運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1992-12-07 第125回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年十二月七日(月曜日)     午後一時十一分開議 出席委員   委員長 井上 一成君    理事 鈴木 宗男君 理事 武部  勤君    理事 仲村 正治君 理事 宮里 松正君    理事 上原 康助君 理事 前島 秀行君    理事 玉城 栄一君       赤城 徳彦君    新井 将敬君       北村 直人君    川崎 寛治君       五島 正規君    鉢呂 吉雄君       藤原 房雄君    古堅 実吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 岩崎 純三君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      伊江 朝雄君  出席政府委員         沖縄開発庁総務         局長      永山 喜緑君         沖縄開発庁振興         局長      渡辺  明君         厚生省年金局長 山口 剛彦君  委員外出席者         北方対策本部審         議官      上村 知昭君         防衛施設庁施設         部施設補償課長 中村  弘君         国土庁長官官房         参事官     入野 睦則君         農林水産省構造         改善局計画部地         域計画課長   小林 新一君         水産庁振興部沿         岸課長     本田  進君         運輸省航空局首         席安全監察官  林 圭一郎君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 利光君         運輸省航空局技         術部運航課長  松本 武徳君         郵政省放送行政         局第二業務課長 上田 誠也君         自治省財政局調         整室長     林  省吾君         特別委員会第一         調査室長    吉田  稔君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   今津  寛君     赤城 徳彦君 同日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     今津  寛君     ――――――――――――― 十一月二十七日  北方領土問題の解決促進に関する請願串原義  直君紹介)(第六六四号)  同(清水勇紹介)(第六六五号) 同月三十日  北方領土問題の解決促進に関する請願北沢清  功君紹介)(第八二五号)  同(堀込征雄紹介)(第九一六号) 十二月一日  北方領土問題の解決促進に関する請願井出正  一君紹介)(第一〇八四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一〇八五号)  同(小坂憲次紹介)(第一〇八六号)  同(田中秀征紹介)(第一〇八七号)  同(中島衛紹介)(第一〇八八号)  同(村井仁紹介)(第一〇八九号)  同(木島日出夫紹介)(第一一四〇号) は本委員会に付託された。 十二月二日  沖縄戦での八重山におけるマラリア犠牲者への  国家補償に関する陳情書  (第二三二号)  国連平和維持活動要員の派遣に伴う那覇空港の  給油基地化反対に関する陳情書外一件  (第二三三号  )  本部町豊原区におけるP3C基地建設反対に関  する陳情書  (第二三四号)  天願桟橋早期返還に関する陳情書  (第二三五号)  沖縄県における駐留軍用地返還及び駐留軍用  地跡地利用促進に関する特別措置法の制定に  関する陳情書外一件  (第二  三六号)  千島列島返還に関する陳情書  (第二三七  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 井上一成

    井上委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、委員長から、沖縄厚生年金格差是正問題について一言申し上げます。  沖縄厚生年金格差是正問題について、本委員会として、政府に対しその解決を求めてきたところであります。政府においても、この間、関係省庁から成る検討会を設置するなど、真摯に議論していることは承知しておりますが、今日までのその解決見通しは明らかになっておりません。政府としてこの問題にどのように対処していくのか、委員会を代表して答弁を求めます。
  3. 山下徳夫

    山下国務大臣 沖縄厚生年金の問題につきましては、何らかの対応について検討するため、本年五月、政府は、沖縄厚生年金に関する諸問題についての関係省庁検討会を設け、十月まで、担当者レベル会合を含めて四回開催をしてきたところでございます。検討会においては、毎回、沖縄県の出席を求め、沖縄県からの要望を聴取いたしまして、これについての検討を行ってまいりました。  これまでの検討の結果について、十月に議論整理を行ったところでありますが、厚生年金制度を過去にさかのぼって適用することを前提とする沖縄県の要望は、制度上、実務上、費用負担のいずれについても基本的問題があり、この要望もと制度化を展望することは困難であること、沖縄県において新しい角度から再提案が行われることを望むとともに、引き続き、検討会において検討を進めることの結論に達したところでございます。  この議論整理を行った後、関係省庁検討会としては、数回にわたる沖縄県との担当者レベル会合を開き、新しい角度からの検討を進めているところであります。  現在までの検討状況は以上のとおりでございますが、この問題につきましては、本委員会の意を酌んで、法改正も含め検討し、少しでも期待にこたえられるように最大限努力をしてまいりたいと思います。
  4. 井上一成

    井上委員長 委員長から再度政府に申し上げます。  政府は、鋭意検討努力し、今年度末をめどに結論が得られることを強く希望いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
  5. 宮里松正

    宮里委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、伊江沖縄開発庁長官並びに関係当局に、沖縄の当面する諸問題について質問をいたします。  ことしは沖縄日本復帰いたしましてからちょうど二十年の歴史的節目を迎えました。これを記念いたしまして、国並びに県におきましては記念行事を実施いたしますとともに、国の出先機関におきましても各種の行事が行われてまいりました。  この二十年を振り返ってみて復帰前と比較いたしますと、あらゆる面で目覚ましい発展を遂げてきたというふうに私は思います。沖縄戦中戦後のあの混乱した歴史歩み県民とともに歩んできた者として、まさに隔世の感を覚えるものがあります。先般、戦争で焼失いたしました首里城城郭内の正殿を初め諸施設が復元をいたしました。その開園式も盛大に行われました。これらの行事に参加いたしまして、県民各界各層がこの二十年間の沖縄の新たな歴史歩みを目の当たりにいたしまして、恐らく感慨無量なるものがあったと私は推測をするものであります。  この復帰二十年の歴史的な節目に当たりまして、去る九月の末、県民待望の第三次振興開発計画策定をされ、これからこれをもとにして新たな歴史の扉を開くべく、国、県が今鋭意努力を重ねているところであります。このような状況を踏まえまして、伊江長官はどんな考えを持っておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  6. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 委員が今お述べになりましたように、復帰二十年を迎えた今日、振り返ってみますと、先生方を初め県民皆様方の大変な御努力、それを支え政府財政的な援助というものがこの二十年間、特段の補助率背景に、しかもまたそれを支え法律の裏づけをもちまして今日まで歩んでまいりました結果、おっしゃるとおり社会資本と申しますか、道路空港港湾学校等施設が完全にでき上がってまいり、本当にすばらしい沖縄が実現し、最近では失われた文化に対するあこがれと申しますか、シンボルと申しますか、そういった問題の取り組みに、県民がソフトの方向に歩んでおられることはまことにもってうれしいことだと存じております。  したがいまして、今後はそれをベースにいたしまして、今日まで三兆四千億という国の財政的な援助基礎にいたしまして、これからの発展方向、あるいは今お尋ねの第三次振興計画理念と申しますのは、これからは沖縄が経済的に自立していくのだということを骨幹に据えまして、諸種の産業の育成でありますとか、あるいはまた、世に言われております貿易立国あるいは観光立県と申しますか、そういったことを背景にして、とにかく沖縄産業が自立できるようにしてまいるのがこれからの沖縄方向であろうと思いますし、私どもも、おかげをもちまして第三次振興計画策定されまして、二十一世紀に向かっての県民の目標というものが作成できましたことを何よりもうれしく思っております。  今後はそういう方向で一生懸命やってまいりたいと思いますので、委員長を初め委員皆様方の今後ともの御指導と御支援を賜りたい、かように存じております。
  7. 宮里松正

    宮里委員 先ほども申し上げましたように、去る九月の末、第三次振興開発計画策定をされました。この中身長官既に御承知のとおりです。第一次、第二次の振興開発計画はその理念として、戦後二十七年に及ぶ民族支配の中から生まれてまいりました本土とのもろもろ格差是正ということが一本の大きな柱、もう一つは、本土との格差是正を図りながら沖縄経済自立的発展基礎条件整備する、こういう二本柱で来たわけであります。第三次振興開発計画中身を見ますと、この本土との格差是正ということと沖縄経済自立的発展基礎条件整備ということのほかに、沖縄の地理的、自然的条件最大限といいますか、可能な限り活用した特色のある政策を意欲的に進める、こういうことがうたわれているわけであります。  そこで、この第三次振興開発計画に新しく盛られてまいりました沖縄地域特性活用した特色のある振興計画の推進というのは、具体的にといいますか、中身はどのようなことを考えておられるのか、お聞かせを願いたい。  私はかねてから、沖縄の地理的、自然的条件活用して、国内においては国民の保護の場としての活用を図るべきである、そこからいわばリゾート計画も強力に推進していく必要があるということを言ってまいりましたし、また、沖縄の地理的な条件活用して、また過去におけるもろもろ成果どももとにしながら、国際交流の場の形成を図っていくべきであると思います。現に沖縄県の浦添市には国際センターがございます。まだ規模としては非常に小さいものでございますが、それ相当の成果を得ているはずであります。さらには、琉球大学を初め沖縄教育機関国際社会に門戸を開放していく、あるいは那覇空港の本格的な整備を図って人的、物的交流拠点形成をしていく、いろいろなことがこれまで言われてきたわけであります。このようなことを踏まえられながらこの新しい三次振計の理念をどのように考えておられるか、お聞かせを願いたいと思います。
  8. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 先生の御指摘のとおりでございまして、地理的条件有利性から申し上げますと、今おっしゃったように雪の降らない唯一の地域でございますし、年じゅう花が咲き、緑たわわな安らぎのある土地でございますために、それはリゾート地域としてはもってこいのところである。そのために、現在もいろいろそういったリゾート地域活用ということで県の施策も動いているわけでございますけれども、今後ともこれを、国内だけじゃなくして、国際的なリゾート基地としての整備を図っていくのも一つの大きな地理的特性を生かす道であろうと存じます。  そのほかの地理的特性と申しますと、やはり日本で一番南の方にある。南の方にあるということは、現在発展しつつあります東シナ海を隔ててお向かいの中国の経済発展あるいは自由経済的な手法の取り入れが行われておる地域への今後の交流、あるいは台湾並びに南の方のシンガポールあるいはASEANその他の国に対するアプローチということに絶好な地の利を得たところでございます。  そういう意味の地理的な特性というものを生かしながらやらなきゃならぬというのは先生の御指摘のとおりでございまして、そのためには何よりもいわゆる通行のアクセス交通と申し上げた方がいいかもしれませんが、交通を頻繁にできるようなアクセスの方法を考えなきゃならない。そのためには現在の沖縄空港で果たして足りるものかどうか、あるいはまた、もう一本沖縄空港が必要なのかどうかという問題もこれから出てまいると思います。そのためには沖縄に魅力ある通商の基地というもの、情報産業を含めての基地というものが必要ではなかろうかという問題、そういった多々の問題というものをクリアしていかなきゃならぬ性質のものでございますけれども、我々が今沖縄の第三次振興開発計画に盛り込みました点も実はそういったことを中心にして考えたものでございますので、今後は逐一そういった方向に向けてプロジェクトを設定し、国の御援助をいただきまして、今お話がございましたように、そういう地理的条件特性支えにいたしまして自立経済発展というものに結びつけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  9. 宮里松正

