられるかどうか、その辺についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  42. 川田洋輝

    ○川田政府委員 天然ガス開発のプロジェクトは、御承知かと存じますが、山元で探鉱開発をしまして、採取をしまして、それを港の近くで液化をしまして、それをLNG専用船で運んできて、それから気化をして使う、こういう一連のチェーンでいわば事業が展開をしておるものでございまして、その全体に大変大きな資金を要するというものでございます。  特にこれの外国側での開発の資金を今後公的支援で強化をするわけでございますが、そのプロジェクトには非常に多くの関係者が参加をして、先ほど小川先生もお触れになりましたけれども日本側も一人の参加者として参加していく、こういう形になるものでございます。全体の何分の一というようなオーダーで参加をしていく、こういう性格のものでございまして、今後ともそういったあり方をするのではないかというように思っておるところでございます。  それから、公団が出資を行っていきます場合には、当然のことながら、プロジェクトの事業可能性などについて厳密な審査を行うとともに、出資後におきましても、出資者としてその事業内容をちゃんと把握をいたしまして、問題が生じないように確認をしていくことは当然であると考えております。  また、天然ガスのプロジェクトにおきましては、その初期段階、最初に申し上げましたようにチェーンを成り立たしめるところに大変多額な資金を必要とするわけでございまして、ここに関係者の格段の努力が必要になるわけでございます。一たび公団が所要の支援を行ってプロジェクトが順調に立ち上がっていったということに相なりますと、一般的には、追加的な資金需要が生じたといたしましても、プロジェクトの信頼性は既に向上、成立をいたしておりますので、そのファイナンスは初期段階と比較してさほど困難なものではなく、公的機関に期待される役割というのもそう大きくなくなっているというように思っておるところでございます。  さらに、万が一想定されなかった資金需要が発生いたしましたとしても、そのふえた資金の負担につきましては、民間事業者やあるいは金融機関などがそれぞれの役割、地位にふさわしい資金負担を図るということが前提でございますので、その条件のもとで公的機関たる石油公団は民間資金との適切な組み合わせの観点から新たな資金負担について検討していく、こういうことになるわけでございまして、一方的に公的機関が歯どめなく資金負担を強いられるというようなことは想定されないというように考えております。
  43. 小川元

    ○小川委員 もちろん、初期段階、開発段階に非常に巨額な資金がかかる、これはその資金のための出資だということはわかるわけであります。しかし、実際にそれがスタートしてしまってからも企業としての経営というものがあるわけです。特に天然ガスはその引き取り条件といいますか、それが従来から非常に悪いと私は了解しているのですね。ですから、テーク・オア・ペイというのですか、こういうものですから余ったり足りなくなったりする、当然それがあるわけですけれども、余ったときにも、もし引き取らないのだったらその分の金を払え。非常に長期のコミットメントをしているということは前提として当然ある。したがって、実際にプロジェクトがスタートしてしまってから後でも、ビジネスとしては結構リスクの大きいものではないかというふうに考えるわけであります。  したがって、これは公団のリスクを減らすという意味だけではなくて、プロジェクトそのものが、会社の経営そのものがうまくいくためにも、そうした契約条件というものが引き取り側に有利になるように考えていかなくてはいけないのじゃないかと思うのですが、その点に関してはどうお考えになるか、お伺いしたいと思います。
  44. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、天然ガスにつきましてはテーク・オア・ペイの条項が一般化しておりますので、需要変動に対応した弾力的な供給の確保のためには、このテーク・オア・ペイの条項を弾力化するということがかねて来指摘されておるわけでございまして、最近では、当事者間で話し合いが進められまして、徐々にその弾力化が図られているのではなかろうかと思っております。例えば、受け入れが未達成の場合でも免責されます削減許容量の拡大、あるいは長期にわたりまして削減許容量を累積によりましてブール運用をする、そういったような弾力的供給を行う契約も徐々に出てまいっております。  LNG電源は、これからは負荷追従的運転というのが大変ふえてくるのではなかろうかと私ども思っておりますので、そういった意味では、先生指摘のような柔軟な引き取り条件ということが一層求められてくると思っております。したがいまして、LNG関係者において、そういったテーク・オア・ペイの条項の弾力化といったことについて一層努力することが重要なのではなかろうかなと思っております。
  45. 小川元

    ○小川委員 ありがとうございました。  さて、採算性の話にばかりこだわって申しわけないのですが、天然ガスをふやしていかなければいかぬというようなことで、先ほどからその前提で話しているのですが、ふやすといっても、これは他のエネルギーとの価格競争というのがコマーシャルベースですから当然あるわけで、高いものをお客さんがそんなに買うわけはないわけであります。先ほどの御説明の中で非常にいろいろな環境が悪化しているということは、当然それだけ資金が多く必要になる、ということは値段が高くなるということなわけですが、その天然ガスの経済性の確保ということについてどういうふうにお考えになっておられるか。  ちょっと時間がございませんので、もう一つ続けて言ってしまいますと、今原油の値段が下がっておるということで、現行の天然ガスを開発して輸入している部分、余り市況がよくないだろうと思うので、経営も大変なんだろうと思うのですが、新しいところにだけ出して、そういうところは何もしていないというのは不公平ではないか、そういう意見もあり得るかと思うのです。その辺のことについてちょっと見解を伺わせていただきます。
  46. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 天然ガスにつきましては、環境面での有利な点もあるわけでございますが、他の燃料と競合関係にもありますので、先生指摘のように、経済性というものの確保が大変重要でございます。  このためには、プロジェクトの規模をなるべく大きくするということが前提でございますけれども、昨今開発環境が厳しくなっておりますので、そのほかの面でも、例えば技術開発面、掘削技術あるいは生産面でのプラットホームの改良、そういったような技術的な対応、あるいは産ガス国にも税制面なり契約面で経済性向上のための適切な措置をとっていただく、あるいは原料ガス価格の適正化を図る、そういったような努力、あるいは多くのLNGに関係します商社、石油関係企業が今までLNG事業をいろいろやっておるわけでございますが、そういった経験、蓄積を生かしまして競争的な環境の中でコスト削減を図る。  そういったようなことで、いろいろLNGの関係者が経済性確保のために努力していただくということが、LNGの安定供給の確保のためには重要なのではなかろうかなと思っております。
  47. 小川元

    ○小川委員 ぼつぼつ時間もなくなってきましたが、実際にこうやって出資をされるように法律を改正されるということは、当然、これから我が国が天然ガスの開発に参加するということを前提にされておられるわけだろうと思うのですが、我が国の関連企業が参加していくことができる現在検討中のプロジェクトというものは具体的にあるのでしょうか。あれば教えていただきたいと思います。
  48. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 LNGのプロジェクトにつきまして我が国企業の参加の度合いでございますが、既に、現在ありますプロジェクトの中におきましても、我が国企業が国際石油メジャーとパートナーシップを組みましてプロジェクトに出資者として参加しているというケースがございます。  また、最近の傾向といたしましては、国際石油メジャーも資金の早期回収あるいは選別的投資の傾向を強めておりますので、我が国企業に対しましてプロジェクトの参加を強く求めている、こういうケースがふえておるわけでございます。  また、旧共産圏諸国におきまして新たな鉱区の開放ということの動きがございますので、そういった意味では大変我が国企業のLNGプロジェクトへの参加の機会が多くなっているのではなかろうかと思っております。  今回の公団法の改正措置によりましてこういった有望なプロジェクトへの参加の動きが強まるのではなかろうかと思っておりますが、今進められているプロジェクトにつきましては、いろいろなプロジェクトございますけれども、具体的になっているという状況になるプロジェクトはまだそれほど明確になっておりません。むしろ、いろいろなプロジェクトがいろいろな問題を抱えて現在水面下にあるのを、こういう公的支援というものを強化することによりまして、そういったものを一つでも実現するというような形に私どもとしては導いていきたいと思っております。
  49. 小川元

    ○小川委員 それでは、時間が来ましたので、最後に、これは古くて新しい話ですが、我が国はいつもやらずぶったくりで、買うだけでその国にはちっとも貢献しないという批判があるわけでありまして、石油についても恐らくそういうことでサウジ等々からも昔から文句を言われたり、この天然ガスについても恐らくそういうものは今後も出てくるだろうと思うのです。この間お伺いしましたところ、海外における技術実証業務というのはそういう方面にも役立てたいというお話がありまして、それはそれで大変結構なことだと思います。  ちょっと突然な質問で、大臣、恐縮ですけれども、やはり資源というものは、一方的に買うだけではなくて、必ず向こう側の国の発展に役立つこともしておきませんと、いざ不足といったときに冷たくされる、これはもうオイルショックのときなんかもそうだったわけで、そうなったときに慌てないようにそういう方面にも十分御配慮をいただきたいと思いますが、ちょっと御所見を御答弁いただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
  50. 畑英次郎

    畑国務大臣 先生指摘のとおり、これは今回のケースに限らず、日本のお互いの生活の中で、平生往生という言葉がございますが、そしてまた、とりわけ日本の今日置かれています立場にございましての国際貢献あるいは共存共栄といいますか、そういうような意味合いのものを従来以上に配慮して事業に当たっていかなければならない、かように考えております。
  51. 小川元

    ○小川委員 どうもありがとうございました。  以上で質問を終わらせていただきます。
  52. 甘利明

    ○甘利委員長代理 これにて小川元君の質疑を終了いたします。  続いて、額賀福志郎君。
  53. 額賀福志郎

    ○額賀委員 昨日に引き続きまして、石油公団法並びにガス事業法の改正につきまして、若干御質問をさせていただきたいと思っております。  我が党の有望議員の逢沢一郎委員及び小川元委員質問を聞いておりまして考えておったのでありますが、これはどうも通産省の取り組み方にバランスを欠いたところがあるのではないかなという感じを率直にいたしております。  例えば、石油公団法の改正については、総合エネルギー調査会におきまして、天然ガス、クリーンなエネルギーを大いに活用していく、将来はパイプラインも引いて全国ネットワークを図っていったらどうだというような趣旨のことを言っている。そういう中でガス事業法を改正して、規制緩和という名のもとに、今までの供給区域外でも大口需要者にはガス供給を図っていく。その答申の、天然ガスの活用及び将来の幹線パイプの敷設あるいは区域外の大口需要に対するガス供給、こういう点を結んでいきますと、将来は天然ガス日本列島を覆い尽くしていく、そういう構想につながるのかなという感じが素人でもするわけでございます。  そうすると、一般ガス事業者の二百四十四事業者、簡易ガス事業者の千七百八十事業者、液化石油ガス販売事業者およそ三万五千、こういう者が、言ってみれば、将来、いつの日かわからないけれども、大きな事業再編の荒波の直撃を受けることになるであろうということはだれでも感じられることであります。  しかしながら、天然ガス事業者供給地域全国の約五%である、九五%はLPG事業者でカバーをしているということであります。総合エネルギー調査会におきましては、全国の九五%の国民の皆さん方が熱エネルギーを供給してもらっているLPGについて、石油製品の一部として取り扱って、何ら触れておらない。こういうことが本当の政治なんだろうか、行政なんだろうかというふうにだれもが疑問を持つのではなかろうかなということを今西先生質問を聞いておって感じました。  大臣、ちょっと感想を述べてください。
  54. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は、戦後五十年、各分野で大きな一つの変革、変化、そしてまたその流れに対応を求められている、好むと好まざるとにかかわらず対応策を進めていかなければならない。いわば一つの大きな節目というものが各分野、各産業分野にも現在起こっておるということを考えるわけでございます。  なおまた、資源枯渇の問題等々、ただいま額賀先生指摘のとおり、従来の各分野のお立場にございましても、果たして将来、今の姿のままでは、これは何とも行き詰まりを感ずる時期が必ず近い将来あるのではないかという懸念をお持ちになっていらっしゃる。また、そういうことを私は、行政の面におきましても、関係の業界の方々におきましても、今先生の御指摘のあったような意味合いで、お互いが今後かんかんがくがくの論議をしながら、その辺のありようといいますものを消費者のお立場を加えて考えていかなければならない一つの大きな課題である、こういうように受けとめさせていただいているわけでございます。
  55. 額賀福志郎

    ○額賀委員 政治というのは、二十年、三十年先のことを踏まえて今手を打っておくことも極めて大事なことでありますが、きょうあしたのことも的確に国民の皆さん方に安心をしていただいていくということも、これもまた劣らず重要な課題であろうというふうに思っております。したがって、現実に今九五%の熱エネルギーを供給しているLPGの皆さん方を除いて、このLNGの開発と大口事業者の供給と一貫する構想が実現していくわけはないのであります。  そこで、通産省として、先ほどから、LNGは熱効率がいい、クリーンであるとか特色を述べられておりまして、まさにLNG一辺倒のような感じがするが、LPGの特徴というのはどこにありますか。
  56. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 お答えいたします。  LPGにつきましては、都市ガス以上の熱量がございまして、また、石油に比べますとSOx、NOx面でもクリーンでございまして、私ども先生今御指摘のように、LPGに対してどう取り組むのかということを担当の部局といたしまして真剣に考えておりまして、現在、LPGは一次エネルギーの五%に達したわけでございまして、先生先ほど御指摘のように、現在の長期エネルギー需給見通してはLPGは石油製品の内数ではなかろうか、こういう御指摘でございましたけれども、現在、総合エネルギー調査会需給部会が長期エネルギー見通しの検討作業をやっておりますが、そこの需給部会に今回初めてLPGの関係者が委員に入りまして、LPG業界からは、石油製品の内数というのではなくてLPGそのものを、現在、LPGは二千万トンぐらいの需要がございますけれども、これを何らかの形で長期エネルギー見通しの中に別掲していただけないかという御意見もありまして、現在、需給部会の中で議論されておりますし、また私ども石油部の中でLPGのビジョンの検討委員会ができております。  また、環境立地局におきましては保安規制に関するビジョンが出てきておりまして、この一次エネルギーの中の五%を占めるLPGについて、LPGをいかに活性化して、現在、先生が御指摘のような二千四百万世帯、三万五千の事業者のLPG業界をどう発展させるかということにつきましても、私どもも真剣に議論をしておるところでございます。
  57. 額賀福志郎

