○高桑栄松君 もうちょっと時間がありますので、先ほど申し上げた意見をまず展開させていただきまして、最後に
大臣の御意見をまた承りたいと思っております。
よく進化の
過程という言葉が使われて、ダーウィンの進化論が金科玉条でずっと来たわけだし、私もずっと進化論というのを信じておったんですが、ここ二、三十年ぐらいの私の見解では、
生物は進化したのではないと私は思ってきました。
それは
環境に適応してきたのであって進化ではない。進化という
意味は
環境に適応しただけの話で、適応できなかった個体が滅びていった。その個体の集団が種であったということであって、どう考えても、
人間が生まれてきたのも
環境適応の結果ただあらわれてきたのである。適応に最もふさわしい
生物として出てきた、こう私は思うんです。
だから、
生物は
環境適応の結果として現在の種がある。それは先ほど来出ておりますが、
地球が四十六億年前に誕生して、三十五億年前に
生物が生まれた。それは推測の域を出ませんが、多分単細胞
生物。それは何だというと、炭酸ガスが九八%ぐらいあったはずですから嫌気性の細胞だろう。例えばボツリヌス菌とか破傷風菌とかというふうな酸素がない方がいいという
生物がふえた。それがそのうちにだんだん炭酸ガスを栄養にして、食ったら酸素が出ていくという
生物が出てきて、まあ植物がそうです。どんどん炭酸ガスが減って酸素が出てきた。
そういう
環境の中で、今のような我々が知っている
生物が出てきて、その中で五百万年ほど前に
人間が分化した。これだけの話じゃないかと思うんです。だから、
人間の歴史というのは三十五億年前からの
生物の歴史の中でたかだか五百万年である。これも仮に温度が少し下がってきたら、例えば太陽が冷えてしまったらもう
地球にこういう大きな動物、
人間は生きていかれないだろう。だから、もう当然
環境に適応して
人間も絶えていく
生物種の
一つだ。これも高級な器官を備えているほど
環境に弱いだろうと思うんです。
環境が少し悪くなったら、生き残るのはゴキブリだと言われてますね。温度がぐっと下がってきたら多分コケだろう。全部こけにしちゃうということですよね。そういう
状況になるだろうと思うわけです。
つまり、自然の成り行きの中で我々は生き残ってきただけの話だ。だから、その自然の成り行きというのはどっちかの
方向かに進んでいきますから、その進んでいくときに人類の末期というものをスピードアップするかスピードダウンするかというのが我々の問題なわけだ。
そこで、マルサス
人口論というのがありますよね。マルサスが
人口論を唱えたのは一七九八年、ちょうど百九十年ほど前でございます。マルサスは、
人口は幾可級数的にふえていく。食糧というのはそんなに伸びるわけがないので、算術級数的に伸びていく。このアンバランスがあると食糧の争奪戦が起きる。そのアンバランスはどうする。悪徳が起きる。貧困が起きる。そして一番大きいのは戦争だと思いますね。戦争がそうだったんじゃないかと思うんです。簡単に言えば、食べ物がない土地がない、よし略奪だ。これだったと思うんですね。
ところが、戦争がない時代、今それがやってきたかのごとくに見えますね、東西冷戦が終わりましたから。そうすると、何がこれから問題なんだろう。マルサスが言ったのはマンニブンド・レシオ。
人間と土地の比例が崩れたときにアンバランスが悪徳を引き起こす、戦争を引き起こすと言ったわけです。
私、ちょっと食糧を勉強したんですよ、ある論文を書かされまして。いや驚いたですね。マルサスの
人口論に言う食糧の生産というのはこんなものじゃないですね、バイオテクノロジーから、この発達がすごいので。
環境破壊を考えなければ現在の
人口の十倍は扶養できる生産能力があるという結論です。農業の学者のお話で私の知恵じゃありませんよ、受け売りでございます。だからマンニブンド・レシオではなくなったわけだ。
そうすると、マルサス
人口論を高桑
人口論に取りかえますとマン・エンバイロンメント・レシオだ。
人間・
環境比例がアンバランスになったときに
人間は滅びていくのではないか。そして、マン・ランドのように略奪戦争で生き残ることはできないわけです、
環境なんだから。だから、これが非常に問題ではないか。
したがいまして、合計特殊
出生率に戻りますと、
日本は一・五三と大変慌てているようでございますが、私は津島さんが厚生
大臣のときに半分
人口論争を仕掛けてやめたんです。学会じゃありませんから論争する理由は
一つもありませんから、私の意見だけ言えばいいなと思ってやめましたけれ
ども、私は一・五三でびっくりしているのはおかしいと思っているんです、減った方がいいと。
