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1992-06-05 第123回国会 参議院 国際平和協力等に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年六月五日(金曜日)    午前零時五十一分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         下条進一郎君     理 事                 上杉 光弘君                 岡野  裕君                 田村 秀昭君                 藤井 孝男君                 佐藤 三吾君                 谷畑  孝君                 矢田部 理君                 木庭健太郎君                 吉川 春子君                 井上 哲夫君                 田渕 哲也君     委 員                 板垣  正君                 尾辻 秀久君                 大島 慶久君                 合馬  敬君                 鹿熊 安正君                 木宮 和彦君                 須藤良太郎君                 関根 則之君                 仲川 幸男君                 永野 茂門君                 成瀬 守重君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 藤田 雄山君                 星野 朋市君                 真島 一男君                 翫  正敏君                 小川 仁一君                 喜岡  淳君                 國弘 正雄君                 小林  正君                 櫻井 規順君                 竹村 泰子君                 角田 義一君                 田  英夫君                 細谷 昭雄君                 太田 淳夫君                 常松 克安君                 峯山 昭範君                 立木  洋君                 磯村  修君                 寺崎 昭久君                 喜屋武眞榮君    委員以外の議員        発  議  者  野田  哲君        発  議  者  久保田真苗君        発  議  者  篠崎 年子君        発  議  者  村田 誠醇君    国務大臣        内閣総理大臣        外務大臣臨時代  宮澤 喜一君        理        法 務 大 臣  田原  隆君        大 蔵 大 臣  羽田  孜君        文 部 大 臣  鳩山 邦夫君        厚 生 大 臣        国 務 大 臣  山下 徳夫君        (環境庁庁官事        務代理)        農林水産大臣   田名部匡省君        通商産業大臣   渡部 恒三君        運 輸 大 臣  奥田 敬和君        郵 政 大 臣  渡辺 秀央君        労働大臣臨時代        理        国 務 大 臣  岩崎 純三君        (総務庁長官)        建 設 大 臣  山崎  拓君        自 治 大 臣        国 務 大 臣  塩川正十郎君        (国家公安委員        会委員長)        国 務 大 臣  加藤 紘一君        (内閣官房長官)        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      伊江 朝雄君        (沖縄開発庁長        官)        国 務 大 臣  宮下 創平君        (防衛庁長官)        国 務 大 臣        (経済企画庁長  野田  毅君        官)        国 務 大 臣        (科学技術庁長  谷川 寛三君        官)        国 務 大 臣  東家 嘉幸君        (国土庁長官)    政府委員        内閣審議官        兼内閣総理大臣  野村 一成君        官房参事官        防衛庁長官官房  村田 直昭君        長        防衛庁防衛局長  畠山  蕃君        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務省アジア局  谷野作太郎君        長        外務省経済協力  川上 隆朗君        局長        外務省条約局長  柳井 俊二君        外務省国際連合  丹波  實君        大蔵省主計局次  田波 耕治君        長        通商産業大臣官  榎元 宏明君        房審議官    事務局側        常任委員会専門  辻  啓明君        員    法制局側        法制局長     中島 一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する  法律案(第百二十一回国会内閣提出) ○国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改  正する法律案(第百二十一回国会内閣提出) ○国際平和協力業務及び国際緊急援助業務実施  等に関する法律案野田哲君外三名発議)     ―――――――――――――
  2. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。  国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案国際緊急援助隊派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、三案並び岡野裕君外二名提出及び磯村修提出修正案について質疑を行います。  なお、角田君からの質問の中で、七日間の問題、それからもう一つ維持隊の問題、その二つの問題につきましては、引き続き各会派質疑の終了を見てその上で検討をする、そういうことにいたさせていただきます。(発言する者多し)  なお、今の件は引き続き理事会でも協議し、それからまた質問は留保されるということでございます。  速記をとめて。    〔速記中止
  3. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記を起こして。
  4. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず冒頭に、今まで審議がずっと中断をしておりました。中断したことで幾つか論点になっておりました。私どもはこの修正案にある「平和維持隊」という言葉について問題はないと考えております。文書も出されたようですけれども平和維持隊考え方について三党修正案発議者より答弁を求めたいと思います。
  5. 峯山昭範

    峯山昭範君 国連平和維持隊につきましては、先ほどから、昨日来何回も説明をさせていただいておりますが、社会党の角一田委員の方から提案者三名の統一見解文書で出すようにということでございました。この際、先般お配りさせていただきましたが、読み上げさせていただきます。   国連平和維持隊については、国連の中でも厳  密な定義は必ずしも存在しておらず、この言葉  が用いられる状況文脈等により判断されるも  のであります。   この修正案で使われている平和維持隊意味  は、丸腰で出かける停戦監視要員は別として、  広く部隊等が参加する国連平和維持活動組織  を一般的に指しているものであります。   これを具体的に例示すれば、①武装解除の監  視、駐留・巡回、検問、放棄された武器処分  等、歩兵部隊等によって行われるもの、及び②  右①業務を支援する輸送、通信等業務で輸  送部隊通信部隊等によって行われる活動の組  織を指しています。という統一見解であります。  この問題につきましては何回も説明をさせていただきましたが、この「国際連合平和維持隊」というのはもともと日本組織ではございませんで国際連合組織でございます。国際連合自身が厳密な定義をしていないものを私ども国内でするというわけにはまいりません。まいりませんが、しかしながら長年の国連活動の中で積み重ね、そして明確になった部分があります。それが一つの大きなPKO活動としてあるわけでございまして、そのPKO活動実践部隊がいわゆる国連平和維持隊である、こういうふうに認識をしているわけでございます。
  6. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次に、もう一つ問題になったことがございました。  事前承認修正案にある事前承認の問題で七日間というのが入っていることに対して、社会党の方からこれは憲法違反であるというお話がございました。私どもはこの七日間という規定、その後に「努めなければならない。」、努力義務ということになっている。憲法には何ら抵触をしていない、私はそう認識しておりますが、これについても三党の発議者から見解を求めたいと思います。
  7. 峯山昭範

    峯山昭範君 この問題につきましては私も非常に重要な問題であると思っております。  この問題は、さきの消費税国会のときに大きな問題になりました。私ども社会党さんと一緒にこの消費税法案提出させていただいたわけでございます。消費税を廃止するという法律案でございます。この法律案を出しましたときに、私どもは、「内閣及び国会は、前項の報告を受けたときは、速やかに所要措置を講ずるものとする。」と、このときは社会党さんと一緒にしたわけでございまして、憲法違反とは社会党さんはおっしゃっていませんでした。  時が移り所変われば、本当に立場が変わればこうなるものだということを不思議に思っているんですけれども、実はこの問題は、そのときに私ども法制局長官並びに法制局長それぞれの御答弁、御見解をそれぞれお伺いいたしました。特に内閣法制局長官の御答弁もございまして、この「所要措置を講ずるものとする。」というのは、これは義務規定であるので、憲法に反するおそれがあるというお考えがございまして、これはちょっと失敗したなということがございました。  そういうふうな意味で、今回の法律をつくるときには私どもはこの点につきましては「努めなければならない。」という、これをこういうふうにした。初めは「努めなければならない。」というふうになっていなかったわけです。後にこれは七日以内に議決しなければならないと、こうなったわけですね。しなければならないというのでは、これは義務規定だからだめだということで、このことについて法制局と随分議論をいたしまして、「努めなければならない。」という、いわゆる義務規定から努力規定に直したわけであります。したがいまして、努力規定であれば憲法違反ではない、こういうふうに私ども考えておりますし、法制局の方からもそういうお話がございました。  この点は、そういうふうな意味で、決して私どもは、この「七日以内」という七日の日にちの問題であれば、これは立法技術というふうな問題よりも政策判断の問題でございまして、七日がいいのか八日がいいのか、あるいは一カ月がいいのか、もうこれは政策判断の問題ですから、それはそこで判断していただくといたしまして、いずれにいたしましても、これからの日本の置かれた国連のいわゆる国際貢献に対する、日本に対する要望に対して日本がどうこたえていくかということを、我々立法府の一員としてこれをどう受けとめるかという問題でもあります。  そういうふうな意味で、私どもは今までになかったPKO活動をしようとしているわけでございまして、決して憲法違反ではないと私ども考えております。もし憲法違反であると言うならば、ぜひこの席上で法制局なりまたそれぞれの専門の方の御意見も十分聞いていただいて、この点は明らかにしていただきたいと私は考えております。
  8. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、発議者の方から法制局のというお言葉もありました。先ほどから論議しておりまして、そういう法律専門家言葉が一言もないまま論議が中断しておりました。私は法制局から、この問題が憲法違反なのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。
  9. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 中島参議院法制局長、明快に答えてください。
  10. 中島一郎

    法制局長中島一郎君) お答え申し上げます。  修正案第六条第八項の「七日以内にこ「議決するよう努めなければならない。」とは、両議院が承認するかどうかの議決をするに際しての努力目標規定したものでありまして、これによって国会審議期間を制限したものではございません。いわば訓示規定でありますので、国会審議権を拘束するものではありません。したがって、憲法上問題はないと考えております。  以上でございます。
  11. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ようやくそういう答弁が聞けました。  各党会派でこの問題の考え方はいろいろあると思います。そういう意見がある中で、それは違いがあるでしょう。ただ、私が言いたいのは、やはりそういう憲法を守る番人である法制局考えというのをきちんと最初から求めていれば、こういう混乱は私はなかったのではないかと信じております。私の意見でございます。  それでは、質問内容を少し変えさせていただきまして、修正案提出者対案提出者、きょうは各党がおそろいでございます。私は、ここに共産党まで並んでいれば各党からそれぞれのことが聞けると思いますが、たまたま共産党はいらっしゃいませんので、ここで各党から、まず自衛隊についての考え方をお聞きしたいと思います。  簡潔に、自衛隊違憲と思っていらっしゃるのか合憲と思っていらっしゃるのか、各党会派それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  12. 岡野裕

