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1993-06-10 第126回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年六月十日(木曜日)    午前十時五分開議 出席委員    委員長 平沼 赳夫君    理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君    理事 御法川英文君 理事 簗瀬  進君    理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君    理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       内海 英男君    大原 一三君       久間 章生君    高村 正彦君       鈴木 俊一君    谷  洋一君       中谷  元君    鳩山由紀夫君       福永 信彦君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君      三ッ林弥太郎君    宮里 松正君       村岡 兼造君    有川 清次君       遠藤  登君    小川  信君       沢藤礼次郎君    志賀 一夫君       田中 恒利君    辻  一彦君       野坂 浩賢君    鉢呂 吉雄君       堀込 征雄君    山口 鶴男君       倉田 栄喜君    藤原 房雄君       藤田 スミ君    山原健二郎君       小平 忠正君  出席国務大臣         農林水産大臣  田名部匡省君  出席政府委員         農林水産大臣官 上野 博史君         房長         農林水産省構造 入澤  肇君         改善局長         林野庁長官   馬場久萬男君  委員外出席者         国土庁地方振興         局総務課過疎対 小濱 本一君         策室長         大蔵省主計局主 津田 廣喜君         計官         文化庁文化財保 若松 澄夫君         護部記念物課長         労働省労働基準 近藤  斉君         局補償課長         労働省労働基準         局安全衛生部安 露木  保君         全課長         建設省建設経済         局建設振興課労 矢野 進一君         働資材対策室長         建設省住宅局住 社本 孝夫君         宅生産課長         自治省財政局交 田村 政志君         付税課長         自治省財政局準 板倉 敏和君         公営企業室長         自治省財政局指 木寺  久君         導課長         会計検査院事務         総局第四局上席 佐野  洋君         調査官         農林水産委員会 黒木 敏郎君         調査室長     ――――――――――――― 委員の異動 六月四日  辞任         補欠選任   小平 忠正君     柳田  稔君 同日  辞任         補欠選任   柳田  稔君     小平 忠正君 同月七日  辞任         補欠選任   岩村卯一郎君     野呂田芳成君   久間 章生君     瓦   力君   鈴木 俊一君     佐藤 孝行君 同日  辞任         補欠選任   瓦   力君     久間 章生君   佐藤 孝行君     鈴木 俊一君   野呂田芳成君     岩村卯一郎君 同月十日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     福永 信彦君   石橋 大吉君     沢藤礼次郎君   田中 恒利君     小川  信君   藤田 スミ君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   福永 信彦君     加藤 紘一君   小川  信君     田中 恒利君   沢藤礼次郎君     石橋 大吉君   山原健二郎君     藤田 スミ君     ――――――――――――― 六月八日  米の市場開放阻止に関する請願清水勇君紹  介)(第三四六一号)  同(木島日出夫紹介)(第三五〇八号)  同(北沢清功紹介)(第三五〇九号)  同(井出正一紹介)(第三五九〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三五九一号)  同(小坂憲次紹介)(第三五九二号)  同(田中秀征紹介)(第三五九三号)  同(羽田孜紹介)(第三五九四号)  同(宮下創平紹介)(第三五九五号)  同(村井仁紹介)(第三五九六号)  同(堀込征雄紹介)(第三六六〇号)  米及び乳製品市場開放阻止に関する請願(松  岡利勝紹介)(第三五八九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  林業改善資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四一号)(参議院送付)  林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第四二号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付林業改善資金助成法の一部を改正する法律案及び林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀一夫君。
  3. 志賀一夫

    志賀(一)委員 本日は、今通常国会最後農水委員会でありますが、そのトップバッターを仰せつかって、いろいろ林業問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、世界における木材輸出国動向ということでありますが、最近新聞等によりますると、それぞれの国々で環境問題とか、あるいはその国の砂漠化を防ぐとか、あるいはいろいろな理由でだんだん外材輸出が削減されつつあるのではないかというふうに見ているわけでありますが、そういう我が国輸入している国々動向についてまずお聞きしたいと同時に、そういう外材輸入のこれからの長期的な見通しというのが、いわゆる国産材時代、こう言われるものとの関連性で、多分に影響するところが大きいというふうに思うわけですが、そういった関係をどういうふうに長期的に見通してどのような国産材時代をつくろうとしているのか、その辺について詳細にお聞きしたいというふうに思います。
  4. 馬場久萬男

    馬場政府委員 御指摘のように、諸外国からの我が国への木材輸入、最近やや状況が変わってきております。現在我が国の年間の木材需要量は、一億立方メートルを若干上回る水準で推移しているわけでございますが、その約四分の三は外国からの輸入に依存しているわけでございます。中でも、いわゆる米材、アメリカカナダ、それから南洋材、これが大きな比重を占めているわけでございます。  ところが、最近、アメリカカナダあるいは南洋材の主たる輸出国でありますマレーシア等におきまして、木材輸出について規制を加えるという動きが強まっているわけでございます。  まずアメリカについて申し上げますと、アメリカは主として自然保護、特に絶滅の危機に瀕していると言われるマダラフクロウ保護等理由といたしまして、既に一九八八年の末から天然林伐採制限を行うということを言っておりまして、約五年前でございますが、それ以来年を追いまして、マダラフクロウ保護のためといって、ワシントン、オレゴン両州におきます連邦林の販売の凍結でありますとか、あるいは西経百度以西の連邦有林からの丸太輸出禁止恒久化でありますとか、さらには州有林につきましても、丸太輸出禁止というようなことを年々強めてきているわけでありまして、昨年の十月にはマダラウミスズメというまた別の鳥類の保護のため、これはやはり絶滅のおそれのある種であるという指定をいたしました。いずれにしても、連邦有林州有林丸太輸出規制ということを強めてきているわけであります。  また、マレーシアにおきましては、従来丸太で、これは主としていわゆる合板の原料になるラワン材等でございますが、輸出してきたわけでございますけれども、やや資源を切り過ぎているという国際熱帯木材機関、ITTOの勧告を受けまして、昨年の九月-十二月の伐採量を前年の伐採量の約一〇%相当、百五十万立方削減するということを発表いたしまして、十一月には十二月中の丸太の出荷は一時停止するということを言ったわけでございます。  また、もう一つの我が国への丸太輸出地域でありますサバ州、先ほど申し上げたのはサラワク州でございますが、サバ州におきまして、これは国内的な事情によりますが、昨年十二月にサバ州の丸太の一時的な輸出禁止をするということを言いまして、これが連邦政府州政府、それぞれ動きがばらばらでございますが、いずれにしても、現在我が国に対して丸太輸出は禁止するという形になっているわけであります。  以上のような最近におきます動きでございますが、実は、実際にアメリカなどを見ましても、輸出は禁止するわけでございますが国内業者には売っている。それからマレーシアなどにおきましても国内製材業者等には資材を売る。したがって、丸太という形で、つまり素材としての輸出は抑えて、一方では製品製材輸出についてはむしろ日本に対して輸出をしたい、こういう動向になっております。やや長い目で見ますと、平成四年の輸入実績世界から入ってくる丸太の量は、昭和五十七年、約十年前に比較しますと量として一五%減少している、一方製材品は八三%増加している、トータルではそれほど輸入量は変わりませんが、そういう形で、丸太は減少し、製材品は増加するというような状況にあるわけでございます。  今後の見通しについてのお尋ねでございますが、このような主要な木材産出国におきます環境保護あるいは国内産業保護、そして資源事情の悪化というようなことを理由とした丸太輸出規制は、やはり今後とも強まるのではないかというふうに懸念をしているわけでございまして、一方、自分の国内付加価値を高める製材製品輸入の割合というのは徐々に増加するのではないか、しかし総体としては、外国からの輸入状況というのはややきつ目に推移するのではないかというのが私ども現時点での考えでございます。     〔委員長退席御法川委員長代理着席
  5. 志賀一夫

    志賀(一)委員 今お話がございましたけれども、私の質問でまだ一つ答えていないのは、国産化時代との関連でどうなるのかという点についてちょっと御説明がなかったので、お聞きしたいと思います。
  6. 馬場久萬男

    馬場政府委員 今申し上げたような状況を踏まえて国産材はどうであるかというお話でございます。  御案内のとおり、我が国は戦後、荒廃した山に木を植えるということを一生懸命やってきまして、現在森林の約四割、一千万ヘクタールの人工林を擁しておるわけでございます。この一千万ヘクタールの大部分が戦後植林したものでございまして、これは現在、資源的には徐々に利用できる状況になりつつあります。といいましても、まだかなりの部分がいわゆる八齢級以下、四十年生以下のものでございまして、数字的には毎年約七千万立方メートルぐらい資源的にふえてきているわけでございますが、これを伐採して利用するどい段階には必ずしも十分に至っておりません。地域によりまして、早く造林したものについては利用のできるような状態になりつつあるという程度でございます。  そこで、将来的に見ますと、これらの成熟しつつある国産材国内木材需要に結びつけていかなくてはならぬということが課題でございます。このために、一昨年私ども国会におきまして森林法改正をお願いいたしました。それぞれの成熟しつつある国産材をどうやって円滑に国民需要に結びつけていくかということで、流域を単位に森林の整備とそれから木材生産を行うということを基本といたしまして、いわゆる森林流域管理システムというものを確立しようということにしたわけでございます。これによりまして、山に育っている木と、それを伐採して製材して加工流通に出していくというところを安定的に、低コストに供給が可能な体制にしていこう、こういうふうに考えているわけでございます。
  7. 志賀一夫

    志賀(一)委員 どうもそこのマイクが、こちらで聞くと人によって、大臣答弁は非常に明確に聞こえるのですけれども、今の答弁は不明確で困るのですが、後で検討してもらいたいと思います。  それで、国産材時代、こう申しながらも、一体外材がどの程度輸入されてその価格はどうなっているのだろうかというところに、国産材時代が果たして来るのかどうかということも一にかかっていると思うのですから、そういう長期的な見通しというものに立って国産材時代を実質的に築いていくように、どういう手だてをすべきなのかということを今から積み上げていくべきだろう、そういうふうに思っているところでありますが、もう少しく御説明いただきたいと思います。
  8. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国産材時代が来るためにどういうふうに今後見通すかというお話でございますが、先ほど言いましたように、外国からの輸入は徐々に制約されつつあろうというふうに思っておるわけであります。一方、国内では資源がだんだんふえてくるということでございますから、需給の関係を見ますと、将来的に、国内の成熟する資源を活用できれば、国産材外材が制約された部分を補って余りあるだろうというふうに思うわけでありますが、問題は、それが山元から円滑に切り出されて供給される体制にあるかどうか、こういうことだろうと思うわけであります。  国産材時代が実現するというのは、それが円滑に行われたときに国内で育っている資源が有効に国民のお役に立つということでございますから、そのための体制を整備しなければいかぬ、これは御指摘のとおりでございまして、私ども、現在の林業なり山村状況を見ますと、このままほうっておいたら担い手はだんだんいなくなる、山の手入れをする人もいなくなる、いろいろ問題を抱えているわけでございますので、これを、先ほど申しました流域管理システムというものをつくりまして、川上、川中、川下とよく言いますが、それらが連携をして木材生産流通加工が円滑に行われるようにしなければいかぬ、こういうふうに考えているわけであります。  そういう意味で、私どもが今回御審議をお願いしています林野金融二法の改正も含めまして、今後の国産材時代の実現のための政策を積極的に進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  9. 志賀一夫

    志賀(一)委員 次に進みたいと思います。  今、国有林民有林を問わず山が荒れている、こういうふうに一般的に言われているわけでありますが、しからばその荒れている現状は国有林民有林、一体どんな状態なのか、どれぐらいあるのか、そういう点についてまずお聞きをしたいと思います。
  10. 馬場久萬男

    馬場政府委員 山が荒れているという表現でよく言われるわけでございますが、御案内のとおり、山村におきます過疎化高齢化というようなものがありまして、山の手入れをすることが減ってきているということがそういう表現で言われているのだろうと思います。  現実には、先ほど申しましたような、育ちつつある森林手入れが十分なされないために、山のあり方がいわば本来期待されている機能を十分果たさないような形になっているのじゃないかということでございまして、例えば、山が育っていく途中におきまして、間伐でありますとかいろいろな手入れをしなくてはいかぬということがあるわけでございます。人工林の場合、御案内のとおり、ある程度密植をしまして、育っていく中でそれぞれ大体十年とか二十年とかという時期に間伐をする、残った木をまたよりよく育てるというような作業をしているわけでございますが、そういう手入れをする労力がないのではないか。したがって、みんな密植のままで育っていくともやしのような木になってしまう。また葉が広がり過ぎて日が差さない。そうすると本来地表を覆うべきいろいろな車とかコケとかというものも日が差さないために育たない。そうしますと、土が表に出ていますから、一たん雨が降ったりしますとその表土が流れてしまう。そうすると木自身も今度は弱くなって倒れてしまう。そういう意味で山が荒れるのじゃないか、こういうようなことが言われているわけであります。具体的に、一番今我が国森林状態からいって急がれていますのは、そういう手入れ間伐を中心とした手入れをする、これが不十分ではないかということなんでございます。  そこで、民有林国有林ともにそういう状況にあるわけでございますが、私どもいわゆる間伐促進特別対策昭和五十八年からやってきておりまして、いろいろな補助事業等によりまして毎年三十万ヘクタールぐらいの間伐をやっておりますが、全体で大体百四十万ヘクタールぐらいの間伐をしなければならぬということで、計画を立てて順次している次第でございます。  ただ、国の助成を受けてやるというものはそれなりに行われているわけでございますが、現在は、国の補助対象にならないような非常に小団地であるとか、あるいは森林所有者が独自に従来行ってきたような部分、そういうようなものについては必ずしも十分行われていないということもありまして、山が荒れているとよく言われるわけでございます。  国有林におきましても、当然これは造林をした地域について手入れしなくてはいかぬということでございまして、これも国有林の中でそれぞれ作業スケジュールをつくって適宜やっているところでございます。実際には地元の林業事業体等に人がいないというようなことで、部分的には作業が必ずしも円滑に進んでいないというところも見られるわけでありまして、それらにつきましては、極力必要な手入れをきちっとできる体制を組んでいかなければいかぬ、このように思っております。
  11. 志賀一夫

    志賀(一)委員 いま少し簡潔に言ってください、時間が長くなってしまいますので。  それで、国有林で大体どれくらい今緊急に間伐をする必要があるのか、民有林ではどれだけなのかという数字をまずお聞きしたいと思います。端的で結構です。
  12. 馬場久萬男

    馬場政府委員 先ほども言いましたように、計画が約百四十万ヘクタールということで組んでおるわけですが、実際には大体その八割ぐらいは行われているというふうに考えております。
  13. 志賀一夫

    志賀(一)委員 実は私は今の数字ちょっと、民有林国有林それぞれというふうに言ったのですけれども、そういう答えではなかったようですが、後で……。  まあ要するに、国有林現実に荒れている、それから間伐はもちろんのこと、枝打ちなども行われないで、もうヒノキが十年くらいたって、下が真っ暗になっている国有林もいっぱいあります。ですから私は、国有林のいわゆる独立採算制というもの、それはそれで従来の考え方で結構なんだけれども国有林の持っている公益性公的役割ということを考えれば、国有林をそういう荒れた状態にしておくということは極めてまずいことだ。やはり別途にそれなり予算要求をして、今国民的にコンセンサスを得つつある林野公益性、こういった視点からの予算の獲得を十分して、これらに対する十分な対応をすべきではないか、こういうふうにまず一つ考えるわけでありますが、これについてはどうお考えですか。
  14. 馬場久萬男

    馬場政府委員 お尋ね国有林の問題だというふうに理解してお答えを申し上げます。  御指摘のように、国有林野事業の果たしておる役割というのは、公益的機能発揮にかかわる部分もあるわけでございます。一方では、これは事業特別会計ということで、原則として独立採算という原則によった事業体となっているわけでございます。  現実の問題といたしましては、国有林経営は非常に苦しゅうございまして、森林の造成、例えば造林であるとか林道を設けるとか事業施設に係る部分について、本来的にこれは投資的なものでございますが、なかなか国有林の中の収入で賄い切れないという面もございまして、私ども平成三年につくりました改善計画に基づきまして、これは一般会計から繰り入れをお願いするという形にしているところであります。  現時点におきましては、それぞれの事業経費の中で必要なものを一般会計繰り入れにするということでございますが、会計上の制約もありまして、なかなかそう十分なところまでいっていないという御批判があるところでございますけれども、私ども平成五年度の当初予算におきましては、前年度に比べまして一七%増ということで、今の造林林道などの事業経費及び保安林保全管理など一般的行政経費につきまして、二百三億円の一般会計繰り入れを計上したところでございます。
  15. 志賀一夫

    志賀(一)委員 今申し上げたとおりに、国有林民有林を問わず、その貢献度をお金に換算すれば六十兆円とも七十兆円とも言われているわけでありますから、そういう点で、林野の果たしている公的役割というものを、それなり予算化を国に要求して、独立採算制で今までは赤字だからだめだ、そういうのはわきの方に置いて、やはり胸を張って林野庁は今度は公益性ということを主張して、大蔵省にもどんどんと要求をすべきではないか、こういうふうに私は思うので、この点についても大臣に、ひとつどういうお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。  それから、時間がありませんからちょっとはしょっていきたいと思いますが、今民有林も非常に荒廃が進んでいる、そういう中で公有林化をどうしてもすべきだ、こういうふうに言っているわけですが、その公有化をするための基準はどういう基準に基づいてやるのか、あるいはまたどの程度まで推進しようとしているのか、お聞かせをいただきたい。  それから、村にいない地主、不在対者の所有する面積は全体の林野面積の二一・八%で、約三百万ヘクタールというふうに聞いているわけでありますが、これらに対してやはり適正な管理をしていくということが極めて重要だ、山林の持つ公益性から見ても大事だと思うのですが、これについてどういう方策を考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  16. 馬場久萬男

    馬場政府委員 三つほどお尋ねがありましたけれども最初公有林化の話、それから不在所有森林の問題を答弁させていただきます。  公有林化は、おっしゃるように私どももその地域地域において必要なものは公有林化していくことが望ましいと思っておりまして、従来から公有林化促進についてはいろいろと指導もしてきたところでございますが、御案内のとおり、本年、国土庁自治省林野庁三省で検討いたしました森林山村検討会におきまして、市町村におきます公有林化を進めるための財政措置をとろうということになりまして、地方財政措置としては、森林林野買い入れ経費として五百億円、それから買い入れたものを管理する経費として三百億円というものが地方財政措置の枠として認められたわけでございます。もちろん、どんな森林でも買うということではございませんで、その中では、住民のための公園等に使える土地であるとか、あるいは放置しておくと災害等を起こすという意味で地方自治体がみずから所有して管理する必要がある土地であるとかという限定はございますが、買い入れに五百億、管理に三百億という財政措置をとったところでございます。  それから、不在所有森林の問題でございます。  先生御指摘のように、現在、私有林面積の約二二%のものが不在対者の所有になっているわけでございます。これは十年前に比べますと三ポイントぐらい上がっているわけでございます。こういう森林をどう管理するかということでございますが、この不在所有森林のうち約五〇%は森林組合に加盟している方の森林でございます。たまたまその方が事情があって村を離れているというようなことでございます。そういうものは森林組合の組織を通じまして管理をしていただくということにしております。このために、森林組合によります経営の受託というようなことを推進してきておりまして、平成三年度には約三万ヘクタールの森林についてそのような形で森林組合管理を委託されているものがございます。  なお、今後とも管理不十分な市町村につきまして管理する方法としましては、そういう森林組合等に受託をして管理をしてもらうもの、それから、必要があったら市町村等の公的主体に買っていただく、あるいは分以林契約というのを結びましてそれによって手入れをしてもらうというようなことを進めていきたいと思っております。
  17. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 予算のことでお答え申し上げます。  おっしゃるとおり私どもそれなりの努力をいたしておりますが、平成三年の七月に改善計画というものを決めまして、その計画に基づいて実はやるということと、それからいま一つは、赤字国債を発行しないということで長いことシーリングというので抑えられてきたわけでありますが、この中でも大蔵省といろいろと折衝するのですが、結局省内でどこに重点を置くかということのやりくり以外にそう大きなものというのは出てこない。省内で検討するということになると、この委員会でも委員の皆さんに御審議いただいて、どれにも重点を置いてやれ、こうなるものですからなかなか思うようなことにはなりませんが、しかしまた、中には新しい政策というものも時代に合わせてやっていかなきゃならぬという分野は出てくる。なるたけ目的を果たしたものについてはそれなりの削減はいたしますが、全体的に見ると思うようにいかないということで御指摘をいただくわけでありますけれども平成五年も補正後で四百十億という一般会計繰り入れをしていただいたということで着実に伸ばしてはおりますけれども、さらに今後も努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
  18. 志賀一夫

    志賀(一)委員 今の御答弁で必ずしも納得しませんが、三省間で、自治省国土庁と、一人よりは三人集まれば文殊の知恵も力も出てくるわけでありますから、そういう実績で国は八百億獲得したわけですから、この実績を踏まえて、これからひとつ林野公益性を大いに宣伝をして、もっともっと予算をとって、森林の活性化ができますように御努力願いたい、そんなふうに思います。  私は後継者対策についてまずお聞きしたいと思うのですが、今若い人たちが後継者にならないというのは、値段が実は山で石二千円前後なんですね。もう三十年、四十年昔の値段なんです。これではどうにもならない。私の方の木が大分いいということで、クヌギ、ナラ、そういったものが九州の方まで飛んでいきますが、それでさえ一本百二、三十円、十アール当たりせいぜい四万円くらいにしか売れないのです。こういう状況下で林業を一生懸命やれといったって、新しい後継者にどんどん入れといったって、それは少しくらい無利子の金を貸したところでなかなかふえないというふうに私は思うのですね。そのためには、やはり木材の価格をこれからいま少し上げて、希望を持てるような、意欲の出るような方向というものを生み出していかないことにはどうにもならないというふうに思っているわけであります。  そういう中で、一つは、山で売る石当たりの価格と実際に製品になって消費者が買う場合の値段と大変な格差がある、その辺を、これは今回提出された法案でも資金援助をするというような、いろいろあるようでありますけれども、やはり余りにも離れているというところに問題が一つありますし、それからまた森林組合等に対して、なかなか容易でない中だとは思うのですが、国の補助事業で、一生懸命やる後継者に対して高度の機械の貸与制度、こういったものをひとつ考えたらどうかな、こういうふうに思います。  それからもう一つは、森林組合というものも経営が大変なんですね。今、御承知のようにいろいろ労災保険や雇用、健康保険、年金等々負担しなきゃならない。そういたしますと、仮に一万円の賃金とすると約三〇%組合の負担になる、こういうことになるわけですので、これらの保険について何らかの助成策がないものかどうか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。  これらの諸点についてお聞きをしたいと思います。
  19. 馬場久萬男

    馬場政府委員 幾つかの御指摘があったわけでございますけれども木材の価格は安いじゃないかというのは、それは私どももおっしゃるように安いと思いますが、これはやはり需要と供給の関係で決まってまいるものでございますから、木材価格を上げるというのは、結局は山元から出すときに付加価値を高めるとか、あるいは需要者との間で安定的な契約を結ぶとかということにしないとなかなかうまくいかないのではないかというふうに思うわけであります。先ほど申しました流域管理システムなどにおきましても、事業量等の調整を行うということをしようとしておりますけれども、やはり山は山持ちの都合で木は切る、買う方は買う方の都合で買うという形のままほっておきますと、価格としても安定しないし、需要が明確に把握できないということになりますから、そういう川上から川下までつなげたシステムが必要だろうというふうに思う次第でございます。  それから、確かに山の労働に従事する人が少ないということは御指摘のとおりでありますが、やはりそれは労働環境といいますか、そういうものが整っていないといかぬわけでありまして、先般ある森林組合で、月給制で住宅もちゃんと準備するということで人を募集したところ、応募十人に対して百四十五人が応募したというような実例もございました。働く人たちの就労条件というものの整備が必要だろうと思います。また、そういう努力をしている森林組合等もあるわけでございまして、そういう方向に助長をしたいと思っております。  それから社会保険等の負担の問題でございますが、これは率直に言いますと、私ども補助事業などで補助するものについては、いわゆる事業費の中にそういうものを経費として織り込んでいくということができるわけでございますが、そういう面でいいますと、例えば造林のための事業費などにつきまして、従来の含まれている諸掛かりの比率を上げるというような形で改善をしていくということをしているわけでございまして、本年度におきましても、造林の補助単価を上げると同時に、それらの比率も、従来諸掛かりの経費として一六%を含んでおったものを一八%に引き上げるというような努力をしているところでございます。
  20. 志賀一夫

    志賀(一)委員 これからの林業をもっと活性化を進める、そういうためには、私は、第三セクターをつくって林業労働者の確保をやるべきではないのか、そういうふうに思っているわけであります。全国でも、高知県の大豊町とか愛媛県の久万町とか熊本県の小国町等で第三セクターをつくりまして、労働者の確保ができて非常に円滑に事業が推進されている、こういうふうに聞いていますので、ぜひ第三セクターによって林業労働者の確保をしてほしい、こういうふうに思うのであります。  これは山村の活性化にも極めてつながるというふうに私は思うのです。この前の特定山村振興法等にも企業の誘致ということがありましたけれども、もしこの第三セクターがつくられれば企業の誘致と同じような形態になろうかと思うのであります。この中で就労条件の抜本的な改正、就労者の環境の整備ということをやって、雇用の通年化、社会保険、退職金制度の適用、あるいは給与水準の向上、ボーナスの支給、勤務時間八時間、休日祭日は休める、こういうようないわゆる地方公務員並みの待遇をこの第三セクターですれば労働力の確保ができるというふうに私は思いますので、官民を問わずこういう形態をぜひともつくって、この地域林業の活性化を図るためにはこれ以外にないな、こう思っているので、現実にやっている町村が数カ町村あるわけですから、これらをモデルにしながらこういった事業の推進をぜひ実現をさせていただきたい、こういうことを特段求めたいと思います。  もう一つは、時間がなくなりましたから、あわせてお聞きをしておきたいと思うのでありますが、先ほどもお話の中に流域システムについていろいろとお話がございました。この中で、現に私も、私の福島県内の久慈川流域最初にできた活性化センターを見てまいりましたけれども、そこで一番私が感じますのは、やはり何といってもそれを主体となって動かす森林組合なりあるいは市町村なり地方自治体の役割というものが非常に大事だというふうに思うのであります。とりわけ地方自治体というのは、これは林家の皆さんが林業に対する意欲をなくしたと同様に自治体もなくしてしまって、林業課なんかあるところは恐らく全国にもないのじゃないかなと思うのです。せいぜい産業課の兼務の係がいるところがましな方だ、こういうのが実態ではないか。そういう認識の中でいかに流域システムをつくっても、その中心となって動かす母体が熱意を持っていないのではどうにもならないのではないのかという点で、財政的な措置もしたわけでありますから、それと同時にやはり指導を強めて、場合によっては活性化センターを第三セクター化ということも考えてもよろしいのではないか、こういうふうに思いますので、その辺の指導性を今後強めていただくということを強く求めたいというふうに思いますが、いかがでしょう。  これをもって私の質問を終わります。
  21. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃるように、各地におきます林業の担い手として第三セクターを設立するという動きが見られるわけでございまして、今先生おっしゃいましたような幾つかの地域では既に実現しつつあるわけでございます。いずれも地方公共団体が出資するということで、場合によっては人も派遣するということで、地域の信頼性が高く、また就労条件等についても地域の他産業並みということを設定しておりますので、労働力の確保にも寄与しているというのはそのとおりでございます。  私ども、この第三セクター設立促進とその健全な育成を図るという意味では、かねてからいろいろな施策を講じておりまして、例えば山村振興法、これは平成三年四月に改正されたのでございますが、ここにおきましては森林保全事業を行う第三セクターに対する税制等の優遇措置を講ずるというふうなこともしておるわけでございます。それから、いろいろな補助事業等におきましても、第三セクターを含む事業主体というものに対しての助成をしております。例えば本年度におきまして新たに林業担い手確保総合対策事業というのを実施しますが、この中でも第三セクターを含みます流域林業サービスセンターというものを助成の対象にしているわけでございます。また、今般御審議いただいております木材産業等高度化推進資金におきましても、第三セクターに対しての融資を行うというようなことをしているわけでございます。  いずれにしましても、御指摘のように地域によりましては第三セクターというのは非常に有効な事業主体になり得るということで、もちろん地域によっていろいろ事情はございますけれども、第三セクター化するものについては指導をしてまいりたいと思っております。
  22. 志賀一夫

