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1993-11-17 第128回国会 衆議院 地方分権に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年十一月十七日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 菊池福治郎君    理事 石破  茂君 理事 中馬 弘毅君    理事 山本 有二君 理事 若林 正俊君    理事 後藤  茂君 理事 松田 岩夫君    理事 富田 茂之君 理事 永井 英慈君       長勢 甚遠君    浜田 靖一君       福永 信彦君    谷津 義男君       山口 俊一君    赤松 広隆君       網岡  雄君    野坂 浩賢君       青木 宏之君    岩浅 嘉仁君       河合 正智君    佐藤 茂樹君       錦織  淳君    小平 忠正君       吉井 英勝君  委員外出席者         参  考  人         (元臨時行政改         革推進審議会会         長)      鈴木 永二君         参  考  人         (元臨時行政改         革推進審議会会         長代理)    宇野  收君         地方分権に関す         る特別委員会調         査室長     前川 尚美君     ――――――――――――― 十一月十六日  地方分権推進に関する基本的な法律の制定に  関する請願野田毅紹介)(第九三九号)  地方分権の積極的な推進に関する請願(桜井新  君紹介)(第一一三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月八日  地方分権早期実現に関する陳情書  (第一三〇  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方分権推進に関する件      ――――◇―――――
  2. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより会議を開きます。  地方分権推進に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、参考人方々から御意見を聴取いたします。  本日御出席願っております参考人は、元臨時行政改革推進審議会会長鈴木永二君及び元臨時行政改革推進審議会会長代理宇野収君であります。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。なお、御発言は着席のままお述べいただくようにお願いをいたします。  なお、議事の順序でございますが、まず、両参考人から三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対しましてお答えをいただきたいと存じます。  それでは、鈴木参考人お願いいたします。
  3. 鈴木永二

    鈴木参考人 参考人鈴木永二でございます。  きょうは、最終答申につきましての国会への報告の機会をお与えいただきましたことに対して、厚くお礼申し上げます。  本日は、まず私から地方分権を含みます最終答申全体についての御報告を申し上げて、続いて、元会長代理宇野さんから地方分権についてさらに詳細にお話をしていただきたい、そんなつもりでおりますので、よろしくお願いいたします。  第三次行革審は、平成二年十月に発足いたしまして、三年経過したわけでございます。解散までに合計十件の答申内閣総理大臣に提出いたしております。最終答申は、同審議会の三年間にわたる活動のいわば締めくくりというものでございますが、内外の諸情勢変化を踏まえまして、既に提言いたしております国際化対応、また国民生活重視行政実現という問題と、透明、公正な行政の確保という視点からの行政問題、これに加えまして、その後、時代変化等々ございますのを考えまして、政府部門の果たすべき役割見直しという点、それから、縦割り行政弊害ととかく言われます行政あり方に対して、総合的、一体的な行政システムを構成するにはどうしたらいいか、こういう新しい視点と申しますか切り口から最終答申をまとめたものでございまして、私どもとしましては、二十一世紀を踏まえた行政システムの骨太の変革を提言いたしたつもりでございます。この点についてはいろいろ御批判もあろうかと思います。  次に、最終答申の内容について、その骨格と申しますか、概要を御紹介申し上げたいと思います。  まず第一に、財政基盤の問題でございます。これは土光臨調からずっと連綿と受け継いでおる問題でございますが、改めて、行政全体の問題を答申するに当たりましてもう一回この点を申し上げているわけでございまして、簡素で効率的な行政実現するため、行財政全般にわたる改革を進め、国民負担を適度な水準にとどめるという基本方針をそのまま受け継いでおるわけでございますが、財政体質健全化税制改革検討を通じて積極的に幅広く財政基盤の確立についてのいろいろな考え方を出していただくことを提言いたしております。  次は、規制緩和推進についての問題でございますが、今回はその仕組み整備中心提言いたしております。と申しますのは、公的規制見直し独占禁止法適用除外制度見直し、また諸制度基準等を国際的に見て、そのふぐあいを直して国際化対応に備える、こういった問題につきましては、昨年六月に第三次答申といたしまして具体的に私どもとしては詳細に提言をいたしておりますので、その復習はいたさずに、それを前提として、それを実行するためのいろいろな仕組み整備中心提言いたしておるわけでございまして、改革基本方針としましては、原則自由、例外規制、こういう立場に立って提言をいたしております。  第一に、規制緩和に関する中期的かつ総合的なアクションプランを策定してやっていただきたいということを申しておりまして、そのためには、政府部内に内閣総理大臣中心とする強力な推進体制をしいていただきたいということを提言いたしております。  次に、計画的、継続的な規制緩和に向けての仕組みをまず整備していただきたい、こういうふうに言っております。  それからもう一つ、こういった推進体制とペアと申しますか、対したものとしまして、規制緩和推進のための第三者的な機関、私どもはオンブズマン的な制度、こう言っておりますが、民間有識者等を加えましたそういったオンブズマン制度を設けて、推進するところとそれを見守るというところと両建てでひとつぜひやっていただきたい、こういうふうに言っておるところでございます。  それから、第三に、本日の主たる問題でございますが、地方分権推進につきましては、国と地方役割分担見直して、国からの権限移管や、それから地方自治体財政基盤強化を図るとともに、これと並行して、自主的な地方行政体制を確立するための革新を進めていただきたい、こういう考え方を提示しておりますが、この地方分権の問題につきましては、きょう御一緒しております宇野さんが分科会及び起草委員会の主査もあえてみずから引き受けていただいておりますので、宇野さんに時間を使っていただきたい、このように思っておるところでございます。  ただ、一言私から付言させていただきたいことは、規制緩和地方分権というものは、二つ課題ではございますが一体的なものである、行政システム改革中心課題である、こういった考え方で取り組んでまいりました。  なお、もう一つだけ御報告させていただきたいと思いますのは、第三次行革審地方分権の突破口として地方分権特例制度、いわば私どもは、制度の施策、パイロット自治体とも言っておりますが、この点につきまして、ことしは十五件の申請がなされまして、昨日指定が行われました。この十五件の申請でございますが、その中に長野の諏訪地区の六市町村が連合体として申請しておられますので、十五件とも言えますし、また二十件とも言える、こういうふうに思っておりますが、これは具体的な地方分権推進中核的方策をパイロット的に提言しておるものでございまして、この第一回の指定がきのう行われたわけでございますが、このパイロット自治体につきましても、今回提言しております地方分権に関する大綱方針において適切に位置づけていただきたい、このように考えております。  第四の点でございますが、公的金融特殊法人改革につきましては、郵便年金財政投融資政策金融、いわゆる郵便貯金という問題を中心にしますと入りと出の問題があるわけでございますが、金融市場との整合性あるいは調和を図った運営ということを重点的に主張いたしております。  なお、特殊法人につきまして、社会経済情勢変化に対応した適時適切な見直しが必要であると確信いたしておりますが、この点は各省庁お願いして、平成七年度までに所管の特殊法人を総合的かつ全般的に、また私ども答申に書き込んでございます検討の諸条件をよく勘案していただいて、見直しをしていただくということを提言いたしております。  第五に、総合的な政策展開が可能な行政システム構築につきましては、行政組織事務配分運営あり方、例えて申し上げますと、二十一世紀を展望した中央省庁イメージはどんなものか、どのようにしたならば縦割り行政弊害が少しでも緩和できるかというようなイメージの提示をいたしております。また、内閣総合調整能力あり方について、行政を担う公務員制度改善策について、またそのセクショナリズムの是正方策、さらには個別省際問題、これは相当詳細に検討してもらいましたのですが、この個別省際問題の具体的な改善策につきましても最後提言をいたしております。  そのほか、第六に、今後の行政改革推進体制についてでございますが、何よりも今は実行のときという意味合いもございまして、内閣総理大臣中心とする強力な推進体制をぜひつくっていただきたい、そして、それに対して権威ある第三者機関によるオンブズマン的な推進監視体制をぜひ整備していただきたい、こういうことを提言いたしております。やはり、強力な実行の段階に入っておるという認識からでございます。  最後に触れております「政治への期待」ということでございまして、これは差し出がましいことかとも思いますけれども、何と申しましても行政政治によって支えられておるものでございますので、あえて行政改革推進する意味合いから、特に政治への期待を申し上げておりますので、その要点を簡単に申し上げさせていただきたいと思います。  何と申しましても、行政改革行政の大きなかじ取りをやっていただいておる政治によってやっていただかねば、結局、実行あるのみと申しましたこの実行に非常に問題が、問題と申しますより実行がなかなか着手されないということだろうと思いますので、いろいろな意味行政改革政治改革は車の両輪というふうに言われておりますけれども、とにかく行政改革をやっていただくにも、ぜひ政治責任ということも取り入れていただきたいと思っております。  それから次に、政官業の相互のもたれ合いを排し、縦割り弊害是正するために、既得権を打破し、政治には特に国益全体を見通しての総合的政策ビジョン構築をぜひお願いいたしたい。これは大変差し出がましい言い方でございます。  そのため、国会では真に政策論議を行う場として、例えば政務次官が副大臣として国会答弁を担当していただくとか、あるいはシャドーキャビネットの制度化等検討していただきたいということも付言いたしております。  総理の補佐・助言機能強化のため、国会議員による、内閣に補佐官的な役職を法律で位置づけていただきたいということを申しております。  さらに、内閣機能強化のため、無任所大臣制担当大臣制複数の国務大臣によるインナーキャビネット制、大くくり省庁複数の副大臣を置く等々のことも申し上げております。  どうぞ国会の場で、こういった点も大いに御検討いただければありがたいと思っております。  なお、一、二分の時間をちょうだいいたしまして、行政改革のためには、それでは二十一世紀社会システムをどのように考えているのかということが当然問題でございますので、その社会システムビジョン、私どもが抱いてやってまいりましたビジョンを申し上げさせていただきたいと思います。  二十一世紀社会は何よりも公正、透明な社会、私ども業界方面といたしましても自律自助社会、それを含めまして公正で透明な社会自律自助社会であるべきだと思っております。そして、企業国民自己規制自己責任行政企業の情報の公開、行政手続法定化などにより、社会システムを国際的にも透明で公正なものにしていくことが求められておる、そういった社会であろう、そのようにイメージいたしております。そのような意味におきまして、今度国会で法制化していただきました行政手続法は、第三次行革審の最大の成果一つではないかと自負いたしております。  また、公正、透明、自律自助社会だけでは、私なりに考えますと、これはいかにも冷たいというイメージが残るのではなかろうか。こんなことも考えまして、私としては、ぜひこれに「思いやりのある社会」、「国際社会から尊敬される日本」の二点を付加していきたい、このように思っております。  それから、財政公的年金社会福祉、世代間にわたる負担公平等の問題は、今後急激に高齢化成熟化が進む我が国社会にとって不可欠の課題と思っております。また、日本国際的責務を果たすことで国際社会から尊敬される国になってほしいというのが念願でございます。  その意味で、最終答申前提といたしました二十一世紀の骨太な社会ビジョンは、いわば公正、透明で自律自助思いやりのある社会、そして世界に尊敬される日本ということであろうかと思っております。最終答申提言いたしました地方分権規制緩和縦割り行政是正等々の改革方策もこうした延長線で考えていただきたい、このように期待しているものでございます。  時間ともなりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  4. 菊池福治郎

