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1993-04-06 第126回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成五年四月六日(火曜日)     午後三時開議 出席委員   委員長 上田 卓三君    理事 鈴木 宗男君 理事 関谷 勝嗣君    理事 松浦  昭君 理事 宮崎 茂一君    理事 宮里 松正君 理事 五十嵐広三君    理事 上原 康助君 理事 玉城 栄一君       新井 将敬君    今津  寛君       岡田 克也君    高橋 一郎君       中川 昭一君    中村正三郎君       松田 岩夫君    伊東 秀子君       池端 清一君    鉢呂 吉雄君       藤原 房雄君    古堅 実吉君       小平 忠正君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長 北  修二君         官)  出席政府委員         沖縄開発庁総務 永山 喜緑君         局長         沖縄開発庁振興 渡辺  明君         局長         外務省北米局長 佐藤 行雄君  委員外出席者         防衛庁装備局通 戸田 量弘君         信課長         防衛施設庁施設 相沢 史郎君         部施設企画課長         防衛施設庁建設 竹永 三英君         部建設企画課長         文化庁文化財保         護部伝統文化課 吉澤富士夫君         長         厚生省社会・援 関根 義雄君         護局援護課長         厚生省年金局年 中村 秀一君         金課長         農林水産省食品         流通局砂糖類課 野崎  修君         長         農林水産技術会         議事務局企画調 佐藤  晉君         査課長         運輸省港湾局開 井上 興治君         発課長         運輸省航空局飛 坂井 利充君         行場部計画課長         運輸省航空局飛         行場部関西国際 磯田壯一郎君         空港課長         特別委員会第一 吉田  稔君         調査室長     ――――――――――――― 二月十九日  沖縄振興開発特別措置法に基づく特例補助負担  率に関する陳情書  (第一〇八号)  沖縄における住宅防音等に関する陳情書  (第一〇九号)  沖縄県における駐留軍用地返還及び駐留軍用  地跡地有効利用促進に関する陳情書外一件  (第一一〇号)  那覇空港民間専用化早期実現に関する陳情  書  (第一一一号)  沖縄戦強制疎開マラリア犠牲者国家補償に関す  る陳情書(第一一  二号)  北方領土早期返還実現に関する陳情書  (第一一三号  )  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 上田卓三

    上田委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めることとし、北沖縄開発庁長官の所信に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎茂一君。
  3. 宮崎茂一

    宮崎委員 大臣は北海道のお生まれで農林水産権威者と聞いております。そのとおりだろうと思いますが、お尋ねいたしたいのは、沖縄おいでになったことがあるのかどうか、あるいはまた閣僚になってからおいでになったかどうか、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
  4. 北修二

    北国務大臣 私は昭和三十四年ごろから沖縄とおつき合いがございまして、沖縄は戦中大変な戦場にもなった、国内でただ一つの敵が上陸したところだ。私もシベリアに行きまして、実は大苦戦をしてシベリアから帰ってきたわけでございます。そういう意味で、沖縄屋良主席さんのころだと思いますが、私は牛の改良を一生懸命やっていましたので、沖縄の皆さんが御苦労されておる、こういうことで自分のつくった一番の種牡牛を一頭、昭和四十三年に御寄附申し上げたことがございます。以来、沖縄復帰以前に数回参りまして、沖縄には酪農関係を初め、その他いろいろの友人がございます。また沖縄につきましては、ほとんどの島々を回って歩いておりまして、大抵のところは知っておる、かように自分では思っておるわけでございます。  沖縄のために担当大臣として全力を挙げて努力をしよう、こういう決意で今考えておるところでございます。よろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。
  5. 宮崎茂一

    宮崎委員 ただいま沖縄に非常に御理解のある発言をいただきまして、これからひとつ担当大臣として沖縄開発のために御努力をなさらんことを要望をいたしておきます。  なお、私はきょうは沖縄振興計画につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、沖縄復帰いたしましてからもう二十年を過ぎました。この間二次にわたります振興開発計画があったわけでございますが、沖縄がこの開発計画によりまして達成と申しますか、どの程度、どういうふうにその計画目標達成されたのかということについて、これは大ざっぱなところで結構ですが、どなたでも結構ですがお伺いいたしたいと思います。
  6. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  沖縄本土復帰しましてから二十年経過したということは御案内のとおり、先ほど先生がおっしゃられたとおりでございます。この間、二次にわたりましての振興開発計画に基づきまして沖縄振興開発のための諸施策が講ぜられてまいりました。総額三兆六千億円の国費の投入と県民のたゆまざる努力によりまして、本土との格差は次第に縮小されるなど、沖縄経済社会は総体として着実に発展してまいりました。しかしながら、生活産業基盤の面ではなお整備を要するものが多く見られるなど、産業振興や雇用問題など解決しなければならない多くの課題を抱えていると認識しているところでございます。  沖縄県の経済は、第三次産業それから建設業ウエートが非常に高く、製造業ウエートが著しく低い産業構造となってございます。したがいまして、経常的に移輸入移輸出を上回りまして、また財政支出に大きく依存しているところでございます。また一人当たり県民所得全国平均に比べた数値は、復帰時の六〇%から平成二年度の七 一・五%と改善されたところでございますが、依然として格差は大きく、全国の最下位にございます。さらに、沖縄米軍施設、区域は今なお県土面積の約一一%、沖縄本島に限ってみますと約二〇%を占めておりまして、依然として振興開発県民日常生活上にもさまざまの影響を与えているところでございます。このようなことから、引き続き沖縄振興開発を図るために、昨年、沖縄振興開発特別措置法の期限をちょうど十年延長させていただきました。平成四年九月にはこれに基づく第三次沖縄振興開発計画が策定されたところでございます。  沖縄開発庁といたしましては、沖縄経済社会の現状を踏まえ、活力潤いのある沖縄県の実現に向けまして第三次沖縄振興開発計画に基づき諸事業を着実に推進する等、沖縄振興開発に鋭意邁進してまいる所存でございます。何分よろしくお願いしたいと思います。
  7. 宮崎茂一

    宮崎委員 内地との格差を是正しようという目標だったと思うのですけれども、沖縄自体振興は図られてもまた内地の方がどんどん進んでおりますから、なかなか格差が是正できない。私も鹿児島県ですが、県民所得からいいますといつもびりから三番目ぐらいということになっていまして、なかなかこの点は難しい点だろうと思います。  さて今回、昨年の九月ですか第三次の沖縄振興開発計画というのが、非常に膨大な資料ができておりますが、私も一通り読まさせていただきました。この中で、三次の沖縄開発につきまして重点的な問題は何なのかということを簡潔にひとつ、これは大臣からお願いいたしたい。
  8. 北修二

    北国務大臣 第三次沖縄振興開発計画は、これまでの振興開発計画成果基本的考え方を受け継ぐとともに、二十一世紀に向かう我が国経済社会を取り巻く時代の潮流に適切に対応し、沖縄が抱える不利益性を克服しつつ有利性を発揮して総合的な諸政策の推進に努めていこうとするものであります。このため、三次振計については、これまでの本土との格差是正自立的発展基礎条件整備、加えまして沖縄を特色ある地域として整備することは広く我が国経済社会及び文化発展に寄与するものと、新たな視点に立って沖縄活力潤いのある地域にすることを基本的理念としたところであります。  このような基本的理念に基づき、沖縄の有する自然的、地理的条件、豊かな海洋資源の存在、熱帯、亜熱帯地域に適応し得る独自の技術蓄積等の多くの地域特性を積極的に活用して、特色ある産業振興我が国の南の交流、協力の拠点の形成、国際的な観光保養地域としての整備等を図ることを重点施策としております。  今後とも、この計画に基づき各般の施策事業推進する等により、計画基本的理念目標達成に向かって努力する所存でございます。
  9. 宮崎茂一

    宮崎委員 この第三次の振興計画でございますが、これは沖縄振興の向かうべき方向と申しますか、その方向を指し示しておりますが、この中で数字が出ております。つまり、どの程度に、何%に何をどうしてやるんだというのが、わずか二ページでございますが、人口経済社会フレームというこの二ページだけに数字が載っております。これは、どの程度達成しようというような目標なのか、それとも経済計画と同じように、大体その辺だろうということなのか、計画性格も書いてございますけれども、大体数字はどういうふうに御理解しておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  10. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  今先生の御質問は、第三次沖縄振興開発計画フレーム達成の見通しについてという御質問がと存じます。  第三次沖縄振興開発計画におきましては、総人口平成二年の百二十二万人から平成十三年には百三十万人を超え、また県内生産平成二年度の二兆八千億円から平成十三年度にはおおよそ四兆九千億円になる等の目標年次における人口及び経済社会フレームが示されているところでございます。この人口及び経済社会フレームにつきましては、計画目標達成のために実施される諸施策事業成果等を前提に、計画策定の時点において、目標年次沖縄人口経済社会を展望したものでございます。  第三次沖縄振興開発計画は御案内のとおりスタートしたばかりでございます。今後十年の間にはさまざまな経済社会情勢の変動があると見込まれておりますが、現時点におきましては、本計画に示された諸施策を着実に実施していくことによって、その目標年次である平成十三年には、人口及び経済社会フレームに示されておりますような人口経済社会実現されるものと考えておるところでございます。
  11. 宮崎茂一

    宮崎委員 この中で、人口はこれから十年間ふえる、こういうふうに見積もっておられるのですが、過疎県、つまり中央から遠いところはだんだんと本当は人口が減るのですね。私ども鹿児島県もそうですし、離島の方も奄美の方もこれは減ります。結局、産業というもの、農業でありますとか水産業でありますとか畜産とか、そういった産業振興しないとなかなか人口はふえないのだろうと私は思うのですね。  それから、いま一つお伺いしたいのは、ほかのところは先ほど申し上げましたように方向だけを示しておられるのですが、この計画というのは政府計画でございますから、例えば道路整備五カ年計画というのはきちっと数字を示しております。ですから、沖縄一つをとりましても、こういう社会資本つまり国が投資する、国と地方公共団体がやる計画というのは、数字を示してもいいのではないかな。それが数字がないというのは、実際はこの数字をお持ちなのかどうか、そしてお持ちでないと、毎年毎年の予算要求はどういうことからおやりになるのか。やはり全体の、道路でいえば道路整備五カ年計画七十六兆円というのは決まっておって、その中で沖縄のシェアはどうしよう、そしてその中で今度は大きな道路をどのくらい完成するのかという、何かもうちょっと具体的な計画が実際この裏にあるのではないかな。私はそういうふうに思いますが、裏と言うと失礼ですけれども、その基礎的な資料があるのかどうなのか、またそういった目標というのはなかなか出せないのかもしれませんけれども、その辺はどういうふうになっているのでしょうか。
  12. 永山喜緑

    永山政府委員 先生指摘の御質問については大変難しゅうございますが、この第三次沖縄振興開発計画性格というものがございます。これについて若干御説明させていただきたいと存じます。  この計画は、沖縄振興開発特別措置法、先ほど申し上げましたように、昨年延長されましたあの特措法でございますが、に基づきまして策定する総合的な振興開発計画でございます。今後の沖縄振興開発の向かうべき方向基本施策を明らかにしたものでございます。したがいまして、政府公共部門におきましては、その施策基本となるものでございます。また、民間部門におきましては、その自発的活動の指針となるものでございます。また、民間部門における財政投融資などによる誘導助成は、この計画に沿って行われるものでございます。  以上でございます。
  13. 宮崎茂一

    宮崎委員 わかったようなわからないような気持ちがいたしますが、まあ多分数字があるんじゃないかなというふうに考えております。  先ほどちょっと触れましたが、人口はふえるということでございますから、これにはやはり二次産業とか一次産業、そういった産業振興がその基盤にあるんじゃないかと私は思いますが、私も沖縄は五、六回行ってみましたけれども、二次産業というのは余りないのですね、石油精製がございますだけで。ですから、やはり力点農業とか、いわゆる亜熱帯産業亜熱帯農業と申しますか、そういったものが中心になってくるんじゃないかな、それと水産業がな、かように考えているのですが、特色のある農業、そういったものをこれから振興しなければならぬと思いますが、これ についてはいかがでしょうか。長官専門でしょうから……
  14. 北修二

    北国務大臣 沖縄産業振興を図る上で農業の果たす役割は極めて重要であります。また、沖縄我が国唯一亜熱帯性気候地帯であり、この特性を生かした農業発展が期待されております。具体的には、基幹作物でございますサトウキビ生産性品質向上を図るとともに、気象条件優位性を生かした冬と春の野菜、花弁、亜熱帯果樹、草地、畜産等振興を図っていくことが重要であると考えております。このため、第三次沖縄振興開発計画を策定し、特色ある亜熱帯農業の確立に向けて引き続き積極的に沖縄農業振興開発を図っているところでございます。  このような見地から、沖縄開発庁といたしましては、関係省庁と密接な連携をとりながら農業用水源開発かんがい施設整備等農業、農村の整備ウリミバエ等特殊病害虫防除計画的な推進に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。  沖縄は現在、一千百億ぐらいの農業生産をしておるわけですね。耕作面積でいうと、その中の七割近くがサトウキビであるわけでございます。サトウキビの点については、ただいま申し上げましたように、これからは品質向上、来年からは糖分取引を行って、より一層の品質向上を図りたい、かように考えておりますし、沖縄は、ただいま申し上げましたパイナップルがあったわけでございますが、御承知のように自由化ということで缶詰はこれから非常に厳しくなる。あるいはジュースについても、御案内のように施設をつくりましたが、これまた非常に厳しい。したがって、品種改良にさらに努力をして生生産を行いまして、これの需要拡大を図っていきたい。  あるいはその他につきましては、畜産が非常に向上してきておりますので、畜産についてもより一層の努力を払ってまいろう。いま一つは、冬季あるいは春という本土における端境期に沖縄野菜をぜひ重点的に国内に入れてはどうか、生産してはどうか。さらに、花卉は非常に画期的に努力をされておりますし、もう一つはその他の果樹といいますか、南方でつくるいろいろのものもございますが、沖縄でこのごろ生産したものは南方でつくるものよりも非常にいい味だ、ぜひそういうものを伸ばして、私の夢としては今の生産の借ぐらいは所得を上げなければならぬ、かように考えておるわけでございます。  また、サトウキビについては、沖縄サトウキビは全部葉をとって非常に手数がかかるわけでございます。これを機械化いたしまして、今鋭意機械化努力をいたしておりますが、生産性を上げてより立派なものをやりたい、かように考えておるわけでございます。大きく私は期待をいたしておるわけでございます。全力を挙げて努力をいたしたいというふうに思います。
  15. 宮崎茂一

