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1993-03-05 第126回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年三月五日(金曜日)     午後一時十五分開議  出席分科員   主 査 松永  光君       久間 章生君    中川 昭一君       常松 裕志君    土肥 隆一君       松前  仰君    兼務 遠藤  登君 兼務 岡崎トミ子君    兼務 加藤 繁秋君 兼務 川島  實君    兼務 小松 定男君 兼務 斉藤 一雄君    兼務 沢田  広君 兼務 渋谷  修君    兼務 渡辺 嘉藏君 兼務 石田 祝稔君    兼務 近江巳記夫君 兼務 森本 晃司君    兼務 菅野 悦子君 兼務 高木 義明君  出席国務大臣         通商産業大臣  森  喜朗君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      船田  元君   出席政府委員         経済企画庁長官         官房長     小村  武君         経済企画庁長官         官房会計課長  金子 孝文君         経済企画庁調整         局長      長瀬 要石君         経済企画庁国民         生活局長    加藤  雅君         経済企画庁物価         局長      小林  惇君         経済企画庁総合         計画局長    田中 章介君         経済企画庁調査         局長      土志田征一君         通商産業大臣官         房長      内藤 正久君         通商産業大臣官         房総務審議官  江崎  格君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       細川  恒君         通商産業大臣官         房審議官    清川 佑二君         通商産業大臣官         房会計課長   一柳 良雄君         通商産業省通商         政策局長    岡松壯三郎君         通商産業省貿易         局長      渡辺  修君         通商産業省産業         政策      熊野 英昭君         通商産業省立地         公害局長    堤  富男君         通商産業省基礎         産業局長    牧野  力君         通商産業省機械         情報産業局長  坂本 吉弘君         通商産業省生活         産業局長    高島  章君         工業技術院総務         部長      松藤 哲夫君         資源エネルギー 黒田 直樹君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       末広 恵雄君         資源エネルギー         庁石油部長   林  康夫君         資源エネルギー         庁公益事業部長 荒井 寿光君         中小企業庁長官 関   收君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     本城  昇君         警察庁刑事局保         安部少年課長  益原 義和君         科学技術庁研究         開発局宇宙企画         課長      大熊 健司君         環境庁水質保全         局企画課海洋汚         染・廃棄物対策         室長      木下 正明君         外務省経済協力         局開発協力課長目賀田周一郎君         大蔵省主計局主         計官      坂  篤郎君         大蔵省主計局主         計官      志賀  櫻君         大蔵省銀行局銀         行課長     北村 歳治君         厚生省生活衛星         局食品保険課長 織田  肇君         厚生省生活衛星         局食品化学課長 牧野 利孝君         厚生省社会・援         護局更生課長  松尾 武昌君         商工委員会調査         室長      山下 弘文君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   松前  仰君     五十嵐広三君   元信  堯君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     山元  勉君   土肥 隆一君     常松 裕志君 同日  辞任         補欠選任   常松 裕志君     元信  堯君   山元  勉君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     松前  仰君 同日  第一分科員渋谷修君、森本晃司君、第二分科員  川島實君、第三分科員石田祝稔君、第四分科員  遠藤登君、近江巳記夫君、第五分科員沢田広君  、渡辺嘉藏君、菅野悦子君、第七分科員小松定  男君、斉藤一雄君、第八分科員岡崎トミ子君、  加藤繁秋君及び高木義明君が本分科兼務となっ  た。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成五年度一般会計予算  平成五年度特別会計予算  平成五年度政府関係機関予算  〔総理府経済企画庁)及び通商産業省所管〕      ――――◇―――――
  2. 松永光

    松永主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  平成五年度一般会計予算平成五年度特別会計予算及び平成五年度政府関係機関予算総理府所管経済企画庁及び通商産業省の両所管について審査を進めることとし、補充質疑を行います。  総理府所管経済企画庁について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡崎トミ子君。
  3. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 残留農薬基準のことに関してお伺いしたいと思います。最初厚生省の方にお伺いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。  残留農薬基準設定に関しましては、昨年十月二十七日、三十四品目農薬について告示されまして、ことしの五月一日から施行されるわけなんですが、さらにこれから、全体で大体百ぐらいの農薬の新しい基準がつくられるということなんです。これまで発表されましたのは、従来決められたものよりも次々に緩い設定がされているようなんです。市民の間からは、このことに関して批判がありまして、私が知っているだけでも、署名が四十万人以上、自治体からの意見書、そして、このことについては裁判まで起きているというような現状だというふうに認識しております。厚生省は、残留農薬基準に関しまして、基本的に、国際基準があるものはそのまま日本の基準にしているということは事実でしょうか。
  4. 牧野利孝

    牧野説明員 農薬使い方でございますけれども農薬使用方法は、同じ農産物使用する場合でございましても、気候、土壌といった自然条件あるいは病害虫の種類、また露地栽培であるとかあるいはハウス栽培などによりまして、各国においては異なる場合がございます。これに伴いまして、農薬農産物に残留する可能性につきましてもまた差異が生じるところでございます。  例えば、農薬ポストハーベスト使用につきましては、諸外国で広く認められておりますが、収穫使用に比べまして農薬が残留しやすいと考えられますので、ポストハーベスト使用を反映いたしました国際基準の方が登録保留基準より基準値が大きくなっている場合がございます。また逆でございますけれども農産物ハウス栽培は、諸外国に比べまして我が国において盛んでございまして、露地栽培に比べまして農薬が残留しやすいので、登録保留基準の方が国際基準よりも基準値が大きくなっているケースがございます。.  我が国は、国内産農産物のみならず外国産の農産物にも依存しているところでございますので、残留農薬基準設定に際しましては、こういった各国におきます多様な農薬使用方法を踏まえまして、安全性が確保できる範囲基準を制定することとしてございまして、国際基準につきましても同様な観点から、採用できるものは採用しておるわけでございます。
  5. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 ADIは、そもそも大体健康な成人対象にして、そして一日体重一キログラム当たりの数値で示されているというふうに聞いておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
  6. 牧野利孝

    牧野説明員 ADI、一日摂取許容量でございますけれども残留農薬基準設定当たりましては、まず食品衛生調査会におきまして、基準設定しようといたします農薬の一日摂取許容量ADI設定するわけでございます。このADIでございますけれども、その農薬につきまして長期間の毒性試験、例えば発がん性試験であるとか慢性毒性試験、あるいは催奇形性試験など、FAO、WHOの専門家委員会での安全性評価に用いられました毒性データを初めといたしまして、国内外で実施されております種々の毒性データを収集いたしまして、これらのデータに基づきまして毒性学の見地から検討が加えられるわけでございます。検討の結果、通常、長期間の毒性試験につきまして動物に何ら影響を及ぼさない農薬の量、すなわち無影響量が求められます。この動物実験から求められました無影響量に対しまして、人と動物との種差及び人の個体差を考慮いたしまして、通常百分の一でございますけれども、この百分の一という安全係数を掛けまして人の一日摂取許容量ADIを求めてございます。このADIの単位は、体重一キログラム当たり一日当たりの量でございます。ここで求められました農薬の一日摂取許容量でございますけれども、このADIは、人が毎日一生涯摂取し続けたといたしましても影響が出ない量でございます。
  7. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 ただいまのお話の中には、私が健康な成人対象にしてと言うときに、大体どのぐらい、どういう人を対象にしているかというのをきっちりと言ってほしいのですけれども、健康な成人、それだけで結構です。
  8. 牧野利孝

    牧野説明員 人の個体差も考慮いたしまして安全係数は掛かっております。
  9. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 大体体重五十キロの成人基準にしていて、そして今おっしゃってくださったみたいに、動物人間との種差が十分の一、そして人間個人差が十分の一ということで、最大作用量安全率というものを掛けて百分の一というふうに緩くしているから十分なんだというようなお答えだったというふうに思いますけれども、ここでは子供とか女性、妊婦、お年寄り、病弱な人たちなどに対してはどのような影響を与えるのか、明らかになっているでしょうか。
  10. 牧野利孝

    牧野説明員 先ほど申し上げましたように、このADI、一日摂取許容量というものは動物実験から求められるわけでございますけれども、その動物実験はほぼ一生涯にわたります、通常でございますとネズミでございますけれども、そのネズミに対しまして投与いたしました結果から求められるわけでございます。したがいまして、求められましたADIは、人が毎日一生涯摂取し続けたとしても影響が出ない量だということでございますので、ネズミ子供から、年寄りというとおかしいですけれども、老化するまでのその生涯から求められました量でございます。
  11. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 そのことについてはまた後ほどちょっと伺うといたしまして、では仮にADI以内なら安全だとして、具体的にスミチオンについてお伺いしたいと思います。スミチオンADIは幾らでしょうか。
  12. 牧野利孝

    牧野説明員 スミチオンフェニトロチオンでございますけれどもフェニトロチオンADIは〇・〇〇五ミリグラムパー・キログラム体重パーデーでございます。したがいまして、一日体重一キログラム当たり〇・〇〇五ミリグラムでございます。
  13. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 成人、五十キログラムの人ということになりますと、健康な成人対象にして、二百五十マイクログラム、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  14. 牧野利孝

    牧野説明員 二百五十マイクログラムでございます。
  15. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 そして、スミチオンを一日にとる量はどのくらいになりますでしょうか。
  16. 牧野利孝

    牧野説明員 残留農薬基準は、基準設定いたします農産物のすべてに基準値上限いっぱいまで農薬が残留したと仮定いたしまして計算をいたします量がございます。それは理論最大摂取量と申してございますけれども、その計算上、基準設定いたします農産物のすべてに基準値上限いっぱいまで農薬が残留したと仮定いたしまして摂取する農薬摂取量は、対ADIに比べまして九七%でございます。
  17. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 そうしますと、一日の最大摂取量、理論的に言いますと二百四十マイクログラムというふうに私も今計算していて、大体ADIの何%になるかというと、九六%だということがわかるわけなんです。  ところで、私たち農薬を体に取り込むという経路はいろいろだというふうに思うのですが、何からどのぐらいとっているかというその割合、教えていただきたいと思います。人間が大体どんな形で農薬を体に取り入れるのか、割合ですね、例えば農産物はどのくらいだとか水はどのくらいだとか。
  18. 牧野利孝

    牧野説明員 具体的な数字は私手元に持っておりませんけれども、この場合、飲料水、上水でございますけれども基準がございまして、その数字範囲におきましても、農産物プラス水、その摂取量ADI以下になるように設定されてございます。また、一般的で申しわけございませんけれども化学物質というものは、食品由来のものあるいは飲料水由来のもの、そういったものがあろうかと思います。このフェニトロチオンにつきましては、先ほどの農産物摂取量にさらに水からの摂取量をプラスいたしましても、ADIを超えない範囲基準設定されてございます。
  19. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 今のお話は少しおかしいのではないでしょうか。大体もうADIの九六%、スミチオンの場合には九六%になっていますね。農産物は八割、水が一割、肉、魚が一割というふうに以前に厚生省に伺ったことがありますけれども、こういうことからいいますと、ADI農産物の八割以内に抑えているというのが当然だと思いま す。基準が高いというふうに思うのですけれども、この理論最大一日摂取量が八〇%を超える農薬、私が知っている範囲内ではスミチオンとマラソンなんですが、そのほか何がありますでしょうか。
  20. 牧野利孝

    牧野説明員 アイウエオ順に申し上げまして、昨年の十月に告示されてございますアミトラズという農薬がございますけれども、これが対ADI約八七%でございます。それから、同じく昨年十月に告示をされておりますデルタメトリンでございますけれども、これは対ADIは約八〇%でございます。それから、先ほどのフェニトロチオン、さらに、先生指摘のございましたマラチオン、これが対ADI約九七%でございます。やはり十月の告示品目でございます。今手元数字で拾った限りではそのような農薬がございます。
  21. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 そのADI理論最大一日摂取量のすべてについて後ほど資料をいただけますでしょうか。
  22. 牧野利孝

    牧野説明員 整理したものがございますので、提出させていただきます。
  23. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 お願いいたします。  スミチオンは既に農産物だけでADIの九六%を占めているわけなんですけれども、ここには空気とか水とかはプラスされていなかったわけなんですね。それでもうADIを超えている。私が調べたところによりますと、この食べ物、水、空気人間が一日にとる量は、食事の方では一キロ、水は二リットル、空気が十五立方メートルで、空気が大変多いということがはっきりしているのですが、なぜ空気は入っていないのでしょうか。
  24. 牧野利孝

    牧野説明員 摂取量計算でございますけれども農産物につきましては、厚生省で実施しております国民栄養調査の結果を使っております。それから水の二リットル、あるいは大気通常ですと十五立米という数字使いまして計算するわけでございますけれども大気中の通常濃度フェニトロチオン濃度というものにつきましては、私どもデータ的には検出されているということは報告を受けておりません。
  25. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 ところで、私たちは、大体このスミチオンというのは家庭用殺虫剤ですとかシロアリ駆除剤あるいは防疫用の薬剤にも使っておりまして、空気中にもあるわけなんです。ここに一つ資料がありまして、大阪の中之島図書館という公共の場で、館内で殺虫剤スミチオンをまきました。館員の人たちは反対をしたのですけれども、最終的にまかれてしまった。それで図書館の方に頼んで空気をとってもらって測定したものなのですが、散布した三日後から開館しましたので、それから測定を始めました。そうしましたら、最初は一立方メートルに大体百四十ナノグラム、四日目が八十ナノグラム、そして七十日たちましても九・四ナノグラムということで、このときはせっせと換気扇を回していたということなんですけれども、そのくらい残っているということなんですね。  そしてまた、最近の新聞にも、化学物質過敏性どもありまして、微量だから安全だというわけにはいかない。そしてまた、科学的に免疫や生殖機能とか影響があるんだということで、この辺は解明されていないというのが現状ですけれども、やはりこれだけ空中で私たちが取り込むということを厚生省も御理解いただけないでしょうか。
  26. 牧野利孝

    牧野説明員 食品衛生法におきましての規制基準といいますのは、食品由来のものにつきましてはございまして、それ以外の水であるとか大気につきましては、恐らく実際に規制基準をつくられる部局におきましてADI以下になるような基準がつくられるものと考えております。
  27. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 もう一つ、最近アエラに載りましたことなんですけれども、これはまた厚生省が頼んでお願いした、例えば国立がんセンター研究所長、十カ年事業というのがありますね。「対がん十カ年総合戦略」、この厚生省総括班の座長でもあります寺田雅昭さんが、新潟大学医学部衛生学教室山本正治さんの発表された、つまり農薬がんとの因果関係ということで「癌をひき起こす物質は、環境中に充満している。農薬は、そうした危険物質のなかでも、とりわけ不安を持たれている。環境中に広く、日常的に撒布されているからだ。しかし、そういう農薬でも、特定の癌多発との間に因果関係があることを完全に証明することは、疫学的には不可能だ。限りなく可能性が高いとか、容疑が濃い、としか言いにくい。」しかし、「その限界のぎりぎりのところまで山本教授研究は迫っている。」こういうことがありまして、長期的に取り込むということになりますと、やはりがんに移行するのだ、そういう発表が今ここでなされておりまして、食品はそういう意味では残留基準をもっともっと低くしなければいけないのではないかという問題提起だというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  28. 牧野利孝

    牧野説明員 先ほど来フェニトロチオンの例が出まして、いろいろと御指摘を受けておるわけでございますけれどもフェニトロチオンにつきましては、実際に私ども一般国民通常の食生活を通じましてどの程度の量のフェニトロチオンを摂取しているかというデータがございます。それによりますと、最近五年間のデータでございますけれども、すべて対ADIの一%以下というデータでございまして、実際の摂取レベルはかなり低いというふうに思われます。  ただ、農薬につきましては、先ほど御説明いたしましたように、世界各国におきましていろんな使用形態がございます。そういったような状況を踏まえまして、残留農薬基準はすべて安全性が確保できる範囲で作成をしていきたい、かように思っております。
  29. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 本当に微量で、しかも長期にということの結果が出ていないということですから、ぜひ前向きにお取り組みをお願いしたいと思いますし、また、一九七二年には参議院の食品衛生法附帯決議の中でも、食品添加物使用は極力制限する、発がん性物質は疑いが生じたら適切に措置を講ずること、食品衛生法の運用に当たっては、単に危害の防止のみならず、積極的に国民の健康の保護増進が図られるように配慮すること、このようになっております。  続いて、経済企画庁の方にお伺いしたいと思いますが、このOTO輸入をする場合にさまざまな質問が海外から来ているということで、そのことに対して苦情処理窓口というものが開かれているということなんですが、これまでに何件受けて、そして、それに対してどのような処理をしたか、食品関係についても件数だけでお知らせください。
  30. 長瀬要石

    長瀬政府委員 先生から御指摘いただきましたように、昭和五十七年の一月にOTOが発足いたしましてから今日まで、苦情処理受け付け件数延べ四百八十七件になっておりまして、この中で食品衛生法に関する苦情延べ九十六件、そのうち八十七件が処理済みとなっております。
  31. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 この十年間に貿易に関しては迅速に対応されているということがよくわかりますけれども輸入食品を食べる側の心配といいましょうか、国民の側の苦情がもし出ましたときにどこに行けばよろしいのでしょうか。
  32. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 お答え申し上げます。  食品に関する消費者苦情処理につきましては、私ども所管しております国民生活センター、各地方に消費生活センターというのがございまして、そちらの方にいろいろな形で相談が寄せられております。  今まで私どもが承知しておりますのは、例えば輸入レモン収穫農薬使用しているということを聞いたがどんな農薬が使われているのかとか、レモン酒使用しても大丈夫かとか、そういうような性質の相談、問い合わせが多くなっております。各地の消費生活センターにおきましては、これらの相談に対して情報を提供する、あるいは助言をするということで今のところ対応しているというふうに聞いております。
  33. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 各県にあります消費生活センターで、今新しくいろいろ海外に対して対応していることに、迅速に各県で対応できているのでしょうか。
  34. 加藤雅

    加藤(雅)政府委員 今のところ、例えば輸入レモンにつきましては、一応今御議論がありましたように、食品添加物としては許可されているものがポストハーベスト農薬として使われているけれどもレモン酒にお使いになる場合には国産のレモンをお使いになった方がいいでしょう、あるいは皮の外側の方に農薬がたくさんついておりますから、皮を除いてお使いになればいいのじゃないかというふうなことを情報提供しているという報告が来ております。
  35. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 厚生省の場合に、こういった消費者の側の苦情というのはどこで受け付けてくださるのでしょうか。
  36. 織田肇

    織田説明員 国民食品安全性に関します御意見や御要望につきましては、先ほど先生お話にもありましたように、市民団体あるいは自治体等からの要望書をいただいております。また、御要望に応じまして、直接お会いするなどして御意見を伺っているところでございます。  また、各都道府県の保健所でも相談苦情窓口がございますが、これについてもまた今後活用を図っていきたい、このように考えている次第でございます。
  37. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 保健所活用を図っていくというのは、そうした研修をする、そういう教育をする、即座にそういうものを開いてやるということを前向きに検討するということでしょうか。
  38. 織田肇

    織田説明員 厚生省では、毎年担当の課長会議やあるいは食品衛生監視員研修会を開催しておりまして、施策についてその趣旨などを周知さしているところでございますが、先ほど先生お話にありましたような点についても今後十分に対応していきたい、このように考えている次第でございます。
  39. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 最後に、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この大もとにありますのは、政府の方針で中曽根内閣当時にアクションプログラムを組みまして、それの発表と同時に市場開放を進めている、そのためにいろいろ国内法を整備していくということを内外に発表しているわけなんですが、これにのっとって各省庁がやっているというふうに思うのです。  例えば、OTOなどに寄せられたそういう苦情、そういうものにのっとって厚生省あるいは経済企画庁、そのほかの省庁もやらなければいけない、残留農薬基準などにしても基準以内におさめなければいけない、こういうふうになっているわけなんですね。ですから、私たちは、国民の健康とか国内の環境保護ですとか、それからまた医療保険ということからいいましたら、財政上の問題からいいましても国民の税金を圧迫していくというふうに思いまして、食品安全行政というのをないがしろにした場合には、病気の人もふえていくわけですから、ソーシャルコストも下げていかなければいけない、それらをすべて含めて経済企画庁としても、経済大国ではなく、生活大国ということを目指すためにはいろいろと消費者のために便宜を図っていかなければならないというふうに思いますけれども、ぜひOTOに匹敵するような、国民の側に本当にこたえられるようなそういう窓口をぜひ経済企画庁の方に、各県ではなくて新たに設けるべきだというふうな考えでお願いをしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  40. 船田元

    ○船田国務大臣 岡崎先生指摘食品の安全の問題、特に残留農薬ということがきょう議題になっていたわけでございますが、この食品安全性の確保というのは、消費者保護という観点から見てやはり非常に大事な課題の一つである、こう認識をいたしております。このために、例えば昨年でしたけれども、十二月に開催をいたしました第二十五回消費者保護会議におきましても、増大する輸入食品に関し、食品衛生監視員の増員、検査機器の整備等監視体制の一層の充実に努め、安全性の確保を図るとともに、農産物中の残留農薬についてはポストハーベスト農薬を含め食品安全性確保の観点から順次基準を作成するなど適切な対応を図る、こういう決定が既になされているところでございまして、企画庁としましては今後とも、今申し上げた消費者保護会議の決定なども踏まえまして、食品行政連絡会議の場も利用しながら、厚生省など関係各省庁と連絡をとりつつ食品安全性の確保について全力を尽くしていきたい、このように思っております。
  41. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 大臣にお伺いしたいのは、一般の一人一人の消費者に対して親切に窓口が開かれていくということをぜひお約束をしていただきたいなというふうに思うのです。つまり、貿易関係の人、輸入業者の方々には本当に迅速にこうした対応をされておりますけれども、なかなか一人一人の消費者に対して、国民に対してこのことは国のわかっている範囲内のことだけになって、本当に安全を確保するという意味の苦情処理窓口にはなっていないということだと思うのですね。一人一人にこたえるようなそういう政治の姿勢というのが今問われているのではないかと思いますので、その点に関して再度お願いします。
  42. 船田元

    ○船田国務大臣 御承知のように、輸入品についてのさまざまな苦情につきまして、OTOというのが昭和五十七年から設けられたところでございますけれども、そこでの対応はもちろんでありますけれども、同時に国民生活センター、それからいわゆる各都道府県に置かれております消費生活センター、そこでのこの種の問題に対する苦情ということも受け付けば既にしているわけでございますし、そこでの受け付けの状況といったことも我々は注意深く把握をしなければいけないし、また受け付ける体制なり、あるいはそれを分析して輸入品全体の仕組みの中でどう解決していったらいいか、こういう点についても今後力を入れて対応していきたいと思っております。
  43. 岡崎トミ子

    岡崎(ト)分科員 どうもありがとうございました。
  44. 松永光

    松永主査 これにて岡崎トミ子君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  45. 沢田広

    沢田分科員 まだ座り切れないでおりますけれども大臣の方にちょっと。  大臣になって、経済企画庁におられて、日本の経済を考えていくという立場に立って、この任期中から得た経験として、おれは見通しを間違ってなかったと言うのか、いや少しどこか見通しに間違いがあったのかなとか、あるいは企画庁としてはまあまあはやったかもしれぬがどうも余り結果はよくなかったかな、そういう感想があるのだろうと思うのです。その点、経済企画庁たる者が果たす役割としてどう認識をされているのか、ちょっとお答えいただけませんか。
  46. 船田元

    ○船田国務大臣 沢田先生の御質問、大変微妙な難しい御質問でございますけれども、御承知のよ・うに我が国経済は現在引き続き低迷しているという状態が続いておりまして、これは循環的な、いわゆる在庫調整の循還という要素のほかに、資産価格の下落というもう一つの要因もありまして大変厳しい状況に直面をしている、この認識は官民の格差というものはまずないだろうというふうに現状では考えております。特に今回の景気調整局面におきましては資産価格の大幅な下落ということを特徴としているわけでして、これは安定成長期以降初めて経験した事態である。したがいまして、それが経済の実体に与える影響、これがどの辺まで大変なものであったのか、あるいはあるのか、そういうことを見通すことが非常に困難であったということは事実であろうというふうに思っております。その点で、私どものこれまでの景気の動向といったものに対しての見通しが若干甘かったなという点は、これは率直に認めざるを得ない、このように思っております。  ただ現状においては、先ほど申し上げましたように、その認識において官民の差というものはないと考えておりまして、また、この厳しい状況の認識に沿って、昨年三月の緊急対策、それから八月の総合経済対策、そしてことしの二月でございましたけれども公定歩合の一層の引き下げ、あるいは平成五年度の予算につきましても景気に十分配慮した内容になっておりまして、こういうことも含め、また景気の現状を十分に注意深く見守りながら、常に適切かつ機動的な対応を怠らないようにしよう、こういうことで今後とも誤りのない経済運営をしていきたい、こういう気持ちで現在全力を尽くしているという状況でございます。
  47. 沢田広

    沢田分科員 大臣もこれからの見通しにひとつあらゆる要素を取り込んで、やはり国民は当てにしますからね。かえって企画庁に惑わされたなんていう意見が出ないように対応しなくてはならない。  そこで、ちょっと調整局長生活局長と物価局長、皆一言ずつ言ってもらいたいのですが、今のこの日本の経済が不況、不況でないは別として、皆さんが考えた予想の数値として把握しているものとはどういうふうな落差があり違いがあり、大臣の輔弼の任を果たしたのか果たさなかったのか、果たさなかったとは言いにくいだろうけれども、予想外だったのか、その点一言ずつ言ってみてください。
  48. 長瀬要石

    長瀬政府委員 昨年の年初におきまして、政府として正式に平成四年度の経済見通しにつきまして三・五%という実質成長率を想定したわけでありますけれども、その後一・六%に下方修正をいたしております。これは先ほど大臣が申しましたように、今回の景気が循環的な要因のみならず、資産価格の下落という従来にない新しい要因のもとでかなり下振れの方向に働いていた、この点につきまして十分に見通し得なかったという面があるという御批判につきましては謙虚に受けとめて、今後そういう経緯を踏まえながら対応していくことは十分必要なことだと考えております。
  49. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 私ども企画庁計画局では昨年の六月に「生活大国五か年計画」というものを策定したわけでございます。これは我が国の置かれている状況から照らしまして、これまでの経済大国と言われている姿を少しでも生活の質に重点を置いた生活大国へ変革していくのだ、これが国内的にも大変重要でございますし、かつまた国際的には地球環境問題等、いろいろ我が国の制度等におきまして地球社会と調和する、また同時に地球社会に積極的に貢献する、こういう諸点が大事だという観点から、新しい五カ年計画では地球社会と共存する経済計画をつくったわけでございます。  こういったことで、企画庁の長期的な視点に立った経済運営に少しでも貢献する役割を果たしたと考えております。
  50. 土志田征一

    ○土志田政府委員 私ども調査局といたしましては、経済の現状認識、月例経済報告、経済白書等で分析をしております。そのときどきの足元の状況についてはできるだけ的確な判断をするということで努力をしてきたというふうに思っておりますけれども現状判断の場合にも、ある程度の先行きも常に見ているつもりでおりますが、その点につきましては、先ほど調整局長答弁しておりましたように、私ども何とか先行き明るくなるのではないかという期待を持ちながらこの一年やってまいりましたけれども、やはりいわゆるバブルの崩壊の影響は予想以上に大きくて、そういった方向には進んでこなかったというふうに見ております。
  51. 沢田広

    沢田分科員 了解したわけじゃないけれども、経企庁の大臣が出る委員会には、それだけの質問なんだから各局長ぐらいは大臣、出しておく必要があるよ。僕の質問があるかないかそんなことは別問題として、局長がちゃんと聞いていなければ。なくたって聞くのが姿勢じゃないですか。そういう姿勢がないということは委員長からもしかっておいてくださいね。
  52. 松永光

    松永主査 わかりました。
  53. 沢田広

    沢田分科員 それから、次の問題に行きますが、日本の今の産業構造を、これは私の方の提言にしますが、第三次産業が三千三百万、第二次産業が千三百万、第一次産業が三百四十六万とか、端数は若干見てとにかくそういうことなんですね。就職希望というのはほとんどここ教年は第三次産業だけに圧倒的に、理科系を卒業した人でも行っていた、こういうふうに言われておるわけですね。これも日本のゆがん一つの原因なんですね。  ですから、私はあえて、公務員とか我々も含めてですが第三次産業に属しているわけですが、第三次産業、第四次産業、どう分類するかその先は皆さんに任せますが、人によれば第五種産業とまで言うんですね。第三次産業というのは公務員とか鉄道あるいは電信電話、郵便、弁護士さんであるとか学校の先生、直接生産には従事しないけれどもいわゆる必須な産業。それからその次は、必須ではあるかもしれぬが言うなら純粋なサービス産業。そのあとは余り言葉に表現のできないような、暴力団であるとか、これも一つの第五種産業ということになるんでしょう。そういうふうに、ひとつ経済企画庁としてもそういうような分類を目標にして、余り細かくなり過ぎたら調査はできないでしょうから、せめてそのくらいに分類して、日本の産業がどうあるべきかということを検討する、こういうのを考えてみることが必要だと思うのです。  それからもう一つは、私は第二次産業あっての日本だという前提があるのですよ。第一次と第二次産業が日本の基礎であって、その基礎がやはりゆがんだらどうにもならないし、人が集まらなくなったらだめになるんですね。ですから第一次産業と第二次産業をどう強化するかという、この産業構造を選んでいくということが、日本の発展、生活ということを考えれば、これは政党のいかんを問わずそういうことになるだろうと思うのですね。  その基本をどのように受けとめているのかわかりませんが、ひとつそれを検討してみる、こういうことでお答えいただけるかどうかな。これは大臣、言ったって実行できないでしょう、あなたたちは。
  54. 田中章介

    ○田中(章)政府委員 御指摘の産業構造に関しましては、これまでサービス経済化あるいは情報経済化という形で進んできております。御指摘のように産業の分類をどういうふうにするかというのは非常に大事な点でございまして、私ども「生活大国五か年計画」で、いわゆる地球社会に共存する生活大国へ変革、実現しょう、そのときに、それに望ましい方向として情報化の促進であるとか地域産業の創出、いろいろそういうことを通じまして産業の高度化ということが大事になってくるわけでありまして、そういう関係では私どもも、その望ましい産業構造についてどう描くべきかということにつきましては、経済審議会の中の生活大国計画推進委員会というのがございますが、その中でもこういった課題について検討をしてまいりたい、こういうように思っております。
  55. 沢田広

    沢田分科員 そんな答弁だからなんで、これはやはり大臣が、そうですね、と。若干の変更はあるでしょう。しかし、そういう分析を経済企画庁がきちんとやって、国民に指標を与えていくのが皆さんの仕事なんですよね。結果は、これは各省庁の仕事なんですが、そういうものを描いてどう実現に向けていくかは閣議の方へ諮ればいいのでありまして、検討なんということをやっているようじゃ話にならないので、その点は大臣ひとつ。やはり大臣が答えてください、官僚の答弁はもう真っ平ですわ。
  56. 船田元

    ○船田国務大臣 大変申しわけありません。今の沢田先生の御指摘、極めて大事な御指摘であると思っております。  一つは、第一次、第二次、第三次という従来の産業の分け方、これは正式なものではあると思いますが、第四次とか第五次とか、サービス産業がさらに特化するというかそういうものがあるのではないか。このことは私も薄々ではありますけれども感じておりまして、これは三次産業の肥大化と同時に、その高度化あるいは特殊化、こういう傾向がある。だからそれに沿いまして、我が国の経済運営というのもそれにある程度合わせた改変というものは将来においては大変大事なことになるんじゃないかというふうに思っております。ただ、現状で第四次と呼ぶものが何で、第五次と呼ぶものがどういうものであるか、こういう点についてはなお今後研究を続けていかなきゃいけないと思っておりますけれども、御指摘の点は十分心にとめて対応していきたいと思います。  それから第二次、第一次、これは人数の上でも従来から比べますと就業人口がかなり減っているということが指摘をされております。もちろんこれは、例えば第二次産業の中でもいわゆる省力化投資ということが行われたりいたしまして、労働力人口がそう多く要らないという状況の中で従来と同様の生産力を確保している、こういう側面もあるかと思いますが、やはり私は、第一次、第二次産業というのは、これは日本だけではありませんけれども国の経済の基幹的なものであると考えておりまして、この点の育成というのでしょうか、あるいは第一次、第二次産業が今の経済の中で、あるいは将来の我が国の経済の中できちんと生きていける、そういう産業政策をとるということはこれまた重要なことでありますので、このことも心してかかっていきたいと思っております。
  57. 沢田広

    沢田分科員 大臣は非常に若いんですから、これは総理大臣になるまで何期も何期も重ねていかなくちゃならぬのでありますから、ここで約束したことは少なくともそれに向かって実現できる可能性を持っているわけですから、また実現しなければならぬのでありますから、ほかの者はやめていっちゃうかもしれないが大臣は残るだろう、そういう意味で言っているわけです。  時間は十分に終わらせるつもりでいますから。  次に、きょうある新聞に、今不況の問題について「深刻な不況」と受け取るのが五〇%、「不況だが深刻ではない」というのが四一%、こういうような今の不況に対する認識が出ていたわけです。さらにその中に景況としては何がというので、これは三千名ぐらいだそうであります。私も実は一万枚ぐらいのアンケートを出しました。その中にもいろいろな意見が出されて、それはまた時間があれば言いますが、それで、結果的に「公共事業の拡大」が一六%、「所得税の減税」が四八%。それで私は、赤字国債で減税はどうですかとアンケートを出した。そうしたら赤字国債の減税は反対の方が多いんですね。それは国民一つの良識を示してくれたのだと思うのですが、しかし国民としてはやはり消費の落ち込みを、どこと比較して不況になったかという基点が問題なのですよ。今出ている指標というのは大体対前年で出ているのですね。バブルが始まる前の八五年が一つの目安にならなくちゃならないだろう。要すれば、八五年が一つ基準でずっとバブルがいわゆる資産インフレを起こしてきた。こういう形の中で、今不況だと言って嘆いている人は、時によれば株で損をしあるいは不動産で損をし、そして今は不動産の担保能力が下がったために金融機関の金も借りられないし、銀行も悪いことをやっている、こういうことで来たのです。  以上で、この所得税の減税と公共事業の拡大というのがその大きな数字で、あとは住宅購入や教育費などに絞った減税というのが一五%、こうなっていますね。この点は、大臣はどういう見解をお持ちですか。簡単に言ってください。
  58. 船田元

    ○船田国務大臣 御承知のような景気の低迷、それが資産デフレということが新たな要因ということになって景気の回復の足を引っ張っている、こういう現状認識、これは言うまでもないことでありまして、それに対応するためにということで昨年の八月に十兆七千億円の総合経済対策、これはもちろん公共事業の追加の点もございますが、同時に金融システムの安定のための施策あるいは株価にいい影響を与えようということで公的な資金を一部市場に出す、こういうような細かな施策もやってきたわけでございます。  しかし、なおその効果が完全にあらわれるまでにはまだ若干時間がかかる、その様子も私どもは見なきゃいけない。それから、公定歩合の引き下げはいたしましたけれども、貸出金利あるいは市中金利にまで完全にその低下の影響が及んでいると言うにはまだもうちょっと時間がかかるし、努力もしなきゃいけない。あるいは平成五年度の予算、これも前年度に比べまして五%程度公共事業を伸ばしておりますし、地方単独事業などは一二%程度伸ばしているということなので、これもかなり景気に配慮したものである。しかし、これを一日も早く成立させていただくということが当面景気対策としての最大の課題ではないかな、こういうことで取り組みをやってまいりました。  しかしながら、昨日の与野党の話し合いの状況の中で、与野党の合意がある程度認められた状況でございます。その今後の取り運びにつきましては、今後の与野党の協議会等での折衝あるいは話し合いの状況を注意深く見ていきながら、我々としてはあらゆるケースに対応できるように研究を重ねていくという必要はあろうかと思っております。
  59. 沢田広

    沢田分科員 財政金融課長は来ておるかな――では、これは調整局の方で答えてもらいましょう。  これは調整局が答えるのかどうかわかりませんが、大臣でもいいのですが、いま一つは、大体七十兆円くらいの不良債権を抱えておる。それからノンバンク等にも不良債権等が五十兆円ぐらいある。そうするとまあほぼ百二、三十兆円が凍っているような、札束が凍ってしまっているような状態になっている。それを抱えて今、これから駆け足しようというのが日本の経済です。だから、ちょっとやそっとのものでその氷を解かす力があるかというと、なかなかこれはないのじゃないか。だから、世論調査ではないが、不景気が長く続くのではないのかという不安を持っているのですね。株の低迷もしかり、あるいは金融機関におけるいわゆる貸し付け渋りもしかり。ですから、その辺のことをどういうふうに今考えているのか、その点。これはだれでも結構です。
  60. 長瀬要石

    長瀬政府委員 お答えいたします。  先ほどの資産価格下落の影響と関連する問題でございますけれども、現在、金融機関がバランスシートの上での痛みというものをかなり負っていることは事実だと思います。昨年の九月の時点におきまして、大蔵省が、六カ月以上延滞利息を払っていない、そういう不良債権につきまして、その額を十二兆余、こういう発表をしたということもあるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、金融機関がそのようなバランスシート上の重荷を負っている、このことがまた銀行の融資そのほかを通じて実体経済にも影響を与えているという側面があること、これは否定しがたい面だと思います。  そのような意味合いにおきまして、昨年の八月の総合経済対策におきましても、実体経済面に対する対策とあわせまして金融、証券面に対する対策が講ぜられたところでありまして、御指摘のような金融システムの安定性を確保いたしますために、金融機関の不良債権問題あるいはまた金融機関の融資対応力をどのように向上させるかという問題、そしてまた、証券市場の活性化のためのさまざまな対策、こういう対策を講じ、その展開を図っているところでございます。  いずれにいたしましても、御指摘のような点は、実体経済への影響という点も含めまして重要な側面として十分重視をしていくべき点だと考えております。
  61. 沢田広

    沢田分科員 では、あと二、三分ですが、そういうときに機動的に、例えばバブルがどんどん膨らんでいっているようなときに機動的に経済企画庁は、これは行き過ぎじゃないかとかチェック機能を果たしていく役割を持っていると思うのですね。でなければ将来の予測は、私は去年二・二%と実は予測をしたのですけれども、国よりも低かったのですね。ことしも同じように低い見通しをとったのですが、そういう悪い材料もきちんとディスクロージャーして、国民に理解を求めて、そしてやっていく。だから、郵便貯金が百六十兆円にもふえたということは、一方に対する不信感の象徴なんですね。  ですから、今のままでいったら経済企画庁は要らないのじゃないかなという気が私はするのです。そのぐらいやった方が、その分減税した方がずっと効果があるのかもしれぬ、こういうふうに思って、害だけ流して利益がない、こういうことになったのでは、また悪口を言いに来たわけじゃないけれども国民からはそういう感じを持たれるでしょう。それが一つ。バブルに対する警告を発することが、これは行き過ぎじゃないか、もっと手控えなくてはいけないのじゃないかということを言う機会が閣議なりでなかったのか。そのまま黙って見逃した罪はまた大きいと思うのですよ、今になってみれば。  ですから、そのこともあわせて、大臣、反省を含めてここはお答えをいただいて、これも十分でまだ余らせて終わらすのですから、委員長の分を私が立てかえたようなものなんですから、その点も心得て言ってください。
  62. 船田元

