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1993-02-24 第126回国会 衆議院 厚生委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年二月二十四日(水曜日)     午前九時三十四分開議 出席委員    委員長 浦野 烋興君    理事 粟屋 敏信君 理事 野呂 昭彦君    理事 平田辰一郎君 理事 持永 和見君    理事 山口 俊一君 理事 網岡  雄君    理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君       甘利  明君    伊吹 文明君       岩屋  毅君    衛藤 晟一君       小沢 辰男君    岡田 克也君       加藤 卓二君    小坂 憲次君       坂井 隆憲君    坂本 剛二君       鈴木 俊一君    住  博司君       近岡理一郎君    戸井田三郎君       畑 英次郎君    簗瀬  進君       伊東 秀子君    岡崎 宏美君       加藤 繁秋君    川俣健二郎君       菅  直人君    小松 定男君       五島 正規君    外口 玉子君       土肥 隆一君    長谷百合子君       細川 律夫君    森井 忠良君       草川 昭三君    吉井 光照君       児玉 健次君    柳田  稔君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君  出席政府委員         厚生大臣官房総 瀬田 公和君         務審議官         厚生省年金局長 山口 剛彦君         社会保険庁次長 奥村 明雄君         社会保険庁運営 佐藤 隆三君         部長  委員外出席者         大蔵省主計局共 五味 廣文君         済課長         農林水産省構造         改善局農政部就 六車  守君         業改善課長         運輸省鉄道局国         有鉄道清算業務 鶴野 泰孝君         指導課長         労働省職業安定         局高齢障害者 北浦 正行君         対策部企画課長         自治省行政局公 川村 仁弘君         務員部福利課長         参  考  人         (日本国有鉄道 石月 昭二君         清算事業団理事         長)         参  考  人         (日本国有鉄道 杉田 昌久君         清算事業団理          事)         参  考  人         (日本国有鉄道 下村 徹嗣君         清算事業団共済         事務局長)         厚生委員会調査 高峯 一世君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   大石 正光君     小坂 憲次君   宮路 和明君     坂本 剛二君   沖田 正人君     細川 律夫君   五島 正規君     岡崎 宏美君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     大石 正光君   坂本 剛二君     宮路 和明君   岡崎 宏美君     五島 正規君   細川 律夫君     沖田 正人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  被用者年金制度間の費用負担調整に関する特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一号)  国民健康保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第一二号)      ――――◇―――――
  2. 浦野烋興

    浦野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長石月昭二君、日本国有鉄道清算事業団理事杉田昌久君及び日本国有鉄道清算事業団共済事務局長下村徹嗣君出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浦野烋興

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  参考人皆様方には御苦労さまでございます。     ―――――――――――――
  4. 浦野烋興

    浦野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  5. 川俣健二郎

    川俣委員 これから審議しようとしている被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法、これは、ここにおられる皆さんほとんど御存じですが、平成元年制度化されたわけです。当時私は社会保障制度審議会委員制度審ですね、あるいは社保審と言う人もいますが、これの委員の一人として、また国会においては社会労働委員会委員として、この法案審議に深くかかわってまいりました。  平成元年十一月二十一日の社労委員会議事録がここにあるわけですが、その際に私が質問者に立ってこの制度ができたわけです。ちょうど丹羽大臣委員長であり、当時の大臣はここにおられる戸井田先生でございました。大蔵、運輸担当官はもちろんですが、その当時、参考人杉浦理事長などが見えて、みんなでわんさわんさやったわけです。  ただ、この国鉄分割民営特別委員会で、横の方の委員会でやっておったわけですが、民営化を急ぐ余り、この組合員年金置いてきぼりを食った。年金問題は棚上げでは済まされないわけですから、後で何とかなるだろうというので置いてきぼりを食った。このしりぬぐいがこの制度間調整なのかな、こうも思いながら今改めて自分議事録を読んでおるのでございます。しかし、現存の組合員OB皆さん方の生活の糧になる年金を何とかしなければならないという私たちの意識も働いて、国会において鋭意これが審議された。しかし大きく修正も行われた。その過程もつぶさに私は見てまいったのでございます。  そこで、この法制定の際の国会議論修正過程をも踏まえて、今回の見直しについて、制度の骨格となる主要事項について確かめてまいりたいな、こう思っております。どこが見直されたのか、何で今見直し法案が出てきたのか、必要なのか、これがなくてもいいのかな、こういうような感じもしないわけではありません。  そこで、前回の国会修正によって、制度間調整事業については平成年度中に見直しを行うことが規定されておる。これは制度の分立している被用者年金制度について、JR現役OBの比率である成熟度の相違を調整するという制度を初めて導入するものであるために、成熟度は大変な、さっき資料担当者にもらったのでございますが、成熟度国公共済に入った五十九年度は一一七・八%、一人で一人ちょっとということだ。ところが、今二三一・七、一人で二・三人強、こういう成熟度になったという資料を今もらったのでございますが、それで、三年間の実績を踏まえて見直すべきであるという考えから設けられたものであります。  その修正趣旨見直しに当たって、労使、学識経験者から成る検討の場を設けるべきだと委員会附帯決議を付した。今回の見直し法案審議するに当たって、どのように行ったのか、その内容とか結果、特に今の国会にかからないと四月一日からの見直し法案制度化されないということから、どさくさ紛れに昨年の暮れに見直しを始めだというのは、やる気があったのかどうか、こういう感もないわけではないので、その辺を篤とまず御説明願いたいと思います。
  6. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 ただいま先生からるる制度制定時の経緯も含めまして御説明がございましたけれども、この制度間調整事業は、公的年金制度一元化の完了までの間の当面の措置として、被用者年金制度間の費用負担調整措置を講ずるということで元年に創設をされまして、平成二年からその事業開始をされているところでございます。  先生指摘がございましたように、法制定時国会修正がなされまして、平成年度から四年度までの間、日本鉄道共済組合に対する交付金について上限を設ける特例減額措置が導入されております。それと同時に、この四年度までの間に公的年金制度一元化を展望しながらその運営状況等を勘案をして見直しをせよ、こういう御要請でございました。そしてまた、この見直しに当たりましては、これも御指摘がございましたように、被保険者事業主学識経験者から成る検討の場を設けるようにという附帯決議もございましたので、こういう経緯を踏まえまして、政府におきましても、被用者年金制度間調整事業に関する懇談会を設けまして御検討をいただきました。  検討内容でございますが、まず制度間調整事業のこれまでの実績、これを踏まえた特例減額措置のあり方、そういった点について御議論をいただきました結果、日本鉄道共済組合に対する特例措置については、これは減額をしつつ継続をするということが適当ではないか、また、この制度間調整事業そのもの基本的な枠組みというものは、当面維持をしていっていいのではないかという御指摘でございました。  この御検討趣旨に沿いまして、今回お諮りをしております改正案は、二年度から四年度までの間の特例措置でありましたこの特例減額措置を当分の間継続をするという趣旨のものでございます。また、現在の制度が、今申し上げましたように平成年度から四年度までの措置ということでございますので、この特例措置はこの三月三十一日で切れることになります。したがいまして、何も手当てをいたしませんと、この国会修正で導入されました特例減額措置が外れまして、本則の規定に戻るということになります。  そういたしますと、国鉄共済組合に対する交付金についての上限がなくなるということでございますので、国鉄共済組合に対する交付金相当程度多くなる、歯どめがなくなるということでございますので、これはまた関係者の合意の上に成り立っているこの制度基本にかかわる大きな問題が生じてくるのではないかというふうに私どもは考えております。  そういうことでございますので、この三月三十一日までの間に御議論をいただきまして、五年、六年と続く期間につきましても、この特例減額措置を続けるという基本的な枠組みをぜひとも維持させていただきますようにお願いを申し上げている次第でございます。
  7. 川俣健二郎

    川俣委員 その懇談会というのはいつやったのですか。
  8. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 平成四年五月八日の関係閣僚懇談会で設置を決めまして、六月から数回御議論をいただきまして、十一月三十日に先ほど申し上げましたような趣旨の御報告をいただきまして、それを受けて政府としての基本方針を十二月十五日に決定をいたしまして、それに基づきまして平成年度予算案を編成させていただいたという経緯でございます。
  9. 川俣健二郎

    川俣委員 五月から十一月三十日まで何回ですか。
  10. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 八回御審議をいただきました。
  11. 川俣健二郎

    川俣委員 これは修正なりそれに基づく附帯決議で、ここにその当時の理事方もおられるのですが、これはなぜ見直しをするか。検討せよというのは、一元化を目している当分の間の調整ですから、したがって、一元化ということになると、単にJR年金を対象にするだけじゃないのは当然ですね、哲学が要るわけですから。したがって、むしろあの覚書なり修正内容に言って語るところは早急に真剣にやれということだったと思うのですが、平成五年四月一日からのためのちょっとどさくさの検討のように感じたのだけれども、違いますか。
  12. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 先ほど申し上げましたように、各界の学識経験者にお集まりをいただきまして、本当に精力的に御議論をいただいたわけですが、先生指摘がございましたように、国会修正におきましても、三年間の運用状況とともに、一元化を展望しながら見直しを行えという御要請でございまして、この懇談会でもそういう観点から大変な御議論がございました。  ただ、一元化の問題につきましては、いろいろ御議論がございましたけれども、まだその一元化の具体的な方向というのも出てきていない。それからまた、これは関係者が、それぞれ経緯いきさつ等がございますので、厚生年金なり共済組合なりそれぞれの保険集団がこの一元化という問題についてどう考えるかという点について、現在必ずしも集約できるような方向が見えていないじゃないかということで、この一元化の問題についても御議論をいただいたわけですけれども先生指摘をいただきましたように、平成七年を目途にしているのならもっと精力的に議論をしろ、その前提としてまず各制度でこの一元化問題をどうするのかということを議論した上で、政府全体としてこの一元化問題について統一的に議論をする場を設けたらどうか、そういう御示唆をこの懇談会としていただきました。  懇談会としては、一方でそういう作業を進めつつ、今回三年間の運用状況について見直しをしていただきました結果、今の措置国鉄共済収支状況も順調にいっているというようなことを考えると、今のこの制度枠組みはそのままにして、この一元化が達成されるまでの間、もうしばらくこの措置を続けたらどうかという結論をいただきまして、私どももそれに沿って法案提出させていただきましたし、また、一元化の問題につきましては、この懇談会の御示唆に従って各制度間、それぞれ各省ございますが、一生懸命議論をして、しかるべき時期に共通の検討の場を設けようということで、現在鋭意進めているところでございます。
  13. 川俣健二郎

    川俣委員 これは局長清算事業団石月理事長さんにもお願いする立場でおいて願っておりますが、この一元化というのは非常に期待しているわけですよね。どうもあなた方のやることは、JR年金そのものだけを当座何とかすればいいんだ、こういう考え方が私に伝わってきて、本来の目的である一元化ということに本当に真剣に取り組む意欲があるのだろうかということを、まあこの問題は後ほど一元化についてはやります。  問題は、先ほど話をしたように、国鉄というのは、終戦後日本が丸裸になって、まず食わなきゃならぬ。農民はとにかく米をつくれ、それを運ぶというわけで、流通機構というか運搬に携わった。昔の名前で言えば満州、台湾、樺太、そういうところから引き揚げてきた人を国の策としてほとんど国鉄に入れたわけです。それが四十万前後になった。これは国の責任だ。ところが、今になってこの人力が多過ぎる、三塚運輸大臣のときにこれは多過ぎるということで分割民営化という路線を引いて、こういうものはある程度皆さん方犠牲の、痛みを分け合うというような理念であっても、国の責任はどこにも見られないな。いまだにそう思えてしょうがない。  そこで私は、ちょっと横道にそれるようですが、五十八年三月二十九日、社会保障制度審議会、後は隅谷さんが会長でしたが、当時は大河内一男先生会長であった。この先生がこういう答申をしておる。「現行の各種公的年金制度は、将来、収支の著しい不均衡から行き詰まりを来すおそれがあり、それを解決するためには、速やかに総合的な対策を確立することが必要である。その場合には報国民年金制度への信頼を損なうことがあってはならない」こういうように忠告しておる。国民信頼を失ってはいかぬのだ。国の税金じゃないのですから。国民自分たちの老後の足しにということでため込んだ年金がそれぞれの年金制度です。  それを一つ置いてさらに局長に聞くのですが、今抽象的に説明があったけれども、それじゃ一体金額的にどのようになるのか、見直して金額がどのように変わったのか、各項目ごとにちょっと話してみてくれませんか。
  14. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 日本鉄道共済のこの措置をとった後の財政状況でございますけれども、今のところ平成年度と三年度の決算が明らかになっております。平成年度につきましては全体として四十四億円の赤字、三年度につきましては百九十八億円の黒字ということになっております。ただ、この平成年度制度の発足当初の年度でございますので、十カ月分でございます。したがって、十カ月で四十四億円の赤字ということは、実質的に黒字基調と見ていいだろう、こういうことでございます。  したがいまして、先ほども抽象的に申し上げましたけれども日本鉄道共済財政状況は、この制度間調整事業実施によりまして、また鉄道共済自助努力をしていただいているその効果とも合わせますと、年金支払い支障を来すような事態は回避をされた、この制度間調整事業はおおむね有効に機能をしていると私どもも理解をいたしております。  そして、今後につきましては……
  15. 川俣健二郎

    川俣委員 ちょっと時間がもったいないから。あなた、自分で棒読みしないで。私の質問は、どういうような経過になったか。平成二年の審議の際には、三千億足りないというところから始まったわけでしょう。それがどのように変わったのか。
  16. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 今申し上げました前提は、平成年度から四年度までの三年間、年間平均をしますと日本鉄道共済は三千億円の赤字が生ずるということでございます。この赤字を何とかしなければならないということで、鉄道共済組合自身としても、年金給付のカットでありますとかあるいは被保険者保険料その他もろもろの自助努力をすることによって、この三千億円のうち千八百五十億円の効果を上げる、残りの千百五十億円について各制度からの拠出金によって賄いたい、こういうことでこの三年間の制度ができておったわけでございます。  見直しをいたしました結果、五年、六年の共済組合赤字は、給付費等見直しをいたしますと多少減りまして、三千億が二千八百二十億円になるであろう。そして鉄道共済組合自助努力は、この自助勢力前提になってできている制度でございますので千八百五十億、従来と同じようにやるといたしますと、残りの九百七十億について各制度からの拠出によって賄いたいということでございます。  今回お諮りしておりますこの法案が通りますと、今申し上げました国鉄共済の二千八百二十億円の赤字を、千八百五十億円の自助努力と、国鉄共済については九百七十億円の交付金を各制度から拠出するという形で、鉄道共済年金給付支払い支障が生じないようにしようということでございます。
  17. 川俣健二郎

    川俣委員 そうだろうな、それは。それで、あらまし言ったように、三千億が二千八百二十億の対策額で事足りるということは、百八十億減額で事足りる。ところが、自助努力は千八百五十億で同じだと。  この内容を見ると、年金給付見直しによる財政効果、二百億が二百七十億、プラス七十億ですよ。保険料率引き上げによる財政効果、百五十億が百七十億。何のことはない、財政効果なんて言葉で言えば聞こえがいいのですけれども、結局これは組合員犠牲でしょう。組合員犠牲によってこれだけ対策額が減っている、こういうこと以外ないでしょう。そういうことでしょう。それでいいのかな。
  18. 五味廣文

    五味説明員 ただいまお話のございました自助努力のうち、組合員、それから給付を受けておられる方の負担にかかわります部分財政効果ということを今お話がございましたが、今回の見直しにおきまして、年金給付見直しあるいは保険料率引き上げ、こういうものについて新たな措置というのは特にとっておりません。  申しますれば、年金給付見直しと申しますのは、当初平成年度から、退職時に特昇いたしました部分について、これを既裁定年金からも削除する、あるいは支給開始年齢経過措置を外しまして一どきに六十歳まで引き上げる、さらには平成元年度の財政計算におきます再評価を五年間繰り延べる、こういった措置でございますが、これはそのまま継続するということで、特にこれより重いものをするわけではございません。この財政効果が七十億円ほど余分に平成年度、六年度は見通されると申しますのは、主として財政計算時の再評価繰り延べておりますこの財政効果でございます。  ちょっと技術的な話になりますが、従前額保障を受けておられる方の場合には、この再評価繰り延べがございましても給付費は変わりませんので、財政効果としてはあらわれないわけでございますが、こういう方が従前額保障を超えてスライドにかかってまいりますと、この再評価繰り延べ財政効果としてあらわれるということでございます。見通しに比べましてどうもこの財政効果にかかります方が多いということが今回出てまいります。その効果でございます。  また、保険料率引き上げ、これは平成年度から厚生年金の上げ幅と同じ幅で保険料率引き上げるということをしたわけでございますが、これにつきましては、現役組合員数が当時予想いたしましたよりも多くなっているということから、その財政効果が上がったものでございます。その原因といたしましては、支給開始年齢を六十歳に一どきに引き上げますこととの絡みで、JR各社におきまして六十歳定年制というのを新たに平成年度から導入いたしました。したがいまして、その結果として、当初この対策を立てましたときよりも皆さん六十歳までは在職なさるという方が大部分になりましたので、組合員の数が予想よりも多くなる、こういうことでございます。  これは大変厳しい自助努力ではございますけれども財政効果が上がりますのは、新たな措置を追加した結果ではないということで御理解いただきたいと思います。
  19. 川俣健二郎

    川俣委員 あなたは何年これを担当しているか知りませんが、今回新たにダウンしたようなことはないと言うのだけれども、これから言ってもらうけれども、過去がなりダウンしているのですよ。もしも現在七十億と二十億の九十億がそのままでありせば、使う方の立場、例えば事業団石月さんの方の立場で言わせれば、過去にダウンした分を回復させる財源にしたがったと思うのですよ。だから、今よりはダウンしないとは言うけれども、今までのダウンをどうするか。  そこで、懇談会でもこういうように言われております。やはり非常によく言ってくれておる。   日本鉄道共済組合自助努力等については、制度間調整事業実施前提となっているものであり、拠出する側の制度の納得を得る上でも必要であることから、清算事業団(国)、JR各社に係る負担も含め、引き続き相応の措置を行うべきである。   また、日本鉄道共済組合給付見直し保険料率の大幅な引上げなどの受給者及び組合員に関わる措置については、長期的に維持することは望ましくないことから、再検討される必要がある このようにちゃんと書いてある。もしも九十億ありせば、再検討財源にしたいと思うのだよ。だから課長、今のようにあなたは血も涙もないような答弁で、何ら変わってない、こういうようなことを言っておる。  それでは、これをさらに実例で話してもらおうか。ちょっとそれを配ってください。  国鉄共済年金の五十九年三月以前の裁定者給付水準についての移り変わりをちょっと話をして、私は今なぜこのメモを配るかというと、このメモは一つの実例ですが、国鉄年金以来過去五回か六回ダウンしているのです。国公共済に入るとき、あるいはストップされたり、あるいはスライドをやめにされたり、国鉄職員OBから言わせると六回やられているのです。その国鉄共済年金の五十九年三月以前の裁定者給付水準について、ちょっと御説明願えますか。
  20. 五味廣文

    五味説明員 退職年金平均月額という資料が今手元にございますので、それで……(川俣委員「この資料で」と呼ぶ)  失礼いたしました。ちょっと資料を今持ってまいりました。昭和五十九年三月以前裁定者のこの表でございますけれども、これはいわゆる一〇%スライド停止と言われるものでございます。  御説明を申し上げますと、御承知のように昭和五十年代、鉄道共済、当時の国鉄共済財政状況が急速に悪化をいたしました。そのままでは年金支給支障が出るということが明らかになりましたので、昭和五十八年、国会法律をお諮りしまして、国鉄等公共企業体職員共済組合国家公務員共済組合、この統合を図るということになりました。その結果、昭和五十九年にこの法律が施行されまして、それに伴い、昭和六十年以降国鉄共済組合に対しまして、国家公務員日本電電公社、当時もう既にNTTになっておりました、それとJT、この三つの共済組合から財政支援を行う、こういう仕組みができ上がったわけでございます。第一次長期財政調整事業と言われておりまして、昭和六十年から平成元年まで五年間続いたわけでございます。  これを行います際に、公共企業体の共済の年金額の算定方式と国家公務員の共済の年金額の算定方式が異なっておりまして、これをより不利な方でございます国家公務員計算方式、これはそれでもその当時民間の厚生年金よりは有利な手法であったわけでございますが、そちらに合わせるということをいたしました。この国鉄共済年金額の算定方法を国家公務員の算定方法に合わせますと、年金水準は低下をするということになります。これは幾つか違いがございます。例えば国鉄共済の場合には、算定の基礎になる給与が退職時の給与であるということでしたが、国家公務員共済の場合には退職前一年の平均給与であるということでございますから、それだけでも国共済の方が低目に出るわけでございます。  そこで、この図でございますけれども、横にすっと図が延びております、二百万円というところでございますが、これは国鉄共済年金、その当時もらっておられた方の年金水準を仮に二百万円といたします。これをその方の持っておられる年金の算定の基礎になりました諸データで国家公務員共済と同じ手法で裁定がえをした場合にはどうなるかということをいたしますと、これは一例でございまして、モデル化しておりますから必ずしもこのとおりではございませんが、百九十万円、年金額が十万円ほど下がるということになる。この場合、もちろんさかのぼってこれをはがすということはいたしませんので、従前額保障という形でこの二百万円の水準は維持をいたしますが、ただし物価スライド等のスライドは停止をするということでございます。  一〇%スライド停止と申しますのは、通常の従前額保障は、この百九十万円、仮定の裁定がえされました水準が物価スライドによってだんだん右上がりに上がってまいりまして、この二百万円の水準に追いついたところでスライド開始をする。ですから、百九十万でスタートいたしました右上がりの矢印そのまま真っすぐ行く、こういうのが普通の従前額保障でございます。  ところが、五十九年の三月以前裁定者、この表によります者は、一〇%スライド停止と申しまして、裁定がえをした水準が従前額保障に追いつきましても、なおスライド開始をせずにそのままの水準を維持をする。そして、仮定の水準でございます国家公務員共済による裁定がスライドを続けたとすれば、どれだけのものになっているかということとのその差が一〇%に達したところ、つまり、累積のスライドが一〇%になったところで初めてこのスライド開始をする、こういう仕組みでございます。  ちょっと手元に正確なデータはないのでございますが、この表だけを見ますと要するに国家公務員より安くする、こういうことのように思えますが、そうではございませんで、この当時国家公務員共済から毎年三百五十億円という財政支援を受けることになっておったわけでございます。受けるについては、算定手法についてこれを統一するのは当然でございますが、それに加えて国鉄共済の場合には、当時もう既に支給開始されております年金額自体が国家公務員年金に比べても有利、民間に比べればもちろん非常に有利という高い水準にございましたので、こういう高い水準は同じくらいの水準まで調整をしていただいた上で財政支援を行いたい、こういうことから、多少時間はかかりますが、一〇%累積をするまでスライドを停止をして、ある程度ほかの組織と同じような年金水準まで既裁定者年金を抑制をしたところで助け合いをいたしましょう、こういう趣旨で導入をされたものでございます。  なお、この一〇%スライド停止と申しますのは、その後、昭和六十一年から国家公務員共済含めまして、すべて設計が厚生年金と全く同じものにそろえられました。かつ国鉄共済組合につきましては、いわゆる三階職域部分というものは設計をしないということになりましたので、昭和六十一年度の改正から後に退職をなさる方については適用をされていない、そういうことになっております。
  21. 川俣健二郎