    ○額賀委員 私は茨城県の出身でありますが、東京で生活するときは都市ガスのお世話になっておりまして、田舎へ帰るとLPGのお世話になっております。家族は田舎におりますから、うちの中で多数決をとるとLPGのお世話になっている方が多いわけであります。  これはひとつ、将来、十年、二十年先のことはなかなか予測はできませんけれども、エネルギーの面から、安定供給を図っていくということ。それから、CO2の問題もありますから、クリーンなエネルギーを使っていくことが、地球を守り、我々の生活を維持していく。しかもなおかつ、民主主義というのは、今、代議権というか代表権のある生きている人だけ、生存している人だけの意見を代表しているわけでありますが、地球にお世話になるのは、これから生まれてくる人たちがここで生きていくわけでありますから、そういう人たちの代表権を代弁している人がいないわけであります。そこのところをよく考えていかないと、民主主義のあり方というのが問われていく。そういうことからすると、やはり十年先、二十年先、三十年先のことも視野に入れていかなければならないということは当然であり、そういう中で、エネルギーのない日本の国がLNGを重要な柱としていろいろと考えていくことは当然のことであるというふうに思っております。  そういう中で、このLNGの需要の伸びについて、現状の施策のままでいきますと、一九九二年は大体四千万トン。そうすると、二〇〇〇年に五千四百万トン、約三〇%から四〇%の間ぐらいの伸びですね。これは二〇一〇年になりますと、現状から比べますと、六千万トンですから、五割ぐらい増していくわけでございますね。  そういたしますと、LNGの需要者は、アジアの国々においては今まではほとんど日本ぐらいで、独占状態であったのではないかなという感じがいたしますが、アジアの国々の方々も相当な経済成長をしておりますし、韓国とか台湾だとかシンガポールだとかインドだとか、多くの国々がLNGの需要者になっております。したがって、これからは競合していくし、あるいはまた需要が圧倒的にふえていく。そういう中で、こういうものを安定的に我々が確保できていくのかどうかということは非常に疑問が持たれているわけでございます。  そういう中においてこの石油公団法が改正されまして、公団がその関与をしていき、安定供給に将来きちっとしていこうということは、まことに私は有意義なことだというふうに思っております。  私は、通産政務次官を拝命しておったときに、天安門事件の直後でございましたが、政務次官として中国へ初めて行って、政府高官としては初めて中国へ入ったのであります。当時通産省はパスポートも出してくれなくて、個人パスポートで行ったのでありますが、そのときに、当時の郷家華副総理にお会いしまして、中国のタリム盆地の石油ガスの開発について調査を日本にやらせてくれという話をして、了解をとって、その後、日本石油公団が調査権をとって、今調査をしているんだというふうに思っております。  その後どういう状況になっているか知りませんが、そういうふうに将来の有望な地域について、先ほど来いろいろなお話がありますように、遠隔地である、政情が不安である、いろいろなリスクが多い、そういう中で公団がひとつ参加をしていくことがきっかけとなって、そういう戦略的な考え方できっちりと我々の将来の供給先を見つけていくことは重大なことであると思います。  そういう安定供給先の探査と、それからアジアの国々や世界の国々と競合していくわけでありますから、そこのところを自分だけが独占するわけにはまいらないのでありまして、そこをどうやってすみ分けをしていくかというグランドデザインをかいていく必要があると思います。  そういうことを通産省としてどういうふうにお考えになっているのか、聞かせていただきたい。
  58. 川田洋輝

    ○川田政府委員 我が国のエネルギー政策にとって大変重要な視点を指摘していただいているというように存じます。  まず、我が国は、狭い国土で資源に乏しく、その中で大変豊かな国民生活、多彩な産業活動を展開していくために相当大きなエネルギーを消費する国でございます。それだけに、世界のエネルギーの開発に役に立つような、自分のエネルギー安定供給のためだけでなくて、世界の、特に先生指摘のアジア・太平洋地域のエネルギーの需給安定ということを大きくとらえながら、その中で我が国のエネルギーを考えていくという視点が大変大切ではないかというように存じます。  そこで私ども、これからもっともっといろいろ御指導もいただきながら、そういった視点の議論を深め、また具体的政策も展開してまいりたいというように思っておりますが、その一つとして、先生先ほどお触れになりました、例えばタリム盆地、東シベリア、中央アジアといったような大規模な未探鉱地域について、我が国としてその探鉱開発に貢献をしていくというようなことは大変大切なことであろうということで、お触れになりましたタリム盆地の石油、天然ガス開発につきましても、石油公団の地質構造調査をかなり大規模にやらせていただいて、その地域の資源探査に役立たせていただいているところでございます。  これからもそういった視点で、先ほど触れましたような地点、あるいはそのほか日本の周りにいろいろなところでエネルギーに関しては問題があるところがございますので、地球環境問題への視点も十分踏まえながら、世界のエネルギーということに視野を広げて考えていく必要がある。その中で我が国は何をやるべきかというようなことを確かにして、政策を力強く進めていく必要があると思っているところでございます。
  59. 額賀福志郎

    ○額賀委員 今の石油公団法の改正直後、どういう形で我々がイメージを抱いていけばいいのかということについてちょっと教えてもらいたいのであります。  聞くところによりますと、カタールの石油探鉱について、この液化事業等について、日本事業者が参加をして、新しい事業展開をしていくということが今進行中であるというふうに聞いております。この場合、この法律が通過した際には公団はどういうような行動ができるのか。例えば、最初からこれは企業の中に資本参加していくわけではないのでしょうから、ファイナンス上、例えば輸銀だとか輸出保険だとか、いろいろな形でファイナンスしていく中で、公団が保証措置をするとかあるいは何らかの参画をしていく計画がありやなしや、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
  60. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 先生指摘のように、現在、カタールのプロジェクト、これは九七年に中部電力に六百万程度の規模のプロジェクトを今予定しているわけでございますが、このプロジェクトは現在ファイナンスのスキーム等が進行形でございまして、現在の体系では輸銀による融資、貿易保険による保険、一部石油公団の債務保証はございますけれども、仮にこの法律成立いたしますと、貿易保険によります非常危険等のリスクカバーというのに限度がございますので、石油公団の債務保証というのが十分に活用される余地が大きいのではなかろうか、そういうふうに思っております。
  61. 額賀福志郎

    ○額賀委員 日本にとっては恐らく余り遠方でないところの、例えばサハリンだとかアジア地域でそういう有望なガス炭鉱が発掘されたとき、そういうときに、船を使って来るんじゃなくて、パイプラインで来るようなときがいつかきっとあるのかもしれません。そういうときは、先ほど言ったように、石油公団法改正それからガス事業法改正、幹線パイプラインの敷設等々の構想が日本列島に来るのかなどいう感じが、私、想像で思うんでありますが、そうしたときに、LNG業界の皆さん方がやはりきちっと競争力を持って時代の流れに対応できるように、政治家も行政がどういうふうに展開をしていくかきっちりと見守っていかなければならないというふうに思っておりますけれども、通産省としても、先ほど石油部長からしっかりとやるというような話がありましたが、そういう短期的なこと、目先のことと将来のことをバランスよくとって、ともに生きていく、しかもなおかつ将来の展望を忘れないということを踏まえなければならないと思います。  大臣、決意を表明していただきたいと思います。
  62. 畑英次郎

    畑国務大臣 とりわけ日常生活に欠くことのできないこの分野のこれからの将来展望、きょうは額賀先生から、ある意味におきましては、大所高所に立って、あるいは中長期的な視野から問題を本格的に掘り下げて、問題意識を持っての対応をしていかなくちゃならぬ、そういうような御指導をいただいたというようにありがたく受けとめさせていただくわけでございますが、ただいま事務方からも申し上げましたように、それ相応の取り組みはやっておるわけでございますが、さらに長期に、そしてさらにまた掘り下げてと、このことを肝に銘じて、これからも取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。
  63. 額賀福志郎

    ○額賀委員 終わります。
  64. 甘利明

    ○甘利委員長代理 以上で額賀福志郎君の質疑は終了いたします。  続いて、尾身幸次君。
  65. 尾身幸次

    ○尾身委員 最初に、質問をする前に一言申し上げたいことがございますが、このように遅くまで商工委員会として審議をしているわけでございまして、委員の皆様方には大変御苦労さまでございます。  どうしてこんな遅くまで審議をやらなければならないかということを考えてみますと、結局、これは細川、羽田と続きました政権が、予算編成を十二月にやらないで、二月にやるというような甚だもって無責任な対応をしたことがその原因でありまして、極めて遺憾だというふうに思っております。それにもかかわらず我が自民党は、この短い審議期間の中で、本日は深夜の十一時二十五分までやるというようなスケジュールで審議に協力をしているわけでございまして、私どもは立法府としての責任を非常に痛感しているからであります。  この七月には羽田政権も倒れるかどうかという瀬戸際でございまして、その際には我が自民党が、憲政の常道にのっとって、第一党の責任を果たして政権を担わなければならないこともあろうかと思うわけでございますが、その際に、いずれの政党が野党になるかわかりません。わかりませんが、いずれの政党が野党になりましても、ぜひ立法府の責任をしっかり果たすように、いやしくも審議拒否などをしないように、ひとつこの際申し上げておく次第でございます。  質問に入らせていただきます。  石油公団法について質問させていただきますが、天然ガスのエネルギー供給における位置づけというものがますます重要になってくる。そして、特に地球環境という点を考えて、極めてクリーンなエネルギーであるという点から見ましても、その重要性は増してくるわけであります。したがって、その開発を促進することはもちろん政策的に必要なんでありますが、なぜこの段階で石油公団が開発について出資をし、液化の段階で出資及び債務保証をするような業務を追加しなければならないのか、その点について、まずその理由をお伺いをいたします。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 川田洋輝

    ○川田政府委員 まず、地球環境問題への関心の高まりなどによりまして天然ガスの需要の増加が見込まれるわけでございますが、その一方で、プロジェクトを取り巻く開発環境、投資環境、資金環境が大変厳しさを増しているということでございます。  まず第一の開発環境の悪化でございますけれども、環太平洋地域など、コストが低くアクセスの容易な、インフラ条件のよい地域での開発の成熟化に伴いまして、これからは氷海や密林地帯など自然環境の厳しい地域での開発や、カントリーリスクが従来とは異なる市場経済圏移行国、あるいは民族、宗教上の原因から紛争の要因を抱えておる国での事業化の必要性が生じつつあること。  第二の投資環境の悪化でございますが、プロジェクトの構想段階から生産開始までの期間は長期化の傾向にありますとともに、近年のLNGのブラントコストはインフレ率以上に上昇する傾向にありまして、投資環境の厳しさは増大する傾向にございます。  第三の資金調達環境の悪化でございますが、これまでの天然ガスプロジェクトの投資主体でございました国際石油メジャーが、資金の早期回収、選別的投資の傾向を強めますとともに、バブル経済の崩壊に伴って、民間金融機関のリスク案件への貸し出しの制約の増大などの傾向が強まっておるということでございます。  さらに、こうした環境条件の厳しさの増大のために、ユーザーによる長期契約のコミットだけではカバーできないリスクが出てまいっておりまして、探鉱段階だけではなくて、採取、液化段階に至るまでそのリスクが増大をしてきているということで、こういう環境条件の厳しさの増大に対処してLNGプロジェクトヘの適切なファイナンスを行いますために、石油公団としても、採取及び液化を対象に出資及び債務保証の適切な組み合わせを可能とするような制度改正を行わせていただきたいというものでございます。
  67. 尾身幸次

    ○尾身委員 こういう時期でございますので、石油公団が公的機関として出資あるいは債務保証をしてLNGの探鉱、開発あるいは液化を進めていくということは、私自身は時宜を得たものだというふうに思っているわけでございますが、しかし、そういう中で、何といっても、いろいろな意味で開発を進めていく上に民間企業の活力というものが大変大事でありまして、民間企業と公的機関である石油公団のバランスのとれた組み合わせで開発あるいは液化を進めていくということが、実は各計画が極めてスムーズにいく上に大変大事なんじゃないかなというふうに思っているわけであります。  そして、聞くところによりますと、そういう点に関して、民間主導三原則でやるというようなお話を聞いているわけでありますが、その三原則というのはどういうものか、また、どういうスタンスでその点を進めていくのかという点について見解を確認をしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  68. 川田洋輝

    ○川田政府委員 LNGの事業は、天然ガスの探鉱、開発、液化、海上輸送、受け入れの各段階がチェーンとなった資本集約的な事業でございます。そして、そのプロジェクトの形成には多くの関係者の参画、巨額の資金調達が必要なものでございます。  先ほど申し上げましたように、今後予想されます開発環境の厳しさの増大の中で新規プロジェクトを円滑に推進してまいりますためには、多くの関係者の役割分担の明確化とともに、密接な協調関係の確保が必要でございます。  今般、天然ガスの採取及び液化の各段階に出資及び債務保証を行う制度の導入をさせていただきたいということでお願いしているわけでございますが、この制度の導入に当たりましては、官民の役割分担の明確化の観点から、制度の運用に関する民間主導三原則といったようなものを運用上の指針とすることといたしております。  この三原則の具体的な内容につきましては、なお調整を進めているところでございますが、おおむね次のような内容を考えております。  まず、第一の制度の利用に関する民間主導という原則でございますが、民間企業から出資要請に基づいてその適否等について検討したいと思います。その出資割合につきましては、日本側出資の二分の一、出資総額の四分の一を限度として、具体的には民間企業の意向を踏まえて検討したいと思います。  第二のプロジェクト経営に関する中立性の原則でございますが、公的資金は、ファイナンス支援の一環として、天然ガス開発プロジェクトのリスク低減に加え、そのコスト軽減を目的に行われる措置であるということにかんがみまして、石油公団はユーザーに対して天然ガスの引き取り強制をしない、また価格決定についても中立的な立場を堅持したいと思います。  第三のプロジェクトの運営が順調に進んだ場合には株式売却をするという原則でございますが、これにつきましては、プロジェクトが軌道に乗りましてリスクが相当程度軽減された段階で、民間株主等の要請に基づき、石油公団は適正な価格で出資相当分の株式を処分する枠組みを設けることとしたいと考えております。  こういう枠組みによりまして、先ほど申し上げました難しい開発環境の中での天然ガス新規プロジェクトの円滑な推進を図ってまいりたいと思うわけでございます。
  69. 尾身幸次

    ○尾身委員 それで、この石油公団の出資及び債務保証につきまして、平成六年度予算におきましては、出資が十二億、債務保証の基金が九億計上をされているわけであります。しかし、これは平成六年度でありまして、いずれ天然ガスの探鉱、開発が本格的になりますと相当程度のお金が必要になるというふうに思っているわけでございますが、あらかたで結構でありますが、平年度ベースでどのくらいの資金を予定をしておられるか。  そしてまた、このシーリング等財政事情が厳しい中で、場合によってはそのための財源措置としてエネルギーについての増税を政府が考えておられるのではないかというちまたの声もあるわけでございますが、その点についてどう考えておられるか、お伺いをいたします。
  70. 川田洋輝

    ○川田政府委員 ただいま、今世紀末から来世紀の初頭を目途に、複数の天然ガス開発プロジェクトが成立を目指して競い合っているという段階でございます。現時点で今後どのプロジェクトがどういったタイミングで成立をするかというのは不透明な状況でございます。ただ、いろいろなプロジェクトの話が出ておる、そしてこれを進めるという声が出てきておるということはあるわけでございますが、その具体的な状況については不透明という段階でございます。  公団の出資や債務保証の適用については、プロジェクトのリスク評価、民間当事者の資金負担能力、その時点における金融情勢といったような要因に依存いたしますために、プロジェクトの開発計画がある程度具体化をいたします以前の段階でどういった資金需要があるかということを推定するということは、現実問題として困難であるという状況もございます。したがって、今後のプロジェクトに係る資金規模について、現時点で明確な見通しをまだ持っていないという段階であることを御了承いただければと思います。  ただ、これからこの事業を進めてまいりますと、一プロジェクトについてかなりまとまった金額になるわけで、それが複数になればそれが足されるわけでございます。  こういった財源確保問題ということが今後の資金需要の動向も踏まえて出てこようかと思いますが、昨年十一月の石油審議会開発部会の報告では、これは受益者負担の考えによるということにされておりまして、この報告に沿って、必要な時点で適切な対処をしてまいりたいというように考えておるところでございます。
  71. 尾身幸次

    ○尾身委員 今、受益者負担の原則によるというお話があったと思うのでありますが、もうちょっと突っ込んで恐縮でありますが、この石油公団の出資、債務保証についての受益者というのはどなたであるというお考えでございましょうか。
  72. 川田洋輝

    ○川田政府委員 先ほども御紹介いたしました石油審議会開発部会中間報告平成五年十一月に取りまとめられたものがございますが、そこでは、お尋ねの件につきまして、「本措置の実施に伴うコストはこNGの利用に伴う安定供給のためのコストであり、最終的にはLNGを利用する消費者需要家において負担されるものであると考えられる。今後、受益者負担の考え方に従って本措置を実施していく必要がある。」というふうにまとめられているところでございます。
  73. 尾身幸次