    ○船田国務大臣 沢田先生から大変御示唆をいただきまして、まことにありがとうございました。沢田先生から経済企画庁はもう要らないと言われないような、きちんとした長官としての仕事を今後心がけていきたいと思っております。  バブルの問題につきましては、確かに戦後初めて経験をすることであり、そのバブルの膨張という点もそうだった、また、バブルが崩壊した後の実体経済に与える影響の度合いというのを経験する点も初めてだった。そういう点で、もちろん言い逃れはいたしませんけれども、確かに見通しの甘さということがあり、また、そのことに対する反省を私ども今やっておるわけでございまして、実体の経済の足元をきちんと把握をする、そのきちんとした把握のもとに適切な対応をしていくことに今後とも心がけていきたいと思いますので、引き続き御指導いただきたいと思っております。
  63. 沢田広

    沢田分科員 今後の御奮闘を祈念して、以上で終わります。
  64. 松永光

    松永主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管経済企画庁についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  65. 松永光

    松永主査 次に、通商産業省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します、遠藤登君。
  66. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 大変な経済動向の中で日夜御努力をされていることに敬意を表する次第であります。若干の課題について勉強させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、総括して内外の経済動向についてお聞かせをいただきたい。国内の企業あるいは海外に多く進出をしている企業の実態、あるいはその動向などについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  67. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 我が国の経済は、全体として申し上げますと最終需要の約四分の三を占めます個人消費でありますとかあるいは設備投資といったものが、いわゆるストック調整でありますとかマインドの冷え込みといった面から低迷をしておりまして、さらにはバブルの崩壊等によって大変厳しい状況にあるというふうに考えております。  こうした全般的な需要低迷のもとにおきまして、製造業について見ますと、在庫調整の動きも加わって生産がずっと停滞をしてきておりまして、一番最近の統計でございますことしの一月におきまして、生産指数で十六カ月連続の前年割れとなっております。減少幅も前年の同じ月に比べましてマイナス七・六%、前月、去年の十二月でありますけれども、これに比べましてマイナスの〇・三%という状況になっております。中でも、一般機械工業とか電気機械工業といったふうな従来成長しておりましたところの落ち込みが非常に大きく、これが経済全体にも大変大きな影響を与えるというわけでございます。  それからまた、卸売とか小売、サービスといいましたものを含むいわゆる第三次産業でございますけれども、これにつきましても、従来は景気が停滞するときにも比較的下支えの役割を果たしてきたわけでありますけれども、今回は低調でございまして、私どもの方でつくっております第三次産業活動指数で見ましても、昨年の四-六月期あるいは七-九月期とも減少しているような状況でございます。  私どもといたしましては、経済の実態を、ただいま申し上げましたようにマクロ面はもちろんのことでありますけれども、個々の産業の動向を見守っていきたいと思います。  それから、もう一つのお尋ねでございます海外における進出の状況あるいは経営状況はどうかということでございます。  我が国企業は、八〇年代半ば以降、いわゆる円高といった状況を背景といたしまして、海外の進出を進めて事業活動の国際化を図ってきているところでございます。ただ、最近におきましては、対外直接投資の金額で見ましても、八九年度の六百七十五億ドルをピークといたしまして減少傾向に入っている状況でございまして、これは世界全体の景況がはかばかしくない、あるいは日本の企業の海外生産拠点の設立も一巡をしてきたといった事情によるものではないかというふうに考えておるところでございます。  こういった海外への進出によります我が国企業の活動状況を概観してみますと、売上高で見ますと約七千億ドル、このうち製造業の部分が約二千億ドルでございます。それから、海外における雇用者総数が百六十万人、製造業だけでカウントいたしますと百二十万人でございますけれども、こういう形で進出先の国において、これは発展途上国あるいは先進国両方ございますけれども、進出先の相手国の経済の発展に大きな寄与をしているのではないかというふうに考えております。  一方、お尋ねの収益の状況について見ますと、売上高経常利益率を概観いたしますと、全体として一・〇%、製造業だけで見ますと、一・八%となっておりますけれども、これは同じころの我が国の国内企業の状況に比べて決してよくないという状況でございまして、海外進出をした企業にも、厳しい状況の中で経営努力が求められている状況ではないかというふうに思っているところでございます。
  68. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 一つは、在庫調整がどのように進められているのか。それから第三次産業の関係でありますが、産業全体の中で半分ぐらいは第三次産業の分野が占めているということで、この分野の落ち込みも国際的な分野も含めて大変な状況にあると思いますが、これらの実態あるいは今後の動向などについてちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
  69. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 在庫の状況でございますけれども、昨年生産調整を進めて在庫調整を進めてきたわけでありますけれども、昨年の間は、それにもかかわらず在庫が前年に比べてふえていくというふうな状況にございました。しかしながら、去年の十二月におきましては、在庫指数で見ますと前期比でマイナス〇・六%、前年同期比でマイナス〇・九%、あるいは本年の一月には前期比でマイナス一・〇%、前年同期比でマイナス二・三%ということで少し在庫のレベルも落ちてきている。それから、在庫と出荷を比較いたしました在庫率も、本年一月にはやっと前期比でマイナスということで、少し在庫調整も進んできたのかな。ただ、その背景には、厳しい生産調整によって進めてきているという状況でございます。
  70. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 落ち込みで代表されるのは自動車とか電機だと思うのでありますけれども、特に製造業分野で最も不況にあえいでいる業種、最も安定的な経営状況にある業種、それは端的に何か、その辺をちょっとお聞かせいただきたい。
  71. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 今回の景気後退は産業のほぼ全面にわたっておりますので、必ずしもどこが比較的よくて、どこが比較的悪いというのは、例えば前回の景気後退期でございました円高不況の場合には比較的ヒットが大きかった産業があるわけでありますけれども、今回は、先ほど申し上げましたように最終需要の全般にわたって冷え込んでいる、あるいはバブルという経済全体の影響があるというようなことで、やや全体に広がっていると思います。  ただ、そういう中で、やはり電気機械工業でありますとか一般機械工業でありますとか、別の言い方をいたしますと自動車とか家電とかコンピューター、エレクトロニクス関連といったふうな、かつてはどちらかというとずっと成長いちずで来たような産業のところも後退をしているということで、後退感が非常に広がっていると思います。こういう業種が後退いたしますと、その業種が使用いたします素材、例えば鋼材でありますとかプラスチックでありますとか等々も当然その影響を受けて後退をしているわけであります。産業の中で比較的落ち込みが低い、あるいは場合によったらマイナスになっていないものをあえて言いますと、例えば石油製品製造業とか、そういったものはわずかでありますけれどもプラスというか、とんとんぐらいの状況でありますし、食料品なんかは、マイナスといってもほとんど横ばいぐらいの状況になっておるところでございます。
  72. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 それから、世界的に経済が非常に大変な状況にある、それで進出企業も先ほどのお話のように大変な状況にあると思いますが、アメリカの状況はどうなのか。アメリカの経済あるいは進出企業の実態、それから東南アジア関係、それからヨーロッパ・ロシア方面はともかくとしても、世界的な経済動向とのかかわりの中で日本の経済動向も重要な位置を占めるということがありますので、端的に、アメリカなり東南アジア関係あるいはECの関係などについてのいわば経済動向とか簡単な見通しなどについてお聞かせいただければありがたい。そこに進出された企業の動向なども簡単にお聞かせをいただきたい。
  73. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 世界経済全体で見ますと必ずしもよくない状況でございますけれども、少し分けて眺めてみますと、アメリカは景気後退しておりましたけれども、昨年の終わりぐらいからかなり元気を取り戻してきているのではないかという感じがいたします。GDPで見ましても、瞬間風速で三%を超える年率成長率を示しておるということで、いろんな見方があると思いますけれども、かなり本格的な景気回復ではないか。そういうことで、例えばコンピューターなんかもかなりよくなっておりますし、自動車なんかも、前年に比べると消費水準は上がるのではないかというふうに見られておるところでございます。  それからヨーロッパは、一言で申し上げますと大変悪い状況ではないかと思います。ヨーロッパ経済を引っ張っておりましたドイツが、御案内のとおり東独を吸収したというか、そういうことでこの負担が大変多うございまして、ヨーロッパ経済の牽引車であったドイツ経済自体も大変苦境に陥っているというふうな状況で、いわゆる自動車産業等におけるリストラクチャリングも進んでおりますし、あるいは失業率もほぼみんな一〇%前後ではないかという状況にあるわけでございます。  それから東南アジアは、世界経済の中で成長センターと言われるごとく、概して申し上げますと大変調子のいいところではないかと思います。また、中国なんかも一部で過熱が心配をされるぐらいによろしいわけでございます。  そういう状況を反映して我が国企業も、それぞれ進出をした先で比較的いいもの、あるいは比較的難しいもの等々ありますし、ただ、経済全体だけじゃなくてその産業の個々の状況にもよりますので必ずしも一概に申し上げることはできませんけれども、進出当初の負担等々で、先ほど申し上げましたように利益率が十分高いという状況にはないわけでございます。
  74. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 今までお話しのような状況の中で、総合的な対策を初め、個別対策含めていろいろ大変な御努力をされていると思います。このたびの不況は特に産業分野によってそれぞれのばらつきがありますが、総体的に重点的な対策あるいは主な個別対策、どのような対策を特に新年度予算の中でとられようとしているのか。  それから雇用の動向、例えば製造業で百万とかあるいは百万を超える失業者がいるとか、非製造業の分野でも約百万近い失業者がいるとか、いろいろマスコミでも、内定の取り消しの問題を初め、いわば時差入社の問題を含めて大きな問題となっているようでありますが、これは労働省だけの問題じゃないと思うわけでありまして、文部省もまたそれなりの対策をとるというようなことであります。通産省としてはこの失業の、いわば雇用問題の動向の実態と今後の推移あるいは対応についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  75. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 お尋ねの雇用の動向について申し上げますと、まず全体的な感じを申し上げますと、いわゆる有効求人倍率につきましては、昨年の十月に一を割りまして〇・九七、その後〇・九四、〇・九二、〇・九三ということで、〇・九台の半ばで横ばっておる状況であろうと思います。それから失業率について見ますと、去年の十一月に二・三になりまして、その後二・四、二・三ということで横ばっておるということで、全体としては必ずしもまだ深刻な状況ということはないと思います。  ただ、企業内の余剰労働力ということがいろいろ言われているわけでありまして、必ずしも全体像を正確に把握することはなかなか難しいわけでありますけれども、私どもが若干のヒアリング等で調査をしたところの感じを申し上げますと、半分強の企業がやはり過剰感を何となく持っているという感じであります。特にその中でも比較的製造業は過剰感が強い、非製造業の方は過剰感は少ないという感じでございます。こういう中で製造業を中心としまして幾つかの企業において、出向でありますとか配置転換といったふうな形で、できるだけ失業を避けながら景気後退に対応する雇用調整の努力が行われている状況ではないかと思います。  こういう状況に対応いたしまして、労働省とも十分な連携をとりながら、いわゆる雇用調整助成金の対象業種の機動的な指定に私どもとしても努力をしているところでございまして、三月一日に新たに十業種を加えまして、現在のところ、昨年から累計百五業種が指定をされているところでございます。景気動向を見守りながら雇用の動向にも十分注意をしてまいりたいと思いますし、何よりも経済全体の実体経済が回復することが雇用対策としても一番いい道ではないかということで、経済全体の回復に努力する必要があるというふうに考えております。
  76. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 世界的な経済の実態あるいは国内経済が連動する状況で大変な状況でありますが、一体この経済回復の見通しというものについて、世界経済との連動の中にあるわけでありますけれども、どんな見通しに立っていらっしゃいますか。非常に難しい分野だとも思いますが、通産省としてのお考え方をひとつ聞かせていただきたい。
  77. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 日本経済の現状については先ほど来御説明を申し上げましたし、それから、世界の状況については概観を申し上げたわけでありますけれども、そういう中で、各国それぞれ景気を回復すべくいろいろな努力をしているわけであります。日本経済につきましても、低迷はしておりますけれども、昨年来総合経済対策によっていろいろな策を打ちましたし、それから、当面とにかく平成五年度の予算が年度内に成立をいたしましていろいろな対策が切れ目なく続いて行われることを期待をしておりまして、一日も早い景気の回復を期待してまいりたいと思っております。
  78. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 ことしの夏以降とか秋以降とか、あるいは来年とか、いろいろ見方が分かれているようでありますが、大臣、どのような見通しに立ちますか。
  79. 森喜朗

    ○森国務大臣 先ほどから産政局長が申し上げましたように、私どもとしてもこの低迷を一日も早く脱却したい、このように努力をしておるところでございます。  当初、私どもとしては、この一-三月、できれば底打ち感が出てほしいなというのが正直なところでございました。しかし、これも先ほど御答弁がありましたように、何といいましても最終需要の四分の三を占めております個人消費と設備投資といった国内の民間需要が、ストック調整それからマインドの冷え込みということで全く低迷をいたしておるわけでございます。昨年の夏打ち出しました総合経済対策、それから、それ以後補正予算で裏打ちをいたしましたのが十二月十日、率直に言いまして、私は党の政調会をやっておりましたので、この裏打ちをもう少し早くできておったらなというふうに思います。したがって、そこのところは公共投資が下支えをするという意味では少し切れ目が出た。そういう意味で、今回、これの完全実施を急いでいるところでございます。  さらに引き続き、各党の皆様の大変な御理解をいただきながら、今平成五年度の予算審議をいたしておりますけれども、これが年度内に成立ということになりますと、もちろん参議院の審議というものも十分ございますけれども、全体的に、年度内にこの予算、特に景気に配慮した予算が執行されるということによって産業界、国民の中に安堵感というものが見えてくるのではないか。そういう意味で、またこれが外れたらおしかりをいただくかもしれませんけれども、希望としては四月から六月のこの機会に何とか低迷から脱却していく、そういう空気が出てきてほしい、またそのためにも私どもとしては精いっぱい努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
  80. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 何といっても、これは消費拡大ということが一致して言われているわけであります。政策減税にしても所得税の減税にしてもこれから協議をするということでありますが、財源的な問題もあると思いますが、最大の御配慮を要請していかなければならないというふうに思います。  昨年の秋の十兆七千億の公共事業分野も、約三割ぐらいは大臣が今おっしゃるようなことで年度を越さざるを得ない。それで、新年度の公共事業も予算の早期成立と相まって前倒しをやって、そして四月からやれる態勢で既にもう準備態勢に入るという準備などもされているようであります。  これに関連して特に要請しておきたいのは、今までも何十年か話があったのでありますが、特に東北というか積雪地帯は、公共事業、公共事業と言うけれども大体その予算が具体的に執行されるのは早くて九月に入ってから、それで二、三カ月で雪が降る、これほど公費のロスはないのじゃないか。四月から九月までの半年間という事業執行の一番効率的な時期に公共事業がやれない、主に土木にしても建築にしてもそういう部分がやれない、これは大変な問題じゃないか、施越しとか前倒しとかいろいろな方法があるのじゃないか。これは積雪地帯の自治体、県からも相当な要求として継続されてきたと思うのであります。不況対策にかかわらずそういう事業の執行などについても、私も特に建設省とか農林省あるいは文部省などに強く要請をしておるのでありますが、ぜひ通年的な対応として御配慮を願いたい。このたびの不況対策の問題については、特にそのことを留意して御配慮願いたいということを強く要請させていただきます。  それから、いろいろ質問項目を挙げておりますが、特に中小企業の倒産問題、これが関連倒産を含めて大きく拡大する傾向にあると思うのでありますが、その実態と対応などについてお聞かせいただきます。
  81. 関收

    ○関政府委員 先生指摘のとおり、最近におきます景気の低迷の状況を反映いたしまして、中小企業の倒産件数も増加しておるということでございます。特に最近におきましては、売上高あるいは経常利益率等々が減少いたしておりますし、また、資金繰りも非常に厳しいということから極めて厳しい状況に置かれておるわけでございまして、私どもの調べでは、平成四年におきます中小企業の倒産件数が約一万四千件ということでございまして、これは円高不況のときの六十一年当時の水準に並ぶような状態ということでございます。しかも、業種別に見ましても、製造業、建設業、商業、サービス業とさまざまな分野にまたがっておること、また倒産の原因がいわゆる不況型の倒産、これがふえておるということが大変憂慮されるところでございます。  私どもとしても、こういったような状況に対しまして、特に今一番苦労しておられる問題の一つでございます金融面につきまして、これを中心に対策を思い切って強化していきたいと考えておるわけでございます。例えば、中小企業の倒産対策貸付制度あるいは倒産に関連いたします信用保証の制度等々の金融面あるいは債務保証といった面で、中小企業の方々がこの非常に苦しい時期を乗り切っていただくように最大限の配慮をしてまいりたいと思っておるところでございます。  なお、同時に大事だと思っておりますのは、そういった厳しい事態に至りましたときにいろいろ御相談に乗りまして、こうしたらいいのじゃないか、あるいはこういうところを御紹介しましようというような形で親切に御相談に乗ることも極めて大事だと考えておりまして、私ども、そういった面の事業もこれからも強化してまいりたいと思っておるところでございます。
  82. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 中小企業、特に小企業の構造改革ということ、あるいは経営指導、技術指導、そういう経営相談体制なども強化していく、こういうことでありますが、低利長期の融資のこととか無保証無担保の問題とか、構造改革に対する支援体制あるいは経営、技術指導を含めての指導体制の強化が金融面を含めて強く求められていると思うのでありますけれども、これらに対する対応の仕方についてお聞かせいただきます。
  83. 関收

    ○関政府委員 先生指摘のように、小規模事業我が国経済の中でも非常に大きなウエートを占めているわけでございまして、中小企業の事業所が六百五十万あると言われておりますが、その約八〇%はいわゆる小規模企業の方々でございます。これらの方々は、これまでも我が国経済のいわば活力というようなことで大変大きな役割を果たしてこられましたし、特に地域におきまして、地域経済を支える重要な役割を果たしてこられたわけでございます。しかしながら、最近におきますいろいろな情勢の変化から、経営状態が極めて苦しくなっていることも否定できないわけでございます。  これらにつきましては、従来から、町村部におきましては主として商工会、あるいは市部におきましては主として商工会議所が中心になりまして、経営の面あるいは金融の面、経理、労務、さまざまな面での相談に乗り、または指導させていただくという体制をとってきたところでございます。このために、従来から経営指導員で申しますと約九千名に上る指導員の方、あるいは補助員が四千名あるいは記帳専任職員が約四千名というようなことで、それらの方々が中心となっていろいろ指導させていただいておるわけでございます。  また、こういった小規模企業の方々が実際にお困りになっております例えば金融の問題でありますとか、税制の問題でありますとか、そういった問題にもきめ細かく対応させていただくということで実施をさせていただいておりますが、特に最近におきましては、この小規模企業対策の重要性という観点から商工会、商工会議所の機能を思い切って強化をさせていただいて、小規模企業の方々の発展のためのいろいろな事業を広範に展開できるような制度をぜひつくらせていただきたいということで、今国会にも関連の法案を提出させていただいておりますけれども、これらを基礎といたしまして小規模企業対策をこれからも思い切って強化してまいりたいと考えておるところでございます。
  84. 遠藤登

    遠藤(登)分科員 非常に大変な問題だと思いますが、全力を挙げて頑張っていただきたいということを要請をさせていただきまして、終わります。ありがとうございました。
  85. 松永光

    松永主査 これにて遠藤登君の質疑は終了いたしました。  次に、近江巳記夫君。
  86. 近江巳記夫

    ○近江分科員 政府・与党の政調会長を務められました政府のかなめである森さんが通産大臣に就任されておりまして、今日の大変なこういう不況の中で、また通産省としての果たされる役目というものは非常に大きい、このように思うわけでございます。  きょうは私は三十分という限られた時間でございますので、新エネルギー等を中心にお聞きしたいと思いますが、その前に、何点かちょっとお聞きしておきたいと思うのです。  それは、こういう不況の中で非常にまた円高も進んでおります。今の時点では百十六円台で推移しておると思うのでございますが、確かにこの円高というのは、今の状況でいけばマイナス面が非常にきついわけでございます。といって、またプラス面も輸入という点からいきますと出てくるわけでございまして、そういう点で、特にエネルギー関係で申し上げますと、例えば電力であるとかガスであるとか、恐らく計算時点では百二十四円程度で計算されておると思うのです。百十六円、これは決して一定しておるわけではございませんので、いろいろな今後の推移というものをごらんになられると思うのでございますけれども、こういう円高基調でいく場合、今後料金の問題につきましてはどういうように対処されていくのか、お伺いしたいと思います。
  87. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、現在の電気料金あるいはガス料金に織り込まれている円レートというのは、平成元年の四月の改定時でございますけれども、百二十四円ということになっております。もちろん、これはいろいろな諸元が織り込みの中にはございまして、例えば原油価格という面で見ますと、全日本のCIF価格、輸入価格で十六・五ドルというようなことになっているわけでございます。こちらの方は最近の時点でも十八ドル何十セントということで、織り込みのときよりは高い水準で推移しているということでございまして、いろいろな要因を勘案していく必要があろうかと思っております。  例えば、電気料金の場合、先ほどの百二十四円という織り込みのレートでございますけれども、一円変動いたしましてそれが一年間全部続くという前提で、かつ、今の電力会社の油の供給計画とかそういうものを前提にして試算をいたしますと、一年間で一円動くと百十億円ぐらい収支が変動する。先ほど申しました原油の価格という面から申しますと、例えば一ドル変動いたしますと電力会社全体で六百九十億ぐらい変動するということでございまして、現在の状況は、まだ円レートの円高基調が別に一年間続いているわけではございませんし、それから先はどのような原油価格の動向もございますので、そういった状況をしばらくよく見ていく必要があるだろう、こういうふうに考えているところでございます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江分科員 こういう非常に不況の状況が続いておるわけでございますので、還元できるそういう時点が来るならばぜひ政府としても決断をされるべきではないか、このように思うわけでございます。その点、いかがですか。
  89. 森喜朗

    ○森国務大臣 今黒田長官から申し上げましたように、事務的には、先生から御指摘のとおりこの円高というのは長い将来を見ていけば日本にとって大変大きな力になってくるわけでございますが、今回のように思惑で非常に激しい動きをするということになりますと、これについては十分気をつけていかなければならぬし、特に、常々私申し上げておりますが、今何といっても景気を回復しなければなりません。その景気の回復の足を引っ張るようなことになってしまう、企業にとっては大変大きな打撃だということでございますので、その点、これから十分に注視をしてまいります。  しかしながら、今先生からおっしゃったとおり、もし仮に円高がある程度固まっていくということであれば、当然この円高をまたメリット化していかなければならぬわけですから、そういう意味で、今長官が申し上げましたようにいろいろな事務的な作業や準備は仮にいろいろな形でいたすといたしましても、当分はこの円高の動きを肯定してしまうというわけにはなかなかいきませんので、今の段階では、通産省としてこれをどの程度にどうするかということ、つまり、円高の定着を前提にした議論というのはいささか時期が少し早いのかな、私はそんな感じを持っております。
  90. 近江巳記夫

    ○近江分科員 還元できるそういう条件といいますか、固まった時点では、ぜひそういう決断を早くしていただきたいと要望いたしておきます。  それから、先ほども同僚議員から質問ございましたが、こういう不況の中で一番困っておるのは中小企業ですね。大臣のところには中小企業庁もございますし、本当に傘になり守ってもらわなければいけない。また、最も力を発揮していただける立場じゃないかと思うわけです。先ほど、特に金融面につきましては力を注いでいきたいとおっしゃっておりました。五年度の予算も順調にいけばあす通過する。そういう五年度予算をいろいろ執行も早めて努力されると思いますけれども、今回の予算の盛りつけだけで中小企業を本当に手助けをするという点においては、私は全体の景気を回復するという中でまだまだ考えてみなければならぬ問題でございますが、何といいましても一番弱小の中小零細企業でございますので、特に金融面を中心とした思い切った、さらにまた一段の対策が必要じゃないか、このように思うわけでございます。その点、先ほど同僚議員も質問いたしておりますけれども、重ねてお伺いしたいと思います。
  91. 森喜朗

    ○森国務大臣 我が国の産業の構造というのは、これはもう近江さん一番よく御存じでございますから余り初歩的なことを申し上げるのほかえって御無礼だと思いますが、しかし、えてして景気が回復ということになりますと、中小企業、つまり、すそ野の方がいい意味での影響がどうしてもだんだんおくれてまいりますし、逆に苦しくなりますと中小企業、零細企業が一番影響をこうむるという、これは産業の構造の一つの否定でき得ない事実だと思います。そういう意味で、回復基調になって、その間できる限り中小企業が経営の堅実さを維持していけるように、そのことに最大の配慮をするというのが私どもの仕事、特に中小企業庁の大事な仕事だと考えております。  したがって、今予算を御審議いただき、予算が成立いたしまして、平成五年度の中小企業に十分配慮した予算の執行ということを私ども十分に気をつけておきますけれども、さらに、なおかつ中小企業に対してどんな問題があるか、そしてどのようなことを気をつけていかなければならぬだろうか、この点は十分中小企業庁長官にも私は事務的に命じまして、いろいろな対応に取り組むように、考えていくように今いたしておるところでございます。万全を期していきたいと考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江分科員 政府の制度融資といいますか、そういうものにつきましてはさらに力を入れられる、それは先ほどからの御答弁でもはっきりしておるのですが、経済界全体に資金供給といいますかマネーサプライ、これは非常に逼迫しておりますね。企業にとりましては資金というものは血液でございますから、これが潤沢に流れないということは本当にすべてを停滞させていくことになるわけです。そういう点、金融面からいきまするとこれは大蔵省ということになるわけですが、実際の企業の責任を持っておられる通産大臣とされて、今大蔵省も努力しておると言いますけれども、現実は社会全体になかなか血液が行き渡ってないという問題でございますので、その立場から親元としての通産大臣として、大蔵省に対しましても政府に対しましても、声を大にしてこの資金供給の面につきましてひとつまた話をし、実行していただきたいと思うのです。この点、いかがでございますか。
  93. 森喜朗

    ○森国務大臣 先ほども申し上げておりますように、いわゆる総合経済対策におきます中小企業の金融面も含める対策、さらに、今御審議をいただいておる平成五年度の予算の中小企業に対する十分なる配慮、それでもなおやはり中小企業の動向については十二分に重視をしていかなければならぬ、こういうことで、我が党の自由民主党の経済対策本部では、さらに追加的な抜本的な経済対策を今検討しておられるようでありますので、その中に特に私どもは中小企業というものを大きな柱として考えていただく、特に金融面では従来のも のと、さらに大きく充実した、また実態によく即した、中小、小規模企業に対して金融がスムーズにいくように、そうした仕組みも考えるように党にもお願いをしておりますし、事務的にもそのことを今十分研究しておるところでございます。
  94. 近江巳記夫

    ○近江分科員 政府系の金融機関は当然大臣もそれだけ力を入れられて、それはそれなりにまた力を出すと思うのですが、民間の金融機関等、これも大蔵省と連携をとっていただきましてひとつ血液の導入をしっかり頑張っていただきたい、特に要望いたしておきます。  それから、先ほど申し上げておきましたいわゆる新エネルギーの問題でございますが、その前に、エネルギーの需給見通しにつきまして若干お伺いしたいと思うのです。  特に、アジア等の発展途上国におきましては消費が非常に伸びておる、先進国の七倍あるいは共産圏の二倍だとか、とにかく非常に大きい。世界全体で見ますとそういう需要というものはかなり増大しておる。ところが、旧ソ連におきましての石油生産等も落ちておりますし、北海油田等も落ちております。そういう点で、世界全体の需給につきまして今どういうとらえ方をされておるか、お伺いしたいと思います。エネルギー庁長官でも結構ですよ。
  95. 森喜朗

    ○森国務大臣 今近江委員からも御指摘ございましたように、世界のエネルギー需要は発展途上国を中心にいたしまして大変大きく増加する、こういうふうに見ておりまして、IEAによりますと、二〇〇五年時点では一九八九年に比べまして約一・五倍になる見通しというふうに見ております。一方、供給面におきましては、旧ソ連地域におきます石油生産の減退、また石油生産が中東へ集中いたしておりますので、石油の安定供給はやはり楽観を許さない状況にある、このように見ております。このように、中長期的な国際エネルギー情勢は極めて厳しいものになるであろうと予想いたしております。  一方、国内におきましては、輸入依存度が高く、依然として極めて脆弱なエネルギー供給構造であるというふうに認識をいたしております。需要面では、二度にわたります石油危機の後、大幅な省エネルギーが進展をいたしましたけれども、近年、また再びエネルギーの消費量は大変高い伸びを示しております。  このように、内外のエネルギー需給は今後逼迫化が予想されておりまして、安定的なエネルギー供給の確保はますます重要な課題であろうというふうに認識をいたしております。  さらにまた、近年、地球温暖化問題等の地球環境問題への対応というエネルギー政策の新たな課題も生じておりまして、我が国といたしましては、内外の厳しい需給動向を踏まえました適切なエネルギー需給構造を実現するように、この必要があるという認識を持って、今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
  96. 近江巳記夫

    ○近江分科員 大臣の御答弁がございましたように、一次、二次オイルショックのときは皆かなり省エネにつきましても努力していた。やはり気の緩みといいますか、我が国の成長の度合いというものもあったわけですけれども、これは非常に伸びてきておることは事実でございます。やはり再度この辺のところを引き締めていかなければいかぬと思いますし、そういう点では、省エネのそういう認識といいますか、それは徹底をして、省エネについて格段の努力をしていくということが一つです。  それから、大臣お話しのように温暖化防止対策ですね。これも、御承知のように政府として平成二年十月に行動計画を決定されておるのですけれども、今の状態でいきますと、これは本当に達成ができるかどうかという危惧もあるわけでございます。これもしっかり努力をしていただかなければなりませんし、それから、そういう点の関連からいきますと新エネルギーの開発、これはやはり加速的に推進していくという取り組みが大事ではないか、このように思うわけでございます。そういう点で、サンシャイン計画を中心といたしまして現在行っておられる新エネのそういう開発状況、また普及状況につきましてお伺いしたいと思います。
  97. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、通産省は、昭和四十九年度からサンシャイン計画等を推進いたしまして、太陽エネルギー等を中心にいたします技術開発を鋭意行ってきたところでございます。その結果、現在、例えば太陽光発電でございますと、当初のコストの三十分の一までコストを低下させることにこぎつけてきておりまして、生産量で年産二万キロワットまで太陽光発電の産業化にこぎつけてきたところでございます。それから太陽エネルギー関係で申し上げますと、ソーラーシステム、これは現在普及ベースで大体四十万台ほど普及しておりますし、温水器に至っては五百万台程度日本全体で普及しているわけでございまして、徐々にではございますけれども、太陽エネルギーを中心にいたしまして研究の成果が出てきておるというところでございます。  平成五年度からは、こうした新エネルギー技術それから省エネルギー技術、さらに地球環境技術をあわせまして、エネルギーと環境技術を一体的、総合的に開発すべくニューサンシャイン計画を展開することといたしておりまして、今後とも新エネルギー技術の開発に一層努力してまいる所存でございます。それらの努力を通じまして、現在、新エネルギーの一次エネルギーに占める比率は一・三%でございますけれども、これを二〇〇〇年には三%、二〇一〇年には五・三%にまで引き上げてまいりたいと考えておるところでございます。
  98. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それなりの努力をされておると思うのですけれども、例えば予算額を見ましても、五十八年にはサンシャイン計画で三百七十五億、五十九年には三百六十八億、六十年には三百九十八億、ところが平成三年度では二百四十八億、平成四年度は二百六十五億、五年度では今回の予算で二百七十九億。ですから、力を入れているとおっしゃっていますけれどもぽんと落ちているんですね。言葉だけ聞いておれば、ああ、頑張ってくれておるのだな、しかし現実の取り組みでこんなに予算が落ちているわけでしょう。ニューサンシャイン計画だとかなんとかおっしゃっていますけれども、それは言葉と実態が合わなければだめでしょう。何もそれは予算だけでどうのこうのというわけじゃありませんけれども、やはり裏づけはそれなんですね。その辺、どうなんですか。
  99. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 先生指摘のとおり、サンシャインの予算は年によりフラクチュエートしていまして、例えば、平成三年度におきまして対前年度比約百億円減少しているというのは事実でございます。ただ、この平成三年度の減少の理由といたしましては、大きなプロジェクト、特に石炭関係でございますけれども、ガス化複合発電、石炭利用水素製造、それから褐炭液化等の大きなプロジェクトが終了したことによる減少でございまして、私どもとしては、大きなプロジェクトが終了してその資金的なニーズが減ればその段階でまた予算を減らすこともございますし、また、新しい技術開発をスタートさせるために予算が必要であればさらにそれをふやしていくということで、ニーズに応じて対応しているつもりでございまして、今後とも、基本的にはエネルギー技術開発を一層強化する方向で予算の獲得にも努力してまいりたいというふうに考えております。
  100. 近江巳記夫

    ○近江分科員 現時点で太陽光発電で二万キロワット、こうおっしゃつているわけですね。二〇〇〇年では原油換算十万キロリットル、五倍まで来なきゃいけない。二〇〇〇年まであと何年あるかということを考えたときに、これはやはり加速度的に進めていかないと私はできないと思うのですね。二〇一〇年で百二十万、風力発電で見ますと二〇〇〇年で一万キロリットル、二〇一〇年で五万キロリットル。例えばこの風力発電、それからまた燃料電池、これはどうなっていますか。
  101. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 風力発電については、現在鋭意サンシャイン計画で技術開発に努めているところでございますし、燃料電池につきましては、燐酸型燃料電池、これにつきましては大体四十円・パー・キロワットアワーぐらいまで技術的に進歩してまいりまして、ほぼ実用化のめどが現在立ったところでございます。さらに高効率かつ大規模な燃料電池を開発すべく、現在、炭酸溶融型の燃料電池開発を行っているところでございますが、近い将来かなりの規模で普及していくことを私どもは期待しております。  風力につきましては、五十六年からサンシャイン計画で実施しておりますけれども、現在のところ、五百キロワット大型風力発電システムの開発を行っているところでございまして、あわせて、集中型風力発電システムの開発とか全国の風況調査を進めているところでございます。私ども、風力につきましても、地域エネルギー開発の一環としてこの開発普及に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  102. 近江巳記夫

    ○近江分科員 さっき、予算が百億も落ちてきておる、これは石炭に関するそれが終わったからだとおっしゃっていますけれども、今申し上げたように、燃料電池にしましても風力発電にいたしましても、西暦二〇〇〇年まであと七年でしょう。例えば風力なら、今五百キロとおっしゃったが、これは少なくとも二〇〇〇年までには一方にせにやならぬ、二十倍にしなきゃならぬわけでしょう。こんなペースじゃできないでしょう。そうしますと、サンシャイン計画について石炭が一応予定を終了したというならば、少なくとも政府計画の中では、燃料電池にしろ風力発電にしろ太陽光発電にしろ総力を挙げてやるということになっているのですから、今のような計画では全然いかないんじゃないですか。それであるならばさらに格段にそちらの方に力を回し、積み上げていく、そういう姿勢がないと、石炭はこうなりましたから全体にカットしてサンシャイン計画に力を入れております、そんなこと言えますか。何言っているんですか。  大臣、ちょっと今エネルギー庁とやっておったのですけれども、どう思われますか。
  103. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 確かに、新エネルギー技術開発の予算につきましてはフラクチュエートして減っているときもございますけれども、ことしも、平成五年度予算要求におきましても相当程度の伸びを期待しておりますし、先生指摘のように新エネルギーは非常に緊急の課題だと我々考えておりまして、今後とも一層予算の確保及び研究開発の推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、平成五年度予算につきましては、新エネルギー関係では、平成四年度は三百八億でございましたけれども平成五年度は三百十五億を計上させていただいております。
  104. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 新エネルギーについての技術開発の予算につきましては、今工技院の方からお答え申し上げたとおりでございますけれども、今先生指摘ございましたように、こうしたことを実行いたします一方で、やはり実用化、実際に導入する素地をつくっていかなきゃいかぬということで、平成四年度、今年度からでございますけれども、例えば、公共施設等へ太陽光発電を入れた場合にそれを補助していく制度、それによって私どもいろいろな実証、フィールドテストをやる、こういったことも開始をいたしているわけでございまして、平成五年度の予算案におきましても、この公共施設等における太陽光発電については、今年度の八億五千万円程度の予算から平成五年度におきましては十二億二千万円ということで、さらに一層の拡充を図っているところでございます。また、これは公共施設等でございますけれども、来年度の予算におきましては、住宅用の太陽光発電についても本格的導入のための技術実証試験をやろうということで、二億五千万円の予算を盛り込んでいるところでございます。  また、こういう分散型電源、特に新しいエネルギーが出てまいりますと、場合によってそこで需要するほかに余剰の電力が出てくる場合があるわけでございまして、これを電力会社に買ってもらう。そういった点でも、昨年の四月から電力会社が購入条件の具体的内容を発表して購入を進め始めているところでございます。特に、今先生指摘のございましたような新エネルギーでございます太陽光発電とか風力といったものにつきましては、販売電力量料金と同じ値段で買ってやるという制度を開始いたしているところでございまして、これまでのところ、太陽光発電については七件、それから風力については二件具体例が出ておりますけれども、そういった地道な努力も続けながら今後とも新エネルギーの導入に最大限の努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  105. 近江巳記夫

    ○近江分科員 こういう導入という点からいきますと、すぐコストが高過ぎるから採算が合わない、こういうことでセーブされてしまうんですね。そこにストップがかかってくる。こういう点で、一つはやはり政府みずから需要を拡大していく。そういう点では、今お話があった公共施設等にはまた積極的にどんどんやっていただきたいと思うし、また民間に対する助成策も、税制の問題も十分考慮していただく必要があるんじゃないか。そのように需要がどんどん広がっていけばそこにコストダウンがかかってきますし、さらにそれがまた普及していく、全体のエネルギーの非常に多角的な活用ということになってくるわけでございます。そういう点で国内のそういう需要の開拓につきまして、補助金が若干ついていますけれども、これを一つの突破口として今後大いにやっていただきたいと思いますし、それと同時に、発展途上国等では無電の地域だとかあるいは離島等におきましては、太陽光の発電だとか風力発電だとかいろいろな点でまた非常に喜ばれるんじゃないかと思うのですね。そういう点では、ODA等の活用なんかも積極的にどんどん図っていく。技術立国として皆さんにも非常に大きな感謝をしてもらえるのではないか、このように思うわけでございます。そういう点で、今後思い切ったそういう普及策といいますか、技術開発とともにそれはひとつ精力的に努力していただきたいということを特に要望しておきたいと思います。  この点につきまして、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  106. 森喜朗

    ○森国務大臣 いろいろと先生から、私どもの省に関しますこととはいえ、日本の将来にとって極めて重要なエネルギーの開発、導入について御意見をいただき、御指導をいただきまして、大変感謝をいたしておるところでございます。  もちろん、今議題になっておりましたこうした問題のみならず、やはり我が国の全体的な研究に対する投資というのは、今日までの財政上のいろいろな厳しい制約もございましたから、いささかおくれているという面も否定できないところだと私は思っております。私も党におりましたときから、科学技術、基礎研究に対して思い切った予算を投入することが日本のみならず全世界に対する日本の国際貢献という意味でも大きな見識だ、また政策上の課題だ、こう考えております。なお一層そうした点を踏まえながら、新エネルギーの開発がスムーズにいきますように十分に予算面でも努力を傾けたいと思っておりますし、また先生にいろいろとこれから通産省、エネルギー庁とも御指導いただきますようにお願いを申し上げて、答弁とさせていただきます。
  107. 近江巳記夫

    ○近江分科員 終わります。
  108. 松永光

    松永主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。     〔主査退席、久間主査代理着席〕
  109. 土肥隆一

