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1993-04-14 第126回国会 衆議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月十四日(水曜日)     午前十時九分開議 出席委員   委員長 平沼 赳夫君    理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君    理事 御法川英文君 理事 簗瀬  進君    理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君    理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君       岩村卯一郎君    上草 義輝君       内海 英男君    大島 理森君       大原 一三君    加藤 紘一君       久間 章生君    高村 正彦君       鈴木 俊一君    鈴木 宗男君       谷  洋一君    中谷  元君       鳩山由紀夫君    保利 耕輔君       星野 行男君    松岡 利勝君       宮里 松正君    有川 清次君       石橋 大吉君    遠藤  登君       志賀 一夫君    田中 恒利君       辻  一彦君    野坂 浩賢君       鉢呂 吉雄君    堀込 征雄君       山口 鶴男君    倉田 栄喜君       藤田 スミ君    小平 忠正君  出席国務大臣        農林水産大臣   田名部匡省君  出席政府委員        外務省経済局次        長        林   暘君        農林水産大臣官        房長       上野 博史君        農林水産省経済        局長       眞鍋 武紀君        農林水産省農蚕        園芸局長     高橋 政行君        水産庁長官    川合 淳二君  委員外出席者        議     員  辻  一彦君        総務庁行政監察        局監察官     美山  清君        大蔵大臣官房調        査企画課長    堀田 隆夫君        農林水産委員会        調査室長     黒木 敏郎君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     大島 理森君   村岡 兼造君     鈴木 宗男君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     高村 正彦君   鈴木 宗男君     村岡 兼造君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第六〇号)  農業経営基盤の強化のための関係法律整備に  関する法律案内閣提出第二四号)  農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二五号)  特定農山地域における農林業等活性化のだ  めの基盤整備促進に関する法律案内閣提出  第六四号)  地域農業振興法案辻一彦君外五名提出衆法  第二号)  中山間地域等農業振興法案辻一彦君外五名提  出、衆法第三号)      ————◇—————
  2. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  3. 野坂浩賢

    野坂委員 まず、大臣にお尋ねをいたします。  現在の農業事情を見聞いたしますと、今や農政課題は、担い手の不足問題、農村に嫁がないというような問題、農業では生活ができない、したがって農業には魅力がない、こういうふうに言われて、ますます過疎の度を加えつつある農村現状、こういうふうに私は認識をしておるのでありますが、大臣は現在の農業事情をどのように御認識でございましょうか、まず冒頭に伺っておきたいと思います。
  4. 田名部匡省

    田名部国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、就農者が減少をする、嫁が来ない、農業では生活できない、いろいろあると思うのです。  ただ、全般的に見てみまして、昔は、戦前も戦後のあたりも含めて、日本農業は一体どうたったろう。当時も惨たんたるものだったのですね、むしろ共済制度もない、何にもないという中で。私ども農家の育ちでありますからよく見ておって感じますのは、生活レベル全体は本当によくなっているのですね。私の青森の方でさえもあんなによくなっているということからすれば、その中には畜産でありますとか施設園芸分野、あるいは都市が相当大きくなりまして、そこで収入を上げる道というものが開けてきたことは、私は結構だと思っている。  ただ問題は、米、麦、大豆、いわゆる土地利用型の農業、この分野では生産性の向上が立ちおくれておりますし、そのことが自給率低下につながって、今お話しのように、担い手も少ない、あるいは耕作放棄地等が増加をしているということはそのとおりでありまして、これは何といっても食生活変化に伴う米の消費が減退した、あるいは一方で飼料穀物油糧原料などの農産物の輸入がどんどんふえた、これは食生活変化だったと思うのですね。一方では所得が上がる、そういうことで輸入が多くなっておるということも一つございます。  あるいは、都市化進展ということに伴って農地がどんどん他の分野に利用されていったということと、それに伴って農地が非常に高くなった。ですから、坪何百万もするようなところでということもありますね。そういうことで、農業外部の環境の変化ということもあって、そういう影響を受けてきたということは私はあると思います口  しかし、これをこのままにしておくわけにいきませんから、再三申し上げておりますように、他産業並み収入を得られるようにしたい、新政策方向に沿って意欲的な経営体生産の大宗を担う力強い農業構造、その確立や農村地域活性化に努めていかなければならぬというふうに考えております。
  5. 野坂浩賢

    野坂委員 私はできるだけ簡潔に質問いたしますので、要点のみ御答弁をいただければありがたいと思っております。  今お話しになりましたように、明治から百年でありますから、それは戦前戦後と今の農業現状とは違います。馬車や大八車やリヤカーとは違って、今は自動車で回りますから、それは当然時代進展とともに、しかも世思最大経済大国でありますから、そうであります。大筋農林大臣は私の意見と同調されました。こういう状況だから新しい農業政策をつくっていかなければならない、そう私は心に決めておるのだ、こういうお話でありますから、したがって、現状認識としては、農業は厳しい状況であるということは、大臣も我々も変わりない、こういうふう理解いたします。  そこで、この間テレビにも新聞にも出ましたように、大蔵省は、バブル発生というのは経済政策失敗であったと、初めて大蔵省サイドから理由を挙げて説明をされております。そして、今後の課題を明らかにされておるわけですが、経済政策失敗を認めますか、認めませんか。
  6. 堀田隆夫

    堀田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりましたのは、大蔵省財政金融研究所館竜一郎先生を座長とする経済学者研究会をつくりまして、そこでいわゆるバブル発生原因なりその崩壊影響につきまして御研究いただいて、そのレポートをまとめていただきました。その件につきまして先生はお触れになったわけでありますけれども、このレポートの内容につきましてはマスコミにいろいろな形で報道されておりますけれども、必ずしもバブル発生なり崩壊経済政策失敗によって起きているというふうにのみ指摘されているのではないというふうに私どもは受けとめております。  ちょっと二、三申し上げますと、一つは、バブル発生原因といたしまして、八五年のプラザ合意以降の低金利政策、その金融緩和が長期にわたったということが挙げられておりますが、あわせまして金融機関あるいは法人、個人の金融活動が非常に盛んになった、必要以上に活発になったということが挙げられておりますし、あるいは日本経済先行きに対する強気な期待が高まっていたということも挙げられております。そうした結果、その資金が株式なり土地の市場に流れ込んで資産価格の上昇が起きたとされております。  あるいはもう一点申し上げますと、財政政策につきまして、八〇年代に入りましてマイナスシーリング等を実施いたしまして財政改革を推進してまいりましたけれども、そのことが金融政策負担をかける、ポリシーミックス上、財政政策が余り動けないので金融政策に過剰な負担をかけたという、一つ制約要因になったという指摘がされておりますけれども、あわせまして、現下財政体質の改善のためにはやむを得ない措置だったとも指摘されております。  ほかにもいろいろございますけれども、いろいろな論点が指摘されておりまして、私どもそれなりにそれぞれにつきまして意見がございますけれども研究会で精力的におまとめいただいた御結論でございますので、大蔵省としてはよく勉強させていただきまして、今後の大蔵省行政に参考にさせていただきたいと思っているところでございます。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 バブル経済発生及び崩壊について大蔵省が委託をして、経済企画庁も同じようなことを述べておるのですよね。どうも不景気になってきた、これは財政政策とか時期の問題とかいろいろなことが書いてあって、政府サイドが初めてこういうふうに認めたんだと、断定しております。あなたの方は、いや、指摘はされたんだけれども断定はしておらぬというような話ですけれども、私たちは、一般の国民は、財政政策を誤ったと、したがって、不景気になっておるから今は経済を、不景気を好況に直していかなきゃならぬ、こういうのが現下の情勢ですわ。そういうふうに認識していいですか。
  8. 堀田隆夫

    堀田説明員 先生指摘のとおりでございまして、現下経済局面調整過程にありまして、低迷しておりますので、この景気の足取りを確かなものとするためにいろいろな策を講じていかなきゃいかぬということでございます。昨日、経済対策閣僚会議で新しい総合経済対策を決めさせていただきましたけれども、こういうことを通じまして、経済先行きに対する不安感を払拭していくことが必要であると政府として考えたということでございます。  ただ、この報告書に関連してもう一点申し上げますと、報告書で一番強調されておりますのは、バブルを二度と起こしてはいけないということが指摘されておりまして、二度にわたって書いてございますけれども、今後の経済政策の運営につきましては一番大事なのはその点であって、そこによく注意をしながら、機動的、弾力的に運営していかなきゃいかぬと思っているところでございます。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 冒頭に言ったように、私は簡単に言いますから、言いわけがましいことは言わないで、イエスかノーか、そうですというふうに答えてもらいたいと思います。  やはり経済政策失敗だったんです。それはもう平沼委員長以下、皆さん認めている。だから十三兆二千億円というのが浮かび上がってきたんだ、これで景気を上げようと。きのうの経済閣僚会議でも、農林大臣は身を乗り出して話を聞いておった。言いたいことは山ほどあるという顔をしておった。そこで、これからいよいよ本論に入るわけですが、この十三兆二千億円の中で農業予算というのが目に見えてこない。私は極めて残念だ。あなたほどの力のある人が黙って引き下がるようなことはない。私はあえて激励をしておきますから、絶対にとってもらわないと。  そこで、今度の法案で、眞鍋経済局長に聞きますけれども一つの枠の中で、例えば果樹は三割の足切りを二割にしました。量だけでなしに、質やあるいは糖分やそういうものも十分加味しました。これで上がった分が、金額で総体的に幾らになるか。  米は当然加入で六〇%を補償したものを五〇にした。昭和三十八年にやってから年々下げておるのですね。毎年下げておるのですよ、改定するたびに。農業は厳しいということを、たった今農林大臣は言ったのです。それを下げるようなことは私は断じて許すことはできぬ、幾ら経済局長でも、何ぼ偉い人でも。大蔵省がそれではいかぬというようなことを言うかもしらぬ。しかし、それでは我々は納得できぬ。ここは立法府なんですから、法律をつくるのですから。こっちの方は総体的に幾ら下げたか、そのバランスシートをここで発表してもらいたい。
  10. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 今回いろいろと改正をしております。特に果樹共済につきましては、御指摘ございましたように、足切り割合といいますか、それを三割を二割にする、あるいは共済目的をいろいろ追加をするとかやっております。それで仮定を置いて概算をした数字でございますので、そのようにお聞き取りいただきたいと思いますが、果樹共済で約十一億円でございます。それから畑作物共済につきましては、てん菜の足切り割合を二割から一割に下げた、あるいはお茶について品質を加味したというふうなこと等々を合計しますと、約十二億円でございます。これももちろん仮定を置いた話でございます。それから園芸施設共済につきましては、雨よけ施設を追加するとかいろいろなことがございますが、これで約六億円。合計いたしますと、大ざっぱに言いまして約三十億円、こういうふうなことでございます。  それから、減らすといいますか、負担率を変えたことに伴いまして、これも農作物共済で約二十六億円でございます。それから畑作物共済が四億円弱、それから蚕繭共済は三千万円というふうな数字でございまして、これも約三十億円というふうな、これはあくまでも一定の仮定を置いて大ざっぱに試算した数字でございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたの説明を聞いておると、こちらで三十億円減らします、こちらで三十億円ふやします、差し引きゼロと、全く前進はない、こういう結論なんですね、委員長。だから、あるものは、言うなればあめとむち、これで使い分けをして通そう、こういう魂胆が見え見えなんです。田名部さんの発想ではないと私は思う。田名部さんはもっと野人だと思う。こういう細かいことをやって反対をしにくいようなことをしながら、片っ方は減らしていくというようなやり方については、どうも私たちは合点がいかぬ、納得がいかぬ。この施設園芸とか果樹足切りとかあるいはビートの問題とか、そういう問題はいいとして、米はもとどおりにしたらどうですか。  私は、大臣に聞きたいと思いますけれども、先ほど言ったように、今度の景気を回復させるために十二兆二千億円つくのですよ。いいですね、自民党の皆さんも理解してもらいたい。十三兆円もつくのです。農業は厳しいんだ、これはもう一様に認識したのだ。それを、一つの枠の中でやって、農業だけはこの枠の中で終われと。ほかはもっと、中小企業やほかのところはもっと出していく、教育もあれば研究室も建てますと、そういうことをやりながら、一番厳しいと言われる農業がこのような扱い方では納得できません。だから、これについてはやはり修正をして、この米の減の三十億円は補正予算でちゃんと面倒見てもらう。そのぐらいしたら、だれも文句を言うものは一つもない、みんな万歳で通しますよ。理事会等反対討論があるとかなんとか言わぬでも、それでびしゃっと通せばいいじゃないですか。その方が私はいいと思いますが、農林大臣力関係の問題ですが、あなたはどうお思いですか。大臣に聞いているんだ、政治の問題だから。
  12. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 ちょっと補足をさせていただきたいと思います。先ほど金額を申し上げましたが、こういうふうにいたしました背景なりそれについて御説明をいたさなかったものでございますから。  実はお米につきましては、昨日も御答弁申し上げましたように、超過累進方式というふうなことで米の増産時代被害率の高いところほど高くする、こういうふうなことをやってきたわけでございますが、最近被害率低下をしておる、あるいは米の生産調整をやっておるというふうなことで、そこを合理化をしたいということでございます。  それから一方、果樹共済でございますとか園芸施設共済、そういうものにつきましては、いろいろな要望が出ておりました。それを前向きに振興したいというふうなことで、そこを後押しするために制度充実を図る、こういうふうなことを要望の中でやってきたわけでございますので、これは今後の、この共済制度、私、考えてみますと、どちらかというと戦後の米、麦中心制度といいますか、そちらの加入者が多い、こういうふうな状況でございまして、果樹共済でございますとか畑作物共済等々のものについては加入が少ない、これでは、共済制度の将来を考え、あるいは今後の農業発展方向を考えた場合に、やはり合理化すべきところは合理化しながら制度充実を図って、農業者の役に立つように、こういう趣旨でこの改正を御提案しておるところでございますので、その背景をちょっと御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  13. 田名部匡省

    田名部国務大臣 いろいろ実態を調べてみますと、御案内のように国庫負担割合というのは五〇、五五、六〇と三段階ありまして、そして、その六〇の方は掛金も高いわけです・実態はどうかというと、五三・五ですね。ですから、六〇といっても五三・五が現行の水準といいますか、それを金額に置きかえてみると、十アールあたり百八円ということもございましたし、余り小さい人たちに、小さいというとこれまたどうも言葉が適切でありませんが、そこまでの必要があるかどうかといろいろと検討をして、時代の要請でどんどんふえておる作物、あるいはこれからもっと伸ばしていかなければならぬもの、あるいは新農政に沿った規模拡大をしていく方、そういうものにずっとやりますが、それは何でもかんでも残したまま、ふえる方をどんどんやればいいということは当然御意見としてあろうと思うのですが、まあまあしかし、そうばかりもできないという部分もあれば、そんなに影響なかろうという部分は多少調整をして、そしていい方をもっと、実態困っている方を、やってほしいという要望の強い方を取り上げようじゃないかということでありますから、御意見はよく気持ちの上ではわかりますけれども実態を見てこういうふうにいたした、こういうことでございます。
  14. 野坂浩賢

    野坂委員 私の気持ちは痛いほどよくわかる、そのとおりだと思う。しかし、現実にはなかなかできていない。できていなければ、結果がよければすべてよしで、結果が悪ければ問題にならぬ、幾らいいこと言っても。そうでしょう、選挙でも、いい演説しても落選したら問題にならぬのです。物言えぬのや。  今、一反歩当たり百八円だから大したことない、これが問題なのです。みんな、あなた方が信頼する副総裁は七十八にもなって七十億も百億も持っておって、蓄財をして、これ一体何をするのですか。こういうことだから、百姓は百八円や二百円で泣くのですよ。たったこの間もあったのじゃないですか。他用途利用米で、九千五百円というようなものではつくる者がおらぬじゃないか。その九千五百円のものを全農は十五億円もぽっぽしておって、返しますということを言ったのじゃないですか。だから、小さなことを、我々は、農政は特に細かいことを気を使ってやらなければ農家は生きられないということを私は断定的に申し上げておきます。  いいですか、たった百八円でも米の金額を集計すると二十六億ですよ。一番大きいじゃないですか。ほかのは十一億や十二億や六億や四億だ。そうでしょう、眞鍋さん。大臣が言われる百八円でも二十六億円、三十億の大半ですよ、これが全部ですよ。これはそのままにしておいて、あなたがおっしゃる果樹とかあるいは施設園芸とかビート問題とか、そういう点については私は敬意を表しておるのです。だから、あなたの方ならそのぐらいのことはできる、私はそう思っておったのです。で、補正予算で必ず通りますということになるだろうと思っておったのです。ところが、新聞見ても、どこ見ても、穴があくほど見てもない、これは聞いてみなければいかぬ、農林大臣はいよいよぼけたかな、まだ若いのに、こういうふうに思ったのです。  だから、今新しい決意を持って、小さなことでも農民のためになる共済については断固頑張る、こういう意思表示をしてもらいたい。どうですか。大蔵省の了解を求めなければできぬというような農林大臣ではないはずです。あなたは、みずからの決意で閣議で三十億円論争をやったら新聞に出る。そのぐらいのことをやったらいい。  委員長の立場もありますよ。おじいちゃんは総理大臣までやった人が委員長で座っておるのだから、農林委員会の名誉にかけてこれだけは確保してもらいたい。これは極めて明確になっているわけですからやってもらいたい。いかがですか。農水大臣、努力しますか努力しませんか、それだけ言ってください。
  15. 田名部匡省

    田名部国務大臣 提案したものが最良のものと考えて提案しておるわけでありますから、全体で見ていただいて、本当に農家のためになるかどうか、そういう御判断もしていただきたい。私は、決して悪いことにはならぬ、本当にこの光やってみて、農家皆さんにはよかったなと思ってもらえるという自信を持って実はこの法案をお願いしておるわけでありますから、よろしくお願いいたしたいと思います。
  16. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたの気持ちはわかります、気持ちは。最良の案だと思って出した、しかし、みんなは、最良の案だと思っておる者は委員では一人もいない。最良だと思っているのはこの中であなただけ。だから、こちらはいいものを、こちらはだめにするといってバランスシートをゼロにするというようなやり方はよくない。一つもいいことはない。片一方を引き上げるというところに意義があるわけですから、十三兆二千億円の経済大国で、あなたは主張できませんか。——できない。 理事さん、あなた行って委員長のところで理事さんと話をしてください。佐々木さん、委員長のところへ行って、やれと。柳沢さん、あなた来て話してください、三十億、そのぐらいやるべきじゃないかと。——やってないよ。委員長は、要求するかどうか大臣にちゃんと物を言ってもらわなければいかぬ。もう予算が決まったからだめなんですというようなことでは意味ない。そうせぬと、立法府予算に縛られて、予算が通ったからもうこれは絶対だめだと言われたら、審議権放棄をしなければならない、審議をする意味が全くない。そのくらいのことは当たり前ですよ。審議権放棄をさせるつもりですか。だめなんですから、やらなければならぬのですから、やるならやる、努力するならすると言ってください。要求をするのかせぬのか。補正予算をこの会期中に出すのですよ。
  17. 田名部匡省

    田名部国務大臣 十アール以下の農家というのは十五万七千戸あるのですね。ですから、実態をとらえながらやっていくということも必要なことだ、私どもはこう思っておるわけです。バランスをとったわけでもないのですけれども、全く無視してめちゃくちゃにやるということもいかがか、こう思うわけでして、三十億要求しろ、こういうことでありますけれども、そのことはできませんので、ひとつこれでぜひ御了承いただきたい、こう思います。
  18. 野坂浩賢

    野坂委員 いや、了承はできませんね。私は了承はできません。あなたにそのぐらいのことは要求する力量があると私は評価しておるんだ、あなたを悪く言っているのじゃないですよ。三十億円くらいなことでおたおたするような農林大臣とは質が違う。ちゃんと農民のために言うべきことは言う。そのくらいのことは言って−−だめなんですか、よう言わぬですか、あなたは。宮澤さんがそんなに怖いですか、林君がそんなに怖いですか。そんなことはないでしょうが。あなたの方が上だ。だからそれをやれ。どうなんですか、それは。
  19. 田名部匡省

    田名部国務大臣 予算予算でこれはやるわけでありますから、制度の問題を今お諮りしているわけでありますから。事と次第によっては、別な分野で一歩も引かぬときには、これは断固やります。今までもそういうつもりで農、林、水、それぞれやらなきゃならぬことはこれは意思を通す、この覚悟と決意はだれにも負けないものを持っていると思うのですが、しかし自分の判断で、まあまあ、ではここはこれでいい、しかしこっちは譲れぬ、こういうめり張りをつけたことをやりませんと、やはり何でも平均的ではなかなか日本農政というものはこれからよくならぬということで、農家皆さんにも厳しいことを言うようですけれども、しかしそれは先々のことを私も心配しておるのです。みんなよくなってほしい。  ですから集落排水にしたって、何で都市だけ下水道が完備されて農山漁村は要らぬのか、そんなけしからぬことはないということで、この辺についても一生懸命やったし、今度もそこの、きのうの中ではこれも認められるというようなことでして、やはりそういうやり方を私はした方がいいという判断もありますから、どうぞ、そう大きな痛手でない、そんなに影響がないというものは、やはり他の分野でもうんと拾っているわけですから、農家皆さんのためにいいということについてはこれは頑張るわけですから、その辺のところでひとつ総体的に御判断をいただきたい、こう思います。
  20. 野坂浩賢

    野坂委員 政治は妥協の産物ですからね。あなたはその辺で辛抱せい、やるときはやる、集落排水見てくれと。あなたが開き直ってやるところは私も余り見たことがないものでね、だからこのくらいのことはできるだろう、こう思ったのです。  それでは、ことしは予算が通った、柳沢さん、にっこりしておりますけれども、それなら来年はこれはちゃんともとに返してもらえますか。そのときは立法はちゃんと政府にやってもらう。そのくらいのことは、話し合いですから、妥協をしなければならぬと私は思いますから、そのくらいならいいですか、どうです、大臣眞鍋さんじゃだめなんだ。
  21. 田名部匡省

