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1993-04-23 第126回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月二十三日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 貝沼 次郎君    理事 北川 石松君 理事 熊谷  弘君    理事 前田 武志君 理事 森  英介君    理事 山崎  拓君 理事 志賀 一夫君    理事 時崎 雄司君 理事 倉田 栄喜君       伊藤宗一郎君    岡島 正之君       加藤 六月君    藤尾 正行君       水野  清君    渡辺 栄一君       小森 龍邦君    常松 裕志君       長谷百合子君    和田 静夫君       寺前  巖君    藤波 孝生君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 林  義郎君         運 輸 大 臣 越智 伊平君  出席政府委員         外務大臣官房会 藤崎 一郎君         計課長         大蔵大臣官房会 中川 隆進君         計課長         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局次 武藤 敏郎君         長         大蔵省理財局長 藤井  威君         大蔵省証券局長 小川  是君         大蔵省銀行局長 寺村 信行君         大蔵省銀行局保 鏡味 徳房君         険部長         大蔵省国際金融 中平 幸典君         局長         国税庁長官官房 窪田 勝弘君         国税審議官         国税庁調査査察 野村 興児君         部長         運輸大臣官房会 楠木 行雄君         計課長         運輸省鉄道局長 秦野  裕君         運輸省自動車交         通局技術安全部 堀込 徳年君         長         運輸省航空局長 松尾 道彦君         運輸省航空局技 松本 健治君         術部長  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部取 本城  昇君         引課長         総務庁行政監察 笹岡 俊夫君         局監察官         法務省刑事局参 藤田 昇三君         事官         外務省北米北  小澤 俊朗君         米第一課長         大蔵省主計局司 野田 政昭君         計課長         会計検査院事務 阿部 杉人君         総局第一局長         会計検査院事務 佐藤 恒正君         総局第三局長         会計検査院事務 中島 孝夫君         総局第五局長         国民金融公庫総 平澤 貞昭君         裁         日本開発銀行総 吉野 良彦君         裁         日本輸出銀行  山口 光秀君         総裁         日本輸出入銀行 菅野  明君         副総裁         参 考 人   小島 邦夫君         (日本銀行理事)         参 考 人         (日本国有鉄道 西村 康雄君         清算事業団理事         長)         参  考  人         (日本国有鉄道 杉田 昌久君         清算事業団理          事)         参  考  人         (日本国有鉄道 荘司 晄夫君         清算事業団理         事)         参  考  人         (金融制度調査         会金融機関の         ディスクロー  宮本 保孝君         ジャーに関する         作業部会長代         理)         参  考  人         (日本銀行企画 山口  泰君         局長)         決算委員会調査 山本  正君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   瓦   力君     岡島 正之君   新村 勝雄君     常松 裕志君   日野 市朗君     和田 静夫君 同日  辞任         補欠選任   岡島 正之君     瓦   力君   常松 裕志君     新村 勝雄君   和田 静夫君     日野 市朗君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)(第百二十三回国会内閣提出)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第百  二十二回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (承諾を求めるの件)(第百二十二回国会、内  閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(承諾を求めるの件)(第百二十三  回国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの  件)(第百二十三回国会内閣提出)  平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(承諾を求めるの件)(第百二十三  回国会内閣提出)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)  平成年度特別会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの  件)  平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その2)(承諾を求めるの件)  平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく  経費調書及び各省庁所管経費増額調書(そ  の2)(承諾を求めるの件)  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省  各庁所管使用調書(その一)(承諾を求めるの  件)  平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく  経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書  (その1)(承諾を求めるの件)  平成年度一般会計歳入歳出決算  平成年度特別会計歳入歳出決算  平成年度国税収納金整理資金受払計算書  平成年度政府関係機関決算書  平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管運輸省所管国民金融公庫、日  本開発銀行日本輸出入銀行)      ――――◇―――――
  2. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十一件を一括して議題といたします。  この際、大蔵大臣から各件について趣旨説明を求めます。林大蔵大臣
  3. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十一件の事後承諾を求める件につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、平成年度一般会計予備費予算額三千二百五十億円のうち、平成三年一月八日から同年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は、六百七十一億円余であります。  平成年度特別会計予備費予算総額二兆一千三億円余のうち、平成三年三月五日から同年三月二十九日までの間において使用を決定いたしました金額は、三百二十七億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十一条及び第十二条の規定により、平成三年三月二十日から同年三月二十九日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、四百四十三億円余であります。  第二に、平成年度一般会計予備費予算額一千五百億円のうち、平成三年四月二日から平成四年三月二十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、一千四百四十五億円余であります。  平成年度特別会計予備費予算総額二兆三千五百二十九億円余のうち、平成三年十月二十五日から平成四年三月二十七日までの間において使用を決定いたしました金額は、四十六億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成三年九月二十日から平成四年三月三十一日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、二百九十八億円余であります。  第三に、平成年度一般会計予備費予算額二千億円のうち、平成四年四月三日から平成五年一月二十二日までの間において使用を決定いたしました金額は、二百九十七億円余であります。  平成年度特別会計予算総則第十四条の規定により、平成四年九月十一日から平成五年一月八日までの間において経費増額を決定いたしました金額は、百二十二億円余であります。  以上が、予備費使用調書等についての大要であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  4. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。時崎雄司君。
  6. 時崎雄司

    時崎委員 大蔵大臣皇太子の御結婚に当たって、一部の報道によりますと、予備費からその費用支出する、こういうことが言われておりますが、それはどのようになっておりますでしょうか。
  7. 武藤敏郎

    武藤政府委員 皇太子殿下の御成婚に関します予算措置につきましては、日取り、それから……(時崎委員「時間がありませんので、予備費から出すのかどうかだけ答えてください」と呼ぶ)予備費から出すということで、急を要するということで、緊急に支出を要するということで、予備費から出すということで処理をいたしております。
  8. 時崎雄司

    時崎委員 予備費承諾の件についてお尋ねをいたしますが、憲法第八十七条に予備費の項がございまして、「内閣は、事後国会承諾を得なければならない。」と、こう規定されておりますが、この「事後」というのは、どの時点を指すのか、お答えいただきたいと思います。
  9. 武藤敏郎

    武藤政府委員 憲法第八十七条第二項に言います「事後」といいますのは、予備費支出した後ということを意味すると解釈されますけれども、その具体的な時期につきましては憲法上は規定されておりませんで、財政法にゆだねられているというふうに考えております。  財政法によりますと、内閣は、「次の常会において国会提出して、その承諾を求めなければならない。」というふうに三十六条第三項に規定がございまして、この規定趣旨は、予備費支出後できるだけ早期に、かつ、十分な会期審議期間を有する国会において承諾を求める、こういう趣旨であろうと考えております。
  10. 時崎雄司

    時崎委員 予備費の「事後」というのは、支払った後というふうに理解していいのか。それとも、予備費大蔵省大蔵大臣が、各省庁の款項目節というのですか、そこに振り分けたとき、すなわち移用したときなのか。その辺について厳密にお答えいただきたいと思います。
  11. 武藤敏郎

    武藤政府委員 予備費使用決定をしたときというふうに考えております。
  12. 時崎雄司

    時崎委員 もう一度再確認しますが、支払ったという行為が起きたときなのか、移用したときなのか、もっとはっきり言ってください。
  13. 武藤敏郎

    武藤政府委員 法律上の「事後」というものの考え方の基準といたしまして、閣議で使用決定をしたとき以後、このように考えております。
  14. 時崎雄司

    時崎委員 予備費扱いについて、憲法では国会承諾を得るということになっているのですね。それから決算については、憲法の九十条で、決算国会報告しなければならない。これは大変違いがあるのですね。決算の場合には国会報告、それから予備費支出については、移用する、すなわち大蔵大臣各省庁の予算項目に入れた段階、このときをもってこれは事後となるわけですね。したがって、その事後国会承諾を得なければならない、こういうことになっておるわけですね。この憲法趣旨からいくと、どうも財政法三十六条の「次の常会において国会提出して、その承諾を求めなければならない。」というのは矛盾をするように考えられるわけですね。私はそんなふうに思いますが、次長はどう思いますか。
  15. 武藤敏郎

    武藤政府委員 先ほど申し上げましたとおり、財政法が「次の常会において」と規定する趣旨は、もちろん予備費支出後できるだけ早期にということと同時に、十分な会期審議期間を有する国会、そこで次の常会ということになるということでございますので、憲法規定矛盾をするということはないのではないかと考えております。
  16. 時崎雄司

    時崎委員 今、国会、これは常会ですよね、今やっているのは。日程は六月二十日まで。そして皇太子殿下の御成婚結婚に要する費用は緊急を要するので、恐らく既に移用を決定されたと思うのですね、移用というのは予備費から。皇太子殿下結婚に使う、そのための項目に入れたはずだ。これがもう既に事後になっているわけですね。そうすると、来年の一月開催の常会に出すということですか。
  17. 武藤敏郎

    武藤政府委員 現在の扱いにつきましては、四月から翌年の一月までの間に使用決定されました予備費につきましては来年の一月の常会の冒頭に提出する……、いや、三月に提出する、実際には来年の三月ということになっておりますけれども常会のうちに提出する、そういう扱いになっております。
  18. 時崎雄司

    時崎委員 どうも今の答弁、納得いかないのは、憲法の八十七条の二項によれば、内閣予備費を使ったとき、支出をするとき、事後国会承諾を求めなければならないと。そこで、その事後とは何かといったら、予備費からそれぞれの省庁予算項目に入れたときをもって事後というと。これは支払いをしたときをいうのではなくて予算を移したとき、予備費から他の省庁予算に入れたときをもってこれを事後というと言うわけですね。したがって、事後というならば今国会承諾を求めるのが一番憲法八十七条に合致していることと考えるわけですが、これが来年の一月から開催されるであろう常会の、それも実際上は三月に承諾を求めてくる。財政法では、承諾を求める期間が約一年間おくれるということを明記しているのですね。私が申し上げているのはそこなんです。憲法で言うところのこの規定からいえば、財政法三十六条はどうも疑義がある。こう思うのですが、いかがですか。
  19. 武藤敏郎

    武藤政府委員 予備費使用国会承諾を求めます場合にどのように区分をしてどういうタイミングで承諸を求めるかということだろうと思います。  現在は、一年間の予備費使用二つに分けまして、御承知のとおり(その1)(その2)という形に分けております。四月から翌年の一月までを(その1)……(時崎委員質問していることに的確に答えてください。そういうことを聞いているわけじゃないのです」と呼ぶ)そういう二つに分けて承諾を求めるということになりますと、結局個々予備費使用の直後に承諾を求めるということではなくて一定の期間をまとめまして国会承諾を求める、このような扱いになっておりますので、現時点では、今申し上げましたような次の常会に求めることになる、こういうことでございます。
  20. 時崎雄司

    時崎委員 私の質問は、財政法に基づいて次の通常国会に求めるということを聞いているのではなくて、憲法の八十七条の二項の趣旨財政法三十六条との間に矛盾がある、これをどう考えるかということを聞いているのであって、これまでのやり方を、こうなる、ああなるというのは聞いていないのです。  そうしますと、今回の御結婚に関する予備費については、あなたのおっしゃることからいえば来年の三月、常会に出すということになるだろうと。そうするとこれは承諾ではなくて、既に支払ったものを決算として報告というようなことでも同じじゃないですか。違いますか。承諾する必要はなくなってしまいますね。
  21. 武藤敏郎

    武藤政府委員 予備費制度と申しますのは、御承知のとおり、原則として予算というのは国会の議決を得て支出をする、その例外として、あらかじめ枠を決めて、その範囲内で内閣が権限を持って後で承諾を得る、こういう形になっておるわけでございます。決算報告ということでございまして、規定の上では今申し上げましたとおり承諾を求めるということで、扱いは異なっておるというふうに考えます。
  22. 時崎雄司

    時崎委員 決算というのは報告でいいわけですね、予備費支出承諾を求めなければならない、こういうことですね。そしてその承諾を求める事後とは何かといったら、あなたの答弁では、予備費からその他の省庁予算項目款項目節に入ったときをもって事後という。これは支払いではないのですね、答弁は。そういうことですよ。それを今あなたが、財政法の絡みでいえば、既に使ってしまってからになるということですね。ここに矛盾しないですかと私尋ねておるのです。するならする、しないならしない、お答えいただきたい。
  23. 武藤敏郎

    武藤政府委員 憲法規定財政法規定との間で考えますと、それは矛盾がないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
  24. 時崎雄司

    時崎委員 あなたとやり合ってもあれですが、大蔵大臣、今お話を聞いて理解をされていると思いますが、財政法が「次の常会において国会提出し」云々というのは、憲法の八十七条の規定からいくとどうもおかしいのではないか、私はこう思うのですね。したがってこれは、次の常会というよりは直ちに国会提出承諾を求める、この方が一番すっきりするんじゃないか、こう思っておりますが、大蔵大臣どうお考えですか。
  25. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 憲法解釈論でありますからいろいろな御議論はあるんだろうと思いますけれども日本国憲法八十七条にこういうふうに書いてありまして、また財政法の三十六条はそれを受けてこういうふうに書いているところだと私は思うのです。そういった形でいろいろと財政法をつくるときにも御議論があってこうしたものになっておるんだろう、こう思っておりますが、私の読み方といたしましては、この予備費というのは八十七条の一項に「予見し難い予算の不足に充てるため」にやります、こういうふうに書いてありますね。ですから、それをいつ事後承諾を求めるかということは法律委任をしている、憲法の中ではなくて法律委任をしているというか、法律の中でその辺を明らかにしているというのが今の立法の趣旨だろう、私はこう思っておるところでありまして、いつやるかというようなことは、すぐにということではなくて、事後にやるというのは、ここに書いてありますような「次の常会において国会提出して」やるというのが、「事後に」ということの解釈をこの財政法でやっておるんだろう、私はこう思っておるところでございます。
  26. 時崎雄司

    時崎委員 マイクに向かって話さないのでよく聞き取れなかったのですが、もう時間がありませんので私やめますけれども、午後からまた大臣の感じたことを……。ただ、憲法財政法解釈で人によって個々に違うなんということを言われたんでは困りますので、少なくとも大蔵大臣に聞いておるわけですから、大蔵大臣としてどう考えるかということでありますから、時間がありませんので質問はこれで終わりますが、午後で十分時間をとってありますから、また続けてやらせていただきます。どうもありがとうございました。
  27. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、倉田栄喜君。
  28. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党・国民会議倉田でございます。  私は、まず最初に、いわゆる九十億ドルの支出といいますか湾岸平和基金拠出をされた我が国資金平成二、三両年度一般には九十億ドルというふうにぱっと浮かぶのですが、実際は、会計検査院検査報告によりますと百十四億ドル、一兆四千九百二十八億八百万円、こういうふうになっているわけでございます。  このとおりだと思いますが、そこでお伺いをいたしたいのは、この湾岸平和基金拠出に関する交換公文は、「日本国政府は、基金に対する拠出金使用につき、委員会の決定する適当な経路で通報を受ける。」こういうふうになっていると思いますが、この基金財務に関する報告現時点で受けておられるのかどうか。そして、まだ受け取ってないのだろうと私は思うのですが、受け取っておられないのはなぜなのか。もう大分時間がたちますが、このことについて要求をされておられるのかどうか。この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  29. 小澤俊朗

    小澤説明員 湾岸平和基金資金使用決定につきましては、湾岸平和基金運営委員会がこれを行うことになっております。この運営委員会におきましては日本側代表が出席しておりまして、私どもはこの日本側代表を通じて随時通報を受けております、これまで通報を受けている内容につきましては、可能な範囲で明らかにしてきているところであります。  拠出金使途に関する最終的な報告につきましては、湾岸平和基金運営委員会財務報告を作成することにしております。これを我が国提出することになっております。現在、運営委員会はこの財務報告を鋭意取りまとめ中であると承知しております。
  30. 倉田栄喜

    倉田委員 まだ報告は受けてない、こういうことですね。今取りまとめ中である、まだ報告を受けられないのはどういう理由なんですか、そういうことをお尋ねしたいわけです。報告がおくれているのではないのか、こういうふうに思うのですけれども、それについて、今承諾をここに求められていることにも関連をするわけですから、きちんと要求をされているのかどうか、その点をお尋ねしたわけですが。
  31. 小澤俊朗

    小澤説明員 運営委員会日本側代表からの報告によりますと、湾岸平和基金が行った協力の一部について支出予想外におくれたこと等の事情もあって、湾岸平和基金がすべての支出完了したのはことしの三月半ば過ぎになったというふうに聞いております。この支出完了を受けまして、現在、運営委員会財務報告取りまとめ中であるわけでございます。今後、監査の手続等所要手続を経ました後、遠からず我が方にこの報告書提出されるものと理解しております。  私どもは、財務報告国会報告すべきであると当然思っております。運営委員会に対しましても、早期支出完了財務報告提出を繰り返し督促してきております。何分、支出完了が先ほど申し上げましたように三月の半ば過ぎであったこと、それから、湾岸平和基金支出先が多くの関係国があったこと、私は、十六カ国だと承知しております。非常に事務的に取りまとめ作業に時間を要していたということを聞いております。  いずれにいたしましても、運営委員会日本側代表から累次にわたって私どもには報告が入っておりまして、きちんとした支出が行われているという報告には接しております。したがいまして決算についてはそういうような事情を御理解の上、よろしくお願いしたいと考えております。
  32. 倉田栄喜

    倉田委員 今、きちんとした支出が行われている、こういうことでございますが、その湾岸平和基金使途については百二十国会で、輸送、医療、食糧・生活、事務、通信、建設の六分野に限る、これが総理答弁の中で明らかにされているわけでございます。使途について、総額がこれらのみに使われている、こういう確認はきちんとできているわけでございます。また、どのような方法で確認されているのか、お伺いしたいと思います。
  33. 小澤俊朗

    小澤説明員 湾岸平和基金には累次にわたって拠出しております。今御指摘のありました六分野における資金協力は、第三回の交換公文に基づく資金及び第四回の交換公文に基づく資金についてのものであると考えます。このいずれの交換公文におきましても、運営委員会でその使用を決定いたすわけでありまして、その使用状況につきましては同委員会に我が方の政府代表であります在サウジアラビア日本国大使が出ておるわけで、同大使を通じまして日本政府随時通報が行われてきております。  これまでの通報を全部まとめて申し上げますと、日本の拠出金は全額適切に支出されているということでございます。もちろん、追って運営委係員会から財務報告提出がありました暁には、この点について最終的な確認ができるものと考えております。
  34. 倉田栄喜

    倉田委員 現時点では通報を受けている、まだ最終的な確認、個々的には順次わかっている分についてはされておられるのだろうと思うのですが、最終的な確認は報告を受けてからのことである、そういうふうなお答えでありますけれども、もう一点、三年度予備費から拠出された五億ドル、七百億円、これはこの拠出のときに議論がございました。当時、九十億ドルが円安で目減りをしたから、米国から補償を求められて支出をしたのではないのか、こういう問題点に関して、政府はクルド難民支援やペルシャ湾の環境汚染対策など戦争後の新たな状況に対する活動資金、こういうふうに位置づけてこられたと思います。  ところが、前回参議院の決算委員会で、五億ドル全額がアメリカに支払われた、この十九日の参議院決算委員会での答弁でございます。この答弁は、いわゆる戦争後の新たな状況に対する活動資金、こういう最初の政府の答弁と食い違ってくるのではありませんか。この点についての御見解を求めます。時間がありませんので、ちょっと短く言ってください。
  35. 小澤俊朗

    小澤説明員 ただいま先生から御指摘のありましたとおり、七百億円の第四次交換公文に基づきます拠出は、第三次の交換公文に基づきます拠出を行った時点で想定されていなかった新たな資金需要が発生していたことに対応いたしまして拠出を行うことを決定したものでございます。  先般の北米局長答弁につきましては、この第四次の拠出分のほぼ全額が結果として米国に支出されたとの趣旨を述べたものと理解しております。正確に申し上げますと、七百億円が第四次拠出分でございまして、その六百九十六億円余りが米国に向けて支出されたということでございます。
  36. 倉田栄喜

    倉田委員 今のお答えで必ずしも納得をしたわけではないわけですが、大蔵大臣にお聞きをしたいと思います。  湾岸平和基金拠出をされた百十四億ドル、一兆四千九百二十八億八百万円、これがまだ最終的にきちっと報告を受けておられない。また、五億ドルについても、七百億円、米国に支払われているという現実に関してどうなのか、これは当初の政府の説明どおりなのか、そういう問題点も指摘をしていただいたわけでございますが、こういう状況の中で今、予備費に関しては承諾を求められておる。これについて大蔵大臣の御所見、同時に百十四億ドルがどういうふうに平和貢献に役に立ったのか、そして湾岸諸国がどのように受けとめて現在に至っておるのか、時間がありませんのでこれは大蔵大臣に直接お伺いをいたしたいと思います。
  37. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 御指摘のように、まだ事務的な上での報告は来ていないというような話もありますが、これは今、予備費承諾を求めるに当たりまして、湾岸問題につきましてそれぞれの国がいろいろな協力をした。クウエートからの無条件撤退を実現することができましたし、我が国としては、人的貢献はなかなかできないという状況の中で資金協力としては我が国として行った最も自主的な協力だったと私は思います。湾岸の平和に協力したものではないかそういうふうに確信をしているところであります。  また、日本が出しましたものに対して湾岸諸国から日本政府に対しましては極めて高い評価が寄せられております。そういったことも私は申し上げておきたい、こう思っておるところでございます。
  38. 倉田栄喜

    倉田委員 時間が参りましたので、残された時間はまた午後にお伺いしたいと思います。  終わります。
  39. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、寺前巖君。
  40. 寺前巖

    ○寺前委員 予備費の審査に当たって、当然支出だと賛成することもたくさんございますが、PKOによるカンボジアなどの派遣費用とかUNTACの分担金とか、一連の外国訪問の問題、皇室の外国訪問、いろいろ気になる予備費支出がたくさんございます。ですから全面的に賛成するというわけにはいかぬのでそれを聞きたいと思いますが、時間の都合もありますので大蔵省の姿勢問題だけを私は聞いておきたいと思います。  というのは、ことしの一月二十五日に最高裁で、私どもの京都の地場証券であった高木貞の判決が出ているわけです。この裁判は否認権行使請求事件といって、債権者に平等に返済するためにとられる破産手続における裁判の一つです。もし破産前に特定の債権者が抜け駆け的に返済を受けていた場合は他の債権者への返済が減ることになって不平等になる。そこで、抜け駆け的返済を受けた債権者からその返済金を一たん取り戻し、全債権者に平等に返済し直そうという内容であるわけです。  高木貞事件というのは、八〇年六月、大蔵省より、大幅な債務超過から投資家を保護をするという理由で証券業の免許を取り消され、倒産しましたが、最終的に数名の小口投資家への返済を足切りにして、大口投資家であった京都ステーションセンター、すなわち旧国鉄、京都市などが出資の第三セクターが、大蔵省や業界の指導のもとに、他の小口投資家を差しおいて七億円の優先返済を受けた。そのうち二億円は高木貞の自己資金であって、五億円は日本証券業協会とか京都証券取引所が投資家保護の名目で拠出した十億円の特別融資の半分を真っ先に使って返した、そういう返済に対しては問題だということで論議になっておったわけです。  問題は、こういうふうに高木貞に対して免許取り消しをやるだけではなくして、ここに乗り込んで直接いろいろな指導を大蔵省がやっていたわけですね。そういうことを考えて、今日十三年たつんだけれども、こういう最高裁判決から考えても、この二億円を特別な大口の人のための面倒を見たという判決が出てきている。私は、大蔵省のやっていることもこれではやはり責任を免れることはできないのではないかというふうに思うんですけれども、この問題に対して大蔵省は一体どういうふうに判断をして今後考えておられるのか。労働争議としても十三年続いている内容であるだけに私は気になって仕方がない。大蔵省の姿勢を聞きたいためにあえて問題を提起する次第です。
  41. 小川是

    ○小川(是)政府委員 ただいまお話がございました高木貞証券の問題につきましては、概要おっしゃられたとおりだと思います。  私どもは、経営が悪化し債務超過の状態に陥っておりましたために、投資者保護の観点から、昭和五十五年六月に証取法の規定に基づき、免許取り消し処分を行ったところでございます。その後、同社の従業員から免許取り消し処分は不当であるとして国を相手とした損害賠償請求事件が提訴され、第一審、第二審まで終わっておりますが、いずれも行政処分の正当性が認められております。上告されまして、現在最高裁において審理中の事案でございます。  いずれにいたしましても、お尋ねにありました元従業員の雇用問題につきましては、個別の労使問題でございますから当局としてとやかく介入をすべき問題ではない、このように考えている次第でございます。
  42. 寺前巖

    ○寺前委員 もう時間がありませんのであれですけれども、この間出た最高裁の判決の方の否認権行使請求事件の法廷における調書を読んでおりますと、例えば、高木貞の川久保社長が裁判所で次のように証言をしています。  三月五日に大蔵省からの特別検査になって、人員が十名ぐらい来た。そして、現金の出納については検査官のチェックを全部受けて出し入れするようになった。許しを受けて動かすという状態でした。「三月十八日に新聞報道されて以降、京都ステーションセンター以外の顧客からも返済要求があり取り付けに近いような具合でした。こうしたお客さんへの返済は、全然大蔵省の指示が出ませんでしたので返せませんでした。当時二億円ほど資金がありましたのでそうしたお客さんへ返そうと思えば返せた状況でした。しかし、それを返還すれば京都ステーションヘは返せなくなるので、そういうところは全部ストップして、京都ステーションの二億を、有り金全部お返ししたことになります。」こういうような記述がずっと出てくるわけです。ですから、私は、大蔵省は関係ないというわけにはいかないと思うんです。  したがって、こういう責任をずっといろいろ検討されて――こういう発言もあるんですね。労働争議については、発生の原因は大蔵省がつくったものであり、また、免許取り消し前に経営者が会社更生法を申請しようとしたときに、近畿財務局の真鍋理財部長が取り下げの条件として従業員の雇用保障の約束をしていた、だから会社更生法の申請はやめたんだとか、あるいは、昭和四十年の証取法改正時の国会論議で大蔵大臣や証券局長答弁で、証取法の改正は証券に働いておる方々の将来保障のため、あるいは、不当労働行為や首切りに関係なくても私たちが企図するところではないので十分反省を促していきたい、労働問題、労使関係は非常に重要な問題、今後においても労使関係は円滑に持っていくなど、いろいろなことを当時の大臣なり局長答弁しているんです。  私はもう今日、細部は申し上げませんけれども大蔵省がかんできた事件であっただけに、今こういう問題について大蔵省としてもそれなりの関与をやってもしかるべきではないんだろうか。私は、一日も早くこういう問題についての解決を、特に小口投資家が切り捨てられたり、あるいは労働者のこういう状態を考えたときに、私は積極的な一役を買っていただいても当然ではないだろうかということを強く感じて、あえて問題を提起させていただいた次第です。  もう時間が来たようでございますので、大蔵大臣、何か御意見を聞かせていただけますか。
  43. 小川是

    ○小川(是)政府委員 お話にありました否認権訴訟問題につきましては、最高裁の判決が出たようでございますが、いずれにいたしましても、私どもは当事者ではございませんので、その内容についてとやかくのコメントを申し上げる立場にはございません。この問題につきましては、先ほど御答弁を申し上げましたのが私どもの立場でございます。
  44. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので、やめます。
  45. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これにて各件についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  46. 貝沼次郎

    貝沼委員長 平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十一件について一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。前田武志君。
  47. 前田武志

    ○前田(武)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外十一件の承諾を求めるの件について、承諾を与えることに賛成の意思を表明するものであります。  申すまでもなく、予備費は、憲法規定されているように、予見しがたい予算の不足に充てるため、内閣の責任において支出し、事後国会承諾を求めるものであります。  平成年度一般会計予備費は、湾岸地域における環境汚染対策活動に協力するために、湾岸油汚染災害基金等への拠出金などに予備費使用を決定したものであります。  次に、平成年度一般会計予備費は、平成三年に発生した雲仙岳の噴火による災害に対して島原市及び深江町が行う生活安定再建資金貸付事業への補助及び豪雨等によって災害を受けた河川等施設の復旧事業費への支出などに予備費使用を決定したものであります。  次に、平成年度一般会計予備費は、ソマリア民主共和国における人道的救援活動の安全な環境を確立するために、国際連合ソマリア信託基金への拠出金及び国際連合カンボジア暫定機構に係る分担金の国際連合への支出などに予備費使用を決定したものであります。  以上申し述べましたごとく、これらの予備費使用等は予見しがたい予算の不足に充てるために使用したものであり、承諾を与えることに賛成するものであります。  また、各年度の特別会計予備費及び特別会計予算総則に基づく経費増額につきましても、その使用等は妥当なものと認め、承諾を与えることに賛成するものであります。  最後に、政府は、今後とも予備費使用に当たっては、法規に基づいて厳正に行うことを要請して、私の賛成討論を終わります。
  48. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、時崎雄司君。
  49. 時崎雄司

    時崎委員 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、今議題となっております平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)外十一件のうち、十件については承諾を与えることに賛成、二件については反対することを表明し、以下その理由について簡単に述べさせていただきます。  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)については、その外務省分において、湾岸アラブ六カ国の協力理事会の設置する湾岸平和基金への拠出七百億円が、いわゆる湾岸戦争の対イラク戦費として使用されるおそれのあることから、この案件には反対いたします。国際紛争の解決のために、武力の使用はもとより、武力による威嚇もしてはならないという我が国憲法の立場を踏まえるならば、そのおそれがある支援の方法については極力控えるというのが日本の態度として当然と考えます。  平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)については、その総理府分において、アンゴラ人民共和国及びカンボジアにおける国連平和維持活動に協力するための国際平和協力業務の実施等に必要な経費の中で、自衛隊員八人を停戦監視員としてカンボジアに派遣したことは、戦闘に巻き込まれれば武力を行使することとなり、そうなれば憲法違反の疑いが濃厚であることから、この案件には反対いたします。私たちの日ごろの主張どおり、文民による平和協力を初め、食糧や技術の提供を他国にも増して飛躍的に拡大する方向に徹底すれば、国際社会における日本の地位もおのずから安定し、かつ向上するものと考えます。  以上の二件を除く十件については、このような問題を含むものではないので賛成いたします。  ところで、本日の承諾案件の範囲では、総理大臣の諸外国訪問に伴う費用が、サミット参加分以外は相も変わらず専ら予備費から支出されていることが事実上通例となっていることについてであります。この点については、一九九一年十一月二十五日の本委員会における討論でも私が指摘をしましたが、世界の一体化、国際化の現状では、総理に限らず政府首脳の海外出張については、予備費を頼りにせず、通常の一般会計予算で確保されるよう強く改善を求めてきたところでございます。この点、ようやく平成年度内閣所管の予算においては改善が見られたと思いますが、その確実な実行を期待して、私の討論を終わります。  以上です。
  50. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、倉田栄喜君。
  51. 倉田栄喜