    宮崎委員 力強い発言でございまして、どうぞひとつ農業生産に、特にサトウキビの問題につきましてこれからも御努力されますように心から念願をいたします。  沖縄は、御存じのような四面を海に囲まれたところでありますから本当は水産業がもっと栄えるのではないかという感じがいたしますが、どうも統計を見ますと余りそうでもなさそうで、これから水産業というのは、領海もうんと広いことですし、沖縄においてはもっと振興すべきではないかと私は考えておりますが、その点何か問題があるのかどうかという点。  それからいま一つ伺いたいのは、余り時間もなさそうですからこれはついでに続けでやりますが、やはり一番大きな産業は第三次産業ですかも、観光業だと思うのです。今盛んに沖縄のキャンペーンをしておりますが、沖縄日本でも一番南の方にありますから観光産業というものが一番重要だろうと思います。そのためのリゾート開発とかいろいろあると思いますが、そういった水産業観光産業、この二点についてお伺いいたしたい。
  16. 北修二

    北国務大臣 水産業につきましては、今御指摘のありましたようにまだ多くの生産を上げてないわけでございますが、御案内のように石垣島試験場といいますか、試験地がございますし、また栽培漁業もやっておるわけでございます。また、新しく沖縄水産試験場分場をつくってより一層生産を上げたい、育てる漁業を行いたい、こういうことで現在あちらこちらに水産庁として専門調査に行っておるところでございます。私もこの委員会が終わりましたら沖縄に入ろうと思いますが、恐らく石垣島に参る予定でございますので一緒になるであろう、こうお話をしておったところでございます。水産についてはより一層の努力をして生産を上げていきたい。それには何といっても育てる漁業、つくる漁業最善を尽くしたい、かように思っておるわけでございます。  また、御案内のように観光でございますが、リゾート等でございますが、御承知のように農業は一一%あったのですが、全体的には減りまして八%程度、あるいは第二次産業が二〇%前後ですが、そのうちの一三、四%は建設業であるわけでございます。第二次産業最善努力を払って今後やらなければならぬ。しかし、地域的ないろいろな問題がございますので、第二次産業は今いろいろ、自由貿易地域等の諸般の対策をやっておりますが、先端産業等のものを入れて、そして地域特性、あるいは今「琉球の風」ということで御案内のように、あの沖縄がどういう経過で今日発展してきたかということを見ますと、やはり中国並び南方との交流発展をしてきた、そういう歴史等も十分考えながら今後の産業振興努力をしなければならぬ。  いま一つは、今お話がございました観光でございますが、非常に自然に恵まれておるわけでございますから、リゾート等の環境を整備して、ハワイじゃなく沖縄がより一層すばらしいところだよ、また行ってもそういう肌で感じるような整備をしていく必要があるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。今後大いに努力をいたしたい、かように考えております。
  17. 宮崎茂一

    宮崎委員 もう時間もなさそうで、最後に私は高速交通体系ということについてお伺いしたいと思います。  御承知のように、もう国内では新幹線でありますとか高速道路でありますとか、そういったいわゆる産業基盤がどんどん整備されつつありますが、特に沖縄あたり離島でございますから、やはり何といっても日本中心部との間に高速交通体系というものをきちっとしなければならないのじゃないか、それがやはり離島人たちの大きな希望じゃないかと思うのです。私も二年ぐらい前に行ってまいりました。四、五回行っております。返還前から行っておりますが、那覇空港というのはどうも沖縄県の空の玄関口としては少し寂しいのじゃないか、もうちょっとあれは整備しなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。沖縄空港をもっと整備しなければ、とても貧弱です。そしてまた、すぐ隣には米軍の潜みたいなものがありまして、あれはもっともっと拡張、そしてまた立派なターミナルビルもつくらなければ非常におかしいと思うのですが、その点は、きょうは運輸省は来ていますか、どなたかからひとつ御答弁願いたいと思います。
  18. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 お答えいたします。  那覇空港整備についてのお尋ねでございますが、那覇空港航空需要は近年増加の一途にございまして、旅客ターミナルビル等の諸施設は狭隘化しておりまして、混雑が増大しておると同時に、分散立地していることもございまして旅客へのサービスが低下しておる状況にございます。このため、沖縄県の空の玄関にふさわしい空港といたしますために、国際線のターミナルビルの南側に本土線県内線を統合した旅客ターミナルビル、またエプロン、駐車場庁舎等整備することといたしまして、平成四年度から工事に着手しておるところでございます。沖縄開発庁といたしましては、平成五年度予算といたしまして二十八億六千五百万円を計上いたしておるわけでございますが、このほか、ターミナルビルにつきまして は、事業主体である那覇空港ビルディング株式会社、三セクでございますが、この会社が計画実施することになっておるわけでございます。  なお、今後の拡充整備につきましては、国内及び国際航空路線拡充動向等を勘案しながら検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  19. 宮崎茂一

    宮崎委員 那覇空港整備力点を置いて、早速ひとつ運輸省と話しながらどんどん進めてもらいたいと思います。  それから、あと時間もございませんので二つだけ簡単に質問をいたしたいと思いますが、結局これから海におきましては高速交通体系というのは、いわゆる貨物輸送につきましてはテクノスーパーライナーという問題が、今これから導入しようとしておりますが、これに対応する港の問題、それからいま一つ沖縄空港中心に、少し何か高速道路みたいなものがあるらしいということを聞いておるのですけれども、この陸上の沖縄空港から各地に向かう高速自動車道路、これをやはり整備しないと、沖縄全体の開発の背骨になるわけでしょうから整備していただきたいと思いますが、この二点。そしてもう一つ一緒に申しわけないですが、先島あたり離島があるわけですから、この沖縄本島離島の間の交通体系整備努力をしていただきたい、こういうことを質問をし、そして要望をして私の質問は終わりたいと思います。
  20. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 交通体系整備についてのお尋ねでございます。  沖縄全国でも有数の離島県でございまして、いろいろ地理的、自然的条件の制約がございますが、活力に満ちた地域社会を形成していきますためには、船舶大型化あるいは高速化航空機材大型化、またそれぞれの離島間の海空陸交通体系整備拡充等を強化いたしまして、より広域的な生活圏というものを促進していくことが重要である、このように考えておるところでございます。  沖縄開発庁といたしましては、現在船舶大型化なり高速化等に対応いたしまして、那覇港、平良港、石垣港を初めといたしまして、それぞれの港湾の整備を促進いたしますほか、航空機材大型化に対応いたします那覇空港また宮古空港ターミナル地区の整備等々、それから平成五年度から新たに北大東空港整備等々を着手することにいたしておりまして、今後ともより効率的かつ利便性の高い交通体系というものを検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  21. 井上興治

    ○井上説明員 テクノスーパーライナーの導入計画についてのお尋ねにお答え申し上げます。  平成元年度から開始されておりますテクノスーパーライナーの研究開発は、現在計画に沿って進んでおりまして、おおむね一九九〇年代後半には実用化されるものと考えております。運輸省といたしましては、テクノスーパーライナーの開発の重要性にかんがみ、引き続きその早期実現に向けて最大の努力を図る所存でございます。また、テクノスーパーライナーに対応した港湾の開発につきましては、現在輸送需要、港湾の配置、荷役システムなどについて調査検討を行っているところでありまして、引き続き所要の調査検討を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  22. 宮崎茂一

    宮崎委員 あとは宮里委員に……。
  23. 上田卓三

    上田委員長 宮里松正君。
  24. 宮里松正

    ○宮里委員 久々に沖縄開発庁長官、政策全般に精通された北長官が就任をされました。私ども非常に力強く思っているところでございます。これまでも工業問題を初めいろいろと御指導を賜ってまいりましたが、ひとつこれまでの経験を生かされて、沖縄振興開発計画全力を尽くしていただきたい、こう思います。  時間がございませんので、私は厚生年金の格差是正の問題と、あと若干、時間がありましたら御質問をいたしたいと思います。  沖縄の厚生年金の格差是正の問題は、宮澤総理の指示によって昨年の五月に政府部内に検討会が設けられ、これに沖縄県が加わってこれまで数回にわたって検討会が持たれたはずであります。最近は沖縄県から新たな提案がなされ、これからこれをもとにして検討が進められると聞いておりますが、まだ直ちに結論が出せるような状況にはないように思います。そこで、私はこの際、厚生省並びに沖縄開発庁に対しまして、国は一体どのようなスタンスでこの問題と取り組んでいこうとしておられるのか、率直にお伺いをしたいと思います。  本土沖縄の間には厚生年金の支給額について著しい格差があることは御承知のとおりであります。今沖縄で支給されている厚生年金の額は本土平均の約六四、五%であります。当然のことながら、沖縄の年金受給者たちはこのことに大変な不満を持っているわけであります。そのために、今県民はこの問題に強い関心を持って政府の検討会の成り行きを見守っております。県民の不満は、何も年金額が少ないからではありません。年金の額が本土と余りにも差があり過ぎる、ここにあるわけであります。自分たちは沖縄戦からそれに続く異民族支配のもとで二十七年間も苦労してきたのに、なぜ復帰後の年金額でもそのような差別を受けなければならないのか、こういうのが沖縄人たちの素朴な疑問であります。  もとより、本土沖縄との間で厚生年金の支給額にそのような格差が生じたのは、沖縄の厚生年金制度が本土より十六年もおくれてスタートしたからであります。そのことは沖縄人たちもよく承知をしております。また厚生年金制度はもともと本人と雇用主の双方が一定期間所定の掛金を支払って基金を造成し、それに世代間の協力関係を加味して運営されるものでありますから、沖縄県のように十六年もおくれてスタートした厚生年金の支給額の格差を是正するのが容易でないことも承知をしておるわけであります。  しかしながら、だからといって現状のままで我慢してくれと言われても、それは納得のいくものではありません。なぜならば、沖縄の厚生年金制度の発足がおくれたのは何も沖縄の厚生年金受給者たちの責任ではなく、もとはといえば国が対日平和条約三条によって沖縄をアメリカの施政権下に置いたために、その結果としてそのような事態が招来をしたわけであるからであります。その意味において、国は沖縄の人々に対して、法的責任はともかくといたしまして、道義的または政治的な面では少なくともその不利益を除去してやるぐらいの責任はあるはずであります。  それだけではありません。対日平和条約第三条によってアメリカの施政権下に置かれたとはいえ、沖縄に対しましてはもともと日本が潜在主権を持っておったわけでありますから、しかも国や国民は沖縄が一日も早く日本返還されることを期待しておったわけでありますから、厚生年金などの制度の創設に当たってはそのことを念頭に置いて、沖縄人たちのために、例えば施政権を持っているアメリカに対しまして本土と同時に沖縄の厚生年金制度をスタートさせるように要請をして、働きかけをするなど何らかの救済措置を講じてほしかったと思うのでありますが、そのような配慮が全くなされなかったことは極めて残念であります。  しかし、今さらそんなことを言ってもこれはどうしようもないわけでありまして、要はこれからどうするかということであります。そこで、厚生年金制度の制度的仕組みからいってどうにも手の打ちようがないんだということでこれから事を進めていくのか、それとも昨年五月に示されました宮澤総理の意向を踏まえて、そして沖縄の人々が置かれている立場を直視して、この際この厚生年金問題は是正をする、解決してやるんだ、そういう態度で取り組んでいかれるのか、この際ひとつしっかりとしたスタンスを示していただきたい、こう思うのであります。開発庁並びに厚生省の方でお答え願えれば幸いであります。
  25. 中村秀一

    中村説明員 沖縄の厚生年金の格差是正問題についての先生の御質問に対しましてお答え申し上げます。  先生からも経緯についてお話がございましたように、沖縄の厚生年金問題につきましては、昭和四十七年の沖縄本土復帰時にそもそも第一回目の特例措置を講じたということでございまして、先生お話がありましたけれども、厚生年金制度といたしましては本土復帰時にまず第一回目の特例措置を講じております。しかしながら、御承知のとおり、なお本土との格差があるということでございまして、平成二年に年金制度において再度の特例措置を講じてきたところでございます。しかしながら、地元沖縄県におかれましてはまだまだ本土との格差があるということで、昨年三月来、本委員会でもいろいろ御議論いただき、御指摘のような経緯がございまして、昨年五月、沖縄の厚生年金に関する諸問題につきまして関係省庁の検討会を持って今日まで至っているというのが経過でございます。  どういう基本的なスタンスで臨むかということでございますが、先生指摘のとおり、沖縄の厚生年金につきましては、沖縄の方々の加入期間が短いということに起因いたしまして、確かに本土との年金額について差がございます。先生から六五%程度というお話がございましたけれども、平成三年度末の実績で見ますと全国平均の六七・一%と、特例措置の結果、若干は改善してきておりますが、なお格差があるというのは事実でございます。これは私ども、厚生年金の加入期間が短いために年金額が低いという実態にある、この実態を踏まえまして、何らかの特例措置を講じることによって沖縄の方々の老後保障の充実を図ることができないか、この観点から、今政府の方の検討会においても毎回沖縄県の御出席も得ながら検討させていただいているところでございます。  今般、三月二十九日に沖縄県の方から新たな提案ということで新しい試案が提出されております。この案につきましては、沖縄県御自身の方も、事業主の御負担の問題ですとか証明の方法などについてはなお県としても検討中のものがありますけれども、沖縄県の方から一つの試案として出されておりますので、また、この格差是正のためにどういった範囲を対象として考えていくかといったような問題点はございますが、私ども基本的には、今回の県の案を素材といたしまして、ただいま申し上げましたような基本的な認識、すなわち加入期間が短いために年金額が低いという実態、ここを解消していくために何らかの特例措置を講じなければならない、こういった基本的な立場に立って、県の御検討と並行して私どもも誠心誠意取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  26. 宮里松正