    菊池委員長 ありがとうございました。  次に、宇野参考人お願いをいたします。
  5. 宇野收

    宇野参考人 最初に伺いますが、時間は三十分というのは二人で三十分でございますか。
  6. 菊池福治郎

    菊池委員長 はい。大体そういうことでございます。
  7. 宇野收

    宇野参考人 もう余り時間がありませんので、多少おくれると思いますが。
  8. 菊池福治郎

    菊池委員長 そうですか。はい。
  9. 宇野收

    宇野参考人 宇野でございます。  私からは、先ほど鈴木さんからお話がございましたように、地方分権に絞りまして意見を申し上げさせていただきたいと思います。  この行革審では、四月に中間報告がありまして、あと最終答申に向かって起草作業に入ったわけでありますが、先ほどお話にもありましたように、「地方分権推進」については、鈴木会長の方から私がまとめるようにという御要請がありましたので、委員専門委員のうちから数名の人に参加していただいて、私から言うのも大変はばかられますけれども、真剣な討議を行ってまいったということでございました。その間に、実は六月には衆参両院地方分権推進に関する決議を採択されまして、私どもは大変勇気づけられたわけでございます。また、きょう、このような特別委員会が設置されまして積極的に検討されているということに対しましても、心から敬意を表したいというふうに思う次第でございます。  先ほど鈴木さんからお話がありましたように、実は今度の第三次の行革審というのは、戦後十二年間ずっとやってまいりました行政改革についての、ここはもう総決算であるという意気込みで私どもは臨んだわけでございます。  特に地方分権について申しますと、土光臨調以来の改革成果というのは着実に進んではおりますけれども、その間に日本の国のありようというものが国内的にも国際的にも非常に変わったということがありますので、そういう視点から見て、二十一世紀を踏まえた行政改革というものはどうあるべきか、地方分権というのはどうあるべきかという問題に取り組もうではないかということが私ども出発点でございました。そういう点から申しまして、六つのポイントについて私どもはまとめてまいりました。  一つは、抜本的になぜ今地方分権が必要であるかという必要性の問題でございます。  先ほどお話のとおり、やはり日本国内からいいますと、ゆとりがあって豊かな社会実現しないと、このままで一極集中の状態で東京に集中するということが二十一世紀に続いては、これはまずいではないかという一つ国内的な問題がございました。もう一つは、国際的に申しますと、日本がこれだけ世界の中の大国になってまいりましたけれども、後ほど申しますが、外交防衛その他について、もっと国がやっていかないといけない問題が十分果たせているのかなという問題が一方であるではないかということでございました。そういうことに加えて、地域についての行政というものが地域の中で自律自主精神でもってやれておるかというと、これまた甚だ問題があるではないかということがございますので、こういうような問題を考えていきますと、どうしてもここで地方分権という問題は取り上げなければならないという問題が第一点でございます。  それから第二の問題は、それでは本格的にそういう問題を詰めていくと、そもそも二十一世紀を踏まえた日本の国がやる役割、それに比べて地方のやる役割というのは何であるかという問題にぶつかるわけでありますが、国の役割については、先ほどからも申し上げておりますように、国の存立にかかわるような基本的な問題、これはあえて言うなれば、外交とかあるいは防衛とかという問題であろうかと思いますし、さらにまた、国内の問題でも、全国的に統一して国でやってもらわないとできないという問題が幾つかあるであろう。これは例えば義務教育の問題とか、あるいは環境の問題とか、あるいは道路の問題とかというような問題があるであろう。こういう問題は、ぜひひとつ国でしかとやっていただきたいという問題でございます。  もう一つは、地域に対する行政ということになりますと、それ以外の私ども生活に絡んだ問題は、これは地方に任すべきではないかということでございます。したがって、地方立場で申しますと、それをだれがやるのかという問題になりますけれども、要するに市町村都道府県が今地方組織の基幹でありますが、住民の生活に関する行政というようなものは自主自律精神で、地方の特に市町村が主体になってやる。その上に位している都道府県というのは、市町村がカバーできない行政の問題を都道府県がやる。したがって、この市町村都道府県とが相補って地方自治をやるというのが当面の考えられる地方行政あり方ではないかということでございます。これが国と地方役割分担見直しの私ども一つの結論でございました。  三番目の問題は、それではひとつ、国から権限をどう渡すかという問題でありますが、この国と地方役割分担の本格的な見直しをする中で、幾つかの法令を点検する必要がありますから、これは膨大な作業になるわけでありますが、一つ精神としては、国からの権限移管という問題があるのですが、それはいわゆる機関委任事務というものがございます。これは現在は一見自治体が自分でやっておるように見えておりますが、実は国の方の指揮を受けてやっておるということでありますから、一見自治体風という現在の実態をやはり変えるという方向に持っていかないと、本当自治はできないという問題でありますから、機関委任事務縮減合理化というふうな方向を時間を置いて考えるべきではないかという問題でございます。  それからまた、地方間でいろいろ問題があると思いますが、その問題は市町村間で水平的に調整をするということを原則としてやるべきではないかということでございます。  なお、その権限を国から渡す場合に、ここが問題なんですが、実は地方の基礎的な自治体というのは市町村だということでありますけれども、国からいきなり市町村権限を渡すというのは現実的ではない。したがって、都道府県に渡す、都道府県から市町村に渡すという一つ順序が要るのではないかというような指摘もいたしました。これが国から権限移管する場合の一つの問題でございます。  第四番目の問題は、今度は財源をどうするかということでございますが、地方自治体自主的、自律的に財政運営を行っていくというためには、やはり地方税財源強化するという以外にはないわけであります。それでは、具体的にどの税金をどこに持っていくかということについても、これまた権限移管すると同じく大変大きな作業と大きな抵抗があると思います。思いますが、一つ申せますことは、やはり地方財源強化するために、国から地方への財政の移転という問題をこれは詳細に詰める必要があるということでございます。  もう一つの問題は、しかしながら、地方の中に地域別経済的な格差があることも事実でありますから、その格差調整のために、やはり今行われておる地方交付税というものは残さざるを得ないだろう。この地方交付税の出し方について、なおかつこれは検討する必要があるだろう。  もう一つ言えることは、ひもつき補助金というのはできるだけ早くやめるべきであるということでございます。この辺のところは時間をさらにかけて詰める必要がありますが、要するに、考え方として、国から地方へ持っていく財源の問題はそういうふうな考え方をいたしましたということでございます。  あと二つ問題がありまして、一つの問題は、それでは地方の受け皿としての地方組織というのはどうあるべきかという問題でありますが、一言で言いますと、現在の地方組織というのは、市町村都道府県という二つの、二層の構造でもって自治体を形成しておるわけであります。今後ともこの地方自治は、市町村都道府県というものが相補完し合って地方自治を形成するという時代がやはり続かざるを得ないと私は思っています。  しかしながら、その場合にポイントは何かといいますと、やはり基礎的な自治体というのは市町村であるということには間違いないわけでありますから、市町村本当自治をやるというためにひとつ府県の方も協力をするという必要もあろうと思いますし、市町村の方も、先ほど鈴木会長からのお話がありましたように、パイロット自治体制度という問題の提案も国から既に出ております。しかし、これ以外に中核市という一つ提案が前の行革審でも答申されております。それからまた、拠点都市法という、これは産業上の問題でありますが、地方一つ自治体に対する提案といいますか、法制がございます。そういうことで地方分権特例制度あるいは中核市、地方拠点都市法というようなメニューがありますから、そのメニューの中でどれを食べるか、あるいは新しいメニューをどう考えるかというのは、かかって市町村がそれぞれの地域の特性に応じて考えていかれればいい問題であろうというふうに思うわけでございます。  一方、都道府県でありますが、先ほどちょっと申しました都道府県自治というのは率直に言って一見自治風でありまして、現在の都道府県は、やはりこれは国の執行機関的な性格が非常に依然として強いということでありますから、何としてもこの都道府県自治性というものを確保するという必要がある。したがって、それに関連しましては、先ほど申しましたような機関委任事務の整理その他を含めて都道府県自律自治というものを進めていくことが必要である。その中で都道府県がまた市町村権限財源を渡していくという順序が必要であるというふうに思うわけでございます。  なお、こういうものを通じて、市町村といわず都道府県といわず、現在の日本経済、文化の活動を見ておりますと、この境界を越えてやらないと自治ができないという実態もありますから、市町村合併あるいは都道府県の連合、将来は合併というふうな問題が進行してくることは、これはそれぞれの都市の実情に応じてやられればいいのではないか。  ちなみに、私どもは、都道府県の連合から合併に進んだ結果、道州制というものがあり得るだろうということで、道州論を非常に早くから、考えてみますと三十八年前から提唱しておることがありましたが、こういう問題も将来は起こることなのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  ともあれ、今まで地方分権ということになりますと、受け皿であるところの府県をどうするか、市町村をどうするかという受け皿諭だけが非常に前に出まして、本当地方分権というのはどうあるべきかという議論が余りなかったわけでありますが、今回はその問題を、なぜやるか、なぜ必要かという問題を先にやったということが特徴がと思います。  最後に、こういう問題をひとつまとめて答申いたしましたけれども、これを実行する担保というのは、答申を出しまして最大限尊重される、閣議決定をされるというのはありがたいのでありますが、実情を見ていますとなかなか進まない。したがって、どうしてもこの実行を担保するためには法律をつくっていただかないといけないという問題が、最後答申のところの最後の山場でございました。この間に、六月の国会決議が非常に私どもにとって勇気づけられたわけでありますが、最終的な活動の方針は、一年をめどにして先ほど申し上げたような地方分権の大綱を詰めてもらいたい、その大綱が詰まりましたら、これは法律によって地方分権を進めていただきたいという問題を最後の結びとして答申したという次第でございます。  なお、ここで触れませんでしたが、地方の首長の多選制限の問題が随分議論になりました。多選禁止をすべきであるという議論も随分出たわけでありますが、これは憲法に保障されておるところの法のもとの平等あるいは職業の選択、自治精神というものに合致しないから、法律ではいけないということに相なりましたので、答申は全体の中に、自治の中でそういうふうな申し合わせをしてほしいという期待を込めて書いたということでございます。  多少時間が超過いたしましたが、私の意見はこれで終わります。ありがとうございました。
  10. 菊池福治郎

    菊池委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 菊池福治郎

    菊池委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。
  12. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 鈴木会長宇野会長代理本当に御苦労さまでございます。最終答申までの長い間の御苦労に心から感謝と敬意を表するものであります。  時間が余りありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。  今、地方分権という言葉が大変流行語のようになってきておるように思うのですが、必ずしもそのイメージが確立をしていないように思うわけでございます。人によってその意味するところがかなり違いがありますので、まず初めに、鈴木会長また宇野会長代理のそれぞれの地方分権に対する基本的な考え方をお聞かせ願えればと思うのですが、よろしくお願いいたします。
  13. 鈴木永二

    鈴木参考人 実は、地方分権の問題でございますが、私はよく地方の若い人のグループから、ボランティア的な活動でございますが、七、八回は少なくとも出かけていって話を聞いているのですが、また私の方からもしておりますが、地方分権と言わずに、そういったグループは地方主権だということを特に強く主張しております。だから、国民に主権があるのだ、だから中央省庁の力を分けてもらうのじゃなくて、もともと自分たちが持っているものだという意識が非常に強うございます。私は今宇野さんと恐らく食い違うだろうと思いますけれども、今まで余りにも中央集権、東京一極集中ということがございましたので、地方地方主権、振り子をちょっと上へ上げ過ぎておるということもあるのかもしれませんが、地方主権ということを非常に強く言っています。  しかし何にしましても、国と地方との役割分担の軽重、その比重は違いますけれども、やはり一つ行政でございますから、ここからこちらは地方だ、ここからこちらは中央だというものでもない。これははっきりはしなければなりませんが、その中においても、一つの有機体であるという考え方でスムーズに流れていく、スムーズにまた上がってくるというような、リズミカルと申しますか、そういった問題であろう。ですから、今考えは宇野さんがおっしゃったとおりですが、ここからこちらは全然タッチしないぞとか、さわらないぞという問題ではなかろう。抽象的な言い方でございますが。
  14. 宇野收

    宇野参考人 決してそう大きな食い違いはあるわけではありませんが、やはり今なぜということを考えますと、国でもっとやっていただきたいことが国でやりおおせていないというもどかしさを私ども感じているのですね。もっとやっていただきたいことがやれない、その割合に、地方でやってもいいようなことが随分まだ国のレベルで議論されているということもございます。したがって、ここからこちらはこちら、これは別だという、そんな選別できるような問題ではないと思いますが、基本的には、国がやる仕事はもっと根幹に触れた問題をやっていただきたい、生活に近い問題は原則として地方でやっていただくという精神でやらないと、二十一世紀の国家というのが成り立たないのではないかということから出発したということでございます。
  15. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 それで、地方分権は、臨調以来行政改革の重要課題としてこれをやらなければならないということで、ずっといろいろと大変努力はされてきたように思うのです。しかしながら、いまだ本格的な改革実現していないわけなので、そこで、地方分権本当実現するために最大の障害になっているものは何かということをお二方にちょっとお教え願いたいと思うのです。
  16. 鈴木永二