    土肥分科員 私は、通産省がいろいろと福祉機器技術開発研究に手を染められるということもお聞きし、かつ今国会で福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律案を厚生省と通産省が共同で出されるということを前提にいたしまして、詳しいことはまた厚生委員会でお尋ねいたしますけれども、今度のこの通産省の計画によりますと、福祉機器技術研究開発は先端的高度技術を応用するとか、あるいは従来のプロジェクト研究開発に加えて体系的な研究開発基盤を整備する、このようにおっしゃっておりまして、去年とことしの予 算は、去年は四億七千百万円でありましたのが、五年度は一挙に十六億一千七百万円を組まれたということでございます。私は、ある意味で日本の政府も、福祉用具ないしは福祉機器に関する抜本的な施策にやっと着手したのではないか、このように思っております。  そこで、法案についてはまた後ほどの厚生委員会で十分御審議させていただくことにいたしまして、どうですか、日本の福祉機器開発のレベルは、世界的に見てどんな状況にあると通産省は御認識していらっしゃるでしょうか。
  110. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 諸外国との比較というのはなかなか難しゅうございますけれども、技術的なレベルという意味では、日本は必ずしも諸外国に劣っているとは考えておりません。  ただ、北欧諸国等と比べますと、本人もそうですし、介護する側も福祉機器を活用することにまだ余りなれていないのではないかといった問題、それから、住宅の構造が日本の場合はどうしても木造住宅で、必ずしも福祉機器を扱いやすい構造になっていないといった問題、さらには、日本のすぐれた産業技術をあらゆる角度から福祉用具の研究開発に一層活用していくという点などにおきまして、まだまだ日本において技術開発をやる課題あるいは可能性というのは、大変広く残っておると我々考えております。
  111. 土肥隆一

    土肥分科員 どうですか、このことしの福祉機器に関する予算あるいは今度の法律の提案において、いわば福祉機器技術開発元年と見ていいのでしょうか、ちょっと一言。
  112. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 このたび厚生省と一緒に、福祉機器の開発及び普及に関する法案を私ども提出させていただいておるわけでございます。もちろん、過去先人がいろいろ努力してきたこと多々ございますけれども、新しく法律をもって全省庁的に取り組んでいくという意味では、先生指摘のようにとらえていただいても結構かと思っております。
  113. 土肥隆一

    土肥分科員 若干の資料をいただいておりますが、今開発中の機器でこれから画期的だと思われるようなものとか、あるいはこういう部分で開発中であるという点を一、二点挙げていただけますか。
  114. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 今まで通産省といたしましても、福祉機器の開発にいろいろ努力してきたものがございます。それから、これからさらに一層努力しようというものもございます。  今まで開発してきたものについて申し上げますと、何といっても、一つはモジュール型の電動車いす、これは現在年産約一万台出ておりますけれども、ほとんどは工業技術院で開発いたしました電動車いすの技術を使ったものでございまして、厚生省の補装具給付の対象にもなっているものでございます。それから、平成四年に我が国初の人工臓器として薬事法の製造承認を得るに至りました植え込み型の人工中耳、これも私どもの開発にかかるものでございまして、日本で最初に人工臓器が開発されたということで大変誇りにしております。さらに、全国の聾学校に設置されております言語障害者用の発声発語訓練装置、これもこの工業技術院で開発されたものでございまして、聾唖者の訓練に大変役立っているところでございまして、我々の誇りとするところでございます。  今後でございますけれども、これから高齢化社会を迎えるに当たりまして、私どもとしては三つのタイプの福祉機器の範疇をこれから大いに研究開発していこうと思っています。一つは、低下した身体機能を補助するための機器でございまして、例えばディジタル型の補聴器で、雑音は聞こえないけれども聞きたい情報だけが耳に入ってくるというようなことが技術的に可能になってきておりますので、こういう技術の開発、それからもう一つの範疇として、高齢者の方々や寝たきりの方々の日常生活を支援するための機器でございまして、例えば排せつを補助するような機器、これもぜひ実用化に向けて鋭意開発したいと思っております。それからもう一つは、障害者や高齢者の方が就労等の意味で社会参加をできるようにこれを支援していく機器でございまして、例えば盲人用の三次元情報表示装置といったようなものを現在開発しております。  こうしたことで、身体機能補助、日常生活の支援及び社会参加といった三つの範疇において、今後とも一層福祉機器の開発に努めてまいりたいと思っております。
  115. 土肥隆一

    土肥分科員 私も今の御説明で感銘深く思う部分もありますけれども、これからの高齢化社会で一番大事なことは、要するに介護する側の負担をどう軽減するかということです。患者さんであるとかお年寄りであるとか障害者がどう自立するかということも必要ですけれども、みんな老いていくわけでありまして、高齢化社会というのは、要するにお年寄りがお年寄りを見る社会でもあるし、夫婦だけでなかなか外から介護者が得られないとか、そして介護する者が介護している間に腰を痛めたりけがをしたり、したがって二人とも寝込んでしまうというようなこともあるわけです。  ですから、いわゆる先端的高度技術というふうに言いますといかにも日本風ですけれども、もう少し介護する側の視点に立って、介護する側がつぶれないようにしなければならない。先ほど日本の住宅状況、畳文化といいましょうか、そういうものもおっしゃいましたけれども、日本の住宅というのは介護できない、介護機器を入れられないつくりになっておりまして、これは将来的には、例えば住宅基準法であるとか、廊下の幅、階段の傾斜などなど、トイレの広さであるとかふろ場の問題についても、根本的に見直さなければならないのではないかと私は思っております。  もう一つ心配なのはユーザー、つまり介護する側のいろいろなアイデアが日常的にあると思うのです。そんなものをできる限り集めまして、それをシステム化するというか機械化するというようなこともしていただきたいと思うのですが、今できておりますいろいろな福祉機器で私が一番疑問に思っておりますのは流通です。メーカーもさることながら、メーカー、流通、そして障害者や家庭に配られる値段が妥当なものであるかどうか。そういうふうなところの一連の動きを、通産省は今どういうふうに把握し、指導しておられるのか、お聞きしたいと思います。
  116. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 福祉機器の流通構造につきましては、大きく言って二つの経路がございます。  一つは、厚生省の給付対象になった福祉機器につきましては、これは障害者の方々が福祉事務所に申請をいたしますると、福祉事務所が個々の方々の必要とする機器を認定いたしまして、これを無料で障害者の方々に給付するというやり方でございまして、この場合には、福祉事務所からメーカーの方に大体直接委託生産されるような形になっております。  したがって、流通の複雑さという問題は余りないわけでございますが、これ以外に、通常の流通経路を通じてユーザーの方に流れるものにつきましては、福祉機器そのものが非常に多品種少量生産型でございまして、メーカーもまた中小企業の方々が非常に多いものでございますから、なかなか大きな流通経路ができにくいという部分がございます。物によっていろいろございますけれども、そういう意味で、これからユーザーの方々が自分の欲している機器に関する情報を得やすくするということが非常に大事だと思っておりまして、このたび提案さしていただいております法律におきましても、都道府県、市町村を通じまして、身障者あるいは高齢者の方々に、どういう機械が現在市場に出回っているのか、あるいはどういうところに行けばそれが手に入るのかといった情報を積極的に流すことによりまして、メーカーとユーザーとの間の風通しをよくして、ユーザーが必要とするような機器をメーカーが開発していくという好循環が生まれるような仕組みをぜひつくってまいりたいと考えておるところでございます。
  117. 土肥隆一

    土肥分科員 私の感じでは、メーカーも、大体町の発明家みたいな方が結構いいものをつくったり車いすなどについても工夫していらっしゃるわけで、今おっしゃいましたように、メーカーそして流通、ユーザーという循環のいい、そして妥当な値段で、そこに行政も入りあるいは厚生省も入って、よき福祉機器の流れをつくってもらいたいと思います。  大臣、やっぱりこれは高度技術じゃなくて、細々としたちょっとしたアイデアとかなんとかが非常に大事でして、私なんか一つ希望を言わしてもらえば、画期的なおむつカバーをつくってほしい。一日はかしておってもおむつの交換をしなくてもいいものだとか、いろいろなアイデアがあるのですが、どうでしょうか、通産大臣賞か何か決めまして全国で大々的にアイデアを集めまして、これからの高齢化社会に迫っていくというふうなことをお考えになりませんでしょうか。
  118. 森喜朗

    ○森国務大臣 最近、いわゆる耐久消費財の低迷というのがよく言われまして、自動車や電気製品などはこれで余り買わなくなるのじゃないかな――そんなことはございませんが、そういうことを心配しなきゃならぬほど、実は最終需要が低迷をしているわけです。しかし、一方においては、やはり質的に大きく変化してまいりますから、それぞれのいろいろな開発された機器などは、また新しい分野にもどんどん広がっていく。コンピューター、エレクトロニクス、無限の需要という層があるというふうに私どもも理解をしているわけです。  そういう中で、今先生からお話ございましたような福祉機器に対しましては、これはまさに考えれば考えるほど無尽蔵だろうと思います。医療機械の進歩というのは驚くべきものだというのは、先生の方が御専門家ですからよく御存じですが、そういう意味で、今お話を承っておりまして、なるほどな、そうした障害を持つ方々よりもそれをお世話をする方の立場に立ったものをむしろ考えるべきだというのは、さすがにその道をずっと一生懸命やっておられた先生だなと思って、大変感銘深く拝聴しておりました。確かにこれから、そうした分野でのいろいろな開発研究が進んでいくだろうということを私も期待しますし、通産大臣賞などを差し上げなくても、むしろ喜んでやっていただく方はたくさんあると思いますが、必要であればそれこそ総理大臣賞を差し上げてもいい、私はそう思っております。  簡単に言いますと、女性用の生理用品から始まったのが今ではおむつになり、そのおむつが、むしろ老人用のおむつが大変大きな需要を占めておるとも、よくそういう関係企業から聞くわけでありますが、そうした点、ますます医療の面、福祉の面、そうした方にそれぞれ専門の皆さん方がどんどん研究開発をし、提案をしてくださる。我々通産省としては、それをどうして支援をしていけるかということを、十分これからも考えていかなきゃならぬと思っております。
  119. 土肥隆一

    土肥分科員 さて、そうした高度技術も含めた福祉機器の開発なども必要でありますが、また、障害者や日常的に身体に内部障害を持っていらっしゃる方々の、いわゆる補装具と呼びますけれども、その具体的な交付事業厚生省によって行われているわけです。身体障害者の補装具交付という事業でございます。たくさんございまして、義肢から義足、盲人用のつえ、義眼、眼鏡、点字器とかいろいろございますが、きょう私がお聞きしたく思っておりますのは、いわゆる人工肛門あるいは人工膀胱に対する補装具でございます。ストーマ用補装具と申します。きょうはこの部分についてちょっと喚起しておきたいと思います。  この人工肛門、人工膀胱をおつけになりました患者さんは、直腸がんであるとか膀胱がんであるとかというような病気を経まして人工肛門、人工膀胱をつける。そして後は、毎日のように排せつがあるわけでありますから、ずっとそれを使用し続けなければならない。しかも患者さんの数はどんどんふえておりまして、今日では厚生省の補装具の交付の額からいいますと最も高い額になっておりまして、例えばストーマ用の装具だけでも、厚生省は三十億の金額の中で二十一億公費負担をしておられまして、しかしまた自己負担も九億という膨大な数になっております。  そこで、ちょっともう時間がございませんので、ごく簡単に数字的なことを押さえておきたいのですが、今この人工肛門ないしは人工膀胱をつけていらっしゃるストーマの方、オストメートと言いますけれども、患者さんは一体何人ぐらいで、身障手帳の保持者は何人なのか、そして身障手帳を保持していらっしゃらない方もいるのですが、それはなぜなのか、毎年このオストメートという人工肛門、人工膀胱の装着者は何人ぐらいふえているのか、お知らせください。
  120. 松尾武昌

    ○松尾説明員 お答えいたします。  ストーマを造設している方の数というのは直接にはつかんでおりませんが、ストーマを造設していると考えられる人の数でございますが、平成三年の身体障害者実態調査によりますと、大腸疾患を原因とする障害者については二万五千人、膀胱疾患を原因とする障害者については一万六千人、合計で四万一千人となっております。なお、膀胱疾患を原因とする障害者には、二分脊椎による神経因性膀胱でストーマをつけていない方も含まれております。  それから第二点の、ストーマをつけていらっしゃる対象の方で障害者手帳をお持ちの方という数でございますが、平成三年の実態調査ではちょっとまだそこまで集計がいっておりませんで、ちょっと古うございますが、昭和六十二年の身体障害者実態調査によりますと二万九千人となっております。この六十二年当時の膀胱、直腸機能障害者の数が三万六千人でございますので、三万六千人の障害者のうち二万九千人が手帳を持っているという数字になります。  それから三番目の、オストメートの方と身体障害者手帳を持っている方の格差でございますが、身体障害者手帳は本人の申請により認定を行い交付するものでありますので、若干本人の申請と、この実態調査は手帳を所持する、所持しないにかかわらず調査をしておりますので、そこで格差が生じているものと考えております。  次の点でございまして、オストメートの数が毎年どのくらいふえているかということでございますが、六十二年と平成三年との調査で比較しますと、六十二年が三万四千人、平成三年が四万一千人でございますので、その差は七千人でございます。これを年で割りますと千四百人でございます。ただ、平成三年度の実態調査につきましては、障害者のプライバシーを尊重する立場で調査を行いました。障害者の方が自分で記入しましてこちらに郵送するという調査をいたしましたので、不詳というところが非常に多うございまして、五十一万人ほどございます。したがいまして、今申し上げました数字よりも若干多目だというふうに理解してよろしいものかと思っております。  以上でございます。
  121. 土肥隆一

    土肥分科員 この人工肛門、人工膀胱をおつけになった方は、いわば内部疾患者として治療を行い、結果的に人工的な排せつ口をおなかにつくるということで、非常に精神的にショックなんですね。普通ですと手術なりなんなりして病気が治ったということになるわけでありますが、ずっと残りの生涯で人工肛門、人工膀胱を続けなければならない。それにはパウチといいまして、おなかに袋を提げなければいけないのです。大腸か小腸から引っ張ってまいりまして、膀胱は膀胱から引っ張ってくるわけですけれども、その後のそういう状況、人工肛門、人工膀胱を持ったということを受け入れるということは、非常に難しい心理的な葛藤があるわけです。そして、その後ずっとこのパウチというのをストーマに装着して、尿袋それからふん便の袋を提げなければいけない。  私がお聞きしたところによりますと、この人工肛門の場合は大体八千四百円が一カ月の料金のようです。膀胱の方はちょっと高くて一万三百円とお聞きしておりますが、これを毎月払っていく。調子が悪いと一日に二回も三回もつけなければいけない。そうすると当然料金が上がっていくわけです。しかも、日本のメーカーは二社ぐらいしかございませんで、大体外国のメーカーでございまして、非常にいいものが出ているのです。物によってはその人に非常に適切なパウチがありますから、高くてもそれは買わざるを得ないというようなことでございまして、厚生省が出しております八千四百円という料金、同時にこれは費用徴収というのがございまして、所得税に応じて自分の負担分がございます。  ですから、病院から退院して人工膀胱、人工肛門をつけて、何だこれはと思いながらそれをずっと使い切っていかなければいけない。そして同時に、だんだん年をとってまいりますと、介護者がその取りかえをしなければいけないわけです。そうなりますと、その取りかえもさることながら、今度は介護者がずっと費用を見ていかなければならない。こういうことを考えますと、補装具の交付の費用徴収というのはあってしかるべきだと私は思いますが、もう少しストーマの人たち、オストメートの人たちによき行政をしていただけないものかということです。  それで、お聞きしますと、ある自治体では自己負担分をそっくり地方自治体が見てやっているというところもあるのです。ある数字によりますと、三〇%だとか言われております。どうでしょうか、オストメートの方が生涯つけていくわけですから、費用的にももう少し配慮していただくような行政施策は考えられないものか、厚生省の回答をお願いします。
  122. 松尾武昌

    ○松尾説明員 先生指摘のとおり、装着します。具につきましては、ある意味では非常に低額のものから高額のものまで幅広にあります。この制度につきましては、昭和五十九年に障害者の範囲の拡大によって取り入れを行いまして、その際この制度を創設したわけでございますが、その基準額につきましては、幅広い用具の中からある程度標準的なものということで設定してございます。  先生指摘の障害者の方々の負担分につきましては、おっしゃるとおり費用徴収という制度がございまして、所得の能力に応じまして費用徴収をするようになっております。結局、今もおっしゃいました八千円台のところまでが非常に恩恵をこうむるわけでございまして、それ以上のところはもう自己負担と単価が同じということでございますので、そういうことで制度創設のときにそういう標準的なものを選択したということで設定してございます。そういう意味で、地方公共団体の方でいいもの、あるいはそういう費用徴収の分を負担してあげようということで、障害者の地域の福祉の観点から地方公共団体が補助しているというふうに我々も理解しておるところでございます。
  123. 土肥隆一

    土肥分科員 地方自治体まちまちでございまして、私はやはり国としてももう少し基準を変えまして、利用者の負担を軽減してほしいと思うのです。  例えば、ストーマの方がパウチを毎月買いますと、パウチだけでなくていろいろなクリームであるとか防臭剤であるとか、びらんをしますとその治療の薬とか、これは全部自己負担になるわけでありまして、一カ月一カ月で費用徴収をかけますと、やはりその都度八千四百円を超える人は全額出すということになりますので、数カ月まとめて費用徴収をかければ、三カ月分一緒に払う額と費用徴収の額との差が開いてまいりますので、そういう施策を厚生省としてお考えになれないのかどうかをお尋ねいたします。
  124. 松尾武昌

    ○松尾説明員 今先生の御指摘は、このストーマ用具の給付につきましては月単位で交付をしているというところでございます。月単位で交付いたしますので、したがいまして費用徴収も月単位で行う、こういうふうな制度になっております。ただ、利用者の方々の利便を考えまして、月単位の交付券を三枚最初に一括交付をする。したがいまして、三カ月分は一緒にもらえるというふうに制度的になっております。  ただ、費用徴収は、先ほど申しましたように月単位で交付しておりますので、月単位で費用徴収がされるという仕掛けになっておりまして、ここのところはある意味では障害者の方々に非常にきついのではないかというふうに思っております。私ども、オストメート協会の方といろいろお会いしましてそこの要望を聞いておりまして、そこのところを少し工夫ができるようであれば検討してみたいというふうに考えております。
  125. 土肥隆一

    土肥分科員 先ほど言いましたように、オストメートの皆さんは精神的負担と、毎日毎日パウチをおふろに入るごとに取りかえる、あるいは小腸からとった部分は、イレオストミーと申しますけれども、水様便が出てまいりまして、これはじっと一日持ち続けるのはなかなか難しいというように聞いております。しかも単価も高い。ぜひともこの費用徴収のやり方について、これは費用徴収自体を変えることは難しいと思いますが、三枚券を三カ月あるいは六カ月単位で交付していただきまして、それで費用徴収はその三カ月、六カ月でやっていただけたら大変喜ばれるのではないか。精神的な負担と経済的な負担を、どちらかといえば経済的な負担を私どもは軽くしてあげたいな、このように思います。  それから、オストメートの障害認定の等級が、私も読んでみまして非常にわかりにくいのです。余りあれこれと条件をおつけにならないで、いっそ三級以上というふうにしていただきまして、三級以上で得られるいろいろな障害者の権利というものを受け取ってもらうというふうなことはいかがなんでしょうか。
  126. 松尾武昌

    ○松尾説明員 身体障害者の障害等級につきましては、この認定基準設定当たりまして、身体障害者福祉審議会の意見を踏まえて定めておるところでございます。もともと昭和四十二年に内部障害者制度が取り入れられまして、呼吸器機能障害、心臓障害が取り入れられたわけでございますが、それ以降年を追って腎臓あるいは膀胱、または今の直腸のように広がってまいりました。その最初に取り入れましたときに、心臓それから呼吸器のところで設定をされまして、それにずっと横並びといいますか、横の均衡を見ながら基準設定してまいっておりますので、そういう身体障害者福祉審議会の意見等も今後どういう形になるか、ちょっとここでは確答できませんが、ある意味では均衡上そういう制度になっておるという状況でございます。
  127. 土肥隆一

    土肥分科員 一点だけもうちょっと確認をしておきたいのですが、今オストメートの方で補装具の交付を受けている人で、自己負担率は平均何%ぐらいになっておりますでしょうか。
  128. 松尾武昌

    ○松尾説明員 補装具全体では一二%でございますが、オストメートのところでは二九%となっております。
  129. 土肥隆一

    土肥分科員 ここには厚生大臣いらっしゃらないので、また厚生委員会でも質問さしてもらいたいと思いますが、オストメートの方の負担率が普通の平均よりもはるかに高いということでございます。  そういう意味でぜひとも、これから年々ふえていく、食生活とか日本人の生活が変わってまいりまして直腸がんが多くなってきて、我々も注意しなければいけないのですが、一たん人工肛門をつけますと大変なつらい思いをして、そして仕事をかえたりやめたり、あるいは対人関係を非常に気遣って暗い思いをしなきゃならないということがございますので、補装具の技術開発も含め、これを一たんつけたら絶対大丈夫だ、あるいは一週間大丈夫だみたいなパウチが何とかできたらいいなと思ったりするわけですが、いずれにいたしましても、ぜひともこれから伸び率というか、こんなのがいい伸び率とは思いませんけれども、内部障害者、オストマーの数がふえていくという実態を踏まえて、よき行政をしていただきたい、このように希望を述べまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  130. 久間章生

    ○久間主査代理 これにて土肥隆一君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  131. 川島實

    川島分科員 私は、既に通告をいたしております我が国の経常収支の貿易黒字対策についてお尋ねをいたします。  一九九二年度の日本の経常黒字が過去最高の千百七十六億ドルに達し、米国、ドイツを初め軒並み経常赤字を抱えている主要先進七カ国の中で、日本の巨額の黒字は際立っており、ひとり勝ちという印象を与えております。アメリカのクリントン新政権など諸外国からの批判が強まる中で、我が国としてどのような対策を検討なされているのか、お伺いをしていきたいと思います。  さきの渡辺外務大臣の資金環流計画も、米国は興味を少しも示しておりません。円高対策も、不況の中で内需拡大も望めず、ただ一つ国際貢献策があるという見方をする学者もあるわけでございますが、通産大臣として、これらの日本のもうけ過ぎと言われている貿易黒字についてどのような施策をお考えになっているのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  132. 森喜朗

    ○森国務大臣 我が国貿易黒字は、今先生から御指摘ございましたように、九二年で千三百二十六億ドル、前年比二八・七%増ということで、大幅に拡大をいたしております。これは主といたしまして、輸出面では、数量は低い伸びにとどまっておりますが、円高等によりますドルベースでの輸出価格が上昇しているということによるものでございます。もう一つ輸入面で見ますと、我が国の景気は御承知のように低迷をいたしておりまして、これを背景にいたしまして、金属製品を初めとして製品類の輸入が減少しておる、こうしたことがこの輸入減ということに大きな原因となっておるわけであります。  このため、通産省といたしましては、今後とも内需中心の持続的成長を図るとともに、製品輸入促進税制、ジェトロの輸入促進事業の拡充等の輸入拡大策の推進に懸命に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  133. 川島實

    川島分科員 非常に抽象論でございまして、今国民は、世界各国から、日本の貿易収支について非常に頭を痛めている。それは、だれが考えても非常にもうけ過ぎ、しかし国民生活がそれほどよくなってないという受けとめ方もいたしておりまして、この春闘の状況を見ておりましても、各企業は軒並み不況だ、赤字だと言っておるわけですが、一体この黒字は日本の各企業のどういうところに消えてしまったのか、この見方についてお伺いをしておきたいと思います。
  134. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 今先生から、国内は大変な不況であって企業収益が大変になっているのに、貿易面では大変な黒字になっている、そこは一体どういう関係になっているのか、こういう御質問でございます。  御承知のように、輸出、輸入の差額でございますが、今大臣が申し上げましたように大変な大幅黒字になっておるわけでございますが、逆に国内では企業損益というのは、売り上げの低迷とか人件費の増に伴います固定費増加等によって悪化しておるわけでございます。ちなみに、平成三年度の数字で申し上げますと、これはドルベースを円に直しますと四十三兆円の輸出になるわけでございます。輸入が三十一兆円になりまして、その差額約十二兆円の黒字になっているということでございます。  その四十三兆円の輸出でございますが、逆に、平成三年度の法人企業のトータルの売上高というのは一千四百七十五兆円になっておりまして、この一千四百七十五兆円の売り上げの中の四十三兆円が輸出ということになっておるわけでございます。この一千四百七十五兆円の売り上げに対しまして、費用というのがこれまた御承知のように相当コストが高くなってきておりまして、そちらで大幅な損益が出ておるということでございまして、輸出、輸入のウエートというのは、国内の総売り上げに対して三割前後にしかなってないということでございます。  したがいまして、一見貿易の輸出と輸入の差額については大幅な黒字でございますけれども、企業の全体の売り上げとそれに要するコスト、全体の収益ということから見ますと、今大変苦しい状況で、収益が悪化しているという関係になっておるということでございます。
  135. 川島實

    川島分科員 ちょっと私どもはわかりかねるわけですが、今局長は、四十三兆円の輸出で三十一兆円の輸入と聞こえたのですけれども、そして片方では十二兆円の利益だと言っておりますけれども、これは間違いなのですか。それから、輸出と輸入に対して世界各国が見ておるのは、その企業がどこへ費用を使うかは別にして、今お話を聞いてますと、非常に赤字でもって輸出をしているような受けとめ方をせざるを得ないわけなのですけれども、そのように受け取ってもよろしゅうございますか。
  136. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 まず、輸出についての関係でございますが、今回の国内不況に伴います輸出と輸入の動向を見てみますと、輸出につきましては、数量面の伸びが比較的緩やかでございまして、逆に高付加価値化等による輸出価格が相当大幅に上昇いたしております。したがいまして、ただいま現在見る限り、輸出面でコスト割れ輸出をして、昔のように大幅な押し出し輸出をしているというような状況にはないというのが今の我々の把握しておるところでございまして、そういう意味で、輸出面ではコストを反映した比較的適正な輸出が行われておるのではないかと我々考えておるところでございます。
  137. 川島實

    川島分科員 輸出は通産省が考えているとおりに行われておるという受けとめ方をして、それじゃ輸入がなっとらぬ、こういうふうに理解をするわけですが、しかし輸出をする方も、輸入がなければ非常に格差が生まれてきて、世界から袋だたきになるわけですね。こういう中で、日本のウルグアイ・ラウンドの関係についても、一国平和主義だとかいろいろ陰口も聞かれている。実際に各企業がこれからの貿易を世界仲よくやっていくためには、日本の一国だけがもうけ過ぎるということを避けるために、いろんな施策をこれから通産省が主導でやっていかなきゃならない。貿易も公平、公正な形できちっと世界の常識に合った形で進めていかなきゃならないと思うわけでございますけれども、この辺の施策についてどのようにお考えになっておるわけでございますか。
  138. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 先生指摘のとおりでございまして、ただいまのような大幅な黒字というのは、もう先生御案内のとおり一九八六年度というのがピークで、あのころ相当大幅な黒字を持っておったわけでございます。それに対しまして、その後思い切った内需拡大策を講じ、それから各種の輸入促進対策、さらにジェトロの輸入促進ときめ細かな事業等を行いまして、ピークでございましたころから毎年二百億ドルあるいは三百億ドルという輸入拡大をしてまいりまして、八六年に対しまして急速に黒字というのは減少しておったというのが九〇年までの姿でございます。ところが、九一年から御承知のように国内の景気の低迷がございまして、輸入が大幅に減になっております。これが圧倒的な今の黒字の現状の原因でございます。  それで、先生指摘のように景気の影響によりまして、こういった我が国だけが大幅な黒字を持っておるわけでございますが、これに対しましては、先ほど大臣お話し申し上げましたように、こういうことが長く続くことは世界経済の安定的な発展のために好ましいことではございませんので、思い切った内需の拡大のための昨年度の補正予算、さらに今回お願いしております予算を通しまして、これの浸透を図って輸入拡大に結びつけていきたい。あわせまして、ジェトロ活動あるいは輸入促進税制等極めてきめ細かな輸入促進のための施策をちりばめてございます。こういったものも使いながら輸入促進を図っていきたい。  輸出については、先ほど申し上げましたように数量的な伸びは通関統計の数字で見ますと〇・四%ぐらいでございまして、あとほとんど高付加価値化による輸出ということでございます。ある意味で健全な姿の輸出になっておるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  139. 川島實

    川島分科員 非常に、私でも理解ができないわけですから、国民の皆さんも、そういう疑問について聞くことができない立場にありますとなかなか理解がしにくい。わけても世界各国は、日本のもうけ過ぎということが頭にあるわけですから、具体的なこれだけの黒字に対して、これからの行動計画として黒字をこれだけ縮めますと具体的なものをやはり出していただかないと、十兆円の公共投資をする、じゃそのうち海外から資材としてどれだけ購入しますという具体的な輸入項目がなければ、言葉の遊びであってだれも真剣に受けとめてくれないだろうと思います。  これから日米関係がより厳しくなると私どもは実は受けとめておるわけでございまして、その辺の通産省としての心構えというのか、これからの貿易についての決意というのがおありになるかどうか、その辺のところをちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  140. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 アメリカ初め先進諸国にわかりやすい形で、内外に輸入促進及び黒字縮小のための施策をPRすべきではないかという先生の御指摘、全く御指摘のとおりでございます。と同時に、輸出、輸入含めまして経済というのは自由市場経済でございます。したがいまして、とかく今のような黒字を大幅に持っておるときには管理貿易の誘惑に駆られるわけでございますけれども、またそういう声も海外に一部あることは間違いないわけでございますが、しかしながらこれはプライスメカニズムに基づきます結果としての貿易の収支の形でございます。  ちょうど八六年のときにも大変日米間で摩擦になりましたが、そのとき我々が議論いたしましたのは、全体の貿易黒字の中の七割から八割というのは景気のすれ違いその他のマクロ経済による、いわゆる輸入障壁とかそういうものじゃなくてマクロの経済政策による影響であるというのは当時から言われておったことでございますし、現在においても、先般の各種の国際会議等の場でもそういう認識はほぼ行き渡っておるわけでございまして、そういう意味で今回、去年の補正予算さらに今回の予算等々を通じまして景気の拡大、回復に向かいました暁には、それに基づきまして現在減っております特に原燃料関係あるいは製品関係、特に金属関係が相当落ちておりますけれども、そういったものが経済活動の向上に伴って急速に輸入が拡大していくのではないか、かように考えておるわけでございます。  あわせまして、そういった本流でございますマクロ経済対策をやることに全力を挙げますが、同時に、今先生指摘のように、この大幅な黒字がやがて流れが変わって統計にあらわれてくるまでには、まだ相当の時間がかかると思うわけでございます。したがいまして、施策は打ちますけれども、あわせてその間の長い時間がかかる間、諸外国に十分理解していただくために我々今考えておりますのは、その間発展途上国を初めとして必要な国々に日本の投資活動あるいは事業資金の貸し付け活動、そういったようなものが円滑にリサイクルしていくことを十分内外に示す必要がある、そして理解を深めていく必要がある、こういう位置づけで、先ほど先生おっしゃった資金還流の勉強も今続けておるところでございます。  具体的な一つとしては、貿易保険の保険法を今度お願いをいたしておりまして改正いたします。民間の海外に対する融資活動でお金が出やすいようにしていこうというような工夫もいたしておるわけでございまして、基本的な今の内需の拡大、それとその間、時間がかかります間に日本が行っております資金の還流、それによって発展途上国を初め諸外国に十分貢献しておるという姿をよく世界に示して御説明していきたい、かように考えておるところでございます。
  141. 川島實

    川島分科員 次に、最近におけるジェトロの業務量の増大に伴う定員枠についてお尋ねいたします。  先ほど大臣からもお話がございましたように、ジェトロの貿易輸入の振興策等ございまして、先進国の対日輸出促進努力への協力や発展途上国へのエネルギー、環境技術分野における協力、地域経済国際化の推進など、ジェトロに対する期待も多く、我が国の国際的責務の増大に伴い、ジェトロの予算は十年間で百十八億円から二百三十五億円の倍増となっております。ところが定員数の方は、五十七年度と平成四年度と比べるとほとんど変化がございません。少し減になっている様子でございます。今年度二名の増加をしたようでございますけれども、他の機関のJICAやOECF、それから輸銀の最近の四年間に比べますと、JICAは百十名の増、OECFは三十六名の増、輸銀は三十名の増加となっております。科学技術の新事業団も、今度法律改正になりまして新規に五十名の新しい研究者を入れ込む、こういう状況になっておるわけでございますけれども、なぜジェトロのそういう事業に見合う、これから黒字を解消していくために貿易振興のいろいろな方策が考えられるわけでございますし、地球規模の環境問題の取り組み等も非常に増大してくると思うわけでございますけれども、その辺のことについてお伺いをしていきたいと思います。
  142. 渡辺修

    渡辺(修)政府委員 最近のジェトロの事業活動につきまして、今先生指摘いただきました。まことに御指摘のとおりでございまして、輸入促進を初め極めて重要な事業活動をやっておるわけでございます。ただ、御指摘のように昭和五十七年から平成五年度まで十二年間にわたりまして予算がほぼ倍増いたしたのでございますが、定員はほぼ横ばいという形になっておりまして、他の政府関係機関に比べまして定員増がやや図られていないのではないかという御指摘は、もう御指摘のとおりだと思います。  これにつきましては、御承知のように、ジェトロというのは昔は輸出振興の仕事が大部分でございまして、それをずっと今までやってきておったわけでございますが、それが仕事の中身が輸入促進、輸入拡大の方に急速に変わっていってまいりました。そういうことで、ジェトロ内の職員の配置転換というところに全力を尽くしたというのがまず第一点でございます。それからもう一点は、電算機の導入など内容の合理化について我々、歴代大臣以下の指示のもとにそちらの合理化の努力に徹した。  この二つが原因でございまして、今までこういう姿できたわけでございますが、特に御指摘の予算が平成元年ぐらいから、この時点ではまだジェトロ総事業に対する輸入のウエートは四割ぐらいだったのでございますが、その段階から急速に国際関係を反映いたしまして輸入促進のウエートが増してまいりまして、現在はもう七五%ぐらいが輸入促進の仕事をしておるわけでございます。予算も、この十数年のうちの八年ぐらいまではほぼ横ばいできたのでございますが、平成元年、二年あたりからただいままでのこの四、五年に約八割くらいの伸びを示しておる、こういう状況でございます。  そういうことで、この数年間の事業活動の予算の急速な伸びに対して定員増が追いつかなかった、合理化も既に限界に来ておるということで、平成五年度からいわゆる三カ年計画ということで財政当局にも強くお願いいたしまして、今年度は全部で八人の定員増を確保いたしたわけでございますが、先生御承知のとおり第八次定員削減というのがございまして、ジェトロとして六人を定員削減するということになっております。差し引き二名増ということで、これはある意味では画期的な、水面よりも上に出た増でございまして、来年、再来年、御指摘のような重要な仕事をやりますので、合理化とあわせて定員を拡充して、輸入促進事業その他、先生の御指摘事業に支障のないように全力を尽くしていきたいと思います。
  143. 川島實

    川島分科員 ジェトロの対策については、ひとつよろしくお願いしておきたいと思います。  次に、バーゼル条約に対する我が国の取り組みについてお尋ねをいたします。昨年の百二十五回国会で承認されましたこの条約は、まだ国内法の整備がきちっとできていないということで締結に至っていないようでございますが、そこで、今日どのような対策がとられているのか、お伺いしたいと思います。  一つは、企業は国内でリサイクルに努めておるわけでございますけれども、有害廃棄物を輸出する心配が電気製品なり中古の自動車等にまだあるわけでございまして、ドイツ等はそういうリサイクルの問題について、生産者が廃棄物にならないような形できちっと処理をするリサイクル法等ができ上がっておるわけでございますが、我が国のそういう再利用に対する取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  144. 木下正明

    ○木下説明員 バーゼル条約の国内実施を図るための法律につきましては、さきの臨時国会で特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律を成立させていただきまして、私どもといたしましては、関係省庁と共同いたしまして現在、その政省令の準備を進めているところでございます。  なお、この法律によりまして、先生の御指摘のような有害廃棄物の越境移動が適正に行われるよう努めることが必要でございますが、その制度といたしましては、まず条約が要請している許可につきましては、貿易管理のための一般法として整備されております外為法の輸出入承認制度を活用しております。その中で、環境庁のチェックにつきましては、処分に伴い生ずるおそれのある大気の汚染あるいは水質の汚濁その他の汚染の防止のために、必要がある一定の地域あるいは一定のものにつきましては、環境庁長官が通産大臣の輸出の承認の前に確認を行う、こういう制度になっておるわけでございます。それで、このチェックの際には、必要がある場合には輸出先国の環境担当機関を通じまして、相手国の関係の情報を把握した上で慎重に審査したい、このように考えておるわけでございます。  このほか、条約上の義務でございますが、輸出の承認の前に、まず相手国に対しまして事前の通告を行いまして、その通告があった相手国の同意を得た上で承認を行う、こういうことになっておりますので、先生の御懸念のような有害廃棄物の不適正な輸出ということば、この法律の施行があれば防止できる、このように考えているところでございます。
  145. 川島實

    川島分科員 現に、医療機器とかPCBの関連をする、そういう商品を輸出する場合はどういうチェック体制がなされておりますか。
  146. 清川佑二

    ○清川政府委員 同法、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律におきましては、特定有害廃棄物の輸出につきまして、外為法に基づく通産大臣の輸出承認を行うことになっております。輸出承認制によって対応し、かつ、事前に環境庁長官の確認を得る、こういう形でございます。具体的には、通産大臣の確認を個別にしていくことになりますが、一つ一つの項目につきまして慎重にチェックをしていくということになってまいります。  なお、対象品目につきましては、条約に規定されておりますので、これにつきまして明快に理解できるような形で徹底してまいるということにいたしております。
  147. 川島實

    川島分科員 特に、現在海外へ進出している日本企業、東南アジアだけでも約三千一二百、ASEAN諸国なんかはデータが出ているわけでございますが、先進国として日本のそういう地球に優しい環境対策というのは非常に期待されておるわけでございますけれども、そういう企業に対しての指導というのはどのようになされているのか、お伺いしておきたいと思います。
  148. 熊野英昭

    ○熊野政府委員 ただいま先生指摘のとおり、海外に多数の日本企業が進出しているわけでありますけれども、これらの企業の環境保全に関しましては、進出いたしました投資先国がそれぞれ定めておりますところの環境保全のための諸規制があるわけでありまして、この諸規制を遵守することは当然でございますけれども、さらに加えて、その活動に際しましては、環境保全に十分配慮いたしまして、環境上の影響を最小限にとどめるように努力することが大変重要ではないかと考えているわけであります。  既にこれまでも、経済界におきまして、例えば一九八七年には、経団連等の経済団体が集まりまして、環境配慮を含むところの「海外投資行動指針」というものを策定して傘下の企業に指示しておるところでございます。また、一九九一年四月には、経団連が「地球環境憲章」というものを策定しております。この中で、海外進出に際しての環境配慮事項を詳細に明らかにし、経団連傘下の各企業の取り組みを促しておるところでございます。また、我々通産省といたしましても、一九八九年五月に産業構造審議会において「海外事業展開に当たって期待される企業行動」ということで、十項目の企業の行動指針とも言うべきものを策定していただいておりまして、これに基づきまして、投資を行いました投資先国において環境問題についての十分な配慮が行われるように、我が国の企業に周知徹底を図っているところでございます。今後とも、機会あるごとにこれらのPRに努めて、あるいはこれらの指針を守るよう企業に十分働きかけていきたいと考えておるところでございます。
  149. 川島實