    ○尾身委員 この財源問題については、大変にデリケートな問題でございますので、これ以上質問は差し控えをさせていただきますが、しかし、国民経済上、財源措置、財源措置と言いますけれども、安易な増税に頼るということは、これからの日本経済の発展のために私ども必ずしもいいこととも思っていないわけでございまして、我々といたしましては、そういう問題が出てきたときに、慎重の上にも慎重に検討をして対応させていただきたいと思っているということだけを申し上げさせていただきます。  以上で石油公団法についての質問は終わりまして、ガス事業法改正法案につきまして質問をさせていただきます。  このガス事業法改正案につきましては、新しい各地域のエネルギー事情の変動に応じて、需要家の意向を踏まえて、大口導管による供給について、新しい体制でこの供給をしよう、こういうふうに理解をしているわけでございますが、この法案の基本的な考え方についてまずお伺いをさせていただきます。
  74. 川田洋輝

    ○川田政府委員 近年の環境制約への対応の要請、技術革新の進展などを背景といたしまして、大口需要を中心とする産業用及び業務用の都市ガス需要が増大をいたしておりますが、このような大口需要は、概して重油やLPGなどの他燃料への転換が容易でございます。また、ガス事業者との間で価格交渉力を有しておられます。  こういう状況を踏まえまして、本年一月、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会に今後のガス事業あり方について報告書を取りまとめていただいたところでありまして、これを受けまして、需要家の利益の増進及び競争原理の導入といった観点から、大口需要者とガス事業者の当事者間の交渉により料金を設定できるように料金規制緩和するとともに、ガス事業者及びガス事業者以外の者が大口需要向けガス供給を行う機会を創出すべく、参入規制緩和などを行うというのが基本でございます。
  75. 尾身幸次

    ○尾身委員 都市ガス事業は、供給区域が設定をされていて、その供給区域に対する供給義務が一方であるということでございますし、そういう点で公益事業としての特殊な経営を要求されていると思うわけであります。  この大口需要家に対する供給というものが、公益事業あり方との関係において、今までの公益事業規制の枠を踏み出したような形でのものであるというふうに私は理解をしているわけでありますけれども供給区域内における料金の認可制度があるわけでありますが、その認可制度と自由な料金設定との関係を大口需要家だけについて自由にするという考え方は、ほかの外国や何かでもとっているものかどうか、その点についてまずお伺いをいたします。
  76. 白川進

    白川政府委員 外国の例でございますけれども、私どもの調査いたしましたところでは、今回御提案申し上げているような、大口需要家に対しては交渉料金によって供給する、それから小口需要家については供給区域を設け、その区域内での供給義務を課し、それの見返りとしてというのもなんでございますけれども認可料金制で公平な供給を行わしめるといったような体系をとっておりますのは、米国それからカナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリー等でこのような制度が行われていると承知いたしております。
  77. 尾身幸次

    ○尾身委員 大口需要家というのは一体どういうことを意味するかということをお伺いをいたします。と申しますのは、例えば、どこかの企業の工場がそこにあるというようなのは確かに大口需要家だと思うのでありますが、場合によっては何百軒もある住宅をまとめて、一カ所で供給を受けて、それを一戸ごとばらばらにする、しかしまとめている点においては大口需要家であるというふうなことも解釈できるんじゃないかという心配もあるわけでありますが、その点についてどうお考えでございましょうか。
  78. 白川進

    白川政府委員 私どもこれまで、現行のガス事業法の運用におきましては、一需要場所一需要家の原則で消費者ガス事業者の間の契約を結ばせることといたしております。より具体的に申し上げますと、構造上または会計上独立した部分を個々の一つ一つの需要場所としてとらえまして、その需要場所ごとにガス供給にかかわる契約を締結するという方法をとっているわけでございます。  したがいまして、今先生指摘の、非常に大きな集合住宅に対してまとめてガス供給を受けてさらに配るといったような形態でのガス供給契約ということは、これまでの運用上もあるいは改正後の運用も認める予定はございません。したがいまして、そのような場合には個々の世帯が独立した会計のもとで営まれている一の需要場所という位置づけになりますので、個々にガス供給契約が結ばれる。したがいまして、今回御提案申し上げております大口ガス供給には当たらないものとして運用をいたす所存でございます。
  79. 尾身幸次

    ○尾身委員 そこで、今般の法律改正について、この大口需要の範囲というものを、年間契約数量で二百万立方メートル以上というふうにしたわけでありますが、これは関係業界の間の非常に厳しい調整を経た上でこうなったというふうに聞いております。したがって、将来、この大口需要家の範囲をみだりに変更をすべきではないというふうに考えているわけでありますが、この点についてどうお考えか、お伺いをさせていただきます。
  80. 白川進

    白川政府委員 本年一月の総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会報告では、今回制度改正をお認めいただければ、発足いたします新制度におきます大口需要と申しますのは、当面、年間契約数量二百万立方メートル以上とすることが適当という報告をいただいているところでございます。  この考え方そのものは、規制緩和した場合にもたらされる効果、あるいは大口供給を行いまして、その結果が小口需要部門に悪影響が及ばないようにする区分経理上も費用の形態が異なっている。具体的に申しますと、二百万立米以上でございますとほぼ全部が中正管以上の導管によって供給を受ける、他方、それ以下のものについては小口導管の利用が不可欠であるといったような種々の観点から検討を加えて、二百万立米以上が適当という結論に至ったものでございます。もちろん、この審議の過程には、LP業界を初め関係業界の皆さんも御議論に参加していただいておるところでございます。  私どもといたしましては、この大口供給にかかわります規制緩和は、我が国にとってはガス事業法施行以来四十年の大改正でございまして、この改正をお認めいただけた暁には、何よりもその制度の定着を着実に図っていくことがまず先決であるという考え方を持っております。したがいまして、制度の定着に至るまで、この審議会でお示しいただいた大口需要の規模を守っていくということに相なると存じます。  制度が定着した後の、将来、種々の情勢変化が生じてまいりますと、あるいはその見直しの必要性も生じてこようかと存じますけれども、いずれにいたしましても、この二百万立方メートルが提案された審議会における審議の経緯、これを十分踏まえ、そのような場合にも十分関係者の意見を拝聴いたしつつ、慎重に検討させていただきたいと存じております。
  81. 尾身幸次

    ○尾身委員 大口ガス供給については、いわゆるガス事業者以外も供給をすることができるというふうにしているわけでございますが、こういう条項を入れました理由、それからまた、実態としてどういうことを想定してこのガス事業者以外の者の大口ガス供給を考えておられるのか、その点についてお伺いをいたします。
  82. 白川進

    白川政府委員 大口ガス供給につきまして規制緩和をいたしました中身については二つございまして、一つ料金規制緩和、それからもう一つは、従来供給区域の中でしかガス供給できなかった非常に厳しい制度に対しまして、一般ガス事業者供給区域を超えて、その外でも大口需要に限っては供給ができるようにするという二つの側面を持っているわけでございますけれども、そうした一般ガス事業者供給区域の外に、しかも認可料金によらずに供給するというのに対応いたしまして、いわゆる供給義務というものもそうした供給形態に対しては課さないということでございます。  従来は、供給区域を設け、その中で供給独占を認める、その供給独占に基づく供給について、需要家の保護の観点から、認可料金制度を設けておったわけでございますけれども、今申し上げましたような供給義務のない自由料金制度に基づく取引につきましては、これは独占を認めていく必要はございませんので、競争原理導入の視点からも、従来の一般ガス事業者以外の事業者についても、そのような能力を持っている者がおりますれば大口ガス供給を認めていこうというのが、こうした非ガス事業者の参入ができる制度を設けるに至った考え方でございます。  具体的にどのような事業者がその可能性があるかということでございますが、現実具体的に私どもの方にお話が参っているわけではございませんけれども、一応可能性がある事業者としては、国産天然ガス開発事業者、このような事業者は現にガスを輸送する導管を持っておりますのでその可能性があるのではないかと思いますし、さらには、副生ガスを発生させるプロセスを持っておりますところの鉄鋼メーカーあるいは石油会社などのように、みずからガスを生産し保有している事業者、このような事業者もその可能性があるものと考えております。
  83. 尾身幸次

    ○尾身委員 今お話のありました業種も含めて、今回の措置によりガス事業者以外の者による新規参入の機会があるわけでございますが、これについて、そういう構想が絵にかいたもちにならないよう、ガス事業者の保有する施設や設備、特に導管をそういう新規参入の者に対して開放していくことが有効であるという指摘もあるわけでございますが、いわゆる託送問題について通産省としてどのようなお考えか、お伺いをさせていただきます。
  84. 白川進

    白川政府委員 御指摘のように、これまでガス事業を営んでこなかった事業者につきましては、改めて導管を引くということに相なりますと、大変膨大な資金を必要とするわけでございます。  そこで、本年一月に取りまとめられました審議会報告書でも、供給区域内の一般ガス事業者導管の余力を活用する、あるいは他の事業者の公平な参入機会を創出するといった観点から、一般ガス事業者の保有しております供給区域内の導管につきまして、その供給義務の的確な遂行に支障が生じない、その範囲内では積極的に託送を推進してはどうかという御提案をいただいておりまして、私どももその方向に沿った対応をいたしたいと存じております。  具体的には、これまで一般ガス事業者が託送契約を結びます場合は兼業の許可をとる手続を課しておりましたけれども、極力その手続を容易にするという観点から、兼業許可の対象から除外をするというのが第一点でございます。  それから第二点は、極力透明な条件のもとで一般ガス事業者が他の事業者に託送サービスが提供できるように、引き受け条件あるいは託送の料金設定方法などの基本的な事項について、審議会の御検討もお願いしつつ、ガイドラインを作成し、公表してまいりたいと考えております。
  85. 尾身幸次

    ○尾身委員 そこで、ガス事業者大口需要者に対して供給をするときに、その料金については自由にする、こういうことでありますが、そういうふうになりますと、一方で都市ガス事業者というのは、供給区域の中で大口需要者、それから小口需要者にともに供給義務を持っているわけであります。  そこで、大口需要の需要先で他のエネルギーと競合をする場合に、そのお客さんをとろうと思って、ガス事業者がその大口需要者に非常に安い値段ガス供給する。その結果、そちらで安い値段ガス供給する裏として、供給地域の中にある小口の需要家に対するガスコストがどうしても高くなって、小口需要家の犠牲において大口需要家にメリットを与える。片方で、小口需要家の方は独占供給を受けているわけでありますから競争原理が働かない、そういうようなおそれがあるのではないかというふうに思っているわけでありますけれども、そういう問題に対してどういうふうに対応していかれるつもりか、その点についてお伺いをいたします。
  86. 白川進

    白川政府委員 今御指摘の点は、この大口供給事業自由化を図っていく上で最大の要考慮点であるということで、審議会の御検討過程でも最も中心的な論点の一つになったわけでございます。  非常に多角的な観点からの検討が加えられまして、今から申し上げます四つの措置でそういった小口需要部門への悪影響の防止、ないしは今御指摘いただいたのは特に欧米で問題になっておる内部補助の問題、これも問題になっているところでございますけれども、そういった悪い結果を防止するという点につきましては、次の四つの措置が提案されておるわけでございまして、今回の法改正の立案に当たりまして、その四視点を十分踏まえたところでございます。  その四つというのは、第一には、先ほど来御説明いたしております小口需要部門大口需要部門ごとに収支を区分して管理する、いわゆる厳格な区分経理を行うという点が第一点でございます。  それから第二点は、大口需要部門が非常に過当競争で収支悪化に陥って赤字になったというような場合に、それを理由とした小口需要部門認可料金改定は認めない、これが第二点でございます。  それから第三点は、大口需要部門全体につきまして、まず年度の初めに大口ガス事業計画を私どもの方に届けていただきまして、その事業収支が著しく不安定ないしは小口需要部門に影響を及ぼすおそれがあるような場合につきましては、事業計画の変更の勧告を行う。あるいは事後的には、報告徴収措置によりまして実績を十分正確に把握いたしまして、小口需要部門への悪影響が現に及んでいるあるいは及ぶおそれがあるというような場合は、改善命令の形で是正を求めるということでございます。  最後に、供給区域の外の大口需要家に向けて導管を引くなどして供給を行おうとする場合は、その個々の供給案件ごとの許可にかかわらしめておりまして、過度の見込み投資などによりまして投下資金が回収できないようなリスクを許可の際の審査によりましてチェックをいたす、かような措置を用意いたしておるところでございます。
  87. 尾身幸次

    ○尾身委員 今のお話で、私が理解するところによりますと、要するに区分経理をして、大口需要家小口需要家向け経理区分するからそれでいいんだというふうに聞こえているわけであります。  しかし、ガス事業をやっていく上に、大口需要家向けは非常に競争が激しいからほとんど利益が出ない、小口需要家向け供給独占だから多くの利益が出る、そしてその小口需要家向けから上がった利益でもってその会社の経営の全体の資金を賄う、つまり例えば配当をするというようなことが現実に行われてくるおそれもあるのではないか。もとより大口需要家向け赤字になるとは言いませんけれども、片方が赤字ぎりぎりのところでやって、小口需要家向けがゆったりした利益を受けるというようなこともあるのではないかと懸念をするわけでありますが、その点についてはどうお考えですか。
  88. 白川進

    白川政府委員 先生指摘の点は、私なりに解釈させていただきますと、恐らく小口需要部門大口需要部門がそれぞれ負担すべきあるいは担うべき費用について、それが正確にそれぞれの部門で負担されず、本来大口部門で負担されるべき費用小口需要部門に負担され、その結果として小口料金が高くなるのではないかという御懸念かと存じます。  これは確かに問題でございますので、私どもといたしましては、ガス事業法に基づきます通産省令で、それぞれ大口部門小口需要部門でどのような費用の分担関係を行うべきか、これは専門家も交えた御検討をお願いしたいと思っておりますけれども、そういった適正かつ公正な費用の配分方法について明確に省令で定める予定でございます。この定められたところに忠実に従いまして、各ガス事業者がそれぞれ大口、小口の費用をそれぞれの部門で負担していく、それぞれの売り上げてその費用をカバーしていく、こういった基本的な観点に立った区分経理の運営をしていく所存でございます。  なお、そういったことが真に的確にかつ厳正に行われているかどうかにつきましては、公認会計士などの社外専門家による証明制度も予定いたしておりまして、第三者による公正なチェックを経て、その区分経理の実を上げてまいる所存でございます。
  89. 尾身幸次

    ○尾身委員 今お話をお伺いいたしまして、例えば小口需要家向け大口需要家向けのいろいろなコスト配分をすると思うのでありますが、両方の部門で、片方は競争原理が非常に働く、激甚なほかのエネルギーとの競争がある、片方は供給独占であるということで、小口需要家向けは相当ないわゆる売り上げ高、利益率が高い、片方は低いというような現象が起こって、そしてその会社の配当は実は小口需要家向けかなりかぶってしまうというようなこともあり得るのではないかというふうに、私はかなりの懸念を持っているわけであります。  そういう意味では私は、監督官庁としての通産省が適切に対応をして、その種のことが起こったときには必要な行政指導をやるなり必要な規制手段をとるなりしていかないと非常におかしなことになる危険性かなりあるというふうに思っておりまして、その点の法律の運用についてはぜひ厳格に、公平にお願いをしたいと思うわけでございます。その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  90. 川田洋輝