    田名部国務大臣 まあ、制度を今どうつくるかということでありますから、ひとつ予算はまた予算でいろいろと工夫を凝らすことでありますから、ぜひこれはこれでひとつお認めをいただきたい、ぜひ御賛同いただきたい、こう思います。
  22. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは一方的ですよ。話し合いというものはお互い譲り合うということが大切なんです。だから言うなれば、あなたは、ことしは予算はできてしまったからこれはできません、制度改正します、大蔵省が言うと、もう予算が通ってしまったから何の審議もできやせぬ、こういうことになると立法府の権威にかかわるのです。だから私は、そういう意味了承はできないと言ったのです。したがって、もし制度を通すのなら、農水省がそれらのことについては対応します、農家負担軽減をいたします、このくらいなことは言ったらどうですか、大臣大臣、どうです。−あんたはいつから大臣になった。もういい。
  23. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 いや、その前に御説明させていただきたいのですが、先ほど来申し上げておりますように、これは農政全体、農業全体の状況を見てみますと、果樹でございますとか施設園芸その他、そういう米以外の作物についていわゆる選択的拡大といいますか、古い言葉でございますが、そういう部門について制度充実して振興を図ろう、こういうふうな農業方向といいますか、そういう考え方でやっておるわけでございまして、そういう作物につきましては非常に共済加入率が悪い、こういう状況でございますので、この制度改善によりまして、農業者の方がこの共済制度を理解をしていただきまして加入がふえてまいりますと、先ほど申し上げましたような数字は一定の仮定を置いてやっているわけでございますが、今後は当然のことながら予算はふえてくる、こういうことになるわけでございます。  そういうふうなことで、今の農業状況から見まして、やはり伸ばすべき部門といいますか、そういうところに充実をしてやっていきたいということでございまして、我々といたしましては、やはりそういう農政方向といいますか、農業の実情を踏まえて、それから、米が過剰であって、これ以上生産を拡大というよりかむしろ生産を減らしていかなければならない、こういう事態を踏まえて御提案を申し上げておるわけでございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  24. 野坂浩賢

    野坂委員 大臣です。あなたの出番。
  25. 田名部匡省

    田名部国務大臣 私ども、台風で影響を受けた後、いろいろと農家皆さんや団体の皆さんと話しまして、やはり入りにくい、あるいは制度を少し見直してもらわぬと困るという要望が圧倒的に強かったわけです。そのとおりだと思うのですが、私のリンゴの共済だって一四%かそのくらいしか入っていなかった、しかし、大きな影響を受けた。まあそのせいかどうか、三三、四%まで今加入者がふえた。  要するに、共済制度ですから、これはどこへ行く金でもないのですね。みんなが入ってくれるとそれだけうんと楽になっていくシステムであって、そういう中で本当に、これで私は全部盤石だとは思っておりませんが、しかし、今これが最良だ、これでいったらいいという考えで、やってみていろいろまた問題点が、これは何年かで出るかもしれませんし、あるいはこのままいくかもしれません。ですから、その都度やはり現状に合うようにしていくということは私は大事なことだ、こう思っていますから、いろいろ御意見はよく承りましたから、まあこれでやってみて、一体農家皆さん方がどういう実態になっていくかというものを見きわめないと、まだやるかやらぬかわからない状態でいろいろ言われても、私の方も責任を持ってこれで絶対でございますとかだめでございますとかということは言えません。したがって、ぜひこれでスタートして、後またいろいろと問題点があれば、これはまた新たなものも加えなければならぬものも出てくるでしょうから、そういうときに御相談して、何といってもやはり農家皆さんのためということを考えてやっているわけですから、その辺は一致していると思うのです。そういうことでぜひ御理解をいただきたい、こう思います。
  26. 野坂浩賢

    野坂委員 今大臣は、農家のためになることはやらなければならない、これ以上農家負担増になることは我々は好ましく思っていない。したがって、もろもろの措置を講じてそれらのことは対処、対応していくことを言われましたので、それは確認をしておきます。  ただ、大臣は今、多くの団体や多くの生産者の皆さんと話し合いをして決めたことなんだからということがありましたが、リンゴは二〇・二%しか入っていないのですよ、今加入率は。そうですよ。ここに、隣におるミカン屋、ミカンは一八%しか入っていない、一八%。私のところのナシでもその程度だ。果樹全体で二一・四なんだ。本当に一八%や二〇%しか入っていない。これでがばっと上がりますか。いや全体を見て、そう言いますけれども農家はもう鼻つまみなんだ。辟易をしておるのです。だから入ってこないんですよ。幾らここで立派なことを言っても永田町論理であって、あぜ道の農政になっていないのです。ここが一番問題なんです。これで飛躍的にふえますか、その点が一点。もう眞鍋さんで結構。  それから、大臣は団体や皆さんと会うということですから、きょう団体があなたに篤と会いたいと言っておるのですから、それはちゃんと会ってくださいますね。
  27. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のように、果樹共済加入率は大変低いわけでございます。これは制度がいろいろ複雑だというふうなことですが、先ほど御指摘ございましたように、農政はきめ細かくというふうなことで、我々としてもできるだけきめ細かく対応したいということで、いろいろな要望を取り入れでいろいろな仕組みをつくりました。その結果として、若干複雑になったという面があるわけでございます。しかしながら、共済組合、我々もわかりやすく解説をして、入っていただくようにというふうなことでいろいろ努力をしておるわけでございます。努力をしておるわけでございますが、現在のところなかなか、御指摘のようなそういう加入率でございます。  そこで、今回こういうふうな改善をいたしまして、ぜひ入ってもらいたい、入らないでいろいろ文句を言われるのは一番困るわけでございまして、中に入ってどこをどう直せというふうなことを言っていただきたいということでやっております。  それからもう一つは、やはり共済組合自体が、加入に大変熱心にやっていただいておる組合もございますが、一般的にどうも余り熱心ではないんではないかというふうなことがございます。そういうことも勘案しまして、今回、責任分担割合を改善する、要は共済組合、単共段階の手持ち掛金をふやすということによって、加入促進といいますか、事業活動を一生懸命やろうというふうなことにもつながるように改善をする、こういうことでございます。  それじゃ、何ぼに上がるんだ、こういうお尋ねでございますが、これは数字で申し上げるのはなかなか難しいわけでございますが、我々は一、二割は加入率が上がるんではないか、これは大胆な予想でございますが、そういうことでございます。我々といたしましては、この制度改善を生かして、共済組合と一緒になりまして、できるだけ多くの農家が入っていただくように、加入率の向上に努めていきたいと思っておるわけでございます。
  28. 田名部匡省

    田名部国務大臣 農家団体の皆さんが何か私にお会いをしたいというのは、共済の方でないようでありますが、委員会の最中以外に時間どれないものですから、まあ私がいなくてもいい、こういうことであれば、それはお許しいただければこれは別な話であります。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 共済と関係あるんですよ。リンゴの問題で、火傷病とかコドリンガ、こういうものがどんどん輸入して入ってくると、病気が蔓延して大変だ、そうすれば共済影響がある。だから、共済に関連をしてあなたに会いたいと言っておるんだから、我々が会ってくださいと言っても、一般の人はなかなか集まってこれぬのですよ。旅費を使ってあなたに会いに来るというんだから、喜んで会うべきじゃないですか。それが民主農政大臣というものです。そのくらいのことは胸襟を開いてちゃんと会ったらどうなんですか。会いなさいよ。
  30. 田名部匡省

    田名部国務大臣 今申し上げたように委員会がお許しいただければ、私は別に逃げ隠れしているわけではありませんから、いつでもお会いして結構であります。お許しいただければの話であります。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 お許しをいたしますから、柳沢筆頭理事もおりますし、みんな、佐々木さんもいますので。ぜひ会っていただいてやってもらうということでお願いをしたいと思います。適当な時間でよろしくお願いしたい。  それで、今リンゴの話が出たのですが、ニュージーランドの火傷病問題あるいはコドリンガの問題について、これはどのような状況なのだろうか。オーストラリアでは火傷病を警戒して輸入禁止とされておるというのですが、日本は入って大丈夫なのか。入ってから病気が出たということになると、全国に蔓延しますので、非常に心配するのです、本当に。そういう意味で、生産者は、共済金なんて欲しくない、火傷病が日本に入ってきたら大変だ、コドリンガが入ってきたら大変だ。しかも、臭化メチルというのはオゾン層を破壊するといって非常に問題になっておるわけですね。我が国でもこれを禁止しようかというような話がある。そういう危険なものについては非常に問題があろうということが一点。  時間がありませんから、三月の三十日と三十一日に公聴会をやって、四十九名が解禁反対、解禁賛成は十五名、一名が保留、こういう状況になっておるのですね。反対がこれだけ多いということになれば、民主農政というようなものについては十分に考えてもらわなきゃならぬじゃないかというふうに言わざるを得ないというのが現況なんです。そのためにたくさんのリンゴ業者の皆さんが来てお会いしたい、こう言っておるのですよ。だから、話を人ムースにするためにも、これらの状況を勘案して、それが有効か無効か、もしもう一遍やる必要があったら、もう一度公聴会をやり直して民意を聞いたらどうかということを言っておるわけです。いかがですか。
  32. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 ただいまお話がございましたように、リンゴは、ニュージーランドにつきましては、我が国には発生しておりませんコドリンガそれから火傷病のいわゆる汚染国になっているということは事実でございます。したがいまして、我々、ニュージーランドからリンゴを輸出したいというお話がありまして、おまえの国はそういうもので汚染されているからだめだということをずっとやってきたわけでございますが、ニュージーランド側でこの火傷病なりコドリンガについての防除、殺菌、そういう技術を開発いたしまして、当該輸出するリンゴにはそういう病害虫がつかないといいますか、おらないという状態にして輸出できるという技術を今回開発したということで、我々は今まで六年間にわたりましてそのデータなりあるいは現地調査なりをいたしまして、その技術が十分かどうかということを評価してまいったわけでございますが、今回我々といたしましては、技術的にこれは問題ないじゃないかという段階に達しましたので、利害関係者あるいは学識経験者に、そういった技術がどうであるのか、その辺について公述人の皆さん方に御意見をお伺いした、こういうことでございます。  それで、公聴会を今おっしゃいましたように三十、三十一日に開いたものでございますが、我々といたしましては、この公聴会については植物防疫法、それからその規則に基づきまして開いたものでございまして、そこには何ら瑕疵はない、適法に行われたものではないかと思っております。  それで、そのときの出席者なり実際に公述された方でございますが、六十五名の方が公述の申し込みをされております。それで、実際に意見を表明し公述をされた方は七名でございました。我々といたしましては、七名とはけしからぬじゃないか、あるいは公聴会がそんなことでは有効ではないのではないかというお話かと思いますが、その点に関しましては、五十八名の方がそもそも出席をされなかったりあるいは途中で一部退席をされるというようなことでございまして、農林省側として公述人を排除するといいますかそういうことをしたわけでもございませんし、また公述そのものを制限するというようなことはしなかったわけでございまして、これらの方々にも十分に発言の場は与えていたわけでございますので、この公聴会そのものにつきましては有効であるというふうに判断しておるわけです。  なお、公聴会における意見でございますが、ただいま先生からお話がございましたように、実際公述しなくても公述の書面は出してございますので、その公述書面を出した方と実際に公述された方、それは六十五名でございますから、六十五名のうち反対意見は四十九人ということは、先生がおっしゃったとおりでございます。そういう意味では反対意見は多いわけでございますが、我々といたしましては、皆さん方が実際に公述された意見内容、公述書として出された意見内容、それについて現在技術的な面から、その意見がどういうものであるかという内容を精査している段階でございまして、あくまでも我々は、この問題は技術的問題、技術的な観点からの検討ということでやっておるわけでございまして、その点ひとつ御理解をお願いしたい、このように思います。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 私にはよくわかりません。あなたは誠意を持って御答弁いただいておると思いますけれども、四十九対十五で、公述人は反対が圧倒的に多い。しかし、あなた方は、局長あるいは課長は技術面についてはすぐれていらっしゃるかもしれません。したがって、取捨選択して、あの公述はだめ、この公述はだめ、言うなれば、自民党がやる場合は社会党や共産党や公明党はだめ、私の言っていることが一番いいということばかりではなしに、広く民主的に、公述人はみんな届け出をして名前を書いてやるのですから、そういう実態で、しかも少しも時間制限もしていないし制約もしていないと言いますが、あの会議は十時から開く予定が夜の十時になったのですね、だんだん引っ張って、これはとても混乱してだめだということで。だから、手続は一体どういうことになっているのですか。あの公述は意味がないですか、形式でやったことにすればいいというものなんですかということを聞きたい。  それから、あなた方は三人の方には旅費を払っていますね。ほかの人には払っていませんね。これはどういうわけですか。
  34. 高橋政行

    ○高橋(政)政府委員 公聴会は第一日目は三十日に開いたわけでございまして、三十日は二時から開会をいたしまして、実際に終わったのが夜の十時でございます。我々この公聴会を開きまして、そのときにも大臣委員会で発言されたと思いますが、整々と公述人の皆さんの御意見を聞くということで我々は対応をしていたわけでございますが、一部不規則発言であるとか、あるいは議長席を取り巻いてなかなか議事の進行ができないというような状態になりまして、これが十時になってしまったということでございまして、我々自身が強いてそういうような状態にして、故意に議事をおくらせるというようなことをしたわけではございませんので、その辺は御理解を願いたいと思っております。  それから、今先生からお話がございましたように、公述人は六十五名いたわけでございますが、そのうちの三名の方は農林水産省が御依頼を申し上げた公述人でございます。この点については間違いがございません。  これは法律上どういうふうになっているかといいますと、学識経験者及び利害関係者から意見を聞くことになっておりまして、学識経験者の皆さん方は利害関係がないわけでございますので、一般的に出席が望みがたいということでございます。したがいまして、この公聴会制度が発足して以来と言っていいと思いますが、従来から学識経験者につきましては農林省の方でお願いをして公述をしていただくということでやってきておりますので、今回もその例に従ったものでございます。
  35. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたの御答弁は、農水省はこう考えている、これに沿った公述をしなさいということなんです。賛成する公述人に旅費を渡して、あなた方が考えておられるとおりの公述を三人はされておりますね。ほかの公述人、一般の生産農家なんかは反対だと言っておるのですね。それで、会議反対の方が多かったけれども、取捨選択してみるとこれは輸入解禁してもいい、こういう結論が出るのが民主的なあり方ですか。私は納得できぬ。  もう一点、過去のことは言いません。やはり公聴会を開いて、整々として皆さんからの御意見をちょうだいして、その上で自民党の皆さんも我々も一緒になって現地に行ってみて、これならいいだろう、日本農家影響はない、日本の国土にも影響はない、共済金を払わなくても済むように、また共済金を引き上げないように措置をしたい。こういうことになれば、公聴会をやったことにしてやればいいと言う。そんないびつな公聴会をやったことにして、強引なことをやって、百姓をこれ以上に痛めるというようなことは納得できません。私は、委員長も今うなずいておられますけれども、そのとおりしていただけるだろうと思いますが、力のある農林大臣はいかがですか。
  36. 田名部匡省

    田名部国務大臣 共済の目的は別でありまして、この火傷病とコドリンガのためにあるわけではないわけです。これは入ってはならぬことだからいろいろと検査をしてやるわけでありますから、その技術的な問題でいいか悪いかという公述をするわけでありますから、多数決で反対、賛成を決める場ではないわけです。  ですから、私は、粛々とやってもらいなさい、特に青森県からもたくさん農民が来るから、どういうところに反対でどういうところが問題なのかということを言う場ですから、それも、ただ、私は入るのに反対と言うだけではだめで、技術的に火傷病、コドリンガ、そうしたものは完全に防除体制ができたかできないか、ここに問題があるということを言ってもらう会でありまして、私はおったわけではないのでわかりませんが、何か議事の進行だとか、何の資格でおまえが議長をやっているかとかいうことで何時間も進まなかった。それで、夕方になったら飯を食わせないのかという話になっては、もうこれは公聴会ではないのですね。  ですから、淡々とやっていればとっくに終わっていたのを、そういう中で議長席に詰め寄ってやられたということは、私はまことに残念だと思うのです。あくまでも技術的な問題で、入ってくればどうなるとか経済的にどうだとかということでやるわけではないし、前からも議論の中で随分やりましたが、火傷病、コドリンガというのは、行ってみであったと農民人たちは言っているわけで、これはあるのです。それは、ニュージーランド全部をなくしろということですから、そんなことを言ったら、アメリカのサクランボ、アメリカは全部防除ができたかというとそんなことはできなかったわけです。  ただ、植物防疫法上、そういうことはあっても、指定した園地の中で完全に防除をできたものについてはいろいろな検査があります、最終的には私の方の港に入ってきたもので再確認、こういうことになって、あれば、だからこれは私は突っ返します。しかし、そこでなかったときにはこれは入れざるを得ないということであって、そういう議論になれば、例えば日本からも温州ミカンとか日本ナシ、二十世紀というものは輸出しているわけです。それも、日本全土を防除しなきゃ入れないということになったら、これはもう全然貿易というものは成り立たぬ。全部日本で賄ってやらなきゃならぬということになっちゃうわけです。  そこで、国際法上そういうことの取り決めをしておるということでありますから、どうぞその辺のところは、技術的な問題で御心配な項目は全部出ています、こういうことでということもわかっております。ですから、今局長が言ったように、それに基づいて本当に技術的に、質問されていることが心配ないかどうかということを今やっているわけです。いずれにしても、粛々とやっていただけなかったということはまことに私は残念だ、こう思っております。
  37. 野坂浩賢

    野坂委員 時間が尽きておりますけれども、十分ほどもらいましたので、御了承いただきたいと思うのです。  もっと簡単にやってください。大臣、私が言っておるのは、あなたは技術的なことだけをやればいいというふうにおっしゃったのですが、公述人も反対の方が多いんですよ、輸入禁止の方が。農林省から指名した人だけは農林省案に賛成なんですよ。この大勢、四十九対十五というようなそういう姿の中で強行しないで、もう一遍、極めて残念だと言われたように、そういう騒動になったら、ちゃんと弁当を持ってくるように言って、そして整々とみんな発言をしてやらなければ、今おっしゃったように、ニュージーランドを許して、今度それが済んだら、アメリカはニュージーランドがやったからといってアメリカからどっと来れば、これはやり切れぬ。  だから、ここは一つの関所ですから、その地域でも、自民党の皆さん方も含めてやはり現地に行って、そして公聴会等でいろいろな御意見が出たのを取り上げて、そして解禁なら解禁するというふうにぜひしていただきたい。そのことはお願いしますよ。そのくらいのことは手間暇かかってもやったらいいじゃないですか。一日や二日で済むことですから、ぜひお願いしたい。  こういうふうな点については、農林大臣も余り、農林省の役人さんが決めたことを覆すとみんな農林大臣が後で突き上げられる、そういうことはあってはならぬことで、ないと思いますから、そういうことはきちんと農林大臣でやはりやってもらいたい。その程度のことは、私は無理なことを言っておるつもりはありません。極めて民主的に、整々とした意見をちょうだいをして、その上で農水省が判断を明確にしてもらいたい、これが一点。  二点目は、公聴会で示された資料です。あの資料を見ると、「日本の植物防疫官による証明書による裏書」とある。これはもう大丈夫だと裏書きするのですね。大丈夫だという裏書を手形にして、また来たものを検査するのか、裏書きしたからもういいのだ、解禁して入ってくるということになるのか、その辺も明確にしておいてもらいたい。  この二点をもって終わりといたしますから、明確に、民主的にもう一遍やってもらいたい。納得のできるような措置をしてもらいたいということを、農林大臣にお願いをしたいと思います。
  38. 田名部匡省

    田名部国務大臣 公聴会は法律に基づいて手続をしたわけでありまして、お話のように、反対の人が多かった。それは、生産者はだれでも反対ということは、私は気持ちとしてはそのとおりだと思う。私だって、入れないで済むものなら入れたくないという気持ちはあります。しかし、植物防疫法上完全に防除体制ができたものを、政治的にこれをとめてはいかぬということがあるわけです。じゃ、その先はどうなっていくか、ガットに提訴されますよ。淡々としていったらこれは絶対勝てないということは私もわかります。  ですから、アメリカのリンゴが今度入るのではないかということは、防除ではなくて経済的な理由なんですね。それとこれと一緒でやられると、公聴会というのはもう成り立たなくなるわけでありますから、あくまでも公聴会というのは技術的にどうか、後は経済的にどうなるかというのは、これはまた政治家のいろいろな判断ということなんですね。ですから、反対が多かったからと言うのなら、今度は賛成の国民もみんな巻き込んで、入れた方がいいと思う人も来てくれ、こういうようなことになっては公聴会は成り立たぬと私は思うのですね。  ですから、粛々とやってもらえなかったのは残念だったとさっき申し上げたように、座って順番にやればとっくに終わったのです。そう長いことないですから、技術的なことは。しかも同じことを、火傷病、コドリンガ、この問題だけですから、そうなかったのだろう、こう思っております。しかし、法律でやったことをまたやり直しますということは、これは私はできない。もう書類も出ておりますから、中身で精査もできるわけですから、これはこれとして終わったことでありますから、ぜひそのことは認めてやらなきゃいかぬ、こう思います。
  39. 野坂浩賢

    野坂委員 これで私は終わりますけれども大臣に申し上げておきます。  冒頭に私があえて農業現状農村の嫁不足、後継者不足、そして農業から出ていく、そういう農村の実情をお互いに認識を一致して、そして自立ない、派手な議論ではない、農業というのは地味でありますが、その地味な農業をどうやって我々は守っていくか、農民生活をどう豊かにしていくかということを真剣に、しかも深刻に、十億や二十億、三十億のことについてこうやってのどをからして議論をしておるのです。そのことが大事だと思うからやっておるのです。  火傷病やコドリンガが日本にもし入ってきた、入ってこをければ幸いだけれども、入ってきたということになれば重大問題だ、そのために公聴会の一回、二回やってもいいじゃないか。あのような混乱をした中で、経済問題は別、農林大臣が言われるとおり、それで結構。だから、その科学的な、技術的なことだけを議論をしてもらう、そういうことを整々とやって、だれに言われても恥ずかしくない公聴会をやりました、そういって我々委員にも責任を持って話をしてもらいたい。やれば済むのだ、やったことにすればいいのだ、こういうようなやり方は、民主農政のあり方、国会の論議というのとは私は大きく違うと思うのですね。そのことを十分心して、農民の方にもお会いになって広く意見を聞いて、誤りのない農政を進めていただくように強く要望しておきます。これが一点。  それから、この三十億円のバランスシート問題ですけれども果樹施設園芸やてん菜糖、そういう点については敬意を表します。しかし、当然加入の米については、わずか百八円といえども総額は二十六億なんです。私は、自民党の皆さんでもこれを下げた方がいいとおっしゃる方はないと思います。従来どおり補助金は出してやれ、たった二十六億じゃないか、そのぐらいのことを言われるのが政治家としては当然だと私は思うのです。それらについても、農家負担を増大しないようにこれからも措置していくということを農林大臣がおっしゃった。そのことを信頼して、期待をして、これで私の質問を終わりたい、そういうふうに思います。ありがとうございました。
  40. 平沼赳夫