    川島分科員 時間がございませんので要望いたしておきますけれども、開発途上国の国々は日本の環境対策について非常に期待しておる。そういう中で、出かけておる企業がいろいろな環境問題で地元でちょこっとした問題を起こすとすぐ新聞ではっと報道されて、さも日本の企業が悪いものを持ってきてやっている、こういう悪い印象がすぐ広がってしまう。だからそういう面で、海外へ出ている各企業に対して環境保全の対策をひとつ十分指導して常に目を光らせていく、そういう体制が必要かと思われますので、よろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  150. 久間章生

    ○久間主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、加藤繁秋君。     〔久間主査代理退席、主査着席〕
  151. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 加藤繁秋でございます。実は、私昨年までは商工委員会でお世話になっておりましたので、きょうはそのときに私が担当しましたリサイクル法の進捗状況についてお伺いをしたいと思うのです。  もう皆さん方御存じのように、ごみという問題が簡単に片づけられなくなってきていまして、我々政治の面におきましても、これをどうするのかということが非常に重要な課題になってきていることなんですけれども、政府の方もいろいろ努力をしまして、法体系を整備したり、地方自治体においても具体的な処理対策に真剣に取り組み出してきている、そして産業界や国民の間でもリサイクルの運動が随分と進んできているということでございまして、有効な資源ですからぜひ節約し、地球環境を守るという観点からこの課題が重要な問題になっているわけなんです。  この問題についての解決の方向は、大きく通産省や厚生省、その他の六省庁、環境庁を含めた中でも意思統一されているわけなんですけれども、ごみを出さないということ、使い捨て文化を捨ててできるだけ減量化をしようということ、同時に別な用途に使おうではないかというリサイクルの問題が、今二つ基本的な方向としては一応確認をされて、その確認に沿って通産省も、私担当させてもらいましたけれども、再生資源の利用の促進に関する法律というのが六省庁と環境庁の共管法として九一年の四月に成立をしたということでございます。  きょうは、そこでそのリサイクルの問題につきまして、いわゆるリサイクル法という中で古紙につきましては五五体制ということで、平成六年度までには五五%に混入率を高めていこうではないかということが目標として掲げられているわけでございまして、平成三年度では五二・三%の達成ということでございますが、これを平成六年までに達成していくわけなんですけれども、ただ、一般的なことではなくて、具体的にどのような努力を今後していこうというふうに考えていらっしゃるのか、その点からお伺いをしておきたいと思います。
  152. 高島章

    ○高島(章)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、平成三年度で五二・三%という古紙利用率でございますが、これは世界最高の水準になっているわけでございます。ただ、平成四年度に入りまして、景気の状況で紙の需要が減少しておりまして、特に新聞用紙についてのページ数が大幅に減少いたしましたことや、古紙の利用率が進んでいる製品の需要が低迷をしていることから、利用率は実は横ばいに現在なっている状況でございます。  御指摘ございましたリサイクル法におきましても、事業者、消費者、国、地方公共団体等のそれぞれが応分の社会的責任を分担しながら、相互の幅広い協力体制のもとでリサイクルを促進することを基本としておりまして、平成六年度には、今お話ございましたように古紙利用率を五五%に必ず向上するように今いろいろと努力をしているところでございます。具体的には、製紙メーカー、需要者、回収業者等の各方面にさらなる呼びかけをいたしまして、国民各層の幅広い協力のもとにその目標が実現するように努力しているところでございます。
  153. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 今、国民各層に呼びかけるということでございますけれども、問題は消費にあるのじゃないかと思うのですね。製紙メーカー、私も商工委員会のときに視察に行きましたけれども、どうして古紙を使って再生紙をつくらないのですかと言ったら、やはり消費者が買わないのだ、こういうことですね。ですから、問題はいかに消費を図るかということですね。こういうことが私は一番のポイントじゃないかと思うのです。ですから、呼びかけをするということもそうなんですけれども、具体的にどういう呼びかけをして、どのような手だてをやるのかというのが私はもっと具体的になければいけないんじゃないかと思うのですね。  そこで、その点についてお伺いしたいのですが、例えばトイレットペーパー、皆さんの家で、例えば大臣、自分の家のトイレットペーパーは再生紙を使っているかバージンパルプを使っているか知っていますか、その点ちょっとお伺いをいたします。
  154. 森喜朗

    ○森国務大臣 確かめておりません。
  155. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 だと思うのです。実は、私もつい最近まで家が何を使っているか知らなかったのです。女房に聞きますと、うちは再生紙を使っているのですけれども、皆さん、官庁の用紙なんか再生紙を使っている、こう言うのですが、通産省としてはリサイクルをしなさいと言うのですけれども、問題は店頭に並んだときにどっちを買うか、やはりバージンパルプの方を買ってしまう。皆さん方、進めようという側の人たちがそういう発想の転換といいますか、自分たちの足元からそういうことをちゃんとやっていこう、そういう気構えと努力、これは単にそれをしたから随分伸びるという問題じゃなしに、そういう構えが私は要るのではないかなというふうに思うのです。  先ほど言いました、国民に呼びかけるということだけではちょっと私よくわからないので、もう少し踏み込んで、どういう具体的な手だてをやるのかお聞きしたいと思うのです。
  156. 高島章

    ○高島(章)政府委員 古紙のリサイクルがうまくいきますには、まさに今御指摘ございましたように、古紙がうまく集まること、それからメーカーがその古紙をうまく使って再生紙をつくること、そして今御指摘の、いかにして一般の需要家、消費者が再生紙を使うようになるかというこの三つの要素がうまく回ることが基本でございます。  御指摘の再生紙を使う方の呼びかけでございますが、先ほどは少し抽象的に申し上げて恐縮でございましたけれども、具体的にはいろいろな手当てをしております。例えば、グリーンマーク制度というのがございますが、これはいろいろなノート等にマークをつけまして、それを小学校、中学校等で使って子供たちが集めできますと、それを古紙再生利用センターというところで苗木を差し上げることによって再生紙を使うことの意味を小さい子供たちにもわかりやすく訴えておりますし、また政府関係では、全体の申し合わせで再生紙を使うように政府みずから率先して実行を図っているところでございます。  また、古紙再生利用センターがいろいろなところでキャンペーンを具体的にやっておりまして、どういう格好で再生紙の利用が可能であるか各地でいろいろと啓蒙活動も展開しているところでございます。
  157. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 そういうことをやってきても依然として横ばい。新聞もちょっと減量されて、古紙の混入率は同じだけれども、ページ数が減りましたから、実際古紙を使う量が減ったわけで、横ばいでなかなか上へ向かないということですから、ぜひこの五五%にするということでいけば、例えば再生古紙を使うという、全体の製品のうちの何%は使いなさいというような行政指導を通産省として業界に対して行うか、あるいは国民全体に対して、通産省だけじゃなくていろいろな所管大臣とか省庁が集まってそのような行政指導をするとか、あるいは教科書を全部もうこの際再生紙を使ってやるべきだというような強い指導が私は求められているのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 高島章

    ○高島(章)政府委員 今申し上げましたように、政府では省エネルギー・省資源対策推進会議というものを開いておりまして、ここで申し合わせをいたしまして、各省庁がコピー用紙とか印刷物の用紙あるいは各省庁でいろいろ使用される紙について可能なものから再生紙に切りかえることを申し合わせしているところでございまして、実際にそのフォローアップも逐一やっているところでございます。  また、地方自治体に対しましてもそういった趣旨が徹底できるように我々としては強く働きかけているところでございます。  それから、学校で用いられる教科書でございますが、これにつきましては、当省から文部省に対しまして検討することを既に申し入れいたしました。これを受けまして、文部省は、関係業界においてその研究を進めるように現在指導しておりまして、既に一部の図書の表紙あるいは口絵などに再生紙の使用が始まっているところでございます。
  159. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ぜひそれが速やかに全体になるように今後も努力をしていただきたいと思います。  もう一つリサイクルが進まない原因は、やはり再生紙が高いというか、むしろバージンパルプとへど変わらないという価格の問題はあると私は思うのですが、再生古紙を下げるためには一体どうしたらいいのかという、その点についてお考えをお伺いしたいと思います。
  160. 高島章

    ○高島(章)政府委員 先ほど申し上げました、リサイクルがうまく回りますには、古紙が集まること、それから古紙がメーカーでうまく使われること、そして先ほど来申し上げておりますように再生紙の需要がふえること、利用者の認識が深まること、この三つが重要でございますが、いずれにいたしましても、全体の量がふえなければなかなかコストダウンには結びつきません。したがって、そのサイクルがうまく回るように、先ほど来申し上げているようないろいろな対策に厚みをつけているところでございます。  それからもう一つは、やはりメーカーにおきます技術開発でございまして、古紙がうまく活用されて再生紙がコストダウンという結果が生まれるように、その技術開発に各メーカーが懸命の努力をするということが重要であり、我々としては強く呼びかけているところでございます。
  161. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 今全体の量が拡大することと技術開発、これが下がる、下げていく方法だとおっしゃいましたので、全体の量が拡大するということからちょっとお伺いしたいのです。  今、全国の市町村で分別収集をやっているのは三千三百のうちの七百八十六ぐらいだと思います。これは事業体が入っていますのでほぼそういう数字だろうと思いますが、その三千三百のうちで七百八十六が進めているのですが、今後いろいろな団体によってリサイクル運動の機運が高まって、もしこれが千五百、二千というふうな市町村になったときに相当な量の古紙が集まってくるということですね。そしてまた、相当な量が集まってくるのと同時に技術開発が思う以上に進まないとき、そのときには量がふえて技術開発が進まないですから、つまり古紙の総体的な値段というのは下がるわけなのです。  そうすると、古紙の総体的な値段が下がりますと、市町村などで古紙とかいろいろなことを集めるために自治会を動員してやっていますね。そのやっている人たちというのは、ただ何にもなしに頭の中だけでリサイクルしなければいけないからやっているというのじゃなしに、やはり古紙を集めたり、ガラス瓶を集めたり、スチールを集めたり、いろいろする中で自治会の活動費とか子供会の費用にできればいいのではないか、こういういわば還元金があるからやるわけなのです。  私は香川県出身なのですけれども、香川県の善通寺市などは昭和五十二年から随分進んでいまして、例えば平成二年度でいきますと、一千五百八十三万六千円も人口三万七千人ぐらいの都市で還元金があるわけで、平成三年度は一千三百三十五万七千円も返っている。このようなことが自治会の運営費に集まって、それがまた機運として盛り上がって、これをやろう。ところが一方で、高松市などは平成三年十二月から平成五年一月までの約十三カ月間で逆に五百十一万円の持ち出しだ。こういうことになりますと、これがどんどん続きますと、先ほど言いましたように、たくさん古紙は集まって総体的に価格は下がる、そうすると還元金は少なくなる、そうすると今度は自治会などは集めなくなる、そうすると今度は古紙が集まらなくなるという、いわば集めなければいけないけれども集まったら下がるという、このような運動の中での矛盾があるのではないかと私は思いますが、このような点についてはどのような対策を考えているかということなのです。
  162. 高島章

    ○高島(章)政府委員 先ほど来申し上げております三つの要素がどこかだけいびつに大きくなったり小さくなったりすると全体の流れが悪くなるわけでございまして、それが今御指摘になった点であろうかと思います。したがいまして、古紙が利用されるような環境整備とともに、それぞれの回収の量がそれにふさわしい程度になるように常に考えておく必要があると思います。回収業者のいろいろな現在の悩んでおられますことについては税制、金融面でのいろいろな手だてが必要でしょうし、集めた古紙が卸売業にうまく流れていくためには卸売業の人たちにいろいろと金融、税制面の支援も必要でありましょう。また、ある一定の備蓄ができておりませんと、これもスムーズに最終のメーカーに入らないわけでございますから、その備蓄のためのいろいろな費用の負担についても具体的な政策の手だてが必要でございます。例えば、備蓄のために古紙再生利用センターが低利の融資を行うような基金制度も既にできておりますが、そういった流れがうまくいきまして、その上で先ほど来申し上げておりますように、メーカーにおける技術開発がそういった古紙をうまく消化できるように、そしてでき上がりました再生紙がいろいろな国民各層で幅広く深い理解のもとに使われるようになるということが必要であろうかと思うわけでございます。
  163. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 確かに流れがうまくいかないとそのとおりですね。そうしますと、そのことを逆に言いますと、今一年間に一千五百万トンの古紙が使われているということでございますけれども、どこかの省庁がこのリサイクル運動を強力に進めて、全国の市町村は三千三百ありますけれども、今七百八十六ぐらいですから、これを急激にふやそうということについては、通産省の立場から見るとちょっと思わしくない、こういうことにもなるわけなのですけれども、それはどうでしょうか。
  164. 高島章

    ○高島(章)政府委員 今、日本全体で見ますと、むしろ古紙は集まってしまって、不況のためにその古紙は十分使われてないような状況でございますから、古紙をもっと使いたい、あるいは古紙をメーカーで再生紙にしてどんどんさばいてほしいという方が出てくることは大歓迎でございます。あくまで一カ所にだけ集まらないように、どこかの要素にだけ集中しないようにということが肝要であろうかと思うわけであります。
  165. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ちょっと質問の要旨が違っておりますね。使いたいのではなくて消費者から、つまり市民やいろいろな方から集まるということなのですよ。その運動を自治省や厚生省や、もちろん通産省もやっているだろうと思いますけれども市民運動を今やっていますね。そういうわけで、どんどんそれが進むということはたくさん集まるのですよ。それがたくさん集まるということは、流れからいきますと思わしくないでしょう。ですから、適切ないわば集荷、技術発展に応じた利用ということになりますと、リサイクル運動というのを本当に積極的に通産省としてやる気があるのかなという気持ちがちょっと思いますので、その点どうかということです。
  166. 高島章

    ○高島(章)政府委員 失礼いたしました。少し舌足らずでございました。  現在、集めていただいている運動について、もうほどほどでどうだという考えは我々全くございません。むしろそういう形で最終的な消費者の段階での回収がうまく進むことによって、それが次第に再生紙の方へうまく結びついていくように、生産が拡大されるように、そこに我々としては最大のエネルギーを割くべきだと思っておりますし、また、でき上がりました再生紙がもっと一般に使われるように、先ほど来申し上げておりますようないろいろなキャンペーン活動、あるいは具体的な財政、金融措置を深めていくことが大切だと思っているわけでございます。
  167. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 この問題については最後にもう一度大臣からお答えいただきたいのですが、次に、スチール缶とかアルミ缶を集めているわけなのですけれども、これも聞きますと、全体ではほぼ一〇〇%に近いぐらい回収はできているらしいということなのですが、それが再生資源として利用されている率は、スチール缶でいうと五〇・一%でアルミ缶は四三・一%だということなのです。それぞれ目標は六〇%にするということでございますが、先ほどと同じ質問なのですけれども、具体的にこれをどのような手だてで六〇%にしていこうとしているのかということについてお伺いをしたいと思います。
  168. 牧野力

    牧野政府委員 現状及び将来の目的は今委員の御指摘のとおりでございます。  どういう手だてでやるかということでございますが、御案内のように、問題は一般のごみと一緒になってきたものをいかにうまく分別をしてスクラップにするかというところにポイントがあるわけでございます。  スチール缶でございますけれども、これは一般のごみの中から磁石で取り出しまして、これをつぶしてスクラップにするという方法がとられておりまして、したがいまして、問題はこういった機械を各自治体にいかに早く普及をさせるかということでございます。現在十万以上の都市、自治体におきましては、そのうちの約三割ぐらいがこういう施設を持っているというふうに聞いておりますが、今御指摘のような、平成六年ないし七年度に六〇%にするということになりますと、これを早急に五六%ぐらいの市町村にまで普及させたい。これにつきましては、当然のことながら厚生省あるいは自治体にもいろいろお願いをするわけでございますが、私どもといたしましては、高炉メーカーがこれにできるだけ協力をするように、あき缶処理対策協会というものがございまして、そこで市町村がこの機械を導入をする場合に一部を補助する、平均数千万かかるようでございますが、一千万ぐらい寄附するということをやっておりまして、これをできるだけふやしていきたい、こういう手だてによりましてスチール缶についての御指摘のような回収率にしたいということでございます。  アルミ缶につきましては状況がちょっと違いまして、これは磁石で取り出せないという問題がございます。したがいまして、これは一般のごみにまざらないように回収の段階でアルミ缶だけ特定をして回収してもらうということがリサイクル率を上げるポイントでございます。これは実は消費者の非常な御協力が必要でございまして、なかなか難しいわけでございますが、現在私どもといたしましては、アルミの圧延業者あるいはボトラーあるいはそれを売りますスーパー等が協力をいたしまして拠点をつくりまして、その拠点に缶を持ってくれば有償でこれを回収をするということによって消費者の分別回収を促進するという手段によって御指摘のような目的を達成いたしたい。  実は、どういうシステムで、また幾らぐらいやればどのぐらい回収率が上がるかということにつきまして大々的なモデル事業を早急に始めたいということで、現在詰めを行っているところでございます。
  169. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 そのような努力をされているので大いに期待したいのですが、実際にリサイクル運動を進めている自治体に話を聞きますと、アルミ缶の方は大体いいのですけれども、やはりスチール缶ですね、価格が非常に変動が大きいということ、一時期マイナスになって持ち出しになったのはほとんどスチール缶ですね。先ほどの高松市の場合もそうですし、そのほか多くの自治体で持ち出し、逆有償という形ができていると思うのですが、円高ということが随分と最近また言われていますし、そして景気の方も低迷して、鉄の需要といいますか再生された鉄の製品がどの程度利用されるかということも将来なかなか難しいということで、引き取り額が不安定なために、やっても同じではないか、先ほどの古紙と同じですけれども。そのような価格について今後の見通しと具体的な対策がもしあればお聞きをしたいと思うのです。
  170. 牧野力

    牧野政府委員 御指摘のように、鉄スクラップの価格が非常に変動をしてなかなかリサイクルがうまくいかなかった面があるということは御指摘のとおりでございます。スクラップの価格が一昨年あたり非常に下がりまして、逆有償という形があったことは事実でございますが、最近この価格が非常に上昇してまいりまして、現在、地区によって違いますが、東京地区で一万三千円、関西地区で一万八千円というように非常に上がってまいりまして、逆有償のケースはどんどん少なくなっているというふうに思っております。  ただ、今後どうなるかということについては、これはいろいろ御指摘のような経済情勢にもよりまして、逆有償が一切なくなるということは今申し上げるあれではございませんけれども、なるべくスクラップの価格の安定を図るために、現在高炉メーカー、電炉メーカーあるいはスクラップ業者も含めまして、例えば多少中長期的な契約制にできないかとか、そういったような問題を今議論しているところでございます。基本的にはやはり市場原則に任せて、その市場原則の中で価格ができるだけ安定をしていくという方向を見つけ出すということが筋であろうと思っております。
  171. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 これはなかなか難しいのですけれども、しかし、今後リサイクルを進めていく上で、古紙もそれからスチール缶についても、その他の問題もそうですけれども、価格をどうするかというのは今後の大きな課題になるのではないかと思いますので、ぜひいい知恵を絞ってリサイクルが進むようにお願いしたいと思うのです。  もう一つ、先ほどの古紙と同じように、技術開発という問題がありますけれども、例えば現在スクラップから生産される鉄鋼製品でも、品質のいいものができるようにするという技術開発を恐らく進めているだろうと思いますけれども、例えば自動車用の薄板なんかはまだまだできないような状況であると思うのですが、このような技術開発と、同時に鉄くずそしてスチール缶とか、そういうものを海外に輸出するというような努力を今後やる中で、しっかりとまた集める、こういう観点はいかがでしょうか。
  172. 牧野力

    牧野政府委員 まず、技術開発でございますけれども、特に高炉メーカーでございますが、特にこれはスチール缶でございますけれども、この再利用のための実証試験をいろいろ行っておりまして、平成二年におきましては三万トンぐらいの引き取りでございましたものが、三年では七・五万トン、平成七年では二十万トンぐらい引き取れる、こういう技術開発ができております。ただし、基本的な問題は、今先生指摘になりましたように、この鉄スクラップを高炉でも利用できるというような方向に持っていくことが非常に大事でございまして、これはやはり相当な技術開発が必要でございますので、平成三年度より八カ年計画で、官民一体となりまして新製鋼技術開発を国も相当の資金を出しまして行っているところでございます。  なお、輸出でございますけれども、最近特に東南アジア諸国、鉄は経済発展の基本でございますから鉄鋼生産に非常に熱心でございますが、ただ、こういう国は、御案内のように、中国等を除きまして、なかなか高炉を持つというのは負担でございますので、電炉でやる。どうしても原料としてスクラップが必要であるというような状況も反映いたしまして、最近スクラップの輸出がふえております。これも今の段階で確かなことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、私どもの予想では、今後このスクラップの輸出はかなりふえていくのではないかというふうに見通しを持っております。
  173. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 もう一つお伺いしたいのですが、これは実際に市町村へ行って聞いた話なんですけれども、今一番困るのは、もちろんたくさんごみの中にあるのですが、その中でも家庭電器ですね。例えば冷蔵庫とかテレビとか、そういうものは個人がごみ捨て場に出しますと普通のごみなんですけれども、小売店が引き揚げて持って帰ってそれを出しますと事業ごみになるわけなんです。ですから、普通テレビとか冷蔵庫というのは、買いかえますと大概は小売店が持って帰る。そうすると、小売店はそれをまた事業ごみでお金を出して処理しなければいけないということで、大変小売業者にとりましては、テレビは買ってもらわなければいけない、冷蔵庫は買ってもらわなければいけない、しかし廃棄物は引き取らなければいけないということで、費用的にも随分困っているという話を聞くわけなんですが、このような問題についてぜひ製造者のもとに、責任、義務として引き取ってもらう、このようなことを考えていただきたいのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  174. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 廃家電品の回収につきましては、確かにただいま委員御指摘のとおり、小売店にやや負担がかかっていたというのが実情でございました。そこで、昨年メーカーにも、この回収について応分の協力をすることが適当だ、こういうふうに考えまして、メーカーそれからメーカー卸それから小売店から構成いたします回収支援協議会というものを全国各ブロックにつくることになりまして、家電メーカーの方も家電製品協会に基金をつくりましてこれに対する経済的な支援を行うということで、この廃家電品の回収には共同して当たることが適切である、こういうふうに考えて、ただいま東京二十三区、それから全国にその回収協議会による回収ルートを拡大しているところでございまして、昨年、二十三区以外に七市ほどがあるのでございますが、さらにこれをことし大幅に拡大していこう、こういうことでメーカーの協力も進めていこう、こんなふうに今体制をつくり直したところでございます。  委員御指摘の義務化という点でございますけれども、私どもといたしましては、こういったメーカーの応分の協力ということを主にいたしまして、ただいまいわゆる廃掃法におきましても適正処理が困難なもの、適正処理困難物に対しては事業者は協力をするという補完的な役割が規定されておりますので、その法の範囲内で最大限メーカーが廃家電品の回収、処理に協力をする、そういう体制をつくっていくのがまずもって必要ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  175. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 もうこれで質問を終わりますが、大臣最後に、先ほど言われましたように厚生省とか自治省はリサイクル、どんどん集めましょう、通産省から見ると流れをよくしなければいけないというので技術開発とか利用がどの程度進むのかというのに合わさなければいけないというような、それぞれ通産省も厚生省環境庁もいろいろなところで利害があると私は思うのです。ぜひこの際、これまでもやってきましたけれども、なお一層ひとつ通産大臣の指導でそのようなリサイクルが進むように各関係省庁に働きかけて、積極的にこの運動が展開できるような連絡協議会みたいなことを進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  176. 森喜朗

    ○森国務大臣 かけがえのない地球を廃棄物によります環境の悪化から守り、快適な生活水準さらに経済活動を長期的に維持していくためには、リサイクルを組み込んだ経済社会への転換を進めるということが極めて重要であろうと思っております。通産省といたしましては、リサイクルの推進のために、平成三年の十月に施行されましたリサイクル法の適切な運用に努めますとともに、今国会に御承知のとおり省エネ・リサイクル支援法を提出をいたしておりまして、この問題を積極的に推進をしていきたいと考えております。  ただいま先生からいろいろ御指摘ございました。もっと伺いたいのですが、本当に時間が惜しいくらいでございます。商工委員として大変御熱心にこの問題に取り組んでおられましたことを私ども事務当局からよく伺っておりまして、先生の御指摘を参考にいたしまして十二分にこれからさらに積極的に進めてまいりたい。そういう意味で、まさに関係省庁が一体となって取り組んでいくということは、これはもう極めて重要な点で、御指摘のとおりであろうというふうに考えております。これからもさらに各省庁と密接な連絡をとりながら施策の実施に万全を期してまいりたいと思いますから、これからも御指導いただきますようにお願いを申し上げて答弁とさせていただきます。
  177. 加藤繁秋

    加藤(繁)分科員 ありがとうございました。
  178. 松永光

    松永主査 これにて加藤繁秋君の質疑は終了いたしました。  次に、菅野悦子君。
  179. 菅野悦子

    菅野分科員 私は遊戯銃の安全性の問題について質問をいたしたいと思うのです。  最近、実物に近くて時に危険度の高い非常に精巧な玩具、これを自治体などが有害玩具ということで指定している、そういう状況があるわけです。そういうものが大変多く出回っておりまして、とりわけ多くのお母さんたちの心を痛めているという現状なんです。例えば最近では、金属製の矢を発射するボーガン、これが弓矢で射抜かれたあの矢ガモが随分話題になりましたし、アヒルが逃げ惑っているという痛ましい姿が話題になったところでございます。  実は昨年十月には自民党の福岡県連のビルに右翼がこのボーガンを撃ち込みまして、鉄製のシャッターに金属製の矢が突き刺さって直径一センチの穴があいたという状況です。福岡県は、もし矢が当たれば人命にかかわる可能性があり、凶器になる危険性があるということで直ちに有害玩具として指定をしているわけです。また、九〇年の二月、前回の総選挙のときですけれども、山口二区から出馬をした自民党の候補者カーにエアガンが撃ち込まれましてアナウンサーがけがをするという事実もございます。  そこで大臣にお伺いしたいのですけれども、こうした事件が相次いで発生しているわけですが、このような事態についての御感想なりお考えがございましたらお伺いしておきたいと思います。
  180. 森喜朗

    ○森国務大臣 エアソフトガンは圧縮空気によりプラスチック製の弾を発射する遊戯銃でございまして、エアソフトガン自体の安全性の確保の観点からは、協同組合により自主検査がなされているというところでございます。この検査基準に合致している製品におきましては、弾が当たっても人体には影響はないということになっておりまして、そういう認識をいたしております。したがいまして、エアソフトガン自体は適正に使用されている限りは安全であると考えられるわけでありますが、自主検査の徹底あるいは使用者のモラルの問題、これが私は最も重要だと考えておりますが、このモラルの向上にさらに努力してまいりたい、こう考えております。
  181. 菅野悦子

    菅野分科員 本来ならそういう何も起こらないはずの検査済みのものであるにもかかわらず、実は次々とこれらの問題が起こっているというのが実態でありまして、この二月の七日にも大阪吹田市、実は私の地元なんですけれども、七人の中学生が七十二歳の小学校の警備員の方に、早く帰りなさい、こういうふうに注意されたのに腹を立てて、七人全員が所持していたエアガンでこの警備員をねらい撃ちにするという事件がございました。また、八九年ぐらいには大阪で随分これらの事件が続発したわけでございます。例えば、大阪市内でワゴン車に乗った青年五人が通行人八人に向けエアガンを発射する、そして七人に三日前後のけがをさせた事件、こういうのがございました。そこで青年たちは何と言っているか。サバイバルゲームに飽きて車から人を撃つということをやってみたかったというふうに言っているわけです。  それだけでなくて、帰る途中の自転車の女子高校生がねらわれるとか、次々にこういう事件がこの間随分続発しているわけなんですけれども、こうした危険な玩具が出回っている。そして児童、青少年が次第に過激になっていくということに多くのお母さんたちが非常に大きな不安を感じているという状況でございます。また、台湾では日本製と思われる改造エアガンでの死亡事故まで発生しております。このまま放置していいのかということを率直に私憂うるわけでございます。こうした玩具に対する安全性のあり方、これが今改めて問われているんではないかというふうに思うわけです。  そこで警察庁にお尋ねをいたします。  青少年健全育成条例などでエアガンとかボーガン、スリングショット、スリングピストル、空気銃、モデルガンなどを有害玩具として認定して規制している都道府県は四十七都道府県の中で何県あるのか。また、これらの玩具による事故及び事件発生件数はどうなっているか、お伺いをいたします。
  182. 益原義和

    ○益原説明員 いわゆる青少年保護育成条例によりまして知事が指定する有害玩具について青少年に販売することを禁止し、その違反に対して罰則を科すこととしているのは、四十一都道府県というふうになっております。エアソフトガンの指定状況につきましては、警察庁で把握しているところでは昨年九月末で三十九道府県でこれが有害玩具として指定されておりまして青少年への販売が禁止されているものと承知いたしております。
  183. 菅野悦子

    菅野分科員 総務庁の方に調査を依頼したんですけれども、そこでは四十七都道府県中四十四の都道府県、ほとんどのところでエアガンなどを有害玩具に指定しているというふうにお聞きをしているところでございます。警察庁もぜひ実情をつかんで対応していただきたい。そして青少年の健全育成の面からも、また市民生活の安全という点からもぜひこういう点での御配慮をお願いしたいなということを率直にお願いしておきたいと思います。  そこで、きょうは、先ほどから大臣からも御答弁いただいておりますけれども、そういう中の一つとして、エアガンの安全性の問題についてお伺いをしたいと思います。  実は、エアガンのマニアというのは何と全国で百五十万人おられるということ、そして売り上げはおよそ年間二百六十万丁、お金にして三百億円、これは日本経済新聞の報道にも出ておりますけれども、そういう状況になっております。一口にエアガンと言っても本当にさまざまでありまして、どこから見ても実銃としか見えないようなものもあるわけでございます。私も、昨日たまたま日本テレビの報道がありまして、その危険性がお母さんたちの間で大きな話題になっているわけなのですが、アサヒファイヤーアームズ社のM40A1、実は、きょうこれを借りてきておりまして、委員長に御了解いただければ、大臣にぜひ見ていただきたいなと思って持ってきておりますが、よろしゆうございますか。
  184. 松永光

    松永主査 ちょっと見せてください。
  185. 菅野悦子

    菅野分科員 これが大人のおもちゃということで許されている、そういうものでございます。これがアサヒファイヤーアームズ社のM40A1、まあおもちゃと認定されておりますから、ここの中でも持って歩けるのかなと思っておりましたが、なかなかやはり見たところそんな状況でございますので、実は御了解を得て持参をしたという状況でございます。  私は銃についての詳細な知識は全くございませんが、日本テレビの報道を見て驚きましたのは、その撃針・撃発装置は五センチ程度の鉄棒にちょっとやすりを当てるだけでつくれるということなんですね。そして、M40A1本体には手を加えず、この銃が市販されたままの状態で、二十二口径ライフルの真正実包の装てんが可能であり、容易に撃発できるというふうに言っているのです。だから十分殺傷能力を持つ武器になると銃器評論家の国本さんという方がおっしゃっているのです。特殊ねじも市販のドライバーで容易に外すことができたわけで、保持部と呼ばれる実質上の薬室機能もございます。かつ、二十二口径実包に対する安全装置はどこにもない、しかも最初から分解することが可能だというふうなつくられ方をしているわけです。撃針を銃に組み込む技術は必要なくて、発射時に実弾の後部に添えるだけでよいと関係者が指摘しているわけです。  この指摘が誤りであるなら、安全性を証明していただければ国民もみんな安心できるわけなのです。だから私はここで実銃か否かの問題に立ち至って云々する気はないわけです。日本テレビの放映をぜひ大臣にはごらんいただいて御出席願いたいというふうに朝御連絡しておいたんでございますけれども大臣にぜひお願いをしたいのは、放映の中で国本さんという方の鑑定書が紹介されておりますけれども、鑑定どおりなのか鑑定が誤りなのか、関係省庁と協議の上、通産省としてこの鑑定結果の確認をお願いしていただけたら、ぜひ、後日で結構でございますので、御報告いだだきたいと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  186. 高島章

    ○高島(章)政府委員 本件につきましては、まず実物そのものを入手いたしました上で、関係部局それから関係省庁と十分協議をいたしまして対処をしてまいる所存でございます。
  187. 菅野悦子

    菅野分科員 本当に玩具なら、玩具としての安全性が最も重視されなければならないというふうに思うわけです。  もう皆さんも御承知と思いますけれども、最近サバイバルゲームというのがはやっておりまして、そのマニアが全国で二十万人前後いると言われております。しかも、うち十五歳前後の青少年が二割を占めているという状況なんですね。このような銃を使ってサバイバルゲームに興じているのかと思いますと、実に背筋が寒くなるような話でございます。消費者にとっても危険性のあるもの、まして青少年に影響が強いということであれば、やっぱり通産省の責任において十分な検査を行っていただきたいというふうに思うわけです。  このM40A1ですけれども、及びエアガン一般ですが、これらについて、どのような検査基準に基づいて鑑定を行っているのか、このことをぜひお伺いしたいと思うのです。
  188. 高島章

    ○高島(章)政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたところと重なるわけでございますけれども、エアソフトガンは、圧縮空気等によりましてプラスチック製の弾を発射する遊戯銃でございまして、その安全性を確保するため、発射する弾の威力を制限いたし、それから遊戯銃の威力向上改造等が簡単にはできない、困難にするといった点で、遊戯銃の安全基準に関する自主規約要綱を策定しているわけでございます。したがいまして、簡単にドライバーで取り外してすぐ変えられる、改造できるということができないように、きちっと安全基準を決めているわけでございまして、製造メーカーはその発売をいたします前に財団法人日本文化用品安全試験所及び社団法人日本猟用資材工業会試験検査所というところにおきまして検査を実施いたしまして、合格をいたしましたものには確認シールを貼付しているわけでございます。また、そのメーカー業界からは販売業界に対しまして、このシールを確認して販売するようにということを要請をしているところでございます。  なお、エアソフトガンの使用につきましては、使用者の行動モラルというものがやはり一番大きい問題でもございますので、適正な使用が必要ということから、その製造メーカーは製品に、取り扱い上の安全指導書を事細かく、どうすれば安全であるかということを明確に書きましたものを添付いたしまして、利用者に徹底を図っているところでございます。
  189. 菅野悦子

    菅野分科員 今もお答えがありましたが、結局、日本遊戯銃協同組合、これは遊戯銃製造業者が組合員となる、率直に言いますと利潤追求を目的とした業界団体であるわけですが、そこの自主規約が唯一のクリアすべき基準だということではいかがなものかというふうに思うわけですね。そして、たまたまこの日本文化用品安全試験所というところに、テストするところがあるからということで持っていってテストする場合もあるかという話も聞いておりますが、しかし、この自主規約、これが唯一のクリアする基準ということになるわけで、しかも、いろいろお聞きすると、この組合規約は自由につくりかえることができる。現に五月の検査依頼の段階で、この銃のことですけれども、文化用品安全試験所の技官に、これまでの銃と違うので、検査要項をつくってもらうのが先だ、つまり、従来の自主規約ではだめだと言われて、結局M40A1を合格させるために組合の都合で規約をつくりかえたというふうなことを聞いているわけなんですね。  ところが、この自主規約なるものにはカートリッジ式の材質や内容量、上限圧力、安全装置などの危険防止に関する根幹的な規制が全くない。しかも、中小企業協同組合法では、規約改正、これは総会決議が必要だ、総会決議事項となっているにもかかわらず、理事会のみでつくりかえている。こんなずさんなやり方で安全性がないがしろにされているというのは本当にいかがなものか。組合の自主規約任せということである限り、結局、組合未加入業者の場合には検査の対象にもならないわけで、エアソフトガンが法的規制の対象から外され、業界の規制にゆだねられている、こういうところに大きな問題があるのではないかというふうに私は思うのです。  これだけ大きな社会問題になっているわけですから、このように、この遊戯銃協同組合の自主規約、これが唯一の手がかりみたいな状況ではなくて、通産大臣の定めた安全基準によるすべての商品の検査が必要となるような、そういうものが今定められるべきではないか。もっと率直に言いますと、銃刀法などの法的な見直しも含めてこれらの検討が必要なのではないかと思いますけれども、この辺はいかがでしょうか。
  190. 高島章

    ○高島(章)政府委員 我々は、先ほど御指摘ございました組合等とは常に連絡を密にいたしまして、いやしくもそのメーカーの製品が安全を損なうことがないように十二分に検査基準が厳しいものであることをチェックしているところでございます。ただ、あくまで使用者のモラルということは非常に大事な問題でございますから、適正な使用が図られるように事細かに親切にメーカーとして使用者への指導書の添付、さらにはその改善充実は必要であろうと思っております。今後とも、自主規制措置がより一層効果を上げますように適切に指導してまいりたいと思いますし、先ほどお答え申し上げましたテレビでの報道の件につきましては、実物入手の上、事細かく十二分に検査をいたしまして、関係省庁のお知恵もいただきながらきちっとした対応をいたします。
  191. 菅野悦子

    菅野分科員 関係省庁としてできるだけこれらの問題に対してきっちり対応していく、そういう御姿勢については私は本当に大事であろうと思いますけれども、先ほどから強調しておりますように、みずから製造する業者が組合員となっているこの協同組合の自主基準、これしかないというところに問題があるのではないか。そして、皆さん方がそれこそきちっと指導しているとおっしゃっているエアガンが、実はいろいろな事件や事故を今引き起こしているという現実があるわけですから、そこのところをぜひ考えていただきたいと思うのです。  そして、確かにおっしゃったように、あくまで組合の自主基準が、ここをクリアすればASGKシールというのが発給される仕組みになっております。このシールがまた本当に大きな威力を発揮するわけで、これがあればどこでも通用する、輸出もオーケーというふうなことで、もう堂々と市場に出ていくという状況になっているわけですから、その業界の自主基準とそれに基づくこのシール、これがもっともっと公的な基準に基づく公的シールの発給、これこそ今検討すべきではないかと私は思うのですけれども、このシールの点も含めていかがお考えでしょうか。
  192. 高島章

    ○高島(章)政府委員 特に具体的な例示として、先ほどM40A1というのをお話しになったわけでございますが、これにつきましては関係省庁にも十二分に検討をいただきまして、問題がないということで実はお答えをいただき、そして実際の自主基準に基づきまして発売前に検査は十二分にクリアをしたわけでございます。したがいまして、現在の自主基準も簡単に銃等へ転換ができない、変更はできないということは明確になっているかと思います。もし今後とも問題があるということであれば、基準そのものについて組合を挙げて、あるいは我々も一緒に協力をして、その内容をより厳密なものに改善をしていくことが必要であろうかと思いますが、今の段階では、くどいようでございますけれども、テレビ等で報道されました実物をもう一度しっかり検査をすることがまず肝要であろうかと思っているわけでございます。
  193. 菅野悦子

    菅野分科員 率直に言いまして、自分の商品を売りたいと思うのが人情ですね。利害関係が対立する業界組合に管理運用を任せるということなんですから、そこに問題がある、そこから問題が起きるんだ、起きやすいんだということを私は指摘したいのです。そして、そういう状況ですからどうしても一部の理事らが組合を牛耳る、そういう道具にもなりかねない危険性があるということについても私は指摘しておきたいと思うのです。  こうした問題を抱える団体が、意見の対立する中で一方のものが自主規約をつくり、これに基づき通産省が検査して、その結果としてシールが発給されるというふうなこの制度を根本的に改めない限り、遊戯銃の安全性も公平性も担保されないというふうに私はなお強調しておきたいと思います。ですからそういう点で、先ほどから十分調査をする、検査をするとおっしゃっておられますが、そのことを大臣にも、ぜひ責任を持って調査の上、適切な対応をとっていただきたいということを繰り返しお願いしておきたいと思います。  そこで警察庁にお尋ねをいたします。先日の私に対する説明では、エアガンによる事件が起きている事実というのは余りない、問題もないというふうなお話でございました。ところが、八九年七月には大阪府警が連続エアガン乱射防止対策委員会というのを設置いたしまして、府下三百五十店のエアガン販売業者に対して、成人も含めた販売の自粛を求める指導を開始しております。七月十八日には、これは夜ですけれども、警官千二百人、車両三百台を動員してパトロールした、重点パトロールがその後も大がかりに続けられたという事実があるわけですけれども、これをどう受けとめておられるのかお尋ねをしたいと思います。
  194. 益原義和