    倉田委員 私は、公明党・国民会議代表して、ただいま議題となりました平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外二件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外二件、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)外一件の承諾を求めるの件について、承諾の意思を表明するものであります。  我が党は、予備費使用について憲法第八十二条に定められた財政の国会議決主義の原則に基づき、予備費使用の基本原則を主張してきました。予備費使用は、憲法及び財政法にも明記されているように、「予見し難い予算の不足」に限定されるべきものであることは言うまでもありません。その使途目的及び個々支出金額は未定のまま国会審議を経ている事前議決の原則の例外であります。したがって、可能な限り当初予算により国会審議を得るようにすべきであります。  そのような視点から見ると、平成年度予備費事項の主たるものにつきましては、義務教育費国庫負担金の不足を補うために必要な経費、結核医療費負担金に必要な経費、療養給付費等補助金の不足を補うために必要な経費などであり、また、平成年度予備費事項の主たるものにつきましては、河川等災害復旧事業、山林施設災害復旧事業等に必要な経費、義務教育費国庫負担金の不足を補うために必要な経費、湾岸地域における平和と安定の回復のための活動に対する支援に必要な経費、国際連合災害救済調整基金拠出金支払いに必要な経費、国際連合カンボジア暫定機構に係る分担金の支出に必要な経費などであるとともに、さらに、平成年度予備費事項の主たるものにつきましても、国際連合カンボジア暫定機構に係る分担金の支出に必要な経費、ソマリア民主共和国における人道救援活動の安全な環境を確立するための活動に対する協力に必要な経費などであり、これらはいずれも緊急やむを得ないものであると考えます。  しかしながら、一般会計予備費使用状況を見ても、平成年度予算修正による予備費の減額を除いて、平成年度、四年度予備費は従来どおり補正で減額されており、計上金額に特別の決定基準は存在しておりません。ゆえに、巨額の予備費を計上すること、また、恒常的に予備費の補正財源化を図ることは、決して好ましいものではありません。予備費の計上については、できる限り当初予算編成時に正確な見積もりを行うべきであります。また、予備費をほとんど使用しない特別会計勘定にあえて予備費を計上し続けることはいかがなものか、かねてから指摘をしているところでありますが、改善の姿勢が見られないのは極めて遺憾であります。  予算をめぐる環境の変化に伴って予備費についても不断の見直しは不可欠であります。今後の課題として、予備費計上の必要性、計上金額の相当性を十分吟味する必要があることを指摘し、私の討論を終わります。
  52. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、寺前厳君。
  53. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました予備費承諾案件のうち、平成年度一般会計予備費使用調書(その2)、同年度特別会計予備費使用調書、(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書(その1)及び(その2)、平成年度一般会計予備費使用調書(その1)の五件について、不承諾の意を表明いたします。  これらの予備費使用の主なものは、退職手当、災害経費、社会保障関係費、教育関係費、損害賠償経費、選挙経費等々であり、当初予算で十分措置しておくべきものなどの問題はありますが、いずれも必要な経費であり、予備費使用目的は承諾できるものであります。  しかし同時に、本予備費使用調書の中には、我が党が認めることのできないものが幾つか含まれています。例えば、PKOによるカンボジアなどへの派遣費用、UNTACへの分担金、総理の一連の外国訪問に要した経費、皇室の外国訪問費、外国為替等差損の補てん経費等々であります。  PKOによる自衛隊海外派兵は、憲法の平和原則に対する真正面からの攻撃で、戦後の日本の進路の根本的変更にかかわる重大問題であります。これらの内容を持つ自衛隊の派遣費用予備費支出は断じて認めるわけにはいきません。また、総理の一連の外国訪問は、米輸入自由化を初めとする日米経済摩擦の問題でのアメリカの特権的要求の押しつけを受け入れた九一年四月の日米首脳会談のための訪米費等々が含まれており、容認することはできません。さらに、憲法が禁じている天皇の政治的利用となった中国訪問や、日本経済に大きな被害をもたらし、円高危機を誘導しかねない内容を持っ外国為替等売買差損の補てん経費などの予備費支出は認めることはできません。  以上のような不当な予備費使用を含むこれらの調書承諾することに、我が党は反対であります。  平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書外七件は、郵政省職員の能率向上によって業務収入が当初予算より増加したため、その増加額の一部に相当する金額を特別給与の支出に充てるため等のものであり、使用目的、予備費使用等の理由は特に問題がないと認められるので、承諾いたします。  以上で私の討論を終わります。
  54. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  55. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより採決に入ります。  まず、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、以上の各件について採決いたします。  各件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  56. 貝沼次郎

    貝沼委員長 起立多数。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、平成年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書平成年度特別会計予算総則第十二条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)、平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、平成年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その2)、平成年度特別会計予算総則第十四条に基づく経費増額調書及び各省庁所管経費増額調書(その1)、以上の各件について採決いたします。  各件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 貝沼次郎

    貝沼委員長 起立総員。よって、各件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  次に、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)、平成年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)の両件について採決いたします。  両件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  58. 貝沼次郎

    貝沼委員長 起立多数。よって、両件は承諾を与えるべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 貝沼次郎

    貝沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  60. 貝沼次郎

    貝沼委員長 平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省所管国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行並びに運輸省所管について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  各件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事小島邦夫君、同じく企画局長山口泰君、日本国有鉄道清算事業団理事長西村康雄君、同じく理事荘司晄夫君、同じく理事杉田昌久君及び金融制度調査会金融機関のディスクロージャーに関する作業部会長代理宮本保孝君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 貝沼次郎

    貝沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、大蔵大臣、運輸大臣及び公庫当局等の概要説明並びに会計検査院の検査概要説明につきましては、これを省略し、本日の委員会議録に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 貝沼次郎

    貝沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ―――――――――――――    平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書に関する説明  平成年度大蔵省主管一般会計歳入決算並びに大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入決算について申し上げます。  平成年度の収納済歳入額は六十四兆九千六百二十七億四千百十三万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと七千三百六十九億九十六万円余の増加となっております。  以下、歳入決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、租税及印紙収入でありますが、その決算額は五十三兆二千七百七十八億六千三百五十九万円余で、これを予算額と比較いたしますと六千四十八億六千三百五十九万円余の増加となっております。これは、所得税等において課税額の伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、その決算額は六兆六千三百八十五億四千六百四十三万円余で、これを予算額と比較いたしますと四千七百二十四億五千三百五十六万円余の減少となっております。これは、租税収入等が見積りより増収となることが見込まれたこと等により、公債の発行額を予定より減額したことによるものであります。  以上のほか、官業益金及官業収入百十三億四千四百五十七万円余、政府資産整理収入三千二十億八千三百二十一万円余、雑収入一兆五千九百六十五億八千五百十三万円余、前年度剰余金受入三兆一千三百六十三億一千八百十七万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し上げます。  平成年度の歳出予算現額は十四兆五千六百七十五億七千百三十二万円余でありまして、支出済歳出額は十四兆三千九百八十一億一千八百九十八万円余、翌年度繰越額は三百十七億三千五百三十六万円余でありまして、差引き、不用額は一千三百七十七億一千六百九十八万円余となっております。  以下、歳出決算のうち、主な事項についてその概要を申し上げます。  第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計へ繰り入れるため十二兆八百九十七億九千三百三十七万円を支出いたしましたが、これは、一般会計の負担に属する国債の償還及び利子等の支払並びにこれらの事務取扱費の財源に充てるためのものであります。  第二に、産業投資特別会計へ繰入につきましては、同会計の社会資本整備勘定へ繰り入れるため一兆二千二百八十五億八千九百七十四万円余を支出いたしましたが、これは、貸付け等の財源に充てるためのものであります。  第三に、政府出資につきましては二千四百九十一億円を支出いたしましたが、これは、海外経済協力基金等への出資であります。  第四に、経済協力費につきましては七百六十一億七千六百三十六万円余を支出いたしましたが、これは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。  この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国の国内事情等のため二百九十五億八百万円が翌年度へ繰越しとなっております。  以上申し述べました経費のほか、国家公務員等共済組合連合会等助成費、国庫受入預託金利子、公務員宿舎施設費、国際復興開発銀行出資、国際金融公社出資、一次産品共通基金出資、米州投資公社出資、国民金融公庫補給金、特定国有財産整備費及び特定国有財産整備諸費として八百億五千百四十九万円余、並びに一般行政を処理するための経費として六千七百四十四億八百万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費につきましては二十二億二千七百三十六万円余が翌年度へ繰越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算についてその概要を申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきまして収納済歳入額は四百四億九百九十七万円余、支出済歳出額は三百九十億四千七百二十四万円余でありまして、損益計算上の利益は一千五百十八万円余であります。  この会計の主な事業である貨幣の製造につきましては、五十五億五千万枚、額面金額にして二千百四億二千万円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計におきまして収納済歳入額は八百九十六億三千九百八十三万円余、支出済歳出額は七百二十九億三千四百九万円余でありまして、損益計算上の利益は百四十六億六千五百九十九万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券の製造につきましては、三十二億四千万枚、額面金額にして十二兆二千六百億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、外国為替資金、産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計の歳入歳出の決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  最後に、各政府関係機関決算書についてその概要を申し上げます。  まず、国民金融公庫におきまして収入済額は三千七百五十三億九千三百五十万円余、支出済額は三千四百十三億八千八百三十三万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫の貸付けにつきましては、七十三万件余、金額にして三兆二千二百億五千百九十八万円余を貸し付けました。  このほか、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  以上が平成年度における大蔵省関係の決算の概要であります。これらの詳細につきましては、さきに提出しております平成年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御了承願いたいと存じます。  なお、会計検査院の検査の結果、不当事項として税務署における租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったこと等の御指摘を受けましたことは、誠に遺憾に堪えないところであります。これらにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務の合理化と改善に努めたいと存じます。  何とぞよろしく御審議の種お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算大蔵省についての検査の概要に関する主管局長説明            会 計 検 査 院  平成年度大蔵省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件であります。  検査報告番号三号は、租税の徴収に当たり徴収額に過不足があったものであります。  これらの徴収過不足の事態は、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤っているのに、課税資料の収集や活用が的確でなかったり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、これを見過ごしたりして、誤ったままにしていたことなどにより、徴収額に過不足を生じていたものであります。  また、検査報告番号四号は、資金運用部資金の貸付額が過大になっているもので、貸付先の県において、貸付けの対象とならない事業費を貸付対象事業費に含めていたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ―――――――――――――    平成年度業務概況                国民金融公庫  国民金融公庫平成年度の業務の概況についてご説明申し上げます。  平成年度のわが国経済は、個人消費や民間設備投資など内需が堅調に推移したこと等から引き続き拡大局面にありました。こうしたなかで、中小企業の景況は総じて堅調な動きを見せましたが、需要の多様化・高度化への対応を迫られたほか業種や地域によっては人手不足が深刻化するなど中小企業をとりまく経営環境には厳しいものがありました。  このような状況のもとで、当公庫は、貸付限度の引き上げ等により中小企業金融の円滑化のために積極的に対処いたしました。  平成年度の貸付につきましては、計画三兆五千十六億円に対しまして、三兆二千二百億五千百九十八万円余の実行をいたしました。  貸付種類別に貸付の実績を申し上げますと、普通貸付は、五十三万件余三兆五百三十四億三千六百三十万円余、恩給担保貸付は、九万七千件余七百十八億四千五百八十万円余、記各国債担保貸付は、百五十四件三千四百二十万円余、進学資金貸付は、十万六千件余九百三十億四千四十二万円余となりました。  なお、普通貸付の貸付実績のなかには、生鮮食料品等小売業近代化資金貸付、商業近代化等資金貸付等の特別貸付が、二万七千件余一千六百五十一億一千七百十七万円余、小企業等経営改善資金貸付が、十万四千件余二千八百四十八億三千三百六十四万円含まれております。  一方、元年度において貸付金の回収が、二兆五千六百一億七千八百四十二万円余、貸付金償却が、九十億三百九十九万円余ありましたので、元年度末現在の総貸付残高は、二百十五万三千件余六兆三千六十五億九千百四十万円余、となり、前年度末残高に比べますと、六千五百八億六千九百五十七万円余、十一・五パーセントの増加となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、元年度末において延滞後六カ月以上経過したものが、一千四百八十六億二千四百四十四万円余でありまして、総貸付金残高に対する割合は、二・四パーセントとなっております。  平成年度の貸付に要した資金は、三兆一千九百六十四億八百四十八万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金二兆一千四百億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金二千九百億円、一般会計からの借入金六十五億円のほか、貸付回収金等七千五百九十九億八百四十八万円余をもってこれに充てました。  受託業務につきましては、環境衛生金融公庫からの受託貸付は、元年度における貸付の実績が、三万八千件余一千七百二十三億二千六十二万円、回収額が、一千四百三十七億六千六百三十五万円余となり、元年度末貸付残高は、二十四万三千件余五千百八十億二百五十六万円余となっております。また、労働福祉事業団からの受託貸付の元年度における貸付の実績は、百三十九件二億五百五十二万円となっており、年金福祉事業団からの受託貸付の元年度における貸付の実績は、千三百十六件十四億五百九十四万円となっております。  最後に、元年度の収入支出決算及び損益の計算について申し上げます。  まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済額は、三千七百五十三億九千三百五十万円余、支出済額は、三千四百十三億八千八百三十三万円余となりました。  次に、損益の計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は、三千八百五十八億三千五百十万円余、借入金利息、事務費、貸倒引当金繰入等の総損金は、三千八百五十八億三千五百十万円余となりました。この結果、利益金は生じなかったので、国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、平成年度の業務概況のご説明を終らせていただきます。     …………………………………    平成年度決算国民金融公庫についての検査の概要に関する主管局長説明             会 計 検 査 院  平成年度国民金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    日本開発銀行平成年度の業務概要  平成年度における日本開発銀行の業務の概要についてご説明申しあげます。  一、先ず、元年度資金運用計画は、当初計画として一兆三千九百三十億円を予定しておりました。  これに対し、元年度中の運用額は、出融資実行額が一兆四千九十一億三千三百五十万円となっております。  これの項目別内訳は、資源エネルギー三千八百六十六億二千五百万円、技術振興二千二十五億一千百五十万円、海運・航空機九百九十一億二千四百万円、都市開発二千五百八十六億六千六百万円、地方開発一千四百五十六億八千万円、国民生活改善六百四十五億五千万円、基幹鉄道整備一千百五十億円、産業構造調整五百二十六億四千万円、その他四百二十二億二千万円、社会資本整備促進四百二十一億一千七百万円であります。  以上の元年度の運用額の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金九千九百三十一億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金五百六十九億円と貸付回収金等三千五百九十一億三千三百五十万円をもってこれに充てました。  二、次に元年度の出融資運用の特色を申しあげますと、  (1) 資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、水力発電・液化ガス発電等電源多様化をはかるための融資、石油産業集約化、石油及びLPG備蓄タンク等に対する融資、都市ガス原料の液化ガスへの転換に係る設備に対する融資、石油代替エネルギーの利用の促進のための融資の他、産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を引き続き行ったこと  (2) 技術振興については、わが国における技術開発力の強化及び技術水準の向上ならびに経済社会の情報化の健全な発展をはかるため、産業技術振興融資、情報化促進出融資等を引き続き行ったこと  (3) 海運・航空機については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から計画造船による外航船舶の拡充整備の推進のため引き続き融資を行うとともに、航空事業の健全な発展に資するため航空機の導入等に対し引き続き融資を行ったこと  (4) 都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備、流通機構の近代化に寄与する事業等に対し引き続き出融資を行ったこと  (5) 地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のため引き続き出融資を行うとともに、地方都市圏の機能整備、地方適地産業の育成、工業の適正配置の促進について特に留意したこと  (6) 国民生活改善については、公害防止推進のための融資、重度障害者の雇用施設等福祉対策に関する融資及び食品供給体制の近代化のための融資を引き続き行ったこと  (7) 基幹鉄道整備については、基幹鉄道の整備を図るために必要な安全防災対策、輸送力増強工事等に対し融資を引き続き行ったこと  (8) 産業構造調整については、特定事業者の事業転換及び特定地域の活性化を図るための融資を引き続き行ったこと  (9) その他については、「輸入体制整備・対日投資促進」、「航空輸送施設」等の融資を引き続き行ったこと  (10) 社会資本整備促進については、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用により、社会資本の整備促進を図るための融資を引き続き行ったことなどがあげられます。  三、次に元年度における既往貸付の回収は、八千九百二十三億九千六百四十一万円余となっております。  なお、元年度は、貸付金の債権償却は行わず、この結果、元年度末における出融資残高は、八兆九千九百六十億一千三十九万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、元年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は二百七十八億九千四百五十四万円余で、前年度末に比して八億二千九百二十一万円余の増加となっております。  貸付残高に対する割合は、〇・三パーセントとなっております。  四、また、元年度において、新規の外貨債務の保証はなく、年度末保証残高は百九十七億三千二十四万円余となっております。  五、最後に、元年度決算の概要について説明いたしますと、三百七十九億七千四百七十二万円余の純利益を計上し、このうち二百六十九億五百五十五万円余を法定準備金として積立て、残額百十億六千九百十六万円余を国庫へ納入しました。  以上、元年度における日本開発銀行の業務の内容につきましてご説明申しあげた次第でございます。     …………………………………    平成年度決算日本開発銀行についての検査の概要に関する主管局長説明             会 計 検 査 院  平成年度日本開発銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    日本輸出入銀行平成年度業務概況              日本輸出入銀行  一、平成年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要をご説明申し上げます。  まず、平成年度年度当初の事業計画において一兆千三百三十億円の貸付、出資および外国公債の取得を予定いたしました。  これに対し平成年度の貸付額および外国公債の取得額の実績は一兆二千百三十八億八千二百三十六万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額を七パーセント程上回りました。  なお、この平成年度の貸付額および外国公債の取得額を昭和六十三年度の貸付額および外国公債の取得額九千八百六十八億六千三百八十四万円余に比較いたしますと二十三パーセント程度の増加となっております。  以下、平成年度の貸付額および外国公債の取得額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金の貸付は、七百三十八億八千三万円余で、昭和六十三年度の千百五十八億二千九百八十万円余に対し、四百十九億四千九百七十六万円余の減少となりました。これは、プラントの輸出に対する貸付が低調に推移したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金の貸付は、千四百三億七千八百万円で、昭和六十三年度の千三百七十一億九千四百七十六万円に対し、三十一億八千三百二十四万円の増加となりました。これは、資源開発に対する貸付が減少したものの、製品輸入に対する貸付が増加したことによるものであります。  また、海外投資資金の貸付は、三千二百八十二億四千百三十二万円余となり、昭和六十三年度の二千八百十九億五千百九十五万円余に対し、四百六十三億八千九百三十七万円余の増加となりました。これは、製造業投資等に対する貸付が増加したことによるものであります。  このほか、外国政府・外国法人等に対する直接借款に係る貸付および外国公債の取得は、六千七百十二億八千二百九十九万円余で、昭和六十三年度の四千五百十八億八千七百三十二万円余に対し、二千百九十三億九千五百六十七万円余の増加となりました。これは、アンタイドローン等の貸付が増加したことによるものであります。  以上の結果、平成年度末の貸付残高および外国公債の取得残高は、五兆七千三百二十六億九千六百七十六万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六箇月以上経過した元金延滞額は、九百十二億七千六百十万円余となっております。  平成年度の貸付資金および外国公債の取得資金の原資といたしましては、資金運用部資金からの借入金一兆百五十九億円、簡易生命保険及郵便年金の積立金からの借入金四百六十一億円のほか、自己資金等千五百十八億八千二百三十六万円余をもってこれにあてました。  以上申し述べました業務の運営により平成年度一般勘定の損益計算上における利益は、三千四百二十三億二百七十一万円余、これに対し損失は、三千五十五億四百七十万円余となりました。  この結果、平成年度一般勘定利益金は三百六十七億九千八百万円余となりました。  一般勘定利益金は、法令の定めるところに従いうち百七十一億五百五万円余を法定準備金として積立て、残額百九十六億九千二百九十五万円余を国庫に納付いたしました。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、平成年度の特別勘定の損益計算上、三億三千九百九十四万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積立てました。  二、以上、平成年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、ご説明申し上げました。     …………………………………    平成年度決算日本輸出入銀行についての検査の概要に関する主管局長説明            会 計 検 査 院  平成年度日本輸出入銀行決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     ―――――――――――――    平成年度決算概要説明書                運 輸 省  平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管の歳入でありますが、歳入予算額二十四億二千二百七十一万円余に対し、収納済歳入額は二十九億一千三百七十三万円余であり、差引き四億九千百二万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計の歳出でありますが、歳出予算現額一兆四千百六十三億七千七百二十三万円余に対し、支出済歳出額は一兆三千九百三億二千三百三十万円余でありまして、その差額二百六十億五千三百九十二万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は百八十七億四千四百十九万円余であり、不用となりました額は七十三億九百七十三万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず、第一に、自動車損害賠償責任再保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は二兆六千九百六十八億四百八十二万円余であり、支出済歳出額は四千六百十六億二千二百八十万円余でありまして、差引き二兆二千三百五十一億八千二百一万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済歳入額は四千百十八億二千二百四十五万円余であり、支出済歳出額は四千六十六億六千百四十四万円余でありまして、差引き五十一億六千百万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済歳入額は四百三十七億六千百四万円余であり、支出済歳出額は三百四十二億七千百七十五万円余でありまして、差引き九十四億八千九百二十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済歳入額は三千九百七十八億九百七十五万円余であり、支出済歳出額は三千二百一億八千三百三十七万円余でありまして、差引き七百七十六億二千六百三十八万円余の剰余を生じ、この剰余金は、翌年度の歳入に繰り入れました。  以下、部門別に主要な事項につきまして、御説明申し上げます。  まず、国鉄改革の推進・定着化対策について申し上げます。  第一に、旅客鉄道株式会社等に対し、踏切保安設備整備費補助金として二億四千九百六十五万円余、鉄道防災事業費補助として十九億二千百六十六万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故の防止及び防災対策のための諸設備の整備を図りました。  第二に、日本国有鉄道清算事業団に対し、日本国有鉄道清算事業団補助金として六千百億円、特定地方交通線特別交付金として百八十三億六千二百万円を交付いたしました。これによりまして、過去債務に係る利子負担の軽減及び特定地方交通線のバス転換等の促進を図りました。  次に、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備促進について申し上げます。  第一に、空港整備につきましては、第五次空港整備五か年計画の第四年度として、空港整備特別会計において三千二百一億八千三百三十七万円余を支出いたしました。  このうち、主な事項について申し上げますと、まず、関西国際空港株式会社に対する政府出資等として二百三十三億七千六十三万円余を支出いたしました。これによりまして、関西国際空港の整備を推進いたしました。  次に、新東京国際空港公団に対する政府出資等として百九十一億二千三十九万円余を支出いたしました。これによりまして、新東京国際空港の整備を推進いたしました。  次に、東京国際空港の沖合展開事業として六百九十七億九千三十八万円余を支出いたしました。これによりまして、沖合展開事業の整備を推進いたしました。  次に、国内空港の整備を図るため七百二十九億五百一万円余を支出いたしました。これによりまして、東京、大阪両国際空港及び福岡空港ほか八十一空港の整備を実施いたしました。  次に、公共用飛行場周辺における航空機騒音障害防止のため二百五十三億四千七百二十八万円余を支出いたしました。これによりまして、特定飛行場の周辺における移転補償、民家、教育施設等の防音工事等を行いました。  以上によりまして、航空輸送力の増強等に対処するとともに、航空の安全の確保と環境の整備を推進いたしました。  第二に、港湾整備につきましては、第七次港湾整備五か年計画の第四年度として、港湾整備特別会計において四千六十六億六千百四十四万円余を支出いたしました。  このうち、港湾整備勘定においては三千九百七十六億七百九十八万円余を支出し、直轄港湾改修事業として百二十一港、十五航路及び七海域の工事を、港湾改修種補助事業として七百五十九港の工事を実施したほか、海水油濁防止施設整備補助事業、港湾公害防止対策補助事業、港湾環境整備補助事業及び港湾事業調査補助事業等を実施いたしました。さらに、港湾改修及び港湾環境整備等の促進を図るため、百十七港及び一海域について港湾事業資金の貸付を実施いたしました。  特定港湾施設工事勘定においては九十億五千三百四十五万円余を支出し、エネルギー港湾施設工事として五港、物資別専門埠頭港湾施設工事として一港、の工事をそれぞれ実施いたしました。  以上によりまして、貨物輸送の合理化、海上輸送の安定性の向上、海外に依存する各種資源の安定的確保、地域振興のための基盤施設の整備、豊かな生活空間の形成、港湾利用の高度化等を図りました。  第三に、海岸事業につきましては、第四次海岸事業五か年計画の第四年度として二百七十九億八千四百八十三万円余を支出し、海岸保全施設整備事業として直轄事業四海岸、補助事業四百十三海岸、海岸環境整備補助事業として五十八海岸、公有地造成護岸等整備補助事業として六海岸の工事を実施いたしました。これによりまして、海岸保全施設等の整備を促進いたしました。  また、港湾施設災害復旧事業及び港湾施設災害関連事業として三十八億七千四百六十一万円余を支出し、補助事業二百六十三か所の工事を実施いたしました。これによりまして、港湾及び海岸の災害復旧を促進いたしました。  第四に、鉄道につきましては、日本鉄道建設公団に対し、日本鉄道建設公団工事費補助金として百六十億三千二百五十四万円余、日本鉄道建設公団整備新幹線難工事推進事業費補助金として七億一千万円、日本鉄道建設公団整備新幹線建設推進準備事業費補助金として二十五億六千五百二十二万円余、日本鉄道建設公団補給金として百十九億三千三百十六万円余を交付いたしました。これによりまして、地方鉄道新線の建設並びに整備新幹線の難工事推進事業及び建設推進準備事業を行うとともに、旅客鉄道株式会社への貸付線及び大都市圏の鉄道事業者への譲渡線の資本費負担の軽減を図りました。  このほか、新幹線鉄道整備事業に係るNTT株売払収入を活用した無利子貸付金として、産業投資特別会計の歳出予算から同公団に対し八億九千二百万円の貸付を実施いたしました。これによりまして、北陸新幹線高崎・軽井沢間の建設に本格的に着工いたしました。  また、幹線鉄道活性化事業費補助金として、山形ジェイアール直行特急保有株式会社及び北越急行株式会社に対し八億二十万円を交付いたしました。これによりまして、幹線鉄道の新幹線との直通運転化等のための工事を実施いたしました。  さらに、特定地方交通線代替輸送事業運営費補助金として、白糠町ほか二十九事業者に対し十三億一千五百六十六万円余、特定地方交通線転換鉄道等運営費補助金として、阿武隈急行株式会社ほか二十事業者に対し四億六千八百四十万円余を交付いたしました。これによりまして、特定地方交通線の代替輸送を確保いたしました。  次に、運輸関係社会資本の整備と相まって形成される交通ネットワークの整備促進について申し上げます。  第一に、地下高速鉄道建設費補助金として、東京都ほか一県八市に対し一千四百四十九億七千五百六十二万円余を交付いたしました。これによりまして、帝都高速度交通営団ほか九事業者による地下高速鉄道網の整備を促進いたしました。  第二に、ニュータウン鉄道建設費補助金として、神戸市に対し四億三千六百十四万円余を交付いたしました。これによりまして、西神ニュータウンにおける鉄道の整備を促進いたしました。  第三に、バス交通活性化対策費補助金として、青森市交通部ほか七事業者に対し三億六千五百五十八万円を交付いたしました。これによりまして、バス輸送サービスの改善のための施設の整備等の促進を図りました。  第四に、鉄道軌道整備費等補助金として、遠州鉄道株式会社ほか二十九事業者に対し八億四千百三十万円余を交付いたしました。これによりまして、中小民鉄の維持改善を図り、地域住民の利便を確保いたしました。  第五に、踏切保安設備整備費補助金として、新潟交通株式会社ほか二十一事業者に対し一億一千八十八万円余を交付いたしました。これによりまして、踏切事故の防止を図りました。  第六に、地方バス路線維持費補助金として、北海道ほか四十五都府県に対し百一億八千九百六十九万円を交付いたしました。これによりまして、地方における乗合バスの運行を確保し、民生の安定に寄与いたしました。  第七に、離島航路補助金として、百二十一航路を経営する百十四事業者に対し三十五億三千四百七十一万円余を交付いたしました。これによりまして、離島航路の輸送力を確保し、民生の安定と向上に寄与いたしました。  次に、造船・海運対策及び船員雇用対策について申し上げます。  まず、造船業経営安定対策について申し上げます。  第一に、造船業基盤整備事業協会に対する補給金として四億三百万円を交付いたしました。これによりまして、造船業の過剰設備の処理に伴う業務の円滑な推進を図りました。  第二に、造船業基盤整備事業協会に対し、次世代船舶研究開発費補助金として七億三千百八万円を交付いたしました。これによりまして、同協会が実施する次世代船舶研究開発促進業務の円滑な推進を図りました。  次に、海運対策について申し上げます。  第一に、外航海運対策の推進のため、昭和五十四年度から五十六年度の間に締結した外航船舶建造融資利子補給契約に基づき、外航船舶建造融資利子補給金として、日本興業銀行ほか二十五行の一般金融機関に対し三億七千六百四十九万円余、日本開発銀行が昭和六十二年度以降の海運会社の利子補給金相当額の利子支払いを猶予することに伴い、外航船舶建造融資利子猶予特別交付金として、同行に対し七億一千六十九万円余を交付いたしました。  第二に、船舶整備公団が行う業務の円滑な運営に資するため、同公団の借入金に係る利子の一部を補給する補給金として、同公団に対し十二億三千三百十一万円余を交付いたしました。  次に、船員雇用対策について申し上げます。  最近における船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用促進対策事業として七億七千六百五十万円余を支出いたしました。これによりまして、離職船員の雇用の促進等を図りました。  次に、国際交流の推進・観光の振興について申し上げます。  第一に、日本人の海外旅行を促進することにより、国際相互理解の増進、国際収支のバランスの改善等を図るため、東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター等に対し三億二千二百四十一万円余を支出いたしました。これによりまして、観光関係の国際協力を推進いたしました。  第二に、「九十年代観光振興行動計画」の推進に関連して、国際観光振興会に対し、国際観光事業費補助金として二十億一千四百二十九万円余を交付いたしました。これによりまして、海外観光宣伝事業の充実等国際観光振興会の業務の充実を図りました。  また、観光基盤施設整備費補助金として、新潟県ほか一道十四県に対し二億九千百万円を交付いたしました。これによりまして、自然に親しむ観光レクリエーション活動の場としての家族旅行村と来訪外客による伝統的地域文化の体験・地域住民との交流の場としての国際交流村の整備を促進いたしました。  次に、貨物流通関係について申し上げます。  貨物流通対策を推進するため一千七百三十六万円余を支出いたしました。これによりまして、物流ネットワークシティー構想を推進するための調査を行いました。  次に、運輸関係の技術開発の推進について申し上げます。  財団法人鉄道総合技術研究所に対し、鉄道技術開発等委託費として三億五千二百六十五万円余、鉄道技術開発費補助金として八億七千九百六十八万円余を支出いたしました。これによりまして、超電導磁気浮上方式鉄道に係る技術開発をはじめとする鉄道技術開発の促進を図りました。  また、運輸の分野における広範な人工衛星の利用要請に応えるため三千六百四十八万円余を支出いたしました。これによりまして、多目的な機能を有する衛星システムの開発のための調査研究並びにそのための実証実験を行いました。  次に、海上保安体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、「海上における捜索及び救助に関する国際条約」の発効、日米原子力協定に基づくプルトニウム海上輸送の護衛実施、国際的な新海洋秩序形成の動き等に対応し、広大な周辺海域における航行安全体制の確立、海上における犯罪予防及び鎮圧、我が国の権益を確保することを目的として、広域的哨戒体制等の整備を推進するため百八十二億六千三百三万円余を支出いたしました。これによりまして、引き続き巡視船四隻、中型測量船一隻の建造、航空機二機の整備及び海上保安通信体制の整備並びに管轄海域画定のための諸調査等を行ったほか、新たに、巡視艇二隻の増強を行うとともに、巡視船二隻の代替建造、巡視船一隻及び航空機二機の増強に着手いたしました。  第二に、航路標識の整備を図るため七十五億三千七百九十四万円余を支出いたしました。これによりまして、灯台等光波標識百二十四基、マイクロ波標識局三局及び海上交通情報機構一部の整備並びに既存航路標識の改良改修を行いました。  次に、気象業務体制の充実・強化について申し上げます。  第一に、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化を図るため四十二億一千九百九十二万円余を支出いたしました。これによりまして、静止気象衛星業務の推進、アメダス等地上気象観測施設及び気象レーダー観測網等の整備を行いました。  第二に、地震・津波対策及び火山対策の強化を図るため二億二千六十四万円余を支出いたしました。これによりまして、地震観測施設及び火山観測施設の整備等を行いました。  第三に、気候変動対策の強化を図るため一億七百七十一万円余を支出いたしました。これによりまして、観測体制の整備を行いました。  以上をもちまして、平成年度運輸省所管一般会計及び特別会計の決算の概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。     …………………………………    平成年度決算運輸省についての検査の概要に関する主管局長説明            会 計 検 査 院  平成年度運輸省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項二件であります。  その一は、岸壁築造工事等における揚土費の積算に関するものであります。  運輸省では、港湾施設の整備工事を毎年多数実施しておりますが、これら工事で浚渫した土砂を揚土船を使用して揚土する場合の揚土費の積算方法が積算の基準に定められておらず、施工の実態を反映した積算をしていなかったため、揚土費の積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、積算の基準を整備し、施工の実態に即した積算をする処置を講じたものであります。  その二は、住宅騒音防止工事に用いるアルミサッシの仕様に関するものであります。  運輸省では、航空機騒音の著しい区域に所在する住宅の騒音防止工事を実施する者に補助を行っている事業主体に対し、国庫補助金を交付しておりますが、近年、騒音防止工事に用いる木造住宅用のアルミサッシにも所要の遮音性を有する廉価なものが市販されてきているのに、仕様の見直しを行っていなかったため、アルミサッシの製品費の積算額が過大になっていると認められましたので、当局の見解をただしましたところ、運輸省では、工事標準仕様書を改正し、木造住宅については所要の遮音性を有する木造住宅用の防音アルミサッシを使用する処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。     ―――――――――――――
  63. 貝沼次郎