    志賀(一)委員 どうもありがとうございました。
  23. 御法川英文

    ○御法川委員長代理 有川清次君。
  24. 有川清次

    ○有川委員 今質問が行われまして、かなり重複する面もあるようでありますから、できるだけ避けながら質問したいと思います。  我が国木材は、今日まで七四%程度外材輸入に頼ってきておりますが、先ほどお話がありますように、アメリカでは伐採規制輸出禁止など相まって産地価格が上昇しておる。カナダでも伐採規制によって丸太が不足しておる。また、マレーシアでも丸太輸出価格の高騰が伝えられておる。このように、外材森林資源利用上の制約は非常に強まっておりますが、平成四年の半ばごろから外材の産地価格は上昇して、あわせて国内外材価格も上昇傾向になっております。こうした木材価格の上昇は、林業経営にとっては素材生産への刺激となって、国内林業生産活動全体にとっては活性化につながる、このように思われます。国産材時代の到来ということもありますけれども、そういう活性化にこれがつながるかどうか、御見解をまずお伺いしたいと思います。  さらに、こうした急激な上昇が市場の混乱をもたらして、一方では消費者の代替品志向など木材離れを促進させる、こういう懸念があるわけであります。こうした木材輸出国での資源状況と環境保全の立場からの伐採規制、こういう現状を見ますと、今後国内外の林業に大きな変化が出ることが予測されるわけでありますが、今後の外材輸入動向をどのように判断されておるのか。  さらに、国内産の材の価格の見通し林業労働者が少ないとかいろいろな問題はここにあると思いますが、今の御答弁では、付加価値を高めるなどいろいろ対策をしたいという答弁がありましたが、見解をもう一回お聞かせ願いたいと思います。  さらにあわせて、国産材製材工場の育成対策は、こうなれば非常に大事だと思いますけれども、この辺についてどのようにお考えか、お聞かせを願いたいと思いますのできれば大臣、お願いいたします。
  25. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 今委員お話しのように、世界的に環境保護運動というのは大変な高まりを見せているわけでありまして、木材輸出国においても同じようなことが言えるわけでありますが、木材加工産業の振興ということをそれぞれの国が考えまして丸太輸出規制というものを強化をしてきたということでありまして、外材の供給には不透明だという状況があるわけです。これは世界の経済が今後どういうふうに推移をするかということにも関係ありまして、なかなか見通しというものは難しいわけでありますが、いずれにしても、国産材価格も昨年の秋以降上昇しているわけであります。  このような状況考えますと、今後成熟してくる国産材資源、これを円滑に活用するための体制の整備を図ることは、これは重要なことであります。このため、流域管理システムの確立を図る中で、私ども平成五年においては、引き続き小規模零細な製材工場を再編成するということ、あるいは高性能加工機械の導入によって木材製品の高付加価値化を図る。低コスト化、これも進めていかなければ、結局外国製品と余り差がありますと、これはなかなか売れないということもありますので、そういう一連のことを推進をしながら木材産業ビジョンの策定というものを図っていかなければならぬというふうに考えております。
  26. 有川清次

    ○有川委員 御見解はわかりますが、大変難しい課題だと思っておりますし、ぜひ今後また折に触れ対応、お互いに努力していかなければならぬ、このように思っております。  それでは次に移りますが、我が国の約一千万ヘクタールの人工林のうち三百四十万ヘクタールは林家によって保有され、そのうちの六七%が保有林規模は三十ヘクタール未満、そうした階層によって保有されております。現在のような林業の収益性が低い状態が続きますと、造林、隙間伐等の森林管理が非常に放置されがちになるわけでありますが、こうした地域森林保全管理について大きな役割を果たしておるのが森林組合だろう、このように思っております。  その意味で、今後の森林林業の発展を期することに重要な役割を果たすと思われる森林組合の育成対策、先ほどもちょっとありましたが、どのように考えられておるのか。森林組合は非常に経済基盤が弱く、厳しい作業現場等もあるために、さらに作業員の作業量にも限界があるなど、地域ごとに組織体制にはかなりの格差があるのではないか。そうした現状を踏まえながら、森林組合の現状と育成対策について見解をお伺いをいたしたいと思います。  なお、作業班員の確保状況と現在の育成の状況、この辺についてお聞かせを願いたいと思います。施業の計画では、八割くらいは間伐も済んでおる、こういうふうにさっきの答弁でありましたけれども、しからば計画はどうなのか。何年度くらいまでにはどういうふうにきちっとしようという計画になっておるのか。その辺のことも含めてお伺いをいたしたいと思います。  あわせて、関連しますので、ちょっとこれも不在対者の所有森林に対する問題について質問があり、それぞれ御答弁があったところでございますが、これらについても森林組合に非常に期待をするところが大きく、御答弁によれば平成三年、三万ヘクタールを森林組合管理にする、あるいは公的主体に買ってもらう、こういう措置をしたということでありますが、現実にそれがスムーズに進行するような状況下にあるのかどうか。私たち、山村を歩きますと、非常に際間伐がおくれ、枝払いがおくれ、荒れておる、そういう状況があるわけで、その辺を含めて関連して御答弁を願いたいと思います。
  27. 馬場久萬男

    馬場政府委員 森林組合についての現状と今後の育成方策ということで、特に間伐とか不在村者所有森林管理も含めてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、森林組合は全国で千六百二十七組合、現在ございまして、組合員は百七十五万人おる。大体地域内の森林所有者の五一%というのは組合員になっているというようなことでございます。実際の組合員の所有している森林面積というのは大体民有林の七四%ということでございます。この森林組合の中で作業班を持っている森林組合が約八割、千二百七十三組合でございまして、この作業班員の総数約四万人、一組合当たり三十二人というのが平均の数字でございます。ただ、今申し上げましたように、残り二割の組合には作業員はいない。組合によっては町村の役場の一隅に机一つ持っているだけの組合というのもあるわけでございます。  そういう中で、森林組合全体としましては、民有林で現在行われています造林の約八割、それから間伐等の約七割、これは森林組合が実行しておりまして、そういう意味ではまさに森林管理の中核としての重要な役割を果たしているんだろうと思っておりますが、経営基盤が弱いというお話がありました。そのとおりでございますし、また作業班員の人口約四万人と言いましたが、五十五年前には六万四千人おりました。三分の二以下に減少している。また、作業班員の年齢も非常に高齢化しておりまして、現在、平成三年度で総数の七七%が五十歳以上というような状態になってきたわけであります。したがいまして、私ども、この森林組合の今後の育成ということで、まず事業体としてやはり実力のある組合をつくらなきゃいかぬということで、昨年国会で延長していただきました森林組合法の合併促進の法律等に基づきまして、広域合併を推進してまいりたい、それによりまして組織とか経営基盤の充実を図っていきたいと思っております。  また、森林組合中心に林業構造改善事業等を行っているわけですが、それらの施策を通じまして、高性能の林業機械の導入等を図りまして、作業班の作業がより効率的に行われるようにしたい。また、加工施設等を導入して付加価値を高める、新規事業に取り組むようにもして経営の活性化を図っていきたい。さらには、間伐造林等による事業量を安定的に確保するように、いわば作業の円滑な計画化を進めていきたいというようなことを考えているわけであります。そのための施策として、先ほども申し上げましたけれども、実際にそういう管理をしていくことを助成する必要があろうかと思っております。  特に、次の問題でもお触れになりました不在対者の森林管理というような仕事もしていただかなくちゃいかぬわけでございますので、そのための助成事業というようなこともしておりまして、例えばふるさと森林活性化対策事業というような事業をしておりまして、不在村の方に、森林組合管理を委託してくださいというような働きかけをするようなことを助成しているわけでございます。予算額的にいいますと、これは平成五年度予算で約一億三千八百万円の助成金、補助金を組みまして、森林組合にそういうふるさとの森林の活性化のための事業をやっていただくというような助成もしているところでございます。  それから、間伐お尋ねがございました。  先ほど申しましたように、緊急に間伐を要する森林というのは大体百四十万ヘクタール、これは平成二年から平成六年までの五カ年計画民有林での間伐を要する面積でございます。実績的にいいますと、五年計画でございますから、年平均二十八万ヘクタールぐらいやればよろしいわけでございますが、最近やや実績が落ちてきているということで、先ほど八割程度というふうに申し上げたわけでございます。これは、補助事業等におきまして進度アップを図っていきたいというふうに考えておりまして、できれば五カ年で百四十万ヘクタール達成したいというふうに思っておりますが、今ちょうど三年目が終わったところでございまして、実績からいいますと、かなり今後努力をしなきゃならぬというふうに思っております。  以上でございます。
  28. 有川清次

    ○有川委員 丁寧に御答弁をいただいたわけでありますが、森林組合が全国に千六百二十七組合ある。作業員がいるのがそのうちの千二百七十三組合、こういうふうに言われました。さらにまた、作業員がおっても、五十五年体制からすれば二万四千人ぐらい減少、しかも高齢化が進んでおる、こういうことなんですが、今御答弁をいただきました、例えば間伐の必要面積が大体百四十万というヘクタールを考えながら、二十八万ヘクタールに年平均進度率を上げたい、こういうことをおっしゃるわけであります。  具体的には、組合のうちで作業員がいない組合、そこが脆弱であり、合併促進法も出たけれども機能をなかなか果たし得ない。そういう問題があるところに、さらに作業員が高齢化して、能率アップをしたくても、あなた方の頭の中では、せなければいかぬ、そういうふうにいろいろ考えて対策はされるけれども、難しい局面があるように思えてなりません。そうしたものをきちっと目標を達成していくためには、やはり労働条件なり、魅力あるものをどうつくるか、そこが基本にならざるを得ないのではないか、このように思っておるところでございます。  私もたまたま各森林組合を県議時代に監査で回った経験がありますが、本当に体をなさない、組合の事務所そのものが組会長のうちの軒先でやられておる、職員もいない、あるいは一人女の子が月のうち十五日ぐらい出てくるだけとか、そういう状況で、作業員もいないかなりの僻地の問題があるわけですから、これらにどう対応するかがこれからの極めて重要なポイントになる課題ではないのか、このように思います。  宮崎県では自治体で、森林組合作業員など、いろいろ賃金アップ、そういうことなどしながら募集をされて、かなり高い労働条件で成功しておる例もあります。先ほども、ある森林組合で住宅供給したら応募が多かった、こういう問題もあるわけですけれども、全体的な問題についてお伺いをしたいと思います。  林業は、情勢の変化もあってそういう状況にありますが、高齢化、新規参入が減少いたしまして、すぐれた技術や計画を持った担い手を幅広く求めなければならないというふうに思います。そういう目的を持って今回林業改善資金助成法の一部改正が行われよう、こういうふうな状況なんですけれども、担い生育成は、まず林業を魅力ある職場にする、こういうことだと思いますが、そのためには、三Kと言われる問題の解消、労働条件の改善が必要なんですね。  ところが、今の作業員等を見てみますと、通年雇用がなかなかできないという問題もあって、先般の中山間地法の中でも、通年雇用をするという目的もあって、農作業もという課題があったようでありますが、林業自体がこれから国産材時代を迎えるとすれば、もっと、林野率は高いわけでありますから、通年雇用、社会保険、退職金制度の実施とか給与水準の引き上げ、住宅の確保、労働時間の明確化、さらには休日や休暇、そういう制度の実施など非常に重要だと思いますが、現状として林業労働者のその辺の状況はどうなっておるのか、その対策をどうされようとしておるのか、さらにまた今回の法改正が労働者の確保に向けた積極的な資金内容となり得るとお考えなのかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。  また、支援の対象者をどのような層を考えていらっしゃるのか。学卒とか、今新規にそうした労働者をふやすということが、今の農業よりも後継者の面を含めてなかなか厳しい状況があると思いますが、その辺の新規就業者確保対策、そういう問題について具体的にお聞かせを願いたい。できれば、成功した事例も言われましたが、モデル的に成功した例を、暗いことだけでなくて、前向きにやる、そういう立場であれば御報告願いたい。
  29. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 具体的なことは馬場長官からお答え申し上げますが、三Kというお話がありました。おっしゃるとおり、三Kは市町村どこにもあるわけでありますけれども、ここは結構やはり働き手が多いのです、自治体の場合でも。そういうところを見ますと、やはり林業従事者の就労条件をどう改善していくかということが大事だと思うのですね。そういうことが担い手の確保にもつながっていくわけであります。  私は、こういう議論を通じて感じますのは、新農政でいろいろ考えたことも、むしろ林業の方がもっとやらなければいかぬことかなというふうに感ずるのですね。そういうことで、活性化センターでありますとか第三セクターとか、いろいろなことを駆使していく。あるいは先ほども、どうも原木が安いのじゃないかという御質問もありました。おっしゃるとおり、これだけやっているとやはりなかなか付加価値というものはできないし、製材にする、まあ加工までいけるかどうかは別としても、何かもうちょっと工夫をして、付加価値の高い部分もあっていいのではないかという気がするわけです。  しかし一方では、余り高いと、今度は消費者の方が嫌うという面があります。農業でも生産流通の段階でいろいろ上がっていきまして、消費者と生産者にはどうも不満が多い。そういうことと同じような結果になってはこれも困るということを考えると、その辺でこれからまた創意工夫をしていかなければならぬことはあります。  しかし、高性能林業機械を導入するとか、今申し上げたように労働条件、雇用を安定しないといかぬし、他産業並みということも申し上げましたが、そのとおりに私ども考えております。平成五年には地方財政措置とか労働基準法の改正によって改善をいたしましたけれども関係省庁と連携協力のもとにこれからも実施していきたいと考えております。  いずれにしても、今回のこの改正によって、林業従事者の福利厚生施設というものを充実していきながら、就労条件の改善に寄与していくものと私は考えております。今申し上げたさまざまな施策を講ずることによって、何といっても、やはり林業従事者の就労条件を改善するということでないと、これからの若い人たちにも嫌いされたのでは困るわけでありますから、そういうことを、これから林業を魅力ある職場としていく努力をしていきたい、こう考えております。
  30. 馬場久萬男

    馬場政府委員 林業労働力の確保のために、特に新規就労者確保の考え方についてのお尋ねがございましたので、申し上げます。  私ども林業への新規参入を促進して林業労働力を確保していくという上で、おっしゃるように従事する方の就労条件の整備がいろいろと必要だろうと思っております。  先ほど具体的なというお話がありましたが、例えば、大阪府の高槻市の森林組合が昨年十一月に十名の労働者を募集したわけでございます。これはいわゆる一般の求人を載せる雑誌に条件を明示して募集したわけでございまして、待遇として、月給制、昇給年一回、賞与年二回、それから住宅、扶養家族手当、通勤手当を支給する、それから休日、休暇を設定する、あるいは社会保険は完備している、こういう広告を載せたわけでございます。そうしましたところ、十名に対して百四十二名の応募があったということでございます。  また、和歌山県の龍神村の森林組合では、同じく昨年の九月に五名の募集をしたわけでございます。これも同じような条件を明示して募集したところ、二十五名の応募があったということでございます。  森林組合として、経済的に今申しましたような条件を満たして、明示してできる組合というものは、そういう形でしますと、最近、これは新卒に限りませんが、都会の人たちでも山の仕事をしてみようかなという方が出てくるわけでございます。  これは、先ほどどういう層をというお尋ねがございましたけれども、必ずしも新卒ということに限りませんで、そういう条件で森林の仕事をしてみたいという方、もちろん仕事にたえる力がなければいけませんが、そういう方であれば、必ずしもどの層というふうに絞る必要はなかろうかと思っております。現に、これまで三年ぐらいの間に新規参入した方を見ましても、四十歳以下の方よりも四十一歳以上の方の方が数が多いというようなこともございまして、年齢層とか学歴とかを必ずしも絞るというふうには考えておらぬわけでございます。  いずれにしましても、林業労働に従事していただく方のためには、やはりそういう条件の整備が重要だと思います。また、大臣も触れられましたけれども、機械化の促進によって、要するに、生産性を上げる必要もございますが、労働のいわゆるきつさというものを機械化によってある程度軽減することも必要だろうと思っております。  私ども、本年度から行います担い生育成強化総合対策の中で流域林業サービスセンターというものを設置して、そこにおいて、そういう労働力の確保、そしてまた、先生おっしゃるように他の美との調整等も行ってまいりたいと思っております。森林組合系統におきましても、全国段階、都道府県段階の連合会で林業労働力育成センターというものを設置して、林業事業体への就職者を確保するための広報活動をやっております。そういう活動等も通じて、これから新たに林業に従事する方々がより多く参加するように条件整備を図っていきたいと思っています。
  31. 有川清次

    ○有川委員 時間が余りないのですが、今大臣から答弁がありまして、余り付加価値を高くしながらやると、価格が上がれば消費者がいろいろ問題がある、そういうことで、流通段階を含めて改善の努力をしたい、こういうことでありましたので、これは非常に大事なところでありますから、強く要請をしておきたいと思います。  林業の振興については、価格がどうなのかということと、そこに働く労働者の労働条件がきちっと満たされて、若者がどんどん来るかどうかということ、あるいは機械化の促進によって作業効率を上げられるかどうか、それに伴う林道作業道を整備してその体制を保持し得るかどうか、こういう課題と、どうしても危険率の高い問題がありますので、安全性の確保、こういうことなどがあると思うわけであります。  そこで、今労働条件についてはいろいろ見解が述べられました。事例としてはいいわけですが、それをどう全体的に広げていくのかというのがこれからの課題だと思うのです。実のあるものにするように努力をしてほしいと思います。  労働省にちょっとお伺いしますが、林業労働は他の産業に比べて労働災害の発生の頻度が非常に高いわけであります。幾らか発生率は減ったものの、死亡率は横ばいの状況で、なかなか減少しておりません。労働条件の改善と安全対策について労働省はどのような見解をお持ちなのか。さらにまた、振動障害を含めた林業労働災害の実態と防止策、あるいはまた、振動病に現在苦しんでいらっしゃる労働者の皆さん、そうした人たちに対する労災患者の現状と補償、救済状況、これについてお答えを願いたいと思います。
  32. 露木保

    ○露木説明員 お答えいたします。  まず、林業におきます労働災害についての御質問でございますが、私ども、休業四日以上の災害を集計いたしております。休業四日以上の死傷者数全体といたしましては減少傾向を維持いたしておりますが、死亡者数につきましては、先生御指摘のとおり、平成二年八十九人の死亡者でございます。平成三年八十一人、平成四年八十八人とほぼ横ばいの状態で推移をいたしております。  このような林業におきます労働災害の発生状況にかんがみまして、私ども、例えば立木の伐採でありますとか枝払いでありますとか、そういう作業につきまして、安全な作業方法、それから集材のための機械装置の安全確保、こういったことにつきまして、特に事業場に対しましての監督指導にこれまで努めてきたところでございます。特に最近、林内作業者にかかわる作業でありますとか、あるいは台風などの風害木の処理作業におきます労働災害が発生しておりまして、それらの対策の徹底を図っているところでございます。また、林業木材製造業労働災害防止協会がございまして、この労働災害防止協会を通じまして、現場のパトロールでありますとか、安全衛生教育の自主的な活動の促進を図っているところでございます。さらに、本年度からスタートしておりますが、第八次の労働災害防止計画平成五年度から平成九年度までの計画でございますが、この計画におきまして、林業を重点業種といたしまして、これまでの対策に加えまして、特に新しい林業機械の安全作業の徹底でございますとか、災害発生時におきます緊急時対策の整備でありますとか、そういった対策の一層の推進を図る予定をいたしております。
  33. 近藤斉

    ○近藤説明員 振動障害の関係につきましてお答え申し上げます。  振動障害にかかわります労災の認定の状況でございますけれども昭和五十二年、五十三年、五十四年といった時期には千人を超える新規認定を見ておったわけでございます。ところが、平成二年におきましては九十八名、平成三年におきましては九十六名というような形で非常に減少を見ております。  ただ、振動障害の症状というのは大変難しい病気でございますけれども、そういうことから、平成三年度で一年以上療養を継続されておられる方、これが五千二十五人ということで、いまだ五千人以上の被災労働者を擁しておるということでございまして、私ども、補償行政におきますこれら被災労働者の方に対します救済措置というのは重要な課題というふうに受けとめております。  なお、こうした労災の認定につきましては、昭和五十二年に早期認定を図るという観点から認定基準を定めまして、先ほどのような数字を見ておるわけでございます。  なお、これらの振動障害者の早期治療あるいは早期社会復帰という観点から、昭和六十一年に治療指針を定めまして、各症度に応じました適切な治療が行われるようにということで、指定医療機関等に対します一つの目安を示してございます。そういう形でこれら被災労働者の適切な治療を行うという体制をとっておるところでございます。  なお、こうした被災労働者にかかわります職場復帰、社会復帰につきましても、労災補償行政の一つの重要な観点として取り組んでおりまして、こうした措置としましては、振動障害が軽快し、他の振動業務以外の職業につけるというような場合には、特別援護金の支給とか、あるいはそうした振動業務以外の業務に雇用します事業者に対しまして、賃金補てんのための特別助成金を支払うというような形で、職場復帰の早期達成を図るというようなことで努めておる次第でございます。
  34. 有川清次

    ○有川委員 安全性の関係についてそれぞれ御回答をいただいたわけですが、労働条件についてはこうしたいというのが具体的にないわけで、ぜひ林業労働者のいろいろな労働条件を抽出しながら、定期的に監督行政の中でやられていると思いますが、まだ極めて不十分だと思うのですね。それをきちっとすることによって魅力ある職場というのができてくるし、安全性も確保できる、このように思います。  最近は私は聞かないのですが、やはり事故があったところは、一人作業とか、グループで監視体制があって、もし事故があった場合すぐ通報ができる体制とか、こういうものが欠けておったところに死亡が出たりするわけでありますから、そういう意味では、労働省が、とうとい人命を預かり、しかも山を守り、振興発展させるという意味では大事なポイントを握っていらっしゃると思いますので、ぜひそういう点を、もう再質問できませんので、努力をお願い申し上げたい。  それから、振動病の治療については適切な目安を示したということでありますが、下部にまできちっと徹底がされてないような感じもいたしますので、労働省が述べられるとおり、現場の監督署でも基準局でもきちっとした指導体制ができるように、安心して治療ができ、本人たちの責任でやったわけじゃないのですから、そういう振動病が起こる、危険だということを知らずに最初はチェーンソーなどで作業したという経緯があるわけでありますから、ぜひ対策をきちんとしていただきたいというふうに思います。  それから、もう時間がありませんので、一点だけ質問を申し上げますが、私は前にもちょっと言ったんですけれども、人吉に現場調査に行った際に、フランス製の極めて高性能の機械を見ました。これなら若者がその機械を操作することに楽しみを持って試験を受けて作業をする、こういうことを現場を見て、そうだなということを思いました。  しかし、日本の場合は非常に急峻な山で、そういう大がかりな作業機械が入りにくいという問題もありますし、価格の面でもそれにこたえ得るような事業体があるかどうかというのが課題だというふうに思います。そういう意味では、日本の土地に見合った、山間地に見合った高性能の機械、こうした開発がどうしても必要なのではないかと思いますが、その辺の状況を若干お聞かせを願いたいと思います。  先ほど志賀委員から言われました第三セクター、農協、森林組合、自治体、そういうところなどを中心にしながら態勢をとるというのは非常に重要であります。私たちとしても、先般の農林委員会の中で石橋委員がちょっと提起をいたしましたが、真剣に、同時にいわゆる議員立法を含めて検討していきたいと思っておりますので、ぜひ林野庁の方でもそういう具体的な方策については検討課題として努力を願っておきたいと思います。  さっきのだけちょっと……。
  35. 馬場久萬男

    馬場政府委員 林業の機械化につきまして、先生御指摘のように、我が国の地形に適したいわば日本型の高性能林業機械の研究開発ということは必要でございます。  私ども現実に高性能林業機械化促進センターというようなものを設置いたしまして、そこにおきまして地域におきます高性能林業機械の導入の必要なところについて機械の開発、普及等を図っているわけでございます。特に、平成四年度から、急峻な地域に対応できる林業機械の開発ということを始めておるわけでございますが、これは、やはり機械の開発ということはなかなか時間がかかるものでございますので、すぐにというわけではございません。ただ、過去においても、例えばフェラーバンチャー、スキッターというようなものは、平成元年から平成三年ぐらいに大体我が国でも使える形のものが出てきているわけでございまして、我々の申します高性能機械の普及も、平成三年末で三百十台だったものが現在四百五十一台ですか、非常にふえてきている。今後とも一生懸命やりたいと思っております。     〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 有川清次

    ○有川委員 たくさんの質問項目を通告しておきましたけれども、時間がありません。ちょっと経過して恐縮です。これで終わります。
  37. 平沼赳夫

    平沼委員長 野坂浩賢君。
  38. 野坂浩賢

    ○野坂委員 私は、討論をするというよりも、質問をしてなるべく認識の一致を図りたい、そう思っております。  我が国の国土面積の七五%は森林だ。今その森林は豊かな森林と言えるだろうか。まさに荒れなんとしている森林であろうか。農林大臣の認識を、一致するために、どのような森林状態であるかということをまず冒頭に聞きたい。次いで、林野庁長官にもお聞きをします。
  39. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 台風等の被害、大変な影響を受けておるところもありますし、あるいは後継者、高齢化が進んでなかなか手の入らぬところもある。全体を見ると、地域地域によって格差がある、こう思います。現状、一千万ヘクタールの人工林の方は割合順調にまあまあの成熱をしておるし、多少手の入らぬところもありますが、一般的に言えば順調であろう、こう考えております。  その原因は、もう私が申し上げるまでもなく、いろいろ今までもお答えしてきたところでありまして、しかしそういうことを言っておってもなかなか好転しないということで、何とか若い人たちあるいは高齢化に対応していこうということで、そのためにはやはり農業と同じように他産業並みの労働時間、収入、そういうものを確保していくためにはどうするかといういろいろな知恵を出しながら、いずれにしても国産材時代というのはやがて来るわけでありますから、それを目指して整備をしていかなきゃいかぬということで考えております。
  40. 野坂浩賢

    ○野坂委員 結構です、長官。大体それで集約しておきます用意見が違ったら大変ですから。大体そういうふうにお答えになるだろうと思っておったのですね。  ただ、今度の二法案は、「しかしながらこという前提がついて、「近年の林業をめぐる情勢の変化には著しいものがあり、」非常に厳しくなってきた、「林業業者の減少、高齢化が一層進行する」、「次代の林業を担うべき後継者が著しく減少しこれは農林大臣のお言葉ですよ、「林業の担い手の脆弱化が危惧されており、優れた技術及び経営感覚を持った担い手を幅広く養成確保するとともに、福利厚生の充実により、」人材確保をしなきゃならぬ、こうあります。私はこのとおりだと思うのですよ。だから、この法案に反対するというわけにはならぬわけですね。大体いいことが書いてある。そのかわり抜本的じゃないですね。ちょっと手にけがをしたのを治すぐらいの法案なのです。もっと抜本的なことを考えなきゃいかぬ。  今言われました、林業者が他の産業と同じような所得を得る方法を私は考えておる。これは、シャワーとかふろ場とかをつくって小遣いを貸してやるから出てこいでは、幅広い経営感覚を持った労働者はなかなか来ませんよ。今、全国の平均は女性が森林組合に勤めて五千円、男は八千円、これではなかなか有為な人材は集まらぬのじゃないか。それなれば、集まった理由として、同僚が言ったように、熊本県や高知県や愛媛県で行われておるように地方自治体と同じような賃金なら、十四人採用するのに百何十人も来た。有為な人材が集まる方法がある。それは抜本的にやはり所得だ、収入だということが今や実績で明らかになってきたのですね。これは、疲れたからふろに入って帰れ、それだけでも気分はいいです。だけれども、やはり根本は銭、所得です。その所得を、そういう例がありますが、そのような指導助言をする考え方は農水省にありますか、林野庁長官でもどちらでも結構ですから、お答えをください。
  41. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃるように、林業に従事する方々の労働条件、なかんずく所得が他の地域、他の産業に比べて低いから人がいないのじゃないか、そういう面はあろうかと思います。ただ、これはやはり林業という一つの産業でございますから、その業を営むことによって得られるものとの見合いで支払う可能性のある賃金というのは限られてくるわけでございます。したがって、私どもは、その賃金を上げるためには、やはり林業そのものが生産性を上げ、それから出てくる材が価値が高くならなければいかぬというふうに思っているわけであります。  したがいまして、先生のおっしゃいますような問題を解決するためには、やはり流域流域でこれから成熟して供給される木材が適正な加工をされて、それ相応の値段で売れていく、それは引き受ける、買う方のユーザーからいえば安定的に一定の品質のものが供給される、そういう体制ができなければ、ただ林業従事者の賃金を上げるだけでは解決しない問題だろうというふうに思っているわけでございます。したがいまして、やや迂遠なようではございますけれども流域管理システムというようなものを確立いたしまして、その中で山で働く人たちにも他の産業に負けないような賃金が払えるような、そういう体制をつくってまいりたいと思っております。
  42. 野坂浩賢

