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1992-02-20 第123回国会 衆議院 予算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成四年二月二十日(木曜日)    午前十時一分開議 出席委員   委員長 山村新治郎君    理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君    理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君    理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君    理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君    理事 草川 昭三君       相沢 英之君    愛野興一郎君       粟屋 敏信君    池田 行彦君       内海 英男君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       唐沢俊二郎君    倉成  正君       後藤田正晴君    左藤  恵君       志賀  節君    戸井田三郎君       浜田 幸一君    原田  憲君       松永  光君    松本 十郎君       村田敬次郎君    村山 達雄君       柳沢 伯夫君    井上 普方君       伊東 秀子君    加藤 万吉君       小岩井 清君    新盛 辰雄君       関  晴正君    筒井 信隆君       戸田 菊雄君    日野 市朗君       水田  稔君    和田 静夫君       石田 祝稔君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    児玉 健次君       佐藤 祐弘君    辻  第一君       中野 寛成君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  宮澤 喜一君         法 務 大 臣 田原  隆君         外 務 大 臣 渡辺美智雄君         大 蔵 大 臣 羽田  孜君         文 部 大 臣 鳩山 邦夫君         厚 生 大 臣 山下 徳夫君         農林水産大臣  田名部匡省君         通商産業大臣  渡部 恒三君         運 輸 大 臣 奥田 敬和君         郵 政 大 臣 渡辺 秀央君         労 働 大 臣 近藤 鉄雄君         建 設 大 臣 山崎  拓君         自 治 大 臣         国家公安委員会 塩川正十郎君         委員長         国 務 大 臣 加藤 紘一君         (内閣官房長官)         国 務 大 臣 岩崎 純三君         (総務庁長官)         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     伊江 朝雄君         (沖縄開発庁長         官)         国 務 大 臣 宮下 創平君         (防衛庁長官)         国 務 大 臣         (経済企画庁長 野田  毅君         官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 谷川 寛三君         官)         国 務 大 臣 中村正三郎君         (環境庁長官)         国 務 大 臣 東家 嘉幸君         (国土庁長官)   出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第一 大森 政輔君         部長         公正取引委員会 梅澤 節男君         委員長         公正取引委員会         事務局官房審議 植松  勲君         官         公正取引委員会 糸田 省吾君         事務局経済部長         公正取引委員会 地頭所五男君         事務局経済部長         警察庁刑事局長 國松 孝次君         警察庁警備局長 吉野  準君         総務庁長官官房         審議官     小山 弘彦君         兼内閣審議官         総務庁長官官房         審議官     稲葉 清毅君         兼内閣審議官         総務庁行政管理 増島 俊之君         局長         総務庁行政監察 鈴木 昭雄君         局長         防衛庁参事官  高島 有終君         防衛庁長官官房 村田 直昭君         長         防衛庁防衛局長 畠山  蕃君         防衛庁経理局長 宝珠山 昇君         防衛庁装備局長 関   收君         防衛施設庁総務 竹下  昭君         部長         防衛施設庁施設 大原 重信君         部長         防衛施設庁建設 新井 弘文君         部長         経済企画庁調整 吉冨  勝君         局長         経済企画庁物価 小林  惇君         局長         経済企画庁総合 長瀬 要石君         計画局長         経済企画庁調査 土志田征一君         局長         科学技術庁長官 林  昭彦君         官房長         科学技術庁原子 坂内富士男君         力安全局長         環境庁長官官房 森  仁美君         長         環境庁企画調整 八木橋惇夫君         局長         環境庁企画調整 柳沢健一郎君         局環境保険部長         環境庁自然保護 伊藤 卓雄君         局長         国土庁長官官房 藤原 良一君         長         国土庁長官官房 森   悠君         国土庁防災局長 鹿島 尚武君         法務大臣官房司 濱崎 恭生君         法法制調査部長         法務省民事局長 清水  湛君         法務省刑事局長 濱  邦久君         法務省訟務局長 加藤 和夫君         法務省人権擁護 篠田 省二君         局長         法務省入国管理 高橋 雅二君         局長         外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君         外務省アジア局 谷野作太郎君         長         外務省北米局長 佐藤 行雄君         外務省経済局長 小倉 和夫君         外務省経済協力 川上 隆朗君         局長         外務省条約局長 柳井 俊二君         外務省国際連合 丹波  實君         局長         外務省情報調査 鈴木 勝也君         局長         大蔵大臣官房総 日高 壮平君         務審議官         大蔵省主計局長 斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 濱本 英輔君         大蔵省証券局長 松野 允彦君         大蔵省銀行局長 土田 正顕君         国税庁次長   冨沢  宏君         文部大臣官房長 野崎  弘君         文部省生涯学習 内田 弘保君         局長         文部省初等中等 坂元 弘直君         教育局長         文部省学術国際 長谷川善一君         局長         厚生大臣官房総 大西 孝夫君         務審議官         厚生大臣官房老 岡光 序治君         人保健支部長         厚生省生活衛生 玉木  武君         局長         厚生省社会局長 末次  彬君         厚生省年金局長 加藤 栄一君         農林水産大臣官 馬場久萬男君         房長         農林水産大臣官 山本  徹君         房予算課長         農林水産省経済 川合 淳二君         局長         農林水産省農蚕 上野 博史君         園芸局長         食糧庁長官   京谷 昭夫君         水産庁長官   鶴岡 俊彦君         通商産業大臣官 榎元 宏明君         房審議官         通商産業省通商 岡松壯三郎君         政策局長         通商産業省立地 鈴木 英夫君         公害局長         通商産業省機械 熊野 英昭君         情報産業局長         中小企業庁長官 南学 政明君         運輸省運輸政策         局次長     向山 秀昭君         兼内閣審議官         運輸省鉄道局長 井山 嗣夫君         運輸省自動車交 水田 嘉憲君         通局長         運輸省自動車交         通局技術安全部 堀込 徳年君         長         気象庁長官   立平 良三君         郵政大臣官房長 木下 昌浩君         郵政大臣官房経 山口 憲美君         理部長         労働大臣官房長 齋藤 邦彦君         労働省労働基準 佐藤 勝美君         局長         労働省職業安定 若林 之矩君         局長         労働省職業能力 松本 邦宏君         開発局長         建設大臣官房会 近藤 茂夫君         計課長         建設省建設経済 伴   襄君         建設省河川局長 近藤  徹君         自治大臣官房総 滝   実君         務審議官         自治大臣官房審 遠藤 安彦君         議官         自治大臣官房審 石川 嘉延君         議官         自治省行政局長 紀内 隆宏君         自治省行政局選 吉田 弘正君         挙部長         自治省財政局長 湯浅 利夫君         消防庁次長   渡辺  明君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行副総 吉本  宏君         裁)         予算委員会調査 堀口 一郎君         室長     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十日  辞任         補欠選任   木島日出夫君     佐藤 祐弘君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 祐弘君     辻  第一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  平成四年度一般会計予算  平成四年度特別会計予算  平成四年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 山村新治郎

    山村委員長 これより会議を開きます。  平成四年度一般会計予算平成四年度特別会計予算平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
  3. 山村新治郎

    山村委員長 この際、公聴会の件についてお諮りいたします。  平成四年度総予算について、議長に対し、公聴会開会承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、公聴会は、来る二月二十六日、二十七日の両日開会することとし、公述人選定等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山村新治郎

    山村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 山村新治郎

    山村委員長 総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野坂浩賢君。
  7. 野坂浩賢

    野坂委員 質問要旨を出しておりますので、順序に従って御質問を申し上げたいと思うんです。  最初に、まだ予算委員会で議論はありませんが、農業をめぐる情勢ガット・ウルグアイ・ラウンド問題について明確にしていきたい、こういうふうに思っております。  三月一日の日に国別表を出していかなきゃならない、こういう決めになっておるわけでありますが、その国別表を提出する前、現在の画本農業情勢は一体どのようになっておるのかということを農水大臣にまずお聞きをしたいと思うのであります。  御案内のように、今の農業は、我が国の農家の二戸当たり面積は一・三ヘクタールというふうになっております。今までは一・一ヘクタールということでありましたが、一・三にしたのはどこの基準を変えてこのようになったのかということが一つです。例えば、西日本農地面積取り扱い農業としての取り扱いは、今までは〇・五ヘクタールということになっておったんです。最近から一・〇ヘクタールというふうに基準を変えたのかどうか、この点でそういうふうに面積が変わってきたのか。そしてアメリカは、百四十八ヘクタールというのが二戸当たり平均である、面積に大きな違いがあるという現状。  それから後継者。というのは、五百万農家に対して千九百人程度しか学卒者は就農していない、こういう状況があると思うんです。それらについて、なぜ後継者がこのように不足をしておるのか、今度の新しい食料、農業農村政策懇談会の中でも、一番初めに取り上げておるのは後継者、いわゆる農業担い手論というのが最大の課題になっております。そういう点について、農業をめぐる情勢は極めて厳しいと言わざるを得ない、魅力がないという意味から担い手というものがないのではないか、こういうふうに私は考えるわけでありますが、それについて農水大臣はどのような御見解をお持ちか、まず冒頭に質問していきたい。
  8. 田名部匡省

    田名部国務大臣 お答えを申し上げますが、まあいろいろ考えられるわけでありますけれども、何といっても農業利益が上がらない、非常に苦労が多いということと、農外収入に依存する率が非常に多い。そういう職場がまただんだん多くなりまして、農業をやるよりも、あるいは農業をやりながらも農外収入に依存する人たちが非常に多くなってきたということがあろうかと思います。  いろいろ施策はいたしておりますが、昨年の五月からこの検討本部を設置いたしまして鋭意省内で今検討をいたしております。先生お話しのように農業担い手、何といっても千八百人新卒が出ているという、非常に惨たんたる状態であります。このままでは二十一世紀日本農業というものは大変なことになるということで、第一番目にこれを掲げて担い手の育成を一体どうしようかということで検討いたしております。  まあ考えられるところは、今申し上げたように農業魅力がないということが一つあろうと思います。やっぱりもうからぬところには若い人たち魅力を持って努力しようという気がない、あるいはやる気の問題も一つあるだろうと思います。従来は農家長男に生まれると農業後継者だということでありましたが、やっぱり長男でも意欲のない人もおりますし、あるいは今までは農業というものをやったことはないけれどもこれからやってみたいという方もおろうということから、このことはやっぱり全般的に規模の拡大も含めて検討をしておるところであります。  また、土地利用型の農業、新たな生産体制をどうするか、どの程度規模が、何人でやると適正な規模利益が上がってくるというようなことも検討しなきゃならぬ。あるいは農業技術も革新をしていく、あるいは新たな生産調整でありますとか、あるいは需給管理地域政策でありますとか、環境保全や国土、農村確立、あるいは食品の産業、製作、流通、消費対策、まあ幅広く今一生懸命検討しております。これは二十一世紀にどういう農業にしていくかという観点から検討しておるのでございまして、担い手が本当に意欲を持って取り組んでいただけるような方法というものを今鋭意検討をいたしておりますので、春ごろをめどにということでございますが、近々大体の方向をお示しできるのではないか、こう思っております。
  9. 野坂浩賢

    野坂委員 農業魅力がない、後継者がない、だから二十一世紀に向けて検討していきたい、こういう答弁です。  そうしますと、魅力がないというのは所得が少ないということに通ずるわけです。私の知る範囲では、例えば米の値段にしても昭和五十年の値段と今の値段と大体同じですね。この間、賃金というのは大体五十年に比べて二・二倍、物価は五五%アップというふうに理解しておりますが、間違いでしょうか、そのとおりですか。
  10. 馬場久萬男

    馬場政府委員 数字にわたることでございますので私の方から御答弁申し上げますが、米価につきましては仰せのとおり、最近連続で引き下げてきたために、現在の水準は昭和五十年当時とほぼ同程度でございます。物価賃金につきましても、先生の仰せられたとおりでございます。賃金上昇率物価上昇卒、おおむね先生の仰せられたとおりでございます。
  11. 野坂浩賢

    野坂委員 お聞きのとおりなんですね。米の値段というのは、農家所得の代表的な存在である米というのは大体五十年と同じだ、他は二・二倍から六〇%程度であるということが明確になりました。そういう中で今、米の関税化、輸入自由化問題、これが大きくクローズアップして、農業は曲がり角を既に回りました。がけっ縁に立ちました。崩壊するかどうかというぎりぎりのところに来ておるというのは世人の認めるところであろう、こういうふうに思っております。  この際にもう一つ伺っておきたいのは、減反緩和するということになりました。ことしの十月には米の保管部分といいますか、保管する米はどの程度になりますか。在庫はどの程度かということです。
  12. 上野博史

    上野政府委員 去年の米の生産が平年作より落ち込みましたために、平成四年の十月末の在庫というのは大体三十万トンから四十万トンのレベルになるのじゃないか、かように考えております。
  13. 野坂浩賢

    野坂委員 三十万トンといえば、もう一遍不作が来れば極めて食糧の安定供給というのは難しくなりますね。一カ月分しかない、一カ月分以下である、こういうことをまず確認をしておきたいと思うのです。  そこで政府は、今まで八十三万ヘクタールの減反面積を七十万ヘクタールに緩和をしたというのが今日の状況であります。しかもこれは、農家皆さんには、減反をせい、そうしなければ食管法が守れない、国家貿易品目である米は今は輸入自由化していないが、そういう事態が来るからぜひ減反をやれ、こういって押しつけてきた。しかし、また米が足らなくなったから畑をまた田んぼにせよ。たった一年ですか、きょうは減反をせい、あしたは緩和せよ、また減反せい、こういうような繰り返しになれば農家は一体どういうぐあいになっていくだろうか。全く、畑を田んぼにして、来年はまたそこを減反するということになりかねないわけですね。  そういうことになってまいりますと、その畑を水田に、他の作物を植えておるところを水田に、あなた方は自主管理しておるところだけをねらっておる。だから、府県間調整もあり得る、こう言いたいのでありましょうけれども、総体的に見て、その、田ごしらえをする、我々はそう言いますけれども、田んぼにする費用というものはどの程度出すのですか、政府は。あえてやるわけですから。いかがですか。
  14. 上野博史

    上野政府委員 米の生産調整といいますのは、そのときどきの在庫需給状況に応じまして調整をしてまいらなければならない。これは、米を安定的に国民供給をするためにそういうような弾力的な取り扱いも必要だというふうに考えているわけでございます。  今回の十三万ヘクタールの緩和の問題につきましては、今委員からお話ございましたように、長年の転作の実行あるいは保全管理というような形での水田管理が行われてまいりました結果、稲作への復帰が困難だという、そういう声が起こっているということは我々も存じておるところでございます。まずそういう事態に対応するために、これも今委員からお話ございましたように、地域間の調整をしてまいるということを大いに努力をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、しかし、十三万ヘクタールの緩和を実現をいたしますに当たりましては、保全管理水田等のような場合に用排水路改修を緊急につくり直しをしていく、やり直しをしていくということも必要があるというふうに考えておりまして、この転作案件整備を主として行うための水田農業確立対策推進事業という事業におきまして、ことしの、平成四年度限りの措置といたしまして、稲作のための用排水路改修等もできるように予算的な手当てをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  15. 野坂浩賢

    野坂委員 いいかげんな答弁ではいかぬですね。水田農業確立対策費用は去年もあって、それはどこに使ってもいいという格好で一反当たり四千円ということです。ことしの今年度限りというのも、水田再編対策のその費用の千三百億ですか、それも平均すれば四千円。一反当たり四千円ですかといって私は聞いておるのです。そうですか、平均をすれば。
  16. 上野博史

    上野政府委員 条件整備につきましては、十アール当たり十万円ぐらいの事業費になるかというふうに考えているところでございます。
  17. 野坂浩賢

    野坂委員 それは、十アール当たりというのが、水田を直すのに十万円というのはどこにもありません。後で明確に答えていただかなきゃならぬ。大体三時間でやれる、こういう計算であなた方は予算をつけている。これは非常に問題がある。後でこれらについては私が数字をお示しをいたしますから、もう一遍再度御検討いただきたい。  今申し上げましたように、米の価格、そして他の賃金なり物価、そういうものは今お話しのとおりであります。したがって非常に厳しいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、ガット・ウルグアイ・ラウンド問題についていよいよ大詰めに来た感もあります。三〇%減反をやっています、自給率は三〇%です、国会は三回決議しております。三・三・三万式と言います、これを。言うなれば、そういう事態のときに国論が二分しておるのではないか、こういうふうに国民は眺めております。  特に、宮澤本格政権補佐役であります副総理外務大臣渡辺さん、前には農林族のボスと言われておりますね、この人は。そして政務次官なり農水大臣をやられた、大蔵大臣もそうだ。そういう状況の中で渡辺さんは、いわゆる関税化による自由化はやむを得ないのではないのか、こういう発言が栃木県や長野県や相次いで行われておる。そしてまた、今までは自民党の領袖の皆さん方部分開放論も述べられたことがありますが、だんだん今は、十二月の二十日に出されましたダンケル裁定合意案に基づいて関税化による自由化論というものが盛んに出ておる。これについて副総理渡辺さんはどのようにお考えでしょうか。この際、明確にしていただきたいと思うのです。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私が農林政務次官とかあるいは農林大臣をやったことは事実でございまして、農村の問題につきましては、私は今でも、あなたにまさるとも劣らないだけの情熱を持っているつもりでございます。  御承知のとおり、今農家は、九〇%の農家兼業農家でございまして、そのうちさらに七〇%は第二種兼業といって農外所得の方が農業所得よりも多いという、これは実態がそうなっております。  問題は、日本の国がこれだけ繁栄してきたというのは、これは貿易立国という最も大きな柱の一つで、自由主義経済自由主義貿易ということでやってきたわけでございますが、世界状況はここに来て、もっと貿易発展をさせるか、それとも、保護貿易といいますか自国品愛用というか、そういうようなことをやるかというような今空気が出ておるのでございます。  そこで、世界じゅう集まって、ともかく貿易を縮小均衡さしていくということは、これは発展途上国ばかりでなくて全世界にとって好ましいことではない、やはり貿易というものは拡大均衡をさしていくべきだという哲学が一つあるわけでございます。そこで、ECはECなりにともかく域内貿易を盛んにする、関税を下げるとか。あるいはASEANはASEANでそういう傾向があるし、南北アメリカもそういう傾向がございますが、そういうことでまたブロック化してしまったのでは排他的になっちゃう。ですから、やはり世界は排他的にならないで全部が活性化できるようにしょう、というためには、貿易の障壁であるところの輸入規制あるいは高関税率、こういうものは極力、農産物ばかりでなくて全体においても下げていこう、そればかりでなく、これからは農業以外の分野の知的所有権、こういうような問題についても自由化をしていこう、こういうことで、ウルグアイ・ラウンドというのは農業だけじゃないのですね、これは全体の問題でございますから。  しかしながら、なかなかみんな自分の国の利益だけを主張して、相手の国はどうでもいいということはないが、どうしても自分の国の利益を主張したがる。どこでもそうです、これは。それはちょっと困りますねというふうなことで、その一環として、日本の一番自由化のおくれておるところの農産物とか農産物加工品等についても、もっとその関税を下げたり自由化をしたりしてくれという要求があるのも事実。その中で一番シンボリックなものは米ということになっておるわけでありまして、私は常識的な物の考えといたしまして、日本で米は基礎的食糧でございますし、これを自由化しちゃうということはとてもできない、これは。その点は全く同じなんですよ。  じゃ、ともかく米だけは今までどおり、それは入れないよ、泡盛で少し入れているが、それ以外は絶対入れませんよ、一トンも余計には入れないといって頑張れるのか。同じ食管法でも、戦後の米不足時代には米をたくさん輸入しそおったわけですよ、南方の米とか何かをですね。これはお米足らないわけですから。だけど今は、今言ったように余っている。だから減反している。こういう中にぶつかって、さあ一トンも入れないといって頑張っちゃうのか。そこのところなんですね、これ。米は一トンも入れないということが通ればいいんですが、なかなかこれ、世界じゅうで会議やっておるわけですから、そうすると、自分の都合のいいところだけ、砂糖は入れないだとか何は入れないだとかとそれぞれの国が別々なことを言い出しちゃうと困る。  そこで、じゃ一部入れたらどうですか一全部とは言わないが、いわゆる部分開放といいますか少しは、全部入れろなんてだれも言わないんだから、一部入れたらいいじゃないですかということをめぐって、その入れ方について、純然たる部分的なものがいいのか、一方において、関税化という旗は下げないがその旗の中で、ある特定の何%という小さな数字だけは関税を低くするが、それ以上は、禁止的関税と言っちゃまた語弊があるんでしょうが、うんと高い関税にして、しかし将来は少しは下げるよということで面目を保ちながら現実にマッチしたやり方がいいのか。まあどっちがいいのかなと、これはよく計算をしてみる必要がある、一トンも入れないで頑張るといったって無理じゃないかという話をしただけなんでございます。
  19. 野坂浩賢

    野坂委員 非常に不明確で。非常に庶民的に渡辺大臣はお話しになって普通わかるんですが、この件に関してはなかなかわかりにくいですね。私もあなたに劣ることなくまさるように努力をしなければならぬと思っております、農業問題は。  そこで、通ればよいが難しい、だから包括的、いわゆる例外なき関税化による輸入自由化はやむを得ないではないか、こういうふうに受け取れるんですね、あなたの発言を聞いておると。みんな新聞はそう書いておる。頑張っても難しい、だからということなんですか。あなたは包括的関税化を、反対だけれども頑張れないじゃないか、こういう意味ですか。
  20. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これは交渉の問題でありまして、今交渉を盛んに詰めておりますが、今、三月一日にいろいろな、じゃどういうふうに幾ら、何品目について下げるというオファーを出しなさいという議論があるわけですよ。日本の場合、これは米だけじゃありませんから、お酒類もありますし、その他の工業品もありますし……(野坂委員「米のことを聞いているんです」と呼ぶ)。だから、米もですね。だから、米以外の部分も、じゃ米の問題が国内で決まらなければ、三月一日にはそれ以外の農産物の関税引き下げについて、自分はここらまでであればできるという案も出さないというわけにはいかぬじゃないか。だから、米の問題はもう少し議論を詰める必要がある。  私は、関税化ということをしなければならぬというようなことは言っておりませんよ。示唆したと新聞に書かれたことは事実ですが、一々異議申し立てても仕方ないから私は黙っているだけなんです。だから、関税化、逃れられることならそれは非常に結構なことでしょうが、そこのところはなかなか、どうした方がいいのか、これは相手のあることですから、大いに交渉をやってみるということです。
  21. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは包括的関税化やむなしと考えておられるのですか、その点についてだけはっきりしてもらいたいと思います。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 そうは考えておりません。まだ時間があることですから、こちらの主張を、もっと最大限の努力をしていくということであります。
  23. 野坂浩賢

    野坂委員 言うなれば、時間があるということですけれども、物事は、交渉するに方針がなくて交渉はできない。基本方針はこうだ、これで通すという一貫性がなければ、あっち行ったりこっち行ったりしてもらっては、一体どのようになっていくのかという不安が増大する。この際、担当の大臣である農水大臣の明確な御回答をちょうだいしたい。
  24. 田名部匡省

    田名部国務大臣 私は就任以来、この方針は明確に、自由化につながる関税化は容認できません、こういうことを通しておるわけであります。交渉事でありますからいろいろの考え方があると思うのですが、やはり今お話しのような考え方で、各国とも困難な問題がたくさんありまして、一生懸命やはり勝つために全力を挙げる。私はよく試合に例えるのですけれども、時間ぎりぎり、第三ピリオドの時間が終わるまで選手には全力を尽くして戦えと、こうやって指導してきましたので、余り強い相手でも弱い相手でも負けることを想定して試合をしたことがないわけでありまして、全力を挙げて取り組む。  ただ一つ申し上げたいのは、このままで日本農業はいいのかということになりますと、これはまた別の問題でありまして、先ほど申し上げましたように、勤労者の所得は六百万円、農家の第二種兼業が八百六十万円で、勤労者よりも高いわけであります。しかも農業所得が四十八万円ということになりますと、一体農家なのかどうか、勤労者なのかどうかという問題が出てきまして、これでは日本農業はおかしくなる、後継者もいなくなる、こういうことの議論は、新しい農業政策の中できちっとしていかなければならぬ。外務大臣今お答えになったのも、農業じゃないんじゃないかというお話がありましたが、これはウルグアイ・ラウンドと別にして、日本農業というものを、やはり後継者に見合った出生率が低下しております。先々このままでは、今のようにわずかの三反歩や四反歩の耕作をしている農家ではどうにもならぬということは、まあ一つあると思います。そのためには、これとは別として日本農業をきちっとする必要があるというふうには考えております。
  25. 野坂浩賢

    野坂委員 今ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の内容について私は質問しておるのであって、今の農業の現状はどうかということはさきに終わったわけですから。厳しい現状である、兼業農家が多い、一種、二種と比べて二種が圧倒的に多いじゃないかということもよく知っております。それは、魅力がないから、所得がないから、農業外収入を求めなければ生活ができないという農家の現状を浮き彫りにしておるということをよく御認識をちょうだいをしたいと思うのです。  かつて山本富雄さんという農林大臣がおられましたが、ガット・ウルグアイ・ラウンドは断固として例外なき関税化には反対である、職を賭しますというお話をされたことがありますが、あなたもそのとおりで、頑張ります、頑張りますじゃなしに、一貫してやっていく、こういうことだけは間違いないですね。もう一遍、それだけをきちんと答えてください。ほかの余分なことは言わぬでいいですから。
  26. 田名部匡省

    田名部国務大臣 そのとおり今もって努力をいたしておりますので、これからもそのとおりいたします。
  27. 野坂浩賢

    野坂委員 そういう農水大臣の決意の表明がありましたが、渡辺総理外務大臣は、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉というのはやはり外務省が前に出てまいりますから、それで、小和田事務次官等が首相に包括的関税化、輸入自由化の決断を迫っておるというのも新聞情報等で流れておるわけです。その親分は渡辺さん、あなたなんですから。外務大臣としても、日本農業の現状はよく御認識です。したがって我々は一貫してこれについては、弾力的な示唆に富むということでなしに、日本農業を守っていく。あるいは、日本の場合、外国から農産物は三百億ドルも輸入しておる。世界第一位ですね。ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉というものは、できないものを無理をして固めるよりも、みんなが約束を守れるものをつくっていくというのがやはり本旨であろうと思うのです。  そういう意味で外務大臣としても、この米の例外なき関税化による貿易自由化というものについては、反対であるということでしょうか、それともまあやむを得ぬというふうにお考えでしょうか、その辺はどうですか。簡単にやってください。
  28. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 私は第四トラックの変更、要するに例外を認めるということで今交渉をしているわけですから、その線からはおりてないんですよ。要は問題は、ウルグアイ・ラウンドを成功させる、これがもし決裂するというようなことになって、それが日本のせいだというようなことになると、これは日本の経済に大きないろんな障害が出てくるんですよ。日本の経済をおかしくしちゃって農家がよくなるということはないんですから。だからそういうものも踏まえて、農家が困らないような措置を考えながらどういうふうにするかは、農林大臣と話し合いをしながら今後頑張ってまいりたい。
  29. 野坂浩賢

    野坂委員 すかっといっても聞きますけれども、こう、すかっとしませんね。だから新聞社がいろいろ書く。例えば、アメリカでもベンツェン上院財政委員長等は、この裁定合意案というものについては反対であると明確にしていますね。例えばウエーバー条項の問題等も、これを全部関税化に変えることについては反対であるということもはっきりしておるわけです。そういう中で、第四路線である修正案というものについては当然出していかなきゃならぬ。ECでもそうですね。デカップリングの問題や、共通農業政策をとっておりますから、削減率の三〇%というのは大変不公平、不公正の問題があるではないか、あるいは輸出と輸入の不公正問題というのは大変あるじゃないか、こういうことをはっきり物を言っておるじゃないですか。  私どもはそういう意味を踏まえて、渡辺さんの場合は、私は包括的関税化による貿易自由化、輸入の自由化には反対であります、こういうふうに認識をしていいでしょうか、いかぬのですか、その辺をもう一遍お願いします。渡辺大臣、その点だけ。
  30. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 それはあなたが認識されることですから、どういうふうに認識されるかわかりませんが……(野坂委員「それは困るんだ」と呼ぶ)いや、困らないですよ。それは物は見方によっていろいろ見えるからね。私は、だから、党の方針もございますので、外務省はいまだにやはり、その例外なき関税化を認めないということで交渉をやっているということに尽きるわけです。
  31. 野坂浩賢

    野坂委員 今の話は、内閣は一本化をしていないというふうな認識に立たざるを得ない。したがって、総理大臣も本会議ではどう言ったかというと、田邊委員長質問に答えて、基本方針のもと最大限努力をいたします。伊勢では、渡辺提言は一提言である、いわゆる例外なき関税化の受け入れというものについては、一つの提言である、参考にしなきゃならぬ。奈良の補選のときもおっしゃっておりますね。奈良の補選で記者会見をされたときには、十分二月中は考えて三月中に決断をする、こういうお話をしておられるのです、あなたは。したがって、農林大臣は明確に言ってますね、例外なき関税化の米の自由化については反対であります、一貫していきますと。渡辺さんの場合は、そうは考えておるけれども成功させるためにどうなるかわからぬ、譲るべきは譲ろう、こういうふうに聞こえるのです。いわゆる内閣の意見というものは十分に一枚岩になっていない、内閣は不一致だ、こういうふうに言わざるを得ないんです。それの点については明確に、一貫して今までの国会決議を重く見るということを何回もおっしゃっておりますが、米の例外なき関税化による輸入自由化は反対でありますということをきちんと意思表示する、それともやります、どっちをとるかということを明確に、総理大臣、してもらいたい。
  32. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 従来からしばしば、国会の御決議もあり、国内産で自給することを基本方針として交渉に臨んでおりますということを申し上げました。そのことに変わりはございません。そして、それは今農林大臣が明確に述べられたところでありますし、外務大臣も違うことを言っておられるのではありません。外務大臣が、今お聞きのように、ですから第四トラックの交渉をしておるんだということを言われました。これは御承知のように、ドンケル・ペーパーのいわゆる関税化という部分は修正を求める、それが第四トラックの交渉であります。そういう立場を今日本政府はとって交渉しておるということでございますから、その間に少しも違いはございません。
  33. 野坂浩賢

    野坂委員 間違いなく例外なき関税化には反対するということを、大方針である。いろいろなことを言っておるけれども、あれはその中で含むということなんですが、その辺できちんとこれから交渉に臨んでもらいたい。  今の三月一日に出される修正ですね、第四路線、それについては農水省がいろいろと書き上げて、新聞等にも出ておりますが、あのとおりでいいわけですね。いわゆる十一条二項問題についても全部触れ、三六、二四の問題についても、削減率の問題についても十分書き上げておりますが、あのとおりというふうに確認していいわけですね、総理大臣。いいですか。総理大臣に聞きます。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 細かい各品目の話ですから、交渉に直接かかわっておる担当者から説明させます。
  35. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 国別表の問題につきましては、先生も御承知のとおり、これは農産物だけではなくいろいろな、ガット・ウルグアイ・ラウンド全般にかかわる問題でございます。それで、今現在、そういったものをどのように提出するか、これは関係省庁の間でいろいろ検討しているところでございますが、各国、アメリカその他多くの国はそのときに出すということを言っておりますので、そういう各国の情勢もにらみながら、同時に国内の情勢、それを全部勘案いたしまして政府部内で鋭意検討しているところでございます。
  36. 野坂浩賢

    野坂委員 僕は、あなたがおっしゃるようなことを聞いておるわけじゃないんです。「農業に関する合意文書案に対する主要修正項目」というのがありますね。これは総理大臣がもう知っておられるはずです。これはこのとおりですかと聞いておるんです。このとおりでいいんですねと言って聞いておるんです。
  37. 山村新治郎

    山村委員長 農林水産省川合経済局長
  38. 野坂浩賢

    野坂委員 あんたに聞いたって――ちょっと待ってくれ、川合君。  総理大臣、だめなんですか、これ。あなた知られませんか。――知らない。知らぬのか。
  39. 川合淳二

    ○川合政府委員 今先生お持ちの資料につきまして、私どもこの資料に携わっておりますので、御説明させていただきたいと思います。  先ほど来お話がございますように、私どもはダンケル合意案につきまして包括的関税化など種々の問題があるということを言っておりまして、その修正を要する点としてまとめておりますのが、その文書でございます。  この文書は、実は各国に私どもの担当官を派遣いたしまして日本の立場を説明するために作成したものでございまして、こうしたことに基づきまして私ども交渉に臨んでいきたい。先ほどお話がありました第四トラックにつきましても、こうした立場に立ちまして臨んでいきたいということでございます。
  40. 野坂浩賢

    野坂委員 わかりました。ただ総理大臣に、これはその基本でありますから、よく読んでおいていただくようにお願いしておきたいと思うのです。  今度のウルグアイ・ラウンド問題で消費者が一番心配をしておる、安全な食糧を安定的にというのが消費者の皆さんの声なんです。今、国際食品規格委員会というのが、コーデックス・アリメンタリウス委員会というのができるわけですね、これによって。国際基準というのがあって、輸入食品の唯一の基準だ。今日本の場合は、基準は米は〇・一ですね。麦は〇・五なんです。そうですね、農業基準値は〇・五。今度は国際基準になると麦は八にするわけですね。八になる。今まで一対五であったものが一対八十で非常に緩和される。最近四十二品目ばかり基準を決めた。それは国際食品規格委員会の考えておるとおりを入れておる。人間も体質はそれぞれ各国違いますから、そういう意味で日本人なりに国際の基準を設けておった。それが非常に緩やかになるということになると、この安全な食糧という面で非常に問題になるのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。この辺については非常に消費者の皆さんが神経をとぎらせていらっしゃるわけでありますが、これについては日本並みの基準についてこれから考えてもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、農水大臣、これについては、この基準についてはいかにお考えですか。ガット・ウルグアイ・ラウンドと問題があるわけですか。
  41. 田名部匡省

    田名部国務大臣 この基準につきましては、私の方ではなくて厚生省が所管をいたしておりますので……。
  42. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、厚生省やってください。
  43. 大西孝夫

    ○大西政府委員 お答えを申し上げます。  今御指摘の安全基準の問題でございますが、私どもの立場はあくまで国内におきまして、いわゆる摂取量というものと一日の許容量というデータを踏まえまして、日本においてはどういう基準が安全かという立場で基準を決めてまいります。したがいまして、同じ麦でも外国で消費される量と日本で小麦を消費する量が違います。米も同じように違います。したがいまして、外国の基準をそのまま日本に持ってきていい場合も悪い場合もありますので、それはそういう個々のものに準じまして十分検討した上で、関係審議機関の意見を聞きながら決めてまいる、こういう姿勢でございます。
  44. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは終わって、総務庁ですか、長官にお尋ねをしたいと思うのですが、部落差別の問題についてであります。  地対財特法というのが三月三十一日で終わるということになりまして、これについて、この終了後の取り扱いについていろいろ御議論がありまして、二月の十四日に提示をされておるわけでありますが、法案が上がってきております。したがって、今までこの点について議論しましたのは、いわゆる地対協の意見を受けて最大限に尊重するということで法案ができておるわけですが、これについて、この法案の一我々は、最終的に書いてある、改めて考えていかなければならないということが書いてあります。簡単に読んでまいりますと、時間も相当経過しておりますから、いわゆる「同和問題は憲法に保障された基本的人権の問題であり、二十一世紀に差別を残してはならないという固い決意をもってこやらなければならぬ。したがって、現在は「世界を挙げて人権問題が強調される中で、国民の人権意識が国際的にも注目を浴びている。国民の一人ひとりが人権問題について一層理解を深め、自らの意識を見つめ直すとともに、自らを啓発していくことが求められている。同和問題の早期解決に向けて、改めて国民的課題としての展開が重要である。」  改めて国民的課題の重要性というのは、具体的にどのようなことなのかとお考えでございますか、総務庁長官にお願いしたいのですが。長官に聞いておるのです、これは。
  45. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 今先生、地対協の昨年十二月十一日答申をされました結びについて、「改めて国民的課題として」取り組むべきである、これをどう解釈するかというお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、昭和四十四年、同対協以来今日まで地対協と、二十三年間にわたって同対審の冒頭の答申を尊重しながら同和問題に取り組み、生活実態におきましても、生活環境におきましても大きく推進をいたしたところでございます。しかしながら、なおかつまだ物的、非物的両面におきまして不十分な点、これございまするし、特に心理的な差別の問題等々もいまだ十分とは言い切れない。したがって、人権はまさに我が国憲法によって保障されておる問題でございまして、これらを国民的な課題として受けとめ、二十一世紀に差別を残してはいけない、そうした趣旨を踏まえこれからも努力をいたしていくわけでございますが、「国民的課題」としてとらえるためにはまだ不十分な要素があろう。したがって、そうした意見具申の中で結びの言葉として表現されたものである、このように理解をいたしております。
  46. 野坂浩賢