    貝沼委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田武志君。
  64. 前田武志

    ○前田(武)委員 最初に運輸大臣並びに運輸省に質疑をさせていただきます。  きょうも何かニアミス事故が報道されておったようでございますが、先般の花巻空港の事故でございます。  事故に遣われて負傷された方々、この場をかりて、衷心よりお見舞いを申し上げる次第であります。  事故のことについては今鋭意調査をされておられるというふうに承知しておりますが、あれだけの機体がほとんど焼け落ちるような事故でありながら死者が出なかったというのは、私は不幸中の幸いであった、こういうふうに思います。テレビや新聞の報道等を見ておりますと、中の乗客等、なかなか冷静沈着に脱出をしたというところが大事に至らなかったということだろうと思います。  こういった事故にかんがみ、私も飛行機に乗るときにはどこから救出口があるのかなというようなことを見たりもするわけでございますが、よく言われることは、ああいう事故の場合に機内に発生する火災、特に煙に巻き込まれるだとか、そして非常に早く、煙突効果というのですが、早い時間のうちに機内が火に包まれる、そのために大きな事故になるというふうに聞いておるわけなんでございますが、その辺を今回は避けることができたというところが死者が出るに至らなかったという結果になったというふうに思います。その辺のことも踏まえまして、運輸省の方、まだ中途段階だとは思いますけれども、こういった経験を踏まえて、今後こういった事故のときに安全を確保し得るような基本的な対応策といったものを練っておられるかどうかその点に関して御答弁を願います。
  65. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先般の花巻空港の事故、まことに遺憾であります。負傷された方々には心からお見舞いを申し上げますとともに、乗り合わせた方々には深くおわびを申し上げる次第であります。  あの事故は全く人為的な事故だ、こういうふうに思っております。操縦士、副操縦士、規程上副操縦士が操縦をしてはいけない、こういう規程になっておるにもかかわらず副操縦士に操縦をさせた、こういうことであろう。もちろん風もきつかったようであります。第一番にJASに対しまして、またその他の航空会社に対しましても、口頭であるいは文書で注意をしております。しかし、今航空事故調査委員会で調査をいたしておりますので、その原因その他が確定した時点で改めて措置をしていこう、こういうふうに思っております。  お説のように、死者が出なかったぞということは不幸中の幸いであります。これはやはり、乗務員あるいは乗客も、いろいろ言っておりますけれども、私は沈着に行動をしてくれた、こういうふうに思っておるのであります。  今後の対策等については政府委員の方から答弁をいたさせますが、こういう事故が起きないように、厳重に今後措置をしていこう、こういう考え方であります。
  66. 前田武志

    ○前田(武)委員 結構でございます。とにかく、こういった事故が、二度と同質の事故が起きないように、ぜひこの教訓を生かして指導を願いたいと思います。  さて、今度は車の方の事故でございますが、五年続けて死者が一万人以上超えているというふうに聞いております。御承知のように、もう本当に車社会になっておりまして、我々地元へ戻りますと、むしろこの東京であるとか大阪であるとかマストランスポーテーションの発達している大都会と違いまして、田舎に行けば行くほどもう本当に卓抜きには日常の生活ができないというところまでいっておるわけでございまして、そういう中で、車を中心とする交通安全対策というものの重要性は、特に高齢化社会を迎えてますます重要になってくると思います。やはり今の御婦人方、そしてもちろん若い方々はそうでございますが、お母様方もほとんどが車を利用されております。そういう方々、そして我々も、高齢化してもやはり車を前提としたそういうコミュニティーというものでありますから、これからの社会というものは、そういう車の安全性、あるいは道路等交通のそういう仕組みといったものにおいてもその安全性というものの確保というものが非常に重要になってくる、こういうふうに思う次第であります。  そういう中で、自動車の安全等を確保して、公害、まあ排ガスの問題等もあるわけでございますが、今申し上げたようなことを背景として、運輸省の方で、政府の方で自動車交通の安全あるいはその公害の防止、そういったものに対してどのような対応を今考えておられるか、ごく大要で結構でございますから、御答弁を願います。
  67. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、交通事故、近年大変ふえておりまして、御指摘のように、五年続けて一万人、四年続けて一万一千人という大惨事になっているわけでございます。特に、先生御指摘の高齢化対策につきましては、先般運輸技術審議会の答申に基づきまして、高齢者に見やすい計器盤であるとか、そのような安全基準も定めたところでございまして、こういった安全及び公害の基準を道路運送車両法の体系の中で定めておりまして、この基準に適合した車が製作され、あるいは販売されるよう、国が確認しておるところでございます。  また、一たん売られました、市場に出た後におきましては、こういった車が適切に維持管理されますように自動車の検査、いわゆる車検でございますが、車検あるいは日ごろの点検整備の励行、こういうことで対策を講じているところでございます。
  68. 前田武志

    ○前田(武)委員 今御指摘された車検の関係でございますが、我々も地元に行ったとき自分でも車 を運転するのですが、大抵車の整備というものは、定期点検等も含めまして近所の知り合いの車屋、何といいますか、自動車整備のおやじさんのところに預けます。そうすると、きちっと調べて、ちょっと摩耗した部品は取りかえて、そして車検も受けてまたすぐ戻してくれる。そういったコミュニティーには、日常のその中でそういうことをお任せして、ちゃんと安心して任せられるような、そういう整備工場があるということで、メカに弱い御婦人たち、あるいは我々でも本当に安心して任せていけるということになっておるわけでございます。  その辺の車検のことについて、今運輸技術審議会の方で検討されているというふうに聞いておりますが、その経緯、そういったことについて御答弁を願いたいと思います。
  69. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 お答えいたします。  御指摘の車検の関係でございますが、昨年六月に臨時行政改革推進審議会の答申におきまして、国民負担の軽減の見地からその見直しを図るよう指摘されたところでございます。私ども、運輸技術審議会におきましては、この行革審の答申、さらには最近の自動車技術の進歩、あるいは使用形態の変化を踏まえまして、技術的、専門的に今後の自動車の検査及び点検整備のあり方について御審議をいただいているところでございます。  この運輸技術審議会におきましては、自動車部会のもとに小委員会を設置いたしまして、この場におきまして関係団体から意見を聴取する、あるいは国内、国外における車検整備の現地調査の結果等を参考にいたしまして、ただいままで八回、九回の審議を終わっているところでございまして、今後さらに御審議をいただきまして本年六月を目途に答申をいただくこととなっております。
  70. 前田武志

    ○前田(武)委員 いろいろと週刊誌等に、車検等に物すごく金がかかる、こういったものは前整備、後車検というようなそういったところに問題があるだとか、実際には欧米と比べるともうばか高いというような、いろいろ書かれ方がしているのですが、そういうことについて、相当実態とかけ離れたそういった議論が先走りし過ぎているんではないかなというふうに思います。実際の現在の車社会における状況は私が今るる申し上げたとおりであります。  そして、聞いてみると、車検のときに自動車重量税であったり自賠責保険であったり、こういったものをそこでまた徴収をしているわけですね。本来ならば大蔵省、国税庁なり、あるいは重量税の方であればこれは建設省になりますか、いずれにしろ税でございましょうから大蔵省さんが本来対応せにゃいかぬことを、車の整備を通じて徴収している。これは徴収コストも非常に交うございますし、そしてまた徴収率も高いわけでございますから、大体普通の車でありますと十万円から十二万円ぐらい整備のときに払うようでございますが、そのうちの多分六万円前後、六割ぐらいはむしろこういった重量税あるいは自賠責保険、こういったものでございまして、どうもその辺もごっちゃにして高い高いといったようなことのようですね。  そして、中身を聞いてみますと、実はこの間も私、東京で乗ったタクシーの運転手に聞いてみたら、それは絶対に車屋さんで、整備屋さんでやはり整備をしてもらうのが一番いいですよ。そして、ちゃんと言っておけばちゃんとわかって整備もしてくれる。余り部品を取りかえぬでもまだ次の車検まであるから、例えば定期検査のときにちょっとブレーキだけ見ておいてくれとか、ブレーキ中心に見ておいてくれと言ったら、ちゃんとそのとおりする。こういう時代でございますから、大体ちょっと摩耗していると、マニュアルになっていて、部品を取りかえるという方が整備がしゃすいということで多少部品代が高くなっているところもあるようでございますが、実態等から見るとそういったことでございます。  やはり何といってもこれからますます進むこういう高齢化社会において、全国の僻地、農山村等に行ってもそういう整備屋さんがいて、本当にすべてそういった安全面をお守りしてくれているといったその機能というものをやはり評価してあげないと、整備屋さんなんかは大分不満がたまっているのですね。我々がそうやって安全を担っているのに何か悪者視されているじゃないか、こういったことがございますので、これについてはひとつよく大臣の方も御認識をいただいて対応をしていただきたいと思います。  最後に一言御所見をお伺いします。
  71. 堀込徳年

    ○堀込政府委員 大臣にということでございますが、車検そのものの内容でございますので、若干説明させていただきますが、(前田(武)委員「時間がないので、もうごく簡単で」と呼ぶ)はい。週刊誌等で再三取り上げられまして、ばか高でというようなこともありますけれども、私ども、民間機関の調査によりますと日本は必ずしも高くないということでございますし、税金、保険等につきましても、車検時に納めるというのはユーザーにとっても大変便利であるということで、そうやらせていただいているわけでございまして、車検、点検整備について一部の悪い事業者のことが週刊誌に取り上げられ、それがあたかも全員ということになりまして、まじめな事業者に迷惑がかかっているわけでございますが、私ども、車検整備というものの役割は安全を確保し、または公害を防止する上で欠くことのできないものでございますので、今後とも堅持してまいりたいと思っています。よろしくお願いします。
  72. 前田武志

    ○前田(武)委員 日銀さんは来ておられますか。  先般、共同通信等の発表でちょっと聞いたわけなんですが、次期の米大統経済諮問委員長のタイソン女史、この方は有名な学者でございまして、たしかカリフォルニア大学バークレー校の教授をやっておられたと思いますが、この就任問題でアメリカの上院で審査のときに、この方が日本銀行からの、何ですか奨学金、何か研究費補助ですか、そういったものを受けていたということで若干問題になったようでございます。もちろん日銀だけではなしに、ECであるとかほかの国からの援助も入っておったようでございますが、一部の議員からこういったことに対して懸念が出たというふうに報道されておりましたが、この辺の事実関係について一言お願いいたします。
  73. 小島邦夫

    ○小島参考人 お答え申し上げます。  本行は、私どもの方は一九九一年九月末にカリフォルニア大学バークレー校あてに寄附を行ったものでございまして、この寄附金は同校に対する寄附金でございまして、したがいまして、私どもの寄附金を受けた同校が内部でどう利用したかということにつきましては私どもとしては承知していないところでございまして、少なくともタイソン女史個人あての寄附金ではないということだけは申し上げたいと思います。
  74. 前田武志

    ○前田(武)委員 お聞きしたところによると、こういったことで日銀さんにおいては、留学生を出している大学等にそういった意味で寄附金を出しているというふうに聞いております。  私自身は、日本が世界の文化のために、学術文化の振興のために、そういったできる範囲協力をするということは非常にいいことだと私は考えております。しかし、親が子供が行っている学校に寄附をするというのは、何かいかにも、何となくちょっと志が高くない。やはり日本の中央銀行であるわけでございますから、そういったひもっきというような見られ方をする形ではなしに、もっと品格のあるそういうフィランソロピーといいますかそういったことを大いにやっていただきたいということを申し上げ、ひとつお答えを願いたいと思います。
  75. 小島邦夫

    ○小島参考人 先生の御指摘ございましたけれども、こういった海外の大学への寄附は、私どもとしても金融経済などの分野で先端的な研究への一助という期待を込めまして、あくまでも限られた予算範囲内で、中央銀行としての立場も踏まえて、社会通念上妥当と見られる謝意を示すために行ったものでございます。ただいま承りました先生の貴重な御意見は今後の参考とさせていただきたいと思っております。
  76. 前田武志

    ○前田(武)委員 それでは、ちょっと大蔵大臣にお尋ねしますが、円高の問題に移りたいと思います。  急激な円高が続いております。たしか二月九日のバーグステンさんの円高発言、それからベンツェン長官、そしてこの間のクリントンさんというようなことで、この二カ月ぐらいで百二十五、六円のところから一挙にここまで一二%ぐらい上がっているんでしょうか。きょうあたりだともっと上がっているんでしょうか。これは年率に直すとべらぼうな急激な円高でありまして、これはもう本当に日本経済には深刻な打撃を与えることになると思います。また、こんな急激な円高というのはアメリカあるいは世界の経済にとってもお互い不幸なことだろうと思うわけでありますが、この辺について、たしか大蔵大臣もこの間日米蔵相会議ですか、あったと思いますが、そういったことを通じ、また、この間のクリントン・宮澤会談等もこれが一つの引き金になったようなところもあるようでございますので、ぜひ大蔵大臣から、現在のこの状況について御認識と対応といいますか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  77. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 前田委員御指摘のとおり、このところ思惑的な動きが出ております。御指摘になりましたようないろいろな発言もありまして、そういったことを材料にして思惑的に円が買い進まれている。思惑的な中で上がったり下がったりしているというところもありますし、上がり一方じゃないのでありまして、我が国としては、これ非常に憂慮をしているところでございます。  私といたしましては、本来為替相場というのはファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい、こう思っているところでございます。一般的にそういうことでありますから、思惑等によって一時的に、短期的に大きく変動することや不安定な動きをすることは好ましくない。このような場合には、我々としては適時適切に対処してまいり、為替相場の安定を図っていかなければならない、こういうふうに基本的に考えておるところでございます。
  78. 前田武志

    ○前田(武)委員 林大蔵大臣を初め財政金融当局の首脳においては、ぜひそういったことで、このような急激な上昇を避けるような働きかけをしていただきたいと思うわけでございますが、とにかく、ちょっと今の大蔵大臣の御認識では、既に百十円なんかを切るようなことだと、しかも、それがまことに急激なわけでございますから、年率に直すと、こんなものは五〇%ぐらいのというようなことにもなるわけでございますから、日本の企業そのものがこれはもう大変なことになるわけであります。やはり短期的なそういう思惑による大きな円高というものに対しては、金融当局も為替相場における対応も含めてもう少し断固たる姿勢を示さないといかぬのじゃないか、こういうように思いますが、いかがでございますか。
  79. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほど私が基本的な考え方を申しましたが、先ほど申しましたように適時適切に対処してまいりたい。これは日本の国内に対しましてもそうでございますし、国際的にもやはりいろいろな形で話し合いをしたりなんかしてやっているところでございます。市場が大変思惑的に動いている、神経質になっているものですから、私からこれ以上の発言をとやかくするのは差し控えた方が賢明であろう、私たちは確固たる信念を持ってこの問題に対しては対処していくという姿勢こそが一番大切なことじゃないかな、こう思っているところであります。
  80. 前田武志

    ○前田(武)委員 次に、こういった円高の背景には日本の経済の体質等があるわけですが、黒字体質を構造的にどういうふうにとらえておられるか。  九二年度は、年間約千二百億ドルぐらいですか、このくらいの黒字になったということで、よく言われるようにマージャンの卓を囲んでひとり勝ちをずっとしているといったふうに例えられたりするわけでございますが、これは言ってみれば、日本の経済構造そのものに問題があるわけでございまして、これはもう既に一九八六年、そして八七年だったでしょうか、前川レポートができて、提案が出て、それをもとに、日本の経済の体質をもっとオープンにして高度化して、世界と協調していけるようにしていこうというようなことだったと思います。いわば宮澤総理が唱えられる、生活者を重視した生活大国づくりの経済社会の構造に持っていこう、こういうことであろうかと思います。  特に、高齢化社会を迎えて、この時期というものが、そういった対応策を練り、そして社会資本を整備していくための一番重要な時期でございまして、そういった中で内需拡大といったことも大いに考えられるわけでございますから、そういった意味で、やはりこの前川レポートの考え方をさらに徹底してやるべきではないかな、こう私は考えているわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  81. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 前川レポートの考え方も、まさに今我々が考えていることと同じ考え方の路線に立っていると私は思います。  前回の総合経済対策、また平成年度予算、また今回四月に発表いたしました史上最大規模の総合的な経済対策というのは、まさに内需拡大努力をして、我が国が内需中心の持続的な成長を実現していくということが経常収支の動向にも極めていい影響を与えるであろう、そういった意味で内需拡大の方向へ向かっていくというのを考えているところでございます。  そういったのが王道であるし、基本でなければならない、こう私は思いますが、そういったこととも関連いたしまして、対外経済政策の形成が重要である、こういう観点からも、いろいろな輸入促進措置は講じているところでございまして、国民金融公庫、中小公庫等の輸入販売品円滑化貸付金制度の金利を引き下げをするとか、対日輸出を行おうとする外国の企業に対する日本輸出入銀行の融資制度の運用改善をすることであるとか、また、施設等の整備にかかわる政府調達におきまして、外国製品の輸入が行われるようにいろいろな点で配慮していく等々のことをいろいろと考えてやっているところでございます。
  82. 前田武志

    ○前田(武)委員 ここに中小企業金融公庫だったかのレポートがありまして、それを見ておりますと、資金繰りが相変わらず非常に悪い。そして、貸し付けに対する難易感といいますか、借り出しといいますか、企業家側から見ると借り入れの難易感、そういったものについては、やはり非常にタイトというか、借りにくいといったような状況になっておるのです。私の地元等でもよく相談を受けるのですが、銀行く行ってもなかなか金を貸してくれない、追い担保をせい、そういったことで、確かに財政当局、大蔵大臣御指摘のように、緊急対策においても政府系金融機関の貸し出しについては相当の応援をしていただいておりますが、金詰まりの感というものはなかなかよくならない。  そういった意味で、確かにマネーサプライも非常に落ちているわけでございますから、どうも今の状況を見ておりますと、財政出動については総合的な経済対策、予算を通した上に十三兆二千億の総合的な対策を決められ、非常に積極的に取り組んでいただいていると思うのですが、それに対して、車の両輪の一つである金融政策の方が、何かこの前のバブルのときの熱さに懲りてなますを吹いているような感がするわけでございますが、この辺、マネーサプライが低い時期でございますから、もっと金融政策も積極的に出るべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
  83. 寺村信行

    ○寺村政府委員 御指摘のとおり、中小企業に対します金融の円滑化を図ることが、現在の経済の現状のもとでは極めて重要であると考えているところでございます。ただいまお話がございましたように、政府関係金融機関におきましては、今回かなり積極的な対策を講じているところでございます。  一方、民間金融機関に対しましては、御指摘のような問題がございます。公定歩合が引き下げられましたときに、中小企業金融の円滑化を図るための通達を二月八日に発出いたしましたが、その際に、あえて大蔵大臣から所見を公表いたしまして、健全な経済活動に必要な資金の円滑な供給が行われるよう、本店、営業店を通じまして一層の努力を求めることとしたいと申しております。具体的に、顧客の資金ニーズに適切に対応できるよう、新規融資に対応する部門の体制を整え、融資開拓や融資相談に力を入れる等の地道な努力を強化すべきである、こう申しておるのでございます。  この趣旨は、現在、金融機関の営業店段階の状況を申し上げますと、融資担当者がバブル期において発生しました不良資産の処理にかなり追われているという状況がございます。それからさらに、そういった状況でございますので、新規の貸し付けにつきまして、これがまた不良資産の増大にならないようにリスク管理を強化しなければいけないというような状況がございますので、そういう状況を踏まえましてこの所見を出しました。  これに対応いたしまして金融機関の営業店段階は、新規融資部門と既存融資部門の担当者の体制を変えるとか、あるいは不良資産を本部に集中して営業店段階では新規融資に対応できるような体制を今整えつつあるという状況でございます。
  84. 前田武志

    ○前田(武)委員 アメリカの方は、行き過ぎた自由市場といいますか、そういった金融市場等のこともあって、むしろクリントン政権はマネジメントトレードというような考え方が若干見えたりするわけですが、逆に日本の方は、これはもう金融市場も株市場も、経済の構造そのものが余りにも閉鎖的で規制が多く、管理されているじゃないかというのが前川レポートの指摘であり、それをもっとオープンな市場に、そして透明性を持たせ、公開性、規制緩和をやっていこう、それによって日本のまだまだ伸びる力というものを発揮させ、世界と協調できる経済になるよ、こういうことだったろうと思います。  そういう中で、どうもそれが実現されていないというふうに私は感じておりました。例えば最近のあのNTT株であったり、株市場においてPLOだとかPKOだとか言われております、まさかそんなことはないとは思いますが、まあ、大蔵省がヒアリングをしただとか、またあるいは公的資金を集中的にどこかへ投入しただとか、いろいろと週刊誌にも書かれるわけですね。  やはりこの際大蔵大臣として、日本の経済及び経済運営のもっともっと透明性、公開性、規制緩和、そういったものに対する御決意をお聞かせいただいて、日本の経済が本当に持っているポテンシャルをもっともっと発揮して、生活大国実現のために、また世界経済の協調のために貢献できるような体質に持っていっていただきたいと思うわけでございます。
  85. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 委員御指摘のように、自由主義体制の中で、自由主義体制というのはできるだけ規制を緩和し、余計な介入をやめてやるということが一番大切なことだろう、こう思うのです。これは外国から指摘されるまでもなく、我々が持っているところのこの自由主義体制というものの中でそういったことをやっていかなければならない、それが経済の発展していくところの一つの大きな方向づけだろうと私は思っておるところであります。  いろいろなことをやっていかなければならないことは事実でありますが、今御指摘を受けましたPLOとかPKOとかというのはよくわかりませんけれども、こういった株式市場に対しましても、私は、全く株式市場というのは自由な市場であって、その自由な需給関係によって出てくるものである。それによらなければ、民間の資本も調達するところでありますから、いろいろな、政府が介入してどうだこうだと言ったら、かえってそこには金が集まらないことになってくるだろう、こう思っています。そういった意味で、政府が株価についてどうだこうだするというような話はやはり間違っていることだろう、こう思います。株式市場の公正性、透明性というような観点からも、私は政府がいろいろなことをやるべきでない。  ただ、今言われておりますのは、株式市場というものがいろいろな形で不振をきわめておる。また、これから発達をしていかなければならないのが、発達が妨げられているというようなことがありますから、そういった点で、例えば個人株主の優遇策を講じていくところであるとかというようなことは、政府の施策としても、むしろこれは自由な市場をつくっていくということでありますから、やっていかなければならないのではないかな、こう思っておるところであります。  PKO云々、こういうことでありますが、いわゆる政府が持っているところの金を簡易事業団なんかに貸し出しをする、簡易事業団がまたそれを信託銀行なんかで運用するということは、それぞれのところの運用の話でございまして、これに、その先について政府がどうだこうだと言う話ではない。私が今申しましたような、市場が正常化していくための私は話でありまして、いやしくも中で政府がどうだこうだと言う話ではない、こういうふうに御理解を賜ればありがたいと思っておるところです。
  86. 前田武志

    ○前田(武)委員 終わります。
  87. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、常松裕志君。
  88. 常松裕志

    常松委員 私は、ことしの二月十六日の衆議院本会議におきまして、社会党・護憲民主連合を代表いたしまして質問を行いました。その質問趣旨は、この間、特に一九八一年の第二臨調の発足以来、政府の財政運営の誤りというか、あるいはごまかしというか、そういうものについてただしてまいりました。  その基本は、政府の台所は赤字だ赤字だと宣伝をし、人のいい国民や労働者に犠牲を押しつけ、その一方では借金に借金を重ね、一九八一年三月末八十二兆円であった累積赤字、国債の発行残高を、今日では何と百八十二兆円、百兆円もふやして、そして、大銀行や大企業、あるいは大金持ちに、私たちの大切な血税の中からふんだんに利息の支払いを行ってきた。今や一億二千万の全国民一人に対し毎年十三万円も配ることができるだけの、十五兆円という大変な利払いを行っているということを大臣にお尋ねをいたしました。  きょうは、国鉄の分割・民営化の問題を取り上げますが、自民党・政府は、六年前に国鉄を分割・民営化しました。この十月にはJR東日本株式会社の株式を上場する予定というふうに聞いております。ところが、その一方で、旧国鉄の債務をすべて国民に押しつけようとしているのじゃないかと私は心配をしています。  政府は、一九九〇年四月一日に千四十七名の旧国鉄職員を解雇いたしたわけですが、これは、国鉄改革法審議の際の中曽根首相らの、一人も路頭に迷わせない、一人の犠牲者も出さないとの公約に対する重大な違反であります。旧国鉄職員をこのようにだまし、そして今度は国民をだまし、あるいは国会での審議に対する答弁などに違反をしようとしているのではないか、こういう疑問を持って大蔵大臣にお尋ねをいたしますので、誠実なお答えをお願いをいたします。  最初に、財政再建の問題についてお尋ねいたしますが、私は、さきの二月十六日の質問の際に、次のようにお尋ねをいたしました。国債の発行には必ず利払いが伴い、九三年度予算では十五兆円が国債の利息の支払いに充てられている、これは歳出の二〇%、五分の一に当たる、この十五兆円の利払いは、赤ちゃんからお年寄りまで含めた日本国民一億二千万、一人に十三万円ずつの配当になる莫大な金額であるが、これはもとより国民に支払われたわけではない、大銀行、大企業などに支払われているのだと指摘しましたところ、大臣は御答弁の中で、国債は金融機関や証券会社などを通して国民各層に販売されているんだから、税金の大企業への垂れ流しという御批判には当たらないというふうにおっしゃったわけでございますが、改めてお尋ねいたしますが、百八十二兆円といえば国民一人当たり約百五十万円の国債ということに、発行残高ということになります。国民が広く持っているとすれば、一人当たり百五十万円持っていることになるわけでありますけれども、一体、これをだれが持っているのか、保育状況についてお答えをいただきたいと思います。
  89. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 計数だけお答え申し上げます。  国債の保有状況を、四年末の年末の計数でございますが、それで見ますと、資金運用部が三六・七%、日本銀行が四・六%、市中金融機関が三〇・三%、個人等を含みます。その他のところで二八・四%という保有状況になっております。
  90. 常松裕志

    常松委員 今お話がありましたような状況ですが、その一般というのは、恐らく一部上場企業など大企業でありまして、事実、上場企業などの決算書を見ますると、これらの大企業がいわゆる財テクによって今日の営業収益の悪化を補っていることは一目瞭然でありまして、そうした財テクの基本になっているのがこの国債からの利払いだろうというふうに思います。  一方、一般の国民の皆さんに、一体あなたは百五十万円の国債を持っているかというふうに尋ねますと、少なくとも私の知り得る限り、私の後援会の方々や私を支持してくださる労働組合の方々などにそういう質問をしますと、冗談じゃない、持っているところか国債なんか見たこともない、こういうふうに言われるわけであります。私たちが支払うその税金の五分の一が右から左で大企業に対してさっと横流しされているというふうに言われても、私は大蔵省は反論できないんじゃないか、このように思うわけですけれども、どうなんでしょうか。
  91. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 ただいま申し上げましたように、現在国が負っております大量の債務が国債という形で国民経済の中にあるわけでございます。ただ、その多くの部分が、先ほど申しましたように市中金融機関であるとか資金運用部であるとかあるいは先生のおっしゃいます企業の保有であるとか、そういう形になっていることは、保有状況ということで見る限り、それは全くの事実でございます。  我々としましては、こういう大量の国債が円滑かつ確実に市場の中で消化されていく、それが非常に重要なことであり、また、そのために従来から国債市場の整備に努めてきたわけでございます。国債は、恐らくいろいろな証券の中で最も信用力があり、かつまた最も流動性に富む、そういう債券でございまして、個人を含めまして、広く内外の投資家の確実かつ有利な資金運用手段となっている、そういうことを通じて国債そのものが市場の中で円滑に吸収されていく、そういう国債政策をとり続けてきておるわけでございまして、そういうこと自体正しい政策ではないかというふうに考えております。
  92. 常松裕志

    常松委員 そうすると、大蔵省としては、現在の国債発行残高をゼロにするというような、そういう政策目標は持っていないということになりますね。
  93. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 今お話しいたしましたのは、今までに累積してまいりました国債の流通等についてお話ししたわけでございます。これから毎年毎年の国債発行額を、これは国の借金でございますから、できる限り一般会計を健全化してこの発行量を減らしていきたい。場合によっては、この今あります、場合によってはといいますか目標としましては、今あります百八十何兆というような国債が、現在でも毎年一般会計の新たな予算ができますたびに少しずつ累増していくというような財政の体質にございます。そういう体質について、これを何とかそういう累増体質から脱却いたしたいということは、予算当局、主計局のみならず大蔵省全体としての一つの基本方針になっておるわけでございます。
  94. 常松裕志

    常松委員 それは間違いありませんか。百八十二兆円を減らしていくというのが大蔵省の目標だということで間違いありませんね。
  95. 藤井威

    ○藤井(威)政府委員 私が申し上げましたのは、当面はこの公債累増の状況というのを、現在の財政状況から見てそういう状況にあることを前提とした上で、将来において何とかこの累増をとめていきたいということが中長期的な目標になっておるというふうに申し上げたわけでございます。
  96. 常松裕志