    川俣委員 どうも担当者と目配せしながら、相づち打ちながらの答弁だから、もともと上のそらだよ。血が通ってないというのはそのことをいうのです。やはり国公共済、もともと大蔵省のものでなかったから、これは。  それじゃ運輸省か清算事業団、どちらですか。私がこういうように変わってきていますかということを言いますから、そのとおり、違いがあったら言ってくれませんか。  まず統合法。公共企業体共済を国家公務員共済に統合するという統合法、これは五十九年四月一日ですか、国鉄共済年金額の算定方式を国家公務員共済に合わせる、これでダウン。それから二は、国鉄共済年金の円滑な支払いを確保するため、ほかの国家公務員等の共済組合から財政調整事業実施する。さらに国鉄共済年金の掛金を引き上げる。一四・五八から一六・九九、これもいわば組合員の出血。四、国鉄共済年金について累積一〇%になるまでスライドを停止する。これは長たらしく課長がしゃべったのだけれども、そういうことなんだ。  さらに申し上げます。この被用者年金制度調整法、二年にでき上がった調整法、それを今見直しをやっているわけですが、これで二百億程度財源がカットされた。既裁定年金の削減、既裁定年金のうち退職時特昇による有利部分平成二年四月より削減する、これでカット。二番目、六十歳未満の退職年金支給の新規発生の原則廃止、平成二年四月以降の退職者について、支給開始年齢を五十八歳から六十歳に引き上げるとともに、退職共済年金の繰り上げ支給を原則廃止、これでダウン。報酬比例部分の再評価繰り延べ、報酬比例部分の再評価実施を五カ年間延期。  五十九年四月一日以来ここ十何年間にこれだけダウンのあれをされて、私のところに、皆さんにも来たと思うのですが、当然要請書が来た。鉄道退職者の会全国連合会会長村上義光さん、かつての国労の委員長、この人が三カ条の要請書を持ってきた。まず今私が読み上げたダウンの経過はお認めですか。どうです。
  22. 下村徹嗣

    下村参考人 そのとおりでございます。
  23. 川俣健二郎

    川俣委員 というようなことで、大蔵省の課長、一切財政効果で変わっていないと言うけれども、今までの分を何とかしてくれという対象者、しかも実際清算事業団が管理しているわけですから、その辺との連絡が全然なっていないから、今のように血が通っていない血も涙もない答弁だ。したがって、これ以上大蔵省とやったって……。  それでは、予算の総括質問でこの問題は出たのだろうかね、一元化という大きな問題があったのに。どうですか山口さん、衆議院の予算の総括質問で出たのですか。答弁してください。
  24. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 私の記憶では、串原先生からこの一元化問題と自助努力の問題につきまして若干の御質疑があったように記憶をしております。
  25. 川俣健二郎

    川俣委員 それじゃ時間がありませんから、せっかく清算事業団もお見えでございますので、今の収支状況平成年度末でもいいのですが、JR各社の総合計でいいですけれども、ちょっとお話し願えませんか。結論だけ簡単に総まとめで。
  26. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 JR各社の営業成績につきましての御質問だと思いますが、平成年度合計七社、旅客六社と貨物一社、七社の合計でございますが、営業利益で四兆五千三百七億円、経常利益で三千六十三億円を計上しております。
  27. 川俣健二郎

    川俣委員 そこまでお話しされるのなら、税引き後の純利益はどのぐらいなんです。
  28. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 当期利益千五百六十五億円でございます。
  29. 川俣健二郎

    川俣委員 JR各社の御努力で、清算事業団が管理するところの各社の収益が、税引き後、平成年度末千五百六十五億の純利益。これは何とかならないのですか。自助努力の対象にならないのですか。大蔵省にしゃべらしたらまた長くなるから。
  30. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 JR各社に対しましては、現在でも鉄道共済年金の一方の当事者である、それから、受給者それから組合員の福利に深く関係するということで、事業主として通常負担すべき共済掛金のほかに、毎年度二百二十億円の特別負担を行っておるところでございます。  JR各社は、発足以来これまで国内の好景気に恵まれまして、また各社の経営努力により順調な業績を上げてまいりましたけれども、現在は国内の景気動向の影響が各社の収入にもあらわれてきておるところでございます。  本州三社につきましては、新幹線買い取り等に伴う債務がまだございます。また、三島会社と称します北海道、九州、四国でございますが、これにつきましては依然として経営基盤が非常に脆弱であるという状況でございます。それから、本州三社の株式につきましては、清算事業団の巨額な長期債務の償還、それから完全民営化の促進の観点から、早期かつ効果的な売却を行うという必要がございます。  したがいまして、JR各社が現在利益を上げているからといって、鉄道共済年金の特別負担をこれ以上増額すべきであるということにつきましては、会社の成長、配当に対する期待、それから会社そのものに対する信頼の確保といった観点からの懸念が生ずる可能性もございますので、これ以上の負担を求めることは難しいということについて御理解をいただきたいと思います。
  31. 川俣健二郎

    川俣委員 どうもただ棒読みする。だから血が通ってないというんだ、あなた方の答弁は。私は秋田弁でも一生懸命に標準語に近くしゃべっている。だからみんなわかって聞いてくれている。あなたのような江戸っ子が何を言っているかわからないよ、みんな。そういうことではこの法案審議をさせる態度じゃないよ。  そこで、今話をしたように千五百六十五億もうかりました。清算事業団理事長も見えておりますが、そうすると局長、この法案の仕組みというのは、二百二十億以上は出せない仕組みなのか、出したくても出せない仕組みなのか。かつての自分の、国鉄職員年金の、さっき話した六回か七回のダウンの分を少しでも埋めてやろうということを考えておると思う、気持ちは。だけれども法に縛られて二百二十億以上は出せない、これはこういう法律かね。
  32. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 先生御承知のことではございますけれども、この制度間調整事業といいますのも、この懇談会の答申にもございますように、所要の自助努力を行うというのが前提になっている制度ではないか。したがって、清算事業団、これは国も入るわけですけれども、応分の負担前提として、支援される側が引き続き可能な限りの自助努力を行って、関係者の合意できる範囲で費用負担調整を行う必要があるということで、この自助努力につきましては可能な限りやってもらいたい。  そうであれば我々も応援をしていこうという要素と、それから、自助努力の対象になって、先生が御指摘いただきましたような受給者とか被保険者に多大な負担が行っているという点については、先ほど先生指摘ありましたけれども、余り長期にわたってそういうことは適当ではないという懇談会の御指摘はございますけれども、当面この措置継続するに当たっては可能な限り自助努力をしていただいて、そして、それを支援する方も理解をした上で当分の間続けようということでございますので、そういう観点でこの制度が成り立っておるというところを御理解をいただかなければならないと思います。
  33. 川俣健二郎

    川俣委員 この程度というところで語感で感ずるのですが、一元化のときは何とかなるのかなと思ったりするのだが、せっかく千五百六十五億純利益が出ているわけですからね。しかも、その人力は、昔は国鉄三十何万の一緒のかまの飯を食った人力がある程度犠牲になっているわけですよ、年金部分で。  せっかくですから理事長、その辺の気持ちを、もしできればせっかく我々汗を流して働いたんだから、千五百六十五億の中から二百二十億を出したくても出せないというのじゃなくて、一元化のときでも何か考えてもらいたいものだなという気持ちでもあるんじゃないかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  34. 石月昭二

    石月参考人 制度間調整事業による援助というものは、私ども自助努力前提として成り立っておるというふうに認識しております。  先生には釈迦に説法でございますけれども、確かに組合員保険料負担も大変でございますし、それから年金受給者年金額も抑制をされておるということではございますけれども、一方で私ども清算事業団も千億の特別負担をやっておる、JRも二百二十億の特別負担をやっておるということで、おのおの関係者がそれぞれ痛みを分かち合ってやっているというのが現在の制度だと思います。  確かに、JRは発足後大変好況の風が吹きまして、今運輸省の方から御説明がありましたように相当の利益が出ておりますけれども、私ども、これは民間会社として国鉄民営化した。この民間会社が健全に育っていくというところで国民もいい交通サービスを受けられるわけでございましょうし、鉄道も二十一世紀に向かって生きていけるわけでございます。  また、私ども立場からいたしますと、JRが相当の利益を出していただきませんとJRの株式が上場できないわけでございます。この株式が上場されるということは、清算事業団の収入に全部なるわけでございまして、今後の株価の動向にもよりますけれども、土地と並ぶ膨大な私どもの自主財源になるというぐあいに考えておりますので、その点はJR自体も新幹線の買い取りとかその他安全設備の投資とか、相当サービス改善のために一生懸命やっておりますし、また一般の民間企業に比べますと、JRの各社の持っている債務というのは、国鉄改革のときにその七割は私どもが受け持ちましたが、依然として非常に大きゅうございます。そういう観点からいたしますと、やはりこの問題は一元化の際に何とか御高配をいただきたい、このように考えている次第でございます。
  35. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは山口さん、どうなんですか。当分の間というのはいつまでですか。
  36. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御承知のように、私どもは、公的年金制度につきましては平成七年を目途に一元化を完了するということを閣議決定をいたしておりますので、現在その目標を目指して鋭意努力しているところでございます。
  37. 川俣健二郎

    川俣委員 閣議決定があるから縛られるというのじゃなくて、一元化というのは厚生省内でいつごろから口にされたのですか。
  38. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 一元化の問題がいつから議論されているかということでございますけれども、私の記憶では、先ほど先生も御指摘がございましたように、今まで公的年金制度が分立をしているという状態の中で、産業構造、就業構造の変化に耐えられなくなっている制度が出てきているということで、日本鉄道共済組合に象徴されるわけですけれども、そればかりではないということで、五十九年の改正におきまして基礎年金を導入するというような措置を講じたわけです。  そのときに、一体二階の部分、三階の部分というのは将来どういうことになるのか、そのビジョンなりスケジュールなりを明らかにせよということが大変問題になりまして、先ほど申し上げました平成七年の一元化の目途というのは、この五十九年の基礎年金を導入いたしましたときに、今一階部分は基礎年金ということでやるけれども、二階部分以降につきましても、平成七年を目標として政府としては努力をしていくという目標を明らかにしたところでございまして、議論としてはその辺から大いに議論をされたというふうに記憶をしております。
  39. 川俣健二郎

    川俣委員 私のところへ昭和五十三年二月六日の予算の総括の議事録を持ってきてくれた方がいらっしゃる。私はそれに対して何となく投げかけた際に、時の厚生大臣小沢国務大臣、有名な小沢辰男ですよ、この人がこういうように予算の総括で、二月六日といったらぼつぼつこれから予算が始まるという段階に川俣が質問した際に、途中からですが、   その制度間の格差を問題にしてそれが解決をするまでの間でも、年金業務としての一元化はこれはぜひ図っていくべきじゃないかと思うのです。それぞれのところでやるよりも、やはり年金の業務というものは、いろいろな制度下に移った場合の計算とか、いろいろな問題がございますものですから、これは現業部門としてのその業務関係はやはり私どもの方に一元化をして事務量は合理化をしていった方がいいのじゃないか、これは国民のためじゃないか かなり強い決意で小沢厚生大臣がしゃべったのは五十二年の二月六日の議事録です。  そこで、どうだろうか。もう年金というのは各官庁に八種類あるわけですからね。一部は大蔵省に持ってきた、今の話のように。年金省か年金庁、これだけ強く言うのなら年金省はどうだろうか。年金担当大臣は私ですと今の厚生大臣が言ってみたって、文部省から農林省からみんな年金があるわけですから、一元化をやるという先輩の五十三年の発言にさかのぼる厚生省の行政の継続性からいわせると、この辺でどうですか、丹羽大臣、この辺のアイデアと本当に一元化に取り組むという考え方を閣議で、新大臣で閣議では容易ではないと思うが、ひとつ大物になって。  あなたもいろいろと何か絵画に非常に興味を持たれて、川崎さんという画伯に、かつて橋本大蔵大臣のときに行ったところの部屋と厚生大臣の部屋は雲泥の差だ、殺風景だ、ひとつかわいい後輩のために絵画を描いてやろう。今、総理官邸にあるようですが、川崎さんのPRのために時間を失ってはいけないのですが。  そういうことを考えると、ひとつ今年金というのは国民が皆年金であるように、しかもこれから六十歳から六十五歳にしなければならないということも言われる段階で、年金を根本的にやってやろうという官庁を一カ所に集める、こういうような考え方を持っているのです。私は影の大臣で哀れですけれども、あなたは表の大臣で、やればやれると思うのですけれども、どうですか。
  40. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 尊敬する影の厚生大臣の川俣先生の御提案でございますが、私は現在年金担当大臣でございます。非力でございますけれども年金一元化に向かって、特に先ほどから年金局長が御答弁を申し上げておりますように、これから高齢化社会へ向かいまして、長期的、安定的な揺るぎない体制を確立するためにも年金一元化は避けて通れない問題でございますので、年金担当大臣といたしまして、この問題につきまして先生の御指導を仰ぎながら一生懸命努力していく決意でございます。  なお、新しい役所をつくるかどうかという問題につきましては、傾聴に値する御意見でございますけれども、行政改革これあり、十分に今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
  41. 川俣健二郎

    川俣委員 終わります。
  42. 浦野烋興

    浦野委員長 池端清一君。
  43. 池端清一

    ○池端委員 私はまず最初に、公的年金制度の改革の今後のスケジュールについてお尋ねをしたいと思います。きのうの一般質問でもいろいろ質疑がされておりましたけれども、確認の意味でお尋ねをいたします。  平成六年、来年は財政計算の時期であります。したがって、これに伴う制度改正の法案が明年の通常国会には提出される、このように考えるわけであります。平成七年は、今もお話ありましたように、昭和五十九年二月二十四日の閣議決定がございまして、これは「目途」という言葉がついておりますけれども一元化完了、こういうことになっておるわけであります。  そこで、この二つの制度改正、すなわち財政計算に伴う制度改正と一元化に伴う制度改正、二つの制度改正を一本化されて来年の通常国会法案提出しようと厚生省は準備をされているのか、いや、とても一本化は難しい、平成六年と平成七年の二段階に分けて法案提出しなければならない、こういう状況だというふうになっているのか、その辺のところをまず最初にお伺いをしたいと思います。
  44. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘がございましたように、次期財政計算平成六年に予定をしておりますが、これに伴って制度改革もいたしたいということで、年金審議会で今御議論をいただいております。私どもといたしましては、遅くともこの秋ごろに年金審議会から御意見をいただきまして、それに基づいて所要の制度改正法案をまとめて、平成六年の通常国会には提出をしたいということを考えております。これは私どももはっきりしたスケジュールとして決意をいたしております。  それから、御指摘のございましたもう一つの公的年金一元化に向けての検討状況でございますが、先ほど制度間調整懇談会におきましても、平成七年を目途としている割には少し政府検討がおくれているじゃないか、もっと精力的にやれという御指摘をいただきましたし、また、一元化の問題を統一的に議論をする場がないので、そういう場を設けることもあわせて検討しろという御指摘がございました。私どももその趣旨に沿って、まず年金審議会で御議論を現在いただいております。共済組合についてもそういう御議論が進むと思いますが、これにつきましても各審議会、共済組合等の会合におきましても、秋ぐらいまでに一元化問題についてどう考えるかということの検討を終えようじゃないかという目標にいたしております。その後で全体的な審議の場をどうするかというような議論もしてまいりたいと思いますが、いずれにしても、そんなことで両方の議論が現在進んでおるところでございます。  一応財政計算に伴う制度改正は平成六年、それから一元化については平成七年目途ということで取り組んでおりますが、私どもは現在両方とも並行して議論をしていきたい。具体的にそれぞれの法案をどの時点で出すかということにつきましては、その検討の進捗状況も見ながらまだ決断をしたいというふうに考えております。
  45. 池端清一

    ○池端委員 そこで、六十五歳支給開始年齢見直しの問題についてお尋ねをします。  丹羽厚生大臣並びに黒木事務次官あるいは山口年金局長等厚生省高官は、機会あるごとに六十五歳問題は避けて通れない課題であるということを発言しているわけであります。きのうもそのような趣旨の御発言がありました。私は、どうも六十五歳問題がひとり歩きをしているのではないか、こういうような感じを持つわけであります。まず初めに六十五歳ありき、こういうような印象を私は持つわけであります。  平成元年でございましたか、さきの法律改正の際にも、この問題については、年金財政の将来の見通し、これが一つ、二つ目には高齢者に対する就業の機会の確保等の措置状況、三つ目には基礎年金給付水準及びその費用負担のあり方、この三点等を総合的に勘案して見直しを行うことになった法律修正が行われたわけであります。どうもこういう総合的な勘案なしに六十五歳問題が先行しているように思えてならないのでありますが、その点についての御所見を承りたいと思います。
  46. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 この問題につきましては、池端委員とも長い間議論をしてきたところでございます。  今さら私から申し上げることは釈迦に説法で、大変失礼と存じますけれども、まず御理解をいただきたいのは、公的年金制度というのは、給付水準あるいは保険料率、そして支給開始年齢というこの三つが絡み合っているものでございます。平成元年当時の推計によりますると、保険料率が現在は一四・五%でございますが、これが三十年後の二〇二〇年には三一・五%まで引き上げざるを得ない、こういうことでございます。私どもといたしましては、出生率も大変低下いたしておりまして、大変厳しいわけでございますけれども、何とかこれを二六%前後に軽減することはできないか、こういう観点からこの六十五歳の支給問題というのは避けて通れない問題である、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、先ほどから御指摘のございました年金財政、雇用のあり方、給付負担、この三つの御指摘でございますけれども、この六十五歳支給開始に当たりまして最大の課題は、やはり雇用の問題であります。あの当時から比べましておかげさまで定年延長というものも順調に伸びてきておりますけれども、なおかつ率直に申し上げまして、六十歳から六十五歳の間というものがなかなかまだまだ職種によっては職につきがたいような業種もあるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、六十五歳以上で勤労意欲がありながら職につけない人であるとか、あるいは十分な所得を得ない人に対してどういうような救済策を講じていくか、これを今回の最大の課題としてとらえて、とにかく要するに六十歳から六十五歳の間においても国民皆さん方が不安を生じないような体制のために全力で取り組んでいきたい、このように考えている次第でございます。
  47. 池端清一

    ○池端委員 今大臣も言われましたが、最大の問題は高齢者雇用の問題で、定年制の問題と関連するわけであります。  そこで労働省にお尋ねをいたします。時間の関係がありますので、ごくかいつまんで御答弁を願いたいわけでありますが、高齢者雇用の実態と今後の見通しはどうなっているか。一つには定年年齢の現状、これがどうか。二つ目には特に多くの労働者が集中しております中小零細企業の実態はどうなっているか。三つ目には六十五歳まで、いわゆる六十歳代前半層の雇用の状況はどうなっているか、この三つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  48. 北浦正行

    ○北浦説明員 お答えさせていただきます。  まず定年制状況でございますが、企業におきます定年制状況は、平成四年の私どもの雇用管理調査によりますと、三十人以上の企業でございますが、六十歳以上の定年をしいているところが七六・六%、今後改定を決定している、ないし予定しているところも含めますと九〇・二%、こういう状況になってございまして、六十歳以上の定年の割合というのは着実に増加をしている、このように考えられる次第でございます。  二点目のお話の規模別の状況でございますが、規模別に見ますと若干この状況には違いが出ております。私ども統計を見てみますと、百人以上の規模をとってみますと、大体予定を含めた企業まで申し上げますと一〇〇%近くはなっておりますが、御指摘の中小企業、三十人から九十九人という規模の統計がございますが、これで見ますと現在実施しているのが七二・九%、予定を含めましても八六・八%ということでございますので、規模の大きい企業よりは六十歳以上の定年制の動きがややおくれている、こういう状況にはなってございます。  六十歳以上の雇用の状況というお尋ねでございますが、ここでは私ども継続雇用制度の普及に現在努めておるわけでございます。ここのところは、高齢者の雇用の状況を見てみますると、やはり体力の面あるいは就業ニーズといったようなところから、必ずしも一様の働き方を希望しているような実態にはございません。したがいまして、実態を見てみますと、非常に働き方が多様化しているというのが現状でございまして、中には短時間労働を希望される方もいるし、フルタイムを希望している方、そこはまちまちになっているわけでございます。そこのところに立ちまして、私どもとしましては、今後高齢化が進展する中で、六十五歳までは働きたい方は働き続けられるといったようなことで対策を推進している、そういう状況でございます。
  49. 池端清一

    ○池端委員 今のお答えでもわかりますように、特に中小零細企業については達成率が七二・九%、こういうような数字です。さらに、六十五歳までの雇用については、むしろ六十五歳までの定年延長を望まないところの職種もあるというふうにも伺っておるわけでありまして、六十五歳定年というのは前途遼遠だ、こう思うわけであります。  私どもは、雇用と年金支給はリンクされなければならない、こういうふうな考えを持っておるわけでございます。しかし状況は、まだその六十五なんというようなものとはほど遠い、こういう状況でございますから、この支給開始年齢の問題を検討するに当たっては、いわゆる多様な定年の実態に合わせた多様なメニューというものを用意して、柔軟に対応するということが大事ではないか。何か六十五というものを画一的に金科玉条としてやるということについては、私は大きな問題があるように思います。この点についてはさらに今後のこの年金審議の中でひとつ深めていきたいと思いますが、ともあれ雇用と年金支給というものはリンクしなければならない、これは大きな原則であるということだけは申し上げておきたい、こう思うわけでございます。  そこで、時間もありませんので先に進みますが、昨年の九月十七日、社会保障制度審議会年金数理部会が報告を出しました。一元化財政方式を示したわけです。モデル案を出した。これは、制度を完全に統合するというA案、民間被用者年金と公務員年金とに集約するというB案、制度間調整を恒久化するというC案、この三つのモデルを提示したわけでありますが、このモデルについて厚生省はどのような評価、どのような考え方を持っているのか、お考えを示していただきたいと思います。
  50. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘いただきましたように、社会保障制度審議会の数理部会で三つのモデルの案が示されております。いずれもそれぞれ御検討いただいた貴重な案であると思いますが、私どもは、この一元化の問題を考えるに当たって、基本としてまずその一つは、産業構造や就業構造の変化に耐えて年金制度全体が長期的に安定していける、そういう方式がどうかというのがまず一つのポイントだと思います。それからもう一つは、給付負担の両面にわたってできるだけ公平な制度になっているか、そういう観点からこの方式についても検討させていただいていますし、また、御指摘いただきましたように審議会等でも議論をいただいておりますので、これからの検討課題だと思いますけれども、とりあえずこの三案については、それぞれ問題点も長所も抱えていると思います。  簡単に単純化して申し上げますと、一つは統合一本化方式ですね。これは制度としては非常にすっきりした制度であると思いますけれども、一本にするというのは、今まで分立をしている制度の積立金ですとか業務をみんな新制度へ移行をするということが前提となりますので、今までの経緯等を踏まえますと、関係者の合意が果たして得られるかなという点。  それから、複数の制度にするというB案もございますが、これも念頭に置いておりますのは、公務員と民間の制度を分けたらどうかというように見受けられるわけですけれども、この辺についても国民皆さんがどういうふうに考えるかという問題があろうかと思います。  それから、財政調整方式でいくということになりますと、これは制度はそれぞれ分立をしたまま調整をしていくということでございますので、制度全体の長期的な安定という観点からするとやや問題があるんじゃないか。  それぞれ長所、短所ございますけれども、今のところそんな感じで受けとめておりまして、いずれにいたしましても、こういうものを参考にさせていただいて、十分御議論をいただいて、関係者の合意形成を図っていきたいというふうに思っております。
  51. 池端清一