    ○川田政府委員 今回法改正をさせていただくゆえんは、先ほど来申し上げておりますような大口需要向け供給に関する料金規制参入規制緩和を行うということでございますが、この緩和に当たって、ガス事業大口需要とともに小口需要に対しても一体的にガス供給を行うものでございますから、大口需要向け供給に係る規制緩和によりまして小口需要に悪影響を及ぼしたり、供給義務の的確な遂行に支障の生ずることのないように、一定の措置で担保していることは先ほど来御説明いたしたとおりでございますが、その運用が大変大切であるという御指摘で、これはまさしくそのとおりでございます。  当省といたしましては、この法案を成立をさせていただきました暁には、その運用におきまして、都市ガスの安定的かつ適切な供給を確保しながら、需要家の利益の尊重と競争原理の導入というこの改正法案立案に際しての基本的な視点を十分重視した上で、公平かつ適正に、また、できる限り諸手続の迅速化や簡素化を図りながら、真の規制緩和になるように努力をしてまいりたい。御指摘の点、十分心得ていきたいと思っております。
  91. 尾身幸次

    ○尾身委員 次の問題に移らせていただきます。  都市ガス事業は、現実問題として、供給区域の中においては、もう一つの家庭用エネルギーのLPガスの業界との競合をかなり各地でやっていることは、先ほど来お話の出ているとおりでございます。そこで、供給区域外大口需要家導管を引いて直接取引でガス供給することができることになるわけであります。そういうときに、大口需要家であれば供給区域の外でもガス導管を引いて供給できることが将来的にLPガス業界に対する大きな脅威となるのではないかという懸念があるわけでございますが、その点についての御意見をお伺いいたします。     〔委員長退席、伊藤(達)委員長代理着席〕
  92. 白川進

    白川政府委員 確かにそのような御懸念をLPG業界の方々審議会の審議の過程で御表明になったところでございますが、供給区域の外に導管を敷設しまして大口需要家ガス供給を始めて、その後にその導管の周辺の小口需要家ガス供給を行おうとする場合には、先生よく御承知のとおり、改めて一般ガス事業者としての供給区域の設定ないしは拡張の許可を私どもから取得する必要があるわけでございます。  その際には、消費者選択が前提となりますけれどもガス事業法に基づく厳格な審査がございまして、需要への適合性、あるいはガス工作物の能力の適合性、経理的基礎があるかないか、技術的能力があるかないか、計画実施の確実性があるかないかといった点を厳重にかつ慎重に審査するわけでございます。  また、その前提といたしまして、公聴会を開催いたしましてその意見を十分しんしゃくいたしますし、さらに供給区域の拡張申請を行う際には、必要に応じて関係LPG販売業者にその概要を通知するといったような指導もいたしているわけでございます。  御指摘のように、今回の制度改正に伴いまして、供給区域外に敷設された大口導管、これにかかわる小口需要への供給につきましても、他の案件と同様、今私がるる申し上げましたガス事業法上の審査及び手続を厳格かつ念入りに踏みつつ結論を導き出していくというプロセスをとっていくものというふうに考えております。
  93. 尾身幸次

    ○尾身委員 LP業界の方で心配をしておりますのは、まず供給区域の外にどこか大口の工場とか何かがありまして、そこに供給導管を引く、これは事業家が事業を自由にできる、こういうことになるわけであります。  それで、その大口導管は当然その需要家一つ大口需要家に対する導管であるということで引くわけでありますが、一たん導管を引きますと、そこまで導管が来ているんだからぜひうちの方にも都市ガス供給してくれというふうに周辺の需要家が言い出す、あるいは言い出すような運動を都市ガス事業者が展開をするということが起こり得るのではないか。また、そういうことによってなし崩し的に供給区域の拡大が図られてしまうのではないかということを実はLPガス業界の方は大変心配をしているわけでございますが、私は、基本的には大口需要家向けに引いた導管は、その大口需要家向けのみのガス供給に限って使用するというのが基本原則である。それからまた、供給区域拡大によってみだりにその周辺の小口需要家にそこからのガス供給することのないように厳密にやっていくべきであるというふうに考えているわけであります。  そしてまた、それと同時に、先ほどの御答弁に、供給区域の設定についての許可基準で、こういう基準で供給区域の設定の審査をいたしますというのがございましたが、そこにおいて、たまたまその地域大口需要家向け導管があるという理由をもって、そこに導管があるから、非常に便利だから供給区域を設定すべきではないかというような形での運用がなされますと、事実上なし崩し的に供給区域の拡大が図られて秩序が乱れる、こういうことにもなりかねないという感じがするわけでありますが、その点についてどういうふうに対応していかれるのか、もう一度その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 白川進

    白川政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、一般ガス事業者供給区域の外の大口需要家に向けて供給をいたします場合には、個々の案件ごとに許可にかかわらしめているわけでございまして、その際、当該導管は相手方たる大口需要家への供給に必要かつ十分なものであるかどうかのチェックをいたしているわけでございます。したがいまして、その導管を敷設したことをもって、その理由でその周辺の小口需要家に新たに供給したいというようなことは、少なくとも制度の趣旨ではございません。  したがいまして、私どもの方にそのような申請がなされた場合には、導管が敷設されている、いないにかかわらず、先ほど申し上げました従来どおりの供給区域の設定ないしは拡張の際の基準審査あるいは手続にのっとって厳正に対応してまいりたいというふうに考えております。
  95. 尾身幸次

    ○尾身委員 そこで、次の質問に移りますが、LP業界の方から見ますと、都市ガス事業者の進出の脅威にさらされる一方、一体どういうメリットがあるんだというふうに考えるわけであります。  LP業者は非常に小規模でございますから、大口供給を行うというよりも、むしろまとまった需要家があれば簡易ガス事業という形でこれを行うというのが通常の例だと思うわけでございます。いろいろな実情を聞いてみますと、都市ガス事業者供給区域の中でLP業者が簡易ガス事業を新たに始めようとしても、なかなか通産局の段階で許可がおりないというようなケースがあるやに聞いております。  それからまた、簡易ガス事業の許認可につきましては、通産局で行っているわけでありますけれども、非常に厳しい運用がなされており、また、場合によっては通産局の間でその運用に差異があるというふうに聞いているわけでありますけれども、簡易ガス事業という制度がある以上は、この事業の実施が円滑になされるよう、その認可等につきましても、各通産局別に差異を設けず、積極的にこれを認めていくような改善措置がなされてもいいのではないかというふうに私は思うわけでございますが、その点についてのお考えをお伺いさせていただきます。
  96. 白川進

    白川政府委員 簡易ガス事業につきましては、今委員指摘のとおり、一定の要件のもとで、許可制のもとにあるわけでございます。  私ども、これまで供給区域の中及び外ともに申請に基づき許可を行ってきたつもりでございますけれども、特に供給区域内における事業の開始につきましては、一般ガス事業者供給区域内の需要家の利益との調整といった供給区域外にない基準及び手続面でも地方ガス事業調整協議会に付議するというのが法律上の必要条件になっておりまして、そういった付加的な手続がありますために、簡易ガス関係の皆様方におきまして、供給区域内での事業の開始が非常に困難であるという御印象を持たれている面があろうかと存じます。  簡易ガス事業の許可申請の扱い、運用あるいは手続の迅速化などにつきまして、種々御批判、御要望があることは私ども承知いたしております。今後、需要家の利益の尊重の観点に立脚しつつ、一層審査及び手続の円滑化に努め、適切な法の運用に努めてまいりたいと存じております。  それから、通産局によって運用が異なるのではないかという御指摘でございますけれども、簡易ガス事業にかかわります許認可につきましては、政令に基づきまして通産局に権限が委任されておりますが、私ども、本省におきましては、簡易ガス事業に係る許認可事務に関わる基本的方針を、昭和五十六年十一月三十日の通達をもちまして、適切な運用を図るべく努めてきているところでございますけれども、御指摘のように通産局間において運用に差異が生じるとすれば、それは決して好ましくないことであると考えております。  今後とも通産局を適正に指導することによって、運用に差異を生じることのないように努めてまいりたいと存じます。
  97. 尾身幸次

    ○尾身委員 そこで、この法案の作成に当たりまして、通産省がLP業者を含めました関連業界に対しましても相当な配慮をしながらこれを提案したということは私ども理解をしているわけでございますが、しかし、配慮があるといっても、この法律によって、将来、LP事業者としては非常に不安があるということも理解できるところでございます。  そこで、今後、通産省がLP業界の発展に向けてどうやって腰を据えて対応していかれるつもりなのか、その点についての御意見をお伺いをいたします。
  98. 川田洋輝

    ○川田政府委員 LPGは一次エネルギー供給の五%を占めるという非常に大きなエネルギー供給産業でございます。家庭用、自動車用などの国民生活に関係の深い分野及び広範囲な産業分野で利用されている重要なエネルギーの一つであるという認識を持っております。  さらに、地球環境問題の高まりの中で、クリーンなエネルギーとして、LPGの活用が今後とも重要なものになると認識をいたしておるところでございまして、先ほど石油部長からも御紹介申し上げましたように、今回の長期エネルギー需給見通しの中では、LPGを一つのアイテムとして論議対象とさせていただいているところでございます。  また、当省といたしましては、従来から民間備蓄の義務づけ、これは輸入量の五十日分の備蓄をしていただいておりますが、それとともに、さきの中東湾岸危機で、LPGの安定供給に懸念が生じたということもございまして、今後はその備蓄につきまして、国家備蓄制度を設けていきたい、こういうことで、LPGの安定供給の体制を確立したいというように考えております。  また、LPGを利用する省エネ機器の開発あるいは利用促進、環境対策に資するLPガス自動車の普及促進などの需要促進策、さらに競争環境の整備などを実施してまいっているところでございますが、今後これらについて一層の充実を図っていきたいと考えております。  なお、今後の施策につきましては、現在、LPGビジョン検討委員会及びLPガス保安対策のあり方研究会におきまして、総合的なLPG施策の展開について検討を進めていただいているところでございまして、これらの検討結果も踏まえまして、国民生活に低廉かつ安定的なエネルギーを供給する、活力のあるLPG産業の形成に今後とも努めてまいりたいと考えております。
  99. 尾身幸次

    ○尾身委員 これからのエネルギー供給につきましては、何といっても生活、産業の基礎的なものでございますので、安定供給が必要であり、また同時に需要家の選択の自由ということが基本になるのではないかというふうに私は考えているわけでございます。  そしてまた、今回のガス事業法の改正は、都市ガス業界にとりましても大変大きな構造改革でありまして、また、そういう事業にとってのこれからの社会的な責任も非常に大きいと思うわけでございますが、今後のガス事業の展開がどうなるのか、また、これに対する政府立場がどうなのか、この点について最後に、LP業界につきましても都市ガス業界につきましても、取りまとめまして通産大臣のお考えをお伺いをさせていただきまして、私の質問を終わりとさせていただきます。
  100. 畑英次郎

    畑国務大臣 今回の法の改正に伴いまして、それぞれの業界におきましての事業の効率化等、あるいはまた需要者に対するサービスの向上等々、こういうようないわゆる期待される分野、そしてまた今尾身先生から御指摘がございましたような従来の業界における懸念材料、こういうものに対しましては本日も種々先生方から貴重な御意見をいただいたわけでございますが、この辺に十分留意をいたしながら、そしてまた、この供給事業につきましては安全性確保ということをこれからも重要な基本的な姿勢としまして、重要要素としてとらえて取り組みを展開をしてまいりたいなというふうに考えております。  本日の先生方の御意見をさらに十分踏まえての事業展開に私どもは取り組まさせていただきたい、かようにお誓いを申し上げる次第であります。
  101. 尾身幸次

    ○尾身委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  102. 伊藤達也

    ○伊藤(達)委員長代理 早川勝君
  103. 早川勝

    ○早川委員 大分夜も遅いわけでございますが、できるだけ効率よく、一分でも二分でも短縮ということで協力をしたいと思っております。  私は、石油公団法の一部を改正する法律案を中心にいたしまして、質問をさせていただきます。  先ほど来質問が行われておりまして、幾つか重複するわけですけれども、できるだけダブらないように質問をし、そしてまたお答えもそういうサイドに配慮していただけたらと思っております。  最初に、これは大臣御存じのことだと思いますので、文字どおり概論的な問題でぜひ実態を伺いたいわけでございますが、いわゆる我が国のエネルギー源の現状を極めて大ざっぱに特徴的に話していただければと思いますし、その中で天然ガスの位置づけをどのように考えていくのか。先ほど来数字等がございますけれども、非常に概略的で結構でございますので、お話をいただきたいと思います。
  104. 畑英次郎

    畑国務大臣 御案内のとおり、我が国におきましては、過去二回にわたります石油危機、こういった問題で、国民的なこの分野に対する関心、そしてまたエネルギー利用の効率化が進展しましたことも御案内のとおりであるわけでございます。  そういう中にございまして、何といっても、我が国の場合におきましては、エネルギー供給構造が極めて脆弱である。この点をベースにあらゆる問題を考えていかなければならない、こういうふうに考えるわけでございまして、第一次石油危機以降、御案内のとおり、石油依存度が低下をいたしました現状の中で、天然ガス等のシェアが上昇しまして、多様化が進展をしつつあるということであるわけでございますが、いずれにしましても、従来から依然としてエネルギーの輸入依存度が高い水準にあることは御案内のとおりでございます。  天然ガスの位置づけにつきましては、先ほど来御指摘がございましたとおり、すぐれた環境特性、供給安定性の観点から、今後とも当然のことながら重要なエネルギー資源一つとして位置づけられておるところでございます。今後は安定した供給確保のための取り組み、そしてまた、ただいま申し上げました供給構造が極めて脆弱である、絶えずこの点に留意をしながら努力を重ねていかなければならない、かように考えておるところでございます。
  105. 早川勝

    ○早川委員 そこで、先ほど天然ガスの特徴については環境面等を中心にして指摘がありましたが、コストの問題についてはなかなか複雑な答弁をされたような気がいたします。コスト面での特徴というのは、他のエネルギー源に比較して何かございますか。
  106. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 LNGにつきましてのコストでございますが、LNGは昭和四十四年から我が国に導入されたわけですが、その当時はコストをカバーする形で石油に対しまして経済性があったわけでございますけれども、その後、原油価格とのリンクのもとに天然ガス、LNGの価格が設定されておりまして、原油価格と大体イコールであったわけでございますけれども、先ほど来お話ししておりますように、LNGプロジェクトの開発環境が大変厳しくなっております。  そういった意味で、今後のプロジェクトにおきましては、経済性をどう保つのか。現在のような原油価格の低迷でありますとLNGの経済性というところに心配がございますので、経済性確保のためには種々の対応が必要ということでございます。これは石油価格、原油価格の今後の推移いかんにもよるわけでございますけれども、従来のようなLNGの経済性ということについてはいろいろな工夫が要るという点は指摘できるのではなかろうかと思っております。
  107. 早川勝

    ○早川委員 今までですと、原油価格よりも安いコストで始まって、クロスをして、今はほぼ原油価格にパラレルに動いている、こういう表現をされたのですね。  これからの将来価格の展望というのは、今のような形で原油価格にパラレルに動いていく可能性が強いのか。先ほど来、開発の困難性だとか投資環境等々の困難な事情、条件が指摘されたわけですね。そういったことを考えると、いわゆる自立、独立して離れて、あるいは原油よりも高くなる可能性もあるというふうに見通すことができるわけでしょうか。
  108. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 将来のエネルギー間の経済性を比較するのは大変見通しが困難でございます。原油価格一つとりましても、二〇〇〇年、二〇一〇年をどうするかということは、私どもの見通しあるいは国際機関での見通しでもさまざまでございまして、その点、経済性の比較というのは将来にわたりましては大変困難ということかと思っております。  ただ、エネルギー間の比較をする場合に、経済性だけでなくて、安定供給性それから環境性、そういった総合的な観点、あるいはエネルギーのベストミックスというような視点もあろうかと思います。そういった意味では、先ほど来言われておりますように、天然ガスにつきましては、環境特性、供給の安定性、そういう面もございますので、経済性につきましての不透明さはございますけれども、そういった天然ガスの特色を生かした形でエネルギー政策の中で使用されていくのではなかろうかと思っております。
  109. 早川勝