    平沼委員長 遠藤登君。
  41. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 まず、時間が余りないのでありますけれども、世界的ないわば農業、食糧の動向について簡単に、基本的な考え方についてお聞かせをいただきたい。
  42. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 世界の農業、食糧の動向でございますが、概括的に見ますと、先進国で農産物の過剰、発展途上国で不足というふうな状況でございまして、全体としますとやはり不足ぎみというふうな状況でございます。また、最近におきましては人口問題あるいは特に環境問題が取りざたされるといいますか、大変重要な問題となってきておるわけでございます。  そういうふうな状況の中で、どうやって環境、人口、食糧、こういうものをつないでいくかというふうな観点から、いろいろな国際的な場におきまして議論を行い、それぞれの国が食糧供給力を確保していくというふうなことで努力しておるという状況でございます。  我が国といたしましても、新政策方向に沿いまして、経営感覚にすぐれた意欲的な経営体を育成して農業生産を維持発展させるというふうなことで取り組んでおるところでございます。
  43. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 今おっしゃるように、農業と環境は一体的な産業である。そして、世界的な視野で見れば人口が増大している、環境が悪化をしている、食糧は大変な問題で飢餓が増大をしているというような状況の中にある。  それで、日本農業の場合は、食糧の過剰的な要素はある。それは輸入の一方的な拡大によるということが要因にある。しかしながら、環境保全をしていく、あるいは自給食糧の生産供給体制を安定的に確立するという観点から、日本の農林業はこれ以上後退してはならない、あってはならないということにあるのではないかというふうに思いますが、その点はどのように考えますか。
  44. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のように、食糧、人口問題それから環境問題、こういう中にありまして、我が国の食糧自給率は非常に低くなっておる。こういう状況の中で、何とかこの自給率低下傾向に歯どめをかけて生産をふやしていきたいというふうなことで、先ほども御答弁いたしましたが、新農政方向に沿いまして生産力を上げていきたい、こういうことで取り組んでおるわけでございます。
  45. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 そこで、大事なものは、農業は生命産業であり環境産業であり、環境と一体的なものである。環境は輸入できますか。ちょっとその一点。
  46. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 輸入とのかかわりで環境問題がいろいろ議論をされております。特に、農業と環境の関係というふうなことで、これは一般的にいろいろあるわけでございますが、農業は環境保全をするというふうな、水とか空気の浄化といいますか、そういうものに非常に役立つというプラスの面がある反面、最近の近代農業といいますか、こういうものにつきましては、特にヨーロッパの畑作を中心に、農薬の問題でございますとかあるいは土壌の劣化の問題でございますとかいろいろと、農業自体が環境を汚染する、こういうふうな問題も指摘をされておるわけでございます。  そういうことで、農業と環境につきましては、プラスの面、マイナスの面があるわけでございますが、ヨーロッパ諸国におきましては、やはり農業のあり方を見直しまして、環境と調和をした環境調和型といいますか環境保全型と申しますか、そういうふうな農業について取り組みが見られるところでございます。我が国におきましても、やはりそういう反省の上に立ちながら、環境保全型農業についての取り組みを始めたところでございます。
  47. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 また一方、輸入食糧はもう増大の一途をたどっている。輸入食糧についての安全性が心配ないと言い切れる状況じゃない。ポストハーベストの問題、残留農薬の問題、これは厚生省等の残留農薬の基準改正の問題なども提起されてきている経過があります。これは国民の生命、身体上に重大な影響があるということについて、環境問題と関連をしながら、これは国内の農薬等の汚染の問題とけた違いの問題があるというふうに私は認識しているのでありますが、時間がありませんから、その点は十分留意をして、農業がこれ以上後退しない、自給食糧を発展させていくということに力点を置いて頑張ってもらうことを強く要請しておきます。  世界の農業災害補償制度の先進的な対応がアメリカにおいてもヨーロッパにおいてもなされている状況がありますが、その農業災害補償制度の先進国の動向などについて、どのような把握をされているのかについてお聞かせをいただきたい。
  48. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 先進国の事例につきまして、必ずしも十分な調査を行っておらないわけでございますが、我々が調べました範囲で御答弁をさせていただきたいと思います。  農業は、御案内のとおり、自然条件に影響されるというふうなことで、普通、災害補償につきましては、我が国でも農業の災害補償、中小企業の災害補償あるいは一般の災害の問題、こういうことに分けてみますと、やはり自然の影響を受けるというふうなことで、特にこの農業共済制度のように所得にまで踏み込んでいろいろと国が補助をしておるというふうなものでございまして、これは洋の東西を問わず、各国においてもやはり多種多様な農業が営まれるというふうなことで、それに応じました各種の保険制度が運営されているわけでございます。  アメリカ、フランス、カナダ等についてその例があるわけでございますが、それぞれその国の重要な作物につきまして、自然災害でございますとか病虫害等による事故を対象とした保険制度、こういうものが仕組まれておるわけでございます。それぞれ一定の政府助成が行われておるわけでございます。例えば、フランスにつきましては保険料について五〇%の補助が国から出ておる。アメリカは付保割合が六五%までは三〇%、それから六五%を超える部分は補助がなしというふうなことでございまして、アメリカは三〇%、フランスは五〇%というふうなことでございます。それからカナダにつきましては連邦政府が二五%、州政府が二五%、こういうふうなことになっております。これは我々の調べました範囲で不完全なものでございますが、このような状況になっております。
  49. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 世界の農業の流れというのは、いわば環境保全をするために、しかも持続的な農業、安定的な農業をそういう観点から経営するために、この災害補償制度も、少なくとも今おっしゃるように所得まで踏み込んだ制度化、いわば家族農業あるいは有機農業。環境保全をしていくためには、大規模農業あるいは大機械化農業、大農薬、大化学肥料、そういう農業はだめだという世界の趨勢になってきている。環境は守れない、保全することができないという農業の流れになってきている。そういう意味で、この保険制度ども、安定してそういう環境保全型の農業を持続的に永続的に発展をさせるために保険制度の強化というのが、少なくとも五〇%を超える、あるいは所得にまで踏み込んだそういう制度化に向かって今進んでいるというのが、世界的な保険制度の、また農業、食糧の趨勢なのではないだろうか。  そういう観点からいえば、日本の場合はもっともっとそこに力点を置いていく必要があるのではないかというふうに思うのでありますが、今回の法改正のねらいは何なのか。先ほどから議論がされておりますが、合理化とか簡素化なんというのは、端的に言えば国庫の負担を減らすというだけの話じゃないか。合理化とか簡素化なんというようなことでごまかすのも甚だしいじゃないかという観点も持つのでありますけれども、今回の本改正のねらいは何なのか、端的にお聞かせをいただきたい。
  50. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 今回の法律改正は、六十年以降法律改正を行っておりませんで、その間、果樹でございますとか施設園芸、畑作等々について農業事情変化の中からいろいろな要望が我々のところに出てきておったわけでございます。それから平成三年に大きな災害がございまして、このときに特に果樹なんかを中心に加入率が非常に低いというふうなことで、もう少し加入促進を図るための制度改善をしてほしいという切実な声も出てまいったというふうなこと、さらには、最近の共済組合の状況から見てもう少し共済組合の活動といいますか、この事業運営の活性化を図らなければならない、そういうものを受けましていろいろと研究会もやり、関係者の御意見も伺いながら検討を重ねてまいりました。  御指摘のように、この農業共済制度というのはやはり時代農業のあり方、環境でございますとかいろいろな農業実態に応じたものに変遷をするといいますか、変わっていくということが必要であろうかと思っておるわけでございますので、そういう農業変化実態を踏まえまして、農業者の実情に合うように改正をしたいというふうなことで、その場合に、合理化すべきところは合理化をしながら全体として実態に合ったような制度に直していきたい、こういうことがねらいでございます。
  51. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 その中で、いわば超過累進方式を廃止あるいは圧縮をしたということが最大のポイントではないか。また、一面において果樹の対象枠を拡大したということについては一定の評価をするものでありますが、先ほどから問題になっておりますが、超過累進方式を廃止または圧縮をした、それは米が過剰基調であるとか減反をやっているというような背景があって廃止または圧縮をしたという、先ほどの質問に対するお答えでありますけれども、もっと端的に圧縮等の理由について改めてお聞かせをいただきたい。
  52. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 米の超過累進方式でございますが、これは被害率の高いところほど補助率を高くするという制度でございまして、米が被害を受けましても作付を続けてほしい、一定量の生産を確保したい、こういう要請のもとにできた制度でございます。そこで、この制度を続けてまいりまして所期の目的を達成し、米の自給ができてむしろ過剰に転じてきた。こういう状況の中で、昭和四十六年に制度改正をいたしましてそれの簡素合理化を行い、六十年にも一層の合理化を行ったというふうなことでございます。  現段階でこの制度を見てみますと、片方で奨励金を出して生産調整を行いながら、片方でこういう米の増産時代制度を残すということについては時代に合っておるであろうかというふうな検討をいたしました結果、それからさらに、それでは超過累進方式を改めたとしたら農家負担がどうなるかということで検討いたしましたが、水稲の災害といいますか、だんだんと被害率低下をしてきておるというふうな状況でございまして、現段階において超過累進方式を廃止しても農家負担増は、大臣からも御答弁申し上げておりますように十アール当たり百八円の増、こういうふうな状況でございますので、農家負担に耐えられる、こういう判断のもとに、今回この超過累進制を廃止するという御提案をしておるところでございます。
  53. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 私は、うがった見方ではあるのかなとも思いますが、これはだんだんに国庫負担を削減していくというところにねらいがあるのですか。国庫負担を削減していく、いわば簡素合理化というところに、この次の制度改正ではまた削減をするということにつながる、そういうことは絶対ないと言い切れますか。
  54. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 先ほど来御説明しておりますように、現在の米の生産状況、過剰であるという状況の中で、片方で生産調整ということで生産量を減らしていただくために補助金を出しておるというふうな状況の中で、さらに一定の地域といいますか、被害率の高いところにこの超過累進方式によって補助率を高くして優遇するというふうなことは、政策として現段階においていかがなものか、そういうふうなことで、むしろ米の適正な需給均衡というふうな観点から見ましても、そういうふうに合理化した方がいいのではないかというふうなこと、それから農家負担軽減、負担状況、先ほど申し上げましたようなことを総合的に勘案いたしまして提案をしておるということでございます。
  55. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 多災地帯、災害の常襲地帯、これは特に中山間なわけですね。それから、北海道とか九州方面とか東北地方、北陸地方等々の山岳地帯、災害の多い地帯、そこは耕作面積も少ない。それで、新農政では有機農業とか、いわば高冷地の特産作物をつくるとか、そういう方向づけをしておりますが、経営が零細な地帯、そしてそれに比例して所得は、中山間平均の耕作面積は田畑を合わせても三十アール、それで自主流通米、一等米をつくっても総収入は五、六十万。災害の常襲地帯、そういうところは、今中山問が集落が崩壊する状況にあって、多災な地帯であって、零細な所得構造の地帯であって、そこで安定して居住してその地域の環境も守ってもらう、農業も定住して営んでもらうというためには、逆にもっともっとこの保険制度を強化すべきじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、どうですか。
  56. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 中山間地帯の問題でございますが、中山間地帯につきましては、やはり過疎化の問題等々いろいろと問題があり、対策を講じなければならないということは御指摘のとおりでございます。  その場合に、どのように中山間地帯を振興していくかというふうに考えてみました場合に、非常に規模が零細であるというふうなことから考えますと、米のような土地利用農業でやっていくには、御指摘にもございましたが、一等米をつくってもどうかというふうなこともあるわけでございます。我々といたしましては、その中山間の立地条件、自然条件なりいろいろな条件を生かしまして、果樹でございますとかいろいろな作物、さらには御指摘もございました環境保全型農業といいますか、そういう有機農業というふうなものに取り組んでいただくということが、その地域の振興につながるというふうな考え方を持っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、今回の法律改正におきましても、果樹共済でございますとか施設園芸共済でございますとか、そういう充実すべきところは充実をしておるというふうなことでございますので、全体として私は、この中山間地域の振興に今回の法律改正は資するものだ、こういうふうに考えておるところでございます。
  57. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 ちょっと私も納得できないのでありますが、規模が零細で所得が零細で、今山村の集落が崩壊する。国土の七割を占める山、山林、しかもこの耕地面積の四割を占める中山間、そこに総合的な立場からもっともっと政策を強化しなければならないのではないか。保険制度もそれに見合って強化をしていかなければならないのではないか。しかもその他のいわば施設園芸とかいろいろな面で、保険制度を含めて一面強化されてきている。雨よけテントも加入対象に入れだというのは理解しますが、もっともっと強化をしていかなければならぬじゃないか、総合的な政策とこの保険制度の面についても後退じゃないか、私はそういう理解をするのですよ。それはあってはならないのじゃないか。  しかも、資格要件の足切りで十アール以下は資格がないよ、こういうことでしょう。特に、中山間の四割を占める耕地面積の中に、資格要件のない、保険対象にならない面積、農家群はどのくらいあるのか。それが総合的にまた農家群の中に、どのくらい農家と面積があるのか。それは中山間地帯に集中してくるのではないか。それは全体の病虫害の防止とか保険制度の運営に地域的に、組合的にもまた問題が発生してくるのではないか、こういうふうに思うのでありますが、どのような視点に立っておりますか。
  58. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 この農業共済制度につきましても、中山間対策の政策方向に沿って直していかなければならないという点につきましては、御指摘のとおりでございます。  私が先ほど来御説明しておりますのは、そういう中山間地帯の今後のあり方ということを考えた場合に、米のようなものにつきましては、土地利用農業ということで規模を大きくしてコストを引き下げてやっていかないとほかの地域に負けるわけでございますので、中山間としてはその立地条件を生かした環境保全型農業でございますとかいろいろな作物を取り入れて、高付加価値農業といいますか、そういうふうなものをやっていただくことが今後の方向であるというふうなことから、そういう農業をやるのに必要な農業共済制度というふうなことから、施設園芸でございますとか果樹共済でございますとか、そういうところの制度改善を御提案しておるというふうな状況でございまして、今提案をいたしております内容が中山間の政策方向に沿っておるというふうに御説明しておるところでございます。
  59. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 私のところも、山形でありますから、山の地帯であります。これは山村の集落の維持とか山村の環境の保全とか、そのためには山村の定住化をいかに促進するかということについては、党派を越えて真剣に心配をしている。それはこの農林委員会だってそのとおりだと思うのです。  そういう意味で、今お話を聞きますと、中山間の米づくりはやめなさいと言っていると同じではないかというふうに受けとめるのでありますが、それは方向転換しなさいということを言っているのではないか、極言すればそういうふうに受けとめるのですよ。それは三十アールという、いわば飯米を確保するような精いっぱいの状況のところが大半なのですよ。そこで保険対象の十アール以下は資格要件として外すということ、これは大変な問題だと思うのですよ。  そういう意味では、これから見直しの問題、三年後にまた見直すとかいろいろ見直しの問題が先ほどから出ておりますが、これ以上山間の環境なり農業なりあるいは定住が、この保険制度一つとってもそれが崩壊に加速をするということがあってはならないのではないか。そういう意味では十分に現地を精査をしていただいて、総合的な対策の中に、この保険制度の見直しの問題なども十分検討してもらいたいということを強く要請をさせていただきます。今見直しなさいなんて言ってみたってどうにもならないようでありますから、その点は強く要請をさせていただきます。  それから、これは新農政がようやく出発をしたということでありますから、例えば十ヘクタールから二十ヘクタール、五万戸をつくるとか、それはこれから定かでない状況の中で推進のスタートに立った。したがって、新しい政策に保険制度も誘導していくということがあるかもしれないけれども、保険の需要がまだ見えないという一面もあるのですよね。そういう面についても十分ひとつお考えをいただきたい。  それから、災害収入共済制度を導入をした。これは生産量といわば生産金額によって、その兼ね合いで共済金を支払うという制度なわけでありますけれども、導入したその主な観点というものについてお聞かせをいただきたい。
  60. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 果樹共済につきまして災害収入共済方式、こういうのをとっておるわけでございます。これは、農業共済制度は大体収量の増減によりまして判断をする、こういうふうな建前になっておるわけでございますが、果樹につきましては価格による所得の変動、こういうふうなことが大きいわけでございます。  そこで、昭和五十五年から試験実施というふうなことで、この災害収入方式というのはなかなか難しいわけでございますが、その試験実施ということで、基準生産金額の設定方法でございますとか生産金額の把握、あるいは損害認定等の損害評価方法の確立てございますとか、さらには基礎資料の整備、こういうものに努めてきて、本格実施ができるかどうかというふうなことを検討してきたわけでございます。その結果、農家収入の減少に応じた適切な補てんが可能で、かつ保険収支も比較的安定しておる、こういうふうなことになったわけでございます。それで今回、この際本格実施に踏み切ろうというふうなことにしたわけでございます。  本格実施に踏み切るということはどういう意味がといいますと、対象果樹が現在十四でございますが、新しく追加をいたしますと十五になります。それで、今までは試験実施ということで九種類、九つの樹種についてしか災害収入方式は対象になっていなかったわけでございますが、新しく追加するものも含めまして、十五全部について災害収入方式が適用になるというのが一点でございます。  二点目は、共済金の支払い開始損害割合、いわゆる足切り割合といいますか、要するに今までは三割以上被害を受けないと支払わなかったわけでございますが、今後は本格実施というふうなことで、二割以上災害を受けた場合に補てんをするというふうなことで、本格実施によりまして補償の充実を図りたい、こういうことがねらいでございます。
  61. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 時間がありませんが、それから全相殺方式により、今全国的には特に水稲の場合はカントリーとかライスセンターというのが相当増大をしてきているのであります。したがって、この損害の評価のあり方について、例えば知事の御意見を聞くなりして、大規模農家あるいはその地域を指定するというのでありますが、その指定の基準は何なのか。これから政令その他規則等で定めるということになると思いますが、損害評価のあり方を見直してもらいたい、見直すべきじゃないかという要求が前から出ております。それはカントリーなりライスセンターが全国に数多く立地をするという状況の中で提起されてきている問題でありますが、その地域指定なりあるいは個別農家の指定の基準というものをどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
  62. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 農作物共済におきます全相殺農家単位方式の実施地域、どういう基準で指定しておるのかということでございますが、これは乾燥調製施設、カントリーエレベーター等でございますが、これにおける計量結果によりまして損害評価が行える地域というふうなことで考えておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、収穫量のおおむね全量をその施設に搬入する組合員等がその地域内の組合員等のおおむね七〇%以上、そこにいます生産者の大ざっぱに申し上げますと七割以上がその施設を使っているということ、または乾燥調製施設を利用する組合員等の引受面積の合計がその地域内の引受面積のおおむね八割以上というふうなことで、これは面積で八割というふうに、どちらかの要件を満たしておるかということでございます。  さらに、乾燥調製施設を利用する組合員等がおおむね百戸以上であるかまたはその地域内の引受面積がおおむね百ヘクタール以上であること、こ、ういう二つの指定基準、この二つを満たした場合に指定をするというふうに決めておるわけでございます。  それで、これを緩和できないか、こういう御指摘でございますが、この基準のうち、その乾燥調製施設への搬入率につきましては、指定地域内におきます損害評価を乾燥調製施設の計量結果によって適正に行おう、こういう考え方に基づくわけでございますので、この率、七割とか八割とか、こういうものにつきましては、緩和するのは難しいのではないかというふうに考えております。  なお、指定地域の規模の要件、先ほど申し上げました百戸でございますとか百ヘクタール、こういうことにつきましては、カントリーエレベーターの処理能力等からこういうものを決めておるわけでございます。これにつきましては、こういうカントリーエレベーターよりも処理能力の小さいライスセンター、こういうふうなものもございますので、そういう点につきましては、今後検討をさせていただきたいと思うわけでございます。
  63. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 今おっしゃったようないわば指定基準というか、それはもっと緩和をするということが強く求められているのではないか。それは相当な声として提起されている状況があると思いますから、地域の実情に立って、損害評価のあり方について、実質減収あるいはこの共済の対象ということにつながるというふうに思いますが、この簡略化あるいは実態に沿う制度の改善に向けて、その緩和に御配慮を強く求めたいというふうに思います。  それから、果樹共済の関係でありますが、対象枠を拡大をした、そして収入共済を導入、拡大をするということについては一定の評価をいたしますが、これは地域共済制度の導入ということが強く求められていると思うのであります。例えば、山形の場合で恐縮でありますが申し上げますと、全国一の生産を誇る洋ナシ、ラ・フランス、これは対象外になる。ナシは対象で、ナシの中に洋ナシは入っているのですか。なぜ入れられないのですか。
  64. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 山形県の西洋ナシにつきまして共済の対象にしてほしいというふうな農家からの強い要望があるということは、私どもも承知をしておるわけでございます。  栽培面積は、西洋ナシにつきましては平成二年産で約千ヘクタールということでございますが、一部の県に偏っておるというふうなことで、農家経営に占めます重要度といいますか、農家にとってどれぐらい重要かという観点から見ますと、どれくらいの方が入ってくれるのだろうかということ。あるいは一部の県の方だけ入るということになりますと、災害が起こった場合に、危険分散といいまして、どこかが災害を受ければどこかが助かっているところということでお互いに危険分散をするというのが保険でございますので、そういう保険設計ができるかどうかということで、現在のところどうもまだそういう一部の県に偏っておるということで、全国的な危険分散が難しいのではないかというふうなことでございます。  さらには、自家用ではない、販売を目的とする栽培が開始されましてからまだ日が浅いということで、農業共済制度というのは保険制度でございますので、過去の被害率とかいろいろな基礎データを収集してないと保険が仕組めない、こういうふうなことがございまして、品種なり栽培方法ごとの被害の発生態様というふうな基礎的な資料がまだ整っておらない、こういう状況がございます。  それからさらに、技術的な問題といたしまして、西洋ナシにつきましては収穫後に追熱貯蔵を要する果実であるということで、そういうときの共済責任を含めるかどうか、こういうふうな問題もあるわけでございます。そういうところは除いて共済責任をつくればいいじゃないか、こういう御指摘もあろうかと思いますが、除いた場合の保険需要がどうなるかということもございまして、今回の制度改正におきましては、データが不足をしておる、あるいはそういう追熟貯蔵の期間を含めるかどうかという技術的な問題、さらには保険需要がどうかというふうなことを総合的に勘案しまして、今回の制度改正では品目追加ができない、こういうふうな判断に至ったわけでございます。  いずれにしましても、御指摘のとおり、山形県あるいはほかの県におきましても重要な果実でございますので、我々といたしましてはそういうデータをそろえるよう努力をしながら、保険需要といい。ますか、農家の方々の要望、保険に入っていただけるかどうかというふうなことも十分に見きわめまして、引き続きこの実施について検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
  65. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 果樹共済が非常に加入率が低い。これは、当然加入と任意加入分野におきましても、一定程度の無事戻し、いわば積立金をもっともっと強化をする。そして、大体掛け捨てじゃないか、そんな保険がどこにありますかと言われるのですよ。それは、もっともっと積立制度を強化をするとか、そのためにはまた掛金も高くなるということがありますが、無事戻し制度というものがあるわけですから、その点の政策的な強化というものをもっともっと強めていくという制度の改善が必要じゃないか。  それから、ラ・フランスの場合でありますが、先ほどから話がありますように、ラ・フランス、洋ナシの原産地はフランスなんです。フランスの原産地が火傷病によって全滅をした。苗木を山形県から原産地に送っている。火傷病で全滅をした、それぐらい恐ろしい細菌なのであります。したがって、リンゴ生産者の代表とも大臣が会うということでありますから、私はこれで質問を終わりますが、そういうリンゴの火傷病、恐ろしい病気、これは一たん入ったら落葉果樹全体に波及する問題なのであります。十分御留意をいただきたいということを要請して、終わります。
  66. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後四時二十二分開議
  67. 平沼赳夫