    ○池端委員 A、B、C案それぞれに一長一短あり、したがって、厚生省としてはこれらの案は参考にするけれども第四の道を選ぶと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。――いや、お答えはなかなか面倒でしょうから、お答えは望みませんけれども、私はそのように理解をいたしました。  次に、懸案でございます沖縄の厚生年金問題、これについてお尋ねをしたいと思います。  この沖縄の厚生年金等の格差是正問題については、本院でもしばしば取り上げられたところでありまして、早急な是正を求めてきたところでございます。先般、一月二十五日の本会議において、我が党の山花委員長が代表質問でこの点を取り上げました。宮澤総理は、「いわゆる厚生年金の問題が未解決であります。」、これは中略ですが、「なおいろいろ御要望がございまして、関係省庁間で検討会を続けておるところでございます。」このような答弁がなされたわけであります。もうかなり時間が経過しているわけであります。検討会を続けているといっても、やる気がなければこれは百年河清を待つ、そういうことにも等しいと思うわけであります。現状はどういうふうになっているのか、問題点ほどこにあるのか、そしてまたいつごろまでに結論を出したいと思っているのか、具体的な御答弁をぜひきょうお聞かせをいただきたいと思います。
  52. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘をいただきましたように、沖縄の年金制度につきましては、制度の発足がおくれましたために、加入期間が短い等々、平均的な年金額が本土の平均的な年金額に比べて低いという実態がございます。ただ、この問題につきましては、そういう問題があるということで、基礎年金を導入をした際あるいは平成二年の年金制度の改正のときにも、年金制度の中でとり得るぎりぎりの特例措置を講じるべきだということで、二回にわたって措置を講じてきているところでございます。しかし、現実に支給されている年金につきましてはそのような差がある。この差がすべて制度がおくれたことによるものではございませんけれども、差があることは間違いない。この問題について何とかしてもらいたいという沖縄県からの御要望、私どももよく承知をいたしております。  ただ、従来の沖縄県の要望は、年金制度の発足がおくれた、本土の厚生年金が今の制度になりましたのが昭和二十九年ですから、二十九年から昭和四十五年までの間、厚生年金制度を遡及適用をして、そしてすべて過去の状況を掘り起こして、それぞれの企業に就職をしていた、在籍をしていたということであれば、それに応じた年金の手当てをするようにと非常に強い御要請でございました。  それにつきましては、昨年の五月に、先生の御指摘がございました関係の省庁が集まって検討会を設けようということで、沖縄県にも入っていただいて、その御要請について十分検討をさせていただきました。しかし、これは社会保険方式をとっております年金制度制度の本来のあり方として、過去にさかのぼって適用するということについてはもう基本的な問題があるということと、また実務上ももう既に、二十九年から四十五年までということになりますと、その間に企業の盛衰もございますので過去の状態というのはなかなか現時点では把握し切れない、そういう事実上の問題もある。  それから、年金制度はもともと被保険者事業主拠出によって成り立っておるわけでございますけれども、沖縄県の御要望は、その事業主負担分というのは事実関係が余りはっきりしないから、すべて国庫負担でやってほしい、こういう御要望であったわけです。そういうことでありますと、この費用負担という面につきましても相当大きな問題があるということで、これは沖縄県の方々にも入っていただいて検討したわけですけれども、厚生年金制度を二十九年にさかのぼって沖縄に適用をするというような措置を講ずることは困難だ。これは沖縄が復帰をした四十七年のときにも当然そういうことは検討をされたと思いますし、また、事実されたようでございますけれども、やはり今申し上げましたような基本問題があって、過去にさかのぼって適用することは難しいという結論でもあったというふうに聞いておるわけでございます。  そんなことで、沖縄県の御要望を受け入れるということは難しいという結論がこの検討会で出まして、これは沖縄県に私どもも十分御説明もし、沖縄県としてもその検討会の成果というものを十分受けとめて、地元でも御協議をいただくということをいたしております。  それで、検討会といたしましても、そういうことでありますから、今までの二十九年にさかのぽれという御提案ではもうにっちもさっちもいかないから、新たな角度から、どこへ手当てが本当に必要か、また、その現実性も踏まえて御提案をいただけないか、そういうものをベースにしてまたこの検討会で検討をさせていただきたいということで、これは大変難しい問題ですけれども、私ども先生指摘のような経緯もございますので、十分沖縄県とも協議をしながら、何とかこの問題についての方策が講じられる余地がないのかという点については、今一生懸命努力をしておるところでございます。
  53. 池端清一

    ○池端委員 経過と現状、問題点はわかりました。新たな角度で沖縄県とも協議をして、何とか結論を見出したいということのようでありますが、大臣厚生年金等の格差是正問題は沖縄県民の悲願であります。もう党派を超えている。県民挙げて、いわゆる官民こぞって何とかこれは実現をしてもらいたい、まさに沖縄県民の声でありますから、総理も検討する、検討中だ、こう言っておるわけであります。大臣としても、この問題については何とか明確な決着をつけたい、解決をしたいというその決意のほどをお聞かせいただきたい。
  54. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 沖縄の年金の問題につきましては、たびたび国会におきましても御議論をいただいておりますし、また、沖縄関係議員からも御陳情を承っておるところでございます。  経過につきましては、ただいま年金局長からお話がございましたように、これまで本土復帰時及び平成二年の二度にわたりまして特例措置を講じてまいりました結果、本土の給付水準に比べまして六割ぐらいまで底上げを図ってきたわけでございますけれども、なお大変難しい側面もあります。  私個人といたしましては、やはりできるだけ早い機会に、今後の年金法の改正のスケジュール、こういうものが出てきておるわけでございますけれども、そういう中において、関係省庁とも十分に協議しなければならないけれども、この問題について幾らかでも救済の措置をとることができないかどうか今後検討していきたい、このように考えております。
  55. 池端清一

    ○池端委員 ひとつ特段の御努力をお願いしたい、こう思うわけであります。  それで、制度間調整事業の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  大蔵省、鉄道共済財政収支平成年度までは構造的に黒字が発生する可能性が高いという状況にある、こういう見通しを懇談会報告書でも、また政府も述べておりますが、この点については間違いございませんか。
  56. 五味廣文

    五味説明員 懇談会の報告におきましては、現在の制度間調整事業調整規模、それから自助努力の規模、これを維持するとすれば平成五、六年度黒字が出るであろうということでございますが、これはそういう見通してございます。  黒字が出ました原因と申しますと、当初見通しました収支では、国鉄改革で若い方がたくさんおやめになりました。こういう方が繰り上げ減額年金を相当規模御請求になるであろうという見通してございました。確かにたくさん出てはまいりましたが、予想したほどは多くなかったということで、給付費が予想より多少低目であるということがございましたのと、先ほどちょっと申しました六十歳定年制組合員数が実際より多少多い。したがいまして、平成五、六年度というごく近い年度に関しまして見る限りは、繰り上げ支給の請求がこういう短い期間に一どきに出るということは余り見通しとして現実的なものではございませんので、懇談会の報告にありますとおりのことであろうというふうに考えております。
  57. 池端清一

    ○池端委員 先ほど川俣委員からもお話がありましたように、この鉄道共済年金のうち自助努力の額は千八百五十億円ということです。これは率直に申し上げて、OB皆さん現役皆さん、もう大変厳しい状況にある。私はまさに過酷ともいうべき状況にある、こういうふうに実は思うわけでございます。ぜひそういうような御認識をいただきたい。  確かに、国鉄時代の年金額は厚生年金よりも高かったことは事実であります。これはその勤務の態様が、夜間であるとか屋外であるとかあるいは汚染、重責務、重労働、こういった現業公務員としての、恩給にその源を発していたからこういう状況になっておったわけであります。しかし一方、掛金も日本一高かったという現実も忘れないでいただきたい、こう思うのです。  現在はどうかといいますと、先ほどもいろいろ話ありました。特別の措置はもう一切削減、かつ一〇%のスライド停止の抑制措置、こういうようなことが積み重なっておるわけでありまして、厚生年金と同じ要件に換算すると厚生年金よりも低くなっている。はっきりしているのは、もう新規裁定の分は厚生年金よりも下であります。これはもう数字が明確に物語っているわけであります。  しかも、現職の皆さん方保険料率はどうか。これは一九・〇九%、労使折半で、本人負担は九・五四五%ですか。これは厚生年金の七・二五%に比較して三割も高い、こういう現状です。だから私どもJRの職場に参りますと、皆さん方からこの年金の問題で集中的にお話がある。何とか改善してくれないか、この現状を何とか改善をしてくれないか、一歩でも前進してくれないか、率直な叫びが実はあるわけでございます。  懇談会報告書にも、この鉄道共済財政状況の悪化には、「産業構造・就業構造の変化という、組合員受給者の責に帰しえない要因による側面もある」こう述べられているわけであります。このことにやはり着目をしていただいて、私はこの自助努力給付見直し保険料引き上げについては再検討の要がある、こういうふうに思うわけであります。確かに他の年金、共済から財政援助を受けている、こういう厳粛な冷厳な事実というものを踏まえながらも、私は見直すべき時期に来ているのではないか、こう思うわけでございます。  特に、報酬比例部分の再評価繰り延べのうち三・六%、これが繰り延べされているわけでありますが、これについては解除の措置をぜひとも講じてもらいたい、こういうふうに私は思うわけでありますが、これについてはいかがでございましょうか。
  58. 五味廣文

    五味説明員 お話にございましたように、この鉄道共済年金自助努力というのが、制度間調整事業というこういう制度間の成熟度調整前提になっております。また、他の各制度それぞれに財政事情は苦しいわけでございまして、先ほどお話のございました支給開始年齢問題もございます。そういう中で各制度助け合うということでございますので、この自助勢力はどうしてもこれは行わざるを得ない。  そこで、御指摘の点でございますが、懇談会におきまして、見直す必要がある、ただ、平成五、六年度においてはこれが継続することはやむを得ないというお話でございました。したがいまして、私どもといたしましては、特に今お話のありました再評価繰り延べというのは、大変過酷な自助努力であるということは十分承知はいたしておりますので、この懇談会の報告書の趣旨も踏まえまして、今後、次期の財政計算時、公的年金制度一元化検討、こういうものが間近に迫っておりますので、こういった検討の際にこの見直し関係者と協議してまいりたい、こう思っております。
  59. 池端清一

    ○池端委員 この点については、年金担当大臣である丹羽厚生大臣にもお尋ねをしたいと思うのであります。  先ほど川俣委員も言っておりましたけれども、戦後の国鉄というのは、旧満鉄や樺太、中国からの引揚者をもう大量に抱え込んだ。そして、さらに分割民営というような状況もあった。したがって退職者が激増する。それによって今日のような成熟度になっているわけであります。こういう構造上の問題があるわけでありますので、私は、公的年金として負担給付の公平化を図るという観点からも、今直ちにとは申しません、ことしやれとは申しませんが、来年は次期再計算の時期なんですから、この時期に向けて見直し検討をぜひ行ってもらいたい、こう思います。大蔵省もそのような趣旨の御発言があったと思うのであります。  再度大臣から、年金担当大臣としての決意のほどをお伺いをしたい、こう思うのです。
  60. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 国鉄JRに移管をいたしましてから、大変な経営努力をなさって赤字も減ってきておるということでございまして、心からこの努力に対しまして敬意を表する次第でございます。  また、先ほどから先生が御指摘のような自助努力におきまして、保険料の適正化であるとかあるいは年金水準の適正化、さらにJR各社負担のこういう問題につきましては、私どももその努力に対しまして評価をいたしておるわけでございますけれども、今回の法律におきまして、御案内のように、鉄道共済などに対しまして九百七十億円の支援を厚生年金あるいは地方共済年金などからお願いをいたしておるわけでございます。ですから、JR共済の関係の方々からはそういうような意見を私も十分に承っておるわけでございますが、その一方におきまして、厚年関係の皆さん方からは、なぜこういうことを私どもが強いられるのか、こういうような指摘を受けていることも紛れもない事実でございます。  私どもといたしましては、平成七年の公的年金一元化に向けて、ひとつ各共済も厚生年金も一緒になって年金一元化を図るような体制のためにも、なおひとつ自助努力を続けていただきまして、身軽にすっきりした形で、歓迎されて、オールジャパンの要するに公的年金一元化を図っていきたい、このように御理解をいただきたいと思っております。
  61. 池端清一

    ○池端委員 私どもは、本日の附帯決議で、次期再計算時期においてこの見直し検討を行うという方向でこの委員会の意思を集約したいということで今考えておりますので、ぜひその委員会の十分な意思を体してこれから大臣も当たっていただきたいということを強く要望申し上げておきます。  最後に、私は、この厚生委員会年金問題についてのフリーな討論をする場というものをぜひ設けていただきたい、あるいは年金問題小委員会というようなものを設置していただきたいということを厚生委員長にぜひお願いをしたいと思うのであります。  一九八九年、ドイツの国会年金改革が可決をされました。このドイツの年金改革に学ばなければならないことは、年金改革に当たり政治の争い、政争を持ち込まないという姿勢を政党や労働組合が貫いた。これは非常に大事な点ではないか、私はこう思うのです。したがって、あの法案は、緑の党を除く全会派一致してあの年金改正が行われた。  やはり政党政派を超えて、国民のこの年金問題に寄せる関心が強いということを踏まえて、我々は立法府の議員として十分この問題について真剣な討論を交わして、でき得れば一致した内容のものをまとめていく、こういう状況をつくっていくことが望ましいのではないか。そして、いたずらに政府提案を待って、政府提案が出てきたからこれに質疑をする、そういう受け身の姿勢ではなくて、こういう円卓会議で各党の皆さんそれぞれ自由濶達に年金改正について論議をする、あるいは年金問題小委員会を設けて、そして各党がそれぞれの年金改正について意見を持っておるわけでありますから、それをお互いにぶつけ合う、そしてよりよい成案を得る、こういうような形にしてはどうかという意味でこの提案をいたしますので、委員長においてぜひ後刻お取り計らいをいただきたい、このように要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  62. 浦野烋興

    浦野委員長 池端清一委員のただいまの御提言につきましては、後刻各党、理事会の皆さん方で御検討いただくということで、御了解をいただきたいと存じます。
  63. 池端清一

    ○池端委員 ありがとうございます。
  64. 浦野烋興

    浦野委員長 森井忠良君。
  65. 森井忠良

    ○森井委員 私も今質問いたしました二人の同僚議員と同じように、鉄道共済を破産させてはならない、したがって、当面の措置としてこの法案については賛成の立場議論をしていきたいというふうに思うわけでございます。  それから、もう一つ大事なことは、鉄道共済の救済というのは、もう行ってしまいましたけれども、本来公的年金ですから、公的年金というのはやはり一つでも破産をしますと、これは単にその公的年金制度だけでなしにすべてに影響してくるわけでありますから、その意味では今度のこの法案日本の公的年金を守る、そういう立場議論を進めていかなければならぬと思いますし、基本的には私はそう思うのですが、厚生大臣、あなたはいかがですか。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
  66. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま先輩の森井先生が御指摘になりましたとおり、高齢化社会を迎えまして、いかにして老後において安心して生活を送られるかという観点から、公的年金制度の充実というものは大変不可欠な問題でございます。そういう観点に立ちまして、私どもは、まず現役世代と年金世代のバランスや制度間の公平を図るということが大事だと考えております。  いずれにいたしましても、こういった考え方に立ちまして、負担給付のあり方、さらに平成六年の財政計算時の問題となっております厚生年金支給開始の問題等につきまして、率直なる御意見を賜れれば幸いだと思っております。
  67. 森井忠良

    ○森井委員 随分御親切な答弁をいただきましてありがとうございました、そこまでの答弁は期待しておりませんでしたけれども。いずれにいたしましても、日本公的年金制度を守るという立場制度間調整も行われる必要がある、そういうことを申し上げたかったわけでございます。  そこで、ちょっと気になることがあるのです。それは今回の財政調整の期間であります。これは来年度平成年度並びに平成年度、二年間の暫定措置と理解をしていいのか、お伺いします。
  68. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 制度間調整事業につきましては、もともと一元化が完了するまでの間の当面の措置として助け合うということになっております。  それで、一元化がいつ完了するかという点については、法律上ははっきりしておらないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、政府といたしましては平成七年を一元化の完了の目途といたしておりますので、今回の法案では当面この措置継続するというお願いをいたしております。法律の本則の一元化が完了するまでの間の当分の期間延長をしていただくということで、五年、六年というのは、具体的な数字に至るまで関係者の合意形成ができているわけでございますが、それ以降どうなるかという点につきましては、現時点では制度上は白紙でございます。  ただ、私どもは、平成七年を目途に一元化を完了するということにいたしておりますので、平成七年に一元化制度ができて、その一元化の新しい制度平成七年から発足をするということになれば、五年、六年だけの措置で済む。仮に平成七年を目途に検討をしております一元化制度平成七年から実施されない、あるいは方針が決まっておっても実施の時期については少し延びるということになれば、その間も今回の当面の措置が続く、制度的にはそういうふうに考えております。
  69. 森井忠良

    ○森井委員 制度間調整懇談会、ここで議論をしたのは前提があるわけでしょうけれども、一応公的年金一元化平成七年にできるということで、二年間の措置ということになったのかもしれません。  これは申し上げるまでもありませんが、先ほど来話がありましたように、JRグループの皆さん自助努力というのも胸が痛みます。大変劣悪な年金で我慢をしていらっしゃいますし、またお金を出される各グループも大変だと思うので、その認識は私もしております。同時に、出す側もこれは大変なんですね。山口さん、出す側も大変なんです。だから、いつまでも続くということで話し合われたら、それはいい返事は返ってきませんよ。今回もとりあえず二年なら各制度とも、支援をする側でありますが、我慢をしようということになっている。そうでしょう。これが五年も六年も、まだ先まで続くということになれば、そこまでおつき合いをしょうかということになるはずがない。その意味で、やはり今度の法案というのは二年間の暫定措置だ、こういうふうに思うわけです。  再度その点についてお伺いをしますが、確かに法律の中身を私も見ましたら、変わっております。今までは法律の中で平成二年から平成四年まで、これは国会修正をしてそうなったわけですが、御存じのとおり本当はあともう二年原案ではあったわけです。しかし、国会の意思で三年間で切った、こういうことになって今日に至っておるわけであります。したがって、トータルで五年といえば来年と再来年、これも当初から話し合われてきたことですから、私どももやむを得ないという感じを持っております。  ところが、法案では、今度は変わりまして、この財政調整というのは「当分の間」といふうに全部文言が変わっております。今までは、くどいようでありますけれども平成二年から平成年度まで、この三カ年間ということで国会修正もあって法律ができている。それが今度は「当分の間」ということになりますと、今申し上げましたように、各制度間で話し合われ、そしてそれぞれの、例えば懇談会等で議論をされたことはあと二年ならいいじゃないかということなので、「当分の間」ということになると、これは今局長いみじくも答弁をしたように、これは後で聞きますけれども、公的年金一元化ができなければ、極端に言えばあと五年でも十年でも十五年でもできるという法律になっておるわけです。再度明確な御答弁をいただきたい。
  70. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 懇談会におきましても、先生指摘のとおり、当面、五年、六年というのは継続をしていくべきだという御議論がございます。ただ、懇談会におきましても、この措置というのは、自助努力前提としながら費用負担調整を金額面で限定をしていく、今回の延長をお願いをしている、そういう趣旨制度であるから、もしこの特例措置がなければ、金額面で限定をすると国鉄共済に対する支援の額がふえるということになるわけですね。そういう制度になっているんだから、一元化が完了するまではこの措置を維持するというのが適当ではないかという御議論がございました。  そして私どもも、ただそう言いましても、私ども先ほど来申し上げておりますように平成七年に向けて一元化完了を目標にして努力をしているので、そこは精いっぱいやってもらって、当面この二年間でこの措置が終わればそれが望ましいということで、懇談会としても、先ほど触れましたけれども平成七年を目標にしているということなら、もっと政府はこの一元化の問題を一生懸命やれというような御示唆も改めていただいたということで、私どもは五年、六年こういう措置をとる、七年に入れば一元化方向が出るということで努力をさせていただきたいと思っています。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 森井忠良

    ○森井委員 努力というのはやるということじゃないので、廃止になることもあると思うので、仮にこれが平成七年以降に回るようなことがあれば、もう一度懇談会を開くとか、あるいはもう一度各制度間に説明をして了解を得るとか、最低それだけの信義上の手続というのは要るんでしょうね。
  72. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 私の一存ではっきり申し上げることはできませんけれども、私自身は先生の御指摘はもっともだと思いますし、私どもも仮にそういうことがあれば、単純に延びていくというようなことはあり得ないと思っております。
  73. 森井忠良

    ○森井委員 そこで問題は、平成七年に一元化ができるかどうか。私は率直に申し上げまして、今までの自分のささやかな経験ですけれども、七年に一元化ができて、直ちにこの制度間調整が終わるとはとても思えない。  昭和五十九年の公的年金制度の改革についての閣議決定でありますが、どうも平成七年を目途と、あの当時ですから昭和七十年ということになるんでしょうけれども、目途と書いてあるんだな。そして、今気がついてみれば、早く閣議で決定したけれども政府の作業というのは遅々として進んでいなくて、ようやく今日を迎えて年金審議会等で議論が始まったという段階で、残りはもうあと二年しかない。本当にできるんですか。  大臣、決意をちょっと聞いておきたいんですけれども、今申し上げましたような事情で平成七年以降に一元化がずれ込みますと、これは各制度間の信義の問題にも発展しますので、本当に七年にできるのか。どうですか。あなたのきのうの提案理由の説明の中でも、平成七年やりますというふうにはなっておりましたけれども、その点だけお答えください。
  74. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私ども平成六年に財政計算を行い、そのときに厚生年金支給開始問題について国民皆さん方の御理解を得て、そして平成七年には公的年金一元化を図る、これはスケジュールでございます。この線に向かって鋭意努力をしていく決意でございます。
  75. 森井忠良