    野坂委員 そうなると長官、現行法そのまま出ておりますね。これを、この中でこれらを検討するために審議機関を設置してもらいたいというふうに書いてありますね。これについては審議する審議機関は具体的に、この本法にはないわけですけれども、いわゆる国家行政組織法八条に基づいておつくりになるだろうと思うのですけれども、その審議機関を、改めて国民的な課題、二十一世紀には差別は残さない、こういうことを踏まえると新しい法律というふうな認識があるわけですね。それならば、どのようにこの審議機関というものはお考えかということを聞きたいわけです。
  47. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 意見具申の中にも引き続き審議する機関が必要である、こう提言をいたしておるところでございます。したがって私どもは、素直に読めば、引き続き審議する機関が必要である。今まで同対協以来、旧地対協、地対協、すべて地対協として取り組んでまいったわけでございまして、そのように読んで、過般の衆参両院における総理答弁といたしましても、地域改善対策協議会を設置していくという旨の答弁をいたしておるところでございます。  なお、国家行政組織法第八条によるという先生の御指摘があったところでございますが、そうした審議会等は、所掌する事務の範囲内において審議をいたし、調査審議をする、その場合通例といたしましては審議会という名前がふさわしい、しかし関係者間において協議をすることに重点が置かれておるものについては協議会という名をつけることがある、こう言われておるわけでございまして、加えて、審議会と協議会という名称に違いはあっても権限の重さ軽さはないということでございますから、私どもは昭和四十四年以来、協議会ということで一貫して関係者間で十分御論議をいただき、貴重な御提言をいただいておるわけでございますので、協議会で今後とも引き続き御審議いただくことが適当ではなかろうか、このように考えておるところでございます。
  48. 野坂浩賢

    野坂委員 長官、繰り返しませんが、時間がありませんので、私たちは、「改めて国民的課題としての展開が重要である。」こういうことを「改めて」というのは、今まで二十三年間やってきたけれどもいまだに差別は現実のものである、したがって、改めて国民的な課題として取り組まなければならぬ。あなた方が今現行法延長を強くおっしゃっておるのは、「現行法制定の趣旨を踏まえつつ、法的措置を含め」という、そういう意味だから、踏まえておるんだからそのまま延長だ。しかし、「法的措置を含め適切な措置を」、だから末尾に、結びにありますように、改めて国民的な課題としてやろう。そして踏まえておるけれども、この二十三年間振り返ってみて、だから実態調査等を完全にやって改めてやるということになれば、大きく前進をするという姿をこの際とらなければならぬ。  私は審議会と言いましたら、あなたは協議会も審議会も内容は一緒なんだ、だからどちらの力量も変わりはない、こういうふうにおっしゃっておりますが、そのとおりなんですか、ちょっと答えてください。――いや、あなたに最終的に答えてもらわなければ、どちらも同じですかと言って、あなたは同じですとおっしゃったから、あなたに聞く以外ないじゃないですか。また時間とるだけです。小山さん、いいです、あなたは。あなたに聞く。長官に、最高責任者に聞かなきゃならぬのです。
  49. 小山弘彦

    ○小山政府委員 審議会と協議会につきましては、先生おっしゃいますように、国家行政組織法第八条に基づく審議会等は「法律の定める所掌事務の範囲内で、法律又は政令の定めるところにより、重要事項に関する調査審議、不服審査その他学識経験を有する者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどらせるため」に各行政機関に置かれる合議制の機関である。合議制機関の名称については、その機関の目的、所掌事務の具体的内容等を総合的に判断し決められるべきものであって、調査審議を行う機関については審議会と称する場合が通例であるが、その中でも関係者の協議等に重点が置かれるものについて協議会という名称が付されることがある。なお、審議会と協議会の間に名称の違いによる権限の強弱はない。このようにございまして、私どもは、先ほど大臣のお話にもありましたように、同対審答申を受けまして、その中で同和対策推進協議会のようなものを設け、特別措置法によって事態の改善を図っていくということがうたわれておりますので、いわゆるこれは関係省庁協議の中でバランスのとれた改善への努力、これをしなきゃならない、こういうことでやってまいったわけでございます。そして、現時点におきましても、昨年秋に実態を調査しましたところ、かなりの事業が残っている、こういうこと、さらに、啓発にかかわる問題もこれから一層重要であるということを認識しまして、現行法の一部修正、こういうことでやっていく、こういう方針になったわけでございます。
  50. 野坂浩賢

    野坂委員 あなた、なかなかええこと言うわ。同対審が出て、あそこにも協議会というふうに書いてあるではないか、だから協議会でいいじゃないか、余り変わらぬし、各省庁の連絡調整があるといったら協議会の方がむしろ重いじゃないか、こういう話ですね。あの同対審は、同和対策協議会と書いてない、同和対策推進協議会と書いてある。この結びには、二十一世紀には差別をなくしますよ、本当の意味の差別のない、自由で平等な日本の民主主義をつくります、それを基礎づけましょうということが書いてある。あなた方は後ろは読まぬで前だけを読んで、そして現行法の趣旨を踏まえつつ、そればっかり言っておる。だから、協議会でも審議会でも一緒だ、協議会の方がむしろ重いじゃないかというような発言ですが、そのとおりに理解していいんですか、長官。大臣がやらんかいな。大臣に僕は聞いておるんです。
  51. 小山弘彦

    ○小山政府委員 一言でお答え申し上げますと、この改善にかかわる行政につきましては、関係省庁それから広く関係者、いろいろ御相談をし、協議をしながらやっていく筋が一番いいということで、これは協議会がふさわしいという認識のもとにやっているわけでございます。
  52. 野坂浩賢

    野坂委員 それはあなたが、協議会の方が一番いい、ふさわしい、こうおっしゃる。運動団体やその他の皆さん方は、改めて国民運動的課題、そして趣旨を踏まえつつ、いわゆる適切な措置というのはより以上なものをやらなければいわゆる二十一世紀には差別が解消できない、こう言っておるんですよ。だから、この法律が今出されてこれから検討されるわけですけれども、これとは別に審議会なり協議会、審議する機関をと言っている。明確にしてあるのですよ、審議する機関をと。しかし、今は、協議会も審議会も一緒だし、むしろ協議会の方が効果的であるという御発言でありますが、それなれば運動団体が言う審議会でもいいじゃないですか。それについてはどちらでも十分御意向を承って検討しましょう、まだ時間はあるんですから、こういうことになるんじゃありませんかということが一つ。  それから二つ目は、大臣、いわゆる今までは最終法案だ、今度は二十一世紀に向けてなくす。ようにしなきゃならぬ。まず審議をして、事業を進めて、あるいは非物的心理差別、例えば結婚とか就職。きょう私は参考人に来てもらおうと思ったのです。あそこにお嬢さんがおられるのは、結婚に差別であるがゆえに破れたんです。徳島の人は差別であるからだめだと言われて死んだんです。だから、人の命を奪うんです、差別というのは。あえて出るとおっしゃったけれども、時間もかかりますし、そういう情勢をその人にやってもらうということにはどうもたまらないというふうに考えて、傍聴には来てもらっております。  それほど厳しいのが現実なんですから、だから運動団体等が一生懸命で今やらなければならぬ。差別は人を殺すんだというこの原点の上に立って、十分に審議をして、いいかげんなものではなしに、そういう運動体の皆さん方が要求するというものは率直に受け入れてもらいたい。だから、最終法案と言わず、十分に二十一世紀末に向けて我々は差別を解消、差別をなくするために闘っていく、頑張っていく、これが私は行政府としての役割だと思うのです。  だからその点は、最終法案だ、最終法案だということを言わずに、十分二十一世紀に向けて我々は努力をしますと、こういう姿にならなければならないし、今は四千三百六カ所ですか、地域指定がありますけれども、本当は六千部落というのが大正十一年三月三日の水平社の運動で明確になっております。約五千、ここにもありますけれども、五千九で、千九十その政府で調査をした開きがあるのです。だから、あなたのところは被差別部落ですか、あなたのところはそうですかといってこちらから言うのは、私はやはりおっしゃるように無理だろうと思うのです。しかし、私たちはそういう被差別部落なんですよと言って申し出があった場合は、これは門戸だけはあけておいて、拒否をするのではなしに、また、こっちからあなたはそうじゃないですかということ佳言わないで、門戸だけを広くする、それは受け付けるという姿をとって、最終的に二十一世紀には完全にそれらがなくなってきた、こういう体制を私はつくりたい、そのことを提言をするわけです。  したがって、それについての選択はこれからも協議をする、検討してもらうということが一点。そして、最終法案というような条件をつけないで、二十一世紀に向けて最大努力をするという、そういう意見具申に基づく方策、そして門戸、いわゆる未指定なり未実施部落の門戸だけは開放しておく、申し出があれば受け付けますが、申し出がない場合は、我々はそれは素通りします、こういう柔軟なといいますか、愛情ある措置をとってもらうというのが、私は今度の改定期に伴って一番重要なことではないのか、こういうふうに思うわけです。  その点をまとめて総務長官の御答弁をいただいて、ぜひ提言を受け入れていただく御答弁をちょうだいしたら、終わりたいと思っています。
  53. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 ただいま先生から過去の経過、そして昨年意見具申されました結びの言葉、多年の御経験を踏まえられまして、今後の政府のとるべき態度についていろいろと御指摘をちょうだいいたしました。感銘深く聞かしていただいたところでございますが、今回の地対協は、現行法、地対財特法、まさに先生おっしゃるとおり最終法として制定された法案でございますけれども、いまだ物的な事業においても非物的な事業においても今後引き続き実施しなきゃならない、そうした観点から、地対協は、引き続き審議する機関が必要であり、財政措置を持った法的措置を講ずべきであるという提言をいたしておるところでございます。そうした意見具申を尊重いたしまして、先ほども御答弁申し上げましたとおり、今後の地域改善対策の大綱を政府としては取りまとめ、それを踏まえて法案作成をいたしたところでございますが、その折、答申にもございますとおり、現行法制定の趣旨と枠組みを踏まえと、こうあるわけでございまして、その趣旨を踏まえ、今回法案の一部改正を行ったわけでございます。  したがって、十八年間窓口をあけておいた。その間、意思発表のあった地域についてはすべて地区指定をしてまいった。しかも六十一年と六十二年の最後の一年間については地区指定につきまして意思表示がございませんでしたし、窓を閉めてしまいました六十二年から今日まで意思表示もございませんでした。したがって、私どもといたしましては、窓口と申しましょうか、確認すべき対象はもう済んだのではないだろうか、こういう考え方をもって対応しておるところでございます。ただ、意思表示があった場合には、その地域については一日も早く一般対策で対応し、その御要望、御趣旨に沿ってまいりたい、そうした考え方をもって今後とも努力をしていきたい、かように考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、差別を二十一世紀に残してはならない、その決意を持って同和対策に取り組むべきであるという御提言でもございますので、私どもは関係省庁、地方公共団体等その他の方々と連絡調整を密にいたしながら、積極的にこれからも同和問題解決のために努力をいたしてまいりたいと考えております。  以上です。
  54. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたは検討するというお言葉をお使いにならなかったので、私が言うのは、法的措置を含めて適切な措置と、しかも結びには二十一世紀には残さないと書いてあるのですから、そのとおり真っすぐ受けとめて、審議会という強い要望があるならばそれを受け入れたらどうかという提言をした。今までは、今さら被差別部落ですというふうに名のりを上げたくない。しかし、いよいよ最終段階だ、だから私は名のりを上げますと言ってきたら、それはだめなんですとおっしゃるのか。名のりを上げてきたらそれは一般対策でということになれば、名のりを上げてはいけませんということなんです、それは裏を返せば。一般対策だったらどこでもできるのです、それは。これは、例えば事業の場合は、二分の一というものが三分の二になっておる、そしてそれを二十一世紀までに解決をするという、そのための法律なんです。手を挙げてもそれはだめと、あなたはそう言っておるのです、今。だから、それらを含めて私はあなたに、検討する、適切な措置というのはどうなのか、本法案は通すとしても、それらについては後でできることなんだから検討しましょうやと、こう言っておるわけですね。それについて私は検討を要望しますが、もう一遍、検討をするか、話し合いをするということだけの話は、簡単で結構ですから言ってもらいたい。どうぞ。あんた、官僚の顔ばかり見てやっておるからね。
  55. 岩崎純三

    ○岩崎国務大臣 二十一世紀に差別は解消しなければならない、そういう考え方をもちまして政府もその意見具申を尊重し、今回の改正法案を国会に提出をいたしておるところでございます。  ただ、法律は生き物でございます。したがって、今後手を挙げるというか、意思表示がどのくらいになるのか、そうした客観的な動きを見詰めながら、政治は生き物であるという基本的な考え方をもってこの問題に臨んでいきたい、このように考えております。  以上です。
  56. 野坂浩賢

    野坂委員 全国的な実態調査、そしてそういうものの中から我々は、拾い上げるものは拾い上げ、すくい上げるものはすくい上げる、そして協議会ということ、あるいは審議会ということも改めて検討してもらうと同時に、重みはどちらも同じだということの確認だけはされたわけでありますから、どうすれば二十一世紀までに差別がなくなるか、そういう立場に立った御検討をちょうだいするように要望して、この質問を一応終わる次第であります。  時間がもう過ぎておりますし、日本銀行もおいでをいただいておるわけですが、経済企画庁長官にお尋ねをしましょう。ごく簡潔にお尋ねをします。  言うなれば、きょうの朝日新聞等にも、冒頭、一面トップに出ておりますように、景気は下降になりました。下降状況にあるということは政府も認識しておるようですが、来年度の予算では、景気というのは、いわゆる経済成長は名目は五%で、実質成長は三・五と言われております。そういう意味で、その方向は長官のこの趣旨説明書によりますと、外国の動き等も定かでない点もあるので、若干の幅はある、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。したがって、これからの景気動向、そして今までのイザナギ景気を抜くことはできなかったということが明確にされておりますが、今後、民間住宅の問題、四・五%の上昇、あるいは在庫品の棚卸し問題等がふえておる、在庫調整できるんじゃないか、こういう見通してありますが、景気の動向は今注目をし、この景気の動向をさらに上昇させるための公定歩合の引き下げまで言われておるわけでありますが、その見通しを経済企画庁長官に承って、その後、時間がありませんが、引き続いて日本銀行の方から御説明をちょうだいしたい、こういうふうに思います。考え方。
  57. 野田毅

    ○野田国務大臣 まず、現在の景気の現状の認識でございますけれども、基調といたしましては、先般来申し上げておりますけれども、やや過熱ぎみの高い成長から、雇用の均衡を維持しながらインフレのない、バランスのとれた成長経路に移行する調整過程にある、これが基調的な認識であります。  しかし、そうした中でこのところ減速感がかなり強まっており、また、広がりを見せておるわけでございます。もちろん、これはかなり地域あるいは業種によってばらつきはありますものの、総じて今申し上げたような状況にある。そこで、大事なことは、企業マインドがこれ以上悪くならないようにしていかなければならぬ、こういった認識のもとで、昨年の暮れに、一つは財政面、いま一つは金融面から対策を講じたわけでございます。  今御審議をいただいております予算、まず財政のこの予算が、残念ながら予算は編成はしたものの、まだ通過はもちろんしておりません、御審議中でございます。したがって、これができるだけ早期に執行体制に入れるようにまずしていかなければならぬ、このことが第一点だと思っております。  この予算の中身については、もう既にいろいろ申し上げておりますけれども、基本的には、あるいは国債の増額、あるいは特に公共事業系統についての重点的な配慮、こういったところから景気に対してかなり中身のある配慮をいたしておるわけでございます。その点が一つ申し上げておきたいと思いますし、同時に、地方財政あるいは財政投融資機関、これらの公共事業系統が大幅に伸びを見せておるということでございます。  そこで、今後どう見るかということでありますが、このところ、住宅について言えば昨年の秋以来ほぼ下げどまりの状況に入ってきたのかなということが感じられます。特に十一月、十二月は百三十万戸台で推移をいたしております。あるいはまた、自動車の方はずっと対前年でマイナスであったわけでありますが、この一月、もちろん一カ月間だけをとって即断するわけにはまいりませんけれども、前期に比べて年率ではかなりの伸びを見せておる、そういう状況があるわけであります。  そこで、この設備投資、これから先を考える上で大事な一つのポイントは設備投資でございます。この設備投資について言えば、少なくとも今のところかなり企業家の業況判断が影響しておるのではないか。しかし、これも一つは昨年暮れの公定歩合の引き下げにより、ずっとこのところ市中金利は低下をいたしてきておりますから、これがある程度設備投資に対しての好影響を与えるのではないか。特に、人手不足からくる、あるいはまた労働時間短縮、こういったところからくるところのいわば省力化、合理化投資への圧力ということは非常に強い。これが、いわばこういう独立投資系統が設備投資の底がたさにつながっていく。  個人消費の分野で見ますと、一つ物価が落ちついております。そして同時に、雇用の伸び、もちろん所定外労働時間が減ったりはいたしておりますものの、雇用の数の伸びというようなことに支えられて引き続き堅調に推移をするのではないか。そして、今申し上げました公共投資が基本的に下支え要因になる。  あるいは在庫の問題に今お触れになりましたけれども、これも業種によってのばらつきはあろうかと思いますので、昨年の秋以来、特に生産が落ちておるにもかかわらず、在庫が積み上がっておるというこの状況がこの十-十二、そしてこの一-三、そういう姿になっておる。業種によって差異はあろうかと思いますが、やはり四-六まで引きずっていく。しかし、かなり来年度の早い段階で、四年度の早い段階で在庫が、最終需要に引きずられて在庫緩和、圧迫感が緩和されていく。  こういうようなことを考えますと、私どもは平成四年度の経済見通し三・五%程度ということを見通しておるわけでありますけれども、この三・五%という達成については、もちろん今後においても政策、経済運営に時宜を得た機動的な的確な対応をしていくということは当然大事でありますが、同時にまた民間の経営者の皆さんの自信を持って経営をやっていただく、こういったことが両々相まって十分この三・五%の達成に向けて前進ができるものである、私どもはそのように認識をいたしておるわけであります。
  58. 吉本宏

    ○吉本参考人 お答えを申し上げます。  私どもの景気判断でございますが、足元の国内景気を見ますと、景気の減速度合いがやや強まる中で、在庫調整の動き等が広がっておりまして、生産も一進一退の状態にあるなど、いわば景気の調整局面にあるというふうに認識をいたしております。  ただ、そうした一方で、今回の調整局面ではいわゆる底がたさというものも維持されております。  例えば、設備投資について見ますと、これはここ数年来二けたの伸びを示してまいりました。それだけに最近の増勢鈍化ということはいわば免れないことだと思っておりますが、ただ、電力など非製造業の投資やあるいは研究開発、合理化絡みの投資、福祉面の投資、こういったいわゆる独立投資は引き続き根強いものがあるようにうかがわれるのであります。  また、個人消費につきましても、委員御承知のとおり高水準の雇用が維持される中で、基本的には底がたい展開を期待できるというふうに思っております。  私どもは、現在の調整局面が余り深いものになってはいかぬということ、また企業心理をできるだけ明るい方向に誘導する必要があるんじゃないかということもございまして、昨年の十二月三十日に公定歩合の引き下げを実施させていただいたわけであります。その後、市場金利もかなり下がってきております。現在、長期プライムレートが六%ということでありますが、ちょうど第一次オイルショックの後、昭和五十三年ごろだったと思いますが、私ども三・五%まで公定歩合を下げたことがあります。このときの長期プライムレートは七二%でございました。したがいまして、現在の六%という長期プライムレートは歴史的にもかなり低水準であるというふうに考えていいのではないか、このように思っておるわけであります。  そういうことで、金利水準も下がってまいりましたし、国内景気は当面なお調整過程を続けると思いますが、これが急速に落ち込むことはまずないんではないか、このように判断をいたしております。私どもとしては、いずれバランスのとれた姿、経済の姿に移行していくものと判断しております。今後とも予断を抱くことなく情勢の展開を慎重に見守ってまいりたい、このように考えております。
  59. 野坂浩賢

    野坂委員 調整局面が続く、したがって時期を見ててこ入れを考えなきゃならぬということにも聞こえるわけですが、てこ入れするとすればいつごろかということと、野村総研等の民間の機関では、三・五%というのはなかなか容易じゃなくて二・三%程度が大体考えられるところではなかろうかというようなお話を聞くのでありますが、日本銀行の副総裁としては、景気の動向のてこ入れ問題と、実質成長は三・五、政府が言っておるとおり出るかどうかという点についてはどういうふうにお考えですか。
  60. 吉本宏

    ○吉本参考人 来年度の経済成長がどうなるかということを考える際の一番ポイントになる点は、現在行われている在庫調整がどのような時点で終了するかということと設備投資がどういう形になるか、この二点がポイントではないかと思っております。ただ、何分まだ新年度入りをしていないわけでございまして、私どももそれらを推定するしうかりした資料をまだ持っておりません。したがいまして、現在、政府の経済見通しの三・五%が達成できるかどうかということについては私どもの意見を差し控えさしていただきたい、このように思っております。  いずれにいたしましても、できるだけ早い時期に調整局面を終えてバランスのとれた経済成長の姿に移行することが望ましい、このように考えております。
  61. 野坂浩賢

    野坂委員 共和問題について、もう時間がありませんが、若干質問をしておきたいと思っております。  共和の問題で六月の十二日、塩崎さんは丸紅の本社で春名和雄会長にお会いになっておりますね。それまでに共和は経営がおかしくなって、阿部文男代議士に頼まれた塩崎さんは丸紅本社で春名和雄会長に会って、いわゆる共和をよろしくと言って春名会長はそれを鉄鋼部の方に伝えます、こういうふうな話し合いが行われて、七月ごろ衆議院の事務所で二千万円お受け取りになった。この申し立て書によりますと、もらったことは事実だが、それは返した、秋には。こういうふうなお話でありますが、まあ二年四カ月程度ですか、去年の秋といえば二年四カ月になりますが、それらを二年四カ月間持っておってそれを返したということについての、この二年四カ月という期間は非常に重要だと考えておるわけですが、それについて、直ちに返す場合とは違うわけですが、それについてはどのようにお考え、御感想でございますか、総理大臣に承って質問に入りたいと思うのです。
  62. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 大変具体的なことについて御指摘がございましたが、事実関係を存じておりませんので、お答えを申し上げることをお許しをいただきたいと思います。
  63. 野坂浩賢

    野坂委員 私が聞いておるのは、それでは事実関係ではないということですが、六月の十二日に塩崎・春名会談というものが行われたということは事実なんです。共和をよろしくと言ったんです。そして岩崎機械とか岡藤商事とかあるいは日商岩井とかそういうところはそれぞれ丸紅を相手に訴訟をしておりますけれども、架空取引をそれによって継続をしたのです。それらについては事実でありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
  64. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私が直接に事実を存じておりませんので、お答えをお許しいただきたいと思います。
  65. 野坂浩賢

    野坂委員 個別を指摘すれば一般論でと、具体的な事実をすればそれも知らぬと。一般論ではどういうふうにお考えでしょうか。
  66. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 個別のお話をなさいました後、一般論と言われましても、やはりなかなかお答えが申し上げにくうございます。
  67. 野坂浩賢

    野坂委員 それでは、いずれ二十五日には証人としておいでになりますから、それらの全貌は明らかになるだろうと思うのです。  郵政大臣、ごく簡単に承りたいと思うのですけれども、御案内のように書記長が、こういうのですけれども、御存じかと思いますけれども、それぞれあなたが入学あっせん手数料をもらったのではないか。あなたは黙って置いたものはしょうがないじゃないかというような答弁でしたけれども、全部でわずかに六十一年と六十三年で一億五百万程度載っていますね。これらについては全部御否定になりますか。それともそういう事実はあったというふうにお考えでしょうか。御本人ですからお尋ねをします。
  68. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 全部そのとおりであるということは、これはお許しをいただきたいと思います。と申しますのは、前段申し上げましたとおりでございまして、これはどういうところからこういうふうになっているか、実は無責任なようですけれども資料が手元にございませんのでわかりません。私自身は前にも申し上げましたように、そのような事実はございません。現実の問題としてこういう大きな金額になっているとは実は思っておらない次第でございますし、私も承知しておりません。
  69. 野坂浩賢

    野坂委員 どの程度おもらいになったのですか、それではこれだけの大きさ、金額というわけじゃないと言うんなら。
  70. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、記者会見のときにも申し上げましたが、全く謝礼として事務所に置いていかれたものはいただいていると思いますし、それはまた秘書が非常に税務とかあるいは政治資金等に詳しい秘書でございましたから、それらに対する対応はきちんとしていると思います。ちょっと詳しい内容は完全に掌握しておらないのでございます。
  71. 野坂浩賢

    野坂委員 この問題については同僚が深く掘り下げてお尋ねをします。問題は、あなたがそのとおりでなかったにしてももらっておるということだけは明らかです。ユウコウという会社の社長、あなたの奥さんですけれども、それらについての資金の流れという点等についてもこれから詳しくやっていくということになるだろうと思うのです。  で、もう一人、中村さんにお尋ねをしたいと思うのですけれども、できるだけ個人的な問題を避けなければならぬと思っておりますけれども、あなたは閣僚ですから、しかも今は税金の申告の時期なんですね。その中でおたくは沖縄県の石垣島に一万七千六百平米、ここへ土地謄本がございますけれども、それをお持ちでございますね。
  72. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 石垣島に今ある土地は、私の息子に生前に贈与いたしまして、そして息子の名義になっております。ということでございますが。
  73. 野坂浩賢

    野坂委員 その坊ちゃんは当時、贈与されたときには、現在三歳ですね、総一郎さんということになっておりますけれども、現在三歳でございますね。四歳ですか。この贈与を受けられたときは二歳ですね。我々は一般常識として、法的には私は余り問題がないじゃないかと思うのです。節税をされておる。しかし、一万七千平米も、まだ自分の意識、意思というものが確定をしない坊ちゃんがそれを引き継いで、扶養家族から所得があるから落ちておる。扶養家族じゃないというと、二歳や三歳の子供さんが自分で生活をするというふうには常識的には、社会常識では考えられないわけですね。ただ、それは節税をする方便としてやったというふうにしか映らぬじゃないか、こういうふうに思うのです。  だから、資産公開のときにもあなたのを見たらこれはありませんでしたけれども、具体的にはこの土地謄本から見ると、原野から宅地にして、しかもシーサイドホテルという、あなたの関連企業がその土地におつくりになって、そして坊ちゃんに賃貸料をお払いになっている、こういう姿になっておるわけですね。それらについてはやっぱり閣僚としては適切な措置ではないではなかろうかな、こういうふうに私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
  74. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 贈与いたしまして、そして資産公開のときに私もこれをやっぱり、常識的に言えば小さい子ですから出すべきだということで考えました。そこで、資産公開の基準についてのいろんなお決めがあるということなんでそれを伺いましたところ、税法上の扶養家族でなければ出さない方に仕切るというお話でありましたので、秘書をして、それはおかしいではないか、もう一遍確かめてこいということで確かめに行かせました。ところが、御説明でやはり税法上の扶養家族でない者は記載しない方に仕切るんだということで記載いたしませんでした。しかしながら、記者会見においては贈与したこういう土地があるということを申し上げました。  そして、石垣島との関係なんですが、実は私、昭和四十年当時から求人のために石垣島に行っておりまして、このホテルが建っている土地は、うちにお勤めになっていらっしゃった方のおじい様が当時、もう四十数年、四十六年当時ですから、極めて石垣島というようなところが注目されてない時期に、地元振興のために、私も観光業、ホテル業をやっておりましたので、ひとつこういうものをづくってくれないかということでお譲りいただき、地元の市とずっとお話し合いをしながらやってきたものでございます。  そして、こういった事業は非常に長い時間を要するもので、今全部運営は地元の人にお任せして、マネージャーから全員地元の方がやっておりますが、まだ赤字と伺っております。しかしながら、やっと二十年たって建物ができ、軌道に乗りつつある。こういうものを中小企業でやりますときは、やはり親子二代ぐらいでは済まない、三代、四代と続かなければやっていけない事業だと思います。  そこで、やはり私は、会社の所有にするとか何かありましたけれども、やはり息子に生前贈与するのがよかろうと思って贈与いたしました。生前贈与ということは、これは土地の贈与ですからきちっと土地の名義が移りますので、極めて資産の移転というのがはっきりいたします。そして、評価もはっきりいたします。そして、課税については、相続税その他の説よりか課税が重くなっておりますから、節税にはならない税だ、このように思っております。
  75. 野坂浩賢

    野坂委員 厚生大臣、あなたは官房長官に御就任になったときに、新聞にも出ておりますけれども、阿部さんが逮捕される前、共和から百万円、いやそれ以上だったかなと、こういうふうに記者会見のときに述べておられますね。その後逮捕されてからは、また記者会見で、あれは三万円持ってきた、こういうふうになっております。これはどっちが本当ですか。
  76. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 最近は一貫して二、三万というような新聞記事になって、一貫してというのは、たまに出たのを私は拝見しておりますが、実は当時のことをあからさまに申し上げますと、私は、官房長官になりまして一身上の都合、不徳のいたすところでわずか二週間で辞任をいたしまして、したがって長官就任早々からもうそのことで私は頭がいっぱいでございまして、実は小さなことも、それはすぐ整理したりする頭の余裕がなかったんであります。  そこで、その当時だれから幾らお祝いをもらったかということは定かでございませんし、当初ある記者から、あなたは百万円か幾らかもらったという話たかと聞かれて、当時のことは覚えていないからあなたが言うんならそうだったのかなというような調子で申し上げたんでございますが、後日秘書に聞いたら、そんな金額は全くございませんということで、私はほとんど不在であったものですから、帰りましてもらったものを引き出しの中から見たりしたこともありますけれども、したがって、それは誤りであったということを後で訂正いたしました。  従来共和とは全く関係ございませんで、後援会にも入っていませんし、毎月の後援会による政治資金等も一切もらっておりませんので、そういうことで、非常に前からのつながりが薄いから記憶が極めて不確定であったということを申し上げておきたいと思います。
  77. 野坂浩賢

    野坂委員 あなたはつながりが全然ないということですけれども、阿部さんと一緒に共和の森口五郎さんにお会いになったことがあるんじゃないですか。全然ありませんか。
  78. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私は、記者会見等においても、それはあるということは申し上げております。深いつながりが前からあったんではなく、例えば後援会にも入っていないしということをさっき申し上げたはずでございまして、ずっと前からということは全くございませんと。もともと私は紹介されたのは、全く別の福岡の私の後援会の役員から紹介されたんでございまして、私はちょっと違っておりまして、そういう関係で会ったことはあるということは今まで申し上げておりますが、前からは全くなかったというふうに申し上げたつもりであります。
  79. 野坂浩賢

    野坂委員 佐川急便の中で、谷川和穗代議士の秘書が百億円の旧誠備グループとの際に保証人になっておりますね。これは返してもらえたのですから別段問題はありませんが、保証人になるという、こういうことはどうかな、こういうふうに思うわけです。  佐川急便グループから、中曽根さんが主宰されます世界平和研に五億円行っておる、これは認めておられますね。あるいは中西啓介さんが三千万円パーティー券を買ってもらった、これも事実ですね。久間章生さんが九州の大栄運輸興業の取締役になっておる、これは佐川急便系ですね、すべて。  これらの問題から考えて、政界との癒着が百人とか百五十人とか、あるいは百六十八人とかいろいろと言われておるわけでありますが、これらの内容についてさらに佐川清会長、きのう、渡辺広康被疑者は、容疑者は、稲川系の会長である石井進と話し合ったときに、ゴルフ場の開発等の問題等をひっ提げて七百億円の融資の保証をしてくれということを言っておるわけですね。それについては、佐川清会長の許可を得なきゃならぬ。佐川清会長は、それについて許可をするというお話がきのうの段階でも伝わっております。物を言っておるわけです。したがって、この全貌は、いわゆる佐川急便の社長である佐川清さんはすべてにわたって御存じであるということが浮き彫りになってきたというのが現状であろうと思うんです。  それについて、私どもとしては、やはりきのうも和田静夫さんが言いましたように、全貌はここにわかっておる。しかも、暴力団というのは法律がいよいよ施行するわけでありますから、それらと癒着をするということについては非常に問題がある。きのうもあったように、会津小鉄の問題も出ておるということから考えて、この佐川清会長は正式にやはり証人として喚問すべきであるというふうに私は考えるわけです。その点については要求をしておきたい、こういうふうに思います。委員長に申し上げますが、その点はいいわけですね。
  80. 山村新治郎

    山村委員長 理事会において協議をさせていただきます。
  81. 野坂浩賢

    野坂委員 最後に法務大臣にお尋ねをしますが、松沢泰生さんですね。平和堂不動産の社長ですが、この方は渡辺広康さんや早乙女潤さんとは一日おくれて出頭され、翌日逮捕になった、四人そろったところで逮捕になった、こういうことになっておるわけです。なぜ一日おくれて出頭に及んだのか、その辺の経緯を説明していただきたいと思います。
  82. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  捜査の具体的な内容についての御質問と伺うわけでございます。一般論としてお答え申し上げるわけでございますが、捜査の手順等につきましては捜査当局において判断して行うものでございます。
  83. 野坂浩賢

    野坂委員 うわさによれば、その間に政治絡みの諸問題等の証拠書類等は処理されたんじゃないのか、こういうお話がありますが、今申し上げましたように、佐川急便やあるいは共和をめぐる問題は、政治家の皆さん方にたくさんの疑惑や懸念があるわけであります。  したがって、法務大臣は、指揮権等を発動してこれをとかるということではなしに、むしろ積極的にこの腐敗、汚職、こういう点を今メスを入れて解明をしなければ、本当の意味の政治改革はできぬじゃないか。我々も、政治改革というのについては、腐敗の防止あるいは政治資金の数量的な制限、そういう点については、やっても透明度さえあればいいじゃないか、こういうことの立場はとらない。したがって、はっきり、できるだけ公明正大なものにしてもらうという点と、これらの公平公正を含めて、ぜひ捜査を徹底して行っていただくように要望して、時間が来ましたのでこれで終わりたい、こういうふうに思います。
  84. 山村新治郎

    山村委員長 これにて野坂君の質疑は終了いたしました。  午後零時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後零時五十一分開議
  85. 山村新治郎

    山村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
  86. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今当面政治改革、特に政治倫理の確立をめぐって、共和、佐川、また一連の閣僚の中にあります諸問題が取り上げられておりますけれども、これはさておいて、今当面している、もう日本国民が関心を持っている問題でぜひともここは明確にしていただきたい、その観点で総理質問をいたします。  水俣病の被害者の救済、もう既に三十五年を経て、これまで苦渋に満ちた、ある意味では怨念を持ってこの被害者の皆さんは、政府が何とか解決してくれないものかと切実な訴えをしておられるわけです。生きているうちに救済をしてもらいたい、この気持ちを察して、今私どももいろいろな角度から検討してまいりました。  この二月に入りまして大きな動きがあったことは御承知かと思います。二月の五日における福岡高裁の判決、七日の東京地裁の判決、この内容はそれぞれ違いがあることは認めます。しかし、最終段階でいずれも、政府の政治的責任がある、和解をもって早急に解決をすべきである、こういう内容が含まれています。総理は、過般の我が党の田邊委員長の本会議での代表質問に答えで、政府としては総合的対策とともに早急に解決を図る、こういう意味の答弁をしておられるわけであります。どのような早急なる解決を図られようと考えておられるのか。昨年もこの問題は海部前内閣のときに取り上げましたから、その際に内閣で決められております関係閣僚会議、いわゆる閣議におけるこの水俣病の問題についての見解は十分承知しておりますので、ここは新しい動きが出ているという観点に立って総理の確たる御返事をいただきたい。
  87. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 所管大臣からお答えを申し上げます。
  88. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 委員御指摘のとおり、判決の中で国、行政当局には責任は、賠償上の責任はないけれども政治責任があるということが述べられております。そして私どもいろいろ、答申を受けました中公審からもこのような御指摘をいただいておるわけでございまして、今後の環境行政を進める上で真摯に受けとめるべぎと考えております。  国といたしましては、このような事情も踏まえまして、総理からもこの前倒答弁ございました中央公害対策審議会の答申に基づきまして、平成四年度から新たに、水俣病と認定されない者に対する対策も含めて水俣病にかかわる総合的な対策を講じて、そして総合的な解決へ向けて努力をさせていただきたいということで、今平成四年度の事業に向けて準備を進めているところでございまして、国の立場といたしましては一こういう事業を通してどうか御理解を得ていきたい、こういう立場でございます。
  89. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま環境庁長官からお答えを申し上げましたことでございます。
  90. 新盛辰雄