    鈴木参考人 簡単ですから、私の方からお答えします。  私先ほどちょっと申し上げました、規制社会というものと中央集権というものは別のようであってやはり一体のものである、ですから、地方分権を進めるためには、まず規制というものもうんと切っていかなければならない、整理していかなければならない。そうしないと、そのまま地方分権ということはまた逆にいろいろな、隣の村と隣の県とこんなに違うというようなことになっても困るわけです。これは両方、並行的に進めていく。しかし、今まで日本経済を支えてきた制度ですから、非常に貢献のあった制度ですから、なかなかそれを転換するというのは難しいということを痛感しております。
  17. 宇野收

    宇野参考人 どの部分が悪いというよりも、百年余り日本は中央集権国家でここまでやってきたわけです。したがって、このシステムは今でも生きております。生きておりますが、これから先のことを考えると、集権システムを分権のシステムに変えないと国として存続が非常に難しくなるのではないかという一つ考え方があります。  そういう面から見ると、集権システムの中でそれを運営しておられる方々は分権に対しては抵抗感がある、これは当然です。しかし、私どもはそこにメスを入れなければいけないという問題になりますから、なべて言えば、日本の中央行政システムというものが一つの壁といえば壁です。しかし、これはどちらが悪い、いいという問題ではない、一つの歴史観として考えなければいけない問題だというのが一つあります。  もう一つは、百年間なれた地方の人たちの意識というものが、私たちが責任を持って自立して自主的にやりますという意識がもう少し強くならないといけないのではないか、そういう一つの盛り上がりというものがやはりなお少し足らない、これがやはり障害というよりも、もうちょっと馬力が足らないのではないかという感じがします。その辺のところが問題かなと思います。
  18. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 最後の質問になると思うのですが、今宇野代理がおっしゃったところに本当に尽きると思うのです。地方分権を進めていくためにも皆さんの一つになってやっていこうという気持ちが必要だというのは確かにあると思うのですが、しかし、地方自治体がまだ力不足ではないかという話も確かにあるわけです。そしてまた市町村の実情を見れば、大都市から人口のすごい少ない数百人のところまで規模にばらつきがあって、経済力にしても財政力にしても大きな差がある。これで権限財源移管するといっても、果たして全部が消化できるのか、執行していけるのかというところもあるのですが、そこら辺のところを、それに対してお考えとしてはどうでしょうか。
  19. 宇野收

    宇野参考人 今の御質問は二つあると思うのです。  確かにおっしゃるとおり、地方にそれだけの力があるのかという、ある種の格差があります。もっと言いますと、中央からの地方不信がございます。しかし、ただこれは物の見方でありまして、確かにあるのですが、あるから渡せないよと言ったらもっともっと、ますます格差が大きくなるという事態を考えますと、ここで思い切って一遍やってみるという形によって地方に力がつけられるというチャンスではないかというふうに私は思うのが一つでございます。  それからもう一つの問題は、地方間にまた幾つかの格差がある。これはもう事実です。したがって、これをナショナルミニマムという立場で考えて、これは国が面倒見なければできぬという、確かにそうなんです。ですからこれは、国に面倒見ていただくという意味での、税でいいますと、地方交付税あり方でやはり濃淡をつけるということはやっていただかないといけないと思います。  しかしながら、かつてのようなナショナルミニマムということで、もうあしたの食う米がないというほどのそんな格差のあれはないわけですから、ある程度の格差があって、各自治体がお互いに競争して自分たちの繁栄を考えるということの方が日本全体が活力を持つもとではないかというふうに思います。
  20. 浜田靖一

    ○浜田(靖)委員 大変明確な答弁、ありがとうございました。  もう持ち時間がなくなりましたので、今後ともまた私どもを御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  21. 菊池福治郎

    菊池委員長 網岡雄君。
  22. 網岡雄

    ○網岡委員 まず最初に、鈴木永二参考人、そして宇野参考人の両先生におかれましては、長い間にわたりまして臨時行政改推進審議会委員として、しかもその審議会の全体を仕切る会長、会長代理ということで御苦労願い、最終答申が出された、こういう御労苦に対しましてまず深甚なる敬意を表したいというふうに思います。御苦労さまでございました。  十分間ということですので、地方分権だけに限って御質問をさせていただきたいと思うのでございます。  先ほどの質疑の中でもありましたように、今日の地方自治といいますか地方行政というものの実態は、端的に言えば大分変わってきた、改善されてきたとは言われていますけれども一つの大胆な表現をすれば、国の下請というのが県であり市町村だというのが今までの一つの流れであったというふうに思います。そういう中にありまして、やはり一方、社会的、経済的にもどんどん発展をしていくわけです。その中で、先ほどの御指摘にもありましたように、東京圏の一極集中とか、あるいは名古屋とか関西といったようなところでも同じような一極集中が行われておりまして、そして地方にあっては財政が乏しいために過疎的な状況がある、格差というのが非常に大きくなっている、こういう状況がございます。  そういう中で、先ほどからも御議論がありましたように、ぜひこれは宇野先生にちょっとお考えをお聞きしたいわけですが、長い間にわたってこの状況が続いてきたということに対する、まあ、わかり切ったような話でございますが、その原因と、そしてそれを是正していくためにはどういうことがまず大事なのか。これは、中央省庁も含めて、私どもの議会の立場も含めてどうあるべきかということをまず基本的にお話をお聞きしたいと思うのです。
  23. 宇野收

    宇野参考人 今、浜田先生からもお話がございましたが、どうあるべきかの前に、なぜかということについて考えてまいりますと、やはり今までのシステムが非常にうまく動いたということだと思うのです。このおかげでこれだけの日本の治安が維持され、日本経済的な繁栄ができたわけでありますから、これについてはまあこれでいいじゃないのということだったと思います。中央の方はますます自信をつけられる、地方の方もこれでいいじゃないかということがこの百年、特に戦後の数十年というのは、そういうことについて非常に疑問がなかったということの一語に尽きるのではないかと思います。  しかし、先ほども申し上げているように、今からこれでいいのでしょうかということになるとどうも、中央と地方との格差がどんどんついている、地方の間にもやはりまだ格差が残っている。よく考えてみると、現在の憲法ができて、そして主権在民という形になって、それで地方自治が保障されておりますが、もっと地方自治を渡して活性化したら、こういう問題はこれから先は非常に生きてくるはずだというふうに思います。  どうあるべきかということについて御質問でございますが、先ほど冒頭に御説明申し上げたような、地方の分権の必要性とそのためにやるべき措置、そのためには、国会でも決議していただいたような法律がありませんと、やはりなかなか進まないということだと思います。  ちなみに、私はこの二月にほかの団員の方とヨーロッパ各国の地方分権あり方を視察してまいりました。フランスと日本は非常によく似た中央集権国家でありますけれども、分権法がフランスでできたのが一九八二年であります。今やもう十一年たっておりますが、ようやくある程度の地方分権の実が上がっておるというのが実情でありますから、やはり、法律をつくらないでいつも答申ばかりやっておってはとてもいかないという思いがいたします。
  24. 網岡雄

    ○網岡委員 やはり、法律がこれからの進展の一つの軸になるという御提起でございます。その意味でいくと、この答申地方分権のところでいきますと、第六の提起というところに「地方分権に関する立法化等の推進」、こういうことが記述としてあるわけでございます。  これを見ますと、特に(2)のところですが、「政府においては、内閣及び内閣総理大臣のリーダーシップの下、行政改革の一環として、地方分権に関する新たな推進体制整備し、地方自治体を含む関係者の意見をも踏まえつつ、地方分権推進の基本理念、取り組むべき課題と手順等を明らかにした地方分権に関する大綱方針を今後一年程度を目途に策定すべきである。」その策定された大綱に基づいて立法府や行政府の合意形成を進めて、速やかに成案をつくって、「地方分権推進に関する基本的な法律の制定を目指すべきである。」こういうふうに答申には出ているわけでございます。  一つ大綱方針を一年後に決める、その大綱方針に基づいて分権に関する基本的な法律をつくる、こういうような記述にはなっておるようでありますが、ここに私、日経新聞の「官僚 揺れる座標軸」というのを、これはある意味では興味深く読ませていただいたわけでございます。問題の「地方分権推進に関する基本的な法律の制定を目指すべき」ということが書いてございますが、この「目指すべき」ということのその記述の内容は、これはある程度官庁関係を回って書いたものだと思うのですが、「図る」という文言が一番意味が強くて、「検討する」、その次が「議論する」、それから次に「協議する」、そして「目指す」というのは最も弱い意味を含んだ内容だ、こういうふうに日経新聞はすっぱ抜いておるわけですね。  宇野先生が小委員会ですか、その委員長をなさいまして、そしてこの最終段階だったのでしょうか、とにかく九月十四日と書かれておりますが、一番急所のところで宇野委員長は、「地方分権推進に関する法律は次期通常国会で制定されることを期待する」、こういう内容の答申素案を出されたというふうにお聞きしております。これはとうとう、出されたのですが、消えてしまった格好になっておるわけです。  ここに書いてある答申書の内容でいきますと、結局、大綱方針を出すということは一年後ということで出口がぴしっと決まっているわけですが、それを受けての法律を作成する作業の段階では、その後に法律をつくるかどうかを考えることというような意味にとれるような内容になっている、こういうふうに私どもは聞いておりますのであるから、宇野先生は出口のところをはっきり明確に通常国会においてというふうにおっしゃったのではないかというふうに思うわけでございます。  そういう意味でいって、審議会で実際に責任者として答申をまとめられ、いろいろな議論の中でやはりこれは省庁とも意見交換をなさり、いろいろな討議をされながらこれをまとめられたと思うのですが、この案がまとまった時点における宇野先生の考えと、そしてこの答申の中でこの点がまだ足らないのだというようなことがあれば、この際私どもは、立法の立場から今後補充していく意味において対応していかなければならぬと思いますので、御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  25. 宇野收

    宇野参考人 ただいま大変機微にわたる問題をお話しいただきまして、まさにおっしゃるとおり、私どもは何とかして法律によって実行を担保したい、しかもできるだけ早くやりたいという気持ちのあらわれが私どもの素案でございました。しかしながら、やはり諸事必ずしもそうはまいらないというふうなことがございまして、法律にのせるという、「法律」ということ自身も消されるというような懸念もございました。したがって、今先生御指摘のとおり、二段構えにいたしまして、一年をめどにして大綱方針を決める、後は法律を目指すべきである。  話は変わりますが、官庁用語というのは、目指すであったり、検討であったり、協議であったり、いろいろ意味があるということも私は勉強いたしました。そういうことでありますが、答申の心に込めた意味は、何としても法律でひとつやっていってもらいたいということでございますから、細川総理に提出いたしますときにもその心を込めて提出をいたした次第でございます。  ちなみに、その間に、先ほど申し上げた六月の国会決議がありまして、私ども総理から任命された、政府に対する答申でありますから、国会決議にひとつお願いしますということは私どもの言える立場ではございません。したがって、国会の方でこの問題について決議を実行していただくということに対しても、強く強く御期待を申し上げる次第でございます。
  26. 網岡雄

    ○網岡委員 時間がもうないようですから一言だけ申し上げたいのです。  今、宇野先生はフランスの例をとられて、地方分権推進法律ができたことによって非常なスピードで分権が進んでいるという国際的な事例について御説明がございました。審議会の審議の過程を通じて今御説明があったようなことを聞くにつけ、やはりこれは、こういう書き方にはなっておりますが、大綱を受けて一定の方針というものが決まった段階では速やかに法律国会提案をされる、そして法律が成立をする、こういうことのために私どもも努力をしていきたいというふうに思っておるところでございます。  任務を完了されましたけれども、それぞれの持ち場にありまして、この審議会の御経験を踏まえて、鈴木先生、宇野先生それぞれ大変大きな影響力をお持ちになっている先生方でございますから、社会にありましても、ぜひ引き続いてこの情熱を持って御努力をいただきたいと思います。  御指摘をいただきました点は自分自身の問題といたしまして、立法の立場からも、あらゆる障害を乗り越えて一日も早くこの法案が、分権のために必要な法案というものが世に出る、こういうことのために一生懸命汗をかいていきたい、こう思っております。  決意を述べて、終わります。
  27. 菊池福治郎