    ○宮里委員 時間が過ぎてしまいましたので、あと一点だけ、御要請だけしておきたいと思います。  昨年五月でございましたか、地方拠点都市整備法が制定されました。沖縄県で鋭意検討してまいりまして、今、名護市を中心に北部がその指定を受けようという段取りがされております。新聞の報ずるところによりますと、先週の末に北部を指定するという内定がなされたようであります。これは国土庁の所管でございますが、開発庁の方も沖縄振興開発計画と密接な関係があるところでありまして、しかも、人口は石川市から南の方だと百万以上が集中していますけれども、北部は、土地は広いのでございますが、今は水の供給源になっており、人口が次第に過疎化しつつある。この辺で手当てをしなきゃなりません。今、名護市が名桜大学の建設などを計画しておりまして、その空気が動いているところでございますから、どうかひとつ御指導をいただいて、北部に名護市を中心とする地方拠点都市が指定されまして、その計画が実施されていきますように特段の御尽力をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  27. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  沖縄県が地方拠点都市地域として北部地域の指定を内定したということは聞いておりますが、具体的内容についてはまだ届いてございません。地域指定に係ります主務官庁への協議、これがございますれば、沖縄開発庁としては、地域指定に向けて所管事業との調整あるいは関係省庁との調整等を行うことによりまして、沖縄県に対して指導助言等を行ってまいりたい、かように考えております。
  28. 上田卓三

    上田委員長 上原康助君。
  29. 上原康助

    ○上原委員 外務省の北米局長の後の日程の都合があるようですから、最初に基地問題からお尋ねさせていただきたいと思います。  今、与党の宮崎先生お尋ねにもあったのですが、この五月で復帰して満二十一年になろうとしていますけれども、観光立県と言われながら空港ターミナルさえ整備されていない。まさに、沖縄に行かれる多くの観光客も、あるいは政府要路の方々もそう思うはずです。空港は一番隅っこに置かれている。復帰当時の中央ターミナル構想というのはいつの間にか消え去った。それは、那覇空港が自衛隊との共同使用で、自衛隊基地だけがどんどん太り過ぎて、民間空港はひさしを貸して母屋をとられたという、隅っこに全部追いやられている状況がある。空港に至る空港道路というのも、去年の春にパニック状態になった。これはおわかりのとおりです。  私は、余りの腹立たしさに前開発長官あるいは事務次官、関係省庁に、基地内道路をあけなさいと強い申し入れをいたしました。そして、それはあけていただいた。前開発長官の伊江さんも、私がどこかの委員会指摘したら、確かに上原君が言うように、空港ターミナル整備空港に至る道路整備開発庁としてももう少し熱心にやるべきだと、熱心とは言わなかったけれども、その点は遅くなっているということをお認めになった。それはまさに、沖縄米軍基地があれだけあるからなんですね。一方は那覇港湾施設というのが横たわっている。全面返還しなさいと言ってもなかなからちがあかない。一方は自衛隊基地がある。だから、ああいう状況に置かれているということが今の御質問でも明らかになったわけですが、良識ある方々はそういう見方をなさると思う。  そこで、後の質問と関連するのですが、開発長官沖縄に非常に精通しておられて結構なことなんですけれども、沖縄のこれだけある、しかも、冷戦構造が崩壊したにもかかわらず、なお平和の配当というか新たな視点からの米軍基地の整理、縮小がないこの現状を一体どう理解してどう打開していくかということをあわせて考えないと、沖縄振興開発格差の是正にしてもいろいろな面ができないと思うのですが、その御認識をどうお持ちなのか、まず所信を含めて聞かせてください。
  30. 北修二

    北国務大臣 お答えいたします。  米軍基地が沖縄振興に支障を来しておるということについては、同じ認識を持っておるわけでございます。御承知のように、米軍基地は三万五千ヘクタールぐらいございます。皆さんの努力、また政府、米国との話し合いによりまして一万一千ヘクタールが返ってきておることは御案内のとおりであります。  したがいまして、それについては、開発庁としては高率の補助金において、地域の皆さんの御希望を十分参酌しながら、都市計画あるいは土地改良事業等で鋭意努力をしておることは御案内のとおりでございます。さらに、これからも一層日米間の話し合いによって縮小されるであろう、またしていただきたい。その場合は、ただいま申し上げたように皆さんの御期待に沿うように、開発庁といたしましては即座に手をかけて振興最善を尽くしていきたい、かように考えておるところでございます。
  31. 上原康助

    ○上原委員 私が申し上げたことと同じ御認識であるということは、受けとめようによっては大変前向きというふうにも理解できるわけですが、残念ながら歴代の沖縄開発庁長官の基地問題に対する姿勢はそうではないのですね。むしろブレーキ役になっていると私は見ている。軍転特措法の問題にしても、そんなのは必要ないと言ってみたり、基地の整理、縮小をもっと開発庁の立場で主 体的にやれと言っても、それは外務省や防衛施設庁、防衛庁のことだと逃げ腰に終始しておる。もし私が今指摘をしたような御認識であるならばその実を上げていただきたい、そのことを強く北長官に注文をつけておきたいと思います。  そこで、具体的な点をお尋ねしますが、そもそも沖縄米軍基地というのは、在日米軍基地を含めてですが、これは冷戦構造下の落とし手なのですね。冷戦構造が崩壊をして世界は大きく変化している。アメリカのクリントン大統領とロシアのエリツィン大統領がついこの間カナダのバンクーバーで、あなた、あれを見てくださいよ、ああいうことが想像できましたか。あれだけ世の中が大きく変化しているのに、在日米軍基地というのは冷戦構造下の延長線にしかない、ここが問題だと私たちは言っているのです、そう簡単には変えられないと言うかもしれませんが。外務省や政府そのものが頭の切りかえをまさにやってもらいたい。  そこで、しばしば指摘をしてきたことなのですが、少なくとも県道一〇四号線越えの砲弾演習の中止であるとか、読谷補助飛行場でのパラドロであるとか、その施設の移転、あるいは今冒頭指摘をした那覇港湾施設返還、普天間飛行場、嘉手納マリーナ等々の、そのほかにもたくさんありますよ。こういうことについてはもっと積極的に、外務省も防衛庁も防衛施設庁も開発庁も、あんな十一省庁の課長レベルの連絡会議をつくってぼそぼそせぬで、しかもそれも秘密主義にしかやってない。こういうことについては、私は今申し上げた冷戦構造の崩壊、米国における新たな政権の誕生、米ロ間のあるいは日ロ間にはいろいろ問題はあるにしても、大きな変化を見ると、宮澤首相がこの十四、五日にアメリカに行くのでしょう。そうであるならば、経済問題やロシア問題が大事であるかもしれませんが、日米安保体制をどう転換するかということも大局的に話してもらいたい。そのかなめは何といっても沖縄基地ですよ。これについてどうなさるのか、お答えをいただきたいと思います。
  32. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 お答え申し上げます。数点に分けてお答えをさせていただきたいと思います。  一つは、沖縄の基地の全体の問題でございますが、昨年の五月十五日の沖縄返還二十周年のときに発表いたしました政府の立場にもありますように、御指摘のその那覇の軍港の問題も含めて未解決の案件をできるだけ早く解決するということで、整理、縮小の方向に向かって努力をしてきたわけでございます。ただ、若干言いわけがましくなりますけれども、昨年、アメリカ大統領選挙がございまして、そしてさらに政権がその結果かわる、国務省、国防省の幹部の人たちもやっと議会の承認を得られ始めたという状況でございますので、アメリカ側との話し合いに若干おくれを招いていることは事実でございます。そういう意味で、なるべく早く我々としても議論を再開して少しずつでも進めていきたいと思っているところであります。  他方、その間におきましても、今度のアメリカの政治レベルでの取り上げ方の問題でございますが、二月に外務大臣が訪米をいたしましたときにも、アスピン国防長官に対して沖縄の基地の問題の重要性を指摘して、その整理統合の方向に向かっての努力に協力を求めて、先方もこの問題についての理解を示したという経緯がございます。  宮澤総理訪米のときにどういうことを取り上げるか。これは限られた時間の中での双方の取り上げ方、希望に即して議論をするということになりますので、私の口からこの場で、総理訪米の際にこの問題を具体的に取り上げるという格好でお約束することはできませんが、それにもかかわらず既に国防長官にはこの問題は指摘しており、したがって向こうの事務レベルの体制が整えば施設庁とも御相談をしながら、またこの問題を議論を進めていくという体制ております。  今後の、今御指摘の問題につきまして、いろいろ基地の従来から御指摘のある具体的な施設については、この際一々申し上げませんが、今の一〇四号線のことにつきましては、特に従来より上原委員から繰り返し御指摘があったことは我々も承知しております。この間の新聞報道にありましたスタックポールアメリカ海兵隊司令官の発言もございます。あのときには、新聞報道でありますが、米軍内部において一〇四号線越えの射撃訓練の富士演習場への移転を検討しているという話がございました。我々も早速これに注目をいたしましてアメリカ側に確かめましたところ、そういう検討はしているということのようでございます。ただ、あの新聞報道にもありましたが、経費の問題とかいろいろあって、まだ右、左は決めてないようでありますが、この点には我々も注目をして、こういう点も含めてまた議論を進めてまいりたいと思っております。
  33. 上原康助

    ○上原委員 そこで、基本的なお尋ねをしてから具体的に言います。  今スタックポール、この人は瓶のふた論もあるし、軍人、将軍というよりもなかなか政治家らしいところもあって、いろいろ思惑もあるかもしれませんが、その具体的な話が出たので申し上げるわけですが、少なくとも米側でそういう検討がなされておるということをあなたがお確かめになって察知したならばもっと積極的に対応してくださいよ。あの恩納岳、ブート岳のあの砲弾を撃ち込んだ跡の傷だらけの惨状というものは普通の心、チムグクル(心)を持っている人なら見られたものではないですよ。何で狭い沖縄であんなことをしょっちゅうさせるんだ、しかも県道を封鎖して。今ごろそういうことをしなければいけない、世界的にアジア地域での緊急性があるのかと私は言うんだ。そういう感覚が政府の閣僚や局長クラスの皆さんにない限り沖縄の基地問題は解決しないですよ。だから、アメリカは民主主義の国、世論の国なんです。総理がせっかく行くというのに、日本政府も今は経済の問題でいろいろあるからということで、沖縄の基地問題とかそういうことを忘れて、だれも何とも言わぬじゃいかぬ。それはぜひ取り上げていただきたい。改めて決意を伺っておきましょう。
  34. 佐藤行雄

    佐藤(行)政府委員 先般来の御議論も伺っておりまして、沖縄の基地問題は大変に重要だという認識は総理を初めとして政府部内にきちっとあると私は思っております。この間の予算委員会でも、総理が、日本の安全保障にかかわる大きな部分を沖縄県民の方々に御負担をおかけしていることについては厳しく受けとめているという趣旨のことを繰り返し御答弁をされております。そういう意味で、我々としても沖縄の基地の問題の解決の重要性ということを十分心にとめまして努力をしているつもりであります。  訪米の問題については、先ほども申し上げましたような事情もございますので、私限りで右、定申し上げることはできませんが、きょうの御議論も踏まえて総理にも御報告をして、この問題が少しでも進むように、一番いい方法は何かを考えながら努力してまいりたいと思っております。
  35. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつ、事務当局というか北米局としても、強く米側に働きかけて総理や外務大臣の御努力を願いたいと思います。  そこで、開発長官、少なくとも総理が訪米する前には閣議なりいろいろあると思うのです。きょうは大臣はお一人しか本委員会に出ておりませんので、先ほど私と同じ認識であり、基地の問題については積極的に対応していく、即座に対応していくとおっしゃった。そうであるならば、今の議論についても、総理に対しても、やはり沖縄の基地問題も今度の日米の首脳会談で問題にして取り上げてもらいたい、いい方向に解決するようにやっていただきたいということを沖縄開発庁長官の方から総理に要望していただきたいのですが、いかがですか。
  36. 北修二

    北国務大臣 先ほどお話がございましたように、国際的な緩和情勢にある、そういう諸般の情勢の中で、アメリカがどういう考え方があるのか、それも十分聞く必要があるし、日本としても縮小については総理が話されることは適当なこと であろう、私はかように思いますが、この基地問題は日米安保条約の諸般の問題もこれあり、急にというわけにはいかぬであろう。国際的な情勢、それらを見ながら政府としては今後の縮小に、アメリカに理解をいただけるように努力をしていく必要があるのではないだろうか。きょうの委員会においてさようなお話があったということは総理にお伝えをしておきたい、かように存じます。
  37. 上原康助

    ○上原委員 どうぞ、いいですよ、北米局長。もっと聞きたいけれども、またいずれ。  それは、北長官、急にはいかないことを私もある程度わかっているのですよ。急にいかないことだから絶えずやらなければいかない。急にできないから余計時間をかけて、忍耐強く日本側の主体を確立してやるべきだということを私はかねがね言っているわけです。その点強く申し上げておきます。  そこで、北米局長結構ですが、あとは施設庁に聞いておきますが、この間の予算の分科会で、私が軍用地の返還のあり方についてお尋ねをいたしました。一月に十一省庁で協議をした返還予告期間の改善措置について米側に申し入れをした、内容を明らかにしなさいと言ったら、相手があることだから今できない。だから、その返答はいつまでにもらうかと言ったら、可及的速やかにもらう。たしか三月の五日だったと思うので、きょうは四月六日か、もう一カ月たっている。この問題はどうなったか、米側から返答は来たのかどうか、これが一つ。  もう一つは、二月十九日、沖縄県が軍用地内にある県有地あるいは県財産ですね、八百十ヘクタールの早期返還を求めて施設局に具体的に提起をしたはずです。これについても早急に返還できるように積極的に努力をすると藤井長官は私の質問に対して答えている。どうなっているのか、お答えください。
  38. 相沢史郎