    岡野裕君 第九条は、   日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平  和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武  力による威嚇又は武力行使は、国際紛争を解  決する手段としては、永久にこれを放棄する。   前項目的を達するため、陸海空軍その他の  戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、こ  れを認めない。 こうありますが、自衛隊法第三条「自衛隊任務」というくだりでありますが、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序維持に当るものとする。」と。  この読み上げました二つ条項からいたしまして、自衛隊は立派に合憲であると、こういうふうに考えているところであります。
  13. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 憲法九条によって私どもはこれは違憲の存在であると、こういうふうに考えております。
  14. 峯山昭範

    峯山昭範君 私どもは、個別的な自衛権の裏づけとしてある自衛隊合憲であると、こういうふうに考えております。
  15. 磯村修

    磯村修君 私ども連合参議院は、自衛隊につきましては自然権的な権利として国には自衛権がある、このように考えております。したがいまして、その自衛権内容というものは、国土防衛という自衛隊組織、これを容認しております。  ただ問題は、その自衛隊組織の規模、これが自衛権の範囲にあるのかないのか、そうした質、量の問題、こうした問題を考えながら、違憲合憲というふうなこと、その判断を我々はすべきである、こういう立場にありまして、違憲合憲という問題につきましては現在保留しております。
  16. 田渕哲也

    田渕哲也君 我が民社党は、結党以来三十年余にわたりまして、自衛隊合憲であるという見解をずっと変わらず持ち続けております。  その理由は、申し述べるまでもないかもわかりませんけれども、この憲法立法者の意図、それからもともとはマッカーサー司令部が草案をつくりましたけれども、それが法律になる段階幾つかの修正が加えられております。  最初は、第九条におきましては、自衛のためであってもそういうものは禁止するという、その自衛のためであってもということが削除されました。それからもう一つは、「国際紛争を解決する手段としてはこという文言が加えられております。それからもう一点は、その次の項ですけれども、「前項目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」、「前項目的を達するためこということが加えられております。  それからもう一つのそれに関連して修正された点は、これは極東委員会意見によって変えられたわけでありますけれども、第六十六条に文民条項というのが設けられております。「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」。これは第九条が改正されたに伴いまして、これではいわゆる自衛隊自衛力、そういうものを保持できると、そういう解釈のもとにこの文民条項が加えられたというふうに考えております。  それからその後の過程でいろいろ論議されましたけれども、やはり憲法第八十一条に、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」、したがって憲法に適合しておるか反しておるかを最終的に決めるところは最高裁判所である。ただ、自衛隊違憲であるかどうか最高裁判所でもその裁判が行われましたけれども違憲という判決は出ておりません。ということは、同時にその最高裁判所判決の中では、これは統治行為である。つまり政治判断というものでそれは決められるべきものだと。  そうしますと、最高機関である国会の意向というものが大きなウエートを持ってくると思います。自衛隊法は言うまでもなく国会で正式に成立した法律でありますから、私はそのような経過をたどっても違憲ということは言えないのではないか、このように考えております。
  17. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 きのうで雲仙災害から、あの大火砕流が起き多くの犠牲者が出てからちょうど一年でございます。昨日も映っておりましたけれども自衛隊の方々がこの雲仙災害で活躍をされておりました。  私は九州出身でございます。また、佐藤吾先生大分県の御出身でございますけれども、昨年の台風被害によりまして大分県の日田というところで多くの木が倒れまして、これによって二次災害が起こるということになりました。それを防ぐために自衛隊が今、予防という意味で初めて出動をいたしました。これについてどう評価されるのか。これは対案提出者社会党、三党の中からお一人、連合からも御意見があれば短目に伺いたいと思います。
  18. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 自衛隊雲仙普賢岳の問題あるいは九州風倒木処理等で大変御苦労されている、この事実は私ども認識をしております。
  19. 岡野裕

    岡野裕君 雲仙普賢岳並び九州台風二次災害におきまして、多年にわたって自衛隊が積み重ねた訓練と体験、これによってでき上がりました機動力組織力、これが遺憾なく発揮をされた場面だったと思います。自衛隊の皆さんの御努力に心から敬意を表する次第でございます。
  20. 磯村修

    磯村修君 自衛隊災害地での活動につきましては、私ども、私自身もその活動状況というものを視察したことがございます。高く評価しております。
  21. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 社会党さんは対案の中で、国内の問題も取り組むことにされております。これは今はおっしゃいませんでしたけれども自衛隊が出ることに対しては好ましくないという御判断だろうと私は思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
  22. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 私どもとしては、自衛隊ではない組織組織がえをしてそのような役割を果たしてもらう、こういう立場に立っております。
  23. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それでは、今度はPKOの問題でそれぞれにお伺いいたします。  PKO平和維持活動武力行使関連について、それぞれこれも対案提出者社会党と、連合は何回も登場していただくのは大変ですから、社会党と三党の方から一人ずつ平和維持活動武力行使関連について御説明をいただきたいと思います。
  24. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 平和維持活動ということになっておりますけれども武装して現地に行った場合にはやはり今のカンボジアでも、現地の報道がされておりますけれども武器を使う可能性というものは全面的に否定することはできない状況にあると思います。そして、しかもそれは国連現地のコマンドのもとで統一的に業務に携わっていく、こういうことになれば、これは偶発的なことも想定をされるわけでありますから、私どもとしては武器を使用する可能性もある、こういう点で、これは武力行使に至る、これを絶対にあり得ないと否定することはできない、こういうふうに思います。
  25. 岡野裕

    岡野裕君 今回、私ども修正案提出します前、政府原案におきまして、第二条、「国際平和協力業務実施等は、武力による威嚇又は武力行使に当たるものであってはならない。」と極めて明快に目的を表明しているところであります。  加えて、実践に当たりましては、先ほど来問題になっておりますところの五原則があります。地元におきますところの同意、停戦の合意、申立性並びにそれらの条件が崩れました際の中断、そして撤退並びに武器の使用につきましてそれぞれ明快な条項を加えているところであります。  そういう意味合いで、私は極めて高く評価をしている次第であります。
  26. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 次は、自衛隊海外派遣することに対するそれぞれのお考えを伺いたいし、またこれに対する国民評価をそれぞれどうとらえていらっしゃるのか。社会党、三党の方、連合も御意見をいただければいただきます。
  27. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 自衛隊海外派遣することにつきましては、私どもとしては、憲法上の問題、そして参議院決議の問題、それから周辺諸国の懸念、そしてさらに国民世論がまさに二分をされている、こういう点でこれはとるべき措置ではない、こういうふうに考えております。
  28. 岡野裕

    岡野裕君 今朝来、自衛隊海外派遣につきましては、過ぐる昭和二十九年の参議院決議との関連におきまして私も何度か答弁をしているわけでありますけれども昭和二十九年の海外派遣禁止の問題は、あれは武力行使目的を持って武装をした部隊が、今お話をしましたように、他国の領土、領空、領海、これに行くことを禁止しているのであります。というのは、海外派兵、これは禁止をいたしておりますけれども海外派遣についてはこれは一切否定をしているものではありません。  いみじくも今回のPKO法案は、自衛隊派遣して世界の平和の維持貢献をしようという次第であります。そういう意味合いで、ぜひこの法律案というものを可決、成立をさせていただき、一日も早く世界平和のために我々日本国民人的貢献ができるような糸口をつくっていただきたい、こう思っている次第であります。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)
  29. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 傍聴人は発言を禁じられております。
  30. 磯村修

    磯村修君 自衛隊は、諸外国の軍隊とその性格が違うと私たちは思っております。つまり自衛隊は、自衛隊法の第三条に書かれておりますように、いわゆる我が国の国土防衛任務とする組織であるということでございます。したがいまして、専守防衛という任務を帯びているものが自衛隊であり、海外派遣すべき任務は持っていない、このように思っております。  また、国会決議、それから世論の動向、こうしたことも踏まえながら、私どもは今の段階では自衛隊海外派遣すべきでない、このように考えております。
  31. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この委員会でも一番話題になったのはカンボジアの問題でございます。カンボジアに対してどう取り組むかということが一つの争点になり、なおかつUNTACというPKOにどう取り組むかが最大の焦点でもあったと私は思っております。  このUNTACに対してどう取り組むのか、どう取り組めるのか。これも社会党の方、それから三党の方、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  32. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) カンボジアのUNTACに対する対応でありますけれども、この点につきまして私ども対案として、非軍事、民生、文民、こういう立場対案提出して御審議をお願いしているわけでございまして、今回の三党の修正案につきましても、その業務の中でPKFに関する分野、これを一時凍結をされるという修正案が出されておりまして、これは私どもの非軍事、民生、文民、この考え方大分近づいてきているんだけれども、民生分野まで生の自衛隊であるというところに私どもは一番の問題を感じております。
  33. 岡野裕

    岡野裕君 我が国の外交の三本柱というのがございます。一つ国連中心の平和主義であります。もう一つは自由主義社会の一員として働くということであります。    〔委員長退席、理事藤井孝男君着席〕  もう一つは、我々はアジアの一員だと。これが外交の三本柱であります。  いみじくもカンボジアは、我々アジアの一衣帯水の同僚同胞であります。そのカンボジアにUNTACを派遣をいたしまして自由民主主義国家というものをつくろうということであります。そうして、PKO国連の傘下のもとに行われるわけであります。このUNTACにはせ参せずして何が外交の三本柱かと、こう言われないように一生懸命頑張ろうという次第であります。よろしくお願いいたします。
  34. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つPKOに関して指揮権、武器の使用をめぐっていつも問題になったのが、PKOに関する国連文書と政府案、それから対案を出されております。修正案というのが出ておるわけでございます。このPKOに関する国連文書と政府案、またそれぞれお出しになった案の整合性についてどうお考えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  35. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 私は、昨年の秋の臨時国会以来ずっとこの席で審議をお聞きしておりますし、私に対する質問で何回もお答えしているわけでありますけれども国連文書と政府案につきましては、これまでの審議を通じてもガラス細工と言われている表現がありますが、いまだに整合性があるとは思えない、大変な疑念を持っております。  私ども対案文民の分野でございますので、この点については国連文書と何ら問題はない、このように考えております。
  36. 岡野裕