    菊池委員長 石破茂君。
  28. 石破茂

    ○石破委員 本日はまことにありがとうございます。  きのう政治改革法案が衆議院を通ったわけでありますが、我々与党のころからずっと議論をしてきて、政治改革の目的というのは多分四つあるのだろう。一つは、やはり政策で勝負する政治をつくらなければいかぬ。もう一つは、政権交代の可能性を担保しなければいかぬ。偶然に起こる政権交代ではなくて、常に制度として担保されていなければいかぬ。三つ目は、金に左右されない政治をつくっていかなければならない。金がかからない政治じゃなくて、金に左右されない政治をつくらなければいけない。そして最後は、地方分権推進をしていかねばならぬ。この四つでございましたが、我々内輪で議論しておっても、最後地方分権だけはどうも詰め切らないねということであったのが本当のところであります。  宇野先生のおっしゃるように、国防、外交、教育、経済、治安、これが国でなければできないものなのだ、あとは地方に任せていかなければいけないものだ。日本はこんなすごい国になったのだから、今のシステムでいいのじゃないかという御意見もあるのですが、それはやはり米ソ冷戦構造というのを抜きにして語ることはできないので、アメリカが日本外交なり国防なり、かなり肩がわりしてくれた面があったので、今まではそれでよかったけれども、これからはそうはいかぬ。国は国のことに専念をしなければいけないので、地方分権というのはそれと表裏だ、国がそれに専念することによって、あとのことは地方がやってくれなければ、それは国として成り立たないよ、だから地方分権の議論をきちんとしましょう、こういうお話だったかと思います。  ただ、選挙制度審議会でも八次の答申まで出してやっとここまで来たわけですから、実際、嫌なことはだれもやりたくないわけですね。行政改革地方分権というのは、ある意味で官僚機構にとっては非常に嫌なこと、血を流すことに違いない。だから、政治改革にしても、リクルートということが起こったのでこういうことになりましたが、今日、実際地方分権をやらなければいけないという必然性を身にしみて感じている人というのは、実は国民の中にはそんなにはいないのじゃないか。だから、スローガンはみんな賛成でも、実際になるとまあまあというような話になってしまうのじゃないかと思います。  それで、地方分権促進法でも推進法でも何でもいいわけなのですが、それはつくらなければいかぬ。それの内容というものは一体どのようなものが骨子となるのか、どういうような法律を制定してそれを促進しようと考えておられるのか、その点について御見解を承れればありがたいと思います。
  29. 宇野收

    宇野参考人 四つの今の問題の中で一番煩わしい、進まない問題だというので地方分権の御指摘がございましたが、分権法の内容につきましては、やはり総則的には、なぜ地方分権が必要かという原則が、一つ精神が盛り込まれなければいけないかと思いますけれども、あと、かかって内容は、どういう権限地方に渡すか、あるいはどういうふうにして地方財源強化するかというところが大きなみそになるのではないかというふうに思います。  もう一つのみそは、受ける側の地方の府県のあり方、特に府県のあり方では、機関委任事務をいかに整理合理化していくかというところが、本当意味地方が国の出先機関でない形になるもとでありますから、これが一つ大きな問題なのですが、それと並行して、今度は市町村自治というものをやろうとしますと、これは合併を伴わないままでできる市町村というものの方が少ない。市町村というものには、政令都市のように大きいところもありますが、本当に小さな市町村がありますから、そういうところで共同で例えば下水処理をしようとしたってできないわけですから、ある程度の大きさにならぬといかぬというのは各地方におありだと思いますから、市町村合併というものを一方でやりながら、その中へ権限を渡す、市町村に府県から渡す、あるいは国から渡すというようなことがまた一つ権限の上での作業ではないかというふうに思います。  問題は、あとは議会ですね。市町村議会あるいは府県議会というのが、これはそういう形でだんだん合理化したときに自分たちはどうなるのだという問題がある、現実の問題としてございますから、その経過措置をどうするかというような問題なんかも出てまいると思います。
  30. 石破茂

    ○石破委員 改革という言葉はきれいですから、みんな幸せになるような気がするのですが、私は自分の選挙区ではそうは言ってないのですね。地方分権というのは決してみんなが幸せになるという話ではありませんで、つまり、今はどこでも同じようなものが建ち、同じようなホールが建ち、同じような道路ができ、ということだと思うのですね。中央集権また補助金システムというのは、結局、全国どこでも同じような、護送船団方式みたいな、みんなが幸せになれるということは担保してきたと思いますが、ところが、今度は分権になっていくと、本当に努力をし知恵を出したところはよくなっていくけれども、そうでないところは今までのようにみんなよくなるというわけにはいきませんよということを申し上げておるのであります。やはりかなり厳しい内容を伴ったものであるということを言いませんと、みんながバラ色の夢を抱いてしまうのではないか。  そしてまた我々、これは私だけがいけないのかもしれませんが、国会議員が選挙で、私はこの県に生まれ、この県に育ち、この県に死ぬんだ、私はこの県のために命をかけますというような公約をして選挙に出てくる。また、それは、私はこのたび衆議院議員に立候補しました何の何がしてございますというところを、このたび何々県知事に立候補いたしましたと変えればそのまま通じるような、そういうようなお話になってしまっているのじゃないだろうかという気がしてならぬのです。  私の県は過疎県でございますから、法案はそのまま通るとすると、衆議院議員の四人が二人に減ってしまう。それじゃ困るじゃないかという声があるのですが、いや、それはそうじゃない、これからは分権なんだ、国会議員お願いして道路がついたとか、国会議員お願いして何か建ったとか、そういうような地方自治というものをある意味で減殺してしまうようなことじゃなくて、皆さん方がこれから先は中央省庁と折衝をするんですよ、国会議員に頼んだから、あの議員がよくやったからできた、あの議員が怠けたからできなかった、こんなことじゃないんですよというふうに申し上げておるのですが、その認識で正しいかどうか。  要するに、地方の知恵と力比べの時代なんだということ。そしてまた、中央官庁に言わせますと、いや、そうはいったって、今は国会議員さんに頼んでいるからある程度のセレクションができるんだ、これが全部わっと来ちゃったら、これはもうそれだけで大変なことになってしまいますよということをおっしゃるのですが、それを抑えていくためには道州制なり、そしてまた合併なりということが処方せんとなるんだということですね。  以上、お教えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 宇野收

    宇野参考人 全く今石破先生のおっしゃるとおりで、何も私は意見を挟むことはございません。  ちょっと振り返ってみると、過去のことになりますが、徳川幕藩時代の方がそれぞれの地域が個性を持っておって、それぞれの地域が文化を持っておって、経済的に独立しようとしておったわけでありますが、これをもとへ戻すわけじゃありませんが、今言おうとしておる地方分権というのは、まさにそれでないと、おのおのの個性を持って、自分で自立していくというものがなかったら、これは意味がないんだと私は思っておりますので、全くおっしゃるとおりでございますから、何も申し上げることはできません。ぜひひとつそういう方向でやりたいと思っております。
  32. 石破茂

    ○石破委員 会長からもし御見解があれば。
  33. 鈴木永二

    鈴木参考人 まことに今の話と同じですが、私は、実際に地方分権を進めるには意識改革ということが一番大事だ、やはり意識がまだずれているように思います。地方分権を主張する割合に、本当地方分権意味合い、重要性というものに対する認識がどこまでいっているのか、今まだ総論賛成、各論反対の事態じゃないかと思いますので、ひとつ先生方のそういった意識改革への御援助をお願いしたいというのが気持ちでございます。
  34. 石破茂

    ○石破委員 以上で終わりますが、何にしても、本当に意識としては物すごくおくれていると思うのですね。ですから、法律を制定して無理やりにでもやってしまわないと、選挙制度を変えてみたところで地方分権ができなければ意味がないのではないかと私は思っているのです。  懸念されているのは、小選挙区になってしまってもまた利益誘導が始まるのではないか、奄美みたいなことになってしまうのではないかというのが、これができた後でもどうなるのという漠たる不安であるし、それを主張される方もたくさんおられます。それをやらないためにも地方のことは地方がやるのだということを確立しませんと、政治改革は決してその実を上げないというふうに思っておりますので、これから先も御指導、御鞭撻賜りますよう心からお願いをいたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  35. 菊池福治郎

    菊池委員長 青木宏之君。
  36. 青木宏之

    ○青木委員 鈴木宇野参考人には、大変今日まで御苦労さまでございました。また、本日は貴重な御意見の御開陳を賜りまして、感謝を申し上げる次第でございます。  今までの議論、質問の中でももう出てきておることもありますが、まとまってお尋ねできるかどうかわかりませんけれども地方分権必要性ということについては、もう既に論をまたないところではないかとは思うのです。ただ、鈴木会長がおっしゃったように、意識の問題としてはまだまだ未成熟でないかということは十分感ずるわけであります。たまたま、私がついこの六月までは愛知県の県議会議員をやっておりましたものですから、特にこういう問題については関心も深いし、県政の中で感じたこともあるわけでありまして、地方分権必要性ということは、私個人としては大変強く感じておるものであります。  そこで、一つは、当面の問題解決としてのことでありますけれども、要するに、国の行政改革をなし遂げなければならないという点と、それからもう一つは、本来の地方自治の確立という二点から当面のいろいろな問題を解決していかなければならない、こういうことがあると思うのです。もう一つは、少し今出てきておりますけれども、あるいは最初の御開陳の中で少しお触れになりましたが、道州制等の問題を初めとして、いわゆる理想論として、国と地方あり方、姿というものがどうあるべきかという、やや究極的な理想論ですね。そういった観点からこの地方分権を考える必要性がある。当面の問題としてと、それから理想論としてとあると思うのです。したがって、この地方分権を考えるときに、まずどのあたりをめどにして進めるのかということとかあるいは根本的なところから、理想論の立場から進めようとするのかという、その進め方のプロセス、方法論としてはなかなか議論が分かれるところではないかと思うのです。  そんなような認識のもとに、ちょっとばらばらになるかもしれませんが、お考えを簡潔にひとつお聞きをしてまいりたいと思います。  まず、法制化ということを先ほどおっしゃいまして、確かに強権的にこれを進めなければかなりその実現性は困難であるという点からすると、基本的には大部分のものについて法制化を進めなければならない。しかしながら、法制化をしなくても、現実の中で対応し得る当面の解決策というものも少しくはあるという感じもしますので、まず法制化の前にやるべきことを、国会としても当然これは検討を加えていく問題でありますから、各界各層におかれても、ぜひその意見の高揚というものを一つはお図りをいただきたい、こういう希望を申し上げるわけです。  例えば、我が愛知県の場合にありましても、まず人の問題を見ましても、私の記憶では、県警本部長、土本部長、建築部長、農地林務部長、農業水産部長、商工部長、衛生部長などは大体国からお見えになる。それで、残りました教育長とか総務部長、企画部長、民生部長、労働部長あたりは県採用の職員というようなのが愛知県の実態でありましたけれども、こういう人の面を見ましても、やはり先ほどおっしゃられました、都道府県自治あり方は相当国の行政に組み込まれているという感じが強くするわけであります。  余り意見ばかり言っておってもいけませんので、そこでお尋ねをさせていただくわけであります。  御答申の中でも触れられておったところでありますが、都道府県の問題とあともう一つ、基本的な自治体である市町村の問題でありますけれども市町村合併等の問題であります。  これが、答申の中では、割とその地域自主性に任せてこれを進めていくような方向、そしてそれには都道府県ないし国は支援をしていくんだ、こういうような御指摘があったと思うのですが、こういう自主性に任せておるということではなかなかこれは進展が難しいのではないか。そこに理想論とも絡まってくるわけでありますけれども、基本的な自治体であるシティー、市の適正規模がどのようなものかというようなこととも関連してきますので、若干難しいかもしれませんが、私は、むしろやや強制的に市町村合併を進めていくべきではなかろうかという意見を持っておるわけですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  37. 鈴木永二