    ○森井委員 一元化に向けての議論というのは、先ほど池端委員からも説明がありましたように、制度審の第三次の数理部会で三つの案が出た。これが一つ。それからもう一つは、昭和六十三年の年金審議会で出た結論らしきもの、この二つしかないんですね。  年金審議会の方は、被用者年金制度にそれぞれ歴史や沿革があるので、各制度を存置をしたまま、残したままミニマムの共通の新しい単一の制度をつくったらどうか。これは同一の報酬比例給付、同一の保険料、つまり同じ保険料と同じ給付、二階部分についてまとめたらどうか、こういうことですね。これは年金審議会ということになっていますが、当然のことだと思いますが、恐らく厚生省がたたき台を出して最後はまとめたんじゃないかという感じがします。ただし、これは厚生省の責任ではありません。あくまでも年金審議会の責任ではありますけれども、当然答申されていますから、厚生省はそれはひとつ踏まえるだろうというふうに考えておりますが、これも一つの方法ですね。  それからもう一つは、先ほど話があった制度審の三つの考え方です。私は、先ほど披露があった中で一番いいのは、何もかも合わせた統合一本化がやはり制度審の答申の中で一番傾聴に値する。また、そうなければ日本年金制度というのはばらばらになってしまうということがあるものですから、統合一本化の努力をすべきだ。私の意見でありますが、そうでなければ今の制度間調整みたいなものでお互いに補い合うしかないのかな、この二点だと思うのですよ。あとは複数の制度をつくる云々というのが入っていますけれども、これはもういただけない。  統合一本化は非常に難しいという意見があります。これは私も先ほど申し上げましたように、制度の沿革も違う、持っている財産も違うのですから、一本にしろというのは相当私は難しい問題だと思います。しかし、これを放棄をしたら日本の公的年金はもう世界の笑い者になる、私はそういうふうに考えております。極端な議論ですが、やろうと思えばできるんですよ。だから、今の制度は今の制度でそのまま残しておいて、これから新たに会社あるいは役所に採用される人から適用すれば、ものの四十年もあれば一本化するのですから。  年金制度の大改革というのは三年や五年じゃできない、当然のことですけれども。その意味からいけば、今申し上げましたように三十年か四十年かけて一本化の方針を出して、そして新規採用者から、新規加入者からでも進めていった方がいいのではないか、私はそういう感じがするわけですが、いかがですか、山口局長
  76. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘をいただきましたように、私ども一元化の目指すもの、理念というのは、産業構造や就業構造の変化にも耐え得る長期的に安定した制度にする、そのためにはより安定した保険集団が望ましい、それからまた給付負担の両面にわたってできるだけ公平なものにしていく、それから国民皆さんへのサービスあるいは業務の効率化ということを目指す、これが一元化の理念でもあるし、必要性でもあると考えております。  その観点からいたしますと、先生に御指摘をいただきました統合一本化案というのは、今申し上げましたような一元化の理念に最も合致する、また国民皆さんにとってもわかりやすい制度だ、私自身もそういうふうに考えております。  ただ、これを具体的に現実化していくに当たりましては、先生から経過措置について御示唆をいただきましたけれども、そういうことも含めまして、今までの過去のそれぞれの運営の結果として積立金というようなものが各制度に生じておる。それから、それぞれの制度がそれぞれの保険集団にふさわしい業務あるいは施設等をやっておる経緯がございますので、そういった面を含めて、経過措置の問題ももっともでございますが、関係者の合意形成を得るということにつきましては三案それぞれ問題があろうかと思いますけれども、この合意形成を図るのが一番難しいのもまたこの統合一本化法であろうと思います。  そういうことも念頭に置きまして、また先生の御指摘をいただきました点も念頭に置きつつ、十分検討させていただきたいと思います。
  77. 森井忠良

    ○森井委員 厚生省は、その年に大法案を抱えたような場合には、少々人事異動を延ばしてでもその人をずっとそこへつけておく、そのかわりに、偉くなるのを妨げちゃいけませんから、そこからすっと次官になるというふうなコースがあったのですよ。今答弁をしてくれました山口局長、それから故人になられました山口局長などはその典型的な例じゃないかと思うのです。  あなたは統合一本化は望ましいが、各制度間の了解を得ること、その他大変な問題があるという御指摘がありました。  しかし、申し上げておきますが、あなたが在任中かどうかわかりませんが、ずっとこれは追求し続けませんと、大臣本当に、例えば年金問題なんかで閣僚懇談会なんかできるでしょう。ところで、一年たったらまたおかわりになる。そう言ってはまことに失礼ですけれども、余りお詳しくない方が当然閣僚懇談会の中にお入りになるわけですから、問題があるのですよ。続かない。年金というのは、先ほど言いましたように三十年も四十年も先を見越してのものなんですから。その点、私は気になるところでありました。  それから厚生省の方も、局長その他の人事は、これはせいぜい二、三年ですよ。それでまた、そう言ってはおかしいですが、素人が年金局長なら年金局長になる。継続性がない。だから置けというわけじゃないですよ、山口さんも偉くなってもらわなければいけませんから。ちゃんと引き継いでいく者をつくっておかなければ、将来の年金行政は私はいいものができないと思うわけでございます。これは答弁は要りませんから、そのことだけちょっと申し上げておきたいと思います。  そこで、私が統合一本化と言うと、皆さん理想じゃないかという顔をしておられましたから、じゃ具体的にどうするか。もうそれは厚生省もある程度イズムを出して、一元化については平成七年からこういうふうに持っていこうという腹案はないのですか。あえて言えば、年金審議会は、これは厚生省、厚生大臣の機関でしょう。法律に基づく機関ですから、年金審議会が出したいわゆる二階部分の統合案、給付も同じ、保険料も同じ、そしてその勘定は社会保険庁がちゃんと持つという形になるのかなという感じもするわけでありますが、この点についてどうですか。
  78. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 一元化の問題につきましては、先ほども御報告をさせていただきましたように、当面検討を急げ、それで年金審議会におきましても、ほかの問題と同様にこれは大変重要な問題なので、大きな項目として議論をしていきたいということで項目に挙がっております。  それで、秋までには年金審議会としての意見をまとめようという段取りでございますし、各共済組合におきましても秋を目標にそれぞれ検討をしようということでございますので、先生の御指摘の点につきましては、この年金審議会の中で、過去に御提言もありますけれども、それも含めて大いに議論をしようということでございますので、御議論をいただきまして、私どももできれば年金審議会としてこの一元化問題についての見解を秋までにまとめていただきたいということで、それを目標にして側面から努力をしてまいりたいと思っております。
  79. 森井忠良

    ○森井委員 私も中身を知らないわけじゃないものですからね。どういう結論が出るにしても、何があってもこれは大変だな。二階部分の統合だけでも相当問題がある、これはもう積立金が違うのですから。  それから共済年金は、昭和六十一年からはちゃんと職域年金部分というのができましたよね。それ以前はなかったわけです。だから、どこまでが報酬比例部分でどこまでが職域年金部分かというのは、昭和六十一年以前の既裁定年金の方はわからないわけでしょう。だから、いわゆる厚生年金相当分、報酬比例部分を統合して同一保険料と同一給付ということにしても、これだけでも私は分けるのは不可能だと思うのですよ。だから、一定の乗率でも掛けるというようないいかげんなことをすれば別ですけれども、これは迷惑な話で、あくまでも職域年金部分というのは、共済組合については厚生年金部分の二〇%増しというのは六十一年以降ですからね。これも大変なことなんだ。つまり、後手後手でいくものだから、結局後からつじつまを合わせようとしてもなかなか難しい、こういう状況があることを申し上げておきます。これはもう答弁も難しいと思うから、要りません。  そこで、厚生省ができることもあるのですね。例えば年金の現業業務の問題です。基礎年金については、これは全国民加入で、被用者もそれから国民年金の自営業者等も一本ですから、ここだけはくくってもう年金番号があるのですか。
  80. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 年金制度の運営に当たりまして、現在、制度ごとに番号をつけておりますので、基礎年金に一季の番号があるというわけではございません。
  81. 森井忠良

    ○森井委員 私、心配するのは、万一と申し上げてはちょっと語弊があるのですが、平成七年から年金一元化ができると仮定をした場合に、とりあえず直ちに社会保険庁は御活躍をいただかなきゃならぬことになるわけであります月これは準備をすれば今からでもできるのです。方針が決まらぬから難しさはわかりますよ。しかし、共済グループなどの年金番号も一本にして一元化をすれば、当然全国民に通じる年金番号というようなものをつくるのですか。  それから、時間がありませんからついでに、御苦労願っている年金業務の場合どういう課題があるのか、これからそれをどういうふうに改善をしていこうとするのか、お伺いをいたします。
  82. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 御指摘年金番号でございますが、先ほど申し上げましたように、制度ごとに加入者に年金番号をつけて膨大な記録管理を行っておりまして、各制度を通じた記録管理は行われていないといったような問題もございます。また、そのために年金相談あるいは年金裁定というものも時間を要するといったような問題もございますので、制度運営の適正化ということと、特に私ども考えておりますのは、加入者のサービスの向上ということがございます。  そのため、年金現業業務の一元化の要素でございます年金番号の一本化を図ることといたしまして、全制度共通の基礎年金番号を設定し、この基礎年金番号をキーといたしまして各制度間で情報交換を行える体制を整備する必要がある、このように考えておりまして、現在その検討を進めているところでございます。  それから、御指摘のどういう課題があるかということになりますと、現業業務の面で申しますと、ただいま申し上げましたように、やはり何と申しましても加入者に対するサービスの向上ということでございまして、そのためにこの年金番号の一本化というのが大きな軸になるのではないかと考えております。
  83. 森井忠良

    ○森井委員 やはり全国民に通用する年金番号というのは、これは早晩もう必要になってくると思うし、今の答弁によりますとやる気になっていらっしゃいますから、着実に実行してもらいたいと思います。  その場合に、単に年金だけに使うというのも、これはもったいないですね。所得の捕捉その他納税にも使えるのではないか。これは大蔵省が使うのか使わないのか知りませんけれども、それもあります。今一例を挙げましたけれども、他の納税番号等に使わせると言ったらどういうことになりますか。その辺聞かせてください。
  84. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもといたしましては、受給者に対するサービスあるいは国民年金の適用を的確に進める、このようなことで年金番号の一本化、つまり、年金制度の適正な運営の観点からこの年金番号の一本化が必要と考えているわけでございます。  御指摘の納税者番号の問題でございますが、これにつきましては、政府税調におきまして、年金番号を使う方式あるいは住民基本台帳を使う方式というものを中心に、幅広い観点からの検討が行われているわけでございます。  一本化された年金番号を納税者番号として利用するかどうかでございますが、これは政府税調なりそちらの検討の場で一定の方針が定められるものと考えておりますので、その方針決定を待ちまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  85. 森井忠良

    ○森井委員 年金一元化についてはこれぐらいにいたしましょう。  清算事業団皆さん、きょうはどうも御苦労さまでございました。やぶから棒で恐縮でございますが、大きな仕事として株の売却、それから旧国鉄がお持ちの土地の売却等々大切な仕事が残っていらっしゃるわけですけれども、株はいつごろ売却を始められますか。
  86. 石月昭二

    石月参考人 私どもの債務償還財源の大きなものは、土地と株が一番大きゅうございます。株式につきましてはできるだけ早く売却をして、私どもの債務については毎年一兆五千億近い金利負担がふえてまいりますので、できるだけ早く大量に元本を償還して債務を返済したい。その意味で、できるだけ早く株を売却したいと考えておりましたが、御案内のように経済情勢の急変で、株式市況は非常に混迷をしているわけでございます。  実は、昨年度も売却予定で、JR東の株二百万株の売却を予定して予算に計上いたしておりましたが、昨年の株式市況等をにらみまして、昨年夏の総合経済対策の中で、平成年度は見合わせるということになっております。私どもといたしましては、平成年度に入りまして、市況状況その他もよくにらみまして、できるだけ早期に売却に踏み切りたいというぐあいに考えている次第でございます。
  87. 森井忠良

    ○森井委員 土地はどうですか。
  88. 石月昭二

    石月参考人 土地の売却状況でございますけれども、御案内のように、現在は未曾有の不動産不況でございまして、現在におきましてもまだやはり地価の下げどまり感が出てこないというようなことがございまして、土地の売却につきましても大変苦労をいたしております。  先生御存じのように、事業団が発足いたしましたときはちょうど土地の高騰が始まりましたときでございまして、私どもの持っております土地は国有財産に準ずる公共的な資産であるということで、一般的には競争入札というのが原則でございました。しかし、競争入札をやるとほかの地価を引き上げるおそれがあるというので、その原則的な土地処分手段である競争入札がほぼ凍結状態になりまして、そのために私どもの現在の土地を買っていただく、売ります大宗というのは、やはり地方公共団体が公共公用に使う土地ということになっております。そういう意味で、地方公共団体の方に買っていただくように政府部内を挙げていろいろな措置をとっていただいておりますけれども、いずれにしろ地方公共団体の方も利用計画を決めるのに時間がかかるとか、さらには土地がまだ下げ傾向にあるとか、いろいろな事情がございまして、目下のところ、なかなか予算で計上したような土地売却目標が達成しがたい状況にあるということでございます。
  89. 森井忠良

    ○森井委員 大変御苦労も多いことと思いますが、いずれにしても株も土地も、あなたの方のお仕事として最終的にはどっちも売却されるわけですよね。  そうすると、これもまことに聞きにくい話でございますが、清算事業団というのはいつごろまで存続される見通しですか。これはむしろ運輸省の方がいいかな、ゆっくり、はっきり答えてください。
  90. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 お答えいたします。  清算事業団の業務は、基本的には国鉄の権利義務の清算でございます。したがって、積極的にその拡大が図られるという性格の業務ではありませんので、いつかその業務を完了する時期が到来するものでございます。しかしながら、再就職促進業務につきましては既に終了いたしましたけれども、債務の償還でございますとか、今先生がおっしゃいました土地等の資産の処分、その他権利義務の処理などにつきましては、それぞれ相当の期間を要する業務でございます。現時点でその期間を確定することはなかなか困難でございます。  なお、今事業団理事長の方からもお話がありましたように土地処分を行っておりますが、これにつきましては、閣議決定で平成年度までに実質的な処分を終了するということがございまして、これに向けて努力をしておるところでございます。
  91. 森井忠良

    ○森井委員 私が聞きにくいことを聞きましたのも、今度の制度間調整事業団は毎年一千億のお金を出していらっしゃる。それだけでないわけでしょう。例えば追加費用というものがありますね。もう時間の関係で私から申し上げますが、お聞きをいたしましたら、年間三千五百二十億円くらい追加費用だけでお出しのようでございます。これはもう大変な金額ですね。しかも、先ほどもお聞きしましたように、清算事業団というのはいつまでもあるものではない。いずれにしてもやがて解散をされるときが来る。一体この負担をどうするのかということがお伺いしたかったわけでございます。  これは大蔵省、そうなった場合、国がちゃんと事業団にかわって必要な経費を払いますね。
  92. 五味廣文

    五味説明員 今の追加費用の話でございますが、この追加費用につきましては、清算事業団の業務でございます長期債務の返済、この業務そのものの一部をなしております。したがいまして、この業務がいつの時点で終了するかはともかく、これは清算事業団の業務として全うしていただく必要のあるものでございます。  ちなみに、この追加費用と申しますのも、御承知と存じますが、その資格を持った方は徐々に減ってきておりますし、資格対象期間も小さくなってきている。これも先ほど鶴野課長から御答弁があった清算事業団の業務と同様でございまして、いつの日かなくなるものでございます。  いずれにいたしましても、これは清算事業団の長期債務の返済という業務の一部でございますので、この実行には遺漏のないようにしていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  93. 森井忠良

    ○森井委員 遺漏のないように措置をするということですから、一応いざというときは国が出ていく、そして清算事業団負担については肩がわりをする、そういうふうに理解をしていいですか。
  94. 五味廣文

    五味説明員 ちょっと言葉が足りませんで失礼をいたしました。  清算事業団が業務を実施するために必要な資金と申しますのは、先ほどお話のありますような土地の処分あるいは株の処分、こういうことから捻出をされてまいりますが、こういった自己資金で最終的に対応し切れないという場合には、この部分につきましては国において処理すべき債務の増加という形になるということでございます。
  95. 森井忠良

    ○森井委員 はっきりしたからそれでいいんですが、先ほど来お聞きのように、年金一元化という場合に、失礼だけれども、今きゅうきゅうしていらっしゃる鉄道共済皆さん、手ぶらで統合ということはあり得ないと私は思うのですよ。積立金は何ともうほとんどなくなっているんですね。二千五百億しか残っていない。これも現金じゃない。現金が二千五百億ではありませんね。それは組合員への住宅その他の貸し付けもありますから。だから、使える金はほとんどないのですよ。何か財産を持っていかなければ、統合統合といってもそう簡単にいきませんよ。  それから、それ以外でも、とりあえずここ二年間だけれども、毎年一千億清算事業団が出されますが、この程度の規模の金は、それこそ当分の間、統合の場合には用意をして、覚悟していかなければ、年金一元化といってもそう軽々にいかない。だから、満額とは言わないけれども、今申し上げました積立金に相当する額。  それから追加費用というのは、私もあなたと同じように、これは随分年月がたって、これは恩給とか旧共済に充てるものですから、恩給それから旧共済のときの支払いですから、言葉は悪いですけれども、だんだん人数が減っていくから金額は減るのかなと思ったら、減っていないのですよ、これは。大蔵省、わかっていますか。速記録に残すのだから答弁してください。
  96. 五味廣文

    五味説明員 対象者の減あるいは対象期間の減はございますけれども、物価スライド等による単価の上昇がこれを上回っているということで、結果的に総額がまだ上昇の傾向にあると理解しております。
  97. 森井忠良

    ○森井委員 ついでに憎まれ口をたたきますと、公経済負担分、もう民間になってからはなくなったようでありますけれども、これはNTTも同じですけれども、公経済負担分について今までは運賃収入で出さしておったんですよね。それは理屈からいけば、国鉄というのは税金を払っていない。NTTも税金を払っていないという理屈があるのかもしれません。しかし、国家公務員はもちろんですが、いわゆる公社公団の皆さん事業団もありますけれども、そういったところの公経済負担分というのはちゃんと国が見ている。だから、大きな原因ではないかもしれませんけれども、やはり国鉄なりあるいは日本鉄道共済のやりくりの難しさというのは、その辺にも私はあったと思うのですよ。これは答弁要りません。指摘だけしておきたいと思う。  それでやってみたら、結果として平成二年、平成三年の二年間で百九十八億円の黒字ということでありまして、まことに結構なことだと思います。理由についても先ほどもお伺いをしたわけでありまして、それは理解できるわけでありますが、ちょっと念のために平成年度の見通しはどうでしょう。
  98. 五味廣文

    五味説明員 平成年度につきましては、現行の制度間調整事業自助努力枠組みが引き続き維持をされておりますので、現在の見通しては、恐らく平成年度とそう違わない程度の相応の黒字が出るのではないかというふうに思っております。
  99. 森井忠良

    ○森井委員 そこで、これもまた非常に聞きにくい質問であります。人の懐に手を突っ込んだような感じがするものですから言いにくいのでありますが、見ますと、ちょっと約束違反があるのですよ。積立金は、これはもう国会修正によってその他という項目に、鉄道グループの自助努力の中のその他に入って二百億。これは当初百億だった。百億積み足しをしたのは積立金を取り崩すということであったわけでありますが、結果から見ますと、平成年度四十四億取り崩しをしていらっしゃいますが、平成年度は取り崩しがない。したがって、自助努力の中で百億円がそのまま出されずに、結果として減額をされておる。  支援をする側は千百五十億、これは毎年耳をそろえて出してきておるのです。支援される側が財政にゆとりがあったといって、取り決めをした積立金の取り崩し百億円を勝手に減額するというのはいかがなものか。ある意味で背信行為ではないか。この点についての所感をお伺いしたいのと、こういう場合は取り崩しをしないでもよろしいと命令ができる役所というのはどこですか。大蔵省ですか、運輸省ですか、官房の内政審議室ですか。だれかが命令しなければ取り崩しをしなくて済むはずはないのですから、経過について明らかにしてください。
  100. 五味廣文

    五味説明員 当初千八百五十億円の自助努力を予定をいたしました平成年度並びに三年度につきましては、おっしゃるように、二年度は四十四億の赤字、三年度については黒字が生じているということで、この積立金の取り崩しは、初年度については四十四億、二年目については行っていないということになります。  この件につきましては、そもそもこの積立金の取り崩しと申しますのは、最大限の自助努力をするということで、もし最大限の自助努力をし、制度間調整でも最大限の御協力をいただいてもなお赤字が生ずるということになる場合には、これは積立金の取り崩しで対応いたしましょう、こういうことでございまして、百億円と申しますのも、毎年決まって百億円を崩すという趣旨というよりは、およそ御支援をいただく期間全体にわたって大きな赤字が生ずれば、それに伴って大きく積立金を取り崩しますし、もし見込みが違いまして逆に赤字が出ないということであれば、その部分は後にとっておくという、こういう仕組みであったというふうに理解をしております。  いずれにいたしましても、これは全体の見通しとの関係でございますので、これを崩すか崩さないかということは、だれかに命令をするしないということではなくて、赤字が生ずれば崩す。積立金の取り崩しと申しますのは、決まりの上でも、赤字が生じた場合にはこれを崩してもよいという決まりになっておりますので、この点については御理解をいただきたいと思いますし、この部分を何かごまかしてしまおうという趣旨は全くございません。  いずれにいたしましても、こういった黒字が生ずるというようなこともございます。平成年度、六年度については、そういったことも踏まえて非常に厳しい収支見通しを出しておりますから、御支援いただく額も小さくていいということですが、これも経済情勢の変動などがありまして、そういうぎりぎりの見通しのもとでさらに落ち込みがあれば、これは大変大きな赤字要因となり得るということでございますので、赤字が生じた場合には責任を持って鉄道共済の積立金の取り崩しで対応するという考えには変わりはございませんし、御支援を五年間いただいて、結果的に少し積立金取り崩しの分は得をしたではないかというお話がございますれば、平成七年を目途とされております公的年金一元化の際に、この取り扱いについてきちんと関係者皆さんと御相談をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  101. 森井忠良

    ○森井委員 もうこれ以上言いませんが、どんなに言いわけをしても、各制度間が了解をして千八百五十億の自助努力と決めたんだから、それが取り崩しをしなくていいなら、各制度皆さんはまたもう百億減らしてくれとおっしゃったに違いないんだ。だからこの点は申し上げておきます。  これは厚生省にも関係がありますが、鉄道共済成熟度が、成熟度は高ければいい、高くなければ悪いという意味じゃありませんけれども、ちょっと減っておるのですよね。厚生省にきのうやかましく言いまして、国会審議をするのに平成三年の資料を持ってくるやつがおるかと、私がそう言ったんですよ。今コンピューターの時代でしょう。成熟度なんかは何も平成年度じゃなくて、平成四年でもいいし、平成五年の一月だってできるはずだ。平成三年の資料を出すとは何事だというんで言いましたら、今度は平成年度のを持ってまいりました。かなり変化があるのです。例えば鉄道共済平成三年の時点で成熟度は一七三・八でした。今度平成四年のを見ますと一六九になっているのです。五ポイント近く低くなっています。これは厚生省、間違いありませんね。
  102. 五味廣文

    五味説明員 私どもの担当でございますので、大蔵省からお答えいたします。  今おっしゃられたとおりでございまして、いわゆる退職年金を受給している方の人数をとった場合の成熟度は、おっしゃったとおりの数字になっております。
  103. 森井忠良

    ○森井委員 この点については、財政的には将来いい傾向だと思うので、注意をしながら財政運営をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  そこで、いろいろ聞きにくいことを聞いたのですけれども、この際、厚生年金グループ以外に支払い側、御無理を言いまして一つの制度だけ来てもらっております。今までの一連のやりとりを聞いて、これは懇談会その他ではかなり激論もあったようでありますけれども、自治省として地方公務員共済を抱えてどういう感じを持っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  104. 川村仁弘

    ○川村説明員 制度間調整につきましては、公的年金制度一元化の完了に向けての当面の措置、こういうことで、平成二、三、四と被用者年金制度の共通給付部分について各制度が共同して負担する、こういうことでやってまいりました。結果として、私どもの関係の地方公務員共済としては年々かなりな拠出をしてきたわけであります。  現在お願いしております法改正の中で、さらに引き続き年々かなりの拠出をしなければならないということがありますけれども、これも現在の国鉄共済組合財政状況なりあるいは組合員数の減少してきた状況なり、こういうものを勘案いたしますと、私どもとしてもやむを得ないことではないかな、かように心得ている次第でございます。
  105. 森井忠良