    岡野裕君 木庭先生、国連文書規定との絡みは、主として問題はコマンド、指図、指揮というようなものから発せられたことだと思っております。その意味合いでは、これらの問題につきまして、過ぐる五月の十八日でありますが、外務大臣からこれらの関係につきましてまとめたものを発表いたしております。  念のためでありますが、これを簡単に要約をいたしますと、国連現地司令官は、各国から派遣される部隊の配置等についての権限を持っているものである。この権限は、長年の国連平和維持活動の慣行を踏まえて作成をしましたモデル協定第七項におきましてコマンドと言われている。これを法案では指図と規定をしており、指図とモデル協定第七項にいう国連のコマンドとは同義である。法案では、自衛隊部隊国連平和維持活動に参加する場合、本部長は、国連のコマンドに適合するように実施要領を作成または変更し、防衛庁長官は、この実施要領に従って我が国から派遣される部隊を指揮監督し、国際平和協力業務を行わせることとなっている。  このように、国連のコマンドは実施要領を介して我が国から派遣される部隊によって実施されることとなっており、その意味で、我が国から派遣される部隊国連のコマンドの下にある、あるいはコマンドに従うと言うことができる。かつまた法案には、平和維持隊への参加に当たっての基本方針、先ほどお話をいたしましたいわゆる五原則が盛り込まれている。このため、我が国の部隊により、国連のコマンドはいわゆる五原則と合致した形で実施されることになるというようなことで、見事に一つの体系を構成している、こう存じております。
  37. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ各党の理念として、国際社会に対して日本がどういう貢献をしていけばいいのか。特にこの委員会で一番論議になったのは、どういう人的貢献をすればいいのかというのが最大の論議の焦点でございました。百時間を超える審議をしながら、どの党も国際社会へ我が国は人的貢献を今からしていかなくてはいけない、その共通認識は間違いなくできたと思います。その人的貢献のあり方をどうするかという問題については、私は百時間を超える論議をしてもなかなかまとまらない部分があるなというのを感じます。  せっかくの機会ですから、対案を出された社会党さん、そして修正案を出された代表の方で結構でございます、そして連合の方も、この点は二言すっ御見解をいただければありがたいと思っております。
  38. 野田哲

    委員以外の議員野田哲君) 私ども国際社会に対する日本としての人的貢献につきましては、基本的な考え方として、相手国の自主性を尊重すること。その中で自立を助け、人権を尊重し、そして民生の安定、この分野で役立つ貢献でなければならない。そのことを基本に考えていくべきだ、このように考えております。
  39. 峯山昭範

    峯山昭範君 国際社会にどういう人的貢献をするかという問題は、非常に私は今重要な問題であると思っております。世界は変わった。変わりつつあると言うより、もう既に変わったと言ってもいいと思います。冷戦の崩壊、米ソ和解など、それこそ百年に一度あるかどうかというような歴史的な変化を遂げつつある、私はこういうふうに思います。その中で、日本の国際的地位が私どもが自覚する以上に大きくなってきている、こう思います。  そんな中で、当委員会昭和二十九年の国会決議の話が出たわけでございますが、確かに当時とも比べて大変な変わりようです。もう三十八年たったわけです。世界も日本も大きな変化を遂げた。その中で、皆さんも御存じのとおり、湾岸戦争を契機として、国際社会の一員として我が国がどういう貢献をすればいいか、どういう役割を果たすべきか、私どもは本格的に考え検討していかなければならない、私はこう思っております。  他の政党もそうであろうと思いますけれども、私ども公明党もここ数年来党内で本格的な議論をそれこそ真剣に公用でさんざんやってまいりました。金だけ出せばいいのか、従来の枠組みから一歩踏み出すべきではないのか、あれもできない、これもできないではいかぬのじゃないか、いろんな議論が百出しました。そういうふうないろんな議論の中で、その一つの結論が今回のPKO法案と言うことができると私は思います。  そういうような意味で、人的な面も含めて、戦争にやるんじゃない、平和のために、また平和を築くために、また困っている人たちの役に立つために、この法案が新しい時代の日本国際貢献の出発点になるんじゃないか、私はこういうふうに思っております。
  40. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) この際、傍聴人の方に御注意いたします。  傍聴規則により、議事に関する賛否の表明その他議事の妨害になるような行為は禁止されております。これに従わないときは退場を命ずることがありますので、念のため御注意をいたします。
  41. 磯村修

    磯村修君 お答えします。  我が国も国際協力について人的な貢献をしなければならない必要性ということは十分に認識しております。問題はどのような形でもってするのかということでありまして、我々が過日国会に提案しました修正案、あのような形でもって貢献することが最もふさわしいあり方である、このように考えております。
  42. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なぜこんなことをお聞きしたかといいますと、これだけ審議を本当に重ねてまいりました。お互いに接点を見つけようということでもやってまいりました。社会党さんはベストとして対案提出もされたわけでございます。ただ、この百時間を超える審議の中で私はなぜこれだけ溝が埋まらないのかなということをつくづく考えておりました。それは例えば自衛隊に対する基本的認識の違いであり、国際貢献をやるときにどうやってやるかの基本的違いであり、それは今お聞きになったとおりでございます。  私どもは、先ほど峯山発議者が言っておったように、今国際社会の中で日本が生きるため、また世界の平和を構築するためにどうすればいいか。それは、やはり憲法の枠のぎりぎりの範囲内でどうにか日本として貢献する努力を続ける、これが一番大切なことだと思っております。  私、見解は違いますけれども、この長い審議を通じて一番敬意を表したいのは野田発議者でございます。私たちの質問に対しても前向きに真剣に答えていただきました。立場の違いはございます。立場の違いはございますけれども、その発言は私は本当にすばらしいものという認識は持っております。ただ、どうしてもこの見解の溝が埋まらないということが非常に寂しい思いはいたしましたけれども、今カンボジアという問題も抱え、日本一つの転機にあるときに、やはり自衛隊の活用ということも考えざるを得ないというのが私の結論でございます。  私はもう少しいろんなことも質問したかったのですけれども、全大臣にも来ていただきました。私が今から全大臣にお聞きしたいのは次のことでございます。先ほど指摘があっておりました。今日本は国際社会の中で一つの大きな変化を迎えている。いわば、この法案というのはその時代の大きな変化の一つの節目であると思っております。私どもはこれを修正して通したい、そう決意をしておるわけでございますけれども、それはそれとして、今後の我が国の国際貢献のあり方について、総理を筆頭に各大臣に、六分しかございませんけれども、一言ずつ御意見をお伺いできれば幸いと感じております。よろしくお願いいたします。
  43. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) お時間が限られておりますから、それでは私がまず代表して主な部分を申し上げます。  我が国は戦後、諸外国から援助を受けて復興した国でございますが、今単なる平和の受益者ではなく、世界の平和と繁栄に積極的に貢献のできる力を持つに至りました。しかし、軍事力をもってしては貢献することはできませんけれども、それ以外のことではすることができるし、しなければならない。  今おっしゃいますように、貢献と申せばだれもがやはりODAということを第一に考えるわけでございますが、今や我々ば、かってODAを受けておった者が、世界第一位のODAの供与者になりました。しかし、貢献はそれだけではありませんで、各種の国際機関に対する協力、これはいろんな方面がございますけれども、それに対する積極的な、地球問題もございますし、病気の問題もございますし、いろいろございますけれども、そういう協力。  殊に、その中で国連に対する協力というものが、湾岸戦争以来、世界の平和の維持と繁栄のために国連の担う役割が大きくなってまいりました。それに対する協力は、我が国の国際貢献のやはり中心をなす部分であると思います。それは財政的な協力もございます。しかしまた、我々が汗を流して、国連が新しく平和を維持し、平和をつくり出そうとするそういう紛争における国連の役割、請われればそれに対して我々も貢献をするということが我が国の国際貢献にとって新しく加えらるべき大切な役割であろう。この法案はそれを実現いたそうとしているものでありまして、どうぞ御賛成をいただきましてそのような責務を我々が遂行できますように、それを念願いたすものでございます。
  44. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 国民憲法九条を自信を持って守っていくためにも、九条の中でできることは必死にやっていかなければ、この憲法を守っていく意識が強靱にならないと思っております。
  45. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) 総理の申されたとおりでございまして、自衛隊をこのPKOのために派遣するということは、まさにこれからの国際平和協調主義に沿ったものということで、憲法の許す、これは合憲任務である、こう解して積極的に進めていくべきものと、このように思っております。
  46. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) 日本の国は、まさに平和の中でこの繁栄をつくり上げてまいりました。そういう中から、私どもは、ただお金の面で負担するというだけではなくて、人的な貢献も今するときであろうというふうに考えます。
  47. 奥田敬和

    国務大臣(奥田敬和君) 我が国のPKO参加は、新しい国際秩序の形成に向けての流れに沿ったものであり、総理の見解と同じことでございます。
  48. 野田毅

    国務大臣野田毅君) 私は、冷戦後の今日において、やはり世界の平和の秩序をどうやって維持するか。世界各国が国連を中心にして必死になって今それをつくろうとしておる。私は、国際社会の一員としてその国連平和維持活動に参加をするということは、貢献という言葉よりも、むしろ国際的責任の一つであるというふうに思っております。
  49. 山崎拓

    国務大臣(山崎拓君) 国際国家日本といたしまして、PKO活動に参加することによって十分な貢献をしてまいりたいと思っております。
  50. 田名部匡省

    国務大臣田名部匡省君) 国内災害自衛隊にお願いするわけでありますが、自衛隊も非常に強い要請があります。私も日田に行ってまいりましたけれども、民間の方々であれを処理することは非常に困難だと。  日本人は助けるけれども外国人は助けないという姿勢が果たして通るだろうか、そういう感じを持っておりまして、国際貢献も立派に果たしていかなきゃいかぬ、こう思っております。
  51. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 総理のおっしゃるとおりでございます。
  52. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 世界が平和であって、世界のすべての国と自由に通商をして今日の繁栄を受けておる日本が、世界の平和のために貢献することは当然のことであると考えております。
  53. 山下徳夫

    国務大臣(山下徳夫君) 基本的には総理がお答えになったとおりでありますが、国際協力にもいろいろな立場からの協力がございまして、私は医療協力も極めて大切な問題だとしてやっていきたいと思います。
  54. 渡辺秀央

    国務大臣(渡辺秀央君) 総理の申されたことにすべてが尽くされていると思います。この法案が成立いたしましたら、郵政省といたしましても国際化に適応し、そして国際貢献のために全力を注ぎたいと思っております。
  55. 谷川寛三