    ○新盛委員 内閣を代表する総理のお答えにしては全くお粗末でございます。今環境庁長官言われましたことも、総合対策で新たに平成四年度、このボーダーラインにおられる方々の救済もするんだ、そういう意味で五億二千百万円の水俣病総合対策関係費が組まれております。しかし、今私が申し上げたいのは、この総合対策ですべてが尽きているのか、これで水俣病の問題は救済は終わりなのか。チッソの側もそして熊本県もそして原告のもちろん皆さんも、ぜひ和解のテーブルに着いてほしい、こうおっしゃっているわけです。これは、いつまでたっても現時点、和解のテーブルに着くことができないというのは何が根拠ですか、その根拠を明確にしていただきたい。
  91. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 和解ということになりますと、この問題が究極的には何らかの損失が生じた場合にどこまで国民全体の負担によりそれを補償すべきかという行政として根幹にかかわる重要な問題がかかってくるわけであります。ですから、交渉等により妥協を図るという性質のものではないというふうに思っているわけでございまして、国の、先生御存じだと思いますが、和解に関する見解というのも出されておりますが、その見解を出されたときから今事情が大きく変わったというふうには考えておりませんので、行政でできる範囲の中で総合対策を行い、そしてできる限りのことをして御理解をいただいていきたいということでございます。
  92. 新盛辰雄

    ○新盛委員 主管大臣として北川元長官の方も現地に行かれて、そしてこれではいけぬ、何とか解決をしなきゃいけないという前向きの御発言があったわけです。しかし、これを今お聞きしますと、もう基準に照らしてとか、今回の東京地裁の判決の内容は極めて政府側に有利であったというその気持ちを持っておられるのか、そこに問題があるわけです。したがって、国の認定基準についても、これは水俣病のいわゆるボーダーラインにある方々に対する救済を東京地裁はやったでしょう。そういう観点から立ては、これは政治的責任があるということ、また水俣病の範囲の問題で原告の主張が認められている。病像論、責任論、こういうのはひとまず棚に上げまして、そして何とかここで和解のテーブルに着く、何が支障あるかと聞いているのです。総理どうですか。
  93. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 和解ということについては、原告側は、国、県の賠償責任の有無から原告の方たちの水俣病罹患の有無といった訴訟の基本的な争点に関する東京地裁の判決を不服として今控訴をしておられます。また東京地裁における和解協議の打ち切り申し立てを行っておられるというようなことでございまして、これらについて当事者間の、国も一方の当事者でございますので、依然大きな隔たりがあるわけでございます。  こういうような状況の中で、繰り返しでまことに申しわけございませんが、和解を取り巻く状況は、平成二年十月に国の見解をお示しさせていただいた当時と基本的には変わってないというふうに考えているわけであります。そして、まさに委員御指摘の政治的な責任、そうしたものにつきまして、この中公審の答申の趣旨の中にもそういうことがございますので、それに従いまして今これから四年度にできる限りの施策をしてまいりたい、これが行政のできる最高のことをやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  94. 新盛辰雄

    ○新盛委員 何が最高だとおっしゃるんですか。経済大国、生活大国とおっしゃっておられます。この六月には地球サミット、そして公害の原点でありますこの水俣病の解決なくして日本が基本的な環境問題で発言する資格があるでしょうか。二十年前、ストックホルムでの人間環境会議、いわゆる地球サミットでもこの水俣問題は論議されているのです。二十年後、恐らく今回のブラジルでのサミットでは解決をしているであろうと、閣僚の中からそういう発言があったことも記憶しております。こういうときですから外国に地球サミットでは大きな顔をしたい、しかしみずからの公害問題を抱えている、これはどういうことですか。  この判決が出て、二月八日、二月九日、マスコミが一斉に社説でこの内容について指摘をしております。熊本日日新聞「環境省になるための条件は」という題です。各省庁に対し、調整機能を発揮し、リーダーシップをとる権限強化が図られてこそ環境省昇格の条件としている。これは、橋本さんを中心にして今環境基本問題懇談会というのがつくられているようでありますが、それに対する皮肉だと思います。  南日本新聞「国は水俣病和解のテーブルにつけ」。生きているうちにという患者の気持ちを察し、各裁判所が勧告しているように、和解による解決が現実的である。早急に解決せよ。これは主文です。  西日本新聞「水俣病に国の責任がないとは」。国は被害者救済のため和解による解決を、こう中身はございます。  日本経済新聞「水俣病解決に一刻も早い政治判断を」。朝日新聞「水俣病の解決を遠のかせるな」。法的責任であれ政治的責任であれ、国が過去のいきがかりを捨てて、国は和解のテーブルに着け。  毎日新聞「水俣病の全面解決を急げ」。環境行政は今、地球環境保全という人類的課題に直面している。国民の信頼と協力を得るためにも、足元の問題である水俣病を国が解決せよ。  読売新聞「判決で和解への道を閉ざすな」。水俣病認定を受けられなかったボーダーライン層は、全国の水俣病裁判の原告二千三百人を含めて、かなりの数に上っている。中公審答申を受け、平成四年度から発生地域の健康管理事業、医療事業の二本立てによる総合対策事業と和解交渉をドッキングさせて解決せよ、これが読売新聞ですが、これはもう結論を言っているような状況です。  こういうことですから今ここで、総理が新内閣をおつくりになったんですから、決然と和解のテーブルに着くようにぜひひとつここで決意を明らかにしていただきたい。
  95. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど環境庁長官が申し上げましたとおり、政府としては誠意を持って現在の事態並びに将来について対処をいたしております。御理解を得たいと思います。
  96. 新盛辰雄

    ○新盛委員 納得できない。答弁ありますか。納得できるようにしてください。
  97. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これはひとり環境庁だけではなくて厚生省としても関係を深くしている問題でございます。そこで、この前の判決において、水俣病の発生並びにその拡大についての責任は国にないというはっきりした結論が出たわけでございます。今回の和解のテーブルに着けという要求は国の責任における救済についてということでございますから、判決は国の責任はない、ただ単に別の救済ということになれば別でございますが、国の責任においてということになりますとかなり隔たりがあるということでございます。  そこで、そのことは抜きにしていろいろ救済措置を講ずるというのであれば、国を挙げて関係各省庁が、これは四月からまた別途いろいろな計画が立ててあるわけでございますから、やるのでございますから、国の責任における救済のテーブルということはなかなか各省ともこれには応じがたいということは私からも申し上げておきたいと思います。
  98. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それはだめですよ。そういう答えを今までずっといただいているのです。厚生省あるいは通産省あるいは環境庁、原告の方々と各省庁を私も回りましたよ。そして訴えたんです。その内容においては、もはや政治的解決を図る以外にない。今おっしゃるように、手だてはしている、国家賠償法に基づいて、国賠はこれはもう責任なしとされたからということだけでは片づかないよ。私も先ほど言っているように、病像論だとか責任論だとかというのは一時こちらに置いてでも、国がまずテーブルに着いて、どういうことを言っているのか、そういうことを両者から話を聞くことはいいではないか、このことを言っているわけです。それだけのことができないんですか。関係閣僚会議をやっておられるんですか、その後。現時点というのはもう既に変化がある、だから申し上げているわけです。納得ができません。
  99. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 かねてより関係閣僚会議も開きますし、行政として誠意を持ってできることをやっていこうということで努めてまいったところでございます。どうしても、今厚生大臣からも御答弁がございましたように、今度の判決でも発生並びに拡大について行政側の責任はないということでございます。その上で政治的責任ということが言われているわけでありまして、まさにそういうところを私ども行政としてできる限りのことをしょうということで総合対策を今進めているわけでありまして、その四年度に計画している総合対策を本当に実効あるものにしていこうということで誠意を持って努力をしているところでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  100. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうも回答に納得ができません。この東京地裁の十一章の項目をお読みになったんだろうと思いますが、これはどういうふうに書いてありますか。東京地裁の十一章の項はどう書いてありますか、判決文。
  101. 柳沢健一郎

    柳沢(健)政府委員 十一章でございますけれども、十一章は、判決の最後に、国の責任、国や県の政治的責任ということについて触れておりまして、そういうことをもってこの水俣病問題の早期解決を図るようにという意味のことが書いてあるわけでございます。
  102. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今おっしゃったとおりです。だからこの際、政治的決断をする時期に来ている。それは、先ほどから申し上げておりますように、病像論だとか、難しい認定基準の問題とか、これはもう法律的にもあるいは行政の場面でも大変手に負えないくらい難しい問題でしょう。責任論、これはとても、事実係争されているような状況ですね。しかし、責任はあるという熊本地裁の判決もあるわけです。  だから、こういう状況でありますだけに、あの皆さん方の自民党の方におられた福島前労働大臣ですね、元労働大臣の方が正確でしょう、この人は熊本の知事として、できるなら国が和解のテーブルに着いてもらったらな、そうおっしゃっているんですよ。県も出ますとおっしゃっているんですよ。だから、責任論だとか病像論だとか、そんなことに触れればがちんと行政上の問題がありましょうから、ここは政府がひとつ同じテーブルに着いて、いろいろ原告側の言い分、チッソ側の言い分、国は国として立場がありましょうから、それを言う機会をつくってもいいじゃないか、それができないかと言っているのですよ。それだけのことです。
  103. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 行政の立場ということもございますが、新盛委員の御指摘もあることでございますので、この判決の内容を真摯に受けとめまして、新盛議員のお言葉もいろいろ聞かせていただきながら、誠意を持って水俣病の対策に当たってまいりたいと存じております。
  104. 新盛辰雄

    ○新盛委員 それなら、総理、ひとつ今の環境庁長官のおっしゃったことについて御確認を願いたい。
  105. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま環境庁長官からお答え申し上げたとおりでございます。
  106. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、これまた重大な問題ですが、雲仙・普賢岳の災害は、いまだに火砕流が流出をしている現状でございます。九州、いわゆる霧島火山脈の一連をなして、阿蘇、桜島、霧島、雲仙、こういう箇所は確かに地震活動、噴火活動が続いています。私は鹿児島ですが、最近の噴火活動の中で、今まで眠っていた霧島の新燃岳が、雲仙・普賢岳の前兆を見るような動きがございます。そして、昨年一年間で桜島の爆発は二百九十五回、噴火が四百十回、地震が、これは火山性微動地震でございますが二万八千五十回。ことしに入りまして、噴火が七十二回、爆発が六十回、この降灰量というのはまさしく、昨年一年間だけで鹿児島全土に降らした降灰量は十五億七千トン、大変な量であります。  これが今、雲仙・普賢岳では毎日のように、桜島もそうですけれども、大変な噴煙を噴き上げております。まさに生活されておられる方々は大変です。昨年の六月、死者四十名、負傷者十名、行方不明三名の犠牲を出したこの普賢岳の噴火災害はいまだにこうして続いている。被災者を初め、関係者に大きな犠牲を強いていることは間違いないわけであります。警戒区域の指定期間の延長ですらもう十三回、これまで十四回ぐらいになったと思うのですが、今なお八千百三十名ぐらい被災者があのプレハブという大変な窮屈なところで生活をしている。総括質問の際に市川委員の方から質問がありましたように、プライバシーが守られない、あの狭いプレハブで四人家族同居し、夫婦の生活もできないという、まさしく狭い中でプライバシーも守られていないという苦痛を訴えられましたね。  それに対して自治大臣も、その改善のために積極的に措置をしたいとおっしゃっているわけですが、こういう状況の中で、これは災害対策基本法、あるいはまた今言われております災害救助法、活火山法、これはもう昔から、現実のこの時点ではもうある意味では非常にそぐわないわけです。だから苦肉の策としてこれまで拡大解釈をしてようやくその措置をしているわけでありますが、この際被害者救済等のための特別立法をつくってほしい、こういう願いが地元からも寄せられています。これは活動火山法もあるいは災害救助法も災害対策基本法も含めて考えていくべき筋のものだと思うのであります。  そういう中で、まず今現実に、アメリカあたりではこの問題で危機管理的ないわゆる対策が立てられているわけであります。そういう面で、我が災害対策となりますと、国土庁を中心にして余りにも各省庁に分かれているために、今度の普賢岳の噴火でも二十一分野九十項目にわたる措置をせざるを得ないという状況であります。だから第一に、管理する一つの特別立法、省庁、そういうものをつくる気があるかどうかというのが一つ。  それと、今緊急にしなければならないのは、昨年の八月二十三日から追加措置で、二カ月以上避難実施されている方、生活継続者に食事の現金給与、国が二分の一です。九一年九月から既に六カ月がたって、もう期間が切れようとしています。これは御承知のように一人一日当たり一千円、四人世帯で一カ月十二万円となります。それで、このほかに県の方が雑費補助として一カ月三万円支給しています。これは三月で切れます。さらに、休業している事業所、従業員に対する雇用調整支給がこれまた二月まで。現在、十二月一日までの調査によりますと、四百二十八人、基本給の受給資格を決定しておりますが、あと四名ほど、これもまた決定未定でございますけれども、こういう資金を継続をする、前向きに検討すると前回お答えになっておられるわけですが、もはや事態は急です。この際、明確に、延長するのかしないのか、これも明らかにしていただきたい。
  107. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答え申し上げます。  二点についての御質問ございましたが、まず最初の共済制度につきましては、初動的災害対策に対する研究会……(新盛委員「違うよ、あなた、その質問はまた後でやるんだから」と呼ぶ)これは後でやられるのですか。これと関連しておられると私は思っているのです。
  108. 新盛辰雄

    ○新盛委員 特別立法の話をしているんですよ。まだ一回も言っていないじゃないですか。初動的、何を言っているのですか。
  109. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 ちょっと聞いてください。そういう初動的なそうした問題についての研究会を今日行っておりますので、そういう共済制度等も含めて今後こういう議員立法というものを御提唱なされることについて、必要であるかどうか、学識経験者の皆さん、そしてまた各省庁の関係者の皆さん検討しているところでございます。その前提を当初私は申し上げたところでございます。  なおまた、食事供与について御質問ございましたが、これは原則として自立するための一時的な救済制度でございます。しかし、今日、活動はまだやんでおりません。そういうことで、被災者の皆さん、大変御苦労なさっておられるし、がしかし、就労等において知事さん初め皆さん方努力しておられる今日でございますので、知事さん初め地元の関係者の皆さんと協議しながら、どうしても、当初総理からも御説明がございましたように、立ち行かない人は私たちは十分救済ができるように検討をいたしているところでございます。
  110. 新盛辰雄

    ○新盛委員 国土庁長官、あなたのお答えですけれども、端的に答えてください、やるのかやらないのか。
  111. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 先般も申し上げましたように、大変御苦労なさっている皆さんに、自立ができない皆さん、困っている皆さん方には今後検討しようということで前向きに対処するように努力をいたしております。
  112. 新盛辰雄

    ○新盛委員 どうもこれは自治大臣あるいは厚生大臣、労働大臣もかかわるわね、雇用調整資金は。どうですか。どうもあてにならぬ、国土庁長官は。私は端的に聞いているんです。これは各省庁がそれぞれ分野別におつくりになっているものですから、それぞれ御検討はあると思います。お答えいただきたいと思います。
  113. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 新盛さんおっしゃっているように、二十一分野九十六事業でございますか、この個々につきましてずっと今県の方で検討し、新しく要望を追加するもの、あるいはまた修正するもの等そろえまして、新しく国土庁を通じまして自治省の方にも要求が出るということを聞いております。お尋ねの手当等について続行するかどうかは、それまでに県の方の意向を明確にして持ってくると思っておりますので、それに従いまして全力を挙げて我々取り組んでいきたいと思っております。  なお、先ほど来いろいろ御質問の中にございました、その大きい一つといたしまして基金の問題がございましたのですが、これは現在三百三十億円積んでおります。これによりまして、一応県は本年度の実績を見た上で新しくなお追加を要する場合があるならば、今度新しく要望を持ってくるときに、そのとき一緒に添えて持ってくる、こういうことでございますので、私たちは、県がもしそれを積み増しを必要とするならば、直ちにそれに応じた処置をしていきたい、こう思っておりますので、先ほど国土庁長官がおっしゃっていましたように、これから全力を挙げて国土庁を窓口にして私たち一体となって進めていきたいと思っております。
  114. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そのようにお答えいただければいいのですよ。今長崎県の起債の問題、一般経費への繰り入れ、あるいは国民の災害義援金の一部繰り入れ、確かに基金としては三百三十億ですが、おっしゃるように、これは現実もう義援金の方も相当増額されていますし、たくさん全国から集まっていますから、早急に増額をしていただくように期待をいたします。  それから、融資の元利償還の延期もこれは予算措置を求めておられるわけですから、民間の融資も含めて金利の延長、これは三%ですけれども、ぜひひとつ御配慮をいただきたい。  それと、この警戒区域の問題ですね。これはまた国土庁長官と議論すること、ちょっとしんどいですけれども、災害対策基本法で六十三条に規定されています警戒区域の設定、この警戒区域への立入制限、禁止、退去の権限は市町村長に付与されているわけです。ところが、今回のようにああいう大規模な火砕流が発生するときの市町村長の判断というものは、実にそれこそはかり知れないものがありますね。それは、人命、財産にかかわることですから、財産をそのまま放置してくるわけですから、退避しろ、避難しろ、それを号令をかけるのには、それこそ大変なことですね。昨年まさにそのことの判断を知事と相談をして、結局この法律では首長が決めることになっているので決断をしたやさきに、避難を開始したところやってきたわけですね、あの火砕流が。  だから、こういう危機一髪的なものもありますので、この政治的責任というか市町村長にかかる重圧は大きいですね。いわゆる畑も面倒見なきゃならぬ、鶏まで、豚小屋まで、一体だれが補償するのだ。県が、国か、これは当然考えることでしょう。ここはもう改正しなきゃいけませんよ。県知事にするか――西岡さんは、何か自分の地元のリップサービスかどうか知りませんが、国にやったらどうかとおっしゃっているぐらいですから、ここのところは現地の皆さんも、我々も桜島持っていますからね、これは非常に問題だと思いますので、この関係はどういうふうに考えておられるか。これはだれが担当ですか。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  115. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  災害から命を守ることは、町村長さんのやはり責務になっております。が、しかし、知事にはその指示を申しつける権限、代行というものが義務づけられておりますので、現行法で私はいけるものと思っております。
  116. 新盛辰雄

    ○新盛委員 あなたはそんな暴言を吐かんでいいですよ。いけるものと思いますと何で確信持っておられますか。この警戒区域の設定で二の足を踏むのは市町村長なんですよ。現行でもしあなたがいいとおっしゃるなら、市町村長が法第六十三条を発動する際には、せめて国及び都道府県の指導を受ける旨の規定を追加する必要があると思うのですね。これは指導というか連携ですよ、国と県と市町村が連携しなきゃどうしようもないでしょう。そういうこともできないのですか。
  117. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 応急処置の代行の権限を知事が有しておりますので、現行法でやっていけるというふうに解釈をいたしております。
  118. 新盛辰雄

    ○新盛委員 では、国が県がという、代行とおっしゃいますが、現場で判断をするのはだれか、こういうことを聞いているのですよ。法律では六十三条で市町村長となっているのですよ、これは。はっきりしておるのでしょう。それを連携をとってということまで言えないのかと、こう言ったら、いやそれはもう国がちゃんと、県が、そんなことで答えになりますか。  現実に起きているこの普賢岳の火砕流、災害ですわ、これによって警戒区域内の住民は身体の安全を確保できる反面、多大な経済的損失を余儀なくされる、これはもう事実なんですね。こうした現実を踏まえて、六十三条の発動によって生ずる被害者の経済的な負担、ここは大事なところですよ、経済的な負担に対する国の助成措置を災害対策基本法に規定する必要があるんじゃないですかと、だから、災害対策基本法の改正も必要ですよと、そういうものをまぜて、災害救助法だって金の支給額というのは弔慰金にしても低いでしょう、この間弔慰金、上がりましたね、それを少しでも大きく、まあ現実に沿った形にしてはどうかと、こう言っているわけですから、その答えをしてくださいよ。総理、いかがですか。
  119. 鹿島尚武

    ○鹿島政府委員 法律の条文のことでございますので、お許しを得まして私から申し上げさせていただきます。  現在の災害対策基本法によります体制は、先生の仰せられたとおりでございます。ただ、その前提といたしまして地方自治法、これは私から申し上げるまでもないわけでございますが、第二条の規定によりまして、地方自治体の固有事務ということで防災の仕事が掲げられてございます。そこで、市町村は基礎的な地方公共団体としてこういった防災、つまり人命そして財産、これを第一義的な、地方公共団体として守るという責務を有しておるわけでございます。これを受けて我が災対基本法におきましては、先生御指摘のような体制になってございます。一ただ、もとよりこういった大きな災害等に絡みまして警戒区域を決めることに際しましては、市町村長、大変お悩みになることがたくさんあろうかと思います。そこで今回におきましても、県、知事は率先いたしまして市町村長そしてまた関係者と一緒になりまして区域の設定等に一緒にかかわり、一線で指導をしていただいております。また、災対基本法の中に規定もございます。国土庁長官が場合によりまして地方公共団体を指導するという規定もあるわけでございます。こういったことで、当初、市町村長大変悩まれた際に、国の方におきましても国土庁長官からいろいろ御相談を申し上げ、指導をさしていただいたという経過がございます。そういったことで、実態上一体となって現在やらしていただいているということを御理解をちょうだいいたしたいと存じます。
  120. 新盛辰雄

    ○新盛委員 まあ現実は、担当省庁ですからそういうお答えでしょうが、私が申し上げているように、そういう悩んでおられる市町村長の気持ちを体して、ここは法律の改正を出せばいいんですよ、もう現実に合わないんですから。だから、これを県あるいは国へという移しかえをおやりになるのかならないのかと聞いているんですから。それは、ひとつここで総理、こういう改正問題は関係省庁と相談をしてということになるんでしょうけれども、ここのところでやはり一歩踏み込んでやらないと、将来また陸続と続くことになりますよ。ここのところ明確にしてくださいよ。どうですか、何か相談してください。長官、どうですか。
  121. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 自治体をどうして守っていくかということは私たちの仕事でございますので、要するに、こういう長期にわたる、しかも深刻な被害というものが今まで我々長い間に体験を余りしてなかったものでございますから、したがいまして、単発的な震災とかあるいは火災とかいうものに対する災害対策基本法というもの、そこのものについては十分できておると思うんでございますが、長期間にわたって、これは後どうなるかは先はわかりませんし、こういうものに対するものに対しましては、おっしゃるように市町村長の判断ばかりを重点に置くということは、なかなか私は、現実に即して考える場合、責任が重過ぎるんじゃないかなという感じがいたします。  つきましては、これは国土庁を中心にいたしまして私たち関係省庁が協議いたしまして、こういう長期で、しかも科学的に分析、非常に難しい判断を要するような災害に対しましては、どのように取り組むべきがいいかということ等について検討してまいりたいと思っております。
  122. 新盛辰雄

    ○新盛委員 非常に前向きの御答弁をいただきました。  そこで、先ほど国土庁長官、初動期災害対策研究会、この一月に発足しておるようですが、確かに現在の災害対策の考え方としては、個人災害に対しては自力救済を原則としておりますから、個人への補償は非常に困難ですね。しかし、自然災害による、この個人的に、地域的にもそうですが、壊滅的に被害を受けた場合に、今回の島原半島教訓がそのことを証明しておりますが、自然災害に対して国に責任があるなしにかかわらず、これはせめて国による自然災害に対する共済制度というのをつくるべきじゃないかという声が出ているわけですね。それを恐らく検討されているんじゃないかと思います。  だから、この新しい共済制度、まあ農業者には各種農業共済というのがございますが、自然災害に対する共済制度、そういうものを含めて六月いっぱいに結論を出すとおっしゃっているわけですが、私はこういうことは早く出してほしい、早く結論を出してほしい、こう思っているんです。これは国土庁と自治省が中心になっているようですが、自治大臣、またこのことについてどうお考えでしょうか。
  123. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 御質問ございました趣旨を踏まえました場合に、非常に事務的なことでございますし、私も事務当局に申しまして督励さすようにいたします。
  124. 新盛辰雄

    ○新盛委員 米の問題に入ります。ウルグアイ・ラウンド、先ほど同僚の野坂議員の方から質問しておりますが、不明な面をお答えをいただきたいと思います。  政府は、一貫してこの関税化の問題では、いわゆる、私はダンケルと言っているんですがこの合意書、これに対して断固日本は拒否をしている、いわゆる例外なき関税化は反対だ、国会決議に基づいてその姿勢は一貫して貫いている、こうおっしゃっているんですが、途中であれやこれやと重要閣僚の間からふらふらっとした意見が出るというので先ほど御指摘がありました。  ここで確認しておきますが、政府見解は、これは明確に統一されているんですか。まず農林水産大臣
  125. 田名部匡省

    田名部国務大臣 お答えをいたします。  明確にされております。
  126. 新盛辰雄

    ○新盛委員 宮澤総理はどうお考えですか。
  127. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま農水大臣がお答えを申し上げたとおりであります。
  128. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ここで明確になりました。  それで、三月の一日までにオファーを、国別表を出すことになっていますね。その修正案なるものが最近農林水産省の手でつくられたと聞いているわけでございます。私はこの修正案はいつの時期にお出しになるのか、それはようわかりません。三月一日まで、諸外国の様子をよく見きわめた上でと。特にECはEC、アメリカはアメリカ、それぞれ内部事情がございます。また、交渉するにおいても、アメリカ、ECはまとまらないだろう、また、日本を初め六カ国は反対というのが明確になっています。それで、この修正案のいわゆる基礎的食糧、これは基礎的食糧は米ですが、これとパネル報告書のガット十一条二項(C)の脱脂粉乳、でん粉など、これは除外を前提としている、こういうふうに認識してよろしいですか。
  129. 田名部匡省

    田名部国務大臣 一応今お話しのようなことで、個々にはいろいろございますが、それでよろしいかと思います。いずれにしても、包括的関税化等いろいろの問題がありまして、これを修正する必要があるということで、今一生懸命やっております。ダンケルの合意案の中の特に、他の分野もありますけれども、私の方は農業部分についての修正を求めながら、これを踏まえて国別約束表を作成する必要があるというふうに考えております。  具体的な方針は、各国、今先生お話しのような状況でありますので、十分それらを見きわめながら決定してまいりたいと考えております。
  130. 新盛辰雄

    ○新盛委員 これはぜひ認識をしていくためにお聞きしますが、この関税化、今言われております関税化というのは、将来、完全自由化につながると認識していらっしゃいますか。
  131. 田名部匡省

    田名部国務大臣 この関税、完全自由化という中身の話になりますと、解釈がいろいろありまして、数量規制ができなくなるわけでありますから、言葉だけでいきますと、自由に税金を払えば買えるということになると、数量の規制ができなくなるということからすれば、まあ自由化になるんだということでありまして、関税化をして入らない部分もある。どうもここのところ、言葉が、関税化自由化、何となくそんな感じですが。
  132. 新盛辰雄

    ○新盛委員 いや、私はわかって申し上げているわけですよ。いや、本当は農水大臣おっしゃるとおりです。それは中身に非常にまた米でも各分野がありますから。  それで、私がそれを聞いたのは、高率関税化したら、六〇〇%だ七〇〇%だという話がありましたが、これは七年間たつとそれは絶対に自由化の方式にはならないとおっしゃっている説があるわけですが、そうじゃないんですよ。為替は変動するし米の価格は変わるし、そしてそれによって国別のいわゆる米の実情というのは変わってくるわけですから、関税化はすなわち完全自由化につながりますよ、これは私の理論の組み立てです。だからこういうことになれば、関税化というのはもう完全自由化を志向するんだ、目指すものである、こういうふうに認識しますから、断じて米の関税化はなりません、こういうことを言っているわけです。例外なき関税化というのはそういうことです。大蔵大臣、それは答え、あれですか。どうなんですか。――そういうことです。それで、お答えはまあいいです、もう農林大臣がちゃんと頭を振っておられるからそのとおりだということで。  そこで、内閣法制局にお伺いしますが、例外なき関税化といって押し切られた、そんなことはないと思う。もし関税化ということになったときは、食糧管理法、いわゆる食管法を改正するかなくしなければ、自由化ですから、そういうつながりになるわけです。そこで、食糧庁はさきに、このことは両立しない、いわゆる関税化食管法は両立しない、片一方がだめなら片一方は生きるし、片一方がなにすれば当然改正せざるを得ない、こういうことにつながるものですから、この辺は確かめておきたいのです。これは内閣法制局も食糧庁のおっしゃることに異論はございませんと明確にお答えになった向きがございますので、ここで確認をしておきたい。
  133. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答えいたします。  ただいま委員質問関税化という、仮にいわゆる関税化というものを我が国が実施いたしました場合に、関税関係の法令を初めといたしましてどのような法的な手当てが必要か、こういった問題につきましては、今御質疑ございますように、ウルグアイ・ラウンドの交渉、まだ継続中でございますし、関税化ということの内容それ自身も不明確でございますので、そういう意味で結論を断定的に申し上げることができかねる、これは御理解いただけるだろうと思います。  ただ、一般的に法律、制度というもの自身、そのシステム全体で考えていかなければならない問題であるというふうなことで、今のお尋ねの、両立ができるかどうかという、そういう点につきましては、私としては今の段階におきましては、片方の事態が明確になってくる、その上で片方の現行法のシステム、これがどのようなシステムの上で成り立っているか、こういうふうなことで、比較考量して結論を出すべきもの、かように考えております。
  134. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そう回りくどく難しいことを言わぬでいいのですよ。結局、米の関税化ということになりますと自由化ですよね。先ほど確認したのはそのことを言っているんですよ。自由化されますと、政府管理し、そして生産から流通から消費まですべて政府管理する食管法というのは、これは意味をなさないわけでしょう。意味をなさないわけですよ、これは。だから、この際改正するか廃止するかということになれば、今参議院が逆転だからこうだよという話がつながるのはそこなんですよ。  で、私が申し上げているのは、食管法と、だからこの関税化ということで、関税化を許すことになればそんなことになりますよ。だから、両立ということになるんだという解釈ではそうです。一方がこれを関税化したら、もう食管法は改正するかなくするかどっちかですよ、これが法制局の言い方でしょう。だから、そのことは食糧庁が言っておるのと同じですよ。どうですか。やわらかく、意味がよくわかるように言ってください。
  135. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答えいたします。  ただいまの現行の食管法がどうなるか、こういう問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、やはりこの関税化、ウルグアイ・ラウンドの結末、これを見ませんと断定的に申し上げることは非常に難しいと思います。  ただ、現行の食管法で見ました場合に、十一条でございますか輸出入の許可といったような条項がございます。この輸出入の許可といったような条項は、やはり食管法の目的なり、第一条にございますが、そういう目的なり、あるいは第二条ノ二にございますいわゆる基本計画、こういうものとの連関の上で成り立っております。そういう観点から、慎重に検討しなければならないし、なかなか数量管理という考え方でできております現在の食管法となじみにくい点があることは事実だろうと思います。
  136. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そのことで明確になりましたから、これから食管法は改正せずとも解釈をもってできるということにはならない。いわゆる食管法第十一条、これは「米穀又ハ麦ノ輸出又ハ輸入ハ政令二別段ノ走アル場合ヲ除タノ外政府ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ之ヲ為スコトヲ得ズ」、これは昔の法律ですから難しく書いてありますが、そういうことです。したがって、これは関税化すれば食管法の改正ということにストレートにいくわけですから、だから内部解釈で取り扱われる筋合いのものではない、このことを明確にしておきたいと思います。  さて次に、六月にはブラジルで地球サミット、いわゆる地球環境の問題に関する会議が開かれることになっております。その前に京都で三月二日から、もう準備が進められておりますが、CITES、いわゆるワシントン条約の締約国会議第八回、加盟国は百十三カ国。このCITESは何を論議をするかといえば、絶滅に瀕した動植物、これについて保護を目指すことの会議でございます。最近、環境保護の名のもとに海洋資源を規制をする動きが非常に強くなっているときですから、この会議に注目をしているわけであります。  その一つに、どういうわけか、このICCATに入っていないスウェーデンが横からクロマグロの、絶滅に瀕した動植物、附属Ⅰ、附属Ⅱどっちにしても問題提起をしている、こう聞いているわけです。附属Ⅰは商業取引の全面禁止、附属Ⅱは商業取引の際輸出国の許可証が必要、こうなっておりますが、今でも日本は九四年までにタイマイ、ウミガメ、これはもう捕獲禁止ということになって、長崎のべっこう業者、全滅ですね。全滅に至らないでも、もう絶滅に瀕した動植物に入ったわけですから、生きた化石と言われるシーラカンスと同じになってしまった。こういう状況が今度はクロマグロに迫ってまいりました。  この会議で、大西洋クロマグロは絶滅の危機に瀕してはおらない、また、その資源の保存と管理は、大西洋まぐろ類保存国際委員会、ICCATで十分行われております。今度のCITESのこの附属ⅠあるいはⅡ、これに大西洋クロマグロを規制されるのかどうか、いわゆる規制対象種にする、こういう提案ですから、これはそうするべきではない。日本の毅然たる態度をひとつ政府はとっていただきたい。その対応について、これは責任者からひとつお答えいただきたいと思います。  そして、二つの問題。この京都会議で万が一スウェーデンの提案が採択された場合は、日本政府は今ミンク、シロナガスあるいはコククジラなど各六種の鯨をいわゆる留保しているわけですから、それと同じように留保してもらいたい、こういうことです。まず第一に、三分の二以上の賛成がなければこれは通らないわけですから、だからクロマグロのことは各国に働きかけてやってもらいたい。  これはサミットへ出ていく前の前段ですから、ぜひとも、これは外務省も関係がありますから、まず主管大臣の方からお答えいただきたい。
  137. 丹波實