    ○益原説明員 大阪府警におきましては、平成元年七月に通行人に対する連続エアガン発射事件が発生いたしましたため、これらの事犯の防止を図るため、遊戯銃製造メーカーあるいはその販売店等に対しまして販売自粛等の要請をするなどの対策を講じたところでございまして、一定の成果があったものというふうに考えております。  警察庁といたしましては、有害玩具の使用実態等にかんがみまして、問題のある玩具の条例による有害指定の促進を図るよう都道府県警察を指導してまいりますほか、関係業界を指導監督する立場におられます通産省と連携を図りながら、必要に応じまして青少年への販売防止等につきまして関係業界に要請してまいりたいというふうに考えております。
  195. 菅野悦子

    菅野分科員 重ねて警察庁の方にお尋ねしたいのですけれども、大阪でもそういうことがあった、そして、そこそこのそういう積極的な対応がされた、にもかかわらずまたこの二月に、中学生がそういう形で警備員の方に七人で寄ってたかってエアガンを撃ち込むというふうな状況があるわけです。私はもう今、銃刀類所持等取締法などの見直しが必要な事態が生じているのではないかなと思うわけですけれども、ぜひ全国の実態をよく調べて、そういうふうな点での検討をしていただく、そういうふうなことが可能なのかどうか、そういう方向を踏み出すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  196. 益原義和

    ○益原説明員 警察庁といたしましては、現段階の対策といたしましては先ほど申し上げたようなことで考えておるわけでございます。その法規制の問題につきましては、今講じております対策については継続してまいるということで、その上で、エアソフトガンによる犯罪や事故の発生状況あるいは製造販売業界、関係団体の動向、あるいは現在条例によりまして青少年に対する販売規制が行われておりますので、その実施状況等を踏まえつつ今後の課題として検討してまいりたいというふうに考えております。
  197. 菅野悦子

    菅野分科員 大臣には事前に随分と各報道の、エアガンの関係のいろいろな事故の報道とか、それからどの都道府県で規制をしているかというふうなこととか、あるいは大阪府の方でいまだに威力を高めるための改造がなされている状況が見られるということで、この改造防止等についての通達であるとか一連の資料を事前にお渡ししているので、見ていただいて、もうおわかりいただいていると思いますけれども、二月二十六日の各紙の報道によりましても、広島県の暴力団の準構成員であるチャンピオン技研社長の沖本賢次容疑者が、玩具として販売された遊戯銃を火薬銃に改造して六十七丁販売している、東京や京都でも家宅捜査が行われ改造実銃を押収されている、そういう報道もございます。といいますのは、こういう実態に見られるように、今皆さん方がきちっと検査しています、ちゃんと取り締まっていますと言うこの遊戯銃が、改造されて、いとも簡単に危険なものになっている、こういう事件が絶えないわけですね。だから問題は、危険性の高いエアソフトガンに何の法的措置や検査基準がなくて、安全性がなおざりにされているということ、また、改造自体が極めて容易であるというふうなことから、こういう事件が次々引き起こされているというふうに断ぜざるを得ないわけなんです。  それで、通行人をねらったエアガン乱射事件が相次いで起きている大阪府では、八九年の時点で、日本遊戯銃協同組合、西日本遊戯銃専門店会、大阪府玩具人形小売協同組合、大阪府玩具人形問屋協同組合の四団体に対して、府の条例で指定した有害玩具や改造して威力を高めた銃、部品を青少年に販売しないように協力を要請しているわけです。  ですから、私が大臣に重ねてお願いしたいのは、エアガン対策では今自治体が本当に大変な苦労をしている。銃の改造が販売店レベルでも日常的に行われているわけなんですから。メーカーが販売店を集めて実質的な改造講習会的なものを開いているということも聞いているわけです。こうした危険な事態は放置すべきではないというふうに私は考えるわけです。ぜひ抜本的な対策を講ずるように重ねて大臣の特段の配慮を求めて、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  198. 森喜朗

    ○森国務大臣 時間が来てしまいましたから、長く申し上げると、その分、次の先生に御迷惑をかけてしまいますが、いろいろ御指摘をいただきましたことは大変大事だと思います。さっき拝見しましたあの銃を仮に私や松永主査が暗やみで突きつけられたら、やはり手を上げると思います。  したがって、問題は、それを規制してしまえというわけにはなかなかいかないわけで、あくまでもおもちゃでありますから、そこは業界が本当に自主的に、まじめに取り組んでいかなければ、結果的にその業界全体が社会から葬り去られてしまうということを自覚すべきだと私は思っております。しかし、御指摘があった点は大事でございますから、通産省としても業界とは十分連絡をとって、今私が申し上げたようなことなどはしっかりと申し上げたいと思っております。要は持っている人たちのモラルの問題と先ほど申し上げました。危険なものは皆いけないのだというふうになれば、包丁も持てないということになって、台所から包丁も出してしまいなさいよということになってしまうのであって、これは非常に難しいところだと思います。要は、子供たちが健全におもちゃを取り扱うということが教育の一部分でもあるわけでございまして、関係省、文部省また警察庁が連絡を十分とり合って、先生が御心配になるようなことが起きないように十分注意してまいりたいと思います。
  199. 松永光

    松永主査 これにて菅野悦子君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤一雄君。
  200. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 私は、フィリピンのカラバルソン計画及びマレーシアのARE社の放射性物質による被害について質問をいたします。  最初に、カラバルソン計画は、もともと外務省の外郭団体、国際協力事業団がマスタープランをつくり、ODAが資金となる地域総合開発プロジェクトであります。つまり、事業への援助の中心が日本であり、カラカ石炭火力発電所の建設を受注した三井物産や丸紅、三菱商事などの企業を含め、それに伴う大気汚染や地域住民の健康被害、そしてラグナ湖などの水質汚濁、農漁民の生活破壊など数えれば切りがありません。日本政府も決して無関係ではいられないはずであります。  そこで、お伺いをいたします。カラバルソン計画事業に係る援助総額は幾らですか。
  201. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 ただいま援助総額は幾らかという御質問でございますが、そもそもこのカラバルソン計画についての我が国の協力と申しますものは、今御指摘がございましたように、いわゆるマスタープラン、具体的に申しますと、平成三年十月にその最終報告書を取りまとめましたカラバルソン地域総合開発計画調査、これを国際協力事業団を通じて行ったわけでございますが、これはあくまでも総合的な開発計画についての提言をするという内容でございますので、その提言をどのように活用していくかはフィリピン政府が一義的に判断していく、そういう性格の協力でございましたわけで、この地域総合開発計画調査に関する援助総額といった御質問にはなかなか簡単には答えにくい性格の協力であったという点は、御理解いただきたいと存じます。  そもそもこの調査を行った背景が、八〇年代にフィリピン政府がこのカラバルソンと呼ばれる地域に非常に急激な工業化という政策を進めたために、同地域への工場等の無秩序な進出がございまして環境等が悪化する、あるいは公共サービスが低下するという問題が顕在化いたしましたものですから、よりバランスのとれた、あるいは環境的にも健全な開発のあり方についてその計画づくりを手伝ってほしい、こういう依頼を受けて行った調査でございます。したがって、その調査の内容は、工業分野のみならず農業、環境保全等の分野も総合的に勘案して、工業と農業あるいは都市部と農村部のバランスのとれた、環境的により適正で健全な持続可能な地域開発のための諸施策を提言しているものでございますので、この国際協力事業団の調査がいろいろな問題をつくり出しているという形でのかかわりではないという点を御理解いただければと存じます。むしろ、この報告書においては、開発の前提として、地元住民とのコミュニケーションに配慮して地元住民が計画に参加できるようなやり方でやるべきであるとか、御指摘のありましたラグナ湖の環境保全を中心として種々の環境のための施策をとるべきである、こういうようなことを提言しておるということでございます。
  202. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 それでは具体的にお伺いしますが、無償資金協力、直接の借款、これは幾ら幾らになっていますか。
  203. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 したがいまして、何といいますか、カラバルソン地域総合開発というもの自体が……(斉藤(一)分科員事業に対して」と呼ぶ)御質問の趣旨が、カラバルソンと呼ばれる地域において我が国がどのような援助をしているかという御趣旨であるといたしますと、例えば円借款は、突然のお尋ねでございますので総額というのはちょっと手元にございませんが、交換公文を締結したというもので申しますと、カラカ石炭発電所に四百四億円、これは八七年、それから同じく六十一億円強、これは九二年にそれぞれ交換公文を締結して円借款を供与しております。それから、バタンガス港拡張計画と呼ばれるものに約五十八億円相当の円借款を、九一年に交換公文を締結しております。無償資金協力につきましては、必ずしもいわゆるカラバルソン計画との直接の関連というもので私は把握しておるものはございません。
  204. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 それでは、この計画に直接関係している丸紅あるいは伊藤忠などの主な企業名を教えてくれませんか。
  205. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 大変申しわけございません。私は、このいわゆるマスタープランを実施いたしました開発調査事業の担当でございまして、個々のこの地域にかかわるプロジェクトあるいは円借款の実施の段階における詳細については、ただいまちょっと資料を持ち合わせてございません。
  206. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 それでは、環境の問題を初め若干お尋ねしたいと思うのですが、まず、火力発電所による大気汚染と健康被害の状況が一つ、ラグナ湖の水質汚濁状況についてどのような認識をされておりますか。
  207. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 カラカ火力発電所につきましては、さきに御説明申し上げました国際協力事業団による調査報告書では、大気汚染問題の解決がプロジェクト実施の前提である、このような提言をいたしておりまして、このカラカ二号機の建設に当たりまして、我が国としても、その大気汚染問題の十分な解決について種々の是正措置を求めております。その先方の努力もかなり評価されるものがございまして、また、住民の理解も得られつつあるということでございます。この具体的な、かつてございましたその被害についての詳細はちょっと今整理したものが手元にございませんので、また後ほど改めて御報告いたしたいと思います。
  208. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 大気汚染の状況あるいは健康被害の状態、水質汚濁の状況ぐらいはしっかり把握して認識しておいてもらわないと困ることですけれども、それではこうした被害に対する補償はどうなっていますか。また、現地では住民運動が行われておりまして、私のところへも何回かお見えになっておりますけれども、その実情について簡単に報告してください。
  209. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 申しわけありません。個別の案件についても私直接の担当者ではございませんのですが、私が承知している限りで申しますと、この被害の状況についても、これは一義的にはフィリピン政府と住民の間の問題でございますが、その被害の実態についてもいろいろと見方あるいは主張の違いもあるようでございます。  いずれにいたしましても、現在私どもが承知しておりますところは、我が国からも大気汚染対策について種々申し入れを行い、フィリピン政府もいろいろな施策を講じ、住民の理解も得られておるということでございます。したがいまして、補償等の問題につきましては、ちょっとそれ以上の情報を持ち合わせてございません。
  210. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 今後のことを聞いたりしているわけではないので、具体的な被害に対する補償はどうなっているとか、住民運動の実情を知らし てくれ、こう言っているので、そういうものに答えてもらわないと時間ばかり食って困ってしまうわけです。今後注意してください。  この計画を決定する段階で環境アセスメントは実施しましたか、また、環境基準といったようなものはどうなっているのでしょうか。
  211. 目賀田周一郎

    ○目賀田説明員 これも別途担当課長から……(斉藤(一)分科員「わからないならわからないと言えばいいんだよ」と呼ぶ)済みません。フィリピンの環境基準は満たしておるというふうに承知しております。
  212. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 そうすると、日本の企業が東南アジア等に進出をして、公害の垂れ流しといいますか環境破壊をしている。こうした公害輸出と言われるようなことについての規制を通産省としては全く関知してないということなんでしょうか、それとも、そうした企業の公害輸出等について一定の指導をしているということなんでしょうか、どちらかで答えてください刀
  213. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 円借款、経済協力関係に伴いますプロジェクトにつきましては、それぞれの地域の環境基準を満たすということが基本的な対応でございまして、具体的にそれぞれの地域で公害問題が生じますと、その地域、当該国政府において調査が行われるということでございまして、円借款関係のものにつきましては、我が国にもそれを通じて情報が入るというのが現状でございます。
  214. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 そうしますと、この種の資金あるいは計画等についてはそれぞれの国の指示に従うといいますか、環境基準等はそれぞれの国の基準をクリアすればいいのだというのが通産省の基本的なお考えでしょうか、それとも、日本における企業はすべて日本の環境基準なり規制を受けているわけですが、最高の水準を目標としてそれぞれ努力していると思うのですけれども、その辺はどっちなんでしょうか。現地のフィリピン政府、この場合はそうですが、それぞれの東南アジアの諸国の環境基準を満たしていればいい、クリアしていればいいんだ、今のお考えだとそういうふうにお聞きできるわけですけれども、それでよろしいのですか。
  215. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 海外における事業活動につきましては具体的な指導があるわけでございますが、やはり第一義的には投資先国の環境基準を満たすということを前提といたしまして、可能であればそれ以上の環境上の配慮を行うということが期待されておるわけでございまして、やはりそれぞれの国の環境に合った環境基準というものがあるわけでございますので、そこが第一義的に満たされているということでございます。
  216. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 先ほど、私は環境アセスメントが実施されたかということをお聞きしたわけですが、環境アセスメントをやったかやらないかも、そんなことはわからない、どうでもいいんだ、こういうことですか。
  217. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 近時、円借款に伴う環境問題が生じておりますので、経済協力基金等から支援を行います場合には、それらのプロジェクトの当該国における環境に及ぼす影響について事前に調査して実施するという体制が現時点においてはでき上がっております。
  218. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 体制ができ上がっているということは、カラバルソンについても行ったということなのか、ここは行わなかったということなのか。質問に答えてくださいよ。
  219. 岡松壯三郎

    ○岡松政府委員 カラバルソンにつきましては、先ほど外務省の担当課長からお話がありましたように、具体的に行われましたのが八七年でございますので、ちょっと正確なものを持っておりませんが、まだOECF等の基金の基準ができる前のことであったかと存じます。したがいまして、その後生じました問題についての追加的な援助が行われたというふうに了解いたしております。
  220. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 それから次に、現在問題になっておりますマレーシアの三菱化成系合弁会社、エーシアン・レアアース、ARE社の放射性物質による健康被害についてお尋ねをいたします。  現地住民の報告によると、七人のがん、白血病患者、二人の先天性障害児、既に四人が亡くなっているということであります。しかし三菱化成側は、被害が出ているとは見ていない、最高裁判所の判決を見守っていると言うだけであります。私も現地の住民から何回か実情を聞きましたし、また三菱化成本社にも出向いてこの辺の事情を聞いたり、あるいは党として要請もしてきたわけでありますが、通産省としてはどのような対応をされたのでしょうか。
  221. 牧野力

    牧野政府委員 簡潔に申し上げますが、まず基本的には、これはマレーシアにおけるマレーシア法人の問題でございます。一九八五年以来住民との間の問題が生じまして、訴訟が提起されたということは承知いたしております。その段階におきまして、通産省としては、この株主でございます三菱化成からいろいろ事情聴取を行いましたし、在外公館等を通じた情報収集に努めてまいりましたし、また、これは一般論でありますけれども、現地の日本の企業が海外に進出して企業活動を行う場合には、環境その他現地住民に対しても十分配慮をするようにという一般的な指導といいますか、働きかけをしてきたところでございます。
  222. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 次に、ODAの関係で質問いたしたいと思うのです。  過日の会計検査院の報告によりますと、政府開発援助の効果は十分発現していないという指摘をされております。これは相手国に会計検査院の検査権限が及ばないため、そういう理由も書かれているわけでありますが、恐らくそういう制約がなければ、数多くの疑問なりむだ遣いといったようなものが指摘をされたはずだと思います。実際にはODAが乱開発あるいは自然破壊につながる例が大変多いわけでありまして、相手国の国民生活に役立っているというよりは、全く一部の特権階級を利する結果になっているということがいろいろなところから指摘をされておりますし、私も現実的にはそうではないかというふうに考えておりますけれども、こうした問題について、大臣、どのような見解をお持ちでしょうか。
  223. 森喜朗

    ○森国務大臣 ODAの実施に当たりましては、発展途上国におきます環境と開発の両立が重要であるという認識を当然私どもとしてはいたしておりまして、先般策定をいたしました政府開発援助大綱においても、その重要性が明記をされておるのは御承知のとおりでございます。  このような認識のもとに、対象プロジェクトの実施に伴う環境への影響等について慎重に審査を行ってきております。すなわち、OECFやJICAにおいて環境配慮のためのガイドラインを作成し、これに沿って審査を行う等種々の努力を行ってきておるところでございます。  こうした対応が重要であることは当然として、私は、現下の最大の課題の一つでございます地球環境問題の解決を図るためには、発展途上国が積極的に環境改善に取り組むことが必要であるという認識を持っております。しかしながら、発展途上国におきましては、追加的コストを要する環境対策の円滑な実施には困難を伴うことが多いということから、当省といたしましても、我が国官民の有する環境技術を利用して、発展途上国のエネルギー環境問題に対する自助努力の支援を行うグリーン・エイド・プランを積極的に推進いたしておるところでございます。  今後とも、発展途上国におきます環境と開発の両立に資するようにODAを推進し、国際的な貢献を果たしてまいりたい、このように考えております。
  224. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 朝日新聞にも記事が載っていたのですが、日本国際ボランティアセンターの柴田さんという方の記事であります。「日本のODAは、道路や火力発電所など経済基盤整備の割合が高く、」「被援助国の中の地域格差を助長している。」「途上国は、プロジェクトの起案能力は低く、現地に進出している日本の企業が代替している例に事欠かない。」「援助理念を考え直すべき時期だ。」私もこの方の認識と全く一緒でありますけれども一つにはこうした援助が地域格差を助長している。といいますと、きれいごとに聞こえるのですが、火力発電所をつくったり道路をつくったりダムをつくったりする中で、農民なり漁民なり一般の住民が追い出されていくというような事態も起きておりますし、発展途上国にこうしたプロジェクト等ができることによって地域格差が大変大きくなるという問題、そして何よりも、ここで言われているように「途上国は、プロジェクトの起案能力は低く、現地に進出している日本の企業が代替している」のではないか、ほとんどそうだと私は思うのですね。  そこで、先ほど来お話がありますけれども環境基準なりアセスメント制度なり、そうしたものはその国の発展途上国の水準に合わせているんだということ、日本の進出企業にとってはこんなうまい話はないんですよ。日本では公害のたれ流しができない。しかし、途上国に行ってそういったれ流しをどんどんやっていく。それが今ODAの一番本質的な問題になっているのではないかという気がしてならないわけであります。ですから、日本の政府と相手国の政府、そして日本の企業三者でプロジェクトをつくり、資金をそこへ落とし、そしてその企業が利益を上げている、一番被害を受けるのは住民だけ、だからこそそういう現地の地域の住民から厳しい抗議なり批判なりが出て裁判ざたになっているわけですけれども、そういう事態が発生してくる。公害が発生して被害者が出ると、企業は、今裁判中ですから裁判の判決が出るまでは何とも言えません、見守っていきます、うちは公害を出しておりませんと言う。  水俣のときもそうだったのですよ。水俣病が発見されたときに私はチッソの本社へ何回も行きました。患者と一緒に座り込みもやりました。三十八年たちました。いまだに水俣病患者の救済が解決されていない。最後はそこへ行くのですよ。四十年たってもこうした被害が解決できない。そういうことを通産省として各企業を指導する立場にあるわけですから、特に海外進出の公害たれ流し企業に対する規制、指導をもう少しきちんとしてもらいたい。  環境基準については先ほど言ったとおりです。むしろ、日本の環境基準をクリアできるようなそうした環境対策をやるべきじゃないですか。すべての国に環境アセスメント制度があったり、環境基準や水質や大気の厳しい基準があるわけじゃないでしょう。ないところへ行ってそこの国の基準に従うんだというようなことでいいんですか。最後の部分だけ大臣、今後どうしたらいいのか、ちょっと見解を聞かしてもらいたいと思います。
  225. 森喜朗

    ○森国務大臣 ODAのこうしたプロジェクトがたくさん進展する中で、予算委員会の本委員会でもこうした問題が貴党の委員からも指摘をされておりました。やはり基本的には、海外進出企業に対して、現地の基準とは別に例えば我が国基準を一方的に遵守するように求める、こういうことは実際上はなかなか困難な点が多いと思います。それにもう一つは、相手国の主権とも絡み、そういう意味でもやはり困難な問題があると思います。しかしながら、公害対策先進国であります我が国の企業はすぐれた公害対策技術と経験を持っているわけでありますから、その技術を生かして現地の環境保全に貢献するということもやはり期待されているわけでございます。  そういう意味で、これまでいろいろな経過を経ながら、経済界におきましては、八七年に経団連等におきまして海外投資行動指針を策定しております。また、九一年四月には、経団連が策定した地球環境憲章というものもございます。こういうものが一つの指針となって、海外進出に際しての環境配慮事項を詳細に明らかにし、各企業がこれに取り組むように促しているわけでございます。  また、私ども通産省としましても、八九年五月に産業構造審議会におきまして策定されました「海外事業展開に当たって期待される企業行動」、ガイドライン十項目ございまして先生御承知だと思いますが、これに基づいて、投資先国での環境問題について十分配慮するように我が国企業に対しまして周知徹底を図っているわけでございまして、今いろいろと御指摘ございましたことが今後はないように、今後とも機会あるごとに働きかけを行っていきたい、こう考えております。
  226. 斉藤一雄

    斉藤(一)分科員 ぜひ努力していただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  227. 松永光

    松永主査 これにて斉藤一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、森本晃司
  228. 森本晃司

    森本分科員 二十一世紀のエネルギー事情を考えるとき、さらにまた、このかけがえのない私たちの地球を守る地球環境の保全、こういった角度から考えてみますと、省エネルギーを進めていく必要があるのではないかということを痛感するところでありますし、同時に、都市のセキュリティーあるいは都心部の電源確保の観点からコジェネを大いに推進すべきである。私も商工委員会におりましたときに、コジェネを進めている事業所をいろいろと視察したり、またそれに基づいて委員会等々で推進方の質問をさせていただいた次第でございますが、現在の普及状況はどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。
  229. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 お尋ねのコジェネの導入状況でございますけれども平成四年三月末現在におきまして、平成三年度の末でございますが、これは日本コージェネレーション研究会の調べてございますけれども、導入件数が千三百件、発電の方の規模から申しますと二百二十五万キロワットに達している、こういうことでございます。
  230. 森本晃司

    森本分科員 今の二百二十五万キロワットというのは大体全体の一%になるのではないかと思うわけでございますけれども、この状況で通産省、エネ庁としては順調に進んでいると見ているのか、それとももっともっと推進しなければならないと考えておられるのか、この現状をどう見られるかお伺いしたいと思います。
  231. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 おっしゃるとおり、大体発電規模が一%ぐらいになるわけでございますけれども、先ほど先生おっしゃいましたように、省エネルギーの要請というのは地球環境問題等との絡みにおいてますます強まっているわけでございます。そういうことから私どもコジェネの推進には一層力を入れていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  232. 森本晃司

    森本分科員 コジェネを普及させていくという場合に、二つの要素が考えられるのではないかと思うのです。一つは余剰電力の買い取り価格の問題、それから、二つは特定供給の拡大の方式、この辺がコジェネが普及するかどうかというキーを握っているのではないか。  そういった点から考えてまいりますと、平成四年三月から余剰電力の買い取りメニューが電力会社から公表されましたが、ごみ発電やコジェネから買い取っている状況はどのような状況に今なっているのか、また、電気事業審議会では、余剰電力の買い取りの実効が上がらなければ適切にフォローアップすることと言っておりますが、どのように対応していくのか、お答えいただきたいと思います。
  233. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 先生今御指摘ございましたように、昨年の四月から、電力会社において余剰電力を購入しようということでいろいろなメニューを発表しているわけでございます。お尋ねのごみ発電につきましては、ただいま現在で五十六件の購入実績がございます。ごみ発電自体をやっておりますのが百十ぐらいございますので、全体の半分ぐらいという感じになろうかと思います。ちなみに、五十六件のごみ発電施設で電力会社に売っている部分が大体四割強あるというのが現状でございます。全体のごみ発電の規模から申しますと、三割ぐらいが電力会社に余剰電力として売られている、こういうことでございます。  それから他方、コジェネにつきましては、これまでのところはまだ電力会社との間で買い取りについての実績はございません。現在買い取りについて協議を行っているものはあると聞いておりますけれども、今までのところはまだ実績はございません。
  234. 森本晃司

    森本分科員 余剰電力を買い取る場合に、安定電力、不安定電力というふうに分けて、それぞれ余剰電力の購入価格が決まっていっているようであります。今、コジェネからの実績はないという御答弁いただきましたけれども、これはやはりその辺の価格設定に問題があるのではないだろうか。さらに、推進していく場合に、購入メニューの高低がコジェネ普及のインセンティブになってくるのではないかということを考えますときに、余剰電力の買い取り価格はどのようにして決定されたのか、それから同時に、合理的な設定がコジェネの普及のためには欠かすことのできないことではないだろうかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
  235. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 余剰電力の購入単価の問題でございますけれども、今先生指摘のようなごみ発電あるいは従来型のコジェネにつきましては、電力会社がその電力を買うことによっていわば回避されたコスト、こういう意味で火力発電の費用ということで購入するというのが現在の基本的な考え方のように承知いたしております。その場合に、今先生おっしゃいましたように平日の昼間の安定的な電源であれば、これはあらかじめ電力会社としても自分の発電所を動かさないでそれを安定的に供給を受けられるという確信があるわけでございますから、そういう意味では火力発電の固定費と変動費を両方見てということで、大体今の状況では、電力会社の若干の違いがございますけれども、キロワット当たり約十一円、ただ、安定的な電源がない場合スポット的に来るということになりますと、電力会社としてはやはり自分の発電所を動かすか、動かさないかというところで確証はないわけでございますので、そういう意味では変動費を見るということでキロワット当たり約四円、こういうことになっております。  それで、先ほど、コジェネについて購入実績がないということなんでございますけれども、これはいろいろな原因があろうかと思います。これまでのコジェネの現状を見ますと、先生もよく御承知のように、このコジェネの場合には大体熱需要と電力需要の適切な組み合わせが必要なわけでございますけれども、どちらかというと熱需要を中心に、かつ季節により、あるいは一日の中でも時間により変動するいわばベースの部分というのをコジェネで賄っているというのが現状でございまして、そういう意味から、大量の余剰電力というのはなかなか今まで発生してきていないというのもまた大多数のケースであろうかと思うわけでございます。  ただ、今後いろいろなケースが出てくると思いますので、先ほど、電力会社で今協議中のものもあると申し上げたわけでございますが、そういうことで余剰電力の申し出があったのにもかかわらず買わなかったというよりは、そういう現実の余剰電力の発生の度合いがなかったという点も非常に大きいわけでございまして、したがって、今後のそういったコジェネの動向等も見ながら、しかも、このメニューというのが先ほど申し上げましたように約一年前に公表されたわけでございまして、もう少しこの状況を見てまいりたいというふうに考えているところでございます。
  236. 森本晃司

    森本分科員 先般の商工委員会で審議されましたエネルギー需給構造高度化のための関係法律の整備に関する法律案において、環境調和型エネルギーコミュニティーでエネルギーのカスケード利用を取り上げている点につきましては、私も大いに評価をするところであります。  そこで、その中に大規模コジェネレーションを組み込んだ地域冷暖房がありますが、そこから発生する余剰電力はどうされようとしているのか伺いたいと思います。
  237. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 これはどういうプロジェクトから出てくるかは今後の話でございますけれども、今おっしゃいました余剰電力が出てくるというようなケースの場合には、先ほど申し上げましたような形で電力会社が引き取ることは可能、こういうふうに考えております。
  238. 森本晃司

    森本分科員 私も、新宿等々も含めて都心部ではこういった地域冷暖房がこれから普及されていくと思いますし、また、しなければならないと考えるところであります。その余った余剰電力、今のお話でありますと逆潮流で買うという形を今とっているわけでありますが、今の購入メニューでコミュニティーの事業者は採算がとれるものなんでしょうか、どうなんでしょう。そうでないと、事業者はこの地域冷暖房というすばらしい事業になかなか積極的に取り組もうとしないわけですが、どう考えておられるのか。
  239. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 事業の採算性という面から申しますと、先生コジェネについては非常によく御存じでございますけれども、固定費の負担というのが非常に大きいわけでございます。特に、今般考えておりますNEDOの事業として行う大規模コジェネの補助事業というのは、いわばモデル事業として行うわけでございまして、従来のコジェネというのがどちらかといえば、ある意味で例えばホテル一軒とか個別の単体としてのコジェネということでございますけれども、今後考えておりますのは、複数の需要家というものを統合して、かつ熱と電気の組み合わせで、個別の単体の需要家ですといろいろな差があるわけですけれども、できるだけ効率的にそれを組み合わせて大規模なものにしていこう、こういう考え方でございます。  そうなりますと、もちろん、余剰電力が発生した場合という問題もございますけれども、やはり固定費の負担、特に固定費の中でも導管のコストというのが大変大きなウエートを占めてくるわけでございまして、そういう観点から、私どもといたしましても、そういったものに対して今回一五%の補助というものを来年度の予算において要求させていただいているわけでございます。そういう前提の中で余剰電力が仮に発生いたしました場合には、先ほど申し上げましたような電力会社の購入方針に従って対応していけるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
  240. 森本晃司

    森本分科員 固定費の負担が大きくてなかなか採算的に合うものではないという御答弁でございましたけれども、それでは環境調和型エネルギーコミュニティーというのはなかなか普及しないのではないかと思うのです。そこで、一五%の事業費補助を行うというふうなお話でございますが、これは金額にしていかほどのものなのか、そのスキームはどうなっているのか、お伺いします。
  241. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 事業費補助のスキームの詳細につきましては、今後、予算が成立しました段階で補助金交付要綱等で定めていく予定でございますけれども、基本的なスキームは、NEDOが公募等によりまして案件を採択いたしまして、事業者に対しまして設計費、工事費を対象として一五%の補助率で補助金を交付していこうと考えているところでございます。  なお、この事業は、先ほど申し上げましたけれども、従来の単体コジェネというよりはモデル事業として大規模なものを考えていこうということでございまして、それによって一層省エネ効率を上げていこうと考えているわけでございますが、当然、モデル事業でございますので、事業のノウハウとかデータなどをNEDOにフィードバックすることによりまして、その後に同じようなことをやる事業者に対しましても役立つように適切に誘導してまいりたい、このように思っております。
  242. 森本晃司

    森本分科員 そこで、今は事業費の補助システムという形になっているわけですけれども、毎年多額の金でございますから、補助金が停止されるという形になりますとこの事業も終息してしまう可能性があるのではないだろうか。事業者にとりましても、この補助金は一体どれほどまで続くのだろうかという気持ちがあるのではないかと思うわけです。いろいろな角度から見まして、この事業に永続性が要求されなければならないと考えるわけでございますが、大臣、その辺はいかが考えていらっしゃるか、お答え願いたいと思います。
  243. 森喜朗

    ○森国務大臣 森本さん、大変御専門家でございますから、私の方からお答え申し上げるのも何か先生に物を言っているような気がしてお答えしにくいわけでありますが、今先生と長官との質疑を私も伺っておりまして、今後の省エネルギー対策といたしましては、地域の特性に応じたコジェネレーション、ヒートポンプ等の活用により、熱エネルギーの利用を高温域から低温域にわたる各段階において有効に利用するエネルギーシステムの整備を促進することが極めて重要な課題だと承知をしております。  他方、こうした省エネルギー型のエネルギー供給システムの整備に当たりましては、熱を融通するための導管の敷設コスト等の経済性の問題、設計画、工事面でのノウハウの不足等の課題の解決を図ることが重要であろうと認識しております。また、こうしたシステムの普及が進んでいくためには、エネルギー供給の安定性、需要と供給の適切な組み合わせ等に十分な配慮が払われていくことが必要であろうと思っております。  このため、通産省といたしましては、これら省エネ型のエネルギー供給システムに係る先導的な事業を支援することとして、平成五年度予算におきまして、環境調和型エネルギーコミュニティー形成促進事業約五十億円を計上いたしておりまして、また、NEDOがこれらの先導的モデルシステムの支援を行い得るように、今国会に所要の法改正案を提出しているのも御承知のとおりだろうと思います。  その他、これらシステムの普及促進につきましては、従来から金融、税制上の支援措置を講じてきているところでございますが、今後、これに加えまして、NEDOを通じて行う先導的な事業への支援によりまして得られる経験、ノウハウを今後の事業に適切に活用することによりまして、供給の安定性とともに経済性も備えた省エネ型エネルギー供給システムの整備に努めてまいる所存でございます。
  244. 森本晃司

    森本分科員 いずれにいたしましても、この環境調和型エネルギーコミュニティーはぜひ推進をしていかなければならないものでありますが、同時に、これは永続性のあるものでなければならないと思っております。ぜひ二十一世紀のエネルギーのために、この問題についてはよき施策を進めていってもらうことを望むものであります。  次に、同じように環境の視点から自動車の点についてお伺いをしたいわけでございます。  先ほども申し上げましたように、この地球環境を私たちは守らなければならない、同時にまた、今ディーゼルエンジンの問題、自動車等々を大変規制していかなければならないということであります。それにかわる自動車をこれから大いに開発していかなければならない。我が党の環境展では、時には電気自動車や太陽自動車等々をお借りいたしまして多くの皆さんの意識を高めているところでございますが、通産省で、低公害車の普及という点でエコ・ステーション二〇〇〇計画というのを出されました。二〇〇〇年までに二千カ所のガソリンスタンドで、ガソリン、軽油のほか、CNG、メタノール、電気等のエネルギー供給が可能な体制を整備すべきであるというわけでございますが、その見通しと、とりわけ環境対策車としての効果が大きい天然ガス自動車の普及見通しをどう考えておりれるのか。最近、大型自動車等々に天然ガスを利用した自動車がどんどん開発されつつあるように私たちも伺っておりますし、実際その車を見せてもらったりしているところであります。しかし普及が非常に難しいわけでありますが、天然ガス自動車の普及によるCO2、NOxはどの程度の低減になるのか。まず、その点についてお伺いしたいと思います。
  245. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 幾つかお尋ねがあったわけでございますけれども、まず、エコ・ステーション二〇〇〇ということで、ただいま先生おっしゃいましたように、私どもいろいろな低公害車と言われるもの、天然ガス自動車、電気自動車、メタノール自動車といった低公害車の普及を図ることが重要な政策課題でございまして、そういうことから、実は車自体の開発の問題と車に対する燃料補給体制の整備は、ある意味で鶏と卵というような感じになるわけでございまして、車がなければネットワークは要らないわけですし、ネットワークがなければ車が進まないということになるわけであります。私どもといたしましては、そういった実用的な低公害車の開発とあわせまして燃料補給体制を少しずつ整備していこう。今先生おっしゃいましたように、気持ちとしては二〇〇〇年に二千カ所ぐらいというものを持っているわけでございますけれども、来年度の予算の中では八億五千万円の補助金を要求いたしまして、電気自動車の電気の充電設備であるとか、天然ガスあるいはメタノール車といったものに対する燃料補給体制を二十カ所程度整備しようということで、予算を要求いたしているところでございます。  こういう中で、今天然ガス自動車についてのお尋ねでございますけれども、天然ガス自動車につきましては、現在、都市ガス業界を主体といたしましていろいろな研究開発等も進められておるわけでございまして、昨年十二月時点でございますけれども、七十三台というのが現状でございます。将来の普及の見通しというのは非常に難しい。先ほどの鶏と卵の問題もございますし、それから、例えば天然ガス自動車につきましては、先ほど先生公害の点の御質問があったわけでございますけれども、試作されましたバンタイプのCNG自動車の一例でございますが、実はまだ試作段階なものですから一例ということでお聞き取りいただきたいと思います。炭酸ガスの排出量は、例えばガソリン車に比べまして約三割減少する、それからNOxの濃度はガソリン車の規制値の約二十分の一といったすぐれた低公害性を有しているというデータがございます。ただ、一方で天然ガス車の場合、今までの試作の段階では一走行の距離というのが短い。百キロから二百キロといったようなところが今の状況でございますし、あるいはまた、その天然ガスの充てんのボンベが非常に大きなものになってしまうものですから、それにスペースをとられてしまうといったような問題、いろいろ技術的に解決しなければならない問題も一方にあるわけでございます。  そういうことで、そういった面も進めながら、かつ、モデル事業といたしまして今申し上げましたようなエコステーション二〇〇〇というような考え方に従いまして、私どもとしても、燃料補給体制をモデル的にやってみたらどうかということで今申し上げましたような予算を要求しているところでございます。
  246. 森本晃司

    森本分科員 低公害であると言われているけれども、先ほどお話がありましたが非常にガソリン車と比べて少なくなっているわけでございますが、やはり何といっても走行距離の問題点があるかと思います。私、その乗用車を見まして、距離はどれほど行くのか、ボンベが今のままのボンベで安全性の面はどうだとか、いろいろ聞いてみたわけでございますけれども、タクシーに利用できるかというとなかなかタクシーに利用できない。そういった点で走行距離の問題点がある。しかし同時に、先ほど卵か鶏かという話があるように、天然ガスの供給地域というのは極めて限定的でもありますし、本格的に普及していく場合にその供給体制をどのように考えるのか。また、今後全国的なエコステーションを実現する上からも、極端に申し上げますと全国的にそういった天然ガスパイプラインを設置していく、そういった供給体制が必要となってまいりますが、今どのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  247. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 大変難しい問題、長期的な問題でございますけれども、今おっしゃったような需要ももちろんあり得ると思いますし、それから、例えば全国的なパイプラインということになりますと、現状では天然ガスの需要というのは大体電力が四分の三、それからガスが四分の一近く、その他一般産業用というのが需要の構成でございますけれども、全国的なパイプラインということになりますと相当なコストがかかるわけでございますし、そういう意味で需要がどれだけついてくるかという、これまた鶏と卵の議論かもしれませんけれども、そういう面もあろうかと思います。  ただ、そこまで遠大な構想にいく前に、やはり今申し上げましたように徐々にモデル的に進め、また既存のLNG基地であるとか、あるいは既存のもう少し小規模の天然ガスのパイプラインにつきましては、天然ガスの供給基盤の整備という意味で、私どもも税制面あるいは金融面でいろいろな助成を講じているところでございまして、今後の動向につきましては、今申し上げましたような低公害車の普及の状況とか需要地域の問題であるとか、いろいろな点をよく見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
  248. 森本晃司

    森本分科員 天然ガス自動車を普及する場合、今度はその充てん所を設置する場合に、今いろいろと金融あるいは税制上の措置があると言われましたが、同時に、単独事業者が設置する場合今のところは何の補助もないわけですが、この必要性についてどのように考えられますか。
  249. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 先ほど申し上げましたエコステーション二〇〇〇の計画、来年度は二十カ所を考えているわけでございますけれども、その中では充てん設備等についての補助をやっていこうというふうに考えているわけでございます。初年度ということでそれほど多くの数ではございませんけれども、先ほど申し上げましたようにまずモデル的にスタートさせていこうということでございまして、御理解を賜れればと思う次第です。
  250. 森本晃司

