○田並
委員 それは
大臣、与信業務がどうかということを私は聞いているのであって、貯蓄手段の
一つとして便宜お客さんの持っている預金額の一定の範囲内で、割合でもって
郵政省が、
融資をすると言うとあれですが、お金を一応貸すわけですよね。これははっきり言って与信業務ではないと言っているわけですよ。与信業務ではないということは要するに、貯蓄の
一つの手段という
仕事を
郵政省がしながら、その一方でお客様のサービスということでやっている
仕事だというふうに認識をしているんですね。
ですから、その辺はひとつぜひさらに勉強してもらいたいと思うんですが、私は今言われた官業が民業に補完をするだけでいいんだという、この物の考え方だけではいけないというふうに思うんです。というのは、今日まで百年以上にわたる郵政三
事業の
仕事の中で、かなり
国民の皆さんには、
郵政事業というものが
国民生活の向上のために役立ってきましたし、また、日本の経済発展のためにも相当役立ってきたと思うんですね。そのことは、
大臣、認めると思うんですよ、この
郵政省の三
事業というのは。
それで私は、この郵政三
事業の、
郵政事業というふうにまとめて言いますが、この
郵政事業の
経営形態、それによるところの
事業の発展、それと同時に
国民経済に大きな貢献をしたということと、
国民生活の向上、
福祉の向上に貢献をしたということは一体的なものだというふうに思っているんです。要するに、
郵政事業の
経営形態というのは、もう
大臣御案内のとおり、
一つは国営で非営利です。全国にネットワークを持っています。それと同時に、独立採算です。三
事業は一体です。これが今の
経営形態ですわね。そのことによって何が今日まで
郵政事業として行われてきたかというと、
一つには、とにかく全国に
国民の皆さんひとしくあまねく公平に郵政三
事業のサービスを提供してきたということです。
要するに、二万四千ある郵便局というのは、前の
委員会のときに武部
委員が言いましたように、二万四千のうち四一%というのは非採算ですよ、
郵政省の発表でも。非採算、不採算です。採算のとれないる所です。だからといって、そういうところを、公的な窓口を置かないわけにはいかないですね、あくまでも国費非営利なんですから。もうかるところがもうかった部分を補う。したがって、地理的な普遍性というのを
郵政事業は持っているわけです、地理的な普遍性というものを。
私も埼玉ですけれども、かなりローカルな方なものですから、私鉄が残念ながら路線を撤収したり、バス路線をどんどん廃止しています。それは営利
会社ならできるんですよ。また、これはどうにもならないんです。もちろん一定の基準に達すれば国の補助が出ますけれども、一定の基準に達しないところは出ませんから、どうやったって赤字が累積されれば撤収していきますよ。
郵政省はおかげさまで全国ネットワークですからそのことをしない。採算がとれなくもやっていく。そのことによって、
国民の皆さんにあまねく公平にサービスを提供している。
それで、先ほどからの話のように、従来貯金
事業というのはということで、簡易な少額の貯蓄を預かるだけなんだと言いましたが、じゃ、そこの住民の皆さんにとってみると、例えば郵便局へ行けば
年金が受けられる、あるいは場合によれば、過疎の地域じゃなくて都会地でも、サラリーマンの人が例えば住民票が欲しい、しかし役場へ行くとどうも行き帰りの時間じゃ
役所が閉まっちゃっているから、じゃ郵便局へ頼んでおこう、こういう
役割も、全国ネットワークを持っているんですから、社会的な
政策の一環というものを
郵政省が担っておかしいことはないですね、
郵政事業は。そのくらいのやはりネットワークを大いに利用した
郵政省の
仕事というのはどんどん開拓をしていいんじゃないかと私は思うんです。まさに
国民の皆さんの喜ぶ
郵政省として、大いにやるべきだと思うんですよ。
ですから、そういう公的な窓口が全国ネットワークで展開をしているという、このことによって
国民がどのくらい利便を受けているか、そのことを私は
一つは言いたいじ、また、
郵便貯金だとか簡易保険の資金が集まっできますと、それが保険の金は自主
運用に回ったり、あるいは一年間は
大蔵省の資金