    ○丹波政府委員 先生、ワシントン条約とクロマグロとの関係につきましてただいまお述べになられた事実関係、基本的に先生のおっしゃるとおりでございます。  スウェーデンが提案しておりますのは、大西洋東部及び西都のクロマグロが絶滅の危機に瀕しているということを言っておりまして、したがいまして、原財として商業取引が禁止される附属書Ⅰへり掲載、これは西大西洋のクロマグロにつきそう言っておりまして、東大西洋のクロマグロにつきましては、国際取引が許可制となる附属書Ⅱへの掲載を提案しております。  スウェーデシがなぜ、まさに先生おっしゃるとおり、スウェーデンはマグロとはそんなに関係のない国であるのになぜこういう提案をするのかという点がございますが、これは私たち、スウェーデン政府にその辺のところを聞きましたところ、環境保護団体、先生御存じの世界自然保護基金という団体がございますけれども、そういう団体から要請を受けてこういう提案をしているものであるという御説明でございます。  先生、ICCATということをおっしゃって、これは大西洋まぐろ類保有国際委員会でございますが、このICCATはまさにこのスウェーデンの提案を受けましてみずからワシントン条約の事務局に意見を述べてきておりまして、結論部分だけを申し上げますと、「大西洋クロマグロの種は、ICCATによって効果的に管理され得るものであり、絶滅のおそれがあるという議論には正当性はない。」という、大変国際的に権威を持った国際機関がそういうことをワシントン条約会議の事務局に言ってきておるとおりでございます。  私たちは先生と全く同じ、日本の食文化という観点から重大な関心を持っておりまして、このワシントン会議の加盟国の多くの国に申し入れをいたしまして、まさにこのICCATが言っているように、スウェーデン提案というのは根拠がないという申し入れをいたしておりまして、スウェーデン提案に賛成している国はほんの数カ国というのが現状でございます。  しかしながら、決して安心はできない、先生のおっしゃるとおりで、この京都会議におきましても毅然たる対応をいたしたいというふうに考えております。先生の御支援もよろしくお願い申し上げたいと思います。
  138. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ありがとうございます。  私はこの問題は、クロマグロ、そしてオーストラリアはタスマニア沖のミナミマグロの問題までに波及していくのだろう。いわゆる南緯六十度以南、こういう箇所で、今絶滅に瀕しているのではなくて、クロマグロは今おっしゃられたように大変好調であることは間違いないのですが、逆に、今御承知のようにアメリカあたりはお金持ちがレクリェーション、スポーツフィッシング、あの巨体をスポーツの魚釣りに四〇%も費やしているのですね。  今日本のマグロは、こういうことになりかけているものですから、すし屋では、この間築地の市場で三百五十キロのクロマグロが何と七百万円、八百万円、それを一キロ当たり二十七万円ですよ。皆さんはトロを食べられるが、あの一切れが一万円となるのですよ。これはとんでもないことでありまして、流通が混乱をしてくることも間違いない。したがって、食文化で任じている日本民族、特に魚食民族は、これはゆゆしきことである。  この観点から、実は地元の方からも既に署名運動がございまして、クロマグロ問題でスウェーデン大使に陳情、鹿児島県県鰹ですね、これはカツオ・マグロの業界でございますが、署名運動をして、町の総員の署名簿三万八千通をスウェーデンの大使の方に持っていかれたそうです。ところが、「科学的な根拠のある、クロマグロを資源の管理をしてやっているICCATで確認しているのに、資源が給滅しているということでスウェーデンが出したのはどういうことですか」という問いに大使答えていわく、「スウェーデンのこのCITESに出したのは、科学者とともに科学的根拠に基づいた確固たるものである。資源絶滅のおそれはないものの、一時的な漁獲の停止が必要という。スウェーデンはICCATの加盟国ではないので十分な働きかけができず、ワシントン条約にこの意向を展開ずみ。大西洋クロマグロを規制することは日本に影響はないのではないか」こういう答え方をしておられるわけです。しかし、しつこく陳情された日本側の代表の皆さんに向かって、「陳情は民主主義のプロセスにのっとった法的行為でございます。厳粛に受けとめて本国に伝えます」こう言っておられるそうですから、ぜひこの際、今度のCITESにおける日本の態度を、おっしゃったように毅然としてやっていただく、各国を、魚も見たことのない国が参加するわけですから、そういう国々もこういう引きずられていくようなことのないように、ぜひひとつ、これはアメリカもICCATに入っているわけですし、スウェーデンは入っていませんけれども、こういう関係のことですから、十分に話をしていい結果を得るようにお願いをしたい。いいですね。  それと、今度はブラジルでの新しい二十一世紀に向ける地球サミット、この地球サミットの主要議題をちょっと見てみましたら、海洋捕鯨問題、公海漁業、南極海洋投棄等、対象領域に広く各国の利害対立が先鋭化するおそれありという、このことについて、やはり議論としてはなっているようです。  そこで、問題なのは日本の捕鯨が一体どういうことになるのか。今日本では、例の一九七二年ストックホルムでございました第一回のこの地球サミットで、どういうわけかベトナムの枯れ葉剤散布によって世界の目がアメリカに集中したときに、海洋資源である鯨の方に目が向いちゃって、これを決議をしました。商業捕鯨まかりならぬ。モラトリアムであります。それからこの方、ずっと捕鯨はシロナガスを初めとして禁止されています。そして、日本はIWCの第八条に基づいて科学的調査をということで今世界各国の理解を得ながらやっているんですが、昨年四十三回のIWC総会に私も行きました。そのときに、日本が調査捕鯨やっていることもけしからぬ、再考を促す決議案が提出されまして可決されました。  しかし、日本はこの科学的調査をミンクを中心にやっているわけですが、既に非科学的なグリーンピースを初めとして動物保護団体の諸君は、もう世界の海にミンクという鯨は二万頭ぐらいしかいないだろう、こういう非科学的な表明をしていたんです。その後日本の国が中心になって目視調査あるいは科学的な調査を始めて、しかも五次にわたる調査捕鯨を、毎年二、三百頭とりましてちゃんと年齢を調べたり生態系を調べたり、その頭数がどれぐらいいるかを確認しているんですが、今七十六万頭おるというんです。そして七十六万頭のうち科学小委員会の科学者が言うのは、四千八百頭ぐらいは捕獲をすべきである、いわゆる間引きをすべきである。そうでなければ、最近あのシロナガスという、それこそもう皆さんのごらんになるあの大きな鯨ですが、これは五百頭ぐらいで停滞しているそうです。それはいわゆる鯨が食べているのはオキアミですからね。同じものを食べるんですから、数の多い方にみんな打っちゃうんですから、それは頭数がふえるわけはないんですね。それで、魚体もシロナガスはでかいんですから、二十メートルぐらいあるでしょう。そうすると、ミンクの、方は十メートル弱ですから泳ぎの方も速いし、それはどんどんふえていくわけですね。  したがって、こういうことの中で、日本のこのミンクをそうして科学的に調査をしているのに、最近このサミットに向けて、あるいは京都のCITES、ワシントン条約の締約国の会議に向けてでしょう、一九九一年、去年の十二月七日から以降十二月二十一日まで、これはオランダ船籍のグリーンピース号、七百トン未満ですが、二十七名ぐらい乗っているんだそうですが、これにレスキューボートを載せ、そして航路の、日本の調査船が出ている前面に出てきて妨害をする。それもしつこいんですね。一月五日からまた一月の十七日まで、油が切れるわけですからどこかに寄港するはずです、その間はちょっといないんですが、いずれにしても、この一月の二十六日まで、ここに資料にありますのは、最後は一月の二十九日、一月三十日、いずれにしても南氷洋ミンククジラ捕獲の調査を妨害する。  その挙に出ているグリーンピースはどこの船がということになると、これはオランダ船籍であるから、国際的な動物愛護の皆さんがおやりになるのは結構ですけれども、しかし食文化は、特に魚食民族である日本のこうした、鯨だけを食べるんじゃないんですが、鯨を調査しないと海洋生態系が変わってきている。だからイワシクジラも大変窮屈になって最近イワシがとれないとかという話が雑談で出るわけですから、そういう面で、こういう妨害行為に対して一体外務省は、国際的な体面を何かこう、どういうわけかいろいろあって、摩擦があってとかいうんで、こういうことは余りかかり合わぬ方がいいといづて黙っているという姿勢が見受けられるんですね、これはけしからぬことですよ。だから、この調査捕鯨される方々は命がけなんだから、そういう面でこの妨害に対して一体どうするか。  しかも、この妨害しているグリーンピースの皆さんはビデオで全部撮って、進路妨害をする。船が進むのにその目の前にタグボートでやってくるのですからそれははね飛ばされて海難事故になってもいたし方ないと言ったって、これは航路妨害ですからね。そういうのを平然とやるものですから日本の調査船も水を散水して排除するというのだから、なかなかそうはいかない。それをビデオに撮って今度のCITESに、いわゆる京都会議に事前に放映するんだそうです。そして宣伝をする。この国会でこうして取り上げること自体問題になったよといって彼らは大々的に宣伝するらしい。だけれども、私はここは政府が毅然とした態度を持ってもらわなければ、自民党の中にも捕鯨議連というのはあるでしょう。田澤吉郎さんを会長にして憲政記念館で年に一回、食文化を愛する、鯨食のそういう文化を愛する皆さんでお集まりになって食べるでしょう。なのにどういうわけですか、こういうことに対する抗議が一つもない。そして科学的な調査をしてやっているこの現状を、実はこの六月のブラジル会議日本の主張をしてもらわなきゃいけません。  まずこの辺でおきましょう。このことについての回答をいただきたい。
  139. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 ただいま新盛先生の御指摘でございますが、確かにグリーンピースの船が昨年秋から南氷洋で調査しております日本の調査船に対して、いろいろそれの妨害と見られるような行為をしてきたということは事実でございます。  これはもちろんグリーンピースの立場、そういういろいろな抗議行為そのものは非難しにくいわけでございますけれども、船舶の安全航行という立場、あるいは日本が、先生もおっしゃいましたような国際捕鯨条約の中で権利として存在しておる調査捕鯨、これに妨害ということであれば、これはゆゆしいことでございます。水産庁、農林水産省とよく御相談いたしまして、次のような措置を既にとっているところでございます。  一つは、ただいまも御指摘もありましたように、船籍がオランダ政府でございますので、オランダ政府に対して外交ルートを通しまして注意を喚起、並びに妨害活動を行っている船舶の船籍国がオランダでございますので、適切な措置をとるようにということを申し入れております。  しかしながら、これだけでは必ずしも十分ではないということであろうかと思いまして、農林水産省といろいろお話しいたしまして、IWCの加盟国に、政府に対しまして日本の立場を文書で書きまして、甚だこういう妨害行為は遺憾であるということを、回章と申しますか十分周知徹底せしめて、日本の立場を十分理解してもらうように措置したところでございます。
  140. 新盛辰雄

    ○新盛委員 ただ抗議をしたとかけしからぬとか言うんじゃなくて、日本のこの主張、これはぜひ外務省はきちっととらえてやってほしい。どうですか、農水大臣、このことに対してはどう担当相としてはお考えですか。
  141. 田名部匡省

    田名部国務大臣 先ほどのクロマグロにしてもこの鯨にしても、何か漁業に余り関係のない、あるいはそれそのものに直接漁業を営んでいない国々が数の上で反対をするというのは最近非常に多いということは、本当に遺憾だと思うのです。ただかわいそうだということで反対をする。  かねてから私どももこのグリーンピース号については、目の前に来てぶつかって沈没させる、小さいタグボートですから、それでもやはりそういう結果になると日本が批判をされるということで非常に気を使っているわけです。しかも、私どもはIWCの意見を取り入れて調査捕鯨というものはやっているわけ一でありまして一合法的に実はやっているわけであります。  いずれにしても、今外務省もお話しになりましたように、オランダには厳重に妨害活動の中止を強く要請しているわけでありまして、この会合においても日本の主張というものを、いかにこの妨害行為というものは危険であり、人命にまで及ぶ危険なものであるか、反対の仕方はあってもこういうことは私は許されるべき行為ではないということでやっております。ただ、グリーンピースは何か宣伝効果に使っているということがありまして、水産庁としても、報道機関を通じて、私どものやっていることがどういうことであるかということも実はいたしておるわけでありまして、今後とも最大の努力をしていきたい、こう考えております。
  142. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そうしたいわゆる偏見と日本の魚食民族をただ袋だたきにするというそういうあり方については、これは今後の外交の中でもぜひひとつ日本の主張というのはやっていっていただきたい。  それで、ちなみに今、南緯六十度以南の海域で生息するミンクの鯨は七十六万頭と申し上げましたが、これは毎年四千八百頭間引きをせよということでございますけれども、三百頭、日本は科学的な調査をやっているわけですから、そういう中で一頭のミンククジラの肉は約二万トンですよ。食用牛に換算すれば約七万五千頭分なんです。牛が七万五千頭要るんです。鯨一頭いわゆる二万トンですね。――いやいや、失礼しました。鯨の捕獲二万頭ですね。そうすると、これは約七万五千頭分の食用牛を養うということになりますと、これはもう約二千平方キロの土地が必要だ、いわゆる耕地、牧草ですね。それはもう未開発の国、いわゆる途上国に対してそんなのをやったって、今間尺に合わないわけですよ。  そうすると、こうしたことから見ますと、東京の面積ぐらい、東京の面積は二千百四十一平方キロですから、これだけの面積が必要になる。牛肉と鯨ということの換算をしてもそういうことになる、海洋資源を大事にするということは。だから、四つ足という動物、いわゆる陸を駆け回っているものは殺して食べてもいいが海の中にいるものはすべてだめだ、これはやはり問題があるんじゃないでしょうか。魚食民族、肉食民族の違いを食文化の上からも強調すべきときに来ている、これが私は今回のブラジルの会議における大きな主題でなければならぬと思うのです。  それで、そういう中で実はニュージーランドが今回もまたモラトリアム延長を打ち出しておりますね。提案しておりますね。このブラジル会議が決定的にその場面を迎えるわけです。これは、日本の国としてはどうするのか。商業捕鯨復活のために一生懸命努力しておられるわけですが、今度のまたブラジル会議で、なお、さらにモラトリアムを延長ということになりますと、これは大変ではないか。一体、太地も鮎川も小型捕鯨も、しかも小型鯨類、イルカなど七百七十種おるというのです。そういうものまで手を伸ばして、だめだ、こうなっているわけです。いくんですから、今度の会議は。これにどう対処されるのか、これをお聞かせをいただきたい。
  143. 田名部匡省

    田名部国務大臣 科学的な根拠に基づいて、クロマグロにしても鯨にしても問題がないということはもうはっきりしておるわけです。ただ、食文化の違いというか、私どもは何といってももう古くから魚というものをたんぱく資源として生活をしてきた。外国は余り、どっちかというと肉食でありますから、そういう違いというものはなかなか説明をしても理解を得られないことと、いま一つは、各国の利益といいますか、自分の国に有利なように実は発言する。今、鯨一頭と肉が幾らという比較をお話しされましたが、日本がこれを食べなくなれば自分のところの肉がどんどん売れるという考えがあるかないかわかりませんが、どうもいろいろと言っている国を見ると、何となくそうではないかなという感じを実は受けるわけでありまして、しかし私どもは、数の少ない国でありますけれども、この科学的根拠という、生態系が変わってくる、とった方がいいと言う国も数カ国あるわけでありますから、そういう国々と提携して、やはり最大の努力をしていかなければならぬというふうに考えております。
  144. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回のこの会議はもちろんCITESからUNCEDへ、いわゆる京都会議からブラジル会議へと、この延長線上にあるのですね。したがって、このUNCEDに対して地球規模の環境保護を図る国際基金として拠出をする構想が実は外務省、環境庁などで考えられていると聞いているのです。これは国際基金の拠出に当たって窓口をぜひ一元化してもらいたい、こういうことももちろん我々もその行く末を、ODAじゃありませんけれども、きょうはもう時間がなくてODAは触れませんが、そういう問題もございますので、ぜぴともこれは海洋水産資源食料として有効利用するための魚介類を中心にした組み立てで行われるわけですから、水産物の供給体制維持のためにこの国際基金の拠出構想、これをつくるべきであるし、またこのことについては大いに日本の貢献をという気持ちでございます。このことについてどなたかお答えいただきたいと思います。
  145. 中村正三郎

    ○中村国務大臣 適切なお答えになるかどうかちょっとわからないのでありますけれども、地球サミットへ向けてはいろいろなことが議題となり、そして世界的な合意がなされようとしております。  その中に、地球環境保全のための資金を集めて、それを主に発展途上国に転嫁をして地球環境保全ということへ役立ててもらおうというような構想がございまして、その後論議がなされているところでございます。そして、そうしたことに対する日本の貢献と申しましょうか、この地球サミットの事務局から頼まれて竹下元総理が名誉議長をされまして四月にも賢人会議が開かれて、そこで論議をされることになっております。  いずれにいたしましても、これから論議を詰めてどのような基金をつくるのか、どのような集め方をするのか、どのような使い方をするのかというのがUNCEDへ向けて論議されていくというところでございますので、議員の今のお話もよく頭に入れておこうかと思います。
  146. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がなくて、政治姿勢問題、ODAあるいは防衛問題、触れることができませんから、この次の一般質問で触れていきますが、ちょっとこの政治姿勢の問題で、これはまた詳しくは次回でやりたいと思います。  これは一般質問の際にもやりたいと思いますが、国鉄の分割・民営化の際に、というよりはその後ですが、JR東海にヘリコプターが購入されているのですね。これはあちこち問題になっているのですけれども、その意図、目的あるいは内容等については、先般正式に政府に対する質問書を我が同僚議員から出して、回答を得ています。ところが、この回答が非常に不明です。  しかも、このJR東海が委託をしているという大陽工業、そことまたつながるヘリポートのちっちゃな会社、またアメリカのベル会社、ここからヘリコプターを買っているわけですけれども、これに対して、三塚博代議士の長男三塚英介氏が実は副社長にいるわけです。買い物とすればでかい買い物ですし、買ったものをまた委託をしている。委託をして委託料が二億二百万ぐらいで毎年やっているのですね。  それで、私も昔鉄道屋ですからよくわかるのだけれども、線形を見るとかあるいは沿線の状況把握をするとかというのは、しょっちゅうそういうことをしなくたってチャーターすればいいんですよね、ヘリコプター。だからこれは、どういうことでこうなったのか。まあ、質問書に対する政府の、内閣総理大臣宮澤喜一の名前で回答が出ているわけですから、それはその分で、私はこれから触れていきたいと思っているのですが、この次の一般質問でやりたいと思います。  そのことについておわかりの方、運輸大臣が大体これは知っておられるのかどうか、あなたのときの問題じゃないですけれどもね。ちょっとお答えいただきたい。
  147. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 先生に報告された経緯と内容については、けさ報告を受けました。(新盛委員「何ですか」と呼ぶ一役所から先生に報告した内容については、私もけさ報告をいただきました。
  148. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この一連の流れが、これはぜひひとつ、運輸大臣は公明正大ですし、その辺のことの事情はどういうふうに受けとっておられるかわかりませんが、共和、佐川急便の問題、特に佐川急便などは運輸にかかわる問題ですよね。私も運輸の方の議員として長いことやってきておりますから、特にこの辺のこういうつながり、いわゆる許認可制度、これが一番問題を起こしているわけですね。そして場所の提供ですよ。それは、佐川が急成長したのは場所の提供でしょう。そしてなおかつ、今度は許認可における業務の拡大、業績の拡大、それには金が動かなかったはずはないだろうというのは世間の常識ですね。  だから、こうしたことに対して、今回の、JR東海は私もよく知っていますから、中身的にあら探しをしているんじゃなくて、ただそこにふらっと、何か知らぬがヘリコプター四機あって、一機はすぐ売却をしたのかリースに出したのかわかりませんが、三機を今度はまた委託をするという手品のようなことをやられたのでは、これはやはり当該のJR東海だって大変でしょうね。  それと、こういう一連の流れの中にまた三塚英介氏が出ているというと、いわゆる小谷さんの光進、国際航業事件などなどということにまた変に勘ぐっていきたくなるんですよね。このことについては政治姿勢の問題として、これはやはり宮澤総理が一番そのことの、政治改革の、あるいは政治姿勢、政治倫理、そのことをいつもおっしゃるわけですから、その一連の流れということについてぜひひとつ姿勢を正してもらわなければいけない。現に今閣僚におられる方々は、中にいい人もおりますが、事件に絡んでいる人たちが何人がここの場所に名前が出たでしょう。これはどういうことですか。  こうした状況を踏まえて、宮澤内閣は一体何なのか、顔はあるのか、本格政権とおっしゃいましたが、一体何を考えてこれから日本の進路をつくっていかれるのか、このことについて、政治姿勢の問題としてぜひ最後にお答えいただきたい。
  149. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 当面政治改革が急務であると考えておりまして、私どもの党も案を具しまして、協議会で皆様と御相談をさせていただきたいと思っております。  しばしば申しますように、このような大きな国際的な激変の時代にあって、我が国がいかに世界的な、国際的な貢献をなすべきか、あるいはまた豊かな国土づくりをどのようにしていくか等々、当面の課題にまじめに当たってまいりたいと思っております。
  150. 新盛辰雄

    ○新盛委員 終わります。
  151. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 これにて新盛君の質疑は終了いたしました。  次に、小岩井清君。
  152. 小岩井清

    ○小岩井委員 私は、政治改革についてお伺いいたしたいと思います。  宮澤総理は、昨日、腐敗行為に対して定義がないという答弁がありました。これは、定義がないとすれば、腐敗行為に対する宮澤総理の認識を伺っておきたいというように思うのです。定義がない、そうおっしゃいましたね。とすれば、宮澤総理の腐敗行為に対する認識を伺っておきたい。  あわせて、政治腐敗があるから政治改革があるわけですね。という点から、宮澤総理の前総理である海部総理は、政治改革はみずからの内閣の使命で、そしてそれに命運をかけるというふうに言っておられましたね。宮澤総理はこの点どうお考えになっておられますか。宮澤総理のお考えを伺いたい。
  153. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 海部前首相が言われましたように、政治改革の問題はますます、むしろますます急になっておりますから、私としては最大の力を込めましてこれをやり抜いていかなければならないと思っております。  なお、腐敗という言葉に定義がないと申し上げました意味は、仮に腐敗防止法といったような名前の法律ができるといたしますと、腐敗とは何であるかということが当然法律上定義されるはずでございますのでと、そういう意味で申し上げたわけです。
  154. 小岩井清

    ○小岩井委員 ますます政治改革は重要だという御答弁がありましたけれども、前海部総理は命運をかけると言いましたね。宮澤総理はどうなんですか、その点。
  155. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨日から申し上げておりますとおり、今の最大の課題だと考えております。
  156. 小岩井清

    ○小岩井委員 命運をかけるとおっしゃらない。まあ巷間ぽつぽつ命運が尽きるのじゃないかというようにささやかれていますけれども、政治改革について、引き続いて宮澤内閣においてもますます重い使命というふうに確認をして、次の質問に移ってよろしいですか。
  157. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま申し上げましたとおりでございます。
  158. 小岩井清

    ○小岩井委員 宮澤内閣は、今御答弁をいただいたことを踏まえながら、政治改革の旗を振り、その改革を断行する資格を備えた内閣であるのかどうかということなんであります。  ということは、この予算委員会質疑の中で、共和疑惑については宏池会、総理御自身の宮澤派ぐるみの重大な疑惑に発展してきているのではないかというふうに言われていますね。それから、宮澤総理御自身のリクルート疑惑の三点セットも、証人喚問はまだ実現しておりません。そして、したがってリクルート汚染の疑惑が常について回っているというふうに、そういうふうに考えられます。そして、佐川急便の疑惑も黒い疑惑として政界について大きく発展をするだろう、こういうふうに言われておりますね。そして、宮澤内閣の閣僚についても、この予算委員会の中で次々と疑惑が出てきていますね。こういうふうに言われておりますけれども、私はこの点についてずっと一連の質疑を踏まえながら、きょうの質疑渡辺郵政大臣の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  これは我が党の山花書記長を初めとしてきょうも質疑がありました。渡辺郵政大臣の前第一秘書が、渡辺郵政大臣は、入学から進級さらに卒業までありとあらゆる陳情を請け負うあっせん屋として裏金を受け取っていると、これは確かな資料に基づいて語ったと、これは報道されておりますね。この点について、予算委員会開会以来御答弁をいただいているわけでありますけれども、最初にもう一度事実関係として伺っておきたいと思います。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  159. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今御指摘されました問題につきましては、冒頭に、先般釈明をさせていただきましたと同じように、私は本当に心から自分の不徳を恥じなければならないと思っております。  しかし、今先生がおっしゃいました、いわゆるあっせん屋という、これは先生ひとつ御勘弁いただきたいのです。私は政治家としては選挙区の人たちのいろいろな相談を受けるわけですね。その中の一つに、言うならば進学の相談ということもあるわけでして、その相談を受けたことがあっせんというふうに言われますと、私としては非常に実は心外なのでございます。  しかもまだ、事実関係とおっしゃいますので、その事実関係は、私自身がいわゆる大学側に働きかけたり、あるいはまた事前に合格、合否ですかをお聞きするというような、政治活動の中でそんな時間もございません。しかもまた、今御案内のとおり、大学というのは、これはもう全く御案内のとおりで、教授会を経由しなければ合否が出ない。もうこれは私学でもどこでも、国立ももちろんのことですが、判定会議の前に――まあ聞いてくださいよ。判定会議の前に連絡をいただくというような常識は実はあり得ないことでございまして、私は何かの間違いではないかと思っている次第でございます。
  160. 小岩井清

    ○小岩井委員 伺いますけれども、ちょっと山花書記長に対する答弁と若干違ってきていますね、後ほどこれは指摘いたしますが。  回数は七十二回、一億五百三十一万円というふうに報道されていますね、御存じのとおり。回数と金額はそのとおりではないけれども、謝礼は受け取ったということを認める答弁を山花書記長のとき、あるいはけさも答弁いたしておりますね。それは間違いありませんね。
  161. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えします。  謝礼というのは、いわゆる常識的な範囲で、後援者が代議士ありがとうということで、これは何かの足しにしてよ、こういうことでの謝礼をいただいたことはあるということを私は認めたのでありまして、いわゆるおっしゃっておられるあっせんによる謝礼をいただいたとは、私は、私自身またそのこともございませんし、否定をさせていただいているわけでございますので、それは山花先生のときにそのように誠実にお答えをしたつもりでございます。先生にも今申し上げたとおり、私自身の事実関係の中で申し上げたわけでして、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  162. 小岩井清

    ○小岩井委員 郵政大臣、御自身の答弁、矛盾感じませんか。合否を事前に知る立場にはない、こうおっしゃったね。それが合否を連絡をして、謝礼という名目ではないけれども金品を受け取った。答弁違いませんか。
  163. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 お答えいたします。  私のところは御案内のとおり選挙区が離れておりまして、東京においでになったときにいろいろ手数をかけたという、この親御さんの進学相談ということにあずかった、その意味で謝礼を金一封を置いていかれるということはある。そのこともまたい事実、政治資金規正法に基づいたり、あるいは税法上に遺漏のないように前の秘書はきちんと処理をしてくれている、私はそのように信じているわけでございます。
  164. 小岩井清

    ○小岩井委員 ここに山花書記長質問に対する答弁があるのですよ。これは入学あっせんではなく、合否の通知に対する浄財だと言っているのですね。ですから、合否の通知をしたのでしょう。しなければ合否の通知に対する浄財なんか来るわけないでしょう。それとあわせて、しかもあなた最初合否を知る立場にないと言ったじゃないですか。違いますか。  それともう一つ、合否を知る立場にないと言いながら合否を知らした。浄財をなぜちょうだいできるのですか。実体が存在しないのになぜそれを持っていくのですか。
  165. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私が申し上げた合否というのは、事前に判定会議の前に合否を連絡するようなことは今の大学のシステム上できない、こう私申し上げているので、それは父兄は一刻も早く聞きたいということもありますから、何といいますか、極端に言いますと、合否の発表に実は秘書が行って、そして連絡してやるという事例もあったと記憶しております。そういう、言うならば本当にできるだけの奉仕、そして努力をしてあげたいということでやっている行為でありまして、先生のおっしゃっている出発からのいわゆるコネだとかあるいはまた裏口みたいなことでの合否のことを連絡をした、そのことによる何といいますか謝礼と、こういうことではないのであります。私が山花先生にお答えしたのもそういう意味でお答えをいたしております。
  166. 小岩井清

    ○小岩井委員 大分苦しい御答弁をなさいますね。ということは、この親あるいは本人もそうでしょう。入学について切実なんですよ。御存じでしょう。切実でわらをもつかむ気持ちで多分頼みに行ったに違いないと思うんですよ。ということは、単なる合否を早く知らしてもらいたいためにあなたのところに行ったんじゃないと思うんだ。違いますか。ということは、常識的に、合格か不合格か決まっちゃったやつを連絡してくださいなんて言いに行く人いますか。それぞれ進学の相談を受けた人いるでしょう、私も受けました。そんな人いませんよ。いいですか、これはあくまで入学あっせんの依頼なんじゃないですか。
  167. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 入学あっせんの依頼ではございません。これはわかっていただきたいと思うんです。
  168. 小岩井清

    ○小岩井委員 それじゃ、お礼とか浄財とかあるいはあっせん料とかという表現除きますけれども、何の目的で持ってきたんですか。どういうふうに御理解されているんですか。  それと、入学あっせんの用紙がありますね。これは、この用紙の存在について私は確認をいたしました。これは事実ですか。
  169. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、実はその用紙というのは、前には見たことがあります。しかし、それは随分と前なんです。秘書の諸君たちが事務的に、それは事務的に、入学だけじゃないんです、就職も同じなんです。そういういろんなことを頼まれたときに扱う用紙でございまして、それは見たことはございます。  それから、先ほど先生がおっしゃいましたことにちょっとつけ加えて答弁さしていただきますが、これは私と会ったことのある人なら、この進学相談について私と会ったことのある人なら大概記憶しておられると思います。それは、必ず私は口ぐせのように申し上げているのは、入学は自分の力ですよと、これは自分の力ですよ、その当たり前のことを申し上げているんです。代議士に頼んだといって入学はできるなどと思ってもらっては困りますよと。これは私に本当に会った人にぜひ聞いていただきたい。  これは、私がここで申し上げていることは、選挙区の人たちにも響くことですから、私は責任を持って申し上げます。そんな、本当に誓ってあっせんというようなことを私はやったこともありませんし、それは余りにも、誠実に相談に来られた人の気持ちを政治家として素直に聞いてあげるという、あるいは地元の政治家として少しでも力になってあげたらなという気持ちと全く混同しているように思われるのでありまして、これは私の不徳ではありますけれども、ぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  170. 小岩井清

    ○小岩井委員 質問に答えてください。あっせん料とか浄財とかあるいは謝礼とかそういう意味を全くおいといて、どういう種類のお金としてお受け取りになったんですかということ。
  171. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 どうも失礼しました。  私は、そのときにはまあこういう機会に代議士にひとつ何か協力してやろうという、全く他人というのは余りありませんから、私の支持者でない人が私のところに相談に来るはずもありませんので、これはそういうのを機会に私に浄財を出していただいたな、しかし、私はそれはその場でももう本当に押し問答みたいにしてお返しするんです。だけれども、無理に置いていかれる人もあります。これは先生、ひとつわかっていただきたいんです。
  172. 小岩井清

    ○小岩井委員 わかりませんね。というのは、就職の場合もそれから入学の場合も、その紙、用紙を使っていたとおっしゃいましたね。これに代議士の面接欄がありますね。ということは、面接をしたということは、先ほど回数と金額はそのとおりでないけれども、ないと思うけれども、金銭は受け取ったことは認めたということでありますけれども、その点についてのみずから面接をしたということが事実とすれば、回数も金額も覚えているんじゃないですか。
  173. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 まことに申しわけないですけれども、その金額は私はもう実はどうしてもといって置いていった人の金一封も、そのまま秘書に渡す癖でありまして、金額はもちろん、事実承知していません。あるいはまた、回数など全く、私は会ったことがないとは申していません。だけれども、それはどれくらいかと言われると、ちょっと記憶にございませんので、お許しいただきたいと思います。
  174. 小岩井清

    ○小岩井委員 久々に記憶にございませんという答弁を聞きましたけれども。というのは、親は入学あっせんをしてもらいたいという気持ちで来ているに違いない。それをただ単に、それが目的じゃなくてお金を取ったとすれば、これは詐欺に類する行為になるんじゃないですか。詐欺とは申しません、類する行為になるんじゃないですか。ということは、入学あっせんの労をとってないんでしょう、とってないでしょう。それでお金をちょうだいした。これは詐欺まがいのことじゃないですか。  じゃ、ちょうだいをしたお金はどういうふうに処理されたんですか。
  175. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは再三申し上げておりますように、そのいただいたお金の処理は秘書がきちんと、その秘書が政治団体の責任者ですから、政治資金規正法に基づいた届け出、あるいはまた税法上きちんとしたことをやっているはずであります。それは信じています、私は。今までも何の事故もありません。  ですから、詐欺まがいなどと言われますと、私ちょっと、先生困るんです、それは。実際問題として、相談を聞いて、そして、その相談についてできるだけの努力をして、全部いただいたということを、それは合否の判定を早く、ですから、先ほど申し上げたように、早く両親は聞きたいと思っておられるでしょうから、連絡をしてあげたりということはあったにしても、それは私自身が直接やれる時間がないということを先ほど申し上げたとおりでしてね。まあひとつこれは私と秘書との関係のまことに私の不徳の問題でございまして、本当にどうも恥ずかしい話ですけれども、日常の何といいましょうか、そういう業務の私自身が直接全部やれない範囲の問題の一つでもありますので、御理解をいただきたいと思うのですけれども。
  176. 小岩井清

    ○小岩井委員 今秘書がすべて承知をしていて政治資金規正法上もちゃんと処理をされている、こういう御答弁ですね。この間この問題が表面化して、政治資金規正法上処理されているというふうに御確認になりました。ということは、そういう答弁をなさるからには確認しなければなりませんね。どうですか。
  177. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、政治資金規正法の方は、いただきますから、それはきちんと見ました。届け出してあるというふうに思っております。
  178. 小岩井清

    ○小岩井委員 間違いありませんね。それは確認をいたしておきます。  それと、政治資金じゃなくて個人の所得にした分もあるんじゃないんですか。その点についての確定申告はどうなっていますか。
  179. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、税制余り詳しくないのですけれども、先生、確定申告に上げなければならないほど、実は私自身がいただいたことはございません。それは、もし確定申告に上げなきゃならない分はほかの収入として上げております。この件に関しての収入は、私は全く自分で所得はございませんから、これは上げておりません。
  180. 小岩井清

    ○小岩井委員 というのは、所得として上げていないということでありますね。それから、政治資金規正法上も処理されているということでありますけれども、この点については、山花質問のときに透明度一〇〇%というふうに言いましたね。これは入っていないという前提で質問しているんですよということを申し上げておきます。これは後日問題になるかもしれませんね。申し上げておきます。  それから、これは四回にわたって一部報道機関で報道されていますね。連載されている。これは御存じですね。そのうちリクルート社からの政治献金八百万円についての処理、この点についてだけは事実として認めましたね、あと全部否定はしていないんだけれども、記者会見でこの点についてお述べになったようですから、国会のこの場でこのリクルート問題についての処理の内容について御答弁いただきたいと思います。
  181. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは私の不注意であり、あるいはまた極めて見落としの、しかもまだ大きな見落としだったということでおわびを申し上げました。三百万円いただきましたのは六十二年のことでございまして、まさに、その三百万円をいただいておったという事実が、おっしゃるように政治資金規正法で届け出してあるところから実はわかったわけです。五百万円の方はこれはまた次元が違うことでございまして、八百万と一緒に考えていただきますと、ちょっと私の方も、中身が違うものですからお許しをいただきたいんですが、この三百万については政治資金規正法どおり届けをしてございましたので判明した。五百万円の方は、実は私がその時点で承知しておりませんで、慌てて、それはお返ししなさいということで、問題がわかってから、実際に五百万円来ているということが私自身が承知をしてから実は返したのであります。ですから六十三年の九月か十月ぐらい上やなかったかと記憶をしております。
  182. 小岩井清

    ○小岩井委員 大変苦しい答弁をなさいますね。それとあわせて、リクルートからの政治献金授受はほかにはありませんね。あるというふうに聞いているんですよ、この点についてはきちんと答えておいてください。
  183. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 今ちょっと答弁漏れしましたが、五百万円はお返しをいたしております、さっきの。三百万円は当時の浄財としていただいて、浄財という感覚の中で政治的に活動に役立たしていただきました。  それから、政治献金はほかにいただいておりません、リクルート社からは。
  184. 小岩井清

    ○小岩井委員 かなり確信を持って答弁がありましたからそのことを信じたいと思いますけれども、もしきょう以降リクルート社からの問題について新たに問題が出てきた場合、私はあるというふうに聞いているものですから、出てきた場合どうなさいますか、この点について伺っておきたいと思います。
  185. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 その事実関係は承知しておりませんので。
  186. 小岩井清

    ○小岩井委員 今の御答弁ですね、出てきたらどうするかと聞いたんですよ。ですからそれはもう一度答弁してもらいたいと思いますが、あわせて、渡辺郵政大臣、あなたの政務担当の秘書官は何という方ですか。
  187. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 出てきたときは、私は政治家ですからそのときに相応に対応いたします。  それから、秘書官は、今の秘書官ですか、小杉徹四と申します。
  188. 小岩井清

    ○小岩井委員 出てきたならば相応に対応するということは、責任を持って対応するというふうに理解していいですね。その点についての確認をしておきますよ。責任を持って対応する。  それと、これも一部報道の中で、小杉秘書官が、大臣秘書官が入学あっせんで謝礼金を受け取って、それを裏金として懐に入れていた、こういう報道を存じてますね。ごらんになっているでしょう。この報道がされて旧にちがもう経過されてお年ますけれども、大臣、この行為について、この報道について秘書官に確認されましたか。
  189. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 その記憶はないと申しておりました。
  190. 小岩井清

    ○小岩井委員 記憶がないということは、やったかやらないか記憶がないということなんですね。要するに、記憶がないというのは、やった記憶がないというのと、やってても記憶がない、やったかやらないか記憶がない、みんな同じなんですよ。ということで、その点はどうなんですか、そこまで確認したんですか。
  191. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 そのような行為をした記憶はないということを言っておりました。
  192. 小岩井清