    ○野坂委員 そういう体制を、馬場長官、在任中にやるという決意ですね。  それでは、今お話がありました流域別に、上も下も流域システムをつくってそういう措置をやる。流域というのは百五十八ありますね。現在できておるのは六十七ですね。二年前に決めたことがなぜ六十七なのか、これからそういう体制にすると言いながらなぜ事態は進まないのか、その理由が一つ。それから、流域管理システムで非常に成功しておるところはどこがあるのか、事例を挙げて説明願いたい。
  43. 馬場久萬男

    馬場政府委員 仰せられますように、平成三年に森林法改正して流域管理システムの確立をするということで始めたわけでございまして、平成三年、四年、二年間で六十その流域流域林業活性化協議会というものが設置されて動き出したものでございます。さらに、平成五年度には三十九流域で設置が見込まれておりまして、三年間で約七割、百六の流域で活性化協議会が動き出すということになってございます。  今委員仰せられたように、ではなぜ全部一遍にできないのか、こういうお話でございますが、この流域管理システムという思想そのものはよいといたしましても、地域地域で合意を得る、殊に林業関係者、これは林業組合もございます、あるいは大きな林業経営者もおります、またそこから材を買う製材業者加工業者流域全体を通ずる合意を得るわけでございますから、これはやはり時間がかかるのはある程度やむを得ないかと思います。しかし、今申しましたように、着実に本年度中には約七割の流域動き出すだろうというふうに思っております。  そこで、私ども、その中で特に先導的といいますか、早く始まって具体化しているものというのを的確に実態をとらえてPRをする、各流域にこういう例があるよ、こういう努力をしている地域があるよということを示していく必要があろうかと思っておりまして、全国の中で十三の流域につきまして、先導的な流域管理システムをつくっている地域ということを示しているわけでございます。  その中で具体的に、これは先生の地元になりますが、例えば千代川流域でございますね、鳥取県の伝統的な智頭林業地域、一番早くこの協議会をつくられたところでございますが、ここにおきましては平成三年度、戦後造成されました森林から生産される一般材、これを有効活用しようということで、大型の製材工場、特にプレカット設備を導入した工場を設置いたしまして、木材コンビナートを形成しようということで目下一生懸命取り組んでおられるというふうに聞いております。そのほかにも、先ほど申しましたように、北海道は十勝流域でありますとか、あるいは奈良県の吉野流域でありますとか宮崎県の耳川流域でありますとか、十三全部挙げてもよろしゅうございますが、各地域において先導的な地域が出てきておるわけでございまして、後に続く地域がそれらを参考にしながら、またその地域地域の特色を生かしていかれることを我々としては指導してまいりたいと思っております。
  44. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大変我が県のことを褒めていただきまして、ありがとうございました。  それでも林業労働者は集まらぬのです。だから聞いておるのです。やはり所得ですね。所得が少ないということが一番問題なんですが、ちなみにこの際聞いておきますけれども、山、田んぼ、農水関係で公益的な機能、いわゆる国に貢献しておるのは、よく林野庁が三十七兆円とか幾らとか言うものですが、この席上で明確にどの程度貢献度があるかということを金額で示してもらいたい。
  45. 馬場久萬男

    馬場政府委員 森林の公益的機能というものをどういう形ではかるかというはかり方の問題がございますから、これはいろいろございますが、私ども、本年の林業白書にも公表いたしました公益的機能の評価額、年間というのがございます。これは平成三年の価格で評価すると三十九億二千億円という数字を出しております。失礼しました。三十九兆二千億円ということで出しております。  これはもちろん水源涵養でありますとか、土砂流出防止でありますとか、保健休養でありますとか、あるいは野生鳥獣保護でありますとか、さらには酸素供給、大気浄化というようなものまで、それぞれそれをつくり出すために代替施設を設置する場合には幾らかかるかというようなこと、あるいはそこで生まれました価値を、例えば保健休養の場合は、レクリエーションのために国民の方がそこに来るにはどのくらい経費がかかるというようなことを積算して出した一つの試算でございます。(野坂委員「三十九兆ですか」と呼ぶ)三十九兆二千億円でございます。
  46. 野坂浩賢

    ○野坂委員 間違わぬようにしてくださいね。三十九億と三十九兆は随分違うものですから。  そういうことがようやく認められ始めて、また農水省が努力をして大蔵省自治省に働きかけをした。今回自治省は、千八百億円の起債なり交付税で埋めるというような方向を出しましたね。林道整備の促進に五百億あります、地方債及び交付税措置で。おいでになっておりましょうか。この林道整備は五百億されるのですが、維持管理はちゃんと県がやりますか。
  47. 田村政志

    ○田村説明員 お答え申し上げます。  まず既存の林道の維持管理につきましては、地方交付税の単位費用の算定におきまして、県分につきましては林道延長比率、それから市町村分につきましては林野面積によりまして、今単位費用に算入しているところでございます。  先生御指摘の、今年度からスタートいたします特別の対策についての、林道が整備されていきますとその分だけ経費がかかるわけでございますので、今年度との程度地方団体の方で整備をするか、その状況を見ながら来年度の基準財政需要額の算定に当たって適切なものとなるよう検討してまいりたいと考えております。
  48. 野坂浩賢

    ○野坂委員 長官にお尋ねをしますが、今五百億で整備をする、しかしその状況を見て維持管理をするかどうかは検討する。ということになると、林野庁が今まで補助金を出して林道をつくっていますね。それは一体だれが維持管理しているのですか。つくったところまではいいけれども、それからの整備、管理維持がなかなかできていない、これは一体だれなのかということなんです。
  49. 馬場久萬男

    馬場政府委員 先生御案内のように、林道にも規模の大きいもの、小さいもの、ございますが、市町村管理するものほかなりの分だろうと思っております。この市町村管理するものにつきましては、地方交付税のいわゆる基準財政需要額というものを自治省さんの方で算定される場合に、林道の維持管理に対する一般的な経費というのは織り込まれているというふうに承知しております。
  50. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度林野庁の御努力と、あるいは自民党の出席しておる皆さん方の御協力によりまして、森林に対して交付税というものは算定の基準になっているのですね。基準財政需要額になってきた。しかし、町村は町村道を維持管理するのが精いっぱいで、林道は、直せと言うと、私たちのところでないと言っていますよ。それから、林道はいわゆる交付税の対象、基準財政需要額の中に林道そのものはなっていない。そうじゃないですか。山はなっておるけれども林道はないのじゃないですか。本当になっていますか、林道は。ちょっと答弁してください、間違いないか。
  51. 馬場久萬男

    馬場政府委員 私ども承知しているところでは、市町村分の地方交付税の基準財政需要額の中で、林道の維持管理のための経費というのは織り込まれているというふうに考えております。
  52. 野坂浩賢

    ○野坂委員 林野庁が出しておるのですか。  ちょっと自治省、ちゃんと言ってください、交付税、入っておるかどうか。
  53. 田村政志

    ○田村説明員 市町村分の林業経費の算定は、その他の産業経済費という中で行っております。その中で、市町村林道管理ということで包括的な形で単位費用に算入してございます。ただ、実際問題、市町村の場合に、先生御指摘のように管理の形態がいろいろな形があるわけでございまして、きちんと特定した形で入れるというのはなかなか難しゅうございますので、そういう林野面積に応じて算入をするという形を現在とっております。  ただ、今年度から整備される形につきましては、もう少し具体的にどの事業をどうやったかというのがはっきり見えてまいりますので、それに応じた形で、もう少し具体的な形で算入できないか、これを今研究をしようということでございます。
  54. 野坂浩賢

    ○野坂委員 やはり官僚答弁というのはわかりにくいですけれども、私は端的に聞きますが、例えば一町村の中にある林道は、林野庁の補助金で林道をつくってもらったらそれは町村が維持管理をする義務がある、その維持管理する義務については交付税の対象とするというふうに考えてよろしいですね。これからはそういうふうに意思統一をしてよろしいか。
  55. 田村政志

    ○田村説明員 補助、単独、合わせて全体で間に合うように措置をしております。
  56. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それでは、林野庁長官お尋ねしますけれども、これから指導助言をして所得を増大する、流域管理システムは三年後には活性化をして所得も向上するであろう、こういうふうな予想的なお話をいただいたので、それでは、あなたが直接に管理をしております国有林の問題についてお尋ねをしたい。  国有林というのは随分赤字が出ています。二兆五千億、膨大なものですね。ただ、国土保全の問題等公益的な機能が三十九兆円もあるというふうな認識、私もそれは正しい認識だと思っておるのですが、それならばもっと国に要求したらどうか。例えば林野庁予算というのは、普通の一般の民有林等は四千四百億だ、国有林関係は大体六千百億だ、そういうことになっていますね。毎年毎年借入金というものが膨れています。  ちょっとあれを配ってもらえますか。自民党の皆さんにも配って、委員長にも、わかりやすいように。  今回、借入金は二千八百八十億円、こういうふうに考えていいですか。そのとおりですね、ちょっと確認します。
  57. 馬場久萬男

    馬場政府委員 平成五年度当初予算におきます借入金の予定額は二千八百八十億円でございます。
  58. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今お配りを申し上げましたように、だんだん借入金というのはふえておりまして、ごらんいただいたと思いますけれども平成四年では二兆六千七百億円、これだけありますね。この調子でいくのならば、平成十二年には三兆五千四百七十億円、これだけ必ず累積債務ができてくることになるのです。計算でいくとそういうことになります。  そこで、毎年毎年大赤字が出ておるのですが、今回でもこの赤字というのは、借換債、借金の借りかえですが、これが九百二十億、あるいは事業転換事業施設数というものが千六百三十億、利子が御案内のように百九十億でしたか、そのぐらいついておるのですよ。支払い利子が千六百五十九億七千八百万円。これではとても国有林はもたぬと思いますね。そして財産の売り払い代でも千六百五十億でしょう。それから林野の売り払いでも八百九十億。これでは幾ら売っても赤字が出てくる。国の一般会計から大幅に増加をしてもらわなければ将来の累積債務というものはとどめを知らぬようになる、私はそういうことを心配するのです。自民党の皆さんも心配してくださると思うのですよ。だから野党と与党とが話し合って、流域管理システムをつくったり、経理区分というのは事業の区分と累積債務の区分と分けましたね、平成二年のときに。あれからもだんだんふえてくる。毎年毎年借入金というものは増額になります。  これでは幾ら立派なことを言っても、国有林でさえこういう状態だったら、あなたが指導助言をして民有林を引っ張る力は半減するだろうと思うのですよ。この辺を抜本的に対策をしなければ、毎年間違いなく国有林は一千億の赤字が出ます。そして、二万人体制には既になっておる。こういうことなら、抜本的にやるということになれば一体どういうふうにすればいいのですか。
  59. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国有林野事業についての御指摘でございますけれども、やや事実に即して申させていただきますと、国有林野事業は大変いろいろな問題を抱えていることは事実でございまして、私ども平成三年七月に、この国有林野事業をどうしたらいいかということで改善計画をつくったわけでございます。  これは委員も御案内と思いますが、今の経常事業部門と累積債務部門に分けまして、経常事業部門につきましては平成十二年度までに財政の健全化を確立しよう、約十年かけて財政の健全化を図ろうというふうにつくっているわけでございます。現在その途中でございます。三年目でございます。現時点におきます財務状況は、個別の数字は別といたしまして、確かに、まだ借入金がふえていくという状況にあることは事実でございます。  これは御案内のとおり、木材価格等が低迷しているとか、あるいは資源量の減少に伴います伐採量の減少に伴って売り上げが減っていくというような中で、まだまだ人員、組織等においてこれからの適正化の途中であるというようなこともございますから、当面、本年度におきましても借入金をしなければ経営が成り立たないという状況にあることは事実でございますが、平成十二年までの間に、例えば請負化等、事業の民間実行の徹底でありますとか、要員規模の適正化でありますとか、あるいは組織機構の簡素化、合理化でありますとか、さらには林産物の販売、森林空間の総合利用の展開等による自己収入の確保でありますとかいうようなことを重ねていって、なおかつ、森林公益的機能発揮の観点からは、一般会計からの繰り入れもお願いするという措置を講じて改善をしていこうというものでございまして、現時点でのことをもって将来もそうであろうというふうに言われますと、我々、今改善計画に基づきまして努力しているところでございますので、もうしばらく努力を見ていただきたいというふうに申し上げざるを得ないところでございます。  なお、今委員がお配りになられた年次別の累積債務の数字は、私どもとしては、年次別にこのような数字は承知していないところでございます。
  60. 野坂浩賢

    ○野坂委員 最後のところがわからなかったのですが、あれは認めないということですか、承知をしていないと。私が書いたのですから、私が承知しておるのです。  ただ、長官、考えてみると、今から十年前は借入金は千三百四十億だったのですね。今は三千億です。その間に四回も経営改善計画が出ておるのですよ。一遍もうまくいってない、一遍も。  それから、あなたがそう言うなら言いますけれども平成二年十二月十八日、閣議了解で決めてもらったのですよ。あなたは、平成十二年を見ておってごらんなさい、そのときは借入金というのはありませんよと言いましたね。平成二十二年にはそういう赤字も黒字もありません、平均、均衡のとれた収支のバランスがとれますといつもあなたは言っておるのですよ。昭和五十八年から過去四回経営改善計画をやってきたのです、三年おきに。ひとつも善処されていない。  農林水産大臣がにこにこ笑っておられますけれども、今度はあなたに聞きます。  国有林野の平成二年度までの累積債務は経常事業部門と区分して処理したところである。これは閣議です。このため、林野土地等の資産については徹底した見直しを行い、その処分の拡大による自己収入の増大を図る。例えば大阪の営林局の局舎でも売る、札幌の営林局の局舎でも売る、足元に火がついてそういう事態まで来ておるのです。自主的な改善の努力の徹底等により将来生ずる剰余金を充当する、一生懸命で充当しておるのですよ、今。以上の対策を講じてもなお不足する費用については別途財源措置を講じ、累積債務の縮減、解消に努めることとしている。これは閣議です。閣議で決まったのだ。  毎年やってみても一千億だけの赤字は確実に出るのです、どんなに逆立ちしても。毎年予算は減っているのですよ、人件費は。こういうことであれば、こういうことを抜本的に今やらなければ、将来に禍根を残しますよ。平成十二年はもうすぐ来るのですよ、もう七年したら。そのときは、またしくじりました、こう言わなければならぬ。閣議了解があるのなら、今閣議で決まったとおりに一般財源をもっと繰り入れをしなければ大変なことになると私は思うのですが、大臣はどのようにお考えですか、閣議の一人ですから。
  61. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 なかなか先の見通しというのは私どもも立てにくい状況にあるわけでして、木材価格というのは、いつまで低迷するとか、外国の要因を受ける場合も非常に多いわけでありますから、きちっと計画どおり進むかとなると、なかなか難しい面もあります。ありますが、しかし、策定いたしました改善計画、これによって自主的改善努力をするのだ、こうなっておりますから、いずれにしても、おっしゃるとおりなかなか容易でないこともあるだろうと思いますが、しかしその目標に向かって我々は努力をしていくということでございます。  したがって、一般会計からも応分の繰り入れをお願いをしたりいろいろ努力しながら、これからも自主的改善努力を図るということを念頭に置いて所要の財政措置を講じてまいるということであります。
  62. 野坂浩賢

    ○野坂委員 こういうことで、もう時間が終わってしまうのです。  だけれども、あなた以上に私どもは心配していますよ。あなたと同じように自民党の諸君も心配しておると思うのです。第二の国鉄になる、今からそう私は思っておるのです。そういうことになれば事態はゆゆしき問題だと思う。  例えば、あなた方の努力によって百億を累積債務に一般会計から繰り入れた、百三十億を今繰り入れた、そういうことはありますね。ただ、それだけでは足らぬのですよ、利子には。利子は一年に千六百五十億からかかるのですよ。これだったらとても追っつきません。  例えば民間の場合は林道でも造林費は出しますね、補助金を。これは、国有林の伐採資金で出しておるのですよ。歳入を見ていただきたい、歳入を。例えば林産物の売り払いや林野等の売り払い代、土地まで売っておるのですよ。これでも二千五百億にしかならぬのですよ。とてもそれでは赤字が出て、やれないということはわかっておるではないですか。売り払いで、林産材が上がったらまたよくなるのじゃなかろうかなんていう、農水大臣がそういう見解であってはとてもよくならぬということを私は明言しておきます。そんなものが上がってよくなるはずはない。  だから、一般財源からこれを繰り入れなければならぬ。山を守るために、三十九兆円も国土保全のための公益的機能があるならば、農水大臣は腕まくりをして閣議で言ってもらわなければいかぬ、私はそのことをお願いしたのだ。言うなれば、林道造林費だけは全部国から一般財源で出す。そうすれば毎年一千億円は浮いてくる。一千億というものが一般財源から出て、事業区分であるいわゆる林道とか造林費とかそういうものに出していけば、もっともっと国有林は美林になって、そして高く売れてくるだろう、そのくらいなことを思い切って閣議で言ってもらいたい、そのことを私は要請したい。  農水大臣の決意を聞いて、私は質問を終わりたいと思いますし、林野庁長官も、あなたの決意をお聞きして、第二の国鉄にならぬように、国有林を守るように、七百七十万ヘクタールは確固として守る、そうしなければ、我々は、民有林の皆さんを指導し引っ張っていくことはできないではないかということを心配するからです。
  63. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国有林野事業経営が苦しいことはそのとおりでございますが、そしてまた、そのために、必要なものでかつ公益的機能の増進に寄与するもの、あるいは借入金に関しましても、その中で職員の退職手当等に充てるものについての利子等につきましては、一般会計から現在も額をふやしながら繰り入れをしていただいているわけでありますが、今委員が仰せになりましたような、例えば造林林道については全額一般会計から入れるというような話は、これはやはり国有林野事業が事業として、しかも将来に対する投資として行っているものについて入れるというようなことは、なかなか国民一般の御理解も得られないのではないだろうか。ただし、民有林並みの助成という意味での国からの助成という意味での努力はしてまいっているところでございます。  なお、あくまでも国有林野事業事業特別会計として今後とも運営していくという前提で考えておりますので、やはり原則的には収支相償う経営にするため、今後とも自助努力をしなければならぬというふうに思っております。
  64. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 一生懸命やりますが、経営改善計画というものを無視してやるということは、なかなか難しい問題があります。ですから、そういう計画を実施するという前提で大蔵省にも要請をしていきたい、こう考えております。
  65. 野坂浩賢

    ○野坂委員 大蔵省、おられますか。あなたに聞かなければいかぬことがある。  そういう事業なんですよね。毎年確実に一千億の赤字が出るのですよ。だから、だんだんだんだん一千五百億程度の借入金がふえて、借りかえ借りかえして利子がふえる。もうこれではとても行き詰まりになるだろう、こう思うのです。だから大蔵省は、別途抜本的な措置を講ずるという閣議了解があるのですから、来年からは、百三十億とか百六十億とかみみっちいこと童言わぬで、一千億単位で補助金をもらわぬと、もうとてもこの林野はやっていけないということは明確ですから、その辺は考えてもらえるでしょうか。農水大臣も元気を出して、辞表を懐に入れて、政治改革もあることですから、この際に辞表を出して、やるという決意のようですから、大蔵省は、何でも大蔵省が壁になるのですよ。柳沢さんは今笑っていますけれども、彼、大蔵省出身なんだ。まだ元気を出すのが足らぬ。だから、そういう点については十分に考えてほしいということをあえてお願いしますよ。どうですか。
  66. 平沼赳夫

    平沼委員長 最後に、津田主計官、簡潔に。
  67. 津田廣喜

    ○津田説明員 国有林改善計画に基づきまして、今農林水産省と林野庁で懸命の努力を続けていただいているところでございますけれども、政府としても五年度予算の際には、例年になく厳しい財政状況ではございましたけれども、その中で農林水産省ともよく話し合わせていただきまして、ほとんど全体としての予算の伸びがない中で、国有林野事業に対する一般会計からの繰り入れにつきましては二〇%も増加ということをさせていただいたところでございますし、この数字は、六年ほど前と比べましても実は三倍ぐらいになっておるわけでございまして、ほかと比べれば、最近では相当力を入れているつもりでございます。  今後のことにつきましては、今、政府の財政バランス自体が火の車でございますし、予算編成というのは、そういった全体の財政バランスにも規定されざるを得ない面がございますので、その年その年の財政事情をよく勘案しながら、この問題も取り扱ってまいりたいと考えております。
  68. 野坂浩賢

    ○野坂委員 お話を承りましたが、私は了解をしたわけではありません。もっと山を守り、田んぼを守る、育てるという意味で、公益的な機能は、林野庁長官が申し上げましたように、一年間で、金で計算すれば三十九兆円もの貢献を国家にしておる。こういうことはみんなが知っておることですから、私は、恥ずかしいことじゃない、思い切って、山を守るために応分の、百億台ではなしに、一千億台でぜひ一般会計から繰り入れをしていただきたいということを強く大蔵省に要望し、農水大臣の奮闘を、健闘を心から祈念して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  69. 平沼赳夫

    平沼委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  70. 平沼赳夫

    平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤登君。
  71. 遠藤登

    ○遠藤(登)君 山の実態について、いろいろな角度から質問なり確認なり、あるいはその内容についても発表があったのでありますが、私も零細な森林組合員の一人という立場でありますけれども最初に、私も改めて山の問題を確認をしてみたいというふうに思います。  まず、国有林の問題も、先ほどもいろいろ質問なり意見の開陳があったのでありますが、平成三年から先輩、皆様の大変な御努力によって改善計画が策定をされて、大変な努力を重ねられながら今日を迎えているという状況がありますが、なかなか厳しいものがあるということであります。平成五年度、今年度末で国有林野の職員の二万人体制をつくりあげるという方向に向かって今努力が重ねられているということだと思います。  この大事な国民の財産であります、また貴重な資源でもあります国有林、先ほどからいろいろ問題が指摘もされて、それなりに大変な御苦労をいただいているのでありますけれども、実際問題として、現在でも国有林のいわば保育とか間伐とか育林とか、そういう万般にわたって十分な管理が行われているという状況ではないのではないか。二万人体制あるいはさらに合理化を重ねていくという方向は、まず一つは人減らしですね、これは限界があるのではないかというふうに思うのであります。一般会計よりの繰り入れ問題あるいは国の財政難の問題もさることながら、この合理化計画の中で、あるいは改善計画の中で、陣容、体制をこれ以上削減をするということについては限界にあるのではないかというふうに思うのでありますが、改めてその点をお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  72. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国有林野事業について、仰せられますように平成三年に改善計画というのを立てまして、当初三万一千人おりました職員を平成五年度末までに二万大規模にするという計画を立てたわけでございます。もちろん、ただ人を減らせばいいということではございませんで、森林管理のあり方について見直しながら、必要なところには人を配置する、また、資源状況あるいは森林の形態によって、必要でないところの人は減らしていくということが必要なわけでございます。  私ども、現在国有林管理について、四つの類型に分けて、それぞれのあり方によって管理の仕方を工夫するというようなことも含めながら、この適正な人員の配置あるいは規模というものを考えていきたいというふうに考えております。  例えば、森林生産を維持する、生産をする森林、あるいは自然を保護する森林、あるいは空間利用をする森林等々によりまして、そこに必要な要員というのは違ってくるだろうというふうに思いますので、その点も現在内部で詰めながら、今後の適正な規模というものを考えていきたいと思っております。
  73. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 山は手入れをしなければ当然荒れるわけでありますから、山が荒れるというのは川下か荒れるということにつながるのだと思います。これはやはり大蔵省の問題あるいは政府各省庁全体の問題もさることながら、特に都市住民に対してもっともっとそのPRというか、理解を求める努力というものを展開する必要があるのではないかというふうに思うのであります。  民有林を含めて国土の七割を占める山の問題、森林の問題は、例えば小中学校の教育の問題や社会教育の分野あるいは緑の少年団などというので、これは学校林あるいはその体験学習、その他交流学習、万般にわたってあると思いますが、この教育的な分野や、あるいは副読本をつくるとか、もっと文部省側との話し合いをするとか、これは国民生活にとって不可欠な、貴重な課題でありますから、そのことについては体系的に積極的な対応を図る必要があるのではないか。  これは林野庁自身がやる、あるいは農林省自身がやっていかなければならない問題と、全体的にやらなければならない問題、あるいは文部省ももっと積極的に展開をしなければならない問題、今環境問題が地球規模で問題になっている状況の中で、山問題、緑問題、水問題、これはもう国民生活の長期的な展望においても不可欠な課題であるというふうに思いますが、どのような所信に立っていらっしゃるかお聞かせいただきたい。
  74. 馬場久萬男