    平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐々木秀典君。
  68. 佐々木秀典

    佐々木委員 きょうは、本会議が大変長引きまして、予定の時間から大幅におくれております。皆さん大変お疲れだろうと思いますし、それからまた、午前中の審議で同僚議員から非常に的を射たかなり厳しい質問がございまして、問題点は浮かび上がっていると思いますので、なるべく重複は避けて時間を節約したい、こんなふうに思いますので、お答えいただく方も、大臣局長審議官、できるだけ端的にお答えいただきたいと思います。概要については私ども大体了解しておるわけですから、その辺で御協力をお願いしたいと思います。  そこで、今回の改正共済掛金の国庫負担が見直されることになった、ここが一番大きな問題であるわけです。そして、こうしなければならなかった事情についてはいろいろな御説明がございました。ございましたけれども、要は、やはり今の国の厳しい財政状況を反映しての大蔵からの要請が一つの大きな要因になっているということは否めない事実だろうと思うのですね。局長のお話あるいは大臣の提案理由の説明などでは、事情が大分変わってきているということにあわせ、またその他の改正点との絡み、あるいは新農政の目指す方向との絡みなどもあるのだというお話もあるけれども、しかし、やはり主たる要因としては、財政的な問題で受益者というか農家負担をふやさざるを得なかった。それだけ国の方の負担を軽くするのだ、同じパイの中での割り振りというものが国から受益者の方に変わる、組合員の方に変わることになったということは否めない事実だと思うのです。  そこで、私どもとしては、そういうことについて、何とか負担軽減できないものだろうかという組合員の皆さんからの御要望も申し上げ、場合によったら、従来どおりのということで、修正案の提案もいろいろと考えたわけです。しかし、これは予算上の問題、そして法律事項であるということから、運用ではやりくりできないというようなこともあって、予定されているこの法案については、この段階での修正は非常に難しいというお話がありました。そういうことで、私どもとしても今回のこの修正というのはやむを得ないものだとは考えながら、しかし、これによる農家負担ということの重み、痛みを考えざるを得ないわけです。  それについて、けさほど同僚の野坂議員から、非常に問題の正鵠を得た御指摘がありました。正直申しまして、私の地元の農家皆さんからもこの点何とかならないのかという御要請がたくさん来ているわけでありまして、それにおこたえできないのは私どもとしても本当に断腸の思いがいたします。  そこで、この見直しによって、特に農作物共済、水稲、麦、畑作、これのそれぞれの掛金増がどのぐらいになるのかという見通し、これは明年、料率の改定ということもあるようですけれども、その辺の見通しについて、現在把握されておるところあるいは予測されておるところの数字で、できればお示しをいただきたいと思います。
  69. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 今回の国庫負担の見直しによりましてどれぐらい負担増加するかということでございますが、我々の試算を申し上げますと、全国平均の十アール当たりの農家負担の増加額、これは水稲で百八円、それから麦で三百八円、畑作物で見ますとてん菜が百四円、こういうふうな増加になるわけでございます。  しかしながら、御指摘もございましたように、水稲などにつきましては平成六年に料率改定が予定をされておるわけでございます。これは過去二十年間をとりまして料率を見直すわけでございますが、今般の料率改定を見ますと、過去に被害の高かった時期の被害率が落ちて、新しく被害率の低いところが算定の基礎に加わるということもございまして、数字はちょっと申し上げられないのですが、全般的に料率は下がる、こういうふうな見通してございます。  そういうことでございますので、今回の負担の増がこの料率の見直しによりまして緩和されるということでございます。
  70. 佐々木秀典

    佐々木委員 料率の見直しによって負担は軽減されるのじゃないかというお話です。  今具体的な数字は出なかったのですが、ただ心配なことは、二十年間スパンでとると言うのですが、例えて申し上げますと、私は北海道の旭川市、俗に上川百万石と言われる米どころなのです。この地域では、昭和五十八年、雪害による大被害がありまして、そのとき相当な共済支払いがあったのですけれども、それ以後は比較的好天にも恵まれて順調だったわけです。それからまた、技術の改良とか土地改良もありましたし、さまざまな御努力などもあって、少なくともお米については豊作と言ってもいいぐらいの状況が八年間にわたって続きました。  しかし、昨年、平成四年度は、春先から夏、それから秋の収穫期にかけて天候が非常に不安定でありまして、その都度米づくり農家皆さんは大変な御努力をされ、苦労もされたわけですが、その結果として、やはり冷害の影響がもろにあらわれました。前年に比べますと大幅に落ち込んだわけです。しかし、これも先ほど言いました皆さんの御努力などによって、恐らくこれが二十年ぐらい前だったら大凶作だったろうと言われているのが、何とか作況で八〇%の上の方から九〇%、下の方ですけれども九〇%ちょっとのところまで何とかとれた。これはまさに天候ではなくて皆さんの御努力のせいなんですけれども、天候の方は本当にひどかった。しかし、その前八年に比べまして去年は作柄が落ちたわけですから、それだけ共済の対象も出たわけであります。  具体的な数字で申し上げますと、これは北海道全般悪かったのですが、特に上川地方は悪かった。米で言いますと、全道の被害が二百四十二億なのですね。そのうち共済の支払いが百五十七億ということになっております。これは前年の支払い額が四十二億ですから、どんなに大きかったかということがおわかりいただけるかと思うのですね。それから、麦についても、共済支払いが七十一億で、平成三年度は三十二億ですから、これも倍以上になっています。それから、畑作についても、平成三年度二十一億の共済支払いだったのが、平成四年度は四十三億で、これも倍以上になっているのですね。  こういうように大変大きく共済支払いがあったわけですが、明年度、平成六年に料率改定の場合には、昨年の実績というものも当然算定の基準に入って、それで料率の改定というのが行われるだろうと思うのですね。被害が大きければその分だけ掛金が多くなるという建前になっておるわけですから、この点で局長は、料率改定で負担がそんなに多くならない、あるいは軽減の方向になるのじゃないかと言うけれども、北海道の場合は昨年の冷害状況を考えますとそうではない。そして、今度の国庫負担が減るということとの絡みで、先ほど言われたような農家負担、反当たりの負担増という、金額が出ましたけれども、これを上回るようなことになるのじゃないかということが私は心配になるのですけれども、この辺どうなんでしょう。
  71. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 全国の数字について先ほど申し上げましたが、全国平均で現行料率に比べて下がるであろう、こういう見通してございますが、さらに具体的に北海道の上川地区という御指摘がございましたので、ちょっと我々なりに試算をしてみました。なかなか難しいので、概算といいますか推算でございますが、平成四年は御指摘のとおり被害が高かったということはございますが、過去の昭和四十五年から四十七年、特に昭和四十六の被害が大変大きかったというふうなことでございますので、我々の試算によりますと、上川地区においても料率自体は下がるというふうな試算になっております。
  72. 佐々木秀典

    佐々木委員 そうすると、具体的にもうちょっとお尋ねしますけれども、先ほどのお話で、米の場合には反当で、十アール当たりで百八円ということでしたね。百八円、そうですね。これは平成六年の料率改定で、例えば上川地区で言って、これは下がりますか、上がりますか、どうです。
  73. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 上川ではそういう金目の試算はちょっとしておりませんので、今料率自体が上がるだろうか、下がるだろうか、こういうことで試算をしてみると、国庫負担の見直しによって上がって、それから料率の見直しが下がるというふうなことで、ある程度相殺されるであろう、こういうことでございますが、北海道全体については、ちょっと試算をしておりますが、国庫負担の上がりと、それから料率改定に伴う減をあれしますと、余り上がらないというふうな、全体として負担がふえないというふうな結果が出ております。
  74. 佐々木秀典

    佐々木委員 ということは、現状維持ぐらいということですか。
  75. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 そういうことでございます。北海道全体でございますよ、水稲。
  76. 佐々木秀典

    佐々木委員 いずれこれははっきりしますね。いずれはっきりしたら、数字を教えてください。
  77. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 はい、わかりました。
  78. 佐々木秀典

    佐々木委員 一応その程度できょうのところは了解というか、お伺いをしておきます。  いずれにしても、これは大した大きな負担ではないじゃないかというお話があるのだけれども、そしていろいろな点での改善、改正の方とのバランスから考えるとこの負担はそう耐えがたいものではないというお話もあったのだけれども、しかし、御案内のように稲作農家というのは大変苦労している。ほかの農家もそうですよ。酪農、畜産なんかだって北海道は大変なんですけれども、米価にしても、だから、毎年毎年皆さんが何とか本体価格を上げてもらいたい、要求している。けれども、これが上がらない。よくて据え置きという状況が続いてきたわけですね。今やお米の値段は昭和五十三年度並みだというようなことになっていて、米づくりをやっていても収入が上がらない、先行きの見通しが立たない、そういうことから後継者もいないということで、大変な悩みが吐露されておるわけです。  いずれこれらの問題については、来週からいよいよいわゆる農業三法の審議も始まりますし、昨年の六月に農水省が出されたいわゆる新政策、これと絡んだ議論もなされますので、日本の将来を見据えた農業像をどうつくっていくかという議論がこれから積極的に展開されることになると思いますし、その中でまた議論を深めていきたいと思いますけれども、何にしても農家皆さんというのは、今のところ大変割に合わない、苦労はいとわないけれども、その苦労に見合うようなメリットが欲しいんだということを強く言われておるわけですね。  そういう中でありますから、先ほども野坂議員が言われたように、一円、二円の問題というのが入るのと出るのでは、非常にシビアに受けとめられているんですね。ですから、ここで、お話しのように今度の改定によって掛金の負担増がたとえ一般的にはわずかだと思われるようなものであっても、当事者にとってみれば非常に重くそれが響いている、受けとめられるという、この痛みを私たちとしては十分に考えていかなければならなかろう、こう思うのですね。今度は、もうこの法案はきょう成立するでしょうけれども、やはりこういうものを含めて見直すときには大胆に見直すということにならなければいけないんだろうと思うのですね。  それと、もう一つは、苦情として申し上げておきますけれども、この法律の今度の改正の手続といいますか、ここに至る経過といいますか、やはり問題があったのではなかろうかと思うのですよ。いろいろ御説明はありましたけれども冒頭申しましたように、また野坂議員からも指摘があったように、一つには国の財政負担の問題というのが大きな大きな問題になっていて、これは農林水産省の方から積極的に持ち出したとは僕は思わないけれども、しかし、大蔵の言うことにこちらとしても、ほかのいろいろな要素があるからでしょうけれども、これに屈服せざるを得なかったというようなことがあったのではなかろうかと思うわけですね。  けれども、それだったらそういう実情を、この法案審議をするのは私たち会議員なわけだし、国会の場なんだから、もっと率直に早い段階でお話しいただいて、こういうことなんだけれどもどうしたものだろうというような御相談が、それは自民党さんだけではなくて私たち社会党を初めとする野党にもあれば、こういう問題はかねてから超党派でやろうやと言ってきているんだから、私どもだって役に立たないことないんですよ。それを、もう決めてある、あるいは共済団体の御了解を得ているということで持ってこられて、もう決まりました、何とか通してくださいと言われるだけでは、我々国会議員としては不満がありますよ、これは。ある意味では委員会軽視だし、国会議員軽視だということになる。国会軽視だということにならざるを得ないと私は思う。  予算の問題が絡むといっても、これも野坂議員御指摘のように補正予算を組むという問題だってある。現に、この間から国の方では、とにかく今景気が悪いんだ、この景気回復のために本年度の本予算を早く通してもらいたいというので、私どもとしても、随分久しぶりのことだったそうだけれども予算が年度内に通ったわけでしょう。通ったのに、今度すぐまた補正予算をつくるというのでしょう。だったら、本当はこの補正予算の中にこの問題だって入れておかしくないのだ、こういう苦情を言っておきますよ。こういうことのないように、これから気をつけてもらいたいと思います。もしもこういうような場合には、私どもとしても相当毅然たる態度をとらなければならないと思っていますので、これはひとつ注文をつけておきます。  次に移りますけれども、いわゆる無事戻しという制度がありますね。これは聞きますと、大変一時期は無事戻しが大きかった。つまり、これは保険みたいなもので、災害がなかった場合に掛金がだんだん積み立てられていく、そこで、例えば保険の掛け捨ての場合なんかに払い戻しというかそういうことがある、それに倣ったものだと思うのですけれども、無事戻しという制度がある。これが、最近どうも余り払われなくなってきているというような話も聞くのですけれども、この実情はどうなっておるのか、それから、今後のこの無事戻しの実施についての見通したとかあるいは指導などについてどんなふうに考えておられるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  79. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 無事戻してございますが、特に委員、北海道のことを御指摘だと思いますので、北海道にちょっと例をとりまして振り返ってみたいと思います。  北海道の水稲でございますが、北海道の水稲については、六十二年に六十五億三千九百万というふうな相当大きな金額の無事戻しをしておるというふうなことでございます。それから、同じ六十二年に、麦につきましても十四億四千六百万というふうに大変大きな金額の無事戻しをしたというふうな状況でございます。米につきましては、その後、六十三年が七億、元年が三億四千九百万、平成二年に二十億、それから平成三年に十三億というふうに、もちろん災害がありますと無事戻しはないわけでございますので、そういうことなのでございますが、年によって振れておる、それから畑作につきましても振れておる、こういう状況でございます。  北海道につきましては、我々の定めておりますのは、農家が払いました掛金の大体二分の一の範囲内で定めて無事戻しをしてよろしい、こういうふうなことになっておるわけでございます。北海道は六十三年までは、そのように過去三年間の農家負担共済掛金の合計額の二分の一の範囲内で、過去二年間にもらった無事戻しの額、あるいは共済金をもらったかもらわないかということをあれしてやっておったわけでございますが、六十二年に大変多くの金を払った、無事戻しをしてしまったというふうなことで、積立金がだんだん減ってきたというふうなこと等々もございまして、平成元年から北海道の組合が一斉に定款改正をして、三分の一の範囲内で返します、こういうふうに直したようでございます。いずれにいたしましても、そういう積立金の範囲内で返していくということなのでございますが、北海道につきましては若干、六十二年が少し戻し過ぎて基金が少なくなったというふうなこともございます。  いずれにいたしましても、無事戻してございますので、積立金によって共済金が払えないようになっては困るわけでございまして、あくまでもそこを確保しながらできるだけ無事戻しできるときにはやるというふうなことで、安定的にやっていくということが必要でございます。そういうことでございますので、大体北海道におきましても、こういうふうなことで計算をしまして、無事戻しを受けられるという人については、三分の一の範囲で無事戻しが行われておるというふうな状況でございます。やはり全体の金額から見ますとそういうふうに振れておりますけれども、個々人をとってみますと、無事戻しをしてもらえる人は、金額は少し減りましたが、ちゃんと無事戻しは受けておる、こういうふうなことでございます。  いずれにいたしましても、今後は、やはりこういうふうなことで余り振れたりあれするということは適当でございませんので、安定的にちゃんと無事戻しが行われますように、我々としても十分指導をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  80. 佐々木秀典

    佐々木委員 いずれにしても、無事戻しには無事戻しの財源が必要なわけで、金がなければ戻すこともできないわけですし、言葉のように無事である場合に戻すわけだから、無事な状態が、何もない状態が長く続かないと、これは積み立てにならないわけですね。  そうはいっても、農業というのはお天気次第ですから、お天気によってはどういうことになるかわからないし、また、異常な災害が発生した場合にはこれはやむを得ないということがあるわけですね。しかし、そうでないような場合には、一般的な被害といいますか、そういうことがないようにするためには、いろいろな指導の面でもお骨折りをいただいて、品種の改良の面だとか技術指導の面でも行政としてもやることがある、そういうことによって事故の発生を防ぎ、被害の発生なり率を抑えて、そして、できるだけこの無事戻しの財源もつくっていきながら無事戻しを実施するというようになっていくのが望ましいことだろうとは思うのですね。  何にしても事故がないのが一番いいわけですからね。そういう点でいろいろな指導方をぜひお願いしたいと思うのと、それから、積み立てがあっても、それが例のバブル時代にいろいろ問題になったように、ほかに資金流用されるなんということになっては困るわけで、この点についてはひとつ十分に督励、監督まではいかないかもしれないけれども、指導していただかないといかぬでしょうね。共済組合あるいは連合会にしても気をつけてはいると思うのですけれども、そういう点の指導方もひとつお願いしておきたいと思います。  それから、確かに今度のこの法改正てはよい面もたくさんある。これは私どもとしても否定いたしません。改善点は評価するわけですが、しかし、これがやはり生かされていかなければいけないと思うのですね。  これもきのう来の議論の中で話題にもなっているわけですけれども、何といってもこれは、一つは新政策との絡みというものが切り離せないものだろうと思うのです。この新農政の中でも、特に中山間地域をどうするかということが大変問題になってまいります。もともと共済というのは、御説明がありましたように、ただ単に適地適産というようないわゆる生産対策的な観点ということではなくて、むしろ災害対策としての観点というのが非常に基本的なものだろう。それからまた、営農の安定のための観点というのを基本に据えなければいけないだろうと思うわけですね。また、農業の果たす役割というのが、かねてから言われているように、そしてまた特に最近強調されているように、ただ単に農作物をつくり提供するというだけではなくて、国土だとか環境あるいは地域の保全ということに大変に大きな役割を果たしているのだということが言われている。  それとの関係で、中山間地の見直しというか、中山間地が荒れて人がいなくなってしまってはそうした国土保全の機能というものも非常に危ないものになってくる、そういうこととの関係でこの中山間地の農業というものもやはり大変大事なんだという位置づけがあるわけですね。これに役立たせるために、今度のこの法改正というのは、どういうように活用していけるのか、どんなメリットが生まれてくるのか、この辺はどう考えておられてどういうように活用していこうとなさっておるのか。これは大臣からまずお聞きしましょうか。
  81. 田名部匡省

    田名部国務大臣 望ましい経営体の育成、こうしたことの新政策絡みの展開方向を勘案しながらいろいろと改善したつもりでありますが、具体的には、集団営農促進に資するために生産組織単位で共済関係が成立する、こういう方式を導入した、あるいは土地利用型の規模拡大、この大規模経営体に対する有利な補償方式を適用したということでございます。  中山間地についてもお触れになりましたが、畜産、野菜、花卉、果樹、こういう立地条件を生かした農業を振興していかなければならぬ、こう思っております。水田の場合ですと十アール以下、どの程度やっておるかというのは問題でありまして、むしろ十アール以下のところというものはどのぐらいあるか、場所にもよるでしょうけれども、十アール以上あればこれは問題ないわけですから、むしろ十アール程度の人は今申し上げたような有利な方向に私どもは誘導していきたいということを考えておるわけであります。  いずれにしても、中山間地の農家がもっともっと安定した収入を得られる、実態は今でもこれだけでは生活できておりませんから、農業だけではなくて林業にも、いろいろなところで所得を上げて生活をしているわけですから、それをもっとよくしたいということを私どもは考えているわけでありまして、この共済制度によって中山間地がよくなるということではなくて、中山間地は中山間地対策でやはりよくしていくことを考えていかなければならぬというふうに考えております。
  82. 佐々木秀典

    佐々木委員 もちろん中山間地対策というのは共済でということじゃないので、これはあくまでも副次的なというか、もっと対策としては基本的なものがなければならない。これが今度の新たないわゆる中山間新法ですね、これの中にも出されておるということになっておりますので、これはまた来週からの議論でじっくり深めていきたいと思うのだけれども、それにしても、この農業災害の共済制度というものもそのための一助としての役割を果たすべきものだろうと思うのですね。そういう点での運用の妙をぜひ発揮できるように、ひとつお願いしたいと思っております。  今大臣から十アールという単位のお話が出ました。この問題をあわせてここで聞いておきたいと思いますけれども、今度の改正でいわゆる共済組合員の資格が十アールということを目安にして変わってくることになりましたね。十アール、つまり一反歩、それだけの耕地を持っていない農家の人は個人としては今度はこの共済組合には入れない、そういう人たち生産組織をつくって組織として組合員になるべきだ、こういうお話がありましたけれども、けさほどのお話を伺いますと、この対象になる農家戸数というのは結構多かったですね。こういう人たちは、今まで入っていたのに今度は入れないということになると、これはまた大変な問題になるので、この生産組織単位での加入をどういうようにしていくか。この促進対策と、こうした小規模の農家の方々にも組合員になってこの共済の恩恵を受けるような、メリットを受けるような立場を確保するための方策というのは、これはなかなか言うはやすいけれども大変じゃないかと思うのですね。この方策あるいは促進対策をどういうふうに考えておられるのか、これをお聞かせいただきます。
  83. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 十アールに達しない人が組合員資格を失うということでございますが、これにつきましては、十アール未満でございましても、組合の場合には、園芸施設共済加入をしておる、組合員資格を持っている人は、田畑が合計で十アールに満たなくても組合員資格がございますので、共済に、組合員にとどまれる、こういうことでございます。さらには、今御指摘生産組織、こういうものに入っていただきますと共済加入ができるということでございます。具体的なあれにつきましては今後のことでございますが、こういう方々が生産組織に入っていただくように、我々としてもこういう道がありますよということの周知徹底を図っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  84. 佐々木秀典