    ○小岩井委員 これは、もしあったとすれば、記憶がないと今答弁があった、もしあったとすれば、それは国家公務員として重大な職務を逸脱していると思うんですね。この点について、もしあったとすれば重大問題だというふうに指摘をいたしておきます。  ということは、なぜこういうふうに言うかということを申し上げますと、過去四回にわたって、今小杉秘書官の問題も含めて連載をされて疑惑が報道されてます。しかも具体的に証言者の記事も載っている。これに対してコメントをしたのはリクルート社からの受け取りだけ認めただけですね。そのほかについて事実と違うとすれば、記事の取り消しあるいは訂正、場合によっては、名誉棄損であれば抗議をしたらどうですか。そういうことをおやりになったんですか。
  193. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 私は、先生も私の記者会見のあれ全部調べておられると思うんですが、これはもう私の秘書であった、しかも本当に学生時代から私のところにおりました秘書と私の感情の行き違い、そこから始まっていることでありまして、まあ私としてはもう全く自分の不徳以外にないんです。これは二人で選挙運動を始めまして、そういうことから出発した二十年の肉親同様、以上の後輩でして、そういう気持ちに本人を追いやったことが、とにもかくにもすべてがこれは私の責任だということで、私は、少なくとも週刊誌に対して弁明あるいはまた今先生が言われるようなことよりも、まず自分のこういう今までの足りていないところを恥ずべきだ、あるいはまたこれを機会に私は自重自戒の精神を大いに持ち直して、そして新しい気持ちに立ち返って政治をやり、これまでの皆さんからおしかりをいただく問題についての補いをいたしてまいりたいという気持ちでございますので、一切実はそういうことを考えていないわけでございますし、先生からの御質問には今、誠実にお答えをしているという次第でございます。
  194. 小岩井清

    ○小岩井委員 報道機関に対して取り消しも訂正も抗議もしていないということが疑惑を生むんですよ、逆に。立派だというふうに言われたけれども。それは世間一般常識からいえば、何も取り消しなり訂正なり抗議なり、あるいは場合によっては法的手段をとらなければ、認めたというふうになるも同然だと言われるんですよ。その点について御指摘を申し上げておきますけれども、ということは、もしこれが発展したら、場合によっては先生までかかわるかもしれないでしょう。それでなおかつじっと耐えているということが非常に不思議なんですよ。どうですか。
  195. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 不徳以外何物もございません。どうぞひとつ私の気持ちを理解してください。
  196. 小岩井清

    ○小岩井委員 まあ、理解をつかないと申し上げておきましょう。普通でしたら取り消し要求あるいは訂正要求、抗議、法的手段をとるでしょう。ですから、非常に理解をつかないというふうに申し上げておきます。  それから、宮澤総理、今のこの渡辺郵政大臣と私のやりとりを聞いてどうお感じになりました。ということは、この点についてこの前、山花書記長の答弁には、事実と違うようであるというふうに言っておりますけれども、少なくとも、どういう名目であれお金を受け取っていたことは事実でありますですね。そういうことについてどういうふうにやりとりをお聞きになったかということを承りたいということが第一点。  それから、海部内閣のときに廃案になった政治改革関連三法案、これについては、政治改革の根幹をなす政治倫理確立を目的とした、政治腐敗を根絶していく法制化が欠落をしていたんですね。これは政治倫理法というかもしれない、あるいは政治腐敗防止法というかもしれない。そして党利党略の選挙制度の小選挙区比例代表並立制にすりかえてきたところにあれが廃案になった原因があるわけですね。この際、政治腐敗を根絶をするという決意と、あわせて、政治腐敗が起こらないような根本的対策、法制化について取り組むべきだと思いますけれども、いかがですか。
  197. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 前段の問題につきましては、御質問とお答えとただいまずっと拝聴いたしておりました。渡辺郵政大臣の言われるとおりであろうと思います。それは、渡辺さん御自身のいろいろな意味での反省を含めての心境を含めまして、そのとおりであろうというふうに私は承っておりました。  後者の問題は、昨日も申し上げましたとおり、まさに政治倫理というのがすべての問題の一番根本にあるわけでございますから、国会におきましても、院におきましてもこのことをいろいろに御議論になっておるわけでありまして、いわゆる政治改革を進めます上で、承るところによりますと、各党におかれても法案を御用意とかいうふうに伺います。政治改革協議会等において速やかに実効的な成案を得ることを私どもとしても努力させていただきたいと思っています。
  198. 小岩井清

    ○小岩井委員 次に移ります。  日米構造協議と独占禁止政策について質問いたしたいわけでありますけれども、このSIIの、日米構造協議の最終報告、これでは「独占禁止法及びその運用の強化」として「日本政府または公正取引委員会は、独占禁止法及びその運用の強化に関し、本件最終報告において規定されている目標を達成するために必要または適当な立法措置を含む以下の措置を取ること」とした。そして対応策、七点挙げているわけでありますけれども、このうち課徴金の引き上げのみ前通常国会で行われたわけでありますけれども、この点についてアメリカ側に不満があったんではないか。ということは、東京宣言、先ごろアクションプランの中に日米構造協議の再活性化ということがうたわれていますね。そして二月の二十六日にはフォローアップの会議があるというふうに承っておりますけれども、この点についてまず最初に承りたいと思います。
  199. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 昨年立法府の御承認を得まして、課徴金の引き上げ、原則四倍、これ昨年の七月から既に施行になっておるわけでございます。この六%の改正を行うに当たりまして米側と随分議論をしたことは事実でございます。  ただ、我が国とアメリカとでは制裁といいますか、抑止制度が違いまして、アメリカは刑事罰一本で構成されております。我が国の場合は行政措置としての課徴金と刑罰という二本立てになっておりまして、これは憲法上の要請等から、課徴金の水準そのものについては、行政機関としての公正取引委員会が裁量権を持つことなく、一定の率によって、かつカルテル等による利得の水準を上回ることができないという制約があるわけでございまして、その意味でアメリカ側がこの六%の水準は非常に低いという指摘を行ったわけでありますけれども、我が国とアメリカでは法制が違うわけでございますから、この六%の水準を変更することはできないということで、先ほど申しましたように、昨年の七月から施行になっておるわけでございます。  ただ、その議論の過程で、これはアメリカもそうでございますけれども、ヨーロッパ諸国等におきましても今日カルテルの抑止措置としては、カルテル利得を上回る水準の、それは刑罰によるのかあるいは行政罰的なものによるのか、あるいは我が国のように課徴金と刑罰の併用というふうな方法によるのか、これは制度によって違いますけれども一やはり抑止の水準を高める必要があるという議論がございまして、これは、今日この独占禁止法制の国際的な調和という観点から見てもそれなりのこの指摘は私どもは理由があるんだろうということで、刑事罰の引き上げについて検討作業に入ったわけでございます。
  200. 小岩井清

    ○小岩井委員 今御答弁がおりましたとおりだと思いますね。改正された課徴金の引き上げ幅についてはカルテル、いわゆる独占禁止法違反行為に対する抑止力を高めることにつながらないという指摘がアメリカからあったんじゃないんですか。それが、昨一九九一年五月二十二日の日米構造問題協議フォローアップ第一回年次報告、このとおり、公正取引委員会は、個人と法人を切り離し、法人事業者の独占禁止法違反行為に対して罰金刑を十分な抑止力を有する水準まで引き上げ、強化をするということをアメリカ側にコミットしたんじゃないですか。この点どうですか。
  201. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 今御引用になりました昨年の五月のフォローアップの年次報告でございますが、作業の経緯からいいますと、最終報告に至るまでの過程のフォローアップで、先ほど委員にお答え申し上げました日米双方での議論の経過がございました。それから、昨年三月に私ども課徴金の独占禁止法改正法案を国会にお諮りいたしましたときに、衆議院の商工委員会でも刑罰の強化についての附帯決議をちょうだいいたしております。同時に、研究会におきます検討作業が進んでおったものでございますから、そういった議論の経過を踏まえまして、この五月の最終フォローアップでは、公正取引委員会が刑罰の強化について検討作業を進めるというふうに明記をしたわけでございます。
  202. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、フォローアップに明記をされているんですね。今もお認めになりました。  ということは、これは外務大臣からお答えいただくのかな、アメリカと日本との政府間公約というふうに理解してよろしいですか。
  203. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 お答えいたします。  先生も御承知のとおり、国際的な合意といいました場合に、いろいろな形の合意というものがあるわけでございまして、いわゆる法律的な意味での合意というものもございますが、まあ言ってみますと、政策的な意図について双方が、なるほどあなたそういうような政策していただくのかと、結構であると、政策的な意図表明ということについて意見の一致と申しますか、見解の一致を見たというような意味での合意というものもございますので、このような日米のいわゆる構造協議における合意というのは、そういった政策的な意図表明についての合意と、こういうように理解しております。
  204. 小岩井清

    ○小岩井委員 政策一致の合意である。ということは、これは誠実に履行しなきゃいけませんね。履行の義務を伴うんですか、伴わないんですか。
  205. 小倉和夫

    ○小倉政府委員 この構造協議と申しますものは、日本の経済の構造問題ももちろんございますが、同時にアメリカの経済の構造問題も取り上げております。したがいまして、その両方の政策を両方がお互いに手を携えながらやっていくという趣旨でございますので、そういう意味で相手もあることでございますので、その相手、まあ相手がやらないからこっちもやらないという意味ではございませんが、そういった政策を実行する、その決意、これを表明して、それに伴って一緒にやっていく、こういう趣旨というふうに理解しております。
  206. 小岩井清

    ○小岩井委員 政策合意に基づいて作業が進んでいたんですね、公取委員長。刑事罰研究会、これは中間報告が出ているんですね。  刑事罰研究会は、今後、中間報告を踏まえて、事業者及び従業者の罰金刑の上限の切り離しにかかわる具体的問題、罰金刑の強化を行うべき独占禁止法違反行為の範囲、罰金刑の水準、いわゆる三罰規定の見直しなどの点を中心に刑事罰の強化にかかわる具体的問題点の検討を行うことにしており、本年秋、ことしの秋じゃないですよ、去年ですね。本年秋ごろまでに結論を得ることをめどとしている。公正取引委員会について、研究会の検討状況については、今後随時独占禁止懇話会に報告するとともに、法務省とも密接な連絡をとりつつ、研究会の最終的な結論を得た上で、その後関係機関との調整を図りながら、制度改正の実現に努めることにしている。  こうなっていますね。公取から出ている文章ですよ、これ、今読み上げたのは。刑事罰研究会の結論は出たんですか。
  207. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 公表いたしました中間報告については、ただいま委員が御指摘になりましたとおりでございます。これを受けまして、当初昨年の秋をめどにしておりましたけれども、実際は十二月のたしか中旬に報告がまとまりましたわけでございます。
  208. 小岩井清

    ○小岩井委員 というのは、刑事罰強化の法制化、これについて、この日米構造協議のフォローアップでも、公正取引委員会は刑事罰研究会を経た後、関係機関との調整を図りつつ検討を進めると約束していますね。今ちょっと、もう一度答弁いただきたいのですが、結論は出たというふうに答弁いただいたのですね。
  209. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 繰り返して申し上げますが、御指摘のとおり、中間報告の段階では当初秋ごろを目途にしておったわけでございますけれども、やや作業が延びまして、昨年の十二月に報告はまとまっております。
  210. 小岩井清

    ○小岩井委員 昨年の十二月に報告が出ている。発表がされていないのは何ですか、理由を明確に聞かしてください。
  211. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 この独占禁止法の刑事罰の引き上げについては、研究会の作業が進んでおります段階から、正確に言えば今日に至るまで、国内各方面でやはり各種の慎重論なり御異論のあるところでございます。特に昨年十二月にまとまりました段階では、この御議論が今日の段階に比べるとまだより熟しておりませんで、私ども公正取引委員会といたしましては、もちろんこの法律、制度の改正、改廃につきましては、行政組織的には内閣総理大臣が御所管になるわけでございますけれども、実際の作業は事務当局として公正取引委員会が行うわけでございます。そういたしますと、あらゆる法律改正、制度の改正についても同じことが言えるかと思うわけでございますけれども、なかんずく慎重論とか異論の多い制度を何とか改正させていただくという場合には、各方面の御理解を十分賜らなければならないわけでございます。  ところが、昨年十二月にこの報告がまとまりました段階では、この御議論もまだそう熟しておりませんで、むしろこの報告を公正取引委員会が公表するということは、議論に予断を与える、あるいは結論を誘導するというふうな、御理解をいただかなければならない方々がこの公表文、報告についてそういった疑念なり不安を抱いていただくということは、この改正作業にとってむしろマイナスになるという、通常の行政機関の判断といたしまして公表を差し控えたわけでございます。  ただ、この報告の内容に沿いまして、その後私どもは各方面と調整といいますか、御理解を賜る努力を引き続き続けておるところでございます。
  212. 小岩井清

    ○小岩井委員 各方面ってどこですか。というのは、昨年末というふうに言いましたね。昨年の十二月十八日なんでしょう。で、最終報告を発表することになっていたんでしょう。発表できなくなった。その明くる日の新聞に梅澤委員長、あなたの談話で自民党の理解が得られないというくだりがありましたね。これは事実ですか。
  213. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 各方面と申しますのは、当然独占禁止法は経済法そのものでございますから、まず民間における経済界、それから政府部内におきましては経済官庁を主とする諸官庁、それから最終的にこれを政府提案として国会に制度改正の手続をとらせていただくためには、これは議院内閣制のもとで与党の御理解を得ない限り実現しないわけでございます。その意味で、最終的には与党も含めましてただいま申しました各方面の御理解を得るために、この作業が本当に前進をするために、あの時点で公表しない方がいいんだという判断をしたわけでございます。
  214. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、自民党の理解が得られないということですね。そう見ていいのですね。
  215. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 理解を賜るというのはいろんなステージがあると思いますけれども、現在の段階でなお与党の専門部会と調整の努力を続けておるところでございます。
  216. 小岩井清

    ○小岩井委員 ということは、理解が得られてない、現時点でね。ということは、諮問機関なりあるいぽこういう研究会でもそうですね、それぞれ諮問機関、総理大臣の私的な諮問機関もありますね。これは答申なり最終報告として公表した上で、立法化に対して政府と与党の協議があるのは、これは当然だと思いますよ。しかし、発表を差し押さえるというのは、これは今まであったんでしょうか。異常事態じゃないでしょうか。  というのは、先ほど政治改革の問題申し上げましたけれども、政治改革関連三法案のときに第八次制度審の答申どおりではないんですよ、政府提案は。ということは、答申が出ても政府提案に至るまでに内容が変わってくるということはあり得るわけですね。報告書なり答申を発表で抑えちゃうという前例はあったんでしょうか。この点どうですか。
  217. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 申し上げるまでもないと存じますが、この研究会はいわゆる法律上の根拠を持つ諮問委員会、審議会等じゃございませんで、学者のグループによる、いわば公正取引委員会の、まあ私的研究会という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、委嘱によって研究をお願いしたグループの報告書の問題でございます。委嘱を申し上げておいて、その報告書を直ちに公表しないというケースは、私そんなに多くあるケースとは思いませんけれども、今回の件につきましては、先ほど申し上げておりますとおり、各方面の理解を得つつ制度の実現を図るために、行政機関としてあの時点で最良の判断をしたということでございます。
  218. 小岩井清

    ○小岩井委員 いや、随分おかしな答弁なさいますね。ということは、法に基づいた諮問機関じゃない、公正取引委員会の私的諮問機関。だけれども、最終報告が出ていて抑えちゃうということ。ということは、あなたの責任になりますよ、今度は。あなたの判断でやったんですか。
  219. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 もちろんこれは委員会の判断でございますけれども、最終責任は委員長としての私に存在すると存じております。  それから、この公表を延期する件につきましては、研究会の諸先生方にも即日脚了解をとりまして、しばらくの延期はやむを得ないという御了承を得たわけでございます。いずれにいたしましても、この報告書は遠くない機会に必ず公表をいたします。
  220. 小岩井清

    ○小岩井委員 というのは、これは私は前代未聞の異常事態だと思うのですよ。公正取引委員会の組織と機能と独立性と中立性、これをどう考えているんですか。  ということは、自民党に理解が得られないということで公表を差し控えている。ということは、公正取引委員会は自民党の一機関じゃないんでしょう。この点について、公表を抑える理由はないと思うけれども、直ちに公表すべきだと思うが、どうですか。
  221. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 公正取引委員会の独立的な機関としての御指摘がただいまございました。これは、払いたずらに議論を構えるつもりはないわけでございますけれども、独占禁止法に定めております独立の権限行使というのは、独禁法によって定められた公正取引委員会の権限を行使する場合には、あらゆる機関の指揮監督を受けることなく、委員長委員は独立して権限を行使することによって公正に仕事を運用するという趣旨のものでございます。  そこで、法律ないし政令の制度の改廃と申しますのは、これは一般官庁同じく持っている作業でございまして、この作業は独占禁止法の二十八条に決めております権限には該当しない。したがって、私どもが一行政機関の判断として公表を中止したのは、あくまで行政機関としての判断でございまして、この判断をしたことが独占禁止法に定める独立機関としての権限行使についてちゅうちょをしたということとは問題の性質は別であるということは、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  222. 小岩井清

    ○小岩井委員 というのは、今予算審議なんですよ、予算審議。公正取引委員会予算並びに公正取引委員会、いろいろ刑事罰研究会あるいは刑事罰に基づく法制、法改正、対アメリカとの関係で構造協議のフォローアップ、いろいろそういう問題を総合的に審議をしていくというのが予算委員会でしょう。その部分が欠落しているんですよ。  私は、報告書は直ちに委員会に提出を求めます。
  223. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 国政調査権上の御要請でございますと、私どもも十分慎重に対応しなければならないと考えております。  後ほど、扱いについては委員長の御指示を賜りたいと思いますが、この機会に、お願いと言ってはなんでございますけれども、遠からず私どもはこれを公表するわけでございます。その機会に、国会の御要請があれば、この報告の内容を国会にも説明させていただきたいと考えております。ただ、今作業の調整過程、最終の調整過程でございますので、いましばらく、私どものお願いといたしましては、公表について若干の猶予をいただきたいということでございます。
  224. 小岩井清

    ○小岩井委員 梅澤委員長、出すんですか、出さないんですか。出さなければこれ以上審議できませんよ。
  225. 梅澤節男

    ○梅澤政府委員 冒頭に申し上げましたとおり、当然のことながら、立法府の委員長の指示に従うことは当然でございます。
  226. 山村新治郎

    山村委員長 理事会で協議いたしまして決定……(小岩井委員「ちょっと待ってください」と呼ぶ)
  227. 小岩井清

    ○小岩井委員 理事会で御協議いただけるという委員長お話承りました。理事会、そういう話ですからそのとおり従います。  しかし今、対米的に日米構造協議あるいはそのフォローアップ、それに基づく前国会の課徴金の引き上げ、あわせて、それに基づいて今度は刑事罰強化ということで、一連の流れがあるわけですね。流れがあって刑事罰研究会になっているのですよ。そして、刑事罰研究会の結論を踏まえて法改正ということになるわけです。ですからその質問は、刑事罰研究会の中身を入れて、中身に質疑をしながら法改正の質問をするわけです。それがわからなければ質疑はできません。――それでは、質問を留保いたします。
  228. 山村新治郎

    山村委員長 次に、草川昭三君。
  229. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。  最初に自治大臣にお伺いをしたいと思うのでありますが、平成四年の予算案を我々今審議をしておるわけでありますが、この予算のつくり方について総理は、新聞記者会見では、まあ歳入が非常に不足をしている中ではよくできた予算ではないかというようなことを言っておみえになりますが、きのうも公明党の二見政審会長がこの予算についてのいろいろな質問をいたしました。  歳入が非常に不足をしてくる、出るものをどのようにセーブするか、これもまた難しい話だ。あるいはまた、赤字国債でそれをカバーするかどうか、大変難しいことがあるのだけれどもという話がありましたが、一つ今回の特徴に、地方自治体に大変なしわ寄せが行っておるのではないかと思うのでありますけれども、その地方自治体側から見た、あるいはまた自治大臣として、今回のこの大幅ないわゆるツケの回しというのですか、借金が地方の方に押しつけられる、こういうような問題がたくさんあると思うのでございますけれども、どのように受けとめられておるのか、まずお伺いをしたい、こう思います。
  230. 塩川正十郎

    ○塩川国務大臣 お尋ねの中で草川先生一番指摘されておられるのは、恐らく交付税が八千五百億円減額されたことだ、こういうことを中心にして地方財政が窮屈だという観測をしておられると思います。確かに、私たちも十分な地方財政の確保をいたしたいと思って鋭意努力はいたしておりましたのですが、しかし、国とやはり地方財政との両方が両立しなければならぬというので、妥協的なところとして八千五百億円を交付税から減額いたしまして、国に貸したということになっております。  そこで、それじゃ地方財政は非常に窮屈なことになるかといいまして、十分なことを言えば確かに窮屈ではございますけれども、しかしでき得る限りの財源は確保したと思っておりますし、また現に一般財源だけの問題ではなくして、単独事業等におきます措置も大幅に増額をすることができました。結局、交付税全体につきましては、総額では五・七%近くのものを増額したことになりますし、また単独事業等におきましては一一・五%の大幅な増額を図った、こういうことでございまして、ただ一つ、私たちはこれから基金の積み増しであるとか、あるいはいろいろな機関委任事務がございますが、それらに対する超過負担に対応する分の財源は不足してきておった、こういうことでございます。
  231. 草川昭三

    ○草川委員 今自治大臣の方からもお話がありましたが、八千五百億円を国に貸すという立場になっておるわけでありますし、その他またもろもろの肩がわりというのもあるわけでありまして、いずれにいたしましても今回の予算の編成をめぐりまして、国民の側から言うならば、いわゆる国民の理解なり協力というのが大変必要な時代になってきたわけであります。その国民の協力なり理解が必要だということは、言うまでもなく政治に対する信頼性という問題が極めて私は大切な時期になってきた。これは今まででもそうですけれども、これからの時代というのは、従来に比べて政治に対する信頼性というのは非常に大切だというように思ってきております。  そこで、総理にお伺いをいたしますけれども、最近の一連の政治的なスキャンダル、こういうものに対する国民の不信感というのは日増しに増大をしてくるわけでありますし、また内閣の支持率にもそのことが影響してきておると思うのでございますが、総理から、最近の一連の政治スキャンダルについての改めて見解なり反省の言葉を出していただきたい、こう思います。
  232. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 最近の出来事につきましては、私も御同様の憂いを持っております。もとより法に反します出来事につきましては、おのおののつかさつかさによりまして厳正に取り調べが行われることと存じておりますが、私ども政治におります者といたしましては、やはりこの際、緊急の課題として、政治改革の実を上げることによって国民に我々の心構えを理解していただくということが焦眉の急であるというふうに考えております。
  233. 草川昭三

    ○草川委員 私は、ことしの総理の施政演説を聞いておりまして、これは与野党含めての話でございますが、従来の施政演説に比べて議場の盛り上がりというのが大変私は薄かったのではないか、こう思います。生活大国というような言葉、あるいはまた国連中心の国際貢献というようなことを言っておられますが、今御答弁がありました政治倫理の確立、政治改革の実現について全力を挙げて取り組む、こうおっしゃっておられますけれども、いわゆる首相の腹、総理の考え方が少しも具体的にあの施政方針の演説に反映していない、あるいはまた、その後のこの委員会なりその他の場においても積極的な方針というものが出ていないのではないか、こう思うのですが、その点はどうでしょう。
  234. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 過般の国会におきまして、政府はいわゆる三法案を御提案をいたしましたが、これは残念なことでございましたが廃案となりました。  これは、ただ事柄の難しさ、影響の大きさからいえば、各党にいろいろ御議論があったことは当然のことであったであろうとは思っておりますが、そういうことが一つございました。したがいまして、各党協議会において御同意をいただくためには、政府・与党といたしましてもよほど案を練らねばならないと考えたことは当然のことでございますが、実は昨日も申し上げたところでございますが、私どもの党内におきまして、活発な精力的な議論がしばらくの間行われておりまして、間もなく私のところでその流れをひとつ一緒に相談をしたいと思っております。  その上で早急に成案を得まして、国会におきまして、国会と申しますか協議会におきまして、各党のお持ちのお考えとあわせまして御成案をお願いをいたしたいと思っておるのでございますけれども、それらはいわば政治改革に関するもろもろの事柄を総括をいたしまして、その中で、場合によりまして緊急を要するもの、あるいは多少第二陣でもいいものとなりますか、その辺のところはこれから実は議論もし、また協議会でも御議論をいただきたいと思っておりますが、間もなくそういう準備をいたしまして御協議を申し上げたいと考えております。
  235. 草川昭三

    ○草川委員 政治改革のもろもろのものを総括して近く出す、こういう御答弁でございますが、いずれにいたしましても、私は政治改革に関する政治姿勢というものの基本がしっかりしていないとすべて物事は進まないという立場であります。  政治といえば大変難しい哲学的な表現もあるかもわかりませんけれども、例えば幼い子供が政治家を見る、こういう見方もあると思うのでありますが、幼い子供が政治家を見る場合に何が一番胸を痛めるかといえば、政治家がうそを言うということだと思うのです。政治家が正直だ、いい仕事をやっていただくという中で初めて子供は自分の目の中から日本の国ということを考えていくのではないだろうか、こう思うわけであります。  そういう立場から私はあえて宮澤総理にお尋ねをするわけでありますが、かねてからリクルートの三点セット問題というのがあります。この三点セット問題というのは、私は正直なことを申し上げて、総理が一番最初のときに、三年半前に、ボタンのかけ間違いをされたのではないかと思うのです。ボタンのかげ間違いというのがずっと今日まで尾を引いてしまって、総理大蔵大臣をおやめになる、あるいは新しく総理に選ばれる、予算委員会でもその三点セットが繰り返し質問をされる。大変、総理もいいかげんにしろというようなお言葉もあるかもわかりません。  率直に言って、私どもも後援会の皆さんお話をすると、三点セット問題をいつまでやるのかという御質問もあります。だけれども、私は今申し上げたように、子供さんの目から政治家を見てください、もしもうそというものがあるならば、外国の政治家ではありませんけれども、うそをついたというなら決闘ですよ、これは。決闘というようなことがあるほど政治家はうそをついちゃいけない。これは非常に厳しい問題があると思うのです。そのボタンのかけ間違いが依然としてあるから、私はただいまから三点セット問題について少し時間をとらさせていただきたい、こう思うのです。  そこで、この前ここの席上で共産党の不破委員がこの三点セット問題について九つの質問をいたしました、九つの質問を。私それを聞いておりまして、その答弁を聞いておりまして、これは総理えらいことを言ったなと思ったのですよ、総理答弁は。  それは何かというと、一言で言うと、松本という秘書が自分で三千万円のお金を、服部さんから預かった三千万円のお金を振り込んだ、これをいつ知ったんですか、こういう質問をされてみえるわけです。もう何回か何回かくどいように。早く言えば、四年前、三年半前ですか、三年半前の、四年近い前の大蔵大臣時代のときに、国会で総理の方は河合氏が株をもらったということを言っておるわけですが、そのとぎから松本さんというのは総理にしょっちゅう会っているわけですから、実は河合さんじゃないんですよ、私が服部さんに頼まれて払い込んだということを知ってたんですか知らないんですかということをずっと繰り返し言っておるわけです。  そのときに宮澤総理は、当初から同じ説明をしております、服部に頼まれて三千万円を自分は払いました、一貫してそう申しておるのです、だから、三年半前から言っておるとおっしゃっているのです、この前の答弁では。それで質問者が、いや、河合氏に名前を貸したという説明を国会で何遍かやっていたときに、一体松本秘書というのはあれは違うということを言わなかったのですが、こう質問すると、何度も申し上げますように、当初からその点は変わっておらぬと言っているのです。四年前から松本秘書が服部さんに頼まれて運んだということを総理は知っておったんじゃないか。だとするとこれはうそがもっとひどくなるじゃないか、こういう議論になるわけです。  いや、また違うんだ、わざわざ質問者が総理勘違いをするんじゃないよと言わんばかりの質問をして、本当にその河合氏のときに、河合氏に名義を貸したのだと説明しているときの話ですよ、古い三年前の話ですよ、こう言っているのですが、「自分が頼まれて金を払ったと言っておるわけです。」とまた言うわけですね、答弁されるわけですよ。またその次に、「松本を通じまして金が払われたということは、初めからちっとも変わっていない」、こうおっしゃっているのです。四年前からその松本さんというのが服部さんに頼まれて金を三菱銀行に払い込んだんだよということを総理は承知をしておる、だとするならば、この三点セットの問題は根本的にこれはまた違いますよということをきょうは申し上げたいわけです。その点はどうでしょう。     〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
  236. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 お尋ねの御趣旨はよくわかりました。  このようなことでございます。昭和六十三年の十二月に私が大蔵大臣辞任するに当たりまして、そのときまでに確かめました事実を国会に御報告を申し上げました。そのことは草川委員が御指摘のように、それまで申し上げておりましたことと違っておりまして、私は虚偽を申し上げるつもりであったのではございませんけれども、国会に事実と違ったことを結果として申し上げましたことを申しわけなく思い大蔵大臣辞任をさせていただいたわけでございます。おっしゃいますように、そういう経緯はございました。  そこで、ただいまのお尋ねは、そのときに申し上げましたように、この三千万円の金は服部氏の負担において払い込まれたのでございましたが、当時、それを証明するいわゆる三点セット関連の書類がございませんで、国会に御提示することができませんでした。私は大蔵大臣辞任いたしまして後、できるだけこの所要の資料をそろえたいと努力をいたしましたが、その後、いわゆるリクルート事件の取り調べ等々が終了をいたしました機会に、各方面の協力を得て関係書類を集めることができました。したがいまして、前国会におきまして、この問題につきましては、私として資料が整いましたので御提示を申し上げ、誠意を持って御説明を申し上げたいと申し上げまして、何度か御説明をいたしたところでございます。  そこで、ただいまお尋ねの点は昭和六十一年十月十五日に金を支払ったということに関するものでございますが、これは、三菱銀行からの書類がその後になりまして入手ができましたので、委員長まで御提示をいたした。それで、このことによりまして、この時点で私はこの金が松本雅雄の手を通じて払われたことを知るに至ったわけでございます。
  237. 草川昭三

    ○草川委員 そうすると、もう一回念を押しますが、今最後の答弁ですね、松本氏が三菱銀行に払ったということを知ったのはいつですか。もう一回、いつ知られたのかお伺いしたい。
  238. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは非常に正確に日にちは申し上げられないのですけれども、この服部恒雄君がいわゆる略式命令を受けました、これは平成元年の何月かであったと思います。その後に、この銀行の振り込み依頼書を銀行の協力を得て入手することができましたので、その時点ということになります。
  239. 草川昭三

    ○草川委員 余り何月幾日ということを詳しく言いませんが、もう一度ちょっと最後のところを念のためにお聞きしたいと思うんです。今、いつ知られたのかということの年月日では、余り細かいことは言いませんけれども、もう一度御答弁願いたいと思います。
  240. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 服部恒雄氏が略式命令を受けましたのがたしか平成元年の何月かであったと存じます。それでいわば、何と申しますか……(草川委員「元年にわかったということですね」と呼ぶ)はあ、一件が落着をいたしまして、その結果といたしまして銀行から関係の書類の写しを入手することができまして、それを御提示いたしたのであります。
  241. 草川昭三

    ○草川委員 そうしますと、過日の、私は十二月一日の予算委員会の説明を改められないとこれは問題が起きてくると思うんですが、その点はどう思われますか。私の党ではございませんから、よその党ですからこれは関係ございませんけれども、過日の国会答弁は私は正確ではない、大変誤解を招く御答弁をなすっぞみえる。すなわち松本氏は、三年前から、松本氏が運び屋というんですか、服部さんに頼まれてお金を払ったということを三年前から総理は承知をしていた、ずっと以前から承知をしていたという趣旨の答弁になるんですよ。
  242. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 実はその御質問の意味が私よくわかっていなかった、今詳しく言われましたのでどういう趣旨の御質問がわかりました。事実はそのようなことでございます。
  243. 草川昭三

    ○草川委員 まあ、総理がそこまでおっしゃいましたので、ではこの点についてはここまでにいたしまして、次の質問に一ええ、結構でございます。
  244. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいまのお尋ねが私にわ、かりかねたと申し上げておりますが、ここに当日の記録がございまして、私のお答えは、お尋ねの意味が私にわかりかねますけれども、ということを申し上げておりまして、今初めて御質問の意味がよくわかり、失礼いたしました。
  245. 草川昭三

    ○草川委員 今言われましたからあれですが、その点は、現金でその三千万円を松本が依頼を受けて払っていたということは前からずっと言っておるわけです。ここが我々はひっかかっておるわけでございまして、この点が、今総理が改めて、この元年の押収書類というのですか、政治資金規正法違反が確定をしたとき、そのときにわかったとおっしゃいましたので、では、その点は私も了解をいたします。  そこで、今ちょっと官房長官もお見えになりませんが、そのかわりに総理にお伺いをしたいわけでございますけれども、昨日も二、三意見が出ましたが、総裁選挙というのは一我々は参加をしたことがございませんのでわかりませんけれども、かなり激烈な戦いが自由民主党の党内では行われるものと新聞報道では拝見をしております。総理は、三年前に比べまして今回は見事総裁になられたわけでございますが、実際、総裁選に勝利するには派閥として相当なお金が要ると言われておりますが、どのような実態が、お聞かせ願いたいと思います。
  246. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨年の十月、十一月に行われました総裁選挙は、私が自身で経験をいたしましたが、大変に、これは私どもの党の名誉のために申し上げるのでございますけれども、大変に立派な、しかも全国の党員を挙げての選挙が、いわば君子の争いとして行われました。その結果また挙党一致の態勢をとることができた、これは大変に私は誇りに思っておりますし、また、私といわば同志として立候補せられました各候補者もその点は同じ感想を持っておられるに違いないと思います。
  247. 草川昭三

    ○草川委員 今、君子の戦いをした、こういうお話でございました。それは大変立派なお話だと思うんです。  では、その君子の戦いということを実は前提にいたしまして、では、四年前ですか、正確に言うと三年前になりますが、その平成元年のときの前回の戦いですね、いわゆる中曽根総理の指名をされたときの戦いというのが、あれは三年前でございましたか、前回の戦いがあったわけでございますね、総裁選挙が。三年前か、ちょっとそれは私間違えますとあれでございますが、そのときの戦いのことについて、ちょっと法務省からまずお聞きしておいて話を進めたいと思うんでございます。  リクルート事件に関して、宮澤大蔵大臣、蔵相の秘書松本雅雄さんの政治資金規正法違反の確定記録というのを私自身が閲覧をしてきておるわけでございますが、平成元年五月十一日付、松本雅雄に対する政治資金規正法違反事件の供述調書の中に、リクルートからの五千万円の寄附に関し、一つ、これは供述調書に一つと書いてあるわけでなくて、私が一、二、三という意味で申し上げるのですが、総裁選挙の裏工作資金にでも使うつもりではないかと感じました、この五千万円についてですね。この五千万円は裏金として処理することにしたのです。三番目、この五千万円は総裁選の裏工作資金として、派閥内外の自民党代議士に一人百万か五百万円ずつ配りました、との記述があるのでございますが、この調書の信用性というんですか、これについて、こういうことがこのとおり書いてあるかどうか、法務省にお伺いをしたいと思います。
  248. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  今委員仰せになられましたとおり、委員御自身が確定記録をごらんになっての上でということでございましょうから、私どもの方でそれを否定する手がかりは何もないわけでございます。ただ、これはもう委員にこういうことを申し上げるのは釈迦に説法だと思いますけれども、一般的に、その供述調書に記載しであるということは、検察官がその供述者が述べたところを録取したという性格のものでございます。これはもう当然のことでございます。したがいまして、その記載内容について検察官あるいは裁判官がそのとおりの事実を認定したかどうかということとはおのずから別の問題であるということは、これはもう当然のことでございますが、念のために申し添えさせていただきます。
  249. 草川昭三