    鈴木参考人 お話の御趣旨はよくわかるわけですが、正直に申し上げまして、私どもとしましては、まず地方分権するには基礎的自治体というものを固めようじゃないかというのがスタートでございました。今総理をやっておられます細川部会長にお願いして基礎的自治体というのを大分検討したのですけれども、そのころ基礎的自治体の問題については積極論が極めて少なかった。そしてパイロット自治体ということで、それではひとつテスト的にこういった制度を、法律を改正する前に運用でやっていくというような制度から地方分権というものの効果を知ってもらおうじゃないかということでパイロット自治体というものをしまして、先ほど申し上げましたように、二十市町村から提案があって、それが採択されたということでございますけれども、私どもずっとやってまいりました者としましては、今度提案されました問題は、本当地方自治という立場からいうと不満足な提案内容であると言わざるを得ないと思います。  そういうことで今、いろいろ地方分権という問題が出てまいりますと、受け皿ができていないじゃないか、こういう話が出てくる。我々はそれを見越して、その受け皿をひとつ皆さんで整備しようじゃないか、こういうことに対してああいう結果になっておるわけでございますので、本当は基礎的自治体がどのぐらいでいいのか、三千三百が、まあ三百とか四百というような意見も出てきておりましたのですけれども、今それは中断しておるわけでございます。そこら辺はやはり、広域経済という面と、また基礎的自治体という両面を固めていくことが実際の地方分権の道筋ではなかろうか、こんなふうに思うわけでございます。  それで、先ほどの網岡先生のお話にも触れる問題でございますけれども、実は、地方分権の問題につきましては先ほど言ったように非常に苦労していただきましたが、新聞の報道、必ずしも正確ではない。我々の意図は、やはり今まで地方分権をするぞ、するぞと言ってなかなか実際に分権が行われてきてないという実情から、中央に対して、言葉は適当じゃございませんが、地方分権に関してはそう言われてもやってくれないじゃないかという一つの不信感的なものが根強いという問題と、それを担保するために早く法律をつくる、法律も宣言法的なものじゃなくて実体法でいけというのが本旨でございまして、実体法で早くやってくださいということを、先ほど先生御指摘の問題は、それだけの実体法をどのくらいの期間があったらできるかという問題で先ほどおっしゃった問題が起きているわけでございます。それを御説明するのはここでは時間がございません。  そういうことで御質問にはそこまでお答えしまして、宇野さん、ひとつ何か。
  38. 宇野收

    宇野参考人 具体的に市町村が今のままでいいのかどうかということについては、やはり合併をしないとできないという意味市町村合併法というのは引き続いて存続、延長してほしいということを申しておりますが、やはりインセンティブがないとできないという問題もございます。税制上の問題もございますね。ですからこれは、私は、それぞれの地域によってそれぞれのインセンティブを利用して合併をされて、そして上水道、下水道その他、実際の生活がある程度対にならないと自治ができないという実態を合わせたことが必要なことではないかというふうに思っております。  それから、理想論を言えばどうなのかということでございますが、これは今考えております答申は、私なりに解釈しますと、二十一世紀の初頭までのところでやってもらって実現をしてもらいたいということを私は頭に置いております。ほかの方はどういう御意見か知りません。しかし、二十一世紀の中ごろはどうなるのかといったらこれは予測は困難でありますが、そのときには果たして国と都道府県の連合体と市町村合併体とという三層構造がいいのか、あるいはもう国と市町村の二層制がいいのかというのは、これは議論の分かれるところであろうかと思います。その辺は事の成り行きによって決まっていくのであって、余り今理想論を言っておってもこれはわからぬぞという、手前のまず大事なことをやるべきだというのが私ども考え方でございます。
  39. 青木宏之

    ○青木委員 時間がもう過ぎてしまいまして申しわけございません。  もう質問はやめますけれども一つだけ申し上げますが、例えば愛知県に人口で日本一小さい村があるのですが、富山村というところですけれども、わずか人口二百九人、世帯数は八十世帯、私の町内よりもはるかに小さいのがきちんと村長もおり、村会議員が七名おって、議会もあってやっておる、こういうのが実態なのですね。まだほかにもあると思うのです。ですから、この辺もかなり早急に、やはり自治体として機能するのかどうかという問題が現実にあると思うものですから、そこでかなり強制的にということを先ほど申し上げたわけであります。  それからもう一つ、愛知県の人から聞いたのですが、県の要望として例えば保安林解除の問題、これを権限移管してくれ、こういう問題宣言っておるわけですけれども移管しましても今度はかなりいろいろな圧力だとかいわゆるまた癒着の問題が出てくる可能性があるので、県としてもこれをもらっても困るわなというようなお話も承っておる。その辺の、権限移管すればいいというんじゃなくて、やはり権限移管するとまた地方に問題を起こすということも加味しながら、私どもはこれから検討していかなければいかぬと思いますが、両先生におかれましては非常に高い指導力をお持ちの先生方でありますので、ぜひひとつ声を大きくしてこの地方分権、我々も頑張りますけれども、ひとつ今後ともよろしくお願い申し上げまして終わります。ありがとうございました。
  40. 菊池福治郎

    菊池委員長 佐藤茂樹君。
  41. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。  きょうは、両参考人にあられましては大変お忙しい中、一つのハードルを越えた国会、次の動きへと動いている大変緊迫した中に来ていただきまして、大変にありがとうございます。それで、もう鈴木会長からもお話があったのですが、なぜ地方分権なのかというところがきちっと定まってないと、地方分権の具体策にいったときにはなかなか修正が不可能であろう、こういう感じがするわけでございます。  そのあたりの哲学の部分というか理想の部分というのが幾つか論議されたと思うのですけれども一つは、従来のいろいろな論議の中では国が国際社会変化に即応できる体制をつくるためとか、また中央集権化でいわゆる政官業という利益誘導体質を排除するために、また東京への一極集中の是正、そういうある意味で今まで挙げたのは、一般的にはどちらかというと中央の事情を重視した分権の必要性というのが大分挙げられてきたと思うのですけれども、私は、この連立政権が掲げている消費者、生活中心社会への転換という生活者重視という観点がこれからの日本社会において大変大事であろう。私たちの生活に身近な住宅とか福祉、そして医療また環境、そういうことをめぐる問題については地域によって住民のニーズというのは本当に多種多様でありまして、またそういう地域の実情に沿ったきめ細かな施策が必要ではないか。これがまず一点ということ。  もう一つの分権の必要性ということでは、さっき宇野会長代理が江戸時代の話をされていましたけれども地域の活性化という観点が非常に大事ではないかな。地域社会経済社会のそれぞれの個性豊かな発展に基礎づけられてこそ国全体のバランスある発展があるのではないか、各地域が活力と創造力を持って特色ある地域づくりができるようなそういう社会にするためにも分権が必要ではないか、そのように日ごろ考えているわけでございますけれども行革審の中で、二十一世紀にどういう日本社会にならなければいけないのか、そのためにまたそういう課題とかあるべき姿を踏まえて、地方分権がこうこうこういう理由で必要なんだということが多分数時間にわたって論議されたと思うのですが、その辺の話し合いの内容といいますか、まとまった形でも結構でございますのでお聞かせ願いたいと思います。
  42. 鈴木永二

    鈴木参考人 御質問のとおりの点を痛感しておるわけでございまして、明治と申しますか、終戦後、日本の追いつけ追い越せ政策でここまで経済成長したわけでございますが、二十一世紀をにらんでみますと、もう現在もそうでございますけれども、大量生産の規格品を企業、私どもでいえばシェア主義というようなことで大量生産、大量輸出ということは望めないし、国民もそれを望んでいない、むしろ今の価値多様化の製品を期待する、地方色豊かなものを期待するということでございますので、やはり端的に言いますと、消費者重視の経済へ転換するというためには、中央、東京一極というんじゃなくて地方へ分散して、地方の活力、特色を生かしていただく政策に転換しなきゃいかぬというのが一番の今差し迫った日本の重大な政策転換の要素だ、私はこう思っております。  企業あたりもそこら辺をどのように転換した産業を興していくかということに、今自信があるとを言えない状態だろうと思っておりますけれども、そこら辺に非常に重点を置いた考えを働かしていかなきゃいかぬというふうに考えておりますので、産業の問題も政治の問題も行政の問題も同じ問題に今ぶつかっている、私はそういう認識でおります。
  43. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 そこで、宇野会長代理にお聞きしたいのですが、宇野会長代理は関経連の会長という立場もあられまして、今まで何回かにわたってすばらしい提言を特に地方分権についてはされてきているわけですけれども、しかし、先ほど会長のお話にもありましたけれども、中央主導による近代化が進められてきた、その中で地方自治体が逆にそれにならされてしまった。先ほどから議論も出ておりますけれども自治能力の不足というか、そういう根強い見方もありまして、この地方分権に対する意欲というのがなかなかまだまだ地方から高まっていないというか、そういう段階ではないかなということは痛感するわけです。  そういう自治体また住民に対してその意識の啓蒙というか、宣伝または普及を推進する必要があると思うのですけれども、その点についてどのような形で推進していったらいいのかということを、もしお考えがあれば教えていただきたいと思います。
  44. 宇野收

    宇野参考人 今、佐藤先生がおっしゃったどういうふうにして啓蒙したらいいのかというのは、私が余り前へ出ますと、財界人が自分の利益のために言っておるという誤解を受ける点もありまして、いささか直接訴えるチャネルがない。ですけれども、これはやらぬといかぬと思いますが、かかって政治の皆さんにもぜひお願いをしたいという問題でございます。  ただ、一つ私が経済人として皆さんと共通の問題を抱えておりますのは、関西の問題について申しますと、今から七年前になりますが、関西文化学術研究都市というのを建設していきますときに、あれは御承知のように京都、奈良、大阪の三県境にまたがっておる地域であって、あの中に五市三町ありまして、各市長さん、町長さん、知事さんがばらばら言われたら建設できないので、これは国会お願いして学研都市の特別法をつくっていただいた。これが大変あそこに住んでおられる方が、ああこれでよかったなというふうに実感をしていただいたと思います。  それでその次に、今度は大阪湾のベイエリアの開発ということで、二府五県にまたがった地域の開発をやろうとすると、これまたばらばら縦割りでやってはできないので、昨年末に議員立法で法律をつくっていただきました。これからいよいよその法律に基づいて全体の総合的な計画を進めていくのですが、これはやはり喜んでいただけると思うのです。しかし、それは私ども立場はその辺のところまででありまして、あとはやはり直接市民に訴えられるのは政治の力でやっていただきたいということでございますし、私たちもいたしますが、誤解を招くような形になるのはまずいので、ぜひこれはお願いしたいと思います。
  45. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 これで最後の質問にしたいのですけれども先ほどから基礎的自治体たる市町村がある意味でやはり行政中心的な、住民と接するという点でも、担い手にならなければいけない、そういう答申を受けて幾つかのお話があったわけですけれども、私も同感です。分権の受け皿としての市町村はどうあるべきなのか、またそういうところに本当に主眼を置いていかなければいけないであろう、そういうふうに思うわけでございますが、今現在市町村は、これは正確な数とちょっと違うかもわかりませんけれども、三千二百三十六団体ありまして、そのうち人口十万以下の市町村というのが三千三十団体、約九三%から九四%を占めているという状況なんです。しかし、住民の側からいうと、非常に日常生活部門というものが著しく拡大してきておりまして、人口十万あたりぐらいの市町村ではなかなか処理し切れない問題、対応し切れない問題が非常に出てきているのではないか。そういう中から、先ほど答申の話もありましたけれども自主合併推進されればいいけれどもというそういう文面がありましたけれども、なかなか容易ではないだろう。  そこで、我が党の中でも議論をいろいろ今進めている中に、一つは、合併のワンステップとして市町村共同体制度というものを設けたらどうか。それは、生活ゾーン、経済ゾーンにある幾つかの市町村が共同して人口二十万人前後の団体を結成して、そこで要するに住民の意思が制度的に反映されることをきちっと確保し、また市町村自主的判断によってそこに参画するのですけれども、そういう市町村共同体には政令指定都市に近いような権限、また財源を付与するという考え方で進めていってはどうかというようなことも一つには考えているのですけれども審議会の中でこれからの市町村あり方、また合併を進めていくに当たって議論されたことがあれば、お伺いしたいと思います。
  46. 宇野收