    国務大臣(谷川寛三君) 先ほど総理の申されたとおりでありまして、我が国の国際的地位と責任にふさわしい貢献をしなければならない、こう考えております。
  56. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 二十一世紀の日本を担う、たくましく心優しく国際性のある、そんな日本人を育てるためにも、世界の平和のために懸命に積極的に汗をかく姿を見せていくことが必要であると思います。
  57. 田原隆

    国務大臣(田原隆君) 総理のお考えと全く同じでありますが、一日も早く御可決いただいて、早い御派遣をお願いする次第であります。
  58. 伊江朝雄

    国務大臣(伊江朝雄君) 我が国は、申し上げるまでもなく国連加盟国でありますから、国連の機能維持のため頑張って御協力申し上げなきゃならぬ、そういう責務があると私は思っております。
  59. 岩崎純三

    国務大臣(岩崎純三君) 総理のおっしゃったとおりでございます。  人類のすべての基本は平和にあります。したがって、一日も早い成案を望んでやみません。
  60. 東家嘉幸

    国務大臣(東家嘉幸君) 私ども国土庁としましては、防災または居住、国土計画等々の国際技術協力をいたしておりますが、今回私どもの役所として、自衛隊風倒木等の搬出等大変な危険なことをお願いいたしましたところ、見事に組織力で住民の被害者の皆さん、地域に役立っておられることを、ぜひ今度そうした海外でも生かしていただきたいと私は思っております。
  61. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  62. 立木洋

    ○立木洋君 私は、まず最初委員長にお尋ねしたいと思います。  御承知のように、参議院の一九五四年六月二日に採択されました自衛隊海外出動を為さざることに関する決議、これはどんなことがあっても自衛隊海外に出してはいけないという重大な決議であります。この決議は、自衛隊の存在が合憲であると認めた議員も、あるいは自衛隊の存在が違憲であるとする議員も一致して海外に出動することは許されないという決議であり、これは既に定着しておる決議であります。  この有権的な解釈は参議院にあることは明確であります。既に三年前から参議院でこの問題が協議がなされ、今日においてもこの問題が引き続いて協議がなされておると承知をいたしております。ですから、まず委員長に、当委員会の理事懇において協議がどのように行われたのか、その内容と現在の到達について御説明ください。
  63. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 立木君の今の昭和二十九年の決議につきましては、理事懇で協議をしております。現在のところまでの経過を申し上げます。  理事懇におきまして、数回にわたりましてこの決議、それからこの決議と現在提案されているPKO法案、いわゆる政府案あるいは修正案憲法とのかかわり合い等々について、各党会派から意見が出ておるところであります。そして、昨日の朝の理事懇におきまして、委員長からの指示によりまして、これらの決議の問題、それからこのPKO法案とのかかわりについての各党会派意見をそれぞれ文書提出されたところであります。そしてまた、それぞれの各党会派意見を交わしまして、そして、昨日の朝でございましたので、それをまた持ち帰りましてさらに検討して協議を継続していこう、こういう経過であります。
  64. 立木洋

    ○立木洋君 現在、院においてこの有権的な解釈、これをまだ出されていないという状況でありますね。そして、各党から見解を求めて、それに基づいて協議が続行している。そこで、私が特に要求したいことは、このような状況を無視して、まさにこの決議にかかわる自衛隊海外派遣法案を議了終局というふうなことに至らせることは、いかに委員長であるとも許されないというふうに考えますが、この点についての見解を明確にお述べいただきたい。
  65. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 先ほど申し上げましたように、この件につきましては引き続き理事懇で協議しております。そして、昨日に引き続ききょう委員会審議していることで御了承いただきたいと思います。
  66. 立木洋

    ○立木洋君 協議しているんですから、協議が終わらないうちに、院の存権的な解釈が出されないうちに議了終結ということはしないということを明確に明言していただきたいんです。
  67. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 今質疑をしていることでございますし、また理事懇においてその点については協議中でございます。
  68. 立木洋

    ○立木洋君 それはわかっているんですよ。だから、それが終わるまでは議了終結しない、一方的な見解を押しつけるというような議論の終結をしてはならないという態度を明確にしていただきたい。
  69. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  70. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 速記を起こして。
  71. 立木洋

    ○立木洋君 私は、委員長答弁を求めているんです。  問題は、各党から見解が出されて、協議が続行中であります。これは、極めて重大な院の有権的な解釈が出ていない状況のもとで、それに反するような事態という意見もあるわけですから、そういう事態で議論終局というふうなことはしないということを明言してくださいと私は要求しているんですよ。明言できないんですか。
  72. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 要求されることは結構ですが、それは御意見は御意見として承っておきます。
  73. 立木洋

    ○立木洋君 私は、この点については、議会制民主主義を守らなければならないという議会人の最低の義務として、もしかこういう事態を放置したままであなたが議了終結をするような事態になるならば、これは重大な事態であるということを厳しく述べておきたいと思います。  次の問題ですが、先ほど来問題になっている点で、修正案の中身で「国際連合平和維持隊に参加するに際しての」云々という問題が非常に大きな問題になっております。もともと国際連合平和維持隊ということが本文にないことを修正案で持ち出してきたということ自体重大な問題であり、先ほど見解表明がありましたけれども、私は決して納得することができません。  現に、これまでの政府自身答弁の中でもこのPKF、これは「必ずしも国際的にはっきりした定義があるわけではございません。いろんな意味で使われている面がございまして、私も答弁でかつて使わさせていただきました一つ考え方」でありますということであり、今のは野村政府委員ですが、また丹波政府委員自身も「明石代表の場合には歩兵部隊の行う活動をとらえてPKFと従来言っておられます。しかし、それに加えて工兵隊、あるいは通信、輸送、そういう軍事要員が行う活動を全部含めてPKF活動と言われる方もございます。そういう意味で人によって使い方も違っておるということを申し上げた次第でございます。」と。  このような全く明確にされていない内容修正案で突如として持ち込むというようなことは、どのような事態があろうとも法案として成立しないということを私ははっきり申し上げて、先ほど来同僚議員が指摘しているように、こうした内容は少なくとも削除すべきである、出し直すべきだということを指摘しておきたいと思うんです。  そのことに関連して、ここでは「国際連合平和維持隊に参加するに際して」という、参加するという問題が提起されております。一昨日の私の質問で、この参加の問題について質問をいたしました。九〇年の政府の統一見解質問いたしたのに対して自民党の岡野さんは、別の法案のことで、この法案修正案について同じに論じていただいたんではまことに違うというふうに答弁をされました。  ところが、間違っているのはあなたの方なんです。去る五月十四日、我が党の吉川議員が、北欧三国の法律は参加法であるけれども日本では協力法とした理由について質問をしたのに対し、野村政府委員は、「その「参加」と「協力」という言葉につきましては、これは平成二年十月二十六日でございますが、この前の平和協力法が審議されたときでございます、そのときに参加と協力についての統一見解を出してございます。」と述べて、その統一見解内容説明し、続けて、この法案の体系を考えますと、まさに国連平和維持活動等に対する協力に関する法律案というのが一番適切な方法であるというふうに述べております。統一見解に基づいて、それを根拠として現在の協力法が提出されたと述べているんです。自民党の岡野さんの言う、それは別の法案のことでまことに違うということになるならば、それは野村政府委員説明そのものが間違いだということになるわけです。野村政府委員の間違いがどこにあるのか、あなたの答弁が正しいならば説明してください。
  74. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  75. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 速記を起こして。
  76. 岡野裕

    岡野裕君 先般、立木先生からお話がありまして私がお答えをいたしましたのは、その統一見解というのは今私どもから、政府側から提起をされておりますところのいわゆる国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律、この中に出てくる「参加」そのものをとらえましての統一見解ではありませんで、一昨年の十一月当時、国際連合平和協力法、これを審議するに当たりましての参加についての統一見解だと、こういうことを申し上げただけでございます。
  77. 立木洋

    ○立木洋君 それが野村政府委員見解と全く違っているというんですよ。だから、あなたがそういうふうに言うのならば、この政府の統一見解に基づいて、それで今度の協力法を出しているんですよ。関係がないというのはあなた自身の言っているのが間違っている。だからどうして野村さんのが間違っているというふうに言えるのか言ってください。
  78. 岡野裕

    岡野裕君 私は事実を申し上げておるわけでございまして、これは平成二年十月二十六日、衆議院の国連平和協力特別委員会での外務大臣答弁ということでその「参加」と「協力」につきましての統一見解を出したわけであります。したがいまして、今審議をされておりますところの国際連合平和維持活動協力法案、あるいはその修正案等についての統一見解ではない、二年前のものであるという事実を申し上げただけであります。
  79. 立木洋

    ○立木洋君 これは重大な問題なんです。つまりこの点について言いますと、先般の政府の統一見解というのは、「「国連軍」の司令官の指揮下に入り、その一員として行動する」ことを「参加」と言うと。だから「協力」というのは、そこまでの参加に至らないような各種の支援を含む内容のものである。参加ということをするならば、参加という概念を入れるならば、それはまさに国連の完全な指揮下に入り、その一員として行動するわけですから、武力行使を伴うということになるので、そういう法体系はつくれない。だから、協力法というふうにしたのがその統一見解に基づく今回の協力法の提出じゃありませんか。全く関係がないなどというふうな言い方をしてごまかすということになるならば、どちらの見解が正しいのかということが問われる。あなたの見解を撤回しなさい。
  80. 岡野裕

    岡野裕君 今、立木先生がおっしゃいますところの「参加」でありますとか「協力」でありますとか、この言葉が、政府提案に基づきますところの今回の協力法の中に存在する、そういうことは事実でございます。  したがいまして、私ども修正案で「参加する」という言葉を、先生からおしかりをいただきました「国際連合平和維持隊に参加する」と、そこで使いましたのは、先生お手元におありだと存じますけれども政府原案の方ですが、三条の定義がございます。その一の一番末尾のところで、「国際連合事務総長(以下「事務総長」という。)の要請に基づき参加する二以上の国及び国際連合によってこ云々という言葉がございますね。この「参加」というようなものを踏まえまして、今お話をしました修正案の中にありますところの「参加」、こう使ったわけでございます。したがいまして、この「参加」と先ほどお話をいたしました二年前の統一見解との関係でございますならば、これは政府原案そのものの「参加」でありますので、ぜひ行政府の方にお聞き賜ればと、こう存ずるわけであります。
  81. 立木洋