    ○相沢説明員 返還に関します事前通報の問題に保ついてお答えさせていただきたいと思います。  委員御承知のとおり、前回の予算委員会におきまして施設長官から御説明させていただきましたように、土地所有者の跡地利用に資するという観点から前広にそういう返還情報というものをお伝えできないだろうかということで、十一省庁連絡会議の中でいろいろ検討してきたわけでございます。そこで、その時期や通報先というものをできるだけ前広にかつまた明確な形で行うことが適当であろうということで、各省庁さんの皆様のコンセンサスを得た。それを踏まえまして米側の意向というものを確認しているところでございまして、現在まだ確認をしておりまして、まだ米側からの返事というものをいただいておりません。そういう状況にございます。
  39. 上原康助

    ○上原委員 可及的速やかにもらう、そういう答弁をなさっているのですよ、八百十ヘクタールについて早急に結論を出すと。もちろん、相手のあることだと言うだろうが、何でそんなに時間がかかるのですか。米側は、では予告期間のあなた方が言う前広改善措置については反応はどうなのか、可能性はあるのですか。皆さんが米側に投げたという案については、委員会に提示できるのですか。あのときも公にしなかった。予算委員会でも、私はわずか三十分だったからそう粘るわけにもいかぬで、皆さんがやると言うから、もう少し時間待とうと思ったのだが、一カ月たっても返事来ないのでね。
  40. 相沢史郎

    ○相沢説明員 お答え申し上げます。  私どもも再三にわたりまして米側に、早く米側の意向というものを出していただきたいということで再三督促しているわけでありますけれども、米側におきましては、内部手続がどういうふうになっているかというところはちょっと私どももわからないのですけれども、米側は部内において中で調整し検討している、こういうふうな説明を現在受けているところであります。それで、きょうもどうなっているかということで、再三督促させていただいているわけです。  そこで、米側からもし私どもが考えているようなことでオーケーだというお話がございましたら、これをまたこの十一省庁の関係協議会の方々にお諮りして、こういうことになったということでやっていきたいということにして、そしてそれを沖縄県の方にも御提示させていただいて、そちらの方の意見もお聞きして進めていきたい、こういうふうに考えているわけですけれども、ちょっとまだ米側のところからの返事というものは今の段階では来ていないということでございます。
  41. 上原康助

    ○上原委員 改めて強く要望をしておきますけれども、これは責任ある政府施設長官と中山防衛庁長官予算分科会で答えたんだ。そういう問題を、もう国会の形骸化とか政治の腐敗ぶりというのは、野党無視のところがあるんだよ、政府委員を含めて。与党だけが、権力政党だけが人間ではないんだよ。だから、やみ献金も何かもはびこるんだ、後でちょっと沖縄の問題も聞くけれども。それは、いつまでに返事もらうのか、改めてどうするのか、お答えください。
  42. 相沢史郎

    ○相沢説明員 いつまでにということでございますけれども、やはり相手、米側があるということが前提で、いついつまでというふうに現在ここでお答えできるところまでは至っておりませんが、可及的速やかにいただけるように、これからも米側に督促していきたいと考えております。
  43. 上原康助

    ○上原委員 日本語も可及的速やかにと言ってのんべんだらりじゃいかぬよ、あなた。早くやってください。改めて注文をつけておきます。  次は、少し易しい問題、北長官。  沖縄の伝統文化の問題は非常に関心も、もちろん政府も関係者もあれだし、最近の県民志向あるいは県民意識を見ても、琉球舞踊であるとかあるいは空手道、その他の武術を含めて非常により重要視されてきております。  そこで、長官はどういう御認識と御関心を持っているのか、琉球文化について。まあ首里城も復活して、いろいろ「琉球の風」も、逆風か横風か何かわからぬが、視聴率も当初予測されたほどでもないようですが、まずその所見を少し、きょうかあした沖縄に行かれるというのだから、ごらんになると思うので、ここで少し予行演習をなさってから行かれた方がいいのじゃないか。
  44. 北修二

    北国務大臣 沖縄文化、まことに歴史的な重要な問題である。今おっしゃったほかに組踊という歴史的な踊りがあることも御案内のとおりてございます。たまたま沖縄の方にはこれらの文化を残すために国立劇場をつくってもらいたい、こういうようなお話がございます。御案内のように、ただいま第二国立劇場を建設中でございます。また、各地域からも大変いろいろの要望があるわけでございますが、私は沖縄開発長官として、組踊を初めただいま委員がおっしゃったこういう歴史はぜひ残したい、したがって、できるだけ努力をしてこれらの要望にこたえていく必要があるのではないだろうか、かように考えておるところでございます。沖縄文化を大事にしていきたい、以上でございます。
  45. 上原康助

    ○上原委員 多分そうだろうと思うのです。基地問題よりはこの方がより認識は一致するみたいだね。  そこで、今お答えありました組踊劇場の国立国際劇場設置の問題、これは相当長い懸案、五、六年になります。あるいはこの問題を出されてからは十年近く、私の記憶では七、八年になると思う。私も分科会で何度か取り上げた。それも第二国立劇場云々で沖縄は後回しにされている。今大臣のあれでは積極的にやるということで、ぜひこれは実現させてもらいたい。  最近、琉球舞踊その他はいろいろ文化財指定、無形文化財等々あるわけですが、空手道の文化財指定がなされていないのですね。これをいろいろ振り返ってみますと、なぜこれがまだなされていないのか疑問さえ持つわけで、最近は沖縄をメッカにして国内、国外に、国際的には三千万とも言われているのです、空手道を研修している方々は。既に第一回の県民祭をやって、県主催での催しをやって、二回目、三回目とこれから充実させていこうという方針があるわけで、そこでぜひこの空手道の文化財指定というものを、無形文化財 かいろいろ方法はあると思うのですが、これももちろんその法律なり手続を踏まなければいかないという点もあるようですが、やってもらいたいという強い要望が出ているわけです。この点については政府としてはどのようにお考えなのか。  今開発長官がお答えのように、沖縄文化の個性的というか、これを保存し発展をさせていくという上においても、沖縄空手の文化財指定は検討に値する。もちろん関係者から今沖縄県にもそういう申請がなされておって、沖縄県から国に上がれば何とかという話もあるようですが、開発庁と文化庁はこの問題についてはどういう評価をし、今私が指摘したことについてこれからどのように検討なさろうとするのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  46. 吉澤富士夫

    ○吉澤説明員 文化財保護法上無形の文化財に関する指定につきましては重要無形民俗文化財指定と重要無形文化財指定の二通りがあるわけであります。若干くどくなりますけれどもちょっと御説明させていただきたいと思います。  重要無形民俗文化財は、重要無形民俗文化財指定基準、こういうものがございまして、これに従いまして衣食住、生業、信仰、年中行事、こうしたものに関する風俗、習慣、民俗芸能で国民の生活の推移の理解のために欠くことのできないものの中から特に重要なものを指定しているというわけでありまして、これまで青森のねぶたとか京都の祇園祭りの山鉾行事とか沖縄の与那国島の祭事などが指定されているわけであります。  一方、重要無形文化財につきましては、重要無形文化財の指定並びに保持者及び保持団体の認定の基準というものがございまして、これは音楽、舞踊、演劇その他の芸能、または陶芸、染織、漆芸、金工その他の工芸技術のうち芸術上または歴史上価値の高いものを重要無形文化財に指定しているものであります。現在、芸能関係では例えば能楽とか人形浄瑠璃、沖縄では今話がありました組踊などが指定されておりまして、工芸技術関係では色絵磁器とか友禅、彫金、木工芸などが指定されているわけであります。  このように、沖縄の空手を初めとするいわゆる武道の重要無形民俗文化財または重要無形文化財の指定については、現行の基準に該当するものが現在ございませんので、指定を行うことは大変困難ではないかと考えております。
  47. 上原康助

    ○上原委員 そんな、聞いて困難だったら困るんだよ。それはあなた、歴史上価値の高いものなんです。価値が高いか低いか、まあ価値観の相違もいろいろあるので、やろうと思えば、それはこういうのは幾らでも該当しますよ。大臣、そうでしょう。役人というのはどうしてもしゃくし定規にはめ込もうとするくせが、くせと言ったら失礼かもしれませんがあります。沖縄の伝統空手、空手道というのは、これほど歴史上価値の高いのはないんだ、沖縄独特の地理と中央からの武術をミックスした伝統ですからね。だから、私はそれは幾らでも理屈はつけられると思う、立論はできると思う。  その意味で、確かに今あなたがおっしゃったように、重要無形民俗文化財あるいは重要無形文化財、その法律なり規定にはめようとすると、ほかにもいろいろあるようだからなかなか難しいという理屈も出るかもしれませんが、これだけ国際化をし長い伝統として発展してきているこの空手道については、私はぜひ御検討をしてもらいたいと思うのですよ。この点、開発庁の御見解も聞かせていただきたいと思います。
  48. 北修二

    北国務大臣 文化庁と十分検討させていただきたい、かように存じます。
  49. 上原康助

    ○上原委員 その空手道の大家の皆さんの文化財指定についても、既に県にも要請書が出ているようですが、その理由として、沖縄文化に対する貢献が絶大であるということが一つですね。二点目は、国際化時代の沖縄のアイデンティティーを体現していること。三点目は、空手大家諸氏が高齢のため指定を急ぐ必要も出ている。四点目には、琉舞など他の分野に比して世界的な普及、高い評価にもかかわらず文化財指定がおくれている。こういう点を挙げているわけですね。そして、流派については、私は専門でもないし全くの素人ですからわかりませんが、相当の流派にわたっている。だが、指定対象としては剛柔流、松林流を含む小林流、それと土地流、この三つの流派が大体主流をなして、いろいろの空手道を形成発展させてきたのじゃないのか。もちろんそのほかにも検討に値する流派はあると思いますよ。これは例として挙げてありますから誤解のないように。  そこで、今長官おっしゃいましたように、文化庁ともよく相談をしてということですから、これは大きく県からも関係団体からも、必ず文化財指定にしてもらいたい。そして、指定にされるとそれだけいろいろの行政的あるいは政策的助成がなされる道も出てくるわけですから、私はもっといい方向発展していくと思うのですね。その点、改めて御見解を聞かせていただきたいと存じます。
  50. 吉澤富士夫

    ○吉澤説明員 なお現在、時代の変化に対応した文化財の保護につきまして、文化財保護審議会の下に文化財保護企画特別委員会を設けて審議を行っているところでありまして、文化財の範囲、保護の方法などを含めその保存のあり方について現在検討を進めているところでありますので、その結論を待って検討させていただきたいと思っております。
  51. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそこで検討していただいて、研修機関の設置であるとか、あるいはこれだけ国際的にも非常に注目をされ、また沖縄に相当諸外国からも研修生というか師範級の方々が毎年来でいろいろ研修して、それぞれの国で普及しているわけですよ。そうすると、それぞれの私設的な流派にただ任せておくというわけにいかないんですよ。ある意味ではやはり空手道大学を設置したらどうなのか、国際機関としてのそういうものを設置してみたらどうかといういろいろな考え方があるわけで、これからの沖縄振興開発、人材育成、文化とか国際交流という面でも大事な素材だと私は思うのですね。ある面では資源ですよ、人的資源ですよ、大臣。  だから、ぜひ三次振計の中での文化というものは、組踊の問題とか舞踊とかそういうものではなくして、空手道についても積極的に取り入れて学校教育の中でも生かしていく。そうすればいろいろな面で精神上の強化というか、いい意味でですよ、あるいは青少年の健全育成という面にも資する面もあるんじゃないでしょうかね、ソフトのことを取り入れるならば。そういう視点から私は申し上げておりますので、もう一度長官の決意をひとつ聞かせてください。
  52. 北修二

    北国務大臣 大変貴重な御意見を聞かしていただきました。実感のこもったお話でございます。よく文化庁と検討させていただきたい、かように存じます。
  53. 上原康助

    ○上原委員 私もまだよく勉強してないのですが、初めてこの問題取り上げましたので、これからさらによく研究してみて、今文化庁なり大臣がお答えになったことを含めて、評価をしながらぜひ実現をさせていきたいと思いますので、御努力をお願いしたいと思います。  次に、厚生年金のことについて私も聞いておきたいと思います。この件は実現するまでお尋ねせざるを得ません。  そこで、過去のことはいろいろは申し上げませんが、やはり解決のめどを立てるのにちょっと時間がかかり過ぎますね。それは厚生省にしても検討委員会の皆さんあるいは開発庁、関係省庁の御努力は多としながらも、こんな結果でいいのかという感じをぬぐえません。  というのは、これは一九八八年十二月に衆議院において、沖縄における厚生年金格差是正の請願採択がなされて以降もう九三年ですよ。もちろん、その間特例措置はやったとはいえ、我々が言っているのは格差の全面解消ですよ。それを年金制度にはなじまないからということで時間がかかるということは、これ以上猶予できない重要なことであるということを御認識を新たにしていた だきたいと思います。  そこで、端的にお尋ねしますが、去る二十九日に沖縄県が再提起をした厚生年金の格差是正についての対象者の範囲の問題、二番目の、加算の対象とする期間の問題、三番目に財政措置、追納及び加算の問題、四番目の雇用の証明の問題、五番目に事業主負担分について、こういうことが最初の案を検討して直して出してあるわけですが、これは先ほどの答弁では、一応の素材としてこれから検討を具体的に進めていくということでしたが、おおむね県から出された新たな試案というものは、厚年格差是正をやっていく材料として備わった、そのまま生かされるかどうかはわからないが、この今私が指摘したような五つの柱に基づいて、これから検討委員会で具体的に詰めて格差是正をやっていく、そういう作業が今進みつつあると理解をしていいのかどうか。なお、厚生省なり検討委員会は、この県の試案に対しても新たな難問を、難問というか、これじゃだめだとか、これは難しいとかいって押し合いへし合いをやっているのか、そこいらはどうなんですか。
  54. 中村秀一