    佐々木委員 これも先ほど遠藤委員から大変心配をした質問があって、小さい農家の切り捨てになるようなことではいかぬというお話がありました。一つは、やはり何といっても誤解を招きがちなのは、今度の新政策の中では規模拡大ということを盛んに打ち出されているものだから、そういう政策の中で小さな農家は落とされていくんじゃないだろうかという心配だとか誤解もあると思うのですよね。そこへもってきてこれですからね。だから、そうじゃないんだというこの手だてをきちんとしないと、ますます不信感を持たれることになると思いますので、この点はひとつ加入促進方、あるいは生産組織のあるところはいいけれども、入っていけばいいのだけれども、ないところもあると思いますので、この組織化などについてはかなり工夫が必要だと思いますし、行政的な助力というものも必要だと思いますので、積極的にやっていただくように、これもまたお願いをしておきたいと思います。  それから、地域農業共済の導入ということが盛んに言われております。御承知だろうと思いますけれども、これは対象としてどういうものを考えておられて、どういうようにつくっていかれようとしておるのか、この辺についてお話をいただきます。
  85. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 現在、農業災害補償制度の対象品目につきましては拡充をされてきておりまして、全国的に相当程度の生産が行われているもの、これは大体野菜とか花を除きまして対象になっておるわけでございます。したがいまして、地域農業共済の対象になり得るのは生産規模の小さい地域特産物であるというふうに考えられるわけでございます。具体的に我々の方にちょっと聞こえておりますのは、ソバとかラッキョウでございますとか花、コンニャク、そういうものの要望が出されておることは承知をしておるわけでございます。  この地域農業共済につきましてはなぜ実施しないんだ、こういうことでございますが、これにつきましてはなかなか難しい問題もございます。解決をしなければならない問題もございます。これは非常に地域的に限られておる作物というふうなことで、保険の設計上危険分散が非常に難しいということで、どうやって危険分散を図るかというふうなことでございます。それが一点でございます。  それから二点目は、これは保険設計でございますので、過去何年間かのデータが要るわけでございます。そういう作物についてその被害の態様なり発生状況なりを示すようなデータがまだそろってない、こういうふうな問題が二点目でございます。  それからさらに、こういう地域農業共済ということでございますので、地方の共済というふうなことで、県なり、今のところ我々のやっております農業災害補償の共済は国と農業者ということになっておるわけでございまして、この地域共済ということになりますと、地方公共団体がいろいろ負担をするかどうか、こういう問題もあるわけでございます。さらには、それを全国ベースでどうやって再保険なりそういうものに掛けていくかというふうな問題がございまして、直ちにこれは今回実施するというわけにはいかないわけでございますが、委員指摘のとおり、これらの中山間地域とも関連しまして、こういう作物につきましては中山間とも関連をしてくるというふうなことでございますので、我々といたしましては、さらにこういう点について検討を深めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  86. 佐々木秀典

    佐々木委員 かねてから我が国の行政、特にその中でも農政というのは非常に画一的だということが言われてきたわけですね。非常に縦長の日本列島、北から南までの間にはそれぞれの地域の特性が非常に異なっている。その地域の実情に見合った農政というものをつくっていく必要があるのではないかということが強調され、そしてそういうような意見を集約いたしまして、実は我が党でもいわゆる農業三法の中の一つとして地域農業振興法、これを議員立法としてつくって既に提案をいたしまして、本日もこの後、辻部会長から趣旨説明が行われる予定になっておりますけれども農業共済においても、この観点というのはやはり生かされていくべきであろうと私は考えるわけです。  そこで、地域農業共済の導入ということをお考えになっておられるとすれば、今も一般的なお話がありましたけれども、なお各地の地域の実情というものを十分掌握して、その地域の実情に見合い、農家の人々、農作者に喜ばれるような農業共済制度というものをつくっていかなければ、私は魂の入ったものにならないだろうと思っておりますので、この点については今後もひとつお互いに研究し合って追求をしていきたいものだということを申し上げておきたいと思います。  そこで、もう一つの問題ですが、家畜共済に絡んで、平成元年の十一月に農業災害補償制度研究会の報告が出されておりますけれども、その中で、制度の改善の基本方向として何項目か挙げられておる中で、この家畜共済の対象家畜として乳牛の子牛及び胎児を追加すること、及び園芸施設共済の対象施設に一部被覆施設を追加することが適当だ、こういう意見があるわけですね。  今の後段の園芸施設共済の対象施設に、この一部被覆施設、つまり屋根だけのもの、これも対象にするということは今度の改正の中で入りましたね。対象に追加された。ところが、この前段の乳牛の子牛と胎児の追加、これについては御提言があるにもかかわらず今度は入っておらない。これはどうしてですか。
  87. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のとおり、乳牛の子牛及び胎児の共済目的への追加につきましては、子牛の販売収入が酪農経営の副産物収入として重要な地位を占めつつあるというふうなこと、さらには肥育専業農家の経営の安定が求められている、こういう認識のもとに実施に向けて検討してきたわけでございます。  しかしながら、最近、牛肉の自由化などによりまして乳牛の子牛価格が非常に下がって低迷をしておるというふうなこと、さらには乳用牛の被害率が大変高くなってきておるというふうなことで、酪農の経営をめぐる状況が大きく変化をしておるというふうなことで、こういう状況の中で農家の保険需要が小さくなってきておるというふうな実態一つございます。さらには、乳牛の子牛は雄と雌によりまして価格が非常に違う、こういうふうなことで、胎児の段階で値段をどういうふうに評価をするか、こういう技術的な問題もございます。  そういうふうな技術的な問題と、先ほど申し上げましたような問題を総合的に勘案をしました結果、今しばらくこの状況を見守って、状況を見きわめて判断をしたいというふうなことで、今回は見送るというふうにしたわけでございますが、さらに検討を続けていきたいと思っておるわけでございます。
  88. 佐々木秀典

    佐々木委員 局長指摘のように、何といってもこの酪農、畜産の関係では牛肉の自由化以来、影響が余りにも大き過ぎて、皆さん大変に御苦労されておるのですね。それで、乳牛が死亡したり、それから廃牛になったりというような事故が非常に高くなっているというのは、まさに今局長指摘のような自由化の影響が非常に強いのですね。  俗に風が吹けばおけ屋がもうかるなんていうことわざがありますけれども、実際に酪農、畜産の場合、家畜の場合にはそうなんですね、この影響が。つまり、自由化の影響で枝肉の価格だとか個体の価格が暴落しちゃった。この間の委員会の質問でも私ちょっと指摘したのですけれども、乳牛の雌の子ですね、これはこの間、北海道の方にお伺いしたら、この間、一頭三千円で売っちゃったと言うのですからね。三千円といったら北海道だって、場合によったらシャケより安いわけですよ。実際にそんななのですから、本当に僕ら篤いちゃった。普通の人が考えたら、シャケと、曲がりなりにも子牛一頭ですからね、どっちが高いんだといったら子牛の方と思う。ところが、実情は違うのですよ。そこまで深刻な影響が出ているわけですね。  だから、そうなってくると、どうしても牛乳をたくさん搾るということに、そしてまた、良質の牛乳を搾るうということで、ウエートがかかって、乳量をふやして何とか収入を得たい、こうなるものだから、そうすると、この牛に無理がかかってくる。どうしても牛の方ももうたくさんだと言うわけにはいかないから、ぎゅうぎゅう搾られて、体も壊す。それで廃用牛にもなったり、死亡率が高まる、こういうことになっていくのでしょうね。  加えて、例の政府の方針に従って、北海道の場合には特に規模拡大しましたから、多頭化したわけですね。たくさん、たくさんの乳牛を飼うようになった。そうすると、これもまた人手不足が深刻なわけです。そこで、管理の上でもどうしても行き届かないということもあってこういう乳牛の事故というものがふえてきたというわけで、この関係というのは、風が吹いておけ屋がもうかるというのは、なかなか理があって理がないようなものだけれども、これは自由化の影響というのがもろにあらわれている、因果関係がはっきりしているということが言えるので、政府の責任は重い。それだけに今度の改正でも今の乳牛の子牛だとか胎児を追加してもらいたいという要望が非常に強かったし、それから研究会でも一つ意見としてはっきり出ていたにもかかわらず、それが加わらなかったというのは、私は大変残念だったと思うのですね。  これは、今局長おっしゃるように、胎児の価格の算定の難しさなどということはあることはわかります。あることはわかるけれども、ある程度の基準を設けるということはできないではないはずなんだから、これはやはりそうした保険需要が多いわけですから、早急に見直してこれを追加していただくようにしていただかなければならないと私は思って、これは宿題として注文をしておきたいと思っております。  あわせて、先ほどは遠藤議員の方から果樹としての西洋ナシの追加などについてもお話を承りましたけれども、これからは高付加価値型の野菜など、あるいは果樹など、今まで手がけておらなかったものでも手がけざるを得ないようにだんだんなってくると思うのですね。それで、こうしたものについてもやはり積極的に追加していくような姿勢がなければならないのだろうと私は思うのです。一つの例として、アロエという植物があります。これなどは追加の可能性はどうですか。これからは健康食品時代だからふえてくると僕は思います。これはどういう範疇になるのでしょう。
  89. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 突然のお尋ねでございまして、アロエは、薬用植物といいますか、そういうものとして栽培されているのだろうと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、農業共済の対象にするということになりますと、やはりそれなりのデータがなければいけない。それから、ある程度全国的にまたがって栽培をされておるというふうなことが必要でございます。それから、損害認定といいまして、被害をどれぐらい受けたか、どうやって被害を査定するかというふうな技術的な問題がございます。それらのものを検討いたしまして保険として仕組めるかどうかという検討をしなければならないと思うわけでございますが、これも先ほど申し上げたような地域共済、そういうものに適しているのかどうかということも含めまして、せっかくの御指摘でございますので、少し勉強をしてみたいと思います。
  90. 佐々木秀典

    佐々木委員 地域共済の導入というのはこういうことにも生かされてこなければいかぬと私は思うのです。これからは多様化時代ですから、本当に思いもかけないようなものがつくられ出してくるのではなかろうかと思うわけです。だから、それに余りかたくなな姿勢だと、せっかくの進取の精神、前向きな農家の意欲というものをまたそぐことにもなりかねないと思います。共済制度がそれを助長する全部だと思わないけれども、そういうものを生かす一つのきっかけになる、あるいは支えになるものとして生かされていくようにしてもらいたいものだと思いますので、あえてこんな例を出してみたのですけれども、どうか柔軟な対応をしていただきたいと思います。そのことをお願いしておきます。  それから、もう一つ具体的な問題で、これも私は以前にも質問をしたのですけれども、例の米の収穫量の判定基準、検査のときの網のふるい目です。これが共済では一・七ミリを基準にしているわけですけれども、私ども北海道の場合なども、きららという米が出てまいりました。大変おいしい、いいお米ですが、なおかつ良質米をというので、上川町あたりでは、この検査のときのふるいは大体一・九五が常識です。場合によっては二ミリを使っているのです。余りにも実情と基準が離れ過ぎているので、もう少し合わせたらいいのではないかと思うのですが、この辺はどうなのですか。これも前に検討するということになっているのだけれども、どの程度検討しているのか、これからの見通しはどうなのか、この辺ひとつお知らせください。
  91. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のように、米につきましてはふるい目の問題がございます。これは、農林水産省では収量とかそういうものを農林水産統計で調査しておるわけでございますが、その場合には一・七ミリの目幅のふるいを使っておることは御指摘のとおりでございます。ところが、最近、自主流通米でございますとかいろいろな場面で、一・八とか一・九、二ミリというふうなふるい目が使われているのは御指摘のとおりでございます。  その場合にどのふるい目にしたらいいか。地域によって違うものでございますから、どういうふうに統一をするかというふうなこと。それから、保険設計でございますので、過去の収量なり被害率をやるときに調査データが一・七で統計をやっておるものでございますから、それをどういうふうに変えるかというふうなことです。要するに、我々の農業共済だけで変えられるというものでもないということがございまして、農林水産省全体として取り組んできたのでございますが、まだ結論が出ていないというふうなことで、なかなかすぐには、やはりやるとすれば統計なりも含めて実施をしなければならない、こういう問題がございます。そういうことでございますので、さらに検討を深めさせていただきたいと思うわけでございます。
  92. 佐々木秀典

    佐々木委員 前に検討すると言ってからもう一年近くたっているものですから、まごまごしているとまた出来秋が来るわけです。これで政府米の出荷に大きな影響があるのです。ですから、検討するのだったら局長の所だけでというわけにいかないのはわかります。統計の問題もあるのはわかりますけれども、問題意識は持って統計の方もやっているのだから、本気になってやろうと思えばどんどん進まないことはないはずなので、余り先延ばししないで進めてください。どういうことになっているのか、また時間がたったらお伺いしますから、それは覚悟しておいてください。  それから、時間を少し残しますけれども、進行に協力をする関係で、これで最後の質問にいたします。  何にしても、今度の改正共済掛金が国の負担が軽くなって、農家、組合員の負担が上がるということは紛れもない事実です。そういう中で、当然加入でないところ、例えば果樹、畑作、園芸施設、この種の共済は任意加入になっているだけに、入るメリットがなければ入ろうとしないのではないだろうか。この種の部門は、確かに果樹などは、一昨年の台風で青森地方のリンゴ農家皆さんは大変な被害を受けたけれども、しばらくはなかったということがあるわけです。それで加入者が少なかった。たまたま入っていた人は共済の恩恵を受けたわけです。しかし、一つにはこういう災害がないようにしようと努力しているということもあって、被害がしょっちゅうあるわけではない。あっては困るわけですけれども、そういうことから、掛金が高くなるのであればもう入っているのをやめようとか、新しく入ろうとした人が二の足を踏むということで、加入促進ということが滞るのではなかろうか。しかし、保険、共済である以上、加入者がたくさんいなければ、掛金がなければ共済事業というのは全うできないわけですから、先行き大変心配になるわけです。  家畜共済などは、そういう意味で出が多くてあっぶあっぷしている。家畜共済の赤字は、具体的な数字は出しませんけれども、持ってはいるのですけれども、北海道の場合でも大変なのです。どうしようかと言っているぐらいです。家畜共済についての援助方というのをまた考えていただかなければいかぬだろうと思うのですが、この果樹、畑作、園芸施設共済加入促進の方策、あるいは掛金が上がることによって加入状況が変わってこないか、この辺はどうですか。
  93. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のとおり、果樹共済園芸施設共済等については加入率が低いわけでございます。何とか加入促進したいということで、今回の改正におきましても、果樹共済畑作物共済園芸施設共済加入促進に役立つようにというふうなことで、いろいろなものを盛り込んでおるわけでございます。  果樹共済につきましては、例えば災害収入共済方式の本格実施ということで品目がふえる、あるいは足切り割合が三割から二割になる、あるいはキウイフルーツでございますとか晩かん類の追加、こういうふうなことを行っているわけでございます。  それから、畑作物共済につきましても、てん菜の支払い開始損害割合を二割から一割に引き下げる、あるいは糖分取引を反映させるというふうなこと。大豆につきましても、収量の高い農家実態が反映できるようにする。お茶につきましても、品質の低下が反映できるような方式を導入するというふうなことをやっておるわけでございます。  園芸施設共済については、雨よけ施設を追加する、こういうこともやっておるわけでございます。さらには、責任分担方式を直しておるというふうなことで、組合としましてもそういう加入促進に弾みがつくように、こういうふうなことでやっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、せっかくの共済制度でございますので、多くの人が入っていただく、それで直すところは直していく、こういうふうなことでやっていきたいということで、私どもといたしましても、こういう加入促進が行われますように、十分指導をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  94. 佐々木秀典

    佐々木委員 何にしても、これだけよくしてやったんだから入るのは当然だ、入らないのが悪いんだというような態度ではだめだと私は思うのですね。本当に入ることによってお互い同士が助け合い、そしてまたメリットがあるんだという思いを持っていただかなければいけないんだろうと思うのですね。そのためには、それぞれの地域の連合会なり共済組合なり、御努力をするだろうけれども、国としてやはりもっと積極的にそれについての援助ということをする必要があるだろうし、それから、先ほど来検討課題になっておりますさまざまな問題についても、今はこういうことで難しいけれども、将来的にはなお改善されていくんだということですね。それから、掛金の負担についても、今回はこういうことでやむなく負担増になったけれども、これについてもやはり検討の余地を残すようなことになっていかなければならないのではなかろうかと思うのですね。それらの問題も含めて、今度の新しい法律、そしてまた新農政と絡んだ議論の中でも、さらに私たちは議論を続けていきたいと思っております。  時間が少し残りましたが、進行に御協力をさせていただく意味で、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  95. 平沼赳夫

    平沼委員長 宮地正介君。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは、農災法の審議でございます。まず、総務庁にお伺いをしたいと思います。  昨年の平成四年十二月に農業災害補償制度に関する行政監察結果に基づく勧告を農林水産省に行いました。その勧告の中でも、今回の法案改正の中に出ております最大の問題である国庫負担のあり方の見直し、この問題について昨年来総務庁としても行政監察をしてきたわけでございます。特に行政監察の中で実態の調査をされた総務庁でございますから、この見直しの問題について、特にこの生産農家のいわゆる負担増の問題、逆に国庫負担の削減、こういうことになるわけでございますが、その点について実態面からどのような行政監察をされたか、御報告いただきたいと思います。
  97. 美山清