運用部に入る、
郵貯は全額入る、今一部自主
運用になりましたけれども、このことによって
財投の資金の主要な財源としてこれまでの日本経済を支えてきたし、これからもまたそういう
役割を果たすだろうと思うんです。
郵便貯金がうんと集まったから
財投にそのまま行って
財投が膨らんでいるというのは絶対間違いですから。
財投は
財投で政府がちゃんと枠を決めて計画を立ててやるわけですから。
財投に行かないお金というのは
大蔵省が市中で
運用しているわけですから。そういう意味で、大変このお金というのも
国民経済にとっては、あるいは日本経済にとっては重大な
役割を果たしているというふうに思うんですね。
それともう
一つは、個人がしてくれる貯金や保険、
年金、これが
国民の生活の向上、
福祉の充実に当然貢献をしています。
銀行では余り小口のはそんなに好まないですものね。本当に便利で確実で有利だということで郵便局を利用してくれるお客さん多いわけですから、ですからそういう意味では、それぞれの
国民の皆さん方の生活の向上であるとか、あるいは
福祉に、自助努力という観点から
福祉の充実に貢献をしてきている。それと、
郵便事業についてもそうですね。これは非常に安い料金で全国ネットワークを活用しての通信手段というものが
国民に提供されているわけですから、私は本当にすばらしいことだというふうに思うんです。
それと、実は官業であるからこそできた
仕事が幾つかあると思うんです。またそれを民業の方では、
郵政省がそこまでやるんじゃうちの方もサービスを開始しようということでやってきた
仕事が幾つかあるんですね。その
一つが住宅積立貯金、これは
民間では住宅ローンになっているわけです。それと、ゆうゆうローンというのが開始をされますと、それがまた
民間の
金融機関では庶民ローンという形で発展をしている。進学積立貯金を
郵政省が始めようとすると、
民間は今度は教育ローンを始める。国際ボランティア貯金はしましたが、まだ
民間ではやられておらないようですが、私は、こういうのはどんどん
民間もまねてもらってやるべきじゃないか、こう思うんです。あるいは、新しい郵便
年金制度が個人
年金の普及の先鞭をつけた、
郵政省の
仕事が。
このように私は思いますし、つまり、官業と民業が
お互いに切磋琢磨をして、これ全部、貯金も保険もすべて
民間になるということは、それは
大臣が考えていることかもしれませんが、私は、こういう世の中だからこそ民業であれ官業であれ
お互いに切磋琢磨をして、しかし官業は民業を圧迫しないように、圧迫をしてはいけないと思うんですが、しかし、適切な業務というものを開拓して民業にも刺激を与えていく、こういうことも私は官業の
仕事としてあるだろうと思うんです。こういう今までの長年の
郵政事業の歴史を考えてみて、
大臣が、
大臣になりました、だから今の貯金は、あるいは保険は、郵便はということで、
経営形態のことまで口にするというのはいささか行き過ぎではないか。
要するに、今までの
郵政事業の果たしてきた
役割というものをしっかりと
大臣が認識をされた上で、なおかつ二十一世紀に向けて、この今言った四つの原則、四つの原則というのは、要するに
郵政省の
経営形態の問題ですよ、全国ネットワーク、国営、非営利、しかも三
事業一体、独立採算、これを最大限生かして、二十一世紀に向けて
郵政事業というのをさらに
国民の皆さんのために、あるいは日本のためになるようにするためにはどうしたらいいのかという観点でやはり
郵政事業というのを見てもらいたいと思うんですよ。そうじゃないと、
大臣がこれまで
大臣に
就任されて以来言われてきたことを
一つ一つ客観的に反すうしてみますと、どうも、どこかのところからの考えが
大臣の頭の中を占めてしまって、どうも
郵貯悪者論みたいな格好で話の根拠というものができ上がっているような気がしてならないんです。
重ねて申し上げますが、ぜひひとつ
郵政事業の今日まで果たしてきた
役割、それらを十分認識をされて、今後二十一世紀に向けてさらに
国民のためになる
郵政事業として何をするべきかということを真剣に
大臣として考えてい
ただきたい、このように申し上げたいのです。
所信をお伺いしたいと思います。