    ○立木洋君 ここの三条の一で出されている「参加」というのは、日本の参加を規定している文言じゃないんですよ。いいかげんなことを言ってもらったら困るんです。あなたがそのような発言を取り消さないならばだめですよ、これは。政府の見解と全く違う見地であなたは再修正案を出されたということになるわけですから、明確にしない限り私は答弁納得しません。あなたに答弁求めていませんよ。
  82. 藤井孝男

    ○理事(藤井孝男君) 私が指名をいたしました。
  83. 野村一成

    政府委員野村一成君) お答え申し上げます。何分、私の名前を何回か引用していただいての御質問でございましたので。  私は、実は今話を伺っていまして、岡野先生の言われていること、これは何と申しますか、非常に簡単というか、よくわかる話でございまして、その当時、平成二年の当時につくられたのと今回のまさにいわゆる五原則を踏まえてつくっている法案とは事情が違うと、そういうことを申し述べていると理解いたしております。    〔理事藤井孝男君退席、委員長着席〕  それで、先生ここで平成二年の参加と協力についての見解でございますが、先生今読まれましたけれども、ここでは「当該「国連軍」」、これは平和維持隊のことでございますが、その「司令官の指揮下に入り、その一員として行動する」云々とございます。これはやはり私ども今回の法案を整理するに当たりまして、このまさにここで言っております「司令官の指揮下に入りこということはコマンド、国連現地司令官のコマンドのもとで行動する、あるいはコマンドに従う、そういう趣旨と同じであるというふうに理解しております。  また、参加と協力ということにつきましての点については全く同じでございまして、先生御指摘のとおり、今回の協力法案となっておるわけでございます。
  84. 立木洋

    ○立木洋君 ですから、今回のこの協力法というのは、政府の統一見解に基づいて、つまり参加という概念で参加法にするならばこれはまさに武力行使を伴うような事態になるんだから、そういう危険性があるから参加法にはしないで協力法にした。外国と全く違って実施要領まで入れているのはそのためじゃないですか。そういうことを明確にしておきながら、参加という新しい概念を入れたんですよ。それを間違っていないなんという言い方では私は絶対納得できない。取り消してください。――自民党の岡野さんに聞いているんです。野村さん、私はあなたに聞いていないんだから、行ってください、あなたは。
  85. 野村一成

    政府委員野村一成君) 御指名を受けましたので恐縮でございます。  だからこそ……
  86. 立木洋

    ○立木洋君 何ですか、聞いてないですよ。関係ないですよ。(発言する者多し)
  87. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) お静かに願います。
  88. 立木洋

    ○立木洋君 私が質問しているんだから、質問者の意思に基づいて答弁してください。だめですよ。
  89. 野村一成

    政府委員野村一成君) 委員長から指名を受けたのでお答えさせていただきます。
  90. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 簡単に願います。
  91. 野村一成

    政府委員野村一成君) まさに先生御指摘の点があるからこそ今回いわゆる五原則のもとに、それを踏まえて、それを明記した上でこの法案をつくっていると、そういう次第でございます。
  92. 岡野裕

    岡野裕君 立木先生、岡野が新しく参加という概念を入れたとお話しになりましたが、私が入れたわけではございませんで、さっき私が一つずつ読み上げました政府原案の中に、「参加する二以上の国及び国際連合によってこという言葉がございますでしょう。その「参加」をこの修正案の中でも「参加」ということで使ったわけでありまして、私ども修正案発議者が新たに参加という概念を導入をしたというものではさらさらないこと、お読みになればおわかりだと思います。
  93. 立木洋

    ○立木洋君 全くため、だめです。両方、全然違うんですから。  問題は、今回の協力法というのは参加法じゃないんです、協力法なんです。協力法になぜしたのか、実施要領まで入れて。それは、国連の司令官の指揮下に入り、そしてその一員として行動するということになれば武力行使を伴うことになるから、政府はわざわざそうならぬようにといって協力法にして、実施要領まで入れて、指揮権の問題で大問題になったんじゃないですか。それを今度は平和維持、つまり維持隊、PKFに参加すると。参加するという概念は初めて入れたんですよ。そのような入れ方をするというならば、武力行使を伴うということにも結果的にはなるわけですから、全く協力法の根拠と違う新しい概念を入れたことになる。そんなことは撤回せい。だめです。
  94. 峯山昭範

    峯山昭範君 お答えいたします。  平成二年十月二十六日の統一見解のこの「参加」の問題について、昨日もお話ございましたし、ただいまもお話ございましたが、先ほど野村さんが説明したとおりでございます。この当時は我々も法案に反対したことでございますから事情をよくわかっております。これはこの統一見解の中にもありますように、国連軍に参加するということは目的任務武力行使を伴うものであるからこれは憲法上許されないと、こういう統一見解になっているわけです。  だから、私どもはやっぱりこのままではだめだと。だから、私ども憲法の許す範囲内ということで考えればどういうことを考えればいいのかということをさんざん議論したあげく、いわゆるこの憲法上の枠をきちっと法案の中に盛り込む以外にないということで五原則というのをきちっとつけたわけであります。  それから、もう一点申し上げますと、この統一見解の三項にありますように、「協力」の問題、「参加」の問題についておっしゃっておりますが、やはりこの「協力」というのがいわゆる範囲は広いということはもう御存じだと思います。ですから、協力というのは参加を含む広い範囲でこの統一見解の中にもうたわれている。このことはもう御存じだと思いますので、これ以上言いません。
  95. 立木洋

    ○立木洋君 今の答弁も全く納得することはできません。  問題は、政府自身が述べられている協力法にするという根拠はどこから出ているのか。これは大問題になったんです、参加か協力がということは。参加ということになるならば、完全に国連の指揮下に入って武力行使を伴うようなことになるからということで新しい法体系をつくったんじゃないですか。その法体系を根本から覆すようなことになるんです、「参加する」という文言を入れることによって、そういう新しい概念を入れることによって。私は、ですからこの問題は絶対に認められない。撤回を私は要求します。  引き続いて大きな問題になっておりますのが、再修正案で出されていると日以内に議決するよう努めなければならないという問題であります。  これは既に明確にされておりますように、憲法四十一条の国権の最高機関である国会を全くないがしろにする問題であると、私も同じような見解を持っております一国会審議権を否定するのも甚だしいような、このような「議決するよう努めなければならない」というふうな定めの内容についても、これも私は撤回を少なくとも要求します。  このような問題で、既に出されている政府案というのはガラス細工と言われてきました。再修正案というのは何か。凍結などというような問題を持ち出す。これは氷細工です。こんなような憲法違反内容を重ねるような再修正案、私は絶対に認めることができないので、再修正案は必ずそれを撤回する、そのことを厳しく私は要求します。その問題が解決しない限り、この審議の継続を私はあわせて要求する。この問題が解決されない限り審議の継続を要求するということについての委員長答弁を私は求めたい。
  96. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 審議を続けてまいります。
  97. 立木洋

    ○立木洋君 ですから、この問題については、結論が出ない限り審議の継続を委員長が認めたものと私は解して、質問を終わります。
  98. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は連合参議院を代表いたしまして質問をいたしたいと思います。  昨夜からきょうにかけて続いておる審議の中で、二度三度問題になっていることに関しまして、私ども連合参議院考え方を示す上からも御質問したいと思います。  まず、岡野委員にお尋ねをいたしたいと思うんですが、今、立木委員が御質問をしましたが、略して言えば自公民修正案、この修正案の中に七日以内に承認を求められるよう努めなければならないという規定がありまして、それは法制局見解によれば訓示規定努力目標である。いわば世間で言う紳士協定によく似たものかもしれませんが、そういう訓示規定努力目標であるというならば、昨夜からきょうにかけて、立法府の権限あるいは憲法最高機関という規定からも問題があるというふうなことであれば、これを削除して、申し合わせ事項とか附帯事項に努力目標で入れる、こういうお考えがあるかどうか。と申しますのは、立法府が法律をつくる際に行政府に努力目標あるいは訓示規定、これはたくさんその例を見ることができますが、立法府に課する努力目標訓示規定、こういう例は私、勉強不足かもしれませんが、余り知らない。そういう観点からお尋ねをいたします。
  99. 岡野裕

    岡野裕君 井上先生、法律の御専門でありますのでもう当然おわかりだと存じますけれども、今、先生がお話しになられましたのは、私ども修正案第六条の八項に係るわけであります。一番最後のところを読みますと、「七日以内に、それぞれ議決するよう努めなければならない。」、こういう文字を使っております。それぞれ議決しなければならないと書いてございません。「努めなければならない」、これで努力規定であるということが明快でございます。  したがいまして、先ほどお話しをしました他律で。はなくて自律だと。しかも、議決義務ではない、努力規定であるということで御理解がいただけると存じます。したがいまして、削除する考え方はさらさらございませんので、よろしくお願いいたします。
  100. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、質問のときにわざわざ申し上げたんですが、この規定努力目標なのか、義務を課する、そういうものになるかで大変甲論乙駁というか、そういう議論を重ねてきておるわけですし、努力目標であればあくまでそれは訓示規定であって、努力目標であるならば法律の本文中にわざわざ載せなくても、ほかのところで十分間に合う場所はあるわけでございます。まして、立法府を縛る訓示規定努力目標というのが前例がないようなことであれば、これはちょうど百年間日本国会はやってきた、これから百年間、万が一こういうことが二度と起こらないときには、我々が構成している国会だけでこのような珍無類のものができ上がったと言われることになりかねない。そういう観点から考えますと再考ができませんでしょうか、いま一度お尋ねをいたします。
  101. 岡野裕