    森本分科員 最後に大臣にお尋ねしたいわけでございますが、大変な不況の中、同時に円高という状況に入ってまいりました。しかし、円高には円高のメリットがあるものでございまして、円高差益というのが出てくるわけでございます。今、円高差益を還元せよという要求が非常に高まっておりまして、各界からいろいろな声が上がり、またそれに反論する声等々も上がっているわけでございますけれども、円高差益というのはおのずと消費者に還元されていくべきものだ、私はこのように考えているわけでございます。  通産省として、この円高差益の問題について、輸入品流通を指導されるというのもけさの新聞に載っておりましたが、どのように取り組まれていくのか、お伺いしたいと思います。
  251. 森喜朗

    ○森国務大臣 委員御承知のように、一般に円高によりまして輸入原材料等の円建ての価格低下を通じて差益が発生することが考えられるわけでございます。しかしながら、円高差益が実際に発生するためには、ある程度の期間円高が継続する必要があります。その上、原油等原材料の国際市況の動向等によっては、これらの円高差益が相殺されてしまう場合も出てくるわけでございます。  なお、実際に差益が発生した場合、その波及の効果を通じ物価の安定に寄与するものと考えておりますが、その波及には相当の時間を要するものと考えられます。  いずれにいたしましても、当省といたしましては、今後の為替レートの動向を踏まえて差益の発生等を十分に注意していかなければならぬと考えております。  基本的には、円高が日本の国の経済にとって大変足腰の強いものになるというふうに考えておりますが、昨今のこの急激な伸びといいますか、これはやはり思惑等によるものでございますし、やはり今の段階では、もちろん円高になった場合どういうふうになるのかということは、これは事務的には対応するように内々の準備をすることは当然だろうと思いますけれども、現在これを肯定してしまうということは、やはり私どもとしてはそういう立場をとり得ないわけでありまして、特に今景気の回復が至上命令でございますし、そのためにはこうした急激な円高というのは景気回復の足を引っ張るということになりますので、現段階では、この円高定着を前提にした議論というのは今はまだ時期尚早だというふうに私は考えております。
  252. 森本晃司

    森本分科員 質問を終わります。
  253. 松永光

    松永主査 これにて森本晃司君の質疑は終了いたしました。  次に、渋谷修君。     〔主査退席、松前主査代理着席〕
  254. 渋谷修

    渋谷分科員 最初に、大店法にかかわる問題について御質問を申し上げます。  日米構造協議の議論の過程でも随分大きな話題になりましたアメリカからの企業でありますトイザらスですが、この出店状況については事前に資料どもいただきましたが、全国的な展開を引き続き図っているようであります。このトイザらスにつきましては、もちろん大店法に基づいた調整が行われまして、それぞれ出店が行われているわけでありますけれども、その出店に当たりましては大店法七条で、他の大型店もそうでありますが、その出店によってその地域の中小小売業者の事業活動に影響を与えるおそれがあるかないかを審査した後、手続を踏むわけでございます。そういう意味で申し上げますと、トイザらスの出店後のこの地域の中小小売業者に与えておる影響、とりわけトイザらスの場合はいわゆる今までのスーパーといったものとはちょっと性格が違いまして、玩具、おもちゃにいわば焦点を絞りまして、その専門店という形で展開するわけでありますから、いわゆる一般の大型店とはどうも性格が違うわけですね。そのことは後でやりとりを若干したいと思いますが、いずれにしてもこのトイザらスの出店後の地域への影響、あるいは同業種、中小玩具販売店、そういう業者に対する影響というものは、通産省の方としては調査をしているかどうか、お伺いしたいと思います。
  255. 細川恒

    ○細川政府委員 お答えを申し上げます。  まず、トイザらスの出店状況を簡単に申し上げてから申し上げた方がいいと思いますが……(渋谷分科員「いや、出店状況はいいです。結構です。」と呼ぶ)  そうしますと、トイザらスの出店地域での地元専門店への影響という御質問であろうかと思いますが、必ずしもすべての状況を把握しているわけではございませんけれども、既に開店後相当の期間を経過いたしております店が三店ございまして、その周辺地域について見ますと、当初は多少の影響があったように見受けられますが、地元専門店の自助努力等によりまして、徐々に客足も戻ってきておるというふうに私どもは聞いております。
  256. 渋谷修

    渋谷分科員 私の方で聞いておりますのは、この店舗の展開によって中小の玩具店に対する影響が、売り上げも含めて大分出てきているというぐあいに聞いているわけでありまして、通産省の方は、それは具体的に、例えばその周辺の玩具店から、前年との比較の売り上げの数字であるとか、あるいは具体的にその業界団体の方から統計をとって今のようなお話になっておりましょうか。
  257. 細川恒

    ○細川政府委員 具体的数字を私どもが直接調査をいたしておるわけではございませんけれども、関係の地方公共団体等と連絡をとっております。その総体的な調査の結果、調査といいますか地方公共団体との接触の結果でございます。
  258. 渋谷修

    渋谷分科員 ぜひこれは要望なのですが、中小の玩具店、業界もあるわけですから、組合もあるわけですから、そちらの方に協力を要請して、それから出店した地域の中小玩具店の状況を早急に、つまり出店後の影響度調査についてはフォローするべきだと思うのです。大店法というのは、基本的にはそのおそれがあるかないかということについて一定の審査基準に基づいて審査を行ってもちろん出店しますけれども、その調整が周辺のそういう業者に対して本当に影響があったかどうかということは、後でフォローしてみないとわからないのですね。  もしそれが大変大きな影響を与えているとすれば、今後トイザらスはさらに展開をしていくわけでありますから、そういう新たに展開する地域での調整にそれを反映させていく、これは当たり前のことだと思うのですね。もう一度お伺いします。
  259. 細川恒

    ○細川政府委員 大店法の施行が円滑に、かつ適切に行われるべきであることは当然でございまして、今後も大店法の施行につきましては、引き続き意を用いてまいりたいと思います。
  260. 渋谷修

    渋谷分科員 そのことをお伺いしているのではなくて、影響度調査をやるかどうかという話を聞いているのです。話としては簡単でしょう。  特にこの場合は、一般的に大型店が出てその店舗面積を調整するというのが大店法の基本的な精神になっているでしょう。それはなぜかというと、個々の業種ではなくて、その総合的な店舗の大きさによって周辺の商店街に対する影響度を審査するわけですね。その審査の中で、店舗面積をどうするか、あるいは年間の休日日数をどうするか等々、調整四項目というのがありますけれども、ところがトイザらスというのは、おもちゃ屋さんということだけで専門店化して出店をするわけですから、これはもうはっきりしておるわけです。中小の周辺の玩具販売業者に対する影響というのは非常に調査しやすいのじゃないですか。調査する考えがあるかどうかということを聞いているのです。
  261. 細川恒

    ○細川政府委員 先生御存じのように、大店法は、出店に当たりまして事前の調整をする、そのために必要な基準を設けまして検討をいたした結果、出店が認められているわけでございまして、個々の問題についてどうするかということにつきましては、先ほどお話がございましたように、個々のケースで看過しがたいものがあるかどうか、そういうことを含めまして、今後引き続き適切な法の施行に努めたいと思っております。
  262. 渋谷修

    渋谷分科員 この話で余り長くやるわけにいかない。三十分しか時間がないのですから、何とか御協力をお願いしたいのです。  これは、大店法で調整をしたけれども、その大店法の調整の内容が本当によかったかどうかということは、事後調査しなければわからぬでしようと言っているわけです。大して金もかかる話じゃないでしょう、業界団体に協力を求めてやればいい話ですから。事後調査をやるかどうかということだけお答えください。
  263. 細川恒

    ○細川政府委員 トイザらスは、御存じのように子供用品全体でございまして、必ずしもおもちゃに限っているわけではございませんが、必要に応じて引き続きその実態を確認してまいりたいと思います。
  264. 渋谷修

    渋谷分科員 審議官、日本語になってない。事後調査をやるかどうか、そんな大して金のかかる話ではない。  大店法を所管している立場でいえば、しかも例えば中小企業庁の立場でいえば、国内の中小小売業者の立場でいえば、そういう中小企業者が苦境に陥る、あるいは転廃業がこれからどんどん出てくるというのは困ることでしょう。そういうことがないように、しかし一方では、実際の自由主義経済の中でいえば、市場の中で新たな参入者がいて、それが余り激烈なそういう影響を与えないような形で調整をしていこうというのが、そもそも大店法は中小小売業者の事業活動の機会を確保しようという考え方でこの法律がつくられているわけですから、大店法の基本的な考え方は。とすれば、フォロー調査をしながら、そういうことがないように、あるいはそのフォロー調査の結果を次の調整に生かしていくというのは当たり前の話じゃないですか。  もうこんな議論はやめましょう。あなたの答弁、それを最後でおしまいにしてくれないと、これだけで三十分終わってしまいますよ。
  265. 細川恒

    ○細川政府委員 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、出店後のことにつきましては、法の施行という観点で適切に行われているかどうかということを引き続き見ていきたいと思っております。
  266. 渋谷修

    渋谷分科員 大臣、これは何も実はトイザらスだけじゃないのですね。ほかの問題でもそうなのですが、大店法で一定の調整をやる。今度は地元の商調協じゃないのですから、上の審議会というところに上げて、ここにいわば学識経験者その他を入れて議論をやるのですね。その意味では、アメリカから言われている透明性とか公正性とか、これは通達の中にも出ているけれども、それも明らかにしながら、そして行われた調整が、これは地域の例えば今までやってきたそういう商調協という手続をなしでやるわけだから、ある意味では非常に権威のあるものでなければいけないし、と同時に、そのことについてはきちんと大店法の趣旨に沿った形での調整が行われているかどうかのフォローアップはしなければいけないと思うのですね。  これは、実は今までは通産省ではやってないのです。私は何度か指摘したことがあるのですが、やってないのです。これは当然やるべきですよ。今やりますなんということは当然言えないでしょうから、これは改めてそういう意味でのサンプル調査を幾つかしていいですよ。何もトイザらスだけの話を言っているわけじゃないのです。他の大型店の出店問題でもそうなのですが、これから非常に大きな店舗が出るケースだって考えられるでしょう。あるでしょう。そういうものについては、その周辺に対する影響度調査というのはするべきだ、そういう予算措置をとって僕はやるべきだというぐあいに考えているわけです。これはぜひ御検討いただきたい。
  267. 細川恒

    ○細川政府委員 今先生お話しいただきましたように、トイザらスに特定した形で事後調査ということは適当なことではないと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、改正大店法の施行ということで、一般的な意味におきまして適切な施行が確保されますように、今後も引き続き努力をしたいと思います。
  268. 渋谷修

    渋谷分科員 余り長くやるつもりはなかったのですが、相模原のトイザらスは出店のときに、あそこは国道の十六号線がありまして、大変な渋滞を招いたのです。相模大野から相模原駅までバスで大体三十分くらいのところなのですね。このトイザらスの出店によりまして、バスが相模原の駅まで行くのに三時間かかったのです。このバスは市内を回遊するのです。この路線のバスが全部ずたずたになってしまいました。  今度の新しい通達では、少なくともこの法律の運用に当たって、皆さんの方からこの大型店の出店に当たっては「地域経済社会との調和等の観点にも十分配慮して慎重に行うこと」というぐあいに言っているでしょう。地域経済社会にこれだけの大きな影響を与えるということについて、通産省としては想定し、あるいはそういう問題が起こった後、例えばトイザらスを呼んで、そういう問題を解決するためにどういうことを考えているかということを聞いたことがありますか。
  269. 細川恒

    ○細川政府委員 トイザらスに限らずでございますけれども、特定の場合に、今お話にございましたような一部地域におきまして影響が出ているということは私どもも承知をいたしておりますが、今後の一つの課題だと思っております。
  270. 渋谷修

    渋谷分科員 大臣、このことはひとつそういう意味で御理解いただきたいと思うのです。大店法という法律だけでは、こうした問題の対応はもう限界にきているということを実は指摘しているわけでありまして、トイザらスが相模原で出た地域は住居地域、これは都市計画法の方の話でありますが、用途地域でいいますと住居地域に突然トイザらスが出て周辺に対するいろいろな意味での影響を与えている。アメリカだったら考えられない話でしょう、これは。アメリカの方がゾーニングが物すごく厳しいですよ。大型店が勝手に出るなんということはできないし、出る地域は限られているし、建物の例えば高さであるとか色であるとか、あるいは駐車場の問題であるとか、物すごい厳しい規制をするじゃないですか。日本は立地の規制もできません。どこかへ出るといえばそれまでの話です。それで大店法で、あとは調整四項目という調整だけやって出てしまうのです。それで周辺にこういう影響を与える。  これは、正直申し上げて通産省だけでは無理ですね。大店法のことについては、もっと根本的に来年くらいに見直しをすることになっているのでしょう。見直しをするのだったら、ただ単にアメリカの言うなりで規制緩和するという話じゃなくて、まさにアメリカの立地規制、ゾーニング規制、これとその意味では歩調を合わせるような形で考えてもらうことが必要なのじゃないですか。このやりとりをしていましたらもう時間がなくなってしまいますから、一つの考え方として申し上げておきます。  去年法律ができまして新しい通達を出していますけれども、大店法の一部改正が行われまして、その後大店法という法律は、これまでもそうですが、政省令それから膨大な通達を出して運用されているわけですが、ここに入っている通達ですべてですか。その後、去年新しい通達などは出ていませんか。
  271. 細川恒

    ○細川政府委員 お持ちの本そのものですべてでございます。
  272. 渋谷修

    渋谷分科員 去年の十二月十七日付で政策局流通産業課の名前で、各通産局の商工部大店法担当課等に対して「事前商調協終了案件の取扱いについて」という文書が出ていますね。この文書は一体何を意味するものなのか、これはどういう性格のものなのか、お答えいただけますか。
  273. 細川恒

    ○細川政府委員 十二月の書類につきましては、大店法の運用に当たります地方通産局及び関係地方公共団体に対しますものでございまして、対外的な、第三者といいますか、出店を意図する企業に対するものではございません。
  274. 渋谷修

    渋谷分科員 出店を意図する企業に対してのものではないと今おっしゃいましたね。翌日に大型店を呼んでこれを説明しているでしょう。
  275. 細川恒

    ○細川政府委員 全体を把握いたしておるわけではございませんので、必ずしも確たる答えをここで申し上げることはできませんけれども、一部推察が入りますが、私どもの関係の協会であるいはそれを説明したということがあるかもわかりません。
  276. 渋谷修

    渋谷分科員 意味が通じていませんよ、審議官。  先ほど、この法律が改正され出された通達以降、通達は出していないとおっしゃったでしょう。この文書というのは一体何ですか。大店法の運用にかかわる文書じゃないですか。
  277. 細川恒

    ○細川政府委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、お持ちの書類といいますのは、関係の地方公共団体及び通産局に対しまして解説のために出したものでございます。
  278. 渋谷修

    渋谷分科員 解説と言ったって、それまで出している通達とは違う内容のことを出しているじゃないですか、違う事態が起こって。
  279. 細川恒

    ○細川政府委員 お持ちの書類につきましては、手元に持っておりませんから一部推測が入りますけれども、私どもの理解では、経過規定に関しましてその解釈を明確にしたものでございます。
  280. 渋谷修

    渋谷分科員 解釈を明確にしたものじゃありませんよ、それは。そうでしょう。一年以内に処理すべきものを、大型店側の事情によって一年を超える五条の届け出について例外措置を設けるという書類でしょうが。今までの通達を解釈する文書じゃありませんよ。そんな答弁は冗談じゃないな。
  281. 細川恒

    ○細川政府委員 その書類は、一年間を超えるものにつきましての確認的な文書でございまして、特段新しい事態に対応するための書類ではございません。
  282. 渋谷修

    渋谷分科員 それは全然納得いかないですね。そんな性格のものじゃないですよ。翌日に大型店側を呼んでこれを説明しているでしょう、こういう形でやりますということで。なおかつ、いわば  一番影響を受ける中小小売業者あるいはその団体に対しては説明を行ってないでしょう。一部新聞報道されて、それから仕方なく説明したというのが事の経過じゃないですか。そうでしょう。自分で考えてわかるじゃないか、これは。
  283. 細川恒

    ○細川政府委員 大変恐縮でございますが、お持ちの書類を私ども手元に今持っておりませんので、同じものであるかどうかということを確認させていただければと思いますけれども。(渋谷分科員資料を示す)本件につきましては、中小企業を差別するというような事態を招いているとは思っておりません。
  284. 渋谷修

    渋谷分科員 そんなことは言ってないですよ。あなたはさっき答弁の中で、出店者、企業者側に説明するものではないと言ったじゃないですか。それを、翌日に大型店を集めて説明しているじゃないですか。それを私は言っているのですよ。
  285. 細川恒

    ○細川政府委員 経緯につきましては、関係者の方から要望がございまして、それに対しましてこたえたものでございますが、書類の性格そのものにつきましては、先ほどの繰り返しになりますけれども、地方公共団体及び通産局に出したものでございまして、先ほど申し上げたとおりでございます。
  286. 渋谷修

    渋谷分科員 本当言えば、こんな答弁じゃ納得いかないですよ。だって、自分たちでこれはわかっているでしょう。  だから、本当はもう質問をストップさせたいところだけれども、こちら側が勝手に質問できなかった経過があるから仕方なく続けますけれども大臣、私はこれは率直に言って納得してない。今度商工委員会で差しかえがあればやらせていただきますし、関係者にぜひ来ていただいてこのことの説明をしていただきたい。通達でない形で、いわば担当課が法律の運用について、今までの通達をはみ出した部分についてこれは解釈を言っているのです。そういうことでしょう。あなたは現場にいて一番よくわかっているでしょう。そういうことでしょう。内容はそういうものなんですよ。これは私がよく知っているんだから。
  287. 細川恒

    ○細川政府委員 別な機会を得まして御説明をさせていただきたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、新たな事態あるいはそれまでの部分をはみ出したものという理解は私どもはいたしておりませんので、念のため申し上げます。
  288. 渋谷修

    渋谷分科員 一つ大臣、こういう問題を私は指摘しておきたいのです。  大店法という法律があります。先般大店法の改正が行われましたけれども、調整の骨格は実は変わっておりません。実際は、大店法という法律はありましても、現場のこういう通達に基づく通産省の法運用によって調整されてきたのです。古い運用を新しい運用に変えたのです。だから、かっての通達は大店法本来の仕組みでは運用されてなかったでしょう。通産省が勝手に通達を出してやっていたじゃないですか。事前商調協の位置づけ、あるいは商調協の位置づけだって、法律の中にありましたか。法律の中にはなかったでしょう。立法府の意思とは関係なく、通産省が必要だと思えば商調協を政省令で決めて、あるいはその運用についても通達をつくって、通達行政でやっているというのが現場の状況じゃないですか。これはそれを引きずっている内容なんですよ。それを言っているのですよ。大店法本来の調整手続に入ったら、こんな通達は出てきますか。
  289. 細川恒

    ○細川政府委員 先生御存じのように、大店法の改正の趣旨、目的の一つには透明性の確保ということがございまして、先ほど来おっしゃっていますが、改正前の大店法に比べて現在の大店法は著しく改善された経緯がございます。  それから、先ほどのお持ちの書類につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
  290. 渋谷修

    渋谷分科員 もう時間がなくなってしまうのであれですが、大体「「原則として、一年間」という期間内に行われた場合に限り「おそれなし」の届出として取扱うこととしたところである。」これは法律の七条の趣旨に合っていますか。七条では違うでしょう。五条の営業者の届け出が行われて、七条ではあくまでもその出店が周辺の中小小売業者の事業活動に影響を与えるかどうかというおそれあるなしを判断して、そこから調整するのでしょう。違うじゃないですか、これは。なぜそんな例外措置を設けるのですか。おそれのあるかないかというのは、審査基準に基づいてチェックしてみなければわからないじゃないですか。
  291. 細川恒

    ○細川政府委員 今お話しの点でございますけれども、その書類の対象といたしております案件は、改正大店法以前の商調協の時代に出された案件に関します経過措置でございます。その点を繰り返し申し上げておきたいと思います。
  292. 渋谷修

    渋谷分科員 経過措置だって、結局大店法の本法では想定をしていない運用通達でしようということを言っておるわけですよ。国会でつくった法律の意思と関係のないところで法運用をしようとするから、こういうことになるんじゃないですか。この問題でやりとりをしていますと時間がかかっちゃいますから、私はもうやめますけれども、これは大変な問題なんです、実は。行政府が余りにも行き過ぎていますよ、これは。  大臣、つい最近アメリカに行ってきまして、アメリカの連邦議会とか州議会の調査をやってきましたけれども、向こうでは、常任委員会はもちろん日本と同じように法律審議をやります。そこで通した法律について、その後のフォローも全部やっているのです。常任委員会の下に小委員会があって、日本でもつくることができますが、そこで実質的な審議をやりますけれども、その小委員会の中に特別の機能を持つ小委員会がある。これは、行政監査委員会とか行政監視委員会という。常任委員会で通した法律を行政府がどう運用しているか、その法運用に立法府の意思を外れてやっているものがないかどうか。国民から申し込みがあったりすれば、それについては小委員会に行政府側を参考人として呼んで、そういう通達まであるいは規則までチェックをして、それでそれに対して問題がある場合は改善を勧告する。  アメリカの制度がすべていいと言っているわけじゃありませんけれども、少なくとも日本の立法府、我々の機能というのは余りにも行政に任せ過ぎて、でき上がった法律がどういう通達ができようが政省令ができようが無関心であるというところが、政治改革の一番大きな問題であろうと私は思っているのですね。本当はほかのところでこれはやらなきゃいけない、制度改革にかかわる話だから。もうやりません。あなたから答え出てこないからこれは無理。だから、解釈論は一度私の部屋に来て、事務方も含めてぎっちりやりましょう。改めてやりますから。もうこんなことやっていたら時間がなくなっちゃう。  これはおいておきまして、大臣、大事なことがあります。それだけ先に、時間がなくなる前に。時間が残っていたらまた改めてやりますので、残っていてくださいね。  座間の日産の工場が縮小されるということで、いろいろ大きな事件になっていることは御承知のとおりです。前置きを長くしますと答弁の時間がとれませんので、五分しかない。当然そこに納めている下請業者や関連している地域の商店街や中小企業関係に、地域経済全体に影響がありますけれども、大きな影響を与える。例えば化学であるとかパルプであるとか、そういう設備型の企業については設備過剰になっているということは、いろいろなデータで出ていますね。ですから、これは何も車だけの話ではなくて、ほかにも出てくる可能性があると思うのですね。言ってみれば、これは激甚と言ってもいいほどの地域経済に与える大きな影響ですから、中小企業という観点に絞っていえば、これに対しては地元も頑張ってもらわなければいけない、県も頑張ってもらわなければいけませんが、国として、地域の中小業者あるいはその地域の住民も含めて大変な心配をしているわけですから、これは何らかの対策を考えるという必要があろうかと思うのですが、検討する考え方はございませんか。
  293. 森喜朗

    ○森国務大臣 お時間ございませんから。  本委員会でもこの論議をいたしましたけれども、当然自動車業界の構造改善努力の一環でございます。しかし座間周辺、またそれに関連いたします下請企業等にとっては大変大きな問題でございまして、そういう意味で、事態の推移を見ながら、影響を受ける域内の中小企業等に対しましては、通産省中小企業庁としては適時適切な措置をとってまいりたいと考えております。
  294. 渋谷修

    渋谷分科員 特別な対策も含めてぜひ御検討いただきたいと思います。  あと大型店の出店問題、この改正とのかかわりの中で中小商業の活性化基金というのをつくりましたけれども、最近の低金利の中でこの基金の運用状況が余りよくなくて、運用益が出てこないものですから、中小企業対策、中小小売業者対策で今まで地域の商店街から希望されているようなことまでなかなか目配りがいかないという状況があるんですね。これはぜひ拡充という声がありますので、御検討いただけませんか。
  295. 関收

    ○関政府委員 先生御案内のとおり、今中小小売商業は、消費者ニーズの動向が変わっておりますし、また都市交通体系の変化あるいはモータリゼーションの進展等々によるさまざまな影響を受けて大変苦しい状況にございますので、中小企業庁としては、この小売商業、商店街の振興のために全力を尽くしているところでございます。  具体的には、その商店街、商店を今後どう持っていったらいいかという調査でありますとか計画づくりの段階、それから必要なアーケードを設置しますとかカラー舗装をいたしますといったハードウエアの問題、あるいはいろいろなイベントをやるというようなソフトウエアの問題等々についての対策を講じているわけでございます。  先生指摘の活性化基金は、今申し上げたうちでは特に計画、調査づくりあるいはソフトウェア的な事業、これに対する必要資金を供給するという観点で平成元年度に設けられておりまして、現在千三百六十億円の基金、その形でやっております。御案内のとおり今金利が下がっておりますから、それによる果実も減っていることは事実でございますが、私どもとしては中小小売商業対策、特に今申し上げました計画づくり、ソフトウエア事業が十分できないようでは困るということでございまして、平成五年度の子算におきましてもそういった面、例えばリテール・サポート・センターでありますとか小売商業活性化相談事業でありますとか、あるいはシニア・アドバイザー事業といった計画づくり、ソフト事業についてかなりの額を計上させていただいた次第でございまして、それら両々相まって中小小売業の方々の御要望にこたえていくように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  296. 渋谷修

    渋谷分科員 各県からも、それから地域の中小小売業者あるいは商店街からもこれについては要望が非常に強いですから、ぜひ拡充方も含めて、いろいろな難しいことがあるのは事務方で相談をしながらよくわかっていますけれども、ぜひその拡充方を御検討いただくようにお願いをしておきたいと思います。  それで、時間が二、三分ありますからさっきの大店法の問題に戻りますけれども、静岡のスーパー瀬名の件、これは事務局によく話をしました。つまり先ほど言っている意味は、これは古い法律、大店法で調整をしたのです。そして新しい法律で、今度五条の営業者の届け出になったんですね。この営業者の届け出になりますときに、これは三条の、前の古い法律の段階では一つの内容で結審をしました。それは経過措置で、そういう場合は「おそれなし」で受理しましようという案件なんですね。ところが、テナントがなかなか集まらなかったり、三条の段階で結審した中身と違ってきてしまいまして、本来であればこれはもう一度大店法上影響があるかどうかというおそれを判断をして、もう一度調整し直さなきゃいけないのです。ところがさっき言った経過措置で、これは実は「おそれなし」案件として扱っている。  それで、地元からいろいろと私、話を聞きました。商品構成も含めて、あるいは出るテナントなども含めて実はいろいろ問題があるというぐあいに聞いています。その事実関係をきちんとせよというぐあいに言っておりますので、事実関係をきちんとした上で、県に対し、つまりこういう問題があるものだから現場ではその法律の運用については混乱しているわけですよ。それを実は私は言っているわけですけれどもね。そういうことがあるので、県に対しこの問題について指導を行って、それで必要があればこの法律に基づいた調整をするかどうか、そのことを伺っておきます。
  297. 細川恒

    ○細川政府委員 御指摘のように、スーパー瀬名の案件は大店法の中の継続案件でございまして、したがいまして経過措置という形で対応することになっておりますが、この件につきましては、地元の商工会議所にも念のために確認を行った上で県の側で「おそれなし」扱いとしたものと承知をいたしておるわけでございますが、引き続き必要な連絡は県ととってまいりたいと思っております。
  298. 渋谷修

    渋谷分科員 終わります。ありがとうございました。
  299. 松前仰

    松前主査代理 これにて渋谷修君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  300. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 渡辺嘉藏です。  公正取引委員会に質問いたしますが、現在再販指定商品が千三十円以下の化粧品二十四品目、それから医療品二十六品目等々に対しまして、そのうちの半数近くを一定の猶予期間を置いた上で、ことしの四月一日からその指定の取り消しをする、こういう新しいガイドラインが出たわけですね。内外の状況の変化に対応して、化粧品等これらについては、今日の日本の自由経済のもとで再販指定商品にしておく必要はもうない、むしろ市場経済の原則に反する、こういう観点からこれが行われたわけですが、私はこの際、こういう紛らわしい再販指定商品を廃止をした方がいいのではないか、こう考えますが、どのようにお考えですか。
  301. 本城昇

    ○本城説明員 先生指摘のとおり、公正取引委員会は昨年四月十五日、再販売価格維持行為が認められる再販指定商品、例えば化粧品の場合でありますと二十四品目、千三十円以下のものでございますが、あとそれから一般用の医薬品、これについて二十六品目それぞれについて、そのうちの約半数につきまして取り消しをするということで告示を制定いたしまして、そしてことしの四月一日から取り消しを具体的に行うということをしております。  もちろん、一般用医薬品のものにつきましては、総合代謝製剤、混合ビタミン剤につきましては来年の末まで一応猶予することにはなっておりますが、そういう形で先生指摘のとおり、再販指定商品の縮小ということを図ってきたわけでありまして、再販指定商品については平成十年中に見直しを行うというふうにしております。
  302. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私は、再販価格を維持する、こういう制度がまだ残っておるものだから、これにいろいろな意味で悪乗りをするという営業手法がばっこする、こういう危険を感じておるわけです。  化粧品業界三位のポーラ会社は、これを訪問販売という大義のもとに委託販売、委託契約、こういうことでそれぞれ営業所と契約を結んで、そして再販価格を実質的に維持しておる、こういうことが行われておるわけですが、私はこういうふうに再販価格制度をどんどんと縮小、そして指定を取り消していくという時勢の中においては、こういう委託契約という形式のもとに再販価格を維持しようとする動き、経営の手法は、これは好ましくないのではないか、こう思いますが、どうですか。
  303. 本城昇

    ○本城説明員 今御指摘のございました委託販売につきましては、公正取引委員会は、平成三年七月に示しました流通・取引慣行ガイドラインの中で、次のようなものにつきましてはメーカーが販売先に対しまして価格を指示いたしましても、再販売価格維持には該当しないということを明らかにしております。  それはすなわち、受託者が受託商品の保管、代金回収等につきましての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えまして商品が減失等をした場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど、当該取引が委託者の危険負担と計算において行われているような委託販売でございまして、メーカーの直接の取引先が単なる取り次ぎとして機能しておりまして、実質的に見てメーカーが販売していると認められる場合につきましては、独占禁止法上問題にならない、そういうふうにしております。そういう委託販売については、独占禁止法上問題にならないということをガイドラインで示したわけでございます。
  304. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 そういう紋切り型の役人的な説明、答弁は必要ないのです。これはもう先ほど私が申し上げたとおりで、一人と数人の間でこれを委託しますよ、だからよろしく売ってください、こういうものでなくて、化粧品業界三位、二千数百億の売り上げで八十億に近い純利益を上げておる、こういう業者が、かつての旧態依然の委託契約という名のもとに、六千の営業所、十六万人のポーラレディーを縛って再販価格維持を図っておるということは、どう考えても今の時勢に適合しておると思えない。  だから、そういう意味において、昨年の三月十一日、同じこの分科会で前の中川課長さんにも私は質問をしたわけですが、そのときに中川課長から、委託契約の重大な要件である返品の自由が確保されていないとすれば、この返品の自由を十分周知徹底できるように通知をすべきであるが、またその通知が不十分である場合が判明したような場合は、公取としては必要な指導をいたします、こういう要旨の答弁を受けておるわけです。  昨年の四月十一日付で、ポーラの鈴木社長名で文書が各営業所に出されたわけです。これは既に御存じですからそれ以上言いませんが、この文書はその公取の指導を受けて出されたものと受け取ってよろしいか。
  305. 本城昇

    ○本城説明員 今さっき先生が御指摘のとおり、返品の自由が確保されていないということになりますと、これは今申し上げましたガイドラインの委託販売ということとそごが生じてくることになるわけでございます。それで、ポーラの委託販売制度がその運用におきましても流通・取引慣行ガイドラインの趣旨に沿ったものであること、これを明瞭にいたしますため、公正取引委員会指摘により、ポーラは営業所長に対しまして、返品が自由である旨の平成四年四月十一日付の、先生の今御指摘の文書を出したわけでございます。
  306. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それでは、この文書の中の第三項の(3)の「営業所長の希望による返品」という条項がありますが、その中の①の「集中管理場所への返品」これについては、「営業所にて返品を希望する商品がある場合、随時集中管理場所に転送することにより返品を行うことができます。」こう明言をしておる。それから②には、回収ブロックへの返品として、「半年に一度、営業所長が返品を希望する商品をダンボール箱一箱分以内で回収ブロックを通じ返品を行うことができます。」というふうに通知をされた。また、これを公取は理解をされた。そして、これによって返品の自由は担保されておるというように御理解になったと思うのですが、これは実際に行われておると御理解されておるかどうか。
  307. 本城昇

    ○本城説明員 今先生の御指摘平成四年四月の文書のとおり委託販売制度が運用されているということであれば、今の先生の御指摘のとおり、基本的には返品の自由は確保されているというふうに考えているわけでございます。それで、実際にその制度がそのようにして運用されているというふうに我々は期待しているわけでございます。
  308. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 その集中管理場所並びに回収ブロックの場所というものは、確認されましたか。
  309. 本城昇

    ○本城説明員 その二つの場所は、基本的には、ポーラの販売システムの中の支店というところが返品の場所に該当する箇所というふうに、我々は思っております。
  310. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 そうすると、両者とも支店というふうに理解してよろしいわけですね。
  311. 本城昇

    ○本城説明員 それは、支店ということが基本にはなると思いますが、それ以外の箇所もあり得るというふうに思います。支店だけであるというふうには我々も思っておりません。
  312. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 これだけの文書を指導して出させて、そしてこれの一番大事なポイントが営業所長の自由な返品、これが担保されておらなきゃならないわけですが、これらの実地は調べに行かれましたか、これでもう一年たっておるわけですが。
  313. 本城昇

    ○本城説明員 我々は、この文書どおりポーラが制度を運用しているということを期待しております。それで、我々としては、今の支店を中心といたしまして、そのような返品が円滑に随時行われるということを期待しているわけでございます。
  314. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 これだけ長い間、委託だとかいろいろ言いながら、今まで何回も指導を受けるたびに改善してきてやっと今に至ったという秘密主義的なこの企業が、文書を信用しただけで行われておるという考え方自身は、私は公取としては実に、職務怠慢とは言わぬけれども、ちょっと手ぬるいと思うんですね。本当にそれが担保されておる実態を見きわめるべきではなかろうか、この点について。
  315. 本城昇

    ○本城説明員 今先生の御指摘の点につきましては、我々はポーラを呼びまして、その辺につきましては、返品が随時この文書どおりに行われているかどうかということについてヒアリングはしております。
  316. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 いや、私は何回も言うけれども、ヒアリングじゃだめなんです。聞くだけじゃだめなんです。やはり実地を見るということが一番大事なんです。  そこで委員長、ちょっとこれを物件としてお見せしたいんですが、いいですか。
  317. 松前仰

    松前主査代理 はい、見せてください。
  318. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 中身は何もありません。御心配要りません。これはポーラが、先ほど申し上げた(3)の②に基づく「回収ブロックを通じた返品」と規定した、半年に一度、営業所長が返品を希望する商品をダンボール箱一箱分以内で回収ブロックを通じて返品することができるという、そういうダンボールなんです、これが。  そうすると、半年にこのダンボール一個の返品で果たして返品の自由があるのかどうか。特にこれに対して、返品の数量は七十個以内、こう書いてあります。要するに、クリームならクリーム一個、ポマードならポマード一個、それが七十個。いいですか、半年の間に何万個とあるんです。その中で七十個だけの返品を半年で認める、これで返品の自由が保障されておるのか、担保されておるのか、この点はどう思われますか。
  319. 本城昇

    ○本城説明員 今先生が御指摘なさいました「回収ブロックを通じた返品」につきましては、半年に一度ダンボール箱一箱以内で返品を認めるということになっているわけでございます。しかし、もう一項の今の(3)の①の「集中管理場所への返品」につきましては、随時その場所に転送することによって返品を行うことができるというふうに規定しておりまして、これら両方の状況を総合的に勘案しますれば、基本的にはいつでも返品ができるようなシステムをとっているというふうに見られるわけでございます。
  320. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私が調査いたしましたこれが二月十七日付の返品するときの書類なんです。ここで問題は、今おっしゃったいわゆる集中管理場所への返品は随時自由だ、回収ブロックにはダンボール一つだ、だからこれだけでは不十分だ、しかし集中管理場所への返品が自由だから担保されておる、こういうことなんですが、この私が調べた書類にはこういうことが書いてある。営業所名は省きます。ある営業所からの返品のこれが明細書なんです。これによると「営業所から集中管理へ転送する際に使用します。」と書いてあるのです。そしてこの中には、この赤い部分、黒い部分は返品を認めませんよと書いてある。こういう事実から見て、回収ブロックというものは存在しない、むしろ集中管理場所というのが存在する、これが支店なんです。  そうすると、集中管理場所への自由ではなくて、このダンボールに半年で七十個だけ認めてあげましょう、こういうことが明らかになってきたわけなんですが、この点について、今御答弁いただいた集中管理場所への自由があるということは事実でないことが明らかだと思うのですが、どうです。
  321. 本城昇

    ○本城説明員 今の集中管理場所への返品が自由ではないのではないかという先生の御指摘でございます。  今の先生のお示しのフォーマットがどのようなものを指すのかについてはつまびらかにはわかりませんですが、もし仮に、ここの平成四年四月十一日付の文書で、随時集中管理場所に転送することによって返品を行うことができるということが事実として行われてないんであれば、それはまた別の問題として、いわゆる独占禁止法との関係で、それはそれでまた問題になり得ると思いますけれども……。
  322. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 とすれば、これは真正な委託契約に瑕疵があるというふうに理解できるのですが、今私が申し上げた二月十七日付のこの用紙に記入するのは、営業所から集中管理へ転送する際に使用する用紙ですよ。これに書き込んで転送しなさい、そしてこのダンボールに一個、化粧品は七十個に限りますということが明らかになった以上、この委託契約には私は瑕疵があると思う。とすれば、これはもう買い切りと同じようなことになっておるのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  323. 本城昇

    ○本城説明員 返品が自由に行われないような運用のなされ方があるということであれば、これはもちろん問題がございます。今の具体的な事実、この辺のところがよくわかりませんが、もし仮に返品の自由がなくて商品が売れ残った場合の危険負担を負わされるというような具体的な事実があるとするならば、その場合は独占禁止法との関係でもそれは問題になってくると思います。
  324. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それなら一度、この際これの事実関係を調査をしてもらいたい。そして、その調査の結果を御報告をいただきたい。  と同時に、こういう業界第三位の二千数百億の売り上げがある、八十億円に近い利益を上げておる、所得を上げておる大企業が、私に言わせれば瑕疵のあるそういう委託契約に名をかりて再販価格を維持させて、そして六千の営業所、十六万人のポーラレディーを従属的に使っておるというやり方の中で、その価格維持のために今度はおとり捜査的なやり方をするのです。いわゆるこういうものの器の底部に刻印を、密印番号という形で押しつける。その上に内容物を入れてわからないようにして、これを営業所に流して、そしてそれに基づいて捜査をする、調査をする。営業所の所長でも、大体標準的に商品は六五%で来て、三五%のマージンで一〇〇%で売るのです。そうすると、三五%の自分の受け取るマージンの範囲内で値引きをしたり何かする人は当然あるのです。とすれば、その密印記号によって安売りをしたということがわかる。そういう陰湿な行為は、本当に真正な委託ならともかく、私は瑕疵のあるようなこういう委託形態は許しがたいことではないか、公正な取引とは言えないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  325. 本城昇