    ○美山説明員 先生指摘のとおり、昨年の十二月七日に農業災害補償制度に関する行政監察結果に基づいて勧告をいたしたわけでございます。この勧告の中身は、一つは、農業情勢の変化に対応した制度、運営の見直し、あるいは事業運営の適正化という点を勧告をしたわけでございますけれども、その一環としまして、共済掛金国庫負担金につきましては、農業生産の動向等を勘案し、農作物共済における超過累進制度に係る国庫負担、あるいは畑作物共済に係る国庫負担蚕繭共済の超異常共済掛金に係る国庫負担等について、共済事業・品目を通ずる合理的な国庫負担のあり方を検討するということを勧告いたしておるわけでございます。  このような勧告を行いましたのは、一つには、農業災害補償制度といいますのは、農業経営の安定あるいは農業生産力の発展という意味から非常に重要な機能を果たしておる、そういう重要な機能を果たしておるこの制度が今後ともその機能を十分に発揮していくというためには、何よりもその制度、運営が農家等のニーズに即応した魅力あるものになることが必要ではないか、このためには、いろいろな制度充実を図っていく必要があるという点でございます。  そういう中で、一方で総合的な観点から、合理化すべき点は合理化をしていただくことも必要ではなかろうかという点がございます。実態的には、従来、掛金の国庫負担については何回か見直しが行われてきておるところでございますけれども、私どもがいろいろ調査をいたしましたところ、例えば畑作物共済につきましては、当時、制度の仕組み上準拠しました農作物共済国庫負担割合が昭和五十二年産の約六割から順次低下をしてきておるという実態、あるいは蚕繭共済につきましては、蚕の飼養方法等の技術改良が非常に進みまして、蚕繭共済に係る被害率、とりわけ超異常災害部分に係る被害率が著しく低下をしてきておる、こういう実態もあったわけでございます。  先生指摘の点でございますけれども、もう一方で、国庫負担のあり方につきましてはこういう指摘をする一方で、私ども制度充実強化という面で、具体的には、例えば農作物共済につきましては、これは農水省が展開されつつあります新政策方向に即しました大規模農業経営体の育成に資するという観点から、この大規模経営体に係る共済金の支払い開始損害割合、いわゆる足切り割合でございますけれども、これのあり方を見直すこと。あるいは農業の重要な担い手一つであります任意の生産組織、このうち協業経営を行っております者については組織単位で共済事業に加入できる方途を検討すべきではないか。あるいは畑作物共済につきましては、お茶の共済事業について、品質低下を補償する方式の導入の可否について検討を促進する必要があるのではなかろうか。それから、任意の生産組織についても同じような指摘をしておるところでございます。それから、果樹共済につきましては、栽培面積が増加している清見等のかんきつ類の対象品目への追加等々、制度充実面についても指摘をしておるわけでございます。  私どもの勧告した中身につきましては、きょう御審議をいただいております法案の中に相当盛り込まれておるわけでございます。私どもが勧告しました以外の事項も多々あるわけでございますけれども、総体的に見て、やはり農家等のニーズに相当かなうものになっていくのではないかというふうに考えております。     〔委員長退席、金子(徳)委員長代理着席〕
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 今監察官の御報告がございまして、行政監察の結果を受けて、農林水産省が非常に汗をかいて、今御報告の内容がほとんど法案には盛り込まれております。しかし、この農作物共済の中で、例えば水稲においては、超過累進方式で今まで現行五〇%から六〇%、現行水準が五三・五%、これが今回改正をされまして五〇%。陸稲につきましても、現行水準の六丁三%が五〇%。さらに、麦におきましても、現行水準五九・五%が五〇から五五%。農作物共済においては、農業生産者の負担が約二十六億円ふえるわけでありまして、その分国庫負担が減少をする、こういう新たな改正になるわけでございます。  今、総務庁からの報告の中には、一つは、魅力のある農災制度、ここにやはり抜本的に改正をすべきである、もう一つは、この新農政という新しい段階を迎えた農政改革をやる中において、農災制度もそれに並行して改革をやっていくべきである、こういう重要な御説明があったわけでございますが、農林水産省として、今回のこうした農業生産者の負担増が、今後、この農業活性化あるいは魅力ある農災制度ということについてどのようになっていくのか、この点について国民にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  99. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 今回の改正で、特に魅力ある共済制度というふうなことで、我々いろいろなものを取り込んでおるわけでございます。  まず、農作物共済につきましては、一つには麦の類区分を設けたということでございます。北海道でございますが、秋まき、春まきの区分ができることによりまして農家に魅力が出てくる、こういうことでございます。さらには共済事故として火災を追加するというふうな、富山のフェーン現象によりまして作物が焼けた、こういう事故もございまして、火災を追加する、こういうこともやっておるわけでございます。  さらには、今御指摘がございました新政策といいますか、大規模農家に対する新たな、有利な方式の適用、こういうふうなこともやっておるわけでございます。それから任意生産組織、法人格のない生産組織を共済加入できるようにする、こういうふうなことで、今までは個人か法人でないと加入できなかったというふうなことでございますが、法人格のない生産組織でも加入ができるようにする、こういうふうな改正を行ったわけでございます。  それから、蚕繭共済につきましても生産組織で加入できるようにした、こういうことでございます。  それから、果樹共済につきましては、特に加入率が低いというふうな問題がございまして、災害収入共済方式、これはほかの共済と違いまして価格まで加味をした共済方式でございまして、これにつきましては試験実施をやってきたということを踏まえまして、今回本格実施をすることにしておるわけでございます。その結果といたしまして、品目が従来九品目に限られておったものが十四品目、それからさらに今回追加する品目も加えますと十五品目、果樹共済すべてについてこの災害収入方式が適用になる、こういうふうなことになるわけでございます。さらには、支払い損害割合、今までは果樹共済では三割以上やられないと補償してもらえなかったわけでございますが、今回からは二割以上被害を受けますと支払いを行うというふうなことにしたわけでございます。さらには品目追加としまして、最近栽培がふえておりますキウイフルーツでございますとか清見、セミノール等の晩かん類を対象品目に加えたというふうなことでございます。それからさらには、もちろんでございますが、生産組織単位でも加入ができる、こういうことにしたわけでございます。  それから畑作物共済でございますが、てん菜につきまして被害率が非常に低くなっておるというふうなことで、余り共済金をもらう機会がない、こういうふうな不満があったわけでございますが、農家要望にこたえまして、今までは二割以上被害を受けないと共済金をもらえなかったということでございますが、一割に引き下げまして、共済金をもらう度合いといいますか、頻度を高めたというふうなことでございます。さらには、最近てん菜では糖分取引というふうなことが行われておるわけでございまして、糖度が下がった、要するに品質が低下したといいますか、糖度が下がったということを損害に算入できるように、そういう糖分取引が共済に反映できるようにというふうなことで、これを取り入れた。  それから大豆につきまして、従来でありますと、有利な、要するに単収の高い、非常にまじめに大豆をつくっておりますというか、一生懸命つくっておって非常に単収が高い人と捨てづくり的なものまで一緒にしておったわけでございますが、今回からは単収の高い農家はその農家単位で高いものをとれるような、選択できるような方式を導入する、こういうふうにしたわけでございます。  それからお茶につきましては、これは従来一番茶で被害を受けましても、横から芽が出てきて収量としては減らないというふうなことになりますと共済金をもらえない、魅力がないというふうなことで、なかなか入っていただけなかったわけでございますが、それをいわゆる価格まで加味した災害収入方式というふうなことで、一番茶がやられて品質が低下した、こういうふうなことが共済金に反映できるように、災害収入方式の試験実施をすることにしたわけでございます。それから、生産組織単位でも加入ができるというふうにしたわけでございます。  それからさらに、園芸施設共済につきましては、雨よけ施設、先ほど来出ておりますが、最近いろいろな野菜でございますとか果物について雨よけ施設がふえております。そういうものを共済の対象にできるようにするというふうなことでございます。それからさらに、これは直接法律とは関係しませんが、今までは掛金の国庫負担対象共済金額というのが限度額がございました、これが低い、もう少し上げてほしいということで要望があったわけでございますが、これを倍額にするというふうな改正も行っておるわけでございます。  そういうふうなことで、各共済につきまして魅力あるものにしたいというふうなことで、このような幅広いきめ細かな改正事項を盛り込んで、農業事情の変更に対応できるような御提案をしておるところでございます。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 今御報告がございましたが、今回の畑作物共済においても大体四億円ぐらい農家負担が増す。最近、異常気象といいますか、そういう影響で埼玉県なんかでも、私の選挙区の越生町、ここは梅が非常に盛んなところなんですね。越生の梅林といいまして、都心の方もちょいちょい観光に来られます。ところが、こうした梅林にも異常気象で最近ひょうが非常によく降るのですね。このひょうによって梅がやられるわけです。梅は傷がつきますと、これはもう非常に使いにくいですからつぶさなきゃならない。また、お茶の産地でございますから狭山茶、この狭山茶というのは埼玉県の西部地域が本場でございまして、やはり異常気象で最近非常に寒い、こうした温度の差によって茶色に枯れてくるのですね。そういう面で、今回今までの収穫方式から収入方式に変えられたということは私は非常に敬意を表したい、こう思っておるわけです。  具体的にもしお調べになってわかるのであれば、こうした越生の海とか狭山茶などについて、今回の農家負担が四億円ということで畑作物共済農家負担がふえるわけですが、こうした海とかお茶の生産農家皆さんの掛金というのはどのくらい負担増になるのか、御説明いただきたい。
  101. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 今回の国庫負担率の見直しは、農作物共済、米、麦等についてやっておりますが、果樹共済につきましては国庫負担率は変えておりませんので、そういう意味におきます負担増はございません。  しかしながら、今度そういう対象を広げることによって料率をはじき直すというふうなことがあろうかと思いますが、その点についてはまだちょっと作業ができておりませんので、御答弁は御勘弁いただきたいと思います。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひ首都圏の園芸作物あるいは畑作物、こうしたところについての今後この農災制度の公平な対応を私はお願いしたいと思うのです。  そういう意味では、埼玉などは、大きな災害というのは、台風とか冷害とかそういう大災害的なものは余り見受けられません。しかし、最近の異常気象によって温度の較差、あるいは先ほど申し上げたようなひょうが降ったり、あるいは異常気象による最近の、昼間は暖かいけれども夜は非常に冷える、こういうような状況で、大変デリカシーといいますか、お茶などには大きな影響が出る。しかし、埼玉県ではハウス栽培のイチゴとか、あるいは皆さん有名な深谷のネギとか入間ゴボウとか、東京の消費者地帯に出荷している大変な園芸作物はあるわけです。こうしたものについては災害というのは非常に少ない。  ですから、そういうところについては、今後掛金等も、常襲災害地域とのバランスというものもしっかりとっていただくということで、本当に魅力のある農災ということであれば、そうした面のバランスというものもしっかりと公正に、公平に積算をして、また過去の気象データ等をもとにして、皆さんが入りやすく、また災害になったときには、いざというときには対応できるような、そうしたやはり公平な、弾力的な農災制度にさらに改善をしていく必要があるのではないか。この点についての農水省の見解を確認しておきたいと思います。
  103. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 この点につきましては、御答弁申し上げておりますように、今回の負担率改正というふうなことで、どうもこの共済制度が米に偏り、また米につきましては超過累進方式ということで、災害が多発する、災害の多いところに多くの補助が行くといいますか、要するに被害率の高い地域の補助率が高い、こういうふうなことになっておるわけでございます。  そのことにつきまして、今回はそういうものの必要性を見直しまして、それを合理化するとともに、片方では、ただいま御指摘もございましたように、地域、あるいはいろいろなこれからの選択的拡大部門というふうな各種の作物につきまして制度充実を図って、魅力のある共済制度にしていきたい、こういうことで御提案を申し上げ、やはりこれが、今後の農業方向を踏まえながら農業共済制度が本当に農家の役に立っていくというふうな方向であろうというふうな考え方のもとに、今回改正案を提出しておるところでございます。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 農林水産大臣にお伺いしておきたいと思うんですね。  この問題が最後ですが、今回の農災制度改正というのはある意味じゃあめの部分とむちの部分があって、財政上の事情ということで約三十億円の国庫負担が削減をされ、それが農業生産者の負担という、しかし、全体的には相当抜本的な改正がされておる。総務庁が行政監察をされて、その勧告を受けた農林水産省も相当な汗をかいて、我々はそういう意味合いから全体としてはこの法案には賛成を決断したわけでございます。これからの新農政をつくり、二十一世紀の農業活性化していく中で、やはり改めるべきは改め、改善していくことは私は結構だと思います。  ただ、その中で、財政事情が厳しいからといって国庫負担を削減していく、ここにおいては、特に農業活性化の中において相当慎重にやるべきではないか。例えば、この三十億のカットをしないで、これを別の形で農災制度の改革案にこの財源を活用できないのか。  今申し上げましたように、農業というのは、日本列島全体を見た中で、特に首都圏における最近の園芸作物、園芸農業というものも非常に活発化してきているわけですね。そういう中でのもっときめの細かい対応をしていく場合に、私は、財政をカットするという、このカットで終わらさないで、このカットしたものをいかにさらに農政の改革に使っていくか、活用していくか、これも大事ではなかろうか、こういう感じがしているわけでございます。  今後の農災制度のあり方についても、この論理がどんどん進んでいくと、フィフティー・フィフティーに今回はなりましたけれども、逆に国庫負担が減って農業生産者の負担がふえる、こういう逆転現象が起きないようにこの辺で歯どめをしておいて、今後においてはもっと積極的に、前向きに、むしろ農災の国庫負担についての別の特別会計のあり方についても、もう少し中身をしっかりチェックされて有効に活用すべきではないか、私はこう思っておりますが、大臣の所見を伺っておきたいと思います。     〔金子(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  105. 田名部匡省

    田名部国務大臣 大体局長から御答弁申し上げて、大枠の御理解をいただいたと思いますし、私どもはただ単に農家負担を図っていこうという考えは毛頭ございません。むしろ新農政ということを常に頭に置きながら、そうしたものに積極的に取り組めるように支援もしなければならぬ、いろいろ考えるものですから、さりとて果樹とかそうしたものもどんどん普及しておるし、これはもう育てていきたいと思うところもある。余り考え過ぎて散漫になる嫌いはあると思うのです。  ただ、もう一つは、組合の体質をやはり強化して、そうしてしっかりとした運営をしてもらうということは非常に大事になってくる。そうして農家皆さんも安心して組合との関係でやっていける、そのことを私どもは支援をしていく。この関係が出てきませんと、やはり加入者がふえないことには制度として成り立たぬものですから、制度として成り立たせるためには、組合が本当に強くなりまして、そうしてもっと臨機応変に対応できるというふうに育てていかなければいかぬなと考えております。決して農家負担を多くするという考えはとるべきでないというふうには考えております。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 時間も余りありませんので、この十六日に日米首脳会談がセットされておりまして、経済局長はウルグアイ・ラウンド交渉の宮澤総理のいわゆる随行ということでアメリカに行かれる、こういうふうに伺っております。  やはり、今回の日米首脳会談は非常に重要な会談になるであろう。さきに渡辺前外相が米国を訪問されましたときには、クリントン大統領初め米外相からも、日本の市場開放に対しては大変厳しい御指摘がございました。市場開放の閉鎖的な象徴がウルグアイ・ラウンドの米の問題であるなどと、大分三〇一条発動をちらつかせられながら、大変厳しい対応があった。そういう中で今宮澤総理が訪米をするわけでありまして、対米黒字四百億ドル、世界の貿易収支の黒字一千億ドルを超えている、アメリカが双子の赤字を抱えておる、財政赤字と貿易収支の赤字を抱えている、そういう中でさらに日本に対する市場開放、この要請は強くなってくると思います。  経済局長、今回の訪問について、当然出てくると思われるこのウルグアイ・ラウンド交渉の現状について、どう分析され、宮澤総理にどうアドバイスされようとしておるのか、お話しいただければありがたいと思います。
  107. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 ウルグアイ・ラウンド交渉でございますが、最近、アメリカの政府が議会に対しましてファストトラックの延長を申し出たわけでございます。それまでの間、新政権になりまして、ウルグアイ・ラウンド、一時事実上の休止状態、こういうことになっておったわけでございますが、このことによりまして、ファストトラックで年内十二月十五日までに実質合意をしよう、こういうふうな米政府の意図が明らかになったわけでございます。そういうことによりまして、交渉がまた活性化といいますか、再開されるというふうに見通されるわけでございます。  委員も御案内のとおり、我が国はウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきましては、農業生産の持っ特殊性でございますとか、あるいは食糧安全保障、国土・環境保全等の農業が果たしておりますいろいろな多様な役割が適切に反映されることが必要であるというふうなことで、特に米のような基礎的食糧や国内で生産調整を行っております農産物につきましては、包括的関税化の例外とするように主張をしてきておるところでございます。  このような方針は、これまでもさまざまな機会をとらえまして、アメリカ政府を初め関係各国に我々は主張をしてきたところでございます。今回の訪米に当たりましても、従来からの基本方針に基づきまして、年来の主張が交渉結果に反映されますように、引き続き努力をしていく、こういう姿勢で対応してまいりたいと思っておるわけでございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 今経済局長お話しのように、今回、本年十二月十五日までにファストトラックについてアメリカ政府は議会に報告をするということが決まりました。タイムリミットが本年十二月十五日まで、こういう状況になりましたから、これからこうしたウルグアイ・ラウンドの交渉も非常に活発化していくと思います。  一つは、まず実務者レベルで何らかのアプローチがあるのかないのか。それからもう一点は、アメリカでもウエーバー品目、十四品目の問題がやはり非常に大きなネックになっているわけですね。アメリカ政府としては、確かに包括的関税化に、数字に置きかえたということで、政府それ自身は前向きに取り組んでいるようでありますが、しかし、その十四品目、酪農とか落花生とか、こうしたものを抱えている業界はまだ反対の立場にある、こういうふうに我々は情報を得ているわけでございまして、必ずしも政府と業界との間がまとまっているわけではない。また実際に、この十二月十五日にファストトラックが議会に報告されたとき、クリントン政権がそれをイエスと言えるかどうか、場合によってはノーになる可能性も十分にあるわけですね。  ですから、アメリカにおいてもそれなりのアキレス腱があるわけだし、また今回ECにおいても、いわゆる輸出補助金の問題についても、ドンケル・ペーパーを修正いたしまして、二四%から二一%に変えているわけです。日本政府としても、当然米の扱いについては例外扱いせい、こういうことで修正を求めているわけでございます。一方ECでは、そうしたドンケル・ペーパーの修正をしている。アメリカの国内においても、政府と業界の間にまたそうした問題が残っておる。そういう中でございますから、今局長は、当初の方針どおりでいく、こういうお話でありますが、やはり外交交渉でありますから、突っ込むところはしっかり突っ込んで、言うべきことは言う、そして日本の立場をしっかり堅持してもらいたい、こう思っておりますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  109. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 まず第一点目でございますが、今回の訪米につきましては、日米首脳会談というふうなことでございまして、日程が十六日一日だけということでございまして、もうこの日米首脳会談だけで終わりまして、農業について事務レベルでやり合いをするというふうな時間的余裕がないわけでございます。それからさらに、向こう側の農業関係のスタッフがまだ整っておらない、こういうふうな事情もございまして、今回は事務レベルの会談は予定していないところでございます。  それから、アメリカのウエーバー品目についてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、アメリカのウエーバー品目、何品目があるわけでございます。ただアメリカ政府は、この非関税措置をすべて関税化するというふうな方針を決めまして、国別約束表、いわゆるオファーと言っておりますが、国別約束表を既に提出しているわけでございます。ところが、このウェーバー品目でございます酪農品でございますとかピーナツ、綿花、砂糖などの関係団体では、これらの品目の輸入制限を維持すべきであるというふうな意見があることは我々も承知しておるわけでございます。  しかしながら、アメリカの農業の中で大きな地位を占めております穀物でございますとか、あるいは大豆などの業界は、包括関税化を含むアメリカ政府の提案を基本的に支持する、こういうふうな立場でございますので、ウェーバー品目関係団体の意見はアメリカの農業団体の中で主流にはなっていないというふうに聞いておるわけでございます。  いずれにしましても、我々といたしましては、こうしたウエーバー品目を抱えております団体の動き、さらにはアメリカ政府の対応等を今後とも注視をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに、ECにつきましても御指摘のようなことがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、アメリカ、ECとも、農業部分だけではなくて、ほかの部分についてもダンケル・テキストの修正、こういうことを言っておるわけでございますので、私どもとしましても、我々の主張が受け入れられてダンケル・テキストが適正に修正されますように、引き続き努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 しっかりと経済局長頑張ってきていただきたい、こう思います。  時間も最後になりましたので、きょうは水産庁長官にもちょっと来ていただきました。また次の機会に御質問したいと思いますが、一問だけ、五月十日から十四日に行われるいわゆる国際捕鯨委員会、IWC、これに臨む日本政府としての対応、特に南氷洋の鯨のサンクチュアリーの設定の提案の問題とか大変大きな課題があるわけでございますが、大変に今国民の注視の的でございますので、長官から御説明をいただいて終わりたいと思います。
  111. 川合淳二

    ○川合政府委員 今お話しのように、国際捕鯨委員会の第四十五回の総会が五月十日から開かれます。それに先立ちまして、四月十九日から科学委員会が開かれることになっております。この会合では、従来からの経過を経ておりますが、例えば南氷洋の捕鯨サンクチュアリーの導入の問題、あるいは捕鯨再開のための改定管理制度の問題、さらには我が国の沿岸におきます捕鯨の問題など、非常に重要な問題がございます。  御承知のように、この捕鯨委員会の従来の流れは、必ずしも、私どもが考えております科学的な調査結果に基づく合理的なあるいは有効的な利用ということとは異なる動きがあるわけでございます。しかしながら、二番目に申しました捕鯨再開のための改定管理制度の問題、あるいはこれに反対をいたす形で出ております南氷洋捕鯨サンクチュアリーの導入の問題など、私どもの今までの考え方にとりまして非常に大事な問題を含んでおります。  時間もございませんのではしょってお答え申し上げますけれども、私どもは、従来からとり続けてまいりましたこの捕鯨に対する考え方を、日本で開かれるというこの機会に、世界に対し、それから国民の皆様方にも理解を求めるべく、最大限の努力をしていきたいという基本方針で臨んでまいりたいと思っております。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  113. 平沼赳夫

    平沼委員長 鉢呂吉雄君。
  114. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私も冒頭、クリントン政権発足後の初の日米首脳会談、あした宮澤総理が行かれるということであります。対ロシアの経済支援あるいはまたアメリカの財政赤字、あるいは日本の貿易収支の大幅黒字という中でのガットの農業問題であります。  まず最初に、外務省経済局の次長が見えられておると思いますけれども、渡辺外務大臣にかわって武藤新外務大臣、就任後、このガット農業問題に対して発言を繰り返しております。その発言の内容についてまずお聞かせを願いたいと思います。
  115. 林暘

    ○林(暘)政府委員 お答え申し上げます。  武藤大臣、何度かウルグアイ・ラウンドのことについて発言をしておられますが、お尋ねの件は、一番最近の十一日のNHKの番組ないし岐阜県での記者会見ということではないかと思います。そこでは、我々が得ているものでは、日本の米の市場開放問題について大臣は触れられて、米だけを関税化の対象から外せというなら他のものを開放してよいのか、私なりに努力をしたいというふうに述べられたと承知しております。
  116. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 実は私ども、先週の八日ですか、社会党の農水部会、辻部会長を初めとして幹部の皆さんが武藤外務大臣に、就任当初に、永久に一粒たりとも米を入れないということはできないかの発言をし、そのことに対して厳重に申し入れをしてきたところであります。新外相の話によりますと、そう人が言っておる、そういう意見もあるというような回答でありまして、もちろん本会議において、構造三法のあの質疑の中でも我が方からも質疑を求めたところであります。  しかし、十二日のテレビ発言、私も実は、十二日のテレビ東京、十二チャンネルの夜の十一時、新外相に直撃というような番組がニュース番組でありまして、ちょうど見ておりました。この農業共済の勉強をしつつ見ていたのですけれども、こういうふうに言っていました。あきらめたとは言わないが、乳製品等の農産物、林産物、水産物も言っていましたけれども、これの制限を譲歩した中で米を理解せしめるのだ、米の例外化を理解せしめるのだという意味だと思いますけれども、そういう発言をしておったのです。  この真意は何でありましょうか。米と引きかえに乳製品等のいわゆる十一条二項(c)のあの農産物について関税化を認めるということでありますか。
  117. 林暘

    ○林(暘)政府委員 我々といたしましては、大臣がいたされました発言というのは、我が国にとって米が有する格別の重要性を述べられるとともに、現在の農業交渉において我が国を取り巻く困難な状況、とりわけ米についての困難な状況について言及したものと承知しておりまして、交渉の方針として、従来国会その他の場で申し上げている方針を変更するということではないというふうに承知をいたしております。
  118. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 米だけが今取り上げられておるわけではありませんで、十一条二項(c)の乳製品、でん粉等、これらの問題についても日本はきちんと守っていく、関税化もできないという姿勢であることは、この本農水委員会でも農水大臣が認めておるところであります。  さまざまな報道があります、ことしに入っても、関税化の交渉をしておるんだということが一斉にマスコミで報道された経過もありますけれども、私ども農水大臣の御答弁を、これがそのものだということで今日まで来ました。しかし今回の、これはテレビといっても私は実際に耳で聞いたわけでありますから、他の農産物等で米と引きかえにこれを容認するかの発言、これは絶対許せないわけてあります。  農水大臣、どうですか。この問題、もう十二日から数日たっておるのですけれども、どのように閣内で武藤外務大臣とお話をし、どういう経過であるかということについて、農水大臣としても御答弁願いたいと思います。
  119. 田名部匡省

    田名部国務大臣 私はそのテレビを見なかったわけでありますけれども、話を聞きまして、まあえらいことを言ったなという感じを実は受けました。  ちょうど次の日が閣議の日で、閣議が始まる前に外務大臣に、一体何を言ったのですかという話をいたしまして、話の中では、いやいや、別に従来の方針と変わったことを言ったわけではないのだけれども、こういう話で、いろいろちょっと長いことやりました。そうしたら私は、終わってから、武藤大臣は、農産物、日本が自由化していない品目はたくさんあるわけですけれども、従来我々が言っておりました全部だめだというのは難しいだろうなという感じてお話しになったなということをわかったのです。  ですから、就任早々でその辺の、我々の今までの交渉経過というものはよくわかっていないのではなかったかな。それで結局は、米についても、それはもうおれも絶対反対と思っている、乳製品の話はといえば、いやいや、これは多様にいろいろなやり方があるのではないか、ほかの品目、そういうものも全部守るということはできるのかね、こう言っておりましたから、ああ、この大臣は、コンニャクだとかいろいろなものも含めて全部守り切れるということはないだろうなと、ですから、多様な選択の中で守るべきところは守る方法というのはないのかなということを考えておったということを感じて、いずれにしても、我々は閣内ではこういうことで今日まで意思を統一しておるのですから、以後十分発言には気をつけてください、わかった、こう言っておりました。
  120. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 閣内ナンバースリーの武藤外務大臣、通産大臣もやりまして、自分でもみずから柔軟な発言をしたということを本会議で答弁をされておるのであります。農水大臣も答弁されました。  農水大臣、やはりこれは、きちんとしたけじめ、これは農水大臣にも、あなたにはね返ってくることでありますから、取り消しの発言をきちっと公式の場でしましたか、外務大臣は。やはりきちっとこれを求めて、農水大臣としてどういう対応をきちんとするのか。またこればかりやれば怒られますから、関係ないということで怒られたら困りますから、農水大臣のきちんとした決意をここで言ってください。
  121. 田名部匡省

    田名部国務大臣 私との二人の話で、今申し上げたように、発言は政府の方針どおり、今度はきちっと誤解を受けないようにする、こういうことでありますから、私はそれをもって今回のことは一応決着をしたというふうに考えておりまして、今後はそういうことはないだろう、こう思っております。
  122. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 誤解を受けるような、あれは誤解でも何でもなくて、そのとおりのことを言っているわけですから、まさに重大で、私のところにも連日連夜北海道からどういうことだと。米と違って若干特殊だけれども、やはりこれは非常に大きな、日本農業の大変な問題ですよ。これでけりがついたなんて、農水大臣、外務大臣は一言もそのことについては釈明もしなければ、公式の場ではその後一切発言していませんね。そんな甘いものでないでしょう。対外交渉をやっている中で相手に足元を見透かされているようなものでないですか。
  123. 田名部匡省