    岡野裕君 先生、百時間にわたりまして、我々、委員会審議をしてまいりました。そこで先生、PKOというものがこの世界の新しい秩序の中に占めますところの大きな意義というものは、もう十分御理解をいただけたと思います。  加えまして、PKOといいますのは、私ども日本PKO隊だけでできているものではないということは再三申しております。各国から派遣をされた者が国連の傘下に凝縮されまして、そうしてかつ業務を展開するということであります。事務総長の方から日本国に要請があったといいます場合に、来てくれるのか来ないのかいつまでたってもわからないということでは日本の信義にも影響するし、平和の維持を願う私どもの気持ちからもそぐわないものだと思います。  そういう意味合いで、シビリアンコントロールという角度も考えまして七日という日数というものを政策的に是であると判断をし、かつ、議決せねばならないというのではなくて、承認か不承認かいずれかの議決をいただけるよう努めてほしい、こういうふうに書いてあるわけであります。その辺を御理解いただきたいと存じます。削除する気持ちはさらさらございませんので、よろしくお願いいたします。
  102. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 これをやっていると一日暮れますので、もう一つ同じ問題をお尋ねいたします。  今回出されました修正案の中には、昨夜からといいますか、きのうからきょうにかけて、国連平和維持隊という言葉、この文言についていろいろ質問答弁が繰り返されました。この国連平和維持隊というのが修正条項で初めて出てきた文言である、したがってこの平和維持隊というものは日本が参加をする対象のものを指す、しかもこれは、PKFというふうに言われているものがなかなか厳密な定義を許さないというか、厳密な定義になじまない状態であるためにこういう言葉を修飾語的に使ったものでもある、こういうふうな答弁がなされております。  そこで、岡野委員にもう一度お尋ねをいたしますが、この文意としては、我が国として国際連合平和維持業務に参加するに際してというふうに「隊」を「業務」に変えるとか、あるいは「国際連合平和維持隊に」というのを全部取ってしまっても意味は通じるわけですね。こういう点で、定義があいまいな新しい言葉法律上に持ち込むということは法律立法技術でいいますと余り感心したことではないという観点から申しますと、ここも「隊」を「業務」にとか、あるいは全体「国際連合平和維持隊」という言葉を取ってしまう、そういうおつもりはないでございましょうか。
  103. 岡野裕

    岡野裕君 先生、やっぱり法律の御専門でありますのでおわかりかと存じますけれども、私ども修正案ということで、国会の承認を得なければならないということをここに規定をいたしました。その国会の承認を得なければならないのにつきましては、照らすのが二つある。一つ法律目的、これに照らすんだと、もう一つが五つの原則というものに照らさなければならない、こういうことであります。  そこで、五つの原則というのは何かといいますと、一括弧の中の各条項で、先ほどそれぞれの条項が何を意味するかということをお話をしたわけでありますが、それを指しております。そうすると、その五つの原則というのはどういう原則が。中身は括弧の中だけれども、括弧の中身を表現するのには、「国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則」と、こうなりませんと概念が明確ではありません。そういう意味合いで、平和維持隊というような言葉を削除しなくてもこれは立派に意味が通ずるのではないか、こう存じている次第でございます。
  104. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 五つの原則についてはこの後お尋ねをしますが、国際連合平和維持隊というのは、今論議をしているカンボジアのUNTACとかあるいはキプロスとかこれまでの例にあるPKOのものを言っていると、これは今、岡野委員はそういう趣旨でお答えになっていると思うんですが、大変皮肉などか意地の悪いとか、とんでもない誤解をする人から見ると、例えば湾岸戦争とかグラナダのアメリカの侵攻とか、そういうものでも国際連合平和維持隊という名前のついた場合はどうするんだと。  これは大変皮肉なりあるいは横目でやぶにらみの見方の立場だと言ってしまえばそれまでですが、そういうおそれがあるとするならば、法律の世界では初めて出てくるこの言葉国際連合平和維持隊という言葉については、厳密な歯どめといいますか、厳密な定義をするのが常套手段立法技術上の当たり前のことであって、それを欠いているということを考えると、疑義があるなら削除をするなり直した方が賢明であろう、私はそういう考えてお尋ねをしたわけでございますが、いま一度御答弁をお願い申し上げます。
  105. 岡野裕

    岡野裕君 先生、グラナダ等の事件もPKOあるいはPKFかというお話がありました。これはその呼称を勝手につけ得るというならば別でございます。しかし、どんな呼称をつけたとしても、私どもが参画できますのは国連の行動であって、事務総長からの要請に基づいて我々は実施計画をつくるわけでありますが、その場合に参加するか否かは、先ほどお話をいたしましたけれども政府原案法律第二条の二項。「国際平和協力業務実施等は、武力による威嚇又は武力行使に当たるものであってはならない。」、それから先ほどお話をいたしました承認の踏まえる五つの原則、もう一つ一つ申しません、これらに照らし合わせまして出るか出ないかを判断するわけであります。  そういう意味合いで、我々の平和維持活動といいますものが、絶対、世界の共通概念でありますところのPKO以外のものに参加をすることは許されないというふうな規定になっておりますことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  106. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 実は、余り文言文言で質問するのはなにかと思うんですが、もう一つあるんです。  今、岡野委員がたびたび引用されました五つの原則、これが今の同じ文意の中で「国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則」というふうに書いてあります。この五つの原則の括弧を見ますと、「第三条第一号、本条第一項第一号及び第十三項第一号、第八条第一項第六号並びに第二十四条」の規定を言うんじゃなくて、「規定の趣旨をいう。」と、こういうふうにかぎ括弧で入っているわけです。  これは法律専門家が読んでもなかなか読みづらい、わかりづらい、まどろっこしい表現になっておって、とどのつまりが「趣旨をいう。」というふうになっております。ここも普通の立法技術でいくと、もう少し厳密、厳格、縛りというものがないとこれはちょっと心配だなと、こういうことが出てくるわけでございます。五つの原則の今の括弧内を私が読み上げると恐らく六分ぐらいかかる、本文を読み上げると。それでやめます、もうあと九分しかありませんので。  こういうところも、「趣旨をいう。」となぜ入れられたのか。あるいはこれについて文言を変えようとか、あるいはこの「趣旨」の趣旨ですな、これをお聞かせください。
  107. 岡野裕

    岡野裕君 先生が全部読み上げると六分かかるとおっしゃいましたけれども、したがいまして簡潔に各該当条項というものをここに括弧書きで入れたわけでございます。  そして「趣旨をいう。」というのが極めて非法律的だというお話でありますが、専門家の先生に申しわけありませんけれども政府原案をちょっとごらんいただきたいのであります。  第六条四項であります。政府原案の方であります。「第二項第二号に掲げる装備は、第二条第二項並びに第三条第一号及び第二号の規定の趣旨に照らしこと表現があります。次に六条五項であります。「海上保安庁法第二十五条の趣旨にかんがみ」との表現があります。またその次、九条二項をごらん賜りたいんです。九条二項は「協力隊の隊員は、第二条第一項の規定の趣旨にかんがみこというようなことで、「趣旨」というような規定の仕方をいたしますのは決して珍しいことではないと、先生御専門でありますので、御存じだと存じます。
  108. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 あと八分になりました。私はたくさん質問を用意しておりましたので、ちょっと次の質問に移ります。  ただ、今の三つの問題については御答弁をいただきましたが、なお私の方は理解がもう一つ納得いかない。この深夜国会のために頭がぼけているのかもしれませんが、もう一度お尋ねの機会があればぜひ聞きたい、このように思っております。  それで、次に御質問をしたいと思います。磯村委員に尋ねます。  先ほど日本自衛隊は外国の軍隊と少し違うんだというふうなお話がありました。  このPKOの問題、これまで審議をする中で、国連から軍人を出してくださいと言われてきております、軍人でないとなかなか用を足せない仕事が多いんですと、こういう御説明がるるありました。しかし、軍人でも、例えばアメリカの軍人はどういう役割といいますか、軍人の役割は一つだといえばそれまでかもしれませんが、どういう性格のものか。あるいはソ連と言うのはもう古いかもしれませんが、ロシアの軍人はどういう任務を帯びているのか。  そういう観点から、日本自衛隊はどういう制限なり性格なり限定を与えられているのか。そのことと、今回自衛隊員を併任で部隊の形でPKOに参加することはどういうふうなところで支障があるのかないのか。その点について、連合参議院修正案ではそのところをどのようにクリアしたのか、お話を伺いたいと思います。
  109. 磯村修

    磯村修君 まず、外国の軍隊と我が国の自衛隊との相違ということでございますけれども先ほども少し触れました。政府は、PKOに参加する場合に、どこの国も軍隊を出している、だから我が日本もそれに相応する自衛隊を出すべきである、こういうふうなことをよく言われております。しかし、例えばアメリカの国防軍、これは集団防衛にも参加している軍隊でございます。それに対して我が国の自衛隊というのは、いわゆる自衛隊法の三条に基づいて、あるいは憲法の解釈からいっても我が国の自衛権、それを行使するための組織というふうに限定されております。そこに大きな相違があると思うんです。  そういう意味合いから、今論議を呼んでおりますところの自衛隊法が制定されたときに本院で決議されたいわゆる国会決議というもの、この中でも自衛隊武器を携行して外に行ってはいかぬという決議をしているゆえんでもあると私ども考えております。
  110. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 もう一問、磯村委員質問をいたしますが、連合参議院修正案を出しました。この修正案を出した後で新聞報道では、連合参議院国際緊急援助隊の政府法案は賛成のようだと、こういう新聞報道が出ました。  しかし、連合参議院修正案の中身は、PKOも国際災害援助業務を別組織の常設のもので賄うという内容になっております。  そこで、この新聞報道が本当なのかあるいは連合参議院考えている援助隊についての姿勢はどうなのかお尋ねをいたします。
  111. 磯村修