    中村説明員 お答え申し上げます。  三月二十九日に、先生指摘のとおり、沖縄県から政府の検討委員会に対しまして「沖縄の厚生年金格差是正について」、これは県みずからおっしゃっておるんですが、試案だ、こういうことで御提出がございました。この案、先生指摘のとおり五項目から成っておりますが、これについてどういう取り扱いになるのか、こういった御質問だと思います。  まず、県の方でこれが試案だとおっしゃっておりますのは、一つは、五項目のうち二つ、雇用の証明なり事業主負担分については県の方でも御検討中ということで聞いておりますので、そういった意味で試案だということでございます。  それで、県の方でもここは並行して、また県内でも関係者の方々と御協議したり、あるいは雇用の証明、原則として事業主の方にしていただくということですが、これも先生承知のとおり、この沖縄の厚生年金の格差是正問題の中の大きなテーマとしてずっと難問中の難問として残っている点でございますが、この点も県としては継続して、県御自身でも検討されると言っておりますので、そういった意味では、この沖縄県の試案は、申し上げましたとおり、私ども政府の方の検討会でこれから検討していくための素材として、やはり共同作業としてやっていく必要があるのではないか、県の検討とも並行して鋭意詰めていく必要があるのではないかと思っております。  また、この五点について新しい格差是正の何らかの特例措置をとるための要素としてどうなのかという御指摘でございますが、厚生年金の格差が生じているという点につきましては、加入期間が短いため年金額が低い、こういうことでございますので、要素といたしましてどういった方々を対象にするのか、また、沖縄県の言葉でいいますと、加算の対象とする期間がどうなのか。また、厚生年金につきましては、御承知のとおり、御本人の保険料負担と事業主の保険料負担と折半になっておる、そういった保険料負担の問題がございますので、そういった意味で申し上げますと、この県からの御提案のあった各論点というのは、これから私どもが検討を進めていく上で要素が網羅されているというふうに考えております。  先生の方から、それでは厚生省の方がまた難問を申し上げているのではないかということでございますが、基本的には、これまで非常に難しいというふうに考えられておりました点は、一つは先ほど申し上げましたように、加入期間が短いこと、これをどうやって何らかの特例措置を講じて先生のおっしゃいます厚生年金の格差是正といったものを確保できるかという現実の御要請と、もう一つは、やはり年金制度ということで、先生からしゃくし定規であるとか型にはまるとかおしかりを受けるかもしれませんが、年金制度は、長い期間大切な勤労者の皆様の保険料をお預かりして適正に運用していくということがありますので、一つ体系が崩れますとその貴重な年金制度が崩れてしまうという点がありますので、そういう年金制度の原則をゆがめずに何らかの特例措置を講ずることができるかどうか、そこの点を議論しているところでございますので、私どもも誠心誠意努力させていただきまして、厚生年金に加入できなかったことによりまして重大な影響がある方、措置を講ずる必要性が高い方、こういった方々に特に重点化して格差是正措置を講じるよう、県とも知恵を出し合ってやっていく必要があるのではないか、こういうふうに認識して、作業を進めているところでございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 従来よりは少し何か問題点が絞られつつある感は受けるわけですが、どうも後段の方が気になるね。こんな金太郎あめみたいに画一的に考えちゃいけないのですよ。あなた方がそういう論法でくると、沖縄の施政権を分断したのはだれかという話に発展しますよ、これは。  そこで、事務当局はしっかり県側の案を素材としてこれから作業をやっていくと言うわけですから、その試案にはなり得るということだから、やっていただきたいと思う。これは北長官、私はもう政治的決断だと言うのですよ。そもそも、総理大臣が何とかしたいとか、厚生大臣が超法規的な措置をやると言ってから一年も二年も事務当局だけ汗をかかせて、そういう答弁をした大臣たちはまだかまだかと待っているのでは、いつまでも解決しないよ。あなたも随分責任あるのよ。  この間、一月の初旬に沖縄に行かれたときに、年金格差問題について、各省庁と協議しています、山下前厚生大臣が答弁しているように前向きに取り組んでおります、法改正の意見もあり、新しい方法を今議論しているところだ、積極的に解決をするように努力します、こんなことを那覇空港で述べておられる。述べたんでしょう、新聞に書いてあるんだから。そうすると、超法規的とか、沖縄開発庁長官が法改正を含めて、厚生大臣もやると言ったんだからおれもやるよと言ったら、もうあなたは一月から、きょうは四月でしょう、もう少し、総理大臣だって二回も答弁しているのです。我々が官邸まで行ったんだ、この問題を解決しなさいといって、前井上委員長一緒に超党派で。北長官、これをきょう、いつやりますと言ってからあした沖縄に行かれたら、あなた相当歓迎される。まあ今度歓迎されるかもしらぬが、もっと歓迎されるかもしらぬ。こんなのをうやむやにして——私は、本当はこの問題は沖縄出身の伊江さんの時代に解決してもらいたかったのです。せめて伊江さんもこのぐらいやって、僕は沖縄出身の大臣だという言い方をしてもらいたかった。終わってからあれやこれやと注文をつけたって、そんなのほかえって政治力が問われる、失礼だけれども。  だから我々も、これは待てない。少なくとも四月いっぱいなのか五月十五日なのか、六月二十日までが今百二十六国会の期限なのです。六月二十三日は沖縄の慰霊の日等々を考えると、大体節々は今私が言ったようなことしかないと思うのだが、四月二十五日は御承知のようにやがて植樹祭もある。これは非常に重要なイベント、等々を考えると、この厚生年金問題をいつまでも検討だ検討だ、何やかやと言って待つわけにはいかない。どうお考えですか。
  56. 北修二

    北国務大臣 お答えいたしますが、さきに申し上げたのは、私は沖縄開発庁長官、県民の気持ちで対応しよう、こういう気持ちで答弁をいたしておるところでございます。  あわせて、今までの経過は、先ほど厚生省からもお話がございましたように、昭和四十五年に加入をいただきまして、以来、四十一歳の人は十四年で二十年と同じにしましょう、あるいは五十一歳以上の人は四年間で二十年加入したのと同じにしましょう、これだけ改善をしてきたわけでございます。  さて、それじゃさかのぼってと、遡及の問題について何としても解決しろ、こういうお話でございます。今厚生省の方からもお話がございましたように、三月の二十九日、先日でございますが、沖縄から試案が出てまいったわけでございます。 したがって、これについて最善を尽くそう、検討をいたしましょう、こう言っておるわけでございますが、事業主の負担の問題をどう解決するかということでございます。  事業主の負担というのは、これは私個人のあれでございますが、どのくらい負担が必要なのだというと、千数百億になるであろう。そうなると大変な負担で、これを事業主に負担をいただかなければならぬわけですが、なかなかそれは容易でないであろう。それではどういう方法があるんだ、こういうことでございますが、それらについては今後十分関係者の中で検討をしていく必要がある、こういうことで御検討させていただきたい、かように申し上げておるところでございます。最善を尽くしていこう、私はかように思っておるところでございます。
  57. 上原康助

    ○上原委員 そんな、大臣まで事務当局が答えるようなことを同じように言ってはいかぬですよ、あなた。数字も千数百億とか、一説には五千億とか、私はそれはもう全然アバウトだと思うんだよ。失礼ですが、さっきの軍用地の面積の問題も少しどうかなと思うので、念のために、訂正するなら訂正なさった方がいいと思うよ。数字はそう簡単に今言えるようなことじゃないと私は思う。問題は大臣、検討しなければいけないことはわかるのよ、だからもう四、五年もやってきたのですよ。決断をしなさい、いつまでにやるのか。四月いっぱいか、五月なのか、六月までもできないのか、それをあなたに私は聞きたいんだ。そのあたりの目安をもう一度答えてください。
  58. 北修二

    北国務大臣 結果について今ここで申し上げろと言われても、それはちょっと無理でないでしょうか。今検討しておるさなかでございますから、最善を尽くして努力をしよう、かように申し上げておるわけでございます。  数字については、先ほど私の個人的な、自分で検討してみたらそのぐらいになるのでないか、こう思って申し上げたところでございますから、お断りは申し上げてあるわけでございます。  いずれにいたしましても、厚生年金の根幹にかかわる問題でございますから、いかに政治的に解決するのか、あるいは実務的に解決するのか、そこが問題だ、かように思っておるわけです。最善を尽くしたいと思っております。
  59. 上原康助

    ○上原委員 最善を尽くしてみてください。期待しています。  それともう一つ、マラリア補償の問題。次から次に出てくるとおっしゃるかもしれません。これもお聞きしないといけない。  これも、昨年の二月でしたか、関豚省庁で問題連絡会議が設置されて、課長レベルでしたか、四回ないし五回連絡会議が持たれたようですが、どういう解決策をお考えになっているのか。  そこで、時間がありませんので、これも昨年の十月、九州弁護士会が沖縄でシンポジウムを開いたのです。沖縄の戦後処理問題として、日本政府の戦後補償のあり方を討議して、この中で戦争マラリア問題に関しては、「犠牲者は国の戦没者遺族等援護法で規定される戦闘参加者に当たり、補償対象になる」という見解を打ち出したのですね。この見解では、「犠牲者の有病地への移動は軍命による強制撤去で軍事行動に当る」、二点目は、「軍には指揮・命令権があり、雇用類似の関係があったと考えられる」から援護法の適用は可能だ、こういう見解を九弁連は出しているわけですね。これについてどうお考えなのか。戦争マラリア補償の問題はどうするのかということをぜひ、これは開発庁なのか厚生省援護局なのかはわかりませんが、お答えください。それが一つ。  時間がありませんから、もう一つ。  公共事業のあり方で資料要求したら出してくれない。今問題のゼネコン、沖縄にも相当大手の建設業が進出しているのは御承知のとおり。そこで、沖縄政府関係の公共事業、防衛庁を含めて、今度金丸前自民党副総裁のあのいわゆるやみ献金問題と絡んで検察庁から事情聴取を受けたと言われる十九社ないし二十社のうち沖縄県で公共事業に携わっているのはどういう事業なのか、その事業が請け負っているこれまでの過去三年ないし五年以内の公共事業のリストというものを金額を含めて提出をしてもらいたい。これは二点目は要望です。  マラリア補償とこの二点についてお答えいただきたい。
  60. 関根義雄

    ○関根説明員 マラリアの援護法の適用について御説明いたします。  委員既に御存じのとおり、厚生省が所管しております援護法というのは、軍人とかあるいは軍属等国と雇用関係のあった者が戦争公務に従事している最中に傷病あるいはお亡くなりになるということに対しまして年金を支給するということでございます。マラリアの場合にはそういった実態にございませんので、申しわけございませんが援護法の対象とはならないということでございます。
  61. 上原康助

    ○上原委員 開発庁、どう検討しているの。
  62. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 資料要求の件についてお答えさしていただきたいと思いますが、先ほど先生から公共事業関係、沖縄の公共事業関係費につきまして発注企業の上位社についてその社名等々資料を出せという要求がございましたけれども、我が沖縄開発庁といたしましては、そういう状況を把握しておりませんので、ひとつ御了承いただきたい、このように考えております。
  63. 上原康助

    ○上原委員 時間が来たからもう僕は終わりますけれども、それはそれでは納得できませんよ、あなた。ほかの方は出してあるのよ、なぜ出せないの、沖縄は。これは非常に重要な問題なんだ。きょうはその時間がないからこれはまとめてどこかで聞きますけれども、あれだけ公共事業をやっておって、沖縄は公共事業が多い県なんだよ。それを、ゼネコンの対象になっている事業主がどういう事業を請け負ってその金額はどれだけなのか、それが出せないといういわれはないんだよ。出しなさいよ、それは開発庁も。これは後で出しますね、検討して。
  64. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 再度のお話でございますけれども、先生よく御承知のように、沖縄開発庁に計上されております公共事業関係の予算につきましては、それぞれの事業官庁に予算がつけかえられまして、事業官庁の責任において執行されておる、こういう状況、そういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、我が方としては、そのような状況を把握しておらないという事情についてぜひとも御理解をいただきたいというふうにお答えさせていただきます。
  65. 上原康助

    ○上原委員 それでは納得しませんね。これは建設省とも関係しますから次回で取り上げますが、そうはいきませんよ。その点は強く指摘をしておきます。
  66. 上田卓三

    上田委員長 玉城栄一君。
  67. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、三十分でありますので三点にわたってお伺いいたしますが、一点は、ただいまも御質疑のありました厚生年金の格差是正の問題、二点目は、「国際的交流・物流拠点形成」という、これは総合事務局の調査報告でありますけれども、それから三点目は、那覇空港のターミナルの問題、これは沖縄が南の拠点の窓口という立場からどういう認識を、これは運輸省になりますか、認識の問題をお伺いをしたい、こう思うわけであります。  第一点目の、当面沖縄の重要な問題の一つでありますところのただいまの厚生年金の格差の問題についてお伺いをいたしますが、これは長年問題になってきて、とにかく去年、山下厚生大臣、これはもう解決間違いないのじゃないかというような感じを我々は持っていたわけですが、これをまたずるずると。先ほどのお話にもありました三月二十九日、第四回目の検討会の話もありましたけれども、そのときに県の試案、いわゆる皆さんの言う素材ですね。県の試案というものが大幅に従来の考え方よりも後退しているという考えを非常に持つわけです。遡及適用の問題であるとか対象者の絞り込みの問題とか、そういういわゆる従来から基本的に沖縄側が要望していた点が、沖縄県の今回の案を見ますと非常に後退しているというような感じがするわけですね。その点やはり沖縄 開発庁として、検討会に参加していらっしゃるわけですから、どういう立場でこの問題を考えていらっしゃるのか、その辺のお伺いをまずいたします。
  68. 中村秀一