    馬場政府委員 森林林業の持っています機能というのは、単に林業者のみならず、国民全体に大きくかかわるものでありまして、国土保全なりあるいは保健、文化的な利用等々含めますと、各位が全体に関心を持っていただきたいことでございます。  今教育の問題にお触れになりましたが、私ども林野庁といたしましては、平成三年度に森林林業教育に関する懇談会というのを開催いたしまして、この教育の問題についても、森林林業をどうやって教育の場で広めていくかということを相談したわけであります。そこで、やはり方法といたしましては、森林林業役割や重要性についての国民の理解の促進を図る、それから教育機関との連携の強化を図る、また林業後継者の育成なり確保、あるいは婦人の参画の問題等についても一層努めていくべきであるということを打ち出したわけでございます。  林野庁自身といたしましては、これらを踏まえまして、今年度から新しく森林林業普及啓発推進総合対策事業というような事業を創設いたしまして、普及啓発センターによる情報の収集、提供、あるいは青少年の森林林業体験の場の整備、林業後継者による林業技術の開発の促進などに取り組もうとしておりますが、文部省におきましても、私ども平成三年のそういう懇談会の成果も踏まえましていろいろと相談をした結果、昨年、小学校五年生の社会科教科書に森林林業に関する記述が復活をいたしましたことや、あるいは学校の週五日制の導入の動きを踏まえまして、各都道府県におきまして、林務部局と学校教育関係部局が連携いたしまして、積極的に林業森林問題の普及啓発活動に取り組むというようなことをしておるわけでございます。  地方段階では、都道府県教育委員会あるいは教育事務所というものと連絡をとって、先ほどお触れになりましたが、緑の少年団の活動の指導とかあるいは農林業高校生の先進林家の視察学習等々も行っておるところでございまして、今後とも森林林業に関します国民一般の御理解を得るための普及啓発ということについては一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
  75. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 小学校あるいは幼児の段階からの触れ合いなり、あるいは教育というか学習というか、そういうものが基本的に大事な課題だと思いますので、副読本をつくるとか、環境を含めた教材をつくるとか、森林林業あるいは環境を保全し、推進する国民会議のようなものを設定していくとか、もっと大胆にこの問題に対応していく必要があるのではないかと思いますので、積極的な対応を要請をしたいと思います。  次に、民有林の問題も、午前中からいろいろな話題が提供されているのでありますが、保有林の林家の構造は、御案内のとおり、大体一アールから一ヘクタールまでが約六割を占めている。一反歩から一町歩までの間に五七・九%、一ヘクタールから五ヘクタールまでが三一・八%、これを合わせれば、約九割が五ヘクタール以下の保有林家という私有林の構造状況になっているのであります。  これはまことに零細な構造状況にある。私の資料は、すべて農業センサスの調査の資料を拝見させていただいたものであります。こういう零細保有林家の構造にどう対応するかということが一つ問われていると思うのであります。そのためには、例えば森林組合、全国に一千六百二十七組合ありますが、その森林率、いわばシェアが五一%ということも問題なわけです。この保有構造の零細性から考えれば、さきに抜本的な改革をやった流域単位の、時間がありませんから後で問題にさせていただきますが、まず林家の保有構造がまことに零細であるということが一つ。  それから、保有林家の年間の所得、直接的な経済活動というものが四・三%、これは大変な問題なのではないか。九五・七%の林家が直接の経済活動はない、したがって所得はない、こういう構造状況にある、午前中もいろいろお話が出たのですが。それから、森林林業事業体が、十年間では相当ふえているのでありますが、三十五万四千体です。そのうち年間のいわば林産物の販売などの直接の経済活動をやっているのが四二一%、したがって九五・八%というのが直接的な経済活動はない、所得がない、こういう状態です。  これはやはり森林林業なんというのは、今さら言うまでもないのでありますが、五十年あるいは七十年、例えば私のところの山形県の金山町などは、百年のサイクルの森林計画をつくっているのです。それは大変な課題で、気の遠くなるような課題でありますけれども、こういう状態というのはまず大変な状態なのではないか。したがって、例えば平成三年度の山の担い手というのは、学卒あるいは他産業からの新規参入はどのような状態になっているか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
  76. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃるように、我が国森林所有形態を見ますと、大変零細な所有者が多いというのはそのとおりでございます。また、先ほどお触れになったセンサスの調査年において、林産物を販売していない林家というのが九五%になるということは、そういう意味では直接の経済活動といいますか、産物を売っていないという意味での経済活動を行っていないのが多いということもそのとおりでございます。  したがいまして、今の所有者の主体別に見まして、事業としてやっているというのはどの辺になるかということになりますと、二十ヘクタールから五百ヘクタールぐらいの中、大規模の林家、この辺になりましてようやく林業によって家計を主として維持するという層が出てくるわけでございます。その辺の個別の林家の経営のあり方と、今おっしゃるような経営体、これは組合であったり会社であったりいろいろございますが、そういうものとが入りまじっているのが現状でございますから、そういう林業のあり方というのを前提に我々は施策を考え、また、これからの担い手を考えていかなくてはいかぬ、こう思うわけでございます。  零細な林家につきましては、主として森林組合等に集まっていただいて、その組合の作業班が作業の委託を受けて生産活動を行う、中規模ないし大規模の林家は、それぞれみずから労働力、自家労働あるいは雇用労働力を含めて林業経営を行っていく、こういうことになろうかと思います。  お尋ねの学卒で新たに林業に従事した者の数ということでございますが、これはまず林業経営体の中で後継ぎがいる、あるいは後継ぎが予定されている林家というのは、そうはいいましても十万七千戸ぐらいございます。その中で、既に後継ぎ予定者が林業に関与している林家というのは、二万九千五百三戸あるわけでございます。残り七万八千戸ぐらいは、後継ぎの予定者はいるけれども現在林業に関与していない、こういう状態になっているわけでございます。  新規学卒者の林業への就業者数でございますけれども平成三年では百八十三人。これは昭和五十五年のときに四百九人でしたから当時も少なかったのですが、かなり大幅に減少してきているという状態にございます。ただ、新規学卒でなくて他産業から林業経営へ、後継ぎでなく新しく参入した者が、平成元年、二年、三年の三カ年合計で四百六十八名というような形で、後継ぎがいない林業経営体についても外から入ってくる人もいる、こういうことでございます。
  77. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 まず大変な後継者問題、これは統計のとり方かいろいろあるのだと思いますが、私の聞いている範囲内では、大体学卒が二百名、新規参入が百五十から百八十名ぐらいということなんですね。これは大変な問題であると思います。  今回の法案の問題も関連をするわけでありますが、さらに山の実態を精査してみれば、私も何回か指摘してきた問題でありますけれども、十年間に全国で二千三百を超える山村の集落が日本列島から姿を消した。年間二百三十の集落なんですね。換算すると、二日間に一つ山村の集落が日本列島から姿を消しているということにつながっていくのではないかというふうに思うのですね。したがって、定住人口が激変し、山村の集落が廃村となって、加速している状況がある。これは一体何なのか。  例えば過疎法があったり、あるいは山根法があったり、特定地域の活性化法があったり、今回の助成法あるいは融資法の問題。これは、農林省だけではなくて、国土庁の問題、自治省の問題、交付税の対象にしてみたり、万般のかかわりを持ってきているのだけれども、一向に歯どめにならない。これは何なのか。例えば林業においても、林業集落センターをつくる、林道をつくる、あるいは市町村道、県道をつくる、あるいは大規模林道をつくる、これも大事な課題である。大事な課題でありますが、山で定住して生きていくための所得が足りない、生きていけないというところに問題点があるのじゃないでしょうか。  環境もさることながら、雪が深いとか、不便だとか、あるいは教育的、文化的にまだ大変だとか、若い者がほとんどいない集落が大半なんですよ、山の村は。先祖伝来の何百年という山の集落をお年寄りたちが守り続けているのだけれども、いつまでも守り続けることができなくて、くしの歯が折れるように里に、町場に去っていく。したがって、森林林業の活性化もどうにもならない。  したがって、これは直接の所得補償ができない、なじまないとおっしゃるのだけれども、一つは、もう税金など取らなくてもいいのじゃないですか。それから、少なくとも一時間の通勤圏の中に工場を張りつける。下請でも仕方がない、それは税金を取らない。あるいは労働省のように雇用奨励金を出せないのですか。総合的な、定住に見合う、定住できる所得をつくり上げていくということが今問われているのではないでしょうか。  そのことについて、どのような感覚に、あるいは所信に立っているか、改めてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  78. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 農業、先般御審議いただいた新農政との関連の中で、山村振興ということ、いろいろ御議論ありました。これは一体のものでありますから、一体のものとして私どもは進めていかなければいかぬ、こう考えております。特に山村の定住条件、これを図ることは環境を守ることにもつながるし、そのためのいろいろな施策を講じていかなければいかぬということを申し上げたわけであります。  特に山村だけに限って申し上げますと、山村振興法、それを通して産業の振興を図る、あるいは交通体系の整備、福祉対策の推進、あわせて山村地域の基幹産業である林業の振興を図ることが必要だというふうに私ども考えるわけでありますが、それだけに頼ることなく多様に就労の場を確保しようということで、地域の特産品といいますか、農業分野でのそうしたものも通じて就労の場を確保していきたいということを再三申し上げてきました。  いずれにしても、農業分野とは別個に、造林林道の公共事業の積極的な推進を図る、あるいは林業事業体の育成など担い手を確保する、あるいは林業構造の改善や特用林産の振興を図っていく、今御審議いただいている法案による金融措置、そういう各般の施策を推進していこうとしているわけであります。また、自治省国土庁と農林水産省との森林山村検討会、こういう検討結果を踏まえて、地方財政による支援措置が講じられることとされたわけであります。  いずれにしても、先般も閣議で高齢化の問題が提起されまして、とにかく農山村あるいは漁村、もう他に先駆けて大変な高齢化が進行しております。二十年も早いということで、各省庁挙げて定住のための努力をお願いしたいということを先週私からもお願い申し上げたわけでありますが、いずれにしても、各省庁総力を挙げてこれに取り組む、こういう気概が大分醸成されておるということでありまして、私ども手を抜くことなくこの先も努力をしていきたい、こう考えております。
  79. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 ぜひ所得政策に力点を置いて、あと万般にわたる施策が重要でありますけれども、やはりそこに力点を置いて早急に対応しなければどうにもならないという状況にあるのではないか。  それから、森林山村検討会ということだけれども、もう検討を重ねている時間はないのじゃないですか。  それから、山の実態あるいは山村の実態というのは、少なくとも二年に一遍とか毎年とか、大変な状況ですから、それを調査して現場を把握するということが大変大事な課題ではないか。これはいろいろ大変だと思いますが、やはりそういう体制をつくって即刻それに的確な対応がとられるということが今問われているのではないだろうかというふうに思いますので、これは私も山村にあって実感として重要な課題だと思っておりますから、ひとつそういう対応を早急に検討をいただきたいということを要請をしたいと思います。  それから、この民有林のいわば保育、育成の状況なんですが、保有林家二百五十万九千戸のうち、植栽率というのが四・七%なんですね。年間で植栽をするというのが四・七%。それから下刈り、これは二七・三%。それから間伐、午前中もいろいろ問題になりましたこの間伐が一二・四%。それから、先ほどの話とも連動するのでありますが、主伐ですね。これは二百五十万九千戸の林家の中で一%なんですよ。主伐、これは五十年とか七十年とか百年のサイクルで伐採をする、それも立ち木で処分をする、あるいは素材で処分をする、その経済活動もまことに前近代的なんです。これは山の環境もいろいろあろうかと思いますが、こういう状態の中で、このたびの二法問題を初めとして活性化問題がある。どういうふうに手をかけるか、これがだんだんと加速的に低下をしていく、こういう実態なわけです。これは大変な問題なんですね。山がなくなって、もう死ぬんじゃないか。  例えばこのたびの改善資金だって八十億、これは大変努力をされて確保されたと思うのでありますが、それが無利子だ。山に青年がほとんどいないような状況の中で、国内研修、海外研修に主力を置いて後継者の育成あるいは後継者確保対策ということが、これは中心なわけですね。だけれども、こういう実態なわけだ。それはもう無利子の融資なんというあれは、据え置きとか期間延長十年なんという実態じゃないんじゃないですか。それはもう積極的に補助に切りかえていくという姿勢に立つ状況なのではないだろうかというふうに思うのでありますが、どうでしょうか。
  80. 馬場久萬男

    馬場政府委員 林業というのは非常に時間のかかる、長い期間を要する産業であるというのは、先生おっしゃるとおりでございまして、俗に、植えた人が生きているうちに収穫することが難しいような経営だというふうに言われておりますけれども、まことにそういう面があるわけでございます。  それでは、それだけでやっていけるかというとそれだけではやっていけないものですから、一方で、先ほどお話ありましたように、山村におきましても、農業であるとかほかの産業と組み合わせてやっていかなきゃいかぬという面があるわけでございます。林業サイドの中だけでいいましても、今申し上げたような非常に長期にかかる林業経営とあわせて、例えばシイタケなどのキノコの栽培であるとか山菜の栽培であるとかといういわば早期収益事業といいますか、そういうものと組み合わせていくという形で考えていかれる経営者の方が多くなってきているわけであります。  今回の林業改善資金助成法考えておりますのも、その十年というのは、確かに木を植えて育てて収穫するなどというものから見ますと非常に短いわけでございますけれども、初めて林業経営をやろうという方は、一方でそういう長期的な造林等もしながら、一方では毎年ある程度収穫が上がる早期収益事業というふうなものをやっていくということでございまして、その両面をにらみながら融資制度の拡充をしたいというのが私ども考え方であります。  今、るるお話がございましたように、なかなか林業は大変であるということは我々もそのように思っておるわけでございますが、やはり何とかして山村に定住し、そこで生活していく人たちを育てていかなければいかぬ、そうしませんと我が国森林林業が維持できないという事態でございますから、いろいろな政策を組み合わせながら、少しでも若い人あるいは林業をやろうという人が山村に定着して仕事をやっていけるように環境整備等もしてまいりたいと思っております。
  81. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 時間がありませんから、問題点というか、先ほども出たわけでありますが、一つは、今までのような山の実態がある。一つは、午前中も話題として出たのでありますが、非農家林家が十年間に五四・四%ふえているのですね。管理委託というのは一五・一%。不在地主の問題も出たわけでありますが、不在林家というのは二一・八%だというような状況で、これも森林組合等に管理を委託しているというのも非常に少ないのですね。こういう面についてもっともっとメスを入れていく必要があるのではないかということが一つ。  それから事業体ですね。これは午前中も話が出たのですが、三十五万四千体、これで直接経済活動をやっているのが四%そこそこ。これはほとんど直接の経済活動をやっていない。それは零細な事業体ではないか。山の問題、価格の問題、外材に依存する問題はありますけれども、これは積極的に統廃合を進める必要があるのではないか。そして基盤を強化するということも必要じゃないか。今回の助成あるいは金融二法の関係の問題についても、積極的にその辺に力点を置いていく必要があるのではないかということ。  それから、第三セクターの問題も先ほど話が出たのでありますが、当面第三セクターを積極的に育成、強化、拡大をしていく必要があるのではないか。  それから、森林組合の合併問題が出たのでありますが、また、百五十九の全流域にいわば合併協議体なるものができていないということのようでありますが、森林組合には事業もやれないような、もう弱小体なわけです。これは山の問題、価格の問題から外材の問題からもういろいろ重なっておりますが、森林組合の統廃合、本来ならば自主的な立場を尊重しながらも、百五十九の流域ごとに森林組合をつくり上げていくということが早急に問われているのではないだろうか、流域の見直しもまたさることながら、そのことが問われているのではないだろうか、こういうふうに思うのでありますが、このことについてちょっと所信をお聞きをしたい。簡単で結構であります。
  82. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃいますように、森林林業経営をしていくというために、今のままでは大変心もとないということはそのとおりでございまして、先ほどお話のありましたような事業体の、例えばその統合あるいは大型化といいますか、推し進める、あるいは第三セクターを育成する、あるいは森林組合について、流域単位にというお話でございましたけれども、合併、統合していくということはいずれも重要なことだと思っておりまして、我々、そういう方向でいろいろな施策を講じているつもりでございます。  森林組合について言いますれば、先生御案内のように、森林所有者の自主的な団体でございますから、流域に一つずつというのはなかなか言うべくして難しいところもございますが、今組合系統自身が、千六百ある森林組合について、これを何年かかけて半分ぐらいに減らそうというようなことを議論をしているところでございますので、そういう点につきましても我々支援をしてまいりたいと思っております、
  83. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 まず最大の御努力を、現場に立って即刻対応するものは対応されるように強く要請をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
  84. 平沼赳夫

    平沼委員長 前島秀行君。
  85. 前島秀行

    ○前島委員 今回かけられた二法については正直、反対理由は何もありませんで、結局そのとおり推進してくれ、この法案そのものについてはそういうことでありますが、ただ、果たしてこういうことだけで今取り巻いている林業は何とかなるだろうかというと、正直そんな状況ではない、こういうのがみんな一致した認識だろうと思うのです。この認識は何も今に始まった話ではなくして、もう大変深刻な状況にあるし、文字どおり、国有林民有林ともにもう危機的状況ということではないだろうかと思うのです。  そういう中で、私は、農林省、林野庁それなりに一生懸命で頑張ってきたことは認めますし、一昨年の法改正も画期的な一つのものであるというふうに我々も期待をしたことも事実だろうと思うわけですね。しかし、その二年前の改正後も必ずしもなかなかうまくいっていない。労働力不足、高齢化の問題、あるいは国産材の価格の低迷ということは、依然として状況は変わっていない。国有林財政にしても、先ほど午前中お話がありましたように、借金は横においたけれども、新たな借金は依然として積み重なっていることも事実である。  そういうことを考えますと、一農林省が頑張っていくような段階は通り越えてしまって、本当に危機的状況で、文字どおり基本的に林野行政といいましょうか、民有林を含めてやらない限りはもうどうしようもないところに来ているのではないだろうか。  午前中の議論を聞いても、大臣は、何とか頑張ってみます、その決意はわかるのですけれども、もうその段階を越えてしまって、何かもう抜本的な、あるいはもっと別な角度からの基本的なものがない。例えば、先ほど午前中にありました金の入れ方の問題にせよ、あるいは横の各省とのかかわり合いの問題にせよ、そういう状況に今や差しかかっているのではないだろうか、こんな基本的な感じを持つわけでありますけれども大臣、今までの延長線上の対策で果たしてこれからやっていっていいのだろうかというふうな感じがするものですから、その基本的な、まず認識みたいな、スタンスみたいなものをぜひ最初にお聞かせ願いたいと思っております。
  86. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 おっしゃるとおり、今までもいろいろな制度改正を行ったり、支援措置をしたりやってきたと思うのですわ。ただ、考えてみますと、国有林にしてもいい時代があった。あるいは民有林にしても、これで財をなそうとかという考えは昔は余りなかったのですね。むしろ、うちを建てるときに自分の山の木を切ってという程度の感覚であって、それは、いい時代にいよいよこれを事業としてということで植林等がどんどん進んでおった。そこへ外材が入ってきまして、外材と対抗できないということからこういう問題が非常に深刻になってきた、こう思うのです。  したがって、これだけでどうというわけではないにしても、いずれにしても、現状担い手がいないということはもうこれは大変なことでありますし、集落自体もだんだんおかしくなってきた。それらに今いろいろ手を加えて、そうしてこの活性化を図ろうということをやっておるわけでありますけれども、しかしそう言ってみても、戦後一千万ヘクタール人工林をやったわけでありますけれども、それがいよいよ国産材の時代を迎えるということも一方であるものですから、これに向けての体制もつくっておかなければいかぬということでありまして、おっしゃるとおり、何をやればすぱっとよくなるかということは、なかなかいろいろな背景があって難しいことはあります。難しいけれどもこれに果敢に挑戦して、何としても生き残りをかけて私どもは努力していかなければならぬ。そのためには、生産も大事でありますが、加工流通、いろいろな条件の整備をするということも大事なことでありますので、全力というのはよくわかったということでありますが、まあしかし、頑張りますと言ったって同じ言葉でありますから、そういうことで努力をさせていただきたい、こう思います。
  87. 前島秀行

    ○前島委員 頑張る、頑張るというのはよくわかるのですけれども、これは、毎年毎年この種の法案をすると、我々ももう基本的には認識はそんなに違っていませんので、対立しているわけではないので、頑張れよ、おれは応援するからということで、頑張りますよと言うけれども、一向に正直言って先が見えてこないというのが一つの現実だろうと思うのです。  そこで、一昨年改正したときに私ども大きな一つの期待を持ったのは、これからは官と民が別々ではなくして、ひとつ一体的にやろうじゃないかということと、それを、地域においては流域という形でもって川上から川下、生産流通云々が一体となってひとつやってみよう、これは新しい私は大きな発想の転換であり、ここに一つの林業再生の芽があるかなと期待がかかったわけですね。しかし、午前中の答弁にもありましたが、その活性化協議会とか、期待どおりやっていると認識していますか。数のことを言っているのではないのですよ。百五十のうち、ことしいくと百いくからという数ではなくして、中身として、いわゆる官民が一体になって取り組まれているだろうか、あるいは、川下と川上等々を含めて、生産加工流通まで含めて一つのテーブルに着いて何とかしようじゃないか、そういうものが、今期待されているような形でこの二年間展開されてきているんだろうか。長官、その辺のところを認識として聞きたいのです。
  88. 馬場久萬男

    馬場政府委員 午前中にも数のことは申し上げましたが、数は言いませんが、率直に言いますと、今まで川上、川中、川下ばらばらにやっていたものが協議会を開いた途端にうまくまとまるかというと、これはさほど甘いものだと私も思っておりません。  先ほども、先導的地域というのを、わざわざこれは個別地域の名前を挙げますとその他の地域の方が、おれのところはなぜ入れないと言ったりいろいろするのですけれども、明示して、明らかにしてここはこういうことでやっています、ここはこんな工夫をしていますよということを言っているのも、ほかの地域の方々が、少しでもそういう方向に努力しようあるいは目標を持とうというふうになっていただきたいためにやっているわけでございまして、実際言いますと、二年、三年今一生懸命努力していますけれども、目に見えてくるのはまだ少し時間がかかるのではないか。先導的地域は、いわばこの流域管理システムをつくる前からむしろ基礎的にそういうことをやっているところでございまして、新しい地域というのは、これから流域管理システムとは一体何だろう、どうやっていくんだろうということを今考えたり相談したりしている最中だというふうに思います。
  89. 前島秀行

    ○前島委員 そういう面で若干耳にしますのは、林野庁、営林署自身がちょっと消極的ではないかという意見も実は、従来の延長線上で管理計画を立てるにせよ、もっと積極的に、自治体をあるいは森林組合等々の民間を巻き込んで積極的に地域の活性化協議会あるいはセンターを活用する中で取り組もうではないかということについて、必ずしもそういう姿勢を感じられないやという面も聞かれなくはないわけですね。組織をつくろうとしている努力は、それぞれ流域のところでやっているということは、私たちわかるのでありますけれども、要するに官民一体になって、あるいは流域センターを中心にして地域が一体になってということについて、必ずしも営林署あるいは林野庁が積極的であるのかということについては疑問だという声を聞かなくもないわけなのであります。  そういう官民一体とかあるいは流域単位でという中で、例えば労働力の問題です。これはもう民間の方でも高齢化が進み、労働力のないことも間違いない。片や国有林の方は、二万人体制という形で強引にやろうとしてかなりいろいろな議論が出ていることも事実ですね。そうすると、本当に先ほどの危機的状況を何とかしようということを大事にするならば、従来の延長線じゃなくして、その辺の労働力の配置の問題等々も官民一体の形はとれないのか。あるいは活性化センターが中心になって労働力確保のためにいろいろな活用をする、それを官の方が積極的に対応していくという努力があってしかるべきだと私は思うのですね。どうも聞くところによると、まだ官は官、民は民という枠の中であって、現実に労働力がないという状況の中で、何かこう、もどかしさを感ずるわけですね。  例えば、活性化センターにしても、林業活性化センターなんですね、林業枠の中でしか議論をしていない。さきの農業新三法のところで、中山間地域における活性化という、同じ課題が農の方にもあるわけですよね。私たち、あるところで、要するに畜産における林業利用という形で五島さんなんかがうまく結びつけてやっているんだ、これがこれからの日本の畜産の大きな道であるし、それは地域活性化への道だという話も聞いたことがあるわけですけれども、我々が大きな期待を持って出発したこの活性化センターも、何か林だけの枠の中にとどまっていないだろうか。  農家にしたって林の収入とほかの収入との兼ね合いがあるわけですから、その辺のところの一体的な対応とか、せめて農林省という大きな枠といいましょうか、第一次産業という枠の中で、この林業活性化センターも林業という枠だけじゃなくして、他の農業分野との連携という問題ができないのか。何かまだまだ、労働力の配置にせよ、我々が期待した流域管理システムなんかでの林業活性化センターの任務といいましょうか、活動内容にしても、従来の枠を抜け切っていない。ただ大変だ、大変だと大臣が言われるだけで、何かもう少し一歩踏み出したというものが現場でも現実の対応として求められているのではないだろうか。それが現場での林業家あるいは農業関係者あるいは森林組合関係者の皆さんの声でもあるような気がする。  そうすると、どうも一番それにおくれているといいましょうか、積極的に現場で対応していないのが官の方じゃないのか。方針としては出てきているのですけれども、現場では意外とそこのところが官がおくれているのじゃないかという声を聞かなくはないわけですね。その辺の労働力の配置の問題、活性化センターのあり方の問題、ほかの林と島との一体的な運営について、もう少し積極的な対応を期待するのですけれども、その辺のところを長官。
  90. 馬場久萬男

    馬場政府委員 流域管理システム民有林国有林一体としてということを言って、私ども常に私ども自身の組織であります営林局、営林署等を指導しているところでございますけれども委員指摘のように、地域によってはやはり役所的な対応をしているじゃないかという御指摘があることも承知しております。  そういうことであってはならないということで、我々の中では、森林流域管理システムを推進するために、庁内の組織であるとか営林局署においての組織でありますとか、いろいろ整備をしているわけでございますけれども、従来国有林の中だけで自分の経営だけしていた方々が、外へ出ていって民有林の方と一緒にその地域全体の林業をどうするかという議論をするというところまでなかなかいってないかなという点は、私も自覚症状があるわけでございます。  ただ、先ほど申しましたように、よくやっている地域と、おくれているといいますか、十分でない地域というのが出てきたりしますと、だんだんそこの間の情報というのも流れるようになりますから、これは我々も努力しますし、先生方にも温かい御支援をいただきたいと思うわけであります。  では、活性化センターをつくって、それがうまく機能するようにするにはどうしたらいいかという問題でございますが、先ほど言いましたように、川上から川下までの非常に幅広い、いろいろな事業体の方、地方自治体はもちろんでございますが、森林組合あるいは森林整備法人さらには素材生産とか造林事業体木材加工流通団体等々入っていますものですから、すぐに動き出すというよりは、まず問題の認識を一致させて、どういう枠組みをつくるか、そして、具体的にはどういう目標をつくるかという、いわゆる活性化基本方針でございますが、このところで今いろいろと試行錯誤をしているというのが実情がと思います。  その際に、林業だけでなくて、地域の問題としては農業もあるではないかという御指摘がございました。おっしゃるとおりでございまして、本来第一次産業というのは流域単位に成り立ってきているものでありますから、森から出てくる水を水田が利用する、川で魚が育つというようなこともございますから、全体ひっくるめてのことが望ましいことはそのとおりなんですけれども、先ほど言いましたように、まず林業の中でも合意するのが大変なものですから、我々は決して農業とかほかの産業との関係を排除するわけではなくて、入れたいのですけれども、まず林業について、民、国あわせて一体化すべきだというふうに言っております。  ただ、ちなみに林業と農業がそれぞれ重要な地位を占めている地域で密接に関係があるというところでは、例えばこの活性化協議会のメンバーに、その地域の農業協同組合の組合長さんにも入ってもらっている地域が幾つかございます。そういうところでは、比較的農業の問題、林業の問題共通の、例えば労働力でも森林組合作業班の方々が農業の作業の受託をするというようなこともあり得るという前提で、労働力の調整等についても農業関係者も入ってやろうという動きも出てきておりますので、だんだんにそういう地域全体の問題に取り組めるようになると思いますが、とにかく先ほど言いましたように、かえって従来は利害が対立しているような方々を一緒に集めているところなものですから、なかなかおっしゃるような形のものが目に見えてこないという点は、そのとおりだと思います。今後一生懸命やっていきたいと思っています。
  91. 前島秀行

    ○前島委員 まだ余裕があるならわかるのですけれども、もうがけっ縁もいいところという状況であるし、労働力の配置にせよ、活性化センターの機能にせよ、一緒にやることがいいことはもうわかり切っているのですから、ぜひ林野庁の方々が積極的にやってほしい。うまくいっているところは、やはり積極的にみんなで一緒になってやっているから活性化していることは間違いないと思うので、ぜひそういう指導を強めてほしい、こういうふうに思います。  次に、ヒューマン・グリーン・プランのことについてちょっと伺います。  これもいわゆる国有林財政再建の大きな一つの方向として、一昨年、実際は五年ぐらい前から始まったことだと思いますが、再建に当たって、いわゆる林野庁の資産の売却と同時に、空間利用によって大いに金をもうけて財政赤字解消のためにという期待があって、今までは附属的なことだったけれども、今度は中心的な仕事だという形で位置づけでやったと思うのです。  それで、このヒューマン・グリーン・プランなるものが一体この間にどんなふうな実績を上げてきているのか、あるいは国有林をどれだけ使ったのか。その中で特に私が心配するのは、保安林がかなり解除されていると思うのです。もう一方は、例のリゾート法との兼ね合いもありまして、ここのところ四、五年というのは、一挙に国有林がそういう形で使われたと思うのです。その辺の国有林の開放状況、あるいは保安林がどうなっているのか、それとそのヒューマン・グリーン・プランが国有林財政の再建にどの程度役に立っているのか、簡単でいいですから、役に立っていないといえば立ってないということで結構ですから。
  92. 馬場久萬男

    馬場政府委員 ヒューマン・グリーン・プランは、もうちょうちょう申しませんけれども、確かに国有林経営の一形態としていわゆる森林の空間を利用するということでありますが、同時に、やはり単なる木材生産だけではなくて、自然に親しみたいという国民のニーズにもこたえるものということで始めたものでございます。  実績でございますが、現在までに指定箇所は二十三カ所指定しております。検討対象としては百三十八カ所ぐらいあるのですけれども、今まで二十三カ所指定してございまして、そこの総面積は一万二千九百九十五ヘクタール、そのうち保安林面積が五千五百、約四二%でございます。これらの二十三カ所のうちでいわゆるリゾート法、総合保養地域整備法に基づく重点整備地区と重複するのは十三カ所に上っております。  これが国有林野事業の収入にどういうふうに貢献するかということですが、始めましてまだそう事業が、本格的に軌道に乗っているところだけでございませんが、平成四年度の収入の見込みは七億四千万円、これは国有林野事業総収入では〇・三%程度で、まだ微々たるものでございますが、収入にプラスにはなってきているというふうに考えております。  今後ともいろいろと地域の振興あるいは国有林野の有効利用という観点から、地方公共団体等との連絡をとりながら積極的に推進していきたい、このように思っております。     〔委員長退席、簗瀬委員長代理着席〕
  93. 前島秀行