    ○森井委員 もう時間の関係で、この一問でやめます。  理解をしてあげてほしいと思うのは、大変なのですよね。地公済についてもそれぞれ分担をされるわけでありますが、調べてみましたら、何と一番大きな負担というのは基礎年金なのですよ。基礎年金勘定にはすごくお金を出している。今の地方公務員の関係で言いますと、拠出金を基礎年金勘定に対して四千八百六十三億お出しになっておられて、それで交付されるお金というのは三千六百八十六億です。差し引き千百七十八億円の持ち出しです。  厚生年金に至っては大変中の大変でありまして、拠出金が四兆二千六百四十六億、これは九〇年度資料で恐縮でありますが、それだけ出しておられる。厚生年金グループが受け取っております交付金は二兆二千百二十二億、実に毎年二兆円のお金を厚生年金のグループは出している。もともと国民年金、基礎年金は、年金統合のために、意図としては悪くありませんけれども、実際はもうつぶれかかった国民年金の勘定をオールジャパンで救済をするという意味が非常にあった。これは明確に私は申し上げておきたいと思うのです。  したがって、これ以上各制度から鉄道共済なりあるいはまた国民年金、基礎年金にお金を出すというのは非常に厳しい状況にあります。したがって、この点も統合の場合あるいは一元化の場合、十分考慮する必要がある。あるいは今度の制度間調整でも同じでありまして、出す各制度も大変な財政状態にある、このことだけは明確に申し上げておきたいと思うのです。  答弁をすると、またまともな答弁は返ってこないと思うから、とりあえず警鐘を鳴らして私の質問を終わります。
  106. 浦野烋興

    浦野委員長 以上で午前中の質疑は終了いたします。  参考人皆様方には午前中ありがとうございました。また、午後からもひとつよろしくお願いをいたします。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  107. 浦野烋興

    浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小松定男君。
  108. 小松定男

    ○小松委員 午前中に特別措置法の一部改正について質問がされておりますので、重複をできるだけ避けながら質問をしてまいりたいと思います。また、確認も含めてしていきたいと思います。  午前中に出ておりました公的年金一元化について、平成七年にこれを行いたいということで厚生省も努力する、こういうことで言ってきたわけでございますが、これはしかし内容を詰めてみますと、なかなか難しい問題もあるように思います。  そこで、今後の推移を見なければならないと思いますけれども、その中で私は、答弁が自助努力、特に今回出されております国鉄退職者のことについては、自助努力ということを非常に強弁していると思います。そうなりますと、一元化ということが他の年金との関係におきましてもそう簡単にいくとは思われません。なぜいかないか。合意形成、これが非常に難しいということだと思います。この理由は一体何か、こういうことになれば、もう言わなくても負担と受給の関係、これが主な理由になるだろうと思うのですね。  そこで考えなければならないのは、自助努力自助努力ということで、各制度年金に対してそういうことだけでいったならば、なかなかこれはまとまらない話だと思います。これに対して実施をするには、社会保障の関係という立場からいえば、国の財政支出というものを当然考えていかなければならないということだと思います。  そこで伺いたいのですが、国の財政支出を含めて、一元化というものに対しての決意がどうなのかということをここではお聞きしておきたいと思います。
  109. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 一元化の問題につきましては、先生指摘のとおり、私どもは当面平成七年を目途に鋭意検討を続けておりますけれども、実現までには大変難しい問題を抱えております。しかし、先ほども御説明をさせていただきましたように、当面各制度でこの一元化の問題について詰めて、そして秋ぐらいにはその結果を出そうではないか、そうした上でさらに検討の場を設けようということで議論をさせていただいている段階でございますので、私どものそういう努力というのを見守っていただきたいと思います。  この一元化との関連で国庫負担という御指摘がございましたけれども年金に対する国庫負担につきましては、御承知のとおり各制度が分立をしている。その中で国庫負担についても各制度ごとにまちまちであったのを、六十年の改正のときに基礎年金という制度を導入いたしまして、基礎年金、いわば年金制度の土台になる一階の部分について国民みんなで支えていく、その基礎年金に三分の一の国庫負担を導入をする、二階部分以上はそれぞれの拠出でやっていこうということで今の制度ができておるわけでございます。  したがいまして、これから一元化問題を議論をいたしていく場合に、この国庫負担の問題をどうするかという議論は当然出てこようかと思いますけれども、それ以上に、二階部分以上の制度をどういうふうにしていったらいいのかということを関係者が真剣に議論をする中で、何とか方向を見出していきたいというのが私ども立場でございます。
  110. 小松定男

    ○小松委員 この一元化については、今指摘しましたように国の財政支出等を十分勘案して、私は、むしろ一階部分の方は三分の一ということの負担でございますけれども、これは本来ならば、国民のいわば社会保障という立場からすれば、この一階部分というのはほとんど国の方の支出ということも将来考えてもいいんじゃないかなという気はしているんです。その辺もあわせて今後の検討をひとつ十分期待をしていきたいと思います。  次に、日本鉄道共済年金のことで具体的にお伺いしたいのですけれども、今回自助努力ということで、今までの負担が一六・九九%ですか、これが一九・〇九%。これは半分は被用者負担ですから、これの二分の一になるんだと思うのですが、例えば一これを月給二十万円ということであらわした場合には、一九・〇九%の保険料といいますと一万九千九十円になりますね。これが鉄道共済年金の掛金です。それから他の年金厚生年金は一四・五%ですから一万四千五百円、それから公務員の共済年金は一五・二%ですから一万五千二百円で、この鉄道共済年金というのは、月給二十万円にした場合には、厚生年金との差だけでも四千五百九十円が個人負担、本人負担になるんですが、そういうことになります。  先ほどからも出ておりますように、国鉄というのは今日民営分割されて、これは政府の方針でされたわけでございますので、このあたりについて、これだけ負担が重くなっているということ、この点について、来年の財政計算時においてはこの負担を解消されるということで理解していいのか、この点ちょっと伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  111. 五味廣文

    五味説明員 鉄道共済年金自助努力ということで、組合員並びに受給者負担に係る分が幾つかございます。今お話のございました保険料負担を他の制度より高く維持しているというのもその一つでございます。  御承知のように、今回のこの制度間調整事業見直しに当たりまして、有識者の皆様お集まりになった懇談会では具体的に御指摘がございまして、「保険料率の大幅な引上げなどの受給者及び組合員に関わる措置については、長期的に維持することは望ましくない」が、「当面、平成年度及び六年度において引き続き継続することは止むを得ない。」こういう御指摘をいただいております。  この制度間調整事業は、もらい手の側になります制度で最大限の自助努力をするということが前提になっておりますし、また、それぞれ各制度苦しい財政事情の中で最大限のそれなりの自助努力をなさっている。そういった各制度からさらに制度間調整事業による交付金を受けるということでございますので、こういった拠出側の皆様の理解を得る上でも、このような自助努力は引き続きやはり五、六年度については継続をする必要があるというふうに考えております。  そこで、お話のございました今後の取り扱いでございますが、これらに関しましては、懇談会の報告の趣旨も踏まえまして、次期財政計算、公的年金一元化検討、こういった事柄の際にこの見直しについて検討してまいりたい、検討する必要があるというふうに考えております。
  112. 小松定男

    ○小松委員 この点については、いろいろ今後の推移を見ながらまだ質問をする機会もあると思いますので、次に移りたいと思います。  大蔵省、きょう見えていると思うのですが、報酬比例部分の再評価繰り延べについてですね。この五年間凍結についてでございますが、この年金見直しの三・六%のスライド、これが次期財政計算である一九九四年まで五年間凍結をされているということです。これは解除されるべきだと思うのですけれども、この点について大蔵省としての見解はどうかということで伺っておきたいと思うのです。
  113. 五味廣文

    五味説明員 ただいまも申し上げましたが、今御指摘平成元年度の再計算におきます再評価、この繰り延べ措置というのも、組合員受給者に係る鉄道共済年金自助努力の一つでございまして、大変これは厳しい措置であるという御指摘をかねがねいただいておるところでございます。この点につきましても、ただいま申しましたのと同様でございまして、拠出側の理解を得るという意味で必要とは存じますが、当面五、六年度継続をするということで、この今後の取り扱いは、懇談会でいただいた御意見も踏まえまして、次期財政計算、公的年金一元化、こういったことの検討の際にこれの見直し検討してまいりたいというふうに考えております。
  114. 小松定男

    ○小松委員 それでは、いろいろと質問したいところもありますので次に移りますけれども、ぜひひとつ財政計算期においては、その点についての解除をやっていただくように強く要望しておきたいと思います。  次に、これは共済年金やあるいはまた厚生年金、あらゆる年金に関係をする問題でございますけれども、今現在物価スライドをとっているわけですね。この物価スライドというのは、ことしならことしの十二月までの物価上昇を総務庁統計局では一月に公表していますね。ところが年金生活者の場合には、この物価スライドのことになりますと、四月からでなければこれが改正をされない、こういう何カ月かの時差があるわけなんですね。せっかく一月にはもう公表できるわけですから、そういう意味からいうと、やりようによっては一月から物価スライドにおける差額支給というものが組めるのではないかなというふうに考えますし、また、退職者の人たちの意見を聞いても、そのように強く要請もしているところであります。したがって、この点についてどういうふうに考えているのか、ひとつ伺いたいと思います。
  115. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘をいただきましたように、年金を物価の変動に応じて価値を維持していくというのは、年金制度におきまして大変重要なことと考えております。  それで私どもも、今先生の御指摘のありました実際の物価の上昇から余りタイムラグを置かないで年金額に反映させようということで、従来数カ月というようなタイムラグがありましたのを、六十年の改正のときに暦年の物価上昇率で四月から改定をする。その暦年の物価上昇率が一月に確定をいたしますので、四月からということで、私どもとしてはできる限りぎりぎりの努力をして今日のような制度になっている。非常に努力をしてきた結果が今の制度であるということで、御指摘はわかりますけれども、一月末にわかったものを直ちにやれと言われましても、現在の事務処理体制その他ではそれは困難だということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  116. 小松定男

    ○小松委員 必ず。しもそういうことでしょうかね。確かに一月に公表されて四月からという、期間がそのくらいあれば、事務的にも余裕があってできるのかなということで考えないわけでもなかったのですけれども、今のコンピューター時代あるいはまたいろいろと技術が進んだ時代ですから、そういう点でいきますと、もうちょっとそれを工夫してもらえば、年金生活者の人たちにもそうしたこともできるではないかという気がしますので、この点は今まで努力しているということですから、さらに一層ぜひ努力をしていただきたいと思います。  そこで、今度はやはりスライドに関係してなんですけれども、例えばことしの、今度の物価スライド、予算も一・七%組んであるわけなんですね。ところが一・六%、こういうことのようでございます。  そこで、ちょっとお聞きしたいのですが、恩給の場合はこのスライド率がことしは二・六六%になっておりますね。年金生活者は一・七%予算が組んであるのですけれども、物価が一・六%ということなんでしょう、一・六%ということになっているわけですね。これについて、どうして恩給の場合は二・六六%、年金の場合には一・六%、こういうことになるのか、この点について説明願いたいと思います。
  117. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 社会保険の制度であります厚生年金国民年金などと違いまして、恩給は御承知のとおり、公務に従事した音あるいはその遺族に対して国家補償的な観点から全額国庫負担支給をされている制度でございまして、その額の水準の改定の仕方等についても、基本的に制度の仕組みが異なっております。  御承知のように、国民年金厚生年金につきましては五年に一度財政計算をいたしまして、その際に国民の生活水準なり賃金の水準等々を総合的に勘案をいたしまして年金額の改定をする。財政計算をする五年の間は、先ほど指摘がございましたように物価上昇に応じて自動的にスライド改定をしていく、こういう仕組みをとっているわけでございますが、恩給につきましてはそういう財政計算というような仕組みもございませんで、その年ごとの国民の生活水準だとか公務員の給与、物価等を総合的に勘案をして、改定の率を政策的に毎年決定をしていくという仕組みでございますので、たまたま今年度の改定率ということになりますと、先生の御指摘のように数字としては差が出てくる。これは制度の仕組みが基本的に違うということで御理解をいただきたいと思います。
  118. 小松定男

    ○小松委員 恩給は恩給として、そういうことで、できるだけスライド分も今日の状況ですからよい方がいいと私は思うのですね。ただ、年金生活者に対しても、せっかく一・七%予算が組んであるのだから、そういうことも含めて多少の、こういうことも考えていいのじゃないかという意味を込めての、余りにもパーセントに差があったものですから質問をしているわけなんですが、この点についてはスライドに関係した部分として、先ほど支給日のことも含めて、今後の課題としてまたいろいろと提起してまいりたいと思います。  そこで、この年金支給日に関係してなんですが、今二カ月に一回十五日支給になっておりますね。昨年のちょうど今ごろだと思うのですが、私は山下厚生大臣と大分ここでやり合ったことがございました。年金生活者というのは非常に冷たい扱いがいろいろな制度の中で行われてきたのですね。その一つの例が、一般的には十五日支給が、その日が休日になりますと、一般の公務員の給与も皆さんの給与もそうですけれども、大体前日に支給されるというのが常識だったのですね。ところが、年金生活者においてはそれが月曜日、繰り下げにならないと支給されない。もう今は年金生活という方がかなり多いわけなので、この点大分やり合いましたら、八月の十五日から、たまたまこれは休日になっておりましたが、そこから今度は改正されまして、土日の休みの場合に当たれば前に支給される、こういうことになって、これは一歩前進したと私は思うのですね。これの対象者は二千万くらいいるわけですから、大変これは結構なことだと思います。  そこで、私が次に質問したいのは、前は一日に支給されておったのですね。これがいろいろ制度の改正の中で十五日におくれて支給になってきたという経過があるんですけれども、やはり普通一般の人に聞きますと、月が変わると、あるいはその月のみそかにいろいろと支払うものもかなり出ているということで、一日にこれが繰り上げて支給にならないか、できれば毎月支給してもらいたいという声もかなりあると思いますし、また、退職された団体からも厚生省はいろいろと要望も受けておると思うのですが、この点について今後どういうふうにされるか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  119. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 年金支払いについてでございますが、従来ですと御指摘のように年四回払いというのを平成二年の四月から年六回払いにするなど、事務処理方法の改善を図りまして、その改善に努めてきているところでございます。先ほど指摘のございましたようなできる限りのそういう努力をいたしまして、日にちの繰り下げというようなこともやってきているところでございます。  ただ、お尋ねの年金支払い日でございますが、暦月を単位といたしまして、死亡などの受給者状況を把握して的確に年金を支払うということになりますと、年金受給者から提出される最新のデータを可能な限り支払いに反映をさせていく必要があるわけでございます。そうなりますと、大変大量のデータが受給者から寄せられまして、それを処理する期間というものが必要なわけでございますが、現在十五日支払いでございますので、それを一日に支払う、二週間早めるということになりますと、なかなかデータ処理の期間というものが確保されないということで、的確な年金支払い、例えば死亡届の処理が間に合わないで後で過払いの調整、こういうようなこととなりますので、現在のような形で十五日の支払い、大量のデータ処理を的確に行って、受給者に御迷惑をかけないということでやっておるところでございます。
  120. 小松定男

    ○小松委員 この点も事務的なそういう能力の問題でそういうことだとするならば、先ほどの物価スライドの問題じゃないけれども、これは私はやりょうによっては解決できるんじゃないかなと思うのですね。ただ、私が考えるのは、そうではなくて、本当の理由は、むしろ十五日早めるということによって、予算そのものはもう年度でいけば変わらないのかもわかりませんけれども、休日の際の問題と同じように、かなり大蔵省あたりが抵抗するのかなというふうに思っておるわけなんですね。したがって、そういうことで事務的だけだったらばむしろ改善の方向でできるのかなというふうに思いますので、このあたりどうでしょうね、答弁してくれますか。
  121. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 先ほど申し上げましたように、年金支払いということになりますと、御案内のとおり年金受給者、社会保険庁で扱っております分でも二千万人以上の方に年金を支払っているわけでございます。そうなりますと、そういった大量のデータを的確に処理いたしまして、それを的確に受給者のもとへお届けするということになりますと、これは先ほど申し上げましたような一定の事務処理の期間というものが必要でございまして、そういった面の事務的な問題があるわけでございますが、先生の御指摘につきましては十分念頭に置きまして、いろいろ検討させていただきたいと思います。
  122. 小松定男

    ○小松委員 それでは次に移らせていただきたいと思います。遺族年金のことでちょっと伺いたいと思うのです。  日本の場合、本人が死亡した場合には即遺族年金制度に変わるということで、生活においても、例えばそこの主人が亡くなったということで、その生活がその月からぽんと一挙に変わるということではないと思うのですね。ドイツなんかの例だと、例えば本人が死亡しても、遺族年金の場合には三カ月間くらいの猶予期間をそのまま持って、そして今度は遺族年金に入っていく、こういう制度がありますね。したがって、日本の場合も、これほどまで高度経済成長にもなったし、ドイツ等にも負けないくらいの成長を遂げているわけですから、当然こうしたこともその程度のことはあってもいいのではないかなと私は思います。そこで、一つはこの点について伺っておきたいと思うのです。  それにあわせて、今度は、例えば遺族年金になった場合に本人からの申請がおくれていることが結構あるのですね。そうしますと返還の要求がされると思うのですね。また、来るんですね。その場合に、これを扱うのは年金の返還に対しては日本銀行または代理店、こういうことで限定されていると、例えば日本銀行というのはそうあちこちにあるわけじゃありませんので、こうしたことで非常に悩んで、不便だという声があります。したがって、この点については今後解消して、もっとあらゆる金融機関で扱えるようにすべきではないかというふうに思うのです。  遺族年金のドイツ方式、それから今度は手続がおくれて返戻しなければならないという場合の扱いの金融機関、この二点をあわせて伺っておきたいと思うのです。
  123. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 制度面につきまして私からお答えをさせていただきます。  遺族年金につきましては、原則として老齢年金の四分の三程度に減額をされるという仕組みになっているわけですが、これは仮に夫婦お二人で老齢年金で生活をしておられたときに、お一人になるということであれば、夫婦世帯と単身世帯の生活費というのには当然差があってしかるべきであろうということで、四分の三がいいかどうかという議論につきましては、過去は二分の一という時代もあったわけですから、いろいろ議論があろうかと思いますけれども、一つの理屈としては、そういう事態になりましたら、その実態に着目して遺族年金の水準が下がるというのはやむを得ないのではないか。  私どもも今の制度というのは一応筋は通っているのではないかというふうに考えておりますが、先生指摘のように、ドイツでそういう制度があるということも聞いておりますし、また年金審議会でも御議論があることは事実でございます。私どもは現行の制度を維持していくことで支障はないのではないかと考えておりますが、せっかくの御指摘でもございますし、審議会でも御議論をいただいておりますので、十分そういう御意見には耳を傾けて今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
  124. 奥村明雄

    ○奥村政府委員 返納金の取り扱いについてお答えを申し上げます。  先生指摘の返納金でございますが、その年に発生をいたしましたいわゆる現年度の返納金につきましては、従来戻入金、歳出に戻し入れるという意味での戻入金として取り扱っておりましたので、先生指摘のように、全国で六百カ所余りの日本銀行の本支店あるいは代理店ということに限定をされてきたところでございます。  しかしながら、先生指摘のような問題が指摘をされておりますので、私どもといたしましても大蔵省及び日本銀行と協議をいたしまして、債務者の方々の利便を図る観点から、新年度からこれを歳入金として取り扱うということにいたしたいと考えておりまして、この結果、全国で二万三千カ所余りということで大幅に数のふえた日本銀行の歳入代理店、ちょっと性格が変わりまして歳入代理店というところで納められるようなことで、収納機関の拡大を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  125. 小松定男

    ○小松委員 この点については今答弁をいただきましたので、今後は今までのことからいえばこれのかなりの解消がされると思いますので、ぜひひとつそうした立場で便宜を図るように推進をしてもらいたいということで、次に移りたいと思います。  時間も余りないわけですが、年金生活者が今一番心配しているのは、こんなに金利が下がってしまってもうどうにもならないよ、これは実質の所得のマイナスだよ、こういうことが言われているわけですね。そこで、マル優の関係についてももう少しふやしてもらいたいと言ったら、郵政大臣がああいう発言をして非常に今全国的な非難もあるわけなんです。  そこで、私は、その問題はまたいろいろな機会があると思いますが、現在の福祉定期預金、これでは一応優遇制度というのはあるわけなんですが、年金生活者にこれが拡大をされる制度にならないのかどうか、この点だけきょうは絞ってお聞きしたいと思うので、よろしくお願いします。
  126. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 今回も公定歩合が○・七五引き下げられまして、預貯金金利をそれに伴ってどうするかというのが課題になっているわけでございますけれども、その中で御指摘のように福祉定期預金という制度がございます。それで、対象者は老齢福祉年金受給者とか障害年金、遺族年金受給者等でございます。この方々につきましては、預貯金金利の一般的な引き下げ幅をさらに圧縮をしまして、従前の金利で定期預金を認めるという趣旨制度でございます。今対象者は四百五十万人程度、しかし、実際に利用しておられる方は二十万人弱というふうに聞いておりますけれども、限度額三百万円ということになっております。  今回の公定歩合の引き下げに伴いまして、この福祉定期の利率を高い従来のままに維持するあるいはこの福祉定期の期間を延長をする、また先生指摘のようなさらにこの範囲を広げてほしいということにつきましては、私どもも金融当局に年金受給者等の立場を考慮いたしまして要請をしたところでございます。その結果、今回、福祉定期預金の利率につきましては四・一五%を維持する、それから期間につきましても、従来はこの八月までということになっていたわけですが、平成六年の二月まで延長するということで一定の配慮がなされたところでございますが、対象者の拡大については残念ながら実現をしなかったという経緯でございます。
  127. 小松定男

    ○小松委員 いろいろとこのところは論議があるところだと思いますし、また次に機会を見てやりたいと思いますけれども、最後に、大臣見えておりますので、大臣年金制度の抜本改正、これについての決意、やはりこれを伺っておきたいと思うのです。これは前から言われておりますように非常に難しい問題もあるかと思うのですけれども、相当厚生省も腹をくくってやらないと難しいということがありますので、大臣の決意。  そして、労働省には、当然これは雇用との関係がありますね。きょうの新聞、テレビ、きのう来のマスコミでも、今度は自動車の日産とかあるいはNTTとか人員を大幅に削減をするということなどが発表されておりまして、そうなりますと、どうしても雇用の関係で年齢の高い人から首切られていくというようなことがありますね。そういう関係の中で、支給開始がだんだんと延びていくということであれば、当然これは働く人にとっては容易ならないことだと思いますね。ですから、この点の雇用の関係、この関係についてどういうふうに理解をしているか、これは労働省見えておりますので、伺っておきたいと思います。以上二つです。
  128. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 予算委員会に呼ばれておりましたものですから、おくれて参りましたことをまずおわびを申し上げる次第でございます。  年金のあり方でございますけれども、もう先生、私から申し上げるまでもなく、公的年金というのは制度間の支え合いによって成り立っているものでございます。しかも、そういう中で高齢化社会が大変深刻に進んでおります。欧米に比べまして三倍ないし四倍のスピードで高齢化の波が押し寄せてきておるわけでございます。現在年金の分野では一人のお年寄りを六人で支えておる、こういう時代でございますけれども、これが三十年後の二〇二〇年には一人のお年寄りを二人で支えなければならない、こういう時代がやってくるわけでございます。  こういうような状況を踏まえて、さらに現在のいわゆる給付水準を維持していくためには、支給開始年齢引き上げというものは避けて通れない問題ではないか、このように考えているような次第であります。平成元年度の推計でございますけれども、現在保険料率が一四・五%でございますが、これが三十年後の二〇二〇年には三一・五%まで引き上がってしまう、こういうようなことも考えますと、私は、この六十五歳の引き上げの問題はまず避けて通れない、このような認識に立っているものでございます。  問題は、労働省の問題とも絡んでくるわけでございますけれども、最大の課題はやはり雇用と年金というものは連動させていかなければならない、こういうような基本的なスタンスのもとに取り組んでいかなければならない、こういうことではないかと思います。  後で労働省の方からあるいはお話があると思いますけれども平成元年度の改正時に比べまして六十歳定年というのは年々年々ふえてきております。現在は七六・六%でありますが、九〇%近くが六十歳定年制を採用する、こういうことが見込まれておりますし、また、企業におきましては高齢者の人材活用というものを積極的に行っていく、こういうような機運が生まれておりますことは私ども大変喜ばしいことである、こう受けとめておるわけでございますけれども、実際問題といたしまして、六十歳から六十五歳までの間で、例えば六十歳以上で働きたくても就労の機会がない方、あるいは仮に働いても賃金が十分でなくて生計をやっていけない方、こういう方に対してどういうような救済策を行っていくかということが最大の課題ではないか。  いずれにいたしましても、私どもは老後においても国民皆さん方が安心して暮らせるような雇用、年全体制の確立のために全力で頑張っていく決意でございます。  ちなみに、その次に予定されております平成七年の公的年金一元化につきましても、いわゆる産業構造や就業構造の変化に左右されることなく、常に安定的な長期的な年金制度の確立のためにも公的年金一元化は避けて通れない、このように考えている次第でございますので、先生の御理解を賜りたいと思っております。
  129. 北浦正行