    中村説明員 開発庁に対しましての御質問でございますが、年金問題でございますので、まず厚生省の方から御指摘の点につきまして少しお答えをさせていただきたいと思います。  三月二十九日に沖縄県から新たな提案として出されました「沖縄の厚生年金格差是正について」の試案につきまして、いろいろ従来の沖縄の御要望から比べて変わった点あるいは縮小した点があるのではないかという先生の御指摘でございます。  この試案自体、沖縄県から新たに御提出がありましたものでございますので、基本的にはこれから、先ほども申し上げましたとおり、検討会での検討の素材として議論をさせていただきますので、例えば先生から御指摘がありました対象者の点などにつきましても、私どもの方でも県の方の対象者の範囲の考え方などについてお伺いはしたいと思っております。ただ、従来の経緯がございましたので、遡及適用というようなこととの比較の問題で先生から御指摘がございましたので、その経緯の問題についてお答えをさせていただきます。  これまで、昨年来御要望あるいはその前から御要望いただきました沖縄県の沖縄の厚生年金の御要望につきましては、基本的には本土の厚生年金法が全面改正されました昭和二十九年五月、それから沖縄の厚生年金法ができます昭和四十五年一月前の期間、この期間約十六年について空白がある、この十六年間につきまして遡及適用方式と申し上げておりますが、十六年間過去の記録を全部復元し、そういった雇用されていた期間、厚生年金の対象だったという期間を復元して適用することができないかという考え方がもとになって沖縄県から御要望がございました。この点につきまして、昨年七月に第一回を開かせていただきました政府の検討会、基本的には沖縄県からの御要望中心に検討しなければならないということで、八月、十月と三回沖縄県の御要望を検討してこれまでの議論の整理をさせていただいたわけでございます。  昭和四十七年に沖縄本土復帰されたときも、厚生年金の特例措置を検討いたしましたが、その際も遡及方式は非常に難しいということから、現在まだ十分ではないと言われておりますけれども、本土の中高齢の特別措置を変形いたしました復帰方式、現在とられております沖縄の特例措置を導入したという過去の経緯、それから復帰されてからまた二十年たちました今の時点で遡及適用方式をとります場合に、制度上の問題、証明でございますとかそういった実務上の問題、それから費用負担の側面、いずれの面でも遡及適用方式はどう考えても厚生年金制度には乗らないということで、ここで一度議論を整理した上でその新たな御提案を県にお願いしていた、こういう経緯がございまして、今回どういう考え方で沖縄県の御提案が出てきたか、詳細については私どもとしてもお伺いいたしますけれども、そういった遡及方式がどうしても無理だというところから出発されて新たな提案が出てきたものというふうに考えておりますので、私どもそういう新たな提案をお願いしたという立場もございますので、そういう新たな提案が出てきたということで、沖縄県の新たな提案についてこれから検討させていただく、こういうスタンスで臨んでいるところでございます。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろな経過があることもよく承知をしておりますが、私が沖縄開発庁にこの件を先ほどお伺いしましたのは、こういう沖縄県が非常に後退した、大幅に後退した試案を出してきた、そのことについて沖縄開発庁はどのように考えるかということをお伺いしたいわけです。厚生省の立場はわかるというか、沖縄開発庁はどうなのかということをお伺いしたいわけです。
  70. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  沖縄の厚生年金問題に関する検討会におきまして、昨年来いろいろ検討を続けております。先生指摘のように、昨年秋ですか、一応の議論の整理として遡及方法による適用は無理であるということの結論といいますか、整理がなされたわけでございます。その後、事務的に打ち合わせする中でいろいろな別な案が県の方から提案されております。これが第四回検討会での出来事でございます。  先生指摘のように、遡及適用の場合と今回第四回で出されました実との間には、いわゆる厚生年金制度といいますか、その中に乗っかっての話ではないという格好になるわけです。つまり、現在格差があります、その格差をどうやって埋めるか、こういう方法論になってきたわけでございます。したがって、私ども当初の遡及適用につきまして、検討会においても非常に難しい議論が出てまいりました。また、沖縄県においても、この案について持ち帰りまして、沖縄にあります関係者あるいは関係団体、そことの協議の中で御理解いただいたというような経緯を承知しております。  いずれにしても、目下の問題は、この厚生年金について格差を持っておられる方々、この方々についてどうやって格差を是正するかということが大きな問題でございまして、それについて新しい案について、いわばその案が検討会の土俵に乗っかったというような認識でございますので、その土俵のもとで沖縄開発庁としてもこの新しい案を対象に検討会の場においていろいろ検討してまいりたい、かように考えているところでございます。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄開発庁が厚生省と同じような立場で、そういう理屈で、検討会というのは厚生省と沖縄開発庁とそれから内閣内政審議室ですか、この三者でしょう。これに沖縄県が参加するわけですね。沖縄県はどういう立場で参加するのか、これは正式メンバーというのは三つですか、沖縄県も正式のメンバーなんですか、その辺をまずお伺いいたします。
  72. 永山喜緑

    永山政府委員 昨年できましたいわゆる設置要綱と申しましょうか、これによりますと、検討会のメンバーは三省庁でございます。これに沖縄県を加えて意見を聴取することができる、こうなっ、でございます。  開発庁の立場といたしましては、沖縄開発庁の所管地域沖縄県でございますので、沖縄の問題を積極的に取り入れて県とも密接な連携のもとにこの検討会に臨んでいるという姿勢でございます。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、厚生年金の格差の問題は、さっきおっしゃいましたように、非常な格差があること自体に問題があるということですから、そのことについて従来から沖縄県側はどうしても遡及適用というものをやってもらいたいというものがあったわけです。それを今回のあれでは、いやそれはやめたというようなことになってきたとおっしゃいますので、それについて沖縄開発庁としてはどのように考えるのか、厚生省と同じような考え方をしていらっしゃるのかどうか、その辺をお伺いいたします。
  74. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えします。  厚生年金問題の格差是正というその手法につきましては、御案内のとおり大変難しい問題でございます。当初案によりますと、現在の厚生年金法にフィットさせる、そういう案でございまして、それが制度上非常に難しいというようなことでございます。  沖縄開発庁といたしましては、結果として現に格差のある方々、この格差が解消すれば方法はいいという認識でございます。したがいまして、第二案が出てきたものにつきまして、これがその格差を是正する方法として有効であればこれについて前向きに検討していきたい、かように考えておるところでございます。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 検討会は四回持たれた。これから五回、六回、七回。今の調子だと十回、何回になるかわかりませんよ、とにかく今までの経過からしまして。そうしますと、ずるずると沖縄県側は後退していくという可能性もあるのじゃないかとい う感じもするわけですね。  そこで、沖縄開発庁がこの検討会に参加しているわけですから、今おっしゃったように沖縄県側の立場に立って、県民の立場に立って、そういう原則論を振り回すのではなくして、これはしていかないと、この問題は地元の納得のいくような解決というものはあり得ないのじゃないかと思うのですね。その点大臣、いかがでしょうか。
  76. 北修二

    北国務大臣 三省庁で十分検討はしてまいりますが、沖縄県の意見も十分参酌しながら何らかの解決をして、できるだけ早く解決をしたい。単なる協議だけして延ばしていく、こういう考え方ではなく、できるだけ結論を早めたい、こういう気持ちで全力を挙げて努力をしたい、かように考えておるところでございます。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 厚生省等も国の機関ですから、沖縄県というのは地方自治体の機関ですね。そこの連絡とかなんとかということをしながら結局は圧力として受けとめている感じがするわけですね、沖縄県の方は。ですから、そういうことになりますと、やはりもともとの沖縄県側の言い分というものはだんだん縮まっていく、そういうことになる可能性が非常に大きいのではないかということから、今のうちにこの点はきちっと歯どめをかけておかないと厚生年金の格差是正というのはとても無理だなという感じがするわけですね。  そこで、沖縄開発庁長官、その点よく踏まえていただきまして、ぜひ沖縄県の、いわゆるこの問題が起きた原因というものは行政分離によって生じた問題である。だから、そういう本土との格差、いわゆる厚生年金の格差是正のために沖縄県が頑張るという姿勢でぜひやっていただきたい、こう思うわけです。  それから、二点目の国際的交流・物流拠点の形成で、その調査の目的、これは沖縄開発庁の総合事務局が調査報告をしておりますので、その調査の目的とか調査の概要、それからその結論、またそれをどのように今後の施策に反映をされるのか。いわゆる国際的、人的交流、物流中継拠点を形成する場合の課題及び振興方策を検討し、今後の沖縄の国際化と産業振興に資することを目的にということは書いてありますから、その調査の目的、概要あるいは結論、それをどのようにして今後反映させるのか、お伺いいたします。
  78. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、昨年の九月に沖縄総合事務局が「国際的交流・物流拠点形成調査報告書」として発表したものでございます。この調査は、沖縄の近隣諸国との物流環境や沖縄の国際交流が抱える課題等を踏まえまして、我が国の南における国際交流・物流拠点形成を図るための振興方策のあり方について調査結果を取りまとめたものでございます。  また、この調査は、第三次沖縄振興開発計画を策定するに当たって、沖縄振興開発の現状、諸施策の効果と今後の課題を明らかにし、その上に立って今後の沖縄振興開発のあり方について検討するために、平成元年度より三年度まで実施した沖縄振興開発総合調査一つとして平成三年度に行われたものでございます。第三次振計は、この沖縄振興開発総合調査等各種調査結果等も参考としながら、沖縄振興開発審議会の審議を経て、昨年九月御案内のとおり政府により決定されたところでございます。  この三次振計におきましては、振興開発基本方向一つとして、沖縄地域特性を積極的に活用し、近隣アジア・太平洋諸国等との我が国の南における国際交流・物流拠点の形成を図り、経済文化・学術等の国際交流を積極的に推進することが盛り込まれております。沖縄開発庁といたしましては、第三次振計を踏まえ、各種インフラ整備推進する等、国際交流拠点の形成に向けて必要な諸施策を講じていく、こういうことでございます。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど「琉球の風」の話がありましたけれども、こういうことも沖縄の位置というものが非常に重要だと思うのですね。二十一世紀に向けて国際的な貢献を積極的に我が国がやっていくという立場から、やはり今の調査報告というものは非常に重要視すべきではないか、私はそう見ているわけです。ですから、開発庁としても積極的にぜひやっていただきたいと御要望を申し上げておきます。  それから、三点目は那覇空港のターミナルの件なのですが、これは四全総とか沖縄の三次振計にも定義づけられているわけですが、いわゆる南の拠点としての認識をこの問題で運輸省はどのように持っているのか。そのターミナルスケジュール、そういうものを含めてお答えいただきたいわけです。
  80. 坂井利充

    ○坂井説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘の点でございますが、沖縄の地理的特性という観点から私ども空港、特に那覇空港でございますが、県内の各離島それから県外また国外等を結ぶ航空ネットワークを構成する重要な施設という認識をしてございます。そういう観点から、現在所要の整備を、今までも進めてきているところでございますが、現在進めております六次五カ年計画の中では、今先生指摘ありましたように那覇空港のターミナル地域本土線と島内線が分散して今立地しているという状況にはございます。このため、現在の国際線旅客ターミナルエリアの南側に本土線、島内線をあわせた新しい統合した国内線ターミナルエリアを整備しようということで、この一月に航空法の手続も無事終わりまして、これから本格的に整備にかかるというふうに考えてございます。全体の工程としてはこれから詰めていくことになろうかと思いますが、既存の施設の移転等も含めて整備を行っていく関係上、今の予定では大体平成九年ごろには新しいターミナルが供用に図れるのではないかというように考えているところでございます。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 ごらんになって御存じのとおり、那覇空港は今自衛隊と共用ですから、自衛隊の使用の分野が非常に広いわけですね。民間側というのは現在は隅っこの方にいるという状況なのです。だから、これで南の拠点として、窓口として機能しているかどうかというのは全く言えないわけです。自衛隊がそのまま使っているというような感じがするわけです。その辺を根本的に改めなくてはいかない問題があるわけです。  それともう一つは、台風常襲地帯ですから、そのころになりますとたくさんの観光客の方々が、子供なんか大変です。もうそれこそ現在の既存のターミナルに避難というか寝るというか、そういう状況で、これはまさに人道問題だと思うのです。そういうさまざまな問題が現在はあるわけです。それで、本格的なターミナルをつくろうということですから非常に期待もしているわけです。まず一つは、台風時のそういう場所の確保といいますか、それをどのように今後のスケジュールの中で考えていらっしゃるのか、まずその点からお伺いいたします。
  82. 坂井利充

    ○坂井説明員 今先生から御指摘がありました新しいターミナルビルのことでございますが、これは先生案内のように、ターミナルビルは民間の事業主体整備していくことになります。具体的に申しますと、新しい那覇ターミナルビル会社が整備することになるわけでございますが、今の計画によりますと、今年度からいよいよ設計に入るというスケジュールになってございまして、私どもの方にも当該ターミナルビル会社より計画基本的考え方事業内容等についてお話がいずれあると考えております。  その際に、今先生指摘がありましたように台風常襲地帯であります沖縄特性を考慮した計画内容となるよう、ビル会社とも十分相談していきたいと考えているところでございます。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 関西新空港の代替空港の指定を検討しているということが新聞に報道されていたわけですが、その点はどうなっていますか。
  84. 磯田壯一郎

    ○磯田説明員 お答えを申し上げます。  関西国際空港、来年の夏ごろの開港でございまして、開港に向けていろいろな準備を今進めているわけでございますが、その一環として、当然のことでございますが、我が国で初めて二十四時間 実際に離着陸が行われる。それの場合に、離着陸ができなかったときに対応する空港、いわゆる代替空港と呼んでおりますが、これをどこにするかということは非常に重要な問題でございます。その観点から、日本全国のいろいろな空港につきまして、その施設面、対応いたしますいろいろなサービス、支援体制といった問題、それからさらには、当然のことでございますがエアラインの方の希望、こういったことを含めて現在総合的に検討させていただいておりまして、開港のスケジュールとの関係でできれば年内にも結論を出させていただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 もう一点、現空港のターミナルの跡利用の問題、跡の有効利用といいますか、これをどのように考えていらっしゃるのか、その点お伺いいたします。
  86. 坂井利充