    ○前島委員 空間利用というのは、リゾート開発だけではなくして、その他の機能という意味で、私は反対するものでもないわけなのであります。ただし、国有財産というものをどう活用するかということは、さまざまな観点から検討しなくてはいかぬことは間違いないと思います。そういう面で、わずか〇・何%の財政寄与率に余りウエートを置いて、逆に国有林に対する期待というものを地域的にそがない方が、より大きなトータルな意味では林業行政からは必要ではないかというふうに実は私は思うくらいなのです。  そういう一つの例として、各地域、私の地域なんかも含めて、国有林におけるゴルフ場の問題というのがあるわけですね。私は、ゴルフ場そのものを否定しません。悪いことでもないと思うけれども、ただし、場所というものは慎重であってほしいし、国有林の中でつくるゴルフ場というのは、その中身、内容というのはやはり検討すべきだろう、こういうふうに思うわけであります。  そういう中で、従来は国有林の中でつくる場合はパブリック以外認めなかったけれども、六十二年ですかを境にして、準パブリックをやってきているわけですね。私の聞くところによると、余りうまくいっていない。やはり武士の商法がなと思う面もあるわけですね。準パブリックにしたことによって、何か、あるところでは一千万円の会員権で七百口あれしたけれども全然買い手がないというふうになって、逆にそのことによって利用者が限定されてしまって結果的に利用者が減って収益が上がらない。今収益方式をとっていますから、準パブリックがいいだろうと思ってやったのだけれども、結果的には収益が上がっていなければ国有林に入る収益も少ないという形で、私は悪循環の典型のような気がするわけであります。そういう面で、このヒューマン・グリーン・プランのあり方についても、場所と方法、国有林を使う、国有財産を使うということについては慎重であってほしいと私は思います。  そこで、地域のことでちょっと恐縮でありますが、私の地域の富士山が、このヒューマン・グリーン・プランの一環として、先ほどの百何カ所かの検討地域として入っているわけでして、平成元年から二年にかけて林野庁は、富士山にリゾート開発するんだという形で、具体的に富士プラン21という形でリゾート開発調査をしたのですね。これが地域では大きな問題になっているのでありますけれども、この林野庁版のリゾート開発の富士プラン21というのは、現在開発を進行させようとしているのですか、それともこれはもう消えちゃった案ですか、ちょっと聞かせてください。
  94. 馬場久萬男

    馬場政府委員 お尋ねのように、富士山ろく地域につきましてヒューマン・グリーン・プランの事業対象として検討するということがありまして、あらかじめその地域の自然的条件あるいは土地利用規制等社会的条件、さらに、周辺の開発動向、地元地域の意向等総合的に検討する、また、森林の他の機能との調整を図るという観点から事前調査をしたことは事実でございます。  その調査を実施したところ、同地域は自然環境にすぐれ、大都会に近いという好条件にあるものの、水の確保あるいはインフラ整備費用の負担等、条件整備についての問題点が明らかになったわけでございまして、これらの点を踏まえまして、地元地方公共団体の意向も聞きながら長期的視点に立って国有林野の活用を考えてまいりたいというふうに考えておりまして、今すぐ具体化をするということにはなっておらぬわけでございます。
  95. 前島秀行

    ○前島委員 富士プランはそういうことであるのはわかるのですが、私は事前に、リゾート地域の事業候補地といいましょうか、皆さんでは対象地域と言っているのですが、それはどこなのかという資料をくれくれ、こう言ったら、なかなか出さなかったですね。まあ、もらったから出してくれたのですけれども、その中にまだ富士山が残っているのですよ。  これは後で質問する富士山の機能分類の問題と微妙に絡んできているので、私これを言うのでありますが、あそこはもう、長官御存じかどうかわかりませんけれども、場所も特定されています。だけれども、富士山というのはまだずっと広い地域でございまして、富士宮の方から含めて、ずっと御殿場の方まで空間利用地域も指定されているわけでありますので、ここから消えると、ああ安心したなど言って、機能分類の話も結論がすぐ出るのでありますが、まだ残っているのですね。だから、富士プラン21はそういう状況だということはわかるのですが、それ以外はなしというふうに理解してよろしゅうございますか。
  96. 馬場久萬男

    馬場政府委員 先生の御要求の資料についてのお話でございますが、実は、その候補地というのは、私どもの中では、担当者が各営林局等からさっと、どんなところがあるかねということでとったという程度のものでございまして、実は私自身も、先生からお尋ねがあるということを聞いてきのう取り寄せたら、こんなにいっぱいあるのかと思ったようなところでございますので、そのリストに載っていることが即開発予定の土地であるとか、あるいは載っていないから対象から外れているのかというふうなことを言われますと、これは内部資料で、ただ担当者がつくったものでという話になってしまうので、余りそのことは申しませんが、資料の性格は御理解いただきたいと思うわけであります。  いずれにしても、私ども、富士山ろく等におきましてそういう地域の開発をするという場合に、当然地元の意向というのを尊重しながらやっていかなければいかぬわけでございまして、先ほど言いました水の条件、その他客観的ないろいろな条件もありますし、また、地域の方々のいろいろな意向というものも考えていきたいと思っています。  お触れになった国有林機能類型というのは、これは各営林局で、それぞれの管轄区域ごとに今後どういう利用が図られる可能性のある森林であるかということで、国土保全林なり自然維持林なり空間利用材なり木材生産林というふうに分けるというものでございまして、今おっしゃいますヒューマン・グリーン・プランの候補地と必ずしもびたり合っているわけでもないわけでございます。ですから、そこの問題は一応切り離して機能類型というものの分類はしていきたいと思っております。
  97. 前島秀行

    ○前島委員 これ以上は聞きませんけれども、富士山というのは広いのでして、今、富士プラン21というのは営林署でいえば静岡なのですよ。あとは沼津営林署もかかわってくるので、富士プランが消えたからといって沼津が残っているので私が言うので、そこはそれ以上あれしません。  その機能の問題ですけれども、四機能、富士山を機能分類するということと、地元の自治体から意見書が出て、いわゆるブナ林を含めた地域、国立公園の特別指定地域はせめて自然維持林にしてくれ、こういう要望を中心にして出されて、地元営林署、東京営林局も基本的にそれは了承をした、こういうふうに私は伺っているのですが、そういう基本的認識でよろしゅうございますか。
  98. 馬場久萬男

    馬場政府委員 この機能分類するに当たりましては、地元市町村等の意見を聞いて調整をしたものというふうに聞いております。
  99. 前島秀行

    ○前島委員 そうすると、富士宮市に示された、「地元の意向を踏んで」という部分ですね、三カ所、地域機能分類が変わって自然維持林の維持というふうになったのですけれども、それは基本的にそういう決定だと認識してよろしゅうございますか。まだひもがつながっているのですか。
  100. 馬場久萬男

    馬場政府委員 調整をして決定したと聞いております。
  101. 前島秀行

    ○前島委員 それなら結構です。ぜひこの辺の心配を、私が地域の問題をなぜこんな細かいことを言うかというと、先ほど言ったリゾート法の問題と、それから機能分類の問題というのが大きく富士山の国有林管理にかかわってくるということと、そのことが地域にとって大きな心配事になっているということなんで、それが二つ重なっているからという意味なんであります。  それと、もう一つ林野庁に伺いたいのは、いわゆる例の世界遺産条約を日本も批准をしまして、今私たちの地域の方から富士山を世界遺産条約のリストに挙げる、ひとつ日本がそれの推薦をしてくれないか、こういう動きがあるわけなんですね。それは、先ほど私が聞いたリゾート開発の問題、ヒューマン・グリーン・プランの問題、四機能の問題とも絡んできて、地域の者、これは富士宮側、静岡県側、山梨側共通で富士山の遺産条約へのリスト化について要望として出てきているわけですね。  これは、静岡の人にとっても山梨の人にとっても、富士山に対する位置づけといいましょうか思いがあるわけなんで、やはり地域にとってはこれは文化的なものでもあるし、シンボル的なものでもある。そうすると、遺産条約を日本が批准をしたらぜひそこにリスト化してもらって、管理をしてもらいたい、維持してもらいたい、こういう気持ちが地域から当然出てくるわけなんであります。  そういう面で、私も一緒について行きましたけれども、過日地元の関係者が環境庁並びに林野庁にも行き、文化庁にも行って、その辺の推進方を要請した。特に林野庁の方は地主でありますから、地権者でありますから、ここがどういう姿勢をとるかでもって基本的に違いますので、この富士山の遺産条約に基づくリスト化推薦について、林野庁はどういう基本姿勢を持っているのか、ちょっとお聞かせを願いたい。     〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 馬場久萬男

    馬場政府委員 富士山の景観は我が国を代表するものである、世界的にも非常に有名であるという点では後世に伝えるべき重要な財産というふうに私どもも認識しております。林野庁林野庁として、これまでも保安林制度、保護林制度などによって、この地域の自然景観が維持されるように努めてきたところでございます。  ところで、お尋ねの、世界遺産条約に基づくいわゆる世界遺産一覧表への推薦の件でございますが、御案内のとおり、昨年度我が国から二地域を推薦したところでございまして、これについてはユネスコの方から調査委員会が来日いたしまして、それぞれの地域を調査して帰ったところでございます。  そういう遺産としての一覧表に掲載されるに当たってのいろいろな手続とかいろいろなことを考えますと、推薦した二つについて、これがちゃんと登録されるかどうかという点が、いわば我々のまず第一の今やることでございまして、富士山については最初の二つには入らなかったわけでございますが、これからどうするかということは今後関係省庁とも連絡をとりながら検討させていただきたいと思っているわけでございまして、現時点では、さきに推薦したものがまずちゃんと登録されるかどうかというところに全力を挙げている段階でございます。
  103. 前島秀行

    ○前島委員 文化庁いらしてますか。もしあれだったら文化庁の見解を聞かせてください。
  104. 若松澄夫

    ○若松説明員 富士山は我が国を代表する景観でございますし、成層火山の典型として世界的にも広く知られているわけでございます。  富士山につきましては、そういうことから、文化庁といたしましてはそのすぐれた景観に着目いたしまして、文化財保護法によりましておおむね五合目以上の範囲を特別名勝に指定をして保護しているわけでございます。  世界遺産一覧表への登載ということにつきましては、昨年、世界遺産委員会に対しまして自然遺産二件と文化遺産二件について推薦をいたしておるところでございまして、現在その登録の実現に向けて努力をしているわけでございます。  今後の一覧表への登載の推薦につきましては、富士山を含めまして、昨年推薦した物件に対します世界遺産委員会における審議状況等を、その推移をも見つつ、関係省庁と連絡をとりながら対応について検討していきたい、こういうふうに考えております。
  105. 前島秀行

    ○前島委員 林野庁長官、遺産条約にリスト化したって、私は林野行政と何ら対立するものではないと思います。富士山という特殊な位置づけから見れば、遺産条約にリスト化することによって逆に林野行政がやりいい面も、率直に言って起こってくるのではないだろうか、地域の協力という面であり得るだろう、こういうふうに思いますので、様子を見て、極端に言うとハードルが高いと困るのでという消極的な意味ではなくして、ぜひその辺の推進方をお願いをしたいというふうに思います。  最後に、大規模林道のことについてちょっと伺いたいのですが、四十八年からいろいろやってきているということは聞いています。それから同時に、行政監察あるいは臨調行革等々からいろいろな意見も出ているというふうに聞いています。それから、地域の団体からも環境問題を含めていろいろなさまざまな意見も出ているというふうに私は伺っています。当初期待していたように、地域の活性化というのは果たして結びついているんだろうか、地域の側から見ると、もう少し生産、生活といいましょうか、地域に密着した形の方がより地域的な効果はあるんではないか等々の意見も出ているような気がいたします。  したがって、この大規模林道の問題について、見直しはどんなふうに進んでいるのか、そういうさまざまな意見を受けてこれからどういうふうにやろうとしているのか、ひとつ基本的なところを説明してください。
  106. 馬場久萬男

    馬場政府委員 大規模林業圏開発林道事業というのは、御案内のとおり奥地、山村地域林道網の中枢をなす基幹的な林道ということでやっているわけでございますが、おっしゃるようにいろいろとこれについては御意見があります。当然山村に住んでおられる住民の皆さん方からは促進方の要請もありますが、一方で、それが自然環境に及ぼす影響あるいは経済効率から見て、大き過ぎる林道ではないかというような批判等々もございます。  今見直しというお話がありましたが、実はこの大規模林業圏開発林道事業につきましては、昭和五十八年に、当時の臨時行政調査会の最終答申におきまして、「開設延長の短縮、林道の構造・規格の改定を行うとともに、投資効果の早期発現の見地から、原則として、新規区間の着工を見合わせる。」という指摘を受けたところでございます。  この答申を受けまして、その後におきまして、全路線二十五路線についての計画を見直して、十九路線で延長を二百八・七キロメートル短縮、十四路線では幅員を七メートルから五メートルに縮小というようなことをいたしました。また、六十二年には構造、規格につきましても改定をしたわけでございます。  現在は、新規区間の着工は原則として既存の事業実施区間の完了を見合いとする、むやみに拡大していかないというようなこととして措置しているところでございまして、我々は、いろいろな御指摘も踏まえて、奥地、山村地域の振興あるいは地域住民の期待にもこたえつつ、かつ、いろいろな御批判がないようにということで、注意をしながらやっていきたいと思っております。
  107. 前島秀行

    ○前島委員 終わります。
  108. 平沼赳夫

    平沼委員長 藤原房雄君。
  109. 藤原房雄

    ○藤原委員 私は、限られた時間ではございますが、本日議題になっております森林二法につきまして御質問申し上げる次第でございます。  最初に、このたびの林業改善資金助成法の一部を改正する法律案林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案、この法律案について二、三お伺いをしたいと思う次第であります。  この林業改善資金助成法の一部を改正する法律案につきましては、現状の中で早急に対策を講じなければならぬ、そういう観点から、後継者に重点を置きまして、青年林業者等養成確保資金、それとまた、林業労働福祉施設資金、こういう二面から、それらの諸問題についての融資、こういう問題について改正を行おうとするものでありますが、これはまことに時宜を得たものだと思うわけでございます。しかし、一面にかんがみますと、先ほど来同僚委員からお話ございましたように、林業の最近の状況というのは非常に厳しい環境の中にありまして、他産業並み、こういうゆったりとした施策でいいのかという思いも一つあるのでありますが、しかし、一歩前進であることは間違いないと思います。  そのほかのことにつきましても、ぜひしていただかなければならないこと、今後とも何点か申し上げたいと思うのでありますが、今度のこの資金等につきましては、返還条件つき補助金、こう言われておりますように、ほかの資金よりは、無利子で、そしてまた、その目的を達成するであろうというこんな気持ちもするのであります。  林業生産高度化資金がこの資金の中にはあるわけでありますが、要するに、山村で他産業と同じような収入を得るということは大変なことで、総合的にいろいろなことを組み合わせて物事をしなければならない、林業そのものも多角的なことをしなければならぬということでありまして、そういうことからいたしますと、間伐促進とか、低コストの生産性のためには機械を導入するとか、 それから食用のキノコを生産するとか、いろいろなことをしなければならぬという複合的な経営を確立しなければならぬ。  こういう観点からしますと、次の世代を背負う青年林業者、こういう方々のための施策ということも非常に大事なことではありますが、しかし、今山村に残っていらっしゃる方々の窮状等を知るときには、やはりもっと資金内容の拡充といいますか、こういうものが必要ではないか、今回の改正の中には、そういうこともあわせて考えるべきではなかったのか、こんな気がしてならないわけでありますが、今回のこの改正に当たりまして、そのようなことはどのようにお考えになって改正案をつくられたのかお聞きをしておきたいと思います。
  110. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃいますように、林業改善資金は三つの分野から成り立っておりまして、今回改正をお願いしていますのは、林業労働安全衛生施設資金及び林業後継者等養成資金の部分でございまして、林業生産高度化資金については、償還期間の延長とか担保措置の物的担保でいいというような面は当然及ぶわけでございますが、特に資金内容等についての改正はしていないわけであります。これは、林業生産高度化資金というのは主として機械化に必要な資金をお貸しするというものでありますけれども、現在まで毎年五%くらい貸付額が伸びていて、機械化というものがだんだん軌道に乗ってきているということで、これはこれなりに十分活用されていくであろうということで、特に資金内容等について手当てをしなかったわけでございます。  もちろん林業全体の経営の近代化、合理化あるいは生産性の向上のためには、この資金だけでやるわけでございませんで、いろいろな補助事業でありますとかあるいは林業経営者に対する他の融資制度等もあるわけでございまして、この無利子で県を通じてお貸しする資金というのは、御案内のとおり、林業の技術の普及指導組織によって技術的な裏づけをしてもらいながら融資措置を講じていくというものでございまして、その点では、この資金は従来の形でよろしいのではないかと思ったわけでございます。  そういうわけでございますが、それのみをもって林業の機械化なり資本の高度化というようなことが行われるということではございませんで、他の施策とも相まって行っていきたいと思っております。
  111. 藤原房雄

    ○藤原委員 次の林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案でございますが、これは五十四年に制定されたわけでございます。当時としましては、林業をめぐる諸情勢の著しい変化に対処し、当分の間措置をするんだということで始まったわけでございます。それから十五年たったわけでありますが、社会の大変大きな変動の中にありまして、暫定措置法という枠組みを変えないで現行法を改正するには、非常に変化が激し過ぎるのじゃないか、こんな感じもするわけであります。  この法律ができた当時にも、「本法の運用に当たっては、中小・零細林家及び事業者に十分配慮するとともに、経営改善計画及び合理化計画の認定についても、その手続きの円滑な処理を図るほか、低利融資制度については、資金需要動向等に応じ所要の資金枠の確保等に努めること。」という附帯決議、そのほか、「山村地域における林業の担い手を確保するため、計画的な森林施業の実施を主体とし、特用林産物の生産加工及びその他地域の産業との組合せ等によって雇用の安定と労働条件の改善に努めるとともに、生活環境の改善など山村地域の振興対策を積極的に進めること。」という附帯決議がついているわけであります。  こういうことを考え合わせますと、この法が制定された当時から見ますと、非常に目まぐるしい、著しい変化の中にありまして、十五年の今日、この一部改正ということでいいのかどうか、そんな感じもするわけでありますが、これは当局としましてもいろいろ御検討なさったことと思うのでありますが、その辺のことについてお伺いしておきたいということ。  それから、国産木材だけに今まで融資やいろいろなことをしておったわけでありますけれども外材を含める、そういう時代の要請、こういうものの中で、木材の中で範囲が拡大されるということでありますから、それは時にかなったことだろうと思います。国産材の取り扱いを条件としてきた融資対象、これに外材も入れるわけですけれども外材だけの取り扱い業者、こういう方々に対してもやはりこれは同じような制度によって可能なのかどうか、それから、国産材が一層外材との競合に苦しむような懸念はないのかどうか、その辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
  112. 馬場久萬男

    馬場政府委員 林業等振興資金融通暫定措置法は、確かにこの法律を制定するときに暫定措置法ということで、当時の林業をめぐる状況のもとで、殊に林業流通加工の面で合理化を進めなければならぬ、そのための資金の低利な融資を行う措置としてつくられた制度でございます。  十五年経過してなおかつ暫定措置であるのか、こういうお話でございますが、林業あるいは木材産業をめぐります情勢というのは、委員も御指摘のように非常に変化はしておりますが、やはり非常に厳しい状況にあるわけでございまして、こういう暫定措置という形で低利融資を行っていく必要性はますます強まっていようかと思うわけであります。特に、林業の収益性の悪化とか、あるいは従事者の減少とか、あるいは輸入品との競合とか、あるいは非木質系建築用資材との競合とかいろいろと厳しい状況がある中で、林業に携わる産業の合理化、近代化を進めていくという上での融資措置でございますので、これは改正して、なおかつ続けていきたいと思っているわけであります。  ところで、今回の改正の中で国内木材から一般に変更したことと、その場合に外材のみを扱う者をどうするのか、こういうお尋ねでございます。  今回の改正の大きな眼目は、従来はどちらかというとそれぞれの流通段階、加工段階の中での合理化ということを主眼にしておりましたが、むしろ全体の流れとしては、先ほど来も御議論のあります国産材をいかに円滑に供給していくかという体制をつくる必要がある。ところが一方で、国内産の木材は自給率でいえば二四%、七五%は外材だ。これが流通加工段階で非常に複雑に入り組んできておりまして、従来のように国産材を主とするということでとらえていきますと、縦系列の流れがうまくつながらないおそれがある。そこで、個々の段階における国産材という要件をむしろ外して、木材全体の流通加工というものを合理化していく、その中で国産材も活用してもらおう、こういう趣旨で木材一般にしたわけでございます。特に最近のプレカット化あるいは木造住宅建築というような実態を見ますと、国産材外材両方組み合わせて使うということが結構多いわけでございまして、それらを含めての木材加工流通ということを考えなければいかぬだろうと思っております。  しかし、この制度の趣旨にあるものは、やはりあくまでも国内での国産材の供給をより合理化していこう、安定的に低コストなものが供給される体制をつくって将来の国産材時代に備えようというのが政策の目標でございますから、外材だけを対象にしてやるというようなことは、実は我々の政策の立案の中にはないわけでございます。したがいまして、縦系列で構造改善計画をつくっていく場合に部分的に外材を使う方が入ってくるにしても、全体としては国産材の流れをつくっていくということを考えているわけであります。  したがって、法文上外材のみを扱っている者を排除するように書いていないからということはそのとおりでございますが、趣旨としては、木材全般の流通、供給体制を確立することによって国産材の円滑な流通確保をねらいとしているというものでございます。また、この措置は御案内のとおり農林漁業信用基金から一%の資金を県を通じて流すわけでございまして、県におきましても、県産材等と関係のない分野にこういう資金を供給していくということは実際余りあり得ないと思っております。法律的に排除はしていませんけれども外材のみを扱う者を対象にするということは意図していないところでございます。
  113. 藤原房雄

    ○藤原委員 午前中からいろいろお話がございまして、後継者難、そしてまた林業の窮状ということが訴えられておりました。私もそう山にしょっちゅう行っているわけではございませんけれども関係者にお話を聞きますと、また現実はそうだろうと思いますし、他産業から見ますと相当強力なバックアップがなければならないだろうと思うわけであります。しかしながら、今回の法律で後継者に対しまして新しい制度をつくるという、今までもあるわけでありますけれども、それにさらにまた補完して新しい形にしようということにつきましては、まことに時宜を得たことだろうと思います。  北海道の農業高校の林業科を卒業した方々の進路、これは「北海道林業動向」というのに、ちょっと調べたのがあるのですけれども、岩見沢、旭川、帯広、美幌の各農業高校で六十二年から平成三年までの四年間、五百八十八人卒業した方々の中で、国の職員として営林署に勤めた方が三十六人、六%。それから、道の職員として林業職についた方々が八%。市町村の職員として林業職についた方が十一名で二%。森林組合が一名。自営の林業というのはさすがにございませんでしたが、民間会社の林業関係につかれた方が百二十名ということで二一%。これは、足しますと三七%が、林業科を出た方が何らかの林業関係あるところに就職しておるということですね。進学なさる方々も百八名で一八%という大きなウエートを占めますし、そのほかそれぞれの職についているわけでありますけれども、若い人たちが必ずしも山を嫌っているわけではない、そういう場があれば就職したい。また、あります高校もそれぞれ林業関係のあるといいますか、隣接したところでありますし、それの需要の大きいところに林学科があるわけでありますから、当然といえば当然かもしれません。  それだけに、適切な施策、そしてまた適切な対応というものが非常に待たれるのではないか、私はこのように考えておるわけであります。それは、先ほど来お話ございますように、安定した収入、所得ということや、さらにまた労働時間とか、そういう他産業に従事する方々と大差のない安定した保障が得られるならばということだろうと思います。しかし、森林組合とか自営の方々にそういうものが求められるかどうかということになると、非常に厳しいものがあろうかと思います。私は、そういうことからいいまして、今ならまだ間に合うといいますか、林業行政に対する早急な、緊急な対応を求めたいと思いますし、そして、国産材時代が来るということを言われておるのですけれども現実は五年や三年で来るわけじゃございませんし、それまでの間どうそれを持ちこたえていくかということも非常に大事なことでもありますが、あらゆる知恵を絞って何とか国産材時代に結びつけていく、こういう施策が必要であろう、その中の一つとして、今回のこの制度も大いに役立つのじゃないかと思います。  こういうことから、私は林業改善資金助成法の今日まで果たしてきた役割、また今後に対しましての対応、こういうこと等もあわせまして、ちょっと長官のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  114. 馬場久萬男

    馬場政府委員 私ども考えている問題意識と、先生のおっしゃることはおおむね一致しているかと思います。  先ほども申しましたけれども、やはり林業に従事する方々の就労条件というのが整備され、そこで生活できるという条件があれば、これは希望する方が多いというのは、具体的に高槻市の森林組合なり龍神村の森林組合の例を挙げて御説明したところでございます。じゃ、そういう条件はどうやってできるかということになりますと、やはりその地域生産される林産物あるいはその他のものについて一定の評価がされて、安定的な取引がされる、それによって所得がもたらされるということがないと成り立たないわけでございまして、いろいろとお話のございましたように、そういうことを政策として実現していくということが重要かと思います。  流域管理システムというようなことを言っておりますのも、そういうシステムをつくって安定的に国産材を供給していく。またユーザーの方も、外国輸出の禁止をしたりいろいろしても国産材が安定的に供給されるということによって、加工流通分野においても仕事が確保されるということになれば、山元においてもそれなりの所得が上げていかれるのじゃないか。もちろんそのためには、加工技術等によりまして付加価値の高い、安定した品質のものを供給するということも必要でございますが、そういうことを実現したいと思っているわけでございます。  今お話のありましたように、林業改善資金助成法におきます今回の改正も、また、林業等振興資金暫定措置法におきます改正も、そういう趣旨ではそれぞれ関連を持っているわけでございまして、これらの施策を実現した上で、おっしゃられるような形の林業についての安定した職場の実現というようなことにも努力してまいりたいと思っております。
  115. 藤原房雄

    ○藤原委員 これからどうあるべきかということにつきましてはまた後ほどにいたしまして、次に、国有林野事業の改善、これはおととしですか、平成三年七月に、国有林野事業改善特別措置法に基づいて「国有林野事業の改善に関する計画」が策定されたわけであります。先ほども同僚からお話ございましたが、国有林野事業全体も非常に厳しい状況の中にあることは、私どももいろいろなものを見ましてそう思うわけであります。  当時いろいろな論議をいたしまして、そしてまた法律もつくった上に立って進められてきているわけでありますけれども改善計画の進捗状況、そうした上に立って、さらにまた債務処理の状況、大づかみで結構ですから、お伺いをしておきたいと思うのです。
  116. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 具体的なことは長官にお願いしますが、経営改善についてはその当時一つの目標を立ててやったわけでありますけれども、その後長期にわたって木材価格が低迷、あるいは組織、要員の規模の面でなお改善途上にあることなどから、財務状況は依然として厳しいということであります。  このような中で、国有林野事業については、その使命を十分に果たしていくために、「国有林野事業の改善に関する計画」に則して自主的な改善努力を尽くすとともに、所要の材源措置を講じながら国有林野事業経営改善を進めておるわけであります。いずれにしても、今後ともこの国有林野事業経営の健全性を確立しながら、重要な使命を適切に果たしていくために経営改善に努めてまいる所存であります。  おっしゃるとおり、確かにどの数字を見ても厳しい状況であるということは我々も認識をいたしておりますが、まだ計画の期間というものがあるわけでありますから最大限の努力をする、しかし、その中にあっても緊急にまたやらなければならぬという面については、その都度手を打っていかなければいかぬというふうに考えております。
  117. 馬場久萬男

    馬場政府委員 改善計画の進捗状況ということでありますが、平成五年度予算におきます財務状況を見ますと、歳入歳出とも、総額では六千九十八億円でございますが、収入のうちの事業収入が二千七百一億円、四四%、借入金が二千八百八十億円、四七%というように、まだ借入金が歳入の半分近いものを占めております。  一般会計からは、治山事業受け入れで三%、百五十三億円、その他の事業関係で三百六十三億円、六%というふうになっております。また、歳出のうちでは人件費が、これは退職金も含めてでございますが、二千三百五十七億円、三九%、事業的経費が九百六十七億円、一六%、借入金の償還金及び支払い利子が二千六百七億円、四三%というような形になってお りまして、人件費が約四割、また借入金の償還金ないし支払い利子が四〇%を超えるというような状況でございます。したがいまして、平成三年度末の債務残高は二兆四千六百三十億円、四年度末には二兆六千七百三十億円になると見込まれるという状況で、改善の実はまだ上がるところまで来ておりません。  一方、組織、人員等につきましては、いろいろ努力しておりまして、この五年間に人員は一万五千人の縮減を見て、本年四月一日におきましては二万五千人という状況になっております。ただ、当初の目標は、平成五年度末二万大規模ということを言っておりまして、これは過去におきます縮減実績を上回る努力が必要だということでございまして、今後、定年前退職の促進、省庁間配置転換、地方自治体への出向等、可能な限りの要員調整をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。そういう意味では、改善に取りかかって三年目でございますが、まだまだ具体的な改善の実が上がるところまでまいっておらないというのが実情でございます。
  118. 藤原房雄