    ○本城説明員 仮に真正な委託販売ではなくて、商品が売れ残った場合の危険負担を負わされるなど、いわゆる返品の自由のないよらな、そういう場合で密印記号を付して、いわゆるメーカーが示した価格どおりで販売していないかどうかチェックをするというようなことは、これは独占禁止法との関係で、再販売価格維持の関係で問題になり得るというふうには思います。要するに、これが昨年の四月十一日の文書のとおりに運用されていれば、我々としてはそういう問題はないというふうに思うわけでございます。
  326. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 最後にもう一点きちっと聞いておきますが、この文書は公取の指導のもとに、公取も理解して、これならよかろうということでお認めの上、全国にこれが出たと思うのです。ところが、もしやっておることが事実でないとすれば、これは運用上の誤りではなくて、にせの文書で公取に報告して欺いたのではないか。こういうことはあってはならないと私は思う。  と同時に、この会社はいろいろな手法を講じて、有価証券報告書等々の企業の経営内容についてのディスクロージャーをさぼりにさぼっておるのです。だから、ここは秘密主義が今でも行われておる。今の時代に、こういうディスクロージャーをできるだけ避けるためにいろいろな手法をとっておられる、こういう経営のあり方に対しては、公取としても何らかの指導を行っていくべきではなかろうか、こう考えますが、どうですか。
  327. 本城昇

    ○本城説明員 我々の方といたしまして、昨年四月十一日付の文書が守られていないという具体的な事実、それには接しておりません。そういうヒアリングを通じても、そういう事実は今のところうかがえてないわけでございますが、もし仮に先生指摘のとおり、この委託販売制度が昨年の四月十一日の文書どおりに運用されていない、そういう具体的な事実がございますれば、これは問題かと思います。そういうことがもし仮にありますれば、我々としてはやはり問題としていかざるを得ないだろう、こういうふうに思います。
  328. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 もう一点言っておきますが、これは運用上の誤りではないということ、こういうふうにやりますという書類なんです。ところが、そういうふうに頭からやっていないという、一年たっておりながらやっていないということは、うその報告を公取に出したことになるので、この点は単なる運用の誤りではなくて公取を偽る行為であって、これはもう一つたちが悪い。これは、この点をきちっと腹に置いて対処していただくべきではなかろうかと思うのですが、もう一遍ひとつお答えください。
  329. 本城昇

    ○本城説明員 我々といたしましては、昨年四月十一日付の文書に基づきまして制度がきちっと運用されている、そういうことを期待しているわけでございます。ですので、もし仮にそういう制度の運用が文書の記載されている実体と乖離しますれば、これは我々としても当然問題にしなければならない、こう思います。
  330. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 終わります。ありがとうございました。
  331. 松前仰

    松前主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、石田祝稔君。     〔松前主査代理退席、主査着席〕
  332. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 本日は、中小企業対策等についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、先日質問通告をいたしましたときに手元にありませんでしたのでちょっとお話もできませんでしたが、本日、「予算委員会第六分科会における森通商産業大臣挨拶」というのがございます。この中で中小企業のことにもお触れになっております。「活力ある中小企業の創出」、これが大事だ、こういうことをこの中でお述べになっておりますけれども、この「活力ある中小企業の創出」、私は昨年の平成四年の国の予算を見ておりましたら全く同じ文章が出ておりまして、これは去年とことしと同じ考え方で大臣お述べになっていらっしゃるのでしょうか。
  333. 森喜朗

    ○森国務大臣 私は、昨年はその任になかったものですから、どういう意図でそういうふうに書き、表現してあるのか定かではございませんが、詳細必要でございましたら、中小企業庁長官おりますが、まさに文字どおり中小企業が生々はつらつと自由主義社会の中で創意と工夫で営業努力を行っていただきたい。そのためのいろいろな環境整備、税制面あるいは金融面での支援措置をとっていきたい、こういう私どもの考え方を述べたものでございます。
  334. 関收

    ○関政府委員 今先生から御指摘がございましたが、「活力ある中小企業の創出」というのは私ども中小企業行政の中で最も重要なポイントだと考えております。私から申し上げるまでもなく、中小企業は我が国経済の中でも九九%を占めているわけでございますので、それらの中小企業の方々がマーケットに活力を与える、あるいはまた地域経済の振興に寄与する、あるいはまたそこで働いておられる方々が生きがいのある職場であるといったような形になるというのが非常に重要なことだと考えておるわけでございます。  現に最近は、景気の状況は非常に低迷いたしておりますけれども、ここに書いてございますような技術面、生産工程あるいは雇用面その他で活力のある努力をしておられるところについては、これだけ厳しい状況の中でも非常に健闘しておられるということもございまして、私どもとしてはこれから二十一世紀に向けてこういった中小企業の方々の数をいかにふやしていくかということが重要な政策課題であると考えておる次第でございます。
  335. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 この「活力ある中小企業の創出」、これは私はまさしく百年不変で結構であると思います。今長官も中小企業の位置を、我が国の経済に占める地位というのでしょうかポジションをお述べになりましたが、私も、資料をいただきまして調べますと、平成三年で、事業所数で九九・一%、これはもうほぼ一〇〇%ということも言えるのじゃないかと思うのですね。従業員数で約八〇%、そして製造品出荷額では、それは規模が小さいということもございますので、三百二十三兆円の中の百六十七兆円、約五二%、小売も百十四兆円のうちの九十兆円ということで七九%程度、これだけの位置を占めておるわけですけれども、それで、これだけ大臣も中小企業は重要だ、こういうふうにおっしゃっておりますし、いろいろな意味で、私今述べたような数字で、中小企業は非常にすそ野も広いし、たくさんの方も働いていらっしゃる、非常に重要だ、このように思います。  この中で中小企業の予算、これをちょっとお伺いしたいと思うのですが、若干減ってきているのじゃないかというふうに思います。いわゆる絶対額というのは、予算の規模がだんだん膨らんできておりますからこれはふえると思いますが、その占めるパーセント、これはちょっと減ってきているのじゃないかと思うのですが、これは経年変化を見たらどういうふうになっておりますか。
  336. 関收

    ○関政府委員 一般会計予算に占めます中小企業対策費、これは狭い意味での中小企業対策費と御理解いただきたいと思いますが、このシェアでございますが、例えば五十八年度、約十年前でございますが、その段階では〇・四八%でございます。それが平成四年度におきましては〇・二七%ということでございます。  この点について私から一言敷衍させていただきたいと思いますが、中小企業の場合には、やはりそれぞれ経営者の方が一生懸命努力をされて、そして新しい商品、新しいサービスを出すという形で活躍しておられるということの意味で申し上げますと、金融のウエートが実は非常に高くなっておるわけでございまして、一般会計の予算は、補助金でありますとかあるいは技術開発といったことについてのお手伝いということで使われておりますが、同時に金融は非常に大きなウエートを占めているわけでございます。それらをあわせて中小企業、先ほどもお話ございました活力ある中小企業を創出するという意味で今所要の予算が計上されておるものと私どもは理解しておるところでございます。
  337. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 今長官、五十八年度の〇・四八という数字をお述べになりましたが、もう十年さかのぼると〇・五六%なのですね。それからさらに五年さかのぼって四十三年度になりますと〇・六六%と占める割合が非常に高かった。今おっしゃったように、中小企業の対策がいわゆる金融の方にシフトしているということも私はわからないわけではありませんが、去年からことしを比べても、本当に少ない数字でありますけれども、若干割合も減ってきております。これは大臣所管の責任者として、いろいろあるけれども、目に見える、一般会計に占める割合はどうしても減ってきておるのですね。ここらあたりはどういうふうにお考えですか。もう金融の方にシフトしているから両方足していけばいいというふうなお考えでしょうか。
  338. 関收

    ○関政府委員 大臣からお答え申し上げる前に私から一言申し上げたいと存じます。  先ほど狭い意味での中小企業対策費ということで申し上げましたが、実はこのほかに中小企業対策に使用可能な予算といたしまして産投会計でありますとか、あるいはまた特別会計の予算の一部というようなものもございます。それから、さらに平成五年度におきましては、従来一般中小企業対策費に計上されておりました各商工会、商工会議所の単会の人件費の一部を一般財源化ということでお願いいたしておりまして、そういうことを全体としてカウントいたしますと、平成五年度におきましては、平成四年度に比べまして実質的には八十六億円の増ということになっておる事実をぜひ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  339. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 この点はまたなお一層のお力添えをいただきたいのですが、私は、中小企業の中では、きょうは特に経営指導の中でいわゆる人材育成についてお伺いをしたいと思っております。  人材育成、私も資料をちょうだいしまして、研修事業関係費、これも伸びているような気もしますが、五年度は中小企業大学校の建築が終了したので減っているということで、六億円ぐらい減っておりますけれども、ここの人材育成に対してどのようにお考えなのか、まず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  340. 関收

    ○関政府委員 先生冒頭に御指摘ありましたように、その「活力ある中小企業の創出」という意味では、今非常に変化の激しい情勢下でそれを十分こなして新しい企業の方向を打ち出していく経営者、あるいはまた、技術が非常にハイレベル化いたしておりますから技術レベルも上げていかなければなりませんけれども、そういう技術の進歩をむしろ先取りしていくような人材、こういった者が非常に重要な経営資源であることは間違いないわけでございます。そういった意味で、私ども、中小企業における人材育成に対するお手伝いということは非常に重要な業務の一つと考えているわけでございます。
  341. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 この人材育成で、私はきょうは中小企業大学校のことをお伺いしたいのですが、中小企業白書にこのように書かれておりました。「地域の中小企業の受講機会を確保し、激変する中小企業の経営環境に的確に対応し得る人材育成の強化を図る。」こういうふうなことが書かれております。また、私は資料をいただきまして、「中小企業大学校地域研修施設の整備の方向について」、こういうのもございます。この中で、ずっと読ませていただきましたが、「今後は中小企業者が研修をより受け易くし、その効率を高めるためには、中小企業者研修は、原則として地方において行われることが望ましい。」こういうふうに述べられております。そのために全国を十二のブロックに分けて、そしてそれぞれの地域において中小企業大学校を設立して、その地域の中小企業の人材育成をしていこう、こういうふうな目的であろうと私は思いますが、これで十二ブロックありますが、現在幾つまでできているのでしょうか。
  342. 関收

    ○関政府委員 直接お答え申し上げる前に、まず人材育成のお手伝いの仕方でございますけれども、二つの流れがございます。一つは各都道府県がそれぞれの地域におきまして人材を育成なさる場合、例えばこれは経営者の方の研修あるいは技術者の方の研修、ございます。これに対する補助という形が一つございます。  もう一つは、先ほど来先生指摘のような中小企業大学校におきます研修ということでございます。五十六年度以降この大学校の整備に努めてまいっておりまして、平成四年度までの段階でございますが、現在までで、東京校、関西校、直方校、旭川校、広島校、瀬戸校、仙台校、三条校の八校が開校されておるところでございます。
  343. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 私聞いたところによりますと、南九州もほぼ場所も決まった、人吉ですか、決まったように聞いておりますが、そうすると、あとは東北の日本海側と北陸、四国、こういうふうにあと三つ残るわけですけれども、それぞれの地域の状況はどういうふうになっておるのでしょうか。
  344. 関收

    ○関政府委員 先ほど八校完成したということを御報告申し上げました。南九州校についてはまだこれは基本設計の段階でございます。これから建設に入るということになるわけでございます。五十六年度におきます計画で、先生指摘のように、東北校、北陸、それから四国の三つがあと残るわけでございます。これらにつきましては、それぞれ地元におきます御要望あるいは地元におきます立地点等の決定あるいはまた、同時にぜひ御理解いただきたいと思いますのは、実はこれは中小企業事業団の資金でやっておりまして、その事業団の資金的余裕といったようなことも加味しながら今後考えていくべきものだと考えておるところでございます。
  345. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 私は高知の選出でございますから、ぜひ四国につくってもらいたい、こういう希望を持っております。  最初私が簡単に述べました「中小企業大学校地域研修施設の整備の方向について」、この報告書にも、当初は年に一つ、二つつくっていくのがいいんじゃないか、こういうふうに書いておりますが、そうするともう当然終わっているぐらいの年数がたっているのですが、特に四国、非常におくれていると私は思いますが、この理由、お金の面の理由ですか、中小企業大学校の予算が限られているから順番待ちだ、こういうことでしょうか。
  346. 関收

    ○関政府委員 四国校でございますけれども通常のやり方といたしまして、それぞれのブロックにおきまして建設準備委員会というものをつくるわけでございます。四国の場合には、実は昭和五十七年六月に準備委員会を発足をしたわけでございますけれども、現在のところ、具体的にその建設準備委員会でいろいろ検討中という段階でございます。私どもとしては、大学校をつくります場合には、ぜひ地元の体制と申しましょうか、例えば一つの大学校をつくりました場合に、それを運営してまいりますには年間千三百人ぐらいは生徒さんに来ていただくことが必要でございます。それからまた、そこで効率的に研修を受けられますための体制等々が整うことが非常に大事だと考えておりまして、四国につきましては現在なお建設準備委員会で検討中、審議中というふうに理解をいたしているところでございます。
  347. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 結局四国にないわけですから、そういう高度な経営のノウハウも教えてもらいたい、いろいろな意味で受講したいということで四国からどこに行っているかということで資料をもらいましたが、関西校と広島校に行っているのですね。関西校が百四十二名、広島校が百二十名、これだけ出ていっているわけです。行くのが悪いとは私思いませんが、やはりこれは四国にあれば受講生ももっとふえるんじゃないか。実は経年変化を見ますと、元年度が、関西、広島に行った数を合わせると三百八十二名、四年度が、一月までという数字ですが二百六十二名と、これは減っているんじゃないかと思います。ですから、ある程度の地理的な利便性、やはり同じ四国なら四国の中で四県あるうちのどこか、これの一つに決めていただいたらいいんじゃないか。おかげさまで去年から、高知から高松まで横断自動車道もできました。非常に便利になってきておりますので、これはぜひ早くつくっていただきたいと思うのです。  今長官が、地域で調整中とおっしゃいましたけれども、そんなものじゃないんでしょう、実際は。前向きの調整ということじゃなくて、なかなか位置を地元で決めにくい、決められない、こういう状況じゃないかというふうに私お聞きをしたのですが、例えば何年後に結論を出そうということで位置の選定をしたり、どういう形で進めていくか、予算はこうだということじゃなくて、うちに持ってこいうちに持ってこいということで決められないんじゃないかというふうに私は聞いておりますが、そこのところ、もう少し突っ込んだ御理解があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  348. 関收

    ○関政府委員 まず、最初先生が御指摘になった点からお答え申し上げたいと思いますが、今四国の方で中小企業大学校で研修を受けておられる方が、御指摘のように約三百名いらっしゃいます。現在のところは御指摘のように四国にはございませんので、関西校あるいは広島校へ通っておられるということでございます。一方、中小企業事業団がこの大学校を経営しているわけでございますけれども、大学校のないところにつきましては、それぞれの地元の御要望があれば、移動校という形で講師の先生に地元に行っていただいて、そして、その地元の御要望に応じて研修をするという制度もあわせて運用いたしているわけでございまして、四国の場合ですと四年度には大体百名程度の方は移動校の研修を受けておられるわけでございます。  それから、二番目の御指摘でございます四国内における調整でございますけれども、実は先ほど申し上げましたように建設準備委員会で検討中でございます。どういう検討が行われておるのかは、いろいろななかなか微妙な問題もあるようでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、ぜひ御理解いただきたい点は、地元のコンセンサスがないと、さっき申し上げましたように、その後の運営ということでは非常に困難を来す、四国の場合ですと四つの県の皆さんに賛同し活用していただくということが非常に重要でございますので、私どもとしても、ぜひそういった体制といいますか状況といいますか、こういうものを早くつくっていただくことを心から期待し、また、お願いをいたしているという状況でございます。
  349. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 ですから私は、現地では決められないと思うのですね。今長官のお答えを聞いていまして、今国会に非常に似ているんじゃないかなと。やはり国対委員長レベルで決められないときは上に上げる、それで幹事長・書記長会談で決着がついて、こういうふうにきょう大臣にも私質問させていただいているわけですけれども。  四国四県のレベルで決められないときはやはりこれは通産省が乗り出していっていただいてしかるべく、二つつくればいいのですけれども、それはもちろん無理な話でしょうから、乗り出していっていただいて、そろそろもう、十年もたっているわけですから、これはほっといたらいつまでも決まりませんよ。それで、地方の協力が要りますからどうぞ地方で決めてください、お互いで話し合って決めてくださいといっても、これは理屈ではそうですけれども、現実に中小企業大学校が必要だという観点でやる場合は、やはり指導力を発揮しないと私は難しいのではないかというふうに思います。大臣はいろいろ自民党の役職も経験をされてそういうこともたびたび、膠着したときには上に上げたり、自分が上のときに上げてこられたりして決断をされたこともあるんじゃないかと思うのですが、どんなものでしょうね。やはりこれは地元でやらすべきでしょうか、このままずっと。私ちょっと疑問があるのですね。
  350. 関收

    ○関政府委員 大臣のお答えの前に一言申し上げたいと思いますが、実はこの立地点等につきまして通産省が何かこう決めるといったような例、私の知っている限りではございませんで、地元で調整がつく、あるいは第三者の方に、専門家にお任せしょうじゃないかということで一任をされて選ばれる、いろいろな形があると思いますが、くどいようで恐縮ですが、私どもとしては、四国の場合ですと四国四県の各県もぜひこれを盛り立てていこう、活用していこう、利用していこうというような体制をつくることは、そのつくりました後の運営を考えますと不可欠だと考えております。先ほど来申し上げておりますように、今建設準備委員会でもいろいろ議論いただいているようですので、私どもとしてはその様子を見守らせていただきたいというのが現在の状況でございます。
  351. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 大臣どうですか。
  352. 森喜朗

    ○森国務大臣 長くこの問題をずっと担当しておりましたから、長官の答弁が一番妥当性があるんだろうと思います。私は中身については定かではございませんが、恐らく四国四県全部要望するとすれば、どこに立地点を決めるかというのはなかなか政治的にも絡み、またそれぞれ政治家のメンツのようなものもやはり出てくるということも、従来のいろいろなものから見てそんなことが十分予想されます。長官が申しておりますように、問題はそれから後どうして立派にそれを育てていくかということでございますから、運営というのは別に金目だとかそういうことじゃなくて、むしろ四県の皆さんが本当に中小企業の人材育成のためにみんながうまく利用してもらえるかどうかということに尽きるだろう、こう思っております。  そういう意味で、感情的なものを残さないような決め方ができ得れば一番いい。現に、先ほど先生からもお話がありました私の北陸も、富山、石川、それぞれ何カ所か手を挙げておりまして、だからといって一番上の私が決めたらこれは大変なことになるな、そう思っております。もう少し意見が成熟するような環境を国会の先生方などで醸成をしていっていただいた方がいいのではないかなというふうに思います。
  353. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 私も一端の責任がある意味ではあるわけですから、これは質問を通してまた大変ありがたい御忠告をいただいたというふうに思いますし、我々としても努力をしていきたいと思っております。  それで、最後にこの問題でお聞きしたいのですけれども、そうすると、これは四国がまとまれば間違いなくやっていただけるということですね。
  354. 関收

    ○関政府委員 五十六年の提言で十二のブロックに建設をしていくということでございますので、体制が整いますれば順次建設する努力をしてまいりたいと思っておりますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、実は今事業団のいわば自己資金でこれをやっているということがございますので、一度に二つ、三つということが資金的には難しいという点もございまして、そういった資金面の事情の許す範囲でこの計画に従ってやっていきたいというのが私どもの考え方でございます。
  355. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 これはできるだけ我々も努力して設置の条件をクリアするようにやりたいと思いますので、あとはぜひ御助力をいただきたいと思います。  それでは、伝統的工芸品についてちょっとお伺いをしたいと思うのですが、私の県では、この伝統的工芸品に土佐和紙というのが今指定をされております。この中で、私の考えでは、高知は南が土佐湾に面して、黒潮に面してサンゴの加工業も非常に盛んでございます。そういう意味で、土佐和紙は指定していただいてこれは大変にありがたいわけですが、サンゴの加工業も伝統的工芸品産業として指定をしていただけないものか、まず、そのことだけ最初にお伺いしたいと思います。
  356. 高島章

    ○高島(章)政府委員 伝統的工芸品の指定に当たりましては、伝統的に使用されてきた原材料が用いられるということが実は指定要件になっておりまして、指定した後もその工芸品の原材料が安定的に確保できるように十分な検討が必要なのでございます。したがいまして、例えば野生動物を原材料とする場合の指定に当たりましては、その安定的な確保が将来にわたって可能かどうかという点について慎重に検討することが必要になるわけでございます。  今御指摘ございましたサンゴの細工でございますが、実は一昨年以来、高知県を通じまして伝統的工芸品の指定をしてほしいという要望をいただいているところでございます。当省としまして、今申し上げましたようにサンゴの持続的な利用の可能性が明確になっておりませんので指定はまだ困難でございます。したがいまして、水産資源の専門家等の意見を踏まえまして十分な検討が必要であると考えておりまして、その旨昨年高知県には連絡をして今待っているところでございます。
  357. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 伝統的工芸品産業として認定が得られると申しましょうか、それに認められた場合と認められなかった場合のメリットとデメリットと申しましょうか、認められたときにはこういうメリットがあるんだ、これがあると私は思いますが、認められた場合のメリットというのはどういうものがあるか、端的に一つか二つ大きなものを教えてください。
  358. 高島章

    ○高島(章)政府委員 当該伝産品を指定されました地域の組合でいろいろな、例えば後継者の育成のために補助事業等を国がお手伝いをするということでございまして、当該地域の人たちの育成に役立つ事業ができる、あるいはそういった伝産品が各地で広く使われるようにいろいろ流通面でのお手伝いもするといったようなことでございます。
  359. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 一番最初に、伝統的工芸品として認定されるには原材料が安定して供給されなくちゃならぬ、こういうお話がございまして、サンゴは生き物であるからなかなかどうかというお話がございましたが、ちょっと角度を変えまして伝統工芸士という制度、これはどういう制度ですか。そういうものがあるというふうに聞いており ますが。
  360. 高島章

    ○高島(章)政府委員 伝産品の指定地域におきましてその技術の伝承がうまくいきますように、その人を指定いたしますと、その人たちに対しまして組織化あるいは具体的な展覧会等への出品のお手伝い等をするわけでございまして、通産大臣指定ということでいわば名誉を与えることにより、その人たちの今後の研さんの一層の大ならんことを期すものでございます。
  361. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 私は伝産品に指定されたときのメリットをお伺いしましたが、目に見えるお金の面とともに、いわゆる伝統的な工芸品産業と申しますか、そういうものに長く携わった人たちの気持ちは、そういうお金の面だけではなくて認めてもらいたい、私はこれがあると思います。通産省の方に来ていただいていろいろと聞いたところによると、伝統的工芸品産業として指定されないとそれは無理だ、こういうふうにお伺いをいたしました。そうするとサンゴの加工でどんなにすばらしい技術を持っておっても、サンゴ加工業自体が伝統的工芸品産業として指定されなければ、その人は極端に言えば通商産業大臣先生の名前の入った伝統工芸士の認定状というのですか、これはいただけないわけですね。それはその人の技術云々じゃなくて、その産業が持つ特性でもらえない。  きょう時間がなくて、私はもうちょっとやりたかったんですが、そういうふうに一つ、二つの条件が欠けて伝統的工芸品産業として認められない方でも、すばらしい技術を持っている方はぜひ認めていただいて伝統工芸士、通商産業大臣の認定でやってもらいたいのですよ。県単位ではやっている。県で認定していると思いますけれども、これはやはり大臣の名前を書いてぽんと判こを押して、伝統工芸士ですよ、こう認めてもらう制度をぜひつくってもらいたいと思うんです。今のままだったら、そういう動物を使ったサンゴとかそういうものは永久にできないじゃないですか。通商産業大臣、高知にもファンがおると思いますから、伝統工芸士に通商産業大臣の名前を押したものをサンゴでももらいたいと思うのですが、こういう制度はぜひつくれないのでしょうか。
  362. 高島章

    ○高島(章)政府委員 伝統工芸士の認定事業は、実は昭和五十年から伝統的工芸品産業振興協会という団体の業務として行われておりましたのですが、昨年の五月に法改正をいただきまして、法律に基づく業務として明確に位置づけたところでございます。法律の中できちっとこういうことでお認めいただいたものでございますから、本事業におきます伝統工芸士の認定対象は、この法律の目的から大臣の指定を受けました伝統的工芸品産業、それからそれとの関連の産業、例えば材料をつくっている産業といった関連産業の従事者に実は限られておりまして、今委員御指摘でございましたけれども、指定伝産品以外のところにこの認定制度を行うということはやはり困難であろうと考えるわけでございます。  ただ、さっき申し上げました協会が、同じく昭和五十年から国の補助事業といたしまして伝統的工芸品産業等の功労者褒賞事業というのを行っておりまして、これは指定を受けられない工芸品産業の従事者についても褒賞の対象としていることでございまして、この事業活用も含めまして、指定を受けられない伝統的工芸品産業に対する支援策を今後とも一層充実していきたいと思っておるところでございます。
  363. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 それは、大臣の名前の入ったのをちゃんともらえるのですか。
  364. 高島章

    ○高島(章)政府委員 大臣ではございませんで、協会から協会長の名前で表彰をする制度でございます。
  365. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 済みません。時間をオーバーして申しわけないのですが、もう一言。  ぜひ大臣、そういう産業であるがゆえにもらえないということではなくて、そういう技術を持っている人を表彰するということが伝統工芸士だと思うのですよ。ですから、これはぜひ御検討いただけないかと思うのですが、最後にちょっと御答弁いただいて終わりたいと思うのです。
  366. 森喜朗

    ○森国務大臣 石田さんの郷土の伝統産業の振興を思う気持ちは私も非常によく理解できます。私の郷里も、九谷焼でありますとか輪島塗、山中塗、加賀友禅等まさに伝統産業を大変大事にしてまいりましただけに、そうした対象になり得ないというのは、今のような局長の理由からとはいえ何かいい方法がないのかというふうに、私はお二人のやりとりを聞きながらそんな感じを持ちました。今すぐどうこうということは申し上げられませんが、そういうことでもし指定を受けられないということであるならば、何かいい方法はないのかどうか、お互いに少し研究してみようじゃありませんか。私もまた、事務当局ともよく相談してみたいと思います。
  367. 石田祝稔

    石田(祝)分科員 どうもありがとうございました。
  368. 松永光

    松永主査 これにて石田祝稔君の質疑は終了いたしました。  次に、常松裕志君。
  369. 常松裕志

    常松分科員 大臣に、いわゆる資源のリサイクルについてお尋ねをいたします。  我が国は資源小国と言われているわけであります。昨年はまた、いわゆるリサイクル法も施行されているわけでございまして、こうした鉄あるいは紙、ガラス、布など再生可能な資源のリサイクルにつきまして、大臣の決意をまずお伺いいたしたいと思います。
  370. 森喜朗

    ○森国務大臣 平成五年度予算審議に当たりまして、本委員会でもしばしばこうした御質問がございました。かけがえのない地球を廃棄物の発生によります環境の悪化から守り、快適な生活水準と経済活動を長期的に維持していくためには、リサイクルを組み込んだ経済社会への転換を進めるということは大事なことだと考えております。また、リサイクルは、深刻化する廃棄物処分場の不足を解消する観点からも、また省資源、省エネルギーにも資するという観点からも重要なものでございまして、その一層の推進が求められております。  通産省といたしましては、平成三年の十月に施行されましたリサイクル法を適切に実施することはもとより、リサイクル製品の需要拡大、回収ルートの整備、広く国民の理解と協力を求めるための普及啓発活動の実施など、各般の施策をただいま講じているところでございます。  さらに、今国会には、再生資源の利用の一層の促進を図るために、省エネ・リサイクル支援法案を提出させていただきました。先生も御承知のとおりだと思いますが、同法案におきましては、再生資源を利用する事業者等に対しまして、日本開発銀行等からの低利融資、産業基盤整備基金の債務保証、再生資源利用促進準備金等の支援策を講じて、リサイクルの一層の促進を目指しているところでございます。  今後とも、これらの施策の実施を通じまして再生資源の利用の促進に一層努力してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  371. 常松裕志

    常松分科員 その極めて重要な資源のリサイクルでございますが、実は我が国ではこれまでも資源のリサイクルは行われてきたわけでありまして、鉄につきましても紙につきましても、ガラスあるいは布につきましても、それぞれ資源のリサイクルが行われておりました。それを一番末端で担ってこられたのは資源回収業の方々でございます。ところが、リサイクル法ができ上がってからというもの、まず鉄くずが価格の暴落をいたしました。今は紙であります。やがて布についてもガラスについても同じような価格の暴落が起こるのじゃないか、こういう心配がされているわけであります。このリサイクル法がつくられた途端に暴落したというので、これまでリサイクルを担ってきた資源回収業の方々をむしろこのリサイクル法でつぶしてしまえ、そういう法律なんじゃないかというように資源回収業の方々などは大変心配をして、通産行政を見守っているといいますか、見守るなんという段階じゃなくて、通産省は我々をつぶすつもりか、こういう恨みにも似た気持ちでこのリサイクル法施行以来の事態に対処しているわけなんです。  どうなんでしょうか、大臣。今後の資源リサイクルを進めていくのに当たって、こういう資源回収業の方々、今まで我が国において資源リサイクルの第一線で活動してきたこういう方々を今後どういうふうになさろうとしているのか、通産大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  372. 森喜朗

    ○森国務大臣 先生とこうして御質疑という形でやりとりをさせていただくのは初めてでございまして、大変失礼でございましたけれども、役所がつくりました表紙に先生のいろいろな御経歴が書いてございました。今一生懸命に片方でそれを見ながら先生お話を伺っておりまして、「強い国より優しい国を」というのが先生の政治信条だそうでございまして、御質問の中にもそうした点が非常に込められているなと思って、実は改めて敬意を表したい気持ちでいっぱいでございます。  リサイクルは、回収する段階、それから再生資源を利用して製品を製造する段階、再生資源利用製品を販売する段階から構成されておるのは御承知のとおりでございまして、その一翼を担う回収業者の役割は極めて重要でございまして、我が省としてもそういう認識を持っているところでございます。  通産省としましては、このような回収段階も含めたリサイクルの各段階の特徴、性格に応じたきめ細やかな施策を講ずることが重要だと考えております。平成三年十月に施行されましたリサイクル法と、今国会に提出をさせていただいております省エネ・リサイクル支援法案とを車の両輪として、従来から講じてまいりました施策と相まってリサイクルの一層の推進に努めてまいりたい、こう考えております。先ほど申し上げましたように、回収段階すべて含めましたその各段階の特徴と性格に応じたきめ細やかな施策を講じていきたい、このように考えておるところでございます。
  373. 常松裕志

    常松分科員 ところが大臣、いわゆる逆有償化ということをもう大臣も御存じだと思うのですけれども、鉄くずの場合にその逆有償化で、つまり、もうお金を出さなければ引き取ってもらえない事態になったわけであります。資源がリサイクルできるのは末端の、例えば大臣のお住まいの町でも私の町でもそうですけれども、鉄くずについて言うと、PTAとかあるいは町内会なんかが空き缶やスチール缶なんかを集めますね。あるいはアルミ缶を集めます。その集めたのを業者のところに持っていけばこれまでは買ってくれた。ですから、PTAやあるいは町内会が集めたものはリサイクルのルートに乗っていくわけであります。しかし逆有償化で、今度はお金を出さないと業者の方々が引き取ってくれないということになりますと、それよりはごみとして出して行政の方に処理をしてもらうということになるわけでありまして、結局逆有償化なんということになりますと、これは末端におけるリサイクルの組織が壊滅をしてしまうわけですね。鉄くずについて去年あるいはおととし、そういう事態が起きました。  この鉄くずの問題については後でお聞きをするつもりですけれども、今起こっているのは紙なんです。実は紙の方はある意味では極めて深刻でありまして、全国で紙が今古紙として回収されているのが一千五百万トンございます。膨大な量です。この一千五百万トンが今は古紙回収業の方々を中心にして回収されているからいいのですけれども、これが大臣、全部ごみになってそれぞれごみ置き場に新聞紙が出る、雑誌が出る、ダンボールが出るということになりましたら、これはもう大変な事態なんです。新聞の古紙についてだけ申し上げますが、一九八三年ですからちょうど十年前にキロ当たり二十七円でございました。それが今幾らかといいますと、キロ当たり七円です、大臣。十年前に二十七円が今七円、そしてこの四月からは六円になるだろう、こういうふうに言われているのです。つまり、六円になっちゃったらもう資源回収業の方々は商売にならないと言っています。この六円というのは回収業者の方が直納問屋に売る価格ですからね、直納問屋の買い入れ価格ですから、もう業として成り立たないと言っているのです。もうちょっと、あと一カ月もたったら一千五百万トンの紙がどかっとごみ置き場に出てくる、そういう深刻な事態にあるのですけれども、通産省はどうなんでしょうか、今そういう事態にあるんだということを認識しているのでしょうか。
  374. 高島章

    ○高島(章)政府委員 古紙の利用率というのは、先生もよく御案内のようにだんだんと上がってきておりまして、一番新しいところでは昨年五二%まで上がっているわけでございますが、これは実は世界の最高の水準でございます。したがいまして、これまでいろいろな人たちの、回収の段階であれ卸売の段階であれ、メーカーさらにはその再生紙を使おうという国民各層のいろいろな理解と努力で上がってきたということでございまして、先ほどおっしゃいました千五百万トンも今おっしゃるような数字にはなっておりますけれども、今申し上げました回収から再生紙の利用のところまで至るサイクルの中で、うまく皆さんの努力で使われているのが実は実情でございます。ただ問題は、回収の価格が非常に安くなっておりまして、そういう意味では回収努力をする人たちの成果が報われないということもございますし、それからもう一つは、このところの不況のために紙の需要が減った、特に古紙をたくさん使っております新聞用紙が減ってきておりまして、そのために、古紙の回収されたものが卸に行って、そしてメーカーに行くというその流れが少し細くなっているというのが実情でございます。  ただ、そうはいいましても、これまで多くの人たちの非常な知恵で世界最高の利用率まで上がっておりますこのリサイクルでございますから、我々といたしましては、回収の段階、卸の段階、メーカーの段階、そして実際の国民各層への利用の理解の深まりといった各面におきまして施策を厚くいたしまして、ぜひその集められた古紙がむだにならないように、よいサイクルが流れるように各施策の充実に現在も努めているところでございますし、今後とも各省、地方自治体も協力いたしまして、そのリサイクルの流れが太く円滑になるように努力をしているところでございます。
  375. 常松裕志

    常松分科員 局長、質問とちょっとピントが外れているんじゃないですか。私がお尋ねしたのは、キロ当たり七円にまで現在暴落している、それがこの四月になると六円になるのじゃないかというふうに業者の方々は心配している。そうなりますと、その紙がリサイクルのルートに乗らないでごみとしてどかっと出てしまうことになるのじゃないか、そういう深刻な状況に古紙回収業の方々は、この回収業の方々も通産省の行政の対象でしょう、そういう業者の方々がそういう状態にあるということについて通産省は深刻に受けとめているかどうかということを聞いているのです。いかがですか。
  376. 高島章

    ○高島(章)政府委員 さっき申し上げましたように、現在の経済状況から回収業者の人たちにとって大変苦しい状況になっていることは我々も痛いほど理解をしておりますし、現状もよく勉強させていただいているところでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますのは、そういった痛みを本当に感じておられる人たちの努力がうまく報われるように、いいサイクルにその古紙が回るように、それぞれの部署についての政策の厚みをつけているということを申し上げた次第であります。
  377. 常松裕志

    常松分科員 いや、前提としての局長の認識が私と同じだ、非常に深刻な状態にあると。その業界の方々があすにもこの業を投げ出しちゃいたい、とてもじゃないけれどももう商売やっちゃいられない、そういう深刻な状況にあるという認識に立っているというふうに理解してよろしいですね。
  378. 高島章

    ○高島(章)政府委員 各地においていろいろな難しい局面が出ていることは、おっしゃるとおり理解をしておるつもりでございます。
  379. 常松裕志

    常松分科員 すっきり認めてくださいよ。そういう深刻な状況にあるということをすっきり認めてくださいよ。
  380. 高島章

    ○高島(章)政府委員 そのとおりでございます。
  381. 常松裕志

    常松分科員 大臣、今キロ当たり七円なんですけれども、キロ当たり十円保証してもらえば業としてやっていけるとおっしゃっているのです。もしこの古紙回収業が全部つぶれるとしますね。そうすると当然行政がやります。行政がごみ行政として、清掃行政としてやるわけですね。先日、私の地元の、名前を言ってもいいんですけれども、ある市の清掃部長と話をしました。その清掃部長の話では、もし各家庭から主婦が出すごみをごみ置き場から市の清掃車が集めて、そして市の清掃工場に持っていって焼却するまでを計算してみますと、キロ当たり十二円、トン当たり一万二千円だというのです。しかし行政の場合は、焼却場で燃すとそこで灰が出ます。その灰をまた処理しなければなりません。最後の最終処分地まで持っていかなければなりません。その最終処分地まで持っていった場合を考えますと、トン当たり三万二千円かかるというのです。つまり、キロ当たり三十二円です。これは札幌ではトン当たり三万七千円、したがってキロ当たり三十七円かかるというのです。そうすると、資源回収業の方々がこれを集めてくれればトン当たり一万円、キロ当たり十円あればやれる。この業界をつぶしちゃって、そして行政がこれをやるようになりますと、最終処分地まで持っていくためにはその三倍の費用がかかるというふうに言われているわけなんです。  ですから、私は国民経済全体の立場から考えても、この資源回収業の方々を保護し育成をする。しかも、今苦しんでいるのは末端の業者の方々です。直納問屋の方々のところは比較的これまでも通産省から保護が行われていまして、この直納業者の方々も苦しいのですけれども、もう今にも仕事を投げ出したいという状況ではない。一番末端で回収している業者の方々がそれこそ四月になったらもうやめざるを得ないのじゃないかという状態にある。もしこんなことになったら、国民経済全体の立場からすれば逆に大変な経費がかかることになるわけですから、ひとつぜひ大臣、この業界、回収業の方々を保護し、そしてできれば育成していくための施策を講じてもらいたいと思うのですけれども現状どういう施策が行われているのか、ちょっと説明してください。
  382. 高島章

    ○高島(章)政府委員 今先生指摘ございましたように、紙のリサイクルの中で古紙の回収業者が果たしている役割がいかに重要かということは、全く我々も同じ認識でございます。  したがいまして、古紙回収業者の経営を安定化するために今我々がとっております施策の内容を申し上げますと、一つは、事業用施設の事業所税の軽減措置、それから古紙をこん包いたします機械、古紙のこん包装置に係る税額控除等の税制上の支援措置、さらに中小企業金融公庫、国民金融公庫の低利融資等の金融上の支援措置を講じているところでありまして、これは日本すべての古紙回収業者が利用できる制度になっているわけでございます。  それから、実際にそういうものを集めましても、今、卸売業者の方は少し事情が違うとの御指摘もございましたけれども、そういった古紙の回収業者から卸売業者が古紙を円滑に安定的に購入するということがどうしても基本でございますので、そのためには古紙の回収業界全体の活性化がまた必要なわけでございます。そのためにとっております施策の内容をお話し申し上げますと、昨年の十一月から、古紙の卸売業界が中小企業近代化促進法に基づいて行います構造改善事業に対し、中小企業金融公庫、国民金融公庫、さらに中小企業事業団の低利融資がございますし、また、そこで使われる機械についての割り増し償却、さらには登録免許税の軽減、さらには特別土地保有税、事業所税の非課税等の支援措置も講じているわけでございます。  さらに、そういった古紙を実際に集めましてためておきますとこれまた非常に経費がかかりまして、その経費がかかるのでそういうものは引き取れないというような事態も生じますから、卸売事業者が行う古紙の備蓄も円滑に行われるように、その備蓄の費用に対しましても、財団法人でございます古紙再生促進センターが金利二%という非常に低利の融資を行っております。そういうことで、古紙回収の人たちが集めた古紙がうまく集まり、たまるように考えているところでございます。
  383. 常松裕志