    ○北浦説明員 雇用関係についてお答えさせていただきます。  高齢化が進んでいく中におきまして経済社会の活力を維持する、こういった観点からも、高齢者の方々の高い働く意欲というものを生かしていく、こういうことが大変大事であろうと思っております。知識、技能、経験、長年にわたって培っておられているわけでございまして、これをむだにしないような社会をつくる、こういった観点から、私ども高齢者の雇用問題に積極的に取り組みをいたしているところでございます。  とりわけ六十歳定年の問題でございますが、今ほどお話ございましたように、だんだんと定着を見てきておりまして、予定を含めますと九割の企業が六十歳定年を実施する段階まで来たところでございます。問題は、これからは六十以上のところでございまして、六十歳から六十五歳、私ども六十五歳というのを一つの目標に置きまして、六十五歳までの雇用確保を図るということにこれから一層力を入れてまいりたい、このように思っておるわけでございます。  具体的には、企業の中の継続雇用というものを進めていく、これが大事であろうと思っておりますが、高齢者の方々、大変いろいろな働くことについてのお考えをお持ちでございます。体力もまたいろいろ千差万別でございます。そういった事情を踏まえて、多様な形で働く場が確保できるようなそういった施策というものを今後は充実させていくことが必要ではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。  また、先生指摘のございましたように、今の雇用情勢ということを申し上げれば、大変厳しい状況にございます。そういった中で、これまた御指摘のありましたように、中高年齢者が結果として雇用調整の対象になる、こういうような事態も出てきております。私どもこういうことは大変好ましくない事態であるというふうに考えておりまして、こういった景気情勢の中ではございますが、極力そういった希望退職の募集だとかあるいは解雇、こういうことにつながらないように、雇用維持の努力というものについて指導しているところでございます。  そういった流れの中で、高齢者の雇用もこれからはどんどん進めていかなければいかぬわけでございまして、先ほど申し上げた継続雇用を進める動きというものも、こういった雇用情勢に多分に影響されるわけではございますが、そういった中においても、その流れというのがとどまることなく、六十五歳までの働く場の確保というところへ着実に進むようにさらに努力をしてまいりたい、このように考えております。
  130. 小松定男

    ○小松委員 終わります。
  131. 浦野烋興

    浦野委員長 遠藤和良君。
  132. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大臣が二時に予算委員会の方に行かれると聞いていたものですから、私は前任者が四十分で終わると言ったから、二十分ぐらいは話ができるかなと思ったのですが、五分しか話ができなくなってしまいました。そこで、またお帰りになってから続きをしたいと思いますけれども、とりあえず大臣に集中的に質問をしたいのです。  この高齢化社会、また少子化社会というのがございまして、経験のないスピードで高齢化社会の中に我が国は突入しつつあるわけですね。その中で、国民負担率というのは一体どのように設定するのかというのが社会保障政策を考えるに当たって大変大事な問題でございます。宮澤総理は、経済大国から生活大国に、こうおっしゃっておりますし、その社会保障を担当する大臣が厚生大臣でございますから、この超高齢化社会に入るに当たっての社会保障政策、そして望ましい国民負担率、これについてどのような考え方を持っていらっしゃるのか、そしてまたその社会保障政策の中で年金の問題についてどのような哲学をお持ちなのか、これを明確にお聞きしたいと思います。
  133. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私ども平成年度の厚生省予算というのは十三兆一千七百億円でございます。前年に比べまして三・二%増額をいたしておるわけでありますが、もう先生御案内のように、医療関係がそのうち五兆円、年金関係が四兆円、そういう中で、率直に申し上げていろいろなやりくりをしたり、あるいは地方財源化をお願いしながらようやく編成をさせていただきました。できたものにつきましては、国民の負託に十分にこたえられるような予算編成である、このように自負をいたしておるわけでございますけれども財源が大変厳しい中において、いわゆる社会保障のあり方というものを今後私ども国民皆さん方の理解と合意を得ながら進めていかなければならない、こういう認識に立っておるわけでございます。  現在、租税負担率は、平成三年の推計でございますが二七・四%、社会保障の負担率は一一・八%でありまして、両方合わせました国民負担率は三九・二%となっております。御案内のように、臨調の最終答申では、国民負担率を高齢化のピーク時において、つまり三十年後の二〇二〇年において五〇%を下回る、こういうことを掲げておるわけでございますけれども、なかなかこの問題についても、果たしてこのことが適当かどうかということについて、私自身はまだ明確な方針を持っておらないのが実情でございます。  いずれにいたしましても、高福祉高負担を求めるのか、あるいは中福祉中負担を求めるのか、国民皆様方の理解と合意を得ながら、いわゆる給付負担のあり方、さらに国庫補助のあり方、こういうものにつきまして今後中長期的に検討をしていかなければならない、このように考えている次第であります。
  134. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 突然のお尋ねなんですけれども大臣はスウェーデンという国家をどのように認識をしていますか。
  135. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私、スウェーデンに打つたことがないものですから、大変不勉強で恐縮でございます。ただ、羽田澄子さんの「安心して老いるために」という大変感動的なドラマを拝見いたしました。スウェーデンという国は、確かに社会保障というものは大変十分に行き渡っておるわけでございますけれども、率直に申し上げて、間違っていたら大変失礼でございますけれども、社会保障が十分に行き渡っている反面、ややもするといわゆる国民の活力が停滞している傾向にあるのではないか、このようなことになってはならないのではないか、こういうような認識をいたしておるような次第であります。
  136. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 早稲田大学の先生で岡沢さんという方がいらっしゃいまして、先日我が党で勉強会をしまして、「スウェーデンの挑戦」という本をいただいたのですけれども、確かに我が国より二十年ほど前に高齢化社会に入っているのですね。暗中模索の中でいろいろな実験をしまして、今ようやく出口に来ているということなのですけれども、この国家が経験したことというのは、一つの高齢化社会を考える上での参考にはなると思うのですね。  ただ、スウェーデンの国家の社会保障制度というものが我が国にどのように参考になるのかというのは別でございまして、今お話を伺いますと、もっとスウェーデンの国家がいろいろやってきたことについてコメントを求めたかったのでありますが、時間がありませんので簡単にいたしますが、スウェーデンの形でもない、かといってアメリカの形でもないいわゆる日本型のモデル、こういうものを追求していく、こういう考え方と理解してよろしゅうございますか。
  137. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然いろいろな国々の事情を参考にしながら、我が国は世界にも冠たる社会福祉を誇る、このような日本型の福祉というものを求めていきたい、このように考えております。
  138. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それでは二時を過ぎましたから、どうぞ予算委員会の方に行ってください。後でお帰りになって時間がございましたら、次の議論をさせてもらいたいと思います。  それでは、きょうは大蔵省、それから運輸省、それから清算事業団皆さんにもお越しいただいておりますので、本論の法案の中身に入りましていろいろ議論をさせていただきたいと思います。  まず大蔵省にお伺いしたいのですが、国鉄の共済が大変成熟度が高いということでございますが、この成熟度が高いというのはいかなる理由によるものであるのか。私考えますと、やはり一つは民営化の影響がある。民営化のときに大量に人員整理をいたしましたし、それから古くは満鉄の職員を吸収した、こういう影響が今に尾を引いているのではないかと思いますけれども、正確な分析はどのようにされておりますか、お伺いします。
  139. 五味廣文

    五味説明員 平成年度末で鉄道共済年金は、組合の加入者数が約十九万七千人、退職年金受給者数が約三十三万三千人でございます。この比率を求めますと、成熟度は一六九%、遺族年金等を含めましておよそ受給者全体をとりますと二三一・七%、こういう非常に高い水準になっております。  このように成熟度が上がりました要因の基本的なものといいますのは、私どもの分析では、やはりモータリゼーションの進行など産業構造が変化をしてきた。そういう中で鉄道輸送が伸び悩む、あるいは業務量が減るということから、新規採用を控えるなどで組合員数が減っていった。他方で、受給者の側につきましては、平均寿命が延びるというようなことで、受給者数が退職者の自然増を上回って伸びていくというようなことが基本にあるのであろうというふうに思います。  そこでお尋ねの点、実は古い話もございまして必ずしも十分なお答えになるかどうかあれでございますが、この年金が発足いたしましたのは昭和三十一年でございます。その当時は、退職年金のレベルで見ますと、先ほど申しました一六九%に相当する鉄道年金成熟度というのは約二五%でございました。この二五%程度の成熟度というのが大体昭和四十年ごろまで続きまして、以後、これが少しずつ四十年代を通じ上がってまいります。例えば昭和四十年には二四・一%でございましたが、十年後の昭和五十年には三八・七%、順次上がってきたということでございます。  この間、組合員数の方は余り動いておりません。昭和二十四年に大きな人員整理を行いまして、その後、大体四十六万人前後の水準で昭和四十年代を通じて推移をしてきております。四十年代前半ぐらいまでそういう状態で推移をしてきております。これに対して受給者の方が徐々にふえてきたということで、ある意味で自然に成熟度が高まってきたということでございますが、昭和五十年代に入りましてこの成熟度の上昇が少し加速をされてまいります。受給者数の方は通常どおり少しずつふえておるのですが、組合員数の方に減少が起こり始めます。先ほど申し上げましたモータリゼーションの進行などの産業構造の変化による要員の減少ということの方が少しずつきいてまいりまして、昭和五十年三八%でございましたのが昭和五十五年には五二・七%に上がる、こういうことになりまして、少しスピードアップをいたしました。  そういたしまして、五十年代の後半に至りますと、これは要員の減少というのが非常に顕著になってまいります。この影響で、昭和五十五年に五二・七%でありましたものが、昭和五十八年には七七・二%、五十九年には八八・一%、そして六十年に初めて一〇〇%を超えまして一二〇・五%、こういう上がり方をいたしました。  さらに、これが民営化という契機を経まして、昭和六十二年には一六三・二%まで上がる、以後一六〇%から一七〇%台の間を行き来している、こういうことになっておりますので、分析といたしましては、やはり基本論はこういった産業構造の変化に伴う組合員の減、特にそういった産業構造の変化により効果的に対応するための合理化なり民営化なりということの影響が大きかったのであろうというふうに思われます。それから、旧満鉄職員というようなお話でございますが、実は古いことで統計がはっきりしておりませんが、現状だけはわかっておりまして、終戦直後に採用いたしました旧満鉄職員の一部、約一万人が現在でも受給者として残っております。したがって、この一万人分が満鉄職員の影響ということになろうかと思いますが、ただ、成熟度という点で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、四十六万人体制が長いこと二十年以上続いておりますので、この年金発足以前の昭和二十四年段階で戦後大量採用いたしました方たちのうち、余剰人員と見られる方は既に整理をしているということでございますから、満鉄の方だから残ったということではないのかなという気はいたしますが、いずれにしましても、約一万人という方が今受給者で残っておられます。
  140. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私の質問趣旨は、いわゆる産業構造の変化とかモータリゼーションだとかいろいろそういう社会的な変化というものは、これは国鉄のみならずほかの鉄道会社等にも同じような影響があるわけですから、そういう話ではなくて、国鉄というのは日本国有鉄道ですから、要するに国の政策によっていろいろなことをやってこられたわけですね。したがって、いわゆる共済組合の責めに帰すべきではない日本の国の政策の変更等による影響が、現在の一七三・八%の成熟度の中でどの程度を占めているのかということを聞きたいのでございます。
  141. 五味廣文

    五味説明員 ただいま長々と数字を御説明いたしましたけれども、国の政策でと申しますか、国鉄という経営体が産業の変化なり経済構造の変化なりに応じて一番合理的な経営をしていく、そのことがまた運賃なりなんなりの適正化ということにも結びつくというようなことで、こういう一種の企業努力の中で産業構造の変化に非常に敏感に対応してきた、こういうことの結果で成熟度が上がってきたということだろうと存ずるわけでございますが、実際にそれによってどれだけのものが上がったかという分析は、実はちょっとできておりません。  先ほど申しましたように、平均余命の伸長ですとか、ほかの要因もいろいろございます。ただ基本は、こういった構造変化への対応ということがこのような急激な成熟度の上昇の主な原因であろうというふうには思っております。
  142. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 産業構造の変化に敏感に対応してきたというのではなくて、敏感に対応してこなかったから今こういう余剰人員がふえているのではないか、こう思うわけでございまして、その辺の認識が大分違うのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  143. 五味廣文

    五味説明員 敏感にという言葉の問題はございましょうが、ちょっと国鉄の経営の内容そのものは私直接の担当でございませんので、立ち入ったことは申し上げられませんが、昭和二十四年に大量の人員整理をいたしまして以来、大体昭和四十年代の半ば過ぎまで同じ状態で推移をしてきたというのは、恐らくは鉄道輸送というものが国家経済の中、国民経済の中にそれだけの重みを持っていたということなのではないかと思います。敏感に対応したかどうかぼともかく、いずれにいたしましても、産業構造の変化というのがこういった組合員数現役の数の減少の主な原因であろうというふうに思っております。
  144. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今度の法律というのは、国鉄の共済が大変だから、みんなほかの制度でそれを助けてあげましょうという制度なのですが、やはり自助努力というのが前提になっているわけですね。この自助努力の中身の問題に入りたいと思うのですが、自助努力をしまして一千八百五十億円努力しましたということですが、この自助努力の中身はこれで精いっぱいなのですか。
  145. 五味廣文

    五味説明員 現在行っております鉄道共済年金自助努力等ということでございますが、簡単に御紹介を申し上げますと、まず受給者組合員負担に係ります年金給付見直し、あるいは保険料率をほかより高い水準で維持をしている、つまり保険料率引き上げ、こういったこと、それからJR各社から特別負担ということで二百二十億円を毎年拠出をいただく、清算事業団から特別負担としてやはり一千億円、国家公務員の共済連合会から第二次の長期財政調整事業といたしまして八十億円を出していただく、そのほか運用収入等約二百億円を赤字が生ずるに応じて埋め合わせに使う、こういうことになっております。  きょうは大分お話も出ておりましたが、組合員負担あるいは受給者負担に係る分といいますのも、他の制度に比べてかなり厳しいものを持っております。したがいまして、これはぎりぎりのものをよく皆さんに我慢をしていただいているということであろうと思います。  JR各社の特別負担、これは文字どおり特別負担でございまして、現在の社員の将来の年金給付の主体ともなります清算事業団の運営を少しでも安定をさせるというようなことは、JR各社にとってもメリットのあることでございますし、いずれにしても、この問題についてJR各社が一方の当事者として関係ないというわけにはいかないということで特別に負担をしていただいておりますが、これはやはりJRの経営状況等から見ましても、またJRの将来の経営ということから見ましても、これ以上の負担をということはなかなか難しいのではなかろうか。  清算事業団負担一千億円につきましては、旧国鉄時代の掛金率の引き上げが必ずしも十分であったかどうかというようなこととの関係で出てきておるものではございますが、やはり清算事業団いろいろございますので、株の処分なり土地の処分なりつらい面もあるようでございます。こういうことで一千億程度ということがぎりぎりかなというようなことでございます。  国共済連合会に至りましては、これは財政状況が大変に窮迫をしてきておりますので、これを出すだけでもなかなか大変というようなことでございまして、現在の仕組みということでは、これはなかなかぎりぎりのものであろうというふうに考えております。  また、今回制度間調整事業を見直すに当たりましての自助努力ということにつきましては、有識者の懇談会におきまして、引き続き相応の自助努力等を続けるということが適当だというお話がございまして、千八百五十億円というこういった水準はなかなかつらいものもございますけれども、引き続き実施をしよう、こういうつもりでおります。
  146. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の自助努力の中身の中で保険料率引き上げというのがあるのですが、大蔵省にちょっと調べてもらいましたらこんな資料をいただきました。いわゆる大学卒業者の初任給における保険料が民間被用者、国家公務員皆さんJR社員の中でどういうふうになるのかということを、ちょっと関心があったものですから調べてもらいましたら、こんな調査の結果を御報告をいただきました。  民間被用者、これは月給の平均ですけれども、初任給が十八万一千二百四十九円、標準報酬月額が十八万円、掛金率は七・二五%ですから掛金は一万三千五十円ですね。それから国家公務員のⅠ種の方は、初任給が十九万二千八百三十円、標準報酬月額は十九万円、掛金率は七・六%ですから掛金額は一万四千四百四十円。Ⅱ種の方は、同じく初任給が十七万七千五百四十円、標準報酬月額が十八万円で、掛金率は七・六%ですから掛金額は一万三千六百八十円。JR社員、これは東日本の例を挙げてもらったのですけれども、初任給は十八万六千五百三十円、標準報酬月額は十九万円、掛金率は九・五四五%ですから掛金額は一万八千百三十五円、こういうふうなデータをいただきました。  これを見ると、確かに大学を卒業してJRに入ると、ほかの公務員になる、あるいは民間の会社に勤める方から比べると、一カ月大体五千円ぐらい余分に掛金を出さなければならない、こういう状況にあるわけですね。これは本来は新入社員の人の責めに帰すべきではないですよ。それが、たくさん先輩の方がいらっしゃるから、成熟度が高いということで新入社員の方々の掛金も高くなっている、こういうふうに理解をするわけですけれども、今後もこの保険料率引き上げていく、こういうふうな考え方を持っているんですか。
  147. 五味廣文

    五味説明員 お話がございましたように、ほかの制度に比べますと鉄道共済年金現役組合員の掛金率は割高ということになっておりますが、このこと自体は先ほど申しました自助努力ということで、他の制度もそれぞれ苦しい財政事情の中で、鉄道共済年金が裨益をするこういう制度間調整事業という成熟度調整に応じてくれている、こういうことでございますので、こういった拠出制度の御理解を得るということの意味からいいましても、こういった自助努力が必要であるということでおろうと存じます。  ところで、今後の取り扱いということになりますが、長期的に見ますと、いずれにしても各年金制度、掛金率は今後とも高齢化の進展に応じて引き上げていかなければならないということは事実でございまして、鉄道共済年金におきましても、現在の一九・〇九%という掛金率の水準がこれで目いっぱいであるということでは、これは済まないであろうというふうに思います。他の制度におきましてもそれは同様でございまして、元年計算におきます例えば厚生年金の掛金水準というものは、最終的に三一・五%まで上がるという再計算結果も出ております。したがいまして、これがマキシマムであるというようなことは申し上げることはできません。  ただ、具体的に今後どうするかという話になりました場合には、これは次の保険料の改定時、次期財政計算時になると思いますが、そこで公的年金一元化検討もあわせて行われておりますので、そういった検討内容とのかかわりの中で、ほかの制度とのバランスというようなことにも十分配慮いたしまして、具体的に検討してまいりたいと思っております。
  148. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 JR各社の特別負担が二百二十億円ということですが、先ほども聞いておりましたら、いわゆる税引き後の純利益が一千五百六十五億円でしたかある。この中からもう少しいただいたらどうなんでしょう。
  149. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 JRの利益でございますが、先ほど申しましたように、今先生から御指摘ございましたように、七社合計で平成年度で千五百六十五億円ということになっております。  それでJR各社に対しましては、鉄道共済年金の一方の当事者であり、受給者及び組合員の福利に深い関係を有するということから、事業主として通常負担すべき共済掛金のほかに、毎年度二百二十億円の特別の負担を行っているというところでございます。  JR各社先ほどもちょっと御説明をいたしましたけれども、発足以来これまで国内の好景気に恵まれておりまして、また各社の経営努力もございまして、順調な業績を上げてきたということができると思います。しかし、現在は国内の景気動向の影響が各社の収入にもあらわれてきておるところでございます。  本州三社につきましては、新幹線の買い取りに伴う負担等の債務がございます。また、三島会社、北海道、四国、九州でございますけれども、これにつきましては依然として経営基盤が脆弱であるという事実がございます。それから、本州三社につきましては、その株式を今後清算事業団の巨額な長期債務の償還、それから完全民営化の促進という観点から、早期かつ効果的に売却をしていく必要がございます。  JR各社が現在利益を上げているからということで、鉄道共済年金の特別負担の増額をすべきではないかという御指摘かと思いますけれども、会社の成長に対する期待でありますとか、会社そのものに対する信頼の確保といったような観点からの懸念が生ずるという可能性も考えられますので、JR株式の円滑な売却を行う上では、現在以上の負担を求めることは適切でないものと我々は考えております。この点につきまして御理解をいただきたい、こういうふうに思っております。
  150. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 この自助努力の中身を見て私はちょっとおかしいのではないかと思うことは、清算事業団から一千億円特別負担ということで入っているんですけれども清算事業団から出すというのが何で自助努力の中に入るんですか。この説明をしてください。
  151. 五味廣文

    五味説明員 清算事業団の特別負担は、私ども自助努力等という言い方で申しておりますけれども、この清算事業団の特別負担、これはいわゆる狭い意味での自助努力組合員なり受給者負担による自助努力とはちょっと性格の違うものという位置づけではございますが、やはり自助努力等の一環であるという位置づけをしております。  これはいわゆるつかみ金ではございませんで、清算事業団が特別負担をする根拠と申しますのは、旧国鉄共済時代、この時代に保険料事業主負担が必ずしも十分でなかったのではないか、こういうことから、事業団としての債務の一環としてこの部分負担をするということになるわけでございます。事業団といたしましては土地処分、こういったようなことに精力的に取り組んで、年金給付の一部を賄うということでございますので、事業団全体あるいはJR関係者全体の自助努力等の一環である、こういう位置づけで自助努力等というようなことにしておるわけでございます。
  152. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の答弁はおかしいと私は思うんですよね。自助努力等の「等」の方がそうだ。じゃ全部で幾らかというと、千八百五十億の自助努力があって、清算事業団は一千億出しているわけでしょう。「等」の方が多いの。自助努力は八百五十億で「等」が一千億ということ。普通は「等」というのは少ないんですよね、たくさんこうあって。  もう一つは、つかみ金じゃないという話をしたんですけれども、じゃ一千億の明確な積算根拠を示せますか。これこれしかじかで一千億ですというその数式を示せますか。
  153. 五味廣文

    五味説明員 これは旧国鉄共済時代の給付の水準と保険料の水準全般にかかわる問題でございますので、御指摘ございますように、非常に明快な数式で、こういう数式になるから幾らだということが示せる性格のものでは必ずしもございません。ただ、そういう負担の十分でない部分があったということは、これは確かなことであろうというふうに考えておるところでございます。
  154. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 これは自助努力等で一千八百五十億出さなければならない。そのうち八百五十億はめどがついた、残りは一千億だというので清算事業団にかぶせちゃった、こういうことだと思うんですよ。そうじゃないですか。
  155. 五味廣文