    ○藤原委員 平成五年度における造林林道に対します一般会計負担が民有林と比較してどういう状況になっておるか、ちょっとお伺いしておきたいと思うのであります。また、国有林野事業経営改善大綱の平成二年十二月十八日の閣議了解、これにありますように、「債務処理に要する費用がなお不足する場合には、別途財源措置を講ずる」ということになっておりますが、これは現況はどうなっておりますか。その辺をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  119. 馬場久萬男

    馬場政府委員 一般会計からの繰り入れ関係でございますが、国有林野事業を行う場合必要な造林林道等に対しまして、民有林並みの資金を一般会計から繰り入れたらどうかということでございます。これについては改善計画にのっとって実現すべく努力をしておりまして、前年に比べますと、本年度当初予算で二〇%増の一般会計繰り入れを実現したところでございまして、造林林道等の事業施設費について言いますと、前年に比べて二十九億円増、これは一八%増でございますが、百九十二億円を一般会計から繰り入れるというふうにしたところでございます。  なお、必ずしもこれをもって民有林助成との均衡は果たしたということではございません。なお努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  120. 藤原房雄

    ○藤原委員 財務のことについては今お話がございましたが、まだまだスタートして二年そこそこ、三年に入ったということですか、体制やいろいろなこともあろうかと思いますが、また、円高やいろいろな社会的な変動もございます。ただ、人員だけは着実に減らしているようで、私は、必要なところにはやはり必要な人がいてそれなりの仕事をしていただかなければならないのではないか、こう思うわけであります。  これは平成二年の七月、総務庁行政監察局の「国有林野事業に関する行政監察結果報告書」でございますが、これに「間伐の的確な実施」ということについて勧告が出されております。長いものですから、その中でも特に目についたことだけを申し上げるわけですけれども、  国有林野における間伐対象林分の目安である林齢二十~三十五年の林分の面積の推移をみると、昭和五十一年には全体の一三パーセントを占めるにすぎなかったものが、昭和六十一年には三八パーセントに急増しており、今後、健全な森林の造成を図る上では間伐の実施が極めて重要となっている。  しかし、今回、六十営林署について間伐の実施状況を調査した結果、次のような状況がみられた。 ① 昭和五十五年度から昭和六十二年度の八年間における全国の地域施業計画指定量に対する間伐の実行率は約八〇パーセントとなっているものの、調査対象営林署の中には、地域施業計画指定量に対して、昭和六十年度から六十三年度における間伐実行量が六〇パーセント程度にとどまっているものがある。 ② 調査対象営林署の中には、調査時の林齢三十四~五十四年のスギ林分のうち、間伐を三回実施したものが一九パーセント、二回実施したものが一一パーセント、一回実施したものが四〇パーセント、間伐を未実施又は実施不明のものが三〇パーセントとなっているところがある。 したがって、農林水産省は、国有林の林齢構造の変化等を踏まえ、間伐を的確に実施する必要がある。 こういう勧告がなされておりますね。  これに対して林野庁の、農林水産省の説明というのはないわけで、一方的な勧告だけしか見てないのですけれども、これについてはいろいろな状況を把握になっていらっしゃると思いますし、的確な勧告であるとは思いますけれども林野庁としてこれをどう受けとめていらっしゃるのか、また、これに対しまして今後この勧告をどのように実施するといいますか、計画を立てていらっしゃるのか、その辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
  121. 馬場久萬男

    馬場政府委員 今お話のありましたように、平成二年度の行政監察において、国有林野事業によって間伐が進んでいないではないかという勧告を受けたところでございます。  私どもこの勧告を踏まえまして、施業管理計画というものを五年ごとに立てているわけでございますが、この現地調査等によりまして今の林齢別の株分の状況を把握して、必要な間伐株分を指定する、ここは必ず間伐をしなさいよというような指定をする。また、間伐を行うために必要な作業道の作設などについての整備を推進する。そして、これは間伐しましても売れないといけないものですから、間伐材の予約的な販売、あるいはロットの拡大といいますか、まとめて大きなロットにするというようなことの措置を講じてきたところでございます。  そういう意味で、間伐を行う対象、これは造林事業の一部として一般会計繰り入れの対象にもなっているわけでございますが、この対象を逐次拡大して、現在がなり高齢級のものまでこの間伐の対象事業として、一般会計繰り入れも行いながら事業の促進をしているところでございまして、指摘を受けました後の実施状況でございますが、大体その計画で決めた指定量の九割程度間伐が行われるようになっているところでございます。
  122. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣国有林野事業の再建といいますか、法律のもとにその再建を図らなければならぬことは当然でありますけれども、今緑の効用を長々しく私は申し上げるつもりもないのですけれども、この大事な林野をお守りする林野庁、農林水産省としまして、そのなすべき作業が滞るような人員削減、こんなことがあってはなりませんし、それからまた世代交代、こういう非常に難しい時代になっているわけでありますから、その辺は十分にひとつ勘案いただきまして、ゆめゆめこういう勧告なんか受けることのないような対応をこれからもしっかりしていただきたい。  それは全国一律に見ますと、三千キロの長い日本列島ですからいろいろなことがあるのかもしれませんけれども、やはり一つの作業として、そしてまた緑豊かな日本の森林を守るということから、余り差異があってはならないのではないか。そういうことにつきまして、全国平均してというわけにはなかなかいかないかもしれませんが、地形等あるいは気候条件違うわけですけれども、そういった点十分ひとつ御勘案の上、今後進めていただきたい、こう思うのですが、大臣の所見をお伺いしておきます。
  123. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 今御意見ありましたように、やります。私どもこの改善計画、何といってもこれが進まない形でいろいろと大蔵と折衝をしても難しい問題があるわけでありますが、しかし、それは実施する方向で努力していく。それから人員の問題とかなんとかいう御意見ありますけれども、これは下請に仕事をどんどんやってもらうとか、いろいろなやり方があると思うのです。  いずれにしても、最大限努力しながら、この一般会計繰り入れ、そうしたものもやりながら、何とか健全な方向にこれを持っていくという努力はいたしたい、こう思っております。
  124. 藤原房雄

    ○藤原委員 北海道のことばかり言って申しわけないのですけれども国有林の占める割合は都府県は大体二五%ですか、北海道は五八%ということですね。民有林はそうしますと都府県は大体七五%、また北海道は四〇%そこそこ、こういう状況になっているわけです。  そういうことからしまして、国有林のウエートが大きいということの上においては、北海道におきましては国有林の施業またその事業というものが北海道の林野に大きな影響力を持っているわけでありますが、そういうことからしますと、非常に面積は広いのですけれでも、北海道の方の民有林、民間の企業というのは、面積はあっても実質的なものになりますと非常に零細、平成元年度を見ましても、面積は全国平均の三倍の面積を持っておる、一九九〇年の世界林業センサスなんか見ましても七・六ヘクタールとなっているのですけれども平成元年度の所得規模で見ますと、五から五百ヘクタールの林家の平均経営収入で全国三十五万三千円の黒字になっていますけれども、北海道では三千円の赤字になっておるということです。また、本当に林産地として今日まで栄えてまいりました地域に参りますと違うのですが、そういうところでないところは非常に森林組合等も弱体でして、もう既に三十年代の初めから何方町村かの組合が統合してやっておる。そこに何人かの方々が一生懸命情熱を燃やしてやっている、それによって支えられている。そういうところが何カ所がありまして、私もそういうところを見るにつけて、森林組合の重要性ということ、これはもちろん地方自治体とタイアップして進めるんだろうと思いますが、これは対策を、民間に対します対応というものをしっかりしていかなければならぬ。  こういうさなかに森林山村検討会で、国土庁林野庁自治省山村地域振興対策としまして検討会が持たれまして、取りまとめの中で、中長期的視点の上に立ちまして財政措置を含めた対応がなされたわけであります。森林山村検討会の取りまとめに基づく平成五年度から講じられる施策、五項目、六項目ございますが、この検討会は地方にとりましては、山村地域におきましては非常に大事なことであり、これをしっかり根づかせるといいますか、成功裏に持っていくことが何としても大事なことだろうと思います。  それで、お伺いしておきたいのは、これは去年の暮れから、三省が中心となりまして、国土庁が事務局となってこの検討会が持たれて、本年予算化してこれを進めることになったわけでありますが、今後中長期的な視点に立ってこの施策を推し進める、こういうことなのか。今後のことについて、この施策が継続的に進められるのかどうか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  125. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国土庁自治省林野庁で一昨年から昨年にかけて森林山村検討会を開きまして、そこで出てきたいろいろの問題点を政策的にどうするかということで、平成五年度予算に、それぞれの省庁の持っている行政手法で対応するということにしたわけでございます。  その新しいものとして一番評価されましたのは、地方財政措置によります一千八百億円にわたる措置でございます。これの中には林道関係五百億、それから担い手の基金五百億、そして森林公有化及びその管理に八百億円、こういう内訳になったわけであります。  これはもちろん、各地域においてこの財政の枠の中で平成五年度に一生懸命取り組んでいただいておりますが、地方自治体の方からも、これは単年度限りではないんだろうなというようなお尋ねがございました。自治省等とも話をしまして、この中で継続が必要なもの、例えば林道関係あるいは今の公有林化というようなことは単年度で必ずしも全部できるわけではありませんので、そういうものについては当然継続する。それから基金は、これはつくってしまいますとその果実の運用ということになりますから、継続する必要があるかどうかというのは、どちらかというと、むしろ単年度で積めばいいのではないかという議論もあるわけでございます。  そのほかにも、ことし盛り込まなかった施策で必要なものもあるのではないかという御議論がございました。私ども、来年度の予算、あるいは地方財政措置というものに向かってこれからまた三省庁で検討を進めてまいりたい、このように思っておりまして、長期的というお尋ねでございますが、少なくとも単年度でやめてしまうということではなくて今後につなげてやってまいりたいというふうに思っております。
  126. 藤原房雄

    ○藤原委員 自治省にかかわります地方債、交付税措置、それぞれの事業によってあるわけでありますが、ことし一千八百億ということでこれをするということであります。具体的なことについて地元でいろいろなお話をしましても、まだ今のところ具体化のところまでいっておりませんから、これからいろいろな作業とかいろいろな地域的なことで、それぞれの事業のことについてはお話し合いを進めることになるんだろうと思うのでありますが、最近の森林また緑に対する関心の深さということの中で、都市近郊だけではなくて、やはり比較的都市に近いところ、またそうでないところもございますけれども、いろいろな計画があるわけでありますから、これはそれを進める上におきましては、自分の地方自治体または自分の森林所有地域で何ができるか、こういうことでは今日までも地域の活性化ということでいろいろなことが計画されておりますけれども、それとあわせてこれから計画されることだと思います。そういう点では、ひとつよく趣旨を徹底するとともに、ことしから始まるわけでありますけれども、ぜひこれは成功させるために全力を尽くして林野庁としては推し進めていただきたいものだと思うのです。  その中で、私ども一番思いますのは、やはり作業効率とかいろいろなことからいいまして、山村の場合、林道の緊急整備ということがどうしても、地元へ行っていろいろなお話を聞きますと、思います。今度はふるさと林道緊急整備事業、こういう形で進めようということでありますけれども、ただ最近、林業とかそれからこういう山の仕事に携わっておりました方々が非常に老齢化しておるということで、ことしから始めましてどれだけの効果を上げることができるのかというのは私どもも非常に心配をいたしておるわけでありますけれども、これはやはりちょっと時間をかけて、その地域のための施策ということで十分にお話し合いを進めていただきたいものだと思います。  さらにまた、担い手対策ということも、それとまたともに相協調していかなければならぬことだろうと思います。また、定住条件の向上に向けた集落整備対策事業、これも過疎地におきましては非常に大事なことで、国土庁との間のお話し合いの中でこれらのことも十分に勘案して、ですから、これはことし話が出て、いろいろな具体的なことはこれからということでありますし、北海道の場合には、いろいろな案ができて、さてということになりますともう雪が降るということになります。そういうことからいいますと、もう少し長い目でひとつ計画とか実施とかいろいろなこと等については見ていただきたいと思いますし、山村に眼を向けて、定住条件向上のためのこういう問題等も含めて、山村については緑を守るために国が力を入れるという実効性のある実施といいますか、こういうことを強く要望しておきたいと思うのであります。  これの今後の進め方等について、もしお考えがあればお伺いしておきたいと思います。
  127. 馬場久萬男

    馬場政府委員 先ほども申しましたように、私どももこういう山村あるいは森林問題につきまして各省間で検討を行い、そしてそれぞれの省が持っている行政手法をもって山村森林のために施策を講じていこうということで始めたことでございますから、もちろん自治省国土庁の皆さんもそうだと思いますけれども、今後ともこれらの措置を継続して、また必要ならば拡充していくというような方向で努力してまいりたいと思っております。
  128. 藤原房雄

    ○藤原委員 やはり山村に参りますと、広域基幹林道とか普通林道とか、本当に要望が非常に強い。それらのものを、今まで日の当たらなかったところでありますから、この際ひとつ着実に進めていただきたいと思いますし、また治山事業の促進、こういうことについても絶えず言われておりますが、第八次治山事業五カ年計画に基づきます、私の選挙区なんかの日本海海岸等につきましての問題や、それから羊蹄山ろく周辺とか、こういうところからの要望等が非常に強いわけであります。さらにまた、生活環境保全林整備事業とか広域総合生活環境保全林整備事業とか、こういうことについて、この事業等については相当な期待を持っておると思います。せっかくそういうことでその方向性が定められたということでありますから、それをぜひ実りあるものにしていきたい。  それで、民有林の場合に、きょうお話もございましたが、不在森林所有者のことがあるわけです。これは、森林組合地域不在対者それから在対者の森林を適正に管理するということは大事なことであるということは当然のことでありますけれども、この把握は今日までもいつも、災害があったとき等、その整備のために非常に問題になっておりました。  いろいろな考え方があるんだろうと思いますけれども、今度はふるさと森林活性化対策事業というこの事業の中で、不在森林所有者等の増加に対しましていろいろ対応することについて、平成三年に森林法改正のときに、都道府県知事の裁定、公告によって森林施業の代行制度が創設された、こういうこと等で、やむを得ずといいますか、やはりこの計画と実態と、そういう中でどうしてもしなきゃならぬというときには、こういう森林法の法律にのっとってせざるを得ないようなときも出てくるのではないか。  これは平成三年に改正になったわけでありますが、この実績等についてはあるのかどうか、その辺の経過と、今後この民有林全体を活性化しようということでいろいろな施策を進めるに当たりまして、今一つ大きな問題になっておりますこの問題に対して、林野庁としてはどういうお考えでこれに当たろうとするのか、ひとつその辺のことについてお伺いしておきたいと思います。
  129. 馬場久萬男

    馬場政府委員 不在対者の所有する森林管理の問題で、特に、平成三年に改正されました森林法の中で、新たに森林管理に関する裁定制度、代行執行制度、施業制度といいますか、それについてお触れになりました。  これは、今委員も仰せられましたように、実際に森林管理が必要なもの、これを所有者がやらないかどうか、まずやりなさいということを勤めましてあっせんをする。やらないときには、森林組合等で引き受けてやるということで、施業を委託することについて調整をする。なおかつ、所有者がその所有権も離さなければ委託もしないというときに、そのまま放置しますと土砂崩壊等非常に危険が発生するおそれがあるというときに、この裁定制度ということで、知事が裁定をして、いわば強制的に所有者と森林組合等との間で分収林契約を結んだ形にして代行する、こういう仕組みでございます。  そのためには、適正な間伐等を行うべき期間というのがありまして、その期間の間にいろいろあっせんとか今申しました調整とかをしまして、その期間が来て、それでなおかつ行われない場合にこの裁定制度に移行する、こういう仕組みになっておりまして、法律ができてから五年ぐらいがその期間がなと思っております。  そういう意味では、まだ具体的に裁定制度まで進むという事案はないわけでございますが、むしろそれはいわば最後の手段というものでございますので、その前に、どちらかというと森林組合不在村の方が自分の森林管理を委託するというような形で、円滑に行われることが望ましいのではないかと思っているわけでございます。  そこで、今お触れになりましたふるさと森林活性化対策事業というのも、そういう発想から、森林組合森林経営なり施業の受託をするということを推進するために、森林資源管理の情報、あなたの森林はこんなになってしまっていますよというふうな情報を提供する。あるいは、こういうことで管理されたらどうですかという指導をする。なおかつ、どうしても自分ではやれないという森林につきましては、私ども組合にお任せなさい、そうしたら整備してあげますよ、こんなようなことをしていこうという事業でございまして、ふるさと森林会議などというものを開きまして、地域から別のところに住んでおられる方々に、自分の森林手入れをするように、あるいは組合にその作業を委託するようにということを進めていこう、こういう仕組みでございます。  これは実際に機能しておりまして、平成三年度に九千百十二名の方から森林組合に対して森林の委託が行われました。内容は、新植が千九百八十九ヘクタール、下刈りが一万六千五百二十四ヘクタール、隙間伐が九千四百二十一ヘクタール、主伐が三百八十七ヘクタールということで、合わせまして二万八千三百二十一ヘクタールの委託が行われたというふうになっております。  したがいまして、法律による裁定制度というところまでは行っていませんけれども、こういう事業を通じまして、森林組合に対する委託等が今後とも進んでいくように努力したいと思っております。
  130. 藤原房雄

    ○藤原委員 分収育林という考え方もあるわけでありますし、それは作業によって、ほかの財産とは違って、そういう了解が得られて物が進むということが一番望ましいわけでありますが、森林組合等においては相当手数のかかる重要な問題だと、行くところでよく聞いておりますが、これらの問題につきましても粘り強くしていきたいと思いますし、またそういう制度等についても十分にひとつ生かしていくように進めていっていただきたいと思います。  最近、この前本会議でも大臣から答弁いただいたのでありますが、第十回朝日森林文化賞森づくり優秀賞をいただきました常呂漁協ですね、魚を大事にするにはまず森を大事にしなければいかぬ、こういうことで森林というものに対しまして非常に関心の度合いが高まり、襟裳などでは、何もないなんて歌にまで歌われましたけれども、今は、木が生えるようになりましてから、ここに魚がという状況に変わってきた。こういうことからしまして、戦中戦後なかなか季節風の厳しいところで生えなかったところにつきましても、いろいろな努力をしていらっしゃる。また、漁業は漁業に携わる方として、自分の立場から、森林は何をもたらすかということについては非常に関心の度合いが高まっているという感じがするわけであります。国有林はもちろんのこと、民有林等につきましても、力を合わせまして、緑化のために、緑を守るために、そしてまた、現在も低迷を続けております林政の活性化のために、ぜひお力添えをいただきたいものだと思うわけであります。  もう時間がありませんから、最後に一つだけお伺いしておきます。  若い人たちというのは、古い殻の中に閉じこもった、そういう中へ入っていくより、やはり機械化とか新しいもの、若い人たち向けのいろいろなことが考えられなければならないだろうと思います。最近の製材、材に対する研究開発もさることながら、林業労働者に対します新しい機械の開発というものは非常に目まぐるしいものがあると私も見ておるわけであります。そういうこと等、若い人たちが喜んでそういうものに携わろうという気持ちの起きるような研究開発、そしてまた、非常に急峻なところでの作業でありますから、けががあってはなりませんし、外国のものがそのまま日本で使えるということでは決してないのだろうと思うのです。そこらあたりの研究開発は、個数が何万台、何十万台ということではないので、非常にコスト高になるのかもしれません。それはまた農林省でいろいろ研究していただきまして、現場で使いやすい、そしてまた若い人たちが喜んでやれるような、そういうことにつきましても十分に御検討いただきまして、この法律の成立とともに、これだけでできるわけでは決してないのですけれども、いろいろな多角的な施策とあわせまして、林業が何とか新しい方向を見出すことができるように、ひとつ御努力をいただきたいと思います。  最後によろしくお願いします。
  131. 馬場久萬男

    馬場政府委員 機械の問題についての御指摘がございました。  おっしゃいますように、これからの林業労働を若い人にやってもらうためには、やはり高性能の機械を導入することが必要なわけでございます。実は、私どもといたしましては、平成三年九月に高性能林業機械化促進基本方針というものを定めておりまして、我が国の急峻で複雑な地形や樹林種に適した伐出用及び育林用の高性能機械の開発を行う、そしてまた、開発された機械の導入の促進を行う、また、それを操作するオペレーターの養成あるいは作業システムを普及するというようなことを目標に掲げております。そのために、既に、開発途上の機械につきましても、逐次完成あるいは実用化に移しつつあります。  現在取り組んでおりますのは、平成五年からは、高性能林業機械の開発、改良の促進はもとよりでございますが、開発された機械を核とした作業システムの確立、それからその普及定着、こういうことを図るために、林業機械化協会という団体において高性能林業機械化促進センターというものを中央に設置しまして、流域ごとにつくっております流域林業サービスセンターと連携を図って、機械化の進展を図るというようなことをしております。また、急峻な地形に対応した林業機械の開発に関しましては、平成四年から、特に我が国の急峻な地形に対応できる機械の開発に着手したところでございます。  今後とも、機械化を促進し、そして若い人たちが、むしろどちらかというと機械を操作することに喜びを感ずるような作業システムをつくってまいりたいと思っております。
  132. 藤原房雄

    ○藤原委員 大臣、最後に、この法案をもとにしまして、林業の活性化に最大の御努力をいただきたい。決意のほどをお聞きして、終わります。
  133. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 一年六カ月こうしておりまして、一番気になるのはやはり水産と林業であります。本当に力を入れて今までも、私の能力でそんないいアイデアもなかったのでありますが、しかし、今回お願いしているいろいろなことについて、私なりの意見も大分取り入れてつくったつもりであります。  これにとどまることなく、やはり適切に対応していくのだという心構えは常に持ちながら、これからも最大限の努力をさせていただきたい、こう考えております。
  134. 藤原房雄

    ○藤原委員 終わります。
  135. 平沼赳夫

  136. 山原健二郎

    ○山原委員 国産材時代の到来という言葉がありますけれども、担い手の確保は焦眉の課題となっています。この問題の打開の上で、林業の労働報酬、労働条件の改善が非常に大事になっていることは申し上げる必要はありません。  例えば琵琶湖周辺の森林整備事業では、作業員の賃金が公務員並みで、立派な宿舎も用意されるなど、林業作業員の受け入れ態勢が非常に整備されていると聞いています。このため、私の県などの林業労働者などが滋賀県にどんどん出ていくというような状況もあるようです。この事例は、賃金や労働条件が改善されることが担い手確保の上で一つのかぎとなっていることを裏づけていると思います。  その点で、今年度から造林補助事業の予算積算上の労務費単価を前年度比で約二割アップさせる措置がとられたことは評価できるわけでございます。ただ、予算に労務費改善分を計上しても、それが実際に働く作業員、労働者の賃金改善に直ちに結びつくとは限りません。したがって、造林事業の標準単価を決める知事や実際の事業に当たる森林組合などを指導して、確実に林業従事者の賃金アップにつながるように後押しをしてもらいたいと思います。この点どうお考えでしょうか。  続いて二番目の問題ですが、この造林補助事業の労務費単価が改善されて、一日一人当たりで昨年度の八千九十円から九千六百七十円になります。後で質問します三省協定の公共事業労務費単価、一日八時間で見ると、普通作業員の全国平均額が一万四千六百九十六円、特殊作業員では一万九千七十六円となっています。これと比べても造林補助事業の労務費単価は、改善されたとはいえ、まだかなり低水準にとどまっている。したがって、この改善に引き続いて努力してもらいたい、こう思いますが、この点についてお答えをいただきます。  また、県営や公社による林業事業の労務費についても、例えば私の県では、昨年度から作業員の賃金を、農林、建設、運輸三省の協定労務費単価並みに順次引き上げる措置に踏み切っております。各都道府県のこうした努力が全国的に広がるように指導を強め、必要な支援を求められておると思います。この点についても国の積極的な対策を求めたいのでございますが、以上三点について、最初にお伺いをいたします。
  137. 馬場久萬男

    馬場政府委員 山で働く人たちの労賃単価の問題の御指摘でございますが、まず最初に、私ども、補助事業であります造林事業、民有林造林の事業の標準単価は、これは確かに従来予算上非常に低い水準にあったというふうに思います。そこで私ども平成五年度に約二割の引き上げということをしたわけでございますが、これは補助事業の標準単価でございまして、それぞれの地域におきまして、これを地域の実勢賃金との関係において地域に適応するように決めるというふうに行われているわけでございまして、必ずしも国が決めた一本の単価で事業が行われるわけではないというのは御指摘のとおりでございます。  我々は、国としては補助の基準はこのくらいで計算していますよということは言いますが、その地域の賃金体系というのはまた別にあるわけでございますから、各県において自分の県の実勢賃金を考慮して具体的にその県で行います造林事業についての補助単価を決める、これは当然のことだろうと思っております。ただ、全体に従来非常に低かった、それを上げていくんだということは国としてはやっているわけでございまして、これに伴いまして、例えば県単独の事業などにおきましても同じような措置がとられるということは望ましいというふうに考えておりますが、各県の単独事業まで国が指導するというようなことは、これは地方自治体との関係でいかがかと思いますので、それは各県の自主性に任せるということかと思います。  二番目の点でございますが、例えば国が直接ではございませんけれども森林開発公団というようなところで造林を行っている、こういう単価につきましても、三省庁の協定単価というようなものにだんだん近づけていくべきじゃないかという御指摘でございます。  これらも、確かに今まで非常に低い水準にあったものについては順次近づけていくことが望ましいと思っておりまして、公共事業の中でそういう三省庁協定単価というようなものを念頭に置きながら造林の補助単価を決めていくという方向で、逐次上昇をさせていくという予定でございます。
  138. 山原健二郎

    ○山原委員 林業従事者の労働条件改善の課題の一つである健康保険加入問題について、次に伺っておきます。  森林組合の役職員の場合はほとんど健康保険に加入しているわけですが、森林組合作業員の人たち、全国で約四万人ほどに上る人たちの健康保険加入率は二二%程度にとどまっていると聞いています。短期間の季節的雇用形態の作業員がいることもありますが、健康保険に加入できる条件があるのに未加入扱いとなっている作業員が多いという例もあります。未加入者は国保に入っていますが、この本人負担は特に重いんです。殊に、田舎になるほど高くなるという傾向があります。健康保険に切りかわりますと、保険料本人負担は軽減され、医療費本人負担も一割で済み、健康保険への加入促進を望む声が非常に強くなっています。ネックとなるのは、森林組合の事業者負担分が大きくなるとか、民間林の作業委託料が高くなるなどという問題があると思います。  今年度から、交付税による財源措置で森林整備担い手基金の設置が進められることになっておりますが、この基金の活用などでこれらのネックを打開して、林業従事者の健康保険の加入が進むよう対策を強めてもらいたい、こういう声が強いわけですが、この点についてどうお考えでしょうか。
  139. 馬場久萬男

    馬場政府委員 山の作業に従事する森林組合作業班員の健康保険等社会保険への加入率が低いということはおっしゃるとおりでございまして、もちろん年間の就業日数が短い人が多いということもございますけれども、非常に低い水準にあるということはそのとおりでございます。  私ども、社会保険への加入促進ということは、作業班員を確保する上でそういう人たちの就労条件を改善することは必要であるということで、全国あるいは各都道府県段階の森林組合連合会などにそういう指導をしているところでございますが、なかなかこれは加入率が上がらないというところでございます。今後とも指導をしてまいりたいと思っております。
  140. 山原健二郎

    ○山原委員 これは随分要望の高い問題でありますし、そういう意味で努力をぜひ続けていただきたいと思います。  次に、三省協定の問題でございます。これは私も十一年前に予算委員会で取り上げたことがあるのですが、林業や農業だけの収入では苦しい山間地域の人たちにとって、公共事業などの仕事での収入が生活の貴重な支えになっている場合が少なくありません。したがって、公共事業で働く人たちの賃金問題は、山間部の家計、地域経済にとっても重要な問題となっています。  この点について伺いますが、公共事業の工事費積算に当たって、建設省、農林水産省、運輸省の三省が協定に基づき公共事業労務費調査を十月と六月に年二回実施し、その調査結果に基づき設計労務単価を決めています。  昨年十月実施の職種別、都道府県別の公共事業労務費調査額、これは資料をお配りしてありますが、資料一を見てみますと明瞭に出ておりますけれども、所定労働時間内一日八時間当たりの労務費で、特殊作業員の場合、東京都が一万八千二百四十四円。一方、中部地域や九州地域は特に高く、一番高い三重県は二万四千四百三十一円、静岡県が二万三千四百八十四円、長崎県が二万三千五百四十七円と、東京都より五、六千円も高くなっています。普通作業員の場合ですと、東京都が一万五千百四十三円に対し、三重県が一万九千百六十七円、岐阜県が一万七千六百四十一円と、二千五百円ないし四千円高くなっています。運転手の場合、東京都が二万三百四十五円。一番高いのが長崎県で二万四千四百六十八円、中部の三重県が二万四千百二十三円、静岡県が二万三千七百九十七円と、東京都より四千円前後も上回っている。  大体物価も地価も家賃も東京の方が著しく高いし、常識では労務費も東京の方が高くなる。ところが、公共事業労務費調査の結果では、こうした経済法則からは理解できない事態が生じています。私は、建設省に対してこの点の逆転現象はどういうふうに説明をされるのか、お伺いをいたしたいのであります。
  141. 矢野進一