    田名部国務大臣 私は直接テレビを見たわけでないものですから、委員と同じような印象で−−新聞では私も見ました。まあまあ、しかし、テレビでやったことを、その前後どういうことを言ったのか、そういうことはわかりません。しかし、私にはそういうことをきちっと答えてくれましたので、それ以上言っても、本人は従来の政府の方針を守る、こう言ったわけでありますから、それで御了解をいただきたいと思います。
  124. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 やはり閣内統一、あるいはこれは対外交渉の最も大きなところにあるわけでありますから、そうしゃべったからとか、テレビも見ていないとか、そういうことで相手に、全然交渉になりませんよ。
  125. 平沼赳夫

    平沼委員長 鉢呂委員大臣の答弁を求めますか。質問があれば、続行してください。
  126. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 閣内統一、これはもちろん大変重要なことですよ。単に大臣との間で、誤解を与えるようなことで間違った、それだけでは済まない。テレビ等、あるいは新聞、テレビなんか僕ははっきり見ているわけですから。  この場は農災法の法案審議ですから、また来週等いろいろな法案の審査があるようでありますから、外務大臣のきちんとした釈明を聞く機会もあるだろうし、農水大臣はそういうことで今お話を聞きましたから、ぜひきちんとした対応を示していただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移ります。  きのう、きょうでもう相当この農災法の審議は進んでおります。きょうも先輩各位からお話がございましたので、締めくくり的に、また御質疑のなかった点を含めて質問させていただきます。  まず一つは、日本農業災害補償法は当然加入制をしいています。これは、農作物あるいは蚕繭でありますけれども、当然加入制あるいは当然成立制をしいておるその理由についてお聞かせ願いたいと思います。
  127. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 昨日もお答えいたしましたが、これは、当然加入制というのは、農業生産の維持安定、それから保険母集団としての危険分散といいますかそういうもの、危険分散のための適正な母集団を確保する、こういうふうな要請のもとに、農作物共済それから蚕繭につきまして当然加入制をとっておるところでございます。
  128. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 なぜその後の畑作物あるいはまた園芸、果樹等について任意加入制であり、このものが当然加入制であるか、そこのところ、なぜこの農作物と蚕繭についてのみ当然加入制を今日もしいておるのか、このことについて明確に答えていただきたい。
  129. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 当然加入制は、戦後の食糧生産というふうな中で、経緯といたしましては、統制物資との関連で当然加入制をしいてきておる、そういう経緯がございますが、蚕繭につきましては、既に現在国の統制というふうなものが外れておるわけでございまして、そこの関係は切れておるわけでございますが、経緯といたしましては、そういう統制物資、国が何らかの格好で流通なりそういうものを統制しておるというふうなこととも関係をして発足をしたわけでございますが、その後順次緩和を図ってきておるというのは、きのう来答弁しておるとおりでございます。
  130. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは当然加入制をそのまましいておる理由にならない。いわゆる農水省の保険管理課執筆の「新農業災害補償法解説」の中にも、超過累進方式をとる理由として、農作物等の共済は、当然加入制をとることと関連をしてこのような超過累進方式をとっておるんだというふうに明確に書いてあります。その中間、いろいろ言葉はありますけれども負担の公平化を図るために超過累進方式をとるんだというふうに言っています。このことと関連があるのではないですか。
  131. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 我々は、きのう来御答弁申し上げておりますように、超過累進方式と当然加入とは直接関係がない、蚕繭共済につきましては超過累進ということになっておりませんし、それから、当初農作物につきましても超過累進ではなかったというふうに記憶しております。そういうことで、当然加入制と超過累進、直接こういうふうな結びつきはないというふうに思っております。
  132. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 それは無理があるのでありまして、今回、麦を除いて五〇%一律国庫負担になりました。そうしますと、当然加入というこれまでとってきた制度は今後維持できなくなるのではないか、このままとるという根拠はなくなる、私はそのことを非常に憂えるわけです。このことについて、明確にお答え願いたいと思います。
  133. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 昨日も御答弁申し上げましたが、当然加入というのは、先ほど理由を申し上げましたように、農業生産の維持安定というふうな面と、それから保険としての適正な母集団を確保するというふうな必要性からそういうものをとっておるわけでございます。そういうことでございますので、そういう必要性のないものは、時代の変遷もございますし、できるだけ当然加入制は緩和していくということが必要なのではないかというふうに思っておるわけでございまして、本来、やはり共済加入するかしないかというのは、農家の方々の自由意思にできるだけ任せる部分は任せていくべきである。  この点につきましては、農業共済団体といいますか、団体の意見と、それから農家の立場というものが若干相反する面があるわけでございます。農業共済組合にとってみますと、できるだけ強制加入にしてもらえばお客がたくさん獲得できるわけでございますので、それを維持したい、こういうことはございますが、農家の方から見ますと、必要のない共済に入りたくない、あるいは自分で責任を持って自己責任のもとにやっていきたい、こういう農家もあるわけでございますので、そこは相反する面があるわけでございます。  しかしながら、現在の段階で考えてみますと、当然加入制というものはできるだけ緩和をしていくというふうなことが重要なのではないかと思っておるわけでございます。ただ、保険として適正な危険分散、こういうための母集団の確保、こういうふうな必要性から見まして現在のような方式をとっておるということでございますが、これは、きのうも御答弁しましたが、そういう必要性がなくなってきたところについては、そういう条件が整ってきたところについては、できるだけ緩和の方向で指導してまいりたいということでございます。
  134. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 局長の論理は大変無理があって、緩和をしておるのはそれほど緩和しておるわけでありません。これは二十アールから四十アール、それについては当然加入であります。ほとんどの者が、この農作物と蚕繭については九割以上が、引受面積がふえてそういう大面積であります。しかし、それは過去の遺物とはいいながら、やはり現時点ではこれは無理がある。  私は、これをなくせというふうに言っておるわけではありません。むしろ当然加入制というものの理論的な背景が、国庫負担を削減することによって、あるいは超過累進方式をなくすることによってなくなってきておる。もちろん、。母集団をできるだけ多く持つということは大変いいことです。しかし、今の局長の発言によれば、畑作物ですとかあるいは果樹共済、さまざまなものも非常に引受率が悪いのであります。これらに対してこの当然加入制をとってこなかった、このことの意味合いと言えば、局長の言っていることは理由がつかないというふうに思います。  いずれにいたしましても、今後ともこの農作物と蚕繭については当然加入制を継続していくことについて、御答弁願いたいと思います。
  135. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、この経緯としましては、やはり国の統制、そういう統制物資である、そういうふうな経緯の中で当然加入制がとられてきた、こういうふうに思うわけでございます。  それでは、現時点においてどうかというふうなことでございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、これはやはり強制をするというふうなことはできるだけ少ない方がいいわけでございます。そういうことで、必要な強制といいますか、そういうものは残すべきだと思いますが、その必要性がなくなってきているというふうなものはできるだけ緩和をしていく、こういう方針でございます。
  136. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 二日間の議論を聞いていまして、超過累進方式を廃止するというのは、いわゆる政策保険として、適地適産とかあるいはさまざまな共済の意向、共済の商品をつくるという視点から、さまざまな農業事情でこういうものを廃止していくんだという御議論だったというふうに思っています。  しかし、まず一つは経過でありますけれども、昭和六十年の当時の佐藤農水大臣は質疑の中で、当時は水稲、最高七〇%国庫負担であったものを一〇%引き下げたのですが、掛金の国庫負担についての超過累進制という考え方を今後とも維持していくという考え方を表明されました。  この六十年と今日との関係で、私は政策保険という意味合いは否定しません。しかし、農業災害補償の保険というのは、言ってみれば非常に消極的な政策でありまして、積極的な政策ではあり得ない。いわゆる災害をいかにして補償するかという農業経営の下支えてありますから、それをきのうからきょうにかけての議論では、非常に政策保険という意味合いを強調し過ぎておる。もちろん、今回廃止をしたから、超過累進方式を廃止して一律にしたということの意味づけをしたくてそういうふうに言っておるのかもわかりませんけれども、私は、そういうものではない、一義的にはやはり農家の災害を補償するというところからきておるのであるというふうに思います。  この理論的な根拠をきちっとしておかなければ、今後ともこういう視点でやられたら大変なことになるというふうに思うわけでありますけれども、昭和六十年の、佐藤守良さんというのですか、当時の佐藤農水大臣の御答弁、そして今日のこういう視点をとったその差異について、私の言ったようなこととの関係で御答弁を願いたいと思います。
  137. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 農業共済制度につきましては、先ほど来御指摘もございますが、やはり時代農業変化に伴いまして変えていく、魅力のある制度に変えていきたいというふうなことで取り組んでおるわけでございます。  そこで、現時点におきまして振り返って考えてみますと、これは当然加入制などによりまして米麦中心に運営が行われてきたというふうなことでございまして、任意共済果樹共済でございますとか園芸施設共済などについては加入率が悪い、こういう状況でございます。これをこのまま放置いたしますれば、やはり米麦中心でほかは加入率が悪い、こういう状況の中でせっかくのこの農業共済制度が生きてこない、こういうことの考え方のもとに、今回は果樹共済でございますとかいろいろな面で充実を図り、できるだけ魅力のある共済制度として、農家の方の役に立つ共済制度にしていきたいというふうなことでやっておるわけでございます。  御質問のありました掛金国庫負担でございますが、米につきましては、超過累進方式を四十六年、それから六十年と直してきたわけでございます。何段階があったものを合理化をいたしまして、現在三段階になっておるわけでございます。それを今回廃止するということでございますが、六十年時点におきましてはまだ三段階を残す、一気に超過累進方式をやめるというふうなことにはいかなかったわけでございますが、現段階において、こういう米の過剰が続いておるという状況の中で、農家負担力等々も考えてみまして、依然として残しておく必要があるかどうかというふうなことで判断をして、今回米については廃止をする。麦については、これを廃止することは農家負担力等々も見まして無理ではないかというふうなことで、米については今回、そういうことで廃止をするということが適当であろうというふうなことで御提案しておるところでございます。
  138. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣にもお聞きをしたいのですけれども田名部農水大臣、聞いていますか。  平成元年の十一月に、経済局長の諮問機関といいますか、この関係の研究会報告書も出ておりまして、三点ほどについては両論があってなかなか結論がつかない、意見の一致を見るに至らない。一つは当然加入基準のあり方並びに掛金の国庫負担のあり方について、極めて重要な問題であるので今後とも引き続いて検討をされるべきであるということで、この中で、国庫負担の方式について、現状維持の理由についても二点ほど挙げております。  それは、一点は、先ほど私が言いましたように、適地適産というような生産対策的な視点ではなくて、高被害地区に高率の国庫負担を行う必要があるという災害視点からこれを見るべきである、それから同時に、当然加入制が農作物等についてはとられておるので、農業者の掛金負担の格差を縮小しつつ農業者の円滑な加入を図るために現行の方式を維持する必要があるという二点の理由を挙げて、現状を維持すべきだ、超過累進方式を維持すべきだということも、両論併記でありますけれども意見があったわけであります。  私は、そういう意味では、まだこのことについては結論がつかない。普通、皆さん審議会等の諮問機関についてこういう両論併記があった場合は、継続してこれは検討されるべきものであろう。今回それが、一部のものを除いてこの超過累進方式を削ったということについては、きのう米お話もありますけれども、やはり財源論に終始をして、そこから三十億程度のものを捻出するためにこういうものを廃止をしたということを言わざるを得ない。また、そういう意味では、もっと慎重であってしかるべきだ。政策保険あるいは政策的な意味合いというものはわかりますけれども、しかし、それは急激に行うべき筋合いのものでない。  私はもう一つ言いますけれども、中山間地域対策です。  農水大臣もおっしゃるように、中山間対策については別のさまざまな施策を講ずるべきであるということはもちろんであります。しかし問題は、中山間地域が条件不利地域、気象条件も不安定地域であることは申すまでもありません。農水省の調査によりましても、これは水稲ですけれども、平地を一〇四とすれば山間部は九四、これは昨年、一昨年から出してくれておるのですけれども、九四の収量。まさに収穫量が低水準であるということは、一概には言いませんけれども、やはり収量の不安定地域であると言っても過言でないと思います。  そういうところで、この農業災害補償というものがやはり大きな意味合いを持っておる。これを、掛金の実勢が下がっておるのだから、あるいは大きな災害が少なくなっておるのだからということで、今回、例えば陸稲なんかはもう大変な国庫負担の削減をしたわけでありますけれども、そういう意味では、今中山間対策ということが大きな新政策一つの柱になっておるのではありませんか。そういう中で、やはり農家経営の下支えを本当に地味な形でしておるこの農業災害補償というものについて、こういう形で削減をする。これは農水省の、農水大臣の姿勢としてやはり看過することができないものであろうというふうに思うわけです。この点について、繰り返しになるかもわかりませんけれども農水大臣のきちんとした考えをお聞かせ願いたいと思います。
  139. 田名部匡省

    田名部国務大臣 昨日来、各委員にお答えをしてまいりましたが、そのときどき、時代といいますか、農業分野において大変変化が激しいのですね。それはやはり、輸入が増大していく、大変な競争をしていかなきゃならぬという、中でもここ二、三年大きく変化をしていると私は思う。そこにもってきて、一昨年の台風、これが大きな被害がありまして、そういうこと等をずっといろいろ勘案しながら、あるいは、今超過累進方式についても触れましたが、これにつきましても、中山間地等はだんだん他の分野に移行しているし、私どももまたこれを移行させなきゃいかぬと思っているわけです。  そういうことから考えますと、食糧増産時代に設けられたこの制度というものを、生産調整が始まって情勢の変化がどんどん起きておる。これまでも簡素合理化が行われてきたわけでありますけれども、今回被害率低下傾向などを見てみますと、水稲及び陸稲についてはもう全国一律の国庫負担方式とするということに実はいたしたわけであります。  多少、今お話しのように、中山間地等は厳しいじゃないか。厳しいところはこれは別な政策で私どもは考えることであって、この制度によって中山間地対策等は余り考えてない。確かに、十アール当たり百八円減る、高くなる、こういう負担が多くなるということでありますので、そうまた規模の大きいところを中山間地はやっておりませんから、そういうこと等もいろいろ参酌してみてよりよい方向に誘導したい。もっと農家皆さんが所得が高まるように、そういうことも考え、あるいは新農政、こういうことも考えながら、もっと他産業並み収入と、こう言っているわけですから、そういうものを目指していくためにどうすればいいのかということも考えました。  特に、中山間地では畜産とか野菜、花卉、果樹、そういうものが適したものがそれぞれあるであろう。そういうものを、高付加価値型の農業を振興するということが重要であって、農業災害補償制度においても、そうした果樹共済園芸施設共済、こういうものが新たにどんどんふえておるものですから、これに対応していかなきゃいかぬというふうに考えたわけであります。果樹共済畑作物共済園芸施設共済、この内容の充実に努力をしたというふうに考えておりまして、中山間地域の耕作放棄あるいは離農が促進されることにはならないということで、他の制度とあわせてこの振興策を図っていきたい、こう考えておるわけであります。
  140. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 私も、農業災害補償が積極的役割を果たすということにはならぬ、このことは言っておるわけであります。しかしながら、中山間地域は全国の耕地面積の約四二%を占めております。二百二十二万ヘクタール。そして、さらに大事なことは、水稲面積が現在で百十万ヘクタールを占めておるのであります。これはもちろん、中山間の耕地面積の半分を水稲面積が占めておるのであります。今まさにこれから農水省挙げて中山間対策を、高付加価値の作物を導入しよう。しかし、現状ではまだそこに至っておらない。まさに一戸一戸の農家の経営にしてみれば、面積が小さいかもわかりませんけれども、水稲の、稲作の比重は大変大きいものがあるのであります。それにかわる中山間地域の下支えをする農業災害補償のメニューが、共済商品が用意されて、堂々と言えるのであれば私は何も言いません。しかし、大変大事な超過累進方式を切って一律五〇%にしておる、このことが農水省の姿勢として情けないのでありまして、やはり農水大臣としてきちっとこの辺を見きわめて、農業災害補償に対する考え方を今後ともきちんとしていただきたい。  そこで、地域農業共済の導入の関係であります。  今も言いました、中山間地域は高付加価値作物を、高収益作物を導入していくんだ。しかし、まだその端緒についたばかりであります。あの融資政策でいくとは私は思いません。しかし、この中山間地域は、高付加価値の作物を導入するということからいけば、こういった災害等がまた起こる可能性が非常に高い。そういう意味では、あの研究会報告でも地域農業共済の導入について言葉を出しておりますし、また、自民党さんとのこの法案のすり合わせでもこの地域農業共済をぜひ入れるという厳しい意見があったという新聞報道もありますから、私は、この地域農業共済を一刻も早く導入すべきである。この際は、従来の作物ごとの視点ではなくて、例えば地域の中で、複数の作物を入れた中で、いわゆる災害収入方式のような、そういう災害があったとき価格が減少した、収入が減少したときの補てん方式等、さまざまな共済の商品メニューというものが考えられると思うのであります。  このことについて、本当に真剣に導入する方向がどうか、決意を聞かせていただきたいと思います。
  141. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 御指摘のとおり、地域農業共済につきましてはいろいろと検討をしてきておるところでございます。  先ほども御答弁いたしましたが、地域的な作物でございますので、保険の手法をとります場合に、全国的な危険分散がうまくいくかどうか、こういう点が一点でございます。第二点目は、そういう作物について保険の手法をとる場合に、基礎的なデータ、こういうものがきちっと集まるかどうか、こういうことでございます。それからさらに、やはり損害評価とかそういう技術的な問題があるわけでございます。  いずれにいたしましても、この共済制度、保険でございますので、掛金を払って、国庫補助があるとはいえ何年間か一定の期間に収支均衡が図られる、こういうことでございますので、せっかく共済の店を開いたけれどもお客がない、こういう状態では困るわけでございますので、その辺のことも考えながら真剣に検討を深めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  142. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 時間を早く終わらせたいと思いますので、三つほどまとめて聞きます。  まず、豚の共済掛金の国庫負担の引き上げの問題です。これについても、昭和六十年の議論でも、早急に入れるべきだ、大臣もこれについては将来に検討をいたしたい、ここの農水委員会の附帯決議でも引き上げるべきだという決議をしておりますし、そのほか、さっきの元年の研究会でも他の畜種並みに引き上げるべきだと明確に言っております。したがって、これをなぜ今回入れなかったのか。やはり早急に入れて、今豚は二〇%ちょっとの引受率でありますから、これは約束は守っていただかなければ困る。その優先順位がどうだとかこうだとかと言わなくて、ちゃんと国会決議したものは守っていただきたい。  それから、畑作物共済の関係ですけれども畑作物共済についても、商品の劣化によって収入が大変急激に落ちる、そういう状況の作物もあります。例えばバレイショあるいは大豆等でもあります。そういうことで、果樹等で入れております災害収入共済方式をとることができるのかどうか、これについてもお答えを願いたい。さらに、自主流通米の増加に対応した共済事業の実施ということで、政府米と相当の価格差を生じておる、このことがなかなか、引き受けあるいは損害評価に農家の不満が高まっておるということで、この点の改善についてどのように考えておるか。  それから、三つ目でありますけれども、掛金の無事故割引制度の導入であります。このことについても研究会で検討すべきだというふうに述べております。今の共済の商品は、さまざまな保険が世の中にはんらんしておりますけれども、そういう意味からいきますと非常に商品開発がおくれておるというふうに思います。私は農協におりましたから、農協もおくれておるというふうに言われるかもわかりませんけれども、もっともっとこの商品開発に創意工夫をすべきときに来ておる。そういう意味では、共済金の支給のないところには、それは優秀なわけでありますから、掛金率を割り引きをしていく。しかし同時に、割り増しという制度をとられたのでは、最初でありますから、問題が大きいわけでありますから、その割引制のところを国庫で助成をするという制度についてもやはり検討すべきである。国のお役人さんであればこそ、なおさら斬新な商品を開発して、農家皆さんが一〇〇%加入できるものをつくるべきであるというふうに思います。  この三つについてお伺いをいたします。
  143. 眞鍋武紀

    眞鍋政府委員 豚の補助率の問題でございます。  豚につきましては、加入率が大家畜、牛に比べまして低いわけでございます。この点は御指摘のとおりでございます。なぜ低いかという点につきましては、豚の一頭当たりの資産価値といいますか、こういうものが年とか馬に比べまして低いというふうなことで、農家の危険意識が大家畜ほど大きくないというのが一点だろうと思います。それから、技術がかなり進んでまいりまして、豚の飼養の大規模農家においては比較的生産が安定していて事故が比較的少ないというふうなこと、それから豚の飼養回転といいますか、回転が早いわけでございまして、自家保険といいますか、自分の中で対応がある程度可能である、こういうふうな面があろうかと思います。したがいまして、単なる国庫負担が低いからというだけでの理由ではなかろうと思うわけでございますが、この国庫負担につきましては、豚を飼っております経営体がいろいろございます。いわゆるインテグレーションと言われます、要するにいろいろな……(針目委員「そんなのわかっている。やるか、やらないかだけ」と呼ぶ)いずれにいたしましても、今回はできなかったわけでございますが、引き続き検討をさせていただきたいと思います。  それから、畑作物共済の災害収入共済方式というふうなことでございますが、これはお茶について今回取り入れたわけでございますが、今御指摘のございましたバレイショとか大豆あるいはてん菜、こういうふうな畑作物についてどうなんだということでございます。  ここのところは、災害収入方式というのは価格の変動があるものについて有効なわけでございまして、行政価格で価格が決められておるものについては収量と余り変わりがないのではないかというふうなことでございます。さらに、インゲンでございますとか小豆のように非常に価格変動が激しいというふうなもの、いずれにしましてもこれをとる前には、共同出荷といいますか、何らかの格好で生産金額が的確に把握できる、出荷段階なりあるいはいろいろなところできちっと把握できるということが必要でございます。  いずれにいたしましても、農家の方の需要といたしまして、今までの収量保険から、そういう品質なり価格なりを加味した保険にしてほしいという要望があることは我々も承知しておるわけでございますので、今後も引き続き勉強をしてまいりたいということでございます。  さらに、自主流通米をどうするか、こういうふうなことでございます。これらにつきましても、なかなか技術的な、先ほど来申し上げておりますが、農業共済制度というふうに仕組みます場合には、いろいろなデータでございますとか、要するに保険技術上のいろいろな問題がございます。そういうふうな技術をクリアしないとなかなか実施ができない、こういうふうなことでございます。  それから、一般的に申し上げますと、この農業共済制度につきましては、国庫負担があるという政策保険であるというふうなことで、従来から当然加入制というものをとってきたというふうなこと、あるいは組合について事務費の国費負担、こういうふうな政策保険として運営をしてきたというふうなことで、御指摘のように、新しい共済といいますか、いろいろな創意工夫をしていろいろな共済をつくっていくということが不十分ではないかというふうなことはあろうかと思います。  ただ、これはそう機動的に動けるというふうなものでもございませんし、また、役人がいろいろと考え出すということについてはいろいろと限界があるというふうなことでございまして、民間の保険等々については民間の創意工夫というふうな中からいろいろな保険が生まれてきておるというふうな実態もあるわけでございます。いずれにしましても、農家の希望あるいはいろいろな共済組合の事業活動も活発化をさせながら対応をしていきたいというふうなことで、今回、責任分担割合についても改正をして、事業運営の活発化を図りたいというふうな改正をしておるわけでございます。  いずれにしましても、時代の要請といいますか、時代変化に伴いまして農業がいろいろと変わってくる、そういう農業実態に合った、農家の信頼にこたえられるような共済制度になりますように、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  144. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 大臣にお伺いしたいのですけれども、今言われましたように途中経過であります。新政策に基づくさまざまな農業共済のメニューもこれから出てくるだろう。今お伺いしただけでも本当に五点、六点あるのであります。しかし、これはすべて財源を伴うものであります。今度の改正においても、財源で私ども相当農水省の皆さんともお話をしました。これらの新しい共済の事業を推進していく上で、やはり財源の確保をきちっとしていく、その決意をお聞かせ願いたいと思います。
  145. 田名部匡省