    宮里委員 大臣、今お答えいただきましたように、第三次振興開発計画にはかなり意欲的なものが盛られておるわけでありまして、私はその点非常に高く評価するものであります。しかし、これを実際に実施していく場合には、復帰のときに創設をされ今日まで堅持されました高率補助制度というものが不可欠の条件であろうと私は思います。  ところが、最近、これは新聞報道でございますけれども、国が補助率見直しを始めたということがしきりに報道されているわけでありまして、仄聞するところによりますと、大蔵省あるいは自 治省が各省庁と非公式に協議を始めたということが言われております。  これはことし十月三十日の時事通信社から出た記事でございますが、これによりますと、「公共事業補助率、来年度予算見直し 三区分基本に簡素・体系化 暫定期間一年短縮・大蔵自治両省」という見出しで出ておりました。「大蔵自治両省は、五年度末までの暫定措置として本来よりも低く設定されている公共事業補助率を、来年度予算編成で抜本的に見直し、恒久化する方向検討に着手した。新しい補助率は三分の二、二分の一、三分の一の三種類を基本に簡素、体系化する方向検討が進められる見通しで、関係省庁の合意が得られれば、暫定期間を一年短縮して五年度からスタートさせる。」あと続くわけでありますが、こういう記事が出ております。若干違いますけれども、ほぼ同様なことが日経新聞の今月の二日付の記事にも載っております。さらに、これはたしか十一月の二十日ごろの朝日新聞だと思いますが、ここでは「補助率段階簡素化」とか、同様の趣旨のことが報道されているわけであります。  沖縄は、長官承知のように国に対する財政依存率は非常に高いものがございます。八十数%依然として国庫に依存をしているわけであります。そしてまた、この高率補助制度があるからこそこれまで一次、二次振興開発計画もかなり効果的に成果を上げてきたわけであります。  三次振計の中で予定されているといいますか、地元の方で期待を持っておりますのは、この三次振計の理念に基づいて引き続き道路港湾空港などの社会資本整備を図ると同時に、首里城公園、これは城郭部分は完成したわけでありますが、その周辺の整備でありますとか、あるいは那覇新都心建設計画でありますとか、あるいは中城湾港のところの総合的な整備計画浦添市の西海岸埋立計画中心とする整備計画、そして古宇利島の架橋、伊良部島の架橋あるいは八重山小浜島の架橋問題、さらには読谷から糸満に至る西海岸湾岸道路建設計画、そして今、南風原でとまっております縦貫道路那覇空港までつなげていく南進道路の問題あるいは北部の北信道路の問題、あるいは本島南部地区で今計画されております地下ダム建設計画の問題、さらには先ほど申し上げましたように那覇空港の本格的な整備計画でありますとか、あるいは今難航しております新石垣空港建設計画など、数多くの事業が予定をされているわけであります  今この補助率が、新聞記事にありますのは全国的な形で見直すということでありますけれども沖縄についても同様なことが見直され、これが削減をされるということになりますと、私はゆゆしき結果を生むだろうというふうに思います。  三次振計策定前提として沖縄振興開発特別措置法の一部改正問題を議論いたしましたときに、当委員会並びに本会議におきましても承認されました附帯決議を付してございます。その中の冒頭に、引き続き本土との格差是正を図るとともに、沖縄地域特性を生かした振興開発計画を推進して、そしてそれに必要な予算確保に努めること、こういう附帯決議がつけられているわけであります。私は、せっかく立派な第三次振興開発計画ができたわけですから、これからこれが実効のあるものとして推進されるためには、沖縄のためのこの特別の高率補助制度を堅持することがどうしても必要だろうというふうに思います。その点に関しまして伊江長官の御所見を承りたい、こう思います。
  10. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 臨時行政調査会答申がございまして今の高率補助見直しの問題というのが出てまいったわけでございますから、確かに政府予算編成基本的態度として、その答申を受けて補助率についての簡素化を図るという流れであることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、それは具体的に私ども折衝段階までは始まってはございませんけれども、確かに流れはそういう流れでございますが、今委員も御指摘のとおり、沖縄につきましては第三次の振興計画が始まったばかりでございます。しかも、その第三次振興計画というのは、やはり今日までと同様に大きな財政的な国からの援助をいただかなければ達成できない性質のものでございます。そのためにも第三次振興計画というのができ上がる過程におきましては、各省庁との協議の末、調整の結果プロジェクトもたくさん並んでございまして、取り上げた項目もたくさんございます。そういう背景もとにでき上がった第三次振興計画を達成するためには、その達成の理念としての、先ほどの御指摘にございましたように、自立的経済発展のための支えが必要である、そのためには産業を興さなければならないというふうなことも含めてのやはり政府からの援助をいただかなければならぬ問題があるわけでございますから、そのときに、たとえ流れ流れといたしましても、大幅にこういったものが削減されるということは沖縄にとっては重大問題であろうと私は思っております。  御高承のとおり、単に経済問題ではなくして地理的な問題といたしましても、あの島嶼地域架橋しなければならぬとか、あるいはまた飛行場の整備などをしなければならぬというふうなこともございますし、第一、万年水不足に襲われる県民生活状況を考えますと、これは一律に流れに沿って補助率が落ちるということであってはならないんじゃないか、そういう特殊性というものを私どもは今後大蔵当局財政当局へ主張してまいりたい、かように考えております。まだ具体的な折衝は始まりませんけれども、そういう心構えで事務当局には指示をしているところでございます。
  11. 宮里松正

    宮里委員 復帰のときに沖縄振興開発特別措置法を制定いたしました。その中でこの特別の高率補助制度を設定いたしましたのは、私は歴史的に重大な意味があったというふうに考えます。  長官承知のように、沖縄戦の末期に当時那覇の今の空港のあたりを守備しておられました海軍大田実少将が、第三二軍が首里城本部を撤退いたしましたその直後に大本営の海軍次官あてに打電したものがございます。最後は、「沖縄県民斯ク戦ヘリ、後世沖縄県民ノタメニ格別ノ御高配アランコトヲ」という言葉で結ばれております。  復帰のときに沖縄振興開発特別措置法を国会へ上程いたしましたときに、沖縄県民沖縄戦以来長年にわたる労苦に報いるためにこの法律を制定する、政府提案の中にそのようなこともうたわれているわけであります。したがいまして、あれはただ沖縄は貧しいからそうしようというだけのものではなかったはずであります。  財政問題でございますから、そして昨今財政が非常に逼迫をしてまいりましたので、財政論から来るいろいろな動きが出てくるはずであります。長官、ひとつ担当大臣としてこの高率補助制度はしっかりと堅持をしていただきたい、しっかり守っていただきたい、このように思います。  厚生年金の問題は、先ほど委員会を代表いたしまして井上委員長から山下厚生大臣質問要請がございました。同僚議員からその中身につきましてさらに質問などが出てくると思いますけれども開発庁も、たしか総務庁政府検討委員のメンバーになっているはずでありますから、どうかひとつ、これはこれまでの論議を踏まえて、そして地元沖縄要請をしっかりと受けとめられて何らかの形での是正策を講じていただきたい。希望を申し上げておきたいと思います。  私に与えられた時間がそうございませんので、最後に、古宇利島架橋の問題につきまして若干の質問をさせていただきます。  八月の概算要求の中にこの建設計画に伴う予算が計上されました。以来、県はもとより、地元の今帰仁村当局市町村長会等々からかなり強い要請が来ていることは御承知のとおりであります。そしてこれは地元の長年の夢でございました。小さい少ししか離れていない島であるのに、高等学校へ行くにもわずか一里足らずのところに下宿をしなければならぬというそういう非常に苦しい労を重ねてきているわけであります。また、夜間急 患が出てまいりましても、多少海が荒れますとそれも運べない、こんな状況もあるわけでありまして、この古宇利島架橋には島の人たちの長年の念願が込められているわけであります。  きょうは建設省にも質問しようかと思っておりましたが、まだ事業が具体的に動き出したところでございませんので、きょうは開発庁に、予算開発庁を通して予算の計上を図るわけでありますから、振興局長にひとつそのことにつきまして、十二月の予算編成段階で果たしてこれが確保できるかどうか、その見通しども含めまして意欲のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の方から御指摘がございましたように、本年度は第三次振興計画の初年度にも当たります。いろいろ新規事業化等プロジェクトを企画しておるわけでございますけれども、私どもといたしましては最大限予算確保努力をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  13. 宮里松正

    宮里委員 私の与えられた時間がもうたちましたので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  14. 井上一成

  15. 仲村正治

    仲村委員 私はまず伊江大臣に、平成五年度の沖縄開発庁関係予算確保について、大臣の御決意と所感を伺いたいと思います。  御承知のようにことしは復帰二十年、一次振計、二次振計、本当に立派な成果をおさめてきたものだと思っております。しかし、戦中戦後のあの混乱を考えますと、依然として格差や戦後処理が存在しているということもまた事実であります。そのような現状からいたしまして、県民としては、二次振計が終わる直前から三次振計の策定必要性を強く政府に訴えてきたわけでございますが、そのことが認められまして、政府は、ことしの三月二十七日に沖振法の十年間の延長を決定したわけでございます。そしてその沖振法延長を受けて、九月の二十九日には三次振計の閣議了承が行われたのでございます。二次振計は平成四年三月三十一日で終結をいたしましたので、平成四年度の予算編成に当たっては、沖振法の延長もまだ決定されてないし三次振計も決まってないけれども、それを前提に、暫定的に三次振計の初年度という考え方で予算を編成されたものだと思うわけでございます。  しかし、沖振法が現に延長され、そして一二次振計が決定をされて初めての予算というのは、これは平成五年度の予算でございます。皆さんは八月の時点で、沖縄開発庁一括計上分として二千七百八十四億二千万円の概算要求をなされたところでございますが、その三次振計が決定されてまず第一年目の予算、そういう立場からいたしますと、この皆さんが八月の概算要求時点で要求した予算確保というものは、これは絶対不可欠の要件だと私は思うわけであります。  ただ、最近の国の財政状況が非常に逼迫した状態になっているので、場合によっては予算全体の中で沖縄開発庁分についても非常に厳しい状態があるのではないかというようなことが考えられますが、これは先ほど申し上げたように、やはり本土の水準に比較してあらゆる分野における格差の存在あるいは戦後処理の未解決の問題等々を考えますと、国の財政状況が苦しいので沖縄関係も切り込んでいくんだということであってはならない、こういうふうに思うわけでございまして、その点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 御指摘のとおりであろうと思います。まあ財政状況が厳しい、去年の状況からまた厳しい状況になっているとは申しましても、とにかく沖縄がこれから第三次振興計画をスムーズに逐年達成してまいるためには、ある意味ではもう本当に実質的に初年度でございますので、その意味委員指摘のとおりの気持ちでもって頑張ってまいりたいと思っております。
  17. 仲村正治

    仲村委員 ぜひ今大臣がお答えになったようなお気持ちで平成五年度の予算確保を計っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。何としても、この平成五年度の中で新規事業として皆さんが要求をなされたまず水資源開発の問題とかあるいは交通体系整備の問題とか、いろいろなものが新規事業として挙げられているわけでございますが、そういったものの芽出しができなければ、これはもう何のための三次振計かということになるわけでございます。ことしの夏も、七、八月、二カ月ぐらいちょっと少雨傾向にあったわけでございますが、十月には制限給水をするんだというようなことですぐ水不足というような状態が起こります。そういう意味で、私はこの水源開発というのはこれからも引き続き強力に進めていかなければならない。例えば今回の新規事業の中に億首ダムの開発関係、あるいはまた、交通体系としては先ほどもお話がありました古宇利島の架橋問題、それから北大東の空港の拡張など、こういったものが入っているわけでございます。今大臣が御決意を述べられた中にこういった新規事業もぜひ含めて実現を図っていかれるべきだと思いますが、その点について再度お尋ねしたいと思います。
  18. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 承知いたしました。具体的な問題でございますので、具体的には振興局長にかわって御答弁申し上げさせたいと思います。
  19. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 新しいプロジェクト等の予算要求の状況でございますけれども平成五年度は沖縄の振興開発の柱となる第三次振興開発計画の二年度目に当たる、新しい時代に向けまして、ただいま御指摘の水資源の開発、億首ダムの開発等を主力とした社会資本整備につきまして、継続事業等々着実な推進を図りますと同時に、新たなプロジェクトの芽出しに努めるなど積極的な振興開発諸施策の展開を図りたい、そのための所要額の確保について最大限努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  20. 仲村正治

    仲村委員 国は戦後四十七年間、一生懸命がむしゃらに国づくりに努めてきたわけですけれども、その結果としてあらわれたのが東京一極集中だ。そこで、四全総の中では多極分散型国土形成を図っていこう、こういうことで今進められているわけでございますが、財政が厳しくなるからということで、割と開発のおくれた地域までも一律にそういう考え方で政治の運営をしていくならば、これは私は東京一極集中の是正というものができないと思うわけであります。そこで、現在沖縄県に適用されている補助率について先ほどもお話がございました。ぜひ現在の補助率を継続していかなければ、これは三次振計で盛られた計画は絵にかいたもちみたいになる、こういう気持ちでございます。  御承知のように、財政力指数ですけれども、全国平均が〇・五〇三三一、それに対して沖縄県は 〇・二六五八七ですね。対全国比が五二・八%です。市町村が全国〇・四四〇に対して沖縄県は 〇・二七四、これは全国対比で六二・二%。こういうことから考えますと、交付税というのはこれに比例して配分されるわけでございますけれども、これは交付税のみならず、補助金を受けている事業であってもこれと全く関係がないわけじゃないのです。  したがいまして、全国の補助率見直しをするといっても、このことを忘れてはならないと思うのです。そういう点で大臣、これについてどのようなお考えを持っておられるのか。たとえ補助金やりますよといったって、沖縄財政力ではそれを消化する能力がないのじゃないかと私は思うのです。それについていま一度、平成五年度予算獲得に当たっての大臣の御所見を伺いたいと思っております。
  21. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 先ほども申し上げましたけれども沖縄には特殊事情というのがございます。その特殊事情というのはどういうことか、いろいろの説がございますけれども、私どものとらえ方としましては、公共事業を十分に手当てしなきゃならぬ地域がまだたくさん残っております。例えば離島との橋の問題あるいは道路の問題、そういっ た問題のほかに、先ほど委員も御指摘のとおり水の問題、そういったのはほかの県で考えられる以上に大きなウエートを沖縄では持っているわけでございますから、それを他県と同様な水準でもって律しられるということは、これは沖縄には大変に酷であるという立場からの大蔵への特殊事情の説明、と同時に、今も御指摘ございましたように、財政事情というのは国の財政依存している体質でございます。二三%程度の自己財源でございますから、どうしても例えば補助事業については負担能力がない。こういう状況というものをどうしてもやはり特殊事情として全国の流れのほかに見ていただかなきゃならない、配慮していただかなきゃならない。  そういう立場から私どもとしては、直轄事業についての補助率の問題もさることながら、県の行います事業に対する補助率、つまり補助事業につきましての補助率、こういったものについても十分な配慮をしていかなきゃならぬのではないか。そういう特殊事情というものをこれから折衝の過程において反映させてまいりたい、かように考えております。
  22. 仲村正治

    仲村委員 今大臣から御決意が述べられたとおり、この三次振計を有効に実現、実施していくためには、何としても従来の補助率というものは絶対必要不可欠の要件である、こういうふうに考えているわけであります。何もいつまでも甘える気持ちがあってはならないと思うのです。自助努力をしてみずから力をつけていくということが一番大事だと思うわけでありますが、現在そういう状態にはないわけでございますので、ぜひ今日までの補助率というものについては国も最大の配慮をしていただくように、平成五年度予算獲得、編成に当たって十分そのことを念頭に置いていかれることをお願い申し上げておきたいと思います。  先島の民放テレビ放送難視聴解消事業についてでございますが、この件につきましては、私は、平成二年の四月十八日と六月二十日に本委員会質問をしたわけでございます。BS2、BS3を飛ばして一千億円かけて衛星放送が見られる情報化時代に、沖縄では二市五町二村、約十万七千人の人にテレビの地上電波が届かない、そういう情報格差の状態をどう思うのかということで郵政省にお尋ねをいたしましたら、これは何としても早目に解消していかなければならない、こういうことで、まさかその年には調査費などあったわけではないはずでございますけれども、早速調査をしていただいて、そのときのお答えは一年以内、どんなことがあっても二カ年以内にはその調査を完了して可能な限りその解消が図られるようにしたい、こういうことでございました。  ちょうど二カ年というところでございますけれども、去る八月三十一日に、平成四年度予算に九億円の予算が計上されて補助金交付の決定がなされておるわけでございますが、今後の作業の進捗といいますか、いつまでにどういう仕事ができて、実際に放送ができるのはいつなのか、その点について御説明をお願いしたいと思います。
  23. 上田誠也