    ○早川委員 それでは、天然ガスのいわゆる世界の埋蔵量は、先ほどの数字で六十四年分とかそういう絶対量も指摘されたわけでございますが、我が国が現在、天然ガスとしての全消費量のうちの何%を一体消費しているのだろうかというのが第一点ですね。  第二点目は、今度は貿易に絡んでのウエートを知りたいわけでございますが、LNGの貿易量、その中で一体日本はどれくらい輸入しているのだろうか、シェアとしてどれぐらい占めているのだろうかというのが二点目であります。  そして、それが先ほど来議論になっておりますように、見通しされている二〇一〇年には、国内の今の九・八ですかのウエートを一二まで上げるのだ、約一〇%を一二%に引き上げる、現在の消費量の五〇%増を見通しているのだ、たしかこういう指摘があったと思いますが、先ほど言いましたように、世界に占める、つまり消費量とLNG貿易量における現在のウエート、そして、二〇一〇年に一体どれぐらい日本はウエートを占めるのだろうか。そのあたり、もし見通しがありましたら教えていただきたいと思います。
  110. 川田洋輝

    ○川田政府委員 それでは、二つに分けて御説明申し上げたいと思います。一つ世界の中での日本のシェア、もう一つ日本の中での天然ガスのシェアということで御説明いたします。  まず、最初でございますが、一九九二年の世界の天然ガス消費量は約二兆一千六十二億立方メートルでございます。地域別消費量は、東欧、旧ソ連が七千四百十八億立方メートル、全体の三五%、南北アメリカが七千百三十五億立方メートル、全体の三四%、西欧が三千百四億立方メートル、全体の一五%、アジア・太平洋が千七百九十八億立方メートル、全体の九%、中東が一千百八十五億立方メートル、全体の六%、アフリカが四百二十三億立方メートル、二%となっております。世界の消費に占めます日本のシェアは約三%の五百四十八億立方メートルであります。  こうした消費のうち、天然ガスの貿易量は約三千四百億立方メートルで、世界の生産・消費量の約一六%に当たります。  また、天然ガス貿易のうち、LNG輸送によるものは約八百九億立方メートルで、これはおよそ二四%に当たります。  なお、日本の天然ガス貿易、LNG輸送に占める割合は、おのおの一六%、それから六五%という比率を占めております。  それから、天然ガス日本における位置づけでございますけれども我が国において天然ガスが一次エネルギー総供給に占める割合は、オイルショックのございました一九七三年度は一・五%でございました。これが一九九二年度には一〇・六%にまで達しており、石油の五八%、石炭の一六%に次ぎまして、原子力の一〇%と並ぶ第三のエネルギー源になっております。その供給安定性などからも、今後も一層の需要の増大が見込まれるというところでございます。  将来の見通してございますが、最初に大臣から数字を申し上げましたとおり、現在の需給見通しによりますれば、二〇一〇年度では一二・二%の見通しに相なっております。  現在、総合エネルギー調査会需給部会で長期エネルギー需給見通しの検証作業が行われておりまして、近々取りまとめが行われますが、その中でも、絶対量は微増、シェアでも若干の増加というような水準になるのではないかという検討がなされておる状況にございます。
  111. 早川勝

    ○早川委員 私が聞きたかったのは、九二年の天然ガス、そしてLNGのそれぞれの貿易量の中で、我が国は、前者は一六%、そして後者は六五%と言われているんですね。それが二〇一〇年にどれぐらいになるかということで、今答弁がございませんでしたが、もし微増だとしても、あるいは横ばいたとしても、一言で言えば、LNGの世界貿易量の六五%、約七〇%弱はまさに日本が占めているということになるわけですね。それでよろしいですね。次に答弁する機会があったら直してもらっていいです。
  112. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 世界全体の天然ガスの長期見通しはIEAが昨年しておりますが、その際、二〇一〇年の時点におきましては、およそ二%強の天然ガスの伸びを想定しております。  先ほど長官がお話ししていましたように、現在、新しい長期需給見通しの検証作業をやっておりますが、それもほぼ同じような伸びなのではなかろうかと思っておりますので、二〇一〇年におきましても、世界的に地球環境問題の高まりの中で、天然ガスの需要が微増ないしはやや増大する中でございますので、シェアはほとんど変わらない、あるいはLNG貿易の中におけるシェアも余り変更はないのではなかろうかと私どもは思っております。
  113. 早川勝

    ○早川委員 それに関連して、簡単に、どこの国から我が国は輸入をして、そして、先ほどの議論にもありましたけれども、二十一世紀に向けて、太平洋諸国が恐らく世界の中でも経済発展の非常に高い国になっていくだろうと見通される。そうしますと、当然、エネルギー源として好ましいという特徴づけがされたわけでありまして、それへの依存がそれぞれ高まっていくだろうというふうになると、我が国が同じように六五%前後のシェアでもって、貿易量の六五%前後を占めるにしても、相手国がかわってくるんではないかと思うのですが、そのあたりの見通しはどう立てられておりますか。
  114. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 先ほど来、LNGあるいは天然ガスの二〇〇〇年、二〇一〇年における調達量というものの御説明をしたわけでございますが、その調達総数、中身につきましては変化があるのではなかろうか。特に、現在、我が国へのLNGの半分を占めておりますインドネシア、これが二〇〇五年以降半分くらいが輸出が難しくなるのではなかろうか。  そういたしますと、これからのLNGの消費、需要増と、今我が国への主力の輸出先でありますインドネシアの落ち込み、そういったものをどういう形で新しいプロジェクトで対応するか。そのために、現在いろいろなプロジェクトはございますけれども、それぞれのプロジェクトが種々の問題を抱えている。その問題点を今回の公団法の改正によりまして、公的支援の一層の充実によりまして、幾つかの有望なプロジェクトを二〇一〇年に向けまして具体化するということが今現在重要な課題になっているのではなかろうかと思っております。
  115. 早川勝

    ○早川委員 その場合に、インドネシアが約半分だということで、それは確保できないということでプロジェクトの話が出たわけですが、地域的に動いていくということは考えられますか。  つまり、アジアから、先ほどもカタールとかサハリンだとかいう話が出ましたが、つまりロシアの方に動いていくとか、あるいは中東の方にこのLNGの供給源を求めていかざるを得ないという方向になるのか。あるいは、技術的な問題点をすべて解決すれば、例えばアジアの中で、パプアニューギニアでしたか、そういうところでも、あるいはアジアに近いところから確保できるというふうに見通されるか。どちらに可能性が強いと思われておりますか。
  116. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 現在、LNGにつきましては東南アジアの地区から七割ということで、この点が石油の調達と違うわけでございますが、インドネシアからの将来の供給が難しくなる場合に、現在カタールのところで、中東は大体五%から六%のウエートがございますけれども、カタール・プロジェクトが実現した場合には、その中東のウエートがやや高まってくる。  ただ、今後どうなるかというところにつきましては、私どもはいろいろなプロジェクトが想定されているのではなかろうかと思っております。大規模なプロジェクトといたしましては、アラスカのノーススロープあるいはサハリン、インドネシアのナトゥナなどが期待されておりますし、また中小規模のものでは、マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア、オマーンなどいろいろなプロジェクトが現在あるわけでございまして、従来、LNGにつきましては供給ソースが比較的安定しているという特性があったわけでございますけれども、中東依存が高まりますとまた石油のようなセキュリティーの問題も出てまいりますし、そういった意味ではいろいろ供給ソースの多角化を図りながら、しかしながら、経済性の面からいきましても大規模プロジェクトをどうやって確保するかという面もございますし、輸送距離の問題、いろいろなことも考えながらやっていかなければならない。  そういった意味では、今考えられておりますいろいろなプロジェクト、我が国のエネルギーの安定供給という観点から、重要なものにつきまして実現できるような体制を今から確保していくということが重要かと思っております。
  117. 早川勝

    ○早川委員 ちょっと戻りますけれども日本の需給の需要の部分でちょっと聞きたいところがあるわけですが、今のLNGの六八%、七割弱が電力に使われている、あとは民生用というのですか、都市ガスにはその残り三割ぐらいですか、そういったウエートで使われているというふうに伺っているわけですが、この傾向は二〇一〇年に向けても大体こんな傾向で進んでいくものか。  あるいは、先ほど来のLPGの絡みでもあるのですが、天然ガスのウエートが約一〇%から一二・二%、一二%に上がりますよ、そうするとそれの消費される、使われる分野もおのずから変わるのだ。つまり、外国と比較すれば、日本はいわゆる産業用の方に使われるというのが一般的で、民生用のウエートが低いというのがあらゆるエネルギーの特徴だと思うのですけれども、二〇一〇年にかけて天然ガスの今のウエートもそのまま大体横に行くと見通されているのか。  先ほど来話がありましたように、いや、最大限民生部門にもそれをどんどん活用していくのだというふうに見通されているのか。もしシミュレーション等、あるいは見通しで結構ですけれども、ありましたら出していただきたいと思います。
  118. 川田洋輝

    ○川田政府委員 現在の天然ガスの需要を大まかに言いますと、七〇%が電力用、三〇%が都市ガス用その他、都市ガスが多分二〇%をちょっと超えるぐらいのウエートを占めているのではないかと思います。  今後でございますが、いずれにしても天然ガスの需要は、一二・二%という数字を先ほど申し上げましたが、今後ある程度の増大を見ていくわけでございます。電力用需要につきましても伸びてまいりますし、都市ガス用需要についても伸びてまいります。  ただ、伸びの度合いは、今私ども先ほど申しました総合エネルギー調査会の需給部会で数値の細かい検討を行っている最中でございますけれども都市ガス需要の伸びの方が大きいのではないか。現在、都市ガスの中に占めます天然ガスのウエートも高まっていきまして、その伸びのウエートの方が少し大きいのではないかと思っております。大きな違いが出てくるものではありませんが、心持ち電力用よりは都市ガス用需要の伸びの方が大きいかというように見ております。
  119. 早川勝

    ○早川委員 そこでもとに戻りますが、これからの天然ガス安定需給、確保しなければいけないということなんですが、先ほど天然ガスの問題について、公団が公的支援をしなければいけないという理由を三点ほど挙げられておりました。  そこで、その中の一つに関連すると思うのですが、今までの石油開発と、現在もそうですけれども、それと比較した場合の天然ガス開発の、いわゆるエネルギー戦略とよく昔から言われたわけですが、先ほど湾岸の話が出ましたし、第一次、第二次石油危機の話がございましたけれども、そういった意味での戦略面での、いわゆる安定確保という意味での優位性みたいなものは出るわけですか。つまり、石油開発と天然ガス開発とメジャーとの関係、先ほどちょっと言われたわけでございますけれども、そういうエネルギー確保の戦略面での特徴、優位性というのは考えてよろしいわけですか。
  120. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 石油開発と比較いたしまして、天然ガス開発の戦略面で二つほど特色があるのではなかろうかと思っております。  一つは、天然ガス開発プロジェクトは、石油開発プロジェクトと異なりまして、液化段階が必要となるなど資金面で大きな負担を伴いますことと、また石油のようにスポット的な市場というのは無理でございますので、そういう意味ではユーザーとの長期契約が必要となりますので、いわばマーケティング、そのユーザーとの関連ということで、これは石油開発の場合のメジャーの戦略とはかなり違うのではなかろうか。メジャーも消費国、ユーザーとの連携をしないとなかなか大型の天然ガス開発プロジェクトを推進できないというマーケティング面での特色が一つかと思っております。  二番目は、天然ガス開発プロジェクトにつきましては、探鉱段階はもとよりでございますが、開発段階におきましても大きなリスクがございますので、国際石油メジャーのような場合にも、資金面、マーケティング面で他の事業者と共同していく、そういう意味で複数の事業者が共同してやる、そういう意味でのプロジェクトの性格、特色というのがあるのではなかろうかと思っております。     〔伊藤(達)委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 早川勝

    ○早川委員 そういった意味で、日本がエネルギーを安定的に確保するという意味では一歩新しい方向へ踏み出せるという今説明でございましたが、そういうことに立って考えてみますと、先ほども議論がありましたけれども一つのプロジェクトが四十億から五十億ドルというと、円換算にしますと大体五千億前後になるわけですかね、レートで動きますけれども。そういった資金をどうやって確保していくかという問題が実はあるわけですね。  石油公団の資金収支の中から、政府出資金と政府交付金と政府補給金、たしか補給金には備蓄の部分も入るわけですかね、いずれにしろ政府絡みで石油公団に出している資金を調べたわけです。そうしますと、最近十年間を大ざっぱに言いますと、そのウエートは、昭和六十年は、政府出資金と政府交付金と政府補給金の公団の資金運用トータルに対するウエートは二〇%、つまり五分の一ぐらいのウエートでした。今度の平成六年度予算では、政府出資金と政府交付金と政府補給金で四千百三十億円で、ウエートが二五・一で約四分の一。若干波があるわけですけれども、割と政府から出している金がふえてきているというふうに考えるわけです。これからプロジェクトを考えていった場合に、先ほど一プロジェクトで五、六千億円と。一つだけじゃなくて並行していけば、もちろんこれは支出総額ですから年度においては違うと思うのですけれども、これまでの公団に対する政府からの支出あるいは政府からの受け入れですが、その額については減ることはないと思うのですけれども、どんな期待感を持っておりますか。どういった形で財源を確保していこうとされているのか。これは見通しというより期待あるいは必要性と言ってもいいかもしれませんけれども、その点の見通しはどう考えておりますか。
  122. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 石油公団は二つの大きな事業を持っておりまして、一つは備蓄でございますが、もう一つが今議論されております開発でございます。  この開発関係、備蓄関係の予算は、石油対策特別会計という石油の受益者負担のもとの特別会計で対応されているわけでございます。この予算自体は、石油税の収入の伸びに見合って石油公団のそれぞれの事業、開発事業、備蓄事業が行われるわけでございますが、現在議論されておりますこの石油公団の今回の天然ガス開発に対する公的支援、これを強化することに伴っでどのような将来の予算案が想定されるのかというところは、先ほどちょっと議論がございました。  この天然ガス開発プロジェクトについてどういう形で今回の出資及び債務保証の組み合わせがなるか、その辺がまだ見通せませんので、今回の法改正に伴っての予算の伸びというのは想定されませんが、それ以外の従来の既存の開発関係、備蓄関係につきましてはそれほど大きな伸びではございませんけれども、それぞれ現在五千万キロリッター体制ということで国家備蓄につきましての充実も図っておりますし、石油の分野につきましても、三割の自主開発原油を確保するという形で開発事業をやっておりますので、そういった事業に合わせた形での着実な伸びというのは想定されますが、定量的な形では現在まだ私どもとしては確かなものは持っておりません。
  123. 早川勝