    常松委員 私の質問は、この百八十二兆円を減らすことは財政当局の政策の目標になっているのかどうかということをただしたのです。
  97. 武藤敏郎

    武藤政府委員 もちろん国債残高を減らすことができれば望ましいことには違いがないわけでございますけれども、現下の厳しい財政状況に照らしますれば、公債残高の累増体質からの脱却、累増することはできるだけ抑えていく、そういう努力目標を据えておる、こういうことでございます。
  98. 常松裕志

    常松委員 そのこと自体、改めて論争したいと思います。  にもかかわらず、今補正予算の編成をしているようですけれども、今度の補正予算の中でまた建設公債の発行をする。しかも大量に発行する。今まで対象になってなかったものまで発行しようとしているというようなことを伺っているのですけれども、これはどうなんでしょうか。これはもうやめた方がいいのじゃないですか、こういうことは。
  99. 武藤敏郎

    武藤政府委員 今まで対象になってないものについても公債を発行するのではないかというお話でございますが、そのような話が途中いろいろ出てマスコミ等をにぎわしましたけれども、私どもといたしましては、従来どおり公債発行対象経費というものは厳格に考えていきたいというふうに考えております。  なお、現在新経済対策の補正予算編成作業を鋭意進めておりますが、国債発行がそのうちどのくらいになるかにつきましては、作業中でございますので現段階では申し上げるわけにいかないことを御理解いただきたいと思います。
  100. 常松裕志

    常松委員 大蔵大臣にお尋ねします。  大臣は、私の二月十六日の質問のときにはっきりお答えになっていらっしゃいまして、建設国債についても可能な限り抑制しながら、公債発行残高が増大しないような財政体質をつくり上げなければならないというふうにおっしゃっているわけですよね、こういうふうにはっきり。にもかかわらず、舌の根も乾かないうちに、まだ予算が成立して何日もたたないうちにまた建設国債の発行を、あるいは公債の大量発行を検討するなんというのは、これはちょっと考えられないことだと思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  101. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 事務当局から御説明申し上げましたように、財政法四条の規定からしましたならば、税金その他の収入でもって歳出を賄うのが原則であって、みだりに国債を出したりなんかするのはおかしいというのは、財政を預かる者として当然の考え方であろうと私は思います。建設国債でもその例外として認められているだけでありまして、なければなくていい話だろう、私はこう思うのです。これは財政を預かっている者としての基本でなければならない、私はこう思います。  しかしながら、私たちが今やっていますときに財政が何をするか、経済の発展をいろいろ考えて財政を運営していかなければなりません。そうした中で、平成年度予算におきましても、私たちはそういったことを配慮しながら建設国債を相当に出してきたところであります。しかしながら、それでもなおかつまだ景気の状況がもう一つも二つも確かなものでないということで、新たな経済政策を打ち出していこう、こういったことで財政の持っておるところの基本的な問題、当面、今のところでやらなければならない役割というものを考えながら私たちは処理をしていかなければならない。そういった形でこれから新しい政策を立てていこう。どのくらいの建設国債になるかどうかというのはまだ今のところ計算中でございますから申し上げられませんけれども、やはり出していかなければならないものではないだろうか。いずれこの問題につきましては国会で御論議を賜らなければならないものだろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  102. 常松裕志

    常松委員 主計局の次長によほど食いつこうと思ったのですけれども大臣から財政法あるいは憲法に基づいた御答弁がございましたので、そういう税収の中できちっとする、単年度ずつ賄っていくというのが我が国財政の基本のはずでありますから、その点は大蔵省としてもはっきりとしていただかなければいけないということを指摘いたしまして、少し先に進みます。  ところで、公債だけでも大変な状況だと私は思っておりますが、それだけじゃなくてまだたくさんの借金があるわけですね。例えば短期証券とか、借入金とか、繰り越しとか、継続費とか、国庫債務負担行為とか、債務保証とか、こういったものがあるわけですけれども、ちょっと時間がありませんから、残高だけ数字をざっと言ってくれませんか。
  103. 武藤敏郎

    武藤政府委員 今御質問の中で国庫債務負担行為とか繰り越しとかという、そういうお話がございましたので、決算ベースのために平成年度末現在ということになります。国債百七十三兆七千億、短期証券十五兆八千億、借入金三十五兆一千億、合わせまして約二百二十四兆六千億、これがいわゆる政府長期債務残高でございます。そのほかに、今お尋ねの国庫債務負担行為が五兆九千億、繰越債務が約九千億、継続費が八千億。そのほかに債務保証というお話もありましたので債務保証、これはいろいろな債券の政府保証等でございますけれども、三十六兆七千億ということになります。
  104. 常松裕志

    常松委員 さらに、いわゆる隠れ借金ですけれども、歳出削減等による後年度への負担の繰り延べとか、あるいは国鉄清算事業団の分とか、あるいは国債費の定率繰り入れの分とか、あるいは交付税の特例加算分などがあるわけでありますけれども、これについても、数字だけでいいですから。
  105. 武藤敏郎

    武藤政府委員 これは今後処理を要する措置ということで既に国会にも提出させていただいているものでございますが、平成年度末で、まず国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化八千二十三億、地方財政対策の改革による交付税特会借入金五兆四千四百二十二億円、地方財政対策に伴う後年度負担二兆五千五百七十三億円、それから国鉄及び国鉄清算事業団から承継した債務の償還の延期、これが二千八百二十七億円、政管健保の国庫補助の繰り入れ特例五千九百三十九億円、政管健保の棚上げ債務一兆四千七百九十二億円、最後に日本国鉄清算事業団の長期債務が約二十六兆円でございます。
  106. 常松裕志

    常松委員 今私が申し上げましたそれらのものなどを含めると、約六十五兆円ぐらいになるんじゃないかというふうに思うのですね。先ほどの分あるいは国債発行残高なんかを全部足しますと、約三百兆円になるわけなんですね、大臣。ブッシュ政権がクリントン政権に引き継いだ借金が約四百四十兆円になります。これは国債残高だと思いますけれども、一ドル百十円で換算して四百四十兆円。国民一人当たりに直しますと、アメリカの場合百八十万円。日本の場合ですと、今の分を含めますと二百五十万、国債だけでも百五十万、こういう大変な財政状況だと思うのです。  したがって、繰り返して申し上げますけれども、そういう状況の中でさらに国債の大量発行などということはもうやめた方がいい。とにかく、結果として恐らく国民に対する増税などの犠牲を押しつけることになるんじゃないかというふうに恐れるものですから、ぜひその点を重ねて御要望いたしておきます。  その上で、その債務の非常に大きな一つである国鉄清算事業団の債務の問題についてお尋ねいたします。  まず、大蔵省が強権によって集めた税金の五分の一を大企業や大銀行や大金持ちなどに利払いという形で垂れ流していくマシンではないか、そんなふうな悪口もあながち当たらないわけではないなと思っておりますが、実は旧国鉄も同じだったと思うのです。いわゆる旧国鉄は東海道新幹線、山陽新幹線、東北、上越などの新幹線網や青函トンネルあるいは本州四国架橋などの大型設備投資をすべて借金で賄ってまいりました。これは政府によってそういうふうな方針がとられていた結果でありますが、その結果として旧国鉄は莫大な借金を行い、その累積債務の利払いのためにまた借金を重ねる、こういう構造になってまいりました。つまり、利払いマシンだったわけです。この点を恐らく大蔵大臣もお認めになるだろうと思うのです。決して旧国鉄職員の働きが悪かったから旧国鉄の財政が赤字になったわけではないわけであります。  それはともかくとして、旧国鉄の累積債務、つまり赤字解消のために国鉄の再建はやられたんじゃなかったか、分割・民営化を行ったのは、その累積債務の解消のためではなかったのかというふうに思うのですが、私はそういう理解をいたしておりますが、大蔵大臣の御理解、その点についての御理解を御答弁いただきたいと思います。
  107. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 国鉄の分割・民営化というのは、私は大変な仕事だった、こう思うのです。公社制度そのものにあるところのいろいろな弊害がありました。それを各経営単位がそれぞれ明確に責任をとっていく、非常に大きなものでありましたし、公社でありましたから、責任の明確化というものがなかった。それを明らかにしていこうということによりまして経営の効率化を図るというのが、私は国鉄の民営化の一つの大きなねらいだったと思っております。  そうした中で、やはり今JRが分割されてきました。その後を見ておりますと、順調な経営を続けている。しかしながら、国鉄の分割・民営に伴いまして、持っていたところの借金その他のものは清算事業団という形で処理をしなければならない。これは大きな負担として残っていることも事実でございますが、少なくとも新しい方向で動き出した、そこは私はますます順調に動いてきているんじゃないかなと思っているところでございます。
  108. 常松裕志

    常松委員 大臣、それはおかしいんじゃありませんか。国鉄の分割・民営化、国鉄の再建というのは、これは当然、当時旧国鉄が抱えていた累積債務の解消、わかりやすく言えばいわゆる赤字の解消、これが一番大きな目的であったわけでありまして、今の大臣のお答えからは全く、何ですか、公社制度とか何か無責任体制とか、そういうお話ですけれども、そういうことじゃなかったと思いますけれども。これは、国民だれしもが赤字の解消ということをもってあの大改革が行われたというふうに理解しているのですけれども、それは大臣ちょっと、当時も大臣、当然日本の国会の中の大変要職を占めておられた方の御答弁としては、また、国民に対する御答弁としてはやや言葉が足りないんじゃないかと思うので、重ねて御答弁をお願いいたします。
  109. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 その当時やりましたのは、先ほど申し上げましたように、国鉄という非常に大きなものが膨大な借金を抱えておってどうにもならない、こういうふうな話でありましたから、そこをどうしてやっていくか、分割にして民営化をしてやって、民営化の効率的な運営を図っていくことによってやっていくというのが一つのことではないかという形で分割をしたわけでありまして、私は、その問題が全然、借金は借金、別だというふうなことは一つも申し上げておりません。  だから、そういったようなことを考えながらやってこなければならないだろう、しかしながら、これだけの大きな借金を全部それぞれのところにしょわせるのはどうかという形で清算事業団というものをつくりまして、その清算事業団が持っているところの借金であるとか、持っているところの資産を売却するとか、いろいろな形でそれは整理をしていかなければならない、こういった形で民営化というものをやってきたものだろう、私はこういうふうに考えているところでございます。
  110. 常松裕志

    常松委員 重ねて大臣にお尋ねして大変恐縮なんですけれども、当時、社会党の考え方とそれから政府並びに自民党の考え方と違いはありました。私どもは、分割じゃなくて全国一本にして、最初はあるいは国鉄の分割・民営化ということにも反対でしたけれども、最終的には分割じゃなくて全国一律ということで民営化という提案をした時期もあったと思うのです。そういう手法の違いはありましたよ。手法の違いはありましたけれども、旧国鉄の赤字をなくしていかなければいけない、これを何とかしようじゃないかということについては、政府も自民党も社会党も国会もそれから国鉄の職員の方々も、あるいは国鉄の幹部の方々も、あるいは国民的に見ても、それは共通の基盤だったと、合意だったというふうに私は思うのです。したがって、それはそうであったと思うのでありまして、その点、大変失礼ですけれども、重ねて、私の認識が間違っているのかどうか、大臣にお尋ねいたします。
  111. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 いかなことをやったならばうまい経営ができるか、これから新しい赤字をなくすことができるか、そのためにはどういう経営方式をとったらいいかという形で、私は、国鉄という公社形態をやめて民営化にした、こういうことだと思うのです。そうした形を通じまして、新しい借金が出ないようなことを考えなければならない。しかしながら、持っているところの借金をどうするかというのにつきましては、各社それぞれ株式がありますから、これの株式の配分を、民営化するならば当然に民間に出ていって民間の方に持ってもらって、借金の返済をすることがどうであるかとか、それから今まで持っているところの資産が相当ありますから、その資産の売却をしてやっていくことであるとか、そういったことを考えてやっていこう、こういうことでありまして、今までの借金を全然、どこかに持っていってしまってよろしいなどということでは、私はなかったと思います。  恐らく共通の認識はそういったところで、いかにしたならば、国鉄という非常に大きな交通手段、これをどういうふうな形で持っていったならば将来の日本のために役に立つか、こういった基本認識でやってきたと私は思いますし、先生御指摘のような問題も当然その中に入って考えてきたものだろう、こういうふうに思っているところであります。その考え方は、私は間違ってなかった、こう思っているところであります。
  112. 常松裕志

    常松委員 おっしゃるとおりだと思うのですよ。それで、私はその中の債務をどうやって解消していくかということについて議論をしているわけなんですけれども、ところで、その国鉄清算事業団が引き継いだ債務が発足時どことしの三月末で比較をした場合、どうなっているのでしょうか。
  113. 武藤敏郎

    武藤政府委員 五年度期首で二十六兆六千億ということでございます。二十五兆五千億を引き継ぎまして、五年度期首、この四月一日現在で二十六兆六千億でございます。
  114. 常松裕志

    常松委員 大臣、今答弁があったとおり一兆円ふえているわけですね。ですから、赤字を減らすというつもりで始めたこの国鉄の分割・民営化あるいは国鉄の再建が、赤字が減るどころかむしろ債務がふえておる、これが分割・民営化の結果だと私は思うのです。  私は、この場合でも、先ほどの国債発行のときと同じように、まさか国鉄清算事業団の持っている赤字をふやして、そして債券の発行や借入金をふやすことが政府の目的だったとは思いたくないのですけれども、それは間違いありませんね。
  115. 武藤敏郎

    武藤政府委員 この債務の償還につきましては、御承知のとおり土地売却あるいはその他、株式の売却とかということで償還をしていく予定であるわけでございますが、土地売却につきましては、御承知のような土地高騰、あるいは最近の地価下落等の諸事情により必ずしも円滑に進まなかったこと、それから株式市況の状況からJR株式の売却を行えなかったことなどによりまして償還が困難であったということでございます。  もちろん、今後、例えば総合経済対策に基づきまして地方公共団体による清算事業団用地の先行取得というようなことも交付税措置で促進するように手当てをしておりますし、公開競争入札の対象範囲の拡大等の対策を講じておりますので、土地売却の促進に取り組んでおります。何とか処分を推進いたしまして債務の円滑な償還に努めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 常松裕志

    常松委員 つまり、赤字をふやしたり、あるいは債券の発行や借入金をふやしたりするのは目的ではない。そうではなくて減らしていくのが政府の目的であったということですね。  そこで、きょう国鉄清算事業団においでをいただいているわけでございますが、事業団にちょっとお尋ねをいたします。  事業団はこの債務をどのように解消していこうとしているおつもりなのか、計画についてお答えいただきたいと思います。
  117. 西村康雄

    ○西村参考人 事業団がどのように長期債務を解消していくかという御質問でございますが、ただいま大蔵省の方から御答弁申し上げましたように、私どもは、土地処分につきましては、現在の状況下におきましてあらゆる方法、可能な方法をできるだけ努力いたしまして、ことしの目標に向かって対処していく所存でございます。  現在のところは、ことしは株式の問題もございます。そのほか土地の問題につきましては、土地全体としてはなお地価が現在の市場でございますと取引が全般に低迷しておりますが、その中でもできる限りの努力をして処分に努力してまいりたいと思っております。
  118. 常松裕志

    常松委員 事業団には急な御連絡だったものですから申しわけなく思っているのですが、私がお尋ねしているのは、事業団が継承している現在の累積債務、これをどういう計画で、いつまでに解消しようとしているのかということについての質問でありますので、その点をお答えください。
  119. 西村康雄

    ○西村参考人 今御質問趣旨でございますが、私どもの債務の償還の財源といたしますのは、私どもの所有しております土地、そして株式でございます。現在、清算事業団は土地を六千七十ヘクタール、これは平成年度首でございますが、そして、これを平成年度に売却いたしまして、現在は五千三百十ヘクタール所有しております。これらの土地をこれから処分して償還に充てていくわけでございますが、現在どのような地価の状況が出てくるかということとの関連で、直ちにどの程度の売り上げができるかということを申し上げるわけにもまいりません。  また、現在私どもが持っております五千三百十ヘクタールの資産の評価につきましては、平成年度における地価の公示価格等によりまして積算をしているところでございますが、この積算もできるだけ早くいたしまして、私どもの資産を十分評価して、これをどう処分していけるか、長期の見通しをできるだけ立てていきたいと思いますが、現在の地価の状況でございますので、今の段階でどのような計画がということを申し上げるわけにはちょっとまいらないと思っております。
  120. 常松裕志

    常松委員 理事長、まずとにかく、これまで私が運輸委員会で事業団とやりとりしているのと随分違った答弁ですから、時間の短縮をするために、私が質問していみのは、いつまでに、平成何年を目標にして土地あるいは株式の処分等によって債務の返済を図ろうとしているのか、その年度。  それから、土地については、ことしの三月に発表になった地価公示でなくていいですよ、しかし、去年までの地価公示で、事業団の持っていた土地、資産は一体どの程度の資産の内容なのか、それはお答えできるじゃありませんか。
  121. 西村康雄

    ○西村参考人 まず、現在の清算事業団の持っている資産でございますが、それにつきましては、現在のところは平成四年一月の地価公示を基礎にいたしました資産の推計でございます。ただ、これは平成年度首の私どもの持っている資産しかまだできていない。平成年度中に売りました資産については、先ほど申し上げましたように現在計算しているわけでございます。したがいまして、平成年度の期首におきましては、そのときの資産が十二兆円でございます。これに、昨年度売りましたのが九千億余でございますが、これを引き。まして、さらにその後の地価の変動を加算いたしまして、現在この期首で幾らあるかということをこれから計算するという段取りになるわけでございます。これは、間もなくそのような数字を私ども得られると考えております。  それからもう一つの御質問でございますが、私どもの長期の計画というのは大体どういうふうな目算でやっているかということでございますが、平成元年十二月の閣議決定におきましては、御承知のように、「事業団の土地の処分については、平成年度までにその実質的な処分を終了するものとする。」ということにされております。それに応じまして、私どもは、できるだけ円滑な償還ができるように土地処分等につきまして精力的に取り組んでいくということにしているわけでございます。
  122. 常松裕志

    常松委員 今までの答弁はそういうことでありました。したがって、どんなに多く見積もっても土地の資産としては十二兆円マイナス九千億円ですか、それだけが今清算事業団が処分できる土地の資産の時価といいますか、あるいは評価額といいますか、地価公示によってはもっと下がっているだろうということだろうと思うのですね。  次に、株式の処分が問題になっておりまして、JR東の株の売却が予定されているということなんですけれども理事長、一株五万円が仮に五倍の二十五万円の値段をつけたとして、そして、しかもJR東の株が全部売却されたとして、まあこういうことはあり得ないのですけれども、全部売却し切ったとして一体どれくらいになるんでしょうか。
  123. 西村康雄

    ○西村参考人 清算事業団が持っておりますJRの株式の総数は九百十九万株でございます。そして現在、上場基準を達成していると考えております本州の旅客会社三社の分は、そのうち八百二十四万株ということになっております。しかし、今御質問のように二十五万円の値をつけたとしてということについての御答弁につきましては、現在JRの株式をこれから私どもが売却を進めていくということで先般JR東日本が仮上場の申請をしたところでございますが、仮定の問題といたしましても、私どもが現在幾らにすればということを今計算をして申し上げることは、この際差し控えさしていただきたいというふうに思います。
  124. 常松裕志

    常松委員 私が二十五万円にしたらと言っているんでありますからそんなに御心配なさらなくてもいいと思うんですけれども、まあ一株五万円が二十五万円になったとしても、大蔵大臣、一兆円なんです。JR東の株全部売却したとして、それで清算事業団に入ってくるお金は一兆円です。つまり、二十六兆というその累積債務をわずか一兆円しが解消できないんです、わずか。まあ一兆円というのは大変な額ですけれども、それぐらい巨額だということであります。これは理事長、間違いありませんわね。で、これは一年分の利息払いにもならないんです。清算事業団の一年間の利払いにさえ達しないんです。そういうことなんです。  そこで、少し別の御質問いたしますけれども、実は清算事業団の債務の中身が変わっていますね。これは大蔵省も御存じだと思うんですが、どちらからお答えいただいてもいいんですけれども、もともと清算事業団が継承した債務は全部鉄道債務、鉄道債券でした。あるいは借入金でした。これが、現在は鉄道債券を返済をして事業団債に切りかえていますね。これは今どんなふうになっていますか、現状。ですから、発足当時がどうで今はこうだということだけで結構です。
  125. 杉田昌久

    ○杉田参考人 清算事業団の発足時、国鉄改革時でございますが、事業団の引き継ぎました鉄道債券、これは五・二兆円ございました。その鉄道債券は平成年度首におきまして二・九兆円になっております。事業団債券、これは改革時当然ゼロでございましたが、今年度現在、残高五・七兆円となっております。
  126. 常松裕志

    常松委員 それで、その鉄道債券と事業団債の場合には当然そのJR各社の連帯保証が違いますね。鉄道債券の場合はJR各社の連帯保証がついている。事業団債についてはJRの連帯保証がついていませんね。したがって、清算事業団が事実上債務不履行になったような場合には、一体この二つの債券の間にどういう違いが出てくるのか。私の理解では、鉄道債券の場合はJR各社が債務保証していますから、清算事業団がその債務が不履行になったような状況の場合ではJR各社が負担していくことになる。事業団債の場合はそういうことはありませんから、これは全部政府が債務保証をすることになる。こういうことで間違いありませんね。もう一言でいいです。時間がありませんから、一言だけで答弁してください。間違いあるのかないのか。
  127. 西村康雄

    ○西村参考人 債務の不履行の状況について御質問だと思いますが、今御質問のように、鉄道債券は連帯保証しております。したがいまして、JR各社等の承継法人の債務が発生、現実化いたします。それから、事業団債については、現在政府引受債と政府保証債でございますので、政府の保証という問題が生じてまいります。
  128. 常松裕志

    常松委員 そういうことですね。つまり、清算事業団はその債務を一兆円ふやしたんです。この六年間に一兆円ふやした。一兆円ふやしただけじゃなくて、その中身が変わっているんです。中身が、結局全部国民が負担をしなきゃならないような事業団債にどんどん切りかえていっている。鉄道債券の場合はJR各社が連帯保証をするんですけれども、その鉄道債券を減らして、そして大幅に事業団債に切りかえていっているというのが実情なんですね。これは結局最終的に、清算事業団が土地も売りました、売り尽くしました、あるいは株も売り尽くしましたというときに、残ったときに、平成九年の末ということだったんですけれども平成年度末で、これは二十六兆円から土地の十二兆円引く、あるいはJR東の一兆円引く残りは十三兆ですよ。これは現在の時点で全部売れたとしたってなおかつ十三兆円残っちゃうんです。これに平成年度までの利払いの負担を考えていったら、これは膨大な金額になる。これが全部事業団債に切りかえられていった場合には、これ、全部国民負担になりますね。JRの負担に全然ならないで全部国民負担になるんです。  これが今清算事業団の中で行われていることなんですね。で、あげくの果てにここでJR株式を売却をしようとしている、こういうことなんです。JR株式の売却をすると結局、清算事業団が持っている限り当然その配当は清算事業団に入ってきますけれども、株売却して一兆円、仮に全部売って一兆円としても利息の支払いにさえならない。そういう株の売却をなぜ強行するのかということが一番私は問題だと思っているんです。これはもうやめた方がいい。まあやめた方がいいというより少し延期した方がいい。急ぎ過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うんです。  これは大蔵大臣伺いますけれども、実はあの改革法の審議の当時に、今私が言ったような事態に清算事業団は必ず陥るということについて、特に公明党の浅井先生が非常に鋭く指摘されました。そして、それを受けて当時の橋本運輸大臣もそれから宮澤大蔵大臣も、九〇年の三月末に本格的な財源、措置を行うということを答弁をし、同時に閣議決定もしているんです。ところが、一九九〇年の三月の末にやったことは千四十七人の首切っただけで、実はその本格的な財源、措置を全然やってない。やらないまま今日まで来ているんですね。それをやらないまま今とにかく株式の上場を強行しようとしているんですけれども、どうなんでしょうか。私は今のままでいきますと大量の債務が残る。最善の場合だって十三光残るんですから、その十三兆円の債務が全部国民負担になる、こういうふうなおそれがあるんですけれども、そういう状況でもまだなおかつ政府として本格的な財源、措置をしないままに推移しようとするんでしょうか。
  129. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、国鉄を民営化するときにはそんな問題が大変大きな問題だと異論が残っだということも事実でありますけれども、昭和六十二年一月の閣議決定におきまして、清算事業団その他の問題について、土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については、最終的には国において処理をしなければならない、その本格的な処理のために必要な新たな財源、措置につきましては、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入歳出の全般的な見直し、これは恐らく国の財政のことを言っているのだろうと思いますが、それとあわせて検討し、決定する、こういうことになっておるわけでありまして、いろいろな形でやらなければならない。御指摘のような非常に難しい問題を抱えている問題だと私は思いますが、そのためにもいろいろな形でやるべきことはやっていかなければならない。土地の売却であるとか、また株の上場であるとかいろいろなことをやっていかないと、利息、借金ですから、毎年ほっておけばほっておくほど借金がますます積み重なってくることは先生御指摘のとおりでもありますし、そういった形でどうするかというのはお互いが判断をしていかなければならないことだ、私はこう思っておるところでございます。
  130. 常松裕志

    常松委員 大臣おっしゃるとおりなんです。ところが政府はずっとほってあるのです。ずっとほってあるのです。何もしないで政府はほってあるのです。これは、前清算事業団の理事長さんもある雑誌の中で書いておられているのですけれども、これはずっとほってあるのです。これを何とかとにかく政府として、大蔵省として、これは国会答弁ですから、九〇年三月末までにやるというのを答弁しています。もちろん、その後土地が売れなかったとかなんとかという事情があるのですけれども、それにしても事業団は平成九年の末までで売ると言うのです。  それでは政治は、清算事業団が平成九年の末までに売ると言っているのだから政治の方はそこまで本格的な財源、措置をしないでほっぽらかしておく、手をこまねいておくということになったら、大変ですよ。申し上げましたように、鉄道債券は全部事業団債にかわって、これは最終的に国民が負担する国債と同じことになります。そういう切りかえが行われています。つまりJRを身軽にする措置が行われているのです。加えて、本来清算事業団が保有しておけばJR東などの配当は借金の利払いの一部に充てられるかもしれない。しかし、それをどんどん公開してしまう。何の本格的な措置も政府としてされないままこういう事態がどんどん進行していっているというのが現状なんです。  したがって、ぜひ大蔵大臣において、きょうは運輸大臣もお見えですから御相談いただいて、本格的な財源、措置というのが約束されているわけですから、ひとつこの点について政府として十分御検討いただきますように御要望いたしまして、私の質問を終わりますが、もしお願いできれば、大臣から決意をお伺いいたします。
  131. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 先ほど申しましたように、閣議決定もあるところでございますし、私も非常に難しい問題だとは思っておりますけれども、いろいろなことでやるべきことをやっていただいて、そうした上で処理すべきものはまた処理しなければならない、私は、そういった責任を持っているのが政府、また財政当局のあり方だろう、こう思っております。
  132. 常松裕志

    常松委員 ありがとうございました。
  133. 貝沼次郎

    貝沼委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  134. 貝沼次郎

    貝沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。和田静夫君。
  135. 和田静夫

    和田(静)委員 午前中の論議を聞いていまして、宮澤・クリントン会談を中心とする若干の質問の用意を通告をしていましたが、与党質問と重複をする部分がありますので、そこはちょっと省略をいたしまして、バブルの経済について「資産価格変動のメカニズムとその経済効果」、館龍一郎さんを座長とするこのレポートをちょっと取り上げてみたいのですが、これ、一読いたしましたけれども、金融政策にウエートがかかり過ぎたという反省が、大蔵大臣、あるんですね。それで、金融自由化がバブルの原因ではなくて自由化の過渡期で自己責任に基づくリスク管理が不備だった、こういうふうにこのレポートは見ているわけですが、ともあれ政策的に反省しなければならない点があることは確かだろうと思うんですね。バブルの悪影響を避けるにはバブルを発生させないということの指摘も含まれていますけれども大蔵省としても当然反省があるのだろうと私は思うのですが、この辺は大臣、どういうふうに見解まとめられていますか。
  136. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 その問題は今先生の御指摘のように、館さんを中心とするところの勉強会がありまして、研究所で少し勉強してみようという形でやったわけでありまして、私の方からは特に、諮問してどういうものを書いてくれとかということでは全然ないんで、全く学者の自由な御発言のもとにいろいろとやってもらったらどうだろうかそういう形で私はお願いをしたものだというふうに聞いておるのです。作文出てまいりましたし、私もまだ実は正直言って厚い本を読んでないものですからあれですけれども、いろいろな点で、私は反省すべきものは反省し、いい学問的な成果でありますから、また、その辺は取り入れていかなければならないものがあるだろうと思います。現実の問題としてどうするとかこうするとかというものは抜きにしまして、やはり学者のお話でありますし、割と一流の方々がやっておられるわけですから、私は、謙虚にいい資料にさせていただきたい、こう思っております。
  137. 和田静夫

    和田(静)委員 一遍別の機会にでも大臣の見解を承れれば幸いだと思います。  自民党の金融問題調査会と財政部会で、日本開発銀行日本輸出入銀行の統廃合を軸にして政府系金融機関の抜本的な見直しに着手する、こういうふうになっているのですが、まず大蔵省としては、この統廃合、メリット、デメリット、抜本見直しの研究とでもいいますかこれはどういうふうにおやりになったのか、さらには両銀行の責任者、これではどういうふうに御見解をお持ちですか。
  138. 吉野良彦

    ○吉野説明員 開発銀行の立場からお答えをさせていただきたいと存じます。  今委員おっしゃいましたように、いわゆる金融制度改革問題との関連で、政府関係金融機関の問題につきましてもいろいろ論議を深める必要があるのではないかというような御観点から、私詳細は承知いたしておりませんけれども、自由民主党の関係機関でそういう議論があるということは新聞等で承知をいたしております。  でございますが、私から改めて申し上げるまでもないところでございますが、私どもの開銀は産業開発あるいは経済社会の発展という大目的のために、そのときどきの経済社会の変化に応じながら、政策的に緊要だと思われますものを対象にいたしまして、民間の金融ではなかなか融通ができないような、つまり質的あるいは量的に政策的に補完をしていくというような使命を負っているわけでございます。開銀、実は設立されましてからもう四十年たつわけでございますが、その間、そのときどきの経済社会の情勢の変化に的確に対応しながら政策融資の分野の重点も随分見直しをやってまいっておるわけでございます。  今お話しの輸出入銀行との問題でございますが、開発銀行と輸出入銀行との合併というようなことに具体的な論議があったというふうには実は私承知をしていないわけでございますが、お尋ねでございますのであえて申し上げますと、これも先生よく御承知のとおり、輸出入銀行の方は我が国と海外諸国との経済的な交流を促進をする、そのための輸出入金融をする、あるいは海外への投資の金融をするということで、私ども銀行がお預かりをしております政策目的とは目的自体が違います。違いますこととの関係で当然その融資の対象も違ってまいる、あるいはまた融資の仕方あるいはその手法、こういったものも違うわけでございまして、私どもといたしましては、そういったそれぞれの機関の特性を十分に発揮をしてノウハウを大いに活用して、それぞれが積極的に努力をして貢献をしていくということが、その政策的な要請にもこたえるゆえんであるし、あるいはまた政策的な、お借りになる方々ですが、国民の皆様方のニーズにこたえるゆえんでもあろう。  繰り返しになりますが、それぞれの特性を生かしながら、そしてノウハウを大いに活用しながらそれぞれが努力をしていくということが政策的な要請に一層こたえていく道ではなかろうか、こんなふうに考えているわけでございます。
  139. 和田静夫