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘沖縄県先島地区の民放テレビ放送難視聴解消事業といいますのは、郵政省が推進しております電気通信格差是正事業一つとして取り組んでおるわけでございますが、事業主体は沖縄県がなっておりまして、国の補助等を受けまして平成四年度から二カ年計画におきまして、先ほどおっしゃいました先島地区の民放テレビジョン放送の難視聴を解消するための、いわゆる海底ケーブルの敷設あるいは中継局などの必要な諸施設を設置する事業でございます。  本事業にかかわります四年度の交付決定は、先ほど先生から御指摘ありましたとおり本年八月三十一日に完了いたしております。本事業の実施主体は先ほど言いました沖縄県でございますが、沖縄県の予定では、現在工事着工に向けて実施設計あるいは工事契約等の諸準備を進めているところでございます。県の予定によりますと、平成五年中の事業完了を目途にこの十二月にも工事の一部着工をされる運びというふうになっておるところでございます。  あと、郵政省といたしましては、平成四年度における事業の円滑な推進に配意いたしますとともに、二カ年計画でございますので、平成五年度の予算要求において本事業の継続にかかわる補助金といたしまして約九億一千万円を現在要求いたしておるところであり、その成立に最大限努力をする所存でございます。  また、もう一つの放送開始はいつかということでございますが、現在、二カ年計画で平成五年末に事業の完了ということを目途にやっておりますので、順調に進みますならば平成五年末には、本事業により設置された施設を利用して一般放送事業者によるテレビジョン放送の開始の運びとなるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  24. 仲村正治

    仲村委員 海底ケーブルの敷設についてはNTTと一緒になっておやりになるわけですね。そうすると、NTTとの作業の手順と申しましょうか、そういった点に問題はないのかどうか、順調に進んでいるかどうかということ、それがまず第一点。それから中継局の設置、これは国の補助を受けて県がやる仕事だというふうにおっしゃっているわけですけれども、実際には郵政省の事業だというふうに見なければならぬわけでございます。そういう意味予算の問題とかあるいは事業の実施計画など、それは皆さんの指導がなければ県ができるはずがないわけです。順調にこの海底ケーブルの敷設あるいはまた中継局の設置などできるのかどうか、その点について再度お尋ねいたします。  それと同時に、平成五年度中には放送開始ができるようにするというお話でございますが、平成五年というのは、暦年で言う平成五年となりますと来年の十二月まで、しかし予算年度といいますと再来年の三月三十一日まであるわけですが、そのどちらかをはっきりしていただきたいと思います。
  25. 上田誠也

    ○上田説明員 お答え申し上げます。  海底ケーブルの件、御指摘のとおりNTTとの共同設置工事ということでございますので、NTTともお話をして、基本協定といいますかそういうものを締結いたしまして、今月中には工事の着工に至るのではなかろうかというふうに現在報告を受けているところでございます。  テレビ放送の中継局、このあたりも当然県だけではできかねるところもございますので、地元の放送事業者と、あるいは我々の関係の機関と協議しながら、公益法人で管理主体をつくりながら現在工事の計画の準備を進めておるところでございます。  それと時期でございますが、放送開始の時期は、あくまでも順調に進めばということでございますけれども、五年中というふうには予定として考えておるところでございます。  以上でございます。
  26. 仲村正治

    仲村委員 どうもありがとうございます。  次に、新石垣空港問題についてお尋ねしたいと思います。  この新石垣空港問題については、運輸省の積極的な支援体制にもかかわらず設置者である地元沖縄県の取り組みがもたついて、むしろお尋ねするのも恥ずかしいくらいです。御承知のとおり前知事が設置場所をカラ岳東に決定して、平成二年十一月ごろには従来の白保海岸海上案からカラ岳東に変更の許可申請をする段階にまで来ておったわけですが、そこで知事さんがかわってしまった。それで知事さんは、空港設置についての合意形成がまだとられていないというようなことで、その後石垣市の方々を中心にその意見を聴取したら、九〇%以上、ほとんど全体がカラ岳東がいいという答えが出てきたわけでございますけれども、しかし、最近になりまして宮良・牧中というところに知事は候補地を決定したわけです。  その場所はもう復帰二十年間、農水省が巨額な国費をかけて土地改良事業をしてきた場所なんですね。国費だけでも三百八十六億円、全体事業費 が九百二億円になるわけです。そういうふうに、かつての宮良・牧中という場所はサンゴ礁地帯で表土が非常に浅い、畑作の農業ができないものですから牧場にしておったわけです。それをこれだけの巨額の国費をかけて今すばらしい農地に変わってきているのですよ。そこに知事さんはやろうということになっているわけですが、これについて、石垣市議会やあるいは農業委員会や宮良の公民館、土地改良組合などなどたくさんの行政機関、団体が反対を表明しているわけです。  だから、私はどっちに決まろうと、それは早く条件整備をしてつくることが八重山郡民の利益につながると思うわけでありますが、しかし農水省としては、二十年間これだけ精魂を傾けてこの土地改良事業をしてきた、そういう立場から、ここにつくることについて農林水産省は一体どういうふうな考え方をお持ちなのか、私は率直な意見を聞かせていただきたいと思います。
  27. 小林新一

    ○小林説明員 お答え申し上げます。  宮良案につきましては、国営かんがい排水事業を初めとする土地の改良事業を行い、農業振興の基盤として整備された優良な農地が多く含まれております。この地区は、県、市、農家の合意のもとに、石垣市の農業振興の核となる生産基盤を整備すべく、国営の土地改良事業によりまして整備してきた地区であり、ほぼ工事を終え、これから農業の積極的展開を図ろうとしているところであります。  こうしたこともございまして、宮良地区につきましては、地元石垣市を初め、農業委員会、土地改良区などが反対している状況にあると承知しております。このような中で沖縄県が新石垣空港の候補地として宮良案を選定されたことにつきましては、農林水産省といたしましては、今のままでは得心がいかないと言わざるを得ないものであります。  いずれにいたしましても、今後、沖縄県と地元との間で農業面に及ぼす影響を含め十分な意見調整が行われ、コンセンサスを形成していくことが基本的な前提であるというふうに考えております。
  28. 仲村正治

    仲村委員 今お述べになったとおり、これは沖縄の農業振興のためにこれだけの巨額の国費を投じて基盤整備をした。農業の現状を考えますと、あるいは農業者がもう土地売って農業をやめたい、こう言う人が場合によってはいるかもしらない。しかし農地というものは、農業をやめてこの土地はだれかに売りたいといったって、次に農業する人が買わなければならないと思います。これは国民全体の共有の財産なんですよ。そういうことから考えますと、農水省が復帰後今日まで土地改良事業を進めてきて、法律上手続をとればできるからといってこれをオーケーするようなことがあれば今後の農業政策はできないと私は思うんですよ。その点について、現に仕事を進めてきた沖縄開発庁としてはどのような考え方をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。
  29. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 新石垣空港の問題についてのお尋ねでございます。  新空港の設置許可等の問題は運輸省の所管でございますけれども、新空港の建設は地域産業と住民の生活向上を図る上からも重要な課題だ、このように受けとめておるわけでございます。  先般、知事が行いました宮良案への候補地の絞り込みについての……
  30. 仲村正治

    仲村委員 私がお尋ねをしているのは、皆さんはこの農業基盤整備を進めてきた立場で、仕事を皆さんがやったわけですから、そういう立場からどう思うのかということです。
  31. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 その御質問でございますけれども先生の御指摘の農政上の課題解決等諸課題を残しながらなされたものである、このように聞いておるわけでございます。したがいまして、沖縄開発庁としては、今後これらの課題解決が図られまして、円滑な事業実施が図られますよう十分な検討がなされることを期待しておる、このように考えておるところでございます。
  32. 仲村正治

    仲村委員 時間が来たようでございますので、最後にお尋ねをしたいのでありますが、御承知のように今の石垣空港は、千五百メーターにグルービングをして無理して飛行機を離発着させているんです。いつ不測の事故が起こるかもしらない、本当に戦々恐々の状態でございますけれども、それだけ乗客がいるのでもうやむを得ず過密な運航を続けているわけでございます。これは石垣市の振興、経済の発展を図るためには何としても空港設置というものは不可欠の要件である、こういうように考えておりますので、私たちとしても、どの場所に決まろうと早く条件整備をして空港設置が一日も早くできるようにしてほしい、こういう気持ちでございます。  設置者は沖縄県です。設置許可をするのは運輸省です。先ほどから私が指摘をしておりますように農地としての開発が進められた、そういう中で石垣市議会が反対をしている、土地改良組合も反対をしている、それから農業委員会も反対をしている、宮良の公民館も反対をした、こういう状況の中でそういう条件が整えられて初めて運輸省への設置許可申請はできると思うのでありますけれども、それについて今現在の段階で運輸省の考え方はどうかというのをお尋ねするのは、これは愚問に聞こえるかもしれませんけれども、前知事が運輸省へ行かれて、ああそうかそうかというふうに運輸省が言っておられたということで、運輸省は賛成じゃないかというような受け取り方もあるわけです。それについて率直な運輸省の意見を聞かしていただきたいと思います。
  33. 坂井利光

    ○坂井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がありましたように、先般、沖縄県におかれましては新空港の候補地として宮良湾を選定し、もろもろの課題はあるものの、今後位置決定に向け具体の計画づくりのための検討等を行うと伺っておるわけでございます。運輸省といたしましてはその検討結果を待って、もろもろの課題が解決した段階で、具体の計画案が運輸省に提案をされてきた段階で所要の対応をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  34. 仲村正治

    仲村委員 終わります。どうもありがとうございました。
  35. 井上一成

    井上委員長 上原康助君。
  36. 上原康助

    ○上原委員 最初に、厚生年金の問題についてお尋ねをいたします。  先ほど、井上委員長がこの委員会を代表してわざわざ山下厚生大臣においでいただいてお尋ねをして、お答えがあったわけです。厚生省、開発庁あるいは内閣内政審議室含めて努力をしていることは多としますが、先ほどの御答弁は極めて納得しがたい、不満であります。委員長がわざわざこの委員会を代表してこれをお尋ねしなければいかないという事の重大性をぜひ政府は御認識をいただきたい。  なぜなら、これは五月十五日いわゆる復帰二十年の節目ということで、それまでに解決を図ってもらいたいという、これは該当者だけじゃなくして沖縄県民挙げての多年の緊急課題として位置づけられて、今日まで国会でも何度も議論をしてきた。総理大臣にも会ったし、総理大臣も沖特委員会でも答弁をしている。山下厚生大臣委員会でも、超法規的な措置でもやるということを言ったんです。にもかかわらず年内どころか、年度内という委員長の御注文もこれは多としますが、あるわけですが、まだめどが立っていないということは何をか言わんやと言わざるを得ません。  きょう、これまで県側から提起をされた内容ではなかなか解決が難しい、年金は過去にさかのぼってやるということはできない、難しい、ただ、救い、かすかに望みがあるなと思うのは、新しい角度から目下検討をしているところである、法改正を含め何らかの改善措置を講じたい、これが先ほどの厚生大臣の御答弁だったと私はメモしてあるわけですが、法改正を含めて何らかの改善措置をとるという中身はどうなのか、明確にお答えください。
  37. 山口剛彦

    ○山口(剛)政府委員 沖縄厚生年金の問題につきましては、先生指摘のような経緯を踏まえ、 政府でも検討をさせていただきました。その検討の経緯とそれから今後の方向につきまして先ほど大臣から御答弁をさせていただきました。  私どもも、一応今までの整理といたしまして、従来沖縄県から大変御要望の強かった遡及適用という問題につきましては、種々問題があってこれは困難だということが明らかになりましたので、沖縄県からの新しい御提案も踏まえまして、先ほど大臣が御答弁をさせていただきましたような姿勢で今後努力をしてまいりたいということでございます。せっかくの御質問でございますけれども、現段階で具体的にどうだということにつきましては、その沖縄県からの御要望もあり、これから検討会において十分真剣に検討させていただきたいと思っております。
  38. 上原康助

    ○上原委員 私はたびたび問題を指摘してきたし、また非常に痛感するわけですが、これは野党であっても与党でも、委員会において委員が尋ねたことに対する大臣なり政府委員の答弁というのはおざなりであっちゃいかぬと思うのですね。だから今、日本の国会は問われているんですよ。政治が問われている。  宮澤内閣総理大臣も、平成四年三月十二日の本委員会での厚生年金、マラリア補償問題を含めてのことに対して、「県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考える」と。政治的な高いレベルでこの厚生年金問題は解決をしたい、年金制度という範囲内では難しいけれども県民への償いの心で、政治的な高いレベルで判断をして解決をするというのが宮澤首相の答弁なんですよ。それを受けて山下厚生大臣は、超法規的な手段でもやらなければいかない課題だと思うということを言ったんだ。しかも、厚生大臣は超法規、超法規ということを四回も言っている。  これだけの答弁がありながらも、難しい難しいで一体いつまで検討検討言うんですか。私はこういう問題に対しては、年金制度の範囲内では難しい、だが、沖縄が戦後二十七年間施政権が分断をされたゆえに本土厚生年金制度の中に入れなかったというこの現実を考えるならば、これは言わないでも、政治的、道義的責任が政府にあるのは明らかじゃないですか。  もう一度、一体いつまでにめどを立てようとなさるのか。また、今一番解決できない問題のネックは何なのか、言える範囲内でいいですから明らかにしてください。そうせぬとこれは進まない。
  39. 山口剛彦