    ○早川委員 先ほど尾身委員質問されてとめた部分にこれからは入っていくと思うのですが、まさにどうしてこの資金を確保していくか。しかも、先ほど来の話ですと、リスキーな部分が高まるという話。おのずからそうですね。今までよりもある意味コストがかかっていく、そういう分野での開発につながっていくことになるわけです。  そこで、これは大臣に伺うわけでございますが、現在もそうですけれども、二〇一〇年になってもLNGの貿易量において日本の占めるウエートは六五%、つまりLNGの貿易の世界においては日本がもう七割を占めているんだ。非難を受けることはこれ以後どうしても避けなければいけないと思います。  それから第二点は、先ほど来の答弁にもありましたように、明確には言われておりませんでしたけれども、アジアよりも中近東の方、あるいはシベリア、ロシアの方に供給源がどうも動いていくのではないかというふうに私などは理解したわけですね。そうしますと、現在もそうですけれども、いずれも言うところの中進国とかあるいは発展途上国、そういったところからまず非難をされないようにどうしたらいいのかなと。そして信頼を得て、安定的に確保するということにつながっていくわけですね。  そういった面で、今までのいわゆる経済外交あるいは外交というのは、日本は非常に現実主義で、利益中心主義で、短期的で、そして自国中心主義というようないろいろな批判がされているわけでして、これからはそれらをすべて転換していかなければいけない。理想主義的なものを掲げて、長期的なスパンでもって物を発想し、対応していく、これが必要でありますし、経済主義だけではもはや通用しないだろうというような感じを持つわけでして、同時に長期的な安定を展望した対応をしていかなければいけないというふうに考えるわけでございます。  通産省として、これまでの資源外交を含めて、この機会に転換するという決意なりあるいは具体的な方向がありましたら、これは大臣にお答えいただきたいと思います。
  124. 川田洋輝

    ○川田政府委員 大臣のお答えの前に一言御説明をさせていただきます。  今の御指摘の点は大変大切な点で、先ほども触れさせていただきましたが、日本のこれからのエネルギー政策の中で世界を考えてやっていくというのは非常に大事なことだと思います。特に、日本の置かれている地理的条件から、アジア・太平洋地域を考えていくことが大事だと思っております。  その中で、我が国に大切なエネルギーを供給してくれる国々との協力関係、これはエネルギーを通じての協力関係というのが一つございます。  それから、やはり大切なエネルギーを供給してくれるという関係を円滑に成り立たせていくためには、それ以外の関係についてもいろいろなことで協力関係を築いていくことが大切なことではないかというように思っておりまして、今までは石油についてそれが非常に言われていたわけですけれども、これからは、石油に限らず、石炭、天然ガス、そういった幅の広いエネルギーについてそういうことを考えていくことが必要ではないかというように思っております。
  125. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま種々御指摘を賜ったわけでございますが、何としましても、我が国のエネルギー分野の実態からいたしまして、いわば平生往生、先ほども申し上げたわけでございますが、平素からそれぞれの諸外国との信頼関係を密にしておくということがすべて前提になければならぬというふうに考えるわけでございますし、なおまた、こういった事業を通しましてその国にも技術開発等々のプラスの要因をつくり出す、そういうことに十分気を配りながらの取り組みが大切であろうかというように考えます。一時的ないわゆる我が方の必要だけに応じての取引をやるというようなことではなくて、あくまでもお互いがプラスの要因をつくり出す、そういうような心構えの中で事業の展開を図ることが大切と、かように考えておる次第でございます。
  126. 早川勝

    ○早川委員 最後に、簡単に答弁いただければいいと思いますが、今の延長線上からして、今までの本会議でも予算委員会でも大臣聞かれていると思いますが、来年は終戦あるいは敗戦といろいろな表現がございますけれども、五十周年を迎えるわけですね。何らかの国会決議の必要性が議論されておりまして、社会党は明確に持っておるわけでございますけれども、節目として、まさにアジアはもとより世界から信頼されるための国会としての行動、アクションの一形態として、平和とか不戦だとかそういった誓いが国会決議で求められていると思いますが、その必要性についての大臣としての感想を伺いたいと思います。
  127. 畑英次郎

    畑国務大臣 私は、とりわけアジアの諸国の方々に対します。ただいまのこのエネルギー問題等々、そういうことも踏まえてと申し上げるといささか打算的になるかもしれませんが、五十周年という一つの区切り、これにはやはりいろいろ大変な御迷惑をかけた分野、そういった方々に心から遺憾の意を表しながら、平和を祈念するというような強い意思表示をすることは極めて大切ではなかろうかなと、かように考えております。
  128. 早川勝

    ○早川委員 終わります。
  129. 白川勝彦

    白川委員長 次に、大畠章宏君。
  130. 大畠章宏

    ○大畠委員 日本社会党の大畠章宏でございます。  私は、ガス事業法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。  この法律案は、既にいろいろ御質疑がされておりますけれども規制緩和により消費者など需要家のエネルギー選択肢を拡大し、また、自由競争により消費者利益の確保を図ろうとするものであり、基本的に賛成するものでありますけれどもガス事業者に対する影響等を考慮して、幾つかの観点から、その内容を明確化するため質問させていただきたいと思います。  なお、既に御質問等がありますので重複は避けたいと思いますけれども、社会党として質問させていただきますので、あるいはまた重複するところがあるかもしれません。その点は御容赦をいただきたいと思います。  今日の私たちの日常生活に対してガスというものは大変便利なものでありまして、幾つかのガス事業者の方がおられますけれども、電力においてはベストミックス、それぞれの得意な分野がお互いに補完し合いながら需要者の要求を満たしていこうというのがベストミックス的な考え方でありますけれどもガスにおいても私はそのような考えがあって当然だろうと思います。したがって、都市ガスの得意な分野あるいはまたLPガスの得意な分野、そういうものがお互いに補完し合いながら、今日の日本消費者といいますか需要者の要求を満たしていくという体制を、今後とも通産省としてはきちっとバランスをとって行っていくことが大変重要だと思います。  第一点の質問に入りますが、まず、規制緩和による自由競争下の消費者の利益の確保、これを第一点として質問させていただき、二点目には、この法案の改正により影響を受けるだろうというLPガス事業者の保護対策、三点目には安全対策、そして四点目にはガスエネルギー政策について御質問させていただきたいと思います。  最初に、今回の法改正による消費者利益の確保という観点から質問させていただきますが、ガス料金についてでございます。  いろいろともう既に御質問されておりますが、大口ガス供給等の導入によりまして、自由競争等によりいろいろと変化が起きるわけでありますけれども、今回の法改正によって小口一般消費者に不利益にならないような対策をすることが必要であるという声があります。既に御答弁の中で、大口ガス供給と小口一般消費者用の事業とに経理を分ける等々の対策をしながらやっていきたいという話がございました。この件についてもう一度簡潔に御答弁いただきたいと思います。  そして二点目には、この大口ガス供給増加により、結果としてその事業者の経営効率がよくなる、したがって小口の消費者に対するコストというものもダウンすることができるんじゃないかという期待もございます。この件についてもあわせてお考えを御答弁願いたいと思います。
  131. 川田洋輝

    ○川田政府委員 当省といたしましては、大口需要向けガス供給に係る規制緩和によりまして、小口需要部門における原価低減効果の発揮を期待しているところでありますが、一方、御指摘のとおり、大口需要部門の収支動向が小口需要部門へ悪影響を及ぼすことがないようにすることが必要と十分に認識をいたしております。  このため、本年一月に取りまとめられました総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会報告書における指摘も踏まえまして、以下の措置を講じてまいる所存であります。  すなわち、第一に、ガス事業において、小口需要部門及び大口需要部門ごとに収支を区分して管理するいわゆる区分管理を行わせること、第二に、大口需要部門の収支悪化を理由とする小口需要部門料金改定は認めないこととすること、第三に、一般ガス事業者大口需要供給する場合、大口需要部門の全体の収支について、当省が事前及び事後に把握し、所要の是正措置を講ずること、第四に、一般ガス事業者が自己の供給区域外大口需要供給しようとする場合には許可を要することとし、適切なコスト回収が行われないことなどのおそれがある場合にはこれを認めないこととすること、以上の措置によりまして、小口需要に悪影響が生ずることのないよう万全を期してまいる所存であります。  一般家庭などの小口需要家に対するガス供給につきましては、他燃料への転換が容易でございませんで、価格交渉力のない小口需要家については、その利益を保護するために引き続いて現在の規制一般ガス事業者に課すことといたしておりますが、総合エネルギー調査会の都市熱エネルギー部会報告書にもありますとおり、一般的には、今般の規制の見直しによりまして、大口需要部門が拡大をして規模の経済性が発揮されることなどによりまして、一体的に供給される小口需要部門の単位需要当たりの原価の低減効果が見込まれること、ガス事業者に他燃料との競合意識が高まり、経営の一層の合理化が期待されることから、一般家庭などの小口需要家も含めた全体としての原価低減効果が期待されるものと認識をいたしております。  なお、当省としては、小口需要家の利益の増進についても極めて重大な関心を持っておりまして、今般の法改正による効果を期待するだけではなく、負荷調整契約の一層の活用、需要家の工事負担金のあり方の見直しなどを行うことによりまして、小口需要者の利益の増進を図ってまいりたいと考えております。
  132. 大畠章宏

    ○大畠委員 次に、先ほど尾身委員の方からも質問がございましたけれども消費者の方からの関心という点から申し上げますと、大口ガス供給のパイプライン周辺に住む消費者が、ここにパイプラインが通っているんだからうちの方にもこのガス供給をしてほしいという要求は十分想定できるわけであります。  しかし、この問題については、既に尾身委員の方からも御指摘がありましたとおり、それを安易に行った場合には、その周辺の他のガス事業者に対する影響が多大なものでありますから、そう安易には即応することはできないと考えます。しかし、だからといって、消費者のそういうニーズに対して、できないんだというだけでは、消費者観点からいうと十分ではない。したがって、何か工夫をするといいますか、例えばその周辺のガス事業者方々が、ニーズがある地域に対して新たにガス事業申請を行って、都市ガスといいますかガス事業に参入をするということも十分考えられます。  したがって、そういうことを考えますと、尾身先生からもお話ありましたように、そのような新たに都市ガス事業に参入する希望者の方が申請をした場合には、速やかにその事業の認定をし、その事業に参入することができる環境を整えることも、一つ消費者の方の要求、さらにはその地域ガス事業者の方の保護も行うという観点からは、そういうことも考えられると思うのですけれども、現在、このような要求があった場合、どのような支援策といいますか、どのような対応をとろうと考えておられるのか、この件についてお伺いしたいと思います。
  133. 白川進

    白川政府委員 供給区域外に延びた大口向け導管の周辺の小口需要家が、新たにガスの需要集団としてガス供給を受けたいという御希望をお持ちのときのお尋ねでございます。  これは、当該ガス導管を敷設している一般ガス事業者であるとそれ以外の事業者であるとを問わず、まさに法のもとの平等のもとで、ガス事業法上の一般ガス事業者としての事業の許可ないしは供給区域の設定ないしは拡張の許可申請をしていただいて、幾つかの要件がございますけれども、その要件に合致しておれば、ガス事業開始の許可ないしは供給区域の拡張の許可を行い得るわけでございます。  したがいまして、原則的には、制度的にはそういった道が開かれているということでございますけれども、今具体的にお尋ねの、大口向け供給導管の周りの別のガス事業者がそういった一般ガス事業を新たに営みたいという場合は、恐らく別の一般ガス事業者から天然ガス等のガス供給を受けることになろうかと思いますけれども、それについては、それぞれ卸供給にかかわる供給条件について、一応私どもの方で、その内容が適正かどうかをチェックさせていただいて、認可をさせていただくということに相なるわけでございます。  今委員お尋ねの、まさにそのものずばりではございませんが、現にLPガス販売事業者が、共同出資なり、あるいは出資をして子会社をつくり、それが都市ガス事業を営んでいるというようなケースは、私どもの手元にある記録で十三社ございますので、そのようなことは十分可能であろうかと存じております。
  134. 大畠章宏

    ○大畠委員 次に、今お話がございましたLPガス事業者の保護といいますか支援対策ということについてお伺いしたいと思います。  いずれにしても、今回のこの法改正で一番直接的な影響を受けるのはLPガス事業者の皆さんだと思うのです。そこで、今回の法改正でいろいろな影響が出ますけれども、冒頭に申しましたとおり、ベストミックスといいますか、都市ガスとLPガスの特性があるわけですから、私も田舎の方ではLPガスのお世話になっております。そういう意味から、ぜひバランスのとれた保護政策といいますか育成政策が必要だと思うのですが、今回この法改正で影響を受けるLPガス事業者の皆さんに対する競争条件整備のための支援策として幾つか挙げられると思うのですが、この件について、尾身委員の方からもお話がありましたけれども、どのような支援策を考えているか。  さらに、今回の大口供給の定義というものについて、年間契約約二百万立米以上としているわけでありますけれども、万一改正する場合には、関係する事業者に対する影響を考えて、尾身委員からもお話がありましたように、みだりに変更すべきじゃないと私も考えているところであります。  この問題について、尾身委員からも質問があり、答弁があったわけでありますが、LPガス事業者支援策並びにこの件について改めてお伺いしたいと思います。
  135. 川田洋輝

    ○川田政府委員 今回の規制の見直しにおきましては、LPGなどの関連業種に属する事業者に対する影響に関しても十分配慮しなければならないという認識を持っていることは先ほど来申し上げているとおりでございますが、この認識のもとに、この議論を進める際に、LPG業界を含む関連業界の代表の方々にも、法改正に至ります総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会の審議に委員として御参加をいただいたところでございまして、LPG業界からの御意見も十分踏まえながら審議会におきまして審議を尽くした結果、今回の規制見直しを提案させていただくに至ったものであります。  なお、改正のみに関してちょっと申しますと、LPG事業者の需要家のほとんどは小口の需要家でありまして、大口需要家にLPGを供給している事業者はほとんどが比較的規模の大きな企業であることもありまして、今回の大口供給に係る規制の見直しにより、LPG事業者の経営に直接的に深刻な影響を及ぼすということは想定しがたいというように私ども見ております。  しかしながら、LPガス全国総世帯の約六割に当たる二千四百万世帯で利用される国民生活に必要不可欠な重要なエネルギーでございます。今後とも着実な需要増が見込まれております。先生指摘のとおり、それぞれの特徴を生かしながら十分な安定供給を果たしていっていただくということで、LPガス販売事業の健全な発展を図るということは大変大切であるというように思っておるところでございます。  そういうことで、各般の施策を、今まで講じております施策を今後とも充実強化してまいりたいということで考えておるわけでありますが、さらに流適合理化を中心として、LPGビジョン検討委員会あるいは保安規制あり方についてのLPガス保安対策のあり方研究会などにおきまして、総合的なLPG施策の展開について検討を進めさせていただいております。こういった場を通じまして、LPGをめぐる競争環境の整備を図りながら、活力のあるLPG産業の形成に向けて一層の施策を検討してまいりたいというように思っております。  それから、大口ガス供給の定義に係る問題につきましても、先ほど公益事業部長から御答弁申し上げましたとおり、慎重に今後検討してまいりたいというように考えております。
  136. 大畠章宏

    ○大畠委員 重複することは避けたいと思いますが、いずれにしても、新規参入事業の許認可の事務手続がいろいろ煩雑だ、あるいはまた申請してもなかなか認可がおりない、そういう実態もあるように聞いておりますので、この際ぜひこの事務手続の簡素化、あるいはまた先ほどありましたように託送制度の整備等々、影響を受けるLPG事業者対策の一環として、さらにこれからも力を入れてそのような要請にこたえていただくように、これは要請をしておきたいと思います。  次に、安全対策についてお伺いしたいと思います。  このガス事業において、ガスは非常に安全なエネルギーとなってまいりましたけれども、やはり消費者の方から見ますと、安全対策というのは大変重要な課題でありますし、また、ガス事業にかかわる労働者の方にとっても、この安全対策というのは大変重要でございます。  ここで二つお伺いしたいと思いますが、今回の改正における安全面での保安規制等の主な見直し内容についてと、それからもう一つは、競争自由化により大口ガス供給の市場に参入する新規事業者はどのような事業者が考えられているのか、そしてこれらの新規参入事業者に対する保安対策や保安規制等についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  137. 白川進