    常松分科員 局長はもうわかった上で言っているんでしょうから、これは大臣の胸をたたくのですけれども、今局長がおっしゃったようなことは主に直納問屋に対する支援措置なんです。今私が再三申し上げております末端の資源回収業の方々に対しての具体的な支援措置というのはありません。この方々が今要望しているのは、いろいろありますけれども、私基本的に二つだと思っているのです。  一つは今お話があった税制措置ですけれども、税制措置の中でも、大臣、結局固定資産税と相続税なんです。東京のようなこういう地価がどんどん上がっていくところでは、再生資源業の方々にとってヤードという在庫を置いておく場所が必要ですけれども、この固定資産税が大変であります。もっと大変なのは相続税なんです。ここのところを何とか考えていただきませんと、結局相続をするときに業をやめちゃうということになるわけでありますし、ここでまた固定資産税の評価がえですから、そうなりますとまた高い固定資産税ということになりまして、これでもうやっちゃいられない、こういう気分が非常に強くなっているわけであります。したがって、税制上はこの二点をぜひやってもらいたい、こういう要望です。  もう一つは価格です。安定基金というふうに言ったらいいのでしょうか、価格に対する措置です。要するに、トン当たり一万円、キロ当たり十円、こういうことを保証してもらいたいというのがこの方々の要望なんです。  実際はこういうことになっているのです。大臣、先ほど言いましたように市にしてみますと、市の清掃車が行って集めてくると、焼却場終わるまででトン当たり一万二千円です。業者の方々だったらトン当たり一万円でやってくれる、こういうことですから、末端の東京の市などではその分までは補助してもいい、補助しましょう、こういうことに自然になりつつあるんです。  これも大臣にお訴えするのですけれども、先ほど言いましたように、もしここがつぶれちゃったらかえって国民経済的には大変な事態になるわけですから、ひとつ今言った税制上の問題では大蔵大臣、それから清掃行政ということのかかわりもありますから厚生大臣、あるいは自治大臣とも御相談いただいて、ひとつここに対する何らかの具体的な措置を通産大臣が中心になっておまとめいただけないだろうか、何とかここのところを政治家として御努力いただけないだろうかということでございます。大臣の御答弁をぜひお願いしたいと思うのです。
  384. 堤富男

    ○堤(富)政府委員 御要望のございました固定資産税、相続税、これはそれぞれ技術的な問題ですので私の方から答えさせていただきますが、固定資産税につきましては、特定設備ではございますけれども、現在三分の二にずるという減免制度が一応適用になっております。ただ、回収業者一般に対して特定設備ではなくてすべての資産について……(常松分科員「土地だよ」と呼ぶ)土地も含めてやるということにつきましては、政府全体として検討いたしたわけでございますけれども、固定資産税というのが市町村のサービスの対価であるという面もありまして、市町村の基幹税制であるということから、非課税等の特例措置をとるということは、リサイクルというのが大変大事ではありますけれども、リサイクル業者であるという理由だけでこれを減免するという特例措置をとるということは、現時点ではなかなか難しいのではないか。  それから承継税制の方は、もちろん回収業者に限らず中小企業一般の問題として、ここ二年間にわたりまして承継税制について税制、制度の議論がされていたことは御承知のとおりだと思います。それなりの制度が出てきておるわけでございますが、二百平米以下の事業用宅地につきましては七〇%の減額をするというような考え方も導入されて、昨年それが六〇から七〇に引き上がったということもあるわけでございます。承継税制については、中小企業全般の問題として今後も検討することが税制調査会でも言われておりますし、その方向での検討はもちろん行われていくことになると思っております。
  385. 常松裕志

    常松分科員 大臣局長の答弁はわかったのですけれども、先ほど言ったように、ここの業界がつぶれてしまったら国民経済的に見て三倍の経費がかかるわけです。恐らく三倍では足りないと思うのです。一千五百万トンの紙が全部ごみとなって出てくるようになったら、東京なんかもうパンクです。ごみの最終処分地でも、東京が全体としてもうパンクしてしまうのです。したがって、そういう次元の話じゃなくて、ぜひひとつ大臣が中心になられて、関係各省庁、各大臣と高い政治的な立場から御検討いただけないかということでございますので、大臣の御決意をぜひ承りたいのです。
  386. 森喜朗

    ○森国務大臣 委員のお話は私にはよく理解はできます。しかし、これは先ほど生活産業局長から申し上げましたように、この業界全体の活性化といいましょうか、近代化という面でもちろんいろいろな支援措置というものを考えておるわけであります。もちろんそれは、どちらかというと今先生がおっしゃいましたように本当に苦労する末端の回収するところに及んでいないという点もわかりますし、その皆さんが仮に全部やめてしまえばむしろ公的負担が大変なものになりますよ、この点もよくわかります。しかし、その面だけとらえて基金を、今先生だまたま安定基金とおっしゃいましたけれども、国がそういうことを補助することが果たしてなじむのかどうか。これはまた地方の自治体の住民サービスという面もあるわけでございますから、その点を両々相まってよく考えていかなければならぬと考えております。  いずれにいたしましても、需要の拡大、要はふえてくるといいますか、そのことが全体的にキロ当たりの価格も上がってくるということにもなる、そういう経済の論理というものもやはりあるだろうと考えております。そういう意味で、新しい支援法というものを今国会でお願いをしておるわけでございますが、そういう支援措置を最大に利用して業界全体の活性化を図っていくということもやはり一つの求め方かなという感じもいたします。  いずれにしても、大変大事な点を御指摘になられましたし、限られた時間でございますから、全体的にまた私ども自治体ともよく相談をして、何かいい方法はないだろうか、そんなことも一度よく検討してみたい、このように思います。
  387. 常松裕志

    常松分科員 どうぞよろしくお願いします。  終わります。
  388. 松永光

    松永主査 これにて常松裕志君の質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  389. 高木義明

    高木分科員 私は、民間航空機関連産業対策並びに原子力エネルギー問題について、大臣ほか関係省庁の皆さん方にお伺いをいたします。  私どもは今、政治の大きな課題といたしまして、既に言われておりますように、国際貢献と生活大国づくりということに向かって、それぞれの分野で努力がなされておる最中であります。ゆとりと豊かさの実現、いわゆる生活の面で先進国づくりをしようという、その基盤をなす産業の振興あるいは科学技術の向上は、重要な課題であろうというふうに常々私は考えておるわけであります。今日の日本経済の繁栄は、言うまでもなく、勤勉な国民性と絶え間ない技術開発の成果、こういうふうに言えると思います。そして今日、先端技術等ハイテク分野においては、我が国は世界の最先端を歩んでおるという自負をしていいと思っております。  しかし私は、一方において、日ごろよく利用いたします航空機等に乗る際、我が国の国産のジェット機に乗る時代はいつ来るのかなというふうに思っておりますし、今日までのいろいろないきさつがありましたので、世界のレベルと我が国のレベルは多少の違いはあるということは理解できますけれども、やはり夢として、我が国の国内国外を問わず、みずからの国の航空機で旅ができるという時代になって初めて、我が国の先端産業、ハイテク産業は世界一だ、こういうことが言えるのではないかと思っておる一人であります。日本が国際的に名誉ある地位、そして技術立国としての基盤を維持していくためには、絶え間ないさまざまな技術開発あるいは高度な専門的知識を持つ人材の育成が必要であります。そのためには、これらの先端技術の開発、あるいはハイテク産業を育てていくという産業政策の視点が、今求められておるのではないかと私は思っております。  今日、国際市場におきまして、最も先進国間で分業体制が確立されているのが、ほかでもない航空機産業であります。民間の大型航空機を国際共同開発することは、国際協調という側面からもぜひ推進すべきものでありまして、我が国の高度な科学技術がこの面においても発揮できるのではないかと私は希望を持っておるわけであります。  大空への夢は果てしがありません。例えば、言われております二十一世紀への超音速旅客機にいたしましても、これは一九九〇年五月、欧米五社によりまして機体研究チームが発足しております。一九九一年三月の研究会にはイタリアも参加し、日米欧六カ国の共同研究がスタートいたしております。十月には旧ソ連も参加、一九九八年ころ本格開発がなされ、二〇〇五年前後に夢の旅客機が実現をするのではないかというふうにも言われておりまして、大変喜ばしい、また待ち遠しい限りであります。  そこで、通産大臣にお尋ねをいたしますが、政府はこうした民間航空機産業の育成をどのように考えておるのか、基本的なお考えをお聞かせいただきたい。また、最近のエアライン不況の影響等を勘案いたしまして、具体的な産業政策とともに、国としての対応をお聞かせいただければ幸いでございます。
  390. 森喜朗

    ○森国務大臣 我が国の航空機産業につきましては、先生も大変御見識が深いわけでございますが、冷戦終結を反映いたしまして防衛費の削減、今お話がございましたエアラインの不況などによりまして大変な影響を受けておりまして、厳しい状況に直面しておりますのは事実でございます。このような状況のもとで、我が国の航空機産業の発展のためには、着実な民需シフト、日本の技術力を用いた新たな分野への開拓等が必要であろうと考えております。  通産省といたしましては、かかる観点から、従来より行ってまいりました航空機やエンジンの国際研究開発プロジェクトに対しまして、引き続き積極的な支援をしてまいりたい、このように考えております。
  391. 高木義明

    高木分科員 今もお話がありましたように、航空機産業は、冷戦終了後の軍事需要の減少、これは非常に喜ばしいことでございますが、一方では、このような世界的な不況の影響を受けまして、民間部門においても需要が減少しておる。ボーイング社など主要航空機メーカー三社の受注の数を見てみましても、ピーク時の八九年千六百機の約四分の一まで減少をしておるという実情であります。  現に我が国にありましても、中期防の見直しなどによりまして、航空機メーカー六社の防衛費削減影響調査結果では、約五千億円の削減になると、これは防衛費のことでありますが、一九九八年度までに約二千人の人員削減が避けられない、売上高の減少は三割に達する、こういうふうに言われております。  民間部門におきましても、V2500の派生型A5、D5がアメリカで型式認証を得たというプラス材料はありますけれども、先ほども述べておりますエアラインの不況によりまして、ボーイング社においてもB757、B767等、あるいはMD社におきましてもMD80、MD11等々減産する意向である、このように言われております。私たちが心配するのは、国際共同開発が一般化したこの航空機産業の衰退は、そのまま先進国の経済に影響を与える、このように危惧をいたしております。我が国におきましても、官需を含めた航空宇宙産業は、生産規模一兆円、約三万人が関与いたしておるのであります。  そこで、改めて通産大臣にお尋ねいたしますけれども、このような航空宇宙産業がもし事業規模の縮小という事態を迎えたならば、地域経済に与える影響もさることながら、専門技術者の減少あるいは熟練作業員の配転、離散等にもつながっていくのであります。これは、我が国の工業技術水準を維持するために極めて憂慮する問題でありまして、かかる専門技術者を維持するために特別な支援措置を講じることが必要ではないか、私はこういうふうに思うわけでありますけれども、この点について御所見を賜りたいと存じます。
  392. 森喜朗

    ○森国務大臣 航空宇宙産業は、幅広い技術的な波及効果を有する産業であることは今さら申し上げるまでもございませんが、これはやはり積極的に発展を図っていくべきだ、このように考えております。こうした観点から、通産省といたしましては、従来より大型民間輸送機B777、V2500エンジン及び超音速輸送機等、航空宇宙産業に必要不可欠な分野の研究開発につきましては、各種の予算措置を通じて助成を行ってきたところでございます。  航空宇宙産業の発展の基盤として、専門的知識や熟練技術を持つ技術者の維持が極めて重要であると認識をいたしております。各種の研究開発プロジェクトは、我が国技術者の水準の維持、向上にも貢献してきたものと考えております。今後とも、各種のプロジェクトの推進を図ることによりまして、技術レベルの向上を通じました航空宇宙産業の発展を積極的に支援してまいりたい、このように考えております。
  393. 高木義明

    高木分科員 きょうは科学技術庁にも来ていただいておりますのでお尋ねをいたしますが、とにかく航空産業あるいは宇宙産業といいましょうか、かかっている研究開発費というのが大きな柱になってまいります。ほかの欧米先進国と比べましても、我が国の航空宇宙部門における研究開発費というのは極めて少ないというふうに申し上げたいと私は思います。今後、日本が技術立国としてさらに国際社会に貢献をする、あるいはまた国民生活の質の面を向上させるためには、このような研究開発費はさらに充実強化するべきだ、私はこのように思っておりますけれども、科学技術庁という立場で御見解をお伺いしておきたいと思います。
  394. 大熊健司

    ○大熊説明員 お答えいたします。  航空宇宙分野におきます科学技術の研究開発でございますけれども先生御案内のとおり、極めて先端的かつ先導的なものでございまして、航空宇宙以外の、材料その他もろもろの分野への波及効果が大変大きいものでございまして、科学技術全般にとって大きな牽引力になる、こういうふうに思っております。科学技術立国を目指す我が国にとっても、強力に推進すべきものだというふうに考えてございます。  先ほど先生指摘の、他の欧米先進国と比較しての話でございますけれども、宇宙開発分野から申し上げますと、宇宙開発予算、これはアメリカは我が国の約十倍でございます。欧州でございますけれども、欧州各国ともそれぞれ個別の宇宙開発をやっておりますが、欧州は全体で欧州宇宙機関という国際機関を設けて強力に進めておりまして、この欧州宇宙機関の予算が我が国の倍、こういうふうになってございます。  こうした状況の中で、我が国といたしましても予算の充実強化に努めつつ、効率的かつ着実な研究開発を進めております。例えば、アメリカ、ヨーロッパと比べまして遜色のないと私ども思っておりますが、全段自主技術開発のHⅡロケットの打ち上げも明年に予定するところまで来ておるところでございます。平成五年度の宇宙開発関係の政府予算ということでいきますと、政府全体で約二千十七億円、こういうふうになってございますが、対前年度比六・五%の増、こういうふうにしてきてございまして、一般歳出の伸び率三・一%と比べて、私どもとしては格段の努力をしているというところでございます。  それから航空分野でございますが、航空そのものについての比較はなかなか難しいところでございますが、各国とも国の研究所で航空と宇宙双方を研究しているところが通常でございまして、それぞれの研究所の比較をちょっと申し上げますと、アメリカは航空宇宙局、NASAがございまして、これはもう別格ぐらいに大変な規模、予算でございます。ヨーロッパの方で申しますと、イギリスは王立航空研究所、これが約二千五百人で四百億円ぐらいの規模でやっておる。フランスは航空宇宙技術研究所がございまして、ほぼ同じような規模でございます。ドイツになりますと、約四千二百人で六百億円ぐらいの規模の予算で研究を進めている。これに対しまして我が国でまいりますと、科学技術庁傘下の研究所で航空宇宙技術研究所がございまして、四百人で百億ぐらいの規模、平成五年度の予算案では百十五億円ということで、前年度比七%の増でございまして、その充実強化に努めているところでございます。  先生指摘のとおり、こうした点を踏まえまして一生懸命充実強化をしてまいりたいと思っております。通産省、運輸省等の関係省庁とも連携しつつ、長期的な視点に立ちまして効率的な研究開発に引き続き取り組んでまいりたい、かように考えております。
  395. 高木義明

    高木分科員 かつて我が国は、双発ターボプロップとしては傑作機と言われるYS11を開発して世界の航空市場にも提供することで、技術開発の面におきましても経済的にも得るものが大でありました。YS11の後継機として期待される中型旅客機、いわゆるYSXの開発状況について今どの程度なのか、またこれを生産ベースに乗せるまでにはどのくらいの期間を要するものか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  396. 坂本吉弘

    ○坂本(吉)政府委員 お尋ねのいわゆるYSXの件でございますけれども、御指摘のように本件につきましては、何とか国際共同開発の中で我が国が主体的に取り組む次のプロジェクトということで、私ども本件には大変な期待を持っているところでございます。  現在は、七十五席クラスということを一応目安にいたしまして、市場また技術動向というものについての調査を行っているところでございまして、これにつきましても通産省の方で平成元年以来、平成五年度まで約一億強のお金を支援いたしまして技術調査を行っているところでございますけれども、いまだゴーアヘッドというところまでには至らない。しかし、各国におきましてもこのクラスを目指して幾つかの国が調査をいたしておりますので、これらをにらみながらその時期をうかがっているというところが現状でございます。  したがいまして、生産ベースにいつ乗るかという点につきましては、このYSXの本格的な開発時期というものが必ずしも見えませんので、いつということを申し上げる状況にはないのでございますけれども通常、もしこれが何らかの形で本格的な開発が始まりますと、それから約五年を経まして生産に乗るのじゃないかというふうに思っております。ただいまヨーロッパの各国でも幾つかのプランが検討されておりますし、また我が国にも一緒にやろうということで幾つかの呼びかけもございます。こういったものを考えながら航空機業界は取り組んでおるところでございますので、通産省といたしましてもこれを全面的に支援していこう、こんなつもりでおるところでございます。
  397. 高木義明

    高木分科員 次世代基盤技術開発についてお尋ねをいたします。  技術立国である我が国が国際的に名誉ある地位を占めるためには、現在アメリカのNASAが行っておりますような中長期的な視点に立った基礎技術、要素技術に対する間接支援を、この際大幅に強化する必要があると私は考えております。 政府はこの次世代基盤技術開発についてどのような見解を持っておられるのか、お尋ねをいたします。
  398. 松藤哲夫

    ○松藤政府委員 先生指摘のとおり、経済大国になりました我が国が、基礎的な技術あるいは基盤的な技術について一層の努力を行うことは、国際的な責務でもあると我々は認識しておるところでございます。  こういう認識のもとで、通産省といたしましては、昭和五十六年度に次世代産業基盤技術研究開発制度を発足させまして、新材料、バイオテクノロジー等、いわゆる次世代産業の確立あるいは既存産業の高度化のための基盤技術の研究開発を推進してきたところでございます。  先生御関心の航空機関連で言えば、例えば金属材料につきましては、世界最高水準の強度を有する高性能合金を既に開発しておりまして、また、この合金でもって複雑な形の部品をつくる技術も開発して、ジェットエンジンの部品などの試作にも取り組んでおるところでございます。また、炭素繊維で強化された複合材料につきましては、アルミ合金に対して強度で二倍以上、耐熱性で百五十度以上すぐれた材料の開発にも成功しております。そのほか、超電導につきまして、例えば臨界温度百二十七度という世界最高記録を達成しておりましたり、またイットリウム系超電導体の単結晶の引き上げに世界で初めて成功するなどの成果も上げているところでございます。  こうした成果を上げつつ、なおかつ我々といたしましては、今後ともこういった基礎的、基盤的な研究開発をさらに一層強化したいと考えておりまして、平成五年度からはいわゆる次世代プロジェクトと大プロ等を統合いたしまして、産業科学技術研究開発制度という新しい制度のもとに、今後ともこういった先導的あるいは基盤的な技術開発について、なお一層の努力をして取り組んでまいりたいと考えております。
  399. 高木義明

    高木分科員 ありがとうございました。御答弁にもありましたように、ぜひこの分野におきましても格段の御努力をお願いいたしたいと思います。  続きまして、原子力開発についてお尋ねをいたします。  私たちは、地球環境問題に取り組みながら、我が国の経済を持続的に発展させるためのエネルギーの供給あるいは電源開発に対しましては、重大な関心を寄せておるのであります。言うまでもなく、エネルギーの安定供給につきましては、国民生活にとって大変重要な柱であります。しかし今、我が国のエネルギーの実態は、九九・五八%輸入に依存している石油が国内エネルギー資源の五八・三%を占めている。こういうことを見ると、我が国のエネルギーの供給構造は極めて脆弱である、これはよく言われておるところであります。まさにそうであります。したがって、深刻化していると言われます環境問題をにらみながら、そしてまたその解決をしながら、今後できるだけ石油依存度を低める。そのためには、原子力など代替エネルギーの開発はまさに強力に進めるべきであろうというふうに私は確信をしておるわけであります。  しかし、それにもかかわりませんで、現実の原子力開発というのは、我が国におきましてはいわゆる核アレルギー等もありまして反対運動などが頻発であります。そういうことから、原子力開発というのは大幅に立ちおくれている状況にあるのではないか、また今後に憂慮をするものでありますが、そういうことを踏まえて、通産大臣にこの際ぜひお尋ねをしたいと思います。今、原子力開発の妨げとなっております反対運動の一部は、我が国の原子力の効用あるいは安全対策の面について政府の広報活動が少し不足しておるのではないか、これが大きな原因ではないかというふうに思うわけであります。今こそこの教育面も含めましての広報活動が重要であると考えておりますので、この点について大臣の御所見を賜りたい。
  400. 森喜朗

    ○森国務大臣 原子力発電の推進に当たりましては、安全確保に最大限の努力を払いながら、国民の理解と協力を得ることが不可欠であると考えております。  このため、通産省としましては、原子力発電の必要性と安全性につきまして正確かつわかりやすい広報を行っていくとともに、原子力関係情報の適切かつ積極的な提供に努めているところでございます。具体的には、広く国民からの疑問に直接答える電話窓口の設置、事故、トラブル等の情報国民が直接アクセスできるパソコン通信ネットワークの開設など国民一般に対する広報のほかに、オピニオンリーダー、女性、青少年といった特定層に応じたきめ細やかな広報を実施いたしておるところでございます。  今後とも、原子力発電の必要性と安全性に関するわかりやすい広報を実施し、原子力発電に対する理解の増進に努力してまいりたいと思います。なお一層御協力いただきますようにお願いを申し上げます。
  401. 高木義明

    高木分科員 現在のエネルギー需給見通しでありますけれども平成二年に策定をされておりますエネルギー長期需給見通しに基づいて今考えてみますと、七年後の二〇〇〇年には原子力発電によるエネルギー供給量は五千五十万キロワットとなっております。しかし今のような立地状況では、この供給計画に対しまして建設実態というのはかなりおくれておる、私はそのように考えております。とても目標どおりのエネルギー供給はできない。政府は、この点についていかに考えておられるか。またこの際、今行われております原子力周辺地域交付金等の拡充などを図って、立地対策の強化をやはりもう一回改めて見直して地域に大きく還元をしていく、こういうことが求められておるのじゃないか、私はこのように思っております。  時間もありませんのでこれで最後のお尋ねになりますけれども、ひとつよろしくお願いをいたします。
  402. 黒田直樹

    ○黒田政府委員 原子力の立地の問題でございますけれども、御指摘のとおり目標としては二〇〇〇年、五千五十万キロワットということを目標にしているわけでございますが、現在のところ、運転中のもの、建設中のものあるいは建設準備中のものを合わせて大体四千六百万キロワットぐらいでございまして、先生指摘のように、目標に対して現時点ではおくれている。しかも、原子力発電所の場合には相当なリードタイムが必要でございますので、おくれていることは事実かと思います。  ただ一方で、昨年の青森県の東通地点で、関係の電力会社と関係の漁協との間に漁業補償協定が締結されるといったような明るい材料も出てきているわけでございまして、私ども、今先生おっしゃいましたように、長期需給見通しにおけるこの目標達成というのは決して容易ではないということは十分認識をいたしておりますけれども、しかし一方で、従来の施策の着実な実施に加えまして、今先生がおっしゃいましたような原子力発電施設等周辺地域交付金の大幅な拡充というのも来年度の予算の中にお願いをいたしているところでございますし、また来年度の予算におきましては、原発と地域との共生の実現のための交付金の新設等の施策の強化もお願いいたしているところでございます。  それからまた、そういった予算面の措置に加えまして、昨年の電源開発調整審議会の電源立地対策検討委員会の御提言にもございましたけれども、立地の初期段階にある地点を含めまして、関係省庁が協力して電源立地促進のための施策を強化していくというような方向も御提言されているところでございまして、そこで新しい部会を設置するというようなことも提言されているところでございます。こうした場も活用しながら、目標達成に向けて最大限努力してまいりたい、このように思っております。
  403. 高木義明

    高木分科員 これで終わります。ありがとうございました。
  404. 松永光

    松永主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、小松定男君。
  405. 小松定男

    小松分科員 きょうしんがりになりましたけれども、大変御苦労さまでございます。ひとつ時間の範囲で質問させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  私は、特に今の不況対策の問題で、そうした原因とかそういうものをここで論議するつもりはありません。現実に起きている中小企業の苦悩といいますか、その問題につきまして絞っていろいろと質問をさせていただきたいと思います。  これは言うまでもなく、日本経済を支えてきました中小企業の役割というのはかなり大きいわけです。ところが、今日のこの不況の状態で大変深刻な状態を迎えております。一つは、この金融面での対策でございますが、昨年来から緊急融資をやったりいろいろやっているわけですね。私どもの埼玉県でもやってまいりましたが、既に今でももう貸し出す枠はない。その他、市町村独自でもやっておりましたが、例えば川口なんかにおきましては申し込みが一日で満杯になってしまう、こんなような状況であるわけです。  そこで伺いたいのですが、こういう事態になりますと、この融資枠が非常に少ないからそういうことが起きるわけなんですが、それに対してまず通産省はどういうふうに考えているか、この点について、中小企業対策として伺っておきたいと思うのです。
  406. 森喜朗

    ○森国務大臣 委員のいろいろな角度にわたりましての、特に中小企業対策ということでお尋ねでございますが、通産省といたしまして、この中小企業に対します施策についてお答え申し上げたいと思います。  政府関係中小企業金融機関の貸付規模につきましては、四年度の補正予算におきまして、中小企業対策といたしまして総額一兆二千億円の貸付枠の追加を行いますとともに、平成五年度の予算案におきましても、中小企業金融公庫及び国民金融公庫の貸付規模につきましては、四年度当初の予算比で六%増の伸びを確保いたしております。また、緊急経営支援貸付制度は、総合経済対策に基づきまして、緊急特例限度貸し付けの創設、マル経制度の限度額の引き上げ、構造改革のための低利融資制度の創設などとあわせまして実施に移されたものであります。中小企業対策としての補正予算の規模も、円高不況時を上回る史上最高の額七百四十五億円でございますが、これを確保いたしております。  さらに、今御審議をいただいております平成五年度の予算案におきましても、中小企業信用保険法の保険限度額の大幅引き上げなどの思い切った中小企業対策を盛り込んでいるところでございまして、これらの施策が相まって、現下の情勢における中小企業に対する支援が有効に機能するものと確信をいたしております。そのためにも、平成五年度予算の一日も早い成立が必要であるということは言うまでもございません。いろいろと御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  407. 小松定男

    小松分科員 実は、これは埼玉県で商工部の方から聞いた話なんですけれども、例えば平成四年、五年の二年間で、国と県の協調融資というのですか、それをやった。ところが、先ほど言いましたように、もう既に満杯でない、こういうような実態をお話をしておりました。さらに、この今年度の予算で一体どの程度枠があるのかなということなど、まだ予算が決まったわけではありませんから、具体的には想定の枠しかないようでございますが、恐らく平成五年度で、千二百億のうち埼玉に来る割り当てが八十億くらいかなというようなことを聞いたのですけれども、これではとても緊急融資、今言うのは緊急融資の枠なんですけれども、とても少ないなというふうな気がしているわけです。ただし、これはまだ公表されているわけじゃありませが、大体想定するところそんなところかなというように言われておるのですが、とてもじゃないけれども、これでは緊急融資枠としても非常に不足をしているということですから、きょうは大臣も見えておりますので、この点についてもう少し増額を図るように考えてもらいたいということをあわせて述べておきたいと思うのですが、このあたりはいかがでしょうか。具体的な額は別にいたしまして、そういうような状況のようです。
  408. 関收

    ○関政府委員 今大臣から御答弁申し上げましたように、最近の景気の状況にかんがみまして、特に売上高等が減少いたしておりますから、中小企業の皆様にとりましては、運転資金の確保ということは極めて重要な課題になると私どもは考えております。  この運転資金を融資させていただくための制度はさまざまございまして、今先生指摘の、恐らく緊急経営支援貸付制度のお話かと存じますけれども、これ以外にも中小企業金融公庫、国民金融公庫からの一般貸し付け、これも大変最近はふえておりまして、昨年の四月からことしの一月末くらいですと、大体二割くらいはふえているわけでございます。それからまた、従来からございますマル経制度というのがございますが、これも貸し付けがふえておるわけでございます。今御指摘にございました緊急経営支援貸付制度につきましては、昨年の補正予算におきまして、貸付規模が二千億円程度ということでお認めをいただいておりまして、これを今私ども平成四年度と五年度に分けて活用するということにいたしておるわけでございます。  実は昨年の補正予算、先生御案内のとおり、昨年の十二月十日に成立をしたわけでございまして、実施可能になりましたのは十二月十四日からということでございまして、現在までのところ、平成四年度分につきましては約三十一の都道府県がこれを御活用いただいているという状況でございます。スタート間もない状況でございますので、四年度分の消化状況、あるいは五年度はまさに先生指摘のようにこれからの話でございますので、そういった動向も見守る必要があろうかと考えておりますが、さまざまな御活用いただける制度がございますので、これらをそれぞれの御事情に応じて御活用いただくことが非常に大事ではないかなと私ども考えている次第でございます。
  409. 小松定男

    小松分科員 次に、きょう大蔵省も見えていると思いますが、金利の問題でちょっと伺っておきたいと思うのです。  この公定歩合も二・五%に、過去最低に今なってきているわけですが、特に中小企業に対する融資の利率の引き下げ、これにつながっていかなければならないわけですし、またこの三月一日から政府関係の国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金、これにしても四・九%になったようでございます。しかし、今中小企業の人たちに聞きますと、今日の状況の中で金利もかなり下がってきているので、さらに一層この貸し付けの金利についても引き下げてもらいたいという声が率直にあるわけですが、この点について再度引き下げなどをする考えはないかどうか、伺っておきたいと思うのです。
  410. 北村歳治

    ○北村説明員 我が国の経済の現状のもとでは、中小企業に対する金融の円滑化を図ることは極めて重要であるということは、先生指摘のとおりでございます。  私ども、そういうふうに認識しているわけでございますが、貸付金利につきましては、例えば全国銀行の新規貸出金利は、ピーク時から昨年の十二月までに三・一%程度低下いたしまして、一昨年七月以降、前回までの五次にわたります公定歩合の引き下げ幅の合計であります二・七五%を上回る下げ幅になっているわけでございます。また、短期プライムレートにつきましても三・七五%、長期プライムレートにつきましては三・四%の切り下げ幅になっているわけでございます。今御指摘ございましたような、三月に入りましてからの金利の引き下げということもございますので、現在短期プライムレートの方はピーク時に比べまして四・二五%、それから長期プライムレートにつきましても四%程度切り下がっているわけでございます。  これまでの五回の公定歩合の例を見ましても、公定歩合の引き下げに伴いまして貸出金利は着実に低下してきているわけでございますが、今回の引き下げに伴いまして、さらに着実に低下するものと見込んでいるわけでございます。今回の公定歩合の引き下げを機に、金利引き下げなど中小企業金融の円滑化が図られますよう、二月八日付で銀行局長通達を金融機関に発出したところでございます。私どもといたしましては、今後この通達の趣旨が徹底して、中小企業に対する金融の円滑化が図られることを期待しているわけでございます。
  411. 小松定男

    小松分科員 固定金利の問題についてもあわせて伺っておきたいと思うのですが、固定金利だからバブルの状況のときの八%くらい、あるいはノンバンクの例でいきますと一〇%ぐらいの金利であるところがありますが、この固定金利について引き下げるような指導はやられているのか、どういうことなのか、この点も伺っておきたいと思います。
  412. 北村歳治

    ○北村説明員 金融機関の貸し出し取引につきましては、その性格上あらかじめ顧客と相対で金利、期間その他の条件が取引の都度設定されるわけでございまして、その条件に従って取引が行われるわけでございます。したがいまして、当事者間で事後的に条件変更の合意がある場合には金利引き下げも可能でございますけれども、金融機関がそれに応じるか否かは、個々の金融機関の自主的な判断によって決定されるべきものであるというふうに理解しております。したがいまして、当局といたしましては、当事者間で決められた取引の内容に対して関与すべき立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  413. 小松定男

    小松分科員 しかし、国の政策としていろいろと金利の、公定歩合の引き下げなんかもやっているわけですから、それに基づいて、じゃおまえたちは高いとき借りたのだから金融機関が認めなければだめだというのでは、これは中小企業はたまったものじゃないと思うのですよ。今まで異常な事態でしょう、今この状況というのは。二・五%に公定歩合が下がったというのも、今までの例からいえば、かつて一回ぐらいあったのですか、異常な下げ方だと思うのですね。ですから、そういう際には、やはり政府としても当然金融機関に対して指導をしてもいいのじゃないか、そのくらいのことをしてもいいのじゃないか。  こういうふうにも言われていますよ。バブルのときの金融機関をこうやって国の方は放置しておいて、そしてそれを何か救うためにやっているのかななんというふうに言われているのもあるぐらいで、ですからこのあたりになりますと、バブルのときの金利というのはやはり異常な事態ですから、それが急にがくんと下がってきたのですから、考えていいのじゃないか。これは、勝手にやりなさいということでは中小企業としてはたまったものじゃないので、この点はどういうふうなことをまた考えておるか。
  414. 北村歳治

    ○北村説明員 ただいま公定歩合のお話が出たわけでございますが、私どもの理解といたしましては、今回の公定歩合引き下げは、我が国経済の持続的成長に寄与することを目的とするということでございまして、日本銀行が金融機関救済あるいは助けるというふうな目的で今回の引き下げを行ったというふうに理解しているわけではございません。  それから、先生今御指摘の、金利が下がる、そういうふうな状況のもとで、民間の金融機関の貸出金利を引き下げるような方向で何らかの働きかけということは考えられるのではなかろうかというふうな御指摘かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、民間金融機関の貸し出し取引につきましては、当事者間同士でその内容が決まっていくという原則は崩せないかと思います。  ただ、先生の御心配されている点に関連いたしまして、一つ変動金利貸し付けというふうな面につきまして、民間金融機関もかなり関心を払っているわけでございます。具体的に申し上げますと、金利変動に応じまして貸付金利も変動させるという変動金利による貸し付け、これにつきまして銀行は近年、この変動金利貸し付けを重視しております。どの程度のウエートかにつきましてはつまびらかには承知しておりませんが、こういうふうな変動金利貸し付けをますます重視するようになってきているということだけは指摘できるかと思います。
  415. 小松定男

    小松分科員 時間も迫っておりますので、幾つか聞きたいこともありますので先へ進みますが、担保力の問題もあるのですね。  バブルの当時は時価の一〇〇%、一二〇%ぐらいで見てくれたのです。ところが、今は銀行あたりでも六〇%、政府関係の金融機関でも八〇%くらい。担保力も、中小企業の場合はかなりないのですね。ところが聞きますと、やはり国の方から厳しいそういう指導が入っているということも伺っているのですよ。この担保力についてやはりできるだけ、そういう低目低目と今度は見られているんじゃなくて、やはり正常な形の担保力というものを見る必要があるんじゃないかと思うので、この点についてはいかがですか。
  416. 北村歳治

    ○北村説明員 企業に対します貸し付けの担保についてでございますけれども、金融機関の融資は金融機関の自主的な経営判断に基づくわけでございますが、その場合、担保のみならずその事業の内容、返済財源、収益見通し、財務内容等を総合的に勘案して決定されるものというふうに理解しているわけでございます。したがいまして、担保だけに着目して融資を行うということにつきましては、もう少し広い立場から金融機関といたしましても対応をすべきものというふうに考えているわけでございます。
  417. 小松定男

    小松分科員 この中小企業の問題というのは、今言ったように金融の問題、それと仕事の問題、もちろん人の問題、担保の問題もありますが、いろいろこの対策の仕方あるのですね。私もその問題について、実は一つ一つ予定はしておったのですが、時間も三十分ということですから、なかなか全部それを聞くというわけにもいきませんので、そのうちの幾つか絞っているわけですが、特にそうした中小企業で大事なことは今言ったこと、これを十分対策の中に入れていってもらいたいというのが一つですね。  それからもう一つ、やはり公共事業ということで政府の方は盛んに今PRしているのですけれども、公共事業もそうですけれども、官庁から仕事を出す場合に、やはり中小企業向けというのがあると思うのですね。この点についての割合というか考え方というか、これはどういうふうにされていますか。
  418. 関收

    ○関政府委員 官公需の中小企業向けの発注に関しましては、官公需確保法という法律がございまして、この法律に基づきまして毎年度、国から、国または国に関連する機関でございますが、これにつきましては契約の方針を閣議決定し、それをできるだけ実現すべく努力をいたしているところでございます。  平成四年度におきましては、実は昨年の六月末に閣議決定されておりまして、その閣議決定の内容といたしましては、中小企業向けに四兆四千三百四十億円、国及び国の機関が発注いたします総事業量の約四割弱でございますが、そういったものをぜひ中小企業の方々に発注していただくように目標を定め、またそれを実現するためのいろいろな方策等についても御決定をいただいているところでございまして、私どもとしては、この目標を実現すべく最大限の努力を続けている段階でございます。
  419. 小松定男

    小松分科員 この点については、ぜひひとつ地方公共団体にもそういう指導を徹底してもらいたいと思うのです。これは、次に移りますので答弁は要りません。  次に、地域の商工会などからの強い要望がありますので伺いたいのですが、例えば商工会などで地域コミュニティーだとか健康増進施設とかあるいは共同駐車場、これをつくりたい、ところがこれが高度化資金の利用制度に今のところなっていないようなのですね。したがいまして、これをぜひそこに組み入れてもらえば無利子の資金が活用できる、こういうこともありますので、この点についてはどういうふうな考え方なのか。
  420. 関收

    ○関政府委員 結論的に申し上げさせていただきたいと思います。  平成五年度から、商工会あるいは商工会議所が主体となりまして、先生指摘のそのような事業をなさる場合にも、中小企業事業団から高度化資金の融資が受け得るように追加をするということにいたしておるところでございます。
  421. 小松定男

    小松分科員 それはどうもありがとうございました。  最後にお伺いしたいのですが、商業基盤の整備としていろいろと商店街がアーケードやそういうものをつくるわけですね。これに対しての整備補助制度といいますか、これが少し少ないじゃないかという声も実はあるわけなんです。したがって、この商業基盤の整備事業に対する国の補助事業についてどういうふうな考え方でやられているか、この点、最後に伺っておきたいと思います。
  422. 関收

    ○関政府委員 この点も結論だけ申し上げさせていただきます。  今先生指摘のような事業に対する補助金、これは実は国が四分の一、県が四分の一、合わせて二分の一を補助させていただくという制度でございますが、国の方の上限でございますけれども、現行は原則五千万円が上限でございますが、平成五年度からはそれを八千万円に引き上げる。また、大店法の大規模店舗の進出等が見られます一定の条件を満たす場合につきましては、現行が七千五百万円が上限でございましたけれども、これを五年度から一億二千万円に引き上げることにいたしております。  なお、その残余につきまして、当然事業団の融資対象にもなり得るということをつけ加えさせて  いただきたいと存じます。
  423. 小松定男

    小松分科員 時間も迫りましたのでこれで終わりますが、中小企業に対してはどうぞ特段の力を入れていただきますように、大臣も見えておりますので、またよろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  424. 松永光

    松永主査 これにて小松定男君の質疑は終了いたしました。  これをもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本分科会補充質疑は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後九時二十四分散会