    ○山口(剛)政府委員 先生今御指摘になりましたような経緯があったことを私も十分承知をいたしております。その結果、当委員会でも御議論をいただき、政府でまず検討会をつくって検討しろ、それからその検討会には、沖縄県の意向を十分に聞くようにというようなことで私ども検討会をさせていただいたことでございます。  そのときに、沖縄県としては非常に強い御要望といたしまして、ぜひ二十九年にさかのぼって厚生年金法を適用してくれと大変強い御要請がございました。私どもは、それはいろいろ問題があるから何とか別の案というわけにはいかぬのかということも再三申し上げたわけですけれども、これは大変強い御要請でございました。したがいまして、検討会といたしましては、その問題を中心に徹底的に検討するということをさせていただきまして、先ほど大臣が御報告申し上げましたように検討させていただいたのですが、さかのぼって適用するということについては制度上も実務上も、それから費用負担の面でもこれは乗り越えられない問題があるから、それにこだわっておっては先へ問題が進まない、解決が進まない、ここで一度整理をしてみようということで、御報告のような結論を御報告させていただいたようなことでございます。  今後どうするか。沖縄県も、さかのぼり適用ということは困難だということも御理解をいただいたやに聞いておりますので、新しい御提案をいただき、検討会も並行して議論をしていきたい。その場合には、従来の経緯もございますけれども、新しい角度からより幅広く、法改正の問題も含めて検討をいたしまして、できるだけ御要請に少しでもこたえられるような道を探りたいということで今作業を始めておるところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  40. 上原康助

    ○上原委員 理詰めで白黒決着つけようというわけにもいかない問題であるので、私も今の局長の何とかしたいという気持ちは酌みますけれども、しかし、そういう答弁でいつまでも事を過ごすのは僕らはもうやりきれないのですよ、これは正直申し上げて。  同時に、制度的にも実務的にも、費用負担の面でもさかのぼって適用することは難しいと言うが、それをクリアしなければこれは解決しないのですよ。最小限度十六年間、二十九年までさかのぼらなければ格差は埋まらないんだ。ここはしっかりと踏まえてやっていただかなければいかぬし、法改正を含めて何らかの改善措置と言うからその中身が知りたいわけですが、少なくとも十六年間の遡及というのが皆さん嫌いなら、年金の加入年数を本土並みにしない限りこれは埋まらないんだよ、あなた。常識じゃないか、常識というよりもうイロハじゃないですか、だれが考えても。  その格差を生ぜしめたのはだれですか。それは沖縄県民の責任じゃない。私は役人や委員の皆さんとの間で、総理大臣や厚生大臣伊江長官を含めてですよ、改善する、格差をなくしたいと言った以上はなくしてくださいよ。しかも高度の政治的レベルで解決する。高度の政治的レベルというのは、沖縄が施政権が分断されたそのゆえにこういう格差が生まれたというのをだれが考えても政治的に考える、そういうことになりませんか。もうこういうことを委員会でただ一々やりとりをして、国会が終わればまた、検討しました、検討をした結果難しかった、そんなのじゃいかぬ、これは。  大臣、これは厚生省だけに任せてはいかない問題なんだ。伊江長官沖縄出身の大臣になったとみんな喜んだ。首里城復元も結構、イベントもいい。これは大いにやっていい。だが、あなたに期待したのは、せめて厚生年金格差是正ぐらいはあなたの在任中にめどをつけてもらいたい。高齢者の皆さんが一人一人消えていく。そういう政治力をあなたにみんな期待しているんですよ。再任されるかどうかはわかりませんが、まだ期間はある。どうなさるおつもりですか。
  41. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 私は、一番最初にこの問題の御提起があったときに、どうするのかというまさに今の御質問のような点についてお尋ねがございました。そのときに、これは現行法上は非常に無理な話だと承知しておる、しかしながら、政治的領域において判断しなければならぬ問題ではなかろうかということを申し上げたことがございます。通常の役所におきましての法律上の問題の議論からはなじまない問題であったと思います。特に、さかのぼって遡及して国内法上の同じ扱いをしろということは実際問題として難しいという判断は、私自身も素人ではございますけれども、そう考えましたために、しかし問題としてほっておくわけにはいかないから政治的に解決しなければいけない問題でございます、そのために努力をいたしたいと思いますという御答弁だったということを御記憶いただいていることだと思います。  したがいまして、いろんな角度から何回もやってまいりました各位の努力は多としなければなりませんけれども、なかなか結論が出ない。しかも、二十九年にさかのぼるということは他との均衡において非常に難しい問題であるという問題もございましょうので、厚生大臣が先ほどの委員長のお尋ねに基づいての御発言で新しい法改正の問題を含めて検討してまいるということを申しましたのは、これで終わりだということではなくて、検討方向性を示した御発言だというふうに私は認識いたします。  したがいまして、委員が今事務当局にどうなっておる、その検討方向というのは何だ、新しい法律の改正ということも含めての方向とは何だというふうにお詰めいただきましても、それはやはり今厚生大臣方向性をお示しになったことでございますし、それに基づいて今度は今までと違う新しい検討が始まるということでございますの で、確かにじんぜん日をむなしくしているというおしかりがございますけれども、決してそうじゃないんだということでございますから、もう少し検討の時間をいただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。
  42. 上原康助

    ○上原委員 年金制度では無理だ、あるいは年金というものは保険制度なのでさかのぼっては難しいんだ、それを非常に強調されるわけですよ。しかし、これはさかのぼってやるという前提の何らかの方法というか知恵を出さない限り改善しません、解決しませんよ。どういう新しい角度からの解決策があるの。年金全般の一元化のことが六年、七年ごろ始まりますね、来年以降、再来年か。まさかそういうふうに気長に思っていらっしゃるんじゃないでしょうね。委員長がわざわざ年度末ということを言われた。我々は五月十五日から年内にまけた、譲歩した。これは譲歩というのか、まあ難しいから、みんなで合意形成を見てやらなければいかぬ課題だからというのでお願いをしてきた。では、新しい角度から法改正を含めて沖縄厚生年金格差を、個々人が受ける年金の格差ですよ、これを是正するめどとしては、少なくとも年度内には何らかの検討結果を出す、そういう努力はできますね、大臣。これは長官からお答えいただきましょう。
  43. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 努力してもらうようにしましょう。  ちょっと発言を続けますが、今私の方にそういうお尋ねがありましても、実際に検討して、事務方がもう具体的に事務に乗っかってやっているベースに直ってきておりますので、しかも、新しく法律の改正を含めての検討という新しい状況が生まれましたその中でのこれからの検討でございますから、今事務方に内容はどうなっておるんだとお聞きいただいてもこれはお答えできないと思います。したがって、私がそれを引き取りまして、また私に御指名なさった背景もそうだと思うのでありますけれども、そういう角度から検討してまいる、しばらく見守っていただきたい、こういうふうに思います。
  44. 上原康助

    ○上原委員 最初のままだけでいいんですよ、年度内に検討させましょうと。あとのことは議事録に載せぬでよ、そんな余計なこと。
  45. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 いや、それはそうはいきませんで、やはり事務方の立場もございますし、ぜひそういうふうにして事務方を見守っていただきたい。そしてまた、ある意味ではいろんな援助をしていただかなければならぬ問題も出てまいると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  46. 上原康助

    ○上原委員 念を押すようで恐縮ですが、厚生省も事務当局に年度内決着というか、検討の結果解決するという前提でやる。検討したがだめだったという答えなら年度内出さなくていいんですよ、それは。そういうお気持ちでなさいますね。  それともう一つ、さっきあなたお答えにならなかったんだが、この問題のネックになっているのは何かというのは、私もある程度、これは四、五年来専門じゃありませんがいろいろやりとりしてきましてわかる。だから、そういう中身というものももう少し明らかにしていって、こういうものをクリアすればこの問題は解決するんだということも、難しくなれば県が県がとおっしゃらずにあなた方自体がこうすれば解決できるという案を示したらどうかということは、この間から理事懇でも理事会でも何回も言ってきたんじゃないですか。そういうことについてももしあればお聞きをしたい。これは事務当局にさせるというわけだ、大臣から。だから、総務局長と年金局長から年度内決着を目指して努力するぐらい言ってもらわんとこれはもう引き下がれない。
  47. 永山喜緑

    ○永山政府委員 お答えします。  沖縄厚生年金問題については、かねてからその重要性、十分認識してございます。きょう、ここでのいろいろなお話の中でさらにその認識を深くしたところでございます。私ども事務当局としましては、関係省庁検討会の場において鋭意検討努力してまいりたいと思っております。
  48. 山口剛彦

    ○山口(剛)政府委員 先ほどの大臣の御答弁、それから委員長の御要請、しっかり踏まえまして検討させていただきたいと思います。
  49. 上原康助

    ○上原委員 問題の内容については御専門の皆さんですからよくおわかりいただいていると思うのですが、私は、これはこれ以上放置できる問題じゃないと思います。いつまでも引きずりますよ、こういうのは。それと、年金格差是正というのは受給なさる個々の年金受給者の格差がなくなる、格差が少なくなった、本土並みに近づいた、本土並みになったというその評価が受けられるというのが大前提ですからね。そこはこれまでも何回も念を押してまいりましたが、その方向でひとつ御努力を賜りたいと思います。  次に、三次振計のフレームについてお尋ねをしたいわけであります。  先ほどからちょびちょびお話があったのですが、御承知のように、去る九月に第三次沖縄振興開発計画が決定されました。その基本フレームを見ますと、産業別の就業構造は、二〇〇一年ですか、平成十三年において第一次産業は九〇年の一一%から八%へ、第二次が二〇%と同じ、三次産業は六九%から七二%へと上昇を見込んでいる。県内総生産は、沖縄県の特性を生かした産業の振興開発が期待されるということで、平成二年度の二兆八千億から十三年度にはおおよそ四兆九千億、五兆円になるだろうという見通しですね。その産業別構成は、十三年度において一次産業が三%、平成二年度とほぼ同じですが、二次産業が二一%から一%上がって二二%、三次産業は七六%から七五%へと変化をすると予測しております。一人当たりの県民所得も、平成二年度の二百万円から十三年度には三百十万円ということで、全国の所得水準との格差を縮小していきたい、こう見立てておる。  この県内総生産を達成するために毎年五・一%の経済成長が必要だと言っているわけです。ここが問題です。もちろん、これは県案を踏まえて国で決定を見ておりますので、それは勘案の上ですが、しかし目下の経済情勢を考えてみますと、この成長目標達成が果たして可能なのか、私は大変障害があるのではないかという気がします。経済の成長率をそういうふうに算出した背景、根拠は何なのか、それをひとつ伺いたい。  また、本土よりも毎年二%高い経済成長を目標としているが、そのような経済成長をするための産業振興なりいろいろの具体的な施策というものは、何を配置し、何をこれからやってそのような経済成長をやっていくのか。御承知のように、三・五%の経済成長はもう不可能ということでこれは下方修正をしている。ここいらの基本的なフレームの中で、スタート段階において早くも疑問視せざるを得ない面が出てきているわけですが、この点は沖縄開発庁としてはどのように御認識しておられるのか、お答えをいただきたい。
  50. 永山喜緑

    ○永山政府委員 お答えします。  第三次沖縄振興開発計画におけるフレームにつきましては、諸種の指標につきましては先生指摘のとおりでございます。総人口が平成二年の百二十二万から平成十三年には百三十万人を超える等々のフレームでございます。この「人口及び経済社会のフレーム」につきましては、計画の目標達成のために実施される諸施策、事業成果等を前提にしておりまして、現時点において目標年次の沖縄の人口、経済社会を展望したものでございます。  第三次沖縄振興開発計画は今年度スタートしたばかりでございます。今後十年の間にはさまざまな経済社会情勢の変動があると見込まれておりますが、現時点においては、本計画に示された諸施策を着実に実施していくことによって、その目標年次である平成十三年には、フレームに示されているような人口、経済社会が実現されるものと考えているところでございます。
  51. 上原康助