非常に単純明快に言いますと、私が小さいとさは六千万、もうちょっとあったかもしれない。我ら
人口六千万はというのは、今から七、八十年前はそうだったですから、六千万は半分ですよ。
日本の
人口が半分、東京の
人口が半分の六百万ですね。電車の乗車率が今二〇〇%、一〇〇%になるんです。全員がゆっくりではないかもしらぬが腰かけられる。家は一家族やっとこさ三LDKというのが六LDKとれる。とにかくすべてがゆったりとした時代がやってくる。私は一・五三で
人口が半分になるまでほっておいた方がいいと。これは私の高桑理論でございます。
そうしたら、ゼロになるじゃないかと心配するんですね。そんな必要はない。トキのようなことはない。「時に范蠡なきにしもあらず」なんというのがありますが、そんなことはありませんけれ
ども、この論理は別にいたしまして、トキに范蠡は例で、例としてびっくりするかもしれません。
ですから、今、
地球サミットで求められているのは、人類がいつか迎えるであろう末期がどれくらいスピードアップしようとしているかということが問題だろう。そして人知では避けがたいものがやってくるわけですよ。何百万年後かは知りません、そんなに長くないのかもしらぬと思いますけれ
ども。
とにかく、ピナツボ火山が爆発しただけで温度が一度下がるとか、エルニーニョが起きたらどうとかと言っていますので、我々の手の及ばない天変地異でもうすぐ気温が変わります。まして炭酸ガスがふえてくる。この炭酸ガス
条約にもアメリカが拒否反応を示しているということは、私は、まあアメリカはありがたい国だと昔から思っていたんですけれ
ども、だんだん思わなくなってきたんです。自分の国の利益のために炭酸ガス
条約に否定的だとさっき
大臣が言われたけれ
ども、
日本は全
世界の炭酸ガス発生量の四・七%、アメリカは二四%、
日本のちょうど五倍です、そうですね、
大臣。五倍出している国をほうってあるんだもの、四分の一ですよ、
地球の炭酸ガスの。これが知らぬ顔をしたらどうしようもないわけだ。そんなのは国益に反するからといって、人類益に反することに知らぬ顔をするというのは、
世界の良心と言ってきたアメリカはこれで良心と言えるんだろうか。私は非常に不信感をだんだん募らせているところです。
それで、今度の
生物多様性
保全条約も、国益ということが出てくると、
地球的な規模の合意にあの強大国がだめだと言ったら
日本なんてもう本当に鎧袖一触というやつじゃありませんか。もっとも、アメリカは
日本の五倍の炭酸ガスを出しているといいますが、
人口が倍ですから実力から言うと二・五倍ですよね。一人当たりの炭酸ガス発生量は二・五倍。そういう計算でずっと私いろんなことをやってみたんですが、やっぱりどうしても
人口問題ですよ、
大臣。
人口問題が公害及び
地球環境の原点です。
これは三十年ぐらい前から、高桑公害論の講義をしたときからの私の考え方でやってきていますが、公害のときから発生源は
人口だというふうに思っております。自動車だってそうですものね。
日本の炭酸ガスの二〇%は自動車だと書いていますから、
人口が半分になったら一〇%になるんですよ。直ちに減りますね。車はまさか一人で二台一遍に動かせませんから、一人は一台なんだから、
人口が半分に減ったら一挙に半分になる。そうしたら、
日本の炭酸ガス発生量は一〇%は直ちに減るわけだ。ですから、これはやっぱり
人口です。途上国に比べ先進国のエネルギー発生量は現時点で三十倍です、大ざっぱに三十倍。それくらいの差があるんです。
話が最後の時間になりましたが、しかし、
大臣の
人口論というのは私と一〇〇%一緒のようで、それで和しゃべらせてもらう気になったんです。私の講義を聞かれたのかなと思うぐらいでございます。
そこで、
地球環境の
保全、そして生態系の
保全できょうは随分皆さんからいい御意見が出て、私はもう非常にいい
委員会だったと思って伺っていました。だがしかし、
大臣がどう受けとめていられたかを承りたいんです。
生態系が問題であって、特別な種に着目するというのは今や公害に着目して
地球環境を忘れているような気配ですから、これはやっぱり種だけではなくて生態系そのものを考えなければいけない。その系の中に
人間も入りますから
人間も忘れちゃいけませんと言いたいんです。そういたしますと、生態系を保護していくという観点から今度できるのと一緒くたにしましてやはり
野生生物保護基本法といったようなことに
発展していく必要がある。そうすべきではないかと私は思いますが、
大臣に全部まとめてコメントをいただきたいと思います。