    五味説明員 この千八百五十億円の全体の枠組みにつきましては、それぞれの関係者が最大限の努力をするということで、お金を拠出をするあるいは我慢をする、こういうことで成り立っておるわけでございます。具体的にこういう計算をしたから一千億だというお話はなかなか難しいのでございますけれども、差額が一千億という発想ではございませんで、ある程度いろいろな計算をしてみますれば、こういったような水準の数字というものがある程度の合理性を持つものであるというようなことで、この一千億という水準を関係者は納得をしたということでございます。
  156. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 清算事業団理事長に聞きますけれども、一千億というのは清算事業団がやらなければならないというので、みずから自発的に名のり出て一千億出しますと、こういうふうに言った数字なんですか。
  157. 石月昭二

    石月参考人 その一千億の拠出が決まりましたとき、私、現在の職にございませんのですが、伝え聞くところによりますと、それは政府の方でお決めになったことだというぐあいに伺っております。
  158. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大蔵省が決めて清算事業団にやらせたのですよ。基本的にはこういう気持ちだと私は思いますが、非常に正直な答弁だと思いますね。  それで問題は、清算事業団が抱えるこの長期債務をどうするかという問題ですね。清算事業団ができたとき、私もちょうどそのとき国鉄民営化の特別委員でしたからよく承知しているのですけれども昭和六十二年だと思うのです。あのときにたしか長期債務が二十五兆五千億だったと思うのですが、今は二十六兆四千億にふえているのです。  当時は何か、清算事業団はいつ解散するのですかという議論があったのですね。要するに、余剰人員をきちっと整理した後、土地だとか株とかそういうものを売却して、その当時の試算だと思うのですけれども、土地は七兆七千億でしたかね。株は大体五千億円ぐらい、額面ですけれども。そうすると最終的には国民負担が十二兆八千億、こういう話だったのです。そして八年か十年ぐらいで解散できるのじゃないかなんという見通しがあったように思うのですけれども、どうも見ておりますと、この長期債務というのはだんだんふえる一方だし、解散するどころかこれは永久に残るのじゃないか。  そうすると、いわゆる隠れ借金という形で最終的には国民負担国民にツケを回すことになってしまうのじゃないか、このように思うのですけれども、現在の土地を売却したと考えた場合の収入、それから株を売却した場合の収入、そして最後に国民負担にお願いする部分、これについてはどのように計算をしていますか。
  159. 石月昭二

    石月参考人 清算事業団が発足いたしました六十二年の資産の状況につきましては、ただいま先生がおっしゃった数字のとおりでございます。その後、現在の債務は二十六兆四千億でございますが、現在保有しております土地は、発足時には七・七兆円と評価されました。その後地価の高騰等がございまして、何遍か評価をし直しておりますけれども、一番最近の評価は、昨年の四月一日でございますか、平成年度首の評価が十二兆円でございました。現在の時点についてはまだ出しておりませんけれども、昨年から今年にかけましての地価の値下がりは二五%から三〇%近くあるのじゃないかと思っております。加えて今年もまた相当売っておりますので、実質的には二桁をちょっと割るくらいの数字になろうかと思いますけれども、これにつきましては、今年の一月一日の地価公示が大体三月の下旬にはわかると思いますので、その時点で正確な金額を出したい、こういうぐあいに考えております。  それから株が幾らかということでございますが、これは株を上場した場合、市場でどれくらいの値段で入札をしていただき、また売買されるかということに関連いたしますので、この点につきましてはまさに今後のマーケット次第でございますので、何とも推測しかねるところでございます。  以上が私どもの資産の現況でございます。  なお、もう一つ資産として事業団が保有しておりますのは、新幹線の設備を新幹線保有機構というところがスタートいたしましたときに本州の三社に貸したわけでございます。そのとき新幹線の設備の再調達価格、その時点でつくったなら幾らかかるかというのが八・五兆円でございました。ところが、実際上の薄価は五・六兆円だったと思いますので、したがいまして、その差額の二・九兆円というのは、新幹線の借料という形で清算事業団の債権として残っているわけでございます。その債権はその後繰り上げ償還等もいたしましたが、現在のところ約一・九兆円の債権を新幹線保有機構が変わりました鉄道整備基金に対して私どもは持っているところでございます。  以上でございます。
  160. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 株の話ですけれども、本州三社で二百万株ですか、これは東日本JRが近々株を店頭に出す、こういう話が報道でありますけれども、この見通しはどうですか。
  161. 石月昭二

    石月参考人 私どもが保有しておりますJRの株式は、貨物鉄道の方も含めまして全部で九百十九万株でございます。そのうち、近々に上場できそうなものは比較的経営成績のよろしい本州の三社でございますので、これはJRの東日本が四百万株、それから東海が二百二十四万株、西日本が二百万株、合わせて八百二十四万株でございます。このうち、私どもといたしましては、JR日本の四百万株の半分、二百万株を実は昨年上場いたしたいと考えたわけでございますけれども先ほども川俣先生に御説明申し上げたと思いますが、ちょうど昨年は非常に株式の市況が悪うございまして、ここでJRの二百万株という大量の株を上場するとほかの株価の下落を招くのではないかというようなことも心配されまして、昨年の総合経済対策の中で今年は取りやめということで、平成年度は株の上場はあきらめたわけでございますが、平成年度になりましたら、市場の条件が許せばできるだけ早く上場をいたしまして、債務の返済に充てたいと考えているところでございます。
  162. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 土地の方も、地価が高いときは売りに出すと周辺の地価がさらに高騰するというので売れないし、安くなるとまた売りにくくなるということで、いつまでたっても処分ができない。そして、いたずらに金利はふえるということになると、これは最終的には、今の一千億の話から延長してこういう話になったのですけれども、一千億入れても、お金に色はついてないわけですから、長期債務がふえるばかりですね。  そうすると、それは旧国鉄の中での自助努力だと言っているのだけれども、最終的には国民負担をお願いするということでございまして、これはどう見ても自助努力という範疇の中に書くべき問題じゃなくて、自助努力がこうこう、そして各制度間で調整はここをしてもらいます、そしてまた国民負担を願うところはここでございます、こういうふうに書いた方が正直な書き方じゃないのかな、このように思うのですが、そういう書き方はやはり「等」でいきますか、将来も。
  163. 五味廣文

    五味説明員 どういう書き方でなければいけないというものではございませんけれども、性格を申しますと、清算事業団の特別負担、これは最終的にはおっしゃるとおり国において処理すべき債務というものの増加につながるものでございますけれども先ほど来申し上げましたような広く国鉄関係者の一員というものの中には、国鉄というものを管理監督する責任を持っておりました国というものも含まれているわけでございます。国としてもこうした形で鉄道共済年金対策の一翼を担っているという意味合いもございまして、最終的に国において処理する債務の増につながることはおっしゃるとおりでございますけれども、そういった意味合いも込めまして、関係者全体の努力の一つという位置づけをしておるわけでございます。
  164. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 大蔵省にもう一言言いたいのですけれども、ことしの予算書を見ても、いわゆる隠れ借金というのは隠れてしまって、予算書の中にあらわれてこない。これは非常に不明朗な予算書の書き方だと思うのです。隠れ借金は以上のとおりでございますという資料を総括説明書の中につけるべきだと私は思うのです。どのようになっているのかと聞いたら、予算書には入っていませんけれども、ちゃんと資料を持ってきました。これから入れてもらいたいと思うのです。  細かくたくさんあるのですけれども、我が厚生省関係の国庫負担の繰り入れを後に回すとか、いっぱいあります。後年度の処理方法が法律で定められている措置とかあるいは政管健保の国庫補助の繰り入れ特例、今回もやりましたけれども、そういうものを全部合わせてしまうと十一兆円。そして、ただいま問題にいたしました清算事業団の持つ長期債務が二十六兆円で、三十七兆円ぐらい隠れ借金が残っている。これは予算書の中に書いていません。それから、当然のことですが赤字国債が百八十兆円あるのですけれども、こういうものがどのように償還をされていくのかというものを国民は心配しております。私も心配しております。こういうところをはっきりしていただかないと、フローの部分だけで予算書を見るのではなくて、ストックの部分も含めて予算の審議をしないと本当の国家財政のあり方という審議にならない、こういうふうに思うのです。  きょう話しているところもそういうふうなスタンスで言っているのです。要するに、今たちまち困っている鉄道共済をこういうふうにして助けますというフローの部分議論はわかるのですけれども、それによってストックの部分ではこんなに借金がふえてしまったんだ、それをどうするんだという議論は全くない。これでは非常に無責任議論だと私は思うのです。したがって、この二十六兆円についてどうしていくのかという考え方を提示していただけないと、一千億が妥当か妥当でないかという答えが出ないのです。わかりますか。ぜひこの二十六兆円をどうするか考えてください。
  165. 鶴野泰孝

    ○鶴野説明員 清算事業団の長期債務二十六兆円につきまして今後どうしていくのかということでございます。  平成年度首で二十六・四兆円となっておりますけれども、その償還は国鉄改革の総仕上げという意味でも大変重要な問題だと我々は考えております。不動産や株式につきましては、先ほどからいろいろお話ありますように、それをめぐる環境が大変厳しい中でございますけれども、今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  土地につきましては、例えば昨年八月の総合経済対策に基づきます地方公共団体等による清算事業団用地等の先行取得をしやすくするための促進策の導入、それから清算事業団用地を地方公共団体等に売却する際の要件の緩和、さらには地価政策との調和を図りつつ、土地を処分するための上限価格つき入札の対象範囲の拡大等を行いまして、関係省庁の協力も得つつ、現在努力をしているところでございます。  また、JR株式につきましては、先ほどもちょっと話がありましたように、本年度は売却が見送りになりましたけれども、証券市場の動向を見ながら五年度には売却、上場を行いたいと考えております。これらによりまして長期債務をできる限り減少させたいというのが我々の考えでございまして、今後とも一層努力をしてまいる所存でございます。
  166. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 何かよくわからない、声が小さいから。聞いてもわからないというのは困るわけで、こういう法律の関係参考資料というのがばあっとあるのだけれども、そういう肝心なところが何も書いてないのです。そういう問題がまさに国民から見ると大変関心のあることでございまして、そういう問題についてこういうふうな展望がありますとか、こういうふうにやっていさますとか、何か一言ぐらい、一枚ぐらい資料の中につけてくださいよ。これは大変不親切な資料ではありませんか。この資料をまとめたのは厚生省ですか。ちょっと資料が不足しているのではありませんか。これは社会保障制度審議会に出した資料です。公的に発表されている資料です。
  167. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 制度審に御提出をいたしました関係資料につきましては、私どもとしては精いっぱいつくらせていただきまして、これで制度審でも御議論をいただいたわけでございますけれども、別途また必要な資料がございますれば、鋭意私どもも努力をさせていただきたいと思います。
  168. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 では、鉄道共済のことはきょうはこのぐらいにしておきます。清算事業団皆さん、ありがとうございました。  年金一元化に対する考え方をここで聞きたいのですが、平成七年に完了するのだ、こういうことで進めているのだということですが、先ほど社会保障制度審議会が三つのパターンというものを提案をしました。一つの提案は完全な一体化、それから二つ目が民間の方と公務員の方を分ける、それから三つ目は制度間調整を行う、こういうふうなパターンであったと思いますけれども、厚生省が今どこでどのようにこの年金一元化について議論をしているのかということと、この社会保障制度審議会が示した三つの案のうちどの案に厚生省の考えは近いのか、それから厚生省案を最終案として出すのではなくて、いわゆる中間報告のような形で国民に公表するのか、この辺を聞きたいと思います。
  169. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 私どもといたしましては、公的年金制度一元化につきましては、先ほども申し上げましたけれども公的年金制度全体の長期的な安定が図れる仕組みであるかどうかということと、給付負担の両面にわたって公平なものにしていきたい、また国民のサービス、業務量の効率化に資するような制度にしていきたい、そういうことで、平成七年を目途にして、これまでも基礎年金をつくったり、また今回議論をしていただいている制度間調整等、着々とこの目標に向けて努力をしてきたつもりでございます。  したがいまして、この一元化の理念のもとにふさわしい仕組みをどうしたらいいかということでございまして、現時点では御指摘のありました数理部会の御報告がございますけれども、これはいわば年金数理の観点から見たモデル的な考え方としてこういう整理ができるということで、これも必ずしも各制度関係者議論をして、こういうものがあるというようなことで結論が出たわけでもございませんし、先ほど指摘をしておりますようにそれぞれに長短がございます。  したがいまして、私どもは今、年金審議会で国民年金厚生年金の全体の洗い直しをしておりますけれども、その中の一番大きな課題として、一元化問題についても厚生年金国民年金立場から言及をしていきたいということで御審議をいただいております。この御審議の結論を遅くとも秋までには出していただきたいということで私どももお願いをしておりますので、現時点で私どもがこういう一元化を念頭に置いているという具体的な案は持ち合わせておりませんけれども先ほど申し上げました一元化の理念により近い、現実の問題ですから理念どおりにまいらない部分もあるかと思いますけれども、それにより近づくような方向で案をまとめていきたいという気持ちでおります。
  170. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 社会保障制度審議会の数理部会の皆さんお話では、年金に対するデータが古くて使い物にならない、数理部会が数字がわからなくて出さざるを得ない、こういうことをおっしゃっていたわけですね。ですから、この年金の一番新しいデータというものをディスクロージャーをするということは非常に大事なわけですよね。そういう専門部会でさえ新しい資料が入手できない状況の中で、正確な議論ができるはずはないわけでして、年金に関する資料の開示、正直に厚生省は今持っている資料をこの委員会に出すなり公表するなり、こういうことをぜひやるべきだと思いますが、どうですか。     〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
  171. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 年金改正に当たりましては、先生指摘のように、できるだけ情報を公開をして、国民皆さんの合意形成に資するというのは極めて大事なことだというふうに私どもも認識をいたしております。  したがいまして、私どももできるだけそういう資料を公開をしたいということで、当面、審議会からも御要請がございまして、五年ごとに財政計算をしているわけでございまして、六年に再計算の数字が出てくる、今までですとそういうスケジュールでございますけれども、この議論をする前に、今の新しい人口推計で仮に今の制度がそのまま推移をするとしたらどういう状況になるのか、せめてそれくらいは議論前提として提出をしてくれという強い御要請もございますので、情報公開もこれだけじゃございませんけれども先生の御指摘の線に沿って、私どもとしても今後ともできるだけの努力はしてまいりたいと思っております。
  172. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 山口委員長代理に申し上げたいのだけれども、やはりこの委員会の中でも小委員会をつくるとか、この年金問題については議論をお互いに議員の間でできる、しかもそこには正確なデータを厚生省からいただく、こういう中でフランクな議論をできるようにしてもらいたいと思うのですね。そうでなければ、いつも政府案がぽんと出てきて、さあどうしますかと、これじゃだめですよ。もっと国民に開かれた場で年金議論をしましょう、こういうことが大事だと思いますから、その辺のお取り計らいをぜひお願いしたい。
  173. 山口俊一

    山口(俊)委員長代理 わかりました。追ってまた協議いたしますが、よく承りました。
  174. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それで、一元化の問題と支給開始年齢の問題なのですけれども、これは本来別なのですか、やはり同時決着という形で整理をしていくのでしょうか。それと、一元化になった場合に各保険者が持っている資産と人ですね、これをどうするのか。そしてまた、それぞれの制度が持っている自助努力というものをどのように担保していくのか、この辺の問題が非常に大事だと思うのですけれども、この辺についてはどういう考え方を持っているのですか。
  175. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 私どもが今抱えている非常に大きな問題が一元化支給開始年齢の問題でございますけれども、これは本来テーマとしては別のことだと思います。しかし、支給開始年齢の問題にいたしましても、各制度同時にそういう方向に向けてもし引き上げをするということであれば、行かなければならない。また、制度の仕組み方につきましても、公的年金制度全体で整合性がとれたものでなければならないということで、一元化の問題にも関連はしてくると思いますけれども、別の問題であるとも思っております。  そしてまた、一元化の問題が解決すれば年金制度の問題がほとんど解決をするということではなくて、やはり全体の一元化の問題と、それぞれの制度が抱えている、年金は助け合いの制度ですから、受給世代と現役の世代とのバランスをとるという努力をあわせてしていかなければならない。支給開始年齢の問題は、どちらかといえば現役世代と受給世代のバランスをどうとっていくかという問題であろうかと思います。  しかし、本来別のテーマではございますけれども、今申し上げましたように関連をするテーマでもございますので、先ほど申し上げましたように、この二つの問題についてはそれぞれ並行して議論を進めていきたいと私どもは思っております。
  176. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 今の後半の部分の答えがなかったのだけれども、まあよろしい。  厚生大臣お帰りになりましたから聞きたいのですが、年金生活者が公定歩合が下がっているので大変だというので、先般大蔵大臣に厚生大臣が福祉定期預貯金の拡充を申し入れだということを新聞の報道で知りました。これは実現しますか。
  177. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私は、金利が低下して年金受給者の生活が大変深刻になってくる、こういうような配慮から二点について申し入れをいたしました。まず第一点は福祉定期の利率、期間の延長でございます。それからもう一点は枠の拡大でございます。  具体的に申し上げますならば、老齢年金受給者であっていわゆる所得のない方、まあ平たく申し上げますと非課税対象者、こういう方に限って枠の拡大をお願いしたわけでございます。前段の問題につきましては、本来は平成五年の八月まででございましたけれども平成六年の二月まで延長されたわけでございますが、後段については実現いたしておりません。     〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 先ほど山口さん答えていたんですけれども、この福祉定期預貯金制度で、年金局長ですよ、四百五十万人対象者がいて二十万人が、と言っていましたけれども、これは数字が違う。正確に申し上げますと、対象者は五百五十万人、そのうち民間金融機関に預け入れている件数、人数じゃありません、件数五万四千件、それから郵便局は三万五千件、これは大蔵省の調べです。したがって、合計八万九千件。したがいまして、五百五十万人のうちわずか八万九千件しか使っていません。このPRを厚生省でぜひやるべきだと思うのですよ、実際制度があるのに使われてないのですから。  そして、これは大蔵省や郵政省もやると言っていますけれども、これは金利を四・一五%に据え置きますと金融機関は損をするわけです。損をすることを自分からPRすることは余りないわけでして、これは厚生省として積極的にPRをすべき、こう思います。郵政省も何か福祉団体のところを回って宣伝しますと言っているんだけれども、これは厚生省がもっと宣伝すべきじゃありませんか。
  179. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 この福祉定期の制度につきましては、これはもともと郵政省なり各銀行なりが預貯金金利の引き下げに伴ってこういう対応をするということでございますので、一義的には郵政省なり各銀行なりにPRもお願いをするということだと思いますが、御指摘のように、厚生省といたしましても年金受給者のためにできるだけこの制度が十分活用されるように、いろいろな機会を通じて周知に努めてまいりたいと思っております。
  180. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 年金福祉事業団の融資事業ですけれども、この平成年度の予算編成に当たって、住宅資金ばかりではなくて教育資金や介護資金にも貸し出しができるように要請したのだけれども、これは大蔵省の段階で実現しなかった。来年度も考えたい、このような意向のようですが、私はこの問題をここでもっと整理してやった方がいいんじゃないかと思うのですね。教育資金というのは、何か高校、大学の入学金ばかりでなくて塾の費用まで全部対象にするとか、かなり幅が広がったんですよね。こういうのはもう少し整理してやるべきではないのか、ほかにもそういう制度がありますから。  それからもう一つは、二十以上の学生が掛ける国民年金保険料についてです。これは二十以上になると大学生そのものが被保険者になるのですから、親が借りるのじゃなくてその学生自身が借りて後で払う、あるいはその間は年金福祉事業団が代替払いをして後で本人が返済をする、こういうシステムの方がより国民年金のシステムになじむのではないか、このように考えますけれども大臣、どうですか。
  181. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先生指摘のように、年金福祉事業団の現在の対象は住宅に限られておるわけでございますが、私どもといたしましては、入学であるとか教育的な問題、さらに介護の問題、こういった問題につきまして十分に整理いたしまして、さらに要求を続けていきたい、このように考えております。
  182. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 それから、これは細かい事務的なことなんですけれども、死亡の通知の問題なんです。一般の国民皆さんが役場に死亡通知を出す、そうすると当然年金のそれぞれの関係者にも通知が行って自動的に年金はストップするのだ、こういうふうになれば非常にありがたい、便利だという意見があるわけですね。それぞれ出さなきゃいけない。出し忘れてしまうと後で還付請求されるわけですね。還付請求の事務も大変ですから、役場に出せば自動的に国民年金なりあるいは厚生年金がストップするような横の連携というのはできないものか、こう思うのですが、どうですか。
  183. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 ただいまの御指摘の戸籍法に基づく死亡届を出せばそれで年金がストップになるように、こういうことでございますが、戸籍法に基づきます死亡届をいわば他の行政制度である年金の届け出に利用しまして、直ちに年金の受給権を差しとめるということになりますと、それぞれ異なる行政目的に応じまして別個に運営されているそれぞれの制度でございますので、行政全般にわたる問題でございまして、慎重な取り扱いが必要であると考えております。
  184. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最後に、きょうは農水省に来ていただいておりますので、この質問をさせていただきまして終わりたいと思います。  農業者年金についてですけれども、この農業者年金に婦人の年金権を確立してもらいたいという要請がたくさんあります。この農業者年金がいわゆる経営譲渡年金であって、政策年金であるという性格はよくわきまえているのですけれども、実際に農作業をしていらっしゃる御婦人の皆さんはこの農業者年金に入れない、したがって年金給付も受けられないという問題があるわけです。この問題については、衆参の委員会附帯決議でも、過去何回もこの婦人の年金権を考えましょうということを書いているのですけれども、いまだに実現しないのですね。これはぜひ実現するようにお取り計らいをお願いしたいと思いますが、どうでしょう。
  185. 六車守

    ○六車説明員 女性の農業者年金への加入の問題でございますが、先生指摘のとおり、農業就業人口の中に占めます女性の割合は現在で約六割ということでございまして、農業生産の中でも重要な地位を占めているわけでございます。一方、農業者年金への加入状況でございますけれども平成年度末で五十三万人でございます。そのうち加入している女性でございますけれども、二万二千人ということで、加入者の割合では四%ということでございます。これは女性の場合、一般に農家に嫁いできまして農業に専従いたしましても、不動産を自分の名前で取得するような機会が少ないとかというようなことがございます。  そういった事情が影響しているなどと考えておりますが、農業者年金への女性の加入促進につきましては、まず農業者年金そのものが御案内のとおり経営移譲、これは農地の権利を移動させるということでございまして、それによりまして農業経営の近代化、農地保有の合理化、これを目的として実施されているという政策年金でございます。また、農業に従事します女性の方々に対しましては、既に国民年金の上乗せ給付を行います全国農業みどり国民年金基金が平成三年の五月から発足しています。  こういったようないろいろな事情も踏まえながら、総合的な観点から検討する必要があるのじゃないか、そういうことが重要であると考えている次第でございまして、農業者年金制度そのものにつきましては、年金の被保険者数でございますとか受給権者数の見通しを踏まえまして、五年ごとに保険料とか給付水準見直しを行っております。これが次回は平成七年ということでございまして、この女性の加入問題もその中に含めまして、各方面の意見も幅広に聞きながら検討してまいりたいと考えております。
  186. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 厚生大臣、今の農業者年金ですけれども、これについては官房長官も、御婦人との対話の中で前向きに検討したいというふうなことを言っていらっしゃるのですよ。しかも農業者年金は厚生省も共管の制度でございますから、ぜひその辺の理解をしていただきまして、婦人の年金権を確立できるようにお取り組みをお願いしたい、こう思います。
  187. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 遠藤委員指摘の農業者年金につきましては、今後の検討課題として十分に誠意を持って取り組んでいきたいと思っています。
  188. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 終わります。
  189. 浦野烋興