    宇野参考人 私はその方は経験は乏しいのですが、私の経験で申し上げますと、今先生御指摘のとおり、障害になってくるというか難しいのは、やはり一遍に合併しますと、市町村長さんの数が減る、あるいは議員さんの数が減るというのが、もうこれは本当に切実な問題でございます。同じようなことは府県にもございます。  そこで、私も、今まさにおっしゃった連合議会をつくる、あるいは共同体をつくるという一つの手前のステップで知恵を働かせて、その次のステップはみんなでまた合意の上でというステップが要るのではないかなと思って、多少お手伝いをしている面がございます。
  47. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 大変短時間でしたけれども、貴重な御意見、ありがとうございます。先ほど御指摘がありましたように、政治のリーダーシップというのがいよいよ次の段階として必要になってきたな、そのことを痛感いたします。一生懸命また頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
  48. 菊池福治郎

  49. 永井英慈

    ○永井(英)委員 鈴木さん、宇野さん、どうも御苦労さんでございます。また、大変すばらしい最終答申を出され、じっくり読ませてもらいまして、大変感銘を深くしたわけでございます。  今、佐藤委員からもお話がありましたが、なぜ地方分権がということ、とりわけここ数年声が高いわけでございますが、私の認識としては、極端な集権国家だという感じがいたします。先ほど宇野さんもお話しされましたけれども、明治以来もう徹底的に集権体制をとってきた。終戦になった。新しい憲法で地方分権地方自治というような民主的な考え方も、考え方としては導入された。しかし、終戦直後、日本政治は敗戦なるがゆえに余り機能しなかった。そして、どちらかといえば明治時代の官僚体制が政治を支えて今日まで来たということだと思うのです。  そして、高度成長で経済規模が大きくなる、行政需要もますます増大する、産業界もどんどん発展をしてくる。そこへもってきて、五五年体制と言われる長期政権が続いたということで、極端に言えば、極度の中央集権プラス一党長期政権プラス議院内閣制によりまして、行政府と立法府がほぼ一体化してしまっている状態じゃないかと思うのです。加えて、この一体化した強大な権力構造に、さらに今問題になっている業というのが集中的にくっついてきているようなのが日本の今の状態じゃないかと思うのです。私はこれを称して、複合集権体制国家と実は言っているのです。これはかなり昔からの私の持論なんですが。  そこで、私も神奈川県の県会議員をしばらくやっておりまして、昭和五十三年ですけれども、ちょうど十五年前、長洲知事が地方時代を求めてという、あれはすばらしい提案というか、提言だったわけですね。私も大変関心を持って、また期待を持ってその推移を見るやら、また私自身も具体的な地方分権提案をしてきたわけです。地方時代というのがもう流行語に一時なったわけでございます。  実は、くしくもきょう、あしたと神奈川県で地方時代シンポジウムを横浜で開いておりまして、私あした行こうと思っているのですけれども、しかし、あれだけ国民の関心と期待を集めながら、地方時代の理念は具体的には、私個人的に思うのですけれども、ほとんど実現していない、ゼロに等しい状態だと思うのです。がっかりしているような状態です。  そこで、先ほどお話がありました地方分権に関する地方分権特例制度パイロット自治体制度という制度が動き出したわけですね。そこで私は、この内容を見て、先ほども御説明を伺いましたけれども、この答申の高邁な理想に近づく実効性がこのパイロット自治体にどれだけあるかという疑問を持っておるのですが、その辺についてちょっとお聞かせいただければと思うのです。
  50. 鈴木永二

    鈴木参考人 大変私にとっては痛い御質問でございます。先ほども申しましたように、今度せっかく手を挙げていただいたところも、パイロット制度本当の本質からいいまして十分とは思えないというのが率直な意見でございまして、結局原因は、地方自治、自分で考えて自分でどういう行政をするかということに対するまだ十分の認識が足らないんじゃないか。それぞれの自治体は、考えておられるとおっしゃるに違いありませんけれども、まだ私どもがねらっている本当地方自治、自分で考えて、先ほど佐藤先生もおっしゃったような意味合いのことを考えてやっていこうということがあれば、もう少し、本当に困った問題、制度的に困った問題はそこへ持ちかけて、早く解決してくださいということが出るはずだと私は思っておる。  もう一つ、実際的にはそれよりもっと大きな要素だ、こう思われることは、ほかの制度はいろいろ補助金とかいわゆる刺激策が整っておる、しかし今度の制度は、初めから言っておりますように、そういったインセンティブはないよ、ただ、自分たちの自治ということを中心に考えられた場合に、そのお手伝いをしようという制度でございますから、そこがなかなかそこまでいっていない。  あえてもう一つ申し上げますと、あの制度には県の援助、御支援がなければいかぬという考えもありまして、あらかじめ県に相談して、県も応援してくださいということになっているのですけれども、そこが十分応援していただけたのかあるいはというような、言いにくい問題がございますけれども、そういった問題がありまして、地方分権ということは県の問題と市町村、二重構造といいますか、それらが一体になって今後進んでいただきたい。  いわゆる地方分権というものはプラスサムで、県が損するとか市町村が得するとかいうことじゃなくて、地方というものをどのように自治権を拡大していくかという問題でございますので、そこら辺の協力関係が、制度的にと申しますか、意識的にと申しますか、十分の協調体制になっておるのかなということをちょっと申し上げたいわけでございまして、大体そんなことを、ひがみ根性があって言っておると思われるかもしれませんが、そこら辺を解決していただきたいというのが私どもの希望でございます。
  51. 永井英慈

    ○永井(英)委員 ありがとうございます。  確かに意識改革というのは大変難しいものだと私は思っております。国民的なこの合意ができ上がってくるかというと、なかなか放置しておいたんじゃでき上がってこないと思うのですね。それで、何か誘導するような施策なりを展開しないとだめじゃないかなということが一つです。  それから、もっと刺激を与え意識を高めるために、青写真をどこかでつくって、それでぼんと、いかがでしょう、国会で審議してください、こういうような具体的なものが出てこないと、国民の側としては地方分権地方分権、いいような悪いような、ぱっとしないというのが実情だと思うのですね。そこで、きちっとした青写真を国民に提示する、そして意識を盛り上げていく、こういう手法はいかがでしょうか。
  52. 鈴木永二

    鈴木参考人 おっしゃるとおりだと思います。私どもも、地方分権のあの制度をしますときに、例えば職住接近した町づくりをするにはどうしたらいいかお考えのときには、土地基本法とか都市計画法、こういうようないろいろなことで地方は縛られておる、それを一つ一つ解決していたんじゃ間に合わない。じゃ、そういうことを、もし職住接近の町づくりをされるという場合には、こういうふうにいろいろな省庁に関係があります、どういうような法律に縛られます、それはひとつ一括、内閣なら内閣で各省と相談して解決をするということも考えられますね。  しかし、余りそういったイメージを押し出しますと、押しつけじゃないか、また中央統制じゃないか、こういうことにもなるということの御指摘もございまして、例えばイメージとしてはこんな問題もこういうようなことでやっていただけるんじゃないでしょうかということを言ったことがございますが、そういったイメージは、また宇野さんも先ほどから言われまして、もうさらにつけ加えるのはちょっと気が引けますけれども政治の方でこういった地方分権をつくろうじゃないかと言っていただければ大変ありがたいと思います。球をお返しするような言い方になって恐縮でございます。
  53. 永井英慈

    ○永井(英)委員 よくわかりました。  最後一つ先ほど言いましたけれども複合集権体制国家、しかも日本は、御承知のように世界には百九十ほどの地域、国があって、人口では一億人を超える人口大国でもあります。それからまた面積的に見ても、統一ドイツにほぼ等しい面積でございますし、さらには経済規模はもう申し上げるまでもございません。どっちから見ても巨大な国が極端な集権体制であるということで、どうも今のお話を聞くと、受け皿論ではありませんけれども、これだけの大きな事務事業というか、権限というか、財源というか仕事を今の都道府県市町村では受け切れないだろうというのが実は私の考えなんです。  したがって、皆さんからもお話がちょろちょろと出ておりましたけれども、道州制についてかなり突っ込んだこれは議論を、特に関経連の皆さんなんかはされておったと思うのですけれども、その辺の議論の経過など、簡単で結構でございます。
  54. 宇野收

    宇野参考人 それじゃ、簡単に申し上げます。  実は道州制の問題は、一九五五年でありますから、自民党政権のときに最初に申し上げまして、これはやはり広域でないと、とてもこれからもう府県では片づかないよという認識がありました。そのときに言いました道州制は、ただし長官は官選の長官ということであります。ところが、これはなかなかいろいろなお話の抵抗があって道州制を引っ込めまして、地方庁をつくる、地方の出先官庁を全部統合してそこで広域的自治体制度をやってほしいということでありましたのですが、これまたいろいろと障害がありました。再び道州制へ戻って、その次の道州制は民選の長官ですよ、大臣クラスが長官になるということで今まできておりますが、今道州制を言いますと、まだいろいろアレルギーがありますから、現在申し上げておりますのは、府県の連合をまず考えてください、先ほどお話ししました共同体というのはそれに関連するものですが、連合をつくってください、連合の先が合併になるならそれは結構ですね、それは即道州制でありますよというような感じで府県レベルの問題は言っております。市町村レベルの問題は、やはりその地域においての合併なりなんなりをインセンティブしていればよろしいんではないかというふうに考えております。  したがって、私がこれを言いますと、関西のためにこれを、分権を言っていると言われますから、とんでもない、私は行革審のあれとして日本のためにお願いしておりますということを理解していただくのに、まず二年ぐらいかかりました。そんなことであります。
  55. 永井英慈

    ○永井(英)委員 最後ですが、北海道が道州制の一つのパターンかもしれません。これは大変大きな問題を含んでおります。  それからもう一点、私、神奈川県の川崎市の出身なんですが、政令指定都市という日本の大都市制度があるわけです。これまた大変な問題を含んでおって、矛盾も弊害も山積しておるわけでして、この辺についてもまた後日御指導をいただければありがたいと思います。  ありがとうございました。
  56. 菊池福治郎

    菊池委員長 小平忠正君。
  57. 小平忠正

    ○小平委員 私は民社党の小平です。お二方には、本当に論議また検討を重ねてこの行革審答申本当に御苦労さまでございました。また、本日は、御多忙にもかかわらず御出席をいただきまして、ありがとうございます。  私からも、意見を述べながら質問させていただきますけれども、基本的にはこの提言されたことに対して私も同感であります。先ほど宇野さんがおっしゃった、かつて徳川時代の幕藩政治本当にあの時代は文化花開いた時代でありました。しかし、我が国は、特に明治維新後、欧米の列強の仲間入りをすべく極端な中央集権体制を推進してきまして、その間には幾多の戦争ですとか悲惨な歴史を繰り返しながらここまできた。特に終戦直後くらいは、例えば歌謡曲だとかも、東京に行こうとか東京を賛美した歌が当時ありましたね。その後、時代が進みますと、逆に地方を題材にした演歌ですかが出てきまして、まさしく一極集中ということが日本人の心情からいっても変わってきたということが、そういう面からも見えると思います。  私は、確かに地方分権は大事だと思います。そこで、いろいろと今皆さんからお話があったのですけれども、見方を変えると、中央から見ると、地方分権というものは確かに今おっしゃったとおりですね。そういう中で今道州制の話もございましたし、さらにはいわゆる市町村自治体の広域合併という部分もありました。  その中で幾つか具体例があるのですけれども、私は北海道なんですけれども、かって三つ、四つの町村が合併しまして市を形成したんですね。そうなると、あらゆる機能が市役所が置かれた地域に集中しまして、町役場があった地帯が急に過疎化に向かった、これならばかえって合併せぬ方がよかったなという意見もあったわけですね。ところが、自治体というのも企業と同じで経営ですから、そういう意味では広域合併を、いろいろな面で利点もありますので進めてきた。  そこで、お二方、企業の代表をされた方でありますけれども企業合併というものを進めてこられた。これはそういう面での能率性、効率性というものを目指しながら進めてこられた。それとこの問題はつながると私は思うのですよ。市町村合併というのは、いわゆる能率性あるいは効率性を目指したものなんですよ。ところが、住民サイドの利便からいうと、ある意味ではそれが中央集権という、下から見るとそういうことになるのですね。ですから、どういう視点で見るかということで変わってくるのですよ。中央から見ると地方分権ですし、末端から見ると市町村の広域合併というのは一つの小さいレベルでの中央集権なんですね。  そんなことがありまして、なかなか難しい問題だということを実際に見てきたのですが、この問題についてはまずどんなふうにお考えですか。
  58. 宇野收

