○宮里委員 久々に
沖縄開発庁長官、政策全般に精通された北
長官が就任をされました。私ども非常に力強く思っているところでございます。これまでも工業問題を初めいろいろと御指導を賜ってまいりましたが、ひとつこれまでの経験を生かされて、
沖縄振興開発計画に
全力を尽くしていただきたい、こう思います。
時間がございませんので、私は厚生年金の
格差是正の問題と、あと若干、時間がありましたら御
質問をいたしたいと思います。
沖縄の厚生年金の
格差是正の問題は、宮澤総理の指示によって昨年の五月に
政府部内に検討会が設けられ、これに
沖縄県が加わってこれまで数回にわたって検討会が持たれたはずであります。最近は
沖縄県から新たな提案がなされ、これからこれをもとにして検討が進められると聞いておりますが、まだ直ちに結論が出せるような状況にはないように思います。そこで、私はこの際、厚生省並びに
沖縄開発庁に対しまして、国は一体どのようなスタンスでこの問題と取り組んでいこうとしておられるのか、率直にお伺いをしたいと思います。
本土と
沖縄の間には厚生年金の支給額について著しい
格差があることは御
承知のとおりであります。今
沖縄で支給されている厚生年金の額は
本土平均の約六四、五%であります。当然のことながら、
沖縄の年金受給者たちはこのことに大変な不満を持っているわけであります。そのために、今
県民はこの問題に強い関心を持って
政府の検討会の成り行きを見守っております。
県民の不満は、何も年金額が少ないからではありません。年金の額が
本土と余りにも差があり過ぎる、ここにあるわけであります。
自分たちは
沖縄戦からそれに続く異民族支配のもとで二十七年間も苦労してきたのに、なぜ
復帰後の年金額でもそのような差別を受けなければならないのか、こういうのが
沖縄の
人たちの素朴な疑問であります。
もとより、
本土と
沖縄との間で厚生年金の支給額にそのような
格差が生じたのは、
沖縄の厚生年金制度が
本土より十六年もおくれてスタートしたからであります。そのことは
沖縄の
人たちもよく
承知をしております。また厚生年金制度はもともと本人と雇用主の双方が一定期間所定の掛金を支払って基金を造成し、それに世代間の協力関係を加味して運営されるものでありますから、
沖縄県のように十六年もおくれてスタートした厚生年金の支給額の
格差を是正するのが容易でないことも
承知をしておるわけであります。
しかしながら、だからといって現状のままで我慢してくれと言われても、それは納得のいくものではありません。なぜならば、
沖縄の厚生年金制度の発足がおくれたのは何も
沖縄の厚生年金受給者たちの責任ではなく、もとはといえば国が対日平和条約三条によって
沖縄をアメリカの施政権下に置いたために、その結果としてそのような事態が招来をしたわけであるからであります。その意味において、国は
沖縄の人々に対して、法的責任はともかくといたしまして、道義的または政治的な面では少なくともその不利益を除去してやるぐらいの責任はあるはずであります。
それだけではありません。対日平和条約第三条によってアメリカの施政権下に置かれたとはいえ、
沖縄に対しましてはもともと
日本が潜在主権を持っておったわけでありますから、しかも国や国民は
沖縄が一日も早く
日本に
返還されることを期待しておったわけでありますから、厚生年金などの制度の創設に当たってはそのことを念頭に置いて、
沖縄の
人たちのために、例えば施政権を持っているアメリカに対しまして
本土と同時に
沖縄の厚生年金制度をスタートさせるように要請をして、働きかけをするなど何らかの救済措置を講じてほしかったと思うのでありますが、そのような配慮が全くなされなかったことは極めて残念であります。
しかし、今さらそんなことを言ってもこれはどうしようもないわけでありまして、要はこれからどうするかということであります。そこで、厚生年金制度の制度的仕組みからいってどうにも手の打ちようがないんだということでこれから事を進めていくのか、それとも昨年五月に示されました宮澤総理の意向を踏まえて、そして
沖縄の人々が置かれている立場を直視して、この際この厚生年金問題は是正をする、解決してやるんだ、そういう態度で取り組んでいかれるのか、この際ひとつしっかりとしたスタンスを示していただきたい、こう思うのであります。
開発庁並びに厚生省の方でお答え願えれば幸いであります。