    ○上原委員 ことしからスタートしたばかりで、まだついこの間のことですから漠然としたお答えしかできないかと思うのです。しかし伊江長官、あなたは経済の御専門ですが、毎年五・一%の経済成長を見込んでいるわけでしょう。さっき言い ましたように、三・五%も下方修正しなければいかない御承知のような景気状況、バブルが解けて。これまでだって、本土並みということを言いながらも本土より成長率が低かった場合だってあったわけですよ。これはきょう一々数値を持っていませんが、わかることです。  ですから、こういう夢だけ与えるというやり方は僕はどうかと思うのです。もちろん、それは展望、希望は大きく持つのは結構なんですが、そのために具体的に三次振計の中で産業構造や企業配置、いろいろな面をどうやっていくのかという積極的な何らかの施策がない限り、私はこの数値というのは極めて困難性を伴うと思う。この点については、基本的なことですからぜひ長官の見解を聞いておきましょう。
  52. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 経済というのは非常に流動性がございますので、釈迦に説法のようなことを申し上げるのですけれども、その目標値が若干ずれてくることは、今の我が国の三・五%の経済成長率が、バブルの崩壊と申しますか、いろいろな変動によって落ち込んでいることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、沖縄のフレームにつきまして、今御指摘ございましたように達成の確率と申しますか、その確度はいかにというふうな御質問中心になっていると思うのですが、これは確度の問題から御指摘になると、確かに世上の経済情勢の変動によりましてあるいは狂ってくるかもしれません。しかしながら、私どもが県と一緒になって検討いたしました結果のフレームというのは、そういう方向性を持たせて、それに対する計画を裏づけていくということと両々相まってこそそのフレームができ上がるわけでございますので、夢を与えて空夢にして大騒ぎさせるだけじゃないかという御指摘は、これは私どもはいかがなものかというふうに存じます。  しかし、今委員も一次産業、二次産業あるいは三次産業のフレームというものについての御指摘がございましたが、これを経済のフローの面から申しますと、この三つの一次産業、二次産業、三次産業のフレームというのは、これはやはり沖縄県の富はどこから生産されてくるのかということを端的に物語った数値でございます。したがいまして、第一次産業というのは若干落ちて第二次産業が若干上がって、第三次産業が多少下がるということでございまして、沖縄の富はやはり第二次産業と第三次産業というものが大半を支えて進んでまいる、これが沖縄の富はどこから生まれてくるかという一つ方向性を示した数値であろうと思っております。そういう点から見ますとやはり第三次産業は、これはサービス産業あるいは観光産業も含めてのことでございますので、多少率は下がってまいりましても相当に沖縄県としては期待できる成長率を持つ、しかも富が発生する大きな原因の産業であろうと私は思います。  それに加えて、第二次産業の進展というものは、かねがね私が申し上げておりますように、沖縄産業育成のために沖縄の立地条件を生かして、そして沖縄でいかに付加価値をつけていく産業を育てていくかということに起因するわけでございますので、そういう面から見ましてそこからお互いの夢が出てくる、県民にもひとしくその方向に向かって努力していただく、こういうつもりでの数値だというふうにお答え申し上げると、我々の目標ではあるけれどもそれが必ずしも夢ではないということをおわかりいただけるのじゃなかろうかと思うのであります。
  53. 上原康助

    ○上原委員 私は今の長官のコンセプトというのは、僕は素人なんだが、大変失礼だがどうかなと思いますね。それは一々数字を挙げて言いませんけれども、経済成長率を毎年二%以上やる、上昇せしめるという前提を置きながら補助金はカットするとかいろんなことがこれから出てくるわけでしょう。過去の実績もそうなっていない。農業粗生産額だって、第二次振計で計画を立てたけれどもその六〇%しか達成しなかった。今度も第一次産業は、就業構造の面では減っているけれども数値の上では一千一百億が二千九十五億、二千百億を目標にしているんだよ、三次の場合は。きょうは農業問題はこれ以上触れませんけれども、確かに富の生産は二次産業、三次産業を重点に置かざるを得ないというのは私も同感です。しかし、そういう目標を立てているが実績がどうだったかということを聞きたいのです。こっちだってきのう、きょうじゃないんだ。ある程度はわかる、一次、二次から。  例えば二次産業については、フレームの出荷額は一兆円だ。年伸び率は五・九%、十年で二倍になる計算だったですね。だが、この二十年間で、例えばアメリカの施政権下にあったオリオンビールであるとか拓南製鐵のように、むしろ第二次産業というのは、施政権下にあった当時に立地したものが今日の沖縄の二次産業の骨格になっているんだよ。さっきも何か変な言い方もあったけれども、企業誘致を十二年、やると言っておいて何を企業誘致した、保守県政は。全くゼロですよ。石垣空港だって十二年もできなかったんだ、西銘県政も。大田さんはそれを二カ年でやろうとしている。そのこともつけ加えておこう。そういう状態。だから、あなたが富というのは二次産業でなければならないと言うなら、三次振計でそういうような産業構造を目標とするならばどういう企業を誘致をし、どういうような実効性があるかということを私は聞いているのです。もういつまでも余りわけのわからぬやりとりは私は嫌だ。  それと、三次産業は確かに重要でしょう。しかし、本当に今三百万の観光産業というものを五百万以上にする、可能性あるんですか、観光収入を七千億近くに持っていけるのですか、六千九百億ですか。その場合の問題点として水の安定確保をどうするのか、環境保全をどうするのか、もう一つは航空輸送問題ですよ、大臣。それと海外との競争を考えられる。  だから、沖縄の観光とか産業という場合に、金太郎あめみたいに北海道から沖縄まで画一化した行政や計画ではだめなんだよ、正直申し上げて。本当に沖縄の特殊事情、沖縄が戦後二十七年間アメリカに支配されたというようなことをまともに解決するというならば、補助金問題だけじゃなくして制度、政策、いろんな面で特別な配慮をしなければ沖縄格差の問題だとか産業というのは解決しない。そこをどうするかというのが三次振計の第一の目標でしょう。みんなの願いでしょう。そのことをさっきから私も聞いているんだが、相も変わらず文章化されたものだけをお述べになる。今指摘をした問題についてどうお考えなのか、どう解決するのか。
  54. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 抽象的なことを申し上げているわけじゃないのでありまして、そういう方向に向かって第三次振計の計画のフレームができ上がっている、したがって、それを一つ一つ我々は達成をしていけばトータルにおいて十年後にはこういうふうになるだろう、これが計画なのです。ですから今委員が御指摘のように、今までの過去の例に徴してみてもおまえたちの計画どおりにいってないからだめじゃないかというふうな御指摘はいかがなものかと私は思うのでありますけれども、それは別にいたしまして、要するに、そういう方向で私どもはやってまいりたい。そしてまさに御指摘のとおり、五百万人の観光客を集客するというふうに言っておるけれども要件が随分整ってない点が多いじゃないか、例えば空港の容量にしても道路の容量にしても、あるいは水にしても環境の保全の問題にしてもいろいろ条件が整ってないじゃないか、御指摘のとおりでございまして、そういう方向に第三次振興計画を向けてまいります。その結果生まれてくるところの果実が五百万人であり、そしてまた沖縄の経済の浮揚につながる、そういう計画が第三次の振興計画でございます。  ですから、一々御指摘の点についてはお答え申し上げませんけれども、我々は総意をもって今までと違った、二十一世紀に向かって歩む十年の間にそれを達成してまいる、そういう覚悟でこれからいろいろな政策を進めてまいる、こういうつもりでございます。
  55. 上原康助

    ○上原委員 それはこれからいろいろ実際の実績、数値を挙げて議論すればおのずと明らかになることで、また続けてまいりたいと思います。  そこで、そういう前提というかそういう方向、目標を立てた以上は、さっきもありましたが、沖縄高率補助の継続、維持というのは、もう不可欠というよりもむしろ常識化した常識論だと私は思う。もちろん、前年度だって五兆円前後の収入減があるというようないろいろな報道もあるから、全国的に財政も厳しい。それはわかるけれども、最近の新聞報道等でなされているように補助率見直しをやる、しかも一年前倒しでやりたいというような考えも持っているようですね。何か大蔵省、自治省は既に合意をしたという報道もある。  だが、これも宮澤総理は私がこの間沖特でお尋ねしたときに、補助金問題があのときから問題になって聞いたら、全体的な補助金見直しというものはナショナルなものであって、沖縄の特殊な事情には当てはまらぬだろうということをおっしゃった。同時に、私たちが井上委員長と一緒に厚生年金問題を含めて官邸で申し入れをやったときも、沖縄の補助金をカットしても幾ら国の予算全体に波及するのか、それは微々たるものだと思うので、沖縄はやはり考慮しなきゃいかぬだろうということもおっしゃっておる。そういう御発言もあったので期待もしておったわけですが、なかなかこれも厳しいというような感じです。  改めてこれを聞きたいわけですが、伊江長官も、大蔵の姿勢として漏れ聞きしてはいるが正式に聞いていないと語っていますね。もう一つは、地域の富裕度があるから補助率はそれに応じてやってもいいんじゃないかということを、その意味は何かよくわかりませんが、今言いましたようにフレームにおいてそういう目標を立てて、格差があるからなくするんだ、しかも本土より、やまとよりは二%も上回った経済成長率でいかなければこの目標は達成しない、格差も縮まらないということを言っている以上は、これは何も開発庁だけの振興開発計画ではないはずなんだよ。最終責任者は総理大臣だから政府全体のものでしょう。そうなると、一次から二次へもう削減はされているけれども、この高率補助については継続しないと、これはもうますます最初から絵にかいたもちと言っても等しいほど計画が達成できなくなる、狂うことになる。これは極めて重大な問題ですよ、大臣開発庁としてももう一度高率補助の問題については、私がさっきから議論をしたそういう前提で私はこれをお尋ねしているわけですから、このためにはもう本当に沖縄県も与野党挙げて高率補助の継続、維持というものはやらなければいかぬ。これはまた委員長にもお願いしたいわけだが、本委員会でも場合によってはこれは最終的に、まだ延長もするかもしれませんからね、理事会でも相談をして新たな決議をするか申し入れをするかぐらい考えなければいかない重要な課題だと思うので、大臣の決意のほどをお聞かせください。
  56. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 よくぞ申されましたと申し上げておきたいと思うのですが、本当にそのとおりだと思うのです。ですから、先ほど来宮里先生仲村先生にもお答え申し上げましたように、我々としては特殊事情というもの、沖縄地理的条件の問題あるいは離島性の問題を含めての問題と、それから沖縄の国に対する財政依存度が高くて自己財源が少ないということで、その意味から考えるとやはり高率の補助というのは絶対に必要であろうということで、その決意でもって臨むわけでございます。やはり先生方の御後援を賜りながらやってまいる、こういうことでございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  57. 上原康助

    ○上原委員 これは総務局長でも振興局長でもいいですが、もし補助率を、沖縄特例が本土並みに今大蔵がやろうとするような方向でカットされるとするとどのぐらい年間変わるのですか。ちょっと明らかにしておいてください。
  58. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 お答えいたします。  平成五年度の予算要求につきましてはただいま要求中でございますが、平成四年度の沖縄振興開発事業費に係る沖縄のいわゆる補助率の引き下げ、暫定カットでございますが、この現行の補助率負担の引き下げ措置による沖縄への影響額は、平成四年度ベースでございますけれども、百七億円でございます。
  59. 上原康助

    ○上原委員 お聞きのとおりこれだけの額になるわけで、それから波及する面もあるでしょう。今は裏負担とかなんとかいっていろいろ地方公債でそのようになっている。自治省来ていると思うのですが、今お聞きのとおり。そこできょうあえて大蔵省を呼ばなかった。大蔵省呼んでカットするなんて言われても困ると思ってあれなんだが、大蔵省と自治省は、地方自治体の事務経費とかそういうものを簡素化体系化するというような前提で、高率補助見直しをさっきあったように二通り、あるいは三つに分けるということが既に合意したとかなんとか報道があるのですが、自治省はどういうふうにお考えなのか。しかも、さっきから議論しているように、沖縄のように財政依存度の高い地方県においては大変なんだ。これは沖縄県だけではないと思うのです。全国的な問題。少し基本的な考えだけを聞かしておいてください。
  60. 林省吾

    ○林(省)説明員 お答えをさせていただきます。  お尋ねの高率補助の問題につきましては、高率補助ということに限りませんで、現在公共事業等に係る補助率につきましては、御案内のように、全国的な措置の一環といたしまして平成五年度までの暫定措置が講じられているわけでございます。これにつきましては、当時の関係省庁の申し合わせによりまして、行革審答申等を踏まえまして、体系化簡素化等の観点から関係省庁間で総合的な検討を進め、可能なものから逐次実施に移すということにされたわけでありまして、これを受けまして、現在、公共事業等の補助率等に関する関係省庁連絡会というものが設置をされておりまして、関係省庁間でこの問題につきまして鋭意検討がなされているところでございます。  御質問のように、私どもその結論につきまして合意をしたということはございませんで、その連絡会の場で、関係省庁いろいろ補助率体系化簡素化についての問題点、あるいはそれぞれのよってまいりました補助負担率の経緯等につきまして検討いたしているわけでございまして、自治省といたしましては、この問題につきましては国と地方の責任分担あるいは費用負担のあり方等の基本に立ち返りまして、地方公共団体の自主性を高める、こういう点、さらにお尋ねのような沖縄に適用されております補助負担率につきましては、沖縄の置かれております特殊事情を考慮すべきであるという点も踏まえまして、総合的な見直しに取り組んでまいりたいと考えているところであります。
  61. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、五年度からの見直し、一年を前倒しにするとかそういうのが決まったわけじゃない、自治省はそれに合意したわけじゃない、こう理解していいですね。それと、沖縄に対しては自治省としても特段の配慮をするということを前提で全般的な作業もやりますね。
  62. 林省吾

    ○林(省)説明員 お答えを申し上げます。  確かに現在の暫定補助率平成五年度までのものとされておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、関係省庁間で総合的な検討をして可能なものから逐次実施に移すということにされているところでございまして、関係省庁そういう方向検討はいたしておりますが、現段階でまだ案が決まったわけでもございませんし、関係省庁が合意に達したという状況になっているわけではございません。その場所で各省庁いろいろと御意見もございますので、その御意見を交換しながら、関係省庁の申し合わせに沿った解決が図られるよう私どもとしては努力をいたしているところでございますが、結論が得られるかどうかについては確たることはまだ申し上げられない状況でございます。
  63. 上原康助