    磯村修君 連合参議院考えていることは、PKO協力していくために別組織をつくる、こういう立場であります。  その別組織海外で起きた災害等の緊急援助にも出動するんだ、こういう考え方でございます。その修正案を出したわけでございます。これが否決されればという前提があります。その場合に私たちはやむを得ない措置として、緊急援助というのは自衛隊が仮に行く場合も非武装、丸腰、目的災害援助というふうに限定されているという意味から、人道上のことも配慮してやむを得ない措置として、その場合の出動を容認する、こういうことでございます。
  112. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 時間が参りましたので、終わります。
  113. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記をとめて。    〔速記中止
  114. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 速記を起こして。
  115. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 最初に、参議院法制局にお尋ねいたします。  先ほど来、三党による再修正案に係み「七日以内にこ「議決するよう努めなければならない。」という規定が議論になっております。お聞きしておりますと、内閣が立法府を縛るものだとか、あるいは努力規定なら何も法律の中に書く必要ないのではないかという御意見もありますけれども、私はこの「七日以内にこという規定考える場合に、なぜ出てきたのかというそもそもの問題を振り返ってみる必要があると思います。  もともとこの努力規定というのは民社党が主張した国会承認にかかわってつけられた規定でございます。民社党が国会承認を求めたときに政府が大変強い抵抗を示されましたが、その理由は、国連の要請に速やかにこたえられるか、それが心配だということでございました。そこで、接点を見つける必要があるという判断があってこの努力規定考えたということをまず考えてほしいと思うんです。  それからもう一つは、国会審議権を縛るものだ、制約するものだという意見がありますが、これは私は逆だと思います。もともとこのPKO法案によれば、原案によれば、実施計画に基づいてPKO派遣するのは政府の、内閣の決定でできるはずだったんです。ここには国会が関与する余地は全くなかったんです。ですが、民社党の強い主張によって国会承認がつけられました。という経過を考えますと、これは国会審議権を制約するどころか、逆に拡大したということが一言えるわけで、今まで言われていたことは少し違うんではないかと思うんです。  そういう経過の中で設けられた「七日以内にこ「議決するよう努めなければならない。」という規定でございますので、またこれは議決しなければならないと言っている規定でもございませんので、私は憲法違反には当たらないと考えているわけでありますが、大変大事な点でございますので、この「七日以内にこ「議決するよう努めなければならない。」とすることは国会審議権を制限するものではないという私の意見、あるいは憲法上問題はないという私の意見に対して、改めて法制局の御意見をちょうだいしたいと思います。
  116. 中島一郎

    法制局長中島一郎君) お答え申し上げます。  法令におきまして、「努めなければならない」という用語は、ある事柄について努力するという意味でありまして、これは訓示的なものであり、特にはっきりと義務を規定しない場合に用いるわけであります。したがって、「七日以内にこ「議決するよう努めなければならない。」という場合には、これによって国会審議権を制約することはありませんので、憲法上問題はないと考えております。
  117. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 総理にお尋ねいたします。  アジアの中で日本PKO派遣に期待している国が幾つかあるようなお話も伺っている昨今でございますが、そうしたことも含めまして、アジア情勢に関して総理はどのような認識を持っておられ、またPKO要請があるいは出てくるのか出てこないのか、その辺のことについてどのような見通しを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  118. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる冷戦後の時代になってまいりましたけれども、アジアにはまだ幾つかのいわば完全に平和になり切らない地帯が残念ながらございます。しかし、その中で十三年間戦争をいたしておりましたカンボジアは、ここに至る我が国を含めた各国の努力がありまして、今SNCというものができまして国連平和維持活動に入ったところでございます。  我が国としては、歴史的にも長い関係があり、またこの和平の将来につきましては我が国も努力をずっとしてまいりましたので、国連からの要請もあり、また交戦当事者からの強い要請もございまして、本来ならばこの国連平和維持活動カンボジアで参加をするということが極めて望ましい状態にある。しかしながら、これは所要法律をお認めいただきまして、国会から御承認をいただきませんとできないことでございまして、ただいま御審議を願っておるところでございます。やはり、同じくアジアの国であり、また我々の同胞がカンボジア和平には何人かの方が最高の責任を負っておられるということもございますので、我々に期待されているところは大きいと存じます。  なお、このことにつきましてばかりでなく、今回の法案につきまして、私も全部のことを知っておるわけではございません、必要ならば政府委員の助けをかりたいと思いますが、例えばマレーシアのマハティール首相、それからタイでは、この間やめられましたけれどもまだ新内閣ができておりませんのでアナン前首相、あるいはインドネシア外務省等々は、我が国の国際的な平和に貢献したいという意図は正確に理解をした上で評価をしておられるように存じます。  またしかし、国によりまして、我が国との過去の関係からこのような行動は慎重であってほしいということを言っておる国もございます。したがいまして、私どもとしてはそういう意見をも聞きながら、この法律をお認め願いました後、現実に国連平和維持活動に参加いたしますときにそのような意見についても十分に配慮をしながら、真に我々を迎える人々に喜ばれる形で国連平和維持活動に参加をいたしたい、かように考えております。
  119. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 官房長官にお尋ねします。  PKO法案は衆議院でまず修正が加えられ、また参議院においては再修正するよう三党が求めております。となりますと、原案に比べると枠組みは変えないものの相当大きな修正が加えられたことになり、その結果、国連との関係では、他の国がPKOに参加する場合と違った条件が加えられることになるのではないかと思うんです。このことをあらかじめ国連に理解しておいてもらわないと、日本は何をやっているんだとか、あるいは場合によっては国連PKO計画自体が狂うかもしれません。私はこれは大事な点だと思うんですけれども、官房長官の御認識をお伺いしたいと思います。
  120. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) この委員会で丹波国連局長が数回答弁申しておりますように、昨年の八月、グールディング事務次長に日本の基本方針、つまり今度の法案の主要点が入っている基本方針を説明したときに、国連側から問題はないという回答を得ておるわけでございまして、今回の自公民の法案修正もその大きな枠組みは変わっていない、こう考えております。  ただ、実際の派遣に先立ちましては、我が国の派遣体制の細部について十分国連側に理解を得ることも必要でございます。今、先生御指摘のとおりでございますので、本案成立後できるだけ早い段階で、国会での御審議を通じて加えられた修正も含めて、改めて法案の中身を国連側に説明したいと考えております。
  121. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 PKOという言葉にしても、我が国で使われ始めたのはごく最近のことだと思います。また、国連PKO活動がかなり注目されてきたというのもこの数年ではないかと思います。もちろん歴史はあるにしても、この数年、特に際立った活動がされているんだと思います。  PKOというのは、行く人だけが一生懸命やれば任務が十分遂行できるわけではなくて、やはり国民が温かい目で見守り、なおかつサポートするという中でこそ十分な活動ができるとすれば、国民の理解を少しでも広げる努力というのが大事だろうと思います。  そういう意味で、文部大臣にお尋ねするわけでありますが、我が国の義務教育の中でPKOというのはどのように扱われているのか、扱われてないのか、あるいは今後どうしようとされているのか、もしお考えがあれば伺いたいと思います。
  122. 鳩山邦夫

    国務大臣(鳩山邦夫君) 今、先生おっしゃいましたように、PKOという言葉自体が最近強く認識されるようになっておりますので、現在使われている教科書の中で国連平和維持活動PKOというものが掲載されているものは、私の知り得る限りでは、まだ調査を詳しくしたわけではありませんが、ないのではないかと思っております。もちろん小学校、中学校、そして高校はもちろんでありますが、社会科の授業の中で先生方の問題意識の持ち方によっては既に取り上げているように聞いておりますし、現に私の子供は今、中学二年生、三年生で二人おりますが、学校で既にそういうふうな授業があったように言っております。  そして、中学校は来年から新学習指導要領が実施されますので、つい先日まで来年から使われる教科書の検定をやっておりまして、その検定を終えた幾つかの教科書ではPKOのことが既に書かれております。例えば帝国書院の来年から使われる「社会科 中学校」でございますが、公民的分野では、「日本国連への協力の視点から、武力行使目的としない人材を派遣するなど、あらたな体制を整備しなくてはなりません。そうでなければ、日本は国際社会のなかで信頼感を保つことや外交を展開することができなくなるおそれがあります。」、これが既に検定を終えた教科書でございまして、徐々にそういう教育が行われていくものと思います。
  123. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 防衛庁長官にお尋ねします。  UNTACの関係でありますが、オーストラリアは、このカンボジア問題に取り組むに当たって二、三年前からPKO派遣要員を現地派遣して、言葉であるとか習慣であるとかあるいは地理であるとかいうようなことを習得させる努力をしたと聞いております。我が国の場合にはまだPKOという本格参加がないからそういう準備もないのかと思いますけれども、これからのことを考えますと、実施計画を決めました、それからいろんな勉強をしますというのでは対応がおくれがちなんであろうと思います。  したがって、この際、どこの国と特定しないまでも、例えば英語というのはどこの国でも通用しやすい言葉ですからあらかじめ教育をするとか、アジアのおおよその地域についてはかなりの人が風俗、習慣、地理を理解しているというような日常の教育をやっていく必要があるのではないかと思いますが、この点に関しての御見解を伺いたいと思います。
  124. 宮下創平

    国務大臣(宮下創平君) さきに本委員会でも準備段階の問題が提起されておりますが、私が一般論としてお答え申し上げたのは、この法案カンボジアだけを目的としたものではございません。したがいまして、この平和協力業務実施する場合の基幹となる要員を北欧のPKOのセンターあるいは学校等に派遣いたしまして、それらの者を教官として、いわば集合教育でございます。今、英語の問題を御指摘になりましたが、そのほかにこの国連平和活動の沿革でありますとか、平和維持隊の役割をきちっと認識させる、あるいは協力業務の実務はどうなるであろうか、また特にカンボジアの問題がございますから、一般的にそういった問題をよく勉強させていただいて、今度はそれらの教官を要員として、教官要員としてさらに広げていくということを一般論としては考えておることを申し上げました。  しかし、現実の問題として、UNTACの場合はもうカンボジアのUNTACということで具体的な問題でございますので、私といたしましては、本院が通過したならばとにかく現地調査団を至急に派遣いたしまして、そして実情を把握した上で何ができるのか、どういう条件なのか、至急にこれは現実的な対応をしなければなりません。有効な任務が遂行できるということと同時に、隊員の安全確保、そういった点も十分考えていかなければなりませんので、今そんなことを考えておるところでございます。
  125. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 大蔵大臣にお尋ねします。  UNTACの明石代表が当委員会に出席された折に、UNTACの総経費、恐らく二十三億ドルないしは二十四億ドルかかるであろう、その三分の一は日本で負担してくれないかということを要請されておりました。私は、カンボジアとの関係を考えますと、ぜひこの程度の要請にはこたえてあげるべきだと思いますし、それからせっかく出すのであれば、またツーレートなんて言われることがないように、タイミングを見てもうそろそろ決断される時期じゃないかと思いますが、いかがか。  これは総理にお尋ねした方がいいのかもしれませんが、実は任意負担分というような拠出の部門があるものですから、大蔵省も関係があるのかなと思ってお尋ねするような次第でございます。よろしくお願いします。
  126. 羽田孜