    田名部国務大臣 今局長、長々と答弁いたしましたが、御理解いただけたと思うのであります。  私ども、これが最善のものとして提案をいたしておるわけでありますが、しかし先の見通しというのは、これによって私ども農家皆さんが相当期待をしてくれるであろうと思うのですけれども、やってみた結果またどういうことになるか。いかに立派なものでも加入するのは農家皆さんでありますから、まあこの推移を見ながら適時やはり常に改善をして、いいもの、いいもの、その時代に合ったものという中で財源等も検討していくべきものだというふうに考えておりますから、全体的に見て立派なできばえだ、こう私は自信を持っておりますので、ひとつこの法律をお認めいただいて、そしてまた、もし欠陥があれば欠陥を是正してよりよいものにしていくということで、御理解をいただきたいと思います。
  146. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 農業災害補償については、予算を見れば、昭和六十二年が一千六百億、これをピークとして、今は一千四百億に下がっております。今大臣は直接お答えにならなかったので再質問という形になるのですけれども共済の事務費についても昭和六十年、これから定額制という形で五百四十一億、ずっとこの八年間変わっておらないのであります。  大臣、最後に、再度お伺いをしたいのですけれども、これらのさまざまな共済事業を推進していく上で、このような財源の相殺という形で農家の掛金の国庫負担を下げるというようなことでなくて、ガットのダンケル合意案でもこの災害補償の国内支持政策はグリーンボックスに入っておるわけでありますから、それを逆手にとってもっと積極的にやることが、日本農業を再生するといいますか、そういうことにもつながるだろうという意味で、最後にもう一度、この共済の事務費をこれ以上下げない、そのことを含めて、財源について大臣決意を聞かせていただきたいというふうに思います。
  147. 田名部匡省

    田名部国務大臣 六十年度以降五百四十一億を計上しておるわけでありますが、必要な人件費の大部分を充足しておるわけであります。団体、農業共済団体でありますけれども、今後一層、広域合併を図るとか機械化の推進をするとか、そういう事業運営をやっていただく。いずれにしても農家が、これは農家自身の問題でありますから、災害のときにどうするかということを考え、理解をしていただいて、より多くの人が加入するという中でこの組合の体質を強化しながら、今申し上げたようなことをやりながら人件費のアップ等に対応していく必要があるということで、この方向で私どもは指導をしていきたいと思うし、事務費の負担の確保にもまた努めていかなければならぬ。いずれにしても、我々も努力しますが、現場の農家皆さんもまた最大の努力をする、両方で努力することによって、私は、よりよい方向というのは見出していけるのであろうというふうに考えております。
  148. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 きのう、きょう、政治改革で、国会、本会議は談論風発、大変な議論を巻き起こしました。この農災法でも、平沼委員長、私どもが言った際にも大変御理解をした発言もありました。どうか与党の皆さんも、議案を提出したらそれで終わりだということではなくて、やはりよりよいものというのは財源を乗り越えていいものを法案として仕組んでいく、そのことについてぜひお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  149. 平沼赳夫

    平沼委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  150. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、本案に対し、藤田スミ君から修正案が提出されております。  修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。藤田スミ君。     —————————————  農業災害補償法の一部を改正する法律案に対す   る修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  151. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 農業災害補償法改正案に対する日本共産党の修正案の趣旨説明を行います。  修正案提出の理由は、本案が共済掛金国庫負担制度を抜本改悪し、麦を除いて超過累進制度を廃止するものであるという点であります。  言うまでもなく、共済掛金国庫負担制度は、国家的要請に基づく農業生産の維持拡大を期するには、国も社会保険的な見地から助成する必要があることや、農作物共済及び蚕繭共済について、一定の経営規模以上の農家などは当然に加入する当然加入制をとっていることの裏づけとして国の助成が必要であるなどの理由で、農業災害補償制度発足時から行われてきたものであり、また超過累進制度は、災害常襲地帯等の掛金率の高い地域農家負担を軽減し、災害から農家の経営を守るという災害補償制度の根幹をなす制度であります。  ところが、今回の改正案は、超過累進制度を廃止するという災害補償制度の根幹にかかわる抜本改悪であり、決して認めることはできません。  しかも、本案では、新政策の推進のために大規模農家への対応を進める一方、小規模零細農家に対しては、組合員資格を、現行の「十アールを超えない範囲内」となっているのを、「十アール以上」と政令の改正を打ち出しました。このことによって、全国で十五万七千戸の小規模零細農家農作物共済加入の権利を奪われることになるばかりか、小規模零細農家が多い都市近郊農業地域や中山間地域では、集落内で非加入農業者が増加することになり、集落組織を基盤として運営されている共済制度全体の崩壊を招くことになり、許すことができないわけであります。  本案は、他に多くの改善点があり、それらの改善点については、我が党も従来からその改善を主張してきたものであり、当然のことであります。よって、日本共産党は、共済掛金国庫負担金に関する法改正部分の削除の修正案を提出するものです。  その修正の内容は、農業災害補償法の一部を改正する法律案のうち、農業災害補償法第十二条改正部分及び第十二条の四の国庫負担制度にかかわる改正部分を削除するものであります。  どうか委員各位の御賛同を得られますよう、よろしくお願いいたします。
  152. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣意見があればお述べいただきたいと存じます。田名部農林水産大臣
  153. 田名部匡省

    田名部国務大臣 ただいま御提案のありました修正案につきましては、政府としては反対であります。
  154. 平沼赳夫

    平沼委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、先ほどの理事会の協議によりまして討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。  これより採決に入ります。  農業災害補償法の一部を改正する法律案及びこれに対する藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。  まず、藤田スミ君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立少数。よって、藤田スミ君提出の修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  156. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  157. 平沼赳夫

    平沼委員長 この際、本案に対し、金子徳之介君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。遠藤登君。
  158. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表して、農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本制度農業災害対策の基本として、農業経営の安定、農業生産力の維持増大等に重要な役割を果たしていることにかんがみ、左記事項の実現に努め、制度の円滑な運営の確保に遺憾なきを期すべきである。      記  一 共済掛金の国庫負担方式の合理化措置に対応し、農家負担が過重とならないよう、無事戻しの実施につき適切な指導を行うとともに、異常災害の折には国が積極的な支援を行うこと。  二 責任分担方式の見直しに当たっては、これが組合等の事業推進意欲の向上と活性化に結び付き、加入促進等が図られるよう指導すること。    また、万一、組合等に共済金の支払財源の不足が生じた場合には、農家に著しい影響を与えないよう適切な指導を行うこと。    なお、園芸施設共済に係る責任分担方式の在り方についてはさらに検討を加えること。  三 生産組織単位での共済加入、大規模農家等に対する全相殺引受方式の導入が円滑に実施されるよう、その体制整備に必要な各般の措置を講ずること。  四 今回の改正措置に関連し、現在引受率が低迷している果樹共済畑作物共済園芸施設共済については、組合等の加入促進の活発化等を通じて一層の加入促進が図られるよう所要の措置を講ずること。  五 組合等の広域合併の推進に当たっては、画一的な基準によらず、地域の実情を反映させるとともに、組合員等の意見が十分反映される体制が整備されるよう指導すること。  六 農作物共済に係る組合員資格面積基準の見直しに当たっては、基準面積以下の農家に対し、生産組織単位での加入を図る等所要の指導を行うこと。    また、当然加入基準の緩和に係る指導については、関係者の意見を踏まえ、地域実態等を勘案して行うこと。  七 今回の法改正の実施措置の推移を踏まえつつ、新農政の展開に即応した農業災害補償制度の在り方について、更に検討を加えること。    この場合、中山間地域等の農業振興を図るための地域特産物を対象とする地域農業共済の導入、自主流通米の増加に対応した共済事業の実施、米の収穫量の基準の改善、乳牛の子牛・胎児の家畜共済の対象への追加等対象品目の拡充について検討するとともに、これに必要な財源の確保に努めること。  八 農業共済団体の事業活動の強化が図られるよう、事務費負担をはじめとする所要の国庫補助について、その適正な確保に努めること。    また、現在事故率が増加傾向にある家畜共済事業の運営強化が図られるよう、獣医師の確保等家畜診療体制の整備に努めるとともに、事故率低下のための所要の措置を講ずること。  九 各種共済事業について、引受、損害評価方法の簡素化に極力努める等効率的な事業運営を行い得るよう配慮すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じまして委員各位の御承知のところと思いますので、具体的な説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  159. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  金子徳之介君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 平沼赳夫

    平沼委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田名部農林水産大臣
  161. 田名部匡省

    田名部国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。     —————————————
  162. 平沼赳夫

    平沼委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 平沼赳夫

    平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  164. 平沼赳夫

    平沼委員長 次に、内閣提出農業経営基盤の強化のための関係法律整備に関する法律案農業機械化促進法の一部を改正する法律案特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備促進に関する法律案並びに辻一彦君外五名提出地域農業振興法案及び中山間地域等農業振興法案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。田名部農林水産大臣。     —————————————  農業経営基盤の強化のための関係法律整備に   関する法律案  農業機械化促進法の一部を改正する法律案  特定農山地域における農林業等活性化のだ   めの基盤整備促進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  165. 田名部匡省

    田名部国務大臣 農業経営基盤の強化のための関係法律整備に関する法律案農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備促進に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  まず、農業経営基盤の強化のための関係法律整備に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  我が国の農業は、国民への食糧の安定供給という重大な使命に加え、地域社会の活力の維持、国土、自然環境の保全などの多面的な機能を有しており、我が国の経済社会の均衡ある発展と豊かでゆとりのある国民生活の実現のために欠かすことのできない重要な役割を果たしております。  しかしながら、近年の農業を取り巻く情勢を見ますと、農業労働力の非農業部門への流出が続く一方で、農業従事者の兼業化、高齢化が著しく進行するなど深刻な問題に直面しており、農業経営に意欲と能力のある者を確保するため、農業を職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものにしていくことが緊要な課題となっております。  このような状況に対処し、農業の健全な発展を図るためには、さきに農政審議会において取りまとめられた「農業構造・経営対策の課題と対応の方向」に示されておりますとおり、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立するため、各般にわたる農業経営基盤の強化に関する施策を総合的かつ効果的に推進することが急務であると考えております。  このため、地域において育成すべき多様な農業経営の目標を、関係者の意向を十分踏まえた上で明確化するとともに、その目標に向けて農業経営を改善する者に対する農用地の利用の集積、経営管理の合理化など、農業経営基盤の強化を促進する観点から、農用地利用増進法を初め関係七法律につき所要の改正を行うこととし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、農用地利用増進法の改正であります。  同法の題名を農業経営基盤強化促進法に改め、効率的かつ安定的な農業経営を育成するための基本的な法律とし、新たに都道府県の基本方針及び市町村の基本構想において育成すべき農業経営の目標等を明確化するとともに、これらに則して農業者が作成する農業経営改善計画を市町村が認定する制度を設けることとしております。また、従来の農用地利用増進事業を拡充して農業経営基盤強化促進事業とするとともに、農地保有合理化法人に関する制度整備し、その事業内容の充実等を図ることとし、これらの措置により総合的に農業経営基盤の強化対策を推進することとしております。  第二に、農地法及び農業協同組合法の改正であります。  農業経営の法人化を円滑に推進するため、農業生産法人、農事組合法人の事業及び構成員の範囲を拡大するとともに、これに対応して、農業協同組合の正組合員の範囲を拡大することとしております。また、農業協同組合の行う農地保有合理化事業の実施等に必要な農業経営に関する制度整備等を行うこととしております。  第三に、土地改良法等の改正であります。  農業経営基盤の強化のための生産基盤の整備を円滑に推進するため、土地改良事業の一人施行方式の導入、農林漁業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫による無利子資金貸付制度の創設等の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  続きまして、農業機械化促進法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  農業の機械化につきましては、農業生産力の増進と農業経営の改善を図る観点から、生物系特定産業技術研究推進機構における試験研究を促進するとともに、各種の融資、助成等の措置を通じて高性能農業機械等の計画的な導入に努めてきたところであります。  しかしながら、我が国農業農村をめぐる状況は、経済の高度化、人口や産業の都市への集中といった諸情勢の変化の中で、農業就業者の減少、高齢化の進行等近年大きく変貌しております。  このような状況の中で、経営感覚にすぐれた農業担い手が夢とやりがいを持って取り組める魅力ある農業づくりを進めていくため、農業の機械化を一層促進することが急務となっております。  このため、政府といたしましては、農作業の効率化と労働負担の軽減に資する高性能農業機械等の開発、実用化を促進し、これを農業者が効果的に導入して農業経営の改善を図っていくための所要の措置を講ずることができるようにするため、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、高性能農業機械等の開発及び実用化等を促進するため、農林水産大臣は、高性能農業機械及び農業機械化適応農業資材の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針を定めることとしております。  第二に、都道府県知事の定める高性能農業機械導入計画の内容を整備拡充し、農作物の安全性の確保に関する事項等を追加することとしております。  第三に、基本方針に基づいて高性能農業機械の実用化を促進するための事業を実施しようとする者は、当該事業に関する計画を作成し、農林水産大臣の認定を受けることができることとしております。  第四に、生物系特定産業技術研究推進機構の業務を追加し、評定を受けた計画に係る高性能農業機械の実用化を促進するための事業の実施に必要な資金の出資を行うとともに、農業機械化適応農業資材の開発に関する試験研究及び調査を行うことができることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  最後に、特定農山地域における農林業等活性化のための基盤整備促進に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  いわゆる中山間地域につきましては、我が国農林業生産において大きな地位を占めるとともに、国土や環境の保全等の多様な役割を果たしております。  他方、これらの地域においては、地勢等の地理的条件が悪く、一般に農業生産条件が不利であることに加え、近年、農林業の担い手の減少、高齢化の進行が著しいことから、農林業の生産活動が停滞し、これに伴い耕作放棄地等が増大しつつあります。さらに、魅力ある就業、所得確保の機会が乏しいこともあって、農林業のみならず地域社会全体の活力が低下しつつあり、このまま推移すれば、中山間地域の果たすべき役割に重大な支障を生ずることが懸念されております。  このような状況に対処し、中山間地域活性化を図るためには、さきに農政審議会において取りまとめられた「今後の中山間地域対策の方向」に示されておりますように、各地域の諸条件に応じて、その創意工夫を生かしつつ、農林業の活性化を図るとともに、農林地の効率的かつ総合的な利用、他産業の導入等を行うことにより、地域における就業・所得機会の増大を図ることが急務であると考えております。  以上の観点から、関係省庁が連携して、中山間地域について、農林業を中心としてその他の事業を含めた活性化のための基盤の整備促進するための措置を講ずることとし、この法律案提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、地勢等の地理的条件が悪く、農業生産条件が不利な地域である等の用件を備えた特定農山地域を含む市町村は、農林業等活性化基盤整備計画を作成することができることとしております。計画においては、農林業その他の事業の活性化の目標、農林業等活性化基盤整備促進事業の実施に関する事項、農林業の生産基盤の整備及び開発並びに産業振興に必要な公共施設の整備に関する事項等について定めることとしております。  第二に、計画を作成した市町村は、農業者の組織する団体が作成した新規の作物の導入その他生産方式の改善によるその構成員の農業経営の改善及び安定を図るための措置等に関する計画及び農林業等活性化基盤施設の設置に係る事業を行う者が作成した事業計画について、それぞれ認定を行うことができることとしております。また、国及び都道府県は、農業経営の改善及び安定のための計画の認定を受けた者に対して、必要な資金の確保に努めることとしております。  第三に、計画を作成した市町村は、第二の認定を受けた者等の必要な農林地の確保や農林業等活性化の基盤となる施設の円滑な整備等の促進を図るため所有権移転等促進計画を定め、所有権の移転等を促進する事業を行うことができることとしております。  このほか、土地改良法及び森林組合法の特例、税制上の特例、地方財政上の特例等に関し所要の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、これら三法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  166. 平沼赳夫

  167. 辻一彦

    ○辻(一)議員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、地域農業振興法案並びに中山間地域等農業振興法案の趣旨説明を行います。  まず最初に、両案提出背景について御説明を申し上げます。  御存じのとおり、昭和三十六年、自立経営農家の育成、選択的拡大など鳴り物入りで施行されました政府農業基本法農政は、三十年を超えた現在、全水田の三〇%に及ぶ米の減反政策と、全国で二十一万ヘクタールに及ぶ耕作放棄地、そして過疎化、高齢化、後継者難という状況に至っております。今、我が国の農業崩壊の寸前にあると言っても過言ではありません。農業基本法農政は破綻したと言わざるを得ないのであります。  私は、かつて昭和五十二年二月、参議院本会議において、日本社会党を代表して、当時の福田内閣に対し、今日のような輸出超重点主義の経済政策、貿易政策をとるならば、黒字増大により、その見返りに農産物の輸入を迫られ、農業は縮小再生産に追い込まれるであろう、内需拡大への経済政策の転換を図るべきではないかとただしたことがあります。残念ながら、この指摘は的申しました。十六年後の今日、無定見な食糧輸入、国内農業の衰退によって、食糧自給率も穀物で二九%、カロリーで四六%と、世界の先進工業国の中で最低の水準となっております。食糧安全保障の立場からも、これ以上の食糧自給率低下を防ぎ、それにつながる米の関税化、自由化は断じて認めることはできないのであります。  今日、地球規模での環境保全対策が叫ばれ、かつては農業自由貿易の旗振り役を果たしてきましたOECDも、昨年四月の農相理事会では、地球環境と共存する農業政策の必要性を強調しておりますし、環境保全に果たす農業の役割を見直すのは今や世界の大きな流れとなっているのであります。  このような中で、我が国農業の立て直しのためには、まず、食糧の安全保障、国土・環境保全に対する農業の役割と理念を明確にし、国民のコンセンサスを得て内外に宣言すべき時代を迎えています。  今回、政府提出の構造法案は、農業基本法見直しを先送りにし、実態にまず対処しようとするところから出発しております。政府による我が国農業の危機的現状の把握、分析については、共鳴し得る点も少なくないのでありますが、社会党案の特徴は、その取り組みについては、従来の上から下への霞が関農政に対して、下から上に積み上げる地域農政、あぜ道農政を強く打ち出したこと、今日、国土・環境保全、水資源の確保から最も重要な中山間地域対策において、条件不利地域農民に対し直接所得補償を打ち出した点であります。  以下、この二点から、二法案の内容について御説明申し上げます。  初めに、地域農業振興法案であります。  第一に、市町村は、自然的、経済的、社会的諸条件に応じて地域農業の健全な発展を図るため、五年を一期とする市町村地域農業振興計画及び市町村年度別計画を定めることができることとしております。市町村地域農業振興計画は、地域農業を担う者の確保、農業生産基盤整備農業を中心とする産業構造の高度化、地域資源の活用、農村における良好な生活環境の確保その他の地域農業の振興を図るために必要な事項に関し、国の地域農業振興基本目標及び基本対策及び都道府県の地域農業振興目標及び対策に基づいて定めることとしております。  第二に、都道府県は、市町村の講じる施策に協力するため、五年を一期とする都道府県地域農業振興計画及び都道府県年度別計画を定めることができることとしております。  第三に、地域農業が、地域農業者の自主的な意向に基づき、かつ、地域農業者地域農業関連事業者または消費者団体との連携を基礎として行われることを確保するため、国、都道府県及び市町村の各段階に地域農業振興会議を設置することとしており、その委員として、農業者地域農業関連事業者及び消費者を代表する者等のほか、都道府県会議には市町村会議委員が、全国会議には都道府県会議委員が、それぞれその構成員となることとしております。  第四に、国は、都道府県及び市町村に対し、都道府県年度別計画及び市町村年度別計画に基づく事業の実施に要する経費に充てるため、交付金を交付することとしております。  第五に、国等は、これらの計画に基づく事業の推進を図るため、農業者等に対し、助言、指導、資金の融通のあっせんその他の援助を行うこととしております。  次に、中山間地域等農業振興法案であります。  第一に、国は、農業を営む上で自然的、経済的、社会的諸条件が不利な中山間地域等の市町村に対し、中山間地域農業経営奨励交付金及び中山間地域等環境保全型農業奨励交付金を交付することとしております。  中山間地域農業経営奨励交付金は、中山間地域等の農業の継続及び農村における地域社会の維持を図るため、市町村が中山間地域等において農業を営む者に交付する奨励金に充てるためのものであり、中山間地域等環境保全型農業奨励交付金は、中山間地域等において環境保全型農業の普及を図るため、市町村が中山間地域等において環境保全型農業を営む者に交付する奨励金に充てるためのものであります。これらの交付金の金額は、農業所得額、耕作放棄地の割合、小規模農業集落の割合等を勘案してそれぞれ定めることとしております。  第二に、国は、都道府県または市町村に対し、都道府県年度別計画または市町村年度別計画に基づく事業であって中山間地域等の農業の振興に寄与すると認められるものの実施に要する経費に充てるため、地域農業振興法の規定による交付金のほか、特別の交付金を交付することとしております。  第三に、国は、中山間地域等において、これらの計画に基づく事業の推進を図るため、地方債の起債についての配慮、減価償却の特例、地方税の不均一課税に伴う措置等の一連の措置を講ずることとしております。  以上が、地域農業振興法案及び中山間地域等農業振興法案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。ありがとうございました。
  168. 平沼赳夫

    平沼委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十分散会      ————◇—————