    ○上原委員 まあ関係省庁といっても、これは建設であるとか農水とか、運輸省もかな、そういうところが主要官庁かと思うのだが、今申し上げたことについてはぜひ自治省としても御考慮を願いたい、そういう注文をつけておきます。  あと、この三次振計と自由貿易地域問題についてちょっと聞きたかったのですが、時間がだんだん来ていますのであったらやるとして、もう一つ琉球エアコミューターの件について。  要するに離島航空路の件で、私は、南西航空からエアコミューターに移管するときにもこれは運輸省に強く注文をつけたのです。要するに安全性の問題、定期運航、便数あるいは運賃、この三条件が入れられなければ移行することは難しいということが私がいろいろ御相談をしたときの運輸局長のお話だったのですが、そのことについては、関係者からも安全性、定期運航、いわゆる便の数ですね、運賃値上げ等はやらぬという確約というか、そういう申し合わせがあったということで、十一月十六日から御承知のように南北両大東とか宮古−多良間、多良間−石垣等々をこの琉球エアコミューターがやっているわけですが、運航と同時にもう欠航が相次いで大変な不満、不便を南北両大東、関係離島は負っているわけですね。もちろん天候不良とかいろいろな不可抗力の面もあったことは認めますが、やはり懸念されておったことが起きている。このことについてどう善後策を講じるのか、運輸省でもいいし開発庁でもいい、まずお答えください。
  64. 松本武徳

    ○松本説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、十一月十六日をもちまして、沖縄の離島路線六路線につきまして南西航空から琉球エアコミューターに移管がなされたわけでございます。移管に際しましては、使われております機材、DHC6型という機材でございますが、この整備につきましては南西航空と同等の体制をもって引き継いでおります。すなわち、整備士の配置とか予備品の配備等については南西航空と同等でございまして、また各基地におきます整備、ふぐあい発生時の技術的な対応についても、南西航空の全面的な支援を受けることとしております。  しかしながらまた、十一月十六日の移管後機材のふぐあいによる欠航が続いたということも事実でございまして、先ほど申し上げましたように、基本的には南西航空の全面的支援を得、またその体制も南西航空当時と同等にしておるということから、私どもとしては整備の体制に根本的な問題があるということは考えておりませんが、先生指摘のとおり数件のふぐあいがあったことも事実でございまして、私どもはこれらのふぐあいについて所要の対策をとり、同種ふぐあいの再発の防止を図らせるとともに、今後も注意深く見守っていき、必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  65. 上原康助

    ○上原委員 細かいところまで議論するゆとりはありませんけれども、これは要するに南西航空が運航しておったときでさえいろいろ問題があったわけですよ。それを切り離してちつちゃい離島だけエアコミューターをつくれば、なお機材の取得とか経営面で悪くはなってもよくはならぬですね、常識的に考えて。二次振計、第三次振計でも離島振興というのは非常に強調しておられる。だから、これはビジネスライクだけでは解決できない問題だと私は思わざるを得ないわけですね。もちろん、それは経営企業に第一義的な責任があることは言うまでもないですよ。離島の皆さんの足とか安全性、不便というものを本当にもっと考えなければいかぬと思うのですよ、伊江長官。  だから、運輸省、開発庁検討いただきたいのだが、御承知のように今離島航路、いわゆる離島船舶航路の赤字経営を余儀なくされているものについては地方公共団体を通して国の助成措置があるわけですね。これは沖縄だけじゃないと思うのだが、生活大国ということなら、まずこういう面からしっかり財政的にも政策的にも私は裏づけすべきだと思うのですよ。検討課題として、さっき申し上げた安全性の問題であるとか便数、定期運航ですね、あるいは運賃問題等々は当然ですが、今後、離島苦を解消するという前提でこの離島船舶航路の補助制度のようなことを考えてもらわぬと、沖縄や長崎やエアコミューターを持っているところは本当に大変なんだ。このことについて長官の御見解をひとつ聞いておきましょう。
  66. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 離島航路につきましてのような格好にはすぐにまいらぬかと思いますけれども、少なくとも離島航空が採算性がとれるということを保証するためには、将来の問題として検討の課題であろうと私は思っております。  その前に、今コミューターで結んでおります小型飛行機の運航というものの是か非かの問題がございますけれども、やはり大型の飛行機、少なくともYS11型の飛行機を持っていくためには空港整備が必要でございます。何しろ千五百メートルぐらいの滑走路がなくてはなりませんが、今御指摘地域、例えば両大東島についてはその設備がございません。目下、南大東島についてはこれを延長するという計画になっておりますから、いずれはその問題は機材とともに解決していくだろうと思います。それから北大東島につきましての航空路につきましては、先ほど仲村先生からも御質問がございましたように、一つプロジェクトとして来年度の予算の要求の中に入れてまいろうかなという話が今進んでおりますので、逐一そういうふうなことで空港整備と機材整備相伴って賄っていく、さらにそれ以上に採算上たえられないということになれば、その時点において御指摘のような船舶によるところの赤字補助、国の補助というものもやはり検討しなければならぬな、しかしそれは沖縄だけの問題じゃございませんで、全国並みとして考えなければならぬ、そういうふうに思っております。
  67. 上原康助

    ○上原委員 これは長官もうとっくにおわかりのように、南大東にしても北大東にしてもこれから空港整備をするわけです。これは七年ないしそれ以上かかるかもしれない。それが前倒しできればなおいいけれども、しかしその間はどうするのかということを私は言っているのです。本当にこれは関係離島の住民にすれば死活問題ですよ。これは開発庁としてももう少し運輸省とよく相談をして方法を講じていただきたい。  もう時間ですから、最後に漁業補償問題について。米軍訓練区域の制限下における漁業補償問題が、復帰時点で対象になった人々しかやっていないものだから大変問題がある。これは陳情も要請も受けていると思うのです。やはり沖縄は四万海ですから、その制限対象だけじゃなくして、その後漁業に従事をしたとかあるいは世代交代をしたとかいろいろな面を再検討して、現時点でふさわしい補償のあり方というものを図ってもらいたい。この点について最後にお答えいただいて、時間ですから終わります。
  68. 中村弘

    ○中村説明員 御説明申し上げます。  制限水域にかかわります漁業補償につきましては、漁船の操業制限法第一条により設定された制限水域において従来、従来というのは告示の設定以前という意味でございますが、適法に漁業を営んでいた許可漁業者及び自由漁業者、いわゆる従来適法漁業者と呼んでおりますこれらの漁業者が漁船の操業制限等により漁業経営上の損失をこうむった場合には、同法第二条に基づく通常損失について補償しております。それから他方、制限水域内に漁業権及び入漁権等が存在する場合には、関係漁業協同組合との契約により漁業権等の行使の制限を行い、これに伴う損失を補償しております。  さらに、漁船の操業制限法に基づく漁船の操業制限または禁止を行う場合、先ほど申し上げました従来適法漁業者に対する損失の補償のほかに、相続人等の自立あるいは従事者が自立した場合あるいは漁場が変更された、あるいは増統等のいずれかに該当する漁業者につきましては、行政措置による漁業見舞い金により救済しているところでございます。これは、従来適法者と同様これらの漁業者が制限水域を含む一帯の漁場を生業の場としていること、また、従来適法者に準じて取り扱うことが適当と判断されることから行政措置として行わさせていただくというところが現状でございます。
  69. 上原康助

    ○上原委員 だからその現状が実状にそぐわない面もあるから、再検討して見直すなり、予算面においてももっとしっかり確保してやってくれ、補償すべきである。やりますね。
  70. 中村弘

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  これらの漁業者につきましては、できるだけ関係漁業者等の意見を拝聴しながら努力に邁進していきたいと思います。
  71. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  72. 井上一成

    井上委員長 玉城栄一君。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 まず最初に運輸省の方にお伺いをいたします。  十二月四日午前、南西航空那覇発岡山行きボーイング御が沖縄上空を上昇中、米軍機と思われる戦闘機四機と異常接近、ニアミスですね、回避操作したと運輸省に報告されております。米軍に照会するなどの調査を始めたと思いますが、ニアミスの状況はどうだったのか、並びに米軍の飛行計画は出されていたのか、お伺いをいたします。
  74. 林圭一郎

    ○林(圭)説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの十二月四日の異常接近報告の件でございますが、南西航空一二便の機長から、那覇空港を十時三十七分に離陸した同便でございますが、これが承認高度一万メートルに向けて上昇中、十時四十七分ごろ、高度四千二百メートルから約五千七百メートルの間において米軍と思われる戦闘機と接近したということで、航空法第七十六条の二に基づき報告してまいったものでございます。  報告によります接近時までの状況といたしましては、南西航空機が那覇空港から北西に向かって約五十五キロ地点まで上昇しているときに、高度は四千二百メートルを通過していたわけでございますが、進路の右方向約九キロないし十二・六キロの下方に四機の米軍機と思われる戦闘機を発見した。その中の二機が南西航空機の進路前方右下方の方から左上方の方に横切った後、南西航空機の左前方から接近して同機の左方向に飛び去ったということでございます。最接近時につきましては、進路左方水平距離約一・八キロから三・六キロメートルというふうにパイロットは報告しておりますが、高度につきましてはほぼ同高度であった。そこで南西航空機は右の方向に上昇しながら旋回回避したということでございます。  本件につきましては、現在直ちに調査に入ったところでございます。また一方、米軍機に関しましては、在日米軍司令部に対して調査を依頼しておるところでございます。  それから、もう一件お尋ねのフライトプランの件でございますが、これについても現在鋭意調査しておるところでございます。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 この飛行機には百三十九名乗っていたわけです。これは事故までは至らなかったということで大変安心をしているわけですが、こういうニアミスの事件は沖縄ではことしの一月にも二回ありますね、米軍機と民間、これはJAL。それをちょっと報告してください。私、割り当て時間が十五分しかありません。
  76. 林圭一郎

    ○林(圭)説明員 お尋ねの件は平成二年の一月十日と十一日の件かというふうに承知しておりますが、やはり同じように、今回の南西航空の場合は六十キロの地点でございますけれども、前回のときには七十数キロのところで日本航空が米軍の戦闘機の接近を見たというふうに報告してまいったわけでございます。  この事案に関しましては、調査した結果、それぞれ高度差間隔がとれていたというようなことと、交通情報などを得て両方のパイロットが承知しておったというようなことを勘案しまして、差し迫った空中衝突あるいは接触のおそれはなかったというふうに断定いたしましてニアミスとは判定いたしませんでしたが、民間の航空機に非常に心配させることはよくないことなので、米軍の戦闘機のパイロットに対して航空路の構成や空域の構成などをよくブリーフするようにというふうな措置を行っております。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 問題は、こういう事件が起こらないようにすることが非常に大事なんですが、まず米側からこっちに来るのですか、そのフライトプランが。それと、こちらも出す、向こうも出す、事前にそういう検討がされているのかどうか。その辺はどうですか。
  78. 林圭一郎

    ○林(圭)説明員 お答えいたします。  一般に、米軍からVFRのフライトプランは来るということになっております。ただ、本件につきましては、ただいまいろいろと調査中でございます。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは非常に重要な問題で、沖縄空港は非常に過密な状態ですから、あした本委員会でも外務省との質疑がありますので、時間がありませんからそのときお伺いします。  長官、新石垣空港の問題で私もお伺いしたいのです。  その前にちょっと農水省の方にお伺いをいたしますが、二十日に沖縄県知事が宮良案だということを記者会見で表明されているわけですね。宮良案というこの空港予定地の中には優良農地が非常にたくさんあるわけで、そこに相当巨額な国費を投じているわけですが、それを空港に転じていいものかどうか。これは三次振計との絡みもありますから後ほどお伺いしますけれども、その前に、まずその点を農水省の方にお伺いをいたします。
  80. 小林新一

    ○小林説明員 お話しの宮良案でございますけれども、国営かんがい排水事業を初めといたします土地改良事業を行いまして、農業振興の基盤として整備された優良農地が多く含まれております。この地区は、県、市、農家の合意のもとに、石垣市の農業振興の核となる生産基盤を整備すべく、国営の土地改良事業により整備してきた地区であります。ほぼ工事を終えまして、これから農業の積極的展開を図ろうとしているところでございます。  こうしたこともございまして、宮良地区につきましては、地元石垣市を初め、農業委員会、土地改良区などが反対している状況にあると承知いたしております。このような中で沖縄県が新石垣空港の候補地といたしまして宮良案を選定されたことにつきましては、農林水産省といたしましては、今のままでは得心がいかないと言わざるを得ないのであります。  いずれにいたしましても、今後、沖縄県と地元との間で農業面に及ぼす影響を含め十分な意見調整が行われ、コンセンサスが形成されることが基本的な前提であると考えております。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっと数字的なものは省きますけれども長官、農業というのは非常に大事ですね、私が今さら申し上げるまでもありませんけれども。やはり亜熱帯農業ということで、沖縄のこれからの将来において農地は狭めることはできない。むしろそういう意味で、こういうふうな優良農地を空港に転ずる、ほかにも空港としての候補地はあるわけですから、なぜそれができなかったかということが我々は非常に疑問に思うわけですが、長官沖縄の農業というものをだめにしてでも空港をつくるという考え方、それはいかがですか。
  82. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 今の新石垣空港の候補地を絞り込んだという県知事の御決定について私は価値判断を申し上げる立場にございませんが、今御指摘の一般論としての、沖縄の狭い土地の中で農業振興を図るべき今後の方向として農地を大事にしなきゃならぬなという点については御指摘のとおりでございます。空港をそこに決めたことについての価値判断は、私の立場としてはちょっと申し上げられないわけでございます。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですからこの地域は、空港として建設する場合に、関係する諸機関、団体、その競合の問題、調整の問題、手続の問題、余りにもクリアしなければならない問題がたくさんあるわけですね。ですから沖縄開発庁長官として、そういう地域でも空港はいい、好ましいというふうに考えてはいらっしゃらないんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  84. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 これは先ほど農水省からもお答えがございましたように、いろいろな役所からのいろいろな御意見があろうと思うのです。それから沖縄県、地元の石垣市、そこの地権者、農業委 員会、最終的にはそういう方々のコンセンサスをいただいた上でなければ着工についての予算要求というものもできないし、また我々としても、そういうことが決まらない限りにおいては御後援申し上げるわけにはまいらない、こういうわけでございますので、一般論ではございますけれども、直接のお答えにはならぬかと思いますが、そういうことで考えております。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に。沖縄県の副知事がその件でつい最近石垣島へ行きましたら、反対が多くて空港から一歩も出られない、それでまた沖縄本島に引き返したというくらい地元では非常に反対の空気が強いわけですね。しかも、同意書の必要な石垣市議会はもちろん、さっきもお話ありましたけれども県においてもそういうことで、これは非常に難しいところを選定したなという感じがするわけです。ですからその点をぜひひとつ考えていただいて、着工は一日も早い方がいいわけですからこれは早くしていただきたいのですが、しかし宮良の地域はクリアしなければならぬ問題が余りにも多いということで、これは長官としても考えてみる必要があるのじゃないかと思いますので、ぜひよろしくお願いします。  以上です。
  86. 井上一成