    白川政府委員 最初に、本改正法案におきますところの安全関連の主な改正事項でございますが、三点ございます。  まず第一は、今般この法改正をお認めいただくことにより創設されますところの大口ガス事業、これは一般ガス事業以外の事業者による大口ガス供給でございますが、それについても所要の保安上の規定を整備する、これが第一点でございます。  第二は、従来、国が直轄で行ってまいりましたガス主任技術者試験の事務につきまして、行政事務の簡素化の観点も踏まえつつ、これを民間機関に委託できるようにするという規定の整備でございます。  それから第三は、重複規制の排除という観点でございますけれども、従来、ガスを用いて発電を行う事業者、これはガス事業法と電気事業法とほとんど差のない二つの安全規制を受けていたわけでございますが、今回の改正によりましてこの関係を整理いたしまして、電気事業法の安全規制のみで足りることといたす方針でございます。  次に、新たに参入自由化によってどのような事業者が参入の可能性があるかというお尋ねでございますが、一つには、やはり設備産業でございますので、導管を持っている事業者、具体的には国産の天然ガス開発事業者というのが可能性を持っているのではないかと思われますし、さらにはみずからガスを持っている事業者、例えば副生ガスを持っておる鉄鋼メーカーとかあるいは石油LPG等々の関係者が、可能性として新しい参入の候補であろうかと存じております。  かかる想定された新規参入者に対する保安規制の考え方でございますけれども、従来の一般ガス供給者に対する保安の規制というのは二つの観点から行ってきております。その一つは、危険の回避といいますか災害の防止、それから第二が、安定した供給が阻害されることの防止という二つの観点でございますけれども、今回、新規参入者に対します規制につきましては、一般ガス事業者と異なりまして、供給義務を持っていないというところに違いがございますので、必要最小限度の規制にとどめたいと思っておりまして、今申し上げました二つの観点のうち、危険の防止という観点からの規制のみに絞りたい。安定供給のための規制という点につきましては、これを軽減した形で実施をいたしたいというふうに考えております。
  138. 大畠章宏

    ○大畠委員 この安全問題は事が起こりますと大変な形になりますが、余りこの問題についてとられますと新規参入の事業者にとっても大変大きな負担になりますので、そこら辺を勘案しながら、ぜひ適切な対応をお願い申し上げたいと思います。  最後になりますが、四番目の問題で、ガスエネルギーの政策についてお伺いします。  私もこの商工委員会に所属させていただいてから九四年がたとうとしております。エネルギー問題について私もずっと追求してまいりました。日本の将来のエネルギー源をどのような形で確保していくか。特にエネルギー源の確保というのは大変時間がかかるわけであります。ガスエネルギーでも諸外国との調整をしながら確保しなければならないわけでありますから、そういう意味で、せっかく得たエネルギーを効率よく使用するということが大変重要であります。今、日本でも省エネルギーがいろいろ叫ばれておりますけれども、特に電力が夏場等非常に厳しい状況になるというのを私は伺っておりますし、そういう意味ではガスエネルギーというものを何とかもうちょっと効率よく、そういう厳しいエネルギー事情のときには補完的な、重要な位置づけにすべきではないかという感じも持っております。  特にコジェネというのが最近注目されておりますが、この天然ガスの利用方法一つのコジェネというものについて、もっと日本国内で積極的に推進できる環境等を整えることも重要だと思いますけれども、この点について今通産省はどのように考えておられるのかというのが一つであります。  もう一つは、ガスエネルギーの効率向上のために今全国で熱量変更事業というのをやっておりますが、これまた大変な事業でございます。ただ、エネルギーをより効率的に使用するという意味では重要な事業でございますので、この面についても通産省として支援策が必要ではないかと思いますが、この二つについてお伺いしたいと思います。
  139. 川田洋輝

    ○川田政府委員 ガスの需要につきまして新規のいろいろな分野が考えられるわけでございますが、その有力な一つとして、今御指摘のコージェネレーションの導入促進というものがございます。発電と熱を一緒に生み出しますコージェネレーションは、電力需要、熱需要の適切な組み合わせが可能な場合には、別々に供給した場合に比べてエネルギー効率が大変大きく向上するという効果がございます。このため、近年、ガス利用を含めたコージェネレーションが、産業用のみならず、民生用につきましても着実に導入をされております。  当省としては、これまで、現在のコージェネレーションにおけるNOx等の環境面やコスト面、供給の信頼度等の課題を踏まえ、燃料電池開発を初めとした環境負荷低減などのための技術開発に取り組むとともに、エネルギー効率のすぐれたものに対して、税制、財投による導入促進策を講じてまいっております。  最近では、昨年九月の緊急経済対策の規制緩和の一環といたしまして、コージェネレーションなどからの余剰電力購入のメニューの一層の整備、コージェネレーションを含めた分散型電源に係る保安規制緩和といった制度面の整備を進めてまいったところであります。  現在、電気事業審議会で、コージェネレーションを含む分散型電源の一層の導入促進を図るための方策などにつきまして、電力供給システム、保安規制の両面から検討を進めているところでございますが、今後とも、コージェネレーションにつきましては、電気と熱の総合エネルギー効率を適切に評価しながら、適切かつ着実な普及促進を図ってまいりたいと考えております。  それから、都市ガス事業におきますガスの熱量変更事業についての支援策についてでございますが、ガス事業におきましては、生ガス中毒事故の防止、安全型防止設備の容易化など、主として保安対策の観点から、二〇一〇年を目途に、安全な高カロリーガス種への熱量変更を推進しているところでございます。  この熱量変更作業には一時期に多くの熟練技術者や多額の費用が必要でございますため、当省では、地方ガス事業者の負担を軽減し、熱量変更の促進を図るため、従来から熱量変更費用に対する利子補給制度などの措置を講じてまいったところでありますが、さらに平成六年度におきましては、新たに、熱量変更共同化対策事業に対する新しい補助金制度及び税制上の措置としてガス熱量変更準備金制度を創設したところでありまして、今後ともこのような支援策を活用して熱量変更を推進してまいりたいというように考えております。
  140. 大畠章宏

    ○大畠委員 ガス問題で、アメリカのサンフランシスコの地震のときにいろいろガス対策というものが言われましたけれども日本における地震に対する強化対策といいますか、敷設した施設はかなり古くなってきているのかなと思うのですが、ここら辺、これはまあガス事業者が考える問題かもしれませんが、通産省としても安全面から重要な課題だと思いますので、地震対策といいますか、こういう問題については通産省としてどのようにとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。
  141. 白川進

    白川政府委員 私ども通産省といたしまして、昨年来、釧路沖の地震あるいは北海道南西沖地震などの大規模な地震が発生いたしまして、非常に重要なライフラインの一つであります都市ガス供給に不安が持たれたということを重大に認識をいたしております。その後アメリカの西海岸でも地震があって、ガス事故が起こったという記憶は生々しいところでございますけれども、こういった問題意識のもとに、昨年三月から十二月まで、私ども資源エネルギー庁の中にガス地震対策調査会というのを設置いたしまして、そこで対策を取りまとめていただいております。  具体的な対策を簡潔に申し上げますと、地震が実際に発生してしまったときの緊急対策、復旧対策、あるいは支援対策というようなのが一つの塊でございますが、さらに、発生したときの災害の予防の視点からの設備面での対策、特に、老朽化した埋設管を初めとする既設埋設管の耐震性の向上といったようなものが非常に重要であろうかと存じます。さらには、導管網のブロック化の推進、迅速な災害対策本部の設置等々、ガス業界挙げての支援体制の整備等も非常に重要であろうかと存じております。  私どもの方におきましては、平成六年度から、地震対策の強化を図る観点に立ちまして、耐震性導管や緊急遮断バルブの導入、設置を促進するための財投制度の拡充をお願いしておるところでございます。
  142. 大畠章宏

    ○大畠委員 そろそろ時間が参りましたので、最後に質問に入らせていただきますが、先ほど言いましたように、このエネルギー問題は日本にとっても、経済面あるいは私たちの生活にとっても大変重要な問題でございますので、日本にあるエネルギーができる限り効率的に、有効にリンクした形で使われることが重要だと私は思うのですね。  最近のエネルギー事情を見ますと、電力とガスというのが非常に競合するという状況も見えますし、競合というのは非常にいい意味でもございますが、そろそろ融和するというか、お互いに利点と欠点があるわけですから、それらを都合をつけながら、トータルとして日本のエネルギーを賄っていくという、通産省としてもそういう融合するような対策というものをとらないと、将来のエネルギー需要に対する供給体制というのが非常に難しくなるのじゃないかと思うのです。  最後の質問は、ガスエネルギーのエネルギー政策上の位置づけといいますか、電力とガスという問題に対して通産省としてどのように考えておられるのか、これをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  143. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま大畠先生指摘のとおり、これからのエネルギー問題等々、ただいま御指摘がございましたような、ある意味におきましては競合をし、切磋琢磨をやっていく、そしてまたある面におきましてはお互いの長所を生かした融合を考えていく、こういうことが大切な要素ではないかなというふうに考えるわけでございます。  そういう中にございまして、いわゆるガス体エネルギーの位置づけというような意味合いでのお尋ねをただいまいただいたわけでございますが、我が国の一次エネルギー総供給量におきましては、ガス体エネルギーが、一九九二年度時点で、天然ガスが一〇・六%、輸入LPGが三・七%を占めておりますことは御案内のとおりでございます。  そういう中にございまして、天然ガスにつきましては、御承知のとおり、環境特性あるいは供給安定性等の視点、観点からいたしまして、今後とも重要なエネルギー資源一つというように位置づけをされておるところでございまして、いずれにしましても、今後は安定した供給確保、これに力を入れていくことが大切と、かような位置づけをさせていただいておるわけでございます。  なおまた、LPGにつきましては、御案内のとおり、環境負荷が相対的に低いわけでありまして、利便性の高いエネルギーというように認識をいたしておるわけですが、ただし、中東依存度が高いこと、他のエネルギーへの即時の代替が困難な用途が需要の大きな割合を占めていること等を踏まえまして、今後、国家備蓄の推進を初めとするこれまた安定供給体制の一層の充実が必要である、こういうような位置づけの中で万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
  144. 大畠章宏

    ○大畠委員 通産大臣、またそういう方向でぜひ頑張っていただきたいと思います。大変ありがとうございました。  終わります。
  145. 白川勝彦

    白川委員長 次に、吉井英勝君。
  146. 吉井英勝

    ○吉井委員 連日にわたる深夜の委員会でございまして、皆さん大変お疲れのところでございますが、最後の質問者ですので、よろしくお願いいたします。  私は、まず最初にガス・電気料金の円高差益の還元の問題をお聞きしておきたいと思うのです。  電気・ガス料金については、昨年十一月から本年九月までの期限つきで、原油値下がりと円高差益の還元ということで暫定措置が実施されておりますが、一世帯当たり、電気で月百円、ガスで月百三十八円ということですが、もともと八九年の料金改定時の算定基準が不当に高く設定され過ぎているという問題があります。それは、大幅な円安、原油高であった一九九〇年度にも各社は高い利益を上げて内部留保を積み上げてきましたが、そのことを考えると、九〇年度のレート基準で見ても各社は十分もうけているわけであります。  そこで、九〇年度の実績基準と、昨年来の急速な円高、原油価格の値下がり幅、これは通産省の資料で計算してきたわけですが、それでいくと、原油値下がり分と円高差益の両方合わせて大体七千五百六十四億円ぐらいになると見積もられます。そこで、電力十社でこの引き下げ原資を充てれば一世帯当たり月千六百円、ガスの三社の場合は、原資はもう少し少ないですが、一世帯当たり大体八百円ぐらい、その引き下げが可能になると思うわけです。  そこで、一世帯当たり月合わせれば二千四百円ぐらいの還元可能ということになりますが、まず、この還元を行っていくということについて、通産大臣のこれからの働きかけ、指導方について伺っておきたいと思います。
  147. 畑英次郎

    畑国務大臣 これは、御案内のとおり、昨年、北海道電力さんが原子力発電等々の問題に絡んで、そのきっかけと言ってはどうかと思いますが、先行してお取り組みが始まって、ただいま先生指摘のような展開がなされたわけでございます。  ただいま御指摘がございましたとおり、その時点における円高の問題、そしてまたその時点における原油価格の問題、この辺をにらみながら今日までの展開があったわけでございまして、私どもは、一面、今日の景気不況の中にございましては、現在の円高をいささか解消しなくちゃならないという意味合いの期待もこれありと。そしてまた、各分野におきましてはそれぞれ物事の受け入れが、事情が違うわけでございますが、そしてまた、原油価格におきましても、ある意味では今日いささか値下がりを示しておるというようなことであるわけでございます。  いずれにしましても、流動的な要素があるわけでございまして、私どもは、さような意味合いでは、事業者側の自主的な御判断を尊重しながら事柄の対応を進めてまいりたい。そういう中にございましても、いわゆる料金価格等々が、企業の健全性を保ちながらも実現が、さらに継続ができるというようなことは望ましい姿であることは言うまでもございませんので、そういうことを念頭に置きながら、これからの対応をある意味では期待を込めて留意をしてまいりたい、かように考えております。
  148. 吉井英勝

    ○吉井委員 一九九三年度の決算も発表されまして、私、この間の決算資料また内部留保や経年的な経常利益の一覧表というのを持ってきております。  この資料を見ておりましても、まず九三年度の決算で見ていきますと、電力十社の売上高は会計十四兆二千八十四億円で、経常利益にして合計六千六百六十四億円あります。東電の場合で見ますと、四兆七千二百十億円の売り上げで、経常利益が千五百九十九億円。いずれも増収、増益でありますが、ガス三社についても、これも増収、増益です。  大臣、ここはずっと毎年内部留保も積み上げてきているのです。非常に安定した経営をやっておりまして、ことし九月までの期限つきの暫定措置ということではなくて、やはりこれだけの状況にあるわけですから、特に国民はみんな不況で大変苦しい思いをしているときでありますし、これは思い切って差益還元をやっていくようにもう少し強力な働きかけをいただきたいと思うのですが、すぱっと一言でいいですから、その辺どうですか。
  149. 畑英次郎

    畑国務大臣 ガス・電気料金に限らず、内外価格差の問題、あるいはまた、いわゆる今日の景気不況等々を踏まえまして、国民生活の実質向上というような意味合いでの内閣挙げての取り組みがただいまなされておるわけでございますので、ただいまのさような意味合いでの吉井先生の御指摘も念頭に置いて、そしてまた九月時点の数字等々も私どもは十分意を用いてまいりたい、かように考えております。
  150. 吉井英勝

    ○吉井委員 この九三年度決算で、今申し上げましたように非常に大きな利益も上げております。電力十社の内部留保は五兆七千八億円ですね。このうちの一つである原価変動調整積立金というのが一兆一千五百三十五億円ありますが、これだけの原資を全部一遍に還元せいとか、むちゃなことを、乱暴なことを言っているわけではないのです。国民に対して相当な金額を還元できることは明白でありますから、この点でしっかり働きかけていただきたいと思うのです。  本日の日経新聞にも出ておりましたように、まだ日付変更線変わっておりませんね、本日の日経などでは、設備の増設をすればするほど利益の上がっていく現在の総括原価方式の問題、ここにも触れながら、いろいろな指摘もありますが、その見直しとか、こういったところも踏まえていただいて、少なくとも本年九月までの期限つきの暫定期間というのはやはり今の時点で延長するのが当然ではないかと思うのです。この点で、五月二十日に政府としても公共料金の年内凍結を挙げておりますが、九月からさらに年内、さらに引き続いて、九月で電力は終わったじゃなくて、公共料金値上げ凍結を言っているときですから、九月以降も延長をするようにということで、それもさらに大きな還元をして値下げを進めるように、延長とあわせて、この点でも強力な働きかけが必要だと思うのです。  私は、特に政府の公共料金値上げ凍結の点に照らしてみても、九月以降なお一層の働きかけを求めたいと思うのですが、どうでしょうか。
  151. 畑英次郎