    国務大臣(羽田孜君) カンボジアの永続的な和平、これを定着させるためには、また再建を支援していく上では、国連カンボジア暫定機構の活動の早急な実施が重要でございまして、我が国もアジアの一国として応分の貢献を行っていくことは必要であろうというふうに考えております。  こういう考え方に立ちまして、UNTACの立ち上がりに必要な経費二億ドルに対応する我が国の分担金の二千五百万ドルにつきましては、三月十八日にこれは支払いを完了いたしたところでございますし、また難民の支援につきましては、もう既に昨年の三月とまた本年の三月二十六日ですか、二度にわたりまして三千五百万ドル、これももう既に実は分担をさせていただいたところでございます。  今後の難民への対応ですとかあるいは復旧部門、これについてのお話であろうというふうに思っておりますけれども、ただ三分の一というのは実際問題、何というんですか、厳しい財政事情という中で非常に難しいと思っておりますけれども、しかし私どもといたしましてもやっぱり応分の負担をすること、これについては我々としても真剣に検討していきたいというふうに考えております。
  127. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 総理に今の点を改めて伺いますが、三分の一負担、もうそろそろ発表する時期じゃないでしょうかということについて御見解を賜りたいと思います。
  128. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 今、大蔵大臣が言われましたように、なかなか財政の方の御苦労はございますけれども、拠出制の方は本当は各国でやはりその分担分は持ってもらいませんといけないと思いますのですが、任意性の方はこれはなかなかそうもいかないかもしれません。そんなことも考えますと、そこはやはり財政は苦しゅうございますけれども、できるだけのことはしなきゃならないんじゃないか、またよく財政当局とも御相談をしたいと思っております。
  129. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 湾岸戦争が終結したとき、これは一部の声ではあると思いますけれども日本は汗もかかないで、商売となるといち早く飛んでくるというような批判が中東であったように記憶しております。PKO、これからどういうところで活動できるのかわかりませんけれども、既にカンボジアには日本人の観光客が大勢行っているというような話があったり、商社マンが出かけていっているという話があったり、ひんしゅくを買っている面があるように聞いております。  これからPKOをするに当たって、ぜひ行った国々で、日本が金もうけのためだったらすぐ飛んでくるというようなことを言われないようにしなければいけないと思うんですがい通産大臣、この点に関して何か業界指導をする必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  130. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 湾岸危機の直後、先生御指摘のように、日本は九十億ドル、またその前に二十億ドルといったような国民の皆さんのとうとい税金、膨大な負担をしたにもかかわらず、何にも汗をかかない日本が復興のときにこれをビジネスチャンスと考えて来るのでないかというような世界の批判があったことは先生御指摘のとおりであります。通産省としては、決しでそのような世界から批判を受けないようにということで、産業界の皆さん方に注意の喚起を行い、自粛をしておったことも間違いございません。  しかし、ことしの一月、私は湾岸三カ国を訪問いたしましたところが、お金を出しておったときは、あれだけ膨大なお金を出してもその後非常に厳しい批判を受けたんですけれども、その後おくればせながら掃海艇を派遣したことによってあの湾岸地域の日本に対する信頼がまるで変わってしまって、日本はよくやってくれたという言葉を聞いて非常に私はうれしく思って帰ってまいりましたが、やはりお金も出す、平和のためには汗も流す、こういうことになればあの湾岸危機後とは世論は変わってくると思います。  いずれにしても、世界の中でドイツが残念ながら赤字になってしまった今日、先進国の中の唯一最大の黒字国の日本としては、いかなる場合も世の批判を受けないように注意してまいりたいと存じます。
  131. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ありがとうございました。終わります。
  132. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、ちょっぴりの時間で二、三質問を予定いたしておりますが、その前に委員長さんに確かめたいことがございます。お聞きください。  それは、この特別委員会の民主的な運営という立場から、我々が最も警戒し、また私も実はその恐怖症になっておるのでありますが、それは強行採決という悪名高い非民主的なやり方をやってもらったら困る。強行採決はやらないということをおっしゃっていただきたい。このことをまず質問の前に確かめたいと思います。
  133. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 審議は粛々とやってまいります。
  134. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 と申しますのは、実は私、その恐怖症になっておると冒頭に申し上げましたが、去る百十三国会の例の悪名高い悪法の税制問題に関する調査特別委員会の事もあろうのに私の質問の最中に、この悪手段委員長によって突破された。それで私は最も大事な基本権の言論の自由を封殺された苦い苦い経験を実は持っておるのであります。私は、強行採決という悪名高いこの手段は思い出すたびにぞっとする、恐怖症になっておると申し上げたいきさつはそれでございます。  それでは、安心をいたしまして次の質問に移ります。  まず最初に、連合参議院修正案に対する質疑をいたしたいと思います。  連合参議院は、PKOに関しては自衛隊とは別の組織にするべきであると強く主張しておられますが、その理由をはっきりお聞かせいただきたい。
  135. 磯村修

    磯村修君 私どもPKOに参加していくというその組織というものは、やはり政府案、修正案等見ましても、自衛隊の出動ということが、派遣ということが前提になっているわけですね。なぜ私たちが別組織にしなければならないのかと申し上げますと、先ほども触れましたが、自衛隊は専守防衛の任務に限定されている。そしてまた、憲法の拡大解釈そのものに対する疑念が払拭し切れない。そして自衛隊法制定当時の国会決議、そういうふうなことを踏まえながら、さらに国民世論というものが今二つに大きく分かれている。そうした中で、あえてそこにある自衛隊海外派遣するということはやはり国民世論に背くことになる。そういうことも考えながら別組織ということを編み出したわけでございます。  その別組織も、いわばこれまでの政府の説明にもありますように、PKOへ参加する現地というのはなかなか大変なものであるという説明があります。場合によっては、自衛隊の能力と申しましょうか、そういうものを活用しなければならない場面もある。いろいろとそういうことを考えて、いわゆる休職・出向という形で、民間の人あるいは一般の行政庁の人とともに別の組織をつくりまして、そして海外に行っていただき協力をしていく、こういう考えでつくったわけでございます。  特に、いや、そういう紛争地に行っても戦場に行くのではないというお言葉があります。それはそうでしょう。もちろんそんなことがあってはなりません。しかし、私たちが心配しているのは、例えばカンボジアの例をとっても、既にポル・ポト派、つまりクメール・ルージュのタカ派と言われておりますところのタ・モックがパリの和平協定を無視している。承認していない。そういうことからも、地雷を国道に敷設したり橋を破壊したりというそういう行為、行動というものが現にある。そうしたところに自衛隊を送り込むということはやはり武力行使につながる危険があるんじゃないか、こういう懸念も多くの国民は持っているわけですね。そういう意味合いにおいても、今の段階武力集団の武器を携行した自衛隊が行くことは好ましいことではないということを私たちは考えているわけでございます。  例えば見直しということをよく言われます。三年後に見直しをするということが修正案にもございますけれども、私たちは逆であると思っています。まず別組織にしてから、別組織によって海外に行って協力活動し、そしてそれを見直して考える、それが本来の筋ではなかろうか、こういうふうに私ども考えております。  いずれにいたしましても、紛争地に行くわけですから、やはり私たちは、同僚議員カンボジアに行ってまいりましたし、私もキプロスを見てまいりました。そういう面から考えましても、これはなかなか一〇〇%このPKO法案があるから安全である、そういう憲法の枠を超えるようなことはあり得ないということを政府側は説明いたしますけれども、私はそれに大きな疑問を持っている。やはり別組織でなければならないというふうに私は確信しております。
  136. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、自公民三党の修正案に対する質疑をいたしますが、三党にお聞きする時間は到底ありませんので、代表でお答えいただきたいと思うのであります。  質問内容は、三年後の見直しという規定を入れてあるのは、この法案の不完全性と法案に対する自信のなさ、不安をみずから認めるものではないのだろうか。また、そのような見直し規定まで入れて間に合わせのような法律をつくるくらいなら、もっと時間をかけて、日本の将来の国際社会におけるあり方や国際貢献の仕方をもっと慎重に検討し、国民の納得のいく法律をつくり、国民がみんなで喜んで国際貢献をしていきたいと、こういう理解と信頼を前提として取り組みたいという、こういうことが最も大事であると思うんです。  以上の点について、考えておられることをお聞きしたいんです。
  137. 岡野裕

    岡野裕君 喜屋武先生、附則の三条で私どもは三年後の見直しというのを修正案で提案をいたしました。  しかし、その見直しの提案をいたしておりますのは、先生がおっしゃいますように、私どもが自信がない、不安だというような消極的な意味ではさらさらありませんで、先生御存じのとおり、今はPKOというのは大きく世界的に展開をしております。そして、戦後一九四八年から四十四年間に二十そのPKOが構成をされておりますが、ここ五年ぐらいでそのうちの十四が組成をし活動をした。ここ一年間の間でも七つも八つもできています。UNTACあたりは非常にその範囲が広大になっています。つまり、非常に発展をしていく姿にあるのがPKOだというような意味合い。それから、私どもはこの伝統に輝くPKOではありますけれども日本国としては初めてそれに参加をするんだというような意味合いで、世界の趨勢、PKOの趨勢を見、かつ我々がそこに参画をしてみたその経験を踏んまえて、新しく三年後に法律実施のあり方について見直そうではないか、よりよいものにしてまいろうという次第であります。  積極的にそのPKOを展開をしようという意図でありますことを、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  138. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間のようでありますので、これで終わります。
  139. 合馬敬

    ○合馬敬君 委員長……(発言する者多し)
  140. 下条進一郎

    委員長下条進一郎君) 合馬君……合馬君の動議に賛成の諸君の起立を……    〔発言する者多く、議場騒然、聴取不能〕    午前三時四十四分散会      ―――――・―――――