    ○坂井説明員 お答えを申し上げます。  先ほど御説明しましたように、将来新ターミナルエリアが供用になりますと、現在本土線としているターミナルエリアにおきましては旅客の取り扱いはなくなるということでございます。その時点でエプロンとか航空機の駐機しているところ、それから現在使われている駐車場、これらにつきましては那覇空港の機能確保の面から空港の機能施設として引き続き使用していきたいと考えているところでございます。
  87. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、最後にちょっとお伺いしますけれども、今の那覇空港の問題なんですが、沖合展開という問題もありますし、民間専用の飛行場にすべきだという問題もありますし、すぐ隣にある自由貿易地域の連結の、アクセスの問題ですね、二十一世紀に向けて政府としてどうしても解決してもらわなければならないさまざまな問題があるわけですが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  88. 北修二

    北国務大臣 これは沖縄のこれからの二十一世紀に向かって重要な課題であるわけでございます。飛行場の諸般の問題、今お話がございました。あるいは離島がたくさんございますから、離島との関係の促進の問題、あるいは自由貿易地域、これは沖縄を拠点として沖縄産業振興に大きな期待をいたしておるわけでございますので、その点については今後とも、今自由貿易地域施設に鋭意努力をいたしておるところでございます。御期待に沿うように、また御指導いただきながら努力をしてまいりたい、かように存じます。
  89. 上田卓三

    上田委員長 古堅実吉君。
  90. 古堅実吉

    ○古堅委員 長官への最初の質問ですから、基本問題について最初に伺わせていただきます。三次振計の推進の立場から、沖縄農業基幹作物であるサトウキビ振興策についてが最初です。  沖縄における戦後のサトウキビ生産量は一九六四年が最高で二百四十三万トンでした。二次振計では一九九一年までに単収で八・八トン、全県の生産量を二百三十万トンまで引き上げることになっていました。しかし、九一年産が台風や干ばつの被害も加わって復帰後最低水準の生産量となり、百十六万五千トンにとどまったのであります。九二年産サトウキビの収穫は三月に終わりました。当初九一年産よりはるか増収が見込まれるのではないか、このように言われておりましたが、逆に五、六万トン減収の百十万トン程度だろう、このように言われています。文字どおり復帰後の最低最悪ということにならざるを得ません。まさにサトウキビの危機に直面していると言っても過言ではないと思います。事は沖縄農業基幹作物、三次振計の重要な中身の問われる問題であります。担当の開発庁としてこの問題をどう受けとめておられるか、長官からお伺いしたいと思います。
  91. 北修二

    北国務大臣 サトウキビ沖縄農業基幹作物であり、今後とも生産性向上及び品質の改善を基本といたしまして生産振興に努めていくことが重要であると考えております。このため沖縄開発庁といたしましては、生産性向上品質改善のための基礎的条件あるいは施設や圃場の整備等農業生産基盤整備を総合的に推進しているところでございます。また、農林水産省においては優良品種の育成、普及、機械化作業体系の確立、普及等の必要な生産対策を講じているところでございます。今後とも農林水産省と緊密な連絡をとりながら沖縄におけるサトウキビ生産振興にできるだけ努力をしてまいりたい、基本的にはかように考えております。  ただいまお話のございました、だんだん生産が減ってきておる、沖縄は干ばつあるいは台風その他気候条件によって生産に相当変化があるわけでございます。御承知のように、このごろ若い者が相当少なくなりまして手が足りない、そういう諸般の情勢もあって生産が減ってきておるのではないか。沖縄といたしましては、県の皆さんがこれからの振興計画生産目標を、二百二十五万トン前後かと思いましたが、そういう生産目標を立てておるようでございます。  ただいま申し上げましたように、これからは相当機械化いたしまして労力の省力化をすると同時に、御案内のようにサトウキビ品質といいますか、糖分取引等を行ってさらに所得をふやしていきたいものだ、かように考えておるところでございます。
  92. 古堅実吉

    ○古堅委員 今お答えにもありました品質取引の問題ですが、政府は一九八九年十月に、九四年産から品質取引を実施する、そのように決定して、沖縄サトウキビ品質取引推進協議会も設置し対策を進めてこられました。しかし、現地のサトウキビ農家は、品質取引で農家の経営が一層窮地に追い込まれるのではないか、重大な不安を抱いています。キビ作農家は、この実施に伴って、今長官がおっしゃったように、農家の利益のためになるなどというふうなことになればこれは喜んで受け入れようということになると思うのですが、逆に受けとめて重大な不安を抱いている。その問題について農家はどうなっていくのか、進めてきた準備とあわせてそこらの御説明をいただきたい。
  93. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 お答えいたします。  サトウキビ品質取引への移行につきましては、糖価安定制度のより健全な運営に資する、このような観点から、平成元年度産サトウキビ及び甘蔗糖の価格決定に際しまして、平成六年度から導入されることに決定されたところでございます。現在、その円滑な導入に向けまして、農林水産省また関係団体が一体となってその準備が進められていると承っておるところでございます。  このサトウキビにつきましては、先ほど大臣の御答弁がございましたように、沖縄における基幹作物でございまして、品質取引の円滑な導入は沖縄農業振興にとりまして極めて重要なものである、このように考えておるわけでございます。この品質取引の推進指導等につきましては農林水産省の所管でございますけれども、生産者のサトウキビ品質向上に対する努力成果というものが報われるよう新しい取引制度が定められるものと期待しているところでございます。沖縄開発庁といたしましても、引き続き大きな関心を持って見守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 品質取引の時期が迫るにつれてキビ作農家からは、糖度の基準がどこに置かれるのだろうか、サンプリングはどうなるのだろうかなどなどいろいろな疑惑が出てまいっています。農家経営に重大な影響が考えられるこの問題について、品質取引実施の条件整備も十分なされないままに、実施だけが先にありきということになっては農民の立場も大変だというふうに考えますし、救われません。そういうことは絶対あってはならぬと思うのですけれども、政府はどうお考えですか。
  95. 野崎修

    ○野崎説明員 サトウキビ品質取引の問題でございますが、先ほど先生指摘のとおり、平成元年より国、県それから生産者、糖業者をメンバーといたしますサトウキビ品質取引推進連絡協議会というような機関を設置いたしまして、いろいろな面について検討してきたところでございます。同協議会におきましては、平成三年にはサトウキビ品質基準項目について甘蔗糖度を基本とすると いうようなことを決めておりますし、それから、昨年には品質測定にかかわる主な測定機器及び導入時期について話し合って決定してきたところでございます。  こうした検討とあわせまして、平成四年産におきましては、サトウキビ生産地域全体を対象といたしまして品質分布調査生産者、糖業者等関係者が一体となった体制のもとで実施いたしておるところでございます。具体的な価格体系等につきましては、五年産の調査結果も踏まえた上で適正に決定してまいりたいというふうに考えております。平成五年産におきましては、さらに模擬取引を実施するなど生産者の皆様方に不安を与えないような体制を仕組みながら、平成六年産からの品質取引への円滑な移行に向け万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  96. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄にある者からとりますと、サトウキビ、このまま推移すればつぶされるのではないか、本当にそういうふうな危機意識がありますよ。それで、長官にもう一度基本的な点でお尋ねしたいと思います。  サトウキビ農家の手取り価格はこの十年余、毎年据え置きか引き下げ、そういう措置がとられてまいりました。逆に、生産に要する諸経費は年々上昇して、キビ作農家は大変な赤字生産を余儀なくされ、それが生産意欲を失わせる最大の要因になっておるのです。  復帰後の最高の生産量は一九八九年産で百七十八万トンでした。そのときの一トン当たりの生産費は、政府の発表によりますと二万四千五百九十四円で、一トン当たりの農家手取り価格は二万四百九十円となり、四千百四円の赤字であったのであります。最高にできがよかったときにそうなんです。全県では七十三億の赤字でした。復帰後の最低水準だった九〇年産では百五十三億円、九一年産では百三十五億円の赤字を示しました。これが沖縄サトウキビ農家の実態です。  だからといって、沖縄農業基幹作物であるサトウキビを放棄することは許されません。できるものでもない、そういう現状下に置かれています。サトウキビの現在の最悪の事態というのは、沖縄振興開発、三次振計を預かる長官の立場からも、あれこれの施策があるなどという立場だからではなしに、本当に根本的にメスを入れて、これでいけるのか、どうしなくてはいかぬのかということで考えなくてはいかぬ、この問題を抱え込んでおるのではないか、そのように考えます。長官の御所見を承りたい。
  97. 北修二

    北国務大臣 私は北海道出身でございます。特に北海道には砂糖、てん菜があるわけでございます。私は長い間団体におりまして、どうしたらてん菜の所得を多くすることができるか、随分努力をしてまいりました。そこで、てん菜の糖分取引をしました。これに対しては今お話のあるような不安が随分ございまして、四、五年かかって実は糖分取引に切りかえたわけでございます。ところが、結果としては、糖分が一三ないし一四であった。今は糖分取引をするようになってから一七を上回る糖分が含有しておりまして、農家の所得は大幅に上がったわけでございます。サトウキビ糖分取引による、それらによる所得が相当ふえるであろう、またふやさなければならぬ、こう私は決意をいたしておるわけでございます。  御案内のように、サトウキビ農家の所得はだんだん減って赤字になっておるではないか、こういうお話でございますが、パリティー方式という方法をとって今日まで来ておりますので、私といたしましては今後とも農家の所得は補償を続けていきたい、かように思っておるわけでございます。サトウキビの値段につきましては、御案内のことかと思いますがサトウキビの補助率は五〇%を上回る補助率でございますので、これは今後とも続けていかなければならぬ、かように思っておるところでございます。  万全を期していく、農家を守っていきたい、かように思っております。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 今ありましたように、北海道のてん菜糖、それはいろいろと対策をとってそれなりの手は打ってこられたのだろうというふうに思いますが、北海道にあってはてん菜にかかわる国立の試験場とのかかわりというものがございます。沖縄サトウキビ農業についても、先ほどこの施策についていろいろおっしゃっていましたようなそういう全体としての総合的な立場から強化しなくちゃいかぬことは申すまでもございませんが、研究機関そのものを沖縄農業試験場中心に任せておくとかというふうなことではなしに、北海道のてん菜にかかわる施策とも関連させて検討して、思い切ってそれにメスを入れて、国ががんで、最終的にどのような形で強化を図るかはそれはここでは申せるものではありませんが、国がサトウキビ品質改良あるいは機械化のための研究開発とか思い切った施策に積極的に介入していく、こういうことが対策の一つとして非常に重視されているもののように思います。この研究機関の思い切った見直しと対策の強化について、農林水産省ともいろいろと御相談の上で考えて検討してみられてはどうかというふうに思いますが、いかがですか。
  99. 佐藤晉

    佐藤説明員 サトウキビに関する試験研究に関してお答えを申し上げます。  農林水産省におきましては、九州農業試験場と熱帯農業研究センターの沖縄支所などにおきましてサトウキビ品種改良などの研究を推進しているわけでございます。また、沖縄県に国の指定試験地を設置いたしまして、サトウキビ品種改良ですとか病害虫の防除のための研究開発を実施しているところでございます。こういったことの結果、品種改良につきましては最近では優秀、優良な系統のサトウキビの品種などが開発されまして、普及に移されているといった状況でございます。また、食品総合研究所という農林省の機関がございますが、そこにおきましては、平成三年度から平成五年度までの計画で新しい技術を用いて品質を素早く評価するといった研究開発も実施しているわけでございます。  今後とも、沖縄県とも連携を密にいたしまして、農林省としても総力を挙げてサトウキビの研究には取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  100. 北修二

    北国務大臣 今品種改良についてはお話がございました。あと機械化の問題と今後のサトウキビ栽培については農林省の、あるいは国としても新政策の目玉として最善を尽くしていこう、かように考えておりますので、御理解のほどをお願い申し上げたい、かように存じます。
  101. 古堅実吉

    ○古堅委員 質問をしたのは、農業試験場に任せておくようなそういうふうな体制ではなしに、それも抜本的に見直しして、北海道でやっているような、国の研究機関が直接サトウキビなどもタッチできるような、いろいろな組み合わせがあるかと思うのですが、結論的にそういう方向に検討が求められているものがあるんじゃないかというふうに思うんですよ。  時間もないから、何々をやっていますみたいなそんなことを聞いておるのじゃないんですよ。長官からお聞かせください。
  102. 北修二

    北国務大臣 試験場につきましては御案内のようにずっとやっておりますが、ここ四、五年前に、画期的なサトウキビ品種改良全力を挙げようということで要員の強化をしながらやることに決定し、今鋭意努力をしておるところでございます。私も農水の方を専門におったものですから、さあそれをやろうということで農林水産省のしりをたたきながら実は今日に至っておるわけでございます。なお一層努力させたい、かように存じております。
  103. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が迫っていますので大急ぎでお尋ねしたいのですが、沖縄の本部町でP3Cの送信所の建設が強行されようとしています。  地元の人々の長年にわたる反対を押し切ってああいう形で建築確認申請書を提出した、そして強行の構えを示している。なぜそのように急がなくちゃいけない、そういうふうな理由があったのか、そこを簡単に御説明ください。
  104. 竹永三英

    竹永説明員 お答えいたします。  本部町のASWOC送信所整備につきましては、一部の人々が建設に反対していることは承知しておりますが、平成三年に町当局及び町議会の了解を得まして、また用地の九四%はその地権者から賃貸借あるいは買収により取得しております。また里道の用途廃止につきましては、県との間でいまだその解決を見てないわけでありますが、今回の計画通知は里道の用途廃止を必要としないアンテナ三面を前提としております。このようなことから、先般三月九日でございますが、局舎等の建物及び通信鉄塔三基の計画通知を本部町を経由して県に提出したところであります。  これに対しまして、鉄塔三基につきましては三月二十二日、県から適合する旨の通知を受けました。残りの局舎等建設につきましては、いまだ適合通知を受けておりませんが、これらも既に国が使用権を確保している土地の範囲内での建設に係るものであることから、県の御理解も得られるものではないかと考えております。
  105. 古堅実吉

    ○古堅委員 今回の建築確認申請を提出した施設は、当初の送信所建設予定地の三%にも満たない小さなところです。今回の施設は当初計画を変更した上でのことなのか、それとも当初計画はそのまま今後も所要の手続はとっていくという考えなのか、明らかにしてください。
  106. 戸田量弘