    和田(静)委員 大蔵の見解も求めたんですが、今の答弁でわかりました。どうぞ、もう銀行関係、結構ですから。  金丸前自民党副総裁の脱税事件でちょっと伺いますが、政治資金と個人の所得の区別をどこでしたのでしょうか、説明してください。
  140. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  ただいまお尋ねの件は、まさに先般の金丸前議員の所得税法違反事件の内容でございます。現在、検察当局におきまして、公判廷における立証を前提といたしまして今いろいろ議論されているところでございます。本事件に関します詳細な内容につきましては、いずれにいたしましても公判廷における立証問題でございますので、それに密接に関係するものでございますので、具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  141. 和田静夫

    和田(静)委員 金庫は一つで、表の金も裏金も一緒に入っている、派閥に入った金はすべて領袖の金だと認識をしている、これは派閥領袖の元秘書の話なんですが、政治資金も個人の所得も区別していない、それがどうも実情のように思われます。  つまり、政治資金か個人の所得かは主観的なものということになる。形式的には政治資金規正法上の届け出をするとか所得税の申告をしておけばよいわけでありますが、結局は主観の問題で、あいまいな感じがいたします。そこに国民の政治不信の根源があると私は思うのですが、大蔵大臣としてどんな反省あるいはお考えをお持ちなのか、あるいは国税当局をどう指導されてきたのか、そこのところを伺いたいわけであります。  殊に、派閥の金というのは、引用したように、すべて領袖の金という認識で動いているとすれば、これはやはり問題を起こす温床であると言わなければなりませんが、警鐘を鳴らすべきではないかと私は思う。納税者の政治不信を除くためにどういう見解で臨んでいらっしゃるのでしょうか。
  142. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 金丸議員の事件につきましては、私も、かつての先輩でもありますし、また、そうした形をされるとは思ってもいなかったようなことがあったということにつきましては、私は非常に残念なことだと思っておりますし、私も自由民主党の党員の一人として、本当に残念なことをしていただいたな、まことに遺憾な話だな、この一語に尽きるだろうと私は思います。  私も、まあそういうことはありませんけれども、やはり政治家として自粛自戒をしていかなければならない問題ではないかと思っております。単に自民党だけではありません。この問題が、国民の間におけるところの、政治家というのは何かうさん臭い話だぞというような印象を与えたということについては、私たちは本当に反省して、そういったことがないような仕組みというものをいろいろと考えていかなければならないもののように思っておるところでありまして、現在、そういった観点も含めまして、政治改革でいろいろな御提案をしたり、討議をしていただいておるところでございまして、こういったところの討議の結果、議論の結果を待って処理をしなければならないものだろう、私はこう思っておるところでございます。
  143. 和田静夫

    和田(静)委員 金丸事件については、金丸さんや生原さんはもちろん責められるべきでありますが、大金を献金し続けたゼネコンも極めて悪質な国民に対する背信行為をやっただろう。したがって、私は、きょうは石川商工会議所会頭にここに参考人でお出まし願おうと思って、いろいろ理事の間でやっていただいたのでありますが、残念ながらそういう機会を得ることがきょうはできませんでした。特に、公共工事の入札に絡んで、献金をルール化していたということは、言いかえれば、実態的には国民の税金で政治献金をしたことになるだろうと私は思うのですね。公共工事の入札へのお礼の形で献金をしているとすれば、これは実態的に贈賄になるのではないだろうかと私は思うのですが、法務当局、どうです。
  144. 藤田昇三

    ○藤田説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のようなことに関連する報道がなされたというようなことは私ども承知をいたしておるところでございますが、具体的な事案における犯罪の成否ということにつきましては、法務当局が答弁することは差し控えさせていただきたいと思うのでございます。  ただ一般論として申し上げますと、贈収賄罪の成立のためには、公務員に対して、その職務に関して利益が供与された、あるいはその約束、申し込みなどがなされたというような要件が必要でございます。したがいまして、御指摘のような事案につきましても、これらの要件が具体的な証拠によって認定できるか否かということが問題になるものと思われます。  以上でございます。
  145. 和田静夫

    和田(静)委員 公共工事代金を一定割合で献金をする、これは国費の不適正な使用になるのではないかというふうに私は思うんですけれども、これは会計検査院及び総務庁はどういう見解ですか。
  146. 佐藤恒正

    ○佐藤会計検査院説明員 確かに、おっしゃるように、そのとおりであれば不適正な支出ということになろうかと思いますけれども、私どもは、公共工事の検査に当たりましては、契約手続、工事の設計、積算、施工等が適正に行われているかどうかという観点から、従来から厳正に検査しているところでございます。  国が発注する工事の請負人につきましては、会計検査院法の規定によりまして、その工事契約に関する会計について検査することができることとなっておりまして、必要な場合にはこういった工事の請負人についても、国の会計に対する検査を補完する立場から、契約価格が妥当であるかとか、履行が確実であるか、こういったことを確かめるために検査を行うことになるわけでありますけれども会計検査院法上、検査の対象は請負人の工事契約に関する会計に限られておりまして、やみ献金等を究明するためには、会社事体の一般経理を検査する必要があるわけでありますけれども、こういった会社自体の一般経理までは検査権限が及ばないと考えているところであります。したがいまして、やみ献金等につきましては、その実態を把握していないというのが実情でございます。  しかしながら、検査の結果、これらの問題に原因しまして契約が不公正に行われたり、契約価格が不経済となっているというようなことが明らかになりました場合には、当然検査院といたしましても指摘することになる、かように考えております。
  147. 笹岡俊夫

    ○笹岡説明員 御指摘の点でございますけれども、私ども行政監察の立場といたしまして、権限上の問題等ございまして、公共事業の関係につきましては、契約、発注手続等が合理的かどうかといった問題に取り組むことといたしております。
  148. 和田静夫

    和田(静)委員 形式論的な答弁なんですが、実態的には国費による政治献金、まあイタリアのマフィアと同じだという感じが私はいたしまして、国民感情を考えてもっと調査をされるべきだ。会計検査院法の改正問題等、内容の問題は、私は参議院の決算委員長として携わってきたこともありますから形式的なことをわからずに言っているわけじゃありませんが、今日の国民感情というものを十分に考えながら行政が対応するということを忘れてはいかぬだろうというふうに思いますね。  そこで、ゼネコンのこの裏金づくりにはかねてよりさまざまな疑惑があります。例えば現場労務費の水増しなど、裏金づくりの手法がささやかれていることはもう御存じのとおりでありまして、こうした点を国税としてはやはり少なくとも調査をされて、国民の前に明らかにすべきだというふうに私は思いますが、国税はどうですか。
  149. 野村興児

    ○野村(興)政府委員 お答えいたします。  国税当局といたしましては、常に納税者の適正な課税を実現する、こういった観点から、あらゆる機会を通じまして有効な課税資料の収集に努めて、課税上問題がある、こういった場合には実地調査を行うなど、適正な課税に努めているところでございます。  ただいま建設業界のお話でございますが、私どもは、建設業界に限らず、いわゆる大法人に対しましては重点的な調査体制をとっておりまして、一件当たりの調査日数等の面で、大法人に傾斜をつけた密度の高い調査を実施しているところでございます。今御指摘の点も含めまして平素、資料収集を含めまして熱心に取り組んでいるところでございます。
  150. 和田静夫

    和田(静)委員 裏金づくり以外に、使途不明金という会計処理、そういう政治献金があるわけでありますが、これはゼネコンがその額は極めて大きい。私は、常識を超えている、こう思う。私は、ゼネコンの会計処理あるいは税務処理、これらも、今の答弁との絡みですが、国税は、十分に調査をされる、そして国民が納得できるような指導を行うべきであると私は考えます。これは要望だけしておきます。  特に、予算委員会なり決算委員会なりで問題になって、調査を約束される、あるいは前向きに検討されると答えられたことが行われない。そういう結果がさらに悪を増大をさせるとでもいいますか、例えば、使途不明金でいえば、昭和五十九年に、今度証人喚問を病床で応ぜられた小針さんの福島交通問題、五十億という使途不明金の問題を、私は参議院予算委員会で指摘をした。しっかり調査をされるということをお約束になったけれども、その後一向に進まない。結果的には使途不明金が膨大なものになってきている。あれから丸八年たっているわけであります。そういうこともひとつ行政の側は肝に銘じながら、答えられたことは忠実にやってもらいたい、私はそのことをきょうは要望しておきます。  運輸大臣伺いますが、九二年十二月十六日の午後三時から、ホテルメトロポリタンで、JR東日本都市開発株式会社の社長を幹事として、駅ビル会社常勤役員及び各社の安定株主依頼先を招待をして、住田社長著書出版記念講演会の名目で、講演会とそれに続くパーティーが、JR東日本の費用負担のもとに催されました。その内容は、著書とは関係なく、JR東日本の経営実績と将来の見通し、JR東日本への投資価値、上場後の株価維持のための株主優遇策などを説明するものでありました。これは内部をよく知る人が書いた文章なんでありますが、こういう会合があったということ、こういう動きをJR東日本が、会社ぐるみ、社長を先頭に行っているということは、運輸大臣、御存じでしょうか。
  151. 越智伊平

    ○越智国務大臣 JR東日本が講演会等を行っておりますが、そのことは聞いておりますけれども、これは、会社の現状とか今後の方向とか一般的に説明をしている、こういうふうに聞いております。
  152. 和田静夫

    和田(静)委員 実は伺いたいのは、JR東日本の株を保有しているのは、けさも論議がありましたように国鉄清算事業団である。これは半国有財産でありましょう。国民の財産であるということであります。JR株上場については、国民に公平に販売しなければならないという原則が定められていると私は思います。ところがこういう形で談合して販売するのは、明らかに違反しているのではないだろうか、インサイダーの疑いさえ生ずるのではないかと実は私は思っていて、きょうは時間もありませんからそこまでの論議はいたしませんが、運輸大臣、是正を指導をされるべきではないだろうか。  私はここに、例えば、二百七十八社、一万七千三百七十株の依頼株数の各社、関連会社の一覧も、実は資料としては持っていますよ。これは私はインサイダーの可能性が大変深いと実は思っているのです。是正を指導される御用意はございますか。
  153. 秦野裕

    ○秦野政府委員 JR株式の売却につきましては、いわゆる準国有財産という性格でございますので、当然公正な売却というものが求められているわけでございます。  私どもがこのJR株の売却に当たりまして御検討をお願いいたしましたJR株式基本問題検討懇談会というところでも、同様の趣旨の御指摘がございまして、売り出しのときに特定の投資家に優先的に割り当てを行うというようなことは適切でないということが指摘されているわけでございます。  そこで、具体的に公正さを担保しますために、今回売り出そうと思っております株式の一部をまず入札に付しまして、その結果を参考にして売り出し価格を決定するということがまず第一。売り出しに当たりましては、いわゆる売り出しの取り扱い方式ということで、応募者の方々の中から、応募者が多い場合には、抽せんによってこれを決定するということで、いわゆる公正な方式を採用することにしておりますので、いわゆる事前に割り当てを行うというようなことはできないようなシステムになっておるわけでございます。  ただ、いろいろ御指摘もございますので、そういう意味で誤解の生じないように十分JRを指導してまいりたいというふうに考えております。
  154. 和田静夫

    和田(静)委員 株価及び地価の下落等バブル崩壊の影響は、銀行に限らず、生損保の不良債権額のディスクロージャーについてこの機会に聞きたいのは、生損保にも相当の影響を与えているからでありますが、一部報道によりますと、平成年度決算では、東邦生命、団体生命は準備金の戻し入れによって帳じり合わせをしています。また、役員賞与を見送った会社は、前二社のほか日産生命でも行われている。青息吐息の決算状況にあると伝えられているわけですが、中でも東邦生命については、仕手筋におもちゃにされた日本レースに関与し、イトマン事件の許永中容疑者との関係が取りざたされておって、社長の責任がはっきりした形でとられていないことに対する不満があると報ぜられていますね。このほか、千代田生命は、系列ノンバンクが不動産関連の融資等で多額の不良債権が発生をしていると言われ、その支援のために三百億円を超える融資への金利軽減等の支援措置をとるとも伝えられていますね。  こうした報道から少し考えまして、国民は、とりわけ現在の生命保険システムに安心していてよいのかどうかという疑問を持っていると思うのですが、政府はどういうふうに考えていますか。
  155. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 先生御指摘のように、生命保険会社につきましては、最近の状況といたしまして、その資産運用等経営をめぐる環境には大変厳しいものがございまして、各社とも経費の節減等の経営の合理化努力や保険に係る予定利率を引き下げる等の対応を行っているところでございます。  いずれにしましても、保険会社の本来の業務であります保険金等の支払いは責任準備金等で担保されており、契約者に不都合をもたらすような状況とはなってないと考えておりますが、なお保険会社におきましてさらに経営努力をし、その経営の安全性、安定性に努めるように指導してまいりたいと思っております。
  156. 和田静夫

    和田(静)委員 生保について見ますと、株価暴落に直撃されて資産運用利回りが急減をしていますね。そして二年連続で利差配当率の引き下げに追い込まれていますよ。ほとんどの生保が〇・五%引き下げ。平成年度の配当基準利回りは、平成年度の六・五%から六%へ低下しましたね。ところが、八五年度から八九年度にかけて満期十年以下の生保商品に加入した契約者に約束をしていた予定利率は六・二五%ですよ。本来なら、保険料の追加徴収という形で契約者に負担を求めるのか、あるいは保険業法第四十六条に沿って保険金額の削減に踏み切らざるを得ない。それが、生保各社は非常時の積み立ての資金であるところの特別配当財源である八十六条準備金を取り崩して配当資金を捻出していますね。  この八十六条準備金は、契約者全体の財産であるのだろうと私は思うのです。これは一部の契約者に対する財源不足に充てられる性格のものではないと私は思う。これでは証券会社の損失補てんと同じことであると私は実は考えるのですが、生保各社の八十六条準備金取り崩しの実態というのは十分御存じでしょうから、大蔵、何か見解お持ちですか。
  157. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 先生御指摘の責任準備金、予定利率の問題でございますが、今御指摘のように予定利率につきましては、六%を超えるものもあれば五%のものもあれば四%のものもある、そういう状況にございます。それで、その予定利率に見合う責任準備金の積み立てにつきましては、その運用利回り、これは株価の下落のほかに実際に金利が低下してきている局面の中で運用利回りが下がってきているという状況ではございますが、それ以外に全体としての経費の節減とか、そういった中で予定利率に対応できるような責任準備金の積み立てを各社努力をしながら行ってきているところでございます。  今先生のお話のございましたようにそれぞれの契約者群団で区分経理をしていく必要があるかどうかという問題につきましては、現在のところはこれは合同運用をいたしております関係上、各契約者、それぞれの契約群団の中で区分経理を行うという実情にございませんものですから先生御指摘のような御疑問が生じてくるところではないかなと思っているわけでございます。これにつきましては、将来の問題として、それぞれ大きな契約者群団に分けながら区分経理をしていく、そういうようなことの中でより実態に合ったような責任準備金の積み立て方式に変えていく、改善していく、こういうような努力が必要ではないか、そういう方向で現在鋭意検討を行っているところでございます。(「善意の契約者に迷惑をかけておるよ、多大の迷惑をかけておる」と呼ぶ者あり)
  158. 和田静夫

    和田(静)委員 そうなんですね。今不規則発言があったとおりの状態が生まれていることは、これは大蔵の側だって十分掌握されているんだと思うのです。私が特に挙げたのは、八五年から八九年度にかけての期間十年以下の予定利率六・二五%の契約者です。これに対して補てんに必要な金額はどの程度とお考えになっているのかということを、もしそこに資料をお持ちならお答え願いたいのですが、これが中小生保にとって経営圧迫の要因となるというようなことはありませんか。
  159. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 中小生命保険会社を含めまして生命保険会社全体としまして、今市場金利の低下等の問題が、過去に契約者にお示しした高い予定利率との差をどうやって埋めるかという問題については、各社とも大変腐心をせざるを得ない状況になっていることは先生御指摘のところでございますが、その問題につきましては、先ほど来申し上げましたようにいろいろな経営努力の中で何とかその対応をしているというのが現状だというふうに理解しております。
  160. 和田静夫

    和田(静)委員 時間がありませんからあれですが、生保各社の中には予定の配当基準利回りを達成できない、あるいは達成するための準備金等が枯渇してしまうところが出てくることが予想されると私は思うのです。そういう状況になりますと、今後資産余力のある大手の生保に新規契約がシフトしていくことになるのではないだろうかそういうことをちょっと考えますね。したがって、中小の生命保険会社の中には経営危機的な状態になって、外部からの資金導入を容易にするために株式会社化に走る、また、それによって生保の合併が容易になるのではないかというふうに思うのですが、どのようになるというふうに想定をされていますか。まあ仮定の問題は答えられないと言われればそれまでなんですが、私はますます寡占化状態になって、利用者のサービスの向上、商品の多様化等が難しくなるのではないだろうかというふうに思いますが、いかがか。
  161. 鏡味徳房

    鏡味政府委員 生保各社の経営につきましては大変厳しい状況にはございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、各社のいろいろな経営努力の中で、現在、保険会社の本来の業務であります保険金等の支払いは責任準備金の方で担保されておりますので、契約者に不都合をもたらすような状況とはなっていないと考えているところでございます。  ただ、今御指摘のございましたように、中小生命保険会社につきましてはきめ細かく利用者ニーズに対応していく等、各社の特色を生かした事業展開が期待されているところでございまして、各社におかれてはこのような経営に向けて努力が行われる必要があるというふうに考えております。  また、合併の問題でございますが、保険会社の合併につきましては、その時点におきます経営状況等を踏まえ、保険会社がそれぞれの経営戦略に基づき自主的に判断すべき問題ではないかと考えている次第でございます。
  162. 和田静夫

    和田(静)委員 もう少し詰めた話を別の機会にやりたいと思います。  さて、JRの株問題にちょっと返ります。  JR東日本の株四百万株の半分二百万株を秋に上場、売却する、そういうふうに決められたというのですが、二百万株を売った後はどういう計画なんですか。残りの二百万株はいつごろ処分をされるのかあるいは、その他JR本州二社、あるいは三島JRの株の売却スケジュール、こういうようなものはできているのですか。
  163. 秦野裕

    ○秦野政府委員 つい先般、JR東につきましていわゆる上場の仮申請というものを行いました。まだ今後の株式市場の動向によりますけれども決算の確定後できれば売却、上場を急ぎたいというふうに考えておりまして、一応対象としまして二百万株ということが念頭にあるわけでございます。したがいまして、残りの二百万株、あるいは東海、西を含めました株式を今後どう売却していくかということにつきましては、今後の市場の動向もございますので、資産処分審議会の答申を踏まえまして、関係者と十分相談をしながら今後検討していきたいということで、まだ現時点では白紙と申しますか、具体的なスケジュールにはなっておりません。
  164. 和田静夫

    和田(静)委員 JR東日本は完全に私鉄になっても、他のJR、特に三島JRは株が売れずに特殊法人でとどまる可能性が強くありませんか。そうなったら国の輸送の大動脈である全国鉄道ネットワークが分断される危険がありますね。このことは、私たちが言うだけじゃなくて国鉄改革を支持してこられた運輸専門家の間でも盛んに最近書かれていますね。  運輸大臣、この辺はどういうふうにお考えになっていますか。
  165. 越智伊平

    ○越智国務大臣 今JR各社は協定を結んでやっております。したがいまして、東日本の株式を上場いたしましても引き続き同じような協定で進めさせますので、全国ネットワークに影響のあるようなことはいたしません。
  166. 和田静夫

    和田(静)委員 国鉄改革法の一条を読むまでもありませんが、JRになったら、今の大臣の御回答ではありますが、七社がばらばらにもうけを目指して走ればいいということではないから、当然今のような答弁をしっかり受けとめておきたいのですが、改革法は、JRが経営的な成功を果たすとともに一定の公共的役割を果たすことを義務づけています。このJRの公共鉄道としての役割というのは、東京一極集中の打破のためにも、あるいは国土の均衡ある発展のためにも、私はますます重要になっていると思う。そのときに目先の判断でもし全国ネットワークを分断するようなJR株上場を急ぐとすれば、それは私は急ぐ必要がないと言わざるを得ない。我が国の二十一世紀を目指すあるべき運輸戦略、そういうものに逆行をする形であってはならない。JR東日本株の場当たり的な売却というものが計画をされているのではないかというふうに私は考えるのですが、何のためにJR株の上場なのかという素朴な疑問にちょっと答えてください。
  167. 秦野裕

    ○秦野政府委員 これは改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、国鉄改革の際に、国鉄の企業体質そのものに問題があるという反省から、いわゆる完全民営化、あるいは分割して、なるべく一つの会社の社長さんなり幹部の方が現場の隅々まで目を通しやすくするという意味での分割、それが一つ。それからもう一つは、国鉄の抱えておりました長期債務、膨大な額に及びます長期債務を可能な限り速やかに、かつ少しでも多く償還をしていくという二つの目的があるわけでございます。  JR株式の上場によりまして、いわゆるJR会社の完全民営化が図られると同時に、国鉄債務の縮減ということを図るという観点から私どもは現在作業を進めておるところでございます。
  168. 和田静夫

    和田(静)委員 そうしますと、私はこれまでの債務処理状況の総括が必要だと思うのですよ。私は予算委員会等で何遍もやってまいりましたし、特に分割・民営化の参議院における最後の運輸委員会だって三塚運輸大臣と幾つかの約束をしましたし、中曽根さんとも幾つかの約束をあの当時した。そして久しぶりに国会に帰ってきてみたら、一向に守られていない。そのことを前提にしながら予算委員会等で論議をしてまいりました。  午前中もちょっと論議がありましたが、例えば国鉄清算事業団、二十五・五兆円の借金。本来なら、ずっとあのときの論議を思い出してみれば、今ごろ借金が半分になっていなければならないはずですよ。私たちは、こういう手法では借金は減りませんよということを指摘してきた。政府側は、いや減っていってこうなんだと言った。ところが今になってみれば私たちが指摘してきたとおりになっている。そしてけさの答弁では二十六・五兆円というようなことになっていますね。  借金整理の見通しが立たないとすれば、総括と反省というものがまず出されなければなりません。そして、長い論議の結果生まれている今日の事情、それらを総点検して、さて次はという話になるのが私は当然だと思うのですね。けさ来もあったように、借金の整理ということであったならば、二十六・六兆円近くに膨れ上がった全体の整理計画を出し直すべきであろう。けさのように計画は立ちませんというような形で済まされる問題ではないと私は思う。その中のJR株売却計画でなければ借金返済のための株売買という理屈は成り立たないと私は思いますよ。  株の売却益で東北新幹線、盛岡以北についてフル規格でという声も一方では上がっておりますが、それはそういうことですか。
  169. 秦野裕

    ○秦野政府委員 整備新幹線につきましては、東北の関係の知事さん初め諸団体の方からフル規格で整備してほしいという要望があることは私ども承知しております。
  170. 和田静夫

    和田(静)委員 そこらあたりももっと論議を深めなければならぬところでありまして、これだって今までの答弁から見ればいつの間に変わってしまったんだということになりますね。あるいは、けさの答弁の中にもありましたけれども、事業団の売却可能な用地がいつの間にか膨れ上がったりしていくという状態です。過去の論議を思い浮かべてみると、三千三百五十ヘクタールということであったですね。これは、そのとおりではないわけですか。
  171. 西村康雄

    ○西村参考人 ただいま先生が御指摘の三千三百五十ヘクタールという土地は、当初全体の八千八百十ヘクタールの用地を二つに分けまして、その一つが売却可能用地、その一つが立地条件等から非常に売却が困難な土地、二つに分けております。そのうちの売却可能用地とされたのがお示しの用地の面積でございます。
  172. 和田静夫

    和田(静)委員 したがって、売却可能用地が三千三百五十ヘクタール、それを基礎に置きまして、九一年度末までに三千百五十九ヘクタールを売った、売り上げが二兆二千億円だったということですが、これはこのとおりですね。
  173. 西村康雄

    ○西村参考人 御指摘のとおりでございます。
  174. 和田静夫

    和田(静)委員 そうすると二百ヘクタール残っていることでありますが、一月十日の総務庁監査報告によりますと、残り資産は十二兆円、これもこのとおりですね。
  175. 西村康雄

    ○西村参考人 平成年度期首の資産の推計額がお示しの数字でございます。
  176. 和田静夫

    和田(静)委員 そうすると、この十二兆円の内訳はどういうことになりますか。
  177. 西村康雄

    ○西村参考人 当事業団の発足の当初に、売却可能用地、売却困難等用地として先ほどの面積の区分をしておりましたが、今回十二兆円の対象となりました資産につきましては、これをそのような分類をしておりませんので、その内訳というふうに今申し上げるわけにはまいりません。
  178. 和田静夫

    和田(静)委員 ここのところ、私は非常に疑問なところでありまして、残念ながらきょうは時間がありませんから後日もう少し突っ込んだ論議をします。どうも土地の評価の仕方が私はあいまいだと思うのです。清算事業団、運輸省には国民の大事な資産を管理、売却する能力がないことが明らかになった。そういう意味では、旧国鉄の資産というのは裁判所が扱ってしかるべきだろうというぐらい、長い論議を経ながら今日思いますよ。その主張の上に立った論戦はあと残された十分間ではできませんので、後に譲ります。  そこで、JR上場のための東証一部の審査基準の中に、違法状態がないとき、情報開示ということが大きな要件になっているはずであります。大蔵大臣にちょっとお聞きしたいのですが、大蔵の側は情報開示を強くお求めになっていますよね。
  179. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 お尋ねして恐縮でございますが、今国鉄の話をずっとやっておられたのですから、情報開示の話というのは銀行の情報……
  180. 和田静夫

    和田(静)委員 いや、JRの経営状況の開示です。
  181. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 それは、今度上場するということになりましたならば、当然に株主にいろいろな情報を出さなくてはいけないと思うのです。それでないと、株主が株を買うときにどんな会社であるかということがわからないと困りますので、そういったことをいろいろ事前に審査をしているというのが今の東証での仕事ではないかなと思っております。いずれにいたしましても、上場するときにおかしな情報を持ってやっておったんじゃ投資家に対して誤った判断を与えかねませんので、そういった形でやっているということで御理解を賜りたいと思います。
  182. 和田静夫

    和田(静)委員 当然のお話が大臣からございましたが、どうも私、JRの東日本の経営情報の開示の態勢が一体あるのだろうかということを、運輸大臣、非常に疑問に思っていまして、答えを特に求めませんが、国鉄時代に行われておった情報開示、例えば首都圏の通勤路線、東北・上越新幹線などの部門別の収支の公表、こんなもの発表していませんよ、国鉄時代にやっておったことを。あるいは中期経営計画を作成しているにもかかわらず、そういうものの情報の開示もない。年間の新聞、テレビヘの広告代がどうなっているのだというようなことの開示もないなどというようなことがずっとどうも続いているような感じがいたしますので、運輸大臣、しっかりこの辺のところは見ておいてもらいたいというふうに、意見だけきょう申し上げておきます、ちょっと時間がなくなりましたので。  そこで、例えばNTT株が料金値上げと合理化が発表されたことで値上がりをしたと言われていますが、株価対策のため料金値上げ、人減らしというのでは利用者と労働者に犠牲を押しつけることになりまして、私は本末転倒だと思うんですが、公共のJR株なんですから、利用者にも労働者にもプラスになる売却でなければおかしい。  で、亀井さんが国鉄改革の五つの原則の一つとして、国鉄改革の犠牲者の保障をきちんとやる、特に、一人も路頭に迷わせないと言った。私もこの論議のときには直接そういう答弁を当時の運輸大臣から承っていた。当時中曽根首相もそのことを確認をされました。その国鉄改革の原則は、確認として私は今でも生きているんだと思うんです。ところが、ここのところを非常に心配される方々が実はたくさんいらっしゃる。国鉄の分割・民営化に賛意を表される立場にあったいろいろの識者の中からも、「旧国鉄からJRに分割・民営化されるに際し、多くの従業員が退職に追い込まれた。自殺した管理職も少なくない。当事者や家族の気持ちを考えれば、上場ではしゃぐのはまだ早すぎはしないか。この問題は上場資格にかかわることではないが、二足の配慮が必要と思われる。」というふうな形で週刊東洋経済にこの四月二十四日号で論説委員の湯浅誠さんが指摘をされている。  私は、清算事業団の最優先の任務というのは、金銭的な国鉄の負債の処理も当然として、この人的な負債の処理にあったはずだろうと思うんです。ところが一千四十七名の地労委の救済命令を受けた労働者の問題については、これは運輸省はもう終わった問題だというふうな姿勢にどうも見受けられて仕方がない。しかし、当事者はもちろんのこと世論も、終わったなどというふうには受けとっていません。株上場の前に、あるいは整備新幹線をつくる前に、この分割・民営化の犠牲になったこの労働者の問題を私は誠意を持って解決すべきだと思う。とにかく一人も路頭に迷わせないと言いながら、結果的には三年たったら機械的に首を切ってしまった。これは政府の重大な約束違反だと私は思うんです。政府自身も、三年たっても清算事業団に残った労働者がいた場合にも生首を切るようなことはやってはいけないとお考えになっていたはずであります。またやらないと考えていたはずであります。当然常識ですからそうです。  私はその証拠をきょうは、今の時期に適切であるかどうかは別問題としてお見せをしたい。     清算事業団職員の雇用について   清算事業団の職員については、三年以内に全員の再就職が図られるよう最大限努力する。再就職先が未定の者は、更に二年以内に再就職が図られるように努力する。    昭和六十一年十一月二十八日               三塚  博(印)               橋本龍太郎(印) 以下、当時関係をされましたところの運輸大臣が政府を代表して、あるいは自由民主党を代表されて、こういう署名で覚書を交わされています。     清算事業団職員の給与について   基本給、扶養手当及び都市手当については、  現行の水準を維持するものとする。三塚さん、橋本さん、署名、印、以下というような書類が現存をいたしています。  したがって、運輸大臣、三年たっても事業団に残っている労働者がいたら、二年間は生活保障を続けることに政府もお認めになっていたわけでありまして、それなのに機械的に首を切ってしまって、株上場をどうしてもやる、こういうような形でもって推移をしている。ここのところは、立派に経営者のお一人でもあります運輸大臣は、この追い出した、犠牲となった労働者の問題をぜひ私は解決をすべきだと思います。そういう立場を堅持をされて運輸行政に当たられていく、JR問題に対処をされていく、そういうお気持ちはございませんか。
  183. 越智伊平