    ○草川委員 実はもう一枚あるわけでございますが、これも平成元年五月十三日付、服部恒雄に対する政治資金規正法違反事件の供述調書の中に、服部恒雄さんは、先ほども出ておりますように、当時の宮澤大蔵大臣の第一秘書、後に秘書官になられる方でございますが、一つ宮澤が自民党総裁の座を目指していた昭和六十二年、一九八七年三月上旬ごろ、宮澤の派閥である宏池会の当時の事務総長加藤紘一代議士に、財界の主だった人に総裁選に向けて協力方をお願いして回るようにと言われました。協力という言葉を使うことによって、総裁選のための票集めと資金援助の両方をお願いしたつもりでした。心の中では百万や二百万の少額ではなく一千万円単位のまとまった資金援助を期待していました。何ゆえそのようなまとまった資金援助を望んでいたかというと総裁選のために自民党の代議士に配る裏工作資金が欲しかったのです、との記述があるが、これも今と同様の答弁ですね。
  250. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  先ほどと同じお答えになると思います。
  251. 草川昭三

    ○草川委員 ということは、今お聞きになられて、総理、三年前というのですから、前回の自由民主党の総裁選挙は、今言ったような形でかなりの金額が流れだということを言っておみえになるわけですよ。多分これは本当だと思うのです。ところが、その後、君子の争いとして大変これはきれいな戦いだというようなことを言われましたが、じゃ、その間に具体的にどのような御指示をなすって今回はきれいな戦いになったのか、お伺いしたいと思います。
  252. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 まず前段のお話でございますけれども、ただいま政府委員が言われましたように、そこに供述されておることが事実であるかないかということにつきましては、証明をされていないということだけを申し上げておきます。  それで、今回はと、こう仰せられますけれども、したがいまして、前回との比較をそういう前提に立って申し上げることはできませんけれども、やはり日本の民主主義というものが少しずつ成熟をしてまいって、そして、お互いと申しては大変失礼な言い分になりますけれども、国民の負託を受けておる者、やはりすべきこと、すべきでないことということについての認識なり倫理なりというものが、たとえ十分でありませんでも、年を追って高まってきているということは申し上げることができるのではないかと思います。
  253. 草川昭三

    ○草川委員 今の前段の総理の御答弁は、私は、検察庁は大変不愉快な思いをされると思うのです。それは、確かに簡裁で略式裁判でございますから、本人が述べたことを一々裏をとっていないというような意味もあると思うのです。それは我々も十分承知をしなければなりませんけれども、少なくとも政治資金規正法違反のいわゆる調書をとられたわけでありますから、私は、普通の人ならば正直なことを申し上げておると思うのです。うそを言う必要はないわけですから、そこではっきり申し上げて、自分も罪に服されるわけです。この後の文言に出てきますが、だれとだれに渡したのかという問いがあるのですけれども、それは私は申し上げるわけにはいきませんと言って、きちっとこれは言葉をつぐんでおみえになるわけですから、私は、前後の調書を拝見をするならば極めて正確だと思うのです。  だから、私は一番最初に申し上げたとおりに、やはりお金が要るんですよ、だけれども、そのお金をなくすような政治改革をやろうじゃないかとおっしゃっていただくと、私は国民の信頼というのは増すと思うのです。事実、きのう自治大臣は、お金がかかるんですよ、だからそういう話は議員の仲間同士で、政党間でお話をしたらどうでしょうという問題提起があるわけですよ。そのような御答弁総理が今がちっとこう言われないというのが、私は、なお総理の政治姿勢に不満を倍加させるということを申し上げたいのですが、どうでしょう。
  254. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 昨日、私も実は、政治にまず金が要らないようにするのはどうすればいいか、第一の改革はできましたが第二の改革はまだ残っておりますということを申し上げました。政治から金がなるべく要らないようにしなければならないということは、私も自治大臣と同様に考えております。  ただ、自民党の総裁選挙云々というお尋ねでございましたものですから、これは私個人のことを実はやや超える問題でございましたので申し上げましたけれども、政治に金がかからないようにすることは、何といってもやはり焦眉の急務であると存じます。
  255. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、共和問題になるわけでございますが、阿部代議士は、起訴をされたわけでございますが、釈放されましたね。それで、これは与野党を問わず、今回のような事件を考えますれば、当然のことながら議員の辞職をされるのが至当ではないか、国会議員の一員として私自身もそう思うわけでございますが、当然総理もそのような御判断を持ってみえると思うのです。ならば、長年の同志であったわけでございますから、この際、もう拘置所からは出られたわけでありますから、どういう形であれ御連絡なすって、阿部代議士に辞職をされたらどうでしょうかということを言われるのが先ほどの答弁の延長線だと思うのですが、どうですか。
  256. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは前にも申し上げたところでございますけれども、大変に難しい問題であると思います。  長いこと政治生活を一緒にいたしました友人でございます。たとえああいうことは疑いを受けましても、それには違いございませんから、御本人のために一番いい答えが出ることが望ましいと私は思っておりますが、それはしかし、何が一番いい答えかということは、やはり詰めていきますと、御本人が判断をされるしかないのではないか。政治家と長年支援をしてくれておる選挙民の関係というものは、これはもう申すまでもなくまことに特別なものでございますから、お互いの間の信頼関係というもので長いことつながれてきたものでございますから、それをいかにすべきかということは、やはり御本人と有権者と両方の間で考えながら答えを出すしか方法がないのではないか。ああいう起訴を受けられたという事実を私はもとより、もとより存じておってのことでございますが、その上で、選挙民から負託を受けた自分がこの隣どうあるべきかということは、しょせんはやはり御本人が御自分で判断される問題ではないかというのが、私か最終的に感じているところでございます。
  257. 草川昭三

    ○草川委員 総理大臣として大変私はひきょうだと思うのです。なぜならば、阿部氏は、総裁選挙に十億円の金が要ると言って共和に献金の要請をしておるわけですよ、十億円の金が要るという、個人としてね。これは新聞報道ですけれども、少なくとも私は、その新聞報道を見られた、総理は見られておると思うのでありますけれども、拘置所から出たら直ちに電話でもいいから、君、失礼なことを言うなよ、君のために我が日本というのは一体どうなるのか、いわゆる国会というものが全く国民から不信を受けておるんだと、いいかげんにしろということをなぜおっしゃらないんですか。今の答弁は、選挙民の支持を受けたからとか、全く個人の話をしておみえになるのじゃないですか。函館の選挙民は怒っておみえになると思うんですよ、私は。そういうことを知らずに投票なさられてみえるわけですから。  だから投票して当選をしたということよりも、こういう事実の上に立ったら、函館の市民の方々にも、同志として申しわけないと言って宮澤総理が北海道へ行くべきですよ、選挙民の方に。同じ仲間からこういう不始末を起こしたことは、政治に対する国民皆さんへの大変な冒涜をしてしまった、これが本当の総裁としてのお立場ではないかと私は思うのですが、今もなお先ほどのような御答弁をなされているところを見ると、御反省なり事の重大性に気がつかれていないのではないかと思うのですが、いま一度御答弁願いたいと思います。
  258. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは、おっしゃることが決してわからないではありませんのですが、大変難しい問題がございまして、私はただいま我が国の行政の責任者でございます。そういう意味では、阿部氏に対してとられました行政上の措置、刑事上の措置というものは、いわば私の、どういう表現がよろしゅうございましょうか、それに対して私自身はやはり一つの責任を負っておる、公の立場はそういうことであろうと考えます。  個人的にはいろいろな私なりの感想を持っておりますし、いろいろございますけれども、御本人がこの際どのような進退をせられるべきかということについては、やはりしょせんは御本人が御自分で考えられることである、選ばれた者と有権者との関係というのは、これは何物にも増してやはり一つの神聖なものでございますから、それにかんがみて御本人が考えられるべきことであろうというふうにやはり申し上げるべきかと思います。
  259. 草川昭三

    ○草川委員 阿部さんという国会議員、もちろん選挙で選ばれた国会議員の、その属するものを大切にされるのか、国民を大切にされるのか。国民の中でも小さい子供が政治家を見る目を無視されるのですか、今の御答弁は。阿部さんのことしか言ってないじゃないですか。国民がどう考えておるかと言ってない。国民の中にも子供がたくさんいる。政治家というのはこんな悪い人ですかとみんな言っているのですよ。私どももうバッジを外して歩きたいぐらいの気持ちですよ。そういうことを申し上げておるのに、相変わらず御本人のお立場だというのは、私は総理としての立場、自民党の総裁としてのお立場ではないと思うのですが、どんなものでしょう。
  260. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 総裁の方であるとよろしゅうございますが、総理ということをちょっと一度別にして考えさせていただきまして、やはり選挙民によって選ばれた者、選んだ選挙民、その関係というものは、これはいろいろ確かに今草川議員の言われますようなことは私あると思います。そういうことを、決してうそをおっしゃっていらっしゃるのでない、わからないではないのでございますけれども、それでも詰めてまいりますと、やはり選挙民から負託を受けた、その負託を自分はなお誠実にやっていけると考えるのか、そうでないのか、また選挙民はそれをなお期待しているのか、期待していないのかというようなことは、しょせんはやはり御本人と選挙民との私は判断になっていくのではないか、いろいろ考えます、いろいろ考えますけれども、そういうことではないかというのが私の思っておることでございます。
  261. 草川昭三

    ○草川委員 もうこの問題で時間余りとりたくないから、最後にこのことについて一問言いますが、もう総理とかあるいは自民党総裁という立場も離れて、全くの一人の昔からの仲間の宮澤さんとして電話ぐらいかけて、おい、いいかげんにしろよということも言えませんか。
  262. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 一人の人間を分けて申すことができませんので、それにつきましてのお答えはどうぞお許しをいただきたいと思います。
  263. 草川昭三

    ○草川委員 宮澤さんのお考えがよくわかりましたので、次に移ります。  そこで、この共和問題につきましては、我々、過日の、昨日でございますけれども、この予算委員会の決議として、鈴木元首相の予算についてのお考え方を聞く、予算編成についてのお考えを聞くということで参考人招致、あるいはまた塩崎代議士・元総務庁長官の証人喚問ということを決議をしたわけでございますが、このような決議についての、これもかつての仲間でございますから、仲間としての総理の御感想をお伺いしたいと思います。
  264. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 国会の国政調査等々のお立場から、私の友人、先輩に対して、おのおの証人あるいは参考人として出席をお求めになる、聴取をお求めになるということでございまして、それは国会の高いお立場からのお求めでございますので、そのような御要請に関係者がこたえられるということを私としては期待をいたしております。
  265. 草川昭三

    ○草川委員 その期待をされるというお言葉を我々も大切にして、事態の推移を見守っていきたいというように思います。  そこで、法務省刑事局にお伺いをいたしますが、東京地検は鈴木善幸元総理・首相を何らかの形でお取り調べを行われたのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  266. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  捜査当局が取り調べの過程においてだれを取り調べたか取り調べなかったかということにつきましては、お答えを差し控えさしていただきたいと思います。
  267. 草川昭三

    ○草川委員 もう一問質問をいたしますが、いわゆる上申書というのがここ最近話題を呼んでおります。鈴木総理も塩崎さんもお出しになったと伝えられておりますが、上申書の一般的な意義と法的な性格はどのようなものか、お尋ねをしたいと思うのでございますが、専門的な立場よりも、国民皆さんにわかりやすくひとつ御説明を願いたい、こう思います。
  268. 濱邦久

    ○濱政府委員 お答えいたします。  わかりやすく御説明できるかどうか必ずしも自信はございませんが、上申書というものの一般的な意義とその法的性格について若干の御説明を申し上げたいと思います。  上申書という言葉は、もとより法令上使われている用語ではございません。一般的には、捜査に関係いたしまして、捜査機関以外の者が自己の認識するところを記載して捜査機関に提出する文書のことを指すものというふうに理解しております。このような意味で、上申書というものは訴訟法的には作成者の供述書という性格を持つものというふうに言えると思います。捜査の過程におきましては、あらゆる資料を事実認定のため用い得ることとしておりますけれども、上申書もそのような資料の一つになるということでございます。  ただ、これはもう当然のことでございますが、公判におきましては、供述書やそれから供述調書等の書面の証拠能力は制限されておることはもう委員御案内のとおりでございまして、刑事訴訟法所定の要件を満たす場合に限って犯罪事実の有無を認定するための証拠となり得るということでございます。
  269. 草川昭三

    ○草川委員 ここで、これは委員長に要望があるんですが、中間報告、この共和事件についての中間報告でございますが、昨日も法務省の方の答弁が出ておりますが、共和事件の捜査処理に関して国会で中間報告をぜひ求めたいということで、私どももこの日時を先ほどの理事会でも決めておりますが、ぜひ委員長として法務省の方にも中間報告を速やかになされるよう要望をしておきたい、こう思いますが、その点、どうでしょう。
  270. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 わかりました。  草川委員に申し上げます。委員長としても、先ほどの理事会で決定をいたしましたように二十五日の午前九時四十五分から中間報告を聴取することにいたしておりますので、委員の諸氏も御認識をいただきたい、かように申し上げたいと思います。
  271. 草川昭三

    ○草川委員 それで、この共和問題については、細かい内容はもうほとんど新聞等でも出ておりますし、概略的なことはわかっておりますし、これを政府側から答弁を求めるというわけにもまいりませんが、ただこの共和事件の推移の中で、これは法務省にお伺いをしたいわけでございますが、株式会社において粉飾決算が行われた場合、会社の監査を担当する監査役や会計監査人というのは一般的にどのような責任を負うのか、これをまずお伺いをしたい、こう思うのです。
  272. 清水湛

    ○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  一般論でございますけれども、株式会社の監査役は、取締役の職務の執行を監査すべき職員を持っているわけでございます。この内容といたしましては、いわゆる会計監査、それからその他の取締役の行う業務監査、こういう二面があるわけでございます。監査役は、こういう立場から、取締役が法令、定款に違反する行為をしたという場合にはそのことを取締役会に報告する、あるいはそれによって会社に損害を生ずるおそれがあるという場合には、そういう行為の差しとめを請求することができる、こういうことになっているわけでございます。監査役がそういう職員を怠りまして会社に対して損害を与えるということになりますと、会社に対して監査役が損害賠償責任を負うということになります。  それから、商法特例上のいわゆる大会社、これは資本金が五億円以上あるいは負債総額が二百億円以上という株式会社でございますが、そういう会社につきましては、会計監査人、これは公認会計士または監査法人がなることになっておりますけれども、そういう会計監査人が監査役とともに会計監査を行うことになっております。この会計監査人につきましても、その任務を怠るということがございますと、会社に対して損害賠償責任が生ずるということになっているわけでございます。
  273. 草川昭三

    ○草川委員 なぜこの質問をしたかということを申し上げますと、この共和という会社は、六十二年の二月の決算を見ますと、いろいろな売り上げをしておるわけでございますけれども、粉飾決算をしておりました、実際上の経常利益は四十億八千百万円の赤字を出しておるわけであります。当然のことながら、貸借対照表で言うところの粉飾決算では四十一億八千二百万円という黒字を出しておるわけですね。六十三年の二月は、経常利益は実質的には五十七億一千五百万円の経常赤になっておるわけです。それを粉飾いたしまして、五十九億二千三百万というのを貸借対照表による粉飾をしておるわけであります。ちなみに平成元年を見ますと、経常利益は百三十七億八千二百万円の赤字を出しておる。百三十七億ですよ、平成元年の二月は。同じように百四十五億円の粉飾をしておる。平成二年の経常利益を見ますと、経常赤が百六十億六千四百万円、それでこれが百七十五億八千二百万円の粉飾をしておる。平成二年になりますと、百七十五億の粉飾決算をやっておる、こういうのが共和の実態でございます。  一体これは債権者はどういうことになるのかということでありますね。債権者は使途不明金からも金を戻そうじゃないかというようなことを言っておみえになりますが、例えばの話ですが、株式会社の監査役や会計監査人が会社などに対して損害を与えた場合、株主や債権者はその責任を追及できるのかどうか、これも法務省から回答をお願いしたいと思います。
  274. 清水湛

    ○清水(湛)政府委員 お答えいたします。  監査役あるいは会計監査人が会社にその任務を怠ったことによりまして損害を与えたという場合には、会社に対して損害賠償責任を負うということは先ほどお答えしたとおりでございます。会社がそういうことをしないという場合には、株主は会社にそういう責任追及をせよという請求をすることができますし、会社がそれをしないということでございますと、株主が会社を代表してその責任追及を監査役に対してすることができるということになるわけでございます。それから会計監査人につきましては、株主にそういう訴訟を起こす権限はございませんけれども、そういう違いがありますが、いずれにいたしましても、会社に対して損害賠償責任を負うということになります。  ただその際に、監査役が悪意または重大な過失によりましてへ例えばこのずさんな会計帳簿を見抜くことができなかったというようなことになりまして、その結果として第三者、これは債権者、株主がこれに含まれるわけでございますけれども、それが損害を受けるということになりますと、そういう第三者は、監査役に対しまして損害賠償責任を直接追及することができる、こういうことになるわけでございます。  また、会計監査人が重要な事項につきまして監査報告書に虚偽の記載をした、あるいはその任務を怠ってそういう結果において重大な過失に基づいて虚偽の報告をした、こういうようなことになって第三者が損害を受けるということになりますと、会計監査人は、当該第三者に対しても直接に損害賠償責任を負うことがある、こういう法制になっているわけでございます。
  275. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、総理にお伺いをいたしますが、この共和という会社は、今私が申し上げましたように、六十二年四十一億、六十三年五十九億、元年百四十五億、二年百七十五億という粉飾決算をしておる会社なんです。ですから、これを救うには何があるかというので、いわゆる麹町倶楽部というものを起死回生の策として打ち出してくるわけです。だから、この麹町倶楽部というのは会員権一枚一億円、そのかわり麹町のところに立派なビルをつくって、クリニックハウスもつくるし、宿泊もあるし、サウナもあるし、いろいろなものをつくって、ゴルフ場も三つつくろうということで、一枚一億円の会員権を売ろうという、これでひとつ粉飾決算を乗り切ろう、こういうことなんでしょうね。その総裁に鈴木総理を担ごうというので、一億円持っていこうじゃないか、あるいは一千万持っていこうじゃないかという話になってきたわけですよ。それで、かつて大臣をやられた先生方を使って会員権を頼むよという行為をなされるわけですよ。いわゆる国会議員というのは詐欺の、粉飾決算の、何というのですか、利用されたんでしょう、利用されるわけですけれども、いかに日本の政治家というのが国民の目から見たらひどい存在になってきたか、こういう批判が一方ではわあっと起きてくるわけですよ。総理、どう思われますか。
  276. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは事実関係を確かめかねますので、お返事をお許しをいただきたいと思います。
  277. 草川昭三

    ○草川委員 では、今度は官房長官お見えになりましたので、この共和関係で共和からお金を受け取ったと、これは車代とかいろいろなことが言われておりますが、何人かの大臣がおみえになりますけれども、内閣として実情をお聞きになったことがあるのかないのか、お伺いしたいと思います。
  278. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ございません。
  279. 草川昭三

    ○草川委員 やはりこういう世間を騒がしておる問題でございますから、それなりに名前が出た大臣の方々が本当にそうなのか違うのか、私は当然それこそクイックアクションというのですか、早く対応を立てられて、国民の皆様にしかるべき御回答をすべきだと思うのです。違うなら違う、あるいはどういういきさつでこうなったのか。国会で我々が聞かなければ出てこないとか、そういう態度では私は政治倫理の確立ほど遠しと思わざるを得ませんが、どうでしょう。
  280. 加藤紘一

    加藤国務大臣 まあ一般的に個々の事実関係にかかわることでございますので、いろいろ伝聞ということではかえって誤解を招くかなあと思って、そういう行為をとらないできたところでございます。
  281. 草川昭三

    ○草川委員 本来ならば、私は加藤長官みずからが直接お会いになって、おい、どうなんだ、これ新聞に出たけれども本当なのか違うのかと、大変だよこれはというのがあってしかるべき、またそれが私は官房長官のお仕事ではないかと思うのです。  具体的にちょっとお聞きしたいわけですが、東家国土庁長官にお伺いをいたしますが、東家さんは共和関係者との面識がおありなのかどうか、お伺いしたいと思います。
  282. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 お答えいたします。  詳しく説明いたしましょうか。ないならないでいいですか。(草川委員「ええ」と呼ぶ)ございません。
  283. 草川昭三

    ○草川委員 共和の各種行事への出席の有無もないということですね。
  284. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 そのことは、誤解があってはいけませんので、詳しく説明申し上げます。  実は、共和の落成式があったというような前後に私は福岡に参りました。それは、私どもの偉い方がお墓参りにおいでられるからみんなで懇親会をしようやということでございましたので、私は当時議運の理事をいたしておりましたので、その日夕方、熊本から上京する予定をいたしておりましたけれども、せっかくの御案内だからと思って私は現地に駆けつけました、懇親会に。ただしかし、時間がございませんでしたので、二十分程度で福岡から飛行機に乗って私は上京いたしたわけでございます。そのことが新聞等に、私が落成式に出席したということに記載されております。全くの誤解でございますし、私もこのようなことが載っただけでもやはり一閣僚として迷惑をかけることかなあと思っております。
  285. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、その今懇親会に出られだというのは、共和の九州工場の落成式と違うということを言っておみえになるわけですね。
  286. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 落成式があるなしについては全く知りませんでした。存じないままに、懇親会と思って参りました。
  287. 草川昭三

    ○草川委員 すると、その懇親会というのは共和と関係ないというふうに理解していいわけですね。
  288. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 はい、そのとおりでございます。
  289. 草川昭三

    ○草川委員 はい、わかりました。  じゃ、私どもの調査では、東家さんの事務所の関係者が最低四回にわたって共和の本社を訪問をしておみえになる事実があるのですが、その点はどのように御認識なされますか。
  290. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 これも週刊誌に載っておったことでございますが、私は熊本が選挙区でございますし、それは北九州の私どもには事務所もございませんし、秘書もおりませんし、関係者もおりませんので、私は全くそのことについてはあずかり知らないことでございます。
  291. 草川昭三

    ○草川委員 今御否定なすっておられますけれども、具体的に問題を申し上げますが、あなたの私設秘書の方が、八九年十一月、新宿の共和本社を訪問しておみえになりますし、共和の福岡にも訪問をしておみえになりますが、これも御否定なされますか。
  292. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私の秘書ではございませんし、この方は福岡、北九州に在住の方でございますのでいろいろと関係があったやに聞いておりますが、私とは一切そういう仕事の関係その他については関係ない方でございますことを御承知おき願います。
  293. 草川昭三

    ○草川委員 東家さんは東南産業という企業をやっておみえになりますが、東南産業の大株主であることは間違いないと思うのですが、どうでしょう。
  294. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 創立者でございます。
  295. 草川昭三

    ○草川委員 東南産業と共和とは取引があったわけでございますが、その点はどのような御認識ですか。
  296. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 私どもの方は北九州と福岡に建材のメーカーとして出先の販売店がございます。常時営業いたしておりますので、その共和に売った売らないの問題は、後ほど聞きましたら若干の品物を入れた、それはあくまでも自分たちの営業努力で納入したということでございます。かなりの金額を扱っておる営業所でございますから、いろいろなお得意があることはもちろん当然のことでございます。
  297. 草川昭三

    ○草川委員 大変恐縮でございますけれども、共和が熊本にゴルフ場が欲しいというのでゴルフ場を探していたわけでございますが、東南産業が、これもゴルフ場を持っておみえになりますね。そのゴルフ場を見に行こうということで、東南産業の、先ほど御否定なされた方が、後援会の方ですか、その方が一緒にこの共和と話し合いをしたという事実があるのですが、その点はどうでしょう。
  298. 東家嘉幸

    ○東家国務大臣 後で聞いた話でございますが、共和さんはあちこちにゴルフ場をつくりたいからということでどこかいい適当な土地はないかということをお尋ねに回っておられたようでございます。そういうことで、私どもの事務所の方にもそのお尋ねがあったやに聞いております。そのことから後の問題は、私は全く承知いたしておりません。
  299. 草川昭三

    ○草川委員 今のようなお話を聞きますと、私どもも、東家さんというのは大きな会社をやっておみえになる、だからゴルフ場も持ってみえる、だから共和とのつき合いがあったという接点がわかるわけですよ。ですから、加藤さん、こういうようなお話を我々は承知をしてないからこういうところで聞くわけでしょう。もっと加藤長官も具体的なことについてお知りになっておみえになることがあったら速やかにやはり国民皆さんにお知らせをするお立場だと思うのですよ。  そういう立場から、今度は官房長官にお尋ねをいたしますが、官房長官の後援会に、加藤紘一さんの紘の字に平和の和を書くいわゆる紘和会というのがあると承知をしておりますが、どうでしょう。
  300. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ございます。
  301. 草川昭三

    ○草川委員 この紘和会の設立の経緯、会長名、会員数、活動内容、会費等、ごく簡単で結構でございますから、どんな程度のものかわかればお知らせ願いたいと思います。簡単で結構ですから、詳しいことは要りません。
  302. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ちょっと詳細に後でまた御質問でしたらお答えしますけれども、代表になっておるのは私の友人の水町という方でございまして、それで会員は、そうですね、百人、二百人ぐらいだろうと思います。そうですね、七、八年から十年になるんじゃないかと思います。
  303. 草川昭三

    ○草川委員 会長はお医者さんだと思いますが、そうですね。
  304. 加藤紘一

    加藤国務大臣 そのとおりでございます。
  305. 草川昭三

    ○草川委員 私どもの調査では、この紘和会の会合に共和の森口元副社長が出席をされておりますが、承知をされておみえになりますか。
  306. 加藤紘一

    加藤国務大臣 メンバーではないのですけれども、そういう週刊誌の報道がありましたので調べましたら、いわゆる傍聴者といいますか、非会員で一、二度お見えになったことがあって、私の時事講演を聞かれた百人前後の中におられたということは後で聞きました。
  307. 草川昭三

    ○草川委員 要するに、森口さんがお見えになったということを今お認めになったわけでございますが、共和からこの紘和会には会費が納められているんじゃないでしょうか。
  308. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ございません。
  309. 草川昭三

    ○草川委員 簡単にございませんとおっしゃっていいんでしょうか。少しお調べになってからお答えをされた方がいいと思うのですが、どうでしょう。
  310. 加藤紘一

    加藤国務大臣 その会をやるときに毎回会費を、食事代を取るわけですけれども、それ以外はないということを聞いております。
  311. 草川昭三

    ○草川委員 お忙しい方ですから、細かい、会員が一々どうのこうのということは御記憶ないかもわかりませんが、事共和という問題は今やまさしく時の問題になっておるわけですから、それで、当然のことながらこの共和との御関係については私さらにいろいろとお伺いをいたしますけれども、あるかないかということよりも、直ちにこれも調べられて、本当にないならないのか、あるいは会費制だから当然のことながら会費を振り込んだという人もいるわけですから、私はもう少し御慎重な御答弁をされた方がいいと思うのですが、この会費納入については、毎回ごとの会費としては森口も参加をした、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  312. 加藤紘一

    加藤国務大臣 正式の会員の方から会費をいただいております。月々の払い込みもあると思いますのでも、さっき言いましたように正式の会員ではないので、時事講演を聞くとき、そのとき非会員、言うなればビジターだと思うのですけれども、それで、食事の費用が一万なのか二万なのか、そういうことで、いわゆる実費だと思います。
  313. 草川昭三

    ○草川委員 では、次にお伺いをいたしますが、この紘和会というのは政治資金規正法に基づくところの届け出団体ですか、どうですか。
  314. 加藤紘一

    加藤国務大臣 届け出団体です。
  315. 草川昭三

    ○草川委員 それはいつからですか。
  316. 加藤紘一

    加藤国務大臣 会発足の直後ぐらいじゃないかと思いますから七、八年、五、六年か七、八年になるんじゃないかと思いますが。
  317. 草川昭三

    ○草川委員 それは正確な御答弁でないので、改めて御調査をして御報告を願いたいと思います。
  318. 加藤紘一

    加藤国務大臣 改めて御答弁いたします。
  319. 草川昭三

    ○草川委員 これは過日も総理にもお話をしましたが、政治家というのはお互いに任意団体というのは持っていると思うのです。それは同級生もあれば、各地域に何々を囲む会。ところが、この任意団体で集まった金というのは、実は、例えば今朝飯会という話も出ましたけれども、食事の実費が例えば五千円とすれば一万円の会費にするとか、あるいは食事がもう少し高ければ、一万円なら二万円の会費で話を聞こうじゃないかとか、そういうのがおおむね多くある任意団体だと思うのです。それをひとつあなたの政治活動として使いなさいという場合が多いのですが、これはほとんど政治資金規正法に届け出られでないのが実情なんです。  だから私は、ぜひこの問題は今度の法改正の中で、任意団体といえども政治活動に使う場合はきちっと政治活動の入金にする、いわゆる資金規正法の入りの方に入れるということを、ぜひこれはお互いにやろうじゃないか、こういうように思うのですが、その点はどのようなお考えか。個人的な感想で結構でございますから、この任意団体についての答弁総理にお願いをしたいと思います。
  320. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 確かに、今おっしゃいますように自然発生的にそういう団体ができて、月に一遍とか飯食って話をしようというようなことはありますから、それは決して悪いごとではないと思うのですけれども、結果として政治資金を、透明性をちょっと妨げるようなことになることはあると思います。  第百二十一でございますか、国会に提出いたしました改正案では、選挙制度の改革にあわせまして、関係政治団体の公表、あるいは資金調達団体はたしか二つ以内でございましたか、そういうことを御提案をいたしたことがございますので、御指摘の点は確かに一つの意味を持っておると思います。
  321. 草川昭三

    ○草川委員 時間がどんどんたってしまいましたので、加藤官房長官に基本的なことをお伺いします。  紘和会の会長さんの、これは後援会の会長はお医者さんだということを言われましたが、その方の仲人はあなたですね。仲人をやられましたね。この紘和会の会長は鈴木善幸元総理の主治医ですね。これも間違いございませんね。紘和会の会長の経営する医療機関が今度の共和事件の、共和の契約医療機関であることも御存じですね。それは御存じないですか。共和の顧問の医療経営機関、これはおたくが仲人をされた会長さんなんです。  それから、共和の会員制レジャークラブ麹町倶楽部、私が先ほど言いましたね、麹町倶楽部、一枚一億円の会費によって起死回生の策をねらったこの麹町倶楽部の発案者が紘和会の会長さんであることを御存じですか。
  322. 加藤紘一

    加藤国務大臣 存じません。
  323. 草川昭三

    ○草川委員 存じないという御答弁でございますが、私はそれはいかがなものかという感じがいたしますけれども、押し問答はやめましょう。  平成二年の総選挙がございましたね、平成二年の一月の総選挙、この前の総選挙。一月二十四日に解散をしました。二月の十八日に投票が行われたわけでございますが、この肝加藤さんは新宿のホテルセンチュリーハイアットに行かれたと思うめですが、その点はどうでしょう。
  324. 加藤紘一

    加藤国務大臣 どういうことで行ったということでございましょうか。
  325. 草川昭三

    ○草川委員 共和には部屋がリザーブをずっと長期間してありまして、そこで加藤さんと森口副社長と会長のドクターといろいろなお話し合いがあったというのですが、その点御記憶ございませんか。
  326. 加藤紘一

    加藤国務大臣 ございません。
  327. 草川昭三

    ○草川委員 選挙の忙しい時期に森口副社長と会われたという、我々は一つの調査をした。私どももここで申し上げるわけでございますから、具体的な問題があるのですよ。いいですか、私の方は持っているのです。ただ、大変恐縮でございますけれども、大変お身分のある方でございますので細かいことは一々申し上げませんけれども、私どもは、そこで共和の森口副社長に加藤さんがお会いになった。それで、当然選挙中のことでございますから、何らかの目的があってお会いになったことは間違いがない。森口副社長はそこで加藤さんと、短時間のようでございますけれどもお会いになったというお話があるのですが、その点は御記憶ございませんか。
  328. 加藤紘一

    加藤国務大臣 そういう事実はございません。
  329. 草川昭三

    ○草川委員 そういうことならば、私どもは、これはもう言った、言わぬという話になりますから、これは問題でございますから、やはり加藤さん自身が証人として、そういうことはないならない、立たれるお気持ちがあるのか。また逆に我々が、加藤さんの側からいうならば、証人連れてこいということだと思うのです。私はここへ、その場に居合わせた方の証人を求めたいと思うんですね。それをあなたが自民党の方々に頼んでやろう、ここでひとつはっきり対決しようじゃないかというようなことをやっていただくならば、私はこの問題については後日に譲っていきたいと思うんですが、あなたのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  330. 加藤紘一

    加藤国務大臣 具体的にいつでございましょうか。
  331. 草川昭三

    ○草川委員 選挙中の一月末あるいは二月の上旬、御記憶ございませんか。選挙のときですから大変お忙しいときです。ちょっと寄られたんです、新宿に。ちょっと寄られだというのは、一定の目的があって寄られたわけです。私どもは勝手にそういうことを申し上げておるわけではございません。御記憶があればいいし、御記憶がなければ我々はまた次のことを申し上げなきゃいかぬわけですから。それはどうぞひとつお考えになって、また、調査をするなら調査をするということでも結構です、いろんなお忙しい方ですから。調査をして後ほど御報告なされるならなされるということで私は終わっても結構だと思うのです。どうでしょう。
  332. 加藤紘一

    加藤国務大臣 大分前のことですから、それは調べますけれども、そういう事実はございません。調査いたします。
  333. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、調査をされるということですから、それでこの問題については一応きょうは終わっておきます。  そこで、次に佐川急便問題に行きます。もうあと余り時間ない……
  334. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 五時十四分までになっております。
  335. 草川昭三

    ○草川委員 そうですか。  佐川問題について警察庁にまずお伺いをしたいと思います。  警察庁に、本件捜査に至りました端緒、あるいはまた捜査に関する概要、きっかけ、現在の捜査状況についてお伺いをしたいと思います。
  336. 國松孝次

    國松政府委員 お尋ねの件につきましては、昨年の夏、一連の証券・金融不祥事が明るみに出まして以来、警察といたしましては、稲川会の前会長が巨額の資金を運用いたしまして株の取引などをしていたという事実がございましたので、暴力団対策を進めるという観点から、その資金の流れを解明いたしまして、そこに何らかの違法行為があれば厳正に対処するという基本方針で捜査を続けてきたところでございます。その過程で東京佐川急便の前社長等の不正貸し付け等が捜査の視野に入ってまいりまして、去る二月十三日、警視庁において関係箇所の捜索を行い、強制調査に着手したところでございます。  現在捜査をいたしておりますのは、東京佐川急便の前社長と前常務らが共謀の上、暴力団稲川会と関連のあると思われます北東開発の利益を図る目的などをもってその任務に背き、総額約百十億円を同北東開発に貸し付けするなどして回収不能に陥れ、東京佐川急便に対し同額の損害を与えたという商法違反、特別背任事件でございます。  今後とも、東京佐川急便前役員と暴力団の関係、そこにおける金の流れというものに重点を置きながら、着手した事件の容疑事実を初め事案の真相を解明してまいりたいと考えております。
  337. 草川昭三

    ○草川委員 渡辺郵政大臣にお伺いをします。  昨日、渡辺郵政大臣は東京佐川の渡辺社長と会ったことを認めましたね。何回ぐらい会われました。
  338. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 大勢の中で会ったこともございますし、あるいはまた、ちょっと何回かはよく覚えておりません。済みません。
  339. 草川昭三

    ○草川委員 京都の佐川清会長にもお会いになったことがありますか。
  340. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 東京の社長は同じ選挙区の方ですが、京都の会長は、同じ新潟県人ですけれども選挙区でなかったので、実は一回もお目にかかったことはございません。
  341. 草川昭三

    ○草川委員 東京佐川の渡辺さんに何回か会われた目的は、これは、財団法人の平和研の資金集めてお願いに行かれたのではないでしょうか。
  342. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 先生がおっしゃるとおりでして、平和研の設立に協力をさせていただきましたので、お願いに参上いたしました。
  343. 草川昭三

    ○草川委員 これは五億円ということで理解してよろしゅうございますか、東京佐川から出たのは。
  344. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 ちょっと先生、それは私、当事者ではございませんので、金額を確認することは御容赦いただきたいと思いますが。
  345. 草川昭三

    ○草川委員 昨年の十一月にこの平和研の理事をやめられたのは、どのような御理由でございますか。
  346. 渡辺秀央

    渡辺(秀)国務大臣 これは、閣僚に任命されましたので、ほかの団体、しかも政府機関との若干の関係もございますので、実は御遠慮申し上げたという次第でございます。
  347. 草川昭三