    宇野参考人 今小平先生からお話があった問題は、私も非常に悩んでおります。現に北海道では道州があって、しかし今起こっていることは分権運動が起こっておるという実態がございます。したがって、札幌一極集中をどう分権するかという問題は、これは北海道の中でぜひお考えいただかなきゃいかぬと思うのです。  もう一つ先ほど私フランスの問題を申し上げましたが、フランスというところはコミューンというのが依然として地方分権の中でまた細かくあるのですね。それはなぜかというと、昔の教会、学校のグループが依然として、もう小さいところは百人足らずのところだとコミューンがあります。ですから、これはこれでいいのではないか。ただし、そのコミューンがあっても、下水道、上水道をやるときには共同で組んで、六つか七つかのコミューンが一つの事業をやる。そういう知恵がそれぞれの地域にないと本当意味で活性化しないのじゃないかと私は思いますので、これはぜひいろいろと政治世界でもお考えいただきたい。これは企業がやっています資本の論理だけではいかない問題だと私は思いますね。
  59. 小平忠正

    ○小平委員 おっしゃるとおりで、そういう論理だけではいかないと思うのですね。今北海道ではもう三分の一に迫る、実際四分の一強の人口が札幌に集中しておりまして、それ以外の地域の皆さんからは、いわゆる分権論というか、それも実際あるくらいで、そういう問題を抱えておるわけですね。  それで、今まさしく地方分権というものは推進していかなければならないのですけれども、大きなネックというか問題は、まず、今日のようにマスメディアが発達している、起こったことがもう瞬時に茶の間に広がっていくという今の時代、それと交通網といいますか、飛行機や新幹線を代表として日本列島を短時間で行き来できる、そういう中においては、地方の独自性とかあるいは特殊性というものを尊重しなければならぬけれども、どうしても一つの一定の流れというか、今そういう時代ですね。そういう中でいわゆる機能というかあるいは制度的には地方分権というものを進めていっても、人間の心の中にそういう地方分権を、かつて徳川幕藩政治時代にあってのああいうことが、あるいはイタリアのあの時代にあってのああいうことがこれからスムーズにいけるのかということが私は懸念されるのですね。いや、だからといって、私は地方分権を進めるというのは賛成なんですよ。  それともう一つ私は、視点を変えて、今選挙制度改革が進みまして、きのうは委員会を通過しました。いよいよこれから本会議に向かっていくのですが、その中でも比例区という制度が導入されております。比例区、これはいろいろな意見がございますけれども、合意としてそういうふうになりましたね。ところが、比例区というのは、言うなれば政党がこれから順位を決めるということでしょう。そういうことで決まってくるのですね。そうなると、地方分権推進する見地から、そういう議員が地方という根っこの民主主義というか、地方のいろいろな実態を自分の目で見て、耳で聞いて、そしてそれを政治に反映する、そういう民主政治の基本的なことがなかなか難しい問題だという気がするのですが、こういうことについてはどのような御意見をお持ちか、お伺いしたいと思うのです。
  60. 鈴木永二

    鈴木参考人 シンプルな考えを申し上げますと、やはり地方と中央、この関係は、従来の考え方で言いますと今おっしゃったようなことになるかもしれませんけれども、やはり分権をして、しかし基礎的自治体というものもある程度しっかりしたものにしなきゃなりませんが、その中でも住民に非常に接触した行政というものは、その大きな十万なり二十万なりの都市においても、地域に分散してそういった施設をつくるということも考えられるのじゃないか。例えて言いますと、出雲市長の岩国さんあたりが、土曜日、日曜日でも行政をやる。それで、市役所だけじゃないんだ、盛り場にちょっとスペースを借りて。そうすると、最初はどうだったですか、今は非常に喜ばれている。その店舗の一角に入ることについても、そのグループも歓迎する。  ですから、それは一つの非常に卑近な例ですけれども、やはり生活に密着したものは生活に密着したところでというのが、また何か汽車にでも乗って行くようなところではしょうがないわけですから、やはりそこの分散ということと統合ということをうまく、この情報化時代ですし、モータリゼーションの時代ですし、先生の御心配のようなことを何とか制度として、システムとして解決する道もあるのじゃないかと私は思います。会社でも分散事務所を持ってやっておるというような時代ですから、行政でできないはずはない、こう思うのであります。
  61. 小平忠正

    ○小平委員 最後の御質問なんですが、確かに今おっしゃったように分散と統合というものを調和された形で進めていくことが大事だ、おっしゃるとおりで、私も同感であります。  そういう状況の中で、今提言されたこの問題に対して、我々がこれを政治の場で進めていく上に、どうしても規制緩和の問題等がもう有形無形に関連してくるわけですね。これを度外視してはこのことも進めていけない。これは行政的な面からもそういうことですね。今回地方分権ということに限ってのことであるので、これについては詳しくは避けたいと思うのですけれども、そういう中で基本的に規制緩和というものも今進めております。しかし、いろいろな面で弊害があって、思うように進んでいっていないということも、これもまた事実でありますね。  そういうことを思うときに、これからの状況の中で、特にこの規制緩和を進めていくと、今例えばゼネコンの問題ですとか、地方の県庁とか自治体等でそういう不祥事が起きまして、そういうことを思うとき、これは歯どめも必要ですよね。それからそのチェック機能も必要です。そんな意味では、それを理由にしてこれに反対する意見もあります。これらについての御意見最後にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  62. 鈴木永二

    鈴木参考人 今の御心配はそのとおりだろうと思いますけれども、しかし規制緩和と、今の、例えば公取のようなもので規則違反というのに対しては厳重に取り締まる、今のように適用除外項目がたくさんあって、これは別だというようなことはなくさなきゃならぬということでございますので、むしろ私は、透明で公正な行政、それから業界もそういったことでやるということで、今までがんじがらめにされておった新しい仕事につきましても、むしろ、原則自由ということになりますれば、今新しい日本の産業構造、新しい仕事というものをつくり出すにはやはりその規制というものなしで考える。  例えば、ヤマト運輸がああいう宅急便を考えられたときには、非常な反対があって、あの認可をとるのに何年もかかられたと直接本人からお聞きしておりますけれども、あれでどれだけ経済が活性化した面が大きいかということもございますし、取り締まるものは取り締まる、しかし規制というものは、これは一部囲い込みになるわけでございますのでそれはなくす、峻別して実行していただく。また経済も、先ほど来、新しい社会を建設するにはある程度の痛みは感じていかなきゃならぬということは、覚悟は皆さんしているはずでございます。
  63. 小平忠正

    ○小平委員 どうもありがとうございました。
  64. 菊池福治郎

    菊池委員長 吉井英勝君。
  65. 吉井英勝

    ○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。本日は御苦労さまでございます。  後ほと最終答申の「地方分権推進」については宇野さんの方から伺いたいと思うのですが、最初に鈴木さんの方にお伺いしたいのは、今地方分権ということで、それぞれの方からさまざまな語り方がされるものですから、随分内容は論者によっていろいろあるわけです。中には、例えば三百程度の一層性の自治体中心とした地方制度に変えていこうという発想とか、あるいは警察司法というものは国の方で一元的な国家警察ともいうべき体制というお考え方、また国民生活にかかわるものについては思い切って地方へということで、憲法二十五条、二十六条関係の国の責務に関するものについては、これは排除していく、そういうふうなものも含めて、言ってみれば新しい中央集権国家への再編というものが、これも地方分権という言葉で語られていることがある。実際上、この地方分権ということは随分論者によって今いろいろ論じ方があるわけです。  私は、この点で、やはり地方分権ということを考えるときに出発は、憲法第八章の「地方自治」というところが原点になっていますよね。これは明治憲法下には地方制度というのはあっても地方自治というのはないのでありますが、国民主権の原則というもの、憲法原則を地方分野で具体化していくという点から、実態的には二つの要素を持っていると思うんですよ。  一つは、地方の住民がその地方の主人公となる、住民の手による自治体の統括、そういう意味での住民自治というのと、もう一つは、地方自治体行政が国から自律性を確保するという意味での団体自治ですね。この住民自治も団体自治というのも、これは明治憲法下でもそうですし、徳川時代もそういうのはなかったわけで、それが戦後の憲法体制のもとでの地方分権を考えるときの出発点になっているのですね。  そういう点で、私は、地方分権というのはまず、住民自治とか団体自治というものを、これを拡充していくという点で、そのために何をするのかとか何をすることが必要なのか、この辺が地方分権を考えるときの本当は原点といいますか、出発点になろうかと思うのですが、この点についての鈴木さんのお考えを最初に伺っておきます。
  66. 鈴木永二

    鈴木参考人 どうも法律には弱い人間でございますけれども、第八章は「地方自治の本旨に基いてこという趣旨でございまして、そのように理解しておりますが、その内容についてどこにも憲法には触れていないというふうに私は理解しておりますけれども、そういたしますとむしろ、私ども制度を見る立場からいいますと、新憲法ではそういうことを書いておきながら地方自治の本旨を十分何ら具体的に明示してないということは、非常に私なんかとしては不満で、終戦後の行政制度はむしろ八章に反する、その本旨がどういうものかはわかりませんけれども、本来からいったら、ちょっと外れた方向へずるずる来ているというふうに思われます。そこら辺を政治的にどのように皆さんお考えいただいておるのかということはよく存じません。  それで、私ども行政改革につきましては、憲法の範囲内で一応主張できるものは主張しようということを私ども委員の間で話し合っておりますので、そういう点で物足らないとおっしゃるかもしれませんけれども、私どもは憲法の中で、例えば最初に手がけました外交理念なんかも、日本の憲法の前文の趣旨とその後の状況の変化というものを踏まえながら、日本はどうあっていくのがいいのか、PKOをどう考えるか、自衛隊をどう考えるかという枠組みでしておりますし、それから内閣の機能強化につきましても、現憲法の中でどこまでできるかという立場でやっておりますので、今の御意見の点は頭にないわけじゃございませんけれども、それはそういった面から見れば憲法の範囲内の改革、しかしその中で十分できるじゃないかというところを展開しておるつもりでございます。  ですから、いろいろ個々にお挙げになりましたような問題は、私の印象では余り取り上げてないということだろうと思います。
  67. 吉井英勝

    ○吉井委員 先ほど小平さんの方からもお話がありましたように、地方自治体を見るのに上から見るか下から見るか、これは出発点の問題としてありまして、憲法は主権在民、国民主権の原則を掲げていますから、本来国民の側から見たときに住民自治の拡充、そしてそれをベースに置いた団体自治の拡充をどう進めるかというところが本来的に地方分権を考える場合の原点であると私は考えるのです。  時間がありませんので先に進ませていただいて、答申に沿って少し伺っていきたいのですが、答申の十五ページで「住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な自治体で処理するという考え方に立ては、基礎的自治体たる市町村がその中心的担い手となるべきことは言うまでもない」、これは、この点では市町村重視をうたっているわけですね。同時に、「当面、都道府県により重点を置いた権限移管等を進める」という、この辺は問題のあるところかと思うのですが、その議論は置いておきまして、問題は、財源の問題なしに団体自治の拡充というわけにはいきませんので、この点では同じページで「税源に地域格差がある限り、国から地方への財政移転によってこれを是正する必要があるが、その場合にも、地方交付税など一般財源によることを基本とすべきである。」この点で、実は第三次行革審の豊かなくらし部会の専門委員に入っていた早房さんと並河さんが出された著書の中で、「「地方財政計画全体のなかで措置することとする」という、これまたなんとも意味の取りにくい文章がつけられた。要するに、一般財源化とは補助金対象事業を地方交付税対象事業に移すことであるが、この文章は、「移った分だけ交付税総額が増えるかどうかは地方財政計画のなかで考えさせてもらいます。けっして保証はいたしません」と言っているのである。」これはそういう指摘もありますが、そこで私は伺っておきたいのです。  これは宇野さんの方に伺っておきたいのですが、交付税率の引き上げ問題ですね。それから、具体的な税源の地方への移譲ということが最終答申には盛り込まれていないのですが、この辺のところ、前段では住民に身近な行政地方自治体でと言いながら、実のところ財源の手当てなしにはこれは進まないということで、なぜこの辺を入れていらっしゃらないのか、その辺を伺っておきたいと思うのです。
  68. 宇野收