    ○矢野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のように、確かに東京地域と比べまして地方の、すべてではございませんけれども、一部の地域では御指摘のような現象がございます。  御案内のように、この三省調査と申しますものは、前提はあくまでも予算決算及び会計令にございまして、取引の実例価格を考慮して適正に定めよ、こう定められておりますので、これに基づいて全国約一万四千件の工事現場を抽出いたしまして、労働者数にいたしますと約十四、五万人でございますが、毎年二回調査をしております。その前提は、労働基準法に基づく賃金台帳に基づきまして、これを転記または転写いただきまして、その価格を積み上げて平均を出しておるわけでございます。  どのような理由で御指摘のような事実が出ておるかにつきましては、私どもなかなか分析が追いつかない状況であるというのが率直なところでございますけれども、あくまでも賃金台帳を適切につけていただいておるという前提に立ては、それがそのままこの調査に反映されるという仕組みになっておりまして、その段階においての特段の操作というのは何らございません。したがいまして、賃金台帳が適切につけられている限り、それによってあらわれてくる価格、これをもとにいたしまして設計労務単価を決めておるわけでございます。この辺のところは、予算決算及び会計令に書いてございます実例価格に沿って決めるという精神には沿っておるものと考えております。  ただし、賃金台帳、ごく一部ではございますけれども、若干つけ方が不備なケースも過去に見受けられましたので、この辺きちっとつけるような、賃金台帳キャンペーンと我々申しておりますけれども、それを毎年やりまして、適切につけていただくようにいろいろお願い、また啓蒙普及を図っているところでございます。  以上でございます。
  142. 山原健二郎

    ○山原委員 労働省の賃金調査と比べてみますと、不可解さといいますか、一層浮き彫りになります。労働省の毎月勤労統計調査に基づく都道府県別平成四年平均月間現金給与総額、これは資料二に出ておりますが、建設業では、東京都が五十万四千六百七円に対し、三重県が三十九万六千四百十二円、静岡県三十五万九千五百五十六円、長崎県に至っては二十七万六千七百七十六円と、半額近い水準差があるわけですね。公共事業労務費調査額と全く逆の結果でございます。これが一般的傾向ではないのか、こういう政府の公的賃金統計データとも明白に食い違うのではないかと思いますが、いま一度建設省に伺います。
  143. 矢野進一

    ○矢野説明員 ただいま御指摘の労働省の調査資料、略称毎勤統計と言っておりますが、これは私どもの所管でございませんので、厳密な分析がまだ私限りでできておりませんが、一般的な理解といたしましては、毎勤統計の対象となっておりますのは役員とか店社勤務の方とか、そういう方々も含んでの全部の平均であるかと理解しております。  そういたしまして、私どものやっております三省調査、これの対象はあくまで現場の労働者の賃金ということでございますので、その辺、若干の相違が出てくる原因がというふうに考えられるところでございます。  以上でございます。
  144. 山原健二郎

    ○山原委員 これらの調査額水準の賃金が実際に労働者に支払われていれば問題はないわけです。  ところで、全日自労建設農林一般労働組合が各地の職業安定所の求人賃金を調査しましたところ、静岡県は、三省協定調査額で特殊作業員二万三千四百八十四円、普通作業員で一万七千四百七十九円に対し、求人賃金は特殊、普通作業員込みで七千円、最高で一万三千円程度、富山県の場合ですと、三省協定調査額で運転手、特殊の場合ですが、一万九千五百九十七円に対し、求人賃金は九千五百円あるいは一万一千円程度など、どの調査でも求人賃金が三省協定調査額を大きく下回るという結果でございます。  私も地元で独自に、高知職安に出ている求人カードで二十四業者の求人賃金を調べてみますと、特殊作業員、普通作業員込みで、男性七千円ないし九千円というのが実態でございます。三省協定調査額では、特殊作業員一万九千八百二十七円、普通作業員一万四千五百六十四円という数字になっているわけですが、求人賃金はその半額程度でございます。  三省協定の労務費調査は、賃金台帳を照合するなどして実際に支払われた賃金実績を踏まえているというが、その賃金台帳への記載内容そのものが正確かどうかが問われているわけです。十一年前にこの問題を取り上げましたときに、三省協定賃金問題を国会で取り上げたわけですが、賃金台帳を二重台帳にするなど改ざんしている業者の実例も、私はあの場所で示したのです。それに対して建設省は、それをお認めになったわけですね。現在でも賃金台帳がきちんと整備されていない事業所が多く、そのため、国として賃金台帳整備キャンペーンを展開している状況ではございませんか。  だから、賃金調査の場合、単に提出された賃金台帳との書面照合だけでは問題が残ります。サンプルの一部でもいいから賃金台帳の記載内容が正確かどうかの裏づけが必要だと思うのでありますが、やろうとすればさまざまな方法があると思うのです。建設省はその対応をとるべきだと思いますが、この点についてお伺いをいたします。
  145. 矢野進一

    ○矢野説明員 ただいまの御指摘の点でございますけれども、十一年前に御指摘のような事実がございました。これにつきましては、その後厳正な処分をしておることは先生も御案内のとおりでございます。  このようなことが二度とありませんように、私ども先ほど申し上げましたように、賃金台帳キャンペーンを行ったり、そのほかの場におきましても、折に触れてそういう台帳を適切につけるように、それからまた賃金管理全般につきまして、適正に行われるように業界の指導に努めております。  特に、三省調査の実施の方法の中で申し上げますれば、昭和五十六年度までは調査対象月を含む過去三カ月の賃金台帳の原簿を持参していただきまして、これは業者の方に持参していただくわけでございますけれども、これと合わせましてチェックをいたしておったわけでございますけれども、これを五十七年度からは過去六カ月の原簿を持ってきていただきまして、いわゆる御指摘の改ざんのような事実が生じにくいように図っておりまして、その後はそのような事実が出ているということは余り耳に入っておりませんが、今後とも鋭意この方向に沿いまして適切に台帳がつけられ、ひいては調査が適切に行われますように、それによって適切な労務費単価になっていくように、我々としても意を用いていきたい、かように考えておる次第でございます。    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
  146. 山原健二郎

    ○山原委員 この問題は、なおもう少し時間があれば取り上げてみたいのですが、三省所管の公共事業だけでも事業費額で二十八兆円を超えていますね、本年度の当初補正予算を合計しまして。その事業費に占める労務費の割合は、農林水産省所管事業の場合でいうと約一八%。その数字を当てはめると、三省合計の公共事業費の中の労務費額は約五兆円という数字が出てくるわけです。これは大変な金額でして、賃金台帳の記載内容の適否まで踏み込んだ厳正な検査が求められていると私は思いますが、会計検査院はこれに対してどういう対応をとられようとしていますか。
  147. 佐野洋

    ○佐野会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、国の予算の適正な執行という観点から、本委員会の御論議を十分踏まえまして、今後とも検査してまいる所存でございます。
  148. 山原健二郎

    ○山原委員 簡単なお答えで、ちょっと時間もなくなりましたからこれで置きます。  最後に農林水産大臣に対しまして、この問題は地域経済にとりましても中山間地の農民自身にとりましても非常に重大な問題であろうと思います。そういう意味で、農村、山村に人が残れる条件の一つを整えるという意味で、小さくない影響を持つ問題でございますので、この点の指導を要請したいと思います。  それから最後に、我が国木材自給率は過去最低の二五%にまで落ち込んでいます。森林国と言われる国でありながら外材がどんどん輸入され、国内林業が成り立つ基盤そのものが切り崩されています。経済効率優先の立場に立った歯どめのない木材輸入は、我が国林業を荒廃に追い込んでいるだけではなくて、広い意味で地球規模の環境破壊にも手をかしている。国際貢献を言うならば、我が国のこういう木材輸入の流れを変える政策転換を行うべきだと思うのでございます。そのために必要な輸入規制もやる貿易政策をとること、また、相応の財政負担をしてでも自国の林業基盤の確立を急ぐことが求められています。昨年の地球サミットが明確にした森林資源の持続的利用という原則からも当然のことだと思います。  特に今度の林業白書によりましても、「今後は、熱帯林のみならず温帯林、寒帯林、木材輸出国のみならず輸入国の森林をも含めた全世界森林を保全することを視野に入れた、木材貿易のルール作りを検討していく必要がある。」というふうに白書にも出ているわけでございますが、この線に沿って対策を立てていくべきたと思いますが、この点についての見解を大臣に伺いたいと思います。
  149. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 山間地域の賃金の問題でありますが、林業労働者の就労条件、こういうものは関係省庁と連携をとって適切に対処したい、こう考えておりますし、いずれにしても、余り待遇が悪いところはやはり不足をしていくということをよく考えながら、きちっと対応していただきたい、こう思います。  後段の部分でありますが、これにつきましては、なかなか難しい問題があります。おっしゃるとおり、四分の三は外材に依存をしておるものですから、さりとて質問の中にありましたような国際的な環境保護、そういう観点から、どの国でもこれからいろいろな規制をしていくのであろう。では、我が国はどんどん国産材を伐採して、輸入規制してやれるかということになると、国内の環境という問題もあるわけでありまして、その辺のところは需要に見合った分はやはり依存していかざるを得ない。やがては、国産材時代と私ども申し上げておりますが、そういう時代が来るにしても、今直ちに国産材で賄うというだけの体制にないということになると、また相当無理をすると、消費者である皆さん方に多大な負担を求めるのと、環境問題という先ほど申し上げましたようなことがあります。今、先進国、開発途上国のいずれにおいても、木材の関税の引き下げと木材貿易の伸展が実は求められておるわけでありまして、そういう中で輸入規制する措置の導入について合意を得ることは極めて困難だ、私はこう考えております。  いずれにしても、環境という問題をにらみながら、どういう利用の仕方をするか、持続的な問題、そういうこともあわせて、これから各国集まって検討していく問題だというふうに認識をいたしております。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  151. 萩山教嚴

    ○萩山委員長代理 小平忠正君。
  152. 小平忠正

    小平委員 平成四年度の林業白書では、水資源の涵養、土砂の流出防止、土砂の崩壊防止、保健休養、野生鳥獣保護、酸素供給、大気浄化、それぞれ個々の機能について、森林が発揮する公益的効用の評価が平成三年時点では年間三十九兆円にも及ぶ、こういう試算結果が白書において示されております。  国民生活の視点で考えますと、毎年このような機能が円滑に発揮されなければ、安全で快適な生活に支障が生じてくるということになるわけでありますが、山の手入れを通じて、この評価額三十九兆円に及ぶ森林機能を維持しているのは、森林所有者森林林業関係者であり山村住民の方々でもあります。それに関係する施策を所管するのが農水省であり、林野庁であるわけであります。  そこで、平成五年度林野庁一般会計総額は約四千六百四十億円、こうなっておりますが、これには多様で質の高い森林整備、林業山村の活性化、国産材供給体制の整備と木材需要の拡大、林業金融制度の充実、国有林野事業経営改善等々と、多方面にわたり、しかも細部にわたってうたっております。  しかし、御承知のとおり、重要な役割を果たしているのは、森林林業山村が低迷と不振をき わめている中で、森林所有者が安心して、あるいは意欲を持って森林手入れを続けていくことができる施策の充実強化、これに努めていかなければならないと思います。とりわけ、融資条件の緩和と融資枠の拡大が肝要である、こう考えますが、これらを踏まえた森林林業関係予算の充実も含めて、まず政府の方針なりをお伺いいたします。
  153. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 政府としては、今お話にありましたように、多様で質の高い森林の整備、それとあわせて国産材時代へ向けた条件整備を図るということでおります。  そのためには、造林林道事業及び治山事業の計画的推進による森林整備、これを図っていこうということが一つ。あるいは林業の担い生育成確保、これを進めることによって山村の活性化を図りたい。お話のように多様な、いろいろな法律があるわけでありますけれども、そういうものをどう組み合わせてやっていくか、あるいは各省庁協力しながら、山村の活性化を図っていこうということでいろいろやっております。  何といっても、安定的に就労の場というものを確保しませんと、そこに若い人たちが定着をしないということがあるわけでありますから、林業だけで物を考えてまいりますと、どうしてもネックになる問題が幾つかあります。そこで、そういうことを考えながら、農業とあるいは林業、私の下北半島の方へ行きますと林業と漁業なのですが、いろいろな組み合わせと都市との交流の場を深めて、今施設をつくってやれば非常に人が来てくれる、しかし宿泊施設がない、そういうものを一つ一つ解決をしてこの活性化のためにやっていこうということと、国産材の低コスト安定供給体制をやはり整備していくということを考えておるわけでありまして、今回御審議いただいているこの二法案、これは金融措置を初めとしたいろいろな施策があるわけでありますけれども、それを推進をしていきたい、こう考えております。  平成五年度当初予算においても、今委員お話しのように四千六百三十九億、これは前年対比一〇四・五を計上したわけであります。これで事足りるとは思いませんが、大変厳しい財政状況の中で四・五%ふやすということは大変苦しかったわけでありますけれども、今後とも、所要の予算の確保に努めて、積極的に林業山村の活性化を図っていきたいというふうに考えております。
  154. 小平忠正

    小平委員 それでは次に、国産材についてなのですが、同じく平成四年度の林業白書には、「来るべき国産材時代の兆しがみられる。」こう記されております。それによると、我が国人工林資源が二十一世紀に向けて充実するという見通しを示しており、また一方では、平成三年で木材の自給率は二五%となっております。しかし、「外材の供給は、木材輸出国における環境保護運動の高まり、資源的な制約等から、不透明な状況も出てきている。」外材輸入状況についてこう触れております。したがって、我が国の将来の木材需給に関しては、国産材が中心的な役割を果たしていくことがますます重要となっているものと考えます。  しかし、こう私は申しましたけれども、実際には最近は、市場価格の長期低迷、そこにもってきて、円高等もあり外材の増大があり、林業不振にさらに一層拍車がかかっているという事実もある中で、外材輸入の今後の動向を踏まえ、国産材時代見通しといいますか、その点の政府のお考えをお聞きいたします。
  155. 馬場久萬男

    馬場政府委員 外材輸入動向と、国産材の供給の動向お尋ねでございます。  外材については、午前中にも御質疑がございましたが、日本に対して輸出をする国々におきまして、自然保護理由に、あるいは国内木材産業の育成を理由に、原料である丸太輸出規制されてきているというのは御案内のとおりでございます。また、それらの国におきましても、国内的に資源が必ずしも自由でないということもあって、価格が上がってきているということも事実でございます。そういう意味では、今までかなり自由に大量に入ってきた資源がこれからは制約されるであろうという感じを持つわけでございます。  一方、国内では、一千万ヘクタールの人工林、大部分が戦後に植えたものでございますが、だんだん成長をしてきている、一部九州などの人工の杉の地帯ではそろそろ伐出する動きも出てきているわけでございます。今すぐというわけではございませんが、将来的には、国内で供給する力は資源的にはついてくるであろう。現在でも、一年に七千万立方ぐらいずつ資源がふえているわけでございます。日本の木材需要は全体で一億立米をやや超える程度でございますから、需要の七割に近い資源の増加というのが数字の上ではあるわけであります。  ただ、それではほっておいても国内で出てくるかというとそうではございませんで、国内で、しかも山村において人口が減ってくる、高齢化するという中で、そうやって成熟してきている資源をどうやって活用するかということになりますと、これはまさに国内林業の問題でございますけれども、何とかこれを有効に活用する仕組みを今からつくっておかなければならないということで、一昨年、森林法改正までしていただきまして、いわゆる流域管理システムというのを導入するというふうにしたわけでございます。そういう体制を今からつくっておかなければ、将来、山に木はたくさんあるけれども、それを現実に切って加工して流通に乗せてくる、あるいは需要者に結びつけるという機能が失われてしまうおそれがあるというのが我々担当者としては大変危惧するところでございまして、その意味で、国産材時代というのは、待っていれば来るものではなくて、我々がそういうものを実現する体制をつくらなければいけないものだというふうに考えております。
  156. 小平忠正

    小平委員 今杉のことも一部触れられましたけれども、同じく白書によれば、我が国の代表的な造林樹種である杉の利回り相当率といいますか、これが平成三年度には一・三%まで低下をしておる。そんな状況では、森林所有者は伐採をして造林する意欲がわいてこないのではないか、こう言わざるを得ないと思うのですね。まして、戦後植栽された人工林が、お話のようにこれから一斉に伐採期に入っていく、こういう時期になってきているのですが、それがどう林業生産活動の活性化に向かっていくかというのは大変難しい問題だろうかと思います。大いなる検討が必要だと思いますけれども、政府は、この問題に対して、既に森林流域管理システム木材の低コスト安定供給体制の確立に向けては施策を展開している、こう言われています。  これらの問題について、今後、具体的にどのように施策を進めていこうとされておるのか伺いたいのですが、特に今回の二法案、この改正がこれから進めようとしている施策とどう関係をしていき、また、どのような効果が期待されるのか、これらについてお伺いいたします。     〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 馬場久萬男

    馬場政府委員 先ほども申しましたように、私ども国産材時代の実現のために流域管理システムというものを打ち出しているということをさきに申し上げましたが、具体的にその実効ある実現ということが大きな課題であることはおっしゃるとおりでございます。  この流域管理システムの発想というのは、先ほどもやや触れましたけれども、山の方で育っている木と川下の方での需要との結びつきを流域単位にしていこうということで打ち出したものでありまして、いわゆる森林整備とそれから林業生産活動と、そしてそれの低コストの安定供給体制の整備というのがつながってくるわけでございます。  そこで、今回御審議をいただいております法律に則して申しますと、林業改善資金助成法案におきましては、まずその山元の方で、森林において林業を営む従事者の確保を念頭に置きまして、一つは、就労環境の改善のための福利厚生施設資金、それから一つは、他産業からの新規参入も含めて、林業の新しい担い手になるべき青年林業者等の養成のための資金というものを新たに創設したいという趣旨で法改正を行うものでございます。  また、林業等振興資金融通暫定措置法改正におきましては、木材生産から加工流通に至る事業者間の連携の促進を通じまして、木材の低コスト安定供給体制の整備をするための資金を融通しようというものでございまして、これも従来は、それぞれ生産段階は生産段階、加工段階は加工段階の合理化ということで組まれておった仕組みでございますが、今回新たに縦系列といいますか、生産加工流通という異業種間の連携を促進する仕組みをつけ加えて、そういう点で金融的な支援を行う、こういうものでございまして、もちろん他に流域管理システムを基本としたいろいろな事業があるわけでございますけれども、それらとあわせて流域管理システムの実現、そして国産材時代の到来に備えるという体制整備というものを行ってまいりたいと思っております。
  158. 小平忠正

    小平委員 今回の二法案の改正についてはもう私も承知していますので、その説明は結構ですが、要は今後の対策、施策でありまして、担い手の問題はもちろんでありますが、そこをしっかり取り組んでいってもらいたいという意味でお聞きしたわけであります。  次に、国産材時代の実現、こううたっておりますが、その実現に向けていくならば、将来の木材需給を考える場合にやはり大事なことは、住宅建設、それも木造住宅ではないかと思います。そこに多くの国産材を有効に活用していくためには木材住宅の建設促進が必要であると考えますが、政府の行っている木造住宅振興策について、この際お聞きをしておきたい。  また、これに関しては、この木材を供給する側の林野行政と、住宅を担当する建設省、この歩調が合っていることが肝要であり、この点も踏まえてひとつ御見解をお聞きいたします。
  159. 馬場久萬男

    馬場政府委員 おっしゃるように、国内木材の主要な需要先は、在来工法による木造住宅でございます。したがいまして、国産の木材を今後有効に利用していくためには、住宅部材としての木材の品質なり性能の向上、あるいは品質が保証された木質製品の普及、そして在来工法型の住宅の振興というのが必要であろうというふうに思うわけでございます。  林野庁といたしましては、木材の品質なり性能の向上のためには、従来から、例えば木材の乾燥あるいは防火、耐火、防腐処理等の技術開発と、それから構造用の製材についての規格、JAS規格の制定等を行いまして、品質が保証された木材製品の普及を図るということを基本にしてきたわけでございます。  また、それらを活用します在来工法型の住宅の振興策といたしましては、在来工法による住宅建設の合理化を促進するためのプレカットシステムの導入、あるいは在来工法を基本としながらも、最近特に取り入れられておりますいわゆる枠組み壁工法のすぐれた面も導入した新しい工法の開発、さらに在来工法建築の担い手であります大工さん等、これもだんだんと人が減ってきているというので、そういう大工等の技能者の育成、研修等の施策を推進しているところでございます。  もちろん、これは林野庁のみではできませんし、また、木造住宅については従来いろいろと建築基準法の制約等もありましたが、建設省におかれましても、こういう木造住宅についての素材の提供面からの要請、それから国民が木造住宅というのをやはり好んでいるというようなこともありまして、建築基準法についていろいろと改正を行っていただきました。例えば木造三階建ての共同住宅の建設が可能になる、あるいは従来の簡易耐火建物が準耐火建物として新たに定義されている、一定性能の木造建築物がそれに含まれるというようなことになったりというようなことで、他省庁とも連携を密にしながら、木材住宅の振興を図っていくつもりでございます。
  160. 社本孝夫

    ○社本説明員 木造住宅の振興策についての御質問でございますが、木造住宅は国民の間でも大変今でも希望が多いものでございます。それから、戸建て住宅では現在も七割ぐらいを占めている、こういう状態でございまして、木造住宅の振興についてはかねてから私どもも重点的な施策を推進しているところでございます。  具体的に申し上げますと、私どもといたしましては、地域に根差した住まいづくりを推進するというような観点、それから地域の地場産業としての大工、工務店の振興というような、このような観点から各種の施策を推進しておりますが、住宅金融公庫融資において木造住宅についての援助を厚くするとか、それから具体的には木造で公営住宅の建設を促進するとか、それから現在、林野庁の方からも御答弁ありましたように、木造住宅等に係ります規制の合理化というような観点、このような観点から施策を推進するとともに、私どもといたしましては、木造住宅に関する技術開発だとか、それから木造住宅団地の建設であるとか、それから大工、工務店等、こういう方々の生産の合理化を進めるということを、地方公共団体と一緒になって進めているところでございます。  特に、御指摘国産材を使った住宅をもっと優遇したらどうかというようなことでございますが、この点につきましては、地方公共団体と一緒になって、通常木造住宅をつくる場合でいいますと、一戸建ての木造住宅ですと、住宅金融公庫は、最も低利な部分だけについて申しますと七百万円前後お貸しするわけですが、それにつきまして七百万にプラス二百万円、地方公共団体等と一緒になって優遇措置をする場合、国産材を使うとかそういうようなことをする場合については、地域優良木造住宅ということで公庫融資での援助を二百万円厚くし、公共団体からの利子補給等の援助も行うというようなことをやりまして、優遇措置も講じながら、道産材、県産材、そういうものの活用を推進しているところでございます。  これまでも、林野庁とは連携を図りながら木造住宅振興を進めておりますが、今後とも関係省庁とも連携を図りながら、その振興に努めていきたい、このように考えております。
  161. 小平忠正

    小平委員 時間がありませんので、最後に、国有林野事業経営問題についてお伺いします。  現時点での経営改善の実施状況についてお伺いしたかったのですが、これは時間がありませんので割愛いたしまして、私は、一昨年に国有林野事業改善特別措置法が改正されて、その上で、改善計画に基づいでいわゆる改善の取り組みが進められてきております。  その仕組みは、累積債務を経常事業部門と区分して行うということなんですが、組織の統廃合など、経常事業部門の努力は、一丸となって関係の皆さんは進めておられる、こう私も理解しております。これまでも指摘してきましたように、森林林業役割の重要性はますます大きくなってきておる。国有林の使命発揮も大きなウエートを占めてきている。改善の達成に向けた政府全体の取り組みを、この際改めて御要望したい。  そこで、国有林野事業は、特に山岳地帯や奥地林の比重が非常に高く、環境保全上も極めて高い比重を占めていると思います。環境保全等の公益的機能が極めて高い反面、採算性は逆に低い、これが実態であります。こういう実態を踏まえた助成策の拡大、一般会計の大幅導入が不可欠である、こう私は思いますが、今、平成六年度予算編成の時期に向かっております。このときに、国有林野事業の収支改善に対する対策の強化をもってさらに努力をしてもらいたいと思うのでありますが、この対策のいわゆる一層強化策、これらを含めて政府の御姿勢を最後にお伺いいたします。
  162. 馬場久萬男

    馬場政府委員 国有林野事業経営改善の問題でございます。  平成三年の七月に策定した計画に基づいていろいろと努力をしているのは、先生もう御案内のとおりでございますが、その中で、特に財政上の措置として、一般会計からの繰り入れということがよく言われるわけでございます。我々も、国有林野事業改善計画の中で盛られました一般会計からの繰り入れにつきましては、毎年、財政当局と相談しながら順次拡大してきているわけでございます。  ただ、これはやはり考え方として、例えば国有林野事業の中で、造林とか林道につきましては民有林並みという問題でありますとか、あるいは借入金の償還に対するものは、一定の退職金のための資金の利子補給でありますとか、やはり性格をきちっとした上で必要なものを確保するということをいたしませんと、経営が赤字であれば、何が何でも全部一般会計で埋めるというわけにはまいりませんので、その辺のルールはきちっとした上で、必要なものは確保するということで努力してまいりたいと思っております。  なお、具体的には、毎年財政事情が厳しい中でも、平成五年度におきましては、当初予算で、一般会計繰り入れで前年よりも約二割増というような、全体の予算の伸びに比べますとかなり大きな伸びを実現しているところでございまして、今後、もちろん財政全体の問題がございますから軽々には言えませんが、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  163. 小平忠正

    小平委員 ルールにのっとるということはわかりますが、こういう多額の累積赤字を抱えている中では、私は、やはり抜本的な施策というか、思い切った発想の転換をして取り組んでいくことが今望まれていると思います。そんな意味においては、林野行政、大事なところですから、一層取り組んでいっていただきたい、このことを最後に強く要望して、質問を終わります。
  164. 平沼赳夫

    平沼委員長 辻一彦君。
  165. 辻一彦

    ○辻(一)委員 林業二法の最後の質問でありますが、三十分ほど、二、三の点を伺いたいと思います。  私も、二法については賛成でありますし、いい附帯をつけて、これを具体的にどう強力に進めてもらうかということが大事だろうと思います。そういう意味で、林業全般の問題について二、三伺いたいと思います。  まず第一に、森林整備五カ年計画について若干伺いたいと思いますが、森林整備五カ年計画は、我が党を含む関係者の非常な努力によって、制度としては平成四年度から出発をしましたが、なかなか予算が思うようには進んでいないという点があります。総投資規模が三兆九千億。そして、国が行いまたは補助をする投資規模は二兆八千五百億でありますから、国費約一兆五千億を投ずるというわけでありますが、五年とすれば年間三千億ということになりますが、平成四年度は補正を含めて二千百十二億、五年度は二千百五十億。いずれもそれぞれ三千億には及んでいない。そういう意味では、二年間でかなりな不足になりますが、こういう状況で、これから三カ年かかって森林整備五カ年計画を実現できると考えておるかどうか、この点を大臣にお伺いしたい。
  166. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 平成五年度の森林整備事業関係予算でありますが、事業費で五千三百十億円という見込みでありますが、今委員お話しになりましたように、国が行いまたは補助する事業分二兆八千五百億円に対して、平成四年度以降、二年間で累積進捗率は三七・一%。三七・一%というのは若干下回るかなという感じはしますけれども、五カ年でありますので、この計画に則して、もちろん社会経済の事情というものはどういうものがあるか予測できませんし、財政事情、これもなかなか現在の状況では、どうなるかというのは不確実な要素が多いわけでありますが、いずれにしても所要の措置を講じながら、森林整備事業の着実な推進に努めてまいりたい、こう考えております。
  167. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今大臣も御指摘のように、三七・一%の進捗率ですから、パーセントで言えばかなり近い数字になっているようにも感じますが、四年度、五年度の金額からいうとかなりな距離がある。この森林整備五カ年計画は与野党が合意をして出発したものですから、社会党もこの実現に向けて、予算確保にも支援を惜しまない、そういうつもりでありますが、担当大臣として、これを五年間で何としても実現するというような決意があるかどうか、もう一度お伺いしたい。
  168. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 この計画達成のために努力することは当然だ、私はこう考えております。
  169. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これから概算要求がいよいよ夏に向けて始まりますが、農林水産省としていろいろな項目について優先順位がそれぞれあると思いますが、この問題については最優先して取り組む考えなのかどうか、そこらをちょっとお伺いしたい。
  170. 馬場久萬男