    ○越智国務大臣 和田先生から先ほど来いろいろの御質問ありまして、政府委員答弁をいたしております。  JRが国鉄から民営化された時点、いろいろ計画をされておりました今の清算事業団の借金の問題でありますけれども、これは土地並びに株式を売却してできるだけこれを補っていこう、借金返済していこう、こういう計画でありました。昨年は株価が非常に低迷をいたしましたので、しばらく延ばすかということでございました。しかし、お説のようにおいおい利子もかさまっていくことでありますから、でき得れば上場して借金の返済に充てることがいいであろう、こういうことで今仮申請をやってもらうようにいたしております。この株の場合、お説のように適当な相場、適当な価格の形成をしていただかなければ、NTTの二の舞になったのでは国民の皆さんに大変御迷惑、といって余り安過ぎても借金の片づけができない、こういう状態でありますのでございますから、まず仮申請をして様子を眺めて進めていこう、こういうふうに思っております。  土地の問題につきましては、御承知のように大変土地値上がりをしまして、普通土地を売却する場合は最低価格を決めるわけでございますけれども、土地の高騰を防ぐために上限価格を決めたようなことであります。しかし今は上限価格に達するような、入札をいたしましてもそれに近くなるような状態ではございません。もっと低い。まあ土地が下がっておるのであります。これはしかしやはり売らなければいけないから、できるだけ地方自治体等にもお願いいたしますし、また、売れるものは適当な相場で今売却をしておりますのでございますから、二十六兆六千億というものはできるだけ早く小さくする。まあ二十六兆六千億、なかなかそこには達しないであろう、こういうふうに思っておりますけれども、できるだけ少なくしよう、こういうふうに考えておる次第であります。  さて、先ほどの従業員の、職員の問題でございますから、そういう今お示しになったことが過去行われたということは聞いております。したがいまして、清算事業団もいろいろ誠意を持って事に当たった。ところが、誠意といいますのは、清算事業団なりあるいは雇用主の方、経営者の方だけでない、どちらも誠意を持ってやらないとなかなか進まない。率直に言いまして、両方が誠意を持って話し合い、努力をしないといけない、こういうことで、この考え方にいささかそごがあったのではないか、こういうふうに率直に受けとめておる次第であります。
  184. 和田静夫

    和田(静)委員 もう時間が来ましたから、私は、最後に意見を運輸大臣に申し上げて、ぜひ運輸大臣が善処をされることを要請しておきたいのです。  この国鉄分割・民営化の中で、七千名の労働者が怠け者との烙印を押されて国鉄から追い出されたわけです。これはこの間の矢ガモの問題のような形で、いわれのない不当なレッテルだったことは地方労働委員会の救済命令がすべて私は語っていると思う。明らかにしたと思う。それなのに、一千四十七名の元国鉄労働者が六年間も不当労働行為による犠牲の矢を背中に刺されたまま家族ともども苦しみの中にあるわけであります。一日も早くこの国鉄分割・民営化で犠牲になった労働者の救済、その救救の方向は、地労委が命令でもとの職場への復帰を指示しているのでありますから、その方向で解決をすべきでしょう。ぜひ運輸大臣の御努力をこの機会に強く要請しておきます。  どうもありがとうございました。
  185. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、時崎雄司君。
  186. 時崎雄司

    時崎委員 大蔵大臣に冒頭お尋ねしておきたいと思います。  実はけさの新聞報道を見ますと、経済同友会の通常総会が行われた後、代表幹事を含めて正副代表者十人が記者会見を行った。その報道によると、最近の急激な円高についてのクリントン・アメリカ大統領の発言に不満が表明され、特に速水代表幹事が「大統領という元首が自国の通貨を弱くてもいいというのはおかしい」こう批判をされたそうです。また、その十人の中で、ある方は、アメリカも日本も「政治家が為替で勝手なことをいうのは不謹慎だ」、それからまたある方は「いまの為替相場は情報と政治で動く。日本の政治がしっかりしてもらわなくてはならない。」このような報道がされているのですが、冒頭、大蔵大臣、こういう記者発表をされた報道についてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  187. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今のお話はけさの朝日新聞囲み欄だろうと思いますが、私は、基本的に申しまして、今のところ大変急激な円高が進んでおりまして、このような急激な動きは、景気に対して悪影響を及ぼすばかりでなくて、短期的には貿易の黒字をますます増大させるということになる可能性があります。したがって。アメリカとしても急激な変動を望んではいない、私はこう思っておるところであります。  そういったことがあって、恐らく同じ基本的な考え方があるので、それぞれの立場におきましてこういうお話が出たのだろう、こう思います。一つ一つの問題について私がどうだこうだ言ってコメントするのは、私は通貨当局の一人でございますから、私からいろいろなことを申し上げるのは、為替市場がもう大変神経質になっておりますから、私からいろいろなコメントを申し上げるのは差し控えた方がいいのじゃないか、こう思っておるところでございます。
  188. 時崎雄司

    時崎委員 もう一言申し上げておきたいのですが、私は、政治家が勝手なことを言うとか、今の政治しっかりせいというのは、私も政治家の端くれですが、私に対して言うよりは、総理大臣を含めて大蔵大臣、経済閣僚などに言われていることだろうと思うのですが、この速水さんの発言、ちょっと気になるのです。  といいますのは、午前中の自民党の委員質問に答えて大蔵大臣は、急激な円高については適宜適切な対処をする、こう答えているわけですね。そうしますと、大蔵大臣の適宜そして適切に対処するというのは、急激な円高を場合によっては抑える、すなわち円安の方向へ持っていくということが当然考えられるわけですね。そうすると、自国の通貨を安い方へ持っていくのはとんでもないと言っているのですから、この速水さんの論理からいえば、あなたもとんでもない人になるわけですね。これは、総理大臣であれ外務大臣であれ、通貨当局の代表者が午前中には適切な対処をする、こう言っているわけでしょう。適切な対処をしたら、少なくとも、一国を代表する者が自国の通貨を弱い方へ持っていくのはとんでもない、こう言っているのですから、あなたもとんでもない一人者になる、私はそう思うのですね。その点でどう考えるか。
  189. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 おっしゃられたような解釈を生む可能性があるものでございますから、けさほど来も私が申し上げておりますように、為替相場が思惑によって短期間のうちに大きな変動をすることや不安定な動きを示すことは好ましくないことである、このような場合には適時適切に対処して為替相場の安定を図ってまいりたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、また、言いますと今のようにとられたり、また逆の話が出てきましたりして、それがまた、為替相場が大変神経質でありますから、影響を及ぼしてくるということを恐れて、私は今のようなことを申し上げている次第でございます。
  190. 時崎雄司

    時崎委員 経済同友会の代表の発言というのは、このように新聞報道を含めて、今のように国際的に通信網の発達しているときにはいろいろな影響を受けるわけですから、大蔵大臣もこの速水代表とも顔なじみでしょうから、余り露骨な論評を加えるようなことのないように、また、他国の元首に対して失礼のあるようなことのないようにひとつ御指導いただければ、こう思う次第でございます。  さて、午前中の質問の続きを少しやらせていただきたいのです。  午前中の発言をされた方、武藤次長さんでしたか、おられますか。午前中十分間でしたのでどうも十分に理解できないのですが、憲法の八十七条で「国会承諾を得なければならない。」こう言っているのですね。  そこで、これは幼稚なことを聞くようですが、承諾というのは国語辞典を引けば何という訳になるのですか。
  191. 武藤敏郎

    武藤政府委員 国語辞典にどう書いてあるかは私ちょっとよくわかりませんが、私ども理解は、国会の御了承といいますか了解を得るというふうに理解をしております。
  192. 時崎雄司

    時崎委員 参考までに辞書のコピーをしてみたのですが、承諾というのは「聞き入れること。引き受けること。」こう書いてあるのです。これは意外に簡単なんですね。したがって、国会承諾ですから、国会が聞き入れること、引き受けること、この決定をするということですね、この条文は。  さて、承諾を与えなかった場合どうなりますか。
  193. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ちょっと理屈っぽくなって恐縮でございますけれども予備費事後承諾といいますのは、この承諾の有無が過去における法律上の効果に影響するものではないというふうに解釈されております。仮に不承諾になった場合には国会に対する内閣の責任というものが解除されないといいますか、ということになりますけれども、その内閣の責任も政治上の責任であって、法律上の責任ではないというふうに解釈されているわけでございます。
  194. 時崎雄司

    時崎委員 過去のことというのは、あなたのおっしゃるのはどういう意味ですか。事後国会承諾を得なければならない、ねばならないのですね、これは。そうでしょう。過去というのは、あなたが言うのは実際に予備費支出をされてしまった、すなわち使われてしまった、その後の承諾のことを指すのか。まあ午前中大分長い戒名で承諾の件が可決をされたのですが、すなわち各省庁に予備費大蔵大臣の決定によって移用される、すなわちこれは法律的には移用という言葉を使っていますね。移用された時点はもう過去になってしまうのかどうか、そこをお尋ねいたします。
  195. 武藤敏郎

    武藤政府委員 午前中も申し上げましたとおり、事後か事前かといいますのは予備費使用決定で判断されるわけでございます。使用決定されますと予備費支出されるということになるわけでございますけれども、ここで言う予備費承諾が仮になかった場合に法律上の効果に影響を及ぼすものではないという意味は、その使用決定及び使用決定に係る支出等の法律上の効果に影響を及ぼすものではない、このように解釈されるわけでございます。
  196. 時崎雄司

    時崎委員 そうすると、いまだ支出をされていない、支払いがされていないことについても既に過去だ、こういうことですね。
  197. 武藤敏郎

    武藤政府委員 現実問題としてどうかということとは別に、仮に理論上のことだけについて申し上げますと、使用決定が判断基準でございますので、おっしゃるとおりのことになろうかと思います。
  198. 時崎雄司

    時崎委員 そうしますと、今度はすべてのことですね。事後において国会承諾を得なければならないというここの条文は、もし承諾が得られない場合にはすべて内閣の政治的責任だけだ、こういうことですね。こういうふうに理解していいですか。
  199. 武藤敏郎

    武藤政府委員 この財政制度の中で、やはり事前に国会の承認を得るというものの例外と、して、総枠は国会の議決を得た上で、後はその支出について内閣の責任に任されているという現行制度というものは、おっしゃるとおり内閣の、残されたものは政治責任のみが残される、このように考えております。
  200. 時崎雄司

    時崎委員 そうすると、あなたのおっしゃることは、憲法八十七条は、「内閣は、事後国会承諾を得なければならない。」というのは存在しなくなるわけですね。必要なくなりますね。政治的責任だけとればいい。  私はどうも、あなたの言われるのは決算と混同しているのではないかというような気がしてならないのです。決算は、過去にも参議院で承認を得られないということはここ何年か続いていますね。これについて言われるのは、内閣の政治的責任だけが問題だ、こういうことなんです。どうもあなた、ここと混同しているのじゃないかと思うのですね。予備費について、やはり先ほど国語辞典を示したように、承諾は、国家が結構ですよ、すなわち引き受けましたよ、または聞き入れましたよという決定をしなければ、その予備費が既に使われてしまった、支払われてしまった場合には、これは決算ですから、今度は決算になりますね。ここについてはわかるのです。しかし、いまだ使われていなくて今からどこどこの款項に予備費を入れる、その時点でいまだ使われていないものが承諾を得られなかったとすれば、これは私は支払いができない、こう考えるのですが、いかがですか。
  201. 武藤敏郎

    武藤政府委員 ただいま決算についての言及がございましたけれども予備費決算もおっしゃる意味におきましては同じような扱いになっているというふうに考えておるわけでございます。内閣予備費の使い道を決定することができるわけでございますが、その支出の当否につきましては国会の批判を受けなければならない。したがいまして、承諾が得られなければ政治的責任は生ずる、こういうふうに解釈されているわけでございます。
  202. 時崎雄司

    時崎委員 どうもよく理解できないのですが、予備費決算と同じだというのはどういう意味ですか。少なくとも憲法八十七条では「内閣は、事後国会承諾を得なければならない。」こうきっちりとしているわけですね。決算については、九十条では報告をするということになっているのじゃないですか。どうして決算予備費が一緒だということが言えるのですか。
  203. 武藤敏郎

    武藤政府委員 予備費につきまして国会承諾が得られなかった場合の法律上の効果の取り扱いと、それから決算国会報告いたしまして、これに対して承認するかどうかということで、仮に決算報告が不承認になった場合との法律上の効果について考えました場合に、いずれも既になされた支出法律上の効果には影響を与えずに内閣の政治上の責任問題が生ずる、そういう意味で同じようなものであると申し上げた次第でございます。
  204. 時崎雄司

    時崎委員 私が再三尋ねているのは、既に支払われたものは決算になることはわかるのです。しかし、いまだ使われてもいないで、予備費がそれぞれの省庁の款項目のところに移用されたとき、事後国会承諾を求めなければならないと午前中あなたはそう言っているわけですね。したがって、いまだ使われていない、そういうものについては、もし承諾を与えないと国会で決定したらば、これは支払うことはできないのじゃないですか。
  205. 武藤敏郎

    武藤政府委員 お尋ねの予備費使用決定、それから若干時間的経過の後の支出というその間に、例えば国会承諾という意味で違いがあるのではないかということでございますけれども、現実の問題といたしましては、予備費は、緊急な場合にのみ許されることでございますので支出決定をいたしますと直ちに実行されるということでございまして、その間に国会承諾、不承諾ということは現実には起こっておらないわけでございます。  非常にぎりぎり申し上げまして、使用決定した直後に国会が不承諾をしたら支出するのかというようなちょっと仮定の話を申し上げますと、その場合にどうかというのはまた違ったいろいろな議論が出てくる可能性があろうかと思いますけれども、現実には予備費国会承諾というのは、予備費使用が決定され支出が行われたその後で、その承諾といいますか、国会提出され議論が行われる、そういうのが現実的な姿であろうというふうに考えます。
  206. 時崎雄司

    時崎委員 この問題だけで長く時間をかける気はないのですけれども、どうもあなたが午前中に言っていることと午後から言っていることはまた違ってきたのですね。  憲法八十七条で言うところの内閣事後国会の云々というのは、それは使った後のことを言っているのじゃなくて、あなたも答弁したように、予備費からそれぞれの省庁予算移用したときを言うと言っているでしょう。だから、その間に、使うまでの間に国会にかけるということがあれば当然まだ支出しないうちに国会承諾を求めることが可能なわけですから、そういうことだって考えられる、現実的にも。  それからもう一つ。あなた、もう少し勉強してもらわなければならぬよ。予備費というのは、緊急に使うことが予備費じゃないんですよ。憲法読んでごらんなさいよ。予見しがたい予算が出たときだけなんですから。緊急なんてどこにもないんですよ、あなた。そんなことで大蔵省予算編成しているんですか。全然違うんですよ、これは。それは緊急に出た場合には、災害復旧などは緊急に補正予算組んだりするわけでしょう。それは緊急なんですよ。予備費というのはもともと予見しがたい、しかし予見ができたとき、そういうとき予算組むわけでしょう。予備費から別なところへ行くんですよ。どこにも緊急なんてないですよ。ひとつ勉強のつもりで聞いてもらって、次に移らせていただきます。この問題はまた後日。  きょうは大変お忙しいところ、特に金融制度調査会のディスクロージャー作業部会の部会長代理の宮本さんにお越しをいただきまして本当にありがとうございました。後ほど少し勉強させていただきたい、こう思います。  ところで、大蔵大臣、昨年の十二月二日、金融制度調査会から「金融機関の資産の健全性に関する情報開示について」、これは答申と言った方がいいのかちょっと私もよくわかりませんが、建議がされたと思うんですけれども、事実でございましょうか。
  207. 寺村信行

    ○寺村政府委員 昨年の十二月二日に金融制度調査会の金融機関のディスクロージャーに関する作業部会で、かねてより大蔵省から御審議をお願いいたしておりました金融機関のディスクロージャーのうち、金融機関の資産の健全性に関する情報開示につきまして中間報告をいただいたところでございます。
  208. 時崎雄司

    時崎委員 それは、私、言葉では答申もしくは建議という言葉を使ったんですけれども、中間報告をいただいたと。ちょっと言葉を厳密に使っていただいて、調査会から何が大臣に来たのか。
  209. 寺村信行

    ○寺村政府委員 実は、金融制度調査会に御審議をお願いいたしましたのは金融機関のディスクロージャー全般でございまして、これは、不良債権だけではなくて、いろいろな各般にわたるディスクロージャーについての検討をお願いいたしておりました。ところで、御案内のとおり金融システムの安定性の問題がいろいろ取りざたされておりますので、この資産の健全性、簡単に言いますと不良資産のディスクロージャーの問題につきましてまずは中間報告をいただいた、こういう経過をたどっているところでございます。
  210. 時崎雄司

    時崎委員 中間報告というのは答申なんですか、それとも建議なんですか、何ですか。
  211. 寺村信行

    ○寺村政府委員 答申でも建議でもなくて、やはり御検討の結果を御報告いただいたということでございます。
  212. 時崎雄司

    時崎委員 金融制度調査会設置法の第二条の調査会の任務というのはどういうものかというのを既にあなたもごらんになってわかっていると思うんですが、三行ですからちょっと読んでみましょう。第二条「調査会は、大蔵大臣の諮問に応じ、金融制度の改善に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。」となっているのですよ。中間報告は何なの。
  213. 寺村信行

    ○寺村政府委員 まさにディスクロージャーにつきましてはいろいろな御審議をこれからも引き続きお願いをしなければいけないということで、もともとそういうことで諮問をお願いしたわけでございます。したがいまして、今委員のお尋ねでございますが、これは将来にわたりまして建議の一部をなすということにはなろうかと思います。
  214. 時崎雄司

    時崎委員 そうすると、今回出された、あなたが再三中間報告と言われているものは、大蔵大臣がこの調査会に諮問をしたうち、金融機関の不良債権のディスクロージャについてのみ建議があったと理解してよろしいですか。
  215. 寺村信行

    ○寺村政府委員 そのようにお考えいただいてよろしいかと存じます。
  216. 時崎雄司

    時崎委員 何で最初からそう言わないの。もう五分以上たっているんですよ、これだけで。  ところで、法律に基づいて建議を受けた、受けた後、これは昨年の十二月二日ですからもう既に五カ月になろうとしていますね。これを受けて大蔵省は金融機関の不良債権のディスクロージャーについて何か方針をお決めになり、もしくはその方針を各金融機関に通達をされた、こういう形跡ございますか。
  217. 寺村信行

    ○寺村政府委員 大蔵省といたしましては、この中間報告、建議の一部をなすと理解していただいても結構でございますが、十分に尊重されるべきものであるという認識をいたしました。ただ、中間報告におきまして、いわゆる不良債権のディスクロージャーは「全銀協等の統一開示基準等業界の自主ルールを根拠として開示を行っていくことが適当である」こういうこととなりましたことにかんがみまして、関係業界に対しましてはこの中間報告趣旨説明をいたしまして、その周知徹底を図ったところでございます。  これを受けまして、全国銀行協会では統一開示基準等を策定いたしまして傘下の金融機関に通知をいたしたところでございまして、各銀行は、この全銀協の決定に沿いまして自主的なディスクロージャーを行うこととなっているところでございます。
  218. 時崎雄司

    時崎委員 どうもよく意味がわかりませんね。金融制度調査会に諮問をした、そしたら、そこでわざわざ作業部会なるものまでつくっていただいて、当面、金融機関の不良債権に関するディスクロージャーについての中間報告をいただいた。これは、その部分についてだけの建議と理解してもいい、こう言う。そこで、この建議を受けた大蔵省は、大蔵大臣は何をしたというんですか、よくわからないんですが。  というのは、平成四年五月十四日、本会議で私、大蔵大臣質問しているんですよ。それは、情報公開を自主的に銀行がみずから行うことは、それはそれでいいでしょう。しかし、それとあわせて「金融制度調査会にディスクロージャーに関する作業部会、これを設けていただきまして、専門的な立場から検討を進めていただき、開示の内容の一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。」羽田大蔵大臣答弁しているんですよ。わざわざ作業部会までつくっていただいて建議を受けたにもかかわらず、やるのは金融機関ですから私の方は何もしていませんということでしょう。説明するのは、何も大蔵省がしなくたって、新聞に載っていればすぐわかることですからね。少なくともこれだけの答弁をし、わざわざ作業部会まで設置させて検討いただいたならば、それを十分受けて、大蔵省としては、金融機関の不良債権のディスクロージャーについて、こうあるべきだとかこうしてほしいとか、一定の方針を出すのは当然じゃないですか。
  219. 寺村信行

    ○寺村政府委員 大蔵省といたしましては、まさに羽田大蔵大臣が御答弁を申し上げましたように、基本的にはこのディスクロージャーに前向きに取り組むべきである、特に不良資産のディスクロージャーにつきましては積極的に対応していくべきだということをかねがね関係業界にも申してきたところでございますし、国会でも御答弁も申し上げました。さらには、昨年の八月十八日に「金融行政の当面の運営方針」を公表いたしました際にも、ディスクロージャーの促進を図る、それから、それを受けました経済対策におきましても再三再四そのような意向を表明してまいりましたし、それから、私どもも関係業界についてはそのような方向で行政を行ってきたところでございまして、まさに昨年羽田大蔵大臣が御答弁を申し上げました方向で行政を展開している、こういうところでございます。
  220. 時崎雄司

    時崎委員 私の方がどっちかというと役人にしたらもっと的確な対応をするような気がしてならないのでありますが、わざわざ法律で調査会を設置しておいて、そこに大蔵大臣の名前で諮問をして、そして実は去年の一月に一定程度の答申を受けているわけでしょう。そして、不十分なディスクロージャーについて、なおかつその作業部会までつくっていただいて、るる検討いただき、そして昨年の十二月二日にこういうものが出た。だとすれば、やはり真剣にそれを受けて、大蔵省として金融業界に対して指導するか、通知を出すか、いろいろなことをすべきじゃないのですか。  聞いてみれば、これをもとに金融機関の方が何かしているというような、そんなことはあなたに言われなくても、この報告書の中にもあるのですよ。それは逆ですよ。いいですか。この中間報告の前に、「金融機関においても全国銀行協会連合会(以下「全銀協」という。)を中心に平成五年三月期よりいわゆる不良債権額の開示を行う方向で検討がなされている」、ちゃんと言っているのですよ。あなたの言われるこれが出て、この中間報告もしくは大蔵大臣にあてた建議が出たから、その方向で銀行協会が検討しているということではないのですよ。それでなければ、この文章の中に入ってくるわけないでしょう。違いますか。もう一度。
  221. 寺村信行

    ○寺村政府委員 まさに委員の御指摘のとおりでございまして、そのような努力を長期間にわたりまして行政当局も続けてまいりました結果がこういう方向に結実し、かつ金融機関が実施の段階に移ろうとしている、こういうことで、ご指摘のとおりでございます。
  222. 時崎雄司

    時崎委員 私の聞きたいのは、金融機関は金融機関なりに、あなた方の御指導もあったとは思いますが、全国銀行協会連合会を中心にいろいろな討議をされて、ようやく本年三月期から不良債権の開示を行う方向でその時点でも検討されておった、これはそのとおりです。  しかし、この中間報告書は、そういうことが行われていることを前提にして、実は作業部会をつくって検討された上で大蔵大臣に提案されているのですよ、提起を。だとすれば、銀行協会が自主的に情報公開、すなわちディスクロージャーをことしの三月期からやろうということはおのずと違うことなんですよ。そういう流れがあるということを前提にして、なおかつ作業部会をつくらせて、建議を受けたんじゃないのですか。にもかかわらず、銀行協会の方は独自にそういうことをやっているからそれでいいんだということにはならないでしょう。やはり、これを受けたら、大蔵省としてもきちっとこれを尊重して方針を出すのが当然じゃなかったのかと聞いているんです。
  223. 寺村信行

    ○寺村政府委員 まさに御質問のとおり、大変尊重して指導しているところでございます。
  224. 時崎雄司

    時崎委員 そうでしょう。素直じゃないんだよ。  さて、それでは参考人の方にお尋ねをします。  参考人も、全国銀行協会連合会特別顧問ということでいらっしゃいますね。私、これを実は大変心待ちにしておったのです。先ほど言いましたように、昨年五月に、私は本会議代表質問をやるのは初めてのことでありまして、私に対する羽田大蔵大臣答弁の中に、作業部会をつくってその中間報告をいただくのを待っている、こういうことですから、どんな報告が出るのかと思って心待ちにしておりました。御苦労には敬意を表しますが、残念ながらがっかりいたした次第でございます。  それというのは、一ページから四ページの中段まで「開示の意義」等々が書かれているのですが、これは大変立派な文章でございまして、積極的にディスクロージャーをやることによって、我が国の金融機関の国際的市場での活動もより円滑に行われる素地が整えられる、それから、インセンティブを高めるためには、利用者や投資家等に資産の健全性に関する情報を開示し云々と、ここまでは大変立派なことが書いてあるのですが、さて次に、「開示に当たって配慮すべき事項」のところへ来たら、がたっと落差が大き過ぎるんですね。「信用秩序に対する配慮等」というところから六ページに至っては、ほとんど開示しない方がいい、後の検討だというのがざあっと出てくるんです。これはなぜこんなふうになってしまったんですか。  前の「開示の意義」、そして具体的に開示のところになったら配慮の方ばかりが先行して、具体的には、開示するその債権は「破綻先債権額」、これだけ。そして「未収利息不計上債権額(「延滞債権額」)」については、特定の金融機関だけに限定してしまった。さらにまた、共同組織金融機関についてはこれから外してしまった。  このように、出だしと結論が大変違うのですけれども、これについての参考人の御意見をひとつお伺いさせていただきたいと思います。
  225. 宮本保孝

    ○宮本参考人 今委員御指摘のとおり、ディスクロージャーに関しましては、これからの金融システムの信頼性を確保するためにも、金融の経営について非常に透明性が確保されなければいけないとか、あるいは経営の健全性を守るためには自己規制といいますか、要するに、ディスクロージャーをするんだということが頭にあれば金融機関の経営がしっかりしてくるだろうというようなこともございますし、また、国際市場で活躍するためにはそれなりに透明性も確保しなければいけないということで、金融機関のディスクロージャーにつきましては、これは積極的に、前向きに考えていかなくてはいけないということを、まさに総論では述べたわけでございます。  ただ、問題は、不良債権のディスクロージャーというのは、これは実は初めての経験でもございます。また、従来、金融機関の経営につきましては、信用秩序を維持しなければいけないということで、ディスクローズについて非常に消極的であったわけでございます。その中で、これからディスクローズを拡大していくということで、全銀協といたしましても昭和六十二年三月から、統一基準をつくりまして、そして毎年毎年ディスクローズする範囲を拡大するとか内容を充実するとか言ってまいってきたわけでございますけれども、いよいよここに参りまして、この三月期から不良債権のディスクローズをするということになったわけでございます。  ただ、実は、不良債権の開示をいたしますと、場合によりましては信用秩序の維持に非常に欠ける面も出てくる可能性があるんじゃないだろうか。信用秩序を維持するために、信用秩序の信頼性を確保するためにディスクローズをするにもかかわらず、それが逆になりまして、ディスクローズの仕方をまかり間違えますと、かえって信用秩序の維持に支障を来すのじゃないだろうかという点がございまして、とりあえず徐々に進めていったらどうだろうか。とりあえず都市銀行であるとか、あるいは信託銀行、長期信用銀行等の大きな銀行から始めていったらどうだろうか。あるいは、今御指摘のように、開示する内容も、経営破綻先から始めて、延滞債権については一部の大きな銀行から始めていきまして、そして、その影響とか反響等、こういうものを見ながら、今後また拡充していったらどうだろうかということでございまして、したがいまして、今度、この三月期のディスクローズが初めて五月か六月に行われるわけでございますけれども、その状況について、調査会、作業部会といたしましても大変大きな関心を持って見守っているところでございます。
  226. 時崎雄司

    時崎委員 もう一点、七ページに「比較可能性の確保」という項目があるのですね。ちょっと結論だけ読んでみましょう。「金融機関間の比較可能性を確保した上でディスクロージャーを行う必要があると考えられる。」と言っているのですね。特に、今あなたがおっしゃるように、大きい企業から、大企業からやっていこう、こう言われておるのですね。  どうもそういう点では、我々利用者、預金者、または投資家、そういう方々から見て、金融機関のディスクロージャーが比較できるようにしなさい、こう言っておきながら、いや、大きい銀行だけをやり、または大きい銀行の情報公開の範囲と小さい銀行の情報公開の範囲が狭まる、場合によっては全くやらないところも出てくる。これでは比較のしょうがないわけなんですね。そして、重要なことだと位置づけて「比較可能性の確保」をうたっておきながら、比較ができないように後の方ではしてしまった。これはどういうことなんですか。
  227. 宮本保孝

    ○宮本参考人 このくだりは、実は、個々ばらばらに金融機関がやるのではなくて、統一基準をつくったらどうだろうかということを言っているわけでございます。それは、やはり統一基準をつくることによりまして、ディスクローズ項目も同じになるでございましょうし、ディスクローズの仕方も同じになるわけでございますから、統一的な基準をつくってやったらどうかということを言っているわけでございまして、それと漸進的にやるという話とはまた別でございまして、徐々にやっていく。  したがいまして、行く行くは、目標といたしましては、それは統一的な基準になるかもしれません。ただ、例えば、最終的にも、協同金融機関と大都市銀行との統一の経理基準が必ずしも同じになるかどうかは最終的にわからないわけでございまして、そこはそれぞれの金融機関の組織なりあるいは個々の金融機関の実態において考えていくべきものじゃないかというふうに思われるわけでございます。
  228. 時崎雄司

    時崎委員 そうすると、参考人の言われるのは、銀行にも、例えば都市銀行とかその他、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、云々くんぬんとたくさんある、こういうことなんでしょうが、都市銀行なら都市銀行の中では同じ基準でディスクロージャーをする、こういうように聞こえるのですが、そう理解してよろしいのですか。
  229. 宮本保孝

    ○宮本参考人 やや私の御説明、誤解を生じたかもしれませんが、都市銀行は都市銀行、信託銀行は信託銀行というふうなことでは、現段階ではもう既にそういう段階ではなくなってきておりまして、大きな銀行、都市銀行、長銀、信託、この辺は一応今の段階では同じ基準でいいじゃないか。  そして、さらに見解を申し上げますと、地方銀行についても、普通銀行なんだから、同じ銀行法に基づく銀行なんだから、それと同じ基準でもいいんじゃないかというふうに考えられますけれども、現段階では、この報告にも述べられておりますように、地方銀行については若干大きな銀行とは差をつけて出発したらどうなのか。したがいまして、究極の姿としましては、委員御指摘のとおりあるいは一本になるのもいいかと思いますけれども、ただ、究極の姿におきましても、株式会社である都市銀行なり普通銀行と協同組合のようなものと全く同じでいいかどうかという点につきましては、今ここでもってそうだというようなことを御答弁申し上げる段階ではございません。
  230. 時崎雄司