    宇野参考人 今のポイントは、大変私どもの議論の対象になるところでございました。率直に言って、この議論を深めていきますと時間が足らなくなってしまったという面もございます。  しかしながら、やはり地方自治本当にやろうとすれば、財源をいかに確保するかという問題が非常に強くかかってまいりますから、当然考えられるのは地方交付税の、現在は三二%でありましたか、それの問題に触れてくるという問題がございます。もう一つの問題は、これからまた国会で審議されるでありましょうところの税制の抜本的な改正の問題に絡みまして消費税率の増徴という問題が出てくるわけですが、その際に、地方に対してはこれがどういうふうに均てんされるかという問題、これは大いに議論していただかなければいかぬ問題でありますが、これは仮定の仮定の議論でありましたから、そこまで踏み込んでおらないというのが実情でございます。  したがって、私は、法律でもって地方の分権法ができるときに問題になりますのはやはり権限の問題と、特に財源の問題については十分にひとつ議論をしていただきたい。しかしながら趣旨は、やはり地方が独立できるような財源を確保するというところにあるということで議論をしていただきたいという期待をいたしております。  それから、御質問の中に入らなかった最初の問題について、ちょっと触れさせていただきたいと思います。  当然地方の原点は、主権在民の憲法に基づいてやりましても、基礎的自治体であるところの市町村であるということでありますが、しかしながら実情は、市町村にいきなりいろいろな権限財源を渡すということにならない現実があります。それから同時に、都道府県は一見自治体風でありますが、国の出先機関であるという実態がありますから、都道府県にまず自治を確保する、それから同時に、都道府県から権限財源市町村に渡すというような順序も考えないと、結局基礎的自治体であるところの市町村自治ができないという非常に現実を踏まえた妥協、そして現実論を書いたということでございます。
  69. 吉井英勝

    ○吉井委員 時間が参りましたので、きょうはお話を伺う方だけで、本当はそこのところをもう少しある程度議論したいところなのですが、最後に一点だけ。  「現行の都道府県制に代わるべき新しい広域的自治体制度の意義等について国として幅広い観点から具体的な検討を行う必要がある。」ということを指摘しているのですが、あなたは大体道州制論者というふうに、書いていらっしゃるもの、述べていらっしゃるもので伺っているのですが、どういうプログラムの中で、どういうふうに位置づけていらっしゃるか、その点だけ最後に伺っておきます。
  70. 宇野收

    宇野参考人 これは一足飛びに道州制と言わないことにしておりますのは、やはり府県の、先ほど申し上げた中で、この問題は連合してやろうというようなお話が手前に幾つかあるはずであります。まずそれをひとつ、必要ならばやってください。それは連合だけではおさまらなかったら合併検討していただきたい。それから、合併ということになれば、恐らく道州制をとるという、そういう感じのことをにおわせているわけでありまして、道州制というのは余り表に出さないで、まずとにかくそういう状態にしておきたいというふうな感じでございます。
  71. 菊池福治郎

    菊池委員長 山本有二君。
  72. 山本有二

    ○山本(有)委員 会長、それから会長代理最後の質問でございます。本当にご苦労さまでございます。  私は、きのうの政治改革、選挙制度の改正で、小選挙区二百七十四になった場合に、大変惨めな、たった二議席しか与えられていない四つの県の一つ、高知県の選出でございまして、そんな意味地方分権、これに対する期待はよその方々よりも随分大きいという自負を持っております。そんな意味で、ぜひこの最終答申がうまく実現されるようにということを期待しながら、いろいろなことをお伺いさせていただくところでございます。  鈴木会長にまずお伺いさせていただきたいと思うのですけれども日本の国の価値観というのは何なのだろうということを考えたときに、少なくとも戦後の価値観というのは、自由、そして自由経済、市場制であったろう、それが基本にあって今日の繁栄の社会を築き上げたのだ、私はそう思っております。  ところが、その自由の中でやはり強い者が勝つという原理があるわけでありますから、結局大資本、大都市が勝ってきた。そして、大都市と言われるのは、いわゆる大資本というものが集中するからこそ、そこに勝利があるわけであります。そうすると、その強さがなくなった、弱くなった地方というのは当然疲弊していくわけでありまして、そういうことをこの今日の国家というのはどうやって救っていくかというと、これはまた、一般個人でありますと福祉ですよね。市場制や競争性になじまないところは福祉という形で政治が介入をして、そこで正常化していく。福祉であれば個人のノーマライゼーションということが実現できるわけであります。  そうすると、地方あるいは地方都市と大都市というもののバランスをとるということは、どうしても政治的な介入、それが強い者から弱い者、つまり強者が弱者に対して施しをするというのではなくて、弱者にこそ権利があるという形でそれが実現されるということが必要であろうと私は思うのです。それこそ、福祉の段階では意識されておりますが、この地方分権というものにおいては全く意識をされていない、ここに今の大きな問題点があるだろうと私は思うのです。  ところで、そうしたら、地方を強くしていったら、それでは強者は喜ぶかというと、今までの価値観、戦後政治の中で強く勝ってきた勝者の人たちは物すごい強い抵抗をするだろうと私は思うのです。私は二つの勝者がいるだろうというように思います。一つは、どうしても商品の売買、販売、企業活動の中で勝ってきた人というのは、それは大企業、東京に本社を置いている鈴木会長の三菱化成のような大変立派な会社、私は勝者だと思うのですよ。もう一つは、中央官庁だと思うのです。その一つのいわば勝者である鈴木会長がいよいよ地方分権をするということに、私は大変感動を覚えております。非常にすばらしいことであろうと思うのです。  地方分権をすると、ともすると、アメリカ型の地方分権をすると、医者とか弁護士とかいうのは、カリフォルニアでは経営ができても、州単位で資格がありますから、ワシントンで経営できないというようなことがある。そして、消費税の税率も違うというようなことがありますと、いわば今日の勝者たる企業経営者の方々、こういった方々の意識の中で、地方分権させまいという意識が出てくるのではないかというようなことを思うのでありますが、その点、鈴木会長、いかがでしょう。
  73. 鈴木永二

    鈴木参考人 正面からお答えする前に、私が今まで何をやってきたかということもちょっと聞いていただきたいと思います。  私は、正確に今すぐ出ませんけれども、日経連の会長になりましたのは、少なくともこの行革を始める前でございますから三年、それに四年の任期を置いております。最初に就任しましたときにやったことは何か。私は、地方活性化問題ということに取り組みまして、そして毎月東京で各地方からの人に来ていただいてディスカスをする、それから皆の意見を聞く。それから、年に二、三回は地方へ行きまして、その地方財界のそういったことの意見集約ということで、今も続いております。今アラビア石油の小長さんが会長でやっているはずであります。  私は、今おっしゃいましたように大企業と言えるかどうか知りませんけれども、まあお言葉どおり大企業としまして、三菱化成出身でございますが、私はその社長、会長時代から——会長になってからでしたね、日経連の会長をやりましたのは。専らそういった地方活性化の問題、地方がなぜ活性化していないか、これは余談になるかもしれませんが、若者が定着しないようなところではいかに団地をつくっても、結局生産工場をつくるぐらいが関の山で、研究所とか本社機能とかいうものは落ちつかないということを言ってずっとやってきたわけでございまして、そういう意味で、おまえは大企業におるから地方分権のことを考えるはずはないとお考えいただくのもちょっと困るわけでございまして、そういうことでございます。  それから、大企業も今までのように大量生産の工場規格製品をつくっておるだけでこれからずっと成長できるかということになりますと、これは私が今云々する必要もないくらい、どんなような産業構造に持っていくか、また資本主義形態としても、今の資本主義であることは変わりないけれども、どういうような色彩を持った資本主義社会になっていくかということを考えなきゃならぬ問題でございまして、流通業界では百貨店が非常にお苦しみと同じように、今大企業が非常に苦しい状況に追い込まれておる。  それは世界の状況、日本の状況を全部勘案しますと、雇用の問題で一つ申し上げますと、日本の大企業が何とか雇用問題については大事にしなければいかぬということでやっておりますが、アメリカのいろいろな評論を見ますと、日本の大企業、中企業が危ない、中小企業以下は合理化をやってどんどん入減らしなんかでやっておる、いわゆる対応している、しかし大企業はまだこういう構えをしておる、そういうことでこれからの日本がやっていけるのか、そういうことをアメリカの方が非常に心配をしておるということで、日本でもいろいろそういったことが論議されてきております。  そのように、今新聞、雑誌をごらんいただきますと、大企業が大量な中間管理層というちょっと世の中には見えない管理層を整理する、いわゆる今までの日本企業のそういったことではやっていけないということになっておりますので、いわゆる東京集中は大企業にとっていいのか、今までの官主導の工業規格製品をどんどんつくるという体制でやっていけるのか。もうそれは自動車につきましても半導体にしても家電にしたって、みんな危ない状況に来ているわけでありまして、新しい発想でということになりますと、やはり先ほどもちょっと申し上げたような、規制も緩和して、自由な発想で、そして地方も栄えるということで考える、もう今までの発想を大転換して自分からそっちの方へ突き進んでいかなきゃいかぬ。また自動車産業でいいますと、中国市場だとかいろいろなことに対する乗りおくれがあるじゃないかということも毎日テレビ、新聞で出ております。  ですから、これは今大企業だからどうというふうなことは絶対言えない時代で、大企業ほど危ないということも言われておるということも申し添えたいと思いますし、地方の開発については、これはみんなが一生懸命でそっちのいわゆる潜在能力を上げていただくというふうに努力しなければならぬ時代だ、こう思っております。
  74. 山本有二

    ○山本(有)委員 ありがとうございました。  宇野会長代理にお伺いします。  細川内閣が自民党の政策と全く一緒だということに対して、私は非常に期待外れだった。自分は自民党ですけれども期待外れだった。本来、政権交代したら政策が変わるのは当たり前なんです。それを変えようといって変わらなかった。私はここが現状の一つの大切なことだろうと思うのです。それはいわば自民党と役所が一緒になってつくった政策であって、自民党がかわって今度新しい政権になったときに役所を動かせなかったという証明ではないかと私は思うのです。ですから、政治よりも行政の方がでかかった、力が強かったということも証左なんです。  それをまさに宇野代理は経験されたということをお伺いしておりまして、最終答申の十七ページの最後の法の制定の文言について、「法律の制定を目指すべきである。」というのは、次期通常国会というのを変えられたという有名な話がありますけれども、その点、最後一言、ひとつ中央官庁を打破するという決意をよろしくお願いいたします。
  75. 宇野收

    宇野参考人 ちょっと分権と離れましたが、先ほどどなたかお話しになりました、政官財の三角関係というのは癒着だというので非常に悪のように言われておりますが、その三つの関係がはやりおのおのの立場で機能しないと国は動かないのだと思うのですけれども、そういう面から見ますと、御指摘のとおり、日本行政組織は極めて有効かつ有能であるというのは事実であります。そういう面から見ると、財界もまた反省すべき点が非常にあるのですが、政界もぜひひとつしっかりやっていただきたいという期待を申し上げておきます。お答えになりませんけれども
  76. 山本有二

    ○山本(有)委員 どうもありがとうございました。
  77. 菊池福治郎

    菊池委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、お忙しい中御出席をいただきまして、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして暑く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十五分散会