    馬場政府委員 私ども林野庁といたしましては、林業関係予算については、特に先ほど来御議論のありますように、山村あるいは林野は大変な時期でございますので、極力予算面でも確保したいと思いますが、事業はいろいろございますから、これだけが最優先がと言われますと、国有林問題も重要でありますし、またそのほかに林野庁の中でもありますし、もちろん農林水産省としてはこれから各局、各庁においていろいろ検討されると思います。  いずれにしましても、今大臣から申し上げましたように、この計画が実現するように最大限の努力をしてまいりたいと思います。
  171. 辻一彦

    ○辻(一)委員 与野党合意でこれを進めてきた長い歴史と経緯がありますから、我々も支援は惜しみませんが、林野庁また大臣、全力を挙げて実現を目指して頑張ってほしいと思います。  そこで、日本の山は上から見たりあるいは下から見ると緑一色に覆われて、先進国の中でもなかなか緑に覆われている、そういう感じを一般的に言えば我々も持つし、また外国から来た人も持っておる。しかし一方、山の中へ入ると状況が非常に違う。私たちもいろいろなところを調査に行きましたが、かつて会津磐梯山の周辺をずっと調査をしたことがありますが、外から見れば非常に緑に覆われできれいに見える山が、中へ入ってみると際間伐や枝打ちが極めて不十分だ、行われていない。そういう意味で、光が差し込まずに雑草が茂らない。だから大雨が降れば山の土が流れる。海岸へ行きますと根上がりの松といって根が出ている松がありますが、山のてっぺんに根上がりの松が見える。これは大雨で草がないから土が流れる、こういう状況であろうと思いますが、そういう点を見ると、国有林民有林を問わず、山はいろいろな意味でやはり荒れているという感じを非常に強く持ちます。山が荒れれば、そのことは山を守る人手が少ない、そして山村の集落の崩壊が起こりつつある、こういうことを、ある意味では意味しておると思います。  さきの特定農山村活性化の法律が成立しましたが、その審議のときにも、我が方の委員からも随分強調しておりましたが、今山村集落は、ここ数年二日に一つずつ集落が消えている、こういうような状況にある、こういうことが指摘されました。山村に人がいなくなる、若い人が定住しなくなっていく。こうなると、幾らこれから二十一世紀は今に国産材の時代が来るといっても、山を守り保育する若い人がいないのでは、およそ実効が上がるものではない。そういう意味で、山村の最近における崩壊というものがどんどん続いているけれども山村集落の崩壊について、大臣としてどういうふうに考えていらっしゃるかお伺いしたい。
  172. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 何年前かちょっと記憶がないのですが、テレビを見ておりまして、集落が、もう若い人はいないので、お年寄りの人たちが住んでおって農業をやっておりました。山をおりたくないと言うんですね。ところが、町か村か、ちょっとこれも記憶がないのですが、医療面からいろいろなことを考えるとおりてくれ、そして町の住宅に住んでほしいというのがありまして、あれを見ておって、年配の方々というのはそこに愛着があって、不便であっても離れたくないという気持ち、最後まで二人の人が残りましたけれども、最後の人も、もうだれもいないというのでおりたというのを見まして、やはり森林を守り育ててきた山村、これが過疎化をして高齢化が進展していく、今お話しのような地域も見られるということは、森林の適正な管理にとって支障が生じておると私は思うのです。  それをどうやって活性化するかということが喫緊の課題でありますが、そのためには森林流域管理システムの確立を基本として林業の活性化を図る。あるいは農業振興、地域資源を生かした地場産業の振興や担い手の定住のための生活環境の整備、そういうものを積極的にやっていく。あるいは福祉の施設等も必要でありましょう。ただ、余りにも少ないのが分散しておるとこれはまた問題がありますので、そういうこと等も十分地域の実情というものを見ながら、私どもは進めていかなければいかぬというふうに考えております。
  173. 辻一彦

    ○辻(一)委員 若い人がなかなか山村に定着しないという非常な悩みがありますが、これは今もお話がありましたが、所得それから労働時間、生活環境等多くの要件が備わらなければ、精神論ではなかなか定着するものではない。  そこで、先日ここの委員会にも新潟県の入広瀬村の村長さんがお見えになって、私たちも二年ほど前に現場に一泊して様子を大分勉強しました。そのときに入広瀬村の村長さんのお話で、若い人が山村に住むには、とにかく農地でいえば田んぼに機械が入らなければだめだ。機械が通れるちゃんとした農道が整備される。そして機械が入って、そこで機械を動かしてやれば若い人は働きやすくなるし、無理な労働をやらなくてもいい。そういう意味で、農道を建設するということと基盤整備をきちっとやるということが、経費がかかっても、山村の集落を維持する上で、まず若い人が住むための大事な条件であると言っておりましたが、私はこれは山についても同じだと思うのですね。  林道作業道が木材の搬出に当然必要ですが、隙間伐やあるいは下草刈り、枝打ち等々、こういうふうに林道作業道を通って車でもって現地のほぼ近いところまで行ける、こういう状況がないと、前のようにそんな離れたところを若い人は歩いて現地に行くというようなことはもう難しくなっている。  そういう面で、若い人の定住に林道作業道を整備するということが非常に大事だと思いますが、林野庁はこの問題について、随分といろいろ今まで努力をしてきてもらった。乏しい予算の中で大変努力しておったということを我々もよくわかっておりますが、最近自治省の方が林道にも地財措置をとるようになった、こういうことはある意味では大変心強いと思うのですが、自治省林道やこういうものに地財の措置を行うに至った発想の原点というものはどういうところにあったのか、これをちょっと聞きたいと思う。
  174. 田村政志

    ○田村説明員 お答え申し上げます。  厳しい状況に直面している林業及び山村地域の振興に、地方財政としても積極的に取り組んでいく必要があるということで、平成三年の十二月に国土庁林野庁とともに検討会を設置いたしまして、幅広い検討を行ってきたところでございます。  その検討の中で、森林の有する多様な公益的な機能、国土保全、水源涵養あるいは自然環境の保全といった多様な公益的機能を今後とも維持増進をしていく必要があるのだろうという認識に立ちまして、林業の振興を図るということと山村地域の定住環境の改善を早急に図るためには、その基盤となる林道の整備を大幅に促進していくことが必要だということで、ただいま先生御指摘のように、基幹的な林道をまずきちんと整備するということで、林野庁とも御相談いたしまして、国庫補助事業と地方単独事業を組み合わせました新しい仕組みとしてふるさと林道緊急整備事業を創設いたしまして、これは五百億円程度の規模で今考えてございますけれども、これでもって基幹的な林道を積極的に整備をしていこうということで一つ打ち立てたわけでございます。  それからもう一つは、お話にもございましたが、施業条件の向上ということになりますと、さらに基幹的な作業道についてもきめ細かく措置をしていく必要がございますので、これにつきましては、地方単独事業による整備を行う場合でも、これも交付税の措置を充実して市町村が積極的に林道を整備できるような仕組みをつくっていこうということで、これにつきましても従来の地方債だけの措置に加えまして、交付税できちんと元利を見ていくという仕組みを今年度から発足をさせたところでございます。  こういったことで、今後とも林野庁とも御相談しながら、林道の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。
  175. 辻一彦

    ○辻(一)委員 自治省が地財措置をもってこういう面に力を入れていくということはいいことだと私は一応思いますが、これからはこういう方向を拡充するような考え方が自治省としてあるのかどうか、そこらのことをもう一言伺いたい。
  176. 田村政志

    ○田村説明員 本年度からスタートしたところでございまして、ただいま地方団体の方におきましては、六月の補正予算あるいは九月の補正予算に向かって鋭意いろいろ努力をしているというふうに聞いております。その成果も踏まえつつ、今後とも森林の持つ多様な公益的機能を維持増進するために、中長期的視点に立って引き続き検討を進め、積極的に支援してまいりたいと考えております。
  177. 辻一彦

    ○辻(一)委員 長官にちょっと伺いますが、地財措置等がこれから充実していくということは、そういう方向を林野庁としても期待をしておるのかどうか、そこらはいかがですか。
  178. 馬場久萬男

    馬場政府委員 三省庁でせっかく検討会を開いて始めた措置でございますので、私ども林野庁といたしましては、国土庁自治省と、今後ともさらに検討を進めて、新たな施策も含めまして積極的にこれらの施策を進めてまいりたい、このように思っております。
  179. 辻一彦

    ○辻(一)委員 せっかく自治省に来てもらったので、きょうは少し地財措置のこれからの内容あるいは今取り組んでいる問題について、二、三伺いたいと思います。  一つは、農山村、漁村で今非常に要求の強いのは、人気があるといいますか、下水道の整備、言うならば農業集落排水ですが、農林水産省も生活関連でこの農業集落排水には随分と力を入れておりますが、何分、全国の集落の数は非常にたくさんあって、なかなかその要望にこたえ切れるような状況ではないと思うのですね。そういう点で一層の努力をしてもらわなくてはならぬのでありますが、さきの、例えば入広瀬村を見たときにも、全部の集落が農業集落排水が終わっている、実施されている。そして、離れたところは浄化槽によってこれを手当てをしている、こういうようにして若い人がUターンができるような条件をっくっておりましたが、自治省の方でも地財措置で今こういうような方向に拡充をだんだんとしていくならば、全国の集落が相当カバーができるのじゃないかと思いますが、これからのこの問題についての取り組みはどういうように考えておるか、お伺いしたい。
  180. 板倉敏和

    ○板倉説明員 お話ございましたとおり、汚水の衛生的な処理に対します住民の要望は、大都市に限りませず中小都市や農山漁村におきましても大変強いものがございまして、その推進が大きな課題になっております。  御指摘の農業集落排水施設でございますが、農山漁村の汚水処理を図る施設といたしまして急速に整備が進んできております。  自治省におきましては、昭和六十一年度から公営企業の一種として位置づけまして、国庫補助金を除いた地方負担額につきまして、元利償還金の五割を交付税措置をしております下水道事業債の対象にいたしました。さらに、平成二年度からは、末端二戸未満の管路施設に係る単独事業につきましても下水道事業債を充当しているところでございます。  また、平成五年度、本年度でございますけれども、農林水産省と相談をいたしまして、農業集落排水施設を緊急に整備することが必要な地区につきまして、管路整備を地方単独事業で実施をいたします農業集落排水緊急整備事業という事業を創設いたしまして、農業集落排水施設の整備促進を図っております。これによりまして事業促進がかなり図れるのではないかというふうに考えております。  今後とも地方団体の実情に応じました汚水処理施設の整備が行われますように、自治省としても支援を講じてまいりたいと考えております。
  181. 辻一彦

    ○辻(一)委員 昨年の十一月に社会党の方で森林調査を行って、福井県の池田町という町を見に行きましたが、そこでは非常に熱心にやっておりますが、例えば宅地に住宅を建てて、そして山に入る若い人、あるいはUターン組を全国に求めて募集した、家賃は当面は一万円ということで、ずっと定着すればそういうものを提供するということですが、何十倍かの応募者があって、そこで今十戸ほどが村へ来て山へ入って、そして住んでいるというのですが、こういうように山村は今いろいろな知恵を絞って、乏しい財政の中でUターン組を迎え入れて山の働き手を確保しようというような努力をしております。こういうものに対して、林野庁として、山村の集落を維持するような観点からも、今何か支援の道があるのかどうか、また自治省の方も、これについていろいろな道を地財措置等で講ずる可能性があるのかどうか、その二点についてそれぞれお尋ねしたい。
  182. 馬場久萬男

    馬場政府委員 山村に人が定着する、そのために、今おっしゃいましたような例えば住宅の手当てをする、あるいはその他生活環境を整備するということは重要なことだと思いますが、私ども林野庁といたしますと、その地域で生活していくための中心になる産業であります林業、農林省全体とすれば農林業でございますが、それがやはり活性化して、それによってそこで生活していくということについて、人々が喜んでそこに住んでいくということにならぬといかぬと思っております。  したがいまして、どちらかというと、そういう業を通じての地域の活性化という点を主眼に置いているわけでございますが、生活環境の整備ということについて、そういう産業的な見地と一緒になって、例えば林道であってもこれは実際は生活道的な意味もあるというような意味での林道の整備であるとか、そういうことは当然やっていきたいと思っておるわけでございます。ただ、直接的に例えば住宅等の問題になりますと、林野庁としても、施策の対象として取り上げるのはなかなか難しいというのが現状でございます。
  183. 木寺久

    木寺説明員 先ほど交付税課長の方から御説明いたしましたように、本年度からスタートいたしました森林山村対策の一環といたしまして、過疎地域における若者定住のための住宅団地の整備につきましては、本年度から国土庁所管の過疎地域集落再編整備事業の拡充によりまして、国庫補助の対象とされたところでございます。これに伴いまして、当該事業に係る地方負担に対しましても、過疎債及び一般単独事業債によりまして措置をいたしておるところでございます。  なお、森林整備の担い手の確保という問題につきましては、山村地域の振興を図るとともに、森林の持つ多様な公益的機能を維持、増進していく上で重要な課題でございますので、自治省といたしましても、本年度から、担い手対策基金の設置あるいは森林管理を行う第三セクターに対する出資、助成への交付税措置を講じたところであります。  御指摘のUターン林業従事者の住宅建設の財政支援措置につきましては、特に交付税措置という観点では公営住宅制度との関係で難しい面もありますけれども、今後とも中長期的視点に立ちまして、森林整備の担い手対策等につきまして、関係省庁と検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  184. 辻一彦

    ○辻(一)委員 山村の過疎地帯の中で非常に孤立した林家がありますが、周辺が山からだんだんおりていくと、年配の人は水の管理ができない、水路が確保できないということで、ほかへ移らざるを得ない。そういう移転を基幹的な集落に集める等々は、それぞれの各省庁が取り組んでいらっしゃることは承知しておりますが、いずれにしても、農林水産省、林野庁それから自治省あるいは国土庁というふうに、各省庁ずっと縦にいろいろな仕事が随分と重なってくるわけですが、こういう中で、横にどう連携をとるかということが大変大事だと思います。  さきの特定農山村の活性化の法案のときには、農水省それから自治省国土庁が事務レベルでかなり協議を重ねて、積み上げをしたということを聞いておりますが、そういう三者間の連携がどういうふうに進められているかということについて、国土庁の方からちょっとお伺いしたい。
  185. 小濱本一

    ○小濱説明員 お答えいたします。  山村あるいは中山間地域の活性化を図るために、従来から山村振興対策、過疎対策等において、関係省庁と連携協力しつつ、各種事業を総合的かつ計画的に実施し、地域の活性化を図ってきたところであります。  また、森林の有する多様な公益的機能を今後とも維持し、山村地域の活性化を図っていくため、国土庁、農水省、自治省の間で森林山村検討会を設置いたしまして、平成五年度から講ずる施策を取りまとめたところでありまして、今後とも中長期的視点に立脚した新たな施策を含めまして、さらに引き続き検討を進めることとしているところであります。  さらにまた、先般御審議いただきました特定農山村法におきましては、農林業はもとより、幅広い事業の活性化のための基盤整備を促進するため、関係五省庁が連携協力して施策を講じているところでございます。  このようにいろいろな場面で各関係省庁と協議、協力をしてきているところでございまして、国土庁といたしましては、今後とも、こういった山村対策あるいは中山間地対策の重要性にかんがみまして、関係省庁と緊密な連携をとって、活性化策について推進してまいりたいと考えております。
  186. 辻一彦

    ○辻(一)委員 事務レベルではこれからぜひ協議を強めてもらわなければならないと思います。  そこで、大臣にちょっとお伺いしたいのですが、山村対策あるいは山村の集落をどう維持していくか、こういうことを考えると、今まで縦でそれぞれやっておったのを横に連携を図っていくということ、そのためには、この山村対策等に閣僚レベルの関係者、だから、農林水産省それから自治省国土庁、ほかにもそれに必要なところがあると思いますが、そういうレベルの協議を持って本格的にさらに力を入れるということが大事だ、そのためには山村対策閣僚会議というようなものを興す必要があると思いますが、それらについてどういう見解であるかお伺いしたい。
  187. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 これを三省庁で進めるきっかけをつくったわけでありまして、当時の吹田自治大臣が、自治大臣をおやめになってからだったと思うのですが、いろいろと個人的にお話を申し上げて、それはぜひ必要だというので、三省庁の局長とお会いして、私どもの窮状、そういうものを訴え、それならばこういう取り上げ方があるという、まあいろいろな話がありまして、実際には事務レベルでやってもらわぬといかぬものですから、それでスタートしたことで、これは画期的なことだと思うのですね。  今まで省庁が三つ一緒になってやろうということでやっていただいた、これは私も非常に感謝しているのです。従来、役所間というのはなかなかうまくいかぬものでありますが、これに関しては本当によくやってくれた。むしろ積極的に国土庁自治省が、こうすればうまくいくというようなものをどんどん出してやってくれたということでございまして、私どもはこれにとどまることなく、今も答弁ありましたように、この特定農山村法においては建設省、通産省、それにとどまることなく、私は、文部省にでもどこにでも大臣に直接話をする。それで、基本的な考え方だけ申し上げまして、あとは下で実際にやってくれるかどうかが大事なことでありますので、今後とも、必ずしも一律的なものではなくて、実際に中山間地域対策の実効を上げるような具体的な政策課題に即して関係省庁と連携をとりまして、一層協力して進めていきたい、こう考えておりますし、閣議の席で私は二回ほど、農山漁村、このことは本当に大事です、一省庁だけではできませんので御支援くださいということを話しておりますから、以降は割合スムーズに各省庁挙げて協力いただいておるということでありますので、今後ともそういう方向で進めていきたい、こう考えております。
  188. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後にもう一つだけお尋ねします。  六月五日に福井県で、陰の内閣、社会党の一日農林水産省というのをやりまして、一般の方が随分参加してくれたのですが、その中でやはり中山間地対策というのが非常に大きなテーマになりました。先ほどの池田町の古川町長さんは、中山間地の持つ問題を随分と力説をいたしましたが、前文だけですから簡単にちょっと発言を読み上げますと、   中山間地域とりわけ山村地域の現況はわが国の今日までの経済社会発展の過程の中で都市的地域山村地域の格差は余りにも大きなものがあり、若者の流出から来る過疎化は必然的に高齢化が急ピッチで進みつつあり、従って民間活力は望み得べくもなく、自治体が現状の国等の施策の中でいかに努力致しつつも限界があり、このままにては最早資産価値の落ち込みもさることながら、個人資産の管理は勿論のこと、地域環境保全、大きくは国土保全を含めて危機的状況を招きかねない極めて厳しい現状にある。  これらの早急なる打開のため、若者を中心とした後継者が定着てき得る環境づくりを主とした抜本対策が急務と考えます。ということで、たくさんの問題が並んでおりますが、その中で一つだけ、山村地域(特別豪雪地帯)は農林公社、セクター会社の設立支援による後継者、労務者の確保 年間就労を基準として一般労務者年間平準所得額の三〇%を国費で支援」をする、こういう幾つかの項目を聞いたのでありますが、平場は何とかぎりぎり頑張っても、もう山手は自治体も守り切れないという状況にある。そういうことで、さきの法案の修正の中にも、農山村の将来に対して「所要の措置を講ずる」と一項うたい込んだわけでありますが、その中に、財政措置をも含むというような答弁が明確になされております。  これらを一つ考えたときに、第三セクターあるいは森林組合等が農地や林地を管理する、そういうものに対して何らかの助成の必要があるのじゃないか、それをあえて我々は日本的デカップリングと名前をつけてもいいと思うのですが、これに対して、農林水産省として今後考え得る検討の余地があるのか、あるいはあわせて自治省も地財措置をもって、これらに対して何らかの対応を考え得るのか、この二点を伺って終わりたいと思います。
  189. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 森林を守り支えている山村の維持、発展ということ、これを図っていくということは重要だと私は思っております。  このため、農林水産省としては、森林林業の振興を配慮した地方交付税の単位費用の算定基礎の見直し、あるいは林野庁自治省国土庁三省庁間の検討を踏まえて、平成五年から林道の整備などについての千八百億円、これら地方財政支援措置を行う、あるいは造林林道事業の推進、下流域の支援による分収林の推進、森林整備のための基金の創設、これを促進するなど、今後ともいろいろな形で支援をしていきたい、こう考えているわけであります。  まあ、地元市町村に対していろいろ支援をしているわけでありますが、特に創設の要望の高い森林交付税、こうしたものの要求のあることもよく承知いたしております。ただ、現状で森林面積それから就業者、そういうものに対する措置がとられておるわけでありまして、これ以上の、例えば森林面積が多い市町村、何のために別途の財源が必要かということ等を十分明確にしませんと、補助と違いますので、どう市町村が優先順位をつけるかということになる。いろいろの問題がありますので、お尋ねのことについては、今申し上げたようにこの財源の必要性、こういうものを明確にする必要があるというふうに私は認識いたしております。
  190. 田村政志

    ○田村説明員 森林管理のための第三セクターにつきましては、今年度、第三セクターの立ち上がりの経費あるいは出資のための経費について交付税で措置するということで、地方団体の今熱意を見守っているというところでございます。  なお、農地でございますけれども、農地につきましては、第三セクターの管理ということになりますと、なかなか農地法との関係、あるいは効率的な利用が図られていない農地について、仮に第三セクターがやった場合でも、それでもって委託料が期待できるのかどうか、第三セクターの経営が成り立つのかどうか、あるいは、仮に耕作放棄地について農地の所有者が委託料を負担してまで管理委託するかどうかといった問題等ございます。第三セクターに経常的にまた地方団体が補助するということになると、何のための第三セクターかといったような問題も生じますので、このことにつきましてはなお慎重な検討が必要じゃないか、このように考えております。
  191. 辻一彦

    ○辻(一)委員 修正のときに一項置きました「所要の措置」は、我々は将来日本的デカップリングの芽として大事に育て上げていきたい、今後の論議をまた続けたいと思います。  終わります。
  192. 平沼赳夫

    平沼委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  193. 平沼赳夫

    平沼委員長 まず、林業改善資金助成法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  林業改善資金助成法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  195. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。有川清次君。
  196. 有川清次

    ○有川委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表して、林業改善資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     林業改善資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国森林林業は、国土の保全、水資源のかん養、国民の保健休養などの公益的機能を有し、木材その他の林産物を持続的に供給する等、国民生活の向上を図る上できわめて重要な役割を果たしている。こうした役割を一層強化するためには、多様で質的に優れた森林を適正に整備していくとともに、定住条件の整備等を進め山村の健全な維持・発展を図っていくことが不可欠となっている。   よって政府は森林流域管理システムを確立する方向に即しつつ、林業生産基盤の整備、林業事業体の体質強化、森林組合の事業活動の推進、林業金融制度の充実、林業従事者の就労条件の改善、林業を担うべき者の確保等について格段の努力をするとともに、本法の施行に当たっては左記事項の実現に努めるべきである。       記  一 林業改善資金の充実を図るため、林業生産動向、資金需要の実態に即応して、貸付けの範囲と限度額の拡大、資金枠の確保等本制度の運用の改善に努めること。  二 本資金の貸付けに当たっては、林業普及指導組織、市町村森林組合その他関係機関の連携・協力を一層強化し、借受者に対し適切な助言、指導が行われるよう努めること。  三 間伐の実施を促進するため、作業道等の生産基盤の整備、間伐等育林用機械の開発、流通加工施設の整備、間伐に必要な資金の貸付条件の整備を進めるとともに、間伐材の需要開発に努めること。  四 青年林業者等林業への新規参入者、林業の後継者を確保していくため、林業に対する関心を喚起し、就労を働きかける取組み、普及・宣伝活動などを推進していくとともに、林業経営林業技術に関する研修施設及び研修内客の充実に努めるほか、林業事業体等における労働条件の向上に努め、林業への就労の確保を図っていくこと。  五 高性能林業機械の導入を積極的に進めることとし、林業事業体等に対して安定的な事業量の確保に努め、路網の整備を図っていくとともに、林業労働に従事する者が機械操作の習熟に取り組める体制の整備に努めること。  六 林業労働に従事する者の確保を促進するため、地域における就労の形態に配慮した林業労働環境の整備及び林業労働に係る災害を防止するための安全衛生対策の充実を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  197. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  金子徳之介君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  198. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣
  199. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
  200. 平沼赳夫

    平沼委員長 次に、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。
  201. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。  まず、今回の法改正では、目的、基本方針を「国内木材」から国内産という縛りをとり、木材一般に適用範囲を広げ、外材にまで適用が拡大されることになります。  そもそも本法の制定の趣旨は、一九七九年に国内産の供給率が三一%を切っているという状況のもとで、国産木材の製造業、卸売業等に特別の融資を実施することにより、国産材利用促進、振興発展を図るとした唯一の制度でありました。今回の改正で、「国内木材」を改め「木材」にすることは、自給率二五%にまで落ち込んだ我が国林業をさらに衰退させ、山の荒廃をもたらすものであります。  次に、林野庁は、本法の改正の趣旨を、来るべき国産材時代に向けて国内林業関係者の技術維持、体質強化のためとしています。しかし、外材にまで融資枠を広げることが即それに結びつくものではありません。国内木材の弱点である小ロット、高コストなどには、協業は必要です。しかし、現在の林業の衰退を招いたのは、大手商社等による資本力に任せ、産出国の環境破壊まで招いた無秩序な外材輸入付加価値の高い木材製品輸入などであります。国産材のみあるいは外材と両方扱っている工場は、中小企業が大半を占め、全体の八四・七%になっています。国内木材を扱うこれら中小企業にこそ、さらに援助を強化し、国内木材の振興を図るという原則を貫くべきであります。  折から木材産出国では、環境破壊、自然保護などから、原木の伐採規制が強められており、この時期こそ国内林業振興施策に力を入れるべきであります。  さらに、新たに持ち込まれる構造改善は、本来国がやるべき施策を第三セクターの形をとり、地方自治体に新たな負担を強いる危険性を持つものであることを指摘し、討論を終わります。
  202. 平沼赳夫

    平沼委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  203. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより採決に入ります。  林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  205. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。前島秀行君。
  206. 前島秀行

    ○前島委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     林業等振興資金融通暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   我が国木材需給は、依然として多くを外材へ依存していることに加え、国内林業及びその関連産業の生産活動は停滞しており、このまま推移すれば現在成熟過程にある国内森林資源を将来において有効利用していくことが困難となる懸念が生じているところである。また一方で、外材の供給には、木材輸出国における環境保護運動の高まり、資源的制約等から、不透明な状況が生じてきており、国産材時代の実現に向けた取組みがますます重要となってきている。このため、本法の施行に当たっては、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。       記  一 海外の森林資源状況木材輸出国動向及び我が国人工林資源の育成状況に対応し、必要に応じて「森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需給及び供給に関する長期の見通し」を変更するなどにより、長期にわたり木材の安定的かつ持続的な供給が行われるよう、林業及びその関連産業に対して的確に指針を示し、諸施策の整備充実に努めること。  二 木材需要拡大と有効利用を図る観点から、学校等公共施設における木材利用促進、新たな木材利用技術の開発と実用化及び合板の原料転換を進め、これらに必要な木材供給の体制を整備すること。  三 木造住宅とりわけ在来工法によるものに対する国民の評価が高く、また国産材時代を実現していく上で在来工法による木造住宅の建設促進が重要であることにかんがみ、大工技能者等の育成確保、プレカットシステムの普及等各種施策の充実強化に努めること。  四 外材に対抗し得る国産材流通体制の整備と木材産業の体質強化を図るため、流域林業サービスセンターを中心とした地域情報サービスの積極的な活用等を通じて、生産から加工流通まで一体となった国産材の低コスト安定供給体制の整備に努めること。    また、本法の運用に当たり、外材だけを取り扱う事業者に資金の貸付けが偏ることがないよう、適切な運営に努めること。  五 本法の運用に当たっては、引き続き中小・零細林家及び事業者に十分配慮し、申請者の計画作成に対して適切な助言、指導を行い、林業経営改善計画及び合理化計画の認定についても、その手続きの円滑な処理を図ること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  207. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  金子徳之介君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  208. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣
  209. 田名部匡省

    ○田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  210. 平沼赳夫

    平沼委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  212. 平沼赳夫

    平沼委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十九分散会