    ○草川委員 渡辺さんのことについては、じゃ以上でとりあえず終わりまして、時間がございませんので、運輸大臣にお聞きする前に、佐川急便の非常に乱脈な融資あるいはまた債務保証等が今問題になっておるわけでございますけれども、この中に農林中金の融資があることが昨日も問題になっております。農林中金は、佐川急便に理由があって貸したんだ、その先のことは関知せずというような答弁だったんですが、いま一度御答弁願いたいと思います。
  348. 川合淳二

    ○川合政府委員 農林中央金庫は、農林水産業の関連産業に対する貸し出しも認められているわけでございまして、農産物等の運送事業を営む法人でございますので融資を行うことができるということでございます。そうした貸し出しの一環といたしまして東京佐川急便につきましても貸し出しを行った、事業に必要な資金につきまして安定的な取引を続けてきていたということでございます。昨日も申し上げましたように、特に返済が滞ったり事故があったりというようなことはないという報告を受けております。  それから、報道がございました転貸云々ということでございますが、農林中央金庫におきましても調査をいたしておりますが、これまでの調査ではそのような事実はないというふうに受けとめているという報告を私どもは受けております。
  349. 草川昭三

    ○草川委員 私は今この手元に、債務者別保証債務一覧表(二七)、東京佐川の話ですよ、というのを持っておりますが、リバスター音産株式会社、農林中金から平成二年九月の七日に四十五億円、それから、同じ圧に別口で四十億借りておるわけですね。このリバスター音産というのは東京佐川の系列の会社です。それで早乙女さんというのが代表者です。有名な橋幸夫さんが役員の会社ですね。ここへ農林中金の金が行っておるんです、リバスター音産に。四十億、四十五億、計八十五億行っております。  それで、返済条件の中に、先ほど転貸はしていないという答弁でございますが、これはきちっとした債務者別保証債務一覧表(二七)ですよ。それで、四十億については、返済条件「継続できる」、資金使途「株式運用資金」。どうなんでしょうね。四十五億の方、「五億返済」、三月六日、平成二年。「株式運用資金」、資金使途。こういうきちっとした明細があるにもかかわらずただいまの答弁を繰り返されるのかどうか、問題ですね、これは。農林大臣はちょっと関係ないから、もう一回御答弁していただきたい。
  350. 川合淳二

    ○川合政府委員 私ども、先ほど申しましたように、報道がございましたのでその点農林中央金庫に報告を求めているわけでございますが、その報告の中には今のようなことは私ども聞いておりません。
  351. 草川昭三

    ○草川委員 それはだめですよ。いかに農林省が農林中金に対する姿勢が悪いかというのを、私は持っているのですから、ここにたくさん。これだけでも私は二十分でも三十分でもやりますけれども、これも農林大臣、後で返事ください、きちっと。そんないいころかげんの答弁しておっちゃだめですよ。  きょうは日銀さん呼んでおみえになるので、最後にちょっと、この最近の金融不祥事についての見解をお聞きします。  その前に一問、運輸大臣、私はたまたま今ここに、いろいろと言われております佐川急便の分担金の一覧表を持ってきました。これはもうテレビなり新聞で一応出ておりますが、グループ内分担金というのがございまして、これは平成元年七月の二十二日の分です。東京が二五%、それで大阪が七%とか、こう分担金を集めて、今後佐川急便の全社的な要因で発生する寄附金にこれは充てますよという内容なんです。これはパーセントだけの表なんです。  ところが、私はたまたまここに東京佐川急便の平成元年の二月の分担金、いわゆる上納金ですね、それの領収証を持っております、二月分、三月分の。それで、細かいことを一々言いませんけれども、総売り上げの一〇%、これを一二%にするという時期があったのです。これは参議院でも大分問題になったのです、一〇%が二一%になる。ただ、こういう領収証を持っての質問じゃないので改めて私は申し上げるのでございますが、この二月分の場合でも、東京グループで、東京佐川なり、あるいは近郊の東京ブロック全体で二十二億六千九百万の上納金というのですか清算金というのですか、いわゆる運送業に関係ない金が本社の方に吸い上げられていく。こういう中に、このグループ内の分担金も多分含まれているのではないかと思いますが、かような運送業の実態というものを許していた運輸省の責任も大きいと私は思うの、です、これは国会で何回か問題になってきたわけですから。  それで、その資金の使途が、またこれ共和を上回る形でいろいろと問題になってきておるわけでございますが、ひとつ時間が来たようでございますので、ここで運輸大臣と、それから日銀として一体どういうチェック体制の金融状況が行われているのか、あるいはこれは、私は今運輸省と日銀とを一緒にしてしまって申しわけございませんが、運輸省には、こういうような清算金を基調とするような運送業のあり方がおかしい、どういうような行政指導をしたかということ、それから日銀の方には、債務保証なり直接貸しで四千億を超えるお金が出ておるが、一体今日の金融機関のチェック機能というのはどのようになっておるのか、いいのか悪いのか、その点を質問いたしまして、私の持ち時間が終わりますので質問をやめたいと思います。
  352. 吉本宏

    ○吉本参考人 佐川急便問題につきましては、これは金融機関の個別の貸し出しの問題でございますので、私どもからコメントをすることはお許しをいただきたいと思います。  一般論として申し上げまして、私ども融資を行う場合に、融資相手先の業況や経営内容について十分審査を行うこと、あるいは企業による保証が行われるような場合には、その保証先の企業についても十分審査を行わなければならないということは、これはいわば金融のイロハでございまして、リスク管理という点から見てこれは絶対ゆるがせにできない問題であるというふうに思っているわけであります。  昨年来いろいろ金融関係の不祥事が起きまして、その点について我々も反省をいたしております。今後とも信用リスクの管理ということについて金融機関には十分申し上げてまいりたい、このように思っております。
  353. 奥田敬和

    ○奥田国務大臣 上納金がもう大変高くて、そのことによっていろいろ問題が発生したという形は国会審議の中でも指摘されたとおりでございますのですけれども、佐川の形態を調べてみますと、全国の、言ってみれば全国ネットの各支店が何か独立の会社形態をまたたどっておりまして、したがって、集貨集配がそれぞれAからB、BからCの会社へ行くという形の中で一定の清算金、これを上納金という形にすれば、そういった形の多少のものは必要だったと思いますし、そしてロイヤルティーと申しますか、佐川というあの飛脚の商標を使って運送業を独立会社といえども営んでいるわけですから、一定の商標料は、これは宣伝料も含めて認めておかしくないんじゃないか。  ただ、今御指摘されたように、一〇%、一二%という中で過剰労働を招き、各経営の体質をおかしくさせるというような実態にかんがみまして、やはりこれを指導してまいりました。指導してまいりまして、近時は四・六%という形の線まで指導してまいりましたけれども、このくらいの数字なら、先ほど申しましたように宣伝料、ロイヤルティー、集貨集配の清算システム、そういった形の中ではまずまず認めていい線ではなかろうかと思っております。
  354. 草川昭三

    ○草川委員 大変恐縮で申しわけございませんが、肥料問題等でお呼びした役所の方、大分お見えになりますが、時間がなかったので質問ができません。また次の機会に譲りたいと思います。どうも失礼しました。
  355. 中山正暉

    ○中山(正)委員長代理 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、日野市朗君。
  356. 日野市朗

    ○日野委員 総理、私この委員会をずっと聞いておりまして実に情けない思いを抱いております。私も同じ国会議員としてこのような委員会を実は見るに忍びない。私は本来ならこういうスキャンダルの追及のようなことを実は好まないのです。私もう既に質問の事項をお出ししておりますから、私の関心がどの辺にあるかということは、総理ももう既におわかりいただけていると思う。しかし、ごらんになってください。この委員会の雰囲気で、私が事前にお出ししたような日本の国家目的とかそういうことを今論議するような雰囲気ではない。まことに私は残念だと思う。今までの論議がこのようなスキャンダルの追及、こういう形で進んでおります。そして、この点についてはやはり沸々とたぎる怒りというようなものが私の中にもありますのでありますから、まず私初めに、政治改革のことについてまず総理といろいろ論争をしたい、討議をしたいと思います。やむを得ない。  そこで、このような事態になって国会がまともに動かぬ、これは今予算委員会の審議は行われておりますけれどもね。しかし、この予算委員会の中でこのような議論に終始をしていもという、こういう事実を見て総理いかがお考えです。あなたは、施政方針演説の中で共和事件についてあなたはおわびということを言われました。もちろんこれはあなたの言いたいことであったろうと思います。しかし、事態は単なるおわびではもう済まないような状況になっている。まともな政治日程もどんどん進んでいかない。このような事態、これは直さなくちゃいかぬです。  あなたはその点についてどのようにお考えになっておられるのか、あなため御感想を伺うところからまず始めたいというふうに思います。
  357. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 日野委員の御質問の要旨はあらかじめ承っておりましたので、ただいま仰せられておることはよく私にわかります。  そこで、施政方針演説におきまして、冒頭の部分で阿部議員のこのことについておわびを申し上げたわけでございますが、また最後の部分におきまして何よりも政治改革の確立を図ることが必要だということを改めて申し上げまして、それについての努力と御協力とをお願いをいたしたわけでございます。この施政方針演説、一月二十四日でございますが、今日までの間に、確かにこの問題は非常に国会の御審議に大きな影響を与える結果になりました。その結果として、いわば予算を中心とするいろいろな御審議が中断をされ、また再開されましたけれども、当然この問題がいろいろ御論議になる、まことに残念なことだと思っております。  そこで、しかしそうではあるが、やはり私が施政方針演説で申し上げましたように、この事態にともかく対応する正面からの取り組みは政治改革以外にないのではないか。国民から生まれます不信というものはなかなか簡単に除けないかもしれませんけれども、しかしやはり政治改革に正面から取り組むということによって国民の理解あるいは信頼を回復していくという、それしか方法がないのではないかというふうに考えておりますものですから、私自身も私どもの党の諸君と相談をしながら、できるだけ早い時期に政治改革についての諸方策を協議会に御提案をいたしたいと存じますし、また各党におかれましてもいろいろ御準備中でありますので、協議会において速やかに御協議が調いまして、そのような政治改革の具体的な措置が成立して改革の緒につくことを心からこいねがっております。それがいわば今我々に与えられた一番大切な仕事ではないかというふうに考えております。
  358. 日野市朗

    ○日野委員 帰するところ、今まで総理が政治改革について述べてこられたことと同じことを述べておられる。しかし、私が思いまするに、現在このように予算委員会すらこのていたらくであります。このような状況をきちっと直していくためには、総理はもっとリーダーシップを発揮しなくちゃいかぬ、私はこう思うのです。  もう私も、この政治改革に関する国会の今までの論争、それから委員会がどうなったかというようなこと、それからいわゆる三法がどうなっていったかというようなことも、現実に私もそこにかかわりを持ってやってまいりました。よく知っています。この問題についてそれが簡単な問題ではないのだということをよく知って私は総理に申し上げるのです。こういうような状況をこれは国民が一番悲しんでいるわけでありますね。これを今にして直さなければまた同じような事件が続々と出てくるだろう、そういう構造を今の日本の政治は持ってしまった、このように私考えているんですよ。  そのことについては後でまた申し上げますが、今にしてこの状況、これを直して、きちんとした政治改革を、痛み、激しい痛みを伴ったにしてもこれをなすべきである。今日本の首相として、総理大臣として、今あなたはそのリーダーシップを発揮するおつもりございませんか。各党がどうあれ、協議会がどうあれ、これはあなたは歴史の名においてなさるべきことであると思う。日本の政治がこのような危機の中にあるときにあなたが何よりもなすべきことは、あなたがリーダーシップをとってきちんとこの状況を改めさせる、そのことであると私は思いますが、いかがでしょう。
  359. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ただいま自由民主党の責任者の立場を仰せつかっておりますので、私は自分の党員とともにこの問題について早急に我々の対案を決定する務めを持っておると思います。その点は自覚をいたしております。つきましては、これはいずれにしても法案の形をとることにならざるを得ませんので、多くのものは、これは協議会において各党の御同意も得なければならない。また、各党においてすぐれたお考えをお持ちである可能性は十分ございます。したがいまして、できるだけ精力的にかつ実効性のある結論を協議会でお出し願いますように、私どもとしてまず私どもの努力をいたしたいと思います。
  360. 日野市朗

    ○日野委員 私、実は非常に激しいものを私の中に持っておりまして、この政治改革の問題については、あえて申し上げる。あの政治改革に関する三法、前々国会でございますかね、あれがつぶれたというのも、廃案になった、これもその原因は、まことに失礼だが、自民党の中にあったと私は思います。そして今度の共和事件、それから、これから佐川急便事件も出てまいりましょう。このような汚職が、政治腐敗が顕然化してくる基盤が、まことに失礼だが、自由民主党の中にあると私は考えているんですよ。  私は、こういうことを言うからには、自分がどのような政治活動をやり、どのような経費をかけているかということについて率直に申し上げましょう。私も六回衆議院選を戦いました。いまだに一人の選挙違反者も出していない。これは私の誇りであります。そして、選挙費用についても申し上げる。私もよくわかりませんから、恐らく法定選挙費用でおさまってはいないだろうなとは思う。しかし、はっきり申し上げられることは、法定選挙費用を上回ってもわずかであろうと私は思っているんですよ。  現にそのような形で選挙をやってきて当選してきている人間がちゃんといるんです。私は労働組合出身でもありませんし、一介の弁護士からこの衆議院議員という職につけていただきました。私は、そういうような、もしみずからを正して少ない費用で選挙をやっていく、公正な選挙をやっていく、こういうことをやろうと思えばできる。現に私はやっているんだ。しかし、そうなっていないところにむしろ現在の政治腐敗の問題があるのではないか、こう私思います。  私、阿部文男さんのかけた政治活動に関する費用というもの、これはみんなが驚くほど大きい額ではないと思っているんですよ、一般の自民党の方々の中で。私、ちょっと公表された資料を若干洗ってみました。それはちゃんと資料としてあるんですね。これは新聞紙上に報ぜられた阿部文男事務所の月間事務所経費のコピー、これは新聞に出ております。それのトータル一カ月分三百五十万、こうなっておりますね。総理もこれを御存じですね。新聞で恐らくごらんになったと思いますが、いかがでございましょう。そして、この額についての感想をちょっと述べていただけませんか。
  361. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私どもの党の中に、当選回数の非常に若い人たちが何人か、ユートピア政治研究会というグループをつくりまして、正直に家計簿をつけてそれを公表されたことがございます。まあ一年生と言っては失礼ですが、でございますから、普通の人よりも金が要るということはあるといたしましても、この家計簿というのが大体月に千万円に近い、平均値でございますから、今おっしゃいましたことは、恐らくそんなに驚くべきことではないのでございましょう。
  362. 日野市朗

    ○日野委員 今、私も、総理がおっしゃいましたユートピア政治研究会の諸君の、総理が家計簿とおっしゃいましたが、これは私も手元に持っております。これは、まあ一年生だから余計経費がかかるのかどうかわかりませんが、この諸君の方が阿部文男さんよりもむしろ上回った経費をかけて活動しておられるようですね。平均をとりましょう。平均をとりますと年に一億一千六百四十五万円、こういうことになっております。一億一千万強、こういうふうに理解をいたしましょうね。  さて、これだけの金を一体どうやって集めてくるのか、この人たちは。そのことも問題になります。しかし、それと同時に、これだけの金を使って政治活動をやって、私はまともな政治活動ができているのかと思います。  選挙民と政治家とのつながり、私は、これは心と心のつながりだと思う。信頼と信頼のつながりだと思いますよ。総理も、阿部さんやめさせたらいいんじゃないかということについて、政治家と選挙民とのつながり、信頼関係、これを重視しておられる。私も、これは一概に間違っておると申し上げるつもりはございません。しかし、この信頼と信頼をもってつながるべきものが、その信頼が金銭に置きかえられていくとしたら、政治はまともなものになりますか。いかがお考えになります。
  363. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そこで、そのユートピア研究会の、月ほぼ千万円でございますけれども、これを友人に聞いてみましたところが、その段階では、やはりまだ冠婚葬祭というものを選挙区内にもう手落ちなくしなければ相手方に負けてしまう。そのためには各地に秘書を置くしか方法がない。仮にアルバイトの学生であっても月にかなりのものがかかる。その人件費が非常に、一千万円の大きな部分であるということを聞かされました。  そこで、その後法改正が行われまして、そのような冠婚葬祭についての、あるいは電報等々、それは、そのための費用よりはそのための人件費を節約するという意味でかなりの効果があっておると聞いておりますから、やはりそういう形で出る方をまだまだ、少し人情に反することがあっても切っていく。そういう法改正が一つ私は役に立つのではないかというふうに思っております。
  364. 日野市朗

    ○日野委員 まあ、おっしゃるとおりでありましょう。私なんかも自分の選挙区を走り回ってみて、これは一年生ばかりじゃありませんよ。もう大分ベテランの方々も各地に事務所を持ち、そこに常駐の事務員を持ち、そして活動をしておられるわけですね。私は、このような形というものは極めて不健全だと思っている。しかも、そのような秘書といいますか事務員といいますか、そういう人たちが走り回って集金機能も果たしている、こういう構図はもうまさに見え見えでございまして、こういうことをきちっとやめていくことが必要なのだというふうに私思います。私は、こうやって金をむやみやたらと使う人たちに対してはもちろん厳しい批判をいたしたいと思います。それと同時に、こういう人たちに金を上げる人たちにもきちっとした批判をしなければならないと私は思っています。  そこで、このユートピア研究会の諸君の収入の方、家計簿の入りの方です。これを見てみますと、国費というのは年間千八百八十万でございます。それから、党とか派閥から入るのが平均一千三十八万である、こう言っておりますね。まあ、党からもち代が出るんだ、派閥からもち代が出るんだということはよく言われることでありますが、しかし、私はこういうことはいかぬと思うのですよ。大体派閥の方が参ってくるでしょう、こんなことをしていたら。総理も今のような派閥のあり方は考え直さなくちゃいかぬと述べられたことが新聞に報ぜられておりまして、やっぱり総理もこの点については悩んでおいでだなと私思っております。まあ党にしても、こういう金の支出というのは、これは大変なことでございます。我々は党に納めこそすれ、もらいはしないんですよ。全く逆なんですな、これは。  それから献金、これも平均値でございますが、年間五千四百三十四万、こうなっておりますよ。一体だれがこれを出すのでしょう。このくらいの額、個人からどのように集めたってとても埋まる額ではございません。やっぱり企業からもらっているんでございましょうね。あとはパーティー、二千四十万、こんな数字がずっと並んでおります。  まず、党や派閥からこうやって金を出すということ自体、どうお考えになります。この金が政界を腐らしていく大きな原因の一つと私は思いますが、いかがでございますか。
  365. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私どもの党の中で、いま一つ行われました改革は、いわゆる派閥というものが、従来でございますとパーティー等々をいたします。そしてかなり大きな収入を上げまして、まあメンバーのためにそれを使っていくというようなことが事実上長いこと行われておりました。しかし、そのことをやめてしまいました。その結果は、そのような財源がほば党一本に集まっていくということになりつつございまして、それだけ、それはしかしそれでもかなり大きな実は改革であったわけで、党が主体になって党運営の、あるいは党員のための資金を集め、そしてこれを党員のために使おう、そういう程度一つ改革が、この二年、三年になりましょうか、できてまいりました。  しかしそれは、今、日野委員の言われますように、そうでもいたしませんと、ユートピアの人たちは必要な費用、出の方をそれだけ削ってまいりましても、まだまだ党に頼らざるを得ないというのが実情でございますから、それを党の方が、いわばそういう意味ではガラス張りでやるということは、今までの体制から比べれば、多少の進歩であったということは申し上げることができるだろうと思います。     〔中山(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  366. 日野市朗

    ○日野委員 次に、献金の、私はこれは本当にびっくりしてしまうんですが、一年生議員あたりが献金を五千四百三十四万円も受け入れている。一体これは何を意味するんでしょうね。総理、いかがお考えになりますか。
  367. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私も、そういうことを聞いておりまして、半ばは、若い将来有望な代議士さんがそういうことに奔走しなきゃならないのは気の毒だと一面思いますし、他面では、まあすぐれた人であるから企業の側でも将来を楽しみに、ひとつ本当にこれは欲得ずくでなく御面倒を見ようかと。いやそういう人は本当にいないわけではありません。そういうこともあるだろう。しかし、いずれにしても若い人にとっては荷の重いことだなというふうに私は話を聞いて思っております。
  368. 日野市朗

    ○日野委員 もちろん荷は重うございます。これだけの金を集められる方、それはいろいろ実業の世界で成功された方もおいでになるだろうし、社会的ないろいろな仕事をして、あれは優秀だから助けようということを考えられる方もおいでかもしれない。総理の言われるとおりかもしれない。しかし、それにしてもこの額の多さですな。これにはびっくりせざるを得ないのですね。  そして、こういうこれだけの金を出せるという人というのは、大体は企業でございますよ。企業というのは、これは商売人なんです。これは商売人が政治に接近をする、あれは優秀だと言ってですな。あれはいいやつだ、将来有望だ。このことによって金をくれるということは一体何を意味しているのでございましょうか。私は、無償の援助というものは商売人の世界にはないと思いますよ。やはりその見返りを期待するからこそこういう金を出すわけでありまして、見返りを期待されたらやはり見返りを与えなくちゃいかぬ。それは政治の場で与えることになるではないですか。そういうお金を出せない人は、じゃ、どうすればいいのですか。ここいらのところをいかがお考えですか。  まあ、商売人と言っちゃ悪いですが、そういった企業家たち、こういう人たちがお金を出す。昔から日本には政商という嫌な言葉がございますね。これはどこの国にでも、やはり政治に企業家が、商売人が接近するということはあり得ることでしょう。しかし、そういうときは必ず何かの見返りが期待されている。そしてその行き着く先は疑獄ではありませんか。いかがお考えになりますか。
  369. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 そこは、私は日野委員に申し上げたいのですけれども、余り、余り簡単に割り切っていいものじゃないという気がいたしますのは、実際にしばしばこの委員会でも御質問がありますが、企業からの献金は一切やめたらどうだというお尋ねがあります。私は、企業もしかし社会的な存在で、いろいろな考え方を持っておりますから、節度を外さない限りは、それは私は一概に悪いと思っておりませんと申し上げております意味は、確かに商売人の人もございます。その人たちは自分の企業に対して比較的近い利益を求めるということもそれはございます。ただ、そういう人ばかりではありませんで、やはりこの青年を立派な政治家に仕上げたいとかあるいはもう少し遠い、近くない、つまりやや理想に近い体制、仮に体制という言葉を使わせていただきますけれども、体制をやはり自分たちは大事にしたい、そのために働いてくださいというようなそういう応援の仕方もございますし、ですから、そこはなかなか一概には申せないということだけは、私、自分の経験でも言えることでございます。ただ、ですが、やはりおのずからそれには節度というものがあるだろうということは申し添えなければなりません。
  370. 日野市朗

    ○日野委員 私も総理がそのようにお答えになるだろうとは思っておりました。八幡判決というやつは、私もよく存じております。そして、企業も社会的存在である以上、政治に対して働きかけるのは、これは当然だ、こうおっしゃりたいでありましょう。しかし、よく考えてみてください。企業が法人として、それが社会的な存在を認められているというのは一種のフィクションなんですよ、これは。経済の動きの中で、そういう一つの団体として、法人として認めておいた方が便宜である、そういう考え方が根底にあって、そう法人というものはできているわけですね。これが政治の世界にまで出てきて、そして政治の世界に働きかけるということは、恐らく法人というものは予定されていない、私はこう思うのですね。  しかも法人というのは、有限会社であれば持ち分、株式会社であれば株式です、その根底にあるものはですよ。その株主とか持ち分権者である有限一社員、そういった人たちがやればいいことであって、政治に働きかければいいことなのであって、それが社会的な存在なのだから政治に働きかけることを肯定するということには私は賛同しかねるのですね。  しかもここでは、この法人というものは一応社会的存在だと法律的には、そういういろいろな議論はありますが、そういうことは言えるかもしれない。しかし、ここは政治の場なんですよ。政治の場でそういうことを言って通るものかどうか。企業が現に政治に働きかけて数々のスキャンダルを巻き起こしてきた、そういう現実を踏まえながら、なおかつ総理はそうおっしゃるのですか。いかがでしょう。
  371. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、このごろでは余り体制という言葉を使わなくなりましたけれども、事実に徴しますと、昭和三十五年、いわゆる安保国会のときでございますが、これは企業が体制側の危機と感じた、私の経験しております比較的古い。出来事でございますが。そのときにしかし、どうしたかと申しますと、企業自身は特定の政党なり候補者なりと直結することは、やはり今、日野委員のおっしゃったように、これは問題がある。したがって、直結を切って、今、国民政治協会でございましょうか、当時は違う名前でございましたけれども、そういうところへみんなが金を集めて、そうして体制を守り、体制を進めていこうではないかということが今日の国民政治協会の起こりでございました。  私はそのとき自分で関係いたしましたのでよく記憶しておりますが、そうなりますと、これは特定の企業が自分の利益のために、自分の会社の何かの特定の利益のために金を出しているのとは違う。そこは関係を切りまして、体制のためと言いますか、もっと大きな言葉で言えば我が国の将来のためと申しますか、政治の浄化のためでもよろしゅうございます、そういうことでみんなで金をプールして応援しようではないかということは、現に今日行われておって、私はこのことは意味のあることだというふうに考えています。
  372. 日野市朗

    ○日野委員 政党に政治献金を一本化しようではないか、こうおっしゃったそのアイデアを出された方はたしか植村甲午郎さんですか、何かそんなふうに私もちらっと物の本で読んだことがございますがね。その当時の財界というのは体制を守るということも一つの考え、当初はあったでございましょうが、そのときはもはや体制を守るというよりは、経済活動を猛烈に突き進めていくという、いわば経済成長をどんどんどんどん進めていこう、そのために自民党をして企業の擁護をさせようというところにその主たる目的があったような感じが私にはいたします。いかがでございますか。
  373. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 日野委員とはかなりの点で気持ちが一緒になりますけれども、その辺になりますと、やはりお互いの、自分の、何と申しますか、考えてきた経緯があるんでございましょうね。私は、日本の経済が成長していく、それは国民生活全体に、日本全体にいいことであって、それが即企業の利益のためという、そういうふうにすぐ考えるような習性を実は持たないものでございますから、そういう意味で、やはり大きな意味で企業が我が国全体をよかれかしと考えて支援をしているというふうに私は考えたい。もちろん、何もお互いに純粋に一〇〇%、これで一〇〇%、〇%という議論になっているんではないと思いますけれども、企業側の今日、あれからの経緯というものは、私は個々の企業の利益というものと切り離すことに非常に気をつけていると思います。
  374. 日野市朗

    ○日野委員 今まで、それは理念のお話を私と総理、やってまいりましたよ。しかし、ちょっともう少し現実はそんな理念を離れて、もっとぎとぎとしたものになっちゃっている。そこで、私お伺いしますが、現実の日本の政治の動き方、政策の立案過程、これがどうなっているかということについて私、総理に認識を伺います。  自民党の中には族議員と呼ばれる方々がいっぱいおられまして、まあ例えば金丸さんだとあれは郵政、郵政族の大物だとか、それから竹下さんになると建設族の大物だとか、こう言われるわけでございますな。そして、自民党の中で政策が立てられていく過程を見ますと、部会を通り、政調の審議会を通り、総務会を通り、党議決定、閣議決定、政府提出法案の提出というような一つの一ごの一連の動きをずっとたどっていくわけですね。その中で、多くの方々がそこの中に関与していかれる、そして、その政策の立案の中にいろんな意見を出していかれるわけですね。まあ中にはガス抜きをされたりなんかする方もいるわけでありますが、そして、そういう方々をずっと見てみると族議員です。  この族議員というものの存在、族議員というのはどうして生まれてくるかといえば、そういった政調の部会に入り、政調の審議会でいろいろ発言をし、そして政務次官になり、委員長になり、そしていろんな業界とのつながりをつけて、族議員として出てくるわけですな。これが日本の政治の実際を動かしていく、動かしている。いいか悪いかは今聞きませんよ、そういうふうに私は認識しておりますが、総理いかがでございますか。
  375. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いや、それはやはりいいか悪いかというところは大事なところだと思って私は見ておりまして、そのことの弊害はしばしば議論されます。  で、私は弊害がないとは申さない。しかし他方で、いわゆる公務員による行政というもの、国家公務員による行政というものはともすれば非常に中央志向になりやすい、現実の問題としてそうでございます。その間にあって、仮に族議員という言葉をそのまま使わしていただきますけれども、これが地方における国民の気持ちというものをフィードバックする。これは非常にそういう大切な役割を果たしていて、そして、ともすれば中央志向型になりやすい行政というものを改めていくという機能は非常に大きいので、それはいかなる制度にもメリットもあり、デメリットもございますけれども、私は、このメリット面というのを世の中では割に見ておられない。しかし、これは大事なことの、やはりそういうメリットもあるということはつけ加えておくべきだと思うんです。
  376. 日野市朗

    ○日野委員 確かに、おっしゃるとおりのメリットも私承知しているのです。だから、いいか悪いかは別としてこういう形ではありませんかと、こう私尋ねまして、総理は、ほぼそのとおりだろう、こう言われたわけです。  ただ、ここからいろんな病理現象が発生してきているんですよ。族議員になる。官僚の皆さんといろんなつき合いが出ます。親しくつき合う。それからその業界ともいろいろ親しくつき合う。業界の中にははしつこいやつがいまして、あの議員のところに行って頼めば何とかなる、ついでにお金もと、こういう病理現象が非常に強まっている。それが現在のこの疑獄、それを生み出している一つの温床であるというふうに私は実は認識をしているのです。確かに総理の言われるようにメリットはあります。恐らく社会党あたりが政権とったってやや似たような形ができ上がっていくのではないか、こう思いますね。しかし、そこから出てくる病理現象を正していくことの必要性、総理はお感じになりませんか。
  377. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはわかっております。
  378. 日野市朗

    ○日野委員 それともう一つ、やはりもう一つ最も大事なこと、これは、政治家がきちんとした見識を持ち、お金を使わないような政治活動をすることに徹しなければならない。  これは私、前々回の政治改革委員会の論議の中でもいろいろやりました。本会議での質問でもやりましたけれども、ここのところは、よく自民党の方はおっしゃるんですよ。党内での争いになるから、サービス合戦になってしまって金がかかる、こうおっしゃる。自民党さんは、一人でやっているかもそれは金がかからないんだ、こんなことを言うが、そんなことではないです。要は、本人がどのように考えるか、どのような見識を持つか、そしていかに選挙民との信頼関係をつくり、言葉は少し悪いが選挙民の方々に金がかからないような訓練をするかということに私はかかっていると思う。いかがですか。
  379. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはそうだと思います。私ども自身が自分で経験しておるところでも、確かにそういう議員さんがおられる。で、そういう議員さんは自分の選挙民をやはりそのように教育しておられます。かなり長い時間の間にこういうものだというふうに、選挙民もそういうことでお互いにそういうものだという考え方になっている。そういう方々が確かにおられますから、そういうことがないわけじゃない。ただ、それを制度の面で担保する、保証するということをすることはやはり大事なんではないかと思います。
  380. 日野市朗

    ○日野委員 制度はかなり整っているんですよ、実のところ。公職選挙法の選挙運動の規制であるとか政治資金規正法の金の受け入れだとか、これはかなり厳しいんです、本来は。それが動かない。そして抜け穴と称して、その抜け道を探して、そして金をもらうことを恥じず、金を使うことを恥じず、このような気風があるところに問題がある。  私は、この際、痛い、非常に痛みを感ずるにしても、一切の団体、企業、そういうところからの政治献金、これをシャットアウトする、これはもう一切受けることを禁止する、このことを総理にきちっとやってもらいたい。これは痛いですよ。痛みを感じますよ、みんな。しかし、それをやらなければ私は問題は解決しないと思う。疑獄は次から次へと起きてくると思う。  これは金がかかります。それならば私は、政党助成法のような制度、これをきちんと考えるべきである。これは、政党に対して金を出すということになりますと、国民からは随分いろんな意見が出てくるでしょう。しかし、政治を浄化すること、きちんとした政治改革をやることというのは現在何よりも必要なことなんです。私はそう思いますが、いかがでしょう。総理はそのことについてリーダーシップをおとりになる考えはありませんか。今、こんなに政治がゆがんでしまう、そして信頼感を失ってきている、そのようなところで、私はどんな痛みを感じてでもここでは総理がそのことについてリーダーシップをおとりになるべきだ、こう思います。イギリスであのロットンバーラーと言われるものを直すときに大変な苦労を政治家たちはした。その苦労を我々もやろうじゃありませんか。いかがですか。
  381. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 企業と政治家との癒着ということはしばしばあることで、私はそれを全く否定する気持ちで申しておるのではありませんけれども、先ほど申しました国民政治協会といったようなものは、それをきちんと断ちながら、いわば企業が自分の利益でなく政治のために奉仕をするという制度として現在現実に大きな活動をしていて、私はそのことに弊害があるというふうには、自分思っておりませんものですから、その点についての問題を一つ申し上げておきたいと思います。  それから次に、公費負担ということでございます。政治あるいは選挙の費用のかなりの部分を納税者の負担において行うということは、そういう対象が適正につくられ、そして合意ができるということであれば、これは確かに考え得ることでございますけれども、もともと政党というものは本来自由にでき上がってきたものであるし、本来であればそういう国家の権力から自由であることが望ましいというふうに考えられてまいりましたから、しかも、最初は少人数であってやがて大きな政党に育っていくというような人々の場合に、その人々は該当しないのだ、既成政党だけが該当するといったような考え方にも問題がないわけではありませんし、ですから私は、先々国会で御提案いたしました政府の案の中にそういう考えがございます。  ですから、それはやはり選挙制度であるとかいろんなこととの密接な関連において考えてまいりませんと、国民の方も受け入れにくいのではないかというふうに思います。私は、お考えそのものをそれは否定いたしません。そういうことを現に政府も御提案の中で考えておるわけでございますから、否定はいたしませんけれども、そのためにはやはり整えるべき条件があるのではないかというふうに思います。
  382. 日野市朗

    ○日野委員 政治改革に直接触れる問題についてはこの程度でやめます。総理に説得されてやめるんじゃありませんよ。時間の制約上やめます。別の機会にまた議論いたしましょう。  ところで、私はこの間ある本を読みました。「ある通商国家の興亡」という本でございまして、なに、これは経済の本でも何でもありません。昔、地中海にカルタゴという国がございましてね。あそこにハンニバルという人物がいて、私、非常にこの人に心引かれるものがあるものですから、カルタゴについて書いた本なんかありますとよく読みます。  ここでその著者は、そのカルタゴの滅亡の原因をいろいろ分析するんですね。そして彼はこのように結論します。カルタゴは滅亡した。これは非常にひどい滅亡の仕方をするわけですね。ローマに滅ぼされるわけですが、とにかくローマは、カルタゴを武装解除をして三年間にわたってカルタゴに攻撃を加えた。生き残った人はごくわずか。司令官も投降を申し入れたがローマは投降を許さなかった。そしてカルタゴは灰じんに帰した。しかも、ローマはその灰をほじくり返してその土地に塩をまいたというのですから、よっぽどローマというのはカルタゴが憎かったのでありましょう。  そのカルタゴが何でこんなにひどい滅亡の仕方をしたかということについてその人は、つまり、カルタゴというのは優秀な国家だったですよ。そして通商国家として猛烈な利益を上げた。日本みたいなものですな。そして軍事力でも、ハンニバルなどというのはローマに侵攻してかなりの戦いで勝つというようなところがありまして、しかし、カルタゴが滅んだ原因をこの著者はこう言うのです。カルタゴが滅んだのは金もうけに彼らが一生懸命になったためではない、こう言うのですね。カルタゴが滅んだのは金もうけだけをやったからだ、こう言うのですね。  そして彼はこんなふうにその本を結ぶのです。「カルタゴが残したものはただ一つ遺言だけであった。血をもって書き残した歴史の遺言、それには人間は金銭のみに生きるにあらずという教訓を鮮血をもってしたためてあるはずである。」こう書いてあるのです。  こういう分析が正しいかどうかということについてはほかの方がいろいろ書いていますから、そこを立ち入るつもりはありません。ただ、お金だけもうけて、さて何をするのかということは大事なことではないかと私も思います。金もうけの点についてはギリシャ人だってかなりしたたかだったが、ギリシャ人はその文化をもって、ローマに文化的な影響を与えることによって生き延び、かつローマはギリシャの文化によって征服されたと言ってもいいのかもしれない。私考えてみて、やはり金もうけだけをしている国家というのは、これは不気味なものであるに違いないと私は思うのですね。  総理も施政方針演説の中で述べておられますが、もう東西の軸は消えて、しかし、それで万全の平和が来るわけではありません。いろいろ平和を脅かす、平和をぶち壊していく、そういう要因というものはいっぱいある。そういう時代を今我々は迎えた。ほかの国々は、日本はあれだけの経済的な強力な国になった、何をするのだろう、こう考えているわけですね。これに対して総理は何とお答えになるか。私は、このことをあえて国家目的という言葉で呼びたいというふうに思います。  総理も、施政方針演説の中で幾つかの政策について述べておられることは間違いない。国連を重視していく、行財政改革をやりますよ、それから紛争の予防をやっていくためのシステムをつくっていきましょう、こういうことを言っておられるが、これは政策であろうと思いますが、一体あなたは日本という国、この経済的に豊かになり世界じゅうから注目をされている国をどこに、どのように導いていこうとしておられるのか、伺います。
  383. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 ちょうど五十年足らず前に食う物もなくて戦争に負けました。どうやって生きていこうかといって一生懸命お互いに、お互いにと言っては失礼ですが、多くの人が考えた。人生五十年を超えましたから、まだその当時の経験を持っている人はたくさんいて、今五十年たって、ここでさあこれからどうするのだろうというふうに今お互いに考えているのだと私は思います。  それは当然来るべくして来た。カルタゴじゃございません。やはりお互いいわば豊かになった五十年間の、これは考えてみれば歴史的には短い時間でございますから、その我々が達成しようとした目標は一度達成している。そうしたら、今度はその宮というものを何に使えばいいのだということを国民がみんな考える時期に来ているというのがアイデンティティーの問題ではないかと思います。
  384. 日野市朗