    時崎委員 私は、わざわざ「比較可能性の確保」というのは、利用する側にとって比較可能だということをここでは言われているのですね。したがって、比較可能性を確保した上でディスクロージャーをした方がよろしいと指摘を中間報告はしているわけでしょう。にもかかわらず、さしあたっては大銀行だけは範囲はこうします、それよりちょっと一段落ちる、中というのですか小というのですか地方というのですか、そういうのは範囲は狭くてよろしい、協同組織みたいなところは当面やらなくていい、こう言っているわけですね。  私もここへ銀行法のあれ――銀行に都市銀行も地方銀行もないんですね。初めて私もわかったんですが、あなたの方のこの中間報告には、何か都市銀行だとか地方銀行だとか第二地銀何とか加入なんて、いっぱいごちゃごちゃ書いてあるんですが、銀行法によれば、これはみんな一緒なんですよね。だから、そうであるとすればなおさら、利用する側から「比較可能性の確保」というものまであなた方はうたうとすれば、この銀行、この銀行と明示しない限りはどうもおかしくなってしまうのですね。  都市銀行というのは、一つずつ聞けば答えが出るのかどうか。あなた方は、専門家は出ますけれども、私の地元には、大きい銀行で常陽銀行というのがあるのです。恐らく、これは都市銀行でしょうと言ったら、あなたは、いや、あれは地方銀行だと言うでしょう。国民の側がよくわからないんですよ、これ。あなた方の業界ではわかるかもしれない。したがって、比較検討がなかなか難しい、こういうことなんです。何であちらの、拓殖銀行は北海道に本店があるのですかどうかわかりませんが、あれも都市銀行なんでしょう。あっちはこの範囲だ、同じぐらいの資金量を持っている常陽銀行は、いや、これは地方銀行だから都市銀行と違った開示の対象だ、こうなるんですね。これでは、住民側からいって、比較検討ができないのではないか、こういうことを申し上げたわけです。  そこで、これはあなたに聞く方がいいのかどうかわかりませんが、あなたが全国銀行協会連合会特別顧問ということですから、自主的に銀行協会がこの三月期から不良債権のディスクロージャーをやろう、そしてやることになった。その内容と、あなたが部会長代理として中間報告を出したのは、私、全く一緒だと思うのです。当面する課題については一緒のことをやっていると思うのです。これはどういうことですか。銀行が自主的にもう前から検討して、三月期にはこうしますというやつを、あなた方が後で作業部会をつくって、それで、ああ、それがいいよと言って、この調査会が信認をしているようにしか見えないんですけれどもね。これは失礼な言い方でしょうかね、どうです。
  231. 宮本保孝

    ○宮本参考人 この不良債権のディスクローズにつきましては、銀行協会自体が去年、おととしぐらいから検討を始めておったと思うのでございます。それで一応、去年の春には新聞にも報道されましたけれども、当時の会長銀行である、あれは三井銀行でございましたか、それがつくった案が一つあったわけでございますけれども、しかし、この不良債権のディスクローズという問題につきましては、全銀協といたしましても、自分たちだけでつくってしまうよりは、やはり金融制度調査会というふうな公の場において広く御意見をちょうだいした上で、その結論を待ってまとめたいというふうなこともございまして、去年の三月の案等もいろいろ議論されましたけれども、結局、金融制度調査会で中間報告がなされました考え方に基づきましてこの三月にディスクローズ全体の基準を改正いたしまして、不良債権の開示の部分を追加いたしまして、そしてこの三月期の決算からしようということになったわけでございます。したがいまして、まさに銀行協会の考え方も金融制度調査会の考え方に従って当面出発しようというふうになったと理解しております。
  232. 時崎雄司

    時崎委員 作業部会の部会長代理、その方が銀行協会の連合会の特別顧問でもありますから、銀行協会が自主的に行っているディスクロージャーと、そして今回出されたこの中間報告と全く同じであってもおかしくないといえばおかしくないのですが、どうも納得がいかないのですね。  大蔵大臣、私に羽田大蔵大臣答弁したこの議事録では、今銀行協会は自主的にそういうことをやろうと努力していますと、これはこれで認めているのですよ。そのほかに、調査会という制度があって、既に諮問をし、一月に答申も受けている、しかしまだまだ答申の内容は十分でないので、作業部会をつくっていただいて、なおそのディスクロージャーについて作業部会から、先ほどの言葉で言えば建議ですね、法律的には、建議をいただく、こう言っているのです。ところが、今聞いていると、この調査会も銀行協会の方も一緒くたですね、これは。そんな感じがしてならない。そして、再三、冒頭言ったように、そういう建議を受けてもいまだ大蔵省の方はこれに基づいて方針をきちと出してこうだようという――これはあくまでも諮問に対する答申ですから答申どおりやらなければならぬという理由はどこにもありませんから、十分これは検討されて、大蔵省のきっちりした方針を決められて指導なりなんなりに乗り出すわけですよね。  銀行協会、そして調査会、大蔵省、この三つが混然一体になっちゃっているのです。そこを私は指摘したかったのです。法律によってつくった調査会であるならば法にのっとってそれは適用していかないと、何か大蔵省の勝手な機関のようなことを、もしくは金融機関の自主的な協会の下請機関のようなことになることを恐れておりますので、これが巷間言われるような財界と官界の癒着云々くんぬんになる危険性もございますので、ぜひその辺のけじめだけはひとつお願いをしておきたい、こう思います。  そこで運輸省さんに、時間もございませんので一、二聞いておきたいのです。  皆さん、東京都内に通ってくるときにJR、それぞれの駅構内を通ることが多いと思うのです。最近駅の構内、自動改札が多くなりました関係で大分出改札の場所が、構造が変わりました。それで、必ずしも自動改札に合う切符だけ売っているわけではありませんので、どうしても駅員が直接とったりパンチを入れるところもあるのですが、構造は一メートル五十あるのです。ところが、つい最近から半分にしてしまって、その半分の部分には黒塗りの箱のようなものを置いて、一人歩くのがようやっとなんですね。恐らくこれは新聞報道もされましたから運輸省も御案内だと思うのですが、どうもあれは危険てしょうがないですね。おりてぐる人、入っていく人、ぶつかってしまうということで。構造一メーター五十くらいあるのならば、二人ゆっくり行けるならば、何とかあの黒い箱を取っちゃって、あれ、大変危険なものですから、そう思うので、ぜひ改善をお願いしたい。  それからもう一点は、私が利用させていただいております常磐線。私は水戸から乗るのですけれども、特別改札というのがあって、一般の改札を通ってくると、もう一回ホームに入る前で改札に遭うのです。それからホームに入って列車に乗って、これは車内検札をやって、それから上野駅でホームにおりて出ようとするとまた特別改札があって、そこを通ってまた一般改札で出ていく、こうなるのですね。これは何のためにこんなことをやっているのですか。これもぜひやめさせていただきたい、こう思いますが、運輸省、どなたか答弁を願います。
  233. 秦野裕

    ○秦野政府委員 まず第一点の有人改札口の件でございます。  先生ただいまお話しのように、自動改札を導入いたしましたときに、長距離切符とか、あるいは身体障害者の方々に御利用しやすいように有人の改札口をつくったわけでございます。お話のとおり当初約一メートルぐらいの幅にしておったわけでございます。ということは、二人が同時に通れるような形になっておりました。ところが、実際にそれを始めてみますと、結局、一列の方では確かに係の者に切符を見せ、あるいは案内を聞くということはできるわけでございますが、そのあいておりますところ、結局、本来自動改札の方を通っていただくお客さんが、つまり定期とか回数券を持っておられるお客さんがそちらの方を通って出ていかれることが非常に多くなりまして、かえって有人の改札口が混乱をするという状況になったわけでございます。  そこで、自動改札を使えるような定期とかあるいは切符をお持ちの方はそちらの方に回っていただくということを誘導する意味もございましてあのような仕掛けと申しますか設備を設けたというふうに聞いておるわけでございまして、これはそれなりにやむを得ない措置であるかなということも考えておるわけでございますが、なるべくそうしたいわゆる自動改札を通らない方々の迷惑にならないように、今後とも改善方を指導してまいりたいというふうに考えております。  それから第二点の、特に水戸から上野までのスーパーひたちの件。  これは昨年もこの委員会で御議論があったというように聞いておりますけれども、その際も御説明いたしましたとおり、いわゆる駆け込み乗車と申しますかいきなり普通列車から特急列車の方へお乗りかえになる方、つまり切符を持たないで乗られる方が非常に多いということで車内検札が必ずしも十分にいかないということで、上野なりあるいは水戸の方に専用のラッチを設けまして、そこで切符を買った上で御乗車いただくという形でやっておるものでございまして、これは、むしろ車掌の車内における本来の目的でございます御案内とかあるいは安全確認ということが十分にできるということからもある程度必要なことではないかというふうに考えておるわけでありまして、いわゆる新幹線の乗り口、おおりになるときもやはり一度特急券を渡して改札口を出ていただくというようなことと同じような形で進めさせていただいておるということでございますので、なるべく御不便のかからないようにはいたしますけれども、一応基本的には今のような形を続けることもやむを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  234. 時崎雄司

    時崎委員 一番目の方の改札口の構造について、ちょっと最後聞き取れなかったので、直すのか直さぬのか、結論だけ。あの箱を取れば直るわけだから、それは結論だけちょっと。直す気があるかどうか。  もう一つ。特急券を持たずに駆け込みで乗る、そういう人が車内検札を十分できないから駅に特別のと、こういうことですね。ちょっと不思議なんです。何でこれは水戸駅だけなんですか。それが一つ。その水戸駅も何で東京へ来るときだけなんですか。下り列車はどうしたの。水戸から東京までの間は速いので一時間五分。したがって検札をやろうと思えば水戸からなら十分できるのです。一番近いところの土浦はなぜやらないのですか。どうもあなた方の言っているのは理屈が合わないのですよ。水戸だけがそんなに駆け込みで特急券を買わないで乗る人ばかりなんですか。どうも理屈に合わない。  私は前にも言ったんだけれども、これは、今あなたがおっしゃっているようなこととは全く違う観点で特別改札しているんじゃないかと思われるのです。  それはどういうことかといえば、同じJR東日本でも、上野駅の、それから水戸の売り上げの競争なんじゃないかと思うのですよ。上野駅で精算するとこれは上野駅の売り上げになる。水戸駅で精算すれば水戸駅の売り上げになる。支店ごとの目標に対する売り上げの競争でこんなことをやっているんじゃないかと私は思っているのですよ。それ以外は考えられないでしょう、こんなことは。あなたがどんなに理由をつけても、水戸駅で何で上りだけなんですかと言ったら、下りは全然野放し。もっと近いところの石岡、友部、土浦はどうしたのですかと言ったら、これはそんなことはやっていない。  もっと我々国民がわかるように説明していただけますか。
  235. 秦野裕

    ○秦野政府委員 第一点につきましては、有人改札口のラッチは当分の間は今のままで進めたいと思いますが、なるべくお客様の不便にならないように改善方を検討させたいという趣旨でございます。  それから二点目でございますが、水戸駅だけつくってなぜ途中の駅にはつくらないか。これは、私も具体的なことは承知しておりませんけれども、恐らく水戸駅ではそういう意味での乗降客が非常に多いからではないかというふうに思いますが、ちょっと具体的な内容については把握しておりません。  ただ、下りの御指摘がございましたが、下りにつきましては、先生御案内のとおり上野方に向けるよりもはるかにお客様の数は少ないわけでございますから、したがって、車内検札で十分対応ができるということでございます。そういう意味で上りだけしかやっていないということでございます。今お話しのように上野と水戸の間で売り上げ競争によってそういうことになっているというような事実は、私ども承知をいたしておりません。
  236. 時崎雄司

    時崎委員 私の言っているのを余りぴんと理解していないみたいだな。私はそう言っているのではなくて、あなたが今おっしゃるように、水戸と上野の間の利用客が多い。だから水戸で特別改札をするんだ。これは意味はわかるのです。そこを言っているのですよ。なぜ下りは水戸駅でやらないのですかと言っているのです。  例えば一日のお客さんが上りが十万人で下りは五万人しかいないというならわかるよ。上っていったのは大体下ってくるのですから同じぐらいあるのですよ。そうでしょう。なぜ下りはやらないのかというのは、水戸駅でなぜやらないのかと聞いているのですよ。下りといっても平でやらないことの話をしているんじゃないのです。水戸駅ではやらないのです。意味わかる。
  237. 秦野裕

    ○秦野政府委員 御趣旨の意味は理解いたしました。勘違いいたしまして申しわけございません。  これは推測でございますが、上りの方でございますと、要するに途中の駅、先生お話しのような土浦その他の途中の駅から御乗車になって上野でおりられる、その際には、お話しのように、土浦等では改札口がございませんので上野駅で精算するために上野駅に設けられておると思います。逆に、上野から下ってこられる場合には、途中駅から御乗車される方がどちらかというと少なくて、基本的には上野から乗ってこられた方だということで上野駅で改札口を設けたということではないかと、これは私の現時点での推測でございまして、それ以上のことは明確に申し上げられません。
  238. 時崎雄司

    時崎委員 もう時間ですから、こんな話をしていても余りよくないと思うのですが、どうも意味が全然わかってないですね。例えば下りの方で出発点で特別改札をやっているから、あとの下りの途中駅はやらなくてもいいじゃないかというなら、上りは、水戸で出発点でやれば上野でやらない方がいいのでしょう。あなたの言っているのは全然わからないですよ。すなわち出発のところでやっているから途中途中おりていくところはやらなくてもいいじゃないか、下りは水戸までやらないのですからね。それなら、上りは水戸でやったのだから上野でやらなければいいでしょう。何ですか、それは。理屈が全く合わないのですよ。
  239. 秦野裕

    ○秦野政府委員 どうも説明がわかりませんでなかなか御理解いただけなくて申しわけありませんが、要するに申し上げておりますのは、上りの方、水戸から上野に参ります場合には、お客様の流れとしまして水戸駅のほかに土浦その他の途中の駅から御乗車になって上野でおりられるという方がかなりの数に上る、したがって、その方々はホームでの改札がございませんので上野駅で改札をして切符を回収させていただく。逆に下りの場合には、ほとんどのお客様が上野からお乗りになって途中の駅でおおりになる、したがって、途中の駅から乗られて水戸まで来られるという方は数が非常に少ないということで水戸駅はやっていないということであろうと思っております。
  240. 時崎雄司

    時崎委員 私だけが頭悪くて今の答弁がわからないというふうに理解して、こういう話は局長に言わない方がいいのかもしれないけれども、また後でやらせていただくことにして、きょうはありがとうございました。
  241. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、倉田栄喜君。
  242. 倉田栄喜

    倉田委員 公明党・国民会議倉田でございます。  私は、まず最初に、四月十八日に岩手県の花巻空港で起きました飛行機事故についてお伺いをいたしたいと思います。  新聞報道等で事故原因についてさまざまな報道がなされております。副操縦士が操作をされていた、こういう報道もありますけれども、この事故について、いわゆる内規違反というものがあったのではないかと思いますけれども、内規違反があったかどうか、まずこの点をお答えいただきたいと思います。
  243. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答え申し上げます。  この花巻の事故でございますけれども、着陸時に操縦しておりましたのは副操縦士でございます。  この副操縦士が操縦する場合でございますけれども、制限が幾つかございます。その一つには、横風に関する制限というものがございます。それからもう一つでございますけれども、副操縦士としての経験に関する制限、こういうものが運航規程の附属書に規定されております。  この二つについてでございますけれども、横風につきましては、副操縦士が操縦する場合には時速十三ノット以下の風の場合でなければいけない、こういう規定になっておりますけれども、当時の気象、これは着陸するときの一番最後、寸前の風でございますけれども、二十五ノットの風、ほぼ横風でございますが吹いていたということでございまして、この点についての規程の違反があったのではないかというふうに考えられます。それからもう一点の副操縦士としての経験の規定でございますけれども、当該副操縦士は副操縦士に発令をされてまだ五カ月ちょっとしかたっておりません。この規程では六カ月となっておりまして、この二つの規程の違反があったということは事実のようでございます。  当省としましても、本事故の発生ということ自体まことに遺憾な事態と考えておりますけれども、特にこの規程違反があったことにつきましては極めて深刻に受けとめておる次第でございます。
  244. 倉田栄喜

    倉田委員 二点について規程の違反があった、こういうことでございますけれども、今回の事故が当該航空会社だけにかかわらず、ほかの航空会社においても例えば運航規程附属書に違反をしているような実態がないのかどうか。副操縦士が操縦をしてならない場合に操縦をしているようなケースがほかの各航空会社にもあったりしてはまずいわけですけれども、そういうことがないのかどうか私は調査をする必要があるのではないかと思いますが、当局としてはこの点について、当該飛行機会社のみならず、ほかの各航空会社においても調査をされるおつもりはないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  245. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 残念ながら副操縦士に規程違反があったわけでございまして、私どもも深刻に受けとめておるということは先ほど申し上げたところでございまして、日本エアシステム及び他の航空会社に副操縦士の操縦について規程の違反があったかないか、先生御指摘のように可能な限り調査するよう既に指示をしたところでございます。
  246. 倉田栄喜

    倉田委員 私が調査のことを申し上げましたのは、当該航空会社も八五年それから八八年、やはり事故があった。特に、指摘がされておりますように、八八年の一月には米子空港のオーバーラン、これも副操縦士であった。このときの教訓が生かされていたとすれば本来は今回のような事故は起こらないわけである、こういうふうに思うわけですけれども、なぜ起こってしまったのか。いわゆる内規あるいは運航規程の附属書、こういう規定を軽視をするような風潮がなかったのかどうか。また、規律に緩みがあったのではないのかどうか。こういうことも考えてしまうわけですが、当局はこの点についてどういうふうに認識をしておられますか。
  247. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 先生ただいま御指摘の米子の事故でございますけれども、これは冬季の気象状態において事故を起こした件でございまして、この事故につきましても当方としては、事故後直ちに日本エアシステム、当時TDAでございましたけれども、東亜国内航空に対しまして事故防止対策の指示をいたしまして、具体的な対策を立てるようにという指示をしております。またさらにその後、事故調査委員会報告が出た時点で改めて追加の対策の指示を出すということで、従来から指導をしてきたところでございます。  それで、副操縦士の件につきましても、この事故の当時、副操縦士が操縦したという件につきましては、当時はまだ社内の規定の段階ではございましたけれども、これにつきましても東亜国内航空におきましてはリボンをつけて確認をし合うというようなことでやったわけでございますけれども、また再度このような事故が起きたということで、まことに遺憾な事態というふうに考えております。  いずれにしましても、安全の確保は航空行政にとりまして最も基本的な課題でありますので、今後このような事故が起こらないよう、運輸省としましても航空機の安全運航の万全を期してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  248. 倉田栄喜

    倉田委員 まあ副操縦士が操縦をして事故が起こった、これはさまざまなケース、例えば一九九一年の小松空港の異常運航、それから一九八三年の千歳空港でのエンジンをこする事故、調べてみると副操縦士が操縦をされて起こされておるという事故があるんですね。  そこで、本来副操縦士がきちんと正規の認められている範囲で操縦をできる時間、できる場合というのは当然あるんだろうと思うんですけれども、今回の場合みたいに本来できないときに操縦をしてしまう、これはどうしてなんだろう。要するに副操縦士が個人的な心情から操縦をしてみたい、こういうことのみからたまたま起こっておって、今回の問題もそういう個人的な原因のみに帰着するものかどうか、この点について私はちょっと心配をするわけです。  例えば、要するにパイロット養成を急ぐ余りに副操縦士も運転をしてしまう、あるいは機長と副操縦士がペアになったときに、本来ならばワッペンつけてあるからきちんとわかるはずだけれども、その記録がきちんとされているのかどうか。そういうことも問題でしょうし、システム的にいえば早く機長になるために副操縦士として操縦をしたい、あるいは例えば、今回の事故の場合は、現実に操縦をする時間が二百五十時間以上必要である、こういうふうになっているというふうに聞いたわけですけれども、そういう制度そのものが副操縦士が無理をして操縦をしようという、そういう誘発原因になってないのかどうか。  この点についてどのようにお考えでしょうか。
  249. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 機長に昇格するのはどうやって昇格になるかということでございますけれども、まず航空法に基づきまして定期運送用操縦士の資格を取ることが必要でございます。このための要件としては千二百時間以上の総飛行時間、それから、まあこれが問題になるのかと思いますけれども、二百五十時間以上の機長としての飛行経験、まあその他ございますけれども、そういった内容の要件がございます。なお、総飛行時間、ただいま航空法では千二百時間と申し上げましたけれども、社内規定では三千時間以上という、こういう要件が機長になるための要件として設定されておるところでございます。  ところで、実際の機長になるその過程、今の現況でございますけれども、現在日本エアシステムにおきましては、機長になるには副操縦士として乗務する期間は約十二年間という大体の平均的な実態になっております。したがいまして、この期間の総飛行時間というのは、これも平均でございますけれども、七百時間を超えたものになっている、こういう実態でございます。したがいまして、今回の場合、発令後六カ月以前にああいう格好で操縦をしたわけでございますけれども、こういった実態から考えますと、発令後六カ月以前に規程違反をしてまでその機長時間を稼ぐといったようなことは考えられないのではないかということで、私どもとしては制度的な要因はなかったのではないかこのように考えている次第でございます。
  250. 倉田栄喜

    倉田委員 私も日本エアシステムの方からお話をお伺いいたしまして、確かに制度として操縦時間を稼がなければいけないような、そういうふうな誘因はないのかな、こういうふうにも考えたわけですが、そうだとすればあえて操縦を規程違反をしてまでする必要はないわけですね。それにもかかわらず今回そういうことが起こってしまった。じゃあこれは何なのかというと、やっぱり規律の緩みとか、何というんですか、風潮というか空気とか、そういうのも一つ影響しているのではなかろうか。単に副操縦士あるいは機長、その個人的要因のみに帰していいものではないんじゃないのか、こういうふうな心配をいたしますので、当局としてはその点も、規律の緩みがないのかどうかしっかりと指導していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。答え結構でございます。  それでもう一点。今回の場合、いわゆる避難誘導の問題についていろいろマスコミ等で指摘をされている部分もあるわけでございますが、今回のいわゆる避難誘導について、新聞を見るともうあれだけ、機体がなくなってしまっているような状況の中で死亡者が出なかったことは本当に幸いなことだったなあ、こう思うわけですが、結果としてそういう死亡者が出なかったとしても、今回の事件について避難誘導に問題はなかったのかどうか、この点どのように御認識をされておられますか。
  251. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 まずただいまの御質問にお答えする前に、先ほど私ちょっと数字を間違えまして、実際に機長になるまで飛んでいる総飛行時間七百時間と申し上げましたけれども、七千時間の間違いでございましたので御訂正方お願いいたします。  まず、今回の乗客の避難誘導の件でございますけれども、これは先生お話しのように報道の関係ではいろいろなことが言われております。しかし、この件につきましては、事故調査委員会で、航空機からの脱出時の乗務員の対応も含めまして詳細な調査が行われているというふうに承知していまして、やはりその結果を見る必要があるというふうに考えております。
  252. 倉田栄喜

    倉田委員 例えば、今回の問題で指摘をされておることが、一つの規定として、スチュワーデスの方々は機体が静止するまで動いてはいけない、席を離れてはならない、こういう規定がございます。今回の場合はその規定を守られての行動であった、こういうことだろうと思うのですが、一般論としてこの規定は通常時を予想されているものではないのか。今回のようないわゆる緊急時の場合においてもなおかつ、機体が静止するまでは、やはり危ないしまた混乱を呼び起こすから離れてはならないものなのかどうか。  この点、いろいろ見解あるのだろうと思いますが、この規定、緊急時のことも含めて私はもう一度検討されてみる必要があるのではなかろうか、こういうふうにも思うわけでございます。この点についてはどのようなお考えでしょうか。
  253. 松本健治

    ○松本(健)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お話しのように、航空機が着陸滑走を行っている場合は、客室乗務員を含む搭乗者は機体が停止するまでシートベルトを着用して着席していなければならないということが、航空会社の方の社内規定で定められております。このことは、こういった緊急時もそういうことでございます。これはどういう理由がと申しますと、機体が移動している最中に動きますと、この機体は障害物あるいは他機に衝突するなどの不測の事態において衝撃を受ける、そういった可能性もあるわけでございます。そういうことでこの規定が定められておるというふうに考えております。  このことは、米国等の諸外国の航空会社においても同様の規定になっているということでございます。また、実際に海外の事故におきまして、シートベルトを着用してなかったために負傷したケースも起こっておるということでございますので、この規定は妥当なものであるというふうに私ども考えている次第でございます。
  254. 倉田栄喜

    倉田委員 いわゆる緊急時の場合、今回の場合は本当に幸いなこととして死亡された方はおられなかったわけですけれども、場合によったら、発火してから避難するまでの時間であるとか、そういうまさに火がもう間近に迫っておってもとまってなければいけないのか。そういうことだってあり得るわけですし、今回あけたドアの方から煙が入らなかったということも幸いしたように思うのです。今御答弁でございますけれども、この点はいわゆる緊急時に臨機応変な態度ということもまた一方では考えなければいけないことでございますので、なお検討をいただきたいと思います。  そこで、この事故について大臣にお伺いをしたいわけでございますけれども、負傷された方々に私は本当に心からお見舞いを申し上げたいと思いますが、大臣は今回の事故についてどのようにお考えになっておられるのか、またこの事故を教訓として今後どのような安全対策を考えておられるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  255. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先般の花巻空港における航空事故、全く遺憾であります。負傷された方々には慎んでお見舞いを申し上げたいと思います。また、当機に乗り合わせた皆様には、まことに御迷惑であったと慎んで私から、申しわけない、かように思う次第であります。  事故が起こりまして、日本エアシステムはもちろん、その他の会社にも十分注意をいたしております。今航空事故調査委員会で調査をしていただいております。先ほど来政府委員答弁いたしましたように、二重のミスがあった、規則違反があった、こういうことでございます。十分公正な調査が行われるものと思いますので、調査の結果を待って厳重な処分をいたしたい。今後こういうことが起こらないように、ちょっと文書で出したり口で言ったりしたのでは、こういうものは人為ミスでございますからなかなか直りにくい、こう思いますので、厳重に処分をいたしたい、かように考えておる次第であります。
  256. 倉田栄喜

    倉田委員 万が一でも規律の緩みからこういうふうな事故があってはならない、そういう意味では厳重な処分も必要なことだと思いますけれども、いわゆる航空各会社全般にわたって、その事故の原因をしっかり突き詰めていただいて、そして十分な対応を図っていただきたい。要望しておきたいと思います。  それから、続いてJRの問題でお聞きをしたいと思います。  最近、昨年からでございますが、JRの割引切符の使用制限がなされております。この割引切符、いろいろな形で利用者にとっては大変便利というか、ありがたいことだと思うのですけれども、これが一方的にというか、各会社の御都今いろいろあるのかと思いますけれども、随分使いにくくなった。ゴールデンウイークとか、盆、年末年始、これらが使えなくなったということに関して、利用者の期待を余りに一方的に裏切るものではないのか、私はこういうふうにも思うのですが、当局はこの点について承知をしておられますか。また、どのような指導をされておられるでしょうか。
  257. 秦野裕

    ○秦野政府委員 ただいまお話のございました事実につきましては承知をいたしております。  御案内のとおり、割引乗車券、企画商品と通常呼んでおりますけれども、基本的には需要の少ない時期、オフピークの時期になるべく多く乗っていただく、需要を喚起するという目的で設定をされておりまして、通常の価格よりかなり割引の額になっておるわけでございます。  したがいまして、ゴールデンウイークですとかお盆、正月といったような多客期におきましては、通常の切符を持ってお乗りいただくお客様とのバランス等もございますので、この利用について一定の制限をするというJR各社の判断になっておるわけでございまして、今申し上げたような趣旨でやむを得ない措置ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  258. 倉田栄喜

    倉田委員 割引切符を御利用になられる利用者の方々は、非常に恒常的に利用される、JRにとってはいわばありがたいお客さんなのではないのか、こう思うわけですね。その方々が、例えばゴールデンウイークとかそういうときは込むわけですよ、込むからサービスが低下する、そういうこともあって、やはりそれなりの割引というのはあっていいのだろうと思うのです。それはいろいろ考え方があるだろうと思いますが、ひとつ利用者の方々のお気持ちは大切にして対応していただきたい、こういうふうに思います。  それから、最近JR各社、事故がちょっと多くなり過ぎてないのか。例えば「のぞみ」に関して言えば、これは新しい非常に速い速度で走る列車でございますので予測されないこともあったのかもしれませんけれども、ボルトが落下をするとか窓ガラスにひびが入るなどとか、ちょっと心配だなというふうな気もしないではありません。  それが「のぞみ」だけの問題なのかというとそうでもなくて、各会社において最近事故が非常に多くなっているんじゃないかなというふうな気がするのですが、この点について、この五年間のJR各社の事故率、簡単に要約だけお答えいただければいいと思いますが、この点を御認識いただいた上で、この辺のところにも規律の緩みがないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  259. 秦野裕

    ○秦野政府委員 また「のぞみ」のトラブルでございますけれども、今お話のございましたように、ガラスが破損した、あるいは電線が切断したというようなトラブルがございました。これらはいずれもいわゆる初期的なものでありまして、運行の安全性に直接影響を与えるというふうには考えておりませんけれども、現実にお客様に不安を与え、あるいは遅延が生ずるということで大変御迷惑をおかけしておるわけでございます。私どもとしましては、その原因を究明して再発防止をするようにということで各社を指導しておりまして、連休前までに車両の総点検を終了させるように今鋭意進めておるところでございます。  それから、事故の件数でございますけれども、列車走行の百万キロ当たりで見ますと、六十二年度が一・四二件、六十三年度は一・二六件、元年度一・一七件、二年度一・〇五件、三年度一・〇〇件ということで、一応年々減少の傾向になっております。ただ、事故に至らない、施設や車両の故障で列車のおくれあるいは運休というようなものはむしろ逆に若干ふえておるような傾向もございますので、そういう点も含めまして、改めて気を引き締めて安全確保に万全を期するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  260. 倉田栄喜

    倉田委員 民営化されてからもう年数が経過をしたわけでございますけれども、最近、「のぞみ」に限らず、全体としては確かに事故は減少傾向ではありますけれども、何となく事故の報道が多いなという印象を受けるわけでございます。そういう意味から、この安全性ということに対してきちんとした対応をとられているのかどうか、また規律について、従来のような厳格な運用がなされておられるのかどうか、この点もひとつ十分に指導はしていただきたい、こういうふうに思います。  と同時に、これも利用客の方々から来る声でございますけれども、接客態度です。民営化された当時から比べると、民営化された当時は非常に皆さん張り切っておられて、接客態度も評判よかったように私は聞いておりますが、最近どうもそうではないのではないのかな、どうもなれがあるのではないのかなというふうにも思いますが、接客態度についても当初ほどの緊張感がなくなっているのではないのかこの点もきちっと御指導をいただきたいというふうに思います。  それからもう一点、「のぞみ」の件に返らせていただきますが、「のぞみ」の特急料金です。「ひかり」と比べて高過ぎるのではないのかという声もございます。例えば東京から名古屋の場合を比較すると、「ひかり」は四千四百十円、「のぞみ」は五千百六十円、七百五十円の差があります。そして、「のぞみ」については御承知のように、これも議論のあるところでございますけれども、自由席がありませんので指定席料金五百円を払わなければいけない。この七百五十円と五百円を足すと千二百五十円高い。時間がどれだけ短縮をされたかというと、名古屋-東京間では十五分だ。十五分で千二百五十円、こういうわけでございますけれども、「のぞみ」の利用率が、これからどれぐらい回収をできるかということになると、一〇〇%で計算をしてあると思うのですけれども、五〇%前後みたいな話も聞いておるわけでございます。  この辺、運賃の問題と比較をしながらちょっと考えてみる必要があるのではないのかというふうに思うわけでございますが、その点はいかがでございますか。
  261. 秦野裕

    ○秦野政府委員 「のぞみ」の料金を設定します際に、一応二つの点から考慮事項を設けたわけでございますが、一つはスピードアップに伴いますいわゆる設備投資でございまして、約千億円以上の地上施設あるいは車両等の投資がございますので、これを何らかの形で回収しなければならないというのが一点と、それから、今お話がございましたように、スピードアップに伴います到達時間の短縮によります利用者の方々の便宜、この両方を勘案いたしまして、ただいまの運賃を設定しておるわけでございます。そういう意味では妥当な料金ではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、従来の「ひかり」につきましては、「のぞみ」が増発いたしました後も基本的には従来と同じような運行本数で運行いたしておりますので、そのあたりを勘案していただいて、利用者の方々に適宜選択をしていただければありがたいというふうに思っております。  それから、「のぞみ」あるいは「ひかり」の利用状況を検討いたしまして、さらに今後とも制度のあり方については検討を深めていきたいというふうに考えております。
  262. 倉田栄喜