    畑国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、そういった今日の置かれております実情からいたしまして、国民各界各層の方々が御期待を持っておるということは十二分に承知をし、そしてまた私どもに寄せられております期待、これも承知をいたしておるわけでございます。  問題は、経済は生き物という言葉もございますとおり、その時点における数字が大きく変わることもあり得る、こういうことも念頭に置きながらも、ただいまの先生の御指摘も十分意を用いて対応を進めてまいりたいと考えております。
  152. 吉井英勝

    ○吉井委員 きょうの新聞でも触れておりましたように、電力などの場合はコストに適正利潤を乗せる総括原価方式でやっておりますから、この点ではずっと右肩上がりで一貫してやってきて、しかも内部留保を着実に積み増してきたわけでありますから、私は、この点についてはやり方の見直しも含めてぜひ強力にやっていただきたいし、特に九月以降の問題は政府方針に照らしても当然のことだと思いますので、重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、ガス事業法について伺います。都市ガス事業という公共サービス分野に法律案にあるような競争原理を導入することが公益事業の性格を根本的にゆがめるのではないか、ひいては一般家庭などに負担と犠牲を転嫁することになるのではないか、こういう視点に立って少しお聞きしておきたいと思うのです。  まず、法案の柱であります料金区域規制緩和という問題です。これは公共料金規制である法第十七条の料金決定の原則というものを著しく侵していくものになるのではないかと思うわけです。もともと、なぜガス事業規制のもとに置くのかという点についていえば、地域独占的な公益事業でありますから、独占的な力を利用して一般消費者の利益を損なってはならない、そこで料金その他を認可制にしているところに意味があると思うわけです。  料金決定の三原則というのに基づいて料金が定められておりますが、問題は、今回のようなやり方にしますと、価格交渉力のある大口需要者との間で商談によって低料金価格を実現した場合に、一般ガス事業者が総コスト、総原価の発想でそれを回収しようとすれば、今度は当然小口需要者に大口部門でのマイナス分を転嫁するということが出てくることが考えられるわけです。  そこで、この総括原価主義を維持したまま、しかし、小口には被害が及ばないようにします、そんな手品みたいなといいますか巧みなことができるものかというところが一つの問題だと思うのです。この点についてのお考えを伺っておきたい。  もう一点は、このことにあわせて、部門ごとの経理を合理的な費用の配賦方法をもって定めるということでありますから、小口への影響を遮断できるというのですが、しかし、そうなれば、本法案の提案と同時に、本来、区分経理方法を文書などで示していく必要があると思うのです。もともと、ガス事業会計規則、この改正案文というものをこの機会にあわせて示すのが本当じゃないかと思うのですが、この二点について伺いたいと思います。
  153. 白川進

    白川政府委員 大口需要部門規制緩和することによる小口部門への悪影響の防止措置としてどのようなものを考えておるかという点について御説明いたします。  これは、総合エネルギー調査会都市熱エネルギー部会の御報告を踏まえまして、以下の四点の措置を講じたいと存じているところでございます。  第一が、小口需要部門大口需要部門とで収支を明確に区分して管理するいわゆる区分経理でございます。  第二は、大口需要部門の収支悪化を理由とした小口需要部門料金改定は認めない。  第三は、一般ガス事業者大口需要供給する場合、大口需要部門全体の収支について当省が事前及び事後に把握し、所要の是正措置を講ずることでございます。  第四に、一般ガス事業者が自己の供給区域外大口需要供給する場合、これは個々に許可を必要とすることといたしまして、適切なコスト回収が行われないなどのおそれがある場合にはこれを許可しないとすることでございます。  以上の措置によりまして、小口需要に悪影響の生ずることのないように万全を期す所存でございます。  第二のお尋ねの、区分経理の具体的方法について明確に定めを行うべきではないかという御指摘でございます。  まことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、原価算定方式にのっとりまして、実績をベースに厳格に、大口部門小口部門それぞれに帰すべき費用を一定の方法で、公平、公正な方法区分して、それぞれ明確な区分経理をいたしたいと存じておるところでございまして、それにつきましては省令でその具体的方法を定め、かつ、その定められたところに従って一般ガス事業者がそれぞれの経理を厳格に区分経理をするということを考えておる次第でございます。  その具体的方法をいつ省令として定めるかにつきましては、今後、この法律成立さしていただきましたら、その施行までの間に審議会のしかるべき場での御検討をお願いしつつ、公正な原価配賦の方法について御審議をいただき、その結果を省令に反映させていきたい、かように考えている次第でございます。
  154. 吉井英勝

    ○吉井委員 要するに総括原価主義なんですから。  そこで、区分経理をやるわけですね。片方のマイナスが出たときに、それがもう一方の経理に影響を及ぼさない、それが本当に保証されるかどうかという点については、今のお話では非常にはっきりしないわけですね。それで、時間があればそこのところもっとやりたいのですが、時間が余りありませんから。  今、区分経理というお話なのですが、そうすると、大口部門について、一般消費者の方は、データの閲覧とかあるいはその他の方法によって知るということが保証されるのかどうかですね。つまり、大口部門というのは商談による契約内容ですから、これは公開できないということになってしまう可能性があるわけですね。そうすると、法十九条の供給規程の公表義務、この点にも反してくるのではないかという問題が出てきます。  そこで私は、この大口部門を含む経理情報の公開というものをやり抜くんだということをこの機会にぜひお約束をいただいておきたいと思いますが、どうですか。
  155. 白川進

    白川政府委員 このたびお願いいたしております法改正の基本的な趣旨でございますけれどもガス供給事業についてできる限り行政の関与を減らし、競争的市場における自由な取引にゆだねるということによって事業者の創意工夫の余地を拡大し、事業全体としての効率性の向上に結びつけようということが、審議会の御議論での中心的な目標といいますか趣旨になっております。  そのような観点から検討いたしました際に、そのような規制緩和すべき分野としては、他燃料との競合関係があり、需要家の側に相当の価格交渉力が期待し得る大口ガス供給の分野が適当ではないかということに相なった次第でございます。  かかる大口分野は他燃料との競争が非常に激しい分野でございますから、需要家側の立場も強うございまして、もし区分経理の結果を公表いたすということになりますと、ガス事業者大口需要家との取引上の力関係その他に影響が及ぶ可能性があり、その結果として、今後期待されるガス事業者の創意工夫の成果なり意欲が阻害されるというような事態も考えられるわけでございますので、その公表については慎重に対処すべきものと考えております。
  156. 吉井英勝

    ○吉井委員 まあ創意工夫と言えば言葉はきれいなんですけれども、要するに需要者側が大口で、それで区分経理をそこはされるわけですが、大口需要者側との商談による価格決定ということになります。競争もあるんだとおっしゃるわけですから、当然今までよりも安くなることもあるわけですね。そうすると利益が落ちるわけですから、幾ら区分経理だといったって、総括原価主義ですから、もう一つの方の、つまり小口需要者、一般消費者のところへそのツケが回ってくるということが当然あり得るわけですね。それはないんだとおっしゃるのだけれども、ないならないということを消費者にとってよくわかるようにしなきゃいけないんですね。その仕組みが必要だと思うのですよ。それは情報公開ということだと私は思うのです。  この点で、経理情報の公開、やはりそこまで踏み込まないと、区分経理をやっておって被害が及ばないといったって、それは建前の話であって、全体として総括原価主義をとっている中では、それは極めて難しい話だという指摘をしておきたと思うのです。  もう一つお聞きしておきたいのは、一九八一年二月に、全国LPガス業者大会の名の液化石油ガス法とガス事業法との整合を求める請願というのが提出され、採択されました。同年十月二十三日に、この請願に対する処理意見というのが閣議決定されました。  政府は、こうしたLPガス業者の地域的、歴史的役割をどう評価しているのかということ、あわせて、この閣議決定を引き続き尊重していくという立場に立っていらっしゃるかどうか、これを伺いたいと思います。
  157. 川田洋輝

    ○川田政府委員 ガス事業者供給いたします都市ガス及び液化石油ガス販売業者が供給いたしますLPガスは、現在ともに家庭用燃料として広く普及し、それぞれ重要な役割を担っております。  当省といたしましては、これらのガス国民生活に不可欠かつ重要な燃料であるとの認識に立っておりまして、ガス事業及び液化石油ガス販売事業がそれぞれの特色を生かしつつ健全な発展を遂げるよう指導してまいっているところでありますが、これらのガスのいずれを使用するかにつきましては、最終的には消費者の自由な選択にゆだねられるべきものと考えております。  当省といたしましては、今回の法改正後におきましても、従来どおり国会請願処理意見にのっとりまして、一般ガス事業者供給区域拡張の許可に際しましては、事前に公聴会を開催して広く一般の意見を聴取すること、及び供給区域の拡張の許可の申請に際しましては、一般ガス事業者にその申請の概要を必要に応じ液化石油ガス販売事業者に通知するよう指導することによりまして、一般ガス事業者と液化石油ガス販売事業者との間のトラブルの防止に努めてまいりたいと考えております。
  158. 吉井英勝

    ○吉井委員 最後に、石油公団法の一部改正について伺いたいと思うのです。  昨年の予算委員会のときに我が党が要求して提出されました資料を見ておりますと、石油ガスの油田の探査には膨大な探鉱投融資というのが成功払いということで融資されております。その総額は一兆五千二百四十四億円になっておりますが、探査が成功したもの、探査中のものもいろいろあるわけですが、成功払いということですから、油田が発掘できなければ当然返済しなくてもよいいということになります。  そこで、配当や元本返済を除いて、融資総額のうち未回収額はどれぐらいになるのか、これを最初に伺っておきたいと思います。
  159. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 石油公団の探鉱投融資実績に関しては、今先生指摘のように、昭和四十二年の設立以来平成五年度末までの累計で一兆五千九百二十二億円でございますが、このうち融資累計につきましては約九千四百億円でございます。そのうち現在までに約千七百億円につきまして元本の返済がなされておりますが、会社の解散等によりまして約千二百億円の減免などを行っておりまして、その結果、現在、石油公団といたしましては約六千五百億円の融資残高を持っておるわけでございます。これらの融資残高のあるプロジェクトにつきましては、今後プロジェクトが順調に進みまして、資金の回収が行われることを期待しております。
  160. 吉井英勝

    ○吉井委員 これは、まず探鉱してうまくいくかどうかはわからない、当然リスクが伴うというのはよくわかるわけです。ですから、実際には、九千四百億円の中で未回収分が六千五百億円というお話ですが、非常に大きな割合であるわけですね。  こういう点で、油田の探査、発掘にはリスクが高い。これは言いかえれば当たり外れの大きい事業ということにもなりますから、石油公団が一定の投融資をやるという意味はよくわかるわけです。ただ、今回の改正の場合は、ガス油田の探査がまず成功して、大体採算性がとれるとか、明らかになった上でのガスの開発、採取段階に対しても公団が出資しようというものであるわけですよね。さらに、取り出したガスの液化という最終段階になりますと、これはもう完全に採算がとれるわけですが、そこにも出資しよう、債務保証もしようということで、いわば至れり尽くせりの制度をつくろう、こういうことですよね。  そこで、私は大臣に伺っておきたいのですが、ガスの採取と液化というこの段階というのは、これまでリスクの高い事業だからそれでいろいろ考えてきたというのとは、これは性格が異なってくると私は思うのですね。ほとんどリスクはないんだけれどもこれをやっていこうというのは、やはり国民的に納得できるような理由というのが必要だと思うのです。  私は、この点で、リスクのなくなったもの、ほとんどなくなったものに対して今回は考えるんだ、大臣もこの点はお認めになられると思うのですが、これはどうですか。
  161. 川田洋輝

    ○川田政府委員 天然ガスにつきましては、環境問題への関心が高まる中、クリーンなエネルギーとしてその需要が増加傾向にあるわけでありますが、一方で開発をめぐる環境が大変悪くなってきておることは先ほど来るる説明をいたしておるとおりでございます。  こういう状況下で天然ガスプロジェクトを円滑に打ち上げるためには、どうしても、いろいろな事業主体、金融機関などがその地位、役割にふさわしい事業のリスクを負担することを前提に、公的機関としても応分の資金負担を行うということが必要になってきているという状況から今回の公団の追加業務をお願いいたすわけでございまして、民間側当事者のリスク負担を前提に、石油公団としても天然ガス安定供給を確保するという必要性から必要な資金負担を行う、こういうものでございます。
  162. 吉井英勝

    ○吉井委員 私は、天然ガスがクリーンでないとかそういう議論をもちろんやっているわけじゃないのです。私どもは天然ガスについてはもう二十年来いろいろなことで取り組んでまいりましたが、問題は、今度の事業というのは、これまでのようにそこを掘ってみても石油が出るかどうかとか天然ガスが出るかどうか全くわからないところを手がけていくようなリスクの大きいものじゃなくて、今度は、まず見つかって、大体埋蔵量もわかって、採算がとれるかどうか、大体、採算とれないところは事業に手を出さないわけですね、採算がとれる、それで事業をするわけですね。だから、これまでですと、リスクが高いからということで、いろいろな配慮をしたり仕掛けをつくったわけですよ。今度の場合はそういうリスクはないというところへやるというところが、今回のこの法律の性格というものがやはり考えられなければいけない点だと私は思うのです。  そこで、時間がだんだん迫ってまいりましたので、最後の質問といたしまして、今年度予算を見ますと、石油公団からの出資は初めて十二億円が計上されているのですが、この出資制度というのは、昨年十一月の石油審議会中間報告で強調されていますように、民間主導三原則に基づいて運用ということになっています。この三原則というのは、一つは制度の利用に関する民間主導、二番目がプロジェクト経営に関する中立性の原則、三番目がプロジェクトの運営が順調に進んだ場合における株式売却の原則とあるわけです。  もっともらしい原則とも聞こえるのですが、要するに、この制度の利用については民間企業に任せなさい、国は金を出しても口は出すな、使い方に口を挟むな、利益が出てくるようになったら国の株式は全部民間企業に売却しなさい、これが三原則なんですよね。これは非常に、徹底して大企業にとってはおいしい話ですよ。リスクもない、その上こういうおいしい話。  こういう徹底した大企業優遇の制度というものは、本来、規制緩和だ、何だ、消費者の利益だとかおっしゃっておられる立場からするとかなりおかしいのではないかと思うのですが、大臣、最後にこの点のあなたのお考えを伺って、私は質問を終わりたいと思います。
  163. 畑英次郎

    畑国務大臣 それぞれ事柄の位置づけ、お考えがあるわけでございますが、今回のこの天然ガスの位置づけ等々、先ほど来論議があったわけでございますが、やはり事業の困難性あるいはまたリスク、そういうものを考えての今回の取り組みである、この辺を御理解をいただければありがたい、かように考えるわけでございます。
  164. 吉井英勝

    ○吉井委員 質問を終わります。
  165. 白川勝彦

    白川委員長 夜分、長時間にわたりまして、本当に御苦労さまでございました。委員各位に心から敬意を表します。  これにて両案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、明二日木曜日午後六時理事会、午後六時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十一時二十四分散会