    ○日野委員 世界の国々から見れば、これから日本が考えるのでございますというのはなかなかこれは通用しにくいのではないかと思います。今まで何でおまえさんたちそんなに働いたの、そういう疑問は常に持ち続けてきていたのだと思うのですよ。私も総理の言われることはわかるのですね。日本が決して何かをやろうということなんか考えなかった、むしろそれを考えなくても何とか済んでくるような基盤があったわけでございましょう。例えば日米安保条約の枠組みみたいなものがあって、その中でやっていればまず何とかなった。それで私は、今まで日本人というのはそういうことを考えないで済んできた。そして考える習慣も持たずに今まで来てしまった。  ここまで来て、ある日ふと、湾岸戦争なども起きたりする、それから構造協議をつきつけられる、外国からは何とか援助してくれと言われる、そういう中で、今そのことを考えなければならないときだと思う。これは今まで総理、お考えにならなかったですか。一総理も大分長い間政治家として、しかも主要なポストに座られた政治家としての回顧をちょっと伺いたいのですが。
  385. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、お尋ねでございますので、口幅ったいことを申して申しわけありませんけれども、やはり貧しい時代には貧に処する道徳というのをお互い親から習って知っておりました、貧しくても人に分から与えよと。しかし、豊かになったときにどういう道徳が大事かということはだれからも習っておりません。そういう日本がなかったものですから、入り用がなかった。それを今、我々が身につけなきゃならない。やり損なえば必ず人に嫌がられる、そういう兆候はあちこちにあらわれておるわけでございますのですが、これは我々実際経験したことのないことでございますから、急にすぐに身につくものではないかもしれませんけれども、それを一生懸命考えていくということがこれから我々がしなければならない仕事じゃないかというのが私の問題意識でございます。
  386. 日野市朗

    ○日野委員 私も総理とほぼ同じような考え方をしております。ただ私、気になりますのは、日本があえて背伸びをしようとしている傾向が見られはしないか。私は、日本の持っている経済力を過小評価しようと思っておりません。日本の経済力というのはよく私も知っているという前提に立ってお話しをいただきたいと思うのですが、私は、まだまだ日本は貧乏だなどと言うつもりはないのですよ。やはり経済的にはかなり強大な力を持ってきたこと、これは私もよく承知をした上で伺いたいのですが、日本が今国連中心の外交を進めていこうというふうにしている。それで、非常任理事国に立候補いたしまして、日本は当選をいたしました、選挙で。大分激しい選挙運動もやったようでございますが、当選をいたしました。そして、さらにここから常任理事国を目指すおつもりでございますか。いかがですか。
  387. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 これは非常に難しい問題でございまして、国連のかなり多くの国から、むしろ日本はそうするのがいいのじゃないかという声が出始めておりますので、我々としては、これは非常に難しい問題でございますので、これからどういう段取りをということを私申し上げることができませんが、そういう国連の中の世論がだんだん高まっていくということになってくれば、やはり我々としてはいろいろに考えるべきことがあるのであろう。  そういう形で、しかし申し上げるまでもない、常任理事国になりたいという国が、また今の世界情勢から見ますと幾つかございますので、その国々がいわば日本を担いでそういうキャンペーンをやろうといったような動きは、私は実は余りいいことでないとひそかに思っておりますものですから、みんなからそういう祝福されてというような状況が出てくるならば、それはやはり考えるべきことであろうと思いますけれども、私はそんな見方をしております、この問題は。
  388. 日野市朗

    ○日野委員 私も、じゃ意見を申し上げましょう。確かに日本は、それは経済的には大きな国になって、世界じゅうが日本は何をやるのかということを注視をしております。しかも現代というのは、ソ連邦が消滅をする。そして、じゃ南北軸で動くかと思えば、今度は南北軸でも動きませんね。そしてもっと細かい単位で、民族の単位、それから生活のレベルの単位、文化のいろいろな相違、そういったもので今世界が動き始めている。という中で、私は余り大国にはならない方がよろしい、こう考えているのですよ。まあ、どうも大国という言葉がお好きな方がおられます。それから総理も、生活大国ということで大国という言葉をお使いになったが、私はそんなに大国という言葉は使うべきではない、こう思っているのですね。  私は、こういう世界日本を見る目の中で、もう一つやはり重大な問題は、PKO法案を国会のあのような状況で衆議院を通したというような事実、こういうものを見ると、世界日本に対する目というものはより厳しくなっている、このように思いますが、いかがですか。
  389. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 私は、PKOの法案はぜひ成立させていただいて我が国は国際貢献をしたいと今日もこいねがっておりますが、今そのことが御質問の主題では恐らくないのでございましょう。  一つ考えられますことは、我が国が第二次大戦において、殊に太平洋・アジアの諸国と、中国もそうでございました、ああいう関係を持ったということ、我々としては忘れやすい立場であったかもしれませんが、被害を受けた人たちはなかなか簡単に忘れることではないということはやはり常に考えておく必要がある、そういう意味の御指摘であったら、それは我々が忘れてならぬことだと思っています。
  390. 日野市朗

    ○日野委員 私、いまだに日本に対する脅威論というものは消えていないというふうに思います。総理外務大臣なんかもずっと外遊されて、いろいろなところでいろいろなお話をしてこられるのですが、どうも向こうの方々の言われたいいところだけを聞いてきて、本当に向こうの方々がどういう考えを持っておられるかということに対する洞察が少ないとしたら、これは非常に日本にとって悲しむべきことだと思います。  私、いろいろな方々の演説なんかも、ずっと外国の、特に東南アジアとか中国とか、そういうところでの方々のお話なんかもずっと聞いてみて、そして私は、決して日本に対して真っ向から好感を持っているというふうには思えないのです。ある方が、いわゆるベルリンの壁が崩れて東西がこのような状態になったときにした演説がございますね。欧米諸国というのは、東南アジアからのプレゼンスを残してもらいたい、そうでなければ日本が横暴になってくるのですよというような演説をされたのを、私は非常に印象深く受け取っているわけですね。  今度総理も韓国に行かれても、戦前、戦中、そのことについて謝罪をしてこられたようでありますし、それから施政方針の中でも謝罪をするということを言っておられます。私はこれは結構なことだというふうに思うのですが、問題は、謝罪をしてごめんなさいと言って済むことではないのですね、これは。長い歴史の積み重ねというものがあって、そして日本に対していろいろと屈折した感情を持っておられる方々に対してごめんなさいと言っただけでは済まぬ、これが実際にその人たちから見てもわかるような、本当にこれは日本は謝っているんだなということがわかるような形が出てこなければいかぬだろうと私は思います。まあ、ここでも伊東秀子議員なんかから従軍慰安婦の話なんかも出ました。しかし、私は、日本人の過去への反省というものがはっきりあらわれるような国内における政治、それから外交的な行動、これがとられなければならないと思いますね。  それで、まず私は、日本国民が本当に、総理が謝罪をするのと同じように、過去において我々は過った、間違った行動をとったということがわかるように、日本国民、特に若い人たちに対する教育をしていくということは、私は非常に大事なことだと思う。これはもうまさに学校における歴史教育の問題になります。  しかし、この点で非常に私は遺憾に思いますのは、日本がやってきた悪いことに対する教科書の記述というのは、どんどん検定で消えていくわけですね。南京虐殺が消えて東郷元帥が登場したとかですな。まあこう、いろいろ言われるわけですが、私はこの歴史、悪いことは悪い、そういう歴史をきちんと教えていくことが大事だと思う。教科書の検定、歴史の教科書の検定、これの方針をお変えになるつもりはありませんか、いかがです。
  391. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それはぜひ文部大臣からも答弁をしていただきたいと思いますが、昭和五十七年でございましたか、鈴木内閣のときに私は官房長官でございましたが、そういう問題が現実に起こりまして、かなりいろいろなことがございましたが、教科書の検定基準というものを改めました。それから、最近は学習指導要領が随分変わってまいっております。我が国は、国が教科書をつくるんじゃございません、民間がつくられるのでありますけれども、学習指導要領までかなり変わってまいりまして、今言われます点は、私は隔世の感があるとまで申したいぐらい変わってきているように考えております。文部大臣からちょうど一言だけお聞きいただけないでしょうか。
  392. 鳩山邦夫

    ○鳩山国務大臣 ただいま総理から御答弁申し上げたとおりでございまして、先ほどからの日野先生の大変意味のあるお話を承っておりましたが、若干、総理からも御答弁いたしましたように、先生の誤解がおありではないだろうか。  というのは、いわゆるその昭和五十七年以前においていろいろな問題があったのは事実で、そんなプロセスの中で官房長官談話、あるいは教科書の検定基準を改定をして、その後に文部大臣談話を出したわけでございます。そこで、教科書の内容は随分変わるようになりまして、実際、朝鮮半島との関係でも、強制収容とかあるいは創氏改名とか、神社への参拝の強制とか、そういうことを書いてありますし、昨日、伊東先生の御答弁でも申し上げましたように、従軍慰安婦についても既に高校の歴史の教科書で一社は記述をいたしておるわけでございます。  ただ、実は、その教科書の検定基準というものは、学習指導要領とは違いまして大変簡潔なものなんです。ですから、中学の社会の歴史的な分野でどういう教科書をつくるべきかというこの検定基準に、その昭和五十七年当時の官房長官談話を受けて、いわゆる国際理解、国際協調というものを取り入れなさいということを書いたわけで、ただ教科書検定基準というのは具体的な中身、これを教えろ、あれを教えろ、こういう例を取り入れるというのは、これは全く触れていないわけでございますから、検定基準を変えるとか変えないというような問題ではないということでございます。
  393. 日野市朗

    ○日野委員 私は検定基準を変えると言いましたっけかね。検定基準がどうできているかというのは私もよく知っています。それがどのように運用されてきたか、運用する者の心にかかる問題でございますね。この点については総理からもいろいろお話ございました。一応、了としておきましょう。来年度の教科書よく見せていただきます。どういう検定が行われるかをじっと見させていただきたいというふうに思います。  もう一つ、私が気になって気になってしょうがないことを一つ申し上げます。それは外国人労働者の問題であります。これは非常に難しい問題でございますね。私もいろいろ考えてみておりますが、なかなかその成案を得るということはできない。  ただ、考え方に二通りあるんだろうと思うのですね。あたかも外国人労働者が犯罪集団であるかのような取り扱いをされることがよくあります。確かにこれは犯罪者も出るでありましょう。これは無理をして入国をして、言葉も通じない、仕事も思うに任せない、そういう中では、これは犯罪に走る人だっている。これはどこの国の人間だって同じだと思うのですよ。そういう目で、あの人たちを入れると治安を害するというような目で見るのか、それとも、あの人たち日本に新しいものをもたらしてきてくれるのだ、文化的な面でも、それからいろんな日本人の外国に対する目を開いてくれる、そういうような意味で新しいものをもたらしてくれるというような目で見るのか、この二つの選択肢があると思うのですね。  私は、やはり今まで日本人がアジアでやってきたことをどう考えていくのか。それから、特に戦後日本が経済繁栄をする中で随分アジアからはお世話になってきている面もあります。そういうような中でこうやって日本が豊かになり、向こうが困っているときに、それらの人々を受け入れるというような考え方で見るのか、これは二つちょっと大きな違いを結論としては導き出すと思われる。私はどちらを選ばれるのかということを聞きたいと思いますね。どういう規制があって、どういう人は働けて、どういう人は働けないんだ、そんなことは要りません。私、たなごころを指すように知っておりますからね。まあそれほどでもない。そんなことを聞きたいと思わない。これからの政策的な選択肢、どちらを選ばれるかということについて伺っておきたい。
  394. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど日本人のアイデンティティーということをおっしゃい、ましたですが、我々のアイデンティティーを失わないで、文化のアイデンティティーを失わないで、しかし新しい血が入ってくることが望ましい。そういう、どのくらいの時間をかけて、どのくらいのテンポでそれか行われるかということを、私は判断の基準にすべきではないかというふうに思っております。非常にそれが急激に、たくさん、突然入ってくるということは、恐らく我々の文化のアイデンティティーというものに対して大変に強過ぎる影響があるのではないか。そうかといって、我々は頑迷固陋に自分だけでこの国に住んでおればいいとは考えない。それはまた我が国の伝統でもなかったはずでございますから、そういう中で新しい血が、よその人たちがいわばある時間をかけながら徐々に入ってきてくれる、そういうことが指針ではないかと私自身は実は考えております。
  395. 近藤鉄雄

    近藤国務大臣 総理の御答弁もございましたが、ちょっと私、労働大臣としてつけ加えさせていただきます。  先生も御案内だと思うのでありますけれども、政府としては、専門技術的な能力や外国人ならではの能力、技術については可能な限り受け入れる方針でありますが、単純労働者でございますけれども、実は今労働力不足と言われております。労賃が高くなる、またこれから時短を進めていく、これは日本産業構造に一つの非常に大きな前向きなインパクトを与えると思うのですね。ですから、そういう労働力の価値が高くなった、それをてこにして日本産業構造の合理化、近代化、省力化を進めるべきであって、単に外国の方が安く来て働いていただけるから外人労働者を入れようという考え方は、私は基本的にとるべきではないと思います。むしろその外国の方が来ていただくなら、私は基本的に日本と同じような労働条件で、同じような賃金で、そして労働者に与えられたいろいろな保険なり保護というものを日本と同じに共有をする形でなければ入れるべきではないのであって、ただ安く入れて使ってもう帰すよというようなことでは私はやってはいけないと思いますので、その点は慎重に当たるべきだ。むしろ、繰り返しますけれども、この労働力不足というものを日本産業構造の大きな転換にしていくべきだと思うわけであります。  ただ、そうはいっても、日本の周辺地域から日本に来たいという若い方がたくさんいらっしゃいますから、そういう方々についてはむしろ我が国の進んだ技術を研修で勉強していただく。それを今度は単に研修だけではなしに、実際の生産の現場で実際プラクティスいただいて、身につけていただいて、そして帰られたら、その技術をてこにしてそれぞれの地域産業発展のいわば中心になっていただく。そういう形の技術研修制度を通ずるところの外国の方に来ていただくことについては、いろいろ行革審の答申もございますし、これは従来よりも一歩突っ込んで政府としては検討させていただいて、しかるべき成案を得たいと考えております。
  396. 日野市朗

    ○日野委員 私としてもこれは非常に難しい問題であることはよくわかっております。日本にどんどんどんどん単純労働者として来られる方々が来ないで済むような、何か外国に対する手助けといいますか、そういうことができないものかというようなことなんかも考えておりますが、この点はこの程度にしておきましょう。  それで、国家目的は何かということで話を始めたのですが、総理も今のところはっきりした、これは、じゃ何を国家目的に据えて外国にそれを示したらいいかということについてはまだ十分なお考えがないだろうし、私にも実はありません、正直に申し上げると。我々は今までそういうことを考えないでほっぽり出してきたわけなんですね。しかし、私は一つの指針というものはあると思うんですよ。日本には憲法九条が定着をしてずっと長い間、我々この九条を愛してやってきたと思います。それは中には憲法を改正して自主憲法をつくれと言われるような方々もおいでになりますが、その方々は今現実にそう動いてないようでありますから、その方々については触れないでおきましょう。  しかし、この憲法の第九条というものを我々は中心にして何だかんだ言いながらやってきた。そして私、これは非常にいい憲法だと思うのですよ。すばらしいじゃありませんか。憲法を中心にしながら、日本国民はしっかりとそれを守りながら世界の中に平和を創造していくのだということを世界に宣明をしていく、これは非常にすばらしいことではないか。私はそう思っているのですが、この点についてはいかがお考えになりますか。
  397. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 実は、先ほどそれ以上のお尋ねがなかったので、出過ぎてもいかぬと思いまして申し上げなかったのですが、私がこの富をどういうふうに使うかをみんなで考えなければならないと申しましたのは、私は、一つはやはり国際貢献に使うべきだと思います。それからもう一つは、これは多少自分のことでありますけれども、本当に我が国がまだ豊かな社会になっていないと思われる部分についてやはり蓄積が要るのではないかという考えをしておりますことは御承知のとおりでございます。それらはいずれも、殊にこのような国際情勢の幸せな展開もありまして、憲法九条に盛られている、我々がこの五十年歩いてきた道を自信を持って歩むということにつながっていくと思います。
  398. 日野市朗

    ○日野委員 それにつけても、この大事な日本の進路がどのようにどっちに歩み始めるかというときに、やっぱりPKO法案なんというのは私は実は本当はまずいまずいと思いながらいる一人なんでありますが、そこについて今あえて総理にお尋ねすることはいたしますまい。あえていたしますまい。いたしません。  しかし、例えばカンボジアをごらんになってください。カンボジアの国民が欲しかっているものはいっぱいあるのです。それは地雷の除去ということ、これは大事なことだろうと思いますよ。今出ていっている難民が選挙に参加するために国境を越えて帰ってきたいけれども、地雷原があって入ってこれない。選挙ができるのかどうか。そんなこともありますわな。  しかし、そのほかに学校の生徒たちが使う文房具がないのですよ。文房具が欲しい。一冊のノートが、一本の鉛筆が。薬も欲しい。そんな高い薬でなくたっていいのです。あの人たちにはそこらの玉露丸や何かでもよく効くのはいっぱいあるのです。余り高価なものでなくたってよろしいんですよ。そういうものを上げることはできるじゃありませんか。それから、ダムを直してやる。日本橋ですか、あれは何か直すことにしたのですか。そういうことでいっぱい心のこもったことやれるじゃありませんか。何でPKOで地雷でなくちゃいかぬ。いかがお考えになります。
  399. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 せっかくいいお話をしてまいりましたから、日野さんもあえて触れないとおっしゃいますから、私もあえて触れないことにいたしましょう。
  400. 日野市朗

    ○日野委員 まあ総理もうなずいておられたし、閣僚の皆さんもうなずいておられたのを私もここで見ておりまして、あえて反発はなかろう、こう思うのですが、現実どうなりますか。  それから、平和的な貢献ということをやるについても、やっぱりまず自衛隊をということは考えない方がよろしいですよ、皆さん。それはよくないんだ。それはアジアの民衆の心、世界日本を見る目、これからいったら決していいことではありません。いっぱいやれることはあるではないかと私思うんですね。  私も外国、特に低開発国なんかに行ってみてJICAの諸君の献身ぶり、あれを見てみますと、やはりあれは非常にすばらしい仕事をしていまして、そこの国の人たちからも好かれている、私はこう思っているのですが、あのJICAをもっとふやす。それから、もっとお年をとられても、おれも外国に行ってみようか、自分の技量や何かで役に立つ分があったら外国で役に立ててみょうかと思われる人たちがいっぱいいるだろう、こういうことなんかもやってみようとお思いになりませんか。いかがですか。これはだれになりますか。
  401. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 確かにおっしゃるとおり、やれることはたくさんありますが、その前にやらなきゃならないことがある。そこが問題なんですよ。やはり治安が悪くてそれで紛争が続いているというような状態、あるいは地雷があって危なくてしょうがないというときに、民間人に先に行きなさい、行きなさいということは政府はできないのですね。それで、一万人からの人をあそこで入れて、それでまず地雷の撤去から始まって、それで治安の回復をまずやろう、そういうときに、日本はたとえ後方支援でも手伝えないというのはちょっと情けない。それは見解の相違ですから仕方がないことだと思うのです。
  402. 日野市朗

    ○日野委員 何か揚げ足をとるようですけれども、そんなことを言っていたら自衛隊と一緒でなけりゃ民間は行けないということになりませんか。
  403. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 自衛隊と一緒でなくちゃ行けないというのではなくて、民間がある程度安心して行けるように世界の国々が協力するわけですから、この間どこだったか、マレーシアかな、マレーシアか何かの方が来られまして――インドネシアか。インドネシアで八百人出すというようなことを言っていました。ASEANはみんなそういうようなことでおつき合いですからやりますと。あの国が一番海外に軍隊を出すことについて消極的だったのです。そういうこともございまして、やはり一緒に連帯感というか、そういうのを持たせることも大事じゃないか、そう考えております。
  404. 日野市朗

    ○日野委員 この問題、議論を始めたら際限もありませんから、この辺でその問題については終わりますが、何か、外務大臣、最近は非常に外務省、にぎやかなようでございますね。前は外務省なんていうと、商売人や利権屋なんというのは入らない、しんとした役所でございましたがね。しかし、このごろはODA関連の業者とか何かがひしめいて、非常に外務省もにぎやかになったかの情報を私は入手をしております。  ところで、このODAですが、随分評判、まあ褒められるところもあるが、評判悪いところもございますね。底の抜けたダムをつくったとかそんな話もこうありまして、もう少しこのODAのあり方というものを考え直さないと、私は、日本というのはちょっとひんしゅくを買うという部分もあるのではないかというふうに思います。これは私、ODAを担当する部、セクションというものは、これはある程度外務省と距離を置かした方がいいんじゃないかと思っていますよ、外務省に怒られるかもしらぬけれども。そして、このODAを扱うところはODAを専門に扱わして、いろんな情報を整理して、何が一番有効な手段なのかということをきちんと分析してかかる必要があるんじゃないでしょうか。  どうも今のODAの出し方を見ていますと、企業が対象国に乗り込んでいって、そしてそこの政府や何かといろいろ話をして、そしてあそこにこういうのを出した方がいいですよというふうなことをこう言わせて、そしてそこに企業がちゃっかり乗っかってというのが当たらずといえども遠からずというところじゃありませんか。こんなことをやっちゃいかぬと私は思いますが、どうですか。
  405. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 最初のうち、特に一番ひどかったのは賠償援助でしたが、例えばマルコスの問題とかインドネシアの前政権のときの問題とかいろいろあったことは事実ですね。その後になりましてからも、要するに一括で政府に金額で渡すというようなこともあった。  で、十年ぐらい前から、そういうことでなくてプロジェクトごとに大蔵省が審査をしろと、私が大蔵大臣になってからなんですが、プロジェクトごとにフィージビリティースタディーをきちっとつくってそれでやるようにというようなことや、最近は各省庁等の意見もよく聞いて、むだにならないように専門家の意見も徴してここのところずっとやっておる。さらにまたいろいろ工夫すべき点はあろうかと存じますが、皆さん方の意見も聞いて、いいところは大いに採用したいと考えています。
  406. 日野市朗

    ○日野委員 ODAというのは、これからの日本の進む道を決めるに当たって非常に大事なものだと私は思いますのでありますから、この点については、さっきちらっと私申しましたが、外務省からむしろ切り離した方がいいのではないか、こんなふうに私思っております。そしてこのODAの使い方、これ間違うと、日本は金に飽かせてというような批判がまた向こうから飛んでくる、こういう危険もまた裏腹にあるわけですね。いかがですか、これ外務省から切り離してみたら。
  407. 渡辺美智雄

    渡辺(美)国務大臣 これ、経済協力というのはやはり外交の一つのカードであることは事実なんです、実際は。ただ単にどんどん援助をするというだけでなくて、やはり日本に対する支持とかいろいろな面で、これは外交上は重要な問題だ。しかし、いろいろな事務その他の問題については、実務的な問題はできるだけJICAに委譲するというやり方について目下勉強中であります。
  408. 日野市朗

    ○日野委員 JICAに委譲というのも一つの見識かもしれませんが、まあそれはその検討の結果を見せていただきたいというふうに思います。  じゃ、今度は生活大国について伺いたいと思います。  私はさっきから、大国という言葉を使うのはいかがなものかと申し上げてきたのですが、生活大国という言葉を総理はお使いになって、施政方針の中で生活大国の内容についての所信を発表されました。実はこれは、社会党の新宣言というやつがございましてね、あれとかなり似ているんですね。私もおやおやと思いながら、実は私もその新宣言をつくるときに深く関与をした者の一人でございまして、目のつけているところはかなり似たようなところにつけているなと思ったんでありますが、実は私ども、こういうことを仕上げていくために何が必要なんだろうということを本当に真剣に考えました。  これは、考えてみれば今まであってしかるべきことでしたね。第一から第六まで、総理は六本の柱を立ててその生活大国で実現をすることをずっと挙げておられるわけですが、これをうまく仕上げていくために必要なものは何なんだろうというのは私ども非常に考え込んだところでありまして、これは経済的な、経済原則だけに任せておいてはできないというふうに私なんかは考えたわけであります。やっぱりこれは国民の心を一つにして、国民の気持ちをまとめてこれに取り組んでいかないといけないのではないか、やっていけないのではないかというふうに考えているわけです。今でも乱そう考えておりますね。  そのとき考えたのは、結局心の問題として国民同士の連帯ということをきちんとやっていかないといけないだろう、それから、経済第一主義に陥ることなしに人間を大事にしていくという視点が大事だろう、こういうことを我々、我々といいますか、私考えたわけですが、何か総理がそっちこっちでいろいろ発言されている問題、発言されているものなんか読ましていただきますと、総理は、心の問題というのはこれはもう政治が触れるべきことではないというかのごとき発言をしておられるものを時々見るわけですよ。この点について何か総理おっしゃりたいことございますか。
  409. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 それは、私などの年の者は戦前、戦争中に政治が国民の心の中へ入り込んできた、あるいはこようとしたことをよく経験しているものですから、余計そういうことを感じるんだろうと思います。政治ができることは一人一人の人が幸せに自分の価値観で暮らせるような環境をつくるということであって、果たしてそれがそういうことに結びつくか結びつかないかというのはやっぱり一人一人の人が考えるべきことであろう。政治が人の心を支配するようなことがどういう社会になるかということを経験したことのある人間は殊にそのことを強く感じるのかもしれませんけれども、そういうふうに、権力とでも申しますか、そういうもののあり方についてはかなり強くそういうことを感じております。
  410. 日野市朗

    ○日野委員 かつて心を支配しようとした政治がありまして、それは人々を狂気ともいうべき心理状態に追い込んでいって戦争などという事態が起こったこと、こういったことも私よくわかります。しかし現在、それならば翻って、現在の日本人の心象風景とでもいいますかね、そういったものを私ちょっと総理も見ていただきたいと思う。  総理、最近電車に乗ってごらんになったことありますか。それから、いわゆる三K職場と言われるようなところに行ってごらんになったことありますか。いかがでございましょう。
  411. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 電車にはございます。電車には。
  412. 日野市朗

    ○日野委員 時々マスコミなんかでも問題になるんですが、小さいことですよ、小さいことだが、こういうことにもきちんとやっぱり目配りはしておかなくちゃいかぬのだろうなと思うんで申し上げるんですが、電車なんかに、いっぱい込んでいる電車の中で二人分ぐらいの座席を占領している人なんかも実はいるわけです。私、しかもシルバーシートなんというのがありまして、そこでそういう人たちなんかも見受けます。こういう人たちは今何を考えているのかなと思います。  それから、三K職場と言われる、例を挙げておきましたので申し上げますが、三K職場と言われるようなところは確かにいい職場ではありません、我々見て。しかし、そういうところに人がいなくなってきた、こういうことなんかは私見聞をいたしまして、日本人の今心に宿っているものというものは、人の痛みとか人のつらさとかに対する思いやりをかなり欠いてきたのではなかろうかと私実は思っています。  何によってそういう状態がもたらされているかということも考えてみるんですが、みんなお金になるところ、お金になるところにはみんな行く、しかしお金にならないところにはみんな行かない、こういう現象が起きてきているわけですね。私はこれは非常に困ったことだというふうに思っています。お金、お金、お金、これが余りにも日本人の心を制約し過ぎているのではないか、私こう思うんですが、いかがでしょうか。総理が言われるように、ゆとりのある生活をつくることができれば人々の気持ちというものは一本にまとまっていくとか、それによって人々がお互いに助け合うようなことになるとか、私には到底今の日本の現状を見て考えられない。いかがでございますか。
  413. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 先ほど申し上げたのは、政治とか権力とかいうことであったのですが、私は、今御提示になった問題は教育の問題だと思っています。これは、ちょっと論争になっていけませんからその部分を外して申しますけれども、やつはり学校教育、家庭教育、社会教育というものがあり、年寄りは若い者を教えなきゃならぬというような、そういう、今のはもうひとえに私は教育の問題であって、その政治とか権力とかいうものの問題ではないと考えるべきじゃないかと思っています。
  414. 日野市朗

    ○日野委員 それは学校でも家庭でもそういうことは教育はするでしょう、恐らく。しかし、それよりもっと強い力で経済第一主義、お金、お金、お金、企業社会、こういったものはどんどん進んでいるということ、これを直さなければ、この日本人のそのメンタリティーというものですな、これは変わらぬと私は思っているのです。  といいますのは、もうとにかく先ほどから日本の経済発展というものがこれは問題になりました。そこの中では物すごい企業活動、経済活動が行われてきたですよ。周りを見て、ああ、こんなことをやっちゃいかぬのじゃないか、政治家に金をやったらいかぬのじゃないか、そんなことはもう頭の中ではわかっていても、自分たちがどんどんどんどん競争して伸びていかなくちゃいけないから、そんな価値観、それを乗り越えるものが日本の経済活動の中にあったんだと私は思うんですね。また、日本の企業というのはそうやらなければ生きてこれなかったのかもしれない。そういう中で醸成されてきた拝金主義とでもいいますか、そういった倫理などを超えてしまうような、経済倫理などを超えてしまうような経済活動が私は進んできたんだろうと思う。その中で私は政治腐敗、これも起きているというふうに思うんですが、何しろ時間ありませんから、そこのところは深く入り込みませんけれども、私はこういう経済活動の体質、日本の持っている経済活動の体質ですね、これを直していかないことには、まあ幾つか総理が挙げておられる六本の柱、これがうまくでき上がっていくかどうか、私はこれは疑問だと思いますよ。  例えば総理は社会資本の充実を言われる。そのためには恐らく、施政方針演説の中にも書いてありますが、公共投資をやるわけですな。そうしたら、これは恐らくもうまた新しいバブルの原因になったり、また新しい汚職の原因になったり、物価引き上げの原因に失ったり、インフレの要因になったり、こんなことになってくるというおそれを総理はお感じになりませんか。
  415. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 もとのところの問題に返ってお答えをすることになるのですけれども、その生活大国、大国という言葉はともかくとしまして、生活大国ということを言うのにはやはりかなりの私自身に何年間かのちゅうちよがございました。それは、やはりこれは生産ということの対比において言われていることであろうというふうに理解される人は恐らく多い、また実際そういう部分があるわけであります。  生産ということは、生産性ということであり能率ということでございます。いかなる場合にもむだを省くというのは大事なことではあるけれども、しかし、能率だけがすべてではないということを言えるような社会になりつつあるし、しなければいけないという気持ちがあって生活大国ということを言おうとしたのですが、その際、しかし、そんならもう生産は要らないんだねということになれば、そういうことを言っているわけではありませんから、そういう誤解を恐れてなかなか生活大国ということは言いにくかったわけでございますけれども、しかし、そういう誤解がないということを一生懸命強調しながらその六つの柱を掲げたのでございます。  ですから、その中に例えば時短がございます。時間短縮がございます。これなんかは、まあその一番あるいはいい例であるかもしれませんけれども、そこはやっぱり踏み切っていかないといかぬというふうに思っています。
  416. 日野市朗

    ○日野委員 時短、賃金というのは、これはゆとり、豊かさの基本になるものであって、私はそれは必要、どうしてもこれは実現していかなくちゃいかぬことだと思いますね。しかし、労働時間短縮促進法案ができる過程を見ると、これは随分経営者の側からの物すごい圧力があったと聞いています。  それから、今度の春闘についても日経連の会長さん、どんな態度です。こんなものを直していかなくちゃいけないんですよ。これは政治が出る場だと私は思うんですが、そんなことをしちゃいけませんよと。やっぱり時短、ゆとり、豊かさ、こういったものを実現していきましょうよと。何で政治がもっと強い機能を果たせないのか、私は非常に残念だと思う。私は、企業人に政治家がやられちゃっているんだと思うんですよ、その強い力に。  例えばさっき、独禁法のことは、ちょっと委員長さんおいでかもしらぬけれども、独禁法のことはさっき小岩井さんがやられたから言わぬ。談合について、いや、こんなに日本は談合社会と言われて、SIIで談合を指摘されて国辱じゃありませんか、あんなものは。刑法第九十六条ノ三にちゃんと談合罪があって、談合しちゃいけませんぞとなっている。  しかし、談合社会と言われて、談合について、じゃどのくらい取り締まりがなされていますかというと、まさにこれはりょうりょうたる数しか取り締まりは行われておりません。もうこれは、警察庁ごめんなさい、こっちから数字言っちゃいますわ。検挙件数、五十七年に十四件あった。この年は非常に談合批判が渦巻いたときです。その前なんかゼロ、ゼロ、ゼロですよ。その後、五十八年は二件、五十九年六件、六十年には三件、六十一年に一件、六十二年に八件、六十三年二件、元年一件、二年は一件、三年は二件。この談合社会と言われる中で、一体このざまは何だということですな。まあ建設省の意見なんかも聞きたいが、もう時間ありませんから。  どうなんですか、警察庁、もっと厳密に摘発をする気ありませんか。警察庁が摘発されたものに対して政治家が圧力をかけるなんということがないように、圧力に負けないように、警察庁、きちんとやってもらいたいですね。私は、談合事件で政治家が圧力をかけてつぶした事件、何件も知っている。私も弁護士ですからね。どうですか、警察庁。
  417. 國松孝次

    國松政府委員 談合事件につきましては、ただいまのお言葉ではございますが、一応私どもちゃんと捜査をしてきているつもりでございます。  ただ、御承知のとおり、談合と言われる行為はすべて刑法に触れるというわけではございませんで、「公正ナル価格ヲ書シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的」を持った談合、これが刑法上の罪になるわけでございます。その「目的」の立証につきましてやや難しいところがあるわけでございますが、談合というものが最近また新しい社会問題になっておりますので、私どもとしては関心を持って、刑法に触れる談合行為があれば積極的に捜査をしてまいるつもりでございます。
  418. 日野市朗

    ○日野委員 いろいろあしざまに言いましたが、やっぱり私は、政治と官僚と経済界、この三つの複合体、これを、その複合している糸を断ち切らない限り疑獄は絶対になくならぬと思います。最後に一言御感想を聞かせてください。
  419. 宮澤喜一

    宮澤内閣総理大臣 いろいろお話を聞かせていただく機会がありまして、大変稗益いたしましたし、また、その中からいろいろなものを酌み取らせていただきたいと思っています。
  420. 日野市朗

    ○日野委員 終わります。
  421. 山村新治郎

    山村委員長 これにて日野君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三分散会