    井上委員長 藤原房雄君。
  87. 藤原房雄

    ○藤原委員 きょうは非常に限られた時間でございますが、地元からの強い要望や、過日、八月三十一日ですか、石田委員長ともどもに現地へ参りまして視察のみぎり寄せられたことではございますが、二、三点についてお伺いをしておきたいと思うのであります。  一つは北対協の融資事業の問題でございますけれども、この問題も、今日まで北方領土元居住者に対する融資制度の拡充強化ということでいつも言われておることでございますし、総務庁としましても、この辺については前向きに実態を調査したい、こういうことで今日まで来ておるわけでございますけれども、この融資事業の対象範囲、それから融資枠の拡大、最近は融資枠のことについても需要が非常に大きいということでございますが、この点について現在までの調査の結果、また今後どう持っていこうとしているのか、その辺をお伺いしておきたいと思います。
  88. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 まず、融資枠の規模拡大の件でございますけれども、元居住者などの要望等も踏まえまして当初は十億円、昭和六十一年から平成三年までが十二億円、そしてただいま申し上げたように元居住者の方々から強い要望もあったところでございますので、十分とはいえませんが、二億円増額いたしまして本年度から十四億円、こういうことに相なったわけでございます。  次の点でございますけれども、北方領土がまだ返還されていない、そうした状況におきまして、北対協が行っております融資制度の問題につきまして、元居住者の方々からその対象枠を拡大してほしい、そうした強い要請があることについては私も十分承知をいたしております。ただ、先生も御案内のとおり本制度の問題につきましては、単に世帯主だけではなくて、六カ月の居住要件を満たしておる方々には、配偶者あるいは子供を含めましてすべて融資対象に相なっておるわけでございます。と同時に、本制度の趣旨が元居住者の方々の生活安定を図るというような事情等もございまして、本制度につきましては検討は続けておるわけでございますが、さらに一層慎重に検討すべきであろう、このように考えておるところでございます。
  89. 藤原房雄

    ○藤原委員 検討検討でまた検討するということですが、何を検討するのか。これからいろいろお伺いしなければならないことがあろうと思うのですけれども、時間がございませんからあれですが、これは北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律、まあ法律事項になっているわけですから、法律改正を伴うことでもありましょうし、いろいろな問題があることは私も存じております。しかし、当時といたしましては、五十年も六十年も一世紀もかかるということではなかったろうと思いますし、その間の生活の問題、それから地域性からいいましても、大きな企業が張りついてそして地域が大きく変貌するという実態にもございませんから、いろいろなことでこの法律措置を設けたのだろうと思いますし、そういう現状からしますと、一代限りではなくて子や孫にもということについても長い目で見ていくといいますか、そういうことの対応も現時点においては検討しなければならない、こういうことだろうと思うのであります。  この北方地域に対しましては特別措置法等で国としましてもいろいろやっておるわけでございますけれども、しかし現実の問題、ここで大きな産業がそう大きく振興するという現状にもない。一番中心であります漁業につきましても、公海は締め出される、またこの北方地域におきましても現状は非常に厳しい、こういうこと等も考えますと、この対象範囲のことにつきましてはもっと前向きに検討すべきじゃないかと思うのですが、この点、いかがお考えでしょう。
  90. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 今先生から幾つか、融資枠拡大の必要な要件あるいは環境等々についてお話がございました。確かに法律改正を要する案件でございますので、そうした法律制定の時期あるいは時間的な経過の中での問題点、こういったものをあわせ含めながら、同じ答弁の繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、引き続き本当に現状を直視しながら慎重な検討をいたしていく必要があるであろう、かように考えるところでございます。
  91. 藤原房雄

    ○藤原委員 ぜひ、慎重にして速やかに結論が出るような御検討をそろそろ進めていただきたいと思います。  次に、先ほども申し上げましたように漁業が中心地域でございます。その漁業にまつわります諸問題があるわけでございますが、地元からの要望というのは中心的には漁業問題でございます。きょうからですか、日ロ漁業協定で交渉が始まっておるわけでありますが、そのほか、韓ロ漁業協力協定というものが今後どういう動きになるのかということや、共同漁業権の権益が今後どういうふうに動いていくのかということや、いろいろ問題があるわけであります。今日までも議論されておりますし、またいろいろ御答弁もいただいておるわけでありますが、この機会でございますからお伺いしておきたいと思うのでありますけれども、北方四島の旧漁業権のことについて、総務庁並びに水産庁の見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。  この問題については今日までもいろいろ論議されております。旧漁業権についての政府の見解は、昭和二十一年一月二十九日付のGHQ覚書によって北方領土には我が国の行政権が及ばなくなった、そのため、その時点で島民の漁業権は消滅したという立場であると承知をいたしておるわけであります。しかしながら、北海道弁護士会連合会は昭和六十三年に、GHQ覚書は日本政府の政治上または行政上の権力行使を一時的に停止することを命ずるものであって、それが直ちに国民の実体上の権利の消滅を来すものではない、しかも政府は、漁業権と同様に物権としての性格を持っている不動産所有権や鉱業権については、GHQの覚書にもかかわらず当時から現在まで存続していることを前提に保存的事務処理をしてきたということから見ても旧漁業権についての従来の政府の見解は誤りである、こういう検討の結果を発表いたしておるわけであります。このようなことを踏まえますと、政府は従来の見解を率直に見直してみる必要があるのではないか。  これに対するお答えをいただきたいということとあわせまして、旧漁業権補償の問題でございますけれども、旧漁業権者に対する政府の対応は、北方領土問題対策協会の十億円の基金による融資措置だけであります。現在は十四億ですか。しかしながら、北方領土と同様にGHQに行政分離された伊豆諸島については本土並みの補償が行われ、また小笠原、沖縄については漁業振興資金などの措置がとられた。このように法律的にも疑義があり、また政治的に見ても著しい不均衡がある というふうに見られている。旧島民の方々の中には既に亡くなられた方々がおられるし、また生存されていても高齢化しておる。将来領土返還が達成されたとしても、これらの方々がその恩恵を受けることは現実問題としてはなかなか難しいという現状の中にある。そういうこと等を考え合わせますと早急な手厚い補償措置を行う必要があるのではないか。政治的な面や法律的な面等につきましてこういう提言がなされておるわけでありますけれども、これに対しましては政府としてはどういうお考えなのか、総務庁とそれから水産庁にお伺いしておきたいと思います。
  92. 本田進

    ○本田説明員 お答えをいたします。  私、水産庁でございます。最初に旧漁業権の補償の問題でございますが、北方四島の旧漁業権につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、昭和二十一年一月二十九日付GHQ覚書による行政分離措置によって消滅したため、新漁業法の施行に伴って行われました旧漁業権の補償の対象になり得なかったということでございまして、国として法律上その補償を行うことはできないという見解をこれまでたびたび示しているところでございますけれども、この見解を見直す必要があるとは考えておりません。  次に、伊豆諸島、小笠原、沖縄との比較の問題でございます。  伊豆諸島でございますけれども、昭和二十一年一月二十九日付のGHQ覚書により行政分離措置が行われたわけでございますが、その後直ちに覚書の修正が行われ、旧漁業権はそのまま存続し、その後、昭和二十五年の新漁業法の施行により旧漁業権が消滅した際に、漁業法施行に伴いまして漁業権の補償がなされた、こういうことでございます。  一方、小笠原、沖縄についてでございますけれども沖縄及び小笠原の復帰の際に、沖縄につきましては、沖縄沿岸漁業振興特別資金貸付事業ということで国庫助成十一・五億円、小笠原につきましては、小笠原諸島沿岸漁業振興特別資金貸付事業ということで国庫助成二・八億円が措置をされているわけでございますが、こうした措置は、北方四島について昭和三十六年に国が北方協会に交付いたしました十億円のうちの七・五億円と同様に、旧漁業権の補償を行った場合の補償額に見合う額を算定して交付をしたものでございまして、北方四島とその他地域とは、その取り扱い上おおむねバランスがとれていると考えております。  以上でございます。
  93. 上村知昭

    ○上村説明員 お答えいたします。  ただいま水産庁から御答弁がございましたところでございますが、私どもといたしましても、北方地域の旧漁業権につきましては二十一年一月二十九日付GHQ覚書によりまして、いわゆる行政分離措置によって消滅をいたしたために、新漁業法の施行に伴って行われました旧漁業権の補償の対象とはならなかったというふうに承知をいたしてございます。私どもといたしましは、このような北方地域の特殊事情を考慮いたしまして、政府は昭和三十六年に北方協会に対して基金十億円の交付をいたしまして、漁業権者等の方々の生活資金、事業資金の低利融資の措置を講じたわけでございまして、これ以上の措置については、先ほど御答弁ございましたように困難というふうに承知をいたしております。  なお、この低利融資でございますが、基金の運用益の貸付資金といたしましては、その後貸付融資枠の拡大の御要望に応じまして基金の運用益による自己資金もこれに加えまして、本年度は二億円の増といたしまして十四億円の融資枠の拡大ということを図っているところでございます。
  94. 藤原房雄

    ○藤原委員 このことは今まで当委員会におきましても議論されてきたことでもありますし、わずかの時間で結論づけるということは簡単なことでは決してないと思います。しかし、いろいろ申し述べたいこともございますので、また別の機会にさせていただきたいと思います。  いずれにしましても、法的なことや実態ということとともに、最近私ども考えますことは、きょうも沖縄の方からもいろいろなお話がございましたけれども、過去の経緯がいろいろありますが、これは政治的な決断で進めなければならないことなのだろうと思います。役人に聞きますと御説明はあるかもしれませんけれども、これはやはり政治家としての総務庁長官の決断が解決一つの糸口を見出す。また地元の方々も、何十年かかってもいつまでたっても納得のいかないこういうことが議論されるということではなくて、やはりしなければならぬだろうと思います。これはぜひひとつ大臣におきましても念頭に置いていただきたいものだと思うのです。  最後になりますけれども、ことしから北方四島の交流事業が始まったわけであります。これについて来年どうするかということでありますが、ことしは北海道、地方自治体でそれぞれ資金を出し合って何とかやったわけです。来年は総務庁それから外務省で予算をつけたようでありますけれども、それにとどまらず、内容的に反省した中からといいますか、この実態からさらに踏み出す方向性というのはあるのかどうか。いろいろな団体がありまして、また日ロ極東交流合同協議会、そのほかいろいろなものがありましていろいろなことをやっておるわけでありますし、アクションプログラム等でそういうものを推進するということもございますが、最も隣接した地域の中でのビザなし渡航というのは、そういう点では非常に成果のあったことだろうと思います。  役所仕事では今後また推移を見ましてということになるだろうと思いますけれども、推移ばかり見ていてもしようがないのです、やったわけですから。これも政治家の長官の国務大臣としての決断というものも必要なんだろうと思いますが、ぜひひとつ、現状と今後のことについてどうお考えになっていらっしゃるか、時間もありませんから端的にお答えいただきたいと思います。  また、根室市におきましては交流拠点として「国際交流スクエア・ネムロ」をつくりたい、こんなことも言っておるわけであります。こういうことについても積極的にまた推進をしていただきたい、こんなことも思うわけでありますが、最後にひとつ大臣の御見解を伺って、終わりたいと思います。
  95. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 お答えいたします。  本年度の北方四島との交流の枠組み、いわゆるビザなし渡航の問題につきましては、お互いに五回ずつ交流を行いました。日本側からは三百四十六人、北方四島側からは二百三十二人相互交流を行いまして、直接対話も行われ、友好関係の中に信頼関係、相互理解が増進をいたして相当な成果を上げ得たものであろう、このように考えておるところでございます。今先生指摘のように、来年についてはさらにその交流の場をより以上に提供いたしまして、相互信頼が深まるよう、そしてそのことによって北方領土問題が早期に解決できるようということで、総務庁としては、今まで北対協あるいは北海道にそうした交流についてはすべてお願いをいたしておったわけでございますが、総務庁独自の予算といたしまして、平成五年度概算要求に一億三千四百万円ほど予算の要求をいたしたところでございます。  ただ、相互交流をするそのメンバーにつきましては、元島民の方々あるいは北方領土返還要求運動に関係した方々、そしてマスコミ、この三団体が交流のメンバー、組織になっておるわけでございまして、その枠をどうするのか、いろいろ関係があるじゃないかという御指摘でございます。総務庁としてももっと積極的に、あるいは政治的決断が必要であろうという御指摘をいただいたわけでございますが、現在の私どもの立場といたしましては、今申し上げた三団体を軸にその数を広げ、そして友好関係を深める中でこれからも努力をし、それが領土問題の解決に役立つよう総務庁といたしましては最善の努力を尽くしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  96. 藤原房雄