    ○戸田説明員 お答えいたします。  御指摘の本部町に建設を計画しておりますASWOC送信所は、那覇基地に所在するASWOCと飛行中のP3Cとの間の通信を確保するため、おのおの特性の異なる複数のアンテナを使用いたしまして、ASWOCからP3Cに送信を行うための施設でございます。この複数の送信アンテナを含めまして、ASWOC送信所の建設場所については、所要の地積が確保できること等から本部町を選んでおるわけでございますが、私どもとしては当初計画どおりの計画を目指していきたいと思っておるところでございます。
  107. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間が参りまして予定しておった質問ができなくなってしまいましたが、冷戦後の今日、新たにP3Cの送信所を建設するなどと言って、基地強化のために住民の要求をあのように踏みにじって強行するなどということは言語道断の時代錯誤も甚だしい、そういう方向だと思うのです。断じてそういうことは許されてはならぬ、再検討して中止すべきであるということを厳しく要求して終わります。
  108. 上田卓三

    上田委員長 小平忠正君。
  109. 小平忠正

    ○小平委員 北大臣沖縄開発庁長官御就任おめでとうございます。少しく月日がたちましたが、先般の所信表明を受けてのきょうの質疑で御苦労さまでございます。大臣には、北海道開発長官も、まさしく日本の北と南、この両サイドの責任あるお立場での御活躍をまず心から期待を申し上げます。また、先ほど来からの質疑の中で大臣も、沖縄については昭和三十四年以来関係これありで御精通されているということで、その重責で、沖縄振興のために御尽力あらんことを心から御期待申し上げます。  そこで、与えられた時間、私からも何点か質問させていただきます。  まず、沖縄本土復帰してからもう二十年以上の月日がたちました。その間、一次、二次と振興開発計画によって沖縄社会資本道路や港湾、空港等、これらの整備が図られてまいりました。こういう計画の実施による目標達成状況及び沖縄経済社会の現状、これらについて基本的にどうお考えか。  また大臣も、過般の平成五年度の予算案の沖縄開発庁計上分がまとまったときのインタビューで、夢のある予算案が組めた、このような御発言もあったように承っております。そんな意味がどういうところにあるのかも含めまして、まず大臣基本的な御姿勢をお伺いしたいと思います。
  110. 北修二

    北国務大臣 お答えいたします。  北海道同士というお話で、うちの隣でございますのでよく知っておるわけでございます。  一次、二次の振興計画につきましては、だんだんとお話があったように大きな発展をした、私はかように理解をいたしておるわけでございます。復帰前の沖縄は数回行っておりますが、あの空港に入っておりていきますと、道路が狭うございまして、何か鉄板のようなもので、アメリカの基地の中から出ていくわけでございます。ひどいところだな、こういうように思いましたが、県民の皆さんの努力、また開発庁の一次、二次の開発計画が完成して、飛行場を初め道路、港湾、その他電気、また一つ沖縄で大きな課題といえば基地と水なんですね。昔は、屋根の水を全部かめにためて、水が非常に不足をした。今は日量三十万トン弱の水が整備できた。ダムも、今は全部手をかけ、これからの計画もありますが、十二ぐらいあるわけですが、八つぐらいできまして、水は非常に順調に推移できた。今後さらに日量五十万トンぐらい整備をしたい、こういうふうに考えておりまして、それらも完備をしてきた。沖縄は、基地につきましても、返還されたものは開発庁が速やかに都市計画をやるなり土地改良をやるなり、それらの整備も相当できた。道路も非常に立派になりましたし、今は高速道路も一部できておりまして、継続をいたしておるわけでございます。したがって、一次、二次の今日までの沖縄開発の結果については、大きな成果を上げてきた。  あるいは農業につきましても、圃場整備その他、スプリンクラーとかいろいろやりまして、農業用水につきましても四千万トン近くの確保ができるようになった。あるいは電気が、アメリカから分けていただいたわけですが、沖縄電力が発足をいたしまして、島々にも全部電気がいくように相なった。沖縄は、復帰以前と今日までは大きな差がある、随分成果を上げてきた、私はかように思っておるわけでございます。  いよいよ三次計画でございますから、一次、二次に上積みして立派な沖縄をつくっていきたい。夢のある云々とお話がございましたが、今回の予算編成で、特に補助率の問題については高率かさ上げをして恒久化することができた。いま一つは、予算につきましては、二千七百億ぐらいの要求をしておったわけですが、あれもこれもと要請をしておりましたところ、大蔵大臣との折衝でも随分御理解をいただきまして、二千八百七十二億と要求以上の予算をつけることができた。また、北大東飛行場とかその他いろいろございますが、これらも予算化することができた。そういう意味で、我々の要求した以上にその成果を上げることができた。この恒久的な補助率の問題その他予算の獲得等を見ると、夢のような予算獲得、思った以上の予算でございますから、沖縄はいよいよ大きな成果を上げ得るであろうと私は確信をいたしておるところでございます。御理解と御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。
  111. 小平忠正

    ○小平委員 大臣、お言葉どおり沖縄については御精通されている由で、その御認識をもとに沖縄振興がために頑張っていただきたいものでありますが、予算額も要求以上についた、そういうお話もございました。しかし、中身を私も見てみますと、先ほどもいろいろな質疑の中で、農業振興対策、これらについては逆に前年対比減である、こんなこともこれあります。したがって、不満な点もあるような気はいたしますけれども、いずれにしてもこれからに向けてのことだろうと思います。  そこで、次に、今お話ありましたように、今の振興計画目標、今後についての御答弁いただいたのですが、これを踏まえて昨年九月に第三次振計が策定されました。これは、引き続きいわゆる格差の是正、それから自立的発展基礎条件整備、また広く我が国経済社会云々、こういう三本柱を目指すこととしておるわけですね。一次振計でこの格差の是正、また今申し上げましたように、二次振計では、これに伴って自立的発展のための基礎条件整備、こううたってきたわけでありますが、しかし格差の是正においては私は一人当たり県民所得の面でなお本土と比べて見劣りがする、そんな感があります。しかし、他の部門においては過去二十年間で大幅な是正をされている、こんなふうに見受けられます。  そこで、私も資料をもとに見てみましたら、自立的発展基礎条件整備、こういうことは抽象的な表現ではないかと思います。どんな状況になるとこの自立的発展方向と言えるのか。そういうふうに考えますと、一つの目安として、資料に財政力指数という県別のものがございますね。これらを見ますと、沖縄県の場合は各県内市町村の財政力指数が全国平均の約八〇%ぐらいじゃないか、そんなふうに見受けられますし、また全国平均が〇・五〇五という指数がございますが、それからいうと沖縄県は〇・二五九、順位からいいまして大体四十番目くらい、こんなようなこと宣言われておりますが、こんなことを踏まえて開発庁として、これが対応策といいますか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  112. 永山喜緑

    永山政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、これまでの二次にわたります振興開発計画に基づきまして沖縄振興開発のための諸施策が講じられてまいりました。この結果、沖縄経済社会は総体として着実に発展してきております。しかしながら、当初期待されました企業の立地は予期したようには進展しませんでして、また民間資本、技術等の蓄積不足等から、沖縄経済構造は物的生産部門が依然として弱く、財政に大きく依存する体質から脱却できていないわけでございます。したがいまして、自立的発展基礎条件は十分に整備されたとは言いがたい状況にございます。このために、第三次沖縄振興開発計画におきましては、振興開発基本方向の第一の柱として自立化を目指した特色ある産業振興、これを立てまして、沖縄経済自立的発展活力ある地域社会実現を図ることとしております。  具体的には、沖縄の地理的、自然的特性等の優位性を生かし、農林水産業、製造業観光・リゾート産業等特色ある産業振興を図ることとしてございます。今後とも、この計画に基づきまして各般の施策事業推進する等により、計画基本理念の目標達成に向けて努力していきたい、かように考えております。
  113. 小平忠正

    ○小平委員 長官農業専門家でございますね。今も何点がお話しいただいたのですが、この三次振計におきましても、沖縄農業については、特色ある亜熱帯農業の確立を目指し、担い手の育成確保を図りつつ生産条件の改善に努め、野菜、花井あるいは果樹、さらには肉用年等の供給基地の形成を推進するとともに、基幹産業でありますサトウキビ生産性向上に努める、こうなっております。三次振計の最終年度であります平成十三年度において、一次産業県内生産の三%を占め、金額では千四百七十億円、こううたっております。ところが、マスコミに報道された過般の県の案としては二千九十五億円、こういう数値も出ておるようでありますが、これから見るとかなり控え目な数字であるように思います。これは、過去十年間における第一次産業の停滞もあってこのような控え目な目標設定になったんではないかと思いますが、私は、農業、特に沖縄におきましてはリゾート関連産業の一部があるのじゃないか。また、二次産業がなかなか進展しない現状を考えるときに、亜熱帯という地域特性を生かした農業の積極的な振興を図っていくべきであると思いますが、具体的にこれら振興策をお伺いしたいと思います。
  114. 北修二

    北国務大臣 沖縄産業振興を図る上で農業の果たす役割は極めて重要である、かように考えておるわけでございます。特に今、先ほどから御質問がございますように、これからサトウキビ生産性を高めていくという点については一層努力をしていきたい、かように思っておるわけでございます。これは、品種改良は言うに及ばず、非常に手間がかかるわけですね。葉を全部手ではねるわけですね。これに非常に手がかかる。したがって、若い人が少なくなって生産意欲が減退してきておる。これを機械化によって大幅に労働力を節約して、そしてサトウキビの増産を図っていきたい、かように思っておるわけでございます。  あわせて、パイナップルというのは非常な面積を持っていまして、そして振興してきたわけですが、自由化によって缶詰はもうほとんど壊滅、あるいはその他果汁等にも非常に厳しさがある。これを生の、より品質のいいものをつくって、その他については土地改良全力を挙げて、冬と春の野菜、これを沖縄でぜひ生産をして生産高を上げてもらいたい、かように考えておるわけでございます。  それから、もう一つ畜産ですね。沖縄畜産は環境、気候に非常に恵まれておりますから生産性が高い。そういう意味からも今後一層努力をして、沖縄の農産物というのはサトウキビ畜産野菜花卉、この花井が今非常に盛んに努力をしておられるわけでございます。いま一つは果汁。そういう品質改良をして沖縄生産向上を図っていこう、かように考えておるわけでございます。  二次産業は、お話のございましたように二〇%を下回るシェアでございますが、そのうち建設業が一三、四%あるわけでございます。ぜひ沖縄に合ったものをつくってこれから第二次産業振興を図ろう、あるいは自由貿易地域等の活性化をいたしまして、ひとつより一層努力をしょう。  第三次産業については、七〇%近くのシェアを占めておるわけでございます。観光につきましても、沖縄は非常に環境に恵まれておるし、ぜひリゾート等によって、ハワイじゃなく沖縄に、私はこういう気持ちでそういう整備を進めて沖縄の活性化を図っていこう、かように思っておるわけでございます。
  115. 小平忠正

    ○小平委員 私も、やはり沖縄という地域特性というか、観光という中においても農業がしっかりとそこに位置づけがされてあるということが大事な要素だと思いますので、これについても十二分なる対応をしていただきたいと思います。  そこで、少しく具体的なことなんですが、先ほどからサトウキビの問題点、また振興策についてのいろいろな質疑がございました。私は、実は先般目にしたのですが、サトウキビの搾りかすになりますバガスというのですが、バガスの繊維が紙の生産に役立つということを耳にいたしました。これについて、過般環境保護団体と製紙会社の協力でこれを進めていこう、そんな経緯もあり、また我が国は紙の原料を輸入に頼っている、こういうことも照らし合わせますと、この地球的な環境保全の上からも、また沖縄という台風常襲地の特殊性からいいましてもサトウキビはやはり欠かせない、こういう中で、副産物というか、これがまた技術的にも利用されるのでしたら結構なことで、これについては実際に今後具体的な実用化というか推進化というか、それは可能なのでしょうか。これらについて専門的にお詳しい点、もしいただけましたらお聞きしたいと思います。
  116. 佐藤晉

    佐藤説明員 バガスでございますが、収穫されたサトウキビの約四分の一を占めるわけでございまして、現在ではそのほとんどが燃料に燃やされているということでございまして、バガスの有効利用というのは重要な課題であるというふうに考えております。現在家畜のえさとして利用されておりますほかに、一部キノコの培地、土のかわりの培地でございます、それから堆肥として利用が進んでおりますが、もっと付加価値を高める必要があるんじゃないかというふうに考えておりまして、農林水産省の食品総合研究所におきましては、バガスからキシルロースという、虫歯になりにくい糖でございますが、そういったものを製造するといった新しい技術開発にも取り組んでいるところでございます。今後とも農林省の研究所、試験場総力を挙げましてバガスの技術開発、新しい多用途な利用といいますか、こういうことにも取り組んでいきたいと思っております。
  117. 小平忠正

    ○小平委員 時間も来ましたので、最後に、私は何でもそうだと思うのですけれども、特に若い人、青年の育成というか、そういうことがその地域の将来を考えた場合に大事ではないかと思います。沖縄県につきましても、復帰前は海外派遣というような形で本土派遣といいますか、そういう制度もあり、若く優秀な人材が本土に勉学に来た。しかし、今の状況の中で、予算の項目等も拝 見じましても、一部そういう教育的な振興費もございますけれども、特にこれからに向かって、沖縄振興費で過去二十年間を振り返ってみましても、総額三兆六千億円ほどが投入されてきました、そのほんの一%でもいいと思うのですが、こういうものを人的養成のために投じて、それが沖縄の将来のためになるという、そんなことについてのお考えはいかがなものでしょうか。
  118. 北修二

    北国務大臣 産業振興では人材養成というのは非常に重要な課題であるわけでございます。人材養成について鋭意努力をしたい。沖縄開発庁は、北海道と違いまして教育の施設開発庁なんです。そういう、いろいろありますから、いろいろこれから若い人を育てるために組織化して、そして育成していく必要があるのではないだろうか、かように思います。一生懸命努力をいたしたいと思います。
  119. 小平忠正

    ○小平委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  120. 上田卓三

    上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会