    倉田委員 運輸大臣も運賃の問題、あるいはこれからもしかしたら運賃値上げのことも議論になってくるのかもしれませんけれども、公共的な性格を持っ会社は赤字ぎりぎりまで運賃については我慢をすべきだ、こういう発言もなさっておられます。そういう意味では、利用者に最大の利便を図るという意味で運賃も決められなければならないと思うわけでございますので、その料金の問題については、これもきちんと検討していただきたい、こういうふうに思います。  次に、いわゆる円高問題に絡みまして、大蔵大臣、それからきょうはお忙しい中を日銀からまたおいでいただいておりますけれども、お伺いをしたいと思います。  まず大蔵大臣に。G7、今月末というふうに聞いておるわけでございますけれども、G7が開かれる。大蔵大臣御出席をなさる。ここでどういうことが議題になると予想されておられるか、また、このG7の中で円高問題、当然議題になるのだろうと思うのですけれども大蔵大臣としてどのような態度でお臨みになるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  263. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 正確にはまだ決まっておりませんし、国会の御了解もいただかなければならない、こういうことでございますから、そういった前提でお話を申し上げたいと思います。  G7ではいつもそのときにおけるところの国際経済情勢などを議題にしてやりますが、先般東京で蔵相外相会議がございまして、旧ソ連問題、ロシアに対する支援の問題など話をいたしましたから、それに関連したような話が行われるのではないだろうかと思います。個別の議題はまだ決めているわけではございませんが、恐らく国際経済動向ということになれば、当然に為替の話は出てくる話だろう、抜きにしたら国際経済の何を語ったかという話になりますから、一般論として申し上げて、私はあるだろうと思っております。そうしたときには、私はいつも申し上げていますように、為替相場というものは、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい、こうした考え方に立ちまして話を進めていくつもりでございます。
  264. 倉田栄喜

    倉田委員 円高ですけれども、きのうは百十円を切ったということでもございました。きょうは日本銀行企画局長山口さんにもおいでいただいております。お忙しいところ恐縮でございます。  そこで、この円高について御見解をちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、例えば百十円という円高、これが我が国経済にどのような影響を与えると考えておられるのか、日銀としてこの百十円台の円高にどのような取り組みをなさっておられるのか、これをお伺いしたいと思います。
  265. 山口泰

    山口参考人 お答え申し上げます。  一般的に申しまして、為替の円高化、これはまず輸出企業の輸出採算を悪化させる、あるいは輸出数量を減少させるといった形で、輸出企業を中心にいたしまして企業経営に当然マイナスの影響を与えるものでございます。その一方で、同じ円高が輸入価格の下落による原材料コストの低下でありますとか、あるいはもう少し一般的に物価の安定を促しまして、消費者のマインドを改善させるといったプラスの効果、いわゆる円高メリットも期待できるものでございます。したがいまして、円高の影響というものを総合的に評価するためには、今申し上げましたメリット・デメリット、この双方を慎重に見きわめる必要があると考えておる次第でございます。その際には、メリット・デメリットというものが実際に経済の各方面に波及していくまでにはある程度の時間がかかりますので、そういったタイミングの問題ということも含めまして考えていく必要があろうかと思っております。  ただいま百十円台の相場の影響はどうかというお尋ねでございましたけれども、短期的な観点でとりあえず申し上げますと、やはり昨今の急激な円高は輸出企業を中心といたしまして企業マインドの悪化ということをもたらす懸念がございますので、デフレインパクトを先行的に生みやすいと言わざるを得ないと思っております。私どもといたしましては、我が国経済の現状、これは依然として景気の調整局面にあるというふうに承知しておりますけれども、そういうもとで、企業の収益も芳しくないという状態でございますので、こういう状態を考慮いたしますと、さしあたっては、急激な円高がもたらすマイナス面、デメリットの面に着目いたしながら経済全体の推移を注意深く見守ってまいりたい、かように考えております。
  266. 倉田栄喜

    倉田委員 要は、その百十円台という円高が我が国の経済に、我が国の経済にというよりも、我が国経済が、各産業界が、特に製造業を中心として、デメリットの分ですよ、耐えられるのかどうか、こういうことが問題なんだろう、こういうふうに思います。大蔵大臣は、この円高の問題に対して、午前中、適時適切に対処していきたい、こういうお話でございました。先ほどもお話があって、当事者でございますので発言は慎重にということでございますけれども、基本は、その百十円台の円高が我が国経済にどう影響するのか、これは今の景気もまだ調整段階である、産業界、製造業業界にとっては特に厳しいということになれば、確かにその適時適切に対処しなければならないということには一つの基本方針もなければならないのだろう、こういうふうに思うわけでございますが、大臣はいわゆる百十円台の円高、これが我が国経済にメリット・デメリット、どういうふうな影響を与えるというふうにお考えになっておられますか。
  267. 日高壮平

    ○日高政府委員 円高が我が国の経済に与える影響につきましては、ただいま日本銀行からお話がございましたように、私どもも同じように考えているところでございます。したがいまして、具体的に円高のプラス面、同時にそのプラス面が、例えば原油等の原材料の価格の動向によってどの程度相殺されてしまうのか、そういった点も考え、なおかつ、為替レートの動向等も踏まえながら、円高効果の波及あるいは影響というものを的確に把握していかなければならないだろうというふうに考えているところでございます。  なお、一般的に円高によって影響を受けやすい中小企業の経営にもプラスになるためにということで、先般の新総合経済対策におきましては、中小企業に対する政府関係金融機関の活用などによるさまざまな施策を講じているというところでございます。
  268. 倉田栄喜

    倉田委員 大臣はお答えいただけることはございますでしょうか。
  269. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 今、日本銀行からも、また私の方の事務当局からも大体お答えしたところで尽きておると思うのです。  円高ということはやはり為替面の話でございますから、当然に輸出の方に影響を及ぼす。急激な円高というのは輸出産業の円建ての手取りが減少する。企業収益が余りよろしくない今の状況で、ますます圧迫するということでもございますし、企業活力に対しては悪影響を及ぼす。特に、やはりこういった調整局面にあります日本の企業に対しましては、一般としては大変悪い影響を与えるんじゃないか、こう率直に思っております。  一方、円高の方の問題は逆に言いますと、輸入の関係は、原材料価格の下落であるとか、あるいは消費物資の下落などというものが出てくるわけでございますから、そうした意味での個人消費、個人の実質所得を増加させるというようなプラスの面があるということも否定できないと私は思っています。  いずれにいたしましても、円高というものが急激に行われる、思惑等によって短期的に非常に変動するということは、経済全体の運営にとりましては決して好ましいことではない、こう私は考えておるところでございまして、もう一つ申しますと、日本のファンダメンタルズというのは非常にしっかりしている、私はこう思っています。ヨーロッパの諸国や何かに比較しましていいのですが、やはりそれがうまく動いていくためには、こうした安定した形での推移というものが望まれるところだろう、私はこう思っておりまして、そういったことを踏まえまして、先ほど申しましたように適時適切に対処してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  270. 倉田栄喜

    倉田委員 円高、それから景気がなお調整段階にある、先ほどの当局からの御答弁ございましたけれども、中小企業の方がいわゆる資金繰りに非常に大変な状況にある。この円高、このまま続けば、本当に製造業、中小企業が担われている製造業の方々は大変だろうと思うのですね。  そこで、この中小企業に対する金融支援対策について二点ほどお伺いをさせていただきたいと思うのです。  一点は、信用保証協会、この手数料が、市場金利はさらに下がっているのになかなか信用保証協会の手数料は下がらないではないか。いわゆるこの信用保証協会というのは、中小企業の債務を保証するということで、中小企業の味方ということで設立をされているはずだけれども、中小あるいは零細の小企業の方々からすれば、どうも御不満の声が強く上がっているみたいでございます。この点について大蔵省としてどのような御認識なのか。  それからもう一点、いわゆる民間金融機関が中小企業に対してなかなか貸してくれないといいますか、非常に選別をされてお貸しになっておられるような状況も聞いております。また、その利率についても、これだけ金利が下がっているのにその利率をなかなか下げてくれない、こういうふうに聞いているわけですけれども、今この景気が調整段階にある中で、またこれだけの円高というものが急激に起こってきた中で、中小企業に対する金融支援対策、これは急務だろう、こういうふうに思うわけです。  この信用保証協会の件、それから、民間金融機関の選別融資といいますか、あるいは下げ渋りといいますか、この点について、当局、どのような御指導をなさっておられるのかお聞きしたいと思います。
  271. 寺村信行

    ○寺村政府委員 まず、信用保証協会の手数料の問題でございます。  信用保証協会の基本保証料率は現在一%に設定をされております。これは回収不能のリスクを補てんする、それから事務費のコストを負担するというような意味でございまして、信用保証協会がその業務を行っていくためにはどうしても必要なコストであるという面がございます。しかしながら、各信用保証協会におきましては、信用保険法の特別保険に付すことができる保険、例えば倒産関連とか事業転換のためとか、あるいは労働力確保のためとか、いろいろな政策ニーズがございまして、それに対しましては特別の保証料率を設定いたしております。これは協会によってまちまちでございますが、低いものは〇・五からとかそういったものもございます。  それから、県や市町村で行います制度融資に係ります保証等につきましても、やはり基本保証料率を低く設定をいたしております。それからさらに、約半数の信用保証協会でございますが、少額の保証、一千万以下の保証につきましては、これもそれぞれの保証協会によってばらつきがございますが、低いものは〇・四%とかそういったような努力を今しているところでございます。  それから、中小企業に対します民間の融資のお尋ねでございます。  まず金利につきましては、最近の金利の低下傾向、公定歩合等の引き下げを反映いたしまして貸出平均金利は低下をいたしておりまして、本年一月までに公定歩合は二・七五%引き下げられておりますが、新規の貸出金利は三二一%の低下となっております。さらに二月に公定歩合の引き下げがございましたので、この一月からさらにそれが〇・二%低下しておりますし、この影響は今後とも引き続き出てくるものと考えております。  それから、融資の渋りについての問題でございます。  現在金融機関は、バブル時の過剰融資の反省からリスク管理の適正化ということを行っているところでございますが、しかし、リスク管理の適正化は必要でございますが、これが経済活動に必要な資金の供給を阻害することがあってはならないということでございまして、当局といたしましても、このような趣旨から金融機関に対しまして指尊しているところでございます。  金融機関の営業店の現状を申し上げますと、バブル期の過剰融資の結果増大いたしました不良資産の処理に融資担当者が追われている、一方、新規融資につきましては、さらに不良資産の拡大にならないようにというようなおそれも持っているということでございまして、いろいろ金融機関に指導してまいりまして、その結果、各金融機関、例えば営業店段階で既存の融資の担当者と新規融資の担当者を分けるとか、あるいは不良資産を本部に集中するとかそういったような対応を行っているところでございますが、今後とも中小企業の金融の円滑化に配慮するよう要請を行ってまいりたいと考えております。
  272. 倉田栄喜

    倉田委員 確かに景気は大変な状況でございまして、それに急激な円高でございますので、中小企業に対する金融支援策に大蔵省としても万全な体制で臨んでいただきたい、こういうふうに思います。  最後に、いわゆる酒の安売りの問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  近年特に各地で酒の安売りがなされておる。従来からの小売の方々の実は悲鳴のような声を聞くわけでございますけれども、この点について、公正取引委員会、この酒類の小売業、不当廉売ということもあるのだと思いますが、どのように認識をしておられますか、これを公正取引委員会にお伺いをしたいと思います。  それと国税庁に、いわゆる不当廉売、酒の小売、酒の不当廉売等々の問題があった場合も含めて、国税庁としてはこの問題、どのような対応を考えておられるでしょうか。
  273. 本城昇

    ○本城説明員 お答え申し上げます。  企業の効率性によって達成された低価格ではなく、他の商品の販売による利益その他の資金を投入するのでなければ販売を継続することができないような低価格の販売、こういうことによりまして顧客を獲得して競争者を排除するというようなことは正常な競争手段とは言えないわけでございます。  独占禁止法は、こうした正常な競争手段と言えない採算を度外視した不当な廉売行為を問題にするものでございまして、酒類小売業におきまして、総販売原価を著しく下回る価格によりまして継続して販売して、他の小売業者の事業活動を困難にさせるおそれがある場合においては、厳正に対処してまいる所存でございます。
  274. 窪田勝弘

    ○窪田政府委員 酒類の販売価格は、その業者の経営の健全性の確保と国民の消費生活の安定との両面の要請にこたえる合理的かつ妥当なものとすることが望ましいと考えております。  公正取引委員会から酒類の事業者に対して、不当廉売に該当するということで警告等の措置がとられた場合には、国税庁は業種所管庁として、酒税の保全及び経営の健全性の観点からその事業者に対して注意を喚起し、是正するように適切に指導してまいりたいと考えております。
  275. 倉田栄喜

    倉田委員 この問題も難しい問題があるかと思いますけれども、いわゆる不当廉売あるいは不公正な取引、これに対しては厳重に対処していただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  276. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次に、寺前巖君。
  277. 寺前巖

    ○寺前委員 午前に京都の地場の証券会社である高木貞の問題についてお聞きをいたしました。そのときにも言っておりましたけれども、最近最高裁の判決が出たわけですが、特定の大口の企業だけ面倒を見ているじゃないかという批判がそこで出ました。ここ二年前になりましたか、証券問題が国会でも大分話題になりました。特定の大手企業だけが面倒を見られる、そういう活動をしていたらだめじゃないか、そういう一環にもなるんではないだろうか。そこで働いている労働者なり小口の皆さんが切られていく、非常に残念な結果になっているわけですが、その労働者が十三年にもわたっていまだにそういう問題について貫き通しているわけです。  私は、いろいろ経過についてはもう省きますけれども大蔵省としてかんだ過程があった以上はその問題についても解決する方向に一役買ってしかるべきではないだろうか。大手の企業の防衛のためには一役買った、ああいう気持ちが全体の中に生かされないものだろうか。気になって仕方がないので、あえてきょう先ほど質問したんですが、大臣答弁の機会が時間の都合でありませんでしたから、その一言だけ聞いてこの問題の質問は終わりたいと思います。
  278. 林義郎

    ○林(義)国務大臣 高木貞証券というお話だったと思いますけれども、先生の地元のお話であります。私も話を聞きますと、これはもう随分長い話でございまして、昔からやって、また裁判にかかって何かしてやっているような話でございますし、今法律的にどうだということになってしまったら、最高裁まで行ってやった話でございますから、なかなかその話をどうだと言うのは私は難しい話ではないだろうか、こう思っているところです。  先生のお話によりますと、さっき聞いておりまして、大蔵省の方もいろいろな介入をしたとか話をしたとかというようなこともあったように思いますが、どんな話をしたのか、私も少し調べてみないと今のところは何とも申し上げかねるようなことでございますけれども、証券業界というのは免許行政でやっておりますが、免許行政でやっているというのは、やはり投資家保護というのが一つの大きな観点でございますから、そういった観点を離れてやるわけにはなかなかいかないのじゃないかなというふうに思っているところでございます。
  279. 寺前巖

    ○寺前委員 この問題、ここで終わりたいと思います。  きょうはわずかの時間でもございますので、この間から気になっておったJRのトラブル、「のぞみ」の問題をめぐっていろいろ出ておりますから、この問題をめぐって運輸大臣質問をしたいと思います。大蔵大臣、結構です。  昨年まで東京-大阪間を一日二往復していたのぞみ号が、ことしの三月十八日のダイヤ改正で一時間に一本ずつ、東京-大阪間を走っているだけではなくして博多まで延伸される。延伸されてから途端にいろいろなトラブルが出てきております。  二十日の新聞を読んでいますと、こういうのがありました。長坂トンネル、六百二十メートルの西口付近において住宅街がある。トンネル通過時の衝撃波や走行による地盤振動などが原因と見られる。地域の住民が騒いでいる。三つの自治会でも、今月に入ってJR西日本への陳情を繰り返しているというようなことが記事に載っております。ドアの下に亀裂が起こっているとか、金具の溶接部に亀裂が起こっている、レールに亀裂があるとかいろいろなことがあるし、中には「「のぞみ」ナット落とす」とか、臨時停車だとか、あるいはまたけが人が生まれるというような事態が新聞でもいろいろ報道されております。  もう一カ月余りになったわけですが、「のぞみ」を博多まで走らすという経過を通じて、どんなトラブルがこの間に何件出ているのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  280. 秦野裕

    ○秦野政府委員 「のぞみ」が直通運転を開始いたしました後の主なトラブルにつきまして御説明いたします。  まず、運転事故、いわゆる人身傷害でありますが、これは列車が通過します際に線路のバラスト、石でございますが、これを飛ばしまして、駅で待っておられた方に当たってけがをされたというのがまず一件でございます。  それから車両関係では、車軸の温度検知装置用電線が断線をしたということが七件ございました。それから、スカート取りつけ部の溶接方法が悪くてちょっとひびが入ったというのが一件。それからパンタグラフの底板の取りつけのビスが緩んで脱落したというものが四件。それからマスコンハンドル、ハンドル部分でございますが、それの取りつけビスが脱落したものが一件。それから空調機の吸い込み口整風板の脱落によるものが一件。以上が車両関係でございます。  それからあと、窓ガラスは何層にもなっておりますが、その一番外側の窓ガラスにひびが入ったというものが全体で九十四件でございます。  主なトラブルは以上でございます。
  281. 寺前巖

    ○寺前委員 それはいつからいつまでのトラブルですか。
  282. 秦野裕

    ○秦野政府委員 本年の三月十八日から四月十九日までの間でございます。
  283. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、例えばガラスの割れだけでも一カ月で九十四件というんですから、一日に三件はそういう問題が起こる。これはたまたまの問題じゃなくして構造的に考えなければならぬ問題を提起しているということをだれだって感ずると思うんです。  それから、先ほどバラストの問題が出ました。けが人が出る。そうするとバラスト問題というのは、単に駅の構内においてだけではなくして、この間におけるところの問題、各地で起こっている可能性はないのか、私は気になるんです。沿線の皆さんがやかましいと言ってくるだけではなくして、そこには危険だという要素も沿線の諸君たちにはあるんではないだろうか。あるいは乗客や乗務員の諸君たちのいろいろな意見が出ているだろうと思う。この間に、新しいダイヤ改正に基づいてどんな意見が乗客、沿線住民、乗務員それぞれから出ているのか、大ざっぱでいいですから、大まかに分類して、どういう意見が出てきているのか御説明いただきたいと思います。
  284. 秦野裕

    ○秦野政府委員 お客様の御意見につきましては、JRの方でいわゆる苦情窓口あるいは御意見コーナーというようなものを設けまして御意見を伺っておるわけでございますが、「のぞみ」が開通いたしましてから利用者の方々からそうしたところに寄せられた御意見としましては、車内騒音がうるさい、あるいは料金が高い、ダイヤが乱れている、あるいは接続が悪いといったようないろいろな御意見が寄せられておりまして、それに乗務員からも、例えば車内の通路のドアがうまく閉まらないとか、あるいは冷暖房の装置が機能しないとか、いろいろあるわけでございますが、そうしたものを合わせまして、JR東海関係で全部で百五十二件、JR西日本では二十五件が寄せられていると承知をいたしております。
  285. 寺前巖

    ○寺前委員 今言われた数字はお客さんの相談室とか投書箱とかいう話であって、電話でもいろいろ言ってきているだろうから、私はそんな程度にはとどまらないと思う、これだけのトラブルが起こっているんだから。何でこういうことになったんだろうか、原因は一体どこにあったと見ているんですか。
  286. 秦野裕

    ○秦野政府委員 これはトラブルの種類によって当然のことながら原因が違うわけでございますので、会社におきまして個々のトラブルごとに原因を究明しまして適切な措置を講じていくということで現在対応しているわけでございます。
  287. 寺前巖

    ○寺前委員 原因はいろいろあると言うけれども、新しい体制に入った途端に次々と起こってきたが、これは新しいこういうものを走らすことに当たっては、勝手にやっておったんだというわけにはいかぬでしょう。やはり新しいダイヤ改正をやるに当たっては、やってよろしいという許可をちゃんと与えているんじゃないんですか。与えておいてこういう結果になっておって、いろいろありますわなで済みますかいな、そんなもの。ちゃんと絶対にこういうことにはならないと確信を持って調べたんですか。いやわしの方は調べてへんのやけれどもまあええやろといういいかげんなことで許可を与えておったというのか、それとも一切許可なしでやっているのか、一体どうやったんですか、これは。運輸省、知らぬで済むんですかいな。大臣、聞いていますか。
  288. 越智伊平

    ○越智国務大臣 ただいま政府委員からお答えをいたしましたが、総じてこのトラブルといいますのが、ねじの緩みとかアルミの溶接部分の脱落とか、あるいは窓ガラス、窓ガラスも二重になっておりますが、外のガラスの亀裂とか、トンネルの鉄砲風、私も鉄砲風というのは初めて聞いたわけですが、鉄砲風とかそういうことが原因であります。  まず、ねじの緩みは製造当時の締めつけが余り適当でなかった、よくなかった。それから、アルミの溶接というのは非常に難しいんだそうでありますが、これも十分でなかった。それからガラスにつきましては、ガラスを正常な形で締めつけておればいいんですが、少し斜めになったような締めつけ方をしておった。まあ多数ですから。でございますから、これが風圧によってひびが入るとか。鉄砲風というのは、速度が速くなりましたのでトンネルに入りますと出る方に非常に急激な風が生まれる、こういうことでありますが、そのすべてについて今総点検を命じております。総点検をする。トラブルがないようにいたしたい。また、まくら木のそばのバラスでありますが、これも少しバラスを下げないと、速度が速いからこのバラスが飛ぶんだそうであります。この点については各保線区でもう既に直しておる。  私どもは、乗客はもちろん第三者にも迷惑をかけない、少なくとも安全、けが人を出さない、それから公害を出さない。でございますから今時にトンネルを、まあ丈夫でございますから出口の方の側にひとつそれなりの処置をしていく、こういうことを今やっておりますから、もうそのうちに大丈夫だ、よくなる、こういうふうに思っておる次第であります。
  289. 寺前巖

    ○寺前委員 トラブルが起こってから調査をやってますな。トラブルが起こる前には調査をやらなかったということやないか。やったんですか。  私はちょっと具体的に担当局長に聞きたいんですけれども、今度は山陽新幹線の方といったら総延長距離の六〇%がトンネルであるという、長短百四十三カ所ある。東海道新幹線一三%と比べてトンネル部分が多いんだ。そういう条件下で「のぞみ」を走らす。そうすると、「のぞみ」同士がすれ違っていくときにはどうだったんだとか、そのテストをやったんですかいな。やったんだったらガラスの問題だって一カ月の間に九十何件も、一日にすれば三件平均でがたがたしてくるようなことが起こっとって、それはもうテストをやっとってわからなんだでは僕は済まなかった話じゃないかと思う。むしろ「のぞみ」同士が接触していく場合の、そういうときの検査というのはやらなかったんと違うか。やったんですかいな。そこのところをはっきり聞かしておいてもらおう。
  290. 越智伊平

    ○越智国務大臣 テスト運転は十分して後の許可をいたしております。しかし営業運転になりますと回数が多くなりますし、こういうことが起こったというのが実態であります。幸い、大きい人身事故は今までございませんので幸いだと思っておりますが、とにかく今点検をいたしておりますからそのうちに大丈夫ということになる、こういうふうに考えております。
  291. 寺前巖

    ○寺前委員 担当の局長説明せいと言っているのに大臣が出てくるけれども、それは大臣はそういうふうに思い込んでおるんやわ。だから担当の局長に私改めて聞きますよ。  「のぞみ」同士の試運転は一体何回やりましたか。やってないんじゃないですか。
  292. 秦野裕

    ○秦野政府委員 「のぞみ」の運行開始に対しまして、JR東海では、平成二年四月から平成四年三月までの間、いわゆる試作車両を使用いたしまして三十二万六千キロの走行試験を行っておりまして、その後の量産車両、いわゆる実際に走行する車両でございますが、これにつきましても約七千キロの走行試験を行っております。それからJR西日本でも、平成四年六月から同年九月までの間に約二万六千キロの走行試験を行っております。今のは試作車両の分でございますが、量産車につきましても一万キロから四万キロのそれぞれ走行試験を行っているというふうに承知をいたしております。  それで、その試験走行におきまして時速二百七十キロメートルで運行するために必要なデータを収集して、その結果を十分に検討した上で営業運転を開始したというわけでございまして、営業後にトラブルが起こりましたことは大変残念でございますが、先ほど来申し上げておりますように、個々の原因にのっとりましてそれに適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  293. 寺前巖

    ○寺前委員 私の質問には答弁にはなってないんだと思う。「のぞみ」と「ひかり」とが接触して走るやっとか「こだま」とやるとかいうやつは、これはスピードが違うんだからね。私は、「のぞみ」同士、両方の速いもの同士のスピードの段階のテストがあるのか。私が調べた関係では一件もないというのや。大臣知らなかったのやと私は思うんだよ。知っているの。それじゃ、何月何日に何件調査やったか後で資料を出してもらいましょう。  もういいですよ、時間の関係があるから私は問題提起しておきます。
  294. 貝沼次郎

    貝沼委員長 じゃ鉄道局長、簡単に答えてください。
  295. 寺前巖

    ○寺前委員 ちょっと待ってください。ちょっと待ってください。ちょっと待ってください、私、問題提起をするんだから。  私の調べたところではそういう報告を聞いているから、事は重大だなと感ずるので、これはあえて提起します。  それから、せっかくの機会だから、私聞きたいことが余計あったんだ。それは何かというとJR貨物問題。  JRの貨物の問題でいうと、JR貨物が所有し運用する汎用性の高い貨車と、それから、車箱をJR貨物に持ってきて、もともと持っているのは、荷主や、石油、化学薬品、セメントなどの特殊な貨物の運送のための特別な構造、装置を持ったそういう会社の軍と、二つあるようなんですけれども、私有貨車の所有状況というのが七七%で、それが九千百両が償却年数を超えている上に七百両弱が車齢三十年以上を経ている。老齢化が物すごい進んでおり、高速用貨車は私有貨車総数の一・五%しかないんだ。だからそれを走らせているということについて、総務庁の行政監察報告を読んでいると書いてある。  それでは私、JR貨物はそんな老朽化のものを持って、そしてそれも自分の方で修理をするというのが昔からのならわしらしいんです。だから、全輸送量の七五・一%をこの私有貨物がやっているんだけれども、運輸収入では二五・八%にしかならない。走らせているのは物すごい大きな位置を占めていながら収入では二五・八%だ、これは何とかせなんだら、このままで経営ええのかいな。  ところが、労働者のボーナスやその他の賃金の問題を見ていると、北海道とか九州とか四国などの三島会社には経営安定基金をほうり込んで対応しているけれども、ベースアップ率はJR貨物の場合は最低にならざるを得ない。しわ寄せは結局そこの労働者にいっているではないか。何でそういうことになるかといえば、そういうことがあるでしょう。しかも、鉄道事業経費の物件費の占める割合を見ると、北海道は三四・七%、東日本は三七・〇とか、ずっと大体そういうところなんだ。ところが貨物だけは四八・八%、半分近くが物件費になってきている。その物件費はといったら、今度は何じゃといって調べてみたら、線路使用料になってきている。線路使用料がべらぼうに高いということになってしまう。そんなことをしておったら、JR貨物というのは、分割・民営化していった中でもまた大変な問題になっていくじゃないか。  これは私、報告書を読んでいるだけでそんなことを感ずるんですから、これをこのままにしておいたら大変なことになるな、使用料のあり方自身も考えなけりゃならぬのじゃないだろうか、一体これからどうするのか、この問題についても御回答いただきたいと思うんです。そこで働いている労働者の犠牲にしわ寄せを持っていこうというようなことでは解決しない問題じゃないだろうか、改めてさきの問題と二点を質問したいと思います。
  296. 越智伊平

    ○越智国務大臣 先ほどのすれ違い試験は、一月十三日にやったデータを提出させて認可をしておりますから、やっていないというようなことは間違いでございますから、そのことを私が黙っておりますと容認したことになりますので申し上げておきます。  今の貨物の問題は、今後大いに努力をしないといけないし、また大いに改善をしていただこう、こう思っておりますが、今の実情でいいますと、鉄道の使用料というのは至って低い、実際に使う鉄道は、線路の使用料は至って低い。事実関係の数字的なものは政府委員答弁させますけれども、どうぞひとつ御協力をいただきますとともに、今の事実関係で、今後は「のぞみ」にいたしましても事故のないように、またトラブルのないように努力をして改善していこうと思いますし、貨物の問題にも改善をしてよくなるように進めていきたい、こう思いますので、一方的に、やっていないとかあれがどうだとか、ちょっと事実と違うことはひとつ御遠慮をいただきたい、かように思う次第であります。
  297. 秦野裕

    ○秦野政府委員 また、私有貨車の御指摘がございました。  私有貨車の制度は、いわゆる荷主さんにとりましては専用貨車を使用して効率的な運送が可能であるというようなメリットがあるわけでございますが、同時にJRの貨物の方につきましても、安定的な荷主の確保ということでかなりのメリットがあるわけでございます。お話しのとおり、かなり私有貨車は車齢が古くなっておりますが、もちろん安全上は支障がないようにチェックを行っており、ダイヤ設定もそれなりに工夫をしてやっておるわけでございますが、もちろんなるべく新しい車両あるいはコンテナ列車といったようなものに移していくということは必要だろうというふうに私どもも考えておりまして、現在その方向での検討を進めておるところでございます。  それから、先ほど大臣からも使用料のお話がございましたとおり、JR貨物は確かに旅客会社の線路を使用しておるわけでございまして、旅客会社に対して線路使用料を負担しておるわけでありますが、JR貨物が発足する際に、貨物会社が自律的な経営ができるようにということで、その負担する線路使用料につきましては、いわゆる貨物輸送がなければその発生が回避されると認められる経費、通常アボイダブルコストと申しておりますが、その範囲内に限定するということで、むしろ少し低目の線路使用料の設定になっているということでございます。  いずれにしましても、こういう景気の状況でございますので、貨物会社の経営もなかなか厳しいものがあると思いますが、円滑に経営が進みますようにこれからも十分見守ってまいりたいというふうに考えております。
  298. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでやめますけれども、やっぱり私は解せないんです。テストをやってこれだけのトラブルが生まれてくる。そうすると、テストのやり方自身を今度は再検討しなかったら、たまたま死者が生まれていないからいいようなもので、これだけのトラブルが起こっている問題に、テストがなされておりましたでは済まぬ問題だろうと思う。そうすると、マニュアルをきちんともう一度見直してもらう必要があるんじゃないか。マニュアルあるんですか、テストのマニュアル。あるんだったら見直してもらうということを最後に明確にしてもらわなかったら、こんなテストは一体何の値打ちのあるテストだったんだろうかと言わざるを得ないと思うんですが、改めてこの一問を聞いて終わりにします。
  299. 秦野裕

    ○秦野政府委員 運転を開始します前に会社の中で当然テストが行われるわけでありまして、そのテストについてのマニュアルは会社それそれはもちろん内部で持っておるわけであります。今回の事故を参考にいたしまして、今後とも安全の確保に万全を期するように私どもも検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  300. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  301. 貝沼次郎

    貝沼委員長 次回は、来る二十六日月曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会