    ○藤原委員 終わります。
  97. 井上一成

    井上委員長 古堅実吉君。
  98. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に、沖縄厚生年金格差是正問題から伺いたいと思います。  ことし五月十二日の当委員会の審議の中で、山下厚生大臣が「復帰二十周年を前に、何らかの方途を講じたい」と答弁されました。その後、沖縄県を含めた関係省庁検討委員会を設置されて半年になりましたが、先ほどの山下厚生大臣の報告でもわかりますように、何ら問題解決のめどは立っていません。正直申し上げて極めて遺憾だと申さざるを得ないのであります。しかも、検討委員会の十月の中間取りまとめでは、沖縄県側が要請の際「格差是正基本的な考え方」として提起していたあの解決案は無理だということで突っ返して、沖縄側から新たな案を出せとされたというふうな報道がございます。  そこでお伺いしますが、政府は、本当に間違いなくこの問題を解決するという御意思はおありですか。
  99. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 先ほど厚生大臣からの御答弁で、新しい立場、つまり法律改正等を含めて新しく検討する、こういう御発言がございましたことにつきましては、私は将来方向を示唆された御認識だと思うのでございまして、期待をいたしております。ただ、先ほど委員が御指摘のように、沖縄県の実務者との間のやりとりで何遍かやはり行ったり来たりがあったようでございますが、厚生大臣の御発言のとおりであるならばまた新たなる立場での委員会の活発な議論が行われる、そして解決に向かっての道を歩むものだと期待をしながら、またそういった方向で私どももいろいろお願い申し上げたいと思っております。
  100. 古堅実吉

    ○古堅委員 これまで言い尽くされてきた問題ではありますけれども、この格差問題が生じたというのは、十三万人近くの県民みずからの意思で年金に加入しなかったということにあるのではなしに、長い間置かれておったアメリカの占領下で加入しようにもできなかった、その結果として生じた問題であります。ですから、そのことについては挙げて政府の責任の問われる問題でもございます。復帰のときに佐藤内閣が閣議決定した沖縄復帰対策基本方針では、教育、社会保障のように本土制度との同一性を確保する要請が高いものについては所要の措置を講ずるとしておりまして、これまで共済年金、国民年金などはその措置がとられてまいりました。ひとり厚生年金だけは取り残されてきたわけで、この責任にかかわる問題をどう解決していくかということにかかわっては、政府は本当に真剣にこの問題について積極的な取り組みが求められているというふうに思います。  先ほど厚生大臣のお答えもございましたし、長官もその立場を踏まえてお答えいただいておりますが、問われている大事な問題でもありますので、いつごろをめどに政府としての責任を果たす立場で努力をされるのか、そういうところあたり、もう一度長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  101. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 確かに御指摘のように、国民年金は企業とは関係なく個人が加入している年金制度でございます。共済年金は県庁の職員初め、いわゆる公的な年金でございます。ですから、厚生年金が企業に従事している人たちの年金制度であるというのとは根本的に性格が違うという点がそもそもこれの扱いの違った点であろうと思うのであります。  それはさておきながら、いつまでというふうな時限を切った話としての御質問でございますけれども、事がやはり現行制度上なじまない問題で、しかも、遡及をして適用してくれというふうな地元県民の御要望であったということから考えまして、実定法上なじまないということであったわけでございますが、私はかつてこの委員会でもお話し申し上げたように、そういう事情であるからこそこれは政治的な領域でもって解決しなきゃならぬなとあえて申し上げた次第であります。それ以後、本来ならば遡及効果という問題については完全に打ち消しをしなきゃならぬ政府の立場であるにもかかわらずそういった検討委員会を設けていただいたという経緯も、顧みるとそういうことがあったゆえであろうと私は思うのであります。  したがって、繰り返しになりますが、先ほど厚生大臣が申し上げたように新しい立場で、つまり法律改正などを含めての検討をするということを申されたことは、将来に向かって検討する方向性を示されたものだというふうに私自身は認識いたしますので、いつまでと時限を切ってではなくて、先ほども申し上げましたけれども、できるだけ早く沖縄の方とそれからこちらの政府側との両方のお立場で検討を精力的に進めていただきたいものだ、それで、それについては私どももいろいろと側面的に御援助申し上げていきたい、こういうふうに思っております。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 それ以上この時点で明確なお答えは得られそうもありませんので先に進みますが、この問題にかかわる長年にわたる現地沖縄を含めた真剣ないろいろな立場からの要請努力にこたえて、喜んでもらえるような形での解決をぜひ図ってほしいと強く要望申し上げておきたいと思います。  次は、先ほども質問がございましたけれども沖縄特例補助制度高率補助制度の問題についてです。  大蔵省、自治省が一九九四年度末までの暫定措置として設定されている公共事業に対する国の補助率見直しについては、先ほどもありましたが、新聞などで報道をされて現地沖縄の関係者は大変心配しています。この高率補助制度の問題は、いわば沖縄振興開発計画の柱の中の柱と言っても過言ではないと思うのですね。ですから、それが全国一律にやられてしまうなどということになったのでは振興開発計画中身をどうするんだ、このように言われる大事な問題だというように考えます。ことし三次振計がもう出発しまして、社会資本整備産業振興の新たな取り組みが進め始められたときであるだけに、この時点でこの問題について心配されるような報道があり、あるいはそういうことになったらどうするかということで論議もしなくちゃいかぬということ自体が、私は正直申し上げて情けない話だというふうに言わざるを得ない感じを強く持ちます。  ことし三月、沖振法の改正の際に宮澤総理はおっしゃいました。高率補助補助率の問題を平成五年に再検討するという問題があるが、その際に沖縄の特殊事情というものを十分考えていかなければならない、このように答弁されたのであります。三次振計の実施に直接責任を負うておられる沖縄開発庁として、また唯一の沖縄県出身の大臣であられる伊江さんとして本当に真価の問われる問題だというふうに考えます。改めて長官の不退転の決意をお聞かせください。
  103. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 具体的な問題については後ほど事務方からの御答弁に譲りたいと思いますので、お許し願いたいと思います。  まず、基本的なスタンスといたしましては、先ほど来申し上げておりますように確かに流れとしましては、これは全国ベースの立場のお話でございますけれども補助率見直しをするという流れでございます。これは行革審での御答申を踏まえての政府一つの方針ということでございます。しかし、さはさりながら沖縄状況を見てみますと、これも繰り返しになりますけれども沖縄の置かれている状況あるいは沖縄のこれからいろいろやってまいらなければならない公共事業、特に水問題、離島の問題、そういったようなことを踏まえますと、どうしてもこれは一般の流れの中で解決し得ない、今の制度をそのまま存続しなきゃならぬ性質補助率確保ということが問われるということでございます。これは先生指摘のとおりでございます。  したがいまして、流れ流れ沖縄の第三次振興計画を進めてまいります上において欠くべからざるものということで一層努力してまいりたいと思っております。
  104. 古堅実吉

    ○古堅委員 ぜひそういう意味で、せっかくつくられた三次振計、その中身に当たってこれ以上地元沖縄に心配をかけなくても済むように、大きな御努力を強く要望しておきたいと思います。  次に、那覇市天久の新都心開発整備事業地元企業優先発注の問題について伺わせていただきます。  天久の米軍返還用地の跡利用として始められております那覇新都心開発事業の起工式がことし十月二十二日に行われ、第一期の工事が開始されております。この事業は、二十一世紀を展望した新しい県都那覇市の都市整備の上でも、さらには沖縄産業振興、沖縄経済発展の上で大きな期待のかけられた事業で、市民、県民から大きな注目を集めております。私は、ことし三月の予算委員会の分科会で、この事業発注に当たっての地元企業への優先発注、県産品の優先使用の問題について質問させていただきました。  そこで、三月の質問を踏まえながら改めて確認したいわけでありますけれども、まず初めに、この事業の総事業及び第一期工事の概要について、金額も含めて簡単に説明されたい。さらに、既に第一期工事の発注が関係企業にされておりますけれども、その発注状況を県内、県外企業別に金額及び率を明らかにしてほしいと思います。
  105. 渡辺明

    渡辺(明)政府委員 お答えいたします。  ただいま御質問那覇新都心開発整備事業、これは昭和六十二年に全面返還されました米軍跡地を利用いたしまして、新しい産業の振興を図る拠点を創出しようとする事業でございます。先般、十月二十二日に現地において起工式が挙行されまして、今後事業が本格的に行われることになるわけでございますが、先般決定されました第三次沖縄振興開発計画におきましては、中南部都市圏を沖縄の中核都市として整備することとされておりまして、本事業はその中核となるものでございまして、完成の暁には沖縄の拠点性がさらに高まるもの、このように確信しておるところでございます。
  106. 古堅実吉

    ○古堅委員 時間もないんだから、質問にはお答えいただかなくちゃいかぬ。総事業費とか、あるいは発注の県内、県外のあれはどうなんだということを聞いておるんですよ。
  107. 入野睦則

    ○入野説明員 お答えさせていただきます。  先生指摘の総事業費でございますが、総事業費約六百三十億円、これは土地区画整理事業費のほかに地域公団が買収する事業費、それから関連公共事業費等も含んでございます。これが平成元年からおおむね十年間ということで計画されてございます。  次に、先生おっしゃいました平成四年度の地域振興整備公団の事業にかかわります発注額でございますが、およそ十億一千六百万円でございます。そのうち、三分の二に当たります六億七千五百万円につきましては地元企業、三分の一については県外企業に発注したと報告を受けてございます。
  108. 古堅実吉

    ○古堅委員 先ほど引用いたしました三月の予算委員会での私の質問に対して国土庁の藤原官房長は、「地元企業の受注機会の増大ということは、沖縄経済地元振興の観点からも非常に重要だというふうに考えておりますので、そういう考えのもとに公団に対して臨みたい」というふうに答弁されました。那覇新都心開発事業での地元企業への優先発注問題に関して、政府として公団に対してどのような指導をしてこられたか、その要点を簡単に御説明ください。
  109. 入野睦則

    ○入野説明員 三月の先生の御指摘につきましては、直ちに地域振興整備公団に伝えたところでございます。また五月には、中小企業庁より出されました「公共事業等の施行における中小企業の受注機会の増大について」という文書、それから七月には、閣議決定でございますが、「平成四年度中小企業者に関する国等の契約の方針」、さらに九月には、中小企業庁より出されました「平成四年度中小企業者向け官公需契約目標額の達成及び受注機会の増大について」という文書でございますが、それぞれ地域公団に対しまして、地元中小企業の受注機会の増大につきまして特段の配慮を要請したところでございます。
  110. 古堅実吉

    ○古堅委員 第一期工事の発注を見ますと、先ほど御説明がありましたように、四年度の工事を見ますと県内企業への発注が三分の二、県外企業への発注が残りというふうになっていまして、一定の努力がされているというふうに思います。同時に、二億円規模の事業、いわゆる言われているAランクの事業について地元の企業の受注というのがいろいろな面で制約を受けるということがございます。これも努力いかんによっては分割発注をもって地元企業への発注が可能だというふうに思いますし、その道をどうつくっていくかがまた問われている一つの課題であろうと思います。ぜひそういうことも含めて御努力を願いたいと思います。  時間がありませんので、長官最後要望を含めた質問をさせていただきます。  先ほど答弁がございましたようにこの事業は総事業費六百三十億円、十年間にわたる大事業で、これが地元企業を優先してどのように喜んでもらえるようなことになっていくかということについては、沖縄の今後の経済発展にとっても大変重要な問題とならざるを得ません。この事業地元企業の発展、県内産業の振興の立場から大変重要であると同時に、始めたばかりのこの時点において十年にわたる方向をはっきりしてかかるということが、二期、三期にわたるこの事業地元企業の要望にこたえるような形で発展させられるかどうかということの多くを左右していくというふうに思うのです。ですから、この時点での関係者の努力というのが非常に大きく望まれています。  そういう立場を踏まえまして、県内企業優先の立場を貫くことはもう関係の官庁でも基本的な面では方向が出ておりますし、地元からの極めて強い要望でもありますので、沖縄振興開発計画については中心的な責任を負うておられる開発庁伊江長官としても、この問題について関係者と協議の上でそういう方向に大きな御努力を払われるべき大事なことだというふうに思いますので、その件について御所見を賜りたいと思います。
  111. 伊江朝雄

    伊江国務大臣 まことにそのとおりだろうと存じます。発注いたしますときの条件だとか、いろいろ厳しい条件があると思います。一級技術者の数でありますとかあるいは特殊な仕様書を持った事業でありますとか、いろいろあると思いますと同時に、使います資材についても、先生お触れになっているそのお話の中に含まれていると思いますけれども、やはり県でつくりますものを優先使用する、こういったものを含めてやはり県内企業の育成ということも含めての措置が必要だろう、かように私は存じておりまして、御指摘の点はまことに同感でございますので、そのつもりで国土庁の方にもこれからよくお話をしてまいりたい。それからまた、県の発注の事業につきましても、県の方はもちろん県内企業を優先にお考えでございましょうけれども、そういうふうにお願いしてまいりたい、かように考えております。
  112. 古堅実吉

    ○古堅委員 終わります。
  113. 井上一成

    井上委員長 次回は、明八日火曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時六分散会