    浦野委員長 児玉健次君。
  190. 児玉健次

    ○児玉委員 被用者年金制度間の費用負担調整についての今回の改正案について伺います。午前中から何回か同様の問題が出てはおりますが、事柄が重要なので、多少重なることがあるかもしれませんけれども、厚生省の明快な御返事をお願いしたい、こう思います。  まず日本国有鉄道、名前のとおり日本国有鉄道、戦時輸送の増強という国策のもとに五十八万人に及ぶ新規採用を行い、戦後も旧満州鉄道の多数の労働者を受け入れる、こういった状態を続けてまいりました。その後一転して臨調答申に基づいて大規模な人減らしが行われる。  端的に言いたいのですが、鉄道共済のこの財政破綻の責任は国と旧国鉄及びJR当局にある、そう考えるのですが、いかがですか。
  191. 五味廣文

    五味説明員 まず、人員の問題でございますが、戦後大量採用がございました。私の手元の資料では、昭和二十二年に六十一万人という人数に至ったのが最大のときだったと思います。その後、昭和二十四年には余剰人員の整理が行われまして、その時点で四十九万人という体制になった。  このことと現在の鉄道共済年金財政の困難との関係でございますが、鉄道共済年金が発足をいたしましたのは昭和三十一年七月でございまして、昭和三十一年七月の時点では、先ほどもちょっと申し上げましたが、既に現役の数は四十六万人ほどになっておりまして、この状態が昭和四十年代までずっと続くわけでございます。昭和三十一年以前にこういった大量に採用されました方の整理は一応終わっております。  こういう方たちのうち恩給の受給権のある方あるいは年金の受給権のある方、こういう方の給付年金給付、恩給給付に要する費用につきましては、恩給については当然総理府の恩給局でございますが、鉄道共済年金収支とは関係がございません。また、年金の受給権のある方につきましては、この部分負担につきましては、追加費用ということで全額が事業主負担になっております。したがって、所要給付額に見合うものは追加費用として事業主から鉄道共済に入ってまいりますので、この点も鉄道共済の現在の財政困難との関係ということで申しますならば、直接の関係はないということになります。  ところで、もう一つの御指摘でございますいわゆる臨調答申に基づきます国鉄の民有会社化、こういったことに伴う人員整理というお話がございますが、この現在の財政困難の原因というのは、鉄道共済年金問題にこの制度間調整事業を導入いたします際に有識者を集めて議論をしていただきましたその場におきまして、原因は主に二つある、一つは組合員の責めには帰し得ない原因であるということでございます。(児玉委員「簡潔に。だれに責任があるのか」と呼ぶ)産業経済構造の変化に伴う要員の減ということ、それからもう一つは運営上の問題があったということ、この二つであるということでございます。  そこで、この部分につきましては、まず当の共済組合の責めに帰し得ない産業経済の変化に対応するようなこういった問題があるということから、こういう問題は本来であれば石炭産業であれ何であれ、大きな産業のジャンルをカバーする制度があれば何ら問題は起こらなかったわけでございますので、負担調整をとりあえずする、そして一元化につなげていくことでこういう問題を解決していこう。また、組合の運営の方に問題があった部分については、これをその都度是正をした、こういうことでございまして、だれの責任と申しますか、これはやはり産業構造の変化に対応して人員の減をしていく、こういった企業活動としては当然の行動が単独で年金制度を運営しておりましたために年金の破綻に結びついた、こういうことだろうと思います。
  192. 児玉健次

    ○児玉委員 一九八九年の百十六国会で今の問題はかなり議論をしまして、今大蔵省の述べたようなそういう議論というのは、振り返ってみたらいいですけれども、非常に無責任だと言わなければなりませんね。国の政策に基づいて多くの労働者を抱えて、そして臨調、行革の答申に基づいて大幅な人減らしを進めていく、そういう中でこの事態が生まれているわけですから、少なくとも国鉄の労働者の責めに帰さないということは余りにも明白です。共済年金の組合の運営というのは労働組合だけでやっているわけじゃないのですから、合意を得て進めているのですから、その点は厳しく指摘をしておきます。  さて、今回の改正案JR各社の特別負担清算事業団の特別負担は据え置かれております。八七年度JR各社の利益はたしか千五百三十八億円だったと記憶しますが、九一年度においては三千六十六億円になっている。JR各社の特別負担を増額すべきだと思いますね。今、旧国鉄職員の方々だとかJR現役の労働者、負担の厳しさからいっても、そして前回も議論しましたが、公的年金制度で例のないさかのぼって不利益を強いられる、こういうことが存在しているわけですから、JR各社の特別負担をこの際増額すべきだと考えます。いかがですか。厚生省の答えを求めます。
  193. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 先生御案内のとおり、この制度は、御紹介をいたしました懇談会の御報告にもありますように、自助努力等前提としながら、各制度が助け合って、とりあえず国鉄赤字年金支払いが滞るというようなことがないようにしょうということでございまして、この日本国有鉄道共済の自助努力等につきましては継続をする。そして、それの評価につきましては、これは気の毒な面もあるのでもっと縮小すべきではないかという御意見があると同時に、各制度もそれぞれ財政的には苦しい状況にあるが、公的年金の一角がそういうことで崩れるということがあってはならないから助けていこうということで、やっとこの線で合意形成ができた。両者の接点の中で合意ができた。  その自助努力等の規模が千八百五十億円、JR各社の特別負担は一応従来どおりの二百二十億円でいこう、少なくともここ五年、六年はこういう数字でみんな協力しようではないかということで接点ができたというふうに私どもも理解をしておりますので、この二年間各制度が協調をしていくという今回お願いをいたしております法案の成立にぜひ御理解をいただきたいと思います。
  194. 児玉健次

    ○児玉委員 一九八九年のときもかなり議論をしたのですが、国とJR責任で行うべき鉄道共済財政維持、それを旧国鉄労働者、JR労働者、そして今ちょっとお話があったけれども、多数の勤労国民に転嫁したものとして私たち日本共産党は反対いたしました。この法案に反対したのは参議院の連合と日本共産党でした。この改正案法律内容、仕組み、本質において変わりがありませんから、私たちは賛成できないということを明白に述べておきます。  さて、この機会に年金制度について若干のことを御質問しておきたい、こう思います。  岡山市の職員組合の調査、これは一九九〇年十月に公刊されたものですが、その調査によれば、岡山市で保険料を払うべき人であって完全に払っていない人が三〇%を超えている。これに法定免除、申請免除を加えれば四四%となる。そして、岡山市にあって適用漏れ者は一万数千人と予測され、これに保険料を払いたくても払えていない人たち、そういう人たちも加算すれば免除者を除いて四〇%以上の市民が未納者として存在している、こういう調査が明らかにされています。  そこで、今全国において適用漏れ者はどのくらい存在しているか、お答えいただきたいと思います。
  195. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 適用漏れ者の数についての御質問でございますが、国民年金の未加入者につきましては、特に人口が多くて転入転出の激しい都市部において把握することが困難でございまして、その正確な数字は把握していないところでございます。なお一層の適用対策の強化を図ってまいりたいと思っております。
  196. 児玉健次

    ○児玉委員 部長、正確な数字を把握していないとおっしゃるけれども、これは年金制度の今後にとって非常に重要な要素となるものですから、的確な調査を行うべきだと思うのですが、いかがですか。
  197. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 未加入者の把握でございますが、私ども、この適用事務につきましては各市町村で行っていただいております。各市町村の住民基本台帳なりの公簿などの突合によりまして、推計をするというようなことで未加入者の把握ということをやっておりますが、これも先ほど申し上げましたように、人口の移動が激しいあるいは転入転出、そういうこと等いろいろございまして、ざっと平成年度にそういう形で把握いたしましていろいろ適用を進めたわけでございますが、それでも約百三十万人程度がまだ適用されずに残ったいわゆる未適用者、このようには一応考えているところでございます。
  198. 児玉健次

    ○児玉委員 百三十万人という人数が今出されましたが、的確な調査を速やかにやるように求めたいと思います。  次に、公務員の場合、これは何も公務員とは限らないのですが、御主人が退職されて、その奥さんが相当な比率で第三号被保険者の手続をしていないという指摘もあります。一号、二号、三号被保険者の記録を統一的に管理する体制をつくって、資格記録の変動等を一つの届け出で正確に掌握できるようにする必要があると私は考えます。これは何もいわゆる年金番号制だとか背番号制のことを言っているのではないので、今日の発達したデータ管理の仕組みを十分に駆使すれば可能だと思います。いかがですか。
  199. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 ただいま御指摘のとおり、現在の年金制度の運営につきましては、制度加入等の手続につきましては加入者に届け出を課しておりまして、届け出がございませんと保険者サイドで情報を把握することができない、こういう仕組みとなっておりますし、また、それぞれの制度ごとに加入者に番号を付しまして記録管理を行っているということでございます。  今御指摘のような加入者に対するサービスと申しますか、そういうサービスの向上を図るためには、年金現業業務の一元化の重要な要素でもございます年金番号の一本化を図ることといたしまして、全制度共通の基礎年金番号を設定いたしまして、それをキーといたしまして各制度間で情報を交換する、そういう体制を整備する必要があると考えておりまして、現在その検討を進めているところでございます。
  200. 児玉健次

    ○児玉委員 社会保険審査会は、二十歳前に障害を受けて厚生年金加入六カ月未満の障害者に対して、国民年金を適用するという判断を示されました。なぜ厚生年金を適用しなかったのか、簡潔に答えていただきたいのです。
  201. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 このケースにつきましては、厚生年金については加入以後六カ月以上加入期間がないと障害年金支給しない、前の古い制度でそうなっておったわけで、厚生年金からは年金支給されない。しかし、そのケースについて、二十歳前の方でございますので障害福祉年金が出る可能性はないのか。それについては、法的には障害福祉年金は被用者年金の被保険者については支給しない、ほかの年金をもらっている人とか被保険者には支給をしない、法律上そういうふうになっているわけです。  このケースについてもその条文に該当をして、私どもは障害福祉年金支給しないという決定をいたしたわけですが、審査会におきまして、この法律の被用者年金の被保険者支給をしないという趣旨は、被用者年金の被保険者であればその制度でちゃんとカバーされるだろうから、それで支給しない、そういう制度じゃないか、今回のケースのように支給されないということがはっきりしたら一障害福祉年金支給してもいいのではないかということで裁決が下ったという経緯でございます。
  202. 児玉健次

    ○児玉委員 今の御答弁との関係なんですが、二十歳を過ぎて厚生年金加入六カ月未満の障害者の救済も、そのこととも関連して今考えるべきじゃないでしょうか。いかがですか。
  203. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 今回のケースは、具体的なケースについて条文等を適用して、このケースについてはそういう解釈をするのが適当だろうという御判断でございますので、私どもはとりあえずこのケースについてはその裁決に従うということにしております。
  204. 児玉健次

    ○児玉委員 これは検討課題にしていただきたいと私は思うのです。学生の年金の加入の問題も大きなかかわりがあるのですが、私たちは学生の年金への強制加入の問題は、本来法的免除の措置を講ずべきだと考えております。在学時未納期間が二年あると、卒業後厚生年金に入っても四年間は障害がたとえ発生したとしても年金をもらえないいわゆる三分の二条項の問題ですね、これも私は国民から強い要望が出ていることでもあるし、見直し検討が必要だと思うのですが、いかがですか。
  205. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 もともと学生に強制適用いたしました趣旨の大きな要素としまして、学生が障害で無年金になもというようなことがないようにしようということが大きな要因でもあったわけですから、私どもといたしましては、とにかく学生に必ず年金制度に加入をしていただくということで、徹底的な適用の促進を図っていきたいと思っております。  なお、先生指摘のようなケースが出てくる場合がございます。今後の検討課題として、なるべくそんなケースが起こらないようにするというのもまた一つの方向だと思いますので、勉強させていただきます。
  206. 児玉健次

    ○児玉委員 もう一つ、障害年金受給者が障害の程度が変化して、三年経過すると失権しますね。その後、障害が重くなったり別の障害が生ずる、こういう場合に年金を受給できない。この点についても改善の道を開くべきではないでしょうか。
  207. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 御指摘の点につきましても、障害の状態というのは通常三年程度状況を見れば判断できるだろうということで今の制度ができているわけでございますが、個々のケースでそれを当てはめることが不適当だというケースもあるやに聞いておりますので、これもあわせて勉強させていただきます。
  208. 児玉健次

    ○児玉委員 最後に、一九九〇年に社会保険庁は、都道府県、市町村の協力を得て国民年金保険者実態調査を行われたと伺っております。集計は終わったでしょうか。これはぜひ公表していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  209. 佐藤隆三

    ○佐藤(隆)政府委員 御質問平成年度に行いました国民年金保険者実態調査でございますが、これは集計を終わっております。ただ、この調査は、国民年金の第一号被保険者の実態を把握いたしまして、国民年金制度を適切に運営していくための参考となる内部資料を得るために企画されたものでございまして、この調査は総務庁の承認をとりました承認統計でございますが、この調査は非公表を前提といたしまして承認を受けておりますので、公表は差し控えたいと考えております。
  210. 児玉健次

    ○児玉委員 年金についての国民の理解を得たいという先ほどの御答弁もありますから、公表について検討することをさらに求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  211. 浦野烋興

    浦野委員長 柳田稔君。
  212. 柳田稔

    ○柳田委員 今回の法案の中身、読まさせていただきました。制度間調整事業平成年度から六年度までの五年間の措置、当初三年間で実施し、残った平成年度、六年度、この間についても制度間調整をしようという案でございます。  将来の見通しについてでありますけれども厚生年金等は今後三十年先の財政見通し、それなりのものを立てているというふうに思うのですが、この鉄道共済の今後の見通しはどのように考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
  213. 五味廣文

    五味説明員 まず、平成年度、六年度に関しましては、特段の自助努力なり制度間調整事業も行われませんと、年平均で二千八百二十億円の赤字が生ずるであろうと見込まれますが、今回のこの法律案が成立をいたしまして、制度間調整継続、さらに自助努力継続ということが行われますと、若干の赤字は出るかもしれませんけれども、ほぼ収支は均衡するであろうと考えております。  また、平成年度以降の財政の見通してございますが、これは平成六年の財政計算時に作成することになりますけれども懇談会の御報告でも指摘されておりますように、成熟度の先々の推計から見ましても、先ほど申し上げましたような財政構造が急激に変化する可能性は少ないというふうに考えております。  なお、三十年というような長い期間の推計でございますけれども鉄道共済年金につきましては著しく成熟した状態に達しておりますので、財政計算に関する特例措置というのが定めもれております。厚生年金のような長期にわたる財政見通しに基づく財政計画というのは作成しないで、向こう五年間の財政見通し、これに基づく財政均衡を図るように、こういう規定が国家公務員共済法にございまして、これに基づく計算を行うことになります。これは、平成六年の財政計算においてこういった計算をすることになるということでございます。
  214. 柳田稔

    ○柳田委員 ことしこの法案が通らなければ、一年間で二千八百二十億円赤字だということでございました。これを単純計算してですけれども、二十年間続くということを考えますと、約六兆円ぐらいの赤字が出てしまう。この制度をずっと続けていくということを考えれば、簡単に計算しますと二十年間で六兆円、ほかの制度がかぶらなければならないという感じにもなるのです。  将来、いろいろ先ほど質疑があった中で、平成年度には年金一元化というのもあるわけでありまして、大変大きな山を越えなければならないのでありますけれども厚生年金ほかこの補助といいますか、お金を出している立場からいうと、一元化も大きな問題だけれども、二十年間で六兆円も金を出すのはたまったものじゃないという声も大変聞かれるわけなんです。先々のことを質問するのは大変恐縮かもわかりませんけれども、もし一元化が成った場合の後も自助努力、さらなる自助努力、これは続けていくべきではないかと私は考えておるのですが、大蔵省としてはどのような御判断をお持ちなんでしょうか。
  215. 五味廣文

    五味説明員 先ほどお話に出ておりますように、この制度間調整事業実施前提鉄道共済年金自助努力でございます。したがいまして、現行と同水準で平成五、六年度についてはこれを継続することにいたしておりますけれども、先々のことにつきましては、この制度間調整事業自体、公的年金一元化までの当面の措置という位置づけでございますので、自助努力と現在呼んでおりますこういったものの今後の取り扱いは、平成七年を目途にされております公的年金一元化検討の中で検討をしていくということでございます。
  216. 柳田稔

    ○柳田委員 平成年度議論ということでありますけれども、ざっと見て二十年間で六兆円はかの制度負担する。正直言ってたまったものじゃないというのが、厚生年金とかいろいろなほかのグループに入っておる皆さんの本音になるのではないかなという気がするのです。  ところが、一方、平成年度公的年金一元化という問題も控えておりまして、この方向で行きますと給付負担の公平化を図らなくてはならない。このJRの共済の問題、さらにはたばこの問題、いろいろ含まれます。先ほど国民年金の方の問題も指摘されたわけでありますが、大変大きな課題を抱えながら平成年度の公的年金一元化を迎える、給付負担の公平化を図っていく。大変矛盾した中身にもなっておるのですけれども、厚生省としてはこの辺の矛盾を含みながらの一元化、どのように公平化を図っていく所存なのか、お聞かせ願いたいと思います。
  217. 山口剛彦

    山口(剛)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、日本鉄道共済の問題も含めまして、公的年金制度全体としての長期的な安定を確保していかなければいかぬ、それから先生指摘給付負担の両面にわたってできるだけ公平な制度にしていく、それから受給者にとりましてもサービスの向上が図れる、業務の効率化が図られる、そういう制度を目指しまして、これは大変御議論がございますように難しい問題を含んでおりますけれども、そういう目標に向かって、平成七年を当面目途にして鋭意検討を進めさせていただきたいと思っております。
  218. 柳田稔

    ○柳田委員 大変答弁の難しい質問をさせていただきましたけれども、ただ、しなければならない時期に来ているなというのもよくわかるつもりであります。  私もきのう一般質疑の中で申し述べましたけれども、この厚生委員会としてもやはり議論をすべきだ。データをもらいながら、いろいろな資料をもらいながら、どういうふうな方向へ向かった方がいいのか議論をすべきではないかということで質問させていただいたわけでありますが、先ほど公明党の遠藤先生からも御提案がありました。社会党さんも同じような御発言の向きがあったかのように聞いておりますので、できればこの厚生委員会としても、自民党さんも御理解を賜りまして、私の方からも一緒になっていろいろなことを議論できる場をつくっていただきたいと思います。  もう一つですけれども、たばこ共済、こちらの方も大分赤字だというふうに聞いております。たばこ共済の方の自助努力はどうなっているか、お聞かせ願いたいと思います。
  219. 五味廣文

    五味説明員 日本たばこ共済組合につきましては、制度間調整あるいは自助努力というものを講じませんと、平成二年から六年の五年間の平均で毎年二百十億円の赤字が想定されております。これにつきましては、自助努力で百七十億円、制度間調整で四十億円、こういう対策が講じられておりまして、年金給付支障が生じないということでございます。  この自助努力内容でございますけれども、一つは年金給付見直しでございます。新規裁定年金につきましては職域年金部分を廃止をする、また同じく新規裁定年金につきましてみなし従前額保障は適用しない、それから既裁定の年金につきましては職域部分スライドを停止する、さらに六十歳未満の退職年金支給の新規発生は原則として廃止をする、こういったような給付面での見直しを行っております。この効果が約三十億円。  それから、保険料引き上げを行っておりまして、これは国家公務員共済と同じ幅で引き上げております。その結果、国家公務員共済よりも高い保険料率になりますが、平成元年の十月から一三・二七%の保険料率を一七・〇七%に、労使折半になりますが、引き上げております。この効果は約五十億円程度かと思われます。  それから、JT、日本たばこ産業株式会社の特別負担七十二億円を毎年いただくことにしております。これは、たばこ共済年金の一方の当事者でございます会社に保険料負担とは別に特別の負担を求めたものでございます。その他、こういった対策を講じますと積立金水準等が維持されます関係で、運用収入など約二十億円ほど余分に出てまいります。これも充当する、こういう形になっております。
  220. 柳田稔

    ○柳田委員 私も国会議員になりましてまだ三年しかたっていないのですけれども年金のことを勉強しますと、大変なことだな、このままやっていって果たしてどうなるのだろうかという気もいたします。我々としても精いっぱいの努力をしたいと思いますので、委員長のお力によりまして、ぜひともこの委員会がいろいろな議論ができますように御尽力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  221. 浦野烋興

    浦野委員長 以上で質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  222. 浦野烋興

    浦野委員長 この際、日本共産党から討論の申し出がありますが、理事会の協議により、御遠慮願うことにいたしましたので、そのように御了承願い、直ちに採決に入ります。  内閣提出被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  223. 浦野烋興

    浦野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  224. 浦野烋興

    浦野委員長 この際、本案に対し、粟屋敏信君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。網岡雄君。
  225. 網岡雄

    ○網岡委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。  一 日本鉄道共済年金自助努力等については、次期財政計算、公的年金一元化検討の際に、その見直し検討すること。  二 平成七年を目途としている公的年金一元化 の全体像を可及的速やかに明らかにするよう、精力的に検討を進めること。その際、被用者年金制度関係者及び学識経験者から構成される審議の場を設けること。  三 年金制度に関する国民の理解を得るため、年金制度の現状と将来展望について的確な情報を広く公開すること。このため、年金財政に関する報告書の作成等を検討すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  226. 浦野烋興

    浦野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  粟屋敏信君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  227. 浦野烋興

    浦野委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣
  228. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。     ―――――――――――――
  229. 浦野烋興

    浦野委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 浦野烋興

    浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  231. 浦野烋興

    浦野委員長 内閣提出国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。     ―――――――――――――  国民健康保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  232. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  国民健康保険制度は、我が国の国民皆保険体制の基盤をなす制度として重要な役割を果たしておりますが、近年における社会経済情勢の変化や人口の高齢化により、低所得者や高齢者の加入割合が著しく高まるなど、制度の構造的な問題により、その運営は不安定なものとなっております。  このため、国といたしましても、こうした国民健康保険の現状等にかんがみ、当面緊急に講ずべき措置として、平成年度及び平成年度において、国民健康保険財政安定化支援事業制度化等を行うことにより、国民健康保険の財政の安定化や保険料負担の平準化等を図ることを目的として、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国民健康保険財政安定化支援事業制度化であります。市町村は、国民健康保険の財政の安定化等に資するため、低所得者の加入割合が大きいことなど保険者の責めに帰することができない理由により国民健康保険の財政が受ける影響を勘案して算定した額を、一般会計から国民健康保険特別会計に繰り入れることができることとしております。  第二は、保険財政基盤の安定化措置に係る国庫負担の変更であります。市町村は、国民健康保険の財政基盤の安定のための措置として、低所得者に係る保険料軽減相当額を一般会計から国民健康保険特別会計に繰り入れ、これに対し国はその二分の一を負担することとされておりましたが、これを、政令で定める基準により算定した額に改めることとしております。  なお、国庫負担の変更に伴う地方財政への影響額につきましては、その全額について、所要の地方財政措置を講ずることとしております。  最後に、この法律の施行期日は、本年四月一日としております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  233. 浦野烋興

    浦野委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十一分散会